特殊詐欺事件で自首するメリットは?実刑判決は防げるのか?弁護士がいた方がいいのか?

このページでは,特殊詐欺事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

特殊詐欺事件で自首をするべき場合

①関与した自覚がある場合

特殊詐欺事件は、被害者が犯罪被害に気付いていない場合を除き、被害者が捜査機関に助けを求めないことは考えにくく、被害者の相談を受けた警察等も捜査を行わないことが考えにくい類型です。それだけ、被害が大きくなりやすく、犯罪捜査の必要性も高くなりやすい重大事件ということができるでしょう。

そのため、詐欺事件に関与したとの自覚がある場合には、捜査が行われて自分が特定されるより前に、先手を打って自首をする手段が非常に有力です。自首しなくても犯罪捜査が行われてしまうのであれば、先に自首をする方が有益だと考えるのが適切でしょう。

なお、関与した当時は自覚がなかったものの、後になって犯罪だと分かったという場合は、その旨を捜査機関に申告しても法的には自首ではありません。関与した当時に犯罪の認識がない場合には、犯罪が成立しないためです。
もっとも、自首ではないことを前提に捜査機関へ相談等を試みることは十分に有力でしょう。

ポイント
特殊詐欺事件は、自首しなくても捜査されることが見込まれる
事件当時に自覚がない場合、法的には自首にはならない

②関係者が捜査を受けた場合

事件に関係した他の人物が捜査を受けている場合、その事件は既に相当程度捜査が進んでおり、犯罪の特定に近付いていることがうかがわれます。そうすると、他の関係者として自分が捜査の対象になる可能性も非常に高く、捜査を受ける前に自首を試みることが有力な手段になりやすいでしょう。

また、他の関係者に対する捜査が先行している場合、その関係者の供述は他人に責任を押し付けるような内容であることが少なくありません。自分の責任が軽くなれば、それだけ刑罰も軽くなって有益であるためです。
この場合、放置していると実際よりも自分の責任が重く評価されてしまう恐れがあるため、必要以上の責任を負わされないようにするためにも、実際の内容を捜査機関に伝える試みが有力と言えるでしょう。

ポイント
関係者が特定されている場合、捜査は相当程度進んでいる
他の関係者から責任を押し付けられている恐れもある

③否認事件における自首

否認事件の場合、法的には自首をすることはできません。自首は、自分の犯罪行為を捜査機関に告げてその捜査や処分を求める行動であるためです。

しかしながら、否認事件では捜査機関への積極的な接触ができないかといえば、決してそうではありません。自分が特殊詐欺事件への関与を疑われている可能性や、自分の関与した出来事が特殊詐欺事件である可能性が分かった、という場合には、その旨を素直に警察へ申告し、相談する手段も十分に考えられるところです。

ただ、この場合には、本心から否認しているのか、虚偽の否認で責任逃れを図っているのか、捜査機関からは判断ができません。そのため、否認の内容が真実であるのか、疑われる可能性は踏まえておくことが望ましいでしょう。一貫して粘り強く、情報提供を尽くす姿勢が適切です。

ポイント
捜査機関に情報提供を試みる動きは有力
疑われる可能性は想定しておくことが適切

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

特殊詐欺事件の自首は弁護士に依頼すべきか

特殊詐欺事件で自首を検討する場合には、弁護士に依頼し、弁護士の判断を仰ぎながら対応を進めていくことが適切です。弁護士への依頼によって、以下のようなメリットが期待できます。

①犯罪に当たるかが分かる

特殊詐欺事件は、その内容や共犯者の募集方法など、様々な点について新しい手口が次々と現れてくる事件類型です。そのため、自分が関与した出来事が特殊詐欺事件に当たるのか、自分は特殊詐欺事件に関与してしまったのか、判断できない場合が少なくありません。
また、自分の行ったことが犯罪そのものへの関与ではない場合、自分が犯罪の責任を負う可能性はあるのか、という点も判断の難しいところです。

この点、弁護士へ依頼した場合には、自分の行為や関わった出来事が犯罪に当たるかどうか、法律の専門的な観点から判断してもらうことが可能です。また、犯罪に当たるかどうかの分岐点や争点が整理できるため、適切な対応方針も判断しやすくなる効果が期待できます。

②自首のメリットが分かる

自首は、自ら犯罪捜査を求める行為であるため、大きなリスクを抱える動きであることは否定できません。そのため、自首によって生じるメリットがどの程度か、十分に理解できなければ判断に踏み切ることは容易でないでしょう。自首のメリットがデメリットを上回ると判断できて、初めて自首を進めることが可能になるはずです。

この点、弁護士に依頼することで、自首をした場合としなかった場合の具体的な比較を含め、個別の事件で自首を行うことの詳細なメリットを把握することが可能です。自分が想像していたメリットと違う、というミスマッチも回避できるため、後悔のない自首の判断ができるでしょう。

③取調べへの備えができる

自首は、刑事手続全体の流れの中では、捜査の出発点であり、スタートラインともいうべき段階です。そのため、自首後に様々な捜査が行われ、警察などによる証拠収集が進められることとなります。自首を行う際には、その後に行われる捜査への対応についても、十分な備えを行っておくことが適切です。

この点、弁護士に依頼した場合には、自首後に行われる取調べの内容や進め方を事前に把握することができ、具体的な返答方針、内容についても専門的な見地から指示や助言などをしてもらうことが可能です。取調べへの適切な対応ができれば、自首の効果はより大きなものになることが期待できます。

特殊詐欺事件で自首をする場合の注意点

①逮捕の回避が困難な場合

自首は、まず逮捕の回避を最大の目的として行うことが多いものです。自首しなければ逮捕が見込まれる場合に、先立って自首を行うことで、逮捕しないとの取り扱いを目指すのが、自首の最初の目標になるでしょう。

しかしながら、特殊詐欺事件の場合には、自首をしても逮捕の回避が困難な場合がある、という点に十分な注意が必要です。特殊詐欺事件は、悪質で重大な事件類型と理解されやすいため、逮捕の必要性が高く、自首を行ってもなお逮捕の判断を覆せない可能性があるためです。

自首が逮捕の可能性を下げる試みであることは間違いありませんが、確実に逮捕が避けられる、というものではない点に注意しましょう。

②実刑判決の回避が困難な場合

特殊詐欺事件における自首は、実刑判決が懸念されるケースで実刑を回避することを目的に行われる場合も一定数あります。しかしながら、重大な特殊詐欺事件では、自首をしても実刑判決の回避が困難な場合がある点に注意すべきです。

実刑判決の回避が困難なケースとしては、以下のような場合が挙げられます。

1.役割が重大である
→中心的な役割を担っていた場合

2.被害規模が大きい
→被害金額が著しく高い場合

3.前科がある
→同種の前科や刑務所への服役経験がある場合

③余罪の取り扱い

複数の特殊詐欺事件がある場合、自首をする際にすべての事件を明らかにすべきか、という点は非常に判断の困難な問題です。

この点、基本的には、捜査される事件が多くならないに越したことはありません。そのため、自分の情報提供がきっかけとなって捜査される事件は、できるだけ少ない方が望ましいでしょう。
一方、捜査機関がどこまでの事件を把握しているのか、今後どこまで明らかになるのかは、事前に見通すことが困難です。捜査される事件についてだけ自首をする、という都合のいい行動は難しいと言わざるを得ないでしょう。

余罪のある特殊詐欺事件での自首を検討する場合には、できる限り弁護士に依頼し、具体的な対応方針について弁護士の判断を仰ぎながら進めていくことをお勧めします。

④逮捕勾留に備えた準備

特殊詐欺事件で自首を行う場合には、逮捕勾留の恐れが低くないことを踏まえ、逮捕勾留に備えた物品の準備をしておくことも有力です。

逮捕勾留に備えた物品の準備としては、一例として以下のものが挙げられます。

1.金銭
→留置場内で飲食品や洗面用具などを購入するため

2.着替え
→貸与でなく自分の着衣を用いるため

3.本
→留置場内での時間を有効活用するため

4.家族の写真など
→接見禁止の場合、家族と面会できないため

なお、留置場内に持ち込める物品には独特なルールがあり、ルールに反した物品は留置場で利用できません。具体的な準備については、弁護士との十分なご相談をお勧めします。

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【特殊詐欺事件での呼び出し】呼び出しに対する適切な対応方法や弁護士依頼のメリットなどを詳細解説

このページでは,特殊詐欺事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
特殊詐欺事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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特殊詐欺事件で呼び出された場合の対応法

①基本姿勢

特殊詐欺事件で呼び出しを受けた場合には、まず「本罪」と「余罪」を区別して検討することが適切です。本罪とは、実際に呼出しを受けた対象事件のことをいい、余罪とは、本罪以外の事件のことを言います。

本罪と余罪の区別が重要であるのは、本罪と余罪とで対応方針を変えるべき場合が少なくないためです。例えば、捜査機関には本罪だけ証拠がそろっているが余罪は発覚していない、という場合、本罪と余罪の両方を全部認めて話すことも、本罪と余罪の両方を否認して認めない態度を取ることも、ともに不適切になりやすいでしょう。本罪だけ証拠がそろっている状況であれば、本罪は認める姿勢が適切ですが、発覚していない余罪の情報提供をするメリットはあまりありません。
 
特殊詐欺事件の捜査は、取調べでどのような発言がなされるか、という点が大きな影響を及ぼしやすい傾向にあります。そのため、対応方針を誤らないための整理として、本罪と余罪の区別を明確にすることをお勧めします。

ポイント
本罪と余罪の区別を明確にする
本罪と余罪とで対応方針を変えるべき場合が少なくない

②認め事件

認め事件の場合、基本的には事実をありのまま告げることが適切です。特に、共犯者に関する情報を分かる限りで提供し、事件の全容解明に向けた協力姿勢を取ることができれば、刑事処分の軽減に向けた有益な事情となり得るでしょう。

また、自分の役割が比較的小さなものであれば、自分の具体的な役割の内容を正しく把握してもらうことも目指すべきです。例えば、詐欺事件そのものの計画に関与しているかどうか、詐欺事件の具体的な内容をどのように理解していたか、という点は、共犯者間の役割や立場に大きく影響しやすいため、整理して伝えられることが適切です。

ポイント
事件の全容解明に向けた協力姿勢を取る
自分の役割が小さいことを正しく把握してもらう

③否認事件

否認事件の場合、まずは具体的な争点を明らかにすることが適切です。なぜ否認をするのか、犯罪が立証できるかどうかのポイントはどこか、という点を、捜査機関に理解してもらうことが、否認事件で適切な結果を目指す第一歩になります。

