未成年の盗撮はどう処理される?処分と前科の関係

未成年による盗撮行為であっても、刑事事件として扱われる可能性があります。ただし、成人事件とは異なり、原則として少年法が適用され、手続や処分の考え方は大きく異なります。 そのため、「逮捕された場合にどのような流れになるのか」「前科はつくのか」「少年院に送致される可能性はあるのか」といった点については、少年事件特有の枠組みを踏まえて検討する必要があります。

未成年事件では、処罰そのものよりも更生を重視する観点から、家庭裁判所が中心となって処分を決定します。もっとも、事案の内容や年齢、態様によっては、検察官送致(いわゆる逆送)となり、刑事裁判を経て前科が生じる可能性も否定できません。 また、学校への影響や将来への影響についても、具体的事情に応じた判断が必要となります。

本記事では、未成年の盗撮事件について、逮捕後の手続の流れ、想定される処分の種類、前科との関係、学校や将来への影響、保護者が取るべき対応を、少年事件の実務を踏まえて整理します。未成年特有の法的構造を理解することが、適切な対応を検討する前提となります。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

未成年の盗撮事件はどのように処理されるのか

未成年による盗撮行為が発覚し、逮捕に至った場合でも、直ちに刑事裁判に付されるわけではありません。原則として事件は家庭裁判所に送致され、少年法に基づく手続の中で処分が検討されます。 少年事件では、行為に対する制裁よりも、将来に向けた更生や再発防止を重視するという考え方が制度の基礎にあります。この点が、成人の刑事事件との大きな違いです。

逮捕後は、まず警察において取調べが行われます。事案の内容や証拠関係によっては、一定期間身柄が拘束されることもあります。もっとも、未成年事件では、成人事件と同様に長期の勾留が常に認められるわけではなく、在宅での調査に移行するケースも少なくありません。身柄が拘束されているかどうかは、その後の生活や学校への影響にも関わるため、重要なポイントとなります。

警察から検察官へ送致された後、未成年事件は原則として家庭裁判所に送られます。家庭裁判所では、まず家庭裁判所調査官による調査が行われ、少年の性格傾向、生活環境、家庭の監督状況、学校での状況などが丁寧に確認されます。必要があると判断された場合には観護措置が決定され、少年鑑別所に収容されたうえで、心理的評価や生活態度の分析が行われます。観護措置がとられるか否かは、その後の処分の方向性を考えるうえでも重要な意味を持ちます。

審判では、盗撮行為の内容や悪質性だけでなく、被害者との示談の成立状況、反省の具体性、保護者の監督体制、再発防止策の実効性などが総合的に考慮されます。その結果、不処分、保護観察、少年院送致といった保護処分が選択されます。多くの事案は保護処分の範囲で終結しますが、16歳以上で事案が重大である場合には、検察官送致(いわゆる逆送)となり、刑事裁判に移行する可能性があります。 逆送後に有罪判決を受けた場合には前科が生じるため、この点は見落とせません。このように、未成年の盗撮事件は、逮捕から審判に至るまで複数の段階を経て処理されます。最終的な帰結は、年齢、行為態様、被害の程度、余罪の有無、示談の成立状況、家庭環境など、多角的な事情を踏まえて判断されます。少年事件特有の手続の流れと判断基準を理解することが、今後の見通しを冷静に検討するための出発点となります。

盗撮事件の場合、事件の重大性を理由に逆送されることはあまりないでしょう。20歳が非常に近い年齢にある場合は、逆送が検討されることも一定数生じ得るところです。

未成年盗撮で科される可能性のある処分とは

未成年の盗撮事件では、家庭裁判所が審判を経て処分を決定します。少年事件では「刑罰」ではなく「保護処分」が中心となる点が最大の特徴です。 ただし、年齢や事案の重大性によっては刑事裁判に移行する可能性もあり、処分の全体像を理解しておくことが重要です。

未成年盗撮事件で想定される主な処分は、次のとおりです。


① 不処分

非行事実は認められるものの、既に十分な反省があり、家庭環境の改善や再発防止策が整っている場合などには、不処分となることがあります。不処分の場合、少年院送致や保護観察は付されません。
もっとも、事件がなかったことになるわけではなく、再非行があれば不利に考慮される可能性があります。


② 保護観察

家庭裁判所が一定期間の指導監督を必要と判断した場合、保護観察に付されます。保護観察官や保護司の指導を受けながら、社会内で生活を継続する処分です。
多くの未成年盗撮事件は、この保護観察で終結するケースが少なくありません。学校生活を継続できる場合も多いですが、生活態度の改善が求められます。


③ 少年院送致

行為態様が悪質である場合や、再非行の可能性が高いと判断された場合には、少年院送致が選択されることがあります。少年院では矯正教育が行われ、一定期間、施設内で生活することになります。
余罪が多数ある場合や、計画性が認められる場合などは、より重い処分が検討される可能性があります。


④ 検察官送致(逆送)

16歳以上で事案が重大と判断された場合には、家庭裁判所から検察官に送致され、刑事裁判に移行することがあります。これを逆送といいます。
逆送後に有罪判決を受ければ、懲役刑や執行猶予などの刑罰が科され、前科が生じることになります。 未成年であっても、この可能性が完全に排除されているわけではありません。


処分の選択にあたっては、盗撮行為の態様、被害の程度、被害者との示談の成立状況、余罪の有無、反省の具体性、家庭の監督体制などが総合的に考慮されます。早期の示談や再発防止策の構築は、処分を左右する重要な要素となります。

このように、未成年盗撮事件の処分は一律ではなく、事案ごとの事情によって大きく異なります。処分の種類とその意味を正確に理解することが、今後の対応を検討するうえで不可欠です。

逮捕から家庭裁判所送致までの流れ

未成年が盗撮で逮捕された場合、まず警察署に連行され、取調べが行われます。逮捕後は直ちに釈放されるわけではなく、一定期間、身柄が拘束される可能性があります。 成人事件と同様に、警察段階での留置が続くこともありますが、未成年であることや監督環境の有無などを踏まえ、在宅事件として処理される場合も少なくありません。

逮捕後は、保護者への連絡が行われるのが通常です。少年事件では、保護者の関与が重要な意味を持つため、家庭環境や監督体制の状況が早期に確認されます。また、盗撮事件ではスマートフォンなどの電子機器が押収されることが多く、画像・動画データの解析が進められます。この段階で余罪が判明することもあり、事件の広がりによってはその後の処分判断に影響することがあります。

