【後遺障害11級】認定対象となる症状の一覧から補償される金額まで

交通事故の被害に遭った際,治療が終了してもなお症状が残ってしまう場合には,後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。後遺障害等級が認定された場合,受領できる慰謝料額などが大きく変わるため,等級の認定基準を把握することは重要です。

自賠責保険では,1級から14級の後遺障害等級が定められており,それぞれに詳細な認定基準が設けられています。ここでは,後遺障害11級の対象となる症状や認定の基準,認定された場合の慰謝料額などを弁護士が解説します。

後遺障害11級の認定基準

11級の認定基準一覧

1号両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2号両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3号一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4号十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5号両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
6号一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
7号脊柱に変形を残すもの
8号一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの
9号一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
10胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

【1号】「両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの」

著しい調節機能障害」とは以下の場合を指します。

著しい調節機能障害
眼の調節力が損傷を受けなかった方の他眼に比して2分の1以下に減じたもの

(注意事項)
①両眼とも損傷を受けた場合,損傷していない眼の調節機能に異常がある場合は,年齢別の調整力と比較する
②以下のいずれかに当たる場合は障害認定されない
・損傷していない眼の調整力が1.5D以下であるとき
・55歳以上であるとき

5歳ごとの年齢別の調整力

年齢(歳)調整力(ジオプトリー(D))
159.7
209.0
257.6
306.3
355.3
404.4
453.1
502.2
551.5
601.35

「眼球に著しい運動障害を残すもの」とは,以下の場合を指します。

「眼球に著しい運動障害を残すもの」
=眼球の注視野が2分の1以下に減じたもの

注視野とは
頭部を固定した状態で眼球を動かして直視できる範囲
平均値は単眼視で各方面50度,両眼視で各方面45度とされています。

【2号】「両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの」

【具体的基準】

「まぶたに著しい運動障害を残すもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。
①まぶたを開けた時にまぶたが完全に瞳孔(黒目)を覆ってしまうもの
②まぶたを閉じたときに角膜(眼球の色がある部分を覆う膜)を完全に覆えないもの

交通事故の影響でまぶたに麻痺が残るなどした結果,目を開いたときに瞳孔が覆われてしまったり,目を閉じたときに角膜が完全に覆われない状態となった場合,11級2号の認定対象になります。

【3号】「一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの」

「まぶたに著しい欠損を残すもの」とは
まぶたを閉じた場合に角膜(眼球の色がある部分を覆う膜)を完全に覆えない程度のもの

まぶたが欠損した結果,目を閉じたときに角膜が完全に覆われない状態となった場合,11級3号の認定対象になります。

【4号】「十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」

歯牙障害と呼ばれるものです。歯牙障害は,歯科補綴を加えた歯の数によって等級が認定されます。

歯牙障害の認定基準

等級基準
10級4号14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
11級4号10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
12級3号7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
13級4号5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
14級2号3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

「歯科補綴を加えたもの」とは
=現実に喪失又は著しく欠損した歯牙に対する補綴

「著しく欠損した」とは
歯冠部(歯肉より露出している部分)の体積の4分の3以上を欠損したもの

「補綴」とは
歯が喪失したり欠損したりしたところを,クラウン(歯全体を覆う被せ物)や入れ歯などの人工物で補うこと

【留意事項】
①認定対象になる歯の条件
→認定対象となる歯は,永久歯を指します。乳歯や含まれず,いわゆる親知らずも含まれません。ただし,乳歯が欠損したことで永久歯の萌出が見込めない場合は含まれます。

②喪失した歯の数より補綴した義歯の数が多い場合
→喪失した歯牙が大きい場合や歯間が広かった場合など,喪失した歯の数よりも多くの補綴を要した場合,等級の認定は喪失した歯の数によって判断されます。

(例)4本を喪失したが,5本の補綴をした場合,4本の歯科補綴として14級2号を認定する

③ブリッジなどで失った歯以外を切除した場合
→交通事故で失った歯の補綴に際して,ブリッジを設ける目的などで他の歯を切除した場合,歯冠部の4分の3以上切除していれば,歯科補綴を加えた本数に含みます。

(例)交通事故で2本喪失したところ,両側2本の歯にブリッジを施した場合,4本の歯科補綴として14級2号を認定する

なお,歯牙障害については,歯科用の後遺障害診断書を用いて主治医の記載を依頼します。

後遺障害診断書(歯科用)

【5号】「両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの」

交通事故による聴力の低下のため,両耳について1メートル以上離れた距離では小声での話し声を聞き取ることが困難になった状態を指します。
具体的には,検査の結果,両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上の状態をいいます。

純音聴力レベル」とは,どこまで小さな音を聴き取れるか,という聴こえ方の程度を言い,このレベルが大きいほど,大きい音しか聞こえないことを意味します。
両耳の平均純音聴力レベルと後遺障害等級の関係をまとめると,以下のようになります。

一耳の聴力ともう一耳の聴力の関係

【6号】「一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの」

片耳の聴力が低下した結果,40センチメートル以上の距離では普通の話声を聞き取れないとみなされる状態に至った場合を指します。具体的な基準は以下の通りです。

具体的な認定基準

1.片耳の平均純音聴力レベルが70dB以上80dB未満の場合
2.片耳の平均純音聴力レベルが50dB以上かつ最高明瞭度が50%以下の場合

【7号】「脊柱に変形を残すもの」

圧迫骨折や破裂骨折に伴って脊柱部の変形が生じる後遺障害です。客観的に脊柱の変形が確認できる場合,11級7号の認定がなされます。
具体的基準は以下の通りです。

脊柱に変形を残すものとは

1.圧迫骨折が生じ、そのことがエックス線写真等で確認できる場合
2.脊椎固定術が行われた場合
3.3個以上の脊椎について、椎弓切除術などの椎弓形成術を受けた場合

【8号】「一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの」

手指の欠損障害と呼ばれるものです。「手指を失った」と評価される場合,欠損障害が認定されます。

「手指を失ったもの」とは,以下の場合を指します。

1.手指を中手骨又は基節骨で切断したもの
2.親指については指節間関節、それ以外の指については近位指節間関節において、基節骨と中節骨が離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

【9号】「一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの」

足指の機能障害と呼ばれるものです。「足指の用を廃したもの」と評価される場合に,機能障害が認定されます。

「足指の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.親指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
2.親指以外の足指について、中節骨又は基節骨で切断したもの
3.親指以外の足指について、遠位指節間関節又は近位指節間関節で離断したもの
4.親指の中足指節間関節又は指節間関節の可動域が1/2以下に制限されるもの
5.親指以外の足指の中足指節間関節又は近位指節間関節の可動域が1/2以下に制限されるもの

(「障害認定必携」より引用)

【10号】「胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの」

「胸腹部臓器の機能障害」と呼ばれるものです。胸腹部の臓器に障害が残った結果,労務自体はできるものの明らかな支障が残った場合に,11級10号の認定対象となります。

具体的な認定基準は,臓器ごとに定められています。

1.呼吸器

a.動脈酸素分圧70Torrを超え,動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲(37Torr~43Torr)にない場合
b.スパイロメトリーの結果が%1秒量55以下又は%肺活量60以下で,軽度の呼吸困難がある場合
c.スパイロメトリーの結果が%1秒量55~70又は%肺活量60~80で,高度、中等度または軽度の呼吸困難が認められる場合

呼吸困難の程度に関する判断基準

高度呼吸困難のため、連続しておおむね100m以上歩けないもの
中等度呼吸困難のため、平地でさえ健常者と同じように歩けないが、自分のペースでなら1km程度の歩行ができるもの
軽度呼吸困難のため、健常者と同じようには階段の昇降ができないもの

2.循環器

a.心機能の低下による運動耐容能の低下が軽度であるもの

「運動耐容能の低下が軽度であるもの」とは(11級)
=おおむね8METs(メッツ)を超える強度の身体活動が制限されるもの
(例)
平地で急いで歩く、健康な人と同じ速度で階段を上るという身体活動に支障がないものの、それ以上に激しいか、急激な身体活動が制限されるもの

b.人工弁に置換する手術を行ったが,継続的な抗凝血薬療法の必要はない場合

c.偽腔開存型の解離を残すもの

大動脈に亀裂が入った結果,血管壁の内膜が裂けてしまった状態大動脈解離と言います。
大動脈解離が起きると,血管が裂けたことで新しい血管の通り道(偽腔)が生まれますが,偽腔の血流が止まっていない状態を「偽腔開存型」と言います。

3.胃の障害

・消化吸収障害、ダンピング症候群、胃切除術後逆流性食道炎のいずれかが認められるもの

「消化吸収障害」とは

以下のいずれかに該当するもの
1.胃の全部を亡失したこと
2.噴門部または幽門部を含む胃の一部を亡失し、低体重等(※)が認められること
(※)①BMI20以下又は②事故前からBMI20以下の場合は体重が10%以上減少

「ダンピング症候群」とは

以下のいずれにも該当するもの
1.胃の全部または幽門部を含む胃の一部を亡失した
2.早期ダンピング症候群に起因する症状(※)または晩期ダンピング症候群に起因する症状(※※)が認められること
(※)食後30分以内に出現するめまい,起立不能等
(※※)食後2時間後から3時間後に出現する全身脱力感,めまい等

「胃切除術後逆流性食道炎」とは

以下のいずれにも該当するもの
1.胃の全部又は噴門部を含む胃の一部を亡失したこと
2.胃切除術後逆流性食道炎に起因する自覚症状(胸焼け,胸痛,嚥下困難等)があること
3.内視鏡検査により食道にの胃切除術後逆流性食道炎に起因する所見(びらん,潰瘍等)が認められること

4.小腸の障害

a.残存する空腸および回腸の長さが100センチメートルを超え300センチメートル未満であり,消化吸収障害(低体重等)が認められるもの

b.「小腸皮膚瘻を残すもの」のうち,瘻孔から少量ではあるが明らかに小腸内容が漏出する程度のもの

c.小腸に狭さくを残すもの

「小腸に狭さくを残すもの」とは

次のいずれにも該当するもの
1.1か月に1回程度,腹痛,腹部膨満感,嘔気,嘔吐などの症状が認められること
2.単純エックス線像においてケルクリングひだ像が認められること

