盗撮してしまったら自首すべき?警察へ行く前の注意点

盗撮をしてしまった場合、警察に出頭すべきかどうかは対応を検討する際の重要なポイントになります。もっとも、出頭すれば直ちに有利になるとは限らず、状況によっては自首として扱われないこともあります。被害届の提出や防犯カメラの確認によって人物が特定されている段階では、単に出頭しただけでは自首と評価されない可能性があります。

また、出頭時の説明内容や証拠の状況によっては、その後の捜査方針に影響することがあります。出頭のタイミングや対応方法によっては逮捕の判断に関係する場合があるため、行動の順序を整理しておくことが重要です。

以下では、盗撮事件の手続の流れの中で自首がどの段階に位置づけられるのかを整理したうえで、対応の考え方や処分への影響を順に説明します。

なお、盗撮事件全体の手続の流れについては、盗撮で逮捕された場合の流れをまとめた解説もご参照ください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

盗撮事件の流れの中で自首はどの段階にあたるのか

盗撮事件の刑事手続は、概ね「発覚前の段階」「発覚後の捜査段階」「処分決定の段階」という流れで進みます。自首が問題となるのは、このうち捜査機関が事件や犯人を把握する前後にあたる場面です。言い換えると、同じ「出頭」であっても、時期によって自首として評価される場合と、そうでない場合があります。

発覚前とは、被害者や店舗側から通報がされていない状態だけを指すわけではありません。防犯カメラ映像の確認、関係者への聴取、巡回中の警察官への相談などをきっかけに、捜査が動き始めることもあります。そこで重要なのは、捜査機関側がどこまで認識しているかです。自首にあたるかどうかは、本人が「自首のつもり」で出頭したかではなく、捜査機関が事件(または犯人)をどの程度把握していたかで判断されます。

たとえば、被害届や通報を受けて捜査が始まり、映像解析や聞き取りによって対象者が絞られている場合には、出頭しても自首とは扱われないことがあります。逆に、捜査機関がまだ事件そのものを把握していない、または犯人の特定に至っていない段階で申告できた場合には、自首として評価される余地が生じます。自首が成立するかどうかの境目は「発覚したか」ではなく「捜査機関の認識が先か、本人の申告が先か」です。

このように、自首は「警察に行けば成立する」という性質のものではありません。自首を検討する際は、まず現在の状況が発覚前なのか、発覚後なのかを整理したうえで、出頭のタイミングと伝え方を含めて対応を考える必要があります。

盗撮事件は、被害者に発覚したかどうかが分からないケースが多いため、自首を検討することになる事件は比較的多い傾向が見られます。

自首するべきか迷ったときの判断基準

自首を検討する場面では事情の個別性が大きいため、一律の結論にはなりません。実務上は、①捜査機関の認識(事件・犯人の把握の有無)、②特定に至りやすい事情(証拠・目撃・記録)の二つを軸に整理すると判断がぶれにくくなります。自首が意味を持つのは、警察の把握よりも本人の申告が先になる可能性がある場合です。

まず確認すべきなのは「発覚していない可能性」と「発覚している可能性」を分けることです。
発覚の有無は、本人の感覚ではなく、周囲の状況や記録の残り方から推測します。

発覚していない可能性が比較的高い場面

周囲に気付かれた形跡が乏しく、店舗側・第三者の反応も見当たらない場合には、事件そのものがまだ共有されていない可能性があります。たとえば次のような事情です。

  • 声を掛けられていない、揉めていない
  • 店員や警備員がこちらを追ってくる様子がない
  • その場でスマホ確認・呼び止め等がなかった
  • 退店後に連絡が来ていない

ただし、これらがそろっていても「絶対に発覚していない」とは言えません。防犯カメラや現場状況の確認は、後から行われることがあるためです。発覚していない可能性がある段階では、申告が捜査の端緒になり得るため、自首として評価される余地が生じます。


発覚している可能性が高い場面(自首の成立が不安定になりやすい)

一方で、現場での反応や記録の残り方から、捜査の端緒が既に存在すると推測できる場合があります。次の事情があるときは、出頭しても自首として扱われない可能性が高まります。

  • 現場で注意・制止・声掛けを受けた
  • 店員・警備員がバックヤード等で確認していた様子がある
  • 被害者や周囲の人が通報の動きをしていた
  • その場で身分確認を求められた、あるいは顔を見られた可能性が高い

捜査の端緒が既に存在すると考えられる場合、出頭は「自首」ではなく任意の説明として扱われる可能性があります。
この場合に重要なのは「自首の成否」よりも、当日の説明内容が今後の捜査方針にどう影響するかです。

「警察からの連絡・呼び出し」がある場合は、自首の成立を前提に考えない方が安全です。
呼び出しは、少なくとも事件の把握があり、場合によっては人物の特定が進んでいることを意味します。その段階では、出頭の目的は「自首すること」ではなく、手続の中で不利益を広げない対応(説明の整理、証拠の扱い、今後の見通しの確認)に移ります。


証拠・特定可能性の観点(判断の精度が上がるポイント)

発覚前後の見極めは、最終的に「特定に至りやすい事情があるか」で精度が上がります。代表例は次のとおりです。

  • 防犯カメラの設置が明確で、撮影位置・動線が映る可能性が高い
  • レジ・ゲート・通路など、顔や服装が映りやすい場所を通っている
  • キャッシュレス決済、会員登録、入退館記録など、行動と結びつく記録がある
  • 目撃者がいる、あるいは混雑が少なく行動が目立ちやすい
  • 撮影データが端末内に残っている、バックアップ・共有で痕跡が残り得る

証拠や記録が特定に結びつきやすいほど、捜査が動いた場合に本人へ到達する可能性が高くなります。
この観点は「自首する/しない」を機械的に決めるためではなく、現状整理と対応の優先順位(いつ・どのように出頭するか、弁護士同行が必要か)を検討するための判断材料とすることが望ましいでしょう。

警察に行くと当日はどうなるのか

警察に出頭した場合、直ちに逮捕されるとは限らず、通常は事実関係の確認から始まります。窓口で来庁の理由を伝えると担当の警察官に案内され、外部から見えない部屋で事情を説明する流れになります。最初に本人確認が行われ、氏名・住所・連絡先を確認したうえで話が始まります。

事情聴取では、いつ・どこで・どのような行動をしたのかを時系列で説明することになります。現場の状況、周囲の人の有無、撮影の有無や回数、端末の使用状況などについて順に質問が行われ、説明内容は記録として残されます。内容によってはその場で供述調書が作成され、読み上げられた内容を確認したうえで署名を求められます。調書に署名すると、その内容を前提に手続が進むため、事実と異なる点があればその場で訂正を申し出ることになります。

あわせて、所持品や端末の取扱いについて確認があります。撮影データの有無や保存状況を尋ねられ、任意提出として保管を求められる場合があります。任意提出は同意のもとで行われる手続であり、提出物や範囲を確認しながら進められます。提出後は返却方法について説明がされます。

当日に帰宅できるかどうかは、住居の有無、連絡の取れる状況、証拠が手元に残る可能性などを踏まえて判断されます。生活状況が安定していると判断される場合にはその日は帰宅となり、後日に改めて呼び出しを受ける形になります。一方で、事情によってはそのまま手続が継続されることもあります。帰宅した場合でも手続が終了するわけではなく、後日に再度の事情聴取や資料提出を求められることがあります。

最後に、今後の連絡方法や呼び出しの見込みについて説明を受けて終了となります。当日の所要時間は内容によって異なりますが、事情聴取と確認が続くため、一定の時間を要するのが通常です。

弁護士が同行すると何が変わるのか

出頭に弁護士が同行する場合、警察とのやり取りの進み方に違いが生じることがあります。弁護士が事情聴取の場に同席するわけではありませんが、出頭前後に内容を整理することで、説明のまとまり方や手続の受け止められ方が変わる場面があります。

出頭前には、事実関係を時系列で整理し、確実に言える事実と記憶が不確かな部分を分けて考えることが多くなります。たとえば、撮影の有無、場所や時間帯、当時の状況、端末の操作などについて、どこまでが事実として説明できるかを整理します。推測を事実のように述べてしまうと記録に残りやすいため、説明の順序や表現を整えておくことには意味があります。説明の骨格が事前に整理されていると、当日の質問に引きずられて話が前後しにくく、記録も時系列に沿った形になりやすくなります。

出頭当日は、供述調書が作成されることがあります。調書は、説明内容がどのように文字化されるかで受け取られ方が変わるため、終了後に記載の趣旨を確認し、事実とずれる部分がないかを整理しておくことが重要になります。また、所持品や端末について任意提出を求められる場面もあり、提出の対象や範囲、保管の扱いについて説明を受けることがあります。任意提出では、何をどこまで提出するのかを理解したうえで対応することが重要になります。

さらに、帰宅後も呼び出しが続くことが多く、追加の事情確認や資料提出を求められることがあります。同行があると、次回の呼び出しで何を確認されるのかを踏まえ、事前に準備すべき事項を整理しやすくなります。

盗撮事件では、処分に影響する事情として被害弁償や示談が問題となることがあります。出頭後に何から対応するか(追加の説明、資料提出、示談の検討など)を順序立てて考えることができる点に、同行の意味があります。

このように、同行によって結果が自動的に変わるわけではありませんが、説明の内容と記録のされ方、提出物への対応、後日の手続への備えが整うことで、その後の進み方に違いが出ることがあります。

自首に伴う連絡等のやり取りの負担を緩和できる点も、弁護士と共同して進めることの大きなメリットです。

自首すれば逮捕は避けられるのか

自首をすれば必ず逮捕されない、あるいは自首しなければ逮捕されるという関係にはなっていません。逮捕の要否は、自首の有無だけで決まるのではなく、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるかどうかを中心に判断されます。出頭したという事実そのものより、出頭後の状況がどのように評価されるかが重視されます。

まず、生活状況の安定性が確認されます。住居が定まっており、勤務先や学校などの通う先が明らかで、連絡が取れる状態にある場合には、身体拘束の必要性が低いと判断されることがあります。この場合、その日は帰宅となり、後日に呼び出しを受けながら捜査が進む形になります。在宅のまま事情聴取が重ねられる進行は珍しいものではありません。

これに対し、所在が不安定とみられる事情がある場合や、関係資料が本人の手元に残る可能性が高い場合には、帰宅とならず、そのまま逮捕に進むことがあります。撮影に使用した端末の所在が不明確な場合や、確認すべき資料が多いと判断される場合も、判断に影響する事情になります。証拠の確認に時間を要すると見込まれる場合には、身体拘束の必要性が高いと評価されることがあります。

出頭の時期も無関係ではありません。捜査が始まる前の申告は協力的な対応として扱われることがありますが、それだけで逮捕の要否が決まるわけではありません。行為の態様、回数、関連資料の状況などとあわせて検討されます。自首は逮捕を直接回避する事情というより、必要性の判断において一つの事情として考慮される位置づけになります。

すでに呼び出しを受けている場合には、捜査が進んでいる前提で判断されます。この段階では、自首としての評価よりも、出頭後の説明内容や資料提出の状況が中心になります。後日の呼び出しに応じられる状態にあるか、追加確認に対応できるかといった事情が見られます。

このように、逮捕の可否は個別事情の積み重ねによって判断されます。自首の有無だけで結論が定まるものではなく、生活状況、証拠の所在、出頭の時期などを総合して決められます。

自首後の処分への影響

自首は、逮捕の有無を直接決める事情ではありませんが、その後の処分を検討する際の一事情として考慮されます。処分は、事実関係の内容、証拠の状況、被害の程度などを踏まえて決められ、自首の有無はその中の一要素として位置づけられます。自首だけで結論が変わるのではなく、他の事情とあわせて総合的に評価されます。

盗撮事件で問題となる処分は、主に次のように分かれます。

  • 起訴猶予(不起訴)
  • 略式手続による罰金
  • 公判請求(正式裁判)

どの処分に至るかは、行為の内容、回数、証拠の状況に加え、その後の対応状況が重視されます。

まず、不起訴となるかどうかは、被害の回復状況が大きく関係します。被害者が特定されている事案では、被害弁償や示談の成立が判断要素となります。自首によって早期に手続が始まると、被害者対応の時間を確保できることがあります。被害回復が進んでいる事情は、処分を検討する際の重要な要素になります。
また、早い段階で事実関係が明らかになることで、追加の確認事項が整理され、手続の見通しが立ちやすくなることがあります。

次に、罰金となる場合は、事実関係が認められ、被害回復が一定程度進んでいるものの、不起訴とまでは評価されないときです。行為回数や資料の状況などがあわせて検討されます。自首がある場合には、事実関係が早期に明らかになった事情として扱われることがあります。

一方、正式裁判となる場合は、行為の態様や回数、関連資料の内容などから、裁判での判断が必要とされるときです。この段階では、自首の有無だけで処分が変わることは少なく、事案全体の内容が重視されます。

また、呼び出しを受けた後に出頭した場合には、すでに捜査が進んでいるため、自首としての評価は限定的になります。この場合は、その後の対応状況が中心となり、説明の内容や資料提出の状況などが処分判断の材料になります。このように、自首は処分を直接決める事情ではありませんが、手続の初期段階から対応が行われた事情として評価されることがあります。最終的な処分は、自首の有無だけでなく、被害回復や事実関係の内容を含めた全体の事情によって決められます。

自首前にやってはいけない行動

出頭を検討している段階では、その前の行動によって後の手続の進み方が変わることがあります。まず、避けるべき行動をまとめると次のとおりです。

  • 記録やデータの削除
  • 被害者とみられる相手への直接連絡
  • 周囲と相談しながら説明内容を変えること
  • SNSや公開の場で事情に触れること
  • 関係する物の移動や処分

出頭前の行動が増えるほど、当日に確認される内容も増えていきます。

まず、記録の削除についてです。端末内のデータを消去すると、行為の有無だけでなく「いつ削除したのか」「なぜ削除したのか」という経過の説明が必要になります。本来であれば行為の内容の確認だけで足りる場面でも、削除の経緯の説明が加わり、確認事項が増えることになります。

次に、関係者への直接の連絡です。謝罪や説明の意図であっても、どのような内容のやり取りをしたのかを確認する必要が生じます。やり取りの回数や前後関係を整理する必要があるため、行為とは別の経過についても説明が求められることになります。直接の連絡は、盗撮行為以外の事情についての説明を増やすことにつながります。

また、周囲と相談しながら説明内容が変わると、どの説明が実際の経過にあたるのかを整理する必要が生じます。結果として同じ事項を繰り返し確認することになり、手続に時間を要することがあります。

さらに、SNSや公開の場で事情に触れると、投稿内容や閲覧状況などの確認が必要になる場合があります。不特定多数の情報が加わることで、確認の対象が広がることがあります。

加えて、関係する物を移動させたり処分したりすると、所在の変化を説明する必要が生じます。どの時点でどこにあったのかを整理する必要があり、盗撮行為そのものとは別の確認事項が増えることになります。

このように、出頭前の行動が増えるほど、盗撮行為そのもの以外の経過についても説明が求められるようになります。事実関係を整理した状態で出頭できるかどうかが、その後の進行に影響します。

まとめ

盗撮について出頭を考える場面では、まず自首として扱われるかどうかが問題になります。自首の成否は、出頭の意思表示だけで決まるのではなく、捜査機関が事件や人物を把握する前後のどの段階にあるかによって判断されます。

出頭後は事情聴取や調書の作成が行われ、帰宅となるかどうかは生活状況や資料の所在などを踏まえて判断されます。自首があれば直ちに逮捕を避けられるわけではありませんが、判断の中で考慮される事情の一つになります。

また、その後の処分は自首の有無のみで決まるものではなく、行為の内容、回数、被害回復の状況などを含めて検討されます。早い段階で対応が始まることで、被害者対応を進める時間を確保できる場合があります。

