淫行事件における自首のメリットや注意点,弁護士に依頼するべき場合などを解説

このページでは,淫行事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

淫行事件で自首をするべき場合

①相手との間でトラブルになった場合

淫行事件の当事者間では,継続的な交際関係がある場合も多く見られるところですが,交際関係の中で仲違いの原因となるようなトラブルが生じ,それが捜査のきっかけとなるという場合も一定数あるところです。当事者間でケンカがあり,相手と音信不通になった結果,数か月後に淫行事件で捜査を受けるに至った,という流れは珍しくありません。

この点,淫行事件について捜査されることが見込まれる場合には,先に自首をし,逮捕や起訴の回避を目指す手段が有力になります。そのため,当事者間でケンカなどのトラブルが生じ,連絡を取れない状況になった場合には,捜査を受ける前に自首をすることが有益でしょう。

ポイント
淫行事件では,当事者間の仲違いが捜査のきっかけになる場合もある
トラブルが生じて相手と連絡が取れなくなった場合,自首が有力

②相手の親族に発覚した場合

淫行事件が捜査されるケースの中で特に多いのは,相手である未成年者の家族に淫行が発覚し,家族が主導して警察の捜査を求める,というものです。相手自身は,自分の淫行について捜査されることを希望していない場合が多数ですが,親権者などの親族の目線では,「未成年者に淫行をさせた相手を捜査して欲しい」という発想になることが少なくないのです。

そのため,淫行事件が相手の親族に発覚した場合には,後の捜査を想定してあらかじめ自首を検討する方針が有力でしょう。自首をした事実が相手の親族に伝われば,その感情面が落ち着く効果も期待できます。

ポイント
相手の親族は,捜査を希望することの少なくない立場の人物
淫行事件が親族に発覚した場合,捜査の開始が予想される

③当事者間での示談が困難な場合

淫行事件は,基本的に個人間の問題であるため,当事者間で解決していれば,その後に捜査や刑事処罰を受けることは考え難いと言えます。そのため,当事者間で事前に解決することができるのであれば,それに越したことはないでしょう。
逆に,当事者間での示談による解決が困難な場合には,事件の解決を未然に図る手段が乏しい状況となります。特に何事も起きないことを期待して放置する,という対応にならざるを得ない場合も少なくはありません。

この点,当事者間での解決が困難であるものの,事態を放置することは心理的に難しい,という場合には,自首が有力な方針となります。自首をすれば,いつ捜査されるか分からないという状況に追い込まれる必要がなくなるほか,捜査開始後の取り扱いも緩やかなものになることが期待しやすくなるでしょう。

ポイント
淫行事件は,当事者間で解決できればその後の捜査が考えにくい
当事者間で解決できない場合には,次善策として自首が有力

④日常生活の平穏を保ちたい場合

淫行事件について突然捜査を受けることになると,同居家族や仕事上の関係者など,周囲に不利益な事情が知られてしまう可能性があります。淫行事件は,その内容の性質上,周囲に知られること自体の不利益が非常に大きいため,周囲の人に事件が知られてしまうと,その後に示談ができたり不起訴処分が獲得できたりしたとしても,望ましい結果とは言えない場合が少なくありません。

この点,自首をした場合には,事件が周囲に知られないよう捜査機関から適切な配慮を受けることも期待できるケースが少なくありません。事件が周囲に発覚しないまま刑事手続を終えられれば,日常生活の平穏を保った形での事件解決がより容易になるでしょう。
そのため,家族や仕事関係者などへの発覚を防ぎ,生活の平穏を保ちたい場合には,自首の検討が非常に有力と言えます。

ポイント
事件が周囲に発覚すると,その後に解決できても不利益が大き過ぎる
自首をした場合,周囲に知られないよう配慮してもらうことも期待できる

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

淫行事件の自首は弁護士に依頼すべきか

淫行事件で自首を検討する場合には,弁護士に依頼し,専門的な判断を仰ぐことが非常に重要です。弁護士に依頼した場合の具体的なメリットとしては,以下の点が挙げられます。

①犯罪に該当するか分かる

自分では淫行事件として犯罪に該当すると考えていた場合でも,法的には犯罪に該当せず,自首が適切ではない場合もあり得ます。犯罪の要件は法律で厳密に定められているため,その要件に該当しなければ犯罪は成立せず,犯罪が成立しない件について捜査が行われることもありません。
自首は,それ自体決して不合理な行動ではありませんが,犯罪の成立しない事件で自首を試みた場合,発覚したくない余罪を隠す手段として自首を悪用しているのではないか,といったように,罪証隠滅の恐れを懸念される可能性は否定できません。犯罪に該当しないケースでの自首は,基本的に避けるべきでしょう。

自分では犯罪に該当すると考えているケースであっても,一度弁護士に相談し,法的な見解を示してもらうことが有益です。事件が犯罪に該当するものなのか,どの程度の重さの犯罪なのか,といった点が分かれば,自首の検討はより適切に進めることができます。

②自首が有効な状況か分かる

自首は,自らの犯罪行為を捜査機関に申告するものであるため,自首が必要でない状況で自首をしてしまうと,かえって犯罪捜査を受けるきっかけになってしまう恐れがあります。このような「やぶ蛇」のリスクは,どうしても抱えざるを得ませんが,「やぶ蛇」のリスクがどの程度ある状況かを把握できるに越したことはありません。

この点,弁護士に依頼をすることで,自首が必要・有効な状況か,「やぶ蛇」になることはないか,といった点について,具体的な検討や判断をしてもらうことが可能です。自首すべきかどうか迷っている場合には,判断の強力な後押しになってくれるでしょう。

③自首後の流れや対応法が分かる

自首をした場合,その後に取調べ等の捜査を受けることになるため,自首後のことを何も考えずに自首する,というわけにはいきません。自首後の手続はどのような流れになるか,その中で自身はどのような対応を取るべきか,といったことは,可能な限り具体的に想定し準備しておくべきでしょう。

この点,弁護士に依頼をすることで,自首後の捜査の手続や流れ,適切な対応方針や回答の仕方など,自分では判断が困難な点について専門的な案内を受けることが可能です。自首後に自分がどうなるか,ある程度明確にイメージができていれば,自首の判断や行動も速やかに進めることができるでしょう。

④自首後の弁護活動が迅速にできる

自首は,逮捕や起訴といった不利益の大きい取り扱いを防ぐ目的で行うことが通常です。しかしながら,逮捕や起訴の回避は,自首のみで実現することができる性質のものではありません。不起訴処分のためには,相手方との間で示談をするのが最も有効な手段であり,万一自首後に逮捕されてしまった場合には速やかな釈放を求める動きが重要です。

この点,自首の段階で弁護士に依頼している場合には,自首後,速やかに弁護活動を開始することが可能です。弁護士による活動の迅速さは,有益な結果と直結することも珍しくないため,このメリットは非常に大きいでしょう。
特に,自首のようなリスクの大きい動きを取っている状況であれば,自首よりリスクの小さな弁護活動を積極的に行わないのは,メリットに乏しい判断と言えます。自首の効果を最大限に引き上げるためにも,弁護活動の依頼とセットで検討することをお勧めします。

淫行事件で自首をする場合の注意点

①自首が相手の希望に反する可能性

淫行事件の場合,相手本人が刑事事件化を希望しているケースはあまりありません。相手本人としては,自分の意思で淫行に応じ,特に損害を被っていないと考えていれば,捜査協力などの面倒ごとに巻き込まれたくないと考えているのが通常でしょう。

しかし,自首を行った場合,相手はその意思に反して捜査協力を求められる可能性が高くなります。自分も相手も刑事事件化を希望していなかったにもかかわらず,自首をしたばかりに刑事事件として扱われ,相手の希望に反する結果となる可能性は否定できません。

淫行事件の自首に際しては,相手の意思に反した行動になる可能性がある,という点を考慮しておくのが望ましいでしょう。

②自首は手続の初期段階にとどまる

自首は,非常に大きな分岐点となる行動ではありますが,刑事事件の手続の中ではあくまで初期段階にとどまります。自首によって捜査が開始されるのであれば,自首は手続のスタートラインというべき位置づけです。

そのため,自首の検討や判断に注力するあまり,その後の刑事手続に対して無頓着にならないよう注意することが適切です。自首は,その後の捜査と一体のものであることを前提に,捜査の対応が円滑にできるよう備えておくのが賢明でしょう。

