【児童買春事件の弁護士選び】弁護士を選ぶタイミングや方法,注意点などを解説

このページでは,児童買春事件の弁護士選びについてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。弁護士への依頼を検討する際の参考にご活用ください。

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児童買春事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕直後

児童買春事件では,捜査に際して逮捕されるケースも少なくありません。しかし一方で,逮捕された児童買春事件で早期釈放がなされるケースも決して少なくはありません。
そのため,児童買春事件で逮捕された場合,その直後に適切な弁護士への依頼をすることによって,早期釈放につながる可能性も十分に考えられるでしょう。

もちろん,早期釈放が困難な児童買春事件も少なからずあるところです。ただ,今回の事件は早期釈放が可能か困難か,その理由は何か,という点を把握することができるのも,逮捕直後に弁護士を選ぶことの重要な利点と言えるでしょう。

ポイント
児童買春事件は,早期釈放が可能なケースも考えられる

②出頭を求められた後

児童買春事件で警察等から出頭を求められた場合,取調べ目的であることが見込まれます。取調室で事件の内容等を聴取し,供述調書という書面にまとめることが,呼び出しの目的であることが通常でしょう。
この点,取調べに際してどのような回答をすべきか,留意すべき点はあるか,といった問題は,個別の事件によって正解が異なりますが,今回の事件での正解を知るためには,専門家である弁護士の判断が不可欠です。事件の争点を法的に整理し,争点との関係で適切な対応を尽くすことが重要となるためです。
特に,児童買春事件で争点となりやすい特徴的なポイントもあるため,それらを押さえておくことでその後の対応が格段に行いやすくなる場合も少なくありません。

出頭を求められた段階は,その後の取調べ対応を万全なものとするため,適切な弁護士選びを行うべきタイミングと言えるでしょう。

ポイント
取り調べの対応方針は,弁護士の判断が適切

③起訴された後

児童買春事件で起訴される場合,「公判請求」と「略式請求」の二通りの方法があります。公判請求は,公開の裁判を行う手続,略式請求は公開の裁判を省略する手続ですが,一般的には略式手続の方が軽微な事件で用いられます。略式請求の場合,罰金刑を超える処分はできないため,罰金刑に収まる事件であることも必要です。

公判請求と略式請求

公判請求
→公開の裁判を行う。略式の場合よりも刑事責任が重いケース

略式請求
→公開の裁判を省略する。罰金刑にとどまるケース

この点,略式請求であれば書面の手続のみで終了しますが,公判請求の場合には公開の裁判を受ける準備が必要となります。公開の裁判でどのような対応を取るかは,刑事処分の結果を左右する重要なものであるため,その準備は弁護士に依頼して十分に行うことが適切です。
そのため,公判請求をされた場合には,公判の準備のため適切な弁護士を選ぶべきタイミングと言えます。

ポイント
公判請求された場合,裁判の準備が必要となる

④自首を試みるとき

児童買春事件は,事件の性質上,児童との間で秘密裏に行われることから,事件の発生から捜査機関の発覚までに相当程度の期間を要することが少なくありません。そのため,捜査機関に事件が発覚する前に自首をすることで,大きな不利益を回避できる場合もあります。
もっとも,自首をするべきかどうか,する場合にどのような方法で進めるか,という点は,当事者の方には判断が困難な問題であり,専門的な検討が不可欠です。

そのため,自首を試みるときには,専門性のある弁護士に依頼をし,弁護士の意見を仰ぎながら進めることが適切です。自首の検討をご希望のときは,弁護士選びを十分に行うことをお勧めします。

ポイント
事件の発生から発覚までに時間がかかりやすい
事件発覚前に自首することが有益な場合も

児童買春事件の弁護士を選ぶ基準

①児童買春事件の特徴を把握しているか

児童買春事件は,弁護士にとって意識すべき特徴が複数あります。これらの特徴を把握し,具体的な弁護活動や依頼者への案内に反映させられることは,弁護士にとって重要な能力と言えるでしょう。

児童買春事件の弁護活動における特徴

1.親権者の位置づけ
→児童は未成年であるため,児童側と示談などの接触を試みる場合には,法的には親権者を相手にする必要があります。もっとも,刑事事件の解決という限度では,児童自身との間で解決を図る方が適切なケースもあります。

2.示談の効果
→児童買春事件は,示談をしたとしても刑事処罰を受けないとは限りません。そのため,示談をしてもなお刑罰を受ける結果となる可能性には留意が必要です。

3.余罪の取り扱い
→同種の余罪がある場合,捜査機関に対してどのように述べるか,余罪の解決をどのように図るか,という点は,個別の事件により大きく異なります。

弁護士選びに際しては,児童買春事件の特徴を適切に把握しているかどうか,という点を重要な基準とすることをお勧めします。

②迅速な対応ができるか

児童買春事件の弁護活動は,動きが迅速であることが極めて重要となる場合が少なくありません。時間制限のある身柄事件はもちろん,円滑な児童側との示談に際しても,条件をすり合わせる弁護士のフットワークが大きな役割を果たしやすい傾向にあります。

もっとも,動きの迅速さは完全に個々の弁護士の判断に委ねられているのが現状です。迅速な対応をしてもらえるかどうかは弁護士次第,ということになってしまいます。
そのため,弁護士を選ぶ際には,その弁護士が迅速に動いてくれるタイプであるかどうか,という点を重視するのが有益でしょう。

③弁護士と円滑に連絡が取れるか

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士と円滑に連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

④児童買春事件の示談に長けているか

児童買春事件の示談は,傷害事件や窃盗事件などの一般的な示談とは異なる面があります。それは,示談相手である児童が一方的な被害者とは言いづらい,という点です。
児童買春は,少なくとも当事者同士は合意をして行われたものであるため,被害者の意思に反して殴られた,盗まれたという事件とはいささか性質が異なるというわけです。

もっとも,児童が合意したことを理由に,児童側に対してある程度強気に出てよいかというと,そうではありません。そのような態度は,示談の成立を遠ざける意味しか持たないのが通常です。そもそも,児童の合意があっても犯罪行為であることに変わりはないため,児童が合意したという事実を示談の場に持ち出して交渉材料とするのは法的にも不合理でしょう。

弁護士選びに際しては,このような児童買春事件の特徴を踏まえ,円滑に示談の成立を引き出せる弁護士への依頼をお勧めします。

児童買春事件で弁護士を選ぶ必要

①早期釈放のため

逮捕後の早期釈放を目指す場合,具体的な活動は弁護士に委ねざるを得ません。接見で必要な話し合いを行ったり,ご家族と連絡を取り合ったり,捜査機関や裁判所に必要なアクションを尽くしたりと,早期釈放に向けて弁護士でしかできないことは多岐に渡ります。

児童買春事件では,逮捕後の適切な対応によって早期釈放が実現されるケースも一定数見られます。早期釈放が生活に及ぼす影響は極めて大きいため,逮捕を伴う児童買春事件で適切な弁護士を選ぶことは非常に重要と言えるでしょう。

②処分軽減のため

認め事件の場合,児童側との示談が処分軽減のために非常に有力な動きとなります。もっとも,示談の試みは,当事者間で直接行うことができないため,弁護士に依頼し,弁護士を通じて行うことが必要となります。
また,その後の示談交渉や示談の取り交わしなども,弁護士が主導する形で進めることが欠かせません。

処分の軽減を図る最も有力な手段が,弁護士なしでは試みられないということでもあるため,処分の軽減を図りたい場合には弁護士選びが必要不可欠と言えるでしょう。

③余罪の悪影響を防ぐため

児童買春事件は,余罪の存在することが比較的多い事件類型でもあります。この点,余罪が刑事処分にどのような影響を及ぼすかは,様々な事情によって大きく異なりやすいものです。同じ余罪であっても,刑事処分には特に影響しなくて済むケースもあれば,処分が重くなる大きな要因となるケースもあり得るところです。

そして,個別の事件で余罪が処分に影響し得るか,処分への影響を防ぐ手段はあるか,という点については,専門家の法的判断が不可欠です。余罪が刑事処分に悪影響を与える可能性が懸念される場合は,弁護士選びの必要性が高いと言えるでしょう。

④仕事への悪影響を防ぐため

刑事事件は,勤務先等による懲戒処分の原因となることが少なくありません。特に児童買春事件は,その内容の性質上,コンプライアンスの観点から懲戒処分に影響することが少なくない事件類型と言えます。
もっとも,適切な弁護活動が尽くされれば,懲戒処分など仕事への悪影響は防ぐことのできる場合も十分にあり得ます。事件の勤務先への発覚を予防する,発覚した場合でも軽微な処分を促す,といった対応によって,影響を最小限にとどめられる可能性は決して低くないでしょう。

仕事への影響が懸念される場合には,適切な弁護士選びを行うことが肝要です。

児童買春事件における弁護士選びの準備

①事件内容を説明する準備

弁護士選びに際しては,弁護士に十分な情報を伝えた上で,弁護士からの案内を受けることが不可欠です。弁護士が不十分な情報しか得られていないと,弁護士からの案内にミスマッチを感じたとしても,弁護士の力量や相性の問題なのかが正しく判断できません。

この点,児童買春事件では,以下の事情を伝えることが適切でしょう。

説明すべき内容

1.時期や場所

2.知り合った経緯

3.年齢を把握した方法,内容

4.性的な行為の具体的内容

5.対価の内容,対価をいつどのように決めたか

6.余罪の有無,内容,時期,数

②証拠となる資料を示す準備

児童とのやり取りの内容など,事件に関する証拠となり得るものが手元にある場合は,弁護士に示せるよう準備しておくことが有益です。児童との間で実際にどのようなやり取りをしていたのかが分かれば,弁護士からの案内もより精度が増す可能性があります。

また,児童買春事件の場合には,児童の性的な姿を撮影したもの(=児童ポルノ)の有無にも留意することが望ましいでしょう。児童ポルノを撮影したり,所持したりしている場合には,その行為が別途犯罪として処罰の対象となる可能性もあります。弁護士に正確な判断をしてもらうため,児童を撮影したものがある場合には弁護士と共有することをお勧めします。

③弁護士に要望を伝える準備

弁護士選びを行う場合には,弁護士に実現してほしい要望があるはずですが,その要望の内容は正しく弁護士に把握してもらえるように準備しておくのが望ましいでしょう。
弁護士選びを行う際の要望としては,逮捕を防ぎたい,前科を防ぎたい,周囲への発覚を防ぎたい,といった内容が代表的です。もっとも,事件の内容や状況によっては,要望の一部は実現できるもののほかは実現が困難である,という場合もあり得るところです。

最優先したい要望が,その弁護士への依頼によって実現可能かどうか,という点は,弁護士への依頼前に把握することが肝要です。そのために,自分の要望を弁護士に伝える準備を十分にしておくことをお勧めします。

児童買春事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①余罪によって見通しが変わる可能性

刑事事件の取り扱いや処分は,対象となる事件の数によって異なることが一般的です。処分すべき事件が多ければ,それだけ捜査は長期間かかり,処分も事件の数に比例して重くなることが見込まれやすくなります。

余罪は,そのすべてが捜査や処分の対象となるわけではありませんが,児童買春事件の場合,芋づる式に複数の事件が捜査されることも多い傾向にある事件類型と言えます。そのため,児童買春事件の見通しは余罪によって変わり得る,という点に注意することが望ましいでしょう。

②身柄事件のスケジュール

逮捕などの身柄拘束を伴う事件を,身柄事件と呼びます。この身柄事件は,法律で定められた期間制限の中で処理する必要があるため,厳密なスケジュールがあることに注意することが望ましいでしょう。

逮捕をされると,最大72時間以内に「勾留」という手続に移行するかが判断されます。勾留されると,引き続き10日間の身柄拘束が行われ,更に「勾留延長」がなされると勾留が最大10日間延長となります。

逮捕から起訴までの流れ

裏を返すと,逮捕から最長22~23日ほどの間に捜査が終結し,起訴又は不起訴の判断が行われることになります。そのため,不起訴を目指すための弁護士選びは,このスケジュールを念頭に,極力早期に進めることが必要です。

③年齢に関する争点の重要性

児童買春事件は,児童(=18歳未満の男女)を相手とした事件です。一方,18歳以上を相手に同様の行為をした場合,売春防止法で禁じられる違法な行為である可能性は高いものの,罰則の対象ではないため犯罪とはならないのが一般的です。そのため,相手が18歳未満であることは,犯罪が成立するかどうかという点で非常に重要なポイントになります。

具体的には,以下のような問題が生じ得るところです。

児童買春事件で年齢が問題になるケース

1.相手の年齢が実際に18歳未満でない可能性がある場合

2.相手の年齢が18歳以上だと信じていた場合

児童買春事件の場合,年齢に関する争点は極めて重大なものとなるため,年齢が争点となる場合には弁護士の専門的な判断を仰ぐことを強くお勧めします。

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児童ポルノ事件で自首を検討したい人へ,必要な基礎知識や児童ポルノ事件特有の注意点などを解説

このページでは,児童ポルノ事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

児童ポルノ事件で自首をするべき場合

①児童の親族に発覚した場合

児童ポルノ事件の場合,児童の親族に発覚したことが捜査開始の引き金となるケースが少なくありません。親族が児童のスマートフォンの内容を確認したり,児童が補導されたりしたことをきっかけに,児童ポルノ事件の存在が明らかになり,親族の希望で捜査機関の捜査が始まる,という流れが相当数見られるところです。

そうすると,事件が児童の親族に発覚したと分かったときには,その後に事件の捜査が行われる可能性を想定する必要が生じます。裏を返せば,児童の親族に発覚したもののまだ捜査は始まっていない,という段階であれば,先に自首を試みるチャンスが残っている,という言い方もできるでしょう。

そのため,児童ポルノ事件が児童の親族に発覚した場合には,速やかに自首の検討を行うのが適切です。

ポイント
親族への発覚後は,捜査が開始されやすい

②児童が別件で捜査を受けている場合

児童が,他の人との間で起きた児童ポルノ事件で捜査を受けている場合,その捜査の過程で芋づる式に自分の事件が発覚し,捜査の対象となる可能性があります。特に,以下のようなケースでは自身の件が発覚しやすい状況と言えるでしょう。

芋づる式に捜査の対象となりやすい場合

1.連絡方法が共通している場合
→児童が,別件の相手と同じ連絡方法で自分とも連絡を取っているケース

2.時期が近接している場合
→別件の発生時期と自分とのやり取りの時期が近いケース

3.回数や頻度が際立っている場合
→特に多数の児童ポルノをやり取りしているケース

以上のように,別件捜査の影響で芋づる式に発覚することが懸念される場合には,捜査を受ける前に自ら自首をする手段が有力になりやすいでしょう。

③当事者間での解決が困難な場合

児童ポルノ事件で捜査を受けるケースは,そのきっかけが児童側にあることがほとんどです。そのため,児童側との間で協議ができたなど,当事者間で解決を図ることができていれば,その後の捜査を懸念する必要は大きく低下します

