自己破産で差し押さえされるものとは?給料・預金・家への影響と止める方法を弁護士が解説

借金の返済が難しくなり、「自己破産をすると給料や預金は差し押さえられるのか」「家や車まで失ってしまうのか」と不安に感じている方もいるでしょう。また、すでに給与差押えを受けている方の中には、「自己破産で差押えを止められるのか」が気になっている方も少なくありません。

自己破産と差押えは密接に関係していますが、自己破産をしたからといって全ての財産が差し押さえられるわけではありません。差し押さえの対象になる財産とならない財産があり、手続の進行状況によっては給与差押えの停止を求められる場合もあります。

一方で、差押えを放置すると給料や預金が回収されるだけでなく、勤務先に給与差押えの事実が知られることもあります。対応が遅れるほど選択肢が少なくなるため、自分の状況で何が差し押さえの対象になるのか、いつまで対応できるのかを正しく理解することが重要です。

この記事では、自己破産で差し押さえされる財産・差し押さえされない財産、給与差押えが止まるタイミング、家族や会社への影響、差押えまでの流れについて解説します。

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自己破産すると差し押さえされる?まず知っておきたい基本

自己破産=すぐ差押えではない

自己破産を検討している方の中には、「自己破産をすると財産を差し押さえられる」と考えている方もいるかもしれません。しかし、自己破産を申し立てたことだけを理由として、直ちに差押えが行われるわけではありません。

自己破産は、裁判所を通じて借金の支払義務の免除を求める手続です。一方、差押えは、債権者が財産を強制的に回収するための手続です。両者は目的も手続も異なります。

借金を滞納している場合には差押えのリスクが生じますが、自己破産は差押えの原因ではなく、差押えへの対応手段の一つです。そのため、「自己破産をすると差し押さえられる」と考えるのではなく、「返済不能の状態が続くと差押えの可能性があり、その解決方法として自己破産がある」と理解することが重要です。

差押えは強制執行で行われる

債権者が給料や預金を差し押さえるためには、原則として裁判所を利用した強制執行手続を経る必要があります。

例えば、消費者金融やクレジットカード会社は、借金の返済が滞ったからといって直ちに預金口座を差し押さえられるわけではありません。通常は、支払督促や訴訟を経て判決等を取得し、債務名義を得たうえで差押えを申し立てます。

そのため、借金を数か月滞納しただけで突然給料が差し押さえられることはありません。しかし、裁判所から届いた支払督促や訴状を放置すると、債権者は強制執行を行える状態になります。

差押えには原則として債務名義が必要です。差押えのリスクを判断する際は、滞納の有無だけではなく、裁判手続がどこまで進んでいるかを確認する必要があります。

自己破産前後で差押えの扱いは異なる

差押えの可否や効果は、自己破産手続のどの段階にあるかによって変わります。

例えば、自己破産を申し立てる前であれば、債権者が判決等を取得している場合、給与や預金の差押えが行われる可能性があります。

一方で、破産手続開始決定後は、個々の債権者が自由に財産を回収することは認められません。債権者全員を平等に扱う必要があるため、一定の財産は破産管財人が管理・換価し、配当に回されます。

また、すでに給与差押えを受けている場合でも、破産手続の進行によって差押えの効力が制限されることがあります。

そのため、

  • まだ滞納段階なのか
  • 訴訟を起こされているのか
  • すでに差押えを受けているのか
  • 自己破産申立て後なのか

によって、取るべき対応は大きく異なります。

差押えの扱いは自己破産手続の進行段階によって異なります。まずは自分がどの段階にいるのかを把握することが重要です。

自己破産の手続が開始することにより、個別の債権者による差押えは困難になります。代わりに、一定の財産がある場合には各債権者へ平等に分配されます。

自己破産で差し押さえされるもの一覧|給料・預金・家・車はどうなる?

自己破産をすると全ての財産を失うと思われがちですが、実際にはどの財産が処分対象になるかは財産の種類や価値によって異なります。

判断の基準となるのは、その財産に換価価値があるか、債権者への配当に回せるかです。高額な財産は処分対象になりやすい一方、生活に必要な財産や自由財産として認められるものは残せる場合があります。

給料・賞与

給料そのものは、自己破産をしたからといって当然に取り上げられるわけではありません。

勤務によって将来受け取る給料は破産者の生活を支える収入であり、原則として自由に受け取ることができます。

もっとも、すでに債権者による給与差押えが行われている場合は別です。この場合、勤務先が給料の一部を差し引いて債権者に支払うため、手続の進行状況によっては差押えへの対応が必要になります。

また、賞与についても基本的な考え方は同じです。支給前の将来の賞与そのものが当然に処分対象になるわけではありませんが、支給後に預金として残っている場合は預貯金として評価されることがあります。

将来受け取る給料は原則として残せますが、差押えを受けている場合は別途対応が必要です。

預貯金

預貯金は、自己破産において処分対象になりやすい代表的な財産です。

銀行口座に預金が残っている場合、その金額に応じて破産財団に組み入れられ、債権者への配当に回される可能性があります。

特に、まとまった預金がある場合は管財事件になる可能性が高くなります。

一方で、全ての預金が必ず回収されるわけではありません。自由財産として認められる範囲や裁判所の運用によって残せる場合もあります。

ただし、破産申立て前に預金を引き出して隠したり、家族名義の口座へ移したりすると問題になります。

預貯金は差し押さえや処分の対象になりやすいため、申立て前に勝手に動かさないことが重要です。

自宅などの不動産

自宅を所有している場合、不動産は原則として処分対象になります。

不動産は高額な財産であることが多く、売却によって債権者への配当原資を確保できるためです。

住宅ローンが残っている場合には、金融機関が抵当権を実行して競売手続を進めることもあります。

そのため、自宅を残したい場合には、自己破産ではなく個人再生が選択肢になるケースもあります。

ただし、不動産の評価額や担保権の状況によっては、売却しても配当に回る財産がほとんどない場合もあります。実際に処分対象になるかは、評価額や担保残高などを踏まえて判断されます。

自宅などの不動産は、原則として自己破産で残せない財産と考えておく必要があります。

自動車・バイク

自動車やバイクも財産的価値があるため、価値によっては処分対象になります。

もっとも、全ての車が処分されるわけではありません。

例えば、年式が古く市場価値がほとんどない車であれば、換価価値がないとして手元に残せることがあります。

一方、高年式車や高級車は売却対象になる可能性が高いでしょう。

また、自動車ローンが残っている場合には、所有権留保によりローン会社が車を引き揚げることもあります。

そのため、自動車については、

  • 車の時価
  • ローン残高
  • 所有者名義

などを個別に確認する必要があります。

自動車が残せるかどうかは、車の価値とローンの有無によって大きく変わります。

保険の解約返戻金

生命保険や学資保険などに解約返戻金がある場合、その返戻金相当額が財産として評価されます。

解約返戻金が高額であれば、保険契約を解約して配当に回される可能性があります。

一方で、解約返戻金が少額の場合や裁判所の運用上認められる範囲であれば、契約を維持できる場合もあります。

保険を続けられるかどうかは、保険料ではなく解約返戻金額が重要な判断要素になります。

保険の処分可否は、毎月の保険料ではなく解約返戻金の金額によって判断されます。

退職金

退職金は、すでに受け取っている場合と将来受け取る予定の場合で扱いが異なります。

すでに受け取った退職金が預金として残っている場合は、通常の財産として評価されます。

また、勤務先に退職金制度がある場合には、将来受け取る予定の退職金についても一定割合が財産として評価されることがあります。

退職予定が近い場合や金額が大きい場合ほど、手続に与える影響は大きくなります。

退職金は現在の受取状況や退職時期によって評価方法が異なります。

NISA・株式などの有価証券

NISA口座で保有している投資信託や株式であっても、財産であることに変わりありません。

NISAには税制上の優遇がありますが、自己破産で処分対象から除外される制度ではありません。

そのため、株式や投資信託に換価価値がある場合には、売却して配当に回される可能性があります。

近年はNISAを利用して資産形成を行っている方も増えていますが、自己破産との関係では通常の金融資産と同様に扱われます。

NISAだから残せるわけではなく、財産的価値があれば処分対象になります。

ブランド品・高価品

ブランドバッグ、高級腕時計、貴金属、美術品なども換価価値があれば処分対象になります。

自己破産では生活に必要な財産を守る一方で、換価可能な財産は債権者への配当に充てることが原則です。

そのため、市場で売却できる高価品を多数保有している場合には、処分対象となる可能性があります。

反対に、中古市場でほとんど価値がない日用品や衣類などは通常問題になりません。

高価品かどうかは購入価格ではなく現在の市場価値で判断されます。

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自己破産でも差し押さえされない財産とは?残せるものを解説

99万円以下の現金

自己破産をしても、99万円以下の現金は自由財産として原則残すことができます。

これは破産法で認められている制度であり、破産後も最低限の生活を維持できるようにするためです。そのため、申立時に手元にある現金が99万円以下であれば、通常は処分対象になりません。

もっとも、ここでいう現金とは、財布の中や自宅で保管している現金を指します。

99万円基準が適用されるのは現金であり、銀行口座の預貯金にはそのまま適用されません。

例えば、現金が50万円であれば原則残せますが、預金口座に50万円ある場合は別の判断になります。

また、「預金を全て引き出して現金にしておけば残せる」と考える方もいますが、申立直前の不自然な現金化は財産隠しを疑われる原因になります。

財産の処分や移動を行う前に、必ず弁護士へ相談することが重要です。

生活に必要な家財道具

自己破産をしても、通常の生活に必要な家財道具はそのまま使用できます。

例えば、

  • 冷蔵庫
  • 洗濯機
  • エアコン
  • テレビ
  • ベッド
  • 食器類

などは一般的な家庭生活に必要な物であり、通常は処分対象になりません。

また、スマートフォンや一般的なパソコンについても、現代では生活や仕事に必要な物として扱われることが多く、通常は問題になりません。

自己破産をしても、一般的な生活を送るために必要な家財道具まで失うことはありません。

一方で、高級時計やブランドバッグ、骨董品など換価価値の高い財産は別途処分対象になる可能性があります。

そのため、「家の中にある物は全て持っていかれる」という理解は誤りです。

差押禁止財産

法律上、債権者が差し押さえること自体が禁止されている財産があります。これを差押禁止財産といいます。

代表的なものとして、

  • 衣服
  • 寝具
  • 家具
  • 台所用品
  • 職業に欠くことのできない器具等
  • 一定範囲の給与債権

などがあります。

これらが保護されているのは、債務者やその家族の最低限の生活を維持するためです。

特に給与については誤解が少なくありません。

給与は原則として手取り額の4分の1までしか差し押さえることができません。

そのため、給与差押えを受けた場合でも、収入の全てを失うわけではありません。

もっとも、給与額が高額な場合には別の計算方法が適用されることがあります。具体的な計算方法については後述します。

自由財産の拡張

本来であれば処分対象となる財産であっても、裁判所が生活再建のために必要と認めた場合には、例外的に残せることがあります。これを自由財産の拡張といいます。

実務上よく問題になるのは、

  • 通勤に必要な自動車
  • 自営業者の営業用車両
  • 仕事で使用する工具
  • 業務用パソコン

などです。

例えば、公共交通機関が十分に整備されていない地域で、自動車がなければ通勤できない場合があります。また、自営業者にとって営業用車両や仕事道具は収入を得るために不可欠です。

そのため裁判所は、

  • 財産の価値
  • 利用頻度
  • 代替手段の有無
  • 仕事や生活への影響

などを考慮して判断します。

自由財産の拡張は、「持っていたい」という希望ではなく、「生活再建に必要か」という観点で判断されます。

車や仕事道具を残したい場合には、その必要性を具体的に説明できるよう準備しておくことが重要です。

給料の差し押さえは自己破産で止まる?停止されるタイミングを解説

給与差押えとは

給与差押えとは、債権者が勤務先に対して差押命令を送達し、給料の一部を直接回収する強制執行手続です。

借金を滞納しただけで給与差押えが始まるわけではありません。通常は、債権者が訴訟や支払督促によって債務名義を取得したうえで、裁判所へ強制執行を申し立てることで給与差押えが行われます。

給与差押えが始まると、勤務先は差押命令に従わなければなりません。そのため、債務者本人が債権者へ支払いを約束したとしても、勤務先が独自の判断で差押えを止めることはできません。

また、勤務先は差押命令を受け取るため、借金問題を会社に知られるきっかけにもなります。

給与差押えは勤務先を通じて行われる強制執行であり、開始後は本人の意思だけで止めることはできません。

差し押さえされる給料額

給与差押えが行われても、給料全額が差し押さえられるわけではありません。

一般の借金を理由とする給与差押えの場合、差し押さえできるのは原則として手取り額の4分の1までです。

例えば、

  • 手取り20万円の場合:約5万円
  • 手取り24万円の場合:約6万円
  • 手取り30万円の場合:約7万5000円

が差押えの対象になります。

これは、差押えによって生活が成り立たなくなる事態を防ぐためです。

給与は原則として手取り額の4分の1までしか差し押さえることができません。

もっとも、手取り額が44万円を超える場合には別の計算方法が適用されます。

弁護士へ相談しても給与差押えは止まらない

弁護士へ相談したり依頼したりすると、債権者からの督促や取立ては止まります。

しかし、既に始まっている給与差押えについては別です。

給与差押えは裁判所の命令に基づく強制執行であるため、弁護士が受任通知を送付しただけで当然に停止するわけではありません。

受任通知には督促を止める効果がありますが、給与差押えを当然に止める効果はありません。

そのため、給与差押えが始まっている場合には、早急に自己破産申立ての準備を進める必要があります。

自己破産の申立てだけでは給与差押えは止まらない

裁判所へ自己破産を申し立てた段階でも、給与差押えが自動的に止まるわけではありません。

申立てはあくまで破産手続開始決定を求める手続であり、その時点ではまだ裁判所が破産手続を開始すると決定していないためです。

そのため、

  • 弁護士へ依頼した
  • 受任通知が送られた
  • 自己破産を申し立てた

という段階では、給与差押えが継続することがあります。

破産手続開始決定後は将来の給与への差押えに影響が生じる

給与差押えとの関係で最も重要なのが、破産手続開始決定です。

破産手続開始決定が出ると、債権者による個別回収は制限されます。

特に重要なのは、開始決定後に働いて得る将来の給与です。

会社員が開始決定後に得る給与は、破産後の生活を支えるための収入であり、原則として破産財団に組み入れられません。

破産手続開始決定後に発生する将来の給与は、原則として債権者への配当に回されません。

一方で、開始決定前に既に給与差押命令が出ている場合や、差押手続が進行している場合には別途検討が必要です。

そのため、

  • 今後発生する給与なのか
  • 既に差押えの対象となっている給与なのか

を区別して考える必要があります。

すでに差し押さえられた給料は戻る?

既に債権者へ支払われた給料については、自己破産をしたからといって当然に返還されるわけではありません。

例えば、数か月にわたり給与差押えが続き、勤務先から債権者へ送金されていた場合、その全額を取り戻せるわけではありません。

そのため、

給与差押えが始まっている場合は、できるだけ早く自己破産を申し立てることが重要です。

対応が遅れるほど回収済みの金額が増えるためです。

ボーナスは差押え対象になる?

ボーナスも給与債権の一種であるため、給与差押えの対象になります。

そのため、差押命令の効力が継続している期間中に賞与が支給される場合には、ボーナスについても差押えが及びます。

特に夏季賞与や冬季賞与の支給時期が近い場合には、差押えによる影響額が大きくなることがあります。

給与差押えの効力は毎月の給料だけでなくボーナスにも及びます。

差し押さえ中でも自己破産はできる?今からでも間に合うケース

差押えが始まっていても自己破産はできる

給与や預金の差押えを受けている場合でも、自己破産を申し立てることは可能です。

差押えが始まったからといって自己破産ができなくなるわけではありません。実際にも、給与差押えや預金差押えを受けた後に自己破産を申し立てるケースは少なくありません。

また、自宅について競売開始決定が出ている場合であっても、自己破産の申立て自体は可能です。

差押えが始まっていても自己破産はできるため、「もう手遅れだ」と考える必要はありません。

むしろ差押えが始まっている状況は、返済不能状態が深刻化しているサインといえます。

差押え前よりも選択肢は少なくなる

もっとも、差押えが始まってから対応する場合には、差押え前よりも状況が不利になることがあります。

例えば、既に預金が差し押さえられている場合、その時点で回収された金額を取り戻すことは容易ではありません。

また、給与差押えが続いている場合には、対応が遅れるほど毎月回収される金額が増えていきます。

さらに、自宅の競売手続が進行しているケースでは、売却手続が進むにつれて対応できる範囲も限られていきます。

自己破産は差押え後でも利用できますが、差押え前の状態まで戻せるとは限りません。

そのため、差押えを受けている場合は早めに対応することが重要です。

自己破産を急ぐべきケース

差押えを受けている場合でも、直ちに生活できなくなるわけではありません。

しかし、次のようなケースでは早急な対応が必要です。

  • 給与差押えが始まっている
  • ボーナス支給日が近い
  • 複数の債権者から訴訟を起こされている
  • 自宅について競売開始決定が出ている
  • 差押えによって生活費の確保が困難になっている

これらの場合、対応が遅れるほど差押えによる不利益が大きくなります。

例えば給与差押えであれば、申立てを先延ばしにする間も毎月回収が続きます。競売であれば、手続が進むほど売却を前提とした状況になります。

差押えを受けている場合は、「様子を見る」のではなく、できるだけ早く弁護士へ相談することが重要です。

特に給与差押えや競売が始まっているケースでは、対応の早さが結果に大きく影響します。

特に給与の差し押さえを受けている場合、自己破産して免責が認められることでその後の差し押さえを防ぐことができる点で非常に有益と言えます。

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自己破産で家族や会社にバレる?差し押さえの影響を解説

自己破産だけで家族に通知されることはない

自己破産を申し立てても、裁判所が家族へ通知を送る制度はありません。

そのため、同居家族がいるからといって、自動的に自己破産の事実が知られるわけではありません。

また、家族が保証人になっていない限り、家族が借金の返済義務を負うこともありません。

自己破産をしただけで裁判所から家族へ連絡が行くことはありません。

もっとも、家計の状況や財産関係を確認する過程で、家族の協力が必要になることがあります。

家族に知られるきっかけ

自己破産が家族に知られる原因として多いのは、手続そのものではなく生活上の変化です。

例えば、

  • 自宅を手放すことになった
  • 郵便物を家族が見た
  • 弁護士や裁判所からの書類が届いた
  • 家計資料の提出が必要になった

といった事情から知られるケースがあります。

また、同居している配偶者の収入資料や家計資料の提出を求められることもあるため、全く知られずに手続を進めることが難しい場合もあります。

同居家族がいる場合は、手続上の資料収集を通じて自己破産を知られることがあります。

給与差押えは会社に知られる

自己破産そのものは、通常であれば会社へ通知されません。

しかし、給与差押えが行われた場合は事情が異なります。

給与差押えは勤務先に対して差押命令が送達されることで行われるため、会社は従業員の借金問題を認識することになります。

そのため、

  • 借金を会社に知られたくない
  • 人事担当者に事情を知られたくない

という場合には、給与差押えが始まる前に対応することが重要です。

会社に借金問題を知られる最大の原因は自己破産ではなく給与差押えです。

自己破産によって勤務先へ通知されるケース

一般の会社員であれば、自己破産を理由として裁判所から勤務先へ通知が行われることはありません。

また、勤務先が裁判所へ照会を受けることも通常はありません。

もっとも、

  • 生命保険募集人
  • 警備員
  • 宅地建物取引士
  • 建設業許可上の役員等

など、一部の資格や職業については破産手続中に資格制限を受ける場合があります。

そのため、業務内容によっては会社へ説明が必要になることがあります。

一般の会社員であれば、自己破産だけを理由として勤務先へ知られる可能性は高くありません。

家族名義の財産まで差し押さえられるわけではない

自己破産をすると、家族の財産まで処分されると思っている方もいます。

しかし、処分対象になるのはあくまで本人の財産です。

例えば、

  • 配偶者名義の預金
  • 子ども名義の預金
  • 親名義の不動産

などは、原則として本人の破産手続の対象にはなりません。

自己破産によって家族名義の財産まで当然に差し押さえられることはありません。

もっとも、名義だけ家族にしている実質的な本人財産と判断される場合には問題になることがあります。

そのため、財産の名義変更を行っている場合には注意が必要です。

差し押さえや自己破産を周囲に通知するような制度はありませんが、給与であれば会社、自宅の財産であれば同居家族に知られることは防ぎにくいです。

差し押さえされるまでの流れ|督促から強制執行まで

借金を滞納すると督促が始まる

借金の返済が遅れると、まず債権者から電話や郵送による督促が行われます。

滞納直後にいきなり財産を差し押さえられることはありません。

一般的には、

  • 電話による督促
  • SMSやメールによる連絡
  • 督促状や催告書の送付

などが行われます。

この段階で債権者と話し合いができれば、直ちに法的手続へ移行しないこともあります。

返済が遅れたからといって、すぐに差押えが行われるわけではありません。

債権者が訴訟や支払督促を申し立てる

督促を受けても返済や話し合いが行われない場合、債権者は裁判所の手続を利用して債権回収を図ります。

代表的な手続は、

  • 支払督促
  • 訴訟
  • 少額訴訟

です。

差押えを行うためには、債権者が裁判所を通じて債務名義を取得しなければなりません。

そのため、通常は裁判所から書類が届きます。

しかし、この段階で書類を放置してしまう方も少なくありません。

裁判所から届いた書類を放置すると、差押えにつながる可能性が高くなります。

判決や仮執行宣言付支払督促が確定する

債権者が差押えを行うためには、判決などの債務名義が必要です。

例えば、

  • 判決
  • 和解調書
  • 仮執行宣言付支払督促

などが代表例です。

債務者が裁判に対応しない場合には、債権者の主張どおりの内容で判決が出ることもあります。

また、支払督促について異議申立てをしなければ、仮執行宣言付支払督促が発付され、強制執行が可能になります。

差押えの前には、通常、判決等の債務名義が取得されています。

財産調査が行われる

債務名義を取得した債権者は、差押えを行うために財産を調査します。

例えば、

  • 勤務先
  • 銀行口座
  • 不動産

などの情報を把握している場合には、それらを対象として強制執行を申し立てます。

近年は財産開示手続や第三者からの情報取得手続も整備されており、以前よりも財産調査が行いやすくなっています。

そのため、「勤務先や銀行口座を知られていないから大丈夫」とは限りません。

債権者は法的手続を利用して財産情報を取得できる場合があります。

強制執行により差押えが行われる

財産調査の結果を踏まえて、債権者は強制執行を申し立てます。

差押えの対象になることが多いのは、

  • 給与
  • 預貯金
  • 不動産

です。

給与差押えであれば勤務先へ差押命令が送達され、預金差押えであれば銀行へ差押命令が送達されます。

不動産の場合には競売手続へ進むことになります。

差押えが始まる段階では、既に法的手続がかなり進行していることが一般的です。

そのため、督促や裁判所からの書類を放置せず、早い段階で対応することが重要になります。

差し押さえを避けたいなら早めの対応が重要|自己破産を検討すべきケース

毎月の返済のために借入れを繰り返している

借金の返済のために新たな借入れを行っている場合は、返済能力を超えて借金が膨らんでいる可能性があります。

例えば、消費者金融から借りて別の借金を返済したり、クレジットカードのキャッシングを返済資金に充てたりしている状況です。

この状態では返済総額が増え続けるため、時間が経つほど解決が難しくなります。

返済のための借入れを繰り返している場合は、自己破産を含めた債務整理を検討すべき段階に入っている可能性があります。

滞納が続き裁判所から書類が届いている

裁判所から支払督促や訴状が届いている場合は、既に債権者が法的手続に移行している状態です。

この段階で何も対応しないと、判決や仮執行宣言付支払督促が確定し、給与や預金の差押えにつながる可能性があります。

裁判所からの書類を放置しても借金問題は解決しません。

裁判所から書類が届いている場合は、差押えが現実的な問題になっていると考えるべきです。

給与や預金を差し押さえられると生活が困難になる

給与差押えが始まれば毎月の手取り額が減少し、預金差押えが行われれば生活費として予定していた資金を失うことがあります。

特に、

  • 生活費に余裕がない
  • 扶養家族がいる
  • 家賃や住宅ローンの支払いがある

といった場合には、差押えの影響が大きくなります。

差押えを受けると生活再建が難しくなるため、差押え前の段階で対応することが重要です。

自己破産を含めて早めに弁護士へ相談する

借金問題の解決方法は自己破産だけではありません。

収入や借金額、財産の状況によっては、任意整理や個人再生が適している場合もあります。

そのため、自分だけで判断するのではなく、まずは弁護士へ相談し、どの手続が適切なのかを確認することが重要です。

差押えの兆候が見えた段階で相談することが、財産や生活への影響を最小限に抑えるための重要なポイントです。

実際に差押えを受けた後では不利益を全て回避することは非常に難しくなります。できるだけ早期のご検討、ご相談をお勧めします。

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自己破産と差し押さえに関するよくある質問

自己破産をすると差し押さえはすぐに止まりますか?

いいえ、自己破産を検討しただけでは差押えは止まりません。

また、弁護士へ依頼したり自己破産を申し立てたりしただけで当然に差押えが停止するわけでもありません。

差押えへの影響が問題となるのは、裁判所が破産手続開始決定を出した後です。

もっとも、差押えの対象や手続の進行状況によって取扱いが異なるため、差押えを受けている場合は早めに弁護士へ相談することが重要です。

自己破産をすると給料は全て差し押さえられますか?

