損害賠償を請求されている場合、「自己破産をすれば支払わなくてよくなるのではないか」と考える方もいるでしょう。しかし、損害賠償であれば必ず自己破産によって支払い義務がなくなるわけではありません。
自己破産では、多くの借金や債務について免責が認められますが、一定の債務は「非免責債権」として扱われ、自己破産後も支払い義務が残ります。損害賠償についても、その原因や内容によって免責される場合と免責されない場合があります。
この違いを正しく理解しないまま自己破産を進めると、「自己破産したのに損害賠償を請求された」「支払い義務が残るとは思わなかった」といった事態になりかねません。特に、交通事故や暴行・傷害事件、不倫慰謝料などは結論が分かれやすく、個別の事情によって判断が変わることもあります。
この記事では、損害賠償と自己破産の関係、自己破産後も支払い義務が残る非免責債権の考え方、交通事故や慰謝料の扱い、自己破産を検討する際の注意点について解説します。
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損害賠償は自己破産でなくなる?まず知っておきたい結論
損害賠償は、自己破産をしたからといって必ず支払わなくてよくなるわけではありません。自己破産によって免責が認められれば多くの債務の支払い義務はなくなりますが、一定の債務は非免責債権として扱われ、自己破産後も支払い義務が残ります。
損害賠償が免責されるかどうかは、損害が発生した原因や行為の悪質性によって判断されます。例えば、単なる不注意による交通事故の損害賠償であれば免責される可能性があります。一方で、飲酒運転による人身事故や暴行・傷害行為による損害賠償などは、自己破産後も支払い義務が残る可能性が高いといえます。
また、「慰謝料だから免責されない」「交通事故だから免責される」という判断はできません。同じ慰謝料であっても、不倫慰謝料と暴行による慰謝料では結論が異なることがありますし、交通事故でも軽過失事故と重過失事故では扱いが変わることがあります。
そのため、損害賠償と自己破産の問題では、まずその損害賠償が法律上どのような性質を持つのかを確認することが重要です。自己破産を検討している場合は、「損害賠償を負っているか」だけでなく、「どのような原因で発生した損害賠償なのか」まで整理したうえで判断する必要があります。
損害賠償債務が免責されるか、という点については個別の慎重な検討が必要になります。損害賠償の義務がある場合には専門家の意見を仰ぐことが望ましいでしょう。
自己破産しても支払い義務が残る「非免責債権」とは
非免責債権とは、自己破産をしても支払い義務がなくならない債権のことです。
自己破産では、裁判所から免責許可決定を受けることで多くの借金や債務の支払い義務がなくなります。しかし、全ての債務が免責されるわけではありません。法律上、特に保護する必要がある債権については、自己破産後も支払い義務が残るとされています。
代表的な非免責債権としては、税金や社会保険料、養育費などがあります。これらは自己破産をしても支払い義務が消えません。
損害賠償との関係でも、一定の場合には非免責債権に該当します。ただし、全ての損害賠償が非免責債権になるわけではありません。
例えば、単なる不注意による事故の損害賠償であれば免責される可能性があります。一方で、行為の悪質性が高い場合や、人の生命・身体に重大な被害を与えた場合には、自己破産後も支払い義務が残ることがあります。
そのため、「損害賠償を請求されている」という事実だけで結論を出すことはできません。重要なのは、どのような行為によって損害が発生したのかという点です。
実務では、
- どのような行為が行われたのか
- 故意に行われたものか
- 著しい不注意があったのか
- 被害の内容は何か
といった事情を踏まえて、非免責債権に当たるかどうかが判断されます。
そのため、自己破産を検討している場合は、「損害賠償があるから免責されない」「自己破産をすれば全てなくなる」と考えるのではなく、損害賠償が発生した原因を整理することが重要です。損害賠償が免責されるかどうかは、損害額ではなく、行為の内容や被害の性質によって判断されます。
破産すれば債務がなくなるというわけではなく、免責されなければ破産しても支払義務は残ります。十分に注意しましょう。
