盗撮に強い弁護士へ依頼する方法は?費用相場は?弁護士が解説

盗撮で摘発・逮捕されてしまうと、前科や社会的信用の喪失といった深刻な影響が及ぶ可能性があります。こうした事態を少しでも軽減するためには、盗撮事件に精通した弁護士へ早期に相談することが不可欠です。しかし「どの弁護士に依頼すればよいのか」「費用はいくらかかるのか」と悩む方も多いでしょう。本記事では、盗撮に強い弁護士を選ぶ方法や依頼の流れ、費用相場までを弁護士が分かりやすく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

盗撮事件で成立する罪名

一般的な盗撮事件は,性的姿態撮影等処罰法の「性的姿態等撮影罪」に該当します。
俗に「撮影罪」と呼ばれるもので,2023(令和5)年7月13日に法律が施行され,適用されるようになりました。

「性的姿態等撮影罪」は,ひそかに「性的姿態等」を撮影する行為を犯罪とするものですが,「性的姿態等」には以下のものが挙げられます。

①人の性的な部位(性器,肛門,臀部,胸部)
②人の性的な部位を覆っている下着
③わいせつな行為や性交等がされている間の人の姿

盗撮事件の場合,スカート内や着衣をつけないでいるところの撮影が対象となっていることが多数ですが,これらは全て撮影罪に該当することとなります。

この撮影罪の罰則は,3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金とされています。
なお,撮影罪の創設前は,事件により各都道府県の迷惑行為防止条例違反や軽犯罪法違反として罰則が科せられていましたが,それぞれの罰則は以下の通りです。

迷惑防止条例違反:1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(都道府県により異なります)
軽犯罪法違反:拘留(1月未満)又は科料(1万円未満)

そのため,撮影罪の創設によって,盗撮行為の罰則はより重くなる余地が生まれたことになります。もっとも,同種の事件をこれまでより厳しく取り扱っているというわけではなく、撮影罪の創設前後で刑事処分の運用に特段の差異はないとの理解が一般的です。

参照:性犯罪関係の法改正等 Q&A

盗撮の刑罰・罰則

盗撮事件の代表的な刑罰法令である撮影罪と迷惑行為防止条例違反の場合、罰則は以下のとおりです。

該当する法令刑罰
性的姿態等撮影罪3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
迷惑行為防止条例違反(一例)1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
迷惑行為防止条例違反(常習・一例)2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金

また、盗撮事件は、方法や内容によって別途以下の犯罪に該当する可能性があります。

建造物侵入罪:商業施設に立ち入って盗撮に及んだ場合
軽犯罪法違反:他人が衣服を付けないでいる場所を覗き見つつ、同時に盗撮を行う場合
児童ポルノ法違反(製造):被写体が18歳未満の場合

そして、これらの犯罪に該当した場合の刑罰は以下のとおりです。

該当する法令刑罰
建造物侵入罪3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金
軽犯罪法違反拘留(1月未満の身体拘束)又は科料(1万円未満の金銭制裁)
児童ポルノ法違反(製造)3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金

盗撮に強い弁護士へ依頼するメリット

① 示談交渉

盗撮事件において示談交渉は、被害者との円満解決を図る最も重要な手続きです。

弁護士による示談交渉では、被害者の精神的苦痛に対する慰謝料や、事件による損害の賠償について話し合いを行います。
個人で被害者に接触することは二次被害を与える恐れがあり、法的にも問題となる可能性が高いでしょう。

弁護士が代理人として交渉することで、以下のメリットが得られます。

・被害者の感情を配慮した適切な謝罪と賠償提案
・法的に有効な示談書の作成
・被害者による宥恕(ゆうじょ)の獲得
・再犯防止策の提示による信頼回復

示談が成立すれば、不起訴処分や執行猶予付き判決の可能性が大幅に向上します。
「被害者の方にどう謝罪すればよいのか分からない…」と悩む方も多いですが、弁護士なら適切な方法で被害者の心情に寄り添った交渉を進められるでしょう。

示談交渉は事件発覚後できるだけ早期に開始することが重要で、タイミングを逃すと交渉自体が困難になる場合もあります。

盗撮事件は、示談の有無が刑事処分を極めて大きく左右します。示談の手法や重要性を把握している弁護士への依頼は、刑事処分に向けて非常に大きなメリットになります。

② 逮捕回避・釈放

盗撮事件において弁護士の有無で大きく変わりやすい点の一つが、逮捕の回避や早期釈放です。

逮捕されるかどうか、逮捕された場合にどれだけ速やかに釈放されるかは、被疑者となったご本人の今後を極めて大きく左右します。そのため、弁護士への依頼によって逮捕回避や早期釈放を実現できれば、そのメリットは計り知れないものになるでしょう。

弁護士は、被疑者が初犯で反省している姿勢を示し、証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを強調するなど、個別の事件に合わせた主張を尽くし、逮捕回避の可能性を高める弁護活動を行うことが可能です。

また、既に逮捕された場合でも、弁護士は以下の活動を通じて釈放を目指します。

・勾留請求に対する意見書の提出
・勾留理由開示請求による法廷での主張
・準抗告による勾留決定への異議申し立て
・保釈請求の準備と申請

弁護士の専門的な知識と経験により、逮捕回避や早期釈放の実現可能性は大幅に向上するケースが多いでしょう。

盗撮事件の場合、逮捕されたとしても早期釈放の可能性は決して低くないケースが多く見られます。釈放を求める申立てや手続は、弁護士なしでは現実的に難しいため、弁護士への早期の依頼は非常に重要なポイントとなりやすいところです。

③ 処分軽減・不起訴

盗撮事件では、弁護士の適切な弁護活動を通じて処分の軽減や不起訴処分を実現することが十分に可能です。

不起訴処分とは、検察官が起訴しないと判断する処分を指します。不起訴処分とされた場合、刑罰を受けることなく刑事手続が終了するため、前科が付かず最もメリットの大きな結果と言えます。

被疑事実を認める内容の盗撮事件であれば、被害者との示談成立によって不起訴処分を目指すことが最も有力です。示談が成立すれば、検察官は「被害者の処罰感情がない」と判断し、不起訴処分を下す可能性が大幅に高まります。

初犯の場合や被害が軽微なケースでは、弁護士の適切な弁護活動により不起訴率が向上するでしょう。
また、起訴されても略式起訴(罰金刑)に留めるなど、処分の軽減を図る余地も十分にあり得ます。

処分の軽減を図る具体的な方法としては、以下のような手段が挙げられます。

・被害者への謝罪と賠償による示談交渉
・反省文の提出と再犯防止策の提示
・職場や家族への影響を考慮した情状酌量の主張

盗撮に強い弁護士への依頼によって、可能な限りの処分軽減を図ることは極めて重要になるでしょう。

示談を目指す場合のほか、余罪が多数あるケースや同種前科があるケースなども、弁護士との適切な協力体制が重要になりやすいです。また、その着手は早ければ早いほど処分軽減につながりやすくなるでしょう。

④ 職場や学校への影響を防ぐ

盗撮事件が発覚すると、職場や学校に知られてしまう可能性もあります。事件の性質上、周囲に発覚した場合の不利益が大きくなりやすいため、発覚を防ぎたいという要望は強いことが多いでしょう。

この点、弁護士に依頼することで、職場や学校への影響を最小限に抑えることが可能になる場合も少なくありません。弁護士は、事件の情報が外部に漏れないよう、以下のような対策を取ることが考えられます。

