建造物侵入事件では自首するべき?自首すれば逮捕や起訴は防げる?家族や会社にはバレない?

このページでは,建造物侵入事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

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建造物侵入事件で自首をするべき場合

①現場で姿を見られている場合

建造物侵入事件で自首が有力になるのは,事件の捜査が行われ,自身が加害者(犯人)として特定されることが見込まれる場合です。そして,建造物侵入事件で加害者が特定されやすいケースの代表例が,事件現場で他人に姿を見られている場合と言えます。
特に,被害者に目撃されている場合,被害者が警察等の捜査を求めない可能性は非常に低いため,捜査が開始され,犯人の特定に至りやすい状況と考えられるでしょう。

そのため,事件の現場で姿を見られている場合には,後の捜査を想定し,自首を行うことが非常に有力です。

また,現場から離れたところで姿を見られた,事件が発覚した後に人とすれ違った,といった場合も,類似の捜査リスクがあり得る状況と言えます。自身が犯人と特定される可能性がうかがわれる場合には,自首を検討することをお勧めします。

ポイント
加害者が特定されやすいため自首が有力
特に被害者に目撃された場合,捜査されない可能性が低い

②侵入行為が被害者側に知られている場合

建造物が商業施設であるなど,不特定多数者の出入りを想定した場所である場合,侵入被害があったことを広く告知している場合があります。そのように,侵入行為が被害者側に知られていることが明らかであるときには,自首が有力です。

被害者側が事件の発生を告知している場合,既に警察等に相談の上,刑事事件の捜査が開始されている可能性が高く見込まれます。そのため,事件が発覚しないまま,捜査されないまま終了することが考えにくく,後の捜査に備えた自首の検討が望ましい状況と言えるでしょう。

ポイント
商業施設などは,被害を広く告知している場合がある
被害を告知している段階では,捜査が始まっている可能性が高い

③反省の意思を積極的に示したい場合

建造物侵入事件は,最終的な刑事処分に対して反省の意思が影響するケースも多く見られます。特に,事件の内容・程度があまりに重大とは言えない場合であれば,深い反省を理由に不起訴処分とされることも考えられるところです。

この点,反省の意思を積極的に示したい場合の有力な方法が,自首です。自首は,深い反省のない人が行うことの考えにくい行動であるため,自首したという事実を深い反省の根拠と理解してもらえることが見込まれるでしょう。
また,反省の意思を示したい場合には,自首後の捜査対応にも気を配ることが適切です。真摯な捜査協力の姿勢があることで,反省の意思はより強く伝わることが期待できます。

ポイント
建造物侵入事件は,深い反省を理由に不起訴処分とされることもある
自首やその後の捜査協力を通じて,反省の意思を表明することが有力

④被害者側への接触が困難な場合

建造物侵入事件の場合,被害者と連絡を取り合うなどでき,当事者間の合意で事件解決できるのであれば,それが最も端的な解決策です。当事者間で解決した後に自首をする必要は基本的にないと言えます。
逆に,被害者と連絡を取り合う関係にないなど,当事者間の接触が困難な場合には,事件解決を目指す手段が事実上ないと言わざるを得ないケースも多数あります。そして,このような場合に有力な手段が自首です。

被害者側と接触ができないケースでは,自首以外に刑事処分の軽減を目指す積極的な選択肢がない,ということも珍しくありません。そのため,まずは自分にできる唯一の行動として,自首を検討することが望ましいでしょう。
また,自首をすれば,その後に被害者との解決を目指せる可能性が生じることもあり得ます。自首をきっかけに当事者間の解決へと至れば,同じく最も端的な解決につながりやすいでしょう。

ポイント
当事者間の解決が難しい場合,自首が唯一の手段である場合も
自首をきっかけに当事者間の解決ができるケースもあり得る

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

建造物侵入事件の自首は弁護士に依頼すべきか

建造物侵入事件で自首を検討する際には,弁護士への依頼を強くお勧めします。弁護士の専門的な判断を踏まえるかどうかによって,結果は大きく変わりやすいところです。

弁護士への依頼によって,具体的には以下のようなメリットが見込まれます。

①個別の内容を踏まえた自首のメリットが分かる

建造物侵入事件では,自首が必要か不要か,自首にどのくらいのメリットがあるか,という点が個別のケースによって大きく異なる傾向にあります。特に,事件が発覚しているか不明である,犯人を特定する証拠の有無があるか不明である,といった場合には,自首に踏み切るか慎重な判断が望ましいです。また,自首の有無によってあまり結果が変わらない場合には,自首のデメリットも十分に理解した上で検討することが適切でしょう。

この点,弁護士に依頼することで,個別の事件内容や状況を踏まえた本件での自首のメリットを,正確に理解することが可能です。自首の判断に必要な材料を円滑に得られるため,適切な検討が容易になるでしょう。

②自首を行う際の負担が小さくなる

自首の試みは,当事者にとって大きな精神的負担を伴うものです。自らの犯罪行為を,捜査する警察などに自発的に申告するものである以上,一定の負担からは避けられません。もっとも,そのような精神的負担を理由に自首の判断を躊躇してしまうと,自首の機会を逃し,不利益な結果を招く原因になり得ます。

この点,弁護士に依頼することで,弁護士が主な対応を代わりに行ってくれるため,自首に伴う負担は大きく軽減することが見込まれます。また,自首の際に自分でするべき内容や範囲が明確になるため,適切な方法で自首を進めることも可能になります。

③逮捕の回避につながりやすくなる

自首を行う際の最初の目的は,逮捕の回避であることが大多数です。建造物侵入事件を起こしてしまい,放置していると逮捕のリスクが高いと考えられる場合に,自首することで積極的に逮捕の回避を目指す,という流れが一般的でしょう。
そのため,自首を行うに当たっては,自首により逮捕の回避が実現できるか,という点が非常に重要なポイントとなります。

この点,弁護士に依頼して自首を行うことで,逮捕の回避に適したやり方での自首が進められるため,自首による逮捕回避の効果がより高くなることが期待できます。また,弁護士が捜査機関と協議を試みながら,逮捕しないとの判断をより積極的に促すことも可能です。

④自首後の流れが事前に分かる

自首は,重要な分岐点であることは間違いないものの,捜査手続全体との関係ではあくまで出発点にとどまります。そのため,自首を行うに際しては,自首後に捜査が継続することを念頭に,その後の流れにも対応できるよう備えておくことが必要です。自首後の手続への対応が不適切だと,結果的に自首の効果が不十分なものとなってしまう恐れがあります。

この点,弁護士に依頼すれば,刑事手続の全体像や自首後の流れを具体的に把握することが可能です。また,手続の各局面において適切な対応方法について助言を受けることができ,対応を誤る心配もなくなるでしょう。

建造物侵入事件で自首をする場合の注意点

①動き出しが遅い場合のリスク

自首は,捜査機関に対して犯罪事実又は犯人が発覚していない段階で行うことが必要です。捜査が進行し,犯罪事実と犯人が特定されてしまうと,自首をする余地がなくなってしまいます。

建造物侵入事件の場合,現行犯で発覚したケースを除いて,事件が現に捜査されているかどうかを把握することは容易ではありません。そのため,当事者目線では捜査されていないと思っていたとしても,現実には捜査が大きく進んでおり,自首のできるタイムリミットが近づいている可能性は十分に考えられます。

自首の動き出しが遅れると,自首のタイミングを逃してしまうという可能性には十分に注意したいところです。

②捜査を誘発する可能性

建造物侵入事件は,被害者に知られないように行われる事件であるため,結果的に被害者が知らない状態であるという可能性もあります。この場合,被害者が捜査機関に相談することもないため,捜査が始まらないまま時間が経過している,ということになるでしょう。

このような場合に自首をするのは,自首が捜査のきっかけとなってしまい,自ら捜査を誘発することになってしまうため,あらかじめ注意することをお勧めします。自首を行う以上は,ある程度捜査を誘発するリスクも受け入れた上で試みる必要があるでしょうか。

③不起訴が約束されるわけではない

自首は,その事件が不起訴処分となる可能性を大きく高める行動です。そのため,実際に自首を行う場合にも,不起訴を最終的な目標としていることが少なくないでしょう。

もっとも,建造物侵入事件の場合,自首をしても不起訴が約束されるわけではなく,自首してもなお起訴される可能性が残る点には十分な注意が必要です。特に,事件の内容が悪質と評価されるケースでは,元々の刑事責任が重いため,自首によってそれが軽減されても不起訴には至らない,という可能性が大いに考えられます。

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【建造物侵入事件での呼び出し】逮捕されてしまうのか?出頭した方がいいのか?よくある疑問を弁護士が解説

このページでは,建造物侵入事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
建造物侵入事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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建造物侵入事件で呼び出された場合の対応法

①現行犯で取り締まりを受けた事件

現行犯で取り締まりを受けた建造物侵入事件では,現行犯の際に確認した内容を書面にするため,後日呼び出されることが見込まれます。呼び出した後は,事件の内容等を改めて口頭で確認し,「供述調書」という書面にすることが一般的です。

このようなケースでは,多くの場合事件の内容を争うことが難しいため,呼び出された際の質問への回答は,現行犯で確認された内容のとおりとするほかないのが通常です。被害者や目撃者,捜査機関などが現認した内容と矛盾する話はメリットがないため,ありのまま回答し,真摯な姿勢を見せるのが望ましいでしょう。

ただし,自分の記憶と反することまで認める姿勢を取る必要はありません。記憶と異なる話が出てきた場合には,自身の記憶する内容を明確に述べ,事実を明らかにするよう努めましょう。

ポイント
現認されているため,基本的に争う余地に乏しい
現行犯時の内容を確認する取り調べが一般的

②初めて呼び出しを受ける事件

建造物侵入事件で初めて呼び出しを受ける場合には,まず疑われている内容を把握し,認めるべき内容か認めるべきでない内容かを区別することが第一歩です。認めるべきか認めるべきでないかは,方針が180度変わるため極めて重要な判断になります。

もっとも,呼び出しの電話や出頭した後の会話において,警察官が疑いの内容をはっきりと告げてくれるケースはそれほど多くありません。疑いの内容は重要な捜査情報であって,安易には告げない警察官が多い傾向にあります。特に,疑いを認めない態度である場合には顕著に見られるところです。
そのため,疑いの内容として聴き取れる情報は断片的で限りあるものになりやすいことを念頭に,数少ない情報を聞き漏らさないよう努めることが有益でしょう。

ポイント
疑いの内容を把握し,認めるべきか認めないべきかを判断する
捜査機関からは断片的な情報しか得られにくい

③内容が記憶と異なる事件

事件の内容が一部記憶と異なる場合には,その相違点が犯罪の成否に影響するかどうか,という点が非常に重要となります。つまり,疑いの内容通りであれば犯罪が成立するものの,自分の記憶通りであれば犯罪が成立しない,という場合には,どちらが事実であるか,ということが極めて大きな問題となります。

そのため,まずは内容が記憶と異なる点を整理し,その相違がどのような争点に影響する問題なのかを把握したいところです。もし,犯罪の成否に影響しない内容であれば,その点を強調するあまり対応を誤ることは避ける必要がありますし,犯罪の成否に影響する内容であれば,争点であることをできるだけ早く明らかにし,慎重な犯罪捜査を求めることが適切です。

ポイント
犯罪の成否に影響する内容かを区別する

④全く心当たりのない事件

建造物侵入事件を疑われているものの,その内容に全く心当たりがないという場合,心当たりのない理由を明確にするとともに,疑いに対する認否の方針を明確にすることが重要です。

心当たりのない理由は,以下のいずれかであることが大多数です。

心当たりのない主な理由

・疑いと矛盾する記憶がある

・覚えていない

この点,疑いと矛盾する記憶がある場合には,その旨を毅然と述べ,否認の方針を取るべきです。自分の行っていない犯罪の責任を背負う必要は全くありません。
一方,覚えていないという場合には注意が必要です。例えば,「泥酔状態で全く覚えていないものの,自分が行ったと思われる」という場合に,ただ「覚えていない」と告げるのは,認めていないという態度となってしまい,考えと行動が整合しない結果となってしまいます。

記憶がないケースでは,そこで終わるのではなく,認めるかどうかの判断まで具体的に検討することが望ましいでしょう。

ポイント
心当たりのない理由を明確にする
認めるか否認するかを明確にする

建造物侵入事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

建造物侵入事件では,呼び出しに応じた際に逮捕されるという流れを辿ることは基本的に考えにくいです。逮捕を予定する事件であれば,呼び出すことなく不意打ち的に逮捕する方が証拠隠滅を予防できる点で有効であるため,あえて呼び出す方法は取られにくいでしょう。

もっとも,呼び出しに対する対応を誤ってしまうと,逮捕を招く結果となる場合は少なくありません。具体的には,以下のような場合に逮捕のリスクが高くなるでしょう。

呼び出し後に逮捕され得るケース

1.十分な応答が期待できない場合

2.捜査に対する妨害行為があった場合

3.被疑者遠方の場合

【1.十分な応答が期待できない場合】

呼び出しを行ったものの,満足に応答が得られず出頭の予定もまともに立てられない場合,呼び出しの方法では捜査協力が期待できないため,強制的に捜査する目的で逮捕される可能性が高くなります。

また,呼び出しの連絡を受けて出頭日時を決めたものの,その日時に出頭しなかった(予定をすっぽかした)という場合にも,同様に任意の捜査協力が期待できないとの判断につながりやすく,逮捕リスクが上昇しやすいでしょう。

【2.捜査に対する妨害行為があった場合】

捜査に対する妨害行為が確認された場合,逮捕しなければ更に捜査が妨害され,犯罪の立証に支障を来たす可能性があるため,逮捕の可能性が高くなりやすいところです。例えば,呼び出しの内容や捜査状況を知った後,それらを踏まえて必要になるであろう証拠を処分したような場合が挙げられます。

証拠隠滅行為自体は,他の人を巻き込まず個人で行う限りは犯罪ではありません。しかしながら,証拠隠滅行為が逮捕の原因になるかどうかは別の話であるため,注意が必要です。

【3.被疑者遠方の場合】

被疑者が遠方のため,呼び出しに応じて出頭してもらうことが期待できない場合には,逮捕の可能性が高くなり得ます。もっとも,遠方であるというのみの理由で逮捕に至るケースはそれほど多くありません。一般的には,遠方であることに加え,遠方であることを理由に捜査協力をしてくれないとの事情が見受けられる場合に限られやすいでしょう。

建造物侵入事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①取調べのため

建造物侵入事件の捜査では,取調べが非常に重要な位置づけとなります。犯罪の性質上,加害者しか知り得ない事項が非常に多いため,取調べを通じてそれらを把握することが,犯罪捜査の上で大きなポイントとなりやすいのです。
そのため,警察が呼び出す際には取調べ目的であることが最も多いでしょう。

取調べ目的での呼び出しは,捜査の比較的初期段階であることが通例です。まず呼び出しを行い,取調べをしてから,取調べの内容を踏まえて捜査方針を検討する,という流れが多く見られます。
初めて警察から電話があった,という場合には取調べ目的である可能性が高いと思われます。

②現場の実況見分を行うため

建造物侵入事件では,捜査の手段として事件現場の実況見分を行うことが多く見られます。実況見分とは,現場の状況や位置関係などを確認するための捜査で,多くの場合写真撮影をして「実況見分調書」又は「写真撮影報告書」といった捜査資料の作成を目的に行われます。

実況見分を行うための呼び出しは,取調べをある程度行った後であることが多く見られます。取調べの内容を,実況見分を通じて再度確認し,事件の明確化を図る動きが取られやすいでしょう。

③押収物を還付するため

建造物侵入事件の場合,犯罪事実の特定に必要な物的証拠が押収されることも少なくありません。当日の着衣,侵入に用いた道具,共犯者との連絡に用いた携帯端末など,事件の内容によって具体的な押収物は様々です。
そして,押収物に関する捜査が終了すると,押収物は還付(返還)されますが,還付のため呼び出しを受けることもあり得るところです。

還付目的の呼び出しは,捜査の終盤であることが通常です。押収物が捜査に必要なくなった,と判断できなければならないので,捜査はおおむね終了した段階である場合が多いでしょう。

④写真撮影・指紋採取等のため

刑事事件の運用上,被疑者として取り扱った人物の写真撮影や指紋採取,DNA型の採取などを行い,情報として保管することが広くなされています。そのため,写真撮影や指紋採取などのために呼び出される場合もあり得るでしょう。

このような呼び出しは,捜査の終了段階であることが通常です。捜査が一通り終了した後に,これらの個人情報の収集を行う流れが一般的です。

建造物侵入事件の呼び出しに応じたときの注意点

①建造物侵入罪に当たる行為を理解する

建造物侵入罪は,その対象となる範囲が必ずしも明確ではありません。同じ場所への出入りでも,状況や目的が異なれば建造物侵入罪に当たったり当たらなかったりすることは珍しくないところです。
そのため,どのような行為が建造物侵入罪に該当するのか,自分の行為は建造物侵入罪に該当するのか,という点は,法律の問題として正確に理解することをお勧めします。

