不同意わいせつに強い弁護士へ依頼する方法|重要ポイントを詳細解説

不同意わいせつで逮捕や取調べを受けてしまうと、前科や社会的信用の失墜といった重大な結果につながる可能性があります。突然の事態に動揺し、「どう対応すればよいのか」と悩む方も少なくありません。こうした状況を打開するには、不同意わいせつ事件に精通した弁護士へ早期に相談し、適切な弁護活動を受けることが不可欠です。本記事では、不同意わいせつに強い弁護士へ依頼する方法や、相談時の重要ポイントを分かりやすく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

目次

不同意わいせつとは

不同意わいせつとは、相手の同意を得ないままわいせつな行為を行う犯罪です。
2023年の刑法改正(令和5年7月施行)により、従来の「強制わいせつ罪」(旧刑法第176条)は廃止され、新たに「不同意わいせつ罪」(刑法第176条の2)が設けられました。改正の趣旨は、被害者の「不同意」を中心に構成要件を整理し、より明確に性的自己決定権を保護することにあります。

不同意わいせつ罪に該当し得る行為としては、例えば以下のようなものがあります。

・酔って意識がもうろうとしている人への性的接触
・教師や上司などが地位・影響力を利用して性的行為を迫る場合
・恐怖や威圧によって事実上抵抗できない状況での性的行為

これらはいずれも明確な「暴行・脅迫」がなくても、被害者の自由な意思に反して行われた場合には処罰の対象となります。

さらに、16歳未満の者に対する性的行為は、相手の同意があっても処罰されます(刑法第176条の3)。これは、未成年者が十分な判断能力を持たないと考えられているためであり、特に児童を性的搾取から守る趣旨によるものです。

不同意わいせつの種類

不同意わいせつには、行為の態様や被害者の状況に応じて類型が設けられています。
主な不同意わいせつの種類としては、以下のものが挙げられます。

刑法第176条第1項(不同意わいせつ)

次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し、又は全うすることが困難な状態にさせ、又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。

一 暴行又は脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、又は驚愕させること、又はその事態に直面して恐怖し若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

引用:刑法|e-Gov法令検索

第1号 暴行・脅迫によるわいせつ
物理的暴力や脅迫により被害者の自由意思を抑圧した上で行われる行為。
例: 押さえつけて触る、「叫んだら殴る」と脅す。

第2号 心身の障害を利用したわいせつ
被害者が心身の障害により判断能力や抵抗能力を欠いていることを利用した行為。
例: 精神障害、身体麻痺、知的障害などを悪用。

第3号 薬物・アルコールによる抵抗困難化
薬物や酒類を摂取させて意識・判断を鈍らせ、その状態で行う行為。
例: 催眠薬を混入して昏睡させる、酔わせて性的接触をする。

第4号 睡眠・意識不明状態の利用
睡眠中や意識がもうろうとしている状態を利用して行う行為。
例: 就寝中の人に性的接触をする、意識を失った人に触れる。

第5号 抵抗・拒否のいとまを与えない行為
突然の接触などで、被害者が同意の意思を形成・表明する暇がない状態を利用。
例: 不意に身体を触る、予告なしに密着行為をする。

第6号 恐怖・驚愕を利用した行為
予想外の事態により恐怖・驚きで抵抗できない状態を利用して行う。
例: 突発的に閉鎖空間に押し込む、驚かせて逃げられない状態にする。

第7号 虐待の影響による心理的支配の利用
過去の虐待によって加害者に逆らえない心理状態を利用した行為。
例: 家族内虐待・DV被害を受けた人に対する性的行為。

第8号 社会的・経済的地位による影響力の利用
被害者が職場・教育・経済関係などで不利益を恐れて拒絶できない状況を利用。
例: 上司・教員が地位を利用して性的行為を迫る。

さらに、同条第3項では、性的自己決定能力が未成熟な年少者を特に保護する趣旨の規定が設けられています。

第3項
16歳未満の者に対してわいせつな行為をした者(13歳以上の場合は、行為者が5歳以上年長であるときに限る)も、第1項と同様に処罰する。

・13歳未満:同意の有無にかかわらず処罰
・13歳以上16歳未満で5歳以上年長者:同意があっても処罰

不同意わいせつの罰則

不同意わいせつの罰則は、6か月以上10年以下の拘禁刑と定められています。

初犯であっても、行為態様が悪質な場合や被害者の受けた精神的被害が大きい場合には、実刑判決となる例もあります。
逆に、示談の成立や反省の状況などが考慮されれば、執行猶予付き判決となる可能性もあります。

