熟年離婚を円滑に進める方法は?熟年離婚で損をしないための注意点は?弁護士依頼のメリットも紹介

●熟年離婚はどうすれば可能か?

●熟年離婚で生じやすい問題は?

●熟年離婚する場合に注意すべきことは何か?

●熟年離婚は弁護士に依頼すべきか?

という悩みはありませんか?

このページでは,熟年離婚についてお困りの方に向けて、熟年離婚が可能な場合やその方法争点になりやすい事項や対処法などを解説します。

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熟年離婚とは

熟年離婚とは,長期間にわたって結婚生活を続けた夫婦が高齢になってから離婚することを指すのが一般的です。多くの場合,婚姻期間20~30年以上,年齢50代以上の夫婦の離婚が熟年離婚と呼ばれます。

熟年離婚の特徴は,その婚姻期間の長さと子どもの年齢です。
熟年離婚の場合,婚姻期間が長期間であるため,夫婦の共同生活で積み上げた財産が多く,多岐に渡るケースが多く見られます。財産分与の金額的規模も内容も相当であり,財産の全てを把握することも容易ではありません。退職金や年金分割など,仕事を終えた後のセカンドライフに関する金銭的解決が必要となることが多い点にも特徴がみられます。
一方で,子どもは成人しているなど独り立ちしている場合が多く,親権や養育費,面会交流といった子どもに伴う権利関係の争いが生じることは多くありません。夫婦間で金銭関係をどのように解決するか,という点に焦点が絞られやすい傾向があると言えるでしょう。

ポイント
熟年離婚とは,「長期間婚姻」していた「高齢夫婦」の離婚
金銭面で解決の必要な事項が多い一方,子どもに関する争点が生じにくい

熟年離婚の主な原因

熟年離婚は,長期間に渡る夫婦生活にピリオドを打つものであり,長期の夫婦生活では様々な出来事が起きているため,熟年離婚に至る原因は多種多様です。そのため,熟年離婚の原因を具体的に特定することは困難ですが,主な原因として指摘されやすい事項としては,以下のような点が挙げられます。

熟年離婚の主な原因

1.小さな不満の蓄積
→一つ一つの不満は小さなものでも,長年蓄積され続けた結果,大きなストレスとなって離婚の原因になることがあります。

2.子の独立
→子どもが独立するまで我慢していた場合や,子供が独立して夫婦二人の生活になることで夫婦間の問題が顕在化した場合など,夫婦関係を支えていた子の存在がなくなることで離婚に至る場合があります。

3.ライフスタイルや価値観の変化
退職後や老後の生活設計が夫婦間で大きく異なっていることが分かり,夫婦関係の継続が困難と感じた場合,離婚の原因となることがあります。

4.自己実現の追求
→夫婦の一方が家庭生活のために自分の夢やキャリアを我慢してきた場合,自分の人生を見直して夢やキャリアを追い求めるため離婚を希望する場合があります。

5.健康問題・介護負担
配偶者や親族の介護に関する負担が大きく,夫婦関係に耐えられなくなってしまう場合,離婚の原因となることがあります。介護に関する考え方のズレが離婚につながる場合も考えられます。

6.コミュニケーション不足
長年にわたるコミュニケーション不足の結果,夫婦関係が極度に冷え込み,離婚の原因になることがあります。コミュニケーション不足は,性格や価値観の不一致を話し合う機会も奪ってしまうため,配偶者への不信感につながり,離婚の原因となることも考えられます。

7.性関係の欠如
配偶者に対する性的な不満や性生活の不足が疎遠感などを生み,離婚の原因となることがあります。配偶者を性的な対象と見ることができなくなり,双方の不満から離婚に至ることも考えられます。

8.経済面の対立
老後の収入減少や,財産の分配をめぐる対立,家計の管理に対する考え方の違いなどが,婚姻関係の継続を困難にし離婚原因となることがあります。

9.生活リズムの違い
活動時間帯や活動内容,趣味や興味関心のズレから,共同生活に対して負担や不満の方が大きくなってしまい,離婚原因となることがあります。

10.裏切りの発覚
長期に渡る配偶者の不貞行為が発覚するなど,婚姻関係における裏切りが分かった結果,離婚の原因になることがあります。

11.親族関係の悪化
親族との同居問題や介護問題がトラブルにつながる場合や,特定の親族との関係悪化が夫婦関係に悪影響を与える場合などに,離婚の原因となることがあります。

熟年離婚の注意点 離婚の成否①離婚原因

離婚するためには,夫婦双方が離婚することで合意しているのでない限り,法律の定める離婚原因(法定離婚事由)に該当していることが必要です。この点,法定離婚事由は以下の通りです。

法定離婚事由

1.不貞行為 配偶者が不貞行為(不倫)を行った場合
2.悪意の遺棄 正当な理由なく配偶者との同居や扶養などを放棄する行為
3.3年以上の生死不明 配偶者が3年以上生死不明の場合
4.強度の精神病 配偶者が強度の精神病にかかり,婚姻の継続が困難な場合
5.その他婚姻を継続しがたい重大な事由 上記のほか,夫婦関係が著しく破綻している場合(長期別居など)

一般的に,熟年離婚の原因とされるものは,法定離婚事由に該当している可能性の低いことが見込まれます。熟年離婚の原因の多くは,価値観や性格のズレにとどまり,法定離婚事由のいずれにも当たらないためです。
法定離婚事由に当たる事情がない場合,裁判で争っても離婚は認められないため,これを踏まえた検討が必要になるでしょう。

熟年離婚の注意点 離婚の成否②離婚の手続

熟年離婚の多くは法定離婚事由のないケースであるため,離婚をするためには夫婦間で合意をすることが必要になりやすいでしょう。つまり,熟年離婚は基本的に協議離婚で決着させるべきである,ということになります。

熟年離婚の場合,通常は夫婦二人きりでの結婚生活を老後も続けるかどうか,という問題になります。そのため,二人きりの夫婦のどちらか一方にその気がなければ,離婚した方が互いにとって前向きな結論だということも間違いありません。
夫婦間でしっかりと協議をする場を持ち,老後の結婚生活を継続する意思がないことを表明するなどして,配偶者の理解を得る努力を尽くすのが有益でしょう。

ポイント 熟年離婚の成否
法律上の離婚原因に当たる場合は少ない
裁判では認められづらいため,協議離婚での決着が望ましい

熟年離婚の注意点 金銭面①財産分与

婚姻期間中に夫婦の共同の努力で得た財産は,原則として財産分与の対象となります。例えば,婚姻期間中に一方が労働をして獲得した賃金(収入)は,形式的には一方のみに対する支払ですが,夫婦関係においては夫婦共同の財産と理解されます。

