養育費の遅延損害金は請求できる?利率・計算方法や支払を求めるための具体的な対応を解説

養育費の支払いが約束どおりに行われず、経済的にも精神的にも大きな負担を感じていませんか?

本来、子どもの健やかな成長を支えるために必要な養育費が滞ることは、生活設計を大きく狂わせる深刻な問題です。

そんなときに検討すべきなのが「遅延損害金」の請求です。実は、支払いが遅れた場合には法律上、一定の利率で遅延損害金を請求できます。

そこで本記事では、養育費の遅延損害金は請求できるのかどうかを踏まえ、利率・計算方法や支払を求めるための具体的な対応などを詳しく解説します。

藤垣法律事務所では、離婚関係の問題も取り扱っており、養育費に関するご相談も承っております。

大宮エリアや埼玉県内を中心に、ご相談いただいた案件について迅速で適切な対応を心がけて業務を遂行しております。以下からぜひ無料でご相談ください。

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養育費の支払いが遅れていたら遅延損害金を請求できる?

養育費の支払いが約束された期日よりも遅れた場合、遅延損害金を請求することは可能です。

理由は、民法上の「債務不履行」に基づく法的な権利であり、養育費の取り決めが法的効力を持つ債務である以上、期日通りに支払わなければ遅延利息が発生するからです。

遅延損害金を請求する場合、まずは養育費の支払いを遅延している相手に対して通知を行うことが重要です。

この通知には、支払い期限の経過を指摘し、遅延損害金の請求を明記することが求められます。

もし相手が支払いを拒否したり、支払わない場合は、家庭裁判所に申し立てを行うことで、法的に支払いを強制する手続きが可能です。

期限までに支払が行われない場合、1日ごとに遅延損害金が請求可能です。利率は、特に合意をしていればその内容に沿って、合意していない場合は年3%となります(3年ごとに変動の可能性があります)。

養育費の遅延損害金の利率

養育費の遅延損害金の利率について詳しく解説します。

約定利率があるケース

養育費の遅延損害金について、当事者間であらかじめ利率(約定利率)を取り決めている場合は、その利率が優先的に適用されます。

たとえば、離婚協議書や公正証書、調停調書などの文書に「支払いが遅れた場合は年5%の遅延損害金を支払う」といった記載があれば、法律で定められた法定利率よりもその約定利率に基づいて請求が可能です。

約定利率は双方の合意に基づくため、自由に設定することができますが、過度に高い利率は無効と判断される可能性もあるため注意が必要です。

約定利率がないケース

養育費の取り決めにおいて遅延損害金の利率(約定利率)が明示されていない場合は、民法で定められた法定利率が適用されます。

2020年4月の民法改正以降、法定利率は年3%とされていますが、これは経済状況に応じて3年ごとに見直される変動制となっています。

つまり、支払いが遅れた時点での法定利率が適用されることです。

たとえば、養育費が2023年に遅れた場合、その時点の法定利率が年3%であれば、それに基づいて遅延損害金を計算できます。

なお、養育費の支払いは定期的かつ継続的な義務であるため、各支払期日ごとに遅延が発生すれば、その都度利息が加算される仕組みです。

養育費の遅延損害金の計算方法

養育費の遅延損害金は、「未払いの養育費 × 遅延日数 × 遅延利率 ÷ 365日」で計算されます。

たとえば、月5万円の養育費が2024年1月1日までに支払われる約束だったにもかかわらず、実際に支払われたのが2024年4月1日だったとします。

この場合、支払の遅延日数は90日間となります。遅延利率が約定されていないと仮定し、民法上の法定利率(年3%)を用いて計算すると、以下の通りです。

50,000円 × 90日 × 0.03 ÷ 365日 ≒ 369円

つまり、遅延損害金として約369円を請求できる計算になります。ただし、支払遅延が複数月にわたる場合には、各月ごとに計算を行い、それらを合算する必要があります。

養育費が滞った場合に検討すべきこと

養育費は,長期間に渡って月々一定の金銭を支払う内容になるため,途中で支払いがされなくなったり,連絡が付かなくなったりしてしまう恐れが非常に大きい傾向にあります。特に,面会交流のできない非監護親の場合,将来に渡って律儀に養育費を支払い続けるモチベーションを自分で維持できる人は決して多くないため,養育費の支払いが滞った場合の対処は予め検討しておくのが望ましいでしょう。

実際に養育費が滞った場合には,以下のような点の検討が適切です。

養育費が滞った場合の検討事項

1.相手方(義務者)と連絡が取れるか
2.相手方(義務者)の財産が特定できるか
3.金銭を強制的に回収できる状況か

①相手方(義務者)と連絡が取れるか

支払が滞った場合の最初の対応手段は,相手方への任意の請求になることが一般的です。できることであれば,煩雑で時間のかかる手続を取ることなく,相手方から自発的に支払続けてもらうことが最も円滑でしょう。
そのため,まずは相手方と連絡を取ることができるか,連絡先が把握できるか,という点の確認,検討を行うのが望ましいです。

義務者と連絡が取れない場合、弁護士を窓口にすることで状況が改善する可能性があります。また、それでも連絡が取れなければ、強制的な手続で養育費を回収する必要が生じやすいです。泣き寝入りを防ぎ、適切な方法で養育費の支払を受けるためには、早期に弁護士へ相談されることをお勧めします。

②相手方(義務者)の財産が特定できるか

相手が任意に支払わない場合,強制的に回収する必要が生じ得ますが,その場合,回収のあてになる目ぼしい財産の特定ができているかどうかは重要な問題になります。対象財産の見通しが立っているかどうかは,強制的な回収に踏み切るかどうかの判断にも影響を及ぼすため,できるだけ早期の確認,検討が望ましいでしょう。

強制的な回収のあてになる財産としては,やはり金銭が最も適切でしょう。売却などの手続を要せず,直ちに確実に回収できるためです。具体的には以下のような財産の確認が有益になりやすいところです。

確認すべき相手方の財産の例

預貯金
金融機関は特定できていることが望ましい
給与
勤務先を特定できていることが望ましい

預貯金については金融機関に照会を行う方法、不動産については登記を取得する方法などが挙げられます。勤務先が特定できれば、給与も重要な財産になります。また、裁判手続で養育費を決めた場合には、裁判所に財産開示手続を求められるケースもあります。

③金銭を強制的に回収できる状況か

金銭を強制的に回収するためには,強制的に回収する権限のあることが必要です。具体的には,判決で認められた,調停が成立したなど,強制執行を行う根拠が必要であり,通常は文書化されています。このように,強制執行の法的な根拠が文書化されたものを「債務名義」と言います。

債務名義には,一般的に以下のような種類があります。

一般的な債務名義の種類

判決裁判所が下した判決で、債務者に対して支払いを命じるもの
決定・命令裁判所が出した決定や命令で、支払い義務を認めたもの
調停調書家庭裁判所や民事調停で成立した調停内容を記載した調書
和解調書裁判所での和解が成立した場合の和解内容を記載した調書
公正証書公証人が作成した文書で、債務者が支払い義務を認め、強制執行を受け入れる旨が記載されているもの

強制執行のためには債務名義が必要となるため,債務名義があるかどうかを確認する必要があります。

養育費が滞った時の対応 ①催促

養育費が滞った際は,まず,相手の支払を促すために催促することが一般的です。催促の方法は,電話やメールなど,最も便宜なもので差し支えないでしょう。
単に忘れていただけであったり,その月だけ速やかに支払えない事情があったりした場合には,簡単な催促のみで解決することも考えられます。

電話やメールなどの催促が到着しているにもかかわらず相手方が支払に応じない場合には,催促をした事実が客観的に証明できる手段で再度催促をしましょう。具体的には,「内容証明郵便」の利用が適切です。
内容証明郵便は,郵便局が郵便の差出人,受取人,内容,日時を証明してくれるもので,内容証明郵便で催促すれば,遅くともそのタイミングで送付したという事実が明らかにできます。
また,より形式の整った請求手段であるため,相手方に養育費の支払いを怠ることのリスクを感じさせる手段にもなり得ます。

養育費の支払が遅滞している場合,民法上は債務不履行に当たるため,遅滞するごとに遅延損害金が追加で発生します。相手方としては,支払を怠れば怠るほど支払金額が大きくなることを意味するので,遅延損害金をあわせて請求する意思を表明することで,より強く支払を促す手段も有力でしょう。

ポイント
養育費の支払いが滞った場合,まずは催促から
最初は電話やメールでも可,応じなければ内容証明郵便
遅延損害金の請求意思を表明する手段も有力

養育費が滞った時の対応 ②催促に応じない場合

催促をしても養育費が支払われない場合には,強制的な回収手段を検討する必要が生じます。

判決や調停,公正証書といった債務名義があれば,相手の意思に反してその財産から強制的に金銭の回収が可能です。もっとも,いきなり強制執行するのでなく,裁判所を通じた他の手段での解決を試みることも考えられます。
催促に応じない場合の具体的な手段としては,以下のような手続が挙げられます。

【履行勧告】

家庭裁判所の手続で決まった金銭の支払義務が守られない場合,家庭裁判所がその義務を履行するよう勧告することができます。これを「履行勧告」と言います。
履行勧告は,手続としては勧告(勧めること)にとどまるため,強制力はありません。履行勧告が無視されたとしても,養育費の支払を強制することはできない,ということになります。

履行勧告は,「より大きな不利益が生じる前に払ってください」というメッセージと理解するのが適切でしょう。

【履行命令】

家庭裁判所の手続で決まった金銭の支払が滞った場合,権利者が家庭裁判所へ申し立てることにより,家庭裁判所から義務者へ「履行命令」を行うことが可能です。履行命令は,裁判所が一定の期間を定めて義務者に履行を命令し,命令に反した場合には「10万円以下の過料」という行政罰の対象となる恐れがあります。

もっとも,履行命令もまた,支払そのものを強制する効力まではありません。ペナルティを伴う命令によって,支払をより強く促す手続,という理解が適切でしょう。

【養育費請求調停】

調停を利用せず協議で養育費を取り決めた場合には,支払が滞った後に家庭裁判所に別途調停を申し立てることも考えられます。

協議離婚の際に公正証書などで債務名義を確保しなかった場合は,支払を強制するために債務名義を獲得する必要がありますが,養育費に関しては調停を申し立てる手段が最もバランスの取れた方法であることが多いでしょう。
手続もあまり煩雑ではなく,内容的にも両当事者の事情を踏まえた裁判所から個別のケースに合わせた適切な判断を受けることが可能になります。

調停が成立した後は,同様に履行勧告や履行命令の手段もあります。

【民事訴訟】

養育費について取り決めを行った場合,その不払は債務不履行に該当するため,いわゆる民事訴訟として養育費の支払いを求める裁判を提起することが考えられます。

もっとも,民事訴訟によって得られるものは債務名義であるため,民事訴訟が有用であるのは債務名義がない場合に限られるでしょう。また,調停といった家庭裁判所の手続よりも手続や法律問題が難解であることが多いため,あまり積極的に用いる手段ではないことが多いと思われます。

【支払督促】

民事訴訟による債務名義の取得を行う場合,先立って裁判所に「支払督促」を申し立てる手段も考えられます。

支払督促とは,債務者が金銭を支払わない場合に簡易裁判所がその支払を求める手続を指します。債権者の申立てがあり,書面審査でその合理性が確認できれば,裁判所は債務者に支払督促を発します。

支払督促が発せられた場合の流れは,以下の通りです。

支払督促後の流れ

支払督促送達から2週間期間内に債務者の異議申立てあり
→訴え提起があったものとみなす(民事訴訟が開始

期間内に債務者の異議申立てなし
→債権者から仮執行宣言付支払督促の申立てができる
仮執行宣言付支払督促から2週間期間内に債務者の異議申立てあり
→訴え提起があったものとみなす(民事訴訟が開始

期間内に債務者の異議申立てなし
→仮執行宣言が確定し,強制執行が可能になる

支払督促がなされた場合,債務者がこれを無視し続けると,債権者は強制執行が可能になります。また,支払督促に対して異議申立てがあると自動的に民事訴訟へと移行するため,民事訴訟を想定している場合に支払督促を行ってみる手段は有力です。

債務名義がある場合は養育費・遅延損害金の強制執行も可能

債務名義がある場合は養育費・遅延損害金の強制執行ができます。ここからは、強制執行の方法について解説します。

給料の差押え ①可能な範囲

強制執行による回収は,多くの場合預金か給与を差し押さえて行うことになりますが,給与債権については,一般的な強制執行よりもより多くの差押えが認められています。具体的な内容は以下の通りです。

給与債権の差押え範囲

原則給与の4分の1まで
養育費の場合給与の2分の1まで

養育費は,子の生活を守るための大切な費用であるため,子を守る重要性を踏まえ,給与の2分の1までの金額を差し押さえることができるとされています。

債権者が把握し得る財産としては,給与債権が最も代表的であるので,給与の差押え範囲が広がっていることは,子どもを保護するために非常に重大な意味を持つことが多いでしょう。

預貯金の差し押さえ

養育費や遅延損害金の支払いが行われない場合でも、「債務名義(公正証書、調停調書、判決文など)」があれば、相手の預貯金に対する差し押さえによって強制的に支払わせることが可能です。

預貯金差押えとは、相手が保有する銀行口座に対して裁判所を通じて凍結・差押えを行い、そこから未払いの養育費や遅延損害金を回収する手続きです。

この手続きには、差し押さえ対象の金融機関名と支店名を正確に把握しておく必要があります。

実際の流れとしては、債務名義に基づいて地方裁判所に申し立てを行い、差押命令が発令されると、金融機関に通知が届き、相手の口座が凍結されます。

差押えが成功すれば、滞納分を回収できます。

不動産や動産の差し押さえ

不動産や動産の差し押さえによる強制執行を行うことも可能です。

不動産の差し押さえとは、相手名義の土地や建物を裁判所の手続きを通じて差し押さえ、最終的に競売にかけて売却代金から未払い分を回収する方法です。

一方、動産の差し押さえは、家具や車両などの動産を差し押さえ、同様に売却して回収を図る方法となります。

ただし、実務上は相手の居住地での立ち入りや保管コストの問題などから、実行が難しいこともあります。

これらの差し押さえを行うには、対象となる不動産や動産の所在や所有状況を把握しておく必要があり、手続きも複雑であるため、専門知識を持つ弁護士のサポートを受けることが大切です。

養育費の請求に強い弁護士をお探しの方へ

養育費の支払は,離婚後も相当期間継続するものであり,具体的な支払を支払う側の動きに任せることになるため,支払う側がある時から滞り始める場合も少なくありません。
そのとき,生活に重大な支障が生じることを避けるためには,取り扱いに長けた弁護士に相談・依頼するなどして迅速な請求を行うのが適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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面会交流は何をする?面会交流の協議では何をどうやって決める?面会交流は断れる?いつまで行う?弁護士が一挙紹介

●面会交流とは具体的に何をするのか?

