【盗撮事件の不起訴処分】不起訴処分を目指す方法や不起訴処分獲得の可能性などを解説

このページでは,盗撮事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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盗撮事件で不起訴を目指す方法

①示談交渉

盗撮事件を起こしてしまったことが間違いなく,犯罪事実を認めるべき状況の場合には,示談を通じて被害者の許しを獲得する方法で不起訴を目指すことが必要です。具体的には,示談交渉を行い,被害者との間で示談を成立させ,示談の内容として「被害者が加害者を許す」という条項を盛り込むことがその方法となります。

盗撮事件では,認め事件の場合には起訴することが通常です。初犯であるか,反省しているか,といった事情は,刑罰の重みを判断する際に考慮されますが,初犯であるから,反省しているから,という理由で不起訴処分となることは通常ないと考えるのが適切でしょう。
盗撮事件で不起訴処分を目指すのであれば,積極的に行動を起こすことが不可欠と言っても過言ではありません。

逆に,盗撮事件で被害者との示談が成立し,被害者が加害者を許すという意思表明をしているケースでは,特段の事情がない限り不起訴処分となりやすい傾向にあります。
認め事件では,示談の有無が処分を決定的に左右すると言ってよいでしょう。

ポイント
認め事件では示談による被害者の許しを目指す

②犯罪の立証ができないことの主張

疑われている盗撮事件について身に覚えがない場合には,捜査の結果「犯罪が立証できない」という結論に至ってもらうことが不起訴処分を目指す重要な方法になります。

起訴・不起訴を判断する検察では,まず「犯罪が立証できるか」という基準で処分の検討を行うことになります。なぜなら,犯罪の立証ができない事件を起訴することはできないためです。犯罪が立証できないと判断した場合,自動的に不起訴処分とせざるを得ません。

身に覚えのない盗撮事件の場合,自分が盗撮を行ったという決定的な証拠は存在しないはずですので,何らかの状況証拠から「疑わしい」という程度の取り扱いであることが見込まれます。その後,捜査機関は犯罪が立証できるかどうかについて捜査を尽くすことになりますが,「捜査の結果,犯罪が立証できないため不起訴処分とする」という結論が目標となるわけです。

身に覚えのない事件では,その旨を率直に主張するとともに,犯罪が立証できないことを具体的に指摘する動きが有力な手段になるでしょう。

ポイント
犯罪の立証ができない限り,不起訴処分にせざるを得ない

盗撮事件で不起訴になる可能性

盗撮事件は,認め事件,否認事件のいずれについても,不起訴処分となる可能性が大いにある類型ということができます。特に,認め事件の場合,被害者との間で示談が成立していれば,不起訴処分となる可能性は飛躍的に上昇するでしょう。

盗撮事件が捜査・処分の対象となるのは,大多数が現行犯です。そして,現行犯の場合,犯罪事実が明らかであることが多く,類型的に認め事件が多い傾向にあります。
そのため,盗撮事件で不起訴になる可能性があるかは,盗撮事件で示談が成立する可能性があるか,という問題になりやすいところです。

この点,盗撮事件は,示談によってその後の接触を防ぐメリットが被害者側にも大きい事件類型と言えます。加害者による接触を法的に禁じることができる方法は示談だけであるため,被害者にとっても示談に応じる利益は無視できず,示談が成立する可能性は決して低くありません。
そのため,盗撮事件は示談による不起訴処分の可能性が大いにある事件と言えるでしょう。

ポイント
盗撮事件は不起訴処分の可能性が十分にある事件類型

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

盗撮事件で不起訴を目指す場合の注意点

①余罪の影響

盗撮事件の場合,実際に捜査・処分の対象となる事件(本罪)のほかにも,同種の他の事件(余罪)が存在することが多く見られます。これは,盗撮行為を1回だけしかしていない,というケースが少なく,複数回の盗撮行為があったうちの1件が発覚し,捜査の対象になる,という流れを辿りやすいためです。
そのため,盗撮行為が発覚した段階では,過去にも類似の盗撮行為がなされた状況である,ということになりやすいのです。

この点,余罪があまりに多い,あまりに悪質な方法であるなど,余罪を踏まえて処分を重くする必要があると判断される場合,不起訴処分の獲得が難しくなる場合があり得ます。
本罪で示談が成立すれば,確かに不起訴処分の可能性は高まりますが,確実に不起訴処分が約束されるわけではありません。示談が成立しても,余罪などの他の事情で不起訴処分にはならない可能性があることには留意しておきましょう。

ポイント
余罪多数,悪質の場合には,本罪が不起訴処分にならない場合もある

②示談を拒否された場合

認めの盗撮事件では,示談を行うことで不起訴処分を目指すことが有力です。ただ,示談は一種の契約であるため,当事者双方の合意が必要であり,被害者に示談を行う意思がなければ成立しません。

この点,盗撮事件で示談を試みる場合,被害者から示談交渉そのものを拒否されることがあり得ます。その理由は,「関わりたくない」「許せない」など様々ですが,被害者側の気持ちが示談に向いてくれない限り,示談は成立しません。どれだけ加害者側が示談を望んでも,被害者にとって示談の方が有益なように思えても,やむを得ないということになります。

示談を試みる場合には,被害者側の感情次第では示談交渉自体が開始できない可能性に注意することが適切です。

ポイント
被害者側に示談交渉の意思がなければ,示談は成立しない

③撮影内容が残っていない場合

盗撮事件では,盗撮行為を試みたものの画像や映像がうまく撮れなかった,というケースがあり得ます。場合によっては,撮影したつもりであったが実際はカメラが起動してもいなかった,ということもあり得るところです。

もっとも,撮影内容が残っているかどうか,という点は,犯罪の成立と直接関係しません。撮影がうまくできなかったとしても,撮影を試みる行為に及んだ段階で犯罪は成立することになります。

撮影が失敗したことを理由に否認する,という方針を取ることは不適切であるため,否認の主張を検討する場合には十分に注意しましょう。

ポイント
撮影内容が残っていなくても犯罪が成立する

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盗撮に強い弁護士へ依頼する方法は?費用相場は?弁護士が解説

盗撮で摘発・逮捕されてしまうと、前科や社会的信用の喪失といった深刻な影響が及ぶ可能性があります。こうした事態を少しでも軽減するためには、盗撮事件に精通した弁護士へ早期に相談することが不可欠です。しかし「どの弁護士に依頼すればよいのか」「費用はいくらかかるのか」と悩む方も多いでしょう。本記事では、盗撮に強い弁護士を選ぶ方法や依頼の流れ、費用相場までを弁護士が分かりやすく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

盗撮事件で成立する罪名

一般的な盗撮事件は,性的姿態撮影等処罰法の「性的姿態等撮影罪」に該当します。
俗に「撮影罪」と呼ばれるもので,2023(令和5)年7月13日に法律が施行され,適用されるようになりました。

「性的姿態等撮影罪」は,ひそかに「性的姿態等」を撮影する行為を犯罪とするものですが,「性的姿態等」には以下のものが挙げられます。

①人の性的な部位(性器,肛門,臀部,胸部)
②人の性的な部位を覆っている下着
③わいせつな行為や性交等がされている間の人の姿

盗撮事件の場合,スカート内や着衣をつけないでいるところの撮影が対象となっていることが多数ですが,これらは全て撮影罪に該当することとなります。

この撮影罪の罰則は,3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金とされています。
なお,撮影罪の創設前は,事件により各都道府県の迷惑行為防止条例違反や軽犯罪法違反として罰則が科せられていましたが,それぞれの罰則は以下の通りです。

迷惑防止条例違反:1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(都道府県により異なります)
軽犯罪法違反:拘留(1月未満)又は科料(1万円未満)

そのため,撮影罪の創設によって,盗撮行為の罰則はより重くなる余地が生まれたことになります。もっとも,同種の事件をこれまでより厳しく取り扱っているというわけではなく、撮影罪の創設前後で刑事処分の運用に特段の差異はないとの理解が一般的です。

参照:性犯罪関係の法改正等 Q&A

盗撮の刑罰・罰則

盗撮事件の代表的な刑罰法令である撮影罪と迷惑行為防止条例違反の場合、罰則は以下のとおりです。

該当する法令刑罰
性的姿態等撮影罪3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
迷惑行為防止条例違反(一例)1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
迷惑行為防止条例違反(常習・一例)2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金

また、盗撮事件は、方法や内容によって別途以下の犯罪に該当する可能性があります。

建造物侵入罪:商業施設に立ち入って盗撮に及んだ場合
軽犯罪法違反:他人が衣服を付けないでいる場所を覗き見つつ、同時に盗撮を行う場合
児童ポルノ法違反(製造):被写体が18歳未満の場合

そして、これらの犯罪に該当した場合の刑罰は以下のとおりです。

該当する法令刑罰
建造物侵入罪3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金
軽犯罪法違反拘留(1月未満の身体拘束)又は科料(1万円未満の金銭制裁)
児童ポルノ法違反(製造)3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金

盗撮に強い弁護士へ依頼するメリット

① 示談交渉

盗撮事件において示談交渉は、被害者との円満解決を図る最も重要な手続きです。

弁護士による示談交渉では、被害者の精神的苦痛に対する慰謝料や、事件による損害の賠償について話し合いを行います。
個人で被害者に接触することは二次被害を与える恐れがあり、法的にも問題となる可能性が高いでしょう。

弁護士が代理人として交渉することで、以下のメリットが得られます。

・被害者の感情を配慮した適切な謝罪と賠償提案
・法的に有効な示談書の作成
・被害者による宥恕(ゆうじょ)の獲得
・再犯防止策の提示による信頼回復

示談が成立すれば、不起訴処分や執行猶予付き判決の可能性が大幅に向上します。
「被害者の方にどう謝罪すればよいのか分からない…」と悩む方も多いですが、弁護士なら適切な方法で被害者の心情に寄り添った交渉を進められるでしょう。

示談交渉は事件発覚後できるだけ早期に開始することが重要で、タイミングを逃すと交渉自体が困難になる場合もあります。

盗撮事件は、示談の有無が刑事処分を極めて大きく左右します。示談の手法や重要性を把握している弁護士への依頼は、刑事処分に向けて非常に大きなメリットになります。

② 逮捕回避・釈放

盗撮事件において弁護士の有無で大きく変わりやすい点の一つが、逮捕の回避や早期釈放です。

逮捕されるかどうか、逮捕された場合にどれだけ速やかに釈放されるかは、被疑者となったご本人の今後を極めて大きく左右します。そのため、弁護士への依頼によって逮捕回避や早期釈放を実現できれば、そのメリットは計り知れないものになるでしょう。

弁護士は、被疑者が初犯で反省している姿勢を示し、証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを強調するなど、個別の事件に合わせた主張を尽くし、逮捕回避の可能性を高める弁護活動を行うことが可能です。

また、既に逮捕された場合でも、弁護士は以下の活動を通じて釈放を目指します。

・勾留請求に対する意見書の提出
・勾留理由開示請求による法廷での主張
・準抗告による勾留決定への異議申し立て
・保釈請求の準備と申請

弁護士の専門的な知識と経験により、逮捕回避や早期釈放の実現可能性は大幅に向上するケースが多いでしょう。

盗撮事件の場合、逮捕されたとしても早期釈放の可能性は決して低くないケースが多く見られます。釈放を求める申立てや手続は、弁護士なしでは現実的に難しいため、弁護士への早期の依頼は非常に重要なポイントとなりやすいところです。

③ 処分軽減・不起訴

盗撮事件では、弁護士の適切な弁護活動を通じて処分の軽減や不起訴処分を実現することが十分に可能です。

不起訴処分とは、検察官が起訴しないと判断する処分を指します。不起訴処分とされた場合、刑罰を受けることなく刑事手続が終了するため、前科が付かず最もメリットの大きな結果と言えます。

被疑事実を認める内容の盗撮事件であれば、被害者との示談成立によって不起訴処分を目指すことが最も有力です。示談が成立すれば、検察官は「被害者の処罰感情がない」と判断し、不起訴処分を下す可能性が大幅に高まります。

初犯の場合や被害が軽微なケースでは、弁護士の適切な弁護活動により不起訴率が向上するでしょう。
また、起訴されても略式起訴(罰金刑)に留めるなど、処分の軽減を図る余地も十分にあり得ます。

処分の軽減を図る具体的な方法としては、以下のような手段が挙げられます。

・被害者への謝罪と賠償による示談交渉
・反省文の提出と再犯防止策の提示
・職場や家族への影響を考慮した情状酌量の主張

盗撮に強い弁護士への依頼によって、可能な限りの処分軽減を図ることは極めて重要になるでしょう。

示談を目指す場合のほか、余罪が多数あるケースや同種前科があるケースなども、弁護士との適切な協力体制が重要になりやすいです。また、その着手は早ければ早いほど処分軽減につながりやすくなるでしょう。

④ 職場や学校への影響を防ぐ

盗撮事件が発覚すると、職場や学校に知られてしまう可能性もあります。事件の性質上、周囲に発覚した場合の不利益が大きくなりやすいため、発覚を防ぎたいという要望は強いことが多いでしょう。

この点、弁護士に依頼することで、職場や学校への影響を最小限に抑えることが可能になる場合も少なくありません。弁護士は、事件の情報が外部に漏れないよう、以下のような対策を取ることが考えられます。

・捜査機関から報道機関への情報共有を避けるための交渉
・捜査機関から職場への連絡を防ぐための交渉
・捜査機関から学校への情報共有を防ぐ交渉
・被害者側から各所への情報共有を防ぐ交渉
・逮捕を回避して在宅事件として処理するための対応

特に示談が成立すれば、被害者が職場や学校に通報する可能性を大幅に減らせるでしょう。
また、逮捕されずに在宅事件として処理されれば、周囲に事件が発覚するリスクも大きく軽減されます。

盗撮事件の職場や学校への発覚は、防ぐことのできるケースと防ぐ余地のないケースがあり得ます。事件の内容や当事者のお立場、被害者の属性等によって異なりやすいところです。この点、万一防ぐ余地のないケースの場合、発覚したときの影響を最小限に抑える試みを講じることも重要になります。

盗撮事件に強い弁護士を選ぶ基準

①盗撮事件の弁護活動経験

刑事事件は,同種事件の先例を踏まえ,先例の結論と矛盾しないように運用されることが通常です。例えば,同種の先例で被疑者が釈放されているのであれば,特段の事情がない限り今回も釈放する,同種の先例が不起訴であれば今回も不起訴処分とすることを念頭に検討する,といった具合です。

そのため,刑事事件の弁護活動は,同種事件の弁護を経験しているかどうかによって,活動内容や見通しの質が大きく変わりやすい傾向にあります。先例となる同種事件の経験があれば,経験を踏まえてより正確な判断をできることにもつながり,事件解決にとって非常に重要なポイントとなるでしょう。

弁護士選びにおいては,同種の盗撮事件に関する弁護活動の経験の有無を判断材料の一つにすることが有力です。

②迅速な対応の可否

盗撮事件の場合,特に現行犯逮捕された状況だと,対応が迅速であるかどうかによってその後の流れに大きな違いの生じる可能性があります。釈放されるかどうか,いつ釈放されるか,といった点は,弁護士の対応が迅速かどうかによって変わるケースも珍しくありません。

もっとも,弁護士がどのようなペースで,どのようなタイミングで対応をするか,という点には,明確なルールがないため,基本的にすべて弁護士の判断によることとなります。依頼者側が早期の動きを期待していたとしても,弁護士がゆったりと動く方針であればそれまでです。

そのため,弁護士が迅速な対応を約束してくれるかどうか,という点は重要な判断基準の一つとするべきでしょう。具体的には,まず最初の動き出しをいつしてくれるのか,という点を確認してみるとよいかもしれません。

