何をすると淫行として処罰されるのか?何罪になるのか?どんな処罰を受けるのか?淫行事件の対処法を全面解説

●何をすることが淫行に当たるのか?

●児童淫行は逮捕されるのか?

●児童淫行で早期釈放はできるか?

●淫行事件は解雇されてしまうか?

●淫行事件で示談はできるか?

●淫行事件の弁護士選びはどうすべきか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,児童淫行事件の対応でお困りの方に向けて,淫行事件の取り扱いや淫行事件への対処弁護士に依頼する際の注意点等について解説します。

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淫行とは

淫行は,18歳未満の男女を相手に性交又は性交類似行為をすることを言います。
性交は挿入行為を,性交類似行為は口淫や手淫といった行為を指します。

もっとも,18歳未満を相手とした性行為等のすべてが淫行に当たるわけではありません。
最高裁判所の判断を要約すると,以下のいずれかの場合に当たることが必要です。

①心身が未成熟であることに乗じて行うこと
②単に性的欲望を満足させるためとしか認められないこと

つまり,性行為に対する判断能力がまだ十分でない18歳未満の男女を,ただの性欲の対象として扱う行為が「淫行」に該当するということですね。

逆に,婚約を前提としているなど,いわゆる真剣交際の中で行われた性行為は,淫行には当たらないことになります。
もっとも,ただ真剣交際であると主張すればいいというものではありません。真剣交際であるから淫行に当たらない,と判断されるケースはごく少数であると考える方が適切でしょう。

淫行条例の刑罰

淫行は,各都道府県の定める「青少年保護育成条例」「青少年健全育成条例」といった名称の条例に違反する行為であり,条例の中で罰則も設けられている犯罪です。
条例の名称の一例として,東京都では「東京都青少年の健全な育成に関する条例」,埼玉県では「埼玉県青少年健全育成条例」という名称で定められています。
これらの条例のうち,淫行を規制する条項を指して,俗に「淫行条例」と呼ばれることがあります。

条例は都道府県によって異なりますが,淫行に対する刑罰の一般的な定めは,

2年以下の懲役又は100万円以下の罰金

とされていることが多く見られます。

淫行と逮捕

淫行条例違反の事件は,必ずしも逮捕されるとは限りません。
むしろ,相手の子(青少年)との間でトラブル化しているなど,今後の被害拡大が懸念される場合を除いては,逮捕をされるケースの方が少数派とも言えます。

もっとも,淫行が問題になる場合は,事態が周囲や警察に発覚するきっかけがあった,ということになります。
そのきっかけに青少年自身が関わっていないとは考えにくく,青少年の意思で警察に事実を述べた場合もあり得るところです。
青少年が警察に事実を述べた理由によっては,青少年の安全を守る目的で,被疑者の逮捕に踏み切る可能性も否定はできません

また,教師に代表されるように,青少年と関わる職務上の地位にある人が,職務上知り合った青少年との間で淫行した事件の場合には,事件の重大性を踏まえて逮捕に至る可能性が高くなりやすい傾向にあります。

淫行事件も逮捕の可能性はありますので,逮捕が懸念される場合には弁護士へのご相談やご依頼を検討するようにしましょう。

淫行事件は早期釈放が可能か

刑事事件では,逮捕された場合,その後に勾留されるかどうかの判断が行われます。
勾留された場合,10日~20日間の身体拘束が追加で生じ,留置施設に入れられながら捜査されることになります。
一方,勾留されなかった場合には,速やかに釈放されて在宅事件に切り替わり,日常生活に戻ることが可能です。

淫行条例違反の場合,逮捕されたとしてもすべて勾留されるわけではなく,早期釈放の上で在宅事件に切り替えてもらえる場合も珍しくはありません。
勾留は,逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れが大きいと判断された場合に行われる身体拘束ですが,事件を認めていて身元もしっかりとしている人であれば,逃亡や証拠隠滅の恐れが勾留しなければならないほど大きいとは判断されないことも多数あります。

もっとも,このような主張や働きかけは,弁護士を通じて検察官や裁判官に対して行う必要があるため,淫行条例違反で逮捕された場合には,勾留を防ぐためにできるだけ速やかに弁護士へ依頼することをお勧めいたします。

淫行と解雇 

淫行事件そのものは,法的には必ずしも解雇とは限りません。
民間企業の場合,解雇される場合の条件は就業規則に記載されますが,淫行事件が起きたことを特に解雇の理由としていることはほとんどないでしょう。また,仮に就業規則に明記されていたとしても,私生活上で起きた淫行事件を解雇の理由とするのは,正当な解雇であるか大きな疑問が残るところです。

もっとも,長期に渡って身柄拘束され続けたり,相当程度の刑罰を受けたりなど,業務への悪影響が大きくなってくると,それに比例して解雇の可能性も大きくなることが考えられます。
そのため,淫行事件が解雇につながることを防ぐためには,身柄拘束の期間を短期にとどめる,刑罰の軽減を目指すといった試みが有力でしょう。

なお,ここまでは私生活上での淫行であることを前提として解説しましたが,業務上又は業務に関連して行われた淫行だと,話が大きく変わってくるでしょう。
代表例としては,教師が生徒との間で淫行に至ったような場合です。この場合は,業務への悪影響が著しく大きいため,解雇が正当化されやすいと思われます。
また,公立学校の教師である場合,公務員という地位もあるため,懲戒処分の対象になることも想定されます。いずれにしても,私生活上の淫行事件より解雇の可能性が非常に高くなると考えられるでしょう。

淫行の示談

①示談の効果

淫行条例の場合,相手となった青少年(現実的にはその親権者)との間で示談が成立し,青少年側の宥恕(許し)が獲得できれば,不起訴処分となる可能性が非常に高くなる傾向にあります。
一方,示談の試みを特段せず,漫然と処分を受けた場合には,淫行の事実が明らかでない場合を除き,起訴されて刑罰を受けることが通常です。前科がなく,単純な淫行事件であれば,30万円ほどの罰金刑になることが多く見られますが,罰金刑も刑罰であり,刑罰を受ければ前科がつくことになります。

そのため,淫行条例で捜査を受け,前科を回避したいという場合には,示談の試みを行われることを強くお勧めします。
そして,示談を試みる場合には,当事者間で直接やり取りすることは適切でないため,弁護士に依頼し,弁護士を通じて示談の申し入れを行うことが必要です。

②示談金の金額について

示談を行う場合には,被疑者側から青少年側に対して,お詫びの意味を兼ねた金銭(示談金)を支払うのが通常です。
この示談金の金額は,当事者間の交渉で決定しますが,30万円前後が一つの目安とされやすいです。


淫行条例違反の場合,青少年の方も性行為に同意しているため,その点を踏まえた場合にはそれほど大きな金額の支払は必要でないと考えることも可能です。
一方,青少年の未熟さに乗じた事実は間違いないところであるため,その点を強調した場合には一定の金銭賠償は必要となるものと考えられます。
また,示談金には,不起訴となるための許し(宥恕)をいただく対価という意味も事実上込められるため,刑罰を科さなくてもいい,と留飲を下げるのに値する痛み(負担)という意味で金額を定めることもあります。

淫行事件で弁護士に依頼するべき場合

淫行事件で弁護士に依頼するべき場合としては,以下のようなケースが考えられます。

①逮捕を避けるために自首したい

淫行事件の場合,被疑者と青少年との間に交友関係のあることが多いため,青少年から被疑者に対して,淫行事件が捜査されそうであるという内容の連絡がなされる場合もあります。
そのような場合,漫然と待機しているよりも,自ら警察に出頭して自首する方が,逮捕の回避や処分の軽減につながるでしょう。
そのため,淫行事件での自首は有効な手段の一つということができますが,自首をより効果的に行うためには,弁護士と同行するなど,弁護士に主導してもらう形で行うのが適切です。

②相手と示談をして刑罰を回避したい

淫行事件の場合,青少年及びその親権者との示談が,刑事処分の結果に大きく影響することが多いです。
しかし,示談を試みる場合には弁護士を通じて行うことが必須となるため,示談を通じて刑罰の回避を目指す場合には,弁護士に依頼すべきと言えるでしょう。

③余罪が発覚して処分が重くなることを避けたい

淫行条例違反の事件では,複数の青少年と,複数の性行為を行ってしまっているケースもあり得ます。
そのうちの1件が捜査の対象となった場合,余罪が発覚するかどうかは処分の結果に大きな影響を及ぼす可能性も否定できません。
そこで,弁護士に依頼の上,余罪の発覚を防ぐための取調べ対応を協議したり,余罪に対する心構えや考え方について案内を受けたりすることが非常に有効となるでしょう。

④身に覚えがないことを主張したい

淫行条例違反とされるケースの中には,行ってもいないことを疑われるという場合もあり得ます。
この場合には,犯罪事実がないことを説得的に主張し,検察官の不起訴(嫌疑不十分)の判断を促すことが必要です。
もっとも,嫌疑不十分であるかどうか,ということは,高度に法的な判断を要する問題です。そのため,弁護士に依頼の上,法律の専門家同士による協議をしてもらうことで,検察官に嫌疑不十分であることを納得してもらうのが非常に有効な手段となるでしょう。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

児童淫行の事件は,当事者の関係や立場,事件の内容等によって必要な対応が異なります。
また,適切に対応できれば,重大な不利益を避けることのできる場合も少なくありません。
一方,対応や弁護士選びを誤った場合,適切なタイミングで適切な動きが取れず,取り返しのつかない不利益が生じる可能性もあります。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
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児童買春事件とは?どんな法律で規制されている?一般的な刑罰は?徹底解説

●自分の悩みは児童買春に当たるのか?

●児童買春とパパ活,売春の違いは何か?

●児童買春は警察にバレるのか?

●児童買春は自首すべきか?

●児童買春は逮捕されてしまうのか?

●児童買春は前科がつくのか?

●児童買春で弁護士に相談した方がいい場合は?

といった悩みはありませんか?

このページでは,児童買春について知りたい児童買春で逮捕や前科を防ぎたい,という方に向けて,児童買春に関する法律や弁護活動について解説します。

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児童買春とは

児童買春とは,いわゆる児童ポルノ法で禁じられている犯罪行為の一種ですが,その基本的な内容は,

①18歳未満に対して
②対価を渡して
③性的な行為をすること

ということができます。
対価については,金銭に限らず,プレゼントや食事も含まれます。


また,対象となる性行為には,

①性交(挿入)
②性交類似行為(口淫や手淫等)
③性器・肛門・乳首を触ったり触らせたりすること


が含まれます。

児童買春の刑罰は,5年以下の懲役又は300万円以下の罰金とされています。
児童の数や年齢,行為態様など,個別の事情によって,具体的な刑罰が大きく変わる事件類型です。

児童買春とパパ活の違い

一般的に「パパ活」と言われるのは,若い女性が年上の男性から金銭を受け取り,対価としてデートや性行為をするものです。
このパパ活は,児童買春に該当する場合,該当しない場合いずれも考えられるでしょう。

具体的には,まず,①女性側が18歳以上であれば,児童買春に該当することはありません。
児童買春の相手は児童(=18歳未満)であることが必要です。

また,②性交や性交類似行為など,性的な行為がなければ,児童買春には当たりません。
男性から女性に金銭が支払われたとしても,その対価が肉体関係を伴わない程度であれば,児童買春には当たらないことになります。

児童買春と売春の違い

「売春」は,売春防止法で禁じられた違法行為です。
そして,この売春は,対価を得て性交する行為を言います。
売春は対価を受け取る側の行為であり,児童買春は対価を渡す側の行為という区別が可能です。

もっとも,売春と児童買春が対象とする行為は,完全に一致しているわけではなく,以下のような違いがあります

①18歳未満であるかどうか
児童買春は,その相手が18歳未満である場合にのみ成立しますが,売春は18歳以上が行う場合も含まれます。

②対象となる行為が性交に限られるかどうか
売春は,性交する場合のみを対象としますが,児童買春は,性交に至らなくても,性交類似行為や性器等を触る行為があれば成立します。

なお,売春防止法違反の刑罰は,主に売春のあっせんや管理をする行為に対して科せられます。
売春をした人やその相手方になった(買春した)人自身は,基本的に処罰の対象とはなりません。
ただし,やり方によっては罰則の対象になりますし,罰則はなくとも違法な行為であることは間違いありません。

児童買春が警察に発覚する場合

児童買春事件が警察に発覚する経緯としては,概ね以下の場合が挙げられます。

①児童の親権者に発覚し,親権者が警察に相談する場合

いわゆる「親バレ」というものです。親権者の相談を受けた警察は,児童に話を聞くなどして捜査に着手し,SNSでのやり取りなどから被疑者を特定することが考えられます。

②別件捜査の過程で芋づる式に判明する場合

児童は,複数の相手との間で児童買春をしているケースが非常に多いため,別件の児童買春事件で事情聴取を受けた児童やそのスマートフォンの履歴などから,事件の存在が発覚する場合があります。

③児童が補導され,警察に事情聴取された際に発覚する場合

児童が夜間の外出や不適切な場所への出入り等を行い,警察に補導されると,事情聴取として素行の確認をなされる場合があります。
そのとき,児童買春の事実が発覚し,捜査の対象となる可能性が考えられます。

児童買春事件は,上記各場合のように,児童と警察との接触が捜査のきっかけになる場合がほとんどです。
そして,児童と警察が接触する可能性があるか,という点は,完全に児童の日常生活に依存するため,自分の努力で児童買春の発覚を防ぐことは非常に困難と言わざるを得ないところがあります。

児童買春と自首

児童買春をしてしまったものの,まだ警察からの捜査を受けていない場合,今後の逮捕が心配という人は少なくないと思います。
そのときの選択肢としては,自分から警察に出頭して犯罪事実を述べること,つまり自首が考えられます。

自首のメリットデメリットとしては,以下の点が挙げられます。

【メリット】
①逮捕される可能性が下がる
②刑事処分が軽減されやすくなる
③被害届が出ていないと分かる可能性がある

【デメリット】
①事件が発覚せずに済む可能性がなくなる
②やり方を検討する負担や実行する負担が大きい

一般的な児童買春事件であれば,自首が成立する場合に逮捕されることは考えにくくなるでしょう。
また,最終的な処分も,不起訴を含む軽微なものになる可能性が大きくなります。
事件が発覚せず終わる可能性を自分から放棄することにはなりますが,非常に有力な手段であると言えます。
もっとも,具体的にどうするかをご自身で検討したり実行したりすることは難しいので,自首を検討する場合には弁護士へのご相談をお勧めいたします。

児童買春と逮捕

児童買春事件は,逮捕をされる可能性が相当程度考えられる事件類型です。

類型的に余罪の存在が疑われやすい事件のため,相当数の余罪があると思われる事件では,余罪を含めた罪証隠滅を防ぐ目的で逮捕される可能性があります。
また,児童の年齢が特に低い場合や,捜査対象となる件数が多い場合には,事件の重大性などを踏まえて逮捕される可能性があります。

一方,児童の年齢が18歳に近く,捜査対象となる事件が1件であるなど,悪質性が高くはないと判断されれば,逮捕されずに在宅事件として取り扱われるケースも多く見られます。

個別のケースで逮捕されるかは,具体的な判断が必要となるため,児童買春事件で逮捕が懸念される場合には弁護士へのご相談が有力でしょう。
弁護士への相談や依頼を実施すれば,あわせて逮捕を避けるための試みについても案内を受けることができます。

児童買春と前科

児童買春事件は,起訴されて前科がつくことになる場合が多く見られます。
一般的には,悪質とは言えない事件でも罰金刑などの刑罰を受けることが見込まれやすいでしょう。
罰金となる場合には,公開の裁判(公判)をせずに罰金とする略式手続が取られるのが通常です。

一方,児童の年齢が低い,件数が多いなど,悪質と評価される事件では,略式手続では済ませられず,公判の対象となることが考えられます。
公判に至った場合には,執行猶予を含む懲役刑の対象となることが見込まれるでしょう。

児童買春事件では,積極的に前科を避けるための動きを取らない限り,前科がつきやすいと言えます。
前科を避けたい場合には,児童側との示談を行い,児童側の宥恕(許し)を獲得することが必要になりやすいです。

児童買春の示談

児童買春事件で処分の軽減や不起訴を目指す場合には,示談の試みが非常に重要となります。
示談を試みる際の一般的な方法は,以下の通りです。

①弁護士が被疑者の方などから依頼を受ける
②弁護士から捜査機関に連絡し,示談の申し入れをしたい旨伝える
③捜査機関から児童側に連絡をし,示談のお話合いが可能か意向を聞く
④児童側の了承が得られれば,弁護士と児童側(通常は親権者)との連絡先交換をする
⑤弁護士と児童側が交渉をする
⑥合意に至れば,示談を取り交わす

示談は,捜査機関に申し入れる方法で試みますが,当事者同士を引き合わすことは認めてもらえないため,弁護士を通じて,弁護士限りでの交渉を申し入れることが必要です。
示談を試みる場合には,弁護士への委任を行うようにしましょう。

ただし,児童買春の事件で示談を行う場合には,注意点があります。
それは,示談をしたからといって必ずしも不起訴になるわけではない,ということです。

そもそも,示談によって不起訴になるのは,犯罪の被害者が,その被害に対する刑罰を希望しないためです。
これは,犯罪によって生じる被害が,その個人に対する被害のみであることを前提にしています。
窃盗罪であれば,被害者個人の財産だけが犯罪の被害であるから,被害者が刑罰を希望しなければ不起訴になる,というわけです。

しかし,児童買春の事件は,犯罪によって生じる被害が個人の被害だけではないと理解されています。
具体的には,児童の個人的な被害に加え,社会の秩序が乱された(社会的法益の侵害)という面もあるのです。
そのため,児童や親権者だけが許したとしても,社会の秩序が乱されたという点については許されておらず,必ずしも不起訴になるわけではありません。

そのため,児童買春事件で示談を試みる場合には,示談をしても不起訴になると決まるわけではないという点にはあらかじめ留意しておくようにしましょう。

児童買春における弁護活動

児童買春事件の弁護活動としては,以下の内容が挙げられます。

①逮捕や勾留を防ぐ弁護活動

児童買春の事件は,逮捕されるかどうかがケースにより様々です。また,弁護活動次第では逮捕や勾留を防ぐことができる場合もあります。
それらの判断は,刑事事件に精通した弁護士にご依頼の上,個別の事情を踏まえて行ってもらいましょう。そして,弁護活動によって逮捕や勾留が防げる可能性のある場合は,あわせて弁護活動に着手してもらうのが適切です

②示談交渉・締結

児童買春事件で,事後的に処分の軽減を図る手段としては,やはり示談が最大の効果を持ちます。
示談をすれば不起訴になる,というほど単純ではありませんが,示談以上に不起訴の可能性を高めてくれるものは他にありません。
もっとも,この示談交渉や締結は,弁護士に依頼しなければ現実的には行うことができないため,弁護士に依頼の上,示談の試みを行ってもらうことが適切でしょう。

③自首同行

後日逮捕が懸念される場合,先手を打って自首を行うことで,後日逮捕を回避できる可能性が高くなります。
そして,弁護士に依頼し,自首に同行してもらうことで,適切な方法での自首が容易になり,逮捕回避や処分の軽減につながる可能性をより高くすることも可能です。
自首を検討する場合には,弁護士と同行する手段もあわせて検討されることをお勧めします。

④取調べ対応の協議・助言

捜査に際しては,警察や検察から取調べを受けますが,その際にどのような対応・返答をすべきか,という点は簡単な問題ではありません。
特に,発覚していない余罪があったり,取調べの手法が過激だったりする場合には,対応に困ることも少なくないでしょう。
弁護士へ依頼し,それらの不安を率直に相談されることで,弁護士と対応方針の協議をすることや弁護士からの助言を受けることが可能です。

児童買春事件に強い弁護士をお探しの方へ

児童買春は,件数・内容・程度・捜査状況等,様々な事情によって取り扱いや見込みが大きく変わってくる可能性のある事件類型です。
そのため,適切な対応を取るためには,児童買春事件に精通した弁護士へのご相談が非常に重要となってきます。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
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児童ポルノとは何か?何をするのが犯罪か?どんな刑罰を受けるのか?児童ポルノ詳細ガイド

●児童ポルノとは何か?

●児童ポルノに関して何をすると犯罪になるか?

●児童ポルノ事件は逮捕されるか?

●児童ポルノ事件は早期釈放が可能か?

●児童ポルノ事件は不起訴になるか?

●児童ポルノ事件は実刑になるか?

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このページでは,児童ポルノ事件に関する法律の内容や,早期釈放・処分軽減に向けた児童ポルノ事件の弁護活動などについて解説します。

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児童ポルノとは

児童ポルノとは,文字通り「児童」の「ポルノ(=性的な画像・映像)」のことを言います。
そして,児童ポルノ法が定める「児童」は,18歳未満の男女を指します。
したがって,児童ポルノは18歳未満の男女が被写体となった性的な画像・映像ということになります。

なお,児童ポルノ法が定めるポルノ(=性的な画像・映像)の具体的な類型は,以下の3つです。

①性交や性交類似行為(口淫や手淫など)をする姿
②性器を触ったり触られたりする姿+性欲を刺激するもの
③衣服を全部又は一部着けない姿+性的な部位が露出され又は強調されている+性欲を刺激するもの

児童ポルノに関する犯罪類型

児童ポルノ法が児童ポルノについて禁じる行為は,概ね以下の6つです。

①所持
データのダウンロードなど,画像や映像を保存する行為が該当します。

②提供
譲渡や交付の方法で相手が利用処分できる状態にする行為が該当します。

③製造
自ら撮影する,児童に撮影させるといった方法で作成する行為が該当します。

④公然陳列
不特定多数の人がその内容を認識できる状態に置く行為が該当します。

⑤保管
主に提供や公然陳列の目的で保管する行為が該当します。

⑥運搬・輸出入
提供や公然陳列の目的で,児童ポルノを運び又は輸出入する行為が該当します。

以上の類型の中で,最も捜査の対象になるケースが多いのは③製造です。
近年では,SNSで知り合った児童に,SNS上で撮影画像・映像を送信させる方法での製造行為が非常に多くなっています。

児童ポルノ事件と逮捕

児童ポルノの事件,特に代表例である児童ポルノの製造については,逮捕の対象となることも珍しくありません。
児童ポルノ事件については,逮捕される可能性が十分にあることを想定するのが適切でしょう。

具体的なケースで逮捕されるかどうかは,捜査に至った経緯や個別の内容によりますが,児童ポルノ事件が捜査に至る経緯としては,以下の場合が考えられます。

①児童のスマホなどを通じて親権者が知った(親バレ)
児童の素行を心配した親権者が,図らずもスマホの履歴などを通じて知った場合です。事情を知った親権者が警察に相談するなどして捜査に至ることが考えられます。
捜査のきっかけとして最も多いと思われます。

②児童が補導された
児童が,夜間の外出や不適切な場所への出入りなど,別件で警察に補導された際,警察から事情を聴取される中で事件が発覚する場合です。

③児童が警察に相談した
児童がその意思に反して製造させられているケースで,児童自身が警察に助けを求める場合です。

以上のうち,③児童が警察に相談した場合には,逮捕の必要性がより高く,逮捕されやすいと言えます。

また,逮捕するかどうかを判断するほかの事情としては,以下のようなものが挙げられます。

①児童の年齢
児童の年齢が低ければ低いほど,犯罪として悪質であると評価されやすく,逮捕の可能性を高くします

②撮影の期間・件数
期間が長く,件数が多い場合には,余罪を含めた証拠隠滅の可能性が懸念され,逮捕の可能性を高くします

③被疑者の地位や立場
教師や医師など,その地位を利用する形で児童ポルノを製造させた場合には,逮捕の可能性が高くなりやすいです。

児童ポルノ事件と早期釈放

刑事事件では,逮捕されると,その後に勾留されるかどうかが判断されます。
勾留された場合,10~20日の身柄拘束が追加で発生し,身柄拘束を伴った捜査が継続されます。一方,勾留されなかった場合には,速やかに釈放され,在宅事件に移行します。在宅事件では,日常生活を継続しながら,捜査機関に求められたときだけ出頭する,という方法で捜査がなされます。
そのため,逮捕された場合に勾留されるか早期釈放されるかは,極めて大きな問題です。

この点,児童ポルノ事件では,ケースによって早期釈放を目指せる場合も珍しくありません。
特に被疑者が認めている場合,余罪の捜査が予定されていない場合など,事件や捜査がそれほど複雑にならない見込みであるケースでは,早期釈放に至ることも十分に考えられます。

また,対象となる児童の保護者と示談を試みるなど,謝罪や賠償を尽くすことができれば,早期釈放の可能性はより高くなると言えるでしょう。

児童ポルノ事件の場合,どのような条件で早期釈放できるかどうかがケースによって異なるため,ケースごとの判断が不可欠であり,早期釈放を目指す場合は弁護士への相談や依頼が非常に重要になります。
児童ポルノ事件で逮捕された場合は,できるだけ速やかに弁護士へ相談しましょう。

なお,逮捕から勾留までの期間は,基本的に2日以内,長くても3日以内と短いため,逮捕後の弁護士へのご相談は,遅くとも逮捕翌日までには行われることをお勧めします。

児童ポルノ事件の不起訴

基本的な運用

児童ポルノ製造の事件では,犯罪事実が明らかである場合,特に対処しなければ起訴されるのが通常です。
一般的な反省や謝罪という程度では,不起訴処分にはならず起訴されることが見込まれやすいでしょう。
重大なものでなければ罰金刑,事件が重大視された場合には公判請求の上で執行猶予となるのが一例です。
そのため,不起訴処分を目指すためには,積極的な動きを取る必要があります。

※語句の意味

罰金一定額の金銭を支払うことを内容とした刑罰
公判請求公開の法廷で刑事裁判を受ける処分
執行猶予一定期間刑罰の執行をせず,その期間を無事に経過すれば刑罰が執行されなくなる制度

不起訴を目指すための活動

不起訴処分を目指す最も有力な活動は,示談の試みです。
児童(現実には児童の親権者)との間で示談が成立し,児童側の宥恕(許し)を獲得できれば,不起訴の可能性は高くなるということができます。
不起訴を目指す場合は,弁護士に依頼の上,児童側との示談を目指すのが適切でしょう。

もっとも,児童ポルノの事件で示談を行う場合には,注意点があります。
それは,示談をしたからといって必ずしも不起訴になるわけではない,ということです。

そもそも,示談によって不起訴になるのは,犯罪の被害者が,その被害に対する刑罰を希望しないためです。
これは,犯罪によって生じる被害が,その個人に対する被害のみであることを前提にしています。
窃盗罪であれば,被害者個人の財産だけが犯罪の被害であるから,被害者が刑罰を希望しなければ不起訴になる,というわけです。

しかし,児童ポルノの事件は,犯罪によって生じる被害が個人の被害だけではないと理解されています。
具体的には,児童の個人的な被害に加え,社会の秩序が乱された(社会的法益の侵害)という面もあるのです。
そのため,児童や親権者だけが許したとしても,社会の秩序が乱されたという点については許されておらず,必ずしも不起訴になるわけではありません。

そのため,児童ポルノ事件で示談を試みる場合には,示談をしても不起訴になると決まるわけではないという点にはあらかじめ留意しておくようにしましょう。

児童ポルノ事件の刑罰

児童ポルノ事件の刑罰は,一般的な製造事件であれば,罰金や執行猶予といった内容になることが一般的です。
初犯の場合に実刑判決の対象となることは非常に少数であるということができるでしょう。

もっとも,同種の前科がある場合や,営利目的で反復継続して行われた場合には,実刑判決の対象となる可能性も十分に考えられます。
児童ポルノに関する事件は,類型や内容が様々であるため,個別の事件でどのような刑罰が見込まれるかは,刑事事件に強い弁護士にご相談の上,イメージをお持ちになることをお勧めします。

児童ポルノ事件に関する弁護活動

児童ポルノ事件の弁護活動としては,以下のようなものが挙げられます。

①逮捕や勾留を防ぐための弁護活動

児童ポルノの事件は,逮捕されるかどうか,勾留されるかどうかがケースによって異なり,弁護活動によっても異なる類型です。
そのため,弁護士においては,逮捕や勾留を防ぐための弁護活動を通じて早期釈放を獲得する試みが可能です。

②示談交渉及び締結

対象となる児童や親権者との示談は,児童ポルノ事件で刑罰の軽減を目指す上では最重要と言えます。
そして,示談交渉は当事者間ではできず,弁護士を間に入れる必要があるため,弁護士に依頼することでしか実現できない活動ということができるでしょう。

③治療等による再発防止のご案内

事件の原因として,性的傾向や病的な面が見受けられる場合は,再発防止策として通院やカウンセリングといった治療の実施も有力です。
弁護士からは,通院に関するご案内や,通院した事実を処分の軽減に反映させるための弁護活動が可能です。

④贖罪寄附

児童が特定できない場合など,示談の試みが困難なケースでは,贖罪(しょくざい)の意思を形にするため,贖罪寄附を行う手段も考えられます。
弁護士からは,贖罪寄附の方法や内容をご案内するとともに,贖罪寄附の事実を処分の軽減に反映してもらうための弁護活動が可能です。

児童ポルノ事件に強い弁護士をお探しの方へ

児童ポルノに関する事件は,内容によって見通しも変わりやすく,適切な対応も変化しやすい類型です。
また,児童の年齢が重要であるので,年齢に関する種々の争点が現れやすいという特徴もあります。
児童ポルノに関する事件は,決して重大な刑罰を受けるものとは限らないため,弁護活動に精通した児童ポルノに強い弁護士へ依頼することで,結果が大きく変わることも珍しくありません。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
児童ポルノ事件は個別の内容,状況に応じた早期対応が重要ですので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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侵入窃盗事件は弁護士依頼で実刑を避けられる?不起訴になる?示談などの状況別対処法を解説

●侵入窃盗とはどういう事件なのか?

