性的姿態等撮影罪とは?成立要件と迷惑防止条例との違いを解説

近年、いわゆる「盗撮」と呼ばれる行為について、都道府県の迷惑防止条例とは別に、全国一律で適用される新たな処罰規定が設けられました。それが、いわゆる性的姿態等撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)です。

これまで盗撮行為の多くは各都道府県の条例で処罰されてきましたが、スマートフォンの普及やインターネット上での拡散リスクの高まりを背景に、条例では十分に対応できない場面があることが指摘されてきました。 その結果、令和5年7月に新法が施行され、撮影行為そのものに加え、提供や保管といった行為も処罰対象となる体系が整備されています。

もっとも、「どのような場合に性的姿態等撮影罪が成立するのか」「迷惑防止条例との違いは何か」「偶然写り込んだ場合でも犯罪になるのか」といった点は、条文の文言だけでは分かりにくい部分もあります。実務では、“性的姿態”に当たるかどうかや、故意の有無が重要な争点となることも少なくありません。本記事では、性的姿態等撮影罪の成立要件・関連犯罪との関係・処分の見通しを、条文構造に沿って整理します。あわせて、迷惑防止条例との違いや、成立が争われやすいポイントについても、弁護士の視点から分かりやすく解説します。

なお、盗撮事件が何の罪に当たるのか、判断基準や刑罰の全体像については、以下の記事もご参照ください。
盗撮は何罪?撮影罪・条例の違いと判断基準を解説

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

性的姿態等撮影罪とは何か|新設された盗撮処罰規定のポイント

性的姿態等撮影罪は、正式には「性的姿態撮影等処罰法」にもとづく犯罪で、令和5年7月13日に施行されました。いわゆる盗撮行為は、これまで主として都道府県ごとの迷惑防止条例で処罰されてきましたが、条例は地域ごとに規制の対象や要件、法定刑に差が生じやすく、事案によっては「どの規定で評価されるのか」が分かりにくいという課題がありました。新法はこの点を是正し、全国一律の基準で処罰できる枠組みを整えたものと位置づけられます。

もう一つ重要なのは、新法が処罰の対象を「盗撮」という通俗的な言葉に委ねず、条文上の概念として「性的姿態等」を定義し、一定の態様の撮影を明確に犯罪化している点です。たとえば、性的な部位や下着が撮影対象となる場面、同意しない意思を形成・表明することが難しい状態を利用した撮影、誤信を利用した撮影など、複数の類型が条文上整理されています。したがって、成立判断では「何を」「どのような状況で」「どのような方法で」撮影したのかが中核となり、“盗撮っぽい”という印象だけで結論が決まるわけではありません。

さらに、新法の制定背景には、撮影そのものに加えて、撮影データが保存され、第三者に提供され、インターネット上で拡散されることによって被害が回復しにくくなるという現実があります。このため本法では、撮影行為にとどまらず、画像の提供・公然陳列、提供目的での保管、送信(ライブ配信等)といった行為も処罰対象として体系的に規定されています。つまり、撮影の瞬間だけでなく、その後の扱いまで含めて被害の拡大を防ぐ発想が組み込まれているのが特徴です。このように、性的姿態等撮影罪は、迷惑防止条例とは別の枠組みで、撮影行為と周辺行為を含めて整備された新しい犯罪類型です。まずは条文構造に沿って、成立要件と判断のポイントを正確に押さえることが、適切な見通しを立てる第一歩になります。

性的姿態等撮影罪が成立する要件|どのような場合に処罰されるのか

性的姿態等撮影罪は、条文で定められた類型に該当する場合に成立します。判断は、①対象、②撮影態様、③年齢要件、④故意、⑤正当理由の有無という順序で整理できます。「盗撮らしい」という印象ではなく、条文要件に即して検討することが不可欠です。


1.対象となる「性的姿態等」

処罰対象となるのは、

  • 性器・肛門・胸部・臀部などの性的部位
  • それらを覆う下着部分
  • 性交やこれに類するわいせつな行為の態様

です。

ここで重要なのは、単なる露出では足りないという点です。たとえば、水着姿や通常の服装での撮影が直ちに本罪に当たるわけではありません。問題となるのは、性的部位を対象として撮影したと評価できるかどうかです。

実務では、

  • 画面の中心がどこにあるか
  • 特定部位にズームしているか
  • 通常では撮影しない角度から撮られているか

といった事情が総合的に検討されます。構図や撮影態様から性的部位を狙ったといえるかが核心です。


2.基本類型(年齢を問わず成立する場合)

以下のいずれかに当たるときは、被写体の年齢にかかわらず成立し得ます。

(1)ひそかに撮影

被写体の同意なく、気づかれないように撮影する場合です。
ここでは、性的姿態を撮影する認識(故意)があることが必要です。

偶然写り込んだにすぎない場合や、性的部位を撮影する認識がなかった場合には、通常は成立しません。


(2)同意困難状態の利用

泥酔・睡眠・意識混濁など、同意しない意思を形成・表明できない状態を利用した撮影です。

この類型では、「ひそかに」である必要はありません。
問題となるのは、実質的に同意が期待できない状態を認識し、それを利用したかどうかです。


(3)誤信の利用

撮影目的や内容について誤った認識を抱かせ、その誤信を利用して性的姿態を撮影する場合です。

たとえば、通常の写真撮影と説明しながら、実際には特定部位を狙うようなケースが想定されます。ここでは、被写体の理解内容と行為者の認識の食い違いが争点になります。


3.13歳未満の場合

被写体が13歳未満である場合には、同意の有無は成立判断に影響しません。

13歳未満の者は、法律上、性的自己決定に関する十分な判断能力を有するとは扱われていません。そのため、性的姿態等を撮影すれば、形式的に同意があったとしても処罰対象となります。

ここでは年齢差は問題になりません。判断の中心は、

  • 被写体が13歳未満であること
  • 性的姿態等を撮影していること

です。


4.13歳以上16歳未満の場合

この年齢層については、条文上、行為者が被写体より5歳以上年長である場合に処罰対象となります。

つまり、

  • 被写体が13歳以上16歳未満
  • 行為者が5歳以上年長
  • 性的姿態等を撮影している

という要件を満たすときは、同意があっても処罰対象となり得ます。

もっとも、年齢差が5歳未満であれば直ちに特則に該当するわけではありません。ただし、その場合でも「ひそかに撮影」「同意困難状態の利用」「誤信利用」に該当すれば成立し得るため、年齢差だけで結論が決まるわけではありません。


5.「正当な理由なく」という要件

条文は「正当な理由なく」という要件を置いています。医療行為や正当な業務行為など、社会的に相当と評価される場合には違法性が否定される余地があります。

もっとも、この正当理由は広く認められるものではありません。撮影行為の目的・必要性・態様が客観的に相当といえるかどうかが厳格に検討されます。


以上のとおり、本罪の成立は、

  • 対象が性的姿態等に当たるか
  • どの類型に該当するか
  • 未成年特則の適用があるか
  • 故意があるか
  • 正当理由がないか

といった観点から判断されます。

迷惑防止条例との違い|どちらが適用されるのか

性的姿態等撮影罪が新設されたことで、「盗撮はすべてこの新法で処罰されるのか」という疑問が生じます。しかし実際には、迷惑防止条例と性的姿態等撮影罪は並存しており、事案に応じてどの規定が適用されるかが判断されます。

従来、盗撮行為の多くは都道府県の迷惑防止条例によって処罰されてきました。条例は、公共の場所や公共交通機関などにおける卑わいな行為を規制することを目的とするもので、主として「ひそかに撮影する行為」を対象としてきました。

これに対し、性的姿態等撮影罪は、場所を限定せず、全国一律の法律として制定された点が大きな違いです。公共の場に限らず、住宅内や宿泊施設内などでの撮影も、条文要件を満たせば処罰対象となります。

また、新法の特徴は、撮影行為そのものだけでなく、画像の提供・保管・送信といった行為も体系的に処罰対象とした点にあります。条例では必ずしも十分にカバーできなかった部分を補完する役割を担っています。

もっとも、事案によっては、同じ撮影行為が迷惑防止条例の構成要件にも、性的姿態等撮影罪の構成要件にも当てはまるように見える場合があります。このような場合、二つの罪が機械的に両方適用されるわけではありません。

実務では、

  • どちらの規定がより具体的に当該行為を予定しているか
  • 立法趣旨に照らしてどの規定で評価するのが相当か

といった観点から整理され、通常は一つの罪名で評価されます。
同じ撮影行為について、条例違反と撮影罪の双方で重ねて処罰されるということは考えにくいでしょう。

関連する犯罪との関係|提供・保管・送信も処罰対象になるのか

性的姿態等撮影罪は、「撮影した瞬間」だけを処罰対象とする法律ではありません。新法では、撮影後の行為についても複数の犯罪類型が設けられており、画像の取扱いそのものが処罰対象となり得る点が大きな特徴です。


1.性的影像記録提供等罪(提供・公然陳列)

撮影した性的姿態等の画像や動画を、第三者に提供したり、インターネット上に公開したりする行為は、別の犯罪類型として処罰されます。

たとえば、

  • SNSや掲示板への投稿
  • 友人へのデータ送信
  • 不特定多数が閲覧できる状態に置く行為

などが典型例です。

ここで重要なのは、撮影者本人でなくても成立し得るという点です。違法に撮影された画像であることを認識しながら拡散すれば、提供罪が問題となる可能性があります。


2.提供目的での保管(性的影像記録保管罪)

撮影した画像を、将来提供する目的で保管する行為も処罰対象とされています。

単なる保存との違いは、「提供する目的」があるかどうかです。実務では、保存状況やデータの管理方法、過去の送信履歴などから、目的の有無が推認されることがあります。


3.送信行為(ライブ配信等)

撮影と同時にインターネット上へ配信する、いわゆるライブ配信行為も処罰対象となる類型があります。

この場合、撮影と送信が一体となった行為として評価されます。単に端末内に保存するのではなく、外部に送信する点で被害拡大の危険が高いと考えられています。


4.撮影罪との関係

一連の行為の中で、

  • まず撮影が行われ
  • その後に提供や送信がなされる

という場合、撮影罪と提供罪等が問題となることがあります。

もっとも、常に複数の罪で重く処罰されるわけではなく、行為の態様や経過に応じて法的に整理されます。

重要なのは、撮影した後の行為も独立して刑事責任を問われ得るという点です。撮影さえしなければよいという問題ではなく、データの扱い方次第で法的評価が変わることになります。


このように、性的姿態等撮影罪は、撮影行為にとどまらず、提供・保管・送信といった周辺行為まで含めて体系的に規制しています。事案を検討する際には、どの段階の行為が問題となっているのかを切り分けて考えることが重要です。

具体的に取り締まりを受けるケースの大多数は撮影罪ですが、犯罪に該当する行為が撮影のみにとどまらないことは踏まえておくことが適切です。

成立が争われやすいポイント|“盗撮”と評価されない場合はあるか

性的姿態等撮影罪は、撮影行為があれば直ちに成立する犯罪ではありません。実務では、構成要件該当性や故意の有無、未遂の成否などが争点となることがあります。 ここでは、成立が問題となりやすい論点を整理します。


1.「性的姿態等」に当たるかどうか

まず争点となるのは、撮影対象が条文上の「性的姿態等」に該当するかです。

たとえば、

  • 着衣の上から身体を撮影した場合
  • 通常の写真の一部に身体の一部が写り込んだ場合
  • 水着姿を撮影した場合

これらが直ちに本罪に当たるとは限りません。

判断では、

  • どの部位が画面の中心か
  • ズームや角度が特定部位を狙ったものか
  • 撮影態様が通常の写真撮影と異なるか

といった事情を総合して、性的部位を対象とした撮影と評価できるかどうかが検討されます。


2.故意の有無

本罪は故意犯です。したがって、性的姿態を撮影する認識があったかどうかが重要になります。

偶然写り込んだにすぎない場合や、誤操作による撮影である場合には、通常は故意が否定されます。実務では、画像の保存状況、同種画像の有無、撮影履歴などから故意が推認されることがあります。


3.同意の評価

16歳以上の被写体については、同意の有無が成立判断に影響します。ただし、同意困難状態の利用や誤信利用に当たる場合には、有効な同意とは評価されません。

形式的な同意書があっても、その取得過程が問題となる場合があります。


4.未遂はどの段階から成立するか

性的姿態等撮影罪には、未遂を処罰する規定があります。

したがって、撮影が完成していなくても、

  • シャッターを押したが保存されなかった場合
  • 撮影直前で制止された場合

などでは、未遂が成立する可能性があります。

もっとも、未遂が成立するためには、単なる準備では足りません。
性的姿態を撮影する実行に着手したといえる段階に至っていることが必要です。

たとえば、

  • まだカメラを構えただけの段階
  • 具体的な被写体を狙っていない段階

であれば、通常は未遂には当たりません。

問題となるのは、どの時点で撮影行為の実行に着手したと評価できるかという点です。

処分の見通しと量刑判断|逮捕・不起訴はどう判断されるか

性的姿態等撮影罪に該当し得る場合であっても、直ちに逮捕や起訴、有罪が決まるわけではありません。 刑事手続では、事案の内容や証拠状況、被害者対応などを踏まえて処分が判断されます。


