【男女トラブルでの呼び出し】対処の注意点や呼び出しに関する重要な予備知識を弁護士が解説

このページでは,男女トラブルで警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
男女トラブルに関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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男女トラブルで呼び出された場合の対応法

①対応の基本

男女トラブルで呼び出しを受けた場合,警察署への出頭を求められ,トラブルについて話を聞かれることが見込まれます。このとき,基本的には以下の対応を心掛けるのが適切でしょう。

取るべき対応の基本

1.可能な範囲で呼び出しに応じる
2.自身の記憶を一貫して話す

【1.可能な範囲で呼び出しに応じる】

相手が警察であっても,呼び出しに強制力はないため,法律上は応じる必要もなく,無視することも可能です。しかし,むやみに拒んだり無視したりすることは適切な対応とは言えません。呼び出しに対して不合理な対応を取った場合,逮捕の引き金になる可能性があるためです。

呼び出しをしている以上,警察が話をしたいと考えていることは明らかであるため,できるだけ円滑に警察と話をする機会を設けることに協力する方が賢明です。警察側も,協力的な態度を示す相手に対しては,それほど過激な言動には出ないことが通常です。

もっとも,無理に優先して時間を割かなければいけない,というものではありません。日常生活への支障が最小限にとどまるよう,可能な範囲で応じるスタンスを示せば十分でしょう。

【2.自身の記憶を一貫して話す】

呼び出しに応じた際は,警察からトラブルの内容等に関して話を聞かれることが見込まれます。この際,基本は記憶の通りを話すことが適切です。少なくとも,不利益を避けようと虚偽の話をしてしまうのはお勧めできません。かえって,嘘をついたばかりに不要な不利益を被ってしまう恐れすらあります。
記憶の通りに供述した場合,多くの部分が相手方の供述と合致している可能性が高いため,事実を話していると評価してもらいやすく,円滑な手続につながりやすいでしょう。

また,供述に際しては,常に内容が一貫していることが非常に重要です。
当事者双方の供述に対する評価は,「信用できるか」という基準で判断されることになります。そして,話が一貫していることは,その話が信用できることの重要な判断要素となることが少なくありません。
特に,相手と言い分の食い違いがある箇所については,話が二転三転したり重要な部分があやふやだったりすると,信用できないとの評価につながりやすいでしょう。

ポイント
可能な範囲で応じること
記憶の通りに一貫して話すこと

②示談交渉中の場合

男女トラブルの場合,当事者間での示談交渉が先行して行われている場合も多く見られます。ただ,示談交渉中だから相手が警察に話をしないとは限らないため,示談交渉中に呼び出しを受ける可能性はあり得るところです。

この場合,まずは呼び出しをしてきた警察担当者に,当事者間での示談交渉中であることや,示談での解決を目指したいと考えていることを十分に伝えることを心がけましょう。相手次第では,警察が示談交渉中であることを知らずに呼び出している可能性もあるためです。

通常,当事者間で示談が見込まれるのであれば,警察がそこに割って入って捜査を進めることはそれほど多くありません。相手が示談交渉中であることを伏せて警察に相談している場合は,示談交渉中であることを警察側に把握してもらい,それでも呼び出しを要するか判断を仰ぐとよいでしょう。場合によっては詳細な交渉内容を共有することも有力です。

ポイント
警察は示談交渉中であることを把握していない場合もある

③呼び出しの目的が分からない場合

呼び出しを受けたとき,その目的を教えてもらえず,濁される場合もあり得ます。具体的には,「警察から連絡が来ることに心当たりはあるか」「…月頃の件」「(場所)の件」といった表現で,こちらから自発的に話すことを促すケースが多く見られます。このような場合は,取調べ目的だと考えて間違いないことがほとんどでしょう。

警察の取り扱いとして,取調べを行う相手に捜査情報を伝えることを避けようとするのが通常です。安易に情報を伝えて,逃亡や証拠隠滅のきっかけになることを防ぐのが主な目的です。
そのため,どのような用件で,何のために呼び出しているかを明確に告げてくれない場合は,トラブルの当事者として取り調べを行いたい,という意味であると理解するのが賢明でしょう。

ポイント
取調べ目的の呼び出しは,内容を濁されることがある

男女トラブルの呼び出しに応じると逮捕されるか

男女トラブルで呼び出しを受けた場合,呼び出しに応じて出頭したところを逮捕されるケースはあまり見られません。呼び出しを受ける場合は,逮捕をせずにいわゆる在宅捜査を行う予定であることが一般的でしょう。

逮捕が必要であると判断された場合は,呼び出しを受けるのではなく,予告なしに逮捕状を持参して自宅等に訪れることが多く見られます。呼び出しを行って逮捕の可能性を知らせてしまうと,逃亡や証拠隠滅の原因になりかねず,逮捕をする目的が実現できない恐れがあるためです。

男女トラブルで呼び出しを受けた場合,逮捕を恐れて出頭を躊躇することは避けるようにしましょう。呼び出しに応じる態度を見せる方が,かえって逮捕の可能性が下がる結果につながります。

男女トラブルで警察が呼び出すタイミングや方法

①被害者が警察に相談した後

男女トラブルの捜査が行われるきっかけは,ほとんどが被害者による被害申告です。被害者の申告内容を踏まえ,トラブル相手の話を聞く必要があると判断した場合に,呼び出すことになります。
具体的なタイミングはケースにより様々ですが,被害者が警察に相談した後それほど期間を空けずに呼び出すことが多い傾向にあります。呼び出しの方法は電話連絡が通常でしょう。

②当事者間の言い分の相違点を確認した後

警察が当事者双方から話を聞き,その言い分の相違点を確認した後,相違点に関して詳細を聴き取るために呼び出すことが考えられます。呼び出しが複数に渡る場合は,前回の呼び出し以降に新しく聴き取りを要する事項が出てきたケースであることが多いでしょう。

呼び出し方法は,それ以前と同じ方法であることが通常ですが,基本的には電話連絡となることが一般的です。

③供述調書の補充訂正を要する場合

警察は,作成した供述調書等の証拠を検察庁に送致しますが,担当者が作成した供述調書に不足があり,補充や訂正を求められることもあります。補充や訂正が必要な場合には,補充訂正目的であることを明示して呼び出しが行われる流れになりやすいでしょう。

呼び出し方法は,同様に電話連絡であることが一般的です。

男女トラブルの呼び出しに応じたときの注意点

①言い分を整理する

男女トラブルでの呼び出しは,警察が当事者間の言い分の相違を把握するために行うことが通常です。そのため,呼び出しに応じる段階で言い分を整理しておくことが適切でしょう。

言い分を整理し,警察に正しく把握してもらうことができれば,有益な解決につながりやすくなります。

②示談が進展した場合

示談交渉中に呼び出しを受け,その後に示談が成立したなど,示談交渉に進展があった場合は,できる限り速やかに警察側に伝えることが適切です。示談書の取り交わしを行った場合は,書面の写しを合わせて提出するとスムーズでしょう。
呼び出しを受けたとしても,示談が成立すればその後の出頭が必要なくなる可能性も十分にあります。

③相手方のことを話す場合

呼び出しに応じて警察と話をする際には,トラブル相手に関する話題となることは避けられませんが,相手方のことを話す場合は,今後相手に接触する意思があると思われるような内容とならないように気を付けましょう。

男女トラブルは,当事者間の言い分が食い違い,互いに納得をしていない状況である場合も少なくありません。そのため,捜査機関としては,当事者間でトラブルが深刻化し,より重大な事件に発展してしまう可能性を懸念することがあります。
このとき,相手への不満が募るあまり,相手に抗議したい,考え直してもらいたいなど,相手への接触や働きかけを希望する話をしていると,捜査機関が逮捕によって当事者間の接触を防ぐ判断に至る可能性もあり得ます。

呼び出しに応じる場合は,相手に接触したいという意思がないことを前提とした対応を尽くすのが賢明です。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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【男女トラブルの逮捕】逮捕の種類や可能性,逮捕後の釈放を勝ち取る方法などを徹底解説

このページでは,男女トラブルの逮捕に関して,刑事弁護士が徹底解説します。逮捕の可能性はどの程度あるか,逮捕を避ける方法はあるか,逮捕された場合に釈放を目指す方法はあるかなど,対応を検討する際の参考にしてみてください。

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男女トラブルで逮捕される可能性

男女トラブルは,決して類型的に逮捕の可能性が高いわけではありませんが,ケースによっては逮捕が懸念されることもあります。そのため,男女トラブルにおける逮捕の可能性を把握するためには,その区別の基準を踏まえておくことが適切でしょう。

逮捕の可能性を左右する基準

1.性的行為に合意がある可能性の有無

2.当事者間の言い分の相違

3.客観的証拠の有無

4.行為の態様・程度

【1.性的行為に合意がある可能性の有無】

男女トラブルで逮捕の可能性が低いケースの代表例は,男女間に性的行為の合意がなされていた可能性がある,という場合です。
男女トラブルが犯罪に該当し得るためには,さらには逮捕され得るためには,少なくともその男女間の性的行為が一方の合意なく行われていなければなりません。そのため,一方は合意がなかったと主張しているものの,客観的な状況を見れば合意があった可能性がある,という場合,逮捕の判断は慎重にならざるを得ません。

性的行為の合意があった可能性がうかがわれる事情としては,以下のような点が挙げられます。

性的行為の合意をうかがわせる事情

1.自分の意思でホテル内や自宅内に入っている
2.行為の直前直後における関係が良好である
3.行為後にも友人関係が継続している
4.性的行為を複数回に渡って繰り返している

逮捕は,人の身体の自由を全面的に奪う意味で,非常に強力な手続です。その一方,逮捕された人の不利益も非常に大きくなることから,合意をうかがわせる事情があるケースでの逮捕は,非常に慎重な判断が求められる傾向にあります。

【2.当事者間の言い分の相違】

当事者間の言い分が概ね合致している場合,一方を逮捕してまで捜査する必要はあまり大きくないと考えられます。男女トラブルで逮捕をする最大の目的は,加害者が被害者へ圧力を加える行為を防ぐ点にあるためです。

当事者間の言い分が大きく食い違い,被害者が加害者にとって不利益な話をしている場合,加害者が被害者に圧力を加え,その供述を捻じ曲げようとする恐れがあると考えられます。このような証拠隠滅が起きてしまうと,捜査の妨げになるのみでなく,被害者への二次的被害にもつながりかねないため,逮捕を行うことで防ぐ,というのが刑事手続の運用です。

そのため,男女トラブルで逮捕の可能性が高いケースは,加害者が被害者に圧力を加えるなど,何らかの働きかけをする可能性が高い場合と言えます。逆に,言い分に食い違いがないなど,働きかけの可能性がない場合には,逮捕の可能性が低下しやすいでしょう。

【3.客観的証拠の有無】

男女トラブルは,被害者と主張する側の供述を裏付ける客観的証拠に乏しいことも少なくありません。そのため,第三者である捜査機関の目線からは,被害者と主張する人物の供述が真実であるかどうか,はっきりしないという場合が多くなりやすいものです。

この点,客観的証拠に乏しく被害者とされる人物の言い分が客観的に正しいか分からない段階で,その相手方を一方的に逮捕するというのは,誤認逮捕などの危険が高く,行われづらい傾向にあります。このような場合には,いきなり逮捕に踏み切るのではなく,相手方から任意で話を聞くことを目指すのが一般的でしょう。

【4.性的行為を複数回に渡って繰り返している】

トラブルとされる出来事が起きた日以外にも,その前後に当事者間で性的行為があった場合,男女トラブルで一方を逮捕する可能性は非常に低くなります。その具体的な理由としては,以下のような点が挙げられます。

逮捕の可能性が低下する理由

・性的行為を合意していた可能性が高い
・逮捕してまで被害者を保護する必要に乏しい
・男女関係のもつれ(民事事件)でしかない可能性が高い

男女間のトラブルで逮捕を決断するには,被害者側の言い分を信用できることが不可欠です。性的行為が複数回繰り返されている場合,被害者側の言い分を信用しきることは難しく,逮捕の可能性は低くなりやすいでしょう。

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

男女トラブルで逮捕を避ける方法

①示談による当事者間の解決

男女トラブルは,警察が関与する前に当事者間で解決ができれば,警察の捜査が行われることはなく,捜査の手段である逮捕が行われる可能性もなくなります。捜査が行われる前に当事者間で解決する余地がある,というのは,男女トラブルの大きな特徴の一つです。

そのため,男女トラブルが発生し,自分が加害者であるとの認識がある場合は,できるだけ速やかに当事者間での解決を目指すのが有力です。具体的には,被害者との間で示談を行い,被害者から「被害届を出さない」といった約束をしてもらうことができれば,逮捕はほぼ確実に防ぐことができるでしょう。