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損害賠償は自己破産でどうなる?ケース別に結論を一覧で確認
自己破産を検討している方の多くは、「自分のケースでは損害賠償が免責されるのか」を知りたいのではないでしょうか。
もっとも、損害賠償が免責されるかどうかは、「損害賠償」という名称だけでは判断できません。重要なのは、どのような行為によって損害が発生したのかです。
まずは代表的なケースごとの結論を確認してみましょう。
| ケース | 免責される可能性 |
| 軽過失による交通事故 | 高い |
| 飲酒運転による人身事故 | 低い |
| 不倫慰謝料 | 高い |
| 暴行・傷害による損害賠償 | 低い |
| 詐欺・横領による損害賠償 | 低い |
| 契約違反による損害賠償 | 高い |
| SNS投稿による名誉毀損 | 事案による |
この表から分かるとおり、判断の分かれ目になるのは、故意性や悪質性の程度です。
例えば、脇見運転によって物損事故を起こしたようなケースでは、通常は免責される可能性があります。これに対し、飲酒運転によって人を負傷させたようなケースでは、自己破産後も支払い義務が残る可能性が高くなります。
また、同じ慰謝料であっても結論は異なります。不倫慰謝料は免責される可能性がありますが、暴行や傷害による慰謝料は非免責債権として扱われる可能性があります。「慰謝料だから免責されない」「慰謝料だから免責される」といった単純な判断はできません。
さらに、SNSやインターネット上のトラブルも注意が必要です。名誉毀損による損害賠償は、投稿内容や投稿時の認識によって判断が分かれます。故意に相手へ損害を与える目的が認められる場合には、非免責債権と判断される可能性があります。
もっとも、この一覧はあくまで一般的な傾向を示したものです。実際には、事故の態様や行為時の認識、被害の内容などによって結論が変わることがあります。そのため、自己破産を検討する際は、自分のケースがどの類型に近いのかを整理した上で判断することが重要です。
自己破産しても免責されない損害賠償
自己破産をしても免責されない損害賠償には一定の共通点があります。それは、加害行為の悪質性が高いことや、被害者の生命・身体に重大な被害を与えていることです。
破産法では、被害者保護の必要性が高い場合には、自己破産によっても損害賠償義務を消滅させない仕組みを設けています。そのため、一般的な借金とは異なり、損害賠償の原因となった行為の内容が重要になります。
悪意による不法行為の損害賠償
破産法では、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権を非免責債権としています。
ここでいう悪意とは、単に相手を嫌っていたという意味ではありません。相手に損害が生じることを認識しながら、あえてその行為を行うことを意味します。
例えば、嫌がらせ目的で他人の財物を壊した場合や、相手に損害を与えることを認識しながら虚偽情報を流布した場合などは、悪意による不法行為と判断される可能性があります。
判断のポイントになるのは、損害発生の認識があったか、そして損害を与えることを認容していたかです。単なる不注意ではなく、損害発生を認識しながら行動した場合に非免責債権となる可能性が高くなります。
故意による暴行・傷害の損害賠償
暴行や傷害事件による損害賠償は、自己破産後も支払い義務が残る可能性が高い類型です。
人を殴る、蹴るなどの行為は、通常であれば相手が負傷する危険があることを認識して行われます。そのため、故意による生命・身体侵害として非免責債権に該当する場合があります。
例えば、傷害事件の被害者に対する治療費、休業損害、慰謝料などについては、自己破産後も支払い義務が残る可能性があります。
もっとも、全ての事案で当然に非免責となるわけではありません。具体的な行為態様や被害内容などを踏まえて判断されますが、故意の暴行・傷害は非免責と判断される可能性が高い類型と考えてよいでしょう。
重過失による人身事故の損害賠償
単なる過失ではなく、重過失によって人の生命や身体に損害を与えた場合も、非免責債権となる可能性があります。
重過失とは、通常であれば容易に結果発生を回避できたにもかかわらず、著しく注意を欠いた状態をいいます。