1.逮捕される場合と在宅で進む場合

盗撮事案では、現行犯で取り押さえられるケースも少なくありません。その場合、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断されれば、逮捕・勾留に至ることがあります。

一方で、

  • 身元が明らかである
  • 証拠が既に確保されている
  • 前科前歴がない

といった事情がある場合には、在宅のまま捜査が進むこともあります。


2.不起訴となる可能性

検察官は、証拠関係や情状を踏まえ、起訴するかどうかを判断します。

たとえば、

  • 構成要件該当性に疑問がある
  • 故意の立証が困難である
  • 被害者との間で示談が成立している
  • 反省状況が認められる

といった事情がある場合には、不起訴処分となる可能性があります。

もっとも、不起訴になるかどうかは事案ごとの事情に大きく左右されます。


3.量刑判断の考え方

起訴された場合、裁判では量刑が問題となります。量刑判断では、

  • 撮影の態様や悪質性
  • 画像の枚数や内容
  • 提供・拡散の有無
  • 前科前歴の有無
  • 被害回復の状況

などが総合的に考慮されます。

初犯であり、示談が成立している場合には、罰金刑や執行猶予付き判決となる事例も見られます。他方で、常習的・悪質な事案では、より重い処分が科される可能性があります。


このように、性的姿態等撮影罪では、成立の有無だけでなく、その後の手続や処分の見通しも重要な検討事項となります。事案の具体的事情を踏まえた対応が求められます。

在宅捜査が選択されるか逮捕されるか、という観点では、認め事件か否認事件かという点も影響を及ぼしやすいところです。認め事件の方が、在宅捜査が選択されやすい傾向にあります。

性的姿態等撮影罪に関するよくある質問

ここでは、性的姿態等撮影罪について実務上よく問題となる点を、簡潔に整理します。


Q1.同意があれば処罰されませんか?

16歳以上の者については、自由な意思に基づく有効な同意がある場合には、原則として処罰対象にはなりません。

もっとも、泥酔や睡眠などの同意困難状態を利用した場合や、撮影内容について誤信させた場合には、有効な同意とは評価されません。また、13歳未満の場合や、13歳以上16歳未満で5歳以上の年齢差がある場合には、同意があっても処罰対象となり得ます。


Q2.交際相手であれば問題になりませんか?

交際関係にあることだけで、直ちに適法になるわけではありません。
重要なのは、当該撮影について具体的な同意があったかどうかです。

交際関係があっても、無断で性的姿態を撮影すれば本罪が成立する可能性があります。


Q3.画像を削除すれば罪に問われませんか?

撮影時点で構成要件に該当すれば、その後に画像を削除しても犯罪の成立が否定されるわけではありません。

もっとも、削除や反省の状況は、処分や量刑の判断に影響する可能性があります。


Q4.風景写真に偶然写り込んだ場合も処罰されますか?

偶然写り込んだにすぎず、性的部位を対象とする認識(故意)がなかった場合には、通常は成立しません。

問題となるのは、構図や撮影態様から、特定の性的部位を狙ったといえるかどうかです。

まとめ|性的姿態等撮影罪の判断は条文構造に沿って行われる

性的姿態等撮影罪は、いわゆる「盗撮」という通俗的な言葉ではなく、条文で定められた構成要件に該当するかどうかによって判断される犯罪です。

成立を検討する際には、

  • 撮影対象が性的姿態等に当たるか
  • ひそかに撮影したか、同意困難状態や誤信を利用したか
  • 未成年特則に該当するか
  • 故意が認められるか
  • 正当な理由がないか

といった要素を順に確認する必要があります。

また、撮影後の提供・保管・送信といった行為も別個に処罰対象となり得る点にも注意が必要です。撮影の有無だけでなく、その後の取扱いまで含めて法的評価が行われます。迷惑防止条例との関係や未成年特則など、条文構造を正確に理解しないまま判断すると、見通しを誤るおそれがあります。
性的姿態等撮影罪の成否は、事案ごとの具体的事情を踏まえ、条文に即して慎重に検討することが重要です。

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風俗トラブルで自首をするべき場合は?自首をするときの注意点は?弁護士が解説

このページでは,風俗トラブルの自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

風俗トラブルで自首をするべき場合

①相手の同意がないことが明らかな場合

自首は,自分の刑事事件について逮捕や重大な処罰を防ぐための試みです。そのため,自分の刑事事件が捜査される可能性のある場合に行うのが有益と言えます。

この点,風俗トラブルが問題になるケースの大多数は,サービス中における客のキャストへの行為について,キャストが同意していなかった,というものです。代表的なものが本番トラブルですが,本番行為(挿入行為)についてキャストが同意していなかったにもかかわらず強引に行ってしまった場合,刑事事件として捜査や処分の対象となる可能性が生じます。

そのため,自分の行為にキャストが同意していなかったことが明らかである場合には,刑事事件として捜査される可能性があり,自首が有益なケースと言えるでしょう。このような場合には,キャスト側も被害者意識を強く持っていることが通常であり,キャストが泣き寝入りをしない限りは警察に捜査を求める動きになると見込まれるため,キャストによる被害申告が行われる前に,速やかに自首の検討をするのが望ましいところです。

ポイント
被害者の同意が明らかにない場合は,捜査の対象とされやすくなる

②トラブル後の話し合いが奏功しない場合

風俗トラブルでは,トラブル後に店舗の責任者などと話し合いをし,当事者間での解決を目指すことが多く見られます。当事者間で話し合いにより解決できれば,警察などの捜査が行われず終了するため,捜査に備えて自首をする必要も生じません。
一方で,トラブル発生後に話し合いを試みたものの合意できる見通しが立たない場合や,そもそも相手方に話し合いの意思がない場合には,当事者間での解決ができないため,刑事事件に発展し捜査や処分を受ける可能性が高くなります。

そのため,トラブル後の話し合いで当事者間の解決ができない場合には,後の捜査に備える目的で自首を行う手段が有力になるでしょう。自首を行うことで,後に刑事事件化した場合の取り扱いが大きく変化することが期待できます。

ポイント
当事者間で解決すれば,捜査に発展しないため自首は不要
当事者間の話し合いで解決しない場合には自首の検討が有力

③周囲への発覚を防ぎたい場合

風俗トラブルの場合,内容面の争い以上に「風俗トラブルが起きたという事実自体を周囲に知られる」事態を防ぐべきケースが少なくありません。トラブルの存在が知られるだけでも,家庭生活や仕事に重大な悪影響が生じやすい事件分野であるためです。
そのため,相手の言い分には納得していないものの穏便に済ませたい,という場合が珍しくはなく,その点は風俗トラブルの大きな特徴の一つでもあります。

この点,風俗トラブルが周囲に発覚するのは,トラブルが激化した場合がほとんどです。トラブルが捜査の対象となり,警察などが接触してきたタイミングも,周囲に発覚しやすいタイミングの一つです。
このような事態を避ける手段として,自首は非常に有力と言えます。あらかじめ自首をすることで,周囲に発覚しない方法での捜査をするよう配慮してもらえれば,捜査の過程で周囲に発覚する可能性は極めて低くなるでしょう。

ポイント
警察が接触してきたタイミングで周囲に発覚することがある
自首をすることで,周囲に発覚しない捜査方法を取ってもらうことができる

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

風俗トラブルの自首は弁護士に依頼すべきか

風俗トラブルでの自首を検討する場合には,弁護士に依頼し,弁護士の判断や案内を求めるのが有効でしょう。自分一人で判断し行動するのではなく,事前に弁護士への相談や依頼を行うことを強くお勧めします。
具体的な理由としては,以下の点が挙げられます。

①自首すべき状況かが分かる

風俗トラブルは,そのすべてが刑事事件として捜査や処罰の対象となるわけではありません。形式的には犯罪に該当する可能性がある内容でも,刑事処分でなく当事者間での解決が期待される場合が少なくないためです。相手方であるキャストや店舗側も,自首でなく当事者間での解決を希望する場合が多いでしょう。
そのため,本当に自首をすべき状況かを十分に検討しないまま自首してしまうと,自首のメリットが小さくなるのみならず,相手方の意向に反する結果となってしまい,トラブル解決が遠のくことにもなりかねません。

この点,弁護士に依頼し,個別の内容に応じた法的な判断をしてもらうことで,本当に自首すべき状況であるか,という点を正しく理解することができます。また,自首すべきかどうかが明確でない場合には,自首に伴うメリットとデメリットを具体的に把握した上で,後悔のない方法選択をする手段としても活用できるでしょう。

②適切な方法で自首ができる

風俗トラブルは,自首の方法を誤ってしまうと警察から消極的な取り扱いを受けてしまい,事件解決につながらない可能性があります。警察は,民事事件として当事者間で解決すべきトラブルに巻き込まれることを嫌う傾向にあるためです。

警察は,犯罪捜査を行う機関であるため,当事者間の紛争(=民事事件)には介入しません。そして,民事事件を有利に進める目的で警察を巻き込む動きに対しては,これを受け入れないという対応を取ることがあります。
風俗トラブルの場合,犯罪が成立するか明らかでなかったり,根本的な悩みが民事事件(相手と解決の合意をしたいという点)であったりすることが多いため,漫然と自首を試みようとすると,自首とは評価されず単なる民事事件だと突き返されてしまう恐れがあるのです。

この点,弁護士に依頼することで,法律を踏まえた適切な方法・内容での自首ができるため,警察から消極的な対応を受ける事態を避けることが可能です。また,警察とのやり取りを可能な限り弁護士にゆだねることができるため,自分の負担を最小限に抑えた形で自首を行うことができるでしょう。

③自首後の流れが分かる

自首を行うにあたっては,自首後にどのような取り扱いを受けるか,手続がどのような流れになるか,という点をあらかじめ把握しておくことが重要です。その後の流れが全くわからないのでは,自首をするという判断は非常に難しく,実際に必要な自首後の対応も十分にできない可能性が高くなるでしょう。

この点,弁護士に依頼をし,事前に十分な相談や打ち合わせを行うことで,自首後にどのような流れとなるか,その中で自分はどのような対応をすべきか,といった点を正しく把握することが可能です。自首後の流れが分かることにより,安心して自首を試みられるのみでなく,最終的な結果もより望ましいものになることが期待できるでしょう。

④弁護活動を速やかに開始できる

自首は,あくまで捜査が開始されるスタートラインの手続であり,自首後には刑事事件の捜査が行われることになります。そのため,自首を行うに際しては,その後に捜査が行われること,捜査の結果刑事処分の対象となり得ることを踏まえておく必要があります。

この点,弁護士に依頼して自首を行うことで,捜査開始後直ちに弁護活動を開始することが可能です。被害者側との示談をはじめ,弁護士がいなければ対応できないことも速やかに進められるため,後の捜査や処分に対して有益な結果となりやすいでしょう。
特に,風俗トラブルの場合,当事者間の解決が速やかであればあるほど刑事事件も速やかに軽微な取り扱いで解決しやすいため,弁護士を通じて早期に示談の試みを行えるという点は大きなメリットと言えます。

風俗トラブルで自首をする場合の注意点

①勇み足である可能性

自首は,被害者側が警察に被害申告を行うであろう,又は行っているであろうことを前提に行うものです。警察が捜査を行う事件で,逮捕や重大な刑事処分を回避する,というのが自首の基本的な目的となります。

そのため,結果的に被害者側が何もしておらず,今後も特に動く予定がなかった,という場合,自首が原因で受けなくてもよかったはずの捜査を受ける可能性も否定できません。特に,風俗トラブルの場合,相手となるキャスト側にも個人や家庭などの事情があってトラブルを周囲に知られたくない,というケースも少なくないため,むしろ相手が警察の関与を望まない可能性もあり得るところです。

風俗トラブルで自首を試みる場合には,相手に動く意思がないと自分だけが先走ってしまい,結果的に勇み足になる可能性がある点に注意することをお勧めします。

②自首しても事態が進展しない可能性

風俗トラブルにおける自首は,相手のキャストが特定でき,自首後に当事者間での話し合いが開始できるようになると,具体的な事態の好転が期待できます。裏を返すと,相手が特定できなかったり,相手から話し合いに向けた対応が得られなかったりすれば,自首をしたという形は残るものの,事態は全く進展しないままとなる可能性もあり得るところです。

