ストーカー事件に強い弁護士に依頼するコツやメリットを詳細解説

ストーカー行為はストーカー規制法により厳しく取り締まられ、対応を誤ると逮捕や身柄拘束、社会的信用の失墜に発展しかねません。早期にストーカー規制法に精通した弁護士へ相談することで、事実関係の整理、警察対応の戦略設計、被害者側との連絡窓口の一本化、示談交渉や誤解解消の方針づくりなど、リスクを最小化できます。本記事では、ストーカー事件に強い弁護士を見極めるコツと、依頼する具体的メリットなどを分かりやすく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

目次

ストーカー行為とは

ストーカー規制法で禁じられている行為には,大きく分けて「つきまとい等」と「位置情報無承諾取得等」があります。

①つきまとい等

恋愛感情が満たされなかったことへの怨恨の感情を満たす目的で,以下の8つのうちいずれかの行為をすることを指します。

つきまとい,待ち伏せ,押しかけ,うろつき
監視していると告げる
面会や交際の要求
粗野又は乱暴な言動
無言電話,連続しての電話・文書・FAX・メール
汚物や動物の死体等の送付
名誉を害する行為
性的羞恥心を害する行為

参照:ストーカー行為等の規制等に関する法律

②位置情報無承諾取得等

同じく,恋愛感情が満たされなかったことへの怨恨の感情を満たす目的での行為ですが,こちらは位置情報の取得に関する以下のいずれかの行為をすることを指します。

GPSによる位置情報の取得
GPSの取り付け

参照:ストーカー規制法が改正されました!

③ストーカー行為

そして,この①つきまとい等や②位置情報無承諾取得等を同一人物に対して反復して行うことを,「ストーカー行為」と言います。
「つきまとい等」や「位置情報無承諾取得等」は,それだけでは刑罰の対象ではありませんが,「ストーカー行為」に当たると刑罰の対象(=犯罪)となります。

ポイント
つきまとい等を同一人物へ反復して行うこと
又は
位置情報無承諾取得等を同一人物へ反復して行うこと
を「ストーカー行為」という

ストーカーに対する刑罰

ストーカー規制法に定められている刑罰は,以下の3種類です。

①ストーカー行為をした場合
1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金

②禁止命令に反してストーカー行為をした場合
2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金

③禁止命令に違反した場合
6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金

つまり,「ストーカー行為」,「禁止命令」の違反,その二つを同時にした場合,の3種類ということになります。

なお,ストーカー規制法違反の行為は,それ自体が暴行・脅迫・器物損壊等の犯罪行為に該当する場合が多いため,ストーカー規制法違反以外にも複数の犯罪が成立し,あわせて処罰されることが多く見られます。

参照:ストーカー行為等の規制等に関する法律 e-Gov法令検索

ストーカー行為の罰則に関係する手続としては、「警告」と「禁止命令」があります。それぞれの内容や特徴は以下のとおりdす。

警告

警察は,「つきまとい等」や「位置情報無承諾取得等」について警告を求める申し出を受け,実際にその行為が反復される恐れがあると認めたとき,さらに反復してはならないと告げることができます。
これを「警告」と言います。

警告は,ストーカー規制法に定められた手続ですが,これに反した場合の罰則はありません
あくまで止めることを求める,という限りの措置です。

もっとも,警告に反すると,後のより重大な手続に発展する可能性が高いため,警告に違反することはお勧めされません。

禁止命令

公安委員会は,「つきまとい等」や「位置情報無承諾取得等」があり,さらに反復して行われる恐れがあると認めるときは,相手方の申し出又は職権により,以下の内容を命令できます。

一 さらに反復してその行為をしてはならないこと
二 さらに反復してその行為が行われることを防止するために必要な事項

これを「禁止命令」と言います。

禁止命令は,その違反に罰則が伴うほど重大な処分ですが,その期間は1年間に限定されます。
ただし,1年ごとに延長することが可能です。

ポイント
警告に法的拘束力はない
禁止命令は法的拘束力あり。違反は犯罪にも
禁止命令違反かつストーカー行為は刑罰が加重される

ストーカー事件に強い弁護士に依頼するメリット

① 不起訴を目指すことができる

刑事事件は,捜査を尽くした後,検察によって起訴されるか不起訴となるかが判断されます。起訴されると,無罪でない限りは刑罰を受けて前科が付きますが,不起訴となれば刑罰を受けることはなく,前科も付きません。そのため,起訴されるかどうかは,今後を左右する極めて重要な事柄となります。

