自己破産しても養育費はなくならない?未払い・差押え・減額の扱いを弁護士が解説

自己破産を検討しているものの、「養育費も支払わなくてよいのだろうか」「滞納している養育費はどうなるのか」と疑問や不安を抱えている方もいるでしょう。

自己破産をしても養育費は原則として免責されません。そのため、一般的な借金とは異なるルールを理解したうえで対応を検討することが大切です。未払い養育費の扱いや給与などが差し押さえられるケース、自己破産をしても支払い義務が残る理由などは、通常の借金とは大きく異なります。

この記事では、自己破産をしても養育費の支払い義務が残る理由をはじめ、未払い養育費の扱い差押えを受けるケース養育費の減額が認められる場合自己破産前に注意すべきポイント元配偶者が自己破産した場合の養育費への影響について、実務上の対応も踏まえて解説します。

自己破産によって養育費がなくなると誤解したまま支払いを止めたり、適切な手続きを取らなかったりすると、自己破産後も養育費を請求されたり、給与や預貯金を差し押さえられたりする可能性があります。自身の状況に応じた適切な対応を取るためにも、まずは自己破産と養育費の関係を正しく理解しましょう。

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自己破産しても養育費はなくならない|まず知っておくべき結論

養育費は「非免責債権」にあたる

自己破産をしても、養育費の支払い義務は原則としてなくなりません。自己破産で免責が認められると、多くの借金は支払う必要がなくなります。しかし、養育費は破産法上の「非免責債権」に該当するため、免責許可決定を受けても支払い義務は引き続き残ります。

養育費が非免責債権とされているのは、子どもの生活や教育を維持するために必要な費用だからです。自己破産によって親の生活再建を図る必要がある一方で、子どもの生活まで脅かされることがないよう、一般的な借金とは異なる取扱いがされています。

未払いの養育費も原則として支払義務が残る

自己破産前に滞納していた養育費についても、原則として支払い義務はなくなりません。「過去の未払い分だから免責の対象になる」と考える方もいますが、未払い養育費についても非免責債権として扱われます。

そのため、免責許可決定を受けた後も、元配偶者から未払い養育費を請求されたり、条件を満たす場合には給与や預貯金を差し押さえられたりする可能性があります。未払い養育費も自己破産によって当然に消滅するわけではないことを理解しておきましょう。

将来分の養育費も支払義務は継続する

自己破産後に発生する将来分の養育費についても、従前どおり支払う必要があります。養育費は毎月発生する扶養義務に基づく費用であり、自己破産によって将来の支払い義務まで免除されることはありません。

もっとも、自己破産後に収入が大きく減少し、従来どおりの養育費を支払うことが難しくなった場合には、事情変更を理由として養育費変更調停を申し立てられる可能性があります。ただし、調停などの手続を経ない限り、自己判断で養育費を減額したり支払いを止めたりすることはできません。

婚姻費用も原則として非免責債権となる

離婚前に支払う婚姻費用についても、原則として非免責債権に該当します。婚姻費用は、夫婦や子どもの生活を維持するための費用であり、養育費と同様に生活保障の性質が強い債権だからです。

そのため、別居中に婚姻費用を支払う義務がある場合は、自己破産をしたからといって支払い義務がなくなるわけではありません。養育費と婚姻費用はいずれも一般的な借金とは異なる扱いを受けるため、自己破産を検討する際は、その違いを理解したうえで対応することが重要です。

養育費が払えないからといって勝手に支払いを止めてはいけない

自己破産をしても養育費はなくならない

自己破産をしても、養育費の支払い義務がなくなるわけではありません。養育費は、子どもの生活を支えるための費用であり、破産法上の非免責債権にあたるためです。そのため、免責許可決定を受けても、養育費については引き続き支払う義務が残ります。

「自己破産をすればすべての借金がなくなる」と考えて養育費の支払いを止めてしまうと、後から未払い分を請求されるだけでなく、強制執行を受ける可能性もあります。自己破産は一般的な借金の返済義務を免除する制度ですが、養育費はその対象外であることを理解しておく必要があります。

養育費を滞納すると差押えを受ける可能性がある

養育費を支払わずに滞納すると、給与や預貯金などが差し押さえられる可能性があります。調停調書や審判書、公正証書などの債務名義があれば、元配偶者は裁判所を通じて強制執行を申し立てることができます。

特に給与が差し押さえられると、勤務先にも差押えの事実が通知されます。自己破産の手続中や免責許可決定後であっても、養育費は非免責債権であるため、強制執行を避けることはできません。支払いが難しくなった場合でも、放置するのではなく、早めに対応を検討することが重要です。

支払いが困難な場合は減額調停を検討する

収入の減少や失業、病気などにより従前どおり養育費を支払うことが難しくなった場合は、養育費減額調停を申し立てることを検討しましょう。自己破産をしたこと自体を理由に養育費が自動的に減額されることはありませんが、支払能力が大きく変化した場合には、養育費の見直しが認められる可能性があります。

もっとも、減額が認められるかどうかは、収入の変化だけでなく、その原因や現在の生活状況、子どもの生活状況などを踏まえて判断されます。支払えないからといって一方的に支払いを止めるのではなく、家庭裁判所の手続を利用することが適切です。

養育費が非免責債権とされる理由

養育費は、親同士の金銭のやり取りではなく、子どもの健全な生活や成長を支えるための費用という性質を持っています。そのため、一般の借金と同じように免責の対象とすると、子どもの生活に重大な影響を及ぼすおそれがあります。

このような理由から、破産法では養育費を非免責債権として保護しており、自己破産をしても支払い義務は原則として残ります。支払いが困難な場合は、自己判断で滞納するのではなく、減額調停など適切な手続を利用することが大切です。