③自首後も当事者間で解決すべき可能性

自首が捜査のスタートラインである以上,自首後でも当事者間での示談の余地は残っています。自首をしたから刑事手続を最後まで進めなければならない,というルールはないので,自首をした後であっても,当事者双方にとって当事者間での解決が望ましいのであれば,示談などによる当事者間での解決を積極的に検討するべきでしょう。

特に,継続的な交友関係や交際関係があり,今後も関係を維持する意向がある場合には,刑事手続に委ねても問題の根本的な解決にはなりません。むしろ,当事者間や家族間で協議を重ね,解決方法・内容を検討するべきと言えます。

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【淫行事件での呼び出し】呼び出しの目的は?どのように応じるべきか?前科は防げるか?弁護士解説

このページでは,淫行事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
淫行事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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淫行事件で呼び出された場合の対応法

①既にトラブル化している事件

淫行事件の場合,相手の親権者に発覚するなどして,捜査より先に当事者間・家族間でトラブル化している場合も少なくありません。相手の家族等との間でトラブル化した後に捜査機関の呼び出しを受けるケースでは,相手の親権者が当事者間での話し合いでなく刑事事件としての捜査を希望した,という状況であることが推測できます。

そのため,当事者間でトラブル化した事件の呼び出しを受けた場合には,まず相手やその家族に直接の連絡を取ることを控えるよう注意しましょう。相手の家族が直接の連絡を希望している可能性は見込まれないため,事態の深刻化を招く原因となってしまいかねない不適切な行動と言えます。

既にトラブル化している淫行事件で呼び出しを受けた場合には,相手方や家族への直接の連絡を控え,端的に呼び出しへ応じることが適切です。

ポイント
淫行事件は,先に当事者間や家族間でトラブルとなるケースも少なくない
トラブル化した後に呼び出された場合は,相手方への連絡を試みない

②トラブル化していない事件

淫行事件について,特に当事者間で問題となっていなかったにもかかわらず,突然捜査機関から呼び出しを受ける,という流れになる場合もあり得るところです。このような場合は,相手の未成年者側に予期せぬ事情が生じたため,捜査機関が介入することになった可能性が見込まれます。

そのため,当事者間ではトラブル化していない状況で呼び出しを受けた場合には,捜査機関が相手の未成年者からある程度事情を聴き取っていることを念頭に対応するのが賢明です。
突然の呼び出しを受けると,心当たりがないことでも気圧されて自白をしてしまったり,逆に心当たりがあるのに言い逃れを図ってしまったりすることは珍しくありません。しかし,捜査機関が相手から事情を聴き取っているであろうことを踏まえれば,これらはいずれも合理的な対応とは言い難いところです。相手の話と明らかに矛盾する言い分となった場合には,強く追及されるなど不要な不利益を被る可能性もあります。

ポイント
相手側に予期せぬ事情が起きて捜査機関が介入した,という可能性が高い
捜査機関が相手からある程度事情を聴き取っていることを念頭に置くべき

③職場内・業務上の事件

職場内や業務上で接点のある未成年者との淫行事件である場合,捜査の過程で捜査機関から職場への問い合わせや捜査協力の要請がなされる可能性も十分に考えられます。呼び出しを受けるということは,捜査が開始されているということであるため,その後に捜査機関から職場への接触が生じる可能性を想定しておくことが望ましいでしょう。

そのため,職場内や業務上で発生した淫行事件で呼び出しを受けた場合には,事情や状況を職場と共有することも有力な手段です。捜査機関から職場に告げられる事件内容と,実際に起きた出来事が一致しているとは限らないため,事実を誤解されないように配慮することは有益である場合が多いでしょう。

ポイント
捜査の過程で捜査機関から職場への接触が想定される
正確な事実関係を職場に伝えることは有力

淫行事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

淫行事件で呼び出しを行う場合,呼び出しに応じる限り逮捕はしない,という方針であることが通常です。淫行事件は,それ自体が逮捕の必要性の高い事件類型というわけではないため,呼び出しなどを活用して,逮捕しないで捜査を進めることは珍しくありません。そのため,呼び出しへの対応があまりに不適切でなければ,そのまま逮捕なく捜査が進むことになりやすいでしょう。

特に,淫行事件で逮捕されにくいケースの特徴としては,以下の点が挙げられます。

逮捕につながりにくい淫行事件の特徴

1.被害の程度が限定的
→性行為の内容や回数,相手の年齢などを踏まえ,被害が限定的である場合

2.男女関係のもつれに過ぎない可能性
→当事者間のケンカがきっかけであるなど,男女関係のもつれから報復目的で刑事事件化された可能性がある場合

3.当事者間での解決が期待できる
→継続的な交際関係があるなど,当事者間又は家族間で解決する方が適切な結果に至る場合

逆に,これらの特徴に当てはまらないケースは,淫行事件の中でも逮捕リスクが比較的高い事件と言えるでしょう。

淫行事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①初回の取調べ

淫行事件における初回の取調べは,相手から一通りの事情を聴取し,関連する証拠を確認した後に行われるのが一般的です。そのため,警察からの呼び出しは,相手からの事情聴取や証拠の確認が終わった後のタイミングになることが見込まれます。
具体的な時期は警察の取り扱いにより様々ですが,シンプルな事件であれば1~2週間ほど,内容が多岐に渡る事件であれば1~2か月ほどの捜査を経ての呼び出しは一つの目安になるでしょう。

この初回の取調べでは,相手からの話と自分の話との相違を確認する目的で行われることが多く見られます。言い分が合致しているか食い違うかによって,その後の捜査の内容や対象が変わってくるため,まずは言い分を把握する,という動きになるでしょう。

②2回目以降の取調べ

2回目以降の取調べに際しては,それ以前の自分の供述内容を念頭に,供述調書を作成する目的であることが見込まれます。取調べで回答した内容は,警察にて書面化され,捜査記録の一部とされますが,その書面を作成するには,当人を呼び出して内容を確認の上,署名押印をしてもらうことが必要です。
そのため,呼び出しの目的としては,供述調書の内容に間違いがないことを確認してもらい,署名押印を求めることであるケースが多数でしょう。

呼び出しの時期は,捜査機関のスケジュールに大きな影響を受けます。非常に幅は広いところですが,数週間から数か月といったイメージで進むことが見込まれやすいでしょう。

③物的証拠の提出・返却

淫行事件での呼び出しには,証拠の提出を求めたり,提出された証拠を返却したりする目的であるケースもあります。具体的に必要となる証拠の内容は個別の事件により異なりますが,一例としては以下のようなものが考えられます。

淫行事件における物的証拠の例

1.携帯電話及び連絡履歴
→当事者間の連絡内容が裏付けられるものがある場合

2.車両やドライブレコーダー映像
→車での移動,車中での会話や性的行為がある場合

3.宿泊施設等の利用履歴
→性的行為等のために施設を利用している場合

証拠の提出は,基本的な取調べを一通り行った後に求められることが多く見られます。事情を確認しなければ,必要な証拠を特定することが困難であるためです。

淫行事件の呼び出しに応じたときの注意点

①相手との連絡は控える

淫行事件で呼び出しを受けた段階では,既に相手との直接の連絡を試みるのが不適切な状況であると理解するべきです。捜査機関が刑事事件として取り扱っていることが明らかであるため,連絡を試みるのであれば,まず捜査機関を通じて相手方(又は親権者)の意向を確認してもらうのが適切な流れでしょう。

また,相手に連絡を試みる場合は,弁護士を挟んで行うのが適切です。弁護士を介して,弁護士限りで連絡を試みるという方法であれば,トラブルや不利益の原因となることは考えにくいと言えます。

②示談を積極的に検討する

淫行事件は,当事者間での解決が刑事事件の結果を決定的に左右することも珍しくありません。示談によって当事者間で解決していれば,基本的に刑事処罰の対象とはならないと言ってよいでしょう。

そのため,淫行事件で呼び出しを受けた際には,解決方法として示談の検討を行うことが非常に有力です。淫行事件の特徴として,相手方が性的な行為に同意している,という点があるため,相手の同意を踏まえた検討をしてもらうことができれば,示談の成立に至る可能性が高い傾向にある事件類型と言うこともできます。示談を試みた際の見込みが比較的良好でもあるため,示談の検討は積極的に行う方が有益でしょう。

③否認の主張をする場合

否認事件の場合には,呼び出しに応じて出頭した際,争点となる具体的な主張の内容をしっかりと整理しておくことをお勧めします。
この点,淫行事件の否認事件で争点となりやすいポイントとしては,以下の点が挙げられます。

