モラハラで離婚できる場合は?モラハラでの離婚は準備がすべて?弁護士が徹底解説

●どんな行為がモラハラに当たるか?

●モラハラはどんな場合に離婚の原因になるか?

●モラハラを原因に離婚する方法は?

●モラハラで離婚するためにすべき準備は何か?

●子どもへのモラハラや義父母からのモラハラでも離婚できるか?

という悩みはありませんか?

このページでは,モラハラを原因とする離婚でお困りの方に向けて,モラハラが離婚原因になる場合やその判断基準モラハラで離婚する場合に必要な対応などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

モラハラとは

モラハラ(モラルハラスメント)とは,精神的暴力行為を指します。倫理や道徳に反した嫌がらせ行為をいうことが一般的です。
夫婦間では,互いの距離や関係が近いことから,配慮が不足し心無い言動をしてしまうことが多くなりがちです。そのような言動がエスカレートしてしまうと,もう一方は婚姻生活に耐えることが難しくなり,離婚原因となる可能性が生じます。

モラハラに当たる行為

夫婦間でモラハラに当たる行為の具体例としては,以下のようなものが挙げられます。

1.否定的な言葉

配偶者を侮辱したり軽蔑したりする言葉を投げかける場合が代表例です。
また,相手の価値観や考え方を頭ごなしに否定することもこれに当たるでしょう。

2.無視や冷遇

話しかけても無視して返事をしないこと,相手が存在しないかのような態度を取ることなどが挙げられます。

3.過度な束縛や監視

相手の行動や交友関係に対して過度に干渉することが挙げられます。また,友人関係や親族付き合いを禁止するなど,配偶者を束縛しようとする行為も含まれるでしょう。

4.威圧や脅迫

怒鳴りつける,物を投げつける,離婚や子どもの存在をほのめかして言うことに従わせようとする,といった行為が挙げられます。

5.人格否定

相手の外見や能力の一部を執拗に指摘し,相手の価値が低いかのように批判することが挙げられます。また,過去の失敗を何度も持ち出して相手を非難する行為も含まれるでしょう。

6.馬鹿にする,笑いものにする

第三者のいる前で配偶者をけなしたり小馬鹿にしたりして,配偶者を周囲の笑いものの対象にする行為が挙げられます。
馬鹿にしたり笑いものにしたりする内容は,家庭内での行動や身体的特徴など様々です。

7.自分の非を認めない

配偶者が間違いを指摘しても謝罪などせず,逆切れしたり理不尽に責任転嫁したりする行為が挙げられます。

8.配偶者の分だけ家事をしない

配偶者の食事だけ用意しない配偶者の洗濯物だけ手を付けないなど,わざと配偶者の分だけ家事を行わない行為が挙げられます。

モラハラが離婚原因になる場合

モラハラは,その内容・程度によって離婚原因となり得ます。具体的には,モラハラが「婚姻関係を継続し難い重大な事由」に該当する場合,離婚原因となります。
「婚姻関係を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかは,数量的な判断ができないため,個別の事情を総合的に考慮して決定されることになりますが,モラハラの内容や程度が著しいほど「婚姻関係を継続し難い重大な事由」に該当しやすいことは間違いないでしょう。

具体的には,以下のような場合にモラハラが離婚原因として認められやすいでしょう。

モラハラが離婚原因になるケース

1.継続的な精神的苦痛

長期間に渡って言葉の暴力や無視などが繰り返され,精神的苦痛が増大している場合,離婚原因に当たりやすいと言えます。
また,配偶者が常に批判的な態度をとっており,自分の価値が否定されて続ける状況の場合,やはり精神的苦痛の程度が大きく,離婚原因に当たりやすいと考えられます。

2.健康被害

モラハラによる精神的なストレスの結果,不安障害やうつ病といった精神疾患が生じてしまう場合,婚姻生活が健康被害にまで至っていることから,離婚原因に当たりやすいでしょう。
また,モラハラが身体にも支障をきたし,日常生活が困難になれば,離婚原因に当たる可能性はより高くなると考えられます。

3.家庭内平和の破壊

モラハラが原因で家庭内の雰囲気が著しく悪化し,子どもなどの他の家族にも悪影響を及ぼしている場合,家族の生活を守るためにも離婚原因に当たると評価されやすくなります。
また,モラハラが原因で夫婦間のトラブルが絶えない場合,その夫婦関係は平和的な継続が困難と言わざるを得ず,やはり離婚原因に当たりやすくなると言えます。

4.著しい経済的拘束

配偶者への束縛がエスカレートした結果,配偶者の生活費を著しく制限するなど,経済的な拘束に発展した場合,配偶者が困窮した生活を継続することは困難であるため,離婚原因に当たる可能性が高くなります。

5.配偶者への恐怖

離婚をちらつかせたり子どもの連れ去りを示唆したりなどして,配偶者を従わせる脅迫行為が頻繁に行われた結果,配偶者への恐怖が募る状況に至ってしまった場合,夫婦間の安心した生活は継続が困難であるため,離婚原因に当たりやすくなるでしょう。

6.交友関係への悪影響

モラハラの結果,現実に交友関係がほとんどなくなってしまったり,自分の親族との付き合いが激減してしまったりするなど,周囲の人間関係への悪影響が生じる場合,配偶者が精神的不安のない生活を継続することは困難であるため,離婚原因に当たる可能性が高くなるでしょう。

モラハラで離婚するためにすべき準備

①モラハラでの離婚に準備を要する理由

モラハラを原因とする離婚は容易ではありません。その理由としては,以下のようなものが挙げられます。

モラハラを原因とする離婚が容易でない理由

1.配偶者が離婚に応じない

モラハラを原因とする離婚を配偶者に求めても,配偶者が自分の意思で同意することは期待できないのが通常です。モラハラに及ぶ配偶者は,夫婦間で自分が上位であるという上下関係を作り上げていることが多く,自分より下位にいるはずだと思っている相手からの離婚請求に従うのは,プライドが許さない行為であるためです。
そのため,モラハラを原因とする離婚の場合,協議離婚での解決が困難ということが大多数でしょう。

協議離婚で解決できない場合,家庭裁判所に離婚調停を申し立て,調停での解決を目指す必要が生じます。もっとも,調停は裁判所を介した協議であるため,やはり配偶者が応じるかどうかという問題が残ることになります。
調停でも離婚が成立しなければ,離婚裁判の提起が必要になるところです。裁判では,法定離婚事由があるか,という問題になるため,配偶者が承諾しなくても離婚は可能ですが,法定離婚事由に当たる程度のモラハラがあったと認めてもらえるかは個別のケースによるでしょう。また,離婚裁判は相当な長期間を要することが多いため,離婚が実現するためには多くの時間と手間がかかりやすいところです。

2.モラハラの証拠収集が難しい

モラハラは,基本的に家庭内で起きることであるため,第三者による特定や立証が困難です。また,夫婦間のやり取りで常にモラハラが起きているわけではないため,モラハラと認められるような出来事をピンポイントで記録化し,証拠とすることは容易ではありません。
さらに,モラハラをする配偶者には,家庭内での暴力的な態度と社会での親切な態度の二面性があるケースも多く,周囲にはモラハラの実態が正しく伝わらない場合も多く見られます。

モラハラという言葉自体が,数多くの事柄を内容に含んだ抽象的なものであるため,モラハラに該当するかどうかという判断基準も一概には定められない面があります。
モラハラでの離婚を主張する場合は,その主張を具体的な行為に落とし込んだ上で,その行為がたびたび行われていることの証拠を収集するのが有力な方針になりやすいです。もっとも,その証拠収集の困難さから,モラハラを原因とする離婚は容易でないところでもあります。

ポイント
モラハラでの離婚は,調停や裁判を見据えた立証の準備が必要
モラハラ行為を立証するための証拠収集は容易でない

②客観的証拠を残すこと

家庭内で起きるモラハラ行為は,客観的な証拠がなければ第三者にその存在を認めてもらうことは難しいのが実情です。そのため,個別のモラハラ行為に対して,その客観的な証拠を残すことは非常に重要でしょう。
録画や録音,メールなど,モラハラ行為を直接記録したものは,客観的証拠の代表例と言えます。その他,メモに残しておくことや,モラハラの過程で壊されたものを残しておくことも有用でしょう。

モラハラの客観的な証拠を残す際には,以下の点に留意することが有力です。

1.継続的な複数回の行為の証拠を収集すること

モラハラは,継続的な行動の数々によって徐々に配偶者の精神面を傷つけるものです。そのため,1回暴言を吐いた,1回無視された,というのでは,離婚原因に当たるとの評価は難しく,そもそもケンカなどとの区別ができないためモラハラに当たるかどうかも不明確になってしまいます。

そのため,モラハラに当たる行為の客観的な証拠を残すときには,継続的に,複数回に渡ってモラハラ行為が行われていると分かるような内容にするよう留意するのが有益でしょう。できれば,暴言であれば暴言,馬鹿にされるなら馬鹿にされるなど,同じ類型のモラハラ行為が継続的に行われていることが証拠化されていると,よりモラハラとの認定に近づきやすい傾向が見られます。

2.可能な限り具体的な内容であること

モラハラ行為を日記やメモに残す場合,その内容はどれだけでも具体的であることが望ましいです。例えば,「暴言を吐かれた」のではなく,「「だからお前はダメなんだよ,このバカ。お前は何もできないな」と言われた」というように,抽象的な言葉でまとめるより事実ありのままの内容を残すことが適切でしょう。

「暴言」というだけでは家庭内における言動の実態が分からず,配偶者も言い逃れや反論が容易になってしまいますが,具体的な内容を特定することによって,第三者にも状況が伝わりやすく,配偶者の言い逃れも難しくなると考えられます。

ポイント
モラハラの証拠は,継続的に同様の行為を繰り返したことが分かるように残す
メモや日記にする場合は,事実ありのままを具体的に残す

③別居を検討すること

モラハラ被害を受けて離婚を検討するという場合,離婚に先立って別居することも一案です。
別居することで,まず何よりその後のモラハラ被害を防ぐことができるため,精神的苦痛の緩和につながります。また,別居が長期間継続した場合,別居を理由に婚姻関係の破綻が認められ,離婚の実現に至る可能性も生じます

モラハラを原因とする離婚で別居を検討する場合には,以下の事項に留意しておくとよいでしょう。

1.モラハラ行為の証拠化を済ませておく

別居後は,当然ながら家庭内のモラハラ行為が行われないため,家庭内におけるモラハラ行為の証拠は,別居前に確保してある状態であることが適切です。調停や裁判等において提出する証拠は,別居前に全て揃っていることが望ましいでしょう。

また,別居自体は,夫婦間の同居義務に違反する行為です。そのため,別居をする方が夫婦関係を壊した責任者であるとの評価も不可能ではありません。
そのため,別居に正当な理由があることを裏付けるため,あらかじめモラハラ行為を証拠化しておき,証拠化が済んだ後に別居することが有益です。

2.別居中のやり取りも記録しておく

モラハラが原因で別居した場合,別居後に配偶者から威圧的な言動が繰り返されるケースも少なくありません。別居を強く咎めるような配偶者の威圧的言動は,別居前にモラハラ行為があったことをうかがわせる重要な事情であるため,記録しておけるよう準備しておくことをお勧めします。

別居中のやり取りは,密室内での対面でのものと異なり,通話や文面といった形で記録に残りやすいものであるため,音声はこのように記録する,文面はこのように記録する,というように,事前に方法を決めておくことも十分に可能です。

3.婚姻費用を請求する

別居中の場合,生活費に問題の生じることが考えられます。そのため,別居後に婚姻費用の請求をすることを見込んでおくようにしましょう。
婚姻費用の請求は,当事者間での協議か調停の申し立てが手段となりますが,やはり当事者間での協議は現実的でないため,家庭裁判所に調停を申し立てる方法が有力です。別居後速やかに婚姻費用を請求する準備を整えた上で,別居に踏み切るのが円滑でしょう。

ポイント
別居することで,その後のモラハラ被害を防ぐことができる
長期間の別居は,それ自体が離婚原因になり得る
別居する場合,モラハラ行為の証拠化や婚姻費用の請求準備を事前にしておく

④金銭面の備えをすること

離婚後の生活に金銭面の不安があることから,モラハラ被害を受け続けても離婚に踏み切れないというケースは相当数見られます。そのため,離婚後の生活に向けた金銭面の備えは,可能な限り行っておくようにしましょう。
離婚原因の性質上,モラハラを受けていた方が引っ越しをし,新生活を行うことになりやすい傾向にありますが,転居費用や家具家電,消耗品などの用意が必要となります。離婚後の収入のあてを見つけておく,親族に協力を依頼するなどの方法で,離婚後の生活費が捻出できる見通しを立てておくのが適切でしょう。

また,離婚のために調停や裁判を行う際,弁護士に依頼する場合は,弁護士費用の金額や支払方法にも留意するのが望ましいところです。特に,調停や裁判といった法的手続に移行すると,弁護士費用も相応の金額となるため,弁護士費用の支払も踏まえた生活設計をしておくことをお勧めします。

子どもへのモラハラが離婚原因になるか

配偶者が子どもに強く当たり散らすなど,配偶者に対してでなく子どもに対して行われるモラハラもあり得ます。多くの場合,子どもが自分の言うことを聞かないという理由で,子どもへのしつけと称して度が過ぎたハラスメント行為に及ぶことが問題になります。

この点,親がしつけであると考えていたとしても,その程度が不合理であって,子どもが配偶者に恐怖心を抱くような状況にあれば,子どもに対するモラハラ(精神的虐待)と評価することが可能です。
そして,子どもに対するモラハラの結果,夫婦の婚姻関係が継続できない状況に至ったのであれば,配偶者への直接のモラハラでなくても離婚原因になることは十分に考えられるでしょう。

なお,子どもへのモラハラによって離婚を試みる場合は,まず子ども自身の安全確保が最重要です。離婚を切り出すことで子どもに更なる被害が生じないよう,子どもを連れて別居するなど,モラハラが深刻化しないための手当てをしてあげてください。

義父母からのモラハラが離婚原因になるか

嫁姑問題に代表されるように,配偶者自身でなくその親(義父母)からモラハラ行為を受けることも考えられます。
この場合,配偶者との関係が破綻しているわけではないので,法的には直ちに離婚原因となることは考えにくいところです。義父母からのモラハラのみを理由に裁判手続で離婚を請求しても,認められるケースは少ないと思われます。

もっとも,配偶者が義父母によるモラハラを認識しながら放置していたり,義父母のモラハラに加担していたりすれば話は大きく異なります。配偶者が義父母の行動を抑止しなければ家庭生活は円満に続けられない以上,その努力を配偶者が怠るのは立派な離婚原因に該当し得るためです。

そのため,義父母からのモラハラによる離婚を検討する場合は,その事実を配偶者に共有の上,配偶者の対応を詳細に記録化,証拠化する方針が有力でしょう。

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

モラハラは、外からは分かりづらい家庭内での問題であることが多く、当事者間でモラハラの有無に争いがある場合は離婚原因になるかどうかの判断も困難なケースが見られます。
そのため、モラハラによる離婚は、十分な準備と適切な手順を尽くすことが重要ですが、離婚事件に精通した弁護士とともに進めることで、適切な動きが可能になります。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

浮気・不倫による離婚はどうすれば有利に進められる?慰謝料は誰からどうやって請求できる?慰謝料額の判断材料も詳細解説

●不倫はどのような内容であれば離婚原因になるか?

