盗撮は刑事事件だけで終わると思っていると、後から高額な慰謝料を請求されるリスクがあります。実際には、警察の対応が終わった後でも、被害者から民事上の損害賠償請求が届くケースは少なくなく、「いくら請求されるのか」「支払わないとどうなるのか」が分からないまま対応を誤ると、結果として負担が大きくなります。
この記事では、盗撮が民事責任にどのようにつながるのかという全体像を押さえたうえで、慰謝料の相場、金額が上下する具体的な判断基準、示談と裁判の違い、そして支払わなかった場合に現実にどこまで進むのかという流れまで整理します。単なる一般論ではなく、実務でどのように判断されるかという観点から説明します。
また、対応を誤ると、差押えなどの強制的な回収手続に進む可能性もあります。金額の問題だけでなく、どの段階で何を判断すべきかを具体的に理解しておくことが、結果を左右します。
なお、盗撮事件の示談の具体的な進め方や刑事処分への影響などについては、以下の記事もご参照ください。
盗撮の示談とは?不起訴・前科への影響と進め方を解説
この記事の監修者
藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介
全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。
盗撮は民事責任を問われる|慰謝料はいくらになるのか
盗撮は、被害者のプライバシーや人格権を侵害する行為として民事上の損害賠償責任が発生します。刑事事件として処理されるかどうかとは別に、被害者が「精神的苦痛を受けた」と評価されれば、加害者は金銭でその損害を埋める義務を負います。これは、違法な行為によって他人に損害を与えた場合に成立する「不法行為」に基づく責任です。
この責任が認められるかどうかの判断は、「どのような場面で」「何を」「どの程度」撮影したかによって具体的に決まります。例えば、公共の場での後ろ姿の撮影であっても、衣服の内側を狙う意図が明確であれば、プライバシー侵害として評価されます。一方で、単なる風景の一部として偶然映り込んだ場合には、違法性は否定される方向で判断されます。つまり、撮影の対象と態様が評価の軸になります。
実務では、被害者側は精神的苦痛を中心に慰謝料を請求し、これに対して加害者側は行為の態様や影響の程度を踏まえて金額を調整していく流れになります。ここで重要になるのは、「一律で決まる金額は存在しない」という点です。同じ盗撮でも、下着や性的部位を狙ったものか、偶発的に近いものかで評価は大きく変わります。
慰謝料の水準としては、軽微なケースであれば10万円前後にとどまることがありますが、撮影内容が悪質であったり、繰り返し行われていた場合には50万円を超えることもあり、さらに拡散などの事情が加われば100万円程度まで増額される例もあります。つまり、金額は「行為の悪質性」と「被害の広がり」に応じて段階的に上がる構造になっています。このように、盗撮は刑事処分の有無に関係なく、民事上は独立して責任が追及され、結果として具体的な金銭負担につながります。特に示談が成立しない場合には、裁判で金額が確定し、支払い義務が明確になるため、初動の判断がその後の負担に直結します。
一般的には、刑事事件の中で示談をする場合の方が、刑事事件終了後に専ら民事事件として扱う場合よりも金額は大きくなりやすい傾向にあります。それは、刑事事件の処分を軽減する方向で影響するかしないか、という違いがあるためです。
盗撮の慰謝料相場と増額要素|10万円〜100万円になる基準とは
盗撮の慰謝料は、内容や状況によって大きく変わり、おおよそ10万円から100万円程度の幅で判断されることが多いです。ただし、この範囲に必ず収まるわけではなく、具体的な事情によって上下するため、「どの事情が重く見られるか」を押さえることが重要になります。
相場の基本ライン
比較的軽いとされるのは、1回限りで、撮影の内容も限定的であり、画像が外に出ていない場合です。このようなケースでは、精神的な被害も限定的と評価され、10万円から20万円程度に収まることがあります。