なお,実際に示談を試みる場合,当事者が直接やり取りすることは不適切になりやすいため,弁護士に依頼し,弁護士を通じて示談交渉を試みることをお勧めします。

②自ら警察に出頭すること

逮捕は,逃亡や証拠隠滅を防ぐための手続です。そのため,自分から警察に出頭し,捜査を求める動きをする人に対しては,逮捕の必要性が低いと考えることが通常です。
そこで,逮捕を避ける方法としては,自ら警察に出頭する手段も有力と言えます。

1.認め事件の出頭

認め事件で自分から出頭する場合は,自分の行ってしまった犯罪事実を捜査機関へ積極的に告げることになります。捜査機関にまだ発覚していない場合であれば,法律上「自首」に該当し,より処分が軽減する可能性も高くなるでしょう。

2.否認事件の出頭

否認事件で出頭を試みる場合は,その方法を工夫する必要があります。なぜなら,「相手との間で男女トラブルになって困っている」と出頭しても,犯罪の問題でなく当事者間のトラブルに過ぎない限りは,警察が介入することがないためです。これは民事不介入とも言われます。

そこで,相手から示談金を支払えと恐喝されている,謝罪を強要されている,事実でないことをSNSで拡散されて名誉を害されているなど,犯罪被害について相談を行う形を取るのは一案です。自分の犯罪被害について捜査を求めつつ,自分は捜査機関に自ら出頭した,という動きが可能になり,逮捕回避につながりやすくなるでしょう。

③呼び出しを受けた場合

男女トラブルで警察などの呼び出しを受けた場合は,可能な限り呼び出しに応じて出頭することが,逮捕回避のためにも適切な対応となるでしょう。

捜査機関が呼び出しを行う前提には,「逮捕しなくても呼び出しをすれば出頭してくれるであろう」という判断があります。呼び出しに応じて出頭してくれる限りは,逮捕しなくていいと考えているわけです。
ところが,呼び出しに応じて出頭してくれないとなれば話は大きく変わります。呼び出しても出頭してくれない以上,逮捕をして強制的に来てもらうほかない,との判断が生じ得る恐れも否定できません。

呼出を受けたケースでは,拒否せず応じる態度であることを示し,逮捕のリスクを下げるのが賢明でしょう。

男女トラブルの逮捕は弁護士に依頼すべきか

男女トラブルに関しては,特に逮捕を予防するために弁護士へ依頼することが非常に有力です。

逮捕を回避する第一の手段として挙げられるのは事前の示談ですが,円滑に示談交渉を進め,当事者間で解決を図るためには,間に弁護士を挟んで協議することが重要です。弁護士を挟まずに交渉を行った場合,感情的な対立が激しくなりやすく,場合によっては示談しようと連絡を試みる行為が逮捕の原因になる可能性も否定できません。

また,否認事件では,逮捕を回避するためにどのような行動をするべきか,判断は容易ではありません。例えば,否認を前提に相手と示談をする,自ら先回りして警察に相談する,現状では特に動かず待機するなど,選択肢は複数あり,メリットデメリットを十分に理解した上で最も事件の内容や自身の希望に沿った行動を取ることが必要です。
このような判断や行動に際しては,弁護士の専門的なサポートを受けることを強くお勧めします。

ポイント
弁護士依頼は円滑な示談のため重要
否認事件での行動選択も弁護士の専門的判断が望ましい

男女トラブルの逮捕に関する注意点

①時期の予測が困難であること

男女トラブルで逮捕がなされる時期は,被害者が捜査機関に相談などをした時期に大きく左右されます。もっとも,被害者が行動を起こすタイミングに関するルールは基本的になく,被害者側の意向によると言わざるを得ません。

そのため,被害者が早く動けば捜査の開始も早く,被害者がなかなか動かなければ捜査も開始しない,といったように,被害者次第で手続の時期が変わってしまうため,逮捕が懸念される時期がいつか,ということを予測するのは非常に困難です。
男女トラブルでは,「いつまで逮捕の可能性があるか」という疑問に第三者が回答することのできない場合が多いでしょう。

②逮捕後の拘束が長期化する可能性

男女トラブルは,犯罪としては「不同意わいせつ罪」又は「不同意性交等罪」に該当することが多い類型ですが,これらの犯罪は逮捕された場合の身体拘束の期間が長くなりやすい傾向にあります。
特に,当事者間で言い分が食い違う場合は,加害者とされる側の身柄を拘束した状態で裏付け証拠を収集することになるため,早期釈放は難しいケースが少なくないでしょう。

男女トラブルは,逮捕するかどうかの判断は慎重を期す必要がありますが,逮捕すべきと判断された場合の早期釈放は難しいことに注意が必要です。

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【男女トラブルの不起訴処分】不起訴となるためには?不起訴になる可能性は?

このページでは,男女トラブルの不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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男女トラブルで不起訴を目指す方法

①警察の捜査が開始されないこと

男女トラブルは,いきなり警察が関与することになることの少ない事件類型です。多くの場合,当事者間で問題になり,当事者間での解決が見込まれない場合に一方が警察に相談等を行う,という流れになりやすいでしょう。

この点,警察が捜査を開始することなくトラブルが解決すれば,起訴される可能性はありません。起訴するか不起訴にするか,という判断は,捜査を行った結果として検察官が行うものであって,捜査が開始していない限りは起訴不起訴の判断自体がなされないためです。

そのため,男女トラブルで起訴されないことを目指す最も端的な方法は,捜査が開始されないようにする,ということになります。男女トラブルの捜査は,当事者の一方が警察に捜査を求めたことをきっかけに生じるのがほとんどであるため,具体的には当事者双方が警察の捜査を求めない,という形で解決することが望ましいでしょう。

ポイント
男女トラブルは警察の関与前に当事者間で問題になる
警察の捜査が始まらなければ起訴される可能性もない

②被害者の宥恕を獲得する

男女トラブルは,基本的に被害者が存在する事件類型です。そして,被害者のいる事件では,起訴を希望するか不起訴を希望するか,という被害者の意向が処分に直接の影響を及ぼしやすい傾向にあります。
もちろん,被害者が起訴を希望しない場合の方が,不起訴になりやすいということになります。そのため,被害者から起訴を希望しないという意思を表明してもらうことが,不起訴を目指す極めて有力な手段です。

具体的には,被害者の宥恕(ゆうじょ)を獲得することが適切でしょう。宥恕とは許しのことをいい,被害者と加害者の間で示談を締結する際には,「宥恕条項」という形で被害者の宥恕を条項に含めることが一般的です。

被害者から許しを得た上で,その許しを「宥恕条項」の形にすることができれば,不起訴に至る可能性は飛躍的に上がるでしょう。

ポイント
男女トラブルは,被害者が起訴を希望しなければ不起訴になりやすい
被害者の宥恕=許しが得られれば,不起訴の可能性が大きく上がる

③自首を試みる

男女トラブルで当事者間での解決が困難なケースでは,自首を試みることで処分の軽減を目指す手段も有力です。

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。そして,自分からリスクを背負って自首した人に対しては,そうでない人よりも軽微な処分とするのが通常です。自首をする側としては,「自首した方が処分が軽くなる」という効果を期待して自首することが一般的であるとも言えるでしょう。

もっとも,不起訴を実現するための手段としては,被害者の宥恕ほど決定的な意味を持つものではありません。自首をしたからといって必ず処分が軽くなったり不起訴が約束されたりするわけではないためです。自首に関しては,被害者の宥恕が明らかに獲得できない場合の次善策,という位置づけと考えるのがよいでしょう。

ポイント
自首した場合は,処分が軽くなりやすい
もっとも,不起訴に直結するとは限らない

④言い分に争いがある場合

男女トラブルの場合,トラブルの内容について,当事者双方の言い分に争いのあることが珍しくありません。この点,犯罪に該当する行為があったかどうか,という点に争いがあるケースでは,犯罪が存在しない(又は立証できない)という結論を目指すことが有力でしょう。

この場合,まずは相手方に対してはっきりと自身の言い分を伝えることが肝要です。相手は「自分は被害者である」と考えているため,自分の言い分をはっきりさせておかないと,加害者であることを前提に話を進められてしまう恐れがあります。後になって言い分を主張し始めても,軌道修正は困難になりやすいでしょう。
犯罪をしていないとの認識であれば,「私は加害者ではない」と考えていることを,早期にはっきりと伝えるようにしましょう。

犯罪の成否について当事者間で争いのある場合,後は犯罪の立証ができるか,その証拠があるか,という問題になります。そこでは,犯罪がなかったこと,犯罪を立証する証拠が存在しないことなどを,粘り強く説明し続けることが適切です。

ポイント
犯罪の認識がなければ,その認識を早期にはっきりと伝える
犯罪の成否に争いがある場合,犯罪の立証ができるかが問題になる

男女トラブルで不起訴になる可能性

男女トラブルの事件は,当事者間での解決状況や証拠関係によって不起訴になる可能性が十分に考えられる事件類型です。

①当事者間における解決状況の影響

男女トラブルの場合,当事者間で解決しており,当事者双方(特に被害者)が起訴を望まないのであれば,不起訴になることが通常です。当事者の意思に反して起訴をすることは,当事者のプライバシーを保護する観点からも不適切となりやすく,当事者間で解決した後に起訴されることは考えにくいと言っても差し支えないでしょう。

男女トラブルは,当事者間での解決状況次第で起訴不起訴の判断が決定的に左右されやすい事件類型と言えます。

②証拠関係の影響

一般的な男女トラブルでは,犯罪を直接証明するような客観的証拠が存在するケースがあまりありません。男女間のトラブルはプライベートな場所で発生する性質のものであり,そのプライベートな行為が何かに記録されているケースが少ないためです。

そのため,犯罪を立証できるだけの証拠がなく,事件を起訴することが困難な場合は珍しくありません。証拠関係が乏しい場合には,不起訴になる可能性が高くなりやすいでしょう。

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

男女トラブル事件で不起訴を目指す場合の注意点

①該当し得る罪が重大になりやすい

男女トラブルの場合,該当し得る犯罪としては,主に以下の2つが想定されます。

男女トラブルで該当し得る犯罪類型

不同意わいせつ罪
→6月以上10年以下の拘禁刑

不同意性交等罪
→5年以上の有期拘禁刑

いずれも,刑罰としてより軽微な罰金刑の定めがない,という特徴があります。起訴された場合,罰金刑の余地がないため,それだけ重大な犯罪類型と言えます

刑事罰の種類

また,不同意性交等罪に関しては,原則として執行猶予が付かないという特徴もあります。執行猶予は,3年以下の懲役(拘禁)刑の場合にしかつけられないため,短期が5年とされている不同意性交等罪では付けられないのです。厳密には,法律に定められた減刑をすることで執行猶予を付ける余地もありますが,原則として執行猶予が付かない事件類型であることに留意が必要であるのは間違いないでしょう。

②示談に伴う負担が大きくなり得る

男女トラブルの事件は,示談による解決が有益ですが,示談に際しては示談金や示談条件といった諸々の負担が伴います。そして,男女トラブルの場合,他の事件類型と比べて示談時の加害者の負担が大きくなりやすい傾向がある,という点には注意が必要でしょう。

特に,継続的な交友関係のあった男女間や,立場上の上下関係があった男女間の場合,トラブルより前の時期における精神的苦痛や,今後の生活への影響なども踏まえた交渉になりやすいです。そのため,被害者からはより大きな請求がなされやすく,示談の成立には大きな負担が伴いやすいでしょう。

示談のメリットが極めて大きいため,できる限り示談の成立を目指したいところですが,その対価が相当程度必要になる可能性には注意することをお勧めします。

③客観的証拠に乏しいケースの取り扱い

男女トラブルは,出来事を証明する客観的証拠に乏しいことが少なくありませんが,その場合に犯罪が立証できるかは,まず当事者双方の言い分がどの程度信用できるか,という観点から検討されます。

この点,加害者とされる側の言い分が明らかに不合理であるなど,当事者間の主張の信用性に大きな差があれば,客観的証拠が十分でなくても起訴される可能性はあります。そのため,客観的な証拠がなさそうだからといって,まともな対処をせず放置したり,「どうせ立証できない」と安易に高をくくったりすることはお勧めできません。

罪を犯していない,という否認のスタンスを取る場合には,自分の記憶を整理し,求められれば理路整然と述べられるようにしておきましょう。

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男女トラブルの概要や相談先5選|弁護士選びの要点から解決のポイントまで解説

「恋人との別れ話がこじれてしまった…」
「パートナーの浮気が発覚したけれど、どう対処すればいいの?」

そんな男女のトラブルに頭を抱えている方は多いのではないでしょうか。

男女のトラブルは感情的になりやすく、冷静な判断が難しいため、法的視点や専門機関のサポートを活用することが早期解決への近道です。

本記事では、よくある男女間のトラブルの具体例、適切な解決方法、相談先の選び方までを詳しく解説します。

藤垣法律事務所では、男女問題に精通した弁護士が在籍しており、迅速対応により最適な解決方法をご提案いたします。下記からぜひご相談ください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

