「盗撮動画を購入してしまったが、見るだけでも犯罪になるのだろうか」「購入履歴から警察に特定され、逮捕されるのではないか」と不安を感じている方もいるでしょう。
盗撮によって作成された動画であっても、購入・ダウンロードしただけで直ちに犯罪が成立するわけではありません。もっとも、児童ポルノに該当する動画を所持した場合や、購入した動画を他人に提供した場合など、動画の内容や購入後の行為によっては刑事責任を問われる可能性があります。
盗撮動画を購入してしまった場合には、どのような行為が犯罪となるのかを正しく把握したうえで、現在の状況に応じた対応を取ることが必要です。本記事では、盗撮動画の購入・ダウンロードで問われる可能性のある罪や逮捕後の流れ、購入後の対処法、弁護士に相談するメリットについて解説します。
この記事の監修者
藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介
全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。
盗撮動画の購入・ダウンロードで問われる罪
盗撮動画の購入・ダウンロードは原則として犯罪にならない
盗撮によって作成された動画であっても、購入したり、自分で見るためにダウンロードしたりしたことだけで、原則として犯罪が成立するわけではありません。性的姿態撮影等処罰法は、一定の性的姿態等を違法に撮影する行為や、その記録を他人に提供する行為などを処罰していますが、自己視聴目的で購入・取得する行為そのものを一般的に処罰する規定は設けていません。
また、端末に保存しただけで同法の保管罪が成立するわけでもありません。保管罪では、不特定または多数の者への提供や公然陳列をする目的が必要です。ただし、児童ポルノに該当する動画の所持・保管や、購入後の提供については別途犯罪が成立する可能性があります。
児童ポルノ禁止法違反になる場合
購入した盗撮動画が児童ポルノに該当する場合には、購入者も児童ポルノ禁止法違反に問われる可能性があります。同法では、自己の性的好奇心を満たす目的で、自己の意思に基づいて児童ポルノを所持・保管する行為などが処罰対象となり、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。
もっとも、18歳未満の児童が映っていれば直ちに児童ポルノとなるわけではありません。児童の性交等や性交等類似行為、衣服の全部または一部を着けない一定の姿態など、児童ポルノ禁止法が定める姿態を描写した動画に該当することが必要です。そのうえで、所定の目的で自らの意思に基づいて所持・保管したかを判断します。
購入後の行為によっては別の犯罪に問われる場合
購入・ダウンロード自体が犯罪に当たらなくても、購入した盗撮動画を他人に提供すれば、性的姿態撮影等処罰法違反に問われる可能性があります。知人1人に送信した場合でも提供罪が成立する可能性があり、不特定または多数の者への提供や公然陳列についても処罰規定が設けられています。
また、不特定または多数の者への提供や公然陳列をする目的で盗撮動画を保管する行為も処罰対象です。そのため、購入後については、誰かに動画を提供したか、広く提供する目的で保管していたかなどが刑事責任を判断するポイントになります。
盗撮動画の購入は、購入行為そのものよりも、どんな動画を購入したのか、購入した後どうしたのか、といった点が問題になりやすい傾向があります。
盗撮動画の購入・ダウンロードで逮捕された際の流れ
逮捕後は警察の取調べを受ける
盗撮動画の購入・ダウンロードについて犯罪の疑いを持たれて逮捕されると、警察署で取調べを受けます。取調べでは、動画を購入した経緯や目的、動画の内容、ダウンロード・保存の状況、購入後に他人へ提供したかなど、犯罪の成否を判断するために必要な事情について質問されます。
警察は、被疑者を留置する必要があると判断した場合、逮捕から48時間以内に被疑者と事件を検察官へ送致する必要があります。一方、留置の必要がないと判断した場合には釈放しなければなりません。逮捕されると、この判断がされるまで身体拘束を受けた状態で捜査が進みます。
検察官に送致される
身柄の送致を受けた検察官は被疑者を取り調べ、さらに身体拘束を続ける必要があるかを検討します。引き続き身体拘束する必要があると判断した場合には、被疑者を受け取ってから24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に裁判官へ勾留を請求します。
勾留を請求するかどうかは、犯罪の嫌疑だけでなく、住居の有無や逃亡・証拠隠滅のおそれなどを踏まえて判断されます。検察官が勾留を請求しなければ、被疑者は釈放されます。
勾留されると引き続き身体拘束を受ける
検察官から勾留請求を受けた裁判官が勾留の要件を満たすと判断した場合、被疑者は引き続き身体拘束を受けます。勾留期間は原則として勾留請求の日から10日間であり、やむを得ない事由がある場合には原則としてさらに10日以内の延長が認められます。
勾留中も、取調べや証拠収集などの捜査が続きます。盗撮動画の購入に関する事件では、購入経路や決済の記録、端末内の動画データ、第三者への提供の有無などが犯罪の成否を判断する材料となります。