養育費を支払う法的な義務を負っている場合、勝手に支払を止めてしまうメリットは基本的にないと考えるのが適切でしょう。

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自己破産前に養育費を支払う際に注意したいポイント

養育費の支払いが問題となるケース

自己破産を申し立てる前であっても、養育費を支払うこと自体が直ちに問題になるわけではありません。養育費は子どもの生活を維持するための費用であり、破産法上も非免責債権として保護されています。そのため、通常どおり継続して支払うべき養育費まで一律に支払いを止める必要はありません。

もっとも、未払いとなっていた養育費をまとめて支払う場合や、高額な金額を一括で支払う場合には注意が必要です。他の債権者との公平を害する支払いと評価される可能性があるため、支払い方法や金額について慎重に検討する必要があります。

偏頗弁済と評価されるリスク

偏頗弁済とは、一部の債権者だけを優先して返済することをいいます。自己破産では、債権者間の公平を確保することが重要であるため、申立て直前に特定の債権者へ優先的に返済すると、問題視されることがあります。

養育費は非免責債権であるため、一般の借金とは性質が異なりますが、支払い方によっては偏頗弁済との関係が問題となることがあります。例えば、長期間滞納していた養育費を、自己破産の申立て直前に多額まとめて支払った場合には、その経緯や支払状況について破産手続の中で説明を求められることがあります。

一方で、毎月支払期限が到来する養育費を通常どおり支払っている場合は、子どもの生活を維持するための支払いとして評価されることが多く、一律に偏頗弁済となるわけではありません。支払いの目的や時期、金額などを踏まえて個別に判断されます。

どこまで支払ってよいかは事案によって異なる

自己破産前に養育費をどこまで支払うべきかは、未払い養育費の有無支払い方法申立てまでの経緯などによって判断が異なります。そのため、「必ず全額支払ってよい」「一切支払ってはいけない」と一律に判断することはできません。

特に、滞納分を一括で支払う場合や、財産を大きく減少させるような支払いを予定している場合は、破産手続への影響も踏まえて検討する必要があります。自己判断で対応すると、後の手続で説明が必要となる場面もあるため注意が必要です。

自己判断せず弁護士へ相談すべきケース

自己破産を予定しており、養育費の支払い方法に迷っている場合は、申立て前に弁護士へ相談することをおすすめします。特に、未払い養育費をまとめて支払いたい場合や、まとまった財産を処分して養育費に充てようと考えている場合は、破産手続への影響を確認してから対応することが重要です。

弁護士に相談すれば、現在の収入や財産状況、養育費の支払い状況などを踏まえ、どのような対応が適切かについて具体的な助言を受けられます。破産手続と養育費の支払いを両立させるためにも、申立て前の段階で方針を整理しておくことが大切です。

養育費を滞納するとどうなる?差押えを受ける可能性がある

給与差押えが行われるケース

養育費を滞納すると、給与が差し押さえられる可能性があります。養育費について、調停調書や審判書、公正証書(強制執行認諾文言付き)などの債務名義がある場合、支払いを受ける側は裁判所を通じて給与の差押えを申し立てることができます。

一般的な金銭債権では差押えできる給与額に一定の制限がありますが、養育費などの扶養義務に基づく請求では、通常の債権より広い範囲の給与を差し押さえることが認められています。そのため、勤務先から支給される給与の相当部分が差押えの対象となることもあります。

また、給与が差し押さえられると、裁判所から勤務先へ差押命令が送達されるため、勤務先は給与の一部を差し押さえられていることを把握します。勤務先へ自己破産の事実が通知されるわけではありませんが、給与差押えによって養育費を滞納していることが知られる可能性はあります。

預貯金差押えが行われるケース

預貯金も差押えの対象になる財産です。養育費を滞納し、債務名義がある場合には、給与だけでなく銀行口座の預貯金についても差押えを受ける可能性があります。

預貯金が差し押さえられると、差押え時点で口座に入っている残高の範囲で回収が行われます。そのため、生活費や家賃などの支払いに充てる予定だった資金が引き出せなくなることもあります。一方、差押え後に新たに振り込まれた給与などは、原則としてその差押えの対象には含まれません。

養育費は通常の債権より強く保護されている

養育費は、子どもの生活を維持するために必要な費用であることから、一般的な借金よりも強く保護されています。そのため、自己破産をした場合でも非免責債権として扱われるほか、強制執行の場面でも一般の金銭債権とは異なる取扱いがされています。

このような制度が設けられているのは、自己破産によって親の借金問題を解決する一方で、子どもの生活まで不安定になることを防ぐためです。養育費は親同士の問題ではなく、子どもの利益を守るための制度であることが、一般の債権との大きな違いといえます。

自己破産後でも強制執行を受ける可能性がある

自己破産で免責許可決定を受けても、養育費については強制執行を受ける可能性があります。養育費は非免責債権であり、免責の効力が及ばないためです。

そのため、「自己破産をしたから差押えも止まる」と考えていると、免責後に給与や預貯金の差押えを受ける可能性があります。支払いが困難になった場合は、滞納を続けるのではなく、早い段階で養育費減額調停を申し立てるなど、適切な法的手続を利用することが重要です。

自己破産すると養育費は減額できる?認められるケースを解説

自己破産だけで自動的に減額されるわけではない

自己破産をしただけで、養育費が自動的に減額されることはありません。養育費は、離婚時の収入や子どもの生活状況などを踏まえて定められるものであり、自己破産の開始や免責許可決定そのものが養育費の額を変更する効力を持つわけではないためです。

そのため、自己破産後も従前どおりの養育費を支払う義務が残ります。支払額を変更したい場合は、相手方との協議や家庭裁判所の養育費変更調停など、別途の手続を経る必要があります。

収入減少があれば減額が認められる可能性がある

養育費の減額が認められるかどうかは、自己破産をしたかではなく、養育費を定めた当時から事情が変更したかによって判断されます。例えば、勤務先の倒産や病気による長期休職、やむを得ない事情による収入の大幅な減少などが生じた場合には、減額が認められる可能性があります。

