万引きについて店舗側から被害届を出されると、「後日逮捕されるのではないか」「すぐ警察から連絡が来るのか」と不安を抱く方は多くいます。実際には、被害届が出されたからといって直ちに逮捕されるとは限りませんが、警察による捜査が始まり、防犯カメラ映像や会計記録などから身元が特定されるケースもあります。

万引き事件では、被害届が提出されるタイミングや、初犯か再犯か、被害額がどの程度か、示談が成立しているかなどによって、その後の流れや処分の見通しが変わります。店舗側が被害届を取り下げない方針を取っている場合には、被害弁償だけで終わらず、刑事手続が進むこともあります。この記事では、万引きで被害届を出された場合にどうなるのかについて、被害届の意味、後日逮捕の可能性、処分が決まる流れ、示談の影響、取るべき対応まで、実務の流れに沿って整理します。

なお、万引き事件の逮捕については、以下の記事で詳細に解説しています。
万引きで逮捕される?後日逮捕・前科・不起訴の可能性を弁護士が解説

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

万引きで被害届を出されたらどうなる?逮捕の可能性と今後の流れを結論から解説

万引きで被害届を出されると、警察による捜査が始まり、事情聴取や任意出頭の要請を受ける可能性があります。店舗側が防犯カメラ映像や会計記録を保管している場合には、後日になって身元が特定されるケースもあり、店を出た時点で発覚していなくても安心はできません。

もっとも、被害届が提出されたからといって必ず逮捕されるわけではありません。万引き事件では、逃亡や証拠隠滅のおそれが低い場合、在宅のまま捜査が進むことも多くあります。特に、初犯で被害額が比較的小さい事案では、任意捜査で終わるケースもあります。

一方で、繰り返し万引きをしている場合や、余罪がある場合、呼び出しに応じない場合には、後日逮捕につながる可能性が高くなります。店舗側が常習被害に厳しく対応しているケースでは、被害届提出後に警察が積極的に捜査を進めることもあります。

その後の処分は、被害額、前科・前歴、示談の有無、反省状況などを踏まえて決められます。初犯で示談が成立している場合には不起訴となるケースもありますが、再犯や悪質性が高い事案では、略式罰金や正式裁判につながることもあります。

万引き事件では、被害届提出後の初動によって結果が変わることがあります。被害店舗への対応方法や、示談交渉をどの段階で進めるかによって、処分の見通しにも差が出ます。

万引き事件の捜査のきっかけは、被害届の提出であることがほとんどです。また、現実的には、逮捕に至るケースは被害届が出されたケースと考えてもよいでしょう。

被害届とは何か|万引きでの意味と告訴との違いを整理

被害届とは何か

被害届とは、犯罪被害を受けた事実を警察に申告する手続です。万引きの場合には、店舗側が「商品を盗まれた」という事実を警察へ届け出ることで、警察が事件を把握し、防犯カメラ映像の確認や関係者への聞き取りなどを進めるきっかけになります。

万引き事件では、被害届が提出されると、後日になって警察から連絡が来るケースがあります。店舗を出た時点では発覚していなくても、防犯カメラ映像や会員情報、車両情報などから身元確認が進むことがあるためです。

もっとも、被害届が提出されたからといって、直ちに逮捕や起訴が決まるわけではありません。被害額、証拠状況、店舗側の対応方針などを踏まえて、その後の手続が進められます。

告訴との違い

被害届と似た手続として「告訴」がありますが、両者は意味が異なります。

告訴は、被害者などが犯罪事実を申告したうえで、「犯人を処罰してほしい」という意思を明確に示す手続です。これに対し、被害届は、被害事実を申告する手続であり、処罰を求める意思表示までは必要ありません。

実務上も違いがあります。告訴がされた事件では、警察や検察が処分判断まで進める前提で事情聴取や証拠確認を継続して行うことが多く、事件として正式に進行しやすくなります。

一方、被害届は、提出されたからといって必ずそのまま刑事処分まで進むわけではなく、被害状況や証拠関係などを踏まえて、その後の対応が判断されます。

万引き事件で重要になるポイント

万引きにあたる窃盗罪は、被害者の告訴がなくても処罰できる「非親告罪」です。そのため、店舗側が告訴をしていなくても、被害届が提出され、警察が証拠を集めた結果、検察官が起訴判断をすることがあります。