風俗トラブルの場合,キャストがお店を辞めてしまっていてお店の協力が得られないなど,キャストを特定する手段に乏しいケースがあり得ます。また,キャスト側が客との継続的な関係や話し合いを希望している可能性が低いため,お店が間に入らない場合,話し合いに対するキャストの前向きな対応が期待できないことも珍しくはありません。

そのため,風俗トラブルの自首では,自首後にはっきりとした事態の進展がなく,「とりあえず自首は行った」という形にならざるを得ない可能性を踏まえておくべきケースもあるでしょう。

③同居家族に発覚する可能性

自首を行った後,警察が在宅捜査を継続する方針となった場合,「身元引受人」の用意を求められることがあります。これは,次回以降の出頭を確保するため,主に同居親族に被疑者の監督を求めるものです。
また,事件の内容によっては,自宅等に事件の証拠となる物が残っている可能性を踏まえ,家宅の捜索を実施されるケースもあり得ます。
これらの動きが生じてしまうと,事件が同居家族に発覚してしまい,自首の目的が実現できなくなってしまう点に注意をすることが望ましいです。

同居家族に発覚する可能性を回避するためには,弁護士への依頼が最も端的な手段でしょう。弁護士に依頼し,弁護士を通じて示談を試みることで,警察があえて身元引受人を求めたり家宅の捜索を試みたりする可能性は劇的に低下しやすくなります。

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【風俗トラブルでの呼び出し】どんなときに呼び出しを受けるのか,拒んでよいか,逮捕されてしまうのかなど,疑問点を徹底解決

このページでは,風俗トラブルで警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
風俗トラブルに関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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風俗トラブルで呼び出された場合の対応法

①基本的な考え方

呼び出しに対しては,基本的に「拒否せず応じる」ことを前提とするのが有益です。呼び出しを拒否するよりも,可能な範囲で応じる姿勢を見せる方が,捜査機関の取り扱いも最終的な処分も望ましい展開になる場合が多いでしょう。

突然捜査機関からの呼び出しを受け,応じる選択肢も拒む選択肢もあるとなると,拒むことを選択したいという発想になりやすいかもしれません。しかし,呼び出しに応じないと,逮捕等の強制捜査を受ける不利益が生じ得る一方,呼び出しに応じたことを理由に強制捜査を受けることは通常ありません。そのため,応じることを前提とするスタンスの方が,結果的に不利益が少ないと考える方が適切です。

特に,風俗トラブルの場合は,呼び出しに応じている限りは逮捕を想定しない,という場合が多い傾向にあるため,呼び出しに応じる姿勢が有益になりやすい事件類型とも言えるでしょう。

ポイント
呼び出しを拒むのでなく呼び出しに応じる方針が有益

②初めて呼び出しを受けた場合

初めて呼び出しを受け,トラブルの内容について話を聞かれた場合には,まず問題となっている事件の内容を正しく把握するようにしましょう。「風俗トラブル」という抽象的な理解でなく,誰が何をした行為が問題視されているのか,キャスト側の主張する内容はどのようなものかをできるだけ具体的に把握するべきです。
例えば,触った部位はどこか,挿入したという問題であれば手指なのか性器なのか,当事者間でどのような問答があったか,時間の長さはどのくらいであったか,といった点を正確に確認し,トラブルの内容が映像としてイメージできるレベルに把握することが望ましいでしょう。

そして,事件の正確な把握を前提に,自分の認否を明確にすることが重要です。被疑事実を認める場合と認めない場合とでは,呼び出しへの対応方針もその後の解決に向けた方針もガラッと変わってくるため,認否をいずれにするのかは早期にはっきりさせる必要があります。
この点,認める事件であれば反省・後悔・謝罪といった意思を表明していくこと,否認事件であれば自身の言い分を毅然と伝え続けていくことを強く意識するのが有益でしょう。初回の呼び出しの段階で認否の方針がしっかりとしていれば,その後の手続も円滑に進むことが期待できます。

ポイント
まずは問題となっている事件の内容を具体的に把握する
事件の理解を前提に,認否を明確にする

③2回目以降の呼び出し

2回目以降の呼び出しは,初回に呼び出された際の内容を前提として,補充や確認などを行う目的でなされることが一般的です。そのため,初回の内容と矛盾しない供述に心がけ,一貫した対応に努めることが適切でしょう。
特に,事件の内容や認否に関する話が二転三転することは避けるべきです。事件内容の供述や認否のスタンスが度々変わってしまうと,捜査の長期化や対応の負担増加を招くのみならず,自分の話の信用性が低い,という評価につながりかねません。

ポイント
前後矛盾のない,一貫した対応に努める

風俗トラブルの呼び出しに応じると逮捕されるか

風俗トラブルにおける呼び出しは,基本的に逮捕することを想定していないことが多いでしょう。そのため,呼び出しに応じると逮捕される,ということはないのが通常です。

前提として,風俗トラブル自体が逮捕の決して多くない類型でもあります。捜査機関は,当事者間で解決できるのであればあえて刑事事件として扱う必要はない,と考えてくれるケースが多いため,捜査に踏み切る前に当事者間での示談を促す対応をしてくることも少なくないでしょう。
そのため,風俗トラブルでは,呼び出し自体も今後の継続的な捜査を前提としたものとは限らないという点に特徴があります。一度当事者双方の話は聞くものの,その後はやはり当事者間での解決を促す,というケースも散見されるところです。

もっとも,風俗トラブルで本格的な捜査を控える方針は,当事者間での解決ができる可能性を前提としたものです。内容が悪質で当事者間で早期解決できない事件であったり,相手方に示談の意思がないと明らかになった場合には,通常の刑事事件と同じ捜査手続に乗せられることも考えられるでしょう。
その点で,風俗トラブルの呼び出しがあった場合には,当事者間での解決を目指す必要性がより高い状況と言えます。

ポイント
逮捕を想定した呼び出しは基本的にない
当事者間での解決を促される場合も多い

風俗トラブルで警察が呼び出すタイミングや方法

①トラブル発生直後

トラブルが発生して当事者間で問題になった後,キャストや店舗担当者の通報で警察が関与し,呼び出しを受けるという流れが考えられます。
この場合,呼び出しはトラブル当日などの非常に速やかな段階であることが一般的です。また,警察の方から現場に駆け付け,警察と同行する形で出頭するケースもあり得るでしょう。

②相手が後日警察に相談した場合

トラブル当日には警察が関与しなかったものの,その後になって相手方が警察に相談する場合も考えられます。このようなケースでは,相談を受けた警察が相手から一通りの話を聞いた後,もう一方の当事者からも話を聞く目的で呼び出しを行う,という流れになるでしょう。

呼び出しの時期は,相手方が警察に相談する時期に影響を受けるため,個別のケースによるところです。もっとも,風俗トラブルの事件では,捜査に時間のかかる証拠がそれほど多くないため,相手から話を聞いた後,比較的早期に呼び出す方が多い傾向にあります。
呼び出しの方法は,電話であることがほとんどでしょう。

③当事者間の主張が食い違う場合

一度双方から話を聞いたものの,その主張内容に食い違いがある場合には,改めて話を聞くために呼び出されることが考えられます。このようなケースでは,相手方の主張内容を踏まえて,より具体的な説明を求められることが多いでしょう。

風俗トラブルの呼び出しに応じたときの注意点

①逮捕を過度に恐れない

風俗トラブルの呼び出しでは,逮捕が予定されていたり,逮捕を選択肢として想定していたりという可能性はあまりありません。そのため,逮捕を過度に恐れるあまり,肝心の対応を誤らないように注意しましょう。
逮捕を懸念し過ぎると,「不要に出頭すべきでないのではないか」「無視した方がいいのではないか」と呼び出しに対して消極的な対応をしてしまいがちですが,むしろ逮捕の可能性を自分から招く行動にもなりかねません。そもそも,捜査機関が逮捕を想定していないのであれば,完全な独り相撲であって一切メリットのない動きでもあります。

風俗トラブルの呼び出しに対しては,可能な範囲で応じることが逮捕を遠ざける最良の手段である,と理解することをお勧めします。

②呼び出し後,長期間動きが生じない可能性

一度呼び出しがあったものの,その後長期間に渡って何の進展も見られなくなる場合があります。これは,証拠に乏しく捜査がとん挫しているのか,他の事件を優先する必要があって順番待ちになっているかのいずれかであることがほとんどです。

呼び出しを受けて話をした後に長期間呼び出しがないと,自分の発言をもとに様々な捜査が行われているのではないか,との想像をしてしまうかもしれません。しかし,現実にそのような状況であることはほとんどないでしょう。
むしろ,実際には気づかない間に捜査が打ち切られて終了している,という可能性すらあり得るところです。

客観的証拠に乏しい風俗トラブルでは,長い空白期間が生じる可能性をあらかじめ踏まえておくのがよいでしょう。

③取調べの要点

内容に争いがある風俗トラブルの場合,争点となりやすいのは犯罪の「故意」です。特に本番トラブルでは,客が挿入行為を行う際にキャスト側も合意していると思っていたかどうか,という形で問題になることが非常に多く見られます。
そのため,取調べが行われるときの要点も「故意があると言えるか」というポイントに絞られることが少なくないでしょう。

この点,本番トラブルで故意があったと言える場合は,以下の二通りです。

本番トラブルで故意があったと言える場合

1.キャストが合意していないと分かっていた(認識していた)場合
2.キャストが合意していない可能性を分かっていた(認容していた)場合

犯罪の故意は,認識か認容があれば足りるとされています。そのため,故意がないと言えるのは,「キャストも合意しているに違いない」と思っていた場合に限られることとなるでしょう。

本番トラブルで故意が問題となる場合には,キャストが合意していると思ったことを,根拠を添えて主張することが重要です。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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【風俗トラブルの逮捕】どんな場合に逮捕されるか?逮捕を防ぐための正しい対応や解決法とは?

このページでは,風俗トラブルの逮捕に関して,刑事弁護士が徹底解説します。逮捕の可能性はどの程度あるか,逮捕を避ける方法はあるか,逮捕された場合に釈放を目指す方法はあるかなど,対応を検討する際の参考にしてみてください。

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風俗トラブルで逮捕される可能性

風俗トラブルの場合,逮捕される可能性は決して高くはありません。適切な対応ができれば,逮捕されずに済むことが多いと言っても過言ではないでしょう。
具体的な理由としては,以下のような点が挙げられます。

風俗トラブルで逮捕されない理由

1.性的サービスが前提となっている

2.店舗が間に入ることが多い

3.客観的証拠に乏しい

【1.性的サービスが前提となっている】

性犯罪は比較的逮捕されやすい傾向にあると言えますが,性犯罪で逮捕がなされやすいのは,同意していない性的行為を強いられる被害者のダメージが非常に重大である,という点に大きな理由があります。
大きなダメージを受けた被害者を保護する必要があるとともに,そのような行為に及んだ被疑者を放置しているわけにはいかない,という判断で逮捕に踏み切るのです。

一方,風俗店は,キャストが客に対して性的なサービスを行うためのお店です。そのため,キャストと客との間では,一定の性的行為を行うことが当然に合意されているということになります。被害者であるキャスト側にとって性的行為自体がNGではない,という点は非常に大きな特徴と言えます。
このような事情から,同じ性犯罪であっても,風俗トラブルの場合にはキャスト側のダメージの内容・程度や,客の行為の危険性は限定的であると評価されやすい傾向にあります。そのため,逮捕が必要との判断も少なくなりやすいのです。

もっとも,客による違反行為の程度があまりに著しい場合には,キャスト側のダメージも大きく,客を放置しているわけにいかなくなるため,逮捕の可能性は高くなり得るでしょう。

【2.店舗が間に入ることが多い】

風俗トラブルの場合,トラブルの事実を把握した段階で店舗の責任者が間に入ることが通常です。多くの場合,店舗の担当者がキャストの代わりとなって,その後の当事者間のやり取りを進めることになるでしょう。
また,客がキャストの個人情報を把握していることはほとんどなく,客としては,店舗の人物を介する方法でしかキャストと話し合うことはできません。

そのため,風俗トラブルの事件では,当事者間が接触する可能性が非常に低い傾向にあり,逮捕の必要性がそれほど高くないと判断される背景にもなっています。

【3.客観的証拠に乏しい】

逮捕は,刑事事件の捜査に際して法律上認められた手続ですが,捜査機関としてもむやみに逮捕するわけにはいきません。それは,逮捕された側の不利益が極めて大きいためです。後で誤認逮捕だと問題になれば,国家賠償などの形で法的責任を追及されかねません。
そのため,実際に逮捕する事件は,犯罪を裏付ける相応の根拠があることが必要とされやすいところです。