特殊詐欺事件の場合、否認事件では以下のような争点が見られます。

否認の特殊詐欺事件における争点の例

1.故意
→アルバイト名目などで、詐欺事件と知らずに関与させられた、という主張。

2.犯人性
→自分が犯人であるかどうか、という問題。人違いであると主張するケース。

3.責任の有無
→脅迫され、強制的に関与させられていたという主張。

ポイント
争点を明らかにすることが対応の第一歩

特殊詐欺事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

特殊詐欺事件の場合、呼び出しに応じて出頭した際に逮捕される、というケースも一定数見られます。これは、元々逮捕する目的であった場合に、警察から逮捕に向かうのではなく、被疑者の方から警察に来てもらって逮捕する、という動きを選択した場合です。
通常、逮捕する場合には、証拠隠滅のきっかけを与えないよう、警察が被疑者の自宅などに突然訪れ、そのまま逮捕する運用が多く見られます。ただ、特殊詐欺事件では、共犯者との捜査の前後といった捜査上の状況や、遠方である場合などを踏まえ、被疑者に自ら出頭してもらった上で逮捕に踏み切るケースも少数ながら見られるところです。

一方、逮捕するかどうか判断未了の状態で呼び出しを行い、呼び出しへの応答を踏まえて逮捕する、というケースはあまり見られません。裏を返せば、呼び出しへの応対を誤ったから逮捕される、ということにはなりにくいため、呼び出しへの対応を過度に不安視することはお勧めしません。

ポイント
元々逮捕目的である場合、呼び出した上で逮捕を執行するケースはある
呼び出しへの対応が原因で逮捕されるケースは生じにくい

特殊詐欺事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①事情を知っている可能性があると考えたとき

特殊詐欺事件は、組織的な事件であることから、いきなり全容を掴むことは困難になりやすいです。そのため、用いられた口座の名義人やスマートフォンの契約者など、事件に関わった可能性のある人物から事情を聴くことで、捜査の進展を目指す動きは少なくありません。
警察が呼び出す場合も、事件について事情を知っている可能性がある人物の存在が浮上した際、その人物を呼び出して話を聞く、という流れは一定数見られるところです。

このような呼び出しは、捜査の比較的初期段階であることが多く見られます。捜査の糸口を掴むために広く情報を収集している段階であるケースが多いでしょう。捜査担当者から電話連絡を行う方法で呼び出しを試みることが一般的です。

②事件への具体的な関与が特定されたとき

具体的な事件への関与が特定され、果たした役割が分かった段階で、事実関係を取り調べるために呼び出されるケースもあり得ます。この段階では、客観的な証拠がある程度捜査機関の手元にあり、少なくとも個別の被害がどのようにして起きたか、ということは明らかであることが多いでしょう。

このような呼び出しは、呼び出される側にとっては初回の呼び出しであることが見込まれますが、捜査としてはある程度進行した段階であることが考えられます。特殊詐欺事件の場合、呼び出しより前にできる限りの捜査を行って証拠を固める流れになりやすいためです。

③証拠品の提出を求めるとき

特殊詐欺事件の場合、共犯者間でのやり取りや、各人の行動を裏付ける記録など、犯罪立証のため収集するべき証拠が非常に多くなりやすいです。そのため、証拠品を獲得する手段として、関係者を呼び出して証拠品の提出を求めることも行われます。

このような呼び出しは、ほかの証拠収集がある程度尽くされた後の段階であることが多く見られます。物的証拠の収集や関係者への事情聴取が行われた後、その内容に関する証拠を獲得する目的で行われることになりやすいでしょう。

特殊詐欺事件の呼び出しに応じたときの注意点

①共犯者の取調べを先行している可能性

特殊詐欺事件は、組織的・計画的に行われる事件であることから、複数の人物から事情を聴取することが通常です。そのため、自分が呼び出しを受けた段階で、既に他の関係者からも事情を聴いており、供述内容が合致するか確認する目的で呼び出されている可能性がある点には注意することが適切です。

特に、共犯者の取調べが先行して行われている場合には、自分の供述と共犯者の供述とが食い違っており、足の引っ張り合いになるケースも少なくありません。共犯者間で誰がより大きな役割を果たした立場であるのか、という点に関する責任のなすりつけ合いに巻き込まれる可能性は十分に想定しておくことが望ましいでしょう。

②供述調書作成時の留意事項

取調べを行う場合、自分の話した内容が供述調書という書面にされ、供述調書に署名押印を求められる、という流れが想定されます。供述調書の作成が、取調べの基本的なゴールと考えても間違いはないでしょう。

この点、供述調書への署名押印について正しい理解を持っておくことは非常に重要です。署名押印は、供述調書の内容が自分の発言と間違いないという意味のお墨付きとなります。そのため、供述調書の文面について、自分の発言が捻じ曲げられていたり、ニュアンスの異なる表現にされていたりしないか、十分に確認した上で署名押印をしましょう。

また、署名押印は拒否することも可能です。お墨付きを与えられない場合には、毅然と署名押印を拒否することも視野に入れるのが適切です。

③故意を否認する主張の仕方

特殊詐欺事件の場合、自分が詐欺事件に関与しているとは思っていなかった、と故意を否認する主張をするケースもあり得ます。この場合には、「故意」が認められる条件を正しく理解しておくことが非常に重要です。

故意は、犯罪行為をしていたことの認識・認容を言いますが、この認識・認容は、犯罪行為を確信している場合に限られません。自分が犯罪行為をしている可能性を分かっていながら、それでも構わないと思っている場合には、犯罪の故意ありと判断されてしまいます。

特殊詐欺事件では、特にアルバイトのような立場だと、詐欺であることをはっきり知らされてはおらず、詐欺だと確信していなかった場合は少なくありません。しかし、詐欺である可能性が容易に分かる状況で、それでも構わないと思っていたのであれば、故意はあるとの結論になるため注意しましょう。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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特殊詐欺事件の逮捕は防げる?いつ釈放される?呼び出しにはどう応じるべき?疑問を徹底解決

このページでは,特殊詐欺事件の逮捕に関して,刑事弁護士が徹底解説します。逮捕の可能性はどの程度あるか,逮捕を避ける方法はあるか,逮捕された場合に釈放を目指す方法はあるかなど,対応を検討する際の参考にしてみてください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

特殊詐欺事件で逮捕される可能性

特殊詐欺事件は、逮捕の可能性が非常に高い事件類型です。刑事事件では、逮捕して捜査を行う(身柄事件とする)か、逮捕しないで捜査を行う(在宅事件とする)か、いずれかの方法を選択できますが、特殊詐欺事件であえて在宅事件を選択することはほとんどありません。基本的にすべての事件で逮捕されると考えてよいでしょう。

特殊詐欺事件で逮捕の可能性が高い理由としては、以下の点が挙げられます。

特殊詐欺事件で逮捕の可能性が高い理由

1.共犯者間での証拠隠滅を防ぐため
→共犯者間での口裏合わせや、隠し持っている証拠の隠滅を防ぐ目的。そのため、逮捕勾留後は、弁護士以外とは面会できない処分(接見禁止決定)がなされやすい。

2.重大な刑罰が見込まれるため
→重大な刑罰が見込まれる場合、処罰から逃れるために逃亡されるリスクが高いと評価される。

3.被害の拡大を食い止めるため
→共犯者に逮捕の事実を知らしめることで、事件の再発を食い止める威嚇的な効果を期待する面もある。

逮捕の方法や流れ

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

特殊詐欺事件で逮捕を避ける方法

①自首

自首は、自ら捜査機関に対して犯罪事実を申告し、自分に対する刑事処分を求める行動です。自首を行った人物が、その後に証拠隠滅を図ることは考えにくいため、自首後に逮捕をする必要は小さいと評価されることが一般的と言えます。
そのため、逮捕を避ける試みとして、自首は非常に有効な手段と言えるでしょう。

特に、被害者がまだ被害に遭った事実に気づいていないなど、事件の捜査が開始される前である場合、自首による逮捕回避の効果は大きくなるところです。既に被害者の申告で捜査が行われている場合よりも、犯罪捜査に対する貢献が大きいため、捜査機関からの配慮が得られやすい傾向にあります。

②示談

特殊詐欺事件は、具体的な被害者のいる事件類型であり、被害者が捜査を希望することで捜査が開始される、という流れが通常です。そのため、被害者から積極的な行動がなされない場合、捜査開始のきっかけが生じず、捜査の手段である逮捕も行われない、ということが見込まれます。

この点、事前に被害者との間で示談が成立し、被害者が加害者を許す判断に至れば、被害者が捜査機関に対する積極的な行動に移らないため、捜査の開始(及び逮捕)を回避できる可能性が高まります。被害者と示談が成立した後に逮捕をされることは、基本的には考えにくいと言えるでしょう。

③否認事件の場合

特殊詐欺事件の場合、SNSで募集するいわゆる「闇バイト」に手を出してしまったと思われる場合など、後から犯罪に関与した可能性が分かるケースもあり得ます。この点、事件当時に詐欺事件への関与を全く知らなかった場合には、犯罪の故意がないため、否認事件(=自分に犯罪が成立することを認めない事件)と位置付けられることになります。

このような否認事件で逮捕の回避を目指すときには、犯罪に関与した可能性が分かった段階で、できるだけ速やかに自ら警察に名乗り出る手段も有力です。もちろん、「本当はわかっていて詐欺に加担したのではないか」と疑われる可能性は十分に覚悟の上で、粘り強く丁寧に説明をする必要はあるところです。
自ら名乗り出た結果、犯罪の加害者ではなく、むしろ巻き込まれた被害者という立場で取り扱ってもらうことができれば、より有益な結果が期待できるでしょう。

特殊詐欺事件の逮捕は弁護士に依頼すべきか

特殊詐欺事件の逮捕に関して適切な行動をとりたい場合には、弁護士に依頼し、弁護士の専門的な判断を仰ぐことを強くお勧めします。
弁護士への依頼によって、具体的には以下のようなメリットが期待できます。

①手続の見通しが分かる

刑事事件の手続は、事件の類型や内容、状況等によってある程度の流れが類型化できます。刑事事件に精通した弁護士に相談・依頼することで、本件ではどのような手続の流れが見込まれるか、という点について、一定の見通しを持つことができるでしょう。

手続の見通しが分かることは、状況に応じた適切な対応方針を判断するために非常に重要なポイントとなります。全体的な手続の見通しを前提に、現段階では何をすべきか、どのような結果を目指すべきか、ということが判断できるようになるため、逮捕回避を目指すに当たって非常に有益と言えるでしょう。

