【風俗トラブルの不起訴処分】不起訴処分となるための方法や不起訴処分の効果などを弁護士が解説

このページでは,風俗トラブルの不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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風俗トラブルで不起訴を目指す方法

①トラブル発生直後

風俗トラブルの事件は,トラブル発生の直後から解決に向けた話し合いがなされ得る点に大きな特徴があります。トラブルの発生後,早期に当事者間で紛争解決ができれば,刑事事件として捜査や処分の対象となることもなくなるため,起訴される可能性もなくなります。

そのため,トラブル発生直後の段階で,話し合いによる解決の余地がある場合には,まず早期解決の可能性を検討することが有力でしょう。具体的には,金銭の支払を伴う示談が想定されやすいところですが,特にトラブルの発生に対する落ち度を自覚している場合には,示談での解決が有力になりやすいです。

ポイント
風俗トラブルは,トラブル発生直後から解決の話し合いが生じ得る
トラブルの発生に落ち度があるときは,示談での解決が有力

②警察の関与後

風俗トラブルの場合,サービスを行っていた客室等でトラブルが問題になった後,現場に警察を呼ぶ流れになるケースが少なくありません。警察が駆け付けた場合,当事者双方から話を聞いた上で,その後の取り扱いについて検討し,刑事事件として本格的な捜査を行うかどうかを判断する,という進行になりやすいでしょう。

そのため,警察が関与した段階では,警察が捜査を行うべき事件ではない,という判断をしてもらうことを目指す対応が一案でしょう。具体的には,犯罪が成立しない可能性が高い,相手のキャスト側による言いがかりの可能性が十分にある,という判断を促すことが有力です。
詳細な対応方針は,トラブルの争点にもよって様々ですが,一例としては以下のような点を強調する動きが考えられるでしょう。

捜査しないとの判断を促しやすい事情

1.(本番トラブルの場合)本番行為に同意があると考えてもやむを得ない可能性がある
→金銭の授受があった
→キャストから本番行為を唆す言動があった
→過去にも本番行為があった

2.キャストの主張する行為が立証できない可能性が高い
→キャストの言い分が不合理である,証拠と整合しない
→否定する自分の供述が合理的である,証拠と整合する

3.双方に合意のある性的行為の範囲が広い
→キャストが客側にどこまでの行為を許しているか
→許している範囲が広いほど,それ以上の行為も合意している可能性がうかがわれる

③店舗担当者との協議中

風俗トラブルが問題となった後は,キャスト本人でなく店舗の担当者との間で示談などの協議を行うケースが多く見られます。この段階では,店舗側及びキャスト側が警察の捜査を求めている可能性が低いため,協議を進めて解決内容が合意できれば,捜査が開始されることなく終了し,起訴される可能性もなくなるでしょう。

風俗トラブルで不起訴になる可能性

風俗トラブルの事件は,適切に対応をすることで不起訴になる可能性が十分に高い事件類型である,ということができます。具体的な理由としては,以下のような点が挙げられます。

①認め事件の場合

風俗トラブルは,本番トラブルであれば不同意性交等罪,盗撮トラブルであれば撮影罪(性的姿態等撮影罪)など,形式的には犯罪に該当する内容であることが多いものです。しかしながら,形式的に犯罪となり得る出来事であっても,そのすべてが捜査されたり起訴されたりするわけではありません。

風俗トラブルの場合,風俗店のサービスとして一定の性的行為をすることが前提になっているため,性的な接触自体は互いに了承済みである,という点に大きな特徴があります。路上で起きたわいせつ事件や電車内で起きた盗撮事件などと比較すれば,その違いは明白でしょう。
そのため,行為そのものが犯罪を構成するとしても,その違法性が際立って大きいとは評価されないことが少なくありません。例えば,性器同士をこすり合わせる行為(いわゆる素股)は合意しているが挿入行為は合意していない,避妊具をつけた挿入行為は合意しているが避妊具なしの挿入行為は合意していない,と言った場合,合意している行為と合意していない行為が非常に類似しているため,犯罪として重大な処罰をするほどの違法性まではない,という評価がなされやすい傾向にあります。

このような事情から,風俗トラブルの事件では,起訴するのでなく当事者間での解決を期待するケースが多く見られるところです。この場合,当事者間で穏当に解決できれば,不起訴が見込まれやすいでしょう。

②否認事件の場合

風俗トラブルの事件は,密室でのサービス中に発生しているものであるため,キャスト側が一方的に主張する違法行為の客観的根拠に乏しいケースが少なくありません。また,客観的根拠に乏しい場合は,双方の言い分の信用性を検討することがありますが,言い分の信用性を判断するための根拠もなかなか存在せず,どちらの言い分がより信用できるか,という検討も困難なことが多く見られます。

そのため,トラブルの内容について当事者間の言い分に相違があり,いずれかが明らかに不合理である,といった事情もない場合には,現実的に起訴ができるだけの証拠を獲得しづらく,不起訴処分とせざるを得ない場合が少なくないでしょう。

もっとも,心当たりがあるにもかかわらず否認する,という動きはお勧めできません。被害を主張する相手方の動きが激化し,事態が深刻化するきっかけになりかねないためです。
真に心当たりがない場合には,毅然とした否認の対応をし,不起訴を促す手段が有力でしょう。

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

風俗トラブルで不起訴を目指す場合の注意点

①事件の被害者が誰か

刑事事件で不起訴処分を目指す場合,どの事件について不起訴を目指すのか,という点の正確な理解が不可欠です。当然のポイントではありますが,風俗トラブルの場合には見落とされる可能性があるポイントでもあります。

風俗トラブルで真っ先に不起訴を目指すべきなのは,キャストを相手とする性犯罪に関する事件です。具体的には,本番行為のトラブルであれば不同意性交等罪,盗撮トラブルであれば撮影罪となるでしょう。
そのため,キャストを被害者とする事件で不起訴を目指す必要があり,そのための手段としてはキャストとの間での示談が最も適切ということになります。

もっとも,風俗トラブルの示談は店舗の責任者が窓口となって対応してくるため,示談も店舗の人と取り交わすのが通常です。そして,店舗側は「当事者がキャストである」という点に配慮することなく,店舗と客との間の示談を行おうとすることが非常に多く見られます。
そのため,不起訴を目指す客側で,キャストを当事者とする示談を求める必要があり,キャストとの示談ができて初めて不起訴に役立つ事情となるのです。

風俗トラブルでは,キャスト個人を被害者とする事件の不起訴を目指す,という観点を忘れないよう注意しましょう。

ポイント
不起訴を目指すべき事件はキャスト個人を被害者とする事件
交渉の窓口となる店舗の担当者は配慮してくれない

②キャストとの直接の接触

風俗トラブルがキャスト個人との解決を要することは間違いありませんが,それでもキャストとの直接の接触を図りにいくことはお勧めされません。基本的に,キャスト個人と直接話し合おうとしたり,個人間で示談しようとしたりする行為は不適切と考えるのがよいでしょう。

風俗店のサービスでは,性的なトラブルが生じやすいものです。そのため,店舗の責任者は,キャストをトラブルから守る立場として窓口に入り,対応してくることが一般的です。この場合に,客側が店舗の人を挟まずに直接キャストと接触しようとする行為は,店舗から見るとキャストに更なる被害が生じ得る危険なものであって,強い反発の対象となりやすいところです。
キャストとの示談による解決は,基本的に窓口となる店舗の担当者を介して行う,ということに注意しましょう。

なお,キャストがお店を辞めた,店舗の担当者が窓口対応を止めたなど,キャストと店舗の関係が切れた場合には,キャストと直接やり取りをしても差し支えないでしょう。

ポイント
キャストとの直接の接触は基本的に不適切
キャストと店舗の関係が切れた後は問題ない

③手続が長期間に渡る可能性

風俗トラブルが刑事事件として捜査の対象となる場合,その手続は長期間に渡りやすい傾向にあります。これは,当事者の言い分以外に全く証拠がない,というケースでより顕著になりやすいでしょう。

当事者の言い分以外に全く根拠がない場合,言い分を裏付ける根拠があるかどうかがはっきりと分かるまで,現実的には手続を終了させることは難しいところです。被害を訴える人物がいる以上,それほど簡単に捜査を打ち切るわけにはいかないという面もあります。
もっとも,その後に新しく証拠が見つかることはほとんどないため,事態に進展がないまま長期間が経過し,最終的には「長期間の捜査でも証拠が獲得できなかった」として捜査を終了する流れになりがちです。

そのため,証拠に乏しい風俗トラブルが捜査の対象となる場合,その手続は進展のないまま長期間に渡る可能性がある,ということをあらかじめ踏まえておくのがよいでしょう。

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【風俗トラブルの弁護士選び】弁護士の必要性や必要な時期,選ぶ際の判断基準など

このページでは,風俗トラブルの弁護士選びについてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。弁護士への依頼を検討する際の参考にご活用ください。

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風俗トラブルで弁護士を選ぶタイミング

①金銭請求を受けたとき

風俗トラブルが発生した際によく見られるのが,キャストから店舗側へ連絡がなされ,連絡を受けた店舗の担当者から金銭を請求される,という流れです。多くの場合,キャストと利用客がいるホテルの客室等に店舗の人物が駆け付け,その場でキャストの代理人として話を持ち掛けることになるでしょう。

この点,金銭請求を受けたその場で,自分一人で適切な判断や対応をすることは現実的には不可能です。当事者という立場で,風俗トラブルに関する知識や経験のない中では,万全の対応を求める方が酷と言うべきでしょう。
もっとも,金銭請求を受けている以上,トラブルが顕在化していることは明らかであって,何らかの解決を目指すべきこともまた事実です。適切な判断が困難だからと言って,放置するわけにもいきません。

そのため,金銭請求を受けたときには,風俗トラブルの解決に精通した弁護士に依頼し,円滑なトラブル解決を目指すことが適切です。金銭請求への対応に際しては,弁護士選びが重要になるでしょう。

ポイント
風俗トラブルはその場で金銭請求を受けることが多い
金銭請求への対処は弁護士への依頼が適切

②警察が関与した段階

風俗トラブルは,キャストや店舗側との間で問題なるのみならず,その場に警察を呼び,警察の取り扱いを受ける流れになることも少なくありません。店舗によっては,「お金を支払うか警察を呼ぶか」という選択を求めてくるケースも相当数あります。
警察が現場の客室等に臨場した場合,個別に事情を聴かれるなどし,場合によって刑事事件の捜査に着手する,という流れが考えられます。警察が具体的な捜査に着手しない場合でも,店舗側との話し合いによる解決を求められることがほとんどです。

そのため,警察が捜査に着手するかどうかにかかわらず,風俗トラブルに警察が関与した段階で弁護士選びを検討することが適切です。適切な弁護士を選び,弁護活動を行ってもらうことで,警察の取り扱い状況に応じた解決へのサポートが期待できるでしょう。

ポイント
風俗トラブルの現場に警察を呼ばれる場合も多い
警察が関与した段階で,解決に向けた弁護士選びを検討することが適切

③刑事事件化を防ぎたいとき

風俗トラブルは,刑事事件化することなく円満に解決できれば,最も早期に解決できます。そのため,キャストや店舗との間で速やかに解決することで,刑事事件化を防ぐ方針が非常に有力と言えます。

もっとも,刑事事件化を防ぐための具体的な解決方法は,風俗トラブルの解決に精通した弁護士でないと判断が困難です。解決方法を誤ってしまうと,紛争の火種が残った状態になり,後からトラブルが刑事事件として蒸し返されてしまう可能性もあります。

そのため,早期解決によって風俗トラブルの刑事事件化を防ぎたい場合には,弁護士選びを速やかに行い,解決に適した弁護士への依頼を試みることが有力です。

ポイント
風俗トラブルは,刑事事件化前の解決が最もスムーズ

風俗トラブルの弁護士を選ぶ基準

①風俗トラブルの解決経験

風俗トラブルは,その他の一般的な刑事事件とは異なる独特な対応が必要な事件類型です。そのため,弁護士である,刑事事件の取り扱いがある,というのみならず,風俗トラブルの解決経験があるかどうか,という点を重要な判断基準とすることが有力でしょう。

風俗トラブルの解決経験があれば,風俗トラブルに特有の動き方や注意点にも精通しているため,十分な弁護活動が期待できる可能性が高いです。一方,風俗トラブルの解決に必要な動き方を把握していないと,解決がなかなか進まず,最悪の場合にはトラブルが深刻化する恐れも否定できません。

②迅速な初期対応の可否

風俗トラブルは,トラブル発生の直後から必要な対応に迫られることが多い,という特徴のある事件類型です。弁護士選びを始める段階で,既に対応を迫られた状態であることも珍しくありません。
そのため,風俗トラブルの解決に当たる弁護士は,迅速な初期対応とフットワークを備えている必要があります。依頼を受けた数日後に動き始める,というわけにはいきません。

もっとも,弁護士がいつどのような対応をしてくれるかは,個々の弁護士のやり方により様々です。事件のスピード感に合わせた迅速な対応のできる弁護士であれば問題ありませんが,万一弁護活動がタイミングを逃したものになってしまうと決定的な悪影響につながる可能性も生じてしまいます。

迅速対応を約束してくれるかどうかは,必ず弁護士選びの基準として設けるようにしましょう。

③プライバシーへの理解

風俗トラブルにおける弁護士と依頼者の間の問題の原因として,プライバシーに関する依頼者側の要望を弁護士が正しく把握できていないことによる方針のズレが挙げられます。依頼者は,周囲への発覚を可能な限り避けながら内密に解決したい,と考えているものの,弁護士側は特に配慮せず,連絡方法などの配慮が不十分なまま活動を進めてしまう,というケースが散見されるところです。

風俗トラブルは,その性質上,身近な人物への発覚を避けながら解決する必要性の高いものですが,弁護士側にその点の十分な理解があるとは限りません。弁護士選びに際しては,事件解決に際してどのようなプライバシーへの配慮をしてもらうことができるか,という点を判断材料とすることが有力でしょう。

④事務所所在地

風俗トラブルの場合,依頼を受けた弁護士が相手方の店舗や事務所に赴き,対面で示談交渉などを行うことが想定されます。電話などの手段を用いることもありますが,示談交渉から示談締結にかけてのどこかの段階で,対面でのやり取りをすることが通常でしょう。

そのため,弁護士に依頼をする場合には,弁護士が相手方の店舗や事務所に行くことのできる場所にいるかどうか,という点が大きなポイントの一つになります。一般的には,トラブルの発生場所に近い法律事務所を選択肢の候補とするのが有力でしょう。

風俗トラブルで弁護士を選ぶ必要

①示談交渉のため

風俗トラブルの解決は,示談交渉によって目指すことがほとんどです。トラブルが現場で問題になったとき,店舗側から示談の話を持ちかけられることすらあるため,示談交渉は避けて通れないことが通常でしょう。