いいえ、給料全額が差し押さえられることはありません。

一般的な借金を理由とする給与差押えの場合、差し押さえできるのは原則として手取り額の4分の1までです。

また、自己破産後に働いて得る将来の給与は、原則として破産財団に組み入れられません。

そのため、自己破産によって給料を全て失うわけではありません。

自己破産をすると家族の財産も差し押さえられますか?

いいえ、自己破産の対象になるのは本人の財産です。

そのため、

  • 配偶者名義の預金
  • 子ども名義の預金
  • 親名義の不動産

などが当然に差し押さえられることはありません。

もっとも、名義だけ家族にしている実質的な本人財産については、処分対象と判断される可能性があります。

預金を引き出して現金にしておけば残せますか?

安易に現金化することはおすすめできません。

99万円以下の現金は自由財産として残せる場合がありますが、申立直前に預金を大量に引き出すと、財産隠しや不当な財産処分を疑われる可能性があります。

そのため、預金の引出しや財産の移動を行う前に弁護士へ相談することが重要です。

差し押さえが始まってから自己破産しても遅くありませんか?

いいえ、差押えが始まっていても自己破産は可能です。

実際にも、給与差押えや預金差押えを受けた後に自己破産を申し立てるケースは少なくありません。

もっとも、既に回収された財産を取り戻すことは容易ではなく、競売などの手続も進行していきます。

差押え後でも自己破産は可能ですが、早く相談するほど選択肢は広がります。

まとめ|自己破産による差し押さえが不安な場合は弁護士へ早めに相談を

借金を滞納したからといって、直ちに差押えが行われるわけではありません。しかし、対応を先延ばしにすると、給与や預金、不動産が差押えの対象になる可能性があります。

また、差押えが始まっていても自己破産による解決を検討できるケースは少なくありません。

差押えによる生活への影響を抑えるためには、差押え前の段階で対応することが重要です。

借金の返済が難しくなっている場合や、督促や裁判所からの書類が届いている場合には、一人で判断せず早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

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特設サイト:藤垣法律事務所

自己破産しても給料はもらえる?差押え・会社への影響・口座凍結を弁護士が解説

自己破産を考えているものの、「給料まで取られてしまうのではないか」「給与差押えを受けているが自己破産で止まるのだろうか」「会社に知られて仕事に影響しないだろうか」と不安を感じている方もいるでしょう。

自己破産をしても給料は原則として受け取ることができます。しかし、すでに給与差押えを受けている場合や、破産手続開始決定の前後で発生した給料、ボーナスや退職金については扱いが異なります。また、借入先の銀行口座に給料が振り込まれている場合には口座凍結への対応も必要です。

こうした点を正しく理解しないまま自己破産を進めると、給与差押えへの対応が遅れたり、生活費の確保に支障が生じたりするおそれがあります。特に、差押えを受けている場合や口座凍結の可能性がある場合には、事前の準備によって避けられる不利益も少なくありません。この記事では、自己破産をした場合の給料の扱い、給与差押えとの関係、ボーナスや退職金への影響、会社への影響や口座凍結の注意点について解説します。

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自己破産しても給料はなくならない?まず知っておきたい基本

自己破産をすると財産を失うというイメージから、「給料も受け取れなくなるのではないか」と不安に感じる方は少なくありません。しかし、自己破産をしても将来の給料まで失うわけではありません。まずは、自己破産と給料の基本的な関係を理解しておくことが重要です。

自己破産をしても毎月の給料まで失うわけではない

結論からいうと、自己破産をしても毎月の給料は原則として受け取ることができます。

自己破産は、債務者が保有している一定の財産を債権者への配当に充てる手続です。そのため、破産手続開始決定後に働いて得た収入は原則として処分対象になりません。

例えば、会社員が自己破産の申立てをした後も、これまでどおり勤務を続けて給料を受け取ることは可能です。自己破産によって労働契約が終了するわけでもなく、勤務先が給料の支払いを拒否できるわけでもありません。

「自己破産をしたら給料が全額差し押さえられて生活できなくなる」という理解は誤りです。自己破産制度は経済的な再出発を支援する制度であり、生活の基盤となる収入まで奪うことは予定されていません。

生活に必要な財産は自由財産として認められている

自己破産では、すべての財産が処分されるわけではありません。法律上、生活を維持するために必要な財産は手元に残すことが認められています。

例えば、日常生活に必要な衣類や家具、家電製品のほか、一定額までの現金などは自由財産として扱われます。これは、自己破産後も最低限の生活を維持できる状態を確保するためです。

給料そのものが自由財産に該当するというより、生活を維持するための収入として保護されていると考えると理解しやすいでしょう。

そのため、自己破産をしたからといって、毎月受け取る給料が一律に回収されることはありません。

手続開始後の給料は「新得財産」として扱われる

破産手続開始決定後に取得した財産は、「新得財産」と呼ばれます。

給与についても、破産手続開始決定後に働いて得た給料は、原則として債権者への配当対象になりません。

例えば、6月に破産手続開始決定が出され、その後の勤務によって7月以降に受け取る給料は、通常であれば生活費や家賃、光熱費などに充てることができます。

もっとも、給料であれば常に同じ扱いになるわけではありません。破産手続開始決定の前後や、給与債権が発生した時期によっては扱いが変わる場合があります。

自己破産と給料の関係を判断する際には、単に給料であるかどうかではなく、いつ発生した権利なのかという点が重要になります。開始決定前に発生した給料と開始決定後に発生した給料では扱いが異なることがあるため、発生時期を基準に整理する必要があります。

自己破産で給料が差し押さえられるケースとは

債権者から給与差押えを受けている場合

自己破産をしても給料が原則として保護されるのは、破産手続開始決定後に取得する収入が対象となるためです。しかし、自己破産を申し立てる前に債権者が裁判を起こし、判決や支払督促などの債務名義を取得している場合には、給与差押えを受ける可能性があります。

給与差押えが行われると、裁判所から勤務先へ差押命令が送達されます。勤務先は給料の一部を債権者へ支払う義務を負うため、債務者本人が受け取れる給料は減少します。

もっとも、給料全額が差し押さえられるわけではありません。給与債権には差押禁止範囲が設けられており、一般的には手取り額の4分の3が保護されます。例えば、手取り20万円の場合には原則として15万円が手元に残り、差し押さえられるのは5万円です。

ただし、毎月の収入が継続的に減少するため、住宅ローンや家賃、生活費の支払いに影響が生じることがあります。差押えが始まると家計への負担は大きくなるため、給与差押えを受ける前の段階で対応することが重要です。

税金や養育費などは自己破産でも差押えが続くことがある

自己破産によってすべての債務が免除されるわけではありません。法律上、自己破産をしても支払義務が残る非免責債権が存在します。

代表的なものとして、税金、社会保険料、養育費、婚姻費用分担金などがあります。これらは自己破産による免責決定を受けても支払義務が消滅しません。

例えば、未払いの養育費がある場合、権利者が強制執行を申し立てることで給与差押えが行われることがあります。養育費は非免責債権であるため、自己破産だけで養育費の支払義務をなくすことはできません。

また、住民税や所得税などの滞納についても同様です。自治体や税務署は滞納処分として給与差押えを行うことができ、これらは一般の借金に対する強制執行とは別の制度によって行われます。そのため、自己破産後も差押えへの対応が必要になる場合があります。

自己破産を検討する際には、借金の金額だけでなく、差押えの原因となっている債務が何なのかを確認することが重要です。債務の種類によっては、自己破産だけでは解決できない問題が残るためです。

勤務先に差押命令が送達されると給与差押えが始まる

給与差押えが行われる場合には、勤務先も手続に関与することになります。これは、給料を支払う勤務先が法律上の第三債務者となるためです。

裁判所から勤務先へ差押命令が送達されると、勤務先は差押えの事実を把握することになります。そのため、給与担当者や人事担当者などが借金問題の存在を知ることになる場合があります。

もっとも、給与差押えが行われたからといって、直ちに社内全体へ情報が共有されるわけではありません。通常は給与計算や法務対応に必要な範囲で処理されます。

給与差押えは突然始まるものではなく、多くの場合は督促、訴訟、債務名義の取得、強制執行という流れを経て行われます。そのため、返済が難しくなった段階で相談を行えば、差押えに至る前に対応できる可能性があります。

特に、すでに督促状や訴状が届いている場合には、放置することで給与差押えへ進む可能性が高くなります。給料への影響を最小限に抑えるためには、差押えが始まってからではなく、始まる前の段階で対応することが重要です。

自己破産すべき状況を放置し続けていると、債権の回収を目指す債権者によって給料の差し押さえが行われる事態に進みやすくなります。

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自己破産をすると給料の差押えはいつ止まる?

破産手続開始決定で差押えが中止・失効する場合がある

自己破産の申立てをしただけでは、直ちに給与差押えが止まるわけではありません。差押えに大きな影響を与えるのは、破産手続開始決定が出たタイミングです。

一般の借金を原因とする強制執行による給与差押えについては、破産手続開始決定によって中止や失効の対象となります。そのため、開始決定後は差し押さえられていた給料を受け取れるようになるケースが多くあります。

例えば、消費者金融やクレジットカード会社が判決を取得し、給料を差し押さえている場合には、開始決定によって差押えの効力が維持されなくなるのが原則です。

もっとも、差押えが止まるタイミングは事案によって異なります。開始決定が出た後に裁判所や破産管財人から関係機関へ通知が行われるため、実際の給与支給への反映には一定の時間を要することがあります。

そのため、自己破産を申し立てた直後の給料については、差押えの有無や勤務先の処理状況を個別に確認することが重要です。

同時廃止と管財事件で扱いが異なる

自己破産には、大きく分けて同時廃止事件と管財事件があります。

同時廃止事件とは、処分すべき財産がほとんどなく、破産管財人が選任されない手続です。一方、管財事件は一定の財産がある場合などに行われ、裁判所が選任した破産管財人が財産調査や換価処分を行います。

給与差押えとの関係では、どちらの手続でも開始決定が重要になります。ただし、管財事件では破産管財人が関与するため、差し押さえられた財産や回収済み金銭の取扱いが問題になりやすい点が異なります。

また、同時廃止事件では比較的簡潔に手続が進む一方、管財事件では財産調査や管財人対応が必要になるため、手続が長期化しやすい傾向があります。

そのため、給与差押えを受けている状態で自己破産を申し立てる場合には、差押えが止まるかどうかだけでなく、その後の手続がどのように進むのかも確認しておく必要があります。

差押え停止までに時間差が生じることもある

給与差押えは開始決定によって影響を受けますが、現実には差押えが止まるまでに時間差が生じることがあります。

例えば、給料日直前に開始決定が出た場合でも、勤務先側の処理が間に合わず、その月の給与については差押えが実行されるケースがあります。また、裁判所からの通知や関係者間の連絡に時間がかかることもあります。

そのため、自己破産を申し立てても直ちに差押えが止まるとは限りません。

「開始決定が出たのに今月の給料が差し押さえられた」という場合でも、直ちに手続が失敗したことを意味するわけではありません。実務上は通知や事務処理のタイムラグによって発生することがあります。

重要なのは、差押えを受けている場合には早めに自己破産の準備を進めることです。差押え開始後に対応するよりも、訴訟や強制執行に至る前に対応した方が給料への影響を小さくできる可能性があります。

給与差押えは生活費に直接影響するため、差押えを受けている場合や差押えが予想される場合には、放置せず早期に対応することが重要です。

自己破産では手続前後で給料の扱いが変わる

自己破産における給料の扱いは、「給料かどうか」ではなく、破産手続開始決定の前後のどちらで発生した権利かによって変わります。そのため、同じ給料であっても処分対象になる場合とならない場合があります。

破産手続開始決定前に発生した給料の扱い

破産手続開始決定前に発生していた給与債権は、財産として評価される可能性があります。

これは、自己破産では開始決定時点で保有している財産が処分対象になるためです。給料がまだ支払われていなくても、すでに発生している権利であれば財産として扱われる余地があります。

例えば、月末締め翌月払いの会社に勤務している方が月の途中で開始決定を受けた場合、それまでの勤務によって発生している給料については、破産財団との関係で検討が必要になります。

そのため、開始決定前に発生した給料は処分対象として検討される可能性があることを理解しておく必要があります。

破産手続開始決定後に受け取る給料の扱い

一方で、開始決定後の労働によって得た給料は、新得財産として扱われるのが原則です。

自己破産制度は債務者の生活再建を目的としているため、開始決定後に新たに得た収入は原則として処分対象になりません。

例えば、開始決定後も勤務を続けて受け取る給料については、通常どおり家賃や食費、光熱費などに充てることができます。

そのため、自己破産をしたからといって、今後受け取る給料まで失うわけではありません。

ボーナスは支給時期によって扱いが変わる

ボーナスについても基本的な考え方は同じです。

重要なのは賞与という名目ではなく、いつ権利が発生したのかという点です。

例えば、開始決定前に支給が確定している賞与は財産として評価される可能性があります。一方、開始決定後の勤務実績に基づいて支給される賞与については、新得財産として扱われる余地があります。

もっとも、賞与の取扱いは支給基準日や査定期間、会社の規程などによっても変わります。そのため、ボーナスは支給時期や発生時期を踏まえて個別に判断されることになります。

破産後は経済生活の再スタートとなります。その後に得られた給料が破産の影響を受けることは基本的に考え難いでしょう。

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自己破産中でも給料を生活費として使ってよい?

家賃・食費・光熱費など通常の生活費は問題にならない

給料を家賃や食費、光熱費、通信費などの生活費に使うことは問題ありません。

自己破産制度は生活を立て直すための制度であり、債務者が生活できなくなることを予定しているわけではありません。そのため、生活を維持するために必要な支出は通常どおり行うことができます。

例えば、給料から家賃や食費を支払ったり、携帯電話料金や電気代を支払ったりすることは一般的な生活費の支出として扱われます。自己破産を検討しているからといって、生活費まで節約して手元に残しておく必要はありません。

財産隠しと疑われる支出には注意が必要

一方で、給料の使い方によっては問題になる場合があります。

例えば、高額なブランド品を購入したり、現金を家族名義の口座へ移したり、第三者に預けたりした場合には、財産を隠そうとしているのではないかと疑われる可能性があります。

自己破産では財産状況を正確に申告する義務があるため、財産を減少させたり隠したりする行為は避けなければなりません。給料を使った場合でも、後から説明できるように通帳やレシートを保管しておくと安心です。

特定の債権者だけに返済すると偏頗弁済になる可能性がある

給料の使い方で特に注意が必要なのが、一部の債権者だけに返済するケースです。

例えば、複数の借入先があるにもかかわらず、親族からの借金だけ返済したり、保証人が付いている債務だけ優先して支払ったりすると、偏頗弁済として問題になる可能性があります。

自己破産では債権者平等の原則が採用されているため、一部の債権者だけを優遇する返済は適切ではありません。生活費として給料を使うことは問題ありませんが、自己破産を予定している段階では借金の返済を独断で続けず、弁護士に相談しながら対応することが重要です。

通常必要な生活費の支出かどうか、が判断基準になりやすいでしょう。

自己破産でボーナス・退職金はどう扱われる?

ボーナスは発生時期によって扱いが変わる

ボーナスについては、賞与という名称ではなく、いつ権利が発生したのかが重要になります。

例えば、破産手続開始決定前に支給が確定しているボーナスや、開始決定前の勤務実績に基づいて発生している賞与については、財産として評価される可能性があります。

一方で、開始決定後の勤務実績に基づいて発生する賞与については、新得財産として扱われる余地があります。

そのため、ボーナスがあるから必ず処分対象になるわけでも、必ず手元に残せるわけでもありません。破産手続開始決定との前後関係が重要な判断要素になります。

退職金は将来受け取る予定でも財産と評価されることがある

退職金については、まだ退職していない場合でも財産として評価されることがあります。

これは、自己破産では現在保有している財産だけでなく、将来受け取ることが見込まれる財産的価値も考慮されるためです。

例えば、勤務先に退職金制度がある場合には、現時点で自己都合退職したと仮定した場合の退職金見込額を基準として財産評価が行われることがあります。

そのため、退職前であっても退職金見込額が財産として扱われる可能性があります。

管財事件では退職金が重要な判断要素になることがある

退職金見込額が大きい場合には、自己破産の手続に影響を与えることがあります。

特に、一定額以上の財産があると判断される場合には、同時廃止ではなく管財事件として処理される可能性があります。

また、管財事件では破産管財人から退職金規程や退職金見込額証明書などの提出を求められることもあります。

そのため、退職金制度がある方は、借金額だけでなく、退職金見込額によって手続の内容が変わる可能性があることも理解しておく必要があります。

給料や年収が高いと自己破産に影響する?

給料や年収が高いことだけで自己破産できなくなるわけではない

自己破産を検討している方の中には、「年収が高いと自己破産できないのではないか」と心配する方もいます。しかし、給料や年収が高いことだけを理由に自己破産が認められなくなるわけではありません。

自己破産で重視されるのは、現在の収入額そのものではなく、借金を返済できる見込みがあるかどうかです。

例えば、年収700万円であっても、住宅ローン以外に多額の借金があり、毎月の返済額が収入に対して過大になっている場合には、支払不能と判断される可能性があります。

反対に、年収がそれほど高くなくても、十分な返済能力がある場合には自己破産以外の手続が適切と判断されることがあります。

そのため、年収の高低だけで自己破産の可否が決まるわけではありません。

高収入の場合は個人再生が選択肢になることもある

継続的に安定した収入がある場合には、自己破産ではなく個人再生が選択肢になることがあります。

個人再生は、借金を大幅に減額したうえで原則3年から5年かけて返済していく手続です。そのため、継続的に返済できる収入があるかどうかが重要になります。

例えば、毎月一定の給与収入があり、減額後の返済額であれば支払える状況であれば、個人再生によって自宅を維持しながら債務整理できる可能性があります。

もっとも、収入があるから必ず個人再生を選ばなければならないわけではありません。借金額や家計状況、保有財産などを踏まえて適切な手続を検討する必要があります。

高収入だと管財事件になりやすい場合がある

給料や年収が高い場合には、自己破産の手続内容に影響することがあります。

特に、高収入であるにもかかわらず生活費が少なく、多額の余剰資金が生じているような場合には、裁判所が詳細な家計状況の確認を行うことがあります。

また、預貯金や退職金見込額などの財産が多い場合には、同時廃止ではなく管財事件として扱われることがあります。

つまり、高収入だから自己破産できないのではなく、財産や家計状況の調査がより慎重に行われることがあるということです。

そのため、年収が高い方ほど、申立前の段階で家計状況や財産状況を整理し、どの手続が適切かを検討することが重要になります。

収入が高いかどうかによって結論が変わることは考えにくいですが、収入が高い場合には他に財産があるケースも少なくないため、自己破産によって財産を処分してしまうことの不利益は十分に考える必要があるでしょう。

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給料振込口座が凍結されることはある?

借入先の銀行口座は凍結される可能性がある

自己破産そのものによって、すべての銀行口座が凍結されるわけではありません。

問題になるのは、借入れをしている銀行の口座に給料が振り込まれている場合です。

例えば、銀行カードローンを利用している銀行や、住宅ローン以外の借入れがある銀行については、自己破産の準備や受任通知の送付をきっかけとして口座が凍結されることがあります。

これは、銀行が預金と借入金を相殺するためです。そのため、凍結時点で口座内に預金がある場合には、借入金の返済に充てられることがあります。

一方で、借入れのない銀行口座まで一律に凍結されるわけではありません。まずは、どの銀行から借入れをしているのかを確認することが重要です。

給料振込口座は事前に変更した方がよい場合がある

給料が借入先の銀行口座へ振り込まれている場合には注意が必要です。

例えば、受任通知送付後や自己破産申立前後に口座が凍結されると、給料が振り込まれていても一時的に引き出せなくなる可能性があります。

その結果、家賃や生活費の支払いに支障が生じることがあります。

そのため、借入先の銀行を給料振込口座として利用している場合には、事前に別の銀行口座へ変更した方がよいケースがあります。

もっとも、勤務先の給与システムによっては変更に時間がかかることもあります。給料日直前になって慌てて手続を行うのではなく、自己破産を検討し始めた段階で確認しておくことが重要です。

口座凍結は一時的なものであることが多い

口座凍結という言葉から、「口座が永久に使えなくなる」と考える方もいますが、その理解は正確ではありません。

銀行によって対応は異なるものの、相殺処理などが完了した後は利用を再開できるケースが多くあります。

また、凍結されたとしても、その銀行以外の口座まで同時に利用できなくなるわけではありません。

重要なのは、口座凍結そのものよりも、給料が振り込まれるタイミングと凍結のタイミングが重なることです。

そのため、自己破産を検討している場合には、どの口座に給料が振り込まれているのか、借入先と同じ銀行になっていないかを早めに確認しておくことが大切です。

自己破産すると会社にバレる?仕事への影響は?

自己破産をしても会社へ通知される制度はない

自己破産をすると会社に必ず知られると思っている方もいますが、自己破産をしたことが勤務先へ通知される制度はありません。

裁判所が勤務先へ連絡したり、破産手続開始決定が勤務先へ送付されたりすることも通常はありません。そのため、会社が自己破産の事実を知る機会は限定されています。

実際には、自己破産をしても勤務先に知られないまま手続が終了するケースは少なくありません。

そのため、自己破産をしただけで会社に知られるわけではないという点はまず理解しておくべきでしょう。

給与差押えが行われると会社に知られる可能性がある

一方で、借金問題が会社に知られる可能性が全くないわけではありません。

最も典型的なのが給与差押えです。

給与差押えが行われる場合には、裁判所から勤務先へ差押命令が送達されます。そのため、給与担当者や人事担当者などは差押えの事実を把握することになります。

実際には、自己破産そのものではなく、給与差押えによって借金問題が会社に知られるケースが多いといえます。

そのため、返済が難しくなった段階で早めに債務整理を検討することができれば、差押えに至る前に対応できる可能性があります。

一部の職業では手続中に資格制限を受けることがある

自己破産をしても、多くの会社員はそのまま働き続けることができます。

しかし、破産手続開始決定から免責許可決定が確定するまでの間は、一部の資格や職業について資格制限を受ける場合があります。

例えば、弁護士、司法書士、行政書士、宅地建物取引士、警備員などは、法律によって一定期間業務に制限が生じることがあります。

もっとも、これは一部の資格職に限られます。一般の会社員については、自己破産を理由として当然に解雇されることはありません。

また、労働契約法上も、自己破産をしたことのみを理由として解雇することには大きな問題があります。

自己破産後も仕事を続けながら生活再建を目指せる

自己破産制度は借金の負担を整理し、生活を立て直すための制度です。

そのため、自己破産をしたからといって仕事を辞めなければならないわけではありませんし、給料を受け取れなくなるわけでもありません。

むしろ、免責許可決定によって借金の返済負担から解放されれば、これまで返済に充てていた収入を生活再建のために使えるようになります。

重要なのは、会社にバレることを恐れて放置するよりも、差押えなどの問題が生じる前に対応することです。

借金問題を放置すると、給与差押えや訴訟などによって勤務先に知られるリスクが高まるため、早めに相談することが結果的に会社へ知られる可能性を低くすることにつながります。

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自己破産で給料に関してよくある質問

自己破産をすると給料は全額差し押さえられますか?

いいえ、自己破産をしたからといって給料が全額差し押さえられることはありません。

また、給与差押えが行われる場合でも、法律上は差押禁止範囲が設けられており、一般的には手取り額の4分の3は保護されます。

さらに、破産手続開始決定後に得た給料は新得財産として扱われるため、通常は生活費として使用できます。

自己破産をすると今後の給料も取られてしまいますか?

いいえ、自己破産によって将来の給料まで失うわけではありません。

自己破産で問題になるのは、主として破産手続開始決定時点で保有している財産です。これに対し、開始決定後の労働によって得た給料は原則として処分対象になりません。

そのため、自己破産後も仕事を続けながら生活再建を図ることができます。

自己破産をするとボーナスはもらえなくなりますか?

ボーナスがあるからといって、一律に処分対象になるわけではありません。

重要なのは、ボーナスの権利がいつ発生したのかです。

開始決定前に発生している賞与は財産として評価される可能性がありますが、開始決定後の勤務実績に基づく賞与については新得財産として扱われる余地があります。

自己破産をすると会社に知られますか?

自己破産をしたことが勤務先へ通知される制度はありません。

そのため、自己破産だけを理由として会社に知られるケースは多くありません。

もっとも、給与差押えが行われた場合には勤務先が差押命令を受け取るため、借金問題を知られる可能性があります。

給料振込口座が借入先の銀行でも大丈夫ですか?