●離婚しなくても不倫の慰謝料は請求できるか?

●不倫の慰謝料の相場は?請求相手は?

●慰謝料額に影響する事情は何か?

●浮気・不倫を原因とする離婚で問題になりやすい点は?

という悩みはありませんか?

このページでは,浮気・不倫を原因とした離婚でお困りの方に向けて,浮気・不倫が離婚原因になる場合や,慰謝料請求の内容・金額などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

浮気・不倫が離婚原因となる場合

浮気や不倫という言葉は抽象的なものであり,人によってその意味する内容が少しずつ異なっている可能性が高いでしょう。そのため,全ての人が浮気や不倫と考える行為が,全て離婚原因となるかというと,決してそうではありません。
法律上の離婚原因(法廷離婚事由)となる浮気・不倫は,「不貞行為」に限られます。そして,不貞行為とは,夫婦の一方が配偶者でない者と肉体関係を持つことを言います。不貞行為に当たる肉体関係は,性行為(挿入行為)やこれに準ずる行為(いわゆる愛撫,口腔性交など)を指すとの理解が一般的です。

したがって,一緒に食事をしたり手をつないだりする行為は,その相手との間に恋愛感情があることをうかがわせる行動ではありますが,不貞行為には該当せず,離婚原因にもなりません。
法律上の離婚原因となる浮気・不倫は,肉体関係があることを指す,と理解するのが適切でしょう。

ポイント
離婚原因となる浮気・不倫は,不貞行為を指す
不貞行為に当たるのは,肉体関係がある場合

浮気・不倫と慰謝料

①慰謝料が生じる理由

浮気や不倫のある場合,夫婦間で慰謝料の問題になるのが一般的です。
この点,浮気や不倫が慰謝料の対象となるのは,不貞行為が民法上の不法行為に該当するためです。

不法行為とは,故意または過失による違法な行為で他人に損害を与えることを言います。この不法行為に該当するための要件は,以下の通りです。

不法行為の要件
1.故意または過失があること
2.違法な行為があったこと
3.不法行為によって損害が生じたこと(因果関係)

1.故意または過失があること

不貞行為との関係では,他人と肉体関係を結ぶ時点において,自分が行おうとしていることが不貞行為であると知っていた(故意)か,注意すれば不貞行為であると知ることができた(過失)のに,肉体関係に至ったことを指します。
夫婦の一方が他人と肉体関係に及ぶとき,自分の行為が不貞行為であると知らなかった,という可能性は考えにくいでしょう。そのため,配偶者が不貞行為に及んだ場合,通常は故意があるとの理解になるところです。

配偶者に不貞行為の故意や過失がない場合を挙げるとすれば,離婚届を出したつもりでいたものの正しく受理されておらず,夫婦関係が解消されていないままであった,という場合は考えられます。当事者の認識としては離婚しているはずだったにもかかわらず実際は婚姻中である,という状況であることから,不貞行為をした(=配偶者がいるのに配偶者以外と肉体関係を持った)という認識がなく,故意や過失が認めづらいことが見込まれます。

2.違法な行為があったこと

不法行為に該当するためには,なされた行為が違法であることが必要です。その行為が違法であると言えるのは,行為によって他人の権利や法律上保護されるべき利益が侵害される場合を指します。
不貞行為の場合,夫婦の共同生活を営む正当な権利は法律上保護されるべきであるところ,不貞行為は夫婦の共同生活を困難とする意味で他人の権利を侵害する行為であり,違法性があると評価されることになります。

3.不法行為によって損害が生じたこと(因果関係)

不法行為に該当するためには,不法行為が原因となって権利や利益が侵害される必要があります。つまり,不法行為と損害発生の間に因果関係がなければなりません。

不貞行為の場合,夫婦の一方が不貞行為に及んでいるものの,不貞行為とは無関係な理由で夫婦の共同生活は既に破綻していた,という場合に因果関係の問題が生じ得るところです。
不貞行為が不法行為に該当するためには,不貞行為が原因で夫婦関係が壊される必要があるため,事前に夫婦関係が壊れてしまっており,その後に不貞行為がなされたに過ぎないのであれば,不貞行為によって生じた損害はないとの評価にならざるを得ません。その結果,不貞行為によって生じた損害の賠償である慰謝料も生じないという結論になります。

具体的には,不貞行為の前には既に長期間の別居状態であった,というような場合に因果関係の問題が生じやすい傾向にあるところです。

ポイント
浮気・不倫で慰謝料が生じるのは不法行為に当たるから
不法行為に当たるためには,故意過失,違法行為,因果関係の存在が必要

③慰謝料の種類

浮気や不倫が不法行為に当たる場合,これによって生じる慰謝料には以下の二つの種類が考えられます。

浮気や不倫に関する慰謝料の種類

1.不貞慰謝料
2.離婚慰謝料

不貞慰謝料

不貞行為によって夫婦の平穏な共同生活が害されているため,夫婦生活を傷つけられたという精神的苦痛への慰謝料が発生します。
これは,夫婦が互いに貞操義務(自身の貞操を守る義務)を負っていることに根拠があるとされます。配偶者が貞操を守ることへの信頼を裏切られたことが,慰謝料の対象となる精神的苦痛というわけです。

離婚慰謝料

不法行為に該当する不貞行為があり,それが原因となって離婚にまで至った場合,不貞行為と離婚との間にも因果関係があるということになります。
そのため,不貞行為に対する慰謝料として,離婚の慰謝料(=離婚に至った精神的苦痛に対する賠償)が生じるところです。

ポイント
不貞慰謝料=平穏の共同生活が害されたことへの慰謝料
離婚慰謝料=離婚させられたことによる精神的苦痛への慰謝料

④離婚しなくても慰謝料請求は可能か

不貞行為があった場合,慰謝料を請求するのに離婚は必ずしも必要ではありません。婚姻関係は継続しながら不貞行為がされたことの責任を慰謝料という形で配偶者に負わせることは可能です。

もっとも,離婚せず慰謝料請求をする場合,離婚慰謝料の請求はできません。離婚慰謝料は,離婚させられたことへの精神的苦痛を根拠とする以上,離婚していない場合には慰謝料の根拠となる精神的苦痛自体が生じていないというわけですね。

不倫相手に対する慰謝料請求

不貞行為があった場合,配偶者のみでなく不貞相手に対しても慰謝料の請求をすることが可能です。配偶者と不貞相手とは,共同で不貞行為に及んでいるため,不貞行為は「共同不法行為」と位置付けられます。共同不法行為をした加害者は,全員が全額の損害賠償義務を負い,被害者から賠償請求された場合には全額の支払をする義務を負います。

もっとも,不貞相手に対する請求については,以下のような点に注意を要するところです。

①離婚慰謝料は原則として請求できない

配偶者と不貞相手との不貞行為によって離婚に至った場合,慰謝料を請求する立場としては不貞相手にも離婚の責任を取ってほしいと感じるところでしょう。不貞相手が配偶者と肉体関係になったから離婚せざるを得なくなったのであって,不貞相手さえいなければ離婚していなかったと思われるためです。

しかしながら,不貞相手に対する請求としては,不貞慰謝料の請求が限度であり,離婚慰謝料までは請求できないのが原則であるとされています。
それは,離婚の原因が本当に不貞行為だけであったのかは分からないからです。もし,不貞行為はきっかけに過ぎず,不貞行為以外にも婚姻関係破綻の事情があったのであれば,離婚の責任を不貞相手に負わせるのは不合理な結論になってしまいます。

最高裁判所の判断によると,不貞相手に離婚の慰謝料を請求できるのは,「当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をする等して当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られる」とされています。ただ不貞行為に及んだだけでなく,離婚させることを意図して肉体関係を持った場合が必要だということですね。

②故意の有無が問題になり得る

配偶者の場合,自分が婚姻関係にある以上不貞行為の故意がない場合はほとんどありませんが,不貞相手の場合,肉体関係の相手方である人物が既婚者であると知っているとは限りません。
そのため,配偶者が不貞相手に既婚であることを隠していたなど,不貞相手に既婚者であることの認識がない場合,不貞相手には不貞行為の故意がない可能性があります。

なお,配偶者が相手の了承なく性行為に及んだ場合にも,当然ながら性行為の相手に故意はないという結論になります。性行為をしようという意思がない以上,不貞行為をしようという意思もないと言わざるを得ないためです。

③二重取りはできない

不貞行為は,配偶者と不貞相手による共同不法行為であり,共同不法行為の場合にはそれぞれの加害者に損害全額の請求ができる,ということを解説しました。そうすると,配偶者と不貞相手からそれぞれ全額受領できれば,2倍の慰謝料が獲得できそうです。

しかしながら,このような慰謝料の二重取りはできません。配偶者と不貞相手にそれぞれ全額の請求ができることは間違いありませんが,一方から全額を受領した場合,他方に対する請求権も消滅するため,もう一方に請求をすることができなくなってしまうのです。

共同不法行為の場合に,被害者が各加害者に全額の請求ができるのは,加害者の一人に経済力がないことで被害者の救済が実現されないという結果を防ぐためです。例えば,経済力ある1人の加害者が相手であれば全額回収できるのに,そこに支払能力のない加害者が追加されると被害者が全額回収できなくなる,というのでは明らかに不合理だということですね。

ポイント 不貞相手に対する慰謝料請求の注意点
離婚慰謝料が請求できるのは,不貞相手が離婚させようと意図していた場合に限られる
不貞相手が配偶者の婚姻関係を知らなければ,不貞行為の故意がない
配偶者と不貞相手の両方に全額の請求ができるが,二重取りはできない

慰謝料の相場

浮気・不倫の慰謝料は,法律に具体的な定めがあるわけではないため,個別に話し合いや裁判などを行って決定されます。もっとも,過去の事例の積み重ねから大まかな目安は存在すると言われており,具体的には以下のような金額が目安になりやすいでしょう。

不貞行為に対する慰謝料の目安

離婚しない場合 50~100万円ほど
離婚する場合 100~300万円ほど

不貞行為が原因で離婚する場合は,離婚まではしない場合と比較して精神的苦痛がより大きいとの評価になるのが一般的です。そのため,慰謝料の金額もより大きくなることが通常とされています。

慰謝料額が高くなる場合

浮気・不倫の慰謝料額が高くなる場合としては,以下のような事情のあるケースが挙げられます。

不貞行為の慰謝料額が高くなる事情

1.不貞行為の期間・回数
→期間が長く,回数が多いほど慰謝料額が高くなる

2.婚姻期間
→婚姻期間が長いほど,婚姻関係破綻の苦痛が大きいと判断されやすく,慰謝料額が高くなる

3.不貞行為の態様
→二度としないことを条件に配偶者が許したにもかかわらず,配偶者を裏切って不貞行為を繰り返したなど,態様がより悪質な場合には慰謝料が高くなる

4.被害者側の疾患
→配偶者の不貞行為が原因となってうつ病などの精神疾患が生じた場合には,不貞行為による精神的な損害が大きいと評価され,慰謝料額が高くなる

5.子どもの数や年齢
→未成年の子どもがいる場合や,子どもが多い場合には,不貞行為が配偶者に与える精神的負担が大きいと評価され,慰謝料額が高くなる

6.加害者側の経済力
→不貞行為をした側に経済力がある場合,十分な賠償能力があることを踏まえ,慰謝料額が高くなり得る

7.従前の反省状況
→交渉段階で不誠実な対応があった場合,より精神的苦痛が増大したと評価され,慰謝料額が高くなり得る

慰謝料額が低くなる場合

浮気・不倫の慰謝料額が低くなる場合は,慰謝料額が高くなる場合とは逆の事情があるケースということができるでしょう。

不貞行為の慰謝料額が低くなる事情

1.不貞行為の期間・回数
→概ね1~2か月程度の期間,1~2回といった水準の場合,期間や回数が限定的であり,慰謝料額が低くなり得る

2.婚姻期間
→概ね2~3年以内の期間であれば,婚姻期間が短期であると評価され,慰謝料額が低くなり得る

3.不貞行為の態様
→不貞関係があったという以上に配偶者を傷つける事情が見受けられない場合,慰謝料額が低くなり得る

4.被害者側の疾患
→不貞行為された側に特段の心身の不調が生じていない場合,疾患があるケースと比較して慰謝料額が小さくなり得る

5.子どもの数や年齢
→子どもがいない場合や,子どもがいても成人している場合などは,慰謝料額が低くなり得る

6.加害者側の経済力
→不貞行為をした側の経済力に限りがある場合,経済力を踏まえた判断となる可能性があり,慰謝料額が低くなり得る

7.従前の反省状況
→交渉段階で真摯な謝罪や反省などがみられる場合,精神的苦痛の緩和が意識され,慰謝料額が低くなり得る

8.社会的制裁
→周囲への発覚や仕事への影響など,不貞行為をした側の社会生活への支障が生じている場合,慰謝料額が低くなり得る

浮気・不倫について問題になりやすい点

浮気・不倫が原因となる離婚の場合,以下のような点が問題になりやすい傾向にあります。

①不貞行為の証拠

不貞行為は,他方の配偶者に発覚しないことを企図して行われるものであるため,離婚や慰謝料を請求する側(=不貞行為をされた側)が不貞行為の証拠を収集・提出するのは非常に困難であることが多いです。特に,不貞行為をした側が不貞行為の存在を否定する主張をしてきている場合,不貞行為があったことの客観的な証拠がなければ請求は認められないため,非常に深刻な問題になりやすいでしょう。

現実的には,不貞行為の客観的な証拠を可能な限り収集できるまで,離婚や慰謝料の請求を行わない方が合理的でしょう。客観的証拠に乏しい場合には,弁護士や興信所などに相談の上,不貞行為の証拠を積極的に獲得することも有力な手段です。

②慰謝料請求の時効

浮気・不倫に関する慰謝料の請求権は,「損害および加害者を知った日から3年」という消滅時効の対象になります。不貞行為の場合だと,その不貞行為を知った日から起算するのが通常でしょう。
そのため,不貞行為を知ったという精神的苦痛から,慰謝料請求を検討できないまま長期間が経過している場合,消滅時効に十分注意をするのが適切です。

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

浮気・不倫は、離婚原因の中で最も代表的なものであり、それだけに離婚事件となる場合の争点も多数生じ得ます。
また、浮気や不倫が慰謝料の対象となる場合、自身の権利として十分な慰謝料の支払を受けるべきですが、自分だけで十分な請求を行うことは容易ではありません。
浮気・不倫での離婚でお困りの場合は、積極的に弁護士への依頼を検討することをお勧めします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

離婚調停に至った事件は弁護士に依頼すべきか?依頼するとどんなメリットがあるか?弁護士依頼の割合や調停の成立割合も紹介

●離婚調停を申し立てたいが,弁護士に依頼すべきか?