警察での捜査が一定程度進むと、事件は検察官に送致されます。成人事件であれば、検察官が起訴・不起訴を判断しますが、未成年事件では原則として家庭裁判所へ送致されます。ここから手続は「刑事裁判」ではなく「少年審判」へと移行します。

家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所調査官による調査が行われます。調査では、非行事実の内容だけでなく、少年の性格傾向、生活状況、学校での様子、交友関係、家庭の監督体制などが総合的に検討されます。少年事件では「何をしたか」だけでなく「今後どう更生できるか」が重視されるため、この調査の結果は極めて重要です。

必要と判断された場合には観護措置が決定され、少年は一定期間、少年鑑別所に収容されます。観護措置中には、心理検査や行動観察が行われ、再発可能性や保護の必要性が評価されます。観護措置の有無や評価内容は、その後の審判における処分判断に大きな影響を与えます。このように、未成年盗撮事件は、逮捕直後の警察段階から検察官送致、家庭裁判所送致、観護措置、審判へと段階的に進みます。各段階での供述内容や保護者の対応、示談の進捗などが、最終的な処分の方向性を左右する可能性があります。 手続の流れを理解し、適切な対応を検討することが重要です。

未成年の盗撮で生じ得る影響とリスク

未成年による盗撮事件では、家庭裁判所での処分そのものだけでなく、その前後の経過や記録が生活全体に影響を及ぼす可能性があります。法的処分にとどまらず、学校生活、進学、就職など将来設計にも一定の影響が生じ得る点を理解しておく必要があります。

まず重要なのが、前科との関係です。少年事件で保護処分にとどまった場合、通常は刑事上の「前科」とはなりません。しかし、16歳以上で逆送され、刑事裁判で有罪判決を受けた場合には前科が生じます。 また、前科とならない場合であっても、事件の記録が全く消えるわけではなく、再非行があった場合には不利な事情として考慮される可能性があります。

次に、学校への影響です。逮捕や観護措置により一定期間通学できなくなることがありますし、事実関係が学校に伝われば、停学や退学などの懲戒処分が検討される場合もあります。もっとも、処分の有無や内容は校則、事案の内容、反省状況、被害者対応の進展などによって異なります。早期に事実関係を整理し、保護者が適切に対応することが、結果に影響することもあります。

さらに、進学や就職への影響も懸念されます。保護処分であれば直ちに進学や一般就職が制限されるわけではありませんが、逆送後に有罪判決を受けた場合には、一定の資格制限や公務員採用への影響が生じる可能性があります。特に将来公務員や資格職を志望している場合には、前科の有無が重要な意味を持ちます。

社会的影響としては、実名報道の問題があります。少年事件では実名報道は原則として制限されていますが、インターネット上での情報拡散やSNS投稿などにより、事実上情報が広まるリスクは否定できません。精神的負担が大きくなる場合もあり、家庭としての支援体制が重要となります。

また、盗撮事件では押収されたスマートフォンの解析により余罪が発覚することがあります。余罪が多数認定された場合には、処分が重くなる方向に働く可能性があり、再非行と評価されれば将来的にも不利に作用します。 事実関係を正確に把握し、対応方針を慎重に検討する必要があります。

このように、未成年の盗撮事件は、単に一度の処分で完結する問題ではなく、将来にわたって影響を及ぼす可能性があります。法的帰結だけでなく、生活面・社会面を含めた総合的なリスクを理解することが重要です。

年齢によって処分は変わるのか

未成年の盗撮事件では、同じ行為であっても、年齢によって適用される法的枠組みや処分の方向性が異なる点に注意が必要です。少年法はおおむね20歳未満を対象としますが、その中でも年齢区分によって扱いに違いがあります。

① 14歳未満の場合(触法少年)

刑事責任を問うことができるのは原則として14歳以上です。そのため、14歳未満の少年は「触法少年」とされ、刑事処分の対象とはなりません。ただし、だからといって何の対応もなされないわけではなく、児童相談所による指導や、必要に応じて家庭裁判所の関与が行われます。刑事裁判や前科の問題は生じませんが、保護的措置がとられる可能性はあります。

② 14歳以上16歳未満の場合

14歳以上になると刑事責任能力が認められますが、原則として家庭裁判所での保護処分が中心となります。この年齢層では、更生可能性が高いと評価されることが多く、保護観察などの社会内処分が選択されるケースも少なくありません。ただし、行為態様が悪質であれば、少年院送致が選択される可能性もあります。

③ 16歳以上の場合

16歳以上の少年については、事案が重大であると判断された場合に、検察官送致(逆送)がなされる可能性があります。逆送後に有罪判決を受ければ、通常の刑罰が科され、前科が生じることになります。 この年齢層では、成人に近い責任が問われる場面がある点を理解しておく必要があります。

もっとも、年齢だけで処分が決まるわけではありません。行為の悪質性、余罪の有無、被害者対応の状況、家庭の監督体制などが総合的に考慮されます。年齢は重要な要素ではありますが、処分は個別具体的事情を踏まえて判断されます。

このように、未成年の盗撮事件では、年齢区分ごとに適用される枠組みや処分の可能性が異なります。自らの年齢区分がどの位置にあるのかを踏まえたうえで、今後の見通しを検討することが重要です。

未成年の盗撮にはどの法律が適用されるのか

未成年であっても、盗撮行為そのものが違法であることに変わりはありません。問題となるのは、どの法律に基づいて違法性が評価されるのかという点です。適用される法令は、撮影の態様、場所、被写体の状況などによって異なります。

現在、盗撮行為の中心的な処罰根拠となるのは、いわゆる「撮影罪」(性的姿態等撮影等処罰法)です。衣服の内部を撮影する、下着を撮影するなど、性的姿態を無断で撮影する行為はこの法律の対象となります。未成年であっても14歳以上であれば刑事責任の対象となり得る点は成人と変わりません。 もっとも、処分の決定は少年法の枠組みの中で行われます。

一方で、事案によっては各都道府県の迷惑防止条例が適用される場合もあります。条例違反として立件されるケースでは、撮影罪とは異なる構成要件で評価されることになります。たとえば、撮影未遂や、撮影を試みた行為が問題となる場合など、事実関係に応じて適用法令が変わります。どの法令で立件されるかは、法定刑や処分判断に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、被写体が18歳未満である場合には、児童ポルノ禁止法が問題となる可能性があります。撮影行為だけでなく、画像データの所持や提供が別途違法と評価されることもあり、押収されたスマートフォンの解析結果が重要な意味を持ちます。余罪が認定された場合には、処分が重くなる方向に働くこともあります。

