【盗撮事件の示談を知りたい人のために】示談金相場や示談のメリット,余罪に関する示談などを弁護士がすべて解説

このページでは,盗撮事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

盗撮事件で示談は必要か
盗撮事件における示談のメリット
盗撮事件で示談をする方法
盗撮事件の示談金相場
盗撮事件の示談内容・条項
余罪の示談について
盗撮事件の示談に必要な費用

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盗撮事件で示談は必要か

盗撮事件は,基本的に示談が必要であると理解するのが適切です。
一般的な盗撮事件の場合,示談ができているかどうかによって処分が決まると言っても決して過言ではありません。

犯罪事実に争いのない盗撮事件では,特段の事情がなければ起訴されるのが通常です。起訴された場合,無罪でない限り刑罰を受けることになるため,刑罰を受けて前科が付くことになります。
一方,同じ事件で示談が成立した場合,特段の事情がなければ起訴されない方が通常の処理になりやすいです。被害者が起訴を希望していない場合,被害者の意向を押し切って起訴されることはあまりない事件が多い類型と言えるでしょう。

もちろん,示談をしても起訴を防げない事件はありますが,その場合でも示談をしていることによって処罰は一段軽くなるという理解をするのが一般的です。示談がなければ実刑判決の対象となる事件でも,示談があることによって実刑判決にならず済むことは決して珍しくありません。

盗撮事件の対応は,まず示談から検討することを強くお勧めします。

ポイント
盗撮事件は基本的に示談が必要
示談が成立していれば不起訴が見込まれやすい

盗撮事件における示談のメリット

盗撮事件は示談のメリットが非常に大きい事件類型です。具体的なメリットとしては,以下のような点が挙げられます。

①前科を防げる

刑事事件では,警察から事件の送致を受けた検察官が,被疑者を起訴するかどうか決めます。そして,検察官に起訴されると,刑罰を受けて前科が残ることになります。
この点,検察官が起訴するか不起訴どうかは,様々な事情を総合的に考慮の上で判断されますが,被害者がいる事件の場合,被害者の意向を反映させることが非常に多く見られます。

盗撮事件は被害者のいる事件類型のため,被害者が起訴を望むか不起訴を望むかという点が,検察官の判断を左右しやすい傾向にあります。そのため,不起訴を目指す場合の最も効果的な手段は,被害者に不起訴を希望してもらうことになるのです。

示談を行うことによって,被害者に不起訴を希望する意思を表明してもらうことができ,検察官の不起訴処分を獲得できる可能性が飛躍的に高くなります。不起訴処分となれば前科はつかないため,前科を防ぐための最も有力な手段は示談ということになるでしょう。

②早期釈放につながる

盗撮事件で逮捕・勾留されている場合,被害者との示談が成立すれば,その身柄拘束は早期に解かれる可能性が非常に高くなります。

そもそも,盗撮事件で逮捕・勾留といった身柄拘束をするのは,事件の捜査や処分(起訴・不起訴の判断)のために逮捕・勾留が必要であるからです。裏を返せば,捜査や処分を検討する必要がなくなれば,逮捕・勾留をしておく必要もなくなるため,早期に釈放されるということになります。

示談が成立した場合,被害者はそれ以上の捜査や加害者(被疑者)の刑事処罰を希望しなくなるため,捜査機関が捜査を続けたり刑事処罰を検討したりする必要は基本的になくなります。捜査機関の捜査は,被害者の協力がなければ困難なことも多いため,被害者が捜査を希望しないのに無理矢理捜査を続けることは難しい,という面もあります。

そうすると,示談が成立し,被害者が捜査や処罰を希望しないという希望を示せば,逮捕・勾留しておく必要もなくなります。その結果,不要な逮捕・勾留は終了し,早期釈放してもらうことが可能になりやすいでしょう。

③刑罰が軽減する

示談は,盗撮事件で起訴されることが防げない場合,刑罰を受けてしまう場合にも重要な効果を発揮します。

刑罰の重さを最終的に判断するのは裁判所ですが,裁判所が刑罰を判断する際に極めて重要視する事情に,被害者の処罰感情や被害者に対する被害の補填が挙げられます。

処罰感情とは,処罰を希望するかどうかという気持ちを言います。被害者の処罰感情が強いほど,刑罰は重くなる傾向にあります。
また,被害者に対する被害の補填は,被害者に生じた損害がどれだけ回復されているか,という意味で重要な判断要素になります。被害の補填は主に金銭で行われることが一般的ですが,事後的に被害が回復されていれば,その結果重い刑罰を科す必要はなくなる,という理解になるのが通常です。

被害者との間で示談が成立すれば,被害者に処罰感情がないことや,被害の補填がなされたことが明らかになります。そのため,示談は刑罰の軽減に直結する効果を持つということができます。

示談がなければ実刑判決が見込まれるケースでも,示談によって実刑判決を回避できる場合は珍しくありません。示談は,被害者がいる事件で刑罰を軽減するための最も有益な試みと理解してよいでしょう。

④被害者との法律関係が解決する

盗撮事件が起きた場合,被害者と加害者の間には,「被害者が加害者に損害賠償を請求できる」という法律関係が発生します。盗撮行為は,被害者に対する「不法行為」に該当するため,盗撮行為(=不法行為)の被害者は,加害者に対して金銭賠償を請求できる,という関係に立つのです。
しかも,この法律関係は,加害者が刑事処罰を受けたとしてもなくなったり負担が軽くなったりするものではありません。当事者間の法律関係と刑事処罰とは無関係であるためです。

この点,被害者との間で示談が成立した場合,被害者と加害者の間には示談の内容以外に法律関係がない(法律関係が解決した)という約束をすることになります。そのため,示談が成立すれば,その後に加えて被害者から金銭賠償を請求されることはなくなり,法律関係の面でも安心することができます。
なお,当事者間の法律関係が解決したことを約束する示談の条項を,「清算条項」と言います。示談に際して清算条項を盛り込んで解決することで,当事者間の法律関係は示談をもって終了することになります。

ポイント 示談のメリット
前科の回避につながる
身柄拘束からの釈放につながる
刑罰の軽減につながる
当事者間の法律関係が清算できる

盗撮事件で示談をする方法

盗撮事件で捜査を受けている場合,示談をするためには捜査機関(警察や検察)にその旨を申し入れ,捜査機関から被害者に連絡を取ってもらうことが必要です。
もっとも,捜査機関は加害者本人と被害者を引き合わせることをしません。当事者同士で連絡を取らせるのは,被害者にとって不適切である上,二次被害の原因になる可能性がある,と考えるためです。
そのため,盗撮事件で示談を試みるためには,弁護士に依頼の上,弁護士を通じて動くことが必要となります。

具体的な流れは,以下の通りです。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

被疑者の方ご本人は,弁護士にご依頼の後,この流れが進むのをお待ちいただくことになります。
弁護士から各所へ連絡を取った際,捜査機関や被害者から連絡を受け取った際など,流れが進むに応じて適宜報告を受けながら,示談の進捗を把握することが可能です。

ポイント
示談の申し入れは,弁護士から捜査機関へ行う
被疑者は,弁護士に依頼の後,弁護士を通じて状況を把握する

盗撮事件の示談金相場

刑事事件で示談を行う場合,加害者(被疑者)から被害者へ示談金の支払を行うのが通常です。具体的な示談金の金額は当事者間の協議で定められることになりますが,事件類型ごとに大まかな目安はあります。

この点,盗撮事件の場合,概ね30万円ほどとされる例が多く見られる傾向にあります。
ただ,被害者側の意向によってはより大きな金額となることも多数あります。特に,2023年に「性的姿態撮影等処罰法」が施行され,盗撮事件がいわゆる「撮影罪」として厳罰化されたことは広く知られています。そのため,盗撮事件の厳罰傾向を踏まえた示談金額の検討を求められることも一定数あるところです。

被害者との交渉も踏まえた示談金額の目安としては,30~50万円ほどを想定するのが有力でしょう。
具体的な示談金額はこの目安を上回るケースもありますが,金額が変動する要因としては以下のような事項が挙げられます。