具体的な判断は,弁護士の専門的な見解を仰ぐことが最も合理的です。自身で安易な判断をしないよう注意しましょう。

②対応方針の判断基準

呼び出しへの対応方針を決める基本的な基準は,認めるか認めないか,という点です。認める場合と認めない場合とでは,方針が真逆になることも多いため,認否を最初にはっきりさせることを強くお勧めします。

また,認める場合にも,求める結果や避けたいこと,主張したい内容の有無などによって,対応方針は枝分かれしていきます。この点の判断基準も,基本的には「全面的に認める」のか「一部だけ認めない」のか,といった点になりやすいため,認否を詳細に,具体的に検討することは非常に重要となります。

③身元引受人の要否

建造物侵入事件で呼び出された後,逮捕されずにいわゆる在宅事件として捜査を受ける際,身元引受人を求められる運用が広く用いられています。そのため,呼び出しを受けた段階で,今後身元引受人が必要となる可能性に注意することが望ましいでしょう。

身元引受人として適任なのは,基本的に同居家族です。呼び出しに応じた日の帰りに,警察から同居家族に電話連絡がなされ,身元引受の依頼が行われる,という流れが多いでしょう。
そのため,同居家族への発覚を避けたい場合には,事前に予防する対策が必要となります。一例として,事前に弁護士に依頼し,弁護士に身元引受人となってもらうことは有力な方法です。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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住居侵入罪の概要や緊急逮捕される可能性|逮捕後の流れや自首のポイントまで解説

「住居侵入で緊急逮捕されるケースってどんな状況?」
「逮捕されたらその後どうなるの?」

このような疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。

住居侵入は刑法で処罰対象となり、状況によっては現行犯や緊急逮捕に至ることがあります。

逮捕後は警察・検察による取り調べが行われ、勾留や起訴の可能性もあるため、該当する行為をしてしまった方は、まず事前に流れを理解しておくことが重要です。

本記事では、住居侵入罪の基礎知識を踏まえ、緊急逮捕に至る具体的なケースや逮捕後の手続きの流れなどを詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

住居侵入罪とは

住居侵入罪とは、他人の意思に反してその占有する住居や建物などに立ち入る行為を処罰する犯罪であり、刑法第130条に規定されています。

刑法第130条

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
引用:e-Gov法令検索「刑法」

ここでは、その基本的な内容を確認していきましょう。

刑罰内容

刑罰内容は、「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」と定められており、罪の重さは状況や侵入の態様によって変わります。

たとえば、悪意をもって侵入した場合や、その行為に他の犯罪(窃盗や暴行など)が結びついている場合には、裁判においてより重く処罰される可能性が高まります。

逆に初犯であり深刻な被害が生じていない場合には、略式命令による罰金刑で処理されるケースも少なくありません。

さらに、刑罰の判断には「侵入の経緯」や「被害者との関係性」も考慮されます。

実際に逮捕された後の処遇は、取り調べや検察の判断次第で大きく変わるため、刑罰内容を正しく理解しておくことは重要です。

住居侵入罪が成立する要件

住居侵入罪が成立するには、いくつかの要件を満たす必要があります。第一に「住居等への侵入行為」が存在することです。

ここでの「侵入」とは、物理的に建物内に入ることに限らず、住人の意思に反して立ち入ること全般を指します。

たとえば、オートロックのマンションに無断で入り込む行為や、退去を求められても居座り続ける行為も含まれます。

第二に「正当な理由がないこと」が必要です。宅配業者や警察官が職務で住居に立ち入る場合は、当然ながら正当な理由が認められ、罪にはなりません。

一方で、個人的な興味や好奇心だけで立ち入った場合は、たとえ短時間でも住居侵入罪が成立します。

第三に「住人の承諾がないこと」が前提となりますが、明示的な拒絶がなくても、住人の意思に反していると認められれば成立します。

住居侵入事件で緊急逮捕される可能性

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

住居侵入事件で緊急逮捕以外の逮捕方法

現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

緊急逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

緊急逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

住居侵入事件で逮捕を避ける方法

①被害者への謝罪や賠償

建造物侵入事件で逮捕される場合,被害者が警察などに捜査を求めることで捜査が始まり,被害者の求めで捜査を行った警察によって逮捕される,という流れが通常です。裏を返せば,被害者が捜査を求めなかった場合,警察が捜査を始めることもなく,逮捕にも至らない,という流れになることが見込まれます。

そのため,被害者への謝罪や金銭賠償によって,被害者が捜査を求めない,との判断をすることがあれば,それは最も端的な逮捕回避の方法と言えます。捜査の開始自体を未然に防ぐこともできるため,刑事罰を受けたり前科が付いたりすることもなくなります。

②自首

建造物侵入事件では,当事者間で直接連絡を取れる状況や関係にない場合も多いため,被害者との解決を事前に図るのが困難な場合も少なくありません。このように被害者へのアプローチが難しい場合に有力な試みが自首です。
自首は,自らの犯罪行為を捜査機関に告げ,自分への捜査を求める動きです。そのため,自首後に捜査妨害が生じるとは考えにくく,逮捕の必要性が低いと判断される大きな材料となり得ます。

なお,自首は犯罪事実又は犯人が捜査機関に知られていない段階で行うことが必要です。時期が遅れると自首が成立しない可能性もあるため,極力速やかな検討と行動が有力と言えます。

③適切な取調べ対応

既に警察の取り調べを受けている事件では,取調べに対して適切な対応を尽くすことによって逮捕の回避を目指す動きも有力です。

取調べは,捜査の中核となるものであり,取調べが円滑に進むかどうかは捜査の進行にとって極めて重要な問題となります。そのため,被疑者の真摯な協力によって取調べが円滑に進行する場合,被疑者を逮捕しなくても捜査に支障はない(=逮捕は必要ない)との判断を得られやすくなるのです。

具体的な取調べ対応としては,質問に対して回答を拒否せずありのまま答える,求められた証拠物の提供などには迅速に応じる,といった動きが有力でしょう。

住居侵入事件の逮捕は弁護士に依頼すべきか

建造物侵入事件の逮捕については,弁護士に依頼の上,弁護士の専門的な見解を仰ぎながら検討・判断することが適切です。逮捕されるかどうかは非常に重要な問題であるため,取るべき手段は逃さず実行することをお勧めします。
弁護士への依頼によって,具体的には以下のようなメリットが見込まれます。

①事件の重大性を判断してもらえる

建造物侵入事件が逮捕されるかどうかは,事件の重大性が非常に大きな基準となりやすいところです。事件が重大であれば逮捕するが,それほど重大でなければ逮捕しない,と言っても過言ではありません。そのため,事件の重大性を正しく把握することは,対応の第一歩と言えます。

この点,弁護士に依頼することで,事件の重大性がどの程度か,それが逮捕の有無にどのような判断を及ぼすか,といった見通しを,正確に理解することができます。また,事件の重大性に応じた対処法についても,弁護士の助言を受けることができるでしょう。

②逮捕を防ぐために必要な動きを判断してもらえる

逮捕を防ぐためにどのような動きが必要か,どのような動きが有益か,という点は,具体的な事件の内容や状況によって大きく異なります。自分の力で一般論だけを収集できても,それが自分の事件に当てはまるのか分からなければ,現実に適切な動きを取ることは困難です。

この点,弁護士に依頼することで,個別の事件を踏まえた逮捕回避策を具体的に検討してもらうことが可能です。また,実際にそれらの行動を起こす際にも,弁護士とともに進めることで適切に行うことができるでしょう。

③被害者との解決を目指すことができる

建造物侵入事件は,具体的な被害者が存在する事件です。そのため,被害者がどのような意向であるか,という点は逮捕の有無に大きな影響を及ぼします。特に,被害者との間で解決済みである場合,その後に逮捕される可能性は現実的になくなるため,被害者との解決は極めて重要なポイントと言えます。

この点,弁護士に依頼することで,被害者との解決を具体的に目指すことが可能になります。通常,弁護士を窓口にしなければ被害者側への接触は難しいため,弁護士の存在は当事者間の解決に不可欠と言えるでしょう。

住居侵入事件で緊急逮捕に関する注意点

①現行犯逮捕の可能性

建造物侵入事件は,現行犯で発覚した場合,直ちに現行犯逮捕されるケースが多く見られます。事件の性質上,犯人が逃亡しやすく,逃亡後に必要な証拠を隠滅されてしまうと,証拠収集が困難になりやすいためです。

この点,現行犯逮捕となってしまうと,逮捕を回避する余地が事実上存在しないことが考えられる点には注意が必要です。逮捕の回避が困難な場合には,速やかに早期釈放を目指す方針に転換することが有力であるため,逮捕を受けて頭が真っ白になってしまわないよう,ご家族の方などが少しでも早く弁護士に相談することをお勧めします。

②逮捕後の拘束期間

建造物侵入事件の場合,逮捕後の拘束期間に複数の可能性があります。2~3日のうちに釈放され,いわゆる在宅事件に切り替わりやすいケースもあれば,20日間の勾留が避けられないケースも珍しくはありません。
これらのケースの違いは,建造物侵入事件に精通した弁護士であれば区別・判断が可能ですが,そうでないとなかなか見通すことはできないでしょう。

逮捕された場合には,本件が早期釈放の見込まれるケースか,20日勾留が見込まれるケースか,できるだけ正確に把握できるよう注意したいところです。見通しによって対応方針が変わるため,非常に重要なポイントと言えます。

③逮捕と前科の関係

逮捕は非常に重大な出来事ではありますが,逮捕されたからと言って前科が付くわけではありません。前科は,刑罰を受けた経歴を指すもので,事件が起訴され刑罰の対象となったときに付きますが,逮捕は起訴するかどうかを決める捜査手続の一つにとどまります。つまり,逮捕などをして捜査した結果,起訴されるかどうかが決まり,起訴された場合にのみ前科が付くのです。

そのため,逮捕された場合であっても,前科が付くと決めつけることなく,前科を避けるための手段をできる限り講じるよう注意することをお勧めします。具体的な対応は,弁護士に相談し,アドバイスを受けましょう。

住居侵入事件で警察から呼び出しを受けたときのポイント

住居侵入事件で呼び出された場合の対応法

①現行犯で取り締まりを受けた事件

現行犯で取り締まりを受けた建造物侵入事件では,現行犯の際に確認した内容を書面にするため,後日呼び出されることが見込まれます。呼び出した後は,事件の内容等を改めて口頭で確認し,「供述調書」という書面にすることが一般的です。

このようなケースでは,多くの場合事件の内容を争うことが難しいため,呼び出された際の質問への回答は,現行犯で確認された内容のとおりとするほかないのが通常です。被害者や目撃者,捜査機関などが現認した内容と矛盾する話はメリットがないため,ありのまま回答し,真摯な姿勢を見せるのが望ましいでしょう。

ただし,自分の記憶と反することまで認める姿勢を取る必要はありません。記憶と異なる話が出てきた場合には,自身の記憶する内容を明確に述べ,事実を明らかにするよう努めましょう。

ポイント
現認されているため,基本的に争う余地に乏しい
現行犯時の内容を確認する取り調べが一般的

②初めて呼び出しを受ける事件

建造物侵入事件で初めて呼び出しを受ける場合には,まず疑われている内容を把握し,認めるべき内容か認めるべきでない内容かを区別することが第一歩です。認めるべきか認めるべきでないかは,方針が180度変わるため極めて重要な判断になります。

もっとも,呼び出しの電話や出頭した後の会話において,警察官が疑いの内容をはっきりと告げてくれるケースはそれほど多くありません。疑いの内容は重要な捜査情報であって,安易には告げない警察官が多い傾向にあります。特に,疑いを認めない態度である場合には顕著に見られるところです。
そのため,疑いの内容として聴き取れる情報は断片的で限りあるものになりやすいことを念頭に,数少ない情報を聞き漏らさないよう努めることが有益でしょう。

ポイント
疑いの内容を把握し,認めるべきか認めないべきかを判断する
捜査機関からは断片的な情報しか得られにくい

③内容が記憶と異なる事件

事件の内容が一部記憶と異なる場合には,その相違点が犯罪の成否に影響するかどうか,という点が非常に重要となります。つまり,疑いの内容通りであれば犯罪が成立するものの,自分の記憶通りであれば犯罪が成立しない,という場合には,どちらが事実であるか,ということが極めて大きな問題となります。

そのため,まずは内容が記憶と異なる点を整理し,その相違がどのような争点に影響する問題なのかを把握したいところです。もし,犯罪の成否に影響しない内容であれば,その点を強調するあまり対応を誤ることは避ける必要がありますし,犯罪の成否に影響する内容であれば,争点であることをできるだけ早く明らかにし,慎重な犯罪捜査を求めることが適切です。

ポイント
犯罪の成否に影響する内容かを区別する

④全く心当たりのない事件

建造物侵入事件を疑われているものの,その内容に全く心当たりがないという場合,心当たりのない理由を明確にするとともに,疑いに対する認否の方針を明確にすることが重要です。

心当たりのない理由は,以下のいずれかであることが大多数です。

心当たりのない主な理由

・疑いと矛盾する記憶がある

・覚えていない

この点,疑いと矛盾する記憶がある場合には,その旨を毅然と述べ,否認の方針を取るべきです。自分の行っていない犯罪の責任を背負う必要は全くありません。
一方,覚えていないという場合には注意が必要です。例えば,「泥酔状態で全く覚えていないものの,自分が行ったと思われる」という場合に,ただ「覚えていない」と告げるのは,認めていないという態度となってしまい,考えと行動が整合しない結果となってしまいます。

記憶がないケースでは,そこで終わるのではなく,認めるかどうかの判断まで具体的に検討することが望ましいでしょう。

ポイント
心当たりのない理由を明確にする
認めるか否認するかを明確にする

住居侵入事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

建造物侵入事件では,呼び出しに応じた際に逮捕されるという流れを辿ることは基本的に考えにくいです。逮捕を予定する事件であれば,呼び出すことなく不意打ち的に逮捕する方が証拠隠滅を予防できる点で有効であるため,あえて呼び出す方法は取られにくいでしょう。

もっとも,呼び出しに対する対応を誤ってしまうと,逮捕を招く結果となる場合は少なくありません。具体的には,以下のような場合に逮捕のリスクが高くなるでしょう。

呼び出し後に逮捕され得るケース

1.十分な応答が期待できない場合

2.捜査に対する妨害行為があった場合

3.被疑者遠方の場合

【1.十分な応答が期待できない場合】

呼び出しを行ったものの,満足に応答が得られず出頭の予定もまともに立てられない場合,呼び出しの方法では捜査協力が期待できないため,強制的に捜査する目的で逮捕される可能性が高くなります。

また,呼び出しの連絡を受けて出頭日時を決めたものの,その日時に出頭しなかった(予定をすっぽかした)という場合にも,同様に任意の捜査協力が期待できないとの判断につながりやすく,逮捕リスクが上昇しやすいでしょう。

【2.捜査に対する妨害行為があった場合】

捜査に対する妨害行為が確認された場合,逮捕しなければ更に捜査が妨害され,犯罪の立証に支障を来たす可能性があるため,逮捕の可能性が高くなりやすいところです。例えば,呼び出しの内容や捜査状況を知った後,それらを踏まえて必要になるであろう証拠を処分したような場合が挙げられます。

証拠隠滅行為自体は,他の人を巻き込まず個人で行う限りは犯罪ではありません。しかしながら,証拠隠滅行為が逮捕の原因になるかどうかは別の話であるため,注意が必要です。

【3.被疑者遠方の場合】

被疑者が遠方のため,呼び出しに応じて出頭してもらうことが期待できない場合には,逮捕の可能性が高くなり得ます。もっとも,遠方であるというのみの理由で逮捕に至るケースはそれほど多くありません。一般的には,遠方であることに加え,遠方であることを理由に捜査協力をしてくれないとの事情が見受けられる場合に限られやすいでしょう。

建造物侵入事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①取調べのため

建造物侵入事件の捜査では,取調べが非常に重要な位置づけとなります。犯罪の性質上,加害者しか知り得ない事項が非常に多いため,取調べを通じてそれらを把握することが,犯罪捜査の上で大きなポイントとなりやすいのです。
そのため,警察が呼び出す際には取調べ目的であることが最も多いでしょう。

取調べ目的での呼び出しは,捜査の比較的初期段階であることが通例です。まず呼び出しを行い,取調べをしてから,取調べの内容を踏まえて捜査方針を検討する,という流れが多く見られます。
初めて警察から電話があった,という場合には取調べ目的である可能性が高いと思われます。

②現場の実況見分を行うため

建造物侵入事件では,捜査の手段として事件現場の実況見分を行うことが多く見られます。実況見分とは,現場の状況や位置関係などを確認するための捜査で,多くの場合写真撮影をして「実況見分調書」又は「写真撮影報告書」といった捜査資料の作成を目的に行われます。

実況見分を行うための呼び出しは,取調べをある程度行った後であることが多く見られます。取調べの内容を,実況見分を通じて再度確認し,事件の明確化を図る動きが取られやすいでしょう。