●面会交流に関する取り決めの方法は?

●面会交流について何を取り決める必要があるか?

●面会交流は断れるのか?

●面会交流の期間は?

●面会交流をさせるときに相手と連絡を取りたくない

●面会交流を認めるべきでない場合はあるか?

という悩みはありませんか?

このページでは,離婚の面会交流についてお困りの方に向けて,面会交流に関する取り決めの方法や内容面会交流に関する基本的なルールなどを解説します。

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面会交流とは

面会交流とは,離婚や別居により子どもと一緒に生活していない親(非監護親)が,定期的に子どもと交流する機会を持つことを指します。
面会交流の権利は,日頃子どもと同居しない親の権利であるとともに,親との交流を求める子の権利でもあります。民法では,面会交流について必要な事項を定めるにあたって,「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と明記されており,面会交流が子の権利を保護するためのものであることが確認されています。

子どもにとっての面会交流の重要性としては,以下の点が指摘されます。

面会交流の重要性

1.心理的安定
子どもが両親との関係を維持することで,心理的な安定感を得られます。

2.アイデンティティの形成
両親との交流を通じて,子どもは自分のアイデンティティを形成する手助けを得ます。

3.親子関係の維持
定期的な交流は親子関係を維持し,深化させる機会となります。

また,面会交流の方法としては,以下のようなものが挙げられます。

面会交流の方法

1.直接面会
非監護親が子どもと直接会って,一緒に過ごす時間を持つ方法です。例えば,週末に一緒に遊んだり食事をしたりします。

2.宿泊面会
非監護親の自宅で子どもが一泊または数泊する方法です。

3.オンライン面会
理的な距離やその他の事情で直接会うことが難しい場合,ビデオ通話などのオンライン手段で面会を行う方法です。

4.書信やメールのやり取り
直接会うことが難しい場合,手紙やメールのやり取りを通じて関係を維持することもあります。

面会交流を取り決める方法

面会交流に関する取り決めの方法は,主に以下の通りです。

面会交流の取り決め方
協議 当事者又は代理人による話し合い
調停・審判 家庭裁判所で調停委員を交えての話し合い
裁判 即時抗告又は離婚裁判

①協議

面会交流の取り決めを行う場合,まずは,両親の協議によって合意を目指すのが通常です。両親の協議を通じて,面会交流を行うどうか,行う場合にはその方法や頻度,日時などについて取り決めます。

面会交流を協議する際には,以下のような点に留意するのが適切です。

1.子どもの利益を最優先に考える

子どもの年齢や発達段階に配慮する
面会交流の頻度や方法は,子どもの年齢や発達段階に応じて適切に設定します。例えば,小さな子どもには短時間の頻繁な面会が適している場合があります。

子どもの意見を尊重する
年齢に応じて,子どもの意見や希望を尊重し,可能な限り反映させることが重要です。

2. 具体的で明確な取り決めを行う

頻度とスケジュール
面会の頻度やスケジュールを具体的に決めます。例えば,毎週土曜日の午前10時から午後4時までなど。

場所と方法
面会の場所(自宅,公園,公共施設など)や方法(直接面会,オンライン面会など)を明確にします。

送迎の手配
子どもの送迎方法や,どちらの親が送迎を担当するかを決めます。

3. 柔軟性を持たせる

調整可能なスケジュール
急な予定変更や緊急事態に対応できるよう,柔軟性を持たせた取り決めをします。

特別なイベントへの対応
誕生日や学校行事など,特別なイベントに対する取り決めも考慮します。

4.コミュニケーションを重視する

定期的な連絡
親同士の連絡を定期的に行い,子どもの状況や面会交流の調整について話し合います。

トラブルの回避
誤解やトラブルを避けるため,明確でオープンなコミュニケーションを心掛けます。

5.子どもの安全と安心を確保する

面会時のルール
面会中の基本的なルールや禁止事項(危険な行為,喫煙,飲酒など)を決めます。

心理的な配慮
面会交流が子どもの心理的な安定に貢献するよう,親が協力してサポートします。

6.書面化と見直し

合意内容の書面化
取り決めた内容を文書にし,両親が署名して確認します。書面化することで,後のトラブルを防ぐことができます。

定期的な見直し
子どもの成長や状況の変化に応じて,面会交流の取り決めを定期的に見直し,必要な修正を行います。

②調停・審判

【調停】

夫婦間の協議では面会交流の合意ができなかった場合,家庭裁判所に「面会交流調停」を申し立てることが可能です。
また,離婚前においては,「夫婦関係調整調停」(いわゆる離婚調停)を申立てた上で,離婚調停の中で面会調停に関する解決をあわせて目指すことも可能です。離婚協議と並行して行っている場合は,離婚調停の手段を取る方が端的なことも多いでしょう。

調停の場では,双方が出席の上,家庭裁判所での面談を行います。双方が個別に調停委員会(調停委員及び家事審判官)と面談し,その内容を踏まえて調停委員会が調整を目指す,という流れが多く見られます。

調停においては,以下のような内容を協議するのが一般的です。

調停における面会交流の協議内容

面会の頻度毎週末,月に一度,夏休みや冬休みの期間など
面会の場所非監護親の自宅,公共の場所(公園,レストランなど),その他合意された場所
面会の時間面会の開始時間と終了時間を明確にする
面会の方法直接面会,宿泊面会,オンライン面会など
送迎方法子どもの送迎方法や誰が送迎を担当するかなど
その他の条件特別な行事(誕生日,学校のイベントなど)に関する取り決めや,緊急時の連絡方法など

また,調停における考慮要素としては,以下のような内容が挙げられます。

面会交流調停における考慮要素

子どもの年齢と発達段階年齢や発達段階に応じた適切な面会交流の方法を考慮します
子どもの意見年齢に応じて,子どもの意見も重要視されます
親の居住地両親の居住地の距離や交通手段も考慮されます
親の関係両親の関係が面会交流にどのように影響するかを評価します
過去の面会交流の実績これまでの面会交流の実績やトラブルの有無も考慮されます

【調査官による調査】

家庭裁判所の調停においては,裁判所の「調査官」と呼ばれる立場の担当者が関与することも多く見られます。調査官は,面会交流が子どもにとって最善の利益になるようにするために,現状を詳細に把握する各種の調査を行います。

具体的な調査方法は,子との面談や家庭環境の確認などが代表的です。子の意見や環境を踏まえ,調査官が調査報告書を作成し,面会交流の取り決めに関する意見を提出します。この調査報告書の内容は,調停の進行に大きく影響を及ぼすことが少なくありません。

【試行的面会交流】

家庭裁判所の調停において面会交流が問題になる場合,「試行的面会交流」という方法を取ることがあります。試行的面会交流とは,家庭裁判所の調査官などが立ち会いの上で,実際に面会交流を実施し,その状況を観察することを言います。

試行的面会交流は,裁判所内における面会用の部屋で行われることが一般的です。面会の場において,非監護親がどのようなコミュニケーション取るか,子がどのような反応を示し,どのように感じるかなどを観察することで,最終的な面会交流の判断に反映させます。

面会が円滑に実施できた場合には,調停成立の重要な材料になることも多く,有益な制度と言えます。もっとも,試行的面会交流は基本的に1回のみとされるため,その面会で不安要素が露呈してしまうと,面会交流の実現から大きく遠のき,挽回のチャンスが得られなくなるかもしれません。そのため,試行的面会交流を行うかどうかは,親子関係なども踏まえて慎重な検討が有力でしょう。

【審判】

調停で合意に至らなかった場合や,当事者が出席しなかった場合など,調停が不成立となったときには,自動的に審判に移行し,裁判官が判断します。
審判では,調停に現れた様々な事情を総合的に考慮し,面会交流を認めるか,認める場合の具体的な内容はどうするか,といった点を決定します。具体的な判断内容としては,以下のような事項が挙げられます。

面会交流の審判における主な判断内容

面会の頻度と時間年月に一度,毎週末など
面会の場所非監護親の自宅,公園,公共施設など
面会の方法直接面会,オンライン面会など
送迎の方法子どもの送迎方法や,どちらの親が送迎を担当するかなど
特別な行事への対応誕生日や学校のイベントなど,特別な行事に関する取り決め

審判は,告知の日の翌日から2週間で確定し,確定後は審判の結果が強制力を持ちます。両当事者は,確定した審判の結果に従わなければなりません。

③裁判

調停及び審判に不服がある場合,別途不服を申し立てることで裁判所の判断を仰ぐことが可能です。

【即時抗告】

面会交流の審判に不服がある場合,告知の日の翌日から2週間以内に「即時抗告」を申し立てることで,高等裁判所の判断を求めることができます。

不服を申し立てることは可能ですが,決して安易に結果が変わるものでない点には注意が必要です。

【離婚裁判】

離婚調停において面会交流の協議を行っていた場合,調停が不成立となった後,離婚裁判を実施し,離婚裁判の中で面会交流に関する判断を求めることも可能です。この場合は,離婚に関する裁判結果の中で,面会交流に関する取り決めも決められることになります。

面会交流を断ることができるか

①原則

離婚後に,監護親の判断で面会交流を断ることは原則としてできません。
面会交流は,子の利益を最も優先して行われるべきものであり,監護親の独断で面会交流を断ることは不適切です。
子の健全な成長のためにも面会交流は重要であり,面会交流が子の利益に反するのでない限り,面会交流の拒否は認められません。

②面会交流を断ることのできる場合

面会交流が子の利益を考慮して行うものであることを踏まえ,面会交流の実施が子の利益に反する場合には,面会交流を断ることが可能になり得ます。
具体的な事情としては,以下のようなものが挙げられます。

面会交流を断ることのできる事情

1.子どもの安全が脅かされる場合

虐待のリスク非監護親による子への虐待のリスクが高い場合
暴力や脅迫非監護親が監護親や子どもに対して暴力や脅迫行為を行った場合
薬物やアルコール依存非監護親の薬物依存・アルコール依存症が面会に悪影響を生じさせた場合

2.子どもの心理的負担が大きい場合

強い拒否反応子ども自身が非監護親との面会を強く拒否し、心理的に大きな負担を感じている場合
トラウマ過去の面会交流や家庭内でのトラウマがあり、面会が子の精神的健康に悪影響を及ぼす場合

3.非監護親の行動に問題がある場合

面会交流のルール違反非監護親が面会交流の取り決めを守らない場合(約束の時間に遅れる・来ないなど)
監護親との連絡の問題非監護親が監護親に対して適切な連絡を取らず、面会交流が円滑に行えない場合。

③面会交流を拒んだ場合のペナルティ

面会交流の取り決めをしたにもかかわず,監護親が不当に面会交流を拒む場合には,「間接強制」という方法の強制執行を受ける可能性があります。
間接強制とは,約束を果たすまでの間「間接強制金」という金銭の支払を強制することで,金銭的負担を与えて約束を守らせるという強制執行の方法です。

もっとも,間接強制ができるのは面会交流の取り決めに反した場合のみであるため,前提となる面会交流の取り決めが明確になされている必要があります。面会交流を協議する場合は,可能な限り具体的に取り決めをし,書面化するようにしましょう。

面会交流の期間

面会交流は,子の成長を支える目的で実施されるものであるため,面会交流の基本的な期間は子が成人するまでと考えられます。2022年4月以降は,成人年齢が18歳とされているため,具体的には子が18歳になるまで,ということになります。

もっとも,面会交流が子の利益を最優先して行われるべきものであることから,子の希望を踏まえて成人後にも面会を行うことは特段問題ありません。成人後は,親の監護権が及ばないため,専ら子の意思を尊重して行われるべきことになるでしょう。

面会交流のサポート

両親が連絡を取りあわないなど,当事者のみでは面会交流の実施が難しい場合,当事者間の連絡調整や,子の受け渡し,見守りなどを支援する民間の団体があります。これは,「親子交流支援団体(面会交流支援団体)」と呼ばれ,法務省によって公表されています。

親子交流支援団体等の一覧表(法務省)

団体によっては,面会交流の取り決めそのものもサポートしてくれる場合があります。当事者間で面会交流の実施が困難な場合には,支援団体の利用も有力でしょう。

離婚の面会交流に強い弁護士をお探しの方へ

面会交流は,子どもが離婚の悪影響を受けることなく心身の成長をするために重要なものであり,親の都合でなく子どもの利益を念頭に取り決めなければならないものです。
しかし,両親の間には感情的な争いが生じやすい分野でもあり,十分な協議は難しいことも多いです。
面会交流に関する問題の解決には,取り扱いに長けた弁護士へのご相談が有益でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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養育費はいつどうやって決める?いつから受け取れる?再婚した場合に養育費はどうなる?養育費の悩みを解消したい人へ

●養育費とはどんなお金か?

●養育費の取り決めはいつ行うのか

●養育費は要らないと言ったが後から請求できないか?

●養育費の金額はどのように決まるのか?

●養育費はいつからもらえるのか?いつまでもらえるのか?

●養育費の支払が滞ったら,相手の給料からもらえないか?