ストーカー規制法違反の場合,弁護士の積極的な動きによって不起訴処分を獲得できる場合が少なくありません。特に,弁護士が間に入れば当事者間で解決(示談)ができる,という場合には,弁護士の有無で起訴か不起訴かが決定的に決まる可能性も高いでしょう。

ストーカー規制法違反の事件で不起訴処分を目指したい場合には,適切な弁護士への依頼を強くお勧めします。

② 示談交渉ができる

ストーカー事件では、被害者との示談が成立するかどうかが、今後の処分に大きな影響を及ぼします。示談がまとまれば、被害者の処罰感情が和らぎ、不起訴や軽い処分につながる可能性が高まります。

もっとも、加害者本人が直接被害者に連絡を取ることは、接触禁止命令や再犯の疑いにつながるおそれがあり、極めて危険です。そのため、弁護士を通じて交渉を進めることが不可欠です。

弁護士が介入することで、被害者の意向を尊重しつつ、適切な謝罪や賠償の方法を提示できます。また、示談書の作成や署名押印の手続きも法的に整えられるため、後に「示談が無効」とされるリスクも防げます。

さらに、弁護士は事件の内容や加害者の状況に応じて、不起訴処分・略式罰金などの有利な結果を目指す戦略を立てることができます。ストーカー事件では、感情的な対立を避け、慎重に信頼関係を再構築する必要があるため、弁護士による示談交渉は最も安全かつ効果的な手段といえます。

ストーカー事件とされるトラブルの場合、「話をしたい」「示談したい」という思いから当事者同士の直接のやり取りをしたくなってしまうケースがあります。しかし、直接のやり取りを目指す動きはデメリットやリスクの方が圧倒的に大きいため、弁護士を通じて冷静に試みるようにしましょう。

③ 処分の見通しがわかる

ストーカー事件では、行為の内容や回数、被害者の心情、示談の有無などによって、最終的な処分が大きく異なります。不起訴となる場合もあれば、罰金刑や懲役刑が科されることもあり、事件の初期段階では先行きが見えにくいのが実情です。

刑事事件に精通した弁護士に依頼すれば、これまでの類似事例や実務運用を踏まえて、「どのような結果になり得るか」「どのような対応を取れば軽い処分につながるか」といった見通しを具体的に示してもらうことができます。

また、弁護士は、被疑者の反省状況、再発防止策、示談交渉の進展などを総合的に整理し、検察官の判断に影響を与えるための戦略を立てます。たとえば、早期に示談を成立させ、誠実な謝罪文を提出することで、起訴猶予や罰金で済む可能性を高めることができます。

このように、弁護士に依頼することで、単に手続きを任せるだけでなく、処分の見通しを踏まえた的確な方針決定が可能となり、不安な状況の中でも冷静に対応できるようになります。

ストーカー事件の処分は、手続の段階によって見通しが大きく分かれます。具体的な見通しは、手続に精通した弁護士に相談・依頼することで明確に把握できるでしょう。

ストーカー事件に強い弁護士を選ぶ基準

① ストーカー規制法の手続を把握しているか

ストーカー規制法違反の事件は,警告や禁止命令といった特徴的な制度があり,手続の流れが他の事件にはない経過をたどることも珍しくありません。弁護士の対応は,手続の流れを正しく理解した上で,それぞれの段階で適切な動き方を判断することが必要となります。

そのため,ストーカー規制法違反の事件で弁護士選びを行う際には,ストーカー規制法違反に関する手続を正しく把握しているかどうかを重要な判断基準とすることをお勧めします。手続の理解があいまいだと,適切な対応方針を判断することができず,結果として不利益につながってしまう可能性も十分に考えられます。

② 具体的な弁護方針を示してくれるか

ストーカー規制法違反の場合,個別の内容や状況に応じて,取るべき方針が大きく変わりやすいところです。相手方への対応一つを取っても,積極的に解決を目指すべき場合もあれば,何もせず相手に接触する意思を示さない方がよい場合もあります。どちらが望ましい動きであるかは,弁護士が専門的な知見をもとに判断するのが適切です。
その他にも,捜査機関に対してはどのような対応を取るべきか,それはどのような理由や目的かなど,明確にすべき方針は多岐に渡ります。

そのため,ストーカー規制法違反の弁護士を選ぶ際には,対応方針,弁護方針の具体的な内容やその理由を示してくれるか,という点を判断基準の一つとすることをお勧めします。弁護方針を示してもらい,その内容や理由に納得することができれば,弁護士選びを後押しする重要な判断材料にもなるでしょう。

