当て逃げの示談金相場を弁護士が解説!被害者が対応すべき内容まで紹介

大切にしていた車に傷をつけられ、そのまま立ち去られてしまう「当て逃げ」。

犯人に対する憤りはもちろん、「修理代は自腹になるのか」「いくらくらい請求できるのか」という不安で頭がいっぱいになっているのではないでしょうか。

適切な対応を誤れば、解決までの負担が大きくなる可能性もあります。こうした事態を避けるためには、交通事故加害者の弁護に精通した弁護士へ早期に相談することが重要です。

本記事では、交通事故加害者が弁護士に依頼するメリットや、特に依頼すべきケースについて弁護士が分かりやすく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

当て逃げの示談金相場はいくら?

当て逃げにおける示談金の相場は、一概に「一律◯◯円」と決まっているわけではありません。なぜなら、当て逃げは原則として「物損事故」として扱われ、賠償額は「発生した実損害の合計」によって算出されるからです。

一般的には数万円から数十万円程度になることが多いですが、高級車の破損や、営業車が使えなくなったことによる損失が含まれる場合は、100万円を超えるケースも存在します。

  • 小規模な接触: 3万〜10万円(バンパーの擦り傷など)
  • 中規模な破損: 10万〜30万円(ドアの交換、複数のパネルの板金)
  • 大規模な損壊: 50万円以上(フレームの歪み、エンジン系統への波及)

このように、損害の程度によって金額は大きく変動します。

当て逃げの示談金相場を左右する5つの損害項目

当て逃げ被害で請求できる示談金の内訳は、主に以下の5つの項目で構成されます。それぞれの内容を正しく理解することが、適正な賠償を受けるための第一歩です。

1. 車両の修理費用

最も基本となる項目です。事故によって壊れた箇所を元に戻すために必要な費用が請求可能です。

ただし、修理費が事故当時の車両の時価額を超える場合は「経済的全損」とみなされ、時価額までしか支払われないことがある点に注意が必要です。

2. 代車使用料

修理期間中に車が使えないことで、代車を借りる必要がある場合に認められます。

代車の必要性が認められる必要があり、通常は修理にかかる相当期間(1〜2週間程度)のレンタカー費用が目安となります。

3. 評価損(格落ち損害)

修理をしても事故歴が残ることで、車の転売価値が下がってしまう損害のことです。

新車登録から日が浅い場合や、高級車の場合に認められやすく、修理費の20〜30%程度が相場となることが多いです。

4. 休業損害

被害者がタクシーや運送業などの営業車を当て逃げされた場合、修理期間中に得られたはずの利益を請求できます。

一般の自家用車の場合は「休業損害」として認められることは珍しいでしょう。

5. 迷惑料や謝罪金

原則として、物損事故では「慰謝料」は認められません。

しかし、加害者側が誠意として「示談金」に上乗せして支払う場合や、被害者が精神的に強い衝撃を受けた例外的なケースでは、調整金として含まれることがあります。

被害者が当て逃げされた時に踏むべき3つの手順

当て逃げ被害に遭った際、パニックにならずに以下の手順を踏むことが、後の示談交渉で有利に働きます。

ここからは、被害者が当て逃げされた時に踏むべき3つの手順を詳しく解説します。

1. 警察への届け出と事故証明書の取得

当て逃げ被害に気づいたら、たとえ数時間後であっても必ず警察へ届け出てください。 なぜなら、警察へ届け出なければ公的な書類である「交通事故証明書」が発行されないからです。

この証明書がないと、後に加害者が判明した際に損害賠償を請求したり、ご自身の車両保険を使用したりすることができません

現場に警察官を呼び、実況見分を行ってもらうことで、事故の客観的な状況が記録されます。 「大した傷じゃないから」と自己判断せず、必ず道路交通法上の報告義務を果たすことが、法的な権利を守る第一歩となります。

2. ドライブレコーダーや防犯カメラの回収 証拠確保の重要性。

警察の捜査を待つだけでなく、自ら証拠を確保する姿勢が極めて重要です。 当て逃げは「逃げ得」を許さないためのスピード勝負となります。

ご自身の車にドライブレコーダーが搭載されている場合は、書き保存されないようにすぐにSDカードを抜き取り、パソコン等にバックアップを取ってください。

また、スーパーやコンビニの駐車場であれば、施設管理者に防犯カメラの映像確認を依頼しましょう。警察を通じて依頼すれば開示してもらえる可能性が高まります。

車の色、車種、ナンバーの一部、運転者の特徴など、断片的な情報でも複数集めることで、加害者の特定に至る確率は格段に上がります。

3. 自身の保険会社への連絡

警察への届け出と並行して、ご自身が契約している任意保険会社へ事故の連絡を入れてください。

加害者が逃走している現時点では、修理費用の負担が不明確なため、保険会社のアドバイスを受けることが安心に繋がります。

とくに「弁護士費用特約」が付帯しているかどうかを必ず確認してください。

当て逃げのような少額の物損事故では、弁護士費用が賠償額を上回ってしまう「費用倒れ」が懸念されますが、この特約があれば自己負担なしで弁護士に調査や交渉を依頼できます。

犯人が見つかる前であっても、今後の対応方針をプロと相談しておくことで、精神的な負担も大きく軽減されるはずです。

当て逃げの犯人が見つからない・示談金が払われない時の対処法

警察の捜査を尽くしても加害者が特定できない、あるいは特定できても相手が無保険で支払い能力がないという事態は珍しくありません。

しかし、加害者から直接支払われないからといって、必ずしも全てを自腹で賄わなければならないわけではありません。

被害者が利用できる法的な救済制度や保険の仕組みについて詳しく解説します。

自分の車両保険(無保険車傷害特約など)を使う

加害者が不明な場合、最も現実的な解決策はご自身が加入している「車両保険」を利用することです。

車両保険には、相手がわからない当て逃げでも補償対象となるタイプがあります。これを利用すれば、時価額の範囲内で修理費用をカバーできます。

また、自分や同乗者が怪我を負った場合には「人身傷害補償保険」や「無保険車傷害特約」から支払いを受けることが可能です。

ただし、車両保険を使用すると翌年度のノンフリート等級が3等級下がり、数年間にわたって保険料が増額される点には注意が必要です。

修理代金と、将来的な保険料の増額分を天秤にかけ、どちらが経済的に有利かを保険会社や代理店にシミュレーションしてもらった上で判断することをおすすめします。

政府保障事業の利用(ひき逃げの場合)

加害者が特定できず、かつ被害者が死傷した「ひき逃げ」のケースでは、国が運用する「政府保障事業」による救済を受けられる可能性があります。

これは自賠責保険の対象とならない被害者(加害者不明や無保険車による事故)に対し、国が自賠責保険と同等の限度額内で損害を補填する制度です。

ひき逃げによって怪我を負い、治療費などの負担が重い場合には大きな助けとなります。

ただし、この制度はあくまで「対人賠償(身体への損害)」のみが対象であり、車両の修理代といった「物損」については一切支払われません。

また、健康保険や労災保険、ご自身の保険から既に支払いを受けた分は差し引かれるため、最終的なセーフティネットとしての性格が強い制度であることを理解しておきましょう。

まとめ:当て逃げの示談金相場を正しく把握し早期解決を

当て逃げ被害は、単なる金銭的損害だけでなく「逃げられた」という精神的苦痛が伴うものです。

まずは冷静に警察へ届け出て、客観的な事故の証拠を積み上げることが、解決への唯一の近道となります。

示談金の相場や損害項目を正しく理解し、もし加害者が特定できない場合でも、ご自身の保険や国の制度を賢く活用することで、自己負担を最小限に抑えることが可能です。

交通違反は前科になるか?交通違反で前科を防ぐための方法は?弁護士が詳細解説

●交通違反はどんなものが刑事事件になるか?

●交通反則金とは何か?

●交通違反の手続の流れは?

●交通違反は逮捕されるか?

●交通違反で不起訴になるためにはどうすればいいか?

といった悩みはありませんか?

交通違反をしてしまった場合、「これで前科がついてしまうのではないか」と不安に思う方は少なくありません。実際、すべての交通違反が前科につながるわけではなく、違反の種類や手続きの進み方によって結果は大きく異なります。本記事では、交通違反が前科になるケースとならないケースを整理し、交通違反の前科を防ぐ方法を弁護士が分かりやすく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

前科になり得る主な交通違反

自動車運転時における交通違反のうち,刑事事件として処罰の対象となるものとしては,以下のケースが挙げられます。

①無免許運転

自動車を運転するための資格(免許)を持たない状態で,公道で運転した場合に成立します。
罰則は,「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。

また,無免許運転であることを知りながら同乗した場合,同乗者も刑事処罰の対象になります
この場合の罰則は,「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」とされています。
加えて,無免許運転であることを知りながら自動車を提供した場合も刑事処罰の対象となり,
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。

無免許運転には,免許を取得したことのない場合のほか,免許の取消中,免許の停止中,免許の対象外の車両を運転した場合が含まれます。
なお,眼鏡の着用やAT限定など,運転条件に反した場合には,無免許運転でなく「免許条件違反」となります。

②酒気帯び運転

酒気帯び運転とは,呼気1リットルあたり0.15ミリグラム以上のアルコールを含有した状態で自動車を運転することを言います。
警察が取り締まりにおいて行う呼気検査は,この基準を満たしているかどうかを確認するために行われています。
酒気帯び運転の罰則は,「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」とされています。

なお,血液1ミリリットル中に0.3ミリグラム以上のアルコールを含んだ状態での運転行為も,同様に酒気帯び運転に該当します。

③酒酔い運転

酒酔い運転とは,アルコールの影響で正常な運転ができないおそれがある状態で運転をすることを言います。
酒気帯び運転よりも悪質な飲酒運転という位置づけですが,呼気や血液中のアルコール濃度は関係しません。
酒酔い運転の刑罰は,「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされています。

酒気帯び運転に該当する場合の典型例としては,直進歩行できない,ろれつが回っていない,周囲の状況を認知できていない,などが挙げられます。
飲酒運転の取り締まりで警察官が運転者を歩行させるのは,この酒酔い運転に該当しないかを確認しているわけですね。

④スピード違反(一般道におけるもの)

スピード違反は,法定速度を超過した速度で走行する交通違反ですが,刑事罰の対象となる速度は一般道と高速道路で異なります。
一般道の場合,制限速度を時速30キロメートル以上超過した場合に,刑事事件として刑事罰の対象となります。
この場合の罰則は,「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。

なお,時速30キロメートル未満の速度超過である場合,交通反則金の対象となるため,交通反則金を支払えば,刑事事件として刑事罰の対象になることはありません。

⑤スピード違反(高速道路におけるもの)

高速道路のスピード違反は,時速40キロメートル以上の速度超過がある場合に,刑事事件として刑事罰の対象となります。
時速40キロメートル未満であれば,交通反則金制度の対象となるため,反則金を支払うことで刑事事件にならず終了することが可能です。

刑事事件となる場合の罰則は,一般道と同じく「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。

参照:道路交通法 e-Gov法令検索

交通違反は逮捕されたら前科になるのか

①交通違反における逮捕と前科の関係

逮捕されたからといって必ず前科がつくわけではありません。
前科とは、刑事裁判で有罪判決を受けた経歴を指します。つまり、裁判で有罪が確定しない限り、前科にはなりません。

逮捕と前科の違い

逮捕はあくまで「捜査のための一時的な身柄拘束」であり、罪が確定したことを意味しません。
警察や検察が事実関係を確認し、起訴されるかどうかが次の重要な分岐点となります。

逮捕後のおおまかな流れ

・検察官による起訴・不起訴の判断
 警察から事件が送致された後、検察官が起訴するかどうかを決定します。
・起訴された場合は刑事裁判へ進行
 正式起訴または略式起訴のいずれかの形で裁判が行われます。
・裁判で有罪判決が確定すると前科となる
 罰金刑・執行猶予付き判決・懲役刑など、いずれも有罪が確定すれば前科に該当します。
・不起訴処分・無罪判決の場合は前科にならない
 この場合、法的には罪を犯した経歴として扱われません。

罰金刑も「前科」に含まれる

交通違反などの軽微な事件では、略式起訴により罰金刑が科されるケースが多くあります。
この罰金刑も法律上は有罪の判決(決定)にあたるため、前科には該当します。

前科とは、「刑罰を受けた経歴」と理解するのが最も分かりやすいでしょう。罰金刑も刑罰の一種であるため、罰金刑を受けた経歴は前科に該当することになります。

②交通違反で逮捕されるケースとは

交通違反の事件は,事件類型として決して重大なものとは言い難いため,逮捕されないことも多く見られます。
心当たりのある場合は,事実を認め,真摯に協力する姿勢を示せば,逮捕されることは少ない傾向にあるでしょう。

しかし,以下のような場合には逮捕の可能性が高くなりやすいでしょう。

交通事故が伴っている場合

交通違反の結果交通事故が発生している場合,交通違反の程度も著しいことが多く,事件そのものも重大視されることが多いです。
そのため,事件の重大性を踏まえて逮捕に踏み切る場合が見られます。

酩酊状態で会話にならない場合

飲酒運転のケースで,あまりの酩酊状態で会話にならない場合には,逮捕の可能性が高くなりやすいです。
捜査協力が得られるかどうか分からないことはもちろんですが,酩酊状態で運転する行為の違法性が重大であると判断され,逮捕につながることが多く見受けられます。

出頭の求めに全く応じない場合

逮捕をしないのは,出頭を求めたときに出頭をしてくれることが大前提となります。
そのため,警察や検察が取調べなどのために出頭を求めても応じてくれないとなると,逮捕をする必要が生じます。
出頭の求めに応じないメリットは通常ないので,捜査機関から出頭を求められた際には可能な範囲で対応に努めるようにしましょう。

交通違反は、「違反の内容」と「違反行為の結果」が重大であればあるほど逮捕の恐れが大きくなります。重大性があるケースでは、弁護士に相談するなどして逮捕回避を積極的に目指しましょう。

交通違反で切符が切られない場合は前科になるのか

切符が切られない場合、通常の刑事手続の対象となります。
この点、多くのケースでは赤切符が切られるよりも重大な事件とみられていることが多く、前科になることが一般的でしょう。

赤切符が交付されず,通常の刑事手続の対象となる場合,その流れは他の犯罪類型と同様です。
具体的には,以下の流れで進行します。

警察の取調べ等

検察庁への送致

検察での取調べ等

検察官による起訴または不起訴

(起訴された場合)刑事裁判

赤切符が交付されないケースとしては,現行犯でなかった場合現行犯で取り締まられたが事件の程度が重大だった場合の2つが挙げられます。
後者の例としては,時速80キロメートル以上の速度超過があります。交通反則金の対象ではなく,かつ赤切符を交付できるほど軽微でもないため,赤切符を交付せず通常の刑事手続の対象とすることになりやすいです。

交通事故で前科にならない場合

①物損事故の場合

物損事故では基本的に前科が付くことはありません。

物損事故とは

物損事故とは、人の死傷を伴わず、車両や建物・ガードレールなどの「物」だけに損害が生じた交通事故を指します。
このような事故は刑法上の犯罪に該当せず、加害者が刑事責任を負うことは原則としてありません。
そのため、裁判で有罪判決を受けることがない限り、前科が付く心配はないといえます。

適用される責任と手続

物損事故では、主に次のような責任が発生します。

民事上の責任:損害を与えた相手に対する損害賠償義務
行政上の責任:道路交通法に基づく違反点数の加算や反則金の納付

これらはいずれも刑事罰ではなく、前科に該当しません。

前科が付く可能性のある例外的なケース

ただし、以下のような行為を伴う場合は、刑事処分の対象となるおそれがあります。

・事故現場から逃走した場合(当て逃げ)
 → 道路交通法上の「報告義務違反」や「救護義務違反」に該当し、罰則の対象となる。
・事故の報告を怠った場合
 → 警察への届出をしないと「事故報告義務違反」で処罰される可能性がある。
・危険運転や著しい過失があった場合
 → 運転態様が悪質であれば、過失運転致死傷罪などが成立することもある。
・飲酒運転や無免許運転での物損事故
 → 事故そのものが軽くても、交通違反行為によって刑事罰が科され、前科となることがある。

このように、物損事故自体では前科は付かないものの、事故後の行動や違反内容によっては刑事責任を問われる場合がある点に注意が必要です。

適切な対応の重要性

「物損事故なら大丈夫だろう」と油断せず、事故を起こした際は必ず警察へ報告し、相手方とのやり取りも記録に残しておくことが大切です。不適切な対応を取ると、軽微な事故であっても刑事事件化することがあります。

人の乗っていた車との事故でも、人身損害がなければ物損事故に該当します。物損事故に当たるかは、交通事故証明書上「人身事故」とされるか「物件事故」とされるかによって区別されます。