5.大腸の障害

a.大腸を大量に切除したもの
結腸のすべてを切除するなど大腸のほとんどを切除したものを指します。

b.大腸に狭さくを残すもの

「大腸に狭さくを残すもの」とは

=次のいずれにも該当するもの
1.1か月に1回程度,腹痛,腹部膨満感などの症状が認められること
2.単純エックス線像において貯留した大量のガスにより結腸膨起像が相当区間認められること

c.「便秘を残すもの」のうち,用手摘便を要しないもの

便秘とは

=次のいずれにも該当するもの
1.排便反射を支配する神経の損傷がMRIやCTなどにより確認できること
2.排便回数が週2回以下の頻度であって,恒常的に硬便であると認められること

d.「便失禁を残すもの」のうち,常時おむつの装着が必要ではないもの

6.肝臓の障害

慢性肝炎
(ウイルスの持続感染が認められ,かつ,AST・ALTが持続的に低値であるものに限る)

7.すい臓の障害

外分泌機能の障害と内分泌機能の障害のいずれかが認められるもの

外分泌機能:膵液(消化液)を腸に送り出す機能
外分泌機能の障害」とは

次のいずれにも該当するもの
1.上腹部痛,脂肪便,頻回の下痢などの外分泌機能の低下による症状が認められること
2.BT-PABA(PFD)試験で異常低値(70%未満)を示すこと
3.ふん便中キモトリプシン活性で異常低値(24U/g未満)を示すこと
4.アミラーゼまたはエラスターゼの異常低値を認めるもの

内分泌機能:ホルモンを血液中に送り出す機能
内分泌機能の障害」とは

次のいずれにも該当するもの
1.異なる日に行った経口糖負荷試験で境界型または糖尿病型であることが2回以上確認されること
2.空腹時血漿中のC-ペプチド(CPR)が0.5ng/ml以下(インスリン異常低値)であること
3.Ⅱ型糖尿病に該当しないこと

8.腹部臓器周辺のヘルニア

重激な業務に従事した場合など腹圧が強くかかるときにヘルニア内容の脱出・膨隆が認められるもの

腹壁瘢痕ヘルニア,腹壁ヘルニア,鼠径ヘルニア又は内ヘルニアを残す場合に認定対象となります。もっとも,手術を行うことが通常であり,通常は多くは手術によりヘルニア内容の脱出は認めなくなることから,手術を試みたものの完治できない場合などが対象となります。

9.腎臓の障害

a.一側の腎臓を失い,GFR値が70ml/分を超え90ml/分以下のもの
b.腎臓を失っておらず,GFR値が50ml/分を超え70ml/分以下のもの

GFR値
→腎臓が血液をろ過して尿を作った量の値

10.尿管,膀胱及び尿道の障害

a.尿路変向術を行ったもの
→外尿道口形成術を行ったもの
→尿道カテーテルを留置したもの

b.排尿障害を残すもの
→膀胱の機能障害により残尿が50ミリリットル以上100ミリリットル未満であるもの
→尿道狭さくのため糸状ブジーを必要とするもの

c.畜尿障害を残すもの
→切迫性尿失禁および腹圧性尿失禁のため,常時パッド等の装着は要しないが、下着が少しぬれるもの
→頻尿を残すもの

頻尿」とは

次のいずれにも該当するもの
1.器質的病変による膀胱容量の減少または膀胱・尿道の支配神経の損傷が認められること
2.日中8回以上の排尿が認められること
3.多飲などの他の原因が認められないこと

11.生殖機能の障害

狭骨盤または比較的狭骨盤が認められるもの
→産科的真結合線が10.5cm未満または入口部横径が11.5cm未満のものが該当します。

後遺障害11級の慰謝料

等級ごとの後遺障害慰謝料

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
1級1150万円2800万円
2級998万円2370万円
3級861万円1990万円
4級737万円1670万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

後遺障害11級の場合,自賠責保険からは136万円の慰謝料が支払われます。また,裁判基準の慰謝料は420万円となります。

後遺障害11級の逸失利益

後遺障害逸失利益は,以下の計算式で算出されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

このうち,労働能力喪失率は等級ごとに設けられており,等級が上位であるほど喪失率も大きくなります。

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

後遺障害11級の場合は,労働能力喪失率が20%となります。

計算例
年収500万円,40歳,11級認定

計算式
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

=500万円×0.20×18.3270(27年ライプニッツ)
18,327,000円

後遺障害等級の認定を受ける方法

①手続の方法

認定手続は,加害者の自賠責保険会社に所定の書類を提出する方法で行われますが,被害者側と加害者側のどちらが提出するかによって,大きく二通りの手続があります。

1.事前認定
対人賠償保険(被害者の人身損害を賠償する加害者側の保険)が,自賠責保険会社に提出する際の方法です。自社の賠償額を算定するため,事前に後遺障害等級認定を求める手続のため,事前認定と呼ばれます。

2.被害者請求
被害者側が,対人賠償保険を通さずに自ら自賠責保険会社に提出する際の方法です。
被害者が自ら自賠責保険会社への請求を行うため,被害者請求と呼ばれます。

3.両者の違い
両者の主な違いは,以下の通りです。

項目【事前認定】【被害者請求】
提出する人対人賠償保険被害者自身
提出書面必要書類一式必要書類以外も提出可
提出物の収集保険会社が行う被害者自身が行う

②手続の流れ

後遺障害等級認定の基本的な流れは,以下の通りです。

【事前認定の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③後遺障害診断書の提出相手保険に後遺障害診断書を提出します。
④事前認定の実施相手保険による自賠責保険への提出を待ちます。
⑤後遺障害等級の結果通知相手保険に結果の通知があり,相手保険から被害者側に知らされます。


【被害者請求の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③申請書類の準備治療期間中の診断書やレセプト,交通事故証明書などの必要書類を取得し,申請書類に必要事項を記載します。
④被害者請求の実施必要書類を自賠責保険会社に提出し,被害者請求を実施します。
⑤後遺障害等級の結果通知申請者である被害者又は代理人に直接通知されます。

事前認定は,後遺障害診断書を相手保険に提出するのみで足りるため,手続が簡便であるというメリットがあります。一方で,自賠責保険に提出される資料は必要不可欠なもののみであるため,認定に有用な資料を追加で提出したい,という場合には適していません。
一方,被害者請求は,後遺障害診断書以外の提出書面も全て積極的に提出する必要があるため,手続負担が大きくなりやすいところです。しかし,提出できる資料は不可欠なものに限られず,判断に際して考慮してほしい資料や内容を任意に提出できるというメリットがあります。

後遺障害等級のうち,検査結果の数値で認定結果が決まる場合には,事前認定か被害者請求かという手段よりもその検査結果が重要になるでしょう。検査結果が認定基準を満たしている限り,どちらの方法でも差し支えないという結論になります。
一方,認定基準が数値だけでは判断できず,複数の事情を総合的に踏まえる必要がある場合,考慮してもらうべき事情を積極的に提出することが有益になり得ます。この点,必要な診断書等以外の資料を積極的に提出したい場合には,被害者請求の方法を取る必要があります。
そのため,数値で判断が可能な内容かどうかによって,事前認定と被害者請求を適宜選択することが有力でしょう。

弁護士依頼のメリット

①必要な対応を弁護士に任せることができる

交通事故被害に遭った場合,主に相手保険との間でやり取りが必要になり,その内容は多岐に渡ることが少なくありません。そのため,ただでさえ被害に遭って心身のダメージを抱えている中,相手保険への対応でさらに疲弊させられてしまうということが生じがちです。
この点,弁護士に依頼をすれば,その後の必要な対応を全て弁護士に任せることが可能です。弁護士に適切な対応をしてもらうことで,不要な負担を感じることなく解決を目指せるでしょう。

②後遺障害等級認定に必要なことが分かる

後遺障害等級認定を目指す場合,その等級認定基準を満たしていると判断してもらうことが必要になります。そうすると,あらかじめ等級認定基準を踏まえた上で,基準を満たす内容の資料を提出する形で申請を試みることが不可欠です。
しかしながら,等級認定基準を正確に把握することは,交通事故分野に精通していない限りは容易でありません。

この点,弁護士に依頼することで,等級認定基準を踏まえた申請の準備を弁護士に検討してもらうことが可能になります。そのため,後遺障害等級認定のために必要な対応が分かり,適切な申請ができるようになるでしょう。

③慰謝料などの増額が期待できる

交通事故の場合,弁護士が交渉を行うことで,慰謝料などの増額ができる場合が非常に多く見られます。これは,保険会社が,弁護士の有無で慰謝料などの賠償額を異にする運用をしているためです。
弁護士に依頼することで,慰謝料をはじめとした損害賠償額の増加が期待できるでしょう。また,後遺障害等級が認定された場合,後遺障害に応じた慰謝料なども発生するため,弁護士による増額の余地はさらに大きくなることが見込まれます。

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後遺障害12級の神経症状とは?認定基準から慰謝料まで弁護士がわかりやすく解説

交通事故のあと、手足のしびれや痛みがなかなか取れない場合、後遺障害12級と診断される可能性があります。

後遺障害12級の神経症状は、「しびれ・痛み・感覚障害」などが医学的に証明された場合に認定される等級です。

適正な慰謝料や逸失利益を受け取るためには、認定基準と異議申立のポイントを正しく理解しておくことが重要です。

そこで本記事では、後遺障害12級の神経症状の具体的な認定基準や該当する代表的な症状例などを詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

後遺障害12級の神経症状とは?