これに対して、下着や身体の一部を狙った撮影であったり、同じような行為を繰り返している場合には、被害の内容が重く見られ、30万円から50万円程度になることが一般的です。撮影の内容が明確に性的なものであれば、その分だけ評価は上がります。
増額要素(どのような場合に高くなるか)
慰謝料が高くなるかどうかは、「どれだけ悪質か」と「被害がどこまで広がっているか」で見られます。例えば、あらかじめ狙って撮影している、同じことを何度も繰り返しているといった事情があると、「意図的で悪質」と評価されやすくなります。
特に影響が大きいのは、画像の扱いです。第三者に送っていたり、インターネットにアップしていた場合は、被害が広がり続ける状態になるため、金額は大きく上がります。このようなケースでは、50万円を超えることも珍しくありません。
また、被害者が未成年である場合や、精神的ショックで通院している場合なども、被害が重いと評価され、同じ行為でもより高い金額になる傾向があります。
減額要素(どのような場合に下がるか)
一方で、初めての行為であることや、その場限りで終わっていること、画像が外に出ていないことは、被害が広がっていない事情として考慮されます。発覚後すぐに削除している場合も、評価に影響します。
金額が下がるかどうかは、「被害が実際にどこまで広がったか」で判断されます。単に反省しているというだけでは足りず、結果として被害が広がっていないことが重要になります。
実務では、被害者側がある程度高めの金額を提示し、それに対して加害者側が事情を説明しながら調整していく流れになるケースが多く見られます。例えば、「外に出ていない」「1回だけだった」といった点を具体的に示すことで、より低い金額に近づけることが現実的な対応になります。
最終的には、「撮影内容が軽く、拡散もなく、単発で終わっている場合」は低いレンジにとどまりやすく、「性的な内容で、繰り返し行われ、拡散までされている場合」は高いレンジに入る方向で判断されます。
慰謝料だけではない|盗撮で請求される損害の全体像
盗撮による民事責任は慰謝料だけで終わらず、実際に発生した費用や損失もあわせて請求されることがあります。精神的苦痛に対する慰謝料が中心になるものの、被害者側が「盗撮によって生じた具体的な不利益」を裏付けられる場合には、その分も金額に加算されます。どこまで認められるかは、行為との関係性と必要性で判断されます。
慰謝料(精神的苦痛)
まず中心となるのは、被害者が感じた精神的苦痛に対する補償です。羞恥心や不安、恐怖といった感情が対象となり、撮影内容や状況によって評価が変わります。特に、身体の特定部位を狙った撮影や、撮影に気づいた場面での恐怖体験などは、苦痛の程度が大きいと評価されやすく、金額にも反映されます。
通院費・治療費
精神的なショックにより通院が必要になった場合、その費用は慰謝料とは別に請求されます。例えば、不安障害や睡眠障害と診断され、心療内科や精神科に通院している場合には、診療費や薬代が対象になります。ただし、盗撮との因果関係が求められるため、単なる体調不良ではなく、診断内容や通院経緯が重要になります。
休業損害
被害によって仕事を休まざるを得なくなった場合、その間の収入減も請求対象になります。例えば、精神的ショックで出勤できなくなった、あるいは対人業務に支障が出たといった事情があれば、休業による損失として評価されます。給与明細や勤務記録などで、実際に収入が減っていることが確認できる必要があります。
弁護士費用(相当額)
裁判になった場合には、弁護士費用の一部が損害として加算されることがあります。全額がそのまま認められるわけではなく、一般的には認容額の1割程度が目安とされることが多いです。これは、被害回復のために通常必要とされる範囲に限って認められるという考え方によります。
これらの損害が認められるかどうかは、「盗撮との関係があるか」「実際に支出や損失が発生しているか」で判断されます。単に不安を感じたというだけでは足りず、通院記録や収入の減少など、客観的に確認できる事情があるかが重要になります。慰謝料だけを前提に考えていると、最終的な請求額との間に差が生じやすいため、全体像を踏まえて見ておく必要があります。
示談と民事訴訟の違い|どちらを選ぶべきか判断基準