不同意わいせつ罪は親告罪ではありません。被害者が告訴を取り下げても、検察官の判断で起訴される可能性があります。
そのため、事件化した場合は、早期に弁護士の助言を得て対応方針を立てることが極めて重要です。

起訴の方法には、公判請求(公開の法廷を開く手続)と略式手続(公開の法廷を省略する手続)がありますが、略式手続は罰金又は科料を科す際の手続です。
この点、不同意わいせつ罪には罰金刑の定めがないため、略式手続を採ることができず、起訴された場合には公開の法廷が開かれます。

不同意わいせつは逮捕されるか

不同意わいせつ事件は,逮捕の可能性が非常に高い事件類型ということができます。捜査機関が被疑者を特定した場合,逮捕した上で被疑者に対する捜査を行うことが数多く見られるところです。
その理由としては,以下のような点が挙げられます。

不同意わいせつ事件における逮捕の理由

1.事件の重大性

2.被害者保護

3.余罪の可能性

【1.事件の重大性】

不同意わいせつ事件は,類型的に重大な事件と評価されやすいものです。そして,重大な事件類型の場合,刑事処分も重大なものになりやすいことから,捜査段階では逃亡や証拠隠滅の恐れがより強く懸念される傾向にあります。

そのため,重大事件と評価できる不同意わいせつ事件では,被疑者が逃亡をしたり,必要な証拠を隠滅したりと,捜査に支障が生じる行動がなされることを防ぐため,逮捕をする可能性が高くなります。

【2.被害者保護】

不同意わいせつ事件の捜査は,被害者による被害申告をきっかけとして開始されることがほとんどです。そのため,加害者が捜査を受けることとなれば,被害者が捜査機関に被害申告をしたことが加害者にも分かることとなります。

そうすると,加害者によっては,報復的な行動として被害者に何らかの危害を加えようとする恐れが考えられます。不同意わいせつ事件の場合,被害者の生活圏などを加害者が把握している場合も少なくないため,待ち伏せや尾行などによって被害者への接触を図ることも不可能でないケースが多いでしょう。

加害者による危害や接触から被害者を保護するため,加害者を逮捕して物理的に切り離す措置が取られやすい傾向にあります。

【3.余罪の可能性】

路上などで見知らぬ被害者へのわいせつ行為に及ぶ事件の場合,不特定多数の被害者に対する余罪の可能性が懸念されます。そのため,一つの事件で逮捕せず捜査を進めていると,余罪に関する重要な証拠が隠滅されてしまう可能性が懸念されます。

そこで,余罪が想定される事件の場合は,被疑者を逮捕し,証拠隠滅の機会を奪った上で余罪を含めた捜査を行うことが多く見られるところです。

ポイント
不同意わいせつ事件は逮捕の可能性が高い事件類型

不同意わいせつに強い弁護士に依頼するメリット

① 逮捕を防げる

不同意わいせつ事件では、早期に弁護士へ依頼することが逮捕を防ぐための重要な手段となります。
弁護士が速やかに介入することで、警察による身柄拘束(逮捕)を回避し、在宅での捜査に切り替えられる可能性が高まります。

弁護士は警察や検察と事前に連絡を取り、依頼者の出頭対応や事実関係の整理を行いながら、「逮捕の必要性がない」ことを積極的に主張します。これにより、逮捕状が発付されても執行を見送られる、あるいはそもそも請求自体を回避できるケースもあります。

弁護士が行う主な逮捕回避のための活動

・警察への出頭日程の調整と同行
弁護士が同席することで逃亡や証拠隠滅の疑いを払拭し、在宅捜査の可能性を高めます。
・被害者との示談交渉
示談成立や告訴の取下げは、逮捕回避に直結する重要な要素です。
・逃亡、証拠隠滅の恐れがないことの説明
生活基盤や職業、家族関係を整理し、身柄拘束の必要がないことを丁寧に主張します。
・反省。再発防止の姿勢の提示
誠実な対応や再発防止策の提示により、捜査機関の判断に良い影響を与えます。

また、弁護士は身元引受人としての役割を担うこともあり、依頼者が社会的に安定した立場にあることを示すことができます。
こうした要素が総合的に評価されることで、警察や検察が「身柄拘束の必要なし」と判断する可能性が高まります。

