痴漢は親告罪?告訴の必要性と示談の影響を弁護士解説

痴漢は親告罪なのか、それとも被害者の告訴がなくても処罰されるのか——この点は、事件に関わる立場によって大きな関心事となります。特に、示談が成立すれば処罰を免れるのではないか、被害者の意思がどこまで影響するのかといった点は、正確に理解しておく必要があります。

結論からいえば、痴漢は原則として親告罪ではなく、被害者の告訴がなくても起訴される可能性があります。もっとも、実務上は示談の成立や被害者の意思が処分に影響する場面もあり、「親告罪のように扱われるのではないか」と感じられることも少なくありません。

こうした誤解は、親告罪という制度の仕組みと、痴漢事件に適用される犯罪類型(迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪)との関係が十分に整理されていないことに起因しています。また、告訴・被害届・示談といった手続が混同されやすいことも、理解を難しくしている要因の一つです。

本記事では、痴漢と親告罪の関係を正確に整理したうえで、告訴の必要性や示談が刑事処分に与える影響について、法律実務の観点から分かりやすく解説します。

なお、痴漢事件の刑罰に関する傾向や判断基準については、以下の記事もご参照ください。
痴漢の刑罰とは?罰金・拘禁刑の基準と重くなるケース

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

痴漢は親告罪ではない|被害者の告訴がなくても起訴される

痴漢事件については、「被害者が告訴しなければ処罰されないのではないか」と考えられることがあります。しかし、結論からいえば、痴漢は原則として親告罪ではなく、被害者の告訴がなくても起訴される可能性があります。

親告罪とは、被害者の告訴がなければ公訴を提起できない犯罪をいいますが、現在の痴漢事件に関係する犯罪類型は、この親告罪には該当しません。たとえば、電車内や公共の場所での痴漢行為は、多くの場合、都道府県の迷惑防止条例違反として処罰の対象となりますが、迷惑防止条例違反は非親告罪とされており、被害者の意思にかかわらず捜査・起訴が可能です。

また、行為態様によっては、刑法上の不同意わいせつ罪が成立することもありますが、こちらも非親告罪とされています。したがって、被害者が告訴をしていない場合であっても、証拠関係が整えば刑事手続は進行し、起訴に至る可能性があります。もっとも、実務上は被害者の意向がまったく考慮されないわけではありません。示談の成立や処罰感情の有無は、捜査や処分判断に一定の影響を与えることがあるため、結果として「被害者の意思が重要である」と感じられる場面もあります。ただし、これはあくまで処分判断における事情の一つにすぎず、親告罪のように「告訴がなければ起訴できない」という性質とは異なる点に注意が必要です。

親告罪とは|告訴がなければ起訴できない犯罪

親告罪とは、被害者などの告訴がなければ公訴を提起できない犯罪をいいます。すなわち、捜査機関が犯罪事実を把握していても、被害者の処罰意思が示されなければ、原則として起訴することができません。

ここでいう「告訴」とは、単に被害を申告するだけでなく、犯人の処罰を求める意思を明確に示す手続を指します。そのため、警察に被害の事実を伝える「被害届」とは異なり、告訴には処罰意思が含まれている点が重要です。

また、親告罪には告訴期間が定められており、通常は犯人を知った日から6か月以内に告訴を行う必要があります。この期間を経過すると、原則として告訴することができなくなり、結果として起訴もできなくなります。

もっとも、すべての犯罪が親告罪であるわけではありません。刑法や特別法においては、一定の犯罪についてのみ親告罪とされており、それ以外の多くの犯罪は、被害者の告訴がなくても起訴できる「非親告罪」とされています。

したがって、ある行為が親告罪に該当するかどうかは、その犯罪ごとに個別に判断されるものであり、一律に決まるものではありません。痴漢事件についても、この区別を正確に理解することが重要となります。

痴漢で成立する犯罪と親告罪の関係

痴漢行為が問題となる場合、具体的にどの犯罪が成立するかによって適用される法律は異なります。しかし、いずれの犯罪類型であっても、現在は親告罪ではなく、被害者の告訴がなくても捜査や起訴が可能とされています。

まず、電車内や駅構内などでの痴漢行為は、多くの場合、各都道府県の迷惑防止条例違反に該当します。公共の場所や乗り物内で他人の身体に触れる行為などが対象となりますが、迷惑防止条例違反は非親告罪とされており、被害者が告訴をしなくても刑事手続が進む可能性があります。

また、行為の態様や悪質性によっては、刑法上の不同意わいせつ罪が成立することもあります。これは、被害者の意思に反してわいせつな行為を行った場合に成立する犯罪であり、身体への接触の程度や状況によって判断されます。不同意わいせつ罪も非親告罪であるため、告訴がなくても起訴され得る点に変わりはありません。

なお、前身の強制わいせつ罪はかつて親告罪とされていましたが、法改正により非親告罪化されています。この点が混同され、「わいせつ行為は親告罪ではないか」と誤解されることもありますが、現在の制度では、告訴の有無にかかわらず刑事責任が問われる仕組みとなっています。

このように、痴漢行為に関して適用される主な犯罪はいずれも非親告罪であるため、「被害者が告訴しなければ処罰されない」という理解は正確ではありません。どの犯罪が成立するかは事案ごとに異なりますが、いずれの場合であっても、告訴の有無にかかわらず刑事責任が問われる可能性がある点に注意が必要です。

被害届・告訴・告発の違い

痴漢事件を含む刑事事件では、「被害届」「告訴」「告発」といった用語が使われますが、それぞれの意味や役割は異なります。これらを正確に理解しておくことは、親告罪かどうかを判断するうえでも重要です。

まず、被害届とは、犯罪の被害に遭った事実を警察などの捜査機関に申告する手続をいいます。被害届には犯人の処罰を求める意思は含まれておらず、あくまで被害の申告にとどまる点が特徴です。したがって、被害届が提出された場合でも、必ずしも処罰が求められているとは限りません。

これに対し、告訴とは、被害者などが捜査機関に対して犯罪事実を申告するとともに、犯人の処罰を求める意思を明確に示す手続をいいます。親告罪においては、この告訴がなければ起訴することができません。そのため、親告罪かどうかを考える際には、告訴の有無が重要な意味を持ちます。

さらに、告発とは、被害者以外の第三者が犯罪事実を申告し、処罰を求める手続を指します。たとえば、目撃者や関係者が捜査機関に申告する場合などがこれにあたります。

もっとも、痴漢事件に関しては非親告罪とされているため、被害届や告訴の有無にかかわらず、捜査や起訴が行われる可能性があります。したがって、これらの違いは制度理解として重要である一方、痴漢事件においては手続や処分を決定づけるものではありません。

親告罪でない痴漢事件の場合、捜査機関が進んで告訴を取り付けることは通常見られません。捜査上の取り扱いも、現実的には被害届とあまり変わらないことが一般的です。

痴漢が「親告罪」と誤解されやすい理由

痴漢は非親告罪であるにもかかわらず、「親告罪のようなものではないか」と誤解されることがあります。こうした誤解が生じる背景には、実務上、被害者の意思が一定の影響を持つ場面があることが挙げられます。