さらに、出頭前の行動によって確認事項が増えると、手続の範囲が広がることがあります。記録の削除や直接の連絡などは、経過の説明を要する事情となることがあります。

このように、出頭の時期、出頭後の対応、被害回復の状況などが積み重なって判断が行われます。状況を整理したうえで対応を検討することが重要になります。

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盗撮の余罪はどう扱われる?再逮捕と捜査範囲を解説

盗撮事件では、発覚した1件だけで手続が終わるとは限りません。
スマートフォンや記録媒体の解析によって、過去の行為が新たに確認され、**別の事件として扱われる「余罪」**が問題になることがあります。

余罪が疑われる場合、再逮捕や追加の取調べが行われる可能性があり、手続の見通しが分かりにくくなりがちです。不安の多くは、処分の重さそのものよりも、捜査がどこまで広がり、いつ区切られるのかが見えないことにあります。

ここでは、盗撮の余罪が疑われたときの手続の流れと、捜査が進む範囲の考え方を、刑事手続の仕組みに沿って整理します。なお、逮捕後の手続全体の流れについては、盗撮で逮捕された場合の基本的な手続の流れもあわせてご参照ください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

盗撮の余罪がある場合、まず起こる手続の流れ

盗撮で逮捕や任意の捜査を受けた場合、捜査は発覚した1件だけで直ちに終わるとは限りません。押収されたスマートフォンや記録媒体に過去の撮影データが残っていると、他にも同様の行為があった可能性を前提に調査が進みます。

一般的な流れとしては、まず本件の事実関係の確認が行われ、その後、押収物の解析結果を踏まえて追加の捜査が検討されます。解析の過程で別の日・別の場所の撮影記録が確認されれば、それぞれが新たな事件として扱われる可能性があります。

この段階で行われる対応は主に次のとおりです。

  • 押収データの解析
  • 追加の事情聴取
  • 被害者の特定作業
  • 余罪の立件可否の検討

余罪が疑われる場合、手続は一度終了するのではなく、本件の捜査と並行して範囲が広がっていく形で進行します。その結果、再逮捕や追加送致が検討されることがあります。

このとき重要なのは、「事件が増えるかどうか」はその場で決まるものではないという点です。解析結果の確認、被害者の特定、供述との照合といった作業が段階的に行われ、一定の材料がそろった時点で初めて新たな事件として扱うかが判断されます。そのため、取調べが続いている間は、どこまでが捜査対象になるのかが確定しない状態が続きます。

もっとも、この段階では処分の内容自体はまだ決まりません。問題となるのは刑罰の重さではなく、捜査の区切りが見えないことによる手続の長期化です。見通しを把握するには、どの時点で再逮捕が行われ得るのかを理解することが重要になります。

再逮捕はどの段階で行われるのか

余罪が疑われる場合、必ずしも同じ手続の中でまとめて処理されるとは限りません。
新たな犯罪事実について独立して捜査する必要があると判断されると、別の事件として再逮捕が行われることがあります。

再逮捕が検討される典型的な場面は、押収データの解析によって本件とは異なる日時・場所の撮影記録が確認され、被害者の特定や裏付け捜査が可能になった場合です。このとき捜査機関は、新たに確認された事実について改めて身体拘束の必要性を判断します。

再逮捕には大きく分けて次の2つの形があります。

  • 釈放前に行われる再逮捕
    先行事件の勾留期間中に別事件の嫌疑が固まった場合、釈放せずそのまま新たな事件で逮捕されることがあります。
  • 釈放後に行われる再逮捕
    いったん釈放された後でも、解析結果や追加の証拠により別事件の嫌疑が固まれば、改めて逮捕されることがあります。

もっとも、余罪が判明した場合に必ず再逮捕になるわけではありません。身体拘束の必要性が低いと判断されれば、逮捕を伴わずに書類送致(追送検)の形で手続が進む場合もあります。どちらの扱いになるかは、逃亡や証拠隠滅のおそれ、捜査の進行状況などを踏まえて個別に判断されます。
たとえば関係資料がすでに確保され、追加の事情聴取も完了しているような場合には身柄を拘束しないまま手続が進むことがあります。一方で、被害者の特定作業や関係先への照会が継続している段階では、捜査の確実性を確保するため身柄付きの手続が選択されることがあります。重要なのは、再逮捕は処分を重くするための手続ではなく、別の犯罪事実について改めて捜査を行うための手続上の区切りとして用いられる点です。そのため、いつ再逮捕が行われるかはあらかじめ決まっているものではなく、証拠がそろった段階で順次判断されます。
したがって、一定の日数が経過したから行われるというものではなく、解析結果の確認や関係者の聴取が進み、独立した事実として扱うだけの裏付けが整った時点で区切りが設けられる性質のものといえます。

余罪の捜査はいつまで続くのか

余罪が疑われる場合、捜査は一定の日数で自動的に終了するものではありません。
確認すべき事実関係が残っている限り、必要な範囲で調査が続くのが基本的な考え方です。

まず行われるのは、押収された機器の解析です。スマートフォンや記録媒体に保存された画像・動画の確認だけでなく、撮影時刻の情報、保存履歴、削除データの痕跡などが順次調べられます。この作業は一度に完了するとは限らず、解析結果に応じて追加の確認が行われることがあります。

解析によって別の撮影記録が見つかった場合には、その内容が実際の出来事に対応するかを確かめるための調査が行われます。映り込んだ場所の特定、関係者からの事情聴取、防犯カメラとの照合などが順に進められ、一つひとつの事実について裏付けが取れるかが確認されます。この過程では、新たな資料の提出や追加の聴取が必要になることもあります。

こうした確認が続く間は、捜査の対象となる出来事の範囲が確定していない状態が続きます。そのため、先に確認された事実の手続が進んでいても、並行して別の事実の調査が継続することがあります。捜査は一度にまとめて終わるのではなく、事実ごとに区切りが付けられながら段階的に整理されていくのが通常です。

最終的には、確認された事実について送致の判断が行われた時点で、その範囲の捜査は一つの区切りを迎えます。ただし、後から新たな資料が判明すれば追加の確認が行われることもあり、終了の時期は個別の事情により異なります。捜査の期間は日数で一律に決まるものではなく、確認すべき内容が残っているかどうかによって左右される性質のものといえます。

盗撮事件に対する現実の刑事手続では、捜査が一段落した後に捜査機関の判断だけで余罪の捜査が再開することはあまり見られません。

そもそも「余罪」とはどこから別事件になるのか

「余罪」という言葉は一般的な表現であり、法律上の用語として明確に定義されているものではありません。刑事手続では、確認された出来事が本件と同じ事件として扱われるのか、それとも別の事件として扱われるのかという整理の問題になります。
捜査機関は「余罪があるか」を直接判断しているのではなく、あくまで個々の出来事が独立した犯罪事実に当たるかを検討しています。

判断の際に重視されるのは、行為の同一性です。具体的には、日時・場所・被害者・方法が一連の行為といえるかが確認されます。たとえば短時間に連続して行われた撮影であれば一つの機会と評価されることがありますが、時間が離れている場合には別の出来事として扱われる可能性が高くなります。
ここでは行為の回数だけでなく、「同じ流れの中で行われたか」が重要な基準になります。

盗撮の場合、同一の場所で連続して行われた撮影は一つの機会の行為と評価されることがあります。一方、日を改めて行われた撮影や、異なる場所・異なる被写体に対する行為は、それぞれ独立した出来事として整理される可能性があります。
この区別は、撮影データの記録内容や周囲の状況、移動の有無などから個別に判断されます。このように、確認された事実が別事件に当たるかどうかは、単に件数の問題ではなく、行為のまとまりとして評価できるかによって決まるものです。余罪と呼ばれるのは、先に把握されていた出来事とは独立した行為と判断された場合を指します。

盗撮事件の場合、行為が1回か複数回か、という基準で区別するのが最も端的でしょう。

余罪の調査はどの時点から始まるのか

余罪の調査は、特別な手続が新たに開始されてから始まるものではありません。多くの場合、本件の捜査の過程で自然に調査が広がる形で始まります。

最初の契機になるのは、押収物の確認です。スマートフォンや記録媒体の内容を確認する段階で、発覚している出来事とは異なる撮影記録が見つかることがあります。この時点で直ちに別事件として扱われるわけではありませんが、過去の別の出来事に関係する可能性のある資料として追加の確認が行われます。

次に行われるのは、その記録の内容の確認です。撮影時刻の情報や映り込んだ場所の特定、関係者からの事情聴取などにより、その画像や動画が実際に起きた出来事と結びつくかが調べられます。たとえば撮影場所が特定できるか、当時その場にいた人物が確認できるかといった点が順に検討されます。この確認が進むにつれて、単なる記録の存在から、独立した事実として扱うかの判断に移っていきます。

さらに、取調べの中で新たな情報が示されることもあります。供述と記録内容の一致や不一致を確認する過程で、他の出来事の存在が推測される場合があります。このように、余罪の調査は一度に開始されるのではなく、資料確認と聴取が進むにつれて段階的に広がります。したがって、余罪の調査が始まる時点は明確な一線で区切られるものではなく、本件の確認作業の延長として連続的に始まる性質のものといえます。

盗撮事件では、事前に捜査機関への被害申告がなされている件が具体的な捜査の対象になり、事前に被害申告のない事件は捜査対象外になりやすい、という傾向が見られます。

過去の行為はどこまで調べられるのか

余罪が問題となる場面では、どの程度まで過去の行為が確認されるのかが気になるところです。結論として、手がかりとなる資料が見つかる範囲まで調査が行われるのが基本です。
「何年前まで」といった決まった線引きがあるわけではなく、どこまでさかのぼるかは残っている情報の量や内容によって変わります。つまり、調査の広さは時間ではなく、確認できる手がかりの有無で決まります。

まず中心になるのは、押収された機器の確認です。スマートフォンや記録媒体には、画像や動画そのものだけでなく、そのデータがどのように保存されてきたかを示す情報も残っています。
操作の履歴をたどることで、現在見えているデータより前の状態が分かることもあり、確認作業は一度に終わるのではなく、見つかった情報をもとに少しずつ範囲が広がっていきます。

具体的には、次のような情報が手がかりになります。

  • 作成日時・更新日時
  • 保存フォルダの履歴
  • 編集や移動の記録
  • 削除操作の痕跡

これらを確認することで、いつ頃どのような記録が存在していたかが順に把握されます。削除したデータでも痕跡が残る場合があり、残っているファイルの数より広い範囲が分かることがあります。

さらに、端末の中だけで確認が終わらないこともあります。内容が十分に分からない場合、別の保存先が調べられることがあります。

  • クラウド上の保存データ
  • 自動バックアップの記録
  • アプリの利用履歴
  • 外部媒体への転送履歴

このように、確認の対象は端末の中に限られないことがあります。端末から消えていても、別の場所に残っていれば、そこから内容が分かる場合があります。

また、画像や動画から場所が分かる場合には、外部の資料と照らし合わせることがあります。映り込んだ施設や設備、撮影時刻の情報などを手がかりに当時の状況が確認され、内容に応じて確認作業の範囲が広がることがあります。もっとも、すべての過去の行為が必ず確認されるわけではありません。手がかりが残っていない場合や、出来事を特定できない場合には、それ以上の確認は行われないこともあります。
したがって、調査の広さは期間の長さではなく、確認できる資料がどれだけ残っているかによって決まるといえます。

余罪は何件として扱われるのか

余罪がある場合に気になるのは、発見された内容が最終的にいくつの事件として整理されるのかという点です。ここで重要なのは、保存されているデータの数と事件数は一致しないということです。

たとえば画像や動画が多数見つかったとしても、それだけで同じ数の事件になるとは限りません。同じ機会に続けて撮影されたものであれば、まとめて一つの出来事として扱われることがあります。短時間のうちに連続して撮影されている場合には、撮影回数より少ない件数として整理されることがあります。

一方で、記録の数が少なくても件数が増えることもあります。時間が離れている撮影や、場所を変えて行われた撮影は、それぞれ別の出来事として扱われる可能性があります。撮影の間に移動がある場合や、いったん終了した後に改めて行われた場合なども、別の行為として整理されやすくなります。

また、同じ人物が写っている場合でも、一度の機会とはいえない状況であれば複数の出来事として扱われることがあります。反対に、複数人が写っていても同じ機会の中で行われたものであれば、一つの出来事として扱われることがあります。

このように、余罪の件数は単純な回数ではなく、撮影の区切り方によって整理される結果として決まることになります。

供述内容は余罪の扱いに影響するのか

余罪が疑われる場面では、取調べでどのように話すかによって結果が変わるのではないかと不安に感じることがあります。まず前提として、事件の有無は供述だけで決まるものではなく、資料との関係で判断されます。

押収物の内容と説明が一致しているかどうかは確認されますが、供述がそのまま件数を決めるわけではありません。記録の内容から把握できる範囲があり、その範囲を前提に事情の確認が進められます。供述は、その内容を補足したり整理する材料として扱われます。

一方で、説明の内容によって確認の進み方が変わることがあります。具体的な時期や場所が示されれば、その情報をもとに資料の確認が行われることがあります。逆に、はっきりしない部分が残る場合には、資料側から確認が進められることもあります。
つまり、供述は余罪を直接決めるものではないものの、確認の手がかりになることがあります。どの範囲を重点的に調べるかを考える際の参考資料として扱われるためです。

また、すでに把握されている資料の範囲を超えて新しい出来事が扱われるかどうかは、客観的な資料の有無によって左右されます。供述だけで新たな出来事が確定するわけではなく、裏付けとなる資料との関係で整理されます。
たとえば説明された内容に対応する資料が見つからない場合には、それだけで事件として扱われることは通常ありません。反対に、資料が存在する場合には、その内容の確認が優先されます。したがって、余罪の扱いは供述の有無だけで変わるものではなく、資料の内容と照らし合わせながら決まっていく性質のものといえます。

被害申告と客観的証拠があることを前提に、被疑者の供述がそれらと一致するかどうかを確認する方法が多く見られるところです。

弁護士の関与で変わる可能性のある点

余罪が問題となる場面では、手続がどこまで広がるのか見通しが立ちにくくなります。このとき重要になるのは、何について調べられているのかをはっきりさせることです。捜査が進むと、すでに事件として扱われている出来事と、まだ確認中の出来事、単なる可能性にすぎない内容が混ざって見えやすくなります。まずは、把握されている資料をもとに、どこまでが具体的な調査対象になっているのかを整理して理解することが出発点になります。

具体的には、押収物の内容や捜査の進行状況を踏まえ、現在問題とされている事実関係を整理します。撮影記録が複数ある場合でも、すべてが同じ扱いになっているとは限りません。どの記録について確認が進んでいるのか、被害者の特定が行われているのか、追加の確認が必要な部分はどこかを分けて考えることで、調査の焦点が見えやすくなります。

また、確認作業の進み方についても、すでに把握されている範囲と、まだ確認が終わっていない範囲を区別することで、どの部分について調査が続いているのかが分かりやすくなります。結果として、必要な確認とそうでない確認が区別されやすくなり、手続の見通しが立ちやすくなります。

さらに、手続の段階に応じて今後想定される流れを把握することも重要です。現在の状況を踏まえ、どのような確認が行われ得るのかを理解しておくことで、余罪の問題を落ち着いて捉えやすくなります。このように、弁護士が関与する意義は結論を変えることに限られず、調査の対象と手続の進み方を整理して理解しやすくする点にあるといえます。

余罪が原因で処分が重くなることを防ぐため何をすべきか、という点も、弁護士と協力して検討していくことが非常に有益です。

まとめ:余罪の問題を理解するための整理

ここまで見てきたとおり、余罪の問題は単に件数や処分の重さだけで決まるものではありません。重要になるのは、どの出来事が調査対象になっているのかと、その確認がどの段階にあるのかです。