●離婚調停を弁護士に依頼する人はどのくらいいるのか?

●離婚調停を弁護士に依頼するメリットが知りたい

●離婚調停はどのくらいの割合で成立するのか?

という悩みはありませんか?

このページでは,離婚調停を行うときに弁護士へ依頼すべきか,という点でお困りの方に向けて,離婚調停で弁護士に依頼すべき場合や依頼のメリット弁護士依頼や調停成立の割合などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

離婚調停では弁護士に依頼すべきか

離婚調停は,家庭裁判所において,裁判官1名と調停委員2名から構成される調停委員会に仲裁してもらいながら,離婚問題を話し合いで解決することを目指す手続です。裁判所の手続ではありますが,弁護士に依頼して行うことも,弁護士に依頼せず自身で行うことも可能です。
そこで,離婚調停は弁護士に依頼すべきか,弁護士に依頼するべきなのはどんな場合か,という点が問題になりますが,一般的には以下のような判断基準が有力でしょう。

①負担や手間を自分で背負うことができない場合

離婚調停は,申立書の作成・提出に始まり,各調停期日には直接裁判所に出頭して調停委員との話し合いに長時間を割かれることになります。この点,書面作成は簡易なものでも相当な時間と労力を要するものです。また,調停は当事者間の協議を試みる場であるため,裁判所は双方の話を聞く必要があり,調停期日の拘束時間は想像よりも遥かに長いことがほとんどです。
このように,調停に際しては多くの負担や手間が発生し,この全てを自分で背負える立場の人はそれほど多くないでしょう。

仕事が多忙であったり,育児などで長時間自宅を空けることがこんなんであったりと,調停に必要な負担や手間を自分で背負うことが困難な立場の人は,代理人の弁護士を通じて調停に臨むことをお勧めします。

②交渉を行うことに不安がある場合

離婚調停は,言うならば裁判所を挟んで行う当事者間の交渉です。そのため,交渉に不安がある状態では十分な対応は難しいことが見込まれます。
交渉には得手不得手があり,経験の有無も人によって様々です。交渉に不向きなタイプの人は,無理に自分で対応するのでなく,手続に精通した弁護士に依頼する方が結果的にも有益なことが多いでしょう。

③合意をしていいか判断に自信がない場合

離婚調停において解決できるかどうかの結論は,当事者間で合意ができるかどうかによって決定的に変わります。そのため,離婚調停においては合意をするかどうかの判断がほとんどの場合で生じることになります。
そうすると,合意をしていいかどうかの判断が自分でできるか,という基準は,離婚調停を弁護士に依頼するかどうかの判断に際して重要な目安になるでしょう。

ポイント 離婚調停を弁護士に依頼すべき場合
拘束時間の長さや手続の負担を自分で背負えないとき
希望する結論に至るまでの交渉が自分では難しいとき
最終的な結果に合意してよいか判断できないとき

離婚調停で弁護士に依頼する割合は?

離婚調停の際に弁護士へ依頼する人の割合は,年々増加傾向にあります。
本稿執筆時において最新である令和4年のデータでは,離婚調停のうち64.5%ではどちらかの当事者に代理人がついています。(【図25】右下部「手続代理人なし」の割合が35.5%であるため)

家庭裁判所における家事事件の概況及び実情並びに人事訴訟事件の概況等(令和4年)より引用

データ上は,10年前は代理人なしで行う離婚調停の方が多かったものの,年々代理人のない離婚調停が減少し,直近では完全に逆転しているのが明らかに見て取れます。

裏を返せば,離婚調停に至った事件では,当事者の少なくとも一方が弁護士に依頼して徹底的に争う方針を取っており,弁護士に依頼しない方が後れを取るリスクが高くなってきているということもできるでしょう。

弁護士依頼のメリット①書面作成の依頼

離婚調停を行うためには,必要な内容を記載した申立書を裁判所に提出することが必要です。離婚調停と書面作成は切っても切り離せない関係にあり,書面作成が離婚調停のスタートラインと言っても過言ではありません。

また,離婚調停は,概ね月に1回程度のペースで期日が行われ,期日間に書面を作成・提出することで裁判所に当事者の主張を伝えていくことが多く見られます。しかし,この書面作成は,弁護士のように繰り返して慣れている人でないと負担の大きな作業であり,その内容を考えるだけでも一苦労です。

この点,弁護士に依頼すれば,調停の進行に必要な書面の作成をすべて弁護士に任せることが可能です。また,十分に方針を打ち合わせた上で書面作成を依頼することで,書面の内容も漏れのない適切なものにすることができるでしょう。

弁護士依頼のメリット②裁判所との手続

離婚調停は,家庭裁判所への申し立てを要する手続であるため,法律の定めに沿った裁判所との手続が不可欠です。もちろん,当事者が申し立てることもできる手続なので,裁判所から案内受けながら自分で進めることも可能ですが,初めてのことばかりで円滑な手続は困難と言わざるを得ません。

弁護士に依頼することで,裁判所との間で必要な手続はすべて弁護士に任せることができ,離婚調停の円滑な進行が可能になるでしょう。また,弁護士から手続の状況に関して適宜案内や説明を受けることで,自分の離婚調停がどの段階にあるのかを正確に把握することも可能です。

弁護士依頼のメリット③期日の適切な対応

離婚調停の期日では,調停委員が当事者双方から順番に話を聞き,争点の整理や解決に向けた調整を試みていくことになります。この点,期日の前に十分な準備をしておけば,期日に際しても適切な対応のできる可能性は非常に高くなるでしょう。
しかし,期日における対応の全てを事前に準備することは非常に困難です。当日初めて出てきた相手の話を踏まえて,調停委員からその場で意見や反論を問われることもあり,その場合の対応は現場で直ちに考えなければならないことが通常です。

このように,着々と進んでいく調停の各局面において,その場で適切な対応をし続けるというのは,調停における対応に精通していないと容易ではありません。
この点,弁護士に依頼すれば,調停期日における対応の全てを弁護士に任せられるため,期日におけるとっさの対応に頭を悩ませる必要がなくなります。また,期日での調停委員などの反応を踏まえ,調停の結果に対する見通しを持つことも,離婚調停に長けた弁護士であれば可能な場合が少なくありません。

調停期日の内容から得られる情報は思いのほか多く,必要な情報を見落とさないためにも,調停期日の対応を弁護士に依頼することは有益と言えるでしょう。

ポイント
調停期日におけるその場の対応は,手続に精通した弁護士に任せるのが確実
弁護士は,調停期日で得られた情報から調停の見通しを持てることもある

弁護士依頼のメリット④争点や主張の整理

離婚調停では,当事者間の主張の相違を法的な争点として整理し,争点ごとに話し合いでの解決を試みます。そして,各当事者の具体的な主張は,争点との関係で有利な事情と評価できるかどうかによって,その価値が決まることになります。

そのため,当事者双方の言い分が,法的にはどのような争点についてどのような意味を持つ主張であるか,ということは,離婚調停を有利に進めるためには必ず理解しておくべきです。同じ内容の主張をするのであっても,争点を意識しながら主張するのと,ただ素朴な言い分として主張するのとでは,結果に対する影響が大きく変わってしまうことも珍しくはありません。

例えば,不貞行為の事実に争いはなく,不貞行為の時点で夫婦間の婚姻関係が破綻していたかどうかが争点であるという場合,不貞行為があったことだけ主張し続けても,争点との関係ではあまり意味がありません。不貞行為をしたかどうかは争点ではないためです。
この場合には,不貞行為がなされたのはいつか,その時点での夫婦関係はどのような状態であったか,という点の方が,結果との関係ではより重要な事実ということになります。
不貞行為は最も典型的な離婚原因の一つではありますが,不貞行為があったことを主張するだけでは調停の結果に結びつかないことがあるわけです。

この点,弁護士に依頼をすることで,離婚調停における主要な争点や争点に対する主張の方法・内容を適切なものにすることが可能になるでしょう。また,弁護士が主導して主張の内容を打ち合わせることによって,円滑かつ有利な調停の進行が可能になることも大いに見込まれます。

ポイント
当事者の主張は,争点との関係を意識することが重要
大切な事実であっても,争点との関係ではあまり意味が無い場合もある

離婚調停の成立割合

離婚調停は,裁判所を介すると言っても話し合いでの解決を目指すものであるため,調停成立に至ることが本当にあるのか,という疑問があるかもしれません。そもそも,離婚調停になる事件は離婚協議で解決しなかった場合である以上,話し合いでの解決は困難ではないか,とも考えられます。

もっとも,離婚調停では約半数が調停成立により解決しています。本稿執筆時の最新情報である令和4年のデータでは,全体の46.8%が調停成立により終了しており,不成立は16.9%にとどまります。

家庭裁判所における家事事件の概況及び実情並びに人事訴訟事件の概況等(令和4年)より引用

また,同データによると,取り下げによって終了した事件の割合も17.6%ありますが,取り下げが選択されるケースの中には当事者間で解決をしたものも相当数含まれていることが見込まれます。調停外で当事者間での解決ができたため,調停は取り下げる,という流れになったわけですね。
そのため,実質的に離婚調停を申し立てた後解決に至った,というケースは半数を超える可能性が高いと思われます。

夫婦間の問題について,離婚調停で解決を目指すという手段は十分に有力なものであると考えるのが適切でしょう。

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

離婚調停は,協議での離婚がうまくいかない場合に必要な手続であり,離婚を試みる人は誰もが検討する必要のあるものです。
そして,離婚調停は裁判所の手続で,明確なルールや運用の上で行われるものであるため,その運用に精通した弁護士への依頼によって,より有益な調停ができる可能性は高まるでしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

配偶者から離婚請求された場合は弁護士に依頼すべき?離婚請求されそうなときの備え方は?弁護士が解説

●相手が離婚を請求してきたときにはどうすべきか?

●離婚を請求されたら弁護士に依頼すべきか?

●離婚の請求を受け入れなければならない場合は?

●離婚の請求を断れる場合は?

●相手から一方的に離婚されないために取るべき手段は?

●相手からの離婚の請求に備えておくべきことは?

という悩みはありませんか?

このページでは,相手が離婚を請求してきたときに弁護士へ依頼すべきか,という点でお困りの方に向けて,相手が離婚を請求してきたときの対応方法や判断基準弁護士依頼のメリットなどを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

相手が離婚を請求してきたときに検討すべきこと

配偶者が離婚を請求してきた場合,ケースによっては突然の出来事に冷静さを失ってしまいがちですが,まず最初に以下の各事項を検討するようにしましょう。

①自分は離婚したいか

相手が離婚を請求してきている以上,相手は離婚をしたいことが明らかです。一方,自分が離婚したいか離婚したくないか,という点は,最初に明確にするのが適切でしょう。

自分も離婚をしたいという場合には,離婚するかどうかの争いはなく,後は離婚に際しての条件面のみのお話になります。そこでは,離婚に至った責任がどちらにあるのか,又はどちらにもないのか,といったことを踏まえ,離婚の条件を協議することが必要になってくるでしょう。
この点,離婚に至った責任が自分にはないのに,自分に不利益な条件で離婚をするメリットはありません。そのため,「離婚は了承するが条件は自分の希望通りにすることを求める」というスタンスが有力な選択肢になります。

一方,自分は離婚を希望せず,婚姻関係の継続を求める,ということであれば,離婚するかどうか,という入口段階で当事者間の主張が対立していることになります。その場合,離婚原因があるかどうか,具体的には婚姻関係が破綻していると言えるのか,という点が主な問題点となるでしょう。
離婚を希望しないにもかからわず,離婚の条件を検討してもあまり実益はありません。まず最初に離婚したいかどうかを明確にすることは,その後の方針や検討を間違えないためにとても重要なステップになります。

ポイント
自分も離婚したいのであれば,離婚の条件を有利にするための検討が必要
離婚したくないのであれば,離婚原因(婚姻関係の破綻)があるかという問題になる

②相手の請求に根拠があるか

相手が離婚を求めてくる場合,離婚の請求が正当であることの根拠を示してくることが多いでしょう。また,離婚の請求に合わせて自分に有利な条件を要求してくる場合は,離婚原因がこちらにあることを前提にしているので,離婚原因にこちらの責任がある,との主張をしてくることが通常です。

この点,相手の主張する離婚の原因は,法的には離婚が認められるような性質のものでないことも多く見られます。特に,弁護士に依頼せず本人が請求してきている場合,その請求が法的に正当かどうかを考慮した上でされている可能性はほとんどないでしょう。そうすると,離婚を希望しない場合に相手の主張する離婚原因を鵜呑みにして離婚に応じるのは,明らかに不合理であって取り返しのつかない不利益につながる恐れの大きい行為です。

また,離婚原因を作った責任がこちらにある,という相手の主張も,相手の一方的な言い分にとどまることが少なくありません。相手の主張に事実でない内容が含まれていないか,事実を捻じ曲げた上で本来存在しない責任を背負わせようとしてきていないか,という点は十分に確認するのが適切です。

ポイント
離婚の原因として相手の主張する内容が法的な離婚原因に当たるか
事実を捻じ曲げて離婚原因の責任を自分に背負わせようとしていないか

離婚請求された場合に弁護士へ依頼するメリット

相手から離婚を請求された場合,既に法的な検討や対応が必要な段階にあることが明白であるため,基本的に弁護士へ依頼するのが合理的でしょう。
以下では,離婚請求をされた場合に弁護士へ依頼する具体的なメリットを解説します。