この点,相手の要求にどこまで応じるべきか,相手の要求は適正な内容なのか,自分からはどのような要求ができるのかなど,示談交渉の方法・内容を適切に判断することは容易ではありません。示談交渉に必要な判断を速やかに行い,円滑な解決を図るためには,専門的な知識・経験を持つ弁護士に依頼を行うことが不可欠でしょう。

示談交渉による風俗トラブルの解決を目指すには,適切な弁護士選びを行う必要があります。

②刑事事件化を防ぐため

風俗トラブルは,刑事事件化前に解決することで,刑事事件化を防ぐことができるという点に大きな特徴があります。トラブルが起きたとしても,直ちに刑事事件として扱われるわけではないため,早期に事態が収まれば,警察による捜査や検察庁での起訴・不起訴といった処分には至らないことが通常でしょう。

もっとも,刑事事件化を防ぎながら早期の解決を図るためには,早期解決の方法・内容に精通した弁護士に依頼し,弁護士主導での動きを試みることが必要となりやすいです。刑事事件化しなければ,刑事事件化に伴う負担や不利益も一切生じないため,刑事事件化を防ぐ目的で弁護士を選ぶことは非常に重要な対応となるでしょう。

③法外な請求を防ぐため

風俗トラブルが発生した場合,店舗の担当者が示談交渉の窓口となり,賠償金額の話し合いを持ちかけてくる流れが多く見られます。そして,金額面で折り合いが付けば,トラブルは当事者間での解決となることが見込まれます。

しかしながら,店舗側から請求される内容が必ずしも適正で合理的なものとは限りません。場合によっては,トラブルの内容や性質に比して明らかに過大であって,法外な請求と言わざるを得ないことも散見されるところです。それでも,請求を受けた側が法外な請求であると気づかず,安易に受け入れてしまえば,その時点で法外な内容での合意が成立し,法的に支払う義務を負うことになりかねません。

この点,弁護士に依頼をすることで,相手の請求が適正なものかどうか,判断することが容易になります。また,弁護士が窓口になることで,そもそも相手から法外な要求がなされづらくなり,不合理な請求を予防する効果も期待できるでしょう。

④周囲への悪影響を防ぐため

風俗トラブルは,その内容の性質上,周囲に知られた場合の悪影響が大きくなりやすい問題です。実際はキャストや店舗側の言い分が不合理であり,難癖をつけられた状況だったとしても,風俗トラブルが発生したという事実自体を周囲に知られることが,大きな不利益にもなり得ます。

この点,弁護士に依頼をし,弁護士を窓口に対応することで,弁護士と店舗側との間で秘密を守った形での対応が可能となり,周囲への発覚を避けながらの解決ができます。弁護士が全てのやり取りを行いながら円滑にトラブル解決ができれば,周囲への悪影響を防ぐことも決して難しくはないでしょう。

風俗トラブルにおける弁護士選びの準備

①双方の言い分を整理する

風俗トラブルにおいては,自分と相手方(キャスト)の言い分に大きな差がある場合も珍しくありません。例えば,いわゆる本番トラブルの場合,自分の目からはキャストが特に嫌がっているように感じられなかったものの,相手は無理矢理に本番行為をさせられたと主張している,ということはよくあると言っても過言ではないでしょう。

そのため,弁護士に相談する前提として,トラブルの具体的内容は何か,トラブルに対する当事者双方の言い分はどのようなものか,という点を十分に整理し,弁護士に伝えられるようにしましょう。言い分に食い違いがあるかないか,食い違いがある場合にはどのような内容かによって,弁護士からの案内が大きく異なる可能性もあり得ます。

②現状の交渉経過を整理する

風俗トラブルの大きな特徴の一つが,トラブル発生直後から交渉が始まりやすい,という点です。キャストから連絡を受けた店舗担当者が,サービス中の客室に乗り込み,違反行為の指摘と示談交渉を持ち掛けてくる,という流れは多く見られるところです。

この点,店舗担当者との交渉がどのような内容であるか,何か合意をしたことはあるか,といった事項は,その後の対応に大きな影響を与えます。基本的には弁護士による交渉代行が可能ですが,弁護士依頼の前に一定の合意をしてしまっているのであれば,その合意を覆す余地があるかないか,という点をまず検討する必要が生じ得るためです。
また,合意には至っていないとしても,ある程度金額の話し合いをした後の状況だと,弁護士がその話し合いを根本から覆すような金額の提案をするのは,現実的にトラブル解決の可能性を低下させやすい動きにもなってしまいます。

そのため,弁護士選びに際しては,現状の交渉経過を正しく整理することで,弁護士がどのような対応をできるのか,しっかりと判断できるだけの情報を提供するように努めることをお勧めします。

③優先順位を整理する

風俗トラブルの対応は,当事者間の解決を優先するか,経済的な損失を防ぐことを優先するか,といった優先順位の違いによって,適切な動き方も違ってくることになります。通常,店舗側の方針としては,経済的に満足できるか,という基準で判断することになるため,店舗側が経済的に満足する結果となれば早期に解決しやすい傾向にあります。一方で,そのような解決は「トラブル解決をお金で買う」とも言うべきやり方であるため,経済的には本来負担する必要のない支払が生じることも珍しくありません。

風俗トラブルの場合,金銭的負担よりも穏便で迅速な解決の優先順位が非常に高いケースもありますが,弁護士がその点を把握していないと依頼者側の希望に沿わない弁護活動になる可能性もあり得ます。
弁護士への依頼に際しては,金銭面とトラブル解決のどちらをどの程度優先したいという意向か,というお気持ちをある程度整理しておくことをお勧めします。

風俗トラブルで弁護士に依頼する場合の注意点

①示談方法の特殊性を踏まえているか

風俗トラブルの示談には,他の事件類型にはない特殊性があります。それは,示談の相手方が2人いる,ということです。具体的には,「キャスト個人」と「店舗」それぞれとの間で示談が必要となります

風俗トラブルを解決する場合,客と店舗担当者の間で解決内容を協議し,合意することが一般的です。客と店舗との間では,客が店舗のサービスを利用する際の約束に反した,という問題があるため,客と店舗との紛争解決が必要であるという面も間違いではありません。

しかし,風俗トラブルの根本的な問題は,基本的に客とキャストの個人間における紛争です。特に,性的行為に同意があったなかった,盗撮行為があったなど,刑事事件の側面に関しては,店舗は第三者に過ぎません。交渉の際,窓口になる店舗担当者も,あくまでキャストの代わりに窓口となっているだけです。

弁護士が風俗トラブルの解決を目指す場合,2人の相手方それぞれと示談をし,それぞれとの間で紛争が終了したことを確認しなければ,弁護活動を全うしたとは言えませんが,店舗とのやり取りになるあまり,肝心な対キャストの個人間における紛争が解決できていない,というケースも散見されます。
弁護士への依頼に際しては,風俗トラブルの示談方法を十分に理解していることを確認しましょう。

ポイント 風俗トラブルで要する2つの示談
対店舗:サービス利用時の契約違反
対キャスト:本番行為,盗撮行為等の刑事事件

②弁護士との連絡方法を確認する

風俗トラブルを弁護士に依頼する大きな目的の一つは,家族など周囲への発覚を防ぐ,という点にあることが多い思われます。事件の性質上,周囲への影響を防ぎつつ解決できるか,という点は非常に重要です。

ただ,弁護士との連絡方法について慎重な確認をしていないと,弁護士からの連絡が原因で周囲に事件が発覚する可能性も否定できません。風俗トラブルの対応に精通している弁護士であれば生じにくい問題ですが,そうでない場合,連絡方法への配慮不足から,弁護士に依頼している事実が家族に発覚してしまい,風俗トラブルの存在を知られてしまう結果になるケースも見受けられます。

弁護士への依頼に際しては,弁護士から連絡があった事実自体が周囲に伝わらないよう,慎重に連絡方法を協議し,解決に努めることをお勧めします。

③トータルの経済的負担を把握する

風俗トラブルは,相手方に金銭を支払う形での解決を目指すことが非常に多い類型です。しかも,金銭面の損得よりも早期解決を優先する場合,その経済的負担はより大きくなりやすいでしょう。

そのため,弁護士費用と示談金を合計した金額として,どの程度の経済的負担が見込まれやすいか,という点は,事前にできるだけ把握し,後から負担しきれないという事態が生じないように留意しましょう。もちろん,具体的な示談金額を事前に決定することはできないため,幅を持った想定にならざるを得ませんが,ある程度の見通しを設けておくことは柔軟な対応のため非常に重要なポイントになります。

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不同意性交等罪で自首をするとどうなる?逮捕や起訴との関係は?注意点は?

このページでは,不同意性交等罪の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

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不同意性交等罪で自首をするべき場合

①実刑判決の回避を目指したい場合

不同意性交等罪は,法定刑が「5年以上の有期拘禁刑」と定められています。
刑罰が科せられる場合の具体的な内容としては,軽微なものから「罰金」「執行猶予」「実刑」とあるところ,最も軽微な罰金刑は法律上科すことができません。また,執行猶予は3年以下の懲役刑(拘禁刑)の場合にしかつけられないため,原則として執行猶予の対象にもなりません。
そのため,不同意性交等罪で刑事処罰が科せられる場合には,実刑判決が想定されやすいということができます。

刑事罰の種類

この点,5年以上が原則とされる拘禁刑の期間を3年以下に減軽できる例外的なケースの一つが,自首のあった場合です。自首によって拘禁刑の期間が3年以下になれば,執行猶予の対象となり得るため,実刑判決の回避が可能です。
執行猶予となる場合,刑務所に収容されることがなくなるため,そのメリットは極めて大きなものとなります。

ポイント
不同意性交等罪の刑罰は実刑判決が原則
自首があると,例外的に執行猶予になり得る

②犯人が特定される可能性が高い場合

自首は,後に自分が犯人と特定される可能性が高い場合により効果を発揮します。自首をしてもしなくても自分が犯人と特定されるのであれば,あらかじめ自首をしてしまった方が処分の軽減が期待できる分だけ有益であるためです。

特に,不同意性交等罪の事件では,自首をせずに捜査によって犯人が特定できたとなれば,その犯人を被疑者として逮捕し,身柄拘束をした状態で取り調べなどをする可能性が高いです。一方,犯人が特定できていない段階で,自ら名乗り出て自首をした場合,逮捕の可能性は大きく低下し,逮捕は必要ないとの判断に至ることも十分に考えられます。

想定される証拠などから,将来的に犯人として特定される可能性が高いと思われる場合には,先手を打つ趣旨で早期に自首を試みることが有力でしょう。

ポイント
自首をしてもしなくても犯人が特定されるのであれば,自首する方が有益

③日常生活への支障を防ぎたい場合

不同意性交等罪で捜査や刑事処分の対象となった場合,日常生活の様々な面に支障が生じることが想定されます。

日常生活への支障の例

1.家族・親族への発覚
2.勤務先など仕事関係者への発覚
3.報道による周知
4.刑事処分の業務への影響

これらの支障は,自首を行うことで回避ができたり一定程度軽減ができたりする場合もあり得ます。特に,不同意性交等罪の事件は,性犯罪という性質も相まって周囲に与える影響が非常に大きいため,自首によって悪影響を緩和することのメリットは大きくなりやすいでしょう。

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

不同意性交等罪の自首は弁護士に依頼すべきか

不同意性交等罪で自首を試みる場合には,弁護士に依頼し,弁護士に主導してもらう形で行うことが有益です。具体的には,以下のようなメリットが考えられます。

①逮捕回避につながりやすくなる

不同意性交等罪の事件における自首は,まず逮捕の回避につながるかどうかが重要なポイントとなります。事件類型的に逮捕の可能性が高いため,自首によって逮捕の必要性をどこまで引き下げられるかが肝心です。

この点,弁護士への依頼をすることで,より逮捕の必要性を引き下げるための効果的な自首が可能になります。弁護士なしで行う自首は,手順も内容も手探りにならざるを得ませんが,弁護士主導で行うことによってその点の負担が大きく軽減する効果も期待できるでしょう。

②自首の意思を正確に伝えられる

一口に自首と言っても,その具体的な内容は一つではありません。同一の事件に関する自首でも,対象となる事件の範囲をどこまでにするか,という選択肢は決して一つだけではありませんし,どこまでの話をするか,どこまでの証拠提出をするかなどによって,捜査機関に与える印象なども大きく異なります。

この点,弁護士に依頼することで,どのような事件について,何をしてしまったということへの自首なのか,ということを正確に伝えることが可能になります。これによって,自首の対象とすべき事件についての反省状況を正しく理解してもらえるとともに,自分が行っていないことについての不要な疑いや捜査を招く恐れがなくなるという利点があるでしょう。

自首をしようと思っても,自分で理路整然とした内容で行うことは容易ではありません。弁護士に依頼することで,自首をしたい,という自分の意思の中身を正確に伝えることができるでしょう。

③示談の試みが可能になる

不同意性交等罪の事件では,示談ができるかどうかによって処分結果が決定的に変わります。そのため,可能な限り早期の段階で示談を試み,示談の成立を目指すことが重要です。

この点,自首の時点で弁護士への依頼を行うことにより,自首後に捜査が始まった際,直ちに示談の試みに着手することが可能になります。示談は,弁護士がいなければ着手できない性質の動きであるため,弁護士に依頼しなければ生じないメリットと言えるでしょう。

不同意性交等罪で自首をする場合の注意点

①自首しても逮捕が防げない可能性

不同意性交等罪の場合,逮捕の必要性が非常に高いと評価される傾向にあります。そのため,自首によって逮捕の必要性が低下したとしても,なお逮捕が必要であるという判断になる可能性は否定できません。
不同意性交等罪の自首では,自首をしても逮捕回避の結果が実現しない可能性に注意をしておくことが必要です。

もっとも,逮捕が防げなかったとしても,それは自首の効果がないという意味ではありません。逮捕後の取り扱いや最終的な処分に対しては,大きな影響を及ぼす可能性が高く,自首が重要な行動であることには変わりありません。

②自首をしても実刑判決が防げない可能性

自首の重要な効果の一つが刑事処分の軽減ですが,不同意性交等罪の場合,悪質と評価される事件では自首をしてもなお実刑判決の対象となる可能性はあり得ます。自首が処分を大きく軽減させる事情であることは間違いありませんが,自首によって直ちに実刑判決を防げるとは限らない点に注意が必要でしょう。

ただし,実刑判決が防げなかったとしても,実刑判決の具体的内容には大きな影響を及ぼすことが通常です。自首がなかった場合と比較すれば,その刑期は明らかに短くなることが見込まれるでしょう。

③自首が成立しない可能性

自首は,犯罪事実又は犯人のいずれかが捜査機関に発覚していない段階で行う必要があります。そのため,犯罪事実も犯人も特定されてしまった後では,出頭を試みても自首は成立せず,自首による刑罰減軽の効果も生じない点に注意が必要です。

特に,不同意性交等罪の事件は,被害者保護の観点や事件の重大性を踏まえ,極力迅速に捜査を進め,犯人の特定を目指すことの多い傾向にあります。そのため,自首が成立する期間はより短い可能性があり,自首ができる時間的猶予があまり多くは残されていない恐れもあります。

自首による刑罰の減軽は,実刑判決を回避して執行猶予を獲得するために必要な減軽となる可能性もあるため,自首を行う場合には可能な限り速やかに進めることをお勧めします。

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【不同意性交等罪での呼び出し】呼び出しの目的は?方法は?呼び出されたら弁護士に依頼すべき?