この点,熟年離婚は婚姻期間が長いため,期間に比例して財産分与の対象となる財産も多くなる傾向にあります。財産分与は,その対象が多ければ多いほど困難な作業になりやすいと言われ,熟年離婚ではその傾向がより顕著です。その原因としては,以下のような点が挙げられます。

熟年離婚の財産分与に困難が伴う理由

1.財産の特定が困難

熟年離婚の財産分与で最も問題になりやすいのは,財産をすべて把握できているか,という点です。

長年の婚姻生活の中で,配偶者の把握しない財産がいくつも生じていることは珍しくありません。独自に開設した銀行口座や,購入した株式や不動産,金(ゴールド)や自動車といった動産まで,配偶者に知らせず手に入れた財産が保管されている場合は多く見られます。
もっとも,協議離婚で財産分与を試みる場合,財産の全てを特定するためには,事前に財産を把握しているか,配偶者に財産をすべて開示してもらうかしかありませんが,配偶者の開示にはあまり期待できないため,事前に財産を把握することが必要になりやすいです。

そのため,熟年離婚を考える場合には,離婚を切り出す前に可能な限り配偶者の財産を把握するよう努めるのが賢明でしょう。離婚協議に至ってからでは配偶者の協力は得られないものと考え,協議開始後の財産開示に依存しない動きを取るのが重要です。

2.金額換算が困難

財産分与に際しては,金銭や預金債権以外の財産はその金額(時価額)を特定しなければなりません。もっとも,財産の種類が多岐にわたる場合は,財産ごとに金額換算の方法も異なり,全体の財産額の計算が困難であることも少なくありません。
特に,時期によって価値が上がったり下がったりする財産や,取得してから長期間が経過した財産は,金額換算が困難なケースが多く見られます。

3.分与の方法選択が困難

財産の種類が多岐にわたる場合,全て金銭に換価してしまうのか,現物のまま分与するのかという点の協議が容易でないことも少なくありません。一切の財産を金銭に換えてその金銭を2分の1に分けることができれば,それほど容易なことはありませんが,金銭に換えるのが合理的でない財産や,そもそも金銭換算に時間のかかる(又は金銭換算が難しい)財産もあり,全てを金銭にする方法は現実的でないことがほとんどです。

そのため,夫婦間の公平を保ちながら合理的な財産分与をするためには,財産ごとの金額換算を正確にすることはもちろん,大小様々な財産をどのように分けると適切な解決に至るのか,綿密な検討が必要になるでしょう。

ポイント 熟年離婚と財産分与
全財産の把握は困難な場合が多いため,事前の特定が重要
金銭換算の必要が多くなると,それだけ正確な換算は難しくなる
様々な財産を公平に分ける方法を見つけることは容易でない

熟年離婚の注意点 金銭面②年金分割

年金分割とは,離婚の際に,婚姻中に夫婦が納めた厚生年金の保険料を公平に分け合う制度です。

厚生年金は,会社に勤める従業員(給与所得者)を対象にした年金制度で,その年金受給額は,保険料の納付月数と収入によって異なります。収入が高いほど,納付額も高くなり,年金受給額も高くなります。
そうすると,夫婦の一方に収入が偏っており,もう一方が専業主婦(主夫)である場合には,厚生年金の受給額に夫婦間の大きな差が生じてしまいます。もっとも,婚姻中に納めた厚生年金は,夫婦が共同生活の中から協力して支出したものであるため,婚姻中の納付分に対する年金は,一方のみに受給させると不公平な結論になってしまいます。
そこで,婚姻期間中のに納めた厚生年金に関して,夫婦間で公平に分け合うための制度が年金分割というものです。

熟年離婚の場合,特に給与所得者と専業主婦,という関係にあったケースだと,専業主婦側にとって年金分割は非常に重要な制度となります。専業主婦の場合,自分の収入がないことから自身の厚生年金は低額にならざるを得ませんが,年金分割をして配偶者分の年金を公平に分け合ってもらうことができれば,年金額は大きく上昇するためです。
また,給与所得者の配偶者である専業主婦の場合,3号分割という方法で配偶者の承諾なくして年金分割が可能であるため,年金分割に配慮するかどうかだけで結果が大きく変わることになるでしょう。

ポイント
配偶者が給与所得者である場合,年金分割への配慮が重要

熟年離婚は弁護士に依頼すべきか

熟年離婚については,夫婦間の協議が円滑に進む場合を除き,基本的には弁護士への依頼を検討するのが適切でしょう。その理由としては,以下のような点が挙げられます。

①離婚の成否に関して粘り強い協議を要する

熟年離婚は,不貞行為や家庭内暴力などの違法行為がある場合を除き,裁判で離婚を争っても認められない可能性が高いため,協議離婚を目指す必要があります。もっとも,配偶者としても,長期間の婚姻生活の末に突然熟年離婚を切り出され,円滑に対応するというのは困難なことが多いです。

この点,弁護士に依頼することで,夫婦間に弁護士という仲介役を設けることができるため,感情任せになることを防ぎ,理性的な協議が可能になりやすいでしょう。また,弁護士に依頼してまで離婚を希望する,という態度を明確にすれば,配偶者も頑なに離婚を断るのでなく,離婚に向けた前向きな協議に応じてくる可能性が高くなりやすいです。
さらに,離婚を拒否し続ける配偶者に対しては,弁護士が法的な観点や第三者の目線から粘り強く協議を試みることによって,その配偶者の方針が不合理であると理解してもらえる可能性が上がるでしょう。

②財産分与の対処次第で結果が劇的に変わる

熟年離婚の最大の問題は,財産分与であることがほとんどです
それは,財産分与の対象となる共有財産をどこまで把握できているかによって,財産分与の結果が決定的に変わりやすいためです。一方が多額の財産を隠し持ったまま財産分与が終われば,配偶者は財産分与の機会を不当に失ったまま離婚協議を終了せざるを得ないことになるでしょう。

弁護士に依頼すれば,財産分与を有益な結果とするために必要な行動やプランを提示してもらうことで,財産分与を適切に進めることが可能になりやすいでしょう。また,離婚を切り出す前に弁護士に依頼することで,離婚協議の前に財産を把握する方法が分かり,財産分与をより有利に行える可能性が高まります。

③財産額の計算に専門的処理を要する

金銭や預金債権など,金額の特定が容易なものを除き,金額計算に専門的な対応が必要となります。最も代表的な住宅一つをとっても,鑑定が必要になると思われますが,どこに依頼するのか,鑑定の結果は信頼できるのか,信頼できるかどうかをどのように判断するのかなど,適正な金額を確認するために必要な事項は山積みです。
このような財産額の計算を,当事者間ですべて行うのは非常に困難と言わざるを得ないでしょう。

この点,弁護士に依頼すれば,財産額の確認方法やそれを踏まえた協議の方法について,法的な観点から適切な助言を受けることができ,円滑な離婚協議につながります。また,夫婦間では相互に相手の主張する財産額に反論しやすい傾向がありますが,法的根拠を踏まえて相手に説明などを尽くすことで,相手との不要な争いや反論を回避することも可能になるでしょう。

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

熟年離婚は、法律上の離婚事由に該当するケースがあまり見られないため、基本的には当事者間の合意で離婚に至ることが必要になりやすいです。
また、婚姻期間が長い場合が多いため、財産面の解決に際して問題の生じることが多いという特徴もあります。
金銭問題は深刻化することが少なくないので、弁護士への依頼を積極的に検討することをお勧めします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

性格の不一致で離婚することはできる?どんなことに注意すべき?慰謝料との関係も徹底解説

●性格や価値観の不一致が原因で、婚姻生活を続けられそうにない

●性格の不一致を理由に離婚請求できるか?