例えば、
- 飲酒運転
- 著しい速度超過
- 危険な運転行為
などによる人身事故では、重過失が認定されることがあります。
物損事故のみの場合と異なり、人身被害が生じている場合には非免責債権が問題となりやすいため注意が必要です。
詐欺や横領による損害賠償
詐欺や横領などの犯罪行為によって生じた損害賠償も、非免責債権に該当する可能性があります。
例えば、金銭をだまし取った場合や、預かった金銭を着服した場合には、相手に損害が生じることを認識した上で行為しているのが通常です。
そのため、損害賠償請求を受けた場合には、自己破産によっても支払い義務が残る可能性があります。
特に、故意に財産的損害を与えた事案では、裁判所が行為の悪質性を重視する傾向があります。
このように、自己破産をしても免責されない損害賠償に共通するのは、故意や重過失など行為者の責任が重いことです。損害賠償が非免責債権に当たるかどうかは、損害額ではなく、どのような行為によって被害が発生したのかによって判断されます。
自己破産で免責される可能性がある損害賠償
前述のとおり、損害賠償だからといって必ず非免責債権になるわけではありません。自己破産によって免責される可能性がある損害賠償も少なくありません。
判断のポイントになるのは、故意や重過失による悪質な行為かどうかです。被害者に損害が発生したとしても、悪意による不法行為や故意・重過失による生命身体侵害に当たらなければ、免責の対象になる可能性があります。
軽過失による損害賠償
自己破産で免責される可能性が高いのが、軽過失によって発生した損害賠償です。
例えば、前方不注視による追突事故や、自転車同士の接触事故など、一般的な不注意によって発生した事故がこれに当たります。
もちろん、被害者に対する損害賠償義務は発生します。しかし、その損害賠償が非免責債権に当たらなければ、自己破産による免責の対象となる可能性があります。
ただし、人身事故だから必ず非免責になるわけでも、物損事故だから必ず免責されるわけでもありません。結論を左右するのは、注意義務違反の程度や行為の危険性です。
契約違反による損害賠償
契約違反によって発生した損害賠償も、一般的には免責の対象となる可能性があります。
例えば、
- 売買契約の債務不履行
- 請負契約の履行遅滞
- 賃貸借契約上の義務違反
などによる損害賠償です。
これらは相手方に損害を与える目的で行われることが通常ではなく、非免責債権の要件に当たらない場合が多いといえます。
もっとも、契約違反の形をとっていても、実質的には詐欺的な行為である場合には別の評価がされることがあります。そのため、契約トラブルであれば常に免責されるわけではありません。
不倫慰謝料が免責される可能性がある理由
不倫慰謝料については、「不法行為なのだから自己破産をしても支払い義務が残るのではないか」と考える方も少なくありません。
しかし、不倫慰謝料は自己破産によって免責される可能性があります。
その理由は、破産法が非免責債権としているのは全ての不法行為ではなく、悪意による不法行為など一定の場合に限られているためです。
実際の裁判例でも、不貞行為に基づく慰謝料について免責が認められた事例があります。
もっとも、不倫慰謝料が問題となる場合には、行為の態様や損害の内容によって争いになることもあります。そのため、不倫慰謝料は必ず免責されるとまではいえません。
判断が分かれるケースもある
実務上は、免責されるか非免責となるかが明確ではないケースもあります。
例えば、
- SNSへの投稿による名誉毀損
- インターネット上の誹謗中傷
- 職場でのハラスメント
- 契約締結時の説明義務違反
などです。
これらは事案によって故意性や悪質性の評価が異なるため、一律に結論を出すことができません。
そのため、損害賠償という名称だけで判断するのではなく、どのような行為が問題になっているのかを具体的に検討することが重要です。免責される可能性があるかどうかは、行為の内容や被害発生の経緯によって判断されます。
基本的には、損害賠償義務の発生原因が悪質でないものは免責されやすい、と理解してよいでしょう。
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交通事故の損害賠償は自己破産で免責される?