盗撮事件における示談金額の変動要因

1.盗撮の場所・方法
→自宅の浴室など,通常衣服をつけないプライベートな場所での撮影は,被害者の精神的苦痛が大きく示談金額の増額要因になります。

2.盗撮の期間・回数
→長期間,複数回の盗撮行為がある場合,示談金額の増額要因になります。

3.被害者の心身への支障
→精神疾患などの原因になっている場合,示談金の増額要因になります。

4.加害者の経済力
→経済力に限界のある場合,示談金の減額要因になります。

盗撮事件の示談内容・条項

【確認条項】

加害者が被害者へいくらの支払を行う必要(義務)があるかを,当事者間で確認する条項です。
当事者間で合意した示談金の金額を,支払う義務のある金額と定めることになります。

【給付条項】

確認された支払の義務をどのように果たす(給付する)のか,という点を定める条項です。
金銭の支払を内容とするのが通常ですが,支払方法が手渡しか振り込みか,手渡しであればいつどこで行うか,振り込みの場合はどの口座か,振込手数料は誰が負担するか(通常は加害者が負担),支払の期限はいつまでか,といった点を定めます。

【清算条項】

示談で定めた内容以外に,当事者間に債権債務関係(法律関係)がないことを確認する条項です。この条項を設けることで,加害者と被害者との法律関係は示談金の支払をもって終了することになります。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)とは「許し」を意味します。宥恕条項は,被害者が加害者を許すことを内容とする条項です。
加害者が示談金の支払を負担して示談を目指すのは,基本的にこの宥恕条項を獲得するためです。宥恕条項があることによって,捜査機関は被害者に処罰感情がないことを把握でき,不起訴処分の根拠とすることが可能になります。

【行動の制約】

示談成立後に一定の行動をしないこと(又はすること)を約束するものです。多くの場合,被害者と加害者が接触しないことを確かにするため,両者を物理的に引き離す目的で盛り込むことが考えられます。

盗撮事件で設けられやすい行動制約の内容としては,以下のものが挙げられます。

盗撮事件における行動制約の例

1.盗撮画像,映像を削除する
2.盗撮に用いた機器を処分する
3.事件が起きた電車の利用をしない・制限する
4.事件が起きた駅の利用をしない・制限する
5.事件発生場所の近辺に立ち入らない
6.勤務先を退職する(職場内での事件など)

なお,示談の内容は「今後一切接触しない」ことを前提にすることが通常であるため,一切接触しないとの約束を補強する意味合いの条項と理解されます。

【違約金】

加害者が示談で定めた約束に違反した場合,約束違反のペナルティとして被害者に金銭(違約金)を支払うという条項です。
主に,行動制約を取り決めた場合に,これを遵守してくれるか被害者が不安である,というケースで設けることが考えられます。
違約金の金額は,特段のルールはありませんが,示談金額をベースに定めることが多く見られます。

この違約金条項は,実際に違約があり金銭を支払う,という形で活用されることはほとんどありません。現実的には,「違約金の約束をできるほど示談条件を守る気持ちが強い」という意思を表明する手段として用いられるものです。

【口外禁止】

事件の内容や示談の内容を,第三者に口外しないと約束する条項です。両当事者のプライバシーを守るために設けることが考えられます。
盗撮事件の場合,口外されてよいと考える加害者はほとんどいないため,弁護士からはほぼすべてのケースで被害者へ口外禁止条項の設定を依頼することになるでしょう。

その他,被害者が複数いて被害者間に交友関係がある場合,示談の内容が共有されてしまうと,他の被害者との示談に悪影響が生じかねないため,被害者間の情報共有を防ぐ目的で設けられることもあります。

余罪の示談について

盗撮事件の場合,現実に発覚し捜査されている事件以外にも,余罪が複数存在することが考えられます。そのため,余罪も含めて示談する必要があるのかは重要な問題になります。

この点,余罪をすべて示談することは決して必要ではありません。余罪が存在したとしても,そのすべてが捜査・処分の対象になるわけではないからです。

余罪がある場合の取り扱いは,基本的に以下のいずれかとなります。

余罪の取り扱い

1.余罪を別途捜査・処分の対象とする
2.余罪があることを踏まえて本罪の処分を判断する(余罪は情状のみの問題になる)

このうち,「1.余罪を別途捜査・処分の対象とする」ケースだと,余罪についても示談が必要となります。余罪の示談をしなければ余罪が起訴される可能性が高いためです。
しかし,「2.余罪があることを踏まえて本罪の処分を判断する(余罪は情状のみの問題になる)」ケースでは,不起訴のために余罪の示談が必要とはされません。余罪そのものを起訴したり不起訴にしたりするわけではないからですね。

この取り扱いの違いは,余罪について被害者が捜査・処分を求めているかによって変わるのが通常です。具体的には,事前に余罪の被害届が出ているかどうかによって左右される傾向にあります。
もっとも,盗撮事件の余罪について,事前に被害届が出ていることはあまりありません。盗撮行為の性質上,余罪が被害者に発覚している可能性が非常に低いため,余罪の被害者は事件を知らず,被害届も出ていないことが大多数です。

余罪に関しては,別途捜査の対象とされたことが分かってから,捜査の対象となった事件について行う方針が適切でしょう。

ポイント 余罪の示談
余罪が情状の問題にとどまるのであれば示談不要
余罪自体が捜査・処分の対象となる場合は示談が必要

盗撮事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で盗撮事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します

③示談金

一般的な盗撮事件の場合,30~50万円の示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(30万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:30万円

計:119万円

弁護士費用の例

⑤柔軟な料金設定が可能な場合

弁護士費用は,弁護活動の範囲を限定することで費用額を安く抑えることも可能な場合があります。
盗撮事件では,弁護活動の内容を示談に限定することで,費用額を抑える柔軟な料金設定のご案内ができる可能性もあります。

可能な費用負担に限界がある場合も,一度お問い合わせいただくことをお勧めいたします。弁護士から詳細なご案内を申し上げることが可能です。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

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【男女トラブルの示談を知りたい人のために】示談金相場,示談が必要な男女トラブルの類型,示談を試みる方法などを解説

このページでは,男女トラブルの示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

男女トラブルにおける示談のメリット
男女トラブルで示談は必要か
男女トラブルで示談をする方法
男女トラブルの示談金相場
男女トラブルの示談内容・条項
男女トラブルの示談で注意すべきこと
男女トラブルの示談に必要な費用

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示談が問題になる男女トラブルの類型

男女間の性的な行為に関するトラブルが発生した場合,警察が介入する前に示談をするべきかどうか問題になるケースは少なくありません。このようなトラブルは,一方は相手の同意があると思っていたものの,もう一方は性的な行為に同意していなかった,という形でトラブル化することがほとんどです。

具体的に問題になるトラブルの類型には,以下のようなものが挙げられます。

男女トラブルの主な類型

1.勤務先の関係者間におけるトラブル(セクハラ)
2.飲酒後の男女間におけるトラブル
3.SNSで知り合った男女間のトラブル
4.性的行為の相手が未成年であった場合のトラブル
5.交際中の男女間における別れ話のもつれ

男女トラブルにおける示談のメリット

男女トラブルは,可能な限り警察が介入していない段階で示談をするメリットが非常に大きいと言えるでしょう。具体的なメリットは以下の通りです。

①刑事事件化が防げる

刑事事件で捜査が行われるのは,被害者が捜査機関に捜査を求め,捜査機関がこれに応じた場合,というのがほとんどです。裏を返せば,被害者が捜査機関に捜査を求めなければ,捜査の始まるきっかけ自体が存在しないことになります。
刑事事件として取り扱われなければ,被疑者として捜査を受けることはなく,刑罰を受けることももちろんありません。警察が介入していない段階で示談できれば,捜査が開始しないため,トラブルはその場ですべて解決するということになります。

男女トラブルが警察沙汰になっていない段階では,示談によってその後の対応を一切要することなく解決するため,示談のメリットが極めて大きいと言えるでしょう。

②身柄拘束を防げる

男女トラブルの事件は,内容によって逮捕や勾留といった身柄拘束につながる場合も考えられます。それは,トラブルになる男女間では互いの個人情報を把握していることが多く,トラブルになった男女を放置していると一方が相手に接触しようとする可能性がある,と懸念されるためです。
一方が被害者として声を上げている以上,捜査機関としては被害者とされる人の保護を考えざるを得ません。そして,被害者保護の最も端的な手段が加害者とされる人物の身柄を拘束することになりやすいのです。