②逮捕を回避するための具体的な手段が分かる

逮捕の回避を目指す場合、具体的にどのような手段をとるのが適切か、という点は、個別の事件や捜査状況等によって様々に異なります。例えば、既に犯罪捜査が進んでいる段階では、自首による逮捕回避を目指そうとしても、自首が成立しない状態になってしまっている可能性があります。自首が成立しないのであれば、自首を前提に逮捕回避を目指す動きは不適切であり、方針や動き方を改める必要が生じ得るでしょう。

この点、弁護士に依頼することで、限られた情報からできる限り状況を把握し、個別の状況に応じた逮捕回避の具体的方法を案内してもらうことが可能です。また、その方法を実行するに当たっても、弁護士とともに行うことで、負担を軽減しながら適切なやり方で進めることができるでしょう。

③逮捕後の弁護活動が迅速に開始できる

特殊詐欺事件の場合、逮捕の回避が困難なケースも珍しくありません。事前に逮捕を回避できるケースの方が少数と言っても間違いではないでしょう。そのため、特殊詐欺事件の場合には、逮捕を想定した上で、逮捕後にどのような方針を取ることが最も有益か、という発想で検討するべき場合は非常に多くなるところです。

この点、弁護士に依頼することで、逮捕後の対応方針が事前にわかるほか、実際に逮捕された場合でもその後の弁護活動を迅速に開始してもらうことが可能です。逮捕されるケースでは、弁護活動がスピード勝負になることも少なくないため、迅速に弁護活動が開始できることのメリットはとても大きくなるでしょう。

特殊詐欺事件の逮捕に関する注意点

①逮捕回避が困難な場合

刑事事件の場合、事前に逮捕回避ができれば、最も大きな不利益の一つが避けられると言っても過言ではありません。そのため、逮捕回避の手段を講じることは、逮捕前の行動として非常に重要なポイントと言えます。

もっとも、特殊詐欺事件では、その重大性や悪質性から、逮捕回避の手段を尽くしてもなお逮捕が避けられない、という場合が珍しくありません。特殊詐欺事件で逮捕の回避を試みることは、チャレンジの意味合いが強いため、結果が伴わない可能性も十分に考慮して進めることが適切です。

②逮捕前に示談することの可否

特殊詐欺事件の場合、逮捕前に示談ができ、被害者との間で解決することができれば、その後に逮捕されることは考えにくくなります。そのため、逮捕前に示談ができるかどうかは大きな関心事と言えるでしょう。

しかしながら、特殊詐欺事件では、逮捕前に被害者に接触し、示談を目指すことは困難であるケースが多いです。通常、被害者側との交友関係がないため、被害者の情報として把握できるのは自宅住所程度にとどまるでしょう。また、自宅住所が分かっていたとしても、直接示談交渉を試みて円滑に応じてもらえる可能性は低いと言わざるを得ず、示談の試みが現実的でない場合はとても多いところです。

特殊詐欺事件では、当事者間の示談で早期に事件解決する手段が取りづらい、という点には十分な注意が望ましいでしょう。

③逮捕後の拘束期間

特殊詐欺事件の場合、逮捕後には勾留されることが見込まれます。逮捕されたものの勾留されず釈放されるケースは、非常に例外的な場合に限られるでしょう。
そして、特殊詐欺事件で勾留された場合、基本的には20日間の勾留を覚悟する必要があります。そのため、逮捕から勾留にかけて、法律で認められた最長期間の身柄拘束になりやすいところです。
しかも、余罪の捜査がある場合には、この最長期間の逮捕勾留が事件の数だけ繰り返されることも珍しくありません。

以上のとおり、特殊詐欺事件では逮捕後の拘束期間が長くなりやすく、早期釈放を期待することが困難である場合が非常に多いところです。見通しを誤らないよう十分に注意することをお勧めします。

④接見禁止

特殊詐欺事件で逮捕された場合、その後の勾留に際して「接見禁止」という処分が行われやすい傾向にあります。接見禁止とは、弁護士以外の人との面会や文書の授受などを禁じる処分のことを言います。

特殊詐欺事件では、共犯者の存在が想定されること、余罪の存在が見込まれることなどから、詐欺組織関係者との接触を防ぐ目的で接見禁止とされることが一般的です。しかも、接見禁止の対象は弁護士以外の全員に及ぶため、家族や友人の面会も禁止されてしまいます。

特殊詐欺事件の対応に当たっては、接見禁止の可能性を十分に想定しておくことをお勧めします。

警察から呼び出しを受けた場合の重要ポイント

特殊詐欺事件で呼び出された場合の対応法

①基本姿勢

特殊詐欺事件で呼び出しを受けた場合には、まず「本罪」と「余罪」を区別して検討することが適切です。本罪とは、実際に呼出しを受けた対象事件のことをいい、余罪とは、本罪以外の事件のことを言います。

本罪と余罪の区別が重要であるのは、本罪と余罪とで対応方針を変えるべき場合が少なくないためです。例えば、捜査機関には本罪だけ証拠がそろっているが余罪は発覚していない、という場合、本罪と余罪の両方を全部認めて話すことも、本罪と余罪の両方を否認して認めない態度を取ることも、ともに不適切になりやすいでしょう。本罪だけ証拠がそろっている状況であれば、本罪は認める姿勢が適切ですが、発覚していない余罪の情報提供をするメリットはあまりありません。
 
特殊詐欺事件の捜査は、取調べでどのような発言がなされるか、という点が大きな影響を及ぼしやすい傾向にあります。そのため、対応方針を誤らないための整理として、本罪と余罪の区別を明確にすることをお勧めします。

ポイント
本罪と余罪の区別を明確にする
本罪と余罪とで対応方針を変えるべき場合が少なくない

②認め事件

認め事件の場合、基本的には事実をありのまま告げることが適切です。特に、共犯者に関する情報を分かる限りで提供し、事件の全容解明に向けた協力姿勢を取ることができれば、刑事処分の軽減に向けた有益な事情となり得るでしょう。

また、自分の役割が比較的小さなものであれば、自分の具体的な役割の内容を正しく把握してもらうことも目指すべきです。例えば、詐欺事件そのものの計画に関与しているかどうか、詐欺事件の具体的な内容をどのように理解していたか、という点は、共犯者間の役割や立場に大きく影響しやすいため、整理して伝えられることが適切です。

ポイント
事件の全容解明に向けた協力姿勢を取る
自分の役割が小さいことを正しく把握してもらう

③否認事件

否認事件の場合、まずは具体的な争点を明らかにすることが適切です。なぜ否認をするのか、犯罪が立証できるかどうかのポイントはどこか、という点を、捜査機関に理解してもらうことが、否認事件で適切な結果を目指す第一歩になります。

特殊詐欺事件の場合、否認事件では以下のような争点が見られます。

否認の特殊詐欺事件における争点の例

1.故意
→アルバイト名目などで、詐欺事件と知らずに関与させられた、という主張。

2.犯人性
→自分が犯人であるかどうか、という問題。人違いであると主張するケース。

3.責任の有無
→脅迫され、強制的に関与させられていたという主張。

ポイント
争点を明らかにすることが対応の第一歩

特殊詐欺事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

特殊詐欺事件の場合、呼び出しに応じて出頭した際に逮捕される、というケースも一定数見られます。これは、元々逮捕する目的であった場合に、警察から逮捕に向かうのではなく、被疑者の方から警察に来てもらって逮捕する、という動きを選択した場合です。
通常、逮捕する場合には、証拠隠滅のきっかけを与えないよう、警察が被疑者の自宅などに突然訪れ、そのまま逮捕する運用が多く見られます。ただ、特殊詐欺事件では、共犯者との捜査の前後といった捜査上の状況や、遠方である場合などを踏まえ、被疑者に自ら出頭してもらった上で逮捕に踏み切るケースも少数ながら見られるところです。

一方、逮捕するかどうか判断未了の状態で呼び出しを行い、呼び出しへの応答を踏まえて逮捕する、というケースはあまり見られません。裏を返せば、呼び出しへの応対を誤ったから逮捕される、ということにはなりにくいため、呼び出しへの対応を過度に不安視することはお勧めしません。

ポイント
元々逮捕目的である場合、呼び出した上で逮捕を執行するケースはある
呼び出しへの対応が原因で逮捕されるケースは生じにくい

特殊詐欺事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①事情を知っている可能性があると考えたとき

特殊詐欺事件は、組織的な事件であることから、いきなり全容を掴むことは困難になりやすいです。そのため、用いられた口座の名義人やスマートフォンの契約者など、事件に関わった可能性のある人物から事情を聴くことで、捜査の進展を目指す動きは少なくありません。
警察が呼び出す場合も、事件について事情を知っている可能性がある人物の存在が浮上した際、その人物を呼び出して話を聞く、という流れは一定数見られるところです。

このような呼び出しは、捜査の比較的初期段階であることが多く見られます。捜査の糸口を掴むために広く情報を収集している段階であるケースが多いでしょう。捜査担当者から電話連絡を行う方法で呼び出しを試みることが一般的です。

②事件への具体的な関与が特定されたとき

具体的な事件への関与が特定され、果たした役割が分かった段階で、事実関係を取り調べるために呼び出されるケースもあり得ます。この段階では、客観的な証拠がある程度捜査機関の手元にあり、少なくとも個別の被害がどのようにして起きたか、ということは明らかであることが多いでしょう。

このような呼び出しは、呼び出される側にとっては初回の呼び出しであることが見込まれますが、捜査としてはある程度進行した段階であることが考えられます。特殊詐欺事件の場合、呼び出しより前にできる限りの捜査を行って証拠を固める流れになりやすいためです。

③証拠品の提出を求めるとき

特殊詐欺事件の場合、共犯者間でのやり取りや、各人の行動を裏付ける記録など、犯罪立証のため収集するべき証拠が非常に多くなりやすいです。そのため、証拠品を獲得する手段として、関係者を呼び出して証拠品の提出を求めることも行われます。

このような呼び出しは、ほかの証拠収集がある程度尽くされた後の段階であることが多く見られます。物的証拠の収集や関係者への事情聴取が行われた後、その内容に関する証拠を獲得する目的で行われることになりやすいでしょう。

特殊詐欺事件の呼び出しに応じたときの注意点

①共犯者の取調べを先行している可能性

特殊詐欺事件は、組織的・計画的に行われる事件であることから、複数の人物から事情を聴取することが通常です。そのため、自分が呼び出しを受けた段階で、既に他の関係者からも事情を聴いており、供述内容が合致するか確認する目的で呼び出されている可能性がある点には注意することが適切です。

特に、共犯者の取調べが先行して行われている場合には、自分の供述と共犯者の供述とが食い違っており、足の引っ張り合いになるケースも少なくありません。共犯者間で誰がより大きな役割を果たした立場であるのか、という点に関する責任のなすりつけ合いに巻き込まれる可能性は十分に想定しておくことが望ましいでしょう。

