「ギャンブルや浪費が原因で借金を抱えてしまったため、自己破産をしても免責されないのではないか」「免責不許可事由に該当すると借金はそのまま残るのだろうか」と不安を感じている方もいるでしょう。
自己破産には免責不許可事由が定められており、一定の行為がある場合には免責が認められない可能性があります。しかし、免責不許可事由に該当したからといって、直ちに借金が免除されなくなるわけではありません。実務では裁量免責が認められるケースも少なくなく、具体的な事情や手続への対応状況が重視されています。
この記事では、自己破産の主な免責不許可事由、裁量免責が認められるケース、免責不許可になりやすいケース、管財事件との関係、免責不許可になった場合の影響について解説します。
一方で、財産隠しや虚偽説明などの行為がある場合には、免責が認められないリスクが高まります。自己破産の申立てを検討している方は、どのような行為が問題となるのか、裁判所がどのような点を判断しているのかを正しく理解しておく必要があります。
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自己破産の免責不許可事由とは?まず知っておきたい基本知識
免責とは借金の支払義務を免除する制度
自己破産では、裁判所へ申立てをしただけで借金がなくなるわけではありません。
裁判所が免責を許可する決定を行うことで、借金の支払義務が免除されます。これを免責許可決定といいます。
そのため、自己破産の最終的な目的は、破産開始決定を受けることではなく、免責許可決定を得て経済的な再出発を図ることにあります。
もっとも、税金や養育費などの非免責債権は免責の対象になりません。自己破産によって支払義務が免除されるのは、法律上免責の対象とされる債務です。
免責不許可事由とは
免責不許可事由とは、裁判所が免責を許可しない理由として法律で定めた事由をいいます。
自己破産制度は、支払不能になった方の生活再建を支援する制度ですが、一方で債権者の利益も保護しなければなりません。
そのため、債権者を害する行為や破産制度を不当に利用する行為があった場合には、裁判所は免責を許可しないことができます。
もっとも、免責不許可事由に該当したからといって、必ず免責不許可になるわけではありません。実務では、行為の内容や悪質性、反省状況、手続への協力状況などを踏まえて裁量免責が認められるケースも少なくありません。
したがって、自己破産では免責不許可事由に該当するかどうかだけでなく、どのような事情があり、裁判所からどのように評価されるかも重要になります。
法律上どのような行為が免責不許可事由になるのか
免責不許可事由は、破産法252条1項各号で定められています。
主な内容を整理すると、次のとおりです。
| 号数 | 内容 |
| 1号 | 財産の隠匿、損壊、不当に価値を減少させる行為 |
| 2号 | 破産手続を遅らせる目的で著しく不利益な債務負担や財産処分を行う行為 |
| 3号 | 特定の債権者だけを優遇する偏頗弁済等 |
| 4号 | 浪費、賭博その他の射幸行為による著しい財産減少や過大な債務負担 |
| 5号 | 詐術を用いた信用取引による財産取得 |
| 6号 | 帳簿や書類の隠滅、偽造、変造 |
| 7号 | 虚偽の債権者名簿の提出 |
| 8号 | 裁判所の調査に対する説明拒否や虚偽説明 |
| 9号 | 破産管財人等の職務妨害 |
| 10号 | 一定期間内の再度の免責申立て |
| 11号 | 破産法上の説明義務や協力義務等への違反 |
これらの行為に共通するのは、債権者の利益を害する行為、又は裁判所や破産管財人による適正な調査を妨げる行為であるという点です。
裁判所はまず、これらの免責不許可事由に該当するかどうかを判断します。そのうえで、行為の悪質性や反省状況、破産手続への協力状況などを考慮し、裁量免責を認めるべきかを検討します。
そのため、免責不許可事由の有無は重要な判断要素ですが、それだけで最終的な結論が決まるわけではありません。
自己破産に関して情報収集しようとすると、破産=免責であるかのような誤解が生じがちですが、両者の区別はしっかりと把握しておくことをお勧めします。
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自己破産で免責不許可事由となる主なケース一覧
財産を隠したり不当に処分したりした場合
破産手続では、債務者の財産を適正に把握し、債権者へ公平に配当することが前提となります。そのため、財産を隠したり、名義を変更したり、著しく低い価格で売却したりする行為は免責不許可事由に該当します。