淫行事件の争点となりやすいポイント

1.相手の年齢
→18歳未満だと把握していたか,把握していなかった場合,理由は何か等

2.行為の内容
→どこに触れたか,性行為に至ったか等

否認事件で呼び出しを受けるケースの多くは,警察に相談を試みた相手の親権者も,その相談を受けた警察の担当者も,事件の内容を断片的にしか把握していないことが見受けられる傾向にあります。そのため,捜査機関が争点にとって重要な事実関係を把握していないと思われる場合には,その点を特に整理して説明できることが望ましいでしょう。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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【淫行事件の逮捕を詳細解説】逮捕の流れや回避方法,淫行事件に特有の注意点などを弁護士が解説

このページでは,淫行事件の逮捕に関して,刑事弁護士が徹底解説します。逮捕の可能性はどの程度あるか,逮捕を避ける方法はあるか,逮捕された場合に釈放を目指す方法はあるかなど,対応を検討する際の参考にしてみてください。

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淫行事件で逮捕される可能性

淫行事件は,類型的には決して逮捕の可能性が高いわけではありません。淫行事件で捜査を受けたとしても,逮捕されずいわゆる在宅事件として処理されるケースは数多く見られるところです。
もっとも,個別の内容や状況によっては,逮捕の可能性が高くなる場合も否定できません。具体的に,淫行事件で逮捕の可能性が高くなる要因としては,以下のような点が挙げられるでしょう。

淫行事件で逮捕の可能性が高くなる要因

1.相手との関係・立場の違い

2.相手の人数・余罪

3.相手が同意した経緯

【1.相手との関係・立場の違い】

相手との関係が,教師と生徒,指導者と教え子,といったものである場合,立場上,特に相手を性生活の乱れから引き離す役割があると理解されます。そうすると,このような関係で淫行事件が起きた場合,特に青少年を守るべき立場であることを踏まえ,逮捕を含めた重大な取り扱いの対象となる可能性が高まります。

また,当事者間に上下や指導の関係がある場合には,青少年への不当な圧力による罪証隠滅の可能性も懸念されやすいため,相手を守る目的で逮捕が選択される可能性も高まりやすい傾向にあります。

【2.相手の人数・余罪】

余罪の数や人数が際立って多い場合,それに応じて刑事責任も重く評価されやすい傾向にあります。刑事責任の重さは,逮捕をする必要性の大きさに影響を及ぼすため,相手の人数や性的行為の数が特に多い場合は,逮捕の可能性が高くなるでしょう。

特に,短期間で複数の青少年を相手とした淫行事件が生じている場合,周辺地域の性風俗の乱れが強く懸念されるため,逮捕の必要性が高いと評価されるケースが多くなりやすいところです。

【3.相手が同意した経緯】

淫行事件では,相手となる青少年が性的な行為に同意していますが,その同意が相手の自発的なものなのか,判断を誘導されたものなのか,という点は,逮捕の可能性に影響を及ぼすことが考えられます。

相手が積極的に性行為を希望した場合には,逮捕の必要性が高いとは評価されづらいところですが,虚偽の話をして相手の同意を不当に引き出したような場合には,事件の悪質さを踏まえて逮捕が選択される可能性が高くなるでしょう。

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

淫行事件で逮捕を避ける方法

①捜査の開始を防ぐ

逮捕は,捜査を行う際の手続の一つです。そのため,事件の捜査が開始されなければ,そもそも逮捕するかどうかという選択が生じることはなく,逮捕されることもありません。
そうすると,捜査の開始を防ぐことは,逮捕を避けるための非常に有力な手段ということができます。

具体的には,相手方と当事者間での解決を目指すことが一案でしょう。淫行事件の捜査は,相手(多くの場合はその家族)が捜査を求める形で始まることが一般的であるため,当事者間で解決し,相手や相手の家族が捜査を求める可能性がなくなれば,捜査が開始されることは現実的になくなると言えます。

当事者間で解決の余地がある場合には,早期に円満な解決を目指すことが有益でしょう。

②逃亡が懸念されることを防ぐ

逮捕の目的の一つは,被疑者の逃亡を防ぐ点にあります。そのため,逃亡が懸念されない状況であれば,逮捕をする必要は大きく低下し,逮捕の回避につながりやすくなります。

逃亡が懸念されないことを目指す具体的な手段としては,捜査機関との連絡や警察等への出頭を適切に行うことが重要となるでしょう。捜査機関としては,連絡が無視されてしまう,出頭を求めても断られ続けてしまうとなると,逃亡の可能性を懸念する必要が生じてしまいます。逆に,連絡をすれば速やかに対応が得られ,出頭を求めればできる限り日程調整に努めてくれる,という場合では,逃亡を懸念する必要はほとんどないと考えることになるでしょう。

③罪証隠滅が懸念されることを防ぐ

逮捕は,罪証隠滅を防ぐために行われることがほとんどです。逮捕しないでいると,捜査機関が発見できずにいた物的証拠が処分されたり,口裏合わせによって必要な供述(人的証拠)が得られなくなったりしてしまう可能性があるため,これらを防ぐために逮捕する,というわけです。

淫行事件の場合,最も重要な証拠は相手の未成年者(青少年)であることが大多数です。相手本人から必要な話を聞き出し,物的証拠と照らし合わせながら犯罪捜査を進めることが一般的な流れになります。
そのため,相手に接触して罪証隠滅を図ろうとするかどうか,という点は,逮捕の可能性に大きな影響を及ぼすことになります。相手に接触しないと理解してもらうことができれば,逮捕の可能性は大きく低下すると言えるでしょう。

淫行事件の逮捕は弁護士に依頼すべきか

淫行事件の逮捕に関する対応は,弁護士への依頼を強くお勧めします。弁護士に依頼することで,逮捕を回避するための試みや,万一逮捕された場合の対応に際して有益な効果が期待できるでしょう。
具体的には,以下のような利点が挙げられます。

①逮捕の可能性が分かる

淫行事件の場合,罪名や事件類型だけで逮捕の可能性を推測することは非常に難しいところがあります。そのため,当事者の方自身が逮捕の可能性を把握することには困難が伴うと言わざるを得ません。

この点,専門性ある弁護士に依頼すれば,個別の内容を踏まえて逮捕の可能性がどの程度あるか,検討してもらうことが可能になります。もちろん,確実な見通しを立てることは難しいところですが,一般的な見通しやあり得る可能性を把握できるだけでも,その後の進行は格段に円滑なものとなるでしょう。

②適切な方法で示談ができる

淫行事件は,当事者間の示談で解決することが,逮捕回避の有力な手段と言えます。もっとも,捜査が開始された段階では,当事者間で直接連絡を取って解決を図ることは望ましくありません。相手に直接の連絡を取ろうとすることは,証拠隠滅の動きと理解され,逮捕を招く結果になる可能性すら否定できないところです。

この点,弁護士に依頼をし,弁護士を窓口にする形で示談を試みれば,証拠隠滅の動きと誤解されることもなく,適切な方法で示談交渉を進めることが可能です。通常,示談に際しては相手の親権者とのやり取りになりますが,弁護士を間に挟むことで,親権者と示談交渉を行う心理的な負担も回避することができるでしょう。

③逮捕後の早期釈放を目指せる

淫行事件では,捜査に際して逮捕される可能性もありますが,万一逮捕されたとしても,それで全てが決まったわけではありません。むしろ,逮捕は捜査の初期段階であり,その後の手続には複数の可能性が残されている状況です。
淫行事件の場合,逮捕後に身体拘束が続けられることなく,早期に釈放されるケースも決して少なくはありません。早期釈放となれば,逮捕の生活への悪影響は最小限にとどめることが可能になるでしょう。

この点,弁護士に依頼することで,逮捕された場合の早期釈放の試みを可能な限り通してもらうことができます。検察や裁判所に掛け合ったり,身体拘束に対する不服の申立て手続を講じたりと,専門家である弁護士でなければ難しい対応となるため,早期釈放を目指す際には弁護士への依頼が適切と言えます。