この点,男女トラブルで示談が成立した場合,被害者とされる方を保護するためにもう一方の身柄を拘束する必要はなくなります。当事者間での接触は,自分に不利益のないように解決する目的で行われるのが通常ですが,示談によって当事者間で解決している以上,解決目的で相手に接触する必要がなくなっているためです。

トラブルの内容が悪質と評価される可能性のある場合は,それだけ身柄拘束の危険も大きくなるため,示談によって身柄拘束を防ぐメリットが生じやすいでしょう。

③前科を防げる

刑事事件では,警察から事件の送致を受けた検察官が,被疑者を起訴するかどうか決めます。そして,検察官に起訴されると,刑罰を受けて前科が残ることになります。
この点,検察官が起訴するか不起訴どうかは,様々な事情を総合的に考慮の上で判断されますが,被害者がいる事件の場合,被害者の意向を反映させることが非常に多く見られます。

男女トラブルは当事者の一方が被害者となる事件類型のため,被害者が起訴を望むか不起訴を望むかという点が,検察官の判断を左右しやすい傾向にあります。そのため,不起訴によって前科を防ぐ場合,最も効果的な手段は被害者に不起訴を希望してもらうことです。

示談を行うことによって,被害者に不起訴を希望する意思を表明してもらうことができ,検察官の不起訴処分を獲得できる可能性が飛躍的に高くなります。不起訴処分となれば前科はつかないため,前科を防ぐための最も有力な手段は示談ということになるでしょう。

④トラブルの負担から早期に解放される

男女トラブルは,その内容によっては職場や家族,友人など,周囲の関係に大きな悪影響を及ぼすことがあり得ます。そうすると,トラブルが続いていることの負担は,思いのほか重く,多岐に渡る恐れが否定できません。
この際,平穏な生活を取り戻すためには,当事者間でトラブルを解決するほかありませんが,早期にトラブル解決する手段は示談のみです。

当事者間で示談が成立すれば,速やかにトラブルが解決でき,トラブルに伴う周囲への悪影響を気にする必要がなくなるでしょう。

ポイント 示談のメリット
刑事事件化が防げる
前科が防げる
身柄拘束が防げる
周囲への悪影響が防げる

男女トラブルで示談は必要か

男女トラブルに見舞われた場合,示談が必要かどうかは,指摘されている行為に心当たりがあるかどうかによるでしょう。

トラブルの内容に心当たりがない場合,基本的に示談の必要はありません。当事者間で解決を急ぐのではなく,相手による事実無根の主張を徹底的に争うことが適切です。示談の試みは,相手に対する一定の謝罪を前提にした動きとなりやすいため,謝罪するような関係にないのであれば,示談を行うべきではないということになります。

一方,トラブルの内容に心当たりがある場合は,示談による解決が極めて重要であり,解決には示談が必要と考えるのが適切です。示談できれば即時に事件解決となる一方,示談ができなければ多くの不利益が生じうるため,示談ができるかによってその後の生活が決定的に左右されると言っても過言ではありません。

なお,トラブルが起きたことには争いがないものの,当事者間の言い分に食い違いがある,という場合も,示談が必要になりやすいでしょう。
男女トラブルでは,何らかの言い分の食い違いが生じている場合が大半です。そして,この言い分の食い違いは,最終的にはどちらの言い分がより信用できるか,という基準で判断されることが一般的な処理となります。
そうすると,言い分の食い違いがある場合に示談で解決できないと,自分の言い分を信用してもらうために数々の負担を負わなければなりません。しかも,その負担は言い分が信用できないと判断されるリスクを背負いながらのものであり,負担に伴う精神的苦痛も軽視できません。

言い分の食い違いを深刻な争いにしたくない場合にも,示談は非常に重要な役割を持つことになるでしょう。

ポイント
心当たりがなければ示談は不要
心当たりがある事件では示談すべき
言い分に食い違いがある場合も示談が適切

男女トラブルで示談をする方法

警察が介入していない男女トラブルで示談をする場合,相手方への連絡方法は自分で確保する必要があります。

既に警察が介入しており,刑事事件として捜査されている事件であれば,弁護士が捜査機関に依頼し,捜査機関から被害者に連絡を入れてもらうことが通常です。しかし,刑事事件化を防いで解決する場合にはこの方法を取ることができません。
そのため,弁護士に依頼の上,弁護士から直接相手に連絡を取ってもらうことが適切な方法となります。

相手との連絡方法を確保する手段としては,以下のようなものが挙げられます。

示談の際の連絡方法

1.相手の電話番号,メールアドレス,SNSアカウントに連絡する
2.共通の知人・相手の家族・職場関係者などを通じて連絡する
3.相手の住所に書面を送る

具体的なケースで適切な連絡方法は個別の状況によりますが,何らかの連絡方法が確保できた状態であることが必要です。
そのため,相手との連絡手段がなくなってしまう前に,できるだけ早く弁護士に依頼することが適切でしょう。

なお,相手への連絡方法が全くない,という場合には自ら捜査機関に介入してもらうという選択も一案です。警察に出頭の上でいわゆる「自首」を行い,警察に事件の捜査と被害者への連絡を依頼する,ということですね。
ただし,自首を行うことは,相手が希望していない場合に不利益が大きく,「余計なこと」になってしまう恐れも少なくありません。具体的な方針については,必ず弁護士に相談するようにしましょう。

男女トラブルの示談金相場

男女トラブルの示談金は,その具体的な内容によって大きく異なりやすいところです。事件類型ごとの金額の目安としては,以下のような整理ができるでしょう。

男女トラブルにおける示談金の目安

1.相手の承諾なく身体に触った
30~50万円程度

2.無理に性行為を迫ったが,性行為には至らなかった
100万円前後

3.無理に性行為を迫り,挿入行為に至った
200~300万円程度

男女トラブルの示談内容

男女トラブルで示談を行う場合の基本的な合意内容としては,以下のようなものが挙げられます。

【確認条項】

加害者が被害者へいくらの支払を行う必要(義務)があるかを,当事者間で確認する条項です。
当事者間で合意した示談金の金額を,支払う義務のある金額と定めることになります。

【給付条項】

確認された支払の義務をどのように果たす(給付する)のか,という点を定める条項です。
金銭の支払を内容とするのが通常ですが,支払方法が手渡しか振り込みか,手渡しであればいつどこで行うか,振り込みの場合はどの口座か,振込手数料は誰が負担するか(通常は加害者が負担),支払の期限はいつまでか,といった点を定めます。

【清算条項】

示談で定めた内容以外に,当事者間に債権債務関係(法律関係)がないことを確認する条項です。この条項を設けることで,加害者と被害者との法律関係は示談金の支払をもって終了することになります。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)とは「許し」を意味します。宥恕条項は,被害者が加害者を許すことを内容とする条項です。
加害者が示談金の支払を負担して示談を目指すのは,基本的にこの宥恕条項を獲得するためです。警察未介入の男女トラブルでは,宥恕を獲得することで被害者による刑事事件化を防ぐことになるため,宥恕が得られるかどうかは極めて重要となります。

【接触禁止】

男女トラブルでは,示談後に互いが接触しないことを約束する内容を設けることが通常です。対面はもちろん,電話,メールなど,いかなる方法でも相手への接触を試みない,という合意をすることになります。

【一定の場所の出入禁止】

トラブルの現場が,被害者にとって日頃出入りする場所である場合,加害者がその場所に出入りしないことを約束することが多く見られます。
また,加害者が被害者の自宅を把握している場合,被害者の自宅やその近辺に立ち入らないことを約束する条項を設けることも少なくありません。

【口外禁止】

事件や示談の内容を第三者に口外しないことを定めるのが一般的です。
男女トラブルは,第三者に伝わる不利益が非常に大きい場合も多いため,互いに口外を禁止することで,示談成立後に情報が漏れることを防ぐのが重要となります。
また,警察介入前の男女トラブルである場合,特段の事情がない限り警察にも伝えないことを約束の内容に含めることが多いでしょう。

男女トラブルの示談で注意すべきこと

男女トラブルは,互いの言い分が大きく食い違っていることが非常に多く見られます。代表的な食い違いとしては,「一方は相手が性行為に了承していると思っていたが,もう一方は性行為に了承していなかった」というものが挙げられるでしょう。
そのため,男女トラブルの示談に際しては,言い分の食い違いをどのように解決するか,という点が重要な事項となりやすいです。この点,一般的には以下のような方法が考えられます。