未成年であることは処分の枠組みに影響しますが、違法性の評価自体が軽くなるわけではありません。 どの法律が適用されているのかを正確に把握し、構成要件や立件内容を理解することが、今後の見通しを検討する前提となります。

このように、未成年の盗撮事件では、撮影罪、迷惑防止条例、児童ポルノ禁止法など、複数の法令が問題となり得ます。事実関係を丁寧に確認し、適用法令ごとの法的評価を整理することが重要です。

未成年が行った盗撮であるから適用される法律、というものは特にないと理解してよいでしょう。禁止される行為自体は成人でも未成年でも同様です。

親が取るべき対応とは

未成年の盗撮事件では、少年本人の対応だけでなく、保護者の関与が処分の方向性に大きく影響します。 少年事件は更生を目的とする制度であるため、家庭の監督体制や再発防止への取組状況が重要な判断要素となるからです。

まず重要なのは、事実関係を正確に把握することです。警察での供述内容や押収物の状況、余罪の有無などを整理し、感情的な叱責だけで終わらせないことが必要です。少年事件では、反省の具体性や再発防止策の実効性が評価対象となるため、単なる謝罪では足りません。家庭としてどのように再発を防止するのかを具体的に示すことが重要です。

次に、被害者対応です。盗撮事件では示談が成立しているかどうかが処分判断に影響することがあります。もっとも、保護者が直接連絡を取ることは適切でない場合も多く、慎重な対応が求められます。示談交渉は法的観点を踏まえて進める必要があります。

また、学校への対応も重要です。事実関係が学校に伝わった場合、停学や退学などの懲戒処分が検討されることがあります。早期に状況を整理し、誠実な説明と再発防止策を示すことが、学校側の判断に影響する場合があります。

さらに、家庭裁判所調査官との面談に向けた準備も欠かせません。家庭の監督体制や生活環境の改善策を具体的に説明できるかどうかが、保護観察で足りるのか、より重い処分が必要と判断されるのかに関わることがあります。

このように、未成年盗撮事件では、保護者の対応が処分の帰結に影響する場面が少なくありません。冷静に事実を整理し、再発防止と被害回復に向けた具体的な行動を取ることが求められます。

少年事件の場合、審判に親権者が同席すること、同席した親権者も裁判官などから質問を受けることなどが大きな特徴です。親権者は非常に大きな役割を持ちます。

少年事件で弁護士ができること

未成年の盗撮事件では、少年本人だけでなく、保護者にとっても不安や判断の難しさが伴います。少年事件は成人事件とは手続構造が異なり、対応の仕方によって処分の方向性が変わる可能性があるため、早期の法的整理が重要です。

まず、弁護士は、警察段階からの対応について助言を行います。供述内容の整理や、押収物への対応、余罪に関する見通しの確認など、事実関係を法的観点から整理します。未成年事件では、供述の一貫性や反省の具体性が後の審判に影響するため、初期対応は軽視できません。

次に、被害者との示談交渉を進める役割があります。盗撮事件では、示談の成立が処分判断に影響する場合がありますが、当事者間での直接交渉は適切でないことが多く、法的観点を踏まえた対応が求められます。示談の有無や内容は、家庭裁判所における評価要素となり得ます。

家庭裁判所送致後は、付添人として審判手続に関与します。家庭裁判所調査官との面談に向けた準備、生活環境や再発防止策の整理、意見書の提出などを通じて、保護処分の相当性について法的観点から主張を行います。少年事件では「更生可能性」が重要視されるため、その具体的根拠を示すことが重要です。

さらに、学校対応や今後の進学・就職への影響についても助言を行います。法的処分と生活上の対応は密接に関連しており、全体像を踏まえた判断が必要です。このように、未成年の盗撮事件では、警察段階から家庭裁判所審判に至るまで、各段階で弁護士が果たし得る役割があります。早期に法的助言を受けることは、処分の見通しを適切に立てるうえで重要な意味を持ちます。

少年事件は、事前準備も当日の進行も、すべて成人の事件とは大きく異なります。そのため、刑事事件のみでなく少年事件に精通した弁護士に依頼することが望ましいです。

未成年盗撮に関するよくある質問

Q1 未成年でも前科はつきますか。

保護処分にとどまる限り、通常は前科とはなりません。 少年院送致や保護観察といった保護処分は、刑罰とは区別されます。もっとも、16歳以上で逆送され、刑事裁判で有罪判決を受けた場合には前科が生じます。


Q2 示談が成立すれば必ず軽い処分になりますか。

示談の成立は重要な事情ですが、それだけで処分が決まるわけではありません。行為態様、余罪の有無、反省状況、家庭の監督体制などが総合的に考慮されます。示談は有利な事情となり得ますが、絶対的な決定要素ではありません。


Q3 学校に必ず知られますか。

逮捕や観護措置により通学できない期間が生じた場合、学校が事情を把握することがあります。ただし、少年事件は原則として実名報道が制限されており、直ちに公になるわけではありません。学校対応は事案の内容や説明状況によって異なります。


Q4 少年院に送られる可能性は高いですか。

多くの未成年盗撮事件は保護観察などの社会内処分で終結しますが、行為が悪質である場合や再非行のおそれが高いと判断された場合には少年院送致が選択される可能性があります。最終的な判断は個別具体的事情に基づいて行われます。

まとめ

未成年による盗撮事件は、成人事件とは異なり、原則として少年法に基づく手続の中で処理されます。 家庭裁判所が中心となり、更生可能性や保護の必要性を踏まえて処分が決定される点が特徴です。

想定される処分には、不処分、保護観察、少年院送致などがあり、多くの事案は保護処分の枠内で終結します。ただし、16歳以上で事案が重大な場合には逆送され、刑事裁判を経て前科が生じる可能性もあります。 未成年であることが直ちに軽い結果を意味するわけではない点は理解しておく必要があります。

また、処分だけでなく、学校生活、進学、就職など将来への影響も検討すべき重要な要素です。示談の成立状況や再発防止策、家庭の監督体制は、処分判断に影響を与える事情となり得ます。