よくある男女のトラブル

男女間のトラブルは、恋愛や結婚といった親密な関係性の中で起こるため、感情が複雑に絡み合い、問題が深刻化しやすい特徴があります。よくある男女トラブルは、主に以下の通りです。

  • 浮気・不倫される
  • 元交際相手からのストーカー
  • DV
  • 婚約破棄
  • 妊娠トラブル

詳しく解説します。

浮気・不倫される

浮気や不倫は、恋愛や結婚関係において多いトラブルのひとつです。

信頼関係を前提に築かれてきた関係が裏切られることで、深い精神的ダメージを受けるだけでなく、夫婦の場合は離婚や慰謝料請求といった法的問題に発展します。

特に婚姻関係にある場合、相手の不貞行為を証明するためには証拠が必要となり、冷静さを欠いた行動が不利になる場合もあります。

また、感情的な話し合いでは解決が難しく、第三者の介入や専門家のアドバイスを受けることで適切な解決に導くことが可能です。

▼不倫が発覚した際に取ってはいけない行動につきましてYouTube動画で詳しく解説しています。

元交際相手からのストーカー

元交際相手が別れを受け入れられず、しつこく連絡をしてきたり、待ち伏せや尾行を繰り返すケースは少なくありません。

このような行為は、当人にとって深刻な恐怖や不安をもたらし、日常生活に大きな支障をきたします。

ストーカー被害は一度エスカレートすると暴力行為に発展する危険もあるため、早期の対応が欠かせません。

警察への相談やストーカー規制法に基づく措置を利用することが必要であり、自分一人で解決しようとせず、法的機関や支援団体に助けを求めることが安全確保の第一歩です。

DV

DV(ドメスティック・バイオレンス)は、身体的な暴力だけでなく、精神的・経済的・性的な支配も含まれます。

加害者との関係性が親密であるほど、被害者は「自分が悪いのではないか」と考えてしまい、長期間にわたって被害を受け続ける傾向があります。

しかし、DVは明らかに違法行為であり、命に関わる危険性もあるため、迅速な避難と外部への相談が必要です。

また、被害者が加害者の影響下から抜け出すためには、安全な避難場所の確保や法的手段の活用が必要です。

婚約破棄

結婚を前提にした関係が一方的に破棄される婚約破棄は、精神的なショックだけでなく、金銭的損害にもつながります。

たとえば、結婚式の予約費用や新居への支払い、招待状の作成など、婚約を前提に発生した費用は大きく、法的に損害賠償を請求できる場合があります。

また、婚約破棄の理由によっては慰謝料の対象となることもあるため、冷静に証拠を整理し、適切な対処法を取ることが重要です。

妊娠トラブル

予期せぬ妊娠に関するトラブルは、男女間で責任の所在や今後の対応について意見が対立しやすい問題です。

特に未成年や経済的基盤が不安定な場合、出産・中絶の選択は精神的負担が大きく、正しい情報や専門家の支援を受けずに進めると後悔を招く可能性があります。

また、相手が責任を放棄したり連絡を絶ったりするケースもあるため、法的手段を含めた対処を検討する必要があるでしょう。

男女トラブルについてどこに相談すればいい?

男女間のトラブルは、自分一人で解決しようとすると状況が悪化することがあります。感情的な問題であるため冷静な判断が難しく、法的視点や第三者のサポートが欠かせません。

ここでは、実際に利用できる主な相談先について解説します。

法テラス

法テラスは、国が運営する法律相談機関で、経済的に余裕がない人でも無料または低料金で専門家のアドバイスを受けられます。

浮気、不倫、DV、婚約破棄など、法的問題を含むトラブルに関して、弁護士の紹介や必要な手続きの案内を行ってくれるため、初めて法的相談を利用する人にも安心です。

また、一定の条件を満たせば、弁護士費用の立替制度も利用可能です。

法テラスは、経済的な状況が厳しい場合にも弁護士への相談、依頼ができる点に最大のメリットがあります。一方で、相談時間に制限がある、相談先を選ぶことが出来ない、手続きが煩雑であるといったデメリットが挙げられます。

警察

ストーカー被害やDVなど、身の危険を感じる場合は迷わず警察に相談することが重要です。

警察はストーカー規制法やDV防止法に基づき、加害者への警告や接近禁止命令を出すことができます。

特に危険性が高いと判断された場合には、緊急避難や一時保護の措置が取られることもあります。

「こんなことで相談していいのか」と迷う必要はなく、早めに連絡することで被害拡大を防げるでしょう。

警察は、強制的な措置を取ることもできる点に大きなメリットがあります。ただ、犯罪に該当しない男女間のトラブルでは基本的に介入してくれず、相談しても力になってもらえない可能性があり得ます。

女性の人権ホットライン

法務省が設置する「女性の人権ホットライン」は、DVやセクハラ、ストーカーなど女性特有の人権問題に対応しています。

匿名で相談できるため、誰にも言えない悩みを抱えている人でも利用しやすいのが特徴です。

必要に応じて、専門機関への橋渡しや具体的な解決策を提示してくれるため、初期段階の相談先として有効です。

女性の人権ホットラインは、人権問題に精通した担当者へ無料で気軽に相談ができる点が大きなメリットです。しかし、解決に向けた動きを直接依頼することはできないため、解決を試みる場合には別途行動を取る必要があります。

DV相談プラス

「DV相談プラス」は、電話やSNSを通じて24時間相談できる公的窓口です。DVは緊急性が高いケースが多いため、夜間でも対応してくれる体制が整っています。

また、外国語対応や聴覚障害者向けの相談方法も用意されており、誰でも利用しやすいのが特徴です。

安全な避難場所の情報提供や、シェルターへの同行支援なども受けられます。

DV相談プラスは、24時間体制で電話、メールでの相談を無料受付してくれる点がメリットと言えます。もっとも、相談できる事項はDVに関する点に限られるため、トラブルの内容によっては利用が困難な点がデメリットとなるでしょう。

弁護士事務所

男女トラブルが法的問題に発展している場合は、弁護士事務所に直接相談することが効果的です。

慰謝料請求や婚約破棄による損害賠償、親権問題、ストーカー被害の法的対応など、専門的なアドバイスを受けながら解決を進められます。

また、弁護士に依頼することで相手との直接交渉を避けられ、精神的負担を軽減できるメリットもあります。

弁護士事務所は、法律の専門家である弁護士から適切なアドバイスを受けられ、依頼することで代理人として解決に当たってもらえる点にメリットがあります。ただし、一定の金銭的負担が生じやすい点には注意が必要です。

男女トラブルの刑事事件で弁護士に依頼する必要性

①刑事事件化の回避

男女トラブルの解決として最大の目標となるのは,刑事事件化することなく当事者間で解決することでしょう。当事者間で早期に円満解決ができれば,周囲への悪影響も生じず,刑事手続に対応する負担も必要なくなります。

もっとも,円滑に当事者間で解決するためには,話し合いを十分に尽くす必要があり,話し合いを行うための弁護士が必要になります。男女トラブルの円満な解決は,弁護士を挟んで冷静にやり取りをすることで,初めて実現できるという場合が多数と言えるでしょう。

②不起訴の獲得

刑事事件化が防げなかった男女トラブルでは,不起訴処分を獲得することが最大の目標になります。不起訴処分となった場合,その時点で刑事手続は終了し,前科が付く危険もなくなります。

もっとも,不起訴処分を目指す具体的な方法は,事件の内容に応じた弁護士の判断や対応が不可欠です。認め事件の場合は,示談を試みるのが通常ですが,示談の試み自体が弁護士なしでは困難です。また,否認事件の場合は,個別事件の争点や証拠構造を踏まえ,弁護士が法的な主張を尽くすことが必要となります。

そのため,不起訴処分の獲得には弁護士選びが必要と考えるべきでしょう。

③周囲への悪影響の回避

男女トラブルが周囲に知られた場合,悪影響を防ぐことは非常に難しくなります。職場での男女関係が問題になれば,職場や仕事への影響は避けられません。また,既婚者の場合には,男女トラブルの存在が配偶者やその他の家族に知られてしまうと,家族関係への悪影響が懸念されます。

このような周囲への悪影響を回避するためには,適切な弁護士を選び,弁護士を通じて早期解決を図ることが重要です。

男女トラブルの刑事事件で弁護士を選ぶポイント

弁護士に依頼するタイミング

①刑事事件化を防ぎたいとき

男女トラブルの代表例としては,交際関係にない男女間の性行為について,同意の有無が問題になるケースが挙げられます。このとき,トラブルはまず当事者間で問題になり,当事者間での話し合いが行われる流れが通常であって,いきなり刑事事件として扱われることは少ない傾向にあります。これは,男女間のトラブルの大きな特徴の一つです。

そして,裏を返せば,これは男女トラブルが刑事事件化を防げる可能性のある事件類型である,ということでもあります。双方が刑事事件として扱われることを希望せず,当事者間で解決することができれば,刑事事件化せず終了となることも決して珍しくはありません。

もっとも,刑事事件化を防ぐ試みは,当事者自身で行うことに限界が生じやすく,代理人となる弁護士を挟んでの解決が適切です。男女トラブルが問題となり,刑事事件となることを防ぎたい場合は,弁護士を選ぶべきタイミングと言えるでしょう。

ポイント
男女トラブルはまず当事者間で問題となる点が特徴
当事者限りで解決したい場合,弁護士選びが適切

②示談で解決したいとき

男女トラブルの解決は,当事者間での示談によって決着することが大多数です。男女トラブルの場合,示談以外の法的手続による解決は双方にとって有益でない場合も多く,適切な解決という意味でも示談は非常に重要な役割を持ちます。

もっとも,当事者自身が示談に精通しているのでない限り,具体的にどのような条件で,どのような形式で示談を行うのがよいか,判断することは容易ではありません。そもそも,示談交渉自体も,当事者間で直接コミュニケーションを行うのはリスクの方が大きいと言わざるを得ません。

そのため,男女トラブルを示談によって解決したいときには,自身に代わって示談を行う弁護士を選ぶことが重要になります。適切な弁護士選びができれば,その後の示談交渉も,示談を通じた解決内容も,適切なものになりやすいということができるでしょう。

ポイント
男女トラブルは示談による解決が多数
当事者にとって有益な示談のためには,示談を依頼する弁護士選びが必要

③自首を試みるとき

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。犯罪事実や犯人が捜査機関に知られる前に,自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

一般的な男女トラブルの場合,現行犯で捜査機関に発覚することは少ないため,事件と捜査の間には時間的な間隔のあることが通常です。そのため,男女トラブルで罪を犯してしまったという認識がある場合,捜査機関に発覚する前の自首は有力な選択肢の一つと言えます。

もっとも,本当に自首をすべきかどうか,自首をする場合にどのような手順・方法で行うか,という点は,当事者自身での判断が困難なポイントです。自首を試みようと考えるときには,適切な弁護士選びの上で,弁護士とともに検討・行動をするのが適切でしょう。
そのため,自首を試みたいと考えるときは,弁護士選びのタイミングということができます。

ポイント
男女トラブルは自首が有力な手段になる事件類型
適切な自首をしたいときは,弁護士選びのタイミング

男女トラブルの事件の弁護士を選ぶ基準

①刑事事件の取り扱いに長けているか

男女トラブルの解決方針は,トラブルが刑事事件となった場合の見込みを踏まえて検討することになります。具体的なイメージは以下の通りです。

解決方針と刑事事件の見込みとの関係

1.刑事事件化による不利益が重大と見込まれる場合
→円滑迅速な解決を目指す必要性が高い

2.刑事事件化による不利益が限定的な見込みの場合
→無理に迅速な解決を目指す必要性は高くない

以上の通り,男女トラブルの弁護活動は,刑事事件化した場合の見込みを踏まえたものになります。そのため,適切な弁護活動には適切な見込みが不可欠です。
そして,正確な見込みを持つためには,刑事事件の取り扱いに精通している必要があります。弁護士選びに際しては,弁護士が刑事事件の取り扱いに長けているか,という点を基準の一つとするのが有力でしょう。

ポイント
刑事事件化した際に生じる不利益の程度かを正確に見通せることが重要

②被害者との示談交渉に長けているか

男女トラブルの解決は,示談による解決が肝要です。そして,示談の相手は,被害者という位置づけにある人物となるのが通常です。

この点,弁護士によっては,加害者側に立って被害者と示談交渉をすることに不向きなタイプの弁護士であるケースもあり得ます。弁護士は,自己の主張や請求を毅然とした態度で行う業務が多いため,被害者に対する謝罪や金銭賠償の話をするときにもその癖が出てしまう場合があるのです。