動き出しの例

身柄事件の場合
最初の接見をいつ行うのか

在宅事件で示談を目指す場合
示談の申し入れをいつ行うのか

③示談交渉に長けているか

盗撮事件の解決は,示談の成否にかかっている場合が非常に多いところです。そのため,否認事件を除き,弁護士による示談交渉が不可欠となるケースが多数と言ってよいでしょう。
そのため,弁護士選びは,示談交渉の代行者選びという意味合いを持つと言っても過言ではありません。

弁護士選びに際しては,依頼した弁護士が示談交渉を行うことになる点を踏まえ,示談交渉に長けているかという基準を設けることが有力です。弁護士への相談段階で判断する方法としては,想定される示談の条件について,具体例を示すなどしながら詳細に案内してくれるか,という点を重視するのが一案でしょう。

また,示談交渉に際しては,被害者側の要望を毅然と断るべき局面もあります。弁護士によっては,被害者側の要望をすべて受け入れて依頼者である加害者に折れてもらえれば楽,という発想になりかねませんが,それでは加害者側にとって有益でないことは明らかです。
そのため,被害者側にも必要に応じて断る姿勢を示せる弁護士か,という判断基準も設けるとよいでしょう。

ポイント
弁護士選びは示談交渉の代行者選びでもある
示談条件の想定ができているか,毅然とした対応も取れるか,という点を重視する

④見通しの正確さ・詳細さ

弁護士の活動や案内は,刑事処分の見通しを踏まえて行うことになります。そのため,刑事処分の見通しが正しいことが,弁護活動の大前提となってきます。見通しが誤っていると,それを踏まえた弁護活動が適切なものと評価できる可能性は残念ながらないでしょう。
そのため,弁護士選びに際しては,その後の刑事手続や刑事処分の見通しが正確であるか,という基準を設けることが望ましいです。

もっとも,弁護士の見通しが正確であるかを依頼者側が判断することは現実的でありません。そのため,具体的には見通しをどれだけ詳細に示してくれるか,という点を重視することをお勧めします。
刑事手続や刑事処分の見通しには,確実に分かることから絶対に分からないことまであります。そして,見通せることと見通せないことが区別でき,その線引きが詳細であるほど,見通しは正確であると言ってよいでしょう。

弁護士による見通しが肝心な部分であやふやでないか,という点は大切な判断基準にすることをお勧めします。

ポイント
見通せることと見通せないことの線引きが詳細であるか

盗撮で相談できる弁護士の種類

① 当番弁護士

当番弁護士は、弁護士会から派遣された弁護士であり、逮捕・勾留中に1回接見を行うことが可能です。
当番弁護士の最大のメリットは、逮捕直後から無料で接見してもらえる点です。逮捕後の初動を誤らないための手段として、有力な選択肢の一つでしょう。

ただし、当番弁護士として派遣される弁護士が、刑事事件の対応に長けているとは限らない点には注意が必要です。弁護士会に登録をしているかどうかが派遣の条件であり、得意分野や専門性が異なる可能性がある点には注意するのが望ましいでしょう。

当番弁護士によるサポートは、初回の接見のみです。引き続き弁護活動を依頼したい場合には、その弁護士と契約をし、私選弁護人になってもらう必要があります。その際の弁護士費用は自己負担となります。

② 国選弁護人

国選弁護人は、経済的に私選弁護人を雇うことが困難な被疑者・被告人のために、国が費用を負担して選任する弁護士です。
国選弁護人制度は、経済状況に関係なく弁護を受ける権利を保障する重要な制度といえます。

逮捕された段階で国選弁護人を利用した場合、以下の2つの条件を満たす必要があります。

・勾留されていること
・資産が50万円未満であること

なお、国選弁護人も当番弁護士と同様、刑事事件に精通しているとは限らない点に注意が必要です。国選弁護人の名簿に登録していれば、最低限の研修を受けるのみで経験を問わず国選弁護人になることが可能です。

国選弁護人は、勾留された後に初めて選任されるため、勾留を防ぐ弁護活動を行う余地がない点には注意が必要です。また、勾留が途中で終了し釈放された場合には国選弁護人の役割も終了することになります。

③ 私選弁護人

私選弁護人は、被疑者やその家族が自由に選択できる弁護士です。
当番弁護士や国選弁護人とは異なり、費用は全額自己負担となりますが、その分多くのメリットがあります。

私選弁護人の最大の特徴は、弁護士を自由に選べることでしょう。
刑事事件に詳しい弁護士や、過去に同種事件で実績のある弁護士を指名できます。
また、費用を支払う分、より手厚いサポートを受けられる可能性が高いです。

「費用が心配だけど、しっかりとした弁護を受けたい」と考える方には、私選弁護人がおすすめです。
初回相談を無料で行っている事務所も多く、まずは相談してから依頼を検討できます。
私選弁護人は、逮捕直後から迅速に対応してもらえるため、早期釈放や示談交渉において有利に働くことが期待できるでしょう。

逮捕直後の段階で釈放に向けた弁護活動を行ってもらう場合には、私選弁護人への依頼が唯一の選択肢となります。できるだけ迅速に信頼できる私選弁護人を見つけられるかどうかは、その後の進行に大きく影響するでしょう。

盗撮を弁護士に依頼する場合の費用相場

① 逮捕されていない事件(在宅事件)

逮捕されていない在宅事件では、弁護士費用は比較的抑えられる傾向にあります。
身柄拘束されていないため、弁護士との面談や打ち合わせが柔軟に行えること、身柄拘束への対応を要しないことなどが費用を抑える要因となっています。

具体的な費用の金額や内訳は以下の通りです。

・着手金:30万円から50万円程度
・成功報酬:30万円から50万円程度
・示談交渉費用:別途20万円から30万円程度
・その他に実費が発生

弁護士費用が心配で依頼を躊躇してしまう場合は、複数の弁護士事務所で見積もりを取ることも有力です。
在宅事件では時間的余裕があるため、事務所間の比較が比較的容易にできるでしょう。

② 逮捕されている事件(身柄事件)

逮捕されている身柄事件では、弁護士費用が在宅事件よりも高額になります。

具体的な費用水準は以下のとおりです。

・着手金:50万円から80万円程度
・成功報酬:50万円から80万円程度
・示談交渉費用:別途30万円程度
・その他に実費が発生

身柄事件の場合、示談交渉のみでなく刑事手続に対する全般的な対応が不可欠になります。
これらの負担が費用に反映されるため、在宅事件に比して高額になりやすい傾向にあります。

盗撮を弁護士に依頼するときのよくある質問

(1)盗撮は不起訴になる可能性はあるか

盗撮事件は,認め事件,否認事件のいずれについても,不起訴処分となる可能性が大いにある類型ということができます。特に,認め事件の場合,被害者との間で示談が成立していれば,不起訴処分となる可能性は飛躍的に上昇するでしょう。

盗撮事件が捜査・処分の対象となるのは,大多数が現行犯です。そして,現行犯の場合,犯罪事実が明らかであることが多く,類型的に認め事件が多い傾向にあります。
そのため,盗撮事件で不起訴になる可能性があるかは,盗撮事件で示談が成立する可能性があるか,という問題になりやすいところです。

この点,盗撮事件は,示談によってその後の接触を防ぐメリットが被害者側にも大きい事件類型と言えます。加害者による接触を法的に禁じることができる方法は示談だけであるため,被害者にとっても示談に応じる利益は無視できず,示談が成立する可能性は決して低くありません。
そのため,盗撮事件は示談による不起訴処分の可能性が大いにある事件と言えるでしょう。

ポイント
盗撮事件は不起訴処分の可能性が十分にある事件類型

(2)盗撮では示談すべきか

盗撮事件は,基本的に示談が必要であると理解するのが適切です。
一般的な盗撮事件の場合,示談ができているかどうかによって処分が決まると言っても決して過言ではありません。

犯罪事実に争いのない盗撮事件では,特段の事情がなければ起訴されるのが通常です。起訴された場合,無罪でない限り刑罰を受けることになるため,刑罰を受けて前科が付くことになります。
一方,同じ事件で示談が成立した場合,特段の事情がなければ起訴されない方が通常の処理になりやすいです。被害者が起訴を希望していない場合,被害者の意向を押し切って起訴されることはあまりない事件が多い類型と言えるでしょう。

もちろん,示談をしても起訴を防げない事件はありますが,その場合でも示談をしていることによって処罰は一段軽くなるという理解をするのが一般的です。示談がなければ実刑判決の対象となる事件でも,示談があることによって実刑判決にならず済むことは決して珍しくありません。

盗撮事件の対応は,まず示談から検討することを強くお勧めします。

なお、示談の重要ポイントとなるのは示談金ですが、盗撮事件で示談金額を変動させる要素としては以下のような点が挙げられます。

盗撮事件における示談金額の変動要因

1.盗撮の場所・方法
→自宅の浴室など,通常衣服をつけないプライベートな場所での撮影は,被害者の精神的苦痛が大きく示談金額の増額要因になります。

2.盗撮の期間・回数
→長期間,複数回の盗撮行為がある場合,示談金額の増額要因になります。

3.被害者の心身への支障
→精神疾患などの原因になっている場合,示談金の増額要因になります。

4.加害者の経済力
→経済力に限界のある場合,示談金の減額要因になります。

(3)盗撮が発覚していないが自首すべきか

①現行犯で被害者等に発覚した場合

自首は,被害者などが警察に被害申告を行うであろう場合に,先回りして自分から警察に申し出る,というケースで特に高い効果を発揮します。このようなケースでは,自首をしてもしなくても自分への捜査や処分が見込まれやすいところ,自首をした方が軽微な取り扱いで終わりやすいためです。

この点,現行犯で被害者に見つかったがその場を逃れた,目撃者に声をかけられたがその場を離れたなど,現行犯で発覚している場合,被害者などが警察に被害申告をする可能性が非常に高いといえます。被害者としては,警察に被害申告をしなければ泣き寝入りとなってしまうため,警察に捜査をして犯人を見つけてもらう方が合理的な判断になりやすいでしょう。
そのため,現行犯で被害者や目撃者に発覚したケースでは,被害者などが被害申告を行う前に,先回りして自首をすることが非常に有力です。逮捕などの強制的な手続を回避するためには,自首の効果は極めて高いものになるでしょう。

ポイント
被害者や目撃者に見つかっている場合は,自首が有力
逮捕を回避する効果が非常に高くなる

②客観的証拠があると推測される場合

犯罪の客観的証拠が揃っており,捜査されれば自分が犯人であると容易に特定できるであろうと推測できる場合には,自首が有力な手段になります。

盗撮事件の場合,警察は,盗撮に用いられた撮影機器や撮影結果が残された映像や画像のデータを手に入れたいと考えることが多く見られます。もっとも,撮影機器や撮影データは,容易に処分することができてしまうため,被疑者を特定した段階で,捜索・差押えという方法で強制的に取り上げることも少なくありません。
そのため,盗撮事件で自首をしないまま自分が犯人と特定された場合,捜索差押えなどの強制捜査を受け,周囲に事件のことが知られてしまう可能性も低くはないのです。

この点,自分から自首をし,必要に応じて撮影機器や撮影データを提出することで,捜索差押えといった強制捜査を未然に防ぐ効果が期待できます。捜査をすれば自分にたどり着くであろう客観的証拠の存在が見込まれる場合は,自首の検討が有力でしょう。

なお,客観的証拠としては,現場や付近を撮影した防犯映像・画像,現場付近(駅など)の入退場記録,事件前後の足取りなどが挙げられます。

ポイント
自分を犯人と特定できる証拠がある場合,自首が有力
捜索差押えなどの強制捜査を防ぐ効果が期待できる

(4)盗撮で弁護士に依頼する場合の注意点は?

①余罪がある場合の示談

余罪がある場合,本罪のみを示談するのでは,不起訴処分を獲得することができない場合があり得ます。現実に本罪のみの示談で不起訴処分となるかはケースによりますが,概ね以下のように整理できるでしょう。

余罪と不起訴の関係

1.具体的に捜査対象とされている余罪がない場合
→本罪の示談のみで不起訴処分が可能

2.具体的に捜査対象とされている余罪がある場合
→捜査対象とされた余罪についても示談が必要

もっとも,具体的な処分は,余罪の数や内容,事件の悪質性などによっても変わる可能性があります。余罪が多ければ多いほど,余罪の態様が悪質であればあるほど,処分の見通しは不明確になりやすいでしょう。

②余罪がある場合の否認

否認する場合,余罪捜査の引き金になる可能性には十分な注意が望ましいところです。

捜査機関は,否認された事件の証拠が乏しい場合に,証拠十分な余罪を捜査し,余罪で被疑者を逮捕することで,否認された事件についても自白を促すという手法を取ることがあります。こうなると,捜査処分の対象となる事件は,元々否認していた事件と後に捜査された余罪の両方となるため,初めから認めていた場合よりも不利益な結果になる可能性があり得るのです。

この点の具体的な見通しは,弁護士にも明確にすることが非常に困難と言わざるを得ないため,否認の場合のリスクの一つとして事前に踏まえておくことが適切でしょう。

③十分な情報共有の重要性

弁護士に示談交渉を依頼する場合,被害者との間で起きた出来事,特に自分に不利益な出来事は漏れなく弁護士に伝えておくようにしましょう。
弁護士が示談交渉を試みると,被害者から初めて聞かされる出来事も決して少なくありません。ただ,弁護士が事前に知らなかったことを被害者に把握されると,示談交渉に少なからず悪影響を及ぼすことになります。

弁護士は自分の代わりに示談交渉を行う人物であるため,自分が知っている情報は一通り共有するつもりで,弁護士へ十分に伝えることが重要です。

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痴漢事件は自首すべき?メリットデメリットから自首の具体的方法まで弁護士が解説

このページでは,痴漢事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

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痴漢事件で自首をするべき場合

①現行犯で問題になったケース

痴漢事件は,被害者に発覚しない可能性の考えにくい事件類型であるため,現行犯のタイミングで当事者間のトラブルになっている場合が少なくありません。そして,その事件直後のトラブルから逃れた後である,という場合は自首を検討する必要性が高いと考えられるでしょう。

痴漢事件で捜査されるのは,被害者から捜査機関に被害申告があった場合というのがほとんどです。現実的には,被害者が捜査を希望してアクションを起こせば捜査が始まり,そうでなければ捜査が始まらない,ということが大多数でしょう。
この点,現行犯のタイミングで当事者間のトラブルになっているケースでは,被害者側に声を上げる意思が見受けられるため,被害者が捜査を希望する可能性が高い傾向にあります。そうすると,やがて捜査が開始され,自分が被疑者として特定されることが強く懸念されます。

そのため,現行犯で問題になった痴漢事件では,自首をすることでより大きな不利益を避ける動きが有益になると言えるでしょう。

ポイント
痴漢事件が捜査されるかは被害者の動きによる
現行犯で当事者間のトラブルになった痴漢事件は捜査されやすい

②自分が犯人と特定される見込みがある

痴漢事件の場合,突発的な出来事でもあることから,犯罪や犯人を立証するための証拠が多数残っているということはあまりありません。一般的に想定される証拠としては,以下のようなものが挙げられるでしょう。

痴漢事件の一般的な証拠

・被害者
・目撃者
・現場付近の映像・画像
・駅の入退場記録
・類似事件(余罪)の証拠

この点,一般的に想定される証拠を踏まえて,自分が犯人と特定されることが見込まれる場合は,自首の検討が適切になりやすいでしょう。
例えば,明らかに防犯映像が記録されている場所で事件や事件直後のトラブルが起きた場合,目撃者に面識のある人物が含まれていた場合などは,犯人=自分と結びつく十分なきっかけがあるため,特定される見込みがあるケースということができます。