一方,児童側と連絡を取る手段がないなど,当事者間での解決を図ることが困難な場合は,捜査のきっかけを未然に防ぐ方法に乏しくなります。そのため,捜査を受けた場合の不利益を最小限に抑える手立てとして,自首が非常に有力な手段となりやすいところです。

当事者間の協議で刑事事件化を予防することが困難な場合は,刑事事件化に備えて自首を検討することが望ましいと言えるでしょう。

ポイント
児童ポルノ事件が捜査されるきっかけは,ほとんどが児童側の事情

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

児童ポルノ事件の自首は弁護士に依頼すべきか

児童ポルノ事件の自首を検討する場合には,弁護士に依頼し,弁護士の専門的な見解を仰ぎながら進めることが適切でしょう。弁護士への依頼によって,具体的には以下のような利点が期待できます。

①犯罪に該当するかが分かる

児童ポルノ事件では,問題となる行為が本当に犯罪に当たるかどうか,不明確なケースが少なくありません。例えば,盗撮を試みたとしても,衣服を身に着けた全身を撮影している程度であれば,わいせつな内容でないため「ポルノ」に当たらない可能性が出てきます。また,被写体の年齢が不明確であれば,児童(=18歳未満の男女)に該当しない可能性も生じます。
加えて,児童ポルノ事件としては,所持や提供,陳列といった行為が代表例ですが,ストリーミング視聴しただけでは犯罪行為とならないことが通常でしょう。

児童ポルノ事件の場合,「児童ポルノ」の定義や犯罪に当たる行為が明確に定められているため,それらに該当しなければ犯罪とは言えない場合があり得るところです。犯罪に当たるかどうかの具体的な判断は,弁護士の専門的な見解を仰ぐのが適切です。

犯罪の該当性に問題が生じるケース

1.「児童」と言えるか
→18歳未満かどうかが問題

2.「ポルノ」と言えるか
→衣服を着けた全身の撮影は該当しない可能性

3.禁止行為に当たるか
→ストリーミング視聴は該当しないことが通常

②自首すべき状況かが分かる

自分の刑事事件について,自首が必要な状況であるかを客観的に判断することは至難の業です。専門的な知識・経験が必要である上,当事者としての不安な感情を持った状態では,どうしても判断に偏りが生じてしまうためです。

この点,弁護士に依頼することで,自分の児童ポルノ事件がどのような状況であると推測されるか,現実に自首を行うことが有益と考えられるか,といった点について,客観的で専門的な判断をしてもらうことが可能です。あわせて,現段階で自首が不要であるとすれば,どのような場合に自首をすべきかという見通しについても意見を仰ぐことができるでしょう。

③逮捕回避につながりやすくなる

自首は,基本的に逮捕回避を最初の目的として行うものです。そのため,自首を行う以上は,逮捕回避の効果を最大限に発揮できる方法で行うことが適切と言えます。

この点,弁護士に依頼して示談を試みることで,適切な手順で自首を進めることができるため,逮捕回避によりつながりやすい方法での自首が容易になります。また,自首に必要な動きの多くを弁護士が代わりに行ってくれるため,自首の心理的負担も大きく軽減することにつながるでしょう。

児童ポルノ事件で自首をする場合の注意点

①「やぶ蛇」のリスクを抱える

児童ポルノ事件は,当事者双方が他者に発覚しないことを希望するのが通常です。児童の方も,周囲に自分の関与した児童ポルノ事件が知られることを望んでいないケースがほとんどでしょう。両当事者とも,事件ができるだけ周囲に知られないように努めることになります。
そのため,自分は自首をすべき状況だと思っていたとしても,実際には周囲に全く事件が知られておらず,自首をしたがばかりに捜査機関に発覚してしまう,いわゆる「やぶ蛇」のリスクがある点には注意が必要です。

現実的な問題として,自首前に事件が発覚しているかどうかを確認する手立てはないため,どうしても自首はやぶ蛇のリスクを抱えざるを得ません。自首のメリットとやぶ蛇のリスクを天秤にかけて,どちらを優先するか,という判断が必要になることも少なくはないでしょう。

②被疑者が特定される前に行う必要

自首は,「犯罪事実」か「犯人」の少なくともどちらかが,捜査機関に発覚していない段階でなければ成立しません。そのため,自分が被疑者と特定された後では,積極的に出頭を試みても自首が成立しない可能性に注意が必要です。

この点,捜査が着手されてから被疑者が特定できるまでの期間は,ケースにより様々です。児童との連絡方法や,身元の特定に至る情報の有無など,捜査機関の手元にある証拠の内容によって大きく変わってきやすいため,特定までの期間を予測することは困難という必要があるでしょう。
そのため,自首を検討する場合には,あまり長期間をかけることなく,極力早期に検討を進めることが望ましいところです。

③自首をしても不起訴にならない可能性

自首をした場合,その積極的な反省の行動が評価され,不起訴処分の可能性が高くなることは間違いありません。もっとも,自首をすることによって必ず不起訴になるというわけではなく,不起訴にならない可能性がある点にも注意が必要です。

児童ポルノ事件では,事件の内容等を踏まえ,刑事責任が相当程度に重いと評価される場合には,自首によって責任が軽減されたとしても不起訴までは至らない,というケースも散見されるところです。刑事責任の重さを左右する事情としては,以下のような点が挙げられます。

刑事責任の重さを左右する事情

1.児童の年齢
→年齢が低いほど責任が重くなりやすい

2.児童ポルノ事件の内容・態様
→主導的に進めている場合や,回数が多い場合には責任が重くなりやすい

3.同種前科
→前科の数に比例して責任が重くなりやすい

4.目的
→営利目的の場合には責任が重くなりやすい

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【児童ポルノ事件での呼び出し】どんな場合に呼び出される?呼び出しへの対応は弁護士に依頼すべき?

このページでは,児童ポルノ事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
児童ポルノ事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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児童ポルノ事件で呼び出された場合の対応法

①心当たりのある事件

疑いの内容に心当たりのある児童ポルノ事件の場合,まずは真摯に認めて争わないという姿勢をはっきりと示し,違法行為に対する反省の意思を強く表明することが有益でしょう。

呼び出しを受けた場合の考え方としては,何より「逮捕を防ぐ」という発想を持つことが重要です。呼び出しを行う捜査方法は,逮捕の必要性が比較的小さい場合に採用される傾向にあるため,逮捕を防ぐために適切な対処ができていれば,実際に逮捕されずに捜査を進めてもらうことも決して困難ではないことが多いでしょう。
この点,疑いを認め,深い反省の意思を示す被疑者は,逮捕の必要性が低いと評価される可能性が高いものです。なぜなら,逮捕は逃亡や証拠隠滅を防ぐために行われるところ,真摯に認めて反省をしている被疑者であれば,逃亡や証拠隠滅の恐れが小さいと考えられるからです。

心当たりのある場合には,真摯な態度に努めることで,逮捕を防ぐ対応が非常に重要となります。

ポイント
逮捕を防ぐことが重要
認めて反省する態度が適切

②心当たりのない事件

児童ポルノ事件への関与を疑われているものの,内容に心当たりがない場合には,当然ながら心当たりがない旨を回答し続けることが適切です。
そして,同じく重要な点としては,捜査機関からの連絡を無視しない,ということが挙げられます。

呼び出しを受けている状況では,心当たりのない事件でも逮捕の予防が重要です。むしろ,心当たりのない事件であるからこそ,逮捕されることは非常に大きな不利益であり,何としても避けるべき事態と言えます。
この点,捜査機関の連絡や呼び出しを無視していると,逃亡の可能性が高いと判断され,逮捕リスクが高まる傾向にあります。呼び出しても応じてくれない,という場合,呼び出しを諦めて強制的に身柄拘束する,という判断がなされやすくなってしまうわけです。

不要な逮捕の危険を招かないためにも,連絡に対して無視せず対応するという点は重要視することをお勧めします。

ポイント
捜査機関の連絡を無視しない
心当たりのない事件こそ逮捕の不利益が大きい

③2回目以降の呼び出し

初回の呼び出しを受けた後,2回目以降の呼び出しを受けるケースでは,呼び出しに対して拒まず応じ続けていれば逮捕されないことが通常です。2回目以降も呼び出しを続ける捜査機関の理解としては,初回と同様かそれ以上に,「逮捕せず呼び出しで済ませてよい」と考えていることが見込まれているためです。

2回目以降の呼び出しを受けた場合には,それまでの適切な対応を無駄にしてしまうことのないよう,捜査機関の求めに可能な限り応じながら対応を継続するのが賢明でしょう。

ポイント
対応を続けていれば逮捕されないのが通常

児童ポルノ事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

児童ポルノ事件の場合,逮捕目的で呼び出しが行われるケースはあまりないということができるでしょう。

児童ポルノ事件の代表的な特徴として,証拠隠滅が容易である,という点が挙げられます。特に,児童ポルノをデータなどで製造・所持している場合は,データを処分する作業に物理的な負担はほとんどなく,短時間で済ませることが可能です。
そのため,逮捕してまで証拠隠滅を防ぎたい場合であれば,呼び出しを行うことで「あなたのことを捜査しています」とアナウンスするのは合理的でありません。アナウンスをした段階で,即時に証拠隠滅をされてしまっては,逮捕の意味が大きく失われてしまうためです。児童ポルノ事件での逮捕は,予告をせず証拠隠滅のきっかけを与えない方法で行うことが有効であり,通例と言うことができるでしょう。

児童ポルノ事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①児童の親族が被害申告した場合

児童ポルノ事件は,事件が児童の親族に発覚し,児童の親族から捜査機関に被害申告が行われる,という流れで捜査に至ることが非常に多く見られます。そして,捜査に際しては,当事者双方から,事件の内容に関する事情の聴取を行うことが一般的です。

そのため,児童の親族が被害申告を行った後は,呼び出しが行われるタイミングの一つになるでしょう。このケースでは,先に児童から必要な事実確認を行い,場合によっては物証との照らし合わせも済ませることが多いため,呼び出しを受ける時期はそれほど早くないことが見込まれやすいところです。

②対象児童の補導がきっかけとなる場合

相手の児童が別件で補導され,警察に取り締まりを受けた際に芋づる式に発覚するケースが考えられます。特に,補導された件と同じSNSを通じて児童ととやり取りをしている場合,SNSの履歴を確認する過程で発覚する可能性は少なくありません。

児童の補導がきっかけとなるケースでは,発覚した事件の内容や件数等が具体的な取り扱い方法に影響しやすいところです。内容が過激であって件数が顕著に多い場合などは,早期の取り締まりを要すると判断されやすく,呼び出しも早期に行われやすいと言えます。

③サイバーパトロール

児童ポルノがインターネット上にアップロードされている場合や,児童ポルノ犯罪に関する当事者間のやり取りがインターネット上で発見できる場合,警察の一部が行うサイバーパトロールで事件が発覚し,取り締まりを受けるケースが考えられます。被写体が児童(=18歳未満の男女)であることが明らかであれば,サイバーパトロールで発覚した児童ポルノ事件が具体的に捜査され,呼び出しにつながる可能性もあり得るところです。

この場合の呼び出し時期は,完全に警察側の事情に影響されるため,特定は困難と言わざるを得ないでしょう。もっとも,あまりに事件が遡る場合,サイバーパトロールでの発見自体が困難になりやすいため,それほど大きく遡ることは多くありません。

④余罪が発覚した場合

ある事件で捜査を受けていたところ,自身の余罪が発覚した場合には,別途余罪で呼び出しを受ける可能性が考えられます。
もっとも,余罪のすべてについて呼び出しを受けるわけではありません。多くの場合は,事前に被害届などが提出されている事件が余罪として発覚したときに,余罪でも呼び出しを行い,具体的に取調べをすることとなりやすいでしょう。

この場合に呼び出しは,余罪が発覚してからそれほど期間を設けずに行われることが一般的です。取調べ以外の必要な捜査は,それ以前にある程度行われている可能性が高いためです。

児童ポルノ事件の呼び出しに応じたときの注意点

①該当する犯罪類型

児童ポルノ事件には,多数の類型があります。具体的には,所持,提供,公然陳列,製造,運搬,輸出入といった形で細分化されています。
もっとも,個人が児童ポルノ事件の取り締まりを受ける場合の類型は,ほとんどが「製造」又は「所持」と言ってよいでしょう。

製造は,児童の盗撮を行った,インターネット上で知り合った児童から自撮りの画像や映像を送ってもらった,といった場合に該当する類型です。そして,これらのデータなどを保有し続けている場合には,所持に該当することが見込まれます。

刑事事件の現在地を把握するためには,まず該当し得る犯罪類型を知る必要がありますが,児童ポルノ事件の場合には最初に製造か所持の可能性を疑ってみるとよいかもしれません。

②手元に証拠がある場合

児童ポルノ事件では,呼び出された段階で手元に証拠となる児童ポルノが残っているケースも考えられます。この場合,手元にある証拠をどうすべきか,といった点は悩ましいところかと思います。

この点,基本的な考え方としては,余罪の内容が捜査機関に知られるメリットはない,と言うことになるでしょう。余罪の内容に関する証拠であれば,積極的に示す実益はなさそうです。
もっとも,証拠隠滅罪に該当しないように配慮することは不可欠です。刑法上,自身の犯罪の証拠を隠滅することは証拠隠滅罪に該当しませんが,他人を巻き込むことや,他人の犯罪の証拠を隠滅することは証拠隠滅罪に該当することが見込まれます。

自分の犯罪の証拠は,自分でのみ取り扱う,という理解が重要になるでしょう。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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【児童ポルノ事件の逮捕】逮捕の可能性は?逮捕後の流れは?逮捕回避は弁護士に依頼すべきか?