そのため,弁護士選びに際しては,弁護士が加害者側の弁護に長けているか,被害者を相手にした示談交渉を適切に行えるか,という点を重要な基準の一つとすることが有力です。

ポイント
加害者側の立場で被害者相手の示談交渉ができることが重要

③聴き取り能力に疑問はないか

男女トラブルは,当事者間に何らかの主張の食い違いがあることで起きているケースが大多数です。両当事者の話は明らかに矛盾しているものの,どちらが正確な話をしているか第三者には判断できない,という場合も珍しくはありません。
そのため,男女トラブルを取り扱う弁護士には,当事者の言い分を過不足なく聴き取る能力が不可欠です。弁護士選びに際しても,事情を聴き取る能力に疑問が残る弁護士でないか,という点は重要な判断基準とするのが適切でしょう。

また,弁護士の聴き取り能力は,示談交渉に際しても重要なポイントとなります。当事者間の言い分が食い違っている場合,弁護士が被害者側の言い分に対してどのように耳を傾けるか,どのように聴き取るか,という点が,円滑な示談成立に大きく影響するケースも少なくないためです。

事実関係を把握するためにも,示談成立のためにも,弁護士選びに際しては弁護士側の聴き取り能力を十分に確認することをお勧めします。

ポイント
男女トラブルは当事者間の言い分が食い違いやすい
事実関係の把握や示談交渉のため,弁護士の聴き取り能力が重要

④適切な方法・頻度で連絡が取れるか

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

ポイント
依頼後の連絡方法・頻度は弁護士次第
事務職員のみが連絡に対応する運用の事務所もある

⑤あまりに遠方でないか

男女トラブルの解決は,弁護士が相手方と対面する形で話し合い,解決を目指すことが少なくありません。また,トラブルの内容に争いがある場合には,弁護士が現場を実際に訪れて,争点の判断に必要な調査などを行うケースもあります。
もっとも,弁護士の事務所所在地が,相手の住居地やトラブルの発生地から遠い場所にある場合,現実的に弁護士が相手との対面交渉や現場の調査を行うことが難しく,弁護活動に限界が生じる可能性も否定できません。

そのため,弁護士選びに際しては,法律事務所があまりに遠方でないか,地理的な条件のせいで弁護活動に制限が生じてしまわないか,という点を重要な判断基準の一つとするのが有力でしょう。
なお,相手方との対面や現場の調査は,必ず要するというわけではないため,遠方であることのみを理由に弁護士への依頼を断念する必要まではありません。遠方であることに不安を感じる場合は,その点を直接弁護士に相談してみるようにしましょう。

ポイント
相手との対面や現場調査が生じる場合,遠方の法律事務所は不適切になり得る

男女トラブルの刑事事件における弁護士選びの準備

①内容・経緯の説明を準備

弁護士選びを適切に行うためには,相談相手の弁護士に事件の内容を正確に把握してもらうことが必要となります。そのため,事件の具体的内容は整理して伝えられるようまとめることが有益でしょう。

弁護士が事件の内容の一部を把握しているかいないかで,アドバイスの内容が大きく変わる場合も否定できません。弁護士に誤解が生じることを防ぐため,起きた出来事を漏れなく伝える用意をしておくとよいでしょう。

②弁護士に求めたいことの整理

弁護士を選ぶにあたって,弁護士に何をしてもらいたいのか,弁護士に依頼して何を実現したいのか,という点を可能な限り整理し,具体的にすることが適切です。
例えば,同意の有無が争点となる男女トラブルの場合,同意があったことを主張したいのか,自分の主張よりも示談成立を優先したいのか,ということによって弁護活動も大きく変わります。また,どちらを求めたいのかによって,弁護士選びに際して重視すべき点も異なるでしょう。

一口に「弁護活動」と言っても,その内容は決して一つではないため,希望する弁護活動の内容を弁護士に正しく理解してもらえるよう,可能な範囲で準備することをお勧めします。

③深刻化する前に相談

同じ弁護活動であっても,トラブルが深刻化する前に早期に着手する場合と,トラブルが深刻化した後の段階で着手するのでは,結果に大きな差異が生じやすいものです。当然ながら,トラブルが深刻化した後より,その前段階の方が迅速円滑な解決に至る可能性は高くなります。

そのため,事件解決に当たっては,できるだけ早い段階で,事態が深刻化するよりも前に弁護士選びを行うことをお勧めします。早期に動き出せば,弁護士にできることがそれだけ多く残っている可能性も高くなり,希望する解決に近づきやすくなるでしょう。

男女トラブルの刑事事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①方針・目標を確実に共有しておく

弁護士に依頼する際には,弁護活動の方針や目標について,弁護士との間でズレがないように確実に共有することが重要です。

例えば,身に覚えのない被害を訴えられて迷惑を被っている場合であれば,名誉の回復を目標に毅然とした態度を取る方針が適切です。一方,身に覚えがないものの相手に収まってもらうこと優先したいのであれば,相手との関係ではある程度譲歩する方針で示談成立を目標とするのが望ましいでしょう。

このような方針・目標の違いは,示談を行う場合の示談条件や内容にも影響するものです。特に,どの程度相手の要望を受け入れた示談内容とするのか,という点は,依頼者の意向を踏まえて弁護士が調整する必要のあるものです。

解決を目指す方針や目標について,弁護士との間でズレが生じないことは,とても重要なポイントとして意識するようにしましょう。

②生じ得る経済的負担を把握しておく

男女トラブルの解決を弁護士に依頼する場合,多くの場合は弁護士費用と示談金の負担がそれぞれ発生します。そして,示談金の負担については,事前に大まかなイメージを持つことは不可能ではありませんが,具体的な金額は交渉の結果によると言わざるを得ません。

そのため,弁護士に依頼して男女トラブルの示談を目指す場合は,生じ得る経済的負担に幅があることを事前に把握しておくのが適切でしょう。特に,当事者間の言い分が大きく食い違う場合,どちらの言い分に寄せるかで金額も大きく異なるため,どれだけ示談を希望したいかによっても負担額が変わりやすいところです。

③示談交渉は相手への連絡手段が必要

刑事事件の示談交渉は,捜査機関に申し入れることから始まるのが通常です。捜査機関から被害者に意向を確認してもらい,被害者が示談交渉を受け入れる場合には連絡先の交換が可能になる,という流れを辿るのが一般的です。

しかし,男女トラブルで刑事事件化を防ぐための示談をするときには,捜査機関を挟むわけにはいきません。そのため,何らかの方法で相手に連絡を試みる手段が必要となります。具体的には,以下のような手段が考えられるでしょう。

相手との連絡手段の例

1.相手の連絡先を把握している
2.職場の上司を通じて連絡ができる
3.共通の知人を通じて連絡ができる
4.相手の住所を把握している
5.相手に代理人弁護士が入っている

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風俗トラブルに強い弁護士へ弁護を依頼|示談の流れや解決のポイントを解説

風俗トラブルに巻き込まれると、金銭請求や逮捕、社会的信用の失墜といった深刻な問題に発展する可能性があります。突然の事態に直面したとき、自分一人で解決しようとすると状況が悪化しかねません。こうしたリスクを回避するには、風俗トラブルに精通した弁護士へ早期に相談することが重要です。本記事では、風俗トラブルに強い弁護士に依頼するメリットや示談の流れ、解決のポイントを分かりやすく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

風俗トラブルで弁護士に依頼するメリット

① 家族や勤務先に知られず解決できる

風俗トラブルを弁護士に相談する最大のメリットは、プライバシーを厳格に守りながら問題を解決できることです。

弁護士には守秘義務があり、相談内容が第三者に漏れることはありません。
「家族に知られたらどうしよう…」と不安に感じる方も多いですが、弁護士が代理人として交渉を行うことで、あなたの氏名や個人情報を相手方に明かさずに解決を進めることが可能です。

また、職場への影響も防ぐことができます。
弁護士事務所からの連絡は「法律相談」として扱われるため、上司や同僚に相談内容が知られる心配はありません。

さらに、弁護士が窓口となることで、風俗店や関係者からの直接的な連絡や訪問を完全に遮断できます。
これにより、家族や近隣住民に不審がられるリスクも避けられます。

近年は、平日夜間や土日祝日にも相談対応を行う法律事務所が増えており、仕事や家庭生活に支障をきたすことなく手続きを進められます。

トラブルを秘密裏に、かつ安全に解決したい場合には、弁護士に依頼することが最も確実で安心な方法といえるでしょう。

風俗トラブルの解決は、周囲に発覚しないことが極めて重要です。その重要性と具体的な方法を熟知した弁護士に対応を依頼することで、解決内容は大きく変わりやすいでしょう。

② 不当な請求を防ぐことができる

風俗トラブルで弁護士に依頼する最大のメリットは、法的知識と交渉力を活かして不当な請求を未然に防げることです。

風俗店側から「料金を払わなければ裁判を起こす」「勤務先に連絡する」などと脅され、法外な金額を請求されるケースも少なくありません。
しかし、こうした請求の多くは法的根拠に乏しい不当要求であることが多いのです。

弁護士が介入することで、次のような効果が期待できます。

・請求内容の法的妥当性を専門的に確認
・不当部分を明確に指摘し、適正な金額で交渉
・脅迫的な言動への法的対応

たとえば、「延長料金」などの名目で数十万円を請求された場合でも、弁護士が契約内容を精査した結果、実際の支払義務はごく一部に限られたという事例もあります。

「この金額、本当に支払う必要があるのか…」と不安に感じたときこそ、弁護士の判断が有効です。
個人で対応すると感情的になりやすい場面でも、弁護士が冷静かつ法的根拠に基づいて最適な解決策を提示してくれるでしょう。

風俗トラブルで風俗店側から行われる金銭請求は、法的な根拠の不明確なものがほとんどです。しかし、トラブルの当事者が拒否などの毅然とした対応をすることは容易でないため、弁護士を窓口に進めることが極めて重要になりやすいでしょう。

③ 個人情報の流出を防ぐことができる

風俗トラブルで弁護士に依頼する大きなメリットの一つは、個人情報の流出を防ぎながら安全に問題を解決できることです。

風俗店とのトラブルでは、相手から「職場や家族に連絡する」といった脅しや嫌がらせを受けるケースが少なくありません。
実際に、個人で対応した結果、勤務先に電話をかけられたり、家族に知られてしまったという事例も見られます。

弁護士が介入することで、次のような効果が期待できます。

・弁護士名義の通知により、相手の威圧的な言動を抑制
・連絡窓口を一本化し、直接的な接触を遮断
・法的根拠に基づく対応で、不当な要求を牽制
・守秘義務による情報管理で、依頼者の個人情報を保護

「家族に知られたくない」「会社に連絡されたら困る」といった不安を抱える方も、弁護士を通じて対応することで、情報漏えいのリスクを最小限に抑えることが可能です。

また、弁護士が関与していることにより、相手方も個人情報を悪用した行為が法的に重大な問題となることを認識し、慎重な対応を取るようになります。

風俗トラブルにおける個人情報の保護は、弁護士に依頼する最大のメリットの一つといえるでしょう。

特に過激な動きを取ってくる相手の場合、弁護士の存在は違法、不当な言動を控えさせる効果を発揮しやすいです。

④ 適切な内容で示談をすることができる

弁護士に依頼することで、風俗トラブルの示談交渉を法的に適切で納得のいく内容でまとめることが可能になります。

法的知識を持たないまま交渉を進めると、「相手の言うままに示談してしまうのではないか」と不安に感じる方も多いでしょう。
実際、過大な慰謝料を請求されたり、必要以上に不利な条件で合意してしまうケースも少なくありません。

弁護士が介入することで、次のようなメリットが得られます。

・法的根拠に基づいた適正な金額での示談が実現
・不当な条件や過度な制約の排除による合理的な合意内容
・将来のトラブルを防ぐ条項を盛り込んだ示談書の作成
・相手方の不当要求への的確な反論と交渉対応

特に重要なのは、示談書の内容が法的に有効であり、後日トラブルを再発させないよう慎重に作成されることです。
弁護士は過去の判例や法的基準を踏まえて、依頼者にとって最も有利で現実的な解決策を提案します。

こうした専門的サポートにより、適切な内容の示談を通じて根本的な解決と将来の安心を同時に得ることができるのです。

【風俗トラブル(本番行為)で示談は必要か】

風俗店でのサービス中に,その場の勢いで本番行為に至った場合,行為後になってキャストが「了承していなかった」と主張してトラブルになることがあります。
このような本番行為のトラブルは,解決のために示談すべきと考えるのが適切です。