不同意わいせつ事件は社会的影響が大きく、逮捕されると仕事や家庭に深刻な支障を及ぼしかねません。
早期に弁護士へ相談し、適切な対応を取ることが、逮捕回避とその後の生活の安定につながります。

不同意わいせつの場合、放置していれば逮捕されてしまうケースが多いです。しかし、適切な対処をすることで逮捕を防げるケースもあり得るため、弁護士を通じて逮捕回避を目指すメリットは非常に大きいと言えます。

② 報道を防げる

不同意わいせつ事件で逮捕されると、報道による社会的ダメージが非常に大きな問題となります。
刑事処分を受ける前であっても、実名報道がなされれば、職場・家族・地域社会に重大な影響を及ぼすおそれがあります。

しかし、早期に弁護士へ依頼することで報道リスクを大幅に低減できる可能性があります。
弁護士は事件の進行段階に応じて、報道を防ぐための複合的な対応を行います。

弁護士が行う報道防止のための主な対応

・逮捕前の任意捜査段階での調整
弁護士が警察や検察と連絡を取り、身柄拘束を避けることで報道対象となる状況を防ぎます。
・報道機関への自粛要請
弁護士を通じて報道各社に対し、事件の性質・被疑者の社会的立場・家族への影響などを理由に、報道を控えるよう正式に申し入れることがあります。
・示談交渉による早期解決
被害者との示談成立により、事件が穏便に処理されれば、社会的関心が低下し報道の必要性も減少します。

報道被害は、刑事処分よりも社会的・経済的な損失を招くことがあります。
早期に弁護士へ相談することで、逮捕と報道の双方を防ぎ、生活への影響を最小限に抑えられる可能性が格段に高まります。

③ 示談ができる

不同意わいせつ事件において、示談は被害者との関係修復と刑事処分の軽減を図るうえで極めて重要な手段です。
示談が成立すれば、被害者が「処罰を望まない」意思を示したことになり、検察官の起訴判断や裁判での量刑に大きな影響を及ぼします。
とくに初犯や反省が認められる場合、示談成立によって不起訴処分となる可能性が高まります。

弁護士が示談交渉を行うメリット

・被害者との直接接触を避けられる
加害者本人が連絡を取ると、威圧的と受け取られるおそれがあります。弁護士を通すことで心理的負担を軽減できます。
・適正な示談条件の設定
法的知識に基づいて、金額や謝罪内容、再発防止策などを適切に調整します。
・示談書の作成と法的効力の確保
形式や文言の誤りを防ぎ、刑事手続でも有効な書面として整備します。
・被害者の心情に配慮した交渉
感情面を理解しつつ、誠実で円滑な交渉を進めることが可能です。

示談交渉は、事件発覚後できるだけ早い段階で開始することが重要です。
時間が経過すると被害者の処罰感情が強まり、示談成立が難しくなる傾向があります。
そのため、事件が発生または発覚した直後に弁護士へ相談し、示談交渉の準備を進めることが望まれます。

不同意わいせつ事件は、示談の重要性が非常に大きな事件類型です。示談の有無で結果が極端に変わることも珍しくないため、可能な限り示談を目指すのが有益でしょう。

④ 前科を回避できる

弁護士に早期に依頼することで前科を回避できる可能性があります。
弁護士は、証拠の精査や示談交渉を通じて、不起訴処分(特に起訴猶予処分)など前科がつかない形での解決を目指します。

弁護士が前科を防ぐために行う主な対応

・不起訴処分の獲得
検察官が起訴しないよう、証拠関係、反省状況、再発防止策などを丁寧に整理して意見書を提出します。
不起訴処分となれば、前科はつきません。
・被害者との示談成立による情状改善
被害者が処罰を望まない意思を示すことで、検察官が「情状により訴追を猶予」する可能性が高まります。
これにより、前科を回避できるケースが多く見られます。
・逮捕・勾留の回避による早期終結
弁護士が早期に介入し、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを示すことで、逮捕や勾留といった身柄拘束を防ぐことが可能です。
在宅で捜査を受けられる環境を確保すれば、冷静に示談交渉を進めやすくなり、不起訴に結びつくこともあります。

前科の有無は、その後の人生に長期的な影響を与える重大な問題です。
不同意わいせつ事件では、早期に弁護士へ依頼し、不起訴処分を目指して対応を進めることが、前科回避への最も確実な道といえるでしょう。