一方で、自ら退職した場合や、収入を意図的に減らしたと評価される場合には、減額が認められないこともあります。裁判所は、収入減少の理由が本人の責任によるものか、それともやむを得ない事情によるものかを含め、さまざまな事情を総合的に考慮して判断します。

養育費変更調停が必要になるケース

相手方との話し合いで養育費の減額について合意できない場合は、家庭裁判所に養育費変更調停を申し立てることになります。調停では、現在の収入や生活状況、子どもの年齢や生活費などを踏まえ、養育費を見直すべき事情があるかが検討されます。

調停でも合意に至らなかった場合には、自動的に審判手続へ移行し、裁判所が証拠や事情を踏まえて養育費の額を判断します。自己破産をした事実だけではなく、現在の支払能力や生活状況を客観的な資料で示すことが重要です。

無職・休職・病気の場合の考え方

無職や休職、病気によって収入が減少した場合でも、必ず養育費が減額されるわけではありません。裁判所は、一時的な収入減少なのか、長期間継続する見込みなのか、就労能力がどの程度あるのかなどを踏まえて判断します。

例えば、病気やけがによって長期間働けない状態であることが診断書などで裏付けられる場合には、事情変更として考慮される可能性があります。一方で、十分に働けるにもかかわらず就職活動をしていない場合などは、潜在的な収入能力を前提として養育費が判断されることもあります。そのため、減額を求める際は、現在の状況を裏付ける資料を準備することが重要です。

元配偶者が自己破産しても養育費は請求できる

養育費は自己破産しても消えない

養育費を支払う側が自己破産をしても、受け取る側の養育費請求権は原則としてなくなりません。養育費は、子どもの生活を支えるための費用であり、破産法上の非免責債権にあたるためです。

そのため、元配偶者から「自己破産をしたので養育費は払えない」と説明を受けても、それだけで養育費を請求できなくなるわけではありません。現在分の養育費だけでなく、条件を満たせば未払い分についても引き続き請求できる可能性があります。

未払い養育費も請求できる可能性がある

自己破産前に発生していた未払い養育費についても、原則として請求できます。養育費は非免責債権であるため、免責許可決定を受けても支払い義務は消滅しません。

もっとも、実際に回収できるかどうかは、相手方の収入や財産の状況によって異なります。自己破産後は生活状況が変化していることも少なくないため、給与収入があるのか、差し押さえ可能な財産があるのかなどを踏まえて回収方法を検討することになります。

強制執行が可能なケース

養育費について調停調書や審判書、公正証書(強制執行認諾文言付き)などの債務名義がある場合は、自己破産後でも強制執行を申し立てられる可能性があります。養育費は免責の対象外であるため、免責許可決定によって強制執行が当然にできなくなるわけではありません。

例えば、相手方が会社員として勤務している場合は給与の差押え、預貯金が確認できる場合は預貯金の差押えなどを検討できます。ただし、実際に差押えを行うには、差押えの対象となる勤務先や金融機関などを把握している必要があります。

公正証書や調停調書が重要になる

養育費を確実に回収するためには、調停調書や審判書、公正証書などの債務名義があるかどうかが重要です。これらがあれば、改めて養育費の支払いを求める訴訟を提起しなくても、一定の条件のもとで強制執行を申し立てることができます。

一方、口頭の約束や私的な合意書しかない場合は、直ちに強制執行をすることはできません。そのため、養育費について合意する際は、将来支払いが滞った場合も見据え、調停や公正証書などの形で内容を残しておくことが望ましいといえます。

現実的には、自己破産した配偶者が任意に養育費の支払を継続してくれるケースは少ない傾向が見られます。必要に応じて強制的に回収する方法を検討することも有力でしょう。

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自己破産と養育費でよくある誤解

自己破産すれば養育費もなくなると思っている

自己破産をすると、すべての支払い義務がなくなるわけではありません。確かに、自己破産で免責が認められれば、多くの借金は支払義務が免除されます。しかし、養育費は破産法上の非免責債権であり、免責の対象から除外されています。

そのため、自己破産を理由に養育費の支払いを止めても、支払義務は残ります。滞納が続けば、未払い養育費を請求されたり、給与や預貯金を差し押さえられたりする可能性があります。

養育費を払っていると自己破産できないと思っている

養育費を支払っていること自体は、自己破産が認められない理由にはなりません。自己破産では、支払不能の状態にあるか、免責不許可事由があるかなどが審査されますが、養育費を負担していることだけを理由に破産手続を利用できなくなることはありません。

もっとも、養育費の支払い義務は自己破産後も継続するため、破産手続が終了すれば生活再建と並行して養育費を支払っていく必要があります。自己破産は養育費の支払い義務をなくす制度ではないことを理解しておきましょう。

養育費を滞納していても自己破産すれば解決すると考えている

未払い養育費がある状態で自己破産をしても、その未払い分が当然になくなるわけではありません。養育費は非免責債権であるため、自己破産後も支払い義務が残るからです。

そのため、自己破産後も未払い養育費を請求される可能性があります。また、債務名義がある場合には、給与や預貯金の差押えを受けることもあります。自己破産をすれば養育費の問題も同時に解決すると考えるのは誤りです。

支払えない場合は減額調停を検討する

養育費を支払えない状況になった場合は、一方的に支払いを止めるのではなく、養育費変更調停を利用することが適切です。収入の大幅な減少など事情変更が認められれば、将来分の養育費について減額が認められる可能性があります。

一方で、調停などの手続を経ずに支払いを止めると、その間の養育費は未払いとして積み重なります。支払能力が変化した場合は、できるだけ早い段階で家庭裁判所の手続を利用することが、未払い養育費の増加や強制執行のリスクを抑えることにつながります。

養育費の問題を自己破産のみで解決しようとするのは困難と考えるのが適切です。養育費と自己破産は基本的に別の問題であるためです。

自己破産と養育費に関するよくある質問

自己破産すると養育費は払わなくてよくなりますか?