借入先の銀行を給料振込口座にしている場合には注意が必要です。

受任通知の送付や自己破産の準備をきっかけとして、口座が凍結されることがあります。

その結果、給料が振り込まれても一時的に引き出せなくなる可能性があるため、事前に別の銀行口座へ変更した方がよい場合があります。

自己破産による給料への影響が不安な場合は弁護士へ早めに相談を

自己破産をしても、将来の給料まで失うわけではありません。しかし、実際には給与差押えの有無、給料の発生時期、ボーナスや退職金の状況、給料振込口座の利用状況などによって扱いが変わることがあります。

特に、すでに給与差押えを受けている場合や、借入先の銀行を給料振込口座として利用している場合には、対応のタイミングによって生活への影響が大きく変わることがあります。また、高収入の方や退職金制度がある方は、自己破産以外の手続が適している場合もあります。

そのため、自己破産を検討する際には、「給料は残るらしい」という一般論だけで判断するのではなく、現在の収入状況や財産状況を踏まえて具体的に検討することが重要です。

弁護士へ相談すれば、給与差押えへの対応方法や給料振込口座の見直しの必要性、自己破産と個人再生のどちらが適しているかなどについて助言を受けることができます。

借金問題を放置すると、給与差押えや訴訟によって生活への影響が大きくなる可能性があります。給料への影響が不安な場合には、できるだけ早い段階で弁護士へ相談することをおすすめします。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

自己破産の条件とは?できる人・できない人の違いを弁護士が解説

借金の返済が難しくなり、自己破産を考えているものの、「自分は条件を満たしているのだろうか」「収入があると自己破産できないのではないか」と不安を感じている方もいるでしょう。

自己破産の可否は、借金額だけで決まるものではありません。裁判所は、収入や生活状況、財産の有無などを踏まえて「支払不能」の状態にあるかを判断します。また、借金の原因や手続への対応状況によっては、免責が認められない場合もあります。

この記事では、自己破産の条件として重要となる支払不能の判断基準、自己破産が認められやすいケース、無職や主婦でも自己破産できるのか、免責が認められないケースや裁量免責の考え方などを解説します。

自己破産の条件を正しく理解しないまま手続きを進めると、本来は自己破産が可能であるにもかかわらず申立てをためらったり、反対に自己破産以外の手続が適しているケースを見落としたりするおそれがあります。

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自己破産の条件とは?自己破産できる人・できない人の違い

自己破産を利用するためには、裁判所から支払不能であると認められることが必要です。 単に借金があるだけでは自己破産は認められず、現在の収入や財産の状況から見て、借金を返済し続けることが困難な状態にあることが求められます。

破産法では、支払不能について次のように定めています。

この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(中略)をいう。

破産法第2条第11項

支払不能とは、借金を返済したくても返済できない状態を指し、一時的な資金不足とは異なります。 たとえば給料日前で手元資金が不足している場合や、預貯金を取り崩せば返済できる場合は、通常は支払不能とは評価されません。

一方で、借金が300万円であっても返済の見込みがなければ支払不能と判断されることがあります。反対に、借金が500万円を超えていても、安定した収入があり十分な返済能力が認められる場合には、自己破産が認められない可能性があります。そのため、自己破産の条件として重要なのは借金額ではなく返済能力です。

また、自己破産では破産手続開始決定と免責許可決定が別々に判断されます。 支払不能と認められれば破産手続は開始されますが、それだけで借金が免除されるわけではありません。裁判所はその後、借金の原因や手続への協力状況などを確認し、免責を許可するかどうかを判断します。

したがって、借金額が多いことだけを理由に自己破産できると判断することも、ギャンブルによる借金だから自己破産できないと判断することも適切ではありません。自己破産の可否は、支払不能の有無と免責に関する事情をそれぞれ検討したうえで判断されます。

自己破産は、免責が認められれば借金の返済義務がなくなるという非常に大きな効果を持つ手続です。そのため、一定の条件を満たす必要があることには注意しましょう。

自己破産で最も重要な「支払不能」とは?裁判所の判断基準を解説

自己破産が認められるためには、裁判所から支払不能であると判断される必要があります。 自己破産の可否を決める中心的な要素であり、借金額の多寡だけで判断されるわけではありません。

破産法では、支払不能について次のように定めています。

この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。

破産法第2条第11項

この条文で重要なのは、「一般的かつ継続的に弁済することができない状態」という部分です。単に今月の返済が苦しいというだけでは足りず、今後も借金を返済し続けることが現実的に困難であることが求められます。

支払不能と一時的な資金不足の違い

一時的な資金不足は、通常は支払不能に該当しません。 たとえば、給料日前で預金残高が少ない場合や、急な出費によって今月だけ返済が苦しくなった場合でも、翌月以降に返済を継続できる見込みがあれば支払不能とは評価されないことが一般的です。

これに対し、毎月の収入から生活費を差し引くと返済資金が残らず、返済のために新たな借入れを繰り返している場合は、支払不能と判断されやすくなります。返済を続けているように見えても、実際には借金を借金で返済している状態であり、返済能力が失われていると考えられるためです。

裁判所はどのような事情を確認するのか

裁判所は収入や借金額だけではなく、家計全体の状況を確認して支払不能かどうかを判断します。 自己破産には「借金が○万円以上なら利用できる」といった明確な基準はありません。

裁判所が主に確認する事項としては、次のようなものがあります。

  • 借金総額
  • 毎月の返済額
  • 給与や事業収入
  • 勤務先や収入の安定性
  • 家族構成
  • 毎月の生活費
  • 預貯金や不動産などの財産
  • 病気や失業の有無

たとえば、借金が300万円であっても年収200万円台で扶養家族がいる場合には返済継続が困難と判断されることがあります。一方で、借金が500万円を超えていても、高収入で十分な返済余力があれば支払不能とは認められないことがあります。

支払不能と判断されやすいケース

返済原資を確保できず、将来的にも改善の見込みが乏しい場合は支払不能と判断されやすくなります。

具体例としては次のようなケースが挙げられます。

  • 複数の消費者金融から借入れをしている
  • 返済のために新たな借入れを繰り返している
  • 病気やけがで収入が大幅に減少した
  • 失業して再就職の見通しが立っていない
  • 事業の失敗により多額の債務を負った
  • 年金収入のみで返済が困難である

このような場合には、借金を返済する能力が失われているとして、自己破産が選択肢となることがあります。

支払不能と判断されにくいケース

十分な返済能力が残っている場合には、支払不能とは認められない可能性があります。

たとえば、

  • 安定した高収入がある
  • 預貯金や換価可能な財産を十分に保有している
  • 借金額が比較的少なく分割返済が可能である
  • 一時的な資金不足に過ぎない

といった場合には、自己破産以外の方法で借金を解決できると判断されることがあります。

そのため、自己破産の条件を検討する際には借金額だけを見るのではなく、現在の収入、生活費、財産、将来の返済見込みまで含めて判断することが重要です。

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どのような場合に自己破産が認められやすいのか

自己破産が認められやすいのは、支払不能の状態にあり、今後も返済を継続できる見込みが乏しい場合です。 裁判所は個別の事情を踏まえて判断するため、「この条件に当てはまれば必ず自己破産できる」という基準はありません。しかし、実務上は自己破産が認められやすい典型的なケースがあります。

多重債務により返済のための借入れを繰り返している場合

返済のために新たな借入れを行っている場合は、返済能力が失われていると評価されやすくなります。 たとえば、A社への返済資金をB社から借り、さらにB社への返済資金をC社から借りるという状態では、借金そのものは減っていません。

このような状況では、収入だけで返済を維持できているとはいえず、支払不能と判断される可能性が高くなります。実際の自己破産事件でも、多重債務が申立てのきっかけとなるケースは少なくありません。

病気やけがによって収入が大きく減少した場合

病気やけがによって就労が難しくなり、返済原資を確保できなくなった場合も自己破産が認められやすいケースです。 特に長期間の療養が必要な場合には、今後の収入回復が見込めるかどうかも重要な判断要素になります。

また、医療費や通院費の負担によって家計が圧迫されると、生活費と借金返済を両立することが難しくなるため、支払不能と判断されやすくなります。

失業や収入減によって返済継続が困難になった場合

失業や勤務先の業績悪化などにより収入が大幅に減少した場合も、自己破産が認められやすくなります。 住宅ローンや教育費などの固定支出が大きい場合には、収入減少の影響を受けやすく、短期間で返済が困難になることがあります。

裁判所は、現在の収入だけではなく、再就職の見込みや収入回復の可能性も考慮します。ただし、近い将来に安定した収入を得られる見込みが乏しい場合には、支払不能と判断されることがあります。

個人事業の失敗によって多額の債務を負った場合

事業資金の借入れによって多額の負債を抱えた場合も、自己破産が利用される代表的なケースです。 特に売上の減少や取引先の倒産などによって事業継続が困難になった場合には、借入金を返済する原資そのものが失われていることがあります。

個人事業主の場合は、事業用の借金だけでなく、個人名義の借金や保証債務も含めて返済能力が検討されるため、負債総額が大きくなりやすい傾向があります。

年金収入のみで生活している場合

年金収入のみで生活しており、借金返済に充てる余裕がない場合も自己破産が認められることがあります。 自己破産は現役世代だけの制度ではなく、高齢者も利用できます。

もっとも、年金を受給しているだけで自己破産できるわけではありません。生活費や保有財産を踏まえても返済が困難であることが必要です。

借金額だけで自己破産の可否は決まらない

自己破産が認められるかどうかは、借金額ではなく返済能力によって判断されます。 「借金が100万円しかないから自己破産できない」「借金が1,000万円を超えているから必ず自己破産できる」といった考え方は正確ではありません。

裁判所が見ているのは、現在の収入や財産の状況から見て、借金を返済し続けることが可能かどうかです。そのため、自己破産の条件を検討する際には、借金額だけで判断せず、家計全体の状況を踏まえて検討することが重要です。

無職・主婦・会社員でも自己破産できる?職業・収入別に解説

自己破産は職業や収入の有無だけで判断される制度ではありません。 無職であっても自己破産できる場合がありますし、会社員や個人事業主であっても自己破産が認められることがあります。裁判所が重視するのは職業そのものではなく、現在の収入や財産の状況から見て借金を返済できるかどうかです。

無職でも自己破産できる

無職であることは自己破産の障害にはなりません。 むしろ、収入がなく借金を返済できない状態であれば、支払不能と判断される事情の一つになります。

もっとも、無職だから自動的に自己破産が認められるわけではありません。多額の預貯金や換価可能な財産を保有している場合には、それらを返済に充てられると判断されることがあります。

また、退職直後で失業給付を受給している場合や、近く就職が決まっている場合には、その収入状況も考慮されます。

主婦でも自己破産できる

専業主婦やパート勤務の主婦であっても自己破産は可能です。 配偶者に収入があることだけを理由に自己破産が認められなくなるわけではありません。

ただし、裁判所は家計全体の状況を確認します。そのため、配偶者の収入、生活費の負担状況、家計の管理状況などを家計収支表や資料によって説明する必要があります。

また、夫婦共有の財産と思われているものでも、名義や取得経緯によっては破産手続で検討対象になることがあります。

会社員でも自己破産できる

安定した給与収入がある会社員でも自己破産は利用できます。 自己破産は無職の人だけが利用する制度ではありません。

たとえば、住宅ローン以外にも複数の借入れがあり、毎月の返済額が給与から捻出できない場合には、会社員であっても支払不能と判断されることがあります。

一方で、給与収入が高く、一定期間で借金を返済できる見込みがある場合には、任意整理や個人再生など他の債務整理手続が適していると判断されることもあります。

個人事業主は事業の状況も確認される

個人事業主の場合は、家計だけでなく事業の収支状況も重要な判断材料になります。 事業収入が不安定であることや、多額の事業資金の借入れがあることから、自己破産の利用が検討されるケースは少なくありません。

裁判所は、売上状況、経費、在庫、売掛金、事業用資産なども確認します。そのため、会社員の自己破産と比べて提出資料が多くなる傾向があります。

また、事業を継続するのか廃業するのかによっても手続の進め方が変わるため、早い段階で方針を整理することが重要です。

年金受給者でも自己破産できる

年金受給者であっても、返済能力が失われていれば自己破産を利用できます。 年齢が高いことや年金生活であることを理由に自己破産が認められなくなることはありません。

もっとも、年金収入だけでなく、預貯金や不動産などの財産も確認されます。高齢者の場合には長年の貯蓄を保有していることもあるため、収入だけではなく資産状況も含めて検討されます。

職業よりも返済能力が重視される

自己破産で最も重視されるのは職業ではなく返済能力です。 無職だから自己破産できる、会社員だから自己破産できないといった単純な基準はありません。

裁判所は、収入、生活費、財産、家族構成、将来の収入見込みなどを総合的に確認し、借金を一般的かつ継続的に返済できる状態にあるかを判断します。そのため、自己破産の条件を検討する際には、自身の職業だけで判断せず、家計全体の状況を踏まえて考えることが重要です。

職業によって自己破産ができなくなるということは通常ありません。もっとも、個人事業主など一定の財産処分を要する場合には、簡易な同時廃止手続でなく管財事件となる可能性には注意したいところです。

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ギャンブル・浪費でも自己破産できる?免責が認められないケース

支払不能であっても、借金の原因や手続中の行為によっては免責が認められないことがあります。 自己破産では、支払不能であることに加え、裁判所から免責許可決定を受けることで借金の支払義務が免除されます。そのため、免責が認められない事情がある場合には注意が必要です。

破産法では、免責を許可しないことができる事由(免責不許可事由)が定められています。

ギャンブルや浪費によって著しく財産を減少させた場合

ギャンブルや浪費による借金は、代表的な免責不許可事由の一つです。 パチンコ、競馬、競輪、競艇、オンラインカジノなどのギャンブルによって多額の借金を負った場合には、裁判所から厳しく確認されることがあります。

また、高額な買い物を繰り返したり、収入に見合わない生活を続けたりした結果として借金が膨らんだ場合も、浪費と評価される可能性があります。

投機的な取引によって多額の債務を負った場合

FX、暗号資産(仮想通貨)、信用取引などの投機的な取引による損失も免責不許可事由に該当する可能性があります。 本来の収入ではなく、一攫千金を目的として過大なリスクを負った結果、多額の借金を抱えた場合には、裁判所はその経緯を確認します。

特に借入金を投資資金に充てていた場合には、取引履歴や資金の流れについて説明を求められることがあります。

財産を隠したり処分したりした場合

財産隠しは、裁判所が特に重視する免責不許可事由です。 自己破産を申し立てる前後に預貯金を隠したり、家族名義へ財産を移転したりした場合には、手続の公正性を害する行為として問題視されます。

たとえば、

  • 預金を引き出して現金で保管する
  • 自動車を親族名義へ変更する
  • 不動産を低額で譲渡する

といった行為は、財産隠しを疑われる原因になります。

財産を正確に申告しなければ、免責だけでなく破産手続そのものにも大きな影響を及ぼします。

一部の債権者だけに返済した場合

特定の債権者だけに返済する偏頗弁済も免責不許可事由となります。 自己破産では、すべての債権者を平等に扱うことが原則です。

そのため、

  • 親族からの借金だけ返済する
  • 勤務先からの借入れだけ返済する
  • 親しい知人への借金だけ返済する

といった行為は、他の債権者との公平を害するため問題視されます。

クレジットカードの現金化を行った場合

クレジットカードの現金化も免責不許可事由に該当する可能性があります。 商品を購入して換金する方法や、現金化業者を利用する方法はいずれも問題となります。

クレジットカード会社は本来の利用目的とは異なる使い方を禁止しており、返済能力がない状態で現金化を行った場合には、裁判所から厳しく判断されることがあります。

返済できないと分かりながら借入れをした場合

返済の見込みがないにもかかわらず借入れを行った場合も免責に影響することがあります。 たとえば、すでに返済不能な状態であることを認識しながら、新たな借入れやクレジットカード利用を繰り返していた場合には、その経緯が確認されます。

裁判所は借入れ当時の収入状況や返済計画の有無、借入れの必要性などを踏まえて事情を検討します。

返済できない状況であっても、借金の原因や手続中の行為によっては免責が認められないことがあります。 そのため、自己破産を検討する際には、借金額や収入状況だけでなく、借入れの経緯や財産の管理状況についても正確に整理しておくことが重要です。

生活費の圧迫が原因である場合、基本的に免責不許可事由には該当しづらいでしょう。

免責不許可事由があっても自己破産できる?裁量免責が認められるケース

ギャンブルや浪費などの免責不許可事由があるからといって、必ず免責が認められなくなるわけではありません。

破産法は、免責不許可事由が存在する場合でも、裁判所が事情を総合的に考慮して免責を許可できる仕組みを設けています。これを「裁量免責」といいます。

実務上も、免責不許可事由がある申立てのすべてで免責が認められなくなるわけではありません。むしろ、免責不許可事由が存在していても最終的に免責が許可されるケースは少なくありません。

裁判所は、単に浪費やギャンブルがあったという事実だけではなく、借金をした経緯や反省の程度、その後の生活状況、破産手続への協力度などを総合的に評価します。

例えば、次のような事情は裁量免責に有利な要素として考慮されることがあります。

  • 借金の原因を十分に反省している
  • 家計管理を見直している
  • 収支状況を正確に申告している
  • 裁判所や破産管財人の調査に誠実に対応している
  • 財産隠しや虚偽説明をしていない
  • 再発防止のための具体的な取り組みを行っている

反対に、破産申立て後も浪費を続けている場合や、財産を隠したり裁判所に虚偽の説明をしたりした場合には、裁量免責が認められにくくなります。

また、免責不許可事由があるケースでは、同時廃止事件ではなく管財事件として扱われることが多く、破産管財人による調査を受けることがあります。その調査結果も裁量免責の判断材料になります。

そのため、免責不許可事由がある場合には、「自己破産できない」と考えるのではなく、裁判所がどのような事情を重視するのかを踏まえて申立ての準備を進めることが重要です。

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自己破産するとどうなる?財産・仕事・家族への影響

自己破産を検討する際には、条件を満たせるかだけでなく、手続後にどのような影響が生じるのかを理解しておくことが重要です。 「すべての財産を失う」「家族も自己破産しなければならない」などの誤解も少なくありません。

実際には、自己破産によって生じる影響には法律上の範囲があり、影響を受けるものと受けないものが明確に分かれています。

一定以上の財産は処分の対象になる

自己破産をすると、債権者への配当に充てるため一定以上の財産は処分されることがあります。

例えば、

  • 自宅
  • 高額な預貯金
  • 株式や投資信託
  • 解約返戻金の大きい生命保険
  • 一定以上の価値がある自動車

などは換価対象になる可能性があります。

もっとも、自己破産をするとすべての財産を失うわけではありません。

破産法では自由財産が認められており、生活に必要な一定の財産は手元に残すことができます。そのため、手続後の生活そのものができなくなるわけではありません。

借金の支払義務は原則として免除される

免責許可決定が確定すると、原則として借金の支払義務は免除されます。

例えば、

  • 消費者金融からの借入れ
  • クレジットカード債務
  • 銀行カードローン
  • 個人からの借金

などは免責の対象になります。

もっとも、すべての債務が免責されるわけではありません。

例えば、

  • 税金
  • 健康保険料等の公租公課
  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償債務
  • 養育費等の一定の家族関係債務

などは非免責債権として支払義務が残ります。

信用情報に事故情報が登録される

自己破産をすると信用情報機関に事故情報が登録されます。

その結果として、

  • 新たな借入れ
  • クレジットカードの作成
  • ローン契約

などが一定期間難しくなります。

事故情報が登録される期間は信用情報機関によって異なりますが、一般的には数年間影響が続きます。

そのため、自己破産後は現金やデビットカードなどを中心とした生活設計を考える必要があります。

一時的に就けなくなる職業がある

破産手続中は一部の資格や職業に制限が生じます。

例えば、

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 税理士
  • 宅地建物取引士
  • 警備員

などについては、法律上の資格制限が生じることがあります。

もっとも、これは破産手続中の一時的な制限です。

免責許可決定が確定し復権すると、原則として資格制限は解除されます。

家族が自己破産する必要はない

本人が自己破産しても、家族まで自己破産しなければならなくなるわけではありません。

自己破産は個人単位の手続です。そのため、配偶者や子ども、親が当然に借金の支払義務を負うことはありません。また、家族名義の財産まで当然に処分されるわけでもありません。

もっとも、家族が保証人になっている場合には、債権者から保証人に対して請求が行われます。そのため、保証人がいる場合には、自己破産による影響を事前に検討しておく必要があります。

自己破産は、少なくとも法的には本人のみの個人的な問題です。家族だからといって何らかの影響を受けるという関係には立たないのが通常です。

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自己破産できない場合はどうする?検討される他の債務整理

自己破産の条件を満たさない場合でも、借金問題を解決する方法がなくなるわけではありません。 支払不能と認められない場合や、自己破産以外の手続が適している場合には、他の債務整理手続を検討することになります。

債務整理には複数の種類があり、収入状況や借金額、保有財産などによって適した手続は異なります。

任意整理

安定した収入があり、元本を分割返済できる場合には任意整理が選択肢になります。

任意整理は、裁判所を利用せずに債権者と交渉し、将来利息や遅延損害金のカットを求める手続です。

例えば、

  • 借金額が比較的少ない
  • 毎月一定額の返済は可能
  • 家や車を処分したくない
  • 一部の債権者だけ整理したい

といった場合に利用されることがあります。

もっとも、元本そのものが大きく減額される手続ではありません。そのため、利息がなくなっても返済を続けることが難しい場合には適さないことがあります。

個人再生

継続的な収入があり、自宅を残したい場合には個人再生が有力な選択肢になります。

個人再生は、裁判所を利用して借金を大幅に減額し、原則として3年から5年で返済する手続です。

例えば500万円の借金であれば、条件によっては100万円程度まで減額できることがあります。

また、住宅資金特別条項を利用できる場合には、住宅ローンを継続して支払いながら自宅を維持できる可能性があります。

そのため、

  • 住宅ローンがある
  • 自宅を失いたくない
  • 一定の返済能力はある

という場合には、自己破産より個人再生が適していることがあります。

自己破産が適しているケース

返済能力が失われており、任意整理や個人再生による返済も難しい場合には自己破産が有力な選択肢になります。

例えば、

  • 無職である
  • 収入が著しく少ない
  • 病気や高齢により収入回復が見込めない
  • 借金額が大きく返済計画を立てられない

といった場合には、返済を前提とする手続では解決が難しいことがあります。

そのような場合には、借金の支払義務の免除を目指す自己破産が現実的な解決策になります。

どの手続が適しているかは個別に判断する必要がある

債務整理は、借金額だけで選ぶものではありません。

例えば同じ500万円の借金でも、

  • 安定収入がある人
  • 無職の人
  • 持ち家がある人
  • 持ち家がない人

では適した手続が異なります。

また、自己破産の条件を満たしていたとしても、財産を維持したいという事情から個人再生を選択するケースもあります。

そのため、自己破産できるかどうかだけを検討するのではなく、自身の収入、財産、家族状況、今後の生活設計まで踏まえて、どの債務整理手続が適しているかを検討することが重要です。

自己破産の条件を弁護士へ相談するメリット

自己破産の条件に該当するかどうかは、借金額だけでは判断できません。 裁判所は収入、財産、家計状況、借入れの経緯などを総合的に確認するため、自分では自己破産できないと思っていても、実際には自己破産が適切なケースがあります。

反対に、自己破産を考えていても、任意整理や個人再生の方が適している場合もあります。

自己破産できるかどうかを早期に判断できる

弁護士へ相談することで、自己破産の条件を満たしているかを早い段階で把握できます。

借金問題を抱えている方の中には、

  • 借金額が少ないから自己破産できない
  • 会社員だから自己破産できない
  • ギャンブルによる借金だから無理だ

と考えている方も少なくありません。

しかし、実際には借金額だけで自己破産の可否は決まりませんし、ギャンブルや浪費がある場合でも裁量免責が認められることがあります。

早い段階で相談することで、現在の状況に適した手続を把握しやすくなります。

必要書類や手続の準備を進めやすくなる

自己破産では、多くの資料を準備しなければなりません。

例えば、

  • 給与明細
  • 源泉徴収票
  • 預金通帳
  • 保険証券
  • 借入れ資料
  • 家計収支表

などが必要になります。

また、個人事業主の場合には売上資料や確定申告書なども求められます。

資料が不足していたり説明が不十分だったりすると、手続が長期化することがあります。弁護士へ相談することで、どの資料を準備すべきかを整理しながら進めることができます。

債権者からの督促を止められる

弁護士へ依頼すると、債権者からの督促や取立てを停止できる場合があります。

弁護士が受任通知を送付すると、多くの貸金業者は本人への直接連絡を停止します。

借金問題では、

  • 督促電話
  • 督促状
  • 返済催促

による精神的負担が大きくなることがあります。

督促が止まることで、今後の生活再建や手続準備に集中しやすくなります。

財産処分や偏頗弁済などのリスクを回避しやすくなる

自己破産を検討している段階での行動によっては、手続に不利益が生じることがあります。

例えば、

  • 財産を家族名義へ移転する
  • 一部の債権者だけ返済する
  • 借入れを続ける

といった行為は、後の手続で問題視される可能性があります。

自己判断で対応すると、裁判所や破産管財人への説明が難しくなることもあります。早期に相談することで、そのようなリスクを避けながら手続を進めやすくなります。

自己破産以外の選択肢も含めて検討できる

弁護士へ相談する最大のメリットは、自己破産ありきではなく最適な解決方法を検討できることです。

自己破産の条件を満たしていたとしても、

  • 自宅を残したい
  • 職業上の影響を抑えたい
  • 一定の返済能力がある

という事情があれば、個人再生や任意整理の方が適している場合があります。

逆に、返済の見込みがないにもかかわらず任意整理を選択すると、返済が続かず再び債務整理が必要になることもあります。

そのため、自己破産できるかどうかだけで判断するのではなく、自身の状況に最も適した解決方法を選択することが重要です。

自己破産をすべきか検討することも、実際に自己破産を行うことも、自分ではなかなか難しいことが通常です。専門家の意見を仰ぐことをお勧めします。

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自己破産の条件に関するFAQ

借金が少額でも自己破産できますか?