●離婚後に生活が苦しくなった場合,養育費はどうなるか?

●再婚した場合,もらっている養育費はどうなるか?

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このページでは,離婚の際の養育費問題でお困りの方に向けて,養育費の内容や手続養育費の支払時期や方法などを解説します。

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養育費とは

養育費とは,子が成人するまでの生活費,教育費,医療費などを含む子の養育に必要な費用を指します。親は,自分の子の生活を保障するとともに,その成長を支える義務を負いますが,親が子を養育するこの義務は,夫婦が離婚しても親子が別居してもなくなるものではありません。
そのため,離婚する夫婦の間に未成年の子がいる場合,子を監護しない方の親は,子に対する義務を金銭の支払という方法で果たすことになりますが,これが養育費です。

養育費の具体的内容

1.生活費
子の食費、衣服費、住居費、日常生活に必要な費用

2.教育費
学校の授業料、教材費、制服代、部活動費、塾や習い事の費用

3.医療費
医療保険の自己負担分、予防接種費用、病気やけがの治療費

4.その他の費用
交通費、レジャー費、習い事や特別な活動の費用など

養育費を決める時期

養育費の決定は離婚の条件でないため,養育費を決めずに離婚することも可能です。しかしながら,後の紛争を防ぐためにも,子の生活を守るためにも,養育費は離婚や親権の解決と並行して決定すべきでしょう。

なお,養育費の請求権は,一般的な債権と同じく「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」で時効により消滅します。債権者である方の親が権利行使できると知らなかった,ということは考えにくいため,基本的には毎月の支払日から5年が経過するごとに,順次消滅時効にかかると理解するのが適切でしょう。

また,調停や審判,裁判上の和解や判決で確定した養育費の請求権は,消滅時効の期間が5年でなく10年となります。ただし,判決などによって時効期間が延長する債権は,その時点で確定するもののみなので,将来の支払い分には影響しません。判決などの時点で既に弁済期が来ている養育費は10年に,それ以降の養育費は原則通り5年の時効になります。

ポイント
養育費を決めずに離婚することもできるが,通常は離婚と並行して決定すべき
養育費請求権は5年で時効消滅。判決などで確定した場合には10年に伸長

養育費の請求権放棄

両親の離婚協議にあたって,離婚後の親権者が養育費の請求権を放棄した場合,養育費は請求されないのか,という問題の生じることがあります。
一例としては,離婚を急ぎたいがために,話し合いを早期に終了させる目的で「養育費は要らない」とした場合などが挙げられるでしょう。

この点,養育費の請求権は,子が親に対して持つ「扶養請求権」の一つですが,扶養請求権は放棄をすることが法律上認められていません。そのため,両親の間で養育費を放棄する合意をしたとしても,その合意は無効であると考えることが一般的です。

もっとも,夫婦間で養育費の請求権を放棄する合意があった場合,その合意に至る事情については十分に確認の必要があります。具体的には,合意が全体として子の利益であれば,必ずしもすべて無効とする必要がない場合も考えられるところです。

ポイント
親が養育費請求権を勝手に放棄することはできない
両親間で養育費放棄の合意をしても原則として無効
もっとも,合意に至る事情や内容を十分に確認することになる

養育費の金額算定方法

養育費の金額は,両親が合意して決定できるのであれば,その金額に従う形での解決が可能です。もっとも,養育費の金額について一切の目安なく決定することは容易でありません。

そこで,家庭裁判所裁判官を研究員とする司法研究を通じて「養育費算定表」が作成・公表されています。養育費の計算は厳密に行うと非常に複雑で時間がかかるため,離婚協議などの際に簡単な目安とできるよう,裁判所が公開しているものです。
調停などの裁判実務でも,養育費算定表に沿った養育費の計算が一般的です。

養育費算定表リンク
(表1~表9)

(参考)表1

この算定表の見方は,以下の通りです。

1.横軸が権利者(請求する方)の年収額
2.縦軸が義務者(支払う方)の年収額
3.横軸と縦軸の交わる点に該当する金額が養育費(月額)

(例)

権利者が年収300万円の給与所得者,義務者が年収700万円の給与所得者
14歳以下の子が1名のみの場合

表1を用いると,縦軸と横軸の交わる点は6~8万円のため,適切な養育費の目安は6~8万円となります。

なお,養育費算定表はあくまで一般的な目安であるため,現実の養育費がこれを上回る場合もあり得ます。
一例としては,子の学費が一般的なもの以上に発生する場合が挙げられます。私立学校に通学させたい,習い事や塾を充実させたい,という方針だと,比例して必要な養育費は大きくなるため,養育費算定表にはとどまらない金額になることも考えられます。このような場合は,当事者間で方針を共有し,合意する限り,全く問題ないでしょう。
ただ,育児方針に相違があるなど,両親の主張が異なる場合には,養育費算定表を超える金額を請求したい方がその根拠を説得的に主張することが必要になると思われます。

養育費の支払を受けられる期間

養育費の支払を受けることのできる期間の始期と終期は,以下の理解が一般的です。

始期
請求をした時
終期
子が18歳になった時

①養育費支払の始期

養育費は遡って請求することができないため,支払を受けられる期間の始期は,請求をした時となります。
現実的には,離婚の際にあわせて養育費の取り決めをするのが適切でしょう。離婚と同時に養育費の取り決めをしていれば,それから請求までの空白期間が生じないため,養育費の請求に漏れがなくなります。

一方,離婚後に養育費を請求する場合は,請求を行ったことの根拠が残る方法を取ることが適切でしょう。当事者間で行う場合には,「内容証明郵便」及び「配達証明郵便」の利用が有力です。内容証明郵便とは,郵便局が郵便の存在及び内容を証明してくれる郵便,配達証明郵便とは,郵便局が配達された事実を証明してくれる郵便をいい,これらを用いることで請求した事実の根拠を獲得することが可能です。
また,調停を申し立てる場合は,極力早期に行うのが適切でしょう。調停の手段で請求した場合には,支払を求められる期間の始期が調停を申し立てた時期ということになるためです。

②養育費支払の終期

養育費の支払の終期は,基本的に子が成人するまでとなります。2022年4月より,子は18歳で成人することが定められているため,原則としては18歳に至るまでということになるでしょう。

もっとも,必ず18歳までに限定されるわけではありません。具体的には,以下のような取り決めも考えられます。

養育費終期の例

1.大学進学を予定している(又は在学中)場合
大学卒業までの間

2.「成人」の年齢を両当事者が20歳と考えている場合
子が20歳に至るまでの間

養育費の支払が滞った場合

調停や審判,裁判といった方法で,裁判所を通じて養育費の支払いを定めた場合,その支払いが滞った場合には,裁判所を介してその支払を促したり強制したりする手段を講じるのが有力です。具体的には,以下のような方法が考えられます。

【履行勧告】

家庭裁判所の手続で決まった金銭の支払義務が守られない場合,家庭裁判所がその義務を履行するよう勧告することができます。これを「履行勧告」と言います。
履行勧告は,手続としては勧告(勧めること)にとどまるため,強制力はありません。履行勧告が無視されたとしても,養育費の支払を強制することはできない,ということになります。

履行勧告は,「より大きな不利益が生じる前に払ってください」というメッセージと理解するのが適切でしょう。

【履行命令】

家庭裁判所の手続で決まった金銭の支払が滞った場合,権利者が家庭裁判所へ申し立てることにより,家庭裁判所から義務者へ「履行命令」を行うことが可能です。履行命令は,裁判所が一定の期間を定めて義務者に履行を命令するもので,命令に反した場合には「10万円以下の過料」という行政罰の対象となる恐れがあります

もっとも,履行命令もまた,支払そのものを強制する効力まではありません。ペナルティを伴う命令によって,支払をより強く促す手続,という理解が適切でしょう。

【強制執行】

確定判決又はこれと同一の効力を持つ手続で決定した養育費の支払が滞った場合,強制執行によって養育費を回収することが可能です。

強制執行による回収は,多くの場合預金か給与を差し押さえて行うことになりますが,給与債権については,一般的な強制執行よりもより多くの差押えが認められています。
具体的な内容は以下の通りです。

給与債権の差押え範囲

原則給与の4分の1まで
養育費の場合給与の2分の1まで

養育費は,子の生活を守るための大切な費用であるため,子を守る重要性を踏まえ,給与の2分の1までの金額を差し押さえることができるとされています。
ただし,履行勧告や履行命令に比して手続負担が重いため,最終手段とする場合が多く見られるところです。

ポイント

履行勧告家庭裁判所から促してもらえるが,強制力なし
履行命令家庭裁判所に命令してもらえる。過料のペナルティはあるが強制力なし
強制執行財産を差し押さえて強制的に回収できる。給与は2分の1まで可能

養育費が増減する場合

養育費は,金額を定めた時点における事情を考慮して決定されるものであるため,後になって事情変更が生じた場合,増額又は減額が認められる場合も考えられます。
増減を求める場合は,裁判所に調停を申立てた上で,条件の変更をしなければ当事者間の公平を失することなどを十分に主張することが適切です。

養育費が増減する事情としては,以下のようなものが挙げられます。

養育費の増減事由

1.義務者の収入変化
義務者の収入が大幅に増加した場合、養育費の増額が認められることがあります。逆に、収入が減少した場合、減額が認められる可能性があります。

2.権利者の収入変化
権利者の収入が減少し、経済的に困窮している場合、養育費の増額を求めることができます。逆に、権利者の収入が増加した場合、減額が認められることがあります。

3.子の養育費用の増加
子が成長するに従い、教育費や医療費などの必要な費用が増加した場合、養育費の増額が認められることがあります。

4.特別な事情
子の病気や障害など、特別な事情が発生した場合、養育費の増額が必要になることがあります。

再婚と養育費の関係

養育費を受け取る側が再婚し,新たに家計を支える人が現れた場合,子の養育を取り巻く状況は大きく変わります。また,養育費を支払う側に養育すべきほかの子ができた場合,養育費の支出に関する状況も大きく変わるでしょう。
そこで,再婚と養育費の関係について検討する必要があるケースは少なくありません。

①権利者の再婚

権利者が再婚し,再婚相手が子と養子縁組をした場合,その子の養育は,権利者と再婚相手の二人で行うべきことになります。そのため,義務者が養育費を支払い続ける必要はないとの判断になりやすいでしょう。

もっとも,再婚相手が子と養子縁組をしていない場合,再婚相手に子を養育する義務(扶養義務)は生じないため,養育費に変動の生じないことが通常でしょう。

②義務者の再婚

義務者が再婚して新たに子どもができたり,義務者が再婚相手の子と養子縁組をしたりした場合,義務者にとって養育すべき子の数が増えることになります。
そうすると,義務者の負担できる養育費は小さくならざるを得ず,養育費を減額し得る事由に当たると言えるでしょう。

離婚の養育費に強い弁護士をお探しの方へ

養育費は,離婚後でも子どもを十分に養育するために大切の費用です。
離婚は,子どもにも大きな影響を及ぼす出来事であるため,子どものために養育費の十分な検討を行うことは,親にとって不可欠と言えます。
とはいえ,具体的な金額や内容を当事者間で決めるのは容易ではありません。養育費に強い弁護士へのご相談,ご依頼をお勧めいたします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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親権と監護権の違いは?離婚原因を作った場合でも親権者になれる?離婚後に親権・監護権を変更できる?親権と監護権の基礎

●親権とは何か?監護権とは何か?

●親権者が決まらないと離婚はどうなるのか?

●親権と監護権を分けるのはどんな場合か?

●親権や監護権はどうやって決めるのか?

●親権者になるための条件は何か?

●離婚の原因が自分に合っても親権者になれるか?

●親権者を後から変更することは可能か?

という悩みはありませんか?

このページでは,離婚時の親権・監護権についてお困りの方に向けて,親権や監護権の内容親権者の決定方法や親権者になる条件などを解説します。

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親権とは

親権とは,子の利益を守るために親が持つ権利と義務のことを指します。子どもを保護し,成長させていくという親の義務を果たすため,親には以下のような親権が認められています。

親権の種類

1.身上監護権

監護教育権子の日常生活や教育,養育に関する権利と義務です。子の生活環境を整え,健康を保ち,教育を受けさせることが含まれます。
居所指定権子がどこで生活するかを決定する権利です。
懲戒権必要に応じて子を適切にしつける権利です。ただし,虐待にならないよう注意が必要です。
職業許可権子が職業を選び,就労することを許可する権利です。

2.財産管理権

包括的な財産管理子が持つ財産を管理し,その運用を行う権利と義務です。子名義の預金や財産を適切に管理し,必要に応じて使うことが求められます。
法律行為の代理権子が法律行為を行う際に,親権者が代理人として行う権利です。未成年者は法的に完全な能力を持たないため,親権者が代わりに契約を結ぶなどの行為を行います。
法律行為の同意権子の法律行為が有効となるには,原則として親権者の同意が必要となります。子の法律行為を有効とするかどうかを決する権利が,親権者の同意権です。

監護権とは

監護権とは,子の身の回りの世話や教育,生活指導など,日常的な育児に関する権利と義務を指します。親権のうち「身上監護権」を指して「監護権」と呼ぶのが通常です。監護権は,親が子どもを世話し教育するための権利義務,と位置付けることができるでしょう。

監護権の主な内容は,以下の通りです。

監護権の内容

1.生活の監督
子の日常生活の管理,食事,衣服の選択,健康管理などを行います。
子が適切な生活習慣を身につけるように指導します。

2.教育の指導
子が学校教育を受けるようにし,必要に応じて家庭内での学習を支援します。
習い事や塾などの課外活動の選択と支援も含まれます。

3.健康管理
病気やけがの際には医療機関を受診させ,健康を維持するための対応を行います。

4.日常生活の世話
入浴,歯磨き,衣服の着替えなど,子の日常的な身の回りの世話を行います。

5.精神的な支援
子の精神的な発達を支援し,安心して生活できる環境を提供します。

監護権は親権の一部であるため,原則として親権者が行使するものです。しかしながら,親権者が子どもを監護できない場合や,子の福祉のために親権者でない方が監護をするのが適切である場合は,親権者と監護権者を別々にすることも可能です。

