債務整理すると資格はなくなる?解雇される場合はある?資格への影響でお悩みの方へ弁護士が解説

●債務整理は自分の持つ資格に影響するか?

●自己破産は資格への影響を防げるか?

●個人再生は資格への影響を防げるか?

●任意整理は資格への影響を防げるか?

●債務整理で失った資格は取り戻せるか?

●債務整理の資格への影響で注意すべきことは?

というお悩みはありませんか?

このページでは,債務整理の資格への影響についてお困りの方に向けて,債務整理が資格に影響を及ぼすケースや,失った資格を取り戻せる場合などを解説します。

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債務整理が資格に影響する理由

債務整理をすると,一定の資格や免許などを持って行う業務に制限の生じる可能性があります。
例えば,弁護士の場合,「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」について欠格(資格を有しない)としており,破産手続開始決定を受けると資格を失うことになります(弁護士法7条4号)。

このように,債務整理が一定の資格に影響を与えるかどうかは,それぞれの資格について規律した法令によって定められています。特定の資格が影響を受けるかどうかは,その資格について定めた法令の内容を確認することが必要になるでしょう。

影響を受ける資格の類型

債務整理の影響を受ける資格の類型としては,以下のようなものが挙げられます。

資格・職業制限の例

1.一定の士業
→弁護士,公認会計士,司法書士,社会保険労務士など

2.金融機関等の役員
→日本銀行役員,銀行の取締役,協同組合の役員など

3.公的な委員会の委員
→公正取引委員会の委員,教育委員会の委員など

4.登録や免許を要する職業
→宅地建物取引主任者の登録,貸金業の登録,酒類の販売免許など

5.一定の事業の許可
→建設業許可,廃棄物処理業許可,風俗営業許可等

法律関係に携わる士業や,金銭の管理に携わる地位・職業などが広く対象とされています。
一方,医師や看護師,薬剤師,保育士などは,著名な資格ではあるものの債務整理による制限が生じません。

自己破産は資格に影響するか

自己破産の場合,資格に直接影響することが懸念されます。というのも,一般的に債務整理が資格や職業に影響を与えるのは,「破産手続開始決定から免責許可決定までの間」であるためです。

上記で紹介した弁護士法7条4号は,「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」を欠格者としていましたが,弁護士に限らず,資格に影響が生じる場合の具体的な定めは「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」というものです。
破産手続開始の決定を受けると,復権を得ない限りは資格を失った状態になる,ということになります。

そして,「復権」とは,制限された資格(権利)が回復することをいいます。この復権には,2つの種類があります。

復権の種類

1.当然復権
2.申立てによる復権

1.当然復権】

法律上当然に復権が生じる場合をいいます。当然復権となるのは,以下の4つの場合です。

当然復権となる場合

a.免責許可決定が確定したとき
b.債権者全員の同意により破産手続廃止が確定したとき
c.再生計画の認可決定が確定したとき
d.破産手続開始決定から10年経過したとき

a.免責許可決定が確定したとき

自己破産の手続きが無事に終了し,免責決定に至った場合を指します。
最も代表的な当然復権の類型です。

b.債権者全員の同意により破産手続廃止が確定したとき

返済の目途が立ったなどの理由で,債権者全員が「破産しなかったこと」にすることに同意した場合を指します。債権者にメリットがないため通常は考えにくいでしょう。

c.再生計画の認可決定が確定したとき

自己破産で免責許可が得られなかったため,個人再生手続に切り替えた場合の定めです。再生計画とは,債権者に対する返済のプランを指しますが,その再生計画の認可が下りれば復権となります。

d.破産手続開始決定から10年経過したとき

免責許可が得られなくても,破産手続の開始決定から10年が経過すれば復権します。ただし,「詐欺破産罪」で有罪判決を受けていないことが必要となります。
詐欺破産罪は,破産者が所有する財産を隠すなどして虚偽の破産を行う犯罪です。

2.申立てによる復権】

破産手続開始決定後,免責許可決定を得るまでの間に,相続を受けたなどして大金を取得し,借金を完済できる場合もあり得るところです。この場合,免責許可決定を受けることがないため,免責許可決定に伴う当然復権が生じず,復権するためには申立てをする必要があります。

このようなときに用いられるのが,申立てによる復権です。

以上の通り,復権にはいくつかの類型がありますが,最も代表的なものが免責許可決定の確定による当然復権です。そのため,債務整理が資格や職業に影響を与えるのは,「破産手続開始決定から免責許可決定までの間」となりやすいのですね。

なお,復権した場合,破産手続開始決定を理由とする資格制限が消滅するため,それまで通りに資格を用いた業務が可能になります。

ポイント
破産手続開始決定によって資格制限が生じる
復権すれば資格制限が消滅する
復権の代表例は免責許可決定の確定

個人再生は資格に影響するか

債務整理が資格に影響するかは,その資格について規律する法令の定めによりますが,現在,個人再生を理由に制限が生じる資格や職業はありません。そのため,個人再生は資格に影響しない,という結論になります。

そもそも,個人再生は,安定した収入が得られる人を対象にした債務整理手続であり,返済プランである再生計画も,安定収入を前提としたものです。そのため,個人再生によって資格に影響することは制度の性質上ないということになるでしょう。

任意整理は資格に影響するか

任意整理は,つまるところ当事者間の交渉にとどまります。債権者と交渉をすることで資格に影響が生じることはないため,任意整理が資格に影響することはありません。

資格への影響を防ぐために適切な手段は

資格への影響を防ぎたい場合,適切な債務整理の手段は自己破産以外のいずれか(個人再生又は任意整理)ということになるでしょう。特に,資格を活用した仕事をしている立場の場合,安定収入が見込まれやすいため個人再生と相性がいい状況にあることが多いかもしれません。

もっとも,自己破産をしても,復権すれば資格への影響は消滅します。復権までの期間は,一般的には免責許可決定までの期間ということになりますが,ケースにより数か月,といったところでしょう。
免責許可決定までの資格制限が受け入れられる場合は,自己破産も選択肢に入ってくるでしょう。

ポイント
資格に影響を及ぼすのは自己破産のみ
もっとも,その期間は破産手続開始決定から免責許可決定の確定まで

資格への影響と解雇

自己破産によって資格への影響が生じた場合,資格への影響そのものは一定期間で終了するとしても,勤務先を解雇されてしまえば仕方がありません。そこで,自己破産と解雇との関係が問題になるところです。

この点,まず,自己破産を理由とした解雇は違法であるとの理解が通常です。自己破産は解雇の合理的な理由であると考えられていないため,自己破産を理由に解雇をすることは認められないのが一般的でしょう。
ただし,自己破産によって資格に影響を及ぼす場合は事情が変わってくる可能性もあり得ます。特に,制限された資格がなければ仕事ができない場合や,資格があることを前提に雇用した場合など,資格制限が雇用契約に重大な影響を及ぼすときには,自己破産(による資格制限)を理由とした解雇も適法になる可能性があるでしょう。

もっとも,個人再生や任意整理の場合は,資格への影響が生じないため,自己破産のように解雇が適法になるケースはほとんどないと思われます。

ポイント
自己破産そのものは解雇の理由にできない
自己破産に伴う資格制限が解雇の理由になる場合は仕事によりあり得る
個人再生や任意整理を理由にした解雇は基本的に違法

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

債務整理のうち,自己破産は本人の持つ資格を失わせることになる場合があります。
同時廃止で免責許可が見込まれる場合には,比較的影響は小さく済みやすいですが,それでも影響を防ぐことは困難であり,自己破産の前に十分な検討が必要です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
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自宅や車を失わずに債務整理したい人へ,基本的な考え方から詳しい制度まで弁護士が完全網羅

●債務整理で自宅や車を守りたいときはどうすべきか?

●自己破産で自宅や車を守れるか?

●個人再生で自宅や車を守れるか?

●任意整理で自宅や車を守れるか?

●自宅や車を守る場合の注意点は?

というお悩みはありませんか?

このページでは,債務整理で自宅や車を守りたいとお考えの方に向けて,債務整理で自宅や車を守るための方法や注意点などを解説します。

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債務整理で自宅や車を守る必要

債務整理は,債務者の債務と財産を取り扱う手続です。そして,自宅や自動車も重要な債務者の財産であるため,手続によっては自宅や車を手放した上で経済的な再建を目指さなければなりません。

しかし,自宅や車は生活の基盤となる財産であり,その経済的価値は他の財産よりも著しく高額であることが一般的です。そうすると,債権者のためには金銭に換価して配当に回すべきですが,債務者の経済的再建のためには奪ってしまう不利益があまりに大きい財産となり得ます。

そのため,債務整理の手続選択によっては,自宅や車を守ることができるようにしながら,経済的再建を目指すことも可能とされています。

ポイント
自宅や車は高価な財産であるため,債権者のためには金銭に換価して配当に回すべき
もっとも,自宅や車を奪われると債務者の生活が再建できなくなる恐れがある

方法①自宅や車を対象としない手続を使う

債務整理で自宅や車を守るためには,そもそも自宅や車を対象としない債務整理を行うことが一案です。債務整理には,債務の全てを対象としなければならない手続(自己破産,個人再生)と,債務の一部だけを対象とすることのできる手続(任意整理)があります。そのため,任意整理を実施の上,自宅や車と関係のない債務だけを対象とすれば,自宅や車を守りながらの債務整理ができることになります。

方法②自宅や車の処分を免れる制度を活用する

債務整理においては,財産の処分を要する手続(自己破産)と財産の処分を原則として要しない手続(個人再生,任意整理)があります。そのため,財産の処分を要しない手続を用いることで,自宅や車の処分を免れられる可能性があります。

もっとも,自宅や車はローンでの購入も多く,ローンがあるとそう簡単には自宅や車を守れません。ローンは,購入した自宅や車そのものを担保にしていることが多いため,返済ができない場合には担保が実行され,自宅や車を引き揚げられてしまう可能性が高いのです。

この点,個人再生の場合に限り,住宅ローン付きの自宅でも処分を免れる制度があります(いわゆる住宅ローン特則)。自宅の重要性を踏まえ,自宅を守りながら個人再生を実現する手段を法律が用意しているのですね。

ポイント 自宅や車を残す方法
自宅や車と関係のない債務だけを対象にする
財産の処分をしなくてもよい手続を用いる(ただしローンがあると不可)
住宅ローンについては,個人再生の場合に限り特別な制度がある

