傷害事件の示談金はいくら?相場と決まり方を弁護士が解説

傷害事件を起こしてしまった場合、まず多くの方が気になるのが、示談金はいくら必要になるのかという点です。
インターネット上では「示談金の相場は〇万円」「示談をすれば不起訴になる」といった情報も見られますが、実際の示談金額は一律に決まるものではありません

傷害事件の示談金は、ケガの程度や治療期間だけでなく、被害者の受け止め方や処罰感情事件の態様や経緯など、さまざまな事情を踏まえて判断されます。そのため、同じように見える事件であっても、示談金に大きな差が生じることがあります

また、示談金は単なる慰謝料ではなく、治療費や休業損害などを含めた一括の解決金として扱われるのが一般的です。相場だけを基準に示談を進めてしまうと、後になって追加請求やトラブルが生じるおそれもあります。この記事では、傷害事件における示談金について、一般的な相場の考え方金額が決まる実務上の要素示談が刑事処分に与える影響示談を進める際の注意点を、弁護士の立場から整理して解説します。示談金の仕組みを正しく理解することが、適切な解決につながります。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

傷害事件における示談金とは

傷害事件における示談金とは、被害者と加害者の間で事件を解決するために支払われる金銭を指します。刑事事件であっても、当事者同士が合意に至れば、民事上の紛争を示談によって解決することが可能です。

示談金は、単なる謝罪の意味合いで支払われるものではありません。一般には、治療費や通院に伴う費用仕事を休んだことによる損害精神的苦痛に対する慰謝料などを含めた、一括の解決金として扱われます。そのため、示談が成立した場合には、原則としてその後の追加請求は行わないという形で整理されることが多くなります。

また、傷害事件における示談は、刑事手続とは別に成立する合意です。示談が成立したからといって、必ずしも刑事事件が終了するわけではありませんが、被害者の処罰感情が緩和された事実として、検察官や裁判所が判断する際の重要な事情になります。

なお、示談金には法律で定められた金額や計算式は存在しません。同じような傷害事件であっても、被害者の状況や事件の内容によって金額は大きく異なります。そのため、インターネット上の金額だけを基準に判断するのではなく、どのような事情が示談金に影響するのかを理解することが重要です。

傷害事件の処分に好影響を与える(処分を軽くする)示談をしてもらう対価として、示談金を支払うという関係ですね。

傷害事件の示談金の相場

傷害事件の示談金については、法律で定められた一律の金額や計算式は存在しません。示談金は裁判で決まる損害賠償額とは異なり、被害者と加害者の合意によって決まる解決金であるため、事案ごとに金額に幅が生じます。

もっとも、実務上は、ケガの程度や治療状況を基準として、一定の目安が意識されることが多くなっています。一般的な示談金の水準は、次のとおり整理できます。

ケガの程度と示談金の目安

ケガの程度示談金の目安
軽い打撲・擦過傷など(通院をほとんど要しない場合)数万円〜10万円程度
一定期間の通院を要する傷害10万円〜50万円程度
骨折などの重い傷害50万円〜100万円以上

この表は、傷害事件における示談金の一般的な目安を示したものにすぎません。実際の示談金額は、傷病名だけで機械的に決まるものではありません。同じ「通院を要する傷害」であっても、通院期間や通院日数日常生活や仕事への影響の程度によって、金額には大きな差が生じます。

また、示談金は単なる慰謝料ではなく、治療費や通院交通費仕事を休んだことによる損害精神的苦痛に対する補償などを含めた、一括の解決金として扱われるのが一般的です。そのため、示談が成立した場合には、原則としてその後の追加請求を行わないことを前提に金額が調整されます。

さらに、被害者の処罰感情が強い場合や、事件の経緯に悪質性が認められる場合には、表の金額帯を上回る示談金が求められることもあります。一方で、早期に誠実な謝罪が行われ、被害者の理解が得られた場合には、比較的抑えた金額で示談が成立するケースもあります。

このように、傷害事件の示談金は、相場だけを見て一律に判断できるものではありません。示談金の目安を把握したうえで、どのような事情が金額に影響するのかを具体的に理解することが重要です。

示談金の金額が決まる主な要素

傷害事件の示談金は、相場表に当てはめて自動的に決まるものではありません。実務上は、個別の事情を総合的に考慮したうえで金額が調整されます。ここでは、示談交渉の場面で特に影響が大きい要素を整理します。

ケガの程度と治療期間

示談金を判断するうえで、最も基本となるのがケガの程度や治療状況です。ただし、示談金は診断書に記載された傷病名だけで決まるわけではありません。実際には、通院期間の長さや通院日数、治療内容などが重視されます。短期間で治療が終了した場合と、継続的な通院を要した場合とでは、示談金に差が生じやすくなります。

被害者の処罰感情

示談交渉においては、被害者がどの程度の処罰感情を抱いているかも重要な要素になります。被害者が強い処罰感情を持っている場合には、示談自体が難航したり、比較的高額な示談金を求められたりすることがあります。一方で、謝罪が受け入れられ、被害者の理解が得られている場合には、示談が成立しやすくなる傾向があります。

加害者の態度や対応状況

示談金の金額には、加害者側の対応の仕方も影響します。早期に誠実な謝罪が行われ、反省の姿勢が適切に伝わっている場合には、示談交渉が円滑に進むことがあります。これに対し、責任を否定する発言や不誠実な対応があった場合には、被害者の不信感が強まり、示談金が増額される要因となることもあります。

事件の態様や経緯

傷害事件がどのような状況で発生したのかという事件の態様や経緯も、示談金を判断する際の重要な事情です。突発的な口論の中で生じた傷害なのか、一方的・継続的な暴力行為なのかによって、事件の評価は大きく異なります。悪質性が高いと判断される場合には、示談金が高額になりやすい傾向があります。

前科・前歴の有無

加害者に前科や前歴があるかどうかも、示談交渉に影響することがあります。前科がある場合には、被害者が再犯を不安視し、示談に慎重になるケースがあります。ただし、前科があるからといって必ず示談金が高額になるわけではなく、あくまで被害者の受け止め方や事件の内容との関係で判断されます。このように、傷害事件の示談金は、複数の要素が重なり合って決まるものです。相場を把握することは重要ですが、それだけで金額を判断するのではなく、どの要素が自分のケースに影響するのかを整理することが、適切な示談につながります。

法律的に支払う義務がある金額と示談金額は必ずしも一致しません。むしろ、支払義務のある金額よりも大きな金額とする方が多いでしょう。

示談が刑事処分に与える影響

傷害事件において示談が成立した場合、刑事処分にどのような影響があるのかは、多くの方が気にする点です。示談は刑事手続そのものを終了させるものではありませんが、刑事上の判断に影響を与える重要な事情として考慮されます。

まず、示談が成立している場合、被害者の処罰感情が一定程度解消されていると評価されることがあります。この点は、検察官が起訴・不起訴を判断する際や、裁判所が量刑を判断する際に、有利な事情の一つとして考慮される可能性があります。

特に、傷害の程度が比較的軽い事案や、初犯である場合には、示談が成立していることを理由に不起訴処分となるケースも見られます。ただし、示談が成立したからといって、必ず不起訴になるわけではありません。ケガの程度が重い場合や、事件の悪質性が高い場合には、示談があっても起訴されることがあります。

また、起訴された場合であっても、示談が成立していれば、刑が軽くなる方向で考慮されることがあります。具体的には、罰金刑にとどまったり、執行猶予が付されたりするなど、量刑面で有利に働く可能性があります。

一方で、示談が成立していない場合や、示談交渉が難航している場合には、被害者の処罰感情が強いまま残っていると評価され、刑事処分が重くなる要因となることもあります。そのため、刑事手続への影響を考えるうえでは、示談の有無や内容が重要な意味を持つといえます。このように、傷害事件における示談は、刑事処分を左右する一要素にすぎないものの、軽視できない事情です。示談の意義を正しく理解したうえで、事件全体の状況を踏まえた対応を検討することが重要になります。

傷害事件における示談の流れ

傷害事件の示談は、思いつきで進めるものではなく、一定の手順を踏んで進める必要があります。進め方を誤ると、示談がまとまらないだけでなく、後のトラブルにつながることもあります。ここでは、実務上一般的な示談の流れを整理します。

被害者との連絡・謝罪

示談は、被害者との連絡が取れることが前提になります。捜査段階では、警察や検察を通じて連絡先を確認することが多く、直接連絡を取ることが適切でない場合もあります。示談交渉の初期段階では、誠実な謝罪の意思を伝えることが重要です。

示談条件の調整

謝罪の意思が伝わった後、示談金の金額や支払方法など、具体的な条件の調整に入ります。示談金は、ケガの程度や治療状況、被害者の意向を踏まえて提示されます。金額だけでなく、支払時期や分割の可否といった点も、示談成立の可否に影響します。

示談書の作成

条件がまとまった場合には、示談書を作成して合意内容を明確にします。示談書には、示談金の金額や支払方法のほか、清算条項や宥恕に関する記載が盛り込まれるのが一般的です。口頭での合意だけでは、後日の紛争を防ぐことができません。

示談金の支払い

示談書の内容に従い、示談金の支払いを行います。支払いが確認されることで、示談は実質的に履行されたことになります。支払いの遅れや不履行があると、示談が無効と主張されるおそれがあるため注意が必要です。

示談成立の報告

示談が成立した後は、検察官や裁判所に対して示談成立の事実を伝えることになります。示談書の提出などを通じて、被害者の処罰感情が緩和されていることを示すことで、刑事処分の判断に反映される可能性があります。このように、傷害事件の示談は、謝罪から合意、履行までを一連の流れとして丁寧に進めることが重要です。手順を誤らず、内容を明確にしたうえで進めることが、円滑な解決につながります。

捜査機関に示談の成立を報告した場合、捜査機関から被害者側にその確認を行うことが一般的です。そのため、被害者側が心から納得した形で示談を締結することが不可欠と言ってよいでしょう。

示談書に記載すべき内容と注意点

傷害事件で示談が成立する場合、示談書を作成して合意内容を明確に残すことが重要です。示談書は、単なる形式的な書面ではなく、後日のトラブルを防ぐための証拠資料としての役割を持ちます。内容が不十分な場合、示談後に新たな紛争が生じるおそれがあります。

示談金の金額と支払方法

示談書には、示談金の金額とともに、支払期限や支払方法を具体的に記載します。一括払いか分割払いか、振込か現金かといった点を明確にしておかないと、支払いをめぐる認識の違いが生じる可能性があります。

清算条項の重要性

示談書で特に重要なのが、清算条項です。清算条項とは、示談金の支払いをもって、本件に関する一切の請求権を相互に放棄することを確認する条項を指します。この記載が不十分な場合、示談後に治療費や慰謝料の追加請求を受けるおそれがあります。

宥恕に関する記載

刑事事件においては、示談書に宥恕の意思を示す記載が含まれることがあります。これは、被害者が加害者を許し、処罰を求めない意思を示すものです。宥恕文言があるかどうかは、検察官や裁判所が刑事処分を判断する際の参考事情となることがあります。

当事者の特定と署名押印

示談書には、当事者の氏名や住所を正確に記載し、署名押印を行うことが必要です。記載内容が曖昧であったり、当事者が特定できなかったりすると、示談書としての効力が問題になることがあります。

示談書作成時の注意点

示談書は、一度作成すると修正が難しい書面です。内容を十分に確認しないまま署名してしまうと、後から不利な条件に気付いても争いにくくなります。特に、清算条項や宥恕に関する記載については、その意味を理解したうえで合意することが重要です。このように、傷害事件の示談書は、示談金の支払いだけでなく、その後の関係を整理する重要な書面です。形式だけでなく、記載内容の中身に十分注意する必要があります。

示談金を支払えない場合の対応

傷害事件において、示談の必要性は理解していても、示談金を一括で支払うことが難しいというケースは少なくありません。このような場合でも、直ちに示談を断念すべきとは限らず、現実的な対応を検討する余地があります。

分割払いによる示談

示談金を一括で支払えない場合、分割払いによる示談が認められることがあります。分割払いが可能かどうかは、被害者の意向が大きく影響しますが、支払計画を具体的に示すことで、理解を得られる場合もあります。分割払いとする場合には、支払回数や期限を明確に定めることが重要です。

示談金額の調整

支払能力に応じて、示談金額そのものを調整するという選択肢もあります。示談金は当事者間の合意で決まるため、必ずしも相場どおりの金額でなければならないわけではありません。ただし、被害者の処罰感情や事件の内容によっては、金額の調整が難しい場合もあります。

支払不能の場合の影響

示談金を支払うことができず、示談が成立しない場合には、刑事手続において不利に扱われる可能性があります。被害者の処罰感情が解消されないまま残ると、起訴や量刑の判断に影響することがあります。そのため、支払能力に不安がある場合には、早い段階で対応を検討することが重要です。

無理な約束をしないことの重要性

示談交渉の場面では、示談を成立させたいという思いから、実際には支払えない金額を約束してしまうケースも見られます。しかし、約束どおりに支払えなければ、示談が無効と主張されたり、新たなトラブルに発展したりするおそれがあります。支払可能な範囲で現実的な条件を提示することが重要です。このように、示談金を支払えない場合であっても、分割払いや条件調整などの対応策が検討できる場合があります。重要なのは、無理のない形で示談を目指し、結果として不利な状況を招かないようにすることです。

傷害事件の場合、示談金の分割払いはあまり推奨されません。当事者間の関係はできるだけ早く切り離すべきであって、関係が長期間継続することは望ましくない事件類型であるためです。

弁護士に示談交渉を依頼するメリット

傷害事件の示談は、当事者同士で進めることも可能ですが、実務上は弁護士を通じて行われるケースが多いのが実情です。そこには、示談交渉を専門家に任せることによる、いくつかの現実的なメリットがあります。

被害者との直接交渉を避けられる

示談交渉では、被害者の感情が強く表れる場面も少なくありません。弁護士に依頼することで、被害者との直接的なやり取りを避けることができるため、感情的な衝突や不用意な発言によるトラブルを防ぎやすくなります。

適正な示談金水準を見極めやすい

示談金には明確な基準がないため、相場だけを頼りに判断すると、過大な金額を提示してしまったり、逆に示談がまとまらない金額になったりするおそれがあります。弁護士が関与することで、事案に応じた現実的な示談金水準を見極めた交渉が可能になります。

示談書の内容を適切に整えられる

示談が成立した場合には、示談書の内容がその後のトラブルを左右します。弁護士に依頼すれば、清算条項や宥恕に関する記載など、実務上重要な点を踏まえた示談書を作成することができます。これにより、示談後の紛争リスクを抑えることが期待できます。