手続は一度に確定するのではなく、資料の確認に応じて段階的に整理されていきます。そのため、同じ状況であっても、確認が進んでいる範囲によって見通しが異なります。
余罪について考える際には、結果だけを見るのではなく、現在どこまでが確認されているのかという視点で整理することが重要になります。このように、余罪の問題は処分の予測よりも、調査の範囲と進み方を理解することで見通しが立てやすくなる性質のものといえます。

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盗撮で警察に呼ばれたら?取り調べの答え方と逮捕回避のポイント

盗撮の疑いで警察から取り調べに呼ばれた場合、「逮捕されるのか」「どこまで答えるべきか」と迷う方は少なくありません。取り調べは単なる事情聴取ではなく、後に証拠として扱われる供述調書を作成する手続であり、ここでの説明の内容や表現は、その後の捜査の進み方や処分の判断に影響します。

もっとも、警察の質問にすべて答えなければならないわけではなく、黙秘や訂正を求める権利が認められています。一方で、曖昧な記憶のまま説明した内容が不利な供述として扱われ、後から修正が難しくなることもあります。

本記事では、刑事手続の仕組みに沿って、盗撮事件の取り調べで確認される事項、供述の違いによる捜査の進み方、逮捕の可能性や処分の見通しを弁護士の視点から解説します。

なお、逮捕の判断基準や手続の全体像については、盗撮で逮捕される流れの解説もご参照ください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

取り調べに呼ばれたら何が起きるか

警察から連絡を受けて出頭すると、最初に氏名や住所、勤務先などの確認が行われ、その後に当日の出来事について質問されます。いきなり結論を求められるというより、「いつ・どこで・何をしていたか」を順に整理する形で話が進みます。この段階で話した内容は書面にまとめられ、後に供述調書として記録される可能性があります。

逮捕されていない場合、取り調べは原則として任意の手続です。そのため多くのケースではその日のうちに帰宅できます。開始前に待ち時間が生じたり、途中で休憩が入ることもあり、想定より長く感じる場合もありますが、終日拘束されるとは限りません。ただし、説明内容と証拠の関係や話の一貫性を踏まえて、警察が今後の対応を判断します。取り調べは単に事情を確認するだけでなく、身柄拘束の必要性を見極める場面でもあります。

また、取り調べでは事件の全体像が最初から詳しく説明されるとは限りません。何が問題とされているのか分からないまま質問に答えることもあります。このとき、意味を十分に確認せずに話すと、後から不利な内容として整理される可能性があります。

質問には、事実関係を確認するものと評価につながるものが混ざっています。推測で補ったり、あいまいなまま認めたりすると、後で修正することは簡単ではありません。取り調べでは話した内容が記録として残ることを意識し、理解できない点は確認しながら落ち着いて受け答えすることが重要です。

取り調べはどのくらい続くのか

取り調べに呼ばれた場合、1回の聴取はおおむね1〜2時間程度で終わることが多く、長くても半日ほどで一区切りになるのが一般的です。もっとも、当日の状況や確認事項の量によって前後するため、最初から終了時刻が明確に示されるとは限りません。待ち時間や書面作成の時間も含まれるため、実際の滞在時間は想定より長く感じることがあります。

呼び出しは1回で終わるとは限らず、数日から数週間の間隔で複数回行われることがあります。最初は事実関係の整理、次に細かな点の確認というように、回を分けて進むこともあります。この過程で説明内容が変わると、その理由を確認されることがあるため、供述の一貫性が重視される点に注意が必要です。

また、捜査全体の期間は事件の内容や証拠の量によって異なりますが、在宅のまま進む場合でも一定期間継続します。呼び出しに応じない、連絡が取れないといった事情があると、手続の進め方が変わることがあります。そのため、取り調べは1回で終わる手続ではなく、複数回の確認を前提に進むものとして理解しておくとよいでしょう。

認め事件と否認事件では、取調べの期間、回数や1回あたりの時間が異なります。認め事件の場合、警察での取調べを1回にまとめて、1日かけて行うことも相当数見られます。

取り調べ後に逮捕されることはあるのか

取り調べを受けたあとでも、帰宅できても手続が終わるとは限りません。逮捕の判断はその場の受け答えだけで決まるものではなく、説明内容と証拠の関係、連絡への応じ方、生活状況などを踏まえて行われます。必要と判断された場合には、後から手続が変わることがあります。

逮捕の形は一つではありません。取り調べの当日に手続が変わる場合もあれば、いったん帰宅した後に後日逮捕となる場合もあります。後日の場合は、再度の呼び出しの際や自宅への訪問時に行われることがあります。取り調べの段階では結論が出ていなくても、後に証拠との照合で評価が変わることがあるためです。

もっとも、すべてのケースで逮捕に至るわけではありません。住所や勤務先が安定しており、呼び出しに継続して応じている場合や、証拠関係がすでに確保されていると考えられる場合には、在宅のまま捜査が続く場合もあります。この場合、一定期間ごとに追加の確認が行われることがあり、後日改めて事情を聞かれることもあります。帰宅できたからといって警察の関与が終わるわけではなく、調査は継続して行われます。したがって、取り調べ後は、当日の結果だけで見通しを判断しないことが重要です。帰宅できた直後は手続が進んでいないように感じられても、その後に証拠の確認や関係者の聴取が行われ、評価が変わることがあります。連絡に応じない、説明が変わるといった事情があると、後から手続が変わる可能性もあるため、状況が継続していることを前提に対応を考える必要があります。

取り調べで聞かれる事項

取り調べでは、いきなり行為の是非だけを問われるわけではなく、周辺事情から順番に確認が行われます。質問は大きく分けて、生活状況 → 当日の行動 → 問題場面の状況という流れで進むことが多く、後から内容が照合される前提で整理されます。

まず確認されるのは、氏名・住所・勤務先・家族構成などの基本的な事項です。これは身元確認だけでなく生活状況の把握という意味があります。通勤方法や生活リズムなどを尋ねられることもあり、普段どのように過ごしているかを整理するための質問が続きます。

次に、当日の移動経路が時系列で尋ねられます。「どこから来たのか」「何時ごろ到着したのか」「どのくらいその場所にいたのか」といった点を一つずつ確認され、当日の行動は時系列で具体的に確認されることになります。防犯カメラの映像や交通系ICカードの履歴などと照らして整理されることがあるため、記憶が曖昧な部分を推測で補うと後の説明と食い違う可能性があります。

その後、問題とされている場面について、位置関係や持ち物、周囲の状況などの詳細が尋ねられます。「どの位置に立っていたか」「手の動きはどうだったか」「端末を操作したか」など、行動の具体像を組み立てる質問が続きます。ここでは一つひとつの動作が個別に確認され、後から映像や記録と照合される前提で整理されます。記憶がはっきりしない部分を断定的に答えると、後に食い違いとして扱われることがあるため、曖昧な記憶を断定しないことが重要になります。

さらに理由を尋ねられることがあります。これは単に事情を知るための質問に見えますが、行動の背景を確認する質問です。たとえば「なぜその場所にいたのか」「何をしようとしていたのか」といった点は、偶然の行動なのか、目的をもった行動なのかを整理する材料になります。そのため、曖昧なまま話すと、意図していない内容として受け取られる可能性があります。一方で、「以前にも同様の行動があったか」といった質問は、事実の確認というよりも評価に関係する質問になります。この種の質問では、出来事だけでなく、その行動がどのような性質のものかも整理されることがあります。取り調べでは事実確認と評価に関わる質問が混在するため、何を確認されているのかを理解しながら説明することが重要になります。

認める・否認するで捜査はどう変わるか

取り調べでは、出来事についてどのように説明するかによって、その後の捜査の進み方が変わります。ここでいう「認める」「否認する」は、単に反省の有無を意味するものではなく、事実関係をどの範囲まで争うのかという整理の問題になります。

事実関係を認める説明をした場合、警察は主に内容の裏付けを中心に確認を進めます。場所や時間、状況の細部を確認しながら、説明と客観的な記録との関係が整理されます。確認は一度で終わるとは限らず、同じ内容を表現を変えて尋ねられることもあります。これは理解を深めるだけでなく、客観的資料と照らした整合性を確かめる意味があります。この場合、供述は客観証拠と照合しながら評価されることになります。

一方、事実関係について争う説明をした場合は、どの部分が一致しないのかを中心に確認が続きます。映像や記録との関係を確かめる質問が増え、前後の行動との整合性についても尋ねられます。説明の理由や認識の経緯を確認する質問も加わり、記憶の根拠がどこにあるのかが整理されます。この過程では、説明の一貫性は信用性判断の材料として扱われることになります。

また、すべてを一括して決める必要があるわけではなく、認める部分と認めない部分を分けて説明することもあります。この場合、どの場面についての説明なのか、どこからが認識と異なるのかが個別に確認されます。説明の範囲があいまいなままだと意図と異なる整理になることがあるため、争点となる範囲が整理される形で進みます。

さらに、一部を認める説明では、どの点をどの理由で認めているのかが確認されます。単に結果だけを述べるのではなく、その認識に至った経緯が整理され、後の手続でどの点が争いの対象となるのかが明確になります。取り調べでは、認める範囲自体が確認事項になると理解しておく必要があります。

説明の内容が途中で変わる場合には、その理由も確認されます。思い出した時期や認識のきっかけが整理され、各段階の説明がそれぞれ記録として扱われます。このため、取り調べでは説明の変化の理由も確認対象となる形で進みます。

検察官の判断ポイント

取り調べで確認された内容は、最終的に検察官が処分を判断する際の資料として整理されます。ここでは出来事の有無だけでなく、証拠との関係や説明の内容がどのように評価できるかが検討されます。つまり、捜査段階のやり取りは、処分判断のための材料として読み直されることになります。

まず確認されるのは、客観的な資料との整合性です。映像や記録、関係者の説明などと照らし合わせて、事実関係がどの程度一致しているかが整理されます。一致する部分と一致しない部分が分けて検討され、どこまで事実として認められるかが判断されます。このため、供述と客観証拠の関係が中心に検討されることになります。

次に、行動の意味づけが検討されます。同じ行動であっても、状況や説明の内容によって評価は変わります。どのような経緯でその場にいたのか、行動がどの程度継続していたのかといった点が整理され、偶然の行動として説明できるのか、それとも目的をもった行動として理解できるのかが検討されます。ここでは、行動の位置づけが個別事情に即して判断されることになります。

また、説明の経過も確認対象になります。取り調べの中で説明がどのように整理されてきたかが検討され、どの部分が安定しているかが確認されます。説明の変化があれば、その理由や経緯が考慮され、全体としてどの程度信用できるかが判断されます。したがって、説明の経過自体も評価資料になるといえます。

さらに、被害の回復に向けた動きがあるかどうかも資料として扱われます。これは反省の有無を直接判断するためではなく、事件後の対応としてどのような事情が存在するかを把握する意味があります。これらの事情を踏まえ、最終的に起訴するかどうかが判断されます。

黙秘は有利か不利か

取り調べでは質問に答えるかどうかを自分で選ぶことができ、黙秘という選択自体が直ちに不利益として扱われるものではありません。答えなかったことだけを理由に処分が決まるわけではなく、他の資料との関係を踏まえて全体として評価されます。

もっとも、すべての質問に答えない場合には、事実関係の確認が進まない部分が残ります。その結果、客観的な資料から推測できる範囲で整理が行われることがあります。つまり、黙秘は不利になる行為ではありませんが、説明がない部分は他の資料を基に整理されることになります。

一方で、記憶がはっきりしない点について無理に説明を続けると、後に内容が変わったと受け取られることがあります。思い出そうとして補った内容が、結果的に食い違いとして扱われる場合もあります。このような場面では、曖昧な記憶を断定して答えないことが重要になります。また、すべてを一律に答えるか答えないかを決める必要はなく、質問の内容に応じて説明する範囲を区別することもあります。取り調べでは、答えた内容だけでなく答えていない部分も含めて整理されるため、説明する部分としない部分を意識して対応する形になります。

基本的に、話すことによる情報提供が不利益と判断した場合に黙秘を選択することが多いでしょう。もっとも、黙秘の理由自体も特に告げる必要はありません。

危険な供述

取り調べでは、意図せず不利な内容として整理されてしまう説明があります。特別なことを話した場合に限らず、日常的な受け答えの中でも生じるため注意が必要です。取り調べは記録を前提として進むため、言葉の選び方によって意味が変わることがあります。

まず、記憶があいまいな部分を推測で補う説明です。「たぶん」「おそらく」といった表現でも、内容としては断定的に整理されることがあります。後に別の記憶が出てきた場合、説明が変わったと扱われる可能性があります。そのため、推測で事実を補わないことが重要になります。

次に、相手の理解に合わせようとして話をまとめてしまう説明です。話を分かりやすくしようとして細部を省略すると、意図しない形で行動の意味が固定されることがあります。確認のための言い換えに同意した結果、内容を認めた形になる場合もあるため、理解しきれない表現に安易に同意しないことが大切です。

また、理由を説明する際に評価を含めてしまう場合もあります。出来事の説明と評価を区別せずに話すと、後にその評価を前提とした整理がされることがあります。取り調べでは、事実と評価を分けて説明する意識が必要になります。さらに、説明を簡略化しようとして一言でまとめてしまうことも注意が必要です。詳しく話す代わりに結論だけを述べると、背景が省かれた形で記録されることがあります。取り調べでは要点が記録として残るため、省略した表現がそのまま意味として扱われることがあります。

供述は自分の記憶と一致するべきというのが大原則です。自分の記憶と一致しない供述はとても危険であると言えます。

供述調書に署名をする意味

取り調べの内容は書面にまとめられ、内容を確認したうえで署名や押印を求められます。ここでの署名は形式的な手続ではなく、記載された内容を確認したという意味を持ちます。そのため、署名した内容は後の手続でも資料として扱われることになります。

調書は会話をそのまま書き写したものではなく、要点を整理した文章として作成されます。表現が簡略化されることもあり、話したつもりの内容と細部が異なる場合があります。読み流して署名すると、その表現が前提として扱われるため、記載内容は一文ずつ確認する必要があります

もし内容が実際の説明と異なる場合には、その場で訂正を求めることができます。書き直しや追記の形で修正されることもあり、確認の段階で調整が行われます。後から記憶と違うと感じても、署名後は訂正が難しくなることがあるため、確認の段階での指摘が重要になります。また、内容が理解できない場合には、その点を確認したうえで判断することになります。意味を把握しないまま署名する必要はなく、説明を受けてから対応することになります。調書はその後の手続の基礎資料となるため、理解してから署名することが前提となります。

供述調書に署名することは、内容に誤りがないとお墨付きを与える意味を持ちます。その点を十分に踏まえて署名することが重要です。

取り調べ後の処分見通し

取り調べが終わると、資料は検察官に送られ、起訴するかどうかの判断が行われます。この段階では、出来事の有無だけでなく、証拠の内容や説明との関係を踏まえて全体として評価されます。したがって、取り調べの内容は処分判断の資料として整理されることになります。

判断の際には、事実関係がどの程度確認できるかがまず検討されます。客観的な資料と説明がどの範囲で一致しているか、食い違いがある場合にどのように理解できるかが整理され、証明の程度が検討されます。このため、証拠と説明の関係が中心に検討される形になります。

また、事件後の状況も資料として扱われます。被害の回復に向けた動きや、生活状況の安定性などが確認され、手続を進める必要性が検討されます。これは処分を直接決めるものではありませんが、全体の事情として考慮されます。つまり、事後の事情も含めて総合的に判断されることになります。この段階では結論がすぐに示されるとは限らず、一定期間をおいて連絡が来ることもあります。取り調べが終わった時点で結果が確定するわけではなく、資料の整理を経て判断が行われます。そのため、取り調べの終了と処分の決定は別の段階として理解しておく必要があります。