主張の食い違いを解決して示談する方法

1.客観的な根拠を獲得し,一方の主張が誤りだと立証する
→正しい言い分の方を前提に,示談条件を検討する

2.どちらの言い分が正しいかを棚上げにしたまま解決する
→言い分が食い違うことを前提に,それでも示談できる条件を交渉する

現実的には,言い分の異なる男女トラブルで客観的な証拠を獲得することは困難なので,「2.どちらの言い分が正しいかを棚上げにしたまま解決する」を選択せざるを得ないことが大多数でしょう。

この場合,金額などの条件は被害者側の言い分を前提とした内容にすることが一般的です。
示談は,基本的に「示談したい」と希望する側が条件を譲歩し,相手に了承してもらうことを目指すものです。そして,男女トラブルの場合,示談を希望する側は加害者とされる側であるため,加害者側が条件を譲歩しなければ話はまとまりづらいことになります。
被害者の立場からすれば,示談を申し入れてきた相手が以下の二通りの条件を示してきた場合,どちらの方が了承する余地があるかは明白でしょう。

主張が食い違う場合における示談条件提示の方法

1.言い分は食い違っているが,被害者の言い分に沿った金額での解決を提案する
2.言い分が食い違っているため,被害者の言い分を無視した金額での解決を提案する

言い分の異なる男女トラブルの示談では,相手の言い分が正しいと認める必要はないが,示談条件は相手の言い分が正しい場合の内容であることが必要である,と考えるのが適切でしょう。

男女トラブルの示談に必要な費用

藤垣法律事務所で警察未介入の男女トラブルに関する示談を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

示談が成立した場合に限り,22万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

事件類型により異なりますが,相手の了承なく身体に触った場合に30~50万円程度性行為を迫り性器に触れるなどした場合に100万円前後の示談金が発生し得るところです。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(50万円で示談成立の場合)

弁護士費用:34万円+22万円=56万円
示談金:50万円

計:106万円

なお,この弁護士費用は刑事事件化しなかった場合を前提としたものです。刑事事件化し,捜査対応などを要した場合には別途弁護士費用が発生します。

弁護士費用の例

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

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早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【痴漢事件の示談を知りたい人のために】方法や示談金相場,示談のメリットなどを弁護士が徹底解説

このページでは,痴漢事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

痴漢事件における示談のメリット
痴漢事件で示談は必要か
痴漢事件で示談をする方法
痴漢事件の示談金相場
痴漢事件の示談内容・条項
痴漢事件の示談で注意すべきこと
痴漢事件の示談に必要な費用

QRコード又はアカウントリンクから
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<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
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痴漢事件における示談のメリット

痴漢事件は,示談を行う利益が非常に大きい事件類型と言えます。その具体的な理由としては,以下の点が挙げられます。

①前科を防げる

刑事事件では,警察から事件の送致を受けた検察官が,被疑者を起訴するかどうか決めます。そして,検察官に起訴されると,刑罰を受けて前科が残ることになります。
この点,検察官が起訴するか不起訴どうかは,様々な事情を総合的に考慮の上で判断されますが,被害者がいる事件の場合,被害者の意向を反映させることが非常に多く見られます。

痴漢事件は被害者のいる事件類型のため,被害者が起訴を望むか不起訴を望むかという点が,検察官の判断を左右しやすい傾向にあります。そのため,不起訴を目指す場合の最も効果的な手段は,被害者に不起訴を希望してもらうことになるのです。

示談を行うことによって,被害者に不起訴を希望する意思を表明してもらうことができ,検察官の不起訴処分を獲得できる可能性が飛躍的に高くなります。不起訴処分となれば前科はつかないため,前科を防ぐための最も有力な手段は示談ということになるでしょう。

②早期釈放につながる

痴漢事件で逮捕・勾留されている場合,被害者との示談が成立すれば,その身柄拘束は早期に解かれる可能性が非常に高くなります。

そもそも,痴漢事件で逮捕・勾留といった身柄拘束をするのは,事件の捜査や処分(起訴・不起訴の判断)のために逮捕・勾留が必要であるからです。裏を返せば,捜査や処分を検討する必要がなくなれば,逮捕・勾留をしておく必要もなくなるため,早期に釈放されるということになります。

示談が成立した場合,被害者はそれ以上の捜査や加害者(被疑者)の刑事処罰を希望しなくなるため,捜査機関が捜査を続けたり刑事処罰を科すか検討したりする必要は基本的になくなります。捜査機関の捜査は,被害者の協力がなければ困難なことも多いため,被害者が捜査を希望しないのに無理矢理捜査を続けることは難しい,という面もあります。

そうすると,示談が成立し,被害者が捜査や処罰を希望しないという希望を示せば,事件の捜査や処分の検討は不要となるため,逮捕・勾留しておく必要もなくなります。その結果,不要な逮捕・勾留は終了し,早期釈放してもらうことが可能になりやすいでしょう。

③刑罰が軽減する

痴漢事件で刑罰を受けることが防げない場合でも,示談は重要な効果を発揮します。
刑罰の重さを最終的に判断するのは裁判所ですが,裁判所が刑罰を判断する際に極めて重要視する事情に,被害者の処罰感情や被害者に対する被害の補填が挙げられます。

処罰感情とは,処罰を希望するかどうかという気持ちを言います。被害者の処罰感情が強いほど,刑罰は重くなる傾向にあります。
また,被害者に対する被害の補填は,被害者に生じた損害がどれだけ回復されているか,という意味で重要な判断要素になります。被害の補填は主に金銭で行われることが一般的ですが,事後的に被害が回復されていれば,その結果重い刑罰を科す必要はなくなる,という理解になるのが通常です。

被害者との間で示談が成立すれば,被害者に処罰感情がないことや,被害の補填がなされたことが明らかになります。そのため,示談は刑罰の軽減に直結する効果を持つということができます。

示談がなければ実刑判決が見込まれるケースでも,示談によって実刑判決を回避できる場合は珍しくありません。示談は,被害者がいる事件で刑罰を軽減するための最も有益な試みと理解してよいでしょう。

④被害者との法律関係が解決する

痴漢事件が起きた場合,被害者と加害者の間には,「被害者が加害者に損害賠償を請求できる」という法律関係が発生します。痴漢行為は,被害者に対する「不法行為」に該当するため,痴漢行為(=不法行為)の被害者は,加害者に対して金銭賠償を請求できる,という関係に立つのです。
しかも,この法律関係は,加害者が刑事処罰を受けたとしてもなくなったり負担が軽くなったりするものではありません。当事者間の法律関係と刑事処罰とは無関係であるためです。

この点,被害者との間で示談が成立した場合,被害者と加害者の間には示談の内容以外に法律関係がない(法律関係が解決した)という約束をすることになります。そのため,示談が成立すれば,その後に加えて被害者から金銭賠償を請求されることはなくなり,法律関係の面でも安心することができます。
なお,当事者間の法律関係が解決したことを約束する示談の条項を,「清算条項」と言います。示談に際して清算条項を盛り込んで解決することで,当事者間の法律関係は示談をもって終了することになります。

ポイント 示談のメリット
前科の回避につながる
身柄拘束からの釈放につながる
刑罰の軽減につながる
当事者間の法律関係が清算できる

痴漢事件で示談は必要か

痴漢事件の場合,何もせずに刑罰を受け入れるのでない限り,示談は必要であると考えるのが適切です。それは,痴漢事件に対する刑事処分は,示談の有無で決定的に変わるためです。

示談が成立しなければ起訴される事件でも,示談が成立することでほぼ確実に不起訴が見込まれるという場合は珍しくありません。痴漢事件の処分は示談に左右されると言っても過言ではなく,痴漢事件で処分の軽減を試みるのであれば示談以外にないと考えてよいでしょう。
事件によっては,効果のある弁護活動の内容が示談のみであるというケースも非常に多く見られます。