・捜査機関から報道機関への情報共有を避けるための交渉
・捜査機関から職場への連絡を防ぐための交渉
・捜査機関から学校への情報共有を防ぐ交渉
・被害者側から各所への情報共有を防ぐ交渉
・逮捕を回避して在宅事件として処理するための対応

特に示談が成立すれば、被害者が職場や学校に通報する可能性を大幅に減らせるでしょう。
また、逮捕されずに在宅事件として処理されれば、周囲に事件が発覚するリスクも大きく軽減されます。

盗撮事件の職場や学校への発覚は、防ぐことのできるケースと防ぐ余地のないケースがあり得ます。事件の内容や当事者のお立場、被害者の属性等によって異なりやすいところです。この点、万一防ぐ余地のないケースの場合、発覚したときの影響を最小限に抑える試みを講じることも重要になります。

盗撮事件に強い弁護士を選ぶ基準

①盗撮事件の弁護活動経験

刑事事件は,同種事件の先例を踏まえ,先例の結論と矛盾しないように運用されることが通常です。例えば,同種の先例で被疑者が釈放されているのであれば,特段の事情がない限り今回も釈放する,同種の先例が不起訴であれば今回も不起訴処分とすることを念頭に検討する,といった具合です。

そのため,刑事事件の弁護活動は,同種事件の弁護を経験しているかどうかによって,活動内容や見通しの質が大きく変わりやすい傾向にあります。先例となる同種事件の経験があれば,経験を踏まえてより正確な判断をできることにもつながり,事件解決にとって非常に重要なポイントとなるでしょう。

弁護士選びにおいては,同種の盗撮事件に関する弁護活動の経験の有無を判断材料の一つにすることが有力です。

②迅速な対応の可否

盗撮事件の場合,特に現行犯逮捕された状況だと,対応が迅速であるかどうかによってその後の流れに大きな違いの生じる可能性があります。釈放されるかどうか,いつ釈放されるか,といった点は,弁護士の対応が迅速かどうかによって変わるケースも珍しくありません。

もっとも,弁護士がどのようなペースで,どのようなタイミングで対応をするか,という点には,明確なルールがないため,基本的にすべて弁護士の判断によることとなります。依頼者側が早期の動きを期待していたとしても,弁護士がゆったりと動く方針であればそれまでです。

そのため,弁護士が迅速な対応を約束してくれるかどうか,という点は重要な判断基準の一つとするべきでしょう。具体的には,まず最初の動き出しをいつしてくれるのか,という点を確認してみるとよいかもしれません。

動き出しの例

身柄事件の場合
最初の接見をいつ行うのか

在宅事件で示談を目指す場合
示談の申し入れをいつ行うのか

③示談交渉に長けているか

盗撮事件の解決は,示談の成否にかかっている場合が非常に多いところです。そのため,否認事件を除き,弁護士による示談交渉が不可欠となるケースが多数と言ってよいでしょう。
そのため,弁護士選びは,示談交渉の代行者選びという意味合いを持つと言っても過言ではありません。

弁護士選びに際しては,依頼した弁護士が示談交渉を行うことになる点を踏まえ,示談交渉に長けているかという基準を設けることが有力です。弁護士への相談段階で判断する方法としては,想定される示談の条件について,具体例を示すなどしながら詳細に案内してくれるか,という点を重視するのが一案でしょう。

また,示談交渉に際しては,被害者側の要望を毅然と断るべき局面もあります。弁護士によっては,被害者側の要望をすべて受け入れて依頼者である加害者に折れてもらえれば楽,という発想になりかねませんが,それでは加害者側にとって有益でないことは明らかです。
そのため,被害者側にも必要に応じて断る姿勢を示せる弁護士か,という判断基準も設けるとよいでしょう。

ポイント
弁護士選びは示談交渉の代行者選びでもある
示談条件の想定ができているか,毅然とした対応も取れるか,という点を重視する

④見通しの正確さ・詳細さ

弁護士の活動や案内は,刑事処分の見通しを踏まえて行うことになります。そのため,刑事処分の見通しが正しいことが,弁護活動の大前提となってきます。見通しが誤っていると,それを踏まえた弁護活動が適切なものと評価できる可能性は残念ながらないでしょう。
そのため,弁護士選びに際しては,その後の刑事手続や刑事処分の見通しが正確であるか,という基準を設けることが望ましいです。

もっとも,弁護士の見通しが正確であるかを依頼者側が判断することは現実的でありません。そのため,具体的には見通しをどれだけ詳細に示してくれるか,という点を重視することをお勧めします。
刑事手続や刑事処分の見通しには,確実に分かることから絶対に分からないことまであります。そして,見通せることと見通せないことが区別でき,その線引きが詳細であるほど,見通しは正確であると言ってよいでしょう。

弁護士による見通しが肝心な部分であやふやでないか,という点は大切な判断基準にすることをお勧めします。

ポイント
見通せることと見通せないことの線引きが詳細であるか

盗撮で相談できる弁護士の種類

① 当番弁護士

当番弁護士は、弁護士会から派遣された弁護士であり、逮捕・勾留中に1回接見を行うことが可能です。
当番弁護士の最大のメリットは、逮捕直後から無料で接見してもらえる点です。逮捕後の初動を誤らないための手段として、有力な選択肢の一つでしょう。

ただし、当番弁護士として派遣される弁護士が、刑事事件の対応に長けているとは限らない点には注意が必要です。弁護士会に登録をしているかどうかが派遣の条件であり、得意分野や専門性が異なる可能性がある点には注意するのが望ましいでしょう。

当番弁護士によるサポートは、初回の接見のみです。引き続き弁護活動を依頼したい場合には、その弁護士と契約をし、私選弁護人になってもらう必要があります。その際の弁護士費用は自己負担となります。

② 国選弁護人

国選弁護人は、経済的に私選弁護人を雇うことが困難な被疑者・被告人のために、国が費用を負担して選任する弁護士です。
国選弁護人制度は、経済状況に関係なく弁護を受ける権利を保障する重要な制度といえます。

逮捕された段階で国選弁護人を利用した場合、以下の2つの条件を満たす必要があります。

・勾留されていること
・資産が50万円未満であること

なお、国選弁護人も当番弁護士と同様、刑事事件に精通しているとは限らない点に注意が必要です。国選弁護人の名簿に登録していれば、最低限の研修を受けるのみで経験を問わず国選弁護人になることが可能です。

国選弁護人は、勾留された後に初めて選任されるため、勾留を防ぐ弁護活動を行う余地がない点には注意が必要です。また、勾留が途中で終了し釈放された場合には国選弁護人の役割も終了することになります。

③ 私選弁護人

私選弁護人は、被疑者やその家族が自由に選択できる弁護士です。
当番弁護士や国選弁護人とは異なり、費用は全額自己負担となりますが、その分多くのメリットがあります。

私選弁護人の最大の特徴は、弁護士を自由に選べることでしょう。
刑事事件に詳しい弁護士や、過去に同種事件で実績のある弁護士を指名できます。
また、費用を支払う分、より手厚いサポートを受けられる可能性が高いです。

「費用が心配だけど、しっかりとした弁護を受けたい」と考える方には、私選弁護人がおすすめです。
初回相談を無料で行っている事務所も多く、まずは相談してから依頼を検討できます。
私選弁護人は、逮捕直後から迅速に対応してもらえるため、早期釈放や示談交渉において有利に働くことが期待できるでしょう。

逮捕直後の段階で釈放に向けた弁護活動を行ってもらう場合には、私選弁護人への依頼が唯一の選択肢となります。できるだけ迅速に信頼できる私選弁護人を見つけられるかどうかは、その後の進行に大きく影響するでしょう。