③押収物を還付するため

建造物侵入事件の場合,犯罪事実の特定に必要な物的証拠が押収されることも少なくありません。当日の着衣,侵入に用いた道具,共犯者との連絡に用いた携帯端末など,事件の内容によって具体的な押収物は様々です。
そして,押収物に関する捜査が終了すると,押収物は還付(返還)されますが,還付のため呼び出しを受けることもあり得るところです。

還付目的の呼び出しは,捜査の終盤であることが通常です。押収物が捜査に必要なくなった,と判断できなければならないので,捜査はおおむね終了した段階である場合が多いでしょう。

④写真撮影・指紋採取等のため

刑事事件の運用上,被疑者として取り扱った人物の写真撮影や指紋採取,DNA型の採取などを行い,情報として保管することが広くなされています。そのため,写真撮影や指紋採取などのために呼び出される場合もあり得るでしょう。

このような呼び出しは,捜査の終了段階であることが通常です。捜査が一通り終了した後に,これらの個人情報の収集を行う流れが一般的です。

住居侵入事件の呼び出しに応じたときの注意点

①建造物侵入罪に当たる行為を理解する

建造物侵入罪は,その対象となる範囲が必ずしも明確ではありません。同じ場所への出入りでも,状況や目的が異なれば建造物侵入罪に当たったり当たらなかったりすることは珍しくないところです。
そのため,どのような行為が建造物侵入罪に該当するのか,自分の行為は建造物侵入罪に該当するのか,という点は,法律の問題として正確に理解することをお勧めします。

具体的な判断は,弁護士の専門的な見解を仰ぐことが最も合理的です。自身で安易な判断をしないよう注意しましょう。

②対応方針の判断基準

呼び出しへの対応方針を決める基本的な基準は,認めるか認めないか,という点です。認める場合と認めない場合とでは,方針が真逆になることも多いため,認否を最初にはっきりさせることを強くお勧めします。

また,認める場合にも,求める結果や避けたいこと,主張したい内容の有無などによって,対応方針は枝分かれしていきます。この点の判断基準も,基本的には「全面的に認める」のか「一部だけ認めない」のか,といった点になりやすいため,認否を詳細に,具体的に検討することは非常に重要となります。

③身元引受人の要否

建造物侵入事件で呼び出された後,逮捕されずにいわゆる在宅事件として捜査を受ける際,身元引受人を求められる運用が広く用いられています。そのため,呼び出しを受けた段階で,今後身元引受人が必要となる可能性に注意することが望ましいでしょう。

身元引受人として適任なのは,基本的に同居家族です。呼び出しに応じた日の帰りに,警察から同居家族に電話連絡がなされ,身元引受の依頼が行われる,という流れが多いでしょう。
そのため,同居家族への発覚を避けたい場合には,事前に予防する対策が必要となります。一例として,事前に弁護士に依頼し,弁護士に身元引受人となってもらうことは有力な方法です。

住居侵入事件における自首のコツ

住居侵入事件で自首をするべき場合

①現場で姿を見られている場合

建造物侵入事件で自首が有力になるのは,事件の捜査が行われ,自身が加害者(犯人)として特定されることが見込まれる場合です。そして,建造物侵入事件で加害者が特定されやすいケースの代表例が,事件現場で他人に姿を見られている場合と言えます。
特に,被害者に目撃されている場合,被害者が警察等の捜査を求めない可能性は非常に低いため,捜査が開始され,犯人の特定に至りやすい状況と考えられるでしょう。

そのため,事件の現場で姿を見られている場合には,後の捜査を想定し,自首を行うことが非常に有力です。

また,現場から離れたところで姿を見られた,事件が発覚した後に人とすれ違った,といった場合も,類似の捜査リスクがあり得る状況と言えます。自身が犯人と特定される可能性がうかがわれる場合には,自首を検討することをお勧めします。

ポイント
加害者が特定されやすいため自首が有力
特に被害者に目撃された場合,捜査されない可能性が低い

②侵入行為が被害者側に知られている場合

建造物が商業施設であるなど,不特定多数者の出入りを想定した場所である場合,侵入被害があったことを広く告知している場合があります。そのように,侵入行為が被害者側に知られていることが明らかであるときには,自首が有力です。

被害者側が事件の発生を告知している場合,既に警察等に相談の上,刑事事件の捜査が開始されている可能性が高く見込まれます。そのため,事件が発覚しないまま,捜査されないまま終了することが考えにくく,後の捜査に備えた自首の検討が望ましい状況と言えるでしょう。

ポイント
商業施設などは,被害を広く告知している場合がある
被害を告知している段階では,捜査が始まっている可能性が高い

③反省の意思を積極的に示したい場合

建造物侵入事件は,最終的な刑事処分に対して反省の意思が影響するケースも多く見られます。特に,事件の内容・程度があまりに重大とは言えない場合であれば,深い反省を理由に不起訴処分とされることも考えられるところです。

この点,反省の意思を積極的に示したい場合の有力な方法が,自首です。自首は,深い反省のない人が行うことの考えにくい行動であるため,自首したという事実を深い反省の根拠と理解してもらえることが見込まれるでしょう。
また,反省の意思を示したい場合には,自首後の捜査対応にも気を配ることが適切です。真摯な捜査協力の姿勢があることで,反省の意思はより強く伝わることが期待できます。

ポイント
建造物侵入事件は,深い反省を理由に不起訴処分とされることもある
自首やその後の捜査協力を通じて,反省の意思を表明することが有力

④被害者側への接触が困難な場合

建造物侵入事件の場合,被害者と連絡を取り合うなどでき,当事者間の合意で事件解決できるのであれば,それが最も端的な解決策です。当事者間で解決した後に自首をする必要は基本的にないと言えます。
逆に,被害者と連絡を取り合う関係にないなど,当事者間の接触が困難な場合には,事件解決を目指す手段が事実上ないと言わざるを得ないケースも多数あります。そして,このような場合に有力な手段が自首です。

被害者側と接触ができないケースでは,自首以外に刑事処分の軽減を目指す積極的な選択肢がない,ということも珍しくありません。そのため,まずは自分にできる唯一の行動として,自首を検討することが望ましいでしょう。
また,自首をすれば,その後に被害者との解決を目指せる可能性が生じることもあり得ます。自首をきっかけに当事者間の解決へと至れば,同じく最も端的な解決につながりやすいでしょう。

ポイント
当事者間の解決が難しい場合,自首が唯一の手段である場合も
自首をきっかけに当事者間の解決ができるケースもあり得る

住居侵入事件の自首は弁護士に依頼すべきか

建造物侵入事件で自首を検討する際には,弁護士への依頼を強くお勧めします。弁護士の専門的な判断を踏まえるかどうかによって,結果は大きく変わりやすいところです。

弁護士への依頼によって,具体的には以下のようなメリットが見込まれます。

①個別の内容を踏まえた自首のメリットが分かる

建造物侵入事件では,自首が必要か不要か,自首にどのくらいのメリットがあるか,という点が個別のケースによって大きく異なる傾向にあります。特に,事件が発覚しているか不明である,犯人を特定する証拠の有無があるか不明である,といった場合には,自首に踏み切るか慎重な判断が望ましいです。また,自首の有無によってあまり結果が変わらない場合には,自首のデメリットも十分に理解した上で検討することが適切でしょう。

この点,弁護士に依頼することで,個別の事件内容や状況を踏まえた本件での自首のメリットを,正確に理解することが可能です。自首の判断に必要な材料を円滑に得られるため,適切な検討が容易になるでしょう。

②自首を行う際の負担が小さくなる

自首の試みは,当事者にとって大きな精神的負担を伴うものです。自らの犯罪行為を,捜査する警察などに自発的に申告するものである以上,一定の負担からは避けられません。もっとも,そのような精神的負担を理由に自首の判断を躊躇してしまうと,自首の機会を逃し,不利益な結果を招く原因になり得ます。

この点,弁護士に依頼することで,弁護士が主な対応を代わりに行ってくれるため,自首に伴う負担は大きく軽減することが見込まれます。また,自首の際に自分でするべき内容や範囲が明確になるため,適切な方法で自首を進めることも可能になります。

③逮捕の回避につながりやすくなる

自首を行う際の最初の目的は,逮捕の回避であることが大多数です。建造物侵入事件を起こしてしまい,放置していると逮捕のリスクが高いと考えられる場合に,自首することで積極的に逮捕の回避を目指す,という流れが一般的でしょう。
そのため,自首を行うに当たっては,自首により逮捕の回避が実現できるか,という点が非常に重要なポイントとなります。

この点,弁護士に依頼して自首を行うことで,逮捕の回避に適したやり方での自首が進められるため,自首による逮捕回避の効果がより高くなることが期待できます。また,弁護士が捜査機関と協議を試みながら,逮捕しないとの判断をより積極的に促すことも可能です。

④自首後の流れが事前に分かる

自首は,重要な分岐点であることは間違いないものの,捜査手続全体との関係ではあくまで出発点にとどまります。そのため,自首を行うに際しては,自首後に捜査が継続することを念頭に,その後の流れにも対応できるよう備えておくことが必要です。自首後の手続への対応が不適切だと,結果的に自首の効果が不十分なものとなってしまう恐れがあります。

この点,弁護士に依頼すれば,刑事手続の全体像や自首後の流れを具体的に把握することが可能です。また,手続の各局面において適切な対応方法について助言を受けることができ,対応を誤る心配もなくなるでしょう。

住居侵入事件で自首をする場合の注意点

①動き出しが遅い場合のリスク

自首は,捜査機関に対して犯罪事実又は犯人が発覚していない段階で行うことが必要です。捜査が進行し,犯罪事実と犯人が特定されてしまうと,自首をする余地がなくなってしまいます。

建造物侵入事件の場合,現行犯で発覚したケースを除いて,事件が現に捜査されているかどうかを把握することは容易ではありません。そのため,当事者目線では捜査されていないと思っていたとしても,現実には捜査が大きく進んでおり,自首のできるタイムリミットが近づいている可能性は十分に考えられます。

自首の動き出しが遅れると,自首のタイミングを逃してしまうという可能性には十分に注意したいところです。

②捜査を誘発する可能性

建造物侵入事件は,被害者に知られないように行われる事件であるため,結果的に被害者が知らない状態であるという可能性もあります。この場合,被害者が捜査機関に相談することもないため,捜査が始まらないまま時間が経過している,ということになるでしょう。

このような場合に自首をするのは,自首が捜査のきっかけとなってしまい,自ら捜査を誘発することになってしまうため,あらかじめ注意することをお勧めします。自首を行う以上は,ある程度捜査を誘発するリスクも受け入れた上で試みる必要があるでしょうか。

③不起訴が約束されるわけではない

自首は,その事件が不起訴処分となる可能性を大きく高める行動です。そのため,実際に自首を行う場合にも,不起訴を最終的な目標としていることが少なくないでしょう。

もっとも,建造物侵入事件の場合,自首をしても不起訴が約束されるわけではなく,自首してもなお起訴される可能性が残る点には十分な注意が必要です。特に,事件の内容が悪質と評価されるケースでは,元々の刑事責任が重いため,自首によってそれが軽減されても不起訴には至らない,という可能性が大いに考えられます。

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【建造物侵入事件の不起訴処分】不起訴となる可能性や不起訴を目指す際の注意事項などを詳細解説

このページでは,建造物侵入事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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建造物侵入事件で不起訴を目指す方法

①被害者との示談

建造物侵入事件では,被害者である建造物の管理者との間で示談を目指すことが不起訴に至るための非常に有力な方法です。建造物侵入事件の刑事処分は,被害者の意向を大きく反映したものになるため,被害者が起訴を望まないケースでは,不起訴処分とされることが多くなる傾向にあります。

被害者との示談は,侵入行為によって被害者に生じた損害を金銭等で賠償し,賠償と引き換えにする形で被害者の宥恕(ゆうじょ=許し)を獲得する,という内容になるのが通常です。被害者による宥恕が,刑事処分においては極めて重要な意味を持つため,示談は宥恕の獲得を目指す行動だと言っても過言ではないでしょう。
被害者の宥恕がある場合,被害者が加害者の起訴を希望していないと理解されるため,不起訴が見込まれやすくなります。

ポイント
被害者が起訴を望まない場合,不起訴になりやすい
示談により宥恕の獲得を目指すのが重要

②捜査機関への自首

被害者との間で解決することが難しい場合,自分の行動で刑事処分の軽減を目指せる手段としては自首が有力です。自首は,捜査機関に対し,自ら進んで犯罪事実を申告し,捜査や処分を求める行為であるため,深い反省の意思が認められやすくなり,反省状況を踏まえた不起訴処分の可能性が高くなります。

建造物侵入事件の場合,被害者が誰かを特定できない場合や,被害者が分かっても接触する方法に乏しい場合が少なくありません。その場合,自首以外に積極的な行動の選択肢がない,ということも多いため,自首が有力になるでしょう。

ポイント
自首により深い反省の意思を踏まえた不起訴処分の可能性が高くなる
自首以外に積極的な行動の選択肢がない場合も多い

③否認事件の場合

建造物侵入事件で疑いの内容を否認するケースでは,犯罪の立証ができないことを理由とした不起訴処分を目指すことが適切です。具体的にどのような場合で犯罪の立証ができないと判断されるか,という点は個別の内容によりますが,建造物侵入事件で生じやすい争点としては,以下のような例が挙げられます。

否認の建造物侵入事件で生じやすい争点

・犯人性
→侵入した人物が誰か,という点

・故意
→建造物侵入行為を行った意思があるか,という点

・被害者の承諾
→建造物の管理者が侵入を認めたか,という点

具体的な争点に対してどのような対応が適切かは,専門的な判断が不可欠であるため,弁護士に相談,依頼などし,法的な見解を仰ぐことをお勧めします。

ポイント
犯罪の立証ができないことを理由にした不起訴処分を目指す
具体的な対応方針は弁護士の判断を仰ぐ

建造物侵入事件で不起訴になる可能性

建造物侵入事件は,不起訴処分となる可能性も十分に考えられる事件類型です。刑事事件の中では,決して重大な事件というわけではないため,比較的軽微と評価される事件では,より不起訴の余地が大きいと言えるでしょう。

不起訴になるかどうかは,事件そのものの内容と,事件後の対応の両面を踏まえて判断されますが,事件そのものの内容として不起訴の可能性が高くなりやすい場合としては,以下のケースが挙げられます。

建造物侵入事件で不起訴の可能性が高くなるケース

1.不特定多数者が出入りできる場所への侵入

2.侵入後に別の犯罪行為がない

3.侵入の動機が悪質でない

4.1回きりの事件

【1.不特定多数者が出入りできる場所への侵入】

侵入場所が不特定多数者の出入りできるところであった場合,侵入行為の重大性は比較的軽微と判断されるのが通常です。立ち入ることのできる人が少ない場所であればあるほど,侵入行為による被害者の損害が大きいと評価されるためです。

【2.侵入後に別の犯罪行為がない】

建造物への侵入後,窃盗やわいせつ行為といった別の犯罪行為を行っている場合,事件の重大性は飛躍的に大きくなるため,不起訴の可能性は低くなりやすいです。逆に,侵入行為はあったもののその後に別の犯罪行為を何もしていない,という場合は,比較的軽微な事件と理解されやすく,不起訴の可能性が高くなり得ます。

【3.侵入の動機が悪質でない】

侵入行為に至った動機が,同情の余地のない身勝手なものなのか,当事者の判断としてはやむを得ない面のあるものか,という点は,刑事責任の重さに大きく影響することが通常です。
確かに侵入行為はあったものの,その動機が悪質でなく,同情すべき事情も認められる場合には,刑事責任は比較的軽微と評価され,不起訴の可能性が高くなります。

【4.1回きりの事件】

建造物侵入事件は,複数件発生しているケースが比較的多い事件類型です。特に,同一の建造物に複数回侵入するケースが散見されるため,侵入が1回のみか複数回かという点は,事件の重大さに大きく影響し得るところです。
1回きりの建造物侵入事件である場合,事件の重大さが限定的であるとの理解がされやすく,不起訴の可能性が高くなる傾向にあると言えます。

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

建造物侵入事件で不起訴を目指す場合の注意点

①形式的な被害者と実質的な被害者

建造物侵入事件の場合,法律上の被害者は建造物の管理権限を持つ人です。ビルであればオーナー,店舗であれば運営会社などが代表的でしょう。

もっとも,事件の内容によっては,法律上の形式的な被害者と実質的な被害者が異なるケースも多く見られます。例えば,建造物のお手洗いに入った後,窃盗事件や盗撮事件などを起こした,という場合,窃盗や盗撮目的での立入は建造物侵入罪に該当する可能性が高いものの,事件全体を見ると実質的な被害者は窃盗や盗撮の被害に遭った人物です。この場合,形式的な被害者である建造物の管理権者とのみ解決を目指してもあまり有益ではなく,実質的な被害者との解決を目指すことが望ましいと言えます。

形式的な被害者としても,実質的な被害者の方と解決してくれればそれでよい,と考えている場合が多いため,実質的な被害者へのアプローチを優先することを強くお勧めします。