このページでは,不同意性交等罪で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
不同意性交等罪に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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不同意性交等罪で呼び出された場合の対応法

①逮捕回避を最優先に目指す

不同意性交等罪の事件は,逮捕が非常に強く懸念されることに特徴があります。捜査機関としては,呼び出しを行うのでなくいきなり逮捕する選択肢も有力です。
そのため,不同意性交等罪の場合,逮捕を防ぐ余地があるのであれば逮捕回避を最優先に行動することが適切でしょう。

この点,呼び出しを行う場合の捜査機関の考えとしては,呼び出しへの適切な対応が得られるのであれば逮捕をしなくてもよい,という発想である可能性も低くありません。逮捕をするつもりであれば,わざわざ呼び出して逃亡のリスクを招くより,自宅などへ行っていきなり逮捕する方が合理的であるためです。
あえて呼び出しの方法を選択している以上,逮捕をしない方針もあり得ると理解し,逮捕回避のために全力を尽くすことが有益です。

ポイント
不同意性交等罪では逮捕が強く懸念される
呼び出しを行う場合,逮捕回避の余地がある

②弁護士の判断を仰ぐ

不同意性交等罪のような重大事件では,呼び出し後の対応が適切かどうかがその後の処分を非常に大きく左右する可能性が高いです。対応を誤った場合の不利益が極めて大きくなりかねないため,対応方針はより慎重に検討する必要があります。

そのため,不同意性交等罪で呼び出しを受けた場合には,まず弁護士に相談を行い,適切な対応方針について判断を仰ぐことをお勧めします。弁護士への相談に際しては,以下のような情報が伝えられると有益でしょう。

弁護士相談の際に伝えるべき情報

1.事件の内容
2.認否
3.考えられる証拠
4.呼び出しを受けた際の問答
5.要望(目指す結果)

弁護士への相談に際しては,刑事事件に精通し,刑事弁護に長けた法律事務所を選択の上,十分な回答が得られるまで弁護士探しを粘り強く行うことをお勧めします。
また,信頼に足りる弁護士が見つかった場合には,具体的な弁護活動の委任も積極的に検討することが有益です。不同意性交等罪の場合,弁護活動によって望ましい結果が引き出せれば,刑事処分などの不利益を最小限に抑えられる可能性もあります。

ポイント
重大事件のため,対応方針は慎重な検討が適切
信頼できる弁護士探しの上,相談や依頼を積極的に行う

③否認事件の初期対応

否認事件の場合,呼び出しを受けること自体が納得できず,捜査協力に時間や労力を割きたくないという思いが生じることもやむを得ません。もっとも,否認事件であっても,適切な初期対応を行い,呼び出しに正しく応じることには複数のメリットがあります。

まず,被疑事実の詳細や証拠構造を把握できる可能性があります。被疑事実とは,行ったと疑われている具体的な行為の内容です。いつ,どこで,何をしたと疑われているのかを把握するのは,適切な対応の出発点と言えます。
また,客観的な証拠があるかないか,客観的な証拠があるとしてそれは何を立証できる内容のものなのか,といった証拠構造を把握できる可能性もあります。証拠構造が分かれば,立証の困難な点が何か,ということを的確に把握することも可能です。

更に,相手方の言い分を知る機会になる可能性もあります。否認事件の場合,捜査機関は相手の一方的な言い分を足がかりに捜査している可能性が非常に高いため,捜査機関との問答を通じて,相手がどんな被害を受けたと主張しているのか,逆に何を伝えていないのか,といった点を把握することもできるでしょう。

否認事件の場合,呼び出しを情報獲得のチャンスと考え,対応することが有益になり得ます。

ポイント
被疑事実や証拠構造を把握する機会になり得る
相手の言い分を詳細に知るチャンスでもある

不同意性交等罪の呼び出しに応じると逮捕されるか

不同意性交等罪の場合,逮捕目的で呼び出しを行うケースはあまり見られません。そのため,呼び出しに応じることで逮捕される,ということは考えにくいでしょう。
捜査機関が逮捕を行うつもりであれば,呼び出すことなく,逮捕状を得た上で自宅などに訪れる方が一般的です。捜査機関のペースで,ほぼ確実に逮捕を執行できるためです。

そのため,呼び出しに応じることで逮捕される,という懸念は通常必要ありませんが,呼び出しへの対応次第では逮捕のリスクを高める可能性があることに注意が必要でしょう。度重なる呼び出しへの十分対応が得られない等,被疑者による捜査妨害の恐れがあると考えられる場合には,そのことが逮捕の引き金になる場合も少なくありません。
呼び出しで済んだと油断するのでなく,その後も逮捕せず引き続き呼び出し続ければよい,との判断をしてもらえるよう,適切な対応を尽くすことをお勧めします。

ポイント
逮捕目的での呼び出しはあまりない
もっとも,呼び出しへの対応が不適切である場合,逮捕の引き金になり得る

不同意性交等罪で警察が呼び出すタイミングや方法

①事情聴取

不同意性交等罪での呼び出しは,事件の内容について事情を聴取する目的であることが一般的です。一方の当事者から聞いた話を元に,もう一方の当事者からも話を聞くことで,犯罪事実の有無を捜査する,という流れになります。

事情聴取目的での呼び出しは,相手方当事者が警察に相談などした後,比較的早期に行われる場合が多いでしょう。不同意性交等罪で呼び出しの形が取られる場合,客観的証拠がないか不十分であるケースが多いため,客観的証拠の捜査に長い時間をかけるよりは,とりあえずもう一方の当事者も呼んで話を聞く,という捜査手法が多く見られるところです。

呼び出し方法は電話連絡が一般的でしょう。

②証拠品の提出

当日の着衣や連絡に用いた携帯電話など,証拠となり得る物品の提出を求めるために,呼び出して出頭してもらうという場合があります。物品を提出すると,「領置」という手続で捜査機関の手に渡り,捜査の必要が終了した段階で還付(=返却)されることになります。

呼び出しを行う事件で証拠品の提出を求める場合は,初回の呼び出しの際に,話の内容を踏まえて,提出を求める証拠の内容と提出日を決定することが多いでしょう。そのようなケースでは,呼び出しに応じて出頭した日から1週間以内くらいのタイミングになる場合が多く見られます。

③写真撮影・指紋採取

捜査の対象となった場合,警察にて写真の撮影や指紋採取を求められることが一般的です。これは,将来の他の事件も含めた捜査の円滑化のため,今回の事件で必要かどうかにかかわらず広く行われているものです。

この写真撮影や指紋採取は,強制される手続ではなく,拒んでも具体的な不利益が生じるものではありません。もっとも,理由なく断るメリットにも乏しいため,特段の理由がない限りは淡々と応じる方が有益でしょう。

写真撮影や指紋採取の手続は,一通りの取り調べが終了した後に行われることが通常です。取調べが一段落した段階で,その日のうちに行うか,次回に行うための日程調整を行うか,という流れになることが多いでしょう。

不同意性交等罪の呼び出しに応じたときの注意点

①対応を怠らない

呼び出しに対しては,逮捕回避を重要な目標とすることが賢明ですが,対応自体を怠ることや必要な返答をしないことは,逮捕回避の観点からは最も避けるべきことと言えます。
呼び出しても必要な対応をしてもらえず,返答を求めても返答してくれない,となれば,対応を強制するために逮捕を選択する,という判断につながりかねません。

呼び出しを受けた場合は,まず連絡に応答すること,返答を求められたら返答することなど,対応を怠らない姿勢を保つようにしましょう。

②相手への接触を疑われないよう努める

不同意性交等罪の場合,当事者間の接触が非常に強く懸念されることがあります。特に,従前から交友関係があったなど,相手に接触する手段や情報を持ち合わせている場合には,捜査の開始をきっかけに,加害者とされた側が被害者とされる側への接触を試みる可能性があり得ると考えられやすいでしょう。
そして,相手に接触する恐れがあると評価された場合,それが逮捕の理由になる可能性も否定できません。

そのため,呼び出しを受けたり呼び出しに応じて出頭したりした際には,相手に接触する意思が全くないことを明確に意思表明していく方針が有力です。相手と話し合いたい,言い分を伝えたいなど,相手への接触が懸念されるような内容を捜査機関に告げるメリットはない,という点に注意することをお勧めします。

③取り調べへの対応方針

呼び出し後は取調べの実施が想定されます。そのため,どこまでの事実を話すのか,想定される質問には何と回答するのか,余罪がある場合には話すのか話さないのかなど,取調べを受けた際の対応方針は事前に検討しておくべきでしょう。

特に,否認事件の場合,争点に応じた適切な取り調べ対応が重要となります。中でも故意が争点になるケースでは,どの時点でどのような意思であったか,というように時系列に沿った説明をすべき場合もあるため,より綿密な事前準備が適切です。

取調べへの具体的な対応方針については,刑事事件に精通した弁護士と十分に協議し,あらかじめ明確にしておくことをお勧めします。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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不同意性交罪で逮捕される可能性はどのくらい?逮捕されるリスクや早期釈放に必要なことを解説

「不同意性交罪って本当に逮捕されるの?」
「もし疑われたら逮捕される?」

不同意性交罪という言葉を耳にして不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

不同意性交罪は、相手の明確な同意がない性行為に対して適用され、状況によっては被害届が出された後に逮捕される可能性があります。

本記事では、不同意性交罪で逮捕される具体的なケース、後日逮捕のリスク、そして早期釈放を目指すために必要な対応について詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

不同意性交罪とは

不同意性交罪とは、2023年7月13日に施行された刑法改正により新たに導入された性犯罪に関する罪名で、従来の「強制性交等罪」に代わって定義されたものです。

相手の明確な同意がないにもかかわらず性交等の行為に及んだ場合に適用されるもので、たとえ暴力や脅迫といった手段が用いられていなくても、相手が自由意思で同意していないと認められれば成立します。

ここからは、以下2つについて深掘りしていきます。

  • 不同意性交罪の刑罰内容
  • 不同意性交罪が該当する行為

不同意性交罪の刑罰内容

不同意性交罪が成立した場合、刑罰は重く、重大な刑事責任が問われることになります。

具体的には、刑法第177条に基づき「5年以上の有期懲役」が科されることとなっています。

刑法第177条

前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
引用:e-Gov法令検索「刑法」

これは、暴行・脅迫の有無にかかわらず、同意のない性行為が重大な人権侵害であると位置づけられているためです。

以前の「強制性交等罪」では、暴行や脅迫を伴った場合に適用されていましたが、現在では被害者の同意の有無だけで処罰されるため、適用範囲が大きく拡大しています。

また、加害者が被害者に対して地位や権限、経済的依存関係を背景に影響力を行使していた場合には、より重い処罰が検討されることもあります。

加えて、被害者が18歳未満である場合や、教職者・上司といった立場を利用して性行為に及んだと認定された場合には、特に厳しい量刑判断がなされるでしょう。

再犯のリスクがあると判断されれば、実刑判決が下されることも多く、執行猶予が付かないケースも存在するため、注意が必要です。

不同意性交罪が該当する行為

不同意性交罪に該当する行為は、表面的に暴力や脅迫がなかったとしても、相手の自由な意思に基づかない性交等の行為すべてが含まれます。

具体的には、言葉では抵抗していないが明らかに嫌がる態度を見せていた場合や、精神的に圧力をかけるような関係性の中で性行為が行われた場合などが該当する可能性があります。

これは相手が「同意しているように見えた」だけでは不十分で、状況的に相手の自由意思が奪われていたと判断されると、不同意性交罪が成立するためです。

たとえば、上司が部下に対して「評価に影響する」と匂わせながら性行為に誘導したケースや、泥酔状態の相手と関係を持った場合などは、相手が自発的に判断できる状態でなかったと見なされます。

また、交際関係にあったとしても、明確な同意を得ずに行為に及んだ場合には、不同意性交罪の対象となりうるため注意が必要です。

不同意性交等罪で逮捕される可能性

不同意性交等罪の事件は,捜査に際して逮捕される可能性が非常に高いでしょう。警察などが捜査を行い,被疑者を特定した場合,特段の事情がない限りは逮捕すると考えても差し支えないでしょう。
不同意性交等罪の場合に逮捕される可能性が高い理由としては,以下のような点が挙げられます。

逮捕の可能性が高い理由

1.事件が非常に重大である

2.被害者の心理的負担への配慮を要する

見知らぬ男女間で起きた事件の場合、大多数のケースで逮捕が予想されます。一方、交際相手との事件、風俗サービス中の事件、ホテル客室内での事件などでは、逮捕はあまり見られないところです。

1.事件が非常に重大である

刑事事件における逮捕は,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防止する目的で行われる手続です。そのため,被疑者が逃亡する可能性や被疑者による証拠隠滅の可能性が高いと思われるケースでは,逮捕する必要が特に大きいということになります。

この点,事件の重大性が際立っており,刑罰が科される場合には重い処分になると見込まれる場合,逃亡や証拠隠滅の危険性が高くなるとの理解が一般的です。事件の内容や見込まれる処分が重ければ重いほど,逃亡や証拠隠滅によって刑事処分を防ぐ利益が大きくなるためです。

不同意性交等罪は,被害者の性的自由を極めて強く侵害する犯罪であり,非常に重大な事件類型です。その刑罰も,実刑判決を念頭に置くほど重いものになることが見込まれます。
そのため,不同意性交等罪の事件では逃亡や証拠隠滅が懸念されやすく,逮捕の可能性が高くなるのです。

2.被害者の心理的負担への配慮を要する

不同意性交等罪の事件を取り扱う捜査機関は,深刻なダメージを受けた被害者側の心理的負担に配慮することが必要となります。被疑者が特定されたにもかかわらず,逮捕もなく放置されているとなれば,被害者にとっては強い恐怖や精神的苦痛の原因となることが避けられません。

そのため,不同意性交等罪の事件では,被疑者が特定できた段階で逮捕し,被疑者が認めているなどの情報を被害者に伝えることで,被害者側の心理的負担を和らげる手法が広く取られています。このように,被害者保護の一環として,逮捕を伴う捜査方法が選択されやすいという傾向が見られるところです。

不同意性交等罪の場合,特に逮捕が不要・不適切であるという事情がなければ,逮捕されるのが通常であるとの理解が適切でしょう。

ポイント
不同意性交等罪は逮捕の可能性が非常に高い
事件の重大性や被害者保護が大きな理由

不同意性交罪で逮捕されるリスク

逮捕をされてしまうと,以下のように多数のリスクが見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

逮捕の種類や流れ

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

不同意性交等罪で逮捕を避ける方法

①自ら警察に出頭する

逮捕は,逃亡や証拠隠滅を防ぐための捜査手続であるため,逮捕を防ぐ試みとしては,積極的な行動によって逃亡や証拠隠滅の可能性がないと理解してもらう方針が有力です。具体的には,自ら警察に出頭し,自分から捜査協力を申し出ることが一案でしょう。

