FXで大きな損失が出ると、「取引を続ければ取り戻せるのではないか」「返済のために一時的に借りるだけなら問題ない」と考えてしまうことがあります。しかし、借金を使って取引や返済を続けると、損失と利息が重なって自力では返済できない状態に陥るおそれがあります。

FXの借金を解決するには、まず新たな取引と借入れを止め、債務額や家計収支を整理しなければなりません。そのうえで、自力返済を続けられるのか、それとも任意整理・個人再生・自己破産が必要なのかを判断します。本記事では、FXで借金が生じる原因、自力返済の判断基準、債務整理の選び方を順に解説します。

返済できないまま督促を放置すると、遅延損害金が加算されるだけでなく、訴訟を起こされ、給与や預貯金を差し押さえられる可能性があります。借金を隠したり、損失を取り戻すためにFXを続けたりせず、返済の見込みが立たない段階で早めに対処することが必要です。

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FXで借金ができる原因

ロスカットが間に合わず不足金が生じる 

FXは、預けた証拠金を担保として、その何倍もの金額を動かすレバレッジ取引です。少ない資金で大きな利益を得られる可能性がある反面、為替が予想と反対に動けば損失も大きくなります。通常は、損失が一定の水準に達すると保有しているポジションを強制的に決済するロスカットが行われますが、ロスカットがあるから証拠金を超える損失は生じないとは限りません

経済指標の発表、災害、戦争、金融政策の変更などをきっかけに為替相場が急変すると、注文時と実際の約定時で価格に差が生じることがあります。その結果、ロスカットが想定より不利な価格で成立し、決済後の損失が預けた証拠金を上回ることがあります。その場合、証拠金を失うだけでなく、証拠金で補えなかった不足金をFX会社へ支払わなければなりません

証拠金や追証を用意するために借入れをする

FX取引を始めるための証拠金を、消費者金融、カードローン、クレジットカードのキャッシングなどで用意すれば、取引を始める前から借金を抱えることになります。自己資金ではなく借入金を証拠金にすると、FXで利益を得られなかった場合でも、借りた元金と利息は予定どおり返済しなければなりません

また、含み損の拡大によって証拠金維持率がFX会社の定める基準を下回ると、追加の証拠金である追証を求められることがあります。ポジションを維持するために新たな借入れで追証を支払っても、その後さらに相場が不利に動けば損失は拡大します。借入金をFX取引に使って失っても返済義務は残るため、FXの損失とは別に金融機関への借金を返し続ける必要があります

損失を取り戻すために追加の借入れを重ねる

FXで損失を出した後、「次の取引で取り戻してから返済しよう」と考え、追加の借入れをして取引を続けると、借金が急速に膨らみます。短期間で損失を取り戻そうとして取引金額を増やせば、相場が再び予想と反対に動いた場合の損失も大きくなります。借入れによる取引を続けるほど、返済に充てるべき資金まで失う危険が高まります

さらに、既存の借金の返済日を乗り切るため、別の金融機関から借り入れて返済する自転車操業に陥るケースもあります。この状態では、毎月返済していても元金が十分に減らず、複数の借入先に支払う利息や遅延損害金が家計を圧迫します。生活費や返済資金までFXに使っている場合は、取引による損失の回復ではなく、借金そのものの整理を検討すべき段階です。

FXの借金が払えない時の緊急対処法

新たなFX取引と追加の借入れを止める

FXの借金を返済できないときは、まず新たな取引を止め、損失を取り戻す目的で追加の借入れをしてはいけません。借金を原資に取引を続けると、相場が不利に動いた場合に損失がさらに膨らみます。また、別の金融機関から借りて返済日を乗り切っても、借金の総額が減るわけではなく、支払う利息が増えて返済を一層困難にします。

すでにポジションを保有している場合は、証拠金維持率、含み損、ロスカットの基準、決済した場合の不足金を確認する必要があります。保有中のポジションを維持するために借金を重ねるのではなく、新たな取引と追加借入れを止めて、これ以上債務を増やさないことを優先しましょう。

債権者・債務額・支払期限を整理する

次に、FX会社に支払う不足金だけでなく、消費者金融、銀行カードローン、クレジットカードなどを含め、すべての債務を整理します。各社の利用明細や会員ページを確認し、債権者名、残元金、金利、毎月の返済額、支払期限、滞納の有無を一覧にしてください。

借入先を正確に把握できない場合は、信用情報機関へ情報開示を請求する方法もあります。ただし、個人間の借入れや一部の債務は信用情報に表示されないため、預金口座の履歴、メール、請求書なども確認しなければなりません。保証人や担保が付いている債務があれば、その情報も整理しておくと、返済方法や債務整理による影響を具体的に判断できます。

家計収支から自力返済できるかを判断する

自力返済が可能かどうかは、現在の収入だけでなく、生活を維持したうえで毎月いくらを返済に充てられるかによって判断します。手取り収入から家賃、食費、水道光熱費、税金、保険料などの必要な支出を差し引き、無理なく継続して支払える金額を返済可能額として算出することが必要です。