②不起訴になった場合

不起訴処分となった場合、前科は付きません。
検察官が起訴を行わないと判断した時点で、刑事手続は終了し、裁判で有罪判決を受けることがないためです。

不起訴処分とは

不起訴処分とは、捜査の結果として「裁判にかける必要がない」と検察官が判断した場合に出される処分です。
「交通違反をしてしまった」「事故を起こしてしまった」と不安を感じる方も多いですが、
不起訴処分は前科とは全く異なるものであり、法的には有罪経歴にはなりません。

不起訴処分の主な種類

不起訴処分には、次の3つの類型があります。

・嫌疑なし:犯罪の事実そのものが認められない場合
・嫌疑不十分:証拠が不十分で有罪立証ができない場合
・起訴猶予:犯罪の成立は認められるが、情状などを考慮して起訴を見送る場合

特に「起訴猶予」は、初犯や軽微な事故・違反で、被害者との示談や反省の態度が見られる場合に選択されることが多く、
実務上も交通事故で最も多い不起訴理由の一つです。

前歴と前科の違い

不起訴処分となった場合でも、警察や検察には「前歴」として記録が残ることがあります。
ただし、前歴は捜査上の内部資料に過ぎず、前科のように法的な不利益が生じるものではありません。
そのため、不起訴処分を受けたとしても、一般的に就職・資格取得・免許更新などに影響することはほとんどありません。

不起訴処分の獲得は、刑事事件の最大の目標と言っても過言ではありません。交通違反の場合、軽微なものでは不起訴処分を目指せる場合も少なくないため、弁護士への相談など十分な検討をお勧めします。

交通違反で前科を防ぐ方法

①弁護士に相談

交通事故や交通違反で前科を避けたい場合、最も確実な方法は弁護士への早期相談です。
弁護士は専門的な法律知識と実務経験をもとに、あなたの状況を的確に分析し、前科を回避するための最善策を具体的に提示してくれます。

「自分で対応できるかもしれない」「大したことではないだろう」と考えてしまう方も少なくありませんが、
実際には、交通違反や人身事故の処理は複雑で、初動を誤ると前科につながるリスクが高まります。
特に人身事故や飲酒運転など、刑事責任が問われるおそれのあるケースでは、専門家の助力が不可欠です。

弁護士に相談することで、次のようなサポートを受けることができます。
事故や違反の経緯をもとにした法的評価と見通しの説明、不起訴処分を目指すための戦略立案、
被害者との示談交渉の支援、そして検察官との交渉における専門的な対応などです。
これらはいずれも、前科を防ぐうえで極めて重要な役割を果たします。

特に、逮捕や送検が行われた場合には、起訴されるまでの時間が限られており、
弁護士が早期に介入することで不起訴や略式処分に導ける可能性が高まります。
早ければ早いほど、弁護活動の効果を最大限に発揮できるでしょう。

現状と見通しを把握することは、交通違反で前科を防ぐための第一歩です。交通違反の刑事処分に精通した弁護士に相談できれば、見込まれる処分も精度高く案内してもらうことが可能です。

②弁護活動を依頼

弁護士に依頼して本格的な弁護活動を行うことで、前科を回避できる可能性が大幅に高まります。
単なる相談だけでなく、実際に弁護人として活動してもらうことも十分に検討しましょう。

弁護活動の内容は、認め事件であるか否認事件であるかによって、以下のように異なります。

認め事件の場合

犯罪事実を争わない場合,起訴か不起訴かという点は情状面のみの問題となります。
つまり,検察官が大目に見る場合には不起訴となる可能性があり,大目に見てもらえないと起訴される,ということですね。

そして,検察官に大目に見てもらえるかどうかの判断材料としては,以下のような事情が考えられます。

反省状況
深い反省が認められているかどうかという点です。もっとも,反省していれば不起訴になるのではなく,反省が見られない場合は起訴に傾きやすい,との理解が適切でしょう。

再発防止
事件の原因を特定し,その原因が二度生じないような対策を取ることで,再発防止に努めている場合には,不起訴を検討する判断材料になり得ます。交通違反の場合,今後自動車を運転しない,というのが最も大きな再発防止策ですが,現実的に難しい場合には,原因を踏まえた具体的な再発防止策を検討することが望ましいでしょう。

贖罪の行動
罪を償うことを目的とした行動をしている場合には,それを踏まえて不起訴の検討がなされる場合もあります。
代表的なものとしては,贖罪寄附が挙げられます。罪を償う目的で金銭を寄付する行為です。
交通違反の場合,交通事故被害者の支援を行う基金などに寄付を行うことで,贖罪の気持ちを行動に表す動きが一例と考えられます。
なお,贖罪の行動は,それをしたことで劇的に結果が変わるという性質のものではなく,起訴不起訴の判断が微妙な場合に最後の一押しとなり得る,という位置づけと理解するべきでしょう。

否認事件の場合

否認事件の場合,不起訴になるかどうかは,検察官が犯罪事実を立証できると判断するかどうかによって決まることになります。
検察官としては,起訴した場合に,裁判所に犯罪事実を認めてもらえなければ無罪となってしまうため,無罪の恐れがある場合には起訴できないと判断するのが一般的です。
そのため,検察官に対して犯罪事実が立証し得ないことを説得的に主張することが適切でしょう。

交通事故や交通違反の前科に関するよくある質問

①交通違反の前科は生活に影響しない?

交通違反の前科は、決して無関係とはいえません。
「前科があっても普通に暮らせる」と考える方もいますが、実際には就職・資格・海外渡航など、人生の重要な局面で一定の制約を受ける可能性があります。

まず、就職活動においては、履歴書の賞罰欄に前科を記載すべき場合があります。
特に、運送業・警備業・金融機関など、信頼性や安全性が重視される職種では、採用審査の際に前科の有無が考慮されることがあります。
過去に罰金刑などの軽微な前科であっても、採用判断に影響する場合があるため注意が必要です。

また、資格取得や業務継続にも影響が及ぶことがあります。
弁護士、公認会計士、税理士、医師などの国家資格では、一定の犯罪歴があると欠格事由に該当し、登録や業務が制限される場合があります。
すでに資格を持っている人でも、刑事罰の内容によっては業務停止や資格剥奪などの懲戒処分を受けることもあります。

さらに、海外渡航やビザの取得にも影響する可能性があります。
アメリカやカナダなど一部の国では、前科があると入国を拒否されたり、ビザの審査が厳格化されたりするケースがあります。
ビザ申請時に前科の申告を求められる国も多く、虚偽申告をすると今後の入国が禁止されることもあります。

もっとも、全ての交通違反の前科が重大な制限につながるわけではありません。
軽微な違反や略式罰金程度であれば、日常生活に支障をきたすことはほとんどなく、通常の社会生活を送る上で大きな問題となるケースは少ないでしょう。
ただし、飲酒運転やひき逃げなど悪質な交通犯罪の場合は、刑罰が重く社会的信用の回復にも時間を要するため、慎重な対応が求められます。

②交通違反の前科は消えるか?

交通違反で前科が付いてしまった場合、「この記録は一生残るのではないか」と不安に感じる方も多いでしょう。
結論から言えば、前科の記録自体は法的には完全に消えることはありません。
しかし、時間の経過とともに社会的な影響は大きく軽減され、実生活で支障をきたすことはほとんどなくなっていきます。

前科に関する記録は、検察庁や裁判所によって保管され、法的には永久的に保存されます。
そのため、行政機関などが調べれば確認可能ですが、一般の企業や個人が閲覧できるものではありません。
つまり、前科の記録は残っても、日常生活で問題となることはほとんどないのが実際のところです。

もっとも、前科の効力や社会的影響は、一定期間の経過によって自然に緩和されていきます。
たとえば、罰金刑の場合は刑法34条の2により、刑の言渡しから5年が経過するとその効力が失われます。
また、執行猶予付き判決の場合は、猶予期間が満了すれば刑の効力がなくなり、形式的には前科としての扱いも軽くなります。
これらの期間を経過すれば、資格制限などの法的な不利益も解除される仕組みになっています。

参照:刑法 – e-Gov 法令検索

③前科と前歴の違いは?

前科と前歴は似ているようで、法的にはまったく異なる概念です。
前科とは、刑事裁判で有罪判決を受けた経歴を指します。罰金刑・懲役刑・執行猶予付き判決など、いずれかの刑が確定した場合に前科が付きます。
一方、前歴とは、警察や検察などの捜査機関に事件として扱われた経歴のことを指します。逮捕や書類送検を受けた場合だけでなく、任意で事情聴取を受けた場合など、正式な起訴や有罪判決に至らなかったケースも含まれます。

このように、前歴はあくまで捜査段階での経歴を示すものであり、処罰を受けたことを意味するものではありません。
そのため、前歴があっても「犯罪者」として扱われることはなく、法的にも不利益が生じることはありません。

たとえば交通違反の場合、青切符による反則金の支払いは刑事手続に該当しないため、前科にも前歴にもなりません。
しかし、赤切符を交付され、略式起訴のうえ罰金刑が確定すると、それは前科にあたります。
この違いは、裁判を経て有罪判決が確定したかどうかにあります。

整理すると、次のように区別できます。

・前歴:警察や検察に事件として扱われた経歴(逮捕・送検・事情聴取などを含む)。
    起訴されず、不起訴処分となった場合も含まれる。
・前科:起訴され、裁判で有罪の裁判が確定した経歴。

交通違反のような比較的軽い事案であっても、対応を誤ると前科に発展する場合があります。
前科を避けるためには、違反の重大性を正しく理解し、早期に弁護士へ相談して適切な対応を取ることが重要です。

交通違反の刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

交通違反の事件は,交通反則金制度や三者即日処理など,独自の手続もある点が他の事件類型にない特色です。そのため,交通違反の事件処理に精通していないと,正しい見通しを持って対処することは困難です。
交通違反でお困りの場合は,手続に精通した弁護士へのご相談・ご依頼をお勧めします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

交通事故加害者に強い弁護士へ依頼するメリットとは?特に依頼するべきケースとは?弁護士解説

交通事故の加害者となってしまうと、被害者への賠償問題や刑事処分、さらには社会的信用の低下など、さまざまな不安に直面します。適切な対応を誤れば、解決までの負担が大きくなる可能性もあります。こうした事態を避けるためには、交通事故加害者の弁護に精通した弁護士へ早期に相談することが重要です。本記事では、交通事故加害者が弁護士に依頼するメリットや、特に依頼すべきケースについて弁護士が分かりやすく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

交通事故加害者に生じる責任

自動車の運転によって他者との事故が発生し,被害者がケガをした場合には,加害者に複数の責任が発生し得ます。
通常,交通事故の加害者に生じる責任は,以下の3つです。

①刑事責任

交通事故(人身事故)は,「過失運転致傷」又は「過失運転致死」という犯罪に該当するのが通常です。
そのため,犯罪に対する処分を受ける責任,つまり刑事責任が発生し得ることになります。
刑事責任が生じる場合,刑罰という形で国から被疑者(加害者)に対して科せられます。

②民事上の責任

交通事故が発生すると,加害者から被害者に対して金銭賠償を支払う義務が発生します。
車両の修理費,入通院治療費,休業損害,慰謝料等が代表的です。
このような被害者と加害者との間の金銭面の問題を,一般に民事事件といい,民事事件における加害者の賠償責任が民事責任です。

③行政上の責任

交通事故加害者となる場合には,何らかの交通違反が伴っていることが通常です。
そのため,交通違反に対して自動車免許の違反点数が発生します。
自動車免許の違反点数に関する事件は行政事件に位置付けられますが,免許の違反点数は行政上の責任ということができます。

各責任の内容をまとめると,以下の通りです。

①刑事事件国が加害者に対して刑罰を科す
②民事事件被害者が加害者に金銭賠償を請求する
③行政事件加害者の自動車免許に違反点数がつく

交通事故加害者に強い弁護士に相談するメリット

交通事故を起こしてしまった場合、被害者対応や保険会社との交渉、刑事処分の見通しなど、多くの問題が同時に発生します。こうした状況では、交通事故加害者の弁護に精通した弁護士に早期に相談することが非常に重要です。

弁護士はまず、事故の状況や証拠を正確に整理し、刑事事件化を防ぐための示談交渉や、不起訴処分・減刑を目指すための対応を行います。特に被害者との関係が悪化している場合でも、弁護士が間に入ることで冷静かつ法的に適切な解決が可能となります。

また、保険会社とのやり取りでも弁護士が代理人となることで、過失割合の妥当性損害賠償額の公平性を専門的に判断してもらえる点も大きなメリットです。自ら対応するよりも、結果として経済的・心理的負担を大幅に軽減できるでしょう。

交通事故加害者に強い弁護士は、刑事・民事の両面から事件を総合的にサポートし、最も望ましい解決へ導きます。

ポイント
刑事事件化を防ぐ示談交渉不起訴・減刑を目指す対応が可能
・被害者との直接交渉を避け、冷静で適法な解決が図れる
保険会社との交渉を代理し、過失割合・損害額の妥当性を確保
・専門知識に基づき、刑事・民事の両面から総合的にサポート
・早期相談により、精神的・経済的負担を大幅に軽減できる

実際に弁護士へ相談する際には、以下の各点に注意しましょう。

弁護士に相談する際の準備

①事故前後の状況をまとめる

交通事故加害者として捜査を受けることになる場合,その前後の状況によって刑事責任の重さや処分の見通しが大きく変わってくる場合があります。そのため,事故の直前直後の状況に関しては,できる限り漏れなく弁護士に共有することが適切です。
弁護士に共有すべき事故前後の状況としては,以下の点が挙げられます。

まとめるべき事故前後の状況

1.事故前の交通違反の有無
→飲酒運転,無免許運転,速度超過など

2.被害者の視認状況に関する事情
→どの時点で被害者を視認できたか,ライトやウインカーの有無はどうだったか等

3.当事者間の優先関係に関する事情
→信号表示など

4.事故後の対応
→その場を離れた事実があるか,誰が警察に通報したか等

②弁護士への要望をまとめる

弁護士選びに際しては,弁護士に依頼した場合に何を実現したいか,弁護士にどのような弁護活動を求めたいか,という要望を整理しておくことをお勧めします。

交通事故の場合,幸いにも過失犯であることから,それほど重大な刑罰の対象となることは決して多くありません。初犯で実刑判決の対象となってしまうのは,飲酒運転やひき逃げが伴ったケース,死亡事故で落ち度があまりに大きいケース,被害者が多数のケースなど,限定的ということができます。
そうすると,実刑判決さえ避けられれば足りる,という場合,その実現のためにどれほどのコストを費やすべきかは慎重な判断が望ましいでしょう。

一方,交通事故は機械的な処分も少なくありません。そのため,ケースによっては起訴を防ぐ手段がないという場合もあり得るところです。起訴を前提に,公開の裁判で適切な対応をすることを弁護活動の主な目的とする場合も考えられるでしょう。
ただ,この場合,不起訴という要望は実現が困難ということになります。不起訴を唯一の目的に弁護士選びをしているのであれば,起訴を防ぐ手段に乏しいと後から分かった場合,深刻なミスマッチの原因となりかねません。

弁護士への要望を整理することは,適切な弁護士選びをするため非常に重要な準備と言えるでしょう。

そもそも希望できることの選択肢が分からない、という場合には、その点の疑問も含めて弁護士に相談するとよいでしょう。一般的に目指す方針の選択肢やメリット・デメリット等を案内してもらうことが可能です。

③迷いや悩みを言語化する

交通事故加害者となった場合に,弁護士に解決してほしい悩みは,個別のケースや当事者の希望によって様々に異なりやすいものです。取調べ対応に苦慮しているケース,被害者対応が円滑に進んでいないケース,保険未加入のため金銭賠償の方法に悩んでいるケースなど,他の事件類型よりも悩みに幅が生じやすいのも交通事故の特徴の一つでしょう。

そのため,弁護士から希望する案内をしてもらうための前提として,自分が抱えている迷いや悩みを,できるだけ具体的に言語化しておくことをお勧めします。弁護士は,自分から全て網羅的に案内するのでなく,相談者側の疑問に回答する形を取る場合が多いため,準備を怠ってしまうと希望する案内が得られない恐れもあり得るところです。

④予算を決める

弁護士への依頼には,やむを得ず弁護士費用の負担が必要となります。もっとも,具体的な弁護士費用の金額は,それぞれの法律事務所により異なるため,同じ弁護活動に対する弁護士費用が事務所ごとに違う可能性もあり得ます。

そのため,弁護士選びに際しては,その法律事務所の費用を支払うことが可能かを判断するため,予め予算を決めておくことが適切です。予算のイメージを弁護士側と共有することで,予算内で弁護活動ができるかどうかを案内してもらえるほか,弁護士によっては予算内で可能な弁護活動の内容や契約内容を柔軟に案内してもらえる可能性もあります。