例えば、自己破産を見据えて預金を引き出し家族に預ける場合や、自動車を親族名義に変更する場合などが典型例です。
裁判所は、財産の移転時期、対価の有無、移転先との関係などを確認し、債権者への配当を免れる目的があったかを判断します。
もっとも、通常の生活費や事業経費として合理的な支出を行っただけであれば問題になりません。問題になるのは、債権者に配当されるべき財産を減少させる目的で行われた処分かどうかです。
特定の債権者だけに返済した場合(偏頗弁済)
自己破産では、すべての債権者を平等に取り扱うことが原則です。
そのため、自己破産を予定しているにもかかわらず、親族や知人、取引先など特定の債権者だけに返済する行為は、偏頗弁済として免責不許可事由になる可能性があります。
例えば、
- 親から借りたお金だけ返済する
- 勤務先からの借入れだけ返済する
- 友人への借金だけ返済する
といったケースです。
裁判所は、返済時期、返済先、返済額を確認し、特定の債権者を優遇する意図があったかを判断します。
特に、自己破産の準備を始めた後の返済は問題になりやすいため注意が必要です。
ギャンブルや浪費によって借金を増やした場合
免責不許可事由として最も知られているのが、浪費や賭博その他の射幸行為によって著しく財産を減少させた場合や、過大な債務を負担した場合です。
例えば、
- パチンコ
- 競馬
- 競輪
- オンラインカジノ
- 多額の課金
- ブランド品の大量購入
などによって借金が増加した場合が該当します。
もっとも、ギャンブルや浪費があるからといって必ず免責不許可になるわけではありません。
実務では、借金全体に占める割合、継続期間、金額の大きさ、反省状況などが考慮され、裁量免責が認められるケースも少なくありません。
クレジットカードの現金化や詐欺的な借入れをした場合
支払不能の状態にあるにもかかわらず、返済できるように装って借入れを行った場合や、クレジットカードを利用して商品を購入し換金する行為は免責不許可事由となる可能性があります。
例えば、
- 自己破産を考えながら消費者金融から借入れを行う
- クレジットカードで購入した商品を換金して現金を得る
- 返済見込みがないことを認識しながら借入れを繰り返す
といったケースです。
裁判所は、借入時の収入状況、返済能力、借入れの経緯などを確認し、詐術を用いた信用取引に当たるかを判断します。
特に、破産手続開始の原因となる事実を知りながら信用取引を行ったかは重要な判断要素になります。
裁判所や破産管財人に虚偽の説明をした場合
自己破産では、財産や負債の状況を正確に申告する義務があります。
そのため、
- 預金口座を隠す
- 保険契約を申告しない
- 副業収入を隠す
- 借金の原因について虚偽説明をする
などの行為は免責不許可事由になる可能性があります。
裁判所や破産管財人は、通帳、保険資料、給与資料などを確認しながら事実関係を調査します。
そのため、一時的に隠し通せたとしても、後から発覚するケースは少なくありません。むしろ、事実を隠した行為そのものが不利な事情として評価されます。
帳簿や資料を隠したり破棄したりした場合
事業者や個人事業主の場合、帳簿や資料の保管は極めて重要です。
破産法では、業務や財産の状況を示す帳簿や書類を隠滅、偽造、変造する行為も免責不許可事由とされています。
例えば、
- 会計帳簿を廃棄する
- 売上資料を隠す
- 通帳履歴を改ざんする
といった行為です。
裁判所や破産管財人は、帳簿や資料を基に財産状況を確認します。そのため、資料を隠したり破棄したりすると、適正な破産手続そのものを妨げる行為として評価されます。
過去に免責を受けてから7年以内に再度申立てをした場合
過去に自己破産などによる免責を受けている場合、一定期間内の再度の申立ては免責不許可事由になります。
これは、短期間に何度も免責を認めると破産制度が濫用されるおそれがあるためです。
もっとも、7年以内の申立てであっても直ちに免責不許可になるわけではありません。
実務では、前回の手続から現在までの経緯、新たな借金が発生した理由、生活状況の変化なども踏まえて裁量免責の可否が検討されます。
免責不許可事由があっても自己破産できるケースは少なくない
免責不許可事由があっても自己破産を諦める必要はない
免責不許可事由に該当すると、「もう自己破産はできないのではないか」と考える方もいます。
しかし、免責不許可事由に該当しただけで直ちに免責不許可になるわけではありません。 自己破産では、免責不許可事由があることと、実際に免責が認められないことは別の問題として扱われます。