●侵入窃盗は逮捕されてしまうのか?

●侵入窃盗で早期釈放は可能か?

●侵入窃盗の刑事手続はどのくらいの期間がかかるのか?

●侵入窃盗は実刑になるか?

●侵入窃盗ではどんな弁護活動が可能か?

といった悩みはありませんか?

このページでは,侵入窃盗事件の取り扱い侵入窃盗事件で取るべき対応や弁護活動の内容などについて解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

侵入窃盗事件とは

窃盗事件には,侵入窃盗,非侵入窃盗,乗り物盗という3つの分類があります。
そのうち,住居などへの侵入を伴う窃盗事件が,侵入窃盗に該当するものです。

①侵入窃盗事件の罪名

住宅への侵入窃盗事件では,侵入行為について住居侵入罪が,窃盗行為について窃盗罪が,それぞれ成立することが一般的です。

窃盗罪(刑法235条)10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
住居侵入罪(刑法130条)3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金

二つの犯罪が成立する場合,合計でどの程度の刑罰になるのかが問題になりますが,侵入窃盗事件では住居侵入罪と窃盗罪が手段と目的の関係にあるため,より重い方の刑(窃盗罪の刑罰)で処罰されます。
なお,複数の罪が目的と手段の関係にあることを牽連犯(けんれんはん)と言います。

参照:刑法 e-Gov法令検索

②侵入窃盗事件の類型

侵入窃盗事件としては,以下のような類型が挙げられます。

住居への侵入(住宅対象侵入窃盗)

①空き巣居住者がいないところに侵入し,窃盗する
②居空き(いあき)居住者がいるところに侵入し,窃盗する
③忍び込み居住者の就寝中に侵入し,窃盗する
.

住居以外への侵入

①出店荒らし営業時間外の店舗に侵入し,窃盗する
②事務所荒らしビルなどのオフィスに侵入し,窃盗する

侵入窃盗事件と逮捕

侵入窃盗事件は,窃盗罪が成立する事件の中でも,逮捕される可能性が非常に高い類型です。
その代表的な理由としては,以下の事情が挙げられます。

①侵害される法益(被害者の利益)が大きい
②今後の被害から被害者を守る必要性が高い
③計画的である(突発的な事件ではない)
④余罪の存在が見込まれやすい
⑤刑罰が重くなりやすいため,逃亡が懸念される

侵入窃盗が捜査される場合は,被害者側が警察などに相談しているケースが大多数です。
被害者の相談を受けた警察は,被害者の保護を最優先に対応せざるを得ないため,被害者に万一のことがないよう,被疑者を特定した際には逮捕することが必要になりやすいでしょう。

なお,逮捕の方法には,大きく分けて現行犯逮捕と通常逮捕(後日逮捕)があります。
侵入窃盗事件の場合,現行犯逮捕ができれば現行犯で逮捕する可能性が高く,現行犯逮捕ができなくても後日逮捕する可能性が高いでしょう。
現行犯でない場合,捜査をした警察には,①後日逮捕をするか②逮捕をしないで電話などで呼び出すか,という選択肢がありますが,侵入窃盗事件では,逮捕をしないで呼び出す選択をするケースは少数です。

侵入窃盗事件の身柄拘束期間

逮捕された場合,続けて勾留されるかどうかによって身柄拘束の期間が変わります。
起訴(又は不起訴)までの具体的な流れは,以下の通りです。

①逮捕居住48時間以内
②送致24時間以内
③勾留請求当日又は翌日,窃盗する
④勾留決定10日間
⑤勾留延長決定最大10日間
⑥起訴または不起訴
.

侵入窃盗事件は,勾留請求及び勾留決定の対象となる可能性が非常に高い類型です。
検察官は,逃亡や証拠隠滅,被害者への接触などを避けるために勾留請求を行うことが一般的であり,勾留請求を受けた裁判所も,検察官の請求が合理的であることを踏まえて勾留決定することになりやすいでしょう。
そのため,侵入窃盗事件の場合,逮捕の後速やかに釈放されることを目指すのは,現実的に難しいかもしれません。

また,侵入窃盗事件の身柄拘束期間についてもう一つ考慮すべきなのが,再逮捕の可能性です。
侵入窃盗事件は,余罪が明らかになった場合,その余罪についても捜査・処罰の対象とすることが見込まれますが,この余罪について再逮捕がなされると,上記①~⑥の流れがもう一度繰り返されることになります。
したがって,逮捕から勾留,起訴まで22~23日間の身体拘束が,捜査される事件の数だけ繰り返される可能性があるのです。
必ずしも,捜査する事件の全てについて逮捕勾留を繰り返すわけではないので,単純に事件の数だけ逮捕勾留が生じるわけではありませんが,余罪が多いほど身柄拘束期間は長くなるのが一般的です。

侵入窃盗事件の刑罰

侵入窃盗事件は,その重大性を踏まえて,裁判所からも相当な程度の処罰を言い渡される可能性があります。
初犯であっても,内容により実刑判決の対象となる場合は否定できません。

この点,実刑判決を防ぐためには,被害者との示談が非常に有力となります。
ほとんどの場合では,被害者と示談ができている事件であれば,実刑判決の対象とはなりづらいでしょう。
また,この場合の示談は起訴後に行うことが見込まれますが,起訴後は起訴前に比べて示談が成立しやすい傾向にあります。主な要因としては以下の点が挙げられます。

①既に起訴されており,不起訴になる可能性がない
不起訴になることは許せない,という被害者であっても,起訴された後,不起訴になる可能性が消滅した状況であれば示談に応じるとの判断になる場合があります。
特に,実刑判決になることが明らかでない場合や,実刑判決になることまでは希望していない被害者の場合には,このようなケースがあり得るでしょう。

②加害者が事件を真摯に認めていることが被害者に分かる
公判が開かれ,裁判所で加害者が事件を認める話をした場合には,その事実が被害者側にも伝わることが多いです。そのため,加害者が反省をしているか半信半疑であった被害者の場合,加害者が公判で真摯な態度を見せたことをきっかけに示談交渉のテーブルに乗っていただけることがあります。

③交渉期間を長く確保できる
起訴前の捜査段階では,示談交渉の期間は長くても20日間程度であり,現実的には20日間を確保できるケースもあまりありません。侵入窃盗事件の被害者にとって,示談を受けてよいか判断するには時間不足であることも多く見受けられます。
この点,公判は月単位の期間を要する手続のため,交渉期間も長く確保することができ,示談の締結に至りやすくなります。

侵入窃盗事件の起訴・不起訴

基本的な考え方

刑事事件では,捜査を遂げた検察によって,起訴するか不起訴とするかの判断がなされます。
起訴された場合,刑事裁判を受けて刑罰の対象となり,前科がつきますが,不起訴の場合には刑罰も前科もありません。

侵入窃盗事件の場合,基本的には起訴される可能性が非常に高いと言えるでしょう。
余罪がある場合には,余罪も含めて複数件が起訴されることも珍しくありません。
少なくとも,反省をしている,初犯である,といった事情のみで不起訴になることは考えにくいです。

侵入窃盗事件で不起訴になる場合があるとすれば,代表例は被害者との示談が成立した場合です。
侵入窃盗事件は被害者のいる事件であるため,被害者の処罰感情(加害者の処罰を求めるかどうか)が処分に直接影響します。
そのため,侵入窃盗の事実が明らかであったとしても,被害者が処罰を希望せず,被害者を許している(宥恕している)場合には,不起訴となる可能性が十分に考えられるでしょう。

もっとも,示談を通じて不起訴となることを目指す場合は,以下の点に注意が必要です。

①起訴不起訴は,事件ごと・被害者ごとの判断になる
余罪を含めて複数の被害者がいる場合,被害者のうち一人と示談ができても,不起訴になり得るのはその被害者の事件のみです。
全ての事件が不起訴にならなければ,刑罰を受けて前科が残る結果は同様になってしまいます。

②事件類型的に速やかな示談は難しい場合も多い
事件の程度が重大であるため,被害者が早期に,積極的に示談の検討をしてくれるかは非常に不明確です。示談は被害者の了承が前提となるため,被害者側の検討に時間がかかる場合にはやむを得ない場合も考えられます。

起訴不起訴のケース別見通し

①認め事件

侵入窃盗事件は,容易に不起訴となる事件類型とは言い難いものです。被害者側への侵害の程度が強く,重大性ある事件と評価されやすいため,基本的には起訴を想定することになりやすいでしょう。少なくとも,反省を深めているというのみで不起訴となることは考えにくいと言わざるを得ません。

もっとも,侵入窃盗事件で起訴をされる主な理由は,被害者に与えた損害の大きさにあるため,損害を被った被害者自身が不起訴を望むのであれば,話は大きく変わります。被害者側に適切な対応を尽くし,その結果として被害者が不起訴を望むに至ったなどの成果が挙げられれば,不起訴の可能性は十分にあると言えるでしょう。

②否認事件

否認事件での不起訴の可能性は,犯罪が立証困難と判断される可能性と直結します。犯罪事実を裏付ける証拠が十分にある,と判断される状況であれば,やはり事件の重大性を踏まえても起訴されることになりやすいでしょう。一方,起訴をしても裁判所の有罪判決が得られるような証拠に乏しい場合には,不起訴の可能性が高くなりやすいと言えます。

この点,証拠には物証(物的証拠)と人証(人の話)がありますが,物証に乏しく人証のみである,という場合には証拠が不十分であるケースが多い傾向にあります。犯罪事実の立証に必要な物証としては,以下のようなものが挙げられます。

犯罪事実の立証に必要な物証

1.犯罪を直接立証する証拠
→事件現場を撮影した映像・画像など

2.人の話が正しいことを裏付ける証拠
→被害者の話が真実でなければ説明のつかない物や記録など

犯罪事実を直接立証する物証がなく,被害者らの供述を補強する物証もない場合には,人証のみが証拠となりますが,人証しかない否認事件で起訴をするのは難しい場合も多く,不起訴の可能性が高まりやすいと言えます。

侵入窃盗事件で不起訴を目指す方法

①認め事件

犯罪事実に間違いがない認め事件の場合,不起訴が実現するかどうかは被害者側の意向にかかっています。被害者が起訴を希望すれば起訴,不起訴を希望すれば不起訴になる,と言っても過言ではないでしょう。

そのため,認め事件で不起訴を目指すためには,被害者に不起訴を希望してもらうことが必要ですが,その具体的な方法は示談となるのが通常です。被害者との間で示談が成立し,示談の内容として被害者が不起訴を希望する内容を盛り込むことができれば,被害者の意向を酌んで不起訴処分とされることが見込まれやすいでしょう。

侵入窃盗事件で捜査をされている状況の場合,被害者が捜査や処罰を望んでいることが見込まれるため,示談の試みをしない限り,被害者は起訴を希望していると考えるのが適切です。そのため,示談の試みをしなければ起訴され,起訴前に示談が成立すれば不起訴の可能性が高まる,という整理が可能でしょう。

ポイント
起訴不起訴は被害者の意向にかかっている
示談により被害者の不起訴希望を獲得できれば,不起訴が見込まれる

②否認事件

否認事件の場合,犯罪の立証ができないことを理由とした不起訴処分を目指すことが適切です。この点,被疑者の犯罪が立証できない場合の不起訴処分には,大きく分けて「嫌疑なし」と「嫌疑不十分」の二種類があります。

否認事件の不起訴理由

1.嫌疑なし
→真犯人が判明したなど,犯罪の疑いがなくなった場合

2.嫌疑不十分
→被疑者の犯罪を立証するに足りる証拠がない場合

否認事件で不起訴処分となるのは,ほとんどが「嫌疑不十分」のケースです。侵入窃盗事件の場合であれば,事件が起きたとされる日時に被疑者が侵入したことの根拠が不十分である,といった場合が代表例になるでしょう。

そのため,否認事件で不起訴処分を目指す場合には,否認の旨を一貫して主張し,嫌疑不十分であるとの判断を促すことが適切となります。

ポイント
否認事件の不起訴処分は,ほとんどが嫌疑不十分

侵入窃盗事件で不起訴を目指す場合の注意点

①示談が困難である可能性

認め事件の不起訴は示談の成否にかかっているため,不起訴を目指すにあたって示談は非常に重要なものです。しかしながら,示談は被害者と加害者との間の契約であるため,被害者の合意がなければ成立しません。

この点,侵入窃盗事件では,被害者側の感情面として示談を希望したくない,という意向を示されることが少なくありません。被害者側の精神的苦痛が大きい状況のため,示談によって加害者が処罰されないのは了承できない,そもそも事件を思い出すようなことをしたくない,といった理由で門前払いにされる可能性は十分に考えられます。

そして,被害者側に門前払いをされてしまうと,現実的に示談を成立させる手段はなくなり,示談を通じた不起訴処分の獲得は困難とならざるを得ません。この点は,弁護士にも如何ともし難い部分であるため,あり得る可能性としてあらかじめ注意しておくことが望ましいでしょう。

②示談の経済的負担が大きい可能性

侵入窃盗事件において,示談による不起訴処分を目指す場合には,示談に必要な経済的負担が大きくなる可能性に注意しておくことが望ましいです。
示談の際には,加害者から被害者に対して示談金という名目で金銭の支払を行うのが通常ですが,その金額は当事者間の合意で決まります。そのため,示談金は被害者の了承する金額であることが必要ですが,侵入窃盗事件の場合には被害者の了承する金額水準が大きくなることも珍しくありません。
その具体的な理由としては,以下のような点が挙げられます。

侵入窃盗事件の示談金が大きくなる場合の理由

1.精神的苦痛が大きい
住居などに侵入され金品を窃取されたことの精神的苦痛が大きく,低額の金銭では納得が得られにくい

2.被害者の転居
自宅への侵入であった場合,被害者が転居を希望する可能性が高く,転居費用を含めた示談金の協議になりやすい

3.複数回の被害
同一の場所へ複数回に渡って侵入窃盗が行われている場合,件数に応じて示談金額が大きくなりやすい

③余罪の影響

侵入窃盗事件は,類型的に余罪のあることが多く見られますが,余罪がある場合には,1件のみ不起訴となっても他の事件で起訴される可能性が残ることに注意が必要です。

起訴不起訴の判断は,事件ごとに行われるため,1件で不起訴になったからと言って他の事件も不起訴になるとは限りません。同じ被害者に対する複数の余罪がある,という場合であれば,被害者に対する1回の示談で全ての事件が不起訴になることも見込まれますが,被害者の異なる余罪があるケースや,否認事件のケースなどは,余罪について別途不起訴を目指す動きが必要になりやすいでしょう。

④共犯事件の場合

侵入窃盗事件は,一人で行われる場合のほか,複数人で行われる共犯事件である場合も見られます。この点,共犯事件の場合には,単独の事件にはない特徴として,以下のような点に注意することが望ましいでしょう。

共犯事件の注意点

1.悪質性が高いと評価されやすい
→共犯事件は,計画的である場合が多く,悪質と評価されやすい傾向にあります。

2.共犯者の供述に影響される
→誰が主犯であったか,誰が何をしたかについて足の引っ張り合いが生じ得ます。

3.加害者全員が被害全額の賠償義務を負う
→被害者に対しては,共犯者全員がそれぞれ全額の賠償義務を負います。

侵入窃盗事件の示談

侵入窃盗事件で示談は必要か

侵入窃盗事件の場合,身に覚えのない事件であるケースを除いて示談は必要と考えるべきでしょう。

前提として,侵入窃盗事件には以下の類型があります。

住居への侵入(住宅対象侵入窃盗)

①空き巣居住者がいないところに侵入し,窃盗する
②居空き(いあき)居住者がいるところに侵入し,窃盗する
③忍び込み居住者の就寝中に侵入し,窃盗する
.

住居以外への侵入

①出店荒らし営業時間外の店舗に侵入し,窃盗する
②事務所荒らしビルなどのオフィスに侵入し,窃盗する

これらの侵入窃盗行為は,被害者に生じる損害が大きく,被害者を保護する必要が非常に大きいため,加害者側の取り扱いも重いものになりやすいです。捜査の対象になれば逮捕勾留が見込まれやすく,犯罪が立証されれば起訴されやすく,事件の程度によっては初犯で実刑判決を受け,刑務所に入ることを強いられる場合もあり得るところです。

このように,侵入窃盗事件の場合には捜査や処罰の対象になった場合の不利益が非常に大きいため,その不利益を軽減させる試みがとても重要になります。そして,加害者側の不利益を最も大きく軽減させるものが,示談です

示談が成立するかしないかによって,刑事手続における取り扱いが決定的に変わることも決して珍しくはありません。侵入窃盗事件で処分の軽減を目指す場合は,まず示談を検討することが適切でしょう。

ポイント
侵入窃盗事件は,逮捕や起訴などの面で重い取り扱いになりやすい
示談ができれば取り扱いが決定的に軽減することも珍しくない

侵入窃盗事件における示談のメリット

①逮捕の回避

侵入窃盗事件は,被疑者(加害者)を逮捕した上で捜査を行うことが非常に多い類型です。捜査機関が犯罪捜査を行う場合には,被疑者を逮捕して行う身柄事件と逮捕せずに行う在宅事件がありますが,重大事件であり逮捕の必要性が高い場合には,身柄事件として扱われる傾向にあります。侵入窃盗事件は,類型的に逮捕の必要性が高いと理解されているわけです。

この点,逮捕前に被害者との示談を成立させることができれば,その後逮捕される可能性は非常に小さくなります。なぜなら,被疑者の逮捕は被害者保護を大きな目的の一つとして行うところ,示談成立後であれば被害者保護の必要はほとんどなくなるためです。
逮捕前に示談を成立させることは容易ではありませんが,逮捕前の示談は極めて利益が大きいため,可能性がある場合には最優先で試みるのが適切でしょう。

②早期釈放

逮捕勾留をされた侵入窃盗事件の場合,示談によって早期釈放を図ることのできるケースが少なくありません。
逮捕前に示談ができれば,その後に逮捕をする必要がほとんどなくなる,という点を紹介しましたが,これは逮捕後であっても大きな違いはありません。つまり,逮捕後に示談が成立した場合,その後に逮捕勾留といった身柄拘束を続ける必要はほとんどなくなる場合が非常に多く見られます。

そのため,侵入窃盗事件で身柄拘束を受けている場合には,少しでも早い示談の成立を目指すことで,少しでも身柄拘束の期間を縮め,早期釈放を実現させるのが理想的です。認め事件の場合には,速やかに示談の試みを進めるようにしましょう。

③不起訴の獲得

侵入窃盗事件は,被害者の自宅など,部外者が入ってはならない場所への侵入を伴うために,窃盗事件の中でも悪質な事件類型とされやすいです。そのため,侵入窃盗事件で犯罪の立証に必要な証拠が揃えば,基本的には起訴されるものと考える必要があります。
そして,起訴された場合は,無罪判決を獲得しない限りは刑罰を受けることになり,前科が付くことも避けられません。

この点,起訴前に被害者と示談ができた場合には,同一の事件であっても不起訴処分となる可能性が非常に高くなります。それは,ほかならぬ被害者が不起訴を希望することになるためです。

起訴前に示談を行う場合,加害者側が求める最大の条件が,被害者に不起訴を希望してもらうこととなります。侵入窃盗事件のように被害者の存在する事件類型では,その被害者が起訴を望むか不起訴を望むかによって,処分が非常に大きく変わってきます。侵入窃盗事件でも,被害者が不起訴を望むのであればその通りに不起訴とするのが一般的と言えます。
そして,被害者に不起訴を希望してもらうための唯一の方法が,示談です。示談の内容として被害者が不起訴を希望する旨を盛り込み,捜査機関に提出できれば,不起訴の獲得が極めて現実的になるでしょう。

④実刑判決の回避

侵入窃盗事件は,その重大性から初犯であっても実刑判決の対象となる可能性があります。刑事裁判の判決には,大きく分けて執行猶予判決と実刑判決がありますが,執行猶予判決は刑務所に入る必要がない一方,実刑判決は直ちに刑務所に入ることを強制されてしまいます。

判決の種類

執行猶予判決刑務所に入る必要がない
実刑判決直ちに刑務所に入る必要がある

したがって,実刑判決になることは非常に大きな不利益であり,何としてでも避ける必要があると言えます。

この点,示談が成立している侵入窃盗事件の場合,一般的には実刑判決の対象となる可能性が非常に低くなります。特に実刑判決とするべき事情がなければ,示談成立後に実刑判決となることは考え難いと言ってもよいでしょう。
侵入窃盗事件で示談を行う場合,損害を補填するための金銭の支払を行った上で,少なくとも当事者間では一定の解決をすることを内容とするため,当事者間で解決した事件について,重ねて実刑判決という重い刑罰を科す必要はあまりないと考えられるのです。

侵入窃盗事件で起訴が避けられない場合にも,実刑判決の回避を目指すために示談を試みることを強くお勧めいたします。

⑤民事事件の同時解決

侵入窃盗事件では,被害者に重大な精神的苦痛が生じるとともに,盗まれた財産の分だけ被害者に経済的な損害も生じます。そのため,被害者は,これらの損害を加害者に金銭で賠償するよう求める権利を持つことになります。
当事者間の権利義務に関する問題を「民事事件」と言いますが,侵入窃盗事件は被害者と加害者の間における民事事件の側面も持つというわけです。仮に示談をしなかった場合,刑罰を受けてもそれで全て終わりではなく,今度は被害者から民事事件として金銭賠償を求められる可能性も十分に考えられます。

この点,示談が成立する場合,示談の中で民事事件の解決も行うことが通常です。具体的には「示談で定めるほかには互いに権利義務がない」ということを合意することになります。
このような合意をすれば,示談の内容以外には請求することもされることもないため,民事事件についても同時に解決でき,当事者間の関係を適切な形で終えることが可能になります。

侵入窃盗事件で示談をする方法

侵入窃盗事件で示談を試みる場合,基本的には捜査を受けている状態であるため,捜査を担当する警察や検察を通じて行うことが適切です。もっとも,警察や検察は,当事者間での直接のやり取りを許すわけにはいかないため,自ら行うのではなく,弁護士に依頼し弁護士を通じて行うことが必要です。

弁護士に依頼をした場合,弁護士が警察や検察に示談の希望を伝え,捜査担当者から被害者に連絡を入れてもらうことが一般的です。その後,被害者側から示談交渉が可能であるとの返答が得られれば,弁護士限りで被害者の連絡先が伝えられ,弁護士と被害者との連絡が始まることになります。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

侵入窃盗事件では,被害者が加害者側との直接のやり取りを希望している可能性がほとんどないため,どれだけ示談を希望する気持ちが強くても直接話をしようとすることは控えましょう。謝罪の意思を伝えるつもりであったとしても,その気持ちが正しく理解してもらえず,かえって逆効果になる可能性が非常に高く見込まれます。
正しいステップを踏むことで,謝罪や支払の意思を適切に伝えることが重要です。

ポイント
示談交渉は,弁護士が捜査機関に申し入れる方法で行う
被害者側への直接の交渉は控える

侵入窃盗事件の示談金相場

侵入窃盗事件の示談金は,ケースによって非常に大きな開きがあります。ただ,基本的な考え方としては,「侵入行為の精神的苦痛に対する支払」と「窃盗行為による財産的損害への支払」を合計したものということができるでしょう。

侵入窃盗事件の示談金

侵入行為の精神的苦痛に対する支払」

窃盗行為の財産的損害に対する支払」

この点,侵入行為の精神的苦痛を金銭換算する際の判断要素としては,以下の事情が挙げられます。

示談金の判断要素

1.侵入行為の回数
→多いほど示談金の増額要素となる

2.侵入した場所
→プライバシーの侵害が大きい場所であるほど増額要素となる

3.侵入方法
→悪質な方法であるほど増額要素となる

4.当事者間の関係
→被害者の信頼を裏切る侵入は増額要素となる

実際の示談交渉では,これらの要素を踏まえながら当事者間で協議を試みることになります。一般的には,増額要素に当たるものがない場合,侵入行為に対する支払額は20~30万円ほどが目安になりやすいところです。盗まれた財産が高額なものでなければ,30万円ほどを示談金とする例は少なくないでしょう。