交通事故の損害賠償については、「交通事故だから免責される」「交通事故だから免責されない」といった一律の判断はできません。
交通事故による損害賠償が自己破産で免責されるかどうかは、事故の原因となった行為の内容と、被害が財産的損害なのか生命・身体への損害なのかによって判断されます。
実際には、一般的な過失事故であれば免責されることが多い一方、飲酒運転などの悪質な事故では自己破産後も支払い義務が残る可能性があります。
軽過失による交通事故
一般的な交通事故で最も多いのは、脇見運転や安全確認不足などによる過失事故です。
例えば、
- 前方不注視による追突事故
- 一時停止の見落とし
- 安全確認不足による接触事故
などが典型例です。
これらは損害賠償責任を負う可能性がありますが、通常は重過失には当たらないため、自己破産によって免責される可能性があります。
また、物損事故に関する損害賠償については、非免責債権が問題になるケースは多くありません。
もっとも、事故状況によっては重過失と評価される場合もあるため、最終的には個別事情の検討が必要です。
重過失による交通事故
交通事故で問題になりやすいのが重過失です。
重過失とは、通常であれば容易に結果を回避できたにもかかわらず、著しく注意義務を怠った状態をいいます。
例えば、
- 著しい速度超過
- 信号無視
- 極めて危険な運転行為
などによって人身事故を起こした場合には、重過失が認定される可能性があります。
この場合、人の生命や身体に対する損害賠償については非免責債権となる可能性があります。
そのため、自己破産をしても慰謝料や治療費などの支払い義務が残ることがあります。
飲酒運転・危険運転の場合
交通事故の中でも特に注意が必要なのが、飲酒運転や危険運転による事故です。
飲酒運転は重大な交通違反であり、事故を起こした場合には重過失が認定される可能性が高くなります。
また、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で事故を起こした場合には、裁判所も行為の悪質性を重く評価する傾向があります。
そのため、飲酒運転による人身事故の損害賠償は、自己破産後も支払い義務が残る可能性が高い類型といえます。
危険運転致傷・危険運転致死につながるような事案でも同様です。
自賠責保険・任意保険との関係
交通事故では、加害者本人が全額を負担するとは限りません。
実際には、自賠責保険や任意保険によって被害者へ損害が支払われるケースが多くあります。
そのため、自己破産を検討する場合には、まず保険会社による補償範囲を確認することが重要です。
もっとも、
- 保険金額を超える損害
- 保険適用外となる損害
- 求償権の問題
などが生じることもあります。
そのため、「保険に加入しているから自己破産は不要」「自己破産をすれば交通事故の問題は全て解決する」と考えるべきではありません。保険によってどこまで補償されるのかと、非免責債権に当たる可能性があるのかを分けて検討する必要があります。
交通事故の損害賠償では、事故の種類よりも、被害内容と加害行為の悪質性が重要な判断要素になります。特に人身事故では、重過失の有無によって結論が大きく変わるため注意が必要です。
慰謝料は自己破産で支払わなくてよくなる?
慰謝料については、「慰謝料だから自己破産をしても支払い義務が残る」と考えている方が少なくありません。しかし、実際には慰謝料という名称だけで免責の可否は決まりません。
自己破産で重要になるのは、慰謝料が発生した原因です。同じ慰謝料であっても、不倫慰謝料と暴行による慰謝料では法的な評価が異なります。
そのため、慰謝料が自己破産で免責されるかどうかを判断する際には、まずどのような行為によって慰謝料が発生したのかを確認する必要があります。
不倫慰謝料
不倫慰謝料については、自己破産によって免責される可能性があります。
不倫は民法上の不法行為に当たりますが、不法行為であれば全て非免責債権になるわけではありません。
実際の裁判例でも、不貞行為に基づく慰謝料について免責が認められた事例があります。
そのため、「不倫をした以上、自己破産をしても慰謝料は必ず支払わなければならない」とは言えません。
もっとも、不倫慰謝料を巡っては、慰謝料請求訴訟や離婚訴訟と並行して破産手続が進むこともあります。請求を受けている場合には、自己判断で対応するのではなく、破産手続との関係を整理することが重要です。
暴行・傷害による慰謝料
暴行や傷害による慰謝料については、自己破産後も支払い義務が残る可能性が高いと考えられます。
暴行や傷害は、人の生命や身体に対する侵害行為です。故意による暴行や傷害によって被害者が負傷した場合には、治療費だけでなく慰謝料についても問題になります。
このようなケースでは、慰謝料だけが独立して判断されるわけではありません。治療費や休業損害などと同様に、生命・身体侵害に基づく損害賠償として扱われます。
そのため、慰謝料だからではなく、人の生命・身体に対する侵害に基づく損害だから非免責となる可能性があるという点を理解しておく必要があります。
名誉毀損による慰謝料
名誉毀損による慰謝料は、事案によって結論が分かれる代表的な類型です。
例えば、
- SNSで虚偽の情報を投稿した
- インターネット上で誹謗中傷を繰り返した
- 相手の社会的評価を低下させる投稿を行った
といったケースが考えられます。
名誉毀損による慰謝料が非免責債権となるかどうかは、故意性や悪質性の程度が重要な判断要素になります。
単純な事実誤認による投稿と、相手を害する目的で行われた投稿では評価が異なるため、一律に判断することはできません。
慰謝料だから非免責になるわけではない
