専業主婦として家庭を支えてきた方が離婚を考えるとき、多くの場合、最初に浮かぶのは「この先、生活していけるのだろうか」という不安ではないでしょうか。
収入がないことや、仕事から長く離れていることを理由に、離婚そのものを諦めてしまう方も少なくありません。
しかし、法律上、専業主婦であること自体が離婚の不利になることはありません。
財産分与や養育費、婚姻費用、年金分割といった制度は、専業主婦の生活を守ることも前提に設けられています。
一方で、これらの制度を十分に理解しないまま離婚を進めてしまうと、本来受け取れるはずのお金を確保できなかったり、離婚後の生活に大きな不安を残してしまったりするケースも見受けられます。この記事では、専業主婦が離婚する場合に知っておくべき法律上のポイントやお金の考え方、準備の重要性について、弁護士の視点から整理します。
離婚を検討し始めた段階の方にも、具体的な手続きを進めている方にも参考になる内容です。
この記事の監修者
藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介
全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。
専業主婦でも離婚できるのか
専業主婦であることを理由に、離婚が認められなくなるわけではありません。日本の法律では、収入の有無や就業形態そのものが離婚の要件になることはなく、専業主婦であること自体が離婚の不利になることはありません。婚姻中に家事や育児を担ってきたことも、婚姻生活を維持するうえでの重要な貢献として評価されます。
離婚の方法には、当事者同士の話し合いで成立する協議離婚、家庭裁判所を利用して話し合いを行う調停離婚、最終的に裁判で判断される裁判離婚があります。相手が離婚に同意しない場合であっても、調停や裁判といった法的手続を通じて、離婚の可否や条件が判断される仕組みが設けられています。収入がないことを理由に、これらの手続を利用できなくなることはありません。
もっとも、専業主婦の方が離婚を考える際には、「収入がない状態で本当に離婚してよいのか」「離婚後の生活が成り立つのか」といった不安を抱くのが一般的です。ただし、離婚が成立するかどうかと、離婚後の生活設計は別の問題として整理する必要があります。離婚そのものは、当事者の意思や法律上の要件によって判断され、生活面の不安は別途制度によって調整される構造になっています。
具体的には、離婚時の財産分与や、子どもがいる場合の養育費、別居中であれば婚姻費用といった制度があり、専業主婦であっても一定の生活基盤を確保することが想定されています。これらの制度は、離婚後の生活をすべて保障するものではありませんが、少なくとも収入がないことだけを理由に離婚が困難になることを前提としているわけではありません。
そのため、専業主婦であることだけを理由に離婚を諦めるのではなく、まずは法律上どのような考え方や制度があるのかを整理したうえで、離婚と生活の問題を切り分けて冷静に判断することが重要です。
専業主婦の離婚に伴う不安の多くは、適切な請求や手続を行うことで解消できる性質のものと言えます。
専業主婦が離婚で直面しやすい不安とリスク
専業主婦が離婚を考えるとき、多くの方が最初に抱くのが、離婚後の生活に対する不安です。収入がない、あるいは長期間仕事から離れている状況では、住居や生活費、子どもの養育など、将来の生活を具体的に想像しにくくなります。この不安が強い状態では、冷静に条件を整理することが難しくなる傾向があります。
次に見落とされがちなのが、夫婦間で生じやすい情報量の差による交渉上の不利です。家計管理や財産の名義が配偶者側に集中している場合、財産や収入の全体像を十分に把握しないまま話し合いが始まってしまうことがあります。その結果、何を基準に条件を判断すべきか分からないまま交渉が進み、不利な前提で合意してしまうおそれがあります。
こうした状況の中で起こりやすいのが、早く離婚を成立させたいという気持ちが先行し、条件の検討が不十分なまま合意してしまうリスクです。精神的な負担が大きい状態では、「とにかく離婚したい」という思いが強くなり、将来の生活への影響を十分に考えられなくなることもあります。