ポイント
痴漢事件では示談が決定的に重要
示談が唯一の弁護活動となる場合も多い

痴漢事件で示談をする方法

痴漢事件で捜査を受けている場合,示談をするためには捜査機関(警察や検察)にその旨を申し入れ,捜査機関から被害者に連絡を取ってもらうことが必要です。
もっとも,捜査機関は加害者本人と被害者を引き合わせることをしません。当事者同士で連絡を取らせるのは,被害者にとって不適切である上,二次被害の原因になる可能性がある,と考えるためです。
そのため,痴漢事件で示談を試みるためには,弁護士に依頼の上,弁護士を通じて動くことが必要となります。

具体的な流れは,以下の通りです。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

被疑者の方ご本人は,弁護士にご依頼の後,この流れが進むのをお待ちいただくことになります。
弁護士から各所へ連絡を取った際,捜査機関や被害者から連絡を受け取った際など,流れが進むに応じて適宜報告を受けながら,示談の進捗を把握することが可能です。

ポイント
示談の申し入れは,弁護士から捜査機関へ行う
被疑者は,弁護士に依頼の後,弁護士を通じて状況を把握する

痴漢事件の示談金相場

刑事事件で示談を行う場合,加害者(被疑者)から被害者へ示談金の支払を行うのが通常です。具体的な示談金の金額は当事者間の協議で定められることになりますが,事件類型ごとに大まかな目安はあります。

この点,痴漢事件における示談金の目安は,概ね30~50万円とされる例が多く見られます。
事件によってはこの目安を下回るケース,上回るケースいずれもありますが,示談金額とされやすい水準として把握しておいて損はないでしょう。

なお,示談金額が変動する要因としては,以下のような点が挙げられます。

示談金額の変動要因

1.痴漢行為がなされた部位
→衣服の外側より内側の方が大きくなりやすい
→性的な部位に近い方が大きくなりやすい

2.痴漢行為の態様
→軽く触れるよりも強くつかむなどする方が大きくなりやすい

3.痴漢行為がなされた時間の長さ
→長時間に渡るほど大きくなりやすい

4.被害者の心身への支障
→精神疾患などの原因になっている場合,大きくなりやすい

5.従前の関係
→継続的な被害者・加害者の関係があると大きくなりやすい

6.加害者の経済力
→経済力に限界のある場合,金額は小さくなりやすい

痴漢事件の示談内容

痴漢事件で示談を行う場合,以下のような内容を盛り込むことが考えられます。

①確実に盛り込む内容

【確認条項】

加害者が被害者へいくらの支払を行う必要(義務)があるかを,当事者間で確認する条項です。
当事者間で合意した示談金の金額を,支払う義務のある金額と定めることになります。

【給付条項】

確認された支払の義務をどのように果たす(給付する)のか,という点を定める条項です。
金銭の支払を内容とするのが通常ですが,支払方法が手渡しか振り込みか,手渡しであればいつどこで行うか,振り込みの場合はどの口座か,振込手数料は誰が負担するか(通常は加害者が負担),支払の期限はいつまでか,といった点を定めます。

【清算条項】

示談で定めた内容以外に,当事者間に債権債務関係(法律関係)がないことを確認する条項です。この条項を設けることで,加害者と被害者との法律関係は示談金の支払をもって終了することになります。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)とは「許し」を意味します。宥恕条項は,被害者が加害者を許すことを内容とする条項です。
加害者が示談金の支払を負担して示談を目指すのは,基本的にこの宥恕条項を獲得するためです。宥恕条項があることによって,捜査機関は被害者に処罰感情がないことを把握でき,不起訴処分の根拠とすることが可能になります。

②当事者の希望で盛り込む条項

【行動の制約】

示談成立後に一定の行動をしないこと(又はすること)を約束するものです。多くの場合,被害者と加害者が接触しないことを確かにするため,両者を物理的に引き離す目的で盛り込むことが考えられます。

痴漢事件で設けられやすい行動制約の内容としては,以下のものが挙げられます。

痴漢事件における行動制約の例

1.事件が起きた電車の利用をしない・制限する
2.事件が起きた駅の利用をしない・制限する
3.事件発生場所の近辺に立ち入らない
4.一定期間内に転居をする
5.勤務先を退職する(職場内での事件など)

なお,示談の内容は「今後一切接触しない」ことを前提にすることが通常であるため,一切接触しないとの約束を補強する意味合いの条項と理解されます。

【違約金】

加害者が示談で定めた約束に違反した場合,約束違反のペナルティとして被害者に金銭(違約金)を支払うという条項です。
主に,行動制約を取り決めた場合に,これを遵守してくれるか被害者が不安である,というケースで設けることが考えられます。
違約金の金額は,特段のルールはありませんが,示談金額をベースに定めることが多く見られます。

この違約金条項は,実際に違約があり金銭を支払う,という形で活用されることはほとんどありません。現実的には,「違約金の約束をできるほど示談条件を守る気持ちが強い」という意思を表明する手段として用いられるものです。

【口外禁止】

事件の内容や示談の内容を,第三者に口外しないと約束する条項です。両当事者のプライバシーを守るために設けることが考えられます。
痴漢事件の場合,口外されてよいと考える加害者はほとんどいないため,弁護士からはほぼすべてのケースで被害者へ口外禁止条項の設定を依頼することになるでしょう。

その他,被害者が複数いて被害者間に交友関係がある場合,示談の内容が共有されてしまうと,他の被害者との示談に悪影響が生じかねないため,被害者間の情報共有を防ぐ目的で設けられることもあります。

痴漢事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で痴漢事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

痴漢事件の場合,30~50万円の示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(30万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:30万円

計:119万円

弁護士費用の例

⑤柔軟な料金設定が可能な場合

弁護士費用は,弁護活動の範囲を限定することで費用額を安く抑えることも可能な場合があります。
痴漢事件は,弁護活動の範囲を限定しやすい類型に当たるため,個別のケースによっては弁護士からより柔軟な料金設定のご案内ができることも考えられるでしょう。一例として,弁護活動を示談のみに限定することで,不起訴報酬を発生させない形での弁護活動は有力な場合もあります。

可能な費用負担に限界がある場合も,一度お問い合わせいただくことをお勧めいたします。弁護士から詳細なご案内を申し上げることが可能です。

弁護士費用の例

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刑事事件の示談を弁護士なしで行うことは可能か?メリットやリスクを詳細解説

刑事事件を起こしてしまった場合、被害者との示談が成立するかどうかは処分の結果を大きく左右します。「弁護士なしでも自分で示談できるのでは?」と考える方もいますが、刑事事件の示談交渉には慎重な対応が求められます。方法を誤ると、かえって被害者の心証を悪化させたり、示談が無効とされるおそれもあります。本記事では、弁護士なしで刑事事件の示談を行うことが可能か、そのメリットとリスク、さらに安全に示談を進めるためのポイントを詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

弁護士なしでも刑事事件の示談交渉は可能

示談とは,当事者間の話し合いによって合意(=契約)し,トラブルを解決することを言います。
刑事事件の場合,被害者と加害者がお互いの法律関係をどのように決着つけるか,合意することを指すのが通常です。
この刑事事件における示談では,加害者が被害者に金銭(示談金)の賠償を行うことが大多数です。

示談が成立している場合,刑事処分が劇的に軽減し,不起訴となることも数多くあります。前科を避けたい,刑罰を軽くしたい,という場合は,示談の試みが極めて重要になります

この点、弁護士なしでも刑事事件の示談交渉は可能です。もっとも、その限界や注意点には十分な配慮することを強くお勧めします。

① 弁護士なしであっても法的な効果はある

刑事事件の示談は、弁護士が行わなければ法的な効果が生じないというわけではありません。示談の法的な意味は、民法上の和解契約と位置付けられることが一般的ですが、和解契約をするために弁護士が必要とはされていないためです。

刑事事件における示談は、和解契約の内容として「加害者を許す」という内容(宥恕=ゆうじょ)を盛り込んだものであることが通常です。そのため、宥恕を含む和解契約ができれば、弁護士がいてもいなくても法律的な効力に不足はありません。

示談書の存在も、示談の成立に必要な要件ではありません。そのため、弁護士なしで口約束をするだけでも示談は成立し、法的効果も生じます。もっとも、紛争の蒸し返しを防ぐ手段として、そして捜査機関に示談の事実を示す手段として、示談書を作成することが通常です。