②供述調書作成時の留意事項

取調べを行う場合、自分の話した内容が供述調書という書面にされ、供述調書に署名押印を求められる、という流れが想定されます。供述調書の作成が、取調べの基本的なゴールと考えても間違いはないでしょう。

この点、供述調書への署名押印について正しい理解を持っておくことは非常に重要です。署名押印は、供述調書の内容が自分の発言と間違いないという意味のお墨付きとなります。そのため、供述調書の文面について、自分の発言が捻じ曲げられていたり、ニュアンスの異なる表現にされていたりしないか、十分に確認した上で署名押印をしましょう。

また、署名押印は拒否することも可能です。お墨付きを与えられない場合には、毅然と署名押印を拒否することも視野に入れるのが適切です。

③故意を否認する主張の仕方

特殊詐欺事件の場合、自分が詐欺事件に関与しているとは思っていなかった、と故意を否認する主張をするケースもあり得ます。この場合には、「故意」が認められる条件を正しく理解しておくことが非常に重要です。

故意は、犯罪行為をしていたことの認識・認容を言いますが、この認識・認容は、犯罪行為を確信している場合に限られません。自分が犯罪行為をしている可能性を分かっていながら、それでも構わないと思っている場合には、犯罪の故意ありと判断されてしまいます。

特殊詐欺事件では、特にアルバイトのような立場だと、詐欺であることをはっきり知らされてはおらず、詐欺だと確信していなかった場合は少なくありません。しかし、詐欺である可能性が容易に分かる状況で、それでも構わないと思っていたのであれば、故意はあるとの結論になるため注意しましょう。

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【特殊詐欺事件の不起訴処分】不起訴になるケースや不起訴になった場合の効果,特殊詐欺事件特有の注意事項などを解説

このページでは,特殊詐欺事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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特殊詐欺事件で不起訴を目指す方法

①被害者との示談

特殊詐欺事件は、不特定多数の被害者から計画的に金品を騙し取る詐欺事件を指すのが一般的です。特殊詐欺事件には、必ず具体的な被害者が存在するため、不起訴を目指すに当たっては被害者との示談を試みる手段が非常に有力となるでしょう。

刑事事件における示談は、一定の金銭を支払うことと引き換えに、加害者の刑事処罰を希望しない(加害者を許す)という内容の合意となるのが通常です。被害者が加害者の刑事処罰を希望しなければ、不起訴になる可能性は飛躍的に高くなります。

被害者としては、加害者から示談の話が来なければ騙し取られた金銭を取り戻すことは難しいため、損害を回復する唯一の手段として示談に応じるメリットが生じるケースも少なくありません。特殊詐欺事件では、被害者が経済的な救済を受けることが難しくなりやすいため、示談は被害者にとっても有益な解決になり得る点で、非常に有力な試みと言えるでしょう。

ポイント
被害者が刑事処罰を希望しなければ、不起訴の可能性が飛躍的に高まる
示談は、被害者にとって経済的な救済を受ける唯一の手段になり得る

②役割が大きくないことの主張

特殊詐欺事件は、単独で行われることはほとんどなく、組織的、計画的事件であることが通常です。そして、組織的な犯罪では、共犯者間の役割の差を踏まえて刑事処分が判断される傾向にあります。主導的な役割を果たした人物に対する刑罰は重く、従属的な役割にとどまった人物への刑罰は比較的軽く判断されることが通常です。

そのため、不起訴のような軽微な処分を求める場合には、事件に対する自身の役割が大きくないことを主張することも有力な方針になり得ます。例えば、ただ指示を受けて金品を受け取っただけである、金品の運搬に一部関与しただけであるなど、詐欺そのものの計画や実行に加担していない場合については、その役割が大きくないと評価されやすいでしょう。

ポイント
組織的事件では、役割の大きさで共犯者間に処分の差が生じる
詐欺そのものの計画や実行に加担していない場合、役割が大きくないと判断されやすい

③否認事件の場合

特殊詐欺事件における否認事件としては、犯罪の故意がないとの主張が一定数あります。特に、「闇バイト」という言葉で話題になったように、SNSを通じてアルバイトに応募し、知らず知らずのうちに特殊詐欺事件へ関与してしまうことになった場合、犯罪に関わったことの認識がなく、故意が問題になりやすいところです。

この点、犯罪の故意が立証できない場合、刑事処罰を科すことができないため、捜査機関としては不起訴処分とすることになります。裏を返せば、犯罪の故意が立証できない、との判断を促す方法で不起訴処分を目指すのは有力な方針の一つと言えるでしょう。

特殊詐欺事件で故意がないと判断されるためには、「詐欺事件に関与していると知らなかった」だけではなく、「詐欺事件に関与していたとしても構わない、とは思っていなかった」と評価されることが必要です。「詐欺事件に関与していたとしても構わない」と考えていた場合、詐欺事件への関与を知っていた場合と同様、故意があるとの取り扱いになってしまうことに注意しましょう。

ポイント
特殊詐欺事件の場合、犯罪の故意がないと主張するケースは一定数あり得る
詐欺事件に関与していたとしても構わない、という場合も故意あり

特殊詐欺事件で不起訴になる可能性

特殊詐欺事件の場合、犯罪の立証が可能である以上は起訴することが一般的です。初犯である、反省しているなどといった理由で不起訴にしてもらえる可能性は非常に低いと考える必要があるでしょう。それだけ、特殊詐欺事件は重大事件として取り扱われています。
例外的に、被害者が加害者のことを特に許している場合は、被害者の意向を汲んで不起訴処分とする可能性も低くありませんが、大きな経済的被害を受けた被害者が加害者側を安易に許すことは考えにくいです。そのため、被害者の許しを得るための積極的な努力は不可欠でしょう。

特殊詐欺事件で不起訴が困難になりやすい具体的な理由としては、以下の点が挙げられます。

特殊詐欺事件で不起訴が困難な理由

1.悪質な事件類型である

2.被害規模が大きい

3.組織的犯罪である

4.社会的影響が大きい

【1.悪質な事件類型である】

特殊詐欺事件は、一般的に判断能力が高くない高齢者をターゲットに、虚偽のストーリーを作り上げて被害者を誤解させ、多額の金銭を騙し取ろうとする事件類型です。計画性が非常に高く、「魔が差した」という程度の動機で行われる可能性が考えにくい内容であることから、悪質な事件類型と評価されることが一般的です。

刑事事件では、突発的で衝動的な事件よりも、計画的な事件の方が、刑事処分が重くされる傾向にあります。なぜなら、犯罪行為をしようという意思がより強く、そのような悪質な意思決定に対しては十分な刑罰を科して悔い改めさせる必要が大きくなるためです。

特殊詐欺事件の場合、計画性から悪質な意思決定があったと評価されやすいため、不起訴が困難な傾向にあります。

【2.被害規模が大きい】

特殊詐欺事件は、被害者に多額の金銭を振り込ませたり、手渡しさせたり、キャッシュカードそのものを騙し取って残高を全て引き出したりといった手口が取られるため、被害の規模が大きくなりやすい事件類型です。詐欺のような財産に対する犯罪(財産犯)では、被害規模が大きければ大きいほど、その犯罪行為に対する処罰も重くなりやすい傾向にあります。

特に、1件のみでなく複数件に関わっている場合、事件数の分だけ被害規模も大きくなっていくため、刑事処分もより重いものになりやすく、不起訴が難しい要因となるでしょう。

【3.組織的犯罪である】

特殊詐欺事件は、一定の人数で組織的に行われることが通常です。この点、刑事事件では、単独で実行するものより組織的に犯罪を成功させようとするものの方が、刑事処分が重くなりやすい傾向にあります。

組織的な犯罪は、その背後に反社会的勢力が関与しているケースも少なくありませんが、反社会的勢力と関係ある組織である場合には、刑事処分がより重くなりやすいところです。犯罪の立証が困難な場合を除き、不起訴処分は難しくなるでしょう。

【4.社会的影響が大きい】

特殊詐欺事件は、広く行われた結果社会問題になるなど、社会的影響力が非常に大きな傾向にあります。特に、被害者となる危険があるのみならず、SNS上での「闇バイト」として加害者として関与してしまう恐れもあることから、事件に対する国民の理解を促す必要が大きいと考えられているところです。

そのため、特殊詐欺事件の場合、安易に不起訴などの軽い処分とすることで社会の秩序が乱れる結果にならないよう、相応に重い刑事処罰を科して社会に知らしめることが重要視されやすいでしょう。

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

特殊詐欺事件で不起訴を目指す場合の注意点

①示談で不起訴を目指すのが困難な場合

特殊詐欺事件では、示談を行う方法で不起訴を目指そうとしても、結果に結びつかないことが珍しくありません。特に、事件が複数ある場合には注意が必要です。

被害者複数、事件複数という場合、個別の事件ごとに起訴不起訴が判断されます。そうすると、被害者のうち一人だけでも示談に至らなければ、その件は起訴されてしまい、ほかの事件で示談ができていたとしても不起訴の目標が実現できない結果とならざるを得ません。
また、被害者全員との示談に乗り出した後に一人だけ示談できないことが明らかになった場合、ほかの被害者に対する示談の試みをなかったことにするわけにもいきません。そのため、不起訴が実現できないと分かりながらも、応じてくれた被害者との示談を進める必要が生じることになります。

②経済的負担

特殊詐欺事件は、被害規模が1件当たり百万円単位などと大きくなりやすい類型です。そのため、特殊詐欺事件で示談を目指そうとすると、それだけ大きな経済的負担を覚悟する必要がある点には注意したいところです。

一般的に、受け子(被害者から金品を受け取る役割)や出し子(被害者の口座から金銭を引き出す役割)といった末端の立場である場合、その役割に対する報酬は大きくありません。被害の規模と比較すれば、そのごく一部にとどまることが通常です。
しかしながら、被害者との関係では、被害全額を賠償する義務を負っているため、示談を目指すのであれば基本的に被害者の損害を全て埋め合わせることが必要となります。少なくとも、自分の受け取った報酬を吐き出すのみで足りる問題ではありません。

そうすると、事件を通じて得た利益とは比較にならない金額の経済的負担を想定する必要が生じることになります。特殊詐欺事件で不起訴を目指す場合は、経済的負担を十分に考慮しながら進めることをお勧めします。