弁護士に相談するときの注意点

①保険会社の対応との関係

「被害者との示談は保険会社に任せていいのか」というご質問は,交通事故加害者の立場になった方からのご相談として非常に多く寄せられるものです。この点を正しく把握するためには,まず保険会社の役割を理解することが必要になります。

保険会社の役割は,加害者の代わりに被害者へ支払をするという点にあります。裏を返すと,その支払の限りでのみ,保険会社は加害者の代わりになることができる,という立場にあります。
もっとも,交通事故には金銭の支払の面(=民事事件)のみでなく,刑罰の面(=刑事事件)も同時にあります。保険会社は,民事事件に関する示談は代わりに行ってくれますが,刑事事件に関する対応には介入することができません。

そのため,「被害者との示談は保険会社に任せていいのか」という点への回答としては,「民事事件の面については任せてよい」となるでしょう。保険会社の行う示談が,刑事事件に対する十分なサポートではないというポイントは,十分に注意することをお勧めします。

保険会社は、刑事処分に関与することのできない立場であり、刑事処分に対する関心もないため、刑事手続に対する対応は期待できません。保険に入っているからと丸投げしてしまうことなく、保険でカバーされる範囲はどこまでなのかを十分に整理することが非常に重要です。

②被害者への支払が生じる可能性

自動車保険(特に任意保険)に加入している場合,被害者の損害に対する支払は基本的に保険会社が行ってくれます。そのため,加害者自身が被害者に支払を行う必要は基本的にありません。
ただ,刑事処分をより軽微にすることを目指すため,被害者の許しを獲得しようとする場合,双方の希望によっては別途金銭を支払うケースもあり得ます。被害者としては,加害者を許しても特段のメリットはないため,加害者側が許しの獲得を強く希望する場合,対価を支払うことを合意する場合があるのです。

この点,当事者間で許しの対価として支払いを行う場合には,その支払が「金銭賠償(=保険会社が行うべき支払)とは別のものである」ということを明確にする必要があります。金銭賠償の一部と評価されてしまうと,保険会社からは支払ができなくなってしまう場合もあり得るため,十分な注意をお勧めします。

③被害者側への接触方法

多くの刑事事件では,当事者が直接連絡を取ったり接触したりすることは望ましくありません。加害者側が被害者側への接触を図る際には,弁護士を窓口にし,弁護士限りで被害者側への連絡を試みるのが適切とされています。

しかし,交通事故の場合には,当事者間で直接連絡先を交換する運用が広く行われています。その理由としては,過失犯であって当事者間のトラブルが生じにくいという点や,金銭賠償のために連絡を取り合うことが不可欠であるという点が挙げられます。

そのため,交通事故で加害者側が被害者側へ接触する場合,当事者自身も動く必要が生じやすいことに注意することが望ましいでしょう。保険会社や弁護士に依頼したからあとは任せてよい,という発想にならないよう気を付けたいところです。

加害者からの誠意ある謝罪やお見舞い等の対応が、解決を大きく近づける結果につながることも数多くあるのが、交通事故の特徴の一つです。謝意や誠意は、被害者側に確実に届くよう伝える努力を尽くしたいところです。

交通事故加害者に強い弁護士を選ぶ際のポイント

①交通事故加害者の弁護に精通しているか

交通事故加害者の刑事事件は,特に被害者側とのやり取りに特徴があります。そのため,他の事件類型と同じように被害者側への対応を行おうとすると,被害者側の悪感情を招くなど,当事者間の解決にとって不利益な状況となりかねません。

そのため,交通事故加害者の弁護士を選ぶ場合には,特に被害者側への対応方法に関して,交通事故の刑事弁護に精通しているかどうか,という点を重要な基準としましょう。判断方法としては,実際に被害者側への対応方針を質問し,どれだけ具体的な回答・案内が出てくるかを判断材料とすることが一案です。

②見通しの説明が具体的か

交通事故の刑事処分に関する見通しは,対応に精通した弁護士であればある程度の確度を持って想定できるケースも少なくありません。事故態様や被害結果,被害者側の意向など,様々な事情を考慮し,先例や経験に当てはめることで,一定の見通しを設けることも十分に可能であることが多いでしょう。

逆に,処分見通しが持てない場合,必要な前提知識や経験値に不足のある可能性が考えられます。もちろん,ピンポイントで見通しを立てることは困難ですが,処分が変わる条件ごとに場合分けをするなどして,あり得る処分の幅を具体的に案内してくれるかは,重要な判断基準とすることをお勧めします。

③弁護士と滞りなく連絡する手段があるか

交通事故の場合,被害者,加害者,保険会社,弁護士と複数の人物が関わり,そのそれぞれが連絡を取り合う可能性があります。この点,弁護士と加害者側の連絡が滞ってしまうと,やり取り全体に滞りが生じ,結果として事件解決が遠のいてしまいかねません。
また,加害者側との連絡が滞ってしまう弁護士は,多くの場合それ以外の相手との連絡も滞ってしまいがちです。万一,被害者との連絡がうまくできず,被害者側の感情面に悪影響が生じてしまうと,刑事処分にも大きなマイナスとなることが見込まれます。

そのため,弁護士選びに際しては,弁護士と滞りなく連絡を取る手段があるか,弁護士が円滑な連絡を取ってくれる人か,という点を判断基準の一つにするとよいでしょう。連絡の取り方や頻度は,完全に各弁護士の判断にかかっているため,この点は弁護士の個性や性格による面も少なくありません。

弁護士への連絡をしたいと思っても、「忙しいのではないか」と遠慮してしまうかもしれませんが、過度に遠慮する必要はありません。また、LINEやメールなど、電話以外の連絡手段を確保しておくことも有益になりやすいです。

交通事故加害者が弁護士に依頼するべき場合

①逮捕を防ぎたい場合

交通事故は,事後に適切な対応を尽くせば,逮捕されずに手続が進むことも多い類型です。
弁護士からは,ケースに応じてどのような対応をするのが適切か,逮捕を防ぐために他に取れる手立ては何か,といった点をご案内の上,事件に応じた逮捕回避の方策を弁護活動に反映させることが可能です。

②謝罪や示談をしたい場合

交通事故では,加害者と被害者が直接の連絡を取れる場合が多いですが,当事者間で宥恕(許し)に関するお話合いをすることはあまり現実的ではありません。
弁護士に弁護活動を依頼した場合,弁護士が窓口になって謝罪の申し入れをしたり,弁護士から宥恕に関するご相談を行ったりすることで,被害者との示談を円滑に試みることが可能です。

③起訴を防ぎたい場合

交通事故の事件には,弁護活動次第で起訴にも不起訴にもなる,という場合が多数見られます。
他の事件類型の中には,起訴を避ける手段がほとんどないものもあるため,活動次第で不起訴になり得るというのは交通事故の大きな特徴といえます。
弁護士に依頼された場合,刑事処分の正確な見込みを踏まえて,起訴を防ぐための弁護活動についてご案内を申し上げることが可能です。

④被害結果が重大な場合

死亡事故や重い後遺障害を伴う交通事故では、加害者が負う法的・社会的な責任は非常に大きくなります。
一瞬の不注意であっても、結果が重大であれば、刑事・民事の両面で厳しい責任を問われる可能性があります。

こうした重大事故では、次のような場面で専門的な法的対応が求められます。

・取調べや勾留段階での刑事弁護
・被害者遺族との示談交渉や謝罪の調整
・保険会社との折衝・対応方針の整理
・損害賠償請求訴訟への対応

特に死亡事故では、遺族の感情面への配慮と法的な交渉を両立させる必要があり、本人や家族だけでの対応は極めて困難です。
弁護士が介入することで、冷静な交渉が可能となり、刑事処分の軽減や円満な示談成立の可能性を高めることができます。

交通事故加害者に対する処分は、事故の重大さを重要な判断材料とすることが一般的です。重大な事故の場合は、できるだけ早く弁護士への依頼を検討することをお勧めします。

⑤被害者側との対応に限界がある場合

交通事故の加害者となった場合、被害者本人やその家族と直接やり取りをしなければならない場面があります。
しかし、感情的な対立や複雑な金銭交渉が絡むと、個人の対応では限界を感じるケースも少なくありません。

被害者対応が難航しやすい典型的なケース

・被害者や遺族が強い感情を抱いており、冷静な話し合いができない場合
・損害賠償額や補償内容について、双方の主張が大きく食い違っている場合
・過失割合の判断をめぐり、争いが長期化している場合
・被害者側に弁護士が就いており、専門的な法的知識を前提とした交渉が必要な場合

このような状況では、相手方とのやり取りが精神的にも大きな負担となり、不適切な発言や対応が新たなトラブルを招くおそれもあります。この点、弁護士が関与することで、被害者側との直接接触を避けつつ、法的根拠に基づいた冷静で公正な話し合いが可能になります。

交通事故の刑事処分には、被害者側の処罰感情(処罰を希望するかどうか)が非常に大きな影響を及ぼします。当然ながら、被害者が加害者に対する刑罰を希望しない方が軽減しやすい傾向にあり、不起訴処分の決定打になることも珍しくありません。

⑥自動車保険に加入していない場合

自動車保険に加入していない状態で交通事故を起こしてしまうと、加害者が負う経済的負担は非常に大きなものになります。
通常であれば任意保険会社が被害者への賠償や示談交渉を代行しますが、保険に未加入の場合は、すべての責任を自分自身で負う必要があります。

弁護士に依頼すれば、被害者との示談交渉や賠償額の算定を法的根拠に基づいて適切に進めることができます。
また、支払いが困難な場合には、分割払いの提案や減額交渉などを通じて現実的な解決を図ることも可能です。
刑事処分に発展するおそれがあるケースでも、早期に弁護活動を行うことで、処分の軽減を目指せる場合があります。

⑦刑罰に対する不安がある場合

交通事故を起こしてしまった場合、多くの方が「刑事罰を受けるのではないか」「逮捕されるのではないか」といった強い不安を抱くでしょう。
交通事故は民事上の損害賠償責任だけでなく、刑事責任を問われる可能性がある行為であり、その結果は事故の態様や被害の程度によって大きく異なります。

交通事故における主な刑事罰

・過失運転致死傷罪
→ 7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金
・危険運転致死傷罪
→ 被害者が負傷した場合は15年以下の懲役、死亡した場合は1年以上の有期懲役
・道路交通法違反(信号無視・速度超過など)
→ 罰金刑や免許停止・取消などの行政処分

刑罰への不安を抱えたときは、できるだけ早く弁護士に相談し、今後の見通しと取るべき対応を整理することが、冷静な解決への第一歩となります。

交通事故加害者が弁護士に依頼するべきタイミング

①事故直後

交通事故の場合,事故直後に加害者自身が警察を呼ぶなどし,必要な手続を尽くす必要があります。これは,交通事故が発生した際に,自動車運転者には警察へ報告する義務が生じるためです。
そうすると,交通事故では,基本的にすべての事件が発生直後から警察による取り扱いの対象となります。つまり,事故直後の段階から,既に将来的な刑事処分を見据えた対応の必要が生じているというわけです。

しかも,事故直後の手続では,現場の実況見分を合わせて行うケースもありますが,実況見分は加害者の責任の程度に関する重要な証拠となるものです。実況見分に際しては,個別のケースに応じて生じ得る争点を整理した上で,不要な不利益を招かない対応が必要となります。

そのため,交通事故加害者の場合には,事故直後の時点で弁護士を選び,順次進む手続に対して適切な対処を取っていくことが不可欠です。事故直後は,弁護士に依頼をするべき重要なタイミングと言えるでしょう。

ポイント
交通事故の場合,事故直後に警察を呼ぶことになる
早期に実況見分が行われ,重要な証拠となり得る

②被害者側と連絡を取るとき

交通事故の場合,金銭賠償が必要となるため,継続的に被害者側と連絡を取り合うことになる,という点に特徴があります。自動車保険に加入している場合は,保険会社にやり取りの多くを委ねることができますが,保険会社への引継ぎまでは,どうしても当事者間で連絡を取ることになります。
また,保険会社が対応を始めた後でも,保険会社が対応できない点については当事者間で解決する必要があります。保険会社は,当事者の代わりに被害者への金銭賠償を行ってくれますが,金銭面の問題以外には介入することができないため,この点はやはり当事者間での直接の連絡を要します。

被害者側との連絡は,その心情に配慮するため,細心の注意を払って行う必要がありますが,加害者という立場で適切な応対を判断し,続けるのは,非常に大きな負担を伴うものです。
そのため,被害者側との連絡に際しては,適切な弁護士を選び,専門性ある弁護士から指示や助言を受ける形で進めることを強くお勧めします。被害者側との連絡が円滑にできれば,最終的な事件解決にとっても非常に有益な効果が期待できるでしょう。

ポイント
交通事故は,当事者間での連絡を要する点に特徴がある
被害者側への連絡に細心の注意を払うため,事前に弁護士選びを行いたい

③取調べを受ける前

交通事故では,当日に事故の処理をした後,後日に改めて取調べを受ける流れが非常に多く見られます。そして,最終的な刑事処分の検討は,その取調べの内容を踏まえて行われるため,取調べでの応答がどのようなものであったかは,刑事処分に直結するケースもあります。

もっとも,どのような取調べ対応が適切であるかは,個別具体的な内容によって異なってくるため,加害者自身が正確に把握することの困難なものです。刑事事件の専門家に判断を仰ぎ,刑事処分のために有益な対応を尽くすことを強くお勧めします。
取調べを受ける前のタイミングは,万全の回答を準備するために弁護士を選ぶべき時期と言えるでしょう。

ポイント
取調べ内容が最終的な刑事処分の結果に直結するケースもある
適切な取調べ対応の具体的内容は,個別の事件によって異なる

④起訴された後

交通事故では,過失の程度や被害結果の程度が大きい場合,起訴されて公開の裁判(公判)を受ける流れになる場合も否定できません。特に,以下のような場合には起訴の上で公開裁判の対象となりやすいでしょう。

公開裁判の対象となりやすい交通事故

1.被害者に過失のない事故
→横断歩道歩行中,加害者のセンターオーバー・追突など

2.被害者が死亡した事故
→被害結果が最も大きい類型

この点,公開裁判の対象となる場合には,公開の法廷でどのように対応すべきか,事前に準備をする必要があります。適切な準備を怠ってしまうと,裁判所の判決に重大な悪影響が生じる可能性も十分に考えられるところです。
そのため,起訴された後,公開裁判を控える時期には,必ず弁護士選びを行い,適切な弁護士のサポートを受けるようにしましょう。

交通事故加害者の弁護士依頼に関するよくある質問

逮捕されてしまうのか

交通事故加害者の場合,逮捕される可能性は否定できません。その背景には,交通事故が発生すると,自動車運転者には警察に報告をする義務が生じるため,基本的に現行犯で事件が発覚する,という点があります。現行犯で取り締まる際には,逃亡や証拠隠滅の可能性を直ちに詳細に確認することが難しいため,確認不足による不利益を避けるため,逮捕に踏み切るという例が散見されます。

もっとも,これは交通事故のケースで逮捕の可能性が高い,という意味ではなく,個別事件における逮捕の可能性はそれぞれの事情によって大きく変わります。それほど重大ではない交通事故であれば,逮捕されない方が通常とも言えるでしょう。
なお,一般的に逮捕の可能性が高くなるケースとしては,以下のような場合が挙げられます。

交通事故で逮捕の可能性が高くなるケース

1.被害結果が重い
→死亡事故など,被害結果が重大である場合

2.重大な交通違反がある
→酒気帯び運転,無免許運転,極端な速度超過など,重大な交通違反を伴う場合

3.現行犯で逃亡が懸念される
→事故直後に当事者間でトラブルが起きた,その場を去ろうとした,という場合

警察に呼びされた場合どのように対応すべきか

①基本的な考え方

交通事故加害者となった件について,捜査機関から呼び出しを受けた場合,基本的には「呼び出しに適切に応じていれば大きな不利益は生じない」と理解をしておくことが適切です。

交通事故は,不注意で起きてしまった過失犯であるため,特段の事情がなければそれほど加害者の不利益が大きな手続(長期の身柄拘束など)を用いることはありません。特に,事故直後にしっかりと事故処理の対応を尽くしていれば,その後の呼び出しに応じている限り不測の不利益は生じないことが通常でしょう。

このような考え方を持っておくことは,自身の不安な感情を適切にコントロールする意味でも非常に重要です。交通事故は,刑事事件の中でも件数が非常に多い分野のため,手続が進むのを待つ期間が長く,手続全体も長期化しがちです。そのため,手続がなかなか終わらない中で自身をコントロールする必要がありますが,「呼ばれたときに適切に応じればよい」と割り切ることができれば,長期化による精神的負担は最小限に抑えることが可能になります。

ポイント
呼び出しに適切に応じていれば大きな不利益は生じ難い
交通事故の刑事手続は長期化しやすい

②反省内容の表明

交通事故加害者に対する呼び出しの際に確認されやすい点の一つが,反省状況です。その背景には,交通事故は,故意でなく過失(=注意義務違反)によって起きたものである,という点があります。