このページでは,児童ポルノ事件の逮捕に関して,刑事弁護士が徹底解説します。逮捕の可能性はどの程度あるか,逮捕を避ける方法はあるか,逮捕された場合に釈放を目指す方法はあるかなど,対応を検討する際の参考にしてみてください。

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児童ポルノ事件で逮捕される可能性

児童ポルノ事件の場合,逮捕の上で捜査を行う可能性,逮捕せずにいわゆる在宅捜査を行う可能性のいずれも同様に考えられるところです。具体的な逮捕の可能性は,個別の事件内容によって変わりますが,以下のような場合には逮捕の可能性が高くなる傾向にあります。

逮捕の可能性が高くなるケース

1.児童の年齢が低い場合

2.児童の判断に強い影響を与えた場合

3.件数が際立って多い場合

4.方法が悪質と判断される場合

【1.児童の年齢が低い場合】

児童ポルノ事件は,相手児童の年齢が低ければ低いほど悪質である,との評価が通常です。児童の年齢が低い場合,それだけ児童の判断能力は未熟であることが見込まれるため,児童の未熟さに付け込む行為の責任も重いと評価されます。また,若年児童は保護の必要性が高いため,被害者保護の観点でも事件を重大視することになりやすいところです。

刑事事件では,見込まれる刑事責任が重大であるほど逮捕の必要性が高いとの理解につながるため,児童の年齢が低いことは逮捕の可能性を高くする要因と言えます。

【2.児童の判断に強い影響を与えた場合】

児童ポルノ事件では,児童自身に撮影をしてもらった,児童の了承を得たなど,児童自身の判断を前提に起きているケースも少なくありません。この点,児童が専ら自分の考えで決めたのでなく,加害者の言動によって判断を歪められた場合には,やはり悪質性を理由に逮捕の可能性が高くなる傾向にあります。

このような理由で逮捕されるケースでは,同様の手口で複数の児童が判断を歪められている場合が多く見られます。犯罪の計画性も相まって,刑事責任が相応に重いと評価されやすいところです。

【3.件数が際立って多い場合】

児童ポルノ事件は,一定の余罪がある場合も多く見られます。そのため,余罪があるというだけで直ちに逮捕の可能性が高まるとまでは言えません。

しかし,余罪の数や頻度があまりに際立って多い場合には,再発防止の必要性が高い上,余罪を含めた多数の証拠隠滅が懸念されやすくなるため,逮捕の可能性が高くなります。

【4.方法や目的が悪質と判断される場合】

組織的・計画的な事件や,営利目的で行われる事件など,犯罪の方法や目的が悪質と判断されるケースでは,逮捕の可能性が高くなりやすいところです。特に,営利目的で行われる児童ポルノ事件は,児童の性的搾取という側面が強く,取り締まりの必要性が高いと評価される傾向にあるため,証拠隠滅を防ぎながら確実に取り締まるため,逮捕の可能性が高くなりやすいでしょう。

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

児童ポルノ事件で逮捕を避ける方法

①捜査開始前の場合

児童ポルノ事件は,当事者間の解決を目指す動きによって逮捕回避を図ることが有力な事件類型です。児童ポルノ事件の捜査は,児童の親権者に事件が発覚して捜査機関への相談がなされた場合など,児童側の都合や希望によって開始することが大多数であるため,児童側との間で解決済みであれば,捜査が行われる可能性の多くを予防する結果につながります。

この点,捜査開始前のケースで示談を目指すためには,当事者間で直接の連絡が取れる状況にあることが必要です。把握している連絡先に問い合わせ,連絡が取れた場合には示談交渉が開始できる,という流れになるでしょう。
もっとも,直接の連絡が可能な状況であっても,当事者同士が直接示談の連絡をすることは望ましくありません。交渉が難航しやすい上,児童に圧力をかける目的と誤解される恐れもあるため,代理人を通じて連絡を試みることが適切です。

ポイント
児童側に直接連絡を取って示談を試みることが有力
もっとも,代理人を通じて連絡を取るべき

②捜査開始後の場合

捜査が開始された後であっても,当事者間での示談によって逮捕回避を図ることが有力であることに変わりはありません。

ただ,捜査が開始されている児童ポルノ事件の場合には,直接の連絡が可能であったとしても,直接連絡を行うべきでありません。既に警察が事件に介入している以上,示談希望の旨は警察に伝え,警察から児童側の意思を確認してもらうステップを踏むのが適切です

この点,警察に示談の申し入れを行う場合には,弁護士への委任が必要となります。依頼を受けた弁護士が警察に申し入れを行い,児童側の了承が得られれば弁護士と児童側との間で連絡を取る,という流れで示談の試みが可能です。

ポイント
捜査開始後は警察を介して示談を試みる
示談の試みには弁護士が必要

③捜査が行われているか不明の場合

児童ポルノ事件について,捜査が開始されているかどうかが分からない場合には,万一今後捜査が始まったとしても逮捕はしない,との判断を促すことが有力です。具体的な手段としては,自首が考えられるでしょう。

自首は,捜査機関に対して自らの犯罪を申告する行為であるため,自首をした人からは真摯な捜査協力が得られると理解することが通常です。そうすると,後に犯罪捜査を行うとなった際にも,「逮捕しなければ必要な捜査が遂げられない」と判断される可能性は非常に低くなり,逮捕の回避につながりやすくなるでしょう。

ポイント
自首することで,逮捕の必要がないとの判断を促す

児童ポルノ事件の逮捕は弁護士に依頼すべきか

児童ポルノ事件の逮捕に関する事項は,弁護士に依頼し,弁護士の判断を仰ぎながら対応することが適切です。逮捕されるかどうか,逮捕された場合に早期釈放が可能かどうか,といった点は,その後の生活に極めて大きな影響を及ぼすものであるため,万全の対応を期すことをお勧めします。
弁護士に依頼した場合の具体的な利点としては,以下のポイントが挙げられます。

①児童側への接触

示談のため被害者側へ接触を試みるときには,弁護士を間に入れなければならないのが通常です。示談が成立しているかどうかは,逮捕の可能性に直結する重要な問題であるため,逮捕回避の手段として示談を試みることは少なくありませんが,示談によって逮捕回避を目指したいという場合には,弁護士への依頼が不可欠と言えます。

②捜査機関の判断への影響

弁護士に依頼することによって,捜査機関の不適切な逮捕を抑制する効果が期待できる場合もあります。捜査機関としては,逮捕に法的な問題があると,弁護士から責任追及をされる可能性が懸念されるためです。
弁護士が入っていることで,捜査機関は適法性がはっきりしない手続を行いづらくなります。そのため,捜査手続が適正であることを慎重に確認させるとともに,違法の疑いがある逮捕などを未然に防ぐ結果につながるケースもあり得るところです。

③余罪に関する対応方針

児童ポルノ事件で逮捕されるかどうかは,余罪の取り扱いによっても変わってくることがあります。自分の身体が一つしかない以上,余罪を含むどれか一つの事件で逮捕されると,逮捕を防ぐという目的は達成できないためです。

この点,弁護士に依頼することで,余罪の取り扱いはどうなることが見込まれるか,逮捕回避のためには余罪に関する対応をどのように行うべきか,といった点について専門的な判断を仰ぐことが可能です。また,余罪に関して適切な対応ができれば,最終的な刑事処分の軽減という意味でも有益な影響を及ぼす可能性が非常に高くなるでしょう。

児童ポルノ事件の逮捕に関する注意点

①逮捕が回避できないケース

逮捕が行われる事件では,被疑者に対する最初の接触が逮捕である,ということが数多く見られます。逮捕をする前に被疑者へ接触してしまうと,後の逮捕を防ぐ目的で逃亡や証拠隠滅をされるきっかけとなりかねないためです。

そうすると,逮捕をする事件では,被疑者は逮捕されて初めて捜査の開始を知ることになりやすく,未然に逮捕を回避する余地がない場合もあり得ることに注意が必要です。このようなケースで逮捕を回避するためには,自分への捜査が行われているかどうか分からない段階で,自首等の積極的な動きを取る必要が生じやすいでしょう。

②逮捕された場合の考え方

児童ポルノ事件では,逮捕された場合にも早期釈放の可能性が十分にあり得るケースが少なくありません。そのため,逮捕を理由に諦めてしまうのでなく,逮捕後に早期釈放の可能性があるか,具体的に弁護士の見解を仰ぐなどして検討することをお勧めします。

逮捕後の早期釈放は,当然ながら早期に動き出さなければ実現が困難なものです。児童ポルノ事件で逮捕された場合には,まず早期釈放が可能かどうか,弁護士に相談等をして法的な判断をしてもらうことをお勧めします。

③家宅捜索が最初に行われる場合

児童ポルノ事件では,対象となる児童ポルノを確保するために,家宅捜索が先に行われるケースも少なくありません。取調べなどをする前に,最初に家宅捜索をすることで,証拠の処分を防ぎながら早期に差押えを目指す捜査方法です。

この点,強制捜査である家宅捜索が行われると,逮捕が見込まれるようにも思えますが,決して逮捕が予定されているとは限りません。そのため,逮捕を予防する試みは積極的に検討するのが有力でしょう。
むしろ,家宅捜索を行う場合は,「ただ呼び出すだけの事件よりも逮捕の必要性は高いが,逮捕するかどうかは明らかでない」という状況であること見込まれます。そうすると,家宅捜索後の対応次第で逮捕されるかどうかが変わりやすく,逮捕回避の努力はより重要な状況であると言っても過言ではないでしょう。

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【児童ポルノ事件の不起訴処分】示談すれば不起訴になる?逮捕されると不起訴にはならない?疑問点を徹底解説

このページでは,児童ポルノ事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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児童ポルノ事件で不起訴を目指す方法

①特定の相手がいる事件

SNSなどで知り合った児童に児童ポルノ画像・映像を撮影してもらったなど,事件の相手方が特定できている場合には,その相手との間で解決を目指すことが不起訴処分のために最も有力です。具体的には,児童側との示談が目標になるでしょう。

児童ポルノの事件は,その被写体となった児童を被害者とする側面があるため,児童との示談によって被害の埋め合わせができれば,不起訴処分を促す非常に重要な判断材料となります。違法性の程度が著しいケースでなければ,示談ができるかどうかによって起訴不起訴が分かれることも珍しくありません。

また,児童ポルノに関する事件は,起訴した場合に児童のプライバシー情報が一部公開されてしまう可能性があることから,児童側のプライバシーに配慮した刑事処分が求められる場合もあり得ます。そのため,示談の結果,児童側がプライバシー保護の観点から起訴を希望しない,という意向に至れば,より有益な効果が見込まれます。

ポイント
児童との示談によって起訴不起訴が分かれる場合も珍しくない

②特定の相手がいない事件

児童ポルノに関する事件では,被写体となった児童が特定できない場合も少なくありません。具体的には以下のようなケースが挙げられます。

児童の特定ができない児童ポルノ事件

1.撮影に関与していない児童ポルノの所持

2.不特定多数者を盗撮する方法での児童ポルノ製造

3.営利目的で多数の児童ポルノを入手・譲渡していた場合

このようなケースでは,被写体となった児童との間で示談を目指すことが現実的に困難です。そのため,示談以外の方法で不起訴を目指すことが必要になります。
この点,認め事件であれば,何より反省していることやその内容を粘り強く示し続けることが適切でしょう。犯罪事実に争いのない場合,処分の重みは「情状」を基準に判断せざるを得ませんが,情状に関する代表的な判断材料が反省状況です。反省を深めていれば,軽微な処分が適切な情状と言えますし,逆に十分な反省が見られない被疑者には,情状面を理由に相応の重大な処分が必要と評価される傾向にあります。

ポイント
被写体が特定できない事件では,反省内容を粘り強く表明し続けるべき

③否認事件

否認事件の場合は,まず犯罪の成否を左右する争点は何か,という点を正しく把握することが肝要です。争点を踏まえず否認するのでは,自分が何を主張しているか分かっていないと言わざるを得ず,不起訴処分は遠のくばかりでしょう。

犯罪の成否を左右する争点として,児童ポルノ事件で最も特徴的なものが「年齢の認識」です。
刑事事件で犯罪が成立するには,犯罪の「故意」が必要です。この点,児童ポルノの被写体は児童(=18歳未満の男女)であることが必要であるため,犯罪の故意が認められるためには,被写体の年齢に関しても故意がなければなりません。

児童が年齢を偽っていたなど,18歳以上の年齢と誤信していた場合には,犯罪の故意がないとの主張が有力になってきます。もっとも,明らかに若年者であるのに年齢確認を怠ったなど,年齢を信頼したことに合理的な理由がないケースでは,故意ありと判断されやすいため注意が必要です。

ポイント
犯罪の成否を左右する争点を把握する
児童ポルノの事件では,年齢に関する故意が争点となりやすい

児童ポルノ事件で不起訴になる可能性

児童ポルノ事件は,犯罪事実が間違いなく存在しており,被疑者が漫然と対応していれば,基本的に起訴されると考えるのが適切です。事件類型や刑事責任の重さを踏まえると,初犯だから不起訴,という軽微な取り扱いは期待しづらいところです。

もっとも,適切な対応を尽くし,対応の結果が伴えば,不起訴になる可能性は十分考えられます。特に,組織性や営利目的のない,個人の私的利用目的での事件であれば,刑事責任の重さ自体も限定的であることが多く,不起訴処分が目指しやすいケースも増えるでしょう。

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

児童ポルノ事件で不起訴を目指す場合の注意点

①示談が成立しても不起訴とは限らない

児童ポルノ事件の場合,示談が成立したから不起訴になる,という単純な関係にはないことに注意が必要です。これは,児童ポルノ事件の法的な性質が特徴的であるために生じる注意点です。

児童ポルノ事件は,判断能力の未熟な児童を事件に引き込んだ,という面があるため,児童を被害者とする事件と理解されています。この点は,窃盗罪や傷害罪などと同じく,「被害者の損害を与えたことが刑事責任の根拠である」という考え方です。
他方,児童ポルノ事件には,「社会の性的な秩序を乱したことが刑事責任の根拠である」という面もあると理解されています。児童ポルノ事件が横行すると,児童の性風俗が乱れてしまい,健全な成長が阻害される社会になってしまうため,そのような社会の利益を害したことに対して刑罰を科す,というものです。

この点,児童との示談は,児童という被害者への損害を補填する意味は持ちますが,社会の秩序を乱したことへの補填にはなりません。そのため,児童ポルノ事件の刑事責任全てを示談でカバーすることはできず,示談しても不起訴にならない場合が生じ得るのです。

ポイント
児童ポルノ事件は示談=不起訴ではない

②示談を試みる場合の相手

児童ポルノ事件の示談は,形式的には相手の児童本人が当事者です。もっとも,未成年である以上,自分で示談という契約をすることが困難であるため,一般的には親権者が児童の代理をすることになりやすいでしょう。
児童ポルノ事件で,示談による不起訴処分を目指す場合には,その相手が児童の親権者となることを想定しておくのが適切です。

この示談相手の問題は,事件内容に関するこちらと相手の理解が異なり得る,という意味で重要な問題となります。児童の親権者は,基本的に児童から聞いた内容のみを踏まえて示談交渉に臨むため,児童に不利益な事情は何も知らないケースは少なくありません。親権者の認識を修正することを目指すのか,認識にズレがあることを前提に示談を目指すのかは個別の判断によりますが,少なくとも理解している事件の内容にズレのある可能性はあらかじめ想定しておくことをお勧めします。

ポイント
親権者との間で,事件内容の理解にズレがあり得る

③対象児童が不明の場合

児童ポルノ事件では,児童側に捜査開始のきっかけがあった場合には児童の特定が容易ですが,捜査が始まった経緯によっては,児童が誰か特定できないというケースもあり得るところです。
このとき,特徴的な留意点としては以下の点が挙げられます。

対象児童が特定できない場合の留意点

1.示談による解決が困難
→相手が分からないため示談が現実的に不可能

2.相手の年齢が争点になり得る
→相手が18歳未満であるかどうかを争う場合の根拠の一つになり得る

個別の事件で対象児童が特定できない場合,この点をどのように対応方針に反映していくかは,弁護士に依頼の上で専門的な判断を仰ぐことをお勧めします。

④余罪の影響

児童ポルノ事件は,類型的に余罪のあることが多くなりやすいものです。そして,余罪がある場合には,余罪も含めて不起訴処分にならないと不起訴の目標が実現できない,という点に注意が必要です。

余罪については,具体的に捜査・処分の対象とする場合,しない場合いずれもあり得るところですが,児童ポルノ事件では児童の特定ができたものに関しては具体的な捜査を行う,という判断をされやすい傾向にあります。児童が別件で補導されていた,児童とのやり取りの中に人定に必要な情報があった,といった場合には,余罪の捜査が懸念されやすいと言えるでしょう。

ポイント
児童が特定された余罪も,不起訴を目指す必要が生じやすい

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【児童ポルノ事件の弁護士選び】重視すべき基準は?弁護士の選択方法は?

