「ギャンブルで作った借金がある」「過去にも自己破産している」などの事情から、自己破産できないのではないかと不安を感じる方もいるでしょう。しかし、免責不許可事由に該当する事情があっても、裁判所による裁量免責を受けられる可能性があります。
自己破産では、破産手続開始と免責許可が別に判断されます。申立て自体を進められない場合、免責を受けられない場合、免責を受けても税金などの支払義務が残る場合は、それぞれ意味が異なります。
この記事では、自己破産できない人の7つの特徴、自己破産しない方がよい人の特徴、裁判所に認められなかった場合の対処法を解説します。財産、保証人、職業、収入、借金の種類を確認し、自己破産と他の債務整理のどちらが適しているかを判断するための基準も紹介します。
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自己破産できない人の特徴
一般に「自己破産できない」という言葉には、破産手続開始の条件を満たさない場合と、破産手続開始後に免責を受けられない場合が含まれます。特に免責不許可事由がある場合でも、直ちに借金の免除が認められなくなるわけではなく、裁量免責を受けられる可能性があります。
収入や財産から返済できるため支払不能と認められない
自己破産の対象となるのは、債務者が「支払不能」の状態にある場合です。支払不能とは、収入や財産、借金総額、毎月の返済額などから判断して、返済期日の到来した債務を一般的かつ継続的に支払えない状態を指します。単に返済が苦しい、借金を早くなくしたいという理由だけでは、破産手続開始の条件を満たしません。
支払不能かどうかは、借金総額だけで決まるものではありません。多額の借金があっても十分な収入や換価可能な財産があれば認められない一方、借金額が比較的少なくても、失業や病気で収入がなく返済の見込みがなければ認められます。まず家計収支と財産を確認し、今後も約定どおりの返済を続けられるかを具体的に判断する必要があります。
破産手続に必要な予納金を納付できない
自己破産を申し立てる際には、裁判所へ手数料、郵便料、官報公告費用などを納めなければなりません。破産管財人が選任される管財事件では、これらに加えて管財人報酬に充てる予納金も必要です。裁判所から定められた期限までに必要な予納金を納付しなければ、破産手続開始の申立てが認められない可能性があります。
ただし、現在まとまったお金がないというだけで、自己破産を完全に断念する必要はありません。弁護士への依頼後に債権者への返済を停止し、その間に費用を分割して積み立てる方法や、収入・資産などの要件を満たす場合に法テラスの立替制度を利用する方法があります。費用を用意できないときは、申立て前に利用できる制度や積立方法を確認することが現実的な対応です。
浪費やギャンブルによって過大な借金を負っている
収入に見合わない買い物や旅行、飲食、ギャンブル、投資などによって著しく財産を減少させたり、過大な借金を負ったりした場合は、免責不許可事由に該当します。生活費の不足を補うための借入れとは異なり、借金の原因が浪費や射幸行為にあることが、免責の判断に影響します。
もっとも、ギャンブルによる借金が一部でもあれば免責されないわけではありません。裁判所は、浪費などに使った金額と借金全体に占める割合、繰り返した期間、現在も続けているか、家計を改善しているか、手続に誠実に協力しているかを確認します。浪費やギャンブルをやめて収支を改善し、事情を正確に説明できれば、裁判所の裁量によって免責が許可される余地があります。
財産を隠したり不当に処分したりしている
債権者への配当に充てられる財産を隠したり、壊したり、著しく安い価格で処分したりする行為は、免責不許可事由になります。預金、不動産、車、保険の解約返戻金、退職金見込額などを申告しない行為も、債権者を害する目的で行われた財産隠しと判断される可能性があります。
裁判所や破産管財人は、預貯金の取引履歴、財産の名義変更、現金の出入り、申立て前に売却した物の代金などを調査します。家族名義に変更すれば申告しなくてよいわけではありません。既に財産を処分している場合は、処分時期、相手方、価格、代金の使途を資料とともに説明し、不正な目的がなかったことを明らかにする対応が必要です。
特定の債権者だけに優先して返済している
返済できない状態になった後、家族や友人、勤務先など一部の債権者だけに返済すると、偏頗弁済として免責不許可事由に該当する可能性があります。自己破産では債権者を平等に取り扱う必要があるため、特定の相手だけに利益を与える目的で行う返済は認められません。