この点,風俗トラブルの場合,犯罪の裏付けとなる客観的証拠に乏しいことが非常に多い傾向にあります。そうすると,犯罪捜査に際して逮捕に踏み切る判断も難しくなりやすいため,逮捕されないケースが多くなります。

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

風俗トラブルで逮捕を避ける方法

①キャスト側との解決

逮捕を回避する最も端的な方法は,当事者間での解決です。当事者間でトラブルが解決すれば,捜査機関が犯罪捜査を行う必要はなくなり,捜査の手段として逮捕する必要もなくなります。

そのため,まずは相手方当事者であるキャスト側との解決ができるのであれば,早期円満な解決を目指すことが有力な方法になるでしょう。

②現場に警察を呼ぶ

逮捕は,逃亡や証拠隠滅を防ぐ目的で行われるものであり,逃亡や証拠隠滅が見込まれない場合には,逮捕しないという選択が有力になります
この点,自分から警察を呼び,事情聴取等の捜査を求めた場合,その人物がその後に逃亡したり証拠隠滅を試みたりする可能性は非常に低い,と評価することが通常です。そのため,自ら警察を呼ぶ行為は,自分を逮捕する必要がない,ということを知ってもらう方法として有力とも言えるでしょう。

もっとも,自分から警察を呼ぶ行為は,自分から捜査のきっかけを作る行為でもあることには注意することが望ましいでしょう。特に,相手方が警察を巻き込むつもりではなかった場合,自分が警察を呼ばなければ当事者間で早期解決していたにもかかわらず,警察を呼んだばかりに早期解決ができなくなってしまう可能性も否定できません。
警察を巻き込む動きを取る場合は,キャストや店舗側の意向を十分に把握した上で行うことをお勧めします。

③捜査協力を尽くす

既に警察等の捜査が行われている場合には,捜査協力に努めることで逮捕の回避を目指す方法が有力です。

一般的に,捜査協力の姿勢を見せる被疑者と捜査を拒否する被疑者を比較すれば,捜査協力をする被疑者の方が逮捕の必要性は低いと評価されます。なぜなら,捜査協力と証拠隠滅は両立しづらく,証拠隠滅の恐れが低いと考えられるためです。

捜査に協力する態度は,警察官の対応が穏やかになるなど,捜査手続の負担軽減にもつながる可能性があるため,心がけて損のないものということができるでしょう。

風俗トラブルの逮捕は弁護士に依頼すべきか

風俗トラブルで逮捕を防ぐ場合には,早期に弁護士へ依頼し,適切な弁護活動を行ってもらうことをお勧めします。

まず何より,風俗トラブルの解決に必要な示談のため,示談交渉の専門家である弁護士の存在は非常に重要となります。早期に適切な内容で示談が成立すれば,逮捕の回避はほぼ確実に実現できるでしょう。
風俗トラブルの場合,示談交渉の相手方となる店舗の担当者は,キャストを守るという意味もあって非常に高圧的,好戦的な態度を見せてくることが珍しくありません。そのような相手に,当事者自身が冷静で合理的な対応を尽くすのは至難の業と言わざるを得ません。
この点,風俗トラブルの解決に精通した弁護士へ依頼することで,円滑な示談による逮捕回避が容易になるでしょう。

また,弁護士に対応を委ねることによって,周囲への発覚を防ぎながら逮捕回避を図ることができる,という点も大きなポイントです。
風俗トラブルの場合,逮捕を回避したいのはもちろんですが,逮捕回避とともにトラブルが周囲に発覚しないということが非常に重要です。逮捕が防げたとしても,風俗店で本番トラブルを起こした,と周囲に知られては,対応は失敗と言わざるを得ないでしょう。
この点,弁護士に依頼をすれば,基本的に弁護士が窓口に立ってくれるため,トラブルの事実が周囲に発覚する可能性が極めて低くなります。

風俗トラブルの逮捕に関する注意点

①その場で金銭を支払う行動について

風俗トラブルでは,その場で直ちに示談金の話になり,その足で金銭を引き出して支払う,という流れとなる事例も相当数見られます。店舗側としては,最も取りはぐれるリスクの低い動きとして,その場で金銭を支払うよう求めることも少なくありません。

もっとも,その場で金銭を支払う方法での解決はお勧めできません。なぜなら,金銭を支払ったから直ちに解決する,直ちに逮捕されなくなる,という関係にはないためです。

当事者間で紛争解決を確認する際には,後で蒸し返しされることがないよう,その内容を書面化することが一般的です。特に,風俗トラブルで互いに相手を信頼することは容易でないため,風俗トラブルの解決には書面化が不可欠でしょう。
しかしながら,その場で金銭を支払って解決しようとすると,十分な書面化ができず,紛争の蒸し返しを防ぐことができません。最悪の場合,支払った事実すら争われる可能性を残すことになります。
なお,店舗によっては,金銭を受け取った際に作成する書面の書式を要している場合もあります。もっとも,その内容が法的に十分なものであることはほとんどありません。少なくとも,客側に配慮した内容の書式であると期待できるケースはまずないでしょう。

風俗トラブルでは,金銭を支払っての解決が有力ではありますが,金銭を支払う以上は,蒸し返しを防ぐための形式をしっかり取るようにしましょう。

ポイント
その場で金銭を支払っても直ちに解決するわけではない
後の蒸し返しを防ぐために適切な書面化をするべき

②店舗への個人情報の流出

風俗トラブルが発生した場合,店舗側の運用として,健康保険証などの個人情報の提供を求め,その写しを取得するということが多く行われます。店舗側には自分の個人情報が伝わっていることが珍しくありません。風俗トラブルの逮捕を防ぐ観点では,この点に十分な配慮をすることが望ましいでしょう。
例えば,キャストや店舗に対してあまりに不適切な対応をすれば,警察への被害申告を誘発する結果になり,最悪の場合には逮捕のきっかけとなる可能性も否定できません。

店舗に伝わっている個人情報は,場合によっては捜査や逮捕のために用いられる可能性もあり得るため,十分に注意しましょう。

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【風俗トラブルの不起訴処分】不起訴処分となるための方法や不起訴処分の効果などを弁護士が解説

このページでは,風俗トラブルの不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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風俗トラブルで不起訴を目指す方法

①トラブル発生直後

風俗トラブルの事件は,トラブル発生の直後から解決に向けた話し合いがなされ得る点に大きな特徴があります。トラブルの発生後,早期に当事者間で紛争解決ができれば,刑事事件として捜査や処分の対象となることもなくなるため,起訴される可能性もなくなります。

そのため,トラブル発生直後の段階で,話し合いによる解決の余地がある場合には,まず早期解決の可能性を検討することが有力でしょう。具体的には,金銭の支払を伴う示談が想定されやすいところですが,特にトラブルの発生に対する落ち度を自覚している場合には,示談での解決が有力になりやすいです。

ポイント
風俗トラブルは,トラブル発生直後から解決の話し合いが生じ得る
トラブルの発生に落ち度があるときは,示談での解決が有力

②警察の関与後

風俗トラブルの場合,サービスを行っていた客室等でトラブルが問題になった後,現場に警察を呼ぶ流れになるケースが少なくありません。警察が駆け付けた場合,当事者双方から話を聞いた上で,その後の取り扱いについて検討し,刑事事件として本格的な捜査を行うかどうかを判断する,という進行になりやすいでしょう。

そのため,警察が関与した段階では,警察が捜査を行うべき事件ではない,という判断をしてもらうことを目指す対応が一案でしょう。具体的には,犯罪が成立しない可能性が高い,相手のキャスト側による言いがかりの可能性が十分にある,という判断を促すことが有力です。
詳細な対応方針は,トラブルの争点にもよって様々ですが,一例としては以下のような点を強調する動きが考えられるでしょう。

捜査しないとの判断を促しやすい事情

1.(本番トラブルの場合)本番行為に同意があると考えてもやむを得ない可能性がある
→金銭の授受があった
→キャストから本番行為を唆す言動があった
→過去にも本番行為があった

2.キャストの主張する行為が立証できない可能性が高い
→キャストの言い分が不合理である,証拠と整合しない
→否定する自分の供述が合理的である,証拠と整合する

3.双方に合意のある性的行為の範囲が広い
→キャストが客側にどこまでの行為を許しているか
→許している範囲が広いほど,それ以上の行為も合意している可能性がうかがわれる

③店舗担当者との協議中

風俗トラブルが問題となった後は,キャスト本人でなく店舗の担当者との間で示談などの協議を行うケースが多く見られます。この段階では,店舗側及びキャスト側が警察の捜査を求めている可能性が低いため,協議を進めて解決内容が合意できれば,捜査が開始されることなく終了し,起訴される可能性もなくなるでしょう。

風俗トラブルで不起訴になる可能性

風俗トラブルの事件は,適切に対応をすることで不起訴になる可能性が十分に高い事件類型である,ということができます。具体的な理由としては,以下のような点が挙げられます。

①認め事件の場合

風俗トラブルは,本番トラブルであれば不同意性交等罪,盗撮トラブルであれば撮影罪(性的姿態等撮影罪)など,形式的には犯罪に該当する内容であることが多いものです。しかしながら,形式的に犯罪となり得る出来事であっても,そのすべてが捜査されたり起訴されたりするわけではありません。

風俗トラブルの場合,風俗店のサービスとして一定の性的行為をすることが前提になっているため,性的な接触自体は互いに了承済みである,という点に大きな特徴があります。路上で起きたわいせつ事件や電車内で起きた盗撮事件などと比較すれば,その違いは明白でしょう。
そのため,行為そのものが犯罪を構成するとしても,その違法性が際立って大きいとは評価されないことが少なくありません。例えば,性器同士をこすり合わせる行為(いわゆる素股)は合意しているが挿入行為は合意していない,避妊具をつけた挿入行為は合意しているが避妊具なしの挿入行為は合意していない,と言った場合,合意している行為と合意していない行為が非常に類似しているため,犯罪として重大な処罰をするほどの違法性まではない,という評価がなされやすい傾向にあります。

このような事情から,風俗トラブルの事件では,起訴するのでなく当事者間での解決を期待するケースが多く見られるところです。この場合,当事者間で穏当に解決できれば,不起訴が見込まれやすいでしょう。

②否認事件の場合

風俗トラブルの事件は,密室でのサービス中に発生しているものであるため,キャスト側が一方的に主張する違法行為の客観的根拠に乏しいケースが少なくありません。また,客観的根拠に乏しい場合は,双方の言い分の信用性を検討することがありますが,言い分の信用性を判断するための根拠もなかなか存在せず,どちらの言い分がより信用できるか,という検討も困難なことが多く見られます。

そのため,トラブルの内容について当事者間の言い分に相違があり,いずれかが明らかに不合理である,といった事情もない場合には,現実的に起訴ができるだけの証拠を獲得しづらく,不起訴処分とせざるを得ない場合が少なくないでしょう。

もっとも,心当たりがあるにもかかわらず否認する,という動きはお勧めできません。被害を主張する相手方の動きが激化し,事態が深刻化するきっかけになりかねないためです。
真に心当たりがない場合には,毅然とした否認の対応をし,不起訴を促す手段が有力でしょう。

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

風俗トラブルで不起訴を目指す場合の注意点

①事件の被害者が誰か

刑事事件で不起訴処分を目指す場合,どの事件について不起訴を目指すのか,という点の正確な理解が不可欠です。当然のポイントではありますが,風俗トラブルの場合には見落とされる可能性があるポイントでもあります。

風俗トラブルで真っ先に不起訴を目指すべきなのは,キャストを相手とする性犯罪に関する事件です。具体的には,本番行為のトラブルであれば不同意性交等罪,盗撮トラブルであれば撮影罪となるでしょう。
そのため,キャストを被害者とする事件で不起訴を目指す必要があり,そのための手段としてはキャストとの間での示談が最も適切ということになります。

もっとも,風俗トラブルの示談は店舗の責任者が窓口となって対応してくるため,示談も店舗の人と取り交わすのが通常です。そして,店舗側は「当事者がキャストである」という点に配慮することなく,店舗と客との間の示談を行おうとすることが非常に多く見られます。
そのため,不起訴を目指す客側で,キャストを当事者とする示談を求める必要があり,キャストとの示談ができて初めて不起訴に役立つ事情となるのです。

風俗トラブルでは,キャスト個人を被害者とする事件の不起訴を目指す,という観点を忘れないよう注意しましょう。

ポイント
不起訴を目指すべき事件はキャスト個人を被害者とする事件
交渉の窓口となる店舗の担当者は配慮してくれない

②キャストとの直接の接触

風俗トラブルがキャスト個人との解決を要することは間違いありませんが,それでもキャストとの直接の接触を図りにいくことはお勧めされません。基本的に,キャスト個人と直接話し合おうとしたり,個人間で示談しようとしたりする行為は不適切と考えるのがよいでしょう。