また、店舗側の方針によって実務対応は大きく変わります。被害額が少額でも、常習被害対策として原則すべて被害届を提出する店舗もあります。反対に、被害弁償や謝罪対応によって、被害届提出を見送るケースもあります。

そのため、「少額だから事件にならない」「その場で声を掛けられなかったから大丈夫」とは限りません。後日になって警察から連絡が来るケースもあるため、状況を放置せず、現在どの段階にあるのかを整理することが重要になります。

万引きの存在が明らかであれば、被害届の形式であっても捜査や刑事処分を行うことが通常でしょう。実際の進行に対する影響は、被害届と告訴とで大きくは変わらないところです。

万引きで被害届は出される?いつまで提出される可能性があるのか

被害届が出されやすいケース

万引きでは、店舗側の判断によって被害届が提出されるかどうかが変わります。ただし、実務上は、店舗側が被害を把握し、犯人を特定できる状況であれば、被害届提出へ進むケースは少なくありません

特に、常習性があるケースでは、店舗側が警察対応を選択しやすくなります。同じ店舗で繰り返し万引きをしていた場合や、余罪が疑われる場合には、店舗側も被害拡大防止のため警察対応を進めやすくなるためです。

また、被害額が高額なケースや、商品を転売目的で持ち出したと疑われるケースでも、悪質性が高い事案として扱われやすくなります。セルフレジでの不正操作や、タグ外しなどを伴う事案では、防犯カメラ映像を確保したうえで被害届が提出されることがあります。

店舗側の方針も重要です。大型チェーン店やドラッグストアなどでは、被害額にかかわらず原則として警察対応を行う内部ルールを設けている場合があります。そのため、少額だから被害届は出されないと考えるのは危険です。

被害届が提出されないこともあるのか

一方で、すべての万引きで必ず被害届が提出されるわけではありません。

初犯であり、被害額が小さく、その場で被害弁償が完了しているケースでは、警告対応のみで終わるケースもあります。店舗側としても、被害回復が済んでおり、再発可能性が低いと判断した場合には、警察対応を見送ることがあります。

もっとも、店舗側がその場で被害届を出していなくても、後日あらためて提出されるケースがあります。防犯カメラ映像の確認後に余罪が判明した場合や、本部判断で警察対応へ切り替わるケースもあるためです。

そのため、「店から帰れた」「その場では警察を呼ばれなかった」という事情だけで、被害届提出がないと断定することはできません。

万引きの被害届はいつまで提出される可能性があるのか

万引きの被害届について、法律上「○日以内に提出しなければならない」という短い期限はありません。そのため、事件発生から時間が経過していても、後日になって被害届が提出されることがあります

実務上は、防犯カメラ映像やレシート記録などが残っている間に警察へ相談するケースが多くあります。特に、映像を保存している店舗では、防犯カメラ映像から身元確認が進むケースがあります

また、複数回の万引き被害をまとめて警察へ相談するケースもあります。店舗側が一定期間記録を蓄積し、常習性を確認したうえで被害届提出へ進むこともあるため、時間が経過していても安心とはいえません

そのため、万引き後に時間が経過していても、防犯カメラ映像や会員情報などから身元確認が進む可能性がある以上、警察対応へ発展する可能性を前提に考える必要があります。

被害届提出後の流れ|後日逮捕されるケースとされないケースの違い

被害届提出後に警察が行うこと

店舗側から被害届が提出されると、警察はまず、防犯カメラ映像や会計記録、店舗従業員の説明などを確認し、被害内容や犯人特定の可否を整理します。

万引き事件では、防犯カメラ映像が重要な証拠になるケースが多くあります。セルフレジ周辺や出入口付近の映像から行動経過を確認し、商品を持ち出した状況や会計状況を確認するためです。

また、会員カード情報やキャッシュレス決済履歴、防犯ゲートの反応記録などから、本人確認につながるケースもあります。店舗側が過去の被害映像を保管している場合には、余罪確認が行われることもあります。

その結果、警察が本人を特定できた場合には、電話連絡や出頭要請が行われます。まずは任意で事情聴取が行われることも多く、直ちに逮捕されるとは限りません。

後日逮捕されるケース

万引き事件では、その場で発覚しなかったとしても、後日逮捕されるケースがあります

特に、常習的に万引きを繰り返しているケースでは、警察側も継続的犯行として重く見る傾向があります。複数店舗で被害が確認されている場合や、余罪が多数ある場合には、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとして逮捕へ進むことがあります。