自己破産は自宅や車を守れるか

自己破産は,必要最低限の財産を除き一切の財産を処分した上で,引き換えに債務も免除することによって,財産も債務もない状態とすることを目指す手続です。そのため,自己破産後に所持していられる財産は,20万円以下のものに限られます。

この点,車に関しては,売却価格の査定を行い,20万円以下であることが示せれば,処分することなく自己破産が可能です。もっとも,自宅に関しては,明らかに売却価値がないような例外的場合を除き処分せざるを得ないため,自宅を守りながら自己破産するのは不可能と考えるべきでしょう。

なお、自宅に関しては、まず売却を検討することも有力な選択肢の一つになり得ます。

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ポイント 自己破産の場合
住宅を守ることは困難
車は売却価格が20万円以下であれば守ることが可能

個人再生は自宅や車を守れるか

①自動車について

個人再生は,基本的に財産の処分を必要としない手続であるため,個人再生をしたからといって自動車を手放す必要はありません。特に,一括払いで購入した場合や,ローンを組んで完済済みの場合など,自動車代金の支払が残っていない状況であれば,全く問題なく自動車を守ることが可能です。
しかし,以下の場合には,個人再生に際して自動車の処分が必要となります

個人再生で自動車の処分が必要な場合

1.自動車ローンが完済前であり,
2.自動車に「所有権留保」がついている場合

自動車をローンで購入するとき,売主が「所有権留保」という担保を設定することがあります。これは,ローンが完済されるまでは自動車の所有権を売主にとどめておく(留保する)というものです。所有権留保があると,ローンの完済前は自動車の所有権が販売者側にあるため,所有権留保を実行することで自動車を引き上げることができます。これにより,代金の支払が滞るケースに備えるというわけですね。

ポイント
基本的に自動車の処分は必要ない
ローン完済前かつ所有権留保がついていると,自動車を失う可能性あり

②自宅について

自宅についても,代金が全額支払済みであれば処分は必要ありませんが,現実的にそのようなケースはほとんどないでしょう。
したがって,住宅ローンの支払が残っていることになりますが,住宅ローンの担保として自宅に抵当権が設定されているのが通常です。そのため,住宅ローンが支払えないとなると抵当権が実行されて住宅が強制的に売却させられ,ローンの支払に充てられてしまいます。
しかし,全てのケースでこのようにするのはあまり経済的に望ましくない上,債務者の経済的再建にとっても著しいマイナスになることが間違いありません。

そこで,個人再生に限り,「住宅資金特別条項」(いわゆる住宅ローン特則)という制度が用意されており,自宅を守りながら個人再生できる場合があります。
住宅資金特別条項」は,住宅ローンを個人再生の対象となる債権から外し,住宅ローンだけはそれまで通り支払い続ける,という個人再生の制度です。この制度を利用するには,以下の要件を満たすことが必要とされます。

住宅資金特別条項の要件

1.対象の債権が住宅資金貸付債権(住宅ローンとしての貸付)である
2.住宅ローンの担保となっている住居が債務者所有の建物である
3.住宅ローンの担保となっている住居が債務者居住用の建物である
4.住宅が住宅ローン以外の担保になっていない
5.保証会社が代位弁済した場合,代位弁済日から6か月以内に申立てている

1.対象の債権が住宅資金貸付債権(住宅ローンとしての貸付)である

住宅資金貸付債権とは,以下の債権をいうと定義されています(民事再生法196条3号)。

住宅資金貸付債権とは
a.住宅の建設,購入,改良に必要な資金を貸付したものである
b.分割払いでの貸付である
c.債権を担保するため,住宅に抵当権が設定されている

つまり,一般的な住宅ローンを指していると理解してよいでしょう。

2.住宅ローンの担保となっている住居が債務者所有の建物である

住宅資金特別条項の対象となるのは,「住宅」に対するローンに限られますが,「住宅」とは債務者自身が所有する建物をいいます(民事再生法196条1号)。

3.住宅ローンの担保となっている住居が債務者居住用の建物である

住宅」に該当するためには,債務者が所有するのみならず,債務者が自己の居住の用に供する建物でなければなりません(民事再生法196条1号)。
また,床面積の2分の1以上が専ら自己の居住の用に供されるものであることも必要です。自宅兼店舗といった形態の場合,「自宅」に当たらない可能性が生じ得るでしょう。

4.住宅が他のローンの担保になっていない

住宅が住宅ローン以外の債権の担保にもなっている場合,住宅資金特別条項を利用することができません(民事再生法198条1項)。これは,住宅が他の債権の担保にもなっていると,その債権者が担保を行使してしまい,結果的に住宅を守る手段がなくなってしまうためです。

この点,夫婦でペアローンを組んでいるときには注意が必要です。ペアローンの場合,住宅は夫の住宅ローンの担保であると同時に妻の住宅ローンの担保でもあるため,夫婦どちらの立場から見ても「住宅が他のローンの担保になっていない」場合に当たらないのです。
このときは,夫婦がそれぞれ個人再生を申し立てることで,住宅資金特別条項の利用を認められる可能性があります

5.保証会社が代位弁済した場合,代位弁済日から6か月以内に申立てている

保証会社を付けている場合,金融機関は保証会社に対して支払を求め,保証会社が代わりに返済することがあります。これを「代位弁済」と言います。保証会社が代位弁済をした場合には,その弁済の日から6か月以内に再生手続開始の申立てをしなければ,住宅資金特別条項は利用できません(民事再生法198条2項)。

以上の通り,要件は複数に渡りますが,一般的な住宅ローンであって,住宅を住宅ローン以外の担保にしていなければ,条件を満たす可能性は非常に高いと思われます。

ポイント
自宅は住宅ローンが残っている限り抵当権が実行され競売されるのが原則
住宅資金特別条項を利用できれば,自宅を守りながら個人再生できる

任意整理は自宅や車を守れるか

任意整理は,債務者自身が債務を選択し,選択した債務について債権者と返済の交渉をする方法です。そのため,任意整理に当たって住宅ローンや自動車ローンを扱わなければならないわけではありません。

この点,債務整理で自宅や車を守れない場合があるのは,住宅ローンや自動車ローンの返済ができないと債権者に発覚し,債権者がローンの担保を実行するからです。そうすると,ローンの返済ができないと債権者に発覚しなければ,自宅や自動車を守りながらの債務整理が可能ということになります。

任意整理の場合には,住宅ローンや自動車ローンには手を付けず,ほかの債務だけ任意整理を試みることによって,自宅や車を守ることができるでしょう。

自宅や車を守るにはどの方法が適切か

自宅や車を守る方法としては,自己破産では不適切であり,個人再生か任意整理であれば守る余地がある,ということが分かりました。では,個人再生と任意整理のいずれが適切か,という問題になるところです。

この点,まず住宅がある場合には個人再生が適切でしょう。個人再生であれば,住宅資金特別条項を利用することで,住宅ローン以外の借金が大きく圧縮され,住宅ローンの返済が現実的になりやすいです。住宅ローンを避けて任意整理をしても自宅は守れますが,借金の減額幅には大きな限界があるため,任意整理をしたところで返済できるか不透明である,ということになりかねません。

一方,自動車ローンが残っており,自動車だけが問題であれば,任意整理を行うほかないでしょう。ローンの残った自動車は,所有権留保がついていない場合を除き個人再生で守ることができないので,自動車ローン以外の任意整理を試みる以外の手段がありません。

ポイント
住宅ローンがあるときは個人再生
自動車ローンだけが問題であれば任意整理

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

債務整理には,債務とともに財産を整理する手続となるものもあるため,自宅や車を守りたい場合には適切な手段を取る必要があります。
具体的な方法にはいくつかの選択肢があり,どの方法を選択するのが有益かはケースによりますので,ご検討の際は弁護士へのご相談をお勧めいたします。

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支払能力が全くない場合にはどんな債務整理の方法を取るべき?支払できない人の方法選択を解説

●支払能力が全くない場合はどうすべきか?

●支払能力が全くないときは自己破産が適切か?

●支払能力が全くないときは個人再生が適切か?

●支払能力が全くないときは任意整理が適切か?

●支払能力が全くない場合の注意点は?

というお悩みはありませんか?

このページでは,支払能力が全くない場合の債務整理についてお困りの方へ向けて,支払能力が全くない場合はどの手段を選択すべきか注意点は何かなどを解説します。

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支払能力が全くない場合に必要な対処

債務整理は,自分の経済力では借金の返済が完了できない場合の救済手段ですが,そもそも借金を返済するための支払能力が全くない場合も考えられます。典型例は,仕事を失ったなど,収入獲得の手段が閉ざされてしまった場合です。

このような場合の債務整理の目的は,「債務整理の結果,債務の支払を免れる」ことに他なりません。仮に債務が大幅に圧縮されて減額しても,支払を必要としてしまうのでは,支払能力が全くない人にとって解決できたとは言えません。

これを法的に整理すると,支払能力が全くない場合の対処としては,債務について「免責」となることを目指す必要がある,ということになるでしょう。

ポイント 支払能力が全くない場合の対処
手続後に支払を要するのでは解決になっていない
債務の免責を得ることが必要

自己破産は支払能力が全くない場合に適切か

自己破産は,借金を返済する能力が不足する場合に,必要最低限の財産以外を手放す代わりに借金を免除してもらうことを目指す手続です。

自己破産とは
必要最低限の財産以外は手放す
引き換えに,借金を免除してもらう

つまり,自己破産は,財産も借金も基本的にゼロとした状態で債務者を再スタートさせる手続ということになります。これは,手続の結果として債務の免責を見込むものであるため,支払能力が全くない場合の手続としてまさに最適ということができるでしょう。

ポイント
自己破産は,債務者の財産も借金もゼロにした状態での再出発を目指す手続
債務について免責を見込む制度であるため,支払能力が全くない場合に最適

個人再生は支払能力が全くない場合に適切か

個人再生手続は,借金の減額を認めてもらった上で継続的な返済計画を立てる制度です。つまり,個人再生手続の場合,手続の終了後には返済計画に沿った返済が速やかにスタートすることを前提としており,支払能力が全くない場合に適していません。

そもそも,個人再生手続を行うためには,安定した収入が継続する見込みが必要となるため,仮に希望したとしても個人再生はできないという結論になりにくいでしょう。

ポイント
個人再生は,借金の減額と継続的な返済計画を内容とする制度
返済能力がないと利用できず,支払能力が全くない場合には不適切

任意整理は支払能力が全くない場合に適切か

任意整理は,債務整理を行う方法の一つで,金融機関などの債権者に対して直接交渉を試み,支払金額の軽減と完済を目指す手続を言います。債務者から委任を受けた弁護士が債権者と交渉し,多くの場合は将来分の利息をカットしてもらった上で,残債務額を3~5年の期間で支払う内容の合意を目指します。
つまり,任意整理は現在残っている借金の元金を返済する前提でなければ利用できず,支払能力が全くない場合には不適切です。