いいえ、自己破産をしても養育費は原則として支払わなければなりません。養育費は子どもの生活を支えるための費用であり、破産法上の非免責債権に該当するためです。免責許可決定を受けても支払い義務は残るため、自己破産を理由に一方的に支払いを止めることはできません。

養育費を払えない場合はどうすればよいですか?

収入が大幅に減少するなど事情が変わった場合は、養育費変更調停を申し立てることを検討しましょう。自己破産をしただけでは養育費は自動的に減額されませんが、事情変更が認められれば、将来分の養育費について減額される可能性があります。支払えないからといって無断で支払いを止めると、未払い養育費が積み重なり、強制執行を受けるおそれがあります。

未払い養育費は自己破産でなくなりますか?

原則としてなくなりません。未払い養育費も非免責債権に該当するため、自己破産後も支払い義務が残ります。免責許可決定を受けても未払い分が消滅するわけではなく、相手方から請求を受けたり、給与や預貯金を差し押さえられたりする可能性があります。

養育費を払っていると自己破産できませんか?

養育費を支払っていること自体は、自己破産が認められない理由にはなりません。自己破産が認められるかどうかは、支払不能の状態にあるかや免責不許可事由の有無などによって判断されます。ただし、自己破産後も養育費の支払い義務は継続するため、生活再建を見据えて返済計画や家計を検討することが重要です。

養育費の差押えは自己破産で止まりますか?

自己破産をしても、養育費に関する差押えが当然にできなくなるわけではありません。養育費は非免責債権であるため、免責許可決定後も条件を満たせば給与や預貯金に対する強制執行が行われる可能性があります。差押えを避けたい場合は、滞納を放置せず、減額調停など適切な手続を利用することが重要です。

元配偶者が自己破産したら養育費は回収できなくなりますか?

必ずしも回収できなくなるわけではありません。養育費は非免責債権であるため、元配偶者が自己破産をしても、養育費請求権は原則として残ります。調停調書や公正証書などの債務名義があれば、条件を満たす場合には給与や預貯金に対する強制執行を検討することも可能です。

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借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

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養育費の遅延損害金は請求できる?利率・計算方法や支払を求めるための具体的な対応を解説

養育費の支払いが約束どおりに行われず、経済的にも精神的にも大きな負担を感じていませんか?

本来、子どもの健やかな成長を支えるために必要な養育費が滞ることは、生活設計を大きく狂わせる深刻な問題です。

そんなときに検討すべきなのが「遅延損害金」の請求です。実は、支払いが遅れた場合には法律上、一定の利率で遅延損害金を請求できます。

そこで本記事では、養育費の遅延損害金は請求できるのかどうかを踏まえ、利率・計算方法や支払を求めるための具体的な対応などを詳しく解説します。

藤垣法律事務所では、離婚関係の問題も取り扱っており、養育費に関するご相談も承っております。

大宮エリアや埼玉県内を中心に、ご相談いただいた案件について迅速で適切な対応を心がけて業務を遂行しております。以下からぜひ無料でご相談ください。

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養育費の支払いが遅れていたら遅延損害金を請求できる?

養育費の支払いが約束された期日よりも遅れた場合、遅延損害金を請求することは可能です。

理由は、民法上の「債務不履行」に基づく法的な権利であり、養育費の取り決めが法的効力を持つ債務である以上、期日通りに支払わなければ遅延利息が発生するからです。

遅延損害金を請求する場合、まずは養育費の支払いを遅延している相手に対して通知を行うことが重要です。

この通知には、支払い期限の経過を指摘し、遅延損害金の請求を明記することが求められます。

もし相手が支払いを拒否したり、支払わない場合は、家庭裁判所に申し立てを行うことで、法的に支払いを強制する手続きが可能です。

期限までに支払が行われない場合、1日ごとに遅延損害金が請求可能です。利率は、特に合意をしていればその内容に沿って、合意していない場合は年3%となります(3年ごとに変動の可能性があります)。

養育費の遅延損害金の利率

養育費の遅延損害金の利率について詳しく解説します。

約定利率があるケース

養育費の遅延損害金について、当事者間であらかじめ利率(約定利率)を取り決めている場合は、その利率が優先的に適用されます。

たとえば、離婚協議書や公正証書、調停調書などの文書に「支払いが遅れた場合は年5%の遅延損害金を支払う」といった記載があれば、法律で定められた法定利率よりもその約定利率に基づいて請求が可能です。

約定利率は双方の合意に基づくため、自由に設定することができますが、過度に高い利率は無効と判断される可能性もあるため注意が必要です。

約定利率がないケース

養育費の取り決めにおいて遅延損害金の利率(約定利率)が明示されていない場合は、民法で定められた法定利率が適用されます。

2020年4月の民法改正以降、法定利率は年3%とされていますが、これは経済状況に応じて3年ごとに見直される変動制となっています。

つまり、支払いが遅れた時点での法定利率が適用されることです。

たとえば、養育費が2023年に遅れた場合、その時点の法定利率が年3%であれば、それに基づいて遅延損害金を計算できます。

なお、養育費の支払いは定期的かつ継続的な義務であるため、各支払期日ごとに遅延が発生すれば、その都度利息が加算される仕組みです。

養育費の遅延損害金の計算方法

養育費の遅延損害金は、「未払いの養育費 × 遅延日数 × 遅延利率 ÷ 365日」で計算されます。

たとえば、月5万円の養育費が2024年1月1日までに支払われる約束だったにもかかわらず、実際に支払われたのが2024年4月1日だったとします。

この場合、支払の遅延日数は90日間となります。遅延利率が約定されていないと仮定し、民法上の法定利率(年3%)を用いて計算すると、以下の通りです。

50,000円 × 90日 × 0.03 ÷ 365日 ≒ 369円

つまり、遅延損害金として約369円を請求できる計算になります。ただし、支払遅延が複数月にわたる場合には、各月ごとに計算を行い、それらを合算する必要があります。

養育費が滞った場合に検討すべきこと

養育費は,長期間に渡って月々一定の金銭を支払う内容になるため,途中で支払いがされなくなったり,連絡が付かなくなったりしてしまう恐れが非常に大きい傾向にあります。特に,面会交流のできない非監護親の場合,将来に渡って律儀に養育費を支払い続けるモチベーションを自分で維持できる人は決して多くないため,養育費の支払いが滞った場合の対処は予め検討しておくのが望ましいでしょう。