未成年盗撮事件では、手続の各段階での対応が最終的な帰結に影響する可能性があります。少年事件特有の枠組みを踏まえ、早期に状況を整理し、適切な対応を検討することが重要です。

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高校生の万引き|処分・前科・退学の可能性を弁護士が解説

高校生の子どもが万引きをしてしまったと知ったとき、保護者の多くは強い不安を感じます。
警察に連絡されたらどうなるのか逮捕されるのか前科は残るのか学校を退学になる可能性はあるのか――短時間のうちに、次々と疑問が浮かぶのは自然なことです。

万引きは、被害額が少額であっても、刑法上は窃盗罪に該当します。ただし、高校生は未成年であるため、成人と同じ刑事手続がそのまま適用されるわけではありません。実際の手続や処分は、少年法に基づき、家庭裁判所が判断することになります。

もっとも、「未成年だから大丈夫」「初めてだから問題にならない」と一概に言えるわけではありません。事案の内容や本人の態度、保護者の対応によって、その後の流れや処分の重さに差が生じることもあります。

この記事では、高校生が万引きをした場合に進む警察・家庭裁判所での手続の流れ、考えられる処分や前科・記録の扱い学校への影響、そして保護者が取るべき対応について、少年事件を扱う弁護士の視点から整理して解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

高校生の万引きは犯罪になるのか

万引きは、商品を無断で持ち去る行為であり、刑法上は窃盗として評価される行為に当たります。被害額が少額であっても、行為の性質が変わるわけではなく、犯罪に該当する行為である点に違いはありません。

もっとも、高校生が万引きをした場合、成人と同じ刑事裁判がそのまま行われるわけではありません。多くのケースでは、少年法に基づく手続により対応され、警察の関与を経て家庭裁判所が処分の要否や内容を判断することになります。

高校生の万引きが少年事件として扱われる理由

高校生による万引きは、犯罪として評価されつつも、更生や再発防止を重視した手続が取られる点に特徴があります。処罰そのものを目的とするのではなく、行為に至った背景や生活環境などを踏まえ、どのような対応が適切かという観点から判断が行われます。

高校生の年齢による扱いの違い

高校生が万引きをした場合でも、その年齢によって適用される扱いが異なることがあります。多くの高校生は20歳未満であり、万引きについては少年法の枠組みの中で手続が進められます。一方で、18歳・19歳の高校生については、年齢に応じた考慮が加えられる場合がある点にも注意が必要です。

いずれにしても、高校生が万引きをした場合には、少年事件として警察や家庭裁判所が関与する可能性があることを前提に、状況を正しく理解しておくことが重要です。

少年事件の最終的な処分(審判)を受ける段階で20歳に達している場合、少年事件として処理することができません。そのため、事件処理中に20歳に達した場合は成人と同じ手続の対象となります。

高校生が万引きをした場合の典型的な流れ

高校生の万引きが発覚した場合、その後の流れは事案の内容や状況によって異なりますが、おおむね共通する手続の流れがあります。ここでは、実務上よく見られる一連の流れを整理します。

店舗で発覚した直後の対応

万引きは、多くの場合、店舗の従業員に声をかけられることで発覚します。商品を所持したまま店外に出た場合だけでなく、店内であっても状況次第では万引きとして扱われることがあります。

その場で事情を確認された後、店舗側が警察に通報するかどうかを判断します。被害額や態様、本人の態度によっては、警察を呼ばずに対応が終わるケースもありますが、通報されるケースも少なくありません。

警察による対応と保護者への連絡

警察が関与した場合、高校生本人は警察署で事情聴取を受けることになります。この段階で、保護者に連絡が入るのが通常です。

すべての事案で逮捕されるわけではなく、初めての万引きで被害額が少額、逃走や否認がない場合などは、逮捕せずに在宅で手続が進むケースも多く見られます。

逮捕される場合とされない場合

高校生の万引きで逮捕されるかどうかは、次のような事情を総合して判断されます。

  • 常習性があるか
  • 逃走や証拠隠滅のおそれがあるか
  • 事実関係を否認しているか

これらの事情が重い場合には、逮捕される可能性が高くなります。一方で、事情が軽い場合には、身柄を拘束せずに手続が進むこともあります。

家庭裁判所への送致

警察での手続を経た後、高校生の万引き事件は、家庭裁判所に送致されるのが一般的です。家庭裁判所では、万引きという行為そのものだけでなく、生活状況や反省の程度、再発防止の可能性などを含めて調査が行われます。

この調査結果を踏まえ、家庭裁判所が処分を行うかどうか、行う場合にはどのような処分が相当かを判断することになります。

高校生の万引きで考えられる処分内容

高校生が万引きをした場合、最終的にどのような処分になるかは、家庭裁判所の判断によって決まります。処分は一律ではなく、事案の内容や本人の状況などを踏まえて、個別に判断されます。

家庭裁判所が判断する主な処分の種類

高校生の万引き事件では、主に次のような処分が検討されます。

まず、不処分です。
万引きが比較的軽微で、本人が深く反省しており、再発のおそれが低いと判断された場合には、処分を科さずに手続が終了することがあります。

次に、保護観察です。
保護観察官や保護司の指導を受けながら、日常生活を送り、更生を図る処分です。学校生活を続けながら更生を目指すケースも多く見られます。

事案が重い場合には、少年院送致などのより厳しい処分が選択されることもありますが、万引きのみで直ちにこのような処分が選ばれるケースは多くありません。

初犯・少額の場合に考慮されやすい事情

高校生の万引きが初めてであり、被害額が少額である場合には、処分を判断するうえで次のような点が重視されます。

  • 事実を認め、反省しているか
  • 被害店舗への謝罪や弁償が行われているか
  • 家庭や学校での生活が安定しているか

これらの事情が整っている場合には、比較的軽い対応で終わる可能性が高まります。

再犯や常習性がある場合の注意点

一方で、過去にも万引きを繰り返している場合や、計画性が高いと判断される場合には、処分が重くなる傾向があります。
家庭裁判所は、単なる反省の有無だけでなく、再発防止が期待できるかどうかを重視して判断します。

そのため、再犯が疑われる場合には、家庭環境や生活状況を含めた対応が求められ、場合によっては保護観察などの処分が選択されることがあります。

高校生の万引きで前科や記録は残るのか

高校生の万引きで多くの保護者が気にするのが、前科がつくのか、何らかの記録が残るのかという点です。この点は、一般にイメージされている「前科」と、実際の手続との間で誤解が生じやすい部分でもあります。