自分が犯人と特定され,捜査を受けた後では,もはや自首はできず自首のメリットを得ることもできなくなってしまうため,極力早期に自首の検討を行うことが一案です。

ポイント
犯人の特定に至りやすい証拠があるケースでは,自首の検討が有力

③否認事件で自首すべきか

否認事件ではあるものの,自分が疑われている状況にあるため,捜査を受けるより前に自分から自首をする,という動きは考えられるでしょうか。

結論的には,否認事件で自首をするメリットがない,と考えるのが適切でしょう。自首はあくまで自分の犯罪行為を捜査機関に告げる意味合いの行動であるため,否認事件にはなじみません。

もっとも,否認事件ながら自分が疑われているという場合に,先回りをして警察に問い合わせたり相談したりすることはあってよいでしょう。現実にどのような取り扱いを受けられるかは警察の対応にもよりますが,ケースによってはむしろ被害者として警察に捜査を依頼する余地もあるかもしれません。

ポイント
否認事件での自首は不適切

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

痴漢事件の自首は弁護士に依頼すべきか

痴漢事件の自首は,弁護士への依頼が有益なケースということができるでしょう。具体的には以下のようなメリットが挙げられます。

①逮捕回避の可能性が高まる

自首の基本的な目的は逮捕の回避ですが,同じ自首を試みたとしても,やり方が異なれば逮捕回避の効果がどれだけ期待できるかも変わってきます。
弁護士に依頼することで,逮捕回避によりつながりやすい適切な方法での自首が可能になり,逮捕を回避できる可能性が高くなるでしょう。

②自首をすべき状況かが分かる

自分の中では自首をするべきだと思っていたとしても,客観的には自首が得策とは言い難いケースがあります。当事者の立場にいると,どうしても偏った見方にならざるを得ない上,専門的な知識や経験に基づく判断は困難であるためです。
特に,痴漢事件では,客観的証拠があまり多くならないため,現行犯以外での捜査は容易でなく,事件を客観的に見ると自首を要する状況とは言えない,という場合が少なくありません。

そのため,痴漢事件の自首を検討する場合は,まず刑事事件の知識や経験ある弁護士に相談することで,自首をすべき状況かどうかを確認するのが有力です。弁護士の見通しを踏まえ,本当に自首すべき状況かどうかを知った上で,自首を検討することが可能になるでしょう。

③自首後の弁護活動が迅速にできる

刑事事件は,自首をして終わりではありません。むしろ,自首は捜査のスタートラインであって,自首の内容を踏まえて捜査が開始されることになります。そうすると,自首を行うときには,自首をした後に始まる捜査や,その後の最終的な処分のことも考えておかなければなりません。

この点,弁護士に依頼をすることで,自首の後迅速に弁護活動を始めてもらうことが可能になります。痴漢事件では,被害者との示談が非常に重要ですが,自首とともに示談の試みを開始することで,示談交渉という大切な弁護活動へとスムーズに移ることができます。
また,自首をすることで被害者の感情が和らげば,示談の成功率も高くなるため,自首のメリットがより大きくなっていくことになるでしょう。

痴漢事件で自首をする場合の注意点

①自首をする余地がない可能性

痴漢事件は現行犯で問題になることが一般的であり,痴漢事件における逮捕の多くは現行犯逮捕です。

この点,自首は犯罪や犯人が特定できていない段階でしか行うことができないため,現行犯で事件が問題になっている場合,犯罪も犯人も明らかであって自首をする余地が残っていない,というケースがあり得ます。

自首は,その性質上,自分に対する捜査が始まる前にしかできない動きであるため,現行犯での取り締まりが多い痴漢事件では行う余地のない可能性があることに注意しておきましょう。

②捜査を誘発してしまう可能性

自首は,自発的に自らの犯罪を申告する行為であるため,捜査機関が全く犯罪事実を知らなかった場合,自首によって捜査を誘発してしまう恐れがあります。自首をしなければ捜査が開始されることはなかったにもかかわらず,自首をしたがために捜査を受けることになってしまう,という場合があるのです。

痴漢事件での自首は,「被害者が捜査機関に被害申告すると思う」という想定で行う場合が多くなりますが,実際に被害者が動いているかを事前に知る手段は基本的にありません。そのため,被害者が動いているという想定が思い込みであった場合の自首は,自分で自分への捜査を引き起こす結果になる可能性に注意が必要でしょう。

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【痴漢事件での呼び出し】どう対応すべき?出頭したら逮捕される?注意点は?

このページでは,痴漢事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
痴漢事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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痴漢事件で呼び出された場合の対応法

痴漢事件に関して取り調べのために呼び出しを受けた場合,適切な対応が早期解決のきっかけになることもあります。呼び出しを受けたときの状況に応じて,どのような対応をするのが適切か整理しておくと有益でしょう。

①すでに取調べを受けたことのある事件

事件当日に現行犯で問題になって取調べを受けた後,後日呼び出される場合が代表例です。

同一の事件について取り調べを受けたことがある場合,呼び出された後の取調べは前回の内容を踏まえたものになります。そのため,前回と今回とで話の内容が一貫しているかどうか,という点が円滑な手続にとって重要なポイントです。
捜査機関は,当然前回の取調べ内容と整合する話が出てくるものと想定して呼び出し,準備をしています。そこに前回と全く異なる話が出てくると,手続は振り出しに戻り,改めて取調べをやり直す必要が生じかねません。

そのため,対応するときのスタンスとしては,事実ありのままを一貫して述べる,という方針を貫くのが合理的でしょう。

万一,前回の取調べで事実でないことを話してしまった場合には,極力速やかに訂正を申し出るのが適切です。一度供述調書の内容として記録されたものであっても,訂正の申し出は可能であるため,訂正の内容と理由を明確に伝えるようにしましょう。

ポイント
一貫した供述を心掛ける
訂正を要する場合は早めに申し入れ,理由を添えて説明する

②初めて呼び出される場合

事件当日に問題にならなかった痴漢事件でも,後日電話がかかってくるなどして警察に呼び出されることがあり得ます。

この点,初めての呼び出しを受ける場合は,まず予定した日時に確実に出頭するようにしましょう。呼び出しを行う警察の判断は,「逮捕しなくても呼び出せば来てくれるであろう」というものであることが通常です。そのため,呼び出しに応じて自分から出頭するかどうかは,逮捕を要するかどうか,という警察側の判断に大きな影響を与える可能性があります。呼び出して任意の出頭を求めても応じてくれないとなると,「出頭してくれないなら逮捕すべき」という判断に切り替わってしまう可能性も否定できません。

そして,出頭後の取調べでは,警察の疑いに間違いがない場合,真摯に認めて争わない姿勢を早期に示すことが適切です。初めて呼び出した警察は,「認める」か「認めないか」という基準で事件を区別するところから入るため,「認める」事件であるとの分類を早期にしてもらうことにより,手続が円滑になりやすいでしょう。
また,認める場合には,細かい内容や言い回しを気に留めるよりも,反省・後悔・謝罪といった点が十分に伝わるような対応を心掛けることが有益です。細かい内容は後の処分結果にほとんど影響しませんが,反省・後悔・謝罪という情状面は刑事処分の重さを大きく左右しうるためです。

ポイント
予定通りに出頭することが最重要
認め事件では認めるスタンスを早期に示す

③全く心当たりのない事件

疑われている事実に全く心当たりがない場合,まずは毅然とした態度で「認めない」スタンスを示すようにしましょう。

警察などの捜査機関は,認め事件よりも否認事件の方が被疑者に強く当たるものです。その理由としては以下のような点が挙げられます。

否認事件で捜査機関が強く当たってくる理由

1.捜査が面倒になるため認めて欲しい
→否認事件の場合,犯罪を立証するための証拠収集を慎重に行う必要が生じます。

2.言い逃れとの区別がつかない
→言い逃れ目的の可能性があるため,強く当たることで言い逃れを防ごうとします。

3.捜査担当官の感情面
→被害者の心情に配慮するあまり,否認する被疑者に感情を強くぶつける捜査担当者もいます。

合理的な理由かは別として,現実に否認の場合には,取り調べを行う警察官から心無い発言を受けたりウソだと決めつけられたりすることは珍しくありません。この点は事前に踏まえておくのが適切です。
それでも,心当たりがない事件で「認める」供述をするのは不適切と言わざるを得ません。捜査機関が強く当たってくることを想定した上で,一貫して否認のスタンスを示し続けていきましょう。

ポイント
否認事件では毅然とした態度を示し続ける
捜査機関の担当者から心無い発言を受ける可能性は事前に想定しておく

痴漢事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

刑事事件の手続では,呼び出しに応じて警察に出頭した際に,そのまま逮捕となる場合があります。これは,呼び出しの段階で逮捕を予定しており,言うならば逮捕のために呼び出した,ということになります。

もっとも,痴漢事件は,逮捕のために呼び出すということがあまり見られない事件類型です。痴漢事件で逮捕をするのであれば,現行犯逮捕をするか,呼び出しせずに直接自宅などへ行って逮捕をする方が合理的と判断することが一般的です。
そのため,痴漢事件で呼び出しを受けた場合には,そのまま逮捕される可能性をあまり強く警戒するのでなく,呼び出しに応じてできるだけ速やかに出頭することを心掛けるのが適切でしょう。呼び出しに対して円滑に対応する方が,結果的に逮捕の可能性を低下させることにつながります。

ポイント
痴漢事件では,呼び出しに応じて出頭した際の逮捕はあまり見られない

痴漢事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①呼び出しの時期

【供述調書の作成を要するとき】

痴漢事件で警察が呼び出しをするのは,取調べを行って供述調書を作成する,という目的であることが通常です。そのため,供述調書の作成を要すると判断されたときに呼び出しを受けることが考えられます。

現行犯で警察が対応した後の呼び出しである場合,事件当日の1週間~数週間後頃であることが多く見られます。身柄事件と異なり,呼び出しを行う在宅事件では捜査の時間制限が厳しくないため,いつ頃呼び出しを受けるかは警察のスケジュールにも大きく影響を受けやすいでしょう。

【聴き取りの不足があったとき】

一通り供述調書を作成し,警察から検察庁へ事件を送致する準備の段階に入ったとき,聴き取り不足が判明して呼び出されることもあります。その場合は,不足分の取調べと供述調書の作成を行うことになります。

警察では,必要な取り調べが終わればその旨を告げられることが一般的ですが,聴き取りに不足があった場合には最後の取調べから1週間~1か月後頃に呼び出しを受けることが多く見られるところです。聴き取りに不足があったことによる呼び出しの場合,呼び出しの理由が聴き取り不足であることを事前に教えてもらえるケースが多いです。

【押収物を還付するとき】

痴漢事件では,携帯電話などの所持品を押収される場合があります。所持品の中に犯罪の証拠や余罪を知るきっかけが含まれている可能性があるためです。
そして,押収物は捜査の必要がなくなった段階で還付(=返却)されますが,この還付は警察署に呼び出す形で行われることが一般的であるため,還付目的で呼び出しを受けることがあります。

押収物の還付は,警察での捜査が一段落する段階で行われることが通常であるため,最後の取調べから1週間~1か月ほどの時期に呼び出されることが多く見られます。
また,最後の取調べの際に押収物の還付を合わせて行うこともあります。この場合には,別途押収物の還付のために呼び出されることはありません。

②呼び出しの方法

呼び出しの方法は電話連絡となることが通常です。被疑者自身の所持する携帯電話があれば,その携帯電話番号への連絡となりやすいでしょう。
被疑者の携帯電話が押収中であるなど,被疑者自身への連絡が困難な場合は,身元引受人の連絡先など,代替となる電話番号への連絡となることが多く見られます。

痴漢事件の呼び出しに応じるときの注意点

①捜査情報を聞き出すことは困難

捜査機関は,捜査情報を一部でも被疑者に伝えることに極めて慎重な姿勢を示します。特に,初めて電話で呼び出した段階では,どんな事件に関して呼び出そうとしているのか,という点すらまともに話そうとしないことも珍しくありません。

呼び出しに応じて出頭したときも,事件に関する証拠などの捜査情報を被疑者の立場の人物に漏らすことはほとんどありません。取り調べのために必要な情報を共有してくれる場合を除き,捜査情報を把握しながら対応することは難しいと考えた方がよいでしょう。

②捜査機関の理解を期待しない

否認事件の場合,「自分の言い分を分かってもらおう」という思いで取調べに応じる人が少なくありません。しかし,このように捜査機関の理解を期待することはお勧めできません。
捜査機関の理解を期待する発想の土台には,「話せばわかってもらえるはず」という考えがあると思われますが,捜査機関はそもそも被疑者の話を受け入れたり理解してあげたりという立場にはありません。捜査機関は中立の第三者ではなく,被害者の求めに応じて犯罪捜査を行う者であって,被害者側の言い分に肩入れしやすい立場なのです。
捜査機関側に被疑者の言い分を理解する意思がない以上,捜査機関の理解に期待することは不合理と言わざるを得ないでしょう。

否認事件の場合,「疑う捜査機関」と「否認する被疑者」の平行線をたどるほかありません。この点を事前に踏まえておくかどうかで,否認事件の対応は大きく変わるはずです。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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痴漢で逮捕されるケースとは|流れ・勾留・不起訴の判断基準

痴漢事件で逮捕されるかどうかは、行為の内容だけで一律に決まるものではありません。現行犯か後日逮捕か、任意の呼び出しや出頭があったかなど、状況によって判断は大きく分かれます。逮捕された場合も、72時間以内に勾留されるのか、不起訴となるのか、示談が影響するのかなど、いくつもの分岐があります。本記事では、痴漢で逮捕に至る場面と、その後の流れや判断のポイントを解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

痴漢事件の流れ(全体像)

① 痴漢行為の発覚
現行犯で取り押さえられる場合と、防犯カメラや被害申告により後日発覚する場合があります。

② 逮捕されるかどうかの判断
警察は、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるかを重視して、逮捕の要否を判断します。

③ 逮捕後72時間以内の手続
逮捕された場合、送致を経て、勾留するかどうかが判断されます。

④ 身柄拘束が続くかどうか
勾留が認められない場合は釈放され、認められた場合でも保釈により解放されることがあります。

⑤ 処分の分かれ道
事件の内容や対応状況によって、不起訴で終了する場合と、裁判に進む場合に分かれます。

⑥ 社会生活への影響
会社や家族への影響は、逮捕の有無だけでなく、その後の手続や対応によって左右されます。

痴漢事件で「逮捕」が選択される法的な考え方

痴漢事件で逮捕されるかどうかは、行為の内容そのものだけで決まるものではありません。刑事手続において逮捕が認められるのは、逃亡のおそれ証拠隠滅のおそれがある場合に限られています。そのため、同じような痴漢行為であっても、逮捕に至るケースと、逮捕されずに捜査が進むケースに分かれることがあります。

警察が重視するのは、「このまま任意の状態にしておいて問題がないか」という点です。住居や職業が安定しているか、呼び出しに応じる姿勢があるかといった事情は、逃亡のおそれの有無を判断する材料になります。一方で、身元が不明確であったり、連絡が取れなくなる可能性がある場合には、逮捕が選択されやすくなります。
一例として、痴漢の現場から逃げてしまったケースでは逮捕の可能性が高まる傾向が見られます。痴漢事件で疑われ逃げた場合に関する重要ポイントについては、以下の記事もご参照ください。
痴漢を疑われて逃げたらどうなる?成立する罪と逮捕リスク

また、証拠の状況も重要です。痴漢事件では、被害者の供述、防犯カメラの映像、周囲の目撃状況などが証拠として問題になります。これらの証拠が今後失われたり、影響を受ける可能性があると判断されると、証拠隠滅のおそれがあるとして、逮捕が検討されることがあります。
痴漢事件では、事実を否認した場合に、証拠関係や供述内容がどのように評価されるかが重要になります。痴漢冤罪として否認を続ける場合の対応や初動の注意点については、別記事で詳しく整理しています。