②余罪と不起訴の関係

建造物侵入事件では,余罪のあることも一定数見られます。そして,余罪の存在は,以下のような形で起訴不起訴の判断に影響し得ます。

・余罪自体が起訴される
→本罪が不起訴となっても,それとは別に余罪が起訴され,全体として不起訴が実現できない

・余罪があることを踏まえて本罪が起訴される
→本罪の刑事責任の重さを考慮する材料として,余罪のあることが加味され,本罪が起訴される

余罪自体が処分の対象になるのか,余罪を踏まえて本罪の処分が変わるのか,という違いと言えます。
どちらであるかによって,不起訴を目指す具体的な方法は大きく変わる可能性があるため,余罪がある場合には弁護士の法的な判断を仰ぐのが賢明です。

③共犯事件の場合

建造物侵入事件の場合,単独犯でなくいわゆる共犯の事件も一定数見られますが,共犯事件のケースでは,個々の役割が刑事処分に大きな影響を及ぼす,という点に注意することが重要です。

共犯事件では,共犯者間の役割の違いによって,起訴不起訴の判断が分かれやすい傾向にあります。主導的な役割を担っている方が起訴されやすく,周辺,末端の位置づけにある方が不起訴とされやすい,というのが基本的な考え方です。

そのため,共犯事件で不起訴を目指す場合には,実際の役割以上に中心的存在だったと評価されることのないよう,自身の立ち位置を正確に把握してもらうことが重要になるでしょう。

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【埼玉大宮で建造物侵入事件の弁護士選び】円滑解決に有益な弁護士はどんな基準で選べばいいのか,弁護士が解説

このページでは,建造物侵入事件の弁護士選びについてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。弁護士への依頼を検討する際の参考にご活用ください。

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建造物侵入事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕されたとき

建造物侵入事件は,特に侵入行為が現行犯で発覚した場合に,逮捕の対象となる可能性が高い事件類型です。逮捕されると,短い場合には1~3日程度,長い場合には1件当たり20日以上の身柄拘束を受ける可能性があります。
逮捕後の身柄拘束が長くなるかどうかは,個別の事件により異なりますが,建造物侵入事件では,その程度があまりに大きいものでなければ,短い期間で釈放されるケースも決して少なくはありません。そのため,早期釈放の試みを尽くすことは,逮捕後の非常に重要な動きと言えます。

しかしながら,逮捕後に釈放を目指すための具体的な動きは,弁護士なしでは困難なものです。逮捕直後には弁護士しか被疑者と接見できないことが通常であるため,本人とのコミュニケーションも弁護士に限られる上,釈放を求めるための法的な手段も,刑事手続に精通した弁護士でなければ実行することは難しいでしょう。

そのため,建造物侵入事件で逮捕されたときには,早期釈放を目指すためにも,速やかに弁護士を選ぶことが望ましいと言えます。

ポイント
建造物侵入事件は,逮捕後に早期釈放される場合も少なくない

②出頭要請を受けたとき

建造物侵入事件の捜査は,後日に警察から出頭要請を受ける形で行われる場合も多く見られます。この出頭要請は,事件の被疑者に対する取り調べを行う目的で,警察署への出頭を求めるため行われるものです。
そのため,出頭要請を受けたときには,その後に見込まれる取調べに備え,対応方針を十分に検討しておく必要があります。

しかしながら,出頭後の取り調べに対してどのように対応するのが適切かを自分の力で整理するのは容易でありません。取り調べを受けた経験のある人でなければ,取り調べがどのように行われるかを想像することも困難でしょう。
そこで,出頭要請を受けて取り調べの予定が明らかになったタイミングで,弁護士を選ぶことが有力な選択肢になります。適切な弁護士選びができれば,出頭時の対応が万全になるほか,その後の弁護活動も充実したものになるでしょう。

ポイント
警察の出頭要請は,警察署で取り調べを行う目的で行われる

③起訴されたとき

建造物侵入事件で起訴された場合,公開の法廷での裁判(公判)の対象となる可能性があります。公判が行われるケースでは,公判で提出された証拠や当事者の話などを踏まえ,裁判所が判決の内容を決めることとなります。

建造物侵入罪に対する判決は,否認事件の場合を除き,「罰金」,「執行猶予」,「実刑」のいずれかとなります。罰金刑は,一定額の金銭の支払いを命じる刑罰,執行猶予は,今回に限り刑務所に入らなくてよい(次回は実刑判決が見込まれる)という趣旨の刑罰,実刑は,直ちに刑務所に入ることを命じる刑罰です。

刑事罰の種類

公判でどのような刑罰を受けるか,特に実刑判決となるかどうかは,その後の生活に直接影響を及ぼす極めて重大な問題です。もっとも,具体的にどのようにして実刑判決を防ぐのか,実際に実刑判決を防ぐことができるのか,という判断は,高度に法的なものであり,弁護士なしでは困難と言わざるを得ません。

そのため,起訴されたときには,公判への対応に万全を期すため,適切な弁護士選びを行うべきでしょう。

ポイント
起訴後の刑罰は,罰金,執行猶予,実刑のいずれか
実刑判決を防げるかどうかが極めて重要

④自首したいとき

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。犯罪事実や犯人が捜査機関に知られる前に,自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

この点,建造物侵入事件の場合,現行犯で発覚したケースでは自首の余地がない状況になりやすいですが,現行犯で発覚していないときには,まだ犯罪事実や犯人が捜査機関に知られておらず,自首が有力な選択肢になり得ます。

もっとも,自首は大きなリスクを背負う行為であるため,本当に自首する方が有益なのかは,慎重な判断が必要です。また,実際に自首をする場合には,その効果を最大限に発揮させるため,適切な方法で進める必要があります。このような自首に関する動きを誤らないためには,弁護士の存在が非常に重要となりやすく,弁護士の見解を仰ぎながら進めることが有効です。

自首を検討する際には,対応に適した弁護士選びが望ましいでしょう。

ポイント
現行犯で発覚していない場合,自首が有力な選択肢になり得る
もっとも,自首はリスクが大きいため,弁護士の見解を仰ぐことが適切

建造物侵入事件の弁護士を選ぶ基準

①迅速な対応ができるか

建造物侵入事件を円滑に解決するためには,迅速な対応が必要となりやすいものです。例えば,身柄拘束を受けている場合には,迅速に対応するかどうかで釈放時期が大きく変わりやすく,被害者への謝罪や示談を目指す場合には,迅速に被害者対応ができれば被害者側の寛大な判断につながりやすくもなります。

しかしながら,弁護士がどのようなスピード感で対応してくれるかは,個々の弁護士の判断によります。特に,刑事事件の流れにあまり精通していない場合,その他の事件と同じ感覚で進めようとすると,動きが時期遅れになってしまうリスクも否定できません。

刑事事件の流れを踏まえ,適切なスピードで対応をしてくれるかどうか,という点は,弁護士選びの重要な基準として設けるようにしましょう。

②弁護士と連絡を取る手段があるか

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

③弁護士費用に不透明な点はないか

弁護士費用は,法律事務所によってその定め方や金額が様々です。一般的な弁護士費用の設定は,弁護活動に着手する際に生じる「着手金」と,成果が伴った場合に生じる「成功報酬」がメインですが,着手金と一口に言っても,どの業務に着手する場合にいくらの着手金が発生するのかは,法律事務所ごとの設定によります。また,成功報酬についても,どの成果に対していくらの報酬が生じるのかは,決して一律ではありません。

そのため,弁護士選びの際には,弁護士費用がどのような場合にいくら発生するか,正しく理解しておくことが不可欠です。内容が不透明であったり,複雑過ぎて分からなかったりといった問題がないか,十分に確認しておくことをお勧めします。

④事務所があまりに遠方でないか

建造物侵入事件の場合,基本的にはその建造物の場所を基準に警察署の管轄が決まり,検察庁や裁判所も,同じ場所を管轄するところが担当することになります。また,被害者である建造物の管理者は,その建造物からあまり遠くない場所にいることが一般的です。
そのため,弁護士の事務所が事件現場からあまりに遠方であると,各所への移動や被害者側への接触が円滑にできない可能性もあるため,あらかじめ注意しておくことが望ましいでしょう。

もっとも,弁護士が頻繁に足を運ぶのでなければ,必ずしも遠方であることが具体的なデメリットにつながるわけではありません。この点は,弁護活動の方針にもよるため,想定される弁護活動とセットで検討することが有力です。

建造物侵入事件で弁護士を選ぶ必要

①早期釈放のため

建造物侵入事件では,早期釈放が重要になるケースも多いですが,早期釈放を目指す場合の具体的な動きは,弁護士に委ねざるを得ません。接見で必要な話し合いを行ったり,ご家族と連絡を取り合ったり,捜査機関や裁判所に必要なアクションを尽くしたりと,早期釈放に向けて弁護士でしかできないことは多岐に渡ります。

早期釈放できるか,長期間の身柄拘束を強いられるかは,釈放後や刑事手続が終わった後の生活を決定的に左右する可能性すらあるため,非常に重要なポイントと言えます。不利益を最小限に抑えるため,早期釈放に向けた弁護士選びは必要不可欠と考えてよいでしょう。

②不起訴処分のため

建造物侵入事件は,個別の内容によって不起訴処分が期待できる場合も珍しくはありません。例えば,認め事件の場合には,比較的軽微な内容であることや被害者との示談が成立していることが,不起訴処分に向けた大きな判断材料になり得るでしょう。

もっとも,事件がなぜ軽微と言えるのかは,法的な判断を要する問題のため,弁護士に説得的な主張をしてもらう必要があります。また,示談に関しても,弁護士が間に入って,弁護士と被害者との間で協議してもらう必要があるため,弁護士の存在が不可欠です。

このように,不起訴処分を目指すための活動は,弁護士なしでは難しく,不起訴処分に向けては弁護士選びが重要となります。

③適切な取り調べ対応のため

刑事事件の捜査では取調べが不可欠です。特に,被疑者への取調べは捜査の中核であって,被疑者からどのような話が引き出せるかによってその後の捜査が決定づけられる事件も少なくありません。

逆に,被疑者の立場にある場合,取調べにどのような対応を取るのが最も有益であるのかを把握していることは非常に重要です。自分が何を話すか,どのように話すかによって,その後の捜査や処分が決定づけられる可能性もあるため,取調べ対応の方法・内容は十分に検討する必要があるでしょう。

この点,個別の事件に応じてどのような取調べ対応をすべきかは,弁護士の法的な判断を仰ぐことが適切です。そのため,取調べ対応に万全を期すためには,弁護士選びが重要なポイントとなるでしょう。

建造物侵入事件における弁護士選びの準備

①弁護士への説明の準備

弁護士選びの前提として,事件の内容を弁護士に十分説明できなければなりません。弁護士が内容を誤解してしまっていると,適切な案内やサポートはできず,弁護士選びは成功しづらいでしょう。

この点,建造物侵入事件では,記憶の有無が問題になる場合も少なくありません。典型例が,泥酔状態で通常しないような行動に出てしまったというケースです。
このようなときには,まず弁護士に対して記憶している内容と記憶していない部分を詳細に伝え,それを踏まえた案内をしてもらうようにしましょう。特に,事件当時の記憶なのか,後から言われて知ったことなのか,という区別は明確にすることをお勧めします。

②相談目的の検討

弁護士を選ぶ際,何のために,何を目指して弁護士に依頼するのか,という点を明確にしておくことが必要です。相談の目的に関して弁護士とズレが生じると,弁護士からの案内も目的から外れたものになってしまい,結果として弁護士選びが円滑にできないためです。

もちろん,弁護士側も法律相談の目的を想像することはできるため,理解が大きくズレることは多くありませんが,その目的が自分にとってどれだけ重要なものか,という詳細なニュアンスの面は,どうしても弁護士側の想像では補いきれないものです。
弁護士選びを実のあるものにするためにも,弁護士選びの目的は明確に表現できるようにしましょう。

③予算の検討

弁護士への依頼には弁護士費用が発生しますが,弁護士費用は法律事務所によって異なり,同じ弁護士への依頼でも依頼内容によって異なります。当然ながら,弁護士への依頼内容が多いほど弁護士費用は高額になりやすく,逆もまた然りです。
また,示談を試みる場合には,弁護士費用に加えて示談金が経済的な負担となります。弁護士費用だけを支払えても,示談金が支払えないと示談はできないため,示談金の負担も事前の想定が必要です。

そのため,弁護士選びに際しては,あらかじめ予算の範囲を明確に決めておくのが有益でしょう。現在は,ホームページ上で詳細に弁護士費用を明示している法律事務所も少なくないため,ご自身なりに費用負担のイメージを持って弁護士選びを行うのも有力です。
また,現実の弁護士費用と予算との開きが限定的であれば,弁護士への依頼内容を一部削るなど,柔軟な依頼方法で開きを埋めることができる場合もあり得ます。個別のケースに関しては弁護士と十分に相談してみましょう。

建造物侵入事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①土日祝日の対応

身柄拘束を受けている建造物侵入事件では,できるだけ速やかに弁護活動を開始することが適切ですが,逮捕の時期によっては,土日祝日に対応を要するケースもあり得ます。例えば,金曜日に逮捕された事件の場合,その後に勾留されるかどうかは土曜日か日曜日に判断されることになりやすく,土日だからといって待ってくれることはありません。

そのため,個別事件の状況に応じて,土日祝日の対応が必要になると見込まれるケースでは,弁護士が土日祝日でも対応可能かどうか,という点を事前に確認することが適切でしょう。
依頼者としては,土日祝日も対応してくれると思っていても,弁護士は土日祝日の手続に対応できない前提で案内をしている場合があります。その点のミスマッチは深刻な問題になりかねないため,事前に注意しておくことをお勧めします。

②経済的負担の予測が困難な場合

弁護士への依頼に際しては,経済的な負担として弁護士費用と示談金が想定されますが,弁護士費用と示談金のそれぞれについて,事前の金額予測が難しい場合がある点には十分に注意が必要です。

弁護士費用に関しては,事前の想定に反して長期間の身柄拘束がなされた場合に,金額が大きくなりやすい傾向にあります。例えば,当初は余罪がないという前提で考えていたものの,後になってから余罪が発覚し,余罪も含めて複数回の逮捕勾留が行われると,身柄拘束の期間は事前の想定を大きく超えることになります。

また,示談金については,侵入後に被害者の財産を壊してしまった等,別の損害が生じていることが分かった場合に金額が大きくなり得ます。特に,お店などの施設に侵入し,金銭的な価値の高い商品や備品を壊してしまったケースでは,その財産の価値に応じた賠償が必要になりやすいでしょう。

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侵入窃盗事件では自首をするべきか?自首をすれば逮捕や起訴は防げるか?ケース別解説

このページでは,侵入窃盗事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

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侵入窃盗事件で自首をするべき場合

①被疑者を特定できる証拠がある場合

自首は,被疑者が特定されるものと見込まれる場合に,事前に行うことで逮捕回避や処分軽減を目指す目的で利用することが通常です。そのため,自首をするべき場合の代表例は,放置していても自分が被疑者と特定され,逮捕されてしまう場合,ということになるでしょう。

この点,侵入窃盗事件では,被疑者を特定すれば,その被疑者を逮捕しながら捜査を行うことが非常に多く見られます。そうすると,侵入窃盗事件の場合,自分が被疑者と特定されることは,ほぼイコール自分の逮捕が見込まれること,という理解が可能です。

そのため,侵入窃盗事件で自分が被疑者と特定できる証拠があるケースでは,積極的に自首を検討するべきと言えるでしょう。証拠の具体例としては,現場又は付近の撮影画像・映像,周辺の目撃者等が挙げられます。

ポイント
侵入窃盗事件は,被疑者を特定できれば逮捕することが多い
被疑者の特定が見込まれる場合は,自首による逮捕回避が有益

②捜査が行われていると分かった場合

侵入窃盗事件の場合,事件が起きても全てが捜査されているとは限りません。通常,侵入窃盗事件は被害者が自身の被害を把握したときに捜査機関へ相談等し,捜査の開始へとつながるものですが,逆に被害者が侵入窃盗被害を把握していない場合,捜査が始まるきっかけは生じず,捜査がなされないままである,ということも考えられます。

自首は,非常に有利な効果をもたらしやすい行動ですが,一方で「捜査が行われていないのに自首をしてしまうかもしれない」というリスクを背負う行動でもあります。裏を返せば,このリスクがない場合,自首がより有益な手段になると言えるでしょう。

自身の侵入窃盗事件について捜査が行われていると分かった場合は,「捜査が行われていないのに自首をしてしまうかもしれない」というリスクはない状況と言えるため,自首を積極的に検討することが有効です。

ポイント
自首は捜査が行われていない場合のリスクを背負った行動

③当事者間で示談交渉できる間柄にない場合

侵入窃盗事件は,具体的な被害者に対する犯罪行為であるため,被害者が捜査を希望すれば捜査が行われ,被害者が加害者の処罰を希望すれば処罰される,という結果になりやすい類型の事件です。一方,被害者が捜査を望んでいなければ,捜査機関が無理矢理捜査を行うことは考えにくく,被害者が加害者の処罰を望んでいないのに処罰されるということも考えにくいでしょう。