風俗店のサービスでは,性的なトラブルが生じやすいものです。そのため,店舗の責任者は,キャストをトラブルから守る立場として窓口に入り,対応してくることが一般的です。この場合に,客側が店舗の人を挟まずに直接キャストと接触しようとする行為は,店舗から見るとキャストに更なる被害が生じ得る危険なものであって,強い反発の対象となりやすいところです。
キャストとの示談による解決は,基本的に窓口となる店舗の担当者を介して行う,ということに注意しましょう。

なお,キャストがお店を辞めた,店舗の担当者が窓口対応を止めたなど,キャストと店舗の関係が切れた場合には,キャストと直接やり取りをしても差し支えないでしょう。

ポイント
キャストとの直接の接触は基本的に不適切
キャストと店舗の関係が切れた後は問題ない

③手続が長期間に渡る可能性

風俗トラブルが刑事事件として捜査の対象となる場合,その手続は長期間に渡りやすい傾向にあります。これは,当事者の言い分以外に全く証拠がない,というケースでより顕著になりやすいでしょう。

当事者の言い分以外に全く根拠がない場合,言い分を裏付ける根拠があるかどうかがはっきりと分かるまで,現実的には手続を終了させることは難しいところです。被害を訴える人物がいる以上,それほど簡単に捜査を打ち切るわけにはいかないという面もあります。
もっとも,その後に新しく証拠が見つかることはほとんどないため,事態に進展がないまま長期間が経過し,最終的には「長期間の捜査でも証拠が獲得できなかった」として捜査を終了する流れになりがちです。

そのため,証拠に乏しい風俗トラブルが捜査の対象となる場合,その手続は進展のないまま長期間に渡る可能性がある,ということをあらかじめ踏まえておくのがよいでしょう。

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【風俗トラブルの弁護士選び】弁護士の必要性や必要な時期,選ぶ際の判断基準など

このページでは,風俗トラブルの弁護士選びについてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。弁護士への依頼を検討する際の参考にご活用ください。

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風俗トラブルで弁護士を選ぶタイミング

①金銭請求を受けたとき

風俗トラブルが発生した際によく見られるのが,キャストから店舗側へ連絡がなされ,連絡を受けた店舗の担当者から金銭を請求される,という流れです。多くの場合,キャストと利用客がいるホテルの客室等に店舗の人物が駆け付け,その場でキャストの代理人として話を持ち掛けることになるでしょう。

この点,金銭請求を受けたその場で,自分一人で適切な判断や対応をすることは現実的には不可能です。当事者という立場で,風俗トラブルに関する知識や経験のない中では,万全の対応を求める方が酷と言うべきでしょう。
もっとも,金銭請求を受けている以上,トラブルが顕在化していることは明らかであって,何らかの解決を目指すべきこともまた事実です。適切な判断が困難だからと言って,放置するわけにもいきません。

そのため,金銭請求を受けたときには,風俗トラブルの解決に精通した弁護士に依頼し,円滑なトラブル解決を目指すことが適切です。金銭請求への対応に際しては,弁護士選びが重要になるでしょう。

ポイント
風俗トラブルはその場で金銭請求を受けることが多い
金銭請求への対処は弁護士への依頼が適切

②警察が関与した段階

風俗トラブルは,キャストや店舗側との間で問題なるのみならず,その場に警察を呼び,警察の取り扱いを受ける流れになることも少なくありません。店舗によっては,「お金を支払うか警察を呼ぶか」という選択を求めてくるケースも相当数あります。
警察が現場の客室等に臨場した場合,個別に事情を聴かれるなどし,場合によって刑事事件の捜査に着手する,という流れが考えられます。警察が具体的な捜査に着手しない場合でも,店舗側との話し合いによる解決を求められることがほとんどです。

そのため,警察が捜査に着手するかどうかにかかわらず,風俗トラブルに警察が関与した段階で弁護士選びを検討することが適切です。適切な弁護士を選び,弁護活動を行ってもらうことで,警察の取り扱い状況に応じた解決へのサポートが期待できるでしょう。

ポイント
風俗トラブルの現場に警察を呼ばれる場合も多い
警察が関与した段階で,解決に向けた弁護士選びを検討することが適切

③刑事事件化を防ぎたいとき

風俗トラブルは,刑事事件化することなく円満に解決できれば,最も早期に解決できます。そのため,キャストや店舗との間で速やかに解決することで,刑事事件化を防ぐ方針が非常に有力と言えます。

もっとも,刑事事件化を防ぐための具体的な解決方法は,風俗トラブルの解決に精通した弁護士でないと判断が困難です。解決方法を誤ってしまうと,紛争の火種が残った状態になり,後からトラブルが刑事事件として蒸し返されてしまう可能性もあります。

そのため,早期解決によって風俗トラブルの刑事事件化を防ぎたい場合には,弁護士選びを速やかに行い,解決に適した弁護士への依頼を試みることが有力です。

ポイント
風俗トラブルは,刑事事件化前の解決が最もスムーズ

風俗トラブルの弁護士を選ぶ基準

①風俗トラブルの解決経験

風俗トラブルは,その他の一般的な刑事事件とは異なる独特な対応が必要な事件類型です。そのため,弁護士である,刑事事件の取り扱いがある,というのみならず,風俗トラブルの解決経験があるかどうか,という点を重要な判断基準とすることが有力でしょう。

風俗トラブルの解決経験があれば,風俗トラブルに特有の動き方や注意点にも精通しているため,十分な弁護活動が期待できる可能性が高いです。一方,風俗トラブルの解決に必要な動き方を把握していないと,解決がなかなか進まず,最悪の場合にはトラブルが深刻化する恐れも否定できません。

②迅速な初期対応の可否

風俗トラブルは,トラブル発生の直後から必要な対応に迫られることが多い,という特徴のある事件類型です。弁護士選びを始める段階で,既に対応を迫られた状態であることも珍しくありません。
そのため,風俗トラブルの解決に当たる弁護士は,迅速な初期対応とフットワークを備えている必要があります。依頼を受けた数日後に動き始める,というわけにはいきません。

もっとも,弁護士がいつどのような対応をしてくれるかは,個々の弁護士のやり方により様々です。事件のスピード感に合わせた迅速な対応のできる弁護士であれば問題ありませんが,万一弁護活動がタイミングを逃したものになってしまうと決定的な悪影響につながる可能性も生じてしまいます。

迅速対応を約束してくれるかどうかは,必ず弁護士選びの基準として設けるようにしましょう。

③プライバシーへの理解

風俗トラブルにおける弁護士と依頼者の間の問題の原因として,プライバシーに関する依頼者側の要望を弁護士が正しく把握できていないことによる方針のズレが挙げられます。依頼者は,周囲への発覚を可能な限り避けながら内密に解決したい,と考えているものの,弁護士側は特に配慮せず,連絡方法などの配慮が不十分なまま活動を進めてしまう,というケースが散見されるところです。

風俗トラブルは,その性質上,身近な人物への発覚を避けながら解決する必要性の高いものですが,弁護士側にその点の十分な理解があるとは限りません。弁護士選びに際しては,事件解決に際してどのようなプライバシーへの配慮をしてもらうことができるか,という点を判断材料とすることが有力でしょう。

④事務所所在地

風俗トラブルの場合,依頼を受けた弁護士が相手方の店舗や事務所に赴き,対面で示談交渉などを行うことが想定されます。電話などの手段を用いることもありますが,示談交渉から示談締結にかけてのどこかの段階で,対面でのやり取りをすることが通常でしょう。

そのため,弁護士に依頼をする場合には,弁護士が相手方の店舗や事務所に行くことのできる場所にいるかどうか,という点が大きなポイントの一つになります。一般的には,トラブルの発生場所に近い法律事務所を選択肢の候補とするのが有力でしょう。

風俗トラブルで弁護士を選ぶ必要

①示談交渉のため

風俗トラブルの解決は,示談交渉によって目指すことがほとんどです。トラブルが現場で問題になったとき,店舗側から示談の話を持ちかけられることすらあるため,示談交渉は避けて通れないことが通常でしょう。

この点,相手の要求にどこまで応じるべきか,相手の要求は適正な内容なのか,自分からはどのような要求ができるのかなど,示談交渉の方法・内容を適切に判断することは容易ではありません。示談交渉に必要な判断を速やかに行い,円滑な解決を図るためには,専門的な知識・経験を持つ弁護士に依頼を行うことが不可欠でしょう。

示談交渉による風俗トラブルの解決を目指すには,適切な弁護士選びを行う必要があります。

②刑事事件化を防ぐため

風俗トラブルは,刑事事件化前に解決することで,刑事事件化を防ぐことができるという点に大きな特徴があります。トラブルが起きたとしても,直ちに刑事事件として扱われるわけではないため,早期に事態が収まれば,警察による捜査や検察庁での起訴・不起訴といった処分には至らないことが通常でしょう。

もっとも,刑事事件化を防ぎながら早期の解決を図るためには,早期解決の方法・内容に精通した弁護士に依頼し,弁護士主導での動きを試みることが必要となりやすいです。刑事事件化しなければ,刑事事件化に伴う負担や不利益も一切生じないため,刑事事件化を防ぐ目的で弁護士を選ぶことは非常に重要な対応となるでしょう。

③法外な請求を防ぐため

風俗トラブルが発生した場合,店舗の担当者が示談交渉の窓口となり,賠償金額の話し合いを持ちかけてくる流れが多く見られます。そして,金額面で折り合いが付けば,トラブルは当事者間での解決となることが見込まれます。

しかしながら,店舗側から請求される内容が必ずしも適正で合理的なものとは限りません。場合によっては,トラブルの内容や性質に比して明らかに過大であって,法外な請求と言わざるを得ないことも散見されるところです。それでも,請求を受けた側が法外な請求であると気づかず,安易に受け入れてしまえば,その時点で法外な内容での合意が成立し,法的に支払う義務を負うことになりかねません。

この点,弁護士に依頼をすることで,相手の請求が適正なものかどうか,判断することが容易になります。また,弁護士が窓口になることで,そもそも相手から法外な要求がなされづらくなり,不合理な請求を予防する効果も期待できるでしょう。

④周囲への悪影響を防ぐため

風俗トラブルは,その内容の性質上,周囲に知られた場合の悪影響が大きくなりやすい問題です。実際はキャストや店舗側の言い分が不合理であり,難癖をつけられた状況だったとしても,風俗トラブルが発生したという事実自体を周囲に知られることが,大きな不利益にもなり得ます。

この点,弁護士に依頼をし,弁護士を窓口に対応することで,弁護士と店舗側との間で秘密を守った形での対応が可能となり,周囲への発覚を避けながらの解決ができます。弁護士が全てのやり取りを行いながら円滑にトラブル解決ができれば,周囲への悪影響を防ぐことも決して難しくはないでしょう。

風俗トラブルにおける弁護士選びの準備

①双方の言い分を整理する

風俗トラブルにおいては,自分と相手方(キャスト)の言い分に大きな差がある場合も珍しくありません。例えば,いわゆる本番トラブルの場合,自分の目からはキャストが特に嫌がっているように感じられなかったものの,相手は無理矢理に本番行為をさせられたと主張している,ということはよくあると言っても過言ではないでしょう。

そのため,弁護士に相談する前提として,トラブルの具体的内容は何か,トラブルに対する当事者双方の言い分はどのようなものか,という点を十分に整理し,弁護士に伝えられるようにしましょう。言い分に食い違いがあるかないか,食い違いがある場合にはどのような内容かによって,弁護士からの案内が大きく異なる可能性もあり得ます。

②現状の交渉経過を整理する

風俗トラブルの大きな特徴の一つが,トラブル発生直後から交渉が始まりやすい,という点です。キャストから連絡を受けた店舗担当者が,サービス中の客室に乗り込み,違反行為の指摘と示談交渉を持ち掛けてくる,という流れは多く見られるところです。

この点,店舗担当者との交渉がどのような内容であるか,何か合意をしたことはあるか,といった事項は,その後の対応に大きな影響を与えます。基本的には弁護士による交渉代行が可能ですが,弁護士依頼の前に一定の合意をしてしまっているのであれば,その合意を覆す余地があるかないか,という点をまず検討する必要が生じ得るためです。
また,合意には至っていないとしても,ある程度金額の話し合いをした後の状況だと,弁護士がその話し合いを根本から覆すような金額の提案をするのは,現実的にトラブル解決の可能性を低下させやすい動きにもなってしまいます。

そのため,弁護士選びに際しては,現状の交渉経過を正しく整理することで,弁護士がどのような対応をできるのか,しっかりと判断できるだけの情報を提供するように努めることをお勧めします。