自分から事件の情報を可能な限り提供し,想定される証拠物を提出するなどすれば,そのような行動を取る人物が逃亡や証拠隠滅をする可能性があるか,という点には大きな疑問が残ることになります。自ら出頭する行為は,自分から捜査を受けに行くという負担を受け入れる代わりに,逃亡や証拠隠滅が見込まれないから逮捕は不要である,との判断を期待できる試みと言えるでしょう。

なお,犯罪事実や犯人が発覚していない段階で自ら警察に出頭した場合,法律上「自首」が成立する可能性もあります。自首が成立する場合には,その後の取り扱いや最終的な刑事処分はより軽くなる可能性が上がるでしょう。

②被害者との示談を試みる

被害者との示談が成立し,被害者との間で事件が解決している場合,その後に警察の捜査が行われる可能性は現実的になくなります。捜査が行われなければ,捜査の手段である逮捕も行われないため,逮捕を確実に防ぐことが可能です。

もっとも,捜査前や逮捕前に被害者との示談を試みることができるのは,かなり限定的なケースに限られるでしょう。被害者と面識があり,被害者との間に交友関係があるような間柄でないと,示談を試みる手段はありませんし,連絡手段があったとしても,被害者が示談交渉に応じる意向でなければ示談は進まないためです。
逆に,警察などの捜査前に示談を試みることのできる状況であれば,可能な限り示談交渉を尽くし,当事者間での解決を目指すことが賢明です。

③取り調べへの適切な対応に努める

逮捕されていない状態で取調べを受けることになった場合,取調べに対して適切な対応を尽くすことで,逮捕を防ぐ効果が期待できる可能性もあります。具体的には,以下のような対応が有効でしょう。

取り調べへの適切な対応

1.出頭を拒まない,すっぽかさない

2.問いには可能な限りの回答をする

3.提出を求められた証拠はできる限り提出する

このように,円滑な捜査への協力姿勢を示すことが,逮捕回避の可能性を高める取調べ対応と言えます。

不同意性交等罪の逮捕は弁護士に依頼すべきか

不同意性交等罪の逮捕に関する対応は,弁護士への依頼が有力な手段です。

まず,逮捕回避の重要な手段としては被害者との示談が挙げられますが,具体的な示談交渉は,弁護士を窓口に行うことが望ましいでしょう。現実的には,当事者が直接交渉するべきでないことがほとんどであり,弁護士を通じて行うことが必須と言っても差し支えないところです。
特に,直接の連絡手段がない場合には,弁護士から捜査機関に連絡を取ってもらい,弁護士限りで被害者との連絡を試みる必要があります。この場合には,弁護士がいなければ示談希望の意思を伝えることもできない,ということになるでしょう。

また,逮捕をすべきかという点について,弁護士を通じて捜査機関と協議をしてもらう手段も有力です。弁護士が法律のルールを踏まえた主張をし,捜査機関に逮捕が適切でないと判断してもらうことができれば,逮捕の回避につながる可能性も考えられます。

加えて,取調べなどで自分が捜査機関と直接やり取りする必要が生じる際,どのように対応すべきか,という点について弁護士から案内を受けることも可能です。適切な取り調べ対応によって,逮捕の可能性が低下することも大いに考えられます。

以上のように,不同意性交等罪の逮捕に関しては,弁護士への依頼によってより有効な対応がしやすくなるため,弁護士への依頼を積極的に検討するのが適切でしょう。

ポイント
示談交渉には弁護士が不可欠
弁護士と捜査機関の間で,逮捕すべきかを協議してもらうことも
自分が捜査機関とやり取りするときの対応方法を案内してもらえる

不同意性交等罪の逮捕に関する注意点

①逮捕前の示談が困難な場合

逮捕前に示談ができれば,その後の逮捕の可能性が非常に低くなることは間違いありません。ただ,実際に逮捕前の示談が可能なケースは多くないため,逮捕前に示談をするチャンスが存在しない場合には注意が必要です。

不同意性交等罪の事件では,自分に対して捜査が行われていることを,自分への逮捕によって知る,という場合が珍しくありません。捜査機関としては,被疑者に予告せず突然逮捕することによって,被疑者の妨害を防ぎながら捜査を進める手段を取ることの多い事件類型でもあります。

逮捕によって初めて事態を把握した場合には,逮捕前の示談で事件を解決する余地がないため,逮捕後できるだけ速やかに示談などの対応に着手する必要があります。

②逮捕後の身柄拘束期間

不同意性交等罪の事件では,逮捕の後速やかに釈放されるというケースはあまりなく,一定期間の身柄拘束を強いられることが想定されます。

逮捕されると,最長72時間以内に「勾留」されるかどうかが判断され,勾留が決定すると10日間,さらに「勾留延長」という手続で延長されると最長10日間の勾留が追加されることになります。

この点,不同意性交等罪の場合,勾留や勾留延長をしない,という判断を期待することは難しく,基本的には勾留延長まで行われることを十分に想定する必要があるでしょう。なお,示談が成立したなど,不起訴処分を見込む状況となった場合には,例外的にその時点での釈放も考えられるところです。

③逮捕後の報道の可能性

刑事事件の報道は,逮捕された事件の一部を対象に行われることが一般的です。著名人などの例外的な場合を除き,逮捕当日又は翌日に,逮捕された事実とその事件の内容が報道される,というケースがほとんどです。

この点,不同意性交等罪の事件は,重大犯罪との理解をされやすいため,逮捕された場合に報道される可能性が比較的高い類型と言えます。重大な事件であるほど,社会的関心が高く,国民に広く周知させるために報道されやすいのです。

確実に報道される,という性質のものではありませんが,報道の対象となる可能性は踏まえておくことが適切でしょう。

不同意性交罪での自首は有効か

不同意性交等罪で自首をするべき場合

①実刑判決の回避を目指したい場合

不同意性交等罪は,法定刑が「5年以上の有期拘禁刑」と定められています。
刑罰が科せられる場合の具体的な内容としては,軽微なものから「罰金」「執行猶予」「実刑」とあるところ,最も軽微な罰金刑は法律上科すことができません。また,執行猶予は3年以下の懲役刑(拘禁刑)の場合にしかつけられないため,原則として執行猶予の対象にもなりません。
そのため,不同意性交等罪で刑事処罰が科せられる場合には,実刑判決が想定されやすいということができます。

刑事罰の種類

この点,5年以上が原則とされる拘禁刑の期間を3年以下に減軽できる例外的なケースの一つが,自首のあった場合です。自首によって拘禁刑の期間が3年以下になれば,執行猶予の対象となり得るため,実刑判決の回避が可能です。
執行猶予となる場合,刑務所に収容されることがなくなるため,そのメリットは極めて大きなものとなります。

ポイント
不同意性交等罪の刑罰は実刑判決が原則
自首があると,例外的に執行猶予になり得る

②犯人が特定される可能性が高い場合

自首は,後に自分が犯人と特定される可能性が高い場合により効果を発揮します。自首をしてもしなくても自分が犯人と特定されるのであれば,あらかじめ自首をしてしまった方が処分の軽減が期待できる分だけ有益であるためです。

特に,不同意性交等罪の事件では,自首をせずに捜査によって犯人が特定できたとなれば,その犯人を被疑者として逮捕し,身柄拘束をした状態で取り調べなどをする可能性が高いです。一方,犯人が特定できていない段階で,自ら名乗り出て自首をした場合,逮捕の可能性は大きく低下し,逮捕は必要ないとの判断に至ることも十分に考えられます。

想定される証拠などから,将来的に犯人として特定される可能性が高いと思われる場合には,先手を打つ趣旨で早期に自首を試みることが有力でしょう。

ポイント
自首をしてもしなくても犯人が特定されるのであれば,自首する方が有益

③日常生活への支障を防ぎたい場合

不同意性交等罪で捜査や刑事処分の対象となった場合,日常生活の様々な面に支障が生じることが想定されます。

日常生活への支障の例

1.家族・親族への発覚
2.勤務先など仕事関係者への発覚
3.報道による周知
4.刑事処分の業務への影響

これらの支障は,自首を行うことで回避ができたり一定程度軽減ができたりする場合もあり得ます。特に,不同意性交等罪の事件は,性犯罪という性質も相まって周囲に与える影響が非常に大きいため,自首によって悪影響を緩和することのメリットは大きくなりやすいでしょう。

不同意性交等罪の自首を弁護士に依頼するメリット

不同意性交等罪で自首を試みる場合には,弁護士に依頼し,弁護士に主導してもらう形で行うことが有益です。具体的には,以下のようなメリットが考えられます。

①逮捕回避につながりやすくなる

不同意性交等罪の事件における自首は,まず逮捕の回避につながるかどうかが重要なポイントとなります。事件類型的に逮捕の可能性が高いため,自首によって逮捕の必要性をどこまで引き下げられるかが肝心です。

この点,弁護士への依頼をすることで,より逮捕の必要性を引き下げるための効果的な自首が可能になります。弁護士なしで行う自首は,手順も内容も手探りにならざるを得ませんが,弁護士主導で行うことによってその点の負担が大きく軽減する効果も期待できるでしょう。

②自首の意思を正確に伝えられる

一口に自首と言っても,その具体的な内容は一つではありません。同一の事件に関する自首でも,対象となる事件の範囲をどこまでにするか,という選択肢は決して一つだけではありませんし,どこまでの話をするか,どこまでの証拠提出をするかなどによって,捜査機関に与える印象なども大きく異なります。

この点,弁護士に依頼することで,どのような事件について,何をしてしまったということへの自首なのか,ということを正確に伝えることが可能になります。これによって,自首の対象とすべき事件についての反省状況を正しく理解してもらえるとともに,自分が行っていないことについての不要な疑いや捜査を招く恐れがなくなるという利点があるでしょう。

自首をしようと思っても,自分で理路整然とした内容で行うことは容易ではありません。弁護士に依頼することで,自首をしたい,という自分の意思の中身を正確に伝えることができるでしょう。

③示談の試みが可能になる

不同意性交等罪の事件では,示談ができるかどうかによって処分結果が決定的に変わります。そのため,可能な限り早期の段階で示談を試み,示談の成立を目指すことが重要です。

この点,自首の時点で弁護士への依頼を行うことにより,自首後に捜査が始まった際,直ちに示談の試みに着手することが可能になります。示談は,弁護士がいなければ着手できない性質の動きであるため,弁護士に依頼しなければ生じないメリットと言えるでしょう。

不同意性交等罪で自首をする場合の注意点

①自首しても逮捕が防げない可能性

不同意性交等罪の場合,逮捕の必要性が非常に高いと評価される傾向にあります。そのため,自首によって逮捕の必要性が低下したとしても,なお逮捕が必要であるという判断になる可能性は否定できません。
不同意性交等罪の自首では,自首をしても逮捕回避の結果が実現しない可能性に注意をしておくことが必要です。

もっとも,逮捕が防げなかったとしても,それは自首の効果がないという意味ではありません。逮捕後の取り扱いや最終的な処分に対しては,大きな影響を及ぼす可能性が高く,自首が重要な行動であることには変わりありません。

②自首をしても実刑判決が防げない可能性

自首の重要な効果の一つが刑事処分の軽減ですが,不同意性交等罪の場合,悪質と評価される事件では自首をしてもなお実刑判決の対象となる可能性はあり得ます。自首が処分を大きく軽減させる事情であることは間違いありませんが,自首によって直ちに実刑判決を防げるとは限らない点に注意が必要でしょう。

ただし,実刑判決が防げなかったとしても,実刑判決の具体的内容には大きな影響を及ぼすことが通常です。自首がなかった場合と比較すれば,その刑期は明らかに短くなることが見込まれるでしょう。

③自首が成立しない可能性

自首は,犯罪事実又は犯人のいずれかが捜査機関に発覚していない段階で行う必要があります。そのため,犯罪事実も犯人も特定されてしまった後では,出頭を試みても自首は成立せず,自首による刑罰減軽の効果も生じない点に注意が必要です。

特に,不同意性交等罪の事件は,被害者保護の観点や事件の重大性を踏まえ,極力迅速に捜査を進め,犯人の特定を目指すことの多い傾向にあります。そのため,自首が成立する期間はより短い可能性があり,自首ができる時間的猶予があまり多くは残されていない恐れもあります。

自首による刑罰の減軽は,実刑判決を回避して執行猶予を獲得するために必要な減軽となる可能性もあるため,自首を行う場合には可能な限り速やかに進めることをお勧めします。

警察に呼び出された場合はどうすべきか

不同意性交等罪で呼び出された場合の対応法

①逮捕回避を最優先に目指す

不同意性交等罪の事件は,逮捕が非常に強く懸念されることに特徴があります。捜査機関としては,呼び出しを行うのでなくいきなり逮捕する選択肢も有力です。
そのため,不同意性交等罪の場合,逮捕を防ぐ余地があるのであれば逮捕回避を最優先に行動することが適切でしょう。

この点,呼び出しを行う場合の捜査機関の考えとしては,呼び出しへの適切な対応が得られるのであれば逮捕をしなくてもよい,という発想である可能性も低くありません。逮捕をするつもりであれば,わざわざ呼び出して逃亡のリスクを招くより,自宅などへ行っていきなり逮捕する方が合理的であるためです。
あえて呼び出しの方法を選択している以上,逮捕をしない方針もあり得ると理解し,逮捕回避のために全力を尽くすことが有益です。

ポイント
不同意性交等罪では逮捕が強く懸念される
呼び出しを行う場合,逮捕回避の余地がある

②弁護士の判断を仰ぐ

不同意性交等罪のような重大事件では,呼び出し後の対応が適切かどうかがその後の処分を非常に大きく左右する可能性が高いです。対応を誤った場合の不利益が極めて大きくなりかねないため,対応方針はより慎重に検討する必要があります。

そのため,不同意性交等罪で呼び出しを受けた場合には,まず弁護士に相談を行い,適切な対応方針について判断を仰ぐことをお勧めします。弁護士への相談に際しては,以下のような情報が伝えられると有益でしょう。

弁護士相談の際に伝えるべき情報

1.事件の内容
2.認否
3.考えられる証拠
4.呼び出しを受けた際の問答
5.要望(目指す結果)

弁護士への相談に際しては,刑事事件に精通し,刑事弁護に長けた法律事務所を選択の上,十分な回答が得られるまで弁護士探しを粘り強く行うことをお勧めします。
また,信頼に足りる弁護士が見つかった場合には,具体的な弁護活動の委任も積極的に検討することが有益です。不同意性交等罪の場合,弁護活動によって望ましい結果が引き出せれば,刑事処分などの不利益を最小限に抑えられる可能性もあります。