そのため,侵入窃盗事件は,当事者間の示談によって解決できれば,加害者側にとって最も望ましいところです。示談が成立すれば,その後に逮捕されたり処罰を受けたりする可能性は現実的になくなるでしょう。

逆に,被害者との交友関係がないなど,当事者間で示談交渉ができない間柄の場合,早期に示談交渉で解決する手段に乏しいため,他の手段で逮捕や処罰の回避を目指さなければなりません。この場合の具体的な手段としては,自首以外にないのが通常であり,自首を検討する必要性が高い局面と言えます。

ポイント
侵入窃盗事件は,示談ができれば逮捕や処罰がなされづらい
被害者と示談交渉ができない関係の場合,自首が有力に

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

侵入窃盗事件の自首は弁護士に依頼すべきか

侵入窃盗事件の自首について検討する場合には,弁護士に相談・依頼をし,弁護士の専門的な見解を仰ぐことが適切です。また,実際に自首を試みる場合にも,弁護士と協同して行うことを強くお勧めします。
弁護士に依頼することの具体的なメリットとしては,以下の点が挙げられます。

①自首すべき状況か判断できる

侵入窃盗事件は,重大な刑事処罰のあり得る事件類型のため,捜査が行われていないのに勇み足で自首を行ってしまった場合の不利益が大きくなりやすいという懸念があります。自分の自首が原因で捜査・処分を受けてしまう,いわゆる「やぶ蛇」の結果になると,自ら自身に対する刑罰を招くことにもなりかねません。

そのため,侵入窃盗事件の自首を検討する際には,本当に自首が必要な状況か,自首をする場合としない場合のリスクはどの程度の状況か,ということを慎重に判断しなければなりませんが,当事者本人が判断することは非常に困難です。客観的に検討すること自体が難しい上に,刑事事件の専門的な知識や経験がないと判断の尺度も設けられないためです。

この点,弁護士に依頼を行うことで,実際に自首すべき状況かどうかを弁護士が客観的,専門的に判断することが可能になるでしょう。自首を行うかどうかの重要な判断材料が得られるはずです。

②自首の意思を正確に伝えられる

自首を行う場合に,その意図や目的,伝えたい内容等が正しく捜査機関に把握してもらえず,意図しない不利益を被るケースは意外に少なくありません。特に,当事者本人のみで自首を試みるとなると,逮捕などへの不安から話すべきことを自分なりに選びながら話そうとするあまり,捜査機関から「重要な証拠を隠そうとしている」という疑いを抱かれる場合も一定数見られます。
実際には誠意を持って自首を試みているにもかかわらず,重要な証拠隠滅の隠れ蓑として自首を利用している,との疑いを持たれてしまうことは,極めて重大な不利益につながりかねず,是が非でも避けるべきでしょう。

この点,弁護士に依頼し,弁護士が主導する形で自首を行えば,自首の趣旨を弁護士から正確に伝えてもらうことができ,自首のメリットを確実に得られる結果につながります。また,自首に必要な捜査機関とのやり取りはすべて弁護士が行うため,時間的,心理的負担を大きく軽減することも可能でしょう。

③速やかに弁護活動を開始できる

自首は,行う人にとっては非常に重要な出来事ですが,刑事事件の手続全体との関係ではスタートラインにとどまります。自首の位置づけは,職務質問などと同じくあくまで捜査が始まるきっかけであり,実際の捜査はその後に継続していくものです。
そのため,自首を行う場合には,その後に捜査が行われ,捜査が終われば刑事処分の検討がなされる,ということをあらかじめ視野に入れておく必要があるでしょう。

この点,自首を行う段階から弁護士に依頼することで,自首後の捜査や刑事処分に向けた弁護活動を,最も早い段階から開始できます。自首による処分の軽減を期待するのであれば,自首を行うのみでなく,その後の弁護活動も処分の軽減を目指したものにするべきです。

侵入窃盗事件で自首をする場合の注意点

①逮捕が回避できるとは限らない

侵入窃盗事件は,類型的に重大性が大きいことを踏まえ,逮捕される可能性が非常に高い事件類型です。そのため,自首を行ったからと言って直ちに逮捕されなくなるとは限らない,という点には注意が必要でしょう。
自首を行ってもなお逮捕が避けられないケースとしては,以下のような場合が挙げられます。

自首しても逮捕が防げないケース

1.捜査機関が既に逮捕の方針を固めていた場合

2.事件の重大性があまりに顕著である場合

3.余罪や前科の関係で重い処罰が見込まれる場合

もちろん,自首を行うことで逮捕の回避につながるケースもあり得ますが,逮捕されないことを前提に自首する,というものでないことは理解しておくのが適切です。

②不起訴処分が約束されるわけではない

自首は,刑事処分の軽減を目指す試みである以上,自首を行う場合には不起訴処分となることを目的にしているのが通常でしょう。実際,自首を行ったケースでは,自首を理由に不起訴処分とされる例も多く見られます。

しかし,侵入窃盗事件では,そもそもの刑事責任が大きいため,自首によってある程度軽減されても不起訴処分とはならない,という可能性が大いにあり得ます。自首を試みる際にはあらかじめ注意することが適切でしょう。
逆に,自らが刑罰を受ける可能性も了承した上で,それでもなお自首をする,という態度の方が,深い反省が認められるとの評価になるため,結果的に不起訴処分の可能性が高まりやすいとも言えます。いずれにしても,不起訴処分が約束された状況にないことは正確に理解しておくことをお勧めします。

③逮捕時の備え

逮捕の可能性が高い侵入窃盗事件では,自首を行った場合にそのまま逮捕される可能性への備えもあらかじめ行っておくのが適切です。具体的には,留置施設に持ち込む物品の用意をしておくと,逮捕時の有効な備えになるでしょう。

留置施設に持ち込む物品の例としては,以下のものが挙げられます。

留置施設に持ち込む物品の例

1.現金(1万円程度)

2.着替え(上下着衣,下着,靴下)

3.本

なお,着替えや本については,留置施設内で利用できるものに詳細なルールがあります。ルールに反した物品は利用できないため,具体的なルールを依頼する弁護士に確認の上,準備することをお勧めします。

④示談を試みることの重要性

侵入窃盗事件は,被害者と示談ができるかどうかによって結果が劇的に変わることになりやすい類型です。これは,自首を行った場合でも違いはありません。そのため,自首を試みる場合には,その後に示談を試みることもセットとすることが基本,と考えるのがよいでしょう。

自首を行った場合,加害者側の深い反省の意思は行動として表明されており,被害者側もその事実を把握することになります。そのため,自首をしなかったケースよりも被害者側から示談の了承が得られる可能性は高く,その意味でも示談を行うことの重要性は非常に大きいと言えるでしょう。

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【侵入窃盗事件での呼び出し】呼び出しのタイミングや理由,正しい対応方法や考え方を詳細解説

このページでは,侵入窃盗事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
侵入窃盗事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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侵入窃盗事件で呼び出された場合の対応法

①基本的な考え方

侵入窃盗事件の場合,被疑者から話を聞きだす方法として呼び出しが行われることは多くありません。侵入窃盗事件では,被疑者が特定できたのであれば逮捕をし,身柄拘束をした状態で取り調べを行う取り扱いが非常に多いためです。
そのため,侵入窃盗事件で呼び出しを受けている状況は,どちらかと言えば例外的であり,被疑者としては有益な取り扱いを受けている,という理解ができるところです。

侵入窃盗事件の被疑者とされているにもかかわらず呼び出されている,という場合,その有益な取り扱いを自ら失わないような対応を心掛ける,という考え方が望ましいでしょう。捜査機関が呼び出しを行う場合,逮捕をせず在宅捜査を進める可能性を残していることになるので,逮捕されない可能性がより高まる対応を目指したいところです。

ポイント
侵入窃盗事件の場合,被疑者の特定後は逮捕が一般的
呼び出しをするという取り扱いは被疑者にとって有益な状況

②認め事件の場合

認め事件の場合には,認めるスタンスを明らかにしたうえで,可能な限り逃亡や罪証隠滅が懸念されないように努めることが重要です。具体的には,出頭を求められれば応じる,証拠物の提出を求められれば積極的に提出する,取調べには可能な限りの情報提供をする,といった対応が適切でしょう。

捜査機関から,逃亡や罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうことができれば,逮捕を防ぐことのできる可能性が高くなります。

ポイント
逃亡や罪証隠滅の恐れがない,との判断を目指す

③否認事件の場合

否認事件で呼び出しを受けている場合,被疑者を明確に特定するだけの証拠がない状況である,という可能性が想定されます。物的証拠が確かでないため,犯人の可能性がある人物や事件の情報を知っている可能性のある人物からとりあえず話を聞く,という動きです。
そうすると,呼び出しを行う捜査機関としては,呼び出した際に自白が引き出せないか,という考えであることが少なくないでしょう。

そのため,まずは否認の態度を明確にし,逮捕するだけの証拠はないとの判断を促すのが有効です。ただ否認するのでなく,その裏付けとなり得ることをできる限り伝えられると,より望ましいでしょう。
また,前提として呼び出しに一度は応じることが適切です。否認事件の場合,呼び出される筋合いはない,という発想になることも無理はありませんが,出頭を拒否し続けるのは逮捕の可能性を自ら高める結果になりかねないため,あまり適切な対応とは言い難いところです。

ポイント
被疑者を特定する証拠に乏しい可能性が見込まれる
記憶に反した自白は厳禁

侵入窃盗事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

侵入窃盗事件は逮捕の可能性が高い事件類型であるため,呼び出しに応じて出頭した際に逮捕される,という流れは否定できません。もっともこれは,呼び出しに応じたことが逮捕の原因になる,というわけではありません

呼び出しに応じた際に逮捕されるのは,事前に逮捕を決めていた,という場合であるため,呼び出しに応じるかどうかにかかわらず逮捕されていたと考えるのが適切です。ただ,逮捕を予定しているのであれば,呼び出すのでなく自宅などに直接訪れて逮捕を執行することが一般的でしょう。呼び出しによって捜査していることを知らせてしまうと,逃亡や証拠隠滅のきっかけになりかねないためです。

そのため,呼び出しを受けている状況では,逮捕するかどうかが未定であることが多いでしょう。裏を返せば,呼び出しへの対応次第で逮捕されるかどうかは大きく変わりやすい状況である,ということもできます。

ポイント
逮捕するかどうか決まっていないことが見込まれる
呼び出しへの対応如何で逮捕の可能性が変わりやすい

侵入窃盗事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①広く情報収集を行うため

特に被疑者が特定できていない侵入窃盗事件では,何らかの情報を持っているであろう人物を対象に広く情報収集を試みる捜査が行われやすいところです。いわゆる「聞き込み」というものです。

被疑者と扱うつもりではなく,何かを目撃していたり聞いていたりしないか,ということを調べるための捜査手法であるので,この場合の捜査機関の対応は非常に穏やかであることが多いでしょう。呼び出しの連絡を行う段階で,被疑者とは見ていないこと,捜査協力をお願いしたいという趣旨であることなどを,一通り明らかにしてくれる事が一般的です。

また,呼び出しは出頭の負担を求める動きになってしまうため,呼び出すのでなく捜査機関の方が訪問する形を取ることも少なくないでしょう。

②取り調べを行うため

被疑者が特定された段階では,被疑者の取調べを行う目的で呼び出されることが考えられます。この場合には,呼び出しの連絡段階で捜査機関からの積極的な情報提供が行われることはなく,端的に心当たりがないか問われる程度であることが通常でしょう。連絡を寄越してきた趣旨・目的や,呼び出しの際に協力を求めたいことなどを明らかにしてくれる,という動きも期待できないことが一般的です。

呼び出しのタイミングは,被疑者特定のための捜査を一通り行った後であることが見込まれやすいでしょう。もっとも,被疑者が特定できたとなれば,その後あまり期間を空けず呼び出すことが想定されやすいところです。

侵入窃盗事件の呼び出しに応じたときの注意点

①逮捕リスク

侵入窃盗事件は,もともと逮捕の恐れが大きい事件類型であるため,呼び出しに応じた際の対応が不適切であると,他の事件よりも強く逮捕リスクが懸念されます。
そのため,侵入窃盗事件の場合,逮捕を誘発しない対応の仕方をより慎重に選択すべきことを注意して臨むようにしましょう。

具体的には,むやみに捜査機関への敵対姿勢を示さないことが適切です。敵対姿勢を見せていると,捜査協力をしてくれるとの信頼が十分に得られにくくなるため,逮捕などの強制捜査を招く可能性が高くなります。
供述内容が認めであっても否認であっても,対応自体はいたって冷静に,理性的に行うことが合理的です。

②取調べへの対応方針

取調べを受ける際には,基本的な方針として罪証隠滅の恐れがあると疑われないようにすることを目指すようにしましょう。

侵入窃盗事件の場合,現行犯で発覚するのでなく,各種の証拠から後日発覚することが多い傾向にあります。そのため,被疑者の手元に証拠が残っている場合,その証拠が処分されるなどして発見できなくなってしまう可能性が懸念されます。
具体的な証拠としては,以下のようなものが挙げられます。

被疑者の手元に残っていると疑われる主な証拠

1.盗品

2.侵入行為に用いた物(カギなど)

3.当時の衣服や靴

4.交通手段に関する証拠(車両,公共交通機関の利用履歴など)

取調べに際しては,捜査機関から証拠の隠滅を疑われないよう,適切な情報提供や物品の提出等に努めるのが望ましいでしょう。

③余罪の取り扱い

余罪がある場合,呼び出されたときに話すべきか,どこまで話すべきかが難しい問題になることも少なくありません。

この点,同じ場所で行った余罪については,発覚を防ぐことが難しい点に注意するのが適切でしょう。なぜなら,同じ場所での余罪がある場合,実際に取り締まりを受けた事件より前の余罪が発覚したことをきっかけに,捜査が開始された可能性が高いためです。
そうすると,捜査機関では既に余罪に関する十分な捜査を行っており,余罪の嫌疑も固めた状態である可能性が高く見込まれます。少なくとも,余罪があることを前提に捜査を進めていることがほとんどでしょう。

もっとも,複数の余罪があってどれが捜査機関に把握されているか分からない等,具体的な回答方針に悩むことは大いに考えられます。個別の対応については,弁護士との十分な協議を強くお勧めします。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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窃盗で自首を考えている方必見|メリット・デメリットやコツなどを解説

「窃盗をしてしまったけれど自首した方がいいのか?」
「自首すれば逮捕されない可能性はある?」

そう思う方もいるのではないでしょうか。

窃盗事件において自首は、逮捕回避や刑罰の軽減につながる可能性があります。

ただし、必ずしも不起訴や無罪になるわけではなく、自首のタイミングや被害者との示談の有無が大きな影響を与える点を理解しておくことが重要です。

本記事では、窃盗で自首をした場合の法律上の効果、自首によるメリットやデメリットなどを詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

窃盗事件における「自首」とは

窃盗事件における「自首」とは、自ら警察や検察といった捜査機関に対して、自分が犯罪を行った事実を申告することを指します。

ここからは、自首に関する基礎知識を解説します。

自首の法律上の定義

自首は刑法第42条に規定されています。

刑法第42条

罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
引用:e-Gov法令検索「刑法」

ここで重要なのは「犯罪事実を自ら申告する」という点です。他人に促されたり、すでに警察が捜査を進めている段階では、自首とみなされません。

また、自首の成立には「任意性」が求められます。つまり、本人が自由意思に基づいて罪を認め、申告する必要があるということです。

窃盗事件で自首をした場合、この規定により量刑の判断において減軽が考慮される可能性がありますが、必ずしも自動的に軽くなるわけではなく、裁判官の裁量に委ねられる点も押さえておくべきでしょう。

自首と出頭・任意同行との違い

自首と似た言葉に「出頭」や「任意同行」がありますが、これらは法律上まったく異なる意味を持ちます。

出頭とは、犯人が捜査機関に特定された後で捜査機関に出向く行為です。

つまり、出頭は捜査機関によって主体的に呼ばれているため、自首のように「自ら進んで罪を告白する行為」には当たりません。

また、任意同行とは、警察が現場や事情聴取の場面で「ちょっと署まで来てほしい」と求め、本人が同意して警察署に同行することをいいます。

これも自首とは違い、あくまで警察の求めに応じる形です。

このように、自首は本人の自発的な意思による告白である点で、出頭や任意同行と大きく異なります。

窃盗事件で自首を検討している場合、この違いを理解していないと「自首したつもりが実際は出頭扱い」という誤解を招きかねません。

窃盗で自首した場合のメリット

窃盗で自首をすることには、主に以下のメリットがあります。

  • 刑が軽くなる可能性がある
  • 示談交渉が進めやすくなる
  • 捜査機関からの印象が良くなる

詳しく解説します。

刑が軽くなる可能性がある

自首の大きなメリットは、刑が軽くなる可能性がある点です。刑法第42条は、自首した場合に「その刑を減軽することができる」と規定しています。

これにより、懲役刑であれば執行猶予が付く可能性が高まったり、罰金刑で済んだりする場合もあります。

とくに初犯で被害額が少なく、反省の態度が明確であれば、自首は量刑判断に大きな影響を与える要素となるでしょう。
ただし、減刑は必ず適用されるわけではなく、最終的には裁判官の判断に委ねられます。