⑤ 職場や学校への影響を防げる

不同意わいせつ事件で逮捕されると、職場や学校に知られるリスクが極めて高くなります。
身柄拘束が続けば、数日から最長で20日以上の欠勤・欠席を余儀なくされ、その間に職場や学校へ事実が伝わる可能性が高まります。

職場への影響は深刻で、懲戒処分・解雇・自主退職に至るケースも少なくありません。
特に教職員・公務員・金融機関勤務者など、社会的信用を重視する職種では、逮捕や報道による社会的信用の失墜が致命的な打撃となります。

学生の場合も同様に、長期の欠席によって単位取得に支障が出たり、最悪の場合は停学・退学処分となる可能性があります。
また、就職活動中の学生であれば、内定取り消しのリスクも否定できません。

これらの影響を防ぐためには、弁護士へ依頼し事件の早期解決を図ることが非常に有益です。
適切な弁護活動が、人生やキャリアへの影響を最小限に抑える最も確実な手段といえるでしょう。

不同意わいせつ事件では、「逮捕されるかどうか」が社会的ダメージを左右する最大の分岐点です。逮捕され、職場や学校から物理的に切り離されてしまうと、影響が防ぎにくいためです。
そのため、職場や学校への影響防止は、逮捕回避とあわせて試みることが重要になります。

不同意わいせつに強い弁護士を選ぶポイント

①対応の迅速さ

不同意わいせつ事件の弁護活動は,逮捕後,起訴後の対応,示談交渉など,時間的な制約がある中で行わなければならないものが多くなります。そのため,弁護士の対応の迅速さは,時間制限の中で適切な弁護活動を尽くすためには欠かすことができません。

もっとも,弁護士がいつどのような対応をしてくれるかは,個々の弁護士のやり方により様々です。刑事事件のスピード感に合わせた迅速な対応のできる弁護士であれば問題ありませんが,時間制限を軽視したマイペースな弁護活動がなされた場合,活動の時期を逃し,致命的な悪影響につながる可能性も否定できません。

迅速対応を約束してくれるかどうかは,必ず弁護士選びの基準として設けるようにしましょう。

対応のスピードは、弁護士の個性や性格などがはっきりと出やすいポイントです。自分の望むスピード感で対応してくれるかどうかは、その弁護士との相性を図る意味でも重要視するとよいでしょう。

②連絡の綿密さ

不同意わいせつ事件の対応は,事実関係の聴取や示談条件のすり合わせなどに際して,弁護士と依頼者側との綿密な連絡が不可欠です。連携が不十分なまま進めてしまうと,依頼者側の意図や希望に反した内容で弁護活動が進むことになりかねません。

一方で,弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は耳にすることが珍しくありません。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点は,重要な判断基準の一つとするのがよいでしょう。

③過去の解決実績

刑事事件は,過去の先例に沿った判断や運用をされることが一般的です。裁判所は,過去の先例と整合した取り扱いをすることで,公平を保ちながら適切に法律を運用する機関であるためです。

そうすると,先例を把握していること,過去に同種の事件を解決した実績があることは,事件の見通しを正確に持つ上で非常に重要な要素となります。弁護士が依頼者側に案内する見通しのほとんどは,過去の経験か過去の裁判例を根拠にしたものです。

そのため,弁護士選びに際しては,その弁護士が不同意わいせつ事件の解決実績を持っているかどうか,という基準を設けることが有益でしょう。

④法律事務所の場所

身柄事件の場合,弁護活動として「接見」が欠かせません。接見は,ご本人が留置されているところに赴き,弁護士とご本人が対面でコミュニケーションを取ることを言います。

この点,法律事務所の所在地と接見するべき場所(警察所等)の場所があまりに遠いと,接見自体が困難になりやすく,接見ができても回数に限りが生じてしまいます。また,接見費用も高額になることが見込まれます。
そのため,法律事務所と接見場所があまりに遠い場合,解決内容の面でも,解決に必要な費用の面でも,特に慎重な検討が必要になると言えます。

弁護士選びに際しては,法律事務所があまりに遠方でないか,地理的な条件のせいで弁護活動に制限が生じてしまわないか,という点を重要な判断基準の一つとするのが有力でしょう。