実際に養育費が滞った場合には,以下のような点の検討が適切です。

養育費が滞った場合の検討事項

1.相手方(義務者)と連絡が取れるか
2.相手方(義務者)の財産が特定できるか
3.金銭を強制的に回収できる状況か

①相手方(義務者)と連絡が取れるか

支払が滞った場合の最初の対応手段は,相手方への任意の請求になることが一般的です。できることであれば,煩雑で時間のかかる手続を取ることなく,相手方から自発的に支払続けてもらうことが最も円滑でしょう。
そのため,まずは相手方と連絡を取ることができるか,連絡先が把握できるか,という点の確認,検討を行うのが望ましいです。

義務者と連絡が取れない場合、弁護士を窓口にすることで状況が改善する可能性があります。また、それでも連絡が取れなければ、強制的な手続で養育費を回収する必要が生じやすいです。泣き寝入りを防ぎ、適切な方法で養育費の支払を受けるためには、早期に弁護士へ相談されることをお勧めします。

②相手方(義務者)の財産が特定できるか

相手が任意に支払わない場合,強制的に回収する必要が生じ得ますが,その場合,回収のあてになる目ぼしい財産の特定ができているかどうかは重要な問題になります。対象財産の見通しが立っているかどうかは,強制的な回収に踏み切るかどうかの判断にも影響を及ぼすため,できるだけ早期の確認,検討が望ましいでしょう。

強制的な回収のあてになる財産としては,やはり金銭が最も適切でしょう。売却などの手続を要せず,直ちに確実に回収できるためです。具体的には以下のような財産の確認が有益になりやすいところです。

確認すべき相手方の財産の例

預貯金
金融機関は特定できていることが望ましい
給与
勤務先を特定できていることが望ましい

預貯金については金融機関に照会を行う方法、不動産については登記を取得する方法などが挙げられます。勤務先が特定できれば、給与も重要な財産になります。また、裁判手続で養育費を決めた場合には、裁判所に財産開示手続を求められるケースもあります。

③金銭を強制的に回収できる状況か

金銭を強制的に回収するためには,強制的に回収する権限のあることが必要です。具体的には,判決で認められた,調停が成立したなど,強制執行を行う根拠が必要であり,通常は文書化されています。このように,強制執行の法的な根拠が文書化されたものを「債務名義」と言います。

債務名義には,一般的に以下のような種類があります。

一般的な債務名義の種類

判決裁判所が下した判決で、債務者に対して支払いを命じるもの
決定・命令裁判所が出した決定や命令で、支払い義務を認めたもの
調停調書家庭裁判所や民事調停で成立した調停内容を記載した調書
和解調書裁判所での和解が成立した場合の和解内容を記載した調書
公正証書公証人が作成した文書で、債務者が支払い義務を認め、強制執行を受け入れる旨が記載されているもの

強制執行のためには債務名義が必要となるため,債務名義があるかどうかを確認する必要があります。

養育費が滞った時の対応 ①催促

養育費が滞った際は,まず,相手の支払を促すために催促することが一般的です。催促の方法は,電話やメールなど,最も便宜なもので差し支えないでしょう。
単に忘れていただけであったり,その月だけ速やかに支払えない事情があったりした場合には,簡単な催促のみで解決することも考えられます。

電話やメールなどの催促が到着しているにもかかわらず相手方が支払に応じない場合には,催促をした事実が客観的に証明できる手段で再度催促をしましょう。具体的には,「内容証明郵便」の利用が適切です。
内容証明郵便は,郵便局が郵便の差出人,受取人,内容,日時を証明してくれるもので,内容証明郵便で催促すれば,遅くともそのタイミングで送付したという事実が明らかにできます。
また,より形式の整った請求手段であるため,相手方に養育費の支払いを怠ることのリスクを感じさせる手段にもなり得ます。

養育費の支払が遅滞している場合,民法上は債務不履行に当たるため,遅滞するごとに遅延損害金が追加で発生します。相手方としては,支払を怠れば怠るほど支払金額が大きくなることを意味するので,遅延損害金をあわせて請求する意思を表明することで,より強く支払を促す手段も有力でしょう。

ポイント
養育費の支払いが滞った場合,まずは催促から
最初は電話やメールでも可,応じなければ内容証明郵便
遅延損害金の請求意思を表明する手段も有力

養育費が滞った時の対応 ②催促に応じない場合

催促をしても養育費が支払われない場合には,強制的な回収手段を検討する必要が生じます。

判決や調停,公正証書といった債務名義があれば,相手の意思に反してその財産から強制的に金銭の回収が可能です。もっとも,いきなり強制執行するのでなく,裁判所を通じた他の手段での解決を試みることも考えられます。
催促に応じない場合の具体的な手段としては,以下のような手続が挙げられます。

【履行勧告】

家庭裁判所の手続で決まった金銭の支払義務が守られない場合,家庭裁判所がその義務を履行するよう勧告することができます。これを「履行勧告」と言います。
履行勧告は,手続としては勧告(勧めること)にとどまるため,強制力はありません。履行勧告が無視されたとしても,養育費の支払を強制することはできない,ということになります。