慰謝料について最も多い誤解は、「慰謝料=非免責債権」という理解です。
しかし、自己破産において問題になるのは慰謝料という名称ではありません。
- 不倫慰謝料なのか
- 暴行・傷害による慰謝料なのか
- 名誉毀損による慰謝料なのか
といった発生原因によって結論が変わります。
そのため、慰謝料を請求されている場合は、請求書や判決書に「慰謝料」と書かれているかどうかではなく、どのような行為によって慰謝料が発生したのかを確認することが重要です。自己破産で免責されるかどうかは、その原因行為の内容によって判断されます。
自己破産後も損害賠償が残る場合の対応方法
損害賠償が非免責債権に当たる場合、自己破産をしても支払い義務はなくなりません。そのため、免責許可決定が確定した後も、被害者から支払いを求められる可能性があります。
もっとも、自己破産後に直ちに全額を支払わなければならないとは限りません。実際には、被害者との交渉や支払方法の調整によって解決を図るケースもあります。
重要なのは、自己破産によって解決できない債務が残ることを前提に対応を考えることです。
分割払いの交渉を行う
非免責債権であっても、被害者との合意によって分割払いが認められることがあります。
例えば、
- 毎月一定額を支払う
- ボーナス時に追加で支払う
- 支払期間を長く設定する
といった方法です。
被害者としても、一括で回収できないのであれば、継続的な支払いを受ける方が現実的な場合があります。
もっとも、分割払いは法律上当然に認められる権利ではありません。あくまでも債権者である被害者の同意が必要になります。
強制執行を受ける可能性がある
非免責債権が残った場合、被害者は判決や和解調書などの債務名義に基づいて強制執行を行うことがあります。
例えば、
- 給与の差押え
- 預金口座の差押え
- 不動産の差押え
などです。
自己破産をしたからといって、非免責債権についてまで強制執行が禁止されるわけではありません。
そのため、支払い義務が残る場合には差押えのリスクも考慮する必要があります。
被害者との示談を検討する
非免責債権については、示談による解決も有力な選択肢です。
例えば、
- 支払額を減額する
- 分割払いに変更する
- 支払期限を延長する
といった内容で合意できる場合があります。
特に、自己破産によって経済的に困窮している状況であることを説明し、現実的な支払計画を提示できれば、被害者が一定の譲歩をするケースもあります。
ただし、被害者感情が強い事案では交渉が難航することもあるため、慎重な対応が必要です。
弁護士へ相談する
非免責債権が問題になる場合には、自己破産の申立て前から弁護士へ相談することが重要です。
損害賠償が非免責債権に当たるかどうかは、行為の内容や被害の内容によって判断されます。そのため、申立て前の段階で見通しを把握しておくことで、破産後に想定外の債務が残る事態を避けやすくなります。
また、非免責債権が残る場合でも、
- 示談交渉
- 分割払いの協議
- 強制執行への対応
などについて助言を受けることができます。
自己破産は全ての債務をなくす制度ではありません。損害賠償が関係している場合には、免責される債務と免責されない債務を区別した上で対応方針を検討することが重要です。
免責されない場合には、支払方法をどうするか、という検討にシフトすることが必要になります。
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損害賠償がある場合に自己破産する前の注意点
損害賠償債権を漏れなく申告する
自己破産を申し立てる際には、把握している債権者を漏れなく申告しなければなりません。
損害賠償請求についても同様です。裁判になっていない場合や金額が確定していない場合であっても、請求を受けている事実があれば申告する必要があります。
特に、「まだ確定していないから記載しなくてよい」と判断するのは危険です。損害賠償請求の存在を把握しているのであれば、弁護士と相談の上で適切に申告しましょう。
被害者への対応を放置しない
自己破産を検討している場合でも、被害者からの連絡や請求を放置するべきではありません。
もちろん、安易に支払約束をする必要はありませんが、対応を先送りにすると紛争が複雑化することがあります。
損害賠償事案では被害者感情も関係するため、対応方針を整理した上で行動することが重要です。
特定の債権者だけを優先して支払わない
自己破産を予定している場合には、特定の債権者だけへ優先的に返済することは避けるべきです。
例えば、特定の被害者だけに返済したり、親族への借金だけを返済したりすると、偏頗弁済として問題になる可能性があります。
損害賠償事案でも同様であり、被害者への支払いを優先したい場合でも慎重な判断が必要です。
示談が成立していても安心しない
示談が成立している場合でも、その損害賠償が免責されるかどうかは別問題です。
重要なのは示談書の名称ではなく、損害賠償が発生した原因行為の内容です。
示談が成立しているから免責される、あるいは示談があるから非免責になるという関係にはありません。
自己判断で結論を出さない
損害賠償が免責されるかどうかは、
- 故意の有無
- 重過失の有無
- 被害内容
- 行為態様
などを踏まえて判断されます。
そのため、「絶対に免責される」「絶対に免責されない」と自己判断するのは避けるべきです。
損害賠償がある場合には、自己破産の申立て前に弁護士へ相談し、免責の見通しや残るリスクを整理しておくことが重要です。
免責を目指して破産するとしても、債権者側への誠意は可能な限り示し続けることが適切でしょう。
損害賠償と自己破産に関するよくある質問
損害賠償請求を受けていても自己破産できますか?