例えば、ギャンブルや浪費、偏頗弁済などがあった場合でも、その事実だけを理由に免責不許可となるわけではなく、裁判所は個別事情も踏まえて判断します。
そのため、免責不許可事由に該当する可能性があるからといって自己破産を断念する必要はありません。
裁量免責によって免責が認められることがある
破産法では、免責不許可事由がある場合でも、事情によっては裁判所が免責を許可できる制度が設けられています。
これを裁量免責といいます。
自己破産の実務では、まず免責不許可事由に該当するかどうかを検討し、その後に裁量免責を認めるべきかどうかが判断されます。
つまり、免責不許可事由がある=免責不許可になるという仕組みではありません。
裁判所は、免責不許可事由の存在だけで結論を出すのではなく、最終的に免責を認めるべきかを判断します。
問題となる行為があっても免責されるケースは少なくない
実際の自己破産では、免責不許可事由が存在していても免責許可決定が出るケースは少なくありません。
そのため、
- パチンコをしていた
- 競馬で借金を作った
- FXで損失を出した
という事情だけで、免責が受けられないと決まるわけではありません。
特に、ギャンブルや浪費だけを理由として免責不許可になるケースは限定的です。
もっとも、どのような場合に裁量免責が認められるのかは事案によって異なります。裁判所は個別事情を踏まえて判断するため、免責不許可事由があっても悲観し過ぎる必要はありません。
免責不許可になるケースもある
もっとも、免責不許可事由があれば常に裁量免責が認められるわけではありません。
事案によっては、裁判所が免責を認めないこともあります。
特に、財産隠しや虚偽説明などの行為は、単なる借金の原因ではなく、破産手続そのものの適正な運営を妨げる行為として厳しく評価される傾向があります。
また、免責不許可事由があるにもかかわらず事実を隠した場合には、さらに不利な事情として扱われる可能性があります。
そのため、免責不許可事由がある場合には、事実を正確に申告することと、誠実に手続へ協力することが重要です。
免責不許可事由がある場合の判断は、決して機械的に行われるわけではありません。適切な対応を尽くすことで免責が認められる可能性も十分にあり得ます。
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ギャンブルや浪費でも免責される?裁量免責が認められるケース
裁判所はどのような事情を考慮するのか
裁量免責を認めるかどうかについて、法律上の明確な基準は定められていません。
そのため裁判所は、免責不許可事由の内容だけでなく、行為の悪質性、借金が発生した経緯、現在の生活状況などを総合的に考慮して判断します。
また、自己破産は生活再建のための制度であるため、過去の問題行動だけではなく、現在どのように生活を改善しているかも重要な判断材料になります。
そのため、同じギャンブルが原因の借金であっても、事案によって結論が異なることがあります。
ギャンブルや浪費でも免責されるケース
免責不許可事由に該当する行為があっても、裁量免責によって免責が認められるケースは少なくありません。
例えば、
- パチンコや競馬をやめている
- 借入れを繰り返していない
- 家計管理を改善している
- 生活状況が安定している
といった事情がある場合です。
裁判所は、過去の行為そのものだけでなく、現在も問題行動が続いているかという点も重視しています。
そのため、ギャンブルや浪費が借金の原因だったとしても、現在は改善されているのであれば裁量免責が認められる可能性があります。
裁量免責が認められやすいケース
裁量免責が認められやすいのは、生活改善の状況が客観的に確認できるケースです。
例えば、
- 家計簿を付けている
- 安定した収入がある
- 借金の原因を正直に説明している
- 必要資料を適切に提出している
- 破産管財人の調査に協力している
といった事情が挙げられます。
また、自己破産の申立てに至った経緯を具体的に説明できる場合も、有利な事情として評価されることがあります。
裁判所は、再び同じ問題を繰り返すおそれがあるかという点も考慮して判断しています。
裁量免責が認められにくいケース
一方で、裁量免責が認められにくいケースもあります。
例えば、
- 申立直前までギャンブルを続けている
- 財産を隠している
- 預金口座を申告していない
- 借金の原因について虚偽説明をしている
- 破産管財人の調査に協力しない
といったケースです。