ポイント
任意整理は,将来の利息をカットして残元金の計画返済をするもの
元金の返済が必要になるため,支払能力が全くない場合には不適切

支払能力が全くない場合に適切な手段は

支払能力が全くない場合の債務整理の手段としては,個人再生及び任意整理では不適切であって,自己破産をしなければならない,ということになります。
自己破産によって債務の免責許可を受けることが唯一の解決策となるため,目指す手続を誤らないようにしましょう。

支払能力が全くない場合の注意点

①免責不許可事由がある場合

支払能力が全くないときに自己破産を試みるのは,債務について免責許可決定を受けるためです。そのため,自己破産をしても免責許可決定が受けられない場合,自己破産をするメリットがなくなってしまいます。そうすると,支払能力が全くない場合は,免責されるかという点について慎重な検討を重ねるべきでしょう。

この点,免責不許可事由としては,以下のようなものが定められています。

免責不許可事由

1.財産を不当に減少させる行為
→財産の隠匿,損壊,不当な処分などの行為が挙げられます。

2.不当な債務負担
→著しく不利益な条件で債務を負う行為などが挙げられます。

3.特定の債権者に利益を与える行為
→債権者のうち一人だけに全額返済する行為などが挙げられます。

4.浪費や賭博による債務負担
→収入に見合わない出費や賭博行為を理由に破産する場合が挙げられます。

5.詐術による信用取引
→借金を隠して新しいクレジットカードを作り,使用した場合などが挙げられます。

6.帳簿の隠滅
→業務や財産状況に関する書類を隠したり偽造したりする行為が挙げられます。

7.虚偽の債権者名簿提出
→自己破産の申立て時に特定の債権者だけを債権者から除く行為などが挙げられます。

8.説明拒否・虚偽説明
→裁判所の調査に対してウソや隠し事をする行為が挙げられます。
裁判所の信用を直接損なうため,免責不許可となる可能性が非常に高くなります。

9.管財業務の妨害
→破産管財人の指示に反したり,管財人を脅したりする行為が挙げられます。

10.過去7年以内の免責許可決定
→免責や同種の法的保護を受けている場合,7年間は免責が許可されません。

11.破産法上の義務違反
→破産手続における破産者の義務(説明義務,重要財産開示義務,免責調査協力義務等)に反した場合が挙げられます。

これらの免責不許可事由に当たる場合,裁判所が特に免責を認めるケースを除き,免責許可決定が得られません。ここで,免責不許可事由がありながらも裁判所が特に免責を認めることを,「裁量免責」と言います。

免責不許可事由がある場合,裁量免責を認めてもらえるように可能な限りを尽くすのが適切でしょう。具体的には,反省や更生の意欲を積極的に表明する借金に至った経緯があまりに不適切ではないことを詳細に説明する,といった方法が考えられます。
裁量免責は,文字通り裁判所の裁量で免責にするというものであるため,裁判所の恩情を求めるものである,という理解を十分にした上で,対応を尽くすことをお勧めします。

ポイント
免責不許可事由がある場合,原則として免責許可が得られない
裁量免責が認められた場合に限り,例外的に免責される
反省や更生の意欲などを積極的に表明することで,裁判所の恩情的判断を求める

②弁護士費用が支出できない場合

自己破産を弁護士に依頼する場合,弁護士費用の支払が必要です。一般的に,弁護士は必要な弁護士費用が受領できた段階で初めて裁判所への申立てを行います。
そのため,親族と相談するなど,弁護士費用を支出する試みが必要となるところです。

どうしても弁護士費用が支出できない場合には,自分で可能な限り自己破産を試みることも一案かもしれません。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

支払能力が全くない場合の債務整理は,支払を免れる結果を獲得する必要があり,支払の継続を前提とするのでは解決にならないのが通常です。
そのため,基本的には自己破産の選択が必要になりやすいですが,自己破産によって本当に問題解決につながるかは,弁護士への十分なご相談が適切でしょう。

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債務整理は家族にバレる?家族に内緒で債務整理をする方法について弁護士が分かりやすく解説

●債務整理は家族に影響するか?

●自己破産は家族に内緒でできるか?

●個人再生は家族に内緒でできるか?

●任意整理は家族に内緒でできるか?

●家族に内緒で手続をする他の方法はあるか?

●家族に内緒で手続をする場合の注意点は?

というお悩みはありませんか?

このページでは,債務整理を家族に内緒で行うことでお困りの方に向けて,債務整理の家族への影響や,家族に内緒で行うための方法,注意点などを解説します。

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債務整理の家族への影響

債務整理を行う場合,同居の家族や守るべき子などがいると,家族への影響が心配になるところです。もっとも,債務整理を行っても,債務者以外の家族に不利益が生じることは基本的にありません。
債務整理の対象となる債務は,債務者本人が契約をしたことによって発生しているものであり,返済義務を負うのは自ら契約をした本人だけです。契約に関わっていない第三者は,配偶者であっても子であっても法的な影響を受けません。

また,債務整理をすると,信用情報機関の信用情報(いわゆるブラックリスト)に,金融事故情報としてその事実が登録されますが,ブラックリストへの登録による不利益を受けるのは債務者本人のみです。
そもそも,債務整理は債務者の経済的な立ち直りを可能にするための手続であるため,何らかのペナルティを科すことは想定されていません。債務者本人が法的な制裁を受けないのである以上,その家族はなおさら制裁を受けるものではない,と理解されます。

自己破産は家族に内緒でできるか

①同時廃止事件の場合

同時廃止事件の大まかなステップは,以下の通りです。

同時廃止事件のステップ

1.申立書の提出
2.破産手続開始決定及び同時廃止決定
3.免責許可決定

このうち,「1.申立書の提出」段階では,弁護士に依頼している限り弁護士が債権者とのやり取りをするため,家族に内緒で進めることも不可能ではないでしょう。もっとも,自分名義の銀行口座を配偶者が管理している場合,その口座の情報をどのように用意するか,という問題は生じるかもしれません。

また,「2.破産手続開始決定及び同時廃止決定」の段階では,その事実が官報(国の発行する機関紙)に掲載されるため,官報を確認すれば家族に発覚し得ることになります。もっとも,特に理由なく官報を読むことは考えにくく,家族に内緒で行うことは十分に可能でしょう。

その後,「3.免責許可決定」の段階で生じる動きとしては,免責審尋のための裁判所への出頭や,免責許可決定の官報掲載が挙げられます。この段階についても,同様に家族に内緒で行うことは不可能でないでしょう。

②管財事件の場合

管財事件の場合,破産手続開始決定の後,直ちに免責の手続に移るのでなく,破産管財人による財産の調査・処分が必要になります。この局面で,以下のような問題が生じやすいところです。

1.郵便物が破産管財人に届く

破産手続開始決定後は,自分宛の郵便物が自分でなく破産管財人に届きます。そのため,不自然に郵便物が届かない,という経緯で家族に疑問を抱かれる可能性はあるでしょう。
もっとも,破産管財人との間で郵便物の受け取り方法を相談することは通常可能であるため,郵便物に関するフォローができないわけではありません。

2.財産の不自然な売却が生じ得る

管財事件では,20万円以上の価値がある財産や,20万円以上の解約返戻金が生じる保険など,財産的価値のあるものを金銭化し,債権者に配当することが必要です。一般に,価値の高い財産や保険をいきなり金銭にすることは不自然であり,財産の処分をきっかけに家族が疑問を持つこともあり得るところです。

③注意点

自己破産を行う場合,債権者であるクレジットカード会社のカードを使って携帯電話や光熱費等の支払を行っていると,ある日を境に引き落としでの支払ができないという事態が生じます家族と共同で生活費のために用いているクレジットカードがある場合,家族に内緒で進めることは困難かもしれません

ポイント
自己破産を家族に内緒で行うことは不可能ではない
ただし,共同で銀行口座やクレジットカードを管理している場合は難しい
管財事件の場合は,郵便物や財産の処分がきっかけで発覚する場合も

家族に内緒で行う手段としての有用性

同時廃止事件:3位
管財事件:4位

個人再生は家族に内緒でできるか

個人再生手続の大まかなステップは,以下の通りです。

個人再生手続のステップ

1.申立書の提出
2.再生手続開始決定
3.再生計画案の作成
4.再生認可決定

まず,「1.申立書の提出」の段階における家族への発覚リスクは,基本的に自己破産と同様でしょう。つまり,家族と共同で用いている銀行口座等の履歴を確保・提出する場合に,家族に内緒で行うことが難しくなり得ます。

次に,申立書の内容を踏まえ,裁判所が「2.再生手続開始決定」を行うと,具体的な再生のための計画に移ります。再生手続開始決定の局面では,官報掲載がなされるくらいであり,自己破産を超えるリスクはあまりないでしょう。

その後,「3.再生計画案の作成」が行われますが,この局面では自己破産と異なり郵便物の転送や高額財産の処分が必要ありません。つまり,郵便物が自宅に届かなかったり,不自然に高額な自動車などが処分されていたりといった流れで家族に発覚する恐れは通常ありません。
また,小規模個人再生の場合,再生計画案について債権者による書面の決議が必要になりますが,決議が決定された旨は官報に掲載されます。やはり官報を閲覧しない限りは影響しないでしょう。

最後に,「4.再生認可決定」の局面では,同じく官報掲載が生じるくらいです。やはり家族に内緒で進めることは十分に可能でしょう。

以上の通り,個人再生手続の場合,自己破産と同様の発覚リスクがありますが,自己破産(特に管財事件)で見られるような発覚リスクがないため,家族に内緒で手続できる可能性は比較的高いと言えるでしょう。
また,借金は圧縮されるものの返済を継続することになるため,借金の存在を家族が知っている場合にも,不自然に借金の返済がなくなった,という事態が生じにくいところです。

ポイント
自己破産と同じくキャッシュカードや銀行口座の共同利用で発覚リスクが生じる
もっとも,自己破産(管財事件)特有の発覚リスクはない
借金の返済は続くため,家族が借金の存在を知っていても不自然でない

家族に内緒で行う手段としての有用性

2位

任意整理は家族に内緒でできるか

任意整理は,各債権者と個別に交渉をすることで,利息をカットしてもらったり月々の返済額を減らしてもらったりという合意をし,スムーズな完済を目指す手続です。
そして,任意整理は裁判所への申立てなく債権者との間で直接交渉することになります。