このページでは,児童ポルノ事件の弁護士選びについてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。弁護士への依頼を検討する際の参考にご活用ください。

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児童ポルノ事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕直後

児童ポルノの事件は,逮捕後に早期釈放がなされる場合,継続的に身柄拘束される場合がいずれもあり得る事件類型です。一般的な児童ポルノ事件であれば,逮捕直後の段階でどのような対応ができるかが,その後の身柄拘束の有無や期間に大きな影響を及ぼしやすいと言えるでしょう。

そのため,逮捕直後の段階では,その後の継続的な身柄拘束を防げるか,という重要な分岐点にある場合が多く,釈放に向けた弁護士への依頼を検討すべき状況にあることが見込まれます。この時点で適切に弁護士選びを行い,十分な弁護活動をしてもらうことができれば,事態が大きく好転する可能性も高まるでしょう。

ポイント
児童ポルノの事件は,逮捕直後に釈放される場合,勾留される場合のいずれもあり得る事件類型

②出頭を求められた後

児童ポルノの事件では,いきなり逮捕を行うのでなく,被疑者の出頭を求めて取り調べを行い,その内容を踏まえてその後の捜査方針を決定していく,という流れになることもあります。そのため,捜査機関から電話などで出頭を求められることが最初の動きである,という場合も少なくありません。

この点,被疑者として出頭を求められている状況は,自分に対する捜査の出発点であるため,この段階でその後の対応方針を具体的に決定し,一貫した対応に努めることが肝要です。一貫性のない場当たり的な対応に終始していると,逮捕や家宅捜索などの強制的な捜査を引き起こす原因になったり,最終的な刑事処分に不利益な影響を及ぼしたりする恐れがあります。

そのため,出頭を求められた際には,専門性ある弁護士に相談・依頼し,その後の対応方針などを具体的に協議することが適切です。対応に適した弁護士選びができれば,望ましい結果を目指すための対応方法や弁護活動の選択肢なども具体的に知ることができるでしょう。

ポイント
出頭を求められた初期の段階で,その後の方針を決定することが重要

③初めて捜査を受けた後

児童ポルノ事件では,被疑者に対する最初の接触方法に複数の選択肢があり,どの方法が採られるかは捜査機関の方針によるところです。具体的には,以下のような選択肢が挙げられます。

捜査機関が被疑者に接触する最初の方法

1.逮捕

2.家宅の捜索

3.電話での呼び出し

これらの動きは,いつ行われるかを被疑者側が予測することも難しいため,接触を受けて初めて把握する流れにならざるを得ないのが通常です。そして,いずれかの方法で接触をされた段階では,自分にかけられた嫌疑の内容をある程度知ることができます。

そのため,初めて捜査機関からの接触を受け,被疑事件の内容を知った段階は,弁護士に具体的な相談のできる最も早い機会ということができるでしょう。そして,この早い段階で弁護士選びを行い,早期から適切な弁護活動をしてもらうことができるかどうかは,その後の取り扱いや処分に大きな差を生むことが見込まれます。

ポイント
捜査機関からの最初の接触方法は,捜査方針による
接触を受け,嫌疑の内容を把握した段階で,極力早く動くことが適切

④自首をしたいとき

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。犯罪事実や犯人が捜査機関に知られる前に,自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

自首を行った場合には,逮捕されない,処分が軽くなりやすいといったメリットがありますが,一方で自ら捜査を招くいわゆる「やぶ蛇」の恐れがあると言ったデメリットも否めません。
そのため,自首を試みようと考えるときには,適切な弁護士選びの上で,自首が適切な状況かどうかを弁護士とともに検討するのが適切でしょう。弁護士に依頼をすることで,適切な手順での自首を行うことも容易になります。

ポイント
自首を行う場合には,弁護士を通じてやぶ蛇の可能性を十分に検討するのが適切

児童ポルノ事件の弁護士を選ぶ基準

①刑事処分の見通しが正確であるか

弁護士の活動方針は,見込まれる刑事処分の内容,程度によって異なることが通常です。弁護活動の有無で大きく結果が異なるのであれば,その点を積極的に案内する必要があり,一方で活動を尽くしても結果に大差が見込まれない点があれば,そこに多大な費用を充てて弁護活動を依頼すべき,とは案内しないのが通常です。

そうすると,弁護士の案内が適切であるかは,その弁護士が持つ処分の見通しが正確であるか,という点と密接な関係を持つことになります。弁護士の見通しがあいまい又は不正確であれば,その弁護士の案内が適切な内容であることは期待できません。

そのため,弁護士選びに際しては,弁護士の見通しが正確であるかを重要な基準とすることをお勧めします。もっとも,内容そのものの正確さを評価することは難しいため,実際の検討に際しては,見通しが具体的であって専門的な知識や経験がなければ案内できない内容か,といったことを基準とするのが有効でしょう。

②聴き取り能力が十分か

弁護士選びに際しては,法律相談を行い,弁護士に話を聞いてもらうことが必要です。そのため,自然と弁護士による聴き取りの内容,方法を目の当たりにすることが見込まれますが,この聴き取り能力には大きな個人差が見られやすいものです。
事件の内容を踏まえて必要十分な内容を聴き取る手順の適切さ,聴き取り時の相手への配慮や話の仕方などは,法律的な知識や専門性以上に千差万別と言えるでしょう。

この点,弁護士の聴き取り能力は,事件を正確に把握するというのみでなく,弁護士を通じて示談を試みる場合の結果にも影響を及ぼす可能性があります。特に児童ポルノ事件の場合,当事者間で言い分の異なることが非常に多く,児童側は話を伝聞で聞いたのみの親権者が窓口となりやすいため,感情的な衝突を回避しつつ円滑な解決を目指すには,弁護士の聴き取り能力が重要な要素となります。

弁護士選びに際しては,弁護士の聴き取り方法,内容が適切か,という点を判断材料とするのが有益でしょう。

③弁護士費用の見通しは明確か

弁護士への依頼に際しては,弁護士費用の支払が必要となります。この点,弁護士費用の金額や,費用が発生する条件は,法律事務所によって様々に異なります。

この点,児童ポルノ事件の場合,逮捕されるかどうか,示談できるかどうか,起訴されるかどうかなど,見通しの不透明な点が多くなりがちです。また,余罪のある場合には,余罪の捜査や逮捕,起訴はあるか,といった点も,個別のケースによります。
そのため,弁護士費用に関しても,どの場合にどの程度の費用がかかるのか,ということが事前に明らかでなければ,弁護士費用がトータルでいくらかかり得るのか,見通しを持つことができません。弁護士選びの際には,ケースごとの弁護士費用の見通しが明確か,ということに留意するのが望ましいでしょう。

なお,適切な弁護士選びができれば,数ある可能性のうちどのケースに当たるかの性が高いか,という見立てを聞ける場合も少なくありません。

④弁護士と円滑に連絡できる方法があるか

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

児童ポルノ事件で弁護士を選ぶ必要

①早期釈放のため

児童ポルノ事件は,逮捕された場合でも早期釈放の余地が残っている場合は少なくありません。もっとも,早期釈放を目指す場合,具体的な活動は弁護士に委ねざるを得ないものです。接見で必要な話し合いを行ったり,ご家族と連絡を取り合ったり,捜査機関や裁判所に必要なアクションを尽くしたりと,早期釈放に向けて弁護士でしかできないことは多岐に渡ります。

逮捕後に早期釈放を実現できるかどうかは極めて大きな分岐点であり,早期釈放の利益が非常に大きいことを踏まえると,早期釈放に向けて適切な弁護士を選ぶ必要性はとても高いと言えるでしょう。

②不起訴処分のため

児童ポルノ事件では,不起訴処分となる場合とならない場合の区別が明確にはできないことが少なくありません。例えば,児童との間で示談が成立したとしても,不起訴になるわけではなく,起訴不起訴を分ける基準は不明確なことも多く見られます。また,否認事件の場合,故意という内心の問題が起訴不起訴を分ける最大のポイントとなることも珍しくありませんが,故意の有無は客観的な事情を踏まえて第三者が判断しなければならず,やはり個別の判断とならざるを得ません。

そうすると,児童ポルノ事件で不起訴処分を獲得するための具体的な手段をどうすべきかは,個別事件の内容を踏まえた専門家の判断以外には決めることが困難でしょう。
適切な方針で不起訴処分を目指すためには,適切な方針を決めてくれる弁護士選びが肝心です。

③適切な取り調べ対応のため

児童ポルノ事件の場合,取調べに対してどのような対応を取ったか,どのような回答をしたか,という点が最終的な結果を左右することも少なくありません。例えば,認め事件の場合,反省や後悔,謝罪といった意思を適切に表明することで,情状面での考慮を期待できる可能性が上がります。また,否認事件では,法的な争点を踏まえて取調べに臨むのとそうでないのとでは大きな差が生じます。

もっとも,適切な取調べ対応が具体的にどのようなものか,ということは,専門的な知識や経験がなければ判断が難しいものです。そのため,個別事件の内容に応じた適切な取調べ対応を尽くすためには,弁護士選びを十分に行い,信頼できる弁護士との間で協議を尽くすことが必要と言えます。

児童ポルノ事件における弁護士選びの準備

①事件の内容を簡潔にまとめる

弁護士への相談に際しては,限りある時間の中で事件の内容を把握してもらった上で,悩みを伝え,解決方法の有無や内容を案内してもらうことが必要です。そのため,事件の内容を小出しに説明していたり,相談の終盤で重要な新事実が分かったりすると,適切な弁護士選びは困難です。

そのため,弁護士選びに当たっては,対象となる事件の内容をできるだけ簡潔にまとめ,弁護士に説明できるよう準備しましょう。内容をまとめる際には,以下の点に留意するのが有効です。

児童ポルノ事件の内容を伝えるときの留意点

1.時系列を重視する

2.児童の年齢について,いつ,どのような認識だったかを整理する

3.映像や画像の具体的な内容を言語化する

4.不利益な内容を伏せない

②証拠になるものをまとめる

児童ポルノ事件の場合,問題となる児童ポルノ(映像や画像など)が手元にある場合も考えられます。また,既に押収されている場合は,捜査機関が交付する「押収品目録」に,その内容が具体的に明記されているはずです。

これらの証拠は,弁護士が事件の内容を正確に把握し,見通しを立てたり案内をしたりするための重要な情報となることが多いものです。そのため,弁護士選びを行うにあたっては,事件の証拠関係が分かるものを可能な限りまとめ,弁護士の求めに応じて示せるように準備しましょう。

③できる限り速やかに動く

弁護士への依頼は,当然ながら弁護士選びの後に行うこととなります。そのため,弁護士選びの速やかさは,弁護士への依頼の速やかさと直結し,ひいては弁護活動の迅速さにつながるものです。

この点,特に身柄事件の場合,弁護活動が速やかに開始されているかどうかによって,釈放時期や処分結果が異なる場合も珍しくありません。速やかに弁護士選びを行うことは,それだけで有益な動きである,と理解しても差し支えないでしょう。

児童ポルノ事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①未成年者や学生は家族と相談する

児童ポルノの事件は,児童(=18歳未満の男女)を相手にする事件であるため,捜査の対象となる被疑者も未成年や学生などの若年者である場合が一定数見られます。この点,被疑者本人が未成年者や学生の場合,弁護士選びの前に必ずご家族に相談しましょう。
未成年者や学生がご家族と相談するべき具体的な理由としては,以下の点が挙げられます。

ご家族に相談するべき理由

1.弁護士への依頼が困難
→未成年者が独断で弁護士と契約をすることは法律的に難しい

2.金銭面の対応が困難
→弁護士選びに必要な経済的負担はご家族のサポートなしには難しい

3.法律相談や方針の判断が困難
→内容が高度に法律的な問題となる場合,内容の理解や判断が難しい

ご家族への相談なく弁護士選びを行うことは,相談を受けた弁護士側が断らざるを得ない可能性も高くなるため,避けるよう注意しましょう。

②弁護士に信頼感が持てることの重要さ

依頼者も弁護士も人である以上,相性の問題を避けて通ることはできません。依頼者目線では,今一つ信頼できないと感じながら弁護士に依頼するメリットはない,と考えるべきでしょう。

この点は,最善の解決に至ればそれほど大きな問題にはなりません。しかしながら,弁護活動は事前に最善の結果になるとお約束することが不可能であり,どうしても結果が伴わない場合があります。示談を試みたものの被害者に拒否された,全部無罪を主張したものの一部の主張が認められなかった,といった場合が代表例でしょう。

そして,弁護士への信頼感を軽視することは,最善の結果でなかった場合に大きな問題となります。弁護士が最善の活動をしてくれたのか,結果はやむを得ないものだったのか,という点について疑念が生じやすくなるためです。
弁護士の活動を心底信頼できていれば,心から「やむを得なかった」と納得しやすいですが,弁護士への信頼感が不十分であればそうもいきません。