ストーカー事件の場合、あえて動かないという選択肢を取るべき場合もあるというのが大きな特徴です。動かないべき状況で何らかの動きをするのは大きなリスクを招くため、弁護士に依頼して慎重に方針を立てましょう。

③ 適切に軌道修正してくれるか 

ストーカー規制法違反の事件は,当事者間のトラブルが発展する形で刑事事件化していることが少なくありません。そのため,互いに相手への感情を強くしており,時に誤った行動に出てしまうこともやむを得ずあり得るところです。
そのため,ストーカー規制法違反の事件を扱う弁護士には,依頼者となる当事者の意向に沿った動きを尽くすのみでなく,必要に応じて依頼者にブレーキをかける役割も求められると言えます。

弁護士探しに際しては,自分が意図せず動きを誤った際に,弁護士が適切に軌道修正してくれるかどうかを判断基準の一つとすることが有力です。具体的には,事前に避けるべき行動を具体的に指摘してくれることや,自分が取るべき行動の方針を具体的に示してくれることを判断の目安にすることが一案でしょう。

④ 事務所所在地

ストーカー規制法違反に関する捜査は,被害者側の居住地に近い警察署で行われることが一般的です。事件の発生場所となりやすいことや,被害者が最寄りの警察署に相談しやすいことなどが大きな理由とされています。そして,弁護活動を行う場合も,内容によっては警察署や被害者の居住地近くに行くなど,その周辺場所での動きが必要となることが考えられます。

そのため,事務所の所在地が被害者方や警察署からあまりに離れている場合,弁護活動に限界が生じてしまう可能性があるため,注意するのが望ましいところです。
必ずしも遠方の弁護士では対応が不可能というわけではありませんが,判断する際の目安の一つとしては持っておくとよいでしょう。

ストーカー事件を弁護士に依頼する場合の費用相場

ストーカー規制法違反で弁護士に依頼する場合、事件の段階や活動内容(逮捕前の助言・釈放活動・示談交渉・不起訴の獲得など)によって、弁護士費用は大きく変動します。

一般的な費用相場の目安は次のとおりです。

項目費用相場(税別)主な内容
着手金30万〜70万円前後弁護活動の初期費用。逮捕・勾留対応を含む場合は高め。
報酬金30万〜70万円前後不起訴・釈放・略式罰金などの有利な結果が得られた場合。
示談交渉費用20万〜50万円程度被害者との示談を成立させるための交渉活動。
日当・実費数万円〜接見交通費・書類取得費など。

ストーカー事件では、被害者対応や示談交渉の難易度が高いため、総額で80万〜120万円程度になるケースもあります。ただし、逮捕前に弁護士へ早期相談できれば、手続が簡略化されて費用を抑えられることもあります。

多くの法律事務所では、初回相談無料や明確な費用見積りの提示を行っています。不起訴を目指す活動や示談交渉の内容を事前に確認し、費用対効果を理解したうえで依頼することが大切です。

ストーカー事件で弁護士に依頼する際の注意点

① あくまで目的は刑事弁護であること

ストーカー規制法違反として問題になる事件の中には,加害者とされている側が相手に強い不満を持っており,相手に態度を改めて欲しい,謝罪してほしい,といった希望のあることが一定数見られます。弁護士へのご相談にも,「相手が間違っている」という主張がメインであることが散見されます。

しかし,ストーカー規制法違反として警察等の取り締まりを受けている状況では,相手の間違いを主張したり,相手への不満を指摘したりすることは不適切です。なぜなら,警察等の捜査機関は,当事者間の仲裁をする立場ではなく,犯罪捜査を行う立場でしかないためです。警察側に聞き入れたり対応したりする意思も必要もない以上,メリットのない動きと言わざるを得ません。

弁護士選びを行う際には,あくまでその目的が刑事事件への対応であること,刑事処罰の回避や軽減のために弁護士選びをしているということを,しっかりと念頭に置くことをお勧めします。

② 弁護士への相談時間に制限があること

弁護士選びに際しては,弁護士との法律相談を行うことが一般的ですが,その相談時間には30分以内,1時間以内といった制限のあることが通常です。この限られた時間の中で,事情を伝え,弁護士の見解を仰ぎ,今後の進め方の判断をする,という手順を踏まなければならないため,明確な目的意識なく相談に臨んでしまうと,相談時間はあっという間に過ぎてしまう可能性が高くなります。