この任意整理の場合,基本的にすべてのやり取りが依頼した弁護士と債権者との間で行われるため,やり取りの中で家族に発覚するリスクはほとんどありません
また,家族と共同で利用している銀行口座やクレジットカードなどについても,その口座やカードに関係する債務を任意整理の対象から除外すれば,特に影響なく任意整理が可能です。

以上の通りであるため,任意整理は最も家族への発覚リスク低く実行できる債務整理の手続ということができるでしょう。

ポイント
任意整理は弁護士と債権者とのやり取りで終始するため,やり取り中の発覚がほとんどない
家族への発覚が懸念される債務は,任意整理の対象から除くこともできる

家族に内緒で行う手段としての有用性

1位

家族への発覚を防ぐ他の方法

①直接のやり取りをしない

まずは,弁護士に依頼をして,全てのやり取りの窓口を弁護士にすることが肝要です。債権者である貸金業者から郵便物が届いたり,裁判所から連絡が来たりすれば,どうしても不自然であると言わざるを得ません。

家族は最も身近な存在であり,それだけに自分を巡る様々な出来事を不意に知ってしまう可能性がある立場のため,できる限りの配慮をするのが適切です。

②クレジットカードで生活費の精算をしない

生活に不可欠な支払をクレジットカードで精算していると,カードが停止した時点で生活に具体的な支障が出るため,家族に内緒で進めることは非常に困難になります。
そのため,家族に内緒で債務整理をしたい場合には,極力クレジットカードで生活費を精算しないようにしたいところです。現在クレジットカードでの精算をしている場合は,少しずつ支払方法の変更を試みるほかないかもしれません。

家族に内緒で手続をする場合の注意点

債務整理は,生活を共にする家族にも一定の影響が生じやすいものであるため,確実に家族への発覚を防ぐ方法は存在しないと言わざるを得ません。債務整理は,家族に内緒で進めたいという希望を実現しづらい手続であると考える必要があるでしょう。

また,各債務整理手続に共通する債務者のデメリットとして,一定期間,信用情報(ブラックリスト)に事故情報が登録されます。ケースにより5~10年ほどは新規のカードやローンの契約ができないため,家族との間でたまたまカードやローンの話になったとき,円滑に乗り切ることは難しい場合が多いでしょう。

家族に内緒で手続を行いたい場合は,可能な限り手段を講じ,万一発覚した場合の手当ても事前に考えておく,という段取りが有力かもしれません。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

債務整理は,法律的には家族に影響を及ぼすものではありませんが,家族関係への事実上の影響は大きく生じやすい手続であることが多いです。
そのため,家族に内緒で解決できる場合であれば,今後のためにも家族に内緒で行う手段を検討されるのが有益かもしれません。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

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主債務者が債務整理したら保証人はどうなる?種類別影響と弁護士による解決策

借金問題を解決するために債務整理を検討し始めると、多くの人が「保証人や連帯保証人に迷惑をかけてしまうのではないか」という不安に直面します。

適切な対応を誤れば、解決までの負担が大きくなる可能性もあります。こうした事態を避けるためには、債務整理や保証人の問題に精通した弁護士へ早期に相談することが重要です。

本記事では、債務整理と保証人・連帯保証人の法的関係性を踏まえ、保証人への影響を防ぐ方法や弁護士へ相談するメリットについて詳しく解説します。

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債務整理と保証人・連帯保証人の法的関係性

債務整理を進める上で、保証人と主債務者の法的関係を正しく理解することは重要です。

結論として、主債務者が自己破産や個人再生などの法的整理を行うと、債権者は「保証人に請求する権利」を行使します。

これは、保証契約がそもそも主債務者の支払不能を補完するために結ばれるものだからです。

とくに「連帯保証人」の場合は、主債務者とほぼ同等の責任を負うため、主債務者が整理を開始した瞬間に全額の支払い義務が保証人に移行すると考えておく必要があります。

「保証人」と「連帯保証人」の違いと責任の範囲

法律上、単なる「保証人」と「連帯保証人」では、その責任の重さと主張できる権利に決定的な違いがあります。

債務整理を進める上で、保証人と主債務者の法的関係を正しく理解することは重要です。

保証人債権者に対し、「まずは借りた本人に請求してほしい(催告の抗弁権)」や「本人の財産を差し押さえてからにしてほしい(検索の抗弁権)」という主張が可能です。
連帯保証人上記のような防御権が一切認められません。主債務者が返済できる状態であっても、債権者が連帯保証人に請求を望めば、それを拒むことはできません。

日本の金融実務においては、ほとんどのケースで「連帯保証人」としての契約が求められるため、重い法的責任を伴うことを認識しなければなりません。

主債務者が債務整理(破産・再生)をすると請求先は保証人に切り替わる

主債務者が裁判所を通じて債務整理を行うと、保証人への請求は不可避となります。

自己破産の場合主債務者の支払義務は免責(ゼロ)になりますが、この免責の効力は保証人には及びません。債権者は残債のすべてを保証人に一括請求します。
個人再生の場合主債務者の債務は大幅に圧縮されますが、保証人の債務額は減りません。保証人は元の全額を支払う義務を負い続けます。

一方、任意整理であれば「保証人がついている借金だけを除外して整理する」という柔軟な対応が可能です。この選択肢を検討するためにも、専門的な判断が求められます。

債務整理の種類別:保証人に及ぶ影響と請求額の違い

債務者が債務整理を行い,その債務について免責されると,債務者が債権者に返済する義務はなくなります。これは,債務者にとっては大きな利益ですが,逆に債権者にとっては著しい不利益となってしまうものです。債務者が免責許可を受けてしまえば,債権者は残りの債権を債務者に請求できず,債権はいわば紙切れになってしまうわけです。

そこで,当該債務について保証人を付ける(保証契約をする)方法により,債務者の破産リスクを軽減させることがあります。債務者が支払を滞った場合には,保証人に支払を求めるという流れを取ることで,債権者は債権回収の手段をもう一つ手に入れることが可能になります。

基本的に,債務整理を行うと,債権は金額がゼロになるか圧縮され,全額回収が困難になります。このとき,債務者から回収できない分を代わりに保証人から取り立てるという形で,保証人(及び保証契約)が活用されるのです。
その意味では,債務者による債務整理は,まさに保証契約をした実益が生じる局面であり,債権者は積極的に保証人への請求を目指すことになりやすいでしょう。

ポイント
債務者が債務整理をすると,債権全額の回収ができない
債権全額の回収ができない場合に,債権者は債務者に代えて保証人に請求する
債務者が債務整理をしたケースは,まさに保証契約の効果が出る状況

自己破産をすると保証人に影響するか

自己破産を行った場合,全ての債権者に通知を行わざる得ないため,債権者は自己破産の事実を把握することになります。また,自己破産の結果,債務者が免責許可決定を受けた場合,債権者にとって債務者から金銭回収のできないことが明らかになります。
この場合,保証人がいれば,債権者は保証人への請求を行うことが最も合理的であり,これを防ぐ手段はありません。

なお,自己破産によって免責許可を受けたとしても,免責されるのはその債務者のみであり,保証人の負う債務には影響しません。そのため,保証人は残債務の全額について返済の義務を負うことになります。

個人再生をすると保証人に影響するか

個人再生手続を利用する場合,やはりその事実はすべての債権者に通知されざるを得ません。個人再生は,借金の総額が確定できなければ再生計画が作成できないため,一部の債権者を避けて行うことが不可能です。そして,個人再生手続により,債権の金額は概ね5分の1~10分の1程度に圧縮されてしまうため,債権者が債務者から回収できる金額は,債権総額のうちごくわずかとなります。

そうすると,債権者としては保証人への請求を行うのがやはり最も適切な手段であるということになるでしょう。そして,個人再生手続によって保証人の債務は変化しないため,保証人は債権者の請求に応じて残債務全額の返済義務を負います。

任意整理をすると保証人に影響するか

任意整理が保証人に影響するかどうかは,どの債務について任意整理をするかによって結論が異なります。

①保証人のついた債務について任意整理する場合

この場合,債務者は当該債務について将来の利息がカットされますが,その恩恵は保証人には及びません。債務者が契約通りに返済できないと明らかになった以上,法的には,債権者は保証人に残債務の全額を支払うよう請求することも可能です。

②保証人のついた債務を除いて任意整理する場合

保証人のない債務だけを任意整理する場合,保証人が債権者からの請求を受けるきっかけになることはありません。あくまで,保証人とは関係のない債務についてだけ任意整理を行っており,他の債務に関する事情は保証人が保証する債務の支払とは無関係だからです。

そのため,この場合には保証人に影響が生じることなく債務整理ができるでしょう。

保証人への影響を防ぐ適切な手段は

以上の通り,保証人への影響を防ごうと考えた場合,自己破産や個人再生を選択する余地はない,ということになるでしょう。
具体的には,保証人のついた債務には手を付けず,それ以外の債務についてだけ任意整理を行えば,保証人への影響が防げる可能性が非常に高くなります

ポイント 保証人への影響を防ぐ債務整理
自己破産と個人再生は不可
任意整理は,保証人のついた債務以外の債務のみを対象とすれば可能

保証人への影響を防ぐ他の方法

任意整理で保証人への悪影響を防ぎたい場合,債務者と保証人が連名で任意整理をする,という方法も考えられます。

特定の債務について,債務者だけでなく保証人も連名で利息をカットしてもらえれば,保証人の債務額も債務者と同じ条件になります。そして,債務者が利息カット後の月々の支払を滞りなく続けられれば,債権者が保証人に請求する必要はなく,最終的にも保証人への影響を防ぐことが可能になるでしょう。

保証人への影響を防ぐ場合の注意点

保証人がついた債務がある場合,あえてその債務に触らないようにするのでなく,保証人と連名で任意整理を試みた方が,保証人にとっても利益であるように思えます。任意整理によって,保証人との関係でも将来の利息がカットできれば,それだけ保証人にとって得であるためです。

しかしながら,保証人と連名で任意整理をする場合には,以下の各点に注意する必要があります。

①ブラックリストに登録される

金融機関の保有する信用情報(いわゆるブラックリスト)に,金融事故が起きた旨が保証人についても登録されることになります。ブラックリストに登録されている間は,新規の借り入れやクレジットカードの契約など,債務者の信用を前提とした取り扱いが受けられなくなります。

