口の後遺障害にはどんなものがある?物が噛めなくなったら?発声が難しくなったら?歯を失ったら?弁護士が徹底解説

●口の後遺障害にはどのようなものがあるか?

●口の後遺障害の判断基準は?

●そしゃく機能の程度はどのように決まるのか?

●後遺障害等級が認定された場合にはいくら請求できるか?

●口の後遺障害については弁護士に依頼すべきか?

という悩みはありませんか?

このページでは,口の後遺障害についてお困りの方に向けて,口の後遺障害等級として問題になる項目やその判断基準口の後遺障害等級が認定された場合の請求内容などを解説します。

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口に関する後遺障害の種類

口に関する後遺障害には,以下の種類があります。

そしゃく機能障害口を開けたり物を噛んだりする能力に制限が生じる後遺障害
言語機能障害発声できる音に制限が生じる後遺障害
歯牙障害歯が欠損したことに関する後遺障害
味覚障害味覚を感じられなくなったことに関する後遺障害

後遺障害等級の判断基準(そしゃく障害)

①認定基準

【そしゃくと言語の両方に障害がある場合】

等級基準
1級2号そしゃく及び言語の機能を廃したもの
4級2号そしゃく及び言語の機能に著しい障害を残すもの
9級6号そしゃく及び言語の機能に障害を残すもの

【そしゃく又は言語の一方に障害がある場合】

等級基準
3級2号そしゃく又は言語の機能を廃したもの
6級2号そしゃく又は言語の機能に著しい障害を残すもの
10級3号そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの

②そしゃく機能の判断方法

そしゃく機能の障害については,以下の点を基準に総合的に判断します。

上下咬合咬合(こうごう かみ合わせの意)のズレなど
排列状態歯並びのズレや不足など
下顎の開閉運動歯をかみしめることができる程度など

これらの判断に当たっては,以下のような点を考慮します。

そしゃく機能の判断要素
画像所見(他覚的所見)があること
・他覚的所見と対応するそしゃく状況があること

そしゃく状況に関しては,「そしゃく状況報告書」を踏まえた判断が一般的です。そしゃく状況報告書とは,被害者やその家族が,食べられる食材の内容や程度を記載するものです。

③各基準の具体的内容

「そしゃく機能を廃したもの」
=流動食以外は摂取できないもの

「そしゃく機能に著しい障害を残すもの」
=粥食又はこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できないもの

「そしゃく機能に障害を残すもの」
=以下のいずれかの場合
①固形食物の中にそしゃくができないものがあること(※)
②そしゃくが十分にできないものがあり,そのことが医学的に確認できる場合(※※)

(※)ごはん,煮魚,ハム等はそしゃくできるが,たくあん,らっきょう,ピーナッツ等の一定の固さの食物中にそしゃくできないものがあるなど
(※※)不正咬合,顎関節の障害,開口障害など,そしゃくできないものがあることの原因が医学的に確認できる場合

後遺障害等級の判断基準(言語障害)

①認定基準

【そしゃくと言語の両方に障害がある場合】

等級基準
1級2号そしゃく及び言語の機能を廃したもの
4級2号そしゃく及び言語の機能に著しい障害を残すもの
9級6号そしゃく及び言語の機能に障害を残すもの

【そしゃく又は言語の一方に障害がある場合】

等級基準
3級2号そしゃく又は言語の機能を廃したもの
6級2号そしゃく又は言語の機能に著しい障害を残すもの
10級3号そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの

②言語機能の判断方法

言語機能の障害は,語音(特に子音)の発音にどの程度の制限が生じたかを基準に判断されます。

子音は,以下の4種類に分けることができます。

子音の4種類
口唇音(ま行音,ぱ行音,ば行音,わ行音,ふ)
歯舌音(な行音,た行音,だ行音,ら行音,さ行音,しゅ,し,ざ行音,じゅ)
口蓋音(か行音,が行音,や行音,ひ,にゅ,ぎゅ,ん)
喉頭音(は行音)

これら4種類の子音それぞれについて,発音不能なものがあるか,何種類あるか,といった点を踏まえ,言語機能の障害の程度を判断します。

③各基準の具体的内容

「言語の機能を廃したもの」
=4種の語音(口唇音,歯舌音,口蓋音,喉頭音)のうち,3種以上の発音不能のもの

「言語の機能に著しい障害を残すもの」
=4種の語音のうち,2種の発音不能のもの又は綴音機能(語音を一定の順序に連結すること)に障害があるため,言語のみを用いては意思を疎通することができないもの

「言語の機能に障害を残すもの」
4種の語音のうち,1種の発音不能のもの

後遺障害等級の判断基準(歯牙障害)

①認定基準

等級基準
10級4号14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
11級4号10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
12級3号7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
13級4号5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
14級2号3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

②歯牙障害の判断方法

歯牙障害は,歯科補綴を加えた歯の数によって等級が認定されます。

「歯科補綴を加えたもの」とは
=現実に喪失又は著しく欠損した歯牙に対する補綴

「著しく欠損した」とは
歯冠部(歯肉より露出している部分)の体積の4分の3以上を欠損したもの

「補綴」とは
歯が喪失したり欠損したりしたところを,クラウン(歯全体を覆う被せ物)や入れ歯などの人工物で補うこと

【留意事項】
①認定対象になる歯の条件
→認定対象となる歯は,永久歯を指します。乳歯や含まれず,いわゆる親知らずも含まれません。ただし,乳歯が欠損したことで永久歯の萌出が見込めない場合は含まれます。

②喪失した歯の数より補綴した義歯の数が多い場合
→喪失した歯牙が大きい場合や歯間が広かった場合など,喪失した歯の数よりも多くの補綴を要した場合,等級の認定は喪失した歯の数によって判断されます。

(例)4本を喪失したが,5本の補綴をした場合,4本の歯科補綴として14級2号を認定する

③ブリッジなどで失った歯以外を切除した場合
→交通事故で失った歯の補綴に際して,ブリッジを設ける目的などで他の歯を切除した場合,歯冠部の4分の3以上切除していれば,歯科補綴を加えた本数に含みます。

(例)交通事故で2本喪失したところ,両側2本の歯にブリッジを施した場合,4本の歯科補綴として14級2号を認定する

③歯牙障害に関する診断書

歯牙障害については,歯科用の後遺障害診断書を用いて主治医の記載を依頼します。

後遺障害等級の判断基準(味覚障害)

①判断基準

等級基準
12級相当味覚脱失
14級相当味覚減退

②判断方法

味覚については,基本4味質(甘味,塩味,酸味,苦味)を感じる能力を基準に判断します。

「味覚脱失」とは
=頭部,顎周囲組織の損傷,舌の損傷によって基本4味質すべてが認知できない場合

「味覚減退」とは
=頭部,顎周囲組織の損傷,舌の損傷によって基本4味質のうち1味質以上を認知できない場合

後遺障害に対する損害賠償額

後遺障害等級が認定された場合,主に後遺障害に対する慰謝料及び逸失利益が発生します。
もっとも,その金額は一律ではなく,計算基準や計算方法によって大きく異なります。保険会社は,弁護士がいない場合には自賠責基準を念頭に金額提示を行い,弁護士が入った場合には裁判基準を念頭に計算するのが通常です。

ここでは,弁護士の有無による損害賠償額の差異に関する一例として,以下のケースを題材に各基準の計算を紹介します。

【ケース】
症状固定時40歳,年収500万円,7歯以上に対し歯科補綴を加えたものとして12級3号認定

①自賠責基準

①後遺障害慰謝料
=94万円

②後遺障害逸失利益
=130万円

③合計
224万円

②裁判基準

①後遺障害慰謝料
=290万円

②後遺障害逸失利益
=500万円×14%×18.3270(27年ライプ)
=12,828,900円

③合計
15,728,900円

③差額

15,728,900円-224万円
13,488,900円(約7.0倍)

あくまで単純計算の結果であるため,現実にこの金額が受領できるかは別問題ですが,少なくとも弁護士への依頼によって大きく増額する余地のあることが分かります。

口の後遺障害は弁護士に依頼すべきか

口の後遺障害に関しては,そしゃくについて被害者自ら状態を申告する書面の作成が必要になったり,歯科補綴に関して独自の後遺障害診断書が必要になったりと,他類型の後遺障害にはない対応が必要になりやすいところです。また,それらの対応は,後遺障害等級の結果に直結するものであるため,対応を誤ることは大きな不利益につながってしまいます。

そのため,口の後遺障害に関しては,適切な対応の上で適切な等級認定を受け,さらには適正額の賠償を受領するために,弁護士への依頼が適切でしょう。

口の後遺障害に強い弁護士をお探しの方へ

口の後遺障害は,そしゃくや言語など,生活への支障が極めて大きくなりやすいものが多く,適切な損害賠償を受ける必要性がとても高い分野です。
そのため,口の後遺障害が問題になる場合は,できる限り速やかに,交通事故に長けた弁護士に相談の上,その後の進め方を検討するのが適切です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,1000件を超える数々の交通事故解決に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内いたします。
ご相談やお困りごとのある方は,お気軽にお問い合わせください。

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交通事故で鼻を欠損したときの後遺障害は?嗅覚や鼻呼吸に問題が生じたときは?どんなとき何級になる?弁護士依頼の要否も解説

●鼻の後遺障害にはどのようなものがあるか?

●鼻の後遺障害の判断基準は?

●嗅覚はどのように判断されるのか?

●後遺障害等級が認定された場合にはいくら請求できるか?

●鼻の後遺障害については弁護士に依頼すべきか?

という悩みはありませんか?