まず、痴漢事件では、示談の成立が処分に影響することがあります。被害者との間で示談が成立し、被害感情が一定程度解消されている場合には、不起訴となる可能性が高まることがあります。そのため、結果として「被害者が許せば処罰されない」と受け止められ、親告罪と同様の仕組みであるかのような印象を与えることがあります。

また、被害者の供述は、痴漢事件において重要な証拠となることが多く、その内容や協力度が捜査や処分に影響を及ぼすこともあります。この点からも、被害者の意思が事件の帰結に関わる場面があることが、親告罪との混同を生む要因となっています。

しかし、これらはあくまで個別事情として処分判断に影響するにとどまり、告訴がなければ起訴できないという親告罪の仕組みとは本質的に異なります。痴漢はあくまで非親告罪であり、被害者の意思とは別に、証拠関係などに基づいて刑事手続が進められる点を正確に理解することが重要です。

痴漢事件を含む性犯罪は、被害者のプライバシーを重視すれば親告罪とする余地もあり得るところです。実際、過去に強制わいせつ罪が親告罪であったのは、被害者のプライバシーを重視する目的であったとの理解が一般的です。

痴漢事件で示談が刑事処分に与える影響

痴漢は非親告罪であるため、示談が成立していなくても起訴される可能性があります。もっとも、実務上は示談の有無や内容が処分判断に影響を与えることがあり、結果として重要な意味を持つ場面が少なくありません。

まず、被害者との間で示談が成立し、被害感情が一定程度解消されている場合には、不起訴となる可能性が高まることがあります。これは、被害回復が図られていることや、処罰の必要性が相対的に低いと評価されることがあるためです。特に初犯や比較的軽微な事案では、示談の成立が処分に大きく影響することがあります。

一方で、示談が成立していない場合には、被害者の処罰感情が残っていると評価されやすく、起訴される可能性が高まる傾向にあります。ただし、示談の有無だけで処分が決まるわけではなく、行為の態様や証拠関係、前歴なども総合的に考慮されます。

また、示談が成立している場合であっても、事案の悪質性が高い場合などには起訴されることもあり、必ずしも不起訴が保証されるものではありません。したがって、示談は重要な要素ではあるものの、処分を一律に左右するものではない点に注意が必要です。

このように、痴漢事件においては、親告罪ではないため告訴の有無が決定的な意味を持つわけではありませんが、示談の成立は実務上、処分判断に影響を与える重要な事情の一つと位置付けられています。

痴漢事件の刑事手続きの流れ

痴漢事件では、一般的に逮捕から起訴の判断に至るまで、一定の刑事手続が段階的に進行します。その流れを理解しておくことは、事件の見通しを把握するうえで重要です。

まず、現行犯で発覚した場合には、その場で逮捕されることがあります。逮捕後は警察による取調べが行われ、必要に応じて身柄が拘束された状態で捜査が続けられます。

その後、事件は検察官に送致され、起訴するかどうかの判断(起訴・不起訴)が行われます。この判断にあたっては、証拠関係や被害者の意向、示談の有無などが総合的に考慮されます。

痴漢は非親告罪であるため、告訴の有無が手続の進行を直接左右するものではありませんが、処分判断の過程ではさまざまな事情が考慮される点が特徴です。

痴漢事件は、現行犯逮捕に始まり比較的スピーディーに手続が進行するケースも少なくありません。

痴漢事件で弁護士に相談するメリット

痴漢事件では、早期の対応がその後の処分に大きく影響することがあります。弁護士に相談することで、状況に応じた適切な対応を検討しやすくなります。

まず、被害者との示談交渉を進めることが挙げられます。痴漢事件では、示談の成立が処分判断に影響することがあるため、弁護士を通じて適切に交渉を行うことが重要です。特に、当事者間で直接連絡を取ることが難しい場合でも、弁護士が間に入ることで円滑に進められる可能性があります。

また、捜査段階から弁護士が関与することで、取調べへの対応や今後の見通しについて助言を受けることができます。これにより、不利な供述を避けるなど、適切な対応をとることが期待できます。さらに、示談の成立や事情の整理を踏まえた弁護活動により、不起訴となる可能性を高めることができる場合もあります。処分の見通しや対応方針は個別事情によって異なるため、早い段階で専門家に相談することが重要です。

痴漢事件の解決や刑事処分の軽減を目指す手段は、示談が最も代表的です。弁護士に示談交渉を依頼することは、痴漢事件への対応として最有力な手段の一つと言えます。

痴漢は親告罪?告訴・示談に関するよくある質問

Q 痴漢は被害者が告訴しなくても処罰されますか

はい、処罰される可能性があります。痴漢は原則として非親告罪とされているため、被害者の告訴がなくても、証拠関係が整えば捜査が進み、起訴されることがあります。特に、防犯カメラの映像や目撃者の証言などの客観的な証拠がある場合には、告訴がなくても刑事手続が進む可能性があります。


Q 痴漢は被害届だけでも捜査されますか

被害届のみでも捜査が行われる可能性があります。被害届は処罰意思を伴わない申告ですが、非親告罪の場合には、これを契機として警察が事実関係の確認や証拠収集を行うことがあります。その結果、証拠が十分にそろえば、告訴がなくても送致・起訴に至ることがあります。


Q 示談が成立すれば必ず処罰されませんか

必ずしも処罰を免れるわけではありません。示談の成立は不起訴となる方向に働くことがありますが、事案の内容や証拠関係によっては起訴されることもあります。特に、行為の態様が悪質と評価される場合には、示談が成立していても刑事責任が問われる可能性があるため注意が必要です。


Q 痴漢で不起訴になることはありますか

不起訴となる可能性はあります。示談の成立や被害感情の程度、証拠関係の状況などが総合的に考慮され、不起訴と判断されることがあります。特に初犯であり、被害回復が図られている場合には、不起訴となる方向で検討されることがありますが、最終的には個別事情によって判断されます。


Q 告訴を取り下げると事件は終わりますか

直ちに事件が終了するわけではありません。痴漢は非親告罪であるため、告訴の有無や取下げによって当然に手続が終了するわけではなく、その後も捜査や処分判断が行われる可能性があります。ただし、告訴の取下げや被害者の意向は、処分判断に影響を与える事情として考慮されることがあります。

まとめ|痴漢は親告罪ではなく示談が処分に影響する

痴漢事件については、「被害者の告訴がなければ処罰されないのではないか」と考えられることがありますが、痴漢は原則として親告罪ではなく、告訴がなくても起訴される可能性があります。

痴漢に該当する行為は、迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪などとして処罰されますが、これらはいずれも非親告罪であるため、被害者の意思にかかわらず刑事手続が進むことがある点が重要です。

もっとも、実務上は示談の成立や被害者の意向が処分判断に影響することがあり、そのために「親告罪のように扱われる」と感じられる場面もあります。しかし、告訴がなければ起訴できないという制度とは本質的に異なるものであり、両者は区別して理解する必要があります。痴漢事件では、事案の内容や対応によって結果が大きく変わることがあるため、制度の正確な理解とともに、早期の対応が重要となります。