つまり、自首をしたからといって自動的に刑が軽くなるわけではない点は理解しておく必要があります。

示談交渉が進めやすくなる

窃盗で自首をすると、被害者への謝罪や賠償の意思を明確に示すことができます。この姿勢は被害者との示談交渉を進める上で大きなプラスに働きます。

被害者にとっては、加害者が逃げ隠れせず自ら責任を認めたという事実が、精神的な安心につながるからです。

実際、示談が成立すれば不起訴処分となる可能性もあり、刑事裁判を回避できるケースもあります。

ただし、示談交渉には専門的な知識が必要であり、弁護士を通じて行うのが一般的です。

自首をしても被害者が示談に応じない場合もあるため、その限界を理解した上で取り組むことが大切です。

捜査機関からの印象が良くなる

窃盗で自首をすることは、捜査機関からの印象を良くする効果も期待できます。

警察や検察にとって、自ら罪を認めて出頭する姿勢は「反省している」と受け取られやすいため、その後の取り調べや処分判断に影響する場合があります。

とくに、同じ窃盗でも逃亡や証拠隠滅を図ったケースに比べて、自首をしたケースは評価が高くなる傾向があるのです。

ただし、印象が良くなること自体が直接的に刑を軽くする根拠になるわけではないため、注意が必要です。

窃盗で自首した場合のデメリット

一方、窃盗で自首した場合のデメリットは主に以下の通りです。

  • 必ず刑が軽くなるわけではない
  • 逮捕・勾留される可能性は残る

詳しく解説します。

必ず刑が軽くなるわけではない

自首をすると刑が軽くなる可能性はありますが、必ずそうなるわけではありません。

刑法第42条では「減軽することができる」と規定されていますが、裁判所が必ず適用する義務はありません。

つまり、被害額が大きかったり、繰り返し犯行を重ねていたりすれば、自首をしても刑が重く科されることがあります。

また、自首をしたとしても、被害者が強く処罰を求めている場合や、社会的影響が大きい事件では、裁判所は厳しい判断を下す傾向にあるのです。

逮捕・勾留される可能性は残る

窃盗で自首をしたとしても、逮捕や勾留される可能性は完全にはなくなりません。

とくに、被害額が高額である場合や、証拠隠滅や逃亡の恐れがあると判断された場合には、捜査機関は身柄を拘束することがあります。

自首は「自ら出頭した」という事情として有利に働くことはありますが、それだけで逮捕を免れる保証にはなりません。

また、勾留が続くと最大で20日間以上も身柄を拘束されることがあり、その間は社会生活に大きな支障が生じます。

仕事や学業に影響が及ぶことは避けられず、社会的信用の低下にもつながってしまうでしょう。

窃盗で自首したときの手続きの流れ

窃盗で自首したときの手続きの流れは、主に以下の通りです。

  • 1.警察署に出頭する
  • 2.取り調べを受ける
  • 3.検察に送致される
  • 4.起訴・不起訴の判断がなされる

詳しく解説します。

警察署に出頭する

自首をするには、警察署に自ら出頭することです。受付で自首の意思を伝えると、担当の警察官に案内され、事件の内容や経緯を聞かれることになります。

この段階では、本人の身元確認や犯行に関する基本的な説明が求められます。

重要なのは、自首をする際には「正直に詳細を説明する」ことです。虚偽の申告や曖昧な供述は、後の手続きで不利に働く可能性があります。

また、弁護士に同席してもらうことも可能であり、法律的に適切な手続きを踏むためには専門家のサポートを受けることが望ましいといえるでしょう。

取り調べを受ける

自首をした後は、警察による取り調べを受けることになります。ここでは、犯行の動機や経緯、被害の状況について詳細に質問されます。

供述内容は調書として記録され、後の裁判や処分判断に用いられるため、事実を正確に伝えることが重要です。

取り調べの中では、自首をした経緯や反省の意思も確認されます。この時点で被害弁償や示談の意思を明確に示しておくと、処遇にプラスの影響を与える可能性があります。

ただし、取り調べは長時間に及ぶことも多く、精神的な負担が大きいため、弁護士を依頼してアドバイスを受けることがおすすめです。

検察に送致される

警察での取り調べが終了すると、事件は検察に送致されます。

検察官は、警察から送られた供述調書や証拠をもとに、事件の性質や社会的影響、被害の程度などを総合的に判断します。

ここで検察官が重視するのは、自首の有無や被害者との示談の進展状況です。被害者への賠償が進んでいる場合や、真摯な反省が認められる場合には、不起訴処分の可能性も高まります。

起訴・不起訴の判断がなされる

最終的に検察は、事件を起訴するか不起訴とするかを判断します。不起訴処分になれば、刑事裁判にかけられることはなく、処罰を免れることができます。

示談が成立している場合や、被害額が小さい場合、自首によって真摯な反省が認められた場合などは、不起訴の可能性が高まるでしょう。

一方で、社会的に重大な影響を及ぼす事件や、繰り返しの犯行で悪質性が高いと判断されれば、起訴され刑事裁判に進むことになります。

侵入窃盗事件で逮捕される可能性

侵入窃盗事件は,逮捕の可能性が非常に高い事件類型と言えます。捜査を行い,被疑者が特定できたとなれば,逮捕をする方が通常です。
侵入窃盗事件で被疑者を逮捕する場合,以下のような理由があることが考えられます。

侵入窃盗事件で逮捕する理由

1.行為の違法性が高い

2.被害が重大である

3.事件の再発を防ぐ必要が大きい

4.重大な刑罰が見込まれやすい

【1.行為の違法性が高い】

侵入窃盗事件は,被害者の自宅など,そのプライバシーが保護されるべき場所に侵入した上で,保管している金品を窃取するという内容であり,その行為の違法性は高いものと理解されます。少なくとも,「思わず行ってしまった」「魔が差した」といった理由で起きる事件ではなく,実行するには犯罪行為に及ぶ明確な意思を持ち続けていることが必要であるため,実行することの悪質性,違法性が重く評価されやすいのです。

被疑者を逮捕するかどうかは,逃亡や証拠隠滅の恐れを基準に判断されますが,違法性の高い行為に及んだ被疑者の場合,規範意識が低いと評価され,逃亡や証拠隠滅の危険が類型的に大きいと判断される傾向にあります。そのため,行為の違法性を踏まえて逮捕する可能性が高くなります。

【2.被害が重大である】

侵入窃盗事件では,被害者の経済的な損害はもちろん,自宅等に侵入されたことによる精神的苦痛が大きく,被害者に生じた損害は重大なものと理解されています。被害者としては,なぜ侵入されたか,何が盗まれたかを把握できないまま,いつ再度の被害に遭うか分からない不安な時間を強いられることになります。

そのため,侵入窃盗事件の被疑者を特定した場合には,被害者保護の観点から被疑者を逮捕し,被疑者と被害者を物理的に切り離す取り扱いがなされる傾向にあります。

【3.事件の再発を防ぐ必要が大きい】

侵入窃盗事件は,1回だけで終わるのでなく,同一の場所で繰り返し行われることが多く見られます。加害者が侵入方法を確保した場合,同じ方法で複数回に渡って侵入を試み,その都度金品を窃取することになりやすい事件類型と言えます。

そのため,侵入窃盗事件の捜査における重要な目的の一つが「被害の再発を食い止めること」であり,確実に再発を防ぐ手段として逮捕が選択されることになりやすい傾向にあります。

【4.重大な刑罰が見込まれやすい】

違法性や損害の大きな事件である侵入窃盗は,加害者に対する刑罰が相応に重大なものとなりやすいところです。公開の裁判(公判)が行われた上で,場合によって実刑判決を含む重い処罰の対象となることも考えられます。

刑事事件の捜査に当たっては,見込まれる刑罰が重大であればあるほど,被疑者の逃亡や証拠隠滅が懸念される,との理解が一般的です。そのため,逃亡や証拠隠滅を防止する目的で,逮捕が選択される可能性が高くなります。

逮捕の流れ

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

侵入窃盗事件で逮捕を避ける方法

①自首の試み

侵入窃盗事件の加害者となってしまった場合,事件発覚前など捜査を受けていない段階であれば,逮捕回避の手段として自首を行うことは有力です。

自首は,捜査機関に対して犯罪事実を自ら申告し,捜査や処分を求めることを言いますが,自らの侵入窃盗を捜査機関に申告する加害者の場合,その後に逃亡や証拠隠滅を図る可能性は低いと評価されるのが一般的です。自発的に捜査や処分を求めておきながら,その後に刑事責任を逃れる行動に出るのは不合理であるためです。

ただし,法的に自首が成立するのは,捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚していない場合のみです。捜査機関が犯罪事実を把握しており,捜査によって犯人を特定した後であると,自ら出頭しても自首には当たらなくなってしまうため,できるだけ早期の検討が望ましいところです。

②積極的な捜査協力

認め事件,否認事件のいずれについても,捜査協力の姿勢を見せることは逮捕の可能性を引き下げる結果につながりやすい行動です。
逮捕は,捜査の妨害を防ぎながら円滑に証拠収集を図る手段であるため,捜査が妨害される恐れがどの程度あるか,という点は,逮捕をするかどうかの重要な判断基準となります。そのため,積極的な捜査協力を尽くしている場合には,逮捕をしなくても捜査の妨害は見込まれづらく,逮捕の必要性も低いと判断されやすくなるのです。

具体的な捜査協力としては,以下のような対応が有力でしょう。

捜査協力の内容

1.出頭の求めに応じる
→出頭を求められた際に,出頭日時の調整に積極的に応じる

2.不要な黙秘を控える
→質問にはできる限り回答し,情報を伏せようとしていないことを表明する

3.証拠物の提出に応じる
→物品の提出を求められた場合には,自ら持参などする

③示談の試み

侵入窃盗事件における逮捕の判断は,被害者への配慮の面が非常に大きいものです。裏を返せば,被害者への配慮を要しない場合には,逮捕の必要性も小さくなるということができます。

この点,被害者の配慮を要しない場合の代表例が,当事者間ですでに解決しているケースです。当事者間で損害が補填されている,事件の再発がないと見込まれる,被害者が加害者の刑事処罰を希望しない,といった状況であれば,逮捕をしてまで被害者保護を図る必要はないとの判断が通常でしょう。

そのため,当事者間での解決を目指すために示談の試みをするのは有力な手段でしょう。示談が成立し,当事者間で事件が解決した場合には,逮捕回避につながるほか,最終的な刑事処分においても不起訴をはじめとする軽微な取り扱いが見込まれやすくなります。

侵入窃盗事件の逮捕は弁護士に依頼すべきか

侵入窃盗事件の逮捕に関する対応は,可能な限り弁護士に依頼し,弁護士を通じての対応を行うことを強くお勧めします。

侵入窃盗事件は,基本的に逮捕が見込まれやすい事件類型です。侵入窃盗事件の被疑者は,逮捕されやすい状況にあると言えるでしょう。そのため,逮捕の回避を目指す場合には,漫然と対応していては不十分であり,積極的に適切な行動を尽くす必要があります。

また,逮捕の回避を目指す場合も,逮捕後に早期の釈放を目指す場合も,具体的な対応方法をどうすべきかは個別の状況,内容等によって様々に変わります。具体的な判断は専門性のある弁護士に仰ぐことで,適切な対応を尽くせるよう万全の体制を設けることが有益です。

侵入窃盗事件の逮捕に関する注意点

①逮捕が回避できない可能性

侵入窃盗事件の場合,逮捕の回避を目指しても,結果的に逮捕がなされてしまうことは珍しくありません。それだけ,侵入窃盗事件は重大な事件類型であり,逮捕の可能性が大きいと評価されやすいものです。
そのため,侵入窃盗事件で逮捕回避を目指す場合には,結果が伴わない可能性をあらかじめ踏まえておくことが望ましいところです。

もっとも,逮捕がなされたとしても,逮捕回避を目指す動きが無駄であるということではありません。多くの場合,逮捕回避のための行動は,最終的な刑事処分の軽減につながりやすい行動でもあるため,自身にとって有益な行動である,ということは間違いありません。

②逮捕後の拘束期間が長い可能性

侵入窃盗事件は,逮捕された場合に早期釈放が難しく,身柄拘束の期間が長期化しやすい事件類型です。
逮捕されると,最大72時間以内に「勾留」という身柄拘束の手続に移行するかが判断されます。勾留が決定されると10日間の身柄拘束がなされ,さらに「勾留延長」となると加えて最大10日間の身柄拘束が生じます。

逮捕から起訴までの流れ

侵入窃盗事件の場合,勾留及び勾留延長が必要となりやすいため,合計20日間の勾留を想定しなければならないケースが多いでしょう。また,余罪がある場合には,余罪で再度逮捕され,20日間の勾留が繰り返されるケースもあります。その場合には,より長期の身柄拘束も考えられるため,注意が必要です。

侵入窃盗で警察から呼び出しを受けたときのポイント

呼び出された場合の対応法

①基本的な考え方

侵入窃盗事件の場合,被疑者から話を聞きだす方法として呼び出しが行われることは多くありません。侵入窃盗事件では,被疑者が特定できたのであれば逮捕をし,身柄拘束をした状態で取り調べを行う取り扱いが非常に多いためです。
そのため,侵入窃盗事件で呼び出しを受けている状況は,どちらかと言えば例外的であり,被疑者としては有益な取り扱いを受けている,という理解ができるところです。

侵入窃盗事件の被疑者とされているにもかかわらず呼び出されている,という場合,その有益な取り扱いを自ら失わないような対応を心掛ける,という考え方が望ましいでしょう。捜査機関が呼び出しを行う場合,逮捕をせず在宅捜査を進める可能性を残していることになるので,逮捕されない可能性がより高まる対応を目指したいところです。

ポイント
侵入窃盗事件の場合,被疑者の特定後は逮捕が一般的
呼び出しをするという取り扱いは被疑者にとって有益な状況

②認め事件の場合

認め事件の場合には,認めるスタンスを明らかにしたうえで,可能な限り逃亡や罪証隠滅が懸念されないように努めることが重要です。具体的には,出頭を求められれば応じる,証拠物の提出を求められれば積極的に提出する,取調べには可能な限りの情報提供をする,といった対応が適切でしょう。

捜査機関から,逃亡や罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうことができれば,逮捕を防ぐことのできる可能性が高くなります。

ポイント
逃亡や罪証隠滅の恐れがない,との判断を目指す

③否認事件の場合

否認事件で呼び出しを受けている場合,被疑者を明確に特定するだけの証拠がない状況である,という可能性が想定されます。物的証拠が確かでないため,犯人の可能性がある人物や事件の情報を知っている可能性のある人物からとりあえず話を聞く,という動きです。
そうすると,呼び出しを行う捜査機関としては,呼び出した際に自白が引き出せないか,という考えであることが少なくないでしょう。

そのため,まずは否認の態度を明確にし,逮捕するだけの証拠はないとの判断を促すのが有効です。ただ否認するのでなく,その裏付けとなり得ることをできる限り伝えられると,より望ましいでしょう。
また,前提として呼び出しに一度は応じることが適切です。否認事件の場合,呼び出される筋合いはない,という発想になることも無理はありませんが,出頭を拒否し続けるのは逮捕の可能性を自ら高める結果になりかねないため,あまり適切な対応とは言い難いところです。

ポイント
被疑者を特定する証拠に乏しい可能性が見込まれる
記憶に反した自白は厳禁

侵入窃盗事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

侵入窃盗事件は逮捕の可能性が高い事件類型であるため,呼び出しに応じて出頭した際に逮捕される,という流れは否定できません。もっともこれは,呼び出しに応じたことが逮捕の原因になる,というわけではありません

呼び出しに応じた際に逮捕されるのは,事前に逮捕を決めていた,という場合であるため,呼び出しに応じるかどうかにかかわらず逮捕されていたと考えるのが適切です。ただ,逮捕を予定しているのであれば,呼び出すのでなく自宅などに直接訪れて逮捕を執行することが一般的でしょう。呼び出しによって捜査していることを知らせてしまうと,逃亡や証拠隠滅のきっかけになりかねないためです。

そのため,呼び出しを受けている状況では,逮捕するかどうかが未定であることが多いでしょう。裏を返せば,呼び出しへの対応次第で逮捕されるかどうかは大きく変わりやすい状況である,ということもできます。

ポイント
逮捕するかどうか決まっていないことが見込まれる
呼び出しへの対応如何で逮捕の可能性が変わりやすい

侵入窃盗事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①広く情報収集を行うため

特に被疑者が特定できていない侵入窃盗事件では,何らかの情報を持っているであろう人物を対象に広く情報収集を試みる捜査が行われやすいところです。いわゆる「聞き込み」というものです。

被疑者と扱うつもりではなく,何かを目撃していたり聞いていたりしないか,ということを調べるための捜査手法であるので,この場合の捜査機関の対応は非常に穏やかであることが多いでしょう。呼び出しの連絡を行う段階で,被疑者とは見ていないこと,捜査協力をお願いしたいという趣旨であることなどを,一通り明らかにしてくれる事が一般的です。