交通事故や労災などで受傷した後、治療を続けても「しびれ」「痛み」「感覚の鈍さ」などの神経症状が残る場合、後遺障害12級に該当することがあります。

12級の中でも「12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)」として扱われるケースが多く、神経の損傷が医学的に確認できるかどうかが認定の重要な判断基準です。

たとえば、MRIやCTなどの画像検査によって神経圧迫や損傷が裏付けられた場合には、単なる自覚症状ではなく「医学的に証明可能な神経障害」として評価されやすくなります。

一方で、症状があるのに検査結果に明確な異常が見られない場合、より軽い14級と判断されることも少なくありません。

そのため、医師に的確な診断書を書いてもらうことが、12級認定のための大きなポイントです。

後遺障害12級に認定される代表的なケース

後遺障害12級に認定される代表的なケースは、主に以下の通りです。

  • むち打ち・頸椎捻挫による神経症状
  • 腰椎ヘルニアや脊髄損傷に伴うしびれ・痛み
  • 末梢神経損傷による知覚障害・運動障害

詳しく解説します。

むち打ち・頸椎捻挫による神経症状

交通事故の後遺症として多いのが、むち打ち症(頸椎捻挫)による神経症状です。

追突事故などで首に強い衝撃が加わると、頸椎やその周囲の神経が損傷し、長期間にわたってしびれや痛み、頭痛、倦怠感などが残る場合があります。

症状の程度が重い場合には、12級13号として後遺障害が認定されることがありますが、医学的な証拠が乏しいと14級止まりになることも少なくありません。

腰椎ヘルニアや脊髄損傷に伴うしびれ・痛み

腰椎ヘルニアや脊髄損傷が原因で手足にしびれや痛みが残る場合も、後遺障害12級に該当することがあります。

とくに交通事故で腰部に強い衝撃を受けた場合、椎間板が突出して神経を圧迫し、下肢の感覚鈍麻や歩行障害などが生じることがあるのです。

こうした症状が治療を続けても改善せず、画像検査などで神経圧迫が確認されれば、12級の認定が期待できます。

末梢神経損傷による知覚障害・運動障害

骨折や外傷により末梢神経が損傷した場合、手足の感覚が鈍くなったり、力が入りづらくなるといった神経症状が残ることがあります。

このような症状が長期にわたり改善しない場合、後遺障害12級に認定されるケースがあります。

とくに、上肢や下肢の神経損傷では、感覚の喪失や細かい動作の困難が残ることが多く、作業能力や生活の質に直接影響を及ぼすでしょう。

後遺障害12級の認定基準

12級の認定基準一覧

1号1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2号1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3号7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
4号1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5号鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6号1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
7号1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
8号長管骨に変形を残すもの
9号一手のこ指を失ったもの
101手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
111足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
12号1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14号外貌に醜状を残すもの

【1号】「1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの」

著しい調節機能障害」とは以下の場合を指します。

著しい調節機能障害
眼の調節力が損傷を受けなかった方の他眼に比して2分の1以下に減じたもの

(注意事項)
①両眼とも損傷を受けた場合,損傷していない眼の調節機能に異常がある場合は,年齢別の調整力と比較する
②以下のいずれかに当たる場合は障害認定されない
・損傷していない眼の調整力が1.5D以下であるとき
・55歳以上であるとき

5歳ごとの年齢別の調整力

年齢(歳)調整力(ジオプトリー(D))
159.7
209.0
257.6
306.3
355.3
404.4
453.1
502.2
551.5
601.35

「眼球に著しい運動障害を残すもの」とは,以下の場合を指します。

「眼球に著しい運動障害を残すもの」
=眼球の注視野が2分の1以下に減じたもの

注視野とは
頭部を固定した状態で眼球を動かして直視できる範囲
平均値は単眼視で各方面50度,両眼視で各方面45度とされています。

【2号】「1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの」

【具体的基準】

「まぶたに著しい運動障害を残すもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。
①まぶたを開けた時にまぶたが完全に瞳孔(黒目)を覆ってしまうもの
②まぶたを閉じたときに角膜(眼球の色がある部分を覆う膜)を完全に覆えないもの

【3号】「7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」

「歯科補綴を加えたもの」とは
=現実に喪失又は著しく欠損した歯牙に対する補綴

「著しく欠損した」とは
歯冠部(歯肉より露出している部分)の体積の4分の3以上を欠損したもの

「補綴」とは
歯が喪失したり欠損したりしたところを,クラウン(歯全体を覆う被せ物)や入れ歯などの人工物で補うこと

【留意事項】
①認定対象になる歯の条件
→認定対象となる歯は,永久歯を指します。乳歯や含まれず,いわゆる親知らずも含まれません。ただし,乳歯が欠損したことで永久歯の萌出が見込めない場合は含まれます。

②喪失した歯の数より補綴した義歯の数が多い場合
→喪失した歯牙が大きい場合や歯間が広かった場合など,喪失した歯の数よりも多くの補綴を要した場合,等級の認定は喪失した歯の数によって判断されます。

(例)7本を喪失したが,10本の補綴をした場合,7本の歯科補綴として12級を認定する

③ブリッジなどで失った歯以外を切除した場合
→交通事故で失った歯の補綴に際して,ブリッジを設ける目的などで他の歯を切除した場合,歯冠部の4分の3以上切除していれば,歯科補綴を加えた本数に含みます。

(例)交通事故で5本喪失したところ,両側2本の歯にブリッジを施した場合,7本の歯科補綴として12級を認定する

【4号】「1耳の耳殻の大部分を欠損したもの」

「耳殻の大部分の欠損」とは,以下の場合を指します。

「耳殻の大部分の欠損」
耳殻の軟骨部の2分の1以上を欠損したもの

ここで「耳殻」とは,耳のうち外に張り出て飛び出している部分をいいます。
一般的に「耳」と呼ぶ楕円形の部位全体を指します。

なお,耳殻の欠損障害が醜状障害にも該当する場合,いずれか上位の等級が認定されます

【5号】「鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」

変形障害と呼ばれるものです。
変形の程度としては,裸体になったときに目で見てわかるものであることが必要とされます。そのため,レントゲン等の撮影画像で判断できるというのみでは認定対象とはなりません。

【6号】「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」

「関節の機能に障害を残すもの」とは,以下の場合を指します。

関節の可動域が健側の可動域角度の3/4以下に制限されている場合

関節可動域は,関節ごとに定められる主要運動の測定値を比較します。
上肢の三大関節の主要運動は,以下の通りです。

関節主要運動参考可動域角度
肩関節①屈曲(前方拳上)180度
肩関節②外転(側方拳上)180度
肘関節屈曲・伸展(※)145度・5度(合計150度)
手関節屈曲(掌屈)・伸展(背屈)(※)90度・70度(合計160度)
※肘関節と手関節は,「屈曲+伸展」の合計値を比較

なお,左右いずれも可動域制限が生じている場合,参考可動域との比較を行います。

肩関節の運動

肘関節の運動

関節の運動には,主要運動のほかに参考運動があります。
可動域制限を判断する場合に参考運動を用いるのは,主要運動の可動域が基準をわずかに(=機能障害は5度,著しい機能障害は10度)上回る場合とされます。

関節参考運動参考可動域角度
肩関節①伸展(後方拳上)50度
肩関節②外旋・内旋60度・80度(合計140度)
手関節①橈屈25度
手関節②尺屈55度
橈屈と尺屈

【7号】「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」

「関節の機能に障害を残すもの」とは,以下の場合を指します。

関節の可動域が健側の可動域角度の3/4以下に制限されている場合

関節可動域は,関節ごとに定められる主要運動の測定値を比較します。
下肢の三大関節の主要運動は,以下の通りです。

関節主要運動参考可動域角度
股関節①屈曲・伸展125度・15度(合計140度)
股関節②外転・内転145度・20度(合計65度)
ひざ関節屈曲・伸展130度・0度(合計130度)
足関節屈曲(底屈)・伸展(背屈)45度・20度(合計65度)
「屈曲+伸展」「外転+内転」の合計値を比較

なお,左右いずれも可動域制限が生じている場合,参考可動域との比較を行います。

股関節の主要運動

足関節の主要運動

関節の運動には,主要運動のほかに参考運動があります。
可動域制限を判断する場合に参考運動を用いるのは,主要運動の可動域が基準をわずかに(=機能障害は5度,著しい機能障害は10度)上回る場合とされます。

関節参考運動参考可動域角度
股関節外旋・内旋45度・45度(合計90度)

【8号】「長管骨に変形を残すもの」

上肢又は下肢のいずれかについて,長い骨が骨折後にうまく癒合せず,変形してしまった場合です。

上肢の「長管骨に変形を残すもの」とは,以下のいずれかに該当する場合を指します。

1.上腕骨に変形を残し、外見から想定できる程度のもの(=15度以上屈曲して不正癒合したもの)
2.橈骨及び尺骨の両方に変形を残し、外見から想定できる程度のもの(=15度以上屈曲して不正癒合したもの)
3.上腕骨、橈骨又は尺骨の骨端部に癒合不全を残すもの
4.橈骨又は尺骨の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残し、硬性補装具を必要としないもの
5.上腕骨、橈骨又は尺骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
6.上腕骨(骨端部を除く)の直径が2/3以下に減少したもの
7.橈骨又は尺骨(骨端部を除く)の直径が1/2以下に減少したもの
8.上腕骨が50度以上、外旋又は内旋で変形癒合しているもの

(「障害認定必携」より引用)

下肢の「長管骨に変形を残すもの」とは,以下のいずれかに該当する場合を指します。

1.大腿骨に変形を残し、外見から想定できる程度のもの(=15度以上屈曲して不正癒合したもの)
2.脛骨に変形を残し、外見から想定できる程度のもの(=15度以上屈曲して不正癒合したもの)
3.大腿骨の骨端部に癒合不全を残すもの
4.脛骨の骨端部に癒合不全を残すもの
5.腓骨の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残すもの
6.大腿骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
7.脛骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
8.大腿骨(骨端部を除く)の直径が2/3以下に減少したもの
9.脛骨(骨端部を除く)の直径が2/3以下に減少したもの
10.大腿骨が外旋45度以上(=股関節の内旋が0度を超えて可動できない)又は、内旋30度以上(=股関節の外旋が15度を超えて可動できない)で変形癒合しているもの

(「障害認定必携」より引用)

【9号】「一手のこ指を失ったもの」

「手指を失ったもの」とは,以下の場合を指します。

1.手指を中手骨又は基節骨で切断したもの
2.親指については指節間関節、それ以外の指については近位指節間関節において、基節骨と中節骨が離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

【10号】「1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの」

「手指の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
2.中手指節関節又は近位指節間関節(親指については指節間関節)の可動域が1/2以下に制限されるもの
3.親指について、橈側外転又は掌側外転のいずれかの可動域が1/2以下に制限されるもの
4.手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚完全に脱失したもの

【11号】「1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの」

3つの基準が設けられています。

12級11号に該当する場合

1足の第2の足指を失ったもの
第2の足指を含み2の足指を失ったもの
第3の足指以下の第3の足指を失ったもの

なお,「第2の足指」は人差し指,「第3の足指」は中指を指します。そのため,「第3の足指以下の3の足指」は,中指・薬指・小指の3つを指します。

「足指を失ったもの」とは,足指を中足指節関節から失ったことを指します。つまり,足指をすべて失った場合を指すことになります。

(「障害認定必携」より引用)