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盗撮は親告罪?告訴なしで立件される理由

盗撮は親告罪ではありません。
被害者からの告訴がなければ事件にならない、あるいは示談が成立すれば必ず処罰を免れる、といった理解が広まっている場面もあります。しかし、現在の法制度のもとでは、盗撮行為は原則として非親告罪とされており、告訴がなくても捜査や起訴は進み得ます。

では、なぜ盗撮は親告罪ではないのでしょうか。また、被害者が処罰を望まない場合や、示談が成立した場合には、事件の行方はどのように変わるのでしょうか。さらに、令和5年施行の性的姿態等撮影罪との関係も含め、どの法律で処罰される場合であっても、告訴の有無が直ちに結論を左右するわけではないという点は、正確に理解しておく必要があります。

本記事では、刑事事件を扱う弁護士の立場から、親告罪と非親告罪の制度的な違い、盗撮事件が立件される仕組み、示談の意味と処分への影響を整理します。制度の枠組みを正確に押さえることで、感覚的な情報や断片的な知識に左右されず、今後の対応を冷静に検討できるようになるはずです。

なお、盗撮事件が何の罪に当たるのか、判断基準や刑罰の全体像については、以下の記事もご参照ください。
盗撮は何罪?撮影罪・条例の違いと判断基準を解説

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藤垣圭介

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盗撮は親告罪ではない|告訴がなくても立件される理由

現在、盗撮を処罰する主な犯罪類型は、いずれも非親告罪です。
そのため、被害者からの告訴がなくても、警察は捜査を開始し、検察官は証拠に基づいて起訴の可否を判断することができます。まず押さえるべきは、「告訴がなければ刑事手続が進まない」という制度にはなっていないという点です。

「親告罪」とは、被害者など一定の者による告訴がなければ公訴を提起できない犯罪をいいます。親告罪では、告訴が手続の前提条件であり、告訴が取り消されれば起訴できないなど、被害者の意思が法的に強い意味を持ちます。これに対し、非親告罪では、告訴は起訴の要件ではありません。告訴の有無にかかわらず、公訴提起は可能とされています。

盗撮行為は、各都道府県の迷惑防止条例違反や性的姿態等撮影罪などに該当し得ますが、これらはいずれも非親告罪と位置づけられています。これは、盗撮が個人の性的自己決定権を侵害する重大な行為であり、社会的影響も小さくないことから、処罰の可否を被害者の意思のみに委ねないという立法判断が採られているためです。

そのため、実務上は「被害者が処罰を望んでいない」「告訴しないと言っている」という事情があっても、それだけで事件が終了するとは限りません。証拠が存在し、構成要件該当性が認められれば、警察は捜査を進め、検察官が独自に起訴の可否を判断します。告訴がないことは、不起訴を当然に導く事情ではないのです。

もっとも、被害者の意思が無関係という意味ではありません。示談の成立や被害回復の状況、反省の程度などは、起訴・不起訴の判断において重要な事情として考慮されます。しかしそれは、あくまで裁量判断の一要素にとどまります。制度上の出発点は、盗撮は親告罪ではないという点にあります。

この前提を正確に理解しておくことが、対応を誤らず、今後の見通しを適切に検討するための第一歩となります。

告訴がなくても盗撮事件は逮捕・起訴に進むのか

盗撮を処罰する主な犯罪は非親告罪であるため、被害者が告訴していなくても、事件は逮捕や起訴に進む可能性があります。
もっとも、逮捕や起訴は自動的に決まるものではなく、それぞれ別の観点から判断されます。

逮捕はどのような場合に行われるのか

逮捕は、犯罪をしたと疑うに足りる事情があり、さらに逃げるおそれや証拠を隠すおそれがあると判断される場合などに行われます。現行犯であればその場で逮捕されることがありますし、現場から立ち去った後でも、防犯カメラ映像や押収されたデータなどから関与が強く疑われる場合には、後日逮捕されることがあります。

実務上は、たとえば次のような事情が考慮されます。

  • 住所や勤務先が明らかであるか
  • 身元が安定しているか
  • 押収すべき証拠が残っているか
  • スマートフォンや記録媒体の解析が必要な状況にあるか
  • 共犯者がいる可能性があるか
  • 余罪が疑われる状況か
  • これまでの取調べに誠実に応じているか

重要なのは、被害者が告訴しているかどうかは、逮捕するかどうかを直接決める事情ではないという点です。被害者が処罰を望んでいないと述べていても、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば逮捕されることはあり得ます。逆に、告訴があったとしても、身元がはっきりしており証拠が確保されている場合には、在宅のまま捜査が進むこともあります。

盗撮事件では、現行犯逮捕のほか、在宅での事情聴取を経て書類送検されるケースも少なくありません。逮捕の有無は、告訴の有無ではなく、事案の具体的な状況によって決まります。

起訴されるかどうかは何で判断されるのか

起訴するかどうかは、検察官が証拠と事案の内容を踏まえて判断します。まず、犯罪が成立すると裁判で立証できるだけの証拠があるかどうかが問題となります。そのうえで、次のような事情が総合的に考慮されます。

  • 行為の態様や計画性
  • 撮影回数や被害の広がり
  • 画像や動画の保存状況
  • インターネット上への公開や拡散の有無
  • 前科前歴の有無
  • 被害者との示談の成立
  • 被害弁償の状況
  • 反省や再発防止の取組

ここでも、告訴がないことだけで不起訴になるわけではありません。
告訴は処分判断の一事情にはなり得ますが、それだけで結論が決まる仕組みではありません。たとえば被害者不明の事案であっても、証拠が十分であれば起訴に至る可能性はあります。盗撮事件では、「告訴していないから大丈夫」と考えるのではなく、証拠の内容や被害回復の状況がどのように評価されるかを見極めることが重要です。告訴の有無よりも、証拠と事案の具体的事情が処分を左右するという点を理解しておく必要があります。

盗撮が問題となる主な犯罪と親告罪との関係

これまで述べたとおり、「盗撮」という言葉自体は法律上の罪名ではありません。実際の刑事手続では、具体的な行為がどの犯罪に該当するかによって、適用される条文や処罰内容が決まります。もっとも重要なのは、現在、盗撮を処罰する主な犯罪類型はいずれも非親告罪であるという点です。

迷惑防止条例違反との関係

駅や商業施設、公共交通機関などで衣服の内部を撮影する行為は、多くの場合、各都道府県の迷惑防止条例違反に該当します。条例の具体的な文言や罰則には地域差がありますが、正当な理由なく衣服の内部を撮影する行為を処罰対象とする点は共通しています。

これらの条例違反は、被害者の告訴を前提とする犯罪ではありません。
そのため、被害者が告訴をしていない場合でも、証拠があれば警察は事件として扱い、検察官が起訴の可否を判断します。条例違反であっても、告訴がなければ処罰できないという仕組みにはなっていません。

性的姿態等撮影罪との関係

令和5年に施行された性的姿態等撮影罪は、盗撮行為を全国一律の法律で処罰するために新設された犯罪です。従来は条例で処理されていた行為の一部が、法律上の犯罪として整理されました。

この犯罪も、親告罪ではありません。
被害者の告訴がなければ起訴できないという構造にはなっておらず、証拠があれば刑事手続は進みます。条例違反と同様に、告訴は処分判断の一事情にとどまります。