●性格の不一致で離婚するために重要なことは何か?

●性格の不一致で離婚する場合、慰謝料請求できるか?

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このページでは,性格の不一致を原因とした離婚でお困りの方に向けて,性格の不一致が離婚原因となる場合や,離婚成立のために重要な対応などを解説します。

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性格の不一致で離婚できる根拠

過去の統計上,離婚の理由で最も多いのは,男女ともに「性格の不一致」とされています。結婚前には分からなかった配偶者の性格が結婚後に分かり,価値観のずれなどが少しずつ重なった結果,最終的には婚姻の継続が困難であると感じるにまで至る,ということは決して珍しくありません。

性格の不一致の具体的内容としては,以下のような例が挙げられます。

性格の不一致の具体例

1.価値観の違い

親族付き合いや友人関係に対する優先順位の設け方,家庭内での各行為に対する大らかさ・神経質さ家事の役割分担に対する考え方など,生活上の様々な局面における考え方のズレが,性格の不一致として意識される場合です。

2.金銭感覚の違い

節約志向でお金を貯めることを好むか,消費志向で自由にお金を遣うことを好むか,という感覚のズレが,性格の不一致として意識される場合です。
借金に対する心理的抵抗の有無なども影響する場合が考えられます。

3.ライフスタイルの違い

朝方の生活を好むか夜型の生活を好むか趣味はインドアかアウトドアかなど,生活における時間の使い方のズレが,性格の不一致として意識される場合です。

4.子どもの教育方針の違い

子どもに対して厳格な教育を目指すか自由な教育を目指すか,といったズレが,性格の不一致として意識される場合です。習い事や進路についての方針を巡って,教育熱心過ぎる,または無関心過ぎるという配偶者への不満が,婚姻生活の破綻につながる可能性があります。

5.コミュニケーションスタイルの違い

外交的で頻繁な外出や人付き合いを好むか,内向的で自宅での静かな時間を好むか,というスタイルのズレが,性格の不一致として意識される場合です。また,一方が素直な感情表現を好み,もう一方が感情を表に出さない表現を好む場合なども,性格の不一致につながることが考えられます。

6.仕事に対する考え方の違い

仕事(キャリア)を重視するか,家庭生活を優先するかという考え方のズレが,性格の不一致として意識される場合です。仕事上の立場や役割に大きな差がある場合,互いの立場を想像できずズレにつながることが多い傾向にあります。

もっとも,性格の不一致は,法律上の離婚原因(=法定離婚事由)に該当するわけではありません。そのため,性格の不一致が存在する場合であっても,性格の不一致を主張するだけで離婚が認められるものではないのです。

現実に性格の不一致で離婚に至るのは,夫婦双方の合意があるためです。つまり,夫婦間で協議離婚が成立していることが,性格の不一致で離婚することのできる根拠ということになります。
性格の不一致での離婚は,まず夫婦間での協議を試みることが適切でしょう。

ポイント
性格の不一致は最も多い離婚原因
性格の不一致自体は法律上の離婚原因でないため,離婚協議を試みるのが望ましい

離婚できる場合①婚姻関係が極端に悪化した

性格の不一致は,不一致があるだけでは法律上の離婚原因には該当せず,裁判所に離婚を認めてもらうことは困難であるのが通常です。もっとも,性格の不一致が原因で法定離婚事由に該当する事態に至れば,裁判所に離婚を認めてもらうことも可能になるでしょう。

一例としては,性格の不一致がきっかけとなって夫婦の仲が極端に悪化してしまった場合が挙げられます。
性格の不一致は,多くの場合夫婦間のケンカやトラブルをもたらすことになります。金銭感覚の違いであれば,「なぜこんなものを買ったのか」「お金があるんだからいいじゃないか」というように,互いの考え方に折り合いがつかず,自分の金銭感覚をぶつけ合うケンカに至るであろうことは想像に難くありません。
このような性格の不一致による争いが日常的に起きると,やがて夫婦間で分かり合うことが難しくなり,互いに干渉すること自体がなくなっていく,というように,婚姻関係が著しく悪化してしまい,共同生活とは呼べない状況に至る場合もあります。

そうすると,もはや性格の不一致にはとどまらず,婚姻関係の継続そのものが困難な状況と言わざるを得ず,法定離婚事由である「婚姻を継続し難い重大な理由」に当たると評価されやすいでしょう。

離婚できる場合②ほかの離婚原因を引き起こした

性格の不一致がきっかけとなり,夫婦関係が悪化した結果,家庭内暴力(DV)やモラハラ,不貞行為といった他の離婚原因に発展する場合,その離婚原因を根拠に離婚が認められることが考えられます。

具体例としては,以下のようなケースが考えられます。

性格の不一致が他の離婚原因を引き起こす例

1.性格の不一致からケンカが絶えず,夫婦関係が悪化した結果,一方が不貞行為に及んだ
2.性格の不一致を指摘する配偶者の言動がエスカレートし,DVやモラハラを受けるようになった
3.性格の不一致から同居生活が困難になり,長期間の別居が継続した

性格の不一致で離婚するために重要なこと

性格の不一致を理由に離婚したい場合には,まず夫婦間での話し合いを試みることが最も重要です。
既に解説した通り,性格の不一致そのものは直接の離婚原因になることが考えにくいため,離婚に配偶者の理解が得られず,最終的に離婚裁判で決着をつけるとなった場合には,離婚が認められにくいと言わざるを得ません。そのため,互いが性格の不一致を認識し,互いのために夫婦関係を解消するべきである,と合意できるのが,最も円滑で確実な離婚の方法であるのです。

また,自分が性格の不一致に悩んでいることを配偶者が自覚していない場合,配偶者の自覚を促す効果がある点も無視できません。配偶者が性格の不一致を自覚した後,対応の改善に努めれば夫婦関係の改善に至るかもしれませんし,それでも配偶者の改善が見られず価値観のズレが拡大するようであれば,離婚原因につながる事情として評価される可能性もあります。