また、警察からの呼び出しを無視しているケースでも、逮捕の必要性が高いと判断されやすくなります。任意出頭に応じない場合には、在宅での捜査が難しくなるためです。

転売目的が疑われるケースや、組織的な犯行と疑われるケースでも、悪質性が高いと判断されやすくなります。被害額が大きい事案では、店舗側が厳しい処分を求めることもあります。

逮捕されないケースはあるのか

一方で、すべての万引き事件で逮捕が行われるわけではありません。

初犯であり、被害額が比較的小さいケースでは、在宅のまま捜査が進むケースも多くあります。身元が明らかで、逃亡や証拠隠滅のおそれが低い場合には、任意の事情聴取のみで進むこともあります。

また、早期に事実を認め、被害弁償や示談対応が進んでいる場合には、逮捕の必要性が低いと判断されることがあります。特に、店舗側が被害回復を受け入れているケースでは、在宅事件として処理されることがあります。

もっとも、「逮捕されなかった=事件にならない」という意味ではありません。在宅事件であっても、警察から検察へ事件が送られ、最終的な処分判断が行われることがあります。

被害届提出後の一般的な流れ

万引き事件では、被害届提出後、おおむね次のような流れで手続が進みます。

  1. 店舗側が被害届を提出
  2. 警察が防犯カメラ映像や証拠を確認
  3. 本人特定後、出頭要請や事情聴取
  4. 必要に応じて逮捕
  5. 警察から検察へ事件送致
  6. 検察官が不起訴・略式請求・起訴などを判断

この流れの中で、被害弁償や示談が進んでいるか、前科や余罪があるかなどが処分判断へ影響します。そのため、警察から連絡が来た段階で放置せず、現在どの段階にあるのかを整理しながら対応することが重要になります。

被害届の前後で変わる対応|今すぐ取るべき行動と注意点

被害届が提出される前にできる対応

店舗側がまだ被害届を提出していない段階では、対応次第で警察対応へ進まない可能性があります。

特に、初犯で被害額が小さいケースでは、早期の被害弁償や謝罪対応が重要になります。店舗側としても、被害回復が済み、再発可能性が低いと判断した場合には、警察への届け出を見送ることがあるためです。

もっとも、本人が直接店舗へ連絡する場合には注意が必要です。感情的な謝罪や説明を繰り返した結果、かえってトラブル化するケースもあります。店舗側が「責任逃れをしている」と受け取った場合には、警察対応へ切り替わることもあります。

また、事実関係を曖昧にしたまま弁償だけを進めようとすると、店舗側との認識が食い違うことがあります。商品点数や被害額、余罪の有無などについて認識差がある場合には、後日問題化することもあります。

そのため、店舗側へ接触する前に、どのような経緯だったのか、被害額はいくらなのか、店舗側がどの段階まで把握しているのかを整理しておくことが重要になります。

被害届提出後に注意すべき対応

被害届が提出された後は、警察から電話連絡や出頭要請が来ることがあります。

この段階で、警察からの呼び出しを無視するのは危険です。連絡が取れない状態が続くと、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断され、逮捕の必要性が高いと評価されることがあるためです。

一方で、警察へ出頭する際には、事前準備なく説明を行うことにも注意が必要です。曖昧な説明や、その場しのぎの弁解をすると、供述内容の不一致として扱われることがあります。

また、余罪について軽率に説明した結果、想定以上に捜査範囲が広がるケースもあります。防犯カメラ映像や店舗記録と説明内容が食い違った場合には、供述全体の信用性に影響することがあります。

そのため、警察対応の前に、

  • どの店舗での行為か
  • 被害額はいくらか
  • 他店舗での問題があるか
  • 店舗側と接触済みか

などを整理しておくことが重要です。

やってはいけない対応

万引き事件では、初動対応によってその後の流れが変わることがあります。

特に避けるべきなのが、「もう発覚していないだろう」と考えて放置することです。店舗側が後日映像確認を行い、被害届提出へ進むケースは少なくありません。

また、家族名義や知人名義を使って店舗へ連絡する行為も危険です。事実関係を隠そうとしたと受け取られると、店舗側との交渉が難しくなることがあります。

SNSなどで事件内容に触れる行為にも注意が必要です。投稿内容が残っていた場合には、後日証拠として扱われる可能性があります。

被害届提出前後を問わず、事実関係を整理しないまま感情的に動くと、店舗側・警察側双方との対応が不安定になりやすくなります。そのため、現在の状況を整理したうえで、どの段階にあるのかを踏まえて対応することが重要になります。