親権者と監護権者を別々にする場合の一例
長期海外出張などのため,親権者が子の世話や教育をできない
・母に財産管理を任せられないが,子が幼いため監護権者は母の方が適切である

親権者を決めないと離婚できない

親権者を定めることは離婚の条件であるため,親権者を決めずに離婚することはできません。財産分与などとは異なり,離婚後に別途請求するということは不可能です。

離婚時に親権者を決めることが求められる理由としては,以下のような点が挙げられます。

1.子の最善の利益
子の生活や教育,福祉を守るために,離婚後も安定した監護環境が必要です。親権者が明確であることで,子の権利と利益が保護されます。

2.離婚届の作成・提出
未成年の子がいる場合,離婚届に親権者を記載することが求められています。親権者を決めずに離婚届を提出することはできません。

3.行政手続
離婚後の子の住民票や各種手続きにおいて,親権者が明確であることが必要です。これにより,教育や医療などの重要な決定を迅速に行うことができます。

親権や監護権を決める方法

親権や監護権は,離婚に際して決定するものであり,親権に関しては離婚の際に決めなければならないため,親権や監護権を決める方法は,離婚の方法と同様になるのが通常です。具体的には,①協議,②調停,③裁判という3つのステップになります。

親権・監護権を決める方法

1.協議
夫婦が話し合いで親権者を決めるのが一般的です。話し合いが成立すれば,その結果を離婚届に記載します。

2.調停・審判
夫婦間で親権者が決まらない場合,家庭裁判所で調停を行います。調停委員が間に入って,双方の意見を聞きながら解決を目指します。
調停の期日は,概ね月1回前後のペースで5回前後行われる例が多いようです。
調停が不成立の場合には,家庭裁判所が審判を行って親権者を判断することもあります。

3.裁判
調停では親権者が決まらなかった場合,離婚裁判を提起して,裁判官の法的な判断を求めることが考えられます。

親権者になる条件

両親のどちらを親権者とするかは,子の利益を最優先に考え,子の生活環境,教育,福祉を守る観点から適性を判断することになります。具体的な条件としては,以下のような点が挙げられます。

親権者となるための主な条件

1.子の福祉
子の健康,教育,生活の質など,全体的な福祉が優先されます。親権者は子の最善の利益を最優先に考えることが求められます。

2.育児能力
子の世話や教育を適切に行う能力があることが重要です。これには,子に対する愛情や理解,教育方針などが含まれます。

3.経済的安定性
子の生活を支えるための経済的な安定が必要です。親権者は,子の基本的な生活費,教育費,医療費などを負担できる経済力を持つことが求められます。

4.住環境
子が安全で健全な環境で生活できることが必要です。適切な住居,衛生的な環境,子にとって安心できる住まいが求められます。

5.精神的安定
親権者は,精神的に安定しており,子に対して一貫した愛情とサポートを提供できることが重要です。精神的に不安定な状態では,子の発育に悪影響を与える可能性があります。

6.親子関係
親と子の関係が良好であることが重視されます。特に,子が現在どちらの親と生活しているか,子の意思や希望も考慮されます。

7.子の意思
一定の年齢以上の子の場合,子自身の意思や希望も考慮されます。家庭裁判所が関与する場合,子の意見を聞くための面談を行うことがあります。

8.監護実績
過去の監護実績も重要です。離婚前に主にどちらの親が子の世話をしていたかが考慮されます。継続性が重視されるため,現在の監護環境が良好であれば,そのまま維持される可能性が高いです。

9.親の健康状態
親自身の健康状態も考慮されます。病気や障害などがある場合,その親が子の監護を適切に行えるかが評価されます。

10.親の人格や行動
親の人格や行動も評価の対象となります。例えば,暴力や虐待の履歴がある場合,その親が親権者となることは難しいでしょう。

有責配偶者が親権者になれるか

一方が有責配偶者であることは,親権者とすべきでないという事情にはならないのが通常です。有責であるかという点と子のために有益かという点は,直ちには関係しないためです。

もっとも,離婚原因が子の養育に影響を及ぼす内容である場合には,親権者となるための大きな障害になることも考えられます。具体的には,以下のようなケースが挙げられます。

有責配偶者が親権者になりづらい場合
1.不貞相手を優先するあまり育児をないがしろにしている
2.ネグレクト(育児放棄)や虐待が離婚原因である場合
3.自ら別居を選択し,子と一緒にいない場合

親権者・監護権者を後から変更する方法

親権者や監護権者は,事情が変更した場合には後から変更をすることも可能です。もっとも,子の福祉を最優先に判断されなければならないため,事情の変更を前提に家庭裁判所へ調停を申し立て,調停での合意又は審判での親権変更を獲得することが必要となります。

親権者や監護権者の変更が認められるためには,以下のような事情の変更が必要になりやすいでしょう。

親権者・監護権者変更の条件

1.子の利益が損なわれている
現在の親権又は監護権の行使が子の利益を損なうものである場合です。

2.適切な監護が期待できない
虐待,ネグレクト,経済的な困窮,病気など,子の世話が十分にできない状況にある場合です。

3.子が意思を表明している
子が親権者や監護権者の変更を希望している場合です。一定の年齢以上であれば,子の意思や希望も重要な判断要素になります。

4.環境の変化
子の置かれる状況が著しく変化し,子にとって有益でない生活環境になってしまった場合です。親権者や監護権者が再婚し,再婚相手と子との関係が良好でないケースなどが挙げられます。

なお,親権が変更された後は,速やかに市区町村役場に届け出の上,住民票等への反映を行う必要があります。新たな親権者にて責任を持って行うことが必要です。

離婚の親権・監護権問題に強い弁護士をお探しの方へ

親権・監護権は,離婚時に協議することが不可欠の問題であり,子の将来にとっては極めて重要な問題でもあります。
そのため,親権・監護権に関する問題点を十分に踏まえた上で適切な対応を行うべきですが,法的な判断も必要なところなので,離婚問題に精通した弁護士へのご相談が望ましいでしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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離婚前後では同じ健康保険が使えない?自分の健康保険はどこでどんな手続をすればいいの?離婚と医療保険の関係を弁護士が分かりやすく整理

●離婚時に確認が必要な医療保険とは?

●離婚したら保険証が使えなくなるのか?

●離婚時に医療保険について何もしないとどうなるのか?

●医療保険に関する手続の方法は?

という悩みはありませんか?

このページでは,離婚時の医療保険の問題についてお困りの方に向けて,医療保険の種類や内容離婚時に注意すべき医療保険の手続などを解説します。

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医療保険とは

医療保険とは,病気やけがをした際にかかる医療費を補助するための保険制度をいいます。日本では,公的医療保険制度が充実しており,すべての国民がこの医療保険に加入することになっています(国民皆保険制度)。

医療保険が存在することによって,国民が過大な負担なく医療を受けることができるようになるため,公的医療保険を適切に利用できる状態であることは極めて重要と言えます。

医療保険の種類

離婚の際に問題となる医療保険は,基本的に公的医療保険を指します。公的医療保険は,医療機関で診察を受ける際に用いる保険証という形で利用することが通常です。
公的医療保険を利用することで,医療費を一定の割合で保障してもらうことが可能です。

公的医療保険には,以下のような種類があります。

公的医療保険の種類
1.国民健康保険
2-1.社会保険健康保険組合
2-2.社会保険協会けんぽ
3.共済組合

1.国民健康保険

国民健康保険は,社会保険に加入しない人を対象とした公的医療保険です。代表例としては,自営業者や無職の人などが挙げられます。

国民健康保険の主な特徴は以下の通りです。

運営主体市町村・国民健康保険組合
保険証市町村の発行する国民健康保険証
保険料の負担全額自己負担
加入手続市町村役場で行う

基本的に市町村が運営しており,加入者は住民票のある居住地で加入することになります。

2-1.社会保険(健康保険組合)

社会保険は,会社員などの給与所得者が加入する公的医療保険です。この社会保険は,運営主体によって二つの種類が挙げられます。
そのうち,大きな企業の場合には独自に運営を行っている場合があります。このような企業では,「健康保険組合」を設立し,その健康保険組合にて社会保険を運営しています。

2-2.社会保険(協会けんぽ)

中小企業など,健康保険組合のない企業に勤める場合は,「全国健康保険協会」が運営する「協会けんぽ」に加入する形で社会保険に加入します。各企業の健康保険組合と,全国健康保険協会の協会けんぽをあわせて,社会保険と呼ばれることが一般的です。

なお,社会保険の主な特徴は以下の通りです。

運営主体健康保険組合又は協会けんぽ
保険証健康保険組合や協会けんぽが発行する保険証
保険料の負担事業主と被保険者が折半
加入手続企業や職場が手続を行う

3.共済組合

公務員や学校の教職員などが加入する公的医療保険です。
共済という名の通り,公務員や教職員の相互扶助を目的とするもので,医療保険のほか年金基金なども運営されています。

加入する共済組合は,その立場によって,国家公務員共済組合,各種地方公務員共済組合,私立学校教職員共済組合などがあります。

医療保険の手続を怠った場合のデメリット

離婚した場合,医療保険上の立場に変更が生じるため,医療保険を継続利用するために必要な手続を取る必要が生じます。手続を放置してしまうと,保険未加入の期間が生じてしまうため,以下のようなデメリットが生じ得ます。

医療保険の手続を怠るデメリット
1.治療費の全額負担が必要になる
2.未加入期間分の保険料を遡って請求される
3.行政罰の対象となる場合がある

なお,全額負担が発生しても,後から加入手続をすれば保険負担分を受け取ることはできます。また,未加入期間分の保険料が請求されるのは,最大2年間のみです。
もっとも,これらの不利益を受けるメリットはないため,医療保険の手続は怠らず確実に行いたいところです。

手続① 国民健康保険→国民健康保険

代表例としては,自営業の夫を世帯主とする国民健康保険に入っていた専業主婦の妻が,離婚後すぐには就職しない,という場合が挙げられます。

この場合,役所で運営している国民健康保険について必要な変更を行うため,役場への手続が発生します。
居住する自治体が変わる場合には,転出元の役所と転出先の役所で,それぞれ以下の手続が必要となります。

居住自治体が変わる場合
1.転出元で「国民健康保険の資格喪失手続(脱退手続)」を行う
2.転出先で「国民健康保険の加入手続」を行う

一方,転居をしないなど,居住する自治体が変わらない場合は,その自治体の中で「世帯主の変更手続」を行う必要があります。夫が世帯主であったところから,自分を世帯主とする立場に変更することとなります。

ポイント
自治体が変わる場合は転出元での資格喪失と転出先での加入
自治体が変わらない場合は世帯主の変更

手続② 社会保険→国民健康保険

代表例は,会社員である夫の被扶養家族として,夫と同じ社会保険に加入していた妻が,離婚後にはすぐに就職しない,という場合が挙げられます。

この場合,社会保険の立場が失われたことを居住する自治体に示し,自治体の健康保険組合に加入することが必要です。具体的な流れは以下の通りです。

社会保険から国民健康保険に変わる場合の手続
1.加入保険又は企業担当者から社会保険の「資格喪失証明書」を取得する
2.自治体の役場へ,自身を世帯主とする健康保険加入手続を取る

国民健康保険の加入には,資格喪失証明書を提出することが必要になります。

手続③ 国民健康保険→社会保険

代表例としては,自営業の夫を世帯主とする国民健康保険に入っていた専業主婦の妻が,離婚後すぐに就職して給与所得者として働きだす,という場合が挙げられます。

離婚後に新しく社会保険に加入する場合は,基本的に勤務先を通じた手続となります。そのため,勤務先との間で求められた手続を行えば足りるでしょう。
社会保険への加入ができた後には,居住する自治体の役場で国民健康保険の脱退手続を行います。

手続④ 社会保険→別の社会保険

代表例としては,会社員である夫の被扶養家族として,夫と同じ社会保険に加入していた妻が,離婚後に就職して別の企業の社会保険に加入する,という場合が挙げられます。

この場合も,やはり就職する勤務先を通じての手続になるところです。
勤務先での手続には,配偶者の勤務先の扶養から外れることが必要であるため,配偶者の勤務先で手続をしてもらい,社会保険の「資格喪失証明書」を取得しましょう。「資格喪失証明書」を勤務先に提出することで,勤務先の新たな社会保険に加入する手続をしてもらうことができます。

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

全員が医療保険に加入する日本では,医療保険について適切な手続が必要です。そして,離婚時には医療保険上の立場が変わる人が多く,新たな手続が必要になりやすいでしょう。
離婚の検討をする場合は,あわせて医療保険についての検討もするようにしましょう。必要に応じて離婚事件に精通した弁護士へのご相談が有力です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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離婚の年金分割って何をするの?合意分割と3号分割?年金分割をすれば離婚した時から年金がもらえるの?よくある疑問を網羅

●年金分割とは何か?

●まだ働いていても年金分割はあるのか?

●年金分割の対象はどこまでか?

●年金分割の方法は?

●年金分割の流れを知りたい

●分割した年金はいつ受け取れるか?

●年金分割はいつでもできるか?

●年金分割が拒否できる場合はあるか?