ただし,増額すべき要素がある場合にはこれを大きく超える金額を要する可能性もある点には注意が必要でしょう。最も多く見られるのは,侵入行為が複数回に渡る場合です。
侵入窃盗事件は,その性質上,同じ場所に複数回侵入を繰り返すケースが少なくありません。当然ながら,頻繁に侵入されている場合の方が被害者の苦痛は大きくなり,示談に必要な金銭も多くなるのが通常です。
多数回の侵入があった事件では,概ね100~300万円といった高額の示談金とならざるを得ないことも考えられます。具体的な示談金額に関しては,個別の事情を踏まえて弁護士と十分に協議することをお勧めします。

ポイント
単純な事件であれば20~30万円ほどが目安か
複数回に渡る侵入行為があると金額が跳ね上がることも

侵入窃盗事件の示談内容・条項

①一般的な示談条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。清算条項があることによって,民事事件との同時解決が可能になります。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項とは,被害者が加害者を許す,という意味の条項です。
示談が刑事処分に有利な影響を及ぼすのは,基本的にこの宥恕条項があるためです。被害者が加害者を許している,という事実が,刑事処分を劇的に軽減させる要素となります。

②侵入窃盗事件で特に定めやすい条項

【接触禁止】

加害者が被害者への接触を試みない,という内容を定める条項です。特に,加害者が被害者への性的な興味関心から事件を起こした場合に定めることが多く見られます。

【立入禁止】

加害者に対して,一定の場所への立入を禁止する条項です。侵入窃盗事件の場合,侵入場所や近辺への立入禁止を被害者が希望するケースが非常に多く見られます。この点は,被害者の求めに応じて可能な限り応じるのが適切でしょう。

侵入窃盗事件の示談で注意すべきこと

①事件が複数の場合が少なくない

侵入窃盗事件は,複数回行われているケースが少なくありません。この場合,回数を重ねるごとに行動や内容がエスカレートしていることも多く見られます。
事件が複数あることは,侵入窃盗事件の示談に大きな影響を及ぼします。具体的には,以下のような影響が挙げられるでしょう。

事件複数の場合の影響

【同一の被害者に対する複数の事件】

同じ被害者に対して複数の侵入窃盗事件がある場合,示談金がより高額にならざるを得ない可能性に注意が必要です。回数が多く,内容もエスカレートしていると,それだけ被害者の損害や苦痛は大きくなるため,被害者の損害を埋め合わせるための示談金も大きくなることが通常です。

【複数の被害者に対する事件】

事件が複数であり,かつ被害者も複数の場合,一人の被害者と示談ができても,全体が不起訴になるわけではない,という点に注意が必要です。一人の被害者が不起訴を希望したとしても,それはほかの被害者の事件には関係しないためです。

全体が不起訴となるには,処分される事件のすべてについて示談を行うことが必要になるでしょう。

②転居の問題が生じ得る

特に住宅への侵入窃盗事件の場合,被害者側が転居を希望し,転居費用を含めた示談金を請求する,ということも珍しくありません。そのため,示談を試みる場合には転居の話が生じ得る点に注意が必要でしょう。

この点は金銭の問題となるため,転居費用名目の金銭を上乗せするかどうか,という判断になりますが,基本的には被害者の希望に応じていくらかの上乗せをする方針が適切でしょう。これは,上乗せに応じないという対応では示談の成立が困難となりやすいためです。
裏を返せば,金額面の調整で示談の可能性がある,ということでもあるため,被害者側に示談交渉を拒絶される場合よりもはるかに望ましい状況と考えてもよいかもしれません。

③逮捕前の示談は容易でない

逮捕前に示談が成立すれば,侵入窃盗事件でも逮捕の可能性が非常に大きく低下しますが,現実に逮捕前の示談を行うことは容易ではありません。これは,自分に対する捜査がなされたことを知るのが逮捕のタイミングであるためです。「自分の事件が捜査されているから示談したい」では遅いのですね。

そのため,逮捕前の示談を試みる場合には,自分に対する捜査が行われているか分からない段階で自分からアクションを起こす必要があります。具体的には,警察などに自首(出頭)し,自分の犯罪行為を積極的に伝え,その上で示談を希望することを要するでしょう。

ただ,自分から出頭することは大きなリスクも付きまとう行為であるため,検討する場合には刑事事件に精通した弁護士へのご相談を強くお勧めします。

ポイント 注意点
複数事件の場合には配慮が必要
転居費用の支払が問題になり得る
逮捕前の示談は自首を要しやすい

侵入窃盗事件における弁護士依頼のポイント

侵入窃盗事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕されたとき

侵入窃盗事件は,捜査に際して被疑者を逮捕することが非常に多く見られます。身柄拘束をすることで,逃亡や証拠隠滅を防ぎながら捜査を行うケースの多い事件類型と言うことができるでしょう。
そのため,侵入窃盗事件の捜査において,逮捕は出発点の一つであり,被疑者に対する本格的な捜査の開始を意味するものでもあります。

これは裏を返すと,逮捕された被疑者は,逮捕後の本格的な取調べなどの捜査に適切な対応をする必要がある,ということになります。捜査への対応をどうできるかによって,その後の取り扱いや刑事処分の結果が大きく左右することは珍しくないためです。

もっとも,個別のケースでどのような対応が適切かを判断することは,専門的な知識経験を持った弁護士以外には困難です。逮捕後の対処を誤らないため,逮捕されたときには速やかな弁護士選びが重要となるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件は逮捕がなされやすい
逮捕後の対応を適切にするため,弁護士への依頼をするべき

②示談を目指すとき

侵入窃盗事件の刑事処分は,被害者との間で示談が成立したか,という点が決定的な影響を及ぼすことが少なくありません。漫然と手続が進めば起訴され実刑判決が懸念されるケースでも,早期に示談が成立することで不起訴処分となり,刑罰自体を受けない結果になることすらあります。
ただ,実際に示談を試みるためには,弁護士に依頼をし,弁護士を通じて行うことが不可欠です。当事者や親族同士で直接の連絡を取らせるわけにはいかないため,弁護士が捜査機関に示談を申し入れ,被害者側の了承があれば弁護士と被害者との間で連絡先を交換する,という運用が取られています。

そのため,事件解決のために示談を目指すときには,示談の対応に適した弁護士を選ぶべきタイミングと言えるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件の処分は,示談の有無で決定的に変わりやすい
示談の試みには弁護士が不可欠

③起訴されたとき

侵入窃盗事件は,犯罪事実に間違いがなければ起訴が見込まれる事件類型です。この点,起訴される場合の具体的な手続には,「公判請求」と「略式請求」の二つがあります。

起訴の手続

1.公判請求
公開の裁判を行う手続。罰金にとどまるケースはあまりない

2.略式請求
公開の裁判を省略する手続。罰金刑になる

一般的に,公判請求よりも略式請求の方が軽微な処分とされています。略式請求であれば,公開の裁判を受ける必要がなく,処罰は比較的軽微な罰金刑となるためです。逆に,罰金刑にはとどまらない重大な事件では,略式請求はできず公判請求を用いることになります。

この点,侵入窃盗事件での起訴は,基本的に公判請求となることが多いでしょう。それだけ重大事件と位置付けられやすく,見込まれる処罰も小さなものではないということになります。
そのため,侵入窃盗事件で起訴された場合には,公判で適切な対応を尽くし,少しでも軽微な処分にとどめる動きが非常に重要となります。

公判請求への対応を行う際は,十分な弁護士選びをするべきでしょう。

侵入窃盗事件の弁護士を選ぶ基準

①速やかな接見が可能か

侵入窃盗事件は,逮捕勾留を伴う身柄事件であることが非常に多いです。そのため,侵入窃盗事件の対応を行う弁護士は,身柄事件に不可欠な接見を行う必要があります。
特に,逮捕後の初回の接見は,被疑者本人が誤った対応をしていれば正す必要があるほか,事件の内容を把握したり親族との連携を仲介したりするためにも非常に重要なものです。初回の接見は,どれだけでも速やかに行うことが,被疑者の利益に直結すると言えるでしょう。

もっとも,初回の接見をどれだけ迅速に行うかは,専ら個別の弁護士の判断次第です。直ちに接見の時間を確保しても,後日ゆったりと接見をしても,違法というわけではないため,基本的には弁護士の裁量の問題となります。
しかし,初回の接見が遅れることで被疑者に利益はなく,むしろ重大な不利益の原因となる恐れすらあります。刑事事件に精通した弁護士であれば,初回接見の重要性は深く理解しているはずです。

そのため,弁護士選びに際しては,初回の接見をどれだけ速やかに行えるか,初回接見のためにどれだけスケジュールを調整してくれるか,という点を重視するのが良いでしょう。

ポイント
逮捕後初回の接見は特に重要性が高い
初回接見を迅速に行ってくれるかどうかを重視する

②処分の見通しは具体的か

侵入窃盗事件は,窃盗罪に当たる事件の中でも類型的に重大犯罪と評価されやすく,相応の重大な手続や処罰を想定すべきケースも少なくありません。弁護士としては,他の窃盗事件よりも慎重に見通しを検討し,最悪の場合にも備えることが望ましいところです。

また,一口に侵入窃盗事件と言っても,その内容は様々であり,事件の具体的内容によっても処分の重さは変わることが考えられます。侵入した場所,侵入の方法や目的,盗んだ金品の内容,余罪の数など,処分に影響し得る個別の事情は多岐に渡ります。

そのため,侵入窃盗事件の弁護士選びに際しては,侵入窃盗事件の重大性を踏まえた見通しを示してくれるか,個別の内容を踏まえてその見通しをどこまで具体的にしてくれるか,という点を重視するのが有力でしょう。
もちろん,見通しには限界があり,分からないことも多くあります。しかしながら,分かる部分と分からない部分を明確に区別できていることは非常に重要であり,弁護士の適性が現れる点とも言えるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件は,類型的に処分見通しが重くなりやすい
侵入行為や窃盗行為の詳細によって処分見通しが変わりやすい

③弁護士の説明に納得できるか

弁護士と依頼者との関係は,信頼関係を土台にすることで初めて成り立つものです。なぜなら,弁護士による案内や弁護士が決めた方針,弁護士が実現した結果などが適切かどうかは,依頼者自身が内容を評価して判断できる性質のものではないからです。
弁護活動が法律の専門家しか行えないものである以上,依頼者としては「弁護士が正しいと言ったから正しい」という評価をせざるを得ません。

そうすると,依頼者が弁護士を選ぶ基準として,その弁護士の判断に信頼を置けるかどうか,という点が極めて重要になってきます。弁護士の判断を信頼できるからこそ,「弁護士が正しいと言ったから正しい」という考え方ができるのです。
そのため,弁護士選びの際には,弁護士の判断やその根拠となる説明に心から納得できるか,という点を基準に設けるとよいでしょう。最初の説明に対する納得は,最終的な結果に対する納得にも直接つながるほど重要なものです。

ポイント
弁護士への信頼や納得は,結果に納得できるかを大きく左右する

④弁護士と円滑に連絡が取れるか

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

ポイント
弁護士との連絡の停滞は数多く見られるトラブル

侵入窃盗事件で弁護士を選ぶ必要

①不起訴処分を目指すため

侵入窃盗事件は,犯罪事実が明らかである限り起訴することが通常です。犯罪事実があっても起訴されないのは,示談が成立して被害者が起訴を望まないとなった場合に限られるでしょう。

そのため,侵入窃盗事件で不起訴になるのは,示談が成立した場合か犯罪事実が立証できない場合に限定されますが,いずれの場合にも弁護士の力を借りることが不可欠になりやすいところです。
示談の場合は,弁護士を窓口にしなければそもそも示談の試みに着手することもできません。また,犯罪事実が立証できるかどうかは高度に法律的な問題であるため,法律の専門家である弁護士を通じての対応が必要になるでしょう。

侵入窃盗事件の場合,不起訴処分を目指すのであれば弁護士選びを十分に行うことが極めて重要です。

②適切な取り調べ対応のため

刑事事件の捜査では取調べが不可欠です。特に,被疑者への取調べは捜査の中核であって,被疑者からどのような話が引き出せるかによってその後の捜査が決定づけられる事件も少なくありません。

逆に,被疑者の立場にある場合,取調べにどのような対応を取るのが最も有益であるのかを把握していることは非常に重要です。自分が何を話すか,どのように話すかによって,その後の捜査や処分が決定づけられる可能性もあるため,取調べ対応の方法・内容は十分に検討する必要があるでしょう。

この点,個別の事件に応じてどのような取調べ対応をすべきかは,弁護士の法的な判断を仰ぐことが適切です。そのため,取調べ対応に万全を期すためには,弁護士選びが重要なポイントとなるでしょう。

③家族や関係者と連携を取るため

身柄事件の場合,逮捕勾留されたご本人は,自分で外部と連絡を取ることができません。電話を携帯することも認められないため,連絡を取るための手段は以下のような方法に限られます。

逮捕勾留中に外部と連絡を取る手段

1.手紙の送受
→数日~1週間ほどのタイムラグが避けられない

2.(一般)面会
→時間制限が厳しい。接見禁止の場合は面会自体ができない

3.弁護士の接見
→時間的制限なくコミュニケーションが可能

手紙の送受は現実的でなく,面会の時間制限の中で必要な連絡をすべて取ることも難しいため,ご本人と周囲との連絡には弁護士の接見を活用することが不可欠になりやすいでしょう。
身柄事件で必要な連絡を取り合うためには,弁護士への依頼が適切です。

有効な弁護活動

侵入窃盗事件における弁護活動としては,以下の内容が挙げられます。

①接見を通じた対応方針の決定

逮捕勾留される場合,ご本人とのコミュニケーションには大きな制限がありますが,捜査はコミュニケーションを待つことなく進むため,捜査への対応方針は速やかに決めなければなりません。
弁護士は,いつでも接見ができますので,接見を行って事件の内容等を確認し,状況や内容に応じた適切な対応方針を検討・判断することができます。

②釈放を求める活動

起訴後の保釈に代表されるように,釈放を求めることのできる局面があるため,可能な限り釈放を求める弁護活動を行うことが可能です。
また,個別のケースにおいてどのような釈放の可能性があるか,専門的な立場からご案内することができます。

③示談の試み

認め事件の場合は,示談の成否が結果を決めると言っても過言ではありません。
弁護士が被害者との示談交渉を実施し,示談の成立を目指す弁護活動を行うことが可能です。

④刑罰の軽減を目指す試み

示談以外にも,刑罰の軽減を目指す方法がないか検討の上,ご案内することが可能です。
一例としては,金銭的な損害が生じていれば被害弁償を行う事件の原因に何らかの精神疾患が影響していれば通院等による解消を目指す,といったものが挙げられます。

⑤周囲の方との協力・環境調整

刑事処分の判断には,再発可能性の程度が考慮されます。
そのため,再発防止がどの程度見込めるか,という点は重要な判断材料になるでしょう。
この点,ご家族など周囲の方の協力を含め,今後の生活の見通しや再発が生じない根拠を明らかにしていくことで,処分の軽減を図る弁護活動が可能です。

侵入窃盗事件における弁護士選びの準備

①早期に動き始める

逮捕勾留といった身柄拘束が生じやすい侵入窃盗事件では,手続に法律上の期間制限があり,時期を逃すと手段を講じる余地がなくなってしまうものも少なくありません。また,期間制限内であっても手続が遅れた場合には,手続をしていなかった間に被った不利益を補填する手段がありません。純粋に,遅れれば遅れるほど損をするということになります。

そのため,弁護士選びと弁護活動の開始は,どれだけでも早い方が有益であり,早期に動き始めることは非常に重要であると言うことができるでしょう。

②情報をできる限り整理する

逮捕勾留された侵入窃盗事件で,ご家族等の関係者の方が弁護士選びを行う場合,問題になりやすいのが情報不足や情報の不正確さです。事件の当事者ではない以上,情報が正しいかを判断することは難しい上に,得られる情報にも限りがあることから,事件を正しく把握した状態で弁護士選びをすることは容易ではありません。
もっとも,弁護士が適切な案内をするには,情報不足や不正確な情報は避ける必要があり,情報の整理が不可欠です。

この点,事件の情報を把握する手段に乏しい場合には,弁護士に接見を依頼し,弁護士に被疑者ご本人から話を聞いてもらうことをお勧めします。弁護士接見を行えば,弁護士自身が必要な情報を漏れなく確認し,その情報を踏まえた案内をすることが容易になるでしょう。

③弁護士選びの目的を明確にする

侵入窃盗事件は,重大事件と評価される場合も多いため,必ずしも希望する結果のすべてが実現されるとは言えません。刑事罰を避けられないことも往々にして見られ,中には実刑判決の対象となることも考えられます。

弁護士選びの局面では,このような侵入窃盗事件の特徴を踏まえ,弁護士によって実現できることとできないことを可能な限り明確に線引きできるのが望ましいです。そのためには,弁護士選びによって何を実現したいのか,という目的を明確にして,その目的が実現できる事件なのかを弁護士に判断してもらうことが有益でしょう。

事前に目的が明確であり,その目的が実現可能か,実現手段は何かがはっきりしていれば,弁護士選びはより実りのあるものになるでしょう。逆に,目的が実現困難なものである場合には,早期に目的を修正できるため,後々になって弁護士とのトラブルになることが防ぎやすくなります。

侵入窃盗事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①早期釈放が容易でない可能性

侵入窃盗事件は,逮捕された場合,早期釈放が困難になりやすい類型の一つです。特に早期釈放が困難になりやすいケースとしては,以下のような場合が挙げられます。

侵入窃盗事件で特に早期釈放が困難なケース

1.侵入行為が複数回ある
→事件の数だけ必要な証拠も多くなり,捜査が長期化しやすい

2.被害者の住居に侵入している
→被害者への接触が容易であるため,釈放すべきでないと評価されやすい

3.侵入行為が計画的である
→悪質と評価されやすい上,計画内容に関する証拠収集に時間がかかりやすい

多くの侵入窃盗事件は,上記の各ケースのいずれかには該当するため,早期釈放が難しく,相当期間の身柄拘束を想定する必要が生じやすい傾向にあります。逮捕後の釈放が容易でないことには,あらかじめ注意しておくのが望ましいでしょう。

②余罪の対応を要する可能性

侵入窃盗事件は,類型的に余罪のあることが多く見られます。初めての侵入で発覚した場合でなければ,1回だけは終わらずその後にも複数回侵入している,という場合が少なくありません。

そのため,現在捜査されている事件のほか,複数の余罪にも対応を要する可能性があり得ることには注意が必要です。余罪がある場合,捜査も長期化しやすく,刑事責任も重大と評価されることになるため,より積極的に処分の軽減などを目指すべきとも言えるでしょう。

③土日祝日の対応を要する可能性

侵入窃盗事件では,逮捕勾留を伴いやすいことから,対応する弁護士は勾留されている場所での接見をすることが不可欠です。
この点,逮捕勾留には期間制限があるところ,その期間制限は土日祝日も含めたものになります。10日間の勾留は,土日祝日を含む10日間であり,長期休暇の期間でも例外ではありません。

そのため,弁護士選びに際しては,場合によって土日祝日の対応を要することになっても対応が滞らないかどうか,注意するのが望ましいでしょう。曜日を問わず毎日対応してもらう,というのは現実的ではありませんが,「土日祝日は一律対応不可」という場合には不都合が生じないか注意したいところです。

④経済的負担が大きくなる可能性

侵入窃盗事件では,被害者との間で示談できるかどうかが非常に重要なポイントとなります。そのため,弁護士への依頼時には示談金の負担を想定することが適切ですが,その示談金は高額となることも珍しくはありません。
窃盗の金額的な規模が大きくない場合であっても,侵入行為等によって被害者に与えたダメージが大きく,高額の示談金でないと被害者が了承しない,ということは少なくないでしょう。

また,逮捕勾留が長期化しやすい侵入窃盗事件では,その分弁護士の費用もかかりやすいところです。一般的に,必要な接見の数が多くなるほど弁護士費用は大きくなりやすいため,長期の逮捕勾留を伴う事件では弁護士費用の負担が重くなる可能性に留意したいところです。

このように,侵入窃盗事件では,示談金と弁護士費用がともに大きくなりやすい面があります。弁護士選びに際しては,全体の経済的負担が重くなってしまう可能性を踏まえておくことをお勧めします。

侵入窃盗事件に強い弁護士をお探しの方へ

住居侵入を伴う窃盗事件は,窃盗事件の中でも悪質性の高いものと理解されやすく,取り扱いや刑罰も重くなる傾向にあります。内容や程度によっては,初犯でも実刑判決の対象となることが考えられる類型です。
そのため,適切な方法で処分の軽減を目指すことが非常に重要となりますが,具体的にどのタイミングでどのような行動を取るかは,侵入窃盗事件の弁護に精通した弁護士との協議が必要です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

自転車窃盗の前科や示談について弁護士が解説|初犯や現行犯以外の注意点も

●放置自転車に乗るのも自転車窃盗になってしまうのか?

●自転車窃盗は刑事事件化してしまうのか?

●自転車窃盗が捜査されるケースは?

●自転車窃盗は現行犯以外も逮捕されてしまうのか?

●自転車窃盗で逮捕された場合、早期の釈放は可能か?

●初犯の自転車窃盗は前科になるか?

●自転車窃盗で示談をする方法は?

といった悩みはありませんか?

このページでは,自転車窃盗について不安をお持ちの方に向けて,自転車窃盗の逮捕や早期釈放の可能性自転車窃盗で前科を防ぐための弁護活動などを解説します。

自転車窃盗に当たる行為と刑罰

自転車窃盗は,多くの場合窃盗罪に該当します。
代表的な行為は,駐輪場に停めてある自転車を無断で持っていく,というものですね。

もっとも,いわゆる放置自転車の場合には,持ち主がその自転車を支配しているとは言えない状況であるケースもあり,そのような自転車窃盗は占有離脱物横領罪の対象になります。
また,ゴミ捨て場に置いてあるなど,誰かが占有している状態とは言えない自転車を持っていく行為は,窃盗にも占有離脱物横領にも当たらない可能性があります。
ただし,自治体によっては,条例でごみ集積場に置かれた物を自治体の帰属としていたり,処理業者以外の者によるごみの持ち去りに罰則を設けていたりする場合があり,その場合には窃盗罪や条例違反に当たる場合があるでしょう。

自転車窃盗の罪名

一般的な自転車窃盗窃盗罪 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
放置自転車占有離脱物横領罪 1年以下の懲役又は10万円以下の罰金
ゴミの場合自治体によっては窃盗罪や条例違反になる可能性あり

また,自転車窃盗に伴って他の犯罪が成立する場合もあります

器物損壊罪 3年以下の懲役又は30万円以下の罰金
自転車窃盗の際にカギを壊すと,カギを壊してしまった行為について別途器物損壊罪が成立します。
その他,駐輪場に設置してある機材を壊した場合にも器物損壊罪の対象となるでしょう。

住居侵入罪・建造物侵入罪 3年以下の懲役又は10万円以下の罰金
自転車窃盗のために他人の住居やその敷地に侵入した場合には,住居侵入罪や建造物侵入罪が成立します。
一般的には,戸建ての住宅やマンションの専有スペースへの侵入は住居侵入罪,マンションの共用スペースへの侵入は建造物侵入罪に当たるでしょう。

参照:刑法 | e-Gov 法令検索

自転車窃盗が刑事事件化する場合

自転車窃盗が刑事事件化するケースは,概ね以下の3通りです。

①被害者が警察に被害届を出すなどし,事後的に捜査が開始されたケース

自転車窃盗に気づいた被害者が,警察に捜査を依頼した場合です。被害者から捜査を求められた警察は,可能な限り被疑者(加害者)を特定すべく捜査を行うことになりますので,証拠が見つからない場合を除いては被疑者を特定し,刑事事件として取り扱うことになるでしょう。

②自転車の利用中に職務質問され,盗品と判明したケース

窃盗された自転車に乗車している際,警察官の職務質問を受けると,自転車の防犯登録を確認されるのが通常ですが,その際,自転車の所有者が自分でないと分かり,自転車窃盗が判明する場合があります。
その自転車について盗難届が出ているなどすれば,窃盗事件として刑事事件の対象となることが見込まれます。
このケースは,職務質問を受けるかどうかという偶然に影響されるため,この流れで刑事事件化する可能性は非常に不明確でしょう。

③窃盗行為を目撃された場合(現行犯)

駐輪場の警備員や付近の通行人など,周囲の人物に窃盗行為を目撃された場合には,その場で刑事事件化する可能性があります。
このケースでは,目撃者が窃盗行為を指摘してきたり警察に通報したりするかによって,刑事事件化するかどうかが変わりやすいでしょう。目撃者が警察に通報した場合には,刑事事件化するのが通常と思われます。

自転車窃盗の逮捕

逮捕の可能性

自転車窃盗事件では,逮捕される可能性もあります。
もっとも,全てが逮捕されるものではなく,個別の事件や状況によって変わるでしょう。

逮捕をされるケースの代表例は,現行犯逮捕です。
特に,警察官が張り込みや待ち伏せといった方法で被疑者の窃盗をマークしていた場合には,窃盗を現認した警察官によって現行犯逮捕される可能性が高くなります。

また,現行犯以外では後日の通常逮捕(後日逮捕)もありますが,後日に被疑者を特定した場合,逮捕するかどうかはいずれも考えられます。
一般的には,放置自転車など容易に利用できる自転車を勝手に利用したという単発の事件であれば,決して逮捕の可能性が高いとは言えません。

もっとも,自転車窃盗事件の中でも逮捕の可能性が高くなりやすいケースはあります。具体的には,以下のような場合が挙げられます。

自転車窃盗で可能性が高くなる場合

1.件数が多い

2.営利目的である

3.計画性・集団性がある

4.不合理な否認をしている

【1.件数が多い】

自転車窃盗事件で逮捕の可能性低くなるのは,その場の感情で行われた一回のみの犯罪行為である場合です。逆に,複数の余罪があるなど,決してその場の感情だけでは説明できない事件の場合,逮捕の可能性が高くなりやすいでしょう。

また,件数が多い場合,それだけ刑事責任も重くなるのが一般的であるため,刑事責任や最終的な処分が重くなることを踏まえた逮捕の可能性も高くなります。

【2.営利目的である】

自転車窃盗は,その場で自転車を使用する目的で行われるのが一般的です。徒歩で移動をしていたところ,より手軽な移動手段として自転車を利用したいと思った,という目的での事件がほとんどでしょう。