【12号】「1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの」

「足指の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.親指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
2.親指以外の足指について、中節骨又は基節骨で切断したもの
3.親指以外の足指について、遠位指節間関節又は近位指節間関節で離断したもの
4.親指の中足指節間関節又は指節間関節の可動域が1/2以下に制限されるもの
5.親指以外の足指の中足指節間関節又は近位指節間関節の可動域が1/2以下に制限されるもの

【13号】「局部に頑固な神経症状を残すもの」

神経症状と呼ばれるものです。むち打ちの場合に認定を目指す類型の代表例であるため,後遺障害等級の代表格としても知られているでしょう。これは,交通事故の外傷によって神経系統に異常を来した結果,痛みや痺れといった神経への症状が残存する後遺障害を一般的に指すものです。

具体的な等級とその認定基準は,以下の通りです。

等級認定基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

後遺障害等級は,1級から14級まであり,1級が最も上位の(=重い)後遺障害です。神経症状については,12級の方がより上位の後遺障害等級となります。

また,それぞれの認定基準を満たしているかどうかの具体的な考え方は,以下の通りです。

12級13号症状が医学的に証明できる場合
(画像所見などの他覚的所見によって客観的に認められる場合)
14級9号症状が医学的に説明できる場合
(他覚的所見はないものの,受傷内容や治療経過を踏まえると症状の存在が医学的に推定できる場合)

したがって,画像所見など,第三者が客観的に確認できる所見がある場合は12級の認定される可能性があり,そのような客観的な所見がない場合は14級の認定を目指すことになります。

【14号】「外貌に醜状を残すもの」

醜状障害と呼ばれるものです。
醜状障害は,人の目につく人体の露出面に,目立つ傷跡が残った場合の後遺障害をいいます。醜状の具体的な内容としては,瘢痕や線状痕,組織の陥没,色素沈着による変色などが挙げられます。

12級14号は外貌の醜状障害に関するものですが,外貌とは,頭部・顔面部・頸部の各部位を指します。それぞれの部位について,認定基準は以下のとおり定められています。

12級14号 外貌に醜状を残すもの

部位基準
頭部鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損
顔面部10円銅貨大以上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線状痕
頚部鶏卵大面以上の瘢痕

なお,瘢痕の大きさや線状痕の長さを確認する際には,以下の点に注意を要します。

①人目につくことが必要
→眉や髪で隠れる部分は醜状として扱われません。また,アゴの下で正面から見えない部分も対象外となります。これらの部分を除いた長さや面積を計測します。

②2つ以上の傷跡がある場合の判断方法
→複数の傷跡は,それらが一体となっている場合,一体となっている面積や長さを合算した数値で等級が判断されます

③事故時に生じたものでない醜状の取り扱い
→治療中に生じた手術痕や,やけど等の治療後に生じた色素沈着なども,醜状障害の対象に含まれます。

後遺障害12級の神経症状に対する慰謝料

等級ごとの後遺障害慰謝料

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
1級1150万円2800万円
2級998万円2370万円
3級861万円1990万円
4級737万円1670万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

後遺障害12級の場合,自賠責保険からは94万円の慰謝料が支払われます。また,裁判基準の慰謝料は290万円となります。

後遺障害12級の逸失利益

後遺障害逸失利益は,以下の計算式で算出されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

このうち,労働能力喪失率は等級ごとに設けられており,等級が上位であるほど喪失率も大きくなります。

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

後遺障害12級の場合は,労働能力喪失率が14%となります。

計算例
年収500万円,40歳,12級13号認定(むち打ちの場合)

計算式
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

=500万円×0.14×8.5302(10年ライプニッツ)
5,971,140円

(※)12級13号のむち打ちについては,労働能力喪失期間を10年以内とする運用が広く用いられています。

後遺障害等級の認定を受ける方法

①手続の方法

認定手続は,加害者の自賠責保険会社に所定の書類を提出する方法で行われますが,被害者側と加害者側のどちらが提出するかによって,大きく二通りの手続があります。

1.事前認定
対人賠償保険(被害者の人身損害を賠償する加害者側の保険)が,自賠責保険会社に提出する際の方法です。自社の賠償額を算定するため,事前に後遺障害等級認定を求める手続のため,事前認定と呼ばれます。

2.被害者請求
被害者側が,対人賠償保険を通さずに自ら自賠責保険会社に提出する際の方法です。
被害者が自ら自賠責保険会社への請求を行うため,被害者請求と呼ばれます。

3.両者の違い
両者の主な違いは,以下の通りです。

項目【事前認定】【被害者請求】
提出する人対人賠償保険被害者自身
提出書面必要書類一式必要書類以外も提出可
提出物の収集保険会社が行う被害者自身が行う

②手続の流れ

後遺障害等級認定の基本的な流れは,以下の通りです。

【事前認定の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③後遺障害診断書の提出相手保険に後遺障害診断書を提出します。
④事前認定の実施相手保険による自賠責保険への提出を待ちます。
⑤後遺障害等級の結果通知相手保険に結果の通知があり,相手保険から被害者側に知らされます。


【被害者請求の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③申請書類の準備治療期間中の診断書やレセプト,交通事故証明書などの必要書類を取得し,申請書類に必要事項を記載します。
④被害者請求の実施必要書類を自賠責保険会社に提出し,被害者請求を実施します。
⑤後遺障害等級の結果通知申請者である被害者又は代理人に直接通知されます。

事前認定は,後遺障害診断書を相手保険に提出するのみで足りるため,手続が簡便であるというメリットがあります。一方で,自賠責保険に提出される資料は必要不可欠なもののみであるため,認定に有用な資料を追加で提出したい,という場合には適していません。
一方,被害者請求は,後遺障害診断書以外の提出書面も全て積極的に提出する必要があるため,手続負担が大きくなりやすいところです。しかし,提出できる資料は不可欠なものに限られず,判断に際して考慮してほしい資料や内容を任意に提出できるというメリットがあります。

後遺障害等級のうち,検査結果の数値で認定結果が決まる場合には,事前認定か被害者請求かという手段よりもその検査結果が重要になるでしょう。検査結果が認定基準を満たしている限り,どちらの方法でも差し支えないという結論になります。
一方,認定基準が数値だけでは判断できず,複数の事情を総合的に踏まえる必要がある場合,考慮してもらうべき事情を積極的に提出することが有益になり得ます。この点,必要な診断書等以外の資料を積極的に提出したい場合には,被害者請求の方法を取る必要があります。
そのため,数値で判断が可能な内容かどうかによって,事前認定と被害者請求を適宜選択することが有力でしょう。

弁護士依頼のメリット

①必要な対応を弁護士に任せることができる

交通事故被害に遭った場合,主に相手保険との間でやり取りが必要になり,その内容は多岐に渡ることが少なくありません。そのため,ただでさえ被害に遭って心身のダメージを抱えている中,相手保険への対応でさらに疲弊させられてしまうということが生じがちです。
この点,弁護士に依頼をすれば,その後の必要な対応を全て弁護士に任せることが可能です。弁護士に適切な対応をしてもらうことで,不要な負担を感じることなく解決を目指せるでしょう。

②後遺障害等級認定に必要なことが分かる

後遺障害等級認定を目指す場合,その等級認定基準を満たしていると判断してもらうことが必要になります。そうすると,あらかじめ等級認定基準を踏まえた上で,基準を満たす内容の資料を提出する形で申請を試みることが不可欠です。
しかしながら,等級認定基準を正確に把握することは,交通事故分野に精通していない限りは容易でありません。

この点,弁護士に依頼することで,等級認定基準を踏まえた申請の準備を弁護士に検討してもらうことが可能になります。そのため,後遺障害等級認定のために必要な対応が分かり,適切な申請ができるようになるでしょう。

③慰謝料などの増額が期待できる

交通事故の場合,弁護士が交渉を行うことで,慰謝料などの増額ができる場合が非常に多く見られます。これは,保険会社が,弁護士の有無で慰謝料などの賠償額を異にする運用をしているためです。
弁護士に依頼することで,慰謝料をはじめとした損害賠償額の増加が期待できるでしょう。また,後遺障害等級が認定された場合,後遺障害に応じた慰謝料なども発生するため,弁護士による増額の余地はさらに大きくなることが見込まれます。

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【後遺障害13級】具体的な認定基準は?慰謝料や逸失利益の金額は?

交通事故の被害に遭った際,治療が終了してもなお症状が残ってしまう場合には,後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。後遺障害等級が認定された場合,受領できる慰謝料額などが大きく変わるため,等級の認定基準を把握することは重要です。

自賠責保険では,1級から14級の後遺障害等級が定められており,それぞれに詳細な認定基準が設けられています。ここでは,後遺障害13級の対象となる症状や認定の基準,認定された場合の慰謝料額などを弁護士が解説します。

後遺障害13級の認定基準

13級の認定基準一覧

1号一眼の視力が0.6以下になつたもの
2号正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
3号一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4号両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
5号五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
6号一手のこ指の用を廃したもの
7号一手のおや指の指骨の一部を失つたもの
8号一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
9号一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
10一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
11胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

【1号】「一眼の視力が0.6以下になつたもの」

後遺障害等級の対象とする視力は,矯正視力を指します。そのため,眼鏡やコンタクトレンズなどを着用した状態の視力を基準に判断されます。

【2号】「正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの」

複視」は,1つの物体が2つに見えることをいいます。主に眼の周りにある筋肉の一部が麻痺して片方の眼球の動きが悪くなることで,物が上下左右にずれて二重に見える状態を指します。

「複視の症状を残すもの」とは,以下の全てを満たす場合を指します。

1.本人が複視のあることを自覚していること
2.眼筋の麻痺等複視を残す明らかな原因が認められること
3.ヘススクリーンテストにより患側の像が健側に比して5度以上離れた位置にあること

【3号】「一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの」

「半盲症」とは

「半盲症」とは
視野の右半分又は左半分が欠損し,見えなくなってしまう症状をいいます。以下のような種類があります。
同側半盲:両眼の同じ側で半盲が生じる場合
異名半盲:両眼のそれぞれ反対側で半盲が生じる場合

また,視野の上半分または下半分が欠損する場合もあり,「水平半盲」といいます。

「視野狭窄」とは

「視野狭窄」とは
視野が狭くなる症状をいいます。以下のような種類があります。
同心性狭窄:中心部分ははっきり見えるが,周辺部分が見えない
不規則狭窄:視野の一部分が規則性のない形で狭くなる