示談と民事訴訟の違いは、早く終わるか・強制力があるかという点に集約されます。示談は当事者同士の合意で解決する方法であり、裁判を使わずに終わるため、時間と手間を抑えやすいという特徴があります。一方で、合意できなければ成立せず、相手が応じなければ前に進みません。
示談の場合、被害者側と直接または弁護士を通じて金額や条件をすり合わせていきます。金額は最初から決まっているわけではなく、提示された内容に対して理由を示しながら調整していく形になります。例えば、撮影が1回だけで外部に出ていない場合には、その事情を具体的に説明することで、提示額より下げる余地が生まれます。逆に、繰り返し行っていたり、データが拡散している場合には、金額を下げる余地は小さくなります。
示談の特徴
示談の大きな利点は、早期に終わる点と内容を柔軟に決められる点です。支払方法を分割にする、謝罪文を入れるなど、当事者の合意で条件を細かく調整できます。また、外部に公開されないため、記録として残りにくいという面もあります。
一方で、相手が高額な金額を提示してきた場合でも、応じるかどうかは自分で判断する必要があります。交渉がうまく進まなければ、結果として時間だけが経過し、最終的に裁判に移行するケースもあります。
民事訴訟の特徴
民事訴訟は、裁判所が最終的に金額を決め、支払義務を確定させる手続です。当事者同士で合意できない場合でも、訴えが提起されれば手続は進み、最終的には判決または和解で結論が出ます。
裁判では、撮影内容や回数、拡散の有無などが証拠に基づいて整理され、その内容に応じて慰謝料額が決まります。示談と違い、合意がなくても進むため、結論が出るまで止まらない点が特徴です。判決が出れば、その内容に従って支払義務が確定します。
どちらを選ぶべきかの判断基準
どちらを選ぶかは、「提示されている金額が相場とかけ離れているか」「事実関係に争いがあるか」で判断するのが現実的です。提示額が相場の範囲に収まっている場合は、示談で早期に解決した方が負担は小さくなります。一方で、明らかに高額な請求がされている場合や、そもそも事実関係に認識の違いがある場合には、裁判で整理する方が適切な場合もあります。また、示談に応じず裁判に進んだ場合でも、途中で和解することは可能です。最初からどちらか一方に固定されるわけではなく、状況に応じて選択が変わる点も押さえておく必要があります。最終的には、「争点があるか」「金額に納得できるか」を基準に判断することになります。
盗撮の民事請求の流れ|示談から裁判までの進み方
盗撮の民事請求は、話し合いでの解決を試み、それでまとまらなければ裁判に進むという順番で進みます。いきなり裁判になるわけではなく、まずは相手との交渉から始まり、その結果によって次の対応が決まります。どの段階で何を判断するかによって、その後の負担が変わります。
示談交渉の開始
最初は、被害者側から連絡が来るか、弁護士を通じて請求書や通知書が届く形で始まることが多くなります。ここでは、請求されている金額と、その理由を確認することが出発点になります。例えば、「撮影内容がどの程度か」「外に出ているか」といった事情が整理され、それを前提に金額が提示されます。
この段階では、すぐに応じる必要はなく、内容を整理したうえで対応を決めることが重要です。事実と異なる点があれば修正を求めることができ、金額についても理由を示して調整していくことになります。
内容証明郵便による請求
交渉が進まない場合、請求が内容証明郵便の形で送られることがあります。これは「いつ、どのような請求をしたか」を記録として残すためのもので、後の裁判でも前提として扱われます。支払期限が設定されることが多く、この時点で対応しないと次の段階に進む可能性が高くなります。
ここで無視を続けると、「請求に応じない」という前提で手続が進むため、不利な状況になりやすくなります。少なくとも、対応するかどうかの判断はこの時点で行う必要があります。
民事訴訟の提起
示談がまとまらない場合、被害者側が裁判所に訴えを起こすことで民事訴訟が始まります。訴状が届いた場合は、記載された期限までに反論や主張を提出しなければなりません。この対応を怠ると、相手の主張を前提に判断が進むことになります。