刑事手続を見据えた対応ができる

傷害事件の示談は、民事的な解決にとどまらず、刑事処分への影響を意識して進める必要があります。弁護士が関与することで、示談のタイミングや内容について、刑事手続との関係を踏まえた判断がしやすくなります。このように、弁護士に示談交渉を依頼することは、示談を成立させるためだけでなく、その後の法的リスクを抑えるうえでも有効です。傷害事件の示談について不安がある場合には、専門家の関与を検討することが、結果として適切な解決につながることがあります。

専門性ある弁護士に依頼することで、示談金を支払うことの具体的な効果を正しく把握できることは非常に大きなポイントになります。その効果の大きさに応じて負担できる示談金額が変わりやすいためです。

よくある質問(FAQ)

Q. 傷害事件の示談金は、必ず支払わなければなりませんか。

傷害事件における示談は、当事者間の合意によって成立する解決方法であり、法律上、必ず示談金を支払わなければならないと定められているわけではありません。
ただし、示談が成立していない場合には、被害者の処罰感情が解消されないまま残ることになり、刑事手続において不利に扱われる可能性があります。そのため、状況に応じて示談を検討することが重要になります。


Q. 示談金を支払えば、必ず不起訴になりますか。

示談が成立していることは、不起訴や量刑判断において考慮される事情の一つですが、示談があれば必ず不起訴になるわけではありません
ケガの程度が重い場合や、事件の悪質性が高い場合には、示談が成立していても起訴されることがあります。示談はあくまで、刑事処分を判断する際の一要素として扱われます。


Q. 被害者と直接連絡が取れない場合でも、示談はできますか。

捜査段階では、警察や検察を通じて被害者の連絡先を確認できる場合があります。また、被害者が直接の連絡を望まないケースでも、弁護士を通じて示談交渉が行われることは少なくありません。
被害者との接触方法について不安がある場合には、無理に直接連絡を取ろうとせず、適切な方法を検討することが重要です。

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示談金が払えない場合の対処法と法的リスクを弁護士が解説

示談金を支払う必要があるものの、「金額が大きくて用意できない」「一括で払うのは難しい」と感じている方は少なくありません。突然示談金の話が出てきて、どう対応すればよいのかわからず、不安を抱えてしまうケースも多いでしょう。

示談金が払えないからといって、それだけで直ちに違法となったり、逮捕につながったりするわけではありません。ただし、何も対応せずに時間が経ってしまうと、刑事事件や民事上の責任において、不利な状況に陥る可能性があります。

実務上は、示談金を一括で支払えない場合でも、分割払いを前提とした示談や、事情を踏まえた金額の調整が検討されることがあります。重要なのは、現在の経済状況を踏まえ、無理のない形で誠実に対応することです。

この記事では、示談金が払えない場合に考えられる影響や、取ることのできる対処法、注意すべきポイントについて、刑事・民事の両面から弁護士の視点で整理します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

示談金が「払えない」とはどういう状態か

示談金とは、被害者との話し合いによって解決を図るために支払われる金銭のことを指します。刑事事件・民事事件のいずれにおいても用いられる考え方ですが、罰金や科料のように国に納める刑罰とは性質が異なります

そのため、示談金が払えないからといって、それ自体が直ちに違法となるわけではありません。まずは、この点を正しく理解しておくことが重要です。

示談金と混同されやすいものに、慰謝料や損害賠償があります。実務上、示談金の中には慰謝料や治療費、修理費などが含まれていることが多く、これらをまとめて「示談金」と呼んでいるケースが一般的です。一方で、示談金はあくまで当事者間の合意によって成立するものであり、裁判所が一方的に金額を決めるものではありません。

「示談金が払えない」といっても、その内容はさまざまです。
たとえば、

  • 収入が少なく、一括での支払いが難しい
  • 貯蓄がなく、突然の高額請求に対応できない
  • 生活費を優先せざるを得ず、すぐに用意できない

といった事情が考えられます。これらはいずれも、支払う意思はあるものの、現時点では現実的に支払いが困難な状態といえるでしょう。

ここで注意すべきなのが、「払えない」と「払わない」の違いです。
支払う意思があるにもかかわらず経済的に困難な場合と、最初から支払うつもりがない場合とでは、被害者側の受け止め方や、その後の手続に大きな差が生じます。実務上も、この違いは示談交渉や処分判断に影響する重要なポイントになります。

示談交渉では、支払能力がどのように評価されるかも重要です。現在の収入や生活状況を踏まえ、無理のない条件を提示できるかどうかが、示談成立の可否に関わってきます。払えない事情がある場合でも、それを適切に説明し、誠実に対応する姿勢が求められます。

示談金が払えない状況に直面したときは、「払えないから仕方がない」と考えて何もしないのではなく、どのような対応を取るべきかを冷静に整理することが、後の不利益を避けるための第一歩となります。

示談金が払えないと起こり得る主な影響

示談金が払えないこと自体が、直ちに違法となったり、処罰の対象になったりするわけではありません
ただし、示談が成立しない、または示談後に支払いが滞ると、刑事・民事の両面で不利益が生じる可能性があります。重要なのは、それぞれの場面でどのような影響が考えられるのかを、あらかじめ理解しておくことです。

刑事事件における影響

刑事事件では、示談の成立が不起訴処分や処分の軽減に影響することがあります
被害者との間で示談が成立し、被害回復が図られている場合には、検察官の判断や裁判所の量刑において、有利な事情として考慮されることが少なくありません。

一方で、示談金が払えず示談が成立しない場合には、こうした事情が評価されにくくなります。その結果、起訴される可能性が高まったり、処分が重くなる方向に働いたりすることがあります。

もっとも、示談が成立しなかったからといって、必ず起訴される、必ず重い刑になると決まっているわけではありません

民事上の影響

示談金には、慰謝料や治療費などの損害賠償の意味合いが含まれているのが一般的です。
そのため、示談が成立しない場合、被害者が民事上の損害賠償請求を行う可能性があります。

民事訴訟が提起されると、裁判所が損害額を判断し、判決が確定すれば、その内容に従った支払義務が生じます。さらに、支払いがなされない場合には、給与や預貯金などに対する強制執行が行われる可能性もあります。

示談成立後に払えなくなった場合の影響

すでに示談が成立しているにもかかわらず、約束した示談金を支払えなくなった場合には、示談条件に違反したとして、民事上の責任を問われるおそれがあります。

分割払いの途中で支払いが滞った場合なども同様で、状況によっては、改めて損害賠償請求が行われることもあります。事情が変わった場合には、放置せず、早めに対応を検討することが重要です。

放置することのリスク

示談金が払えない状況で、最も避けるべきなのは何も対応しないまま時間が経過してしまうことです。
連絡が途絶えたり、説明がなされなかったりすると、誠意がないと受け取られ、交渉が一層難しくなる傾向があります。

払えない事情がある場合でも、適切な説明と対応を行うことで、状況の悪化を防げる余地はあります

示談金が払えない場合に取り得る現実的な対処法

示談金が払えない場合でも、すぐに打つ手がなくなるわけではありません。実務上は、支払能力を踏まえた条件調整によって、示談を成立させられる余地があります。重要なのは、払えない事情を放置せず、早い段階で現実的な対応を取ることです。

示談金の減額を交渉できるケース

示談金は、必ずしも最初に提示された金額で確定するものではありません。事情によっては、示談金の減額交渉が検討されることがあります

具体的には、

  • 収入や資産が乏しく、高額な支払いが現実的でない場合
  • 被害の内容や経過に照らし、請求額が大きいと考えられる場合
  • 謝罪や反省の意思が適切に伝えられている場合

などでは、支払能力や事情を踏まえた調整が行われることがあります。ただし、減額は当然に認められるものではなく、交渉の進め方が結果を左右する点には注意が必要です。

分割払いによる示談という選択肢

示談金を一括で支払えない場合、分割払いを前提とした示談が成立するケースもあります。実務上は、毎月一定額を支払う形で合意する例も少なくありません。

分割払いを提案する際には、

  • 支払総額
  • 支払回数や期間
  • 各回の支払期日

といった条件を明確にし、無理なく継続できる内容にすることが重要です。実現性の低い条件を提示してしまうと、かえって信用を損ねるおそれがあります。

支払能力の伝え方が重要になる

示談交渉では、「払えない事情」をどのように説明するかが非常に重要です。単に「お金がない」と伝えるだけでは、誠意が伝わらないこともあります。

現在の収入や生活状況を踏まえ、

  • なぜ一括払いが難しいのか
  • どの程度であれば支払えるのか

を具体的に説明し、現実的な提案を行う姿勢が求められます。この点で対応を誤ると、交渉自体が難航する原因になりかねません。

示談書に条件を反映させる際の注意点

分割払いなどの条件で合意した場合には、示談内容を示談書に正確に反映させることが不可欠です。支払方法や期日が曖昧なままでは、後にトラブルとなる可能性があります。

特に、支払いが滞った場合にどのような扱いになるのかについては、事前に整理しておくことが重要です。条件を明確にしておくことで、示談成立後の不測の事態を防ぎやすくなります。

示談が成立しない場合の次の選択肢

示談金の条件が折り合わず、示談が成立しない場合でも、そこで直ちにすべてが行き詰まるわけではありません。ただし、示談が成立しない場合には、刑事手続や民事手続がそれぞれ進行する可能性があり、状況に応じた対応が必要になります。

刑事手続が進んだ場合の見通し

刑事事件では、示談が成立しなかった場合、被害回復が図られていないものとして扱われることがあります。その結果、不起訴処分や処分の軽減が得られにくくなる可能性があります。

もっとも、示談が成立しなかったからといって、必ず起訴される、必ず重い処分になると決まっているわけではありません。事件の内容や経緯、反省の有無など、さまざまな事情が総合的に考慮されます。

民事訴訟に発展した場合の流れ

示談が成立しない場合、被害者が民事上の損害賠償請求を行う可能性があります。民事訴訟では、裁判所が証拠に基づいて損害額を判断し、判決によって支払義務の有無や金額が確定します。

判決が確定した後も支払いがなされない場合には、給与や預貯金などに対する強制執行が行われる可能性があります。示談が成立しなかった場合には、このような流れも想定しておく必要があります。

支払能力がない場合の現実的な対応

支払能力が十分でない場合でも、ただちに全額を支払えないからといって、責任が消えるわけではありません。一方で、現実的に支払いが困難な事情がある場合には、その事情を踏まえた対応が求められます。

状況によっては、分割での履行を前提とした対応や、支払方法についての調整が検討されることもあります。いずれにしても、何もせずに放置することが最も不利になりやすい点には注意が必要です。

債務整理や自己破産との関係

示談金や損害賠償の支払いが生活を著しく圧迫する場合、債務整理や自己破産といった法的手続が検討対象になることもあります。ただし、すべての示談金や損害賠償が免責の対象になるわけではなく、内容によって扱いが異なります。

この点は判断が難しく、個別事情による影響も大きいため、早めに専門家に相談した上で検討することが重要です。

示談金問題で弁護士に相談すべきタイミング

示談金が払えない問題では、いつ弁護士に相談するかが結果に影響することがあります。示談交渉は一度条件が固まってしまうと修正が難しくなるため、状況に応じた適切なタイミングで専門的な判断を受けることが重要です。

弁護士が対応できること

弁護士が関与することで、示談金の金額や支払方法について、法的な観点から整理した提案が可能になります。具体的には、

  • 示談金額が相場や事案内容に照らして妥当かどうかの検討
  • 分割払い・減額といった条件調整の可能性
  • 被害者側との交渉の代理

などが挙げられます。本人同士では感情的になりやすい場面でも、第三者が入ることで、話し合いが冷静に進むケースがあります。

弁護士ができないこともある

一方で、弁護士に相談すれば必ず示談金が下がる、必ず示談が成立するといったものではありません。事件の内容や被害の程度によっては、条件の調整が難しい場合もあります。

また、すでに示談条件に合意している場合や、示談書を交わした後では、内容を変更することが困難になることもあります。この点を理解したうえで相談することが大切です。

早期相談が有利になりやすい理由

示談交渉は、初期対応がその後の流れを左右しやすい分野です。最初の段階で不適切な条件を提示してしまったり、連絡の取り方を誤ったりすると、後から修正するのが難しくなることがあります。

示談金が払えないと感じた時点で相談することで、支払能力を踏まえた現実的な条件を整理し、無用な不利益を避けやすくなります。

すでに交渉が進んでいる場合の注意点

すでに被害者とのやり取りが始まっている場合でも、途中から弁護士に相談すること自体は可能です。ただし、それまでの対応内容によっては、交渉の余地が狭まっていることもあります。そのため、現在どの段階にあるのかを整理したうえで、これ以上状況を悪化させないための対応を検討することが重要になります。

弁護士への依頼にはやむを得ず費用負担が生じます。示談金が払えない可能性がある場合、弁護士費用と示談金の支払のどちらをどの程度優先させるべきかは慎重に検討することが望ましいでしょう。弁護士に相談の上で選択肢を比較検討することが有力です。

示談金が払えない場合によくある質問

Q1 示談金が払えないと逮捕されますか?

示談金が払えないこと自体で、直ちに逮捕されるわけではありません。
示談金は罰金などの刑罰とは異なり、支払えないことのみを理由に新たな犯罪が成立することは通常ありません。

ただし、示談が成立しない場合、不起訴や処分の軽減が得られにくくなる可能性はあります。払えない事情がある場合でも、放置せず対応を取ることが重要です。


Q2 収入がない場合でも示談金を支払う義務はありますか?

収入がないことだけで、示談金の支払義務が当然に免除されるわけではありません。
示談金は当事者間の合意によって決まるため、支払能力が低い場合でも、減額や分割払いを前提とした示談が検討されることがあります。

重要なのは、現在の経済状況を踏まえた現実的な条件を提示することです。


Q3 示談成立後に示談金が払えなくなった場合はどうなりますか?

示談成立後に支払いができなくなった場合、示談条件に違反したとして、民事上の責任を問われる可能性があります。
分割払いの途中で支払いが滞った場合も同様です。

事情が変わった場合には、何もせずに放置するのではなく、早めに対応を検討することが重要です。


Q4 示談金を払えないまま放置するとどうなりますか?

示談金が払えない状況を放置すると、刑事事件では示談不成立として手続が進み、民事では訴訟や強制執行に発展するリスクが高まります。
「払えない事情があるから仕方がない」と考えて何もしないことが、最も不利な結果につながりやすい点には注意が必要です。


Q5 被害者と直接示談交渉をしても問題ありませんか?

被害者と直接交渉すること自体が、直ちに禁止されているわけではありません
ただし、伝え方や条件提示を誤ると、被害者感情を害し、交渉が難航することがあります。

特に、示談金の減額や分割払いを求める場合には、慎重な対応が求められます。


Q6 示談金が払えない場合、いつ弁護士に相談すべきですか?