淫行事件の逮捕に関する注意点

①相手と言い分に相違がある可能性

淫行事件では,当事者間で言い分が異なるケースも少なくありません。

淫行事件の多くは,相手となる未成年者(=青少年)が,親権者に隠れて淫行に及んでいる場合が多いため,親権者に発覚した後も事実の全てを話したがらないことが相当数見られます。そうすると,親権者は出来事の一部を断片的に把握することしかできず,捜査機関も断片的な事情のみを踏まえて捜査せざるを得ないため,疑われる内容が実際の事実関係とは異なる,ということになりやすいのです。

言い分に相違がある場合,その内容によっては逮捕リスクの増大につながる恐れもあります。少なくとも,捜査機関がすべての事情を把握してくれているとは限らない,という点をあらかじめ踏まえておくのが賢明でしょう。

②相手が業務上の関係者である場合

学校の教員など,業務の中で未成年者と接する立場の場合,業務で知り合った相手との間で発生した淫行事件は,逮捕の可能性が高まる傾向にあります。
また,公立学校の教員など公務員である場合には,逮捕後の報道リスクも高いことが見込まれるため,事前に注意することが必要です。

加えて,業務関係者との淫行事件は,職務に違背する行為とも理解されるため,懲戒処分の対象となるリスクが生じやすいという問題もあります。この点,懲戒処分の程度は,刑事処分の結果にも影響されることが多いため,まずは刑事処分の軽減を目指す動きが有力になりやすいでしょう。

③同居家族に発覚する可能性

淫行事件で逮捕されず,いわゆる在宅事件として取り扱われる場合でも,同居の家族に事件が発覚する可能性には注意が必要です。

在宅事件での警察の運用として,同居家族に「身元引受人」となることを依頼する場合が多く見られます。これは,逮捕をしない代わりに,同居家族が被疑者の身元を引受け,呼び出された際には出頭させる,という約束をする内容の手続です。
そのため,逮捕されない事件では,この身元引受人に関する手続の中で,事件が同居家族に発覚する可能性があり得ると言えます。

なお,同居家族への発覚を防ぎたい場合には,弁護士に依頼し,弁護士に身元引受人となってもらう方法も考えられます。弁護士への相談や依頼を積極的に検討してみるのが有益でしょう。

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【淫行事件の不起訴処分】不起訴になるとどうなる?不起訴になりたい場合はどうするべき?

このページでは,淫行事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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淫行事件で不起訴を目指す方法

①当事者間での解決

淫行事件は,相手方(通常は相手の親権者)との間で解決していれば,その後に起訴されることは通常考えにくい事件類型です。なぜなら,淫行事件が刑事処罰の対象とされるのは,年齢の低い青少年の未熟な判断能力に付け込み,性的な行為に誘い込んだ点にあるためです。実際に性的行為に誘い込まれた相手側が,謝罪を受け入れるなどして当事者間での解決に合意しているのであれば,それ以上に刑事処罰を科す理由は乏しくなると言えます。

そのため,淫行事件で不起訴を目指す場合には,当事者間での解決を試みることが非常に有力です。当事者間での解決に際しては,相手方に損害を与えた点について,示談金という形で金銭賠償を行い,解決に同意してもらうための対価とすることも数多く見られるところです。

ポイント
淫行事件は,当事者間で解決していれば不起訴となるのが通常
解決の対価として金銭を支払うことも多い

②積極的な捜査協力

淫行事件は,幸いにも刑事責任の程度が大きい事件類型とは考えられていません。そのため,事件の内容によっては,深い反省状況などを踏まえて不起訴処分とされるケースも一定数見られるところです。

この点,深い反省を行動に示す有力な手段の一つが,真摯な捜査協力です。出頭の求めには確実に応じ,取調べには積極的な情報提供に努めるとともに,提出を求められた証拠物があれば自発的に持参するなど,捜査を遂げるための手続に協力姿勢を見せることは,反省を行動に移す場合の最も端的な手段と言えるでしょう。

もちろん,捜査協力のみで反省として十分かは,全く別の問題ではあります。そのため,弁護士に依頼するなどして反省状況を示す手段は別途検討することが望ましいところです。ただ,自分ですぐに実施できる手段として把握しておいて損はないでしょう。

ポイント
深い反省状況を踏まえて不起訴処分とされることもある
もっとも,捜査協力のみで不起訴となるわけではない

③再発防止策

刑事事件の処分は,被疑者に再犯の可能性があるか,という点を重要な判断材料とすることが少なくありません。これは,刑罰の目的に被疑者の再犯を予防する面があると理解されているためです。そのため,刑罰を科さなくても再犯可能性がない,となれば,刑事処分の必要性は低下し,ひいては不起訴処分の可能性も高まることが期待できます。

この点,淫行事件では,性行為への依存度や年少者に対する性癖を改善する努力が,有力な再発防止策と理解されます。自身の性的な問題点と真摯に向き合い,克服する努力をしている被疑者であれば,再犯可能性が低いと理解されやすい傾向にあると言えるでしょう。
具体的には,カウンセリングや通院といった治療の実施が有力な手段と考えられますが,個別のケースでどのようなアプローチが適切かは,事件内容を踏まえた弁護士の判断を仰ぐことをお勧めします。

ポイント
再犯可能性が低い場合,不起訴の可能性が高くなる
性癖などの改善を目指すことは,有力な再発防止策と理解されやすい

淫行事件で不起訴になる可能性

淫行事件は,不起訴になる可能性が十分に考えられる事件類型です。もともと,事件の違法性自体がそこまで深刻なものではないケースが多数であるため,他の重大事件よりも不起訴の余地は大きい傾向にあるでしょう。
特に,以下のような事情が認められる事件では,不起訴の可能性が高くなりやすいと考えられます。

淫行事件で不起訴の可能性が高くなる要因

1.相手が心から同意している
→相手となった青少年の年齢が18歳に近く,相手の心からの同意が認められる場合,相手の意向を尊重する形で不起訴の可能性が高くなりやすい

2.継続的な交際関係にある
→性行為を伴わない男女の交際関係が継続していた場合,淫行の違法性が比較的小さいと評価され,不起訴の可能性が高くなりやすい

3.家族ぐるみの関係がある
→当事者間の交際関係を両家の家族が了承している場合,当事者間及び親族間では重大な犯罪行為とは評価しづらく,不起訴の可能性が高くなりやすい

4.余罪がない
→複数人,または複数回の淫行がない場合,性風俗の乱れが限定的であるため,不起訴の可能性が高くなりやすい

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

淫行事件で不起訴を目指す場合の注意点

①相手の同意は不起訴の根拠にならない

淫行事件の場合,相手が性的な行為に同意しているため,その点を踏まえて不起訴処分を求めることができないか,という問題意識を持つかもしれません。しかしながら,相手が同意していることが不起訴の根拠になることはないため,その点には十分な注意が必要です。

淫行事件は,18歳未満の相手の同意を得て性的な行為をしたもののうち,金銭などの対価がないものを指します。つまり,相手の同意があることを前提とした犯罪であって,相手の同意は正当化の理由になり得ないのです。

淫行事件は,相手の同意があることを前提とした犯罪類型である,という点には留意しておくことをお勧めします。

②示談相手

淫行事件は,各都道府県の「青少年保護育成条例」または「青少年健全育成条例」といった条例で罰則が設けられていますが,淫行の相手方は「青少年」(=18歳未満の男女)です。そして,18歳未満の男女は法律上未成年であり,単独で示談という契約をする能力がないため,相手と示談を試みる場合の相手は,相手の親権者となることが通常です。

この点は,示談の見通しが決して安易ではないという点で,十分な注意が必要なポイントです。相手自身は淫行を了承していても,その親権者が同様に寛容な態度であるかは別問題であるためです。
淫行事件の示談は,本人でなく親権者を相手とする関係で,強い悪感情を持たれている可能性がある点には留意するのが適切でしょう。

③年齢を知らなかったとの主張

淫行事件は,相手が18歳未満の場合にのみ成立する犯罪です。そのため,犯罪が成立するためには,相手が18歳未満であったことについて故意がなければなりません。
そうすると,相手が18歳未満だとは知らなかった場合,その旨を主張し,犯罪が成立しないとの判断を求める方針が考えられます。

もっとも,年齢を知らなかったという主張については,漫然と年齢確認を怠ったのみでは故意ありと判断されてしまう,という点に注意をする必要があるでしょう。
犯罪の故意は,「認識」又は「認容」が必要とされます。具体的な内容は,以下の通りです。