本番行為がトラブルになる場合,以下のような言い分の食い違いが生じているケースが大多数です。

本番トラブルにおける言い分の相違

【客の言い分】
・キャストの了承を得たと思っていた
・キャストが嫌がっていないためいいと思った

【キャストの言い分】
・嫌がる間もなく無理に本番行為をさせられた
・拒むと報復されると感じ,怖くて抵抗できなかった

現実には,どちらの言い分が実態に近かったのか,第三者が客観的に判断することは困難です。そのため,決してキャストの言い分に従わなければならないというわけではありません。
しかし,このような言い分の食い違いを争うことそのもののデメリットが,風俗トラブルの性質上非常に大きくなりがちです。主なデメリットは以下の通りです。

本番トラブルで強く争うことの主なデメリット

1.紛争の長期化
2.裁判手続の負担が生じうる
3.紛争の事実が周囲に知られる

このようなデメリットがあるため,結果的に自分の言い分が認められたとしても,認められるまでに被る不利益の方が大きく,争うことが合理的ではないのです。

ポイント
本番行為のトラブルは,了承していたかどうかが争いになりやすい
示談せず争うのは,言い分が認められた場合でも大きな不利益が生じる

⑤ 示談成立の可能性が高まる

風俗トラブルにおいて、弁護士が示談交渉を担当することで解決の可能性が大きく高まります。

法的知識と交渉経験を持つ弁護士が介入することで、相手方である風俗店も真摯に対応せざるを得なくなるケースが多く見られます。
弁護士は過去の判例や法的根拠を踏まえて交渉を進めるため、不当な要求や感情的な主張を抑えながら冷静で実務的な話し合いが可能になります。

弁護士が交渉に入ることで、次のような効果が期待できます。

・法的裏付けのある主張により、相手方の譲歩を引き出しやすくなる
・専門的な交渉術で、感情的な対立を避けながら建設的に話し合える
・示談書の作成時に将来のトラブルを防ぐ条項を盛り込める

「個人で交渉しても取り合ってもらえないのでは…」と不安に感じる方も少なくありません。
しかし、弁護士が代理人として交渉することで、相手方も法的リスクを認識し、早期解決に応じる傾向が強まります。

風俗トラブルの場合、示談の成立はイコールトラブルの最終的な解決を意味することになりやすいです。そのため、示談成立の可能性が高まることは、トラブルの悩みや負担から解放される可能性が高まることだと言ってもよいでしょう。

風俗トラブル(本番行為)で示談するメリット

風俗店における本番トラブルでは,警察による捜査を受ける前に示談で解決するメリットが非常に大きいということができるでしょう。具体的なメリットとしては,以下のような点が挙げられます。

①実刑判決を防げる】

本番行為は,法的には「不同意性交等罪」に該当する可能性があるところ,不同意性交等罪の刑罰は「5年以上の有期拘禁刑(5年~20年の間刑務所に収容される)」というものです。この点,拘禁刑の言い渡しを受けても執行猶予が付けば刑務所に入る必要はなくなりますが,5年以上の拘禁刑には執行猶予を付けることができません。そのため,不同意性交等罪で刑罰を受ける場合は,原則的に実刑判決となってしまいます。

本番行為が万一刑罰の対象となった場合の不利益は実刑判決という極めて大きなものですが,事前に示談が成立すれば刑罰の対象となる可能性はなくなります。そのため,示談が成立した場合には実刑判決を防げるという非常に大きなメリットが生じることになります。

【②逮捕を防げる】

本番行為が不同意性交等罪に当たると判断された場合,その罪の重大性から逮捕が強く懸念されます。不同意性交等罪は,基本的に実刑判決となるほど重大な事件類型であるため,証拠隠滅や逃亡の危険が大きく,逮捕が必要とされやすいと考えられているのです。

この点,事前に示談が成立していれば,捜査をする必要も逮捕をする必要もなくなるため,逮捕される可能性はほとんどなくなるでしょう。逮捕の有無はその後の生活を大きく左右するため,逮捕を防げるという示談のメリットは極めて大きなものと言えます。

【③配偶者とのトラブルを防げる】

風俗店での本番行為は,配偶者とのトラブルの原因にもなる可能性があります。本番行為は「不貞行為」に当たり得るため,配偶者から法的責任を問われたり,離婚原因として主張されたりする恐れが否定できないのです。

この点,配偶者とのトラブルにならないためには,配偶者に発覚しないことが最も適切です。配偶者に知られるきっかけが生じる前に,できるだけ速やかに示談で解決できれば,配偶者とのトラブルが生じる可能性もなくなります。

【④職場への発覚を防げる】

風俗店での本番行為が職場に発覚した場合,その後の業務に大きな悪影響の生じる可能性があります。
風俗店は,トラブルが起きた際に客の健康保険証を確認して勤務先を把握しようとすることが多数あります。万一,風俗店が勤務先へ連絡を試みるなどして勤務先に迷惑がかかると,勤務を続けることが難しくなる可能性も否定できません。

示談が成立した場合,店舗から勤務先に連絡される可能性はなくなるため,職場への発覚や悪影響を確実に防ぐことができるでしょう。

ポイント
実刑判決を受けずに済む
逮捕されずに済む
配偶者とのトラブルを予防できる
職場への悪影響を予防できる

⑥ やり取りの負担が軽減できる

風俗トラブルの解決を弁護士に依頼することで、やり取りに伴う精神的・時間的な負担を大幅に減らすことができます。

風俗店との対応では、「どのように返答すればよいのか」「相手が強気な態度を取ってきたらどうしよう」と不安を感じる方が多くいます。
特に、執拗な連絡や威圧的な言動を受けた場合、個人で対応を続けることは大きなストレスとなります。

弁護士が代理人として交渉を行うことで、次のような負担から解放されます。

・風俗店からの直接的な連絡や要求への対応
・法的知識を要する書面や返答の作成
・交渉時の心理的プレッシャー
・対応方針の判断に伴う迷いや不安

また、弁護士は法律に基づいた的確な判断で交渉を進めるため、不要なやり取りを重ねることなく、効率的な解決が期待できます。
個人であれば長期化しがちな案件でも、弁護士が介入することで短期間での解決に近づけるケースも少なくありません。

さらに、弁護士が窓口となることで、トラブルに関する連絡が依頼者本人に直接届くことがなくなります。
これにより、日常生活や仕事への影響を最小限に抑えながら、安心して問題解決に向き合える環境が整うのです。

風俗トラブルの依頼から解決までの流れ

① 弁護士への相談

風俗トラブルの解決において、弁護士への相談は最も重要な第一歩です。
「どこに相談すればよいのかわからない…」と迷う方も少なくありませんが、早期に専門家へ相談することが、トラブルの拡大を防ぐ最善策となります。

弁護士に相談する際は、トラブルの経緯や証拠をできる限り正確に整理して伝えることが大切です。
風俗店との契約内容、支払った金額、相手方からの要求内容などをまとめ、次のような資料を持参するとスムーズです。

・契約書・領収書などの支払証拠
・メールやLINEのやり取り
・相手方からの請求書や通知文
・トラブルが起きた日時や経緯のメモ

また、相談時には次の点を明確にしておくと、より的確な助言を受けられます。

・トラブルが発生した経緯と時系列
・相手方からの具体的な要求内容
・既に支払った金額や約束した内容
・希望する解決方法(示談・交渉・支払拒否など)

多くの法律事務所では初回相談を無料で実施しており、電話・オンライン相談にも対応しています。
さらに、弁護士には守秘義務があるため、相談内容が家族や職場など第三者に漏れることはありません。

一人で悩みを抱え込まず、早めに弁護士へ相談することで、問題を冷静かつ的確に整理し、最適な解決策を見出すことができます。

日頃弁護士との接点がない方にとっては、法律相談はハードルが高く感じられるかもしれませんが、まずは一度試みてみましょう。多くの法律事務所では、相談の受付や相談方法等について、柔軟な対応をしてくれるはずです。

② 風俗店との交渉

風俗トラブルで示談交渉が生じる場合,具体的な交渉の相手方は店舗の代表者となることが一般的です。本番行為の相手はキャスト個人ですが,キャストと直接示談交渉をすることはほとんどありません。
店舗側は「店舗のサービス中,キャストが本番行為の被害に遭った」という理解をしていることが多いので,勤務中のキャストを守る立場と称して金銭請求をしてきます。

そして,風俗サービス中に本番行為がトラブル化した場合,キャストが店舗に連絡し,店舗代表者がサービス中の客室に訪れる流れで話し合いがスタートすることが大多数です。ただ,店舗代表者が話し合いを始めてきたとしても,その場で合意したり金銭を支払ったりすることは避けるようにしましょう。その場で解決しようとすると,どうしても一方的に不利益な内容で合意させられてしまいがちである上,示談内容も不十分なものになりがちであるためです

風俗トラブルで店舗代表者と話し合いが始まったときは,その場では連絡先交換にとどめるのが賢明です。その後,できるだけ速やかに連絡をすると約束した上で,弁護士に依頼し,弁護士から連絡を取ってもらうようにしましょう。
示談の具体的なやり取りは,自分で直接行うのでなく,弁護士を通じて行うことが重要な対応になります。

ポイント

よくある示談の流れ
1.店舗代表者がサービス中の客室に訪れる
2.その場で店舗代表者との話し合いが始まる

その場で解決するデメリット
1.一方的に不利益内容になりがち
2.示談の内容や方法が不十分

適切な示談方法
1.その場では連絡先の交換にとどめる
2.速やかに弁護士へ依頼し,弁護士から連絡してもらう

③ 示談内容の合意と示談書締結

弁護士による交渉がまとまると、次の段階として示談内容の合意と示談書の締結へ進みます。
この段階では、双方が納得できる条件を文書で明確に定め、今後のトラブルを防ぐことが最も重要です。

「本当にこれで問題が終わるのだろうか…」と不安に感じる方もいるかもしれません。
しかし、弁護士が作成する示談書には法的拘束力があり、適切な条項が盛り込まれていれば、相手方による再請求や嫌がらせを防止する効果が期待できます。

示談書締結後は、合意内容に従って示談金の支払いが行われ、トラブルは法的に解決済みの状態となります。
弁護士が作成した示談書は、将来的な紛争予防のための最も確実な証拠書面にもなり、安心して日常生活に戻ることができるでしょう。

風俗トラブル(本番行為)の示談金相場

風俗店での本番行為がトラブルになった場合,示談金額には非常に大きな開きが見られる傾向にありますが,概ね30~100万円ほどで合意する例が多いところです。
金額は個別の内容や当事者の意向によって変わりやすいですが,主な金額の変動要因としては以下のような点が挙げられます。

示談金の増額要因

本番行為の了承がないことが明らかである
本番行為を拒絶された後も執拗に継続した
客側が早期解決を希望している
店舗側が法的手続を辞さない方針である
一定の金額を支払うことをその場で約束した

示談金の減額要因

客側が本番行為の了承を得たと主張しており,その根拠がある
客側が賠償金額の上限を設けている(上限を超えれば示談を諦める)場合
店舗側が早期解決を希望している
キャストや店舗側に不適切な行為があった

なお,風俗トラブルの示談は,「お金で解決する」という側面が強い分野でもあります。感情的に許すかどうかというより,金額が満足できるものかという基準で判断されることが多いため,単純に金額が大きいほど示談に至りやすい傾向が見られるところです。
そのため,風俗トラブルの場合は,支払う側に示談を希望する気持ちが強ければ強いほど高額の示談になりやすいでしょう。裏を返せば,金銭的負担が大きければ大きいほど迅速円滑な解決がしやすい,ということもできます。

ポイント
風俗店の本番トラブルは,30~100万円ほどの合意が多く見られる
風俗トラブルの示談はお金で解決する側面が強い

風俗トラブル(本番行為)の示談内容・条項

風俗店での本番トラブルで示談を行う場合の内容には,以下のものが挙げられます。

【確認条項】
客側の支払うべき金額を確認する条項です。当事者間で合意した金額を明記することになります。
なお,避妊具のない本番行為がトラブルになった場合,妊娠や性病の検査名目で通院費用を加算して支払うケースも考えられます。

【給付条項】
金銭をどのように支払う(給付する)のかを定める条項です。
風俗トラブルの場合,現金の手渡しでの解決が多く見られます。弁護士と店舗代表者の間で,面談の上で示談書の取り交わしと金銭の支払いを同時に行い,その場で解決するという流れが代表的です。

【清算条項】
示談で定めた内容以外に,当事者間に債権債務関係(法律関係)がないことを確認する条項です。清算条項を設けることで,その後に請求を受ける恐れがなくなります。

【口外禁止】
トラブルや示談の内容を第三者に口外しない,という条項です。風俗トラブルの場合,周囲への発覚を避ける必要が大きいので,客側が安心を得るためには非常に重要な条項となります。

【個人情報の処分】
主に,店舗側が得た客の個人情報を廃棄・処分するという内容の条項です。店舗は,風俗トラブルの発生時に客の免許証や保険証を確認するなどして住居や勤務先を把握することが多いため,免許証や保険証の廃棄を約束してもらうことが重要になります。
一方,客が撮影した内容の消去など,客側が適切な処分をすることを盛り込む場合もあります。