「視野変状」とは

「視野変状」とは
半盲症や視野狭窄のほか,視野に異常が生じることをいいます。具体的には以下の内容があります。
暗転:視野の中に暗くて見えない部分が生じるもの
視野欠損:視野の一部が見えなくなる状態

【4号】「両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの」

「まぶたの一部に欠損を残すもの」とは
まぶたを閉じた場合に、角膜を完全に覆うことができるものの、球結膜(白目)が露出してしまう場合

「まつげはげを残すもの」とは
まつげの生えている周縁の2分の1以上にわたってまつげはげを残す場合

両目について,目を閉じていても白目が露出してしまった場合,又はまつげが半分以上剥げてしまった場合は,13級4号の認定対象になります。

【5号】「五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」

歯牙障害と呼ばれる後遺障害です。歯牙障害は,歯科補綴を加えた歯の数によって等級が認定されます。

「歯科補綴を加えたもの」とは
=現実に喪失又は著しく欠損した歯牙に対する補綴

「著しく欠損した」とは
歯冠部(歯肉より露出している部分)の体積の4分の3以上を欠損したもの

「補綴」とは
歯が喪失したり欠損したりしたところを,クラウン(歯全体を覆う被せ物)や入れ歯などの人工物で補うこと

【留意事項】
①認定対象になる歯の条件
→認定対象となる歯は,永久歯を指します。乳歯や含まれず,いわゆる親知らずも含まれません。ただし,乳歯が欠損したことで永久歯の萌出が見込めない場合は含まれます。

②喪失した歯の数より補綴した義歯の数が多い場合
→喪失した歯牙が大きい場合や歯間が広かった場合など,喪失した歯の数よりも多くの補綴を要した場合,等級の認定は喪失した歯の数によって判断されます。

(例)5本を喪失したが,7本の補綴をした場合,5本の歯科補綴として13級を認定する

③ブリッジなどで失った歯以外を切除した場合
→交通事故で失った歯の補綴に際して,ブリッジを設ける目的などで他の歯を切除した場合,歯冠部の4分の3以上切除していれば,歯科補綴を加えた本数に含みます。

(例)交通事故で3本喪失したところ,両側2本の歯にブリッジを施した場合,5本の歯科補綴として13級を認定する

なお,歯牙障害については,歯科用の後遺障害診断書を用いて主治医の記載を依頼します。

後遺障害診断書(歯科用)

【6号】「一手のこ指の用を廃したもの」

手指の用廃に関する等級です。

「手指の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
2.中手指節関節又は近位指節間関節(親指については指節間関節)の可動域が1/2以下に制限されるもの
3.親指について、橈側外転又は掌側外転のいずれかの可動域が1/2以下に制限されるもの
4.手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚完全に脱失したもの

(「障害認定必携」より引用)

【7号】「一手のおや指の指骨の一部を失つたもの」

1指骨の一部を失っていること(遊離骨片の状態を含む)がX線写真より確認できるものを指します。

【8号】「一下肢を一センチメートル以上短縮したもの」

下肢の短縮は,上前腸骨棘と下腿内果下端の間の長さを健側の下肢と比較して等級認定を行います。

下肢の短縮

【9号】「一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの」

「足指を失ったもの」とは,足指を中足指節関節から失ったことを指します。つまり,足指をすべて失った場合を指すことになります。

(「障害認定必携」より引用)

【10号】「一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの」

3つの基準が設けられています。

13級10号に該当する場合

1足の第2の足指の用を廃したもの
第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの
第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの

なお,「第2の足指」は人差し指,「第3の足指」は中指を指します。そのため,「第3の足指以下の3の足指」は,中指・薬指・小指の3つを指します。

「足指の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.親指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
2.親指以外の足指について、中節骨又は基節骨で切断したもの
3.親指以外の足指について、遠位指節間関節又は近位指節間関節で離断したもの
4.親指の中足指節間関節又は指節間関節の可動域が1/2以下に制限されるもの
5.親指以外の足指の中足指節間関節又は近位指節間関節の可動域が1/2以下に制限されるもの

上記のうち「1」及び「4」は親指に関する基準であるため,「2」「3」「5」のいずれかに該当する場合,14級8号の認定対象になります。

【11号】「胸腹部臓器の機能に障害を残すもの」

具体的な認定基準は,各臓器ごとに異なります。具体的には以下のような基準が設けられています。

胃の障害
噴門部または幽門部を含む胃の一部を亡失したもの

胆のうの障害
胆のうを失ったもの

ひ臓の障害
ひ臓を失ったもの

腎臓の障害
1.一側の腎臓を失い,GFR値が90ml/分を超えるもの
2.腎臓を失っておらず,GFR値が70ml/分を超え90ml/分以下のもの

生殖機能に軽微な障害を残すもの
【男性】
 一側の睾丸を失ったもの(睾丸の亡失に準ずべき程度の萎縮を含む)
【女性】
 一個の卵巣を失ったもの

後遺障害13級の慰謝料

等級ごとの後遺障害慰謝料

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
1級1150万円2800万円
2級998万円2370万円
3級861万円1990万円
4級737万円1670万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

後遺障害13級の場合,自賠責保険からは57万円の慰謝料が支払われます。また,裁判基準の慰謝料は180万円となります。

後遺障害13級の逸失利益

後遺障害逸失利益は,以下の計算式で算出されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

このうち,労働能力喪失率は等級ごとに設けられており,等級が上位であるほど喪失率も大きくなります。

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

後遺障害13級の場合は,労働能力喪失率が9%となります。

計算例
年収500万円,40歳,13級認定

計算式
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

=500万円×0.09×18.3270(27年ライプニッツ)
8,247,150円

後遺障害等級の認定を受ける方法

①手続の方法

認定手続は,加害者の自賠責保険会社に所定の書類を提出する方法で行われますが,被害者側と加害者側のどちらが提出するかによって,大きく二通りの手続があります。

1.事前認定
対人賠償保険(被害者の人身損害を賠償する加害者側の保険)が,自賠責保険会社に提出する際の方法です。自社の賠償額を算定するため,事前に後遺障害等級認定を求める手続のため,事前認定と呼ばれます。

2.被害者請求
被害者側が,対人賠償保険を通さずに自ら自賠責保険会社に提出する際の方法です。
被害者が自ら自賠責保険会社への請求を行うため,被害者請求と呼ばれます。

3.両者の違い
両者の主な違いは,以下の通りです。

項目【事前認定】【被害者請求】
提出する人対人賠償保険被害者自身
提出書面必要書類一式必要書類以外も提出可
提出物の収集保険会社が行う被害者自身が行う

②手続の流れ

後遺障害等級認定の基本的な流れは,以下の通りです。

【事前認定の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③後遺障害診断書の提出相手保険に後遺障害診断書を提出します。
④事前認定の実施相手保険による自賠責保険への提出を待ちます。
⑤後遺障害等級の結果通知相手保険に結果の通知があり,相手保険から被害者側に知らされます。


【被害者請求の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③申請書類の準備治療期間中の診断書やレセプト,交通事故証明書などの必要書類を取得し,申請書類に必要事項を記載します。
④被害者請求の実施必要書類を自賠責保険会社に提出し,被害者請求を実施します。
⑤後遺障害等級の結果通知申請者である被害者又は代理人に直接通知されます。

事前認定は,後遺障害診断書を相手保険に提出するのみで足りるため,手続が簡便であるというメリットがあります。一方で,自賠責保険に提出される資料は必要不可欠なもののみであるため,認定に有用な資料を追加で提出したい,という場合には適していません。
一方,被害者請求は,後遺障害診断書以外の提出書面も全て積極的に提出する必要があるため,手続負担が大きくなりやすいところです。しかし,提出できる資料は不可欠なものに限られず,判断に際して考慮してほしい資料や内容を任意に提出できるというメリットがあります。

後遺障害等級のうち,検査結果の数値で認定結果が決まる場合には,事前認定か被害者請求かという手段よりもその検査結果が重要になるでしょう。検査結果が認定基準を満たしている限り,どちらの方法でも差し支えないという結論になります。
一方,認定基準が数値だけでは判断できず,複数の事情を総合的に踏まえる必要がある場合,考慮してもらうべき事情を積極的に提出することが有益になり得ます。この点,必要な診断書等以外の資料を積極的に提出したい場合には,被害者請求の方法を取る必要があります。
そのため,数値で判断が可能な内容かどうかによって,事前認定と被害者請求を適宜選択することが有力でしょう。

弁護士依頼のメリット

①必要な対応を弁護士に任せることができる

交通事故被害に遭った場合,主に相手保険との間でやり取りが必要になり,その内容は多岐に渡ることが少なくありません。そのため,ただでさえ被害に遭って心身のダメージを抱えている中,相手保険への対応でさらに疲弊させられてしまうということが生じがちです。
この点,弁護士に依頼をすれば,その後の必要な対応を全て弁護士に任せることが可能です。弁護士に適切な対応をしてもらうことで,不要な負担を感じることなく解決を目指せるでしょう。

②後遺障害等級認定に必要なことが分かる

後遺障害等級認定を目指す場合,その等級認定基準を満たしていると判断してもらうことが必要になります。そうすると,あらかじめ等級認定基準を踏まえた上で,基準を満たす内容の資料を提出する形で申請を試みることが不可欠です。
しかしながら,等級認定基準を正確に把握することは,交通事故分野に精通していない限りは容易でありません。

この点,弁護士に依頼することで,等級認定基準を踏まえた申請の準備を弁護士に検討してもらうことが可能になります。そのため,後遺障害等級認定のために必要な対応が分かり,適切な申請ができるようになるでしょう。

③慰謝料などの増額が期待できる

交通事故の場合,弁護士が交渉を行うことで,慰謝料などの増額ができる場合が非常に多く見られます。これは,保険会社が,弁護士の有無で慰謝料などの賠償額を異にする運用をしているためです。
弁護士に依頼することで,慰謝料をはじめとした損害賠償額の増加が期待できるでしょう。また,後遺障害等級が認定された場合,後遺障害に応じた慰謝料なども発生するため,弁護士による増額の余地はさらに大きくなることが見込まれます。

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【後遺障害14級】認定対象となる症状や慰謝料額を一挙解説