②一定期間保証人になれない

任意整理をした場合,一定期間保証人になれません。
住宅ローンや子どもの教育に関するローンについても同様です。

保証人としての不安を解消するために弁護士へ相談するメリット

保証人や連帯保証人が負う経済的・精神的な負担は計り知れませんが、弁護士へ相談することでそのダメージを最小限に抑えることが可能です。

ここからは、保証人としての不安を解消するために弁護士へ相談するメリットを詳しく解説します。

債権者からの請求・督促をストップできる

弁護士へ依頼するメリットは、保証人に対する過酷な督促を即座に停止させられる点です。

弁護士が債権者に「受任通知」を送付すると、貸金業法やガイドラインに基づき、債権者は保証人への直接的な連絡や取り立てが禁止されます。

連帯保証人は主債務者の破綻を知らされた直後、精神的に追い詰められることが多いですが、弁護士が介入することで、まずは冷静に判断できる平穏な時間を取り戻せます。

この「督促の停止」は、単なる一時しのぎではありません。

止まっている間に、保証人の家計状況を分析し、現実的な分割返済の交渉や、保証人自身も債務整理を行うべきかといった戦略を練ることが可能になるのです。

保証人としての支払い義務の有無を正確に判断できる

弁護士は、そもそもその保証契約が現在も法的に有効であるかを厳格に精査します。

たとえば、保証契約から長期間が経過しており、最後に主債務者が返済してから5年以上(または10年以上)経っている場合、消滅時効を援用することで支払い義務を完全に消滅させられる可能性があります。

また、契約時の説明義務違反や書面の不備など、形式的な瑕疵があれば、保証契約自体の無効や取り消しを主張できるケースも存在します。

保証人自身が「払わなければならない」と思い込んでいても、法的に見れば支払い義務がない、あるいは軽減できる余地があることは珍しくありません。

専門家による精査は、不要な支払いを防ぐための唯一の手段です。

代位弁済後の求償権行使をサポートしてもらえる

保証人が主債務者の代わりに返済(代位弁済)した際、保証人は主債務者に対して「代わりに払った分を返せ」と求める「求償権」の取得可能です。

弁護士は、この求償権をいつ、どのように行使すべきかをアドバイスします。

たとえば、主債務者が自己破産をする場合、求償権も免責対象となる可能性があるため、どのタイミングで支払うのが最も損害を抑えられるかを計算します。

また、親族間での代位弁済は感情的な対立に発展しやすいものですが、弁護士が法的な整理案を提示することで、将来的な親族トラブルを未然に防ぎ、透明性の高い精算を実現します。

返済後のアフターフォローまで見据えたサポートこそが、弁護士に依頼する大きな意義です。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

債務整理は,借金の減免を試みるためのものなので,債権者としては保証人への請求へと切り替えるきっかけにもなります。
そのため,債務整理が保証人に大きな影響を与え得ることを十分に把握した上で,対応の方法を検討するのが適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

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借金返済の督促を防ぎたい場合にはどんな債務整理をすべき?方法別に弁護士が詳細解説

●借金返済の督促を防ぐにはどうすべきか?

●自己破産で督促を防ぐことはできるか?

●個人再生で督促を防ぐことはできるか?

●任意整理で督促を防ぐことはできるか?

●督促を防ぐ他の方法はあるか?

●督促への対応の注意点は?

というお悩みはありませんか?

このページでは,借金の督促を防ぐ方法でお困りの方に向けて,返済の督促を防ぐ際に適切な手段や,督促に対して行ってはならないことなどを解説します。

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借金返済の督促を防ぐために必要なこと

借金の返済が滞る場合,債権者の取る手段は基本的に以下の2つのいずれかです。

借金返済が滞った場合の債権者の手段

1.任意の返済を求める(督促)
2.民事訴訟を提起して強制的に回収する

この点,訴訟手続を利用することは債権者側にも負担が大きいため,まずは支払の督促を行うこと(①)から行い,督促が奏功しないと判断した場合に訴訟での請求(②)を検討するという流れが通常です。

督促という行為は,債務者に借金の返済を求めているだけであるため,あまりに過激な方法を取らない限りは法的問題の生じる行為ではありません。つまり,督促は基本的に合法です。
一方,債務者が督促を防ごうと思った場合には,基本的に合法であるはずの督促が違法となる状態を作り出すことが必要となります。

督促が違法となる状態を作るための代表的な手段は,弁護士による受任通知の送付です。
弁護士が債務者から当該債務の整理に関する委任を受けた場合,債権者に対して受任通知を送るのが通例です。これは,「この債務に関しては今後弁護士が窓口になるから,債務者本人への督促はしないでください」というメッセージです。
貸金業者や債権回収会社は,受任通知の受領以降に債務者本人への督促をすることが法律で禁じられているため,受任通知の送付によって督促が違法となるのです。

そのため,借金返済の督促を防ぎたい場合には,弁護士から受任通知を送付するような手続を用いることが適切である,ということになります。

ポイント
債権者の債権回収手段は督促又は訴訟
弁護士の受任通知受領後は,貸金業者の債務者本人への督促は違法
督促を防ぎたい場合,弁護士から受任通知を送付する手段を用いるのが適切

自己破産で督促を防げるか

自己破産を弁護士に依頼すると,弁護士は債務の総額を把握しなければならないため,全ての債権者に受任通知を送付し,債権額の調査を実施します。つまり,弁護士が自己破産の準備を行う場合の最初のステップが,全債権者への受任通知ということです。

したがって,自己破産を弁護士に依頼した場合,速やかに弁護士の受任通知が送付され,その後の督促を防ぐことが可能です。

個人再生で督促を防げるか

個人再生を弁護士に依頼した場合も,自己破産と同じく弁護士による債務の全体像の把握から始まります。具体的には,やはり弁護士がすべての債権者に受任通知を送付し,債権額の調査を進めるステップから入るため,弁護士は受任後速やかに受任通知を出すことになるのです。

したがって,個人再生を弁護士に依頼した場合,速やかに弁護士の受任通知が送付され,その後の督促を防ぐことが可能です。

任意整理で督促を防げるか

弁護士に任意整理を依頼すると,弁護士は任意整理を目指す債権者に対して受任通知を行い,取引履歴の開示を求めるなどして債権額の調査を行います。ここでもやはり,弁護士の活動のスタートが受任通知の送付となります

したがって,任意整理を弁護士に依頼した場合,速やかに弁護士の受任通知が送付され,その後の督促を防ぐことが可能です。ただし,任意整理は債権者ごとに行うか行わないかの判断が生じるところ,任意整理を行わない債権者には弁護士の受任通知は送付されないため,督促が防げるのは任意整理を行う相手の債権者のみです。

督促を防ぐ適切な手段は

個人が債務整理を行う手段である自己破産,個人再生,任意整理は,いずれも弁護士に依頼すれば債権者に受任通知が送付されます。そのため,督促を防ぐという観点では,手段に優劣の差はあまりないということができるでしょう。
ただし,債権者のごく一部に対してのみ任意整理を試みる場合は,他の大部分の債権者との関係では督促を防ぐ効果が生じないため,この場合は明確な差が生じることになります。

ポイント 督促を防ぐ適切な手段
弁護士に依頼する限り,自己破産,個人再生,任意整理のいずれも適切
ごく一部の債権者との間でのみ任意整理をする場合は,督促を防ぐ効果もごく一部

督促を防ぐ他の方法

債権者の督促を防ぐ方法は,受任通知以外にも以下のような方法が考えられます。

①支払方法の相談

債権者は,債務者に支払の意思があるのか分からず,放っておくことで借金が返済されないまま時間が経過する可能性があると考え,債務者への督促を行うものです。
そのため,債権者から見て債務者の支払意思や返済の見込みが分かれば,わざわざ督促を継続する必要はなくなります。

そこで,特に滞納期間が短い場合に,債権者と支払方法に関する相談を試みる手段は有力です。債権者に対して現在返済が滞っている具体的理由を説明した上で,今後の返済予定・見込みをできる限り説明することで,債権者に納得してもらうことを目指す,というわけですね。

もっとも,既に長期間・多額の滞納が続いている場合は,債権者との相談は困難なことが多いでしょう。なぜなら,これまでの滞納状況を踏まえたときに,返済を約束する債務者の話を信用することは難しいためです。

ポイント
滞納期間や滞納額が限定的であれば,債権者との相談が有力

②消滅時効の援用

借金の返済を求める督促を受けても,その根拠となる債権が時効によって消滅していれば返済を拒むことができます。消滅時効が完成している場合,消滅時効の「援用」(時効の効果を生じさせる意思表示)をすることで,督促を受ける筋合いもなくなるということになります。

消滅時効が完成するためには,一般的に5年又は10年の経過が必要であるため,相当程度遡った借金に限る話ではありますが,意識しておいて損はないでしょう。具体的な消滅時効の期間は以下の通りです。

消滅時効の期間

1.2020年3月31日以前の借金
a.貸主か借主のいずれかが商人の場合,5年
b.貸主・借主いずれも承認出ない場合,10年

2.2020年4月1日以降の借金
商人であるかどうかにかかわらず5年

なお,商人は,主に営利目的で金貸しを行っている個人や法人を指します。

もっとも,消滅時効を援用する場合には,消滅時効が「更新」されていないか確認する必要があります。
消滅時効の更新とは,消滅時効の進行がリセットして,またゼロから時効期間が進むことを言います。例えば,借金の一部を返済する行為は,消滅時効の更新事由に該当するため,返済した時点からさらに5年が経過しなければ消滅時効が完成しません。
借金の場合,途中までは何とか返済を続けていた,という場合も多いため,消滅時効が更新されていないかは十分に注意したいところです。

ポイント
消滅時効は,個人10年,商人5年,2020年4月以降は一律5年
返済などによって更新されていないかは注意が必要

③督促異議の申立て

債権者自身からでなく,裁判所を通じて督促が届くことがあります。これを「支払督促」といい,放置をしていると財産を強制的に差し押さえられる恐れのある重大な手続です。
債権者としても,債務者の自発的な支払をほぼ期待できないと考えている場合に取る手段,という意味合いがあるものと言えます。

裁判所からの郵便で支払督促が届いた場合,受領から2週間以内に「督促異議の申立て」を行いましょう。通常,郵送時に「督促異議申立書」の書式が同封されているため,必要事項を記載の上で提出することが可能です。

督促異議申立書 書式(東京簡裁民事第7部)