率直に弁護士を信頼できるか,という点は,弁護士選びに際して軽視しないことが適切でしょう。

③示談金の負担に留意する

児童ポルノ事件では,児童側との示談が有力な事後対応の一つです。児童ポルノ事件には,判断能力が不十分な児童の未熟さに付け込んだ(児童を唆した),という面があると理解されるため,児童側との間で示談が成立することで,児童を唆した面の刑事責任が軽減することも期待できます。

ただ,相手の児童が未成年であるため,示談交渉の相手は親権者になるところ,親権者は強い被害感情を持っていることが少なくありません。親権者は児童を保護する立場である以上やむを得ませんが,「児童が了承して行ったことだからお互い様」とは考えていない可能性を事前に想定しておくのが適切です。

この点,親権者の被害感情は,示談の際の示談金に影響することが見込まれます。一方が示談を望み,もう一方が強い被害感情を持っているとなれば,示談を望む方が示談金を支払う形での示談になりやすく,その金額も「被害者と加害者」という関係を前提とした水準になりやすい傾向にあります。

④児童が遠方の場合

児童ポルノ事件は,当事者がSNS等で知り合ったケースの場合,児童側が遠方に居住していることも多く見られます。このとき,捜査を行うのは児童が居住する地域を管轄する警察署になりやすいため,あらかじめ注意することが望ましいでしょう。
児童が遠方に居住している事件で,具体的に注意すべき事項としては,以下の点が挙げられます。

児童遠方の場合の注意事項

1.遠方の警察署に出頭を要する可能性
→呼び出しは,捜査を行う警察署まで来るよう求められやすい

2.弁護士費用が大きくなる可能性
→弁護士が遠方への出張を要する場合,その分費用が大きくなりやすい

弁護士選びに際しては,児童の住居地や捜査を行っている警察署名などを,可能な限り弁護士に伝え,弁護士からの案内に反映してもらうことをお勧めします。

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侵入窃盗事件では自首をするべきか?自首をすれば逮捕や起訴は防げるか?ケース別解説

このページでは,侵入窃盗事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

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侵入窃盗事件で自首をするべき場合

①被疑者を特定できる証拠がある場合

自首は,被疑者が特定されるものと見込まれる場合に,事前に行うことで逮捕回避や処分軽減を目指す目的で利用することが通常です。そのため,自首をするべき場合の代表例は,放置していても自分が被疑者と特定され,逮捕されてしまう場合,ということになるでしょう。

この点,侵入窃盗事件では,被疑者を特定すれば,その被疑者を逮捕しながら捜査を行うことが非常に多く見られます。そうすると,侵入窃盗事件の場合,自分が被疑者と特定されることは,ほぼイコール自分の逮捕が見込まれること,という理解が可能です。

そのため,侵入窃盗事件で自分が被疑者と特定できる証拠があるケースでは,積極的に自首を検討するべきと言えるでしょう。証拠の具体例としては,現場又は付近の撮影画像・映像,周辺の目撃者等が挙げられます。

ポイント
侵入窃盗事件は,被疑者を特定できれば逮捕することが多い
被疑者の特定が見込まれる場合は,自首による逮捕回避が有益

②捜査が行われていると分かった場合

侵入窃盗事件の場合,事件が起きても全てが捜査されているとは限りません。通常,侵入窃盗事件は被害者が自身の被害を把握したときに捜査機関へ相談等し,捜査の開始へとつながるものですが,逆に被害者が侵入窃盗被害を把握していない場合,捜査が始まるきっかけは生じず,捜査がなされないままである,ということも考えられます。

自首は,非常に有利な効果をもたらしやすい行動ですが,一方で「捜査が行われていないのに自首をしてしまうかもしれない」というリスクを背負う行動でもあります。裏を返せば,このリスクがない場合,自首がより有益な手段になると言えるでしょう。

自身の侵入窃盗事件について捜査が行われていると分かった場合は,「捜査が行われていないのに自首をしてしまうかもしれない」というリスクはない状況と言えるため,自首を積極的に検討することが有効です。

ポイント
自首は捜査が行われていない場合のリスクを背負った行動

③当事者間で示談交渉できる間柄にない場合

侵入窃盗事件は,具体的な被害者に対する犯罪行為であるため,被害者が捜査を希望すれば捜査が行われ,被害者が加害者の処罰を希望すれば処罰される,という結果になりやすい類型の事件です。一方,被害者が捜査を望んでいなければ,捜査機関が無理矢理捜査を行うことは考えにくく,被害者が加害者の処罰を望んでいないのに処罰されるということも考えにくいでしょう。

そのため,侵入窃盗事件は,当事者間の示談によって解決できれば,加害者側にとって最も望ましいところです。示談が成立すれば,その後に逮捕されたり処罰を受けたりする可能性は現実的になくなるでしょう。

逆に,被害者との交友関係がないなど,当事者間で示談交渉ができない間柄の場合,早期に示談交渉で解決する手段に乏しいため,他の手段で逮捕や処罰の回避を目指さなければなりません。この場合の具体的な手段としては,自首以外にないのが通常であり,自首を検討する必要性が高い局面と言えます。

ポイント
侵入窃盗事件は,示談ができれば逮捕や処罰がなされづらい
被害者と示談交渉ができない関係の場合,自首が有力に

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

侵入窃盗事件の自首は弁護士に依頼すべきか

侵入窃盗事件の自首について検討する場合には,弁護士に相談・依頼をし,弁護士の専門的な見解を仰ぐことが適切です。また,実際に自首を試みる場合にも,弁護士と協同して行うことを強くお勧めします。
弁護士に依頼することの具体的なメリットとしては,以下の点が挙げられます。

①自首すべき状況か判断できる

侵入窃盗事件は,重大な刑事処罰のあり得る事件類型のため,捜査が行われていないのに勇み足で自首を行ってしまった場合の不利益が大きくなりやすいという懸念があります。自分の自首が原因で捜査・処分を受けてしまう,いわゆる「やぶ蛇」の結果になると,自ら自身に対する刑罰を招くことにもなりかねません。

そのため,侵入窃盗事件の自首を検討する際には,本当に自首が必要な状況か,自首をする場合としない場合のリスクはどの程度の状況か,ということを慎重に判断しなければなりませんが,当事者本人が判断することは非常に困難です。客観的に検討すること自体が難しい上に,刑事事件の専門的な知識や経験がないと判断の尺度も設けられないためです。

この点,弁護士に依頼を行うことで,実際に自首すべき状況かどうかを弁護士が客観的,専門的に判断することが可能になるでしょう。自首を行うかどうかの重要な判断材料が得られるはずです。

②自首の意思を正確に伝えられる

自首を行う場合に,その意図や目的,伝えたい内容等が正しく捜査機関に把握してもらえず,意図しない不利益を被るケースは意外に少なくありません。特に,当事者本人のみで自首を試みるとなると,逮捕などへの不安から話すべきことを自分なりに選びながら話そうとするあまり,捜査機関から「重要な証拠を隠そうとしている」という疑いを抱かれる場合も一定数見られます。
実際には誠意を持って自首を試みているにもかかわらず,重要な証拠隠滅の隠れ蓑として自首を利用している,との疑いを持たれてしまうことは,極めて重大な不利益につながりかねず,是が非でも避けるべきでしょう。

この点,弁護士に依頼し,弁護士が主導する形で自首を行えば,自首の趣旨を弁護士から正確に伝えてもらうことができ,自首のメリットを確実に得られる結果につながります。また,自首に必要な捜査機関とのやり取りはすべて弁護士が行うため,時間的,心理的負担を大きく軽減することも可能でしょう。

③速やかに弁護活動を開始できる

自首は,行う人にとっては非常に重要な出来事ですが,刑事事件の手続全体との関係ではスタートラインにとどまります。自首の位置づけは,職務質問などと同じくあくまで捜査が始まるきっかけであり,実際の捜査はその後に継続していくものです。
そのため,自首を行う場合には,その後に捜査が行われ,捜査が終われば刑事処分の検討がなされる,ということをあらかじめ視野に入れておく必要があるでしょう。

この点,自首を行う段階から弁護士に依頼することで,自首後の捜査や刑事処分に向けた弁護活動を,最も早い段階から開始できます。自首による処分の軽減を期待するのであれば,自首を行うのみでなく,その後の弁護活動も処分の軽減を目指したものにするべきです。

侵入窃盗事件で自首をする場合の注意点

①逮捕が回避できるとは限らない

侵入窃盗事件は,類型的に重大性が大きいことを踏まえ,逮捕される可能性が非常に高い事件類型です。そのため,自首を行ったからと言って直ちに逮捕されなくなるとは限らない,という点には注意が必要でしょう。
自首を行ってもなお逮捕が避けられないケースとしては,以下のような場合が挙げられます。

自首しても逮捕が防げないケース

1.捜査機関が既に逮捕の方針を固めていた場合

2.事件の重大性があまりに顕著である場合

3.余罪や前科の関係で重い処罰が見込まれる場合

もちろん,自首を行うことで逮捕の回避につながるケースもあり得ますが,逮捕されないことを前提に自首する,というものでないことは理解しておくのが適切です。

②不起訴処分が約束されるわけではない

自首は,刑事処分の軽減を目指す試みである以上,自首を行う場合には不起訴処分となることを目的にしているのが通常でしょう。実際,自首を行ったケースでは,自首を理由に不起訴処分とされる例も多く見られます。

しかし,侵入窃盗事件では,そもそもの刑事責任が大きいため,自首によってある程度軽減されても不起訴処分とはならない,という可能性が大いにあり得ます。自首を試みる際にはあらかじめ注意することが適切でしょう。
逆に,自らが刑罰を受ける可能性も了承した上で,それでもなお自首をする,という態度の方が,深い反省が認められるとの評価になるため,結果的に不起訴処分の可能性が高まりやすいとも言えます。いずれにしても,不起訴処分が約束された状況にないことは正確に理解しておくことをお勧めします。

③逮捕時の備え

逮捕の可能性が高い侵入窃盗事件では,自首を行った場合にそのまま逮捕される可能性への備えもあらかじめ行っておくのが適切です。具体的には,留置施設に持ち込む物品の用意をしておくと,逮捕時の有効な備えになるでしょう。

留置施設に持ち込む物品の例としては,以下のものが挙げられます。

留置施設に持ち込む物品の例

1.現金(1万円程度)

2.着替え(上下着衣,下着,靴下)

3.本

なお,着替えや本については,留置施設内で利用できるものに詳細なルールがあります。ルールに反した物品は利用できないため,具体的なルールを依頼する弁護士に確認の上,準備することをお勧めします。

④示談を試みることの重要性

侵入窃盗事件は,被害者と示談ができるかどうかによって結果が劇的に変わることになりやすい類型です。これは,自首を行った場合でも違いはありません。そのため,自首を試みる場合には,その後に示談を試みることもセットとすることが基本,と考えるのがよいでしょう。

自首を行った場合,加害者側の深い反省の意思は行動として表明されており,被害者側もその事実を把握することになります。そのため,自首をしなかったケースよりも被害者側から示談の了承が得られる可能性は高く,その意味でも示談を行うことの重要性は非常に大きいと言えるでしょう。

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【侵入窃盗事件での呼び出し】呼び出しのタイミングや理由,正しい対応方法や考え方を詳細解説

このページでは,侵入窃盗事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
侵入窃盗事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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侵入窃盗事件で呼び出された場合の対応法

①基本的な考え方

侵入窃盗事件の場合,被疑者から話を聞きだす方法として呼び出しが行われることは多くありません。侵入窃盗事件では,被疑者が特定できたのであれば逮捕をし,身柄拘束をした状態で取り調べを行う取り扱いが非常に多いためです。
そのため,侵入窃盗事件で呼び出しを受けている状況は,どちらかと言えば例外的であり,被疑者としては有益な取り扱いを受けている,という理解ができるところです。

侵入窃盗事件の被疑者とされているにもかかわらず呼び出されている,という場合,その有益な取り扱いを自ら失わないような対応を心掛ける,という考え方が望ましいでしょう。捜査機関が呼び出しを行う場合,逮捕をせず在宅捜査を進める可能性を残していることになるので,逮捕されない可能性がより高まる対応を目指したいところです。

ポイント
侵入窃盗事件の場合,被疑者の特定後は逮捕が一般的
呼び出しをするという取り扱いは被疑者にとって有益な状況

②認め事件の場合

認め事件の場合には,認めるスタンスを明らかにしたうえで,可能な限り逃亡や罪証隠滅が懸念されないように努めることが重要です。具体的には,出頭を求められれば応じる,証拠物の提出を求められれば積極的に提出する,取調べには可能な限りの情報提供をする,といった対応が適切でしょう。

捜査機関から,逃亡や罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうことができれば,逮捕を防ぐことのできる可能性が高くなります。

ポイント
逃亡や罪証隠滅の恐れがない,との判断を目指す

③否認事件の場合

否認事件で呼び出しを受けている場合,被疑者を明確に特定するだけの証拠がない状況である,という可能性が想定されます。物的証拠が確かでないため,犯人の可能性がある人物や事件の情報を知っている可能性のある人物からとりあえず話を聞く,という動きです。
そうすると,呼び出しを行う捜査機関としては,呼び出した際に自白が引き出せないか,という考えであることが少なくないでしょう。

そのため,まずは否認の態度を明確にし,逮捕するだけの証拠はないとの判断を促すのが有効です。ただ否認するのでなく,その裏付けとなり得ることをできる限り伝えられると,より望ましいでしょう。
また,前提として呼び出しに一度は応じることが適切です。否認事件の場合,呼び出される筋合いはない,という発想になることも無理はありませんが,出頭を拒否し続けるのは逮捕の可能性を自ら高める結果になりかねないため,あまり適切な対応とは言い難いところです。

ポイント
被疑者を特定する証拠に乏しい可能性が見込まれる
記憶に反した自白は厳禁

侵入窃盗事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

侵入窃盗事件は逮捕の可能性が高い事件類型であるため,呼び出しに応じて出頭した際に逮捕される,という流れは否定できません。もっともこれは,呼び出しに応じたことが逮捕の原因になる,というわけではありません

呼び出しに応じた際に逮捕されるのは,事前に逮捕を決めていた,という場合であるため,呼び出しに応じるかどうかにかかわらず逮捕されていたと考えるのが適切です。ただ,逮捕を予定しているのであれば,呼び出すのでなく自宅などに直接訪れて逮捕を執行することが一般的でしょう。呼び出しによって捜査していることを知らせてしまうと,逃亡や証拠隠滅のきっかけになりかねないためです。

そのため,呼び出しを受けている状況では,逮捕するかどうかが未定であることが多いでしょう。裏を返せば,呼び出しへの対応次第で逮捕されるかどうかは大きく変わりやすい状況である,ということもできます。