示談金が払えないと感じた時点で、できるだけ早く相談することが望ましいといえます。
交渉が進んだ後や条件が固まった後では、修正が難しくなるケースもあります。早期に状況を整理することで、不利な結果を避けられる可能性が高まります。

まとめ|示談金が払えない場合に大切な考え方

示談金が払えないこと自体が、直ちに違法となったり、処罰につながったりするわけではありません。ただし、示談が成立しない、あるいは支払いが滞った状態をそのままにしてしまうと、刑事事件や民事上の責任において、不利な結果を招くおそれがあります。

実務上は、示談金を一括で支払えない場合でも、分割払いを前提とした示談や、事情を踏まえた金額調整が検討される余地があります。重要なのは、自身の支払能力を踏まえ、無理のない形で誠実に対応することです。

対応の仕方やタイミングを誤ると、後から修正することが難しくなるケースも少なくありません。示談金が払えない状況に直面した場合には、感情的にならず、放置せずに状況を整理し、現実的な選択肢を検討することが大切です

示談交渉の段階で、支払えない可能性があるような示談金の条件設定自体をできる限り避けることをお勧めします。後で支払えないとなると、不要な法的リスクを抱える恐れもあり、結果的に不利益が大きくなりかねません。

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【特殊詐欺事件の示談を知りたい人のために】他の事件にはない特殊詐欺の示談の進め方を,刑事弁護士が詳細に解説

このページでは,特殊詐欺事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

特殊詐欺事件における示談の重要性
特殊詐欺事件で示談するタイミング
特殊詐欺事件で示談をする方法
特殊詐欺事件の示談金相場
特殊詐欺事件の示談内容・条項
特殊詐欺事件の示談で注意すべきこと
特殊詐欺事件の示談に必要な費用

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特殊詐欺事件における示談の重要性

特殊詐欺事件とは,親族や公共機関の職員を名乗るなどして被害者を信じ込ませ,現金やキャッシュカードといった金銭的価値のあるものを詐取するものを言います。いわゆる「オレオレ詐欺」が代表例ですが,その手口は非常に種類が増えており,総称して「特殊詐欺」と呼ばれます。

特殊詐欺事件は,詐欺事件の一種であり,被害者の財産に損害与える事件です。そのため,示談によって被害者の損害を回復させることは刑事処分との関係で非常に重要となります。

特殊詐欺事件は悪質性が高いため,初犯でも実刑判決を受けて刑務所に入ることも珍しくはありません。特に,被害者の損害が大きいと,これを踏まえて長期間の実刑判決を受ける恐れもあります。
執行猶予判決であれば社会生活が継続できますが,実刑判決では刑務所に収容されてしまい,生活は一変せざるを得ません。

刑事罰の種類

この点,示談によって被害者の損害を回復させることができれば,刑事処分の結果に直接大きな影響を及ぼすことが通常です。刑事処分は,ほかならぬ被害者の損害を踏まえて決定するものであるため,加害者自身がその損害を軽くしているのであれば,これも踏まえて処分を軽くするよう配慮するのが一般的な取り扱いとされています。

特殊詐欺事件は,示談を行わずに漫然と処分を受けると,実刑判決の可能性も高く非常に不利益が大きくなってしまう事件類型です。そのため,少しでも処分を軽減し,実刑判決を避けるために,示談は非常に重要な行動と言えるでしょう。

ポイント
特殊詐欺事件は重大犯罪であるため,実刑判決の可能性も高い
示談によって実刑判決を避ける試みが重要

特殊詐欺事件で示談するタイミング

一般的に,刑事事件で示談を試みるタイミングは早ければ早いほど望ましいと考えられます。早く示談ができれば,それだけ示談による処分軽減の効果が早く生じることになり,場合によっては早期釈放にも至る可能性があるためです。
特殊詐欺事件でも,自分の関与した事件が1件だけであれば,速やかに示談を試み,少しでも早期の合意を目指すことが望ましいでしょう。

しかし,特殊詐欺事件は余罪のあることが非常に多いところ,余罪のあるケースで示談を速やかに行うのは,大きなリスクが付きまといます。それは,余罪を含めた全額の賠償が経済的に困難な場合です。

特殊詐欺事件の場合,1件ごとの損害額が大きくなりやすいという特徴があります。1件あたり100万円単位の損害額となることも全く珍しくありません。そうすると,余罪も含めて示談の必要な件数が多くなると,必要な示談金額が飛躍的に大きくなってしまう可能性があるのです。
この場合,1件目の示談を全力投球をして早期に終了させると,2件目以降の示談を試みる余力がなくなってしまい,全体として不利益が大きくなってしまうことになりかねません。

一方で,組織詐欺事件で余罪があったとしても,どの事件が捜査や処分の対象になるのかは事前にはわかりません。示談が可能なのは捜査を受けている事件(=被害者が判明している事件)ですが,被害者の判明した事件が何件あって被害総額がいくらかは,処分が終わらないと分からないのです。
そのため,自分が心当たりのある事件で示談を早期に行ったとしても,その事件は捜査の対象ではなく,実際にはほかの事件のために示談金を支払うべきであった,という可能性があり得ます。特殊詐欺事件は,類型的に早期示談のリスクが大きくなりやすい傾向にあると言えます。

そのため,特殊詐欺事件の示談は,検察による起訴がされ尽くした後に行うことが非常に多く見られます。
事前に全件の示談ができる場合を除き,示談で起訴を防ぐことは困難であるため,起訴される件数と損害額を見定めた後に,起訴された事件に対して可能な限りの示談を試みる,ということです。
起訴が防げない以上,実刑判決の回避に全力を尽くす動き方ということもできるでしょう。

ポイント 示談のタイミング
余罪がなければできる限り早期に試みる
全件の支払ができない場合,起訴がすべて終わった後に試みる

特殊詐欺事件で示談をする方法

特殊詐欺事件における示談は,捜査機関に対して示談を申し入れる方法により行うことが適切です。いきなり被害者側と直接の連絡を取るのではなく,捜査機関の担当者から被害者側に問い合わせてもらい,示談の意向を確認してもらう,という流れを取ることが一般的です。
事件類型的に,加害者が被害者の個人情報を把握している場合が少ないこともあり,被害者の連絡先を獲得するための試みとしても必要な動きになります。

もっとも,捜査機関は,加害者自身に被害者側の連絡先を伝えることは通常しません。そのため,加害者自身が示談を申し入れてきても,被害者との間を取り持つことはしないのが一般的です。
示談の申し入れを行いたい場合は,自分で直接行うのではなく,弁護士に依頼し,弁護士を窓口にして進めることが適切となります。被害者との連絡先の交換も,弁護士限りという形を取ることを約束すれば,捜査機関に間を取り持ってもらうことが可能です。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

特殊詐欺事件の示談金相場

①支払うべき金額

複数人で行われる特殊詐欺事件では,加害者全員が被害者に対して被害額の全額を返済する義務を負います。被害者の損害額が100万円であれば,被害者は加害者全員に100万円を請求する権利を持ち,そのうち誰かから100万円を受領することができれば,他の加害者に対する請求権を失うことになります。
加害者の一部が全額を賠償した場合,後は加害者間の負担割合の問題になるのが通常です。

そのため,特殊詐欺事件の示談金としては,被害者の被った被害の全額が基準になるでしょう。

②加害者の得た利益との関係

特殊詐欺事件の場合,詐欺組織の中心的な立場でない限り,アルバイトのような役割にとどまり,回収した金銭の一部を報酬として受領しているに過ぎないことがほとんどです。そうすると,被害額は非常に大きくても,加害者が詐欺事件で得た利益はごく一部にとどまることが多数に上ることとなります。
そのため,加害者自身がごく一部の利益しか得られていない場合,被害者にはいくらの示談金を支払うべきか,という問題が生じ得ます。

この点,加害者自身の得た利益が一部にとどまるのであっても,被害者に対しては被害全額の支払を行うことが適切です。
例えば,特殊詐欺事件で150万円の被害が生じ,加害者はその1割である15万円の分け前を受け取ったとすると,加害者が詐欺事件で得た利益は15万円にとどまりますが,被害者に対しては150万円全額を支払うべきということになります。15万円を超える部分は自己負担になりますが,支払う義務がある以上はやむを得ないところです。

特殊詐欺事件の示談金

特殊詐欺事件では,自分の得た経済的利益よりも非常に大きい金額を支払う必要が生じやすい点に注意が必要です。

③全額の支払ができない場合

複数の特殊詐欺事件に関与している場合,1件ごとの被害額が大きくなりやすい関係で,被害の全額を支払うことができない場合も少なくありません。その場合には,全件が起訴された後,その被害金額の割合に応じて案分し,各被害者に公平な支払いを行うことが適切でしょう。

例えば,4件の特殊詐欺事件に関与し,被害金額がそれぞれ100万円,200万円,300万円,400万円となる場合,総額で1000万円の支払が必要です。しかし,加害者が100万円しか持っていないケースでは全額の支払ができないため,100万円を1:2:3:4に案分し,それぞれ10万円,20万円,30万円,40万円の支払とする,という手段が有力になります。

特殊詐欺事件の示談方法

もちろん,全額の賠償に至っていないため,支払ったことの効果は限定的にならざるを得ません。しかし,一部の被害者のみに偏った支払を行うのはその有効性に法的問題が生じかねないため,支払える限りの金銭を公平に支払うのが最も合理的でしょう。

ポイント
支払うべき金額は被害全額
自分の得た分け前が一部であっても被害全額の支払義務を負う
全額の支払ができない場合は,被害額に応じて案分する

特殊詐欺事件の示談内容・条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。清算条項を取り交わせば,その後に相手から金銭を追加請求される可能性は法的になくなります。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項とは,被害者が加害者を許す,という意味の条項です。
示談が刑事処分に有利な影響を及ぼすのは,基本的にこの宥恕条項があるためです。被害者が加害者を許している,という事実が,刑事処分を劇的に軽減させる要素となります。

特殊詐欺事件の示談で注意すべきこと

①清算合意や宥恕の獲得が容易でない場合

特殊詐欺事件の場合,複数の事件に対応しなければならないことが多く,1件ごとの損害額も大きいため,被害の全額を返済しきれないことが少なくありません。そして,被害全額を返済しきれない場合,示談条項として非常に重要な「清算条項」及び「宥恕条項」の取り決めができないケースが増えやすいところです。

被害者の立場としては,被害の一部しか回復できていないのに,それ以上加害者に請求をしないという合意は非常にしづらい上,そのような状態で加害者を許すという判断をすることはなおさら困難と言えます。被害の全額を回復させられない場合には,特に清算条項や宥恕条項の獲得が難しくなりやすいと踏まえておきましょう。

また,もし被害全額の支払ができたとしても,宥恕条項が獲得できるとは限りません。被害全額の支払は加害者の義務であり,いわば当然すべきことをした,というのみですから,その支払の対価として宥恕条項を取り交わす必要はないのです。「全額支払うのは当たり前のことなのに,どうして支払を受けるために加害者を許さなければならないのか」という反論を受ける可能性が大いにあり得ます。

この点,清算や宥恕の獲得が容易でない場合であったとしても,被害を可能な限り回復させるのが有益である,ということには変わりないと考えて差し支えありません。もちろん,清算条項があれば金銭問題は解決しますし,宥恕条項があれば刑事処分は大きく軽減しますが,それらがなければ効果がない,ということでは決してありません。
被害者の経済的な損害を少しでも多く回復させることは,特殊詐欺事件の刑事責任を軽減させる効果を確かに持つ行動だと理解し,できるだけの支払に努めましょう。

ポイント
一部しか支払えない場合,清算条項の取り交わしは難しくなりやすい
全部支払えても,宥恕条項が獲得できるとは限らない
もっとも,できる限り支払うべきであることは同様

②全財産を費やしても実刑判決になる場合

特殊詐欺事件は非常に重大な事件類型のため,初犯でも実刑判決を受け,刑務所に収容されることを強いられる場合は珍しくありません。そして,それは全財産を費やして被害弁償を行ったケースでも生じ得ます。

実刑判決になる可能性が高いケースとしては,以下のような事情のある場合が挙げられます。

実刑判決の可能性が高くなる事情

1.特殊詐欺における役割
→組織の中心的な立場にあるほど実刑判決の可能性が高くなる

2.関与した事件の数
→多いほど実刑判決の可能性が高くなる

3.被害金額
→総額が大きいほど実刑判決の可能性が高くなる

4.被害弁償の程度
→弁償できた割合が小さいほど実刑判決の可能性が高くなる

5.前科前歴
→近い時期に同種事件の前科前歴があると実刑判決の可能性が高くなる

特殊詐欺事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で特殊詐欺事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。
(身柄事件の場合)

①活動開始時

着手金33万円
着手金(身柄対応)22万円
実費相当額1万円
合計56万円

身柄事件の場合,56万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

特殊詐欺事件の場合,被害金額に応じた示談金が想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(身柄事件にて100万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:56万円+55万円=111万円(※)
示談金:100万円

計:211万円

※身柄事件では,接見を要する場合の出張日当が別途発生し得ます。

弁護士費用の例

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【住居侵入事件の示談を知りたい人のために】住居侵入事件ではどんな場合にどんな内容の示談をするべきか,弁護士が解説

このページでは,住居侵入事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

住居侵入事件で示談すべき場合
住居侵入事件で示談をする方法
住居侵入事件の示談金相場
住居侵入事件の示談内容・条項
住居侵入事件の示談で注意すべきこと
住居侵入事件の示談に必要な費用

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住居侵入事件で示談すべき場合

住居侵入事件は,認め事件である場合,基本的に示談をすべきということができるでしょう。特に,以下のような場合に示談をする必要性が高くなります。

①逮捕を防ぎたい場合

住居侵入事件では,捜査に際して逮捕されることが少なくありません。それは,類型的に被害者を保護すべき必要性が高いと理解されやすいためです。
住居侵入事件の場合,加害者は被害者の住居というプライバシーで保護されるべき場所に立ち入っており,被害者は大きな危険に晒されてしまっています。しかも,加害者にとって被害者の住居地が明らかであるため,加害者を放置していると被害者への接触が懸念されます。特に,被害者が警察に相談したと分かれば,加害者が逆上などして被害者への暴力的行為に及ぶ危険も否定できません。
そのため,住居侵入事件は,類型的に逮捕されやすいのです。

しかし,被害者との示談が成立していれば,その後に加害者から被害者に危害の加わる可能性がないと判断できるため,逮捕の必要がなくなることが一般的です。逮捕の恐れをここまで劇的に下げられる動きは示談以外にないため,示談は逮捕を防ぐために最も有力な行動と言えるでしょう。

ポイント
住居侵入事件は逮捕されやすい
しかし,示談後に逮捕されることはほぼなくなる

②刑罰を防ぎたい場合

住居侵入事件は,捜査の結果犯罪事実の立証ができると判断されれば,検察官によって起訴されるのが通常です。初犯であっても,それだけを理由に不起訴とできるほど軽微な事件類型ではありません。