借金額が少額であっても、支払不能と認められれば自己破産できる可能性があります。

自己破産の可否は借金額だけで決まるものではありません。収入や財産の状況から見て返済を継続できない状態であれば、数百万円以下の借金であっても自己破産が認められることがあります。

反対に、借金額が大きくても十分な返済能力がある場合には、自己破産が認められないことがあります。

無職でも自己破産できますか?

無職でも自己破産は可能です。

自己破産では、現在の返済能力が重視されます。そのため、無職で収入がなく借金を返済できない状態であれば、支払不能と判断されることがあります。

もっとも、多額の預貯金や換価可能な財産を保有している場合には、その財産を返済に充てられると判断されることがあります。

ギャンブルによる借金でも自己破産できますか?

ギャンブルによる借金であっても、免責が認められる可能性があります。

ギャンブルは免責不許可事由に該当しますが、それだけで必ず免責が認められなくなるわけではありません。

裁判所は、借金の経緯だけでなく、反省状況や家計改善の取組み、手続への協力状況なども踏まえて判断します。

自己破産すると家族に影響しますか?

本人が自己破産しても、家族が当然に自己破産しなければならなくなるわけではありません。

自己破産は個人単位の手続であり、配偶者や子どもが借金の支払義務を負うことはありません。

もっとも、家族が保証人になっている場合には、債権者から保証人へ請求が行われます。また、家計資料の提出が必要になることもあります。

自己破産するとすべての財産を失いますか?

自己破産をしても、すべての財産を失うわけではありません。

自宅や高額な財産は処分の対象になることがありますが、生活に必要な一定の財産は自由財産として手元に残すことができます。

そのため、自己破産後の生活基盤が完全になくなるわけではありません。

自己破産できない場合はどうなりますか?

自己破産が難しい場合でも、任意整理や個人再生などの債務整理手続を利用できる可能性があります。

安定した収入がある場合には任意整理や個人再生によって借金問題を解決できることがあります。

どの手続が適しているかは、借金額だけでなく、収入、財産、家族状況、今後の返済見込みなどを踏まえて判断する必要があります。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

自己破産と個人再生の違いを比較|家・仕事・借金減額への影響を弁護士が解説

自己破産と個人再生のどちらを選ぶべきか迷っていませんか。

借金の返済が難しくなった場合、自己破産と個人再生はいずれも有力な選択肢になります。しかし、借金がどこまで減るのか、持ち家を残せるのか、仕事への影響はあるのかなど、両者には重要な違いがあります。適切な手続は、借金額だけでなく、収入状況や財産の内容、住宅ローンの有無などによって変わります。

十分に比較しないまま手続を選ぶと、持ち家を手放す結果になったり、返済計画を継続できず生活再建が難しくなったりすることがあります。

この記事では、自己破産と個人再生の違いを比較表で整理したうえで、それぞれの特徴や向いているケース、家を残したい場合の考え方などを解説します。

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自己破産と個人再生の違いとは?借金減額・家・仕事への影響を比較

債務整理には主に3種類ある

債務整理には、借金の負担を軽減するための手続として、任意整理・個人再生・自己破産の3種類があります。

任意整理は裁判所を利用せずに債権者と交渉し、将来利息や遅延損害金の減額を目指す手続です。一方、個人再生と自己破産は裁判所を利用する手続であり、借金の元本そのものを大幅に減額したり、支払義務の免除を受けたりできる点に特徴があります。

借金額が大きく、任意整理による解決が難しい場合には、個人再生と自己破産のどちらを選択するかが重要な判断ポイントになります。

もっとも、自己破産と個人再生は「借金を減らす手続」という共通点がある一方で、制度の目的や利用条件、財産への影響は大きく異なります。借金額だけで判断するのではなく、収入状況や財産の内容、住宅ローンの有無などを踏まえて検討することが重要です。

自己破産と個人再生の違いがひと目でわかる比較一覧

自己破産と個人再生の主な違いは次のとおりです。

比較項目自己破産個人再生
借金減額幅原則として全額免除大幅減額後に返済
財産処分一定以上の財産は処分原則維持可能
持ち家原則失う条件次第で維持可能
継続収入必須ではない必要
職業制限手続中のみ一部ありなし
手続期間比較的短い比較的長い
ブラックリスト登録される登録される

自己破産は借金の免除を重視する制度であり、個人再生は財産の維持と生活再建を重視する制度です。

ただし、実際の手続選択では一つの項目だけで判断できるわけではありません。家を残せても返済を継続できなければ個人再生は利用しにくくなりますし、収入があっても財産状況や借金額によっては自己破産を選択した方が生活再建につながることもあります。

そのため、借金の減額効果だけでなく、財産への影響や返済可能性も含めて比較することが大切です。

借金はどこまで減る?

借金の減額効果を重視する場合は自己破産の方が有利です。

自己破産では、裁判所から免責許可を受けることで、税金など一部の債務を除き借金の支払義務が免除されます。

これに対し、個人再生は借金を一定額まで減額したうえで返済を続ける制度です。 借金がなくなるわけではなく、減額後の借金を原則3年で返済しなければなりません。

返済に充てられる収入がない場合や、減額後でも返済が困難な場合は、自己破産が現実的な選択肢となるケースが多くなります。

財産は残せる?

財産を維持しやすいのは個人再生です。

自己破産では、不動産や高額な預貯金、自動車など一定以上の価値がある財産は換価処分の対象になります。

一方、個人再生では財産そのものを処分せずに手続を進められる場合が多くあります。

ただし、財産が多い場合には「清算価値保障原則」により、その財産額以上の返済が必要になります。財産を残せることと返済負担が軽くなることは別の問題です。

持ち家への影響は?

持ち家を維持したい場合には個人再生が有力な選択肢になります。

自己破産では、自宅不動産は原則として換価処分の対象になります。

これに対し、個人再生では住宅ローン特則を利用できる場合があります。

住宅ローンを従来どおり返済しながら、それ以外の借金だけを減額できるため、条件を満たせば自宅を残せる可能性があります。

そのため、住宅ローンが残る持ち家がある場合には個人再生を優先的に検討することが一般的です。

継続収入は必要?

個人再生では継続的な収入が必要です。

個人再生は減額後の借金を返済する制度であるため、将来にわたって返済を継続できる見込みが求められます。

一方、自己破産は返済できない状態を前提とする制度です。

そのため、収入が少ない方や無職の方でも利用できる場合があります。

職業制限はある?

職業制限があるのは自己破産のみです。

自己破産では、手続中に一部の資格や職業に制限が生じます。

代表例として、弁護士、司法書士、宅地建物取引士、生命保険募集人、警備員などがあります。

もっとも、これらは手続中に限られる一時的な制限です。

個人再生ではこのような資格制限はありません。

手続にかかる期間は?

一般的には個人再生の方が自己破産より時間がかかります。

自己破産は事案によって異なりますが、半年から1年程度で終了するケースが多く見られます。

一方、個人再生では再生計画案の作成や裁判所による認可手続が必要となるため、比較的長期間を要します。

また、認可後も減額された借金の返済を続ける必要があります。

ブラックリストは何年?

自己破産と個人再生のどちらを選んでも信用情報への登録は避けられません。

信用情報機関に事故情報が登録されている期間は、新たな借入れやクレジットカードの作成、ローン契約などが難しくなります。

そのため、信用情報への影響だけを理由に手続を選び分けることは適切ではありません。

重要なのは、借金の減額効果、財産への影響、返済可能性などを総合的に比較し、自身の状況に合った手続を選択することです。

自己破産とは?個人再生との違いを踏まえてわかりやすく解説

自己破産の基本的な仕組み

自己破産とは、裁判所を通じて借金の支払義務の免除を目指す手続です。

借金の返済を継続することが困難な場合に利用され、裁判所から免責許可を受けることで、税金など一部を除く借金の支払義務が免除されます。

個人再生との大きな違いは、自己破産が返済義務の免除を目的とする制度であるのに対し、個人再生は借金を減額したうえで返済を続ける制度である点です。

そのため、減額後の借金であっても返済が難しい場合には、自己破産が選択肢になります。

自己破産の主なメリット

自己破産の最大のメリットは、借金問題を根本的に解決できる可能性があることです。

個人再生では減額後の借金を返済し続ける必要がありますが、自己破産では免責が認められれば返済義務そのものがなくなります。

また、個人再生のように継続収入が必要とされないため、収入が少ない方や失業中の方でも利用できる場合があります。

自己破産の主なデメリット

自己破産では一定以上の価値がある財産を維持できない場合があります。

個人再生では財産を残せるケースがありますが、自己破産では不動産などの財産が換価処分の対象になることがあります。

また、手続中は一部の資格や職業に制限が生じるため、現在の職業によっては影響の有無を確認する必要があります。

自己破産が向いているケース

自己破産が向いているのは、借金を減額しても返済を続けることが難しいケースです。

たとえば、

  • 収入が少ない
  • 失業中である
  • 借金額が大きい
  • 返済の見通しが立たない

といった場合には、個人再生より自己破産が適していることがあります。

一方で、自宅を維持したい場合や、減額後の借金なら返済できる場合には、個人再生を検討する余地があります。

個人再生と比較した場合の特徴

自己破産は借金の減額効果を重視する制度であり、個人再生は財産の維持を重視する制度です。

自己破産の方が借金問題を解決する効果は大きい一方で、財産への影響は個人再生より大きくなります。

そのため、

  • 返済能力を重視するなら自己破産
  • 持ち家や財産の維持を重視するなら個人再生

という傾向があります。

もっとも、実際には収入や財産、住宅ローンの状況などによって適切な手続は変わります。制度名だけで判断するのではなく、自身の状況に照らして検討することが重要です。

自己破産は、経済生活をリセットし、ゼロから始めるための手続です。良くも悪くも財産関係をリセットすることを目指す動きになる点には注意しましょう。

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個人再生とは?自己破産との違いを踏まえてわかりやすく解説

個人再生の基本的な仕組み

個人再生とは、借金を大幅に減額したうえで、原則3年かけて返済する裁判所の手続です。

自己破産のように借金の支払義務が免除されるわけではありませんが、借金総額に応じて大幅な減額を受けられる可能性があります。

たとえば、借金総額が500万円の場合、最低弁済額が100万円となり、減額後の100万円を分割して返済するケースがあります。

自己破産との大きな違いは、個人再生は返済を前提とする制度であり、継続的な収入が必要になる点です。

そのため、安定した収入がある方が利用しやすい制度といえます。

個人再生の主なメリット

個人再生の最大のメリットは、財産を維持しながら借金を大幅に減額できる可能性があることです。

自己破産では処分対象となる財産があっても、個人再生では維持できるケースがあります。

また、住宅ローン特則を利用できる場合には、自宅を残しながらその他の借金だけを減額することも可能です。

さらに、自己破産と異なり資格制限がないため、現在の職業への影響を抑えながら手続を進められます。

個人再生の主なデメリット

個人再生では減額後の借金を返済し続けなければなりません。

借金が大幅に減額されるとはいえ、返済義務がなくなるわけではないため、毎月の返済原資を確保する必要があります。

また、継続収入がなければ利用できないため、失業中の方や収入が不安定な方には利用が難しい場合があります。

さらに、再生計画どおりに返済できなければ手続の維持が困難になることもあります。

個人再生が向いているケース

個人再生が向いているのは、減額後であれば借金を返済できる見込みがあるケースです。

たとえば、

  • 安定した給与収入がある
  • 自営業収入が継続している
  • 持ち家を残したい
  • 自己破産による財産処分を避けたい

といった場合には、個人再生が有力な選択肢になります。

一方で、減額後の借金であっても返済の見込みが立たない場合には、自己破産の方が適していることがあります。

そのため、借金額だけではなく、減額後の返済を最後まで継続できるかが重要な判断基準になります。

自己破産と比較した場合の特徴

個人再生は「財産を維持しながら生活再建を目指す制度」という点に特徴があります。

自己破産の方が借金の減額効果は大きいものの、持ち家やその他の財産への影響は個人再生の方が小さい傾向があります。

また、自己破産では一時的な資格制限が生じる場合がありますが、個人再生にはそのような制限はありません。

そのため、

  • 持ち家を残したい
  • 継続収入がある
  • 減額後なら返済できる

という場合には、個人再生が有力な選択肢になります。

もっとも、返済計画を継続できなければ個人再生を選ぶ意味は薄くなります。財産を維持できるかだけでなく、返済可能性まで含めて判断することが重要です。

個人再生は、自己破産と異なって今後の生活の計画をしっかり立てる必要があります。経済的な立て直しの見通しが立っていることが必要になりやすい点に注意しましょう。

自己破産と個人再生で最大の違いは「家を残せるか」

自己破産では持ち家を失うのが原則

自己破産では、持ち家を維持することは原則としてできません。

自己破産では、債権者への配当に充てるため、一定以上の価値がある財産は換価処分の対象になります。自宅不動産は代表的な換価財産であり、住宅ローンの有無にかかわらず処分されるのが原則です。

住宅ローンが残っている場合には、金融機関が抵当権を実行して競売に進むことが一般的です。また、住宅ローンを完済している場合でも、不動産自体に価値があれば破産管財人によって売却される可能性があります。

そのため、持ち家を維持したいという希望が強い場合には、自己破産以外の方法を検討する必要があります。

もっとも、不動産の価値や共有関係などによって扱いが異なる場合もあるため、具体的な見通しは個別に確認することが重要です。

個人再生なら住宅ローンが残っていても家を残せる場合がある

個人再生の大きな特徴は、自宅を維持できる可能性があることです。

個人再生では、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用することで、住宅ローンは従来どおり返済しながら、それ以外の借金だけを減額できる場合があります。

たとえば、

  • 住宅ローン 2,000万円
  • 消費者金融等 500万円

という場合、住宅ローンはそのまま支払いを続け、500万円の借金だけを減額することが可能です。

自己破産では自宅の維持が困難であるため、持ち家を残したいという事情は個人再生を選択する大きな理由になります。

ただし、自宅があるから必ず個人再生を利用できるわけではありません。継続収入が必要であり、減額後の借金を返済できる見込みも求められます。

住宅ローン特則を利用できる条件

個人再生で持ち家を残すためには、住宅ローン特則を利用できることが重要です。

主な条件としては、

  • 本人が居住している住宅であること
  • 住宅取得のためのローンであること
  • 自宅を担保に事業資金などを借り入れていないこと
  • 個人再生の利用要件を満たしていること

などが挙げられます。

反対に、これらの条件を満たさない場合には住宅ローン特則を利用できず、自宅を維持できない可能性があります。

また、住宅ローンの滞納が長期間続き、すでに競売手続が大きく進行している場合には、個人再生を申し立てても自宅を維持することが難しくなることがあります。

持ち家を残せるかどうかは住宅ローン特則を利用できるかによって大きく左右されるため、住宅ローンの返済が難しくなった段階で早めに対応することが重要です。

「家を残したい」だけで個人再生を選ぶリスク

家を残したいという理由だけで個人再生を選ぶことは適切ではありません。

個人再生では、住宅ローンに加えて減額後の借金も返済しなければなりません。

たとえば、住宅ローンの返済だけでも家計に余裕がない場合には、借金が減額されても返済計画を継続できない可能性があります。

その場合、個人再生を利用しても再生計画どおりの返済ができず、結果として生活再建が難しくなることがあります。

重要なのは、

  • 家を残したいか
  • 返済を継続できるか

の両方を検討することです。

持ち家を維持できる可能性だけではなく、減額後の返済計画を最後まで実行できるかという視点で手続を選択する必要があります。

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個人再生をすると借金はいくらまで減る?

最低弁済額の基本ルール

個人再生では、借金がどれだけ減るかを考える際の出発点となるのが最低弁済額です。

個人再生は借金を一律に一定割合まで減額する制度ではありません。法律で定められた最低弁済額以上を返済することが必要とされており、その金額は借金総額によって異なります。

主な基準は次のとおりです。

借金総額最低弁済額
100万円未満全額
100万円以上500万円以下100万円
500万円超1,500万円以下借金額の5分の1
1,500万円超3,000万円以下300万円
3,000万円超5,000万円以下借金額の10分の1

たとえば借金総額が500万円の場合、多くのケースでは100万円まで圧縮できる可能性があります。

もっとも、実際の返済額は借金総額だけで決まるわけではありません。保有している財産額などによって返済額が増えることがあります。

借金総額ごとの減額イメージ

個人再生では借金額が大きいほど減額効果も大きくなる傾向があります。

具体例として、財産状況などの影響を考慮しない単純なイメージを示すと次のようになります。

借金総額再生後の返済額の目安
300万円100万円
500万円100万円
1,000万円200万円
1,500万円300万円
3,000万円300万円

たとえば借金が1,000万円ある場合、約200万円まで圧縮できるケースがあります。

そのため、借金額が大きい場合には自己破産以外にも個人再生による解決が現実的な選択肢になることがあります。

一方で、借金額が比較的少ない場合には、想像しているほど大きく減額されないケースもあります。

財産が多いと返済額が増えるケースもある

個人再生では財産額によって返済額が増えることがあります。

これは「清算価値保障原則」と呼ばれるルールによるものです。

簡単にいうと、自己破産した場合に債権者へ配当されるはずの財産額より少ない金額しか返済しないことは認められないという考え方です。

たとえば、

  • 預貯金が200万円ある
  • 解約返戻金のある保険を保有している
  • 高額な自動車を所有している

といった場合には、最低弁済額よりも清算価値の方が高くなることがあります。

その場合は、法律上の最低弁済額ではなく、清算価値を基準として返済額が決まります。

財産を維持できることが個人再生のメリットですが、その分返済額が増えることもある点には注意が必要です。

毎月どのくらい返済することになる?

個人再生では、減額後の借金を原則3年で返済します。

もっとも、特別の事情がある場合には、裁判所の許可を得て最長5年まで返済期間を延長できることがあります。

たとえば、

  • 再生後の返済額 100万円

であれば、

  • 月額約2万8,000円

程度の返済になります。

また、

  • 再生後の返済額 300万円

であれば、

  • 月額約8万3,000円

程度の返済が必要になります。

個人再生を利用できるかどうかは、単に借金が減るかではなく、減額後の返済額を継続して支払えるかによって決まります。

そのため、

  • 現在の収入
  • 毎月の生活費
  • 住宅ローンの有無
  • 扶養家族の状況

などを踏まえて返済計画を検討する必要があります。

借金が大幅に減額される見込みであっても、返済計画を継続できなければ個人再生は適切な選択とはいえません。

自己破産と個人再生は結局どちらを選ぶべき?

自己破産が向いている人

減額後の借金であっても返済を継続することが難しい場合は、自己破産が有力な選択肢になります。

自己破産は借金の支払義務の免除を目指す制度であるため、返済能力の回復が見込めない場合でも利用できる可能性があります。

たとえば、

  • 収入が少なく返済原資を確保できない
  • 失業や病気によって返済の見通しが立たない
  • 借金額が大きく個人再生でも返済が困難
  • 維持したい持ち家や高額な財産がない

といったケースでは、自己破産が適していることがあります。

個人再生は借金を減額できても返済義務は残るため、返済計画の実現可能性が低い場合には自己破産の方が生活再建につながりやすいといえます。

個人再生が向いている人

減額後であれば借金を返済できる見込みがあり、維持したい財産がある場合は個人再生が有力な選択肢になります。

個人再生では借金が大幅に減額される一方で、財産を維持できる可能性があります。

たとえば、

  • 安定した給与収入がある
  • 自営業収入が継続している
  • 持ち家を残したい
  • 自己破産による財産処分を避けたい

といったケースでは、個人再生を検討する価値があります。

もっとも、借金が減ることだけを理由に個人再生を選ぶべきではありません。返済計画を最後まで継続できることが前提になります。

「家を残したい人」は個人再生を検討しやすい

持ち家を維持したい場合には、まず個人再生を検討することが一般的です。

自己破産では自宅を維持することが難しい一方で、個人再生では住宅ローン特則を利用できる可能性があります。

そのため、自宅を残したいという希望は、自己破産と個人再生を分ける重要な判断要素になります。

ただし、持ち家を維持できたとしても、住宅ローンと減額後の借金の両方を返済できなければ生活再建は実現できません。

そのため、家を残せるかだけではなく、家を残した状態で返済を継続できるかまで検討する必要があります。

返済を継続できるかが重要な判断ポイント

自己破産と個人再生のどちらを選ぶべきかを考える際は、返済能力の有無が最も重要な判断基準になります。

個人再生を利用できる条件を満たしていても、実際には返済計画が厳しすぎるケースがあります。

たとえば、

  • 残業代がなければ家計が赤字になる
  • ボーナスを前提にしなければ返済できない
  • 住宅ローンの負担が大きい

といった状況では、個人再生後の返済が継続できない可能性があります。

反対に、減額後の返済額に十分対応できる収入がある場合には、個人再生によって財産を維持しながら生活再建を目指せることがあります。

現在の収入だけではなく、数年間にわたり安定して返済を続けられるかという視点で判断することが重要です。

判断に迷いやすいケース

自己破産と個人再生のどちらが適切か判断しにくいケースもあります。

たとえば、

  • 持ち家は残したいが家計に余裕がない
  • 自営業で収入の変動が大きい
  • 退職予定がある
  • 家族構成の変化が見込まれる

といったケースです。

このような場合には、現在の収支だけではなく、今後の収入見込みや支出の変化も考慮する必要があります。

自己破産と個人再生は、それぞれ向いている人が明確に異なる制度です。どちらが有利かを一律に決めることはできず、自身の収入、財産、住宅ローンの状況などを踏まえて判断することが重要です。

自己破産と個人再生でよくある誤解

自己破産しても人生が終わるわけではない

自己破産をすると人生が終わると考える方もいますが、そのようなことはありません。

自己破産は借金問題を解決し、生活を立て直すために法律で認められた制度です。

確かに、

  • 信用情報への登録
  • 一定の財産の処分
  • 一時的な資格制限

といった影響はあります。

しかし、これらの不利益は永続的なものではありません。

借金の返済に追われ続ける状態から抜け出し、生活再建を図ることが自己破産制度の目的です。

そのため、自己破産をしたという事実だけで就職や結婚ができなくなるわけではありません。

自己破産しても戸籍や住民票には載らない

自己破産をしても戸籍や住民票に記載されることはありません。

自己破産をすると公的な身分記録に残ると誤解されることがありますが、戸籍や住民票に破産の事実が記載される制度はありません。

そのため、戸籍謄本や住民票を取得した第三者が、自己破産した事実を確認することはできません。

また、転籍や引っ越しをした場合に戸籍や住民票へ記録が引き継がれることもありません。

自己破産しても選挙権はなくならない

自己破産をしても選挙権を失うことはありません。

破産によって政治的権利や市民としての基本的な権利が制限されることはありません。

そのため、

  • 選挙で投票する
  • 公職選挙に立候補する

といった権利は維持されます。

自己破産によって失われるのは借金の支払義務に関する法律上の効果であり、国民としての権利とは別の問題です。

個人再生でもブラックリストには登録される

ブラックリストを避けるために個人再生を選んでも意味はありません。

自己破産だけでなく、個人再生も信用情報機関へ事故情報が登録されます。

そのため、

  • クレジットカードの作成
  • 各種ローン契約
  • 新たな借入れ

などは一定期間難しくなります。

自己破産と個人再生の違いを比較する際は、信用情報への影響ではなく、借金の減額効果や財産への影響を重視するべきです。

家族が借金を肩代わりするわけではない

自己破産や個人再生をしても、家族が自動的に借金を負担することはありません。

借金は契約した本人の債務であり、配偶者や親、子どもが当然に返済義務を負うわけではありません。

ただし、家族が保証人になっている場合には注意が必要です。

保証人には請求が及ぶため、保証人がいる借金については事前に影響を確認しておく必要があります。

会社に必ず知られるわけではない

自己破産や個人再生をしたことが勤務先へ必ず通知されるわけではありません。

裁判所が勤務先へ手続の事実を連絡する制度はありません。

そのため、通常の会社員であれば、手続をしたことだけを理由に勤務先へ知られるケースは多くありません。

もっとも、

  • 給与差押えが行われている
  • 会社から借入れをしている
  • 特定の資格職に就いている

といった事情がある場合には、勤務先へ知られる可能性があります。

そのため、「絶対に知られない」と考えるのではなく、自身の状況に応じて検討することが重要です。

自己破産も個人再生も、その後の生活に大きな制限の生じる手続ではありません。ただし、カードやローンなどお金に関する点だけは不自由が避けられないところです。

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自己破産と個人再生でよくある質問

個人再生と自己破産はどちらを選ぶ人が多い?

個人再生と自己破産のどちらが多いかは、借金の状況や収入状況によって異なります。

一般的には、減額後の返済を継続できる見込みがある場合には個人再生、返済が難しい場合には自己破産が選択される傾向があります。

また、持ち家を維持したいという理由から個人再生を選択するケースも少なくありません。

どちらが有利というものではなく、自身の状況に適した手続を選ぶことが重要です。

個人再生をすると車は残せる?

個人再生をした場合でも、車を維持できるケースがあります。

もっとも、自動車ローンが残っている場合には注意が必要です。

ローン会社が所有権留保を設定している場合には、個人再生によって車両を引き揚げられることがあります。

一方で、ローンを完済している場合や、車両価値が高くない場合には維持できるケースがあります。

実際に維持できるかどうかは、ローン契約の内容や車両価値によって異なります。

自己破産すると賃貸住宅は退去になる?