【店舗の利用禁止】
店舗側の要望で,今後の利用禁止を約束する場合があります。利用禁止を求められた場合には,拒否するメリットに乏しいため応じるのが適切でしょう。

風俗トラブルの示談は弁護士に依頼すべき

風俗トラブルで逮捕を防ぐ場合には,早期に弁護士へ依頼し,適切な弁護活動を行ってもらうことをお勧めします。

まず何より,風俗トラブルの解決に必要な示談のため,示談交渉の専門家である弁護士の存在は非常に重要となります。早期に適切な内容で示談が成立すれば,逮捕の回避はほぼ確実に実現できるでしょう。
風俗トラブルの場合,示談交渉の相手方となる店舗の担当者は,キャストを守るという意味もあって非常に高圧的,好戦的な態度を見せてくることが珍しくありません。そのような相手に,当事者自身が冷静で合理的な対応を尽くすのは至難の業と言わざるを得ません。
この点,風俗トラブルの解決に精通した弁護士へ依頼することで,円滑な示談による逮捕回避が容易になるでしょう。

また,弁護士に対応を委ねることによって,周囲への発覚を防ぎながら逮捕回避を図ることができる,という点も大きなポイントです。
風俗トラブルの場合,逮捕を回避したいのはもちろんですが,逮捕回避とともにトラブルが周囲に発覚しないということが非常に重要です。逮捕が防げたとしても,風俗店で本番トラブルを起こした,と周囲に知られては,対応は失敗と言わざるを得ないでしょう。
この点,弁護士に依頼をすれば,基本的に弁護士が窓口に立ってくれるため,トラブルの事実が周囲に発覚する可能性が極めて低くなります。

風俗トラブル(本番行為)の示談で注意すべきこと

風俗店での本番行為がトラブルになった場合は,示談に際して以下の事項に注意するのが適切です。

①複数の示談が必要

風俗トラブルでは,店舗代表者がキャストの代わりに交渉を行うのが通常です。そして,店舗側は「客と店舗」の間での示談を進めるのが一般的です。

しかしながら,本番行為の当事者はあくまで「客とキャスト」であるため,店舗代表者の進めるとおりに「客と店舗」の間でだけ示談をしても不十分です。風俗トラブルを解決するためには,「客と店舗」の間の示談と「客とキャスト」の間の示談という二つの示談が必要となるのです。

風俗トラブルにおけるキャストと店舗それぞれとの間の法律関係は,以下のように整理できるでしょう。

風俗トラブル(本番行為)の法律関係

【客とキャストの間】

①刑事事件
不同意性交等罪が成立し得る
②民事事件
不法行為に基づく損害賠償請求があり得る

【客と店舗の間】

①刑事事件
基本的になし(ただし,業務妨害罪が成立するケースも)
②民事事件
債務不履行に基づく損害賠償請求があり得る(契約違反)

以上の通り,別々の法律関係があるため,客と店舗の間でだけ示談をしても,キャストに対する犯罪の責任を問われたり,キャストから「不法行為に基づく損害賠償」を請求されたりしたときの対処は何もできていないままとなってしまいます。

このように,厳密にはキャストと店舗それぞれとの間で法律関係があるため,示談もそれぞれとの間で行うことが必要です。
弁護士が示談を行う場合は,店舗代表者にキャストの代理人となることを依頼し,三者間での示談を行うことが多いでしょう。

②金銭を支払った後でも示談すべき

風俗トラブルでは,その場に店舗代表者が乗り込む形で話が始まるため,ケースによってはその場で一定の支払を行っていることがあります。この点,支払をしていれば解決しているようにも思えますが,法的にはそうとは言えません。

その場で金銭を支払うとき,多くは店舗の用意する書式で示談書のようなものを作成することになります。しかし,その書面は法的に十分な記載がなされているものではないため,実際には紛争解決ができていません。
具体的には,「金銭を支払え」「金銭を支払った」という程度の記載はあるものの,必要な支払いが他にあるかどうかは分からない(清算条項がない),ということが大多数です。これでは,既に支払ったにもかかわらず,追加での支払いを求められたときに拒む根拠がありません。

既に金銭を支払った場合でも,しっかりと解決を確認して形に残すため,弁護士に示談を依頼するのが適切でしょう。

ポイント
店舗だけでなくキャストとの間でも示談の必要がある
支払済みでも適切な解決を証拠化するために示談すべき

風俗トラブルで弁護士に依頼するときのポイント

弁護士に依頼するべきタイミング

①金銭請求を受けたとき

風俗トラブルが発生した際によく見られるのが,キャストから店舗側へ連絡がなされ,連絡を受けた店舗の担当者から金銭を請求される,という流れです。多くの場合,キャストと利用客がいるホテルの客室等に店舗の人物が駆け付け,その場でキャストの代理人として話を持ち掛けることになるでしょう。

この点,金銭請求を受けたその場で,自分一人で適切な判断や対応をすることは現実的には不可能です。当事者という立場で,風俗トラブルに関する知識や経験のない中では,万全の対応を求める方が酷と言うべきでしょう。
もっとも,金銭請求を受けている以上,トラブルが顕在化していることは明らかであって,何らかの解決を目指すべきこともまた事実です。適切な判断が困難だからと言って,放置するわけにもいきません。

そのため,金銭請求を受けたときには,風俗トラブルの解決に精通した弁護士に依頼し,円滑なトラブル解決を目指すことが適切です。金銭請求への対応に際しては,弁護士選びが重要になるでしょう。

ポイント
風俗トラブルはその場で金銭請求を受けることが多い
金銭請求への対処は弁護士への依頼が適切

②警察が関与した段階

風俗トラブルは,キャストや店舗側との間で問題なるのみならず,その場に警察を呼び,警察の取り扱いを受ける流れになることも少なくありません。店舗によっては,「お金を支払うか警察を呼ぶか」という選択を求めてくるケースも相当数あります。
警察が現場の客室等に臨場した場合,個別に事情を聴かれるなどし,場合によって刑事事件の捜査に着手する,という流れが考えられます。警察が具体的な捜査に着手しない場合でも,店舗側との話し合いによる解決を求められることがほとんどです。

そのため,警察が捜査に着手するかどうかにかかわらず,風俗トラブルに警察が関与した段階で弁護士選びを検討することが適切です。適切な弁護士を選び,弁護活動を行ってもらうことで,警察の取り扱い状況に応じた解決へのサポートが期待できるでしょう。

ポイント
風俗トラブルの現場に警察を呼ばれる場合も多い
警察が関与した段階で,解決に向けた弁護士選びを検討することが適切

③刑事事件化を防ぎたいとき

風俗トラブルは,刑事事件化することなく円満に解決できれば,最も早期に解決できます。そのため,キャストや店舗との間で速やかに解決することで,刑事事件化を防ぐ方針が非常に有力と言えます。

もっとも,刑事事件化を防ぐための具体的な解決方法は,風俗トラブルの解決に精通した弁護士でないと判断が困難です。解決方法を誤ってしまうと,紛争の火種が残った状態になり,後からトラブルが刑事事件として蒸し返されてしまう可能性もあります。

そのため,早期解決によって風俗トラブルの刑事事件化を防ぎたい場合には,弁護士選びを速やかに行い,解決に適した弁護士への依頼を試みることが有力です。

ポイント
風俗トラブルは,刑事事件化前の解決が最もスムーズ

弁護士を選ぶ基準

①風俗トラブルの解決経験

風俗トラブルは,その他の一般的な刑事事件とは異なる独特な対応が必要な事件類型です。そのため,弁護士である,刑事事件の取り扱いがある,というのみならず,風俗トラブルの解決経験があるかどうか,という点を重要な判断基準とすることが有力でしょう。

風俗トラブルの解決経験があれば,風俗トラブルに特有の動き方や注意点にも精通しているため,十分な弁護活動が期待できる可能性が高いです。一方,風俗トラブルの解決に必要な動き方を把握していないと,解決がなかなか進まず,最悪の場合にはトラブルが深刻化する恐れも否定できません。

②迅速な初期対応の可否

風俗トラブルは,トラブル発生の直後から必要な対応に迫られることが多い,という特徴のある事件類型です。弁護士選びを始める段階で,既に対応を迫られた状態であることも珍しくありません。
そのため,風俗トラブルの解決に当たる弁護士は,迅速な初期対応とフットワークを備えている必要があります。依頼を受けた数日後に動き始める,というわけにはいきません。

もっとも,弁護士がいつどのような対応をしてくれるかは,個々の弁護士のやり方により様々です。事件のスピード感に合わせた迅速な対応のできる弁護士であれば問題ありませんが,万一弁護活動がタイミングを逃したものになってしまうと決定的な悪影響につながる可能性も生じてしまいます。

迅速対応を約束してくれるかどうかは,必ず弁護士選びの基準として設けるようにしましょう。

③プライバシーへの理解

風俗トラブルにおける弁護士と依頼者の間の問題の原因として,プライバシーに関する依頼者側の要望を弁護士が正しく把握できていないことによる方針のズレが挙げられます。依頼者は,周囲への発覚を可能な限り避けながら内密に解決したい,と考えているものの,弁護士側は特に配慮せず,連絡方法などの配慮が不十分なまま活動を進めてしまう,というケースが散見されるところです。

風俗トラブルは,その性質上,身近な人物への発覚を避けながら解決する必要性の高いものですが,弁護士側にその点の十分な理解があるとは限りません。弁護士選びに際しては,事件解決に際してどのようなプライバシーへの配慮をしてもらうことができるか,という点を判断材料とすることが有力でしょう。

弁護士に依頼する場合の注意点

①示談方法の特殊性を踏まえているか

風俗トラブルの示談には,他の事件類型にはない特殊性があります。それは,示談の相手方が2人いる,ということです。具体的には,「キャスト個人」と「店舗」それぞれとの間で示談が必要となります

風俗トラブルを解決する場合,客と店舗担当者の間で解決内容を協議し,合意することが一般的です。客と店舗との間では,客が店舗のサービスを利用する際の約束に反した,という問題があるため,客と店舗との紛争解決が必要であるという面も間違いではありません。

しかし,風俗トラブルの根本的な問題は,基本的に客とキャストの個人間における紛争です。特に,性的行為に同意があったなかった,盗撮行為があったなど,刑事事件の側面に関しては,店舗は第三者に過ぎません。交渉の際,窓口になる店舗担当者も,あくまでキャストの代わりに窓口となっているだけです。

弁護士が風俗トラブルの解決を目指す場合,2人の相手方それぞれと示談をし,それぞれとの間で紛争が終了したことを確認しなければ,弁護活動を全うしたとは言えませんが,店舗とのやり取りになるあまり,肝心な対キャストの個人間における紛争が解決できていない,というケースも散見されます。
弁護士への依頼に際しては,風俗トラブルの示談方法を十分に理解していることを確認しましょう。

ポイント 風俗トラブルで要する2つの示談
対店舗:サービス利用時の契約違反
対キャスト:本番行為,盗撮行為等の刑事事件

②弁護士との連絡方法を確認する

風俗トラブルを弁護士に依頼する大きな目的の一つは,家族など周囲への発覚を防ぐ,という点にあることが多い思われます。事件の性質上,周囲への影響を防ぎつつ解決できるか,という点は非常に重要です。

ただ,弁護士との連絡方法について慎重な確認をしていないと,弁護士からの連絡が原因で周囲に事件が発覚する可能性も否定できません。風俗トラブルの対応に精通している弁護士であれば生じにくい問題ですが,そうでない場合,連絡方法への配慮不足から,弁護士に依頼している事実が家族に発覚してしまい,風俗トラブルの存在を知られてしまう結果になるケースも見受けられます。

弁護士への依頼に際しては,弁護士から連絡があった事実自体が周囲に伝わらないよう,慎重に連絡方法を協議し,解決に努めることをお勧めします。

③トータルの経済的負担を把握する

風俗トラブルは,相手方に金銭を支払う形での解決を目指すことが非常に多い類型です。しかも,金銭面の損得よりも早期解決を優先する場合,その経済的負担はより大きくなりやすいでしょう。

そのため,弁護士費用と示談金を合計した金額として,どの程度の経済的負担が見込まれやすいか,という点は,事前にできるだけ把握し,後から負担しきれないという事態が生じないように留意しましょう。もちろん,具体的な示談金額を事前に決定することはできないため,幅を持った想定にならざるを得ませんが,ある程度の見通しを設けておくことは柔軟な対応のため非常に重要なポイン

風俗トラブル(本番行為)の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で風俗店の本番トラブルに関する示談を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

示談が成立した場合に限り,22万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

風俗サービス中の本番トラブルでは,30~100万円ほどの示談金が想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(50万円で示談成立の場合)