取調べは捜査の一手段です。取調べを含む捜査の内容を踏まえて、その後の処分が決められることになります。

弁護士が取調べ前に行う準備

取り調べの前には、事実関係を整理し、どの範囲を説明するのかを確認します。出来事の経過を時系列でまとめ、記憶がはっきりしている部分と不確かな部分を区別しておくことで、当日の説明を落ち着いて行うことができます。あらかじめ整理しておくことにより、当日の受け答えの方向性が明確になります

また、想定される質問の内容を確認します。生活状況や当日の行動、問題とされている場面について、どのような点が確認されるかを把握しておくことで、質問の意味を理解しながら説明することができます。これにより、質問の趣旨を踏まえた受け答えが可能になります

さらに、説明の範囲を検討します。すべてを同じ形で説明するのではなく、記憶の確かさや内容に応じて整理することで、後の食い違いを防ぐことにつながります。取り調べでは内容が記録として残るため、説明の範囲を意識した対応が重要になります。加えて、被害の回復に関する手続の進め方を確認することもあります。これは処分を直接決めるものではありませんが、手続の進行に関係する事情として扱われます。準備の段階で方針を整理しておくことで、手続全体の見通しを立てやすくなります。

特に疑われている内容が事実と異なる場合には、取調べの方針は入念に検討することが望ましいです。弁護士の専門的なアドバイスも十分に取り入れて検討しましょう。

まとめ

盗撮の取り調べは、その場で結論が決まる手続ではなく、後の判断のための資料を整理する段階として行われます。取り調べでは生活状況・行動経過・問題場面の内容が順に確認されるため、出来事の一部だけでなく前後の事情も含めて説明が求められます。

また、どのように説明するかによって、その後の確認の進み方は変わります。説明内容は客観的な資料と照らして整理され、供述は証拠と合わせて評価されることになります。記憶が曖昧な部分を無理に補うと、後の整理に影響することもあるため、確認されている内容を理解しながら答えることが重要です。

さらに、取り調べが終わって帰宅した場合でも手続が終了したとは限りません。資料が検討された後に処分が判断されるため、取調べの終了と処分決定は別の段階として進みます。

このように、取り調べは一度の受け答えだけで決まるものではなく、複数の資料をもとに整理が積み重ねられていく過程です。手続の位置づけを理解しておくことで、状況を落ち着いて把握しやすくなります。

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盗撮の家宅捜索は何を調べられる?当日の流れと逮捕の可能性

突然、自宅に警察が訪れ「家宅捜索を行います」と告げられた場合、何が起きているのか分からず強い不安を覚える方が少なくありません。盗撮の疑いに関する捜査では、逮捕の前後を問わず証拠を確認する目的で家宅捜索が行われることがあります。もっとも、家宅捜索が直ちに有罪を意味するわけではなく、捜査段階を見極めることが重要になります。

当日の対応や受け答えの仕方によって、その後の手続の進み方が変わる場合があります。とくにスマートフォンやパソコンなどのデータは、扱い方を誤ると不利に評価される可能性があるため、落ち着いて状況を整理することが求められます。

この記事では、盗撮の疑いで家宅捜索が行われる意味、当日の流れ、押収される物の範囲、そして家宅捜索後にどのような手続に進む可能性があるのかについて、実務の流れに沿って解説します。

なお、逮捕前後の一般的な手続については、盗撮の逮捕に関する解説記事をご参照ください。

この記事の監修者

藤垣圭介

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代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

家宅捜索とは何か|突然警察が来る理由

家宅捜索とは、裁判官が出した令状にもとづき、警察が自宅などを調べて証拠を確認する手続です。盗撮の疑いでは、スマートフォンやパソコンなどの中に記録が残っている可能性がある場合に行われます

この手続は、逮捕のためというより、すでに把握している情報が事実かどうかを確かめるための証拠確認として行われるのが通常です。そのため、家宅捜索が行われたからといって直ちに有罪が決まるわけではありませんが、警察側に一定の手がかりがある段階に入っている可能性が高いと考えられます。

訪問時には「捜索差押許可状」が示され、そこに記載された場所と物の範囲で調査が行われます。つまり、家の中を自由に調べられるわけではなく、令状の範囲に沿って手続が進む仕組みになっています。

突然の出来事に戸惑う場面ですが、その場で事情を推測して説明を変えると、かえって不利に評価されることがあります。まずは、証拠確認のための手続が始まった段階であることを理解し、落ち着いて対応することが重要です。

警察が来たときにまず確認すべきこと

家宅捜索では、突然の訪問に動揺してしまいがちですが、すぐに事情を説明し始める前に手続の内容を確認することが大切です。

まず、警察は「捜索差押許可状」を提示します。ここには、捜索できる場所や差し押さえの対象となる物の種類が記載されています。氏名や住所、対象となる事件の内容に誤りがないかを確認し、不明な点があればその場で質問して差し支えありません。

家宅捜索は、通常、住人の立会いのもとで進められます。これは、手続が適切に行われているかを確認できるようにするための仕組みです。常に捜査員の行動を細かく監視する必要まではありませんが、どの部屋を調べているのか、何を持ち出したのかは把握しておくことが望ましいといえます。

捜索中に事情を聞かれることもありますが、その場で詳しく説明する必要はありません。内容を整理しないまま答えると、後の手続で説明が食い違う可能性があります。すぐに答えられない場合は、後で説明する旨を伝える形でも差し支えありません。

家宅捜索の後は、改めて事情聴取の呼び出しを受けたり、逮捕の判断が行われる場合があります。その後の対応に備え、早い段階で弁護士に相談して状況を整理しておくことも一案です

家宅捜索中に弁護士への相談や依頼を行うことは難しいため、終了後できるだけ速やかに弁護士への相談をご検討されるのが有益です。

家宅捜索はどのように進むのか

家宅捜索は、警察が到着してから一定の手順に沿って進められます。流れを知っておくことで、状況を把握しやすくなります。

まず、警察が訪問すると身分を示したうえで「捜索差押許可状」が提示されます。内容を確認した後、立会いのもとで捜索が開始されます。捜索は、令状に記載された場所の範囲内で行われ、部屋や収納、かばんなどが順に確認されます。

盗撮の疑いでは、衣類や持ち物よりも、記録媒体の有無や保管場所の確認が中心になることが多いとされています。パソコン周辺や充電器のある場所、撮影に使用できる機器の保管場所などが重点的に調べられる傾向があります。棚の中や引き出し、机の内部など、機器が保管され得る場所は一通り確認されます。収納ケースやバッグの中身も確認対象となることがあります。

捜索には一定の時間がかかり、内容によっては数時間程度続くこともあります。その間、住人が外出できるかどうかは状況によりますが、通常は捜索が終わるまで在宅を求められることが多く、必要に応じて室内で待機するよう指示されます。家族が在宅している場合には、生活空間を分けて確認が進められることもあります。

必要と判断された物は、その場で差し押さえられます。差押えの際には押収品目録が作成され、持ち出された物が記録されます。後で確認できるよう控えが交付されるため、内容を見ておくことが大切です。また、状況確認のため室内の写真が撮影されることもあります。電子機器については、その場で電源状態を確認されることもあります。家宅捜索では確認のために声を掛けられることはありますが、手続自体は証拠の確認が中心であり、取調べとは性質が異なります。その場で詳細な説明を続ける必要はなく、状況を整理しながら対応していくことが重要です。突然の出来事でも、手続の流れを理解しておくことで落ち着いて対応しやすくなります。

押収される物とデータ解析

盗撮の疑いに関する家宅捜索では、現物の所持品よりも電子機器の記録内容の確認が重視される傾向があります。特に、撮影に使用できる機器や保存媒体が対象になります。

代表的なのは、スマートフォンやパソコンです。これらは本体だけでなく、SDカードやUSBメモリ、外付けハードディスクなどの記録媒体も確認されます。見た目に撮影データが入っていないように見えても、削除したデータが残っている可能性があるため押収されることがあります

また、クラウドサービスの利用状況も確認対象になる場合があります。端末内にデータが見当たらなくても、保存先の履歴が残っていることがあり、ログイン状態や同期設定の有無が確認されることがあります。パスワードをその場で求められることもありますが、回答の仕方は慎重に判断する必要があります。

同居家族の機器についても、捜査対象との関係が疑われる場合には確認が行われることがあります。ただし、すべての機器が当然に押収されるわけではなく、関連性を見ながら判断されます。

押収された機器は、後日データ解析が行われます。解析では、保存されている画像や動画だけでなく、閲覧履歴やアプリの使用状況なども確認されることがあります。端末の操作履歴が判断材料になる場合があるため、単に画像の有無だけで評価が決まるとは限りません。

このように、家宅捜索は物を持ち出す手続にとどまらず、後の解析を前提とした証拠収集の一段階として行われます。どの範囲まで確認され得るのかを理解しておくことが重要です。

家宅捜索の後に起きること|逮捕・在宅捜査の分かれ目

家宅捜索が終わった時点で、直ちに処分が決まるわけではありません。多くの場合、押収された資料の整理やデータ解析が行われ、その結果を踏まえて今後の手続が判断されます。家宅捜索は捜査の一区切りであり、結論ではない段階といえます。

その後の進み方としては、大きく分けて逮捕に進む場合と、在宅のまま捜査が続く場合があります。現場の状況やこれまでの供述内容、確認された資料の内容などが総合的に検討され、逃亡や証拠隠滅のおそれが高いと判断された場合には逮捕が選択されることがあります。逮捕は家宅捜索と同日に行われる場合もあれば、解析結果が出た後に後日行われる場合もあります。

一方で、住所や身分関係が安定しており、証拠がすでに確保されていると考えられる場合には、在宅のまま呼び出しを受けながら捜査が進むこともあります。この場合、数日から数週間程度の間隔で警察署への出頭を求められ、事情聴取が繰り返されます。呼び出しの回数や期間は事件の内容によって異なりますが、解析結果が出るまで一定期間続くことが一般的です。

押収された機器は、専門部署でデータ解析が行われます。解析には時間がかかり、結果が出るまで数週間から数か月程度かかることもあります。その間は機器が返却されない状態が続き、日常生活に支障が出ることもあります。解析の結果、新たな記録が見つかった場合には余罪として調査が広がることもあり、改めて事情聴取を受ける場合があります。

また、捜査の過程で学校や勤務先への事情説明が必要になる場面が生じることもあります。家宅捜索後は捜査が終わるのではなく、内容確認が本格化する段階に入ると考えられます。

いずれの場合でも、家宅捜索直後の対応や供述の整理がその後の扱いに影響することがあります。呼び出しに応じる際には、事実関係を整理したうえで対応していくことが重要になります。

家宅捜索自体は、被疑者に対する捜査の出発点に近い位置づけにあります。その後に取調べ等の捜査が積み重ねられていくことが一般的です。

なぜ家宅捜索が行われるのか

家宅捜索は、突然行われるように見えても、警察が何らかの手がかりを得た段階で実施されるのが通常です。まったく根拠のない状態で行われる手続ではありません

多くは、被害申告や目撃情報、防犯カメラの映像などから人物が特定された後に行われます。撮影場所や時間帯が絞り込まれると、行動範囲や所持品との関係を確認する必要が生じ、自宅の捜索に進むことがあります。現場付近の移動状況や所持品の特徴など複数の情報が重なり、端末内の確認が必要と判断された場合に実施されます。

また、任意の事情聴取を受けた後に家宅捜索へ進む場合もあります。供述内容だけでは判断できない点について、端末内の記録や機器の有無を客観資料で確認する必要があると判断されると家宅捜索に至ることがあります。任意提出された端末の解析結果を受け、関連データの有無を確認するため追加で行われることもあります。

家宅捜索は裁判官の令状にもとづいて行われるため、警察側は一定の資料をそろえて必要性を説明する必要があります。事件との関連性がある程度認められ、住居内に証拠が存在する可能性があると判断された場合に令状が発付されます。

さらに、解析の過程で別の記録の存在が疑われた場合には、余罪の有無を確認する目的で実施されることもあります。同種事案との照合により関連の可能性が生じた場合、保管場所の確認のために捜索が行われます。このように、家宅捜索は疑いが一定程度裏付けられた段階で行われる証拠確認の手続であり、単なる事情確認の段階を超えた局面で実施されるのが一般的です。

盗撮事件の場合、撮影内容が最も直接的な証拠になりやすいため、家宅捜索の重要性は比較的高い事件類型と言えます。また、余罪に関する証拠も見つかりやすいため、余罪の証拠隠滅を防ぐ意味でも行われます。

家宅捜索はいつ行われるのか

家宅捜索は予告なく行われますが、捜査の流れの中で一定のタイミングに実施されることが多くあります。突然来たように見えても、事前に準備された手続であるのが通常です

典型的には、被害申告や防犯カメラの確認によって対象者が特定され、その後に事情聴取が行われます。供述内容と客観資料を照らし合わせ、端末内の確認が必要と判断された段階で令状請求が行われ、家宅捜索に至る流れです。任意提出した機器の解析結果を受けて、追加確認として実施されることもあります。

実施の時間帯は、在宅が見込まれる時間に合わせて行われることが多く、朝の時間帯に訪問される例が多くみられます。これは生活状況を確認しやすく、証拠の所在を把握しやすいためとされています。夜間に行われることは例外的で、緊急性がある場合などに限られます。

また、事情聴取から一定期間が空いた後に行われる場合もあります。解析や資料の整理に時間がかかるためで、呼び出しの直後に行われるとは限りません。数日程度で行われる場合もあれば、数週間ほど経過してから実施される場合もあります。さらに、一度の捜索で確認が足りないと判断された場合には、追加の家宅捜索が行われる可能性もあります。

このように、家宅捜索の時期は一律ではありませんが、捜査資料が一定程度そろい、住居内に確認すべき物があると判断された段階で実施されるのが一般的です。

やってはいけない対応

家宅捜索の場面では、突然の出来事に動揺して行動してしまうことがあります。しかし、その場の対応が後の評価に影響する場合があります。落ち着いて手続を受けることが重要です。

まず、データの削除や機器の初期化を試みることは避ける必要があります。たとえ確認されていない内容であっても、証拠を隠そうとした行為と受け取られる可能性があります。警察が退去した後に削除を行った場合でも、操作履歴が確認されることがあります。

また、その場で説明を変えたり、推測で話を合わせたりすることも望ましくありません。家宅捜索後には改めて事情聴取が行われることが多く、説明の食い違いが生じると不利に扱われることがあります。分からない点は分からないと伝え、整理したうえで説明する方が適切です。

家族に対して機器を移動させるよう頼んだり、代わりに処分してもらうよう指示することも避ける必要があります。このような行為は、本人が直接行っていなくても、証拠隠滅と評価される可能性があります。

パスコードの入力を求められる場面では、慌てて対応すると供述内容と操作内容が食い違う可能性があります。慌てて回答せず、内容を整理したうえで対応することが重要です

さらに、捜索後に関係者へ一斉に連絡したり、SNS上で状況を説明することも慎重に判断する必要があります。やり取りの内容が後に確認されることがあるためです。このように、家宅捜索では積極的に何かをするよりも、余計な行動を取らず手続に沿って対応することが重要になります。

弁護士に相談するメリット

家宅捜索の後は、警察からの連絡や呼び出しが続くことがあります。個人で対応している場合、電話の時点で日程や説明内容について回答を求められ、その場で判断を迫られる場面が生じます。弁護士が関与すると、連絡は弁護士を通じて行われ、事前に内容を確認してから対応を決めることができます。出頭の目的や確認事項を把握したうえで臨むことができるため、突然のやり取りに対応する負担が小さくなります。

事情聴取でも対応の仕方が変わります。整理しないまま説明を始めると、後から補足や修正が必要になることがありますが、弁護士と事前に事実関係を確認しておくことで、説明の範囲や順序を決めた状態で臨むことになります。供述の経過は記録として扱われるため、初期段階から整理された説明で対応する意味があります。同じ内容を繰り返し確認された場合でも、説明がぶれにくくなります。