③末端の役割であれば不起訴になるか

特殊詐欺事件の場合、組織内での役割が刑事処分に大きく影響します。当然ながら、最も末端の役割と言える立場であれば、組織内では最も処分が軽微になりやすいでしょう。

しかしながら、末端の役割であるため処分が軽微になる、と言っても、決して不起訴処分が見込まれるわけではない点には注意が必要です。
特殊詐欺事件は、そもそもの事件規模が大きく、悪質な類型と考えられています。そのため、いかに末端の役割であっても、不起訴とされるまで軽い評価になるわけではありません。

特殊詐欺事件では、「初犯だから」「末端の役割だから」という理由で安易に不起訴処分とされることは考えにくいため、不起訴を目指す場合にはより積極的な努力が必要になるでしょう。

④手続に要する期間

特殊詐欺事件の場合、逮捕勾留といった身柄拘束の上で捜査されることが一般的です。捜査に伴う逮捕勾留の期間は、逮捕から勾留までが72時間以内、勾留が合計で20日以内(勾留10日間、勾留延長が最大10日間)となるため、最長で23日以内の手続になるところです。

もっとも、特殊詐欺事件では余罪が多いため、この逮捕勾留が事件の数だけ繰り返される傾向にあります。仮に5件の捜査が行われれば、それだけで100日を超える身柄拘束が想定されることになります。
しかも、事件が起訴された後も、特に保釈されない限り、裁判が終わるまで身柄拘束は続きます。起訴後、裁判が終わるまでの期間は数か月となりやすいでしょう。

そのため、特殊詐欺事件では、事件の数だけ逮捕勾留が繰り返された後、起訴されて裁判が終わるまでの数か月間も勾留され続けるなど、長期間を要しやすい可能性に注意が必要です。

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【埼玉大宮で特殊詐欺事件の弁護士選び】依頼に適した弁護士の条件とは?判断基準や注意事項を解説

このページでは,特殊詐欺事件の弁護士選びについてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。弁護士への依頼を検討する際の参考にご活用ください。

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特殊詐欺事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕されたとき

特殊詐欺事件は,逮捕される可能性の非常に高い事件類型です。その理由としては,事件が重大で悪質と評価されやすいこと,組織的犯罪のため,共犯者間での証拠隠滅がなされやすいことなどが挙げられます。
基本的に,特殊詐欺事件に関わる犯罪行為があったとみなされた場合,逮捕を想定する方が望ましいと言ってもよいでしょう。

もっとも,逮捕は被疑者に対する捜査の初期段階です。逮捕後,取り調べなどの捜査を尽くすことで,被疑者の処分を判断する材料を獲得していくことになります。被疑者の立場としては,逮捕後の対応によって,その後の処分が大きく変わりやすいということでもあります。

そのため,特殊詐欺事件では,逮捕を想定した上で,逮捕されたときにはその後の捜査への対応のために弁護士選びを適切に行いたいところです。円滑な弁護士選びができれば,その後の流れが大きく変わりやすいでしょう。

ポイント
特殊詐欺事件は逮捕の可能性が高い事件類型
逮捕後の対応によって,最終的な処分が変わりやすい

②起訴されたとき

重大事件である特殊詐欺事件では,犯罪事実が明らかであれば起訴することが通常です。反省を深めているという理由で不起訴になることは,基本的にはないでしょう。
そのため,特殊詐欺事件の捜査を受けている場合には,否認事件でない限り,起訴されることを想定し,起訴後の方針も考えておくことが不可欠です。

この点,起訴された際には,保釈を請求したり,刑事裁判(公判)の対応方針を検討したりする必要がありますが,これらは弁護士なしでは困難な動きです。逆に,適切な弁護士に依頼できていれば,速やかな保釈の手続で釈放してもらうことができ,その後の公判でも不利益を最小限に抑えるような対応を取ることができるでしょう。
特に,特殊詐欺事件の場合,初犯でも実刑判決となることが決して珍しくないため,事件の重大性を踏まえると,公判でどのような対応ができるかは非常に重要な問題と言えます。

特殊詐欺事件で起訴された場合には,その後の動きを円滑で適切なものとするため,弁護士選びを十分に行うべきでしょう。

ポイント
特殊詐欺事件は,その重大性のため起訴されやすい
公判での対応次第で,実刑判決の回避も可能になり得る

③示談したいとき

特殊詐欺事件では,詐欺被害者の意向が刑事処分に大きく反映されやすい傾向にあります。被害者が起訴を望まなければ不起訴処分に,被害者が実刑判決を望まなければ執行猶予判決に,というように,被害者が重い処分を希望しない場合には,相応に軽微な処分が期待できる可能性も高くなります。
そのため,被害者と示談を行い,被害者から許しを得ることは,非常に優先順位の高い試みと言えるでしょう。

もっとも,示談の試みは弁護士に依頼する形で行うほかないのが実情です。通常,当事者間に連絡を取り合う手段がないため,捜査機関を通じて被害者に連絡を取ってもらうことになりますが,捜査機関が被害者に連絡を入れてくれるのは,弁護士が窓口に入っている場合に限られます。当事者同士の直接の連絡は,トラブルの原因になりやすいため認めてもらえないのです。

示談交渉の流れ

そのため,特殊詐欺事件で示談をしたい場合には,示談の試みに適した弁護士選びを行い,弁護士を通じて進めるのが適切でしょう。

ポイント
詐欺被害者の意向が刑事処分に大きく反映されやすい
特殊詐欺事件の示談は,弁護士が窓口に入ることが必要

④自首したいとき

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自首の大きなメリットは,逮捕を回避しやすくなることや刑事処分が軽減されやすいことですが,特殊詐欺事件の場合,逮捕の恐れが大きく,実刑判決等の思い処分も懸念されやすいため,自首が大きな効果を発揮する場合は少なくないでしょう。

もっとも,自首は,犯罪事実や犯人が捜査機関に知られる前に,自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。捜査が進んでしまった後では自首が成立せず,メリットが十分に生まれない恐れもあり得るところです。

そのため,本当に自首をすべきかどうか,自首をする場合にどのような手順・方法で行うか,という点を十分に検討する手段として,適切な弁護士選びが非常に重要となるでしょう。
また,自首を実際に行う場合にも,弁護士とともに進めることで,円滑な自首が容易になります。

ポイント
自首により,逮捕回避や処分軽減の効果が期待できる
自首すべきか,方法をどうするかは,弁護士による検討が適切

特殊詐欺事件の弁護士を選ぶ基準

①迅速な接見が可能か

逮捕勾留がなされやすい特殊詐欺事件では,弁護士による接見が不可欠です。勾留中に「接見等禁止」の処分がなされると,弁護士以外は面会すらできなくなってしまうため,弁護士が唯一の相談相手となることも珍しくありません。

特に,逮捕直後の初回の接見は,できる限り迅速に行うことが望ましいものです。刑事事件の処分結果は,逮捕直後の初期対応によって大きく左右されやすく,初期対応を誤った後に弁護士が接見を行っても,手遅れになりかねないためです。

そのため,弁護士を選ぶ際には,弁護士が速やかに接見を行い,初期対応に関する打ち合わせやアドバイスを十分にしてくれるか,という点を重要な判断基準とするのが適切でしょう。
迅速な接見ができるかどうかは,弁護士のスケジュールだけでなく,弁護士の活動方針にも影響を受けることがあるため,弁護方針として速やかな接見を予定してくれているかは確認したいところです。

②具体的な弁護方針があるか

特殊詐欺事件の場合,弁護方針に複数の選択肢があり得ます。特に,事件が一つだけでなく複数の余罪を含めた対応を要する場合や,犯罪を立証できるかどうか不明確であると思われる場合には,個別の内容・状況を踏まえた慎重な判断が求められます。

例えば,示談一つを取っても,一般的な刑事事件ではすぐに示談交渉を試みて示談の成立を目指すのが基本ですが,余罪の複数ある特殊詐欺事件では,1件だけ示談が成立してもそれ以上に示談金の負担ができなくなってしまうと,トータルとしてはメリットに乏しい結果となる恐れもあります。そのため,即時に示談を試みるかは難しい問題になり得ます。
また,取り調べへの対応に関しても,どのような内容を話すべきか,認否の方針をどうすべきかは,共犯者の状況,余罪の有無,証拠関係などを推測しながら検討しなければならず,判断は容易ではありません。

そのため,特殊詐欺事件の弁護方針をどうするべきかは,弁護士によっても見解の分かれる可能性がある点と言えるでしょう。どの方針が正解であったかは結果が出なければ分かりませんが,少なくとも,弁護士の方針が具体的・合理的なものと言えるかは,弁護士選びに際して注意するべき基準と言えるでしょう。

③弁護士との連絡が滞らないか

特殊詐欺事件では,弁護士から連絡を受ける以外に状況を把握する手段のない場合が非常に多く見られます。そのため,依頼者側にとって,弁護士との連絡が滞りなくできるかどうかはとても重要なポイントとなります。

もっとも,弁護士の連絡方法や頻度は,個々の弁護士の判断に委ねられます。依頼者目線では連絡が少ないと思っても,弁護士がそのやり方を変えようとしなければ,円滑な連絡は実現できません。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点は,弁護士選びの重要な基準とするのが良いでしょう。なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益です。

④事務所が遠すぎないか

特殊詐欺事件の場合,弁護士が警察署や拘置所へ足を運び,複数回の接見を行うことが必要になりやすいです。そのため,弁護士の事務所が接見場所とあまりに遠い場合には,弁護活動に限界の生じる可能性があり得ます。
また,事件を捜査する警察署は,被害者の生活圏に近いことが多く見られます。そのため,被害者への接触を試みる場合にも,やはり弁護士が足を運ぶ必要があるため,同様の問題が生じるでしょう。

そのため,特に身柄事件の場合には,弁護士の事務所があまりに遠方でないか,という点を判断基準の一つとすることをお勧めします。なお,遠方である場合にどのような影響があるかは,弁護士に直接確認の上,弁護士の案内を求めるのが望ましいでしょう。

特殊詐欺事件で弁護士を選ぶ必要

①実刑判決を防ぐため

特殊詐欺事件は,起訴され刑罰を受けることが避けられない場合も少なくありません。そして,刑罰を受ける場合,実刑判決(=直ちに刑務所へ収容することを命じる判決)の対象となることも十分に考えられますが,実刑判決は社会生活を続けられないことを意味するため,不利益が非常に大きく,何としても避けたい場合がほとんどでしょう。

そのため,特殊詐欺事件の多くでは刑罰の軽減に向けた動きが必要となりますが,具体的な方法や内容は個別の事情を踏まえて決定する必要があるため,弁護士の専門的な判断が不可欠です。実刑判決を避けられる見込みがどのくらいか,手段を尽くすとそれがどの程度変わるのか,尽くすべき手段は何か,といった点については,弁護士の判断を仰ぐことが適切でしょう。