離婚が成立した後で、「想定していたより生活が苦しい」「取り決めが曖昧で支払いが安定しない」といった問題が生じても、離婚後に合意内容を修正することは容易ではありません。特に金銭条件については、一度合意してしまうと再交渉が難しくなるのが実情です。また、専業主婦の離婚では、相談相手が限られたまま一人で判断を重ねてしまうケースも少なくありません。不安や焦りが強い状態では、感情面の問題と法的に整理すべき問題が混在し、結果として不利な合意につながる判断ミスが起こりやすくなります。離婚を検討する段階では、まずどのような不安やリスクがあるのかを整理し、拙速な判断を避ける姿勢が重要です。
財産の管理をしていない専業主婦の場合、財産分与のイメージをしづらいケースは少なくありません。離婚後の生活設計が容易でないということにもつながるため、できるだけ財産状況を把握しておきたいところです。
離婚前に専業主婦が必ず準備すべきこと
専業主婦が離婚で不利にならないためには、離婚前の準備が結果を大きく左右します。感情的に話し合いを始めてしまうと、後から修正が難しい条件で合意してしまうおそれがあるため、事前に整理すべき事項を把握しておくことが重要です。
まず取り組むべきなのは、配偶者の収入や家庭の財産状況を把握することです。預貯金、不動産、生命保険、株式、退職金など、婚姻中に形成された財産は、名義にかかわらず財産分与の対象になる場合があります。家計管理を配偶者に任せていた場合でも、通帳の写しや保険証券、源泉徴収票、確定申告書など、客観的な資料を可能な範囲で確保しておくことが重要です。離婚の話し合いが本格化した後では、こうした資料の入手が難しくなることもあります。
次に、別居を検討している場合には、そのタイミングや方法にも注意が必要です。別居そのものが直ちに不利になるわけではありませんが、別居開始時点は、婚姻費用の請求や離婚条件の判断に影響することがあります。生活費の見通し、住居の確保、子どもの生活環境などを整理しないまま別居に踏み切ると、想定外の負担が生じることもあります。別居前に生活設計の仮置きを行うことが、後の交渉を安定させます。
子どもがいる場合には、離婚後の生活をより具体的にイメージしておくことが欠かせません。住居、学校、保育環境、送迎や日常のサポート体制など、離婚後の監護体制を現実的に整理しておくことが、親権や養育費の話し合いにも影響します。抽象的な不安のままではなく、想定する生活像を言語化しておくことで、条件交渉の軸が定まりやすくなります。
さらに、離婚に伴う金銭条件について、あらかじめ優先順位をつけておくことも重要です。財産分与、養育費、婚姻費用、慰謝料など、複数の要素が絡む中で、すべてを同時に最大化することは現実的ではありません。どの条件を重視するのかを整理しておくことが、冷静な判断につながります。たとえば、当面の生活資金を重視するのか、長期的な安定を優先するのかで、交渉の着地点は変わります。
これらの準備を一人で進めることが難しい場合には、早い段階で専門家に相談することも選択肢の一つです。離婚前の段階で状況を整理し、見落としやすいポイントを確認しておくことで、拙速な判断を避けることができます。専業主婦であることを理由に準備を後回しにせず、できることから着実に整えていく姿勢が重要です。
専業主婦が離婚時に受け取れるお金
専業主婦が離婚を考える際、もっとも大きな不安になりやすいのが、離婚後の生活費をどう確保するのかという点です。収入がない、あるいは収入が十分でない状況では、離婚そのものをためらってしまう方も少なくありません。
しかし法律上は、専業主婦であっても、離婚に際して経済的な調整が行われることが前提とされています。その内容は一つではなく、目的や時期によって複数に分かれています。順番に整理して理解することが重要です。
財産分与
財産分与は、離婚時に中心となる考え方です。
これは、結婚している間に夫婦が協力して築いた財産を、離婚時に分けるという考え方を指します。
対象となるのは、預貯金、不動産、生命保険の解約返戻金、株式や投資信託、退職金などです。重要なのは、これらの財産が誰の名義かではなく、結婚期間中に形成されたかどうかです。専業主婦で収入がなかった場合でも、家事や育児を担い家庭を支えてきたことは、財産形成への貢献として評価されます。
専業主婦の方が誤解しやすいのが、「名義が配偶者だから自分には権利がない」という考え方です。しかし、名義だけを理由に分けられないわけではありません。内容を確認しないまま合意してしまうと、本来分けることができた財産を見落とすおそれがあります。
また、財産分与は当然に支払われるものではなく、話し合いの中で整理しなければならない事項です。離婚を急ぐあまり十分な確認をしないまま合意してしまうと、後から修正することは容易ではありません。
別居中の生活費(婚姻費用)