しかし,犯罪事実の立証ができる場合であっても,被害者が起訴しないでほしいとの意思であれば,検察官がこれに反してまで起訴することはほとんどありません。住居侵入事件は,特定の被害者に被害を与える犯罪であることから,その被害者の意向を処分結果に大きく反映される運用となっています。

そのため,犯罪事実の存在が明らかに立証できる場合には,示談によって被害者に起訴を望まない意思を表明してもらうことによって,不起訴処分を獲得し,刑罰を防ぐことが非常に有力となります。このように,被害者に起訴を望まない意思を表明してもらうことができる手段は,基本的に示談以外にはないため,刑罰を防ぐという面でも示談が最も有力な行動と言えます。

ポイント
住居侵入事件は,犯罪事実が明らかであれば刑罰を受けるのが通常
示談によって被害者が起訴を望まなくなれば,刑罰の回避が可能

③早期釈放を図りたい場合

住居侵入事件で逮捕された場合でも,示談が有力な手段になります。

逮捕をされると,まず最大72時間の身柄拘束を受けた後,10日間の「勾留」,さらに最大10日間の「勾留延長」を受ける可能性があります。勾留延長までなされる場合,23日前後の身柄拘束となってしまうため,日常生活への影響は避けられません。

逮捕から起訴までの流れ

この点,早期の段階で示談が成立すれば,その後の身柄拘束がなされず早期釈放に至る可能性が高くなります。逮捕段階で示談できれば勾留はされづらく,勾留の段階で示談できれば勾留延長には至りづらい,ということです。

住居侵入事件の場合,早期示談は早期釈放と直接結びついていると言っても過言ではないでしょう。

④否認事件で示談すべき場合

住居侵入事件は,否認事件の場合に示談を試みることはあまりありません。それは,示談の基本的な内容が謝罪と賠償であるためです。
否認事件は,「住居侵入をしていない」という主張であるため,本来は被害者とされる人物への謝罪や賠償をする筋合いがないはずです。そのため,否認事件で示談を試みるのは,やり方を間違えると否認の主張が信用できないという悪影響につながりかねません。

この点,否認事件でも,犯罪の有無について記憶がない場合には,示談が有力な手段になりやすいでしょう。代表例は飲酒の影響で酩酊状態だった場合です。
「酩酊していたため,住居侵入をした記憶がない」という言い分は,住居侵入を認めてはいないので否認事件に分類するのが通常です。ただ一方で,はっきりと否認をできるほどの根拠もないため,示談によって早期終結できる方がメリットの大きい状況でもあります。

このような場合には,認めてはいないものの示談をする,という動き方が有力になり得るでしょう。ただし,具体的な方針や示談の行い方は容易に判断できるものでないため,このような複雑な動き方を取る場合は必ず弁護士の判断を仰ぐようにしましょう。

ポイント
否認事件では,示談による謝罪や賠償が適さない
記憶がないなど,強く否認しづらいケースでは示談が有力になりやすい

住居侵入事件で示談をする方法

住居侵入事件で示談を試みる場合は,まず弁護士に依頼し,弁護士を窓口とすることが必要です。住居侵入事件の場合,当事者間が直接示談交渉を行うことは不適切であり,二次的なトラブルに発展する危険が大きいため,必ず弁護士に依頼するようにしましょう。

また,住居侵入事件で捜査を受けている場合には,被害者の住居地を把握していたとしても,直接被害者に接触するのでなく,まず捜査機関の担当者に連絡を取るのが適切です。
被害者が直接接触されることを希望している可能性はほとんどないため,示談が円滑に進むとは考えにくい上,最悪の場合には被害者に危害を加える目的であったと疑われかねません。

弁護士が依頼を受けた場合,捜査機関の担当者に問い合わせ,加害者が示談希望である旨を伝えます。あわせて,捜査機関から被害者に連絡を入れるよう依頼し,被害者の意向を確認してもらうことが通常です。確認の結果,被害者が示談交渉を了承する意向であれば,連絡先の交換ができ,弁護士と被害者との連絡が開始できます。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

住居侵入事件の示談金相場

住居侵入事件の示談金は,被害者が受けた損害の程度や内容によって異なりますが,加害者が単純に被害者の住居地内に立ち入った,というのみの事件であれば,示談金は10~20万円ほどが目安になりやすいでしょう。
加害者の行為が住居侵入のみであれば,経済的な損害が具体的に生じているわけではなく,被害者の生命身体に危険が生じたわけでもないため,それほど高額の示談金とはならないケースが多く見られます。

もっとも,ケースによっては示談金がより高額になる場合もあり得ます。住居侵入事件の示談金額に影響し得る具体的な事情としては,以下のようなものが挙げられます。

住居侵入事件の示談金額に影響する事情

1.侵入の程度
→庭に入ったか,玄関に入ったか,寝室まで入ったかなど。よりプライベートな場所まで立ち入っているほど増額要因になる

2.侵入の態様
→被害者により大きな恐怖を与える方法で侵入すると,増額要因になる

3.侵入時における物品の損壊
→窓ガラスや鍵など,物品を損壊しながら侵入している場合,経済的損害の分だけ増額要因になる

4.常習性の有無
→同一の被害者を対象に繰り返し行っている場合,増額要因になる

住居侵入事件の示談内容・条項

①一般的な示談条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。清算条項を取り交わせば,その後に相手から金銭を追加請求される可能性は法的になくなります。
示談を行う場合には,当事者間の金銭的解決を終了させるためにも清算条項の取り交わしを欠かさないようにすることが重要です。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項とは,被害者が加害者を許す,という意味の条項です。
示談が刑事処分に有利な影響を及ぼすのは,基本的にこの宥恕条項があるためです。被害者が加害者を許している,という事実が,刑事処分を劇的に軽減させる要素となります。
住居侵入事件で被害者との示談を行うのは,主に宥恕条項を取り交わすためです。加害者にとっては必須の条項と理解するのが適切でしょう。

②住居侵入事件で特に定めやすい条項

【立入禁止】

加害者が被害者方(マンション等の共用部を含む)に立ち入らないことを約束する条項です。住居侵入事件では,被害者の安心を確保するため,加害者がその後に立ち入らないことを明示する内容の示談とすることが多く見られます。
なお,立入禁止を条項に加えるかどうかにかかわらず,示談後に被害者方へ立ち入らないべきであることは間違いありません。

【接近禁止】

加害者の立入禁止をより確実にするため,被害者の住居近辺への接近を禁止する旨の条項を設けることもあります。具体的な取り決め方は当事者次第ですが,具体的な図を添付するなどして,両当事者にとって接近禁止範囲が明確となるようにする必要があるでしょう。

【転居及び転居報告】

加害者と被害者が同じ建物や隣接する建物に居住している場合,生活圏が近すぎるため加害者の転居を示談条項に含めることがあります。
加害者の転居を条件とする場合には,転居期限を定めた上で,転居した後には弁護士を通じて転居報告を行う形を取ることが多く見られます。

住居侵入事件の示談で注意すべきこと

①被害者の転居費用が問題になり得る

住居侵入事件では,加害者に被害者の住居地が分かってしまっているため,被害者が転居を希望することが少なくありません。そして,示談を行うとなると,被害者の転居費用を加害者負担とすることが条件とされる場合も多く見られます。

この点,法的には被害者の転居費用を加害者が負担する必要があるかは非常に不明確です。裁判などで争われれば,支払義務がないとの結論になる可能性もあり得るところでしょう。
しかし,刑事事件の示談で問題になる場合には,基本的に被害者側の要求に応じるのが合理的でしょう。被害者の要求としては決して不合理なものでない上,その点の対応を拒みつつ示談の成立にこぎつけるのは現実的に困難と言わざるを得ないためです。

ただし,転居費用が伴う場合,示談金が大きく増額することが見込まれます。経済的な問題があるときには,弁護士と十分に相談の上で交渉方針を決めるようにしましょう。

②余罪がある場合

住居侵入事件では,余罪のある場合が相当数見られます。特に,同一の住居への繰り返しの侵入行為が生じやすい傾向にあります。
この点,余罪がある場合にどのような示談の方針を取るかは容易に判断できるものではありません。特に,住居侵入事件の場合,被害者がすべての余罪を把握しているわけではない可能性が高いため,方針決定はより困難になりやすいところです。

余罪がある場合には,まず依頼した弁護士に余罪も含めてありのままの出来事を全て伝えるようにしましょう。被害者にどこまで話すかはケースにもよりますが,少なくとも弁護士が把握していないという状況は避けるべきです。
弁護士が把握しないまま示談を試み,後で余罪が発覚したという場合は,示談が困難になりやすく最悪の事態になりかねません。

ポイント
転居費用の請求にはできる限り応じるのが合理的
余罪がある場合には弁護士に全てを伝える

住居侵入事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で住居侵入事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

一般的な在宅事件では,34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

住居侵入事件の場合,単純な侵入行為であれば10~20万円の示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(10万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:10万円

計:99万円

弁護士費用の例

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【業務上横領事件の示談を知りたい人のために】示談のメリットからタイミング・方法・金額・注意点まで徹底解説

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業務上横領事件で示談は必要か
業務上横領事件の示談時期
業務上横領事件で示談をする方法
業務上横領事件の示談金相場
業務上横領事件の示談内容・条項
業務上横領事件の示談で注意すべきこと
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業務上横領事件で示談は必要か

業務上横領事件の場合,認め事件では示談が必要と考えるべきでしょう。

業務上横領は,業務上の立場に基づいて預かった金銭等の財産を自分のものにする(横領する)ことを言います。そのため,業務上横領事件では,被害者に経済的な損害が発生していることになります。
業務上横領事件にこのような性質があるため,業務上横領事件の刑事処分の重さを判断する場合には,被害者に生じた経済的な損害の程度が非常に大きな事情となります。また,同時に,その経済的な損害が加害者によってどの程度回復されたか,という点も非常に重要な判断材料とされています。

例えば,同じ100万円の業務上横領事件でも,損害がそのままにされている場合と,後になって加害者が100万円を全額返金した場合とでは,加害者に対する刑事処分の程度は大きく異なります。当然ながら,100万円が全額返金されているケースの方が刑事処分は軽微なものとなり,内容によっては不起訴処分が獲得できる場合もあり得ます。不起訴処分となれば,刑罰を受ける可能性はなくなり,前科が付くこともありません。

そして,返金の手段として最も有益なものが示談です。示談によって支払う金額の合意ができ,その金額の返済もできていれば,被害者の経済的な損害は加害者によってすべて回復されたと評価できるでしょう。また,示談の中で被害者が加害者を許すという内容が合意されていれば,加害者が刑事処罰を受ける可能性は劇的に低くなるということもできます。

内容に争いのない業務上横領事件では,示談によって被害者の経済的な損害を回復させるとともに,被害者の許しを獲得するのが有益でしょう。

一方,否認事件の場合,示談を行うことには慎重な検討が必要です
示談の試みは,被害者に対する謝罪及び賠償という意味を持つ行動となることが一般的です。そのため,否認事件の場合に示談をするのは,疑いを否認しつつ謝罪や賠償をする,という必ずしも合理的とは言えない動き方になり得るのです。
否認事件でも,紛争の深刻化を防いで早期解決を図るため,示談を行うことが有益な場合も否定はできません。しかし,その内容や方法には適切な配慮が必要となるため,弁護士に相談して方針決定するようにしましょう。

ポイント

認め事件では示談が必要
→経済的損害の回復,許しの獲得のため

否認事件の示談は慎重に検討するべき
→否認の方針と矛盾しないための適切な配慮が必要

業務上横領事件の示談時期

業務上横領事件の場合,警察などの捜査機関から捜査を受けるより前に,当事者間で問題になり,協議の場などが設けられることも少なくありません。

業務上横領事件の代表例は,仕事上管理していた勤務先の金銭を横領してしまう,というケースですが,その横領が発覚した場合,いきなり警察などを巻き込むよりも,会社内部で問題視され,話し合いなどの機会が設けられる場合も多く見られます。
そして,捜査機関の介入前に当事者間で話し合うことになった場合は,可能な限り速やかに示談の試みを行い,当事者間での解決を目指すべきでしょう。

もし,当事者間で金銭的な解決ができ,勤務先が刑事処分を希望しないという判断に至った場合,警察などが捜査を行うきっかけが生じないため,刑事手続が始まることなく,当事者間のみでの解決で事件が終了することになります。刑事手続への対応自体が必要なくなる点で,当事者間で解決できた場合の利益は非常に大きなものであり,その可能性があるならば可能な限り目指すのが得策です。

また,被害に遭った勤務先としても,経済的な損害がすべて回復できるのであれば,それ以上に加害者が処罰を受けるなどの不利益を被ることまでは希望しない,という発想であることが少なくありません。
警察などに捜査をしてもらっても勤務先に利益が生じるわけではなく,かえって対応の負担が増すという面は否めないため,勤務先の方も当事者間での解決を優先的に検討してくれる場合はあり得ます。

業務上横領事件は,示談によって刑事手続そのものを防げる可能性がある点で,早期示談のメリットが非常に大きい類型と言えるでしょう。

ポイント
示談の試みは可能な限り早く
刑事手続前に示談できれば,示談ですべて解決できる場合も

業務上横領事件で示談をする方法

一般的な刑事事件では,弁護士が警察や検察といった捜査機関に問い合わせ,加害者が示談を希望する旨を申し入れるとともに,被害者側の意向を確認してもらう,という手順が多く取られます。
被害者が示談交渉を了承する場合には,弁護士に被害者の連絡先等が伝えられ,弁護士を窓口に直接のやり取りをスタートすることになりやすいでしょう。

示談交渉の流れ

もっとも,業務上横領事件の場合,代表的な勤務先での横領事件などであれば,加害者側と被害者側は直接の連絡を容易に取ることのできる関係であることが通常です。被害者である勤務先としても,わざわざ警察を通じて間接的に連絡をよこすのでなく,直接の連絡を行う方が望ましいと考える場合が多く見られます。

そのため,業務上横領事件のように直接の連絡が不適切でない場合は,弁護士から被害者側に直接連絡を入れ,示談交渉を試みることも珍しくありません。

業務上横領事件における示談交渉の流れ

いずれの方法を取るかは,個別のケースや被害者側の意向によっても異なるため,刑事事件に強い弁護士に相談の上,具体的に検討するようにしましょう。

業務上横領事件の示談金相場

業務上横領事件の示談金は,損害額を基準にすることとなります。
示談金は,業務上横領によって被害者に生じた損害を埋め合わせるものでなければならないため,まずは損害総額を確認し,その金額を踏まえて示談金を決定することが必要です。

一般的には,横領の対象となった金額にいくらかを上乗せして示談金とすることが多く見受けられます。どの程度上乗せをするかは双方の意向にもよりますが,上乗せされる要素としては以下のような点が挙げられます。