故意に起こした事件の場合,認め事件であれば反省の意思を表明しないことは稀です。故意に起こした犯罪行為に反省しない余地が考えにくいためです。一方,過失犯の場合,自分の過失をどのように評価しているかによって,反省を深めているケースもあれば,捜査を受けていることが不服であると考えているケースもあり得ます。
そうすると,捜査機関の目線では反省すべき過失があるのに,加害者本人が「自分にそれほどの落ち度はない」とのスタンスだと,捜査機関の理解との間に大きなギャップが生まれ,不利益な刑事処分につながる可能性もあり得ます。

そのため,自身の過失として指摘されている内容を冷静に確認し,反省すべき内容であればその反省を明確に表明していくことが適切な対応となります。

ポイント
反省すべきケースで反省が見られないと,大きな不利益につながる

③保険会社による対応状況の把握

呼び出しを受けた場合,警察署等で取り調べを受けることが見込まれますが,その際には被害者との間での解決状況についても確認されることが一般的です。そのため,自動車保険に加入している場合は,保険会社と被害者との間のやり取りの進捗をある程度把握しておくようにしましょう。

保険会社の対応状況を把握することは,以下のようなメリットにつながります。

保険会社の対応状況を把握するメリット

1.捜査機関に解決見込みありと理解してもらえる
→対応が順調に進んでいれば,当事者間の金銭的解決を前提にしてもらえる

2.十分な被害者対応をしているとの評価が得られる
→被害者対応を積極的に尽くそうとしている態度があるとの評価につながる

3.被害者側の感情面に有益な効果が期待できる
→加害者が状況把握に努めていると被害者に伝われば,被害者側の感情面の緩和につながる

不起訴になることはあるか

交通事故の場合,不起訴となる可能性は十分に考えられます。もちろん,ケースによっては不起訴処分の見込みが現実的にない場合もありますが,一般的な交通事故であれば,不起訴処分を目指す努力は十分に結果を左右し得ると考えてよいでしょう。

交通事故で不起訴の可能性が十分に考えられる大きな理由の一つが,過失犯であるという点です。交通事故は,わざと引き起こしているわけではなく,加害者自身も希望しないまま,不注意で起きてしまうものであるため,刑事責任は故意犯に比べて小さく評価されることが一般的です。起訴不起訴の判断は,事件ごとの刑事責任の重さを重要な基準とするため,交通事故が過失犯であることによる責任の小ささは,不起訴処分の可能性を高くする事情と言えます。

一方,過失犯であっても,刑事責任が重く評価されざるを得ない場合には,安易に不起訴を見込むわけにはいきません。交通事故の場合,被害者側に全く落ち度がない場合や,被害者に深刻な損害を与えた場合には,刑事責任が重大であると評価され,不起訴処分の可能性は低下しやすいでしょう。

ポイント
不起訴の可能性は,刑事責任の重さに大きく左右される
過失犯である交通事故は,故意犯よりも刑事責任が小さく評価されやすい

慰謝料を請求された場合はどうするべきか

交通事故の加害者として慰謝料を請求された場合は、まず冷静に対応することが大切です。焦って支払ったり、感情的に応じたりすると、不利な条件で示談してしまうおそれがあります。
具体的には、以下の点に留意しましょう。

1.請求内容を確認する
請求書に記載された金額や根拠を丁寧に確認しましょう。慰謝料は治療期間や過失割合などで変動するため、内容を理解せず支払うのは避けるべきです。

2.保険会社へ連絡する
任意保険に加入している場合は、すぐに保険会社へ報告を。多くの場合、交渉や支払いを代行してくれます。ただし、保険が適用されない部分については個別対応が必要です。

3.証拠を整理・保全する
事故状況の写真、ドライブレコーダー映像、診断書などを早めに整理・保管しておきましょう。

慰謝料の算定基準には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3種類があり、弁護士基準がもっとも高額です。被害者が弁護士を立てて高額請求してくることもあります。

こうした場合、弁護士に相談することで請求金額の妥当性を判断し、減額交渉や示談対応を任せることができます。過失割合の整理や保険会社との調整もスムーズに進むため、慰謝料請求を受けた際は早期に専門家へ相談することが円満解決の近道です。

交通事故の刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

交通事故は故意のない過失犯であるため,事件そのものの責任は決して大きくないことも少なくありません。
しかし,事後の対応を誤ってしまう場合も多く,それが本来科せられる必要のない責任や負担につながりやすい分野でもあります。
適切な対応の検討は,交通事故の刑事弁護に精通した弁護士へのご相談が有益です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

何をすると淫行として処罰されるのか?何罪になるのか?どんな処罰を受けるのか?淫行事件の対処法を全面解説

●何をすることが淫行に当たるのか?

●児童淫行は逮捕されるのか?

●児童淫行で早期釈放はできるか?

●淫行事件は解雇されてしまうか?

●淫行事件で示談はできるか?

●淫行事件の弁護士選びはどうすべきか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,児童淫行事件の対応でお困りの方に向けて,淫行事件の取り扱いや淫行事件への対処弁護士に依頼する際の注意点等について解説します。

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淫行とは

淫行は,18歳未満の男女を相手に性交又は性交類似行為をすることを言います。
性交は挿入行為を,性交類似行為は口淫や手淫といった行為を指します。

もっとも,18歳未満を相手とした性行為等のすべてが淫行に当たるわけではありません。
最高裁判所の判断を要約すると,以下のいずれかの場合に当たることが必要です。

①心身が未成熟であることに乗じて行うこと
②単に性的欲望を満足させるためとしか認められないこと

つまり,性行為に対する判断能力がまだ十分でない18歳未満の男女を,ただの性欲の対象として扱う行為が「淫行」に該当するということですね。

逆に,婚約を前提としているなど,いわゆる真剣交際の中で行われた性行為は,淫行には当たらないことになります。
もっとも,ただ真剣交際であると主張すればいいというものではありません。真剣交際であるから淫行に当たらない,と判断されるケースはごく少数であると考える方が適切でしょう。

淫行条例の刑罰

淫行は,各都道府県の定める「青少年保護育成条例」「青少年健全育成条例」といった名称の条例に違反する行為であり,条例の中で罰則も設けられている犯罪です。
条例の名称の一例として,東京都では「東京都青少年の健全な育成に関する条例」,埼玉県では「埼玉県青少年健全育成条例」という名称で定められています。
これらの条例のうち,淫行を規制する条項を指して,俗に「淫行条例」と呼ばれることがあります。

条例は都道府県によって異なりますが,淫行に対する刑罰の一般的な定めは,

2年以下の懲役又は100万円以下の罰金

とされていることが多く見られます。

淫行と逮捕

淫行条例違反の事件は,必ずしも逮捕されるとは限りません。
むしろ,相手の子(青少年)との間でトラブル化しているなど,今後の被害拡大が懸念される場合を除いては,逮捕をされるケースの方が少数派とも言えます。

もっとも,淫行が問題になる場合は,事態が周囲や警察に発覚するきっかけがあった,ということになります。
そのきっかけに青少年自身が関わっていないとは考えにくく,青少年の意思で警察に事実を述べた場合もあり得るところです。
青少年が警察に事実を述べた理由によっては,青少年の安全を守る目的で,被疑者の逮捕に踏み切る可能性も否定はできません

また,教師に代表されるように,青少年と関わる職務上の地位にある人が,職務上知り合った青少年との間で淫行した事件の場合には,事件の重大性を踏まえて逮捕に至る可能性が高くなりやすい傾向にあります。

淫行事件も逮捕の可能性はありますので,逮捕が懸念される場合には弁護士へのご相談やご依頼を検討するようにしましょう。

淫行事件は早期釈放が可能か

刑事事件では,逮捕された場合,その後に勾留されるかどうかの判断が行われます。
勾留された場合,10日~20日間の身体拘束が追加で生じ,留置施設に入れられながら捜査されることになります。
一方,勾留されなかった場合には,速やかに釈放されて在宅事件に切り替わり,日常生活に戻ることが可能です。

淫行条例違反の場合,逮捕されたとしてもすべて勾留されるわけではなく,早期釈放の上で在宅事件に切り替えてもらえる場合も珍しくはありません。
勾留は,逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れが大きいと判断された場合に行われる身体拘束ですが,事件を認めていて身元もしっかりとしている人であれば,逃亡や証拠隠滅の恐れが勾留しなければならないほど大きいとは判断されないことも多数あります。

もっとも,このような主張や働きかけは,弁護士を通じて検察官や裁判官に対して行う必要があるため,淫行条例違反で逮捕された場合には,勾留を防ぐためにできるだけ速やかに弁護士へ依頼することをお勧めいたします。

淫行と解雇 

淫行事件そのものは,法的には必ずしも解雇とは限りません。
民間企業の場合,解雇される場合の条件は就業規則に記載されますが,淫行事件が起きたことを特に解雇の理由としていることはほとんどないでしょう。また,仮に就業規則に明記されていたとしても,私生活上で起きた淫行事件を解雇の理由とするのは,正当な解雇であるか大きな疑問が残るところです。

もっとも,長期に渡って身柄拘束され続けたり,相当程度の刑罰を受けたりなど,業務への悪影響が大きくなってくると,それに比例して解雇の可能性も大きくなることが考えられます。
そのため,淫行事件が解雇につながることを防ぐためには,身柄拘束の期間を短期にとどめる,刑罰の軽減を目指すといった試みが有力でしょう。

なお,ここまでは私生活上での淫行であることを前提として解説しましたが,業務上又は業務に関連して行われた淫行だと,話が大きく変わってくるでしょう。
代表例としては,教師が生徒との間で淫行に至ったような場合です。この場合は,業務への悪影響が著しく大きいため,解雇が正当化されやすいと思われます。
また,公立学校の教師である場合,公務員という地位もあるため,懲戒処分の対象になることも想定されます。いずれにしても,私生活上の淫行事件より解雇の可能性が非常に高くなると考えられるでしょう。

淫行の示談

①示談の効果

淫行条例の場合,相手となった青少年(現実的にはその親権者)との間で示談が成立し,青少年側の宥恕(許し)が獲得できれば,不起訴処分となる可能性が非常に高くなる傾向にあります。
一方,示談の試みを特段せず,漫然と処分を受けた場合には,淫行の事実が明らかでない場合を除き,起訴されて刑罰を受けることが通常です。前科がなく,単純な淫行事件であれば,30万円ほどの罰金刑になることが多く見られますが,罰金刑も刑罰であり,刑罰を受ければ前科がつくことになります。

そのため,淫行条例で捜査を受け,前科を回避したいという場合には,示談の試みを行われることを強くお勧めします。
そして,示談を試みる場合には,当事者間で直接やり取りすることは適切でないため,弁護士に依頼し,弁護士を通じて示談の申し入れを行うことが必要です。

②示談金の金額について

示談を行う場合には,被疑者側から青少年側に対して,お詫びの意味を兼ねた金銭(示談金)を支払うのが通常です。
この示談金の金額は,当事者間の交渉で決定しますが,30万円前後が一つの目安とされやすいです。


淫行条例違反の場合,青少年の方も性行為に同意しているため,その点を踏まえた場合にはそれほど大きな金額の支払は必要でないと考えることも可能です。
一方,青少年の未熟さに乗じた事実は間違いないところであるため,その点を強調した場合には一定の金銭賠償は必要となるものと考えられます。
また,示談金には,不起訴となるための許し(宥恕)をいただく対価という意味も事実上込められるため,刑罰を科さなくてもいい,と留飲を下げるのに値する痛み(負担)という意味で金額を定めることもあります。

淫行事件で弁護士に依頼するべき場合

淫行事件で弁護士に依頼するべき場合としては,以下のようなケースが考えられます。

①逮捕を避けるために自首したい

淫行事件の場合,被疑者と青少年との間に交友関係のあることが多いため,青少年から被疑者に対して,淫行事件が捜査されそうであるという内容の連絡がなされる場合もあります。
そのような場合,漫然と待機しているよりも,自ら警察に出頭して自首する方が,逮捕の回避や処分の軽減につながるでしょう。
そのため,淫行事件での自首は有効な手段の一つということができますが,自首をより効果的に行うためには,弁護士と同行するなど,弁護士に主導してもらう形で行うのが適切です。

②相手と示談をして刑罰を回避したい

淫行事件の場合,青少年及びその親権者との示談が,刑事処分の結果に大きく影響することが多いです。
しかし,示談を試みる場合には弁護士を通じて行うことが必須となるため,示談を通じて刑罰の回避を目指す場合には,弁護士に依頼すべきと言えるでしょう。

③余罪が発覚して処分が重くなることを避けたい

淫行条例違反の事件では,複数の青少年と,複数の性行為を行ってしまっているケースもあり得ます。
そのうちの1件が捜査の対象となった場合,余罪が発覚するかどうかは処分の結果に大きな影響を及ぼす可能性も否定できません。
そこで,弁護士に依頼の上,余罪の発覚を防ぐための取調べ対応を協議したり,余罪に対する心構えや考え方について案内を受けたりすることが非常に有効となるでしょう。

④身に覚えがないことを主張したい

淫行条例違反とされるケースの中には,行ってもいないことを疑われるという場合もあり得ます。
この場合には,犯罪事実がないことを説得的に主張し,検察官の不起訴(嫌疑不十分)の判断を促すことが必要です。
もっとも,嫌疑不十分であるかどうか,ということは,高度に法的な判断を要する問題です。そのため,弁護士に依頼の上,法律の専門家同士による協議をしてもらうことで,検察官に嫌疑不十分であることを納得してもらうのが非常に有効な手段となるでしょう。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

児童淫行の事件は,当事者の関係や立場,事件の内容等によって必要な対応が異なります。
また,適切に対応できれば,重大な不利益を避けることのできる場合も少なくありません。
一方,対応や弁護士選びを誤った場合,適切なタイミングで適切な動きが取れず,取り返しのつかない不利益が生じる可能性もあります。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
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児童買春事件とは?どんな法律で規制されている?一般的な刑罰は?徹底解説

●自分の悩みは児童買春に当たるのか?

●児童買春とパパ活,売春の違いは何か?

●児童買春は警察にバレるのか?

●児童買春は自首すべきか?

●児童買春は逮捕されてしまうのか?

●児童買春は前科がつくのか?

●児童買春で弁護士に相談した方がいい場合は?

といった悩みはありませんか?