ポイント
重大事件のため,対応方針は慎重な検討が適切
信頼できる弁護士探しの上,相談や依頼を積極的に行う

③否認事件の初期対応

否認事件の場合,呼び出しを受けること自体が納得できず,捜査協力に時間や労力を割きたくないという思いが生じることもやむを得ません。もっとも,否認事件であっても,適切な初期対応を行い,呼び出しに正しく応じることには複数のメリットがあります。

まず,被疑事実の詳細や証拠構造を把握できる可能性があります。被疑事実とは,行ったと疑われている具体的な行為の内容です。いつ,どこで,何をしたと疑われているのかを把握するのは,適切な対応の出発点と言えます。
また,客観的な証拠があるかないか,客観的な証拠があるとしてそれは何を立証できる内容のものなのか,といった証拠構造を把握できる可能性もあります。証拠構造が分かれば,立証の困難な点が何か,ということを的確に把握することも可能です。

更に,相手方の言い分を知る機会になる可能性もあります。否認事件の場合,捜査機関は相手の一方的な言い分を足がかりに捜査している可能性が非常に高いため,捜査機関との問答を通じて,相手がどんな被害を受けたと主張しているのか,逆に何を伝えていないのか,といった点を把握することもできるでしょう。

否認事件の場合,呼び出しを情報獲得のチャンスと考え,対応することが有益になり得ます。

ポイント
被疑事実や証拠構造を把握する機会になり得る
相手の言い分を詳細に知るチャンスでもある

不同意性交等罪の呼び出しに応じると逮捕されるか

不同意性交等罪の場合,逮捕目的で呼び出しを行うケースはあまり見られません。そのため,呼び出しに応じることで逮捕される,ということは考えにくいでしょう。
捜査機関が逮捕を行うつもりであれば,呼び出すことなく,逮捕状を得た上で自宅などに訪れる方が一般的です。捜査機関のペースで,ほぼ確実に逮捕を執行できるためです。

そのため,呼び出しに応じることで逮捕される,という懸念は通常必要ありませんが,呼び出しへの対応次第では逮捕のリスクを高める可能性があることに注意が必要でしょう。度重なる呼び出しへの十分対応が得られない等,被疑者による捜査妨害の恐れがあると考えられる場合には,そのことが逮捕の引き金になる場合も少なくありません。
呼び出しで済んだと油断するのでなく,その後も逮捕せず引き続き呼び出し続ければよい,との判断をしてもらえるよう,適切な対応を尽くすことをお勧めします。

ポイント
逮捕目的での呼び出しはあまりない
もっとも,呼び出しへの対応が不適切である場合,逮捕の引き金になり得る

不同意性交等罪で警察が呼び出すタイミングや方法

①事情聴取

不同意性交等罪での呼び出しは,事件の内容について事情を聴取する目的であることが一般的です。一方の当事者から聞いた話を元に,もう一方の当事者からも話を聞くことで,犯罪事実の有無を捜査する,という流れになります。

事情聴取目的での呼び出しは,相手方当事者が警察に相談などした後,比較的早期に行われる場合が多いでしょう。不同意性交等罪で呼び出しの形が取られる場合,客観的証拠がないか不十分であるケースが多いため,客観的証拠の捜査に長い時間をかけるよりは,とりあえずもう一方の当事者も呼んで話を聞く,という捜査手法が多く見られるところです。

呼び出し方法は電話連絡が一般的でしょう。

②証拠品の提出

当日の着衣や連絡に用いた携帯電話など,証拠となり得る物品の提出を求めるために,呼び出して出頭してもらうという場合があります。物品を提出すると,「領置」という手続で捜査機関の手に渡り,捜査の必要が終了した段階で還付(=返却)されることになります。

呼び出しを行う事件で証拠品の提出を求める場合は,初回の呼び出しの際に,話の内容を踏まえて,提出を求める証拠の内容と提出日を決定することが多いでしょう。そのようなケースでは,呼び出しに応じて出頭した日から1週間以内くらいのタイミングになる場合が多く見られます。

③写真撮影・指紋採取

捜査の対象となった場合,警察にて写真の撮影や指紋採取を求められることが一般的です。これは,将来の他の事件も含めた捜査の円滑化のため,今回の事件で必要かどうかにかかわらず広く行われているものです。

この写真撮影や指紋採取は,強制される手続ではなく,拒んでも具体的な不利益が生じるものではありません。もっとも,理由なく断るメリットにも乏しいため,特段の理由がない限りは淡々と応じる方が有益でしょう。

写真撮影や指紋採取の手続は,一通りの取り調べが終了した後に行われることが通常です。取調べが一段落した段階で,その日のうちに行うか,次回に行うための日程調整を行うか,という流れになることが多いでしょう。

不同意性交等罪の呼び出しに応じたときの注意点

①対応を怠らない

呼び出しに対しては,逮捕回避を重要な目標とすることが賢明ですが,対応自体を怠ることや必要な返答をしないことは,逮捕回避の観点からは最も避けるべきことと言えます。
呼び出しても必要な対応をしてもらえず,返答を求めても返答してくれない,となれば,対応を強制するために逮捕を選択する,という判断につながりかねません。

呼び出しを受けた場合は,まず連絡に応答すること,返答を求められたら返答することなど,対応を怠らない姿勢を保つようにしましょう。

②相手への接触を疑われないよう努める

不同意性交等罪の場合,当事者間の接触が非常に強く懸念されることがあります。特に,従前から交友関係があったなど,相手に接触する手段や情報を持ち合わせている場合には,捜査の開始をきっかけに,加害者とされた側が被害者とされる側への接触を試みる可能性があり得ると考えられやすいでしょう。
そして,相手に接触する恐れがあると評価された場合,それが逮捕の理由になる可能性も否定できません。

そのため,呼び出しを受けたり呼び出しに応じて出頭したりした際には,相手に接触する意思が全くないことを明確に意思表明していく方針が有力です。相手と話し合いたい,言い分を伝えたいなど,相手への接触が懸念されるような内容を捜査機関に告げるメリットはない,という点に注意することをお勧めします。

③取り調べへの対応方針

呼び出し後は取調べの実施が想定されます。そのため,どこまでの事実を話すのか,想定される質問には何と回答するのか,余罪がある場合には話すのか話さないのかなど,取調べを受けた際の対応方針は事前に検討しておくべきでしょう。

特に,否認事件の場合,争点に応じた適切な取り調べ対応が重要となります。中でも故意が争点になるケースでは,どの時点でどのような意思であったか,というように時系列に沿った説明をすべき場合もあるため,より綿密な事前準備が適切です。

取調べへの具体的な対応方針については,刑事事件に精通した弁護士と十分に協議し,あらかじめ明確にしておくことをお勧めします。

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【不同意性交等事件の不起訴処分】どうすれば不起訴処分になる?不起訴処分にならないとどうなる?

このページでは,不同意性交等罪の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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不同意性交等罪で不起訴を目指す方法

①犯罪事実が存在しない場合

疑われている犯罪事実が存在しないにもかかわらず,警察等の捜査を受けている場合には,捜査の結果,犯罪が立証できないとの結論に至ってもらう,という方法で不起訴を目指すのが適切です。

不同意性交等罪の場合,事件の内容が重大であって,被害者が深刻な被害を被っている可能性があるため,犯罪捜査は隅々まで十分に行われることが一般的です。一方で,刑罰が科される場合の刑の程度も重く,否認事件となれば誤って起訴した場合の問題が非常に大きくなってしまうため,本当に犯罪が立証できるのか,という点は慎重な判断を要するポイントです。

そのため,犯罪事実が存在しない場合には,自分の犯罪など存在しない,というスタンスを明確に表明することで,捜査機関の慎重な判断を促しましょう。あわせて,犯罪事実が存在しないことを裏付ける事情や証拠が存在する場合には,その内容を明らかにすることでスムーズな不起訴処分につながりやすくなります。

ポイント
犯罪事実が存在しないとの主張を表明し,慎重な判断を促す
主張の根拠となる事情や証拠があれば,明らかにする

②犯罪事実が存在する場合

犯罪事実が存在する場合,漫然と対応していると不起訴処分を目指すことは困難です。不同意性交等罪ほどの重大事件となると,犯罪事実が存在しないにもかかわらず不起訴処分とする,というのは例外的な場合に限られます。

そして,不起訴処分となる例外的な場合の代表例が,被害者との間で示談が成立した場合です。当事者間で示談が成立し,被害者が不起訴を希望するに至った場合,捜査機関としては被害者の意思を尊重して不起訴処分とする可能性が非常に高くなります。

なお,示談以外の方法であっても,被害者が不起訴を希望するのであれば,その意思を踏まえて不起訴となることは十分に考えられます。被害者が考えを改め,自ら不起訴を希望するとなった場合でも,同様に不起訴処分が見込まれやすくなるでしょう。
もっとも,現実的には,示談以外の方法で後から被害者が不起訴を希望するようになる可能性は考えにくいと言わざるを得ません。不同意性交等罪のように,被害者が非常に深刻な損害を被っているとなればなおさらです。

犯罪事実が間違いなく存在し,その事件について不起訴処分を獲得したいという場合は,被害者との示談を全力で目指すことをお勧めします。

ポイント
被害者が不起訴を希望しない限りは起訴される
示談によって被害者に不起訴を希望してもらうことを目指す必要

③相手方と連絡を取る手段がある場合

当事者間に継続的な交友関係などがあり,相手方と連絡を取る手段があるのであれば,捜査が開始されるよりも前に当事者間で解決することを目指す手段も有力です。
捜査が開始される前に当事者間で事件が解決できれば,その後に捜査が開始されることがなくなるため,起訴される可能性もなくなります。

ただし,当事者間での事前の解決を目指す場合には,相手が明らかに了承している場合を除き,当事者同士で直接連絡を取ることは控えるのが適切です。連絡先を把握していたとしても,いきなり当事者間で連絡をしようとすれば,かえって被害者の感情面に悪影響を及ぼし,解決の可能性を低下させてしまいかねません。
連絡を試みる方法としては,以下のような手段が一案です。

相手方と連絡を取る方法

1.事情を把握しており,双方と連絡を取れる第三者を挟む
→共通の知人,職場の上司など

2.利害関係のない代理人を通じて連絡を試みる
→弁護士など

不同意性交等罪で不起訴になる可能性

①犯罪事実が立証できず不起訴になる可能性

否認事件の場合,不起訴を目指す手段は犯罪事実の立証ができない,という結論に至ってもらうこととなりますが,犯罪事実が立証できず不起訴になるという可能性は,証拠関係によっては十分に考えられるでしょう。

例えば,犯人を特定することのできる客観的な証拠がなく,犯人の特定は被害者の供述のみを頼りに行わなければならない場合,犯人を間違いないと言える程度に特定することは非常に困難です。被害者は,異常事態に遭遇している以上,冷静に正確な記憶をすることは期待できず,人違いであるという可能性がないと言い切るのは不可能に近いことも少なくないでしょう。
また,行ったとされる具体的な行動についても,客観的な証拠によって裏付けることができず,被害者の供述だけから立証をせざるを得ないケースがあり得ます。当然ながら,犯罪行為をしたことが立証できなければ起訴はできませんが,やはり被害者の供述だけを根拠にその行為がなされた,という立証では不十分となりやすいでしょう。

一般的に,犯罪事実を裏付ける客観的な証拠に乏しい場合には,不起訴の可能性がより高くなる傾向にあると言えます。

ポイント
不起訴の可能性は証拠関係による
客観的な証拠に乏しい場合は,不起訴の可能性が高くなる

②犯罪事実が立証できるが不起訴になる可能性

犯罪事実が立証できるにもかかわらず不起訴になるケースは,当事者間で示談が成立し,被害者の許しが得られた,という場合がほとんどです。

逆に,被害者の許しが得られ,被害者が不起訴を希望する,という判断に至った場合は,これに反して起訴されることはあまりありません。不同意性交等罪の事件では,被害内容に関する被害者の供述が非常に重要な証拠となりますが,被害者が不起訴を希望しているのに起訴をし,裁判に対する被害者の協力が得られなくなってしまうと,犯罪を立証するに足りる証拠が揃わなくなる可能性があるためです。また,被害者の名誉を守るためにも,公開の法廷で被害者の性犯罪被害を明らかにするためには被害者の了承が必要である,との考えもあるところです。

ポイント
犯罪事実が立証される事件の不起訴は,示談にかかっている

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

不同意性交等罪で不起訴を目指す場合の注意点

①起訴されると実刑判決が見込まれる

不同意性交等罪は,その刑罰が「5年以上の有期拘禁刑」と定められています。
一般的な刑罰としては,軽微なものから順に「罰金」「執行猶予」「実刑」の3種類が設けられていますが,不同意性交等罪には罰金刑の定めがないため,最も軽微な罰金刑にとどまる余地はありません。また,執行猶予は,3年以下の懲役(拘禁)刑の場合にしかつけられないため,短期が5年とされている不同意性交等罪では原則として付けることができません。
そうすると,不同意性交等罪で起訴された場合,基本的には実刑判決が見込まれることとなります。実刑判決となった場合,刑務所に収容させられ,一定期間刑務所での生活を強いられることとなります。

刑事罰の種類

不同意性交等罪であっても,例外的に執行猶予の対象となる可能性はあり得ますが,原則として実刑判決が見込まれる事件類型であるということは注意しておいて損のない点でしょう。

②示談金が高額になりやすい

不同意性交等罪で示談を目指す場合,被害者に生じたダメージが非常に大きいことから,示談金が高額になりやすい傾向にあります。被害者の意に反して性行為に及んだ,という事実に争いのないケースであれば,数百万円の示談金が発生することも決して少なくありません。個別の事情によっては,千万円単位の示談金が発生する場合も十分に考えられます。

不同意性交等罪の事件では,示談が成立すれば不起訴が見込まれやすく,不起訴ならば刑務所に入る必要もなくなることから,示談の価値が非常に高いです。そのため,示談を目指したいとなることが多数ではありますが,一方でその示談のために生じる経済的な負担が大きくなりやすいことも,注意をしておくことが望ましいでしょう。

③初犯や反省を理由にした不起訴の可能性

刑事事件の場合,前科がある人より初犯(前科がない場合)の方が,刑事処分が軽微になる傾向にあります。また,真摯な反省の態度が見られる場合は,そうでない場合に比べて刑事処分が軽減しやすいところです。比較的違法性の小さい事件であれば,初犯であることや真摯な反省があることを踏まえて不起訴処分とされる場合もあり得ます。

しかし,不同意性交等罪の事件では,初犯であることや真摯な反省があることを理由に不起訴処分となる可能性には期待できません。不同意性交等罪が成立するのであれば,初犯であっても反省をしていても,起訴するほかない場合がほとんどでしょう。

初犯や反省といった事情は,不同意性交等罪で不起訴を獲得するための事情としてはあまりに弱すぎます。そのため,初犯であるから,反省しているから,という理由での不起訴の可能性はない,と理解すべきことに注意しましょう。

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不同意性交等事件で弁護士に相談するメリット4選|弁護士の選び方や費用なども解説

不同意性交に該当するかもしれない行為をしてしまい、「もしかして罪に問われるのではないか」「警察から呼び出されたらどうすればいいのか」と不安を感じている方は少なくありません。