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年金分割とは

年金分割とは,離婚の際に,婚姻中に夫婦が納めた厚生年金の保険料を公平に分け合う制度です。

厚生年金は,会社に勤める従業員(給与所得者)を対象にした年金制度で,その年金受給額は,保険料の納付月数と収入によって異なります。収入が高いほど,納付額も高くなり,年金受給額も高くなります。
そうすると,夫婦の一方に収入が偏っており,もう一方が専業主婦(主夫)である場合には,厚生年金の受給額に夫婦間の大きな差が生じてしまいます。もっとも,婚姻中に納めた厚生年金は,夫婦が共同生活の中から協力して支出したものであるため,婚姻中の納付分に対する年金は,一方のみに受給させると不公平な結論になってしまいます。
そこで,婚姻期間中のに納めた厚生年金に関して,夫婦間で公平に分け合うための制度が年金分割というものです。

なお,国民年金は年金分割の対象とはなりません。国民年金の場合,保険料は収入によらず一律であるため,収入差による年金額の不公平も生じ得ず,年金分割の対象とする必要がないということになります。

ポイント
年金分割は,厚生年金における夫婦間の不公平を防ぐための制度
厚生年金は,収入が多いほど保険料や将来の年金が大きくなる
国民年金は保険料が一律のため年金分割の対象外

年金分割の対象

年金分割の対象となる厚生年金の位置付けを把握するためには,まず年金制度の構造を理解するのが適切です。

年金制度の構造

年金制度は3階建ての構造になっており,それぞれ以下のような内容です。

年金制度の3階建て構造

1階部分国民年金(全員が加入する基礎年金部分)
2階部分厚生年金(会社員や公務員が加入できる上乗せ年金部分)
3階部分私的年金(企業年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)など)

このうち,年金分割の対象となるのは,2階部分のみということになります。つまり,年金分割の対象となるのは,会社員や公務員といった給与所得者のみです。
また,年金分割の対象期間は,入社からでなく,勤続と婚姻の重なる期間のみとなります。

年金分割の方法

年金分割の方法には,以下の2種類があります。

年金分割の方法
1.合意分割
2.3号分割

①合意分割

合意分割とは,夫婦間で年金分割の割合を協議し,合意によって取り決める方法です

婚姻期間中の全ての納付記録があることを前提に,話し合いで分割方法を決定します。ただし,分割割合の上限は50%とされており,これを超える分割はできません。

話し合いで合意に至らない場合には,家庭裁判所の調停や審判で結論を出すことも可能です。審判が行われる場合,通常は50%ずつの割合になることがほとんどであり,協議で決する場合にも現実的には50%ずつとなることが多数でしょう。

ポイント
合意分割は当事者間の協議で年金の分割割合を決めるもの
話し合いで合意に至らない場合は,調停又は審判が可能
通常は50%ずつの分割になることが多数

②3号分割

請求者が第3号被保険者である場合に用いることのできる方法です。
第3号被保険者とは,第2号被保険者の扶養に入っていた人を指します。典型例としては,会社員や公務員の配偶者で専業主婦(主夫)の人が挙げられます。

夫婦の一方が第3号被保険者の場合,双方の合意がなくても年金分割が可能です
具体的な条件や内容は以下の通りです。

3号分割の具体的内容
1.2008年(平成20年)4月1日以降に第3号被保険者であった場合が対象
2.2008年(平成20年)4月1日以降に離婚している場合が対象
3.2008年(平成20年)4月1日以前の年金支払分は対象外(合意分割が必要)
4.分割割合は必ず2分の1になる

ポイント
請求者が第3号被保険者であれば3号分割が可能
合意がなくても一方的に分割請求できる
2008年4月1以降の分のみを一律2分の1に分割する

年金分割の方法選択

年金分割には,合意分割と3号分割の2つがありますが,具体的に年金分割を求める際には,このいずれを選択するべきかを検討する必要があります。

この点,方法選択の基準としては,「3号分割が利用できるかどうか」という観点での検討が適切でしょう。
例えば,配偶者が会社員で,2008年以前から専業主婦(主夫)をしていた場合,2008年4月以降の分については3号分割が可能です。そのため,まずは2008年4月以降の分に関して3号分割を行うことから検討を開始するのが円滑になりやすいでしょう。3号分割であれば,配偶者の合意なく年金分割が可能であるため,優先的な検討が有益です。

また,3号分割が利用できない範囲が明確になれば,合意分割を請求するかどうか,という選択も行いやすくなります。合意分割は当事者間の協議を要するため,請求者の負担も決して小さくないことから,対象期間の長さや金額の大きさによっては,請求しないとの選択をする方法もあり得るところです。

ポイント
3号分割が可能であるかを確認
合意分割期間は請求するかどうかを個別に検討

年金分割の流れ

①合意分割

合意分割の主な流れは,以下の通りです。

合意分割の流れ
1.「年金分割のための情報提供請求書」を年金事務所に提出する
2.「年金分割のための情報通知書」を取得する
3.夫婦間の協議(合意できなければ調停・審判)を行う
4.「標準報酬改定請求書」を年金事務所に提出する
5.「標準報酬改定通知書」を受領する

1.「年金分割のための情報提供請求書」を年金事務所に提出する

「年金分割のための情報提供請求書」は,日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
「年金分割のための情報提供請求書」(日本年金機構)

必要事項を記入の上,請求者の身分証明書や年金手帳,戸籍謄本等を添えて年金事務所に提出します。

2.「年金分割のための情報通知書」を取得する

「年金分割のための情報提供請求書」の提出から数週間以内に,「年金分割のための情報通知書」を受領できることが通常です。「年金分割のための情報通知書」には,年金分割の対象となる範囲や期間に関する情報が記載されています。

3.夫婦間の協議(合意できなければ調停・審判)を行う

合意分割における合意のための手続です。
合意の結果は,後ほど提出するために書面化するのが適切でしょう。

4.「標準報酬改定請求書」を年金事務所に提出する

決定した分割割合を踏まえ,「標準報酬改定請求書」を作成,提出します。書式は,同じく日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
「標準報酬改定請求書」(日本年金機構)

「標準報酬改定請求書」に必要事項を記入の上,身分証や年金手帳,戸籍謄本,合意分割の事実を証する書類などを年金事務所に提出します。

5.「標準報酬改定通知書」を受領する

年金分割の結果は,「標準報酬改定通知書」という形で双方に送られます
すでに年金を受給している場合は,改定請求を行った翌日分から,年金の金額が変更になります。

②3号分割

3号分割の場合,合意が不要であるため,第3号保険者であった方の当事者が一人で金額の変更を請求するのみで足ります。
具体的な手続は以下の通りです。

3号分割の流れ
1.離婚後,「標準報酬改定請求書」を年金事務所に提出する
2.「標準報酬改定通知書」を受領する

書面の提出・受領に関する具体的な流れは,合意分割の場合と同様です。

「標準報酬改定請求書」(日本年金機構)

請求書は,「請求する年金分割の種類」を選択する内容になっているので,「3号分割」を選択の上,必要事項を記入することになります。

年金の受領時期

年金分割の手続が完了した場合でも,年金の受領そのものがすぐにできるわけではありません。年金の受給自体が開始していなければ,現実に年金を受領することはないため,自分に対する年金受給が開始された後に,初めて年金の受給が可能となります。

また,標準報酬の改定は,その効果が遡及(過去に影響)しないため,将来に向かってのみ発生します。年金受給中に年金分割の手続を行った場合,金額が変わるのは請求の翌月分からです。

年金分割が拒める場合

①年金分割しない旨の合意がある場合

夫婦間で事前に年金分割を合意している場合には,その後に年金分割を請求されたとしても,分割を拒むことが可能です。もっとも,年金分割をしない合意は,一方のみに不利益な合意であることがほとんどであるため,真意から合意したのかが問題になりやすい性質のものです。そのため,離婚協議書に明記するなど,合意をした事実の客観的な証拠を残すようにしましょう。

また,年金分割しない旨の合意に関しては,以下の点に注意が必要です。

年金分割しない旨の合意における注意点

1.3号分割しない合意は不可能
→3号分割は,合意によって行ったり行わなかったりするものではないため,3号分割しない旨の合意はできず,もし行ったとしても無効です。

2.年金分割請求権の放棄は不可能
→年金分割の請求権は,相手の配偶者に対する権利でなく,厚生労働大臣に対して行う公法上の権利であるため,放棄することができません。

②請求権の消滅時効が完成している場合

年金分割の請求権は,離婚から2年の経過によって消滅時効となります。消滅時効完成後の請求は,時効が援用すれば拒むことが可能です。

③離婚原因に特殊な事情がある場合

離婚原因が,年金分割請求者の一方的かつ悪質な行為によるものである場合,年金分割(合意分割)に制限の生じる場合があります。
このような事情がある場合は,家庭裁判所の調停や審判を活用し,裁判所の公平な判断を求める手段が有力でしょう。

離婚の年金分割に強い弁護士をお探しの方へ

年金分割は,婚姻期間中の共同生活で生じた財産を公平に分割するための制度ですが,有効に活用できず一方が不利益を被っている場合も少なくありません。
そのため,離婚に際しては検討すべき事項であるものの,経験のない方が十分な検討や対応をするのは容易ではありません。
年金分割については,離婚事件に精通した弁護士へのご相談が適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

離婚における財産分与の種類って?財産分与の対象になる財産の範囲は?財産分与の注意点は?弁護士解説

●財産分与とは何か?

●財産分与せずに離婚することも可能か

●離婚してもすぐ働けないが,財産分与を多くできないか?

●相手が有責の場合に財産分与を多くできないか?

●財産分与の対象になる財産はどこまでか?

●借金の財産分与はどうすべきか?

●財産分与の具体的な方法は?

●財産分与はいつでも可能か?

という悩みはありませんか?

このページでは,離婚の財産分与についてお困りの方に向けて,財産分与の内容や考え方対象財産や具体的方法などについて解説します。

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財産分与とは

財産分与とは,離婚の際に,夫婦が婚姻期間中に築いた財産を分け合うことを言います。夫婦の共同生活の中で形成された財産を公平に分配することを目的にした制度です。基本的に,夫婦の収入の差などにかかわらず,財産を2分の1ずつに分け合うことになります。
もっとも,財産分与の対象となるのは,夫婦が婚姻中に共同して形成した財産のみです。財産の中でも,財産分与の対象となるものとならないものが生じ得ます。

財産分与の対象となる財産の例としては,以下のようなものが挙げられます。

財産分与の対象

不動産住宅、土地など
動産車、家具、家電、貴金属など
金融資産預貯金、株式、投資信託など
退職金離婚時点での支給見込額の一部
その他保険、年金などの資産価値があるもの

一方,財産分与の対象外となる財産の例としては,以下のようなものが挙げられます。

財産分与の対象外となる財産

婚前財産婚姻前に個別に所有していた財産
相続・贈与財産婚姻中に一方が相続または贈与により取得した財産

離婚の際に財産分与しないことの可否

財産分与は離婚成立の要件ではないため,財産分与せずに離婚することは可能です。

この点,離婚時に財産分与を請求すると争いになることが明らかであると考え,速やかな離婚を優先するために財産分与を求めず離婚を選ぶ場合もあり得ます。このとき,財産分与を請求しないという意思を表明することが考えられますが,これを「財産分与請求権の放棄」と言います。放棄する場合には,離婚協議書を作成し,その中に記載することが一般的です。
財産分与請求権を放棄した場合,後から財産分与を請求することはできません。一度放棄した権利を再度行使することはできないので,放棄を選択する場合には慎重に判断するのが適切でしょう。

一方,財産分与請求権の放棄をせず,単に財産分与の取り決めをしないまま離婚することも可能です。この場合,事後的に財産分与を請求することもでき,財産分与を請求されればもう一方は応じなければなりません。
ただし,財産分与請求権は,離婚から2年で消滅時効が完成してしまうため,離婚から2年以上経過した時点で請求しても,相手に拒否されてしまう恐れがあります。また,財産分与を後回しにしていると,その間に財産が隠匿されたり費消されたりして,本来得られたはずの財産が得られなくなる可能性も否定できません。
財産分与を行うのであれば,離婚に先立って行うのが適切である場合がほとんどでしょう。

ポイント
財産分与せずに離婚することは可能
財産分与請求権を放棄すると,後から請求できない
離婚後の財産分与請求は2年の消滅時効
財産分与を後回しにすると,財産の隠匿などの恐れがある

財産分与の種類と割合

財産分与には,以下の3つの種類があると言われています。

財産分与の種類
1.清算的財産分与
2.扶養的財産分与
3.慰謝料的財産分与

①清算的財産分与

婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を公平に分配するという財産分与であり,財産分与のもっとも一般的な方法です。夫婦関係を清算するために,夫婦が二人で作り上げたものを二つに分けよう,ということですね。

清算的財産分与は,基本的に2分の1の割合で分け合うことになります。夫婦間の貢献度に特段の差がなければ,収入額によって割合が変わるわけではなく,妻が専業主婦である場合も2分の1ずつ分与されるのが通常です。ここでの貢献度は,財産の形成に対する貢献の度合いを指しますが,その方法は収入を稼ぐことに限らず,家事労働による内助の功も含むと考えられるためです。

②扶養的財産分与

離婚後,経済的に弱い立場にある配偶者の生活を守る必要がある場合に,その生活を守るための補助の趣旨で行われる財産分与を指します。

扶養的財産分与が行われる例としては,以下のような場合が挙げられます。

扶養的財産分与が行われる場合の例
1.専業主婦(主夫)である場合
2.重大な病気を患っている場合
3.高齢で定職がない場合
4.子が幼い場合

扶養的財産分与は,離婚後に一方の配偶者が安定した生活を送るようになるまでの補助の趣旨で行われるため,一定期間,月々一定の金額を支払う方法で行われることが一般的です。

③慰謝料的財産分与

慰謝料の意味を含める趣旨で,あえて一方に有利な内容とする財産分与を指します。
財産分与も慰謝料も,最終的には金銭(金額)の問題になるため,両者を区別してそれぞれ検討するよりも,合わせて一挙に解決した方が円滑である,という観点から行われるものです。

慰謝料の支払と慰謝料的財産分与の違いが現れるのは,金銭以外で慰謝料相当額を支払う場合です。
慰謝料という形を取る場合,金銭以外での支払は困難ですが,慰謝料的財産分与の場合は金銭である必要はありません。住宅や車など,金銭以外の財産を慰謝料代わりに多く分与するという形で支払うことも可能であるため,慰謝料問題の解決方法により幅が生まれることになります。