①相手の請求を法的に評価・判断できる

相手から離婚を請求されている場合,その請求内容に対する評価・判断が不可欠ですが,弁護士に依頼することによって,弁護士に相手の請求を法的に評価・判断してもらうことが可能です。この評価・判断を自分で行うとなると非常に骨の折れる作業になりますが,弁護士に依頼をすれば,弁護士に検討を委ねて弁護士から説明を受けるだけで足りるので,その労力も正確さも雲泥の差ということができるでしょう。

相手の請求に法律の用語が含まれていたり,相手の請求が内容証明郵便などのきっちりした形式で行われたりすると,その内容も法的な正当性があるように感じてしまいがちですが,当然ながら請求の法的な評価は用いる用語や郵便の方法では決まりません。あくまで,離婚を請求する主張の根拠が法律上の要件に沿ったものであるか,という内容によって判断されるべきものであるため,法律の専門家に吟味してもらうのが最も適切です。

②適切な対応手段を考えてもらえる

弁護士に依頼すれば,相手の請求が法的に妥当なものか,という判断を前提に,具体的な対応手段についても適切なものを選択してもらうことが可能です。

例えば,相手の主張する離婚の原因が法的には離婚を認めるような内容でない場合,端的に相手の請求を断るのみで足り,自分から何らかの法的な手続を取る必要はないでしょう。一方,離婚すること自体には争いがないものの,相手が財産を勝手に持って行ってしまっている,という場合だと,適正な内容の財産分与を積極的に求めていくべきことが見込まれます。
さらに,相手が調停を申し立てている場合には,理由なく調停を無視することは不適切であるため,調停の手続上で適切な主張を尽くすことが望ましいでしょう。

以上のように,離婚を請求する相手の主張に応じて適切な手段は異なるため,弁護士を通じて個別のケースで適切な対応手段を判断してもらい,対応を委ねるのが合理的です。

③逆に相手の責任を追及できる場合もある

相手が離婚を請求してきている場合,実は相手の方が責任を負うべきであるのに,その責任をうやむやにしようとしてきていることもあり得ます。自分で離婚の原因を作っておきながら一方的に離婚を申し出る場合などが典型例でしょう。

相手に責任がある場合,相手の請求に対応するのみでなく積極的に相手の責任を追及することが適切です。例えば,相手が勝手に家を出てしまったのであれば,離婚の協議より先に婚姻費用を支払ってもらい,別居中の生活を保障してもらうべきでしょう。また,相手の不貞行為が原因なのであれば,まずは離婚より先にその不貞行為の責任について慰謝料などの負担をしてもらうことを話し合うべきと考えられます。

弁護士に依頼をすることで,相手の請求に対して受け身になることなく,積極的に相手の責任を追及することも容易になります。特に離婚原因に対して相手の落ち度が大きいと思われる場合は,相手の責任を追及する目的で弁護士に動いてもらうことも検討するのがよいでしょう。

離婚の請求を受け入れなければならない場合

相手から離婚の請求をされたとき,その請求に根拠がある場合は,離婚を受け入れなければならないことが通常です。具体的には,法定離婚事由に該当する事情がある場合,離婚の請求に根拠がある,ということになるでしょう。

民法に定められた法定離婚事由は,以下の通りです。

1.不貞行為 配偶者が不貞行為(不倫)を行った場合
2.悪意の遺棄 正当な理由なく配偶者との同居や扶養などを放棄する行為
3.3年以上の生死不明 配偶者が3年以上生死不明の場合
4.強度の精神病 配偶者が強度の精神病にかかり,婚姻の継続が困難な場合
5.その他婚姻を継続しがたい重大な事由 上記のほか,夫婦関係が著しく破綻している場合(長期別居など)

相手が法定離婚事由に該当する事実を主張しており,その事実が確かに存在するというのであれば,離婚の請求は受け入れるのが賢明と言えます。
このときは,離婚の原因もこちら側にあることが通常なので,離婚の条件を少しでも不利益の小さいものにすることを目指すのが適切でしょう。もっとも,自分から条件の緩和を申し入れていくのは困難がつきまとうため,弁護士に依頼の上,弁護士を通じて交渉を試みるのが望ましいところです。

ポイント
法定離婚事由に該当する事実がある場合は離婚を受け入れるべき
離婚を受け入れるべき場合は,離婚の条件を少しでも有利にするための弁護士依頼を

離婚に応じたくない場合にしておくべきこと

相手は離婚を請求しているものの離婚に応じたくない場合には,相手から一方的に離婚届が提出されないよう備えることが重要です。具体的には,「離婚届の不受理申出書」を提出し,相手の勝手な離婚届の提出を阻止するようにしましょう。

離婚届は,夫婦間で離婚の合意ができた後に,夫婦と証人2人が署名等した上で,住居地や本籍地のある役所に提出することになります。そのため,離婚届の提出は夫婦の合意の存在が大前提となるものです。
もっとも,離婚届を受理する役所は,必要な記載さえできていれば離婚届を受理しており,本当に夫婦の双方に離婚意思があるかを確認するものではありません。そのため,夫婦の一方が勝手に離婚届を作成・提出したとしても,形式的には離婚が成立してしまう可能性があります。
もちろん,離婚の意思がない離婚届は無効ですが,後から無効であると主張するのは調停や訴訟といった裁判手続が必要になり,非常に負担が大きくなってしまいます。

離婚届の不受理申出書は,役所にあらかじめ提出することで,その後に離婚届が提出されても受理しないよう取り扱ってもらうことができる書面です。離婚するかどうかが争いになっている場合は,相手の一方的な離婚届を阻止するためにも離婚届の不受理申出書を確実に提出しましょう。

なお,不受理の申し出は,基本的に本人が役所に出向き,対面での書面提出や身分確認が必要になります。具体的な手続は,居住地の役所に確認するようにしましょう。

離婚届の不受理申出書 書式

ポイント
離婚届は,夫婦の離婚意思を確認することなく受理される
離婚届の不受理申出書を出せば,配偶者が勝手に離婚届を出しても受理されなくなる

離婚請求に備えるため行っておくべきこと

相手からの離婚請求が予想される場合,相手に金銭を請求する準備を行っておくことが有益になりやすいでしょう。離婚に際しては,別居中の婚姻費用や離婚後の養育費など,継続的な支払が生じやすいですが,相手と対立する立場にある以上,相手が必要な金銭を円滑に支払ってくれることはあまり期待できません。そのため,後に金銭を請求した場合に,確実に回収できるよう備えておくことはとても重要です。

具体的には,配偶者の勤務先や,給与の振込先口座を把握しておくことが望ましいでしょう。
離婚に伴う金銭的な請求は,配偶者の収入をあてにして行うことが非常に多く見られます。収入は継続的に生じるものであり,収入からであれば確実な回収が期待できるためです。
しかも,給与の差し押さえは一般的に4分の1を限度にしか認められませんが,婚姻費用や養育費の未払いによる給与の差し押さえは給与の2分の1まで行うことができ,給与を引き当てにするメリットが大きくなっています。

近い将来に配偶者から離婚を切り出される可能性を想定する場合には,配偶者の勤務先や給与口座を把握することで,円滑に相手から金銭を回収する準備をすることが有益でしょう。

ポイント
離婚請求への備えとして,相手から金銭を回収できるよう準備することが重要
配偶者の給与を差し押さえられるようにしておく

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

相手が離婚を請求してきた場合には,まず離婚を受け入れたいか受け入れたくないか,受け入れたくない場合には離婚を断れるケースなのか,という点を検討する必要あるでしょう。
また,条件によっては離婚を受け入れる,という判断もあり,お話は想像以上に複雑になり得ますので,弁護士へのご相談やご依頼は積極的に考えるべき状況と言えます。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

離婚事件で相手に弁護士。自分も弁護士に依頼すべき?やり取りで注意すべき点は?弁護士依頼すると何が変わる?対弁護士の心構えを徹底解説

●相手が弁護士を立ててきた離婚事件は、弁護士に依頼すべきか?

●弁護士相手の対応で注意すべき点は?

●相手の弁護士にちゃんと分かってもらえば大丈夫?

●弁護士ではなく相手本人と話をしたいが可能か?

●相手に弁護士がいる場合に弁護士依頼するメリットが知りたい

という悩みはありませんか?

このページでは,離婚に関して相手が弁護士を立ててきた場合に自分も弁護士を依頼すべきか、というお困りをお持ちの方に向けて、相手が離婚弁護士を立ててきた場合における弁護士依頼のメリットや注意点などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

相手が離婚弁護士を立てたときは弁護士依頼すべき?

離婚に関しては,当事者のそれぞれに代理人の弁護士がつく可能性があります。そのため,離婚協議をしていたところ,急に相手が弁護士を立ててきた,という場合が考えられます。
そこで,相手の方が離婚協議のために弁護士を立ててきたとき,自分は弁護士に依頼すべきか,という点が問題になります。この点,相手の弁護士の告げてくる内容について適切な評価や判断ができる場合を除いては,弁護士依頼が適切であると考えるのがよいでしょう。

弁護士は,中立の第三者ではなく,依頼者からの要望を受け,依頼者の利益を図る目的で活動を行う立場の人物です。そのため,弁護士の告げる内容であったとしても,法的には認められないものであったり,明らかに不合理なものであったりすることは珍しくありません。この場合に,相手弁護士の主張する内容の不適切さが判断できないでいると,望ましい解決は難しくなり,大きな不利益につながる可能性が非常に高くなります。

また,弁護士は交渉に精通していることが多いため,自身の要求が不合理であったとしても,不合理であることが分かるように要求してくることはあまり期待できません。弁護士の要求が妥当なものかそうでないかは,自分の力で評価・判断せざるを得ないのです。

そのため,弁護士の告げてくる内容を適切に評価・判断できる場合以外は,自分も弁護士に依頼することで,適切な結果を目指すことが有力でしょう。現実には,法律の専門家でない立場で弁護士の要求を適切に評価・判断することは至難の業であるので,基本的には弁護士への依頼が適切であると考えてよいかと思われます。

ポイント
相手弁護士の要求内容を評価・判断できる場合以外は弁護士依頼が適切
弁護士の告げてくることであっても,内容が不合理な場合は珍しくない

相手の弁護士に対応するとき注意すべきこと

離婚事件で相手が弁護士を立ててきた場合,最初は自分が対応しなければならない場合も少なくありません。そこで,相手の弁護士に対応するときの注意点について解説します。

①中立な人物でないことを意識する

弁護士は,法律の専門家ではありますが当事者間を中立に仕切る第三者ではありません。一方の当事者と契約をし,その当事者の利益のために相手の利益を損なうことを目指した弁護活動を行うことも,弁護士の正当な業務の一つです。
相手が弁護士を立ててきたということは,その弁護士は相手の利益のために弁護活動を行うことが明らかです。離婚事件においては,相手の利益になることはほとんどが自分の不利益につながるものであるため,相手の弁護士は自分の利益を損なう話をしてくるものである,と考えるのが合理的でしょう。

相手の弁護士は専ら相手の利益のために連絡をしてきているのである,ということは強く意識するようにしましょう。

②安易に無視しない

離婚事件で相手の弁護士が何らかの請求をしてくる場合,応じなければ調停や訴訟に移行することを視野に入れているケースが考えられます。調停や訴訟へ移行した場合,その対応だけでも相当な負担が生じるため,同じ結論になるのであれば調停や訴訟へ移行することなく協議で解決できる方が有益であると考えるのが通常です。
しかし,相手の弁護士の連絡を安易に無視してしまうと,協議で円滑に解決できる可能性を自ら捨てる結果になる可能性が高まります。相手弁護士の連絡は「協議をしましょう」という趣旨であることがほとんどですが,これを無視すると,相手弁護士の目線では「相手に協議の意思がない」という理解になり得るのです。

そのため,協議で適切な結論に至る可能性を自ら放棄することにならないためにも,弁護士からの連絡に対して安易に無視することは控えましょう。具体的な対応方法が判断できない場合は,最初の返答から弁護士に依頼する方が賢明です。

③相手本人に連絡をしない

離婚事件で相手の弁護士から連絡が来る場合,その後の相手方の窓口はその弁護士になります。弁護士からの連絡が書面で届く場合,その書面にも「今後一切の連絡は弁護士へ行うように」という趣旨の内容が記載されています。

相手が弁護士を立ててきた場合には,その後相手本人に連絡することを控え,相手に向けた連絡はすべて窓口になっている弁護士へ行うようにしましょう。弁護士からの指摘を無視して相手本人に連絡をし続けると,ケースによっては違法行為として損害賠償等の責任を負わされる可能性があります。

④不用意な発言を控える

離婚事件で相手の弁護士と口頭の連絡を取る場合,弁護士に対して自分に不利益な発言をしてしまうと,後々に不利益な証拠として活用される恐れがあります。また,どのような発言をすると不利益であるか,という点は,判断のために法律的知識が不可欠な事項であり,法律の専門家でない方が適切に判断することは非常に困難です。

そのため,弁護士と連絡を取る場合には,考えなく弁護士への問いに反応するなど,不用意な発言をすることは控えるのが賢明です。口頭で弁護士に反論したとしても,その場で解決できる可能性はほとんどない上,相手の弁護士が自分の主張を聞き入れる意思を持ち合わせていなければ,どれだけ説得を試みても無駄に終わります。
弁護士との口頭の連絡では,割り切って全く情報提供をしない,というくらいの心構えがちょうどいい場合も非常に多いでしょう。

ポイント 相手弁護士への対応における注意点
弁護士は相手の利益を図ることを目的にしている
安易な放置は協議の可能性を捨てる結果になり得る
本人への連絡は違法となる場合もある
口頭での不用意な発言は不利益な証拠になることもある

弁護士依頼のメリット①法外な請求か分かる

離婚事件で相手が弁護士を立ててきた場合,何らかの請求をするために弁護士委任しているのが通常です。何も請求をしないのであれば,わざわざ弁護士を通じて連絡をよこしてくる必要がないためですね。
そうすると,まずは相手の弁護士からなされている請求を確認し,どのように対応するか判断しなければなりませんが,そのためには弁護士の要求が適切なものか法外なものか区別できることが必要です。この点,誰が見ても法外な請求であれば判断は容易ですが,弁護士の請求が明らかに不合理なものばかりではないため,法律の専門家以外が適切に判断することは困難であることが多いでしょう。