高校生の万引きで「前科」がつくかどうか

前科とは、刑事手続で有罪の裁判を受け、その事実が記録として残ることを指します。

高校生の万引きは、多くの場合、家庭裁判所での少年事件手続として処理され、通常の刑事裁判が行われるわけではありません。そのため、家庭裁判所で不処分や保護観察などの判断がされた場合には、前科がつくことはありません

記録がまったく残らないわけではない点に注意

もっとも、前科がつかないからといって、何の記録も残らないわけではありません。警察や家庭裁判所の内部では、事件として扱われた事実が一定の記録として保管されます。

ただし、これらの記録は、一般に公開されたり、進学や就職の際に提出を求められたりするものではありません。日常生活の中で、第三者が容易に知り得る性質のものではない点は押さえておく必要があります。

将来への影響が問題になるケース

高校生の万引きが将来に大きな影響を及ぼすかどうかは、処分の内容やその後の経過によって異なります。

不処分などで手続が終了し、その後同様の問題を起こさなければ、進学や就職の場面で実務上問題になることは多くありません。一方で、万引きを繰り返している場合や、より重い処分が選択された場合には、将来の進路を考えるうえで注意が必要になることもあります。

高校生の万引きでは、「前科がつくかどうか」だけでなく、その後の行動や環境がどう整えられるかが、将来への影響を左右する重要な要素になります。

万引きが学校に知られた場合の対応と処分

高校生の万引きが発覚した場合、学校に知られるかどうか、そしてどのような処分が取られるのかは、保護者にとって大きな関心事です。この点は、事案の内容や学校の対応方針によって扱いが分かれます。

学校に知られるケースと知られないケース

万引きが起きたからといって、必ず学校に連絡が入るわけではありません。警察が関与した場合でも、すべての事案で学校に通知されるとは限らず、事案の性質や地域の運用によって対応が異なります。

一方で、警察や家庭裁判所から学校に連絡が入る場合や、保護者や本人が学校に事情を説明することで、結果的に学校が把握するケースもあります。特に、事案が比較的重い場合や、学校生活への影響が懸念される場合には、学校が関与する可能性が高まります。

学校が検討する主な処分内容

万引きが学校に知られた場合、学校側は校則や教育的観点を踏まえて対応を検討します。考えられる対応としては、次のようなものがあります。

  • 指導や注意
  • 反省文や保護者面談
  • 停学などの懲戒処分

これらはあくまで一般的な例であり、直ちに退学になるとは限りません。多くの学校では、行為の内容や本人の反省状況、これまでの学校生活の様子などを総合的に考慮して判断が行われます。

退学になる可能性が問題となる場合

高校生の万引きで退学が検討されるケースは、決して多くはありません。ただし、万引きを繰り返している場合や、他の問題行動と重なっている場合には、学校側が厳しい対応を取る可能性もあります。

また、学校が最終的な処分を判断する際には、家庭での対応や再発防止への取り組みも重視されます。保護者がどのように関わり、本人がどの程度反省し、改善に向けて行動しているかは、学校側の判断に影響を与える要素の一つです。

学校対応で注意すべきポイント

万引きが学校に関係する場面では、事実関係を正確に整理したうえで対応することが重要です。感情的に説明したり、事実関係が整理されないまま話を進めたりすると、かえって誤解を招くこともあります。学校への説明や対応に不安がある場合には、専門家の助言を踏まえて進めることが、結果的に本人にとって不利益を避けることにつながる場合もあります。

保護者がすぐに取るべき対応と注意点

高校生が万引きをしてしまった場合、保護者の初動対応は、その後の手続や処分に少なからず影響します。感情的になりやすい場面ではありますが、冷静に状況を整理し、適切な対応を取ることが重要です。

事実関係を正確に把握する

まず大切なのは、何が起きたのかを正確に把握することです。
いつ、どこで、何をしたのか、警察や店舗からどのような説明を受けているのかを整理し、推測や憶測で判断しないよう注意する必要があります。

本人の話だけでなく、警察や店舗側の説明も踏まえ、事実関係を客観的に整理する姿勢が求められます。

被害店舗への対応と示談の考え方

万引きが事実である場合、被害店舗への対応は避けて通れません。
謝罪や弁償を行うこと自体は重要ですが、タイミングや方法を誤ると、かえって問題が複雑になることもあります。

特に、警察が関与している場合には、独断で対応を進めるのではなく、状況を見極めたうえで行動することが大切です。示談が成立するかどうか、また示談の内容がどのように評価されるかは、事案ごとに異なります。

本人への向き合い方で重視される点

保護者が強く叱責することだけが解決につながるわけではありません。
家庭裁判所や学校が重視するのは、本人が行為の意味を理解し、再発防止に向けてどのように向き合っているかという点です。

そのため、事実を認めたうえで反省を促し、生活環境や交友関係を見直すなど、具体的な再発防止策を考えることが重要になります。

保護者が避けるべき対応

万引きが発覚した直後は、焦りから次のような対応を取ってしまうケースも見られます。

  • 事実関係が整理されないまま、学校や店舗に説明をする
  • 本人にすべての責任を押し付け、関与を避ける
  • 早く終わらせたい一心で、十分な確認をせずに対応を進める

これらは、結果的に本人に不利益が生じる原因になることもあります。冷静に状況を見極め、必要に応じて第三者の助言を得ることが大切です。

高校生の万引きで弁護士に相談する意味

高校生の万引きは、比較的軽い問題だと受け止められがちですが、対応を誤ると、その後の手続や処分に影響が及ぶこともあります。そのため、早い段階で弁護士に相談することには、一定の意味があります。

手続の見通しを整理できる

万引きが発覚した直後は、警察や学校からの連絡が続き、何から手を付ければよいのか分からなくなることも少なくありません。弁護士に相談することで、現在の状況がどの段階にあり、今後どのような流れが想定されるのかを整理することができます。

これにより、過度に不安を抱いたり、必要以上に焦った対応を取ったりすることを避けやすくなります。

被害店舗への対応や示談について助言を受けられる

万引き事件では、被害店舗への謝罪や弁償、示談が重要な意味を持つことがあります。ただし、示談の進め方やタイミングは事案によって異なり、誤った対応が不利に働くこともあります。