自己破産をしたことだけを理由として賃貸住宅を退去しなければならないわけではありません。

自己破産によって賃貸借契約が当然に終了する制度はありません。

そのため、家賃を滞納していなければ、そのまま住み続けられるケースが一般的です。

もっとも、家賃滞納が続いている場合には、自己破産とは別の問題として契約解除や明渡しの問題が生じることがあります。

ギャンブルや浪費があっても自己破産できる?

ギャンブルや浪費があっても、直ちに自己破産できなくなるわけではありません。

ギャンブルや浪費は免責不許可事由に該当する可能性があります。

もっとも、実務上は事情を総合的に考慮したうえで裁量免責が認められるケースも少なくありません。

そのため、ギャンブルや浪費があった場合でも、自己判断で手続を諦めるべきではありません。

個人再生をすると保証人にはどう影響する?

個人再生をしても保証人の責任はなくなりません。

個人再生によって減額されるのは手続を行った本人の借金です。

保証人が付いている借金については、債権者から保証人へ請求が行われる可能性があります。

この点は自己破産でも基本的に同様です。

保証人がいる場合には、事前に影響を確認したうえで手続を選択する必要があります。

手続途中で自己破産から個人再生へ変更できる?

事情によっては、手続の途中で方針を変更することがあります。

たとえば、

  • 個人再生を予定していたが返済可能性がないと判明した
  • 自己破産を検討していたが個人再生の要件を満たしていた

といったケースです。

もっとも、手続の進行状況によって対応は異なります。

自己破産と個人再生は相互に関連する制度であるため、申立前の段階で十分に比較検討することが重要です。

まとめ:自己破産と個人再生で迷ったら弁護士へ早めに相談を

自己破産と個人再生は、どちらも借金問題を解決するための裁判所の手続ですが、借金の減額効果や財産への影響、利用できる条件が大きく異なります。

一般的には、減額後の借金を返済できる見込みがあり、持ち家などの財産を維持したい場合には個人再生が検討されます。一方で、減額後であっても返済が難しい場合には自己破産が選択肢になります。

もっとも、実際には借金額だけで判断できるものではありません。収入状況、財産の内容、住宅ローンの有無、今後の生活設計などによって適切な手続は変わります。

どちらを選ぶべきか迷う場合には、早い段階で弁護士へ相談し、自身の状況に合った解決方法を検討することが大切です。

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任意整理と自己破産の違いを弁護士が比較|どちらを選ぶべきか判断基準を解説

任意整理と自己破産のどちらを選ぶべきか悩んでいる方もいるでしょう。

どちらも借金問題を解決するための手続ですが、借金の減額効果や財産への影響、手続の負担は大きく異なります。任意整理を選べば必ず自己破産を避けられるわけではなく、返済計画が現実に合っていなければ、途中で支払いが続かなくなることもあります。一方で、自己破産を選んだからといって、一般に考えられているような不利益がすべて生じるわけではありません。

借金の状況に合わない手続を選ぶと、時間や費用をかけたにもかかわらず、結果として別の債務整理を検討しなければならなくなる可能性があります。

本記事では、任意整理と自己破産の違いを比較したうえで、どのような場合に任意整理が適しているのか、どのような場合に自己破産を検討すべきなのかを解説します。また、生活への影響や後悔しやすいケース、自己破産について誤解されやすいポイントも整理します。

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任意整理と自己破産の違いを一覧比較|借金・財産・ブラックリストへの影響はどう違う?

任意整理と自己破産は、どちらも借金問題を解決するための手続ですが、仕組みや効果は大きく異なります。まずは全体像を比較表で確認しましょう。

比較項目任意整理自己破産
借金の減額効果将来利息や遅延損害金のカットが中心原則として借金全額の支払義務の免除を目指す
元本の減額原則なし原則として支払義務の免除
返済義務残る免責が認められればなくなる
裁判所の利用不要必要
財産処分原則不要一定以上の財産は処分対象
官報掲載なしあり
資格制限なし手続中に一部職業制限あり
保証人への影響対象債権を選択可能保証人へ請求が及ぶ
信用情報への登録ありあり
手続期間比較的短い比較的長い

最も大きな違いは「返済義務が残るか」

任意整理と自己破産の最大の違いは、手続後も借金を返済する必要があるかどうかです。

任意整理は、債権者と交渉して将来利息や遅延損害金を免除してもらい、残った元本を分割返済していく手続です。そのため、手続後も返済義務が残るという特徴があります。

例えば、借金が300万円あり、将来利息を免除してもらえた場合でも、300万円の元本自体は返済しなければなりません。一般的には3年から5年程度で返済する内容で和解することが多く、安定した収入が前提となります。

これに対し、自己破産は裁判所に申立てを行い、免責許可決定を受けることで借金の支払義務の免除を目指す手続です。免責が認められれば、原則として借金を返済する必要はなくなります。

そのため、毎月の返済を継続できるかどうかが、任意整理と自己破産を選択する際の重要な判断要素になります。

任意整理は将来利息のカットが中心

任意整理は借金そのものを大幅に減らす手続ではなく、返済負担を軽くする手続です。

任意整理では、主に以下の内容について交渉します。

  • 将来利息の免除
  • 遅延損害金の免除
  • 長期分割払い

例えば、毎月の返済額の多くが利息に充てられている場合、利息がなくなることで元本返済に集中できるようになります。

もっとも、借金総額が大きい場合や、収入に対して返済負担が重すぎる場合には、利息をなくしても返済が難しいことがあります。そのようなケースでは、任意整理では根本的な解決にならないことがあります。

自己破産は借金の支払い義務免除を目指す手続

自己破産は返済の継続が困難な場合に、生活の立て直しを図るための制度です。

借金を返済できない状態に陥った人が、裁判所を通じて経済的な再出発を目指すことを目的としています。

もっとも、自己破産を申し立てれば必ず借金がなくなるわけではありません。裁判所による審査が行われ、免責が認められて初めて借金の支払義務が免除されます。

また、税金や社会保険料、養育費などは免責の対象にならないため、自己破産後も支払い義務が残ります。自己破産は借金問題を抜本的に解決できる可能性がある一方で、一定以上の財産が処分対象になるなどの影響もあるため、借金額や収入状況、保有財産などを踏まえて判断する必要があります。

任意整理と自己破産はどちらが重い?デメリット・生活への影響を比較

任意整理と自己破産のどちらが「重い手続」かは、一概にはいえません。

借金の減額効果だけを見れば自己破産の方が大きいですが、その分、一定以上の財産が処分対象になる可能性があります。一方で、任意整理は財産を維持しやすい反面、借金の返済を続けなければなりません。

そのため、どちらが重いかではなく、自分の状況にどちらが適しているかという視点で比較することが重要です。

ブラックリスト期間の違い

任意整理と自己破産のいずれを選んでも、信用情報機関には事故情報が登録されます。

一般に「ブラックリスト」と呼ばれる状態です。

事故情報が登録されると、

  • クレジットカードの新規作成
  • ローン契約
  • 信販会社を利用した分割払い

などが難しくなります。

信用情報機関や登録事由によって差はありますが、一般的には、

  • 任意整理:完済から約5年
  • 自己破産:免責許可決定等から約5~7年

が登録期間の目安です。

そのため、自己破産の方がやや長く登録される場合はありますが、任意整理を選んでも5年程度は信用取引に制限が生じることが一般的です。

また、事故情報が登録されている期間は、新たな借入れやクレジットカードの利用が難しくなる点は共通しています。

そのため、ブラックリスト期間だけで手続を選ぶのではなく、返済を継続できるかどうかを優先して判断することが重要です。

財産への影響の違い

財産への影響は、任意整理と自己破産を比較するうえで最も大きな違いの一つです。

任意整理では、原則として財産を処分する必要はありません。

預貯金や自動車、自宅などを保有していても、それだけを理由として失うことはありません。

これに対し、自己破産では、一定以上の価値がある財産について換価処分が行われ、債権者への配当に充てられることがあります。

例えば、

  • 持ち家
  • 高額な預貯金
  • 価値の高い自動車
  • 株式などの有価証券

を保有している場合は、処分対象となる可能性があります。

そのため、維持したい財産があるかどうかは、手続選択に大きく影響します。

家族への影響の違い

任意整理と自己破産のいずれも、家族の借金になるわけではありません。

借金は契約した本人の債務であり、家族が当然に返済義務を負うことはありません。

もっとも、保証人になっている場合は別です。

任意整理では対象とする債権者を選べるため、保証人が付いている借金を手続対象から外せる場合があります。

一方、自己破産では特定の債権者だけを除外することはできないため、保証人に対して請求が行われます。

また、同居家族がいる場合は、

  • 郵便物
  • 裁判所からの連絡
  • 家計状況の確認資料

などから、債務整理を行っていることを知られる可能性があります。

ただし、手続をしただけで家族の信用情報に影響が及ぶことはありません。

職業制限の違い

職業制限が生じる可能性があるのは自己破産です。

任意整理では職業制限はありません。

自己破産では、破産手続開始決定から免責許可決定までの間、一部の資格や職業について制限を受けます。

代表例として、

  • 生命保険募集人
  • 警備員
  • 宅地建物取引士
  • 司法書士
  • 税理士

などがあります。

もっとも、制限は永続するものではありません。

免責許可決定が確定し、復権すれば資格制限はなくなります。

そのため、自己破産をすると一生その仕事に就けなくなるわけではありません。

周囲に知られる可能性の違い

周囲に知られる可能性は、一般的には自己破産の方が高いといえます。

自己破産では裁判所を利用するため、

  • 裁判所への提出書類
  • 官報掲載
  • 財産調査

などが行われます。

もっとも、官報を日常的に確認している人はほとんどいません。

そのため、実際には官報掲載によって知人や勤務先に知られるケースは多くありません。

一方で、任意整理は裁判所を利用しないため、手続自体は比較的知られにくい傾向があります。

ただし、返済用口座の変更や郵送物などをきっかけに家族へ知られることはあります。重要なのは、どちらの手続であっても、対応を誤らなければ周囲に知られる可能性を一定程度抑えられることです。

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任意整理と自己破産はどちらを選ぶべき?弁護士が判断基準を解説

任意整理と自己破産のどちらを選ぶべきかは、借金額だけで決まるものではありません。

同じ300万円の借金であっても、毎月の手取り収入や生活費、家族構成、保有財産によって適切な手続は変わります。

そのため、借金総額だけを見るのではなく、「今後も返済を継続できるか」という観点から判断することが重要です。

任意整理を選びやすいケース

任意整理が適しているのは、利息をなくせば元本を返済できる見込みがある場合です。

例えば、

  • 安定した給与収入がある
  • 毎月一定額の返済原資を確保できる
  • 借金総額が比較的少ない
  • 滞納が長期間続いていない

といったケースでは、任意整理によって返済負担を軽減できる可能性があります。

任意整理では、一般的に3年から5年程度で元本を返済する内容で和解を目指します。

そのため、手続後の返済額を無理なく支払えるかが重要です。

例えば、利息を除いた借金残高が180万円で、5年返済を前提とする場合、毎月約3万円の返済が必要になります。

家計を見直しても毎月3万円程度を継続的に確保できるのであれば、任意整理を検討しやすい状況といえます。

自己破産を検討すべきケース

自己破産を検討すべきなのは、返済を続けても完済の見込みが立たない場合です。

例えば、

  • 収入より返済額が大きい
  • 滞納が続いている
  • 借入れで返済を続けている
  • 生活費を補うために借入れをしている

といった状況では、任意整理をしても解決に至らないことがあります。

借金問題の相談では、「利息がなくなれば返済できると思う」という理由で任意整理を希望される方も少なくありません。

しかし、元本返済だけになっても家計が赤字になる場合は、任意整理後に再び支払いが滞る可能性があります。

そのような状況では、自己破産によって返済義務の免除を目指した方が生活再建につながることがあります。

弁護士は返済可能性をどう判断するか

弁護士は借金額だけではなく、家計全体を見て返済可能性を判断します。

実際の相談では、

  • 給与明細
  • 家計収支
  • 借入状況
  • 保有財産
  • 家族構成

などを確認します。

そのうえで、

  • 毎月いくら返済に充てられるか
  • その状態を3年から5年維持できるか
  • 突発的な支出が発生しても対応できるか

を検討します。

例えば、現在は返済できていても、毎月の収支がほぼゼロの場合には、病気や転職などをきっかけに返済が困難になることがあります。

そのため、現在支払えているかではなく、将来にわたって支払えるかが重要な判断基準になります。

無理な任意整理が危険な理由

任意整理後に返済できなくなると、借金問題の解決がかえって遅れることがあります。

任意整理では和解成立後に返済が始まります。

しかし、

  • 返済計画が現実的でない
  • 収入が不安定
  • 家計に余裕がない

といった状況で手続を進めると、途中で支払いが続かなくなることがあります。

支払いが滞ると、一括請求を受けたり、債権者から訴訟を提起されたりする可能性があります。

その結果、改めて自己破産を検討することになれば、任意整理にかけた時間や費用が無駄になってしまうこともあります。

任意整理から自己破産へ移行するケース

任意整理を行った後に自己破産へ移行するケースは珍しくありません。

例えば、

  • 和解後に収入が減少した
  • 病気で働けなくなった
  • 家計の見込みが甘かった

といった事情により、返済継続が困難になることがあります。

任意整理を選択したこと自体が誤りだったとは限りませんが、当初の返済計画に無理があった場合には、結果として自己破産へ移行する可能性が高くなります。

そのため、手続選択の段階で現実的な返済可能性を見極めることが重要です。

早期相談で選択肢を残しやすくなる

借金問題は、早い段階で相談した方が選択肢を残しやすくなります。

滞納が長期間続いたり、訴訟や差押えが進んだりすると、利用できる手続や対応方法が限られることがあります。

また、借入れで返済を続けている状態を放置すると、借金総額が増え、任意整理で解決できる可能性も低くなります。

そのため、返済が苦しくなった段階で相談することで、任意整理・自己破産のいずれが適切かを検討しやすくなります。

任意整理を選んで後悔しやすいケース|途中で払えなくなる人の特徴とは

任意整理は自己破産に比べて財産への影響を抑えやすい手続ですが、すべての人に適しているわけではありません。

実際には、任意整理を選んだものの返済を継続できず、結果として自己破産を検討するケースもあります。

特に、「利息がなくなれば何とかなる」という希望的観測だけで任意整理を選ぶと、後に返済が行き詰まる可能性があります。

任意整理を検討する際は、現在の返済状況だけでなく、数年先まで継続して返済できるかという視点が重要です。

月々の返済額を下げても生活が赤字になるケース

任意整理後の返済額を前提にしても家計が赤字になる場合は、任意整理による解決が難しい可能性があります。

任意整理では、将来利息のカットや長期分割払いによって毎月の負担を軽減します。

しかし、利息がなくなった後の返済額を支払っても生活費が不足するのであれば、借金問題の根本的な解決にはなりません。

例えば、

  • 手取り収入20万円
  • 生活費18万円
  • 任意整理後の返済額4万円

という状況では、毎月2万円不足します。

不足分を預貯金で補うことは一時的には可能ですが、いずれ資金は尽きてしまいます。

そのため、任意整理後の返済額を支払っても家計が黒字化しない場合は、任意整理が適しているとはいえません。

借入れで返済を続けているケース

他社からの借入れやカードローンで返済資金を確保している場合は、すでに返済能力を超えている可能性があります。

借金で借金を返す状態になると、一時的には返済を続けられます。

しかし、借入れを繰り返すほど総債務額は増加し、状況は悪化していきます。

このような状態では、任意整理によって利息がなくなったとしても、元本自体が大きくなっているため返済継続が困難になることがあります。

借入れで返済を続けている状態は、任意整理で解決できる範囲を超えていることも少なくありません。

そのため、現在の返済状況だけでなく、その返済資金をどこから確保しているかも重要な判断要素になります。

ボーナス払い前提で返済計画を立てているケース

ボーナスを前提にした返済計画は、想定どおりに進まないリスクがあります。

任意整理後の返済計画では、毎月の収入から安定して返済できることが重要です。

ボーナスは、

  • 業績悪化
  • 転職
  • 勤務先の制度変更

などによって減額や支給停止となることがあります。

そのため、

「普段の給料では返済できないが、ボーナスがあれば大丈夫」

という計画は、長期間の返済を前提とする任意整理では不安定です。

特に5年近い返済期間を想定している場合には、ボーナス収入を前提にしない返済計画の方が現実的です。

任意整理後に再び返済できなくなるケース

任意整理時点では返済可能だったとしても、その後の事情変更によって支払いが困難になることがあります。

例えば、

  • 病気やけがによる収入減少
  • 失業や転職
  • 離婚や家族構成の変化
  • 介護費用や教育費の増加

などです。

もちろん将来を正確に予測することはできません。

しかし、任意整理を検討する際には、

  • 預貯金の有無
  • 勤務先の安定性
  • 家計の余裕

なども踏まえて判断する必要があります。

現在の収支だけでなく、不測の事態が発生した場合にも返済を維持できるかという視点が重要です。

任意整理は、元本の継続的な返済ができる前提で行うべきものです。継続的な返済の見込みが立っていない場合には慎重な判断が必要になるでしょう。

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任意整理できない場合とは?自己破産を検討した方がよいケース

任意整理は有力な債務整理手続の一つですが、すべての借金問題を解決できるわけではありません。

任意整理が成立したとしても、和解後の返済を継続できなければ意味がありません。そのため、弁護士は「任意整理ができるか」だけではなく、「任意整理後も返済を続けられるか」という観点から手続選択を判断します。

特に、返済能力を超える借金を抱えている場合には、任意整理による解決が難しいことがあります。

元本を分割返済できないケース

任意整理が難しい典型例は、利息をなくしても元本を返済できないケースです。

任意整理では、将来利息や遅延損害金の免除を交渉できますが、原則として元本自体は返済しなければなりません。

例えば、借金残高が500万円あり、5年間で返済すると仮定した場合、毎月約8万3,000円の返済が必要になります。

手取り収入や生活費を考慮してもこの金額を継続して支払えないのであれば、任意整理をしても返済計画が成り立ちません。

そのため、元本のみになった場合でも返済を継続できるかが、任意整理を利用できるかどうかの重要な判断基準になります。

収入が不安定なケース

継続的な返済原資を確保できない場合は、任意整理による解決が難しいことがあります。

任意整理では、通常3年から5年程度にわたって返済を続けることになります。

そのため、

  • 収入の変動が大きい
  • 就業状況が不安定
  • 長期間働ける見通しが立たない

といった事情がある場合には、返済継続が困難になる可能性があります。

もちろん、自営業や歩合制の仕事だから直ちに任意整理ができないわけではありません。

重要なのは、毎月の収入額ではなく、返済に充てられる資金を継続的に確保できるかどうかです。

借金額が年収に比べて大きいケース

借金額が年収に比べて大きい場合は、任意整理では解決できないことがあります。

例えば、

  • 年収300万円で借金600万円
  • 年収400万円で借金800万円

といった状況では、利息がなくなったとしても返済負担が非常に重くなります。

実際には生活費も必要になるため、収入の大部分を返済に充てなければならない状況になりかねません。

借金額だけで機械的に判断することはできませんが、年収と借金総額のバランスは重要な評価要素になります。

すでに滞納が続いているケース

長期間の滞納が続いている場合は、任意整理による解決が難しくなることがあります。

滞納が長期化すると、

  • 遅延損害金が増加する
  • 一括請求を受ける
  • 訴訟を提起される

といった状況に発展することがあります。

また、複数の債権者に対して長期間滞納している場合は、そもそも返済能力が不足している可能性もあります。

もちろん、滞納しているから直ちに任意整理しか選べないわけではありません。しかし、滞納の原因が一時的な資金不足ではなく、慢性的な返済能力不足である場合には、任意整理による解決が難しいことがあります。

自己破産するとどうなる?よくある誤解を弁護士が解説

自己破産については、実際の制度内容とは異なるイメージを持たれていることが少なくありません。

「戸籍に載る」「一生ローンが組めなくなる」「家族に迷惑がかかる」といった話を聞き、自己破産を避けたいと考える方もいます。

しかし、これらの中には誤解も多く含まれています。

自己破産を正しく理解するためには、実際に生じる不利益と、生じない不利益を区別することが重要です。

戸籍や住民票に載るわけではない

自己破産をしても、戸籍や住民票に自己破産の事実が記載されることはありません。

戸籍は身分関係を公証するための制度であり、自己破産の有無を記録するものではありません。

また、住民票にも自己破産に関する記載はされません。

そのため、戸籍謄本や住民票を取得した第三者が、自己破産の事実を確認することはできません。

自己破産をすると戸籍に載るという話は現在でも見られますが、これは誤解です。

選挙権がなくなるわけではない

自己破産によって選挙権や被選挙権を失うことはありません。

自己破産は借金問題を整理するための民事上の手続であり、刑事処分ではありません。

そのため、

  • 国政選挙
  • 地方選挙

いずれについても投票できます。

また、選挙に立候補する権利も失われません。

自己破産をすると社会的権利が大きく制限されると考えている方もいますが、選挙権との関係ではそのような不利益はありません。

一生クレジットカードが使えないわけではない

自己破産をしても、一生クレジットカードやローンを利用できなくなるわけではありません。

自己破産をすると信用情報機関に事故情報が登録されます。

そのため、一定期間は新たな借入れやクレジットカード作成が難しくなります。

もっとも、この登録は永久に続くものではありません。

一般的には、免責許可決定等からおおむね5年から7年程度が経過すると、事故情報は削除されます。

事故情報が削除された後は、審査基準を満たせばクレジットカードやローンを利用できる可能性があります。

もちろん審査に必ず通るわけではありませんが、自己破産によって一生信用取引ができなくなるわけではありません。

家族まで借金を負うわけではない

自己破産をしても、家族が借金を引き継ぐわけではありません。

借金は契約した本人の債務であり、配偶者や子どもが当然に返済義務を負うことはありません。

例えば、

  • 夫が自己破産した
  • 妻が自己破産した

という場合でも、相手方に返済義務が移ることはありません。

もっとも、保証人になっている場合は別です。

保証人は債務者本人とは別に返済義務を負うため、自己破産によって債権者から請求を受けることがあります。

そのため、家族に保証人がいる場合には注意が必要です。

支払方法を除き、基本的には生活上の不都合や不自由は生じにくいでしょう。生活再建を目指すための制度であるため、生活再建を妨げるような事態は生じ難いところです。

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任意整理と自己破産の違いについてよくある質問

任意整理すると住宅ローンはどうなる?

任意整理は対象とする債権者を選択できるため、住宅ローンを手続対象から外すことが可能です。

そのため、住宅ローンをこれまでどおり返済できるのであれば、自宅を維持したまま任意整理を進められる場合があります。

もっとも、住宅ローン自体の返済が難しくなっている場合には、自宅を維持できないこともあります。

重要なのは、住宅ローン以外の借金を整理した後も、住宅ローンの支払いを継続できるかどうかです。

任意整理と自己破産はどちらがブラックリスト期間が長い?

一般的には、

  • 任意整理:完済から約5年
  • 自己破産:免責許可決定等から約5~7年

が目安とされています。

そのため、自己破産の方がやや長く登録される可能性があります。

もっとも、どちらの手続を選んでも一定期間は新たな借入れやクレジットカード利用が難しくなるため、ブラックリスト期間だけで手続を選択するのは適切ではありません。

自己破産すると賃貸住宅に住めなくなる?

自己破産をしたことだけを理由として、直ちに賃貸住宅から退去しなければならなくなるわけではありません。

また、新たに賃貸契約を締結することも可能です。

もっとも、家賃保証会社の審査内容によっては影響を受ける場合があります。

特に信販系保証会社を利用する場合には、信用情報の影響が審査に及ぶ可能性があります。

任意整理中に自己破産へ変更できる?

任意整理後に返済が困難になった場合には、自己破産を申し立てることも可能です。

実際に、

  • 収入が減少した
  • 病気やけがで働けなくなった
  • 返済計画に無理があった

といった事情から自己破産へ移行するケースもあります。

もっとも、任意整理に要した費用や時間は戻りません。

そのため、任意整理を始める段階で返済可能性を慎重に検討することが重要です。

弁護士に相談するとすぐ督促は止まる?