一方,自転車の財産的な価値に着目して,自転車を換価することで経済的な利益を得ようとする場合には,事件の性質が大きく異なります。通常,刑事事件は自己使用目的よりも営利目的で行われる場合の方が悪質と評価され,処分も重くなる傾向にあります。そのため,自転車窃盗についても,その場で乗るためでなく,利益を得るために行われた場合の方が,処分が重くなり,その処分を科す手続も逮捕を伴った厳重なものになりやすいでしょう。

【3.計画性・集団性がある】

刑事事件は,事前に計画が立てられていたり,集団で役割分担したりといったケースの方が,重大事件と評価されるのが通常です。自転車窃盗の場合,このような計画性や集団性のない場合がほとんどですが,逆に計画性や集団性が見受けられるケースでは,他の自転車窃盗事件よりも重い取り扱いの対象となるでしょう。

また,共犯者のいる事件では,共犯者間の口裏合わせを封じることが必要です。口裏合わせによる証拠隠滅を防ぐ手段としても,逮捕は活用される可能性が高くなるでしょう。

【4.不合理な否認をしている】

被疑者として犯罪事実を疑われている場合,基本的な対応は認めるか否認するかの二択です。この点,否認自体は問題のある行為ではありませんが,明らかに内容不合理な否認に終始していると,証拠隠滅の意思が強いと理解される恐れがあります。

この点,被疑者に証拠隠滅の意思が強いと思われる場合,証拠隠滅を防ぐ手段を取る必要がありますが,その具体的な手段は逮捕です。そのため、不合理な否認は逮捕の原因になりやすいのです。

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

自転車窃盗事件で逮捕を避ける方法

①捜査を受けていない場合

自転車窃盗を行ってしまったものの,まだ捜査を受けていない場合,自分が被疑者と特定されていない可能性があります。このような状況では,自ら捜査機関に名乗り出て自首をすることで,逮捕を避けられる可能性が非常に高くなるでしょう。

自ら警察等に出頭し,自分の行ったことやその証拠を積極的に示せば,その後捜査を行うに際して逮捕が必要であるとは見なされにくくなります。捜査協力の姿勢を明確にすればするほど,逮捕の回避につながりやすくなると言えるでしょう。

②捜査を受けている場合

自転車窃盗事件で既に捜査を受けている場合,逮捕なく捜査されている状況なのであれば,基本的にはそのまま逮捕をしないで捜査を継続することが予定されていると考えられます。これは,捜査機関としては逮捕せずとも必要な被疑者の対応が得られると考えているためです。
そのため,逮捕回避のためには,捜査機関の期待に沿う形で必要な対応を尽くすのが適切でしょう。呼び出されたときに出頭する,求められた提出物は提出するなど,具体的な動きとしては「求めに応じる」というくらいで差し支えありません。

また,被害者との示談の試みも,逮捕回避の効果が期待できる動きの一つです。被疑事実を認め,被害者への謝罪や賠償を試みる姿勢を見せている場合,逮捕の必要が高いとは評価されにくく,逮捕回避につながる可能性は高いでしょう。

③否認事件の場合

見に覚えのない否認事件の場合,逮捕される筋合いはないと感じるところですが,逮捕自体は適法に行う余地があり得るため,自ら逮捕を招く行動を取ってしまわないよう気を付けるのが適切です。

具体的には,連絡が来たら応じる,出頭の求めには可能な範囲で応じる,という点を軽視しないようにしましょう。身に覚えがない事件で連絡への応答や警察への出頭を求められても,感情的には拒んでしまいたくなるところですが,感情的に拒むことで逮捕リスクを自ら高めることは合理的とは言えません。

否認事件ほど冷静に対処することを心掛けるのが賢明でしょう。

自転車窃盗の前科・不起訴

自転車窃盗事件で不起訴になる(前科が付かない)可能性

自転車窃盗の事件は,不起訴処分となる可能性が十分に考えられる事件類型です。他の窃盗事件と比較しても,不起訴処分となる余地が大きい傾向にあると言っても過言ではないでしょう。
自転車窃盗の場合で不起訴の可能性が高くなる要因としては,以下のような点が挙げられます。

自転車窃盗事件で不起訴処分の可能性が高まる要因

1.突発的な事件であることが多い

2.被害が大きくないことが多い

3.軽微な罪名に該当する可能性がある

【1.突発的な事件であることが多い】

自転車窃盗は,自転車を利用したいと考えたときに犯意が生じ,その直後に犯罪行為をする,という流れがほとんどです。事件が事前から計画的に進められていることは考えにくく,大多数が突発的なものになるでしょう。

刑事事件は,用意周到に計画を立てて行った場合よりも,その場の感情で突発的に行った場合の方が,責任が軽微と評価されやすい傾向にあります。計画的な事件は,それだけ悪質とみなされやすいためです。
裏を返せば,突発的な事件である自転車窃盗は,悪質である,刑事責任が重大であるといった理解にはつながりにくく,不起訴処分の可能性が十分に残りやすいところです。

【2.被害が大きくないことが多い】

自転車窃盗の被害は,自転車1台であることが通常です。そして,相当期間使用していた自転車である場合,経年劣化によって価値が減少していると評価されるため,時価額はそれほど大きくないことも少なくありません。

自転車窃盗事件も窃盗罪に該当する事件である以上,窃盗の対象となった財産の大きさは処分の重さに大きな影響を及ぼすことになります。この点,被害が大きくない自転車窃盗の場合には,刑事処分も大きなものにはなりにくく,不起訴処分に該当する可能性が高まりやすくなります。

【3.軽微な罪名に該当する可能性がある】

自転車窃盗の場合,基本的には窃盗罪の対象ですが,内容によっては占有離脱物横領罪に該当する場合であったり,それすら成立せず各都道府県の条例で取り締まられる場合であったりすることが考えられます。占有離脱物横領罪や条例違反に該当するケースの場合,窃盗罪よりも軽微な犯罪類型と評価されるのが通常です。

この点,窃盗罪より軽微な罪名に該当する自転車窃盗は,それだけ事件の内容が軽微であるため,刑事処分の結果も軽微なものになりやすいところです。窃盗罪に該当しない自転車窃盗の場合には,不起訴の可能性が類型的に高くなりやすいと言えるでしょう。

自転車窃盗事件で不起訴を目指す方法

①自首を行う

自転車窃盗の事件は,特に内容が軽微と判断できる場合,深い反省を大きな理由に不起訴処分となる可能性が考えられる事件類型です。内容軽微と判断されるケースとしては,自転車の経済的価値がほとんどない,放置自転車であった,被害者の被害感情がない,といった場合が挙げられます。このようなケースでは,真摯に反省を深めており,再発の可能性がないと期待できる状況であれば,検察官の裁量で不起訴処分となる可能性もあり得るところです。

この点,深い反省を示す有力な手段の一つが自首です。自首は,自ら名乗り出て自分の犯罪行為を申告し,自分に対する刑事処分を求める行動であるため,犯罪行為に対する深い反省や後悔,責任を全うしたいという意思などが捜査機関に伝わりやすいという利点があります。
自首は,真摯な反省を外部に表明するために最初にできる行動ということできるでしょう。

自転車窃盗事件で不起訴処分を目指す場合,捜査を受けていない状況であれば,まずは自首を検討することが有力です。

ポイント
比較的軽微な自転車窃盗事件は,反省状況を踏まえて不起訴とされることもある
反省の意思を示す最初の手段が自首

②示談を試みる

自転車窃盗事件は,盗品となった自転車の所有者を被害者とする犯罪です。そして,被害者のいる事件で刑事処分を決める際には,被害者の意向が強く反映されやすい傾向にあります。
そのため,自転車窃盗事件の場合,被害者である自転車所有者の意向によって,起訴不起訴の判断が変わる可能性が非常に高いところです。

そうすると,自転車窃盗事件で不起訴を目指す場合には,被害者に不起訴を希望してもらうことが有益ですが,被害者に不起訴を希望してもらう手段が示談です。示談が成立した場合には,示談の内容に「被害者が不起訴を希望する」という旨を明記することになるのが一般的であるため,これを踏まえて不起訴とされる可能性が高くなるでしょう。

また,自転車窃盗は「財産犯」と呼ばれる事件類型であり,被害者に財産的なマイナスをもたらした犯罪行為への責任が問われることになります。そのため,示談によって被害者の財産的なマイナスを自発的に補填する動きを取ることは,犯罪の責任を事後的に軽減する意味でも不起訴処分を近づける効果が期待できるでしょう。

ポイント
被害者が不起訴を希望すれば,不起訴の可能性が高まる
財産的な損害を補填することで,刑事責任の軽減につながる

③事件の軽重を踏まえた処分を求める

自転車窃盗の場合,対象となった自転車の価値や保管状況などによって,その事件の軽重に大きな幅が生じやすいところです。例えば,財産的な価値が高く,厳重に管理されていた自転車を被害者の駐輪スペースから持ち出した場合と,無造作に横倒しされている長年使い古したような自転車を拾い上げて利用した場合とでは,その重さに差が生じるのは明らかです。

そして,事件が非常に軽いと評価する余地がある場合には,その事件の程度を踏まえて不起訴処分を求めることも有力な方針でしょう。起訴不起訴の処分は,先例を踏まえて矛盾の内容に行うことが一般的であるため,過去に類似の内容で不起訴とされている規模の事件であれば,不起訴処分の対象となる可能性はあり得ます。

ただし,事件の重さだけを踏まえて処分を決めるわけではないため,深い反省や再発防止策の実施など,不起訴処分を促す他の事情を可能な限り示すことも重要です。事件の軽重は,単独で処分を左右するものではなく,総合考慮されるときの判断材料の一つ,という理解をするのが適切でしょう。

ポイント
自転車の価値や保管状況により,事件の軽重には大きな差が生じる
軽微な内容の場合,不起訴処分を促す事情の一つになり得る

自転車窃盗事件で不起訴を目指す場合の注意点

①被害者の意向が反映されやすい

自転車窃盗事件の刑事処分は,被害者が起訴を望むか不起訴を望むか,という意向を反映した結果になりやすい傾向にあります。被害者のいる事件では,被害者の処罰感情が処分に直結しやすいですが,自転車窃盗の事件でもこの点は顕著に見られるところです。

これまで,自転車窃盗の事件では内容の軽微さを踏まえた不起訴処分の可能性があり得ることを指摘してきましたが,これはあくまで他の事件類型と比較して,という程度にとどまります。事件の重さと被害者の意向とでは,処分結果への影響力には歴然とした差があると言わざるを得ません。
そのため,被害者が刑事処罰を強く望んでいる状況で,被害者への示談の試みなく事件が軽微であると主張しても,不起訴処分となることは考えにくい場合がほとんどでしょう。事件の重さを指摘することよりも,被害弁償や示談を通じて被害者の処罰感情を緩和させる方がはるかに不起訴につながりやすいため,不起訴を目指す手段には注意が必要でしょう。

ポイント
事件の軽重よりも被害者の処罰感情の方が圧倒的に重要

②被害額の予測が難しい

自転車窃盗事件の被害額は,基本的に自転車の時価額ですが,一見してその金額を具体的に想定することは容易ではありません。ただ乗れればよい,と思って自転車窃盗をしたケースであっても,思いのほか価値の高い自転車であったということは十分に考えられます。

また,示談交渉をする際には,自転車窃盗によって被害者が被った損害を考慮する必要がありますが,どのような損害が生じたかは被害者の行動やスケジュールなどによっても様々です。例えば,自転車レースへの出場を逃した,自転車でしか移動できない大事な予定に支障が生じたなど,被害者側の事情によって損害が広がる可能性も否定できません。

一般的には,明らかに高価な自転車である場合を除き,損害額があまりに大きくなることは考えにくいところですが,特に示談交渉に際しては被害額の予測が困難な可能性に注意をしておくのが望ましいでしょう。

ポイント
被害者にどのような損害が生じたかは,事前には分からないことも多い

③記憶に限りがある場合の対応

自転車窃盗事件の中には,酩酊状態など記憶に限りのある状況で起きるものも珍しくありません。飲酒を伴う飲食の帰り道に,徒歩が億劫になって付近の自転車を乗り捨ててしまう,といったケースが一例です。
このようなケースでは,事件後に行動の流れや窃盗行為の内容を聞かれても,十分に答えられないことが考えられます。記憶自体が不足している以上,やむを得ないところがあります。

もっとも,記憶に限りがある場合に,「覚えていない」と対応を諦めてしまったりいい加減な返答に終始したりすることはお勧めできません。記憶が不十分であるからこそ,丁寧な対応を心掛けるのが有益です。

具体的には,認否を明確にすることが非常に重要となりやすいでしょう。
「覚えていない」という供述は,基本的に認めないスタンスとみなされやすいものです。少なくとも認めていないため,認め事件とは扱われません。しかしながら,「覚えていないものの否認の意思はない」という場合,単に「覚えていない」と回答するのは意図に反した取り扱いを招く結果となってしまい,適切ではありません。

特に認める方針の場合には,認否を明確に示すことに注意しましょう。

ポイント
記憶がない旨の供述は,認めているとは評価されない

自転車窃盗の示談

自転車窃盗事件で示談をする方法

自転車窃盗事件で捜査を受けている場合,示談をするためには捜査機関(警察や検察)にその旨を申し入れ,捜査機関から被害者に連絡を取ってもらうことが必要です。
もっとも,捜査機関は加害者本人と被害者を引き合わせることをしません。当事者同士で連絡を取らせるのは,被害者にとって不適切である上,二次被害の原因になる可能性がある,と考えるためです。
そのため,自転車窃盗事件で示談を試みるためには,弁護士に依頼の上,弁護士を通じて動くことが必要となります。

具体的な流れは,以下の通りです。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

自転車窃盗事件は,他人の財産に損害を与える事件のため,その財産を埋め合わせる金銭の支払を行うのが通常です。金銭の支払いは,示談金という形で行うことになりますが,これも直接当事者間で支払うのではなく,弁護士に金銭を預け,弁護士から被害者に支払う方法を取るのが適切でしょう。

ポイント
弁護士から捜査機関に対して示談の申し入れをしてもらう
金銭の支払も弁護士を通じて行う

自転車窃盗事件で示談を試みる時期

自転車窃盗事件における示談は,早ければ早いほど望ましいでしょう。それは,示談のメリットは示談成立が早いことが前提となっているためです。

示談のメリットと早期示談の関係

1.前科の回避
→起訴される前に示談をすることが必要

2.逮捕の回避
→逮捕するかが判断される前の示談が必要
(逮捕されるかどうかは捜査中の早い段階で判断される)

3.早期終了の可能性
→警察が検察に送致する前の示談が必要

自転車窃盗事件の示談を検討する場合は,少しでも早く動き出すため,まずは一度弁護士に相談してみましょう。

自転車窃盗事件における示談のメリット

自転車窃盗事件は,弁護士に依頼するメリットが非常に大きい事件類型の一つと言えます。具体的なメリットとしては,以下の各点が挙げられます。

①前科が防げる

自転車窃盗事件は,方法や内容によって以下のような刑罰の対象になることが考えられます。

一般的な自転車窃盗窃盗罪 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
放置自転車占有離脱物横領罪 1年以下の懲役又は10万円以下の罰金
ゴミの場合自治体によっては窃盗罪や条例違反になる可能性あり

特に,放置されている自転車であることが明らかな場合には,出来心で乗り捨てをしてしまってもそれほど大きな問題がないように感じることがあるかもしれません。しかし,仮に放置自転車であっても占有離脱物横領罪に該当する犯罪行為になってしまいます。
また,自分は放置自転車だと思っていても,実際には放置自転車でなく人が管理している自転車であった,という場合,より重い窃盗罪に該当することが見込まれます。窃盗罪に該当するような自転車窃盗であれば,刑罰を受けて前科が付く可能性はより高くになるでしょう。

この点,刑罰が科されるかどうかを決める重要な判断要素の一つに,被害者の処罰感情が挙げられます。被害者のいる事件類型では,被害者が加害者の刑罰を望んでいるかどうかがとても大きな基準になるのです。
捜査が始まるときには,被害者が刑罰を望んでいることがほとんどです。捜査のきっかけは被害者の被害申告であることが一般的ですが,被害者は加害者への刑罰を望むからこそ被害を警察などに相談しているはずだからです。

そのため,自転車窃盗事件で刑罰を避けるためには,示談を行って「事後的に被害者が処罰を望まなくなった」という状態を作ることが極めて重要になります。逆に,被害者が処罰を望まなくなった場合,刑罰が科される可能性は非常に低くなり,ほとんどの場合では前科を防ぐことができるでしょう。

ポイント
自転車窃盗は窃盗罪や占有離脱物横領罪の対象
前科を防ぐためには被害者が刑罰を望まないことが重要
被害者が刑罰を望まないことを示す手段は示談

②逮捕を防げる

自転車窃盗は,決して逮捕されやすい事件類型ではありませんが,ケースによっては逮捕される場合も十分にあり得ます。一例としては,現行犯で見つかって逃走していた場合や,多くの余罪で事前にマークされていた場合,計画性があり悪質と考えられる場合などが挙げられるでしょう。

この点,自転車窃盗事件で逮捕をする大きな理由は,被害者を保護することにあります。加害者が被害者を特定した場合に,自分に不利益なことを言わせない目的や物証の隠滅を図る目的で被害者に接触する可能性があるため,接触を未然に防ぐ手段として逮捕する,というわけです。

しかし,示談の成立した自転車窃盗事件では,もはや加害者が被害者に接触する必要がありません。加害者にとって最も利益の大きい示談が,既に実現されているためです。
そうすると,自転車窃盗の事件で示談が成立した場合,逮捕の必要はほぼなくなることから,逮捕されることは通常なくなるでしょう。

ポイント
逮捕には加害者の被害者への接触を避ける目的がある
示談済みであれば被害者に接触する必要はなく,そのため逮捕の必要もない

③捜査を終了させられることがある

刑事事件で捜査が開始すると,警察が取り調べや証拠収集を進め,事件を検察庁に送致し,送致を受けた検察庁で処分を受ける,という流れをたどります。

捜査の流れ

1.警察による証拠収集
2.警察から検察への送致
3.検察での処分(起訴又は不起訴)

この点,示談できれば検察での処分は不起訴になりやすいですが,逆に言えば示談してもその場で手続が終わるのでなく,検察での処分までは進むのが大原則です。
しかし,自転車窃盗で早期に示談が成立し,被害者が許す意思を明らかにした場合,事件が比較的小さなものであれば,警察が直ちに捜査を終了させて検察に送致せず終了する可能性もあります。

検察による処分までは,一般的に数か月を要するため,その間の手続負担を回避できるとなれば非常に大きなメリットになるでしょう。

ポイント
示談しても警察から検察に送致されるのが通常
軽微な事件で早期に示談できれば,例外的に送致されず終わることも

自転車窃盗事件の示談金相場

自転車窃盗事件の示談金は,対象となった自転車の価格によって大きく変わりやすいところです。具体的には,自転車の時価額に迷惑料又は慰謝料としていくらか上乗せをし,示談金とすることが一般的でしょう。

個別のケースにおける示談金は,被害者と自転車との関係によっても左右されやすい傾向にあります。被害者にとって重要な自転車であるほど金額は大きくなりやすく,逆に被害者にとって価値のない自転車であれば,金額は小さくなりやすいです。

示談金額が大きくなりやすい場合

1.自転車の価値が非常に高い
2.被害者にとって重要な自転車である

示談金額が小さくなりやすい場合

1.自転車の価値が高くない
2.被害者にとって重要度の低い自転車である(放置自転車など)

一般的に,それほど重要な自転車や高価な自転車でなければ,慰謝料を含む示談金の目安は5~10万円ほどになりやすいでしょう。
また,被害品の自転車が無事被害者の手元に戻っている場合,自転車の価格をすべて支払う必要がない可能性もあり,金額はより小さくなりやすいです。

ポイント
示談金は自転車の価格に迷惑料を乗せた金額
高額とする事情がなければ5~10万円ほどが目安

自転車窃盗事件における示談の特徴

①金額の定め方

自転車窃盗の事件では,自転車の価値をベースに示談金を定めるのが通常ですが,自転車の価値は被害者によって様々に異なります。

例えば,被害者にとって必要がなく,むしろゴミとして処分したかったような自転車である場合,自転車の価値に対する賠償はそれほど求められないケースも珍しくありません。
一方,カスタマイズを重ねた高価な自転車である場合,被害者にとっての価値は実際の価格より高く,思い入れの強さから高額の支払を要することもあり得ます。

金銭とは異なり,同じものでも人によって価値の違うことがある,という点は自転車窃盗の示談における大きな特徴です。

②被害者の特定が困難な場合

自転車窃盗の場合,被害者の特定は自転車の登録を基準に行います。しかし,自転車が譲渡などされて転々流通しており,登録の変更がなされていない場合,現実の被害者と登録上の所有者が異なるため,被害者の特定が難しい場合もあり得ます。

また,所有者から盗んだのはほかの人であり,その犯人が乗り捨てたものを自分が盗んだ,という流れになることもあります。この場合は,被害者がもともとの所有者であることは明らかなので,自分が所有者から直接盗んだわけでなくても所有者との示談が適切です。

③自転車所有者以外との示談が必要な場合

自転車窃盗事件は,私有地や建物内の駐輪場で行われると,住居侵入罪又は建造物侵入罪もあわせて成立することになります。窃盗罪と住居侵入罪(建造物侵入罪)は別々の犯罪であるため,それぞれについて示談が必要ですが,住居侵入罪(建造物侵入罪)の被害者(=敷地や建物の管理者)は自転車の所有者とは別の人物であることが通常です。

そのため,駐輪場やマンションなどで起きた自転車窃盗事件については,その敷地や建物の管理者とも別途示談が必要となる可能性に注意することが必要です。

自転車窃盗で弁護士に依頼するメリットと方法

弁護士に依頼するべき理由

①不起訴処分のため

刑事事件の被疑者となった場合には,最終的な結果として不起訴処分となることを目指すのが通常です。検察は,捜査を遂げた段階で「起訴」するか「不起訴」とするか判断をしますが,起訴されれば裁判所から刑罰を言い渡される可能性が高く,不起訴となれば刑罰を受けることなく手続が終了するため,その差は極めて大きなものとなります。
そのため,不起訴処分を目指すことが,刑事事件における最大の目標と言っても過言ではないでしょう。

この点,不起訴処分となるかどうかは,高度に法的な問題となることがほとんどです。認め事件であれば,「犯罪事実があるにもかかわらず不起訴とする」ための法的な根拠が必要ですし,否認事件であれば,「犯罪事実が立証できないから不起訴とする」という判断を引き出す必要があります。
これらは,過去の先例や個別の証拠を踏まえ,法的に整理した上での判断が必要となるため,法律の専門家以外には対応が困難と言わざるを得ないでしょう。

そのため,不起訴処分を獲得するという最大の目標を実現する手段として,弁護士を選ぶことは非常に重要と言えます。

②早期釈放のため

自転車窃盗の場合,逮捕されてしまったとしても,早期釈放の可能性がないわけではありません。むしろ,事件によっては早期釈放を見込むことのできるケースも珍しくはないでしょう。

しかしながら,実際に早期釈放を目指す動きを取るためには,弁護士の存在が不可欠です。手続の局面に応じて,適切な申立てなどを行うためには,手続に精通した弁護士に依頼するほかないためです。

逮捕後の早期釈放を目指すためには,できる限り速やかに弁護士選びをすることをお勧めします。なお,身柄拘束されている場合,弁護士選びが遅くなればその分だけ拘束期間が長くなってしまうため,弁護士選びの早さも大切なポイントとして留意することが望ましいでしょう。

③家族や関係者との連携のため

身柄事件の場合,逮捕勾留されたご本人は,自分で外部と連絡を取ることができません。電話を携帯することも認められないため,連絡を取るための手段は以下のような方法に限られます。

逮捕勾留中に外部と連絡を取る手段

1.手紙の送受
→数日~1週間ほどのタイムラグが避けられない

2.(一般)面会
→時間制限が厳しい。接見禁止の場合は面会自体ができない

3.弁護士の接見
→時間的制限なくコミュニケーションが可能

手紙の送受は現実的でなく,面会の時間制限の中で必要な連絡をすべて取ることも難しいため,ご本人と周囲との連絡には弁護士の接見を活用することが不可欠になりやすいでしょう。
身柄事件で必要な連絡を取り合うためには,弁護士への依頼が適切です。

④適切な取り調べ対応のため

刑事事件の捜査では取調べが不可欠です。特に,被疑者への取調べは捜査の中核であって,被疑者からどのような話が引き出せるかによってその後の捜査が決定づけられる事件も少なくありません。

逆に,被疑者の立場にある場合,取調べにどのような対応を取るのが最も有益であるのかを把握していることは非常に重要です。自分が何を話すか,どのように話すかによって,その後の捜査や処分が決定づけられる可能性もあるため,取調べ対応の方法・内容は十分に検討する必要があるでしょう。

この点,個別の事件に応じてどのような取調べ対応をすべきかは,弁護士の法的な判断を仰ぐことが適切です。そのため,取調べ対応に万全を期すためには,弁護士選びが重要なポイントとなるでしょう。

自転車窃盗事件の弁護士を選ぶ基準

①自転車窃盗という事件類型への理解

自転車窃盗の事件は,具体的な内容によって,以下のように該当する刑罰法令が異なる可能性があります。

一般的な自転車窃盗窃盗罪 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
放置自転車占有離脱物横領罪 1年以下の懲役又は10万円以下の罰金
ゴミの場合自治体によっては窃盗罪や条例違反になる可能性あり

また,自転車窃盗に伴って他の犯罪が成立する場合もあります

器物損壊罪 3年以下の懲役又は30万円以下の罰金
自転車窃盗の際にカギを壊すと,カギを壊してしまった行為について別途器物損壊罪が成立します。
その他,駐輪場に設置してある機材を壊した場合にも器物損壊罪の対象となるでしょう。

住居侵入罪・建造物侵入罪 3年以下の懲役又は10万円以下の罰金
自転車窃盗のために他人の住居やその敷地に侵入した場合には,住居侵入罪や建造物侵入罪が成立します。
一般的には,戸建ての住宅やマンションの専有スペースへの侵入は住居侵入罪,マンションの共用スペースへの侵入は建造物侵入罪に当たるでしょう。

当然ながら,どの罪に当たるかによって,その後の取り扱いも最終的な処分の見込みも異なりやすいです。また,被害者との示談を試みる場合にも,どの罪に当たる内容かという点が示談の方法・内容に影響を及ぼしやすいでしょう。

このように,自転車窃盗の場合,一口に自転車窃盗と言っても様々な罪名に該当し得るものですが,これは他の事件類型にはない自転車窃盗の特徴とも言えます。そして,この自転車窃盗の特徴を踏まえているかどうかによって,弁護活動の内容や結果に大きな差が生じる可能性があります。