このページでは,児童買春について知りたい児童買春で逮捕や前科を防ぎたい,という方に向けて,児童買春に関する法律や弁護活動について解説します。

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児童買春とは

児童買春とは,いわゆる児童ポルノ法で禁じられている犯罪行為の一種ですが,その基本的な内容は,

①18歳未満に対して
②対価を渡して
③性的な行為をすること

ということができます。
対価については,金銭に限らず,プレゼントや食事も含まれます。


また,対象となる性行為には,

①性交(挿入)
②性交類似行為(口淫や手淫等)
③性器・肛門・乳首を触ったり触らせたりすること


が含まれます。

児童買春の刑罰は,5年以下の懲役又は300万円以下の罰金とされています。
児童の数や年齢,行為態様など,個別の事情によって,具体的な刑罰が大きく変わる事件類型です。

児童買春とパパ活の違い

一般的に「パパ活」と言われるのは,若い女性が年上の男性から金銭を受け取り,対価としてデートや性行為をするものです。
このパパ活は,児童買春に該当する場合,該当しない場合いずれも考えられるでしょう。

具体的には,まず,①女性側が18歳以上であれば,児童買春に該当することはありません。
児童買春の相手は児童(=18歳未満)であることが必要です。

また,②性交や性交類似行為など,性的な行為がなければ,児童買春には当たりません。
男性から女性に金銭が支払われたとしても,その対価が肉体関係を伴わない程度であれば,児童買春には当たらないことになります。

児童買春と売春の違い

「売春」は,売春防止法で禁じられた違法行為です。
そして,この売春は,対価を得て性交する行為を言います。
売春は対価を受け取る側の行為であり,児童買春は対価を渡す側の行為という区別が可能です。

もっとも,売春と児童買春が対象とする行為は,完全に一致しているわけではなく,以下のような違いがあります

①18歳未満であるかどうか
児童買春は,その相手が18歳未満である場合にのみ成立しますが,売春は18歳以上が行う場合も含まれます。

②対象となる行為が性交に限られるかどうか
売春は,性交する場合のみを対象としますが,児童買春は,性交に至らなくても,性交類似行為や性器等を触る行為があれば成立します。

なお,売春防止法違反の刑罰は,主に売春のあっせんや管理をする行為に対して科せられます。
売春をした人やその相手方になった(買春した)人自身は,基本的に処罰の対象とはなりません。
ただし,やり方によっては罰則の対象になりますし,罰則はなくとも違法な行為であることは間違いありません。

児童買春が警察に発覚する場合

児童買春事件が警察に発覚する経緯としては,概ね以下の場合が挙げられます。

①児童の親権者に発覚し,親権者が警察に相談する場合

いわゆる「親バレ」というものです。親権者の相談を受けた警察は,児童に話を聞くなどして捜査に着手し,SNSでのやり取りなどから被疑者を特定することが考えられます。

②別件捜査の過程で芋づる式に判明する場合

児童は,複数の相手との間で児童買春をしているケースが非常に多いため,別件の児童買春事件で事情聴取を受けた児童やそのスマートフォンの履歴などから,事件の存在が発覚する場合があります。

③児童が補導され,警察に事情聴取された際に発覚する場合

児童が夜間の外出や不適切な場所への出入り等を行い,警察に補導されると,事情聴取として素行の確認をなされる場合があります。
そのとき,児童買春の事実が発覚し,捜査の対象となる可能性が考えられます。

児童買春事件は,上記各場合のように,児童と警察との接触が捜査のきっかけになる場合がほとんどです。
そして,児童と警察が接触する可能性があるか,という点は,完全に児童の日常生活に依存するため,自分の努力で児童買春の発覚を防ぐことは非常に困難と言わざるを得ないところがあります。

児童買春と自首

児童買春をしてしまったものの,まだ警察からの捜査を受けていない場合,今後の逮捕が心配という人は少なくないと思います。
そのときの選択肢としては,自分から警察に出頭して犯罪事実を述べること,つまり自首が考えられます。

自首のメリットデメリットとしては,以下の点が挙げられます。

【メリット】
①逮捕される可能性が下がる
②刑事処分が軽減されやすくなる
③被害届が出ていないと分かる可能性がある

【デメリット】
①事件が発覚せずに済む可能性がなくなる
②やり方を検討する負担や実行する負担が大きい

一般的な児童買春事件であれば,自首が成立する場合に逮捕されることは考えにくくなるでしょう。
また,最終的な処分も,不起訴を含む軽微なものになる可能性が大きくなります。
事件が発覚せず終わる可能性を自分から放棄することにはなりますが,非常に有力な手段であると言えます。
もっとも,具体的にどうするかをご自身で検討したり実行したりすることは難しいので,自首を検討する場合には弁護士へのご相談をお勧めいたします。

児童買春と逮捕

児童買春事件は,逮捕をされる可能性が相当程度考えられる事件類型です。

類型的に余罪の存在が疑われやすい事件のため,相当数の余罪があると思われる事件では,余罪を含めた罪証隠滅を防ぐ目的で逮捕される可能性があります。
また,児童の年齢が特に低い場合や,捜査対象となる件数が多い場合には,事件の重大性などを踏まえて逮捕される可能性があります。

一方,児童の年齢が18歳に近く,捜査対象となる事件が1件であるなど,悪質性が高くはないと判断されれば,逮捕されずに在宅事件として取り扱われるケースも多く見られます。

個別のケースで逮捕されるかは,具体的な判断が必要となるため,児童買春事件で逮捕が懸念される場合には弁護士へのご相談が有力でしょう。
弁護士への相談や依頼を実施すれば,あわせて逮捕を避けるための試みについても案内を受けることができます。

児童買春と前科

児童買春事件は,起訴されて前科がつくことになる場合が多く見られます。
一般的には,悪質とは言えない事件でも罰金刑などの刑罰を受けることが見込まれやすいでしょう。
罰金となる場合には,公開の裁判(公判)をせずに罰金とする略式手続が取られるのが通常です。

一方,児童の年齢が低い,件数が多いなど,悪質と評価される事件では,略式手続では済ませられず,公判の対象となることが考えられます。
公判に至った場合には,執行猶予を含む懲役刑の対象となることが見込まれるでしょう。

児童買春事件では,積極的に前科を避けるための動きを取らない限り,前科がつきやすいと言えます。
前科を避けたい場合には,児童側との示談を行い,児童側の宥恕(許し)を獲得することが必要になりやすいです。

児童買春の示談

児童買春事件で処分の軽減や不起訴を目指す場合には,示談の試みが非常に重要となります。
示談を試みる際の一般的な方法は,以下の通りです。

①弁護士が被疑者の方などから依頼を受ける
②弁護士から捜査機関に連絡し,示談の申し入れをしたい旨伝える
③捜査機関から児童側に連絡をし,示談のお話合いが可能か意向を聞く
④児童側の了承が得られれば,弁護士と児童側(通常は親権者)との連絡先交換をする
⑤弁護士と児童側が交渉をする
⑥合意に至れば,示談を取り交わす

示談は,捜査機関に申し入れる方法で試みますが,当事者同士を引き合わすことは認めてもらえないため,弁護士を通じて,弁護士限りでの交渉を申し入れることが必要です。
示談を試みる場合には,弁護士への委任を行うようにしましょう。

ただし,児童買春の事件で示談を行う場合には,注意点があります。
それは,示談をしたからといって必ずしも不起訴になるわけではない,ということです。

そもそも,示談によって不起訴になるのは,犯罪の被害者が,その被害に対する刑罰を希望しないためです。
これは,犯罪によって生じる被害が,その個人に対する被害のみであることを前提にしています。
窃盗罪であれば,被害者個人の財産だけが犯罪の被害であるから,被害者が刑罰を希望しなければ不起訴になる,というわけです。

しかし,児童買春の事件は,犯罪によって生じる被害が個人の被害だけではないと理解されています。
具体的には,児童の個人的な被害に加え,社会の秩序が乱された(社会的法益の侵害)という面もあるのです。
そのため,児童や親権者だけが許したとしても,社会の秩序が乱されたという点については許されておらず,必ずしも不起訴になるわけではありません。

そのため,児童買春事件で示談を試みる場合には,示談をしても不起訴になると決まるわけではないという点にはあらかじめ留意しておくようにしましょう。

児童買春における弁護活動

児童買春事件の弁護活動としては,以下の内容が挙げられます。

①逮捕や勾留を防ぐ弁護活動

児童買春の事件は,逮捕されるかどうかがケースにより様々です。また,弁護活動次第では逮捕や勾留を防ぐことができる場合もあります。
それらの判断は,刑事事件に精通した弁護士にご依頼の上,個別の事情を踏まえて行ってもらいましょう。そして,弁護活動によって逮捕や勾留が防げる可能性のある場合は,あわせて弁護活動に着手してもらうのが適切です

②示談交渉・締結

児童買春事件で,事後的に処分の軽減を図る手段としては,やはり示談が最大の効果を持ちます。
示談をすれば不起訴になる,というほど単純ではありませんが,示談以上に不起訴の可能性を高めてくれるものは他にありません。
もっとも,この示談交渉や締結は,弁護士に依頼しなければ現実的には行うことができないため,弁護士に依頼の上,示談の試みを行ってもらうことが適切でしょう。

③自首同行

後日逮捕が懸念される場合,先手を打って自首を行うことで,後日逮捕を回避できる可能性が高くなります。
そして,弁護士に依頼し,自首に同行してもらうことで,適切な方法での自首が容易になり,逮捕回避や処分の軽減につながる可能性をより高くすることも可能です。
自首を検討する場合には,弁護士と同行する手段もあわせて検討されることをお勧めします。

④取調べ対応の協議・助言

捜査に際しては,警察や検察から取調べを受けますが,その際にどのような対応・返答をすべきか,という点は簡単な問題ではありません。
特に,発覚していない余罪があったり,取調べの手法が過激だったりする場合には,対応に困ることも少なくないでしょう。
弁護士へ依頼し,それらの不安を率直に相談されることで,弁護士と対応方針の協議をすることや弁護士からの助言を受けることが可能です。

児童買春事件に強い弁護士をお探しの方へ

児童買春は,件数・内容・程度・捜査状況等,様々な事情によって取り扱いや見込みが大きく変わってくる可能性のある事件類型です。
そのため,適切な対応を取るためには,児童買春事件に精通した弁護士へのご相談が非常に重要となってきます。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
児童買春事件でお困りごとがある方は,お早めにお問い合わせください。

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児童ポルノとは何か?何をするのが犯罪か?どんな刑罰を受けるのか?児童ポルノ詳細ガイド

●児童ポルノとは何か?

●児童ポルノに関して何をすると犯罪になるか?

●児童ポルノ事件は逮捕されるか?

●児童ポルノ事件は早期釈放が可能か?

●児童ポルノ事件は不起訴になるか?

●児童ポルノ事件は実刑になるか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,児童ポルノ事件に関する法律の内容や,早期釈放・処分軽減に向けた児童ポルノ事件の弁護活動などについて解説します。

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児童ポルノとは

児童ポルノとは,文字通り「児童」の「ポルノ(=性的な画像・映像)」のことを言います。
そして,児童ポルノ法が定める「児童」は,18歳未満の男女を指します。
したがって,児童ポルノは18歳未満の男女が被写体となった性的な画像・映像ということになります。

なお,児童ポルノ法が定めるポルノ(=性的な画像・映像)の具体的な類型は,以下の3つです。

①性交や性交類似行為(口淫や手淫など)をする姿
②性器を触ったり触られたりする姿+性欲を刺激するもの
③衣服を全部又は一部着けない姿+性的な部位が露出され又は強調されている+性欲を刺激するもの

児童ポルノに関する犯罪類型

児童ポルノ法が児童ポルノについて禁じる行為は,概ね以下の6つです。

①所持
データのダウンロードなど,画像や映像を保存する行為が該当します。

②提供
譲渡や交付の方法で相手が利用処分できる状態にする行為が該当します。

③製造
自ら撮影する,児童に撮影させるといった方法で作成する行為が該当します。

④公然陳列
不特定多数の人がその内容を認識できる状態に置く行為が該当します。

⑤保管
主に提供や公然陳列の目的で保管する行為が該当します。

⑥運搬・輸出入
提供や公然陳列の目的で,児童ポルノを運び又は輸出入する行為が該当します。

以上の類型の中で,最も捜査の対象になるケースが多いのは③製造です。
近年では,SNSで知り合った児童に,SNS上で撮影画像・映像を送信させる方法での製造行為が非常に多くなっています。

児童ポルノ事件と逮捕

児童ポルノの事件,特に代表例である児童ポルノの製造については,逮捕の対象となることも珍しくありません。
児童ポルノ事件については,逮捕される可能性が十分にあることを想定するのが適切でしょう。

具体的なケースで逮捕されるかどうかは,捜査に至った経緯や個別の内容によりますが,児童ポルノ事件が捜査に至る経緯としては,以下の場合が考えられます。

①児童のスマホなどを通じて親権者が知った(親バレ)
児童の素行を心配した親権者が,図らずもスマホの履歴などを通じて知った場合です。事情を知った親権者が警察に相談するなどして捜査に至ることが考えられます。
捜査のきっかけとして最も多いと思われます。

②児童が補導された
児童が,夜間の外出や不適切な場所への出入りなど,別件で警察に補導された際,警察から事情を聴取される中で事件が発覚する場合です。

③児童が警察に相談した
児童がその意思に反して製造させられているケースで,児童自身が警察に助けを求める場合です。

以上のうち,③児童が警察に相談した場合には,逮捕の必要性がより高く,逮捕されやすいと言えます。

また,逮捕するかどうかを判断するほかの事情としては,以下のようなものが挙げられます。

①児童の年齢
児童の年齢が低ければ低いほど,犯罪として悪質であると評価されやすく,逮捕の可能性を高くします

②撮影の期間・件数
期間が長く,件数が多い場合には,余罪を含めた証拠隠滅の可能性が懸念され,逮捕の可能性を高くします

③被疑者の地位や立場
教師や医師など,その地位を利用する形で児童ポルノを製造させた場合には,逮捕の可能性が高くなりやすいです。

児童ポルノ事件と早期釈放

刑事事件では,逮捕されると,その後に勾留されるかどうかが判断されます。
勾留された場合,10~20日の身柄拘束が追加で発生し,身柄拘束を伴った捜査が継続されます。一方,勾留されなかった場合には,速やかに釈放され,在宅事件に移行します。在宅事件では,日常生活を継続しながら,捜査機関に求められたときだけ出頭する,という方法で捜査がなされます。
そのため,逮捕された場合に勾留されるか早期釈放されるかは,極めて大きな問題です。

この点,児童ポルノ事件では,ケースによって早期釈放を目指せる場合も珍しくありません。
特に被疑者が認めている場合,余罪の捜査が予定されていない場合など,事件や捜査がそれほど複雑にならない見込みであるケースでは,早期釈放に至ることも十分に考えられます。

また,対象となる児童の保護者と示談を試みるなど,謝罪や賠償を尽くすことができれば,早期釈放の可能性はより高くなると言えるでしょう。

児童ポルノ事件の場合,どのような条件で早期釈放できるかどうかがケースによって異なるため,ケースごとの判断が不可欠であり,早期釈放を目指す場合は弁護士への相談や依頼が非常に重要になります。
児童ポルノ事件で逮捕された場合は,できるだけ速やかに弁護士へ相談しましょう。

なお,逮捕から勾留までの期間は,基本的に2日以内,長くても3日以内と短いため,逮捕後の弁護士へのご相談は,遅くとも逮捕翌日までには行われることをお勧めします。

児童ポルノ事件の不起訴

基本的な運用

児童ポルノ製造の事件では,犯罪事実が明らかである場合,特に対処しなければ起訴されるのが通常です。
一般的な反省や謝罪という程度では,不起訴処分にはならず起訴されることが見込まれやすいでしょう。
重大なものでなければ罰金刑,事件が重大視された場合には公判請求の上で執行猶予となるのが一例です。
そのため,不起訴処分を目指すためには,積極的な動きを取る必要があります。

※語句の意味

罰金一定額の金銭を支払うことを内容とした刑罰
公判請求公開の法廷で刑事裁判を受ける処分
執行猶予一定期間刑罰の執行をせず,その期間を無事に経過すれば刑罰が執行されなくなる制度

不起訴を目指すための活動

不起訴処分を目指す最も有力な活動は,示談の試みです。
児童(現実には児童の親権者)との間で示談が成立し,児童側の宥恕(許し)を獲得できれば,不起訴の可能性は高くなるということができます。
不起訴を目指す場合は,弁護士に依頼の上,児童側との示談を目指すのが適切でしょう。

もっとも,児童ポルノの事件で示談を行う場合には,注意点があります。
それは,示談をしたからといって必ずしも不起訴になるわけではない,ということです。

そもそも,示談によって不起訴になるのは,犯罪の被害者が,その被害に対する刑罰を希望しないためです。
これは,犯罪によって生じる被害が,その個人に対する被害のみであることを前提にしています。
窃盗罪であれば,被害者個人の財産だけが犯罪の被害であるから,被害者が刑罰を希望しなければ不起訴になる,というわけです。

しかし,児童ポルノの事件は,犯罪によって生じる被害が個人の被害だけではないと理解されています。
具体的には,児童の個人的な被害に加え,社会の秩序が乱された(社会的法益の侵害)という面もあるのです。
そのため,児童や親権者だけが許したとしても,社会の秩序が乱されたという点については許されておらず,必ずしも不起訴になるわけではありません。

そのため,児童ポルノ事件で示談を試みる場合には,示談をしても不起訴になると決まるわけではないという点にはあらかじめ留意しておくようにしましょう。

児童ポルノ事件の刑罰

児童ポルノ事件の刑罰は,一般的な製造事件であれば,罰金や執行猶予といった内容になることが一般的です。
初犯の場合に実刑判決の対象となることは非常に少数であるということができるでしょう。

もっとも,同種の前科がある場合や,営利目的で反復継続して行われた場合には,実刑判決の対象となる可能性も十分に考えられます。
児童ポルノに関する事件は,類型や内容が様々であるため,個別の事件でどのような刑罰が見込まれるかは,刑事事件に強い弁護士にご相談の上,イメージをお持ちになることをお勧めします。

児童ポルノ事件に関する弁護活動

児童ポルノ事件の弁護活動としては,以下のようなものが挙げられます。

①逮捕や勾留を防ぐための弁護活動

児童ポルノの事件は,逮捕されるかどうか,勾留されるかどうかがケースによって異なり,弁護活動によっても異なる類型です。
そのため,弁護士においては,逮捕や勾留を防ぐための弁護活動を通じて早期釈放を獲得する試みが可能です。

②示談交渉及び締結

対象となる児童や親権者との示談は,児童ポルノ事件で刑罰の軽減を目指す上では最重要と言えます。
そして,示談交渉は当事者間ではできず,弁護士を間に入れる必要があるため,弁護士に依頼することでしか実現できない活動ということができるでしょう。

③治療等による再発防止のご案内

事件の原因として,性的傾向や病的な面が見受けられる場合は,再発防止策として通院やカウンセリングといった治療の実施も有力です。
弁護士からは,通院に関するご案内や,通院した事実を処分の軽減に反映させるための弁護活動が可能です。

④贖罪寄附

児童が特定できない場合など,示談の試みが困難なケースでは,贖罪(しょくざい)の意思を形にするため,贖罪寄附を行う手段も考えられます。
弁護士からは,贖罪寄附の方法や内容をご案内するとともに,贖罪寄附の事実を処分の軽減に反映してもらうための弁護活動が可能です。

児童ポルノ事件に強い弁護士をお探しの方へ

児童ポルノに関する事件は,内容によって見通しも変わりやすく,適切な対応も変化しやすい類型です。
また,児童の年齢が重要であるので,年齢に関する種々の争点が現れやすいという特徴もあります。
児童ポルノに関する事件は,決して重大な刑罰を受けるものとは限らないため,弁護活動に精通した児童ポルノに強い弁護士へ依頼することで,結果が大きく変わることも珍しくありません。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
児童ポルノ事件は個別の内容,状況に応じた早期対応が重要ですので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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侵入窃盗事件は弁護士依頼で実刑を避けられる?不起訴になる?示談などの状況別対処法を解説

●侵入窃盗とはどういう事件なのか?