ポイント
裁判所からの支払督促には,速やかに督促異議申立書を返送する

督促への対応の注意点

支払の督促を受けた場合,突然の出来事に冷静な判断の難しい場合が多いところですが,まずは冷静に内容を確認の上,以下の各事項に留意するのが適切です。

①心当たりのある督促は無視しない

督促の対象となっている借金に心当たりがある場合,督促を無視してそのまま放置することは避けましょう。実際に借金があり,督促を受ける段階にある場合,債権者としては督促が無視されれば財産を差し押さえてでも強制的に貸金を回収しようとしてくる可能性があります。
もし,裁判手続となって財産の差し押さえが認められれば,重要な財産を失う可能性も否定できず,不利益が必要以上に重大なものとなってしまうかもしれません。

具体的にどのような債務整理の手段を講じるかはともかく,まずは督促があった事実に見て見ぬふりをすることなく,対応方法をしっかり検討するようにしましょう。

②利息が大きくなる恐れがある

貸金業者が貸付を行う場合の金利(貸付金利)は,法律が認めた上限よりもいくらか低いことが通常です。しかし,滞納して督促を受ける状況では,貸付金利より高額な「遅延損害金」の支払を求められる内容の契約になっていることが一般的であるため,督促を受ける段階では返済すべき利息の金額が大きくなってしまっている可能性があります。

督促を受ける状況であれば,「貸付金利」と「遅延損害金」がそれぞれ年利何パーセントの割合になっているか,正確に確認することが適切でしょう。

③一括返済を求められる恐れがある

貸金業者が貸付を行う場合,継続的な返済を滞る状況に至ると債権者が残金を一括請求できる,という契約になっていることが通常です。一定の期限が来るまで返済しなくてもよいという権利のことを「期限の利益」と言いますが,滞納するとこの期限の利益を失うという契約になっている,というわけです。期限の利益がなくなることを,「期限の利益の喪失」と言います。

滞納により督促を受ける状況では,債権者が期限の利益の喪失を主張して全額の返済を強制的に求めてくる可能性も否定できません。

④保証人が請求を受ける可能性がある

貸付に際して保証人がついている場合,督促を受けるような状況であれば,債権者は保証人に対して請求を試みることも考えられます。
保証人は,債務者が返済を滞る場合でも債権者が債権回収できるように,担保となる人です。債務者が返済を滞納し,督促にも応じないとなれば,まさに担保としての保証人にその役割を発揮してもらうべきタイミングということになります。

督促を受けた状況では,保証人に影響がある可能性に留意するのが適切でしょう。

⑤受任通知を送っても個人の取り立ては防げない

債権者の督促を防ぐ代表的な手段として,弁護士による受任通知の送付を解説しましたが,これは債権者が貸金業者や債権回収業者である場合に限られます。つまり,受任通知後の督促を法律で禁じられた債権者に対してしか,直接の効果を発揮しないということになります。

そのため,債権者が個人である場合,弁護士の受任通知受領後に債務者へ直接の取り立てを行っても,直ちに違法とはならないのです。
もっとも,弁護士の受任通知を無視して執拗に債務者への取り立てを行うとなると,程度によっては違法と判断される場合が生じます。いずれにしても,弁護士からの受任通知を送付しておくことに損はないでしょう。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

支払の督促を受ける状況では,対応を誤るとより大きな不利益につながる可能性が非常に高いです。
そのため,適切な方法で対処し,支払の督促を防ぐ動きを検討することが望ましいでしょう。
具体的な方針は専門的な判断が必要になるため,借金問題に強い弁護士への相談をお勧めします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
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給与所得者再生は会社員なら活用すべき?個人再生を考える人の必須知識を弁護士が詳細に解説

●個人再生とは何か?

●破産でなく個人再生を行うべき場合は?

●給与所得者再生とは?

●給与所得者再生の要件は?

●給与所得者再生の弁済金額は?

●給与所得者再生のメリット・デメリットは?

●給与所得者再生を検討すべき場合は?

というお悩みはありませんか?

このページでは,給与所得者再生の内容や要件返済金額小規模個人再生でなく給与所得者再生を検討すべき場合について解説します。

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個人再生とは

個人再生とは,債務整理を図る手段の一つであり,借金の減額を認めてもらった上で継続的な返済計画を立てる制度のことを指します。

個人が多額の借金を抱えている場合,債務超過の状態を解消するために用いる可能性のある裁判手続としては,「自己破産」と「個人再生」が挙げられますが,両者の間には大きな差異があります。
自己破産」は,基本的に債務者が持つすべての財産を換価して債権者に配当し,残った債務を免責することで,経済的にまっさらな状態を作り出す手続と言えます。一方,「個人再生」は,債務者の財産を維持したまま,債務を大きく減額することで,減額後の債務を計画的に返済しながら債務者の経済的な債権を図る手続です。そのため,個人再生では債務者は経済的にまっさらな状態となるわけでなく,引き続き借金を返済し続けることが必要です。

ポイント
個人再生は,借金を減額してもらった上で,その継続的な返済計画を立てる制度
破産と異なり,手続終了後も借金の返済を継続する必要がある

破産でなく個人再生を行うべき場合

個人再生を行っても,破産と異なり借金は免責されないため,破産と個人再生を比較して個人再生をすべき場合が考えにくいようにも思えますが,破産より個人再生を選択すべき場合は存在します。
具体的には,以下のようなケースが挙げられるでしょう。

①借金の返済能力がある場合

自己破産をすると,必要最低限の財産を除き,全ての財産が処分されることになります。その引き換えに債務の免責が見込まれるわけですが,免責までは必要がない場合(=返済自体は継続可能である場合)は,免責よりも財産を失わないことを優先すべきケースもあるでしょう。

借金の返済能力がある場合には,個人再生に必要な再生計画を立てることも可能な場合が多いので,個人再生によって財産の確保をしたまま生活を立て直す手段が有力になるでしょう。

②マイホームがある場合

マイホームを持っている場合,自己破産だと異本的に処分する以外の手段はありません。マイホームは金銭に換価して,債権者への配当に回すべき財産(破産財団)に含まれるためです。

一方,個人再生の場合,住宅資金特別条項(いわゆる住宅ローン特例)を利用することによって,住宅ローンだけはそれまで通りの返済を続けながら生活を立て直すことが可能になります。マイホームを守る利益が大きい場合には,個人再生を選択するのが合理的でしょう。

③免責不許可事由がある場合

自己破産は,最終的に債務の免責を獲得することが最大の目的になります。そのため,自己破産したものの免責されないのでは,自己破産を選択するメリットはほとんどなくなってしまいます。
この点,免責不許可事由がある場合は原則として免責が認められないため,個人再生を選択する方が合理的な場合が多くなるでしょう。

典型例は,ギャンブルが原因で借金に苦しんでいるという場合です。ギャンブルを原因とする債務負担は免責不許可事由に該当するため,自己破産しても免責されない恐れが大きく残ります。そこで,選択が可能な状況であれば個人再生を選択することが有益になりやすいと考えられます。

④資格ある職業の場合

自己破産(得に管財事件)の場合,破産手続開始決定の時点で一定の職業や資格に制限が生じます。士業や金融機関の役員,登録や免許が必要な職業など,その対象は多岐に渡るため,資格ある職業に従事している場合は注意が必要です。

この点,個人再生の場合は,手続中も資格制限が生じません。そのため,仕事への影響なく経済的な立ち直りが可能になるという利点があるのです。
資格ある仕事を継続しながら計画的な借金返済を希望したい場合は,個人再生を選択すべきでしょう。

なお,破産手続開始決定によって資格制限が生じたとしても,同時廃止決定や免責許可決定がなされた場合など,一定の条件を満たせば資格制限はなくなります(復権)。

⑤注意点

上記の各条件を満たす場面では,自己破産より個人再生を選択するメリットの大きい可能性が見込まれやすいです。ただし,同時廃止されるような自己破産とは異なり,手続はより詳細で厳密なものになるため,必要な費用は大きく,期間は長くなりやすいということにはあらかじめ留意しておくのが適切でしょう。

ポイント 破産より個人再生すべき場合
返済能力があり,財産を守りたい場合
マイホームがある場合
ギャンブルで借金を作った場合
資格を失いたくない場合

給与所得者再生とは

給与所得者再生は,小規模個人再生と並ぶ個人再生手続の一つで,安定した収入を見込める給与所得者に限り利用することのできる制度です。

小規模個人再生と給与所得者再生を極めて単純に比較した場合,以下のような内容になるでしょう。

小規模個人再生と給与所得者再生の簡単な比較

小規模個人再生
収入の条件が優しく,借金の減額幅が大きいが,債権者が反対するとできない場合がある

給与所得者再生
=収入の条件が厳しく,借金の減額幅は小さいが,債権者の反対があってもできる

相違点小規模個人再生給与所得者再生
収入条件〇優しい×厳しい
借金の減額幅〇大きい×小さい
債権者の反対×影響し得る〇影響しない

給与所得者再生は,小規模個人再生よりも対象者が限られていますが,決して条件がいい(優先して利用したい)手続ではありません。イメージとしては,小規模個人再生が選択できない場合に,給与所得者にだけいくらか条件の悪い個人再生手続が残されている,といったところでしょう。
個人再生ができず財産を差し押さえられたり自己破産を強いられたりするよりも,給与所得者再生をした方が有益である,という意味合いのものと考えられます。

ポイント
給与所得者再生は,小規模個人再生ができない場合の受け皿的手続
給与所得者に限り,いくらか条件の悪い個人再生手続がもう一つ残されているという位置づけ

給与所得者再生の要件

給与所得者再生の基本的な要件は,小規模個人再生との比較で確認すると明快でしょう。

①収入・支出の条件

収入面の条件として,小規模個人再生と給与所得者再生に共通する要件は以下の3つです。

共通する要件

1.支払不能のおそれがあること
2.継続した収入の見込みがあること
3.住宅ローン以外の借金総額が5,000万円以下であること

小規模個人再生の場合は上記のみですが,給与所得者再生ではさらに以下の2つの要件が必要となります。

給与所得者再生に特有の要件

4.収入の変動幅が小さいこと
→過去2年間の収入に20%以上の変動があると利用できません。

5.過去7年以内個人再生手続やハードシップ免責(※)を申し立てていない
→直近に再生手続を行った事実のないことが必要です。

ハードシップ免責
再生計画の認可後,事情の変更によって計画通りの返済が困難になった場合,返済金額の4分の3以上を返済済みであれば,残りの借金の支払義務を免除してもらえる制度