自転車窃盗の弁護士を選ぶ場合には,事件類型の特徴に理解があるか,という点を重要な基準とするのがよいでしょう。

②見込まれる刑事手続の理解

適切な弁護活動を行うには,今後にどのような手続が見込まれるか,正しく理解していることが不可欠です。今後なされる手続を把握していなければ,手続の中で何を行うべきかも判断できないためです。

そのため,弁護士選びに際しては,個別事件の内容を踏まえて,今後に見込まれる刑事手続を具体的に見通せている弁護士か,という点を重要な判断基準とすることをお勧めします。手続の見通しが具体的であることは,弁護活動の内容が具体的であることにもつながるため,安心して弁護士に依頼できる結果にもなるでしょう。

③弁護方針の具体的内容

弁護士選びは,依頼した際にどのような弁護方針で活動してくれるか,という点を慎重に検討して行うことが必要です。依頼した結果,弁護方針が希望と合致していなかったり,弁護方針に違和感があったりすれば,弁護士選びはうまくいかなかったと言わざるを得ないでしょう。

そのため,弁護士選びの際には,その弁護士がどのような方針で弁護活動をしてくれるのか,可能な限り具体的に把握することをお勧めします。例えば,認め事件であれば示談を試みることが有力ですが,一口に示談を試みると言っても,示談金額はどの程度を想定するか,示談金以外の示談条件として考えられるものはあるか,謝罪の意思を伝える方法はどうするか,事件の経緯や具体的内容についてはどのように説明するかなど,事前に決めなければならない具体的な内容は少なくありません。

弁護方針が具体的であればあるほど,その弁護士は弁護活動のイメージを詳細に持てているということが分かります。これは,弁護士に経験値や解決能力があることの端的な現れでもあるので,弁護士選びに際しては注意してみるとよいでしょう。

④弁護士との連絡方法・頻度

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

自転車窃盗事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①弁護士との相性の重要性

依頼者も弁護士も人である以上,相性の問題を避けて通ることはできません。依頼者目線では,相性が良くないと感じながら弁護士に依頼するメリットはないと考えるべきでしょう。

この点は,最善の解決に至ればそれほど大きな問題にはなりません。しかしながら,弁護活動は事前に最善の結果になるとお約束することが不可能であり,どうしても結果が伴わない場合があります。示談を試みたものの被害者に拒否された,全部無罪を主張したものの一部の主張が認められなかった,といった場合が代表例でしょう。

そして,弁護士との相性を軽視することは,最善の結果でなかった場合に大きな問題となります。弁護士が最善の活動をしてくれたのか,結果はやむを得ないものだったのか,という点について疑念が生じやすくなるためです。
弁護士との相性が良く,弁護士の活動を心底信頼できれば,心から「やむを得なかった」と納得しやすいですが,相性が悪いと感じている場合にはそうもいかないことが多くなりがちです。

弁護士との相性を率直にどう感じるか,という点は,弁護士選びに際して軽視しないことが適切でしょう。

②弁護士によって案内が異なる可能性

自転車窃盗の事件では,処分の見通しなど,案内の内容が弁護士によって異なることも少なくありません。特に,起訴されるか不起訴になるか,という点は,法律相談の段階で具体的に見通すことが困難な場合も多く,確実に回答できないという方がむしろ自然でしょう。

そのため,ある弁護士に相談した結果と他の弁護士に相談した結果が異なる場合もありますが,それはどちらかが誤っているというよりも,見通しの不透明さが影響した結果と理解すべきものです。それにもかかわらず,「どちらの回答が正しいのか」という視点で結論を出そうとすると,答えのない泥沼にはまる恐れもあるため,注意しましょう。

弁護士によって案内が異なることは,決しておかしな出来事ではないと分かっているだけでも,弁護士選びは格段にやりやすくなるはずです。

自転車窃盗事件に強い弁護士をお探しの方へ

自転車窃盗は,まぎれもない犯罪であるため,警察の捜査を受けるなどの問題になった場合には,適切な対応が必要です。
裏を返せば,捜査を受けることになっても,適切な対応ができれば,最悪の事態を回避することは十分に可能なことが多いです。
しかし,当事者の方が一人で適切な対応を尽くすことは容易でなく,専門的な弁護士のサポートが不可欠でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
自転車窃盗事件は少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

置き引きとは?被害届が出たら逮捕される?示談すべき?弁護士が重要ポイントを解説

●置き引きは何罪に当たるのか?

●置き引き事件は逮捕されてしまうのか?

●置き引きで逮捕されてしまったらどうすればいいか?

●置き引きは前科がついてしまうのか?

●置き引きで不起訴になる方法は?

●置き引きの示談金相場は?

●置き引き事件は弁護士に依頼すべきか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,置き引き事件の適切な対応について知りたい,という方に向けて,
置き引き事件の基礎知識置き引き事件で逮捕や前科を防ぐための弁護活動について解説します。

置き引き事件の罪名

置き引き事件は,具体的な状況・内容によって窃盗罪に当たる場合と横領罪に当たる場合があります
両者の区別を単純にすると,対象物を被害者が所持(支配)している状況と言えるか言えないか,ということができるでしょう。
法的には,被害者が占有している物だと窃盗罪の対象になり,被害者の占有を離れた物だと横領罪(占有離脱物横領罪)の対象になります。

①窃盗罪に当たる場合

窃盗罪は,他人が持っている財産を盗む犯罪です。
置き引きの場合,置いてはあるが被害者の手元を離れているとは言えない,という場合が該当します。
具体的には,置いてからの時間が短い,置いてある場所の近くに被害者がいる,というケースがこれに当たります。
被害者が置いたばかりでその場を離れていない状況であれば,被害者が支配していると理解できるわけですね。

②占有離脱物横領罪に当たる場合

占有離脱物横領罪は,他人の占有を離れた財産を手に入れる犯罪です。
置き引き事件で言うと,置かれた財産が被害者の手元を離れたと評価できる場合が該当します。
具体的には,置かれてから既に長時間が経っている,被害者は遠くに離れている,というケースが当たります。
電車の網棚に放置されたままになっているカバンに代表されるように,持ち主が支配しているとは考えにくいわけですね。

置き引き事件の刑罰

置き引き事件は窃盗罪又は占有離脱物横領罪に該当しますが,両者を比較すると,刑罰の程度には以下のような違いがあります。

①窃盗罪:10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
②占有離脱物横領罪:1年以下の懲役又は10万円以下の罰金

非常に大きな差がありますが,これは,窃盗の方がより強く責められるべき行為であるから,と説明できるでしょう。
放置された物を持っていくより,人の所持している物を盗む方が,道徳的なハードルがより高い行為と言えます。

置き引き事件と逮捕

置き引き事件は逮捕されるか

置き引き事件は,決して類型的に逮捕可能性が高いわけではありません。被疑者が特定できた場合であっても,逮捕せずに捜査を行うことは珍しくないでしょう。そのため,被害届が出たからと言って必ず逮捕されるわけでなく,適切な対応を尽くすことで,逮捕を回避しながらの解決も目指せる場合は多いと言えます。

ただし,内容によっては逮捕可能性が高くなるケースがあり得ます。具体的には,以下のような場合が挙げられます。

逮捕の可能性が高くなりやすいケース

1.盗品が悪用された場合

2.被害規模が大きい場合

3.同種の余罪が多数ある場合

【1.盗品が悪用された場合】

置き引き事件では,盗品が複数あり,その中には悪用される恐れのあるものも含まれていることが少なくありません。財布の中に保管されているキャッシュカードやクレジットカードは代表例でしょう。

この点,キャッシュカードを用いて多額の現金が引き出されている,クレジットカードを用いて商品を購入している,といった事情がある場合,盗品の悪用が重大視され逮捕の可能性が高まることが考えられます。単純に被害が拡大するというのみならず,盗品をさらに悪用する動きは別の犯罪に当たる可能性の高い悪質な行為であるため,逮捕をして厳重に捜査を尽くす必要が大きくなってしまうのです。

【2.被害規模が大きい場合】

明らかに経済的価値の高いものを置き引きしている,際立って多くの物を置き引きしているなど,被害の規模が大きい場合には,事件の重大性を踏まえて逮捕される可能性が高まる傾向にあります。

置き引き事件で逮捕がなされないケースは,突発的な事件であること大きく評価されていることが多く見られます。「魔が差した」というべき事件であれば,証拠隠滅の可能性も低く,逮捕までする必要はないと評価されやすいためです。
一方,価値の高い物を選んでいる場合や,簡単に持ち出せない物を持ち出している場合には,突発的ではなく計画的な事件であることが見込まれやすくなります。特に,計画的な事件と考えなければ説明のつかない行動を取っている場合には,計画性があるとみなされやすいでしょう。そして,このようなケースでは,突発的な置き引き事件とは異なり,計画性に関する証拠隠滅を防ぐために逮捕に踏み切る必要が大きいと判断されかねません。

【3.同種の余罪が多数ある場合】

場所や方法,対象となる盗品など,特徴の共通した事件が多数発生している場合,捜査機関としては同一犯の事件を想定するとともに,再発防止のために被疑者を逮捕する必要が高いと考える傾向にあります。多数の余罪がある被疑者の場合,放置していると再び同様の事件を起こす可能性が高いため,逮捕によって事件を予防しつつ捜査を行う手段が選択されやすいのです。

また,余罪が多数あるということは,捜査すべき事件がそれだけ多いため,事件の数に比例して必要な証拠も多くなります。逮捕しないでいると,余罪に関する重要な証拠を隠滅される恐れがあるため,速やかに逮捕をし,余罪を含む事件の全容解明を目指す方針が取られやすい傾向にあります。

置き引き事件で釈放される方法

置き引き事件では,逮捕された場合でも,その後速やかに釈放される場合は決して少なくありません。

逮捕されると,その後,10日~20日間勾留されるか,釈放されて在宅事件に切り替えられるか,という判断がなされます。
在宅事件となった場合,日常生活に戻った上で,捜査機関に求められた際に出頭する,という対応が可能ですので,勾留を防げるかは非常に重要なポイントになります。
置き引き事件の場合,適切な対応ができれば,勾留を防いで在宅事件となることも十分に考えられますので,弁護士に依頼の上で釈放を求める弁護活動をしてもらうことをお勧めします。

なお,逮捕されてから勾留の判断がなされるまでの期間は,概ね2日以内,長くても3日程度であり,勾留を防ぐための試みをするにはそれより前に弁護士が活動を開始しなければなりません。その期間が経過し,勾留が決定されると,遡って勾留を防ぐことは困難になってしまいます。逮捕された場合の弁護士へのご相談は,逮捕当日または翌日には行われることをお勧めします。

置き引き事件で逮捕を避ける方法

①捜査を受ける前の段階

置き引き事件では,目撃者の存在が期待できないため,防犯映像などの明らかな証拠がなければ,被疑者の特定に時間のかかる場合も少なくありません。そのため,逮捕の回避を検討する段階ではまだ被疑者が特定されておらず,取調べ等の捜査を受けていない状況であることも考えられます。

この段階で逮捕の回避を目指す場合には,自ら捜査機関に出頭する動きが一案です。捜査機関に特定されるより前に,自分から被疑者として扱ってもらうよう申し出ることで,逮捕しない判断を促すことが可能になります。
自分が被疑者として特定される前に出頭を試みれば,法的には「自首」が成立し,取り扱いがより緩和される効果も期待できます。

②捜査開始後

置き引き事件で既に捜査を受けており,その内容に争いがない場合には,被害者との示談を通じて逮捕回避を目指す方法が有力です。

置き引き事件の場合,被害者との間で示談が成立すれば,その後に逮捕されることはほとんどありません。しかも,示談は最終的な刑事処分の軽減にも非常に大きな意味を持つものであるため,行わないメリットはないと言っても過言ではないでしょう。

示談は,被害者側の対応によっては速やかに成立しないため,「示談が成立したから逮捕しない」という判断になるケースはあまり多くはありません。しかし,「示談を希望している」という事実を捜査機関に把握してもらうだけでも,逮捕回避につながることは非常に多く,少しでも早期に示談の試みに着手することはとても有益でしょう。

③逮捕の判断基準を踏まえた対応

逮捕を行うかどうかの判断基準は,「逃亡の恐れ」と「罪証隠滅の恐れ」です。逮捕をしないと逃亡する可能性が高いか,犯罪の証拠を隠滅される可能性が高いか,ということを基準に,逮捕の判断が行われることになります。
裏を返せば,逃亡や罪証隠滅の恐れが小さい場合,逮捕の可能性は大きく低下することになります。捜査への対応にあたっては,逃亡や罪証隠滅の恐れに配慮することが有益でしょう。

具体的な対応としては,呼び出しの連絡は無視せず対応し,出頭を拒否せず可能な範囲で応じる,という方針が適切です。円滑に連絡が取れれば,逃亡の恐れは小さいと評価されやすく,出頭の求めに応じてくれれば罪証隠滅の恐れが小さいとの理解につながりやすいでしょう。

置き引き事件の逮捕に関する注意点

①対象となる罪名

置き引き事件は,「窃盗罪」に当たる場合と「占有離脱物横領罪」にあたる場合があります。主な違いは以下の通りです。

窃盗罪:置いてはあるが被害者の手元を離れているとは言えない場合
占有離脱物横領罪:置かれた財産が被害者の手元を離れたと評価できる場合

基本的には,置かれてから時間が経っていない場合に窃盗罪,長時間が経過している場合に占有離脱物横領罪の対象となります。犯罪としては,置かれて間もない財産を置き引きする方が責任が重いと評価されやすいため,窃盗罪の方が重大であり,逮捕の可能性も窃盗罪に当たる方が高い傾向にあります。

同じ置き引きでも,責任の重さによって罪名が異なることには注意しておくとよいでしょう。

②逮捕後の身柄拘束期間

逮捕が防げなかった場合には,逮捕後の身柄拘束がどの程度の期間となるか,という点が重要な問題になります。

逮捕されると,最大72時間以内に「勾留」されるかが判断され,勾留された場合には10日間の身柄拘束が生じます。そして,勾留後には最大10日間の「勾留延長」がなされる可能性もあります。そうすると,起訴不起訴の判断までの間に,最長で23日程度の身柄拘束があり得るということになります。

逮捕から起訴までの流れ

この点,置き引き事件では勾留や勾留延長が回避できるか,という点がケースによって様々に異なりやすい傾向にあります。他の置き引き事件では勾留されなかったから,と安易に釈放を見込むことは不適切であり,大きな危険があると考えるべきでしょう。

釈放時期の具体的な見込みについては,個別の内容を踏まえた判断が不可欠であるため,弁護士への十分な相談を行うことをお勧めします。

置き引き事件と前科・不起訴

置き引き事件は前科になるか

置き引き事件は,前科になる可能性が十分に考えられる事件類型です。
前科とは,刑罰を受けた経歴を指すことが一般的ですが,刑事事件では,捜査の結果検察官に起訴されると,刑罰を受けて前科が残ることとなります。
そのため,前科を防ぐためには,検察官に起訴されない(不起訴処分となること)が必要です。

この点,置き引き事件は被害者がいる事件類型のため,検察官による起訴不起訴の判断は,被害者の意向に配慮したものとなるのが通常です。
被害者が処罰を求めるのであれば起訴し,被害者が許していれば不起訴にする,という判断になることが非常に多く見られます。

そのため,置き引き事件で不起訴処分を獲得し,前科を防ぐためには,被害者に許し(宥恕)をいただけるかどうかが最重要となるでしょう。
具体的には,弁護士を通じて示談を試み,示談が成立することで,被害者の宥恕を得る必要があります。

置き引き事件で不起訴を目指す方法

①示談交渉

置き引き事件で不起訴を目指す場合,最も端的な方法は被害者側に不起訴を希望してもらうことです。置き引き事件のように被害者がいる事件では,被害者が起訴を望むか不起訴を望むか,という意向が刑事処分に直接の影響を与えやすい傾向にあるためです。
そして,被害者に不起訴を希望してもらうための手段が,被害者との示談です。被害者との間で示談が成立した場合,被害者からは「不起訴を希望する」という意向を表明してもらうのが通常であるため,示談が成立すれば不起訴となる可能性が極めて高くなるでしょう。

なお,被害者側との示談を試みるのは,基本的に認め事件の場合です。否認事件でも,金銭的解決を図る趣旨で示談を試みる選択肢はあり得ますが,内容を慎重に検討する必要があるため,弁護士の法的な判断を仰ぐことを強くお勧めします。

ポイント
被害者が不起訴を希望すれば不起訴になりやすい
示談が成立した場合,被害者からは不起訴希望の意向を表明してもらうことになる

②再発防止・贖罪

不起訴処分を目指して示談を試みたとしても,必ず示談の成立に至るとは限りません。示談は相手のあるお話であるため,相手から拒否をされてしまえば,どれだけ希望しても示談成立に至ることは困難です。
相手に示談の意思がない場合には,示談によって不起訴処分を目指すことはできないため,次善策の検討が必要となります。

この点,認め事件であれば,二度と同様の事件が発生しない状況が整っている,と判断してもらうことが,不起訴処分を目指す有力な手段として考えられます。具体的には,事件の原因を予防できる再発防止策を講じたり,贖罪(しょくざい)の意思を贖罪寄付などの方法で表明したりすることが一案でしょう。
個別の事件でどのような再発防止策が考えられるか,贖罪寄付はどこへ,いくら,どのように行うべきか,という点は,弁護士と十分に協議することが望ましいところです。

なお,再発防止や贖罪の動きは,それだけで不起訴処分が獲得できる性質のものでない,という点には予め注意が必要です。起訴不起訴の判断で検察が迷う場合に,不起訴処分を促す事情になり得る,という程度の位置づけと理解するのが適切でしょう。

ポイント
再発防止策を講じることや贖罪寄付を行うことも有力
もっとも,再発防止や贖罪があれば不起訴になる,というわけではない

置き引き事件で不起訴を目指す場合の注意点

①示談金額

置き引き事件で示談を行う場合,示談金額は実際の損害額を目安にすることが通常です。一般的には,損害額にお詫びの趣旨でいくらか上乗せをした金額を示談金額とする,という考え方が用いられやすいでしょう。

もっとも,損害額に上乗せするお詫びの部分については,ケースによって損害額を大きく超える金額を希望されることもあり得ます。被害者としては,警察への相談やクレジットカード等の悪用を防ぐ対応など,置き引き被害にあったばかりに数々の面倒な動きをさせられているため,加害者への怒りの感情が増大していることも少なくはありません。また,損害額が小さい場合,その金額を支払うだけで加害者にお咎めなく事件が終わる,ということに被害者の納得が得られないことも多く見られます。

置き引き事件の示談に際しては,実際の損害額を超える示談金額が想定されやすいことにあらかじめ注意しておくようにしましょう。

②盗品の中身に争いが生じる可能性

置き引き事件の特徴として,盗品が複数になりやすい,という点があります。通常,バッグや財布など,中に他の金品が入っているものが盗品となるためです。

この点,加害者が置き引きした盗品の中身と,被害者が記憶している中身が一致しない,というケースは珍しくありません。自分のバッグや財布の中身を常に正確に把握するのは難しいため,やむを得ないところではあります。
現実に盗品の中身に関する争いが生じた場合には,以下のような対応方針が賢明でしょう。

盗品の中身に争いが生じた場合

1.対捜査機関(取調べ等)
→自分の記憶を述べ,被害者の主張に合わせる必要はない

2.対被害者(示談交渉)
→被害者の言い分に沿った示談条件を検討する
→「実際の中身は違った」という指摘をすること自体は問題ない

捜査機関に対しては,記憶に反する話をするメリットはないため,実際の内容を一貫して述べ続けるのが適切です。一方,示談交渉に際しては,被害者の言い分を踏まえた条件でなければ被害者の納得を得ることは困難です。そのため,実際の中身が被害者の言い分通りであるかは別として,示談条件は被害者の言い分に沿って検討するのが現実的でしょう。

③否認事件の対応方法

否認事件の場合,取調べにどのような対応をできるか,という点が起訴不起訴を大きく左右しやすいところです。
具体的には,事件の争点を念頭に置いた対応を心掛けることが適切でしょう。

例えば,「自分のバッグだと勘違いして他人のバッグを持って行ってしまった」という主張は,犯罪の故意を否認する内容です。そのため,ここでの争点は故意の有無であり,故意があったと立証できるかどうかが唯一最大の問題点となります。
この場合,「自分が他人のバッグを持って行ったかどうか」は当然ながら争点にはなりません。他人のバッグを持って行ったことは前提であり,持って行った時の内心が争点であるためです。
しかしながら,このような場合に「他人のバッグを持って行ったから悪い」といった内容の取調べを受けることも珍しくはありません。このような指摘を真に受けて争点と無関係の話に終始してしまうのは,不合理と言わざるを得ないでしょう。

否認事件では,争点をしっかりと整理して取調べに臨むことが必要です。そうすることで,取調べの内容を「重要な点」と「重要でない点」に区別することもでき,より適切な対応を尽くせるようになるでしょう。

置き引き事件の示談

置き引き事件で示談をする方法

置き引き事件で示談を目指す場合,まずは弁護士に依頼することが必要です。
示談を試みるには,警察や検察に示談をしたい旨申し入れ,被害者に連絡を取ってもらうことが必要ですが,当事者が申し入れても通常は応じてもらえません。
被害者側の精神的苦痛につながる上,当事者同士を引き合わすことでトラブルになる可能性が懸念されるからです。

そのため,示談を試みる場合は,弁護士が間に入り,弁護士限りで連絡先の交換をしてもらうことができないか,捜査担当者に相談をすることになります。
捜査担当者から被害者に連絡し,弁護士限りでの連絡先の交換が許された場合には,弁護士と被害者との連絡が始められる,という流れとなります。

置き引き事件の示談金相場

示談で宥恕(許し)を獲得するためには,引き換えに加害者から被害者へ示談金を支払うのが通常です。
置き引きの場合,この示談金の相場は,被害品の価値相当額を目安にすることが多く見られます。
具体的には,被害品の価値相当額にお詫びの趣旨でいくらか上乗せした金額を示談金とするのが有力でしょう。
被害品の価値相当額自体は,示談をしなくても被害者に賠償する義務があるものですので,被害者が宥恕する(許す)メリット・利益として,金銭賠償をいくらか上乗せするというのが基本的な考え方です。

なお,被害品の価値相当額については,明確に分からないことも少なくありません。
カバンや財布といった時価額の分かるものだけならば単純ですが,中にあったカードを紛失したケースや,金銭的価値はあまりないが大切にしていたものがなくなってしまったケースなどは,個別のお話合いが必要になるでしょう。
多くの場合は,被害者の宥恕(許し)に値する金額へと賠償額を引き上げることで示談を目指す方針になりやすいかと思われます。

置き引き事件は弁護士に依頼すべきか

弁護士への依頼が必要な場合

①不起訴処分を獲得したいとき

置き引き事件は,不起訴処分の可能性が十分にある事件類型です。認め事件であれば,被害者との示談が成立しているかどうかが不起訴処分を決定づける傾向にあり,示談が成立した事件では不起訴処分となる方が通常と言っても過言ではありません。
この点,示談交渉には弁護士の存在が不可欠です。当事者同士を直接引き合わせるわけにはいかないので,捜査機関は弁護士から依頼があった場合にのみ,弁護士限りで被害者と引き合わせることを認める運用をしています。

一方,否認事件の場合,起訴不起訴の判断は高度の法律的なものとならざるを得ません。犯罪の構成要件を満たしているか,犯罪の立証に足りる証拠はあるかなど,被疑者に刑罰を科すために必要な事項を精査し,刑罰を科せられない可能性が見込まれる場合には,不起訴処分の対象となります。
このような法律的な判断に際して,不起訴を求める意見を述べたり捜査機関との協議を試みたりするには,専門家である弁護士の存在が不可欠でしょう。認め事件のみならず,否認事件でも弁護士選びが不起訴処分を大きく左右することになります。

②取調べに適切な対応をしたいとき

置き引き事件で捜査を受けるとなれば,事件の内容に関する取り調べは避けられません。警察や検察から事件に関する話を聴取され,その内容を供述調書の形にすることは必須のステップとなります。
この点,事件によっては取調べへの対応次第で起訴不起訴の判断が大きく分かれる場合も少なくありません。特に置き引き事件の場合,立証に必要な証拠が数多く残されていることが期待できないため,足りない部分を取調べで埋め合わせる必要があることも考えられます。

そうすると,置き引き事件で不起訴を目指すためには,取調べへの対応を十分に準備し,不利益のない適切な取調べ対応を尽くすことが非常に重要となります。そして,適切な取調べ対応には弁護士の法的な判断や助言が極めて有益であるため,この点でも弁護士選びは重要な意味を持つことになるでしょう。

③早期釈放を目指したいとき

置き引き事件で逮捕された場合,その後の動き次第では早期釈放される可能性も十分に考えられます。
逮捕されると,最大72時間以内に「勾留」されるかが判断され,勾留された場合には10日間の身柄拘束が生じます。そして,勾留後には最大10日間の「勾留延長」がなされる可能性もあります。そうすると,起訴不起訴の判断までの間に,最長で23日程度の身柄拘束があり得るということになります。

もっとも,勾留されずに釈放となれば,最大72時間の身柄拘束にとどまり,日常生活への悪影響は最小限にとどまります。早期釈放は,生活を守るために極めて重要なものであり,その可能性があるならばできる限り目指すことが有益でしょう。
この点,釈放を目指す具体的な手続や申立てには,弁護士への依頼が必要となります。法律の手続に則って弁護士に対応をしてもらうことで,早期釈放の可能性が大きく上昇することは決して珍しくないでしょう。

④刑罰の軽減を図りたいとき

刑罰が避けられない置き引き事件の場合は,どれだけ軽微な刑罰にとどまるかが非常に重要な問題となります。刑罰には,大きく分けて「罰金」「執行猶予」「実刑」の3つがありますが,金銭を支払うことで終了する罰金が最も軽く,刑務所に収容させられる実刑が最も重い刑罰となります。
この点,罰金で終了させられることができれば,裁判所での裁判を受けることなく,略式手続という形で速やかに終了することも多いため,不利益は最小限にとどまります。罰金ではとどまらないケースでも,執行猶予となるか実刑となるかは,刑務所に収容されるかどうかという極めて大きな違いになります。

刑事罰の種類

刑罰の軽減を目指す場合,具体的な方法や内容は個別の事情を踏まえて決定する必要があるため,弁護士の専門的な判断が不可欠です。可能な限り円滑な解決を目指すためには,弁護士選びが重要となるでしょう。

置き引き事件の弁護士を選ぶ基準

①置き引き事件の解決実績

弁護活動は,過去の経験を踏まえた経験則を元に行うのが通常です。事件ごとによくある問題点や注意点なども,それが問題となった過去のケースを経験しているからこそ把握できるものです。