●侵入窃盗は逮捕されてしまうのか?

●侵入窃盗で早期釈放は可能か?

●侵入窃盗の刑事手続はどのくらいの期間がかかるのか?

●侵入窃盗は実刑になるか?

●侵入窃盗ではどんな弁護活動が可能か?

といった悩みはありませんか?

このページでは,侵入窃盗事件の取り扱い侵入窃盗事件で取るべき対応や弁護活動の内容などについて解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

侵入窃盗事件とは

窃盗事件には,侵入窃盗,非侵入窃盗,乗り物盗という3つの分類があります。
そのうち,住居などへの侵入を伴う窃盗事件が,侵入窃盗に該当するものです。

①侵入窃盗事件の罪名

住宅への侵入窃盗事件では,侵入行為について住居侵入罪が,窃盗行為について窃盗罪が,それぞれ成立することが一般的です。

窃盗罪(刑法235条)10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
住居侵入罪(刑法130条)3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金

二つの犯罪が成立する場合,合計でどの程度の刑罰になるのかが問題になりますが,侵入窃盗事件では住居侵入罪と窃盗罪が手段と目的の関係にあるため,より重い方の刑(窃盗罪の刑罰)で処罰されます。
なお,複数の罪が目的と手段の関係にあることを牽連犯(けんれんはん)と言います。

参照:刑法 e-Gov法令検索

②侵入窃盗事件の類型

侵入窃盗事件としては,以下のような類型が挙げられます。

住居への侵入(住宅対象侵入窃盗)

①空き巣居住者がいないところに侵入し,窃盗する
②居空き(いあき)居住者がいるところに侵入し,窃盗する
③忍び込み居住者の就寝中に侵入し,窃盗する
.

住居以外への侵入

①出店荒らし営業時間外の店舗に侵入し,窃盗する
②事務所荒らしビルなどのオフィスに侵入し,窃盗する

侵入窃盗事件と逮捕

侵入窃盗事件は,窃盗罪が成立する事件の中でも,逮捕される可能性が非常に高い類型です。
その代表的な理由としては,以下の事情が挙げられます。

①侵害される法益(被害者の利益)が大きい
②今後の被害から被害者を守る必要性が高い
③計画的である(突発的な事件ではない)
④余罪の存在が見込まれやすい
⑤刑罰が重くなりやすいため,逃亡が懸念される

侵入窃盗が捜査される場合は,被害者側が警察などに相談しているケースが大多数です。
被害者の相談を受けた警察は,被害者の保護を最優先に対応せざるを得ないため,被害者に万一のことがないよう,被疑者を特定した際には逮捕することが必要になりやすいでしょう。

なお,逮捕の方法には,大きく分けて現行犯逮捕と通常逮捕(後日逮捕)があります。
侵入窃盗事件の場合,現行犯逮捕ができれば現行犯で逮捕する可能性が高く,現行犯逮捕ができなくても後日逮捕する可能性が高いでしょう。
現行犯でない場合,捜査をした警察には,①後日逮捕をするか②逮捕をしないで電話などで呼び出すか,という選択肢がありますが,侵入窃盗事件では,逮捕をしないで呼び出す選択をするケースは少数です。

侵入窃盗事件の身柄拘束期間

逮捕された場合,続けて勾留されるかどうかによって身柄拘束の期間が変わります。
起訴(又は不起訴)までの具体的な流れは,以下の通りです。

①逮捕居住48時間以内
②送致24時間以内
③勾留請求当日又は翌日,窃盗する
④勾留決定10日間
⑤勾留延長決定最大10日間
⑥起訴または不起訴
.

侵入窃盗事件は,勾留請求及び勾留決定の対象となる可能性が非常に高い類型です。
検察官は,逃亡や証拠隠滅,被害者への接触などを避けるために勾留請求を行うことが一般的であり,勾留請求を受けた裁判所も,検察官の請求が合理的であることを踏まえて勾留決定することになりやすいでしょう。
そのため,侵入窃盗事件の場合,逮捕の後速やかに釈放されることを目指すのは,現実的に難しいかもしれません。

また,侵入窃盗事件の身柄拘束期間についてもう一つ考慮すべきなのが,再逮捕の可能性です。
侵入窃盗事件は,余罪が明らかになった場合,その余罪についても捜査・処罰の対象とすることが見込まれますが,この余罪について再逮捕がなされると,上記①~⑥の流れがもう一度繰り返されることになります。
したがって,逮捕から勾留,起訴まで22~23日間の身体拘束が,捜査される事件の数だけ繰り返される可能性があるのです。
必ずしも,捜査する事件の全てについて逮捕勾留を繰り返すわけではないので,単純に事件の数だけ逮捕勾留が生じるわけではありませんが,余罪が多いほど身柄拘束期間は長くなるのが一般的です。

侵入窃盗事件の刑罰

侵入窃盗事件は,その重大性を踏まえて,裁判所からも相当な程度の処罰を言い渡される可能性があります。
初犯であっても,内容により実刑判決の対象となる場合は否定できません。

この点,実刑判決を防ぐためには,被害者との示談が非常に有力となります。
ほとんどの場合では,被害者と示談ができている事件であれば,実刑判決の対象とはなりづらいでしょう。
また,この場合の示談は起訴後に行うことが見込まれますが,起訴後は起訴前に比べて示談が成立しやすい傾向にあります。主な要因としては以下の点が挙げられます。

①既に起訴されており,不起訴になる可能性がない
不起訴になることは許せない,という被害者であっても,起訴された後,不起訴になる可能性が消滅した状況であれば示談に応じるとの判断になる場合があります。
特に,実刑判決になることが明らかでない場合や,実刑判決になることまでは希望していない被害者の場合には,このようなケースがあり得るでしょう。

②加害者が事件を真摯に認めていることが被害者に分かる
公判が開かれ,裁判所で加害者が事件を認める話をした場合には,その事実が被害者側にも伝わることが多いです。そのため,加害者が反省をしているか半信半疑であった被害者の場合,加害者が公判で真摯な態度を見せたことをきっかけに示談交渉のテーブルに乗っていただけることがあります。

③交渉期間を長く確保できる
起訴前の捜査段階では,示談交渉の期間は長くても20日間程度であり,現実的には20日間を確保できるケースもあまりありません。侵入窃盗事件の被害者にとって,示談を受けてよいか判断するには時間不足であることも多く見受けられます。
この点,公判は月単位の期間を要する手続のため,交渉期間も長く確保することができ,示談の締結に至りやすくなります。

侵入窃盗事件の起訴・不起訴

基本的な考え方

刑事事件では,捜査を遂げた検察によって,起訴するか不起訴とするかの判断がなされます。
起訴された場合,刑事裁判を受けて刑罰の対象となり,前科がつきますが,不起訴の場合には刑罰も前科もありません。

侵入窃盗事件の場合,基本的には起訴される可能性が非常に高いと言えるでしょう。
余罪がある場合には,余罪も含めて複数件が起訴されることも珍しくありません。
少なくとも,反省をしている,初犯である,といった事情のみで不起訴になることは考えにくいです。

侵入窃盗事件で不起訴になる場合があるとすれば,代表例は被害者との示談が成立した場合です。
侵入窃盗事件は被害者のいる事件であるため,被害者の処罰感情(加害者の処罰を求めるかどうか)が処分に直接影響します。
そのため,侵入窃盗の事実が明らかであったとしても,被害者が処罰を希望せず,被害者を許している(宥恕している)場合には,不起訴となる可能性が十分に考えられるでしょう。

もっとも,示談を通じて不起訴となることを目指す場合は,以下の点に注意が必要です。

①起訴不起訴は,事件ごと・被害者ごとの判断になる
余罪を含めて複数の被害者がいる場合,被害者のうち一人と示談ができても,不起訴になり得るのはその被害者の事件のみです。
全ての事件が不起訴にならなければ,刑罰を受けて前科が残る結果は同様になってしまいます。

②事件類型的に速やかな示談は難しい場合も多い
事件の程度が重大であるため,被害者が早期に,積極的に示談の検討をしてくれるかは非常に不明確です。示談は被害者の了承が前提となるため,被害者側の検討に時間がかかる場合にはやむを得ない場合も考えられます。

起訴不起訴のケース別見通し

①認め事件

侵入窃盗事件は,容易に不起訴となる事件類型とは言い難いものです。被害者側への侵害の程度が強く,重大性ある事件と評価されやすいため,基本的には起訴を想定することになりやすいでしょう。少なくとも,反省を深めているというのみで不起訴となることは考えにくいと言わざるを得ません。

もっとも,侵入窃盗事件で起訴をされる主な理由は,被害者に与えた損害の大きさにあるため,損害を被った被害者自身が不起訴を望むのであれば,話は大きく変わります。被害者側に適切な対応を尽くし,その結果として被害者が不起訴を望むに至ったなどの成果が挙げられれば,不起訴の可能性は十分にあると言えるでしょう。

②否認事件

否認事件での不起訴の可能性は,犯罪が立証困難と判断される可能性と直結します。犯罪事実を裏付ける証拠が十分にある,と判断される状況であれば,やはり事件の重大性を踏まえても起訴されることになりやすいでしょう。一方,起訴をしても裁判所の有罪判決が得られるような証拠に乏しい場合には,不起訴の可能性が高くなりやすいと言えます。

この点,証拠には物証(物的証拠)と人証(人の話)がありますが,物証に乏しく人証のみである,という場合には証拠が不十分であるケースが多い傾向にあります。犯罪事実の立証に必要な物証としては,以下のようなものが挙げられます。

犯罪事実の立証に必要な物証

1.犯罪を直接立証する証拠
→事件現場を撮影した映像・画像など

2.人の話が正しいことを裏付ける証拠
→被害者の話が真実でなければ説明のつかない物や記録など

犯罪事実を直接立証する物証がなく,被害者らの供述を補強する物証もない場合には,人証のみが証拠となりますが,人証しかない否認事件で起訴をするのは難しい場合も多く,不起訴の可能性が高まりやすいと言えます。

侵入窃盗事件で不起訴を目指す方法

①認め事件

犯罪事実に間違いがない認め事件の場合,不起訴が実現するかどうかは被害者側の意向にかかっています。被害者が起訴を希望すれば起訴,不起訴を希望すれば不起訴になる,と言っても過言ではないでしょう。

そのため,認め事件で不起訴を目指すためには,被害者に不起訴を希望してもらうことが必要ですが,その具体的な方法は示談となるのが通常です。被害者との間で示談が成立し,示談の内容として被害者が不起訴を希望する内容を盛り込むことができれば,被害者の意向を酌んで不起訴処分とされることが見込まれやすいでしょう。

侵入窃盗事件で捜査をされている状況の場合,被害者が捜査や処罰を望んでいることが見込まれるため,示談の試みをしない限り,被害者は起訴を希望していると考えるのが適切です。そのため,示談の試みをしなければ起訴され,起訴前に示談が成立すれば不起訴の可能性が高まる,という整理が可能でしょう。

ポイント
起訴不起訴は被害者の意向にかかっている
示談により被害者の不起訴希望を獲得できれば,不起訴が見込まれる

②否認事件

否認事件の場合,犯罪の立証ができないことを理由とした不起訴処分を目指すことが適切です。この点,被疑者の犯罪が立証できない場合の不起訴処分には,大きく分けて「嫌疑なし」と「嫌疑不十分」の二種類があります。

否認事件の不起訴理由

1.嫌疑なし
→真犯人が判明したなど,犯罪の疑いがなくなった場合

2.嫌疑不十分
→被疑者の犯罪を立証するに足りる証拠がない場合

否認事件で不起訴処分となるのは,ほとんどが「嫌疑不十分」のケースです。侵入窃盗事件の場合であれば,事件が起きたとされる日時に被疑者が侵入したことの根拠が不十分である,といった場合が代表例になるでしょう。

そのため,否認事件で不起訴処分を目指す場合には,否認の旨を一貫して主張し,嫌疑不十分であるとの判断を促すことが適切となります。

ポイント
否認事件の不起訴処分は,ほとんどが嫌疑不十分

侵入窃盗事件で不起訴を目指す場合の注意点

①示談が困難である可能性

認め事件の不起訴は示談の成否にかかっているため,不起訴を目指すにあたって示談は非常に重要なものです。しかしながら,示談は被害者と加害者との間の契約であるため,被害者の合意がなければ成立しません。

この点,侵入窃盗事件では,被害者側の感情面として示談を希望したくない,という意向を示されることが少なくありません。被害者側の精神的苦痛が大きい状況のため,示談によって加害者が処罰されないのは了承できない,そもそも事件を思い出すようなことをしたくない,といった理由で門前払いにされる可能性は十分に考えられます。

そして,被害者側に門前払いをされてしまうと,現実的に示談を成立させる手段はなくなり,示談を通じた不起訴処分の獲得は困難とならざるを得ません。この点は,弁護士にも如何ともし難い部分であるため,あり得る可能性としてあらかじめ注意しておくことが望ましいでしょう。

②示談の経済的負担が大きい可能性

侵入窃盗事件において,示談による不起訴処分を目指す場合には,示談に必要な経済的負担が大きくなる可能性に注意しておくことが望ましいです。
示談の際には,加害者から被害者に対して示談金という名目で金銭の支払を行うのが通常ですが,その金額は当事者間の合意で決まります。そのため,示談金は被害者の了承する金額であることが必要ですが,侵入窃盗事件の場合には被害者の了承する金額水準が大きくなることも珍しくありません。
その具体的な理由としては,以下のような点が挙げられます。

侵入窃盗事件の示談金が大きくなる場合の理由

1.精神的苦痛が大きい
住居などに侵入され金品を窃取されたことの精神的苦痛が大きく,低額の金銭では納得が得られにくい

2.被害者の転居
自宅への侵入であった場合,被害者が転居を希望する可能性が高く,転居費用を含めた示談金の協議になりやすい

3.複数回の被害
同一の場所へ複数回に渡って侵入窃盗が行われている場合,件数に応じて示談金額が大きくなりやすい

③余罪の影響

侵入窃盗事件は,類型的に余罪のあることが多く見られますが,余罪がある場合には,1件のみ不起訴となっても他の事件で起訴される可能性が残ることに注意が必要です。

起訴不起訴の判断は,事件ごとに行われるため,1件で不起訴になったからと言って他の事件も不起訴になるとは限りません。同じ被害者に対する複数の余罪がある,という場合であれば,被害者に対する1回の示談で全ての事件が不起訴になることも見込まれますが,被害者の異なる余罪があるケースや,否認事件のケースなどは,余罪について別途不起訴を目指す動きが必要になりやすいでしょう。

④共犯事件の場合

侵入窃盗事件は,一人で行われる場合のほか,複数人で行われる共犯事件である場合も見られます。この点,共犯事件の場合には,単独の事件にはない特徴として,以下のような点に注意することが望ましいでしょう。

共犯事件の注意点

1.悪質性が高いと評価されやすい
→共犯事件は,計画的である場合が多く,悪質と評価されやすい傾向にあります。

2.共犯者の供述に影響される
→誰が主犯であったか,誰が何をしたかについて足の引っ張り合いが生じ得ます。

3.加害者全員が被害全額の賠償義務を負う
→被害者に対しては,共犯者全員がそれぞれ全額の賠償義務を負います。

侵入窃盗事件の示談

侵入窃盗事件で示談は必要か

侵入窃盗事件の場合,身に覚えのない事件であるケースを除いて示談は必要と考えるべきでしょう。

前提として,侵入窃盗事件には以下の類型があります。

住居への侵入(住宅対象侵入窃盗)

①空き巣居住者がいないところに侵入し,窃盗する
②居空き(いあき)居住者がいるところに侵入し,窃盗する
③忍び込み居住者の就寝中に侵入し,窃盗する
.