特に相手が明確に拒否していたわけではないが同意があったとも言えない状況だった場合、自分の行為がどのように扱われるのか判断が難しいため、弁護士への相談がおすすめです。

そこで本記事では、不同意性交等事件で弁護士に相談するメリットや事務所の選び方、費用相場などを詳しく解説します。

藤垣法律事務所は、500件を超えるさまざまな刑事事件に携わった実績ある弁護士が在籍しており、不同意性交に関する事件の解決実績もあります。

大宮エリアや埼玉県を中心に、事件解決に向けて迅速に動き不利な状況にならないためにも適切な対策を講じるよう、努めておりますので、ぜひ下記からご連絡ください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

不同意性交とは

不同意性交とは、相手の同意を得ずに性交を行う行為です。ここからは、主に以下2つの内容を深掘りしていきます。

  • 不同意性交に該当する行為
  • 不同意性交の罰則

ぜひ参考にしてください。

不同意性交に該当する行為

不同意性交に該当する行為とは、相手が明確に性交に同意しない、または拒否しているにもかかわらず、無理に性交を行うことです。

具体的には、相手が言葉や態度で拒否を示しているのに、強引に性交を行う行為が含まれます。

また、相手が酔っていたり、無意識状態にある場合も同意が無効となるため、そのような状況で性交を行うことも不同意性交に該当します。

さらに、物理的に抵抗できない状況や、相手が恐怖や脅しを感じている場合も、実質的な同意が得られていないと見なされ、これも犯罪として処罰されるため、注意が必要です。

不同意性交の罰則

相手の同意なしに性交を行う、または相手が同意できない状態で性交を行った場合、刑法第176条に基づき、不同意性交罪が適用されます。

刑法176条

前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

最低でも5年以上の有期懲役が科せられることが定められており、社会的な信用も失ってしまうでしょう。

不同意性交等事件で弁護士へ相談するメリット

①速やかな釈放のため

不同意性交等罪の事件では,早期釈放が困難な場合が多く見られますが,ケースによっては速やかな釈放を目指せる場合もあり得ます。もっとも,適切な弁護士選びをせず,漫然と諦めてしまっていると,早期釈放の可能性を見逃し,自らチャンスを手放すことになりかねません。

少しでも早く弁護士の専門的な意見を仰ぎ,正しい見通しのうえで適切な対応をするためには,弁護士を選ぶことが必要です。

捜査機関に釈放の判断を促すため協議を試みたり、身柄拘束を認めた裁判所への不服申立てを行ったりすることが有力な手段です。速やかな釈放のためには、これらの試みを少しでも早く行うことが肝要です。

②不起訴処分のため

不同意性交等罪の不起訴処分は,認め事件であれば示談の成立が条件となることがほとんどでしょう。そのため,不起訴処分を目指すためには,弁護士を依頼し,弁護士を通じて被害者との示談を目指す必要があります。逆に,弁護士がいなければ示談を試みることもできないため,弁護士に依頼して初めて,示談ができるかどうかのスタートラインに立つことができ,不起訴処分を獲得できる可能性が生じる,という言い方もできるでしょう。

不起訴処分を獲得できれば,実刑判決の可能性もなくなるため,不同意性交等罪で不起訴処分を目指すメリットは極めて大きなものです。不起訴の可能性がある限り,適切な弁護士を選ぶ必要は非常に大きいと考えるべきでしょう。

認め事件の場合は、被害者が存在する事件のため、被害者との示談によって不起訴処分を目指すことが非常に有力です。不同意性交等事件では、被害者との示談が成立すれば、基本的に不起訴処分となりやすい傾向にあります。

③刑罰軽減のため

不同意性交等罪のうち,刑罰が避けられない内容・状況の場合は,その刑罰をどれだけ軽減させられるかが重要な問題となります。仮に実刑判決を受けるとしても,その期間が1年違えば,社会復帰のタイミングにダイレクトな影響を与えることとなるためです。

刑罰の軽減を目指す場合,具体的な方法や内容は個別の事情を踏まえて決定する必要があるため,弁護士の専門的な判断が不可欠です。少しでも迅速な社会復帰を目指すため,弁護士選びの必要性は非常に高いでしょう。

被害者に対する示談の試みのほか、ご自身の反省、ご家族等の監督などを根拠に、再発防止が確実であるとの主張をしていく方針が有力です。また、取調べへの適切な対応方法についても、弁護士から個別にアドバイスをしてもらうことが有益でしょう。

④円滑な連絡のため

身柄事件の場合,逮捕勾留されたご本人は,自分で外部と連絡を取ることができません。電話を携帯することも認められないため,連絡を取るための手段は以下のような方法に限られます。

逮捕勾留中に外部と連絡を取る手段

1.手紙の送受
→数日~1週間ほどのタイムラグが避けられない

2.(一般)面会
→時間制限が厳しい。接見禁止の場合は面会自体ができない

3.弁護士の接見
→時間的制限なくコミュニケーションが可能

手紙の送受は現実的でなく,面会の時間制限の中で必要な連絡をすべて取ることも難しいため,ご本人と周囲との連絡には弁護士の接見を活用することが不可欠になりやすいでしょう。
身柄事件で必要な連絡を取り合うためには,弁護士への依頼が適切です

弁護士は、基本的に日時を問わず逮捕勾留中の方と接見ができるため、周囲の方との連絡の仲介をすることも可能です。弁護士以外との面会が認められない「接見等禁止決定」がある場合には、弁護士の接見が唯一の連絡方法になることも少なくありません。

不同意性交等事件で弁護士を選ぶタイミング

①自首を行うとき

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。捜査機関に犯罪事実自体が知られていない段階,又は犯罪事実が知られていてもその犯人が捜査機関に知られていない段階で,自分の犯した罪とその内容を自発的に申告した場合にのみ,自首が成立します。

不同意性交等罪に当たる事件は,非常に重大な事件類型とされているため,犯罪事実が発覚し,被疑者が特定された場合には,まず被疑者を逮捕することから想定することが通常です。不同意性交等罪の事件で逮捕をしないケースは,犯罪事実の証拠が不十分であるなど,特に逮捕を慎重に行うべき場合に限られるでしょう。
また,不同意性交等罪は,法定刑が5年以上の有期拘禁刑とされているため,原則として実刑判決の対象となるほどの重大な類型です。有罪判決となれば,基本的に刑務所への収容を覚悟する必要があります。
そのため,自首を行うことで,逮捕や実刑判決の回避を試みることは,非常に有力な選択肢と言えます。

もっとも,個別のケースで自首をすべきかどうか,自首をするとしてどのように行うか,という判断は,法律の専門家でない限り困難と言わざるを得ません。自首の効果を最大限に引き出すためにも,自首を行うときには適切な弁護士を選ぶべきと言えるでしょう。

ポイント
不同意性交等罪は逮捕や実刑判決が懸念される
自首によって逮捕や実刑判決を回避したい場合,弁護士選びが重要

②逮捕されたとき

不同意性交等罪の事件は,逮捕を伴う捜査が非常に多く見られます。裏を返せば,逮捕されると終わり,というものではなく,逮捕はあくまで出発点であって,逮捕後の対応次第でその後の進行や最終的な処分が大きく変わる可能性がある,ということでもあります。
そのため,逮捕されたときは,その後の対応をより慎重に,具体的に検討すべき局面であると言えるでしょう。

この点,逮捕後の対応を万全にするためには,やはり弁護士の助力を得ることが適切です。逮捕後の対応に精通した弁護士を選び,弁護士から適切な案内やサポートを得ることができれば,逮捕後の手続や最終的な刑事処分が好転する可能性が非常に高くなります。

ポイント
不同意性交等罪の場合,逮捕が手続の出発点になりやすい
逮捕後速やかに適切な弁護士を選ぶことができれば,事態が好転しやすくなる

③示談を試みるとき

不同意性交等罪は,被害者のいる事件類型であるため,刑事処分に際しては被害者の意向が強く反映されやすい傾向にあります。被害者が起訴を望めば起訴されやすく,逆に被害者が不起訴を希望した場合,プライバシーへの配慮を要することもあってこれに反する起訴は困難なことがほとんどです。
そして,一度捜査機関に被害申告をした被害者が,その後になって起訴を望まないとの意向に変わるのは,当事者間で示談が成立した場合であることがほとんどです。具体的には,加害者側から適切な謝罪や賠償などを得ることで,刑事処分までは望まないとの判断に至る,という流れになります。

もっとも,加害者側が被害者との示談を目指す場合,弁護士を間に挟んで行うことが不可欠です。示談を試みるためには,弁護士を介して捜査機関に連絡し,被害者と弁護士との間での連絡を始めてもらう必要があるためです。

示談交渉の流れ

そのため,被害者との示談を試みるときには,弁護士選びをすべきタイミングと言えるでしょう。また,刑事事件の示談に長けているかどうか,という点は個々の弁護士によって大きく異なるため,どの弁護士を選ぶのかも非常に重要なポイントとなります。

ポイント
不同意性交等罪で不起訴を目指すには示談が必要
示談には弁護士を要するが,示談に精通しているかは弁護士により異なる

④起訴されたとき

不同意性交等罪の事件では,起訴が避けられないことも珍しくありません。特に,犯罪事実が明らかな認め事件であって,被害者が起訴を望むのであれば,起訴されることを覚悟する必要があります。
そして,不同意性交等罪で起訴されると,実刑判決を想定する必要があります。実刑判決を免れられるのは,例外的な法律の条件を満たした場合に限られるところです。

そのため,起訴後の対応は,弁護活動に精通した弁護士を通じて適切に行うことで,可能な限り実刑判決を回避する試みを行うべきでしょう。起訴された段階は,適切な弁護士を選ぶべき重要なタイミングと言えます。

ポイント
不同意性交等罪は実刑判決が見込まれやすい
適切な起訴後の弁護活動で実刑判決の回避を目指す必要がある

不同意性交等事件の弁護士を選ぶ基準

①弁護士の専門分野とズレがないか

弁護士には,それぞれ専門としている分野のあることが通常です。いわゆる「民事事件」と「刑事事件」の区別が代表的ですが,弁護士によっては,民事事件をほとんどしていない,逆に刑事事件をしたことがない,という場合も決して珍しくありません。
もっとも,不同意性交等罪の事件では,対応方針を誤った場合の不利益が実刑判決という非常に重大なものになってしまうため,専門性のない弁護士に依頼することは極めてリスクの大きな行為と考えることが適切です。

不同意性交等罪の事件で弁護士を選ぶ場合には,まずその弁護士の取り扱う専門分野に刑事弁護が含まれているか,実際に専門的対応を行った経験があるか,という点を重要な基準とすることをお勧めします。

②スピーディーな対応ができるか

不同意性交等罪の事件は,身柄拘束が伴いやすいところ,刑事事件の身柄拘束には厳格な時間制限のルールが設けられています。そのため,弁護活動は,時間制限に配慮したスピーディーなものであることが必要です。基本的に,必要な対応を数日後に行うというのでは手遅れですし,場合によってはその日のうちに行っても間に合わない手続すらあり得ます。

そのため,弁護士を選ぶ際には,対応の迅速さが確実に見込めるか,という点を基準とすることが有力です。身柄事件の場合には,どのようなスケジュールで接見をしてくれるか,ということを具体的な目安にしてみるとよいかもしれません。

③手続や処分の見通しを説明してくれるか

刑事事件の弁護活動は,その後の流れに関する正確な見通しを踏まえて行う必要があります。見通しが悲観的なものであれば,その見通しを好転させる手段の有無や具体的な弁護活動を考え,依頼者側へ案内する必要がありますし,見通しが良好となった場合にはその旨を依頼者の方へ案内するなどして,安心感ある進行に努める必要があります。
そのため,弁護士の重要な対応の一つとして,事件の見通しに関する説明を欠かすことができません。

弁護士選びに際しては,弁護士が今後の手続や処分の見通しを十分に説明してくれるか,という点を重要な判断材料とすることが有力です。見通しの説明が十分でない場合,必要な説明が尽くされていないと言わざるを得ませんが,単に説明を欠いているのみならず,見通しが持てていない可能性もあるため,注意が必要です。

④弁護士費用の見通しが明確か

不同意性交等罪の事件は,身柄拘束の期間が長くなりやすいため,その分必要な弁護活動も多くなりやすい傾向にあります。そして,必要な弁護活動が多くなれば,その分弁護士費用も高額にならざるを得ません。
弁護士選びに際しては,弁護士費用の検討が不可欠ですが,その弁護士費用があまりに大きくなると,経済的な理由で依頼が困難になる可能性もあり得るでしょう。

そのため,弁護士としても,不同意性交等罪のような事件では,発生し得る弁護士費用について慎重な案内を要するところです。逆に,想定される弁護士費用の金額に触れてこない場合,依頼は慎重に考える必要があります。

なお,費用に関する弁護士側の案内は,どうしても幅のある内容にはならざるを得ないでしょう。「費用が高くつく場合にはこのくらいの金額があり得る」など,ざっくりとした内容であっても極力具体的に指摘してくれるかどうかは,弁護士選びの基準の一つとすることが有力です。

不同意性交等事件における弁護士選びの準備

①事件の経緯や状況をまとめる

弁護士選びを適切に行うためには,相談相手の弁護士に事件の内容を正確に把握してもらうことが必要となります。そのため,事件の具体的内容は整理して伝えられるようまとめることが有益でしょう。

弁護士が事件の内容の一部を把握しているかいないかで,アドバイスの内容が大きく変わる場合も否定できません。弁護士に誤解が生じることを防ぐため,起きた出来事を漏れなく伝える用意をしておくとよいでしょう。

②悩みや迷いをまとめる

弁護士への相談や依頼に当たっては,弁護士との間で問題意識にズレのないことが重要です。例えば,自分は早期釈放の可能性や方法があるか分からず悩んでいるのに,弁護士側は早期釈放ができないことを前提にその他の話に終始していれば,本当に知りたいことを知ることができないままになってしまいます。実際に早期釈放が難しいとしても,その事実を早期に知ることができれば,弁護士選びの軌道修正もそれだけ早くすることが可能です。

そのため,悩んでいることや迷っていること,弁護士に実現してほしいことなどをできるだけ簡潔にまとめ,弁護士に把握してもらえるよう準備することが望ましいでしょう。
弁護士が依頼者側の希望を正確に把握できれば,弁護士からの案内は依頼者側にとってより有益なものになるでしょう。不同意性交等罪のような重大事件では,依頼によって実現できることとできないことを整理することはより重要になりやすいです。

③早期に相談予約をする

不同意性交等罪の事件は,特に身柄拘束が伴っている場合,手続が進んでしまう前に,早期に弁護活動を開始することが重要になりやすいでしょう。既に行われた手続が,後からなかったことになる可能性がないためです。

そのため,弁護士選びもできる限り早く行う必要があります。まずは,一度早期に相談予約をして,弁護士と相談をする機会を設けるようにしましょう。一度相談をしてみれば,その後に行うべきことがはっきりとわかることも少なくありません。