そのため,弁護士を選ぶ基準としては,過去に解決実績があるかどうかを重要なポイントとすることをお勧めします。この点,刑事事件の場合には,事件類型ごとに特徴が異なるため,置き引き事件の場合には同様の置き引き事件を解決した実績があると望ましいでしょう。

②示談交渉に長けているか

置き引き事件の解決は,否認事件でない限り示談交渉が不可欠です。認め事件では,被害者と示談が成立しているかどうかが最終的な刑事処分に直結していると言っても過言ではないでしょう。

そのため,置き引き事件での弁護士依頼では示談交渉を重視するべきですが,刑事事件の示談交渉に精通しているかどうかは,弁護士ごとに大きく異なります。特に,刑事事件では加害者側の立場で示談交渉をする必要があるため,相手に金銭などの請求をする事件とは勝手が違い,得手不得手の差が生じやすいものです。
しかも,置き引き事件の場合,盗品が被害者にとって思い入れのある場合など,金額面以外の点で被害者への配慮を要するケースが少なくありません。そのような特徴に無頓着だと,示談交渉が難航する原因にもなりやすいです。

置き引き事件で弁護士を選ぶ場合は,置き引き事件の加害者として示談交渉を行うことに長けているか,という基準を重視するのが有益です。

③弁護士と円滑に連絡が取れるか

弁護士への委任後は,事件に関する状況や進捗の把握を基本的に弁護士を通じて行うことになります。弁護士が捜査機関や被害者と接触した内容などを,弁護士から聞く形で把握していく,という流れが通常でしょう。

そのため,依頼した事件について不明な点は,全て弁護士から回答してもらう方法で解決する必要がありますが,弁護士とどのような方法,頻度で連絡を取ることができるかは,弁護士の取り扱いによる面が非常に大きいものです。
もちろん,弁護士も複数の事件を同時にこなしているため,常に連絡が取れるわけではありませんが,できるだけ連絡の時間を確保しようとしてくれるかは各弁護士の方針次第,というのが実情です。法律事務所によっては,連絡の窓口に弁護士が一切現れず,事務職員としか連絡が取れないということもあるようです。

弁護士選びに際しては,依頼後に弁護士と円滑に連絡が取れるか,という点を重要な基準とすることをお勧めします。可能であれば,弁護士が依頼者との連絡にどの程度時間を割いてくれるタイプの人か,という点も事前に把握したいところです。

④弁護士費用の見込みは具体的か

一般的な置き引き事件の場合,手続の流れにそれほど多くの可能性はありません。刑事事件の手続に精通している弁護士であれば,考えられる進行を一通り想定することが可能でしょう。
そのため,弁護士費用がどの程度発生するか,という金額の面についても,ある程度具体的な見通しを立てられる場合が多い傾向にあります。ある程度の幅はやむを得ず生じるものの,「この流れになればこのくらいの金額」というシナリオを一通り立てられるケースがほとんどです。

そこで,弁護士選びに際しては,依頼後の弁護士費用がどのくらいの金額になるか,という点の説明をできるだけ具体的に受けてみることをお勧めします。費用見込みの具体性に欠ける場合,金銭面に不安が残るのみでなく,具体的な説明をしてくれない弁護士への信頼にも大きな懸念が生じるため,依頼には慎重な検討が望ましいところです。

置き引き事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①本人が依頼する

置き引き事件で必要となりやすい示談は,加害者と被害者の間における契約です。そのため,示談を試みるかどうか,示談ができる場合にどのような内容とするか,という点については,契約の当事者である本人の判断が必要となります。
また,弁護士が依頼を受けて活動をするためには,個別事件の詳細な内容を把握していなければなりません。そのため,弁護士が本人から事件の内容を直接聴取することは不可欠と言えるでしょう。

そうすると,弁護士に依頼する場合には,本人が依頼する,という考え方が非常に重要となります。弁護士も本人の意思が沿わない弁護活動はできないため,依頼者がご家族であっても,ご家族と本人の気持ちが一致していることは必要です。

②弁護士の聴取には個人差がある

弁護士への依頼は,法律相談を受けた上で検討することになりますが,弁護士がどのように話を聞くか,どのように回答してくれるか,話し方や言葉遣いはどうか,といった点は,当然ながら弁護士により大きく異なります。これは個人差の問題であり,依頼者目線では「合うか合わないか」という問題でもあります。
弁護士への依頼は,その後の弁護活動や判断の多くを弁護士に委ねるものであるため,弁護士との相性は思いのほか重要です。「この弁護士とは合わない」と感じながら依頼するのは,トラブルの原因にもなりかねません。

そのため,弁護士への相談においては,弁護士の応対には大きな個人差があることを念頭に置き,応対に違和感を覚えない弁護士(=自分と合う弁護士)を選ぶようにすることをお勧めします。

③相談時間には限りがある

弁護士への法律相談は,30分以内,又は1時間以内といった形で時間を区切って行われるのが通常です。その時間内で,必要な情報を伝え,弁護士から案内を受け,弁護士選びの検討を行う必要があります。
もっとも,その時間は決して長くはありません。無意識に相談時間を浪費してしまうと,肝心の弁護士選びに必要な話が聞けないまま相談が終了してしまう可能性もあるでしょう。

そのため,弁護士選びに際しては,弁護士への法律相談に時間的な制限があることを踏まえ,弁護士選びの基準や聞きたいことなどを可能な限り整理して法律相談に臨むことをお勧めします。そのようなスタンスは,法律相談をより有益な内容とする結果にもつながるでしょう。

置き引き事件に強い弁護士をお探しの方へ

置き引き事件の場合,対応次第では逮捕や前科を防ぐことのできる場合も少なくありません。
そのため,置き引き事件の捜査を受けることになってしまった場合には,速やかに弁護士へのご相談やご依頼を検討するのが非常に有益です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
置き引き事件は少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

刑事事件の示談を弁護士なしで行うことは可能か?メリットやリスクを詳細解説

刑事事件を起こしてしまった場合、被害者との示談が成立するかどうかは処分の結果を大きく左右します。「弁護士なしでも自分で示談できるのでは?」と考える方もいますが、刑事事件の示談交渉には慎重な対応が求められます。方法を誤ると、かえって被害者の心証を悪化させたり、示談が無効とされるおそれもあります。本記事では、弁護士なしで刑事事件の示談を行うことが可能か、そのメリットとリスク、さらに安全に示談を進めるためのポイントを詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

弁護士なしでも刑事事件の示談交渉は可能

示談とは,当事者間の話し合いによって合意(=契約)し,トラブルを解決することを言います。
刑事事件の場合,被害者と加害者がお互いの法律関係をどのように決着つけるか,合意することを指すのが通常です。
この刑事事件における示談では,加害者が被害者に金銭(示談金)の賠償を行うことが大多数です。

示談が成立している場合,刑事処分が劇的に軽減し,不起訴となることも数多くあります。前科を避けたい,刑罰を軽くしたい,という場合は,示談の試みが極めて重要になります

この点、弁護士なしでも刑事事件の示談交渉は可能です。もっとも、その限界や注意点には十分な配慮することを強くお勧めします。

① 弁護士なしであっても法的な効果はある

刑事事件の示談は、弁護士が行わなければ法的な効果が生じないというわけではありません。示談の法的な意味は、民法上の和解契約と位置付けられることが一般的ですが、和解契約をするために弁護士が必要とはされていないためです。

刑事事件における示談は、和解契約の内容として「加害者を許す」という内容(宥恕=ゆうじょ)を盛り込んだものであることが通常です。そのため、宥恕を含む和解契約ができれば、弁護士がいてもいなくても法律的な効力に不足はありません。

示談書の存在も、示談の成立に必要な要件ではありません。そのため、弁護士なしで口約束をするだけでも示談は成立し、法的効果も生じます。もっとも、紛争の蒸し返しを防ぐ手段として、そして捜査機関に示談の事実を示す手段として、示談書を作成することが通常です。

② 限界が生じやすい点には注意が必要

弁護士なしでも示談交渉は法的に可能ですが、実際には多くの限界が生じます。

最も大きな問題は、被害者側が加害者本人との直接的な接触を拒否するケースが非常に多いことです。
感情的なトラブルを伴う暴行・傷害事件や、当事者間の接触が類型的に不適切な性犯罪などでは、特に直接の接触は拒否されることがほとんどでしょう。捜査機関も、当事者同士の示談交渉を促したり当事者間の連絡先交換を仲介したりすることは考え難いところです。

また、加害者が逮捕・勾留という手続で身柄拘束されてしまうと、加害者本人が被害者に直接連絡する手段はなくなってしまい、弁護士なしの示談交渉は非常に難しくなります。

加えて、弁護士のない示談では、内容面にも限界の生じやすい傾向があります。法的知識の不足により適切な示談条件を判断できず、相場よりも高額な示談金を要求されたり、不利な条件を受け入れてしまうリスクも存在します。
示談書の作成においても、記載内容や方法など、適切な文書を作成するためには法的知識が必要となるため、弁護士なしでは難しいケースが多いでしょう。

弁護士なしでの示談交渉は、これらの限界を十分に理解した上で慎重に検討する必要があります。

【弁護士なしの示談交渉における限界】

・被害者側に拒否されやすい
・身柄拘束されると交渉手段がない
・不利益な内容になる可能性
・示談書の作成が難しい可能性

弁護士なしで刑事事件の示談を行う方法

① 被害者への連絡

刑事事件で示談を進める際、まず被害者との連絡を取ることが最初のステップとなります。

被害者への連絡方法は主に以下の手段があります。

・電話による直接連絡
・書面による謝罪と示談の申し入れ
・共通の知人を介した間接的な連絡
・被害者の代理人弁護士を通じた連絡

連絡を取る際は、まず心からの謝罪の気持ちを伝えることが重要です。
その上で示談について話し合いたい旨を丁寧に伝えましょう。
ただし、被害者が連絡を拒否した場合は、無理に連絡を続けることは控える方が賢明です。

直接の連絡は、被害者が了承していることが明確である場合にのみ行うのが望ましいでしょう。被害者が直接の連絡に否定的な心理状態の場合、連絡を試みることが示談に悪影響を及ぼす恐れもあります。

② 示談条件の交渉

示談条件の交渉は、刑事事件の解決において最も重要な段階の一つです。
交渉で話し合うべき主な条件は以下の通りです。

・示談金の金額
・支払い方法(一括払いか分割払いか)
・支払い期限
・謝罪の方法
・今後の接触に関する取り決め
・宥恕条項(処罰を求めない旨の条項)の有無

交渉では感情的にならず、冷静に話し合うことが重要です。
被害者が求める条件を丁寧に聞き取ることから始め、自分が了承できる水準や内容と整合するか、すり合わせていく交渉が円滑になりやすいでしょう。

相手の要求が過度に高額な場合は、客観的な損害額を基準に適正な金額を提案する必要があります。
ただし、法的知識がないと適切な判断が困難な場合も多いため注意が必要です。

③ 示談書の作成、締結

示談を行うにあたっては、示談書の作成と締結により証明手段を確保しておくことが非常に重要となります。
示談書の記載内容に不備があると、後々トラブルの原因となる可能性があるため、記載内容、方法には注意が必要です。

特に注意すべき点は以下の通りです。

・示談金以外の請求を放棄する条項(清算条項)
・示談内容を第三者に口外しない守秘義務条項
・示談書に記載のない事項について今後一切請求しない条項

示談書の署名押印は、双方が内容を十分理解した上で行うことが大切です。
適切な示談書の作成は、将来的な紛争を防ぐ重要な役割を果たします。

示談の基本的な目的は、清算条項を設けて当事者間の法律関係を終了させる点にあります。刑事事件では、これに加えて刑罰を望まないという許し(宥恕)を含めることが一般的です。

④ 示談金の支払い

示談金の支払が生じる場合、支払い方法や時期について、事前にしっかりと取り決めておく必要があります。

一般的な支払い方法として、以下のような選択肢があります。

・一括払い
 示談成立と同時に全額を支払う方法で、最も確実性が高い
・分割払い
 経済的な事情により一括での支払いが困難な場合に選択される
・振込み
 銀行振込による支払いで、記録が残るため証拠として有効
・現金手渡し
 直接現金で支払う方法だが、受領証の作成が重要

特に分割払いの場合は、各回の支払い金額、支払い日、振込先などを詳細に記載することが適切です。
また、支払い完了後は受領証を受け取り、示談の履行が完了したことを証明できるようにすることも有益でしょう。

示談金を振込みで支払う場合、示談書の締結より支払う方が後になるため、受領する被害者にとっては不安が残りやすいものです。そのため、支払期限を明確にしたり、支払がなされなかった場合の効果を定めたりするなど、被害者側に配慮することも有力でしょう。

⑤ 捜査機関等への連絡

示談が成立した場合、その事実を適切な機関に報告することが重要です。
まず警察や検察庁など、事件を担当している捜査機関への連絡を行いましょう。
示談成立の報告は、不起訴処分や刑事手続きの軽減に直結する重要な手続きです。
捜査機関は示談の成立を知ることで、事件の処理方針を検討する材料として活用します。

報告する際は以下の書類や情報を準備しましょう。

・示談書の写し
・示談金の支払いを証明する書類(振込明細書など)
・捜査機関が連絡するための被害者側の連絡先情報

示談成立後は、極力速やかに、まずは電話連絡で報告を行うことをお勧めします。その際に、共有が必要な書面もあわせて確認するとスムーズです。

弁護士なしで示談交渉を行うメリット

弁護士なしで刑事事件の示談交渉を行うことには、いくつかのメリットが存在します。
最も大きな利点は、弁護士費用を節約できることでしょう。

弁護士に依頼する場合、着手金や成功報酬として数十万円から数百万円の費用が発生することが一般的です。
軽微な事件や経済的に余裕がない場合、この費用負担は大きな問題となります。
弁護士なしで示談交渉を進めれば、これらの費用を抑えることが可能になるのです。

また、当事者同士で直接話し合うことで、より迅速な解決が期待できる場合もあります。
弁護士を介さないため、連絡や交渉のスピードが早く、お互いの気持ちや事情を直接伝えられるでしょう。
特に知人同士のトラブルや軽微な事件では、率直な謝罪と話し合いが効果的な場合があります。

さらに、プライバシーを保護しやすいという側面もあります。
第三者である弁護士を通さずに解決することで、事件の詳細が外部に漏れるリスクを最小限に抑えられるでしょう。

メリット

・弁護費用の節約
・迅速な解決の可能性
・プライバシーの保護

弁護士なしで示談交渉を行うリスク

① 被害者に拒否される可能性が高い

刑事事件の示談交渉において、加害者本人が被害者に直接連絡を取ろうとしても、拒否される可能性が非常に高いのが現実です。

被害者にとって加害者は「自分に害を与えた相手」であり、心理的な恐怖や不安を抱いているケースがほとんどでしょう。
特に暴行事件や窃盗事件などでは、被害者が加害者との直接的な接触を避けたいと考えるのは自然な反応といえます。

被害者が示談交渉を拒否する主な理由は以下の通りです。

・加害者への恐怖心や不信感
・感情的な対立による冷静な話し合いの困難さ
・加害者本人では誠意が伝わりにくい
・法的知識不足による不安感

また、被害者側も弁護士に相談している場合、「加害者本人とは直接話さないように」とアドバイスを受けていることも多いでしょう。

一方で弁護士が代理人として交渉する場合、第三者的立場から冷静かつ専門的なアプローチが可能となります。
被害者も法的な専門家との交渉であれば、安心して話し合いに応じる傾向があります。

警察や検察の捜査を受けている場合、示談希望の意思を表明すると、捜査担当者から弁護士への依頼を促されることも多いです。

② 逮捕勾留されると示談交渉ができなくなる

逮捕勾留されてしまうと、身体の自由が奪われるため示談交渉が極めて困難になります。
警察署や拘置所に身柄を拘束された状態では、被害者との直接的な連絡や面会は基本的に不可能です。

また、勾留期間は最大20日間と限られており、その間に示談を成立させなければ起訴される可能性が高まります。
時間的な制約がある中で、本人が直接交渉を進めるのは現実的ではありません。

さらに、勾留中に無理な示談交渉を試みると、被害者に不信感を与えかねません。
家族が代理で交渉することも可能ですが、法的な知識が不足していると適切な対応が難しくなります。

逮捕勾留された場合は、示談交渉の機会を逃さないためにも早急に弁護士への依頼を検討することが重要です。

③ 不当に不利な条件を強いられる恐れがある

弁護士なしで示談交渉を進めると、法的知識の不足から不当に不利な条件を受け入れてしまう危険性があります。

被害者側は「示談金をもっと多く支払ってもらいたい」と考え、相場を大幅に上回る金額を要求してくる場合が少なくありません。
また、示談書に「今後一切の請求を行わない」という条項を入れずに、後日追加請求の余地を残すような内容を提案される恐れもあるでしょう。

さらに、示談成立後の守秘義務について過度に厳しい条件を設定されたり、被害者の精神的損害を理由に継続的な金銭支払いを求められたりするケースも存在します。

法的知識のない一般の方では、これらの条件が妥当かどうかを判断することは困難です。
「早く解決したい」という気持ちから、相手の言いなりになってしまう状況に陥りがちでしょう。

適切な示談条件を見極めるためには、類似事件の相場や法的な基準についての専門知識が不可欠といえます。

被害者側の希望する条件が不合理だと思ったとしても、現実的に当事者本人が断ることは非常に難しいものです。内容面で交渉を要する場合は、弁護士を窓口に行うことが現実的には必須でしょう。

④ 適切な示談書の作成が困難

適切な示談書作成には専門的な知識が不可欠となります。
示談書には被害の詳細、示談金額、支払い方法、清算条項、宥恕条項などの必須項目を正確に記載する必要があります。

特に清算条項は今後一切の請求をしないことを明記する重要な条項です。
宥恕条項では被害者が加害者を許し、処罰を求めない意思を表明します。
これらの条項が不適切だと、後日トラブルが再発する恐れがあります。

示談書には双方が署名押印を行うことが一般的ですが、どのように署名するか、どのような印鑑で押印するか、といった点も、示談書作成の際に要する専門的知識の一つです。署名押印にどのような効果を期待するかで、適切な方法が変わってきます。

⑤ 交渉がうまくいかないときの対処法が分からない

弁護士なしで示談交渉を進める場合、交渉が行き詰まった際の対処法を知らないことが大きなリスクとなります。
「相手が話し合いに応じてくれない…」という状況に陥った時、一般の方では適切な解決策を見つけることが困難でしょう。
被害者が感情的になって交渉を拒否したり、提示した示談金額に納得してもらえない場合、素人判断では状況を悪化させる恐れがあります。

弁護士であれば、交渉が難航した際に以下のような対処法を提案できます。

・示談条件の見直しや代替案の提示
・被害者の心情に配慮した適切なアプローチ方法の変更
・法的手続きへの移行タイミングの判断

また、示談交渉の期限が迫っている場合や、検察庁への事件送致が近づいている状況では、迅速かつ的確な判断が求められます。
経験のない方が独力で対応すると、貴重な時間を無駄にしてしまい、最終的に起訴されてしまう可能性が高まるでしょう。

専門知識と豊富な経験を持つ弁護士なら、状況に応じた最適な解決策を提示し、円滑な示談成立へと導いてくれます。

示談交渉がスムーズに進まない場合、長期的な目線で示談を試みる必要がありますが、解決を急ぎたい当事者本人には非常に難しいことです。

⑥ 示談後に紛争を蒸し返される恐れがある

弁護士なしで示談交渉を進めた場合、示談成立後に被害者から紛争を蒸し返される恐れがあります。

弁護士が関与しない示談書では、法的な記載が不完全になりがちです。
特に「清算条項」や「口外禁止条項」などの重要な条項が抜け落ちることで、後日被害者から「示談金が足りない」「追加の損害が発生した」といった主張をされる可能性が高まります。

また、示談書の文言が曖昧だと、被害者が示談の内容を異なって解釈し、新たな要求をしてくる場合もあるでしょう。
「これで終わりだと思っていたのに…」と困惑する加害者も少なくありません。

さらに、弁護士なしの示談では被害者の感情的な部分が十分に解決されず、後から不満が爆発することもあります。
被害者が示談後にSNSで事件について発信したり、職場や近隣に話を広めたりするリスクも考えられます。

専門的な知識を持つ弁護士が作成した示談書であれば、こうした後日の紛争を防ぐための条項が適切に盛り込まれ、真の解決につながりやすくなります。

示談交渉を弁護士に依頼するべき理由

① 刑事事件化を防げる可能性

弁護士に示談交渉を依頼する最大のメリットは、刑事事件化を防げる可能性が高まることです。

警察に被害届が提出される前や、捜査が本格化する前に示談が成立すれば、事件として立件されずに済む場合があります。
特に軽微な事件では、被害者との間で示談が成立していることを理由に、警察が事件として扱わない判断をするケースも少なくありません。

「このまま警察沙汰になってしまうかもしれない…」と不安に感じている方にとって、弁護士による迅速な示談交渉は非常に有効でしょう。

弁護士は法的な観点から適切な示談条件を提示し、被害者の納得を得やすい交渉を行います。
また、示談書の作成においても、将来的な紛争を防ぐための条項を盛り込むなど、専門的な配慮が可能です。

さらに、弁護士が介入することで被害者側も安心感を持ち、示談に応じやすくなる傾向があります。
早期の示談成立により刑事事件化を回避できれば、前科がつくことなく、社会生活への影響を最小限に抑えることが可能になりやすいでしょう。

刑事事件化を防ぐことができれば、即時にトラブルが解決することとなり、加害者本人にとってのメリットが極めて大きな結果となります。目指す余地のある状況であれば、可能な限り目指すことをお勧めします。

② 示談が成立しやすくなる

弁護士が示談交渉に関わることで、被害者との合意に至る可能性が大幅に向上します。

被害者側は、加害者本人からの直接的な接触に対して警戒心や恐怖感を抱くことが多いものです。
「また何かされるかもしれない…」という不安から、話し合いの場を持つこと自体を拒否するケースが非常に多いでしょう。

一方、弁護士が代理人として交渉に当たる場合、被害者の心理的負担は大きく軽減されます。
法律の専門家が間に入ることで、冷静かつ建設的な話し合いが可能となり、感情的な対立を避けながら解決策を模索できるのです。

また、弁護士は示談交渉の経験が豊富なため、被害者の心情に配慮した適切なアプローチを選択できます。
謝罪の仕方から補償内容の提示方法まで、相手が受け入れやすい形で進めることが可能です。

さらに、弁護士が関与することで示談の法的効力や内容について被害者に丁寧に説明でき、安心して合意に至れる環境を整えられます。
このような専門的なサポートにより、示談成立の確率は格段に高くなるでしょう。

③ 法的な手続が不利になることを防げる

弁護士に示談交渉を依頼することで、刑事手続きにおいて不利な状況に陥ることを防げます。

刑事事件では、捜査段階から起訴、裁判まで複雑な法的手続きが存在しており、一般の方が全てを把握するのは困難でしょう。
弁護士は刑事手続きの専門知識を持っているため、各段階で適切な対応を取ることができます。

特に重要なのは、捜査機関との対応です。
取り調べでの発言や証拠の取り扱いについて、弁護士がいることで適切なアドバイスを受けられ、不利な供述を避けることが可能になります。

また、示談成立後の手続きも重要なポイント。
示談書の内容や示談成立の事実を適切に捜査機関に伝えることで、不起訴処分や起訴猶予の可能性を高められます。

法的手続きでの失敗は取り返しがつかない結果を招く可能性があるため、専門家のサポートが不可欠といえるでしょう。

④ 示談金額や示談条件が適切にできる

弁護士に示談交渉を依頼する大きなメリットは、示談金額や示談条件を適切に設定できることです。

法的知識のない個人が示談交渉を行うと、「相場がわからず高額すぎる示談金を要求されるかもしれない…」という不安を抱えがちでしょう。
実際に、被害者側から過大な要求をされても、それが妥当かどうか判断できません。

弁護士は過去の類似事例や刑罰の見込みを基に、事件の内容に応じた適正な示談金額を算定します。
暴行事件なら治療費や慰謝料、窃盗事件なら被害額や迷惑料など、事件類型ごとの相場を熟知しているためです。

また、示談条件についても法的リスクを考慮した適切な内容を提案してくれます。

・宥恕条項(許しの意思表示)の明記
・清算条項(追加請求の禁止)の設定
・口外禁止条項の適切な範囲設定

これらの条項により、示談成立後のトラブルを未然に防げるでしょう。

弁護士の専門知識により、法的効果を最大限に活かした示談が実現できます。

⑤ 釈放や不起訴の可能性が高くなる

弁護士に示談交渉を依頼することで、釈放や不起訴処分を得られる可能性が大幅に向上します。

刑事事件では、示談の成立が処分決定に与える影響は極めて大きいものです。
検察官は起訴・不起訴を判断する際、被害者との示談成立を重要な情状として考慮するでしょう。
特に初犯や軽微な事件では、示談成立により不起訴処分となるケースが多く見られます。

弁護士が関与することで示談成立の確率が高まり、結果として以下のような効果が期待できます。

・身柄拘束中の場合は早期釈放の可能性
・在宅事件では不起訴処分の可能性向上
・起訴されても略式起訴や執行猶予付き判決の可能性

釈放や不起訴を目指すためには、刑事手続の流れや期間制限に配慮することが不可欠です。時期が遅れてしまうと、せっかく示談が成立しても釈放や不起訴に十分な効果が得られません。

刑事事件の示談交渉を依頼する弁護士の選び方

① 刑事事件や示談交渉の経験、専門性

刑事事件の示談交渉は民事訴訟とは全く異なる特殊な分野です。
被害者心理の理解、捜査機関との連携、適切なタイミングでの交渉など、専門的な知識と経験が不可欠となります。

経験豊富な弁護士なら以下の点で優れた対応が期待できます。

・事件の性質に応じた最適な示談戦略の立案
・被害者の感情に配慮した適切なアプローチ
・示談金額の相場や交渉のタイミングの判断
・検察官や警察との効果的な連携

インターネットで検索している場合は、弁護士のホームページで刑事事件の取扱実績や解決事例を確認することも有力です。
事前のリサーチを踏まえて、初回相談では具体的な対応方針を聞いてみましょう。

また、示談交渉だけでなく、その後の刑事手続きまで見据えた総合的なサポートができる弁護士を選ぶことが重要です。
専門性の高い弁護士なら、示談成立後の不起訴処分や執行猶予獲得まで含めた戦略的な対応が可能となります。