別居を伴う離婚では、離婚が成立するまでの生活費が問題になります。
法律上、夫婦は婚姻関係が続いている限り、互いの生活を支えるよう配慮すべきとされています。この考え方に基づき、別居中であっても、収入の多い側が少ない側の生活費を分担すべきとされます。
専業主婦の場合、「別居した以上、自分で生活費を賄わなければならない」と考えてしまうことがあります。しかし、別居したからといって直ちに生活費の分担関係がなくなるわけではありません。収入状況に差がある場合には、生活費の支払いが問題になることがあります。
実務上注意すべきなのは、生活費は請求しなければ話題に上らないことが多い点です。請求をしないまま時間が経過すると、その間の生活費について後から調整することが難しくなるケースもあります。別居を検討する段階で、生活費の扱いをどう考えるのか整理しておくことが重要です。
養育費
子どもがいる場合には、養育費の問題が生じます。
養育費は、子どもが生活し、教育を受け、成長していくために必要な費用を、両親で分担するという考え方に基づくものです。親が専業主婦であるかどうかは、養育費を受け取れるかどうかの判断に直接影響しません。
養育費の金額は、双方の収入や子どもの人数などを踏まえて検討されます。ただし、話し合いだけで決めてしまうと、支払いが滞った場合に対応が難しくなることがあります。実務では、「最初は払われていたが途中で止まった」「約束が曖昧で請求できない」といった相談も少なくありません。
離婚後の生活を安定させるためには、養育費について、金額や支払期間、支払方法をできる限り明確にしておくことが重要です。
慰謝料
慰謝料は、離婚の原因が一方の行為にある場合に問題になります。不貞行為や暴力などが代表的です。
一方で、離婚すれば必ず慰謝料が支払われるわけではありません。性格の不一致や価値観の違いなどの場合には、慰謝料が認められないこともあります。
専業主婦の方の中には、慰謝料を前提に生活設計を立ててしまうケースもありますが、実際には認められない場合も少なくありません。慰謝料は、条件がそろった場合に限って問題になるものとして整理しておく必要があります。
年金分割
専業主婦の離婚で見落とされやすいのが年金分割です。
年金分割とは、結婚期間中に配偶者が納めていた厚生年金の記録を分け合い、将来受け取る年金額に反映させる仕組みです。
年金分割は自動的に行われるものではなく、離婚時に手続が必要です。離婚直後は生活の立て直しに意識が向きやすく、将来の年金について後回しにしてしまうこともありますが、専業主婦の場合、老後の生活に直接影響するため、見落とさないことが重要です。
お金の問題をどう整理するか
専業主婦が離婚時に関係するお金は、すべて同じ意味を持つものではありません。
財産分与は過去の結婚生活の清算、別居中の生活費や養育費は現在の生活を支えるための調整、年金分割は将来の生活への備えというように、それぞれ役割が異なります。
これらを一つにまとめて考えるのではなく、時間の流れに沿って整理することで、離婚後の生活を現実的に見通しやすくなります。
専業主婦が離婚で損をしやすい典型パターン
専業主婦の離婚では、「知らなかった」「深く考えずに進めてしまった」ことが原因で、不利な結果につながるケースが少なくありません。ここでは、実務上よく見られる損をしやすい典型パターンを整理します。
まず多いのが、財産の内容を十分に確認しないまま話し合いを進めてしまうケースです。預貯金や不動産、保険、退職金などは、名義が配偶者であっても財産分与の対象になる可能性があります。しかし、「自分は収入がないから関係ない」と思い込み、内容を把握しないまま合意してしまうと、本来受け取れたはずの財産を見落とすことになります。
次に、口約束を前提に離婚してしまうケースも少なくありません。「養育費は払うつもり」「落ち着いたら支払う」といった言葉を信じて書面を作らずに離婚すると、後から支払いが止まった場合に対応が難しくなります。離婚時には円満でも、時間の経過とともに状況が変わることは珍しくありません。
また、別居を先に始めてしまい、条件整理が後回しになるケースも注意が必要です。勢いで家を出てしまうと、生活費の確保や子どもの生活環境について十分な準備ができないまま別居生活が始まります。その結果、交渉上不利な立場に立たされることもあります。