性格の不一致で離婚する手順

性格の不一致で離婚をする場合,手順を誤ると望ましい解決が見込まないことも少なくありません。そのため,踏むべき手順は事前に十分確認するのが適切でしょう。
具体的な手順としては,以下のような流れが有力です。

①協議の実施

協議離婚ができるのであれば,それが最も円滑であり有益な解決と言えます。協議離婚ができれば,法的に離婚原因があるかを悩む必要はなく,当事者間で条件をすり合わせるのみで足りるためです。
性格の不一致による離婚は強引にはできない,ということを踏まえ,円満な協議による離婚を目指すことから始めましょう。

手順として協議から実施することは,協議が奏功しなかった場合にも効果があり得ます。当事者間の協議の結果,性格の不一致が解消できず,婚姻関係を続けることが困難であるということが明らかになれば,後の調停や裁判で離婚が認められる可能性も高まるためです。

②別居の検討

性格の不一致による離婚の協議が奏功しない場合には,別居を検討することが有力です。
別居は,言うならば婚姻関係を事実上解消する行為であり,離婚に向けて前進するには重要な手順と言えるでしょう。

別居により,相手の配偶者にも離婚の意思の強さや性格不一致の深刻さが伝わり,離婚協議が進展する可能性もあり得るところです。
また,別居が概ね3~5年と長期に渡ってくると,長期間の別居を理由に離婚が認められることも考えられるため,別居には離婚に向けた実績の積み上げという意味合いもあるでしょう。

③調停の重要視

離婚を試みる場合,「協議→調停→裁判」という順序で手続を経る必要があるため,いきなり裁判を申し立てるのではなく,調停を申し立てなければなりません。もっとも,調停は裁判のための形式的な手続と考えるべきではなく,性格の不一致による場合は調停の重要度が大きく上がると考えるのが適切でしょう。

調停は,家庭裁判所を介した協議であり,担当の調停委員を通じて自分の意思を相手に伝えてもらいながら離婚の話し合いをすることが可能です。裁判に至ったときに希望通りにならないリスクを踏まえると,調停において調停委員や配偶者の理解を得ることは,非常に重要であると理解すべきです。

当事者間の協議が奏功しなかったとしても,調停での解決を可能な限り粘り強く試みることをお勧めします。また,配偶者にその意思を強く届けたい場合には,弁護士への依頼という手段を取ることも有力でしょう。

性格の不一致による離婚と慰謝料

性格の不一致による離婚の場合,基本的に離婚請求する方が慰謝料を請求することはできません。夫婦間の性格不一致が離婚の原因になったとしても,それは配偶者の不法行為ではなく,慰謝料を請求する根拠がないためです。もっとも,配偶者が不貞行為や家庭内暴力など,性格の不一致にとどまらない行動に出ていれば,それを根拠にした慰謝料請求はあり得るでしょう。

なお,離婚を求める方が,配偶者に対して慰謝料を含む金銭の支払いを申し出ることも考えられます。これは,「離婚に応じてくれれば金銭を支払う」という離婚の対価ともいうべき性質のものであるため,厳密には慰謝料とは異なりますが,離婚を請求する側が金銭の支払を申し出るケースもある,というのは他の離婚原因にあまりない特徴とも言えるでしょう。

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

性格の不一致を理由にした離婚は,最も多い離婚の類型ですが,法的にその内容が整備されているわけではありません。性格の不一致を主張したからといって希望通りの離婚ができるわけではなく,個別の内容に応じた粘り強い対応が不可欠になります。
個別具体的なケースでどのような対応を取るべきかは,弁護士による法律的な判断が望ましいため,できるだけ早期に離婚問題に精通した弁護士へご相談されることをお勧めします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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モラハラで離婚できる場合は?モラハラでの離婚は準備がすべて?弁護士が徹底解説

●どんな行為がモラハラに当たるか?

●モラハラはどんな場合に離婚の原因になるか?

●モラハラを原因に離婚する方法は?

●モラハラで離婚するためにすべき準備は何か?

●子どもへのモラハラや義父母からのモラハラでも離婚できるか?

という悩みはありませんか?

このページでは,モラハラを原因とする離婚でお困りの方に向けて,モラハラが離婚原因になる場合やその判断基準モラハラで離婚する場合に必要な対応などを解説します。

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モラハラとは

モラハラ(モラルハラスメント)とは,精神的暴力行為を指します。倫理や道徳に反した嫌がらせ行為をいうことが一般的です。
夫婦間では,互いの距離や関係が近いことから,配慮が不足し心無い言動をしてしまうことが多くなりがちです。そのような言動がエスカレートしてしまうと,もう一方は婚姻生活に耐えることが難しくなり,離婚原因となる可能性が生じます。

モラハラに当たる行為

夫婦間でモラハラに当たる行為の具体例としては,以下のようなものが挙げられます。

1.否定的な言葉

配偶者を侮辱したり軽蔑したりする言葉を投げかける場合が代表例です。
また,相手の価値観や考え方を頭ごなしに否定することもこれに当たるでしょう。

2.無視や冷遇

話しかけても無視して返事をしないこと,相手が存在しないかのような態度を取ることなどが挙げられます。

3.過度な束縛や監視

相手の行動や交友関係に対して過度に干渉することが挙げられます。また,友人関係や親族付き合いを禁止するなど,配偶者を束縛しようとする行為も含まれるでしょう。

4.威圧や脅迫

怒鳴りつける,物を投げつける,離婚や子どもの存在をほのめかして言うことに従わせようとする,といった行為が挙げられます。

5.人格否定

相手の外見や能力の一部を執拗に指摘し,相手の価値が低いかのように批判することが挙げられます。また,過去の失敗を何度も持ち出して相手を非難する行為も含まれるでしょう。

6.馬鹿にする,笑いものにする

第三者のいる前で配偶者をけなしたり小馬鹿にしたりして,配偶者を周囲の笑いものの対象にする行為が挙げられます。
馬鹿にしたり笑いものにしたりする内容は,家庭内での行動や身体的特徴など様々です。

7.自分の非を認めない

配偶者が間違いを指摘しても謝罪などせず,逆切れしたり理不尽に責任転嫁したりする行為が挙げられます。

8.配偶者の分だけ家事をしない

配偶者の食事だけ用意しない配偶者の洗濯物だけ手を付けないなど,わざと配偶者の分だけ家事を行わない行為が挙げられます。

モラハラが離婚原因になる場合

モラハラは,その内容・程度によって離婚原因となり得ます。具体的には,モラハラが「婚姻関係を継続し難い重大な事由」に該当する場合,離婚原因となります。
「婚姻関係を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかは,数量的な判断ができないため,個別の事情を総合的に考慮して決定されることになりますが,モラハラの内容や程度が著しいほど「婚姻関係を継続し難い重大な事由」に該当しやすいことは間違いないでしょう。