② 限界が生じやすい点には注意が必要

弁護士なしでも示談交渉は法的に可能ですが、実際には多くの限界が生じます。

最も大きな問題は、被害者側が加害者本人との直接的な接触を拒否するケースが非常に多いことです。
感情的なトラブルを伴う暴行・傷害事件や、当事者間の接触が類型的に不適切な性犯罪などでは、特に直接の接触は拒否されることがほとんどでしょう。捜査機関も、当事者同士の示談交渉を促したり当事者間の連絡先交換を仲介したりすることは考え難いところです。

また、加害者が逮捕・勾留という手続で身柄拘束されてしまうと、加害者本人が被害者に直接連絡する手段はなくなってしまい、弁護士なしの示談交渉は非常に難しくなります。

加えて、弁護士のない示談では、内容面にも限界の生じやすい傾向があります。法的知識の不足により適切な示談条件を判断できず、相場よりも高額な示談金を要求されたり、不利な条件を受け入れてしまうリスクも存在します。
示談書の作成においても、記載内容や方法など、適切な文書を作成するためには法的知識が必要となるため、弁護士なしでは難しいケースが多いでしょう。

弁護士なしでの示談交渉は、これらの限界を十分に理解した上で慎重に検討する必要があります。

【弁護士なしの示談交渉における限界】

・被害者側に拒否されやすい
・身柄拘束されると交渉手段がない
・不利益な内容になる可能性
・示談書の作成が難しい可能性

弁護士なしで刑事事件の示談を行う方法

① 被害者への連絡

刑事事件で示談を進める際、まず被害者との連絡を取ることが最初のステップとなります。

被害者への連絡方法は主に以下の手段があります。

・電話による直接連絡
・書面による謝罪と示談の申し入れ
・共通の知人を介した間接的な連絡
・被害者の代理人弁護士を通じた連絡

連絡を取る際は、まず心からの謝罪の気持ちを伝えることが重要です。
その上で示談について話し合いたい旨を丁寧に伝えましょう。
ただし、被害者が連絡を拒否した場合は、無理に連絡を続けることは控える方が賢明です。

直接の連絡は、被害者が了承していることが明確である場合にのみ行うのが望ましいでしょう。被害者が直接の連絡に否定的な心理状態の場合、連絡を試みることが示談に悪影響を及ぼす恐れもあります。

② 示談条件の交渉

示談条件の交渉は、刑事事件の解決において最も重要な段階の一つです。
交渉で話し合うべき主な条件は以下の通りです。

・示談金の金額
・支払い方法(一括払いか分割払いか)
・支払い期限
・謝罪の方法
・今後の接触に関する取り決め
・宥恕条項(処罰を求めない旨の条項)の有無

交渉では感情的にならず、冷静に話し合うことが重要です。
被害者が求める条件を丁寧に聞き取ることから始め、自分が了承できる水準や内容と整合するか、すり合わせていく交渉が円滑になりやすいでしょう。

相手の要求が過度に高額な場合は、客観的な損害額を基準に適正な金額を提案する必要があります。
ただし、法的知識がないと適切な判断が困難な場合も多いため注意が必要です。

③ 示談書の作成、締結

示談を行うにあたっては、示談書の作成と締結により証明手段を確保しておくことが非常に重要となります。
示談書の記載内容に不備があると、後々トラブルの原因となる可能性があるため、記載内容、方法には注意が必要です。

特に注意すべき点は以下の通りです。

・示談金以外の請求を放棄する条項(清算条項)
・示談内容を第三者に口外しない守秘義務条項
・示談書に記載のない事項について今後一切請求しない条項

示談書の署名押印は、双方が内容を十分理解した上で行うことが大切です。
適切な示談書の作成は、将来的な紛争を防ぐ重要な役割を果たします。

示談の基本的な目的は、清算条項を設けて当事者間の法律関係を終了させる点にあります。刑事事件では、これに加えて刑罰を望まないという許し(宥恕)を含めることが一般的です。

④ 示談金の支払い

示談金の支払が生じる場合、支払い方法や時期について、事前にしっかりと取り決めておく必要があります。

一般的な支払い方法として、以下のような選択肢があります。

・一括払い
 示談成立と同時に全額を支払う方法で、最も確実性が高い
・分割払い
 経済的な事情により一括での支払いが困難な場合に選択される
・振込み
 銀行振込による支払いで、記録が残るため証拠として有効
・現金手渡し
 直接現金で支払う方法だが、受領証の作成が重要

特に分割払いの場合は、各回の支払い金額、支払い日、振込先などを詳細に記載することが適切です。
また、支払い完了後は受領証を受け取り、示談の履行が完了したことを証明できるようにすることも有益でしょう。

示談金を振込みで支払う場合、示談書の締結より支払う方が後になるため、受領する被害者にとっては不安が残りやすいものです。そのため、支払期限を明確にしたり、支払がなされなかった場合の効果を定めたりするなど、被害者側に配慮することも有力でしょう。

⑤ 捜査機関等への連絡

示談が成立した場合、その事実を適切な機関に報告することが重要です。
まず警察や検察庁など、事件を担当している捜査機関への連絡を行いましょう。
示談成立の報告は、不起訴処分や刑事手続きの軽減に直結する重要な手続きです。
捜査機関は示談の成立を知ることで、事件の処理方針を検討する材料として活用します。

報告する際は以下の書類や情報を準備しましょう。

・示談書の写し
・示談金の支払いを証明する書類(振込明細書など)
・捜査機関が連絡するための被害者側の連絡先情報

示談成立後は、極力速やかに、まずは電話連絡で報告を行うことをお勧めします。その際に、共有が必要な書面もあわせて確認するとスムーズです。

弁護士なしで示談交渉を行うメリット

弁護士なしで刑事事件の示談交渉を行うことには、いくつかのメリットが存在します。
最も大きな利点は、弁護士費用を節約できることでしょう。

弁護士に依頼する場合、着手金や成功報酬として数十万円から数百万円の費用が発生することが一般的です。
軽微な事件や経済的に余裕がない場合、この費用負担は大きな問題となります。
弁護士なしで示談交渉を進めれば、これらの費用を抑えることが可能になるのです。

また、当事者同士で直接話し合うことで、より迅速な解決が期待できる場合もあります。
弁護士を介さないため、連絡や交渉のスピードが早く、お互いの気持ちや事情を直接伝えられるでしょう。
特に知人同士のトラブルや軽微な事件では、率直な謝罪と話し合いが効果的な場合があります。

さらに、プライバシーを保護しやすいという側面もあります。
第三者である弁護士を通さずに解決することで、事件の詳細が外部に漏れるリスクを最小限に抑えられるでしょう。

メリット

・弁護費用の節約
・迅速な解決の可能性
・プライバシーの保護

弁護士なしで示談交渉を行うリスク

① 被害者に拒否される可能性が高い

刑事事件の示談交渉において、加害者本人が被害者に直接連絡を取ろうとしても、拒否される可能性が非常に高いのが現実です。

被害者にとって加害者は「自分に害を与えた相手」であり、心理的な恐怖や不安を抱いているケースがほとんどでしょう。
特に暴行事件や窃盗事件などでは、被害者が加害者との直接的な接触を避けたいと考えるのは自然な反応といえます。

被害者が示談交渉を拒否する主な理由は以下の通りです。

・加害者への恐怖心や不信感
・感情的な対立による冷静な話し合いの困難さ
・加害者本人では誠意が伝わりにくい
・法的知識不足による不安感

また、被害者側も弁護士に相談している場合、「加害者本人とは直接話さないように」とアドバイスを受けていることも多いでしょう。

一方で弁護士が代理人として交渉する場合、第三者的立場から冷静かつ専門的なアプローチが可能となります。
被害者も法的な専門家との交渉であれば、安心して話し合いに応じる傾向があります。

警察や検察の捜査を受けている場合、示談希望の意思を表明すると、捜査担当者から弁護士への依頼を促されることも多いです。

② 逮捕勾留されると示談交渉ができなくなる

逮捕勾留されてしまうと、身体の自由が奪われるため示談交渉が極めて困難になります。
警察署や拘置所に身柄を拘束された状態では、被害者との直接的な連絡や面会は基本的に不可能です。

また、勾留期間は最大20日間と限られており、その間に示談を成立させなければ起訴される可能性が高まります。
時間的な制約がある中で、本人が直接交渉を進めるのは現実的ではありません。