履行勧告は,「より大きな不利益が生じる前に払ってください」というメッセージと理解するのが適切でしょう。

【履行命令】

家庭裁判所の手続で決まった金銭の支払が滞った場合,権利者が家庭裁判所へ申し立てることにより,家庭裁判所から義務者へ「履行命令」を行うことが可能です。履行命令は,裁判所が一定の期間を定めて義務者に履行を命令し,命令に反した場合には「10万円以下の過料」という行政罰の対象となる恐れがあります。

もっとも,履行命令もまた,支払そのものを強制する効力まではありません。ペナルティを伴う命令によって,支払をより強く促す手続,という理解が適切でしょう。

【養育費請求調停】

調停を利用せず協議で養育費を取り決めた場合には,支払が滞った後に家庭裁判所に別途調停を申し立てることも考えられます。

協議離婚の際に公正証書などで債務名義を確保しなかった場合は,支払を強制するために債務名義を獲得する必要がありますが,養育費に関しては調停を申し立てる手段が最もバランスの取れた方法であることが多いでしょう。
手続もあまり煩雑ではなく,内容的にも両当事者の事情を踏まえた裁判所から個別のケースに合わせた適切な判断を受けることが可能になります。

調停が成立した後は,同様に履行勧告や履行命令の手段もあります。

【民事訴訟】

養育費について取り決めを行った場合,その不払は債務不履行に該当するため,いわゆる民事訴訟として養育費の支払いを求める裁判を提起することが考えられます。

もっとも,民事訴訟によって得られるものは債務名義であるため,民事訴訟が有用であるのは債務名義がない場合に限られるでしょう。また,調停といった家庭裁判所の手続よりも手続や法律問題が難解であることが多いため,あまり積極的に用いる手段ではないことが多いと思われます。

【支払督促】

民事訴訟による債務名義の取得を行う場合,先立って裁判所に「支払督促」を申し立てる手段も考えられます。

支払督促とは,債務者が金銭を支払わない場合に簡易裁判所がその支払を求める手続を指します。債権者の申立てがあり,書面審査でその合理性が確認できれば,裁判所は債務者に支払督促を発します。

支払督促が発せられた場合の流れは,以下の通りです。

支払督促後の流れ

支払督促送達から2週間期間内に債務者の異議申立てあり
→訴え提起があったものとみなす(民事訴訟が開始

期間内に債務者の異議申立てなし
→債権者から仮執行宣言付支払督促の申立てができる
仮執行宣言付支払督促から2週間期間内に債務者の異議申立てあり
→訴え提起があったものとみなす(民事訴訟が開始

期間内に債務者の異議申立てなし
→仮執行宣言が確定し,強制執行が可能になる

支払督促がなされた場合,債務者がこれを無視し続けると,債権者は強制執行が可能になります。また,支払督促に対して異議申立てがあると自動的に民事訴訟へと移行するため,民事訴訟を想定している場合に支払督促を行ってみる手段は有力です。

債務名義がある場合は養育費・遅延損害金の強制執行も可能

債務名義がある場合は養育費・遅延損害金の強制執行ができます。ここからは、強制執行の方法について解説します。

給料の差押え ①可能な範囲

強制執行による回収は,多くの場合預金か給与を差し押さえて行うことになりますが,給与債権については,一般的な強制執行よりもより多くの差押えが認められています。具体的な内容は以下の通りです。

給与債権の差押え範囲

原則給与の4分の1まで
養育費の場合給与の2分の1まで

養育費は,子の生活を守るための大切な費用であるため,子を守る重要性を踏まえ,給与の2分の1までの金額を差し押さえることができるとされています。

債権者が把握し得る財産としては,給与債権が最も代表的であるので,給与の差押え範囲が広がっていることは,子どもを保護するために非常に重大な意味を持つことが多いでしょう。

預貯金の差し押さえ

養育費や遅延損害金の支払いが行われない場合でも、「債務名義(公正証書、調停調書、判決文など)」があれば、相手の預貯金に対する差し押さえによって強制的に支払わせることが可能です。

預貯金差押えとは、相手が保有する銀行口座に対して裁判所を通じて凍結・差押えを行い、そこから未払いの養育費や遅延損害金を回収する手続きです。

この手続きには、差し押さえ対象の金融機関名と支店名を正確に把握しておく必要があります。

実際の流れとしては、債務名義に基づいて地方裁判所に申し立てを行い、差押命令が発令されると、金融機関に通知が届き、相手の口座が凍結されます。

差押えが成功すれば、滞納分を回収できます。

不動産や動産の差し押さえ

不動産や動産の差し押さえによる強制執行を行うことも可能です。

不動産の差し押さえとは、相手名義の土地や建物を裁判所の手続きを通じて差し押さえ、最終的に競売にかけて売却代金から未払い分を回収する方法です。

一方、動産の差し押さえは、家具や車両などの動産を差し押さえ、同様に売却して回収を図る方法となります。

ただし、実務上は相手の居住地での立ち入りや保管コストの問題などから、実行が難しいこともあります。

これらの差し押さえを行うには、対象となる不動産や動産の所在や所有状況を把握しておく必要があり、手続きも複雑であるため、専門知識を持つ弁護士のサポートを受けることが大切です。

養育費の請求に強い弁護士をお探しの方へ

養育費の支払は,離婚後も相当期間継続するものであり,具体的な支払を支払う側の動きに任せることになるため,支払う側がある時から滞り始める場合も少なくありません。
そのとき,生活に重大な支障が生じることを避けるためには,取り扱いに長けた弁護士に相談・依頼するなどして迅速な請求を行うのが適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

養育費はいつどうやって決める?いつから受け取れる?再婚した場合に養育費はどうなる?養育費の悩みを解消したい人へ

●養育費とはどんなお金か?