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鼻に関する後遺障害の種類

鼻の後遺障害には,以下の種類が挙げられます。

欠損障害鼻を失ったことに関する後遺障害
機能障害呼吸困難となったこと,嗅覚がなくなったことに関する後遺障害

後遺障害等級の判断基準(欠損障害)

鼻の後遺障害等級は,以下の1つのみが定められています。

等級基準
9級5号鼻を欠損し,その機能に著しい障害を残すもの

等級認定のためには,①鼻の欠損と②著しい機能障害の両方について基準を満たす必要があります。

①鼻の欠損

鼻を欠損し」たとは,以下の場合を指します。

鼻を欠損し」たとは
鼻軟骨部の全部又は大部分の欠損をしたこと

鼻は,上部に鼻骨と呼ばれる骨であり,鼻骨の下に軟骨部があります。軟骨部は,一般的に鼻と呼ぶ三角錐の形に隆起した部位を指すものと理解して差し支えないでしょう。
したがって,鼻の三角錐形の部分が全部又は大部分欠損した場合に,欠損障害に該当し得ることになります。

②著しい機能障害

鼻呼吸困難,または嗅覚脱失をいいます。

嗅覚の障害については,「嗅覚脱失」と「嗅覚減退」が挙げられますが,これらは「T&Tオルファクトメータ」(嗅覚測定用の基準臭)による検査で認知域値(においを判別・表現できる最低濃度)を測定し,判定されます。具体的な基準は以下の通りです。

嗅覚脱失」認知域値5.6以上
嗅覚減退」認知域値2.6以上5.5以下

このうち,著しい機能障害に位置付けられるのは「嗅覚脱失」となります。

ポイント
鼻の後遺障害等級として明記されているのは,欠損+著しい機能障害のみ
欠損は軟骨部の全部又は大部分を失ったこと
著しい機能障害は鼻呼吸困難又は嗅覚脱失

後遺障害等級の判断基準(外貌醜状障害)

①鼻の欠損との関係

鼻の欠損が生じる場合,同時に外貌の醜状障害に該当することが考えられます。その場合,欠損障害と醜状障害のいずれか上位の等級が認定されます。上位の等級のみが認定され,併合されないことに注意が必要です。

例えば,鼻を欠損して著しい機能障害が生じた場合,9級5号に認定されますが,同時に外貌の醜状障害として7級12号に該当する場合,上位の7級が認定されます。

②鼻の欠損に至らない場合

鼻の欠損(=全部又は大部分の欠損)には至らない程度の一部欠損は,別途醜状障害の対象となるかどうかの問題となります。醜状障害の基準を満たせば,12級14号の認定可能性があります。

後遺障害等級の判断基準(機能障害)

鼻の欠損を伴わない機能障害は,以下の等級に該当する可能性があります。

等級基準
12級相当嗅覚脱失
鼻呼吸困難
14級相当嗅覚減退

嗅覚脱失」及び「嗅覚減退」の基準は,上記と同様です。

嗅覚脱失」とは
T&Tオルファクトメーターによる検査の認定域値5.6以上
嗅覚減退」とは
T&Tオルファクトメーターによる検査の認定域値2.6以上5.5以下

後遺障害に対する損害賠償額

後遺障害等級が認定された場合,主に後遺障害に対する慰謝料及び逸失利益が発生します。
もっとも,その金額は一律ではなく,計算基準や計算方法によって大きく異なります。保険会社は,弁護士がいない場合には自賠責基準を念頭に金額提示を行い,弁護士が入った場合には裁判基準を念頭に計算するのが通常です。

ここでは,弁護士の有無による損害賠償額の差異に関する一例として,以下のケースを題材に各基準の計算を紹介します。

【ケース】
症状固定時50歳,年収400万円,「鼻の欠損及び著しい機能障害」により9級5号認定

①自賠責基準

①後遺障害慰謝料
=249万円

②後遺障害逸失利益
=367万円

③合計
616万円

②裁判基準

①後遺障害慰謝料
=690万円

②後遺障害逸失利益
=400万円×35%×13.1661(17年ライプ)
=18,432,540円

③合計
25,332,540円

③差額

25,332,540円-616万円
19,172,540円(約4.1倍)

あくまで単純計算の結果であるため,現実にこの金額が受領できるかは別問題ですが,少なくとも弁護士への依頼によって大きく増額する余地のあることが分かります。

鼻の後遺障害は弁護士に依頼すべきか

鼻の後遺障害等級は,欠損を伴う場合と伴わない場合で認定基準が異なり,場合分けの必要性が高い類型です。そのため,ケースに適した場合分けを誤ると,等級認定の見込みにも誤りが生じ,結果的に十分な損害賠償の獲得に至らない可能性が生じてしまいます。

また,「鼻の欠損」や「鼻呼吸困難」など,必ずしも認定基準が数値等で明確にならないものもあるため,具体的な対応に際しては弁護士への相談・依頼が望ましいでしょう。

鼻の後遺障害に交通事故に強い弁護士をお探しの方へ

鼻に関する後遺障害は,主に嗅覚について問題になることが多く見受けられます。
この点,嗅覚の後遺障害は判断基準が明確に定められているため,この基準を踏まえた対応や申請が重要となります。
後遺障害の手続に際しては,交通事故に精通した弁護士へのご相談が有力です。

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耳の後遺障害の種類は?聴力がどの程度悪くなると後遺障害?耳鳴りがある場合はどうなる?類型ごとの認定基準を弁護士が解説

●耳の後遺障害にはどのようなものがあるか?

●耳の後遺障害の判断基準は?

●聴力はどのように決まるのか?

●後遺障害等級が認定された場合にはいくら請求できるか?

●耳の後遺障害については弁護士に依頼すべきか?

という悩みはありませんか?

このページでは,耳の後遺障害についてお困りの方に向けて,耳の後遺障害等級の判断基準や検査方法後遺障害となった場合の請求内容などを解説します。

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耳に関する後遺障害の種類

耳の後遺障害には,以下の種類が挙げられます。

機能障害聴力の喪失・低下に関する後遺障害
欠損障害耳の大部分を失ったことに関する後遺障害
耳鳴り耳の中でのみ雑音が生じることに関する後遺障害
耳漏外傷により耳漏(分泌物)がある場合の後遺障害

後遺障害等級の判断基準(聴力障害)

聴力障害は,「純音聴力レベル」の平均値及び「明瞭度」の最高値を基準に判断されます。

「純音聴力レベル」とは
音波の基本的なもの(=純音)に対する聴こえ方の程度。音が聴こえるかどうか

「明瞭度」とは
言語の音声(語音)に対する聴こえ方の程度。言葉を聞き取れるかどうか

具体的な等級及び認定基準は以下の通りです。

等級基準
4級3号両耳の聴力を全く失ったもの
①両耳の平均純音聴力レベルが90dB以上のもの
②両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上であり、かつ最高明瞭度が30%以下のもの
6級3号両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
①両耳の平均純音聴力レベル80dB以上のもの
②両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ最高明瞭度が30%以下のもの
6級4号1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
1耳の平均純音聴力レベルが90dB以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが70dB以上のもの
7級2号両耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
①両耳の平均純音聴力レベルが70dB以上のもの
②両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ、最高明瞭度が50%以下のもの
7級3号1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
1耳の平均純音聴力レベルが90dB以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが60dB以上のもの
9級7号両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
①両耳の平均純音聴力レベルが60dB以上のもの
②両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ、最高明瞭度が70%以下のもの
9級8号1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの
1耳の平均純音聴力レベルが80dB以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが50dB以上のもの
10級5号両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの
①両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上のもの
②両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上であり、かつ、最高明瞭度が70%以下のもの
11級5号両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上のもの

【一耳の聴力ともう一耳の聴力の関係】

【両耳聴力と最高明瞭度の関係】

後遺障害等級の判断基準(欠損障害)

等級基準
12級4号1耳の耳殻の大部分を欠損したもの

「耳殻の大部分の欠損」とは,以下の場合を指します。

「耳殻の大部分の欠損」
耳殻の軟骨部の2分の1以上を欠損したもの

ここで「耳殻」とは,耳のうち外に張り出て飛び出している部分をいいます。
一般的に「耳」と呼ぶ楕円形の部位全体を指します。

なお,耳殻の欠損障害が醜状障害にも該当する場合,いずれか上位の等級が認定されます

後遺障害等級の判断基準(耳鳴り)

等級基準
12級相当難聴に伴い著しい耳鳴りが常時あると評価できるもの
14級相当難聴に伴い常時耳鳴りのあることが合理的に説明できるもの

【具体的基準】

「難聴に伴い」とは(12級)
①耳鳴りが存在すると思われる純音聴力レベルが,他の純音聴力レベルと比べて低下している場合
②平均純音レベルが40dB未満(=聴力の後遺障害等級)に満たなくてもよい

「著しい耳鳴り」とは(12級)
耳鳴りに係る検査により耳鳴りが存在すると医学的に評価できる場合

「常時耳鳴りのあること」とは(14級)
耳鳴りが常時存在するものの,昼間外部の音によって耳鳴りが遮蔽されるため自覚症状が無く,夜間のみ耳鳴りの自覚症状を有する場合

「合理的に説明できるもの」とは(14級)
耳鳴りの自訴があり、かつ、耳鳴りのあることが騒音暴露歴や音響外傷等から合理的に説明できること

後遺障害等級の判断基準(耳漏)

外傷による耳漏が生じ,手術で治療をしてもなお残った場合には,後遺障害等級認定の対象となります。

等級基準
12級相当常時耳漏があるもの
14級相当その他の耳漏があるもの

後遺障害に対する損害賠償額

後遺障害等級が認定された場合,主に後遺障害に対する慰謝料及び逸失利益が発生します。
もっとも,その金額は一律ではなく,計算基準や計算方法によって大きく異なります。保険会社は,弁護士がいない場合には自賠責基準を念頭に金額提示を行い,弁護士が入った場合には裁判基準を念頭に計算するのが通常です。

ここでは,弁護士の有無による損害賠償額の差異に関する一例として,以下のケースを題材に各基準の計算を紹介します。

【ケース】
症状固定時40歳,年収500万円,1耳の聴力を失ったもの(平均純音レベル90dB以上のもの)として9級9号認定

①自賠責基準

①後遺障害慰謝料
=249万円

②後遺障害逸失利益
=367万円

③合計
616万円

②裁判基準

①後遺障害慰謝料
=690万円

②後遺障害逸失利益
=500万円×35%×18.3270(27年ライプ)
=32,072,250円

③合計
38,972,250円

③差額

38,972,250円-616万円
32,812,250円(約6.3倍)

あくまで単純計算の結果であるため,現実にこの金額が受領できるかは別問題ですが,少なくとも弁護士への依頼によって大きく増額する余地のあることが分かります。

耳の後遺障害は弁護士に依頼すべきか

耳の後遺障害は,特に聴力障害の認定基準が一見して複雑であり,検査の際に認定基準を踏まえて進めることが容易ではありません。重大な後遺障害等級に該当する場合も少なくないため,十分な等級の獲得と金銭賠償の受領を図るためには,弁護士への依頼が非常に有力でしょう。

耳の後遺障害に強い弁護士をお探しの方へ

耳に関する後遺障害は,頭部や顔面の受傷に際して発生することが多く,脳・顔面等の後遺障害と同時に問題となることが少なくありません。
この場合,他の後遺障害が大きな問題になるあまり,耳の後遺障害への必要な対応がなされず,不利益につながってしまうことも散見されます。
耳の後遺障害が懸念される場合は,交通事故に強い弁護士へのご相談が有力です。

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眼の後遺障害の種類は?視力がどれほど下がったら後遺障害?視力以外の異常はどうなる?弁護士が詳細解説

●眼球の後遺障害にはどのようなものがあるか?

●まぶたの後遺障害にはどのようなものがあるか?

●眼の後遺障害の判断基準は?

●後遺障害等級が認定された場合,何が請求できるか?

●後遺障害等級の認定に問題が生じる場合は?