また、押収された機器についても対応が変わります。返却の見込みや解析の進み方、追加の呼び出しの可能性を確認しながら進めることができ、必要な準備を整えたうえで対応することが可能になります。呼び出しの理由が分からないまま出頭するのではなく、あらかじめ想定を持って対応できる点に違いがあります。生活や仕事の予定を調整しやすくなる点も実際上の影響の一つです。さらに、捜査が進むと処分の判断が検討されますが、その際にはこれまでの供述経過や対応状況が資料として扱われます。場面ごとに説明が変わらないよう、あらかじめ方針を定めて対応していくことで、後の手続でも説明の前提を維持しやすくなります。途中で説明内容が変わると、その理由について追加の確認を受けることがあるため、初期段階から整理した対応を続けていくことが重要になります

家宅捜索後に刑事手続がどのような進行をたどるか、見通しを持っておくことができるとその後の対応が容易になりやすいです。見通しを持つには弁護士への相談が有力な手段と言えます。

まとめ

盗撮の疑いで家宅捜索が行われた場合でも、直ちに処分が決まるわけではありません。家宅捜索は、証拠を確認するための手続が始まった段階を意味します。

当日は、令状の内容を確認し、捜索の流れを把握しながら対応することが重要です。慌てて説明したり、その場で対応を変えたりすると、後の手続で確認が重ねられることがあります。余計な行動を取らず、状況を整理しながら対応することが基本になります。

家宅捜索の後は、事情聴取や解析結果の確認を経て、逮捕に進む場合と在宅のまま進む場合に分かれます。どの段階にあるのかを把握し、今後の流れを理解しておくことで対応を判断しやすくなります。突然の出来事であっても、手続の意味と流れを知っておくことで落ち着いて対応しやすくなります。状況を整理し、対応の方針を定めていくことが重要です。

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盗撮で任意同行を求められたら逮捕される?帰宅できるかの判断ポイント

盗撮の疑いで警察から任意同行を求められた場合、逮捕されるのか帰宅できるのかが最も気になる点ではないでしょうか。任意同行は逮捕とは異なる手続ですが、捜査が一定程度進んだ段階で行われることが多く、対応次第では当日に逮捕へ切り替わる可能性もあります。

もっとも、任意同行になったからといって直ちに逮捕が決まるわけでも、必ず帰れるわけでもありません。警察は証拠の状況や説明内容、身元関係などを踏まえて、その日のうちに身柄拘束が必要かを判断します。

本記事では、盗撮事件において任意同行が行われる場面や当日の流れを整理し、帰宅と逮捕の分かれ目を弁護士の視点から解説します。
なお、盗撮事件で逮捕に至る全体の流れについては、盗撮の逮捕手続の解説ページをご参照ください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

その日に帰宅できる可能性が高いケース/逮捕に切り替わりやすいケース

任意同行は「任意」と説明されるとおり、その時点では逮捕ではありません。
しかし実務上は、警察が事情を確認したうえでその日に身柄拘束が必要かどうかを判断するための段階として行われることが多く、同行後の対応によって帰宅になるか逮捕に変わるかが分かれます。

以下は、一般的に判断材料になりやすい事情の整理です。


帰宅で終わる方向に傾きやすい事情

  • 住所や勤務先などの身元が明確で、逃亡の疑いが小さい
  • 当日の状況説明が大きく変わらず、事実関係の確認が進む
  • 証拠が既に確保されており、その場で隠滅するおそれが低い
  • 余罪を疑わせる事情が現時点では強くない

このような場合、警察としても直ちに身体拘束を行う必要性が高いとはいえず、事情聴取を終えて帰宅となることがあります。


逮捕に切り替わりやすい事情

  • 身元確認が十分にできない、または生活状況が不安定
  • 説明内容が大きく変わるなど、事実関係の把握が困難になる
  • 証拠の状況から隠滅の可能性が否定できない
  • 同種行為の繰り返しが疑われる事情がある

このような事情が重なると、警察は後日の出頭要請だけでは足りないと判断し、その場で逮捕手続へ移行する可能性があります。


任意同行の段階では結果があらかじめ決まっているわけではなく、同行後の確認内容や判断要素によって帰宅にも逮捕にもなり得ます。
そのため、この時点は単なる事情確認ではなく、捜査の進み方を大きく左右する局面といえます。

盗撮で任意同行になる典型パターン

任意同行は、必ずしも現行犯の直後に限って行われるものではありません。
盗撮事件では、現場で直ちに逮捕に至らないケースも多く、一定の裏付けが整った段階で呼び出される形になることが少なくありません。ここでは、実際に任意同行が行われやすい典型的な場面を整理します。


現行犯を逃した直後の特定段階

被害者や周囲の人が不審な行為に気づいたものの、その場で確保に至らなかった場合でも、現場付近の確認や聞き取りによって人物が絞り込まれることがあります。
この段階では、逮捕に足りる証拠が揃っているとは限らないため、まずは事情確認を目的として任意同行が求められることになります。


防犯カメラや目撃情報から後日特定された場合

駅、商業施設、店舗などでは防犯カメラが設置されていることが多く、被害申告後に映像の確認が行われます。
映像と利用履歴、立ち寄り先などの情報が結びつくことで人物が特定され、後日連絡や訪問によって同行を求められるケースがあります。

この場合、捜査はすでに一定程度進んでいる一方、逮捕の要否を最終判断する前段階として任意同行が選択されます


端末確認・解析の前段階

盗撮事件では、撮影に使われた機器の内容が重要な証拠になります。
ただし、その場で直ちに機器の中身を確認できるとは限らず、所持状況や使用状況を聴取したうえで必要な手続を判断することになります。

そのため、端末の扱いを含めた事情確認を行う目的で、証拠状況を把握するための同行が行われることがあります。


同種行為の有無を確認する必要がある場合

一度の行為について申告があった場合でも、状況によっては同様の行為が繰り返されていないかを確認する必要が生じます。
この段階では、直ちに逮捕するかどうかを決めるための資料が不足していることも多く、まずは任意同行によって事実関係を整理する形が取られます。


このように、盗撮事件における任意同行は、逮捕の要否を判断するための確認段階として位置付けられることが多いといえます。

任意同行は拒否できる?対応が問題になりやすい場面

任意同行は逮捕とは異なり、法律上は強制ではありません。
したがって求められた場合でも、形式上は拒否することが可能とされています。

もっとも、ここでいう「任意」は自由に立ち去っても不利益が生じないという意味ではありません。警察は接触した時点で一定の疑いを持っており、対応の仕方から、後日の出頭に応じる見込みや証拠の保全状況を判断します。特に盗撮事件では、撮影機器やデータの確認が重要になるため、その場で事情確認が進まない状態になると、後日の呼び出しでは足りないと評価されることがあります。


拒否が問題になりやすい状況

次のような事情が重なると、単に同行を断ったというだけでなく、身柄拘束の必要性が高いとみられる場合があります。

  • 住所や勤務先の説明があいまいで、所在確認が難しいと考えられる
  • 連絡方法が限られ、後日の出頭が確実とはいえない
  • その場で確認すべき物や状況が残っている
  • 事実関係の把握に時間を要し、任意の呼び出しでは足りないと判断される

これらは拒否そのものを理由に逮捕するという意味ではありませんが、結果として逮捕の必要性を裏付ける事情として扱われることがあります。


任意同行への対応が逮捕判断に与える影響

任意同行に応じるかどうかは、警察署へ行くかどうかの問題にとどまりません。警察はその対応を通じて、後日の出頭に応じる見込みがあるか、証拠が失われるおそれがあるかを判断しています。

盗撮事件では、撮影機器やデータの確認が重要になるため、事情確認がその場で進まない状態になると、後日の呼び出しでは足りないと判断されることがあります。その結果、帰宅で終わる場合もあれば、そのまま逮捕へ切り替わる場合もあります。

この段階では、拒否したかどうかよりも、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると評価されるかどうかが判断に影響します。

任意同行を断ることはできるか、と問われた場合、法的にはできるとの回答になりますが、それが自分にとって最適な選択かは別の問題です。

警察がその日に判断するポイント(逮捕への切替基準)

任意同行の段階では、まだ逮捕するかどうかが確定していないことも多く、警察は当日の事情確認を通じて身柄拘束の必要性を判断します。
判断の中心になるのは、後日に改めて呼び出しても捜査に支障が出ないかという点です。


逃亡のおそれがあるか

まず確認されるのは、後日の出頭に応じる見込みがあるかどうかです。
住所や勤務先が明確で連絡が取れる状態であれば、直ちに身柄拘束を行う必要性は高くありません。一方で、生活状況が不安定で所在の把握が難しいと考えられる場合には、出頭が確実とはいえないと評価され、逮捕が選択される可能性があります。


証拠が失われる可能性があるか

盗撮事件では、撮影に使われた機器や保存データが重要な資料になります。
そのため、後日に任意の呼び出しをしても証拠が残っていると期待できるかが検討されます。証拠が失われるおそれがあると判断される場合には、速やかな身柄拘束が必要と判断されることがあります。


説明内容が整理できるか

事情聴取の中で、当日の行動経過や機器の扱いについて確認が行われます。
説明が整理され、事実関係の把握が進む場合には、後日の呼び出しで足りると判断されることがあります。反対に、状況の把握に時間を要すると考えられる場合には、継続的な確認が必要として逮捕へ移行する可能性があります。


同種行為の有無を確認する必要があるか

一度の申告だけでなく、同様の行為が繰り返されていないかを確認する必要が生じる場合もあります。
当日に追加の確認が必要と考えられるときには、任意の出頭では足りないとして身柄拘束が選択されることがあります。


このように、任意同行から逮捕に切り替わるかどうかは、行為の重大性そのものだけで決まるわけではなく、後日に任意の呼び出しで捜査を続けられるかという観点から判断されます。

事件そのものの重大性も、判断に影響することは間違いありません。事件が重大であるほど、逃亡や証拠隠滅のおそれが大きく、余罪の確認も必要になりやすいためです。

任意同行当日の流れ

任意同行は逮捕とは異なり、法律上は強制的な手続ではありませんが、実際には警察署へ移動したうえで一定時間の確認が行われます。
ここでは、盗撮の疑いで任意同行を求められた場合に、当日どのような流れになることが多いかを整理します。


同行の求められ方

現場付近で声をかけられる場合のほか、後日に連絡や訪問を受けて警察署への来署を求められることもあります。
いずれの場合も、その場で逮捕するのではなく、事情を確認するため警察署へ移動するよう求められる形になります。


署での事情確認

警察署では、当日の行動や状況について説明を求められます。
いつ、どこにいたか、どのような経緯でその場所にいたかなどの確認が行われ、事実関係を整理するための聴取が中心になります。


所持品や機器の確認

盗撮事件では、撮影に使われた可能性のある機器の有無が重要になります。
そのため、所持している物について確認を受けることがあり、状況によっては機器の状況を把握するための確認が行われます。


帰宅か継続かの判断

一定の確認が終わると、当日に帰宅となるか、そのまま身柄拘束に移るかが判断されます。
ここでは、当日の説明内容や確認状況を踏まえ、後日の出頭で足りるかどうかが検討されます。


このように、任意同行は単に警察署へ行くだけの手続ではなく、当日の確認内容によってその後の手続が変わる可能性のある段階といえます。

逮捕に切り替わりやすい言動・対応

任意同行の段階では、警察は事実関係を整理しながら、後日の出頭で捜査を続けられるかを見極めています。
そのため、行為の内容だけでなく、当日の対応によって逃亡や証拠隠滅のおそれがあると評価されるかが結果に影響することがあります。


説明が変わる・不自然になる

事情を聞かれる中で、その場しのぎの説明を重ねると、内容の食い違いが生じやすくなります。
説明が大きく変化すると、事実関係の把握に時間を要すると考えられ、継続的な確認が必要と判断される方向に傾くことがあります。


機器の扱いに関する不自然な対応

盗撮事件では、撮影に使われた可能性のある機器の状況が重要になります。
そのため、機器の所在や利用状況についての説明が曖昧になると、証拠が失われるおそれがあると評価される可能性があります。


身元説明が十分でない

住所や勤務先、連絡方法などの説明が不十分な場合、後日の出頭に応じる見込みが低いと考えられることがあります。
このような事情は、逃亡のおそれが否定できないと判断される要素になります。


関係者との連絡状況が不自然と受け取られる場合

当日のやり取りの中で、状況説明に関係する人物との連絡状況について確認されることがあります。
事情確認が進まない状態になると、後日の呼び出しでは足りないと判断され、その場での身柄拘束が検討される方向に働くことがあります。


このように、任意同行の段階では、特定の行動が直ちに逮捕につながるというよりも、対応の積み重ねによって後日の呼び出しで足りるかどうかが判断されます。その評価の結果として、帰宅となる場合もあれば、逮捕へ切り替わる場合もあります。

事後的に逃亡や証拠隠滅の可能性が高くなった、という場合が該当することになるでしょう。

任意同行の段階で弁護士が関与する意味

任意同行の段階では、まだ逮捕が決まっていない一方で、当日の対応がその後の手続に影響する可能性があります。
この時点での弁護士の関与は、処分結果の交渉というより、当日の対応によって不利な評価を受けないようにする点に意味があります。


状況整理と対応方針の確認

突然警察から接触を受けた場合、何をどこまで説明すべきか判断が難しくなります。
弁護士は、確認されている事項の範囲や当日の位置づけを踏まえ、どのような点が問題になり得るかを整理します。


説明内容による不利益の回避

事情聴取では、意図せず事実関係が不明確になる説明をしてしまうことがあります。
この段階で整理がつかないまま対応すると、追加の確認が必要と判断される方向に働く場合があります。弁護士は、確認事項の整理を通じて不要な誤解が生じることを防ぎます。


逮捕判断に関係する事情の把握

当日の判断では、後日の出頭で足りるかが検討されます。
弁護士は、身元関係や連絡方法など、出頭可能性に関わる事情がどのように評価されるかを確認し、必要な説明を補います。


このように、任意同行の段階での弁護士の役割は、結果を約束するものではありませんが、当日の確認が適切に進むよう整える点にあります。その結果として、後日の呼び出しで足りると判断される可能性に影響することがあります。

任意同行段階では、対応が適切かどうかでその後の取り扱いが変わりやすいです。弁護士と協同しながら適切な対応を尽くすことをお勧めします。

まとめ

盗撮の疑いで任意同行を求められた場合、その時点では逮捕が決まっているわけではありませんが、当日の確認結果によって帰宅にも逮捕にもなり得る段階にあります。任意という言葉から軽い手続のように感じられることもありますが、実際には身柄拘束の要否を判断する場面として位置付けられています。

警察は、後日の出頭で捜査を続けられるかという観点から、身元関係や説明内容、証拠状況などを確認します。これらの事情から逃亡や証拠隠滅のおそれが否定できないと判断された場合には、当日に逮捕へ切り替わる可能性があります。

そのため、任意同行の段階では「拒否できるか」という形式面だけでなく、どのように事情が整理されるかが重要になります。結果はあらかじめ決まっているものではなく、当日の確認の進み方によって変わり得ることを理解しておく必要があります。

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早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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盗撮は現行犯でしか逮捕されない?後日逮捕の現実と理由

「盗撮は現行犯でなければ逮捕されない」と聞いたことがあるかもしれません。
実際、駅や商業施設で発覚する盗撮事件の多くは、その場で取り押さえられる形で発覚します。このため、後から逮捕されることはほとんどないと考えられがちです。

しかし結論として、盗撮は現行犯が多いだけで、現行犯でなければ事件にならないわけではありません。
警察は犯罪の性質と証拠の残り方を踏まえて捜査方法を選択しており、現行犯中心になるのには捜査上の理由があります。