交通事故の被害に遭った際,治療が終了してもなお症状が残ってしまう場合には,後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。後遺障害等級が認定された場合,受領できる慰謝料額などが大きく変わるため,等級の認定基準を把握することは重要です。

自賠責保険では,1級から14級の後遺障害等級が定められており,それぞれに詳細な認定基準が設けられています。ここでは,後遺障害14級の対象となる症状や認定の基準,認定された場合の慰謝料額などを弁護士が解説します。

後遺障害14級の認定基準

14級の認定基準一覧

1号一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
2号三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3号一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
4号上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5号下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6号一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
7号一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
8号一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
9号局部に神経症状を残すもの

【1号】「一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの」

具体的には,以下の場合を指します。

1.まぶたを欠損したことで,眼を閉じても眼球の一部(白目)が露出してしまう場合
2.まぶたで眼球全てを覆うことはできるが,まぶたの欠損によってまつげが半分以上無くなって生えてこない場合

【2号】「三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」

歯牙障害と呼ばれる後遺障害です。歯牙障害は,歯科補綴を加えた歯の数によって等級が認定されます。

「歯科補綴を加えたもの」とは
=現実に喪失又は著しく欠損した歯牙に対する補綴

「著しく欠損した」とは
歯冠部(歯肉より露出している部分)の体積の4分の3以上を欠損したもの

「補綴」とは
歯が喪失したり欠損したりしたところを,クラウン(歯全体を覆う被せ物)や入れ歯などの人工物で補うこと

【留意事項】
①認定対象になる歯の条件
→認定対象となる歯は,永久歯を指します。乳歯や含まれず,いわゆる親知らずも含まれません。ただし,乳歯が欠損したことで永久歯の萌出が見込めない場合は含まれます。

②喪失した歯の数より補綴した義歯の数が多い場合
→喪失した歯牙が大きい場合や歯間が広かった場合など,喪失した歯の数よりも多くの補綴を要した場合,等級の認定は喪失した歯の数によって判断されます。

(例)4本を喪失したが,5本の補綴をした場合,4本の歯科補綴として14級2号を認定する

③ブリッジなどで失った歯以外を切除した場合
→交通事故で失った歯の補綴に際して,ブリッジを設ける目的などで他の歯を切除した場合,歯冠部の4分の3以上切除していれば,歯科補綴を加えた本数に含みます。

(例)交通事故で2本喪失したところ,両側2本の歯にブリッジを施した場合,4本の歯科補綴として14級2号を認定する

【3号】「一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの」

交通事故による聴力の低下のため,1メートル以上離れた距離では小声での話し声を聞き取ることが困難になった状態を指します。
具体的には,検査の結果,1耳の平均純音聴力レベルが40デシベル以上70デシベル未満の状態のことをいいます。

純音聴力レベル」とは
音波の基本的なもの(=純音)に対する聴こえ方の程度。音が聴こえるかどうか

【4号】「上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」

上肢の露出面とは,肩関節から先(指先まで)を指します。
この範囲に,手のひら大(指を除く)の醜状が残った場合,認定対象になります。

【5号】「下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」

下肢の露出面とは,股関節から先(足の背部まで)を指します。
この範囲に,手のひら大(指を除く)の醜状が残った場合,認定対象になります。

【6号】「一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの」

具体的には,以下の場合を指します。

1.指の骨の一部を喪失した場合
2.骨折した骨がうまく癒合しなかった場合

1指骨の一部を失っていること(遊離骨片の状態を含む)がX線写真より確認できる必要があります。

【7号】「一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの」

遠位指節間関節は,最も指先に近い関節(いわゆる第一関節)を指します。

(「障害認定必携」より引用)

交通事故により,親指以外の手指を第一関節で曲げたり伸ばしたりできなくなった場合に該当します。

【8号】「一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの」

第三の足指とは中指のことをいいます。そのため,「第三の足指以下」の足指とは,中指,薬指,小指を指します。

また,「足指の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.親指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
2.親指以外の足指について、中節骨又は基節骨で切断したもの
3.親指以外の足指について、遠位指節間関節又は近位指節間関節で離断したもの
4.親指の中足指節間関節又は指節間関節の可動域が1/2以下に制限されるもの
5.親指以外の足指の中足指節間関節又は近位指節間関節の可動域が1/2以下に制限されるもの

上記のうち「1」及び「4」は親指に関する基準であるため,「2」「3」「5」のいずれかに該当する場合,14級8号の認定対象になります。

【9号】「局部に神経症状を残すもの」

局部=体の一部に,神経系統の障害による症状が残ることを指します。
一般に,神経症状が医学的に証明できないものの,医学的に説明できる場合をいうものと理解されています。

症状が医学的に証明できる場合
=画像所見などの他覚的所見によって客観的に認められる場合

症状が医学的に説明できる場合
=他覚的所見はないものの,受傷内容や治療経過を踏まえると症状の存在が医学的に推定できる場合

他覚的所見はないものの,総合的判断によって症状の存在が説明可能と評価される場合,14級9号の認定対象になります。

後遺障害14級の慰謝料

等級ごとの後遺障害慰謝料

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
1級1150万円2800万円
2級998万円2370万円
3級861万円1990万円
4級737万円1670万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

後遺障害14級の場合,自賠責保険からは32万円の慰謝料が支払われます。また,裁判基準の慰謝料は110万円となります。

後遺障害14級の逸失利益

後遺障害逸失利益は,以下の計算式で算出されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

このうち,労働能力喪失率は等級ごとに設けられており,等級が上位であるほど喪失率も大きくなります。

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

後遺障害14級の場合は,労働能力喪失率が5%となります。

計算例
年収500万円,40歳,14級9号認定(むち打ちにて)

計算式
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

=500万円×0.05×4.5797(5年ライプニッツ※)
1,144,925円

(※)14級9号のむち打ちについては,労働能力喪失期間を5年以内とする運用が広く用いられています。

後遺障害等級の認定を受ける方法

①手続の方法

認定手続は,加害者の自賠責保険会社に所定の書類を提出する方法で行われますが,被害者側と加害者側のどちらが提出するかによって,大きく二通りの手続があります。

1.事前認定
対人賠償保険(被害者の人身損害を賠償する加害者側の保険)が,自賠責保険会社に提出する際の方法です。自社の賠償額を算定するため,事前に後遺障害等級認定を求める手続のため,事前認定と呼ばれます。

2.被害者請求
被害者側が,対人賠償保険を通さずに自ら自賠責保険会社に提出する際の方法です。
被害者が自ら自賠責保険会社への請求を行うため,被害者請求と呼ばれます。

3.両者の違い
両者の主な違いは,以下の通りです。

項目【事前認定】【被害者請求】
提出する人対人賠償保険被害者自身
提出書面必要書類一式必要書類以外も提出可
提出物の収集保険会社が行う被害者自身が行う

②手続の流れ

後遺障害等級認定の基本的な流れは,以下の通りです。

【事前認定の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③後遺障害診断書の提出相手保険に後遺障害診断書を提出します。
④事前認定の実施相手保険による自賠責保険への提出を待ちます。
⑤後遺障害等級の結果通知相手保険に結果の通知があり,相手保険から被害者側に知らされます。


【被害者請求の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③申請書類の準備治療期間中の診断書やレセプト,交通事故証明書などの必要書類を取得し,申請書類に必要事項を記載します。
④被害者請求の実施必要書類を自賠責保険会社に提出し,被害者請求を実施します。
⑤後遺障害等級の結果通知申請者である被害者又は代理人に直接通知されます。

事前認定は,後遺障害診断書を相手保険に提出するのみで足りるため,手続が簡便であるというメリットがあります。一方で,自賠責保険に提出される資料は必要不可欠なもののみであるため,認定に有用な資料を追加で提出したい,という場合には適していません。
一方,被害者請求は,後遺障害診断書以外の提出書面も全て積極的に提出する必要があるため,手続負担が大きくなりやすいところです。しかし,提出できる資料は不可欠なものに限られず,判断に際して考慮してほしい資料や内容を任意に提出できるというメリットがあります。

後遺障害14級の場合,神経症状のうち,主に自覚症状に関する認定が問題となるケースが多く見られます。そして,自覚症状の内容や程度が分かる資料を別途作成・提出するためには,被害者請求の方法を取る必要があります。
そのため,特に自覚症状が重要な問題となるときには,被害者請求の方法を選択することが有力でしょう。

弁護士依頼のメリット

①必要な対応を弁護士に任せることができる

交通事故被害に遭った場合,主に相手保険との間でやり取りが必要になり,その内容は多岐に渡ることが少なくありません。そのため,ただでさえ被害に遭って心身のダメージを抱えている中,相手保険への対応でさらに疲弊させられてしまうということが生じがちです。
この点,弁護士に依頼をすれば,その後の必要な対応を全て弁護士に任せることが可能です。弁護士に適切な対応をしてもらうことで,不要な負担を感じることなく解決を目指せるでしょう。

②後遺障害等級認定に必要なことが分かる

後遺障害等級認定を目指す場合,その等級認定基準を満たしていると判断してもらうことが必要になります。そうすると,あらかじめ等級認定基準を踏まえた上で,基準を満たす内容の資料を提出する形で申請を試みることが不可欠です。
しかしながら,等級認定基準を正確に把握することは,交通事故分野に精通していない限りは容易でありません。

この点,弁護士に依頼することで,等級認定基準を踏まえた申請の準備を弁護士に検討してもらうことが可能になります。そのため,後遺障害等級認定のために必要な対応が分かり,適切な申請ができるようになるでしょう。

③慰謝料などの増額が期待できる

交通事故の場合,弁護士が交渉を行うことで,慰謝料などの増額ができる場合が非常に多く見られます。これは,保険会社が,弁護士の有無で慰謝料などの賠償額を異にする運用をしているためです。
弁護士に依頼することで,慰謝料をはじめとした損害賠償額の増加が期待できるでしょう。また,後遺障害等級が認定された場合,後遺障害に応じた慰謝料なども発生するため,弁護士による増額の余地はさらに大きくなることが見込まれます。

交通事故に強い弁護士をお探しの方へ

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交通事故で逸失利益が請求できる場合とは?その計算方法は?弁護士に依頼するとなぜ増額する?弁護士がすべて解説

●逸失利益の意味を知りたい

●逸失利益はどんなときに請求できるか

●逸失利益の計算方法が知りたい

●弁護士が逸失利益を増額させる仕組みが知りたい

●逸失利益については弁護士に依頼すべきか知りたい

といった悩みはありませんか?