ポイント
逮捕するかどうか決まっていないことが見込まれる
呼び出しへの対応如何で逮捕の可能性が変わりやすい

侵入窃盗事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①広く情報収集を行うため

特に被疑者が特定できていない侵入窃盗事件では,何らかの情報を持っているであろう人物を対象に広く情報収集を試みる捜査が行われやすいところです。いわゆる「聞き込み」というものです。

被疑者と扱うつもりではなく,何かを目撃していたり聞いていたりしないか,ということを調べるための捜査手法であるので,この場合の捜査機関の対応は非常に穏やかであることが多いでしょう。呼び出しの連絡を行う段階で,被疑者とは見ていないこと,捜査協力をお願いしたいという趣旨であることなどを,一通り明らかにしてくれる事が一般的です。

また,呼び出しは出頭の負担を求める動きになってしまうため,呼び出すのでなく捜査機関の方が訪問する形を取ることも少なくないでしょう。

②取り調べを行うため

被疑者が特定された段階では,被疑者の取調べを行う目的で呼び出されることが考えられます。この場合には,呼び出しの連絡段階で捜査機関からの積極的な情報提供が行われることはなく,端的に心当たりがないか問われる程度であることが通常でしょう。連絡を寄越してきた趣旨・目的や,呼び出しの際に協力を求めたいことなどを明らかにしてくれる,という動きも期待できないことが一般的です。

呼び出しのタイミングは,被疑者特定のための捜査を一通り行った後であることが見込まれやすいでしょう。もっとも,被疑者が特定できたとなれば,その後あまり期間を空けず呼び出すことが想定されやすいところです。

侵入窃盗事件の呼び出しに応じたときの注意点

①逮捕リスク

侵入窃盗事件は,もともと逮捕の恐れが大きい事件類型であるため,呼び出しに応じた際の対応が不適切であると,他の事件よりも強く逮捕リスクが懸念されます。
そのため,侵入窃盗事件の場合,逮捕を誘発しない対応の仕方をより慎重に選択すべきことを注意して臨むようにしましょう。

具体的には,むやみに捜査機関への敵対姿勢を示さないことが適切です。敵対姿勢を見せていると,捜査協力をしてくれるとの信頼が十分に得られにくくなるため,逮捕などの強制捜査を招く可能性が高くなります。
供述内容が認めであっても否認であっても,対応自体はいたって冷静に,理性的に行うことが合理的です。

②取調べへの対応方針

取調べを受ける際には,基本的な方針として罪証隠滅の恐れがあると疑われないようにすることを目指すようにしましょう。

侵入窃盗事件の場合,現行犯で発覚するのでなく,各種の証拠から後日発覚することが多い傾向にあります。そのため,被疑者の手元に証拠が残っている場合,その証拠が処分されるなどして発見できなくなってしまう可能性が懸念されます。
具体的な証拠としては,以下のようなものが挙げられます。

被疑者の手元に残っていると疑われる主な証拠

1.盗品

2.侵入行為に用いた物(カギなど)

3.当時の衣服や靴

4.交通手段に関する証拠(車両,公共交通機関の利用履歴など)

取調べに際しては,捜査機関から証拠の隠滅を疑われないよう,適切な情報提供や物品の提出等に努めるのが望ましいでしょう。

③余罪の取り扱い

余罪がある場合,呼び出されたときに話すべきか,どこまで話すべきかが難しい問題になることも少なくありません。

この点,同じ場所で行った余罪については,発覚を防ぐことが難しい点に注意するのが適切でしょう。なぜなら,同じ場所での余罪がある場合,実際に取り締まりを受けた事件より前の余罪が発覚したことをきっかけに,捜査が開始された可能性が高いためです。
そうすると,捜査機関では既に余罪に関する十分な捜査を行っており,余罪の嫌疑も固めた状態である可能性が高く見込まれます。少なくとも,余罪があることを前提に捜査を進めていることがほとんどでしょう。

もっとも,複数の余罪があってどれが捜査機関に把握されているか分からない等,具体的な回答方針に悩むことは大いに考えられます。個別の対応については,弁護士との十分な協議を強くお勧めします。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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窃盗で自首を考えている方必見|メリット・デメリットやコツなどを解説

「窃盗をしてしまったけれど自首した方がいいのか?」
「自首すれば逮捕されない可能性はある?」

そう思う方もいるのではないでしょうか。

窃盗事件において自首は、逮捕回避や刑罰の軽減につながる可能性があります。

ただし、必ずしも不起訴や無罪になるわけではなく、自首のタイミングや被害者との示談の有無が大きな影響を与える点を理解しておくことが重要です。

本記事では、窃盗で自首をした場合の法律上の効果、自首によるメリットやデメリットなどを詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

窃盗事件における「自首」とは

窃盗事件における「自首」とは、自ら警察や検察といった捜査機関に対して、自分が犯罪を行った事実を申告することを指します。

ここからは、自首に関する基礎知識を解説します。

自首の法律上の定義

自首は刑法第42条に規定されています。

刑法第42条

罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
引用:e-Gov法令検索「刑法」

ここで重要なのは「犯罪事実を自ら申告する」という点です。他人に促されたり、すでに警察が捜査を進めている段階では、自首とみなされません。

また、自首の成立には「任意性」が求められます。つまり、本人が自由意思に基づいて罪を認め、申告する必要があるということです。

窃盗事件で自首をした場合、この規定により量刑の判断において減軽が考慮される可能性がありますが、必ずしも自動的に軽くなるわけではなく、裁判官の裁量に委ねられる点も押さえておくべきでしょう。

自首と出頭・任意同行との違い

自首と似た言葉に「出頭」や「任意同行」がありますが、これらは法律上まったく異なる意味を持ちます。

出頭とは、犯人が捜査機関に特定された後で捜査機関に出向く行為です。

つまり、出頭は捜査機関によって主体的に呼ばれているため、自首のように「自ら進んで罪を告白する行為」には当たりません。

また、任意同行とは、警察が現場や事情聴取の場面で「ちょっと署まで来てほしい」と求め、本人が同意して警察署に同行することをいいます。

これも自首とは違い、あくまで警察の求めに応じる形です。

このように、自首は本人の自発的な意思による告白である点で、出頭や任意同行と大きく異なります。

窃盗事件で自首を検討している場合、この違いを理解していないと「自首したつもりが実際は出頭扱い」という誤解を招きかねません。

窃盗で自首した場合のメリット

窃盗で自首をすることには、主に以下のメリットがあります。

  • 刑が軽くなる可能性がある
  • 示談交渉が進めやすくなる
  • 捜査機関からの印象が良くなる

詳しく解説します。

刑が軽くなる可能性がある

自首の大きなメリットは、刑が軽くなる可能性がある点です。刑法第42条は、自首した場合に「その刑を減軽することができる」と規定しています。

これにより、懲役刑であれば執行猶予が付く可能性が高まったり、罰金刑で済んだりする場合もあります。

とくに初犯で被害額が少なく、反省の態度が明確であれば、自首は量刑判断に大きな影響を与える要素となるでしょう。
ただし、減刑は必ず適用されるわけではなく、最終的には裁判官の判断に委ねられます。

つまり、自首をしたからといって自動的に刑が軽くなるわけではない点は理解しておく必要があります。

示談交渉が進めやすくなる

窃盗で自首をすると、被害者への謝罪や賠償の意思を明確に示すことができます。この姿勢は被害者との示談交渉を進める上で大きなプラスに働きます。

被害者にとっては、加害者が逃げ隠れせず自ら責任を認めたという事実が、精神的な安心につながるからです。

実際、示談が成立すれば不起訴処分となる可能性もあり、刑事裁判を回避できるケースもあります。

ただし、示談交渉には専門的な知識が必要であり、弁護士を通じて行うのが一般的です。

自首をしても被害者が示談に応じない場合もあるため、その限界を理解した上で取り組むことが大切です。

捜査機関からの印象が良くなる

窃盗で自首をすることは、捜査機関からの印象を良くする効果も期待できます。

警察や検察にとって、自ら罪を認めて出頭する姿勢は「反省している」と受け取られやすいため、その後の取り調べや処分判断に影響する場合があります。

とくに、同じ窃盗でも逃亡や証拠隠滅を図ったケースに比べて、自首をしたケースは評価が高くなる傾向があるのです。

ただし、印象が良くなること自体が直接的に刑を軽くする根拠になるわけではないため、注意が必要です。

窃盗で自首した場合のデメリット

一方、窃盗で自首した場合のデメリットは主に以下の通りです。

  • 必ず刑が軽くなるわけではない
  • 逮捕・勾留される可能性は残る

詳しく解説します。

必ず刑が軽くなるわけではない

自首をすると刑が軽くなる可能性はありますが、必ずそうなるわけではありません。

刑法第42条では「減軽することができる」と規定されていますが、裁判所が必ず適用する義務はありません。

つまり、被害額が大きかったり、繰り返し犯行を重ねていたりすれば、自首をしても刑が重く科されることがあります。

また、自首をしたとしても、被害者が強く処罰を求めている場合や、社会的影響が大きい事件では、裁判所は厳しい判断を下す傾向にあるのです。

逮捕・勾留される可能性は残る

窃盗で自首をしたとしても、逮捕や勾留される可能性は完全にはなくなりません。

とくに、被害額が高額である場合や、証拠隠滅や逃亡の恐れがあると判断された場合には、捜査機関は身柄を拘束することがあります。

自首は「自ら出頭した」という事情として有利に働くことはありますが、それだけで逮捕を免れる保証にはなりません。

また、勾留が続くと最大で20日間以上も身柄を拘束されることがあり、その間は社会生活に大きな支障が生じます。

仕事や学業に影響が及ぶことは避けられず、社会的信用の低下にもつながってしまうでしょう。

窃盗で自首したときの手続きの流れ

窃盗で自首したときの手続きの流れは、主に以下の通りです。

  • 1.警察署に出頭する
  • 2.取り調べを受ける
  • 3.検察に送致される
  • 4.起訴・不起訴の判断がなされる

詳しく解説します。

警察署に出頭する

自首をするには、警察署に自ら出頭することです。受付で自首の意思を伝えると、担当の警察官に案内され、事件の内容や経緯を聞かれることになります。

この段階では、本人の身元確認や犯行に関する基本的な説明が求められます。

重要なのは、自首をする際には「正直に詳細を説明する」ことです。虚偽の申告や曖昧な供述は、後の手続きで不利に働く可能性があります。

また、弁護士に同席してもらうことも可能であり、法律的に適切な手続きを踏むためには専門家のサポートを受けることが望ましいといえるでしょう。

取り調べを受ける

自首をした後は、警察による取り調べを受けることになります。ここでは、犯行の動機や経緯、被害の状況について詳細に質問されます。

供述内容は調書として記録され、後の裁判や処分判断に用いられるため、事実を正確に伝えることが重要です。

取り調べの中では、自首をした経緯や反省の意思も確認されます。この時点で被害弁償や示談の意思を明確に示しておくと、処遇にプラスの影響を与える可能性があります。

ただし、取り調べは長時間に及ぶことも多く、精神的な負担が大きいため、弁護士を依頼してアドバイスを受けることがおすすめです。

検察に送致される

警察での取り調べが終了すると、事件は検察に送致されます。

検察官は、警察から送られた供述調書や証拠をもとに、事件の性質や社会的影響、被害の程度などを総合的に判断します。

ここで検察官が重視するのは、自首の有無や被害者との示談の進展状況です。被害者への賠償が進んでいる場合や、真摯な反省が認められる場合には、不起訴処分の可能性も高まります。

起訴・不起訴の判断がなされる

最終的に検察は、事件を起訴するか不起訴とするかを判断します。不起訴処分になれば、刑事裁判にかけられることはなく、処罰を免れることができます。

示談が成立している場合や、被害額が小さい場合、自首によって真摯な反省が認められた場合などは、不起訴の可能性が高まるでしょう。

一方で、社会的に重大な影響を及ぼす事件や、繰り返しの犯行で悪質性が高いと判断されれば、起訴され刑事裁判に進むことになります。

侵入窃盗事件で逮捕される可能性

侵入窃盗事件は,逮捕の可能性が非常に高い事件類型と言えます。捜査を行い,被疑者が特定できたとなれば,逮捕をする方が通常です。
侵入窃盗事件で被疑者を逮捕する場合,以下のような理由があることが考えられます。

侵入窃盗事件で逮捕する理由

1.行為の違法性が高い

2.被害が重大である

3.事件の再発を防ぐ必要が大きい

4.重大な刑罰が見込まれやすい

【1.行為の違法性が高い】

侵入窃盗事件は,被害者の自宅など,そのプライバシーが保護されるべき場所に侵入した上で,保管している金品を窃取するという内容であり,その行為の違法性は高いものと理解されます。少なくとも,「思わず行ってしまった」「魔が差した」といった理由で起きる事件ではなく,実行するには犯罪行為に及ぶ明確な意思を持ち続けていることが必要であるため,実行することの悪質性,違法性が重く評価されやすいのです。

被疑者を逮捕するかどうかは,逃亡や証拠隠滅の恐れを基準に判断されますが,違法性の高い行為に及んだ被疑者の場合,規範意識が低いと評価され,逃亡や証拠隠滅の危険が類型的に大きいと判断される傾向にあります。そのため,行為の違法性を踏まえて逮捕する可能性が高くなります。

【2.被害が重大である】

侵入窃盗事件では,被害者の経済的な損害はもちろん,自宅等に侵入されたことによる精神的苦痛が大きく,被害者に生じた損害は重大なものと理解されています。被害者としては,なぜ侵入されたか,何が盗まれたかを把握できないまま,いつ再度の被害に遭うか分からない不安な時間を強いられることになります。

そのため,侵入窃盗事件の被疑者を特定した場合には,被害者保護の観点から被疑者を逮捕し,被疑者と被害者を物理的に切り離す取り扱いがなされる傾向にあります。

【3.事件の再発を防ぐ必要が大きい】

侵入窃盗事件は,1回だけで終わるのでなく,同一の場所で繰り返し行われることが多く見られます。加害者が侵入方法を確保した場合,同じ方法で複数回に渡って侵入を試み,その都度金品を窃取することになりやすい事件類型と言えます。

そのため,侵入窃盗事件の捜査における重要な目的の一つが「被害の再発を食い止めること」であり,確実に再発を防ぐ手段として逮捕が選択されることになりやすい傾向にあります。

【4.重大な刑罰が見込まれやすい】

違法性や損害の大きな事件である侵入窃盗は,加害者に対する刑罰が相応に重大なものとなりやすいところです。公開の裁判(公判)が行われた上で,場合によって実刑判決を含む重い処罰の対象となることも考えられます。