本記事では、盗撮における現行犯逮捕の意味を法律上の観点から整理したうえで、なぜ現行犯で発覚しやすいのか、そしてどのような場合に後日逮捕へ進むのかを解説します。
逮捕後の処分ではなく、捜査が始まる仕組みに焦点を当てて確認していきます。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

結論:盗撮は現行犯が多いが、現行犯以外で逮捕されないわけではない

「盗撮はその場で捕まらなければ大丈夫」といった話を耳にすることがあります。
たしかに、駅や商業施設などで発覚する盗撮の多くは、その場で取り押さえられる形で発覚しており、結果として現行犯で手続が始まる例が多いのは事実です。

しかし、これは「現行犯でしか事件にならない」という意味ではありません。
実際には、盗撮は現行犯以外でも捜査や逮捕に至る可能性があります。
その場で確保されなかった場合でも、後から被疑者が特定されれば事件として扱われ、警察が動くことになります。

では、なぜ「現行犯でなければ大丈夫」と考えられがちなのでしょうか。
理由は、盗撮という犯罪の性質上、現場で発覚したときが最も証拠が残りやすく、関係者の認識も一致しやすいためです。反対に、時間が経過すると状況の確認が難しくなり、結果として現行犯の形で扱われる割合が高くなります。

このように、盗撮事件では現行犯の割合が高いという傾向があるにすぎず、現行犯でなければ事件化しないというルールがあるわけではありません。
その違いを理解するには、「現行犯とは何を指すのか」と「どの段階で警察の捜査が始まるのか」を整理しておくことが重要になります。

盗撮事件全体の手続の流れについては、盗撮で逮捕された場合の流れをまとめた解説も参考になります。

現行犯か否かにかかわらず、逮捕の可能性が高くなるのは、犯罪事実を疑うに足りるだけの根拠があり、逃亡や証拠隠滅を防ぐ必要性が高いケースです。現行犯かどうかが基準というわけではありません。

盗撮の「現行犯逮捕」とは何か

ここでいう「現行犯」とは、単に“その場で捕まった”という意味ではなく、犯罪が行われた直後であることが外形上明らかな状態を指します。
言い換えると、警察官でなくても周囲の人が状況を見て、今まさに犯罪が行われたと判断できる段階です。

盗撮の場合、たとえば被害者や周囲の人が行為を目撃した直後に声をかけ、スマートフォンを確認したところ撮影の状況が確認できるといった場面が典型です。このように、行為と発覚が連続している場合には、後から逮捕状を取得する手続を待たずに身柄が確保されることがあります。

また、実際に撮影の瞬間を見ていなくても、直前の状況から犯行が明らかと判断できる場合もあります。
たとえば、特定の場所で不自然な体勢のまま端末を差し向けていた直後に警戒され、確認すると撮影データが存在していた、といったケースです。このような場合も、時間的・状況的に連続していれば現行犯に準じる扱いになります。

ここで重要なのは、現行犯かどうかは「逮捕の重さ」を決めるものではなく、「その場で身柄を確保できるか」を決める判断基準にすぎないという点です。
現行犯でなかったとしても、後に被疑者が特定されれば通常の捜査手続に移行し、事件として扱われる可能性は残ります。

そのため、盗撮における現行犯とは「特別な処分」ではなく、あくまで発覚のタイミングによって捜査の開始方法が変わるにとどまるものと理解しておく必要があります。

なぜ盗撮は現行犯での発覚が多いのか

ここまでのとおり、盗撮は現行犯でなければ扱えない犯罪ではありません。
それでも実際の事件の多くが現行犯の形で始まるのは、犯罪の性質そのものが「後からの確認」に向いていないためです。ここを理解すると、「その場で確保される例が多い理由」と「後日になって動く例が限られる理由」の両方が見えてきます。

被害が瞬間的に終わる犯罪だから

盗撮は、継続して行為が続くタイプの犯罪ではありません。
多くの場合、撮影は数秒程度で終わり、行為の前後も周囲からは分かりにくい形で行われます。

このため、時間が経過すると、いつ・どこで・どのように行われたかを関係者が一致して説明することが難しくなります。
行為直後の段階が、状況を確認できるほぼ唯一のタイミングになりやすいという点が、現行犯の割合を高める大きな理由です。

被害者が犯人を特定できないことが多い

盗撮は、被害者が撮影の瞬間に気づかないまま終わる場合も少なくありません。
また、気づいたとしても、周囲に人が多い場所では誰が行為者かを即座に断定するのが難しいことがあります。

時間が経つほど記憶や状況の整理が曖昧になり、関係者の認識も一致しにくくなります。
そのため、周囲の人や施設管理者が現場で確認できたときに対応が始まるケースが多くなる傾向があります。

データが消去・上書きされやすい

盗撮では、撮影データの有無が状況を判断する重要な手掛かりになります。
ところが、携帯端末のデータは操作によって短時間で消去されたり、別の記録に上書きされたりすることがあります。

時間が経過すると確認できる内容が減っていく可能性があるため、発覚時点で端末の状態を確認できるかどうかが大きな分かれ目になりやすいといえます。結果として、その場で対応が行われる割合が高くなります。

後から状況を再現することが難しい

撮影場所や姿勢、周囲の配置などは、現場の一時的な状況に依存することが多く、後から同じ条件を再現することは容易ではありません。
時間が経つほど確認できる要素が減り、関係者の認識もずれていきます。

このように、盗撮は「時間が経過すると状況の把握が難しくなる」特徴を持つため、発覚した時点で確認が行われる形になりやすく、結果として現行犯で扱われる例が多くなるのです。

以上のような事情から、盗撮では現行犯の割合が高くなります。ただし、これはあくまで傾向であり、後から特定に至る場合がないわけではありません。次に、そのような例がどのような場合に起こり得るのかを整理します。

盗撮で後日逮捕に至るケース

前項のとおり、盗撮は現場で確認される割合が高い犯罪ですが、その場で確保されなかった場合でも、後から被疑者が特定されれば捜査が進む可能性はあります。
ここでは、時間が経過した後に警察が動く典型的な場面を整理します。

防犯カメラなどから特定される場合

駅や商業施設などでは、複数のカメラによって移動経路が記録されています。
現場の状況と照らし合わせることで、特定の人物の行動が追跡され、後から身元が判明することがあります。

この場合、行為そのものを直接記録していなくても、行動の連続性から当日の状況が把握されることがあり、結果として事情聴取や捜査の対象になることがあります。

所持品やデータから発覚する場合

別の出来事をきっかけに端末の内容が確認され、過去の撮影が判明する例もあります。
撮影場所や日時が特定できる場合には、関係者への確認が行われ、事件として扱われる可能性が生じます。

このようなケースでは、発覚時点が現場ではないため現行犯にはなりませんが、後から状況が結びつくことで手続が始まることになります。

余罪の確認から判明する場合

すでに別件で確認が行われた際に、過去の行為が明らかになることもあります。
撮影内容や場所の情報から関係先が特定され、順次確認が進むことがあります。

このように、盗撮では現場での発覚が中心となる一方、時間が経過してから問題が表面化する例も一定数存在します。
したがって、現行犯でなかったことだけで手続に進まないと考えるのは適切ではありません。

現行犯と後日逮捕で変わるポイント

盗撮では、現行犯で手続が始まる場合と、時間が経ってから捜査が始まる場合とで、処分の重さが自動的に変わるわけではありません。
違いが現れるのは、事実関係がどのような順番で確認されていくかという点です。
つまり、結論ではなく、確認の進み方に差が生じます。

確認のされ方が異なる

現行犯の場合、発覚した直後に現場の位置関係、周囲の人の認識、当時の行動、端末の状態などがまとめて確認されます。
出来事の直後であるため、前後の流れをそのまま追うことができ、「そのとき何が起きていたか」を連続した形で把握しやすい状態にあります。

これに対し、時間が経過してから始まる場合は、当時の様子をその場で確かめることができません。
防犯カメラの映像を確認したり、関係者の話を順番に聞いたりしながら、当日の状況を後から確かめていくことになります。
一つひとつの情報を照らし合わせていく形になるため、その場で分かる場合と、後から積み上がっていく場合の違いが生まれます。

捜査の始まり方が異なる

現行犯では、現場での確認をきっかけに手続が始まります。
行為の直後の状態が確認できるため、当時の行動や周囲の状況を含めて整理が進みやすくなります。

一方、後日から始まる場合は、防犯カメラの確認や関係先への照会など、特定の手掛かりから対象が絞られていきます。
その場の状況を直接確認するのではなく、記録や聞き取りをもとに当日の様子をたどっていく形になります。

対応までの時間が異なる

現行犯の場合、発覚当日に多くの事項が確認されることがあります。
状況が連続しているため、短時間で関係する情報が集まりやすいからです。

これに対し、後から始まる場合は、連絡や呼び出しを経て段階的に確認が進みます。
同じ内容を確認する場合でも、当日にまとまって確認される場合と、時間をかけて少しずつ確認される場合の違いが生じます。


このように、現行犯と後日からの捜査の違いは、結論の軽重ではなく、
当時の状況をその場で確認できるか、後から確認していくかという手続の進み方の違いとして表れます。

後日逮捕の場合、客観的な証拠をある程度収集した後に被疑者へ接触することが非常に多く見られます。証拠隠滅を事前に防ぐためです。

盗撮を疑われたとき、その場で行われる対応の流れ

現行犯に近い形で疑われた場合、その場ではすぐに逮捕の判断がなされるとは限らず、まず状況の確認が進められます。
盗撮は発覚直後が最も事情を把握しやすいため、周囲の人や施設管理者による声かけから対応が始まることが一般的です。

現場での事情確認

最初に行われるのは、その場にいた関係者同士での状況の整理です。
どこに立っていたのか、どのような動きが見えたのかなど、直前の出来事を順に確認していきます。

この段階では、直ちに行為の有無を断定するというより、その場で分かる範囲の事実をそろえていくことが目的になります。

端末の確認

続いて、携帯端末の状態が確認されることがあります。
撮影の有無や直前の操作状況が、当時の状況と矛盾しないかを見るためです。

発覚直後の端末の状態は後から変わる可能性があるため、その時点の状況が重視される傾向があります。
ここでも、結論を出すというより、確認できる事情を増やしていく意味合いが中心になります。

任意での同行の判断

その場だけでは確認が足りない場合、場所を移して事情を確認する必要が生じることがあります。
このとき、直ちに逮捕となる場合もありますが、まずは任意で同行する形が取られることもあります。

任意での同行は、現場では確認しきれない点を整理するために行われるもので、
現場確認の延長として場所を変えて続ける対応という位置付けになります。


このように、疑われた直後の対応は、いきなり結論を出す手続ではなく、
発覚直後に把握できる情報を順に確認していく流れで進みます。

弁護士が早期に関与する意味

盗撮では、発覚直後の段階でその後の手続の進み方が変わることがあります。
この時点ではまだ事実関係が整理されきっておらず、その場で把握された内容が、その後の確認の出発点として扱われやすいためです。

弁護士が早期に関与する意味は、特別な主張を行うことよりも、確認されている事実と不確かな情報を区別した状態で対応を始めることにあります。
発覚直後は、状況が断片的なまま話が進みやすく、意図しない理解のまま手続が進むことがあるからです。

誤認の防止

発覚直後は、周囲の認識や一部の状況から全体が推測されることがあります。
そのまま説明を重ねてしまうと、本来は確定していない内容まで前提として扱われてしまうことがあります。

どこまでが確認された事実で、どこからが認識や推測なのかを整理して伝えることで、状況の行き違いが生じにくくなります。

余罪拡大の防止

やり取りの中で、確認の対象となる範囲が想定より広がっていくことがあります。
質問の意図を把握しながら対応することで、当日の出来事に関係する内容と、そうでない内容を区別しやすくなります。

結果として、直接関係のない事項まで前提として扱われる状況を避けやすくなります。

逮捕回避の可能性

現場での確認だけでは判断が難しい場合、状況の伝わり方によってその後の対応が変わることがあります。
当時の行動や状況が整理された形で伝わることで、その場での判断に影響する可能性があります。


このように、早期の関与は結果を保証するものではありませんが、最初の説明が誤解されたまま手続が進んでしまうのを防ぐ意味があります。

認め事件の場合、早期に弁護士へ依頼することは、迅速に被害者との示談を試みる意味でも有益な動きと言えます。

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風俗トラブルで自首をするべき場合は?自首をするときの注意点は?弁護士が解説

このページでは,風俗トラブルの自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

風俗トラブルで自首をするべき場合

①相手の同意がないことが明らかな場合

自首は,自分の刑事事件について逮捕や重大な処罰を防ぐための試みです。そのため,自分の刑事事件が捜査される可能性のある場合に行うのが有益と言えます。

この点,風俗トラブルが問題になるケースの大多数は,サービス中における客のキャストへの行為について,キャストが同意していなかった,というものです。代表的なものが本番トラブルですが,本番行為(挿入行為)についてキャストが同意していなかったにもかかわらず強引に行ってしまった場合,刑事事件として捜査や処分の対象となる可能性が生じます。

そのため,自分の行為にキャストが同意していなかったことが明らかである場合には,刑事事件として捜査される可能性があり,自首が有益なケースと言えるでしょう。このような場合には,キャスト側も被害者意識を強く持っていることが通常であり,キャストが泣き寝入りをしない限りは警察に捜査を求める動きになると見込まれるため,キャストによる被害申告が行われる前に,速やかに自首の検討をするのが望ましいところです。

ポイント
被害者の同意が明らかにない場合は,捜査の対象とされやすくなる

②トラブル後の話し合いが奏功しない場合

風俗トラブルでは,トラブル後に店舗の責任者などと話し合いをし,当事者間での解決を目指すことが多く見られます。当事者間で話し合いにより解決できれば,警察などの捜査が行われず終了するため,捜査に備えて自首をする必要も生じません。
一方で,トラブル発生後に話し合いを試みたものの合意できる見通しが立たない場合や,そもそも相手方に話し合いの意思がない場合には,当事者間での解決ができないため,刑事事件に発展し捜査や処分を受ける可能性が高くなります。

そのため,トラブル後の話し合いで当事者間の解決ができない場合には,後の捜査に備える目的で自首を行う手段が有力になるでしょう。自首を行うことで,後に刑事事件化した場合の取り扱いが大きく変化することが期待できます。

ポイント
当事者間で解決すれば,捜査に発展しないため自首は不要
当事者間の話し合いで解決しない場合には自首の検討が有力

③周囲への発覚を防ぎたい場合

風俗トラブルの場合,内容面の争い以上に「風俗トラブルが起きたという事実自体を周囲に知られる」事態を防ぐべきケースが少なくありません。トラブルの存在が知られるだけでも,家庭生活や仕事に重大な悪影響が生じやすい事件分野であるためです。
そのため,相手の言い分には納得していないものの穏便に済ませたい,という場合が珍しくはなく,その点は風俗トラブルの大きな特徴の一つでもあります。

この点,風俗トラブルが周囲に発覚するのは,トラブルが激化した場合がほとんどです。トラブルが捜査の対象となり,警察などが接触してきたタイミングも,周囲に発覚しやすいタイミングの一つです。
このような事態を避ける手段として,自首は非常に有力と言えます。あらかじめ自首をすることで,周囲に発覚しない方法での捜査をするよう配慮してもらえれば,捜査の過程で周囲に発覚する可能性は極めて低くなるでしょう。

ポイント
警察が接触してきたタイミングで周囲に発覚することがある
自首をすることで,周囲に発覚しない捜査方法を取ってもらうことができる

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

風俗トラブルの自首は弁護士に依頼すべきか

風俗トラブルでの自首を検討する場合には,弁護士に依頼し,弁護士の判断や案内を求めるのが有効でしょう。自分一人で判断し行動するのではなく,事前に弁護士への相談や依頼を行うことを強くお勧めします。
具体的な理由としては,以下の点が挙げられます。