検察官が起訴・不起訴を判断する
捜査を終えると、検察官が被疑者を起訴するか不起訴とするかを判断します。動画が児童ポルノに該当するか、所持・保管について犯罪成立に必要な目的が認められるか、第三者への提供があったかなど、適用される犯罪の要件を証拠によって立証できるかが重要な判断材料になります。
犯罪を立証するための証拠が十分でなければ、嫌疑不十分などを理由として不起訴になる可能性があります。また、犯罪を立証できる場合でも、犯人の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重や情状、犯罪後の状況などを考慮し、訴追する必要がないと判断されれば起訴猶予となることがあります。
起訴された場合は刑事裁判を受ける
検察官が公判請求をした場合には、被告人として刑事裁判を受けます。公判では、検察官が提出する証拠や被告人側の主張・立証を踏まえて犯罪の成否が審理され、有罪と判断された場合には、適用される法律に応じて拘禁刑や罰金刑などが言い渡されます。
一方、一定の罰金または科料に相当する事件については、被疑者に異議がないことなどの要件を満たせば、検察官が略式命令を請求する場合があります。その場合には、通常の公判を開かず、簡易裁判所が書面審理によって罰金または科料を科すことができます。起訴後の手続は、公判請求か略式命令請求かによって異なります。

盗撮動画を購入してしまった場合の対処法
購入した盗撮動画を他人に提供しない
盗撮動画を購入してしまった場合は、その動画を他人に送ったり渡したりしないことが重要です。購入・ダウンロード自体が犯罪に当たらない場合でも、性的姿態撮影等処罰法の対象となる動画を他人に提供すれば、提供罪が成立する可能性があります。
たとえば、購入した動画を知人1人に送信する行為でも、提供罪に問われる可能性があります。また、不特定または多数の者に提供したり、公然と陳列したりした場合には、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。自分で見るために購入しただけでは犯罪にならないケースでも、他人への提供によって新たに犯罪が成立する可能性があるため、購入した動画を他人と共有してはいけません。
犯罪に該当する場合は自首を検討する
購入した盗撮動画が児童ポルノに該当し、その所持・保管について犯罪が成立する場合や、購入後に動画を他人へ提供してしまった場合には、自首を検討することも対処法の一つです。
刑法上の自首とは、捜査機関に犯罪事実や犯人が発覚する前に、自ら捜査機関に犯罪事実を申告して処分を求めることをいいます。自首が成立した場合には、刑を減軽できることが法律上定められています。ただし、自ら警察へ出向けば必ず刑法上の自首になるわけではなく、すでに捜査機関が犯罪事実と犯人を把握している場合などには自首が成立しません。
また、盗撮動画の購入・ダウンロードは原則として犯罪ではないため、購入したという理由だけで自首する必要はありません。購入した動画や購入後の行為について犯罪が成立するかを確認したうえで、捜査機関がすでに犯罪事実や犯人を把握しているか、自首によって刑事処分を軽減できる可能性があるかなどを踏まえ、自首するかを判断します。
早めに弁護士へ相談する
盗撮動画を購入した場合に犯罪が成立するかは、動画の内容や所持・保管の目的、購入後に他人へ提供したかなどによって異なります。児童ポルノ禁止法違反や性的姿態撮影等処罰法違反が成立するのかを確認し、自首や警察への対応が必要かを判断するためにも、早めに弁護士へ相談することが有力です。
特に、警察から連絡を受けている場合や、自首を検討している場合には、早期に相談することで、犯罪成立の見通しや取調べへの対応を確認できます。また、自首が適切なケースでは、出頭の時期や方法についても具体的に検討できます。
盗撮動画を購入してしまったからといって、整理が不十分なまま感情的な行動を起こすことにメリットはほとんどないでしょう。行動を検討する場合は、まず専門家の判断を仰ぐことを強くお勧めします。
盗撮動画を購入してしまい弁護士に相談するメリット
どんな罪に問われる可能性があるのかを知れる
盗撮動画を購入しただけで直ちに犯罪になるわけではなく、動画の内容や購入後の行為によって成立する可能性のある犯罪が異なります。たとえば、児童ポルノに該当する動画を所定の目的で所持・保管した場合には児童ポルノ禁止法違反、対象となる盗撮動画を他人に提供した場合には性的姿態撮影等処罰法違反が問題となります。
弁護士に相談すれば、動画の内容、購入・保存の経緯、保管の目的、第三者への提供の有無などを確認したうえで、犯罪が成立する可能性や、警察の捜査を受けた場合の見通しを具体的に把握できます。犯罪が成立しないケースで、必要以上に逮捕や処罰を恐れることを避けるためにも、まず自分の行為を正確に整理することが重要です。
被害者との示談交渉を行ってくれる
購入後に盗撮動画を他人へ提供するなどして犯罪が成立する場合には、被害者との示談が刑事処分を判断する際の事情となる場合があります。もっとも、盗撮動画を購入したという事実だけで、当然に購入者が被害者と示談すべき関係になるわけではありません。成立する犯罪や購入後に行った行為を踏まえ、示談を行う必要性を個別に判断する必要があります。