淫行事件における故意の内容

1.認識
18歳未満であると知っていた,という場合

2.認容
→18歳未満とは知らなかったが,18歳未満でもいいと考えていた場合

漫然と確認を怠ったケースでは,認識こそないものの認容があるため,結局犯罪の故意がある,との結論になってしまうことが見込まれます。年齢を知らなかった旨の主張をする場合には,根拠を持って18歳以上と確信していた,という主張が必要となりやすいでしょう。

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【淫行事件の弁護士選び】弁護士の要否,選択時期,判断基準などを一挙解説

このページでは,淫行事件の弁護士選びについてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。弁護士への依頼を検討する際の参考にご活用ください。

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淫行事件で弁護士を選ぶタイミング

①呼び出しを受けたとき

淫行事件について警察などから呼び出しを受けたとき,その目的は犯罪捜査としての取調べであることが見込まれます。つまり,呼び出しを受けた時点で,淫行事件が捜査機関によって捜査されていると判断することが可能です。
そのため,淫行事件で呼び出しを受けタイミングでは,その後の捜査への対応を適切なものとするため,弁護士選びを進め,専門性ある弁護士に依頼することが望ましいでしょう。

呼び出し後,出頭前に弁護士選びを行うことは,早期に弁護活動が始められるメリットが非常に大きくなります。認め事件の場合には,弁護士が率先して反省状況を明らかにするなどして,刑事処分の軽減をより円滑に目指すことができるでしょう。一方,否認事件の場合には,弁護士が自分の主張を法的に整理して捜査機関に示すことで,不合理な内容の取調べや刑事処分を防止することが可能になります。

ポイント
呼び出しを受けた時点で,捜査が行われていると理解できる
呼び出し後,出頭前のタイミングでの弁護士選びが有益

②逮捕されたとき

淫行事件の捜査は,呼び出しでなく逮捕によって強制的に身柄を拘束する手段が取られる場合もあり得るところです。この場合,逮捕によって初めて事件が捜査されていると分かりますが,逮捕後の手続には時間制限があるため,対応方針を決めたり実際に対応を進めたりする猶予はそれほど残されていません。できれば逮捕当日,遅くとも翌日には,適切な対応を取ることが望ましいでしょう。

そのため,逮捕された場合には,極力速やかに弁護士選びを行い,対応に適した弁護士への依頼を進めることが肝要です。なお,被疑者が逮捕されたケースでは,被疑者自身が弁護士選びを行うことは現実的に困難であるため,同居家族など周囲の協力者による弁護士選びが必要となるのが一般的です。

ポイント
逮捕後の対応を検討する猶予期間は短い
実際の弁護士選びは周囲の協力者が必要となりやすい

③自首したいとき

淫行事件では,近い将来の捜査が予想されるという状況の場合,捜査に着手されるより前に自首を行うことで,大きな不利益を回避する手段も有力です。適切な時期に,適切な方法で自首ができれば,将来の逮捕や刑事処罰を防ぐ大きな要因となることも期待できます。

もっとも,現状では自首が適切な動きなのか,自首をするとしてどのような方法で進めるべきか,という点は,専門性のない当事者には判断が困難な事柄です。そのため,自首を検討している場合には,専門性ある弁護士を選び,個別の状況に応じた弁護士の判断を仰ぐことが望ましいでしょう。

自首は,時期を逃すとその効果が十分に発揮されない可能性もあるため,自首を考えているときにはできるだけ早く弁護士選びを進めることをお勧めします。

ポイント
適切な時期・方法での自首ができれば,逮捕や処罰を防ぐことにつながる
自首すべきか,自首の方法をどうすべきかは,専門性ある弁護士の判断が望ましい

淫行事件の弁護士を選ぶ基準

①淫行事件への理解度

淫行事件は,俗に「淫行条例」と呼ばれる各都道府県の条例によって規制される犯罪です。一般的な法律で規律されていない分野のため,弁護士の専門性の有無によっては,淫行事件の規律や処分の見込みなどについて,十分な理解を持ち合わせていない可能性もあり得るところです。

そのため,弁護士選びに際しては,淫行事件の分野に関する深い理解があるかどうか,という点を重要な基準とすることが有力です。具体的な判断方法としては,弁護士の案内が一般的,抽象的な内容にとどまるか,より具体的な内容に踏み込んだ詳細な内容であるか,という点を基準とするのが一案でしょう。

②聴き取り能力

淫行事件の場合,当事者双方の間で事実関係の主張が大きく異なる場合も一定数見られます。特に,相手の親権者との間で示談交渉を実施するときに,双方の理解している事件像に大きな差異が見られるケースが相当数見られるところです。これは,相手本人と親権者との間で,十分な情報共有がなされていないことから,親権者が都合の良い事情しか耳にしていないために生じる問題であることが多いでしょう。

当事者間で言い分が異なる場合にどう対処すべきかは,ケースや相手,方針などによって様々ではありますが,対処を決めるためには,弁護士が事情を適切に聴き取り,理解していることが不可欠です。そのため,弁護士選びに際しては,弁護士が事件の内容を漏れなく簡潔に聴き取ってくれる人物か,という点を重視することをお勧めします。
特に,淫行事件で当事者の言い分が異なりやすい事項に着目して聴き取りを行い,その点の言い分が異なりやすいことを指摘してくれるようであれば,その弁護士の聴き取り能力は卓越していると考えてよいでしょう。

③淫行事件の解決実績

淫行事件の手続や処分の見通しは,過去の同種事例の解決実績がないとなかなか具体的に想定できないものです。弁護士が見通しを立てる場合,過去の解決事例と比較する方法で大まかな想定をするものであるためです。
また,淫行事件の場合,弁護士や法律事務所によっては全く触れたことがない分野である,ということも珍しくはないため,経験の有無による知識などの差は,思いのほか弁護士間でも大きくなりがちです。

そのため,弁護士選びに際しては,過去に淫行事件を取り扱った経験や,処分の軽減を実現した解決実績の有無を,判断基準の一つとすることが有力です。複数の解決実績との比較で本件の見通しを立ててくれる場合には,その見通しの確度はより高いものと理解してよいでしょう。

④弁護士費用の見通し

弁護士への依頼には,どうしても弁護士費用の負担が不可欠になります。もっとも,淫行事件の場合,相手と合意の上で性的な行為をした,という内容であるため,その事件の解決のためにあまりに大きな経済的負担をするというのは,心理的な抵抗を感じることも少なくないでしょう。また,望ましい結果が生じるのであればある程度の負担は了承できるが,結果が伴わない場合にも大きな負担となるのは避けたい,という考えもあり得るところです。

この点,弁護士費用の金額や内容は,法律事務所によって様々に異なります。弁護活動の内容と金額が比例するとは限らず,結果が芳しくなかった場合の費用額も,大きな差が生じ得ます。
そのため,弁護士選びに際しては,弁護活動の内容や結果に応じて,どの程度の費用が発生する見通しであるか,という点を重要な判断基準とするのが望ましいでしょう。

なお,示談を試みる場合,弁護士費用のほかに示談金の負担も発生します。示談を目指す場合には,示談金を含めた総額の見通しを検討することをお勧めします。

淫行事件で弁護士を選ぶ必要

①逮捕を防ぐため

淫行事件では,捜査に際して逮捕されるケース,されないケースがいずれもあり得ます。そして,明確に逮捕を予定している,または予定していないケースがある一方,被疑者側の対応次第で逮捕されるかどうかが変わってくる事件も少なくありません。そうすると,被疑者の対応次第で逮捕されるかどうかが変わる場合,適切な対応をできるかどうかが,その後の生活を大きく左右すると言っても過言ではないでしょう。

逮捕を防ぐための適切な対応を取るべきケースでは,具体的にどのような対応方針とすべきか,弁護士の専門的な見解を仰ぐことが重要です。専門性ある弁護士の判断に沿った対応を尽くせば,逮捕を防ぐ可能性はより高くなることが期待できるでしょう。

②起訴を防ぐため

淫行事件は,対応次第で起訴を防ぐことが十分に可能な事件類型でもあります。もっとも,特に具体的な動きを取らず漫然と捜査を受けているだけでは,否認事件でない限り起訴される方が通常です。不起訴を目指すためには,示談をはじめとした積極的な試みが必要不可欠と言えます。

この点,不起訴を目指すために最も有力な手段の一つである示談は,弁護士なしでは行うことが困難です。通常,弁護士を窓口にして,弁護士と相手方(多くの場合は親権者)との間で協議を行ってもらうことになります。
また,示談以外の動きについても,何をすべきか,どうすべきかといった判断は,弁護士以外には困難であることがほとんどでしょう。