住居以外への侵入

①出店荒らし営業時間外の店舗に侵入し,窃盗する
②事務所荒らしビルなどのオフィスに侵入し,窃盗する

これらの侵入窃盗行為は,被害者に生じる損害が大きく,被害者を保護する必要が非常に大きいため,加害者側の取り扱いも重いものになりやすいです。捜査の対象になれば逮捕勾留が見込まれやすく,犯罪が立証されれば起訴されやすく,事件の程度によっては初犯で実刑判決を受け,刑務所に入ることを強いられる場合もあり得るところです。

このように,侵入窃盗事件の場合には捜査や処罰の対象になった場合の不利益が非常に大きいため,その不利益を軽減させる試みがとても重要になります。そして,加害者側の不利益を最も大きく軽減させるものが,示談です

示談が成立するかしないかによって,刑事手続における取り扱いが決定的に変わることも決して珍しくはありません。侵入窃盗事件で処分の軽減を目指す場合は,まず示談を検討することが適切でしょう。

ポイント
侵入窃盗事件は,逮捕や起訴などの面で重い取り扱いになりやすい
示談ができれば取り扱いが決定的に軽減することも珍しくない

侵入窃盗事件における示談のメリット

①逮捕の回避

侵入窃盗事件は,被疑者(加害者)を逮捕した上で捜査を行うことが非常に多い類型です。捜査機関が犯罪捜査を行う場合には,被疑者を逮捕して行う身柄事件と逮捕せずに行う在宅事件がありますが,重大事件であり逮捕の必要性が高い場合には,身柄事件として扱われる傾向にあります。侵入窃盗事件は,類型的に逮捕の必要性が高いと理解されているわけです。

この点,逮捕前に被害者との示談を成立させることができれば,その後逮捕される可能性は非常に小さくなります。なぜなら,被疑者の逮捕は被害者保護を大きな目的の一つとして行うところ,示談成立後であれば被害者保護の必要はほとんどなくなるためです。
逮捕前に示談を成立させることは容易ではありませんが,逮捕前の示談は極めて利益が大きいため,可能性がある場合には最優先で試みるのが適切でしょう。

②早期釈放

逮捕勾留をされた侵入窃盗事件の場合,示談によって早期釈放を図ることのできるケースが少なくありません。
逮捕前に示談ができれば,その後に逮捕をする必要がほとんどなくなる,という点を紹介しましたが,これは逮捕後であっても大きな違いはありません。つまり,逮捕後に示談が成立した場合,その後に逮捕勾留といった身柄拘束を続ける必要はほとんどなくなる場合が非常に多く見られます。

そのため,侵入窃盗事件で身柄拘束を受けている場合には,少しでも早い示談の成立を目指すことで,少しでも身柄拘束の期間を縮め,早期釈放を実現させるのが理想的です。認め事件の場合には,速やかに示談の試みを進めるようにしましょう。

③不起訴の獲得

侵入窃盗事件は,被害者の自宅など,部外者が入ってはならない場所への侵入を伴うために,窃盗事件の中でも悪質な事件類型とされやすいです。そのため,侵入窃盗事件で犯罪の立証に必要な証拠が揃えば,基本的には起訴されるものと考える必要があります。
そして,起訴された場合は,無罪判決を獲得しない限りは刑罰を受けることになり,前科が付くことも避けられません。

この点,起訴前に被害者と示談ができた場合には,同一の事件であっても不起訴処分となる可能性が非常に高くなります。それは,ほかならぬ被害者が不起訴を希望することになるためです。

起訴前に示談を行う場合,加害者側が求める最大の条件が,被害者に不起訴を希望してもらうこととなります。侵入窃盗事件のように被害者の存在する事件類型では,その被害者が起訴を望むか不起訴を望むかによって,処分が非常に大きく変わってきます。侵入窃盗事件でも,被害者が不起訴を望むのであればその通りに不起訴とするのが一般的と言えます。
そして,被害者に不起訴を希望してもらうための唯一の方法が,示談です。示談の内容として被害者が不起訴を希望する旨を盛り込み,捜査機関に提出できれば,不起訴の獲得が極めて現実的になるでしょう。

④実刑判決の回避

侵入窃盗事件は,その重大性から初犯であっても実刑判決の対象となる可能性があります。刑事裁判の判決には,大きく分けて執行猶予判決と実刑判決がありますが,執行猶予判決は刑務所に入る必要がない一方,実刑判決は直ちに刑務所に入ることを強制されてしまいます。

判決の種類

執行猶予判決刑務所に入る必要がない
実刑判決直ちに刑務所に入る必要がある

したがって,実刑判決になることは非常に大きな不利益であり,何としてでも避ける必要があると言えます。

この点,示談が成立している侵入窃盗事件の場合,一般的には実刑判決の対象となる可能性が非常に低くなります。特に実刑判決とするべき事情がなければ,示談成立後に実刑判決となることは考え難いと言ってもよいでしょう。
侵入窃盗事件で示談を行う場合,損害を補填するための金銭の支払を行った上で,少なくとも当事者間では一定の解決をすることを内容とするため,当事者間で解決した事件について,重ねて実刑判決という重い刑罰を科す必要はあまりないと考えられるのです。

侵入窃盗事件で起訴が避けられない場合にも,実刑判決の回避を目指すために示談を試みることを強くお勧めいたします。

⑤民事事件の同時解決

侵入窃盗事件では,被害者に重大な精神的苦痛が生じるとともに,盗まれた財産の分だけ被害者に経済的な損害も生じます。そのため,被害者は,これらの損害を加害者に金銭で賠償するよう求める権利を持つことになります。
当事者間の権利義務に関する問題を「民事事件」と言いますが,侵入窃盗事件は被害者と加害者の間における民事事件の側面も持つというわけです。仮に示談をしなかった場合,刑罰を受けてもそれで全て終わりではなく,今度は被害者から民事事件として金銭賠償を求められる可能性も十分に考えられます。

この点,示談が成立する場合,示談の中で民事事件の解決も行うことが通常です。具体的には「示談で定めるほかには互いに権利義務がない」ということを合意することになります。
このような合意をすれば,示談の内容以外には請求することもされることもないため,民事事件についても同時に解決でき,当事者間の関係を適切な形で終えることが可能になります。

侵入窃盗事件で示談をする方法

侵入窃盗事件で示談を試みる場合,基本的には捜査を受けている状態であるため,捜査を担当する警察や検察を通じて行うことが適切です。もっとも,警察や検察は,当事者間での直接のやり取りを許すわけにはいかないため,自ら行うのではなく,弁護士に依頼し弁護士を通じて行うことが必要です。

弁護士に依頼をした場合,弁護士が警察や検察に示談の希望を伝え,捜査担当者から被害者に連絡を入れてもらうことが一般的です。その後,被害者側から示談交渉が可能であるとの返答が得られれば,弁護士限りで被害者の連絡先が伝えられ,弁護士と被害者との連絡が始まることになります。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

侵入窃盗事件では,被害者が加害者側との直接のやり取りを希望している可能性がほとんどないため,どれだけ示談を希望する気持ちが強くても直接話をしようとすることは控えましょう。謝罪の意思を伝えるつもりであったとしても,その気持ちが正しく理解してもらえず,かえって逆効果になる可能性が非常に高く見込まれます。
正しいステップを踏むことで,謝罪や支払の意思を適切に伝えることが重要です。

ポイント
示談交渉は,弁護士が捜査機関に申し入れる方法で行う
被害者側への直接の交渉は控える

侵入窃盗事件の示談金相場

侵入窃盗事件の示談金は,ケースによって非常に大きな開きがあります。ただ,基本的な考え方としては,「侵入行為の精神的苦痛に対する支払」と「窃盗行為による財産的損害への支払」を合計したものということができるでしょう。

侵入窃盗事件の示談金

侵入行為の精神的苦痛に対する支払」

窃盗行為の財産的損害に対する支払」

この点,侵入行為の精神的苦痛を金銭換算する際の判断要素としては,以下の事情が挙げられます。

示談金の判断要素

1.侵入行為の回数
→多いほど示談金の増額要素となる

2.侵入した場所
→プライバシーの侵害が大きい場所であるほど増額要素となる

3.侵入方法
→悪質な方法であるほど増額要素となる

4.当事者間の関係
→被害者の信頼を裏切る侵入は増額要素となる

実際の示談交渉では,これらの要素を踏まえながら当事者間で協議を試みることになります。一般的には,増額要素に当たるものがない場合,侵入行為に対する支払額は20~30万円ほどが目安になりやすいところです。盗まれた財産が高額なものでなければ,30万円ほどを示談金とする例は少なくないでしょう。

ただし,増額すべき要素がある場合にはこれを大きく超える金額を要する可能性もある点には注意が必要でしょう。最も多く見られるのは,侵入行為が複数回に渡る場合です。
侵入窃盗事件は,その性質上,同じ場所に複数回侵入を繰り返すケースが少なくありません。当然ながら,頻繁に侵入されている場合の方が被害者の苦痛は大きくなり,示談に必要な金銭も多くなるのが通常です。
多数回の侵入があった事件では,概ね100~300万円といった高額の示談金とならざるを得ないことも考えられます。具体的な示談金額に関しては,個別の事情を踏まえて弁護士と十分に協議することをお勧めします。

ポイント
単純な事件であれば20~30万円ほどが目安か
複数回に渡る侵入行為があると金額が跳ね上がることも

侵入窃盗事件の示談内容・条項

①一般的な示談条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。清算条項があることによって,民事事件との同時解決が可能になります。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項とは,被害者が加害者を許す,という意味の条項です。
示談が刑事処分に有利な影響を及ぼすのは,基本的にこの宥恕条項があるためです。被害者が加害者を許している,という事実が,刑事処分を劇的に軽減させる要素となります。

②侵入窃盗事件で特に定めやすい条項

【接触禁止】

加害者が被害者への接触を試みない,という内容を定める条項です。特に,加害者が被害者への性的な興味関心から事件を起こした場合に定めることが多く見られます。

【立入禁止】

加害者に対して,一定の場所への立入を禁止する条項です。侵入窃盗事件の場合,侵入場所や近辺への立入禁止を被害者が希望するケースが非常に多く見られます。この点は,被害者の求めに応じて可能な限り応じるのが適切でしょう。

侵入窃盗事件の示談で注意すべきこと

①事件が複数の場合が少なくない

侵入窃盗事件は,複数回行われているケースが少なくありません。この場合,回数を重ねるごとに行動や内容がエスカレートしていることも多く見られます。
事件が複数あることは,侵入窃盗事件の示談に大きな影響を及ぼします。具体的には,以下のような影響が挙げられるでしょう。

事件複数の場合の影響

【同一の被害者に対する複数の事件】

同じ被害者に対して複数の侵入窃盗事件がある場合,示談金がより高額にならざるを得ない可能性に注意が必要です。回数が多く,内容もエスカレートしていると,それだけ被害者の損害や苦痛は大きくなるため,被害者の損害を埋め合わせるための示談金も大きくなることが通常です。

【複数の被害者に対する事件】

事件が複数であり,かつ被害者も複数の場合,一人の被害者と示談ができても,全体が不起訴になるわけではない,という点に注意が必要です。一人の被害者が不起訴を希望したとしても,それはほかの被害者の事件には関係しないためです。

全体が不起訴となるには,処分される事件のすべてについて示談を行うことが必要になるでしょう。

②転居の問題が生じ得る

特に住宅への侵入窃盗事件の場合,被害者側が転居を希望し,転居費用を含めた示談金を請求する,ということも珍しくありません。そのため,示談を試みる場合には転居の話が生じ得る点に注意が必要でしょう。

この点は金銭の問題となるため,転居費用名目の金銭を上乗せするかどうか,という判断になりますが,基本的には被害者の希望に応じていくらかの上乗せをする方針が適切でしょう。これは,上乗せに応じないという対応では示談の成立が困難となりやすいためです。
裏を返せば,金額面の調整で示談の可能性がある,ということでもあるため,被害者側に示談交渉を拒絶される場合よりもはるかに望ましい状況と考えてもよいかもしれません。

③逮捕前の示談は容易でない

逮捕前に示談が成立すれば,侵入窃盗事件でも逮捕の可能性が非常に大きく低下しますが,現実に逮捕前の示談を行うことは容易ではありません。これは,自分に対する捜査がなされたことを知るのが逮捕のタイミングであるためです。「自分の事件が捜査されているから示談したい」では遅いのですね。

そのため,逮捕前の示談を試みる場合には,自分に対する捜査が行われているか分からない段階で自分からアクションを起こす必要があります。具体的には,警察などに自首(出頭)し,自分の犯罪行為を積極的に伝え,その上で示談を希望することを要するでしょう。

ただ,自分から出頭することは大きなリスクも付きまとう行為であるため,検討する場合には刑事事件に精通した弁護士へのご相談を強くお勧めします。

ポイント 注意点
複数事件の場合には配慮が必要
転居費用の支払が問題になり得る
逮捕前の示談は自首を要しやすい

侵入窃盗事件における弁護士依頼のポイント

侵入窃盗事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕されたとき

侵入窃盗事件は,捜査に際して被疑者を逮捕することが非常に多く見られます。身柄拘束をすることで,逃亡や証拠隠滅を防ぎながら捜査を行うケースの多い事件類型と言うことができるでしょう。
そのため,侵入窃盗事件の捜査において,逮捕は出発点の一つであり,被疑者に対する本格的な捜査の開始を意味するものでもあります。

これは裏を返すと,逮捕された被疑者は,逮捕後の本格的な取調べなどの捜査に適切な対応をする必要がある,ということになります。捜査への対応をどうできるかによって,その後の取り扱いや刑事処分の結果が大きく左右することは珍しくないためです。

もっとも,個別のケースでどのような対応が適切かを判断することは,専門的な知識経験を持った弁護士以外には困難です。逮捕後の対処を誤らないため,逮捕されたときには速やかな弁護士選びが重要となるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件は逮捕がなされやすい
逮捕後の対応を適切にするため,弁護士への依頼をするべき

②示談を目指すとき

侵入窃盗事件の刑事処分は,被害者との間で示談が成立したか,という点が決定的な影響を及ぼすことが少なくありません。漫然と手続が進めば起訴され実刑判決が懸念されるケースでも,早期に示談が成立することで不起訴処分となり,刑罰自体を受けない結果になることすらあります。
ただ,実際に示談を試みるためには,弁護士に依頼をし,弁護士を通じて行うことが不可欠です。当事者や親族同士で直接の連絡を取らせるわけにはいかないため,弁護士が捜査機関に示談を申し入れ,被害者側の了承があれば弁護士と被害者との間で連絡先を交換する,という運用が取られています。

そのため,事件解決のために示談を目指すときには,示談の対応に適した弁護士を選ぶべきタイミングと言えるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件の処分は,示談の有無で決定的に変わりやすい
示談の試みには弁護士が不可欠

③起訴されたとき

侵入窃盗事件は,犯罪事実に間違いがなければ起訴が見込まれる事件類型です。この点,起訴される場合の具体的な手続には,「公判請求」と「略式請求」の二つがあります。

起訴の手続

1.公判請求
公開の裁判を行う手続。罰金にとどまるケースはあまりない

2.略式請求
公開の裁判を省略する手続。罰金刑になる

一般的に,公判請求よりも略式請求の方が軽微な処分とされています。略式請求であれば,公開の裁判を受ける必要がなく,処罰は比較的軽微な罰金刑となるためです。逆に,罰金刑にはとどまらない重大な事件では,略式請求はできず公判請求を用いることになります。

この点,侵入窃盗事件での起訴は,基本的に公判請求となることが多いでしょう。それだけ重大事件と位置付けられやすく,見込まれる処罰も小さなものではないということになります。
そのため,侵入窃盗事件で起訴された場合には,公判で適切な対応を尽くし,少しでも軽微な処分にとどめる動きが非常に重要となります。

公判請求への対応を行う際は,十分な弁護士選びをするべきでしょう。

侵入窃盗事件の弁護士を選ぶ基準

①速やかな接見が可能か

侵入窃盗事件は,逮捕勾留を伴う身柄事件であることが非常に多いです。そのため,侵入窃盗事件の対応を行う弁護士は,身柄事件に不可欠な接見を行う必要があります。
特に,逮捕後の初回の接見は,被疑者本人が誤った対応をしていれば正す必要があるほか,事件の内容を把握したり親族との連携を仲介したりするためにも非常に重要なものです。初回の接見は,どれだけでも速やかに行うことが,被疑者の利益に直結すると言えるでしょう。

もっとも,初回の接見をどれだけ迅速に行うかは,専ら個別の弁護士の判断次第です。直ちに接見の時間を確保しても,後日ゆったりと接見をしても,違法というわけではないため,基本的には弁護士の裁量の問題となります。
しかし,初回の接見が遅れることで被疑者に利益はなく,むしろ重大な不利益の原因となる恐れすらあります。刑事事件に精通した弁護士であれば,初回接見の重要性は深く理解しているはずです。