これらの事情がある場合、裁判所は反省や生活改善が不十分であると評価したり、破産手続への誠実性に欠けると判断したりすることがあります。
特に、財産隠しや虚偽説明は、借金の原因そのものよりも重く評価されることがあるため注意が必要です。
自己破産で本当に免責不許可になりやすいケースとは
ギャンブルや浪費よりも財産隠しの方が深刻に評価される
自己破産を検討している方の中には、「ギャンブルで借金を作ったから免責されないのではないか」と不安を抱く方が少なくありません。
しかし、実務上はギャンブルや浪費そのものよりも、財産隠しや虚偽申告の方が深刻に評価される傾向があります。
なぜなら、ギャンブルや浪費は借金が増えた原因に関する問題であるのに対し、財産隠しは破産手続そのものの適正な運営を妨げる行為だからです。
例えば、
- 預金口座を申告しない
- 家族名義へ財産を移す
- 保険契約を隠す
- 現金を隠匿する
といった行為は、債権者への公平な配当を妨げるおそれがあります。
そのため、裁判所や破産管財人は、借金の原因以上に財産の申告内容が正確かどうかを重視しています。
裁判所への虚偽説明や資料隠しは極めて不利になる
自己破産では、債務者に対して財産や負債の状況を正確に説明することが求められます。
そのため、
- 借金の理由を偽る
- 副業収入を申告しない
- 通帳を提出しない
- 売上資料を隠す
といった行為は、裁量免責の判断において大きなマイナス要素になります。
裁判所や破産管財人は、提出資料や金融機関の取引履歴などを通じて事実関係を確認します。
そのため、事実を隠し通そうとするよりも、問題がある事情も含めて正直に説明する方が有利に働くことが多いのが実務です。
特に、虚偽説明そのものが免責不許可事由になる場合があるため注意が必要です。
手続への非協力は免責不許可につながりやすい
自己破産では、裁判所や破産管財人から様々な資料提出や説明を求められます。
しかし、
- 指示された資料を提出しない
- 面談に応じない
- 質問に回答しない
- 調査への協力を拒否する
といった対応をすると、手続への協力意思がないと評価される可能性があります。
破産手続は、債務者の説明や資料提出を前提として進められます。
そのため、手続への非協力は裁判所との信頼関係を損なう事情として扱われやすく、裁量免責の判断にも影響を与えます。
免責不許可になりやすいかは「現在の対応」が大きく影響する
免責不許可事由が存在する場合でも、裁判所は過去の問題行動だけを見ているわけではありません。
むしろ、
- 財産を正直に開示しているか
- 借金の原因を隠していないか
- 必要資料を提出しているか
- 破産管財人の調査に協力しているか
といった現在の対応状況を重視しています。
反対に、免責不許可事由そのものは比較的軽微であっても、申立後に財産隠しや虚偽説明が発覚した場合には厳しく評価されることがあります。
そのため、自己破産で本当に注意すべきなのは、過去の失敗だけではありません。
破産手続を誠実に進める姿勢を示せるかどうかが、最終的な判断に大きく影響します。
裁量免責は、文字通り裁判所の裁量で免責にするものです。裁量的判断で免責してあげてもよい、と考えてもらえるかどうかは非常に重要なポイントになります。
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免責不許可事由があると管財事件になる可能性が高い
免責不許可事由があると管財事件になることが多い
自己破産には、大きく分けて同時廃止事件と管財事件があります。
同時廃止事件は、換価・配当すべき財産がほとんどなく、破産管財人による調査が不要な場合に選択される手続です。
これに対し管財事件では、裁判所が選任した破産管財人が財産状況や借金の原因などを調査します。
免責不許可事由が疑われる場合には、裁判所は事実関係を詳しく確認する必要があります。
そのため、ギャンブルや浪費が多額である場合、偏頗弁済がある場合、財産隠しの疑いがある場合などには、管財事件として進められる可能性が高くなります。
なぜ管財事件になるのか
裁判所が管財事件を選択する目的は、免責不許可事由の有無や程度を調査するためです。
例えば、
- ギャンブルによる借金がどの程度あるのか
- 財産隠しが行われていないか
- 特定の債権者だけに返済していないか
- 申告内容に誤りがないか
といった点は、提出書類だけでは判断できないことがあります。
そこで破産管財人が通帳や契約書、家計収支の状況などを確認し、裁判所へ報告します。
裁判所は、その調査結果を踏まえて免責を認めるべきかを判断します。