そのため,弁護士選びに際しては,相談時間に限りがあることを踏まえ,時間内に実りある相談ができるよう,相談の目的や聞きたいことをできるだけ整理して臨むことが有益でしょう。

③ トータルの経済的負担を把握しておくこと

弁護士への依頼には,弁護士費用の負担が必要となりますが,具体的な金額や,個別の着手金,成功報酬等の生じる条件は,法律事務所によって様々です。そのため,どのような弁護活動をしてもらえるかと同時に,その活動にはどの程度の費用が見込まれるかを把握することが適切でしょう。
また,ストーカー規制法違反の事件では,相手方(被害者)との間で金銭的な解決を目指すことも有力な手段になりやすいです。もちろん,金銭を支払っての解決を目指す場合,相手方に支払う金銭も負担する必要が生じるため,経済的負担としては,相手への示談金も加味しておく必要があります。

このように,弁護士への依頼には複数の経済的負担が想定され,その金額が一律ではないため,弁護士選びに当たってはトータルの経済的負担がイメージできるよう,注意して検討することをお勧めします。

ストーカー事件を弁護士に依頼する場合のよくある質問

① ストーカー事件の費用相場は?

ストーカー事件を弁護士に依頼する場合の費用相場は、事件の内容や活動範囲によって大きく異なります。一般的には、着手金30万〜70万円前後、報酬金30万〜70万円前後が目安です。逮捕・勾留対応や示談交渉など、弁護士の活動が広範囲に及ぶ場合は、合計で80万〜120万円程度となることもあります。

ストーカー規制法違反の事件は、被害者対応や不起訴活動が重要となるため、経験豊富な弁護士に早期相談することが結果的に費用を抑える近道となります。多くの法律事務所では、初回相談無料や明確な見積り提示を行っているため、依頼前に費用の内訳を確認しておくと安心です。

② ストーカー行為を否認する場合も弁護士は必要?

ストーカー行為を否認している場合でも、弁護士の関与は非常に重要です。なぜなら、ストーカー規制法違反の事件では、被害者の供述やメール・SNSの履歴などが主な証拠となるため、一方的な認識の違いや誤解が原因で立件されることも少なくないからです。

弁護士は、警察や検察の取り調べに対して不利な供述をしないよう助言し、証拠の矛盾点や客観的な事実関係を整理して主張を組み立てることができます。また、違法な取り調べや強要された供述があった場合には、その適法性を厳しくチェックし、不当な起訴を防ぐための弁護活動を行います。

さらに、被害者との接触を避けながらも、誤解を解くための対応策や再発防止策を提示するなど、検察官に対して不起訴処分を求めるための戦略的な働きかけも可能です。

否認事件は、感情的な対立や証拠評価の難しさから、専門的な法的判断が求められます。早い段階で弁護士に依頼することで、不利な展開を防ぎ、自分の主張を的確に伝える体制を整えることができます。

否認事件の場合、対応方針は法的な整理を踏まえて行う必要があります。否認事件では、犯罪が成立するか、という点の法律判断が最大の問題になるためです。

③ 弁護士に依頼するべき悪質なストーカーとは?

ストーカー行為の中には、単なる好意の延長を超えて、刑事処分や逮捕の対象となる「悪質なストーカー」も少なくありません。次のようなケースに該当する場合は、早急に弁護士へ相談・依頼することが重要です。

・繰り返しの接近・待ち伏せ・尾行行為を続けている場合
・SNSやメールでの執拗な連絡・監視行為がある場合
・被害者に対して脅迫・嫌がらせ・暴言を行っている場合
・接近禁止命令や警告を受けたにもかかわらず、行為を継続している場合
・被害者が強い恐怖や不安を訴え、警察が介入している場合

このような行為は、ストーカー規制法上の「つきまとい等行為」や「ストーカー行為」に該当し、逮捕・勾留・起訴に発展するリスクがあります。

弁護士に依頼すれば、警察の捜査対応や被害者との関係調整を通じて、再犯防止策や反省の意思を具体的に示すためのサポートが受けられます。また、示談交渉を適切に行うことで、不起訴処分や刑の軽減を目指すことも可能です。

ストーカー行為が「悪質」と判断される前に、弁護士の介入で早期の解決を図ることが、将来の処分を左右する重要なポイントとなります。

担が想定され,その金額が一律ではないため,弁護士選びに当たってはトータルの経済的負担がイメージできるよう,注意して検討することをお勧めします。

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