注意したいのは、「痴漢=必ず逮捕される」という理解は正確ではないという点です。現行犯で取り押さえられた場合であっても、状況によっては逮捕に至らないケースもありますし、逆に、その場では帰宅できたとしても、後日の捜査によって逮捕されることもあります。逮捕の有無は、事件の発覚方法やその後の対応を含めた総合的な事情から判断されます。

このように、痴漢事件における逮捕は、刑罰の重さや社会的評価とは別に、手続上の必要性という観点から判断されるものです。逮捕されるかどうかを考える際には、「何をしたか」だけでなく、「どのような状況に置かれているか」という点を整理することが重要になります。

防犯カメラなどの証拠が、逮捕の判断に影響することがあります。
痴漢は防犯カメラで特定される?後日捜査と証拠評価を弁護士が解説

痴漢事件では、自首によって逮捕の回避を目指すことが有益な場合もあります。具体的な内容については以下の記事をご参照ください。
痴漢で自首すると逮捕されない?自首の効果と判断ポイント

痴漢で逮捕される主なパターン

痴漢事件における逮捕は、必ずしも一つの形に限られるものではありません。実務上は、現行犯での逮捕後日の逮捕、そして任意の呼び出しや出頭を経て逮捕に至るケースといった、いくつかの典型的なパターンに分かれます。それぞれで判断のポイントや注意点は異なります。

まず、現行犯で取り押さえられた場合には、その場で警察に引き渡され、逮捕手続が取られる可能性があります。ただし、現行犯であっても、すべてのケースで直ちに逮捕されるわけではありません。逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断されれば、逮捕されずに任意の捜査として進むこともあります。

次に、後日逮捕のパターンです。痴漢行為がその場で問題にならなかった場合でも、被害者の申告や防犯カメラの映像などをもとに捜査が進み、後日、逮捕に至ることがあります。この場合、「その場で帰宅できた」という事実だけで安心できるわけではなく、捜査の進展によって状況が変わることがあります。

また、警察からの電話連絡や呼び出しに応じて出頭した結果、逮捕されるケースもあります。任意の呼び出しや出頭は、あくまで「任意」である点が前提ですが、事情聴取の中で逮捕の要件が満たされていると判断されれば、出頭後に身柄を拘束されることもあります。出頭したからといって、必ず逮捕されないとは限らない点には注意が必要です。

このように、痴漢事件での逮捕は、発覚の経緯や捜査の進み方によって形が異なります。どのパターンに該当するかによって、その後の流れや対応の考え方も変わってくるため、自身の状況がどこに位置づけられるのかを冷静に整理することが重要になります。

痴漢事件では、現行犯で取り押さえられた場合に、逮捕手続が取られるケースもあります。
→ 痴漢の現行犯逮捕とは?要件・流れと弁護士対応を解説

痴漢で逮捕された直後に起こること

痴漢事件で逮捕された場合、その後はすぐに自由が制限され、刑事手続が進みます。この段階で重要なのは、「どのような処分が下されるか」ではなく、身柄を引き続き拘束する必要があるかどうかが判断される点です。逮捕直後は、その後の流れを左右する初期段階にあたります。

逮捕されると、警察署などでの取り調べが行われ、事件は検察に送致されます。この送致までの間も含めて、逮捕後には最大で72時間という時間枠が設けられており、その中で勾留を求めるかどうかが判断されます。ここで勾留が認められなければ、釈放され、在宅のまま捜査が続くことになります。

一方で、勾留が認められた場合には、引き続き身柄が拘束され、日常生活への影響が大きくなります。この判断では、事件の内容だけでなく、住居や仕事の状況、家族関係なども考慮されます。逮捕されたという事実だけで、勾留が当然に決まるわけではありません

また、逮捕された場合には、家族や周囲への連絡が問題になることもあります。警察から家族に連絡が入るケースもあれば、本人の状況によって連絡が遅れることもあります。逮捕直後は、本人だけでなく、家族にとっても先の見通しが立ちにくい段階といえます。このように、痴漢で逮捕された直後は、限られた時間の中で複数の判断が重なります。まずは、勾留されるかどうかという一点が、その後の生活や手続に大きく影響するため、自分が今どの段階に置かれているのかを把握することが重要になります。

痴漢で捕まったらどうなるのかを詳細に把握されたい場合は、以下の記事もご参考ください。
痴漢で捕まったらどうなる?刑罰の内容や与える4つの影響を弁護士が徹底解説

痴漢事件で勾留されるかどうかの分岐点

痴漢事件で逮捕された場合でも、必ず勾留されるわけではありません。勾留が認められるかどうかは、裁判所が身柄拘束を続ける必要性があるかという観点から判断します。この判断は、逮捕後の手続の中でも、特に生活への影響が大きい分岐点となります。

勾留が認められるためには、主に逃亡のおそれ証拠隠滅のおそれがあると判断される必要があります。たとえば、住居が不安定であったり、呼び出しに応じない可能性がある場合には、逃亡のおそれがあると評価されやすくなります。一方、定まった住所や職業があり、捜査に協力する姿勢が明確な場合には、そのおそれが低いと判断されることもあります。

また、証拠の状況も重要です。痴漢事件では、被害者の供述や映像資料などが中心となることが多く、今後の捜査や裁判に影響を与える可能性があると見られる場合には、証拠隠滅のおそれが指摘されることがあります。ただし、証拠がすでに確保されている場合には、その点が考慮されることもあります。

勾留が認められなかった場合には、釈放され、在宅のまま捜査が続きます。また、勾留が決定された場合でも、状況によっては保釈によって身柄が解放される可能性があります。勾留か釈放かという判断は固定的なものではなく、その後の事情によって変わる余地があります。
なお、痴漢事件の釈放に関する重要なポイントについては、以下の記事もご参照ください。
痴漢で逮捕されたらいつ釈放?身柄解放の流れと早期対応

このように、痴漢事件における勾留の判断は、事件の内容だけでなく、本人の生活状況や対応姿勢など、さまざまな要素を踏まえて行われます。逮捕後は、勾留が当然に続くものと考えるのではなく、どの点が判断材料になっているのかを整理して捉えることが重要になります。

勾留が認められるかどうかは、逮捕後の手続の中でも重要な分岐点となります。
痴漢で勾留される?要件・期間・回避の判断基準

痴漢で逮捕された場合の処分の分かれ道

痴漢事件で逮捕された場合、その後の手続は一つの結果に直線的に進むわけではありません。捜査の進展や証拠の状況などを踏まえ、不起訴となるか、起訴されて裁判に進むかという判断が行われます。この判断は、逮捕の有無とは別の段階で行われるものです。
初めての事件であるかどうかも、処分の判断材料の一つとされます。
痴漢は初犯でも罰金?前科・示談・逮捕の判断基準を解説

不起訴となるかどうかは、検察官が事件を裁判にかける必要があるかを判断した結果によります。証拠が十分でない場合や、事案の内容が比較的軽いと評価される場合には、不起訴となることがあります。また、初めての事件であるかどうかや、事件後の対応状況が考慮されることもあります。逮捕されたという事実だけで、起訴が決まるわけではありません

一方で、証拠関係が明確で、裁判による事実認定が必要と判断された場合には、起訴され、裁判手続に進みます。裁判では、事実関係そのものが争われる場合もあれば、事実は争わず、量刑が問題となる場合もあります。どのような形で裁判が行われるかは、事件の性質や争点によって異なります。この段階で重要なのは、結果を先取りして考えることではなく、どのような要素が処分の判断に影響しているのかを理解することです。不起訴か裁判かという分岐は、単一の事情で決まるものではなく、これまでの経過を踏まえた総合的な判断によって決まります。

起訴された場合には、刑事裁判の手続を通じて事実関係や処分が判断されます。
痴漢事件の裁判とは?流れ・略式と公判・回避策を解説
捜査の結果によっては、不起訴として事件が終了することもあります。
痴漢で逮捕された場合に不起訴となる条件と判断基準|弁護士解説

示談が逮捕・処分に与える影響

痴漢事件において、示談は処分の判断に影響を与える要素の一つですが、示談が成立すれば必ず有利になる、あるいは不利にならないといった単純な関係ではありません。示談がどの段階で、どのように評価されるかは、事件の状況によって異なります。

まず、示談は主に、被害者との間で民事的な解決が図られたかどうかを示す事情として考慮されます。そのため、捜査や処分の判断においては、被害回復が図られているか、当事者間で一定の整理がなされているかといった点が評価の対象になります。ただし、示談そのものが、逮捕や勾留の要否を直接左右するとは限りません。

処分の段階では、示談が成立していることが、不起訴とするかどうかを判断する際の一要素として考慮されることがあります。特に、事件の内容が比較的軽微である場合には、示談の有無が判断に影響することもあります。一方で、証拠関係や事案の性質によっては、示談が成立していても、起訴に進むケースもあります。重要なのは、示談の有無だけで処分が決まるわけではないという点です。示談は、あくまで複数ある判断材料の一つにすぎず、事件の経過や対応状況とあわせて総合的に評価されます。そのため、示談については、効果を過度に期待するのではなく、どの段階で、どのような意味を持つのかを整理して理解することが重要になります。

示談が成立しているかどうかは、処分の判断に影響することがあります。
痴漢で逮捕された場合の示談|不起訴・勾留回避の判断基準

会社・社会生活への影響

痴漢事件で逮捕された場合、会社や家族など、社会生活への影響がどの程度及ぶのかを不安に感じる方は少なくありません。ただし、その影響は逮捕されたかどうかだけで一律に決まるものではありません。事件の経過や、その後の手続、周囲の関与の有無によって状況は大きく変わります。

会社に知られるかどうかは、警察から直接連絡が入るか、報道がなされるか、本人や家族がどのように対応するかといった複数の要素が関係します。逮捕されたからといって、必ず勤務先に通知されるわけではありませんが、勾留が長引いた場合や、出勤できない状態が続く場合には、説明が必要になることもあります。
なお、痴漢事件と解雇の関係については、以下の記事もご参照ください。
→痴漢で解雇される?会社をクビになるケースと回避のポイント

また、報道の有無も影響を左右する要素の一つです。痴漢事件であっても、すべてが実名で報道されるわけではなく、事件の性質や社会的関心の度合いなどによって扱いは異なります。実名報道の有無は、本人がコントロールできるものではないため、過度に一般化して考えることは避ける必要があります。

家族への影響についても、連絡のタイミングや内容によって受け止め方は変わります。逮捕直後は情報が限られ、家族が状況を把握しにくいことも多いため、周囲の不安が大きくなりやすい段階といえます。社会生活への影響は、事件そのものよりも、その後の対応や情報の伝わり方によって拡大する場合があります。

このように、痴漢事件による社会的影響は一様ではありません。重要なのは、起こり得る影響を過度に恐れるのではなく、どのような場面で影響が生じやすいのかを冷静に整理して捉えることです。

痴漢事件の報道に関しては、以下の記事もご参照ください。
痴漢は報道される?実名報道の可能性とニュースになるケース

少年が痴漢で逮捕された場合の注意点

少年が痴漢事件を起こした場合、手続は成人事件とは異なる枠組みで進められます。年齢や立場を踏まえ、処罰よりも保護や更生を重視する考え方が取られる点が大きな特徴です。そのため、同じ痴漢事件であっても、進行の仕方や判断の基準は異なります。

少年事件では、逮捕や身柄拘束が行われた場合でも、最終的には家庭裁判所に送致されるかどうかが重要な分岐点となります。家庭裁判所では、事件そのものだけでなく、少年の生活環境や成育歴、再非行のおそれなどを含めて、総合的に判断が行われます。刑事裁判とは目的や視点が異なる点に注意が必要です。

また、少年本人だけでなく、保護者の関与が重要になる点も特徴です。手続の中では、保護者の監督状況や今後の対応についても確認されることがあります。事件への向き合い方や、その後の生活環境の整え方が、判断に影響することもあります。

少年事件の場合、「大人と同じように処理されるのではないか」と不安を抱かれることがありますが、実際には手続や考え方に明確な違いがあります。そのため、成人事件の基準をそのまま当てはめて考えるのではなく、少年事件としての枠組みを理解することが重要になります。

少年が関与する痴漢事件では、成人事件とは異なる手続が取られます。
痴漢の少年事件とは?逮捕・前科・学校への影響を解説
また、学生の場合における痴漢事件の注意点などについては、以下の記事もご参照ください。
痴漢で逮捕された学生はどうなる?退学・学校処分と対処

痴漢で逮捕された場合に整理すべきポイント

痴漢事件で逮捕された場合、不安や混乱から、先の結果だけを考えてしまいがちです。しかし、重要なのは結論を急ぐことではなく、今どの段階にあり、どの判断が行われているのかを整理することです。段階ごとに意味合いは異なり、求められる対応も変わります。

まず確認すべきなのは、逮捕が行われた理由と、その後の手続の位置づけです。現行犯なのか、後日の逮捕なのか、任意の呼び出しや出頭を経たものなのかによって、状況の見え方は変わります。また、逮捕後には、勾留されるかどうかという重要な判断が行われ、その結果によって生活への影響も大きく異なります。

次に、処分の見通しについても整理が必要です。不起訴となる可能性があるのか、裁判に進む可能性があるのかは、証拠の状況や事件後の経過など、複数の要素を踏まえて判断されます。逮捕されたという事実だけで、最終的な処分が決まるわけではありません

さらに、示談の有無や、会社・家族への影響、少年事件に該当するかどうかといった点も、それぞれ異なる判断軸を持っています。これらを一つ一つ切り分けて考えることで、過度に不安を広げることを避けることができます。

痴漢事件で逮捕された場合は、個別の状況によって考えるべき点が異なります。まずは、現在の段階と、今後想定される分岐を整理することが、その後の対応を考える上での出発点になります。

なお、痴漢事件の逮捕後に重要となる取り調べへの対応については、以下の記事をご参照ください。
痴漢の取り調べとは?聞かれる内容・黙秘権と対応を解説

痴漢事件に強い弁護士をお探しの方へ

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【痴漢事件の不起訴処分】不起訴処分となるための方法や不起訴処分の効果などを弁護士が解説

このページでは,痴漢事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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痴漢事件で不起訴を目指す方法

①認め事件の場合

認め事件とは,犯罪の疑いを認めて争わない事件を言います。自分が犯人であり,自分が疑われている通りの犯罪行為をした,という場合です。

痴漢事件は,認めであれば起訴することが通常です。漫然と対応しているだけでは,「初犯だから」という理由で不起訴になることはないと考えるべきでしょう。

この点,痴漢事件に関しては,被害者の宥恕(許し)があることで不起訴となる可能性が飛躍的に上がります。事実上,「宥恕=不起訴」と考えることのできる場合も少なくありません。
そのため,被害者の宥恕を得られるかどうかが非常に重要ですが,宥恕を獲得するための具体的な手段は示談に尽きます。示談交渉を試み,被害者に応じてもらうことができた場合に,示談の内容として宥恕が獲得できるのです。

そのため,認め事件で不起訴を目指す場合にはとにかく示談を目指すのが有益でしょう。

②否認事件の場合

否認事件とは,犯罪の疑いを認めず,自分に犯罪が成立するかどうかを争う事件を言います。自分は無関係である,自分がした行為は疑われているような内容ではない,などと主張する場合が代表例です。

痴漢事件で否認の場合,示談による解決はあまり望ましくないのが通常です。示談が成立して被害者の宥恕が得られれば,認め事件と同じく不起訴になりやすいことに間違いはありませんが,犯罪行為をしていないにもかかわらず被害者への謝罪や示談金の支払を行うのは,解決方法として有益とは言い難いためです。

否認事件の場合は,起訴不起訴の判断を行う検察官に,犯罪事実が立証できないから不起訴にする,との判断をしてもらうことが適切な方法になります。検察官は,犯罪が立証できれば起訴する(できる),犯罪が立証できなければ起訴しない(できない)という基準で判断することになるため,検察官が犯罪事実を立証できないと判断すれば,不起訴処分に直結します。