示談金に含む損害

1.横領行為による業務全体の損失
2.損害調査のために生じたコスト・負担
3.示談交渉のために生じた負担(弁護士費用等)

業務上横領事件の示談内容・条項

①一般的な示談条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。清算条項を取り交わせば,その後に相手から金銭を追加請求される可能性は法的になくなります。
業務上横領事件の場合,被害者の経済的な損害を全て回復させられたか,という点が重要となりやすいため,清算条項の価値がより高くなりやすい事件類型と言えます。清算条項があるということは,加害者が被害者に支払うべきものを全て支払った,という理解になるためです。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項とは,被害者が加害者を許す,という意味の条項です。
示談が刑事処分に有利な影響を及ぼすのは,基本的にこの宥恕条項があるためです。被害者が加害者を許している,という事実が,刑事処分を劇的に軽減させる要素となります。
業務上横領事件は被害者のいる事件であり,被害者の意向が処分に反映されやすい類型であるため,宥恕条項の獲得は非常に重要となります。

②業務上横領事件で特に設けやすい条項

【退職・解雇】

業務上横領事件の示談では,示談後の雇用関係に関する取り決めを設けることが多く見られます。一般的には,勤務先側が加害者との関係の継続を希望することはあまりないため,加害者の自主退職又は勤務先による解雇を行うことが多いでしょう。

加害者の立場としては,基本的に退職しない選択肢が考えにくいため,勤務先の求めに応じる形で合意するのが最も合理的なことがほとんどです。

業務上横領事件の示談で注意すべきこと

①被害者側の方針に大きく左右される

業務上横領事件は,被害者側と早期に示談をすることが非常に有益ですが,実際に早期の示談ができるかどうかは,被害者側の対応方針に大きく影響を受けます。

具体的には,警察への通報などを全くしないで当事者間で解決することが犯罪を不問にするという意味合いの行動にもなるため,コンプライアンス(=法令遵守)の観点から不適切と被害者側が考えた場合,早期合意は困難なことがあり得ます。
コンプライアンスを優先するか,早期解決による負担の軽減を優先するかは,完全に被害者側の方針の問題であるため,加害者側には致し方ないところです。

この点,被害者が示談だけで終了させることに難色を示せば,やむを得ず刑事手続の対象になりますが,その後でも示談が有益であることに変わりはありません。捜査を受けたとしても,その後に示談が成立すれば,逮捕や起訴の可能性が大きく低下することは間違いなく,一般的には不起訴処分で終了することになりやすいでしょう。

示談ができるか,できるとしてどのタイミングになるかは被害者側の方針によりますが,加害者としては,被害者がどのような方針であっても示談を目指すべきことに変わりはないと考えて差し支えありません。

②金額の争いが生じやすい

業務上横領事件では,被害額の正確な特定が困難であるため,支払うべき金額がいくらかという点に争いの生じることが少なくありません。
特に,勤務先で事業用の金銭を管理している立場で横領行為をしてしまった,という場合,他に収支を管理している人がいなければ,正確な金額計算をできる人は基本的に存在しないこととなります。また,加害者の横領行為とは別に会計上の不明な部分が存在することも珍しくないため,加害者と関係のない点も加害者のせいにされてしまう場合が一定数見られます。

この点,金額の争いがあった場合に具体的な対応をどうするかは,個別の内容によるところですが,金額の差があまり大きくない場合には,被害者側の言い分にできる限り沿った対応を行うのが望ましくなりやすいでしょう。若干の金額を調整できれば示談に至る,というのであれば,示談の成立を優先する方が加害者の利益も大きいためです。それだけ,業務上横領事件で被害者と示談できることの価値は高いものです。

ポイント
被害者側のコンプライアンスに対する方針に左右されやすい
横領行為と関係のない金額のズレも被害額と主張されやすい

業務上横領事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で業務上横領事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

一般的な在宅事件では,34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

業務上横領事件の場合,横領額を基準とした示談金の支払いが想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(50万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:50万円

計:139万円

弁護士費用の例

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さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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【商標法違反事件の示談を知りたい人のために】示談すると処分は変わるのか,誰とどのような内容の示談をすべきかなどを弁護士が解説

このページでは,商標法違反事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

商標法違反事件の処分は示談で変わるか
商標法違反事件における示談相手は
商標法違反事件で示談をする方法
商標法違反事件の示談金相場
商標法違反事件の示談内容・条項
商標法違反事件の示談で注意すべきこと
商標法違反事件の示談に必要な費用

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商標法違反事件の処分は示談で変わるか

商標法違反の事件は,示談が成立することで処分が大きく変わり得る類型ということができます。

そもそも,商標法違反とされる事件は,他人の「商標」に関する権利を侵害するものです。商標とは,主に企業ロゴを指しますが,ブランドイメージの築かれた企業ロゴを勝手に用いてそのブランド力に便乗するような行為が,商標法違反として禁じられています。具体的には,以下のような行為が挙げられます。

商標法違反となる具体的な行為

偽造品の作成・販売企業ロゴを模倣したニセ物を作成・販売する行為
類似商標の使用他の商標に似せて作成した商標を使用する行為
同一商標の無断使用商標権者の許諾を得ることなく、その商標を使用する行為

これらは,商標が持つブランドイメージやブランド力を,第三者が自分の利益とするために勝手に用いるため,商標権を持つ企業などの利益が侵害されてしまう違法行為として罰則の対象となります。
そうすると,商標権を侵害された企業自身が,示談によって商標法違反となる行為を許す場合には,商標権侵害となる行為を処罰する可能性は大きく低下するため,刑事処分の結果に多大な影響を及ぼすことが通常です。

商標法違反で処分の軽減を目指したい場合は,まず示談の検討をすることをお勧めします。

商標法違反事件における示談相手は

商標法違反の事件では,示談を試みることが重要となりますが,誰を相手に示談を試みるかは個別具体的な検討が必要となる問題です。

①商標権者(企業)を相手とする示談

商標法違反は,商標権を持つ企業の権利(商標への信用や財産的価値)を侵害する行為であるため,その企業を相手に示談をするのが最も直接的です。商標権者が商法法違反となる行為を許した場合には,刑事処分は劇的に軽減することがほとんどでしょう。

もっとも,商標権者である企業との示談には,大きな問題が生じやすいところです。それは,企業側の方針として,示談への対応を一律で断っている場合が非常に多い,という点です。
商標権者の立場からすると,商標権侵害について示談に応じるメリットはあまりありません。強いて言えば示談金の受領による経済的な利益が挙げられますが,個人が支払う程度の若干の金銭がブランド力ある商標の権利者にとって大きな利益となることは考えにくいでしょう。特に,商標権侵害の対象となる企業は,規模の大きい著名な企業であることが多いため,その傾向は更に顕著となります。
そのため,企業にとって一つ一つの示談に対処することは損失が大きく,キリがないため,加害者からの示談の申し出を一律で断り,対応の負担を削減していることが大多数なのです。

そうすると,商標法違反で捜査をされている場合,商標権者との直接の示談は,現実的には困難であると考える方が適切でしょう。もちろん,個別の示談に応じてもらえる場合には,可能な限りの示談交渉を尽くすべきところですが,商標権者との示談ありきで考えるのは合理的とは言い難いところです。

②対象商品の購入者を相手とする示談

商標法違反の場合,対象商品の購入者との間で示談を行うことで,処分の軽減を目指すことが考えられます。購入者は,当然ながら商標権者ではないため,商標法違反行為によって商標に関する権利を侵害されているわけではありませんが,刑事処分を検討するにあたっては無視できない存在となります。なぜなら,商標法違反が刑罰によって守ろうとしているのは,商標権者の利益だけではないからです。

商標法違反が保護している利益としては,以下の各点が挙げられます。

商標法違反が保護する利益

1.商標に対する信用や財産的価値
2.商品流通の秩序や,商品を手にする消費者・事業者の利益

商標権侵害によって利益を損なうのは,直接的には商標権者ですが,それだけではありません。その商品が転々流通してしまうと,正規の商標がある商品と誤解して手にした消費者や事業者も,同様に利益を害されてしまいます。
そのため,偽造品などを購入させられた消費者や事業者も,間接的ながら被害を受けている立場にあると言えます。

そうすると,対象商品の購入者も被害者と位置付けられることから,購入者との示談が有力な方法になるのです。

また,対象商品の購入者は,以下のような理由から,商標権者に比べて示談交渉ができる可能性は高いと考えられます。

購入者と示談交渉できる可能性が高い理由

1.特定できている場合が多い
→警察への通報など,捜査のきっかけに関与していることが多い

2.個人又は個人事業者である場合が多い
→商標権者である企業と比べて一律拒否の可能性が低い

3.経済的損害を回復する必要が大きい
→商品の購入によって金銭を失っているため,具体的損害がある

商標法違反の事件においては,商品の購入者との示談によって,できる限り処分の軽減を目指すことが有力な手段でしょう。

ポイント 示談相手

1.商標権者
→直接の被害者
→ただ,一律拒否していることが多く,現実的でない

2.商品の購入者
→間接的な被害者
→示談の可能性があり,示談に処分軽減の効果もある

商標法違反事件で示談をする方法

商標法違反事件における示談は,捜査機関に対して示談を申し入れる方法により行うことが適切です。いきなり被害者側と直接の連絡を取るのではなく,捜査機関の担当者から被害者側に問い合わせてもらい,示談の意向を確認してもらう,という流れを取ることが一般的です。
事件類型的に,加害者が被害者の個人情報を把握している場合が少ないこともあり,被害者の連絡先を獲得するための試みとしても必要な動きになります。

もっとも,捜査機関は,加害者自身に被害者側の連絡先を伝えることは通常しません。そのため,加害者自身が示談を申し入れてきても,被害者との間を取り持つことはしないのが一般的です。
示談の申し入れを行いたい場合は,自分で直接行うのではなく,弁護士に依頼し,弁護士を窓口にして進めることが適切となります。被害者との連絡先の交換も,弁護士限りという形を取ることを約束すれば,捜査機関に間を取り持ってもらうことが可能です。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

商標法違反事件の示談金相場

①商標権者(企業)との示談

商標権者との間では,示談のできることが基本的にありません。そのため,示談金の金額を話し合う,ということもあまりないことが通常です。

この点,金銭の支払いが生じる場合としては,以下のようなケースが挙げられます。

商標権者に金銭を支払う場合

1.金銭の請求を受けた場合
2.加害者側が一方的に金銭を支払う場合

このうち,「1.金銭の請求を受けた場合」は,商標権者が自身に生じた損害を計算し,賠償するよう求めてきたケースとなります。このような請求は,内容の不合理である場合が少なく,金銭を支払う数少ないチャンスでもあるので,可能な限り請求額に沿って応じるのが適切でしょう。

また,「2.加害者側が一方的に金銭を支払う場合」は,商標権者に対応を拒まれたものの,加害者が商標権者の了承なく支払ったという形を取るケースを指します。具体的には,一定の金額を「供託」という方法で法務局に預けることで,商標権者が受領しようと思えばできる状態を作るものです。
供託する場合の金額は,商標権者に生じたであろう損害となりますが,基本的には商標権侵害によって得られた利益を基準とするのが有効でしょう。

ただし,商標権者の意思とは無関係に行うものであるため,処分に具体的な影響がない場合も否定できません。実際に検討する場合には弁護士との十分な相談が適切でしょう。

ポイント
請求を受けた場合は請求額に沿って支払う
一方的に支払う場合は,得られた利益を基準に供託

②商品の購入者との示談

商標法違反事件について,商品の購入者との間で示談を行う場合,その示談金額は商品の価格を基準とすることが一般的です。購入者には,商品の価格を支払わされたという損害が発生しているため,その損害を埋め合わせることがまず必要になるためです。
ただ,購入者に商品相当額を支払うことは加害者側の義務というべきものでもあるため,示談とするには,迷惑料や慰謝料といった名目の金銭を上乗せして支払うことが現実的でしょう。そして,上乗せする金額の目安としては,10~30万円ほどという場合が多く見られるところです。

個別のケースでは,以下のような事情を考慮することが考えられます。

示談金に関する主な考慮事情

1.商品や商標の具体的内容
2.販売時のやり取りの内容
3.購入者側に生じた損害の内容・程度
4.購入者側の感情面

商標法違反事件の示談内容・条項

①一般的な示談条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。清算条項を取り交わせば,その後に相手から金銭を追加請求される可能性は法的になくなります。
もっとも,商標権者との関係では,清算条項の取り交わしに応じてもらえる場合はあまり多くありません。商標権者の立場からすると,損害のすべてを把握できているとは限らない状況で,「加害者にこれ以上請求しない」という約束をするメリットがないためです。
一方,対象商品が明らかな購入者との間では,確実に清算条項を設けることが適切でしょう。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項とは,被害者が加害者を許す,という意味の条項です。
示談が刑事処分に有利な影響を及ぼすのは,基本的にこの宥恕条項があるためです。被害者が加害者を許している,という事実が,刑事処分を劇的に軽減させる要素となります。

ただし,商標権者が宥恕条項に応じることはあまりありません。加害者を許す,という対応は一律拒否していることが多いためです。
一方,購入者との間で示談する場合には,確実に宥恕条項を設けたいところです。購入者への積極的な金銭賠償は,宥恕獲得のためと言っても過言ではないでしょう。

②商標法違反事件で問題となる条項

【販売行為の禁止】

今後の商標権侵害を防ぐため,加害者による販売行為を禁止する条項を設けるかどうか,問題になる場合があります。
今後の販売禁止は,商標権者や商品の購入者にとっては望ましいところですが,加害者にとっては生活に関わる可能性もあるため,個別の検討を要するでしょう。

特に,通常は多数の商品の販売業を営んでおり,今回は一部の商品だけが商標権侵害の問題になった,という場合,他の商品の販売も広く禁止する条項を設けてしまうのは,加害者側の経済活動に対する制限が大きくなり過ぎる危険もあります。

実際の示談交渉で問題となった場合には,経済活動への過大な支障を防ぎながら被害者側とのバランスを保つ交渉が必要になるため,弁護士と十分に方針を協議しましょう。

商標法違反事件の示談で注意すべきこと

①示談が成立しても不起訴とは限らない

商標法違反の示談は,主に商品の購入者との間で行いますが,商品の購入者との間で示談が成立したとしても,直ちに不起訴になるとは限りません。商品の購入者は,商標権者でなくあくまで間接的に損害を受けた立場にとどまるため,購入者の宥恕がすべての解決につながるとは言えないためです。

示談の試みに際しては,不起訴の可能性をできる限り高めるチャレンジの一環として,購入者との示談を試みるという発想が合理的しょう。

②購入者が特定できない場合

捜査のきっかけによっては,購入者が特定できず,現実的に示談が困難な場合も少なくありません

例えば,インターネット上の販売ページを閲覧した第三者が通報したような場合や,捜査機関のサイバーパトロールで発覚したような場合だと,購入者がいるかどうか,購入者がいた場合に誰か,ということは分かりません。そのため,示談を試みようと思っても困難である可能性があり得ます。