身柄拘束のない在宅事件では、地理的な問題を重視する必要まではありません。対面でのやり取りにこだわらない場合は、電話、メール、オンライン通話といった連絡手段が適切に確保されていることに注意の上、柔軟に弁護士選びをしてもよいでしょう。

不同意わいせつで弁護士に依頼するときの注意点

①弁護士との相性の重要性

不同意わいせつ事件では,釈放してほしくても釈放されない,示談したくてもなかなか示談が成立しないなど,焦りを感じる状況になることが珍しくありません。これは,事件の性質上やむを得ないこともであります。

もっとも,依頼者目線では現実に何が起きているか分からないため,全ては依頼した弁護士を通じて教えてもらうほかありません。弁護士の報告内容を心から信頼し,弁護士の活動方針を心から信頼する以外にはない,と言っても過言ではないでしょう。

そして,弁護士の動きを心から信頼できるためには,弁護士との相性や弁護士への信頼感が非常に重要となります。今一つ信頼できないと感じる弁護士が相手だと,「本当に最善の活動をしてくれたのか」「本当に現状はやむを得ないものなのか」という疑念が生じやすくなってもやむを得ません。

弁護活動は必ずしも結果が伴うものでないことを念頭に,心から信頼できる,相性の良い弁護士を選ぶことは非常に大切でしょう。

②土日の対応が必要になり得る

身柄事件の場合,手続によっては土日祝日でも対応が必要なことがあります。例えば,金曜日に逮捕された事件の場合,その後に勾留されるかどうかは土曜日か日曜日に判断されることになりやすく,土日だからといって待ってくれることはありません。

そのため,個別事件の状況に応じて,土日祝日の対応が必要になると見込まれるケースでは,弁護士が土日祝日でも対応可能かどうか,という点を事前に確認することが適切でしょう。
依頼者としては,土日の手続も対応してくれると思っていても,弁護士は土日の手続に対応できない前提で案内をしている場合があります。その点のミスマッチは深刻な問題になりかねないため,事前に注意しておくことをお勧めします。

不同意わいせつ事件の弁護士費用

不同意わいせつ事件を弁護士に依頼する際の費用は、事件の内容や対応段階(逮捕・勾留中か否か)、事務所の料金体系によって大きく異なります。
特に、早期釈放や示談交渉などを含むかどうかで、費用総額に差が生じます。

主な費用の内訳と相場

・相談料
初回相談を無料とする事務所も多く、2回目以降は30分あたり5,000円〜1万円程度が一般的です。
・着手金
弁護活動を正式に依頼する際に支払う費用で、30万円〜50万円程度が相場です。
勾留中の事件や、早期釈放を目指す場合はこれより高くなることもあります。
・報酬金
不起訴処分の獲得や執行猶予判決の獲得など、成果に応じて支払う成功報酬です。
相場は30万円〜50万円前後ですが、難易度や成果の内容によって変動します。
・実費、日当
交通費・書類作成費・接見のための出張費など、実際の支出分が別途請求されます。

事件の難易度にもよりますが、不同意わいせつ事件では総額で60万円〜150万円程度が一般的な目安です。
否認事件や裁判員裁判対象の事案など、複雑・重大な場合はこれを超えることもあります。

費用項目内容相場の目安備考
相談料初回または継続相談の費用初回無料〜30分5,000〜1万円程度初回無料の事務所が多い
着手金弁護活動を正式に依頼する際の費用30万円〜50万円程度勾留中・否認事件では増額の傾向あり
報酬金不起訴・執行猶予など成果に応じて支払う費用30万円〜50万円前後成果内容により変動あり
実費交通費・書類取得費・通信費など数千円〜数万円程度実際の支出額に応じて精算
日当・接見費接見や出張に要する時間的費用1回あたり数万円~事務所によって設定方法が異なる

不同意わいせつの弁護士に関するよくある質問

① 弁護士への依頼で不起訴になるか

認め事件

認め事件の場合には,不起訴となる可能性は示談の成否にかかっていることが大多数です。不同意わいせつ事件で起訴するか不起訴にするかを判断する最も重要な基準の一つが,被害者の意向であるためです。

不同意わいせつ事件の場合,被害者が起訴を望まないにもかかわらず,被害者の意思に反して検察が起訴をすることは考えにくいでしょう。起訴後の手続に被害者の協力が得られなくなる恐れもある上,被害者のプライバシーを保護する観点でも適切な起訴とは言えません。
そのため,認め事件の場合には,被害者との示談が成立している限り,不起訴となる可能性が非常に高いということができるでしょう。