はい、損害賠償請求を受けていても自己破産の申立ては可能です。
自己破産ができるかどうかと、損害賠償が免責されるかどうかは別の問題です。損害賠償請求を受けている場合でも、支払不能の状態であれば自己破産手続を利用できます。
ただし、自己破産が認められても損害賠償が非免責債権に該当する場合には支払い義務が残ります。そのため、自己破産できるかどうかだけではなく、免責の対象になるかどうかも確認することが重要です。
不倫慰謝料は自己破産で免責されますか?
不倫慰謝料は、自己破産によって免責される可能性があります。
不倫は不法行為ですが、不法行為による損害賠償が全て非免責債権になるわけではありません。そのため、不倫慰謝料について免責が認められるケースもあります。
もっとも、個別事情によって争いになることもあるため、「必ず免責される」と断言することはできません。
交通事故の損害賠償は自己破産でなくなりますか?
一般的な過失事故による損害賠償であれば、自己破産によって免責される可能性があります。
一方で、飲酒運転や著しい速度超過による人身事故など、重過失が問題となるケースでは非免責債権に該当する可能性があります。
交通事故では事故の種類だけではなく、行為の悪質性や被害内容が重要な判断要素になります。
示談が成立していれば免責されますか?
いいえ、示談が成立していることと免責されることは別問題です。
免責されるかどうかは、示談書の有無ではなく、損害賠償が発生した原因行為によって判断されます。
そのため、示談が成立していても非免責債権に該当することがありますし、逆に示談がなくても免責される場合があります。
相手が自己破産した場合は損害賠償を請求できませんか?
相手が自己破産した場合でも、直ちに請求できなくなるわけではありません。
損害賠償が免責の対象となれば支払い義務は消滅しますが、非免責債権に該当する場合には自己破産後も請求できる可能性があります。
例えば、故意による暴行・傷害や重過失による人身事故に基づく損害賠償では、自己破産後も請求が認められる場合があります。
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まとめ
損害賠償は、自己破産をしたからといって必ず支払い義務がなくなるわけではありません。
自己破産によって多くの債務は免責されますが、悪意による不法行為に基づく損害賠償や、故意または重過失による生命・身体侵害に基づく損害賠償は、非免責債権として支払い義務が残る可能性があります。
一方で、全ての損害賠償が非免責債権になるわけではありません。軽過失による事故や一般的な契約トラブル、不倫慰謝料などは、自己破産によって免責される可能性があります。
また、交通事故や慰謝料についても、名称だけで結論が決まるわけではありません。どのような行為によって損害が発生したのか、故意や重過失があったのかといった事情によって判断が分かれます。
損害賠償がある状態で自己破産を検討する場合は、「自己破産をすれば全てなくなる」「損害賠償だから必ず残る」と決めつけるべきではありません。損害賠償の原因や内容によって結果は大きく異なります。
特に、暴行・傷害事件、交通事故、詐欺や横領などが関係する場合には、非免責債権となるかどうかが重要な問題になります。自己判断で進めると、自己破産後に想定外の支払い義務が残るおそれもあります。
損害賠償と自己破産の関係に不安がある場合は、早い段階で弁護士へ相談し、免責される可能性と残るリスクを整理した上で手続を進めることが重要です。
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