具体的には,以下のような場合にモラハラが離婚原因として認められやすいでしょう。

モラハラが離婚原因になるケース

1.継続的な精神的苦痛

長期間に渡って言葉の暴力や無視などが繰り返され,精神的苦痛が増大している場合,離婚原因に当たりやすいと言えます。
また,配偶者が常に批判的な態度をとっており,自分の価値が否定されて続ける状況の場合,やはり精神的苦痛の程度が大きく,離婚原因に当たりやすいと考えられます。

2.健康被害

モラハラによる精神的なストレスの結果,不安障害やうつ病といった精神疾患が生じてしまう場合,婚姻生活が健康被害にまで至っていることから,離婚原因に当たりやすいでしょう。
また,モラハラが身体にも支障をきたし,日常生活が困難になれば,離婚原因に当たる可能性はより高くなると考えられます。

3.家庭内平和の破壊

モラハラが原因で家庭内の雰囲気が著しく悪化し,子どもなどの他の家族にも悪影響を及ぼしている場合,家族の生活を守るためにも離婚原因に当たると評価されやすくなります。
また,モラハラが原因で夫婦間のトラブルが絶えない場合,その夫婦関係は平和的な継続が困難と言わざるを得ず,やはり離婚原因に当たりやすくなると言えます。

4.著しい経済的拘束

配偶者への束縛がエスカレートした結果,配偶者の生活費を著しく制限するなど,経済的な拘束に発展した場合,配偶者が困窮した生活を継続することは困難であるため,離婚原因に当たる可能性が高くなります。

5.配偶者への恐怖

離婚をちらつかせたり子どもの連れ去りを示唆したりなどして,配偶者を従わせる脅迫行為が頻繁に行われた結果,配偶者への恐怖が募る状況に至ってしまった場合,夫婦間の安心した生活は継続が困難であるため,離婚原因に当たりやすくなるでしょう。

6.交友関係への悪影響

モラハラの結果,現実に交友関係がほとんどなくなってしまったり,自分の親族との付き合いが激減してしまったりするなど,周囲の人間関係への悪影響が生じる場合,配偶者が精神的不安のない生活を継続することは困難であるため,離婚原因に当たる可能性が高くなるでしょう。

モラハラで離婚するためにすべき準備

①モラハラでの離婚に準備を要する理由

モラハラを原因とする離婚は容易ではありません。その理由としては,以下のようなものが挙げられます。

モラハラを原因とする離婚が容易でない理由

1.配偶者が離婚に応じない

モラハラを原因とする離婚を配偶者に求めても,配偶者が自分の意思で同意することは期待できないのが通常です。モラハラに及ぶ配偶者は,夫婦間で自分が上位であるという上下関係を作り上げていることが多く,自分より下位にいるはずだと思っている相手からの離婚請求に従うのは,プライドが許さない行為であるためです。
そのため,モラハラを原因とする離婚の場合,協議離婚での解決が困難ということが大多数でしょう。

協議離婚で解決できない場合,家庭裁判所に離婚調停を申し立て,調停での解決を目指す必要が生じます。もっとも,調停は裁判所を介した協議であるため,やはり配偶者が応じるかどうかという問題が残ることになります。
調停でも離婚が成立しなければ,離婚裁判の提起が必要になるところです。裁判では,法定離婚事由があるか,という問題になるため,配偶者が承諾しなくても離婚は可能ですが,法定離婚事由に当たる程度のモラハラがあったと認めてもらえるかは個別のケースによるでしょう。また,離婚裁判は相当な長期間を要することが多いため,離婚が実現するためには多くの時間と手間がかかりやすいところです。

2.モラハラの証拠収集が難しい

モラハラは,基本的に家庭内で起きることであるため,第三者による特定や立証が困難です。また,夫婦間のやり取りで常にモラハラが起きているわけではないため,モラハラと認められるような出来事をピンポイントで記録化し,証拠とすることは容易ではありません。
さらに,モラハラをする配偶者には,家庭内での暴力的な態度と社会での親切な態度の二面性があるケースも多く,周囲にはモラハラの実態が正しく伝わらない場合も多く見られます。

モラハラという言葉自体が,数多くの事柄を内容に含んだ抽象的なものであるため,モラハラに該当するかどうかという判断基準も一概には定められない面があります。
モラハラでの離婚を主張する場合は,その主張を具体的な行為に落とし込んだ上で,その行為がたびたび行われていることの証拠を収集するのが有力な方針になりやすいです。もっとも,その証拠収集の困難さから,モラハラを原因とする離婚は容易でないところでもあります。

ポイント
モラハラでの離婚は,調停や裁判を見据えた立証の準備が必要
モラハラ行為を立証するための証拠収集は容易でない

②客観的証拠を残すこと

家庭内で起きるモラハラ行為は,客観的な証拠がなければ第三者にその存在を認めてもらうことは難しいのが実情です。そのため,個別のモラハラ行為に対して,その客観的な証拠を残すことは非常に重要でしょう。
録画や録音,メールなど,モラハラ行為を直接記録したものは,客観的証拠の代表例と言えます。その他,メモに残しておくことや,モラハラの過程で壊されたものを残しておくことも有用でしょう。

モラハラの客観的な証拠を残す際には,以下の点に留意することが有力です。

1.継続的な複数回の行為の証拠を収集すること

モラハラは,継続的な行動の数々によって徐々に配偶者の精神面を傷つけるものです。そのため,1回暴言を吐いた,1回無視された,というのでは,離婚原因に当たるとの評価は難しく,そもそもケンカなどとの区別ができないためモラハラに当たるかどうかも不明確になってしまいます。

そのため,モラハラに当たる行為の客観的な証拠を残すときには,継続的に,複数回に渡ってモラハラ行為が行われていると分かるような内容にするよう留意するのが有益でしょう。できれば,暴言であれば暴言,馬鹿にされるなら馬鹿にされるなど,同じ類型のモラハラ行為が継続的に行われていることが証拠化されていると,よりモラハラとの認定に近づきやすい傾向が見られます。

2.可能な限り具体的な内容であること

モラハラ行為を日記やメモに残す場合,その内容はどれだけでも具体的であることが望ましいです。例えば,「暴言を吐かれた」のではなく,「「だからお前はダメなんだよ,このバカ。お前は何もできないな」と言われた」というように,抽象的な言葉でまとめるより事実ありのままの内容を残すことが適切でしょう。

「暴言」というだけでは家庭内における言動の実態が分からず,配偶者も言い逃れや反論が容易になってしまいますが,具体的な内容を特定することによって,第三者にも状況が伝わりやすく,配偶者の言い逃れも難しくなると考えられます。