また,呼び出しは出頭の負担を求める動きになってしまうため,呼び出すのでなく捜査機関の方が訪問する形を取ることも少なくないでしょう。

②取り調べを行うため

被疑者が特定された段階では,被疑者の取調べを行う目的で呼び出されることが考えられます。この場合には,呼び出しの連絡段階で捜査機関からの積極的な情報提供が行われることはなく,端的に心当たりがないか問われる程度であることが通常でしょう。連絡を寄越してきた趣旨・目的や,呼び出しの際に協力を求めたいことなどを明らかにしてくれる,という動きも期待できないことが一般的です。

呼び出しのタイミングは,被疑者特定のための捜査を一通り行った後であることが見込まれやすいでしょう。もっとも,被疑者が特定できたとなれば,その後あまり期間を空けず呼び出すことが想定されやすいところです。

侵入窃盗事件の呼び出しに応じたときの注意点

①逮捕リスク

侵入窃盗事件は,もともと逮捕の恐れが大きい事件類型であるため,呼び出しに応じた際の対応が不適切であると,他の事件よりも強く逮捕リスクが懸念されます。
そのため,侵入窃盗事件の場合,逮捕を誘発しない対応の仕方をより慎重に選択すべきことを注意して臨むようにしましょう。

具体的には,むやみに捜査機関への敵対姿勢を示さないことが適切です。敵対姿勢を見せていると,捜査協力をしてくれるとの信頼が十分に得られにくくなるため,逮捕などの強制捜査を招く可能性が高くなります。
供述内容が認めであっても否認であっても,対応自体はいたって冷静に,理性的に行うことが合理的です。

②取調べへの対応方針

取調べを受ける際には,基本的な方針として罪証隠滅の恐れがあると疑われないようにすることを目指すようにしましょう。

侵入窃盗事件の場合,現行犯で発覚するのでなく,各種の証拠から後日発覚することが多い傾向にあります。そのため,被疑者の手元に証拠が残っている場合,その証拠が処分されるなどして発見できなくなってしまう可能性が懸念されます。
具体的な証拠としては,以下のようなものが挙げられます。

被疑者の手元に残っていると疑われる主な証拠

1.盗品

2.侵入行為に用いた物(カギなど)

3.当時の衣服や靴

4.交通手段に関する証拠(車両,公共交通機関の利用履歴など)

取調べに際しては,捜査機関から証拠の隠滅を疑われないよう,適切な情報提供や物品の提出等に努めるのが望ましいでしょう。

③余罪の取り扱い

余罪がある場合,呼び出されたときに話すべきか,どこまで話すべきかが難しい問題になることも少なくありません。

この点,同じ場所で行った余罪については,発覚を防ぐことが難しい点に注意するのが適切でしょう。なぜなら,同じ場所での余罪がある場合,実際に取り締まりを受けた事件より前の余罪が発覚したことをきっかけに,捜査が開始された可能性が高いためです。
そうすると,捜査機関では既に余罪に関する十分な捜査を行っており,余罪の嫌疑も固めた状態である可能性が高く見込まれます。少なくとも,余罪があることを前提に捜査を進めていることがほとんどでしょう。

もっとも,複数の余罪があってどれが捜査機関に把握されているか分からない等,具体的な回答方針に悩むことは大いに考えられます。個別の対応については,弁護士との十分な協議を強くお勧めします。

侵入窃盗事件における自首のコツ

侵入窃盗事件で自首をするべき場合

①被疑者を特定できる証拠がある場合

自首は,被疑者が特定されるものと見込まれる場合に,事前に行うことで逮捕回避や処分軽減を目指す目的で利用することが通常です。そのため,自首をするべき場合の代表例は,放置していても自分が被疑者と特定され,逮捕されてしまう場合,ということになるでしょう。

この点,侵入窃盗事件では,被疑者を特定すれば,その被疑者を逮捕しながら捜査を行うことが非常に多く見られます。そうすると,侵入窃盗事件の場合,自分が被疑者と特定されることは,ほぼイコール自分の逮捕が見込まれること,という理解が可能です。

そのため,侵入窃盗事件で自分が被疑者と特定できる証拠があるケースでは,積極的に自首を検討するべきと言えるでしょう。証拠の具体例としては,現場又は付近の撮影画像・映像,周辺の目撃者等が挙げられます。

ポイント
侵入窃盗事件は,被疑者を特定できれば逮捕することが多い
被疑者の特定が見込まれる場合は,自首による逮捕回避が有益

②捜査が行われていると分かった場合

侵入窃盗事件の場合,事件が起きても全てが捜査されているとは限りません。通常,侵入窃盗事件は被害者が自身の被害を把握したときに捜査機関へ相談等し,捜査の開始へとつながるものですが,逆に被害者が侵入窃盗被害を把握していない場合,捜査が始まるきっかけは生じず,捜査がなされないままである,ということも考えられます。

自首は,非常に有利な効果をもたらしやすい行動ですが,一方で「捜査が行われていないのに自首をしてしまうかもしれない」というリスクを背負う行動でもあります。裏を返せば,このリスクがない場合,自首がより有益な手段になると言えるでしょう。

自身の侵入窃盗事件について捜査が行われていると分かった場合は,「捜査が行われていないのに自首をしてしまうかもしれない」というリスクはない状況と言えるため,自首を積極的に検討することが有効です。

ポイント
自首は捜査が行われていない場合のリスクを背負った行動

③当事者間で示談交渉できる間柄にない場合

侵入窃盗事件は,具体的な被害者に対する犯罪行為であるため,被害者が捜査を希望すれば捜査が行われ,被害者が加害者の処罰を希望すれば処罰される,という結果になりやすい類型の事件です。一方,被害者が捜査を望んでいなければ,捜査機関が無理矢理捜査を行うことは考えにくく,被害者が加害者の処罰を望んでいないのに処罰されるということも考えにくいでしょう。

そのため,侵入窃盗事件は,当事者間の示談によって解決できれば,加害者側にとって最も望ましいところです。示談が成立すれば,その後に逮捕されたり処罰を受けたりする可能性は現実的になくなるでしょう。

逆に,被害者との交友関係がないなど,当事者間で示談交渉ができない間柄の場合,早期に示談交渉で解決する手段に乏しいため,他の手段で逮捕や処罰の回避を目指さなければなりません。この場合の具体的な手段としては,自首以外にないのが通常であり,自首を検討する必要性が高い局面と言えます。

ポイント
侵入窃盗事件は,示談ができれば逮捕や処罰がなされづらい
被害者と示談交渉ができない関係の場合,自首が有力に

侵入窃盗事件の自首は弁護士に依頼すべきか

侵入窃盗事件の自首について検討する場合には,弁護士に相談・依頼をし,弁護士の専門的な見解を仰ぐことが適切です。また,実際に自首を試みる場合にも,弁護士と協同して行うことを強くお勧めします。
弁護士に依頼することの具体的なメリットとしては,以下の点が挙げられます。

①自首すべき状況か判断できる

侵入窃盗事件は,重大な刑事処罰のあり得る事件類型のため,捜査が行われていないのに勇み足で自首を行ってしまった場合の不利益が大きくなりやすいという懸念があります。自分の自首が原因で捜査・処分を受けてしまう,いわゆる「やぶ蛇」の結果になると,自ら自身に対する刑罰を招くことにもなりかねません。

そのため,侵入窃盗事件の自首を検討する際には,本当に自首が必要な状況か,自首をする場合としない場合のリスクはどの程度の状況か,ということを慎重に判断しなければなりませんが,当事者本人が判断することは非常に困難です。客観的に検討すること自体が難しい上に,刑事事件の専門的な知識や経験がないと判断の尺度も設けられないためです。

この点,弁護士に依頼を行うことで,実際に自首すべき状況かどうかを弁護士が客観的,専門的に判断することが可能になるでしょう。自首を行うかどうかの重要な判断材料が得られるはずです。

②自首の意思を正確に伝えられる

自首を行う場合に,その意図や目的,伝えたい内容等が正しく捜査機関に把握してもらえず,意図しない不利益を被るケースは意外に少なくありません。特に,当事者本人のみで自首を試みるとなると,逮捕などへの不安から話すべきことを自分なりに選びながら話そうとするあまり,捜査機関から「重要な証拠を隠そうとしている」という疑いを抱かれる場合も一定数見られます。
実際には誠意を持って自首を試みているにもかかわらず,重要な証拠隠滅の隠れ蓑として自首を利用している,との疑いを持たれてしまうことは,極めて重大な不利益につながりかねず,是が非でも避けるべきでしょう。

この点,弁護士に依頼し,弁護士が主導する形で自首を行えば,自首の趣旨を弁護士から正確に伝えてもらうことができ,自首のメリットを確実に得られる結果につながります。また,自首に必要な捜査機関とのやり取りはすべて弁護士が行うため,時間的,心理的負担を大きく軽減することも可能でしょう。

③速やかに弁護活動を開始できる

自首は,行う人にとっては非常に重要な出来事ですが,刑事事件の手続全体との関係ではスタートラインにとどまります。自首の位置づけは,職務質問などと同じくあくまで捜査が始まるきっかけであり,実際の捜査はその後に継続していくものです。
そのため,自首を行う場合には,その後に捜査が行われ,捜査が終われば刑事処分の検討がなされる,ということをあらかじめ視野に入れておく必要があるでしょう。

この点,自首を行う段階から弁護士に依頼することで,自首後の捜査や刑事処分に向けた弁護活動を,最も早い段階から開始できます。自首による処分の軽減を期待するのであれば,自首を行うのみでなく,その後の弁護活動も処分の軽減を目指したものにするべきです。

侵入窃盗事件で自首をする場合の注意点

①逮捕が回避できるとは限らない

侵入窃盗事件は,類型的に重大性が大きいことを踏まえ,逮捕される可能性が非常に高い事件類型です。そのため,自首を行ったからと言って直ちに逮捕されなくなるとは限らない,という点には注意が必要でしょう。
自首を行ってもなお逮捕が避けられないケースとしては,以下のような場合が挙げられます。

自首しても逮捕が防げないケース

1.捜査機関が既に逮捕の方針を固めていた場合

2.事件の重大性があまりに顕著である場合

3.余罪や前科の関係で重い処罰が見込まれる場合

もちろん,自首を行うことで逮捕の回避につながるケースもあり得ますが,逮捕されないことを前提に自首する,というものでないことは理解しておくのが適切です。

②不起訴処分が約束されるわけではない

自首は,刑事処分の軽減を目指す試みである以上,自首を行う場合には不起訴処分となることを目的にしているのが通常でしょう。実際,自首を行ったケースでは,自首を理由に不起訴処分とされる例も多く見られます。

しかし,侵入窃盗事件では,そもそもの刑事責任が大きいため,自首によってある程度軽減されても不起訴処分とはならない,という可能性が大いにあり得ます。自首を試みる際にはあらかじめ注意することが適切でしょう。
逆に,自らが刑罰を受ける可能性も了承した上で,それでもなお自首をする,という態度の方が,深い反省が認められるとの評価になるため,結果的に不起訴処分の可能性が高まりやすいとも言えます。いずれにしても,不起訴処分が約束された状況にないことは正確に理解しておくことをお勧めします。

③逮捕時の備え

逮捕の可能性が高い侵入窃盗事件では,自首を行った場合にそのまま逮捕される可能性への備えもあらかじめ行っておくのが適切です。具体的には,留置施設に持ち込む物品の用意をしておくと,逮捕時の有効な備えになるでしょう。

留置施設に持ち込む物品の例としては,以下のものが挙げられます。

留置施設に持ち込む物品の例

1.現金(1万円程度)

2.着替え(上下着衣,下着,靴下)

3.本

なお,着替えや本については,留置施設内で利用できるものに詳細なルールがあります。ルールに反した物品は利用できないため,具体的なルールを依頼する弁護士に確認の上,準備することをお勧めします。

④示談を試みることの重要性

侵入窃盗事件は,被害者と示談ができるかどうかによって結果が劇的に変わることになりやすい類型です。これは,自首を行った場合でも違いはありません。そのため,自首を試みる場合には,その後に示談を試みることもセットとすることが基本,と考えるのがよいでしょう。

自首を行った場合,加害者側の深い反省の意思は行動として表明されており,被害者側もその事実を把握することになります。そのため,自首をしなかったケースよりも被害者側から示談の了承が得られる可能性は高く,その意味でも示談を行うことの重要性は非常に大きいと言えるでしょう。

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【侵入窃盗事件の不起訴処分】不起訴処分の方法は?可能性は?注意点は?

このページでは,侵入窃盗事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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侵入窃盗事件で不起訴を目指す方法

①認め事件

犯罪事実に間違いがない認め事件の場合,不起訴が実現するかどうかは被害者側の意向にかかっています。被害者が起訴を希望すれば起訴,不起訴を希望すれば不起訴になる,と言っても過言ではないでしょう。

そのため,認め事件で不起訴を目指すためには,被害者に不起訴を希望してもらうことが必要ですが,その具体的な方法は示談となるのが通常です。被害者との間で示談が成立し,示談の内容として被害者が不起訴を希望する内容を盛り込むことができれば,被害者の意向を酌んで不起訴処分とされることが見込まれやすいでしょう。

侵入窃盗事件で捜査をされている状況の場合,被害者が捜査や処罰を望んでいることが見込まれるため,示談の試みをしない限り,被害者は起訴を希望していると考えるのが適切です。そのため,示談の試みをしなければ起訴され,起訴前に示談が成立すれば不起訴の可能性が高まる,という整理が可能でしょう。

ポイント
起訴不起訴は被害者の意向にかかっている
示談により被害者の不起訴希望を獲得できれば,不起訴が見込まれる

②否認事件

否認事件の場合,犯罪の立証ができないことを理由とした不起訴処分を目指すことが適切です。この点,被疑者の犯罪が立証できない場合の不起訴処分には,大きく分けて「嫌疑なし」と「嫌疑不十分」の二種類があります。

否認事件の不起訴理由

1.嫌疑なし
→真犯人が判明したなど,犯罪の疑いがなくなった場合

2.嫌疑不十分
→被疑者の犯罪を立証するに足りる証拠がない場合

否認事件で不起訴処分となるのは,ほとんどが「嫌疑不十分」のケースです。侵入窃盗事件の場合であれば,事件が起きたとされる日時に被疑者が侵入したことの根拠が不十分である,といった場合が代表例になるでしょう。

そのため,否認事件で不起訴処分を目指す場合には,否認の旨を一貫して主張し,嫌疑不十分であるとの判断を促すことが適切となります。

ポイント
否認事件の不起訴処分は,ほとんどが嫌疑不十分

侵入窃盗事件で不起訴になる可能性

①認め事件

侵入窃盗事件は,容易に不起訴となる事件類型とは言い難いものです。被害者側への侵害の程度が強く,重大性ある事件と評価されやすいため,基本的には起訴を想定することになりやすいでしょう。少なくとも,反省を深めているというのみで不起訴となることは考えにくいと言わざるを得ません。

もっとも,侵入窃盗事件で起訴をされる主な理由は,被害者に与えた損害の大きさにあるため,損害を被った被害者自身が不起訴を望むのであれば,話は大きく変わります。被害者側に適切な対応を尽くし,その結果として被害者が不起訴を望むに至ったなどの成果が挙げられれば,不起訴の可能性は十分にあると言えるでしょう。

②否認事件

否認事件での不起訴の可能性は,犯罪が立証困難と判断される可能性と直結します。犯罪事実を裏付ける証拠が十分にある,と判断される状況であれば,やはり事件の重大性を踏まえても起訴されることになりやすいでしょう。一方,起訴をしても裁判所の有罪判決が得られるような証拠に乏しい場合には,不起訴の可能性が高くなりやすいと言えます。

この点,証拠には物証(物的証拠)と人証(人の話)がありますが,物証に乏しく人証のみである,という場合には証拠が不十分であるケースが多い傾向にあります。犯罪事実の立証に必要な物証としては,以下のようなものが挙げられます。

犯罪事実の立証に必要な物証

1.犯罪を直接立証する証拠
→事件現場を撮影した映像・画像など

2.人の話が正しいことを裏付ける証拠
→被害者の話が真実でなければ説明のつかない物や記録など

犯罪事実を直接立証する物証がなく,被害者らの供述を補強する物証もない場合には,人証のみが証拠となりますが,人証しかない否認事件で起訴をするのは難しい場合も多く,不起訴の可能性が高まりやすいと言えます。

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

侵入窃盗事件で不起訴を目指す場合の注意点

①示談が困難である可能性

認め事件の不起訴は示談の成否にかかっているため,不起訴を目指すにあたって示談は非常に重要なものです。しかしながら,示談は被害者と加害者との間の契約であるため,被害者の合意がなければ成立しません。

この点,侵入窃盗事件では,被害者側の感情面として示談を希望したくない,という意向を示されることが少なくありません。被害者側の精神的苦痛が大きい状況のため,示談によって加害者が処罰されないのは了承できない,そもそも事件を思い出すようなことをしたくない,といった理由で門前払いにされる可能性は十分に考えられます。