刑事事件の捜査に当たっては,見込まれる刑罰が重大であればあるほど,被疑者の逃亡や証拠隠滅が懸念される,との理解が一般的です。そのため,逃亡や証拠隠滅を防止する目的で,逮捕が選択される可能性が高くなります。

逮捕の流れ

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

侵入窃盗事件で逮捕を避ける方法

①自首の試み

侵入窃盗事件の加害者となってしまった場合,事件発覚前など捜査を受けていない段階であれば,逮捕回避の手段として自首を行うことは有力です。

自首は,捜査機関に対して犯罪事実を自ら申告し,捜査や処分を求めることを言いますが,自らの侵入窃盗を捜査機関に申告する加害者の場合,その後に逃亡や証拠隠滅を図る可能性は低いと評価されるのが一般的です。自発的に捜査や処分を求めておきながら,その後に刑事責任を逃れる行動に出るのは不合理であるためです。

ただし,法的に自首が成立するのは,捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚していない場合のみです。捜査機関が犯罪事実を把握しており,捜査によって犯人を特定した後であると,自ら出頭しても自首には当たらなくなってしまうため,できるだけ早期の検討が望ましいところです。

②積極的な捜査協力

認め事件,否認事件のいずれについても,捜査協力の姿勢を見せることは逮捕の可能性を引き下げる結果につながりやすい行動です。
逮捕は,捜査の妨害を防ぎながら円滑に証拠収集を図る手段であるため,捜査が妨害される恐れがどの程度あるか,という点は,逮捕をするかどうかの重要な判断基準となります。そのため,積極的な捜査協力を尽くしている場合には,逮捕をしなくても捜査の妨害は見込まれづらく,逮捕の必要性も低いと判断されやすくなるのです。

具体的な捜査協力としては,以下のような対応が有力でしょう。

捜査協力の内容

1.出頭の求めに応じる
→出頭を求められた際に,出頭日時の調整に積極的に応じる

2.不要な黙秘を控える
→質問にはできる限り回答し,情報を伏せようとしていないことを表明する

3.証拠物の提出に応じる
→物品の提出を求められた場合には,自ら持参などする

③示談の試み

侵入窃盗事件における逮捕の判断は,被害者への配慮の面が非常に大きいものです。裏を返せば,被害者への配慮を要しない場合には,逮捕の必要性も小さくなるということができます。

この点,被害者の配慮を要しない場合の代表例が,当事者間ですでに解決しているケースです。当事者間で損害が補填されている,事件の再発がないと見込まれる,被害者が加害者の刑事処罰を希望しない,といった状況であれば,逮捕をしてまで被害者保護を図る必要はないとの判断が通常でしょう。

そのため,当事者間での解決を目指すために示談の試みをするのは有力な手段でしょう。示談が成立し,当事者間で事件が解決した場合には,逮捕回避につながるほか,最終的な刑事処分においても不起訴をはじめとする軽微な取り扱いが見込まれやすくなります。

侵入窃盗事件の逮捕は弁護士に依頼すべきか

侵入窃盗事件の逮捕に関する対応は,可能な限り弁護士に依頼し,弁護士を通じての対応を行うことを強くお勧めします。

侵入窃盗事件は,基本的に逮捕が見込まれやすい事件類型です。侵入窃盗事件の被疑者は,逮捕されやすい状況にあると言えるでしょう。そのため,逮捕の回避を目指す場合には,漫然と対応していては不十分であり,積極的に適切な行動を尽くす必要があります。

また,逮捕の回避を目指す場合も,逮捕後に早期の釈放を目指す場合も,具体的な対応方法をどうすべきかは個別の状況,内容等によって様々に変わります。具体的な判断は専門性のある弁護士に仰ぐことで,適切な対応を尽くせるよう万全の体制を設けることが有益です。

侵入窃盗事件の逮捕に関する注意点

①逮捕が回避できない可能性

侵入窃盗事件の場合,逮捕の回避を目指しても,結果的に逮捕がなされてしまうことは珍しくありません。それだけ,侵入窃盗事件は重大な事件類型であり,逮捕の可能性が大きいと評価されやすいものです。
そのため,侵入窃盗事件で逮捕回避を目指す場合には,結果が伴わない可能性をあらかじめ踏まえておくことが望ましいところです。

もっとも,逮捕がなされたとしても,逮捕回避を目指す動きが無駄であるということではありません。多くの場合,逮捕回避のための行動は,最終的な刑事処分の軽減につながりやすい行動でもあるため,自身にとって有益な行動である,ということは間違いありません。

②逮捕後の拘束期間が長い可能性

侵入窃盗事件は,逮捕された場合に早期釈放が難しく,身柄拘束の期間が長期化しやすい事件類型です。
逮捕されると,最大72時間以内に「勾留」という身柄拘束の手続に移行するかが判断されます。勾留が決定されると10日間の身柄拘束がなされ,さらに「勾留延長」となると加えて最大10日間の身柄拘束が生じます。

逮捕から起訴までの流れ

侵入窃盗事件の場合,勾留及び勾留延長が必要となりやすいため,合計20日間の勾留を想定しなければならないケースが多いでしょう。また,余罪がある場合には,余罪で再度逮捕され,20日間の勾留が繰り返されるケースもあります。その場合には,より長期の身柄拘束も考えられるため,注意が必要です。

侵入窃盗で警察から呼び出しを受けたときのポイント

呼び出された場合の対応法

①基本的な考え方

侵入窃盗事件の場合,被疑者から話を聞きだす方法として呼び出しが行われることは多くありません。侵入窃盗事件では,被疑者が特定できたのであれば逮捕をし,身柄拘束をした状態で取り調べを行う取り扱いが非常に多いためです。
そのため,侵入窃盗事件で呼び出しを受けている状況は,どちらかと言えば例外的であり,被疑者としては有益な取り扱いを受けている,という理解ができるところです。

侵入窃盗事件の被疑者とされているにもかかわらず呼び出されている,という場合,その有益な取り扱いを自ら失わないような対応を心掛ける,という考え方が望ましいでしょう。捜査機関が呼び出しを行う場合,逮捕をせず在宅捜査を進める可能性を残していることになるので,逮捕されない可能性がより高まる対応を目指したいところです。

ポイント
侵入窃盗事件の場合,被疑者の特定後は逮捕が一般的
呼び出しをするという取り扱いは被疑者にとって有益な状況

②認め事件の場合

認め事件の場合には,認めるスタンスを明らかにしたうえで,可能な限り逃亡や罪証隠滅が懸念されないように努めることが重要です。具体的には,出頭を求められれば応じる,証拠物の提出を求められれば積極的に提出する,取調べには可能な限りの情報提供をする,といった対応が適切でしょう。

捜査機関から,逃亡や罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうことができれば,逮捕を防ぐことのできる可能性が高くなります。

ポイント
逃亡や罪証隠滅の恐れがない,との判断を目指す

③否認事件の場合

否認事件で呼び出しを受けている場合,被疑者を明確に特定するだけの証拠がない状況である,という可能性が想定されます。物的証拠が確かでないため,犯人の可能性がある人物や事件の情報を知っている可能性のある人物からとりあえず話を聞く,という動きです。
そうすると,呼び出しを行う捜査機関としては,呼び出した際に自白が引き出せないか,という考えであることが少なくないでしょう。

そのため,まずは否認の態度を明確にし,逮捕するだけの証拠はないとの判断を促すのが有効です。ただ否認するのでなく,その裏付けとなり得ることをできる限り伝えられると,より望ましいでしょう。
また,前提として呼び出しに一度は応じることが適切です。否認事件の場合,呼び出される筋合いはない,という発想になることも無理はありませんが,出頭を拒否し続けるのは逮捕の可能性を自ら高める結果になりかねないため,あまり適切な対応とは言い難いところです。

ポイント
被疑者を特定する証拠に乏しい可能性が見込まれる
記憶に反した自白は厳禁

侵入窃盗事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

侵入窃盗事件は逮捕の可能性が高い事件類型であるため,呼び出しに応じて出頭した際に逮捕される,という流れは否定できません。もっともこれは,呼び出しに応じたことが逮捕の原因になる,というわけではありません

呼び出しに応じた際に逮捕されるのは,事前に逮捕を決めていた,という場合であるため,呼び出しに応じるかどうかにかかわらず逮捕されていたと考えるのが適切です。ただ,逮捕を予定しているのであれば,呼び出すのでなく自宅などに直接訪れて逮捕を執行することが一般的でしょう。呼び出しによって捜査していることを知らせてしまうと,逃亡や証拠隠滅のきっかけになりかねないためです。

そのため,呼び出しを受けている状況では,逮捕するかどうかが未定であることが多いでしょう。裏を返せば,呼び出しへの対応次第で逮捕されるかどうかは大きく変わりやすい状況である,ということもできます。

ポイント
逮捕するかどうか決まっていないことが見込まれる
呼び出しへの対応如何で逮捕の可能性が変わりやすい

侵入窃盗事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①広く情報収集を行うため

特に被疑者が特定できていない侵入窃盗事件では,何らかの情報を持っているであろう人物を対象に広く情報収集を試みる捜査が行われやすいところです。いわゆる「聞き込み」というものです。

被疑者と扱うつもりではなく,何かを目撃していたり聞いていたりしないか,ということを調べるための捜査手法であるので,この場合の捜査機関の対応は非常に穏やかであることが多いでしょう。呼び出しの連絡を行う段階で,被疑者とは見ていないこと,捜査協力をお願いしたいという趣旨であることなどを,一通り明らかにしてくれる事が一般的です。

また,呼び出しは出頭の負担を求める動きになってしまうため,呼び出すのでなく捜査機関の方が訪問する形を取ることも少なくないでしょう。

②取り調べを行うため

被疑者が特定された段階では,被疑者の取調べを行う目的で呼び出されることが考えられます。この場合には,呼び出しの連絡段階で捜査機関からの積極的な情報提供が行われることはなく,端的に心当たりがないか問われる程度であることが通常でしょう。連絡を寄越してきた趣旨・目的や,呼び出しの際に協力を求めたいことなどを明らかにしてくれる,という動きも期待できないことが一般的です。

呼び出しのタイミングは,被疑者特定のための捜査を一通り行った後であることが見込まれやすいでしょう。もっとも,被疑者が特定できたとなれば,その後あまり期間を空けず呼び出すことが想定されやすいところです。

侵入窃盗事件の呼び出しに応じたときの注意点

①逮捕リスク

侵入窃盗事件は,もともと逮捕の恐れが大きい事件類型であるため,呼び出しに応じた際の対応が不適切であると,他の事件よりも強く逮捕リスクが懸念されます。
そのため,侵入窃盗事件の場合,逮捕を誘発しない対応の仕方をより慎重に選択すべきことを注意して臨むようにしましょう。

具体的には,むやみに捜査機関への敵対姿勢を示さないことが適切です。敵対姿勢を見せていると,捜査協力をしてくれるとの信頼が十分に得られにくくなるため,逮捕などの強制捜査を招く可能性が高くなります。
供述内容が認めであっても否認であっても,対応自体はいたって冷静に,理性的に行うことが合理的です。

②取調べへの対応方針

取調べを受ける際には,基本的な方針として罪証隠滅の恐れがあると疑われないようにすることを目指すようにしましょう。

侵入窃盗事件の場合,現行犯で発覚するのでなく,各種の証拠から後日発覚することが多い傾向にあります。そのため,被疑者の手元に証拠が残っている場合,その証拠が処分されるなどして発見できなくなってしまう可能性が懸念されます。
具体的な証拠としては,以下のようなものが挙げられます。

被疑者の手元に残っていると疑われる主な証拠

1.盗品

2.侵入行為に用いた物(カギなど)

3.当時の衣服や靴

4.交通手段に関する証拠(車両,公共交通機関の利用履歴など)

取調べに際しては,捜査機関から証拠の隠滅を疑われないよう,適切な情報提供や物品の提出等に努めるのが望ましいでしょう。

③余罪の取り扱い

余罪がある場合,呼び出されたときに話すべきか,どこまで話すべきかが難しい問題になることも少なくありません。

この点,同じ場所で行った余罪については,発覚を防ぐことが難しい点に注意するのが適切でしょう。なぜなら,同じ場所での余罪がある場合,実際に取り締まりを受けた事件より前の余罪が発覚したことをきっかけに,捜査が開始された可能性が高いためです。
そうすると,捜査機関では既に余罪に関する十分な捜査を行っており,余罪の嫌疑も固めた状態である可能性が高く見込まれます。少なくとも,余罪があることを前提に捜査を進めていることがほとんどでしょう。

もっとも,複数の余罪があってどれが捜査機関に把握されているか分からない等,具体的な回答方針に悩むことは大いに考えられます。個別の対応については,弁護士との十分な協議を強くお勧めします。

侵入窃盗事件における自首のコツ

侵入窃盗事件で自首をするべき場合

①被疑者を特定できる証拠がある場合

自首は,被疑者が特定されるものと見込まれる場合に,事前に行うことで逮捕回避や処分軽減を目指す目的で利用することが通常です。そのため,自首をするべき場合の代表例は,放置していても自分が被疑者と特定され,逮捕されてしまう場合,ということになるでしょう。

この点,侵入窃盗事件では,被疑者を特定すれば,その被疑者を逮捕しながら捜査を行うことが非常に多く見られます。そうすると,侵入窃盗事件の場合,自分が被疑者と特定されることは,ほぼイコール自分の逮捕が見込まれること,という理解が可能です。

そのため,侵入窃盗事件で自分が被疑者と特定できる証拠があるケースでは,積極的に自首を検討するべきと言えるでしょう。証拠の具体例としては,現場又は付近の撮影画像・映像,周辺の目撃者等が挙げられます。

ポイント
侵入窃盗事件は,被疑者を特定できれば逮捕することが多い
被疑者の特定が見込まれる場合は,自首による逮捕回避が有益

②捜査が行われていると分かった場合

侵入窃盗事件の場合,事件が起きても全てが捜査されているとは限りません。通常,侵入窃盗事件は被害者が自身の被害を把握したときに捜査機関へ相談等し,捜査の開始へとつながるものですが,逆に被害者が侵入窃盗被害を把握していない場合,捜査が始まるきっかけは生じず,捜査がなされないままである,ということも考えられます。

自首は,非常に有利な効果をもたらしやすい行動ですが,一方で「捜査が行われていないのに自首をしてしまうかもしれない」というリスクを背負う行動でもあります。裏を返せば,このリスクがない場合,自首がより有益な手段になると言えるでしょう。