ポイント
清算的財産分与は,共同財産を原則2分の1で分け合う
扶養的財産分与は,経済的に弱い立場への補助を含む
慰謝料的財産分与は,慰謝料を含む趣旨で一方に有利な財産分与をする

財産分与の対象財産

財産分与の対象となる財産は,夫婦の共有財産と位置付けられるものです。共有財産とは,婚姻中に夫婦が協力して形成した財産を指します。
具体的な内容としては,以下のようなものが挙げられます。

【現金・預金】

婚姻中に貯めた金銭は,その預金名義にかかわらず,夫婦の共有財産であり,財産分与の対象となります。これは,一方が専業主婦(主夫)であっても変わりません。夫婦の一方だけにしか収入がなくても,婚姻中に貯めたものである限り,財産分与の対象と判断されます。

【動産・不動産】

婚姻中に購入したものである限り,夫婦の共有財産であり,財産分与の対象となります。
もっとも,以下のような点に注意が必要です。

1.特有財産による支払が含まれている場合
特有財産とは,一方配偶者の固有の財産を言います。結婚前から持っていた預金や,結婚後に相続した財産などが代表例です。これらの財産を頭金にして住宅ローンを組んだ場合など,特有財産による支払が含まれている場合,その支払に対応する部分は財産分与の対象とするべきでなく,分与の割合に影響が生じ得ます。

2.オーバーローンである場合
主に住宅ローンの場合,ローンの残債と住宅の現在価値を比較すると,ローンの残りの方が高いことがあります。このように,ローン残債が住宅の価額を上回ってしまうことを,オーバーローンと言います。
オーバーローンのケースでは,その住宅に財産価値がないため,財産分与の対象とすることは基本的にできません。この場合,一般的にはローンの名義人である方が支払を継続し,住宅に居住し続けることが多いでしょう。

【保険】

婚姻中に加入した各種の保険については,解約返戻金が生じる限り,その解約返戻金相当分が財産分与の対象になります。
婚姻より前に加入した保険については,その後の婚姻中にも加入を続けて保険料を支払っていた場合に,婚姻期間分の解約返戻金が財産分与の対象になります。

もっとも,子どものための保険については,解約を希望せず,加入し続けたいと考えるケースもあり得ます。典型例は学資保険などですね。
この場合には,双方が合意する限り,解約せず財産分与の対象としないことも可能です。子どものための保険を解約しない場合,一方が保険料を支払い続けますが,これを養育費の支払い(の一部)とみなす形を取ることが多く見られます。

【退職金】

退職金には,以下の二つの側面があると言われています。

退職金の性質
1.賃金の後払い
2.功労に対する報償

つまり,退職金にも賃金(給与)の支払いという意味があるため,給与と同じく財産分与の対象になるのが通常です。
具体的な取り扱いは,支払いがすでになされているかどうかによって,以下のように異なります。

①既に支払われている場合

婚姻期間と勤労の期間が重複している部分について,財産分与の対象となります。勤労していた期間のうちどのくらいの割合が婚姻期間に相当するかを計算し,金額を案分することが一般的です。
ただし,財産分与の対象となる婚姻期間は,同居の上で生活を営んでいた期間に限られます。別居中の期間については,退職金が得られたことに対する配偶者の貢献がないと考えられるためです。

②これから支払われる予定の場合

現実の支払がなされていないため,支払が確実である場合に限り,確実に支払われる金額の範囲で財産分与の対象となります。
支払が確実であるかどうかは,以下のような事情を踏まえて判断します。

支払が確実であるかの判断要素
就業規則における退職金規定の有無
・退職金規定における金額や計算方法の定め
・退職金の支給実績
・定年退職までの残り期間
転職歴の有無や内容,期間
・会社の経営状況

【年金】

確定拠出年金や個人年金(個人が私的に契約する年金保険等)といったものについては,夫婦の共同財産から掛け金を拠出するため,財産分与の対象になります。
また,企業年金については,退職金と同じく賃金の後払いという性質を持つため,同様に財産分与の対象となります。

一方,厚生年金については,婚姻期間中における保険料の納付実績に応じた「年金分割」の対象となり,財産分与の対象とはなりません。
なお,年金分割されるのは厚生年金のみであり,国民年金は年金分割の対象とならない点に留意が必要です。これは,厚生年金の金額が収入額によって変動することを踏まえ,夫婦間の収入差による不公平を防ぐための制度が年金分割であるためです。

※年金分割についてはこちらの記事もご参照ください

借金の財産分与

借金などの債務も,夫婦が共同生活の中で要したものであれば,共同の債務であり,財産分与において考慮すべき対象になります。
現実的には,財産にプラスもマイナスもある場合は,プラスがマイナスを上回る限り,プラスの財産からマイナスの分を差し引いて,残額を財産分与の対象とするのが一般的でしょう。

もっとも,夫婦の一方が,自分だけのために個人的に借り入れた借金については,財産分与の考慮対象とはされません。財産分与の対象とならない借金としては,以下のようなものが挙げられます。

財産分与の対象とならない借金
独身時代の借金
ギャンブルのために生じた借金
一方が個人事業で作った借金

これらの借金は,婚姻中の共同生活は無関係のものであるため,配偶者に負担させることなく離婚後も一方が個人的に返済していくことになります。

財産分与の方法

財産分与の方法は金銭であることが一般的ですが,決して金銭で分割する必要があるわけではありません。
車や自宅などの現物で渡すことも可能ですし,一方が車や自宅を持つ代わりにもう一方が金銭を受領するという方法も考えられます。もちろん,車や自宅などの財産を売却し,換価した金銭を分割することも可能です。

このような財産分与の方法を決定する具体的な取り決め方としては,以下の流れが通常です。

財産分与の具体的な取り決め方
1.まずは夫婦間の協議(話し合い)による解決を目指す
2.協議がまとまらない場合,調停での解決を目指す
3.調停が不成立の場合,裁判での解決を目指す

協議→調停→裁判という流れであることは,離婚自体の方法と同様です。財産分与のみを独立して解決するのでなく,離婚に伴って解決することを目指すのが一般的です。
なお,離婚後の場合には,「財産分与請求調停」という調停の利用が可能です。調停で合意ができなければ,裁判所に「審判」をしてもらうことが可能です。

財産分与の際の注意点

財産分与を実際に行う場合には,以下の点に注意をするのが適切でしょう。

①財産の特定が複雑又は困難である可能性

財産分与は,分与すべき財産をすべて特定できていることが前提です。そのため,財産を隠匿されていたり,特定に漏れがあったりすると,適切な財産分与は困難となります。
財産が多岐に渡っている場合や,一方だけが管理している大きな財産がある場合は,弁護士に依頼するなどして適切な財産の特定と財産分与を行うのが適切でしょう。

②解決内容を書面化することの重要性

財産分与を協議で行う場合は,その解決内容を書面化するようにしましょう。特に,将来に渡って継続的に支払を行うことを内容とする場合は,途中で支払いが滞った場合に備えて,財産の差押えなどを行う準備もしておくことが望ましいです。
協議で解決内容が決まった際には,公正証書の形で書面化することによって,将来のトラブルに備えることをお勧めします。

財産分与の期間制限

財産分与を請求できる期間には,離婚時から2年以内という制限があります。この期間を経過した後の財産分与請求は,債権の消滅時効を援用されてしまうと適法に拒まれてしまいます。
基本的には,財産の隠匿や消費などのリスクを避けるためにも,離婚にあわせて財産分与を行うのが望ましいでしょう。

離婚の財産分与に強い弁護士をお探しの方へ

財産分与は,離婚後の生活のため非常に重要であり,対応を誤ると本来受け取れるはずのものが受け取れず,将来に渡って受け取る機会を失ってしまう可能性があります。
事前に想像していたよりも財産分与の対象になる財産は多岐に渡ることが多いので,トラブル化を防ぐためにも,離婚の財産分与に際しては弁護士への相談が適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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離婚における婚姻費用とは?別居してれば請求できる?いつどうやって請求すべき?婚姻費用で損をしたくない人のための完全ガイド

●婚姻費用とは何か?

●婚姻費用はどんな場合に請求できるか?

●婚姻費用の請求方法を知りたい

●婚姻費用の金額は?

●婚姻費用はいつから支払ってもらえるのか?

●離婚後でも婚姻費用は請求できるのか?

●自分に離婚原因がある場合でも婚姻費用を請求できるか?

という悩みはありませんか?

このページでは,離婚時の婚姻費用についてお困りの方に向けて,婚姻費用に関する制度や請求方法請求できる期間や条件などを解説します。

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婚姻費用とは

婚姻費用とは,夫婦が婚姻関係にある間に必要となる生活費用を指します。具体的には以下のような費用が含まれます。

婚姻費用の例

生活費食費、衣料費、光熱費、住居費などの生活に必要な基本的な費用
教育費子供の学校教育にかかる費用(学費、教材費、習い事の費用など)
医療費夫婦や子どもの医療費や保険料
娯楽費家族での外出や旅行、趣味にかかる費用
その他家事代行サービスや介護費用など、家庭の事情に応じて必要となる費用

婚姻費用は,夫婦である限り双方に分担する義務があり,それは夫婦が別居していても変わりません。もっとも,別居中の夫婦の場合,一方が他方配偶者のために積極的に婚姻費用の分担を申し出ることは考えにくいでしょう。
そのため,離婚事件で主に婚姻費用が問題になるのは,離婚前であるものの夫婦が別居している場合です。

婚姻費用が請求できる場合

離婚事件で婚姻費用を請求できるのは,以下の条件を満たす場合です。

①別居中であること

同居中の夫婦の場合,婚姻費用の分担を金銭の支払という方法で行うことは想定されていません。婚姻費用の負担は,共同生活を継続する方法によって行われるのが通常であるためです。そのため,婚姻費用分担請求ができるのは,夫婦が別居している場合に限られるのが原則です。

なお,家庭内別居と言える場合であれば,婚姻費用の分担請求ができる余地も考えられますが,完全な別居と同視することは容易でないため,現実的には難しいことが多く見られます。

②義務者に収入があること

婚姻費用を請求する側を権利者,支払う側を義務者と言いますが,婚姻費用分担請求ができるのは,義務者に収入がある場合に限られます。

婚姻費用分担請求の根拠は,義務者が配偶者や子に対して「生活保持義務」を負う点にあります。生活保持義務とは,自分と同じ水準の生活を保障する義務を言い,具体的にどの程度の生活を保障すべきかは,義務者の収入によります。
この点,義務者が無収入であり,将来に渡って収入を得る見通しがない場合,義務者の生活水準は無収入を前提としたものにならざるを得ません。そうすると,いかに生活保持義務を負っていたとしても,その義務の内容として婚姻費用という金銭の支払を求めることは困難であり,収入の見込みがない配偶者に婚姻費用分担請求はできないという結論になります。

③権利者が婚姻関係を破綻させた立場にないこと

自分の不貞行為が原因で夫婦関係が継続できなくなり別居に至ったなど,権利者として請求する側にのみ婚姻関係破綻の原因がある場合には,自ら夫婦関係を壊して別居しておきながら婚姻費用を請求する,という不合理な状態になります。このような場合,権利濫用または信義則違反とみなされ,請求が認められない可能性が非常に高くなるのが一般的です。

ポイント 婚姻費用分担請求の条件
別居している(家庭内別居は厳しいことが多い)
相手に収入がある(又は収入の見込みがある)
相手に婚姻関係破綻の原因がある

婚姻費用の請求方法

婚姻費用の請求方法は,概ね以下のステップで検討するのが通常です。

請求方法
1.交渉
2.調停
3.審判

①交渉

まずは夫婦で話し合いを行って,合意を目指すのが通常です。
婚姻費用の金額,支払の方法などを交渉し,合意できれば,その内容に沿った婚姻費用の分担が可能になります。

交渉で婚姻費用について決める場合は,その内容を確実に書面化することが重要です。当事者間での話し合いは,その結果が公的な記録には残らないため,書面化を怠ると後から言った言わないの争いが蒸し返された際に問題が生じます。実際に話し合いで解決したとしても,その証拠が残らず,立証する手段がなければ,後から紛争化した場合に,合意したはずの婚姻費用の請求が困難になりかねません。

最低限,月々の支払金額,支払方法,支払期限に関しては,書面化の上で両当事者の署名押印をする形を取るのが望ましいでしょう。可能であれば,合意内容を公正証書にすることも有力です。公正証書の場合,

②調停

交渉で合意に至らない場合には,家庭裁判所に調停を申し立てることが考えられます。
この調停は,「婚姻費用分担請求調停」というものになります。調停では,裁判所に仲介をしてもらいながら協議を試み,婚姻費用の分担内容について合意を目指すことになります。

調停を試みる場合は,主に交渉がでは合意に至らない場合ですが,交渉で合意に至らないことが見通せた場合にはできる限り速やかに調停を申し立てることが適切です。それは,婚姻費用の請求ができる期間に影響を及ぼす可能性があるためです。

婚姻費用は,遡って請求することができないため,過去の婚姻費用を含めて請求する内容で調停を申し立てたとしても,過去の分が支払ってもらうのは困難です。そのため,婚姻費用が請求できる期間は,婚姻費用分担請求調停の申立てをした時から,ということになります。
そうすると,調停の申立てが遅れれば遅れるほど,その期間分の婚姻費用は受領できないまま請求権が失われてしまい,別居期間中の生活に深刻な悪影響が生じてしまう恐れも否定できません。
そこで,婚姻費用の請求を調停で行う場合は,できる限り早く申し立てるようにしましょう。

③審判

調停を申し立てても合意ができない場合,裁判所の判断で審判に移行します。
審判では,当事者双方が自身の主張を提出した上で,これらを踏まえた裁判所が婚姻費用の金額を決定することになります。