●眼の後遺障害については弁護士に依頼すべきか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,眼の後遺障害についてお困りの方に向けて,眼の後遺障害等級の認定基準や,認定手続の方法・内容認定された場合の損害賠償額などを解説します。

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眼球の後遺障害の種類

眼球の後遺障害には,以下の種類が挙げられます。

視力障害視力の低下に関する後遺障害
調節機能障害ピントを合わせる機能に関する後遺障害
運動障害眼球の動きに制限が生じたり,複視が生じたりする後遺障害
視野障害視野の広さに制限が生じる後遺障害

また,まぶしさを調節する機能に障害(外傷性散瞳)が生じる場合,別途後遺障害等級が認定されることがあります。

まぶたの後遺障害の種類

まぶたに関する後遺障害には,以下の種類が挙げられます。

欠損障害まぶたの全部又は一部を失ったことに関する後遺障害
運動障害まぶたの開閉をするための運動機能に制限が生じる後遺障害

後遺障害等級の判断基準(視力障害)

失明及び視力低下が生じた場合に認められる後遺障害です。
視力障害に関する具体的な後遺障害等級は,以下の通りです。

①両眼の視力障害

等級基準
1級1号両眼が失明したもの
2級1号1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
2級2号両眼の視力が0.02以下になったもの
3級1号1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
4級1号両眼の視力が0.06以下になったもの
5級1号1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
6級1号両眼の視力が0.1以下になったもの
7級1号1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
9級1号両眼の視力が0.6以下になったもの

②1眼の視力障害

等級基準
8級1号1眼が失明し又は1眼の視力が0.02以下になったもの
9級2号1眼の視力が0.06以下になったもの
10級1号1眼の視力が0.1以下になったもの
13級1号1眼の視力が0.6以下になったもの

③注意事項

【失明について】

失明とは以下のいずれかの場合をいいます。

「失明」とは
①眼球を失ったもの
②明暗が分からないもの
③明暗がようやく分かる程度のもの

明暗が分かるかどうかは,以下の2つの能力を基準に判断します。

光覚弁
→暗室にて,面前でペンライト等の照明を点滅させたとき,明暗が弁別できる能力
手動弁
→面前で手の平を上下左右にゆっくり動かしたとき,動きの方向を弁別できる能力

【視力について】

後遺障害等級の対象とする視力は,矯正視力を指します。そのため,眼鏡やコンタクトレンズなどを着用した状態の視力を基準に判断されます。

【両眼に障害がある場合の等級】

両眼に視力の障害がある場合,1眼ごとの視力障害とどちらを認定すべきかが問題となりますが,この点のルールは以下の通りです。

両眼に障害がある場合
両眼の視力障害に関する等級で認定し,1眼ごとの等級を併合することはしない
両眼の等級よりもいずれか1眼の等級の方が上位である場合,1眼のみに障害があるものとみなしてより上位の等級を認定する

(例1)
右が0.1,左が0.02の場合
両眼:6級1号
1眼:8級1号(左について)
→6級1号が認定される(①のルールにより)

(例2)
右が0.6,左が0.02の場合
両眼:9級1号
1眼:8級1号(左について)
→8級1号が認定される(②のルールにより)

したがって,両眼の等級が原則であり,1眼のみの方がこれより上位の場合には例外的に1眼の等級を認定する,ということになります。

後遺障害等級の判断基準(調節機能障害)

等級基準
11級1号両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
12級1号1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

著しい調節機能障害」とは以下の場合を指します。

著しい調節機能障害
眼の調節力が損傷を受けなかった方の他眼に比して2分の1以下に減じたもの

(注意事項)
①両眼とも損傷を受けた場合,損傷していない眼の調節機能に異常がある場合は,年齢別の調整力と比較する
②以下のいずれかに当たる場合は障害認定されない
・損傷していない眼の調整力が1.5D以下であるとき
・55歳以上であるとき

5歳ごとの年齢別の調整力

年齢(歳)調整力(ジオプトリー(D))
159.7
209.0
257.6
306.3
355.3
404.4
453.1
502.2
551.5
601.35

後遺障害等級の判断基準(運動障害)

眼球の運動を維持する筋肉(眼筋)の一個又は数個が麻痺することにより,眼球が偏ってしまうことがあります。
この偏りによる注視野の減少や複視に関する障害が,運動障害です。

等級基準
10級2号正面を見た場合に複視の症状を残すもの
11級1号両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
12級1号1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
13級2号正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

「眼球に著しい運動障害を残すもの」とは,以下の場合を指します。

「眼球に著しい運動障害を残すもの」
=眼球の注視野が2分の1以下に減じたもの

注視野とは
頭部を固定した状態で眼球を動かして直視できる範囲
平均値は単眼視で各方面50度,両眼視で各方面45度とされています。

複視」は,1つの物体が2つに見えることをいい,以下の全てを満たす場合を指します。

「複視を残すもの」

1.本人が複視のあることを自覚していること
2.眼筋の麻痺等複視を残す明らかな原因が認められること
3.ヘススクリーンテストにより患側の像が健側に比して5度以上離れた位置にあること

なお,10級と13級の差異は以下の通りです。
正面を見た場合に複視の症状を残すもの」(10級)
→正面視で複視が中心の位置にあること
正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの」(13級)
→それ以外の場合

後遺障害等級の判断基準(視野障害)

等級基準
9級3号両眼に半盲症、視野狭窄、又は視野変状を残すもの
13級3号1眼に半盲症、視野狭窄、又は視野変状を残すもの

「半盲症」とは

「半盲症」とは
視野の右半分又は左半分が欠損し,見えなくなってしまう症状をいいます。以下のような種類があります。
同側半盲:両眼の同じ側で半盲が生じる場合
異名半盲:両眼のそれぞれ反対側で半盲が生じる場合

また,視野の上半分または下半分が欠損する場合もあり,「水平半盲」といいます。

「視野狭窄」とは

「視野狭窄」とは
視野が狭くなる症状をいいます。以下のような種類があります。
同心性狭窄:中心部分ははっきり見えるが,周辺部分が見えない
不規則狭窄:視野の一部分が規則性のない形で狭くなる

「視野変状」とは

「視野変状」とは
半盲症や視野狭窄のほか,視野に異常が生じることをいいます。具体的には以下の内容があります。
暗転:視野の中に暗くて見えない部分が生じるもの
視野欠損:視野の一部が見えなくなる状態

後遺障害等級の判断基準(散瞳)

散瞳とは,瞳孔の動きに異常が生じた結果,まぶしさを感じてしまうものをいいます。
瞳孔は,光の刺激を受けると小さくなり,眼に取り込む光の量を調節する機能を有します。これを対光反射と言いますが,対光反射に異常が生じると瞳孔が開いた状態(=散瞳)となり,光の刺激を弱めることができずまぶしさを感じてしまいます。

外傷性散瞳に関する後遺障害等級は,以下の通りです。

【両眼】

等級基準
11級相当両眼の瞳孔の対光反射が著しく障害され、著名な羞明を訴え労働に著しく支障をきたすもの
12級相当両眼の瞳孔の対光反射はあるが不十分であり、羞明を訴え労働に支障をきたすもの

【1眼】

等級基準
12級相当1眼の瞳孔の対光反射が著しく障害され、著名な羞明を訴え労働に著しく支障をきたすもの
14級相当1眼の瞳孔の対光反射はあるが不十分であり、羞明を訴え労働に支障をきたすもの

後遺障害等級の判断基準(まぶたの欠損障害)

等級基準
9級4号両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
11級3号1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
13級4号両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
14級1号1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

【具体的基準】

「まぶたに著しい欠損を残すもの」とは
まぶたを閉じた場合に角膜(眼球の色がある部分を覆う膜)を完全に覆えない程度のもの

「まぶたの一部に欠損を残すもの」とは
まぶたを閉じた場合に、角膜を完全に覆うことができるものの、球結膜(白目)が露出してしまう場合

「まつげはげを残すもの」とは
まつげの生えている周縁の2分の1以上にわたってまつげはげを残すもの

後遺障害等級の判断基準(まぶたの運動障害)

等級基準
11級2号両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
12級2号1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

【具体的基準】

「まぶたに著しい運動障害を残すもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。
①まぶたを開けた時にまぶたが完全に瞳孔(黒目)を覆ってしまうもの
②まぶたを閉じたときに角膜(眼球の色がある部分を覆う膜)を完全に覆えないもの

後遺障害に対する損害賠償額

後遺障害等級が認定された場合,主に後遺障害に対する慰謝料及び逸失利益が発生します。
もっとも,その金額は一律ではなく,計算基準や計算方法によって大きく異なります。保険会社は,弁護士がいない場合には自賠責基準を念頭に金額提示を行い,弁護士が入った場合には裁判基準を念頭に計算するのが通常です。

ここでは,弁護士の有無による損害賠償額の差異に関する一例として,以下のケースを題材に各基準の計算を紹介します。

【ケース】
症状固定時40歳,年収400万円,1眼の視力障害(0.06以下)で9級2号認定

①自賠責基準

①後遺障害慰謝料
=249万円

②後遺障害逸失利益
=367万円

③合計
616万円

②裁判基準

①後遺障害慰謝料
=690万円

②後遺障害逸失利益
=400万円×35%×18.3270(27年ライプ)
=25,657,800円

③合計
32,557,800円

③差額

32,557,800円-616万円
26,397,800円(約5.3倍)

あくまで単純計算の結果であるため,現実にこの金額が受領できるかは別問題ですが,少なくとも弁護士への依頼によって大きく増額する余地のあることが分かります。

眼の後遺障害は弁護士に依頼すべきか

眼やまぶたの後遺障害は,その認定基準や検査の内容が一般的になじみの浅い内容であることが多く,被害者の方が自分で等級認定を目指すことは非常に困難が伴いやすいでしょう。また,等級認定の基準が客観的な数値で明確に定められているものも多く,事前に認定基準を踏まえながら治療や検査に臨むことが有益になりやすい類型でもあります。

そのため,弁護士に依頼の上,弁護士と協同して後遺障害等級認定を目指すことで,適切な等級の獲得と金銭賠償の受領に至る可能性が高くなるでしょう。眼やまぶたの後遺障害については,弁護士への依頼をお勧めいたします。

眼の後遺障害に強い弁護士をお探しの方へ

眼の後遺障害は,対象になるケースが決して多くないため,受傷内容によっては交通事故との関係が争点になることも考えられます。
もっとも,後遺障害の程度によっては,将来に渡って非常に大きな制限を強いられるものであるため,交通事故に精通した弁護士を通じて十分な対応を取ることが適切です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,1000件を超える数々の交通事故解決に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内いたします。
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下肢・足指の後遺障害の種類は?認定基準は?認定された場合の賠償額は?交通事故弁護士による増額のシミュレーションも

●下肢・足指の後遺障害にはどのようなものがあるか?

●下肢・足指の後遺障害の判断基準は?

●下肢・足指の機能障害はどのように判断するか?

●等級が認定された場合にはいくら請求できるか?

●下肢・足指の後遺障害については弁護士に依頼すべきか?

という悩みはありませんか?