さらに、「早く終わらせたい」という気持ちを優先してしまうことも、損につながりやすい要因です。精神的な負担が大きい状況では、条件を細かく詰めることを避けたくなりがちですが、離婚後に条件をやり直すことは簡単ではありません。専業主婦の離婚で重要なのは、我慢強さではなく整理力です。感情だけで進めず、何を確認し、何を決めてから離婚するのかを意識することが、結果として不利益を避けることにつながります。
別居を選ぶ場合の注意点
離婚を検討する過程で、先に別居を選ぶケースは少なくありません。別居は、冷却期間を設けたり、生活を切り分けて考えたりするうえで有効な選択になることもあります。ただし、別居は離婚とは異なり、法的な夫婦関係は続いたままである点を正しく理解しておく必要があります。
まず注意したいのは、別居を始めるタイミングです。別居開始時点は、別居中の生活費の考え方や、後の離婚条件の判断に影響することがあります。準備が不十分なまま家を出てしまうと、住居費や生活費の負担が想定以上に重くなり、精神的にも追い込まれてしまうおそれがあります。
次に重要なのが、別居中の生活費の扱いです。別居をすると「自分の生活費はすべて自分で賄うもの」と思い込んでしまう方もいますが、別居していても婚姻関係が続いている以上、生活費の分担が問題になることがあります。別居後の生活を安定させるためには、この点をあらかじめ理解しておくことが重要です。
また、別居の仕方によっては、後の話し合いで不利に受け取られてしまうこともあります。たとえば、十分な説明をしないまま突然家を出た場合、相手との関係が一気に悪化し、話し合いが難しくなることがあります。感情的な対立が強まると、条件交渉が長期化する要因にもなります。子どもがいる場合には、別居中の生活環境にも注意が必要です。住居、学校、保育環境、日常の世話の体制など、別居後も安定した生活を維持できるかどうかは、後の親権や監護の判断にも影響します。勢いで別居するのではなく、子どもの生活を軸に考える視点が欠かせません。
現実の離婚は、同居しながら進めることは難しいケースが多いです。そのため、別居と別居後の生活設計を進めることが、適切な離婚に向けた重要な準備となります。
離婚後すぐ働けない場合の生活設計
離婚後すぐに働けない状況にある専業主婦の方は少なくありません。長期間仕事から離れていた、子どもの世話が必要、体調や精神面に不安があるなど、事情はさまざまです。このような場合に重要なのは、離婚直後から安定した収入を得ることだけを前提に生活を考えないことです。
まず考えるべきなのは、当面の生活をどのように維持するかという点です。離婚時に受け取る財産分与や、子どもがいる場合の養育費、別居中であれば生活費の分担といった仕組みは、働き始めるまでの期間を支えるための調整として位置づけられます。これらを一時的な補助と考えるのではなく、生活設計の中に組み込んで考えることが重要です。
次に、支出を現実的に見直す視点も欠かせません。住居費、食費、教育費などを整理し、最低限必要な生活費がどの程度なのかを把握しておくことで、不安を具体的な数字として捉えることができます。収入の見通しが立たない状況では、支出を把握しておくこと自体が生活の安定につながります。
また、「いつ頃から、どのような形で働くのか」を段階的に考えておくことも重要です。離婚直後からフルタイムで働くことが難しい場合でも、短時間勤務や在宅でできる仕事を検討したり、将来的な就労を見据えて資格取得やスキルの整理を進めたりすることで、選択肢は広がります。今すぐ働けないことと、将来働けないことは別として考える視点が大切です。
離婚後すぐに働けない状況でも、生活が立ち行かなくなるとは限りません。短期的な生活の安定と、中長期的な働き方を切り分けて考え、無理のないペースで生活設計を組み立てることが重要です。
別居は、離婚に向けた一つの過程にすぎません。別居そのものが目的になってしまうと、条件整理が後回しになり、結果として不利な状況に陥ることもあります。別居を選ぶ場合には、なぜ別居するのか、別居中に何を整理するのかを明確にしたうえで進めることが重要です。
子どもがいる専業主婦の離婚で重要な点
子どもがいる専業主婦の離婚では、金銭面だけでなく、子どもの生活環境をどう維持するかが大きなテーマになります。離婚の可否や条件を考える際には、子どもの生活への影響を最優先に整理する視点が欠かせません。
まず重要になるのが、親権と日常の世話(監護)の考え方です。実務上は、これまでどのように子どもの世話をしてきたか、誰が日常的に関わってきたかといった点が重視されます。これまでの監護実績が判断の基礎になるため、離婚後の生活像を具体的に想定しておくことが大切です。