そのほか問題となり得る犯罪

事案によっては、撮影場所への立ち入り方法によって住居侵入罪が問題となることや、撮影した画像の提供・拡散によって別の犯罪が成立することもあります。しかし、盗撮行為を中心とする主要な犯罪類型については、いずれも告訴を起訴の条件とするものではありません。

このように整理すると、「盗撮は親告罪か」という問いに対する答えは明確です。現在の法制度のもとでは、盗撮を処罰する主要な犯罪はいずれも非親告罪であるといえます。

したがって、どの犯罪が適用される場合であっても、告訴の有無だけで刑事手続の行方が決まるわけではありません。重要なのは、具体的な行為がどの犯罪に該当するのか、そしてその成立を裏付ける証拠がどの程度存在するのかという点です。

盗撮事件で示談はどのような意味を持つのか

ここまで述べたとおり、盗撮を処罰する主な犯罪は非親告罪であり、示談が成立したからといって自動的に事件が終了する仕組みではありません。
もっとも、示談が無意味というわけでもなく、実務上は重要な意味を持ちます。

非親告罪でも示談が重要とされる理由

親告罪では、告訴の取消しによって起訴できなくなる場合があります。しかし、盗撮に関する主要な犯罪は親告罪ではないため、示談が成立しても、それだけで公訴提起ができなくなるわけではありません。

それでも示談が重要視されるのは、被害回復の有無や被害者の意向が、処分判断に影響を与える事情となるからです。
実務上は、次のような点が考慮されます。

  • 被害者との間で示談が成立しているか
  • 被害弁償が十分になされているか
  • 被害者が処罰を強く求めているかどうか
  • 行為者が反省し再発防止に取り組んでいるか

示談が成立している場合、被害者の精神的負担が一定程度軽減されていると評価されることがあります。その結果、不起訴や略式手続などの処分につながる可能性が生じます。

示談が成立しない場合はどうなるか

一方で、被害者が示談に応じない場合や、被害者が特定できない場合もあります。たとえば、被害者不明の事案や、防犯カメラ映像のみで立件されるケースでは、示談自体が現実的でないこともあります。

そのような場合でも、証拠が十分であれば起訴に至る可能性はあります。
示談の有無は重要な事情ではありますが、処分を決定づける唯一の要素ではありません。

示談をどう位置づけるべきか

盗撮事件において示談は、法的な「条件」ではなく、処分判断の中で評価される一つの事情と理解するのが適切です。告訴の有無と同様に、示談の有無も単独で結論を決めるものではありません。

したがって、「示談すれば必ず不起訴になる」「示談できなければ必ず起訴される」といった単純な理解は正確ではありません。証拠の内容、行為態様、被害の程度、前科前歴などとあわせて総合的に判断されます。盗撮事件では、示談は重要な意味を持ち得るものの、それ自体が刑事責任を消滅させる仕組みではないという点を正確に理解しておく必要があります。

親告罪と非親告罪の制度上の違い

ここまで、盗撮を処罰する主な犯罪が非親告罪であることを説明してきました。では、「親告罪」と「非親告罪」は何が違うのでしょうか。違いは、起訴するために被害者の告訴が必要かどうかという一点にあります。

親告罪とは何か

親告罪とは、被害者などが「処罰してほしい」と正式に申し出る告訴をしなければ、検察官が起訴できない犯罪をいいます。告訴がなければ、証拠が十分にそろっていても裁判にかけることはできません。

また、親告罪では、一定の期間内に告訴をしなければならないと定められている場合があります。さらに、告訴が取り消されると起訴できなくなるなど、被害者の意思が手続の進み方に直接影響する仕組みになっています。

このような制度が設けられているのは、犯罪の内容が私人間の紛争に近い場合など、被害者の意思を特に尊重する必要があると考えられているからです。

非親告罪とは何か

これに対して非親告罪では、告訴は起訴の条件ではありません。被害者が告訴していなくても、証拠があれば検察官は起訴できます。被害者が処罰を望んでいない場合でも、社会的影響や行為の重大性を踏まえて手続が進むことがあります。

もっとも、被害者の意向が無関係という意味ではありません。示談の成立や被害回復の状況は、処分を決める際に重要な事情として考慮されます。ただし、それは起訴できるかどうかを左右する条件ではなく、最終的な処分を決める際の判断材料の一つにとどまります。

盗撮との関係

盗撮を処罰する主な犯罪は、いずれも非親告罪にあたります。したがって、被害者が告訴しなければ手続が止まるという制度ではありません。

この違いを理解しておくことが重要です。親告罪であれば「告訴がなければ起訴されない」と整理できますが、盗撮の場合はそうではありません。告訴の有無は、手続が進むかどうかを決める決定的な条件ではないのです。

親告罪と非親告罪の違いを正しく理解することで、「告訴がなければ安心」という誤解を避けることができます。

親告罪とされる場合の理由としては、被害者のプライバシーを重視するため、比較的軽微な犯罪であって当事者の判断に委ねる方が望ましいため、といったものが代表的です。

盗撮事件で早期対応が重要となる理由

ここまで見てきたとおり、盗撮を処罰する主な犯罪は非親告罪であり、告訴の有無だけで事件の行方が決まるわけではありません。
そのため、「告訴されていないから様子を見る」という対応は適切とはいえません。むしろ、初期段階での対応が、その後の処分に大きな影響を及ぼすことがあります。

捜査初期の対応が与える影響

盗撮事件では、警察からの任意の呼び出しや事情聴取から手続が始まることも少なくありません。この段階での供述内容や対応姿勢は、証拠評価や信用性の判断に影響します。

たとえば、

  • 事実関係の認否をどう整理するか
  • 不用意な説明をしていないか
  • 押収された記録媒体への対応をどう考えるか
  • 余罪の有無についてどのように説明するか

といった点は、その後の流れを左右し得ます。初期段階での対応が、在宅での捜査にとどまるか、身柄拘束に至るかにも影響する場合があります。

被害回復への取組と処分判断

示談や被害弁償は、処分を判断する際の重要な事情となります。もっとも、被害者への直接の接触は慎重に行う必要があります。不適切な働きかけは、かえって不利に評価されるおそれもあります。

実務では、

  • 被害回復の意思が明確か
  • 具体的な弁償の提案がなされているか
  • 再発防止策を講じているか

といった事情が見られます。早い段階で誠実な対応を示すことは、処分に影響を与え得ます。

早期に状況を整理する意味

盗撮事件では、「告訴されていないから大丈夫」と考えるのではなく、証拠の内容や事案の評価がどのように進むかを見通すことが重要です。時間が経過するほど、対応の選択肢が狭まることもあります。したがって、事案の内容を客観的に整理し、今後の見通しを検討することが必要です。早期に対応方針を定めることが、その後の結果に影響する場合があるという点は押さえておくべきでしょう。

親告罪でなくても、示談による被害者側との解決が重要であることは変わりありません。

まとめ

本記事では、盗撮が親告罪にあたるのかという点を中心に整理してきました。

現在、盗撮を処罰する主な犯罪は非親告罪です。
そのため、被害者の告訴がなければ起訴できないという仕組みにはなっていません。告訴がない場合であっても、証拠があれば捜査や起訴に進む可能性があります。

もっとも、告訴の有無がまったく意味を持たないわけではありません。示談の成立や被害回復の状況、反省の態度などは、処分を判断する際に考慮されます。ただし、それらはあくまで判断材料の一つであり、告訴がないことだけで事件が終了する制度ではないという点が重要です。

また、逮捕は逃亡や証拠隠滅のおそれなどを踏まえて判断され、起訴は証拠の十分性や事案全体の事情をもとに決まります。盗撮事件では、告訴の有無よりも、証拠の内容や具体的事情が処分を左右するといえます。

「告訴されていないから大丈夫」という理解ではなく、適用される犯罪類型と証拠状況を踏まえて、今後の見通しを冷静に検討することが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q1 盗撮は本当に親告罪ではないのですか?