裁判では、撮影内容や回数、拡散の有無などが証拠に基づいて整理され、それぞれの事情がどの程度の重さを持つかが検討されます。その結果に応じて、慰謝料の金額が具体的に決まります。
和解または判決による解決
裁判は途中で和解することもあれば、最終的に判決で終わることもあります。和解の場合は当事者双方が合意した条件で終わり、判決の場合は裁判所が金額や支払義務を決めます。どちらの場合でも、最終的には金銭の支払いという形で解決します。
途中で和解する場合は、裁判での主張や証拠の状況を踏まえて現実的な金額に調整されることが多く、最初の請求額より下がるケースもあります。一方で、主張が通らなければ、そのまま判決で確定することになります。
この流れの中で重要になるのは、「どの段階で対応するか」です。初期の交渉段階で整理できる内容を放置すると、そのまま裁判に進み、対応の幅が狭くなります。どの段階でも判断は可能ですが、早い段階ほど調整の余地は大きくなります。
慰謝料を支払わないとどうなるか|差押えなど民事リスク
慰謝料を支払わないまま放置すると、最終的には財産を差し押さえられて強制的に回収される恐れがあります。請求が来ても応じず、話し合いにも入らない場合、相手は裁判を通じて支払義務を確定させ、その後は自力で回収する手続に進みます。支払うかどうかの判断を先延ばしにしても、請求自体がなくなることはありません。
最初の段階では、示談の打診や請求書の送付にとどまりますが、これを無視すると、内容証明郵便などで正式な請求が行われることがあります。この段階でも対応しなければ、「支払う意思がない」と整理され、その後の手続が進みやすくなります。ここで重要なのは、支払うか争うかの判断をせずに放置することが最も不利になる点です。
判決による支払義務の確定
交渉がまとまらない場合、相手が裁判を起こし、最終的に判決または和解で金額が決まります。ここで確定した金額は法的な支払義務となり、支払わない場合には強制的な回収が可能になります。裁判に対応しないまま放置すると、相手の主張を前提に判断が進むこともあるため、結果として高い金額で確定するリスクがあります。
強制執行(差押え)
支払義務が確定した後も支払わない場合、給与や預金などが差し押さえられる可能性が高くなります。例えば、銀行口座が特定されれば預金が差し押さえられ、勤務先が分かれば給与の一部が継続的に回収されることになります。これらは本人の同意がなくても進むため、回避するには支払うか、事前に調整しておく必要があります。
差押えが行われると、生活に直接影響が出ます。給与の一部が差し引かれる状態が続くと、毎月の手取りが減り、支出の調整が必要になります。また、勤務先に対して差押えの通知が送られるため、職場に知られるという影響もあります。
放置による不利益
支払をしないまま時間が経過すると、遅延損害金が加算されるため、最終的な負担額は増えていきます。さらに、強制執行に進んだ場合には、手続にかかる費用も加わることになります。支払わないという選択は、時間が経つほど不利になる方向で影響が積み重なります。そのため、「支払うか」「争うか」「分割などで調整するか」を早い段階で判断し、対応を決めておくことが結果に直結します。放置したまま状況が改善することはなく、むしろ選択肢が狭くなっていきます。
慰謝料請求が認められる条件|証拠と立証のポイント
慰謝料請求が認められるかは、「盗撮があった」といえる事実をどこまで証拠で裏付けられるかで決まります。加害者が否認している場合でも、客観的な資料がそろっていれば請求は通る方向で整理され、逆に証拠が弱いと請求自体が認められない、または金額が下がる結果になります。判断は「証拠の量」ではなく「内容の強さ」で分かれます。
どのような証拠が使われるか
盗撮の事案では、画像や動画そのものが残っている場合が最も分かりやすい証拠になります。撮影内容が直接確認できるため、「何をどのように撮ったか」が明確になります。これに加えて、防犯カメラの映像や、現場にいた人の証言などが組み合わさることで、撮影行為の有無が裏付けられます。
また、メッセージのやり取りも意味を持ちます。撮影について触れている内容や、謝罪の言葉が残っている場合は、「その行為があった」と考える材料になります。これらがそろっている場合は、事実関係について争いにくくなります。