その返済可能額と、利息を含む債務総額を比較し、完済までの期間を計算します。返済のために生活費を削り続ける必要がある場合や、返済後に再び借入れをしなければ生活できない場合は、自力返済が可能とはいえません。昇給、賞与、FXによる利益などの不確実な収入を前提にせず、現在の安定した収入だけで完済できるかを基準に判断しましょう。

返済できない場合は督促を放置せず弁護士へ相談する

返済期限を過ぎると、電話や書面による督促が始まり、遅延損害金も加算されます。督促を放置したままにすると、債権者から訴訟や支払督促を起こされ、最終的には給与や預貯金を差し押さえられるおそれがあります。裁判所から書類が届いた場合には回答期限が設けられているため、内容を確認せず放置することは避けなければなりません

自力返済の見込みが立たない場合は、滞納が長期化する前に弁護士へ相談し、収入、資産、債務総額、家族構成などに応じた解決方法を検討します。弁護士が債務整理を受任して貸金業者へ通知すると、通常は本人に対する直接の取立てが止まります。ただし、受任通知だけで借金が減ったり、すでに始まった裁判や差押えが当然に止まったりするわけではありません。督促が止まった後、速やかに任意整理・個人再生・自己破産の手続を選ぶことが必要です。

借入金でFX取引を行っている場合は、特に早期の判断が必要です。

FXの借金を救済する債務整理の手段3選

任意整理

任意整理は、弁護士が消費者金融やカード会社などの債権者と交渉し、将来利息の減免や返済期間の見直しを求める方法です。裁判所を利用せず、整理する債権者を選べるため、保証人が付いている借金や自動車ローンなどを対象から外せる場合があります。ただし、借金の元金は原則として減額されないため、一定の返済能力が必要です。

任意整理が適しているのは、将来利息がなくなれば、通常3~5年程度の分割払いで元金を完済できる場合です。毎月の返済可能額に返済月数を掛けても元金に届かない場合や、収入が安定していない場合は、任意整理による解決は困難です。また、FX会社に対する不足金についても交渉はできますが、分割払いや減額に応じるかは債権者ごとに異なります

任意整理では裁判所から家族宛てに書類が届くことはありません。そのため、個人再生や自己破産と比べれば家族に知られにくい方法ですが、家族が保証人である場合や、家計から返済資金を捻出できない場合は、家族に説明せず手続を進めることが難しくなります。

個人再生

個人再生は、裁判所へ申し立てて借金を法律上の基準に従って減額し、原則3年間、事情によっては最長5年間で分割返済する手続です。返済計画である再生計画が認可され、その計画どおりに返済を終えれば、残りの借金について支払義務を免れます。元金を含めて借金を減額できることが任意整理との大きな違いです。

利用するには、将来にわたって継続的または反復的な収入を得られる見込みが必要です。減額後の返済額は、債務総額、保有している財産の価値、可処分所得などによって決まるため、単純に借金が一律で5分の1になるわけではありません。FXによって生じた借金も原則として減額の対象となり、投資目的で借りたことだけを理由に個人再生を利用できなくなるわけではありません

個人再生では、住宅ローン特則を利用して自宅を残せる場合があります。一方、裁判所へ家計や財産に関する資料を提出する必要があり、同居家族の収入資料を求められることもあるため、家族に知られず進めることは容易ではありません。

自己破産

自己破産は、借金を返済できない状態にある人が裁判所へ申し立て、免責許可を受けることで、原則として借金の支払義務を免れる手続です。収入や資産と比べて借金が多く、任意整理や個人再生による返済もできない場合には、生活を立て直すための有力な選択肢となります。

ただし、一定の価値を超える財産は、原則として破産管財人により換価され、債権者への配当に充てられます。税金、社会保険料、養育費などは免責されないため、手続後も支払わなければなりません。また、家族が保証人になっている借金がある場合、本人が免責を受けても保証人の支払義務は残ります。

FXによる借金も自己破産の対象に含められますが、収入や資産に見合わない取引によって過大な借金を負った場合は、免責不許可事由が問題となります。もっとも、免責不許可事由があるだけで直ちに免責されなくなるわけではなく、取引をやめた時期、借金の経緯、生活再建への姿勢、手続への協力状況などを踏まえて裁量免責が認められることがあります。FXの借金を隠さず、取引履歴や入出金記録を提出することが必要です。

どの手段が望ましいかは、個別の詳細な検討が必要となるため、専門家へのご相談を強くお勧めします。

FXによる借金で自己破産する際の注意点

収入や資産に見合わないFX取引は免責不許可事由になり得る

自己破産を申し立てても、裁判所から免責許可を受けなければ借金の支払義務はなくなりません。破産法252条1項4号は、浪費や賭博などの射幸行為によって著しく財産を減少させ、または過大な債務を負担したことを免責不許可事由としています。FXは利益と損失が相場によって左右される取引であるため、取引の規模や経緯によっては射幸行為として免責不許可事由に該当します