②早期釈放のため

特殊詐欺事件の場合,逮捕後にすぐ釈放されるということはあまり期待できません。身柄拘束を続ける必要性が非常に高い事件類型のため,安易に釈放を期待することは適切とは言い難いです。
もっとも,特殊詐欺事件でも釈放を目指すことのできるタイミングは存在します。代表的なものが起訴後の保釈でしょう。起訴後は,起訴前とは異なり捜査が終了しているため,捜査の妨害を防ぐために身柄拘束を続ける必要が小さくなります。そのため,認め事件であれば,起訴後に保釈してもらえることは特に珍しくありません。

この点,保釈による釈放が早期にできるかどうかは,早期に弁護士が動いているかによって大きく変わります。弁護士選びに手間取っていると,それだけ釈放時期が遅れてしまうことになりかねないため,早期釈放に向けて弁護士を速やかに選ぶことが適切です。

③適切な取り調べ対応のため

余罪を含む複数の事件が捜査される特殊詐欺事件では,慎重な取り調べ対応が必要です。取調べに対してどこまでの話をするのかは,事件ごと,状況ごとの検討が不可欠ですが,余罪が絡みやすい特殊詐欺事件では,事件間の関係や想定される証拠なども踏まえて判断する必要があるため,対応方針を決めるのも容易なことではありません。

特殊詐欺事件で最も有益な取調べ対応を行うためには,やはり専門的な知識・経験を持つ弁護士に依頼し,弁護士から適宜助言を得つつ進めることが望ましいでしょう。
なお,取り調べへの対応方針は,できるだけ早く,可能であれば最初の段階で決定しておくことが望ましいため,弁護士選びもそれだけ早期に行うことが有益と言えます。

特殊詐欺事件における弁護士選びの準備

①事件の概要をまとめる

特殊詐欺事件は,複数の当事者が登場し,それぞれが色々な行動を取っているため,第三者に事件の概要を把握してもらうことが簡単ではありません。特に,末端の立場で事件の一部にしか関与していなかったり,事件がかなり前のことであったりすると,突然聞かれてもすぐには分からない,という事態に陥りがちです。

そのため,弁護士選びに際しては,弁護士に事件の概要や自身の行為を把握してもらえるよう,事前にまとめておくことをお勧めします。この際,自分が覚えていることと覚えていないことをしっかり区別することも重要です。また,自分の記憶なのか,後になって知ったことなのか,という区別も適切にできるとよいでしょう。

②自分の立場や役割をまとめる

特殊詐欺事件は,複数の人物が関わる共犯事件であることが通常です。そして,共犯事件について見通しを持つためには,個々の人物の立場や役割が非常に大きな問題となります。基本的に,中心的な立場であるほど,犯罪の成立に重要な役割を果たしているほど,刑事責任は重くなります。

そのため,弁護士選びに際しては,弁護士に正確な見通しを立ててもらうためにも,自分の立場や役割を正しく伝えられるよう,まとめておくことが有益です。
なお,特殊詐欺事件の場合,いわゆる「闇バイト」を行ったような人物の場合,犯罪の故意が争点になるケースが少なくありませんが,故意があるかどうか,という点の結論には,その人物の立場や役割が大きな影響を及ぼす可能性もあります。立場や役割は,犯罪に当たるかどうかを左右するケースもあるため,非常に重要な問題と言えるでしょう。

③必要に応じて接見を依頼する

弁護士選びに際しては,事件の内容を把握した上で,それを弁護士に伝えることが不可欠ですが,当事者本人が逮捕勾留されており,ご家族などが弁護士選びをしている場合,事件の内容が分からないということも珍しくありません。また,事件の内容を把握しようと思っても,弁護士以外は面会ができない取り扱い(接見禁止)とされている場合が多く,事件の内容が詳しくは分からないまま弁護士選びをしなければならないこともあり得ます。

事件の内容が分からないケースでは,まず弁護士に接見を依頼し,本人から直接事件の内容を聴き取ってもらうことも有力な行動です。弁護士であれば,制限なく被疑者と接見ができるため,事件の内容や現在の状況を適切に把握することも可能となります。

接見の依頼は,一定の費用が発生することが通常ですが,接見のみの依頼を比較的安価に受けている法律事務所もあるため,まずは接見を依頼する,という方針も一案でしょう。

特殊詐欺事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①身柄事件の距離やスケジュール

特殊詐欺事件は,逮捕勾留を伴う身柄事件であることが多いですが,身柄事件の場合,弁護士が実際に移動して対応しなければならない業務も増えるため,移動の距離や弁護士のスケジュール面は注意しておくことが有益です。
特に,逮捕直後に速やかな接見が可能か,接見禁止の場合に,依頼者に代わって接見を行いコミュニケーションを取ってくれるか,といった点は,その後の進行に大きな影響を及ぼしやすいでしょう。

なお,余罪のある身柄事件では,捜査される事件が変わる際に身柄拘束の場所も変わる場合があります。特殊詐欺事件は,様々な場所で発生しやすいという特徴があり,事後的に遠方の事件であることが分かる場合も否定できません。
距離面の問題が後から発覚した場合には,その段階で弁護士と十分な相談を行うのが良いでしょう。

②費用が大きくなる可能性

特殊詐欺事件の場合,身柄拘束の期間が非常に長くなったり,取り扱う事件数が多くなったりと,弁護士費用が高額になりやすい特徴も少なくありません。そのため,弁護士費用がある程度大きな金額になる可能性にはあらかじめ注意しておくことが適切でしょう。
弁護士費用の大まかな目安は,事前に弁護士から案内してもらうこともできますが,弁護士としても想定に限界があるため,あくまで目安と理解し,余裕を持った準備が望ましいところです。

また,特殊詐欺事件は被害金額が大きくなりやすいため,示談や被害弁償を試みる場合,その金銭負担が相当な規模になることも珍しくありません。場合によっては,すべての事件の全ての被害を弁償することは難しく,一定額を被害者ごとに案分して支払う,という形を取らざるを得ないケースもあります。

特殊詐欺事件の示談方法

特殊詐欺事件では,弁護士費用と被害弁償のいずれも,金額が大きくなり得る可能性に注意しておくことが望ましいでしょう。

③弁護士を信頼できることの重要性

特殊詐欺事件の多くは,事件の内容や現在の状況について,弁護士から情報収集せざるを得ないものです。当事者本人との面会ができなければ,基本的には本人と接見をした弁護士から情報を得るほかないでしょう。
また,処分の見通しが厳しいものになる場合,それも弁護士から案内を受けることになります。もっとも,依頼者目線では,見通しが厳しくなった理由がやむを得ないものなのか,弁護活動によるものなのかという区別はできません。

そうすると,弁護士に依頼する際には,弁護士への全面的な信頼を前提に,弁護士に判断の全てを委ねるくらいの発想を持つ必要があります。結果が伴わなかった場合でも,「この弁護士に行ってもらってもダメならやむを得ない」と整理するしかなく,そのように整理できないと解決困難なトラブルの原因にもなりかねません。

弁護士選びにおいては,弁護士を信頼できるかどうか,という点が非常に重要であることを押さえておきましょう。

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特殊詐欺に加担したら弁護士に相談!相談する際のポイントを徹底解説

「家族が特殊詐欺に関わってしまったかもしれない…どうすればいい?」
「もしかして自分がやっていることって特殊詐欺かもしれない…」

そんな不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。

特殊詐欺のトラブルは、早い段階で弁護士に相談することが何よりも重要です。

弁護士が介入することで、逮捕や起訴を回避できる可能性が高まり、被害者の場合も返金交渉や損害賠償請求をスムーズに進められます。

本記事では、特殊詐欺の種類を踏まえた上で、関与してしまった場合の対応や弁護士に相談する際のポイントなどを詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

特殊詐欺とは

特殊詐欺とは,電話やインターネットを利用して他人を騙し,金銭を詐取する詐欺の総称です。具体的な手口としては,オレオレ詐欺,振り込め詐欺,還付金詐欺などが含まれます。これらの詐欺は,高度に計画されたものであり,しばしば組織的に行われます。

特殊詐欺の主な種類と内容は,以下の通りです。

オレオレ詐欺犯人が被害者に電話をかけ、自分を家族(息子、孫など)と偽り、事故や借金のトラブルを装って金銭を要求します。
振り込め詐欺犯人が公的機関や金融機関の職員を装い、被害者に架空の未払い金や架空の投資話を持ちかけ、金銭を振り込ませる手口です。
還付金詐欺犯人が市役所や税務署の職員を装い、還付金があると偽って被害者にATMで操作を指示し、逆に犯人の口座に金銭を振り込ませます。
架空請求詐欺犯人が電話やメールで架空の請求書や督促状を送り、未払い料金の支払いを要求します。
金融商品詐欺犯人が高利回りの投資話や安全な投資商品を持ちかけ、被害者から金銭を集めますが、実際にはそのような商品や投資先は存在しません。

特殊詐欺の用語や基礎知識

①受け子

受け子とは、特殊詐欺の一環として、詐欺グループの指示を受けて被害者から現金やキャッシュカードを受け取る役割を担う人物を指します。受け子は詐欺行為の現場に直接関与し、金銭を詐取するための重要な役割を果たします。

受け子になる人々は、報酬を得ることを目的に参加することが多いです。特に学生や失業者、借金を抱えた人々が狙われやすいです。
また,そのきっかけとしては,インターネットの求人広告やSNS、掲示板などで「簡単に稼げる仕事」などの甘い言葉で勧誘されることが多いです。受け子になる人々は、最初は仕事の詳細を知らされず、実際の詐欺行為に関与する段階でその違法性に気づくことが多いです。

②出し子

出し子とは、特殊詐欺において詐欺グループの指示を受け、被害者から詐取した現金を銀行口座から引き出す役割を担う人物を指します。出し子は詐欺の後半のプロセスに関与し、詐取した資金を実際に現金化する重要な役割を果たします。

出し子になる人の特徴や出し子になる経緯は,受け子とほぼ同様です。すなわち,経済的に困窮した人が,SNSなどで簡単に稼げる仕事として見つけ,仕事をするうちに犯罪行為に巻き込まれていくケースが非常に多く見られます。

③飛ばし

特殊詐欺における「飛ばし」とは、詐欺グループが自分たちの追跡を困難にするために使用する手法の一つで、携帯電話や銀行口座などの名義を他人名義(第三者名義)にすることをいいます。犯人をたどるきっかけになりやすい物的証拠を他人名義にすることで,警察や被害者からの追跡を避けることを目的としています。