盗撮を弁護士に依頼する場合の費用相場

① 逮捕されていない事件(在宅事件)

逮捕されていない在宅事件では、弁護士費用は比較的抑えられる傾向にあります。
身柄拘束されていないため、弁護士との面談や打ち合わせが柔軟に行えること、身柄拘束への対応を要しないことなどが費用を抑える要因となっています。

具体的な費用の金額や内訳は以下の通りです。

・着手金:30万円から50万円程度
・成功報酬:30万円から50万円程度
・示談交渉費用:別途20万円から30万円程度
・その他に実費が発生

弁護士費用が心配で依頼を躊躇してしまう場合は、複数の弁護士事務所で見積もりを取ることも有力です。
在宅事件では時間的余裕があるため、事務所間の比較が比較的容易にできるでしょう。

② 逮捕されている事件(身柄事件)

逮捕されている身柄事件では、弁護士費用が在宅事件よりも高額になります。

具体的な費用水準は以下のとおりです。

・着手金:50万円から80万円程度
・成功報酬:50万円から80万円程度
・示談交渉費用:別途30万円程度
・その他に実費が発生

身柄事件の場合、示談交渉のみでなく刑事手続に対する全般的な対応が不可欠になります。
これらの負担が費用に反映されるため、在宅事件に比して高額になりやすい傾向にあります。

盗撮を弁護士に依頼するときのよくある質問

(1)盗撮は不起訴になる可能性はあるか

盗撮事件は,認め事件,否認事件のいずれについても,不起訴処分となる可能性が大いにある類型ということができます。特に,認め事件の場合,被害者との間で示談が成立していれば,不起訴処分となる可能性は飛躍的に上昇するでしょう。

盗撮事件が捜査・処分の対象となるのは,大多数が現行犯です。そして,現行犯の場合,犯罪事実が明らかであることが多く,類型的に認め事件が多い傾向にあります。
そのため,盗撮事件で不起訴になる可能性があるかは,盗撮事件で示談が成立する可能性があるか,という問題になりやすいところです。

この点,盗撮事件は,示談によってその後の接触を防ぐメリットが被害者側にも大きい事件類型と言えます。加害者による接触を法的に禁じることができる方法は示談だけであるため,被害者にとっても示談に応じる利益は無視できず,示談が成立する可能性は決して低くありません。
そのため,盗撮事件は示談による不起訴処分の可能性が大いにある事件と言えるでしょう。

ポイント
盗撮事件は不起訴処分の可能性が十分にある事件類型

(2)盗撮では示談すべきか

盗撮事件は,基本的に示談が必要であると理解するのが適切です。
一般的な盗撮事件の場合,示談ができているかどうかによって処分が決まると言っても決して過言ではありません。

犯罪事実に争いのない盗撮事件では,特段の事情がなければ起訴されるのが通常です。起訴された場合,無罪でない限り刑罰を受けることになるため,刑罰を受けて前科が付くことになります。
一方,同じ事件で示談が成立した場合,特段の事情がなければ起訴されない方が通常の処理になりやすいです。被害者が起訴を希望していない場合,被害者の意向を押し切って起訴されることはあまりない事件が多い類型と言えるでしょう。

もちろん,示談をしても起訴を防げない事件はありますが,その場合でも示談をしていることによって処罰は一段軽くなるという理解をするのが一般的です。示談がなければ実刑判決の対象となる事件でも,示談があることによって実刑判決にならず済むことは決して珍しくありません。

盗撮事件の対応は,まず示談から検討することを強くお勧めします。

なお、示談の重要ポイントとなるのは示談金ですが、盗撮事件で示談金額を変動させる要素としては以下のような点が挙げられます。

盗撮事件における示談金額の変動要因

1.盗撮の場所・方法
→自宅の浴室など,通常衣服をつけないプライベートな場所での撮影は,被害者の精神的苦痛が大きく示談金額の増額要因になります。

2.盗撮の期間・回数
→長期間,複数回の盗撮行為がある場合,示談金額の増額要因になります。

3.被害者の心身への支障
→精神疾患などの原因になっている場合,示談金の増額要因になります。

4.加害者の経済力
→経済力に限界のある場合,示談金の減額要因になります。

(3)盗撮が発覚していないが自首すべきか

①現行犯で被害者等に発覚した場合

自首は,被害者などが警察に被害申告を行うであろう場合に,先回りして自分から警察に申し出る,というケースで特に高い効果を発揮します。このようなケースでは,自首をしてもしなくても自分への捜査や処分が見込まれやすいところ,自首をした方が軽微な取り扱いで終わりやすいためです。

この点,現行犯で被害者に見つかったがその場を逃れた,目撃者に声をかけられたがその場を離れたなど,現行犯で発覚している場合,被害者などが警察に被害申告をする可能性が非常に高いといえます。被害者としては,警察に被害申告をしなければ泣き寝入りとなってしまうため,警察に捜査をして犯人を見つけてもらう方が合理的な判断になりやすいでしょう。
そのため,現行犯で被害者や目撃者に発覚したケースでは,被害者などが被害申告を行う前に,先回りして自首をすることが非常に有力です。逮捕などの強制的な手続を回避するためには,自首の効果は極めて高いものになるでしょう。

ポイント
被害者や目撃者に見つかっている場合は,自首が有力
逮捕を回避する効果が非常に高くなる

②客観的証拠があると推測される場合

犯罪の客観的証拠が揃っており,捜査されれば自分が犯人であると容易に特定できるであろうと推測できる場合には,自首が有力な手段になります。

盗撮事件の場合,警察は,盗撮に用いられた撮影機器や撮影結果が残された映像や画像のデータを手に入れたいと考えることが多く見られます。もっとも,撮影機器や撮影データは,容易に処分することができてしまうため,被疑者を特定した段階で,捜索・差押えという方法で強制的に取り上げることも少なくありません。
そのため,盗撮事件で自首をしないまま自分が犯人と特定された場合,捜索差押えなどの強制捜査を受け,周囲に事件のことが知られてしまう可能性も低くはないのです。

この点,自分から自首をし,必要に応じて撮影機器や撮影データを提出することで,捜索差押えといった強制捜査を未然に防ぐ効果が期待できます。捜査をすれば自分にたどり着くであろう客観的証拠の存在が見込まれる場合は,自首の検討が有力でしょう。

なお,客観的証拠としては,現場や付近を撮影した防犯映像・画像,現場付近(駅など)の入退場記録,事件前後の足取りなどが挙げられます。

ポイント
自分を犯人と特定できる証拠がある場合,自首が有力
捜索差押えなどの強制捜査を防ぐ効果が期待できる

(4)盗撮で弁護士に依頼する場合の注意点は?