弁護士が債権者へ受任通知を送付すると、多くの場合は債権者からの直接督促が停止します。

そのため、

  • 督促の電話が続いている
  • 支払い催促の郵便が届いている
  • 精神的な負担が大きい

という状況では、早期相談によって負担軽減につながることがあります。

ただし、すべての請求や法的手続が完全に停止するわけではないため、具体的な対応方針については弁護士へ確認することが重要です。

まとめ|任意整理と自己破産は「返済できるか」で判断が変わる

任意整理と自己破産のどちらが適しているかは、借金額だけで決まるものではありません。

任意整理は返済を継続できることが前提となる一方、自己破産は返済が困難な場合に生活再建を図るための手続です。

そのため、重要なのは「自己破産を避けたいか」ではなく、「元本のみになった場合でも返済を続けられるか」という点です。

返済計画に無理がある状態で任意整理を選ぶと、後に自己破産へ移行することもあります。

どちらの手続が適しているか迷う場合は、収入や家計状況、借金総額を踏まえて早めに弁護士へ相談することが大切です。

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自己破産しても退職金は残せる?会社への影響・注意点を弁護士が解説

自己破産を検討しているものの、「退職金があると自己破産できないのではないか」「退職金をすべて失ってしまうのではないか」と不安を感じている方もいるでしょう。

自己破産では退職金も財産として扱われますが、すべての退職金がそのまま処分対象になるわけではありません。在職中なのか、退職が近いのか、すでに退職金を受け取っているのかによって扱いが大きく異なります。また、「8分の1ルール」や「4分の1評価」など、自己破産特有の考え方も理解しておく必要があります。

この記事では、自己破産における退職金の基本的な扱い、退職金がどの程度処分対象になるのか、退職前と退職後のどちらで申し立てる方が有利になりやすいのか、退職金を受け取った後に注意すべきポイント、会社に知られる可能性や管財事件との関係について解説します。

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自己破産しても退職金は残せる?まず知っておきたい基本

自己破産を検討している方の中には、「退職金があると自己破産できないのではないか」「退職金をすべて失ってしまうのではないか」と不安を抱えている方もいるでしょう。しかし、退職金があること自体が自己破産の障害になるわけではありません。 退職金も財産として扱われますが、状況に応じて評価方法が異なるため、直ちに全額が処分対象になるわけではありません。

自己破産では、債務者が保有する財産を調査し、債権者への配当に充てるべき財産がある場合には、その財産を換価して配当することになります。そのため、退職金も一定の場合には財産として評価されます。ただし、退職金には「まだ受け取っていない退職金」と「すでに受け取った退職金」があり、両者は別のものとして扱われます。

例えば、現在も会社に勤務しており退職予定が決まっていない場合には、将来受け取る見込みの退職金全額が評価されるわけではありません。裁判所の運用では、退職金見込額の8分の1程度が財産として評価されることが一般的です。 一方で、定年退職が近い場合や退職日が決まっている場合には、退職金を受け取る可能性が高いため、より高い割合で評価されることがあります。

また、すでに退職金を受け取っている場合には、退職金そのものではなく現金や預貯金として扱われます。そのため、退職金を受け取った後に自己破産を申し立てる場合には、口座にどの程度残っているのか、どのような用途に使ったのかが問題になります。

さらに、自己破産をすると会社を辞めなければならないと誤解されることがありますが、自己破産を理由として当然に退職する必要はありません。 一般の会社員であれば、自己破産手続を行った後も引き続き勤務を続けることができます。退職金があることと、勤務を継続できるかどうかは別の問題です。

もっとも、退職金の評価額が一定額を超える場合には、管財事件として処理されることがあります。また、退職前に申し立てるのか、退職後に申し立てるのかによって処分対象となる金額が変わることもあります。自己破産における退職金の問題は、「退職金があるかどうか」ではなく、「現在どのような状態の退職金なのか」によって結論が変わる点が重要です。

そのため、まずは在職中なのか、退職予定があるのか、すでに退職金を受け取っているのかを整理し、自分がどのケースに当てはまるのかを確認する必要があります。その違いを理解することが、退職金を踏まえた適切な自己破産手続につながります。

前提として、自己破産をするべきかまだ不要か、という検討においても、退職金の存在を踏まえることが適切でしょう。

【早見表】自己破産で退職金はどこまで残せる?

自己破産における退職金の扱いは、退職金を受け取ったかどうかや退職時期によって大きく異なります。まずは自分がどのケースに当てはまるのかを確認してみましょう。

状況財産評価の考え方退職金見込額800万円の場合
在職中で退職予定がない退職金見込額の8分の1を評価100万円
定年退職が近い・退職予定が決まっている退職金見込額の4分の1を評価200万円
退職金を受領済み現金・預貯金として評価残っている金額が対象

在職中で退職予定がない場合

在職中で退職予定がない場合は、退職金見込額の8分の1が財産として評価されます。

例えば、退職金見込額が800万円であれば、財産評価額は100万円です。退職金見込額が1,600万円であれば、財産評価額は200万円になります。

退職金見込額全額が財産になるわけではありません。 在職中の退職金は将来受け取る予定の財産であり、現時点で自由に使える現金や預貯金とは性質が異なるためです。

定年退職が近い・退職予定が決まっている場合

定年退職が近い場合や、すでに退職日が決まっている場合は、退職金見込額の4分の1が財産として評価されます。

例えば、退職金見込額が800万円であれば、財産評価額は200万円になります。退職金見込額が1,200万円であれば、財産評価額は300万円です。

退職時期が近いほど退職金を受け取る可能性が高くなるため、在職中より高い割合で評価されます。 その結果、同じ退職金額でも自己破産手続への影響が大きくなることがあります。

退職金を受領している場合

退職金を受け取った後は、退職金請求権ではなく現金や預貯金として扱われます。

例えば、退職金500万円を受け取り、そのまま預金口座に残している場合は、預貯金500万円として財産評価されます。退職金だから特別な扱いになるわけではありません。

一方で、生活費や医療費など通常必要な支出に使用し、申立時点で残高が減っている場合には、その時点で実際に保有している金額が問題になります。

ただし、退職金を受け取った後に特定の債権者へだけ返済したり、親族へ財産を移したりすると問題になることがあります。 退職金を受け取った後の注意点については後のH2で詳しく解説します。

このように、自己破産における退職金の扱いは、退職金があるかどうかではなく、在職中なのか、退職が近いのか、すでに受け取っているのかによって変わります。 まずは自分がどのケースに当てはまるのかを確認することが重要です。

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自己破産の「退職金8分の1ルール」をわかりやすく解説

自己破産では、在職中の退職金がそのまま全額財産として扱われるわけではありません。多くの裁判所では、在職中の退職金請求権について、退職金見込額の8分の1を財産評価額とする運用が採られています。

例えば、現在会社に勤務しており、退職した場合の退職金見込額が800万円であれば、財産評価額は100万円になります。退職金見込額が1,600万円であれば200万円です。自己破産で問題になるのは退職金見込額そのものではなく、財産として評価された金額です。

なぜ退職金見込額の8分の1で評価されるのか

在職中の退職金は、現時点で自由に受け取れる財産ではありません。

退職まで長期間残っている場合には、

  • 将来退職金制度が変更される可能性がある
  • 自己都合退職か定年退職かで金額が変わる可能性がある
  • 退職前に会社が倒産する可能性がある
  • 退職時期自体が未確定である

といった事情があります。

そのため、裁判所は在職中の退職金を現金や預貯金と同じようには扱わず、将来取得する見込みのある財産として一定割合のみを評価しています。

8分の1ルールはどのような裁判所で採用されているのか

退職金見込額の8分の1を基準とする考え方は、東京地裁、大阪地裁、名古屋地裁、横浜地裁などで採用されている運用として紹介されています。

もっとも、退職金の評価方法は法律で一律に定められているわけではありません。実際の自己破産手続では、申立先の裁判所や個別事情によって必要資料や評価方法が異なることがあります。

そのため、退職金見込額が高額な場合には、自分の地域の裁判所でどのような運用がされているのかを確認することが重要です。

退職金見込額はどのように確認するのか

自己破産を申し立てる際には、退職金見込額を確認する資料の提出を求められることがあります。

代表的な資料は次のとおりです。

  • 退職金見込額証明書
  • 退職金規程
  • 就業規則
  • 給与規程
  • 退職金計算書

勤務先によっては退職金見込額証明書を発行してもらえるため、その金額を基準に財産評価が行われます。

一方で、証明書が発行されない場合には、退職金規程や勤続年数などから退職金見込額を算定することになります。

8分の1だから退職金を失わないとは限らない

退職金見込額の8分の1で評価されるとしても、その評価額が大きければ自己破産手続に影響します。

例えば、退職金見込額が4,000万円であれば、8分の1評価でも500万円になります。このような場合には、管財事件として処理される可能性が高くなります。

また、8分の1評価だから退職金の問題を気にしなくてよいわけでもありません。財産評価額がいくらになるのかによって、同時廃止事件になるのか、管財事件になるのかが変わるためです。

そのため、退職金見込額が高額な方ほど、自己判断で進めるのではなく、退職金評価額を踏まえた手続の見通しを事前に確認することが重要になります。

退職金が「4分の1」で計算されるケースとは?

退職金見込額の8分の1評価は、退職時期が決まっていない在職中の方を前提とした考え方です。一方で、退職金を受け取る時期が近づいている場合には、退職金見込額の4分の1が財産評価額になります。

例えば、退職金見込額が800万円の場合、8分の1評価であれば財産評価額は100万円ですが、4分の1評価になると200万円になります。同じ退職金額でも評価額は2倍になるため、自己破産手続への影響も大きくなります。

定年退職が近い場合

定年退職が近い場合には、退職金を受け取る可能性が極めて高くなります。

例えば、60歳定年の会社で59歳後半の方や、数か月後に定年退職を迎える方は、退職金を受け取ることがほぼ予定されている状態です。そのため、在職中の一般的なケースとは異なり、退職金見込額の4分の1を財産評価額として計算します。

退職時期が近づくほど退職金を受け取る蓋然性が高くなるため、8分の1ではなく4分の1で評価されます。

退職日が決まっている場合

定年退職でなくても、すでに退職日が決まっている場合には、退職金見込額の4分の1を財産評価額として計算します。

例えば、

  • 退職届を提出している
  • 退職について会社と合意している
  • 退職日が確定している

といったケースです。

このような場合には、退職金を受け取る時期や金額が具体化しているため、在職中の8分の1評価ではなく4分の1評価が前提になります。

「まだ退職していないから8分の1で評価される」と考えるのは誤りです。 退職が目前に迫っている場合には、退職金を受け取ることを前提として財産評価が行われます。

早期退職制度を利用する場合

会社の早期退職制度や希望退職制度を利用する場合も、退職金見込額の4分の1を財産評価額として計算します。

早期退職制度では、通常の退職金に加えて特別退職金や割増退職金が支給されることがあります。そのため、退職金見込額自体が高額になるケースも少なくありません。

例えば、早期退職制度により退職金見込額が1,200万円になる場合、財産評価額は300万円になります。

退職金額が大きくなるほど、自己破産手続に与える影響も大きくなります。

4分の1評価になると何が変わるのか

4分の1評価になると、財産評価額が大きくなるため、自己破産手続全体に与える影響も大きくなります。

例えば、退職金見込額が1,000万円の場合、

  • 8分の1評価 → 125万円
  • 4分の1評価 → 250万円

となります。

同じ退職金額でも評価額は2倍になります。

その結果、自由財産として残せる範囲や管財事件になる可能性にも影響します。

そのため、退職が近い方は、退職金額だけでなく、申立時点で退職までどの程度の期間が残っているのかを踏まえて自己破産の時期を検討することが重要です。

退職金のうち4分の3は差し押さえ禁止とされているため、残りの4分の1が財産として評価されることになります。

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自己破産は退職前・退職後のどちらが有利?

退職金がある方が自己破産を検討する際には、「退職前と退職後のどちらで申し立てた方がよいのか」という疑問を持つことがあります。しかし、この問いに対して一律の正解はありません。有利かどうかは、退職金の金額、退職時期、現在の財産状況によって変わります。

そのため、「退職後の方が有利」「退職前の方が有利」と単純に考えるのではなく、自分の状況に応じて検討することが重要です。

在職中に申し立てた方が有利なケース

在職中で退職予定がなく、退職金見込額の8分の1評価が適用される場合には、退職前に申し立てた方が有利になることがあります。

例えば、退職金見込額が1,600万円の場合、

  • 在職中(8分の1評価) → 財産評価額200万円
  • 退職後に全額受領 → 退職金1,600万円が現金・預貯金になる

という違いがあります。

退職金を受け取った後は、退職金請求権ではなく現金や預貯金として扱われるため、財産評価額が大きく増える可能性があります。

そのため、退職金を受け取る前に自己破産を申し立てた方が、処分対象財産を抑えられるケースがあります。

退職後に申し立てた方が有利なケース

一方で、退職後の方が有利になるケースもあります。

例えば、退職金を受け取った後、その大部分を生活費や住居費、医療費など必要な支出に充てている場合です。

自己破産では、申立時点で保有している財産が問題になります。そのため、退職金を受け取ったとしても、適切な用途に支出し、申立時点で保有財産が減少している場合には、実際に残っている財産を基準に判断されます。

ただし、退職金を受け取った後に借金の返済へ充てたり、親族へ財産を移転したりした場合には別の問題が生じるため注意が必要です。

退職金受領直後の申立ては注意が必要

退職金を受け取った直後に自己破産を申し立てる場合には、退職金の使途が詳細に確認されます。

特に、

  • 特定の債権者だけに返済した
  • 現金で保管している
  • 親族へ渡した
  • 高額な買い物をした

といった事情がある場合には、破産手続上の問題になることがあります。

反対に、

  • 家賃
  • 生活費
  • 医療費
  • 引越費用

など、生活に必要な支出であれば、その必要性を説明できるケースが多いでしょう。

退職金を受け取った後は、「いくら残っているか」だけでなく、「何に使ったか」も重要な判断要素になります。

自己判断で申立時期を決めるべきではない

退職金がある場合には、申立時期によって財産評価額が大きく変わることがあります。

例えば、

  • 退職直前で4分の1評価になる
  • 退職金受領後で現預金として評価される
  • 受領後の使途が問題になる

など、状況によって検討すべきポイントが異なります。

そのため、退職金がある方は「退職前が得」「退職後が得」と考えて自己判断で申立時期を決めるべきではありません。 退職金額や退職予定時期、現在の資産状況を踏まえて検討することが重要です。

退職前後で生活が大きく変わることも少なくないため、退職後の生活設計も踏まえた検討が望ましいでしょう。

退職金を受け取ってから自己破産する場合の注意点

退職金を受け取った後に自己破産を申し立てること自体は可能です。しかし、退職金を受け取る前と後では財産の評価方法が大きく異なります。退職金を受け取る前は退職金請求権として評価されますが、受け取った後は現金や預貯金として扱われます。

そのため、退職金を受け取った後に自己破産を申し立てる場合には、申立時点で退職金がどの程度残っているのか、どのような用途に使用したのかが重要になります。

現金で保有している場合は99万円基準が問題になる

退職金を現金で保有している場合には、自由財産として認められる現金の範囲が問題になります。

破産法では、99万円以下の現金は自由財産として扱われ、原則として手元に残すことができます。

例えば、退職金300万円を受け取り、そのまま現金で保有している場合には、99万円を超える部分が問題になります。

もっとも、実際には現金として保有しているのか、預金口座に入れているのかによって扱いが異なるため注意が必要です。

預貯金として残している場合は20万円基準が問題になる

退職金を銀行口座に入れている場合には、現金ではなく預貯金として扱われます。

例えば、退職金500万円を受け取り、そのまま預金口座に残している場合には、500万円の預貯金として財産評価されます。

自己破産では、預貯金は現金のように99万円まで無条件に残せるわけではありません。そのため、退職金を受け取った後に預金として保有している場合には、現金よりも自己破産手続への影響が大きくなることがあります。

「退職金を引き出して現金にしておけば安全」というわけではありません。 裁判所は退職金の受領状況や資金の流れを確認するため、形式的に現金化しただけでは問題の解決になりません。

特定の債権者への返済は避けるべき

退職金を受け取った後に借金を返済したいと考える方もいます。

しかし、自己破産を予定している段階で特定の債権者だけに返済すると、偏頗弁済(へんぱべんさい)の問題が生じます。

例えば、

  • 消費者金融Aだけに返済する
  • 親族からの借入金だけ返済する
  • 保証人が付いている借金だけ返済する

といった行為です。

このような返済は債権者間の公平を害するため、破産手続上問題視されます。

退職金を受け取ったからといって、自己判断で借金の返済に充てるべきではありません。

親族への財産移転は避けるべき

退職金を守りたいという理由で、親族名義の口座へ送金したり、家族へ現金を渡したりする方がいます。

しかし、このような行為は財産隠しと判断されるおそれがあります。

例えば、

  • 配偶者口座への送金
  • 子ども名義口座への入金
  • 親族への贈与

などです。

自己破産では通帳履歴や取引履歴が確認されるため、不自然な資金移動は発見される可能性が高いといえます。

生活費や医療費への支出は事情を説明できるようにしておく

一方で、退職金を生活費や医療費などに使用することまで禁止されているわけではありません。

例えば、

  • 家賃の支払い
  • 日常生活費
  • 医療費
  • 介護費用
  • 引越費用

など、生活に必要な支出であれば合理的な支出として説明できる場合があります。

ただし、自己破産の申立てが近い時期に退職金を受け取った場合には、後から使途を確認されることがあります。

そのため、退職金を受け取った後は何に使ったのかを説明できるよう、領収書や通帳履歴を保管しておくことが重要です。

退職金があると管財事件になる?

退職金があるからといって、必ず管財事件になるわけではありません。しかし、退職金の財産評価額が大きい場合には、管財事件として処理される可能性が高くなります。

そのため、退職金がある方が自己破産を検討する際には、「退職金がいくらあるのか」だけでなく、「自己破産上いくらと評価されるのか」を確認することが重要です。

管財事件とは

自己破産には、大きく分けて

  • 同時廃止事件
  • 管財事件

があります。

同時廃止事件は、換価して債権者へ配当する財産がほとんどない場合に利用される手続です。

一方、管財事件では裁判所が破産管財人を選任し、財産の調査や換価、債権者への配当などを行います。

そのため、管財事件になると、

  • 破産管財人との面談
  • 資料提出
  • 裁判所への出頭
  • 予納金の負担

などが必要になります。

問題になるのは退職金そのものではなく財産評価額

退職金が高額だからといって、直ちに管財事件になるわけではありません。

例えば、

  • 退職金見込額800万円
  • 在職中
  • 8分の1評価

であれば、財産評価額は100万円です。

一方で、

  • 退職金見込額3,200万円
  • 在職中
  • 8分の1評価

であれば、財産評価額は400万円になります。

このように、自己破産で問題になるのは退職金見込額そのものではなく、自己破産上の財産評価額です。

退職金評価額が高いと管財事件になりやすい

退職金評価額が大きい場合には、換価して債権者へ配当できる財産が存在すると考えられます。

例えば、

  • 退職金見込額が高額
  • 定年退職が近く4分の1評価になる
  • 退職金を受領して多額の預金が残っている

といったケースです。

このような場合には、破産管財人による調査や換価が必要になるため、管財事件として処理される可能性が高くなります。

特に、退職金を受領した後は退職金請求権ではなく現金や預貯金として扱われるため、管財事件になる可能性を検討する必要があります。

自由財産拡張が認められることもある

退職金評価額があるからといって、その全額が直ちに処分対象になるわけではありません。

自己破産では、生活再建のために一定の財産を手元に残す制度があります。

その一つが自由財産拡張です。

例えば、

  • 今後の生活費が必要
  • 高齢で再就職が難しい
  • 医療費負担が大きい

などの事情がある場合には、財産の一部について手元に残すことが認められることがあります。

もっとも、自由財産拡張が認められるかどうかは事案ごとの判断になります。

管財事件になるかどうかは退職金以外の財産も影響する

退職金だけで管財事件になるかどうかが決まるわけではありません。

例えば、

  • 預貯金
  • 保険解約返戻金
  • 有価証券
  • 不動産
  • 自動車

などもあわせて判断されます。

そのため、退職金評価額だけを見て「同時廃止になる」「管財事件になる」と判断することはできません。

自己破産において重要なのは、退職金を含めた財産全体の評価です。 特に退職金が高額な方は、申立て前に財産評価額を整理し、手続の見通しを確認しておくことが重要になります。

少なくとも、管財事件になる可能性を想定しておくことはあった方が望ましいでしょう。

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自己破産すると退職金のことで会社にバレる?

自己破産を検討している方の中には、「退職金の資料を準備すると、会社に自己破産が知られるのではないか」と不安を感じる方もいるでしょう。結論として、自己破産をしたことが勤務先へ自動的に通知される制度はありません。 そのため、会社員が自己破産を申し立てても、それだけで勤務先に知られるわけではありません。

もっとも、退職金の評価には資料が必要になるため、退職金資料の集め方によっては会社に知られるきっかけが生じます。 特に、退職金見込額証明書を勤務先に発行してもらう場合、人事部や総務部へ依頼することになります。この依頼だけで自己破産が確定的に知られるわけではありませんが、事情を聞かれる可能性はあります。

裁判所から会社へ通知されるわけではない

自己破産手続では、裁判所が勤務先へ自己破産の事実を通知するわけではありません。破産管財人が選任された場合でも、退職金額を確認できる資料が提出されていれば、勤務先へ直接照会しないで手続が進むこともあります。

そのため、会社に知られるかどうかは、自己破産の制度そのものよりも、退職金額を確認する資料をどのように準備するかによって変わります。

退職金見込額証明書で知られる可能性がある

退職金見込額証明書は、自己破産で退職金を評価するために有用な資料です。ただし、勤務先に発行を依頼する必要があるため、会社に事情を推測される可能性があります。

もっとも、退職金見込額証明書は、住宅ローン審査、金融機関への提出、老後資金の確認などでも使われる資料です。したがって、証明書の発行依頼だけで自己破産が必ず知られるわけではありません。

就業規則や退職金規程で代用できる場合がある

勤務先へ証明書を依頼したくない場合には、就業規則、退職金規程、給与規程、勤続年数が分かる資料などから退職金見込額を計算できる場合があります。

例えば、退職金規程に「基本給×勤続年数×支給率」といった計算式が定められていれば、その規程と給与明細をもとに退職金見込額を算定できます。会社に知られたくない場合は、まず代替資料で対応できるかを検討するべきです。

官報掲載だけで会社に知られる可能性は高くない

自己破産をすると官報に氏名や住所が掲載されます。しかし、一般企業が日常的に官報を確認し、従業員の自己破産を調査しているケースは多くありません。

実務上は、官報よりも、退職金見込額証明書の取得、社内での会話、家族や知人への相談内容などから知られるリスクの方が現実的です。

会社に知られたくない場合は資料収集の方法を先に決める

退職金がある場合でも、退職金規程や給与資料で計算できるケースでは、勤務先へ連絡せずに手続を進められることがあります。一方で、証明書が必要になる場合には、どのような理由で発行を依頼するかを事前に整理しておく必要があります。

自己破産をしたから会社に必ず知られるわけではありません。 問題になるのは、退職金の存在そのものではなく、退職金資料をどの方法で準備するかです。会社に知られたくない事情がある方は、申立て前に資料収集の方法を確認しておく必要があります。

自己破産と退職金について弁護士へ相談した方がよい理由

退職金がある状態で自己破産を検討している場合、自己判断で手続を進めることはおすすめできません。退職金は「あるかないか」ではなく、「いつ受け取るのか」「いくらと評価されるのか」によって自己破産への影響が大きく変わるためです。

例えば、

  • 在職中で8分の1評価になるケース
  • 退職が近く4分の1評価になるケース
  • 退職金を受け取って預金として保有しているケース

では、検討すべきポイントが大きく異なります。

また、退職金が高額な場合には、同時廃止事件で進められるのか、管財事件になるのかという問題も生じます。退職金見込額だけで判断すると誤りやすく、実際には財産評価額を計算した上で見通しを立てる必要があります。

さらに、退職金を受け取った後に自己破産を申し立てる場合には、退職金の使い方も重要です。

例えば、

  • 特定の債権者への返済
  • 親族への送金
  • 財産の名義変更

などを行うと、手続に悪影響を及ぼす可能性があります。

一方で、

  • 生活費
  • 医療費
  • 家賃
  • 引越費用

など、生活に必要な支出であれば問題なく説明できる場合もあります。

しかし、何が適切な支出と評価されるのかは、金額や支出時期、当時の状況によって異なります。「退職金を使ってしまったから自己破産できない」「退職金があるから自己破産できない」と自己判断するべきではありません。

また、会社に知られたくない場合には、退職金見込額証明書以外の資料で対応できるかを検討する必要があります。申立て前に準備方法を確認しておくことで、勤務先との不要な接触を避けられるケースもあります。

自己破産は、一度申立てをすると手続のやり直しが難しい場面もあります。特に退職金が関係する案件では、申立時期によって結果が変わることもあります。

退職金がある状態で自己破産を検討している場合には、退職前後のどの時点で申し立てるべきか、退職金がどの程度財産評価されるのかを事前に確認することが重要です。 早い段階で弁護士へ相談することで、退職金を踏まえた適切な手続方針を検討しやすくなります。

退職金が関わる自己破産の判断は、ご自身ではなかなか難しいことが多く見られます。依頼の有無に関わらず、一度専門的な意見を仰いでみることは非常に有力です。

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まとめ

自己破産をすると退職金がすべて失われるわけではありません。在職中で退職予定がない場合には、退職金見込額の8分の1が財産評価額となることが多く、定年退職が近い場合や退職日が決まっている場合には4分の1が財産評価額となります。

また、退職金を受け取った後に自己破産を申し立てることも可能ですが、その場合は退職金ではなく現金や預貯金として扱われます。そのため、申立時点でいくら残っているのかだけでなく、何に使ったのかも重要になります。

退職金があると管財事件になる可能性はありますが、問題になるのは退職金見込額そのものではなく、自己破産上の財産評価額です。さらに、自己破産をしたことが自動的に会社へ通知される制度はなく、会社に知られるかどうかは退職金資料の収集方法による部分が大きいといえます。

退職金がある場合は、退職前後のどの時点で申し立てるのかによって結果が変わることがあります。自己判断で進めるのではなく、退職金の評価額や申立時期を踏まえて検討することが重要です。

自己破産すると退職金は全部なくなりますか?