購入者との示談が可能であるのは,購入者が商品を確認して犯罪が発覚した,という場合に限られることに注意が必要でしょう。裏を返せば,購入者との示談が可能であるという状況は,商標法違反の事件の中でも対応手段のある恵まれた状況ということができるかもしれません。

③余罪が多数ある場合

特に事業として多数の販売行為をしている場合,商標法違反の余罪が多数あるケースもあり得ます。そのようなケースでは,特定の事件で購入者と示談が成立しても,他の事件との関係では処分の軽減につながらない点に注意が必要です。

示談相手が商品の購入者である場合,示談が処分に影響するのは,その商品に関してのみであるため,全体として不起訴になるためには,すべての商品の購入者と示談を行う必要があります。もっとも,そのような示談は現実的でない場合も少なくないため,実際の対応方針は弁護士との綿密なご相談を強くお勧めします。

商標法違反事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で商標法違反事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

一般的な在宅事件では,34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

商標法違反事件の場合,購入者との関係では10~30万円の示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(30万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:30万円

計:119万円

弁護士費用の例

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早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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【器物損壊事件の示談を知りたい人のために】器物損壊事件で前科を防ぐために不可欠な示談の知識を分かりやすく解説

このページでは,器物損壊事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

器物損壊事件と示談の関係
器物損壊事件における示談のメリット
器物損壊事件で示談をする方法
器物損壊事件の示談金相場
器物損壊事件の示談内容・条項
器物損壊事件の示談で注意すべきこと
器物損壊事件の示談に必要な費用

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器物損壊事件と示談の関係

器物損壊事件は,「親告罪」と呼ばれる犯罪類型です。「親告罪」とは,告訴がなければ起訴できない犯罪を言います。

告訴は,被害者が加害者の刑罰を望む意思表明をいいますが,器物損壊事件で被害者が加害者の刑罰を望まないのであれば,わざわざ国が積極的に刑罰を科すべきでない,という制度になっているのです。そのため,器物損壊事件の処分は,告訴の有無によって決定的に左右されます。

器物損壊事件が捜査されるのは,被害者の告訴があるか,被害者が告訴する見込みであることが大前提となります。そのため,捜査を受けている以上,被害者の告訴はあるものだと考えるべきであり,加害者としては告訴を取り消してもらうことを目指すことが必要となります。

そして,加害者が被害者に告訴の取り消しを依頼するために必要なことが,示談です。告訴の取り消しを内容とする示談を被害者に承諾してもらうことが,告訴の取り消しを獲得するほぼ唯一の手段と言ってよいでしょう。

そのため,器物損壊事件においては,示談が決定的な役割を持っているということができます。

ポイント
器物損壊事件の起訴には告訴が必要
示談で告訴を取り消してもらえれば,起訴される可能性がなくなる

器物損壊事件における示談のメリット

①確実に前科を防げる

器物損壊事件は親告罪であるため,適切な内容の示談が成立すれば確実に不起訴処分となることが可能です。不起訴処分となれば,刑罰は科されないため,前科が付くこともありません。

一般的な刑事事件では,示談によって前科を防げる可能性が大きく上がると指摘できるものは決して少なくありません。しかし,示談をすれば確実に前科を防げる事件というのは,逆にそれほど多くはありません。
示談さえできれば確実に前科が防げるというのは,それだけ大きなメリットであり,器物損壊事件で示談の持つ効果は計り知れないということができるでしょう。

②確実に将来の逮捕を防げる

器物損壊事件で示談が成立すれば,その事件で起訴される可能性がなくなるため,その事件で加害者を逮捕する必要もなくなります。逮捕という手続は,捜査をより円滑に行うために加害者の身柄を拘束するものですが,起訴できない事件を捜査する必要はないので,示談後に逮捕までして捜査を行うことは通常ありません。

示談さえできれば確実に逮捕されなくなるため,器物損壊事件では,示談によって生活の平穏を確実に守ることができる,と言えるでしょう。

③確実に早期釈放される

器物損壊事件で逮捕勾留されている場合,示談が成立すればそれ以上逮捕勾留しておく必要がなくなります。そのため,器物損壊事件では,示談の成立が確認でき次第,速やかに釈放されることとなるのが通常です。

生活への影響を防ぐため,身柄拘束の期間は少しでも短いことが重要です。身柄拘束された器物損壊事件では,迅速な示談によって早期釈放を目指すことが大切な動きになるでしょう。

ポイント 示談のメリット

器物損壊事件は告訴がなければ起訴できない
→確実に前科が防げる
→確実に示談後の逮捕が防げる
→確実に早期釈放がなされる

器物損壊事件で示談をする方法

器物損壊事件で示談を試みる場合には,弁護士へ依頼し,弁護士に示談交渉を試みてもらうことが必要です。

被害者への連絡は,まず捜査機関の担当者を通じて行ってもらうことになりますが,捜査機関は当事者間の直接の連絡は承諾してくれないため,自分で捜査機関に依頼しても,被害者への連絡は断られてしまいます。
そのため,捜査機関から被害者に連絡してもらうためには,弁護士に依頼の上,弁護士を間に挟む方法で行うことが必要になるのです。

依頼を受けた弁護士は,捜査機関担当者に連絡し,示談希望の旨を被害者に伝えてもらうよう依頼します。捜査機関が被害者の意向を確認し,被害者が連絡先の交換に了承すれば,弁護士に被害者の連絡先が伝えられ,弁護士と被害者との連絡が開始できることになります。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

器物損壊事件の示談金相場

器物損壊事件の示談金は,損壊してしまった財産の価値によって変化するのが通常です。基本的には,損壊された財産の価格にいくらかの迷惑料・慰謝料を上乗せする形で示談金額とすることになりやすいでしょう。

この点,特に高価な財産ではない場合,示談金の相場としては10万円前後が目安になるところです。
ただし,当事者間のトラブルが単純な器物損壊事件ではない場合,例えば,継続的に争いが生じていた間柄で,一方がエスカレートして器物損壊事件を起こしてしまったような場合には,被害者側の感情面が非常に強い可能性があり,示談金は大きくなることが見込まれます。

ポイント
示談金は損壊された財産の価格+迷惑料・慰謝料
財産がそれほど高価でなければ,10万円前後が目安

器物損壊事件の示談内容・条項

①一般的な示談条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。清算条項を取り交わせば,その後に相手から金銭を追加請求される可能性は法的になくなります。

②器物損壊事件で特に設ける条項

【告訴取消】

親告罪である器物損壊事件の場合,被害者が告訴を取り消すことを示談の条項に盛り込むのが不可欠です。器物損壊事件で示談をした場合には,確実に不起訴処分が獲得でき,前科を防ぐことができますが,それは示談の中に告訴の取り消しを盛り込んだ場合に限られます。示談が成立したとしても,告訴が取り消されていなければその効力は大きく減退することになるでしょう。

なお,示談の段階で告訴がなされていなかった場合,被害者には今後告訴をしないという合意をしてもらうことになりますが,意味合いは基本的に同じものと考えて差し支えありません。

器物損壊事件の示談で注意すべきこと

①示談が困難なケース

器物損壊事件では,損壊された財産の所有者が被害者となるため,その所有者から告訴の取り消しを獲得する必要があります。
もっとも,所有者は個人だけでなく,企業などの法人や,公共の財産を管理している国・自治体である場合もあり得ます。そして,個人以外が被害者の場合,示談が困難な可能性が高い傾向にあります。

法人や公的な機関は,告訴の取り消しなど,刑事事件の加害者を許すという行動を一律で断っていることが一般的です。一律の対応方針を設けなければ,対応の負担が過大になってしまうためであると思われます。
そうすると,企業の看板を壊してしまって法人が被害者であるとか,道路標識を壊して国又は自治体が被害者であるといった場合には,被害者から告訴の取り消しを獲得することが難しいことが多くなるでしょう。

その場合は,被害弁償として損害を補填するための金銭を支払うことをまずは目指すのが賢明です。器物損壊罪は財産に対する犯罪ですので,財産への損害を金銭で埋め合わせることは,その犯罪の責任を軽減させてくれます。
また,刑事責任があってもなくても,加害者は被害者側に金銭賠償をする義務を負っているため,金銭賠償の問題が紛争化することを未然に防ぐ効果も生じるでしょう。

②示談金が高額になりやすいケース

器物損壊事件の示談金は,損壊された財産の価値によって異なるため,財産の価値が高いほど,示談金も高額にならざるを得ないところです。

具体的に,財産の価値が高いため示談金が高額になるケースとしては,以下のような類型が考えられます。

示談金が高額になるケース

1.損壊された財産の価格が客観的に高い
2.損壊された財産の価値が被害者にとって高い(思い入れが強い)

このうち,「1.損壊された財産の価格が客観的に高い」場合は,その客観的な価値に応じた金額とすべきことが明らかであるため,金額は高いながらも複雑な問題ではありません。しかし,「2.損壊された財産の価値が被害者にとって高い(思い入れが強い)」場合は,示談金の定め方そのものが不明確にならざるを得ず,当事者間で適正な示談金額の認識に相違が生じることも珍しくありません。

具体的にどのような落としどころを目指すかは,個別の内容に応じて弁護士に相談するのが適切ですが,被害者が客観的な価値以上にその財産を大事にしている可能性を想定しておく,ということは大切でしょう。事前に想定できていれば,実際にそのような問題になった場合にも適切に対処・検討することが可能になります。

ポイント

個人以外が被害者の場合,告訴の獲得は難しい
→金銭の支払で経済的な補填を尽くすことを目指す

被害者にとっては客観的な価値以上に大切な財産である場合も
→事前にその可能性を踏まえておくことが有益

器物損壊事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で器物損壊事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

一般的な在宅事件では,34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)→0円
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

通常,示談が成立した場合に成功報酬が発生し,その上で不起訴処分が獲得できた場合に別途成功報酬が発生します。しかし,器物損壊罪の場合,示談が成立すれば確実に不起訴処分となるため,2つを合わせて不起訴処分の成功報酬のみとすることが可能です。

そのため,示談成立,不起訴となった場合に限り,33万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

器物損壊事件の場合,特に高額になる事情がある場合を除き,10万円ほどの示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(10万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+33万円=67万円
示談金:10万円

計:77万円

弁護士費用の例

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【傷害事件の示談を知りたい人のために】傷害事件で不起訴を獲得するために示談は必要か?示談金相場や計算方法も紹介

このページでは,傷害事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

傷害事件で示談は必要か
傷害事件における示談のメリット
傷害事件で示談をする方法
傷害事件の示談金相場
傷害事件の示談内容・条項
傷害事件の示談で注意すべきこと
傷害事件の示談に必要な費用

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傷害事件で示談は必要か

傷害事件では,円滑な解決のために示談が必要であると理解するのが適切です。

傷害事件とは,他人に暴行を加えた結果,傷害結果を負わせる事件を言います。殴ってケガをした,という場合はもちろん,大音量で睡眠障害に陥らせる場合なども含むもので,広く「他人の生理的機能に障害を与えること」があれば傷害罪に該当します。

そうすると,傷害事件の場合,必ず相手になる被害者が存在し,被害者には何らかの具体的なダメージが生じているということになります。そして,傷害事件に対する処分は,被害者に対するダメージがどの程度のものか,加害者がダメージをどのくらい補填したのか,していないのか,といった点が考慮されるものとなります。

この点,加害者が被害者のダメージを補填する最も有効な手段が,示談です。示談金の支払で経済的に被害者の損害を埋め合わせるとともに,その内容を被害者も納得(合意)しているとなれば,被害者のダメージは大部分が補填されたという理解になることが一般的でしょう。

そのため,傷害事件の処分は,示談が直接の影響を大きく及ぼす性質のものであり,傷害事件では示談が必要と理解するべきところです。

ポイント
傷害事件は被害者に具体的な損害が生じている
加害者が損害を補填したかどうかが処分に大きく影響する
損害を補填する最も有効な手段が示談

傷害事件における示談のメリット

①逮捕を防ぐことができる

傷害事件は,逮捕されることが比較的多い事件類型です。傷害事件は,当事者間に強い感情的な対立があるか,加害者が一方的に被害者への強い感情を抱いているか,という経緯で起きることが通常ですが,そのような状況を放置すると,トラブルが再発したり深刻化したりする恐れが大きいと考えられます。
そのため,当事者を物理的に引き離し,二次被害を防ぎながら捜査をする,という方針が取られやすいのです。
逮捕された場合,最大72時間の身柄拘束の後,勾留が決定されればさらに10日間,勾留延長となれば加えて最大10日間という,長期間の身柄拘束も懸念されます。20日を超える身柄拘束となれば,日常生活への影響は避けられません。

逮捕から起訴までの流れ

この点,示談が成立した傷害事件で逮捕を行うことは通常考えにくいということができます。示談が成立している以上,当事者を物理的に引き離さなくてもトラブルが再発したり深刻化したりする可能性がないためです。

傷害事件が逮捕の恐れもある事件類型であることを踏まえ,早期の示談を試みることが有益でしょう。

②刑事裁判を防ぐことができる

傷害事件の場合,犯罪の立証ができないケースを除いて,基本的に起訴することが通常です。被害者に暴行し,傷害結果を負わせた以上,その責任を刑罰という形で取らせる運用が一般的とされます。
起訴されてしまうと,刑事裁判を受け,無罪にならない限り裁判所から刑罰を受けることになります。こうなれば,前科(=刑罰を受けた経歴)が付くことは避けられません。前科に伴う数々の不利益が,その後の生活に悪影響を及ぼす可能性も高くなってしまいます。

この点,傷害事件で示談が成立した場合,刑事裁判には至らない方が多数です。傷害事件は,特定の被害者に対する事件であるため,その被害者が刑事裁判を希望しない以上,刑事裁判を行う必要がない,との判断になりやすいのです。

刑事裁判を受けるのは,その手続に応じる負担自体も決して軽くはないため,刑事裁判を防げることのメリットは非常に大きいと言えるでしょう。

③金銭問題が解決できる

傷害事件が起きた当事者間では,刑罰の問題と同時に金銭問題も発生します。被害者に具体的な傷害結果が生じている以上,治療費もかかりますし,精神的苦痛に対する慰謝料も想定されるところです。
そして,この金銭問題は,加害者が刑罰を受けたとしても解決するものではありません。刑罰の問題(刑事事件)と金銭問題(民事事件)は独立した別々のものであるため,刑罰を受けた上で,さらに金銭を請求されるという可能性も十分に存在します。

この点,傷害事件の示談は,傷害事件によって被害者が受けた損害についての金銭的解決もあわせて行う内容になります。示談を取り交わした後には,互いに金銭を請求しない(請求する権利がない),という合意をするため,示談後に被害者から金銭請求を受ける可能性がなくなるのです。