ポイント
モラハラの証拠は,継続的に同様の行為を繰り返したことが分かるように残す
メモや日記にする場合は,事実ありのままを具体的に残す

③別居を検討すること

モラハラ被害を受けて離婚を検討するという場合,離婚に先立って別居することも一案です。
別居することで,まず何よりその後のモラハラ被害を防ぐことができるため,精神的苦痛の緩和につながります。また,別居が長期間継続した場合,別居を理由に婚姻関係の破綻が認められ,離婚の実現に至る可能性も生じます

モラハラを原因とする離婚で別居を検討する場合には,以下の事項に留意しておくとよいでしょう。

1.モラハラ行為の証拠化を済ませておく

別居後は,当然ながら家庭内のモラハラ行為が行われないため,家庭内におけるモラハラ行為の証拠は,別居前に確保してある状態であることが適切です。調停や裁判等において提出する証拠は,別居前に全て揃っていることが望ましいでしょう。

また,別居自体は,夫婦間の同居義務に違反する行為です。そのため,別居をする方が夫婦関係を壊した責任者であるとの評価も不可能ではありません。
そのため,別居に正当な理由があることを裏付けるため,あらかじめモラハラ行為を証拠化しておき,証拠化が済んだ後に別居することが有益です。

2.別居中のやり取りも記録しておく

モラハラが原因で別居した場合,別居後に配偶者から威圧的な言動が繰り返されるケースも少なくありません。別居を強く咎めるような配偶者の威圧的言動は,別居前にモラハラ行為があったことをうかがわせる重要な事情であるため,記録しておけるよう準備しておくことをお勧めします。

別居中のやり取りは,密室内での対面でのものと異なり,通話や文面といった形で記録に残りやすいものであるため,音声はこのように記録する,文面はこのように記録する,というように,事前に方法を決めておくことも十分に可能です。

3.婚姻費用を請求する

別居中の場合,生活費に問題の生じることが考えられます。そのため,別居後に婚姻費用の請求をすることを見込んでおくようにしましょう。
婚姻費用の請求は,当事者間での協議か調停の申し立てが手段となりますが,やはり当事者間での協議は現実的でないため,家庭裁判所に調停を申し立てる方法が有力です。別居後速やかに婚姻費用を請求する準備を整えた上で,別居に踏み切るのが円滑でしょう。

ポイント
別居することで,その後のモラハラ被害を防ぐことができる
長期間の別居は,それ自体が離婚原因になり得る
別居する場合,モラハラ行為の証拠化や婚姻費用の請求準備を事前にしておく

④金銭面の備えをすること

離婚後の生活に金銭面の不安があることから,モラハラ被害を受け続けても離婚に踏み切れないというケースは相当数見られます。そのため,離婚後の生活に向けた金銭面の備えは,可能な限り行っておくようにしましょう。
離婚原因の性質上,モラハラを受けていた方が引っ越しをし,新生活を行うことになりやすい傾向にありますが,転居費用や家具家電,消耗品などの用意が必要となります。離婚後の収入のあてを見つけておく,親族に協力を依頼するなどの方法で,離婚後の生活費が捻出できる見通しを立てておくのが適切でしょう。

また,離婚のために調停や裁判を行う際,弁護士に依頼する場合は,弁護士費用の金額や支払方法にも留意するのが望ましいところです。特に,調停や裁判といった法的手続に移行すると,弁護士費用も相応の金額となるため,弁護士費用の支払も踏まえた生活設計をしておくことをお勧めします。

子どもへのモラハラが離婚原因になるか

配偶者が子どもに強く当たり散らすなど,配偶者に対してでなく子どもに対して行われるモラハラもあり得ます。多くの場合,子どもが自分の言うことを聞かないという理由で,子どもへのしつけと称して度が過ぎたハラスメント行為に及ぶことが問題になります。

この点,親がしつけであると考えていたとしても,その程度が不合理であって,子どもが配偶者に恐怖心を抱くような状況にあれば,子どもに対するモラハラ(精神的虐待)と評価することが可能です。
そして,子どもに対するモラハラの結果,夫婦の婚姻関係が継続できない状況に至ったのであれば,配偶者への直接のモラハラでなくても離婚原因になることは十分に考えられるでしょう。

なお,子どもへのモラハラによって離婚を試みる場合は,まず子ども自身の安全確保が最重要です。離婚を切り出すことで子どもに更なる被害が生じないよう,子どもを連れて別居するなど,モラハラが深刻化しないための手当てをしてあげてください。

義父母からのモラハラが離婚原因になるか

嫁姑問題に代表されるように,配偶者自身でなくその親(義父母)からモラハラ行為を受けることも考えられます。
この場合,配偶者との関係が破綻しているわけではないので,法的には直ちに離婚原因となることは考えにくいところです。義父母からのモラハラのみを理由に裁判手続で離婚を請求しても,認められるケースは少ないと思われます。

もっとも,配偶者が義父母によるモラハラを認識しながら放置していたり,義父母のモラハラに加担していたりすれば話は大きく異なります。配偶者が義父母の行動を抑止しなければ家庭生活は円満に続けられない以上,その努力を配偶者が怠るのは立派な離婚原因に該当し得るためです。

そのため,義父母からのモラハラによる離婚を検討する場合は,その事実を配偶者に共有の上,配偶者の対応を詳細に記録化,証拠化する方針が有力でしょう。

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

モラハラは、外からは分かりづらい家庭内での問題であることが多く、当事者間でモラハラの有無に争いがある場合は離婚原因になるかどうかの判断も困難なケースが見られます。
そのため、モラハラによる離婚は、十分な準備と適切な手順を尽くすことが重要ですが、離婚事件に精通した弁護士とともに進めることで、適切な動きが可能になります。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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浮気・不倫による離婚はどうすれば有利に進められる?慰謝料は誰からどうやって請求できる?慰謝料額の判断材料も詳細解説

●不倫はどのような内容であれば離婚原因になるか?

●離婚しなくても不倫の慰謝料は請求できるか?

●不倫の慰謝料の相場は?請求相手は?

●慰謝料額に影響する事情は何か?

●浮気・不倫を原因とする離婚で問題になりやすい点は?

という悩みはありませんか?