証拠が弱い場合の判断
直接的な証拠がない場合は、周囲の状況からどこまで推認できるかで判断が分かれます。例えば、防犯カメラに不自然な動きが映っている、被害者の位置と加害者の行動が一致しているといった事情があれば、それらを組み合わせて判断されることがあります。
ただし、このようなケースでは評価が分かれる余地があり、請求が認められない場合や、認められても低い金額にとどまることがあります。被害者側としては裏付けを増やす必要があり、加害者側としては争点を整理しやすい場面になります。
撮影の意図の見られ方
盗撮にあたるかどうかは、「何を目的に撮影していたか」という点も関係します。偶然写り込んだのか、特定の部位を狙っていたのかで評価は変わります。ただし、本人の内心は直接確認できないため、撮影の角度や位置、動きなどの客観的な事情から判断されます。
結論は「証拠からどこまで意図が読み取れるか」で変わります。同じ画像でも、撮影の仕方によって評価が異なるため、この点が重要な分かれ目になります。
立証の進み方
請求が行われると、被害者側が証拠を提示し、それに対して加害者側が反論や説明を行う形になります。例えば、「撮影の意図はなかった」「その場にいなかった」といった主張をする場合には、それを裏付ける資料が必要になります。
裁判では、双方の主張と証拠をもとに事実関係が整理され、その結果に応じて慰謝料の有無や金額が決まります。証拠が強ければ請求は通りやすくなり、弱ければ通りにくくなります。どの証拠があり、どの部分が争点になるかを整理しておくことが、その後の対応に直結します。
盗撮事件の場合、損害の具体的な立証が特に難しくなりやすい傾向にあります。どの程度の精神的苦痛であったか、ということを定量的に示すことが難しいためです。
慰謝料請求の時効|いつまで請求されるのか
盗撮の慰謝料請求には期限があり、被害者が加害者と損害を知ってから3年で時効にかかります。この「知ったとき」というのは、誰が撮影したのかが分かり、損害が発生していると認識できた時点を指します。そのため、撮影された事実だけでなく、加害者が特定されているかどうかが重要になります。
例えば、撮影に気づいていても、誰が行ったのか分からない状態では時効は進みません。その後、防犯カメラなどで加害者が特定された時点から3年が数えられることになります。逆に、加害者が早い段階で特定されている場合は、その時点から時効が進むため、時間の経過に注意が必要です。
また、損害の内容についても、「精神的苦痛が発生している」と認識できる状態であることが前提になります。例えば、後から精神的な影響が明らかになった場合には、その時点が基準になることもありますが、通常は撮影を認識した時点で損害も把握されていると考えられます。
時効は放置すると自動的に成立するわけではなく、主張(援用)して初めて効力が生じます。そのため、期間が経過していても、何も主張しなければ請求が認められることがあります。逆に、時効が成立している場合には、その点を明確に主張することで支払義務を争うことができます。
さらに、時効の進行は一定の行為によって止まることがあります。例えば、裁判を起こされた場合や、請求についての手続が取られた場合には、それまでの期間とは別に扱われることになります。この点は、単純に年数だけで判断できない要素です。
このように、時効は「いつから数えるか」と「途中で止まるか」によって結論が変わります。加害者としては、請求を受けた時点で、時効が成立しているかどうかを具体的な時期に沿って確認することが重要になります。
過去に刑事事件化している場合、その手続内のどこかでは消滅時効が進行している可能性が高いです。刑事手続の段階からある程度意識しておくことで、後に時効の主張が容易になることもあります。
民事と刑事の関係|示談が処分に与える影響
示談が成立しているかどうかは、刑事処分の重さに直接影響します。民事と刑事は別の手続ですが、被害者との関係がどう整理されているかは、刑事側でも重要な判断材料になります。
示談が成立している場合
示談が成立し、金銭の支払いや謝罪が済んでいる場合は、被害が回復している事情として扱われ、処分は軽くなる方向で判断されます。特に、初犯であり、被害の範囲も限定されている場合には、この点が大きく影響します。