痴漢事件の場合には,犯罪立証のための客観的な証拠に乏しいことが多いため,被害者や目撃者の供述が最重要な証拠となるのが一般的です。そのため,否認事件で不起訴を目指す場合には,「被害者や目撃者の供述では犯罪の立証ができない」と検察に判断してもらうことを目指すべきでしょう。

ポイント
認め事件では示談を目指す
否認事件では,被害者や目撃者の供述では犯罪立証できないとの判断を目指す

痴漢事件で不起訴になる可能性

痴漢事件は,不起訴処分となる可能性が大いにある事件類型ということができるでしょう。認め事件,否認事件のいずれについても,現実に不起訴で解決する例は多数見られます。

痴漢事件が捜査・処分の対象となるのは主に現行犯で,現行犯では犯罪事実の明らかな場合が多いため,痴漢事件の大多数は認め事件になりやすいところです。そのため,痴漢事件における不起訴の可能性は,被害者との示談の可能性と大きな関係があります。

この点,痴漢事件では,被害者にとっても示談が少なからず有益な場合が多く,被害者の感情面を理由に拒絶されるのでなければ,示談での解決を見込むべきケースが少なくありません。
痴漢事件は,示談で不起訴になる可能性が十分にある事件と言えるでしょう。

ポイント
痴漢事件は,示談で不起訴になる可能性が大いにある

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

痴漢事件で不起訴を目指す場合の注意点

①示談の試みには弁護士が必要

痴漢事件で不起訴を目指す場合は,示談が最も有力な手段になりやすいですが,実際に示談を試みるためには弁護士に依頼することが必要です。自分の代理人となる弁護士を通じて,弁護士と被害者との間で連絡を取ってもらうのが,示談の具体的な流れになります。

依頼を受けた弁護士は,捜査機関に示談希望の旨を伝え,捜査機関から被害者へ,示談交渉を受けるかどうかの意思確認をしてもらいます。被害者が了承した場合には,弁護士と被害者との間で連絡先交換となり,示談交渉が始まる,という流れになります。

示談交渉の流れ

②余罪があると不起訴が困難になり得る

起訴不起訴の判断結果は,複数の事件があれば事件ごとに行われます。そのため,一つの事件で示談ができても,不起訴になるのはその1件のみであり,余罪があれば別途不起訴を目指す必要があります。
事件が複数あれば,それだけ示談を拒否される可能性も高くならざるを得ない上,経済的に全件で示談を行うことが難しい場合も生じ得ます。そうすると,余罪があって捜査処分の対象となる事件が多い場合,不起訴が困難になる可能性に注意が必要でしょう。

③被害者や目撃者の供述内容は確認できない

否認事件では,被害者や目撃者の供述によって犯罪が立証できるか,という点が非常に重要なポイントとなりますが,肝心の供述内容を事前に確認する手段は法的にはありません。
事件が起訴され,裁判所への証拠として提出されることになれば,供述内容を供述調書の形で確認することができますが,あくまで起訴された後の話にとどまります。被害者や目撃者の供述は重要な捜査情報のため,起訴前の段階で捜査機関から提供してもらうことは極めて困難と言わざるを得ないでしょう。

そのため,否認事件で不起訴を目指す場合,被害者や目撃者の供述内容はこちらで想定する形を取るほかありません。「想定される供述内容がすべて信用できない=供述内容が信用できる可能性はない」という主張が代表的な方法になるでしょう。

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痴漢事件の弁護士対応とは?相談・示談・不起訴・前科の考え方

痴漢事件では、事実関係や証拠の評価だけでなく、どの段階で、どのような対応を取るかによって、その後の処分や影響が大きく変わることがあります。とりわけ、弁護士に相談・依頼すべきかどうかは、多くの方が判断に迷う点です。本記事では、痴漢事件において弁護士が果たす役割や、相談のタイミング、依頼しない場合に生じ得るリスク、示談・不起訴・前科との関係、費用の考え方までを整理し、状況に応じた判断の手がかりを示します。

この記事で整理するポイント

  • 痴漢事件で弁護士に相談・依頼すべきかを判断する視点
  • どの段階で相談するのが適切かというタイミングの考え方
  • 弁護士をつけないまま対応した場合に生じやすいリスク
  • 痴漢事件において弁護士が具体的に行う対応内容
  • 示談の位置づけと、弁護士が関与する場合の違い
  • 示談が成立しない場合に想定される対応と結果
  • 不起訴となる可能性や、前科がつく場合・つかない場合の整理
  • 痴漢事件における弁護士費用の考え方と確認点

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

痴漢事件で「弁護士が必要か」を考えるときの全体像

痴漢事件では、事実関係だけでなく、そのときにどのような対応を取ったかによって、その後の流れが大きく変わることがあります。早い段階で適切に対応できたことで、比較的落ち着いた形で手続が進む場合がある一方、対応が遅れたり判断を誤ったことで、不安や負担が長引いてしまうケースも見られます。

弁護士に相談や依頼をすべきかどうかは、多くの方が最初に迷うポイントです。ただ、この点について「必ずこうすべき」という決まった答えはありません。事件の内容や進み具合、置かれている状況によって、考え方は変わります。大切なのは、「弁護士をつければ必ず解決するか」ではなく、弁護士が関わることで、どのような対応の選択肢が広がるのかを知ることです。

痴漢事件では、示談が成立するかどうか、不起訴となるか、前科がつくのかといった結果だけに目が向きがちですが、そうした結果は途中の対応と切り離して考えることはできません。本記事では、痴漢事件における弁護士の役割や、相談のタイミング、弁護士をつけない場合に起こりやすい問題点、示談・不起訴・前科との関係、費用の考え方について整理し、判断の手助けとなる情報をまとめています。

痴漢事件では、事実関係そのものだけでなく、どの段階で、どのような対応を取ったかによって、その後の処分や社会的な影響が大きく変わることがあります。初期対応が適切であった結果、不起訴に至るケースがある一方で、判断を誤ったことで不利な状況が固定化してしまう例も少なくありません。
痴漢事件では、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されると、現行犯逮捕や後日逮捕に至ることがあります。痴漢で逮捕される具体的なケースや、逮捕後にどのような手続が進むのかについては、別記事で整理しています。

弁護士に相談・依頼すべきかどうかは、多くの方が最初に迷う点です。ただ、この判断に一律の正解はなく、事件の内容や進行段階、本人の立場によって重視すべきポイントは異なります。重要なのは、「弁護士がいれば必ず有利になるか」ではなく、弁護士が関与することで、どのような判断や対応の選択肢が生まれるのかを理解することです。

痴漢事件では、示談の可否、不起訴の可能性、前科がつくかどうかといった結果だけでなく、その前段階での対応が密接に関係します。本記事では、痴漢事件における弁護士の役割や、相談のタイミング、弁護士をつけない場合に想定されるリスク、示談・不起訴・前科との関係、費用の考え方までを整理し、状況に応じた判断の手がかりを示します。
なお、痴漢事件では、本人に身に覚えがなく、事実を否認して争うケースも少なくありません。痴漢冤罪として否認する場合の初動対応や注意点については、別途詳しく解説しています。

痴漢事件で弁護士に相談するタイミング

痴漢事件で弁護士に相談する時期は、人によってさまざまです。呼び出しを受けてから相談する方もいれば、被害の申告があったと聞いた段階で不安になり、早めに相談する方もいます。

一般的には、早い段階で相談するほど、選べる対応が多くなりやすいと考えられます。事実関係を整理したり、今後の流れを見通したりすることで、不用意な発言や対応を避けやすくなるためです。一方で、結果がある程度見えてから相談した場合、すでにできることが限られていることもあります。

もっとも、「この段階で必ず依頼しなければならない」という決まりはありません。まずは相談だけ行い、状況を整理したうえで、その後の対応を検討するという選択も現実的です。どの時点で、どのような相談が考えられるかについては、痴漢事件における弁護士相談の考え方を整理した解説で詳しくまとめています。

痴漢事件で弁護士をつけないとどうなるか

痴漢事件では、弁護士をつけずに本人だけで対応を進めるという選択が取られることもあります。そのこと自体が直ちに不利な結果につながるわけではありませんが、対応の過程で思わぬ負担や迷いが生じやすい点には注意が必要です。

たとえば、警察や関係者とのやり取りの中で、どのように説明すればよいのか分からず、不安を抱えたまま対応を続けてしまうケースがあります。また、示談や処分についての情報を断片的に知ることで、状況を正確に把握できないまま判断してしまうこともあります。

弁護士が関与していない場合、こうした点を自分で整理し、適切に対応する必要があります。その結果として、後から振り返ったときに「別の対応も考えられたのではないか」と感じることがあっても、すでに選択肢が限られていることもあります。

弁護士をつけない場合のリスクは、被害届の有無によっても変わりやすいところです。痴漢事件で被害届を出された場合の対応については、以下の記事もご参照ください。
痴漢で被害届を出されたら?警察対応と初動のポイントを弁護士が解説

痴漢事件で弁護士は具体的に何をするのか

痴漢事件で弁護士が関与する場合、その役割は一つに限られません。事件の段階や内容に応じて、必要となる対応は変わりますが、共通しているのは、状況を整理し、対応の方向性を明確にする役割を担う点です。

具体的には、まず事実関係を整理し、現在どの段階にあるのか、今後どのような流れが想定されるのかを確認します。そのうえで、本人の意向や事情を踏まえながら、どの対応を選ぶべきかを一緒に検討します。

また、示談を検討する場合には、相手方との連絡や条件調整を行い、本人が直接対応する負担を軽減します。示談を前提としない場合でも、処分に向けて考慮されやすい事情を整理し、必要に応じて意見を伝えるなど、状況に応じた対応が取られます。

痴漢事件と示談|弁護士が関与する意味

痴漢事件では、示談が一つの大きな分岐点になることがあります。示談とは、当事者間で話し合いを行い、一定の条件のもとで解決を図るものですが、実際には進め方やタイミングによって結果が左右されやすい側面があります。

弁護士が関与する場合、示談の可否そのものだけでなく、示談を検討する時期や条件の考え方について整理が行われます。本人が直接やり取りをする場合に比べ、感情的な行き違いが生じにくく、事実関係や事情を踏まえた調整が行われやすい点が特徴です。

また、示談は成立すれば必ず望ましい結果につながる、というものでもありません。事案の内容や進行状況によっては、示談以外の対応を前提に考える方が適切な場合もあります。そのため、示談を目指すかどうかは、状況全体を見たうえで判断する必要があります。

痴漢事件における示談の位置づけや、弁護士が関与することでどのような違いが生じるのかについては、痴漢事件の示談に関する考え方を整理した解説でまとめています。

示談が成立しない場合の考え方と対応

痴漢事件では、示談を試みたものの、結果として成立しないケースもあります。相手方の意向や事件の内容によっては、当事者間で合意に至らないこと自体は珍しいことではありません。そのため、示談が成立しなかった場合に、どのように状況を整理し、次の対応を考えるかが重要になります。

示談が成立しないからといって、直ちに不利な結果が確定するわけではありません。示談以外にも、事実関係や事情を踏まえて検討される要素はあり、状況によっては別の対応を前提に進めることになります。重要なのは、示談だけに結果を結びつけて考えすぎないことです。

痴漢事件で示談を目指す場合は、謝罪文の作成を検討することも有効です。痴漢事件の謝罪文に関しては、以下の記事もご参照ください。
痴漢の謝罪文の書き方|例文と注意点を弁護士が解説

痴漢事件で不起訴となる可能性

痴漢事件では、最終的な処分として不起訴となるケースもあります。不起訴とは、検察官が起訴を見送る判断をすることを指しますが、その理由や考え方は一律ではありません。

不起訴にはいくつかの類型があり、事実関係や証拠の状況、事件後の対応など、さまざまな事情を踏まえて判断されます。そのため、「この条件を満たせば必ず不起訴になる」といった明確な基準があるわけではありません。

痴漢事件においては、示談の有無だけでなく、当時の状況やその後の対応、本人の態度なども含めて総合的に考慮されることになります。重要なのは、不起訴という結果だけを見るのではなく、どのような事情が判断材料として扱われやすいのかを理解しておくことです。

不起訴となる場合の考え方や、実務上どのような点が重視されやすいのかについては、以下の記事をご参照ください。
痴漢で不起訴になる条件とは|判断基準と弁護士対応

痴漢事件で前科はつくのか

痴漢事件について調べる中で、「前科がつくのかどうか」を気にする方は少なくありません。前科がつくかどうかは、事件の内容そのものだけで決まるものではなく、最終的にどのような処分が選ばれたかによって左右されます。

一般に、不起訴となった場合には前科はつきません。一方で、起訴されて有罪となった場合には前科がつくことになります。ただし、その判断に至るまでの過程では、事実関係や証拠の状況、事件後の対応など、さまざまな事情が考慮されます。

痴漢事件では、「前科がつくかどうか」だけを切り離して考えるのではなく、どの段階でどのような対応を取ったかが結果に影響する点を理解しておくことが重要です。結果だけに目を向けると、判断を誤ってしまうこともあります。

前科がつく場合・つかない場合の整理や、将来への影響についての考え方については、以下の記事をご参照ください。
痴漢で前科はつく?前科がつく場合・つかない場合を解説

なお、公務員の痴漢事件では、前科だけでなく行政処分にも配慮する必要が生じます。公務員の痴漢事件に関するポイントは、以下の記事もご参照ください。
公務員が痴漢をしたら?懲戒処分・失職と刑事責任

痴漢事件における弁護士費用の考え方

痴漢事件で弁護士への相談や依頼を検討する際、費用について不安を感じる方は少なくありません。弁護士費用は決して小さな負担ではなく、どのような場面で、どの程度の費用が想定されるのかを事前に把握しておくことは重要です。

一般に、弁護士費用は相談料、着手金、報酬金などに分かれており、依頼する内容や事件の進行段階によって金額や構成が異なります。相談のみで終わる場合と、示談交渉や処分対応まで依頼する場合とでは、考え方も変わってきます。

費用を考える際には、金額そのものだけでなく、どの段階で、どこまでの対応を依頼するのかという視点を持つことが大切です。状況によっては、早い段階で整理を行うことで、結果的に負担を抑えられるケースもあります。

痴漢事件における弁護士費用の内訳や考え方、依頼前に確認しておきたいポイントについては、以下の記事をご参照ください。
痴漢事件の弁護士費用はいくら?相場・内訳・支払制度を解説

痴漢事件で後悔しないための弁護士選びの視点

痴漢事件について弁護士への相談や依頼を考える際、「どの弁護士に相談すべきか」という点で迷う方も少なくありません。弁護士であれば誰でも同じというわけではなく、取扱分野や経験、対応の姿勢によって、感じ方や進め方が異なることがあります。

後悔しないためには、結果だけで判断するのではなく、相談時の説明が分かりやすいか、現在の状況や選択肢について丁寧に整理してくれるかといった点に目を向けることが重要です。痴漢事件は精神的な負担が大きくなりやすいため、話しやすさや対応の丁寧さも無視できない要素になります。

また、早い段階で相談することで、弁護士の対応や考え方を比較しやすくなるという側面もあります。どのような弁護士が自分の状況に合っているかを見極めるためにも、必要以上に一人で抱え込まず、状況整理の一環として相談を活用するという考え方もあります。

よくある疑問と考え方(FAQ)

Q1. 痴漢事件では、弁護士に相談や依頼をする人が多いのでしょうか?

痴漢事件では、初期対応や示談の進め方、その後の処分判断など、専門的な知識や判断が関わる場面が多くあります。そのため、弁護士に相談することで、現在の状況や考えられる選択肢を整理できる場合があります。


Q2. 痴漢事件について、弁護士に相談するのはどのタイミングが多いですか?

相談のタイミングに明確な決まりはありませんが、呼び出しを受けた段階や、示談を検討する必要が生じた段階など、状況を整理したいと感じた時点で相談されるケースが多く見られます。結果が見えてからでは、対応の選択肢が限られることもあります。


Q3. 示談が成立した場合、その後の処分はどのように考えられますか?