そして,被害者側に門前払いをされてしまうと,現実的に示談を成立させる手段はなくなり,示談を通じた不起訴処分の獲得は困難とならざるを得ません。この点は,弁護士にも如何ともし難い部分であるため,あり得る可能性としてあらかじめ注意しておくことが望ましいでしょう。

②示談の経済的負担が大きい可能性

侵入窃盗事件において,示談による不起訴処分を目指す場合には,示談に必要な経済的負担が大きくなる可能性に注意しておくことが望ましいです。
示談の際には,加害者から被害者に対して示談金という名目で金銭の支払を行うのが通常ですが,その金額は当事者間の合意で決まります。そのため,示談金は被害者の了承する金額であることが必要ですが,侵入窃盗事件の場合には被害者の了承する金額水準が大きくなることも珍しくありません。
その具体的な理由としては,以下のような点が挙げられます。

侵入窃盗事件の示談金が大きくなる場合の理由

1.精神的苦痛が大きい
住居などに侵入され金品を窃取されたことの精神的苦痛が大きく,低額の金銭では納得が得られにくい

2.被害者の転居
自宅への侵入であった場合,被害者が転居を希望する可能性が高く,転居費用を含めた示談金の協議になりやすい

3.複数回の被害
同一の場所へ複数回に渡って侵入窃盗が行われている場合,件数に応じて示談金額が大きくなりやすい

③余罪の影響

侵入窃盗事件は,類型的に余罪のあることが多く見られますが,余罪がある場合には,1件のみ不起訴となっても他の事件で起訴される可能性が残ることに注意が必要です。

起訴不起訴の判断は,事件ごとに行われるため,1件で不起訴になったからと言って他の事件も不起訴になるとは限りません。同じ被害者に対する複数の余罪がある,という場合であれば,被害者に対する1回の示談で全ての事件が不起訴になることも見込まれますが,被害者の異なる余罪があるケースや,否認事件のケースなどは,余罪について別途不起訴を目指す動きが必要になりやすいでしょう。

④共犯事件の場合

侵入窃盗事件は,一人で行われる場合のほか,複数人で行われる共犯事件である場合も見られます。この点,共犯事件の場合には,単独の事件にはない特徴として,以下のような点に注意することが望ましいでしょう。

共犯事件の注意点

1.悪質性が高いと評価されやすい
→共犯事件は,計画的である場合が多く,悪質と評価されやすい傾向にあります。

2.共犯者の供述に影響される
→誰が主犯であったか,誰が何をしたかについて足の引っ張り合いが生じ得ます。

3.加害者全員が被害全額の賠償義務を負う
→被害者に対しては,共犯者全員がそれぞれ全額の賠償義務を負います。

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【埼玉大宮で侵入窃盗事件の弁護士選び】具体的な判断基準や侵入窃盗事件特有の注意点を徹底解説

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侵入窃盗事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕されたとき

侵入窃盗事件は,捜査に際して被疑者を逮捕することが非常に多く見られます。身柄拘束をすることで,逃亡や証拠隠滅を防ぎながら捜査を行うケースの多い事件類型と言うことができるでしょう。
そのため,侵入窃盗事件の捜査において,逮捕は出発点の一つであり,被疑者に対する本格的な捜査の開始を意味するものでもあります。

これは裏を返すと,逮捕された被疑者は,逮捕後の本格的な取調べなどの捜査に適切な対応をする必要がある,ということになります。捜査への対応をどうできるかによって,その後の取り扱いや刑事処分の結果が大きく左右することは珍しくないためです。

もっとも,個別のケースでどのような対応が適切かを判断することは,専門的な知識経験を持った弁護士以外には困難です。逮捕後の対処を誤らないため,逮捕されたときには速やかな弁護士選びが重要となるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件は逮捕がなされやすい
逮捕後の対応を適切にするため,弁護士への依頼をするべき

②示談を目指すとき

侵入窃盗事件の刑事処分は,被害者との間で示談が成立したか,という点が決定的な影響を及ぼすことが少なくありません。漫然と手続が進めば起訴され実刑判決が懸念されるケースでも,早期に示談が成立することで不起訴処分となり,刑罰自体を受けない結果になることすらあります。
ただ,実際に示談を試みるためには,弁護士に依頼をし,弁護士を通じて行うことが不可欠です。当事者や親族同士で直接の連絡を取らせるわけにはいかないため,弁護士が捜査機関に示談を申し入れ,被害者側の了承があれば弁護士と被害者との間で連絡先を交換する,という運用が取られています。

示談交渉の流れ

そのため,事件解決のために示談を目指すときには,示談の対応に適した弁護士を選ぶべきタイミングと言えるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件の処分は,示談の有無で決定的に変わりやすい
示談の試みには弁護士が不可欠

③起訴されたとき

侵入窃盗事件は,犯罪事実に間違いがなければ起訴が見込まれる事件類型です。この点,起訴される場合の具体的な手続には,「公判請求」と「略式請求」の二つがあります。

起訴の手続

1.公判請求
公開の裁判を行う手続。罰金にとどまるケースはあまりない

2.略式請求
公開の裁判を省略する手続。罰金刑になる

一般的に,公判請求よりも略式請求の方が軽微な処分とされています。略式請求であれば,公開の裁判を受ける必要がなく,処罰は比較的軽微な罰金刑となるためです。逆に,罰金刑にはとどまらない重大な事件では,略式請求はできず公判請求を用いることになります。

この点,侵入窃盗事件での起訴は,基本的に公判請求となることが多いでしょう。それだけ重大事件と位置付けられやすく,見込まれる処罰も小さなものではないということになります。
そのため,侵入窃盗事件で起訴された場合には,公判で適切な対応を尽くし,少しでも軽微な処分にとどめる動きが非常に重要となります。

公判請求への対応を行う際は,十分な弁護士選びをするべきでしょう。

侵入窃盗事件の弁護士を選ぶ基準

①速やかな接見が可能か

侵入窃盗事件は,逮捕勾留を伴う身柄事件であることが非常に多いです。そのため,侵入窃盗事件の対応を行う弁護士は,身柄事件に不可欠な接見を行う必要があります。
特に,逮捕後の初回の接見は,被疑者本人が誤った対応をしていれば正す必要があるほか,事件の内容を把握したり親族との連携を仲介したりするためにも非常に重要なものです。初回の接見は,どれだけでも速やかに行うことが,被疑者の利益に直結すると言えるでしょう。

もっとも,初回の接見をどれだけ迅速に行うかは,専ら個別の弁護士の判断次第です。直ちに接見の時間を確保しても,後日ゆったりと接見をしても,違法というわけではないため,基本的には弁護士の裁量の問題となります。
しかし,初回の接見が遅れることで被疑者に利益はなく,むしろ重大な不利益の原因となる恐れすらあります。刑事事件に精通した弁護士であれば,初回接見の重要性は深く理解しているはずです。

そのため,弁護士選びに際しては,初回の接見をどれだけ速やかに行えるか,初回接見のためにどれだけスケジュールを調整してくれるか,という点を重視するのが良いでしょう。

ポイント
逮捕後初回の接見は特に重要性が高い
初回接見を迅速に行ってくれるかどうかを重視する

②処分の見通しは具体的か

侵入窃盗事件は,窃盗罪に当たる事件の中でも類型的に重大犯罪と評価されやすく,相応の重大な手続や処罰を想定すべきケースも少なくありません。弁護士としては,他の窃盗事件よりも慎重に見通しを検討し,最悪の場合にも備えることが望ましいところです。

また,一口に侵入窃盗事件と言っても,その内容は様々であり,事件の具体的内容によっても処分の重さは変わることが考えられます。侵入した場所,侵入の方法や目的,盗んだ金品の内容,余罪の数など,処分に影響し得る個別の事情は多岐に渡ります。

そのため,侵入窃盗事件の弁護士選びに際しては,侵入窃盗事件の重大性を踏まえた見通しを示してくれるか,個別の内容を踏まえてその見通しをどこまで具体的にしてくれるか,という点を重視するのが有力でしょう。
もちろん,見通しには限界があり,分からないことも多くあります。しかしながら,分かる部分と分からない部分を明確に区別できていることは非常に重要であり,弁護士の適性が現れる点とも言えるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件は,類型的に処分見通しが重くなりやすい
侵入行為や窃盗行為の詳細によって処分見通しが変わりやすい

③弁護士の説明に納得できるか

弁護士と依頼者との関係は,信頼関係を土台にすることで初めて成り立つものです。なぜなら,弁護士による案内や弁護士が決めた方針,弁護士が実現した結果などが適切かどうかは,依頼者自身が内容を評価して判断できる性質のものではないからです。
弁護活動が法律の専門家しか行えないものである以上,依頼者としては「弁護士が正しいと言ったから正しい」という評価をせざるを得ません。

そうすると,依頼者が弁護士を選ぶ基準として,その弁護士の判断に信頼を置けるかどうか,という点が極めて重要になってきます。弁護士の判断を信頼できるからこそ,「弁護士が正しいと言ったから正しい」という考え方ができるのです。
そのため,弁護士選びの際には,弁護士の判断やその根拠となる説明に心から納得できるか,という点を基準に設けるとよいでしょう。最初の説明に対する納得は,最終的な結果に対する納得にも直接つながるほど重要なものです。

ポイント
弁護士への信頼や納得は,結果に納得できるかを大きく左右する

④弁護士と円滑に連絡が取れるか

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

ポイント
弁護士との連絡の停滞は数多く見られるトラブル

侵入窃盗事件で弁護士を選ぶ必要

①不起訴処分を目指すため

侵入窃盗事件は,犯罪事実が明らかである限り起訴することが通常です。犯罪事実があっても起訴されないのは,示談が成立して被害者が起訴を望まないとなった場合に限られるでしょう。

そのため,侵入窃盗事件で不起訴になるのは,示談が成立した場合か犯罪事実が立証できない場合に限定されますが,いずれの場合にも弁護士の力を借りることが不可欠になりやすいところです。
示談の場合は,弁護士を窓口にしなければそもそも示談の試みに着手することもできません。また,犯罪事実が立証できるかどうかは高度に法律的な問題であるため,法律の専門家である弁護士を通じての対応が必要になるでしょう。

侵入窃盗事件の場合,不起訴処分を目指すのであれば弁護士選びを十分に行うことが極めて重要です。

②適切な取り調べ対応のため

刑事事件の捜査では取調べが不可欠です。特に,被疑者への取調べは捜査の中核であって,被疑者からどのような話が引き出せるかによってその後の捜査が決定づけられる事件も少なくありません。

逆に,被疑者の立場にある場合,取調べにどのような対応を取るのが最も有益であるのかを把握していることは非常に重要です。自分が何を話すか,どのように話すかによって,その後の捜査や処分が決定づけられる可能性もあるため,取調べ対応の方法・内容は十分に検討する必要があるでしょう。

この点,個別の事件に応じてどのような取調べ対応をすべきかは,弁護士の法的な判断を仰ぐことが適切です。そのため,取調べ対応に万全を期すためには,弁護士選びが重要なポイントとなるでしょう。

③家族や関係者と連携を取るため

身柄事件の場合,逮捕勾留されたご本人は,自分で外部と連絡を取ることができません。電話を携帯することも認められないため,連絡を取るための手段は以下のような方法に限られます。

逮捕勾留中に外部と連絡を取る手段

1.手紙の送受
→数日~1週間ほどのタイムラグが避けられない

2.(一般)面会
→時間制限が厳しい。接見禁止の場合は面会自体ができない

3.弁護士の接見
→時間的制限なくコミュニケーションが可能

手紙の送受は現実的でなく,面会の時間制限の中で必要な連絡をすべて取ることも難しいため,ご本人と周囲との連絡には弁護士の接見を活用することが不可欠になりやすいでしょう。
身柄事件で必要な連絡を取り合うためには,弁護士への依頼が適切です。

侵入窃盗事件における弁護士選びの準備

①早期に動き始める

逮捕勾留といった身柄拘束が生じやすい侵入窃盗事件では,手続に法律上の期間制限があり,時期を逃すと手段を講じる余地がなくなってしまうものも少なくありません。また,期間制限内であっても手続が遅れた場合には,手続をしていなかった間に被った不利益を補填する手段がありません。純粋に,遅れれば遅れるほど損をするということになります。

そのため,弁護士選びと弁護活動の開始は,どれだけでも早い方が有益であり,早期に動き始めることは非常に重要であると言うことができるでしょう。

②情報をできる限り整理する

逮捕勾留された侵入窃盗事件で,ご家族等の関係者の方が弁護士選びを行う場合,問題になりやすいのが情報不足や情報の不正確さです。事件の当事者ではない以上,情報が正しいかを判断することは難しい上に,得られる情報にも限りがあることから,事件を正しく把握した状態で弁護士選びをすることは容易ではありません。
もっとも,弁護士が適切な案内をするには,情報不足や不正確な情報は避ける必要があり,情報の整理が不可欠です。

この点,事件の情報を把握する手段に乏しい場合には,弁護士に接見を依頼し,弁護士に被疑者ご本人から話を聞いてもらうことをお勧めします。弁護士接見を行えば,弁護士自身が必要な情報を漏れなく確認し,その情報を踏まえた案内をすることが容易になるでしょう。

③弁護士選びの目的を明確にする

侵入窃盗事件は,重大事件と評価される場合も多いため,必ずしも希望する結果のすべてが実現されるとは言えません。刑事罰を避けられないことも往々にして見られ,中には実刑判決の対象となることも考えられます。

弁護士選びの局面では,このような侵入窃盗事件の特徴を踏まえ,弁護士によって実現できることとできないことを可能な限り明確に線引きできるのが望ましいです。そのためには,弁護士選びによって何を実現したいのか,という目的を明確にして,その目的が実現できる事件なのかを弁護士に判断してもらうことが有益でしょう。

事前に目的が明確であり,その目的が実現可能か,実現手段は何かがはっきりしていれば,弁護士選びはより実りのあるものになるでしょう。逆に,目的が実現困難なものである場合には,早期に目的を修正できるため,後々になって弁護士とのトラブルになることが防ぎやすくなります。

侵入窃盗事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①早期釈放が容易でない可能性

侵入窃盗事件は,逮捕された場合,早期釈放が困難になりやすい類型の一つです。特に早期釈放が困難になりやすいケースとしては,以下のような場合が挙げられます。

侵入窃盗事件で特に早期釈放が困難なケース

1.侵入行為が複数回ある
→事件の数だけ必要な証拠も多くなり,捜査が長期化しやすい

2.被害者の住居に侵入している
→被害者への接触が容易であるため,釈放すべきでないと評価されやすい

3.侵入行為が計画的である
→悪質と評価されやすい上,計画内容に関する証拠収集に時間がかかりやすい

多くの侵入窃盗事件は,上記の各ケースのいずれかには該当するため,早期釈放が難しく,相当期間の身柄拘束を想定する必要が生じやすい傾向にあります。逮捕後の釈放が容易でないことには,あらかじめ注意しておくのが望ましいでしょう。

②余罪の対応を要する可能性

侵入窃盗事件は,類型的に余罪のあることが多く見られます。初めての侵入で発覚した場合でなければ,1回だけは終わらずその後にも複数回侵入している,という場合が少なくありません。

そのため,現在捜査されている事件のほか,複数の余罪にも対応を要する可能性があり得ることには注意が必要です。余罪がある場合,捜査も長期化しやすく,刑事責任も重大と評価されることになるため,より積極的に処分の軽減などを目指すべきとも言えるでしょう。

③土日祝日の対応を要する可能性

侵入窃盗事件では,逮捕勾留を伴いやすいことから,対応する弁護士は勾留されている場所での接見をすることが不可欠です。
この点,逮捕勾留には期間制限があるところ,その期間制限は土日祝日も含めたものになります。10日間の勾留は,土日祝日を含む10日間であり,長期休暇の期間でも例外ではありません。

そのため,弁護士選びに際しては,場合によって土日祝日の対応を要することになっても対応が滞らないかどうか,注意するのが望ましいでしょう。曜日を問わず毎日対応してもらう,というのは現実的ではありませんが,「土日祝日は一律対応不可」という場合には不都合が生じないか注意したいところです。

④経済的負担が大きくなる可能性

侵入窃盗事件では,被害者との間で示談できるかどうかが非常に重要なポイントとなります。そのため,弁護士への依頼時には示談金の負担を想定することが適切ですが,その示談金は高額となることも珍しくはありません。
窃盗の金額的な規模が大きくない場合であっても,侵入行為等によって被害者に与えたダメージが大きく,高額の示談金でないと被害者が了承しない,ということは少なくないでしょう。

また,逮捕勾留が長期化しやすい侵入窃盗事件では,その分弁護士の費用もかかりやすいところです。一般的に,必要な接見の数が多くなるほど弁護士費用は大きくなりやすいため,長期の逮捕勾留を伴う事件では弁護士費用の負担が重くなる可能性に留意したいところです。

このように,侵入窃盗事件では,示談金と弁護士費用がともに大きくなりやすい面があります。弁護士選びに際しては,全体の経済的負担が重くなってしまう可能性を踏まえておくことをお勧めします。

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