起訴を防ぐための積極的な動きを取りたい場合には,弁護士を選ぶことが必須と言えます。

③日常生活への影響を防ぐため

淫行事件の捜査を受けた場合,その内容が周囲に知られるなどすれば,日常生活に重大な悪影響を及ぼす恐れが少なくありません。特に,淫行事件は,相手の年齢が低いことや,事件の内容が性的なものであることから,周囲に与える心理的な影響,印象といった面も強く懸念されます。

この点,弁護士に依頼をすれば,周囲への影響を防ぐための配慮を弁護士から捜査機関に求めるなど,日常生活への悪影響を防ぐ手立てが可能になります。弁護士が捜査機関に掛け合った場合,特に周囲に知らせる必要がある事件内容でなければ,一般的には周囲に発覚しない形で捜査を進めてもらえるケースが多いでしょう。

淫行事件における弁護士選びの準備

①弁護士選びの目的を決める

淫行事件で弁護士選びを行う場合,その弁護士選びの目的は正しく弁護士に伝えることが重要です。弁護士や法律事務所によっては,依頼者側の目的に応じて,弁護活動の内容や弁護士費用を柔軟に調整できる可能性もあります。

また,弁護士が想定している依頼者の目的と,実際の依頼者の要望との間にズレがあると,依頼の目的に沿った弁護活動ができない可能性もあります。特に,以下のような目的がある場合には,その旨を十分に弁護士に伝えることが重要でしょう。

弁護士に目的を伝えるべき場合

1.余罪の発覚を防ぎたい
→本件で刑事処分を受けても構わないが,余罪の発覚だけは防ぎたい場合

2.周囲への発覚を防ぎたい
→刑事処分は軽減できなくても構わないが,家族や職場に発覚することだけは防ぎたい場合

3.継続的な弁護活動までは求めない
→自首のために一度だけ出頭に同行して欲しいなど,単発の活動を求める場合

②依頼時の予算を決める

弁護士に依頼した場合の経済的な負担は,法律事務所によって大きく異なります。そのため,相談した法律事務所で必要な弁護士費用が,想定している予算の範囲内であるかは,自分で判断する必要があります。

また,弁護活動として示談交渉を依頼する場合,相手に示談金を支払うことが見込まれますが,示談金の負担をどの程度まで受け入れることができるか,という点も事前に決めておく必要があります。示談金をどの程度負担することができるかは,示談を目指したい希望の強さや,個々の経済的状況によって異なるため,自分の状況に応じた線引きが不可欠です。

もっとも,示談金については,そもそもの相場が分からないと検討は困難なところがあります。そのため,弁護士に一般的な相場を聞いた上で,弁護士と相談しながら示談金の予算を検討することも有力でしょう。

③現在の状況をまとめる

弁護士による判断や案内の内容は,現在がどのような状況であるかによって大きく異なることがあります。具体的には,以下のような事情が弁護士の案内に影響し得るでしょう。

まとめるべき状況の例

1.捜査状況
→取調べを受けたか,相手は警察か検察か,回数は何回か等

2.相手方との接触
→捜査開始後に接触したことはあるか,どのようなやり取りをしたか等

3.周囲への発覚の有無
→家族は知っているか,就学先や勤務先は知っているか等

事件の内容に加えて,上記のような状況を弁護士に把握してもらうことで,弁護士からはより具体的な案内を受けることが可能になるでしょう。

④早期の相談を試みる

弁護活動の依頼は,早期であるほど有益であることが通常です。具体的には,以下のような利点が考えられます。

早期の弁護活動によるメリット

1.身柄事件の期間制限
→法的な期間制限があるため,期間制限内に成果を出すには迅速な動きが不可欠

2.示談を目指す場合
→示談を試みるのが早ければ早いほど被害者側の印象に好影響が生じやすい

3.否認事件の初期対応
→早期から一貫して適切な対応を尽くすことで,不起訴処分を促しやすくなる

早期に弁護活動を開始してもらうためには,早期の弁護士選びが不可欠となります。弁護士選びは早いほど望ましい,と考えることを強くお勧めします。

淫行事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①弁護士によって見通しが異なる可能性

淫行事件の見通しは,弁護士の経験の有無や内容等によって,弁護士ごとに異なってくる場合が少なくありません。そのため,法律相談を一度だけ行って見通しを聞いたとしても,その内容が現実になると信頼し過ぎることはリスクがあるでしょう。

淫行事件の手続や処分は,児童の年齢,事件の経緯,余罪の有無や内容,親権者の意向など,個別の事情によって少しずつ変わることが多く見られます。そのような事情を漏れなく加味して見通しを案内することは,弁護士でも決して容易なことではないため,一人の弁護士が示す見通しに頼り過ぎないよう注意することをお勧めします。

②本人が動くこと

淫行事件の解決は,当事者本人の意向と合致した方針であることが不可欠です。認め事件であれば示談を目指すことが多いですが,示談の内容は本人が了承しなければ合意が困難なものです。また,否認事件であれば,本人の主張に沿った弁護活動が必要となるため,やはり本人の意向を踏まえなければなりません。

本人が若年者である場合,ご両親などの家族が弁護士選びを進めることも少なくありませんが,本人が動かず家族だけが動く,という状況は避けることをお勧めします。
なお,本人だけで判断できない場合に家族の協力を仰ぐことは,有益であり,適切な動き方です。その場合は,弁護士への相談なども共同して行うことが望ましいでしょう。

③弁護士との相談時間に限りがあること

弁護士選びに際しては,弁護士との法律相談が不可欠ですが,法律相談の時間は,30分から1時間程度であることが一般的です。限られた時間の中で,弁護士に事情や希望を伝え,弁護士から案内を受け,弁護士選びをも行う必要があります。そのため,日常的に弁護士選びをしているのでない限り,時間不足を感じることも少なくないでしょう。

漫然と法律相談に臨むと,相談時間内に実りある法律相談をすることは難しい場合も少なくありません。時間が限られていることを踏まえ,目的意識を持って法律相談に臨むよう留意するのが望ましいでしょう。

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【淫行事件の示談を知りたい人のために】示談で不起訴になるか?相手と連絡を取る手段は?示談金額は?

このページでは,淫行事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

淫行事件で示談は必要か
淫行事件における示談のメリット
淫行事件で示談をする方法
淫行事件の示談金相場
淫行事件の示談内容・条項
淫行事件の示談で注意すべきこと
淫行事件の示談に必要な費用

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淫行事件で示談は必要か

一般に「淫行」と呼ばれる事件は,18歳未満の男女と性行為に及ぶものをいいます。18歳未満の男女は,その心身の発達を守るため,原則として性行為の相手とすることが禁じられており,これに反して「淫行」に及ぶと処罰の対象となります。
具体的には,各都道府県における「青少年保護育成条例」又は「青少年健全育成条例」といった条例の違反行為として取り締まりの対象となるところです。法律でなく条令の違反行為ですが,刑罰も定められており,れっきとした犯罪行為です。

この点,淫行事件で刑罰を防ぐためには,示談が決定的に重要であり,示談の試みは必要不可欠と考えてよいでしょう。

淫行事件の場合,被害者側の処罰感情が刑事処分を決定づけることが極めて多く見られます。処罰感情とは,被疑者(=加害者)の処罰を望むかどうかという気持ちのことを指しますが,処罰を希望する場合には処罰の対象となり,逆に処罰を望まない場合には処罰されないことが通常です。
そして,加害者側が何も行動を起こさない場合,被害者側の処罰感情は「処罰を希望する」という内容であると理解されるのが原則です。被害者側が捜査や処分を望んだから捜査が開始されたのであって,捜査が始まっている以上は処罰を希望しているのだと理解して間違いはないでしょう。

そのため,淫行事件での示談は,「処罰を希望する」との処罰感情を「処罰を希望しない」というものに変更してもらうことで,処罰を防ぐ手段ということができます。このようにして処罰の回避を図る手段は示談以外になく,示談は処罰の回避にとって決定的に必要な要素と考えて差し支えありません。

ポイント
淫行は「青少年保護育成条例」又は「青少年健全育成条例」の違反行為
示談がなければ,処罰感情を踏まえて起訴されることが一般的
示談できれば,処罰感情が変化するため不起訴が獲得できる