もっとも、FXで損失を出した事実だけで直ちに免責不許可事由となるわけではありません。裁判所は、本人の収入や資産、取引金額、損失額、取引期間、借入れを始めた時期、返済できないと認識した後も取引を続けたかなどを確認します。少額の余裕資金で取引していた場合と、生活費や借入金を繰り返し投入した場合とでは評価が異なります。特に、返済不能を認識しながら借金による取引を続けた事情は、免責の判断において不利に扱われます。

免責不許可事由があっても裁量免責を受けられる

FX取引が免責不許可事由に該当しても、必ず免責が認められないわけではありません。破産法252条2項により、裁判所は、破産手続開始に至った経緯その他一切の事情を考慮して、裁量によって免責を許可できます。したがって、FXによる借金がある場合でも、裁量免責によって支払義務を免れる余地があります

裁量免責では、損失額や取引期間だけでなく、FX取引をやめているか、借金が増えた経緯を正直に説明しているか、家計を改善しているか、裁判所や破産管財人の調査に協力しているかなどが確認されます。申立て後もFX取引を続けたり、取引口座や借入れを隠したりすれば、生活を立て直す意思や手続への協力姿勢を疑われます。反対に、取引を中止して家計を見直し、必要な資料を提出して誠実に手続へ対応することは、裁量免責を判断するうえで考慮される事情となります。

管財事件になると費用と手続期間の負担が増える

申立人に換価すべき財産がなく、免責について詳しい調査も必要ない場合には、破産手続開始と同時に手続を終了する同時廃止となることがあります。一方、FX取引による多額の損失があり、免責不許可事由の調査が必要な場合には、破産管財人が選任される管財事件として扱われることがあります。FXによる借金があるという理由だけで、必ず管財事件になるわけではありません。

管財事件になると、破産管財人が取引履歴、借入れの経緯、資金の流れ、現在の財産状況などを調査します。申立人は、弁護士費用や裁判所へ納める手数料などに加えて、破産管財人の業務に充てる予納金を準備しなければなりません。必要な予納金や手続期間は裁判所の運用や事案によって異なります。FX取引の内容を調査する必要性が高いほど、同時廃止より費用と時間を要する可能性が高まるため、申立て前に必要な費用と資料を確認しておくことが必要です。

FX取引をやめて取引履歴や借入経緯を正直に申告する

自己破産を検討する段階に入ったら、新たなFX取引や取引資金の借入れをやめなければなりません。返済できないことを認識した後も借入れと取引を続けると、損失が拡大するだけでなく、免責を判断する際にも不利な事情となります。特定の債権者だけに返済したり、家族などへ財産を移したりすることも避け、財産や返済に関する判断は弁護士へ相談してから行うことが必要です。

申立てに際しては、FX口座の一覧、取引報告書、年間損益報告書、入出金履歴、預金通帳、借入明細などを提出し、いつ、どの資金を使い、どのように借金が増えたのかを説明します。取引口座を解約しても、過去の取引を申告しなくてよいわけではありません。資料が手元にない場合はFX会社や金融機関から取り寄せ、弁護士とともに借入れと取引の時系列を整理します。不利な事実も隠さず申告し、裁判所と破産管財人の調査に協力することが、免責を得るための基本的な対応です。

FXの借金に関するよくある質問

Q. FXによる借金でも自己破産できますか?

FXによる借金も、自己破産による免責の対象にできます。ただし、収入や資産に見合わないFX取引によって著しく財産を減らしたり、過大な借金を負ったりした場合には、射幸行為による免責不許可事由に該当することがあります。

免責不許可事由があっても、直ちに自己破産できなくなるわけではありません。裁判所は、取引をやめた時期、借金が増えた経緯、生活の改善状況、手続への協力などを考慮し、裁量免責を認めることがあります。FXの借金を隠さず、取引履歴や入出金記録を提出して、借入れから返済不能に至る経緯を正直に説明することが必要です。

Q. 家族にバレずにFXの借金を解決する方法はありますか?

任意整理は裁判所を利用せず、弁護士が債権者と直接交渉するため、個人再生や自己破産より家族に知られにくい方法です。弁護士からの連絡方法や郵便物の送付先を事前に決めておけば、家族に知られず手続を進められる場合があります

ただし、家族が保証人になっている、家族名義の財産や収入を確認する必要がある、家計から返済資金を捻出できないといった場合には、秘密のまま解決することは困難です。個人再生や自己破産では、同居家族の収入資料などが必要になることもあります。家族に知られないことを優先して不適切な手続を選ぶのではなく、相談時に家庭の状況まで弁護士へ伝えることが必要です。

Q. 追証(追加証拠金)を踏み倒すとどうなりますか?

期限までに追証を入金しなければ、FX会社の取引ルールに従って保有中のポジションが強制的に決済されます。決済による損失を預けている証拠金で補えなかった場合、その差額は不足金として残り、FX会社に対する支払義務を負います

不足金を支払わずに放置しても、債務が自然になくなるわけではありません。FX会社から督促を受け、契約に基づく遅延損害金を請求されるほか、訴訟や支払督促を経て、給与や預貯金を差し押さえられることがあります。支払えない場合は連絡を無視せず、ほかの借金も含めて返済可能性を確認し、自力返済ができなければ債務整理を検討することが必要です。

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