①余罪がある場合の示談

余罪がある場合,本罪のみを示談するのでは,不起訴処分を獲得することができない場合があり得ます。現実に本罪のみの示談で不起訴処分となるかはケースによりますが,概ね以下のように整理できるでしょう。

余罪と不起訴の関係

1.具体的に捜査対象とされている余罪がない場合
→本罪の示談のみで不起訴処分が可能

2.具体的に捜査対象とされている余罪がある場合
→捜査対象とされた余罪についても示談が必要

もっとも,具体的な処分は,余罪の数や内容,事件の悪質性などによっても変わる可能性があります。余罪が多ければ多いほど,余罪の態様が悪質であればあるほど,処分の見通しは不明確になりやすいでしょう。

②余罪がある場合の否認

否認する場合,余罪捜査の引き金になる可能性には十分な注意が望ましいところです。

捜査機関は,否認された事件の証拠が乏しい場合に,証拠十分な余罪を捜査し,余罪で被疑者を逮捕することで,否認された事件についても自白を促すという手法を取ることがあります。こうなると,捜査処分の対象となる事件は,元々否認していた事件と後に捜査された余罪の両方となるため,初めから認めていた場合よりも不利益な結果になる可能性があり得るのです。

この点の具体的な見通しは,弁護士にも明確にすることが非常に困難と言わざるを得ないため,否認の場合のリスクの一つとして事前に踏まえておくことが適切でしょう。

③十分な情報共有の重要性

弁護士に示談交渉を依頼する場合,被害者との間で起きた出来事,特に自分に不利益な出来事は漏れなく弁護士に伝えておくようにしましょう。
弁護士が示談交渉を試みると,被害者から初めて聞かされる出来事も決して少なくありません。ただ,弁護士が事前に知らなかったことを被害者に把握されると,示談交渉に少なからず悪影響を及ぼすことになります。

弁護士は自分の代わりに示談交渉を行う人物であるため,自分が知っている情報は一通り共有するつもりで,弁護士へ十分に伝えることが重要です。

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風俗での盗撮がバレたらどうなる?示談の方法・金額・注意点を弁護士が完全解説

このページでは,風俗トラブル(盗撮トラブル)の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

風俗トラブル(盗撮)では示談すべき?

風俗サービス中に,キャストが着衣を着けないでいる姿を撮影しようと試みた場合,これが発覚してトラブルになることがあります。
このような風俗店での盗撮トラブルに関しては,示談をすべき必要が非常に大きい類型と言えるでしょう。
その理由としては,以下の点が挙げられます。

①風俗での盗撮トラブルは犯罪

風俗店での盗撮行為は,「性的姿態等撮影罪」という犯罪に該当します(2023年7月13日以降)。そして,この性的姿態等撮影罪は,3年以下の懲役又は300万円以下の罰金という刑罰の対象になります。
風俗店でのサービスは,キャストが自分の意思で着衣を着けない状態になるため,撮影行為が盗撮であるという感覚が薄れがちですが,キャストが了承しない撮影行為は性的姿態等撮影罪が成立する犯罪行為に該当します。

そのため,風俗店での盗撮トラブルが刑事事件として捜査された場合,刑罰の対象となる可能性は十分に考えられます。刑罰を受ければ前科が付くことになるため,捜査や刑罰の対象となることは可能な限り防ぐべきです。

この点,風俗トラブルに関して当事者間で示談が成立した場合,盗撮事件として捜査や刑罰に発展することは基本的になくなります。盗撮行為が犯罪として処分されることを防ぐためには,示談が必要と考えて差し支えないでしょう。

②風俗トラブルで特に示談が必要な理由

盗撮事件の中でも,風俗トラブルでは特に早期の示談が必要となりやすい傾向にあります。その具体的な理由としては,以下の点が挙げられます。

【周囲に発覚する不利益が非常に大きい】

風俗トラブルの場合,自分が風俗店を利用している際のトラブルであることが明らかであるため,特に配偶者がいる立場の人にとっては,家族に発覚する不利益が極めて高くなります。家族への発覚を防ぐためには,家族に影響が生じないうちに,早期で穏便な解決を図る必要がありますが,そのような解決を実現できる手段は示談以外に考えにくいでしょう。

また,風俗トラブルが生じた場合,身分を証明する書面の提示を求められることが大多数です。店舗側は,職業や勤務先も含めて把握することで,逃げ得を防止しようとします。
そのため,風俗トラブルは勤務先への悪影響も強く懸念されやすいところです。風俗トラブルが勤務先に発覚することは確実に避けるべきですが,その具体的な方法はやはり早期の示談になるでしょう。

【相手からの請求を防ぐ利益が非常に大きい】

風俗トラブルでは,店舗側が金銭的に満足できるかどうか,という点が店舗側の方針を大きく左右する傾向にあります。金銭的な満足が得られれば円滑に解決しやすい一方,金銭的に満足できていない状況だと強く金銭を請求してくることがあります。

この点,風俗トラブルにおける店舗側からの金銭請求は,方法や内容が客側の恐怖を募らせるものになることも少なくありません。店舗側は金銭請求の経験に長けているため,どのように請求すれば支払いやすいかも感覚的に理解していることが多く,請求を受ける側にとっては心理的圧迫が大きくなりやすいでしょう。

店舗側からの請求に強い不安や恐怖を感じ続ける事態を避けるためにも,風俗トラブルでは早期に示談することが必要です。

風俗トラブル(盗撮)で示談するメリット

風俗での盗撮トラブルでは,捜査や処分の対象になる前に示談を行うメリットが非常に大きいです。具体的には,以下のようなメリットが挙げられます。

①刑罰を防げる

風俗店での盗撮行為は,いわゆる盗撮罪に当たる犯罪行為のため,罰金をはじめとする刑事罰の対象になり得ます。風俗サービス中の盗撮行為の場合,その証拠を現行犯で押さえられていることが多く,捜査されれば処罰に足りる証拠は十分に確保できてしまうでしょう。

そのため,風俗での盗撮トラブルでは,警察の捜査に発展する前に示談で解決することによって,刑罰を防げるメリットが非常に大きくなりやすいです。
風俗トラブルは,まず当事者間(又は店と客の間)でのやり取りから始まり,いきなり警察が介入するわけではないという点が非常に特徴的ですが,これは,警察が介入する前に解決するチャンスが十分にある,ということでもあります。

②逮捕を防げる

現行犯で盗撮事件が発覚した場合,証拠隠滅や当事者間の接触を防ぐため,逮捕される可能性があります。逮捕をされると,少なくとも当日は帰宅することができず,現実的に周囲への発覚を防ぐことは難しくなりやすいです。

この点,逮捕を防ぐ最も端的な手段は,逮捕される前に当事者間で解決することです。示談により当事者間で解決していれば,その事件で捜査を行う必要はなくなり,逮捕される可能性もなくなるということができるでしょう。

逮捕の有無はその後の生活を大きく左右するため,逮捕を防げるという示談のメリットは極めて大きなものと言えます。

③店からの請求を防げる

風俗トラブルでは,店側からの度重なる請求に大きな精神的負担を強いられるケースが少なくありません。店側としても,被害者であるキャストの損害を客に埋め合わせさせるため,強い態様で繰り返し請求することになりやすいです。

このような店からの金銭請求は,示談によってすべて防ぐことが可能です。示談を取り交わすときには,今後一切の請求をしないことを約束することになるため,示談後に金銭を請求することはできません。
店舗との関係を速やかに断ち切りたい場合には,示談での解決が極めて有益でしょう。

④家族や職場への発覚を防げる

示談での解決は,風俗トラブルが周囲に発覚することの回避にもつながります。風俗トラブルが周囲に発覚するのは,店舗側から客への請求行為が周囲に発覚する,というのが主な経緯ですが,示談によって店舗側からの請求もなくなるため,家族や職場にトラブルが知られる可能性はなくなるでしょう。