淫行事件における示談のメリット

①前科の回避

淫行事件では,示談できるかどうかによって刑罰の有無が変わりやすいため,刑罰を受けず前科を回避できることが何より大きなメリットと言えるでしょう。
逆に,示談しなかった場合は,起訴されて罰金刑などの刑罰を受けることが見込まれやすいため,示談の有無は刑事事件の結果を極めて大きく左右することになります。

②逮捕勾留の回避

淫行事件における示談は,早期に行うことで逮捕や勾留の回避にもつながります。

刑事事件における身柄拘束としては,最大72時間の「逮捕」,10日間の「勾留」,最大10日間の「勾留延長」と続くことがあります。これらがすべて行われた場合,23日前後の身柄拘束を強いられることになります。

逮捕から起訴までの流れ

この点,逮捕前に示談が成立した場合,基本的に逮捕される可能性はなくなることがほとんどでしょう。淫行事件の場合,被害者側の意に反して逮捕を行う必要が生じることは考え難いです。
また,逮捕された場合でも,その後の勾留や勾留延長を避けるための手段として,示談は決定的な効果を発揮することが非常に多く見られます。示談が成立した以上,それ以上の身柄拘束は必要ないとの判断になることは,淫行の事件では決して珍しくありません。

③報道の回避

早期の示談は,事件が報道されて公になることの予防にもなります。

刑事事件が報道されるのは,多くの場合が逮捕直後です。逮捕された事件の情報が警察から報道機関に提供され,報道機関がそれらの情報を取捨選択する形で報道されることが一般的な運用とされています。
そのため,示談によって逮捕を回避することで,事実上は報道の対象になることが考えにくくなるでしょう。

職業や勤務先など,立場によってはより報道されやすい場合もあり得ますが,この場合にも早期の示談で事件が解決していれば,その後の報道はなされにくくなるのが一般的です。報道を抑止する現実的な手段としては,示談によって当事者間で解決してしまうのが最も適切です。

淫行事件で示談をする方法

淫行事件の示談は,捜査機関に示談を希望したい旨を申し入れることから始まります。捜査機関の担当者から被害者側に連絡を入れてもらい,示談の話し合いに応じるかどうかを確認してもらうのです。

しかしながら,これは当事者や家族が直接行ってもうまくいきません。捜査機関は,当事者間を直接引き合わせるとトラブルの原因になりかねないとの理由で,当事者間の直接の示談交渉を認めないためです。そのため,被害者側との示談を試みる場合には,自分の代理人となる弁護士に依頼し,弁護士を通じて被害者側との示談を試みることが必要になります。
弁護士の連絡を受けた捜査機関は,被害者側(親権者)に連絡を試み,示談交渉に応じるか意向を確認します。被害者側が了承した場合には,弁護士に連絡先が伝えられるなどして示談交渉が開始されます。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

なお,迅速な示談の成立は,迅速な動き出しにかかっているという面が強くあります。被害者側としては,時間が経った後より,速やかに示談の申し入れをしてきた場合の方が,謝罪の意思を感じ取れるため,感情的に示談を受け入れやすくなるのが通常です。
迅速解決は,迅速な動き出し,ひいては迅速な弁護士委任にかかっていると言ってもよいでしょう

ポイント
弁護士を通じて捜査機関に示談を申し入れる
迅速な動き出しが極めて重要

淫行事件の示談金相場

淫行事件の場合,示談金の目安は20~30万円ほどとされるケースが多く見られます。淫行自体が,当事者双方に合意があることを前提とした事件類型のため,無理矢理に性行為を求めたような事件に比して小さな金額となるのが通常です。

具体的な金額は個別の事情に応じて交渉されますが,一般に示談金額を増減させる事情としては以下のような点が挙げられます。

示談金額の増減要因

1.相手の年齢
→低いほど増額要因になる

2.性行為のきっかけ
→虚偽の話で騙す行為があった場合,増額要因になる

3.性行為に至る経緯
→判断能力の低下に付け込む形で性行為に至った場合,増額要因になる

4.相手側の原因の有無
→被害者側から誘った等の原因があれば,減額要因になる

5.加害者側の経済力
→支払える金額に限界がある場合,増額が困難になりやすい

淫行事件の示談内容・条項

①一般的な示談条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。清算条項を取り交わせば,その後に相手から金銭を追加請求される可能性は法的になくなります。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項とは,被害者が加害者を許す,という意味の条項です。
示談が刑事処分に有利な影響を及ぼすのは,基本的にこの宥恕条項があるためです。被害者が加害者を許している,という事実が,刑事処分を劇的に軽減させる要素となります。

②淫行事件で特に定めやすい条項

【接触禁止】

今後の当事者間の接触を防ぐため,加害者が被害者側に接触することを禁止する条項を設けることがあります。
なお,条項を設けない場合でも,示談後に当事者間の連絡を試みることは控えるのが賢明でしょう。示談後の別件のトラブルに発展し,示談が無駄になってしまう恐れがあります。

【立入禁止】

淫行の過程で,被害者の自宅や生活圏を把握してしまっている場合,被害者方や近辺への立入を禁止する条項を設けることが考えられます。

立入禁止の条項を求められた場合には,接触しないという意思を示す意味でもできるだけ応じるのが合理的でしょう。特に,生活圏が全く重ならない場合は,極力相手の請求に応じて合意するのが円滑です。
一方,立入禁止がその後の日常生活に支障を及ぼす可能性がある場合は,弁護士と相談の上で綿密な取り決めを目指すことが必要です。立入禁止を約束した場合,その違反は違法行為となってしまうため,合意前に十分な相談をするようにしましょう。

淫行事件の示談で注意すべきこと

①示談の相手は本人か親権者か

淫行事件は,相手本人が青少年(=18歳未満の未成年者)であるため,法的には親権者を相手に示談すべきことになります。相手本人と示談した場合,法律上は後から取り消されてしまう可能性も否定できません。
もっとも,相手の親子関係によっては,親権者との示談が困難な場合もあるため,個別の場合に誰を相手にすべきかは難しい判断となることもあります。

この点,刑事処罰を避ける目的であれば,相手本人と示談をすることも決しておかしくはありません。相手方の親子関係に問題がある場合,捜査機関が処罰感情を確認する相手も本人となることがありますが,その場合には本人と直接示談するのがむしろ端的ともいえます。
確かに,法的には完全に十分な示談ではないかもしれませんが,それを理由に不起訴処分にできない,ということはまずありません。

示談の相手は,個別の状況や相手方の希望などを踏まえ,柔軟にしてもよいところでしょう。

②示談しても起訴される場合

淫行の事件は,示談によって不起訴にされることが非常に多いですが,当事者間の関係によっては示談をしても起訴が避けられない場合があります。典型例としては,加害者が仕事上の立場を通じて被害者と知り合った場合が挙げられます。
具体的には,教員や医師などが想定されますが,業務を通じて児童の個人情報を把握でき,児童とやり取りできる立場にある場合,その立場を悪用して淫行に至る行為は悪質と判断される傾向にあります。そうすると,元々の事件の悪質性が高い影響で,示談による軽減があっても不起訴までは至らない,ということがあり得るのです。

業務上知り合った相手との淫行事件については,示談をしても不起訴にならない可能性があることを踏まえておくのが望ましいでしょう。

淫行事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で淫行事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

一般的な在宅事件では,34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

淫行事件の場合,20~30万円の示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(20万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:20万円

計:109万円

弁護士費用の例

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何をすると淫行として処罰されるのか?何罪になるのか?どんな処罰を受けるのか?淫行事件の対処法を全面解説

●何をすることが淫行に当たるのか?

●児童淫行は逮捕されるのか?

●児童淫行で早期釈放はできるか?

●淫行事件は解雇されてしまうか?

●淫行事件で示談はできるか?