飛ばしの例としては,携帯電話や銀行口座,キャッシュカードなどが挙げられます。

携帯電話の飛ばし
他人名義の携帯電話を使用して詐欺の連絡を行います。
偽名や他人の個人情報を使って契約された携帯電話を利用するため、追跡が難しくなります。
これにより、詐欺の発覚時に実際の詐欺師の身元が特定されにくくなります。

銀行口座の飛ばし
他人名義の銀行口座を使って被害者から金銭を振り込ませます。
このような口座は「口座売買」によって取得されることが多く、不正に他人の情報を使って開設されたものが多いです。
被害者が金銭を振り込んでも、実際の詐欺グループの身元にたどり着くのが難しくなります。

クレジットカードの飛ばし
他人名義のクレジットカードを使用して、詐欺に関連する支払いを行います。

④キャッシュカードすり替え詐欺(窃盗)

近年急増した事件類型に,「キャッシュカードすり替え詐欺」があります。これは、被害者のキャッシュカードを巧妙にすり替え、被害者の銀行口座から不正に現金を引き出す手口です。この詐欺は、詐欺師が被害者の信頼を得て、キャッシュカードとその暗証番号を入手するために様々な手段を用いるため、特に高齢者を狙うケースが多く見られます。

手口の一例としては,以下のような流れで行われます。

接触と信頼獲得金融機関の職員や警察官を装い、電話や直接訪問で被害者に接触します。「カードが不正に使用されている」などの理由を告げ、信頼を得ます。
暗証番号の取得キャッシュカードの確認などと称して,キャッシュカードと暗証番号のメモを一緒に封筒に入れるよう指示することなどが多く見られます。
すり替えキャッシュカードを一度被害者の見えないところに持ち出し,あらかじめ用意した他のカード(ショッピング施設のポイントカードなど)とすり替えます。被害者には封筒をそのまま返却したように装い,さらに安全のため決して封筒を開けないように,などと告げることで,すり替えの発覚を防ぎます。
不正引き出し本物のキャッシュカードと暗証番号を入手した後、すぐにATMや銀行窓口で被害者の口座から現金を引き出します。

なお,この類型は,被害者側が騙されてキャッシュカードを譲渡したわけでなく,返却を前提にただ預けただけなので,法的には詐欺罪ではなく窃盗罪と分類されることも一つの特徴です。

ポイント
特殊詐欺は,受け子や出し子といった人物に実動させ,飛ばしの携帯電話や口座を用いることで犯人特定を防ごうとする
キャッシュカードすり替えの手口にも注意。法的には詐欺罪でなく窃盗罪となる。

特殊詐欺の逮捕・勾留

特殊詐欺の事件で捜査の対象となる場合,逮捕されることが非常に多く見られます。
逮捕するかどうかは,逃亡の恐れと証拠隠滅の恐れを基準に判断しますが,特殊詐欺の場合にはいずれの恐れも大きいと考えられるためです。

特殊詐欺の場合,犯罪そのものが重大な内容であるため,重い刑罰を逃れる目的で逃亡する可能性が強く懸念されます。また,詐欺行為によって経済的利益を受けている可能性や関係者に身元の不安定な者が多い可能性を考慮すると,逃亡が比較的容易な立場にある可能性もうかがわれます。
加えて,事件の性質上,複数名の関与がほぼ確実に存在するため,共犯者間の口裏合わせや証拠隠滅(連絡内容・物証等)がなされやすく,証拠隠滅を防ぐためにも逮捕が必要と判断されやすいです。

逮捕された後は,引き続いて勾留もなされることが一般的です。
逮捕時のみならず,捜査中は常に逃亡や証拠隠滅の恐れが大きい状況にあるため,逮捕だけをして勾留せず釈放するというのは,かなり少数ということができるでしょう。
また,勾留の際には,接見禁止の対象となることも多いです。接見禁止とは,勾留中,弁護士以外との面会を禁止する内容の処分をいいます。共犯者間での証拠隠滅を防ぐ目的で,勾留の決定に際して行われることがあります。

特殊詐欺事件の場合,被疑者となった人は逮捕及び勾留が非常になされやすい立場にあると考えるのが適切でしょう。

特殊詐欺の刑罰

特殊詐欺で起訴された場合の刑罰は,実刑判決となることが少なくありません。
組織の中では末端とされる受け子や出し子といった立場であっても,事件の内容や規模,件数などによっては初犯で実刑判決の対象となることも決して珍しくはないでしょう。
そのため,特殊詐欺の事件では,実刑判決を回避するための試みをどうするか,十分に検討されることをお勧めします。

具体的には弁護士へのご相談やご依頼が適切ですが,一般論としては,やはり経済的な被害の補填をすることが最も重要な動きであると言って差し支えないところです。
特殊詐欺の事件は,詐欺罪等のいわゆる財産犯(財産を対象とした犯罪)であるため,財産の被害に対して刑罰が科されることになります。そのとき,財産への被害が埋め合わせられていれば,刑罰の判断基準となる被害の大きさも減少していることになり,刑罰は軽減するのが通常です。

特殊詐欺で起訴されるケースにおいては,被害の一部であったとしても,できる限りの金銭賠償を行い,被害者の財産的な損害を補填することが非常に重要となります。

ポイント
特殊詐欺事件は,犯罪事実が明らかであれば起訴されるのが通常
示談ができれば不起訴が見込まれるが,起訴前に全件の示談を行うのは非常に困難
刑罰は実刑判決も十分に考えられる。軽減のためには被害弁償を行うのが適切

特殊詐欺に関与してしまった場合の対応

特殊詐欺の場合,高額なアルバイトと称して募集するところに応募し,実際に働いてみたら詐欺事件だった,ということが少なくありません。受け子など末端の関係者だと,最初は詐欺だと知らなかったというケースの方が多いかもしれません。
そのため,万一特殊詐欺事件に関与してしまった場合の対応を整理しておくことは有用でしょう。

①直ちに関与をやめる
特殊詐欺の事件は,関与した件数が増えることによって,勾留期間が長く,最終的な処罰が重くなりやすいものです。そのため,直ちに詐欺行為への関与をやめ,自ら傷口を広げないようにしましょう。

②警察への連絡・出頭を試みる
被害者が警察に相談をするより前に,自ら警察に出頭し,自首を行うことで,逮捕の可能性は大きく下がります。また,事件への関与がさほどでもなければ,自首を踏まえて不起訴処分の対象となることも考えられます。
そのため,自身が詐欺事件に関与したと思われる場合には,できるだけ早く警察への連絡や出頭を試みるようにしましょう。

③被害弁償を試みる
自ら被害者に金銭賠償を申し入れることは,処分の軽減を目指すため非常に有力です。
この場合,決して被害全額が賠償できる必要はありません。被害者としても,自ら支払いを申し入れた人がいて,その人が組織の末端の立場でしかないことが分かれば,全額の賠償がなくてもその人だけを許すことは十分に考えられます。

特殊詐欺の共犯の種類

特殊詐欺の共犯には、主に以下3つの種類があります。

  • 共同正犯
  • 共謀共同正犯
  • 幇助犯

詳しく解説します。

共同正犯

共同正犯とは、複数人が協力して同じ犯罪を実行した場合に適用される共犯形態です。

刑法第60条では「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と定められています。

つまり、誰が実際に手を下したかにかかわらず、犯行全体に関与した者全員が正犯と同等の刑事責任を負うことになるのです。

特殊詐欺の場合、電話をかけてだます役、現金を受け取る役、口座を管理する役などがそれぞれの役割を果たしていても、組織全体で1つの犯罪を実行したとみなされれば、全員が共同正犯とされます。

共謀共同正犯

共謀共同正犯とは、実際に犯罪行為を行わなくても、他者と「犯行の意思を共有し、実行を合意した」段階で成立する共犯形態です。

刑法上の明文規定はありませんが、判例によって確立された概念で、特殊詐欺事件では非常に多く適用されています。

たとえば、自分は現場にいなくても、仲間内のグループチャットや口頭で「こうやってだまそう」と話し合い、その内容を了承した場合、すでに共謀共同正犯として責任を問われる可能性があります。

特殊詐欺においては、上位の指示役やリクルーターが実行グループに犯行を指示しただけでも、共謀共同正犯に該当するケースが少なくありません。

実際に被害者と接触していない人物でも、犯罪計画を共有していれば同等の責任を負うため、共謀の有無が捜査や裁判の大きな争点となります。

幇助犯

幇助犯とは、犯罪の実行を手助けした場合に成立する共犯です。刑法第62条に「正犯を幇助した者は従犯とする」と規定されています。

幇助とは、直接的に実行行為を行わなくても、犯行が容易になるよう支援した行為です。

特殊詐欺事件では、犯罪に使う口座を提供したり、被害者をだますための電話をかける道具を貸したりする行為が幇助に該当する可能性があります。

つまり、「自分はだますつもりがなかった」「お金をもらっただけ」といった場合でも、結果的に詐欺の実行を助けたと認定されれば、刑事責任を負うことになるのです。

特殊詐欺で弁護士に依頼するときのポイント

特殊詐欺事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕されたとき

特殊詐欺事件は,逮捕される可能性の非常に高い事件類型です。その理由としては,事件が重大で悪質と評価されやすいこと,組織的犯罪のため,共犯者間での証拠隠滅がなされやすいことなどが挙げられます。
基本的に,特殊詐欺事件に関わる犯罪行為があったとみなされた場合,逮捕を想定する方が望ましいと言ってもよいでしょう。

もっとも,逮捕は被疑者に対する捜査の初期段階です。逮捕後,取り調べなどの捜査を尽くすことで,被疑者の処分を判断する材料を獲得していくことになります。被疑者の立場としては,逮捕後の対応によって,その後の処分が大きく変わりやすいということでもあります。

そのため,特殊詐欺事件では,逮捕を想定した上で,逮捕されたときにはその後の捜査への対応のために弁護士選びを適切に行いたいところです。円滑な弁護士選びができれば,その後の流れが大きく変わりやすいでしょう。

ポイント
特殊詐欺事件は逮捕の可能性が高い事件類型
逮捕後の対応によって,最終的な処分が変わりやすい

②起訴されたとき

重大事件である特殊詐欺事件では,犯罪事実が明らかであれば起訴することが通常です。反省を深めているという理由で不起訴になることは,基本的にはないでしょう。
そのため,特殊詐欺事件の捜査を受けている場合には,否認事件でない限り,起訴されることを想定し,起訴後の方針も考えておくことが不可欠です。