●養育費の取り決めはいつ行うのか

●養育費は要らないと言ったが後から請求できないか?

●養育費の金額はどのように決まるのか?

●養育費はいつからもらえるのか?いつまでもらえるのか?

●養育費の支払が滞ったら,相手の給料からもらえないか?

●離婚後に生活が苦しくなった場合,養育費はどうなるか?

●再婚した場合,もらっている養育費はどうなるか?

という悩みはありませんか?

このページでは,離婚の際の養育費問題でお困りの方に向けて,養育費の内容や手続養育費の支払時期や方法などを解説します。

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養育費とは

養育費とは,子が成人するまでの生活費,教育費,医療費などを含む子の養育に必要な費用を指します。親は,自分の子の生活を保障するとともに,その成長を支える義務を負いますが,親が子を養育するこの義務は,夫婦が離婚しても親子が別居してもなくなるものではありません。
そのため,離婚する夫婦の間に未成年の子がいる場合,子を監護しない方の親は,子に対する義務を金銭の支払という方法で果たすことになりますが,これが養育費です。

養育費の具体的内容

1.生活費
子の食費、衣服費、住居費、日常生活に必要な費用

2.教育費
学校の授業料、教材費、制服代、部活動費、塾や習い事の費用

3.医療費
医療保険の自己負担分、予防接種費用、病気やけがの治療費

4.その他の費用
交通費、レジャー費、習い事や特別な活動の費用など

養育費を決める時期

養育費の決定は離婚の条件でないため,養育費を決めずに離婚することも可能です。しかしながら,後の紛争を防ぐためにも,子の生活を守るためにも,養育費は離婚や親権の解決と並行して決定すべきでしょう。

なお,養育費の請求権は,一般的な債権と同じく「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」で時効により消滅します。債権者である方の親が権利行使できると知らなかった,ということは考えにくいため,基本的には毎月の支払日から5年が経過するごとに,順次消滅時効にかかると理解するのが適切でしょう。

また,調停や審判,裁判上の和解や判決で確定した養育費の請求権は,消滅時効の期間が5年でなく10年となります。ただし,判決などによって時効期間が延長する債権は,その時点で確定するもののみなので,将来の支払い分には影響しません。判決などの時点で既に弁済期が来ている養育費は10年に,それ以降の養育費は原則通り5年の時効になります。

ポイント
養育費を決めずに離婚することもできるが,通常は離婚と並行して決定すべき
養育費請求権は5年で時効消滅。判決などで確定した場合には10年に伸長

養育費の請求権放棄

両親の離婚協議にあたって,離婚後の親権者が養育費の請求権を放棄した場合,養育費は請求されないのか,という問題の生じることがあります。
一例としては,離婚を急ぎたいがために,話し合いを早期に終了させる目的で「養育費は要らない」とした場合などが挙げられるでしょう。

この点,養育費の請求権は,子が親に対して持つ「扶養請求権」の一つですが,扶養請求権は放棄をすることが法律上認められていません。そのため,両親の間で養育費を放棄する合意をしたとしても,その合意は無効であると考えることが一般的です。

もっとも,夫婦間で養育費の請求権を放棄する合意があった場合,その合意に至る事情については十分に確認の必要があります。具体的には,合意が全体として子の利益であれば,必ずしもすべて無効とする必要がない場合も考えられるところです。

ポイント
親が養育費請求権を勝手に放棄することはできない
両親間で養育費放棄の合意をしても原則として無効
もっとも,合意に至る事情や内容を十分に確認することになる

養育費の金額算定方法

養育費の金額は,両親が合意して決定できるのであれば,その金額に従う形での解決が可能です。もっとも,養育費の金額について一切の目安なく決定することは容易でありません。

そこで,家庭裁判所裁判官を研究員とする司法研究を通じて「養育費算定表」が作成・公表されています。養育費の計算は厳密に行うと非常に複雑で時間がかかるため,離婚協議などの際に簡単な目安とできるよう,裁判所が公開しているものです。
調停などの裁判実務でも,養育費算定表に沿った養育費の計算が一般的です。

養育費算定表リンク
(表1~表9)

(参考)表1

この算定表の見方は,以下の通りです。

1.横軸が権利者(請求する方)の年収額
2.縦軸が義務者(支払う方)の年収額
3.横軸と縦軸の交わる点に該当する金額が養育費(月額)

(例)

権利者が年収300万円の給与所得者,義務者が年収700万円の給与所得者
14歳以下の子が1名のみの場合

表1を用いると,縦軸と横軸の交わる点は6~8万円のため,適切な養育費の目安は6~8万円となります。

なお,養育費算定表はあくまで一般的な目安であるため,現実の養育費がこれを上回る場合もあり得ます。
一例としては,子の学費が一般的なもの以上に発生する場合が挙げられます。私立学校に通学させたい,習い事や塾を充実させたい,という方針だと,比例して必要な養育費は大きくなるため,養育費算定表にはとどまらない金額になることも考えられます。このような場合は,当事者間で方針を共有し,合意する限り,全く問題ないでしょう。
ただ,育児方針に相違があるなど,両親の主張が異なる場合には,養育費算定表を超える金額を請求したい方がその根拠を説得的に主張することが必要になると思われます。

養育費の支払を受けられる期間

養育費の支払を受けることのできる期間の始期と終期は,以下の理解が一般的です。

始期
請求をした時
終期
子が18歳になった時

①養育費支払の始期

養育費は遡って請求することができないため,支払を受けられる期間の始期は,請求をした時となります。
現実的には,離婚の際にあわせて養育費の取り決めをするのが適切でしょう。離婚と同時に養育費の取り決めをしていれば,それから請求までの空白期間が生じないため,養育費の請求に漏れがなくなります。