このページでは,浮気・不倫を原因とした離婚でお困りの方に向けて,浮気・不倫が離婚原因になる場合や,慰謝料請求の内容・金額などを解説します。

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浮気・不倫が離婚原因となる場合

浮気や不倫という言葉は抽象的なものであり,人によってその意味する内容が少しずつ異なっている可能性が高いでしょう。そのため,全ての人が浮気や不倫と考える行為が,全て離婚原因となるかというと,決してそうではありません。
法律上の離婚原因(法廷離婚事由)となる浮気・不倫は,「不貞行為」に限られます。そして,不貞行為とは,夫婦の一方が配偶者でない者と肉体関係を持つことを言います。不貞行為に当たる肉体関係は,性行為(挿入行為)やこれに準ずる行為(いわゆる愛撫,口腔性交など)を指すとの理解が一般的です。

したがって,一緒に食事をしたり手をつないだりする行為は,その相手との間に恋愛感情があることをうかがわせる行動ではありますが,不貞行為には該当せず,離婚原因にもなりません。
法律上の離婚原因となる浮気・不倫は,肉体関係があることを指す,と理解するのが適切でしょう。

ポイント
離婚原因となる浮気・不倫は,不貞行為を指す
不貞行為に当たるのは,肉体関係がある場合

浮気・不倫と慰謝料

①慰謝料が生じる理由

浮気や不倫のある場合,夫婦間で慰謝料の問題になるのが一般的です。
この点,浮気や不倫が慰謝料の対象となるのは,不貞行為が民法上の不法行為に該当するためです。

不法行為とは,故意または過失による違法な行為で他人に損害を与えることを言います。この不法行為に該当するための要件は,以下の通りです。

不法行為の要件
1.故意または過失があること
2.違法な行為があったこと
3.不法行為によって損害が生じたこと(因果関係)

1.故意または過失があること

不貞行為との関係では,他人と肉体関係を結ぶ時点において,自分が行おうとしていることが不貞行為であると知っていた(故意)か,注意すれば不貞行為であると知ることができた(過失)のに,肉体関係に至ったことを指します。
夫婦の一方が他人と肉体関係に及ぶとき,自分の行為が不貞行為であると知らなかった,という可能性は考えにくいでしょう。そのため,配偶者が不貞行為に及んだ場合,通常は故意があるとの理解になるところです。

配偶者に不貞行為の故意や過失がない場合を挙げるとすれば,離婚届を出したつもりでいたものの正しく受理されておらず,夫婦関係が解消されていないままであった,という場合は考えられます。当事者の認識としては離婚しているはずだったにもかかわらず実際は婚姻中である,という状況であることから,不貞行為をした(=配偶者がいるのに配偶者以外と肉体関係を持った)という認識がなく,故意や過失が認めづらいことが見込まれます。

2.違法な行為があったこと

不法行為に該当するためには,なされた行為が違法であることが必要です。その行為が違法であると言えるのは,行為によって他人の権利や法律上保護されるべき利益が侵害される場合を指します。
不貞行為の場合,夫婦の共同生活を営む正当な権利は法律上保護されるべきであるところ,不貞行為は夫婦の共同生活を困難とする意味で他人の権利を侵害する行為であり,違法性があると評価されることになります。

3.不法行為によって損害が生じたこと(因果関係)

不法行為に該当するためには,不法行為が原因となって権利や利益が侵害される必要があります。つまり,不法行為と損害発生の間に因果関係がなければなりません。

不貞行為の場合,夫婦の一方が不貞行為に及んでいるものの,不貞行為とは無関係な理由で夫婦の共同生活は既に破綻していた,という場合に因果関係の問題が生じ得るところです。
不貞行為が不法行為に該当するためには,不貞行為が原因で夫婦関係が壊される必要があるため,事前に夫婦関係が壊れてしまっており,その後に不貞行為がなされたに過ぎないのであれば,不貞行為によって生じた損害はないとの評価にならざるを得ません。その結果,不貞行為によって生じた損害の賠償である慰謝料も生じないという結論になります。

具体的には,不貞行為の前には既に長期間の別居状態であった,というような場合に因果関係の問題が生じやすい傾向にあるところです。

ポイント
浮気・不倫で慰謝料が生じるのは不法行為に当たるから
不法行為に当たるためには,故意過失,違法行為,因果関係の存在が必要

③慰謝料の種類

浮気や不倫が不法行為に当たる場合,これによって生じる慰謝料には以下の二つの種類が考えられます。

浮気や不倫に関する慰謝料の種類

1.不貞慰謝料
2.離婚慰謝料

不貞慰謝料

不貞行為によって夫婦の平穏な共同生活が害されているため,夫婦生活を傷つけられたという精神的苦痛への慰謝料が発生します。
これは,夫婦が互いに貞操義務(自身の貞操を守る義務)を負っていることに根拠があるとされます。配偶者が貞操を守ることへの信頼を裏切られたことが,慰謝料の対象となる精神的苦痛というわけです。

離婚慰謝料

不法行為に該当する不貞行為があり,それが原因となって離婚にまで至った場合,不貞行為と離婚との間にも因果関係があるということになります。
そのため,不貞行為に対する慰謝料として,離婚の慰謝料(=離婚に至った精神的苦痛に対する賠償)が生じるところです。

ポイント
不貞慰謝料=平穏の共同生活が害されたことへの慰謝料
離婚慰謝料=離婚させられたことによる精神的苦痛への慰謝料

④離婚しなくても慰謝料請求は可能か

不貞行為があった場合,慰謝料を請求するのに離婚は必ずしも必要ではありません。婚姻関係は継続しながら不貞行為がされたことの責任を慰謝料という形で配偶者に負わせることは可能です。

もっとも,離婚せず慰謝料請求をする場合,離婚慰謝料の請求はできません。離婚慰謝料は,離婚させられたことへの精神的苦痛を根拠とする以上,離婚していない場合には慰謝料の根拠となる精神的苦痛自体が生じていないというわけですね。

不倫相手に対する慰謝料請求

不貞行為があった場合,配偶者のみでなく不貞相手に対しても慰謝料の請求をすることが可能です。配偶者と不貞相手とは,共同で不貞行為に及んでいるため,不貞行為は「共同不法行為」と位置付けられます。共同不法行為をした加害者は,全員が全額の損害賠償義務を負い,被害者から賠償請求された場合には全額の支払をする義務を負います。

もっとも,不貞相手に対する請求については,以下のような点に注意を要するところです。

①離婚慰謝料は原則として請求できない

配偶者と不貞相手との不貞行為によって離婚に至った場合,慰謝料を請求する立場としては不貞相手にも離婚の責任を取ってほしいと感じるところでしょう。不貞相手が配偶者と肉体関係になったから離婚せざるを得なくなったのであって,不貞相手さえいなければ離婚していなかったと思われるためです。

しかしながら,不貞相手に対する請求としては,不貞慰謝料の請求が限度であり,離婚慰謝料までは請求できないのが原則であるとされています。
それは,離婚の原因が本当に不貞行為だけであったのかは分からないからです。もし,不貞行為はきっかけに過ぎず,不貞行為以外にも婚姻関係破綻の事情があったのであれば,離婚の責任を不貞相手に負わせるのは不合理な結論になってしまいます。

最高裁判所の判断によると,不貞相手に離婚の慰謝料を請求できるのは,「当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をする等して当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られる」とされています。ただ不貞行為に及んだだけでなく,離婚させることを意図して肉体関係を持った場合が必要だということですね。