婚姻費用の金額と定め方

婚姻費用の金額は,夫婦双方の収入,子どもの人数,子どもの年齢などを主な基準に決定することが一般的です。
夫婦間の話し合いで婚姻費用を決める際は,自由に決めることに何ら問題はありませんが,調停や審判では,裁判所が公表している「婚姻費用算定表」の内容を基準に婚姻費用の計算を行うのが一般的です。

婚姻費用算定表は,家庭裁判所裁判官を研究員とする司法研究を通じて作成・公表されるもので,本稿執筆時では令和元年12月23日のものが最新となっています。
新しい算定表は,従来の標準的な算定表の考え方を用いながら,その基礎となる統計資料を更新する形で算定されたものです。税金や物価上昇等を踏まえ,従来のものより婚姻費用が高く算出される内容となっています。

婚姻費用算定表リンク
(表10~表19)

(参考)表10

この算定表の見方は,以下の通りです。

1.横軸が権利者(請求する方)の年収額
2.縦軸が義務者(支払う方)の年収額
3.横軸と縦軸の交わる点に該当する金額が婚姻費用(月額)

(例)

権利者が年収300万円の給与所得者,義務者が年収700万円の給与所得者
夫婦のみで子供がいない場合

表10を用いると,縦軸と横軸の交わる点は6~8万円のため,適切な養育費の目安は6~8万円となります。

婚姻費用の支払期間

婚姻費用の支払が必要となる期間の始期及び終期は,以下の通りです。

始期
請求をした時
終期
婚姻費用分担義務がなくなった時

①婚姻費用分担の始期

始期である「請求をした時」とは,原則として婚姻費用分担請求調停を申し立てた時,とされます。婚姻費用の支払義務が問題になるのは,多くの場合調停が申し立てられた場合ですが,その調停で婚姻費用の支払が義務付けられるのは,調停申立て以降の分のみとなります。

もちろん,請求方法は調停のみではないので,他の方法で請求したことが立証できる場合は,その時点を婚姻費用分担の始期とすることも可能です。
代表例は,調停の申立て前に内容証明郵便を用いて請求した場合です。内容証明郵便は,郵便局がその郵便の存在及び内容を証明してくれる郵便ですが,これにより請求をした時期及び内容が立証できるため,内容証明郵便にて請求した時を婚姻費用分担の始期とすることが可能になるでしょう。
なお,内容証明郵便での請求に際しては,配達証明もあわせて付けることが有益です。配達証明は,名宛人に配達したことを郵便局が証明するもので,請求を受け取っていない,という相手方の言い逃れを防ぐための立証手段になります。

②婚姻費用分担の終期

婚姻費用の分担義務が生じているのは,「婚姻中の夫婦が別居している」ため,婚姻費用を支払う方法で配偶者への生活保持義務を果たす必要があるからです。
そのため,婚姻費用分担の終期である「義務がなくなった時」は,「婚姻中の夫婦」が「別居している」という状態が終了した時を指します。婚姻費用分担義務がなくなる具体的なタイミングは,以下のいずれかとなるのが通常です。

1.婚姻中の夫婦でなくなった場合
=離婚が成立した場合を指すのが一般的です。

2.別居している状態ではなくなった場合
=再び同居することになった場合を指すのが一般的です。

ポイント
婚姻費用の始期は調停申立て又は内容証明郵送時
婚姻費用の終期は離婚成立時又は別居解消時

婚姻費用の減額・増額

婚姻費用の金額は,その金額を決めた際の事情を基準としているため,事後的に事情の変更があった場合,増額又は減額ができないかという問題が生じ得ます。増額や減額が問題になるのは,当時前提としていた収入額か支出額が変わった場合となるのが通常です。

増額又は減額の問題が生じる代表例

1.一方又は双方の大幅な収入減少又は増加(収入が変わった)
2.夫婦の一方や子が大病を患った場合(支出が変わった)

もっとも,事情の変更による増額又は減額は,一度取り決めたものを覆す動きであるため,容易なことではありません。しかも,事情変更の事実及び内容を相手方が知らない場合も珍しくないため,まずは丁寧な事情の説明と協議を行うことが適切でしょう。

有責配偶者の婚姻費用請求

自ら不貞行為に及んで別居の原因を作ったなど,自分が有責配偶者である場合,相手に別居中の婚姻費用分担を請求できるのか,という点は問題になるところです。

この点,自ら別居の原因を作っておきながら,別居中の婚姻費用を請求することは原則的に不適切であると理解されやすいでしょう。
もっとも,婚姻費用の全てが請求できないのか,という点はより詳細な検討が必要です。具体的には,婚姻費用には以下の2つの側面があると言われています。

婚姻費用の二つの側面
1.配偶者の生活費という側面
2.子の養育費という側面

そのため,この両側面について,それぞれ請求の可否や範囲を検討する必要があります。

①配偶者の生活費という側面

基本的に,有責配偶者が自分の生活費を他方の配偶者に請求するのは,不合理であり認められないと考えるべきでしょう。
ただし,有責配偶者が全くの無収入であり,別居後の生活の立て直しに一定の期間が必要な場合,その期間中の生活保障に必要な範囲で婚姻費用を認められることはあり得ます。この場合,その生活保障は婚姻費用という手段でしか実現できないため,夫婦間の生活保持義務の一環として必要最低限の生活費負担を配偶者に求めた,という理解になるでしょう。

②子の養育費という側面

婚姻費用のうち,子の養育費の側面に当たるものは,請求者が有責配偶者であったとしても認められやすい傾向にあります。請求者が有責であるのは,あくまでその請求者個人の事情であって,子が養育されるべきであることに変わりはないからです。婚姻費用を支払う場合,子の養育費の側面に当たる金銭は,子どもに対する義務として支払われるものと理解されるわけです。
そのため,養育費の側面については,子どもの養育が必要である限り発生し,請求が認められることになるのが通常です。

ポイント 有責配偶者の請求
自身の生活費は原則として請求不可
子の養育費に当たる部分は有責であっても請求可能

婚姻費用に強い弁護士をお探しの方へ

離婚が成立するには期間のかかることも多く,その場合に一方の生活を支えるために重要なものが婚姻費用です。
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住宅ローンがある場合の離婚で注意すべき点は?住み続ける場合はどうすべき?安易に売却するのはNG?弁護士が解説

●離婚の際,ローンの残った自宅はどうすべきか?

●離婚時に残った住宅ローンはどうなるか?

●住宅ローン問題を解決するために必要な調査は?

●オーバーローンの場合にはどうすべきか?

●アンダーローンの場合はどうすべきか?

●家に住み続ける場合の注意点は?

●家を売却する場合の注意点は?

という悩みはありませんか?

このページでは,離婚時の住宅ローンについてお困りの方に向けて,住宅ローンについて取り得る方法や,方法ごとの注意点などを解説します。

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住宅や住宅ローンは財産分与の対象

離婚の際には財産分与が必要になります。財産分与とは,離婚の際,夫婦が共同生活の中で築いた財産を分配することをいいます。財産分与の対象としては,金銭や預金,動産,不動産といったプラスの財産のほか,住宅ローンのようなマイナスの財産も含まれます。

そのため,住宅ローンの残った自宅のある場合,離婚時の財産分与において,以下のような点を検討する必要があるでしょう。

住宅ローンのある財産分与時の主な検討事項
住宅を売却して換価するか,誰かが居住し続けるか
住宅の評価額住宅ローンの残債を上回っているか
居住し続ける場合,残った住宅ローンを誰が支払うのか
居住し続ける場合の住宅は誰の名義にするのか
など

住宅ローンについて必要な調査

住宅ローンが問題になる場合,まずは住宅及び住宅ローンに関する調査を行い,実態を確認することが必要になります。具体的には,以下のような調査が適切です。

①不動産の名義

土地及び建物が誰の名義になっているか,という点です。土地と建物が同一の所有者になっているか,所有名義が別々であるかという点も,その後に影響を及ぼす可能性が非常に高いところです。
例えば,別人の土地を借りて住宅を建てている場合であれば,土地の利用に関する契約がなされているはずです。財産分与に際して決定した住宅の管理・処分の方法が,土地所有者との契約に反する内容となっている場合,実現できない可能性も否定できません。

②担保の有無

住宅ローンが残っている場合,土地や建物に抵当権等の担保権が設定されていることが通常です。住宅ローンを支払う見込みがなくなった場合,ローン会社が不動産を処分して金銭を回収することができるようにするためのもので,ローン会社が大金を貸し出すための重要なリスク回避手段でもあります。
また,他に金銭を借り受ける際,同様に不動産に抵当権を設定し,借り入れている可能性もあります。この場合,ローン会社の次順位の抵当権者になっていることが見込まれますが,次順位の権利者も不動産を強制的に換価することが可能な立場です。その債権者への支払が滞った場合,財産分与で住宅の居住を続けることになっても,結果的に住宅を失いかねないことになります。

どの不動産に,誰が債権者となっている抵当権が設定されているのか,十分に確認しましょう。

③不動産の時価額

不動産を売却するかどうか,ローン残債との金額差はどのくらいか,という点の確認や検討には,不動産の現在価額の確認が不可欠です。時価額がいくらであるかによって,不動産の取り扱いが変化することも決して珍しくありません。
住宅ローンがある場合の財産分与においては,極力速やかに不動産業者へ査定を依頼するのが有益です。

④住宅ローンの内容

住宅ローンの債務者が誰であるか,という点は確認が重要なポイントになります。
多くの場合は,以下のいずれかのパターンになりやすいでしょう。

住宅ローンの債務者パターン
1.一方が債務者(契約者),他方が連帯保証人
2.一方が債務者(契約者),他方は関わっていない(保証会社の利用など)
3.夫婦ともに債務者(連帯債務

⑤住宅ローンの残額

住宅ローンが小さければ,不動産を売却することで利益が発生し,その財産を分け合う余地が生まれます。一方で,住宅ローンが不動産価額より大きい場合,仮に不動産を売却してもローンが残るため,誰かがローンの支払を継続しなければなりません。

このように,住宅ローン残額によって,住宅の取り扱いに関する検討が大きく変化することになるため,住宅ローンの残債務額は非常に重要な確認事項となります。

借地権の売却にお困りの方は『借地権売却サポート|ハウスクル』をご参照ください。

オーバーローンの場合の対応方法

オーバーローンとは
→ローンの残債が不動産の現在価額を上回ってしまっている状態

オーバーローンでは,不動産を売却してもローンが残ってしまうだけであり,負債を誰かが負担するほかなくなってしまうため,売却はあまり合理的な方法になりません。
そのため,夫婦の一方が居住を続け,いずれかがローンを支払い続けるという形が一般的でしょう。

アンダーローンの場合の対応方法

アンダーローンとは
→ローンの残債が不動産の現在価額を下回っている状態

アンダーローンの場合,不動産の売却によって利益が生じるため,不動産を換価してローン残債の支払に充てた上で,残額を財産分与の対象として分割する方法が最も端的でしょう。金銭にするのが,夫婦間での分割が最も容易であるためです。

一方,居住を続ける場合には,残った財産をどのように分割するのか,ローンの負担をどうするのか,所有名義をどうするのか,といった複数の点を具体的に検討し,解消する必要があるでしょう。

居住し続ける場合の注意点

不動産に居住し続ける場合,ローンの返済や名義,不動産の価値を財産分与する方法などについて十分な検討が必要になります。

①ローンの返済について

ローンの返済は,不動産やローン契約の名義人である方が行い続けるのが最も端的でしょう。そのため,夫名義なのであれば,夫が支払い続ける前提で,住宅には夫が居住し続けるというのが円滑であろうと思われます。

ただし,この場合,妻も連帯保証や連帯債務という形でローンの負担をしている可能性があり,金融機関との関係では妻も支払の責任を変わらず負い続けることになります。
この点の問題を払拭するためには,別途金融機関と交渉の上,妻を債務者や保証人の立場から外すことに了承してもらうことが必要になりますが,現実的には難しいことが多いでしょう。そもそも,ローン契約の段階では,夫婦ともに債務者又は保証人となることで初めてローンに値する信用があると評価してもらえたためです。後から妻の信用だけを失った状態で,ローンは維持する,ということに金融機関が了承する可能性は低いのが一般的でしょう。

②ローンの名義について

金融機関との関係では,ローンの名義人が返済を続ける必要があり,夫婦で取り決めて勝手に名義を変更することはできません。金融機関は,その名義人の経済力や信用を判断してローンを組んでいるのであり,債務者が誰でもいいとは考えていないためです。

そのため,名義は変更しないことを前提に,現実の金銭負担は誰がどのように行うのか,支払はどうやって行うのか,という点を,具体的に調整することが必要になるでしょう。

現実に見られる解決方法としては,ローンは名義人である夫が支払い続け,住宅には妻が居住する,という合意をする代わりに,養育費などの支払はその分減額又は免除する,という形でバランスを取ることが考えられます。もっとも,夫によるローンの支払が滞ってしまうと,妻が住宅からの立ち退きを求められる,という妻にとって不安定な状況ではあるため,担保の確保など,ローンの支払を確実にする方法は検討が望ましいでしょう。

③不動産価値の財産分与について

アンダーローン(ローン残債が不動産の価値を下回る場合)には,不動産自体にプラスの財産的価値が存在することになるため,その部分が財産分与の対象になります。例えば,夫がローン残債を100万円上回る価額の不動産に居住し続ける場合,夫は100万円分の財産を得ていることになるため,別途妻が100万円の財産分与を受けなければ不公平となるわけです。

もっとも,ローンの支払に関して一方の固有財産を充てている場合もあります。夫が結婚前に築いた財産で返済をした時期がある,どちらかの相続財産から支払った部分がある,という場合が一例です。
このような場合には,純粋なローン残債と不動産価額との差額のみでなく,ローンの返済にどれだけ固有財産が充てられたかを踏まえて,固有財産が配偶者に渡らないような公平分配が必要になるところです。

ポイント 住宅に住み続ける場合
金融機関との関係では夫婦ともにローンの返済をする立場であることに注意
ローンの名義を勝手に変えることは困難
アンダーローンの場合,住み続ける人が住宅の価値相当額を別途財産分与する必要

売却する場合の注意点

住宅ローンの問題は,対象となる住宅を売却して,金銭に換価することで解決する場合が多く見られますが,この売却には以下のような注意点があることを踏まえておきたいところです。

①換価までに時間がかかること

住宅は非常に高価であるため,簡単に買い手が決まるわけではありません。また,買い手が決まった後にも,契約手続や登記の問題,買い手がローンを利用するのであればその金融機関との調整など,時間を要する処理が多数あります。

具体的には,売却を試みてから現実に金銭を取得するまで,概ね半年前後,ケースにより1年近い期間を要する場合も見られるところです。この期間中は,当然ながらローンの返済継続が必要であり,財産分与をすべて完了することができないことになります。

②具体的な金額が事前には分からないこと

不動産の価額は,事前に評価額の算定を依頼することで把握するのが一般的ですが,現実に受領できる金額が事前の想定と一致するとは限りません。不動産価格そのものが時期によって変動し得る上,売却に際して発生する各種の費用がかさむことも考えられます。

住宅を売却する場合の金額は,あくまで目安であることを踏まえた上で,住宅の売却益に頼った財産分与の検討を避けるようにするのが得策でしょう。

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

離婚時の住宅ローンは,金額的にも大きくなりやすく,住環境に直結する点で適切な対応ができなかった場合の不利益が大きくなりやすいものです。
住宅ローンの問題が伴う離婚の場合は,弁護士を通じてきちんとした取り決めを行い,後々の生活に支障が生じないようにすべきでしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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浮気・不倫の慰謝料を請求するにはどうするのがベストか?慰謝料請求を受けてしまった場合はどうすべきか?請求された慰謝料額を支払わないとマズい?弁護士解説

●浮気・不倫の慰謝料を請求したいが、どうすればいいか?