●淫行事件の弁護士選びはどうすべきか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,児童淫行事件の対応でお困りの方に向けて,淫行事件の取り扱いや淫行事件への対処弁護士に依頼する際の注意点等について解説します。

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淫行とは

淫行は,18歳未満の男女を相手に性交又は性交類似行為をすることを言います。
性交は挿入行為を,性交類似行為は口淫や手淫といった行為を指します。

もっとも,18歳未満を相手とした性行為等のすべてが淫行に当たるわけではありません。
最高裁判所の判断を要約すると,以下のいずれかの場合に当たることが必要です。

①心身が未成熟であることに乗じて行うこと
②単に性的欲望を満足させるためとしか認められないこと

つまり,性行為に対する判断能力がまだ十分でない18歳未満の男女を,ただの性欲の対象として扱う行為が「淫行」に該当するということですね。

逆に,婚約を前提としているなど,いわゆる真剣交際の中で行われた性行為は,淫行には当たらないことになります。
もっとも,ただ真剣交際であると主張すればいいというものではありません。真剣交際であるから淫行に当たらない,と判断されるケースはごく少数であると考える方が適切でしょう。

淫行条例の刑罰

淫行は,各都道府県の定める「青少年保護育成条例」「青少年健全育成条例」といった名称の条例に違反する行為であり,条例の中で罰則も設けられている犯罪です。
条例の名称の一例として,東京都では「東京都青少年の健全な育成に関する条例」,埼玉県では「埼玉県青少年健全育成条例」という名称で定められています。
これらの条例のうち,淫行を規制する条項を指して,俗に「淫行条例」と呼ばれることがあります。

条例は都道府県によって異なりますが,淫行に対する刑罰の一般的な定めは,

2年以下の懲役又は100万円以下の罰金

とされていることが多く見られます。

淫行と逮捕

淫行条例違反の事件は,必ずしも逮捕されるとは限りません。
むしろ,相手の子(青少年)との間でトラブル化しているなど,今後の被害拡大が懸念される場合を除いては,逮捕をされるケースの方が少数派とも言えます。

もっとも,淫行が問題になる場合は,事態が周囲や警察に発覚するきっかけがあった,ということになります。
そのきっかけに青少年自身が関わっていないとは考えにくく,青少年の意思で警察に事実を述べた場合もあり得るところです。
青少年が警察に事実を述べた理由によっては,青少年の安全を守る目的で,被疑者の逮捕に踏み切る可能性も否定はできません

また,教師に代表されるように,青少年と関わる職務上の地位にある人が,職務上知り合った青少年との間で淫行した事件の場合には,事件の重大性を踏まえて逮捕に至る可能性が高くなりやすい傾向にあります。

淫行事件も逮捕の可能性はありますので,逮捕が懸念される場合には弁護士へのご相談やご依頼を検討するようにしましょう。

淫行事件は早期釈放が可能か

刑事事件では,逮捕された場合,その後に勾留されるかどうかの判断が行われます。
勾留された場合,10日~20日間の身体拘束が追加で生じ,留置施設に入れられながら捜査されることになります。
一方,勾留されなかった場合には,速やかに釈放されて在宅事件に切り替わり,日常生活に戻ることが可能です。

淫行条例違反の場合,逮捕されたとしてもすべて勾留されるわけではなく,早期釈放の上で在宅事件に切り替えてもらえる場合も珍しくはありません。
勾留は,逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れが大きいと判断された場合に行われる身体拘束ですが,事件を認めていて身元もしっかりとしている人であれば,逃亡や証拠隠滅の恐れが勾留しなければならないほど大きいとは判断されないことも多数あります。

もっとも,このような主張や働きかけは,弁護士を通じて検察官や裁判官に対して行う必要があるため,淫行条例違反で逮捕された場合には,勾留を防ぐためにできるだけ速やかに弁護士へ依頼することをお勧めいたします。

淫行と解雇 

淫行事件そのものは,法的には必ずしも解雇とは限りません。
民間企業の場合,解雇される場合の条件は就業規則に記載されますが,淫行事件が起きたことを特に解雇の理由としていることはほとんどないでしょう。また,仮に就業規則に明記されていたとしても,私生活上で起きた淫行事件を解雇の理由とするのは,正当な解雇であるか大きな疑問が残るところです。

もっとも,長期に渡って身柄拘束され続けたり,相当程度の刑罰を受けたりなど,業務への悪影響が大きくなってくると,それに比例して解雇の可能性も大きくなることが考えられます。
そのため,淫行事件が解雇につながることを防ぐためには,身柄拘束の期間を短期にとどめる,刑罰の軽減を目指すといった試みが有力でしょう。

なお,ここまでは私生活上での淫行であることを前提として解説しましたが,業務上又は業務に関連して行われた淫行だと,話が大きく変わってくるでしょう。
代表例としては,教師が生徒との間で淫行に至ったような場合です。この場合は,業務への悪影響が著しく大きいため,解雇が正当化されやすいと思われます。
また,公立学校の教師である場合,公務員という地位もあるため,懲戒処分の対象になることも想定されます。いずれにしても,私生活上の淫行事件より解雇の可能性が非常に高くなると考えられるでしょう。

淫行の示談

①示談の効果

淫行条例の場合,相手となった青少年(現実的にはその親権者)との間で示談が成立し,青少年側の宥恕(許し)が獲得できれば,不起訴処分となる可能性が非常に高くなる傾向にあります。
一方,示談の試みを特段せず,漫然と処分を受けた場合には,淫行の事実が明らかでない場合を除き,起訴されて刑罰を受けることが通常です。前科がなく,単純な淫行事件であれば,30万円ほどの罰金刑になることが多く見られますが,罰金刑も刑罰であり,刑罰を受ければ前科がつくことになります。

そのため,淫行条例で捜査を受け,前科を回避したいという場合には,示談の試みを行われることを強くお勧めします。
そして,示談を試みる場合には,当事者間で直接やり取りすることは適切でないため,弁護士に依頼し,弁護士を通じて示談の申し入れを行うことが必要です。

②示談金の金額について

示談を行う場合には,被疑者側から青少年側に対して,お詫びの意味を兼ねた金銭(示談金)を支払うのが通常です。
この示談金の金額は,当事者間の交渉で決定しますが,30万円前後が一つの目安とされやすいです。


淫行条例違反の場合,青少年の方も性行為に同意しているため,その点を踏まえた場合にはそれほど大きな金額の支払は必要でないと考えることも可能です。
一方,青少年の未熟さに乗じた事実は間違いないところであるため,その点を強調した場合には一定の金銭賠償は必要となるものと考えられます。
また,示談金には,不起訴となるための許し(宥恕)をいただく対価という意味も事実上込められるため,刑罰を科さなくてもいい,と留飲を下げるのに値する痛み(負担)という意味で金額を定めることもあります。

淫行事件で弁護士に依頼するべき場合

淫行事件で弁護士に依頼するべき場合としては,以下のようなケースが考えられます。

①逮捕を避けるために自首したい

淫行事件の場合,被疑者と青少年との間に交友関係のあることが多いため,青少年から被疑者に対して,淫行事件が捜査されそうであるという内容の連絡がなされる場合もあります。
そのような場合,漫然と待機しているよりも,自ら警察に出頭して自首する方が,逮捕の回避や処分の軽減につながるでしょう。
そのため,淫行事件での自首は有効な手段の一つということができますが,自首をより効果的に行うためには,弁護士と同行するなど,弁護士に主導してもらう形で行うのが適切です。

②相手と示談をして刑罰を回避したい

淫行事件の場合,青少年及びその親権者との示談が,刑事処分の結果に大きく影響することが多いです。
しかし,示談を試みる場合には弁護士を通じて行うことが必須となるため,示談を通じて刑罰の回避を目指す場合には,弁護士に依頼すべきと言えるでしょう。

③余罪が発覚して処分が重くなることを避けたい

淫行条例違反の事件では,複数の青少年と,複数の性行為を行ってしまっているケースもあり得ます。
そのうちの1件が捜査の対象となった場合,余罪が発覚するかどうかは処分の結果に大きな影響を及ぼす可能性も否定できません。
そこで,弁護士に依頼の上,余罪の発覚を防ぐための取調べ対応を協議したり,余罪に対する心構えや考え方について案内を受けたりすることが非常に有効となるでしょう。

④身に覚えがないことを主張したい

淫行条例違反とされるケースの中には,行ってもいないことを疑われるという場合もあり得ます。
この場合には,犯罪事実がないことを説得的に主張し,検察官の不起訴(嫌疑不十分)の判断を促すことが必要です。
もっとも,嫌疑不十分であるかどうか,ということは,高度に法的な判断を要する問題です。そのため,弁護士に依頼の上,法律の専門家同士による協議をしてもらうことで,検察官に嫌疑不十分であることを納得してもらうのが非常に有効な手段となるでしょう。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

児童淫行の事件は,当事者の関係や立場,事件の内容等によって必要な対応が異なります。
また,適切に対応できれば,重大な不利益を避けることのできる場合も少なくありません。
一方,対応や弁護士選びを誤った場合,適切なタイミングで適切な動きが取れず,取り返しのつかない不利益が生じる可能性もあります。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
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