傷害事件では,金銭問題が必ずついてくるため,示談によって金銭問題も同時に解決できることは大きなメリットでしょう。

ポイント 示談のメリット

傷害事件は逮捕の恐れが小さくない
→示談をすれば逮捕を防げる

傷害事件は基本的に起訴される
→示談すれば起訴を回避でき,刑事裁判を防げる

傷害事件では金銭問題が同時に生じる
→示談によって金銭問題を含めた解決ができる

傷害事件で示談をする方法

傷害事件で示談を試みる場合,まずは弁護士に依頼することが必要です。示談は,自分で直接行うのではなく,代理人となる弁護士を窓口にして行うことになります。
一応,両当事者が了承すれば,当事者間で直接示談交渉を行うことも不可能ではありません。しかし,傷害事件では被害者側が加害者と直接示談交渉したいと希望するとは考え難く,当事者が直接交渉を行うのはトラブルの原因になりかねないので,当事者間の直接交渉は基本的には不適切と考えるのが合理的でしょう。

弁護士が依頼を受けた場合,警察や検察の捜査担当者に問い合わせ,示談を希望したい旨を被害者に伝えてもらうよう依頼します。捜査担当者が被害者の意思を確認し,被害者が了承すれば,連絡先を交換するなどして直接のやり取りに移行することが可能となります。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

なお,捜査機関が間を取り持つのは,加害者が弁護士に依頼し,弁護士から動きを取った場合のみです。捜査機関は,トラブル回避のため当事者同士を引き合わせることは拒否するので,その意味でも弁護士に依頼することが必要になります。

傷害事件の示談金相場

傷害事件の示談金は,暴行の具体的な内容や被害者に生じた傷害結果などによって大きく左右されます。
そのため,具体的な金額水準は個別のケースによりますが,最も代表的である「素手素足の暴行により加療2週間程度の打撲を負わせた」というような例では,20~30万円程度が有力な目安になりやすいでしょう。

ただし,これはあくまで暴行の内容や傷害結果を限定した場合の目安にとどまります。特に,重大な傷害結果が生じてしまった場合は,百万円単位の示談金が発生することも考えられるため,個別事件における金額の目安は弁護士に相談することお勧めします。

一般に,示談金額を左右する事情としては,以下のような点が挙げられます。

示談金額を左右する事情

1.暴行の内容
→凶器を用いている場合,身体生命の危険が大きな暴行の場合には,高額になりやすい

2.傷害結果
→傷害が重い場合や,後遺障害が残る場合には,高額になりやすい

3.被害者の業務への影響
→被害者の収入額に直接の影響が生じている場合,その分高額になりやすい

傷害事件の示談内容・条項

①一般的な示談条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。清算条項を取り交わせば,その後に相手から金銭を追加請求される可能性は法的になくなります。
金銭問題を同時に解決できるのは,示談の中に清算条項を設けるためです。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項とは,被害者が加害者を許す,という意味の条項です。
示談が刑事処分に有利な影響を及ぼすのは,基本的にこの宥恕条項があるためです。被害者が加害者を許している,という事実が,刑事処分を劇的に軽減させる要素となります。
加害者にとっては,示談=宥恕の獲得と理解してもよいかもしれません。

②傷害事件で特に定めやすい条項

【接触禁止】

加害者が被害者に対して接触を図ることを禁止する条項です。
家族間や仲直りした間柄などの例外的なケースを除き,傷害事件の当事者間は示談後に一切接触しないことが適切です。そのため,傷害事件の示談では,互いのために双方が相手に接触しないことを合意する場合が多く見られます。

相手が接触禁止を求めた場合,接触禁止に応じるデメリットは基本的にないため,この点は示談に盛り込むことが適切でしょう。

【現場への接近禁止】

事件の現場になった場所の近辺に接触することを禁止する条項です。偶然にでも加害者と会うことがないよう,被害者から求められることがあります。
具体的な接近禁止の対象としては,以下のような例が挙げられます。

接近禁止の例

1.事件の発生した店舗や施設
2.事件の発生した電車
3.路上で事件が起きた場合の現場周辺

もっとも,これらの接近禁止は,あまり広範囲に定めてしまうと加害者側の負担が過度に大きくなる可能性もあり得ます。具体的に接近禁止を合意する場合には,無理が生じないよう条件を慎重に検討するのが適切です。

傷害事件の示談で注意すべきこと

①感情的な請求を受ける場合

特にケンカのような態様で起きた傷害事件では,被害者側が強烈な悪感情を持っていることが珍しくありません。そして,その感情は示談条件の要求という形でぶつけられることも多く見られます。
非常に大きな金額の示談金を求められる,といったことが代表例ですが,事件の内容を客観的に踏まえた金額を大きく超えた請求がなされ,「これに応じないのであれば示談しない」という強いスタンスで応じられる場合がある,というのが傷害事件の特徴の一つでしょう。

この場合,基本的には金銭面で譲歩するかしないか,という選択肢にならざるを得ません。受けている請求が過大である場合,過大な請求であることを踏まえながら受け入れるか,過大な請求だから断るか,という二択になりやすいでしょう。
過大な請求であると断る場合,結果的に示談は成立しないことも考えられます。これは,示談が当事者間の契約である以上,やむを得ないと言わざるを得ないところです。

②捜査担当者から示談を勧められる場合

傷害事件では,捜査機関(特に担当検察官)から示談を勧められる場合もあり得ます。捜査機関としては,当事者間で解決できるのであればその方が望ましいと考えることが多いため,刑罰だけで終了させるのではなく示談の道がないか,という検討を行うことが少なくありません。

そして,担当検察官から示談を積極的に勧められた場合は,可能な限り示談の試みを行うことをお勧めします。なぜなら,示談を勧める検察官の真意は,「示談が成立すれば速やかに不起訴処分にできる」というものであることが非常に多いためです。不起訴処分となれば,刑罰を受けることなく手続が終了するため,そのメリットは非常に大きなものとなります。
また,担当検察官が示談を勧める場合,事前に被害者側の意向を確認していることも少なくありません。そのため,勧めに応じて示談を試みたものの,結局被害者に拒否されて終わった,ということはあまりないでしょう。

ポイント
傷害事件の被害者からは,感情的に過大な請求がされることもある
担当検察官から示談を勧められた場合には,できる限り示談を試みる

傷害事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で傷害事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

一般的な在宅事件では,34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

傷害事件の場合,素手素足での暴行で加療2週間程度の打撲を負わせたケースであれば,20~30万円の示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(30万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:30万円

計:119万円

弁護士費用の例

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【暴行事件の示談を知りたい人のために】示談金額の考え方や盛り込むべき示談条件などを詳細解説

このページでは,暴行事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

暴行事件における示談のメリット
暴行事件で示談は必要か
暴行事件で示談をする方法
暴行事件の示談金相場
暴行事件の示談内容・条項
暴行事件の示談で注意すべきこと
暴行事件の示談に必要な費用

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暴行事件における示談のメリット

暴行事件で示談をすることには,以下のように多数のメリットがあります。

①前科の回避

暴行事件では,犯罪事実の存在が明らかであれば,被害者が特に許している場合を除いて起訴されることが一般的です。起訴された場合には,刑罰を受けることになるため,前科(刑罰を受けた経歴)が付いてしまいます。

この点,起訴を防いで前科が付かないようにするための最も有力な手段が,示談です。示談が成立する場合,被害者が加害者を許すという意思を表明することになるため,被害者が許した事実を踏まえて不起訴になる可能性が非常に高くなります。

被害者が許すのは,基本的に示談が成立した場合のみです。暴行事件で捜査が行われるのは,被害者が捜査や処罰を求めているからであるため,何もしなければ被害者は許さないままとなってしまいます。
示談は,被害者の許しを通じて前科を防ぐ唯一の手段として,大きなメリットのある行動と言えるでしょう。

ポイント
示談のない暴行事件は起訴されるのが一般的
示談をすれば,不起訴の可能性が非常に高くなる

②逮捕の回避

暴行事件は,被害者の身体に危害の生じる恐れが高い類型であるため,被害者を危険から守るために加害者を逮捕することが多いものでもあります。当事者間の感情的なトラブルであることも多いことから,事件の大小にかかわらず加害者を逮捕して物理的に引き離す,という取り扱いになることも少なくありません。
そして,逮捕をされると,同居家族や仕事の関係者に具体的な影響が生じかねない上,刑事施設に収容されることで重大な精神的苦痛を強いられることになります。逮捕のデメリットは極めて大きなものです。

この点,示談の成立した暴行事件は,その後に逮捕されることがほとんどないということができるでしょう。示談が成立している以上,その後に逮捕をして被害者を加害者から守る必要がないためです。

逮捕を防ぎ,円滑に事件を解決するための手段として,示談のメリットは非常に大きいと考えてよいでしょう。

ポイント
暴行事件は逮捕される場合が多い
示談が成立すれば,逮捕の必要はほとんどなくなる

③早期釈放

暴行事件で既に逮捕や勾留という身柄拘束をされている場合,早期釈放の手段として示談は非常に有力です。

逮捕をされた場合,まず最長72時間拘束された後,10日間の勾留,さらには最長10日間の勾留延長と,20日を超える期間の身柄拘束を強いられる可能性も否定できません。勾留延長までがすべて行われてしまう場合,加害者の生活はそれまでとは一変しているでしょう。
一方,少しでも早期に釈放されれば,それだけ生活への悪影響も小さく済むことが多いはずです。

この点,逮捕の後に示談が成立した場合,勾留をするか,さらには勾留延長をするか,という局面において,釈放の判断を促す非常に大きな材料になります。逮捕後に勾留されず釈放された場合は,最長72時間の身柄拘束で済むことになるため,生活への影響も最小限に抑えられるでしょう。

逮捕から起訴までの流れ

④被害者との解決

暴行事件は,犯罪であるという側面のみでなく,当事者間の法律問題(民事事件)の側面も持つトラブルです。具体的には,被害者が加害者に対して,精神的苦痛への慰謝料などを金銭で支払うよう請求することが可能とされます。
そして,この金銭請求の権利は,加害者が刑罰を受けても影響されません。そのため,加害者としては,刑罰を受けた上でさらに被害者から金銭を請求される可能性もあり得ます。

この点,示談が成立した場合,被害者との法律問題も同時に解決することとなります。そのため,示談成立後に被害者から金銭を請求される可能性はなくなり,当事者間でのトラブル解決にもつながるでしょう。

ポイント
被害者から金銭を請求される可能性がある
示談が成立すれば,被害者からの金銭請求もなくなる

暴行事件で示談は必要か

暴行事件の場合,疑われている内容に間違いがなければ,処分軽減のためには示談が必要と考えるべきです。
事件の内容が間違いない場合(認め事件の場合),処分の重さは被害者の意向を反映する形で決められます。被害者が処罰を望めば処罰が科されやすく,逆に被害者が処罰しないことを望めば処罰が科されづらくなるのです。

そのため,被害者に処罰を望まない意思を表明してもらうために,その唯一の手段である示談を行う必要がある,ということになります。

一方,疑われている内容が事実でない,という場合(否認事件の場合)には,示談を行うかどうかに慎重な判断が望ましいでしょう。

示談の基本的な内容は,被害者への謝罪と賠償です。これを受けた被害者が加害者を許すことで,示談が刑事処分の軽減につながるというわけです。
そのため,被害者への謝罪と賠償を行うべきでない場合,謝罪と賠償を内容とする示談を行うのは不合理です。最悪の場合,疑いが事実でない,という主張の信用性に悪影響を及ぼす可能性もあります。疑いが事実でないのに被害者への謝罪と賠償をするのは矛盾するからですね。

ただし,否認事件であっても,解決を急ぐ目的で示談を行うことはあり得ます。その場合は,示談の内容に配慮する必要があるため,必ず専門家の意見を仰ぐようにしましょう。

ポイント
認め事件では示談が必要
否認事件では示談するか慎重な判断をすべき

暴行事件で示談をする方法

暴行事件における示談は,捜査機関(警察や検察)から被害者に連絡を入れてもらう方法で試みることが一般的です。捜査機関担当者が被害者に示談への意向を確認し,示談交渉を了承する場合には連絡先の交換に至る,という流れが通常です。

しかし,捜査機関がこのような取り扱いをするのは,加害者が弁護士を通じて示談を試みる場合に限られます。弁護士を間に挟まない限り,示談交渉を開始することはできません。
暴行事件の場合,当事者間に大きな感情的対立の生じていることが多いため,捜査機関は当事者を直接引き合わせることはできないと考えます。そのため,弁護士を窓口にすることを条件に,示談交渉を認めるという運用をしているのです。

弁護士が示談交渉を試みる場合の主な流れは,以下の通りです。

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

示談交渉の流れ

暴行事件の示談金相場

暴行事件の示談金は,概ね10~30万円ほどが目安になりやすいでしょう。
暴行事件は,被害者がケガをしていないことが前提であるため,被害者がケガをしている傷害事件などと比べて,示談金は低額になる傾向があります。

個別の示談金は当事者間の協議で決定しますが,示談金額に影響する事情としては以下のような点が挙げられます。

示談金に影響する事情

1.暴行の経緯
→被害者に落ち度がなければ増額要因に,被害者にも落ち度があれば減額要因になる

2.暴行の内容
→危険性の高い行為であれば増額要因に,けがをする可能性のない行為であれば減額要因になる

3.ケガのなかった理由
→被害者が回避した結果であれば増額要因に,加害者の行為が原因であれば減額要因になる

暴行事件の示談内容・条項

①一般的な示談条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。清算条項を取り交わせば,その後に相手から金銭を追加請求される可能性は法的になくなります。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項とは,被害者が加害者を許す,という意味の条項です。
示談が刑事処分に有利な影響を及ぼすのは,基本的にこの宥恕条項があるためです。被害者が加害者を許している,という事実が,刑事処分を劇的に軽減させる要素となります。

②暴行事件で特に定めやすい条項

【接触禁止】

加害者が被害者に対して接触を図ることを禁止する条項です。
暴行事件の当事者になった間柄の場合,その後に被害者が加害者と接触を希望することはほとんどありません。そのため,被害者からは,加害者が接触することのないよう約束してほしいと求められることが多く見られます。
接触禁止に応じるデメリットは基本的にないため,この点は示談に盛り込むことが適切でしょう。

【現場への接近禁止】

事件の現場になった場所の近辺に接触することを禁止する条項です。偶然にでも加害者と会うことがないよう,被害者から求められることがあります。
具体的な接近禁止の対象としては,以下のような例が挙げられます。