店舗側が万引き被害を把握している状況であれば、適切なお詫びや賠償の対応を試みることが最も有益でしょう。

万引きの処分はどう決まる?不起訴・罰金・起訴の分かれ目

不起訴になるケース

万引き事件では、検察官が「起訴しない」と判断した場合、不起訴処分になります。不起訴になった場合には、有罪の裁判には進みません。

特に、初犯で被害額が比較的小さいケースでは、不起訴になることがあります。万引き事件では、被害回復が済んでいるか、反省状況が明確か、再犯可能性が低いかなどが重視されるためです。

また、示談が成立しているケースでは、不起訴へ向かいやすくなります。店舗側が被害回復を受け入れている場合には、処罰感情が一定程度軽減していると評価されやすくなるためです。

一方で、不起訴になるかどうかは、被害額だけで決まるわけではありません。過去に同種前科がある場合や、複数店舗で余罪がある場合には、悪質性が高いと判断されることがあります。

略式罰金になるケース

万引き事件では、正式裁判ではなく、略式手続によって罰金処分となるケースがあります。

略式手続とは、簡易裁判所で書面審理のみを行い、罰金刑を科す手続です。公開の法廷は開かれず、本人が同意した場合に進められます。

実務上は、被害額や悪質性が一定程度ある場合には、略式罰金となるケースがあります。特に、初犯ではあるものの、被害額が比較的大きい場合や、余罪が確認されている場合には、不起訴ではなく罰金処分が選択されることがあります。

略式罰金であっても、有罪の裁判を受けた扱いになります。そのため、前科として扱われる点には注意が必要です。

また、罰金を納付できない場合には、労役場留置となることがあります。罰金額によって留置日数は異なりますが、金銭納付だけの軽い手続とは言い切れません。

正式裁判になるケース

万引き事件でも、悪質性が高い場合には正式裁判へ進むことがあります。

特に、常習的な万引きや高額被害事案では、正式起訴される可能性があります。組織的犯行、転売目的、複数店舗被害などがある場合には、軽微事案とは異なる扱いになりやすいためです。

また、過去に窃盗系犯罪の前科がある場合には、「再犯性が高い」と評価されることがあります。執行猶予期間中の犯行や、短期間での再犯では、拘禁刑が選択される可能性もあります。

正式裁判になった場合には、公開法廷で審理が行われます。証拠調べや被告人質問などを経て、有罪・無罪や量刑が判断される流れになります。

処分判断で重視されるポイント

万引き事件では、最終的な処分を決める際に、さまざまな事情が考慮されます。

その中でも、示談や被害弁償の有無は重要な判断要素になります。被害回復が行われているかどうかは、反省状況や再犯可能性を判断する際にも重視されるためです。

また、

  • 初犯か再犯か
  • 被害額はいくらか
  • 常習性があるか
  • 余罪があるか
  • 店舗側が厳しい処分を求めているか

なども処分判断へ影響します。

そのため、万引き事件では、「少額だから必ず不起訴」「初犯だから絶対に前科が付かない」とは言い切れません。逆に、早期の被害回復や示談によって、不起訴方向へ進むケースもあります。

示談で不起訴になる?被害届への影響と成立のポイント

示談とは何か

示談とは、加害者側と被害者側が話し合いを行い、被害弁償や解決条件について合意することをいいます。

万引き事件では、商品代金の弁償だけではなく、

  • 被害額の支払い
  • 謝罪
  • 再発防止の説明

などを含めて合意が行われることがあります。

特に、刑事事件では示談成立が処分判断へ影響することがあります。万引き事件では、店舗側が被害回復を受け入れているかどうかが、反省状況や再犯可能性を判断する材料になるためです。

示談で不起訴になることはあるのか

万引き事件では、示談が成立した結果、不起訴になるケースがあります。

特に、初犯であり、被害額が比較的小さいケースでは、示談成立によって処分が軽くなることがあります。店舗側としても、被害回復が済み、再発可能性が低いと判断した場合には、厳しい処分を求めないことがあるためです。