弁護士に依頼することで,相手の請求が合理的なものか法外なものかを正確に判断することが可能になります。また,その判断を踏まえて適切な対処の選択肢を案内してもらうこともできるため,
相手の請求に対する動きを誤る恐れがなくなるということができるでしょう。

ポイント
弁護士を立ててくるのは,請求をする目的であるのが通常
検討の出発点として,相手弁護士の請求を評価することが肝要
請求を正しく評価するためには,弁護士への依頼が最も端的

弁護士依頼のメリット②交渉力の差を防げる

離婚事件の場合,紛争解決の順序は原則として「協議→調停→裁判」の流れをたどります。つまり,離婚事件では総じて協議から入ることになります。そのため,離婚事件を取り扱う弁護士は,離婚事件の交渉経験に富んでおり,交渉方法に精通していることが多いです。
そうすると,離婚事件の交渉で弁護士と当事者がやり取りをする場合,交渉に必要な知識や経験に最初から大きな差が生じていることになります。もちろん,交渉の能力があったとしてもすべて有利な解決ができるわけではありませんが,交渉力に劣る立場では不利益な交渉を強いられる可能性が高くなることは間違いありません。

弁護士に依頼することで,「当事者VS弁護士」の場合に生じる交渉力の問題は解決することが可能です。そのため,交渉力の差が原因となって不利益な解決内容を強いられる恐れはなくなるでしょう。
また,弁護士に依頼し,弁護士の目で確認してもらうと,相手の交渉方法が実際には拙いものであるとわかる,という場合も少なくはありません。交渉に臨むにあたって,自分だけ交渉力を制限しているメリットはないので,弁護士依頼によって必要な交渉力を備えての対応を強くお勧めいたします。

ポイント
離婚事件はほとんどが協議(交渉)から始まる
離婚を扱う弁護士は離婚協議の経験が多いため,当事者との交渉力に差がある
弁護士に依頼すると,相手の交渉が拙いと分かる場合もある

弁護士依頼のメリット③協議が円滑に進みやすい

弁護士は,複数の解決方法を頭に入れた上で,そのうちどの方法で解決できるかを考えながら交渉を行います。つまり,闇雲に請求をしたり連絡をしたりするわけではなく,どんな方法でどんな内容の解決をするのが適切か,ということに考えを巡らせながら協議を進めています。
ところが,「当事者VS弁護士」となる場合,当事者の方が解決方法・内容の落としどころを考えながら協議に応じていることは少ないため,往々にして協議に無駄な時間ややり取りが生じがちです。場合によっては,協議で解決するはずであったものが調停や裁判に至ってしまうことも珍しくはありません。

この点,弁護士に依頼することで,解決の落としどころを見据えた弁護士同士の協議とすることが可能になります。互いに複数の解決プランを頭に入れて,そのいずれかでの解決ができないかを模索しながら協議を試みるので,協議が円滑に進むことも多く,無駄なやり取りや時間の浪費を防ぐことも可能です。
なお,見方によっては,相手が弁護士を立ててきたのは円滑な解決のチャンスということができるかもしれません。自分だけが弁護士に依頼して,相手が弁護士に依頼しなかった場合,同じ問題が生じ得るためです。
弁護士同士で協議するチャンスを活かすためにも,弁護士への依頼を積極的に検討したいところです。

ポイント
弁護士は,円滑な解決のため複数の選択肢を頭に入れて協議する
双方に弁護士が入ることで,より円滑な協議の進行が期待できる
相手が弁護士を立ててくるのは,双方に弁護士が入るチャンスでもある

弁護士同士の落としどころについては、弁護士コンパスの以下の記事が分かりやすいので読んでみてください。
弁護士同士の落としどころとは?交渉の流れや方法と3つのポイント | 弁護士コンパス

弁護士依頼のメリット④現状把握ができる

離婚協議や調停,裁判を行うにあたって,現在が有利な状況なのか,不利益な結果を覚悟すべき状況なのか,という点の正確な理解は不可欠です。特に,自分にとって芳しくない状況であるにもかかわらず,その事実を把握しないまま真っ向から争い続けてしまうと,より不利益の大きい結論になる恐れが大きくなります

この点,弁護士に依頼することで,弁護士を通じて離婚事件の現状理解と結果に対する見通しの把握ができるようになります。また,不利益な結果になる恐れが大きい状況であれば,早期の和解など,不利益を可能な限り小さくする方策を提案してもらうこともできるため,最悪の事態を免れるための重要なストッパーにもなってくれるでしょう。

ポイント
現状が有利なのか不利なのか,という理解は極めて重要
弁護士は,特に不利な状況で最悪の結果を防ぐのストッパーになる

弁護士依頼のメリット⑤複雑な内容を任せられる

離婚事件は,単に離婚するかどうかのみでなく,財産分与をどうするか,親権や養育費,面会交流といった子どもの関係をどうするかなど,多くの複数な内容を同時に解決することが必要です。また,協議で解決すれば円滑ですが,調停や裁判が必要になる場合,裁判所に対する適正な手続が必要にもなります。
これらをすべて当事者自身がこなすことは,決して容易ではありません。特に,相手が弁護士を立てている場合,相手はこれらの複雑な内容の全てを一挙に解決する目的であることが明らかであるため,その複雑な内容や手続から逃れることはできません。

そのため,相手が弁護士を立てている離婚事件では,自分も弁護士に依頼することで,複雑な内容や手続の一切を弁護士に任せる選択をするのが合理的でしょう。

ポイント
離婚事件で解決すべき内容は多岐に渡り複雑
相手に弁護士がいる場合,複雑な内容の解決は避けられない
自分も弁護士に依頼して複雑な解決や手続の一切を依頼するのが合理的

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

離婚事件で相手が弁護士を立ててきた場合、ご自身の知識やノウハウに自信がある方以外はご自身も弁護士に依頼することを検討するのが賢明です。
もっとも、ただ弁護士に任せるのではなく、弁護士に依頼すると何が違うのか、何が期待できるのかを踏まえて弁護士に依頼すると、弁護士に依頼する効果がより高くなるでしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

別居中の離婚は弁護士に依頼すべき?弁護士に依頼するとどんなメリットがある?別居中の離婚で弁護士を活用する方法の全て

●別居中の離婚は弁護士に依頼すべきか?

●別居中の離婚で弁護士に依頼するメリットは?

●別居中の離婚で弁護士依頼するときの注意点は?

●別居中の離婚で弁護士と打ち合わせておくべきことは?

という悩みはありませんか?

このページでは,別居中の離婚で弁護士依頼を検討中の方に向けて,別居中の離婚で弁護士に依頼するメリットや,依頼に際しての注意点などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

別居中の離婚は弁護士に依頼すべきか

離婚を検討する際,配偶者と別居中であるという場合も少なくありません。離婚に至るということは,婚姻関係の継続が困難であるわけであり,婚姻関係が継続できない者同士であれば別居を選択している方が自然とも言えます。
もっとも,別居中に離婚を目指すことは,配偶者と物理的に離れた場所にいる影響もあって必ずしも容易ではありません。離婚のための協議を行うこともままならない場合が多く見られます。

基本的に,別居中の離婚は弁護士に依頼することをお勧めいたします。その主な理由は,以下の通りです。

別居中の離婚を弁護士に依頼すべき理由

1.別居中の生活費に関する相談ができる
→専業主婦の場合など,配偶者が家計収入のほとんどを得ている場合,別居中には生活費の不安がつきまとうことになります。
弁護士に依頼することで,配偶者に適切な生活費の負担を要求したり,法的手続によって配偶者の必要な対応を強制したりといった方法で,別居中の生活費に関する悩みの解決が可能になりやすいでしょう。

2.配偶者の対応が期待できる
→別居中の夫婦である場合,夫婦間のコミュニケーションはあまり期待できないのが一般的です。特に,配偶者が離婚を希望していない場合や,配偶者に金銭的負担を求める内容である場合など,配偶者にとってコミュニケーションに応じるメリットに乏しい場合には,律儀に対応してくる配偶者の方が少ないでしょう。
弁護士に対応を依頼することで,当事者間であれば安易に無視されていたコミュニケーションでも,配偶者の適切な対応を期待できる可能性が高くなります。

3.自分で直接対応する必要がなくなる
→離婚をしようとする当事者間で直接離婚の協議などをするのは,大きな精神的負担がどうしても伴います。互いの落ち度を指摘したり,互いの意見に反論し合ったりするのは,それだけでも少なからぬ苦痛を感じるものです,
弁護士に依頼することで,相手との直接のやり取りを弁護士に任せることができ,対応に伴う負担や苦痛を回避することが可能です。

4.離婚に向けた適切な準備が可能になる
→離婚するかどうかに争いがある場合,離婚を希望する方はその根拠を収集・整理するなど,離婚の実現に向けた適切な準備が必要となります。もっとも,その準備は離婚原因や離婚の手続に関する法的知識が不可欠であり,闇雲に検討しても方針が誤ってしまえば取り返しのつかない不利益につながる恐れがあります。
弁護士に依頼することで,必要な法的知識がなくても,離婚に向けた正しい方針を立て,適切な準備を進めることが必要になります。

弁護士依頼のメリット①生活費の支払が受けられる

婚姻中の夫婦が別居している場合,収入に乏しい配偶者は他方の配偶者へ「婚姻費用」の請求ができるのが通常です。婚姻費用は,夫婦が相互に負う相手への扶助義務を果たすための金銭負担であり,別居中の生活を支えるための費用というべきものです。

もっとも,婚姻費用の請求は,配偶者が任意に対応しない限り,家庭裁判所へ適切な手続をもって行わなければなりません。また,婚姻費用を過去にさかのぼって請求することができないため,できるだけ早く請求しなければどんどん損をし続けることにもなってしまいます。
実際に,婚姻費用の請求を行わない夫婦間では,経済力のない方の配偶者がいわゆる兵糧攻めを受けるような状況になり,経済的安定のために別居や離婚ができないでいる,という場合も少なくありません。

この点,弁護士に依頼することで,まずは適切な婚姻費用の請求を行い,別居中の生活費を確保することが可能になります。別居中の生活が安定したものになれば,その後の離婚に向けた検討も安心して進めることができるようになるでしょう。

ポイント
婚姻中の夫婦が別居していれば,婚姻費用の請求が可能
婚姻費用は遡って請求できないため,弁護士に依頼してできるだけ早く請求する
別居中の生活費が確保できれば,離婚の検討もスムーズになる

弁護士依頼のメリット②配偶者がしっかり対応する

別居中の夫婦間では,感情的な対立の起きている場合が大多数です。そのため,夫婦の一方が何らかの請求をしたとしても,もう一方は感情的に反発してしまいがちで,話が前進しないまま感情的な対立だけが激化する場合が珍しくありません。逆に,配偶者からの連絡をすべて無視してしまい,やはり話は全く進展しない,というケースも多く見られます。

この点,弁護士に依頼し,弁護士から離婚に関する各種の請求や連絡を行うことで,夫婦間のやり取りではちゃんと対応してこなかった配偶者に対しても,適切な返答や対応を期待できる可能性が飛躍的に高まるでしょう。
当事者間でのやり取りに応じない配偶者の心中では,「(配偶者の話だから)応じなくても大したことにはならない」という発想のあることが多く見られます。そこに,法律の専門家である弁護士が介入することによって,請求の意思が確かであること,請求のためであれば法的手段に出る可能性のあることが配偶者に伝わり,配偶者の対応を促す効果が生じます。

配偶者が高をくくってきていると感じる場合,配偶者から誠実な対応を受けられていないと感じる場合には,弁護士を通じてやり取りすることで,そのような相手の甘えを許さない動きが非常に有力でしょう。

ポイント
配偶者本人からの請求には,反発や無視をするケースが多い
弁護士から請求することで,甘く見ていた配偶者に適切な対応を促せる

弁護士依頼のメリット③対応の負担が軽減できる

別居中に離婚を進めるためには,大雑把に列挙するだけでも以下のような動きが必要になります。

別居中の離婚に必要となる主な動き

【婚姻費用関係】
1,配偶者に婚姻費用の支払を請求する
2.請求の連絡が到着したかを確認する
3.婚姻費用の請求に対する配偶者の返答を確認する
4.婚姻費用の条件や支払方法を協議・決定する
5.配偶者からの支払を確認する
6.支払が滞る場合,催促や法的手続を検討する

【離婚関係】
1.配偶者に離婚協議を申し入れる
2.申し入れの連絡が到着したかを確認する
3.離婚の申し入れに対する配偶者の返答を確認する
4.離婚の条件(財産分与,親権,養育費,慰謝料等)を確認する
5.協議が成立すれば,離婚届を作成・提出する
6.協議で離婚が成立しない場合,調停を申し立てる
7.調停の各期日に出頭し,裁判所での必要な対応を尽くす
8.調停が成立しない場合は訴訟を提起する
9.訴訟の各期日に出頭し,裁判所での必要な対応を尽くす
10.調停又は訴訟の後,支払が滞る場合は催促や強制執行を検討する

これらの対応はただでさえ膨大である上,同居の場合と異なってコミュニケーション一つにも時間と労力が必要となる点で,より負担が大きくなりやすいです。
別居中のケースでは,別居生活の負担やストレスも無視できないため,これに加えて離婚の動きによる負担から心身に支障をきたす結果となることは避ける必要があるでしょう。

弁護士に依頼することで,別居中の離婚に必要な婚姻費用の請求及び離婚請求に関する手続や対応をすべて弁護士に任せることが可能です。そのため,対応の負担が大きく軽減し,離婚後の生活を円滑にスタートすることが容易になるでしょう。

ポイント
別居中の離婚は,婚姻費用の請求や離婚の手続における負担が大きい
弁護士に対応を依頼することで,負担を回避できれば,新生活も円滑に始められる

弁護士依頼のメリット④離婚の戦略を立てられる

別居中の場合,配偶者の一方が話し合いを断念して一方的に別居を選択した場合が非常に多いところです。そのため,離婚すべきかどうか,その条件をどうするかについて,当事者間で言い分が大きく食い違っていることが多数見られます。

夫婦間で離婚すべきかどうかの言い分が食い違う場合,離婚が成立するかは最終的に裁判所の法的判断になる可能性があります。また,協議や調停の段階でも,法的にはどのような判断になるケースなのか,という点を踏まえて対応方針を決めるのが通常です。
したがって,離婚の協議,調停,裁判のいずれの局面でも,どちらの当事者の言い分が結果に結びつくかは,その言い分が裁判所の法的判断において採用される内容か,という点が決定的に影響します。自分の言い分が法的に適切かどうかは,極めて重要になるわけです。