ただし、一部の債権者へ返済した事実だけで、必ず免責不許可事由になるわけではありません。返済した時期、金額、相手との関係、返済義務の有無、通常と異なる方法で支払ったかなどから判断されます。親族からの借金だけを返す行為や、債権者から強く求められて担保を提供する行為は問題になりやすいため、自己判断で返済せず、支払前に弁護士へ確認することが必要です。
裁判所に虚偽の説明をしたり調査に協力しなかったりする
自己破産では、借金の原因、債権者、収入、財産、家計状況などを裁判所へ正確に申告しなければなりません。虚偽の債権者一覧表を提出する、裁判所の調査で説明を拒む、事実と異なる回答をするなどの行為は、破産手続に対する不誠実な対応として免責不許可事由になります。
不利な事情を隠すと、取引履歴や債権者から提出された資料によって発覚し、免責の判断をさらに悪化させます。記憶が曖昧な部分や資料が残っていない取引は、その事情を率直に説明し、可能な範囲で資料を取り寄せるべきです。裁判所や破産管財人から追加資料の提出や説明を求められた場合は、期限を守って正確に回答する姿勢が免責判断に影響します。
過去7年以内に自己破産などによる免責を受けている
今回の免責許可申立てから遡って7年以内に、以前の自己破産で免責許可決定が確定している場合は、免責不許可事由に該当します。給与所得者等再生で再生計画を遂行した場合などにも同様の制限があります。したがって、前回の免責許可決定が確定した日を正確に確認することが必要です。
もっとも、過去7年以内に免責を受けていても、再度の自己破産申立て自体が禁止されるわけではありません。再び借金を負った経緯、前回の免責後の生活状況、再発防止への取組み、手続への協力状況などを踏まえ、裁量免責が検討されます。ただし、短期間で同じ原因による借金を繰り返している場合は厳しく判断されるため、個人再生や任意整理を含めた方法選択が必要です。
特に、自己破産をしても免責許可が得られなければ、破産を試みるメリットの大半が失われやすいため、免責されない可能性には注意しましょう。
自己破産しない方がいい人の特徴
自宅や高価な車など処分されたくない財産がある
自己破産では、破産手続開始時に所有している財産のうち、一定の価値があるものが債権者への配当に充てられます。そのため、自宅や高価な車、まとまった預貯金、解約返戻金のある保険など、残したい財産が処分対象になる場合は、自己破産以外の方法も候補になります。
ただし、所有する財産がすべて処分されるわけではありません。生活に必要な家財道具、差押禁止財産、破産手続開始後に得た収入などは、原則として手元に残ります。車についても、評価額や所有権の帰属によって扱いが異なります。財産の種類、時価、ローンの有無によって処分対象となるかが決まるため、残したい財産があるという理由だけで自己破産を避けるべきとは限りません。住宅ローンのある自宅を残したい場合は、住宅資金特別条項を利用した個人再生が選択肢になります。
自己破産による保証人への請求を避けたい
主債務者が自己破産して免責を受けても、保証人や連帯保証人の支払義務はなくなりません。債権者は保証人に対して残額の支払を求めるため、家族や知人が保証人になっている借金がある場合は、保証人に請求が及ぶことを前提に手続を判断する必要があります。
保証人付きの借金だけを債権者一覧表から外したり、申立て前に優先して返済したりすることはできません。債権者の記載漏れや偏った返済として、免責判断に悪影響を与えるためです。任意整理では保証人付きの債務を交渉対象から外せる余地がありますが、他の債務を整理した後も保証人付きの債務を返済できる場合に限って、保証人への請求を避けるための選択肢となります。
税金や養育費など免責されない債務が中心である
自己破産による免責許可決定が確定しても、税金、社会保険料、一定の養育費、罰金などの非免責債権は支払義務が残ります。これらの債務が借金の大部分を占める場合、自己破産をしても負担がほとんど減らず、生活再建につながらない可能性があります。
もっとも、免責対象となる借金をなくすことで、税金や養育費を支払えるようになる場合には、自己破産にも実益があります。したがって、免責対象となる債務と非免責債権の金額を分け、自己破産後の収支を見通すことが判断の前提です。それでも非免責債権を支払えない場合は、税務署や自治体などとの分割納付や猶予の協議が必要になります。
破産手続中の資格制限によって仕事を続けられない