示談が成立した場合でも、不起訴や前科回避が自動的に決まるわけではありません。示談は処分判断において考慮される事情の一つであり、事案の内容や証拠関係など、他の要素も踏まえて総合的に判断されます。


Q4. 痴漢事件の弁護士費用は、どのような点を確認しておくとよいですか?

弁護士費用は、相談のみか、示談交渉や処分対応まで依頼するかなどによって異なります。費用の金額だけでなく、どの段階で、どこまでの対応を依頼するのかを整理したうえで確認することが大切です。

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さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
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万引きした場合は弁護士に依頼するべき?依頼しない方がいいケースや費用相場などを徹底解説

万引きをしてしまったものの、今後どうするべきか、法律の専門家である弁護士に相談するべきか悩んでいる方もいるでしょう。

万引きは軽い気持ちで犯してしまうことも多いものの、その影響は意外にも大きく、放置すると刑罰が重くなってしまう恐れがあります。

本記事では、万引きした場合は弁護士に依頼するべきかどうかをご紹介し、費用相場も詳しく解説します。

藤垣法律事務所は、万引き事件を含む、500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が在籍しており、スピーディな対応を行っております。

特に万引き事件は、少しでも早い対応が必要になるため、お困りごとがあればぜひ下記からお問い合わせください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

万引きの刑罰内容

万引きという行為自体が軽犯罪法や刑法に基づく違反とされるため、法律で厳しく定められています。

万引きは窃盗罪に該当し、その刑罰は懲役刑や罰金刑が課されることがあります。

具体的にいうと、刑法第235条により、窃盗罪として扱われると「10年以下の懲役または50万円以下の罰金(参考:e-Gov法令検索)」が科される恐れがあるのです。

窃盗罪に該当する行為は、以下の通りです。

  • 他人の占有する財物
  • 窃取
  • 不法領得の意思

これらの行為を行うと、刑罰の対象となるため、逮捕されてしまう可能性があります。

万引きしてしまった際に弁護士に依頼するケース

万引きしてしまった際、自分が逮捕されてしまうのかどうか不安になることもあるでしょう。

そんな時、弁護士に相談するのがおすすめですが、必ずしも弁護士を活用するのがいいとは言い切れません。

万引きしてしまった際に弁護士に依頼するケースは、主に以下の通りです。

  • 過去に万引きや窃盗など前科があるケース
  • 万引きで逮捕されたケース
  • 万引きで後日逮捕の可能性があるケース
  • 営利目的で万引きをしたケース
  • 依頼している弁護士の対応に不満があるケース

詳しく解説します。

過去に万引きや窃盗など前科があるケース

過去に万引きや窃盗で前科がある場合、再度万引きをしてしまうと、初犯とは異なる厳しい法的な処分が予想されるため、弁護士への依頼が強く推奨されます。

前科がある場合、裁判所や検察が再犯を重く見て処罰を厳格化する傾向が強くなり、執行猶予が認められにくくなる可能性が高まります。

そのため、状況に応じては懲役刑が科されるリスクが高くなり、刑事手続きの早い段階で弁護士が介入し、可能な限りの弁護活動を行うことが重要です。

「過去に万引きや窃盗など前科がある」場合、常習性があるとみなされ、前科のときよりも重い罪になる可能性が高いです。ただし、手段を尽くすことで処分を軽くするなどを図ることはできます。

万引きで逮捕されたケース

逮捕後は警察署での取り調べや勾留が続き、その間の行動や対応が今後の処分に大きく影響を与えます。

ここで避けなければいけないのが、最大20日間の勾留期間です。仮に20日間拘束された場合、会社をクビになったり、学生の場合は学校生活に支障をきたしたりなどのリスクがあります。

弁護士に依頼すれば、取り調べにおける適切な対応についてアドバイスを受けられるほか、不利な証言を防ぐための指導が得られます。

処分を少しでも軽減するための重要なサポートを受けられるでしょう。

後日逮捕の可能性がある状況で弁護士への相談をしないでいるとある日突然に逮捕され、警察の留置施設に収容されてしまう恐れがあります。万引き事件に心当たりがあり、警察の捜査や逮捕が懸念される場合にはできるだけ早く弁護士への相談・依頼を行うことをおすすめします。

万引きで後日逮捕の可能性があるケース

万引きをした後、その場で発覚しなかった場合でも、後日逮捕される可能性があります。

店側が防犯カメラの映像などを通じて不審な行動を確認し、被害届を出すことで捜査が開始されるケースが多いため、安心できる状況ではありません。

防犯カメラの映像が決定的な証拠となって逮捕に繋がる場合、被疑者は突然の逮捕に備える準備が整っていないことが多く、慌ててしまうでしょう。

こうしたケースでは、早い段階で弁護士に依頼することで、適切な対応や対策を取るための支援が得られます。

罪が重くなるのはケースバイケースですが、万引きしているのに相談もせず黙っている場合は繰り返して万引きしているケースが多いと考えられます。回数を重ねている方が処分として重くなる傾向があるので、速やかに弁護士に相談しましょう。

営利目的で万引きをしたケース

営利目的とは、盗んだ物を転売して利益を得る意図がある場合であり、「偶発的な犯行」と異なり、計画性や悪質性が高いとみなされます。

このようなケースでは、逮捕や勾留、さらに起訴に至るリスクが大きいため、早急に弁護士に依頼し、適切な対応を取ることが重要です。

弁護士に依頼するメリットとしては、まず刑事処分の軽減に向けた効果的な弁護活動を受けられることが挙げられます。

営利目的の犯行は検察官や裁判所から重い評価を受けやすいため、通常よりも厳しい起訴や刑罰が予想されるでしょう。

弁護士が早い段階から介入し、被疑者の背景や動機を詳しく説明し、情状酌量の余地を示すことで、量刑の軽減を目指すことが可能です。

実際に売ってしまったかどうかが刑の重さに直結するわけではなく、営利目的で万引きをする行為自体が営利目的がない場合よりも重い罪の対象になりやすいです。

依頼している弁護士の対応に不満があるケース

弁護士との関係が円滑でなければ、不安が増したり、最善の結果を得ることが難しくなる可能性があります。

不満の理由は多岐にわたり、進捗報告が遅い、対応が不十分、説明が曖昧など、依頼者の要望や疑問にしっかりと向き合っていないと感じることが多いです。

万引きのケースで特に重要なのは、取り調べでの適切な対応や、起訴回避に向けた交渉、示談成立のための迅速な行動です。

しかし、こうした基本的な対応が不十分だと、依頼者は精神的に追い詰められ、信頼関係が損なわれてしまうでしょう。

もし依頼している弁護士の対応に不満があるケースは、万引き事件に強く、かつ迅速対応してくれる弁護士に乗り換えを検討しましょう。

当事務所では、迅速対応に強みがあり、スピーディーな弁護活動で事件解決のお力添えをしております。実際に不起訴に繋げたり、逮捕されたけど速やかに釈放されたりなど、同種事件の解決実績も複数ありますので、ぜひご相談していただければと思います。

万引きした際に弁護士に依頼しない方がいいケース

万引きした際、弁護士に依頼しない方がいいケースとして挙げられるのは、初犯であり、被害店舗が明らかに許している場合です。

多くの初犯者の場合、逮捕されることなく警察での事情聴取や簡単な取り調べのみで処理され、起訴されずに警告や指導で終わる可能性が高いからです。

特に万引きの規模が小さく、故意性や計画性が低いと判断されると、社会的な更生が期待できるとして厳重な処分を避けられることもあります。

また、被害店舗が許している場合は、店舗側が被害届を取り下げたり、そもそも提出しなかったりする可能性が高いため、刑事事件として進行しないでしょう。

逆に初犯だったとしても店舗側が許してくれていなければ弁護士に依頼する必要があります。

万引きの初犯ケースについては、下記の記事で詳しく解説しているので、合わせてご確認ください。

関連記事:万引き事件は初犯だとどうなる?前科や余罪の影響も解説

万引き事件で弁護士に依頼するメリット

早期釈放

万引き事件の場合,逮捕後の早期釈放を目指すべきケースが非常に多い傾向にあります。逮捕直後から適切な対応を尽くした場合とそうでない場合とでは,釈放されるタイミングに大きな差が生じることも珍しくありません。早期釈放の可能性があり得るからこそ,早期釈放に向けた動きは十分に取るべきです。

具体的には,やはり弁護士に依頼し,法的手続に沿って釈放に向けた弁護活動を尽くしてもらうことが最も有益です。弁護士であれば,被疑者本人と十分にコミュニケーションを取ることができる上,検察官や裁判官に対して適切な情報提供や申立てを行いながら,早期釈放のために可能な手段を尽くすことが可能です。

処分軽減

万引き事件は,内容次第では不起訴処分が十分に目指せる事件類型です。不起訴処分となれば,前科が付かずに手続が終了し,事件の悪影響は最小限に抑えられるでしょう。

もっとも,処分の軽減を目指すための具体的な行動は,自分で判断して行うことが困難なものと言わざるを得ません。何をするべきか,という選択が困難であるのみならず,そもそも弁護士を間に挟まなければできないことも少なくないためです。

そのため,万引き事件で処分の軽減を目指す動きを尽くし,不起訴処分の獲得を希望したい場合には,対応に適した弁護士を選ぶ必要があるでしょう。

前科前歴がある場合の対処

万引き事件の場合,1回だけ行った,というケースが非常に少なく,前科前歴のある場合も多く見られます。一般的に,同種の事件を繰り返してしまうと,繰り返すごとに刑事処分は重くなっていくことになります。
そのため,前科前歴がある場合には,それだけ重い刑事処分が科せられる可能性を考慮する必要がある,ということになるでしょう。

前科前歴があり,より十分な対応を尽くさないと重い刑罰が懸念されるという場合には,弁護士に依頼をして適切な弁護活動を行ってもらう必要が大きいと言えます。結果が出た段階で後悔することを防ぐため,事前に弁護士選びを行うべきでしょう。

更生や治療

万引き事件の加害者となってしまう原因には,病的なものが影響しているケースもあります。「クレプトマニア」(窃盗症)と呼ばれるものが代表例です。
事件の原因が病的なものである場合,刑事処分の軽減を目指すと同時に再発防止のための医学的なアプローチが必要となります。通院治療などを通じて,万引き行為への病気の影響を防げなければ,事件の十分な解決とは言えません。

自分の万引き事件が病的な原因で起きていると考える場合には,弁護士に依頼し,原因の解決についても相談を試みることが有益です。また,実際に通院治療などを行い,これを弁護士に主張などしてもらうことで,治療の努力をしたことが刑事処分の軽減につながる効果も期待できます。

万引き事件で弁護士に依頼するタイミング

逮捕されたとき

万引き事件での逮捕は,現行犯であることが非常に多いです。逮捕される事件では,現場で店員等に発覚し,警察に引き渡される流れが大多数でしょう。
一方,万引き事件は,類型的に重大犯罪との理解はされづらいため,逮捕されたとしてもその後に早期釈放が期待できる場合も少なくありません。早ければ,逮捕の翌日や翌々日に釈放となり,社会生活に復帰できる可能性もあり得るところです。そうなれば,逮捕による生活への影響は最小限に抑えることができるでしょう。

そのため,万引き事件で逮捕されたときは,早期釈放を目指すために弁護士を選ぶべき重要なタイミングということができます。適切な弁護士選びをし,弁護士に十分な弁護活動を尽くしてもらうことで,早期釈放の可能性はより高くなるでしょう。

また,逮捕やその後の早期釈放は,あくまで捜査の初期段階に過ぎないため,最終的な処分を軽減するための対応も必要不可欠です。この点,逮捕などの早い段階で弁護士に依頼し,適切な方針を立てることができれば,最終的な刑事処分にとっても有益な効果が期待できるでしょう。不起訴処分を目指す対応は,逮捕段階から始まっていると言っても過言ではありません。

呼び出しを受けたとき

万引き事件では,後日になって被疑者が特定でき,警察が被疑者を呼び出す流れも非常に多く見られます。警察の呼び出しを受けた場合は,警察署での取り調べが行われることを想定するのが適切です。
もっとも,取調べでどのような対応をするべきか,何が聞かれ,何を回答すべきかという点は,万引き事件の取り扱いに精通していないと判断は困難です。対応時の注意点なども,個別の事件によって異なる可能性があるため,一概には指摘できないところがあります。

この点,万引き事件の弁護活動に適した弁護士を選ぶことができれば,呼び出しに対する適切な対応や供述の方針などを事前に確認することが可能です。事前に適切な方針を立てることができれば,呼び出しへの対応は格段に容易なものになるでしょう。

自首をしたいとき

万引き事件では,被害者であるお店側が損害の内容を特定できていなかったり,そもそも被害の事実を把握していなかったりと,具体的な刑事事件の捜査に至るまでに時間のかかるケースが少なくありません。万引き事件の捜査は,お店側が警察に被害申告することで開始する場合がほとんどであるため,お店側が十分に事件を把握するまでは捜査が開始しない,という流れになりやすいのです。

そのため,万引き事件は,捜査が開始される前に自ら警察に出頭(自首)することが可能になりやすい事件類型であると言えます。自首が成立する場合には,警察の取り扱いとして逮捕がされにくくなったり,最終的な刑事処分も不起訴処分などの軽微なものになりやすかったりと,有益な効果が期待できる場合も多いでしょう。

この点,自首を試みる場合には,弁護士選びの上,弁護士と一緒に適切な方法で行うことが望ましいでしょう。手続に精通した弁護士が主導して自首することで,自首のメリットがより大きくなる効果も期待できます。

裁判を控えているとき

万引き事件で起訴され,公開の裁判(公判)を控える状況になった場合には,適切な弁護士選びが非常に重要となります。
万引き事件で公判を控えるケースというのは,前科や余罪が多数あったり,事件の内容や規模が悪質と理解されるものであったりと,実刑判決などの重大な刑事罰が懸念される場合が少なくありません。軽微な処分で済むのであれば,公判を行う必要はないため,公判に至った場合には万全の対応をすべき必要が非常に大きいと考えるのが適切でしょう。

そのため,公判を控える状況にある場合には,公判対応に適した弁護士を選び,実刑判決などの重大な刑事処罰を避けるための十分な準備と対応を尽くすことを強くお勧めします。また,刑事弁護に長けた弁護士に依頼すれば,結果の具体的な見通しが分かり,処分軽減のためにすべきこともより明確にすることができるでしょう。

万引きした際の弁護士に依頼する費用相場と内訳

弁護士に依頼する際、気になるのは費用でしょう。着手金や成果報酬などは、弁護士事務所によって異なりますが、大体全て含めると90万円〜100万円が一般的です。

かかる費用の内訳は主に以下の通りです。

  • 法律相談料
  • 着手金
  • 接見費用
  • 成功報酬
  • 日当
  • 実費

詳しく解説します。

法律相談料

万引きの問題で弁護士に依頼する際にかかる費用のうち、最初に発生するのが法律相談料です。

法律相談料は、弁護士と面談して状況を相談し、事件の概要や解決の方針についてアドバイスを受けるための費用です。

一般的には、30分から1時間の面談で5,000円から1万円ほどが相場とされていますが、弁護士によっては初回の相談を無料で提供している場合もあります。

当事務所では、初回無料相談を設けております。 2回目以降の場合は、30分ごと5,500円となります。

着手金

万引き事件で弁護士に依頼する場合、着手金は依頼を正式に受けた際に支払う初期費用として重要です。

この着手金は、弁護士が事件の処理を開始するための費用となります。着手金の相場はおおむね30万円以上かかるのが一般的です。

万引きで逮捕された場合や、被害者との示談が求められる場合など、弁護士の関与が深まるほど、その着手金の額も高くなる傾向にあります。

当事務所では、着手金は33万円からとさせていただいております。

接見費用

万引きで逮捕された場合、弁護士が依頼者と直接会って事情を聴取したり、法的アドバイスを行ったりするために発生する費用が接見費用です。

拘置所や警察署に足を運んで行うため、時間と手間がかかることから発生する費用となります。

接見費用の相場は、1回あたり1万円から3万円程度が一般的ですが、距離や面会の内容によって変動することもあります。

当事務所では、接見費用は日当という項目に該当し、大宮駅からの移動時間30分ごと5,500円からとさせていただいております。

成功報酬

弁護士に依頼する際、成功報酬は依頼の成果に応じて支払われる費用です。

成功報酬は、弁護士が依頼者のために有利な結果を得た場合に支払われるもので、特に示談交渉や不起訴処分を目指す場合などに発生することが一般的です。

成功報酬の額は、事件の難易度や弁護士の報酬体系によって異なるものの、成功報酬として設定される額は通常、数十万円に及ぶことがあります。

当事務所では、成果報酬は着手金にプラスする形をとらせていただいております。不起訴であれば着手金にプラス33万円、示談成立の場合は着手金に22万円などといった感じです。