現在、盗撮を処罰する主な犯罪は非親告罪です。したがって、被害者が告訴しなくても、証拠があれば起訴される可能性があります。


Q2 被害者が「処罰を望まない」と言っている場合でも起訴されますか?

可能性はあります。被害者の意思は処分判断の際に考慮されますが、それだけで不起訴が確定するわけではありません。証拠や事案の内容が重視されます。


Q3 示談が成立すれば必ず不起訴になりますか?

必ずではありません。示談は重要な事情となり得ますが、証拠の状況や行為の態様などを含めて総合的に判断されます。


Q4 被害者が特定できない場合はどうなりますか?

被害者が特定できない場合でも、証拠が十分であれば起訴される可能性はあります。示談ができないことだけで事件が終了するわけではありません。


Q5 告訴がなければ逮捕されることはありませんか?

告訴の有無は逮捕の条件ではありません。逮捕は、犯罪の嫌疑や逃亡・証拠隠滅のおそれなどを踏まえて判断されます。

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器物損壊罪は逮捕されるか?器物損壊で警察が動く場合の特徴は?

器物損壊罪は身近なトラブルから発生することも多く、「器物損壊で逮捕されるのか」「警察はどんな場合に動くのか」と不安に感じる方は少なくありません。実際には、被害の状況や被害者の意向によって逮捕や立件の有無が左右されます。本記事では、器物損壊罪の逮捕について、逮捕されるケースとされないケースの違い、さらに警察が動く場合の特徴について分かりやすく解説します。

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藤垣圭介

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代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

器物損壊罪の定義

器物損壊罪とは、他人の物を壊したり、汚したり、機能を低下させたりする行為を処罰する犯罪で、刑法261条に規定されています。
「壊す」というイメージが強いものの、実際には物の価値や使用目的を損なう行為全般が含まれます。たとえば、車に傷をつける、壁に落書きをする、他人の衣服を汚す、スマートフォンを投げ捨てて操作不能にする、といった行為が典型例です。

重要なのは、必ずしも完全に破壊する必要はないという点です。見た目が多少損なわれるだけでも、あるいは機能が一時的に失われるだけでも「損壊」に該当することがあります。裁判例でも、「使用価値の減少」があれば損壊と認められる傾向があります。

また、器物損壊罪は「他人の物」を対象とするため、自分の物を壊しても成立しません。ただし、「共有物」や「会社の備品」など、自分にも関係する物であっても、他人の権利が及ぶ物を損壊すれば本罪が成立する可能性がある点には注意が必要です。

具体的な犯罪の構成要件は、以下の通りです。
「他人の物」を「損壊し、又は傷害」すること
①「他人の物」
所有権などの物権の対象となる物である必要があります。自分の物や、所有者の同意を得て使用している物は該当しません。
②「損壊し、又は傷害」
その物の効用を害する一切の行為をいう、とされています。一般的には、物の形状や性質を変える行為が該当するでしょう。壊す以外にも、曲げる、折る、切断する、汚す、塗るなどが含まれます。

器物損壊罪に該当する行為の具体例としては、以下の者が挙げられます。
・車の窓ガラスを割ったり、タイヤをパンクさせたりする行為
・店の商品を壊したり、看板を壊したりする行為
・パソコンの重要なデータを消去する行為
・鍵穴を詰まらせる行為
・食品を不潔な環境に置く行為

器物損壊罪の刑罰

器物損壊罪の刑罰は、「3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金若しくは科料」と定められています。
拘禁刑は刑務所に収監して身柄を拘束する内容の刑罰、罰金は金銭の支払を指せる刑罰ですが、科料は1000円以上1万円未満の金銭を支払わせる刑罰であり、罰金が軽微になったもの、という性質の刑罰です。
そのため、器物損壊罪の刑罰は、3年以下の収監か30万円以下の金銭納付、という理解ができるでしょう。

参照:器物損壊罪ではどのような刑罰が科されますか。

刑事処分の判断では、損壊の程度(破壊の度合い・修理費・交換費)、犯行態様(故意の強さ・計画性・悪質性)、被害者への影響(業務への支障、精神的負担など)が重視されます。軽微な傷や落書きであっても、被害額が大きい場合や社会的影響が大きい場合には、身柄拘束に発展するケースもあります。

他方で、損壊が軽度で、早期に被害弁償や示談が成立している場合には、罰金刑や不起訴処分となることも少なくありません。特に初犯の場合は、反省状況や再犯防止策が十分に評価されることが多く、処分が軽減されることがあります。

いずれにしても、最終的な処分は個別事情を総合的に考慮して決定されるため、早期に適切な対応を取ることが重要です。

器物損壊罪の刑罰は、損壊行為の重大性や被害の大きさを主な基準とするのが一般的です。行為が重大で危険なものであるほど刑罰は重く、被害の規模や損害額が大きいほど刑罰も重くなります。

器物損壊罪と親告罪

器物損壊罪は、被害者の告訴がなければ起訴できない親告罪に該当します(刑法264条)。そのため、警察が被害届を受理して捜査を開始したとしても、最終的には被害者が「処罰してほしい」と意思表示(告訴)をするかどうかが大きなポイントとなります。

つまり、加害者が特定されていても、被害者が告訴しなければ、原則として起訴されることはありません。もっとも、捜査段階では身柄拘束(逮捕・勾留)が行われる可能性があり、「告訴がない=逮捕されない」という仕組みではない点には注意が必要です。

親告罪であることは、実務上、示談の成立が処分判断に強く影響することを意味します。被害者が損害賠償を受け、事件を穏便に解決したいと判断すれば、告訴を取り下げるケースも多く、これが不起訴処分につながることがあります。

反対に、損害額が大きい場合や犯行態様が悪質な場合には、被害者が告訴を取り下げないこともあり、刑事手続が進む可能性が高まります。

器物損壊罪の場合、告訴の取り消しを獲得することが逮捕を防ぐ最も有力な手段の一つです。当事者間での解決は、器物損壊罪の根本的な解決とイコールであると理解してよいでしょう。

器物損壊罪で逮捕されるケース

器物損壊罪の逮捕に関する一般的な取り扱い

器物損壊事件は、必ずしも逮捕される可能性が高い事件類型ではありません。
特に、損害の規模があまりに大きくなければ、1件の器物損壊事件で直ちに逮捕されるケースは少数派ということもできるかと思います。