つまり、管財事件になったからといって免責不許可が決まったわけではなく、裁判所が適切な判断を行うための調査手続が行われるという位置付けです。
管財事件になったからといって不利とは限らない
自己破産の相談では、
「管財事件になると免責されないのではないか」
という不安を抱く方が少なくありません。
しかし、管財事件になったこと自体は免責不許可を意味しません。
むしろ、免責不許可事由が存在する場合には、管財事件の中で事情を説明し、生活改善や反省状況を示すことで裁量免責につながるケースもあります。
実際には、
- ギャンブルによる借金がある
- 偏頗弁済がある
- 財産管理に問題がある
といった事案でも、管財事件を経て免責許可決定が出されることは珍しくありません。
そのため、管財事件になること自体を過度に心配する必要はありません。
管財事件では誠実な対応が重要になる
管財事件では、破産管財人から追加資料の提出や事情説明を求められることがあります。
その際に、
- 通帳を隠す
- 財産を申告しない
- 借金の原因を偽る
- 面談を欠席する
といった対応をすると、不利な事情として評価される可能性があります。
一方で、
- 資料を速やかに提出する
- 質問へ正確に回答する
- 財産や借金の状況を正直に説明する
といった対応を行えば、裁判所や破産管財人からの信頼を得やすくなります。
免責不許可事由が問題となっている事案では、過去に何があったかだけでなく、現在どのように手続へ対応しているかも重要な判断材料になります。
そのため、管財事件になった場合には、破産管財人の調査に誠実に協力することが重要です。
免責不許可になるとどうなる?その後の影響を解説
借金の支払義務が原則として残る
免責不許可決定が確定すると、自己破産を申し立てても借金の支払義務はなくなりません。
自己破産には、
- 破産手続
- 免責手続
という二つの手続があります。
しかし、破産手続だけでは借金はなくなりません。
借金の支払義務が免除されるのは、裁判所から免責許可決定を受けた場合です。
そのため、免責不許可になった場合には、消費者金融、銀行、クレジットカード会社などに対する債務は原則として残り続けます。
つまり、自己破産を申し立てても借金の支払義務が残ることが最大の影響です。
債権者からの請求や強制執行を受ける可能性がある
免責不許可になると、債権者は残っている債権について回収を図ることができます。
そのため、
- 給与の差押え
- 預金の差押え
- 不動産の強制執行
などが行われる可能性があります。
もっとも、破産手続中は個別の強制執行が制限される場面もあります。
しかし、免責不許可によって借金そのものが消滅するわけではないため、手続終了後には債権者による回収活動が再開される可能性があります。
自己破産の最大の目的は借金の支払義務を免除して生活再建を図ることにあるため、免責不許可の影響は非常に大きいといえます。
免責不許可でも直ちに全てが終わるわけではない
もっとも、免責不許可決定が出たからといって、直ちに全ての手段がなくなるわけではありません。
例えば、
- 即時抗告
- 個人再生
- 債権者との分割交渉
などが選択肢になる場合があります。
また、免責不許可に至った原因によっては、その後の対応次第で別の債務整理手続が利用できることもあります。
そのため、免責不許可決定が出た場合には、放置するのではなく、今後取り得る手段が残されていないか検討することが重要です。
実務では免責不許可決定そのものが多いわけではない
自己破産を検討している方の中には、
「免責不許可になったらどうしよう」
と不安を抱く方も少なくありません。
しかし、実務では、裁量免責によって免責許可決定が出されるケースが多数を占めています。
そのため、ギャンブルや浪費があるだけで直ちに免責不許可になるわけではありません。
むしろ注意すべきなのは、
- 財産隠し
- 虚偽説明
- 手続への非協力
などによって裁判所や破産管財人からの信用を失うことです。
免責不許可のリスクを下げるためには、財産や借金の状況を正確に申告すること、そして破産手続に誠実に協力することが重要になります。
免責不許可事由が不安な場合は早めの相談が重要
自己判断では免責の見通しを正確に判断できない
免責不許可事由に該当する可能性がある場合、「自己破産しても意味がないのではないか」と考える方は少なくありません。
しかし、免責不許可事由があることと、実際に免責不許可決定が出ることは別問題です。
実務では、免責不許可事由が存在する事案でも裁量免責によって免責が認められるケースが数多くあります。
一方で、本人は問題ないと思っていても、裁判所が重く評価する事情が含まれていることもあります。