日当

日当は、弁護士が依頼者のために行う活動の一部に対して、一定の日数にもとづいて支払われるものです。

特に裁判所への出廷や長時間にわたる交渉、調査活動などが関わる場合に発生します。

例えば、万引き事件において裁判が長引く可能性がある場合、弁護士は出廷や法廷での弁護活動を行うため、1日単位で日当が設定されることがあります。

日当の相場は、弁護士の経験や事務所の方針、事件の規模により異なりますが、一般的には1日あたり3万円から10万円程度が相場です。

当事務所では、日当は大宮駅からの移動時間30分ごと5,500円からとさせていただいております。

実費

実費とは、弁護士が事件を進めるために実際に支出した費用を指し、依頼者がその費用を負担することになります。

具体的には、交通費や郵送費、証拠収集にかかる費用、鑑定料、裁判所への申立てに必要な手数料などが含まれます。

実費が発生しないプランもありますが、特に遠距離移動がある場合だと、発生してしまうでしょう。

当事務所では、実費は発生した実額でご請求いたします。

万引きしてしまい弁護士に依頼する際の事務所の選び方

万引きをしてしまい、弁護士に相談したい場合、どの事務所を選べばいいか迷うでしょう。

主な選び方は、以下の通りです。

  • 解決実績があるか
  • 迅速に対応してくれるか
  • 再犯防止のために協力してくれるか

詳しく解説します。

解決実績があるか

万引きは、一般的な民事訴訟とは異なり刑事事件として扱われることが多いため、弁護士が過去にどのような実績を持っているかが重要です。

刑事事件全体を対応しており、数多くの実績を持っている弁護士もいれば、万引きや窃盗事件に特化した弁護士も存在します。

万引きに関して過去に多くの成功事例を持つ弁護士であれば、その実績をもとに効果的な戦略を立てることができ、依頼者にとって安心感が得られます。

ホームページや口コミなどを確認した上で、依頼するか検討しましょう。

迅速に対応してくれるか

万引きが発覚した直後は、店内の防犯カメラによって捜査が進むため、状況が急速に進展する可能性があります。

そのため、対応が遅れると、被害者や警察からの対応が不利な方向に進むでしょう。

弁護士が迅速に対応できるかどうかは、その後の法的な進展を大きく左右する要素です。

例えば、万引きが発覚した後に警察の取り調べや事情聴取が行われる前に、弁護士が迅速に関与することで、逮捕や勾留を避けたり、逮捕後に早期に釈放を実現したりする可能性が高まります。

こうした迅速な対応が、後々の刑事手続きにおいても有利に働くことが多いため、依頼者にとって重要なポイントです。

再犯防止のために協力してくれるか

万引きで弁護士に依頼する際、単に事件の法的な解決を求めるだけでなく、その後の再犯防止のためにどのように協力してくれるかを確認することは、長期的に見て有益です。

再犯防止への協力とは、弁護士が事件を通じて依頼者に対して犯罪の重大さをしっかりと伝え、反省を促すためのサポートをしてくれるかどうかです。

例えば、依頼者が参加できる更生プログラムやカウンセリング機関を紹介してくれるかどうかなどが該当します。

依頼者が再び社会の一員としての自信を取り戻し、犯罪に手を染めることなく生きていけるようなサポートをしてくれるでしょう。

万引き事件における弁護士選びの準備

包み隠さず説明する準備

弁護士選びのためには,弁護士に十分な情報を提供することが必要です。弁護士の案内が不十分だと感じた場合,その原因が情報不足だと,適切な弁護士選びのチャンスを逃す結果にもつながりかねません。

万引き事件の場合,対象となった商品の内容はもちろん,余罪や前科前歴など,自分にとって不利益で言いづらいことも,包み隠さず弁護士に説明できるように準備することをお勧めします。言いづらく隠しておきたくなることほど,弁護士にとって重要な情報であることが少なくありません。

弁護士に求めたい要望の整理

弁護士選びに際しては,弁護士に何を実現してほしいのか,という要望を整理し,弁護士に伝えられるよう備えておくことをお勧めします。

万引き事件の場合,釈放を求めたい,不起訴を獲得したい,示談をしたい,自首をしたい,周囲に発覚したくないなど,要望のメインになり得る点は多数あります。もっとも,ケースによってはそのどれかは実現不可能であったり,弁護士の見通し次第で案内の内容が変わってきたりと,事前に聞いておかなければトラブルの原因になるものもあります。例えば,不起訴を希望したいと思って依頼したものの,弁護士側は不起訴が不可能だという前提で考えていると,そのミスマッチは致命的です。

弁護士への依頼には一定の費用が発生するため,相応の成果を求めたいというのは自然な発想です。弁護士選びが無駄にならないよう,要望は何かを明確に整理し,弁護士への依頼によって実現可能かどうかを十分に確認するようにしましょう。

予算の決定

万引き事件は,高額の商品を対象とするケースが少ないため,事件規模は金額にするとそれほど大きくないことが通常です。もっとも,その事件に対応するための弁護士費用は,着手金のみでも数十万円という規模になることが一般的です。
そのため,特に経済的に余裕がない場合には,あらかじめ予算を決定し,その範囲内での弁護士探しを行うことをお勧めします。

弁護士費用は,活動の結果によっても左右されるため,着手金だけでギリギリ,とならないよう,可能な限り余裕を持った検討が望ましいところです。また,事前に予算を明確にしている場合には,その予算の範囲内でできる活動内容を弁護士側から案内してもらえる可能性もあるでしょう。

万引き事件で弁護士に依頼する場合の注意点

弁護士との相性

依頼者も弁護士も人である以上,相性の問題を避けて通ることはできません。依頼者目線では,相性が良くないと感じながら弁護士に依頼するメリットはないと考えるべきでしょう。

この点は,最善の解決に至ればそれほど大きな問題にはなりません。しかしながら,弁護活動は事前に最善の結果になるとお約束することが不可能であり,どうしても結果が伴わない場合があります。特に,万引き事件ではお店側と示談をしたり,お店から許してもらったりすることが現実的に難しいため,希望する最善の解決は困難な方が多いでしょう。

そして,弁護士との相性を軽視することは,最善の結果でなかった場合に大きな問題となります。弁護士が最善の活動をしてくれたのか,結果はやむを得ないものだったのか,という点について疑念が生じやすくなるためです。
弁護士との相性が良く,弁護士の活動を心底信頼できれば,心から「やむを得なかった」と納得しやすいですが,相性が悪いと感じている場合にはそうもいかないことが多くなりがちです。

弁護士との相性を率直にどう感じるか,という点は,弁護士選びに際して軽視しないことが適切でしょう。

弁護士相談の時間的制限

弁護士への法律相談は,30分以内,又は1時間以内といった形で時間を区切って行われるのが通常です。その時間内で,必要な情報を伝え,弁護士から案内を受け,弁護士選びの検討を行う必要があります。
もっとも,その時間は決して長くはありません。無意識に相談時間を浪費してしまうと,肝心の弁護士選びに必要な話が聞けないまま相談が終了してしまう可能性もあるでしょう。

そのため,弁護士選びに際しては,弁護士への法律相談に時間的な制限があることを踏まえ,弁護士選びの基準や聞きたいことなどを可能な限り整理して法律相談に臨むことをお勧めします。そのようなスタンスは,法律相談をより有益な内容とする結果にもつながるでしょう。

万引きに強い弁護士へご相談を!

万引きをしてしまった場合、初犯であれば不起訴になる場合もありますが、再犯の場合だと悪質性があり、刑罰に該当してしまいます。

刑罰を少しでも軽くするのであれば、弁護士に依頼することがおすすめです。

特に刑事事件に精通した弁護士へ依頼すれば、これまでの実績や知見などをいかした上で、迅速に適切な対応を行ってくれます。

藤垣法律事務所は、万引き事件を含む、500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が在籍しており、スピーディな対応を行っております。

特に万引き事件は、少しでも早い対応が必要になるため、お困りごとがあればぜひ下記からお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【特殊詐欺事件の示談を知りたい人のために】他の事件にはない特殊詐欺の示談の進め方を,刑事弁護士が詳細に解説

このページでは,特殊詐欺事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

特殊詐欺事件における示談の重要性
特殊詐欺事件で示談するタイミング
特殊詐欺事件で示談をする方法
特殊詐欺事件の示談金相場
特殊詐欺事件の示談内容・条項
特殊詐欺事件の示談で注意すべきこと
特殊詐欺事件の示談に必要な費用

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特殊詐欺事件における示談の重要性

特殊詐欺事件とは,親族や公共機関の職員を名乗るなどして被害者を信じ込ませ,現金やキャッシュカードといった金銭的価値のあるものを詐取するものを言います。いわゆる「オレオレ詐欺」が代表例ですが,その手口は非常に種類が増えており,総称して「特殊詐欺」と呼ばれます。

特殊詐欺事件は,詐欺事件の一種であり,被害者の財産に損害与える事件です。そのため,示談によって被害者の損害を回復させることは刑事処分との関係で非常に重要となります。

特殊詐欺事件は悪質性が高いため,初犯でも実刑判決を受けて刑務所に入ることも珍しくはありません。特に,被害者の損害が大きいと,これを踏まえて長期間の実刑判決を受ける恐れもあります。
執行猶予判決であれば社会生活が継続できますが,実刑判決では刑務所に収容されてしまい,生活は一変せざるを得ません。

刑事罰の種類

この点,示談によって被害者の損害を回復させることができれば,刑事処分の結果に直接大きな影響を及ぼすことが通常です。刑事処分は,ほかならぬ被害者の損害を踏まえて決定するものであるため,加害者自身がその損害を軽くしているのであれば,これも踏まえて処分を軽くするよう配慮するのが一般的な取り扱いとされています。

特殊詐欺事件は,示談を行わずに漫然と処分を受けると,実刑判決の可能性も高く非常に不利益が大きくなってしまう事件類型です。そのため,少しでも処分を軽減し,実刑判決を避けるために,示談は非常に重要な行動と言えるでしょう。

ポイント
特殊詐欺事件は重大犯罪であるため,実刑判決の可能性も高い
示談によって実刑判決を避ける試みが重要

特殊詐欺事件で示談するタイミング

一般的に,刑事事件で示談を試みるタイミングは早ければ早いほど望ましいと考えられます。早く示談ができれば,それだけ示談による処分軽減の効果が早く生じることになり,場合によっては早期釈放にも至る可能性があるためです。
特殊詐欺事件でも,自分の関与した事件が1件だけであれば,速やかに示談を試み,少しでも早期の合意を目指すことが望ましいでしょう。

しかし,特殊詐欺事件は余罪のあることが非常に多いところ,余罪のあるケースで示談を速やかに行うのは,大きなリスクが付きまといます。それは,余罪を含めた全額の賠償が経済的に困難な場合です。

特殊詐欺事件の場合,1件ごとの損害額が大きくなりやすいという特徴があります。1件あたり100万円単位の損害額となることも全く珍しくありません。そうすると,余罪も含めて示談の必要な件数が多くなると,必要な示談金額が飛躍的に大きくなってしまう可能性があるのです。
この場合,1件目の示談を全力投球をして早期に終了させると,2件目以降の示談を試みる余力がなくなってしまい,全体として不利益が大きくなってしまうことになりかねません。

一方で,組織詐欺事件で余罪があったとしても,どの事件が捜査や処分の対象になるのかは事前にはわかりません。示談が可能なのは捜査を受けている事件(=被害者が判明している事件)ですが,被害者の判明した事件が何件あって被害総額がいくらかは,処分が終わらないと分からないのです。
そのため,自分が心当たりのある事件で示談を早期に行ったとしても,その事件は捜査の対象ではなく,実際にはほかの事件のために示談金を支払うべきであった,という可能性があり得ます。特殊詐欺事件は,類型的に早期示談のリスクが大きくなりやすい傾向にあると言えます。

そのため,特殊詐欺事件の示談は,検察による起訴がされ尽くした後に行うことが非常に多く見られます。
事前に全件の示談ができる場合を除き,示談で起訴を防ぐことは困難であるため,起訴される件数と損害額を見定めた後に,起訴された事件に対して可能な限りの示談を試みる,ということです。
起訴が防げない以上,実刑判決の回避に全力を尽くす動き方ということもできるでしょう。

ポイント 示談のタイミング
余罪がなければできる限り早期に試みる
全件の支払ができない場合,起訴がすべて終わった後に試みる

特殊詐欺事件で示談をする方法

特殊詐欺事件における示談は,捜査機関に対して示談を申し入れる方法により行うことが適切です。いきなり被害者側と直接の連絡を取るのではなく,捜査機関の担当者から被害者側に問い合わせてもらい,示談の意向を確認してもらう,という流れを取ることが一般的です。
事件類型的に,加害者が被害者の個人情報を把握している場合が少ないこともあり,被害者の連絡先を獲得するための試みとしても必要な動きになります。

もっとも,捜査機関は,加害者自身に被害者側の連絡先を伝えることは通常しません。そのため,加害者自身が示談を申し入れてきても,被害者との間を取り持つことはしないのが一般的です。
示談の申し入れを行いたい場合は,自分で直接行うのではなく,弁護士に依頼し,弁護士を窓口にして進めることが適切となります。被害者との連絡先の交換も,弁護士限りという形を取ることを約束すれば,捜査機関に間を取り持ってもらうことが可能です。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

特殊詐欺事件の示談金相場

①支払うべき金額

複数人で行われる特殊詐欺事件では,加害者全員が被害者に対して被害額の全額を返済する義務を負います。被害者の損害額が100万円であれば,被害者は加害者全員に100万円を請求する権利を持ち,そのうち誰かから100万円を受領することができれば,他の加害者に対する請求権を失うことになります。
加害者の一部が全額を賠償した場合,後は加害者間の負担割合の問題になるのが通常です。

そのため,特殊詐欺事件の示談金としては,被害者の被った被害の全額が基準になるでしょう。

②加害者の得た利益との関係

特殊詐欺事件の場合,詐欺組織の中心的な立場でない限り,アルバイトのような役割にとどまり,回収した金銭の一部を報酬として受領しているに過ぎないことがほとんどです。そうすると,被害額は非常に大きくても,加害者が詐欺事件で得た利益はごく一部にとどまることが多数に上ることとなります。
そのため,加害者自身がごく一部の利益しか得られていない場合,被害者にはいくらの示談金を支払うべきか,という問題が生じ得ます。

この点,加害者自身の得た利益が一部にとどまるのであっても,被害者に対しては被害全額の支払を行うことが適切です。
例えば,特殊詐欺事件で150万円の被害が生じ,加害者はその1割である15万円の分け前を受け取ったとすると,加害者が詐欺事件で得た利益は15万円にとどまりますが,被害者に対しては150万円全額を支払うべきということになります。15万円を超える部分は自己負担になりますが,支払う義務がある以上はやむを得ないところです。