このページでは,下肢の後遺障害についてお困りの方に向けて,下肢の後遺障害に関する判断基準等級認定された場合の賠償額などを解説します。

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下肢・足指の後遺障害の種類

下肢は,人体の股関節より下の部位をいい,具体的には大腿骨,下腿(脛骨及び腓骨),足根骨,中足骨で構成されます。交通事故の結果,骨折や脱臼が生じるなどした場合に,治療を尽くしても事故前の状態には戻らず,後遺障害の対象となることがあります。

下肢及び足指の後遺障害としては,以下のものが挙げられます。

下肢の後遺障害

欠損障害下肢の一部分を失ったことに関する後遺障害
機能障害関節(股関節、膝関節、足関節)の動きに制限が生じたことに関する後遺障害
変形障害下肢の骨折部が曲がったまま癒合するなどした結果,変形が生じたことに関する後遺障害
短縮障害下肢(股から足までの間)の長さが短くなったことに関する後遺障害

足指の後遺障害

欠損障害足指の一部分を失ったことに関する後遺障害
機能障害①足指の関節の動きに制限が生じたことに関する後遺障害
②足指の一部を失ったうち,欠損障害に該当しないものに関する後遺障害

後遺障害等級の判断基準(下肢の欠損障害)

①両下肢を失った場合

等級基準
1級5号両下肢をひざ関節以上で失ったもの
2級4号両下肢を足関節以上で失ったもの
4級7号両足をリスフラン関節以上で失ったもの

②1下肢を失った場合

等級基準
4級5号1下肢をひざ関節以上で失ったもの
5級5号1下肢を足関節以上で失ったもの
7級8号1足をリスフラン関節以上で失ったもの

③具体的な認定基準

「下肢をひざ関節以上で失ったもの」

以下のいずれかの場合
1.股関節おいて、寛骨と大腿骨とを離断したもの
2.股関節とひざ関節との間において切断したもの
3.ひざ関節において、大腿骨と脛骨及び腓骨とを離断したもの

「下肢を足関節以上で失ったもの」

以下のいずれかの場合
1.ひざ関節と足関節との間で切断したもの
2.足関節において、脛骨及び腓骨と距骨とを離断したもの

「リスフラン関節以上で失ったもの」

以下のいずれかの場合
1.足根骨(腓骨、距骨、舟状骨、立方骨及び3個の楔状骨)において切断したもの
2.リスフラン関節において中足骨と足根骨とを離団したもの

(「障害認定必携」より引用)

後遺障害等級の判断基準(下肢の機能障害)

①下肢の用を全廃したもの

等級基準
1級6号両下肢の用を全廃したもの
5級7号1下肢の用を全廃したもの

「下肢の用を全廃したもの」とは,以下の場合を指します。

3大関節(股関節、ひざ関節、及び足関節)の全てが強直(※)した場合
(3大関節が強直したことに加え、足指全部が強直した場合も含まれる)

※「強直」:関節が全く可動しない場合,又はこれに近い状態(※※)である場合
※※「これに近い状態」:自動の可動域が10%以下になった場合

②関節の用を廃したもの

等級基準
6級7号1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
8級7号1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

「関節の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.関節が強直したもの
2.関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態(※)にあるもの
3.人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの

※「これに近い状態」とは,自動の可動域が10%程度以下になった場合を指します。
(例)健側の可動域が150度の場合,患側の可動域が15度以下であれば関節の用廃となる

③関節の機能に著しい障害を残すもの

等級基準
10級11号1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
2.人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されていないもの

④関節の機能に障害を残すもの

等級基準
12級7号1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

「関節の機能に障害を残すもの」とは,以下の場合を指します。

関節の可動域が健側の可動域角度の3/4以下に制限されている場合

⑤動揺関節

動揺関節とは,骨折部の癒合不全や靭帯の断裂などが原因となって,関節の安定性が失われてしまったために,関節がグラグラして安定しなかったり,本来曲がらない方向に曲がってしまったりと,異常な関節運動の起きる状態を言います。膝関節の靭帯損傷に際して発生する場合が多く見られます。
自賠責保険の後遺障害等級認定基準には設けられていないものの,労災保険の認定基準に準じ,関節機能障害の一種として認定される運用となっています。

等級基準
8級7号相当
(用廃)
常に硬性補装具を必要とするもの
10級11号相当
(著しい障害)
時々硬性補装具を必要とするもの
12級7号相当
(障害)
重激な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないもの

⑥可動域の測定方法

【主要運動】

関節可動域は,関節ごとに定められる主要運動の測定値を比較します。
下肢の三大関節の主要運動は,以下の通りです。

関節主要運動参考可動域角度
股関節①屈曲・伸展125度・15度(合計140度)
股関節②外転・内転145度・20度(合計65度)
ひざ関節屈曲・伸展130度・0度(合計130度)
足関節屈曲(底屈)・伸展(背屈)45度・20度(合計65度)
「屈曲+伸展」「外転+内転」の合計値を比較

なお,左右いずれも可動域制限が生じている場合,参考可動域との比較を行います。

股関節の主要運動

足関節の主要運動

【参考運動を用いる場合】

関節の運動には,主要運動のほかに参考運動があります。
可動域制限を判断する場合に参考運動を用いるのは,主要運動の可動域が基準をわずかに(=機能障害は5度,著しい機能障害は10度)上回る場合とされます。

関節参考運動参考可動域角度
股関節外旋・内旋45度・45度(合計90度)

後遺障害等級の判断基準(下肢の変形障害)

①偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

 偽関節とは,骨折した部位が変形癒合し,関節でない部分が曲がって関節のようになってしまった状態を指します。関節のようだが関節ではない,ニセの関節というべきものです。

 偽関節に関する後遺障害は2つの種類があり,硬性補装具を必要とするかどうかにより区別されます。硬性補装具を要する場合,以下の等級に該当します。

等級基準
7級10号1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは,以下のいずれかに該当する場合を指します。

1.上腕骨の骨幹部又は骨幹端部にゆ合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの
2.脛骨及び腓骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残し,常に硬性補装具を必要とするもの
3.脛骨の骨幹部等にゆ合不全を残し,常に硬性補装具を必要とするもの

②偽関節を残すもの

等級基準
8級9号1下肢に偽関節を残すもの

「偽関節を残すもの」とは,以下のいずれかに該当する場合を指します。

1.大腿骨の骨幹部等にゆ合不全を残すが硬性補装具を必要とはしないもの
2.脛骨及び腓骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残すが硬性補装具を必要とはしないもの
3.脛骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、時々硬性補装具を必要とするもの

③長管骨に変形を残すもの

等級基準
12級8号長管骨に変形を残すもの

「長管骨に変形を残すもの」とは,以下のいずれかに該当する場合を指します。

1.大腿骨に変形を残し、外見から想定できる程度のもの(=15度以上屈曲して不正癒合したもの)
2.脛骨に変形を残し、外見から想定できる程度のもの(=15度以上屈曲して不正癒合したもの)
3.大腿骨の骨端部に癒合不全を残すもの
4.脛骨の骨端部に癒合不全を残すもの
5.腓骨の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残すもの
6.大腿骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
7.脛骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
8.大腿骨(骨端部を除く)の直径が2/3以下に減少したもの
9.脛骨(骨端部を除く)の直径が2/3以下に減少したもの
10.大腿骨が外旋45度以上(=股関節の内旋が0度を超えて可動できない)又は、内旋30度以上(=股関節の外旋が15度を超えて可動できない)で変形癒合しているもの

後遺障害等級の判断基準(下肢の短縮障害)

等級基準
8級5号1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
10級8号1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
13級8号1下肢を1センチメートル以上短縮したもの

下肢の短縮は,上前腸骨棘と下腿内果下端の間の長さを健側の下肢と比較して等級認定を行います。

後遺障害等級の判断基準(足指の欠損障害)

等級基準
5級8号両足の足指の全部を失ったもの
8級10号1足の足指の全部を失ったもの
9級14号1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
10級9号1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
12級11号1足の第2の足指を失ったもの
第2の足指を含み2の足指を失ったもの
第3の足指以下の第3の足指を失ったもの
13級9号1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの

「足指を失ったもの」とは,足指を中足指節関節から失ったことを指します。つまり,足指をすべて失った場合を指すことになります。

(「障害認定必携」より引用)

後遺障害等級の判断基準(足指の機能障害)

等級基準
7級11号両足の足指の全部の用を廃したもの
9級15号1足の足指の全部の用を廃したもの
11級9号1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
12級12号1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
13級10号1足の第2の足指の用を廃したもの
第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの
第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
14級8号1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの

「足指の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.親指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
2.親指以外の足指について、中節骨又は基節骨で切断したもの
3.親指以外の足指について、遠位指節間関節又は近位指節間関節で離断したもの
4.親指の中足指節間関節又は指節間関節の可動域が1/2以下に制限されるもの
5.親指以外の足指の中足指節間関節又は近位指節間関節の可動域が1/2以下に制限されるもの

後遺障害に対する損害賠償額

後遺障害等級が認定された場合,主に後遺障害に対する慰謝料及び逸失利益が発生します
もっとも,その金額は一律ではなく,計算基準や計算方法によって大きく異なります。保険会社は,弁護士がいない場合には自賠責基準を念頭に金額提示を行い,弁護士が入った場合には裁判基準を念頭に計算するのが通常です。

ここでは,弁護士の有無による損害賠償額の差異に関する一例として,以下のケースを題材に各基準の計算を紹介します。

【ケース】
症状固定時50歳,年収500万円,下肢の関節機能障害で10級11号認定

①自賠責基準

①後遺障害慰謝料
=190万円

②後遺障害逸失利益
=271万円

③合計
461万円

②裁判基準

①後遺障害慰謝料
=550万円

②後遺障害逸失利益
=500万円×27%×13.1661(17年ライプ)
=17,774,235円

③合計
23,274,235円

③差額

23,274,235円-461万円
18,664,235円(約5倍)

あくまで単純計算の結果であるため,現実にこの金額が受領できるかは別問題ですが,少なくとも弁護士への依頼によって大きく増額する余地のあることが分かります。

下肢・足指の後遺障害は弁護士に依頼すべきか

下肢や足指の後遺障害は,申請時の検査内容・診断内容が結果に直結することが多く見られる類型です。特に機能障害は,基本的に後遺障害診断書上の関節可動域の測定値をほぼ唯一の基準にして判断されるものであるため,申請を行う前に,さらには可動域の測定を行う前に,どのような等級の獲得を目指していくのかを明確にして手続を進める必要があります。

これらの進め方や判断に関しては,交通事故に精通した弁護士に依頼をするのが最も確実でしょう。弁護士に依頼し,適切な方針で適切な対応をしてもらうことにより,障害の程度を正確に反映した等級認定や賠償の獲得が可能になります。

②金額交渉に際しての弁護士依頼

具体例で紹介した通り,同じ後遺障害等級認定が得られた場合でも,その具体的な損害賠償額は弁護士の有無で大きく異なります。保険会社は,弁護士の有無で計算を異にする運用をしているため,十分な損害賠償額を獲得するためには弁護士への依頼が必要と考えてよいでしょう。

下肢・足指の後遺障害に強い弁護士をお探しの方へ

下肢・足指に後遺障害が残るケースは,重大な事故である場合が多く,今後の生活のためにも十分な損害賠償を獲得することが非常に重要です。
そして,後遺障害等級認定および金額交渉に際しては,交通事故に精通した弁護士の対応が大変有益になりやすいので,交通事故に長けた弁護士へのご相談・ご依頼をお勧めいたします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,1000件を超える数々の交通事故解決に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内いたします。
ご相談やお困りごとのある方は,お気軽にお問い合わせください。

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交通事故で上肢・手指の後遺障害を知りたい方へ,類型ごとの判断基準や認定後の賠償額を徹底解説。弁護士依頼のメリットも紹介

●上肢・手指の後遺障害にはどのようなものがあるか?