そのため、インターネット上の情報や自己判断だけで免責の見通しを判断することは困難です。
申立前の準備によって結果が変わることがある
免責不許可事由が問題となる事案では、申立前の準備が重要になることがあります。
例えば、
- 借金の経緯を整理する
- 家計状況を見直す
- 必要資料を収集する
- 財産状況を正確に把握する
といった準備です。
裁判所は申立て時点の資料や説明内容も踏まえて判断します。
そのため、早い段階から適切な準備を進めることで、手続を円滑に進めやすくなる場合があります。
自己破産以外の手続が適している場合もある
借金問題の解決方法は自己破産だけではありません。
事案によっては、
- 個人再生
- 任意整理
- 債権者との分割交渉
などが適している場合もあります。
特に、住宅を残したい場合や継続的な収入がある場合には、自己破産以外の手続が有力な選択肢になることがあります。
そのため、免責不許可事由があるから自己破産しかない、あるいは自己破産できないと考えるのは適切ではありません。
免責不許可事由があっても解決策を検討できる
免責不許可事由がある場合でも、直ちに解決が不可能になるわけではありません。
実際には、
- 自己破産による裁量免責
- 個人再生の利用
- 任意整理による返済計画
など、状況に応じた選択肢が存在します。
大切なのは、免責不許可事由があることだけで結論を出さないことです。
免責不許可事由に不安がある場合には、できるだけ早い段階で専門家へ相談し、自分に適した解決方法を検討することが重要です。
免責不許可事由に不安がある状態での自己破産は、漫然と行うのでなく専門家と共同して慎重に進めることが肝要です。
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FAQ
ギャンブルが原因の借金でも自己破産できますか?
ギャンブルによる借金は、破産法252条1項4号の免責不許可事由に該当する可能性があります。
もっとも、ギャンブルが原因であることだけで直ちに免責不許可になるわけではありません。
実務では、裁量免責によって免責が認められるケースも多くあります。
現在はギャンブルをやめているか、生活状況を改善しているか、破産手続に誠実に協力しているかなどの事情も考慮されます。
そのため、ギャンブルによる借金であっても自己破産を諦める必要はありません。
家族や友人だけに返済すると免責不許可になりますか?
特定の債権者だけに返済する行為は、偏頗弁済として免責不許可事由に該当する可能性があります。
例えば、自己破産を予定しているにもかかわらず、親族や知人からの借入れだけを優先的に返済した場合です。
もっとも、偏頗弁済があったからといって必ず免責不許可になるわけではありません。
返済の時期や金額、経緯などを踏まえて判断されます。
偏頗弁済が問題になりそうな場合には、自己判断せず事前に弁護士へ相談した方がよいでしょう。
免責不許可事由があると必ず管財事件になりますか?
必ず管財事件になるわけではありません。
しかし、免責不許可事由が疑われる事案では管財事件になる可能性が高くなります。
裁判所は、免責不許可事由の有無や内容を確認するために、破産管財人による調査が必要と判断することがあります。
特に、
- ギャンブルや浪費による借金が多額である場合
- 偏頗弁済がある場合
- 財産状況に不明点がある場合
などは管財事件になりやすい傾向があります。
財産隠しが発覚するとどうなりますか?
財産隠しは、破産法252条1項1号に定められている免責不許可事由です。
また、財産隠しは借金の原因ではなく、破産手続そのものの適正な運営を妨げる行為として重く評価されます。
そのため、裁量免責の判断でも不利に扱われる可能性があります。
預金口座や保険、現金などについては正確に申告し、裁判所や破産管財人の調査に誠実に協力することが重要です。
過去に自己破産をしたことがあっても再度免責を受けられますか?
過去に免責許可決定を受けた場合でも、一定期間が経過していれば再度免責を受けられる可能性があります。
一方で、破産法252条1項10号では、過去の免責許可決定等から一定期間内の再度の免責申立てについて免責不許可事由を定めています。
そのため、前回の免責からの経過期間が重要になります。
再度の自己破産を検討している場合には、前回の手続時期を確認したうえで見通しを検討する必要があります。
借金問題に強い弁護士をお探しの方へ
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