②故意の有無が問題になり得る

配偶者の場合,自分が婚姻関係にある以上不貞行為の故意がない場合はほとんどありませんが,不貞相手の場合,肉体関係の相手方である人物が既婚者であると知っているとは限りません。
そのため,配偶者が不貞相手に既婚であることを隠していたなど,不貞相手に既婚者であることの認識がない場合,不貞相手には不貞行為の故意がない可能性があります。

なお,配偶者が相手の了承なく性行為に及んだ場合にも,当然ながら性行為の相手に故意はないという結論になります。性行為をしようという意思がない以上,不貞行為をしようという意思もないと言わざるを得ないためです。

③二重取りはできない

不貞行為は,配偶者と不貞相手による共同不法行為であり,共同不法行為の場合にはそれぞれの加害者に損害全額の請求ができる,ということを解説しました。そうすると,配偶者と不貞相手からそれぞれ全額受領できれば,2倍の慰謝料が獲得できそうです。

しかしながら,このような慰謝料の二重取りはできません。配偶者と不貞相手にそれぞれ全額の請求ができることは間違いありませんが,一方から全額を受領した場合,他方に対する請求権も消滅するため,もう一方に請求をすることができなくなってしまうのです。

共同不法行為の場合に,被害者が各加害者に全額の請求ができるのは,加害者の一人に経済力がないことで被害者の救済が実現されないという結果を防ぐためです。例えば,経済力ある1人の加害者が相手であれば全額回収できるのに,そこに支払能力のない加害者が追加されると被害者が全額回収できなくなる,というのでは明らかに不合理だということですね。

ポイント 不貞相手に対する慰謝料請求の注意点
離婚慰謝料が請求できるのは,不貞相手が離婚させようと意図していた場合に限られる
不貞相手が配偶者の婚姻関係を知らなければ,不貞行為の故意がない
配偶者と不貞相手の両方に全額の請求ができるが,二重取りはできない

慰謝料の相場

浮気・不倫の慰謝料は,法律に具体的な定めがあるわけではないため,個別に話し合いや裁判などを行って決定されます。もっとも,過去の事例の積み重ねから大まかな目安は存在すると言われており,具体的には以下のような金額が目安になりやすいでしょう。

不貞行為に対する慰謝料の目安

離婚しない場合 50~100万円ほど
離婚する場合 100~300万円ほど

不貞行為が原因で離婚する場合は,離婚まではしない場合と比較して精神的苦痛がより大きいとの評価になるのが一般的です。そのため,慰謝料の金額もより大きくなることが通常とされています。

慰謝料額が高くなる場合

浮気・不倫の慰謝料額が高くなる場合としては,以下のような事情のあるケースが挙げられます。

不貞行為の慰謝料額が高くなる事情

1.不貞行為の期間・回数
→期間が長く,回数が多いほど慰謝料額が高くなる

2.婚姻期間
→婚姻期間が長いほど,婚姻関係破綻の苦痛が大きいと判断されやすく,慰謝料額が高くなる

3.不貞行為の態様
→二度としないことを条件に配偶者が許したにもかかわらず,配偶者を裏切って不貞行為を繰り返したなど,態様がより悪質な場合には慰謝料が高くなる

4.被害者側の疾患
→配偶者の不貞行為が原因となってうつ病などの精神疾患が生じた場合には,不貞行為による精神的な損害が大きいと評価され,慰謝料額が高くなる

5.子どもの数や年齢
→未成年の子どもがいる場合や,子どもが多い場合には,不貞行為が配偶者に与える精神的負担が大きいと評価され,慰謝料額が高くなる

6.加害者側の経済力
→不貞行為をした側に経済力がある場合,十分な賠償能力があることを踏まえ,慰謝料額が高くなり得る

7.従前の反省状況
→交渉段階で不誠実な対応があった場合,より精神的苦痛が増大したと評価され,慰謝料額が高くなり得る

慰謝料額が低くなる場合

浮気・不倫の慰謝料額が低くなる場合は,慰謝料額が高くなる場合とは逆の事情があるケースということができるでしょう。

不貞行為の慰謝料額が低くなる事情

1.不貞行為の期間・回数
→概ね1~2か月程度の期間,1~2回といった水準の場合,期間や回数が限定的であり,慰謝料額が低くなり得る

2.婚姻期間
→概ね2~3年以内の期間であれば,婚姻期間が短期であると評価され,慰謝料額が低くなり得る

3.不貞行為の態様
→不貞関係があったという以上に配偶者を傷つける事情が見受けられない場合,慰謝料額が低くなり得る

4.被害者側の疾患
→不貞行為された側に特段の心身の不調が生じていない場合,疾患があるケースと比較して慰謝料額が小さくなり得る

5.子どもの数や年齢
→子どもがいない場合や,子どもがいても成人している場合などは,慰謝料額が低くなり得る

6.加害者側の経済力
→不貞行為をした側の経済力に限りがある場合,経済力を踏まえた判断となる可能性があり,慰謝料額が低くなり得る

7.従前の反省状況
→交渉段階で真摯な謝罪や反省などがみられる場合,精神的苦痛の緩和が意識され,慰謝料額が低くなり得る

8.社会的制裁
→周囲への発覚や仕事への影響など,不貞行為をした側の社会生活への支障が生じている場合,慰謝料額が低くなり得る

浮気・不倫について問題になりやすい点

浮気・不倫が原因となる離婚の場合,以下のような点が問題になりやすい傾向にあります。

①不貞行為の証拠

不貞行為は,他方の配偶者に発覚しないことを企図して行われるものであるため,離婚や慰謝料を請求する側(=不貞行為をされた側)が不貞行為の証拠を収集・提出するのは非常に困難であることが多いです。特に,不貞行為をした側が不貞行為の存在を否定する主張をしてきている場合,不貞行為があったことの客観的な証拠がなければ請求は認められないため,非常に深刻な問題になりやすいでしょう。

現実的には,不貞行為の客観的な証拠を可能な限り収集できるまで,離婚や慰謝料の請求を行わない方が合理的でしょう。客観的証拠に乏しい場合には,弁護士や興信所などに相談の上,不貞行為の証拠を積極的に獲得することも有力な手段です。

②慰謝料請求の時効

浮気・不倫に関する慰謝料の請求権は,「損害および加害者を知った日から3年」という消滅時効の対象になります。不貞行為の場合だと,その不貞行為を知った日から起算するのが通常でしょう。
そのため,不貞行為を知ったという精神的苦痛から,慰謝料請求を検討できないまま長期間が経過している場合,消滅時効に十分注意をするのが適切です。

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

浮気・不倫は、離婚原因の中で最も代表的なものであり、それだけに離婚事件となる場合の争点も多数生じ得ます。
また、浮気や不倫が慰謝料の対象となる場合、自身の権利として十分な慰謝料の支払を受けるべきですが、自分だけで十分な請求を行うことは容易ではありません。
浮気・不倫での離婚でお困りの場合は、積極的に弁護士への依頼を検討することをお勧めします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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