①自首すべき状況かが分かる

風俗トラブルは,そのすべてが刑事事件として捜査や処罰の対象となるわけではありません。形式的には犯罪に該当する可能性がある内容でも,刑事処分でなく当事者間での解決が期待される場合が少なくないためです。相手方であるキャストや店舗側も,自首でなく当事者間での解決を希望する場合が多いでしょう。
そのため,本当に自首をすべき状況かを十分に検討しないまま自首してしまうと,自首のメリットが小さくなるのみならず,相手方の意向に反する結果となってしまい,トラブル解決が遠のくことにもなりかねません。

この点,弁護士に依頼し,個別の内容に応じた法的な判断をしてもらうことで,本当に自首すべき状況であるか,という点を正しく理解することができます。また,自首すべきかどうかが明確でない場合には,自首に伴うメリットとデメリットを具体的に把握した上で,後悔のない方法選択をする手段としても活用できるでしょう。

②適切な方法で自首ができる

風俗トラブルは,自首の方法を誤ってしまうと警察から消極的な取り扱いを受けてしまい,事件解決につながらない可能性があります。警察は,民事事件として当事者間で解決すべきトラブルに巻き込まれることを嫌う傾向にあるためです。

警察は,犯罪捜査を行う機関であるため,当事者間の紛争(=民事事件)には介入しません。そして,民事事件を有利に進める目的で警察を巻き込む動きに対しては,これを受け入れないという対応を取ることがあります。
風俗トラブルの場合,犯罪が成立するか明らかでなかったり,根本的な悩みが民事事件(相手と解決の合意をしたいという点)であったりすることが多いため,漫然と自首を試みようとすると,自首とは評価されず単なる民事事件だと突き返されてしまう恐れがあるのです。

この点,弁護士に依頼することで,法律を踏まえた適切な方法・内容での自首ができるため,警察から消極的な対応を受ける事態を避けることが可能です。また,警察とのやり取りを可能な限り弁護士にゆだねることができるため,自分の負担を最小限に抑えた形で自首を行うことができるでしょう。

③自首後の流れが分かる

自首を行うにあたっては,自首後にどのような取り扱いを受けるか,手続がどのような流れになるか,という点をあらかじめ把握しておくことが重要です。その後の流れが全くわからないのでは,自首をするという判断は非常に難しく,実際に必要な自首後の対応も十分にできない可能性が高くなるでしょう。

この点,弁護士に依頼をし,事前に十分な相談や打ち合わせを行うことで,自首後にどのような流れとなるか,その中で自分はどのような対応をすべきか,といった点を正しく把握することが可能です。自首後の流れが分かることにより,安心して自首を試みられるのみでなく,最終的な結果もより望ましいものになることが期待できるでしょう。

④弁護活動を速やかに開始できる

自首は,あくまで捜査が開始されるスタートラインの手続であり,自首後には刑事事件の捜査が行われることになります。そのため,自首を行うに際しては,その後に捜査が行われること,捜査の結果刑事処分の対象となり得ることを踏まえておく必要があります。

この点,弁護士に依頼して自首を行うことで,捜査開始後直ちに弁護活動を開始することが可能です。被害者側との示談をはじめ,弁護士がいなければ対応できないことも速やかに進められるため,後の捜査や処分に対して有益な結果となりやすいでしょう。
特に,風俗トラブルの場合,当事者間の解決が速やかであればあるほど刑事事件も速やかに軽微な取り扱いで解決しやすいため,弁護士を通じて早期に示談の試みを行えるという点は大きなメリットと言えます。

風俗トラブルで自首をする場合の注意点

①勇み足である可能性

自首は,被害者側が警察に被害申告を行うであろう,又は行っているであろうことを前提に行うものです。警察が捜査を行う事件で,逮捕や重大な刑事処分を回避する,というのが自首の基本的な目的となります。

そのため,結果的に被害者側が何もしておらず,今後も特に動く予定がなかった,という場合,自首が原因で受けなくてもよかったはずの捜査を受ける可能性も否定できません。特に,風俗トラブルの場合,相手となるキャスト側にも個人や家庭などの事情があってトラブルを周囲に知られたくない,というケースも少なくないため,むしろ相手が警察の関与を望まない可能性もあり得るところです。

風俗トラブルで自首を試みる場合には,相手に動く意思がないと自分だけが先走ってしまい,結果的に勇み足になる可能性がある点に注意することをお勧めします。

②自首しても事態が進展しない可能性

風俗トラブルにおける自首は,相手のキャストが特定でき,自首後に当事者間での話し合いが開始できるようになると,具体的な事態の好転が期待できます。裏を返すと,相手が特定できなかったり,相手から話し合いに向けた対応が得られなかったりすれば,自首をしたという形は残るものの,事態は全く進展しないままとなる可能性もあり得るところです。

風俗トラブルの場合,キャストがお店を辞めてしまっていてお店の協力が得られないなど,キャストを特定する手段に乏しいケースがあり得ます。また,キャスト側が客との継続的な関係や話し合いを希望している可能性が低いため,お店が間に入らない場合,話し合いに対するキャストの前向きな対応が期待できないことも珍しくはありません。

そのため,風俗トラブルの自首では,自首後にはっきりとした事態の進展がなく,「とりあえず自首は行った」という形にならざるを得ない可能性を踏まえておくべきケースもあるでしょう。

③同居家族に発覚する可能性

自首を行った後,警察が在宅捜査を継続する方針となった場合,「身元引受人」の用意を求められることがあります。これは,次回以降の出頭を確保するため,主に同居親族に被疑者の監督を求めるものです。
また,事件の内容によっては,自宅等に事件の証拠となる物が残っている可能性を踏まえ,家宅の捜索を実施されるケースもあり得ます。
これらの動きが生じてしまうと,事件が同居家族に発覚してしまい,自首の目的が実現できなくなってしまう点に注意をすることが望ましいです。

同居家族に発覚する可能性を回避するためには,弁護士への依頼が最も端的な手段でしょう。弁護士に依頼し,弁護士を通じて示談を試みることで,警察があえて身元引受人を求めたり家宅の捜索を試みたりする可能性は劇的に低下しやすくなります。

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【風俗トラブルでの呼び出し】どんなときに呼び出しを受けるのか,拒んでよいか,逮捕されてしまうのかなど,疑問点を徹底解決

このページでは,風俗トラブルで警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
風俗トラブルに関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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風俗トラブルで呼び出された場合の対応法

①基本的な考え方

呼び出しに対しては,基本的に「拒否せず応じる」ことを前提とするのが有益です。呼び出しを拒否するよりも,可能な範囲で応じる姿勢を見せる方が,捜査機関の取り扱いも最終的な処分も望ましい展開になる場合が多いでしょう。

突然捜査機関からの呼び出しを受け,応じる選択肢も拒む選択肢もあるとなると,拒むことを選択したいという発想になりやすいかもしれません。しかし,呼び出しに応じないと,逮捕等の強制捜査を受ける不利益が生じ得る一方,呼び出しに応じたことを理由に強制捜査を受けることは通常ありません。そのため,応じることを前提とするスタンスの方が,結果的に不利益が少ないと考える方が適切です。

特に,風俗トラブルの場合は,呼び出しに応じている限りは逮捕を想定しない,という場合が多い傾向にあるため,呼び出しに応じる姿勢が有益になりやすい事件類型とも言えるでしょう。

ポイント
呼び出しを拒むのでなく呼び出しに応じる方針が有益

②初めて呼び出しを受けた場合

初めて呼び出しを受け,トラブルの内容について話を聞かれた場合には,まず問題となっている事件の内容を正しく把握するようにしましょう。「風俗トラブル」という抽象的な理解でなく,誰が何をした行為が問題視されているのか,キャスト側の主張する内容はどのようなものかをできるだけ具体的に把握するべきです。
例えば,触った部位はどこか,挿入したという問題であれば手指なのか性器なのか,当事者間でどのような問答があったか,時間の長さはどのくらいであったか,といった点を正確に確認し,トラブルの内容が映像としてイメージできるレベルに把握することが望ましいでしょう。

そして,事件の正確な把握を前提に,自分の認否を明確にすることが重要です。被疑事実を認める場合と認めない場合とでは,呼び出しへの対応方針もその後の解決に向けた方針もガラッと変わってくるため,認否をいずれにするのかは早期にはっきりさせる必要があります。
この点,認める事件であれば反省・後悔・謝罪といった意思を表明していくこと,否認事件であれば自身の言い分を毅然と伝え続けていくことを強く意識するのが有益でしょう。初回の呼び出しの段階で認否の方針がしっかりとしていれば,その後の手続も円滑に進むことが期待できます。

ポイント
まずは問題となっている事件の内容を具体的に把握する
事件の理解を前提に,認否を明確にする

③2回目以降の呼び出し

2回目以降の呼び出しは,初回に呼び出された際の内容を前提として,補充や確認などを行う目的でなされることが一般的です。そのため,初回の内容と矛盾しない供述に心がけ,一貫した対応に努めることが適切でしょう。
特に,事件の内容や認否に関する話が二転三転することは避けるべきです。事件内容の供述や認否のスタンスが度々変わってしまうと,捜査の長期化や対応の負担増加を招くのみならず,自分の話の信用性が低い,という評価につながりかねません。

ポイント
前後矛盾のない,一貫した対応に努める

風俗トラブルの呼び出しに応じると逮捕されるか

風俗トラブルにおける呼び出しは,基本的に逮捕することを想定していないことが多いでしょう。そのため,呼び出しに応じると逮捕される,ということはないのが通常です。

前提として,風俗トラブル自体が逮捕の決して多くない類型でもあります。捜査機関は,当事者間で解決できるのであればあえて刑事事件として扱う必要はない,と考えてくれるケースが多いため,捜査に踏み切る前に当事者間での示談を促す対応をしてくることも少なくないでしょう。
そのため,風俗トラブルでは,呼び出し自体も今後の継続的な捜査を前提としたものとは限らないという点に特徴があります。一度当事者双方の話は聞くものの,その後はやはり当事者間での解決を促す,というケースも散見されるところです。

もっとも,風俗トラブルで本格的な捜査を控える方針は,当事者間での解決ができる可能性を前提としたものです。内容が悪質で当事者間で早期解決できない事件であったり,相手方に示談の意思がないと明らかになった場合には,通常の刑事事件と同じ捜査手続に乗せられることも考えられるでしょう。
その点で,風俗トラブルの呼び出しがあった場合には,当事者間での解決を目指す必要性がより高い状況と言えます。

ポイント
逮捕を想定した呼び出しは基本的にない
当事者間での解決を促される場合も多い

風俗トラブルで警察が呼び出すタイミングや方法

①トラブル発生直後

トラブルが発生して当事者間で問題になった後,キャストや店舗担当者の通報で警察が関与し,呼び出しを受けるという流れが考えられます。
この場合,呼び出しはトラブル当日などの非常に速やかな段階であることが一般的です。また,警察の方から現場に駆け付け,警察と同行する形で出頭するケースもあり得るでしょう。

②相手が後日警察に相談した場合

トラブル当日には警察が関与しなかったものの,その後になって相手方が警察に相談する場合も考えられます。このようなケースでは,相談を受けた警察が相手から一通りの話を聞いた後,もう一方の当事者からも話を聞く目的で呼び出しを行う,という流れになるでしょう。

呼び出しの時期は,相手方が警察に相談する時期に影響を受けるため,個別のケースによるところです。もっとも,風俗トラブルの事件では,捜査に時間のかかる証拠がそれほど多くないため,相手から話を聞いた後,比較的早期に呼び出す方が多い傾向にあります。
呼び出しの方法は,電話であることがほとんどでしょう。

③当事者間の主張が食い違う場合

一度双方から話を聞いたものの,その主張内容に食い違いがある場合には,改めて話を聞くために呼び出されることが考えられます。このようなケースでは,相手方の主張内容を踏まえて,より具体的な説明を求められることが多いでしょう。

風俗トラブルの呼び出しに応じたときの注意点

①逮捕を過度に恐れない

風俗トラブルの呼び出しでは,逮捕が予定されていたり,逮捕を選択肢として想定していたりという可能性はあまりありません。そのため,逮捕を過度に恐れるあまり,肝心の対応を誤らないように注意しましょう。
逮捕を懸念し過ぎると,「不要に出頭すべきでないのではないか」「無視した方がいいのではないか」と呼び出しに対して消極的な対応をしてしまいがちですが,むしろ逮捕の可能性を自分から招く行動にもなりかねません。そもそも,捜査機関が逮捕を想定していないのであれば,完全な独り相撲であって一切メリットのない動きでもあります。

風俗トラブルの呼び出しに対しては,可能な範囲で応じることが逮捕を遠ざける最良の手段である,と理解することをお勧めします。

②呼び出し後,長期間動きが生じない可能性

一度呼び出しがあったものの,その後長期間に渡って何の進展も見られなくなる場合があります。これは,証拠に乏しく捜査がとん挫しているのか,他の事件を優先する必要があって順番待ちになっているかのいずれかであることがほとんどです。

呼び出しを受けて話をした後に長期間呼び出しがないと,自分の発言をもとに様々な捜査が行われているのではないか,との想像をしてしまうかもしれません。しかし,現実にそのような状況であることはほとんどないでしょう。
むしろ,実際には気づかない間に捜査が打ち切られて終了している,という可能性すらあり得るところです。

客観的証拠に乏しい風俗トラブルでは,長い空白期間が生じる可能性をあらかじめ踏まえておくのがよいでしょう。

③取調べの要点

内容に争いがある風俗トラブルの場合,争点となりやすいのは犯罪の「故意」です。特に本番トラブルでは,客が挿入行為を行う際にキャスト側も合意していると思っていたかどうか,という形で問題になることが非常に多く見られます。
そのため,取調べが行われるときの要点も「故意があると言えるか」というポイントに絞られることが少なくないでしょう。

この点,本番トラブルで故意があったと言える場合は,以下の二通りです。

本番トラブルで故意があったと言える場合

1.キャストが合意していないと分かっていた(認識していた)場合
2.キャストが合意していない可能性を分かっていた(認容していた)場合

犯罪の故意は,認識か認容があれば足りるとされています。そのため,故意がないと言えるのは,「キャストも合意しているに違いない」と思っていた場合に限られることとなるでしょう。

本番トラブルで故意が問題となる場合には,キャストが合意していると思ったことを,根拠を添えて主張することが重要です。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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【風俗トラブルの逮捕】どんな場合に逮捕されるか?逮捕を防ぐための正しい対応や解決法とは?