このページでは,交通事故の逸失利益についてお困りの方に向けて,逸失利益とは何か逸失利益はいくら請求できるか逸失利益の対応は弁護士に依頼するべきかなどを解説します。

逸失利益の意味

逸失利益とは,交通事故がなければ得られたはずの収入が得られなくなった分の損害をいいます。
例えば,交通事故前には500万円の年収があった場合,交通事故によって全く仕事ができない状態になってしまうと,事故後の年収はゼロですが,このケースは年間500万円の逸失利益が発生することになります。
また,同じく年収500万円の人が14級の後遺障害等級認定を受けた場合,その後の年収は5%減少するとみなされるのが交通事故の運用となっています。そのため,14級の後遺障害になったケースでは年間25万円の逸失利益が発生することになります。

逸失利益が請求できる場合

逸失利益が発生するのは,大きく分けて後遺障害が残った場合と死亡事故の場合の二通りです。
これらの場合には,交通事故がなければ得られたはずの収入が事故によって得られなくなるため,逸失利益が発生することになります。

ポイント
逸失利益は,交通事故が原因で得られなくなった収入
逸失利益が請求できるのは,後遺障害が残った場合と死亡事故の場合

後遺障害逸失利益の計算方法

逸失利益は,収入のうちどの程度の割合が,どの程度の期間失われるか,という計算方法で算出されます。
簡略化すると,「収入の減額分」×「減額期間」となるところです。
例えば,年間100万円の減額が30年続くのであれば,100万円×30=3000万円という具合ですね。

もっとも,将来の減額分も一括で支払われることに配慮する必要があるため,具体的な金額は以下の計算式で計算されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

以下,各項目の内容について解説します。

①基礎収入

逸失利益により減額してしまう前の収入額を指します。計算の基礎となる収入というべきものです。
通常,基礎収入には事故前年の収入を採用します。事故前年と同程度の収入が将来に渡って得られた可能性が高いとみなし,逸失利益を計算するというわけですね。

事故前年の収入を確認するための資料は,給与所得者の場合は勤務先の源泉徴収票,事業所得者の場合は確定申告書や所得証明書が挙げられます。その他,事故直前から仕事を開始した場合などは,事故直前の収入額をもとに年収を概算する方法を取ることもあります。

②労働能力喪失率

後遺障害によって労働能力が低下した割合を指します。労働能力が低下した割合に応じて,収入額も減少するとみなし,逸失利益を計算します。

労働能力喪失率は後遺障害等級によって決まりますが,具体的な喪失率は以下の通りです。

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

例えば,1級は労働能力喪失率が100%となるため,基礎収入額の100%,つまり全額が収入額の減少とみなされます。また,14級は労働能力喪失率が5%のため,基礎収入額の5%が収入額の減少とみなされることになります。

このように,「基礎収入」×「労働能力喪失率」によって後遺障害による年収の減額分を計算することができます。

③労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失期間 

労働能力喪失期間とは,労働能力の低下が生じる期間を指します。逸失利益の計算では,私たちが労働能力を有するのは67歳までとみなされるのが一般的であるため,労働能力喪失期間は,原則として以下の期間となります。

労働能力喪失期間
=67歳-症状固定時の年齢

症状固定時に30歳であれば37年,50歳であれば17年ということになります。

もっとも,症状固定時に67歳の間近であったり,67歳以上であったりすると,上記の計算式では適切な期間を割り出すことができません。そのため,「67歳-症状固定時の年齢」と平均余命の半分を比較し,後者の方が長い場合には後者を労働能力喪失期間とします。
そのため,厳密な計算式は以下の通りとなります。

労働能力喪失期間
=「67歳-症状固定時の年齢」か「平均余命の半分」のいずれか長い方

ライプニッツ係数

「年収の減少分」と「労働能力喪失期間(年数)」が分かれば,これらをかけ合わせれば逸失利益が計算できるように思えます。
例えば,年収500万円,労働能力の喪失10%,喪失期間5年であれば,以下の計算で逸失利益が出せそうです。

500万円×10%×5年
=50万円×5年
=250万円

これは,毎年50万円ずつ,5回に分けて受領するのであれば,適正額である可能性が高いでしょう。
しかし,症状固定後に一括で250万円を受領するとなると,利息の分だけもらい過ぎているという問題が生じます。

法律上,金銭は利息を生むものと理解されています。本稿執筆時の法定利率は年3%であるため,100万円は1年後に利息3%を含む103万円の価値になっている,というのが法律の理解です。
そのため,将来受け取るはずだったものを今受け取る場合,受け取った時点から本来受け取るはずだった時点までの利息の分だけ,早く受け取った方が得をしているという考え方になるのです。

そのため,一括で支払う場合,この期間の利息(中間利息)を差し引いた金額を支払うのが適切ということになりますが,この中間利息を差し引くために用いられる数字が「ライプニッツ係数」です。

ライプニッツ係数は,利息と年数によって定められますが,年利3%を前提とした5年のライプニッツ係数は「4.5797」です。これは,年利3%の場合に5年分を一括受領するのであれば,4.5797年分を受領すると5年後にちょうど5年分の金額になっている,という意味になります。
したがって,年収500万円,労働能力の喪失10%,喪失期間5年であれば,中間利息を考慮した逸失利益の金額は以下の通りになります。

500万円×10%×5年ライプニッツ
=50万円×4.5797
=2,289,850円

まとめ

逸失利益は,「収入の減額分」×「減額期間」で計算される
収入の減額は,「基礎収入」×「労働能力喪失率」
減額期間は「労働能力喪失期間」
一括でお金を受け取ると利息の分だけ得をしてしまうため,利息分を差し引いて計算するための数値が「ライプニッツ係数」

死亡逸失利益の計算方法

①基本的な計算方法

死亡逸失利益の場合も,基本的な考え方は後遺障害逸失利益と同じです。
つまり,ベースになるのは以下の計算式です。

逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

しかし,死亡の場合にはこの計算式をそのまま採用することはできません。それは,死亡事故だと死亡後には生活費が発生せずに済んでいるためです。
交通事故による損害額を計算する場合,交通事故によって得られた利益があれば,これは差し引かなければなりません。死亡逸失利益は,死亡後に得られなくなってしまった収入を指すものですが,死亡後は同時に生活費の負担がなくなるので,その生活費の分は交通事故による利益として差し引かなければならないのです。

具体的な死亡逸失利益の計算においては,「生活費控除」という形で行われます。生活費控除は,基礎収入のうち一定の割合は生活費として費消されていたはずであるとみなし,基礎収入から一定額を割り引く方法で計算されます。

例えば,独身男性の場合だと生活費控除率は50%とされます。基礎収入の50%は生活費で消えていたはずであるから,逸失利益としては支払わない,という考え方になるのですね。
したがって,40歳で年収500万円の独身男性が死亡した場合の死亡逸失利益は,以下の通り算出されます。

死亡逸失利益(40歳年収500万円の独身男性)
=500万円×50%×(労働能力喪失率=100%)×27年ライプニッツ※

※67-40=27年のため

なお,主な生活費控除率は以下の通りです。

①一家の支柱 被扶養者1人:40%
②一家の支柱 被扶養者2人以上:30%
③女性(主婦・独身・幼児等):30%
④男性(独身・幼児等):50%

ポイント

死亡逸失利益の計算では,死亡後に生活費が発生しなくなった点を考慮する必要がある
生活費が発生しなかった分を逸失利益から差し引くため,「生活費控除」がなされる

②基礎収入における特徴

死亡逸失利益の基礎収入における特徴に,年金収入も基礎収入の対象となることが挙げられます。
死亡すると年金の受給は終了してしまうため,死亡事故の場合は年金も「事故がなければ得られたはずの収入」に該当するのです。

後遺障害の場合は,年金が支払われ続けるため,このような問題は生じません。死亡事故に特有の問題ということができるでしょう。
また,年金収入者はほかの収入がない状況である場合が多いため,年金収入者の逸失利益は,基本的に死亡事故の場合にのみ発生すると考えられます。

③労働能力喪失率における特徴

死亡事故の場合,死亡後に労働できる可能性がないため,労働能力喪失率は必ず100%になります。そのため,死亡事故で労働能力喪失率,労働能力喪失期間という発想を取ることはありません。

以上を踏まえ,死亡事故の逸失利益は,死亡しなければ就労できたはずの期間について,得られたはずの収入から生活費を除いた金額を計算する,ということになります。これを計算式にすると以下の通りです。

死亡逸失利益
=「基礎収入」×(1-生活費控除率)×「就労可能年数に対応するライプニッツ係数」

なお,就労可能年数は,後遺障害における労働能力喪失期間と基本的に同内容です。

また,年金収入の場合は,その終期は生涯を遂げた時期となるため,平均余命まで健在であったとみなし,以下の通り計算します。

死亡逸失利益(年金)
=「基礎収入=年金収入額」×(1-生活費控除率)×「平均余命に対応するライプニッツ係数」

ポイント
死亡事故の基礎収入には年金収入が含まれる
死亡逸失利益の計算式は,「基礎収入」×(1-生活費控除率)×「就労可能年数に対応するライプニッツ係数」
年金収入の場合は「年金収入額」×(1-生活費控除率)×「平均余命に対応するライプニッツ係数」

弁護士への依頼で逸失利益が増加する仕組み

弁護士に逸失利益の交渉を依頼すると金額が増加することには,いくつかの理由があります。

①自賠責基準と裁判基準の差額

交通事故の損害賠償には,自賠責基準と裁判基準があります。
保険会社は,弁護士がいない場合には自賠責基準を念頭に被害者へ賠償額を提示し,弁護士が入ると裁判基準を念頭においた金額計算に切り替える運用をしています。

ここでは,以下の具体的な例に沿って見てみましょう。

【例】
年収500万円,50歳,後遺障害10級の場合

【自賠責基準の逸失利益】

自賠責保険の場合,慰謝料と逸失利益を合計した金額の上限が等級ごとに定められており,計算結果が上限を超える場合,上限額の支払となります。
慰謝料と逸失利益の合計は,基本的に上限額を超過するため,上限額が支払われるものと理解して問題ないでしょう。