② 口コミなどの評価

弁護士選びにおいて口コミや評価は重要な判断材料となります。
しかし「評判が良いから安心できるかもしれない…」と思う一方で、情報の見極めが必要でしょう。

まず、複数の情報源から評価を収集することが大切です。
事務所ホームページ、法律相談サイト、Google口コミなど様々な媒体をチェックしましょう。
特に刑事事件や示談交渉に関する具体的な評価があるかを確認してください。

評価を見る際は以下のポイントに注目すべきです。

・刑事事件での実際の解決事例や成果
・依頼者とのコミュニケーション能力
・費用の透明性や説明の分かりやすさ
・迅速な対応や連絡の取りやすさ

ただし、極端に良い評価や悪い評価だけでなく、バランスの取れた意見を参考にすることが重要です。
また、口コミの内容が具体的で信憑性があるかも判断材料となります。

③ 説明や案内の明快さ、分かりやすさ

弁護士選びでは、説明の分かりやすさが極めて重要です。
刑事事件の示談交渉は複雑な手続きが多いため、弁護士が丁寧に説明してくれるかどうかで、依頼者側の理解度や安心感が大きく変わります。

説明や案内が明快な弁護士の場合、法律用語を使わずに現状を説明し、今後の流れを具体的に示してくれることも期待できます。

弁護士の説明力を判断する際には、以下の各点を意識することが有力です。

・法律用語を一般的な言葉に言い換えて説明する
・質問に対して具体例を交えて回答する
・手続きの流れを時系列で整理して伝える
・費用や期間について明確に提示する
・リスクやデメリットも隠さず説明する

分かりやすい説明ができる弁護士は、示談交渉でも相手方に対して適切なコミュニケーションを取れる可能性が高いと推測できます。説明の明快さを意識することで、その弁護士が適切な示談交渉をしてくれるか、という点にも自然に配慮することができるでしょう。

④ 弁護士の信頼感

示談交渉を依頼する弁護士選びにおいて、信頼感は最も重要な判断基準の一つです。

刑事事件という人生に大きく関わる問題だからこそ、「この弁護士に任せて本当に大丈夫だろうか…」と不安に感じる方も多いでしょう。

信頼できる弁護士を見極めるポイントは以下の通りです。

・初回相談時の対応が丁寧で親身になって話を聞いてくれる
・質問に対して曖昧な回答ではなく、明確で具体的な説明をしてくれる
・費用や手続きについて透明性があり、隠し事がない
・連絡が取りやすく、レスポンスが早い
・事件の見通しについて楽観的すぎず、現実的な見解を示してくれる

また、弁護士会への所属確認や懲戒処分歴の有無も重要な判断材料となります。
面談時の印象や話しやすさも大切な要素です。

信頼関係が築けない弁護士では、重要な情報を正確に伝えられず、結果的に示談交渉にも悪影響を及ぼしかねません。

その弁護士の判断であれば、仮に結果が奏功しなくても納得できるという信頼感があることは非常に重要です。刑事事件の示談においては、具体的な動き方はある程度弁護士の裁量に委ねざるを得ないためです。

示談交渉を弁護士に依頼する場合の弁護士費用

① 逮捕されていない事件(在宅事件)

逮捕されていない在宅事件では、弁護士費用は比較的抑えられる傾向にあります。
身柄拘束されていないため、弁護士との面談や打ち合わせが柔軟に行えること、身柄拘束への対応を要しないことなどが費用を抑える要因となっています。

具体的な費用の金額や内訳は以下の通りです。

・着手金:30万円から50万円程度
・成功報酬:30万円から50万円程度
・示談交渉費用:別途20万円から30万円程度
・その他に実費が発生

弁護士費用が心配で依頼を躊躇してしまう場合は、複数の弁護士事務所で見積もりを取ることも有力です。
在宅事件では時間的余裕があるため、事務所間の比較が比較的容易にできるでしょう。

② 逮捕されている事件(身柄事件)

逮捕されている身柄事件では、弁護士費用が在宅事件よりも高額になります。

具体的な費用水準は以下のとおりです。

・着手金:50万円から80万円程度
・成功報酬:50万円から80万円程度
・示談交渉費用:別途30万円程度
・その他に実費が発生

身柄事件の場合、示談交渉のみでなく刑事手続に対する全般的な対応が不可欠になります。
これらの負担が費用に反映されるため、在宅事件に比して高額になりやすい傾向にあります。

③ 示談後にトラブルが発生した場合の弁護士費用

示談後に発生するトラブルは、刑事手続外の内容であり、いわゆる民事事件であることが一般的です。
金銭の追加請求や、示談の有効性が争われるといった内容が代表的でしょう。

民事トラブルにおける弁護士費用は、交渉段階か訴訟段階かによって異なりやすいところです。

一般的な費用の水準は、以下が一例です。

【交渉段階の場合】

・着手金:20万円から30万円程度
・成功報酬:20万円~(経済的利益の大きさにより異なる)
・その他に実費等が発生

【訴訟段階の場合】

・着手金:40万円から60万円程度
・成功報酬:40万円~(経済的利益の大きさにより異なる)
・その他に実費等が発生

示談後のトラブルは、経緯や内容が様々であり、適切な方針は個別に検討することが適切です。そのため、まずは一度法律相談を行い、取るべき対応や方針を決定していくことが望ましいでしょう。

刑事事件の示談に強い弁護士をお探しの方へ

被害者のいる事件では,示談ができるかできないかで処分が決まると言ってよいケースが少なくありません。
そのため,示談は,刑事処罰がどうなるか,前科が付いてしまうかを左右する非常に重要なものです。
しかし,示談の試み方を誤ってしまうと,示談が成立せず,取り返しのつかない不利益が生じかねません。

刑事事件で前科を防ぐためには,示談に強い弁護士への依頼が欠かせません。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
刑事事件は少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

逮捕されたらすぐに弁護士を呼ぶべき理由や方法を解説

突然の逮捕は、本人だけでなく家族にも大きな衝撃と不安をもたらします。警察の取調べが進む中で、誤った対応をしてしまうと不利な状況に陥ることもあります。こうしたときに最も重要なのが、できるだけ早く弁護士を呼ぶことです。弁護士は逮捕後の手続きや取調べへの対応、早期釈放や不起訴のための交渉などを行い、あなたの権利を守ります。本記事では、逮捕されたときになぜ弁護士をすぐ呼ぶべきなのか、逮捕後に弁護士を呼ぶべき理由や具体的な呼び方、相談の流れを詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

逮捕後に弁護士を呼ぶメリット

① 早期釈放を目指すため

逮捕後に弁護士を呼ぶ最大の理由は、早期釈放を実現するためです。
逮捕されると最大72時間の身柄拘束が始まりますが、この期間中に適切な対応を取れば釈放される可能性があります。
弁護士は逮捕直後から警察や検察との交渉を開始し、勾留請求の阻止に向けて動きます。

弁護士が早期に介入した場合、早期釈放目指すための具体的な対応としては、以下のような動きが可能です。

・身元引受人の手配と身元引受書の作成
・証拠隠滅や逃亡の恐れがないことの立証
・検察官に対する勾留請求回避の意見書提出
・被害者との示談交渉の開始

特に初犯や軽微な事件では、弁護士の適切な対応により勾留を回避できるケースが多くあります。
逮捕から最大72時間以内に検察官が勾留請求を行うかを判断するため、この期間が勝負となるでしょう。

早期釈放が実現すれば、社会復帰への影響を最小限に抑えることができます。

勾留に関する判断を行う検察や裁判所に対して、彼らが把握していない重要な情報を提供していくことができれば、早期釈放の可能性が飛躍的に高まるケースも少なくありません。その他、同居家族が身元引受を行う具体的な方法を示していくことも、釈放してよいとの判断を促す有益な試みになり得ます。

② 学校や職場への発覚を防ぐため

逮捕されると、学校や会社に知られてしまう可能性が高まります。
弁護士を呼ぶことで、周囲への発覚を最小限に抑えられる可能性があります。

弁護士の具体的な対応としては、以下の内容が挙げられます。

・警察との交渉により不必要な連絡を防ぐ
・早期釈放を目指し身柄拘束の期間を短縮する
・報道機関への情報漏洩を防ぐための依頼や要望を行う
・職場や学校への適切な説明方法をアドバイスする

弁護士には守秘義務があるため、弁護士への相談内容が外部に漏れることはありません。
また、家族を通じて職場への連絡調整も可能です。

逮捕が長期化すれば、無断欠勤や無断欠席として扱われ、解雇や退学のリスクが高まります。
弁護士の迅速な対応により、社会復帰への道筋を確保することが重要です。

逮捕があった場合に学校や職場へ情報共有すべきかどうかは判断の難しい問題です。個別の内容や状況、ご本人のお立場などを踏まえた弁護士の意見を仰ぐことが望ましいでしょう。

③ 不利な供述調書の作成を防ぐため

逮捕後の取り調べでは、供述調書という重要な書類が作成されます。
この調書は裁判で証拠として使われるため、内容によっては有罪判決に大きく影響する可能性があります。

弁護士がいない状況では「早く帰りたい…」という気持ちから、捜査官の誘導に応じて事実と異なる内容に署名してしまうケースが少なくありません。
供述調書は一度作成されると後から撤回することが極めて困難で、不利な内容が記載されれば裁判で不利な立場に追い込まれてしまう恐れがあります。

弁護士は取り調べ前に以下のアドバイスを提供できます。

・事実と異なる内容には署名しない方法
・捜査官の誘導的な質問への適切な対応
・黙秘権の行使タイミング
・調書の内容確認時のチェックポイント

また、弁護士は接見を通じて取り調べの状況を把握し、不当な圧力がかかっていないか監視する役割も果たします。
適切な法的助言により、事実に基づいた正確な供述調書の作成が可能となり、後の裁判で有利な展開を期待できるでしょう。

④ 示談を行うため

逮捕後に示談を成立させることは、起訴を回避し前科を避けるために極めて重要です。

示談とは、被害者との間で損害賠償などの条件を取り決め、事件を民事的に解決することを指します。
特に窃盗や傷害などの被害者がいる事件では、示談の成立が検察官の起訴判断に大きく影響するでしょう。
示談の中に被害者が加害者を許す(宥恕する)旨を盛り込めれば、不起訴処分を決定づける要素になることも珍しくありません。

弁護士が示談交渉を行うメリットは以下の通りです。

・被害者との直接交渉を避けられる
・適正な示談金額を判断できる
・法的に有効な示談書を作成できる
・被害者の感情に配慮した交渉が可能

逮捕から起訴までの期間は最大23日間と限られているため、早期の示談成立が重要になります。
弁護士に依頼することで、迅速かつ適切な示談交渉が期待できるでしょう。

刑事事件の示談は、ほとんどの場合、当事者間で直接行うことが困難です。そのため、加害者側の窓口として弁護士が入り、弁護士を窓口に被害者側と示談交渉を行う必要があります。

⑤ 逮捕された本人と家族の連絡役になれる

逮捕された本人は警察署内で身柄を拘束されており、外部との連絡が大幅に制限されます。
この状況で弁護士は、本人と家族をつなぐ重要な連絡役として機能するでしょう。

弁護士は接見を通じて本人の状況や意向を確認し、家族に正確な情報を伝えることができます。
逆に家族からの心配や励ましの言葉、必要な連絡事項も本人に届けられるのです。
「家族に心配をかけているのではないか…」と不安を抱える本人にとって、弁護士を通じた家族との連絡は精神的な支えとなります。

特に長期間の身柄拘束が予想される場合、弁護士による連絡調整は欠かせません。
家族も弁護士から定期的に状況報告を受けることで、適切な対応を取ることが可能になるでしょう。

特に禁じられていない限り、ご本人から家族に文書を発送することもできますが、到着まで長い時間がかかるため迅速な連絡は非常に困難です。また、面会の時間や回数にも限りがあるため、連絡役としての弁護士の役割は大きくなりやすいでしょう。

逮捕されたらすぐに弁護士を呼ぶべき理由

① 手続の期間制限が厳しい

逮捕後の手続きには厳格な期間制限が設けられており、時間との勝負になります。

警察による逮捕から検察官への送致まで48時間以内、検察官による勾留請求の判断まで24時間以内という短い制限時間が法律で定められています。
この72時間以内に適切な対応を取らなければ、勾留が決定してしまう可能性が高くなるケースも多いです。

勾留が決定されると最大20日間の身体拘束が続き、社会復帰が困難になりかねません。
「もう少し様子を見てから弁護士に相談しよう」と考えていると、あっという間に貴重な時間が過ぎ去ってしまうことも少なくないでしょう。

弁護士は逮捕直後から以下の活動を開始できます。

・勾留阻止のための意見書作成
・検察官との面談による釈放交渉
・被害者との示談交渉の試み
・家族への状況説明と今後の方針相談

特に勾留阻止は逮捕から72時間以内の限られた時間での勝負となるため、一刻も早い弁護士への依頼が成功の鍵を握っています。
時間制限の厳しさを理解し、迷わず専門家のサポートを求めることが重要です。

逮捕から勾留決定までの期間は、都道府県や事件の内容、状況によっても異なることがありますが、早いケースでは逮捕翌日に勾留が決定される場合も数多くあります。逆に、釈放の判断となる場合は逮捕翌日の午前に釈放されるケースもあり、手続は非常にスピーディーです。

② 周囲に発覚した後では取り返しがつかない

逮捕の事実が周囲に知られてしまうと、その後の人生に深刻な影響を与える可能性があります。

逮捕情報は一度広まると完全に消去することは困難でしょう。
職場では懲戒処分や解雇の対象となり、学校では退学処分を受ける恐れもあります。
家族や友人からの信頼失墜、近隣住民からの偏見など、社会復帰への道のりは険しくなってしまいます。

逮捕直後に周囲への発覚を防ぐための弁護活動としては、以下の対応が挙げられます。

・早期釈放に向けた弁護活動により、長期勾留を回避する
・勤務先や学校への連絡を適切にコントロールする
・報道機関への情報提供を最小限に抑制するよう求める
・家族への状況説明と対応策のアドバイス

会社員や学生の場合、逮捕が長引くほど無断欠勤、欠席扱いとなり、発覚リスクが高まります。
弁護士による早期の身柄解放が実現すれば、周囲に気づかれることなく日常生活に戻れる可能性が大幅に向上するでしょう。

周囲に発覚しやすい傾向にある立場や事件もあります。立場としては公務員や著名人、事件としては重大性や社会的影響のある事件が、報道を通じた発覚リスクの高いケースの代表例です。

③ 供述調書を作成すると撤回できない

供述調書は一度作成されると後から撤回することが極めて困難になります。
逮捕後の取調べで警察官や検察官が作成する供述調書は、裁判で重要な証拠として扱われるためです。

「つい認めてしまったけれど、やっぱり違う…」と後悔しても、供述調書に署名・押印した内容を覆すのは非常に困難になりやすいでしょう。
刑事裁判において、裁判官は供述調書の記載内容を重視して判断を下すのが通常です。

特に注意すべき点は以下の通りです。

・取調官の誘導により事実と異なる内容で作成される危険性
・一度署名すると「自分の意思で認めた」とみなされること
・後から「強制された」と主張しても証明が困難なこと
・供述調書の内容が起訴・不起訴の判断材料になること

弁護士がいれば、供述調書の作成前に適切なアドバイスを受けられます。
取調べでの発言内容や署名の可否について専門的な判断を仰げるため、不利な供述調書の作成を防げるでしょう。

供述調書は刑事手続きの根幹を成す重要書類であり、慎重な対応が求められます。

供述調書への署名押印は、調書の内容に誤りがないとお墨付きを与える意味のものです。
内容にお墨付きを与えられない場合や、お墨付きを与えてよいか判断できない場合は、安易に署名押印せず弁護士と協議することも重要な対応です。

④ 示談が手遅れになってしまう恐れ

逮捕後に示談交渉を行うには、限られた時間内での迅速な対応が不可欠です。
逮捕から起訴までの期間は最大23日間しかなく、この短期間で被害者との示談を成立させなければなりません。

示談が成立すれば、検察官が起訴を見送る可能性が高まります。
しかし、時間が経過するほど被害者の処罰感情が強くなり、示談交渉が困難になることも少なくありません。

示談を試みるべき場合は、早期の弁護士依頼が重要です。
刑事事件に精通した弁護士は、被害者との交渉ノウハウを持ち、適切な示談金額の提示や交渉戦略を立てられます。

特に以下のケースでは示談の重要性が増します。

・被害者がいる事件(傷害、窃盗、詐欺など)
・初犯で反省の意思を示したい場合
・前科をつけたくない場合

逮捕後すぐに弁護士に依頼することで、示談交渉の成功率を大幅に向上させることができるでしょう。

示談が成立した、という理由で早期釈放の判断を促せるケースは珍しくありません。示談が成立した場合、その後の被害者への接触が想定されない上、刑事手続は不起訴処分が見込まれやすくなるためです。

⑤ 必要な連絡ができず不利益の生じる可能性

逮捕された本人は、警察署内での身柄拘束により外部との連絡が大幅に制限されます。
この状況下で弁護士がいなければ、重要な連絡を取ることができず、深刻な不利益を被る恐れが高まります。

まず、勤務先への連絡が困難になります。
無断欠勤が続けば懲戒処分や解雇のリスクが生じ、経済的基盤を失うことになりかねません。
学生の場合も同様で、長期間の無断欠席により進級や卒業に影響が出る恐れがあります。

また、家族への状況説明も重要な課題です。
周囲が心配を募らせる中、適切な説明がなければ家庭内の混乱や信頼関係の悪化を招きます。

さらに、被害者との示談交渉の機会を逸する可能性も深刻です。
早期の示談成立は起訴回避や刑の軽減に大きく影響するため、連絡の遅れは致命的な結果をもたらします。

弁護士は本人に代わってこれらの必要な連絡を行い、職場や学校への適切な説明、家族への状況報告、示談交渉の開始など、本人の利益を守るための行動を迅速に実行できます。
連絡の遅れによる二次的被害を防ぐためにも、弁護士の早期依頼が不可欠でしょう。

逮捕後に連絡できる弁護士の種類

① 当番弁護士

当番弁護士は、弁護士会から派遣された弁護士であり、逮捕・勾留中に1回接見を行うことが可能です。
当番弁護士の最大のメリットは、逮捕直後から無料で接見してもらえる点です。逮捕後の初動を誤らないための手段として、有力な選択肢の一つでしょう。

ただし、当番弁護士として派遣される弁護士が、刑事事件の対応に長けているとは限らない点には注意が必要です。弁護士会に登録をしているかどうかが派遣の条件であり、得意分野や専門性が異なる可能性がある点には注意するのが望ましいでしょう。

当番弁護士によるサポートは、初回の接見のみです。引き続き弁護活動を依頼したい場合には、その弁護士と契約をし、私選弁護人になってもらう必要があります。その際の弁護士費用は自己負担となります。

② 国選弁護人

国選弁護人は、経済的に私選弁護人を雇うことが困難な被疑者・被告人のために、国が費用を負担して選任する弁護士です。
国選弁護人制度は、経済状況に関係なく弁護を受ける権利を保障する重要な制度といえます。

逮捕された段階で国選弁護人を利用した場合、以下の2つの条件を満たす必要があります。

・勾留されていること
・資産が50万円未満であること

なお、国選弁護人も当番弁護士と同様、刑事事件に精通しているとは限らない点に注意が必要です。国選弁護人の名簿に登録していれば、最低限の研修を受けるのみで経験を問わず国選弁護人になることが可能です。

国選弁護人は、勾留された後に初めて選任されるため、勾留を防ぐ弁護活動を行う余地がない点には注意が必要です。また、勾留が途中で終了し釈放された場合には国選弁護人の役割も終了することになります。

③ 私選弁護人

私選弁護人は、被疑者やその家族が自由に選択できる弁護士です。
当番弁護士や国選弁護人とは異なり、費用は全額自己負担となりますが、その分多くのメリットがあります。

私選弁護人の最大の特徴は、弁護士を自由に選べることでしょう。
刑事事件に詳しい弁護士や、過去に同種事件で実績のある弁護士を指名できます。
また、費用を支払う分、より手厚いサポートを受けられる可能性が高いです。

「費用が心配だけど、しっかりとした弁護を受けたい」と考える方には、私選弁護人がおすすめです。
初回相談を無料で行っている事務所も多く、まずは相談してから依頼を検討できます。
私選弁護人は、逮捕直後から迅速に対応してもらえるため、早期釈放や示談交渉において有利に働くことが期待できるでしょう。

逮捕直後の段階で釈放に向けた弁護活動を行ってもらう場合には、私選弁護人への依頼が唯一の選択肢となります。できるだけ迅速に信頼できる私選弁護人を見つけられるかどうかは、その後の進行に大きく影響するでしょう。

逮捕後に弁護士を呼ぶ方法

① 当番弁護士

当番弁護士を呼ぶ方法には、以下の2つがあります。

・逮捕された本人が呼ぶ方法
・ご家族や友人が呼ぶ方法

逮捕された本人は、留置場で警察官に希望を伝えれば当番弁護士を呼ぶことが可能です。要望を受けた警察は弁護士会に連絡をし、弁護士会が担当になる弁護士を留置場へ派遣する形を取ります。

ご家族が当番弁護士を呼ぶ場合、ご本人が留置されている警察署がある都道府県の弁護士会に電話をし、本人の氏名や警察署を伝えるとともに、当番弁護士の派遣を依頼します。
依頼後、弁護士会から担当となる当番弁護士が派遣され、接見が行われます。

当番弁護士連絡先一覧(日本弁護士連合会)

② 国選弁護人

国選弁護人を呼ぶ場合、被疑者勾留が決定された後、被疑者本人がその希望を表明することが必要です。
多くのケースでは、裁判所での勾留質問やその後の勾留決定の際に、弁護人が付いていなければ国選弁護人の選任希望が問われるため、希望する旨回答すれば足りるでしょう。
なお、その後でも、勾留中であればいつでも希望することができます。

国選弁護人については、本人以外のご家族等が呼ぶ手段はありません。また、国選弁護人の有無や氏名について、ご家族が問い合わせや照会を行っても回答を得ることは難しいでしょう。国選弁護人からの連絡を受けるか、本人と面会して国選弁護人の情報を聞き出すか、という方法が現実的な接触手段になりやすいところです。

③ 私選弁護人

私選弁護人とは、被疑者や家族が自分で選んで依頼する弁護士のことです。
逮捕後に最も柔軟で手厚いサポートを受けられる選択肢でしょう。

私選弁護人を呼ぶ方法は、家族が直接弁護士事務所に連絡を取って依頼するのが一般的です。
被疑者本人が逮捕されている場合、家族が代わりに弁護士を探して契約を結びます。
弁護士会の紹介サービスを利用したり、インターネットで刑事事件に強い弁護士を検索したりして選ぶことが可能です。

逮捕後は、本人がインターネット等を利用して私選弁護人を探すことはできないため、ご家族のサポートが非常に重要となります。

法律事務所によっては、正式な依頼の前に接見だけを行ってもらうサービスを提供している場合も相当数あります。まず接見を依頼し、事件の内容や弁護士の見解を確認した上で依頼を検討することも一案でしょう。

逮捕後にどの弁護士を呼ぶべきか

① 当番弁護士のメリット・デメリット

当番弁護士のメリット

・費用が無料
 →経済的負担なく弁護士に相談できます。
・逮捕直後から利用できる
 →取調べ開始段階から、適切な対応が可能になります。

当番弁護士のデメリット

・1回限りである
 →初回の接見しか依頼することができません。
・弁護士を選べない
 →専門性のある弁護士が派遣されるとは限りません。
・弁護活動の依頼には契約が必要
 →弁護活動を行ってもらうには、別途私選弁護人の契約を要します。

② 国選弁護人のメリット・デメリット

国選弁護人のメリット

・費用負担の軽さ
 →基本的に費用の負担が発生しません。
・全般的な弁護活動を行ってもらえる
 →接見のみでなく一通りの弁護活動を担当してもらうことができます。

国選弁護人のデメリット

・弁護士を選べない
 →希望した弁護士についてもらうことはできません。
・活動内容が弁護士次第になる
 →弁護士の意欲によって希望に沿った弁護活動をしてもらえない可能性があります。
・勾留後にしか利用できない
 →釈放された場合には利用できず、勾留を防ぐ弁護活動を依頼することもできません。

③ 私選弁護人のメリット・デメリット

私選弁護人のメリット

・弁護士を選ぶことができる
 →信頼でき、刑事事件に長けた弁護士へ依頼することができます。
・いつでも依頼ができる
 →勾留前の逮捕段階から依頼できるため、勾留を防ぐための弁護活動も期待できます。
・サポートが充実しやすい
 →依頼者の意向に沿った弁護活動を期待することができます。

私選弁護人のデメリット

・弁護士費用の負担が発生する
 →相当額の経済的負担を想定する必要があります。

私選弁護人は、依頼者や被疑者の希望、利益を実現する観点では最も適した弁護士と言えます。費用負担が不可能である場合を除き、逮捕されたときは基本的に私選弁護人を選ぶことをお勧めします。

④ 私選弁護人を選ぶときのポイント

私選弁護人を選ぶ際は、刑事事件の経験豊富な弁護士を選ぶことが最も重要です。
刑事事件は民事事件とは全く異なる専門性が求められるため、「どの弁護士でも同じだろう」と考えるのは危険が伴います。

弁護士選びで重視すべきポイントは以下の通りです。

・刑事事件の取り扱い実績が豊富であること
・同種事件での弁護経験があること
・迅速な対応が可能であること
・費用体系が明確で納得できること
・説明が分かりやすく信頼できること

また、弁護士との相性も重要な要素です。
初回相談で質問に対する回答が的確で、今後の見通しを具体的に説明してくれる弁護士なら安心して任せられるでしょう。

適切な弁護士選びが、事件の結果を大きく左右します。

特に、対応の迅速さは法律事務所や個々の弁護士によって大きく差が生じやすい傾向にあります。刑事事件の時間制限や依頼者への誠意に配慮した弁護士であるかどうかは、動きのスピードで判断することも有力でしょう。

逮捕後の弁護士費用

① 当番弁護士の弁護士費用

当番弁護士の利用は基本的に無料です。
逮捕された方やその家族が費用を心配する必要はありません。

当番弁護士制度は、経済的な理由で弁護士に依頼できない方でも法的支援を受けられるものです。
この制度により、逮捕直後の重要な時期に専門的なアドバイスを受けることが可能になります。

ただし、当番弁護士が対応できるのは初回の接見のみという制限があります。
継続的な弁護活動を希望する場合は、以下のいずれかを選択する必要があります。

・国選弁護人への移行を申請する
・私選弁護人として正式に契約する

当番弁護士の接見で事件の概要や今後の見通しを把握することは、経済的に不安のある方にとって貴重な機会になるでしょう。今後の検討にとって重要な判断材料を得らることが可能です。