不同意性交事件で弁護士に依頼する際の費用相場

不同意性交事件において弁護士に依頼する際の費用相場は、依頼する内容によって異なります。

加害者側が刑事弁護を依頼する場合、初回接見料として3万円〜5万円程度、正式な弁護活動の着手金としては30万円〜50万円ほどが目安です。

また、示談成立に伴う報酬金や不起訴・執行猶予などの成果に応じて、別途30万円〜100万円程度が報酬として発生する場合もあります。

トータルで100万円以上かかるケースも少なくありません。詳しくは依頼を検討している弁護士事務所へ相談してみてください。

弊所の基本的な弁護士費用は,着手金33万円,不起訴処分となった場合の成功報酬33万円です。

不同意性交等事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①本人が動く必要

不同意性交等罪の弁護士選びは,基本的に当事者本人の意思に沿って行うことが必要です。なぜなら,不同意性交等罪の事件で重要な示談に際して,示談条件を決定するためには本人の意思が不可欠であるためです。
示談は,当事者間の合意とならざるを得ないため,相手方の要求を本人が受け入れられるのか,場合によっては約束違反に対するペナルティを受け入れてでも合意していいのか,という判断が必要です。これらの判断は,本人の意思確認なしで行うわけにいかず,弁護士は本人の意思を踏まえて示談交渉を実施する必要があります。

そのため,弁護士選びに際しては,本人が検討をする必要がある点に注意しましょう。
なお,本人が身柄拘束を受けているなど,本人が動けない場合には,近親者による弁護士選びとなっても問題はありません。その場合は,弁護士が接見を行って直接本人の意思を確認しながら,弁護活動を進めていくことが可能です。

②身柄事件となる可能性

不同意性交等罪の事件は,逮捕や勾留を伴ういわゆる身柄事件となる可能性が非常に高い点に注意が不可欠です。

この点,身柄事件では,弁護士が接見を行って当事者本人と意思疎通を図る必要があるため,弁護士が機動的に対応できる必要があります。また,ご家族等の関係者に分かることやできることに限りが生じやすいため,周囲の人は弁護士と十分にコミュニケーションを取り,弁護士を通じて情報収集や見通しの把握を行うことになります。逆に,弁護士側に必要な情報を提供し,弁護士の判断に役立ててもらうことも必要です。

弁護士選びに際しては,このような身柄事件に特有の動き方を踏まえ,動きを進めるに際して十分な信頼関係を持てる弁護士に依頼することが望ましいでしょう。
弁護士に連絡することを過度に躊躇してしまう,弁護士からの連絡がなかなかなくてイライラしてしまう,といった状況は,不適切と考えるべきです。

③示談時の経済的負担

不同意性交等罪の事件では,示談による解決が非常に重要なポイントとなりますが,示談には示談金等の経済的負担が必要となります。そして,被害の程度が大きい不同意性交等罪では,示談金等の金銭面の負担が非常に大きくなりやすい傾向にある,という点に注意が必要です。

例えば,相手の合意がないことが明らかな状況で,相手の意思に反して性交をしたような事件では,300~500万円といった高額の示談金で合意することも決して珍しくありません。個別のケースや当事者の経済状況によっては,より高額なお話になる可能性もあり得ます。
また,示談条件として,転居や退職など,その後の生活の経済面に直接の影響を及ぼす合意を求められる場合も少なくはありません。示談金の負担に加え,示談内容を守るための負担も無視できないところです。

不同意性交等罪では,弁護士に依頼して示談を試みるべきことが多いですが,その際の経済的負担にはあらかじめ注意しておくことが適切でしょう。

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不同意わいせつ事件で自首が成立するための方法は?自首のメリットは?

このページでは,不同意わいせつ事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

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不同意わいせつ事件で自首をするべき場合

①逮捕が想定される事件内容の場合

不同意わいせつ事件は,捜査に際して逮捕される場合が非常に多い事件類型です。特に,以下のようなケースでは逮捕を伴う捜査が想定されやすいでしょう。

逮捕が想定されやすい主なケース

1.同種事件の再発が懸念される
→夜間の路上で面識のない相手に行われたわいせつ事件など

2.わいせつ行為(=被害)の程度が著しい
→着衣の中に手を差し入れているなど

3.同一の被害者に対する繰り返し
→一人の被害者に狙いを定めて複数回行われた事件など

4.被害者の同意があり得ない
→交際関係がない,被害者の同意を推測させる事情がないなど

このように,特に逮捕が見込まれる事件内容の場合,逮捕を回避する手段として自首を行うべきであると考えられます。自首は,逮捕が懸念される事件で先手を打って行うことで,逮捕を防止する結果を期待してなされることが主な活用法になります。

ポイント
不同意わいせつ事件は逮捕される場合が多い
逮捕が懸念されやすい内容の場合には,先手を打って自首し,逮捕回避を目指す

②反省の意思を強く表明したい場合

不同意わいせつ事件の刑事処分は,重大なものになることも珍しくありません。特に,不同意わいせつ罪には罰金刑の定めがないため,刑罰の中で最も軽微な罰金刑の対象となる可能性が法的にない,という点に大きな特徴があります。
この場合,刑罰の内容は「執行猶予」又は「実刑」となりますが,執行猶予は刑務所に入る必要がなく,実刑は刑務所への収容を強いられる,という極めて大きな差があるため,何としても執行猶予を目指したい,という動き方になるケースはとても多いでしょう。

刑事罰の種類

この点,執行猶予と実刑を区別する判断基準の一つとして,反省の有無や程度という点が挙げられます。当然ながら,深い反省が見られる場合の方が,執行猶予を獲得できる可能性が高くなります。
そして,深い反省を積極的に表明したい場合の有力な手段が,自首です。自首をしている場合,真摯に反省を深めていると評価してもらえる可能性が非常に高くなり,実刑を回避して執行猶予を獲得するための非常に大きな材料となることが見込まれやすいでしょう。

ポイント
不同意わいせつ事件の刑罰は,執行猶予か実刑。罰金がない。
自首により深い反省を示すことで,執行猶予が実現しやすくなる

③事件が捜査されていると分かった場合

自首の大きな目的は,逮捕の回避や刑事処分の軽減ですが,これらは事件の捜査が開始されていることが前提となります。捜査が行われていなければ,逮捕される余地はなく,刑事処分を受ける可能性もありません。

一方,不同意わいせつ事件の場合,捜査が開始されているとなれば,被疑者が特定され次第逮捕されやすく,犯罪事実が立証されれば刑事処分を覚悟する必要があります。そのため,自分の不同意わいせつ事件について,捜査機関による捜査が行われていると分かった場合,自首の検討が非常に重要となるでしょう。

事件が捜査されていることを早期に把握するのは容易ではありませんが,把握できた場合には,その機会を有効に活かすため自首を検討するのが適切です。

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

不同意わいせつ事件の自首は弁護士に依頼すべきか

不同意わいせつ事件で自首を試みる際は,弁護士に依頼し,弁護士と協同して進めることが望ましいでしょう。具体的な理由としては,以下の点が挙げられます。

①逮捕回避の可能性が高くなる

自首は,逮捕を回避することがその重要な目的の一つです。特に,不同意わいせつ事件は逮捕の恐れが大きくなりやすいため,自首によって逮捕を防ぐ利益が大きな事件類型ということもできます。
もっとも,自首の方法を誤れば,自首による逮捕回避の効果は十分に発揮されず,せっかく自首をしたにもかかわらず不利益の方が際立つ結果にもなりかねません。

この点,弁護士に依頼することで,逮捕回避のために適切な方法で自首を進めることが可能になります。その結果,自首による逮捕回避の可能性がより高くなるということができるでしょう。
自首はリスクも大きい行動であるため,そのメリットを十分に受けられるよう,万全の方法で行うことを強くお勧めします。

②自首後の手続の流れを把握できる

自首を行う場合の懸念点として,自首をした後に自分がどうなるのか,どのような取り扱いを受けるのか,という点が挙げられます。自首をした場合に自分が受ける取り扱いを想像できないと,自首に踏み切ることも容易ではありません。

この点,弁護士に依頼した場合には,自首後の手続の流れについても弁護士から詳細に案内を得ることが可能です。あわせて,自首後の手続に際してどのような対応を取るのが適切か,という点についても,弁護士の専門的な見解を踏まえて適切な判断をすることが容易になります。
弁護士に依頼をすれば,自首前後を含めた手続の全体像を把握した上で,はっきりと目標やゴールをイメージしながら進めることが可能になるでしょう。

③適切な自首の方法が分かる

自首を行うにあたって,どのような内容を話すべきかという点は判断の難しい点です。何を話して,何を話さないのか,という判断は,法律の専門家である弁護士の意見を仰いだ上で行うことが適切です。
特に,複数の不同意わいせつ事件に関与しており,いわゆる余罪が存在する場合には,どの事件について話をするのか,どこまで具体的な話をするのか,という問題がより複雑になります。むやみに余罪を伏せようとしても,証拠隠滅の恐れがあると判断されれば自首の効果は半減しますし,言わなくていいことまで話してしまうと,不要だったはずの捜査まで招く可能性があります。

弁護士に依頼し,弁護士の意見を踏まえて自首を行うことで,適切な方法・内容で自首を行うことが可能になるでしょう。また,警察との必要な事前連絡などを弁護士に代わってもらうことで,やり取りの負担を軽減しつつ適切な自首をすることにもつながります。

④示談に着手できる

不同意わいせつ事件で自首をする場合,その後には示談の試みを行うのが適切です。
被害者との間で示談が成立し,被害者の許しが得られるか,という点は,不同意わいせつ罪の刑事処分の結果に決定的な影響を及ぼしやすいためです。

この点,弁護士に依頼をすることで,弁護士を通じて示談の試みに速やかに着手することが可能です。弁護士がいなければ示談交渉自体を試みることができないため,示談を目指せるかどうか,という点は弁護士の有無による非常に大きな差異と言えるでしょう。

自首を試みる場合であれば,セットで被害者への示談を目指すことが有益です。いずれにしても弁護士を要する以上,早期に弁護士へ依頼し,少しでも早く示談に着手するのが適切と言えます。

不同意わいせつ事件で自首をする場合の注意点

①逮捕が避けられない可能性

不同意わいせつ事件は,逮捕のリスクがつきまといやすい事件類型であり,自首を試みたから確実に逮捕が避けられる,というものではありません。特に重大事件と評価される内容であれば,自首をしてもしなくても逮捕は避けられない,という可能性はあり得ます。
そのため,不同意わいせつ事件の自首では,逮捕を避けられない可能性に留意することが適切でしょう。

もっとも,逮捕を避けられないから自首に意味が無い,というのは間違いです。仮に逮捕を避けられなかったとしても,身柄拘束の期間を短くする要因になる可能性もありますし,最終的な刑事処分を軽減させる効果を期待することもできます。
逮捕が見込まれる状況であったとしても,自首が有力な手段であることは間違いないでしょう。

②起訴が避けられない可能性

不同意わいせつ事件の場合,その重大性を踏まえ,自首をした場合でも不起訴処分には至らず,起訴が避けられない可能性に注意が必要です。
特に,被害者から示談が拒否され,被害者との間で示談が成立しなかった場合には,不起訴処分が困難になりやすいところです。示談を拒否する被害者としては,起訴を望むという心情であることが見込まれるため,やむを得ないところでもあります。

もっとも,示談が成立した場合に,その後起訴されるということは通常ありません。そのため,自首によって被害者側にも誠意を示し,示談成立の足掛かりにするという方針は非常に有力でしょう。
その意味でも,不同意わいせつ事件の起訴を避ける手段として自首の試みは有力と言えます。

③準備すべきもの

不同意わいせつ事件で自首を行う場合は,以下のような準備が望ましいところです。

1.取り調べ対応の準備

自首後は取調べの実施が見込まれるため,取調べに際して話すべき内容や伝えるべきことは十分に準備し,適切な取り調べ対応を尽くすことが適切です。

2.逮捕に備えた物品の準備

自首を行っても逮捕が避けられなかった場合に備え,現金や着替えの準備を念のため行っておくことが適切です。
現金は,留置施設内で洗面用具や食料品などを購入するために必要となりやすいものです。また,留置施設では洗濯の頻度に限りがあるため,着替えの用意が望ましいでしょう。

なお,着替えについては,留置施設内での自傷・他傷を防ぐために詳細なルールが定められていることも多いので,実際に用意する着衣をどうするかは弁護士と十分に相談することをお勧めいたします。

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【不同意わいせつ事件での呼び出し】呼び出しを受けるタイミングや目的,適切な対応などを詳細解説

このページでは,不同意わいせつ事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
不同意わいせつ事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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不同意わいせつ事件で呼び出された場合の対応法

①可能な限りの回答に努める

不同意わいせつ事件で呼び出しを受けた場合,事件の内容について事情を聴かれることが一般的です。そのため,事件の内容についてどのような回答を行うのか,ということは事前に適切な備えをしておくことが適切でしょう。

この点,問われたことには可能な限りの回答に努めることが望ましいです。問われたことに可能な限りの回答を尽くすことで,隠しごとをしていない,捜査への協力姿勢がある,といった理解をしてもらうことができ,逮捕の回避につながることが期待できるためです。

基本的にはすべての問いに対してありのままの回答を尽くすスタンスで差し支えありません。ただ場合によっては,あえて自分から話すべきではないことや,回答を工夫した方がいいこともあります。回答の具体的な内容が判断しかねるという場合には,弁護士への十分なご相談が適切でしょう。

ポイント
回答に努める姿勢により,逮捕の可能性が低下しやすい

②認否を明らかにする

不同意わいせつ事件は,一方当事者の主張のみを踏まえて捜査が開始されている場合も多く見られます。この場合,相手が事実でない内容の主張をしていると思われることもあり得るところです。
もちろん,相手の事実でない主張を踏まえて捜査が行われているのであれば,呼び出しに対しては,疑いの内容が事実でないことを早期に表明することが適切です。その意味で,自身の認否を明らかにすることは重要な対応の一つと言えます。

認め事件の場合,被害者の主張する犯罪事実が存在するという前提で捜査が進みますが,否認事件ではそうはいきません。否認事件の場合,一方の主張する犯罪事実が本当に存在するのか,その証拠はあるのか,ということを慎重に吟味する捜査が不可欠となります。
否認事件である場合には,その旨を捜査機関に把握してもらい,少なくとも相手の言い分のみを根拠に捜査を行うことは危険である,と理解してもらうことが賢明でしょう。捜査方針に影響するのみならず,最終的な刑事処分に決定的な影響を及ぼすことも珍しくはありません。

ポイント
否認事件の場合,早期に否認であることを捜査機関に把握させる
被害者の主張のみを根拠とすることは不適切であると理解させる

③特に弁護士へ相談すべきケース

呼び出しを受けた段階で,弁護士に対応方法を相談することは非常に有力です。呼び出し後,早期に適切な対応ができれば,その後の手続に際して有益であることは間違いないでしょう。