弁護士に依頼することで,離婚を目指す自身の言い分が裁判所に評価される内容であるかを適切に判断することが可能です。また,どのような根拠があれば裁判所に評価してもらうことが可能か,協議や調停で有利になるか,といった点が分かるため,離婚に向けてどんな準備をするべきか,という戦略を立てることも容易になります。

離婚協議を断念して別居に至ったという場合には,弁護士に依頼して適切な離婚の戦略を立てることが非常に有力でしょう。

ポイント
離婚に関して当事者の言い分が食い違っている場合,法的判断を意識することが重要
弁護士への依頼により,有利な法的判断を得るために必要な戦略を立てられる

弁護士依頼の際の注意点

別居中の離婚で弁護士依頼する際には,別居に至った理由を弁護士と正確に共有する必要がある,という点に注意しましょう。

別居自体は,夫婦間の同居義務に反する行為です。そのため,正当な理由なく別居して離婚を希望しても,有利な条件で離婚できる可能性は低いと言わざるを得ません。
依頼を受ける弁護士は,有利な条件で離婚できるかを検討する必要がありますが,別居に至った実際の理由を把握できなければ,離婚に向けた見込みを大きく誤らせてしまう恐れが大きくなってしまいます。例えば,依頼を受けたときには配偶者の不貞行為をきっかけに別居が始まったと聞いていたにもかかわらず,実際には自分の不貞行為がきっかけであった,となれば,依頼を受けた段階での検討は完全に無駄になるでしょう。

特に,自分の落ち度は弁護士にも話しづらいところですが,正確な情報を伝えなかったことによるデメリットの方がはるかに大きいことは間違いありません。別居中の離婚で弁護士に依頼する際は,別居に至った理由として考えられるものを余すことなく弁護士と共有するようにしましょう。

ポイント
弁護士に依頼する際には,別居に至った理由をすべて弁護士に伝える
特に自分に不利な理由が後から出てくると,不利益が大きくなってしまう

別居中の離婚で弁護士と打ち合わせるべきこと

別居中の離婚で弁護士に依頼する際,できるだけ早い段階で弁護士と打ち合わせをし,具体的な方針を立てることが適切です。当初に立てた方針次第で結果が決まる場合があると言っても過言ではないでしょう。
具体的には,以下のような打ち合わせを行うことが有益です。

①主張する離婚原因

離婚は,どちらにその原因があるかによって,慰謝料などの条件面に決定的な違いが生じます。そのため,相手に離婚の原因があることを主張するべきことになりますが,具体的にどのような離婚原因を主張するのかは,早期に打ち合わせの上,決定することが望ましいでしょう。

例えば,相手の不貞行為を原因とするのか,家庭内暴力を原因とするのか,性格の不一致を原因とするのか,ということによって,具体的な主張内容も違えば,離婚時の条件も大きく異なります。また,個別のケースにおいて離婚が認められるものなのか,という検討も必要ですが,これも当然ながら主張する離婚原因によって様々に異なります。

どのような離婚原因を主張するかは,その後の進め方を決定的に左右する最初の枝分かれでもあるので,早期の段階で適切に決めるため,弁護士との速やかな打ち合わせをお勧めします。

②主張内容に関する根拠の収集

主張する離婚原因が事実であると認められるためには,主張の根拠が不可欠です。根拠のない主張は相手に無視されてもやむを得ませんが,根拠のある主張であれば,相手に自分の請求を認めさせるための強力な武器になってくれるでしょう。
そのため,離婚原因の主張を裏付ける根拠や証拠の収集は極めて重要な作業になります。

この点,離婚原因ごとに争点になりやすいポイントや重視されやすい証拠・根拠が存在します。また,証拠収集の手段も数多く考えられますが,自分のケースでどの手段が有用であるかを判断することは容易ではありません。例えば,不貞行為の決定的な証拠を獲得することも有益ですし,日々の夫婦関係を粘り強く日記に残し続けていくことも有益ですが,いずれの手段も離婚原因によってはあまり意味をなさない場合があり得ます。

弁護士に依頼した際には,離婚原因の主張に根拠が必要か,必要であればどのような根拠をどのような方法で収集するか,という点をできるだけ早期に打ち合わせましょう。知識と経験ある弁護士からは,証拠収集のためのアイデアを得ることもでき,主張の根拠をより有効な手段で獲得することができる可能性も高くなります。

③いつ離婚を請求するか

夫婦が別居中の場合,別居の状態をどの程度の期間維持するのか,という点は戦略的な判断を要する問題です。

一般的に,別居期間が長期に渡る場合,離婚の請求が認められる可能性は高くなる傾向にあります。別居が長期間続いている場合,婚姻関係が破綻しているとの評価につながりやすいためです。
そのため,離婚すべきかどうかに争いがあり,離婚をしたいという主張の根拠が乏しい場合には,別居の状態を一定期間継続することで,離婚の請求を認めてもらえる可能性を高める,という選択が有力になるケースがあり得ます。

また,必ずしも離婚する方が有益ではなく,離婚を請求しないまま別居の状態を維持している方が得である,と判断する場合も考えられます。
月々の婚姻費用が支払われており,離婚を求める緊急の必要がない場合であれば,あえて離婚を請求することなく,そのままの生活を継続するという選択もあり得ないことではないでしょう。その後,相手の方から離婚を求めてくる方が,離婚の条件が有利なものになる場合も考えられます。
ただし,別居状態のまま離婚をしないでいる場合,その後の生活に支障が生じないかは慎重な検討が必要でしょう。実態と形式が食い違ってはいるため,安易な選択には注意するのが適切です。

ポイント 弁護士との打ち合わせ事項
どのような離婚原因を主張するのか,その主張は適切か
離婚原因の主張に必要な根拠は何か,その収集方法は何か
別居の状態をいつまで継続するか

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

夫婦が別居する原因は様々ですが,別居になったケースのほとんどが離婚に至っています。
もっとも,離婚時の条件や合意内容には,正しく対応した人とそうでない人の間に大きな開きが見られるため,漫然と離婚するのは取り返しのつかない不利益につながります。
別居中の離婚は,積極的に弁護士への相談をするのが望ましいでしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

離婚後は氏と戸籍に要注意!離婚後に希望の氏を名乗る方法,離婚後に子どもと同じ戸籍に入る方法を完全網羅

●離婚後,自分の氏はどうなるのか?

●離婚後の氏を選択したい場合はどうすべきか?

●離婚後,自分の戸籍はどうなるのか?

●離婚後の氏や戸籍について,どんな手続きが必要か?

という悩みはありませんか?

このページでは,離婚後の氏や戸籍についてお困りの方に向けて,離婚後の氏の選択方法離婚後の戸籍に関して必要な手続などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

離婚後の氏①婚姻前後で氏が変わらなかった場合

婚姻前後で氏が変わらなかった(結婚前の氏を名乗り続けていた)場合,離婚をしてもそのままの氏を名乗り続けることになるため,氏に関する手続は特に発生しません。

離婚後の氏②婚姻で氏が変わった場合の原則

婚姻により氏が変わり,婚姻中は配偶者の姓を名乗っていた場合,離婚をすると旧姓に戻るのが原則です。離婚により旧姓に戻ることを「復氏」と言います。

ただし,婚姻とともに配偶者の両親と養子縁組を結んでいた場合は,養子縁組も解消しなければ復氏が生じません。養子縁組に伴う氏の変更が維持されているためです。そのため,養子縁組を解消する「離縁」の手続をあわせて行うことで,旧姓に戻ります。

離婚後の氏③婚姻で氏が変わり,離婚後も名乗る

【離婚後3か月以内】

婚姻で氏が変わり,離婚後も婚姻中の氏を名乗り続けたい場合には,「婚氏続称」の届を行うことで,離婚後も婚姻中の氏を名乗ることが可能です。この届は,「離婚の際に称していた氏を称する届(戸籍法77条の2の届)」と呼ばれます。

手続としては,離婚の際に称していた氏を称する届を夫婦の本籍地や届出人の居住する自治体の役所に提出することが必要となります。離婚届と同時に提出できるため,離婚に際してあらかじめ検討しておくのが有益でしょう。

なお,この手続を行う場合は,自身を筆頭者とする戸籍を新たに作る必要があります。婚姻中の氏を名乗る自分の戸籍は,新規のものだからですね。

【離婚後3か月経過後】

離婚後3か月が経過すると,「婚氏続称」の届を行うことはできなくなります。その場合,婚姻中の氏を名乗りたいと考えるときには,家庭裁判所へ「氏の変更許可」を申し立てることが必要です。

もっとも,氏の変更許可は,これを定める戸籍法上,「やむを得ない事由」が必要となります。単に変更をしたいというのみでは許可されないことに注意が必要です。一般的には,社会生活に難が生じていたり,いじめや差別の原因になっていたりする場合に初めて許可される性質のものとなっています。

なお,離婚に伴う場合は,他のケースよりも変更許可されやすい傾向にはあります。離婚に際して姓が変わりやすいところ,実際に姓を選択してみないと実生活上の問題点は把握しづらく,婚氏続称が認められる短い期間制限内に判断させるのは酷である場合も多いためです。
ただ,家庭裁判所への申立てを要するため労力が大きく,許可までの時間もかかりやすいものである上,そもそも裁判所の許可が得られない可能性もあるため,積極的に用いる手段ではないでしょう。

ポイント
離婚後3か月以内には婚氏続称の届により婚姻中の氏を名乗ることが可能
離婚後3か月経過後は家庭裁判所に氏の変更許可を申し立てることが必要
氏の変更許可は不確実であるため,期間内に婚氏続称の届を行いたい

離婚後の戸籍①自分が筆頭者だった場合

婚姻中に自分が筆頭者である戸籍に入っていた場合,離婚後もその戸籍にとどまり続けることになります。そのため,戸籍についても特に必要な手続はありません。

配偶者の方は,離婚によってその戸籍から離れることになるので,戸籍の移動が生じた旨が記載されます。配偶者は,当該戸籍との関係では「除籍」という扱いになります。

離婚後の戸籍②配偶者が筆頭者だった場合の原則

配偶者が筆頭者である戸籍に入っていた場合,離婚によってその筆頭者の戸籍から除籍されることになります。そして,除籍後には婚姻前の戸籍に戻るのが原則です。これを「復籍」といいます。

もし,婚姻中に父母が別の戸籍へ転籍していた場合,父母が転籍した先の戸籍に入ることとなります。

離婚後の戸籍③配偶者が筆頭者だったが復籍しない

離婚後には,復籍するのでなく,新しい戸籍を作ってその戸籍に入ることも可能です。離婚届を提出する際に,復籍するのか新たな戸籍を作るのかを選択することになります。
また,婚姻前の戸籍が除籍されており,復籍ができない場合にも,新しい戸籍に入ることになります。

新たな戸籍を作る場合は,「新戸籍編製の申し出」を行う必要があります。この申し出に際して,新しい本籍地を特定し,その本籍地で新戸籍を編製してもらうことになります。

復籍せず新しい戸籍に入るケース
1.婚姻前の戸籍が除籍されていた場合
2.新戸籍編製の申し出をする場合
3.婚氏続称の届を提出した場合

新戸籍を作った後で復籍することはできないことに注意

ポイント
自分が筆頭者の場合,戸籍に変化なし
配偶者が筆頭者だった場合,婚姻前の戸籍に戻る(復籍する)のが原則
復籍を希望しない場合,新戸籍編製の申し出をすれば新しい戸籍に入る

子どもの戸籍

子どもの戸籍も,氏と同じく当然には変更されません。何も手続をしなければ,子の戸籍は婚姻中の戸籍にとどまり続けることとなります。

そのため,筆頭者でない方の親が親権者となる場合,何もしなければ親子が同じ戸籍に入ることはできませんが,子どもと親の氏が異なるままだと,子どもは親の戸籍に入ることができません。この場合,子どもの氏を親と同じ氏に変更する手続が必要となります。

具体的には,子の氏を変更するため,氏の変更許可を申し立てることが必要です。氏の変更許可により,子の氏を親と同じものに変更してもらえれば,子どもを親の戸籍に入籍させることが可能になります。

ただし,子が入る戸籍は,親が筆頭者であるものでなければなりません。そのため,親が復籍をしてその親(子から見て祖父母)の戸籍に戻っている場合,その戸籍へ更に子が入ることはできません。
これは,戸籍法上,戸籍が「夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに」編製するものであるためです。戸籍は夫婦と子ごとのもの,つまり親子2代に限ったものでなければならないため,孫を含めた3世代の戸籍を編製することはできないのです。

ポイント
筆頭者が親権者の場合,親子ともに婚姻中の戸籍にとどまり続ける
親と子の氏が異なると,親子が同じ戸籍に入ることができない
親と子を同じ戸籍に入れるには,子の氏の変更許可が必要
子は,その親が復籍した戸籍には入ることができない。親を筆頭者とする戸籍が必要

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

離婚後の氏や戸籍は,直ちに金銭的な影響を及ぼす問題ではありませんが,自分や子の身分に影響する非常に重要な事項です。
離婚に際しては,氏や戸籍をどうするのが望ましいか,十分に検討されるのが適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

嫡出否認と親子関係不存在確認は何が違う?どちらを選択すべきか?手続の注意点は?父と子の関係を争う手段を徹底解説

●自分が子どもの父親ではないと思うが,どうすべきか?

●嫡出否認とは?親子関係不存在確認とは?

●嫡出否認はどのような場合に必要か?

●親子関係不存在確認はどのような場合に必要か?

●申立ては誰が行うのか?

●申立てはいつまでに行う必要があるか?

●自分が父親でなかった場合,子の母親に何か請求できるか?

という悩みはありませんか?