自己破産によってすべての仕事が制限されるわけではありませんが、破産手続開始決定を受けると、警備員、保険募集人など一部の資格や職業について制限を受けます。現在の仕事が資格制限の対象であり、配置転換や休職で対応できない場合は、自己破産によって収入を失う可能性を考慮しなければなりません。
資格制限は通常、免責許可決定の確定などによって復権するまでの一時的なものです。また、会社員や公務員が自己破産しただけで一律に解雇されるわけでもありません。勤務先で担当業務の変更や休職が可能であれば、資格制限があっても自己破産を選べる場合があります。これに対し、復権までの間に仕事と収入を維持できない場合は、資格制限が生じない個人再生や任意整理との比較が必要です。
安定した収入があり自己破産以外でも返済できる
個人再生や任意整理によって返済可能な水準まで借金を減らせる場合は、自己破産を選ばなくても生活を立て直せる可能性があります。これらの手続では返済を続ける必要がある一方、自己破産と異なり、一定の財産を処分せず、資格制限も受けずに借金問題を解決できる点が利点です。そのため、安定した収入があり、減額後の借金を無理なく返済できる人は、自己破産を急いで選ばない方がよいといえます。
もっとも、財産や資格への影響がなく、返済を続けることで生活が圧迫される場合には、自己破産による免責を選ぶ方が適切です。自己破産を避けるべきかは、手取り収入から生活費を控除した金額と、個人再生または任意整理による毎月の返済額を比較して判断します。財産や仕事を守る利益が返済負担を上回る場合に、自己破産以外の手続を選ぶ合理性があります。
自己破産の場合、必要最低限なものを除き財産を手放さなければならない点に注意が必要です。返済困難な場合にのみ選択すべき手段と言えるでしょう。
自己破産できない・認められなかった場合の対処法
認められなかった理由に応じて即時抗告や申立てのやり直しを検討する
自己破産が認められなかった場合は、破産手続開始の申立てが認められなかったのか、破産手続開始後に免責不許可決定を受けたのかを区別する必要があります。支払不能が認められない場合、予納金が納付されていない場合、免責不許可事由がある場合では、必要となる対応がそれぞれ異なるためです。
裁判所の判断や認定に誤りがある場合は、即時抗告によって上級の裁判所へ不服を申し立てる方法があります。即時抗告ができる期間は限られているため、決定書を受け取ったら速やかに申立期限と理由を確認しなければなりません。書類や予納金の不足が原因であれば、不足を補ったうえで申立てをやり直せる場合がありますが、免責不許可決定が確定した後に同じ内容で申し立てても解決にはなりません。裁判所が認めなかった理由を特定することが、対応を選ぶ前提になります。
個人再生によって借金を大幅に減額する
個人再生は、裁判所の認可を受けた再生計画に従い、減額された借金を原則として3年間で返済する手続です。将来にわたって継続的または反復的な収入を得る見込みがあり、住宅ローンなどを除く債務総額が5000万円以下であることなどが利用条件になります。減額後の借金を収入から返済できる場合には、自己破産に代わる選択肢となります。
個人再生では、自己破産と異なり、財産を当然に処分されるわけではなく、資格制限もありません。住宅資金特別条項の条件を満たせば、住宅ローンを支払いながら自宅を残せる可能性もあります。また、浪費やギャンブルによる借金があることは、自己破産における免責不許可事由のように直接の不認可理由とはなりません。ただし、保有財産の価値や収入額によって最低返済額が変わるため、再生計画どおりの返済を継続できる家計かを事前に検討する必要があります。
任意整理によって返済条件を見直す
任意整理は、裁判所を利用せず、弁護士などが債権者と交渉して返済条件の変更を目指す方法です。一般には、将来利息のカットや返済期間の延長を交渉し、残った元本を3年から5年程度で分割返済します。元本が当然に減額される手続ではないため、利息をなくして返済期間を延ばせば完済できることが選択の目安です。
任意整理では交渉する債権者を選べるため、保証人付きの借金や自動車ローンを対象から外し、それ以外の借金だけを整理できる場合があります。一方、債権者には交渉に応じる義務がなく、返済条件は相手方の方針や取引状況によって異なります。毎月の返済可能額、借金の元本、希望する返済期間を基に完済の見込みを計算し、合意後も支払を継続できる場合に適した方法です。
自己破産に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 家族や会社にバレずに自己破産することはできますか?