③優先順位を整理する

風俗トラブルの対応は,当事者間の解決を優先するか,経済的な損失を防ぐことを優先するか,といった優先順位の違いによって,適切な動き方も違ってくることになります。通常,店舗側の方針としては,経済的に満足できるか,という基準で判断することになるため,店舗側が経済的に満足する結果となれば早期に解決しやすい傾向にあります。一方で,そのような解決は「トラブル解決をお金で買う」とも言うべきやり方であるため,経済的には本来負担する必要のない支払が生じることも珍しくありません。

風俗トラブルの場合,金銭的負担よりも穏便で迅速な解決の優先順位が非常に高いケースもありますが,弁護士がその点を把握していないと依頼者側の希望に沿わない弁護活動になる可能性もあり得ます。
弁護士への依頼に際しては,金銭面とトラブル解決のどちらをどの程度優先したいという意向か,というお気持ちをある程度整理しておくことをお勧めします。

風俗トラブルで弁護士に依頼する場合の注意点

①示談方法の特殊性を踏まえているか

風俗トラブルの示談には,他の事件類型にはない特殊性があります。それは,示談の相手方が2人いる,ということです。具体的には,「キャスト個人」と「店舗」それぞれとの間で示談が必要となります

風俗トラブルを解決する場合,客と店舗担当者の間で解決内容を協議し,合意することが一般的です。客と店舗との間では,客が店舗のサービスを利用する際の約束に反した,という問題があるため,客と店舗との紛争解決が必要であるという面も間違いではありません。

しかし,風俗トラブルの根本的な問題は,基本的に客とキャストの個人間における紛争です。特に,性的行為に同意があったなかった,盗撮行為があったなど,刑事事件の側面に関しては,店舗は第三者に過ぎません。交渉の際,窓口になる店舗担当者も,あくまでキャストの代わりに窓口となっているだけです。

弁護士が風俗トラブルの解決を目指す場合,2人の相手方それぞれと示談をし,それぞれとの間で紛争が終了したことを確認しなければ,弁護活動を全うしたとは言えませんが,店舗とのやり取りになるあまり,肝心な対キャストの個人間における紛争が解決できていない,というケースも散見されます。
弁護士への依頼に際しては,風俗トラブルの示談方法を十分に理解していることを確認しましょう。

ポイント 風俗トラブルで要する2つの示談
対店舗:サービス利用時の契約違反
対キャスト:本番行為,盗撮行為等の刑事事件

②弁護士との連絡方法を確認する

風俗トラブルを弁護士に依頼する大きな目的の一つは,家族など周囲への発覚を防ぐ,という点にあることが多い思われます。事件の性質上,周囲への影響を防ぎつつ解決できるか,という点は非常に重要です。

ただ,弁護士との連絡方法について慎重な確認をしていないと,弁護士からの連絡が原因で周囲に事件が発覚する可能性も否定できません。風俗トラブルの対応に精通している弁護士であれば生じにくい問題ですが,そうでない場合,連絡方法への配慮不足から,弁護士に依頼している事実が家族に発覚してしまい,風俗トラブルの存在を知られてしまう結果になるケースも見受けられます。

弁護士への依頼に際しては,弁護士から連絡があった事実自体が周囲に伝わらないよう,慎重に連絡方法を協議し,解決に努めることをお勧めします。

③トータルの経済的負担を把握する

風俗トラブルは,相手方に金銭を支払う形での解決を目指すことが非常に多い類型です。しかも,金銭面の損得よりも早期解決を優先する場合,その経済的負担はより大きくなりやすいでしょう。

そのため,弁護士費用と示談金を合計した金額として,どの程度の経済的負担が見込まれやすいか,という点は,事前にできるだけ把握し,後から負担しきれないという事態が生じないように留意しましょう。もちろん,具体的な示談金額を事前に決定することはできないため,幅を持った想定にならざるを得ませんが,ある程度の見通しを設けておくことは柔軟な対応のため非常に重要なポイントになります。

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盗撮事件で自首すべき場合とは?具体的な自首の方法は?刑事弁護士が詳細解説

このページでは,盗撮事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

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盗撮事件で自首をするべき場合

①現行犯で被害者等に発覚した場合

自首は,被害者などが警察に被害申告を行うであろう場合に,先回りして自分から警察に申し出る,というケースで特に高い効果を発揮します。このようなケースでは,自首をしてもしなくても自分への捜査や処分が見込まれやすいところ,自首をした方が軽微な取り扱いで終わりやすいためです。

この点,現行犯で被害者に見つかったがその場を逃れた,目撃者に声をかけられたがその場を離れたなど,現行犯で発覚している場合,被害者などが警察に被害申告をする可能性が非常に高いといえます。被害者としては,警察に被害申告をしなければ泣き寝入りとなってしまうため,警察に捜査をして犯人を見つけてもらう方が合理的な判断になりやすいでしょう。
そのため,現行犯で被害者や目撃者に発覚したケースでは,被害者などが被害申告を行う前に,先回りして自首をすることが非常に有力です。逮捕などの強制的な手続を回避するためには,自首の効果は極めて高いものになるでしょう。

ポイント
被害者や目撃者に見つかっている場合は,自首が有力
逮捕を回避する効果が非常に高くなる

②客観的証拠があると推測される場合

犯罪の客観的証拠が揃っており,捜査されれば自分が犯人であると容易に特定できるであろうと推測できる場合には,自首が有力な手段になります。

盗撮事件の場合,警察は,盗撮に用いられた撮影機器や撮影結果が残された映像や画像のデータを手に入れたいと考えることが多く見られます。もっとも,撮影機器や撮影データは,容易に処分することができてしまうため,被疑者を特定した段階で,捜索・差押えという方法で強制的に取り上げることも少なくありません。
そのため,盗撮事件で自首をしないまま自分が犯人と特定された場合,捜索差押えなどの強制捜査を受け,周囲に事件のことが知られてしまう可能性も低くはないのです。

この点,自分から自首をし,必要に応じて撮影機器や撮影データを提出することで,捜索差押えといった強制捜査を未然に防ぐ効果が期待できます。捜査をすれば自分にたどり着くであろう客観的証拠の存在が見込まれる場合は,自首の検討が有力でしょう。

なお,客観的証拠としては,現場や付近を撮影した防犯映像・画像,現場付近(駅など)の入退場記録,事件前後の足取りなどが挙げられます。

ポイント
自分を犯人と特定できる証拠がある場合,自首が有力
捜索差押えなどの強制捜査を防ぐ効果が期待できる

③否認事件で自首すべきか

否認事件ではあるものの,自分が疑われている状況にあるため,捜査を受けるより前に自分から自首をする,という動きは考えられるでしょうか。

結論的には,否認事件の場合に自首をするメリットはない,と考えるのが適切でしょう。自首はあくまで自分の犯罪行為を捜査機関に告げる意味合いの行動であるため,否認事件にはなじみません。

もっとも,否認事件ながら自分が疑われているという場合に,先回りをして警察に問い合わせたり相談したりすることはあってよいでしょう。現実にどのような取り扱いを受けられるかは警察の対応にもよりますが,ケースによってはむしろ被害者として警察に捜査を依頼する余地もあるかもしれません。

ポイント
否認事件での自首は不適切

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

盗撮事件の自首は弁護士に依頼すべきか

盗撮事件の自首は,弁護士に依頼し,適切な方法で進めることが重要です。弁護士に依頼することのメリットとしては,以下のような点が挙げられます。

①自首が本当に有効な手段か分かる

自首は,自分から捜査機関に犯罪事実を申告する行為であるため,自首によってはじめて捜査機関が犯罪を知る,という結果になる恐れもあります。この場合,自首をしたばかりに捜査や処分を受けることにもなりかねず,自首は結果的に有効な手段ではなかったと言わざるを得ないでしょう。

この点,弁護士に依頼し,状況に応じた法的な評価をしてもらうことによって,自分のケースでは自首が本当に適切な手段であるか,という点を正確に判断できる可能性が非常に高くなります。
自分の中では自首しなければ手遅れになると思っていても,実際にはそうでない場合は珍しくありません。また,逆に,自分は自首するほどでもないと思っていても,実際は一刻も早く自首をするべき状況だった,という場合も少なからずあり得ます。

自首を検討するときには,一度立ち止まって,自首をすることが有効な状況なのかどうか,弁護士の専門的な意見を仰ぐことをお勧めします。

②適切な手順で自首ができる

実際に自首をする場合,どのような手順を踏んで,どのような方法で自首をするのかは,専門的な知識や経験なしには判断が困難です。自首の方法を誤った場合,手続が遠回りになった結果,自首が有効な期間を逃してしまい,自首の効果が半減してしまう恐れもあります。

弁護士に依頼をすることで,速やかに,適切な手順で自首を進めることができるため,せっかく決意した自首の効果が失われることなく,最大限の効果につながりやすくなるでしょう。

③自首後の弁護活動が円滑にできる

刑事事件は,自首をして終わりではありません。むしろ,自首は捜査のスタートラインであって,自首の内容を踏まえて捜査が開始されることになります。
そうすると,自首を行うときには,自首をした後に始まる捜査や,その後の最終的な処分のことも考えておかなければなりません。

この点,弁護士に依頼をすることで,自首の後迅速に弁護活動を始めてもらうことが可能になります。盗撮事件では,被害者との示談が非常に重要ですが,自首とともに示談の試みを開始することで,示談交渉という大切な弁護活動へとスムーズに移ることができます。
また,自首をすることで被害者の感情が和らげば,示談の成功率も高くなるため,自首のメリットがより大きくなっていくことになるでしょう。

盗撮事件で自首をする場合の注意点

①証拠の提出

盗撮事件は,撮影機器を用いた犯罪であり,撮影結果が保存される性質のものであるため,撮影機器や撮影結果が重要な証拠と考えられます。捜査機関も,犯罪捜査に当たってはこれらの証拠を獲得することが必要であると考えるのが一般的です。

そのため,盗撮事件で自首をする場合には,撮影機器や撮影結果に関する証拠を合わせて提出するようにしましょう。捜査機関が手に入れるための手間を省くことで,自首がより効果的な行動になることも期待できます。
もっとも,撮影内容は既に処分してしまっているという場合には,画像や映像の提出はできません。証拠が処分済みである場合には,処分をした経緯や処分した内容をできる限り具体的に説明できるよう,準備をするようにしましょう。証拠を隠そうとしていると評価されないことが非常に重要となります。

②現行犯の場合

盗撮事件は現行犯で発覚することが多い事件類型ですが,現行犯で犯罪と犯人が特定された場合,それ以降に自首をする余地が法的にはありません。自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければならないためです。

また,現行犯で発覚したときには,その後速やかに捜査機関の捜査を受けることになりやすいため,時間的にも自首の余地が残っておらず,現実的に自首をすることが困難な場合も少なくありません。

自首ができるのは,現行犯で捜査を受けなかった場合のみである点に注意するのが適切でしょう。

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【盗撮事件での呼び出し】応じるべきか拒むべきか?出頭時には何に注意すべきか?

このページでは,盗撮事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
盗撮事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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盗撮事件で呼び出された場合の対応法

呼び出しに対して適切な対応ができれば,手続が円滑に進むとともに,最終的な処分の軽減につながることもあります。状況ごとに適切な対応方法を把握しておくことは非常に重要と言えるでしょう。

①現行犯で取り締まりを受けている場合

盗撮事件は,現行犯で発覚し,その流れで捜査が開始されることが一般的です。そして,現行犯で取り締まりを受けた後,後日呼び出しを受け,警察署への出頭を求められるという進行が数多く見られます。

このように,既に取り締まりを受けた件で呼び出された場合は,可能な限り求めに応じて出頭した上で,前回と矛盾しないよう一貫した話を心掛けることが適切です。
呼び出しの際,急に矛盾する話が出てきたり,想定していなかった主張がなされたりすると,捜査が振り出しに戻らざるを得ず,手続の長期化につながる恐れが高くなってしまいます。

ただ,現行犯の際にウソをついてしまったなど,前回の話に誤りがあった場合は,できるだけ速やかに訂正を申し出るようにしましょう。心理的に訂正がしづらい場合もありますが,この場合は訂正を怠る不利益の方が大きいため,適切に訂正の上,その後は訂正後の話を一貫して述べ続けるようにするのが適切です。

ポイント
呼び出しに応じた上で,矛盾のない一貫した話を心掛ける
前回の話に誤りがあった場合は,速やかに訂正する

②認め事件で初めて呼び出された場合

始めて呼び出された事件であり,その内容は自分が行ったことに間違いがない,という場合は,「自分は認めている」ということをできるだけ早く警察に把握してもらうよう努めることが適切でしょう。

警察から呼び出しの連絡を受けた際には,身に覚えがあるか問われることが通例です。認める事件であれば,その段階で速やかに認めるスタンスであることを表明するのが賢明でしょう。認め事件であると把握してもらえれば,その後の手続が円滑に進みやすくもなります。