示談が有効なケースでは、弁護士が被害者側への連絡や示談条件の調整を行います。加害者本人が直接連絡することで被害者の負担を増やすことを避けながら、謝罪や被害弁償、処罰に関する意向などを含めた示談成立を目指すことができます。
刑事処分の軽減に向けて動いてくれる
犯罪が成立する可能性がある場合には、弁護士が具体的な事情を整理し、より軽い刑事処分を目指した弁護活動を行います。たとえば、自首が適切なケースでは自首に同行する、再び同様の行為をしないための環境を整えるなど、本人に有利な事情を具体的な形にして捜査機関へ示すことができます。
また、示談が適切な事件では示談成立を目指すなど、成立する犯罪や事件の状況に応じた対応を進めます。単に反省していると伝えるだけでなく、犯罪後にどのような対応を取ったのかを客観的に示すことが、検察官による処分判断や起訴後の量刑判断において考慮される事情となります。
不起訴処分の獲得が期待できる
弁護士に相談することで、犯罪が成立しないことや犯罪を立証する証拠が不足していることを捜査機関に主張し、嫌疑なし・嫌疑不十分による不起訴を目指すことができます。たとえば、児童ポルノ禁止法違反で必要となる要件を満たしていない場合には、その点を具体的に指摘することが重要です。
犯罪が成立する場合でも、犯行後の対応や示談の成否などを検察官に示し、起訴猶予を求めることが考えられます。不起訴となれば刑事裁判を受けることはなく、有罪の裁判を受けて前科が付くこともありません。そのため、捜査を受ける可能性がある段階から、想定される処分を踏まえて弁護活動を始めることが有益です。

盗撮動画を購入してしまった際によくある質問
盗撮動画の購入履歴から警察に特定されることはありますか?
購入履歴などを手掛かりとして、購入者が警察に特定される可能性はあります。たとえば、盗撮動画の販売者に対する捜査が行われた場合、押収されたスマートフォンやパソコン、販売サイトの利用記録、購入者とのやり取り、決済に関する記録などから購入者が判明することがあります。
もっとも、購入者が特定されたことと、購入者に犯罪が成立することは別の問題です。警察が購入者について捜査する場合には、購入した動画の内容や保存状況、購入後に第三者へ提供したかなどを確認し、児童ポルノ禁止法違反や性的姿態撮影等処罰法違反が成立するかを判断することになります。
購入した盗撮動画は削除した方がよいですか?
盗撮動画を購入した場合に、一律に「すぐ削除すべき」「そのまま保存すべき」と判断することは適切ではありません。児童ポルノに該当する動画については、その所持・保管自体が処罰対象となる場合があるためです。一方、すでに警察から連絡を受けている場合などには、捜査との関係も踏まえて対応する必要があります。
そのため、動画の内容や現在の捜査状況を確認せず、自己判断で保存を続けたり、別の端末へ移したり、他人に送信したりすることは避けるべきです。動画をどのように取り扱うべきか判断できない場合には、具体的な状況を弁護士に伝えたうえで対応を確認することが安全です。
購入した動画が児童ポルノだと知らなかった場合も罪に問われますか?
購入した動画が児童ポルノに該当したという結果だけで、直ちに児童ポルノ禁止法違反が成立するわけではありません。自己の性的好奇心を満たす目的での所持・保管が処罰されるためには、児童ポルノを自己の意思に基づいて所持・保管したことなど、法律が定める犯罪成立の要件を満たす必要があります。
そのため、児童ポルノであることを全く認識しないまま動画を取得した場合と、動画の内容を認識したうえで所持・保管を続けた場合とでは、犯罪成立の判断に必要な事実関係が異なります。購入時の認識だけでなく、動画の内容を認識した時期や、その後どのように所持・保管したのかまで確認したうえで犯罪の成否を判断する必要があります。
盗撮動画の購入で逮捕されるか不安な方は弁護士へご相談を
盗撮動画を購入・ダウンロードしただけで、原則として犯罪が成立するわけではありません。しかし、購入した動画が児童ポルノに該当する場合や、購入後に動画を他人へ提供した場合には、児童ポルノ禁止法違反や性的姿態撮影等処罰法違反として刑事責任を問われる可能性があります。
自分の行為が犯罪に当たるかを判断するためには、動画の内容だけでなく、所持・保管した目的、購入後の利用状況などを確認する必要があります。特に、販売者が摘発された、警察から連絡を受けた、購入した動画が児童ポルノではないかと気付いたといった場合には、犯罪の成立可能性や今後の捜査への対応を早い段階で確認することが重要です。
盗撮動画の購入について逮捕や刑事処分に不安がある方は、警察への対応や自首を自己判断する前に、刑事事件を取り扱う弁護士へご相談ください。犯罪が成立するかを具体的に検討したうえで、捜査への対応、自首の要否、不起訴処分に向けた弁護活動など、状況に応じた対応を進めることができます。
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