もっとも、以下のような場合には逮捕の可能性が高くなる傾向にあります。

①反復継続して同種事件が行われている場合
多数の自動車のタイヤをパンクさせて回っているなど、同種事件を反復継続している事件は、計画性も高く今後の同種事件の発生も懸念されるため、その事件の重大性を踏まえて逮捕される可能性が高くなる傾向にあります。

②怨恨が動機となって起きた場合
怨恨など、人間関係の悪化が原因となって起きた器物損壊事件は、今後もトラブルの深刻化に伴う重大事件の発生が強く懸念されたり、被害者への働きかけによる証拠隠滅の恐れが想定されたりするため、逮捕の可能性が高くなりやすい類型です。

③被疑者の捜査協力がない場合
捜査を開始し、警察が被疑者を呼び出しているにもかかわらず、一向に応じる気配のない場合などが挙げられます。このような状況では、被疑者の逃亡や証拠隠滅の恐れが高いため、逮捕の可能性が高くなります。

器物損壊罪で逮捕リスクが上がるケース

器物損壊事件であっても,事件の内容や状況によって逮捕が選択されるケースも十分に考えられるところです。具体的には,以下のような場合に逮捕リスクが高くなりやすいでしょう。

器物損壊事件で逮捕リスクが高くなるケース

1.事件当時,現場でトラブルになっている

2.被害規模が大きい

3.態様が悪質である

4.同種事件が複数発生している

【1.事件当時,現場でトラブルになっている】

事件当時,加害者が現場で暴れているなど大きなトラブルになっている場合,被害の拡大や被害者の心身への危害が懸念されるため,逮捕の可能性が高くなる傾向にあります。

この場合,事件現場でのトラブル拡大を防止する必要性が高いため,その場で速やかに行うことのできる現行犯逮捕が選択されやすいでしょう。

【2.被害規模が大きい】

損害の規模が非常に大きく,器物損壊事件の中でも重大な部類と評価される事件では,逮捕の可能性が高くなりやすいでしょう。

特に,強い悪意がなければ被害を与えられないような物品を対象としている場合や,大きな経済的被害を生じさせようという意思が明らかな事件である場合は,被害規模の大きさと刑事責任の重さが直結しやすく,重大事件であることを踏まえた逮捕が選択されやすい傾向にあります。

【3.内容が悪質である】

加害行為の内容が特に悪質であると評価される場合,事件の重大性を踏まえて逮捕が選択される可能性は高くなりやすいです。

器物損壊事件の場合は,一般的に単独での突発的な事件が想定されているため,複数人での事件や組織的な事件,計画的な事件は,悪質と判断されやすいでしょう。また,加害行為のために入手した凶器を用いている,加害行為が執拗である(損壊するのにに必要な程度を超えている)など,行為の内容そのものに悪質性が見受けられるケースも,同様の恐れがあります。

【4.同種事件が複数発生している】

同種事件を複数行ってしまっており,いわゆる余罪が多数あるケースでは,余罪を含めた全容解明のため,証拠隠滅を防ぐ目的での逮捕がなされやすくなるでしょう。

この点は,複数の事件が同一人物によるものと考えられる場合に問題となりますが,同一人物の事件であるかどうかの判断は,時期や場所,犯行方法に共通性があるかどうかを重要な基準とすることが一般的です。

器物損壊罪の逮捕手続

① 現行犯逮捕

器物損壊の現場を警察官や第三者が目撃した場合、**その場で身柄を確保される「現行犯逮捕」**が行われることがあります。
現行犯逮捕は、捜査機関による令状が不要であるため、事件性が明らかであれば迅速に逮捕される特徴があります。

典型例としては次のようなケースが挙げられます。

  • 他人の車を傷つけているところを見つかった
  • 店舗のガラスを割った直後に警察官が駆けつけた
  • 路上で他人のスマートフォンを叩き壊した場面を通行人が目撃した

器物損壊は財産犯であっても、行為態様が悪質な場合や逃走・証拠隠滅のおそれがある場合は、現行犯逮捕が選択されやすい傾向があります。

② 後日逮捕

事件当時は発覚しなくても、防犯カメラ映像、目撃証言、SNSの投稿などから加害者が特定され、その後に逮捕されることもあります。これがいわゆる後日逮捕です。

後日逮捕が行われやすいのは、次のようなケースです。

  • 防犯カメラの映像から犯人が特定できた
  • 器物損壊の被害届の内容と、加害者の行動が一致した
  • 現場に残された物的証拠(工具、指紋など)から関与が推認できる

ただし、後日逮捕は必ず行われるわけではなく、被害が軽微な場合や加害者が任意の呼び出しに応じる見込みが高い場合には、在宅で捜査が進むことも多いのが実務上の実情です。

器物損壊罪では、現行犯逮捕の回避が特に重要なポイントになりやすいです。現行犯逮捕されやすくなってしまうような対応を避けるため、刑事手続に精通した弁護士から適切な案内を受けることが有力です。

器物損壊罪で逮捕を避けるための方法

① 示談

器物損壊事件の場合,被害者との間で示談が成立し,被害者が告訴を取り消すとの判断に至れば,その後に逮捕される可能性がなくなります。そのため,逮捕を避ける方法として,示談の試みは非常に重要です。

また,器物損壊事件の場合,適切な内容で示談が成立すれば,逮捕が避けられるだけではなく,起訴も確実に避けることが可能です。起訴されなければ,前科が付かず事件が終了するため,最終的な結論としても最も望ましいと言ってよいでしょう。

② 自首

器物損壊事件が捜査される前段階や,捜査が開始されていても自分が加害者であると特定されていない時期であれば,自首を行うことで逮捕を避ける方法も有力です。
一般的に,器物損壊事件の当事者間が連絡を取り合える関係であることは多くないため,示談の試みが現実的にできず,自首以外に検討の余地がないことも少なくはないでしょう。

自首した場合には,警察等の捜査機関にとって,加害者が自分の犯罪行為を認めて捜査して欲しいとの意思であることが明らかになります。そのため,捜査への妨害を防ぐための逮捕が必要ない,との判断をしてもらいやすくなるでしょう。

③ 呼び出しへの対応

器物損壊事件について,警察などから呼び出しを受けた場合には,できる限り捜査協力の姿勢を示し,逃亡や証拠隠滅の可能性がないことを理解してもらうのも有力な方法です

呼び出しをすれば積極的な協力をしてくれる,と分かれば,逮捕をしてまで強制的に捜査協力をさせる必要はなく,逮捕まではしなくてよい,との判断を引き出しやすくなります。

④ 弁護士への相談

器物損壊の疑いをかけられている場合、早期に弁護士へ相談することは逮捕を防ぐうえで非常に重要です。器物損壊は財産犯であっても、被害額が大きい場合や犯行態様が悪質と判断される場合には、後日逮捕に発展する可能性があります。弁護士が介入することで、捜査機関との連絡調整や適切な対応方針を整えることができ、身柄拘束のリスクを下げる効果があります。