弁護士費用:34万円+22万円=56万円
示談金:50万円

計:106万円

なお,この弁護士費用は刑事事件化しなかった場合を前提としたものです。刑事事件化し,捜査対応などを要した場合には別途弁護士費用が発生します。

弁護士費用の例

風俗トラブルに強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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【男女トラブルの示談を知りたい人のために】示談金相場,示談が必要な男女トラブルの類型,示談を試みる方法などを解説

このページでは,男女トラブルの示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

男女トラブルにおける示談のメリット
男女トラブルで示談は必要か
男女トラブルで示談をする方法
男女トラブルの示談金相場
男女トラブルの示談内容・条項
男女トラブルの示談で注意すべきこと
男女トラブルの示談に必要な費用

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示談が問題になる男女トラブルの類型

男女間の性的な行為に関するトラブルが発生した場合,警察が介入する前に示談をするべきかどうか問題になるケースは少なくありません。このようなトラブルは,一方は相手の同意があると思っていたものの,もう一方は性的な行為に同意していなかった,という形でトラブル化することがほとんどです。

具体的に問題になるトラブルの類型には,以下のようなものが挙げられます。

男女トラブルの主な類型

1.勤務先の関係者間におけるトラブル(セクハラ)
2.飲酒後の男女間におけるトラブル
3.SNSで知り合った男女間のトラブル
4.性的行為の相手が未成年であった場合のトラブル
5.交際中の男女間における別れ話のもつれ

男女トラブルにおける示談のメリット

男女トラブルは,可能な限り警察が介入していない段階で示談をするメリットが非常に大きいと言えるでしょう。具体的なメリットは以下の通りです。

①刑事事件化が防げる

刑事事件で捜査が行われるのは,被害者が捜査機関に捜査を求め,捜査機関がこれに応じた場合,というのがほとんどです。裏を返せば,被害者が捜査機関に捜査を求めなければ,捜査の始まるきっかけ自体が存在しないことになります。
刑事事件として取り扱われなければ,被疑者として捜査を受けることはなく,刑罰を受けることももちろんありません。警察が介入していない段階で示談できれば,捜査が開始しないため,トラブルはその場ですべて解決するということになります。

男女トラブルが警察沙汰になっていない段階では,示談によってその後の対応を一切要することなく解決するため,示談のメリットが極めて大きいと言えるでしょう。

②身柄拘束を防げる

男女トラブルの事件は,内容によって逮捕や勾留といった身柄拘束につながる場合も考えられます。それは,トラブルになる男女間では互いの個人情報を把握していることが多く,トラブルになった男女を放置していると一方が相手に接触しようとする可能性がある,と懸念されるためです。
一方が被害者として声を上げている以上,捜査機関としては被害者とされる人の保護を考えざるを得ません。そして,被害者保護の最も端的な手段が加害者とされる人物の身柄を拘束することになりやすいのです。

この点,男女トラブルで示談が成立した場合,被害者とされる方を保護するためにもう一方の身柄を拘束する必要はなくなります。当事者間での接触は,自分に不利益のないように解決する目的で行われるのが通常ですが,示談によって当事者間で解決している以上,解決目的で相手に接触する必要がなくなっているためです。

トラブルの内容が悪質と評価される可能性のある場合は,それだけ身柄拘束の危険も大きくなるため,示談によって身柄拘束を防ぐメリットが生じやすいでしょう。

③前科を防げる

刑事事件では,警察から事件の送致を受けた検察官が,被疑者を起訴するかどうか決めます。そして,検察官に起訴されると,刑罰を受けて前科が残ることになります。
この点,検察官が起訴するか不起訴どうかは,様々な事情を総合的に考慮の上で判断されますが,被害者がいる事件の場合,被害者の意向を反映させることが非常に多く見られます。

男女トラブルは当事者の一方が被害者となる事件類型のため,被害者が起訴を望むか不起訴を望むかという点が,検察官の判断を左右しやすい傾向にあります。そのため,不起訴によって前科を防ぐ場合,最も効果的な手段は被害者に不起訴を希望してもらうことです。

示談を行うことによって,被害者に不起訴を希望する意思を表明してもらうことができ,検察官の不起訴処分を獲得できる可能性が飛躍的に高くなります。不起訴処分となれば前科はつかないため,前科を防ぐための最も有力な手段は示談ということになるでしょう。

④トラブルの負担から早期に解放される

男女トラブルは,その内容によっては職場や家族,友人など,周囲の関係に大きな悪影響を及ぼすことがあり得ます。そうすると,トラブルが続いていることの負担は,思いのほか重く,多岐に渡る恐れが否定できません。
この際,平穏な生活を取り戻すためには,当事者間でトラブルを解決するほかありませんが,早期にトラブル解決する手段は示談のみです。

当事者間で示談が成立すれば,速やかにトラブルが解決でき,トラブルに伴う周囲への悪影響を気にする必要がなくなるでしょう。

ポイント 示談のメリット
刑事事件化が防げる
前科が防げる
身柄拘束が防げる
周囲への悪影響が防げる

男女トラブルで示談は必要か

男女トラブルに見舞われた場合,示談が必要かどうかは,指摘されている行為に心当たりがあるかどうかによるでしょう。

トラブルの内容に心当たりがない場合,基本的に示談の必要はありません。当事者間で解決を急ぐのではなく,相手による事実無根の主張を徹底的に争うことが適切です。示談の試みは,相手に対する一定の謝罪を前提にした動きとなりやすいため,謝罪するような関係にないのであれば,示談を行うべきではないということになります。

一方,トラブルの内容に心当たりがある場合は,示談による解決が極めて重要であり,解決には示談が必要と考えるのが適切です。示談できれば即時に事件解決となる一方,示談ができなければ多くの不利益が生じうるため,示談ができるかによってその後の生活が決定的に左右されると言っても過言ではありません。

なお,トラブルが起きたことには争いがないものの,当事者間の言い分に食い違いがある,という場合も,示談が必要になりやすいでしょう。
男女トラブルでは,何らかの言い分の食い違いが生じている場合が大半です。そして,この言い分の食い違いは,最終的にはどちらの言い分がより信用できるか,という基準で判断されることが一般的な処理となります。
そうすると,言い分の食い違いがある場合に示談で解決できないと,自分の言い分を信用してもらうために数々の負担を負わなければなりません。しかも,その負担は言い分が信用できないと判断されるリスクを背負いながらのものであり,負担に伴う精神的苦痛も軽視できません。

言い分の食い違いを深刻な争いにしたくない場合にも,示談は非常に重要な役割を持つことになるでしょう。

ポイント
心当たりがなければ示談は不要
心当たりがある事件では示談すべき
言い分に食い違いがある場合も示談が適切

男女トラブルで示談をする方法

警察が介入していない男女トラブルで示談をする場合,相手方への連絡方法は自分で確保する必要があります。

既に警察が介入しており,刑事事件として捜査されている事件であれば,弁護士が捜査機関に依頼し,捜査機関から被害者に連絡を入れてもらうことが通常です。しかし,刑事事件化を防いで解決する場合にはこの方法を取ることができません。
そのため,弁護士に依頼の上,弁護士から直接相手に連絡を取ってもらうことが適切な方法となります。

相手との連絡方法を確保する手段としては,以下のようなものが挙げられます。

示談の際の連絡方法

1.相手の電話番号,メールアドレス,SNSアカウントに連絡する
2.共通の知人・相手の家族・職場関係者などを通じて連絡する
3.相手の住所に書面を送る

具体的なケースで適切な連絡方法は個別の状況によりますが,何らかの連絡方法が確保できた状態であることが必要です。
そのため,相手との連絡手段がなくなってしまう前に,できるだけ早く弁護士に依頼することが適切でしょう。

なお,相手への連絡方法が全くない,という場合には自ら捜査機関に介入してもらうという選択も一案です。警察に出頭の上でいわゆる「自首」を行い,警察に事件の捜査と被害者への連絡を依頼する,ということですね。
ただし,自首を行うことは,相手が希望していない場合に不利益が大きく,「余計なこと」になってしまう恐れも少なくありません。具体的な方針については,必ず弁護士に相談するようにしましょう。

男女トラブルの示談金相場

男女トラブルの示談金は,その具体的な内容によって大きく異なりやすいところです。事件類型ごとの金額の目安としては,以下のような整理ができるでしょう。

男女トラブルにおける示談金の目安

1.相手の承諾なく身体に触った
30~50万円程度

2.無理に性行為を迫ったが,性行為には至らなかった
100万円前後

3.無理に性行為を迫り,挿入行為に至った
200~300万円程度

男女トラブルの示談内容

男女トラブルで示談を行う場合の基本的な合意内容としては,以下のようなものが挙げられます。

【確認条項】

加害者が被害者へいくらの支払を行う必要(義務)があるかを,当事者間で確認する条項です。
当事者間で合意した示談金の金額を,支払う義務のある金額と定めることになります。

【給付条項】

確認された支払の義務をどのように果たす(給付する)のか,という点を定める条項です。
金銭の支払を内容とするのが通常ですが,支払方法が手渡しか振り込みか,手渡しであればいつどこで行うか,振り込みの場合はどの口座か,振込手数料は誰が負担するか(通常は加害者が負担),支払の期限はいつまでか,といった点を定めます。

【清算条項】

示談で定めた内容以外に,当事者間に債権債務関係(法律関係)がないことを確認する条項です。この条項を設けることで,加害者と被害者との法律関係は示談金の支払をもって終了することになります。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)とは「許し」を意味します。宥恕条項は,被害者が加害者を許すことを内容とする条項です。
加害者が示談金の支払を負担して示談を目指すのは,基本的にこの宥恕条項を獲得するためです。警察未介入の男女トラブルでは,宥恕を獲得することで被害者による刑事事件化を防ぐことになるため,宥恕が得られるかどうかは極めて重要となります。

【接触禁止】

男女トラブルでは,示談後に互いが接触しないことを約束する内容を設けることが通常です。対面はもちろん,電話,メールなど,いかなる方法でも相手への接触を試みない,という合意をすることになります。

【一定の場所の出入禁止】

トラブルの現場が,被害者にとって日頃出入りする場所である場合,加害者がその場所に出入りしないことを約束することが多く見られます。
また,加害者が被害者の自宅を把握している場合,被害者の自宅やその近辺に立ち入らないことを約束する条項を設けることも少なくありません。

【口外禁止】

事件や示談の内容を第三者に口外しないことを定めるのが一般的です。
男女トラブルは,第三者に伝わる不利益が非常に大きい場合も多いため,互いに口外を禁止することで,示談成立後に情報が漏れることを防ぐのが重要となります。
また,警察介入前の男女トラブルである場合,特段の事情がない限り警察にも伝えないことを約束の内容に含めることが多いでしょう。

男女トラブルの示談で注意すべきこと

男女トラブルは,互いの言い分が大きく食い違っていることが非常に多く見られます。代表的な食い違いとしては,「一方は相手が性行為に了承していると思っていたが,もう一方は性行為に了承していなかった」というものが挙げられるでしょう。
そのため,男女トラブルの示談に際しては,言い分の食い違いをどのように解決するか,という点が重要な事項となりやすいです。この点,一般的には以下のような方法が考えられます。

主張の食い違いを解決して示談する方法

1.客観的な根拠を獲得し,一方の主張が誤りだと立証する
→正しい言い分の方を前提に,示談条件を検討する

2.どちらの言い分が正しいかを棚上げにしたまま解決する
→言い分が食い違うことを前提に,それでも示談できる条件を交渉する

現実的には,言い分の異なる男女トラブルで客観的な証拠を獲得することは困難なので,「2.どちらの言い分が正しいかを棚上げにしたまま解決する」を選択せざるを得ないことが大多数でしょう。

この場合,金額などの条件は被害者側の言い分を前提とした内容にすることが一般的です。
示談は,基本的に「示談したい」と希望する側が条件を譲歩し,相手に了承してもらうことを目指すものです。そして,男女トラブルの場合,示談を希望する側は加害者とされる側であるため,加害者側が条件を譲歩しなければ話はまとまりづらいことになります。
被害者の立場からすれば,示談を申し入れてきた相手が以下の二通りの条件を示してきた場合,どちらの方が了承する余地があるかは明白でしょう。

主張が食い違う場合における示談条件提示の方法

1.言い分は食い違っているが,被害者の言い分に沿った金額での解決を提案する
2.言い分が食い違っているため,被害者の言い分を無視した金額での解決を提案する

言い分の異なる男女トラブルの示談では,相手の言い分が正しいと認める必要はないが,示談条件は相手の言い分が正しい場合の内容であることが必要である,と考えるのが適切でしょう。

男女トラブルの示談に必要な費用

藤垣法律事務所で警察未介入の男女トラブルに関する示談を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

示談が成立した場合に限り,22万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

事件類型により異なりますが,相手の了承なく身体に触った場合に30~50万円程度性行為を迫り性器に触れるなどした場合に100万円前後の示談金が発生し得るところです。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(50万円で示談成立の場合)

弁護士費用:34万円+22万円=56万円
示談金:50万円

計:106万円

なお,この弁護士費用は刑事事件化しなかった場合を前提としたものです。刑事事件化し,捜査対応などを要した場合には別途弁護士費用が発生します。

弁護士費用の例

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風俗トラブルで問題になるケース・対処を誤るリスク・刑事処罰の可能性などを専門家が徹底解説

●風俗トラブルはどのような場合に起きるか?