② 国選弁護人の弁護士費用

国選弁護人の弁護士費用は、原則として国が負担するため被告人の経済的負担は大幅に軽減されます。
ただし、完全に無料というわけではなく、本人に費用負担ができるだけの財力がある、と判断された場合には、一定程度の支払を裁判所から命じられる可能性もあります。
もっとも、国選弁護人の報酬は、国で定める基準に従った金額になるため、私選弁護人と比較すると非常に安価です。

国選弁護人制度は、経済的理由で適切な弁護を受けられない、という人の救済を目的とした制度です。経済的に苦しい方が必要最低限の弁護活動を受けるためのサポートと言えるでしょう。

③ 私選弁護人の弁護士費用

私選弁護人の費用は、弁護士事務所によって大きく異なりますが、一般的な相場を知っておくことが重要です。

着手金は事件の内容により20万円から100万円程度が相場となっています。
軽微な事件では30万円前後、重大事件では100万円を超えることもあるでしょう。
成功報酬は着手金と同額程度に設定されることが多く、不起訴や執行猶予を獲得した場合に支払います。

日当や交通費も別途必要となります。遠方でなければ、裁判所への出廷1回につき3万円から5万円程度が一般的です。
また、示談交渉が必要な事件では、示談成立時に別途10万円から30万円の報酬が必要になることもあります。

費用が高額に思われる場合は、早期釈放や不起訴処分の獲得により得られる利益と比較して慎重に検討するのも有力でしょう。

私選弁護人の弁護士費用は、法律事務所によって大きく異なります。特に理由なく着手金や成功報酬に2倍程度の差が生じることも見受けられます。
可能であれば、複数の法律事務所へ相談を行い、それぞれの費用感を把握することが望ましいでしょう。

刑事事件の逮捕勾留に強い弁護士をお探しの方へ

釈放されるどうか,いつ釈放されるかは,弁護士による活動やそのスピードによって大きく変わります。
逮捕勾留からの釈放に向けた弁護活動に強い弁護士に依頼することで,速やかな釈放を目指すことが非常に重要となります。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
刑事事件は少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

刑事事件を弁護士に無料相談するときのコツや注意点を徹底解説

刑事事件に関わってしまった場合、「何をすればいいのか」「誰に相談すべきか」と不安に感じる方は多いでしょう。逮捕や取調べが進む前に、早めに弁護士の無料相談を利用することが重要です。無料相談をうまく活用すれば、今後の見通しや対応方針を早期に把握できます。本記事では、刑事事件を弁護士に無料相談するときのコツや注意点、相談前に準備しておくべきポイントを詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

刑事事件で弁護士に無料相談するメリット

① 周囲に刑事事件を知られずに済む

刑事事件は、周囲に知られることのデメリットが非常に大きいものです。最終的な結果が望ましいものであったとしても、周囲に知られてしまった時点で大きな不利益が避けられなくなってしまう場合も珍しくはありません。
この点、弁護士に無料相談をすることで、刑事事件が周囲に知られてしまうきっかけや経緯を正しく把握するとともに、実際に周囲へ知られないよう手立てを講じることが可能になります。

事件の内容や刑事手続の状況、ご自身のお立場などによって、刑事事件が周囲に知られやすいタイミングや原因をある程度特定することが可能な場合も多いです。また、弁護士への無料相談を通じて、周囲に発覚する可能性の高さを把握することもできるでしょう。

② 前科を回避することができる

刑事事件では、前科の回避が最も大きな目的になるケースが多いです。前科とは、一般的に刑罰を受けた経歴を指しますが、刑罰を受けず、前科が付かずに刑事事件が解決すれば、刑事事件によるデメリットは基本的に全て回避することが可能です。
この点、刑事事件を弁護士に無料相談してみることで、前科が付いてしまう基準や、前科を回避するための具体的な方法を知ることができます。また、実際に弁護士へ依頼をし、前科を回避するための試みに着手してもらうことも可能です。

事件によっては、弁護士に相談や依頼をしなければ前科を回避できないものも珍しくはありません。無料相談を通じて、まずは前科を回避できる可能性はあるか、という点だけでも正しく把握したいところです。

③ 職場や学校への悪影響を防げる

刑事事件は、職場や学校における懲戒処分の原因となる可能性が高いものです。最悪の場合、解雇や退学の対象となり、生活の基盤を失ってしまうこともあり得ます。
もっとも、刑事事件の職場や学校に対する影響は、事後的な対応によって防げる場合が多いものです。弁護士への無料相談を通じて職場や学校への悪影響を最小限に抑える手段を知ることができれば、その重要な第一歩になるでしょう。

具体的な対策として、以下のような方法が挙げられます。

・早期の示談成立により起訴を回避する
・略式起訴による罰金刑で済ませる
・執行猶予付き判決を目指す

特に公務員や教職員の場合、懲戒処分の可能性が高くなります。
弁護士は職業上の特殊事情を考慮し、最適な弁護方針を立てる手助けが可能です。
学生の場合も退学処分を避けるため、学校側との調整を行います。

早期の相談により、職場や学校への影響を大幅に軽減できる可能性が高まります。

解雇や退学といった重大な懲戒処分は、すべての刑事事件について行ってよいわけではありません。刑事事件の内容等との関係であまりに重い処分である場合、法的に無効となるケースも考えられるため、弁護士への無料相談を通じて法的な判断を仰ぐことは非常に大切です。

刑事事件における弁護士依頼の流れ

① 事件発生後、弁護士を探す

刑事事件が起きてしまった後、法律相談ができる弁護士を探します。具体的な方法としては、知人などに紹介してもらう、またはインターネット等で検索するといったものが一般的でしょう。
弁護士や法律事務所によって取り扱う事件分野が異なるため、実際に相談ができるかどうかは、個別の弁護士や事務所によって異なる可能性があり得ます。自分の刑事事件が相談できる内容かどうかは、事務所ホームページなどを通じて確認するのが望ましいです。

「どの弁護士に相談すればいいのかわからない…」と不安になる方も多いでしょう。
そんな時は、刑事事件の実績や経験を重視して選択することが大切です。
また、初回無料相談を実施している事務所を優先的に検討すれば、費用負担を抑えながら複数の弁護士と面談できます。
緊急性が高い場合は、夜間や休日でも対応可能な弁護士を探すことも必要になるでしょう。
事件の性質や緊急度に応じて、最適な弁護士を見つけることが解決への第一歩となります。

② 初回相談の予約、実施

法律事務所や弁護士を探した後、事務所に問い合わせて初回相談の予約を行います。弁護士への無料相談は、事前の予約を要することがほとんどです。問い合わせ方法は電話やメール、問い合わせフォーム、LINEなど、事務所によって異なります。
また、無料相談ができるか有料相談の対象になるかは、相談内容や事務所の方針によって様々です。そのため、無料相談ができるかは相談前に直接確認しておくことをお勧めします。

その後、予約した日時に初回相談を実施します。相談方法は、弁護士事務所での対面や電話・オンライン等の通話が代表的な方法です。初回相談の場では、刑事事件の内容と弁護士への質問事項を具体的に伝え、弁護士の専門的な見解を詳細に仰ぐようにしましょう。不明点が残らないように、理解できるまで詳しく質問することも大切です。

また、初回相談では以下の各点を確認するのが望ましいでしょう。

・事件の詳細な状況説明
・今後の見通しや対処法の説明
・弁護士費用の概算
・弁護活動の具体的な内容

初回相談を実りあるものにするためには、相談を通じて知りたいことを事前に明確にしておくことが非常に重要です。初回相談の目的が明確であるかどうかは、依頼後の弁護活動やその結果にも大きく影響するポイントと言えます。

③ 弁護士費用の見積もり

弁護士への依頼を行うに当たっては、事前に費用の総額や内訳を正しく把握しておくことが重要です。相談内容を弁護士に一通り把握してもらった後、弁護活動に必要な費用の見積もりを出してもらいましょう。
弁護士費用の金額は、一律ではなく法律事務所によって様々に異なります。費用をできるだけ抑えたい場合は、複数の法律事務所で見積もりを出してもらうことが有力です。

弁護士費用の具体的な内容としては、以下のような項目が挙げられます。

着手金:弁護活動を開始する際に必要となる費用
成功報酬:特定の成果が発生したときに支払を要する費用
出張日当:弁護士が出張をしたときに発生する費用
実費:郵送代、振込手数料、交通費など

複数の弁護士から見積もりを取得し、費用だけでなくサービス内容も比較検討しましょう。
安さだけで選ぶのではなく、費用対効果を総合的に判断することが重要です。
明確な見積もりを提示してくれる弁護士は、信頼性の高い証拠といえるでしょう。

刑事事件の場合、費用が発生するタイミングも法律事務所によって異なる可能性が高いです。一見して費用が安いように見えても、多くのタイミングで費用が発生する内容になっていて総額では決して安くないという場合もあるため、注意したいところです。

④ 弁護士への依頼

弁護士費用や契約内容について納得ができた段階で、弁護士に弁護活動を依頼します。依頼の際には、契約書を締結し、あわせて弁護活動のために必要な弁護人選任届などの書面を作成します。

⑤ 弁護活動の開始

依頼を受けた弁護士が、弁護活動を開始します。活動の開始に際しては、事前に着手金など費用の一部を支払うことが多いでしょう。
また、具体的な活動の経過や結果は、弁護士から随時報告を受けて把握することができます。

具体的な活動内容としては、以下のようなものが挙げられます。

・被害者との示談交渉
・取調べへの対応方針に関する検討、案内
・被疑者、被告人との接見(身柄事件の場合)
・警察官や検察官との協議、意見の提出

⑥ 弁護活動終了後、費用の精算

弁護活動が終了した後、行った弁護活動や成果に応じて弁護士費用の精算を行います。

精算時に確認すべき主な項目は以下の通りです。

・着手金と成功報酬の内訳
・日当、交通費などの実費の内容
・接見回数に応じた追加料金の有無、内容
・示談交渉や上訴手続の費用

多くの弁護士事務所では、活動終了時に詳細な費用明細書を提供してくれます。
不明な項目があれば遠慮なく質問し、納得できる説明を受けましょう。

また、分割払いや後払いの相談も可能な場合があるため、支払いに不安がある時は早めに相談することをおすすめします。
適切な費用精算により、弁護士との信頼関係を最後まで維持できるでしょう。

無料相談で刑事事件に強い弁護士を選ぶポイント

① 刑事事件に専門性を持っているか

弁護士には、それぞれ専門性のある分野や強みを持っている分野があります。そのため、刑事事件に強い弁護士を選ぶためには、刑事事件に専門性があるかどうかは非常に重要なポイントとなるでしょう。
刑事事件に専門性があるかどうかを判断する手段としては、以下のようなものが挙げられます。

・事務所ホームページで取り扱い分野を確認する
・無料相談の際に過去の解決実績を聞く
・複数の弁護士に相談して、助言やアドバイスの内容を比較する

また、無料相談の際に以下の点を確認する事も有力です。

・刑事事件の取り扱い実績が豊富にあるか
・刑事事件に関する専門的な知識を持っているか
・類似事件での解決経験があるか
・刑事手続きの流れを詳しく説明できるか

無料相談では、弁護士の専門性を見極めるために具体的な質問を投げかけることが大切です。
専門性の高い弁護士なら、事件の特徴を踏まえた具体的な回答をしてくれるでしょう。

弁護士には、それぞれ特に専門性ある事件分野を持っていることが多いです。
刑事事件に専門性のある弁護士は、弁護士全体の中では決して多くはなく、基本的に刑事事件を扱っていないという弁護士も一定数います。

② 説明や案内が分かりやすいか

刑事事件に強い弁護士の場合、無料相談を受けた段階で有力な弁護活動の内容や事件の結果をある程度具体的に見通すことが可能です。一方、刑事事件の経験値や強みがそれほどない場合には、見通しがあいまいになりやすいでしょう。
そのため、無料相談の際に説明や案内が詳細で分かりやすければ、刑事事件に強い弁護士であると判断しやすいでしょう。

説明の分かりやすさは、以下のようなポイントから判断することが可能です。

・専門用語を使わず、日常的な言葉で説明してくれるか
・事件の流れを時系列で整理して案内するか
・質問に対して具体的で明確な回答をするか
・リスクやメリットを分かりやすく比較して説明する

③ 弁護士への信頼感を持てるか

刑事事件の弁護士選びでは、専門性や費用と同じくらい信頼感が重要な判断基準となります。

信頼できる弁護士かどうかは、初回の無料相談で見極めることが可能でしょう。
まず、相談者の話を最後まで丁寧に聞いてくれるかが重要なポイントです。
途中で話を遮ったり、上から目線で接したりする弁護士は避けた方が賢明といえます。
「この人になら安心して任せられそう」と感じられる弁護士を選ぶことで、精神的な負担も軽減されるはずです。

また、約束した時間を守る、連絡がスムーズに取れる、質問に対して誠実に答えてくれるといった基本的な対応も信頼性を測る指標となります。

刑事事件では弁護士との密なコミュニケーションが不可欠なため、以下の点も確認しましょう。

・相談者の立場に立って親身になってくれるか
・事件について真剣に向き合ってくれるか
・今後の見通しを正直に話してくれるか

刑事事件の解決は、弁護士の判断や弁護活動にある程度委ねざるを得ない局面が多くなります。そのため、弁護士を信頼できるかどうかは非常に重要なポイントと言えるでしょう。特に、希望する結果が実現できなかった場合に大きな意味を持ちます。

④ 費用の金額や内容が明快か

弁護士費用の透明性は、刑事事件の依頼において最も重要な判断基準の一つです。

初回相談の段階で費用体系を明確に説明してもらうことは積極的に依頼すべきでしょう。

費用の明快さを確認するポイントは以下の通りです。

・着手金と報酬金の金額が具体的に示されている
・追加費用が発生する条件を事前に説明している
・日当や交通費などの実費についても明示している
・分割払いの可否や支払い時期を明確にしている

明確に見積もりを提供し、追加請求の有無や見通しを明らかにしてくれる弁護士は、費用面の信頼もしやすいと言えます。

⑤ リスクやデメリットも案内してくれるか

刑事事件の弁護士選びでは、リスクやデメリットも正直に説明してくれる弁護士を選ぶことが重要です。
依頼者にとって都合の良い話だけでなく、起こりうるリスクや不利な状況についても包み隠さず伝えてくれるか、十分に判断することをお勧めします。
例えば、示談交渉が難航する可能性や、起訴される確率、前科がつくリスクなどを具体的に説明してくれるか、という点は目安の一つになるでしょう。
刑事事件では予想外の展開が起こることもあり、事前にリスクを把握しておくことで適切な判断ができるようになります。

リスクやデメリットを把握するという観点では、無料相談の際に以下の点を確認することが有力です。

・最悪のケースについても説明があるか
・弁護活動の限界について言及があるか
・費用対効果についても率直に話してくれるか

刑事事件は、検察庁や裁判所といった公の機関によって最終的な判断がなされるため、弁護士が断定的なご案内をすることは望ましくありません。リスクやデメリットがあることやその見込みを具体的に案内してくれる弁護士は、そうでない弁護士と比べて信頼できると判断しやすいでしょう。

刑事事件で無料相談の前に準備すべきこと

① 事件の内容を整理しておく

刑事事件の無料相談を効果的に進めるためには、事前に事件の内容を整理しておくことが重要です。

限られた相談時間を有効活用するため、事件の経緯を時系列で整理しておきましょう。
「何が起こったのか分からない…」と混乱している状況では、弁護士も適切なアドバイスを提供できません。

整理すべき項目は以下の通りです。

・事件が発生した日時と場所
・関係者の氏名や連絡先
・事件の具体的な内容や経緯
・警察からの連絡や取り調べの有無
・被害者がいる場合の被害状況
・現在の手続きの進行状況

また、関連する書類や証拠がある場合は、それらも準備しておくと相談がスムーズに進みます。
警察からの呼び出し状や事件に関する資料があれば、コピーを取って持参することをお勧めします。

事件の内容を客観的に整理することで、弁護士は事案の全体像を把握でき、より具体的で実践的なアドバイスを受けることが可能になります。
準備を怠らず、充実した無料相談を実現させましょう。

特に事件の内容は、可能な限り詳細に、具体的に整理することをお勧めします。刑事事件は、行った行為が犯罪に該当するか、という点が最初の大きな問題になりますが、事件の内容を詳細に把握できれば、犯罪の該当性について正確な判断が可能になります。

② 実現したいことを明確にする

弁護士への無料相談を最大限活用するためには、実現したいことを明確にしておくことが重要です。

まず、事件の最終的な着地点を整理しましょう。
不起訴処分を目指すのか、起訴されても執行猶予を獲得したいのか、それとも無罪を主張していくのかによって、弁護方針は大きく変わります。

次に、日常生活への影響を最小限に抑えたい範囲を決めておきます。

・家族や職場に知られたくない
・前科をつけたくない
・社会復帰を早期に実現したい
・被害者との関係修復を図りたい

これらの優先順位を付けることで、弁護士も適切な戦略を立てやすくなります。

また、経済的な負担についても考慮が必要です。
弁護士費用の上限や支払い方法の希望があれば、事前に整理しておくと相談がスムーズに進むでしょう。

目標が明確であれば、弁護士も具体的なアドバイスを提供でき、より実効性の高い弁護活動が期待できます。

弁護士は、目指す目標に向けた手段のご案内やお力添えを行うことに長けていますが、弁護士が想像する目標と実際の目標にズレがあると、有益なご案内にはならなくなってしまいます。
弁護士への相談や依頼を通じてどのような結果を実現したいか、という点は、できるだけ言葉にできるよう準備することをお勧めします。

③ 弁護士に求めたいことを検討しておく

弁護士に無料相談する前に、どのような支援を求めるのかを明確にしておくことが重要です。
「何を頼めばいいのかわからない…」と感じる方も多いでしょうが、事前に整理しておくことで効果的な相談につながります。

まず、法的なアドバイスが必要な範囲を検討しましょう。
単純に法律の解釈を知りたいのか、それとも具体的な弁護活動を依頼したいのかで対応が変わってきます。

次に、弁護士に期待する役割を整理することが有益です。
具体的な役割としては、以下のような例が挙げられます。

・被害者との示談交渉
・警察や検察との対応
・裁判での弁護活動
・家族への説明やサポート

さらに、緊急性の程度も伝えることが望ましいでしょう。
逮捕の可能性がある場合は即座に対応が必要ですが、在宅事件であれば時間的余裕があるケースも多いです。

費用面での希望や制約についても事前に考えておきましょう。
分割払いの希望や予算の上限があれば、最初から伝えることで適切な提案を受けられます。

このように弁護士に求める内容を整理しておくことで、限られた相談時間を有効活用でき、最適な弁護方針を検討してもらえます。

実現したい結果だけでなく、達成するための具体的な動きについても明確な希望がある場合は、相談段階で明らかにすることで弁護士とのミスマッチを回避できます。
また、弁護士からより有益な動き方を案内してもらえる可能性もあるため、解決に向けた理解がより深まることも期待できます。

刑事事件で弁護士に依頼した場合の費用

① 刑事事件で発生する弁護士費用の項目

刑事事件で弁護士に依頼する際の費用には、複数の項目があります。

主な費用項目は以下の通りです。

・相談料
依頼前の相談時に発生する費用 30分5,000円から1万円程度が多い
・着手金
弁護活動開始時に支払う費用 事件の内容や複雑さによって異なる
・報酬金
弁護活動の結果に応じて支払う費用 成功報酬
・実費
交通費や書類作成費など、弁護活動で実際にかかった経費
・日当
弁護士が裁判所への出廷や接見で時間を要した場合の費用

費用の詳細は事務所ごとに異なるため、無料相談時に必ず確認しておきましょう。

着手金や成功報酬については、発生する条件の定め方が法律事務所によって様々に異なります。一例としては、再逮捕された場合や事件が起訴された場合に別途着手金が発生するか、といった違いがあり得るところです。

② 刑事事件の弁護士費用の相場

刑事事件の弁護士費用は、事件の内容や複雑さによって大きく変動します。
一般的な刑事事件における弁護士費用の相場は以下の通りです。

・着手金 :30万円~100万円程度
・成功報酬:30万円~100万円程度
・日当  :3万円~10万円程度(出廷や接見1回あたり)
・実費  :交通費や書類作成費など実際にかかった費用

事件の重大性や被疑者の前科の有無、示談交渉の必要性などによって費用は変わってきます。
また、裁判が長期化すれば、その分日当や実費も増加していくでしょう。
多くの法律事務所では初回相談を無料で実施しているため、まずは見積もりを取得して費用の詳細を確認することが重要です。

刑事事件の弁護士費用が負担できない場合の対処法

① 国選弁護人制度の利用

刑事事件では、弁護士費用の負担が難しい場合でも「国選弁護人制度」を利用すれば、弁護士の援助を受けられる可能性があります。
国選弁護人とは、被疑者や被告人に弁護人がいないときに、国が費用を負担して選任する弁護士のことです。起訴前(被疑者段階)では勾留された場合、起訴後(被告人段階)では一定の刑以上の事件など、法律で定められた条件を満たすことで利用できます。

国選弁護人は、私選弁護人と同様に取調べへの立会い、証拠収集、裁判での弁護活動を行い、依頼者の権利を守ります。
また、被疑者や被告人の経済的状況を考慮して、自己負担が生じる場合でも後払い・減免措置が取られることもあります。
費用面で弁護士の依頼をためらう場合でも、まずは警察や裁判所、または弁護士会の無料相談で国選弁護人制度の対象になるか確認してみましょう。

国選弁護人制度を利用した後でも、私選弁護人に依頼することは問題なく可能です。その場合は、国選弁護人が自動的に役割を終えることになります。
弁護士への依頼をするか、費用面の検討に時間がかかってしまう場合は、まず国選弁護人を付けてもらう手段も有力です。

② 分割払いなどの相談をする

弁護士費用が高額で「一括での支払いは厳しい…」と感じる方も多いでしょう。
そんな場合は、弁護士事務所に分割払いの相談をしてみることが重要です。

多くの弁護士事務所では、依頼者の経済状況を考慮して柔軟な支払い方法を提案してくれます。
分割払いの回数や金額は事務所によって異なりますが、月々の負担を軽減できる場合がほとんどです。

分割払いを相談する際のポイントは以下の通りです。

・現在の収入状況を正直に伝える
・月々支払い可能な金額を具体的に提示する
・支払い期間の希望があれば相談する
・分割手数料の有無を確認する

弁護士費用の支払い方法で諦める前に、まずは率直に相談することが大切です。
適切な弁護活動を受けるためにも、支払い方法について遠慮なく相談しましょう。

刑事事件で弁護士に無料相談するべき場合の例

① 被害者と示談したい場合

刑事事件で被害者との示談を希望する場合、弁護士への相談は極めて重要です。

示談交渉は法的な専門知識と豊富な経験が必要な分野でしょう。
被害者感情を考慮しながら適切な金額を提示し、双方が納得できる条件を整える必要があります。

「被害者に直接連絡を取ってもいいのかな…」と考える方もいるかもしれませんが、加害者本人や家族が直接交渉すると、かえって被害者の感情を悪化させるリスクがあります。

弁護士が代理人として交渉することで、以下のメリットが得られます。

・被害者との冷静な話し合いが可能になる
・適切な示談金額の算定ができる
・示談書の作成で法的効力を確保できる
・不起訴処分や刑の軽減につながる可能性が高まる

示談成立のタイミングも重要なポイントです。
起訴前に示談が成立すれば不起訴処分の可能性が高くなり、起訴後でも刑の軽減が期待できます。

被害者との示談を検討している場合は、できるだけ早期に弁護士に相談し、適切な対応策を検討することが成功への近道といえるでしょう。

警察で捜査されている刑事事件のほとんどは、当事者間で示談を試みようとするとトラブルの原因になりやすいため、弁護士を窓口に行うことが必要です。示談を希望したい事件では、積極的に弁護士を探すことが望ましいでしょう。

② 逮捕を防ぎたい場合

刑事事件に関与した際、逮捕されることへの不安は計り知れません。
逮捕を防ぐためには、事件発覚後の初期対応が極めて重要です。
弁護士に早期相談することで、捜査機関への自首や出頭のタイミングを適切に判断できます。

自首は刑法上の減軽事由として認められており、逮捕回避の有効な手段となることがあります。
また、弁護士が同行することで、取り調べ時の不適切な対応を防げるでしょう。

証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを捜査機関に示すことも重要なポイントです。
弁護士は依頼者の身元引受人との調整や、出頭への協力姿勢を適切にアピールしてくれます。

ただし、事件の性質や証拠の状況によっては逮捕を完全に回避できない場合もあります。
それでも早期の弁護士相談により、逮捕後の身柄拘束期間を短縮できる可能性が高まりやすいでしょう。

③ 家族が逮捕された場合

家族が刑事事件で逮捕された場合、一刻も早く弁護士に相談することが重要です。

逮捕された家族は身柄を拘束され、外部との連絡が制限されるため、家族だけが頼りとなる存在です。

このような場合、弁護士に依頼することで、以下のサポートを受けられます。

・逮捕された家族との面会
逮捕直後から弁護士は本人と面会し、状況を把握できます。
・今後の手続きの説明
刑事手続きの流れや見通しを家族に詳しく説明してもらえます。
・身柄解放に向けた活動
勾留阻止や保釈請求など、早期釈放を目指した弁護活動を行います。

「家族がどうなってしまうのか…」という不安を抱える中、専門知識を持つ弁護士のサポートは心強い味方となるでしょう。
家族の逮捕という緊急事態では、躊躇せずに専門家の力を借りることが最善の選択です。

逮捕された場合、手続には厳しい時間制限があるため、弁護活動は時間との勝負になることも珍しくありません。逮捕されたケースでは、できるだけ速やかに弁護士への相談を検討することが有益です。

④ 自首を検討している場合

自首を検討している場合、弁護士への無料相談は必須といえるでしょう。
自首は刑事処分を軽くする効果が期待できますが、タイミングや方法を間違えると「もっと早く相談しておけば良かった…」と後悔する結果になりかねません。

弁護士に相談することで、以下のメリットが得られます。

・自首のタイミングを適切に判断してもらえる
・自首前に証拠隠滅の疑いを避ける行動を指導してもらえる
・自首時に同行してもらい、不利な供述を防げる
・起訴前の段階で被害者との示談交渉を進められる

特に重要なのは、自首前の準備段階での相談です。
証拠隠滅と疑われる行為を避け、自首の効果を最大化するための戦略を立てることができます。
また、弁護士が自首に同行することで、取り調べでの不適切な誘導を防ぎ、あなたの権利を守ってもらえるでしょう。

自首は一度きりのチャンスであり、その効果を最大限に活用するためには専門家のサポートが不可欠です。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

刑事事件は,弁護士選びによって結果が大きく変わることが非常に多いです。

刑事事件に強い弁護士に依頼をすることで,最良の結果を目指すことがとても大切になります。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。刑事事件は少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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