●上肢・手指の後遺障害の判断基準は?

●上肢・手指の機能障害はどのように判断するか?

●等級が認定された場合にはいくら請求できるか?

●上肢・手指の後遺障害については弁護士に依頼すべきか?

という悩みはありませんか?

このページでは,上肢の後遺障害についてお困りの方に向けて,上肢の後遺障害に関する判断基準等級認定された場合の賠償額などを解説します。

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上肢・手指の後遺障害の種類

上肢とは肩や腕のことを指します。交通事故の結果,骨折や脱臼が生じるなどすると,治療を尽くしても事故前の状態には戻らず,後遺障害の対象となることがあります。

上肢及び手指の後遺障害としては,以下のものが挙げられます。

上肢の後遺障害

欠損障害上肢の一部分を失ったことに関する後遺障害
機能障害関節(肩関節・肘関節・手関節)の動きに制限が生じたことに関する後遺障害
変形障害上肢の骨折部が曲がったまま癒合するなどした結果,変形が生じたことに関する後遺障害

手指の後遺障害

欠損障害手指の一部分を失ったことに関する後遺障害
機能障害①手指の関節の動きに制限が生じたことに関する後遺障害
②手指の一部を失ったうち,欠損障害に該当しないものに関する後遺障害

後遺障害等級の判断基準(上肢の欠損障害)

①両上肢を失った場合

等級基準
1級3号両上肢をひじ関節以上で失ったもの
2級3号両上肢を手関節以上で失ったもの

②1上肢を失った場合

等級基準
4級4号1上肢をひじ関節以上で失ったもの
5級4号1上肢を手関節以上で失ったもの

③具体的な認定基準

「上肢をひじ関節以上で失ったもの」

以下のいずれかの場合
1.肩関節において、肩甲骨と上腕骨とを離断したもの
2.肩関節とひじ関節との間において上肢を切断したもの
3.ひじ関節において、上腕骨と橈骨及び尺骨とを離断したもの

「上肢を手関節以上失ったもの」

以下のいずれかの場合
1.ひじ関節と手関節との間で切断したもの
2.手関節において、橈骨及び尺骨と手根骨とを離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

後遺障害等級の判断基準(上肢の機能障害)

①上肢の用を全廃したもの

等級基準
1級4号両上肢の用を全廃したもの
5級6号1上肢の用を全廃したもの

「上肢の用を全廃したもの」とは,以下の場合を指します。

三大関節(肩関節・肘関節・手関節)の全てが強直(※)している
かつ
手指の全部の用を廃している

※関節が可動性を失い,動かなくなった状態

②関節の用を廃したもの

等級基準
6級6号1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
8級6号1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

「関節の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.関節が強直したもの
2.関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態(※)にあるもの
3.人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの

※「これに近い状態」とは,自動の可動域が10%程度以下になった場合を指します。
(例)健側の可動域が150度の場合,患側の可動域が15度以下であれば関節の用廃となる

③関節の機能に著しい障害を残すもの

等級基準
10級10号1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
2.人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2分の1以下に制限されていないもの

④関節の機能に障害を残すもの

等級基準
12級6号1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

「関節の機能に障害を残すもの」とは,以下の場合を指します。

関節の可動域が健側の可動域角度の3/4以下に制限されている場合

⑤可動域の測定方法

 【主要運動】

関節可動域は,関節ごとに定められる主要運動の測定値を比較します。
上肢の三大関節の主要運動は,以下の通りです。

関節主要運動参考可動域角度
肩関節①屈曲(前方拳上)180度
肩関節②外転(側方拳上)180度
肘関節屈曲・伸展(※)145度・5度(合計150度)
手関節屈曲(掌屈)・伸展(背屈)(※)90度・70度(合計160度)
※肘関節と手関節は,「屈曲+伸展」の合計値を比較

なお,左右いずれも可動域制限が生じている場合,参考可動域との比較を行います。

肩関節の運動

肘関節の運動

 【参考運動を用いる場合】

関節の運動には,主要運動のほかに参考運動があります。
可動域制限を判断する場合に参考運動を用いるのは,主要運動の可動域が基準をわずかに(=機能障害は5度,著しい機能障害は10度)上回る場合とされます。

関節参考運動参考可動域角度
肩関節①伸展(後方拳上)50度
肩関節②外旋・内旋60度・80度(合計140度)
手関節①橈屈25度
手関節②尺屈55度

後遺障害等級の判断基準(上肢の変形障害)

①偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

 偽関節とは,骨折した部位が変形癒合し,関節でない部分が曲がって関節のようになってしまった状態を指します。関節のようだが関節ではない,ニセの関節というべきものです。

 偽関節に関する後遺障害は2つの種類があり,硬性補装具を必要とするかどうかにより区別されます。硬性補装具を要する場合,以下の等級に該当します。

等級基準
7級9号1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは,以下のいずれかに該当する場合を指します。

1.上腕骨の骨幹部又は骨幹端部にゆ合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの
2.橈骨及び尺骨の骨幹部又は骨幹端部にゆ合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの

②偽関節を残すもの

等級基準
8級8号1上肢に偽関節を残すもの

「偽関節を残すもの」とは,以下のいずれかに該当する場合を指します。

1.上腕骨の骨幹部等にゆ合不全を残すが硬性補装具を必要とはしないもの
2.橈骨及び尺骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残すが硬性補装具を必要とはしないもの
3.橈骨または尺骨のいずれか一方の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、時々硬性補装具を必要とするもの

③長管骨に変形を残すもの

等級基準
12級8号長管骨に変形を残すもの

「長管骨に変形を残すもの」とは,以下のいずれかに該当する場合を指します。

1.上腕骨に変形を残し、外見から想定できる程度のもの(=15度以上屈曲して不正癒合したもの)
2.橈骨及び尺骨の両方に変形を残し、外見から想定できる程度のもの(=15度以上屈曲して不正癒合したもの)
3.上腕骨、橈骨又は尺骨の骨端部に癒合不全を残すもの
4.橈骨又は尺骨の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残し、硬性補装具を必要としないもの
5.上腕骨、橈骨又は尺骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
6.上腕骨(骨端部を除く)の直径が2/3以下に減少したもの
7.橈骨又は尺骨(骨端部を除く)の直径が1/2以下に減少したもの
8.上腕骨が50度以上、外旋又は内旋で変形癒合しているもの

(「障害認定必携」より引用 再掲)

後遺障害等級の判断基準(手指の欠損障害)

①「手指を失ったもの」

等級基準
3級5号両手の手指の全部を失ったもの
6級8号1手の5の手指またはおや指を含み4の手指を失ったもの
7級6号1手のおや指を含み3の手指またはおや指以外の4の手指を失ったもの
8級3号1手のおや指を含み2の手指またはおや指以外の3の手指を失ったもの
9級12号1手のおや指またはおや指以外の2の手指を失ったもの
11級8号1手のひとさし指、なか指またはくすり指を失ったもの
12級9号1手のこ指を失ったもの

「手指を失ったもの」とは,以下の場合を指します。

1.手指を中手骨又は基節骨で切断したもの
2.親指については指節間関節、それ以外の指については近位指節間関節において、基節骨と中節骨が離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

②「手指の一部を失ったもの」

等級基準
13級7号1手のおや指の指骨の一部を失ったもの
14級6号1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

1指骨の一部を失っていること(遊離骨片の状態を含む)がX線写真より確認できるものを指します。

後遺障害等級の判断基準(手指の機能障害)

①「手指の用を廃したもの」

等級基準
4級6号両手の手指の全部の用を廃したもの
7級7号1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの
8級4号1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
9級13号1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
10級7号1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの
12級10号1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
13級6号1手のこ指の用を廃したもの

「手指の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
2.中手指節関節又は近位指節間関節(親指については指節間関節)の可動域が1/2以下に制限されるもの
3.親指について、橈側外転又は掌側外転のいずれかの可動域が1/2以下に制限されるもの
4.手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚完全に脱失したもの

(「障害認定必携」より引用 再掲)

②「遠位指節間関節を屈伸することができないもの」

等級基準
14級7号1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

「遠位指節間関節を屈伸することができないもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.遠位指節間関節が強直したもの
2.屈伸筋の損傷等原因が明らかなものであって、自動で屈伸ができないもの又はこれに近い状態にあるもの

後遺障害に対する損害賠償額

後遺障害等級が認定された場合,主に後遺障害に対する慰謝料及び逸失利益が発生します
もっとも,その金額は一律ではなく,計算基準や計算方法によって大きく異なります。保険会社は,弁護士がいない場合には自賠責基準を念頭に金額提示を行い,弁護士が入った場合には裁判基準を念頭に計算するのが通常です。

ここでは,弁護士の有無による損害賠償額の差異に関する一例として,以下のケースを題材に各基準の計算を紹介します。

【ケース】
症状固定時50歳,年収500万円,上肢の関節機能障害で10級10号認定

①自賠責基準

①後遺障害慰謝料
=190万円

②後遺障害逸失利益
=271万円

③合計
461万円

②裁判基準

①後遺障害慰謝料
=550万円

②後遺障害逸失利益
=500万円×27%×13.1661(17年ライプ)
=17,774,235円

③合計
23,274,235円

③差額

23,274,235円-461万円
18,664,235円(約5倍)

あくまで単純計算の結果であるため,現実にこの金額が受領できるかは別問題ですが,少なくとも弁護士への依頼によって大きく増額する余地のあることが分かります。

上肢・手指の後遺障害は弁護士に依頼すべきか

①等級認定に際しての弁護士依頼

上肢や手指の後遺障害は,申請時の検査内容・診断内容が結果に直結することが多く見られる類型です。特に機能障害は,基本的に後遺障害診断書上の関節可動域の測定値をほぼ唯一の基準にして判断されるものであるため,申請を行う前に,さらには可動域の測定を行う前に,どのような等級の獲得を目指していくのかを明確にして手続を進める必要があります。

これらの進め方や判断に関しては,交通事故に精通した弁護士に依頼をするのが最も確実でしょう。弁護士に依頼し,適切な方針で適切な対応をしてもらうことにより,障害の程度を正確に反映した等級認定や賠償の獲得が可能になります。

②金額交渉に際しての弁護士依頼

具体例で紹介した通り,同じ後遺障害等級認定が得られた場合でも,その具体的な損害賠償額は弁護士の有無で大きく異なります。保険会社は,弁護士の有無で計算を異にする運用をしているため,十分な損害賠償額を獲得するためには弁護士への依頼が必要と考えてよいでしょう。

上肢・手指の後遺障害に強い弁護士をお探しの方へ

上肢・手指の後遺障害は,生活上の行動に直接影響するため,適切な等級認定と金銭賠償を獲得する必要が非常に大きいと言えます。
しかし,等級認定基準や賠償額を正確に把握して,その内容に沿って必要な対応を行うのは容易でなく,交通事故に精通した弁護士へのご相談が適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,1000件を超える数々の交通事故解決に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内いたします。
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醜状障害の判断基準は?認定された場合の賠償額は?弁護士に依頼すると結果は変わるのか?弁護士が詳細解説

●醜状障害とは何か?