接近禁止の例

1.事件の発生した店舗や施設
2.事件の発生した電車
3.路上で事件が起きた場合の現場周辺

もっとも,これらの接近禁止は,あまり広範囲に定めてしまうと加害者側の負担が過度に大きくなる可能性もあり得ます。具体的に接近禁止を合意する場合には,無理が生じないよう条件を慎重に検討するのが適切です。

暴行事件の示談で注意すべきこと

①言い分の食い違いが起きやすい

特にケンカのように感情的な対立が原因となった暴行事件の場合,互いに冷静さを欠く中での出来事であるため,内容の記憶も冷静にはできていないことが多くなりがちです。
そうすると,当事者間で事件の内容に関する記憶が大きく食い違っており,相手は実際よりも自分の落ち度を大きいものと主張してくる,という場合も珍しくありません。

言い分が食い違う場合,示談金額を含めた条件をどのように定めるかは個別のケースによりますが,少なくとも言い分が食い違う可能性をあらかじめ想定しておくことは大切です。
実際に言い分が食い違った場合も,十分にあり得ることだと理解できていれば,冷静に柔軟な対応をすることも容易になります。

②将来に傷害結果が出たときの補償

暴行事件の場合,被害者の身体には支障が生じていないことが前提ですが,被害者からは「将来身体に支障があった場合には金銭で補償してほしい」と求められる場合があり得ます。
現実的には,時間が経ってから初めて身体に支障が生じることは考えにくいため,例外的なケースを除いては現実に問題になることはないでしょう。ただ,「今」示談ですべてを解決するとなると,被害者側に漠然とした不安が生じてしまうことも納得はできるところです。

そのため,基本的には「将来,暴行行為による傷害結果が明らかになった場合には別途協議する」といった形で,身体の支障が分かったときに改めて話し合う余地を残すことが合理的な解決方法になるでしょう。

ポイント
事実関係の言い分が食い違う可能性を事前に想定しておく
傷害結果が将来判明した場合に配慮した示談もあり得る

暴行事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で暴行事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

一般的な在宅事件では,34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

暴行事件の場合,10~30万円の示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(10万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:10万円

計:99万円

弁護士費用の例

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
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【ストーカー規制法違反の示談を知りたい人のために】示談は必要か?示談はどんな内容か?示談の注意点は何か?弁護士が解説

このページでは,ストーカー規制法違反事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

ストーカー規制法違反事件で示談は必要か
ストーカー規制法違反事件における示談のメリット
ストーカー規制法違反事件で示談をする方法
ストーカー規制法違反事件の示談金相場
ストーカー規制法違反事件の示談内容・条項
ストーカー規制法違反事件の示談で注意すべきこと
ストーカー規制法違反事件の示談に必要な費用

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ストーカー規制法違反事件で示談は必要か

ストーカー規制法違反事件の場合,解決のために示談は必要不可欠と理解するのが適切です。

そもそも,ストーカー規制法違反となる行為は何かといえば,「つきまとい」や「GPSによる位置情報の取得」を同一人物に対して反復して行うことです。恋愛感情が満たされなかったことへの怨恨の感情を満たす目的でこれらの行為をするのは,被害者の精神的苦痛が非常に大きいのみでなく,被害者への更なる危害も懸念されるため,ストーカー規制法で特に禁じられ,刑罰の対象となっているのです。

そのため,ストーカー規制法違反とされる行為は,特定の被害者に向けた行為であって,その責任の重さは,被害者に与える損害の大きさに応じて定められることが一般的です。被害者が大きな苦痛を受けているほど,ストーカー規制法違反の責任も重くなります。

この点,ストーカー規制法違反で示談をすることは,被害者に生じた損害の大部分が回復されたことを意味します。そして,示談によって被害者の損害が回復されている場合,これに応じて犯罪の責任の重さも大きく減少するのが通常です。

被害者の損害を事後的に回復する手段は示談以外になく,示談で被害者の損害を回復することの効果は極めて大きいため,ストーカー規制法違反事件を解決するためには示談が必要と考えるべきでしょう。

ポイント
ストーカー規制法違反の責任の重さは,被害者の苦痛の大きさに影響される
示談により被害者の苦痛が回復されるため,責任の軽減につながる

ストーカー規制法違反事件における示談のメリット

①逮捕を防げる

ストーカー規制法違反の事件が捜査される場合は,ストーカー行為が執拗に繰り返されている,と理解された場合であることが一般的です。

ストーカー規制法違反の事実を警察が把握した場合,まずは,警告や禁止命令という方法で加害者にそれ以上のストーカー行為をしないよう求めることが通常です。その後にトラブルが起きなければ,捜査を受けることなく終了することが見込まれます。
一方,警告や禁止命令にもかかわらずストーカー行為が継続された場合には,犯罪捜査に踏み切らなければならない,という判断になります。警告や禁止命令ではやめてくれなかった以上,より強い手段に出なければならないためです。

そうすると,ストーカー規制法違反の捜査は,開始された段階では既にストーカー行為を強制的に食い止める必要が大きい状況にある,という場合が非常に多い傾向にあります。そのため,確実にストーカー行為を防ぐ方法として,逮捕勾留といった身柄拘束が行われやすいです。

この点,ストーカー規制法違反の事件で示談が成立した場合,その後に逮捕されることは考えにくくなるでしょう。なぜなら,被害者と示談が成立している以上,被害者に対する危害が生じる可能性はなくなったと理解できるためです。被害者に対する危害が生じないのであれば,危害を防ぐために逮捕する必要もなくなるわけです。

ストーカー規制法違反では逮捕されやすい傾向があることを踏まえると,示談によって逮捕を防げるメリットは非常に大きなものと言えるでしょう。

ポイント
警告や禁止命令を無視してのストーカー行為は逮捕の可能性が高い
示談が成立することで,逮捕されることは考えにくくなる

②前科を防げる

ストーカー規制法違反の場合,被害者が特に加害者を許しているケースを除き,起訴されて何らかの刑罰を受けることが通常です。刑罰の内容としては,一般的には罰金刑などが多く見られますが,悪質なケースでは罰金にとどまらず,公開の裁判を受けて執行猶予又は実刑というより重い刑罰の対象になる可能性も否定できないところです。

刑事罰の種類

この点,ストーカー規制法違反の刑事処分は,被害者の意向に極めて大きく左右されます。被害者が加害者への刑罰を希望しなければ,刑罰が科される可能性は非常に低くなるでしょう。
そして,被害者が加害者への刑罰を希望しない,ということになる唯一の手段が,示談です。示談が成立する場合,被害者は加害者の刑罰を望まないという意向を示すことになるため,刑罰が科される可能性は極めて低くなります。

ポイント
ストーカー規制法違反事件は,被害者が許している場合を除き起訴されやすい
示談が成立すれば,被害者が許していることを明らかにできる

③当事者間の紛争が解決できる

ストーカー規制法違反事件に至る当事者間では,長期間に渡る複数のトラブルが起きていることが通常です。類型的に,見知らぬ人同士の間で起きることがほとんどない事件のため,当事者間でトラブルがあり,それによって感情的な対立の生じたことが,ストーカー行為につながっている,という場合が大半です。
そのため,ストーカー規制法違反事件の当事者間では,ストーカー行為以外にも解決すべき紛争がいくつも存在することが多く見られます。

この点,示談を行うときには,これらの当事者間の紛争を一挙に解決する形を取ることが通常です。両当事者にとって,ストーカー行為だけを解決しても当事者間の紛争全体の解決にはならないので,ストーカー行為のみを切り取って示談し,それ以外の紛争を棚上げにするということはあまりありません。
そうすると,ストーカー規制法違反事件で示談をすることによって,当事者間の紛争は一通り解決することになります。示談後に紛争の火種が残らないのは,大きなメリットと言えるでしょう。

ポイント
当事者間には,長期間に渡る複数のトラブルがある
示談によって,すべてのトラブルを一挙に解決できる

ストーカー規制法違反事件で示談をする方法

ストーカー規制法違反事件の場合,当事者間に交友関係があったというケースが多いため,被害者の連絡先や住居などを把握していることが珍しくありません。そのため,示談を試みたいと考えた場合,被害者に直接連絡をすることも不可能ではないでしょう。

しかしながら,被害者への直接の連絡は厳禁です。示談目的であっても,決して行わないようにするべきと考えましょう。
それは,ストーカー規制法違反事件として捜査されている以上,被害者が加害者側からの直接の連絡を受け入れる可能性がないためです。最悪の場合,更なるストーカー行為と判断され,より責任が重くなる恐れも否定できません。

ストーカー規制法違反事件で示談を試みる場合には,弁護士に依頼し,弁護士から捜査機関(警察や検察)の担当者に連絡してもらうのが適切です。連絡を受けた捜査担当者が,被害者に示談の意向を確認し,被害者が了承すれば,弁護士との間で示談交渉を開始することが可能になります。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

ストーカー規制法違反事件の示談金相場

ストーカー規制法違反事件の示談金は,ケースによりますが30~150万円ほどとされる場合が多く見受けられます。事件類型的に,示談金の幅が非常に大きくなりやすいという特徴があるところです。

示談金額に影響を与える事情や問題点としては,以下のような点が挙げられます。

①当事者間の関係全体の清算となること

ストーカー規制法違反の事件は,それまでに交友関係やトラブルがあった間柄で生じることが通常です。そのため,示談をしようとすれば,これまでの交友関係全体を清算するための話し合いとならざるを得ないことが多いでしょう。

そのため,当事者間の従前の関係が複雑であればあるほど,被害者からは高額の示談金を求められることが増えやすい傾向にあります。「あんなこともされた,こんなこともされた」という具合に,過去のトラブルについても責任を取る内容の示談を求められることは珍しくありません。

ストーカー規制法違反の事件で示談を試みる場合は,ストーカー行為とされたもののみでなく,それまでの一切のトラブルが交渉の対象になりやすい点を想定しておくことが適切です。
示談金額に幅が生じやすいのは,当事者間の関係がケースによって様々であるためです。

②刑罰との関係

ストーカー規制法違反の事件では,想定される刑罰を上回る示談金が発生する場合もある点に特徴があります。

ストーカー規制法に定められている刑罰は,以下の3種類です。

①ストーカー行為をした場合
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金

②禁止命令に反してストーカー行為をした場合
2年以下の懲役又は200万円以下の罰金

③禁止命令に違反した場合
6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

ストーカー行為があったか,禁止命令の違反があったかによって刑罰の程度が異なりますが,禁止命令違反(③)では罰金が50万円以下,ストーカー行為(①)では罰金が100万円以下と定められているため,100万円を超える示談金になった場合,法律が定める罰金額の上限を超える金銭を支払う必要が生じやすいことになります。
これは,ストーカー規制法違反の責任の重さと比較して支払金額が高すぎる可能性がある,との理解もできるでしょう。

もっとも,これは当事者間の関係をすべて清算するために起きることであり,単にストーカー規制法違反に対する示談金,というだけの意味合いではありません。そのため,金額が法律上の罰金額上限を超えたとしても,直ちに不当という考え方はしなくてもよいでしょう。

法的にも,他のトラブルが別途犯罪に当たる場合,複数の犯罪で処分される可能性があるため,ストーカー規制法違反の罰金額上限を超える刑罰になることも十分に考えられます。その意味でも,示談金額とストーカー規制法の刑罰との関係はそれほど意識する問題ではないと考える方が適切です。

ポイント
当事者間の関係や経緯によって,示談金額は変わりやすい
罰金額の上限を超える示談金になるケースもある

ストーカー規制法違反事件の示談内容・条項

①一般的な示談条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。清算条項を取り交わせば,その後に相手から金銭を追加請求される可能性は法的になくなります。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項とは,被害者が加害者を許す,という意味の条項です。
示談が刑事処分に有利な影響を及ぼすのは,基本的にこの宥恕条項があるためです。被害者が加害者を許している,という事実が,刑事処分を劇的に軽減させる要素となります。

②ストーカー規制法違反事件で特に定める条項

【接触禁止】

ストーカー規制法違反は,被害者が加害者からの接触を防ぎたい,と希望しているからこそ,捜査されているものです。そのため,被害者との解決に当たっては,接触禁止の約束をすることが必須とされやすいでしょう。

【立入禁止】

被害者の自宅や職場など,被害者の生活圏への立入を加害者に禁止する条項です。接触禁止をより確実にするため,設ける場合が大多数と考えてよいでしょう。
ただし,立入禁止の範囲が広くなり過ぎると,加害者側のその後の生活に影響しかねないため,範囲や立入方法などの条件を具体的に調整し,互いに了承の可能な内容とすることが肝要です。

【違約金条項】

被害者からは,加害者による接触禁止の約束を信用できない,との意向が示される場合も少なくありません。ストーカー規制法違反の事件は,警告や禁止命令があったにもかかわらずストーカー行為が続いた,というものであることが多数であるため,「警告や禁止命令に従わなかったのに示談内容に従うのか」という不安が被害者側に生じやすいのです。

そのため,接触禁止の約束をより強固なものとするため,約束違反にペナルティを設ける違約金条項を設けるケースも多数あります。「示談内容に反すれば違約金を支払うことになっても構わない」という意思表明によって,被害者側の納得を獲得することを目的とした条項です。

ストーカー規制法違反事件の示談で注意すべきこと

①相手に何かを要求をする交渉ではない

ストーカー規制法違反の事件では,当事者双方に何らかの言い分がある場合がほとんどです。加害者側にも,被害者への不満があるからこそ,ストーカー行為とされる行動に及んだはずです。

しかし,示談交渉の場はその不満を相手にぶつけたり,相手に何かを求めたりするものではない,という点に注意が必要です。示談の目的は,あくまでストーカー行為を被害者に許してもらうことですから,相手に自分の不満をぶつけるような行動は,示談の目的に反する極めて不合理な行為と言えるでしょう。

ストーカー事件として扱われている以上,相手が今後に渡って交友関係を保ちたいと思っている可能性はないと考える必要があります。そのため,示談に際しては少しでも円滑に,穏やかに当事者同士の関係を終了させることを目指しましょう

②親告罪ではない

ストーカー規制法違反は,従来,親告罪であったため,示談によって告訴が取り消されれば,確実に不起訴となる事件類型でした。しかし,平成28年(2016年)の法改正によって,親告罪ではなくなったため,現在は告訴がなくても事件の起訴が可能です。つまり,告訴がなくても刑罰を受けて前科が付く可能性があります

そうすると,示談をしても法的には起訴される可能性がゼロにはならない,ということになります。示談をすることで直ちに事件が終了するわけでないことには注意が必要でしょう。
もっとも,現実的には示談が成立したストーカー規制法違反の事件は,不起訴となることが通常です。被害者が起訴を希望しない以上,その意向を尊重して不起訴処分とされる傾向にあります。

ストーカー規制法違反事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所でストーカー規制法違反事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

一般的な在宅事件では,34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

ストーカー規制法違反事件の場合,30~150万円の示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(50万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:50万円

計:139万円

弁護士費用の例

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