いいえ、退職金がすべてなくなるわけではありません。

在職中で退職予定がない場合には、退職金見込額全額ではなく8分の1が財産評価額となります。また、退職金を受け取った後であっても、生活費や医療費などに適切に支出している場合には、申立時点で残っている財産を基準に判断されます。

自己破産すると会社に知られますか?

自己破産をしたことが裁判所から会社へ通知されることはありません。

もっとも、退職金見込額証明書の発行を勤務先へ依頼した場合には、人事部や総務部に事情を推測される可能性があります。会社に知られたくない場合には、退職金規程や給与資料などで対応できないか事前に確認することが重要です。

退職金を生活費に使った場合でも問題ありませんか?

生活費や家賃、医療費など、通常の生活に必要な支出であれば問題にならないことが多いでしょう。

一方で、特定の債権者だけに返済したり、親族へ財産を移転したりすると、破産手続上問題になる可能性があります。退職金を受け取った後に自己破産を検討している場合には、使途が分かるよう通帳履歴や領収書を保管しておくことが重要です。

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自己破産するとどうなる?生活・家族・仕事への影響を弁護士が解説

自己破産を検討しているものの、「家や車はどうなるのか」「会社に知られてしまうのか」「家族に迷惑がかかるのではないか」と不安を感じている方も多いでしょう。

自己破産は、裁判所を通じて借金の支払い義務の免除を目指す手続ですが、すべてのものを失う制度ではありません。一方で、財産の処分や信用情報への登録など、生活に一定の影響が生じる場面もあります。また、自己破産によって影響を受ける事項と、誤解されがちな事項を区別して理解することも重要です。

この記事では、自己破産すると借金や財産がどうなるのか、生活や家族、仕事への影響はどこまで及ぶのか、自己破産後の生活はどう変わるのかについて解説します。また、自己破産以外の債務整理との違いや、自己破産を選ばない方がよいケースについても説明します。

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自己破産するとどうなる?まず知っておきたい影響を一覧で確認

自己破産をすると借金の支払い義務の免除を受けられる可能性がありますが、財産の処分や信用情報への登録など一定の影響も生じます。

まずは、自己破産による主な影響を一覧で確認しておきましょう。

項目主な影響
借金免責が認められると原則として支払い義務がなくなる
財産持ち家や高額な財産は処分の対象になることがある
クレジットカード利用できなくなる
ローン一定期間利用が難しくなる
保証人債権者から請求を受ける
家族家族の信用情報には通常影響しない
仕事原則として継続できる
資格一部資格・職業は手続中に制限を受ける
戸籍記載されない
選挙権なくならない
年金受給できる

借金・財産・生活への主な影響

自己破産の最大の効果は、免責が認められれば借金の支払い義務がなくなることです。

返済を続けることが困難な状況でも、裁判所から免責許可を受ければ、多くの借金について支払い義務が免除されます。その結果、返済に追われる生活から抜け出し、生活再建を目指せるようになります。

一方で、一定以上の価値がある財産は処分の対象になります。

持ち家や高額な車、まとまった預貯金などを所有している場合は、手続の中で換価されることがあります。また、信用情報機関に事故情報が登録されるため、一定期間はクレジットカードやローンの利用が難しくなります。

自己破産してもできなくならないこと

自己破産をしても、社会生活の大部分はこれまでどおり続けることができます。

戸籍や住民票に自己破産の事実が記載されることはありません。選挙権が失われることもなく、年金の受給権も維持されます。また、家族の信用情報に事故情報が登録されることも通常はありません。

就職や結婚そのものが制限される制度でもなく、一部の資格や職業について生じる制限も、免責許可の確定によって通常は解除されます。

自己破産は社会生活そのものを失わせる制度ではありません。

自己破産は借金問題を解決し、経済的な再出発を図るための制度です。制度の内容を正しく理解することで、不必要な不安を抱えずに手続を検討しやすくなります。

自己破産すると借金はどうなる?返済・保証人への影響

免責が認められると借金の支払い義務がなくなる

自己破産を申し立てただけでは借金はなくならず、免責許可が確定して初めて支払い義務が免除されます。

自己破産の手続では、裁判所に破産手続開始の申立てを行い、その後、免責許可を求めることになります。免責が認められると、税金など一部の例外を除き、多くの借金について支払い義務がなくなります。

たとえば、消費者金融からの借入れ、クレジットカードの利用残高、銀行カードローン、個人からの借金などは、原則として免責の対象です。

もっとも、自己破産を申し立てれば必ず免責が認められるわけではありません。浪費やギャンブルによる借金など、法律上の免責不許可事由がある場合には、裁判所が事情を検討したうえで判断します。

免責不許可事由があっても、実務上は裁量免責によって免責が認められるケースも少なくありません。

督促や返済請求は停止される

弁護士へ依頼すると、多くの場合は受任通知の送付後に督促が止まります。

弁護士が債権者へ受任通知を送付すると、貸金業者などは債務者へ直接督促することができなくなります。そのため、電話や郵便による督促に悩まされている場合でも、比較的早い段階で精神的負担の軽減が期待できます。

また、返済もいったん停止することが通常です。返済を続けながら自己破産を進めるわけではなく、家計状況を整理しながら申立ての準備を進めることになります。

もっとも、一部の債権者だけに返済を続けると、偏頗弁済として手続上の問題になる場合があります。そのため、自己破産を検討している段階では、返済方法について弁護士へ相談することが重要です。

保証人には請求が及ぶ

保証人がいる借金は、自己破産によって保証人へ請求が移ることになります。

保証人は主債務者とは別に返済義務を負っているため、債務者本人が免責を受けても保証人の責任はなくなりません。

たとえば、奨学金や住宅ローン、事業資金の借入れなどでは保証人が付いていることがあります。このような借金について自己破産をすると、家族や親族が保証人になっている場合には、保証人が返済を求められることになります。

保証人がいる借金の有無は、自己破産を選択するかどうかを判断するうえで重要な要素です。

免責されない借金もある

税金や養育費は、自己破産をしても支払い義務がなくなりません。

代表的なものとして、税金、社会保険料、養育費、悪意による不法行為に基づく損害賠償請求権などがあります。

これらは法律上の非免責債権とされており、免責許可が確定しても支払い義務は残ります。

自己破産をしてもすべての支払いがなくなるわけではないため、債務の内容を整理したうえで手続を選択することが重要です。

どの債務が免責の対象になるかによって、自己破産が適切な手続かどうかの判断も変わります。借金の内容を整理したうえで、どの債務が残るのかを確認することが大切です。

自己破産は、保証人への影響を防ぐことが困難です。債務の内容によっては、保証人との関係を踏まえて選択することをお勧めします。

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自己破産すると家・車・預貯金などの財産はどうなる?

持ち家は処分される可能性が高い

住宅ローンが残っている持ち家は、原則として手放すことになります。

自己破産では、債権者への配当に充てるため、一定以上の価値がある財産は換価の対象になります。持ち家は高額な財産に該当するため、多くの場合は売却されることになります。

また、住宅ローンが残っている場合には、金融機関が設定している抵当権に基づき競売や任意売却が行われるのが一般的です。そのため、自己破産によって住宅ローンだけを残して家を維持することはできません。

もっとも、不動産の共有持分しか持っていない場合や、評価額が極めて低い場合などは個別の検討が必要になります。持ち家を残したい場合には、自己破産ではなく個人再生が選択肢になることもあります。

持ち家の維持を優先したい場合は、他の債務整理手続も含めて検討することが重要です。

車や預貯金は価値によって扱いが変わる

車や預貯金は一律に失うわけではなく、その価値によって扱いが変わります。

車については、ローンが残っている場合にはローン会社によって引き揚げられることが一般的です。一方、ローンがなくても高額な車であれば換価の対象になります。

反対に、年式が古く市場価値がほとんどない車であれば、そのまま保有できる場合があります。実際に処分対象になるかどうかは、査定額や地域の運用などによって判断されます。

預貯金についても同様です。自由財産として認められる範囲を超える預貯金がある場合には、債権者への配当に充てられることがあります。

何を残せるかは財産の種類ではなく、実際の価値によって判断されることが少なくありません。

生命保険・退職金も対象になる場合がある

生命保険や退職金も、内容によっては財産として評価されます。

生命保険では、解約返戻金がある場合、その返戻金相当額が財産として扱われます。解約返戻金が高額であれば、保険契約の解約や換価が必要になることがあります。

退職金についても、すでに支給を受けている場合だけでなく、将来的に受け取る予定の退職金が一定割合で財産評価されることがあります。勤務先の退職金規程や勤続年数などをもとに評価額が算定されるのが一般的です。

もっとも、すべての生命保険や退職金が処分対象になるわけではありません。金額や地域ごとの運用によって結論が異なる場合があります。

自己破産では不動産だけでなく、見落としがちな財産も調査対象になるため、事前に整理しておくことが重要です。

自己破産すると生活はどう変わる?制限されることを解説

クレジットカードやローンは利用しにくくなる

自己破産をすると、一定期間はクレジットカードやローンの利用が難しくなります。

自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。金融機関やカード会社は審査の際に信用情報を確認するため、事故情報が登録されている期間は、新たな借入れやクレジットカードの作成が認められにくくなります。

また、現在利用しているクレジットカードも解約されるのが通常です。そのため、公共料金や携帯電話料金などをクレジットカード払いにしている場合には、支払方法の変更が必要になります。

もっとも、デビットカードやプリペイドカードの利用まで制限されるわけではありません。事故情報の登録期間中であっても、現金払いや口座引落しを中心とした生活は可能です。

信用情報への登録は永久に続くものではなく、一定期間の経過によって解消されます。

官報掲載や銀行口座の制限が生じることがある

自己破産をすると、氏名や住所などが官報に掲載されます。

官報とは、国が発行する公告文書です。破産手続開始決定や免責許可決定などが出た際には、その内容が官報へ掲載されます。

もっとも、一般の方が日常的に官報を閲覧することはほとんどありません。そのため、官報掲載だけを理由に周囲へ知られるケースは多くありません。

また、借入れをしている銀行に預金口座がある場合には、一時的に口座が利用しにくくなることがあります。これは銀行が債権債務を整理するために行う措置です。

官報掲載や口座の制限はあるものの、それだけで日常生活が大きく制限されるわけではありません。

管財事件では郵便転送などの制限がある

管財事件では、破産管財人による財産調査のため一定の制限が設けられます。

管財事件とは、裁判所が選任した破産管財人が財産の調査や換価を行う手続です。財産状況や借金の経緯などによっては、同時廃止ではなく管財事件として進められます。

管財事件になると、郵便物が破産管財人へ転送されます。これは新たな財産や債権者の存在を確認するためです。もっとも、内容を確認した後は本人へ返還されるため、郵便物を受け取れなくなるわけではありません。

また、裁判所や破産管財人からの要請に応じて、面談や資料提出が必要になることもあります。

これらの制限は破産手続中に限られ、免責許可の確定後まで続くものではありません。

一部の資格・職業には制限がある

自己破産の手続中は、一部の資格や職業に就けなくなる場合があります。

代表例として、警備員、生命保険募集人、宅地建物取引士の一部業務、後見人などがあります。これらは法律によって資格制限や就任制限が定められています。

もっとも、この制限は自己破産をした人が一生受け続けるものではありません。破産手続開始決定後から復権までの間に限定されるのが一般的です。

そのため、多くの場合は免責許可が確定し復権すると、再び資格を利用できるようになります。

自己破産による資格制限は一時的なものであり、永久に職業を失う制度ではありません。

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自己破産すると家族や仕事に影響はある?

家族の財産や信用情報には通常影響しない

自己破産をしても、家族の信用情報に事故情報が登録されることはありません。

信用情報は個人単位で管理されているため、配偶者や親、子どもが本人の自己破産を理由にブラックリストに登録されることはありません。家族名義のクレジットカードやローンにも通常は影響しません。

また、家族名義の預貯金や不動産なども、原則として処分対象にはなりません。自己破産で処分対象になるのは、あくまでも破産者本人の財産です。

もっとも、名義だけ家族になっていても、実質的に本人の財産と評価される場合には問題になることがあります。たとえば、本人が資金を出して家族名義で預金をしているようなケースでは、財産隠しと判断される可能性があります。

家族に直接的な法的影響はありませんが、財産の管理状況によっては慎重な確認が必要です。

保証人には請求が及ぶ

家族が保証人になっている場合は、家族へ返済請求が行われます。

自己破産によって本人の返済義務が免除されても、保証人の責任は残ります。そのため、奨学金や住宅ローンなどで家族が保証人になっている場合には、債権者から保証人へ請求が移ります。

保証人は一括請求を受けることもあるため、返済額によっては家族の生活へ大きな影響を及ぼす可能性があります。

自己破産を検討する際には、どの借金に保証人が付いているのかを事前に確認することが重要です。

保証人の有無は、自己破産を選択するかどうかを判断する重要な要素になります。

多くの場合は会社に知られず進められる

自己破産をしたことが勤務先へ自動的に通知される制度はありません。

裁判所が勤務先へ連絡することは通常なく、弁護士へ依頼して進める場合には、勤務先へ説明することなく手続を終えるケースも少なくありません。

また、戸籍や住民票に記載される制度でもないため、勤務先が通常の人事手続の中で自己破産を把握することもありません。

もっとも、会社から借入れをしている場合や、給与差押えへの対応が必要な場合などには、勤務先へ事情を説明する必要が生じることがあります。

多くのケースでは会社に知られず進められますが、個別事情によって例外もあります。

自己破産だけを理由に解雇されるとは限らない

自己破産したことだけを理由として解雇することは、一般的には容易ではありません。

労働契約法上、解雇には客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。単に自己破産をしたという理由だけでは、直ちに解雇が有効になるとは考えにくいでしょう。

また、多くの職種では自己破産をした事実そのものが業務遂行能力に直接影響するわけではありません。

もっとも、資格制限がある職業や、会社の規程上で特別な対応が定められている場合には個別の検討が必要です。

自己破産を理由に直ちに職を失うわけではありませんが、職種によって確認すべき事項は異なります。

自己破産してもできなくならないこと|よくある誤解を整理

戸籍や住民票には記載されない

自己破産をしても、戸籍や住民票にその事実が記載されることはありません。

自己破産をすると戸籍に傷が付くと考えている方もいますが、そのような制度は存在しません。戸籍は身分関係を公証するための制度であり、自己破産の有無を記載するものではありません。

住民票についても同様です。住民票には住所や世帯構成などが記載されますが、自己破産をした事実は掲載されません。

そのため、戸籍謄本や住民票を取得した家族や勤務先が、そこから自己破産の事実を知ることはありません。

自己破産をしたことが公的な身分記録として残るわけではないため、この点を過度に心配する必要はありません。

選挙権・年金・生活保護への影響はない

自己破産をしても、選挙権や年金の受給権は失われません。

自己破産はあくまでも債務整理手続であり、公民権を制限する制度ではありません。そのため、選挙で投票する権利がなくなることはありません。

また、老齢年金や障害年金、遺族年金などの受給権にも影響しません。自己破産をしたからといって年金を受け取れなくなることはありません。

さらに、生活保護についても同様です。自己破産をしたこと自体を理由として生活保護の利用が認められなくなるわけではありません。

自己破産によって生活保障制度の利用資格が失われることはありません。

結婚や就職そのものは制限されない

自己破産を理由として結婚や就職が禁止されることはありません。

民法その他の法律において、自己破産経験者の結婚を制限する規定はありません。そのため、自己破産を理由に婚姻届が受理されなくなることはありません。

就職についても同様です。資格制限の対象となる一部職業を除けば、自己破産を理由として就職ができなくなる制度ではありません。

もっとも、金融機関や一部企業では、採用時に信用情報以外の方法で確認を行うケースもあります。しかし、一般的な就職活動において自己破産経験のみを理由として採用が否定されるとは限りません。

自己破産は債務整理の制度であり、人生上の重要な選択肢そのものを奪う制度ではありません。

スマホは継続利用できるケースが多い

自己破産をしても、スマートフォンを使えなくなるわけではありません。

通信契約と端末代金の分割払いは別の問題として扱われます。端末代金の分割払いが残っている場合には、契約内容によって端末の返還を求められる可能性があります。

一方で、端末代金の支払いが完了している場合や、SIM契約のみを利用している場合には、そのまま利用を継続できるケースが少なくありません。

また、自己破産後も携帯電話会社との契約自体が当然にできなくなるわけではありません。口座振替などを利用することで契約を継続できる場合があります。

問題になるのは通信契約そのものではなく、端末代金の分割払いや未払い料金の有無です。

日常生活の中で自己破産したことが明らかになる局面はあまりない人が多数でしょう。

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自己破産後の生活はどうなる?影響期間と生活再建のポイント

信用情報への登録は永久ではない

自己破産による信用情報への登録は永久に続くものではありません。

自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。これにより、一定期間はクレジットカードの作成やローンの利用が難しくなります。

もっとも、事故情報は一生残るわけではありません。信用情報機関ごとに登録期間は異なりますが、一般的には一定期間の経過によって削除されます。

そのため、「自己破産をすると一生ローンを組めなくなる」「一生クレジットカードを持てなくなる」といった理解は正確ではありません。

自己破産による信用上の影響は長期間続くものの、永続的なものではありません。

一定期間後はローンやカードの審査対象になり得る

事故情報が削除された後は、ローンやクレジットカードの審査を受けること自体は可能になります。

もっとも、事故情報が削除されたからといって必ず審査に通るわけではありません。金融機関ごとに審査基準は異なり、収入状況や勤務状況なども審査対象になります。

また、過去に自己破産の対象となった金融機関については、独自の顧客情報を保有している場合があります。そのため、事故情報が削除された後も取引が難しいケースがあります。

一方で、別の金融機関では通常どおり審査が行われることもあります。

自己破産後に金融サービスを利用できるかどうかは、信用情報だけでなく現在の生活状況も重要な判断材料になります。

賃貸契約は継続・更新できるケースが多い

自己破産をしたからといって、直ちに賃貸住宅を退去しなければならないわけではありません。

現在住んでいる賃貸物件については、家賃の滞納がなければ契約が継続されるケースが一般的です。自己破産そのものを理由として契約が当然に解除されるわけではありません。

また、契約更新についても同様です。家賃の支払い状況や契約内容に問題がなければ、更新できる場合が少なくありません。

もっとも、新たに賃貸契約を締結する際には、保証会社の審査が問題になることがあります。特に信販系保証会社を利用している場合には、信用情報の影響を受ける可能性があります。

現在の賃貸契約への影響と、新たな賃貸契約の審査は分けて考える必要があります。

家計管理を見直し再建を目指すことが重要

自己破産後に最も重要なのは、借入れに依存しない生活基盤を整えることです。

自己破産は借金問題を解決する手続ですが、それだけで生活が安定するわけではありません。同じ状況を繰り返さないためには、家計の収支を把握し、継続的に管理することが重要です。

特に、クレジットカードやローンの利用が難しい期間は、現金払いやデビットカードを活用しながら生活を組み立てる必要があります。

また、生活費の見直しや収入の安定化に取り組むことで、自己破産後の生活再建は現実的なものになります。

自己破産は人生の終わりではなく、経済的な再出発のための制度です。

カードやローンには不自由が避けられませんが、金銭面で生活をやり直せる手続は自己破産だけであり、非常に強力な手段です。もっとも、繰り返すことは基本的に想定されていないので、最後の手段と考えましょう。

自己破産をしない方がよいケース|他の債務整理との違い

任意整理が向いているケース

安定した収入があり、元本の返済を継続できる場合には任意整理が適していることがあります。

任意整理は、債権者と交渉して将来利息や遅延損害金の減額を目指す手続です。裁判所を利用しないため、自己破産よりも手続負担が比較的少ないという特徴があります。

もっとも、元本そのものが大幅に減額される制度ではありません。そのため、将来利息がなくなれば返済を継続できる状況であることが前提になります。

また、任意整理では財産を処分する必要がありません。持ち家や車を維持したい場合にも利用しやすい手続です。

返済能力が残っている場合には、自己破産より任意整理が適していることがあります。

個人再生が向いているケース

住宅を残したい場合には、個人再生が有力な選択肢になります。

個人再生は、借金を大幅に減額したうえで、原則3年から5年かけて返済する手続です。自己破産とは異なり、一定の財産を維持しながら手続を進められる特徴があります。

特に住宅ローン特則を利用できる場合には、住宅ローンを継続して支払いながら自宅を残せる可能性があります。

また、自己破産では問題となる持ち家の処分を避けられる場合があるため、自宅の維持を重視する方にとっては大きなメリットがあります。

財産を守りながら借金を整理したい場合には、個人再生が適している可能性があります。

どの手続を選ぶべきか

どの債務整理手続が適しているかは、借金額だけでなく収入や財産の状況によって変わります。

たとえば、返済能力が残っている場合には任意整理が選択肢になります。一方で、返済能力はあるものの借金額が大きく、自宅を維持したい場合には個人再生が適していることがあります。

これに対し、借金額が大きく返済の見込みが立たない場合には、自己破産が有力な選択肢になります。

どの手続にもメリットとデメリットがあり、一律に優劣を決めることはできません。重要なのは、自身の家計状況や保有財産、将来の生活設計を踏まえて選択することです。

自己破産が最善とは限らず、他の債務整理手続を含めて比較検討することが重要です。

守るべき財産や身分がある場合には、自己破産を回避する選択が有力になります。

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自己破産の手続の流れ|相談から免責決定まで

弁護士への相談から申立てまで

自己破産を検討した場合、まずは弁護士へ相談し、借金や財産の状況を整理することになります。

弁護士は借入先や借金額、収入状況、財産の内容などを確認したうえで、自己破産が適切かどうかを検討します。場合によっては、任意整理や個人再生の方が適しているケースもあります。

自己破産を進めることになった場合には、債権者へ受任通知を送付し、必要資料の収集や家計状況の整理を進めます。その後、裁判所へ破産手続開始と免責許可の申立てを行います。

自己破産は申立てをすれば終わりではなく、事前準備が重要な手続です。

同時廃止と管財事件の違い

自己破産には「同時廃止」と「管財事件」の2つの手続類型があります。

同時廃止は、換価すべき財産がほとんどなく、破産管財人による調査の必要性が高くない場合に選択される手続です。比較的簡易な流れで進み、費用負担も抑えられる傾向があります。

一方、一定以上の財産がある場合や、借金の経緯について詳しい調査が必要な場合には管財事件となります。管財事件では裁判所が破産管財人を選任し、財産調査や換価手続を行います。

また、管財事件では予納金が必要になるため、同時廃止より費用が高くなることが一般的です。

どちらの手続になるかは、財産状況や借金の内容によって決まります。

免責許可決定までの流れ

裁判所が免責を許可すると、原則として借金の支払い義務が免除されます。

申立て後は、裁判所による審査や必要な調査が行われます。同時廃止か管財事件かによって進行は異なりますが、最終的には免責を認めるかどうかが判断されます。

免責許可決定が確定すると、非免責債権を除く借金について支払い義務がなくなります。

もっとも、浪費やギャンブルなどの事情がある場合でも、直ちに免責が認められないわけではありません。裁判所は事情を総合的に考慮し、裁量免責を認めることがあります。

自己破産の目的は破産手続開始そのものではなく、免責許可を得て生活再建につなげることです。

FAQ|自己破産するとどうなるかについてよくある質問

自己破産すると会社にバレますか?

自己破産をしたことが勤務先へ自動的に通知される制度はありません。そのため、多くの場合は会社に知られず手続を進めることが可能です。

もっとも、会社から借入れをしている場合や、給与差押えへの対応が必要な場合などには、勤務先へ事情を説明しなければならないことがあります。また、資格制限がある職業では業務への影響が生じる可能性があります。

一般的な会社員であれば、自己破産を理由として勤務先に知られるケースは多くありません。

自己破産すると家族もブラックリストに載りますか?

家族がブラックリストに載ることは通常ありません。

信用情報は個人単位で管理されているため、本人が自己破産をしても、配偶者や子どもの信用情報に事故情報が登録されることはありません。

もっとも、家族が保証人になっている場合には、保証人として返済請求を受けることになります。また、住宅ローンや生活費の負担など、間接的な影響が生じる場合はあります。

自己破産すると賃貸契約は更新できますか?

現在の賃貸契約は更新できるケースが多いです。

自己破産をしたことのみを理由として賃貸借契約が当然に終了するわけではありません。家賃の滞納がなく契約上の問題もなければ、更新できる場合が一般的です。

ただし、新たに賃貸契約を締結する場合には、保証会社の審査が影響する可能性があります。

自己破産すると銀行口座は凍結されますか?

すべての銀行口座が凍結されるわけではありません。

借入れをしている銀行に預金口座がある場合には、一時的に利用制限がかかることがあります。これは銀行が債権債務を整理するための措置です。

一方で、借入れのない銀行口座まで一律に凍結されるわけではありません。給与受取口座などについても、状況に応じて変更を検討することになります。

自己破産後にクレジットカードは作れますか?