また、検察官も、

  • 被害回復が済んでいるか
  • 被害者側が一定程度納得しているか
  • 再犯可能性が高くないか

などを踏まえて処分を判断します。

そのため、示談成立によって不起訴方向へ進むケースは実務上あります

もっとも、示談が成立したからといって、必ず不起訴になるわけではありません。常習的な犯行や、多数の余罪があるケースでは、示談成立後も起訴されることがあります。

万引き事件では示談できないケースもある

万引き事件では、店舗側が一律対応として示談に応じない方針を取っているケースがあります。

特に、大型チェーン店やドラッグストアなどでは、個別示談を行わず、原則として警察対応へ進める運用を取っていることがあります。店舗側としては、常習被害対策や従業員対応の統一のため、個別交渉を避けているためです。

そのため、加害者側が示談を希望していても、

  • 示談自体を断られる
  • 連絡窓口を設けない
  • 被害弁償のみ受け付ける

といった対応になることがあります。

実務上も、万引き事件では、正式な示談書作成まで至らず、被害弁償や謝罪対応の限度で終わるケースは少なくありません。

もっとも、その場合でも、被害回復へ向けた対応自体が無意味になるわけではありません。被害弁償や謝罪の事実は、反省状況や再犯可能性を判断する資料として扱われることがあります。

被害届への影響

示談が成立した場合、店舗側が被害届提出を見送るケースがあります。

また、すでに被害届が提出されている場合でも、示談成立後に店舗側が警察へ事情説明を行うことがあります。被害回復が済んでいることや、一定の解決に至っていることが、処分判断資料として扱われることもあります。

ただし、示談が成立しても、必ず被害届が取り下げられるわけではありません。店舗側が常習被害対策として警察対応を継続する方針を取っている場合には、示談後も手続が進むことがあります。

また、窃盗罪は非親告罪であるため、被害届や告訴が取り下げられても、警察や検察が処分判断を継続することがあります。

示談交渉で問題になりやすい点

万引き事件では、加害者本人が直接店舗へ連絡した結果、交渉が悪化するケースがあります。

特に、被害弁償だけで解決しようとした場合には、店舗側との認識が食い違うことがあります。店舗側としては、被害額だけではなく、営業上の損害や再発防止への不安を重視しているケースもあるためです。

また、繰り返し連絡を行った結果、店舗側が対応拒否へ転じることもあります。感情的な謝罪や弁解を続けると、かえって交渉が難しくなることがあります。

そのため、示談交渉では、

  • どの段階で被害届が出されているか
  • 店舗側がどの程度把握しているか
  • 余罪があるか
  • 謝罪や弁償をどう進めるか

を整理したうえで進めることが重要になります。

万引きで被害届を出された場合の対処法|やってはいけない対応と弁護士に依頼するメリット

警察から連絡が来た場合の対応

万引き事件では、被害届提出後に警察から電話連絡や出頭要請が来ることがあります。

この段階で、警察からの連絡を無視し続けるのは避けるべきです。連絡が取れない状態が続くと、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断され、逮捕の必要性が高いと評価されることがあるためです。

もっとも、突然の連絡に動揺したまま事情説明をすると、説明内容が不安定になることがあります。防犯カメラ映像や店舗記録と説明内容が食い違った場合には、供述全体の信用性に影響することもあります。

そのため、

  • どの店舗での問題か
  • いつの出来事か
  • 他店舗での余罪があるか
  • 店舗側と接触済みか

などを整理したうえで対応することが重要になります。

やってはいけない対応

万引き事件では、初動対応によってその後の流れが変わることがあります。

特に避けるべきなのが、発覚していない前提で行動することです。店舗側が後日映像確認を行い、防犯カメラ映像や会員情報から身元確認を進めるケースは少なくありません。

また、店舗側へ繰り返し直接連絡を行うことにも注意が必要です。謝罪や弁償を急ぐあまり、感情的な説明や弁解を続けた結果、店舗側が対応拒否へ転じることがあります。

SNSなどで事件内容に触れることも危険です。投稿内容が残っていた場合には、後日証拠として扱われる可能性があります。

さらに、家族名義や知人名義を使って店舗へ連絡する行為も避けるべきです。事実関係を隠そうとしていると受け取られた場合には、店舗側との関係悪化につながることがあります。