さらに、勾留中に無理な示談交渉を試みると、被害者に不信感を与えかねません。
家族が代理で交渉することも可能ですが、法的な知識が不足していると適切な対応が難しくなります。

逮捕勾留された場合は、示談交渉の機会を逃さないためにも早急に弁護士への依頼を検討することが重要です。

③ 不当に不利な条件を強いられる恐れがある

弁護士なしで示談交渉を進めると、法的知識の不足から不当に不利な条件を受け入れてしまう危険性があります。

被害者側は「示談金をもっと多く支払ってもらいたい」と考え、相場を大幅に上回る金額を要求してくる場合が少なくありません。
また、示談書に「今後一切の請求を行わない」という条項を入れずに、後日追加請求の余地を残すような内容を提案される恐れもあるでしょう。

さらに、示談成立後の守秘義務について過度に厳しい条件を設定されたり、被害者の精神的損害を理由に継続的な金銭支払いを求められたりするケースも存在します。

法的知識のない一般の方では、これらの条件が妥当かどうかを判断することは困難です。
「早く解決したい」という気持ちから、相手の言いなりになってしまう状況に陥りがちでしょう。

適切な示談条件を見極めるためには、類似事件の相場や法的な基準についての専門知識が不可欠といえます。

被害者側の希望する条件が不合理だと思ったとしても、現実的に当事者本人が断ることは非常に難しいものです。内容面で交渉を要する場合は、弁護士を窓口に行うことが現実的には必須でしょう。

④ 適切な示談書の作成が困難

適切な示談書作成には専門的な知識が不可欠となります。
示談書には被害の詳細、示談金額、支払い方法、清算条項、宥恕条項などの必須項目を正確に記載する必要があります。

特に清算条項は今後一切の請求をしないことを明記する重要な条項です。
宥恕条項では被害者が加害者を許し、処罰を求めない意思を表明します。
これらの条項が不適切だと、後日トラブルが再発する恐れがあります。

示談書には双方が署名押印を行うことが一般的ですが、どのように署名するか、どのような印鑑で押印するか、といった点も、示談書作成の際に要する専門的知識の一つです。署名押印にどのような効果を期待するかで、適切な方法が変わってきます。

⑤ 交渉がうまくいかないときの対処法が分からない

弁護士なしで示談交渉を進める場合、交渉が行き詰まった際の対処法を知らないことが大きなリスクとなります。
「相手が話し合いに応じてくれない…」という状況に陥った時、一般の方では適切な解決策を見つけることが困難でしょう。
被害者が感情的になって交渉を拒否したり、提示した示談金額に納得してもらえない場合、素人判断では状況を悪化させる恐れがあります。

弁護士であれば、交渉が難航した際に以下のような対処法を提案できます。

・示談条件の見直しや代替案の提示
・被害者の心情に配慮した適切なアプローチ方法の変更
・法的手続きへの移行タイミングの判断

また、示談交渉の期限が迫っている場合や、検察庁への事件送致が近づいている状況では、迅速かつ的確な判断が求められます。
経験のない方が独力で対応すると、貴重な時間を無駄にしてしまい、最終的に起訴されてしまう可能性が高まるでしょう。

専門知識と豊富な経験を持つ弁護士なら、状況に応じた最適な解決策を提示し、円滑な示談成立へと導いてくれます。

示談交渉がスムーズに進まない場合、長期的な目線で示談を試みる必要がありますが、解決を急ぎたい当事者本人には非常に難しいことです。

⑥ 示談後に紛争を蒸し返される恐れがある

弁護士なしで示談交渉を進めた場合、示談成立後に被害者から紛争を蒸し返される恐れがあります。

弁護士が関与しない示談書では、法的な記載が不完全になりがちです。
特に「清算条項」や「口外禁止条項」などの重要な条項が抜け落ちることで、後日被害者から「示談金が足りない」「追加の損害が発生した」といった主張をされる可能性が高まります。

また、示談書の文言が曖昧だと、被害者が示談の内容を異なって解釈し、新たな要求をしてくる場合もあるでしょう。
「これで終わりだと思っていたのに…」と困惑する加害者も少なくありません。

さらに、弁護士なしの示談では被害者の感情的な部分が十分に解決されず、後から不満が爆発することもあります。
被害者が示談後にSNSで事件について発信したり、職場や近隣に話を広めたりするリスクも考えられます。

専門的な知識を持つ弁護士が作成した示談書であれば、こうした後日の紛争を防ぐための条項が適切に盛り込まれ、真の解決につながりやすくなります。

示談交渉を弁護士に依頼するべき理由

① 刑事事件化を防げる可能性

弁護士に示談交渉を依頼する最大のメリットは、刑事事件化を防げる可能性が高まることです。

警察に被害届が提出される前や、捜査が本格化する前に示談が成立すれば、事件として立件されずに済む場合があります。
特に軽微な事件では、被害者との間で示談が成立していることを理由に、警察が事件として扱わない判断をするケースも少なくありません。

「このまま警察沙汰になってしまうかもしれない…」と不安に感じている方にとって、弁護士による迅速な示談交渉は非常に有効でしょう。

弁護士は法的な観点から適切な示談条件を提示し、被害者の納得を得やすい交渉を行います。
また、示談書の作成においても、将来的な紛争を防ぐための条項を盛り込むなど、専門的な配慮が可能です。

さらに、弁護士が介入することで被害者側も安心感を持ち、示談に応じやすくなる傾向があります。
早期の示談成立により刑事事件化を回避できれば、前科がつくことなく、社会生活への影響を最小限に抑えることが可能になりやすいでしょう。

刑事事件化を防ぐことができれば、即時にトラブルが解決することとなり、加害者本人にとってのメリットが極めて大きな結果となります。目指す余地のある状況であれば、可能な限り目指すことをお勧めします。

② 示談が成立しやすくなる

弁護士が示談交渉に関わることで、被害者との合意に至る可能性が大幅に向上します。

被害者側は、加害者本人からの直接的な接触に対して警戒心や恐怖感を抱くことが多いものです。
「また何かされるかもしれない…」という不安から、話し合いの場を持つこと自体を拒否するケースが非常に多いでしょう。

一方、弁護士が代理人として交渉に当たる場合、被害者の心理的負担は大きく軽減されます。
法律の専門家が間に入ることで、冷静かつ建設的な話し合いが可能となり、感情的な対立を避けながら解決策を模索できるのです。

また、弁護士は示談交渉の経験が豊富なため、被害者の心情に配慮した適切なアプローチを選択できます。
謝罪の仕方から補償内容の提示方法まで、相手が受け入れやすい形で進めることが可能です。

さらに、弁護士が関与することで示談の法的効力や内容について被害者に丁寧に説明でき、安心して合意に至れる環境を整えられます。
このような専門的なサポートにより、示談成立の確率は格段に高くなるでしょう。

③ 法的な手続が不利になることを防げる

弁護士に示談交渉を依頼することで、刑事手続きにおいて不利な状況に陥ることを防げます。

刑事事件では、捜査段階から起訴、裁判まで複雑な法的手続きが存在しており、一般の方が全てを把握するのは困難でしょう。
弁護士は刑事手続きの専門知識を持っているため、各段階で適切な対応を取ることができます。

特に重要なのは、捜査機関との対応です。
取り調べでの発言や証拠の取り扱いについて、弁護士がいることで適切なアドバイスを受けられ、不利な供述を避けることが可能になります。

また、示談成立後の手続きも重要なポイント。
示談書の内容や示談成立の事実を適切に捜査機関に伝えることで、不起訴処分や起訴猶予の可能性を高められます。

法的手続きでの失敗は取り返しがつかない結果を招く可能性があるため、専門家のサポートが不可欠といえるでしょう。

④ 示談金額や示談条件が適切にできる

弁護士に示談交渉を依頼する大きなメリットは、示談金額や示談条件を適切に設定できることです。

法的知識のない個人が示談交渉を行うと、「相場がわからず高額すぎる示談金を要求されるかもしれない…」という不安を抱えがちでしょう。
実際に、被害者側から過大な要求をされても、それが妥当かどうか判断できません。

弁護士は過去の類似事例や刑罰の見込みを基に、事件の内容に応じた適正な示談金額を算定します。
暴行事件なら治療費や慰謝料、窃盗事件なら被害額や迷惑料など、事件類型ごとの相場を熟知しているためです。