事故情報の登録期間が経過した後は、クレジットカードを作れる可能性があります。

自己破産後しばらくは信用情報に事故情報が登録されるため、新たなクレジットカードの作成は難しくなります。

しかし、事故情報が削除された後は審査を受けることが可能になります。実際にカードを作れるかどうかは、収入状況や審査基準などによって判断されます。

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まとめ:自己破産するとどうなるか不安な場合は早めの相談が重要

自己破産によって生じる影響は人によって異なるため、自分の状況に当てはめて検討することが大切です。

この記事で解説したとおり、自己破産をすると借金の支払い義務の免除を受けられる可能性があります。一方で、持ち家などの財産を手放すことになったり、一定期間はクレジットカードやローンを利用しにくくなったりする影響もあります。

また、保証人がいる借金の有無や、残したい財産の内容によっては、自己破産以外の手続が適している場合もあります。実際には、任意整理や個人再生を選択した方が生活再建につながるケースも少なくありません。

自己破産が最善の選択肢かどうかは、借金額だけでなく収入、財産、家族状況などを踏まえて判断する必要があります。

借金問題は時間が経つほど利息や遅延損害金が増え、選択肢が狭まることがあります。返済に不安を感じている場合には、できるだけ早い段階で弁護士へ相談し、自分に適した解決方法を確認することが重要です。

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債務整理すると資格はなくなる?解雇される場合はある?資格への影響でお悩みの方へ弁護士が解説

●債務整理は自分の持つ資格に影響するか?

●自己破産は資格への影響を防げるか?

●個人再生は資格への影響を防げるか?

●任意整理は資格への影響を防げるか?

●債務整理で失った資格は取り戻せるか?

●債務整理の資格への影響で注意すべきことは?

というお悩みはありませんか?

このページでは,債務整理の資格への影響についてお困りの方に向けて,債務整理が資格に影響を及ぼすケースや,失った資格を取り戻せる場合などを解説します。

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債務整理が資格に影響する理由

債務整理をすると,一定の資格や免許などを持って行う業務に制限の生じる可能性があります。
例えば,弁護士の場合,「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」について欠格(資格を有しない)としており,破産手続開始決定を受けると資格を失うことになります(弁護士法7条4号)。

このように,債務整理が一定の資格に影響を与えるかどうかは,それぞれの資格について規律した法令によって定められています。特定の資格が影響を受けるかどうかは,その資格について定めた法令の内容を確認することが必要になるでしょう。

影響を受ける資格の類型

債務整理の影響を受ける資格の類型としては,以下のようなものが挙げられます。

資格・職業制限の例

1.一定の士業
→弁護士,公認会計士,司法書士,社会保険労務士など

2.金融機関等の役員
→日本銀行役員,銀行の取締役,協同組合の役員など

3.公的な委員会の委員
→公正取引委員会の委員,教育委員会の委員など

4.登録や免許を要する職業
→宅地建物取引主任者の登録,貸金業の登録,酒類の販売免許など

5.一定の事業の許可
→建設業許可,廃棄物処理業許可,風俗営業許可等

法律関係に携わる士業や,金銭の管理に携わる地位・職業などが広く対象とされています。
一方,医師や看護師,薬剤師,保育士などは,著名な資格ではあるものの債務整理による制限が生じません。

自己破産は資格に影響するか

自己破産の場合,資格に直接影響することが懸念されます。というのも,一般的に債務整理が資格や職業に影響を与えるのは,「破産手続開始決定から免責許可決定までの間」であるためです。

上記で紹介した弁護士法7条4号は,「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」を欠格者としていましたが,弁護士に限らず,資格に影響が生じる場合の具体的な定めは「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」というものです。
破産手続開始の決定を受けると,復権を得ない限りは資格を失った状態になる,ということになります。

そして,「復権」とは,制限された資格(権利)が回復することをいいます。この復権には,2つの種類があります。

復権の種類

1.当然復権
2.申立てによる復権

1.当然復権】

法律上当然に復権が生じる場合をいいます。当然復権となるのは,以下の4つの場合です。

当然復権となる場合

a.免責許可決定が確定したとき
b.債権者全員の同意により破産手続廃止が確定したとき
c.再生計画の認可決定が確定したとき
d.破産手続開始決定から10年経過したとき

a.免責許可決定が確定したとき

自己破産の手続きが無事に終了し,免責決定に至った場合を指します。
最も代表的な当然復権の類型です。

b.債権者全員の同意により破産手続廃止が確定したとき

返済の目途が立ったなどの理由で,債権者全員が「破産しなかったこと」にすることに同意した場合を指します。債権者にメリットがないため通常は考えにくいでしょう。

c.再生計画の認可決定が確定したとき

自己破産で免責許可が得られなかったため,個人再生手続に切り替えた場合の定めです。再生計画とは,債権者に対する返済のプランを指しますが,その再生計画の認可が下りれば復権となります。

d.破産手続開始決定から10年経過したとき

免責許可が得られなくても,破産手続の開始決定から10年が経過すれば復権します。ただし,「詐欺破産罪」で有罪判決を受けていないことが必要となります。
詐欺破産罪は,破産者が所有する財産を隠すなどして虚偽の破産を行う犯罪です。

2.申立てによる復権】

破産手続開始決定後,免責許可決定を得るまでの間に,相続を受けたなどして大金を取得し,借金を完済できる場合もあり得るところです。この場合,免責許可決定を受けることがないため,免責許可決定に伴う当然復権が生じず,復権するためには申立てをする必要があります。

このようなときに用いられるのが,申立てによる復権です。

以上の通り,復権にはいくつかの類型がありますが,最も代表的なものが免責許可決定の確定による当然復権です。そのため,債務整理が資格や職業に影響を与えるのは,「破産手続開始決定から免責許可決定までの間」となりやすいのですね。

なお,復権した場合,破産手続開始決定を理由とする資格制限が消滅するため,それまで通りに資格を用いた業務が可能になります。

ポイント
破産手続開始決定によって資格制限が生じる
復権すれば資格制限が消滅する
復権の代表例は免責許可決定の確定

個人再生は資格に影響するか

債務整理が資格に影響するかは,その資格について規律する法令の定めによりますが,現在,個人再生を理由に制限が生じる資格や職業はありません。そのため,個人再生は資格に影響しない,という結論になります。

そもそも,個人再生は,安定した収入が得られる人を対象にした債務整理手続であり,返済プランである再生計画も,安定収入を前提としたものです。そのため,個人再生によって資格に影響することは制度の性質上ないということになるでしょう。

任意整理は資格に影響するか

任意整理は,つまるところ当事者間の交渉にとどまります。債権者と交渉をすることで資格に影響が生じることはないため,任意整理が資格に影響することはありません。

資格への影響を防ぐために適切な手段は

資格への影響を防ぎたい場合,適切な債務整理の手段は自己破産以外のいずれか(個人再生又は任意整理)ということになるでしょう。特に,資格を活用した仕事をしている立場の場合,安定収入が見込まれやすいため個人再生と相性がいい状況にあることが多いかもしれません。

もっとも,自己破産をしても,復権すれば資格への影響は消滅します。復権までの期間は,一般的には免責許可決定までの期間ということになりますが,ケースにより数か月,といったところでしょう。
免責許可決定までの資格制限が受け入れられる場合は,自己破産も選択肢に入ってくるでしょう。

ポイント
資格に影響を及ぼすのは自己破産のみ
もっとも,その期間は破産手続開始決定から免責許可決定の確定まで

資格への影響と解雇

自己破産によって資格への影響が生じた場合,資格への影響そのものは一定期間で終了するとしても,勤務先を解雇されてしまえば仕方がありません。そこで,自己破産と解雇との関係が問題になるところです。

この点,まず,自己破産を理由とした解雇は違法であるとの理解が通常です。自己破産は解雇の合理的な理由であると考えられていないため,自己破産を理由に解雇をすることは認められないのが一般的でしょう。
ただし,自己破産によって資格に影響を及ぼす場合は事情が変わってくる可能性もあり得ます。特に,制限された資格がなければ仕事ができない場合や,資格があることを前提に雇用した場合など,資格制限が雇用契約に重大な影響を及ぼすときには,自己破産(による資格制限)を理由とした解雇も適法になる可能性があるでしょう。

もっとも,個人再生や任意整理の場合は,資格への影響が生じないため,自己破産のように解雇が適法になるケースはほとんどないと思われます。

ポイント
自己破産そのものは解雇の理由にできない
自己破産に伴う資格制限が解雇の理由になる場合は仕事によりあり得る
個人再生や任意整理を理由にした解雇は基本的に違法

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

債務整理のうち,自己破産は本人の持つ資格を失わせることになる場合があります。
同時廃止で免責許可が見込まれる場合には,比較的影響は小さく済みやすいですが,それでも影響を防ぐことは困難であり,自己破産の前に十分な検討が必要です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

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自宅や車を失わずに債務整理したい人へ,基本的な考え方から詳しい制度まで弁護士が完全網羅

●債務整理で自宅や車を守りたいときはどうすべきか?

●自己破産で自宅や車を守れるか?

●個人再生で自宅や車を守れるか?

●任意整理で自宅や車を守れるか?

●自宅や車を守る場合の注意点は?

というお悩みはありませんか?

このページでは,債務整理で自宅や車を守りたいとお考えの方に向けて,債務整理で自宅や車を守るための方法や注意点などを解説します。

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債務整理で自宅や車を守る必要

債務整理は,債務者の債務と財産を取り扱う手続です。そして,自宅や自動車も重要な債務者の財産であるため,手続によっては自宅や車を手放した上で経済的な再建を目指さなければなりません。

しかし,自宅や車は生活の基盤となる財産であり,その経済的価値は他の財産よりも著しく高額であることが一般的です。そうすると,債権者のためには金銭に換価して配当に回すべきですが,債務者の経済的再建のためには奪ってしまう不利益があまりに大きい財産となり得ます。

そのため,債務整理の手続選択によっては,自宅や車を守ることができるようにしながら,経済的再建を目指すことも可能とされています。

ポイント
自宅や車は高価な財産であるため,債権者のためには金銭に換価して配当に回すべき
もっとも,自宅や車を奪われると債務者の生活が再建できなくなる恐れがある

方法①自宅や車を対象としない手続を使う

債務整理で自宅や車を守るためには,そもそも自宅や車を対象としない債務整理を行うことが一案です。債務整理には,債務の全てを対象としなければならない手続(自己破産,個人再生)と,債務の一部だけを対象とすることのできる手続(任意整理)があります。そのため,任意整理を実施の上,自宅や車と関係のない債務だけを対象とすれば,自宅や車を守りながらの債務整理ができることになります。

方法②自宅や車の処分を免れる制度を活用する

債務整理においては,財産の処分を要する手続(自己破産)と財産の処分を原則として要しない手続(個人再生,任意整理)があります。そのため,財産の処分を要しない手続を用いることで,自宅や車の処分を免れられる可能性があります。

もっとも,自宅や車はローンでの購入も多く,ローンがあるとそう簡単には自宅や車を守れません。ローンは,購入した自宅や車そのものを担保にしていることが多いため,返済ができない場合には担保が実行され,自宅や車を引き揚げられてしまう可能性が高いのです。

この点,個人再生の場合に限り,住宅ローン付きの自宅でも処分を免れる制度があります(いわゆる住宅ローン特則)。自宅の重要性を踏まえ,自宅を守りながら個人再生を実現する手段を法律が用意しているのですね。

ポイント 自宅や車を残す方法
自宅や車と関係のない債務だけを対象にする
財産の処分をしなくてもよい手続を用いる(ただしローンがあると不可)
住宅ローンについては,個人再生の場合に限り特別な制度がある

自己破産は自宅や車を守れるか

自己破産は,必要最低限の財産を除き一切の財産を処分した上で,引き換えに債務も免除することによって,財産も債務もない状態とすることを目指す手続です。そのため,自己破産後に所持していられる財産は,20万円以下のものに限られます。

この点,車に関しては,売却価格の査定を行い,20万円以下であることが示せれば,処分することなく自己破産が可能です。もっとも,自宅に関しては,明らかに売却価値がないような例外的場合を除き処分せざるを得ないため,自宅を守りながら自己破産するのは不可能と考えるべきでしょう。

なお、自宅に関しては、まず売却を検討することも有力な選択肢の一つになり得ます。

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ポイント 自己破産の場合
住宅を守ることは困難
車は売却価格が20万円以下であれば守ることが可能

個人再生は自宅や車を守れるか

①自動車について

個人再生は,基本的に財産の処分を必要としない手続であるため,個人再生をしたからといって自動車を手放す必要はありません。特に,一括払いで購入した場合や,ローンを組んで完済済みの場合など,自動車代金の支払が残っていない状況であれば,全く問題なく自動車を守ることが可能です。
しかし,以下の場合には,個人再生に際して自動車の処分が必要となります

個人再生で自動車の処分が必要な場合

1.自動車ローンが完済前であり,
2.自動車に「所有権留保」がついている場合

自動車をローンで購入するとき,売主が「所有権留保」という担保を設定することがあります。これは,ローンが完済されるまでは自動車の所有権を売主にとどめておく(留保する)というものです。所有権留保があると,ローンの完済前は自動車の所有権が販売者側にあるため,所有権留保を実行することで自動車を引き上げることができます。これにより,代金の支払が滞るケースに備えるというわけですね。

ポイント
基本的に自動車の処分は必要ない
ローン完済前かつ所有権留保がついていると,自動車を失う可能性あり

②自宅について

自宅についても,代金が全額支払済みであれば処分は必要ありませんが,現実的にそのようなケースはほとんどないでしょう。
したがって,住宅ローンの支払が残っていることになりますが,住宅ローンの担保として自宅に抵当権が設定されているのが通常です。そのため,住宅ローンが支払えないとなると抵当権が実行されて住宅が強制的に売却させられ,ローンの支払に充てられてしまいます。
しかし,全てのケースでこのようにするのはあまり経済的に望ましくない上,債務者の経済的再建にとっても著しいマイナスになることが間違いありません。

そこで,個人再生に限り,「住宅資金特別条項」(いわゆる住宅ローン特則)という制度が用意されており,自宅を守りながら個人再生できる場合があります。
住宅資金特別条項」は,住宅ローンを個人再生の対象となる債権から外し,住宅ローンだけはそれまで通り支払い続ける,という個人再生の制度です。この制度を利用するには,以下の要件を満たすことが必要とされます。

住宅資金特別条項の要件

1.対象の債権が住宅資金貸付債権(住宅ローンとしての貸付)である
2.住宅ローンの担保となっている住居が債務者所有の建物である
3.住宅ローンの担保となっている住居が債務者居住用の建物である
4.住宅が住宅ローン以外の担保になっていない
5.保証会社が代位弁済した場合,代位弁済日から6か月以内に申立てている

1.対象の債権が住宅資金貸付債権(住宅ローンとしての貸付)である

住宅資金貸付債権とは,以下の債権をいうと定義されています(民事再生法196条3号)。

住宅資金貸付債権とは
a.住宅の建設,購入,改良に必要な資金を貸付したものである
b.分割払いでの貸付である
c.債権を担保するため,住宅に抵当権が設定されている

つまり,一般的な住宅ローンを指していると理解してよいでしょう。

2.住宅ローンの担保となっている住居が債務者所有の建物である

住宅資金特別条項の対象となるのは,「住宅」に対するローンに限られますが,「住宅」とは債務者自身が所有する建物をいいます(民事再生法196条1号)。

3.住宅ローンの担保となっている住居が債務者居住用の建物である

住宅」に該当するためには,債務者が所有するのみならず,債務者が自己の居住の用に供する建物でなければなりません(民事再生法196条1号)。
また,床面積の2分の1以上が専ら自己の居住の用に供されるものであることも必要です。自宅兼店舗といった形態の場合,「自宅」に当たらない可能性が生じ得るでしょう。

4.住宅が他のローンの担保になっていない

住宅が住宅ローン以外の債権の担保にもなっている場合,住宅資金特別条項を利用することができません(民事再生法198条1項)。これは,住宅が他の債権の担保にもなっていると,その債権者が担保を行使してしまい,結果的に住宅を守る手段がなくなってしまうためです。

この点,夫婦でペアローンを組んでいるときには注意が必要です。ペアローンの場合,住宅は夫の住宅ローンの担保であると同時に妻の住宅ローンの担保でもあるため,夫婦どちらの立場から見ても「住宅が他のローンの担保になっていない」場合に当たらないのです。
このときは,夫婦がそれぞれ個人再生を申し立てることで,住宅資金特別条項の利用を認められる可能性があります

5.保証会社が代位弁済した場合,代位弁済日から6か月以内に申立てている

保証会社を付けている場合,金融機関は保証会社に対して支払を求め,保証会社が代わりに返済することがあります。これを「代位弁済」と言います。保証会社が代位弁済をした場合には,その弁済の日から6か月以内に再生手続開始の申立てをしなければ,住宅資金特別条項は利用できません(民事再生法198条2項)。

以上の通り,要件は複数に渡りますが,一般的な住宅ローンであって,住宅を住宅ローン以外の担保にしていなければ,条件を満たす可能性は非常に高いと思われます。

ポイント
自宅は住宅ローンが残っている限り抵当権が実行され競売されるのが原則
住宅資金特別条項を利用できれば,自宅を守りながら個人再生できる

任意整理は自宅や車を守れるか

任意整理は,債務者自身が債務を選択し,選択した債務について債権者と返済の交渉をする方法です。そのため,任意整理に当たって住宅ローンや自動車ローンを扱わなければならないわけではありません。

この点,債務整理で自宅や車を守れない場合があるのは,住宅ローンや自動車ローンの返済ができないと債権者に発覚し,債権者がローンの担保を実行するからです。そうすると,ローンの返済ができないと債権者に発覚しなければ,自宅や自動車を守りながらの債務整理が可能ということになります。

任意整理の場合には,住宅ローンや自動車ローンには手を付けず,ほかの債務だけ任意整理を試みることによって,自宅や車を守ることができるでしょう。

自宅や車を守るにはどの方法が適切か

自宅や車を守る方法としては,自己破産では不適切であり,個人再生か任意整理であれば守る余地がある,ということが分かりました。では,個人再生と任意整理のいずれが適切か,という問題になるところです。

この点,まず住宅がある場合には個人再生が適切でしょう。個人再生であれば,住宅資金特別条項を利用することで,住宅ローン以外の借金が大きく圧縮され,住宅ローンの返済が現実的になりやすいです。住宅ローンを避けて任意整理をしても自宅は守れますが,借金の減額幅には大きな限界があるため,任意整理をしたところで返済できるか不透明である,ということになりかねません。

一方,自動車ローンが残っており,自動車だけが問題であれば,任意整理を行うほかないでしょう。ローンの残った自動車は,所有権留保がついていない場合を除き個人再生で守ることができないので,自動車ローン以外の任意整理を試みる以外の手段がありません。

ポイント
住宅ローンがあるときは個人再生
自動車ローンだけが問題であれば任意整理

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

債務整理には,債務とともに財産を整理する手続となるものもあるため,自宅や車を守りたい場合には適切な手段を取る必要があります。
具体的な方法にはいくつかの選択肢があり,どの方法を選択するのが有益かはケースによりますので,ご検討の際は弁護士へのご相談をお勧めいたします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
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支払能力が全くない場合にはどんな債務整理の方法を取るべき?支払できない人の方法選択を解説

●支払能力が全くない場合はどうすべきか?

●支払能力が全くないときは自己破産が適切か?

●支払能力が全くないときは個人再生が適切か?

●支払能力が全くないときは任意整理が適切か?

●支払能力が全くない場合の注意点は?

というお悩みはありませんか?

このページでは,支払能力が全くない場合の債務整理についてお困りの方へ向けて,支払能力が全くない場合はどの手段を選択すべきか注意点は何かなどを解説します。

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支払能力が全くない場合に必要な対処

債務整理は,自分の経済力では借金の返済が完了できない場合の救済手段ですが,そもそも借金を返済するための支払能力が全くない場合も考えられます。典型例は,仕事を失ったなど,収入獲得の手段が閉ざされてしまった場合です。

このような場合の債務整理の目的は,「債務整理の結果,債務の支払を免れる」ことに他なりません。仮に債務が大幅に圧縮されて減額しても,支払を必要としてしまうのでは,支払能力が全くない人にとって解決できたとは言えません。

これを法的に整理すると,支払能力が全くない場合の対処としては,債務について「免責」となることを目指す必要がある,ということになるでしょう。

ポイント 支払能力が全くない場合の対処
手続後に支払を要するのでは解決になっていない
債務の免責を得ることが必要

自己破産は支払能力が全くない場合に適切か

自己破産は,借金を返済する能力が不足する場合に,必要最低限の財産以外を手放す代わりに借金を免除してもらうことを目指す手続です。

自己破産とは
必要最低限の財産以外は手放す
引き換えに,借金を免除してもらう

つまり,自己破産は,財産も借金も基本的にゼロとした状態で債務者を再スタートさせる手続ということになります。これは,手続の結果として債務の免責を見込むものであるため,支払能力が全くない場合の手続としてまさに最適ということができるでしょう。

ポイント
自己破産は,債務者の財産も借金もゼロにした状態での再出発を目指す手続
債務について免責を見込む制度であるため,支払能力が全くない場合に最適

個人再生は支払能力が全くない場合に適切か

個人再生手続は,借金の減額を認めてもらった上で継続的な返済計画を立てる制度です。つまり,個人再生手続の場合,手続の終了後には返済計画に沿った返済が速やかにスタートすることを前提としており,支払能力が全くない場合に適していません。

そもそも,個人再生手続を行うためには,安定した収入が継続する見込みが必要となるため,仮に希望したとしても個人再生はできないという結論になりにくいでしょう。

ポイント
個人再生は,借金の減額と継続的な返済計画を内容とする制度
返済能力がないと利用できず,支払能力が全くない場合には不適切

任意整理は支払能力が全くない場合に適切か

任意整理は,債務整理を行う方法の一つで,金融機関などの債権者に対して直接交渉を試み,支払金額の軽減と完済を目指す手続を言います。債務者から委任を受けた弁護士が債権者と交渉し,多くの場合は将来分の利息をカットしてもらった上で,残債務額を3~5年の期間で支払う内容の合意を目指します。
つまり,任意整理は現在残っている借金の元金を返済する前提でなければ利用できず,支払能力が全くない場合には不適切です。

ポイント
任意整理は,将来の利息をカットして残元金の計画返済をするもの
元金の返済が必要になるため,支払能力が全くない場合には不適切

支払能力が全くない場合に適切な手段は

支払能力が全くない場合の債務整理の手段としては,個人再生及び任意整理では不適切であって,自己破産をしなければならない,ということになります。
自己破産によって債務の免責許可を受けることが唯一の解決策となるため,目指す手続を誤らないようにしましょう。

支払能力が全くない場合の注意点

①免責不許可事由がある場合

支払能力が全くないときに自己破産を試みるのは,債務について免責許可決定を受けるためです。そのため,自己破産をしても免責許可決定が受けられない場合,自己破産をするメリットがなくなってしまいます。そうすると,支払能力が全くない場合は,免責されるかという点について慎重な検討を重ねるべきでしょう。

この点,免責不許可事由としては,以下のようなものが定められています。

免責不許可事由

1.財産を不当に減少させる行為
→財産の隠匿,損壊,不当な処分などの行為が挙げられます。

2.不当な債務負担
→著しく不利益な条件で債務を負う行為などが挙げられます。

3.特定の債権者に利益を与える行為
→債権者のうち一人だけに全額返済する行為などが挙げられます。

4.浪費や賭博による債務負担
→収入に見合わない出費や賭博行為を理由に破産する場合が挙げられます。

5.詐術による信用取引
→借金を隠して新しいクレジットカードを作り,使用した場合などが挙げられます。

6.帳簿の隠滅
→業務や財産状況に関する書類を隠したり偽造したりする行為が挙げられます。

7.虚偽の債権者名簿提出
→自己破産の申立て時に特定の債権者だけを債権者から除く行為などが挙げられます。

8.説明拒否・虚偽説明
→裁判所の調査に対してウソや隠し事をする行為が挙げられます。
裁判所の信用を直接損なうため,免責不許可となる可能性が非常に高くなります。

9.管財業務の妨害
→破産管財人の指示に反したり,管財人を脅したりする行為が挙げられます。

10.過去7年以内の免責許可決定
→免責や同種の法的保護を受けている場合,7年間は免責が許可されません。

11.破産法上の義務違反
→破産手続における破産者の義務(説明義務,重要財産開示義務,免責調査協力義務等)に反した場合が挙げられます。

これらの免責不許可事由に当たる場合,裁判所が特に免責を認めるケースを除き,免責許可決定が得られません。ここで,免責不許可事由がありながらも裁判所が特に免責を認めることを,「裁量免責」と言います。

免責不許可事由がある場合,裁量免責を認めてもらえるように可能な限りを尽くすのが適切でしょう。具体的には,反省や更生の意欲を積極的に表明する借金に至った経緯があまりに不適切ではないことを詳細に説明する,といった方法が考えられます。
裁量免責は,文字通り裁判所の裁量で免責にするというものであるため,裁判所の恩情を求めるものである,という理解を十分にした上で,対応を尽くすことをお勧めします。

ポイント
免責不許可事由がある場合,原則として免責許可が得られない
裁量免責が認められた場合に限り,例外的に免責される
反省や更生の意欲などを積極的に表明することで,裁判所の恩情的判断を求める

②弁護士費用が支出できない場合

自己破産を弁護士に依頼する場合,弁護士費用の支払が必要です。一般的に,弁護士は必要な弁護士費用が受領できた段階で初めて裁判所への申立てを行います。
そのため,親族と相談するなど,弁護士費用を支出する試みが必要となるところです。

どうしても弁護士費用が支出できない場合には,自分で可能な限り自己破産を試みることも一案かもしれません。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

支払能力が全くない場合の債務整理は,支払を免れる結果を獲得する必要があり,支払の継続を前提とするのでは解決にならないのが通常です。
そのため,基本的には自己破産の選択が必要になりやすいですが,自己破産によって本当に問題解決につながるかは,弁護士への十分なご相談が適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

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