●醜状障害は誰がどのように判断するか?

●醜状障害の判断基準を知りたい

●複数の傷跡がある場合はどのように判断されるか?

●醜状障害は逸失利益が請求できるか?

●醜状障害は弁護士に依頼すべきか?

という悩みはありませんか?

このページでは,交通事故の醜状障害でお困りの方に向けて,醜状障害の判断基準や判断方法醜状障害が認められた場合の賠償額などを解説します。

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醜状障害とは

醜状障害は,人の目につく人体の露出面に,目立つ傷跡が残った場合の後遺障害をいいます。醜状の具体的な内容としては,瘢痕や線状痕,組織の陥没,色素沈着による変色などが挙げられます。

また,醜状障害が認定される部位としては,以下のものが挙げられます。

醜状障害の対象部位
①外貌(頭部・顔面部・頸部)
②上肢又は下肢の露出面
③日常露出しない部位(胸部・腹部・背部・臀部)

醜状障害の判断方法

醜状障害が後遺障害等級に認定されるかどうかは,自賠責の損害調査を行う「損害保険料率算出機構」によって判断されます。実際には,全国各地の自賠責損害調査事務所において,管轄地域の後遺障害等級認定を行うことになります。

調査事務所では,診断書上に記録された醜状の内容や程度,当該部位の撮影写真,さらには面談を行って目視したときの状態などを踏まえ,後遺障害等級に該当するかを判断します。もっとも,具体的にどこまでの調査を行うのかは,基本的に調査事務所側の判断となっています。

ポイント
醜状障害は人体の露出面における傷跡が後遺障害とされるもの
醜状障害の主な対象部位は,外貌(頭部・顔面部・頸部)と上下肢
醜状障害の判断は,診断書・写真・面談等を通じて行う

醜状障害の判断基準(外貌)

外貌の醜状に関する後遺障害等級には,以下のものがあります。

等級基準
7級12号外貌に著しい醜状を残すもの
9級16号外貌に相当程度の醜状を残すもの
12級14号外貌に醜状を残すもの

この中では,7級が最も上位の後遺障害等級であり,醜状の程度も最も著しい場合となります。
そして,具体的な認定基準は,等級ごと及び部位ごとに定められており,その内容は以下の通りです。

7級12号「外貌に著しい醜状を残すもの」

部位基準
頭部手のひら大(指の部分を含まず)以上の瘢痕又は頭蓋骨の手のひら大以上の欠損
顔面部鶏卵大面以上の瘢痕、又は10円銅貨代以上の組織陥没
頚部手のひら大以上の瘢痕

9級16号「外貌に相当程度の醜状を残すもの」

部位基準
顔面部5cm以上の線状痕で、人目につく程度のもの

12級14号 外貌に醜状を残すもの

部位基準
頭部鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損
顔面部10円銅貨大以上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線状痕
頚部鶏卵大面以上の瘢痕

なお,瘢痕の大きさや線状痕の長さを確認する際には,以下の点に注意を要します。

①人目につくことが必要
→眉や髪で隠れる部分は醜状として扱われません。また,アゴの下で正面から見えない部分も対象外となります。これらの部分を除いた長さや面積を計測します。

②2つ以上の傷跡がある場合の判断方法
→複数の傷跡は,それらが一体となっている場合,一体となっている面積や長さを合算した数値で等級が判断されます

③事故時に生じたものでない醜状の取り扱い
→治療中に生じた手術痕や,やけど等の治療後に生じた色素沈着なども,醜状障害の対象に含まれます。

ポイント 外貌醜状
等級は7級,9級,12級
それぞれ,頭部・顔面部・頸部の醜状が対象になり得る

醜状障害の判断基準(上肢下肢)

上下肢の場合,その露出面が対象になります。露出面とは以下の通りです。

「露出面」とは
上肢 肩関節から先(指先まで)
下肢 股関節から先(足の背部まで)

そして,上下肢の露出面に関する後遺障害等級には,いかのものがあります。

等級基準
14級4号上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
14級5号下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの

また,上下肢の露出面における醜状障害がさらに重い場合は,以下の等級に該当する場合があります。

等級基準
12級相当・上肢の露出面に手のひらの大きさを相当程度超える瘢痕を残し、特に著しい醜状であると判断されるもの

・下肢の露出面に手のひらの大きさを相当程度超える瘢痕を残し、特に著しい醜状であると判断されるもの

なお,「手のひらの大きさを相当程度超える瘢痕」とは,手のひらの3倍程度以上の大きさの瘢痕を指すとされています。

ポイント 上下肢露出面の醜状
手のひら大の場合,14級
手のひらの3倍以上の場合,12級相当

醜状障害の判断基準(日常露出しない部位)

日常露出しない部位(=胸部・腹部・背部・臀部)については,その全面積の4分の1程度を超える場合,後遺障害等級に該当する可能性があります。具体的な基準は以下の通りです。

等級基準
12級相当全面積の1/2程度を超える瘢痕
14級相当全面積の1/4程度を超える瘢痕

醜状障害と合わせて認定され得る後遺障害

醜状障害が生じる場合,これとあわせて問題になる後遺障害等級が生じることもあります。特に,顔面部の骨折に際して問題になることが多く見られますが,具体的には以下の通りです。

①眼・耳・鼻の欠損

眼(まぶた)や耳,鼻の欠損が生じた場合,それらの等級と醜状障害の後遺障害等級のうち,いずれか上位の等級が認定されます。
例えば,鼻の欠損に際しては9級5号の認定可能性がありますが,同時に7級の醜状障害が認定される場合,より上位の7級が認定されます。

②顔面神経麻痺

顔面の骨折による顔面神経麻痺の影響で口がゆがむなどした場合,神経系統の障害ではあるものの醜状の問題として取り扱われます。
ただし,顔面神経麻痺の影響でまぶたが閉じられない場合,外貌醜状の問題でなく眼(まぶた)の障害として取り扱われます。

口のゆがみ:醜状障害(12級14号)の問題
まぶたが閉じない:眼の障害

醜状障害が認定された場合の慰謝料額

①等級ごとの慰謝料額

醜状障害が後遺障害等級として認定された場合,その等級に応じた慰謝料の賠償が生じます。
後遺障害等級に対する慰謝料を後遺障害慰謝料と呼びますが,該当する後遺障害慰謝料の金額は以下の通りです。

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
7級419万円1000万円
9級249万円690万円
12級94万円290万円
14級32万円110万円

②自賠責基準と裁判基準の違い

自賠責基準は,自賠責保険から等級に応じて自動的に支払われる金額であり,弁護士がいない場合に保険会社が解決案として提示することの多い金額でもあります。
一方,裁判基準は,裁判が行われた場合に認められ得る最大の金額であり,弁護士が交渉を行う場合には,解決内容の目安とされます。

そのため,弁護士に依頼して交渉をしてもらうことで,慰謝料の金額は大きな増額の可能性があります。

醜状障害と逸失利益

逸失利益とは,後遺障害が残った場合,後遺障害によってその後の労働能力が低下した結果,収入が減少する損害を言います。

この点,醜状障害そのものは,必ずしも逸失利益を生じさせるものではありません。醜状が残ったとしても,直ちに労働能力が低下するわけではないからです。
もっとも,営業職やモデル,外見を活かした接客業など,醜状障害が労働能力に影響する職種では,労働能力が低下するとの理解が通常です。また,それ以外の職業であっても,傷跡が残ったことに伴って痛みやしびれがあるなど,労働能力の低下につながる他の症状があれば,その症状を根拠に労働能力が低下すると判断することも少なくありません。
なお,痛みやしびれを根拠に逸失利益を計算する場合,症状の内容や程度によって,神経症状に関する12級又は14級相当の逸失利益が発生するものとみなし,12級又は14級を念頭においた金額計算をする例が多数見られます。

醜状障害については,逸失利益が発生するかどうかをより慎重に検討しなければならないことがある,という理解が適切でしょう。

ポイント 醜状障害の逸失利益
①外見が労働能力に直結する職種の場合,逸失利益発生
②そうでない職種でも,醜状に伴う痛みやしびれを理由に神経症状の逸失利益が発生することも

醜状障害の後遺障害は弁護士に依頼すべきか

醜状障害については,適切な等級認定を目指すため,弁護士への委任が非常に有力です。適切な判断を求めるためには,積極的に情報提供しなければならない場合もあるため,少なくとも弁護士にご相談の上で等級認定の手続に移ることをお勧めします。

醜状障害に特有の弁護士依頼のメリットとしては,以下の点が挙げられます。

①適切な後遺障害診断書の作成・提出

後遺障害等級認定に際しては,まず,後遺障害診断書の記載事項を踏まえての検討となります。そのため,後遺障害診断書に醜状の問題が正しく反映されていなければ,醜状障害が判断の対象にすらならない可能性があります。
弁護士への依頼を通じて,醜状の問題を正しく後遺障害診断書に反映してもらうのが有益です。

②適切な画像資料の提出

醜状障害の場合,後遺障害の調査・判断を行う自賠責損害調査事務所へ,写真などの画像資料を提出するのが通例です。この画像は,醜状の状態を示すとともに,その大きさを正しく伝えるものでなければなりません。画像の撮影方法を誤ると,適切な等級認定ができない可能性が高くなります。
弁護士への依頼を通じて,認定基準を踏まえた有益な画像の用意が可能になりやすいです。

③適切な面談の要求と実施

醜状障害の等級認定に際しては,自賠責損害調査事務所の判断で面談が行われる場合もあります。この面談では,醜状の目視や測定を直接行い,等級認定の判断材料とされます。
一方で,面談の実施は義務ではないため,面談を行うことなく不適切な判断がなされる場合もあり,このようなケースでは面談を要求するなど適切な調査・判断を依頼することが必要です。
弁護士に依頼することで,面談を通じた適切な等級認定を目指すことは重要になりやすいでしょう。

交通事故の醜状障害に強い弁護士をお探しの方へ

醜状障害は,後遺障害等級認定の手続に関しても,等級認定された場合の金額交渉に関しても,専門的判断が要求されやすい類型です。
そのため,等級認定の対象となり得る醜状障害については,弁護士を通じて十分な対応を尽くすのが非常に有益でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,1000件を超える数々の交通事故解決に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内いたします。
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脊柱の後遺障害等級が難しくて分からない人へ,これだけ見れば脊柱の後遺障害は完全網羅。等級認定のポイントも解説

●脊柱(脊椎)の骨折にはどのようなものがあるか?