否認事件

否認事件の場合でも不起訴となる可能性は十分にあります。刑事事件は,起訴された事件のほぼすべてが有罪判決となることが広く知られていますが,裏を返せば有罪判決が確実に見込まれる事件以外は不起訴処分とする運用でもあります。
そのため,否認事件では,犯罪の立証が難しく,有罪判決が確実に見込まれるか分からない,という判断に至れば,不起訴となることは大いに考えられます。

特に,不同意わいせつ事件の場合,犯罪事実を裏付ける客観的証拠に乏しいケースが少なくありません。客観的証拠に乏しい場合,それだけ犯罪の立証が困難になりやすいことを意味するため,否認事件で不起訴となる可能性も高くなると言えるでしょう。

ポイント
認め事件は示談の成否にかかっている
否認事件は,客観的証拠に乏しい場合不起訴の可能性が高くなりやすい

② 自首するときは弁護士に依頼すべきか

不同意わいせつ事件で自首を試みる際は,弁護士に依頼し,弁護士と協同して進めることが望ましいでしょう。具体的な理由としては,以下の点が挙げられます。

1.逮捕回避の可能性が高くなる

自首は,逮捕を回避することがその重要な目的の一つです。特に,不同意わいせつ事件は逮捕の恐れが大きくなりやすいため,自首によって逮捕を防ぐ利益が大きな事件類型ということもできます。
もっとも,自首の方法を誤れば,自首による逮捕回避の効果は十分に発揮されず,せっかく自首をしたにもかかわらず不利益の方が際立つ結果にもなりかねません。

この点,弁護士に依頼することで,逮捕回避のために適切な方法で自首を進めることが可能になります。その結果,自首による逮捕回避の可能性がより高くなるということができるでしょう。
自首はリスクも大きい行動であるため,そのメリットを十分に受けられるよう,万全の方法で行うことを強くお勧めします。

2.自首後の手続の流れを把握できる

自首を行う場合の懸念点として,自首をした後に自分がどうなるのか,どのような取り扱いを受けるのか,という点が挙げられます。自首をした場合に自分が受ける取り扱いを想像できないと,自首に踏み切ることも容易ではありません。

この点,弁護士に依頼した場合には,自首後の手続の流れについても弁護士から詳細に案内を得ることが可能です。あわせて,自首後の手続に際してどのような対応を取るのが適切か,という点についても,弁護士の専門的な見解を踏まえて適切な判断をすることが容易になります。
弁護士に依頼をすれば,自首前後を含めた手続の全体像を把握した上で,はっきりと目標やゴールをイメージしながら進めることが可能になるでしょう。

3.適切な自首の方法が分かる

自首を行うにあたって,どのような内容を話すべきかという点は判断の難しい点です。何を話して,何を話さないのか,という判断は,法律の専門家である弁護士の意見を仰いだ上で行うことが適切です。
特に,複数の不同意わいせつ事件に関与しており,いわゆる余罪が存在する場合には,どの事件について話をするのか,どこまで具体的な話をするのか,という問題がより複雑になります。むやみに余罪を伏せようとしても,証拠隠滅の恐れがあると判断されれば自首の効果は半減しますし,言わなくていいことまで話してしまうと,不要だったはずの捜査まで招く可能性があります。

弁護士に依頼し,弁護士の意見を踏まえて自首を行うことで,適切な方法・内容で自首を行うことが可能になるでしょう。また,警察との必要な事前連絡などを弁護士に代わってもらうことで,やり取りの負担を軽減しつつ適切な自首をすることにもつながります。

4.示談に着手できる

不同意わいせつ事件で自首をする場合,その後には示談の試みを行うのが適切です。
被害者との間で示談が成立し,被害者の許しが得られるか,という点は,不同意わいせつ罪の刑事処分の結果に決定的な影響を及ぼしやすいためです。

この点,弁護士に依頼をすることで,弁護士を通じて示談の試みに速やかに着手することが可能です。弁護士がいなければ示談交渉自体を試みることができないため,示談を目指せるかどうか,という点は弁護士の有無による非常に大きな差異と言えるでしょう。

自首を試みる場合であれば,セットで被害者への示談を目指すことが有益です。いずれにしても弁護士を要する以上,早期に弁護士へ依頼し,少しでも早く示談に着手するのが適切と言えます。

不同意わいせつに強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

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