このページでは,風俗トラブルの逮捕に関して,刑事弁護士が徹底解説します。逮捕の可能性はどの程度あるか,逮捕を避ける方法はあるか,逮捕された場合に釈放を目指す方法はあるかなど,対応を検討する際の参考にしてみてください。

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風俗トラブルで逮捕される可能性

風俗トラブルの場合,逮捕される可能性は決して高くはありません。適切な対応ができれば,逮捕されずに済むことが多いと言っても過言ではないでしょう。
具体的な理由としては,以下のような点が挙げられます。

風俗トラブルで逮捕されない理由

1.性的サービスが前提となっている

2.店舗が間に入ることが多い

3.客観的証拠に乏しい

【1.性的サービスが前提となっている】

性犯罪は比較的逮捕されやすい傾向にあると言えますが,性犯罪で逮捕がなされやすいのは,同意していない性的行為を強いられる被害者のダメージが非常に重大である,という点に大きな理由があります。
大きなダメージを受けた被害者を保護する必要があるとともに,そのような行為に及んだ被疑者を放置しているわけにはいかない,という判断で逮捕に踏み切るのです。

一方,風俗店は,キャストが客に対して性的なサービスを行うためのお店です。そのため,キャストと客との間では,一定の性的行為を行うことが当然に合意されているということになります。被害者であるキャスト側にとって性的行為自体がNGではない,という点は非常に大きな特徴と言えます。
このような事情から,同じ性犯罪であっても,風俗トラブルの場合にはキャスト側のダメージの内容・程度や,客の行為の危険性は限定的であると評価されやすい傾向にあります。そのため,逮捕が必要との判断も少なくなりやすいのです。

もっとも,客による違反行為の程度があまりに著しい場合には,キャスト側のダメージも大きく,客を放置しているわけにいかなくなるため,逮捕の可能性は高くなり得るでしょう。

【2.店舗が間に入ることが多い】

風俗トラブルの場合,トラブルの事実を把握した段階で店舗の責任者が間に入ることが通常です。多くの場合,店舗の担当者がキャストの代わりとなって,その後の当事者間のやり取りを進めることになるでしょう。
また,客がキャストの個人情報を把握していることはほとんどなく,客としては,店舗の人物を介する方法でしかキャストと話し合うことはできません。

そのため,風俗トラブルの事件では,当事者間が接触する可能性が非常に低い傾向にあり,逮捕の必要性がそれほど高くないと判断される背景にもなっています。

【3.客観的証拠に乏しい】

逮捕は,刑事事件の捜査に際して法律上認められた手続ですが,捜査機関としてもむやみに逮捕するわけにはいきません。それは,逮捕された側の不利益が極めて大きいためです。後で誤認逮捕だと問題になれば,国家賠償などの形で法的責任を追及されかねません。
そのため,実際に逮捕する事件は,犯罪を裏付ける相応の根拠があることが必要とされやすいところです。

この点,風俗トラブルの場合,犯罪の裏付けとなる客観的証拠に乏しいことが非常に多い傾向にあります。そうすると,犯罪捜査に際して逮捕に踏み切る判断も難しくなりやすいため,逮捕されないケースが多くなります。

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

風俗トラブルで逮捕を避ける方法

①キャスト側との解決

逮捕を回避する最も端的な方法は,当事者間での解決です。当事者間でトラブルが解決すれば,捜査機関が犯罪捜査を行う必要はなくなり,捜査の手段として逮捕する必要もなくなります。

そのため,まずは相手方当事者であるキャスト側との解決ができるのであれば,早期円満な解決を目指すことが有力な方法になるでしょう。

②現場に警察を呼ぶ

逮捕は,逃亡や証拠隠滅を防ぐ目的で行われるものであり,逃亡や証拠隠滅が見込まれない場合には,逮捕しないという選択が有力になります
この点,自分から警察を呼び,事情聴取等の捜査を求めた場合,その人物がその後に逃亡したり証拠隠滅を試みたりする可能性は非常に低い,と評価することが通常です。そのため,自ら警察を呼ぶ行為は,自分を逮捕する必要がない,ということを知ってもらう方法として有力とも言えるでしょう。

もっとも,自分から警察を呼ぶ行為は,自分から捜査のきっかけを作る行為でもあることには注意することが望ましいでしょう。特に,相手方が警察を巻き込むつもりではなかった場合,自分が警察を呼ばなければ当事者間で早期解決していたにもかかわらず,警察を呼んだばかりに早期解決ができなくなってしまう可能性も否定できません。
警察を巻き込む動きを取る場合は,キャストや店舗側の意向を十分に把握した上で行うことをお勧めします。

③捜査協力を尽くす

既に警察等の捜査が行われている場合には,捜査協力に努めることで逮捕の回避を目指す方法が有力です。

一般的に,捜査協力の姿勢を見せる被疑者と捜査を拒否する被疑者を比較すれば,捜査協力をする被疑者の方が逮捕の必要性は低いと評価されます。なぜなら,捜査協力と証拠隠滅は両立しづらく,証拠隠滅の恐れが低いと考えられるためです。

捜査に協力する態度は,警察官の対応が穏やかになるなど,捜査手続の負担軽減にもつながる可能性があるため,心がけて損のないものということができるでしょう。

風俗トラブルの逮捕は弁護士に依頼すべきか

風俗トラブルで逮捕を防ぐ場合には,早期に弁護士へ依頼し,適切な弁護活動を行ってもらうことをお勧めします。

まず何より,風俗トラブルの解決に必要な示談のため,示談交渉の専門家である弁護士の存在は非常に重要となります。早期に適切な内容で示談が成立すれば,逮捕の回避はほぼ確実に実現できるでしょう。
風俗トラブルの場合,示談交渉の相手方となる店舗の担当者は,キャストを守るという意味もあって非常に高圧的,好戦的な態度を見せてくることが珍しくありません。そのような相手に,当事者自身が冷静で合理的な対応を尽くすのは至難の業と言わざるを得ません。
この点,風俗トラブルの解決に精通した弁護士へ依頼することで,円滑な示談による逮捕回避が容易になるでしょう。

また,弁護士に対応を委ねることによって,周囲への発覚を防ぎながら逮捕回避を図ることができる,という点も大きなポイントです。
風俗トラブルの場合,逮捕を回避したいのはもちろんですが,逮捕回避とともにトラブルが周囲に発覚しないということが非常に重要です。逮捕が防げたとしても,風俗店で本番トラブルを起こした,と周囲に知られては,対応は失敗と言わざるを得ないでしょう。
この点,弁護士に依頼をすれば,基本的に弁護士が窓口に立ってくれるため,トラブルの事実が周囲に発覚する可能性が極めて低くなります。

風俗トラブルの逮捕に関する注意点

①その場で金銭を支払う行動について

風俗トラブルでは,その場で直ちに示談金の話になり,その足で金銭を引き出して支払う,という流れとなる事例も相当数見られます。店舗側としては,最も取りはぐれるリスクの低い動きとして,その場で金銭を支払うよう求めることも少なくありません。

もっとも,その場で金銭を支払う方法での解決はお勧めできません。なぜなら,金銭を支払ったから直ちに解決する,直ちに逮捕されなくなる,という関係にはないためです。

当事者間で紛争解決を確認する際には,後で蒸し返しされることがないよう,その内容を書面化することが一般的です。特に,風俗トラブルで互いに相手を信頼することは容易でないため,風俗トラブルの解決には書面化が不可欠でしょう。
しかしながら,その場で金銭を支払って解決しようとすると,十分な書面化ができず,紛争の蒸し返しを防ぐことができません。最悪の場合,支払った事実すら争われる可能性を残すことになります。
なお,店舗によっては,金銭を受け取った際に作成する書面の書式を要している場合もあります。もっとも,その内容が法的に十分なものであることはほとんどありません。少なくとも,客側に配慮した内容の書式であると期待できるケースはまずないでしょう。

風俗トラブルでは,金銭を支払っての解決が有力ではありますが,金銭を支払う以上は,蒸し返しを防ぐための形式をしっかり取るようにしましょう。

ポイント
その場で金銭を支払っても直ちに解決するわけではない
後の蒸し返しを防ぐために適切な書面化をするべき

②店舗への個人情報の流出

風俗トラブルが発生した場合,店舗側の運用として,健康保険証などの個人情報の提供を求め,その写しを取得するということが多く行われます。店舗側には自分の個人情報が伝わっていることが珍しくありません。風俗トラブルの逮捕を防ぐ観点では,この点に十分な配慮をすることが望ましいでしょう。
例えば,キャストや店舗に対してあまりに不適切な対応をすれば,警察への被害申告を誘発する結果になり,最悪の場合には逮捕のきっかけとなる可能性も否定できません。

店舗に伝わっている個人情報は,場合によっては捜査や逮捕のために用いられる可能性もあり得るため,十分に注意しましょう。

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【風俗トラブルの不起訴処分】不起訴処分となるための方法や不起訴処分の効果などを弁護士が解説

このページでは,風俗トラブルの不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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風俗トラブルで不起訴を目指す方法

①トラブル発生直後

風俗トラブルの事件は,トラブル発生の直後から解決に向けた話し合いがなされ得る点に大きな特徴があります。トラブルの発生後,早期に当事者間で紛争解決ができれば,刑事事件として捜査や処分の対象となることもなくなるため,起訴される可能性もなくなります。

そのため,トラブル発生直後の段階で,話し合いによる解決の余地がある場合には,まず早期解決の可能性を検討することが有力でしょう。具体的には,金銭の支払を伴う示談が想定されやすいところですが,特にトラブルの発生に対する落ち度を自覚している場合には,示談での解決が有力になりやすいです。

ポイント
風俗トラブルは,トラブル発生直後から解決の話し合いが生じ得る
トラブルの発生に落ち度があるときは,示談での解決が有力

②警察の関与後

風俗トラブルの場合,サービスを行っていた客室等でトラブルが問題になった後,現場に警察を呼ぶ流れになるケースが少なくありません。警察が駆け付けた場合,当事者双方から話を聞いた上で,その後の取り扱いについて検討し,刑事事件として本格的な捜査を行うかどうかを判断する,という進行になりやすいでしょう。

そのため,警察が関与した段階では,警察が捜査を行うべき事件ではない,という判断をしてもらうことを目指す対応が一案でしょう。具体的には,犯罪が成立しない可能性が高い,相手のキャスト側による言いがかりの可能性が十分にある,という判断を促すことが有力です。
詳細な対応方針は,トラブルの争点にもよって様々ですが,一例としては以下のような点を強調する動きが考えられるでしょう。

捜査しないとの判断を促しやすい事情

1.(本番トラブルの場合)本番行為に同意があると考えてもやむを得ない可能性がある
→金銭の授受があった
→キャストから本番行為を唆す言動があった
→過去にも本番行為があった

2.キャストの主張する行為が立証できない可能性が高い
→キャストの言い分が不合理である,証拠と整合しない
→否定する自分の供述が合理的である,証拠と整合する

3.双方に合意のある性的行為の範囲が広い
→キャストが客側にどこまでの行為を許しているか
→許している範囲が広いほど,それ以上の行為も合意している可能性がうかがわれる

③店舗担当者との協議中

風俗トラブルが問題となった後は,キャスト本人でなく店舗の担当者との間で示談などの協議を行うケースが多く見られます。この段階では,店舗側及びキャスト側が警察の捜査を求めている可能性が低いため,協議を進めて解決内容が合意できれば,捜査が開始されることなく終了し,起訴される可能性もなくなるでしょう。

風俗トラブルで不起訴になる可能性

風俗トラブルの事件は,適切に対応をすることで不起訴になる可能性が十分に高い事件類型である,ということができます。具体的な理由としては,以下のような点が挙げられます。

①認め事件の場合

風俗トラブルは,本番トラブルであれば不同意性交等罪,盗撮トラブルであれば撮影罪(性的姿態等撮影罪)など,形式的には犯罪に該当する内容であることが多いものです。しかしながら,形式的に犯罪となり得る出来事であっても,そのすべてが捜査されたり起訴されたりするわけではありません。

風俗トラブルの場合,風俗店のサービスとして一定の性的行為をすることが前提になっているため,性的な接触自体は互いに了承済みである,という点に大きな特徴があります。路上で起きたわいせつ事件や電車内で起きた盗撮事件などと比較すれば,その違いは明白でしょう。
そのため,行為そのものが犯罪を構成するとしても,その違法性が際立って大きいとは評価されないことが少なくありません。例えば,性器同士をこすり合わせる行為(いわゆる素股)は合意しているが挿入行為は合意していない,避妊具をつけた挿入行為は合意しているが避妊具なしの挿入行為は合意していない,と言った場合,合意している行為と合意していない行為が非常に類似しているため,犯罪として重大な処罰をするほどの違法性まではない,という評価がなされやすい傾向にあります。

このような事情から,風俗トラブルの事件では,起訴するのでなく当事者間での解決を期待するケースが多く見られるところです。この場合,当事者間で穏当に解決できれば,不起訴が見込まれやすいでしょう。

②否認事件の場合

風俗トラブルの事件は,密室でのサービス中に発生しているものであるため,キャスト側が一方的に主張する違法行為の客観的根拠に乏しいケースが少なくありません。また,客観的根拠に乏しい場合は,双方の言い分の信用性を検討することがありますが,言い分の信用性を判断するための根拠もなかなか存在せず,どちらの言い分がより信用できるか,という検討も困難なことが多く見られます。

そのため,トラブルの内容について当事者間の言い分に相違があり,いずれかが明らかに不合理である,といった事情もない場合には,現実的に起訴ができるだけの証拠を獲得しづらく,不起訴処分とせざるを得ない場合が少なくないでしょう。

もっとも,心当たりがあるにもかかわらず否認する,という動きはお勧めできません。被害を主張する相手方の動きが激化し,事態が深刻化するきっかけになりかねないためです。
真に心当たりがない場合には,毅然とした否認の対応をし,不起訴を促す手段が有力でしょう。

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

風俗トラブルで不起訴を目指す場合の注意点

①事件の被害者が誰か

刑事事件で不起訴処分を目指す場合,どの事件について不起訴を目指すのか,という点の正確な理解が不可欠です。当然のポイントではありますが,風俗トラブルの場合には見落とされる可能性があるポイントでもあります。

風俗トラブルで真っ先に不起訴を目指すべきなのは,キャストを相手とする性犯罪に関する事件です。具体的には,本番行為のトラブルであれば不同意性交等罪,盗撮トラブルであれば撮影罪となるでしょう。
そのため,キャストを被害者とする事件で不起訴を目指す必要があり,そのための手段としてはキャストとの間での示談が最も適切ということになります。

もっとも,風俗トラブルの示談は店舗の責任者が窓口となって対応してくるため,示談も店舗の人と取り交わすのが通常です。そして,店舗側は「当事者がキャストである」という点に配慮することなく,店舗と客との間の示談を行おうとすることが非常に多く見られます。
そのため,不起訴を目指す客側で,キャストを当事者とする示談を求める必要があり,キャストとの示談ができて初めて不起訴に役立つ事情となるのです。

風俗トラブルでは,キャスト個人を被害者とする事件の不起訴を目指す,という観点を忘れないよう注意しましょう。

ポイント
不起訴を目指すべき事件はキャスト個人を被害者とする事件
交渉の窓口となる店舗の担当者は配慮してくれない

②キャストとの直接の接触

風俗トラブルがキャスト個人との解決を要することは間違いありませんが,それでもキャストとの直接の接触を図りにいくことはお勧めされません。基本的に,キャスト個人と直接話し合おうとしたり,個人間で示談しようとしたりする行為は不適切と考えるのがよいでしょう。

風俗店のサービスでは,性的なトラブルが生じやすいものです。そのため,店舗の責任者は,キャストをトラブルから守る立場として窓口に入り,対応してくることが一般的です。この場合に,客側が店舗の人を挟まずに直接キャストと接触しようとする行為は,店舗から見るとキャストに更なる被害が生じ得る危険なものであって,強い反発の対象となりやすいところです。
キャストとの示談による解決は,基本的に窓口となる店舗の担当者を介して行う,ということに注意しましょう。

なお,キャストがお店を辞めた,店舗の担当者が窓口対応を止めたなど,キャストと店舗の関係が切れた場合には,キャストと直接やり取りをしても差し支えないでしょう。

ポイント
キャストとの直接の接触は基本的に不適切
キャストと店舗の関係が切れた後は問題ない

③手続が長期間に渡る可能性

風俗トラブルが刑事事件として捜査の対象となる場合,その手続は長期間に渡りやすい傾向にあります。これは,当事者の言い分以外に全く証拠がない,というケースでより顕著になりやすいでしょう。

当事者の言い分以外に全く根拠がない場合,言い分を裏付ける根拠があるかどうかがはっきりと分かるまで,現実的には手続を終了させることは難しいところです。被害を訴える人物がいる以上,それほど簡単に捜査を打ち切るわけにはいかないという面もあります。
もっとも,その後に新しく証拠が見つかることはほとんどないため,事態に進展がないまま長期間が経過し,最終的には「長期間の捜査でも証拠が獲得できなかった」として捜査を終了する流れになりがちです。

そのため,証拠に乏しい風俗トラブルが捜査の対象となる場合,その手続は進展のないまま長期間に渡る可能性がある,ということをあらかじめ踏まえておくのがよいでしょう。

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