●脊柱(脊椎)骨折ではどんな後遺障害等級が認定されるか?

●脊柱(脊椎)骨折の後遺障害等級認定の判断基準は?

●後遺障害認定の手続はどのような方法を取るべきか?

●脊柱(脊椎)骨折で後遺障害等級を獲得するコツは?

●脊柱(脊椎)骨折の後遺障害は弁護士に相談すべきか?

というお悩みはありませんか?

このページでは,脊柱(脊椎)骨折の後遺障害についてお困りの方に向けて,脊柱(脊椎)骨折の後遺障害等級やその判断基準認定を得るためのポイントなどを解説します。

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脊柱(脊椎)とは

脊柱は背骨のことを指し,上下に骨が連なる構造になっています。脊柱を構成するのは,7個の頚椎,12個の胸椎,5個の腰椎,さらに仙骨とその先の尾骨です。

交通事故の後遺障害等級との兼ね合いでは,頚椎部,胸椎部,腰椎部が「脊柱」として扱われ,後遺障害等級認定の対象部位となります。
つまり,脊柱部の後遺障害となり得るのは,首から腰までの部分であり,その下の仙骨や尾骨は対象外となっています。
脊柱に対する後遺障害等級は,体幹を支える機能の障害として非常に重大な内容となり,その分という級も上位のものとなるため,体幹を支える機能に乏しい仙骨や尾骨はその対象に含まれていないのです。
なお,仙骨や尾骨の骨折については,脊柱の後遺障害とは別に後遺障害等級が設けられており,別途その基準を満たすかの問題となります。具体的には,仙骨は骨盤の一部として骨盤に関する後遺障害等級の対象となり,尾骨は他の骨と同じく一般的な神経症状の対象になります。

ポイント
人体の脊柱は,頚椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨の5種類で構成される
後遺障害等級認定における脊柱は,頚椎・胸椎・腰椎の3つのみ
仙骨と尾骨は,後遺障害等級認定上は別の取り扱いとなる

脊柱(脊椎)骨折の種類

脊柱の後遺障害が問題になる骨折の種類としては,大きく分けて圧迫骨折と破裂骨折の2種類が挙げられます。

①圧迫骨折

椎骨が上下から圧力を受けて潰れる形で折れる骨折です。前方部分がつぶれる形で生じることが一般的で,後方部分は影響を受けないケースが多く見られます。

外傷のほか,高齢者では骨粗しょう症の影響で軽微な外力でも生じることがあります。
慢性的な痛みのほか,背中が丸くなるなどの姿勢の変化が生じやすい受傷内容です。

②破裂骨折

椎骨が前後から押しつぶされることで,多方向に砕ける骨折です。骨片が椎体の内外に飛び出すこともあります。脊髄や神経根に損傷を与えるリスクが高く,圧迫骨折よりも重篤な症状であることが一般的です。

破裂骨折は,高エネルギーの外傷以外では発生しないのが通常です。重大な交通事故や高所からの転落など,激しい衝撃によって引き起こされる骨折です。

脊柱(脊椎)骨折の後遺障害等級

脊柱の骨折に伴う後遺障害等級には,大きく分けて変形障害運動障害の二種類が挙げられます。

変形障害は,文字通り脊柱部が変形したことに対する後遺障害です。変形した程度により,等級も変化します。

運動障害は,骨折によって脊柱部の運動機能(可動域)に制限が生じる後遺障害です。運動機能に制限が生じた程度により,等級も変化します。

また,運動障害に準じる後遺障害として,荷重障害という類型もあります。これは,骨折によって頸部や腰部の保持が難しく,硬性補装具がなければ保つことのできない状態である場合に認定されます。

その他,一般的な神経症状の後遺障害等級が認定されることも考えられます。

後遺障害等級の認定基準

【変形障害】

圧迫骨折や破裂骨折に伴って脊柱部の変形が生じる後遺障害です。

等級基準
6級脊柱に著しい変形を残すもの
8級脊柱に中程度の変形を残すもの
11級脊柱に変形を残すもの

具体的基準

脊柱に著しい変形を残すもの(6級)
1.複数の椎体の圧迫骨折で前方椎体高の合計が後方椎体高の合計より椎体1個分以上低くなっている場合
2.圧迫骨折で前方椎体高の合計が後方椎体高の合計より椎体2分の1個分以上低くなっており、かつ、コブ法による側彎度が50度以上ある場合

脊柱に中程度の変形を残すもの(8級)
1.圧迫骨折で前方椎体高の合計が後方椎体高の合計より椎体2分の1個分以上低くなっている場合
2.側彎度が50度以上となっている場合
3.環椎(第一頚椎)または軸椎(第二頚椎)の変形・固定により次のいずれかに当てはまる場合
a.60度以上の回旋位となっている
b.50度以上の屈曲位となっている
c.60度以上の伸展位になっている
d.側屈位となっており、矯正位(頭部を真っ直ぐにした姿勢)で頭蓋底部と軸椎下面の平行線の交わる角度が30度以上となっている

脊柱に変形を残すもの(11級)
1.圧迫骨折が生じ、そのことがエックス線写真等で確認できる場合
2.脊椎固定術が行われた場合
3.3個以上の脊椎について、椎弓切除術などの椎弓形成術を受けた場合

【運動障害】

圧迫骨折などの結果,脊柱部の運動機能に制限が生じる後遺障害です。

等級基準
6級脊柱に著しい運動障害を残すもの
8級脊柱に運動障害を残すもの

具体的基準

脊柱に著しい運動障害を残すもの(6級)
次のいずれかにより頚部および胸腰部が強直したもの
①頸椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎圧迫骨折等が存しており,そのことがX線写真等により確認できるもの
②頸椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術が行われたもの
③項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

脊柱に運動障害を残すもの(8級)
次のいずれかにより頚部または胸腰部の可動域が参考可動域角度の1/2以下に制限されたもの
①頸椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎圧迫骨折等が存しており,そのことがX線写真等により確認できるもの
②頸椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術が行われたもの
③項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

【荷重障害】

脊柱を支える筋肉や組織の変化に伴い,荷重機能に制限が生じる後遺障害です。

等級基準
6級脊柱に著しい荷重障害を残すもの(運動障害に準じて取り扱う)
8級脊柱に荷重障害を残すもの(運動障害に準じて取り扱う)

具体的基準

6級:頚部および腰部の両方の保持に困難があり,常に硬性補装具を必要とする場合
8級:頚部または腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とする場合

【神経症状】

等級認定基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

それぞれの認定基準を満たしているかどうかの具体的な考え方は,以下の通りです。

12級13号症状が医学的に証明できる場合
(画像所見などの他覚的所見によって客観的に認められる場合)
14級9号症状が医学的に説明できる場合
(他覚的所見はないものの,受傷内容や治療経過を踏まえると症状の存在が医学的に推定できる場合)

したがって,画像所見など,第三者が客観的に確認できる所見がある場合は12級の認定される可能性があり,そのような客観的な所見がない場合は14級の認定を目指すことになります。

脊柱(脊椎)骨折の後遺障害等級認定を得るポイント

①後遺障害等級認定基準を踏まえた診断や検査を受ける

脊柱の骨折に関する後遺障害等級は,その認定に必要な条件が詳細に定められており,角度等の数字で形式的に区別される部分もあります。そのため,漫然と変形や運動制限がある,というのみでなく,その程度が等級認定の対象となるかを踏まえておくことが非常に重要となります。
等級の認定基準を踏まえた上で,基準を満たすかどうかを判別する目的で診断や検査を受けることによって,実際に等級認定を受けることや,より上位の等級認定に至ることが可能になりやすいでしょう。

②等級認定に関する方針を主治医と共有する

医師の先生は,後遺障害等級認定を受けることを目的に治療を行われるわけではないため,医師の先生から積極的に等級認定に向けた対応をしてもらうよう求めるのは難しいです。そこで,主治医の先生に対しては,等級認定を目指したいことやその内容を積極的に情報共有し,同じ方針で治療や検査に当たってもらうことが適切でしょう。

脊柱(脊椎)骨折の後遺障害については弁護士に依頼すべきか

脊柱の骨折は,非常に重大なお怪我であり,それだけでも弁護士に依頼するべきと考えてよいことが多いです。しかも,後遺障害等級の認定基準が一見して複雑で理解しづらく,早期の段階から後遺障害等級認定を見据えた対応を目指す場合には,交通事故に精通した弁護士に依頼し,弁護士に必要な検討を求めることが非常に有力でしょう。

適切な後遺障害等級の認定を受け,十分な損害賠償を獲得するため,脊柱の骨折に関しては弁護士への相談や依頼を強くお勧めいたします。

脊柱(脊椎)骨折の後遺障害等級に強い弁護士をお探しの方へ

脊柱(脊椎)の骨折は,非常に重大なお怪我であり,治療も長期に渡りやすいものです。
受傷された方におかれましては,まず心よりお見舞い申し上げます。
脊柱(脊椎)骨折の後遺障害等級については,症状固定時の症状によって複数の可能性があり,相当程度の等級や損害賠償も考えられるため,交通事故に強い弁護士へのご相談をお勧めいたします。

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風俗トラブルで問題になるケース・対処を誤るリスク・刑事処罰の可能性などを専門家が徹底解説

●風俗トラブルはどのような場合に起きるか?