また,示談の際に適切な内容を取り交わせば,方法を問わず周囲にトラブルが発覚するような行為を相手に禁じることが可能です。

ポイント 示談のメリット
刑罰を受ける可能性がなくなる
逮捕される可能性がなくなる
店からの請求がなくなる
家族や職場に発覚されず解決する

風俗トラブルの適切な対処と誤ったときのリスク

風俗トラブルが表面化する一般的な流れは,キャストが店側にトラブルの申告(連絡)をし,風俗店の関係者が現場に駆け付ける,ということが多く見られます。代表的なデリバリーヘルスの例では,性的サービスの後,キャストが利用客のシャワー中に店へ連絡し,利用客が部屋を離れる前に店舗関係者が部屋に向かってトラブル解決を迫る,という流れが多いところです。
なお,そこでのトラブル解決は,金銭的解決を指すことが通常です。風俗店のトラブル対応は,金銭的な満足を得られるかどうかを基準とすることが一般的です。

このような風俗トラブルに見舞われた際の適切な対処としては,その場で結論を出したり支払ったりせず,速やかに弁護士へ相談・依頼をすることです。その具体的な理由は,以下の通りです。

①心理的圧迫の影響で多額の支払をしてしまう危険がある

風俗店関係者からは,「女の子がショックを受けている」「犯罪だから警察に突き出すこともできる」などと真偽の不明な文句で心理的圧迫を受け,金銭賠償を強要されることが多く見られます。突然そのような話をされ,正常な判断も難しい中で対応した場合,十分な交渉も検討もできないまま,風俗店側に求められた多額の支払を行ってしまう危険が非常に大きいでしょう。

②トラブルの解決が約束されないままになってしまう

風俗店は,風俗トラブルについて金銭を受領した場合,その内容を自社又は店舗の独自の書式で作成した何らかの書面にすることが多く見られます。もっとも,その書面は,法律的な意味での紛争解決を内容としているわけではなく,記載内容も作成方法も不十分であることがほとんどであり,風俗店側の内部処理くらいの意味合いしかありません。

そのため,せっかく金銭を支払って風俗店と解決したとしても,それ以上の賠償義務があるかないか不明確な上,今後さらに金銭を請求しないとの確約もない,という状態になってしまいます。法的には何も解決しないまま,支払った金銭の負担だけが残るということになりかねません。

③キャストとの間では紛争解決ができない

風俗店の試みるトラブル解決は,あくまで風俗店と利用客の間でのものであり,キャストと利用客との解決を内容とするものではありません。そのため,風俗店と事実上解決できたとしても,その後になってキャストが自分への金銭賠償等を請求してきた場合,これを回避する手立ては存在しないことになります。
紛争全体の解決を図るためには,風俗店と利用客,キャストと利用客それぞれの解決が必要となりますが,それを実現するためには,その場で結論を出さず弁護士に依頼することが不可欠でしょう。

④個人情報を風俗店に保管されてしまう

風俗店は,風俗トラブルが発生したときの運用として,利用客の身分証の写しを取るなど,その個人情報を保管しようとすることが一般的です。もちろん,これに応じる法的な義務はありませんが,現実的にはその場を収めるために応じることが非常に多いでしょう。

この点,自分で風俗店と解決を図った場合,保管された個人情報はそのままになってしまい,これを破棄・処分などすることの約束を取り付けることは困難です。紛争解決した後に相手の個人情報を保管しておく理由は特段ありませんから,風俗店に個人情報を確保されたままの状態が非常に不適切であることは間違いありません。

ポイント
本番行為は両者の合意があるから合法
トラブル化した場合は金銭的解決が問題になりやすい
その場で解決しようとすると適切な解決は困難。弁護士への依頼が得策

風俗トラブルにおける逮捕の可能性

風俗トラブルの場合,風俗店側が警察を呼ぶなどして警察が関与する場合も少なくありませんが,その場合でも逮捕まで至る可能性は決して高いわけではありません。
特に,本番トラブルの場合だと,利用客側はキャストが本番行為に合意していると誤解していたことがほとんどなので,犯罪が成立する可能性は低く,キャストやお店の主張のみを根拠に逮捕することは容易ではありません。

もっとも,内容があまりに過激である場合,トラブルが度重なっていて悪意がないとは考えにくい場合など,特に十分な捜査を要すると判断される場合には,逮捕に至る可能性も否定はできません。

風俗トラブルは自分で解決してもよいか

風俗トラブルは,その場で風俗店関係者から解決を迫られることが多いため,これに応じる形で自分で解決することも不可能というわけではありません。しかし,やはり自分で風俗店側と解決を図ることは,法的にはお勧めできません。

自分で解決を図ることの致命的な問題は,法的には何ら解決されていない状態のままになる,ということです。風俗店側が客の利益になるような示談書などを作成することはありませんので,それ以上の金銭債務がないのか,お店やキャストが他言しないのか,警察を巻き込まないのか,といった点については,全く手つかずになってしまいます。

風俗店やキャストがそれ以上の動きを取らなければ,現実に問題となることはありませんが,裏を返せば,風俗店やキャストが後から金銭請求をしてきたり警察に被害届を出したりしても全く問題ない,ということです。
そのリスクを抱える前提で解決や支払を行うのは,適切とは言い難いでしょう。

風俗トラブル(盗撮)で示談をする方法

風俗トラブルの解決は,店舗の代表者との間で話し合うことが一般的です。盗撮事件の当事者はキャスト個人ですが,キャストが直接話し合いに応じることはあまりなく,キャストを代理して店舗代表者が窓口対応するのが大多数でしょう。

風俗サービス中の盗撮トラブルが発覚した場合,店舗代表者がサービス中の客室に訪れ,その場で解決の話し合いがスタートする例が多く見られます。この時,できる限りその場で合意をしたり金銭を支払ったりしないようにするのが賢明です。その場で解決しようとすると,どうしても一方的に不利益な内容で合意させられてしまいがちである上,示談内容も不十分なものになりがちであるためです。

風俗トラブルで店舗代表者と話し合いが始まったときは,連絡先を交換して速やかに連絡する旨を伝えた上で,できるだけ早く弁護士に相談・依頼をするようにしましょう。弁護士が依頼を受けた後は,弁護士がご自身の代理人として店舗代表者と連絡を取り,示談の話し合いを開始することが可能です。

ポイント

よくある示談の流れ
1.店舗代表者がサービス中の客室に訪れる
2.その場で店舗代表者との話し合いが始まる

その場で解決するデメリット
1.一方的に不利益内容になりがち
2.示談の内容や方法が不十分

適切な示談方法
1.その場では連絡先の交換にとどめる
2.速やかに弁護士へ依頼し,弁護士から連絡してもらう

風俗トラブル(盗撮)の示談金相場

風俗店での盗撮トラブルの場合,示談金額はケースによって様々ですが,概ね20~80万円ほどで合意する例が多く見られます。
解決金額に幅が生じやすい点は,風俗トラブルの特徴の一つでもありますが,金額の変動要因としては以下のような事情が挙げられます。

示談金の増額要因

客側が早期解決を希望している
店舗側が法的手続を辞さない方針である
発覚時にキャストとの間でもみ合いなどのトラブルが起きている
一定の金額を支払うことをその場で約束した

示談金の減額要因

客側が賠償金額の上限を設けている(上限を超えれば示談を諦める)場合
店舗側が早期解決を希望している
キャストや店舗側に不適切な行為があった

なお,風俗トラブルの示談は,「お金で解決する」という側面が強い分野でもあります。感情的に許すかどうかというより,金額が満足できるものかという基準で判断されることが多いため,単純に金額が大きいほど示談に至りやすい傾向が見られるところです。
そのため,風俗トラブルの場合は,支払う側に示談を希望する気持ちが強ければ強いほど高額の示談になりやすいでしょう。裏を返せば,金銭的負担が大きければ大きいほど迅速円滑な解決がしやすい,ということもできます。