この点,起訴された際には,保釈を請求したり,刑事裁判(公判)の対応方針を検討したりする必要がありますが,これらは弁護士なしでは困難な動きです。逆に,適切な弁護士に依頼できていれば,速やかな保釈の手続で釈放してもらうことができ,その後の公判でも不利益を最小限に抑えるような対応を取ることができるでしょう。
特に,特殊詐欺事件の場合,初犯でも実刑判決となることが決して珍しくないため,事件の重大性を踏まえると,公判でどのような対応ができるかは非常に重要な問題と言えます。

特殊詐欺事件で起訴された場合には,その後の動きを円滑で適切なものとするため,弁護士選びを十分に行うべきでしょう。

ポイント
特殊詐欺事件は,その重大性のため起訴されやすい
公判での対応次第で,実刑判決の回避も可能になり得る

③示談したいとき

特殊詐欺事件では,詐欺被害者の意向が刑事処分に大きく反映されやすい傾向にあります。被害者が起訴を望まなければ不起訴処分に,被害者が実刑判決を望まなければ執行猶予判決に,というように,被害者が重い処分を希望しない場合には,相応に軽微な処分が期待できる可能性も高くなります。
そのため,被害者と示談を行い,被害者から許しを得ることは,非常に優先順位の高い試みと言えるでしょう。

もっとも,示談の試みは弁護士に依頼する形で行うほかないのが実情です。通常,当事者間に連絡を取り合う手段がないため,捜査機関を通じて被害者に連絡を取ってもらうことになりますが,捜査機関が被害者に連絡を入れてくれるのは,弁護士が窓口に入っている場合に限られます。当事者同士の直接の連絡は,トラブルの原因になりやすいため認めてもらえないのです。

そのため,特殊詐欺事件で示談をしたい場合には,示談の試みに適した弁護士選びを行い,弁護士を通じて進めるのが適切でしょう。

ポイント
詐欺被害者の意向が刑事処分に大きく反映されやすい
特殊詐欺事件の示談は,弁護士が窓口に入ることが必要

④自首したいとき

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自首の大きなメリットは,逮捕を回避しやすくなることや刑事処分が軽減されやすいことですが,特殊詐欺事件の場合,逮捕の恐れが大きく,実刑判決等の思い処分も懸念されやすいため,自首が大きな効果を発揮する場合は少なくないでしょう。

もっとも,自首は,犯罪事実や犯人が捜査機関に知られる前に,自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。捜査が進んでしまった後では自首が成立せず,メリットが十分に生まれない恐れもあり得るところです。

そのため,本当に自首をすべきかどうか,自首をする場合にどのような手順・方法で行うか,という点を十分に検討する手段として,適切な弁護士選びが非常に重要となるでしょう。
また,自首を実際に行う場合にも,弁護士とともに進めることで,円滑な自首が容易になります。

ポイント
自首により,逮捕回避や処分軽減の効果が期待できる
自首すべきか,方法をどうするかは,弁護士による検討が適切

特殊詐欺事件の弁護士を選ぶ基準

①迅速な接見が可能か

逮捕勾留がなされやすい特殊詐欺事件では,弁護士による接見が不可欠です。勾留中に「接見等禁止」の処分がなされると,弁護士以外は面会すらできなくなってしまうため,弁護士が唯一の相談相手となることも珍しくありません。

特に,逮捕直後の初回の接見は,できる限り迅速に行うことが望ましいものです。刑事事件の処分結果は,逮捕直後の初期対応によって大きく左右されやすく,初期対応を誤った後に弁護士が接見を行っても,手遅れになりかねないためです。

そのため,弁護士を選ぶ際には,弁護士が速やかに接見を行い,初期対応に関する打ち合わせやアドバイスを十分にしてくれるか,という点を重要な判断基準とするのが適切でしょう。
迅速な接見ができるかどうかは,弁護士のスケジュールだけでなく,弁護士の活動方針にも影響を受けることがあるため,弁護方針として速やかな接見を予定してくれているかは確認したいところです。

②具体的な弁護方針があるか

特殊詐欺事件の場合,弁護方針に複数の選択肢があり得ます。特に,事件が一つだけでなく複数の余罪を含めた対応を要する場合や,犯罪を立証できるかどうか不明確であると思われる場合には,個別の内容・状況を踏まえた慎重な判断が求められます。

例えば,示談一つを取っても,一般的な刑事事件ではすぐに示談交渉を試みて示談の成立を目指すのが基本ですが,余罪の複数ある特殊詐欺事件では,1件だけ示談が成立してもそれ以上に示談金の負担ができなくなってしまうと,トータルとしてはメリットに乏しい結果となる恐れもあります。そのため,即時に示談を試みるかは難しい問題になり得ます。
また,取り調べへの対応に関しても,どのような内容を話すべきか,認否の方針をどうすべきかは,共犯者の状況,余罪の有無,証拠関係などを推測しながら検討しなければならず,判断は容易ではありません。

そのため,特殊詐欺事件の弁護方針をどうするべきかは,弁護士によっても見解の分かれる可能性がある点と言えるでしょう。どの方針が正解であったかは結果が出なければ分かりませんが,少なくとも,弁護士の方針が具体的・合理的なものと言えるかは,弁護士選びに際して注意するべき基準と言えるでしょう。

③弁護士との連絡が滞らないか

特殊詐欺事件では,弁護士から連絡を受ける以外に状況を把握する手段のない場合が非常に多く見られます。そのため,依頼者側にとって,弁護士との連絡が滞りなくできるかどうかはとても重要なポイントとなります。

もっとも,弁護士の連絡方法や頻度は,個々の弁護士の判断に委ねられます。依頼者目線では連絡が少ないと思っても,弁護士がそのやり方を変えようとしなければ,円滑な連絡は実現できません。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点は,弁護士選びの重要な基準とするのが良いでしょう。なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益です。

④事務所が遠すぎないか

特殊詐欺事件の場合,弁護士が警察署や拘置所へ足を運び,複数回の接見を行うことが必要になりやすいです。そのため,弁護士の事務所が接見場所とあまりに遠い場合には,弁護活動に限界の生じる可能性があり得ます。
また,事件を捜査する警察署は,被害者の生活圏に近いことが多く見られます。そのため,被害者への接触を試みる場合にも,やはり弁護士が足を運ぶ必要があるため,同様の問題が生じるでしょう。

そのため,特に身柄事件の場合には,弁護士の事務所があまりに遠方でないか,という点を判断基準の一つとすることをお勧めします。なお,遠方である場合にどのような影響があるかは,弁護士に直接確認の上,弁護士の案内を求めるのが望ましいでしょう。

特殊詐欺事件で弁護士を選ぶ必要

①実刑判決を防ぐため

特殊詐欺事件は,起訴され刑罰を受けることが避けられない場合も少なくありません。そして,刑罰を受ける場合,実刑判決(=直ちに刑務所へ収容することを命じる判決)の対象となることも十分に考えられますが,実刑判決は社会生活を続けられないことを意味するため,不利益が非常に大きく,何としても避けたい場合がほとんどでしょう。

そのため,特殊詐欺事件の多くでは刑罰の軽減に向けた動きが必要となりますが,具体的な方法や内容は個別の事情を踏まえて決定する必要があるため,弁護士の専門的な判断が不可欠です。実刑判決を避けられる見込みがどのくらいか,手段を尽くすとそれがどの程度変わるのか,尽くすべき手段は何か,といった点については,弁護士の判断を仰ぐことが適切でしょう。

②早期釈放のため

特殊詐欺事件の場合,逮捕後にすぐ釈放されるということはあまり期待できません。身柄拘束を続ける必要性が非常に高い事件類型のため,安易に釈放を期待することは適切とは言い難いです。
もっとも,特殊詐欺事件でも釈放を目指すことのできるタイミングは存在します。代表的なものが起訴後の保釈でしょう。起訴後は,起訴前とは異なり捜査が終了しているため,捜査の妨害を防ぐために身柄拘束を続ける必要が小さくなります。そのため,認め事件であれば,起訴後に保釈してもらえることは特に珍しくありません。

この点,保釈による釈放が早期にできるかどうかは,早期に弁護士が動いているかによって大きく変わります。弁護士選びに手間取っていると,それだけ釈放時期が遅れてしまうことになりかねないため,早期釈放に向けて弁護士を速やかに選ぶことが適切です。

③適切な取り調べ対応のため

余罪を含む複数の事件が捜査される特殊詐欺事件では,慎重な取り調べ対応が必要です。取調べに対してどこまでの話をするのかは,事件ごと,状況ごとの検討が不可欠ですが,余罪が絡みやすい特殊詐欺事件では,事件間の関係や想定される証拠なども踏まえて判断する必要があるため,対応方針を決めるのも容易なことではありません。

特殊詐欺事件で最も有益な取調べ対応を行うためには,やはり専門的な知識・経験を持つ弁護士に依頼し,弁護士から適宜助言を得つつ進めることが望ましいでしょう。

弁護活動の一般的な方針

①認め事件の場合

認め事件での弁護活動は,被害者への金銭賠償や示談の試みに尽きるでしょう。
被害者に対するアクションは,弁護士を挟む方法でしか行うことができないため,弁護士に依頼し,弁護士限りで被害者と接触することを目指す必要があります。
弁護士からは,加害者の汲むべき事情なども踏まえ,可能な限り被害者側のお許しを獲得するための試みを行います。

②余罪の発覚を防ぐ場合

自分の関与した事件の一部のみ発覚しており,余罪が発覚していない場合,余罪の発覚を防ぐことが有益になりやすいです。このときは,取調べに対する対応をどうするかが非常に重要となり,その点を弁護士に判断してもらうのが適切です。
一般的には,発覚していない余罪についてのみ黙秘をし,自分からは情報提供しない対応が有力です。もっとも,むやみに黙秘をし過ぎるのは,捜査の長期化につながりやすく,発覚した事件の情状面にも影響することがありますので,具体的な方針は弁護士と十分に協議をしましょう。

③否認事件の場合

身に覚えがない場合には,弁護士を通じて犯罪事実が存在しないことを強く主張してもらうようにしましょう。
特殊詐欺のように複数名が関与する事件の場合,関係者間で足の引っ張り合いが生じるケースもあります。自分の処分を軽くするために他の関係者にとって不利益な供述をすることを,引っ張り込みなどと言います。
また,否認事件の場合も,取り調べへの対応方針は非常に重要です。話すのか話さないのか,話すとしてどこまでのことを話すのかは,個別の事件に応じて弁護士の専門的な判断を仰ぐのが適切でしょう。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

特殊詐欺の事件は,漫然と対応していると実刑判決を受けて刑務所に入ることも珍しくない重大な事件類型です。
また,組織的な事件であることから,弁護士がいなければ状況を把握することの難しい場合も多く,弁護士を通じて対処すべきことも多いため,弁護士に依頼する必要が生じやすいと言えるでしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所