また,呼び出しの日程調整に可能な限り協力する,予定した日時には確実に出頭するなど,捜査協力を行う真摯な態度を示していくことも重要です。捜査協力の姿勢が明らかであれば,警察側も逮捕の必要がないと判断しやすく,手続負担も軽減しやすいでしょう。

ポイント
認めているということを早く把握してもらう
捜査協力の姿勢を示し,逮捕の必要がないと評価してもらう

③覚えのない事件で初めて呼び出された場合

身に覚えがない事件の場合,呼び出しには可能な範囲で応じた上で,「自分は認めない」というスタンスであることを一貫して表明するようにしましょう。

警察側は,認めてもらう方が手続が簡単であるため,否認事件を嫌がる傾向にあります。そのため,色々な理由をつけて認めさせたがる場合もありますが,意に反して認めることにメリットはありません。
身に覚えがないことをはっきりと回答し,否認であることが揺らぐ可能性はないと警察に把握してもらうことが肝要です。

この点,身に覚えがない以上,出頭自体も拒否したいという気持ちが生じてもやむを得ないところですが,一度は出頭に応じる方が望ましいでしょう。出頭を拒み続けると,逮捕の必要があるという判断になりかねないためです。
出頭の上で,応じられる時間を限定するということも可能ですので,全く応じないということはできるだけ避けるようにしましょう。

ポイント
否認のスタンスを一貫して示し続ける
呼び出しに全く応じないことはできるだけ避ける

盗撮事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

刑事事件の手続では,呼び出しに応じて警察に出頭した際に,そのまま逮捕となる場合があります。呼び出しの段階で逮捕が予定されており,逮捕状を執行するための手段として呼び出した,というケースがこれに当たります。

しかし,盗撮事件の場合,逮捕のためにわざわざ呼び出すということはあまりありません。主な理由としては以下の点が挙げられます。

呼び出し時に逮捕をしない理由

1.現行犯で逮捕をしていない

通常の盗撮事件は,現行犯の時点が最も逮捕の必要性が高いタイミングと理解されます。そのため,現行犯で逮捕の必要がないと判断された後,呼び出しの段階で逮捕することはあまりないでしょう。

2.証拠隠滅の恐れ

盗撮事件では撮影内容や撮影機器が重要な証拠となり得ますが,呼び出しを行うと,その段階で証拠を隠滅される恐れが高くなります。そうすると,呼び出しに応じたところを逮捕しても,証拠隠滅の目的は達成できず,捜査手法として不適切です。

そのため,盗撮事件では,「呼び出しに応じた際に逮捕されるのではないか」という心配をむやみにするべきではないでしょう。それよりも速やかに呼び出しに応じる方が,自分にとって有益であることがほとんどです。

盗撮事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①取調べのため

警察が呼び出すタイミングの代表例は,取調べを行うときです。呼び出しに応じて警察に出頭してもらい,取調室で取り調べを行ったうえで,供述調書を作成する,というのが基本的な流れになります。

現行犯で警察が対応した後の呼び出しである場合,事件当日の1週間~数週間後頃であることが多く見られます。身柄事件と異なり,呼び出しを行う在宅事件では捜査の時間制限が厳しくないため,いつ頃呼び出しを受けるかは警察のスケジュールにも大きく影響を受けやすいでしょう。

②現場を確認するため

警察が作成する証拠には,事件現場の状況を記録した「実況見分調書」や「写真撮影報告書」と呼ばれる書類があります。これらの書類作成に際して,被疑者と一緒に現場を確認する目的で呼び出しを受ける場合があります。

具体的な時期は,取調べとほぼ同様であると考えられます。現行犯で警察が対応した後の呼び出しである場合,事件当日の1週間~数週間後頃であることが多いでしょう。

③押収物還付のため

盗撮事件の場合,盗撮に用いたカメラや携帯電話,盗撮データを保存していたSDカードやパソコンなど,犯罪に関係する物品が押収されるケースも少なくありません。
このような押収物は,捜査の必要がなくなった段階で還付(=返却)されますが,この還付は警察署に呼び出す形で行われることが一般的であるため,押収物の還付目的で呼び出しを受けることがあります。

押収物の還付は,警察での捜査が一段落する段階で行われることが通常であるため,最後の取調べから1週間~1か月ほどの時期に呼び出されることが多く見られます。
また,最後の取調べの際に押収物の還付を合わせて行うこともあります。この場合には,別途押収物の還付のために呼び出されることはありません。

④呼び出し方法

呼び出しの方法は電話連絡となることが通常です。被疑者自身の所持する携帯電話があれば,その携帯電話番号への連絡となりやすいでしょう。
被疑者の携帯電話が押収中であるなど,被疑者自身への連絡が困難な場合は,身元引受人の連絡先など,代替となる電話番号への連絡となることが多く見られます。

盗撮事件の呼び出しに応じたときの注意点

①余罪の取り調べに関する対応

盗撮事件は,類型的に余罪のあることが多く,余罪の撮影内容が保存されている場合も少なくないため,取調べに際しては余罪について聞かれることが非常に多いです。
そのため,取調べの担当者はある種の決まり文句のように余罪を聞いてくることになりやすいでしょう。

このとき,余罪について安易に話さない方がいいのではないか,と考えるかもしれませんが,余罪が存在すること自体は特に隠さず話してしまう方が賢明です余罪があることを認めたからといって,直ちに処分への具体的な影響が生じるわけではありません。むしろ,無理に余罪を否定する方が,「何か隠したいことがあるのではないか」という推測を招き,不利益につながる可能性が高くなります。

なお,余罪に関する詳細な対応方法は,個別のケースにより異なってくるため,弁護士と十分にご相談されることをお勧めします。

②証拠品の持参

取調べに際して,証拠品の持参を求められる場合がありますが,持参を求められた証拠品については,基本的にすべて持参をする方が適切でしょう。
持参を求めるのは,「強制的に捜索差押えをしなくても持参してくれるであろう」と考えているためです。これに対して,正当な理由なく持参を拒んだとなると,「強制的な捜索差押えが必要だった」との判断を招いてしまう危険があります。

捜査機関への協力姿勢を見せる動きの一環として,証拠品の持参には可能な限り協力することをお勧めします。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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盗撮は逮捕される?盗撮で逮捕された場合の流れは?逮捕を回避する方法も詳細解説

盗撮は、発覚すれば逮捕につながる可能性があります。突然の逮捕や取調べに直面すると、今後の生活や仕事への影響を不安に感じる方も多いでしょう。本記事では、盗撮事件の逮捕について「盗撮は本当に逮捕されるのか」「逮捕されたらどのような流れになるのか」といった疑問に加え、逮捕を回避するためのポイントについても弁護士が分かりやすく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

盗撮で逮捕される可能性

盗撮事件は,逮捕されることの珍しくない事件類型です。具体的な理由としては,以下のような点が挙げられます。

盗撮事件で逮捕の可能性がある主な理由

1.被害者保護のため

2.証拠隠滅を防ぐため

3.被害の拡大を防ぐため

1.被害者保護のため

盗撮事件は,特定の被害者を対象に,その衣服の下などの撮影を試みる事件です。そのため,加害者は少なからず加害者に性的関心を持っている,と理解されることになります。
そうすると,盗撮事件が現行犯で発覚した現場で逮捕しないと,被害者に対するより過激な性犯罪が行われかねないと評価されることがあります。また,加害者の身柄を確保しておかないと,被害者に対する報復行為が心配される場合もあり得ます。

盗撮事件は現行犯で問題になりやすいことから,現に被害に遭っている被害者を保護する必要が高いと考えられやすい傾向にあります。

2.証拠隠滅を防ぐため

盗撮事件が現行犯で発覚した場合,加害者の手元には盗撮に用いた撮影機器が残っている可能性が高く見込まれます。そのため,撮影機器やその中の記録を確保するため,逮捕を行って証拠隠滅を防ぐ必要が高いと考えられる傾向にあります。

盗撮事件では,証拠が多くは残りづらく,撮影道具や撮影内容が唯一の客観的証拠となる場合も少なくないため,現場での証拠隠滅を防ぐ必要が大きいと考えられています。

3.被害の拡大を防ぐため

盗撮事件は,1回だけ発生しているということがあまりなく,いわゆる余罪の存在が見込まれる事件類型です。そのため,発覚した事件の前にも盗撮行為が起きており,発覚後にも類似の盗撮行為が起きかねない,と評価されやすい傾向にあります。

そこで,捜査中に更なる盗撮被害が起きることを予防するため,逮捕をして物理的にその可能性を防ぎながら捜査するケースが見られます。

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盗撮は現行犯逮捕以外では逮捕されないか

盗撮事件では、現行犯逮捕でなくても逮捕される可能性があります。
「その場で捕まらなければ大丈夫」と考える方もいますが、実際には後日逮捕に至るケースも少なくありません。

盗撮が発覚した場合、警察は防犯カメラの映像を解析したり、目撃者からの証言を集めたりして、関係者の特定を進めます。
近年はデジタル機器の発達によって証拠収集の精度が高まっており、時間が経過してから逮捕に至る事案も増えています。

たとえば、駅や商業施設での盗撮では、防犯カメラの映像が決め手となり、数日から数週間後に自宅や職場で逮捕されることもあります。
また、スマートフォンやデジタルカメラに残された画像データから撮影場所や時刻が判明し、後日逮捕につながるケースも見られます。

さらに、被害者が後から被害届を提出した場合や、同様の手口による余罪が発覚した場合には、裁判所の逮捕状に基づく「通常逮捕」が行われる可能性もあります。

盗撮事件の場合、現行犯逮捕が逮捕の多数を占めることは間違いありません。もっとも、現行犯逮捕以外では逮捕されない、との理解は非常に危険です。

盗撮事件の逮捕の種類

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

盗撮事件の逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

盗撮事件で逮捕を回避する方法

①現行犯逮捕を避ける方法

盗撮事件の逮捕は,現行犯逮捕によって行われることが非常に多いところです。そのため,盗撮事件で逮捕を避けるためには,まず現場での現行犯逮捕を防ぐことが肝要です。
ひとたび適法な現行犯逮捕が成立してしまえば,その後に身柄を拘束し続けることが正当化できてしまい,ズルズルと釈放から遠ざかってしまいます。一方,最初の段階で適法な現行犯逮捕ができなければ,その後の逮捕は通常逮捕とならざるを得ませんが,逮捕状が必要である点や一般私人にはできない点など,現行犯逮捕にはない複数のハードルが生じるため,逮捕の可能性が大きく下がりやすいと言えるでしょう。

この点,現行犯逮捕を防ぐためには,現場にとどまり続けないことが最重要と言えます。現行犯逮捕をするためには,犯行と逮捕の場所に開きがあってはならないため,現場から離れたところで適法な現行犯逮捕を行うことは困難です。
ただし,その場を離れるときには,可能な限り穏やかな方法であることが必要です。暴力を伴うなど,他人に危害を加えながらその場を離れる行為は,別の犯罪に該当する可能性があるため,元も子もなくなってしまいます。

現行犯逮捕を避けるためには,穏やかにその場を去る,という動きを試みるようにしましょう。

ポイント
現行犯逮捕を避けるためには,現場にとどまり続けないこと
もっとも,穏やかな方法で現場を去ることが必要

②通常逮捕を避ける場合

現行犯逮捕されなかった盗撮事件の場合,後日に警察などから呼び出しを受ける可能性があります。このときには,後日の通常逮捕を避けることが必要になります。

この点,警察などの捜査機関としては,必ずしも逮捕しなければ捜査できないわけではないため,逮捕の必要が大きい場合に逮捕を選択する,という方針であることが一般的です。そのため,逮捕を避けるためには,警察などに「逮捕の必要が大きい」と評価されないことが重要となります。

具体的には,捜査には全面的に協力する態度を示すことが適切です。呼び出された日時には確実に出頭する,犯罪の証拠と思われるもの(撮影機器やデータなど)は自発的に提出するなど,逮捕しなくても犯罪捜査が円滑に進むと理解してもらえるような対応を尽くすようにしましょう。

ポイント
通常逮捕を避けるためには,逮捕の必要が大きくないと評価してもらうべき
捜査には全面的に協力する態度を示す

③事件発覚前の場合

盗撮事件が捜査機関に発覚する前(又は発覚しているかどうかが不明)の段階では,後に事件が発覚したときの逮捕(通常逮捕)を回避することが重要です。

この点では,自分から捜査機関に対して自首を試みる手段が一案です。自首した人物がその後に逃亡や証拠隠滅をする可能性は低い,との理解が通常でであるため,捜査機関から求められて初めて出頭するのではなく,その前に自分から自首ができれば,逮捕の可能性は非常に低くなるということができます。