また、示談条件についても法的リスクを考慮した適切な内容を提案してくれます。

・宥恕条項(許しの意思表示)の明記
・清算条項(追加請求の禁止)の設定
・口外禁止条項の適切な範囲設定

これらの条項により、示談成立後のトラブルを未然に防げるでしょう。

弁護士の専門知識により、法的効果を最大限に活かした示談が実現できます。

⑤ 釈放や不起訴の可能性が高くなる

弁護士に示談交渉を依頼することで、釈放や不起訴処分を得られる可能性が大幅に向上します。

刑事事件では、示談の成立が処分決定に与える影響は極めて大きいものです。
検察官は起訴・不起訴を判断する際、被害者との示談成立を重要な情状として考慮するでしょう。
特に初犯や軽微な事件では、示談成立により不起訴処分となるケースが多く見られます。

弁護士が関与することで示談成立の確率が高まり、結果として以下のような効果が期待できます。

・身柄拘束中の場合は早期釈放の可能性
・在宅事件では不起訴処分の可能性向上
・起訴されても略式起訴や執行猶予付き判決の可能性

釈放や不起訴を目指すためには、刑事手続の流れや期間制限に配慮することが不可欠です。時期が遅れてしまうと、せっかく示談が成立しても釈放や不起訴に十分な効果が得られません。

刑事事件の示談交渉を依頼する弁護士の選び方

① 刑事事件や示談交渉の経験、専門性

刑事事件の示談交渉は民事訴訟とは全く異なる特殊な分野です。
被害者心理の理解、捜査機関との連携、適切なタイミングでの交渉など、専門的な知識と経験が不可欠となります。

経験豊富な弁護士なら以下の点で優れた対応が期待できます。

・事件の性質に応じた最適な示談戦略の立案
・被害者の感情に配慮した適切なアプローチ
・示談金額の相場や交渉のタイミングの判断
・検察官や警察との効果的な連携

インターネットで検索している場合は、弁護士のホームページで刑事事件の取扱実績や解決事例を確認することも有力です。
事前のリサーチを踏まえて、初回相談では具体的な対応方針を聞いてみましょう。

また、示談交渉だけでなく、その後の刑事手続きまで見据えた総合的なサポートができる弁護士を選ぶことが重要です。
専門性の高い弁護士なら、示談成立後の不起訴処分や執行猶予獲得まで含めた戦略的な対応が可能となります。

② 口コミなどの評価

弁護士選びにおいて口コミや評価は重要な判断材料となります。
しかし「評判が良いから安心できるかもしれない…」と思う一方で、情報の見極めが必要でしょう。

まず、複数の情報源から評価を収集することが大切です。
事務所ホームページ、法律相談サイト、Google口コミなど様々な媒体をチェックしましょう。
特に刑事事件や示談交渉に関する具体的な評価があるかを確認してください。

評価を見る際は以下のポイントに注目すべきです。

・刑事事件での実際の解決事例や成果
・依頼者とのコミュニケーション能力
・費用の透明性や説明の分かりやすさ
・迅速な対応や連絡の取りやすさ

ただし、極端に良い評価や悪い評価だけでなく、バランスの取れた意見を参考にすることが重要です。
また、口コミの内容が具体的で信憑性があるかも判断材料となります。

③ 説明や案内の明快さ、分かりやすさ

弁護士選びでは、説明の分かりやすさが極めて重要です。
刑事事件の示談交渉は複雑な手続きが多いため、弁護士が丁寧に説明してくれるかどうかで、依頼者側の理解度や安心感が大きく変わります。

説明や案内が明快な弁護士の場合、法律用語を使わずに現状を説明し、今後の流れを具体的に示してくれることも期待できます。

弁護士の説明力を判断する際には、以下の各点を意識することが有力です。

・法律用語を一般的な言葉に言い換えて説明する
・質問に対して具体例を交えて回答する
・手続きの流れを時系列で整理して伝える
・費用や期間について明確に提示する
・リスクやデメリットも隠さず説明する

分かりやすい説明ができる弁護士は、示談交渉でも相手方に対して適切なコミュニケーションを取れる可能性が高いと推測できます。説明の明快さを意識することで、その弁護士が適切な示談交渉をしてくれるか、という点にも自然に配慮することができるでしょう。

④ 弁護士の信頼感

示談交渉を依頼する弁護士選びにおいて、信頼感は最も重要な判断基準の一つです。

刑事事件という人生に大きく関わる問題だからこそ、「この弁護士に任せて本当に大丈夫だろうか…」と不安に感じる方も多いでしょう。

信頼できる弁護士を見極めるポイントは以下の通りです。

・初回相談時の対応が丁寧で親身になって話を聞いてくれる
・質問に対して曖昧な回答ではなく、明確で具体的な説明をしてくれる
・費用や手続きについて透明性があり、隠し事がない
・連絡が取りやすく、レスポンスが早い
・事件の見通しについて楽観的すぎず、現実的な見解を示してくれる

また、弁護士会への所属確認や懲戒処分歴の有無も重要な判断材料となります。
面談時の印象や話しやすさも大切な要素です。

信頼関係が築けない弁護士では、重要な情報を正確に伝えられず、結果的に示談交渉にも悪影響を及ぼしかねません。

その弁護士の判断であれば、仮に結果が奏功しなくても納得できるという信頼感があることは非常に重要です。刑事事件の示談においては、具体的な動き方はある程度弁護士の裁量に委ねざるを得ないためです。

示談交渉を弁護士に依頼する場合の弁護士費用

① 逮捕されていない事件(在宅事件)

逮捕されていない在宅事件では、弁護士費用は比較的抑えられる傾向にあります。
身柄拘束されていないため、弁護士との面談や打ち合わせが柔軟に行えること、身柄拘束への対応を要しないことなどが費用を抑える要因となっています。

具体的な費用の金額や内訳は以下の通りです。

・着手金:30万円から50万円程度
・成功報酬:30万円から50万円程度
・示談交渉費用:別途20万円から30万円程度
・その他に実費が発生

弁護士費用が心配で依頼を躊躇してしまう場合は、複数の弁護士事務所で見積もりを取ることも有力です。
在宅事件では時間的余裕があるため、事務所間の比較が比較的容易にできるでしょう。

② 逮捕されている事件(身柄事件)

逮捕されている身柄事件では、弁護士費用が在宅事件よりも高額になります。

具体的な費用水準は以下のとおりです。

・着手金:50万円から80万円程度
・成功報酬:50万円から80万円程度
・示談交渉費用:別途30万円程度
・その他に実費が発生

身柄事件の場合、示談交渉のみでなく刑事手続に対する全般的な対応が不可欠になります。
これらの負担が費用に反映されるため、在宅事件に比して高額になりやすい傾向にあります。

③ 示談後にトラブルが発生した場合の弁護士費用

示談後に発生するトラブルは、刑事手続外の内容であり、いわゆる民事事件であることが一般的です。
金銭の追加請求や、示談の有効性が争われるといった内容が代表的でしょう。

民事トラブルにおける弁護士費用は、交渉段階か訴訟段階かによって異なりやすいところです。

一般的な費用の水準は、以下が一例です。

【交渉段階の場合】

・着手金:20万円から30万円程度
・成功報酬:20万円~(経済的利益の大きさにより異なる)
・その他に実費等が発生

【訴訟段階の場合】

・着手金:40万円から60万円程度
・成功報酬:40万円~(経済的利益の大きさにより異なる)
・その他に実費等が発生

示談後のトラブルは、経緯や内容が様々であり、適切な方針は個別に検討することが適切です。そのため、まずは一度法律相談を行い、取るべき対応や方針を決定していくことが望ましいでしょう。

刑事事件の示談に強い弁護士をお探しの方へ

被害者のいる事件では,示談ができるかできないかで処分が決まると言ってよいケースが少なくありません。
そのため,示談は,刑事処罰がどうなるか,前科が付いてしまうかを左右する非常に重要なものです。
しかし,示談の試み方を誤ってしまうと,示談が成立せず,取り返しのつかない不利益が生じかねません。

刑事事件で前科を防ぐためには,示談に強い弁護士への依頼が欠かせません。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
刑事事件は少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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