弁護士は、事案の内容を踏まえたうえで、どのような対応が適切か、どこまで進めるべきかについて助言することができます。

処分や学校対応への影響を見据えた対応が可能になる

家庭裁判所が処分を判断する際には、本人の反省状況や家庭の対応が考慮されます。弁護士が関与することで、どのような点が評価されやすいかを踏まえた対応を進めやすくなります。

また、学校への説明や対応についても、法的な視点から整理したうえで進めることで、不必要な誤解や不利益を避けられる場合があります。

早期相談が重要になる理由

高校生の万引きでは、初動対応がその後の流れに影響することがあります。弁護士に早い段階で相談することで、状況に応じた選択肢を把握し、本人にとってより適切な方向を検討しやすくなるというメリットがあります。

弁護士への相談は、必ずしも依頼を前提とするものではありません。状況を整理し、冷静に判断するための一つの手段として活用することが考えられます。

高校生の場合、一般的な刑事手続とは異なる取り扱いを受けるため、手続の具体的な見通しを把握するには専門性ある弁護士から案内を受けることが望ましいです。まずは相談を検討する、というくらいの考え方でもよいかと思います。

高校生の万引きに関するよくある質問(FAQ)

高校生が万引きをすると、必ず逮捕されますか

高校生の万引きがすべて逮捕に至るわけではありません。初めての万引きで被害額が少額、逃走や否認がない場合などでは、逮捕せずに在宅で手続が進むケースも多く見られます。一方で、常習性がある場合などには逮捕される可能性もあります。

高校生の万引きで前科はつきますか

前科とは、刑事手続で有罪の裁判を受け、その事実が記録として残ることを指します。高校生の万引きは、多くの場合、家庭裁判所での少年事件手続として処理されるため、通常は前科がつくことはありません。

万引きのことは学校に必ず知られますか

万引きをしたからといって、必ず学校に連絡が入るわけではありません。警察が関与した場合でも、事案の内容や地域の運用によって対応は異なります。ただし、結果的に学校が把握するケースもあります。

高校生が万引きをすると退学になることはありますか

高校生の万引きで直ちに退学になるケースは多くありません。多くの学校では、行為の内容や本人の反省状況などを踏まえて判断が行われ、指導や停学にとどまることもあります。

親が代わりに弁償すれば問題は解決しますか

弁償をすればすべてが解決するとは限りません。謝罪や弁償は重要ですが、手続全体の中でどのように評価されるかは事案ごとに異なります。独断で進めるのではなく、状況を踏まえた対応が必要です。

初めての万引きなら軽い対応で終わりますか

初犯であることは考慮されやすい事情の一つですが、それだけで処分が決まるわけではありません。反省の程度や再発防止の取り組みなども、家庭裁判所が重視する要素になります。

高校生の万引きでも弁護士に相談する意味はありますか

高校生の万引きでも、初動対応や示談の進め方によって、その後の流れが変わることがあります。弁護士に相談することで、状況を整理し、適切な対応を検討しやすくなる場合があります。

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未成年の刑事事件の特徴は?どんな処分をされるのか?逮捕される?前科は?将来の影響を防ぎたい方への徹底解説

●未成年の場合,刑事事件の取り扱いはどうなるのか?

●取り扱いが変わるのは18歳か?20歳か?

●未成年は何歳から逮捕されるか?

●未成年が逮捕された場合,早く釈放してもらえないか?

●少年院とは何か?少年鑑別所とは何か?

●未成年の事件は弁護士に依頼すべきか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,未成年に対する刑事事件(少年事件)についてお困りの方に向けて,少年事件の制度や年齢別の取り扱い手続や処分(処遇)の内容などを解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

未成年と成人の刑事事件の違い

①制度の違い概要

未成年が行った刑事事件は,「少年事件」といい,成人と異なる手続の対象となります。
少年事件と成人の刑事事件は,その制度の目的が異なるため,手続にも様々な違いがあります。

成人の刑事事件は,犯罪に対して刑罰を行う手続であるのに対し,少年事件は,少年がどうすれば更生できるのかを検討するための手続です。そのため,少年事件では刑罰が科されず,代えて少年の更生に必要な「保護処分」がなされることとなります。
保護処分としては,少年院に収容して更生を図る「少年院送致」や,保護観察所・保護司による監督を通じて更生を図る「保護観察」が代表的ですが,いずれも犯罪に対する制裁でなく,非行からの立ち直りに向けた措置であるという特徴があります。

②共通点

未成年と成人では,刑事事件に対する手続が異なりますが,手続の共通点もあります。
具体的には,事件が捜査されている間の取り扱いは,未成年と成人との間で基本的に相違はありません。

厳密には,未成年の場合のみ少年鑑別所での勾留ができるといった違いもありますが,逮捕や勾留,勾留中の捜査など,基本的な枠組みは同様です。
未成年と成人との違いが鮮明に現れるのは,犯罪捜査が一段落した後の手続ということになるでしょう。

何歳までが成人と区別されるか

少年事件の対象となる年齢は,20歳未満とされています。近年,成人年齢が20歳から18歳となる法改正もありましたが,少年事件の対象年齢に変更は生じていません。
そのため,少年事件の対象となる「少年」は,20歳未満の男女を指します。

ポイント
20歳未満は少年事件の対象になる
少年事件は刑罰を科すのでなく更生を図るための手続
捜査されている間の取り扱いは,成人の事件と基本的に同じ

18歳以上の場合の特例

もっとも,成人年齢が18歳へ引き下げられたことに伴い,18歳以上20歳未満の少年については,取り扱いに新たな定めが設けられました。
少年が18歳又は19歳の場合,「特定少年」とされ,主に以下のような違いが生じます。

①原則逆送事件の拡大

逆送とは,成人の刑事事件と同じ扱いを受けること,と理解して差し支えありません。
少年でありながら,成人のように刑罰の対象になることを指します。
少年事件でも,「原則逆送事件」に該当すると,原則として成人と同じように刑罰を受けることになるのです。

特定少年の場合は,他の少年よりも原則逆送事件の範囲が広くなっています。具体的な要件は以下の通りです。

・罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき
・故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた罪の事件
・死刑又は無期若しくは短期1年以上の拘禁刑に当たる罪の事件

特徴的なのは,家庭裁判所が「刑事処分を相当と認めるとき」に可能である点と,「短期1年以上」の罪の事件でも原則逆送となっていることです。
特定少年以外では,「16歳以上」かつ「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件」のみが原則逆送事件とされているため,その範囲は大きく広がっていることが分かります。