ポイント
風俗店の盗撮トラブルは,20~80万円ほどの合意が多く見られる
風俗トラブルの示談はお金で解決する側面が強い

風俗トラブル(盗撮)の示談内容

風俗店での盗撮トラブルで示談を行う場合の内容には,以下のものが挙げられます。

【確認条項】

客側の支払うべき金額を確認する条項です。当事者間で合意した金額を明記することになります。

【給付条項】

金銭をどのように支払う(給付する)のかを定める条項です。
風俗トラブルの場合,現金の手渡しでの解決が多く見られます。弁護士と店舗代表者の間で,面談の上で示談書の取り交わしと金銭の支払いを同時に行い,その場で解決するという流れが代表的です。

【清算条項】

示談で定めた内容以外に,当事者間に債権債務関係(法律関係)がないことを確認する条項です。清算条項を設けることで,その後に請求を受ける恐れがなくなります。

【口外禁止】

トラブルや示談の内容を第三者に口外しない,という条項です。風俗トラブルの場合,周囲への発覚を避ける必要が大きいので,客側が安心を得るためには非常に重要な条項となります。

【個人情報の処分】

主に,店舗側が得た客の個人情報を廃棄・処分するという内容の条項です。店舗は,風俗トラブルの発生時に客の免許証や保険証を確認するなどして住居や勤務先を把握することが多いため,免許証や保険証の廃棄を約束してもらうことが重要になります。
一方,客が撮影した内容の消去など,客側が適切な処分をすることを盛り込む場合もあります。

【店舗の利用禁止】

店舗側の要望で,今後の利用禁止を約束する場合があります。利用禁止を求められた場合には,拒否するメリットに乏しいため応じるのが適切でしょう。

風俗トラブル(盗撮)の示談で注意すべきこと

風俗店での盗撮トラブルでは,示談に際して以下の事項に注意するのが適切です。

①お店とだけ示談しても不十分

風俗トラブルの場合,キャスト個人でなく店舗の代表者が窓口となって示談交渉するのが通常です。ただ,あくまで事件の当事者は客とキャストであり,キャストとの間で示談ができなければ示談としては不十分と言わざるを得ません。
厳密には,「客とキャスト」「客と店舗」それぞれとの間で示談をかわすことが必要です。店舗との間でだけ示談ができても,キャストとの間では何も解決できていないため,その後にキャスト個人から金銭を請求されるリスクが残ります。

風俗トラブルにおけるキャストと店舗それぞれとの間の法律関係は,以下のように整理できるでしょう。

風俗トラブル(盗撮)の法律関係

【客とキャストの間】

①刑事事件
性的姿態等撮影罪が成立
②民事事件
不法行為に基づく損害賠償請求があり得る

【客と店舗の間】

①刑事事件
基本的になし(ただし,業務妨害罪が成立するケースも)
②民事事件
債務不履行に基づく損害賠償請求があり得る(契約違反)

このように,厳密にはキャストと店舗それぞれとの間で法律関係があるため,示談もそれぞれとの間で行うことが必要です。
弁護士が示談を行う場合は,店舗代表者にキャストの代理人となることを依頼し,三者間での示談を行うことが多いでしょう。

②金銭を支払った後でも示談すべき

風俗トラブルでは,その場に店舗代表者が乗り込む形で話が始まるため,ケースによってはその場で一定の支払を行っていることがあります。この点,支払をしていれば解決しているようにも思えますが,法的にはそうとは言えません。

その場で金銭を支払うとき,多くは店舗の用意する書式で示談書のようなものを作成することになります。しかし,その書面は法的に十分な記載がなされているものではないため,実際には紛争解決ができていません。
具体的には,「金銭を支払え」「金銭を支払った」という程度の記載はあるものの,必要な支払いが他にあるかどうかは分からない(清算条項がない),ということが大多数です。これでは,既に支払ったにもかかわらず,追加での支払いを求められたときに拒む根拠がありません。

既に金銭を支払った場合でも,しっかりと解決を確認して形に残すため,弁護士に示談を依頼するのが適切でしょう。

風俗トラブル(盗撮)の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で風俗店の盗撮トラブルに関する示談を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

示談が成立した場合に限り,22万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

風俗サービス中の盗撮トラブルでは,20~80万円ほどの示談金が想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(50万円で示談成立の場合)

弁護士費用:34万円+22万円=56万円
示談金:50万円

計:106万円

なお,この弁護士費用は刑事事件化しなかった場合を前提としたものです。刑事事件化し,捜査対応などを要した場合には別途弁護士費用が発生します。

弁護士費用の例

風俗トラブルで弁護士に依頼すべき場合

①金銭請求されている場合

風俗トラブルは,金銭的解決を求められるのがほとんどです。風俗店によっては,恐喝罪などの対象になることを恐れて明言を避けてくることもありますが,基本的に風俗店は全て金銭的解決を図ろうとしていると理解しても誤りではないでしょう。
そのため,風俗トラブルでは金銭面の交渉が不可欠であり,これを行うには風俗トラブルに精通した弁護士への依頼が適切です。

②周囲への発覚を防ぎたい場合

風俗トラブルは,内容の性質上,家族や職場関係者など周囲に発覚する不利益が大きいものです。そのため,周囲に発覚することなく,秘密裏に解決したいということは多いでしょう。
弁護士に依頼した場合,弁護士がすべての窓口になりますので,周囲に事態が発覚する恐れは基本的になくなります。

③個人情報を保管されている場合

風俗トラブルの際には,風俗店に身分証の写しを取られるなど,個人情報を保管されることが多く,個人情報の流出や悪用を不安に感じる場合もあるでしょう。もっとも,自分から風俗店に個人情報の処分を求めることも容易ではありません。
弁護士に依頼した場合には,トラブル解決にあわせて個人情報の処分についても合意を取り付けることで,個人情報に関する不安を解消することが可能です。

弁護士への法律相談に関するポイント

①双方の言い分を整理する

風俗トラブルにおいては,自分と相手方(キャスト)の言い分に大きな差がある場合も珍しくありません。例えば,いわゆる本番トラブルの場合,自分の目からはキャストが特に嫌がっているように感じられなかったものの,相手は無理矢理に本番行為をさせられたと主張している,ということはよくあると言っても過言ではないでしょう。

そのため,弁護士に相談する前提として,トラブルの具体的内容は何か,トラブルに対する当事者双方の言い分はどのようなものか,という点を十分に整理し,弁護士に伝えられるようにしましょう。言い分に食い違いがあるかないか,食い違いがある場合にはどのような内容かによって,弁護士からの案内が大きく異なる可能性もあり得ます。

②現状の交渉経過を整理する

風俗トラブルの大きな特徴の一つが,トラブル発生直後から交渉が始まりやすい,という点です。キャストから連絡を受けた店舗担当者が,サービス中の客室に乗り込み,違反行為の指摘と示談交渉を持ち掛けてくる,という流れは多く見られるところです。

この点,店舗担当者との交渉がどのような内容であるか,何か合意をしたことはあるか,といった事項は,その後の対応に大きな影響を与えます。基本的には弁護士による交渉代行が可能ですが,弁護士依頼の前に一定の合意をしてしまっているのであれば,その合意を覆す余地があるかないか,という点をまず検討する必要が生じ得るためです。
また,合意には至っていないとしても,ある程度金額の話し合いをした後の状況だと,弁護士がその話し合いを根本から覆すような金額の提案をするのは,現実的にトラブル解決の可能性を低下させやすい動きにもなってしまいます。

そのため,弁護士選びに際しては,現状の交渉経過を正しく整理することで,弁護士がどのような対応をできるのか,しっかりと判断できるだけの情報を提供するように努めることをお勧めします。