給与所得者再生に特有のこれらの要件は,給与所得者であるにもかかわらず安定した収入がない場合に再生手続を認めない,という趣旨のものです。
給与所得者再生は,給与所得者が安定した収入を継続して獲得することに注目し,収入の安定した給与所得者に限って個人再生手続(=継続返済による経済的立ち直り)を認めたものです。そのため,上記「4」及び「5」の要件を満たさないような不安定な経済状況の場合には,対象とするべきでないという制度になっています。

②職業形態

給与所得者再生は,その名の通り給与所得者に限り利用できる制度です。
一方,小規模個人再生の場合,個人であれば給与所得者でも事業所得者でも利用が可能です。給与所得者のみ両方利用できる,という制度になっています。

③債権者の賛成

小規模個人再生は,債権者の賛成多数でないと再生計画が認可されません。具体的には,以下のような要件があります。

小規模個人再生における再生計画案の可決条件

①反対する債権者数が全体の2分の1以下であること
②反対する債権者の債権総額が全体の2分の1以下であること
(①と②の両方を満たすことが必要)

一方,給与所得者再生にはこのような債権者に関する要件がありません。大口債権者の反対が見込まれる場合には,小規模個人再生でなく給与所得者再生を選択する手段が有力になります。

ポイント 給与所得者再生の要件
収入の安定が必要
職業は給与所得者のみ
債権者の賛成が不要

給与所得者再生の弁済金額

給与所得者再生の弁済金額は,以下の3つのうち最も大きい金額となります。

給与所得者再生の弁済金額

①最低弁済額
②清算価値
③可処分所得の2年分

①最低弁済額

最低弁済額とは,個人再生手続で借金を縮減してもらったとしても,最低限返済しなければならない金額として法律が定めた金額です。具体的には,借金の総額に応じて以下の通り定められています。

最低弁済額の一覧

借金総額最低弁済額
100万未満全額
100万円以上 500万円未満100万円
500万円以上 1,500万円未満借金の総額の5分の1
1,500万円以上 3,000万円未満300万円
3,000万円以上 5,000万円未満借金の総額の10分の1

最低弁済額は,最低額を100万円とし,借金の総額が大きいほど減額幅が大きくなる形が取られています。借金額が限定的な場合は5分の1,借金額が大きい場合は10分の1に減額されることとなります。

②清算価値

清算価値とは,必要最低限の財産以外のものをすべて処分した時に得られる金額を言います。まさに,手持ちの財産を清算したときの価値,ということですね。

③可処分所得の2年分

可処分所得とは,いわゆる手取りの給料から最低限の生活費を差し引いた金額を指します。言い換えれば,給与総額から税金や保険料などを差し引き,さらに最低限の生活費を除いた残額ということになります。
個人再生前の可処分所得の2年分を基準とするのがこの弁済金額です。

一般的な計算方法は,以下の通りです。

可処分所得2年分の計算方法

{(「2年分の収入」-「2年分の税金等」)÷2-「1年分の生活費」}×2

つまり,2年分の収入から2年分の税金などを引いたものを半分にして1年分の「収入-税金等」の平均を出し,その金額から1年分の生活費を引けば1年分の可処分所得が計算できるため,これをさらに2倍する,ということになります。

④金額の比較

①最低弁済額,②清算価値,③可処分所得の2年分の3つを比較すると,一般的には以下のような大小関係になりやすいです。

弁済金額3基準の一般的な比較

高額
「③可処分所得の2年分」

「①最低弁済額」

「②清算価値」
低額

例えば,1,000万円の借金がある年収450万円の給与所得者の場合,計算の一例としては以下のような内容が考えられます。

例:借金1,000万円,年収450万円の独身男性の場合(めぼしい財産はない)

「③可処分所得の2年分」
={(「2年分の収入」-「2年分の税金等」)÷2-「1年分の生活費」}×2
≒{(900万円-200万円)÷2-「200万円」}×2
=150万円×2
300万円

「①最低弁済額」
=1,000万円×1/5
200万円

「②清算価値」
必要最低限の財産しか有していなければ,ほぼゼロとなるでしょう。

【金額の比較】

高額
「③可処分所得の2年分」=300万円

「①最低弁済額」=200万円

「②清算価値」=0円
低額

なお,借金額が非常に大きかったり,扶養家族が多いため生活費が大きかったりすると,「③可処分所得の2年分」が「①最低弁済額」を下回る可能性も否定はできないところです。

小規模個人再生と給与所得者再生の優先関係

個人再生手続である小規模個人再生と給与所得者再生は,一定の給与所得者であればいずれも選択可能であることが多く見られますが,一般的には小規模個人再生を優先して選択すべきと考えられます。
その最大の理由は,弁済金額の点で小規模個人再生の方が有利であるためです。

給与所得者再生の弁済金額は,以下のいずれかのうち最も大きい金額でした。

給与所得者再生の弁済金額(①~③のうち最も大きい金額)

①最低弁済額
②清算価値
③可処分所得の2年分(最も高額になりやすい)

一方,小規模個人再生の弁済金額は以下の通りです。

小規模個人再生の弁済金額の弁済金額(①~②のいずれか大きい金額)

①最低弁済額
②清算価値

つまり,小規模個人再生では,「③可処分所得の2年分」が弁済金額とされないため,その分弁済金額が小さくなる可能性があるわけです。もっとも,「①最低弁済額」が「③可処分所得の2年分」より大きい場合,いずれの手続でも弁済金額は最低弁済額になりますが,どちらの手続でも同額になるというだけであり,給与所得者再生の方が有益ということにはなりません。

給与所得者再生のメリット

給与所得者再生の最大のメリットは,債権者の反対があっても利用できるという点にあります。小規模個人再生は債権者の反対が多数だと利用できないため,この点が給与所得者再生の特徴的な利点と言えるでしょう。

そのため,給与所得者再生のメリットが現れるケースとしては,以下のような場合が考えられます。

給与所得者再生のメリットが現れるケース

過半数の債権者から個人再生手続を反対されている
最も大口の債権者から個人再生手続を反対されている

給与所得者再生のデメリット

小規模個人再生と比較した給与所得者再生のデメリットを列挙すると,以下の通りになるでしょう。

給与所得者再生のデメリット(小規模個人再生との比較)

1.弁済額が高額になりやすい
2.収入の要件が厳しい(収入の安定が必要)
3.給与所得者しか利用できない

以上のデメリットが具体的に意識される場合は,まず小規模個人再生の利用を検討するのが有益ということになります。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

給与所得者再生は,一定の給与所得者が利用できる個人再生手続です。
もっとも,小規模個人再生と比較して債務者にとって有利であることはあまり想定されないため,個別のケースで本当に給与所得者再生が適切であるかどうかは,専門的な知識・経験を持った弁護士との十分なご相談をお勧めいたします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

小規模個人再生とはどんな手続か?どんなときに利用するべきか?メリットデメリットを簡単理解

●個人再生とは何か?

●破産でなく個人再生を行うべき場合は?

●小規模個人再生と給与所得者再生は何が違う?

●小規模個人再生の条件は?

●小規模個人再生の場合の弁済金額は?

●小規模個人再生のメリット・デメリットは?

●小規模個人再生と給与所得者再生のどっちがいいのか?

というお悩みはありませんか?

このページでは,小規模個人再生の内容条件や返済金額給与所得者再生と比較したメリットデメリットなどを解説します。

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個人再生とは

個人再生とは,債務整理を図る手段の一つであり,借金の減額を認めてもらった上で継続的な返済計画を立てる制度のことを指します。

個人が多額の借金を抱えている場合,債務超過の状態を解消するために用いる可能性のある裁判手続としては,「自己破産」と「個人再生」が挙げられますが,両者の間には大きな差異があります。
自己破産」は,基本的に債務者が持つすべての財産を換価して債権者に配当し,残った債務を免責することで,経済的にまっさらな状態を作り出す手続と言えます。一方,「個人再生」は,債務者の財産を維持したまま,債務を大きく減額することで,減額後の債務を計画的に返済しながら債務者の経済的な債権を図る手続です。そのため,個人再生では債務者は経済的にまっさらな状態となるわけでなく,引き続き借金を返済し続けることが必要です。

ポイント
個人再生は,借金を減額してもらった上で,その継続的な返済計画を立てる制度
破産と異なり,手続終了後も借金の返済を継続する必要がある

破産でなく個人再生を行うべき場合

個人再生を行っても,破産と異なり借金は免責されないため,破産と個人再生を比較して個人再生をすべき場合が考えにくいようにも思えますが,破産より個人再生を選択すべき場合は存在します。
具体的には,以下のようなケースが挙げられるでしょう。

①借金の返済能力がある場合

自己破産をすると,必要最低限の財産を除き,全ての財産が処分されることになります。その引き換えに債務の免責が見込まれるわけですが,免責までは必要がない場合(=返済自体は継続可能である場合)は,免責よりも財産を失わないことを優先すべきケースもあるでしょう。

借金の返済能力がある場合には,個人再生に必要な再生計画を立てることも可能な場合が多いので,個人再生によって財産の確保をしたまま生活を立て直す手段が有力になるでしょう。

②マイホームがある場合

マイホームを持っている場合,自己破産だと異本的に処分する以外の手段はありません。マイホームは金銭に換価して,債権者への配当に回すべき財産(破産財団)に含まれるためです。

一方,個人再生の場合,住宅資金特別条項(いわゆる住宅ローン特例)を利用することによって,住宅ローンだけはそれまで通りの返済を続けながら生活を立て直すことが可能になります。マイホームを守る利益が大きい場合には,個人再生を選択するのが合理的でしょう。

③免責不許可事由がある場合

自己破産は,最終的に債務の免責を獲得することが最大の目的になります。そのため,自己破産したものの免責されないのでは,自己破産を選択するメリットはほとんどなくなってしまいます。
この点,免責不許可事由がある場合は原則として免責が認められないため,個人再生を選択する方が合理的な場合が多くなるでしょう。

典型例は,ギャンブルが原因で借金に苦しんでいるという場合です。ギャンブルを原因とする債務負担は免責不許可事由に該当するため,自己破産しても免責されない恐れが大きく残ります。そこで,選択が可能な状況であれば個人再生を選択することが有益になりやすいと考えられます。

④資格ある職業の場合

自己破産(得に管財事件)の場合,破産手続開始決定の時点で一定の職業や資格に制限が生じます。士業や金融機関の役員,登録や免許が必要な職業など,その対象は多岐に渡るため,資格ある職業に従事している場合は注意が必要です。

この点,個人再生の場合は,手続中も資格制限が生じません。そのため,仕事への影響なく経済的な立ち直りが可能になるという利点があるのです。
資格ある仕事を継続しながら計画的な借金返済を希望したい場合は,個人再生を選択すべきでしょう。