この点,特に弁護士へ相談や依頼をすべきケースとしては,以下のような場合が挙げられます。

特に弁護士へ相談すべき場合

1.認め事件の場合
→認め事件では,弁護士を通じて速やかに示談を試みるなど,弁護士に動きを依頼すべき事柄が多くなりやすいため,呼び出しを受けた段階で弁護士に相談や依頼をし,適切な弁護活動を開始してもらうメリットが大きいでしょう。

2.余罪の捜査が懸念される場合
→余罪があってその捜査が懸念される場合,捜査は長期化しやすく,刑事処分は重くなりやすい傾向にあります。そのため,呼び出しを受けた段階で速やかに弁護士を交え,短期間での解決や処分軽減のための弁護活動を依頼するメリットが大きくなりやすいでしょう。

呼び出しを受けているということは,その事件について捜査が具体的に開始されていることを意味します。捜査に対してどのような対応を取るべきかは,専門家である弁護士と十分に相談することを強くお勧めします。

不同意わいせつ事件の呼出に応じると逮捕されるか

不同意わいせつ事件の場合,呼び出しに応じると逮捕をされる,という関係にあることはあまり多くありません。逮捕目的で呼び出しを行うことが多くはない事件類型であるためです。

不同意わいせつ事件では,当事者間に密接な関係がある場合を除き,加害者側が被害者側の動向を把握することが困難です。そのため,加害者側にとって,被害者側が捜査機関に相談しているのか,捜査がどのような進捗状況かを把握している,という場合は少ないのが通常と言えます。
そうすると,逮捕をしたい=逃亡や証拠隠滅が懸念される事件の場合,呼び出しによってみすみす逃亡や証拠隠滅の機会を与えるのは得策とは理解されないことが一般的です。不同意わいせつ事件で逮捕をするのであれば,被疑者に捜査中であることを把握される前に,不意打ち的に逮捕を試みる方が合理的と考えられます。

もっとも,呼び出されたからその後逮捕されない,というわけではありません。呼び出しに対して不適切な対応を取っていれば,別途逮捕のリスクが上がる可能性は十分にあります。

不同意わいせつ事件で呼び出すタイミングや方法

①取調べ

不同意わいせつ事件における初回の呼び出しは,基本的に取調べ目的であることが見込まれます。相手方から被害申告を受けた後,もう一方の当事者からも話を聞くために呼び出す,という流れであることが一般的です。

呼び出しの時期としては,被害申告があった後,それほど期間を空けずに行われることが通常です。担当者からの電話連絡で呼び出しの旨を聞かされることになりやすいでしょう。

②実況見分

実況見分とは,事件の現場を確認し,書面等にまとめて証拠化する手続を言います。実況見分においては,当事者が立ち会いの上で,どこで何があったか,どのような位置関係であったかなどを指示説明し,書面に記載することが一般的です。
そのため,実況見分への立ち会いを求めるために呼び出しを受けることがあり得ます。

実況見分は,事件の内容について一通りの話を聞いた後に行われることが通常です。そのため,初回の呼び出しで行われるのではなく,2回目以降の機会であることが多いでしょう。
直前の出頭から1週間~1か月程度後が実施時期の主な目安になりやすいところです。呼び出しの方法は,出頭時に次回の予定として日程調整を求められるか,後日電話で日程調整を求められるかのいずれかであることがほとんどでしょう。

③押収物関係

不同意わいせつ事件では,事件当時の着衣や靴,当事者間の連絡に用いていた携帯電話などが押収の対象となりやすいです。そして,押収物はその捜査の必要が終了した段階で還付(=返却)されますが,還付のために呼び出しを受けることが考えられます。

押収物の還付は,捜査が一通り遂げられた後の段階であることが通常です。そのため,最後の取り調べの後,概ね1週間~1か月後頃が時期の目安でしょう。場合によっては,最後の取り調べの機会に,還付自体が行われる可能性もあります。そのケースでは,還付目的の呼び出しは行われないことになります。

不同意わいせつ事件の呼び出しに応じたときの注意点

①無視をしない

不同意わいせつ事件で呼び出しを受けたとき,最も避けるべき行動が「無視すること」です。無視することにメリットはないと考えるのが賢明でしょう。

呼び出しに対して無視をするのは,捜査機関との間に不要な対立関係を作ることになりかねません。その結果,逮捕の原因になったり,その後の捜査が厳しいものになったりする可能性が高いでしょう。

特に否認事件の場合,呼び出されること自体が納得できないとの思いから呼び出しに対して消極的な対応をしてしまいがちです。確かに,否認事件で呼び出しへの対応に時間を割かれるのは不合理な面が否めませんが,一度応じる態度を見せるだけでもその後の取り扱いが大きく変わるものです。
全面的に無視することは控え,可能な範囲で対応をするようにしましょう。

②むやみに拒否しない

呼び出しは,任意の対応を求めるものであって強制力がありません。そのため,法的には拒否をすることも可能であり,拒否したことによる法律上のペナルティは存在しません。
もっとも,特段の理由なく拒否をするのはかえって不利益につながりやすくなるため,控えることが賢明でしょう。

もちろん,優先すべき予定や事情があるため,呼び出しへの対応が後にならざるを得ない,ということは問題ないでしょう。しかし,明らかに感情的な理由で呼び出しを拒否している場合,捜査機関がより躍起になって捜査を行う要因にもなりかねません。そうなれば,出頭時の取調べも圧力の強いものになりやすく,最悪の場合には逮捕の原因につながるケースも否定できないところです。

呼び出しに対しては,少なくとも感情面の理由で拒否していると理解されることは避けるようにしましょう。

③黙秘の注意点

呼び出しに応じて出頭し,取調べを受けた際,黙秘をする選択肢もあります。黙秘は,文字通り黙ることで,捜査機関の問いに対して一切の回答をしないという対応を指します。
黙秘は法律上認められた権利であり,黙秘を選択すること自体には問題はありません。

しかしながら,黙秘が自分にとって有益な選択であるか,黙秘をすることでかえって損をしていないかは十分に注意することが適切です。
例えば,否認事件で自分が犯人でない根拠がある場合,黙秘するよりもその根拠をしっかりと述べる方が有益であると考えられます。また,認めるべき状況,内容の事件で無理に黙秘をしても,反省が見られないという評価につながるだけで終わりかねません。

黙秘を選択する場合は,自分にとってプラスの選択であるかを慎重に検討するようにしましょう。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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【不同意わいせつ事件の逮捕】逮捕を避けるための方法は?不同意わいせつ事件での注意点は?

このページでは,不同意わいせつ事件の逮捕に関して,刑事弁護士が徹底解説します。逮捕の可能性はどの程度あるか,逮捕を避ける方法はあるか,逮捕された場合に釈放を目指す方法はあるかなど,対応を検討する際の参考にしてみてください。

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不同意わいせつ事件で逮捕される可能性

不同意わいせつ事件は,逮捕の可能性が非常に高い事件類型ということができます。捜査機関が被疑者を特定した場合,逮捕した上で被疑者に対する捜査を行うことが数多く見られるところです。
その理由としては,以下のような点が挙げられます。

不同意わいせつ事件における逮捕の理由

1.事件の重大性

2.被害者保護

3.余罪の可能性

【1.事件の重大性】

不同意わいせつ事件は,類型的に重大な事件と評価されやすいものです。そして,重大な事件類型の場合,刑事処分も重大なものになりやすいことから,捜査段階では逃亡や証拠隠滅の恐れがより強く懸念される傾向にあります。

そのため,重大事件と評価できる不同意わいせつ事件では,被疑者が逃亡をしたり,必要な証拠を隠滅したりと,捜査に支障が生じる行動がなされることを防ぐため,逮捕をする可能性が高くなります。

【2.被害者保護】

不同意わいせつ事件の捜査は,被害者による被害申告をきっかけとして開始されることがほとんどです。そのため,加害者が捜査を受けることとなれば,被害者が捜査機関に被害申告をしたことが加害者にも分かることとなります。

そうすると,加害者によっては,報復的な行動として被害者に何らかの危害を加えようとする恐れが考えられます。不同意わいせつ事件の場合,被害者の生活圏などを加害者が把握している場合も少なくないため,待ち伏せや尾行などによって被害者への接触を図ることも不可能でないケースが多いでしょう。

加害者による危害や接触から被害者を保護するため,加害者を逮捕して物理的に切り離す措置が取られやすい傾向にあります。

【3.余罪の可能性】

路上などで見知らぬ被害者へのわいせつ行為に及ぶ事件の場合,不特定多数の被害者に対する余罪の可能性が懸念されます。そのため,一つの事件で逮捕せず捜査を進めていると,余罪に関する重要な証拠が隠滅されてしまう可能性が懸念されます。

そこで,余罪が想定される事件の場合は,被疑者を逮捕し,証拠隠滅の機会を奪った上で余罪を含めた捜査を行うことが多く見られるところです。

ポイント
不同意わいせつ事件は逮捕の可能性が高い事件類型

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

不同意わいせつ事件で逮捕を避ける方法

①示談の試み

被害者側と連絡を取る手段があるなど,被害者への接触の余地がある場合は,示談の試みによって逮捕を回避する方法が有力です。示談が成立すれば,加害者を起訴する可能性が現実的になくなるため,その事件で加害者を逮捕する必要はほとんどないと言えるでしょう。また,示談が成立までは至らなかったとしても,示談交渉中であって示談の成立が見込まれるという場合には,捜査機関がその間に割って入ってまで逮捕を行うことは多くありません。
示談は,逮捕を避ける意味でも非常に重要な意味を持ちます。

ただし,示談を試みる場合は,決して当事者間での直接のやり取りとはせず,弁護士などの代理人を挟んでのやり取りとするように注意しましょう。当事者間で直接示談交渉を試みようとすると,接触を図る行為が被害者への危害の恐れと評価され,逮捕を誘発する結果にもなりかねません。

被害者との示談の余地があり得るケースでは,速やかに代理人を通じて被害者との示談交渉を試みるのが有益でしょう。

②自首

不同意わいせつ事件では,被害者が誰か分からないなど,事前に被害者との示談による解決を図ることが困難なケースも少なくありません。示談の試みが困難な場合,逮捕を避ける手段としては自首が有力です。

自首は,捜査機関に対して自らの犯罪事実を申告し,捜査や処分を求める意思表明を言います。そして,自分から罪を犯してしまった人がその後に逃亡や証拠隠滅を図るとは考えにくいため,自首が成立した事件では逮捕の可能性が大きく低下することが一般的です。
自首は,被害者が捜査機関に被害申告をしていないケースだと,いわゆる「やぶ蛇」のリスクもある行為ですが,不同意わいせつ事件の場合,被害者が捜査機関に何の相談もしていないことはそれほど多くないため,自首の試みは有益な結果になりやすい傾向にあるでしょう。

③捜査への対応

逮捕されない状態で,呼び出しなどによる捜査が行われている場合,適切に対処することで逮捕の回避につなげられる可能性が高まります。具体的には,捜査協力の姿勢を示すよう努めることが重要になるでしょう。

逮捕せず,呼び出しなどの手段で任意の捜査を行う場合,捜査機関としては,「捜査協力をしてくれれば逮捕までは必要ない」と考えている可能性が高く見込まれます。そのため,捜査機関の期待通りに捜査協力が得られれば,逮捕をしないまま手続が進むことになりやすいでしょう。
一方,任意であるからと呼び出しを拒んだり,取調べなどへの非協力的な姿勢を見せたりすると,逮捕が必要であるとの判断をされかねず,自ら逮捕のリスクを高める結果になる恐れがあります。

逮捕なく任意の捜査がなされている場合には,協力姿勢を見せることで逮捕の回避を目指すことをお勧めします。

不同意わいせつ事件の逮捕は弁護士に依頼すべきか

不同意わいせつ事件での逮捕に関しては,弁護士への依頼が非常に重要となりやすいでしょう。

逮捕を防ぐ試みの代表例は被害者との示談ですが,ほとんどの場合,示談は弁護士を通じて行うことが必要となります。早期に弁護士へ依頼し,早期に示談交渉を尽くすことが,逮捕を防ぐ最も重要な動きになるでしょう。

また,逮捕が必要か,逮捕後に釈放されるべきでないか,といった点について,弁護士と捜査機関との間で協議等を行うことも少なくありません。特に,逮捕前の段階で任意の捜査が行われている状況であれば,その後に逮捕をする必要がないことを弁護士が具体的に説明し,逮捕の判断を控えてもらえる可能性は低くないでしょう。
逮捕後に関しても,釈放に向けた動きやその見込みについて,弁護士から適切な案内を受けることで,正しい見通しを持っての対処が可能になります。

ポイント
示談による逮捕回避には弁護士が必要
逮捕の要否について弁護士が捜査機関と協議を試みることも

不同意わいせつ事件の逮捕に関する注意点

①逮捕の回避が困難な可能性

不同意わいせつ事件の場合,捜査の開始後,被疑者に対する最初のアクションが逮捕というケースも少なくありません。この場合,逮捕前には自分が捜査の対象となっていることを把握する手段に乏しく,逮捕によってはじめて捜査されていたことを知る,ということになりやすいでしょう。
そのため,自分から自首をしない限り,逮捕前に逮捕回避を目指す動きを取ることは困難である可能性に注意が必要です。

また,自首を試みたケースでも,既に被疑者の逮捕を前提に動いているなど,逮捕の判断を覆すことが難しい場合があり得ます。不同意わいせつ事件の重大性を踏まえ,自首を考慮してもなお逮捕すべき,との判断に至る可能性には注意が必要でしょう。

②余罪による再逮捕の可能性

不同意わいせつ事件の捜査では,類似の余罪をあわせて捜査することが珍しくありません。同一犯の事件と思われる余罪について被害申告などがなされていれば,捜査の対象となることが一般的でしょう。

そして,余罪についても自分が犯人であると特定された場合,既になされた逮捕勾留の終了後,その余罪で再逮捕される可能性があります。余罪で再度逮捕されると,逮捕及び勾留が繰り返されることになり,事件の数だけ身柄拘束の期間が長引く恐れも否定できません。

余罪が想定される事件では,複数回の逮捕勾留によって身柄拘束が長期化する可能性に注意をすることが望ましいでしょう。

③早期釈放が困難となる可能性

刑事事件では,逮捕の後,最大72時間のうちに「勾留」という10日間の身柄拘束を行うかが判断されます。また,勾留された場合には,その終了後,さらに最大10日間の「勾留延長」を行うか,という判断が行われます。勾留延長までが全て行われた場合,22~23日ほどの身柄拘束を受けることとなります。

逮捕から起訴までの流れ

この点,勾留や勾留延長を行わない,という判断になれば,その時点で釈放されるため,早期釈放を目指す場合には勾留や勾留延長の回避を試みる手段が有力です。
しかしながら,不同意わいせつ事件の場合,逮捕されたケースでその後の勾留や勾留延長が認められないことは少ない傾向にあります。そのため,勾留や勾留延長を防ぐことによる早期釈放は,困難な可能性が高いことに注意することが望ましいでしょう。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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