②実名報道の一部解禁

少年については,少年法で実名報道が禁止されていますが,特定少年については,逆送後にその事件で起訴された場合に実名報道の禁止がありません。

なお,起訴後に実名報道の禁止がなくなるのは,「公判請求」された場合のみです。公判請求は,公開の法廷で正式な刑事裁判を行う内容の起訴をいいます。
公判請求と対になるのは「略式請求」で,こちらは公判を省略する内容の起訴です。略式請求の場合は,引き続き実名報道は禁じられます。

③保護観察や少年院送致の期間

通常,保護観察や少年院送致を行う場合,期間を定めずに処分されていましたが,特定少年の保護処分は期間の定めをあわせて行う必要があります。具体的な内容は以下の通りです。

・6月の保護観察
・2年の保護観察
・3年以内の少年院送致

また,特定少年の場合,「犯罪の軽重」を考慮して処分を決めることとされたため,重大な犯罪であるほど少年院送致になりやすく,その期間も長くなりやすいとのルールになりました。

④不定期刑の不適用

少年事件が逆送され,刑罰の対象になる場合,「不定期刑」を科すのが原則です。「●年以上●年以下の拘禁刑」というように,刑罰の期間に幅を設け,少年の更生が見られた場合に刑罰を軽減させる目的があります。

しかし,特定少年の場合にはこの不定期刑が適用されないため,言い渡される刑罰は成人と同じものになります。

未成年は何歳から逮捕されるか

少年の犯罪行為が確認された場合,捜査機関が逮捕を行うのは,少年が14歳以上の場合です。
法律上,刑事責任を負うのが14歳以上とされているため,捜査(逮捕を含む)を行う対象も14歳以上とされています。
なお,14歳以上で犯罪行為に及んだ少年を「犯罪少年」と言います。犯罪少年は逮捕されることがあります。

一方,14歳未満の場合,刑事手続の対象とはなりませんが,児童福祉法に基づいて児童相談所が保護措置を取ることになります。
保護措置としては,一時保護,保護者指導,施設入所といったものがありますが,刑事事件として捜査を受けることはありません。
なお,14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年を「触法少年」と言います。触法少年の行為は犯罪にならないため,触法少年は逮捕されません。

ポイント
14歳未満は逮捕されない
14歳以上は逮捕され得る
18歳,19歳は「特定少年」とされ取り扱いが成人と近くなる

未成年の刑事事件の特徴 ①起訴・不起訴がない

少年事件の場合,警察や検察で捜査が遂げられた後,原則として全ての事件が家庭裁判所に送致されます。その後,家庭裁判所における審判の対象となり,保護処分がなされます。
そのため,検察庁が捜査を遂げた段階で,少年を起訴することはできず,逆に不起訴とすることもできません(逆送された場合を除く)。

これは,刑罰を科せられないという意味で有益であることは間違いありません。ただ一方で,成人であれば不起訴で終了したであろう事件でも,少年の場合には家庭裁判所で審判を受けなければならない可能性がある,という意味でもあります。刑罰を科す必要がなくなっても,更生の必要がないということにはならないわけですね。

未成年の刑事事件の特徴 ②処分は家庭裁判所が決定する

少年事件の最終的な処分は,家庭裁判所によって決定されます。家庭裁判所による少年への処分としては,以下のようなものが挙げられます。

①保護観察
概要: 少年を家庭や社会の中で更生させるために,保護観察官が指導監督を行います。
目的: 少年が社会生活を送りながら更生できるよう支援すること。
期間: 原則として20歳まで。短期の場合は6か月程度で解除が検討される。

②児童自立支援施設送致
概要: 少年が家庭や社会から離れて生活することが必要と判断された場合,児童自立支援施設に入所させる。
目的: 生活指導や職業訓練を通じて,少年の自立を支援すること。
期間: 少年の状況に応じて施設に収容される期間が決まる。

③児童養護施設送致
概要: 家庭環境が悪い少年に対し,適切な養護と生活指導を提供するために児童養護施設に入所させる。
目的: 安定した環境での生活を提供し,少年の健全な成長を支援すること。
期間: 少年の状況に応じて施設に収容される期間が決まる。

④少年院送致
概要: 重度の非行や犯罪行為を行った少年に対し,更生と再教育を目的として少年院に収容する。
目的: 専門的な教育や訓練を通じて,少年の更生を図ること。
期間: 少年の更生状況に応じて決定される。標準期間は1年程度。

⑤試験観察
概要: 一定期間,家庭裁判所の観察下に置き,少年が更生するかどうかを見極める。
目的: 少年が再び非行を犯さず,社会生活を送れるかどうかを判断すること。
期間: 数ヶ月程度が一般的。

⑥その他の措置
家庭裁判所の指導
→保護者に対して少年の監督や教育の方法について指導が行われることもあります。
福祉機関との連携
→少年の状況に応じて,福祉機関や医療機関との連携が図られ,必要な支援が提供されます。

⑦一般的な運用
基本的には,保護観察とするか少年院送致とするか,という判断になります。
どちらにするかの判断が難しいケースでは,試験観察として一定期間保護観察類似の状況に置き,試験観察中の経過を踏まえて保護観察で足りるかを判断することがあります。

未成年の刑事事件の特徴 ③裁判でなく審判が行われる

少年事件は,「審判」という手続で処分が決定されるのが一般的です。
この審判は,成人の受ける裁判(公判)とは多くの面で異なるものですが,代表的な相違は以下の通りです。

①非公開であること

少年審判は非公開の場で行われます。これは,少年のプライバシーを保護することで,更生の機会を確保するための制度であるとされています。
成人の公判が原則として公開されていることとは非常に大きな違いと言えます。

②調査の上で行われること

少年審判は,家庭裁判所における「調査」の上で,調査の結果を踏まえて行われます
調査は,家庭裁判所の調査官が中心となって,少年の家庭環境や内面の問題点などを把握するための手続です。調査官は,少年とコミュニケーションを取ったり,家族と面談を行ったりしながら,審判においてどのような保護処分を行うべきか検討し,裁判官に進言します。

調査官は,審判の場にも立ち会い,少年への指導を兼ねた質問を行うなどすることもあります。裁判官の判断は,調査官の意見を強く尊重する傾向にあるため,調査官の存在は少年審判において非常に重要です。