特殊詐欺事件の示談金

特殊詐欺事件では,自分の得た経済的利益よりも非常に大きい金額を支払う必要が生じやすい点に注意が必要です。

③全額の支払ができない場合

複数の特殊詐欺事件に関与している場合,1件ごとの被害額が大きくなりやすい関係で,被害の全額を支払うことができない場合も少なくありません。その場合には,全件が起訴された後,その被害金額の割合に応じて案分し,各被害者に公平な支払いを行うことが適切でしょう。

例えば,4件の特殊詐欺事件に関与し,被害金額がそれぞれ100万円,200万円,300万円,400万円となる場合,総額で1000万円の支払が必要です。しかし,加害者が100万円しか持っていないケースでは全額の支払ができないため,100万円を1:2:3:4に案分し,それぞれ10万円,20万円,30万円,40万円の支払とする,という手段が有力になります。

特殊詐欺事件の示談方法

もちろん,全額の賠償に至っていないため,支払ったことの効果は限定的にならざるを得ません。しかし,一部の被害者のみに偏った支払を行うのはその有効性に法的問題が生じかねないため,支払える限りの金銭を公平に支払うのが最も合理的でしょう。

ポイント
支払うべき金額は被害全額
自分の得た分け前が一部であっても被害全額の支払義務を負う
全額の支払ができない場合は,被害額に応じて案分する

特殊詐欺事件の示談内容・条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。清算条項を取り交わせば,その後に相手から金銭を追加請求される可能性は法的になくなります。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項とは,被害者が加害者を許す,という意味の条項です。
示談が刑事処分に有利な影響を及ぼすのは,基本的にこの宥恕条項があるためです。被害者が加害者を許している,という事実が,刑事処分を劇的に軽減させる要素となります。

特殊詐欺事件の示談で注意すべきこと

①清算合意や宥恕の獲得が容易でない場合

特殊詐欺事件の場合,複数の事件に対応しなければならないことが多く,1件ごとの損害額も大きいため,被害の全額を返済しきれないことが少なくありません。そして,被害全額を返済しきれない場合,示談条項として非常に重要な「清算条項」及び「宥恕条項」の取り決めができないケースが増えやすいところです。

被害者の立場としては,被害の一部しか回復できていないのに,それ以上加害者に請求をしないという合意は非常にしづらい上,そのような状態で加害者を許すという判断をすることはなおさら困難と言えます。被害の全額を回復させられない場合には,特に清算条項や宥恕条項の獲得が難しくなりやすいと踏まえておきましょう。

また,もし被害全額の支払ができたとしても,宥恕条項が獲得できるとは限りません。被害全額の支払は加害者の義務であり,いわば当然すべきことをした,というのみですから,その支払の対価として宥恕条項を取り交わす必要はないのです。「全額支払うのは当たり前のことなのに,どうして支払を受けるために加害者を許さなければならないのか」という反論を受ける可能性が大いにあり得ます。

この点,清算や宥恕の獲得が容易でない場合であったとしても,被害を可能な限り回復させるのが有益である,ということには変わりないと考えて差し支えありません。もちろん,清算条項があれば金銭問題は解決しますし,宥恕条項があれば刑事処分は大きく軽減しますが,それらがなければ効果がない,ということでは決してありません。
被害者の経済的な損害を少しでも多く回復させることは,特殊詐欺事件の刑事責任を軽減させる効果を確かに持つ行動だと理解し,できるだけの支払に努めましょう。

ポイント
一部しか支払えない場合,清算条項の取り交わしは難しくなりやすい
全部支払えても,宥恕条項が獲得できるとは限らない
もっとも,できる限り支払うべきであることは同様

②全財産を費やしても実刑判決になる場合

特殊詐欺事件は非常に重大な事件類型のため,初犯でも実刑判決を受け,刑務所に収容されることを強いられる場合は珍しくありません。そして,それは全財産を費やして被害弁償を行ったケースでも生じ得ます。

実刑判決になる可能性が高いケースとしては,以下のような事情のある場合が挙げられます。

実刑判決の可能性が高くなる事情

1.特殊詐欺における役割
→組織の中心的な立場にあるほど実刑判決の可能性が高くなる

2.関与した事件の数
→多いほど実刑判決の可能性が高くなる

3.被害金額
→総額が大きいほど実刑判決の可能性が高くなる

4.被害弁償の程度
→弁償できた割合が小さいほど実刑判決の可能性が高くなる

5.前科前歴
→近い時期に同種事件の前科前歴があると実刑判決の可能性が高くなる

特殊詐欺事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で特殊詐欺事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。
(身柄事件の場合)

①活動開始時

着手金33万円
着手金(身柄対応)22万円
実費相当額1万円
合計56万円

身柄事件の場合,56万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

特殊詐欺事件の場合,被害金額に応じた示談金が想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(身柄事件にて100万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:56万円+55万円=111万円(※)
示談金:100万円

計:211万円

※身柄事件では,接見を要する場合の出張日当が別途発生し得ます。

弁護士費用の例

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【住居侵入事件の示談を知りたい人のために】住居侵入事件ではどんな場合にどんな内容の示談をするべきか,弁護士が解説

このページでは,住居侵入事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

住居侵入事件で示談すべき場合
住居侵入事件で示談をする方法
住居侵入事件の示談金相場
住居侵入事件の示談内容・条項
住居侵入事件の示談で注意すべきこと
住居侵入事件の示談に必要な費用

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住居侵入事件で示談すべき場合

住居侵入事件は,認め事件である場合,基本的に示談をすべきということができるでしょう。特に,以下のような場合に示談をする必要性が高くなります。

①逮捕を防ぎたい場合

住居侵入事件では,捜査に際して逮捕されることが少なくありません。それは,類型的に被害者を保護すべき必要性が高いと理解されやすいためです。
住居侵入事件の場合,加害者は被害者の住居というプライバシーで保護されるべき場所に立ち入っており,被害者は大きな危険に晒されてしまっています。しかも,加害者にとって被害者の住居地が明らかであるため,加害者を放置していると被害者への接触が懸念されます。特に,被害者が警察に相談したと分かれば,加害者が逆上などして被害者への暴力的行為に及ぶ危険も否定できません。
そのため,住居侵入事件は,類型的に逮捕されやすいのです。

しかし,被害者との示談が成立していれば,その後に加害者から被害者に危害の加わる可能性がないと判断できるため,逮捕の必要がなくなることが一般的です。逮捕の恐れをここまで劇的に下げられる動きは示談以外にないため,示談は逮捕を防ぐために最も有力な行動と言えるでしょう。

ポイント
住居侵入事件は逮捕されやすい
しかし,示談後に逮捕されることはほぼなくなる

②刑罰を防ぎたい場合

住居侵入事件は,捜査の結果犯罪事実の立証ができると判断されれば,検察官によって起訴されるのが通常です。初犯であっても,それだけを理由に不起訴とできるほど軽微な事件類型ではありません。

しかし,犯罪事実の立証ができる場合であっても,被害者が起訴しないでほしいとの意思であれば,検察官がこれに反してまで起訴することはほとんどありません。住居侵入事件は,特定の被害者に被害を与える犯罪であることから,その被害者の意向を処分結果に大きく反映される運用となっています。

そのため,犯罪事実の存在が明らかに立証できる場合には,示談によって被害者に起訴を望まない意思を表明してもらうことによって,不起訴処分を獲得し,刑罰を防ぐことが非常に有力となります。このように,被害者に起訴を望まない意思を表明してもらうことができる手段は,基本的に示談以外にはないため,刑罰を防ぐという面でも示談が最も有力な行動と言えます。

ポイント
住居侵入事件は,犯罪事実が明らかであれば刑罰を受けるのが通常
示談によって被害者が起訴を望まなくなれば,刑罰の回避が可能

③早期釈放を図りたい場合

住居侵入事件で逮捕された場合でも,示談が有力な手段になります。

逮捕をされると,まず最大72時間の身柄拘束を受けた後,10日間の「勾留」,さらに最大10日間の「勾留延長」を受ける可能性があります。勾留延長までなされる場合,23日前後の身柄拘束となってしまうため,日常生活への影響は避けられません。

逮捕から起訴までの流れ

この点,早期の段階で示談が成立すれば,その後の身柄拘束がなされず早期釈放に至る可能性が高くなります。逮捕段階で示談できれば勾留はされづらく,勾留の段階で示談できれば勾留延長には至りづらい,ということです。

住居侵入事件の場合,早期示談は早期釈放と直接結びついていると言っても過言ではないでしょう。

④否認事件で示談すべき場合

住居侵入事件は,否認事件の場合に示談を試みることはあまりありません。それは,示談の基本的な内容が謝罪と賠償であるためです。
否認事件は,「住居侵入をしていない」という主張であるため,本来は被害者とされる人物への謝罪や賠償をする筋合いがないはずです。そのため,否認事件で示談を試みるのは,やり方を間違えると否認の主張が信用できないという悪影響につながりかねません。

この点,否認事件でも,犯罪の有無について記憶がない場合には,示談が有力な手段になりやすいでしょう。代表例は飲酒の影響で酩酊状態だった場合です。
「酩酊していたため,住居侵入をした記憶がない」という言い分は,住居侵入を認めてはいないので否認事件に分類するのが通常です。ただ一方で,はっきりと否認をできるほどの根拠もないため,示談によって早期終結できる方がメリットの大きい状況でもあります。

このような場合には,認めてはいないものの示談をする,という動き方が有力になり得るでしょう。ただし,具体的な方針や示談の行い方は容易に判断できるものでないため,このような複雑な動き方を取る場合は必ず弁護士の判断を仰ぐようにしましょう。

ポイント
否認事件では,示談による謝罪や賠償が適さない
記憶がないなど,強く否認しづらいケースでは示談が有力になりやすい

住居侵入事件で示談をする方法

住居侵入事件で示談を試みる場合は,まず弁護士に依頼し,弁護士を窓口とすることが必要です。住居侵入事件の場合,当事者間が直接示談交渉を行うことは不適切であり,二次的なトラブルに発展する危険が大きいため,必ず弁護士に依頼するようにしましょう。

また,住居侵入事件で捜査を受けている場合には,被害者の住居地を把握していたとしても,直接被害者に接触するのでなく,まず捜査機関の担当者に連絡を取るのが適切です。
被害者が直接接触されることを希望している可能性はほとんどないため,示談が円滑に進むとは考えにくい上,最悪の場合には被害者に危害を加える目的であったと疑われかねません。

弁護士が依頼を受けた場合,捜査機関の担当者に問い合わせ,加害者が示談希望である旨を伝えます。あわせて,捜査機関から被害者に連絡を入れるよう依頼し,被害者の意向を確認してもらうことが通常です。確認の結果,被害者が示談交渉を了承する意向であれば,連絡先の交換ができ,弁護士と被害者との連絡が開始できます。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

住居侵入事件の示談金相場

住居侵入事件の示談金は,被害者が受けた損害の程度や内容によって異なりますが,加害者が単純に被害者の住居地内に立ち入った,というのみの事件であれば,示談金は10~20万円ほどが目安になりやすいでしょう。
加害者の行為が住居侵入のみであれば,経済的な損害が具体的に生じているわけではなく,被害者の生命身体に危険が生じたわけでもないため,それほど高額の示談金とはならないケースが多く見られます。

もっとも,ケースによっては示談金がより高額になる場合もあり得ます。住居侵入事件の示談金額に影響し得る具体的な事情としては,以下のようなものが挙げられます。

住居侵入事件の示談金額に影響する事情

1.侵入の程度
→庭に入ったか,玄関に入ったか,寝室まで入ったかなど。よりプライベートな場所まで立ち入っているほど増額要因になる

2.侵入の態様
→被害者により大きな恐怖を与える方法で侵入すると,増額要因になる

3.侵入時における物品の損壊
→窓ガラスや鍵など,物品を損壊しながら侵入している場合,経済的損害の分だけ増額要因になる

4.常習性の有無
→同一の被害者を対象に繰り返し行っている場合,増額要因になる

住居侵入事件の示談内容・条項

①一般的な示談条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。清算条項を取り交わせば,その後に相手から金銭を追加請求される可能性は法的になくなります。
示談を行う場合には,当事者間の金銭的解決を終了させるためにも清算条項の取り交わしを欠かさないようにすることが重要です。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項とは,被害者が加害者を許す,という意味の条項です。
示談が刑事処分に有利な影響を及ぼすのは,基本的にこの宥恕条項があるためです。被害者が加害者を許している,という事実が,刑事処分を劇的に軽減させる要素となります。
住居侵入事件で被害者との示談を行うのは,主に宥恕条項を取り交わすためです。加害者にとっては必須の条項と理解するのが適切でしょう。

②住居侵入事件で特に定めやすい条項

【立入禁止】

加害者が被害者方(マンション等の共用部を含む)に立ち入らないことを約束する条項です。住居侵入事件では,被害者の安心を確保するため,加害者がその後に立ち入らないことを明示する内容の示談とすることが多く見られます。
なお,立入禁止を条項に加えるかどうかにかかわらず,示談後に被害者方へ立ち入らないべきであることは間違いありません。

【接近禁止】

加害者の立入禁止をより確実にするため,被害者の住居近辺への接近を禁止する旨の条項を設けることもあります。具体的な取り決め方は当事者次第ですが,具体的な図を添付するなどして,両当事者にとって接近禁止範囲が明確となるようにする必要があるでしょう。

【転居及び転居報告】

加害者と被害者が同じ建物や隣接する建物に居住している場合,生活圏が近すぎるため加害者の転居を示談条項に含めることがあります。
加害者の転居を条件とする場合には,転居期限を定めた上で,転居した後には弁護士を通じて転居報告を行う形を取ることが多く見られます。

住居侵入事件の示談で注意すべきこと

①被害者の転居費用が問題になり得る

住居侵入事件では,加害者に被害者の住居地が分かってしまっているため,被害者が転居を希望することが少なくありません。そして,示談を行うとなると,被害者の転居費用を加害者負担とすることが条件とされる場合も多く見られます。

この点,法的には被害者の転居費用を加害者が負担する必要があるかは非常に不明確です。裁判などで争われれば,支払義務がないとの結論になる可能性もあり得るところでしょう。
しかし,刑事事件の示談で問題になる場合には,基本的に被害者側の要求に応じるのが合理的でしょう。被害者の要求としては決して不合理なものでない上,その点の対応を拒みつつ示談の成立にこぎつけるのは現実的に困難と言わざるを得ないためです。

ただし,転居費用が伴う場合,示談金が大きく増額することが見込まれます。経済的な問題があるときには,弁護士と十分に相談の上で交渉方針を決めるようにしましょう。

②余罪がある場合

住居侵入事件では,余罪のある場合が相当数見られます。特に,同一の住居への繰り返しの侵入行為が生じやすい傾向にあります。
この点,余罪がある場合にどのような示談の方針を取るかは容易に判断できるものではありません。特に,住居侵入事件の場合,被害者がすべての余罪を把握しているわけではない可能性が高いため,方針決定はより困難になりやすいところです。

余罪がある場合には,まず依頼した弁護士に余罪も含めてありのままの出来事を全て伝えるようにしましょう。被害者にどこまで話すかはケースにもよりますが,少なくとも弁護士が把握していないという状況は避けるべきです。
弁護士が把握しないまま示談を試み,後で余罪が発覚したという場合は,示談が困難になりやすく最悪の事態になりかねません。

ポイント
転居費用の請求にはできる限り応じるのが合理的
余罪がある場合には弁護士に全てを伝える

住居侵入事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で住居侵入事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

一般的な在宅事件では,34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

住居侵入事件の場合,単純な侵入行為であれば10~20万円の示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(10万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:10万円

計:99万円

弁護士費用の例

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