示談が成立していない場合
示談が成立していない場合は、被害が回復していない状態として扱われます。そのため、刑事手続では不利な事情として評価されます。被害者との関係が整理されていないこと自体が、処分判断に影響します。
並行して進む場合の注意点
民事と刑事は同時に進むことがあり、一方での対応が他方に影響します。例えば、民事での説明内容が刑事手続でも参照されることがあるため、内容の整合性が重要になります。
示談の有無は、処分を左右する重要な要素の一つですが、最終的な処分は他の事情とあわせて全体として判断されます。
刑事事件の中で示談を行う場合は、むしろ刑事事件の処分軽減がメインの目的であり、その手段として民事の側面を(加害者の負担なく)解決する、というイメージになるでしょう。
弁護士に相談するメリット|示談交渉と裁判対応の違い
弁護士が入るかどうかで、示談交渉の進め方と裁判対応の負担は大きく変わります。特に、請求額や事実関係に争いがある場合は、対応の仕方が結果に直結します。
示談交渉での違い
示談では、弁護士を介することで、提示された金額をそのまま受け入れるのでなく、事情に応じて調整・交渉できます。撮影内容や拡散の有無などを踏まえて金額は変わるため、どの事情を根拠に減額を求めるかが重要になります。弁護士が入る場合はこの整理が行われますが、自分で対応すると十分に主張できないまま合意してしまうことがあります。
裁判対応での違い
裁判では、どの事実を認め、どの点を争うかの整理が結果に影響します。証拠と主張の組み合わせによって結論が変わるため、この整理が不十分だと不利な内容で確定する可能性があります。
判断の目安
依頼するかは、請求額・争点の有無・相手の対応状況を基準に判断することが望ましいでしょう。これらは対応の難易度に直結するため、争点になっている場合は専門的な整理が結果に影響しやすくなります。
盗撮事件の当事者間で適切に民事の側面を解決するのは容易ではありません。十分な解決のためには弁護士が不可欠になりやすい分野と言えるでしょう。
盗撮の民事責任に関するよくある質問
盗撮が未遂でも慰謝料は請求されるのか
撮影が完了していなくても、状況によっては慰謝料請求が認められることがあります。例えば、スカート内を狙ってスマートフォンを差し入れるなど、明確に盗撮目的の行動があれば、実際に画像が残っていなくても精神的苦痛が発生しているとして評価されることがあります。もっとも、画像や動画が残っている場合に比べると証拠が弱くなるため、請求が認められない、または金額が低くなる方向で整理されることが多くなります。
後ろ姿の撮影でも慰謝料は発生するのか
後ろ姿であっても、撮影の目的や内容によっては慰謝料が発生します。単に人が写り込んだだけであれば問題になりませんが、特定の部位を狙って撮影している場合は、プライバシー侵害として評価されます。例えば、衣服の内部を狙うような角度で撮影している場合には、撮影対象が限定されていると判断され、慰謝料請求が認められる可能性があります。
加害者が未成年の場合はどうなるか
未成年であっても、原則として損害賠償責任は発生します。ただし、判断能力の有無によっては本人ではなく保護者が責任を負う場合があります。具体的には、行為の意味を理解できる年齢かどうかが判断の基準となり、判断能力が不十分とされる場合には、監督義務を負う保護者に請求が向けられます。
示談しないとどうなるのか
示談に応じない場合は、民事訴訟に進む可能性があります。話し合いで解決できない場合、被害者側は裁判を通じて金額の確定を求めることになります。裁判では証拠に基づいて判断されるため、主張や対応の内容によって結果が変わります。
慰謝料を支払わないとどうなるのか
支払わずに放置した場合、手続が進んで差押えに至る可能性があります。ただし、すぐに差押えになるわけではなく、裁判などを経て支払義務が確定した後に進む手続です。どの段階で対応するかによって結果が変わるため、早い段階で判断することが重要になります。
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