弁護士へ依頼するメリット

万引き事件では、早期に弁護士へ相談することで、対応方針を整理しやすくなります。

特に、店舗側との接触方法を整理できる点は大きなメリットです。万引き事件では、店舗ごとに対応方針が異なり、

  • 示談に応じる店舗
  • 被害弁償のみ受け付ける店舗
  • 一律で警察対応を進める店舗

など、実務対応に差があります。

そのため、現在どの段階にあるのか、店舗側がどこまで把握しているのかを整理しないまま動くと、かえって対応が不安定になることがあります。

また、警察対応についても、

  • 出頭前に整理すべき点
  • 供述上注意すべき点
  • 被害弁償や示談をどう進めるか

などを事前に確認しながら進めることができます。

特に、余罪があるケースや、常習性を疑われているケースでは、どの範囲まで捜査対象になり得るのかを踏まえて対応を検討する必要があります。

万引き事件では、「すでに被害届が出されているか分からない」「警察から連絡が来る前に対応したい」という段階で相談されるケースも少なくありません。状況を整理したうえで対応方針を決めることが、その後の処分判断にも影響します。

捜査が開始された後の段階では、捜査協力のスタンスを示すことが適切です。

万引きの被害届に関するよくある質問|後日連絡・家族への影響など

万引きの被害届はどのくらい後から出されることがありますか?

万引きの被害届について、法律上「数日以内」などの短い提出期限はありません。そのため、事件発生から時間が経過していても、店舗側が防犯カメラ映像や会計記録を確認した結果、後日になって被害届を提出することがあります。

特に、後日映像確認によって発覚するケースは少なくありません。店舗側が複数回分の被害をまとめて確認し、常習性を踏まえて警察対応へ進むこともあります。

そのため、「数週間経過したから大丈夫」とは一概には言えません。

万引きで被害届が出されたら必ず逮捕されますか?

万引き事件では、被害届が提出されたからといって、必ず逮捕されるわけではありません。

初犯であり、被害額が比較的小さく、逃亡や証拠隠滅のおそれが低い場合には、在宅のまま捜査が進むケースもあります。警察署への出頭要請に応じ、事情聴取のみで進むこともあります。

一方で、

  • 常習性がある
  • 余罪が多い
  • 呼び出しに応じない
  • 身元確認が困難

といった事情がある場合には、逮捕の必要性が高いと判断されることがあります。

被害弁償をすれば事件になりませんか?

被害弁償をしても、必ず事件化を防げるわけではありません。

万引き事件では、店舗側が一律で警察対応を行う方針を取っているケースがあります。そのため、被害弁償を受けても、被害届提出や警察対応を継続することがあります。

もっとも、被害弁償や謝罪対応は無意味ではありません。被害回復が済んでいることは、反省状況や再犯可能性を判断する資料として扱われることがあります。

家族や勤務先へ連絡されることはありますか?

万引き事件では、警察から家族へ連絡が行われるケースがあります。

特に、本人と連絡が取れない場合や、未成年事件では、家族への連絡が行われやすくなります。また、逮捕された場合には、家族へ身柄状況を知らせる必要が生じることがあります。一方で、警察が当然に勤務先へ連絡するわけではありません。もっとも、逮捕によって長期間出勤できなくなった場合や、会社側が事情確認を行った場合には、結果的に発覚することがあります。

万引きで被害届を出された場合の対応まとめ|早期対応が結果を左右する理由

万引きで被害届が提出されると、警察による捜査が始まり、防犯カメラ映像や店舗記録などから後日になって本人確認が進むことがあります。そのため、その場で発覚しなかった場合でも、「もう問題になっていない」とは限りません。

また、被害届が提出されたからといって、必ず逮捕されるわけではありません。初犯で被害額が小さいケースでは、在宅のまま捜査が進むこともあります。一方で、常習性や余罪がある場合、警察からの呼び出しへ応じない場合などには、逮捕の必要性が高いと判断されることがあります。

処分についても、

  • 被害額
  • 前科・前歴
  • 常習性
  • 示談や被害弁償の状況

などによって変わります。初犯で示談や被害回復が進んでいるケースでは、不起訴となることもありますが、常習的な犯行では正式裁判へ進むこともあります。

万引き事件では、店舗側が示談に応じない方針を取っているケースもあり、実務上は、被害弁償や謝罪対応の限度で終わることも少なくありません。それでも、被害回復へ向けた対応は、反省状況や再犯可能性を判断する資料として扱われることがあります。

そのため、警察から連絡が来てから対応を考えるのではなく、現在どの段階にあるのかを整理しながら、被害弁償、示談可能性、警察対応を検討していくことが重要になります。

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