自己破産を申し立てた事実が、裁判所から家族や勤務先へ一律に通知されるわけではありません。そのため、家族や会社に知られずに手続が終わる場合はあります。ただし、誰にも知られずに自己破産できるとは断言できません。
同居家族の収入資料が必要になる場合や、自宅・家族が使用する車が処分対象になる場合、家族や勤務先が債権者になっている場合には、手続を隠すことが難しくなります。会社についても、資格制限によって担当業務を続けられない場合や、会社から借入れをしている場合には発覚する可能性があります。家族や会社に知られる可能性は、同居状況、財産、借入先、職業から具体的に判断する必要があります。
Q2. ギャンブルで作った借金は100%自己破産できませんか?
ギャンブルによって過大な借金を負った場合は免責不許可事由に該当しますが、100%免責されないわけではありません。破産手続開始の決定に至った経緯など一切の事情を考慮し、裁判所が相当と認めれば裁量免責を受けられます。
裁量免責では、ギャンブルに使った金額や期間、借金全体に占める割合、現在も続けているか、家計を改善しているか、裁判所や破産管財人の調査に協力しているかなどが考慮されます。取引履歴を隠したり虚偽の説明をしたりせず、借金の経緯を正確に申告して再発防止に取り組むことが必要です。
Q3. 自己破産できないと闇金に頼るしかないのでしょうか?
自己破産が難しい場合でも、闇金から借りてはいけません。闇金から借りると、違法な高金利によって短期間で返済額が膨らみ、本人だけでなく家族や勤務先にも悪質な取立てが及ぶ危険があります。新たな借入れによって従来の借金を返済しても、根本的な解決にはなりません。
自己破産が認められない理由によっては、個人再生や任意整理を利用できる可能性があります。既に闇金から借りている場合は、相手方と直接交渉したり、要求された金額をそのまま支払ったりせず、弁護士や警察へ相談する必要があります。自己破産以外の債務整理と闇金への対応は別に検討できます。
Q4. 過去に免責を受けていても再度自己破産できますか?
過去に免責を受けた人でも、再度の自己破産申立ては可能です。ただし、今回の免責許可申立てから遡って7年以内に、以前の免責許可決定が確定している場合は、免責不許可事由に該当します。
7年以内であっても、裁量免責が認められる余地はあります。もっとも、前回と同じ原因で借金を繰り返している場合や、免責後も家計を改善していない場合は、免責の判断が厳しくなります。前回の免責時期、再び借金を負った経緯、現在の家計状況を確認し、個人再生や任意整理を含めて解決方法を選ぶことが必要です。
Q5. 税金や養育費も自己破産すれば支払わなくてよくなりますか?
税金、社会保険料、一定の養育費、罰金などは非免責債権に当たるため、免責許可決定が確定しても支払義務はなくなりません。自己破産の申立てや免責許可自体が認められないという意味ではなく、自己破産後もその債務だけが残るという意味です。
消費者金融やクレジットカードなどの借金が免責されれば、その分を税金や養育費の支払に充てられるため、自己破産に実益がある場合もあります。自己破産後も非免責債権を一括で支払えない場合は、税務署、自治体、養育費の権利者などと、分割払いや支払時期について協議する必要があります。
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ギャンブルによる借金や過去の免責などの事情があっても、直ちに自己破産できなくなるわけではありません。免責不許可事由に該当する場合でも、借金の経緯、生活改善の状況、手続への協力などによって裁量免責を受けられる可能性があります。まずは、破産手続開始の条件を満たさないのか、免責に問題があるのかを区別する必要があります。
また、自己破産が可能でも、処分されたくない財産、保証人への影響、非免責債権、資格制限を考慮すると、個人再生や任意整理の方が適している場合があります。誤った方法を選ぶと、財産を失った後も一部の債務が残ったり、返済できない条件で和解したりする結果になりかねません。借金額、収入、財産、保証人の有無を弁護士に伝え、利用できる手続と具体的な見通しを無料相談で確認しましょう。