弁護士は、警察から呼び出しがあった際の対応方法や、任意出頭時に注意すべき点を具体的に助言します。また、依頼者の反省状況や弁済の意思を示す資料を適切に整理し、警察・検察に提出することで、**「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」**という事情を伝えやすくなります。

さらに、弁護士が早い段階で被害者との連絡窓口に入り、弁済や示談に向けた交渉を進めることは、逮捕回避に役立つ大きな要素です。実務上、示談が進んでいるケースでは、身柄拘束の必要性が低いと判断されることが多く、在宅捜査で事件が進む傾向があります。

器物損壊の疑いをかけられた段階で相談をしておくことで、不要な逮捕を避けるための準備が整い、事件全体の見通しも把握しやすくなる点が大きなメリットです。

器物損壊罪で現行犯逮捕されなかった場合、その後に適切な対応を継続できれば後日逮捕なく手続が終了することは決して珍しくありません。

器物損壊罪で呼び出しを受けたときは逮捕されるか

器物損壊事件の場合,呼び出しに応じたことをきっかけに逮捕されるという流れは基本的に考えにくいでしょう。呼び出しに対してあまりに不合理な対応をしない限りは,逮捕しないとの判断をすることが通常です。
器物損壊事件で逮捕をするのであれば,呼び出しを行うのではなく,予告をしないまま突然自宅等に訪れ,逮捕状を示して逮捕(=通常逮捕)をすることが一般的と言えます。逃亡や証拠隠滅を防ぐ手段として,その方が優れているためです。

ただし,例外的に,呼び出し後に逮捕の判断に至る場合もあり得ます。一例としては,犯人でないと思っていた人を呼んだ(又は犯人がだれか分からない状態で呼んだ)後,呼び出した相手が犯人であると特定できるだけの新事情が発覚した場合が挙げられます。
この場合,事件の程度などから「犯人が特定できれば逮捕する」との捜査方針だったときには,呼び出した人物を犯人だと特定でき次第,逮捕に踏み切る可能性があり得ます。

ポイント
呼び出し時の逮捕は基本的には考えにくい
呼び出し後に犯人と特定された場合は、その後の後日逮捕も例外的にあり得る

器物損壊罪の呼び出しで逮捕を避ける対処法

① 初めて呼び出しを受けた場合

初めて呼び出しを受けたときの基本的な対応方針としては,まず連絡を無視しない,ということが非常に重要です。

器物損壊事件で呼び出しの連絡が来た,という場合,捜査機関の方針としては,呼び出しに応答してくれるのであれば,比較的穏やかな手続で進めるつもりである可能性が高いでしょう。そのため,捜査機関の期待通りに応答し,連絡が円滑に取れる人物だと分かってもらえれば,逮捕などの大きな不利益は回避しやすくなります。

一方,呼び出しを無視してしまうと,捜査機関から見て呼び出しに応じてくれる人なのかが分かりません。呼び出しに応じてくれれば穏やかな手続でよかったのに,呼び出しを無視したばかりに逮捕などの強制的な手続を取らざるを得ない,と判断されてしまうと,その不利益は極めて大きくなります。

そのため,まずは呼び出しに対して無視せず応じる,留守番電話に担当者名や用件が録音されていれば折り返しなどの対応をするなど,呼び出しへの応答がしてくれる人物だと分かってもらうためのリアクションを取るようにしましょう。

ポイント
無視しないことが最重要
呼び出しの連絡に応じていれば,穏やかな手続で進むことが通常

② 2回目以降の呼び出しを受けた場合

1回目の呼び出しで話を聞かれるなどした後,2回目以降に呼び出しが行われるのは,供述調書などの書面を作成する目的であることが一般的です。1回目の呼び出しで供述調書を作成するケースもありますが,1回目に供述調書が作成されなかったケースでは,2回目以降の呼び出しは調書作成の目的であると考えて基本的に間違いないでしょう。

供述調書の作成に当たっては,作成時に求められる署名押印の意味を把握しておくことが重要です。
供述調書への署名押印は,調書の内容が自分の発言と一致することのお墨付きという意味合いのものです。調書の作成者は捜査担当者であり,自分の発言を他人が文字起こししているため,その文字起こしに誤りがないことを署名押印という方法で明らかにしているのです。

そのため,署名押印を求められた際には,内容に間違いがなければ応じる,という方針が合理的です。内容に一部誤りがあれば,訂正を求めることができるため,誤りのない供述調書にしてもらいましょう。

ポイント
供述調書の作成目的であることが一般的
署名押印は,内容に間違いがないことのお墨付きの意味

③ 事件の記憶がない場合

器物損壊事件の場合,事件当時の記憶がなく,自分が加害行為をしてしまったかどうか分からない,というケースも散見されます。代表例が,深酒で泥酔状態になってしまった後,路上や店舗などで加害行為をした,と言われているケースです。

この点,事件の記憶がない場合には,記憶がないことを前提とはしつつ,疑われている加害行為を認めるか認めないか,という点をできるだけ早期にはっきりさせることをお勧めします。特に,自分がしたことで間違いないであろうという場合,「覚えていない」とだけ答えてしまうと,「自分がしたとは認めていない」という意味で解釈されることは踏まえておきたいところです。

認めるかどうかの判断材料としては,周囲の人や捜査担当者から当時の話を聞き,その内容を総合することが有効です。泥酔状態で記憶がない場合には,酔いが覚めた後に冷静な対応を尽くすことで,不利益を最小限に抑える結果につながりやすいでしょう。

ポイント
認めるかどうかをできるだけ早くハッキリさせる
覚えていないとの回答は,認めないという意味で理解される

④ 否認事件の場合

疑われている犯罪行為をしていない,という否認事件の場合には,まずその争点を自分の中で明確に把握することが非常に重要です。

一口に否認事件と言っても,その具体的な内容は争点によって様々です。器物損壊事件では,自分が行ったものではない(=犯人性の否認),わざとおこなったことではない(=故意の否認)などが代表的な争点ですが,いずれが争点であるかによって,適切な対応方法や注意すべき点が大きく異なります。犯人性が争点であるのに,「わざとやったわけではない」と述べるのは,むしろ不利益を招くでしょう。

また,争点を把握した後は,できればその争点について法的な判断を行うときの基準や根拠になるものを理解しておきたいところです。この点は,高度に法律的な問題となるため,弁護士への相談をお勧めします。

ポイント
争点を明確に把握する
争点の判断基準や根拠を理解する

器物損壊罪で自首により逮捕を防ぐべき場合

①現行犯で発覚している場合

自首をするべきケースの代表例は,自分が犯人と特定され,何もしなくても自分に対する捜査がなされやすい,という場合です。自首の最大のリスクは,「自首さえしなければ捜査を受けなかったのに,自ら自首したばかりに捜査を受けることになってしまった」という結果となることですが,自首をしなくても自分が犯人と特定されてしまう状況であれば,その最大のリスクがないということになるため,自首のメリットの方が大きいと考えやすくなります。

この点,器物損壊事件は,加害行為のあった直後,現行犯で事件が発覚することも少なくありません。そして,現行犯で発覚した場合には,直ちに警察の捜査が開始されることが見込まれやすいものです。しかも,証拠の多くは失われず残っており,犯人の特定に至る可能性は非常に高いと言ってよいでしょう。