なお,破産手続開始決定によって資格制限が生じたとしても,同時廃止決定や免責許可決定がなされた場合など,一定の条件を満たせば資格制限はなくなります(復権)。

⑤注意点

上記の各条件を満たす場面では,自己破産より個人再生を選択するメリットの大きい可能性が見込まれやすいです。ただし,同時廃止されるような自己破産とは異なり,手続はより詳細で厳密なものになるため,必要な費用は大きく,期間は長くなりやすいということにはあらかじめ留意しておくのが適切でしょう。

ポイント 破産より個人再生すべき場合
返済能力があり,財産を守りたい場合
マイホームがある場合
ギャンブルで借金を作った場合
資格を失いたくない場合

小規模個人再生と給与所得者再生の簡単な違い

個人再生には,「小規模個人再生」と「給与所得者再生」という二つの手続があります。個人再生を試みる場合には,このいずれかの選択肢を選ぶことになるため,両者の違いを把握することが重要です。

小規模個人再生と給与所得者再生には複数の相違点がありますが,最も典型的な違いを挙げると,以下のように区別できるでしょう

小規模個人再生と給与所得者再生の簡単な比較

小規模個人再生
収入の条件が優しく,借金の減額幅が大きいが,債権者が反対するとできない場合がある

給与所得者再生
=収入の条件が厳しく,借金の減額幅は小さいが,債権者の反対があってもできる

相違点小規模個人再生給与所得者再生
収入条件〇優しい×厳しい
借金の減額幅〇大きい×小さい
債権者の反対×影響し得る〇影響しない

なお,給与所得者再生は,文字通り給与所得者のみに認められた個人再生手続です。そのため,給与所得者でない場合には給与所得者再生を選択することができません。一方,小規模個人再生は給与所得者でも選択可能であるため,給与所得者に限りいずれも選択することができるということになります。

小規模個人再生の要件

小規模個人再生を申し立てるための要件(再生手続開始要件)としては,以下の事項が挙げられます。

1.個人である

小規模個人再生は個人を対象とした手続であるため,法人は利用できません

2.小規模個人再生を行うことを求める申述をした

小規模個人再生を希望する場合,再生手続開始の申立てを行うに際して,小規模個人再生を行うことを求める申述をする必要があります。具体的には,申立書に小規模個人再生を求める旨を記載することになるでしょう。

3.支払不能のおそれがある

支払不能」とは,支払能力を欠くため,弁済期の到来した債務を弁済できない状況が継続することを言います。ただし,現実に支払不能の状況である必要はありません。個人再生は,個人が支払不能に至ることを防ぐために,再生計画を立てて計画的な返済を実現するための手続であるためです。

また,個人事業主の場合は,「事業の継続に著しい支障をきたすことなく」弁済期の到来した債務を弁済できない状況であれば,支払不能に該当します。例えば,事業に不可欠な資産を売却すれば弁済できるが,それ以外の手段では弁済できない場合,「事業の継続に著しい支障をきたすことなく」弁済することができないため,支払不能に該当することとなります。

4.反復継続して収入を得る見込みがある

個人再生は,概ね3~5年間の期間で返済計画を立てるものであるため,向こう3~5年間は継続して収入を得られることが必要です。なお,収入源が労働や事業の対価である必要はないので,年金収入でも問題ありません。

5.借金の総額が5,000万円以下である

小規模個人再生は,住宅ローンを除く債務の総額が5,000万円以下でなければ手続の開始ができません。個人再生手続は,借金を大きく減額した上で,その計画的な返済を行うものですが,借金の総額があまりに大きいと,減額幅も大きくならざるを得ず,債権者の不利益が許容できない程度に至ってしまいます。そのため,個人再生では借金の総額に限度を設け,これを超える規模の場合には民事再生手続を利用すべき,という制度設計になっています。

小規模個人再生の手続

小規模個人再生を実施する際の主な流れは,以下の通りです。

1.裁判所への申立書類提出

申立人の住居地を管轄する裁判所に,個人再生の申立書類を提出します。あわせて,住宅資金特別条項を利用する場合は,住宅ローンの弁済許可申立ても行います。

2.個人再生委員の選任

裁判所は,必要と認めた場合「個人再生委員」を選任し,個人再生に向けた調査や判断を依頼します。基本的に個人再生委員を選任する,という運用となっていることも珍しくありません。

3.個人再生委員による意見

個人再生委員は,申立人と面談をしたり,再生計画案を確認したりといった方法で,再生手続の開始に関する調査・判断を実施します。
また,個人再生委員は,再生計画に沿った支払いが継続できるか,毎月一定額を支払わせる方法で実際に確認することもあります。これを「履行テスト」と言います。履行テストで振り込んだお金は,個人再生委員の報酬を除いた上で返還されるのが通常です。

その後,調査や履行テストなどの結果を踏まえ,個人再生委員が個人再生に対する意見書を裁判所に提出します。

4.個人再生手続開始決定

裁判所は,申立書類の審査や個人再生委員の意見を確認した上で,問題がなければ再生手続開始決定をします

5.再生計画案の作成

申立人において,具体的な返済方法・内容を記載した再生計画案を作成・提出します。

6.再生計画の決議

小規模個人再生の場合,提出された再生計画案と議決書を債権者に送付の上,書面での決議を行います。
この決議は,債権者の反対が所定の基準を超えているかどうかによって行われます。具体的には以下の通りです。

小規模個人再生の可決条件

①反対する債権者数が全体の2分の1以下であること
②反対する債権者の債権総額が全体の2分の1以下であること
(①と②の両方を満たすことが必要)

なお,法律のルール(最低弁済額)に従って設けられた返済計画であれば,金融業者が反対することは通常考えにくいでしょう。

7.再生認可決定

再生計画案が可決されると,再生計画認可決定が行われ,これが確定した後,再生計画に従った返済が開始します。

小規模個人再生の弁済金額

小規模個人再生の弁済金額は,以下のいずれかのうち高い方の金額まで減額されます。

小規模個人再生の弁済金額

①最低弁済額
②清算価値

①最低弁済額

最低弁済額とは,個人再生手続で借金を縮減してもらったとしても,最低限返済しなければならない金額として法律が定めた金額です。具体的には,借金の総額に応じて以下の通り定められています。

最低弁済額の一覧

借金総額最低弁済額
100万未満全額
100万円以上 500万円未満100万円
500万円以上 1,500万円未満借金の総額の5分の1
1,500万円以上 3,000万円未満300万円
3,000万円以上 5,000万円未満借金の総額の10分の1

最低弁済額は,最低額を100万円とし,借金の総額が大きいほど減額幅が大きくなる形が取られています。借金額が限定的な場合は5分の1,借金額が大きい場合は10分の1に減額されることとなります。

②清算価値

清算価値とは,必要最低限の財産以外のものをすべて処分した時に得られる金額を言います。まさに,手持ちの財産を清算したときの価値,ということですね。

③両者の比較

通常,①最低弁済額の方が②清算価値より大きく,最低弁済額が採用されることになるでしょう。小規模個人再生を試みる場合に高額な資産を有していることは考えにくく,清算価値がそこまで大きな金額になるケースは見られないためです。

そのため,小規模個人再生を試みる場合には,最低弁済額に当たる金額を3~5年程度の期間で返済できるか,という基準で検討するのが適切になりやすいでしょう。

小規模個人再生のメリット

個人再生手続には小規模個人再生と給与所得者再生がありますが,両者を比較した場合の小規模個人再生のメリットは,借金の減額幅が大きくなりやすいという点にあります。

小規模個人再生の弁済金額は,①最低弁済額と②清算価値のいずれか大きい方であり,基本的には①最低弁済額が大きい,と解説しました。そのため,小規模個人再生の場合,最低弁済額以上の返済を要するケースはあまりありません。

しかし,給与所得者再生では,①最低弁済額と②清算価値に③「可処分所得の2年分」を加え,これらのうち最も大きい金額が弁済金額となります。言い方を変えれば,弁済金額はいずれも①最低弁済額と②清算価値のいずれか大きい方ですが,給与所得者再生の場合のみ,「ただし可処分所得の2年分以上でなければならない」という条件が加わるというわけです。

可処分所得とは,いわゆる手取りの給料から最低限の生活費を差し引いた金額を指します。言い換えれば,給与総額から税金や保険料などを差し引き,さらに最低限の生活費を除いた残額ということになります。
この可処分所得の2年分という金額は,最低弁済額を上回るケースが非常に多いため,給与所得者再生の方が借金の減額幅に限りが生じやすいと言われています。

ポイント
小規模個人再生の弁済金額は,多くの場合「最低弁済額」
給与所得者再生の場合,「最低弁済額」より高額な「可処分所得の2年分」までしか減額されないため,減額幅が小さい

小規模個人再生のデメリット

小規模個人再生には,債権者の反対が多数だと再生計画が可決できない,という特徴的な問題点があります。
この問題点が結果に影響しやすいのは,債権者の一部だけで債権総額の大部分を占めている場合です。

そもそも,小規模個人再生における再生計画案の議決基準は,以下の通りでした。

小規模個人再生の可決条件

①反対する債権者数が全体の2分の1以下であること
②反対する債権者の債権総額が全体の2分の1以下であること
(①と②の両方を満たすことが必要)

つまり,1名の債権者であっても全体の2分の1を超える債権を持っていれば,単独で再生計画案を否決することが可能です。自分の債権が10分の1まで圧縮されるのを眺めているくらいであれば,再生計画案を否決して破産させた方が有益だと考えれば,小規模個人再生を利用することはできないということになります。

一部の債権者に債権額が集中している場合は,債権者の賛成を要しない給与所得者再生の検討が有力になるでしょう。

再生手続は基本的に小規模個人再生を目指す

個人再生手続には小規模個人再生と給与所得者再生の2つがありますが,基本的には借金の圧縮がより大きい小規模個人再生を目指すのが得策と考えられます。給与所得者であっても小規模個人再生は選択できるため,「給与所得者だから」という理由で給与所得再生をあえて選択する利益はほとんどないでしょう。
実際に行われた個人再生手続の件数も,圧倒的に小規模個人再生が多く,まずは小規模個人再生を目指すべきであることが分かります。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

小規模個人再生は,財産を手元に残したまま借金問題を解決したい場合の代表的な手続です。
しかしながら,その内容や手続には明確なルールがあり,小規模個人再生を通じて借金の減額を実現するには適切な手順を踏む必要があります。
小規模個人再生を目指す場合は,弁護士へのご相談をお勧めいたします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

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