このページでは,嫡出否認や親子関係不存在確認についてお困りの方に向けて,嫡出否認や親子関係不存在確認の制度や申立てが必要なケース,手続などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

嫡出否認とは

嫡出否認とは,法的に嫡出子(婚姻中の夫婦間に出生した子)と推定される子が実際には夫の子ではない場合に,その嫡出子としての地位を否定する制度をいいます。

現在の法律上,自分の嫡出子とされる子の条件は,以下の通りです。

嫡出推定される場合
1.婚姻中に出生した子
2.離婚後300日以内に出生した子

ただ,妻が婚姻中や離婚後300日以内に出生したとしても,それがすべて自身の子であるとは限りません。生物学的な父親は母親の夫でなく他の男性である,という可能性も否定はできないでしょう。
そこで,嫡出子でありながら現実の父親が母親の夫と異なるという場合に,子の嫡出子としての地位を否定するのが嫡出否認です。

親子関係不存在確認とは

親子関係不存在確認とは,嫡出子とは推定されない立場の子と父親との間に親子関係が存在しないことを争うための制度をいいます。

嫡出子と推定される場合には嫡出否認の手段を取ることができますが,そうでない場合にはこの親子関係不存在の確認を訴え(裁判手続)で求めることにより,法律上の親子関係を争うことが可能です。

ポイント
嫡出子と推定される子との父子関係を争う手続が嫡出否認
嫡出子と推定される子以外との父子関係を争う手続が親子関係不存在確認

嫡出否認の注意点

①申立ての権利がある人

嫡出否認について申立ての権利がある人は,以下の通りです。

1.父
2.子
3.母
4.前夫

②申立ての相手方

誰が相手方になるかは,誰が申し立てるかによって以下のように変わります。

申し立てる人相手方になる人
子又は親権を行う母
前夫父及び子又は親権を行う母

③期間制限

それぞれの権利者について,期間制限が以下のとおり定められています。

申し立てる人期間制限
父が子の出生を知った時から3年以内
その出生の時から3年以内
子の出生の時から3年以内
前夫前夫が子の出生を知った時から3年以内

④調停前置

嫡出否認について,調停前置主義の対象であるため,嫡出否認の訴えを提起する前に嫡出否認調停を申し立てることが必要です。

親子関係に関する問題については,できる限り話し合いで柔軟に解決する方が望ましいとの観点から,まず調停を実施し,調停では解決できない場合に限り訴訟での解決が可能である,という制度になっているのです。

親子関係不存在確認の注意点

①父子関係を争う子の範囲

親子関係不存在確認の訴えは,「推定の及ばない嫡出子」及び「非嫡出子」と父との親子関係を争う手続です。

【推定の及ばない嫡出子】

推定の及ばない嫡出子とは,婚姻中に出生した子(嫡出子)でありながら,母親の夫と血縁関係にある可能性が現実的に存在しない(推定を及ぼすことができない)子を言います。

例えば,以下のような例が挙げられます。

推定の及ばない嫡出子の例
1.夫の長期海外出張,受刑,別居
2.夫に生殖機能がない
3.夫婦間の性交渉が全くない
4.子の血液型が夫婦間ではあり得ない

推定の及ばない嫡出子も嫡出子ではあるため,出生届が出されれば,母親と婚姻関係のある夫との間の嫡出子となります。しかしながら,この結論は明らかに不合理であるため,父子関係を争う手段を認める必要があります。

推定の及ばない嫡出子について父子関係を争う手続は,嫡出否認の訴えでなく親子関係不存在確認の訴えによることが可能です。嫡出否認の訴えは,提訴期間や申立権者の範囲等の面で制限があるため,そのような制限のない親子関係不存在確認の訴えの方が,申し立てる人にとっては有利であると言えます。

【非嫡出子】

非嫡出子とは,嫡出子でない子,つまり婚姻関係にない男女間に生まれた子を言います。非嫡出子は嫡出否認の対象でないため,父子関係の争いは親子関係不存在確認の方法により行われることになります。

②申立てができる人

親子関係の不存在を確認する利益がある人は,申立てが可能です。子,母,戸籍上の父のほか,その親子関係について利害関係を持つ人が含まれます。

③期間制限

法律上の期間制限はありません

④調停前置

親子関係不存在確認も,嫡出否認と同じく調停前置主義の対象となるため,親子関係不存在確認の訴えを提起する前に親子関係不存在確認調停を申し立てることが必要です

調停において客観的な血縁関係の有無が明らかになれば,公開の訴訟まで行わずとも非公開の場で家族関係を解決できる可能性も十分にあるため,まずは調停を行い,調停で解決しなかった場合にのみ訴訟を行うことができるとされています。

ポイント 嫡出否認と親子関係不存在確認の違い

項目嫡出否認の訴え親子関係不存在確認の訴え
提訴権者子,母,父,前夫子,母,父,利害関係ある第三者
提訴期限子の出生(又は出生を知って)から3年以内なし
父子関係推定される嫡出子推定の及ばない嫡出子,非嫡出子

「推定されない嫡出子」の取り扱い

従来の民法では,婚姻の成立から200日以内に生まれた子は,「推定されない嫡出子」されていました。推定されない嫡出子とは,婚姻関係にある男女間に生まれた子(嫡出子)であるものの,嫡出推定がされない子を指します。

2024年改正前の民法では,婚姻の成立から200日以内の子は,その婚姻した夫の子とは推定されませんでした。そのため,夫と妻が婚姻した状況下で出生したにもかかわらず,嫡出推定はされない,という事態が生じていたのです。

しかし,2024年の民法改正により,婚姻中に生まれた子は,200日以内であってもその婚姻した夫の子であると推定されるようになったため,推定される嫡出子となりました
この「推定されない嫡出子」であった子については,民法改正前は親子関係不存在確認の対象でしたが,改正後は嫡出否認の対象になります。

親子関係がないと分かった場合の母親の責任

嫡出否認の訴えや親子関係不存在確認の訴えなどを通じて,戸籍上の父親とされる人物と子との間に血縁関係のないことが分かった場合,それは母親の不貞行為を意味することが通常です。そのため,父親は母親に対して不貞行為に基づく慰謝料の請求ができる可能性が高いでしょう。

もっとも,夫婦関係の継続を予定している場合,夫から妻に慰謝料を請求しても家庭内で金銭が循環するだけであって,実益がない可能性には留意が必要になります。この点,不貞相手への請求ができれば実益が増しやすいですが,不貞相手が特定できるとは限らないため,慰謝料請求を行うべきかどうかは,その後の家族関係も踏まえて慎重に検討するのが望ましいと考えられます。

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

男性の場合,自身と子に親子関係がない可能性があるケースでは嫡出否認や親子関係不存在確認といった手続を行う必要があり得ます。
これらの手続を怠った場合,取り返しのつかない不利益が生じるため,子との親子関係に疑問が生じた場合は,慎重にこれらの手段を検討することをお勧めします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

子の認知はどんなときにするの?認知しなければ養育費は請求できない?認知のために必要な手続きは?法改正後のルールを分かりやすく解説

●子の認知とは何か?

●子の認知が必要なのはどんな場合か?

●子が認知されるとどうなるのか?

●子の認知を請求する手続は?

●認知の請求はいつでもできるのか?

という悩みはありませんか?

このページでは,子の認知についてお困りの方に向けて,子の認知に関する制度や認知の効果認知請求の手続などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

子の認知とは

認知とは,子と父親の間に法律上の親子関係があることを認める手続をいいます。

子の立場には,大きく分けて嫡出子と非嫡出子に区別されます。

嫡出子婚姻関係にある男女間に生まれた子
非嫡出子婚姻関係にない男女間に生まれた子

嫡出子であれば,母親と婚姻関係にある男性が法律上の父親となりますが,非嫡出子の場合は,母親と婚姻関係にある男性がいません。そのため,法律上の親子関係がある父親が存在しないことになってしまいます。

子に法律上の父親がいないことの大きな問題点は,子の養育をする義務を負う男性が存在しないということにあります。子の生活を守るためには父親の養育費が重要になりますが,養育費は扶養の義務を負う法律上の父親にしか請求できません。そのため,法律上の父親がいない非嫡出子は,養育費が不足する恐れを抱える立場にある,ということになります。

子の認知が必要な場合

子の認知が必要になるのは,嫡出子でない(非嫡出子である)場合ということになります。
そして,2024年の民法改正後において,非嫡出子となるのは,以下のいずれかの場合と理解できます。

非嫡出子となる場合

1.懐胎時も出生時も母親が婚姻していない場合
2.離婚後300日経過後に出生した場合(出生時に再婚している場合を除く)

2024年の民法改正により,嫡出推定の規定や女性の再婚禁止期間に関する規定が見直され,嫡出推定の範囲がより明快になりました。
改正民法では,「婚姻後に生まれた子は婚姻中の夫の子である」とシンプルに推定されることとなったため,懐胎時または出生時のいずれかの時点で婚姻していれば,嫡出推定がなされることになります。場合分けをすると,以下の通り整理できます。

【出生時に婚姻中】

①懐胎時から出生時に渡って婚姻中の場合

婚姻相手である夫の子と推定される

②懐胎時は未婚,出生時には婚姻中の場合

婚姻相手である夫の子と推定される

【懐胎時に婚姻中】

③懐胎時は前夫との婚姻中,出生時は両親離婚

離婚後300日以内であれば前夫の子と推定される
離婚後300日経過後であれば非嫡出子となる(※)→非嫡出子となる場合「2」

婚姻中の懐胎であると分かれば前夫の子と推定される

④懐胎時は前夫との婚姻中,出生時は現夫と再婚

現夫の子と推定される(※)

※推定が重複する場合,再婚後の夫の子と推定されるため。

【懐胎時も出生時も婚姻なし】

⑤懐胎時から出生時に渡って婚姻していない

非嫡出子となる →非嫡出子となる場合「1」

認知された場合の効果

認知によって父親と子との間に法律上の親子関係が生じます。法律上の親子関係が生じることによって,以下のような権利義務関係の変化や形式面の変化が生じます。

認知の効果

1.扶養義務の発生
→法律上の親子の間には,親が子を扶養する義務があるため,父親に扶養義務が発生します。扶養義務の一環として,父親には養育費の支払義務も発生します

2.相続権の発生
→法律上の親子間には相続関係が発生します。そのため,認知した父親が死亡した場合,子は法定相続人となります
また,子が亡くなった場合,死亡した子に子がいなければ,父親が相続人となります。

3.戸籍への記載
父親の戸籍に,認知をした事実(認知日,子の名前,認知した子の戸籍)が記載されます。認知によって子が父親の戸籍に入るわけではありません。

4.親権への影響
→認知をしたからといて,父親が親権を有するわけではなく,非嫡出子の親権は母親が単独で持ちます。もっとも,父母の協議や調停により,認知をした父親が親権を持つことが可能です。ただし,裁判所が認知した父親への親権者変更を認めることは通常考えにくいでしょう。

認知を請求する方法

認知を請求する方法は,父親に自ら認知をするよう請求するか,裁判所に対して強制的な認知を求めるかの2つがあります。それぞれ,「任意認知」「強制認知」と呼ばれます。

認知の請求方法

1.任意認知を父親に求める
2.強制認知を求めて裁判所に調停や訴訟を提起する

①任意認知

任意認知を行う場合,父親が認知届を提出します。認知届は,父親の本籍地や住居地,又は認知される子の本籍地に当たる市区町村役場で提出が可能です。
認知届の書式は,各自治体のホームページからダウンロードができます。

認知届の記入後,父親と子どもの戸籍謄本や父親の身分証明書を添えて,市区町村へ提出すると,認知届が受理され,法的に親子関係が生じます。

認知届の提出は,基本的に父親が単独で行えますが,以下の点に注意が必要です。

任意認知の注意点

1.子が成人している場合,子の承諾が必要
2.子が胎児である場合は母の承諾が必要。提出先は母の本籍地

②強制認知

父親が認知を拒否する場合,調停又は裁判で裁判所に認知を求めることができます。

もっとも,認知の訴えは調停を経てからでないと提起ができません(調停前置主義)。そのため,まずは家庭裁判所に「認知調停」を申し立てることが必要です。
認知調停においては,裁判所が仲介する形で親子関係の合意を目指します。当事者間で合意ができ,裁判所も合意が相当と認めた場合,合意に相当する審判が行われ,認知が認められます。

認知調停で合意に至らない場合には,「認知の訴え」を提起することが可能です。これは,認知を強制するかどうか裁判所の判断を仰ぐ手続です。
認知の訴えに際しては,以下の点に留意しましょう。

認知の訴えに関する留意点

1.権利者
認知の訴えにおける提訴権者は,子,子の直系卑属とこれらの法定代理人です。

2.期間制限
父又は母の死亡の日から3年が経過すると,認知の訴えは提起できなくなります。
なお,父親の死後に認知を行うことを死後認知と言います。死後認知は,非嫡出子に父親からの相続をさせる目的で行われることが一般的です。

ポイント
任意認知は父親が単独で役場に対して行う(子が成人や胎児の場合に注意)
強制認知は,まず認知調停の申立てを行う
強制認知が調停で解決しない場合,認知の訴えを提起する

認知前の養育費が請求できるか

【養育費の支払期間(始期)】

養育費の支払いは,請求時から発生するという理解が通常です。養育費を請求する調停等でも,請求前の養育費を含んだ支払が命じられるのでなく,請求した月からの支払となるのが通常です。
これは,親の子に対する扶養の義務は,具体的に請求や協議をしない限り抽象的な義務にとどまり,具体的な権利義務が発生していないため,と理解されています。

【認知の効力】

法律上,認知の効力は出生の時にさかのぼって生じるものとされています。そのため,認知された子は生まれたときから認知された父親との親子関係があったことになります。

【問題点】

養育費の請求は認知されてからでないと行うことができないため,出生から養育費の請求までにはどうしても期間が生じます。それにもかかわらず,養育費の支払を出生時からでなく請求時からしか認めないのは適切なのか,というのがここでの問題意識となります。

【考え方】

この点,裁判例では,認知が出生の時にさかのぼって効力を生じることを根拠に,養育費の支払義務も出生時にさかのぼって生じると判断したものがあります。
もっとも,これは決して一般的なものではなく,個別のケースで不公平が生じないように行った判断である,という理解が適切でしょう。

裁判例などを踏まえると,認知前の養育費が請求できるかどうかは,以下のような事情を考慮して判断されると思われます。

認知前の養育費が請求できるかの判断要素

1.支払を命じなければ不公平であること
→父親の不在により生活が困窮している場合など

2.支払を命じることが義務者にとって酷でないこと
→養育の必要性を事前に把握していた場合など

3.それまで請求しなかったことに合理的な理由があること
→速やかに認知を請求し,認知後速やかに養育費を請求した場合など

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

子の認知は,主に子の父親へ養育費を請求するために必要な手続ですが,両親間・親子間の関係や状況によっても手続選択が異なるため,弁護士への依頼なく十分な対応をすることは容易でありません。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

養育費の遅延損害金は請求できる?利率・計算方法や支払を求めるための具体的な対応を解説

養育費の支払いが約束どおりに行われず、経済的にも精神的にも大きな負担を感じていませんか?