③優先順位を整理する

風俗トラブルの対応は,当事者間の解決を優先するか,経済的な損失を防ぐことを優先するか,といった優先順位の違いによって,適切な動き方も違ってくることになります。通常,店舗側の方針としては,経済的に満足できるか,という基準で判断することになるため,店舗側が経済的に満足する結果となれば早期に解決しやすい傾向にあります。一方で,そのような解決は「トラブル解決をお金で買う」とも言うべきやり方であるため,経済的には本来負担する必要のない支払が生じることも珍しくありません。

風俗トラブルの場合,金銭的負担よりも穏便で迅速な解決の優先順位が非常に高いケースもありますが,弁護士がその点を把握していないと依頼者側の希望に沿わない弁護活動になる可能性もあり得ます。
弁護士への依頼に際しては,金銭面とトラブル解決のどちらをどの程度優先したいという意向か,というお気持ちをある程度整理しておくことをお勧めします。

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【盗撮事件の示談を知りたい人のために】示談金相場や示談のメリット,余罪に関する示談などを弁護士がすべて解説

このページでは,盗撮事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

盗撮事件で示談は必要か
盗撮事件における示談のメリット
盗撮事件で示談をする方法
盗撮事件の示談金相場
盗撮事件の示談内容・条項
余罪の示談について
盗撮事件の示談に必要な費用

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盗撮事件で示談は必要か

盗撮事件は,基本的に示談が必要であると理解するのが適切です。
一般的な盗撮事件の場合,示談ができているかどうかによって処分が決まると言っても決して過言ではありません。

犯罪事実に争いのない盗撮事件では,特段の事情がなければ起訴されるのが通常です。起訴された場合,無罪でない限り刑罰を受けることになるため,刑罰を受けて前科が付くことになります。
一方,同じ事件で示談が成立した場合,特段の事情がなければ起訴されない方が通常の処理になりやすいです。被害者が起訴を希望していない場合,被害者の意向を押し切って起訴されることはあまりない事件が多い類型と言えるでしょう。

もちろん,示談をしても起訴を防げない事件はありますが,その場合でも示談をしていることによって処罰は一段軽くなるという理解をするのが一般的です。示談がなければ実刑判決の対象となる事件でも,示談があることによって実刑判決にならず済むことは決して珍しくありません。

盗撮事件の対応は,まず示談から検討することを強くお勧めします。

ポイント
盗撮事件は基本的に示談が必要
示談が成立していれば不起訴が見込まれやすい

盗撮事件における示談のメリット

盗撮事件は示談のメリットが非常に大きい事件類型です。具体的なメリットとしては,以下のような点が挙げられます。

①前科を防げる

刑事事件では,警察から事件の送致を受けた検察官が,被疑者を起訴するかどうか決めます。そして,検察官に起訴されると,刑罰を受けて前科が残ることになります。
この点,検察官が起訴するか不起訴どうかは,様々な事情を総合的に考慮の上で判断されますが,被害者がいる事件の場合,被害者の意向を反映させることが非常に多く見られます。

盗撮事件は被害者のいる事件類型のため,被害者が起訴を望むか不起訴を望むかという点が,検察官の判断を左右しやすい傾向にあります。そのため,不起訴を目指す場合の最も効果的な手段は,被害者に不起訴を希望してもらうことになるのです。

示談を行うことによって,被害者に不起訴を希望する意思を表明してもらうことができ,検察官の不起訴処分を獲得できる可能性が飛躍的に高くなります。不起訴処分となれば前科はつかないため,前科を防ぐための最も有力な手段は示談ということになるでしょう。

②早期釈放につながる

盗撮事件で逮捕・勾留されている場合,被害者との示談が成立すれば,その身柄拘束は早期に解かれる可能性が非常に高くなります。

そもそも,盗撮事件で逮捕・勾留といった身柄拘束をするのは,事件の捜査や処分(起訴・不起訴の判断)のために逮捕・勾留が必要であるからです。裏を返せば,捜査や処分を検討する必要がなくなれば,逮捕・勾留をしておく必要もなくなるため,早期に釈放されるということになります。

示談が成立した場合,被害者はそれ以上の捜査や加害者(被疑者)の刑事処罰を希望しなくなるため,捜査機関が捜査を続けたり刑事処罰を検討したりする必要は基本的になくなります。捜査機関の捜査は,被害者の協力がなければ困難なことも多いため,被害者が捜査を希望しないのに無理矢理捜査を続けることは難しい,という面もあります。

そうすると,示談が成立し,被害者が捜査や処罰を希望しないという希望を示せば,逮捕・勾留しておく必要もなくなります。その結果,不要な逮捕・勾留は終了し,早期釈放してもらうことが可能になりやすいでしょう。

③刑罰が軽減する

示談は,盗撮事件で起訴されることが防げない場合,刑罰を受けてしまう場合にも重要な効果を発揮します。

刑罰の重さを最終的に判断するのは裁判所ですが,裁判所が刑罰を判断する際に極めて重要視する事情に,被害者の処罰感情や被害者に対する被害の補填が挙げられます。

処罰感情とは,処罰を希望するかどうかという気持ちを言います。被害者の処罰感情が強いほど,刑罰は重くなる傾向にあります。
また,被害者に対する被害の補填は,被害者に生じた損害がどれだけ回復されているか,という意味で重要な判断要素になります。被害の補填は主に金銭で行われることが一般的ですが,事後的に被害が回復されていれば,その結果重い刑罰を科す必要はなくなる,という理解になるのが通常です。

被害者との間で示談が成立すれば,被害者に処罰感情がないことや,被害の補填がなされたことが明らかになります。そのため,示談は刑罰の軽減に直結する効果を持つということができます。

示談がなければ実刑判決が見込まれるケースでも,示談によって実刑判決を回避できる場合は珍しくありません。示談は,被害者がいる事件で刑罰を軽減するための最も有益な試みと理解してよいでしょう。

④被害者との法律関係が解決する

盗撮事件が起きた場合,被害者と加害者の間には,「被害者が加害者に損害賠償を請求できる」という法律関係が発生します。盗撮行為は,被害者に対する「不法行為」に該当するため,盗撮行為(=不法行為)の被害者は,加害者に対して金銭賠償を請求できる,という関係に立つのです。
しかも,この法律関係は,加害者が刑事処罰を受けたとしてもなくなったり負担が軽くなったりするものではありません。当事者間の法律関係と刑事処罰とは無関係であるためです。

この点,被害者との間で示談が成立した場合,被害者と加害者の間には示談の内容以外に法律関係がない(法律関係が解決した)という約束をすることになります。そのため,示談が成立すれば,その後に加えて被害者から金銭賠償を請求されることはなくなり,法律関係の面でも安心することができます。
なお,当事者間の法律関係が解決したことを約束する示談の条項を,「清算条項」と言います。示談に際して清算条項を盛り込んで解決することで,当事者間の法律関係は示談をもって終了することになります。

ポイント 示談のメリット
前科の回避につながる
身柄拘束からの釈放につながる
刑罰の軽減につながる
当事者間の法律関係が清算できる

盗撮事件で示談をする方法

盗撮事件で捜査を受けている場合,示談をするためには捜査機関(警察や検察)にその旨を申し入れ,捜査機関から被害者に連絡を取ってもらうことが必要です。
もっとも,捜査機関は加害者本人と被害者を引き合わせることをしません。当事者同士で連絡を取らせるのは,被害者にとって不適切である上,二次被害の原因になる可能性がある,と考えるためです。
そのため,盗撮事件で示談を試みるためには,弁護士に依頼の上,弁護士を通じて動くことが必要となります。