●風俗トラブルが起きた場合、どう対処すべきか?

●風俗トラブルはどんな犯罪になるか?

●風俗トラブルは逮捕されるか?

●風俗トラブルは自分でお店と解決しても問題ないか?

●風俗トラブルは弁護士に依頼するべきか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,風俗トラブルが起きた場合の対処法や、風俗トラブルで弁護士に依頼すべき場合などについて、詳細に解説します。

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風俗トラブルとして問題になるケース

風俗店のサービス利用時における利用客側とお店側のトラブルを,俗に風俗トラブルということがありますが,風俗トラブルとして問題になる代表的なケースは,以下の通りです。

①本番(挿入)行為に関するトラブル

デリバリーヘルスなどの風俗店は,サービス中の本番行為(性器の挿入)を禁止しています。もし風俗店がそのサービスの一環として本番行為を行ってしまうと,風俗店は売春防止法に違反する犯罪行為(いわゆる管理売春)になるため,風俗店がサービスとして本番行為を許容することはありません。

そのため,風俗サービスの利用中に本番行為があると,担当のキャスト(店員)及び風俗店との間でトラブル化することがあります。

②撮影行為に関するトラブル

風俗サービス中は,キャストが着衣をつけず,乳房や性器などを露出していることが一般的ですが,その状況を無断で撮影した場合,トラブル化することが見込まれます。

撮影行為は,風俗店が通常禁止しているのみでなく,キャスト自身もこれを許容していることが考えにくいため,撮影の事実が発覚した場合には基本的にトラブル化すると理解するのが適切でしょう。

③サービス中の強要行為に関するトラブル

風俗サービス中に,キャストが許容しない行為を強要し,その強要行為がトラブル化するケースも考えられます。
具体例としては,プレイの一環としてキャストの首を絞めた,キャストの性器や肛門に異物を挿入した,キャストの身体に液体をかけた,といったものが挙げられます。

これらの行為は,双方の合意で行われるのであればトラブルにはならないのが通常ですが,利用客側においてキャストの合意があるものと誤解して行い,トラブル化することが散見されます。

本番行為の法律的な位置付けについて

風俗店における挿入行為を俗に「本番行為」と言いますが,その法的な位置付けには非常にあいまいなところがあります。

まず,風俗店のサービスとして本番行為を提供することは,売春防止法に違反する犯罪行為であり,風俗店側が刑事罰の対象になってしまいます。そのため,お店が表立って本番行為を許容することはないでしょう。風俗店も禁止行為としていることが一般的です。
風俗サービス中の本番行為が違法でないことの根拠は,当事者双方の合意があるためです。当事者双方が合意し,自由な意思で本番行為をしているのであれば,そのような本番行為を法律で規制する筋合いにはないということになります。あわせて,キャストが自己判断でした本番行為については,風俗店も黙認するのが通常です。

ところが,当事者双方の合意があるという前提が崩れると,トラブル化してしまいます。
利用客側の合意がない,ということは通常考えにくいですが,キャスト側の合意がない場合には,風俗店の禁止行為に該当するのみでなく,不同意性交等罪に該当する犯罪行為となる可能性も浮上します。

風俗トラブルの代表例である本番トラブルは,利用客は合意あり(=お店の禁止行為でも犯罪行為でもない)と思っていたのに,キャストや風俗店は合意なし(=お店の禁止行為であり犯罪行為である)と主張している,などと見解に相違のあることで生じるのが一般的です。

風俗トラブルの適切な対処と誤ったときのリスク

風俗トラブルが表面化する一般的な流れは,キャストが店側にトラブルの申告(連絡)をし,風俗店の関係者が現場に駆け付ける,ということが多く見られます。代表的なデリバリーヘルスの例では,性的サービスの後,キャストが利用客のシャワー中に店へ連絡し,利用客が部屋を離れる前に店舗関係者が部屋に向かってトラブル解決を迫る,という流れが多いところです。
なお,そこでのトラブル解決は,金銭的解決を指すことが通常です。風俗店のトラブル対応は,金銭的な満足を得られるかどうかを基準とすることが一般的です。

このような風俗トラブルに見舞われた際の適切な対処としては,その場で結論を出したり支払ったりせず,速やかに弁護士へ相談・依頼をすることです。その具体的な理由は,以下の通りです。

①心理的圧迫の影響で多額の支払をしてしまう危険がある

風俗店関係者からは,「女の子がショックを受けている」「犯罪だから警察に突き出すこともできる」などと真偽の不明な文句で心理的圧迫を受け,金銭賠償を強要されることが多く見られます。突然そのような話をされ,正常な判断も難しい中で対応した場合,十分な交渉も検討もできないまま,風俗店側に求められた多額の支払を行ってしまう危険が非常に大きいでしょう。

②トラブルの解決が約束されないままになってしまう

風俗店は,風俗トラブルについて金銭を受領した場合,その内容を自社又は店舗の独自の書式で作成した何らかの書面にすることが多く見られます。もっとも,その書面は,法律的な意味での紛争解決を内容としているわけではなく,記載内容も作成方法も不十分であることがほとんどであり,風俗店側の内部処理くらいの意味合いしかありません。

そのため,せっかく金銭を支払って風俗店と解決したとしても,それ以上の賠償義務があるかないか不明確な上,今後さらに金銭を請求しないとの確約もない,という状態になってしまいます。法的には何も解決しないまま,支払った金銭の負担だけが残るということになりかねません。

③キャストとの間では紛争解決ができない

風俗店の試みるトラブル解決は,あくまで風俗店と利用客の間でのものであり,キャストと利用客との解決を内容とするものではありません。そのため,風俗店と事実上解決できたとしても,その後になってキャストが自分への金銭賠償等を請求してきた場合,これを回避する手立ては存在しないことになります。
紛争全体の解決を図るためには,風俗店と利用客,キャストと利用客それぞれの解決が必要となりますが,それを実現するためには,その場で結論を出さず弁護士に依頼することが不可欠でしょう。

④個人情報を風俗店に保管されてしまう

風俗店は,風俗トラブルが発生したときの運用として,利用客の身分証の写しを取るなど,その個人情報を保管しようとすることが一般的です。もちろん,これに応じる法的な義務はありませんが,現実的にはその場を収めるために応じることが非常に多いでしょう。

この点,自分で風俗店と解決を図った場合,保管された個人情報はそのままになってしまい,これを破棄・処分などすることの約束を取り付けることは困難です。紛争解決した後に相手の個人情報を保管しておく理由は特段ありませんから,風俗店に個人情報を確保されたままの状態が非常に不適切であることは間違いありません。

ポイント
本番行為は両者の合意があるから合法
トラブル化した場合は金銭的解決が問題になりやすい
その場で解決しようとすると適切な解決は困難。弁護士への依頼が得策

風俗トラブルは犯罪になるか

風俗トラブルとして問題になる行為は,犯罪に該当する行為であることも少なくありません。そのため,風俗トラブルの事件が犯罪として捜査・処罰されるかどうかは大きな問題になります。
ここでは,主な類型ごとに,風俗トラブルがどのような犯罪になり得るか解説します。

①本番トラブル

本番トラブルは,キャストの同意なく挿入行為に及んだという問題であるため,「不同意性交等罪」に該当する可能性があります。これは,かつて強姦罪とされていた事件類型です。

もっとも,風俗店での本番トラブルと,そうでない状況での不同意性交等罪では,取り扱いに違いの生じることが少なくありません。風俗店は,そもそも性的な行為・サービスを行うためのものであり,キャストと利用客の間では何らかの性的行為を行う合意がなされていると考えざるを得ません。その場合,キャストと利用客との間でどこまでの行為について合意がなされたのかが必ずしも明確でない,という特徴があるのです。

上記で解説の通り,当事者が合意をして本番行為に及ぶのであれば,犯罪ではありませんし警察が関与する筋合いもありません。そのため,本番トラブルが問題になった場合,捜査をする警察としては,本番行為の合意がなかった(利用客も合意がないと把握していた)と言えるのかは,慎重に検討する必要のある問題になります。

②盗撮トラブル

盗撮トラブルは,「性的姿態等撮影罪」(いわゆる撮影罪)に該当する可能性が高く見込まれます。風俗サービス中,衣服をつけない状態でいるキャストを撮影する行為には,基本的に撮影罪が成立することになるでしょう。

撮影行為は,本番行為と異なり明らかにその合意がないことがほとんどです。風俗店もキャストも,撮影行為の了承をしているとは考え難く,利用客もそれを承知の上で見つからないような方法で撮影を試みるのが通常であるため,撮影罪が成立するか不明確である,というケースは少数派でしょう。

③強要トラブル

強要トラブルは,その内容によって「不同意性交等罪」「不同意わいせつ罪」「強要罪」等の犯罪に該当する可能性があります。一般的な区別は以下の通りです。

不同意性交等罪性器に物を挿入する行為,口腔性交,肛門性交
不同意わいせつ罪性交等に該当しないが,キャストの同意なく行われたわいせつ行為
強要罪わいせつ行為でないが,キャストの意思に反した行為を強いること

風俗トラブルと逮捕

風俗トラブルの場合,風俗店側が警察を呼ぶなどして警察が関与する場合も少なくありませんが,その場合でも逮捕まで至る可能性は決して高いわけではありません。
特に,本番トラブルの場合だと,利用客側はキャストが本番行為に合意していると誤解していたことがほとんどなので,犯罪が成立する可能性は低く,キャストやお店の主張のみを根拠に逮捕することは容易ではありません。

もっとも,内容があまりに過激である場合,トラブルが度重なっていて悪意がないとは考えにくい場合など,特に十分な捜査を要すると判断される場合には,逮捕に至る可能性も否定はできません。

風俗トラブルは自分で解決してもよいか

風俗トラブルは,その場で風俗店関係者から解決を迫られることが多いため,これに応じる形で自分で解決することも不可能というわけではありません。しかし,やはり自分で風俗店側と解決を図ることは,法的にはお勧めできません。

自分で解決を図ることの致命的な問題は,法的には何ら解決されていない状態のままになる,ということです。風俗店側が客の利益になるような示談書などを作成することはありませんので,それ以上の金銭債務がないのか,お店やキャストが他言しないのか,警察を巻き込まないのか,といった点については,全く手つかずになってしまいます。

風俗店やキャストがそれ以上の動きを取らなければ,現実に問題となることはありませんが,裏を返せば,風俗店やキャストが後から金銭請求をしてきたり警察に被害届を出したりしても全く問題ない,ということです。
そのリスクを抱える前提で解決や支払を行うのは,適切とは言い難いでしょう。

ポイント
風俗トラブルは逮捕される可能性が高くはない
自分で解決を図ると,法的には解決されていないままとなる危険がある

風俗トラブルで弁護士に依頼すべき場合

①金銭請求されている場合

風俗トラブルは,金銭的解決を求められるのがほとんどです。風俗店によっては,恐喝罪などの対象になることを恐れて明言を避けてくることもありますが,基本的に風俗店は全て金銭的解決を図ろうとしていると理解しても誤りではないでしょう。
そのため,風俗トラブルでは金銭面の交渉が不可欠であり,これを行うには風俗トラブルに精通した弁護士への依頼が適切です。

②周囲への発覚を防ぎたい場合

風俗トラブルは,内容の性質上,家族や職場関係者など周囲に発覚する不利益が大きいものです。そのため,周囲に発覚することなく,秘密裏に解決したいということは多いでしょう。
弁護士に依頼した場合,弁護士がすべての窓口になりますので,周囲に事態が発覚する恐れは基本的になくなります。

③個人情報を保管されている場合

風俗トラブルの際には,風俗店に身分証の写しを取られるなど,個人情報を保管されることが多く,個人情報の流出や悪用を不安に感じる場合もあるでしょう。もっとも,自分から風俗店に個人情報の処分を求めることも容易ではありません。
弁護士に依頼した場合には,トラブル解決にあわせて個人情報の処分についても合意を取り付けることで,個人情報に関する不安を解消することが可能です。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

風俗トラブルは、その場でお店とのトラブルに発展するケースが多く、スピーディーな対応が必要になりやすい事件類型です。
また、お店との話し合いになりやすいですが、正確な見通しを持った弁護士と対応することで、話し合いを適切な方向に促すことが可能になるでしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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