自身の侵入窃盗事件について捜査が行われていると分かった場合は,「捜査が行われていないのに自首をしてしまうかもしれない」というリスクはない状況と言えるため,自首を積極的に検討することが有効です。

ポイント
自首は捜査が行われていない場合のリスクを背負った行動

③当事者間で示談交渉できる間柄にない場合

侵入窃盗事件は,具体的な被害者に対する犯罪行為であるため,被害者が捜査を希望すれば捜査が行われ,被害者が加害者の処罰を希望すれば処罰される,という結果になりやすい類型の事件です。一方,被害者が捜査を望んでいなければ,捜査機関が無理矢理捜査を行うことは考えにくく,被害者が加害者の処罰を望んでいないのに処罰されるということも考えにくいでしょう。

そのため,侵入窃盗事件は,当事者間の示談によって解決できれば,加害者側にとって最も望ましいところです。示談が成立すれば,その後に逮捕されたり処罰を受けたりする可能性は現実的になくなるでしょう。

逆に,被害者との交友関係がないなど,当事者間で示談交渉ができない間柄の場合,早期に示談交渉で解決する手段に乏しいため,他の手段で逮捕や処罰の回避を目指さなければなりません。この場合の具体的な手段としては,自首以外にないのが通常であり,自首を検討する必要性が高い局面と言えます。

ポイント
侵入窃盗事件は,示談ができれば逮捕や処罰がなされづらい
被害者と示談交渉ができない関係の場合,自首が有力に

侵入窃盗事件の自首は弁護士に依頼すべきか

侵入窃盗事件の自首について検討する場合には,弁護士に相談・依頼をし,弁護士の専門的な見解を仰ぐことが適切です。また,実際に自首を試みる場合にも,弁護士と協同して行うことを強くお勧めします。
弁護士に依頼することの具体的なメリットとしては,以下の点が挙げられます。

①自首すべき状況か判断できる

侵入窃盗事件は,重大な刑事処罰のあり得る事件類型のため,捜査が行われていないのに勇み足で自首を行ってしまった場合の不利益が大きくなりやすいという懸念があります。自分の自首が原因で捜査・処分を受けてしまう,いわゆる「やぶ蛇」の結果になると,自ら自身に対する刑罰を招くことにもなりかねません。

そのため,侵入窃盗事件の自首を検討する際には,本当に自首が必要な状況か,自首をする場合としない場合のリスクはどの程度の状況か,ということを慎重に判断しなければなりませんが,当事者本人が判断することは非常に困難です。客観的に検討すること自体が難しい上に,刑事事件の専門的な知識や経験がないと判断の尺度も設けられないためです。

この点,弁護士に依頼を行うことで,実際に自首すべき状況かどうかを弁護士が客観的,専門的に判断することが可能になるでしょう。自首を行うかどうかの重要な判断材料が得られるはずです。

②自首の意思を正確に伝えられる

自首を行う場合に,その意図や目的,伝えたい内容等が正しく捜査機関に把握してもらえず,意図しない不利益を被るケースは意外に少なくありません。特に,当事者本人のみで自首を試みるとなると,逮捕などへの不安から話すべきことを自分なりに選びながら話そうとするあまり,捜査機関から「重要な証拠を隠そうとしている」という疑いを抱かれる場合も一定数見られます。
実際には誠意を持って自首を試みているにもかかわらず,重要な証拠隠滅の隠れ蓑として自首を利用している,との疑いを持たれてしまうことは,極めて重大な不利益につながりかねず,是が非でも避けるべきでしょう。

この点,弁護士に依頼し,弁護士が主導する形で自首を行えば,自首の趣旨を弁護士から正確に伝えてもらうことができ,自首のメリットを確実に得られる結果につながります。また,自首に必要な捜査機関とのやり取りはすべて弁護士が行うため,時間的,心理的負担を大きく軽減することも可能でしょう。

③速やかに弁護活動を開始できる

自首は,行う人にとっては非常に重要な出来事ですが,刑事事件の手続全体との関係ではスタートラインにとどまります。自首の位置づけは,職務質問などと同じくあくまで捜査が始まるきっかけであり,実際の捜査はその後に継続していくものです。
そのため,自首を行う場合には,その後に捜査が行われ,捜査が終われば刑事処分の検討がなされる,ということをあらかじめ視野に入れておく必要があるでしょう。

この点,自首を行う段階から弁護士に依頼することで,自首後の捜査や刑事処分に向けた弁護活動を,最も早い段階から開始できます。自首による処分の軽減を期待するのであれば,自首を行うのみでなく,その後の弁護活動も処分の軽減を目指したものにするべきです。

侵入窃盗事件で自首をする場合の注意点

①逮捕が回避できるとは限らない

侵入窃盗事件は,類型的に重大性が大きいことを踏まえ,逮捕される可能性が非常に高い事件類型です。そのため,自首を行ったからと言って直ちに逮捕されなくなるとは限らない,という点には注意が必要でしょう。
自首を行ってもなお逮捕が避けられないケースとしては,以下のような場合が挙げられます。

自首しても逮捕が防げないケース

1.捜査機関が既に逮捕の方針を固めていた場合

2.事件の重大性があまりに顕著である場合

3.余罪や前科の関係で重い処罰が見込まれる場合

もちろん,自首を行うことで逮捕の回避につながるケースもあり得ますが,逮捕されないことを前提に自首する,というものでないことは理解しておくのが適切です。

②不起訴処分が約束されるわけではない

自首は,刑事処分の軽減を目指す試みである以上,自首を行う場合には不起訴処分となることを目的にしているのが通常でしょう。実際,自首を行ったケースでは,自首を理由に不起訴処分とされる例も多く見られます。

しかし,侵入窃盗事件では,そもそもの刑事責任が大きいため,自首によってある程度軽減されても不起訴処分とはならない,という可能性が大いにあり得ます。自首を試みる際にはあらかじめ注意することが適切でしょう。
逆に,自らが刑罰を受ける可能性も了承した上で,それでもなお自首をする,という態度の方が,深い反省が認められるとの評価になるため,結果的に不起訴処分の可能性が高まりやすいとも言えます。いずれにしても,不起訴処分が約束された状況にないことは正確に理解しておくことをお勧めします。

③逮捕時の備え

逮捕の可能性が高い侵入窃盗事件では,自首を行った場合にそのまま逮捕される可能性への備えもあらかじめ行っておくのが適切です。具体的には,留置施設に持ち込む物品の用意をしておくと,逮捕時の有効な備えになるでしょう。

留置施設に持ち込む物品の例としては,以下のものが挙げられます。

留置施設に持ち込む物品の例

1.現金(1万円程度)

2.着替え(上下着衣,下着,靴下)

3.本

なお,着替えや本については,留置施設内で利用できるものに詳細なルールがあります。ルールに反した物品は利用できないため,具体的なルールを依頼する弁護士に確認の上,準備することをお勧めします。

④示談を試みることの重要性

侵入窃盗事件は,被害者と示談ができるかどうかによって結果が劇的に変わることになりやすい類型です。これは,自首を行った場合でも違いはありません。そのため,自首を試みる場合には,その後に示談を試みることもセットとすることが基本,と考えるのがよいでしょう。

自首を行った場合,加害者側の深い反省の意思は行動として表明されており,被害者側もその事実を把握することになります。そのため,自首をしなかったケースよりも被害者側から示談の了承が得られる可能性は高く,その意味でも示談を行うことの重要性は非常に大きいと言えるでしょう。

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【侵入窃盗事件の不起訴処分】不起訴処分の方法は?可能性は?注意点は?

このページでは,侵入窃盗事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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侵入窃盗事件で不起訴を目指す方法

①認め事件

犯罪事実に間違いがない認め事件の場合,不起訴が実現するかどうかは被害者側の意向にかかっています。被害者が起訴を希望すれば起訴,不起訴を希望すれば不起訴になる,と言っても過言ではないでしょう。

そのため,認め事件で不起訴を目指すためには,被害者に不起訴を希望してもらうことが必要ですが,その具体的な方法は示談となるのが通常です。被害者との間で示談が成立し,示談の内容として被害者が不起訴を希望する内容を盛り込むことができれば,被害者の意向を酌んで不起訴処分とされることが見込まれやすいでしょう。

侵入窃盗事件で捜査をされている状況の場合,被害者が捜査や処罰を望んでいることが見込まれるため,示談の試みをしない限り,被害者は起訴を希望していると考えるのが適切です。そのため,示談の試みをしなければ起訴され,起訴前に示談が成立すれば不起訴の可能性が高まる,という整理が可能でしょう。

ポイント
起訴不起訴は被害者の意向にかかっている
示談により被害者の不起訴希望を獲得できれば,不起訴が見込まれる

②否認事件

否認事件の場合,犯罪の立証ができないことを理由とした不起訴処分を目指すことが適切です。この点,被疑者の犯罪が立証できない場合の不起訴処分には,大きく分けて「嫌疑なし」と「嫌疑不十分」の二種類があります。

否認事件の不起訴理由

1.嫌疑なし
→真犯人が判明したなど,犯罪の疑いがなくなった場合

2.嫌疑不十分
→被疑者の犯罪を立証するに足りる証拠がない場合

否認事件で不起訴処分となるのは,ほとんどが「嫌疑不十分」のケースです。侵入窃盗事件の場合であれば,事件が起きたとされる日時に被疑者が侵入したことの根拠が不十分である,といった場合が代表例になるでしょう。

そのため,否認事件で不起訴処分を目指す場合には,否認の旨を一貫して主張し,嫌疑不十分であるとの判断を促すことが適切となります。

ポイント
否認事件の不起訴処分は,ほとんどが嫌疑不十分

侵入窃盗事件で不起訴になる可能性

①認め事件

侵入窃盗事件は,容易に不起訴となる事件類型とは言い難いものです。被害者側への侵害の程度が強く,重大性ある事件と評価されやすいため,基本的には起訴を想定することになりやすいでしょう。少なくとも,反省を深めているというのみで不起訴となることは考えにくいと言わざるを得ません。

もっとも,侵入窃盗事件で起訴をされる主な理由は,被害者に与えた損害の大きさにあるため,損害を被った被害者自身が不起訴を望むのであれば,話は大きく変わります。被害者側に適切な対応を尽くし,その結果として被害者が不起訴を望むに至ったなどの成果が挙げられれば,不起訴の可能性は十分にあると言えるでしょう。

②否認事件

否認事件での不起訴の可能性は,犯罪が立証困難と判断される可能性と直結します。犯罪事実を裏付ける証拠が十分にある,と判断される状況であれば,やはり事件の重大性を踏まえても起訴されることになりやすいでしょう。一方,起訴をしても裁判所の有罪判決が得られるような証拠に乏しい場合には,不起訴の可能性が高くなりやすいと言えます。

この点,証拠には物証(物的証拠)と人証(人の話)がありますが,物証に乏しく人証のみである,という場合には証拠が不十分であるケースが多い傾向にあります。犯罪事実の立証に必要な物証としては,以下のようなものが挙げられます。

犯罪事実の立証に必要な物証

1.犯罪を直接立証する証拠
→事件現場を撮影した映像・画像など

2.人の話が正しいことを裏付ける証拠
→被害者の話が真実でなければ説明のつかない物や記録など

犯罪事実を直接立証する物証がなく,被害者らの供述を補強する物証もない場合には,人証のみが証拠となりますが,人証しかない否認事件で起訴をするのは難しい場合も多く,不起訴の可能性が高まりやすいと言えます。

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

侵入窃盗事件で不起訴を目指す場合の注意点

①示談が困難である可能性

認め事件の不起訴は示談の成否にかかっているため,不起訴を目指すにあたって示談は非常に重要なものです。しかしながら,示談は被害者と加害者との間の契約であるため,被害者の合意がなければ成立しません。

この点,侵入窃盗事件では,被害者側の感情面として示談を希望したくない,という意向を示されることが少なくありません。被害者側の精神的苦痛が大きい状況のため,示談によって加害者が処罰されないのは了承できない,そもそも事件を思い出すようなことをしたくない,といった理由で門前払いにされる可能性は十分に考えられます。

そして,被害者側に門前払いをされてしまうと,現実的に示談を成立させる手段はなくなり,示談を通じた不起訴処分の獲得は困難とならざるを得ません。この点は,弁護士にも如何ともし難い部分であるため,あり得る可能性としてあらかじめ注意しておくことが望ましいでしょう。

②示談の経済的負担が大きい可能性

侵入窃盗事件において,示談による不起訴処分を目指す場合には,示談に必要な経済的負担が大きくなる可能性に注意しておくことが望ましいです。
示談の際には,加害者から被害者に対して示談金という名目で金銭の支払を行うのが通常ですが,その金額は当事者間の合意で決まります。そのため,示談金は被害者の了承する金額であることが必要ですが,侵入窃盗事件の場合には被害者の了承する金額水準が大きくなることも珍しくありません。
その具体的な理由としては,以下のような点が挙げられます。

侵入窃盗事件の示談金が大きくなる場合の理由

1.精神的苦痛が大きい
住居などに侵入され金品を窃取されたことの精神的苦痛が大きく,低額の金銭では納得が得られにくい

2.被害者の転居
自宅への侵入であった場合,被害者が転居を希望する可能性が高く,転居費用を含めた示談金の協議になりやすい

3.複数回の被害
同一の場所へ複数回に渡って侵入窃盗が行われている場合,件数に応じて示談金額が大きくなりやすい

③余罪の影響

侵入窃盗事件は,類型的に余罪のあることが多く見られますが,余罪がある場合には,1件のみ不起訴となっても他の事件で起訴される可能性が残ることに注意が必要です。

起訴不起訴の判断は,事件ごとに行われるため,1件で不起訴になったからと言って他の事件も不起訴になるとは限りません。同じ被害者に対する複数の余罪がある,という場合であれば,被害者に対する1回の示談で全ての事件が不起訴になることも見込まれますが,被害者の異なる余罪があるケースや,否認事件のケースなどは,余罪について別途不起訴を目指す動きが必要になりやすいでしょう。

④共犯事件の場合

侵入窃盗事件は,一人で行われる場合のほか,複数人で行われる共犯事件である場合も見られます。この点,共犯事件の場合には,単独の事件にはない特徴として,以下のような点に注意することが望ましいでしょう。

共犯事件の注意点

1.悪質性が高いと評価されやすい
→共犯事件は,計画的である場合が多く,悪質と評価されやすい傾向にあります。

2.共犯者の供述に影響される
→誰が主犯であったか,誰が何をしたかについて足の引っ張り合いが生じ得ます。

3.加害者全員が被害全額の賠償義務を負う
→被害者に対しては,共犯者全員がそれぞれ全額の賠償義務を負います。

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