●誰に何を請求できるのか?

●慰謝料はいくら請求できるのか?

●慰謝料を請求してから受け取るまでの流れが知りたい

●慰謝料の請求を受けてしまったが、これからどうなるのか?

●弁護士から請求された慰謝料は支払わなければならないのか?

●慰謝料を支払えば終わるのか?

という悩みはありませんか?

このページでは,浮気・不倫の慰謝料問題を解決する流れについてお困りの方に向けて、慰謝料請求の流れや内容を、請求する側・される側それぞれについて解説します

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浮気・不倫の慰謝料を請求する方法

配偶者による浮気・不倫があった場合,慰謝料を請求する権利が発生します。これは,浮気や不倫が民法上の「不法行為」に該当し,不法行為の被害者は加害者に対して損害賠償請求をする権利を有する,という点に根拠があります。

浮気・不倫がなされた場合,慰謝料を請求する方法は,交渉するか法的手続を取るかの2通りです。
浮気や不倫の慰謝料に限らず,他者に金銭を支払わせる方法は,話し合いを通じて相手の意思に基づいて支払ってもらうか,裁判手続で強制的に回収するかのいずれかとなります。そして,裁判手続としては,調停と訴訟の2つがあります
そのため,細かく区別すると,請求の方法は以下の三通りが存在することになります。

慰謝料の請求方法
1.交渉(相手の意思に基づいて支払ってもらう)
2.調停(裁判手続①)
3.訴訟(裁判手続②)

また,請求方法の検討手順としては,以下の流れが一般的でしょう。

請求方法の検討手順
1.まずは交渉が可能か
2.交渉が困難な場合,調停と訴訟の選択
3.調停と訴訟の選択をする場合の判断要素は,以下のものが代表的

・話し合いを希望する場合は調停,裁判所の判決を希望する場合は訴訟
・できるだけ短期で解決したい場合は調停,長期化を辞さない場合は訴訟
・不成立に終わるリスクを抱えるのが調停,必ず結論が出るのが訴訟

交渉で金銭が回収できれば,法的手続を行う負担が回避できるため,最も有益であることがほとんどです。その手続負担は,相手方にとっても同じく発生するものであるので,相手方も負担を避けたいという意欲が強ければ,交渉で終了することは十分考えられるでしょう。
やむを得ず法的手続が必要である場合には,裁判所を仲介して話し合う「調停」か,裁判所が公権的に判断を下す「裁判」のいずれかを選択することになります。調停と訴訟は,どちらかを優先して選択する関係にはないため,それぞれの利点を踏まえて方法選択することが適切でしょう。

ポイント
慰謝料の請求方法は,交渉・調停・訴訟
交渉で請求できるならば,交渉を選択するのが通常は有益
交渉が不可能な場合は,調停か訴訟のいずれかを選択する

慰謝料を請求できる相手や内容

配偶者による浮気・不倫の場合,慰謝料の請求が可能ですが,その請求相手は,配偶者とその不貞相手の両方になります。配偶者と不貞相手の2名による不貞行為は,2名が一緒に行った不法行為であるため,法律的には「共同不法行為」に該当します。共同不法行為の場合,被害者は,加害者に対してそれぞれ全額の請求を行うことが可能です。
配偶者が浮気・不倫をした場合も,配偶者と不貞相手にそれぞれ全額の慰謝料請求が可能です。なお,一方が全額支払った場合には,もう一方に支払を求める権利がなくなるため,二重取りすることはできません

もっとも,浮気や不倫を原因として離婚に至った場合には,話が変わってきます
不貞行為を行ったことに対する慰謝料と,不貞行為が原因となって離婚に至ったことへの慰謝料は,法律上は別のものとして区別されます。一般的に,不貞行為の慰謝料よりも,離婚にまで至ったことへの慰謝料の方が,被害者の精神的苦痛が重大であり,金額的にも大きくなる傾向にあります。
ここで,被害者としては,不貞行為のせいで離婚した以上,配偶者にも不貞相手にも離婚の慰謝料を請求したいと考えるところですが,実務の運用はそのようになっていません。多くの場合,配偶者には離婚慰謝料を請求できるものの,不貞相手に離婚慰謝料を請求することは難しい場合が多いところです。

最高裁判所の判断によると,不貞相手に離婚の慰謝料を請求できるのは,「当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をする等して当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られる」とされています。ただ不貞関係があっただけではなく,積極的に夫婦関係に干渉した場合でなければ,不貞相手に離婚慰謝料を請求するのは難しいと考えられます。

ポイント
慰謝料の請求相手は,配偶者及び不貞相手の両方
両方に対して全額の請求が可能。二重取りは不可
不貞相手には,不貞行為の慰謝料は請求できるが,離婚慰謝料の請求は多くの場合困難

慰謝料の請求金額

慰謝料の金額は,交渉であれば当事者間の合意によって決まりますが,目安として採用されやすい金額水準は,概ね以下の通りです。

慰謝料金額の目安
不貞行為の慰謝料:50~150万円ほど
離婚の慰謝料:100~300万円ほど

不貞行為のみを対象とする場合よりも,離婚まで含む場合の方が慰謝料額は大きくなる傾向にあります。これは,不貞行為に対する精神的苦痛のみを金銭換算するか,不貞行為に加えて離婚に至ったことの精神的苦痛も加えて金銭換算するか,という違いによるものです。

また,金額を変動させる要素としては,以下のようなものが挙げられます。

1.不貞行為の期間
長期間にわたる不貞行為の場合、慰謝料が増加する傾向にあります。

2.不貞行為の回数
複数回にわたる不貞行為が確認されている場合、慰謝料が増加します。

3.不貞行為以外の婚姻関係破綻事由の有無
不貞行為のみが婚姻関係を破綻させた事情である場合,慰謝料は増額傾向にあります。

4.婚姻期間
長年にわたる婚姻関係が破綻した場合、慰謝料が増加する傾向にあります。

5.子どもの有無
子どもがいる場合、家庭全体に与える影響が大きいため、慰謝料が増加する場合があります。

慰謝料請求から受領までの流れ

浮気・不倫に対する慰謝料を請求する場合の基本的な流れは,以下の通りです。

1.証拠の収集
→まずは不貞行為の証拠を収集することが重要です。請求の根拠がなければ,慰謝料請求は困難であることが多く見られます。

証拠の例
写真やビデオ 配偶者と不貞相手が一緒にいるところを撮影した写真やビデオ
メールやメッセージ 不貞行為を示すメールやSNSのメッセージ
領収書やカードの明細 ホテルの領収書やクレジットカードの明細など
目撃者 不貞行為を目撃した第三者の供述

2.請求内容の準備
→収集した証拠によって請求が可能か確認の上,具体的な請求内容を検討します。多くの場合,確認できた不貞行為の内容や請求する慰謝料の金額を書面化し,請求書の形を設けることが有力です。

3.請求
請求書を配偶者及び不貞相手に送付し,請求の意思を相手に伝えます。この場合,郵送であれば「内容証明郵便」の利用が有力です。内容証明郵便は,送付した内容と日付を郵便局が証明してくれる送付方法で,後から送付したかどうかが争いになることを防ぐことが可能になります。

4.交渉
→相手に支払の意思があるか,支払う場合にはいくらをどのような方法で支払うか,といった点を交渉するのが通常です。

5.調停又は訴訟
→交渉では合意に至らない場合,調停又は訴訟といった法的手続を利用します。

慰謝料請求を受けた場合の対処

慰謝料を請求する人がいるということは,逆に請求される人もいるということになります。そこで,配偶者又は不貞相手の配偶者を名乗る人物から,不貞行為や離婚の慰謝料を請求された場合の対処もあわせて問題になります。

基本的には,以下のようなステップでの検討が有力でしょう。

①請求内容の確認

どのような内容について,どのような理由で,いくらの請求をしてきているか,という点を確認することが先決です。

請求金額
→具体的な金額が明示されているか。
請求理由
→不貞行為の具体的な内容や時期が記載されているか。
証拠の有無
→請求側がどのような証拠を提示しているか。

②証拠の確認

請求されている内容に心当たりがあるか,請求内容に証拠があるのか,という点を検討します。示されやすい証拠としては,メールやSNSなどのメッセージ,写真や映像,不貞行為時の領収証やカード明細などが挙げられます。

③交渉の検討

相手の請求内容や根拠が妥当であるかどうかを前提に,交渉方法や内容を検討します。
基本的には,心当たりのある内容であれば,金額面や条件面の交渉に努め,心当たりがなければ請求に応じた支払いを拒むことが適切でしょう。

④弁護士への依頼の検討

特に不貞行為に心当たりがあり,金額や条件についてできるだけの相談を希望したい場合は,交渉を弁護士に依頼することが有力です。このような場合には,自分で希望条件を申し出たり,交渉をしたりすることが非常に難しく,かといって交渉を怠ればより不利益な結果に至りやすいため,弁護士への依頼を積極的に検討することをお勧めします。

一方,心当たりがない場合には,請求に対して拒否回答をするのが通常であるため,それほどの心理的負担はないことが多いと思われます。もっとも,拒否の意思が確かであることを示すため,より適切な方法で拒否の意思を表明するために,弁護士を通じて弁護士名義で拒否することも有力でしょう。

弁護士から請求された慰謝料を支払う必要はあるか

弁護士が慰謝料請求を行う場合,内容証明郵便を利用の上,一定期間内に請求金額を弁護士の銀行口座へ入金するよう依頼するのが通常です。そのため,弁護士による請求書面は,制限期間内に多額の金銭を支払うよう強く求める内容となることが多く見られます。

このような書面を目の当たりにすると,書面を受領した段階で請求された金額の慰謝料を支払う義務があるようにも思えますが,そうではありません。弁護士から内容証明郵便で慰謝料を請求されたとしても,その請求に応じた支払の義務が発生しているわけではありません
そもそも,内容証明郵便はただの郵便なので,その実質は弁護士からのお手紙というのみです。形式の厳格なお手紙でしかなく,そのお手紙によって支払義務が発生することはあり得ません。
弁護士から内容証明郵便での請求が届いた場合には,まず落ち着いてその内容の確認に努めるようにしましょう。

なお,内容証明郵便を送って慰謝料請求する場合,それは後の訴訟提起を想定したものであることは少なくありません。内容証明郵便を送っても応じてこなければ,訴訟で金銭を請求するつもりである,ということです。
そのため,お手紙に過ぎないからといって内容を確認しないまま放置をすることはお勧めしません。迅速に対応して訴訟を避ける方が適切な内容であれば,速やかに対応の検討をするべきであることは間違いありません。

ポイント
弁護士からの内容証明郵便は,実質はただのお手紙
弁護士からの請求によって支払義務が発生することはない
もっとも,内容を確認の上で迅速に対応すべき場合はある

慰謝料を支払えば問題は解決するか

慰謝料を請求された当事者としては,慰謝料を支払うことで早く問題を解決させたい,と考えることが多いと思われます。もっとも,慰謝料を支払うことで直ちに問題が解決するとは限りません。解決方法を誤れば,慰謝料を支払ったにもかかわらず問題が解決しないままになってしまっていることがあり得ます。

具体的には,慰謝料を支払えば今後は何の請求もしないという合意を取り付けることが極めて重要になります。法的には「清算」などと言います。
法律関係が清算できていなければ,慰謝料を支払ってもそれが支払うべき全額であるかどうかも定かでなく,後から追加で支払を求める余地が残ってしまいます。これでは,慰謝料を支払った意味はあまりないでしょう。

請求に応じて慰謝料を支払う場合は,慰謝料の支払によって当事者間の法律関係が清算できることを十分に確認する必要があります。清算が合意できた場合には,その内容を必ず書面化することで,後から紛争が蒸し返されることを防ぎましょう。

ポイント
慰謝料を支払う場合は,支払によって法律関係が清算できることを確認する

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

浮気・不倫の慰謝料問題は、法的には金銭の問題ですが、その中身は当事者間の思いが詰まった非常に深いものであることがほとんどです。
そのため、双方の事情を丁寧にくみ取り、適切な解決方法を見つけられるかどうかが、円滑な解決にとって重要となりますが、これは慰謝料問題に長けた弁護士が間に入って検討するのが適切です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所