次に、子どもの生活環境の継続性にも注意が必要です。住居、学校、保育園、交友関係など、急激な変化は子どもに負担を与えることがあります。離婚後にどこで、どのような生活を送るのかを整理しておくことで、話し合いの際にも現実的な判断がしやすくなります。
また、養育費の取り決めは、子どもの生活を支えるうえで欠かせません。養育費は親のためではなく、子どものための費用です。感情的な対立から養育費の話し合いを後回しにしてしまうと、離婚後の生活が不安定になるおそれがあります。金額や支払方法をできる限り具体的に決めておくことが重要です。
さらに、離婚を巡る話し合いが長引くと、子どもが精神的な負担を抱えることもあります。親の事情をそのまま背負わせるのではなく、子どもの年齢や状況に応じて、必要な配慮を行う姿勢が求められます。子どもがいる場合の離婚では、「大人の都合」をどこまで調整できるかが結果に影響します。子どもの生活と将来を軸に考えることが、結果として安定した離婚条件につながります。
利用できる制度と支援
専業主婦が離婚後の生活を考える際、公的な制度や支援は「あるかどうか」ではなく、どのタイミングで、何を使えるのかを具体的に把握しておくことが重要です。制度を知らないまま離婚してしまうと、本来使えた支援を逃してしまうこともあります。
まず、子どもを養育するひとり親世帯で問題になりやすいのが、毎月の生活費です。一定の所得要件を満たす場合、児童扶養手当を受けられる可能性があります。これは、子どもを育てる家庭の生活を補うための給付で、収入や子どもの人数によって金額が決まります。ただし、申請しなければ支給されず、離婚後すぐに自動的にもらえるわけではありません。
次に確認しておきたいのが、医療費や教育費に関する支援です。多くの自治体では、子どもの医療費助成が設けられており、自己負担額が大きく軽減されることがあります。また、就学にあたって必要な費用について、減免や補助が受けられる制度が用意されている場合もあります。これらは自治体ごとに内容が異なるため、離婚後に住む地域での制度確認が欠かせません。
住居に関する支援も、生活を安定させるうえで重要です。離婚後に住まいを確保できない場合、公営住宅への入居を検討できることがあります。収入要件や世帯状況によっては優先的に扱われるケースもありますが、申込みから入居まで時間がかかることが多いため、早めの情報収集が必要です。
また、すぐに働けない、あるいは将来的に安定した仕事に就きたい場合には、職業訓練や就労支援の利用が選択肢になります。ハローワークや自治体の窓口では、職業訓練の案内や就労相談を受けることができ、資格取得を支援する制度が用意されていることもあります。これらは、離婚直後の生活を直接支えるものではありませんが、中長期的な自立を見据えた支援として位置づけられます。
注意したいのは、これらの制度の多くが「申請主義」である点です。知っている人だけが使える仕組みであり、期限や要件を逃すと利用できなくなることもあります。離婚後に余裕がなくなってから調べるのではなく、離婚前後のどの段階で何を使う可能性があるのかを整理しておくことが、生活の安定につながります。
制度や支援は、離婚後の生活を全面的に保障するものではありません。しかし、具体的な内容を理解したうえで組み合わせて活用することで、経済的・精神的な負担を大きく軽減することが可能です。
合意書を作成しないリスク
離婚の話し合いがまとまったとしても、合意内容を文書に残さないまま離婚してしまうことには大きなリスクがあります。口約束だけで離婚すると、後になって認識の違いが表面化し、「言った」「聞いていない」といった争いに発展しやすくなります。
特に問題になりやすいのが、財産分与や養育費などの金銭条件です。離婚時には「きちんと支払うつもりだった」「払えるときに払うつもりだった」と言われていたとしても、書面がなければ支払いが滞った際に具体的な請求が難しくなることがあります。離婚後しばらくしてから生活が苦しくなり、初めて問題に気づくケースも少なくありません。
また、合意内容が曖昧な表現のままだと、解釈の違いが生じやすくなります。たとえば、「生活が落ち着いたら支払う」「状況を見て金額を決める」といった表現は、いつ、いくら、どのように支払うのかが不明確です。合意時には問題がないように見えても、後から条件を巡って争いになるおそれがあります。
さらに、一度離婚が成立してしまうと、合意内容を後から修正することは容易ではありません。相手が話し合いに応じなくなった場合、改めて調停や裁判といった手続きを取らなければならず、時間や精神的な負担が大きくなります。離婚前に合意書を作成しておくことは、将来のトラブルを防ぐための予防策といえます。