③教育的配慮がなされること

少年審判は,少年の更生のため最良の処分を決定するものであるため,少年に対する教育的配慮の上で行われます。裁判官や調査官は,少年から期待する回答が得られなかったり,少年の理解が不足していたりする場合には,粘り強く質問や説明を繰り返すことで少年の理解や反省を促すこともあります。

④保護者が同席すること

少年審判では,親権者等の保護者による同席が一般的です。保護処分の検討には,処分後の少年の環境が非常に重要な判断要素となるため,保護者に対しても事件の受け止めや今後の監督方針などが質問されます。
出席者は同居する親であることが通常ですが,その他,雇用を継続する予定の雇用主や,少年と関わりの深い教員の出席が有益なケースもあり得るところです。

未成年の刑事事件の特徴 ④処分の判断基準は「要保護性」

①要保護性とは

少年審判における保護処分は,「要保護性」を基準に判断するものとされています。
要保護性とは,少年の更生を実現するために外部からはどれだけ手を出す必要があるか(保護の必要があるか)という程度を言います。要保護性が高い場合は,少年院送致などの保護処分が必要になり,要保護性がない場合は,特段の処分なく少年や家族に委ねても構わない,という結論になるでしょう。

②要保護性の判断基準

要保護性の判断要素としては,以下のようなものが挙げられます。

非行の内容と状況
→非行の種類として,少年が犯した非行や犯罪の内容,その重大性や継続性が判断基準となります。また,犯行時の状況として,非行を行った際の状況や背景,計画性の有無なども考慮されます。

少年の性格や行動特性
→性格評価として,少年の性格,行動特性,精神状態などが調査されます。攻撃性や衝動性,反社会的行動の傾向などが評価の対象となります。また,更生の可能性に関し,少年が反省しているか,更生の意欲があるかなども重要な要素です。

家庭環境と生活環境
→家庭の状況として,少年の家庭環境,親の監護能力,家庭内の問題(例えば,虐待や家庭内暴力の有無)などが評価されます。また,学校生活や地域社会での関係,友人関係など,日常生活の環境も考慮されます。

過去の非行歴
→少年が過去にどのような非行を行っていたか,その頻度や内容が判断材料となります。また,過去に保護処分を受けたことがあるか,その後の経過なども重要です。

③要保護性の判断方法

要保護性に関する調査は,主に調査官が行い,その結果を裁判官が確認する方法で判断されます。調査官は,要保護性の有無について裁判官に意見を提出し,裁判官はそれを尊重するので,調査官に要保護性がないとの意見を出してもらうことができれば,それだけ軽微な処分が見込まれることになります。

ポイント
少年の刑事事件は起訴不起訴の対象とならず,少年審判の対象になる
少年審判は家庭裁判所にて必要な調査の上で行われる。判断の基準は要保護性

少年院とは・少年鑑別所とは

①少年院

少年院は,非行や犯罪を犯した少年を収容し,更生と教育を行う施設です。施設に収容の上,学習教育,職業訓練,生活指導,矯正教育などのプログラムを提供することで,少年の更生を図ります。
少年院には,以下のような種類があります。

第1種少年院(従来の初等・中等少年院)心身に著しい障害がない概ね12歳以上23歳未満の者が対象
第2種少年院(従来の特別少年院)心身に著しい障害がなく,犯罪傾向が進んだ概ね16歳以上23歳未満の者が対象
※第1種よりも事件の重大性や再非行の恐れが大きい
第3種少年院(従来の医療少年院)心身に著しい障害がある概ね12歳以上26歳未満の者が対象
第4種少年院刑の執行を受ける者が対象
第5種少年院特定少年のうち,2年間の保護観察処分を取り消された者が対象

②少年鑑別所

少年鑑別所とは,少年の心身の状態や生活状況を鑑別するための施設です。
通常,被疑者として勾留された後,家庭裁判所に送致された段階で,少年鑑別所に移され,収容が継続します。少年鑑別所での鑑別結果も,調査官の意見や裁判官の保護処分に影響します。
基本的に,少年事件が家庭裁判所に送致された後,審判が行われるまでの間,少年が収容される施設と理解して差し支えないでしょう。

主な特徴は以下の通りです。

【鑑別の内容】

心理鑑別心理検査や面接を通じて,少年の性格,精神状態,非行の原因などを評価します。
身体鑑別少年の身体的健康状態を確認するための健康診断や医学的評価が行われます。
生活環境調査少年の家庭環境や生活状況を調査し,非行に至る背景や更生のために必要な環境要因を評価します。


【鑑別技官の存在】
鑑別技官(専門職)は,少年の心身の状態や生活環境を科学的に評価し,家庭裁判所に対して鑑別結果を報告します。鑑別技官には,心理学,医学,教育学などの専門知識を持つ職員が含まれます。

【生活環境】

規則正しい生活少年鑑別所では,規則正しい生活が求められます。日課表に基づいて,学習や運動,面談などが行われます。
教育プログラム鑑別期間中,少年は基礎的な学習や生活指導を受けます。特に,鑑別の結果に基づいた個別指導が行われることもあります。

【収容期間】
原則として4週間とされ,概ね4週目に少年審判が行われる傾向にあります。
審判の結果,保護観察処分や不処分になると,審判が終了次第帰宅することができます。

未成年の事件は弁護士に依頼すべきか

少年事件は,審判というあまり馴染みのない手続の対象となる上,審判に向けた環境調整や更生の試みは早期に開始する必要があります。それらの対応は,手続に精通した弁護士への依頼が適切です。

また,少年の場合,成人よりも変化に富んでおり,事件直後と審判終了時では別人のように成熟するケースも少なくありません。そのような少年に対する処分は,必然的に軽微なものとなりやすいです。審判に向けて少年の成熟を促すため,少年事件に精通した弁護士への依頼が適切でしょう。
もっとも,これは周囲の適切な協力を前提とするものであって,少年がひとりでに変化していくわけではありません。具体的な協力の内容や方法は,事件や少年により様々ですので,あわせて弁護士へのご相談をお勧めいたします。

加えて,被害者のいる事件で被害者との示談を試みる場合にも弁護士が必須です。被害者との示談は最終的な処分にも多大な影響を及ぼしますので,この点でも弁護士に依頼するべきということができるでしょう。

未成年の刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

未成年が当事者となった刑事事件は,成人とは異なる手続の対象になります。処分の内容や判断基準も異なり,必然的に必要な弁護活動も異なってきますので,未成年の刑事事件(少年事件)に精通した弁護士への相談・依頼が適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所