本来、子どもの健やかな成長を支えるために必要な養育費が滞ることは、生活設計を大きく狂わせる深刻な問題です。

そんなときに検討すべきなのが「遅延損害金」の請求です。実は、支払いが遅れた場合には法律上、一定の利率で遅延損害金を請求できます。

そこで本記事では、養育費の遅延損害金は請求できるのかどうかを踏まえ、利率・計算方法や支払を求めるための具体的な対応などを詳しく解説します。

藤垣法律事務所では、離婚関係の問題も取り扱っており、養育費に関するご相談も承っております。

大宮エリアや埼玉県内を中心に、ご相談いただいた案件について迅速で適切な対応を心がけて業務を遂行しております。以下からぜひ無料でご相談ください。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

養育費の支払いが遅れていたら遅延損害金を請求できる?

養育費の支払いが約束された期日よりも遅れた場合、遅延損害金を請求することは可能です。

理由は、民法上の「債務不履行」に基づく法的な権利であり、養育費の取り決めが法的効力を持つ債務である以上、期日通りに支払わなければ遅延利息が発生するからです。

遅延損害金を請求する場合、まずは養育費の支払いを遅延している相手に対して通知を行うことが重要です。

この通知には、支払い期限の経過を指摘し、遅延損害金の請求を明記することが求められます。

もし相手が支払いを拒否したり、支払わない場合は、家庭裁判所に申し立てを行うことで、法的に支払いを強制する手続きが可能です。

期限までに支払が行われない場合、1日ごとに遅延損害金が請求可能です。利率は、特に合意をしていればその内容に沿って、合意していない場合は年3%となります(3年ごとに変動の可能性があります)。

養育費の遅延損害金の利率

養育費の遅延損害金の利率について詳しく解説します。

約定利率があるケース

養育費の遅延損害金について、当事者間であらかじめ利率(約定利率)を取り決めている場合は、その利率が優先的に適用されます。

たとえば、離婚協議書や公正証書、調停調書などの文書に「支払いが遅れた場合は年5%の遅延損害金を支払う」といった記載があれば、法律で定められた法定利率よりもその約定利率に基づいて請求が可能です。

約定利率は双方の合意に基づくため、自由に設定することができますが、過度に高い利率は無効と判断される可能性もあるため注意が必要です。

約定利率がないケース

養育費の取り決めにおいて遅延損害金の利率(約定利率)が明示されていない場合は、民法で定められた法定利率が適用されます。

2020年4月の民法改正以降、法定利率は年3%とされていますが、これは経済状況に応じて3年ごとに見直される変動制となっています。

つまり、支払いが遅れた時点での法定利率が適用されることです。

たとえば、養育費が2023年に遅れた場合、その時点の法定利率が年3%であれば、それに基づいて遅延損害金を計算できます。

なお、養育費の支払いは定期的かつ継続的な義務であるため、各支払期日ごとに遅延が発生すれば、その都度利息が加算される仕組みです。

養育費の遅延損害金の計算方法

養育費の遅延損害金は、「未払いの養育費 × 遅延日数 × 遅延利率 ÷ 365日」で計算されます。

たとえば、月5万円の養育費が2024年1月1日までに支払われる約束だったにもかかわらず、実際に支払われたのが2024年4月1日だったとします。

この場合、支払の遅延日数は90日間となります。遅延利率が約定されていないと仮定し、民法上の法定利率(年3%)を用いて計算すると、以下の通りです。

50,000円 × 90日 × 0.03 ÷ 365日 ≒ 369円

つまり、遅延損害金として約369円を請求できる計算になります。ただし、支払遅延が複数月にわたる場合には、各月ごとに計算を行い、それらを合算する必要があります。

養育費が滞った場合に検討すべきこと

養育費は,長期間に渡って月々一定の金銭を支払う内容になるため,途中で支払いがされなくなったり,連絡が付かなくなったりしてしまう恐れが非常に大きい傾向にあります。特に,面会交流のできない非監護親の場合,将来に渡って律儀に養育費を支払い続けるモチベーションを自分で維持できる人は決して多くないため,養育費の支払いが滞った場合の対処は予め検討しておくのが望ましいでしょう。

実際に養育費が滞った場合には,以下のような点の検討が適切です。

養育費が滞った場合の検討事項

1.相手方(義務者)と連絡が取れるか
2.相手方(義務者)の財産が特定できるか
3.金銭を強制的に回収できる状況か

①相手方(義務者)と連絡が取れるか

支払が滞った場合の最初の対応手段は,相手方への任意の請求になることが一般的です。できることであれば,煩雑で時間のかかる手続を取ることなく,相手方から自発的に支払続けてもらうことが最も円滑でしょう。
そのため,まずは相手方と連絡を取ることができるか,連絡先が把握できるか,という点の確認,検討を行うのが望ましいです。

義務者と連絡が取れない場合、弁護士を窓口にすることで状況が改善する可能性があります。また、それでも連絡が取れなければ、強制的な手続で養育費を回収する必要が生じやすいです。泣き寝入りを防ぎ、適切な方法で養育費の支払を受けるためには、早期に弁護士へ相談されることをお勧めします。

②相手方(義務者)の財産が特定できるか

相手が任意に支払わない場合,強制的に回収する必要が生じ得ますが,その場合,回収のあてになる目ぼしい財産の特定ができているかどうかは重要な問題になります。対象財産の見通しが立っているかどうかは,強制的な回収に踏み切るかどうかの判断にも影響を及ぼすため,できるだけ早期の確認,検討が望ましいでしょう。

強制的な回収のあてになる財産としては,やはり金銭が最も適切でしょう。売却などの手続を要せず,直ちに確実に回収できるためです。具体的には以下のような財産の確認が有益になりやすいところです。

確認すべき相手方の財産の例

預貯金
金融機関は特定できていることが望ましい
給与
勤務先を特定できていることが望ましい

預貯金については金融機関に照会を行う方法、不動産については登記を取得する方法などが挙げられます。勤務先が特定できれば、給与も重要な財産になります。また、裁判手続で養育費を決めた場合には、裁判所に財産開示手続を求められるケースもあります。

③金銭を強制的に回収できる状況か

金銭を強制的に回収するためには,強制的に回収する権限のあることが必要です。具体的には,判決で認められた,調停が成立したなど,強制執行を行う根拠が必要であり,通常は文書化されています。このように,強制執行の法的な根拠が文書化されたものを「債務名義」と言います。

債務名義には,一般的に以下のような種類があります。

一般的な債務名義の種類

判決裁判所が下した判決で、債務者に対して支払いを命じるもの
決定・命令裁判所が出した決定や命令で、支払い義務を認めたもの
調停調書家庭裁判所や民事調停で成立した調停内容を記載した調書
和解調書裁判所での和解が成立した場合の和解内容を記載した調書
公正証書公証人が作成した文書で、債務者が支払い義務を認め、強制執行を受け入れる旨が記載されているもの

強制執行のためには債務名義が必要となるため,債務名義があるかどうかを確認する必要があります。

養育費が滞った時の対応 ①催促

養育費が滞った際は,まず,相手の支払を促すために催促することが一般的です。催促の方法は,電話やメールなど,最も便宜なもので差し支えないでしょう。
単に忘れていただけであったり,その月だけ速やかに支払えない事情があったりした場合には,簡単な催促のみで解決することも考えられます。

電話やメールなどの催促が到着しているにもかかわらず相手方が支払に応じない場合には,催促をした事実が客観的に証明できる手段で再度催促をしましょう。具体的には,「内容証明郵便」の利用が適切です。
内容証明郵便は,郵便局が郵便の差出人,受取人,内容,日時を証明してくれるもので,内容証明郵便で催促すれば,遅くともそのタイミングで送付したという事実が明らかにできます。
また,より形式の整った請求手段であるため,相手方に養育費の支払いを怠ることのリスクを感じさせる手段にもなり得ます。

養育費の支払が遅滞している場合,民法上は債務不履行に当たるため,遅滞するごとに遅延損害金が追加で発生します。相手方としては,支払を怠れば怠るほど支払金額が大きくなることを意味するので,遅延損害金をあわせて請求する意思を表明することで,より強く支払を促す手段も有力でしょう。

ポイント
養育費の支払いが滞った場合,まずは催促から
最初は電話やメールでも可,応じなければ内容証明郵便
遅延損害金の請求意思を表明する手段も有力

養育費が滞った時の対応 ②催促に応じない場合

催促をしても養育費が支払われない場合には,強制的な回収手段を検討する必要が生じます。

判決や調停,公正証書といった債務名義があれば,相手の意思に反してその財産から強制的に金銭の回収が可能です。もっとも,いきなり強制執行するのでなく,裁判所を通じた他の手段での解決を試みることも考えられます。
催促に応じない場合の具体的な手段としては,以下のような手続が挙げられます。

【履行勧告】

家庭裁判所の手続で決まった金銭の支払義務が守られない場合,家庭裁判所がその義務を履行するよう勧告することができます。これを「履行勧告」と言います。
履行勧告は,手続としては勧告(勧めること)にとどまるため,強制力はありません。履行勧告が無視されたとしても,養育費の支払を強制することはできない,ということになります。

履行勧告は,「より大きな不利益が生じる前に払ってください」というメッセージと理解するのが適切でしょう。

【履行命令】

家庭裁判所の手続で決まった金銭の支払が滞った場合,権利者が家庭裁判所へ申し立てることにより,家庭裁判所から義務者へ「履行命令」を行うことが可能です。履行命令は,裁判所が一定の期間を定めて義務者に履行を命令し,命令に反した場合には「10万円以下の過料」という行政罰の対象となる恐れがあります。

もっとも,履行命令もまた,支払そのものを強制する効力まではありません。ペナルティを伴う命令によって,支払をより強く促す手続,という理解が適切でしょう。

【養育費請求調停】

調停を利用せず協議で養育費を取り決めた場合には,支払が滞った後に家庭裁判所に別途調停を申し立てることも考えられます。

協議離婚の際に公正証書などで債務名義を確保しなかった場合は,支払を強制するために債務名義を獲得する必要がありますが,養育費に関しては調停を申し立てる手段が最もバランスの取れた方法であることが多いでしょう。
手続もあまり煩雑ではなく,内容的にも両当事者の事情を踏まえた裁判所から個別のケースに合わせた適切な判断を受けることが可能になります。

調停が成立した後は,同様に履行勧告や履行命令の手段もあります。

【民事訴訟】

養育費について取り決めを行った場合,その不払は債務不履行に該当するため,いわゆる民事訴訟として養育費の支払いを求める裁判を提起することが考えられます。

もっとも,民事訴訟によって得られるものは債務名義であるため,民事訴訟が有用であるのは債務名義がない場合に限られるでしょう。また,調停といった家庭裁判所の手続よりも手続や法律問題が難解であることが多いため,あまり積極的に用いる手段ではないことが多いと思われます。

【支払督促】

民事訴訟による債務名義の取得を行う場合,先立って裁判所に「支払督促」を申し立てる手段も考えられます。

支払督促とは,債務者が金銭を支払わない場合に簡易裁判所がその支払を求める手続を指します。債権者の申立てがあり,書面審査でその合理性が確認できれば,裁判所は債務者に支払督促を発します。

支払督促が発せられた場合の流れは,以下の通りです。

支払督促後の流れ

支払督促送達から2週間期間内に債務者の異議申立てあり
→訴え提起があったものとみなす(民事訴訟が開始

期間内に債務者の異議申立てなし
→債権者から仮執行宣言付支払督促の申立てができる
仮執行宣言付支払督促から2週間期間内に債務者の異議申立てあり
→訴え提起があったものとみなす(民事訴訟が開始

期間内に債務者の異議申立てなし
→仮執行宣言が確定し,強制執行が可能になる

支払督促がなされた場合,債務者がこれを無視し続けると,債権者は強制執行が可能になります。また,支払督促に対して異議申立てがあると自動的に民事訴訟へと移行するため,民事訴訟を想定している場合に支払督促を行ってみる手段は有力です。

債務名義がある場合は養育費・遅延損害金の強制執行も可能

債務名義がある場合は養育費・遅延損害金の強制執行ができます。ここからは、強制執行の方法について解説します。

給料の差押え ①可能な範囲

強制執行による回収は,多くの場合預金か給与を差し押さえて行うことになりますが,給与債権については,一般的な強制執行よりもより多くの差押えが認められています。具体的な内容は以下の通りです。

給与債権の差押え範囲

原則給与の4分の1まで
養育費の場合給与の2分の1まで

養育費は,子の生活を守るための大切な費用であるため,子を守る重要性を踏まえ,給与の2分の1までの金額を差し押さえることができるとされています。

債権者が把握し得る財産としては,給与債権が最も代表的であるので,給与の差押え範囲が広がっていることは,子どもを保護するために非常に重大な意味を持つことが多いでしょう。

預貯金の差し押さえ

養育費や遅延損害金の支払いが行われない場合でも、「債務名義(公正証書、調停調書、判決文など)」があれば、相手の預貯金に対する差し押さえによって強制的に支払わせることが可能です。

預貯金差押えとは、相手が保有する銀行口座に対して裁判所を通じて凍結・差押えを行い、そこから未払いの養育費や遅延損害金を回収する手続きです。

この手続きには、差し押さえ対象の金融機関名と支店名を正確に把握しておく必要があります。

実際の流れとしては、債務名義に基づいて地方裁判所に申し立てを行い、差押命令が発令されると、金融機関に通知が届き、相手の口座が凍結されます。

差押えが成功すれば、滞納分を回収できます。

不動産や動産の差し押さえ

不動産や動産の差し押さえによる強制執行を行うことも可能です。

不動産の差し押さえとは、相手名義の土地や建物を裁判所の手続きを通じて差し押さえ、最終的に競売にかけて売却代金から未払い分を回収する方法です。

一方、動産の差し押さえは、家具や車両などの動産を差し押さえ、同様に売却して回収を図る方法となります。

ただし、実務上は相手の居住地での立ち入りや保管コストの問題などから、実行が難しいこともあります。

これらの差し押さえを行うには、対象となる不動産や動産の所在や所有状況を把握しておく必要があり、手続きも複雑であるため、専門知識を持つ弁護士のサポートを受けることが大切です。

養育費の請求に強い弁護士をお探しの方へ

養育費の支払は,離婚後も相当期間継続するものであり,具体的な支払を支払う側の動きに任せることになるため,支払う側がある時から滞り始める場合も少なくありません。
そのとき,生活に重大な支障が生じることを避けるためには,取り扱いに長けた弁護士に相談・依頼するなどして迅速な請求を行うのが適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所