一方,離婚後に養育費を請求する場合は,請求を行ったことの根拠が残る方法を取ることが適切でしょう。当事者間で行う場合には,「内容証明郵便」及び「配達証明郵便」の利用が有力です。内容証明郵便とは,郵便局が郵便の存在及び内容を証明してくれる郵便,配達証明郵便とは,郵便局が配達された事実を証明してくれる郵便をいい,これらを用いることで請求した事実の根拠を獲得することが可能です。
また,調停を申し立てる場合は,極力早期に行うのが適切でしょう。調停の手段で請求した場合には,支払を求められる期間の始期が調停を申し立てた時期ということになるためです。

②養育費支払の終期

養育費の支払の終期は,基本的に子が成人するまでとなります。2022年4月より,子は18歳で成人することが定められているため,原則としては18歳に至るまでということになるでしょう。

もっとも,必ず18歳までに限定されるわけではありません。具体的には,以下のような取り決めも考えられます。

養育費終期の例

1.大学進学を予定している(又は在学中)場合
大学卒業までの間

2.「成人」の年齢を両当事者が20歳と考えている場合
子が20歳に至るまでの間

養育費の支払が滞った場合

調停や審判,裁判といった方法で,裁判所を通じて養育費の支払いを定めた場合,その支払いが滞った場合には,裁判所を介してその支払を促したり強制したりする手段を講じるのが有力です。具体的には,以下のような方法が考えられます。

【履行勧告】

家庭裁判所の手続で決まった金銭の支払義務が守られない場合,家庭裁判所がその義務を履行するよう勧告することができます。これを「履行勧告」と言います。
履行勧告は,手続としては勧告(勧めること)にとどまるため,強制力はありません。履行勧告が無視されたとしても,養育費の支払を強制することはできない,ということになります。

履行勧告は,「より大きな不利益が生じる前に払ってください」というメッセージと理解するのが適切でしょう。

【履行命令】

家庭裁判所の手続で決まった金銭の支払が滞った場合,権利者が家庭裁判所へ申し立てることにより,家庭裁判所から義務者へ「履行命令」を行うことが可能です。履行命令は,裁判所が一定の期間を定めて義務者に履行を命令するもので,命令に反した場合には「10万円以下の過料」という行政罰の対象となる恐れがあります

もっとも,履行命令もまた,支払そのものを強制する効力まではありません。ペナルティを伴う命令によって,支払をより強く促す手続,という理解が適切でしょう。

【強制執行】

確定判決又はこれと同一の効力を持つ手続で決定した養育費の支払が滞った場合,強制執行によって養育費を回収することが可能です。

強制執行による回収は,多くの場合預金か給与を差し押さえて行うことになりますが,給与債権については,一般的な強制執行よりもより多くの差押えが認められています。
具体的な内容は以下の通りです。

給与債権の差押え範囲

原則給与の4分の1まで
養育費の場合給与の2分の1まで

養育費は,子の生活を守るための大切な費用であるため,子を守る重要性を踏まえ,給与の2分の1までの金額を差し押さえることができるとされています。
ただし,履行勧告や履行命令に比して手続負担が重いため,最終手段とする場合が多く見られるところです。

ポイント

履行勧告家庭裁判所から促してもらえるが,強制力なし
履行命令家庭裁判所に命令してもらえる。過料のペナルティはあるが強制力なし
強制執行財産を差し押さえて強制的に回収できる。給与は2分の1まで可能

養育費が増減する場合

養育費は,金額を定めた時点における事情を考慮して決定されるものであるため,後になって事情変更が生じた場合,増額又は減額が認められる場合も考えられます。
増減を求める場合は,裁判所に調停を申立てた上で,条件の変更をしなければ当事者間の公平を失することなどを十分に主張することが適切です。

養育費が増減する事情としては,以下のようなものが挙げられます。

養育費の増減事由

1.義務者の収入変化
義務者の収入が大幅に増加した場合、養育費の増額が認められることがあります。逆に、収入が減少した場合、減額が認められる可能性があります。

2.権利者の収入変化
権利者の収入が減少し、経済的に困窮している場合、養育費の増額を求めることができます。逆に、権利者の収入が増加した場合、減額が認められることがあります。

3.子の養育費用の増加
子が成長するに従い、教育費や医療費などの必要な費用が増加した場合、養育費の増額が認められることがあります。

4.特別な事情
子の病気や障害など、特別な事情が発生した場合、養育費の増額が必要になることがあります。

再婚と養育費の関係

養育費を受け取る側が再婚し,新たに家計を支える人が現れた場合,子の養育を取り巻く状況は大きく変わります。また,養育費を支払う側に養育すべきほかの子ができた場合,養育費の支出に関する状況も大きく変わるでしょう。
そこで,再婚と養育費の関係について検討する必要があるケースは少なくありません。

①権利者の再婚

権利者が再婚し,再婚相手が子と養子縁組をした場合,その子の養育は,権利者と再婚相手の二人で行うべきことになります。そのため,義務者が養育費を支払い続ける必要はないとの判断になりやすいでしょう。

もっとも,再婚相手が子と養子縁組をしていない場合,再婚相手に子を養育する義務(扶養義務)は生じないため,養育費に変動の生じないことが通常でしょう。

②義務者の再婚

義務者が再婚して新たに子どもができたり,義務者が再婚相手の子と養子縁組をしたりした場合,義務者にとって養育すべき子の数が増えることになります。
そうすると,義務者の負担できる養育費は小さくならざるを得ず,養育費を減額し得る事由に当たると言えるでしょう。

離婚の養育費に強い弁護士をお探しの方へ

養育費は,離婚後でも子どもを十分に養育するために大切の費用です。
離婚は,子どもにも大きな影響を及ぼす出来事であるため,子どものために養育費の十分な検討を行うことは,親にとって不可欠と言えます。
とはいえ,具体的な金額や内容を当事者間で決めるのは容易ではありません。養育費に強い弁護士へのご相談,ご依頼をお勧めいたします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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