盗撮事件の場合,事前に自首がなされたケースで逮捕することはほとんどないと考えてよいでしょう。

ポイント
事件発覚前に自首した場合,逮捕の可能性はほとんどなくなる

盗撮事件の逮捕で弁護士に依頼するメリット

盗撮事件では,逮捕前後いずれの局面でも弁護士への依頼が有益になりやすいということができるでしょう。

逮捕を防ぎたい場合には,捜査機関への出頭や自首など,状況に応じた適切な手段で逮捕の回避を目指すことが適切ですが,個別具体的な判断を弁護士抜きで行うことは難しいところです。また,実際に逮捕を防ぐための行動を起こすときも,弁護士に依頼することでより円滑に,適切に進めることができるでしょう。

また,逮捕後においては,早期釈放を目指すことが重要な動きになります。盗撮事件の場合,逮捕されてもその後速やかに釈放される場合が決して珍しくはありません。
ただ,実際に釈放されるかどうかは,逮捕後に適切な対応ができるかによる面が大きいため,弁護士と協同して対応を行うことが望ましいでしょう。

逮捕は,強制的に人の身体を拘束する手続であるため,そのルールや要件が厳格に定められています。そのため,逮捕を回避するためには,逮捕に関する法律の定めを把握した上での対応が適切となります。また,全ての逮捕が法律の定めに沿って行われているわけではなく,厳密には違法の可能性がある逮捕もなされ得るため,違法な逮捕行為を許さない対応も必要です。
盗撮事件の逮捕をめぐる対処については,弁護士への依頼をお勧めします。

盗撮事件の逮捕について、弁護士に依頼する具体的なメリットとしては以下の点が挙げられます。

メリット1 速やかに接見し、弁護方針を定められる

盗撮で逮捕された場合、弁護士への早期依頼が何より重要です。
特に、逮捕から72時間以内の接見は、弁護活動の流れを大きく左右するポイントとなります。
この段階で弁護士が面会することで、状況を正確に把握し、適切な弁護方針を迅速に定めることができます。

「どうすればいいのかわからない」と不安を抱える被疑者にとって、弁護士の助言は心理的な支えにもなります。
接見では、事件の経緯や状況を丁寧に聞き取り、証拠関係の確認や被害者との示談交渉の可能性を検討しながら、最適な対応方針を立てます。

主な弁護方針の例として、次のようなものが挙げられます。

・被害者との示談交渉による早期解決
・不起訴処分を目指すための証拠収集
・勾留を避けるための意見書作成
・家族や職場への影響を最小限に抑える対応策

盗撮事件では、被害者感情への配慮や誠実な対応がとても重要です。
早い段階で弁護士が接見し、事件の全体像を把握しておくことが、戦略的で効果的な弁護活動の出発点となります。

逮捕直後は、被疑者本人の対応が最も誤りやすいタイミングです。そのため、速やかに弁護士が接見を行い、適切な方針を立てることは、ご本人が適切な対応をするためにも極めて重要と言えます。

メリット2 前科が付かない可能性が高まる

弁護士に依頼する大きなメリットのひとつは、前科が付くリスクを大幅に減らせることです。

盗撮事件では、「起訴されるかどうか」が前科の有無を左右する大きな分かれ目です。
起訴されて有罪判決を受ければ前科が付く一方、不起訴処分となれば前科は残りません。

弁護士は、次のような方法で不起訴処分を目指します。

・被害者との示談交渉を迅速に進める
・検察官に対して情状酌量を求める意見書を提出する
・反省や更生への取り組みを具体的に示す
・初犯であることや社会的制裁を受けている点を強調する

「前科が付いたら人生が終わってしまうのでは…」と不安を抱える方も少なくありません。
しかし、盗撮事件では初犯であれば不起訴処分となる可能性が高いのが実情です。
弁護士が早い段階で介入し、適切な対応をとることで、前科を回避できるケースも多くあります。

特に、示談の成立は不起訴処分を得るための重要な要素です。
そのためには、被害者への誠実な対応と、弁護士による専門的な交渉が欠かせません。

早期に弁護士へ依頼することで、前科を避け、社会復帰への道を開く可能性が大きく高まります。

刑事事件の被疑者となったとき、最も重要な分岐点は前科が付くかどうかです。盗撮事件の場合、弁護活動の内容や成果によって前科が付くか左右されやすいため、弁護士へ依頼するメリットは非常に大きいケースが多いでしょう。

メリット3 早期釈放が期待できる

弁護士に依頼することで、早期に釈放される可能性が大きく高まります。
これは、弁護士が有する専門的知見と交渉力によって実現される、極めて重要なメリットです。

弁護士は逮捕直後から、身柄拘束の必要性を慎重に検討し、勾留請求に対して意見を述べるなどの適切な手続対応を行います。
特に、初犯である場合や被害者との示談が成立している場合には、拘束を継続する理由が乏しいことを法的根拠に基づいて主張することが可能です。

「このまま長く拘束されるのでは…」と不安を感じる方も多いでしょう。
しかし、弁護士が早期に釈放請求を行うことで、状況が大きく好転する場合も少なくありません。

主な取り組みとしては、次のようなものが挙げられます。

・勾留請求前の段階での釈放交渉
・勾留決定後の準抗告申立て
・被害者との示談交渉による情状の改善
・身元引受人の確保と監督体制の整備

弁護士は、検察官や裁判官に対して依頼者の社会復帰への意欲や反省の態度を的確に伝えるとともに、勾留の必要性がないことを法的に主張し、早期釈放の実現に尽力します。

このように、専門家の支援を受けることで、長期間の身柄拘束を回避できる可能性が一層高まります。

盗撮事件の逮捕に関する注意点

①現行犯逮捕の回避が困難な場合

盗撮事件の逮捕は現行犯逮捕が大多数ですが,現行犯逮捕は犯罪が起きた後すぐに行われるという点に大きな特徴があります。そのため,逮捕の回避を試みようとしても,既に現行犯逮捕が成立していれば,逮捕の回避ができない場合もあり得ることに注意が必要です。

もっとも,現行犯逮捕されたとしても,それで終わりではありません。速やかな釈放の可能性はまだ残っている可能性が高く,速やかに釈放されれば悪影響は最小限にとどめることができます。

現行犯逮捕の回避が現実的に困難な場合は,早期釈放を目指すことに注力するのが重要です。

②自首のリスク

自首は,逮捕を防ぐために有力な行動の一つですが,自ら捜査機関に犯罪事実を申告する行動であるため,結果が裏目に出るリスクもあります。それは,自首をしなければ捜査機関に発覚する可能性がなかった場合です。

この場合,自首をしたばかりに自分から捜査や刑事処分を招く結果になる可能性があり得ます。自首をしなければ捜査を受けることも刑事処分を受けることもなかった,という場合,自首が適切だったと言えるかは難しいところです。

自首には,自ら捜査を招くという逆効果を生むリスクがあることをあらかじめ注意しておくのが適切です。具体的に自首を検討するときには,弁護士へのご相談をお勧めします。

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【盗撮事件の不起訴処分】不起訴処分を目指す方法や不起訴処分獲得の可能性などを解説

このページでは,盗撮事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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盗撮事件で不起訴を目指す方法

①示談交渉

盗撮事件を起こしてしまったことが間違いなく,犯罪事実を認めるべき状況の場合には,示談を通じて被害者の許しを獲得する方法で不起訴を目指すことが必要です。具体的には,示談交渉を行い,被害者との間で示談を成立させ,示談の内容として「被害者が加害者を許す」という条項を盛り込むことがその方法となります。

盗撮事件では,認め事件の場合には起訴することが通常です。初犯であるか,反省しているか,といった事情は,刑罰の重みを判断する際に考慮されますが,初犯であるから,反省しているから,という理由で不起訴処分となることは通常ないと考えるのが適切でしょう。
盗撮事件で不起訴処分を目指すのであれば,積極的に行動を起こすことが不可欠と言っても過言ではありません。

逆に,盗撮事件で被害者との示談が成立し,被害者が加害者を許すという意思表明をしているケースでは,特段の事情がない限り不起訴処分となりやすい傾向にあります。
認め事件では,示談の有無が処分を決定的に左右すると言ってよいでしょう。

ポイント
認め事件では示談による被害者の許しを目指す

②犯罪の立証ができないことの主張

疑われている盗撮事件について身に覚えがない場合には,捜査の結果「犯罪が立証できない」という結論に至ってもらうことが不起訴処分を目指す重要な方法になります。

起訴・不起訴を判断する検察では,まず「犯罪が立証できるか」という基準で処分の検討を行うことになります。なぜなら,犯罪の立証ができない事件を起訴することはできないためです。犯罪が立証できないと判断した場合,自動的に不起訴処分とせざるを得ません。

身に覚えのない盗撮事件の場合,自分が盗撮を行ったという決定的な証拠は存在しないはずですので,何らかの状況証拠から「疑わしい」という程度の取り扱いであることが見込まれます。その後,捜査機関は犯罪が立証できるかどうかについて捜査を尽くすことになりますが,「捜査の結果,犯罪が立証できないため不起訴処分とする」という結論が目標となるわけです。

身に覚えのない事件では,その旨を率直に主張するとともに,犯罪が立証できないことを具体的に指摘する動きが有力な手段になるでしょう。

ポイント
犯罪の立証ができない限り,不起訴処分にせざるを得ない

盗撮事件で不起訴になる可能性

盗撮事件は,認め事件,否認事件のいずれについても,不起訴処分となる可能性が大いにある類型ということができます。特に,認め事件の場合,被害者との間で示談が成立していれば,不起訴処分となる可能性は飛躍的に上昇するでしょう。

盗撮事件が捜査・処分の対象となるのは,大多数が現行犯です。そして,現行犯の場合,犯罪事実が明らかであることが多く,類型的に認め事件が多い傾向にあります。
そのため,盗撮事件で不起訴になる可能性があるかは,盗撮事件で示談が成立する可能性があるか,という問題になりやすいところです。

この点,盗撮事件は,示談によってその後の接触を防ぐメリットが被害者側にも大きい事件類型と言えます。加害者による接触を法的に禁じることができる方法は示談だけであるため,被害者にとっても示談に応じる利益は無視できず,示談が成立する可能性は決して低くありません。
そのため,盗撮事件は示談による不起訴処分の可能性が大いにある事件と言えるでしょう。

ポイント
盗撮事件は不起訴処分の可能性が十分にある事件類型

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

盗撮事件で不起訴を目指す場合の注意点

①余罪の影響

盗撮事件の場合,実際に捜査・処分の対象となる事件(本罪)のほかにも,同種の他の事件(余罪)が存在することが多く見られます。これは,盗撮行為を1回だけしかしていない,というケースが少なく,複数回の盗撮行為があったうちの1件が発覚し,捜査の対象になる,という流れを辿りやすいためです。
そのため,盗撮行為が発覚した段階では,過去にも類似の盗撮行為がなされた状況である,ということになりやすいのです。

この点,余罪があまりに多い,あまりに悪質な方法であるなど,余罪を踏まえて処分を重くする必要があると判断される場合,不起訴処分の獲得が難しくなる場合があり得ます。
本罪で示談が成立すれば,確かに不起訴処分の可能性は高まりますが,確実に不起訴処分が約束されるわけではありません。示談が成立しても,余罪などの他の事情で不起訴処分にはならない可能性があることには留意しておきましょう。

ポイント
余罪多数,悪質の場合には,本罪が不起訴処分にならない場合もある

②示談を拒否された場合

認めの盗撮事件では,示談を行うことで不起訴処分を目指すことが有力です。ただ,示談は一種の契約であるため,当事者双方の合意が必要であり,被害者に示談を行う意思がなければ成立しません。

この点,盗撮事件で示談を試みる場合,被害者から示談交渉そのものを拒否されることがあり得ます。その理由は,「関わりたくない」「許せない」など様々ですが,被害者側の気持ちが示談に向いてくれない限り,示談は成立しません。どれだけ加害者側が示談を望んでも,被害者にとって示談の方が有益なように思えても,やむを得ないということになります。

示談を試みる場合には,被害者側の感情次第では示談交渉自体が開始できない可能性に注意することが適切です。

ポイント
被害者側に示談交渉の意思がなければ,示談は成立しない

③撮影内容が残っていない場合

盗撮事件では,盗撮行為を試みたものの画像や映像がうまく撮れなかった,というケースがあり得ます。場合によっては,撮影したつもりであったが実際はカメラが起動してもいなかった,ということもあり得るところです。

もっとも,撮影内容が残っているかどうか,という点は,犯罪の成立と直接関係しません。撮影がうまくできなかったとしても,撮影を試みる行為に及んだ段階で犯罪は成立することになります。

撮影が失敗したことを理由に否認する,という方針を取ることは不適切であるため,否認の主張を検討する場合には十分に注意しましょう。

ポイント
撮影内容が残っていなくても犯罪が成立する

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