そうすると,現行犯で発覚した器物損壊事件の場合,自首してもしなくても犯人が特定されやすいため,自首のリスクよりもメリットを優先すべき状況である,と考えるのが合理的です。このようなケースでは,積極的な自首の検討をお勧めします。

ポイント
自首のリスクは,自首が原因で捜査を受ける結果になること
現行犯で発覚した場合,自首せずとも犯人が特定されやすい

②被害者との間で解決したい場合

器物損壊事件は,被害者との解決が極めて重要です。被害者と適切な解決ができれば,それで直ちに刑事手続も解決に至る,と言っても過言ではありません。
もっとも,被害者と知人等の関係にある場合を除き,直接被害者に接触する手段はないのが通常です。そのため,被害者との解決を目指すには,捜査機関の力を借り,捜査機関に間に入ってもらうことが必要です。

この時,有力な手段が自首です。自首をした上で捜査を始めてもらい,捜査機関に被害者との解決希望の旨を伝えることで,捜査機関に間に入ってもらうことができます。
なお,実際の被害者とのやり取りは,自分で行うのでなく,弁護士を通じて行うことが求められます。そのため,弁護士への依頼とセットで動くのが良いでしょう。

ポイント
被害者と連絡を取るには,捜査機関に間に入ってもらう必要がある
弁護士への依頼とセットで進めるのが適切

③日常生活への支障を防ぎたい場合

刑事事件で捜査を受けると,様々な局面で日常生活に悪影響が生じる可能性が懸念されます。捜査協力に時間を割かれることのスケジュール面への影響はもちろんですが,それ以上に,捜査を受けたという事実が周囲に知られることの悪影響が非常に大きくなりがちです。
刑事事件の被疑者となることは,非常に不名誉であって周囲の信頼を損なう恐れがあるため,できる限り周囲に知られないことが望ましいでしょう。

この点,自首を行うことで,捜査機関に周囲へ知られないよう配慮した方法での捜査をしてもらうことが期待しやすくなります。捜査機関としても,円滑な協力が得られるならば,殊更に周囲に知られるような捜査手法を取る必要はない,との判断になりやすいところです。

ポイント
事件や捜査を周囲に知られると,日常生活への支障が懸念される
自首した場合,捜査方法を配慮してもらいやすくなる

④反省の意思を表明したい場合

刑事事件の処分軽減を図るためには,反省の意思をできるだけ明確に表明していくことが重要です。重大犯罪の場合,元々の刑事責任が大きすぎるため,反省が処分に与える影響には限りがありますが,比較的軽微と評価される器物損壊事件の場合,反省の意思を加味して処分に反映してもらえるケースが多くなる傾向が見られます。

この点,反省の意思を最も強く表明できる手段が自首です。自首は,自分から大きなリスクを負うため,強い反省の意思がないと実行できない動きだと理解されるのが通常です。「自首するくらいに反省を深めている」と認めてもらうことができれば,自首を理由に処分が大きく軽減されることも十分に考えられるでしょう。

ポイント
器物損壊事件では,深い反省の意思が刑事処分に反映され得る
自首は,反省の深さを最も強く行動に示せる手段

器物損壊罪の逮捕に強い弁護士へ依頼するメリット

器物損壊事件の逮捕に関して対応する場合は,弁護士への依頼を強くお勧めします。弁護士への依頼によって,以下のような利点が期待できます。

① 逮捕が懸念される状況であるか判断できる

器物損壊事件は,決して逮捕の可能性が高い事件類型というわけではありません。そのため,現実に逮捕の懸念が大きくないのであれば,逮捕を恐れるあまり動き方を誤ってしまう方が大きなデメリットを招く結果になる場合も多いところです。

この点,弁護士に依頼し,弁護士の専門的な判断を仰ぐことで,本件では逮捕が懸念される状況か,正確な判断が可能になります。逮捕が懸念される状況であれば,逮捕を避けるための方策を優先的に検討すべきですし,逆に逮捕の懸念がそれほどない状況だと分かれば,他の対応に時間を割くことが容易になるでしょう。
また,逮捕に関する見通しが分かることで,精神的な負担が軽減でき,大きな安心につながる効果も見込まれます。

② 事件に応じた適切な対応方法が分かる

逮捕を避ける方法は,事件の内容や状況によって個別に異なります。そのため,事件や状況に合った対応を取ることが非常に重要なところです。

この点,弁護士に依頼することで,逮捕を避けるために本件で必要な動きが分かり,方針の選択に悩む必要がなくなります。また,実際の動きも弁護士主導で行うことができるため,対応の負担も軽減されるでしょう。

③ 当事者間の解決を試みることができる

器物損壊事件では,当事者間での解決が逮捕回避にとって極めて重要なポイントになりやすいです。当事者間で解決できれば,その後に逮捕されることはないと言ってよいでしょう。

もっとも,当事者間での解決は,弁護士を窓口にしなければ試みられないのが通常です。当事者同士がやり取りするのではなく,加害者の代理をする弁護士が,被害者と連絡を取り合う必要があります。
また,解決内容をどうすべきか,という点についても,専門的な知識経験を持つ弁護士の見解を仰ぐことで,合理的な判断が容易になるでしょう。

器物損壊罪で弁護士に依頼すべき場合

① 認め事件のケース

認め事件は、示談により不起訴処分を目指すことが極めて重要です。刑罰を受け入れる場合を除いては、弁護士への依頼が適切でしょう。

弁護士に依頼した場合、弁護士から捜査機関に示談を希望する旨申し入れを実施します。捜査機関から被害者側に意向を確認し、被害者の了承が得られれば、弁護士と被害者との間で連絡先を交換して示談交渉に着手することができます。

示談が成立した場合、弁護士が示談書等の必要な書面を作成し、被害者と示談の締結を行います。確実に不起訴処分となるよう、告訴の取り消しを確認し、捜査機関に提出します。
なお、一度取り消された告訴を再度行うことはできないため、告訴が取り消された時点で不起訴処分が見込まれることになります。

なお、器物損壊事件の示談金額は、損壊された物の価値を基準に検討することが多いでしょう。一般的には、被害物の価値相当額に、お詫びの趣旨でいくらかの金額を上乗せし、示談金額とする例が多く見られます。

② 否認事件のケース

否認事件の場合、起訴されるかどうかは犯罪事実が立証できるかどうかに左右されます。

もっとも、犯罪事実が立証できるか、というのは高度に法律的な問題であるため、具体的な主張内容や方針は、弁護士に依頼の上で弁護士と検討し、実施することが適切です。弁護士に依頼した場合、弁護士から適切な方針とそのための活動内容に関する案内を受けることができます。

器物損壊罪に強い弁護士をお探しの方へ

器物損壊の事件は,被害者との間で解決ができているかどうか,という点が処分に直接の影響を及ぼす事件類型です。
そのため,被害者と示談を締結することが非常に重要となりやすいですが,示談の締結には弁護士への委任が不可欠となります。
器物損壊事件で不起訴を獲得したい場合は,刑事弁護に精通した弁護士への依頼をお勧めいたします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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