この点,後遺障害10級の上限額は461万円,うち慰謝料は190万円となっております。そのため,自賠責保険から支払われる逸失利益は以下の通りです。

自賠責保険の逸失利益(年収500万円,50歳,後遺障害10級)
=10級の上限額-10級の自賠責慰謝料
=461万円-190万円
271万円

任意保険会社の立場としては,自賠責保険から出る金額のみを支払って解決できるのであれば,自社の負担がなくなるため,この金額での解決が最も有益ということになります。
そのため,任意保険会社が自社に最も有利な提案を行う場合,逸失利益を271万円として提示する可能性が想定されます

【裁判基準の逸失利益】

裁判基準の逸失利益は,以下の計算式で算出されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

この点,基礎収入は年収額の500万円,労働能力喪失率は10級の場合27%,労働能力喪失期間は50歳から67歳までの17年であり,17年のライプニッツ係数は13.1661となります(年利3%を前提とした場合)。

そのため,裁判基準の逸失利益を単純計算すると,以下の通りになります。

後遺障害逸失利益(年収500万円,50歳,後遺障害10級)
=500万円×0.27×13.1661
17,774,235円

この金額は,実に自賠責基準の6.5倍以上です。
あくまで単純計算の結果であるため,現実にこの金額が受領できるかは別問題ですが,少なくとも弁護士への依頼によって大きく増額する余地のあることが分かります。

②労働能力喪失期間に関する保険会社の取り扱い

後遺障害の逸失利益に関しては,労働能力喪失期間が問題になるケースが多数見られます。
例えば,最も件数の多い14級9号の場合,労働能力喪失期間は概ね5年以内とされるのが一般的ですが,現実の解決に際して5年とするのかより短い期間とするのか,という点が争点になりやすい状況にあります。

この点,保険会社は,弁護士のいない場合,逸失利益を2~3年として金額提示することが非常に多く見られます。逸失利益を5年以内とする,といった運用を把握していない当事者の方だと,2~3年の提示が妥当であるかも判断は難しく,言われるまま合意することもあり得るでしょう。

しかしながら,喪失期間5年とした場合の逸失利益は,喪失期間2年の場合の約2.4倍になります。そのため,保険会社の提示通りに合意すると,逸失利益が2倍以上になる可能性を手放す結果になりかねないのです。

この場合,弁護士に依頼し,弁護士を通じて喪失期間5年とすることを念頭にした示談交渉を行うことで,逸失利益は大きく増加する可能性が生じることになります。

ポイント 弁護士への依頼で逸失利益が増える理由
自賠責基準と裁判基準の差額
労働能力喪失期間に関する交渉

逸失利益は弁護士に依頼すべきか

逸失利益の問題は,基本的に弁護士への依頼が適切でしょう。
逸失利益が発生しているということは,死亡又は後遺障害が存在するほどの重大事故であり,損害の規模が非常に大きいため,弁護士に依頼することによる増額の余地も大きい場合がほとんどです。

もっとも,いわゆる費用倒れのリスクが気になることも少なくないと思います。この場合,逸失利益について既に金額提示をお受けになっているのであれば,その内容をお示しいただきながら弁護士にご相談されるのが有力でしょう。
保険会社の提示内容を踏まえて弁護士にご相談いただければ,具体的な増額の可能性や弁護士費用との兼ね合いも含めて弁護士からのご案内が可能です。

交通事故の逸失利益に強い弁護士をお探しの方へ

逸失利益は,後遺障害に関する損害の中でも,金額・位置付けともに最大の問題になる項目です。
また,その金額は,就労や収入に関する個別の事情が反映されやすいため,交渉は専門家を通じて適切な方法で行うべきでしょう。
逸失利益が生じるほど重大な損害が発生している事件であれば,一度は弁護士にご相談されることをお勧めします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,1000件を超える数々の交通事故解決に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内いたします。
ご相談やお困りごとのある方は,お気軽にお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

後遺障害慰謝料の計算方法|算出基準や弁護士依頼のメリットまで解説

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残った精神的苦痛に対する賠償金です。

金額は、後遺障害等級ごとに定められた基準に基づいて計算され、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つの算出方法によって大きく変わります。

あらかじめ計算方法を理解しておくことで、不当に低い金額での示談を避け、正当な賠償を受けやすくなるでしょう。

そこで本記事では、後遺障害慰謝料の計算方法や算出基準、弁護士依頼のメリットなどを詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

後遺障害慰謝料の計算方法

後遺障害慰謝料は,後遺障害等級ごとにその金額が定められています。
後遺障害慰謝料の計算基準には,大きく分けて自賠責基準と裁判基準があり,自賠責基準よりも裁判基準の方が高い金額が定められています。等級ごとの具体的な金額は以下の通りです。

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
1級1150万円2800万円
2級998万円2370万円
3級861万円1990万円
4級737万円1670万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

後遺障害慰謝料の算出基準

後遺障害慰謝料は基準によって金額が大きく変わります。主な算出基準は、以下の通りです。

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準(裁判所基準)

詳しく解説します。

自賠責基準

自賠責基準は、自動車損害賠償保障法に基づく公的な最低補償ラインで、後遺障害等級ごとに定められた定額表を用いて算定されます。

被害者がまず受けられる金額としての役割があり、迅速な支払いや最低限の補償を目的とするため、他の基準に比べて最も低く抑えられることが普通です。

また、認定や請求には所定の手続きや書類(後遺障害診断書や画像等の提出)が必要で、等級認定が得られなければ支給されない点にも注意が必要です。

任意保険基準

任意保険基準は各保険会社が内部で定める基準で、自賠責基準より高い水準を想定するものの、弁護士基準には及ばないことが多いです。

示談交渉の段階では保険会社側がこの基準を基に提示額を決めるため、被害者が専門家を介さず交渉すると任意保険基準での妥結に留まるケースが多く見られます。

また、各社の社内運用や担当者の裁量によって算定額が変わるため、具体的な金額は一律ではありません。

弁護士基準(裁判所基準)

弁護士基準は、裁判例や損害賠償算定の実務基準に基づき算出される水準で、三つの基準の中で最も高額になることが一般的です。

実際の裁判で認められた判例や、弁護士が交渉で用いる判例表を参考に等級や症状の程度を詳細に評価し、被害者の実損や精神的苦痛を広く反映させます。

結果として、弁護士に依頼して弁護士基準で交渉することが、金額面で有利になるケースが多いです。

後遺障害等級の認定を得るためのポイント

後遺障害等級の認定は慰謝料額を左右する重要な要素です。後遺障害等級の認定を得るためには、主に以下4つのことが必要です。

  • 後遺症の症状を客観的に記録・保存する
  • 適切な医師に診断書を作成してもらう
  • 画像検査や検査結果などの医学的証拠を揃える
  • 後遺症が自賠責の等級基準に当てはまる

詳しく解説します。

後遺症の症状を客観的に記録・保存する

後遺症の主張を裏付けるためには、症状の発生時刻や頻度、日常生活での具体的な制限などを継続的に記録することが重要です。

診察時には症状の詳細を口頭だけで済ませず、メモやスマホ動画、写真、痛みの程度を示すスケール(VASなど)を用いて客観的に残すと説得力が増します。

さらに、通院履歴や処方履歴、リハビリの記録など医療機関の記録と照合できる形で保存しておくと、自賠責や審査機関への提出書類としても有効です。

適切な医師に診断書を作成してもらう

後遺障害認定に用いる診断書は形式や記載内容が認定結果に直結するため、後遺障害の実態を正確に把握している専門医に作成してもらうことが望ましいです。

可能であれば事故直後から同じ医師に継続して診てもらい、症状の推移や治療結果を一貫して記載してもらうと診断書の信頼性が高まります。

また、診断書には主観的訴えだけでなく具体的な所見、検査数値、日常生活の制限などを詳細に記載してもらうよう依頼することが重要です。

画像検査や検査結果などの医学的証拠を揃える​​

MRI、CT、X線、神経伝導検査、筋電図、血液検査など、症状に応じた客観的検査を適宜実施し、その結果を保存しておくことが後遺障害認定の要です。

特に器質的変化が認められる場合は画像所見が強い証拠となり、神経・筋の障害では機能検査の数値が評価に直結します。

検査は事故前後の比較や専門医による報告書があるとより有利で、検査結果の報告書や画像データそのものを提出できるようにしておきましょう。

後遺症が自賠責の等級基準に当てはまる

自賠責による等級認定は具体的な基準表(症状の種類と程度)に照らして判断されるため、自分の後遺症がどの等級に該当しうるかをあらかじめ把握しておくことが重要です。

単に「痛みが残った」だけでは等級に該当しないことがあり、機能障害や可動域制限、感覚障害の程度を客観的に示すデータが必要です。

等級表の要件に合わせて診断書や検査結果を整えることで、認定可能性を高められます。

後遺障害の損害について弁護士に依頼すべき場合

後遺障害等級が認定された場合には,そうでない場合に比べて損害額が大きく増加するため,基本的に弁護士への相談が適切でしょう。中でも,特に弁護士委任が有力になりやすい場合としては,以下のようなケースが挙げられます。

①後遺障害等級がより上位の場合

後遺障害等級が上位であるほど,その損害額も大きくなります。損害額の大きさは,弁護士に依頼した場合の増額幅の大きさに直結するため,後遺障害等級が上位であるほど弁護士への依頼が有力になりやすいでしょう。

②過失がない又は小さい場合

過失がないか,あったとしても10%程度など小さい場合には,弁護士への依頼によって増額した分が過失相殺によって差し引かれないため,弁護士依頼の利益が大きくなりやすいところです。そのため,過失が小さければ小さいほど弁護士への依頼が有力になるでしょう。

③弁護士費用特約が利用できる場合

弁護士費用特約が利用できれば,弁護士への依頼に必要な費用の負担が大きく軽減されます。法律事務所によっては弁護士費用の負担がゼロになることも珍しくないため,そのような弁護士への依頼ができれば,費用倒れのリスクなく弁護士に依頼ができるでしょう。

交通事故の後遺障害に強い弁護士をお探しの方へ

後遺障害の損害は,金額が非常に大きくなりやすいため,適切な対応ができた場合とできなかった場合の金額面への影響もまた大きくなる傾向にあります。
加えて,他の損害項目にはない独自の争点もあり,解決を図るためには後遺障害に強い弁護士へのご相談をお勧めします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,1000件を超える数々の交通事故解決に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内いたします。
ご相談やお困りごとのある方は,お気軽にお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所