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このページでは,風俗トラブルが起きた場合の対処法や、風俗トラブルで弁護士に依頼すべき場合などについて、詳細に解説します。

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風俗トラブルとして問題になるケース

風俗店のサービス利用時における利用客側とお店側のトラブルを,俗に風俗トラブルということがありますが,風俗トラブルとして問題になる代表的なケースは,以下の通りです。

①本番(挿入)行為に関するトラブル

デリバリーヘルスなどの風俗店は,サービス中の本番行為(性器の挿入)を禁止しています。もし風俗店がそのサービスの一環として本番行為を行ってしまうと,風俗店は売春防止法に違反する犯罪行為(いわゆる管理売春)になるため,風俗店がサービスとして本番行為を許容することはありません。

そのため,風俗サービスの利用中に本番行為があると,担当のキャスト(店員)及び風俗店との間でトラブル化することがあります。

②撮影行為に関するトラブル

風俗サービス中は,キャストが着衣をつけず,乳房や性器などを露出していることが一般的ですが,その状況を無断で撮影した場合,トラブル化することが見込まれます。

撮影行為は,風俗店が通常禁止しているのみでなく,キャスト自身もこれを許容していることが考えにくいため,撮影の事実が発覚した場合には基本的にトラブル化すると理解するのが適切でしょう。

③サービス中の強要行為に関するトラブル

風俗サービス中に,キャストが許容しない行為を強要し,その強要行為がトラブル化するケースも考えられます。
具体例としては,プレイの一環としてキャストの首を絞めた,キャストの性器や肛門に異物を挿入した,キャストの身体に液体をかけた,といったものが挙げられます。

これらの行為は,双方の合意で行われるのであればトラブルにはならないのが通常ですが,利用客側においてキャストの合意があるものと誤解して行い,トラブル化することが散見されます。

本番行為の法律的な位置付けについて

風俗店における挿入行為を俗に「本番行為」と言いますが,その法的な位置付けには非常にあいまいなところがあります。

まず,風俗店のサービスとして本番行為を提供することは,売春防止法に違反する犯罪行為であり,風俗店側が刑事罰の対象になってしまいます。そのため,お店が表立って本番行為を許容することはないでしょう。風俗店も禁止行為としていることが一般的です。
風俗サービス中の本番行為が違法でないことの根拠は,当事者双方の合意があるためです。当事者双方が合意し,自由な意思で本番行為をしているのであれば,そのような本番行為を法律で規制する筋合いにはないということになります。あわせて,キャストが自己判断でした本番行為については,風俗店も黙認するのが通常です。

ところが,当事者双方の合意があるという前提が崩れると,トラブル化してしまいます。
利用客側の合意がない,ということは通常考えにくいですが,キャスト側の合意がない場合には,風俗店の禁止行為に該当するのみでなく,不同意性交等罪に該当する犯罪行為となる可能性も浮上します。

風俗トラブルの代表例である本番トラブルは,利用客は合意あり(=お店の禁止行為でも犯罪行為でもない)と思っていたのに,キャストや風俗店は合意なし(=お店の禁止行為であり犯罪行為である)と主張している,などと見解に相違のあることで生じるのが一般的です。

風俗トラブルの適切な対処と誤ったときのリスク

風俗トラブルが表面化する一般的な流れは,キャストが店側にトラブルの申告(連絡)をし,風俗店の関係者が現場に駆け付ける,ということが多く見られます。代表的なデリバリーヘルスの例では,性的サービスの後,キャストが利用客のシャワー中に店へ連絡し,利用客が部屋を離れる前に店舗関係者が部屋に向かってトラブル解決を迫る,という流れが多いところです。
なお,そこでのトラブル解決は,金銭的解決を指すことが通常です。風俗店のトラブル対応は,金銭的な満足を得られるかどうかを基準とすることが一般的です。

このような風俗トラブルに見舞われた際の適切な対処としては,その場で結論を出したり支払ったりせず,速やかに弁護士へ相談・依頼をすることです。その具体的な理由は,以下の通りです。

①心理的圧迫の影響で多額の支払をしてしまう危険がある

風俗店関係者からは,「女の子がショックを受けている」「犯罪だから警察に突き出すこともできる」などと真偽の不明な文句で心理的圧迫を受け,金銭賠償を強要されることが多く見られます。突然そのような話をされ,正常な判断も難しい中で対応した場合,十分な交渉も検討もできないまま,風俗店側に求められた多額の支払を行ってしまう危険が非常に大きいでしょう。

②トラブルの解決が約束されないままになってしまう

風俗店は,風俗トラブルについて金銭を受領した場合,その内容を自社又は店舗の独自の書式で作成した何らかの書面にすることが多く見られます。もっとも,その書面は,法律的な意味での紛争解決を内容としているわけではなく,記載内容も作成方法も不十分であることがほとんどであり,風俗店側の内部処理くらいの意味合いしかありません。

そのため,せっかく金銭を支払って風俗店と解決したとしても,それ以上の賠償義務があるかないか不明確な上,今後さらに金銭を請求しないとの確約もない,という状態になってしまいます。法的には何も解決しないまま,支払った金銭の負担だけが残るということになりかねません。

③キャストとの間では紛争解決ができない

風俗店の試みるトラブル解決は,あくまで風俗店と利用客の間でのものであり,キャストと利用客との解決を内容とするものではありません。そのため,風俗店と事実上解決できたとしても,その後になってキャストが自分への金銭賠償等を請求してきた場合,これを回避する手立ては存在しないことになります。
紛争全体の解決を図るためには,風俗店と利用客,キャストと利用客それぞれの解決が必要となりますが,それを実現するためには,その場で結論を出さず弁護士に依頼することが不可欠でしょう。

④個人情報を風俗店に保管されてしまう

風俗店は,風俗トラブルが発生したときの運用として,利用客の身分証の写しを取るなど,その個人情報を保管しようとすることが一般的です。もちろん,これに応じる法的な義務はありませんが,現実的にはその場を収めるために応じることが非常に多いでしょう。

この点,自分で風俗店と解決を図った場合,保管された個人情報はそのままになってしまい,これを破棄・処分などすることの約束を取り付けることは困難です。紛争解決した後に相手の個人情報を保管しておく理由は特段ありませんから,風俗店に個人情報を確保されたままの状態が非常に不適切であることは間違いありません。

ポイント
本番行為は両者の合意があるから合法
トラブル化した場合は金銭的解決が問題になりやすい
その場で解決しようとすると適切な解決は困難。弁護士への依頼が得策

風俗トラブルは犯罪になるか

風俗トラブルとして問題になる行為は,犯罪に該当する行為であることも少なくありません。そのため,風俗トラブルの事件が犯罪として捜査・処罰されるかどうかは大きな問題になります。
ここでは,主な類型ごとに,風俗トラブルがどのような犯罪になり得るか解説します。

①本番トラブル

本番トラブルは,キャストの同意なく挿入行為に及んだという問題であるため,「不同意性交等罪」に該当する可能性があります。これは,かつて強姦罪とされていた事件類型です。

もっとも,風俗店での本番トラブルと,そうでない状況での不同意性交等罪では,取り扱いに違いの生じることが少なくありません。風俗店は,そもそも性的な行為・サービスを行うためのものであり,キャストと利用客の間では何らかの性的行為を行う合意がなされていると考えざるを得ません。その場合,キャストと利用客との間でどこまでの行為について合意がなされたのかが必ずしも明確でない,という特徴があるのです。

上記で解説の通り,当事者が合意をして本番行為に及ぶのであれば,犯罪ではありませんし警察が関与する筋合いもありません。そのため,本番トラブルが問題になった場合,捜査をする警察としては,本番行為の合意がなかった(利用客も合意がないと把握していた)と言えるのかは,慎重に検討する必要のある問題になります。

②盗撮トラブル

盗撮トラブルは,「性的姿態等撮影罪」(いわゆる撮影罪)に該当する可能性が高く見込まれます。風俗サービス中,衣服をつけない状態でいるキャストを撮影する行為には,基本的に撮影罪が成立することになるでしょう。

撮影行為は,本番行為と異なり明らかにその合意がないことがほとんどです。風俗店もキャストも,撮影行為の了承をしているとは考え難く,利用客もそれを承知の上で見つからないような方法で撮影を試みるのが通常であるため,撮影罪が成立するか不明確である,というケースは少数派でしょう。

③強要トラブル

強要トラブルは,その内容によって「不同意性交等罪」「不同意わいせつ罪」「強要罪」等の犯罪に該当する可能性があります。一般的な区別は以下の通りです。

不同意性交等罪性器に物を挿入する行為,口腔性交,肛門性交
不同意わいせつ罪性交等に該当しないが,キャストの同意なく行われたわいせつ行為
強要罪わいせつ行為でないが,キャストの意思に反した行為を強いること

風俗トラブルと逮捕

風俗トラブルの場合,風俗店側が警察を呼ぶなどして警察が関与する場合も少なくありませんが,その場合でも逮捕まで至る可能性は決して高いわけではありません。
特に,本番トラブルの場合だと,利用客側はキャストが本番行為に合意していると誤解していたことがほとんどなので,犯罪が成立する可能性は低く,キャストやお店の主張のみを根拠に逮捕することは容易ではありません。

もっとも,内容があまりに過激である場合,トラブルが度重なっていて悪意がないとは考えにくい場合など,特に十分な捜査を要すると判断される場合には,逮捕に至る可能性も否定はできません。

風俗トラブルは自分で解決してもよいか

風俗トラブルは,その場で風俗店関係者から解決を迫られることが多いため,これに応じる形で自分で解決することも不可能というわけではありません。しかし,やはり自分で風俗店側と解決を図ることは,法的にはお勧めできません。

自分で解決を図ることの致命的な問題は,法的には何ら解決されていない状態のままになる,ということです。風俗店側が客の利益になるような示談書などを作成することはありませんので,それ以上の金銭債務がないのか,お店やキャストが他言しないのか,警察を巻き込まないのか,といった点については,全く手つかずになってしまいます。

風俗店やキャストがそれ以上の動きを取らなければ,現実に問題となることはありませんが,裏を返せば,風俗店やキャストが後から金銭請求をしてきたり警察に被害届を出したりしても全く問題ない,ということです。
そのリスクを抱える前提で解決や支払を行うのは,適切とは言い難いでしょう。

ポイント
風俗トラブルは逮捕される可能性が高くはない
自分で解決を図ると,法的には解決されていないままとなる危険がある

風俗トラブルで弁護士に依頼すべき場合

①金銭請求されている場合

風俗トラブルは,金銭的解決を求められるのがほとんどです。風俗店によっては,恐喝罪などの対象になることを恐れて明言を避けてくることもありますが,基本的に風俗店は全て金銭的解決を図ろうとしていると理解しても誤りではないでしょう。
そのため,風俗トラブルでは金銭面の交渉が不可欠であり,これを行うには風俗トラブルに精通した弁護士への依頼が適切です。

②周囲への発覚を防ぎたい場合

風俗トラブルは,内容の性質上,家族や職場関係者など周囲に発覚する不利益が大きいものです。そのため,周囲に発覚することなく,秘密裏に解決したいということは多いでしょう。
弁護士に依頼した場合,弁護士がすべての窓口になりますので,周囲に事態が発覚する恐れは基本的になくなります。

③個人情報を保管されている場合

風俗トラブルの際には,風俗店に身分証の写しを取られるなど,個人情報を保管されることが多く,個人情報の流出や悪用を不安に感じる場合もあるでしょう。もっとも,自分から風俗店に個人情報の処分を求めることも容易ではありません。
弁護士に依頼した場合には,トラブル解決にあわせて個人情報の処分についても合意を取り付けることで,個人情報に関する不安を解消することが可能です。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

風俗トラブルは、その場でお店とのトラブルに発展するケースが多く、スピーディーな対応が必要になりやすい事件類型です。
また、お店との話し合いになりやすいですが、正確な見通しを持った弁護士と対応することで、話し合いを適切な方向に促すことが可能になるでしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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