離婚時は精神的に余裕がなく、「早く終わらせたい」という気持ちが先行しがちです。しかし、その場の負担を軽くするために合意書の作成を省いてしまうと、後になってより大きな負担を抱えることになりかねません。離婚条件を確実に実現するためには、合意内容を具体的に整理し、書面として残しておくことが重要です。
専業主婦の離婚で弁護士に相談するメリット
専業主婦が離婚を考える際、「弁護士に相談するほどのことなのか」と迷う方は少なくありません。しかし、専業主婦の離婚では、情報量や交渉力の差が結果に影響しやすく、早い段階で状況を整理できるかどうかが重要になります。
まず大きなメリットは、自分の立場や権利を客観的に把握できることです。専業主婦の場合、収入がないことから「不利なのではないか」と感じがちですが、法律上どのような請求が可能なのか、何が認められにくいのかを整理することで、不安を具体的な論点に置き換えることができます。
次に、話し合いの進め方を整理できる点も重要です。離婚の交渉では、感情が先行すると条件の検討が後回しになりやすくなります。弁護士に相談することで、どの条件を優先すべきか、どの点で譲れないのかを事前に整理でき、拙速な合意を避けやすくなります。
また、相手との情報格差を是正できることも見逃せません。配偶者が家計や財産の管理をしている場合、専業主婦側は不利な前提で交渉を始めてしまうことがあります。交渉の土台となる情報を整理し、適切な主張につなげられる点は、実務上の大きなメリットです。
さらに、合意内容をどのような形で残すべきかについても助言を受けることができます。口約束で済ませてしまいがちな条件を、後のトラブルが生じにくい形で整理することは、離婚後の生活を安定させるうえで重要です。専業主婦の離婚では、「何となく進めてしまうこと」が最大のリスクになります。弁護士への相談は、必ずしもすぐに依頼することを意味するものではなく、判断の材料をそろえるための手段として位置づけることができます。早い段階で情報を整理しておくことが、結果として後悔の少ない離婚につながります。
具体的な進め方は、やはり弁護士のような専門家の意見を仰いで決めることが望ましいです。特に専業主婦の場合、別居や離婚の後にどんな生活をしていくのか、という検討が容易ではないため、後の生活のために取り得る手段を正しく把握しておくことが肝要です。
専業主婦の離婚についてよくある質問
Q1. 専業主婦だと離婚で不利になりますか?
A. 専業主婦であること自体が不利になることはありません。 収入の有無だけで離婚の可否が決まるわけではなく、婚姻中の貢献は家事や育児も含めて考慮されます。
Q2. 収入がなくても離婚できますか?
A. 収入がなくても離婚は可能です。 離婚が成立するかどうかと、離婚後の生活設計は分けて考える必要があります。財産分与や養育費、別居中の生活費の分担などを踏まえて整理します。
Q3. 別居しないと離婚できませんか?
A. 別居は離婚の必須条件ではありません。 当事者の合意が整えば別居をせずに離婚が成立することもあります。話し合いが難しい場合に別居が選択肢になることもあります。
Q4. 慰謝料は必ずもらえますか?
A. 離婚すれば必ず慰謝料が発生するわけではありません。 慰謝料は、不貞行為や暴力など離婚原因となる事情がある場合に問題になります。性格の不一致などでは認められないこともあります。
Q5. 養育費は支払われ続けますか?
A. 取り決めが曖昧だと、支払いが止まるケースもあります。 金額、支払方法、支払期間などを具体的に定め、合意内容を記録として残すことが重要です。
Q6. どの段階で相談すべきですか?
A. 離婚を決意する前の段階でも、状況整理のために相談することは可能です。 早い段階で論点や条件の優先順位を整理しておくことで、拙速な合意を避けやすくなります。
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特設サイト:藤垣法律事務所
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藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介
全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。