具体的な流れは,以下の通りです。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

被疑者の方ご本人は,弁護士にご依頼の後,この流れが進むのをお待ちいただくことになります。
弁護士から各所へ連絡を取った際,捜査機関や被害者から連絡を受け取った際など,流れが進むに応じて適宜報告を受けながら,示談の進捗を把握することが可能です。

ポイント
示談の申し入れは,弁護士から捜査機関へ行う
被疑者は,弁護士に依頼の後,弁護士を通じて状況を把握する

盗撮事件の示談金相場

刑事事件で示談を行う場合,加害者(被疑者)から被害者へ示談金の支払を行うのが通常です。具体的な示談金の金額は当事者間の協議で定められることになりますが,事件類型ごとに大まかな目安はあります。

この点,盗撮事件の場合,概ね30万円ほどとされる例が多く見られる傾向にあります。
ただ,被害者側の意向によってはより大きな金額となることも多数あります。特に,2023年に「性的姿態撮影等処罰法」が施行され,盗撮事件がいわゆる「撮影罪」として厳罰化されたことは広く知られています。そのため,盗撮事件の厳罰傾向を踏まえた示談金額の検討を求められることも一定数あるところです。

被害者との交渉も踏まえた示談金額の目安としては,30~50万円ほどを想定するのが有力でしょう。
具体的な示談金額はこの目安を上回るケースもありますが,金額が変動する要因としては以下のような事項が挙げられます。

盗撮事件における示談金額の変動要因

1.盗撮の場所・方法
→自宅の浴室など,通常衣服をつけないプライベートな場所での撮影は,被害者の精神的苦痛が大きく示談金額の増額要因になります。

2.盗撮の期間・回数
→長期間,複数回の盗撮行為がある場合,示談金額の増額要因になります。

3.被害者の心身への支障
→精神疾患などの原因になっている場合,示談金の増額要因になります。

4.加害者の経済力
→経済力に限界のある場合,示談金の減額要因になります。

盗撮事件の示談内容・条項

【確認条項】

加害者が被害者へいくらの支払を行う必要(義務)があるかを,当事者間で確認する条項です。
当事者間で合意した示談金の金額を,支払う義務のある金額と定めることになります。

【給付条項】

確認された支払の義務をどのように果たす(給付する)のか,という点を定める条項です。
金銭の支払を内容とするのが通常ですが,支払方法が手渡しか振り込みか,手渡しであればいつどこで行うか,振り込みの場合はどの口座か,振込手数料は誰が負担するか(通常は加害者が負担),支払の期限はいつまでか,といった点を定めます。

【清算条項】

示談で定めた内容以外に,当事者間に債権債務関係(法律関係)がないことを確認する条項です。この条項を設けることで,加害者と被害者との法律関係は示談金の支払をもって終了することになります。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)とは「許し」を意味します。宥恕条項は,被害者が加害者を許すことを内容とする条項です。
加害者が示談金の支払を負担して示談を目指すのは,基本的にこの宥恕条項を獲得するためです。宥恕条項があることによって,捜査機関は被害者に処罰感情がないことを把握でき,不起訴処分の根拠とすることが可能になります。

【行動の制約】

示談成立後に一定の行動をしないこと(又はすること)を約束するものです。多くの場合,被害者と加害者が接触しないことを確かにするため,両者を物理的に引き離す目的で盛り込むことが考えられます。

盗撮事件で設けられやすい行動制約の内容としては,以下のものが挙げられます。

盗撮事件における行動制約の例

1.盗撮画像,映像を削除する
2.盗撮に用いた機器を処分する
3.事件が起きた電車の利用をしない・制限する
4.事件が起きた駅の利用をしない・制限する
5.事件発生場所の近辺に立ち入らない
6.勤務先を退職する(職場内での事件など)

なお,示談の内容は「今後一切接触しない」ことを前提にすることが通常であるため,一切接触しないとの約束を補強する意味合いの条項と理解されます。

【違約金】

加害者が示談で定めた約束に違反した場合,約束違反のペナルティとして被害者に金銭(違約金)を支払うという条項です。
主に,行動制約を取り決めた場合に,これを遵守してくれるか被害者が不安である,というケースで設けることが考えられます。
違約金の金額は,特段のルールはありませんが,示談金額をベースに定めることが多く見られます。

この違約金条項は,実際に違約があり金銭を支払う,という形で活用されることはほとんどありません。現実的には,「違約金の約束をできるほど示談条件を守る気持ちが強い」という意思を表明する手段として用いられるものです。

【口外禁止】

事件の内容や示談の内容を,第三者に口外しないと約束する条項です。両当事者のプライバシーを守るために設けることが考えられます。
盗撮事件の場合,口外されてよいと考える加害者はほとんどいないため,弁護士からはほぼすべてのケースで被害者へ口外禁止条項の設定を依頼することになるでしょう。

その他,被害者が複数いて被害者間に交友関係がある場合,示談の内容が共有されてしまうと,他の被害者との示談に悪影響が生じかねないため,被害者間の情報共有を防ぐ目的で設けられることもあります。

余罪の示談について

盗撮事件の場合,現実に発覚し捜査されている事件以外にも,余罪が複数存在することが考えられます。そのため,余罪も含めて示談する必要があるのかは重要な問題になります。

この点,余罪をすべて示談することは決して必要ではありません。余罪が存在したとしても,そのすべてが捜査・処分の対象になるわけではないからです。

余罪がある場合の取り扱いは,基本的に以下のいずれかとなります。

余罪の取り扱い

1.余罪を別途捜査・処分の対象とする
2.余罪があることを踏まえて本罪の処分を判断する(余罪は情状のみの問題になる)

このうち,「1.余罪を別途捜査・処分の対象とする」ケースだと,余罪についても示談が必要となります。余罪の示談をしなければ余罪が起訴される可能性が高いためです。
しかし,「2.余罪があることを踏まえて本罪の処分を判断する(余罪は情状のみの問題になる)」ケースでは,不起訴のために余罪の示談が必要とはされません。余罪そのものを起訴したり不起訴にしたりするわけではないからですね。

この取り扱いの違いは,余罪について被害者が捜査・処分を求めているかによって変わるのが通常です。具体的には,事前に余罪の被害届が出ているかどうかによって左右される傾向にあります。
もっとも,盗撮事件の余罪について,事前に被害届が出ていることはあまりありません。盗撮行為の性質上,余罪が被害者に発覚している可能性が非常に低いため,余罪の被害者は事件を知らず,被害届も出ていないことが大多数です。

余罪に関しては,別途捜査の対象とされたことが分かってから,捜査の対象となった事件について行う方針が適切でしょう。

ポイント 余罪の示談
余罪が情状の問題にとどまるのであれば示談不要
余罪自体が捜査・処分の対象となる場合は示談が必要

盗撮事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で盗撮事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します

③示談金

一般的な盗撮事件の場合,30~50万円の示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(30万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:30万円

計:119万円

弁護士費用の例

⑤柔軟な料金設定が可能な場合

弁護士費用は,弁護活動の範囲を限定することで費用額を安く抑えることも可能な場合があります。
盗撮事件では,弁護活動の内容を示談に限定することで,費用額を抑える柔軟な料金設定のご案内ができる可能性もあります。

可能な費用負担に限界がある場合も,一度お問い合わせいただくことをお勧めいたします。弁護士から詳細なご案内を申し上げることが可能です。

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