そのため,弁護士選びに際しては,初回の接見をどれだけ速やかに行えるか,初回接見のためにどれだけスケジュールを調整してくれるか,という点を重視するのが良いでしょう。

ポイント
逮捕後初回の接見は特に重要性が高い
初回接見を迅速に行ってくれるかどうかを重視する

②処分の見通しは具体的か

侵入窃盗事件は,窃盗罪に当たる事件の中でも類型的に重大犯罪と評価されやすく,相応の重大な手続や処罰を想定すべきケースも少なくありません。弁護士としては,他の窃盗事件よりも慎重に見通しを検討し,最悪の場合にも備えることが望ましいところです。

また,一口に侵入窃盗事件と言っても,その内容は様々であり,事件の具体的内容によっても処分の重さは変わることが考えられます。侵入した場所,侵入の方法や目的,盗んだ金品の内容,余罪の数など,処分に影響し得る個別の事情は多岐に渡ります。

そのため,侵入窃盗事件の弁護士選びに際しては,侵入窃盗事件の重大性を踏まえた見通しを示してくれるか,個別の内容を踏まえてその見通しをどこまで具体的にしてくれるか,という点を重視するのが有力でしょう。
もちろん,見通しには限界があり,分からないことも多くあります。しかしながら,分かる部分と分からない部分を明確に区別できていることは非常に重要であり,弁護士の適性が現れる点とも言えるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件は,類型的に処分見通しが重くなりやすい
侵入行為や窃盗行為の詳細によって処分見通しが変わりやすい

③弁護士の説明に納得できるか

弁護士と依頼者との関係は,信頼関係を土台にすることで初めて成り立つものです。なぜなら,弁護士による案内や弁護士が決めた方針,弁護士が実現した結果などが適切かどうかは,依頼者自身が内容を評価して判断できる性質のものではないからです。
弁護活動が法律の専門家しか行えないものである以上,依頼者としては「弁護士が正しいと言ったから正しい」という評価をせざるを得ません。

そうすると,依頼者が弁護士を選ぶ基準として,その弁護士の判断に信頼を置けるかどうか,という点が極めて重要になってきます。弁護士の判断を信頼できるからこそ,「弁護士が正しいと言ったから正しい」という考え方ができるのです。
そのため,弁護士選びの際には,弁護士の判断やその根拠となる説明に心から納得できるか,という点を基準に設けるとよいでしょう。最初の説明に対する納得は,最終的な結果に対する納得にも直接つながるほど重要なものです。

ポイント
弁護士への信頼や納得は,結果に納得できるかを大きく左右する

④弁護士と円滑に連絡が取れるか

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

ポイント
弁護士との連絡の停滞は数多く見られるトラブル

侵入窃盗事件で弁護士を選ぶ必要

①不起訴処分を目指すため

侵入窃盗事件は,犯罪事実が明らかである限り起訴することが通常です。犯罪事実があっても起訴されないのは,示談が成立して被害者が起訴を望まないとなった場合に限られるでしょう。

そのため,侵入窃盗事件で不起訴になるのは,示談が成立した場合か犯罪事実が立証できない場合に限定されますが,いずれの場合にも弁護士の力を借りることが不可欠になりやすいところです。
示談の場合は,弁護士を窓口にしなければそもそも示談の試みに着手することもできません。また,犯罪事実が立証できるかどうかは高度に法律的な問題であるため,法律の専門家である弁護士を通じての対応が必要になるでしょう。

侵入窃盗事件の場合,不起訴処分を目指すのであれば弁護士選びを十分に行うことが極めて重要です。

②適切な取り調べ対応のため

刑事事件の捜査では取調べが不可欠です。特に,被疑者への取調べは捜査の中核であって,被疑者からどのような話が引き出せるかによってその後の捜査が決定づけられる事件も少なくありません。

逆に,被疑者の立場にある場合,取調べにどのような対応を取るのが最も有益であるのかを把握していることは非常に重要です。自分が何を話すか,どのように話すかによって,その後の捜査や処分が決定づけられる可能性もあるため,取調べ対応の方法・内容は十分に検討する必要があるでしょう。

この点,個別の事件に応じてどのような取調べ対応をすべきかは,弁護士の法的な判断を仰ぐことが適切です。そのため,取調べ対応に万全を期すためには,弁護士選びが重要なポイントとなるでしょう。

③家族や関係者と連携を取るため

身柄事件の場合,逮捕勾留されたご本人は,自分で外部と連絡を取ることができません。電話を携帯することも認められないため,連絡を取るための手段は以下のような方法に限られます。

逮捕勾留中に外部と連絡を取る手段

1.手紙の送受
→数日~1週間ほどのタイムラグが避けられない

2.(一般)面会
→時間制限が厳しい。接見禁止の場合は面会自体ができない

3.弁護士の接見
→時間的制限なくコミュニケーションが可能

手紙の送受は現実的でなく,面会の時間制限の中で必要な連絡をすべて取ることも難しいため,ご本人と周囲との連絡には弁護士の接見を活用することが不可欠になりやすいでしょう。
身柄事件で必要な連絡を取り合うためには,弁護士への依頼が適切です。

有効な弁護活動

侵入窃盗事件における弁護活動としては,以下の内容が挙げられます。

①接見を通じた対応方針の決定

逮捕勾留される場合,ご本人とのコミュニケーションには大きな制限がありますが,捜査はコミュニケーションを待つことなく進むため,捜査への対応方針は速やかに決めなければなりません。
弁護士は,いつでも接見ができますので,接見を行って事件の内容等を確認し,状況や内容に応じた適切な対応方針を検討・判断することができます。

②釈放を求める活動

起訴後の保釈に代表されるように,釈放を求めることのできる局面があるため,可能な限り釈放を求める弁護活動を行うことが可能です。
また,個別のケースにおいてどのような釈放の可能性があるか,専門的な立場からご案内することができます。

③示談の試み

認め事件の場合は,示談の成否が結果を決めると言っても過言ではありません。
弁護士が被害者との示談交渉を実施し,示談の成立を目指す弁護活動を行うことが可能です。

④刑罰の軽減を目指す試み

示談以外にも,刑罰の軽減を目指す方法がないか検討の上,ご案内することが可能です。
一例としては,金銭的な損害が生じていれば被害弁償を行う事件の原因に何らかの精神疾患が影響していれば通院等による解消を目指す,といったものが挙げられます。

⑤周囲の方との協力・環境調整

刑事処分の判断には,再発可能性の程度が考慮されます。
そのため,再発防止がどの程度見込めるか,という点は重要な判断材料になるでしょう。
この点,ご家族など周囲の方の協力を含め,今後の生活の見通しや再発が生じない根拠を明らかにしていくことで,処分の軽減を図る弁護活動が可能です。

侵入窃盗事件における弁護士選びの準備

①早期に動き始める

逮捕勾留といった身柄拘束が生じやすい侵入窃盗事件では,手続に法律上の期間制限があり,時期を逃すと手段を講じる余地がなくなってしまうものも少なくありません。また,期間制限内であっても手続が遅れた場合には,手続をしていなかった間に被った不利益を補填する手段がありません。純粋に,遅れれば遅れるほど損をするということになります。

そのため,弁護士選びと弁護活動の開始は,どれだけでも早い方が有益であり,早期に動き始めることは非常に重要であると言うことができるでしょう。

②情報をできる限り整理する

逮捕勾留された侵入窃盗事件で,ご家族等の関係者の方が弁護士選びを行う場合,問題になりやすいのが情報不足や情報の不正確さです。事件の当事者ではない以上,情報が正しいかを判断することは難しい上に,得られる情報にも限りがあることから,事件を正しく把握した状態で弁護士選びをすることは容易ではありません。
もっとも,弁護士が適切な案内をするには,情報不足や不正確な情報は避ける必要があり,情報の整理が不可欠です。

この点,事件の情報を把握する手段に乏しい場合には,弁護士に接見を依頼し,弁護士に被疑者ご本人から話を聞いてもらうことをお勧めします。弁護士接見を行えば,弁護士自身が必要な情報を漏れなく確認し,その情報を踏まえた案内をすることが容易になるでしょう。

③弁護士選びの目的を明確にする

侵入窃盗事件は,重大事件と評価される場合も多いため,必ずしも希望する結果のすべてが実現されるとは言えません。刑事罰を避けられないことも往々にして見られ,中には実刑判決の対象となることも考えられます。

弁護士選びの局面では,このような侵入窃盗事件の特徴を踏まえ,弁護士によって実現できることとできないことを可能な限り明確に線引きできるのが望ましいです。そのためには,弁護士選びによって何を実現したいのか,という目的を明確にして,その目的が実現できる事件なのかを弁護士に判断してもらうことが有益でしょう。

事前に目的が明確であり,その目的が実現可能か,実現手段は何かがはっきりしていれば,弁護士選びはより実りのあるものになるでしょう。逆に,目的が実現困難なものである場合には,早期に目的を修正できるため,後々になって弁護士とのトラブルになることが防ぎやすくなります。

侵入窃盗事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①早期釈放が容易でない可能性

侵入窃盗事件は,逮捕された場合,早期釈放が困難になりやすい類型の一つです。特に早期釈放が困難になりやすいケースとしては,以下のような場合が挙げられます。

侵入窃盗事件で特に早期釈放が困難なケース

1.侵入行為が複数回ある
→事件の数だけ必要な証拠も多くなり,捜査が長期化しやすい

2.被害者の住居に侵入している
→被害者への接触が容易であるため,釈放すべきでないと評価されやすい

3.侵入行為が計画的である
→悪質と評価されやすい上,計画内容に関する証拠収集に時間がかかりやすい

多くの侵入窃盗事件は,上記の各ケースのいずれかには該当するため,早期釈放が難しく,相当期間の身柄拘束を想定する必要が生じやすい傾向にあります。逮捕後の釈放が容易でないことには,あらかじめ注意しておくのが望ましいでしょう。

②余罪の対応を要する可能性

侵入窃盗事件は,類型的に余罪のあることが多く見られます。初めての侵入で発覚した場合でなければ,1回だけは終わらずその後にも複数回侵入している,という場合が少なくありません。

そのため,現在捜査されている事件のほか,複数の余罪にも対応を要する可能性があり得ることには注意が必要です。余罪がある場合,捜査も長期化しやすく,刑事責任も重大と評価されることになるため,より積極的に処分の軽減などを目指すべきとも言えるでしょう。

③土日祝日の対応を要する可能性

侵入窃盗事件では,逮捕勾留を伴いやすいことから,対応する弁護士は勾留されている場所での接見をすることが不可欠です。
この点,逮捕勾留には期間制限があるところ,その期間制限は土日祝日も含めたものになります。10日間の勾留は,土日祝日を含む10日間であり,長期休暇の期間でも例外ではありません。

そのため,弁護士選びに際しては,場合によって土日祝日の対応を要することになっても対応が滞らないかどうか,注意するのが望ましいでしょう。曜日を問わず毎日対応してもらう,というのは現実的ではありませんが,「土日祝日は一律対応不可」という場合には不都合が生じないか注意したいところです。

④経済的負担が大きくなる可能性

侵入窃盗事件では,被害者との間で示談できるかどうかが非常に重要なポイントとなります。そのため,弁護士への依頼時には示談金の負担を想定することが適切ですが,その示談金は高額となることも珍しくはありません。
窃盗の金額的な規模が大きくない場合であっても,侵入行為等によって被害者に与えたダメージが大きく,高額の示談金でないと被害者が了承しない,ということは少なくないでしょう。

また,逮捕勾留が長期化しやすい侵入窃盗事件では,その分弁護士の費用もかかりやすいところです。一般的に,必要な接見の数が多くなるほど弁護士費用は大きくなりやすいため,長期の逮捕勾留を伴う事件では弁護士費用の負担が重くなる可能性に留意したいところです。

このように,侵入窃盗事件では,示談金と弁護士費用がともに大きくなりやすい面があります。弁護士選びに際しては,全体の経済的負担が重くなってしまう可能性を踏まえておくことをお勧めします。

侵入窃盗事件に強い弁護士をお探しの方へ

住居侵入を伴う窃盗事件は,窃盗事件の中でも悪質性の高いものと理解されやすく,取り扱いや刑罰も重くなる傾向にあります。内容や程度によっては,初犯でも実刑判決の対象となることが考えられる類型です。
そのため,適切な方法で処分の軽減を目指すことが非常に重要となりますが,具体的にどのタイミングでどのような行動を取るかは,侵入窃盗事件の弁護に精通した弁護士との協議が必要です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

自転車窃盗の前科や示談について弁護士が解説|初犯や現行犯以外の注意点も

●放置自転車に乗るのも自転車窃盗になってしまうのか?

●自転車窃盗は刑事事件化してしまうのか?

●自転車窃盗が捜査されるケースは?

●自転車窃盗は現行犯以外も逮捕されてしまうのか?

●自転車窃盗で逮捕された場合、早期の釈放は可能か?

●初犯の自転車窃盗は前科になるか?

●自転車窃盗で示談をする方法は?

といった悩みはありませんか?

このページでは,自転車窃盗について不安をお持ちの方に向けて,自転車窃盗の逮捕や早期釈放の可能性自転車窃盗で前科を防ぐための弁護活動などを解説します。

自転車窃盗に当たる行為と刑罰

自転車窃盗は,多くの場合窃盗罪に該当します。
代表的な行為は,駐輪場に停めてある自転車を無断で持っていく,というものですね。

もっとも,いわゆる放置自転車の場合には,持ち主がその自転車を支配しているとは言えない状況であるケースもあり,そのような自転車窃盗は占有離脱物横領罪の対象になります。
また,ゴミ捨て場に置いてあるなど,誰かが占有している状態とは言えない自転車を持っていく行為は,窃盗にも占有離脱物横領にも当たらない可能性があります。
ただし,自治体によっては,条例でごみ集積場に置かれた物を自治体の帰属としていたり,処理業者以外の者によるごみの持ち去りに罰則を設けていたりする場合があり,その場合には窃盗罪や条例違反に当たる場合があるでしょう。

自転車窃盗の罪名

一般的な自転車窃盗窃盗罪 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
放置自転車占有離脱物横領罪 1年以下の懲役又は10万円以下の罰金
ゴミの場合自治体によっては窃盗罪や条例違反になる可能性あり

また,自転車窃盗に伴って他の犯罪が成立する場合もあります

器物損壊罪 3年以下の懲役又は30万円以下の罰金
自転車窃盗の際にカギを壊すと,カギを壊してしまった行為について別途器物損壊罪が成立します。
その他,駐輪場に設置してある機材を壊した場合にも器物損壊罪の対象となるでしょう。

住居侵入罪・建造物侵入罪 3年以下の懲役又は10万円以下の罰金
自転車窃盗のために他人の住居やその敷地に侵入した場合には,住居侵入罪や建造物侵入罪が成立します。
一般的には,戸建ての住宅やマンションの専有スペースへの侵入は住居侵入罪,マンションの共用スペースへの侵入は建造物侵入罪に当たるでしょう。

参照:刑法 | e-Gov 法令検索

自転車窃盗が刑事事件化する場合

自転車窃盗が刑事事件化するケースは,概ね以下の3通りです。

①被害者が警察に被害届を出すなどし,事後的に捜査が開始されたケース

自転車窃盗に気づいた被害者が,警察に捜査を依頼した場合です。被害者から捜査を求められた警察は,可能な限り被疑者(加害者)を特定すべく捜査を行うことになりますので,証拠が見つからない場合を除いては被疑者を特定し,刑事事件として取り扱うことになるでしょう。

②自転車の利用中に職務質問され,盗品と判明したケース

窃盗された自転車に乗車している際,警察官の職務質問を受けると,自転車の防犯登録を確認されるのが通常ですが,その際,自転車の所有者が自分でないと分かり,自転車窃盗が判明する場合があります。
その自転車について盗難届が出ているなどすれば,窃盗事件として刑事事件の対象となることが見込まれます。
このケースは,職務質問を受けるかどうかという偶然に影響されるため,この流れで刑事事件化する可能性は非常に不明確でしょう。

③窃盗行為を目撃された場合(現行犯)

駐輪場の警備員や付近の通行人など,周囲の人物に窃盗行為を目撃された場合には,その場で刑事事件化する可能性があります。
このケースでは,目撃者が窃盗行為を指摘してきたり警察に通報したりするかによって,刑事事件化するかどうかが変わりやすいでしょう。目撃者が警察に通報した場合には,刑事事件化するのが通常と思われます。

自転車窃盗の逮捕

逮捕の可能性

自転車窃盗事件では,逮捕される可能性もあります。
もっとも,全てが逮捕されるものではなく,個別の事件や状況によって変わるでしょう。

逮捕をされるケースの代表例は,現行犯逮捕です。
特に,警察官が張り込みや待ち伏せといった方法で被疑者の窃盗をマークしていた場合には,窃盗を現認した警察官によって現行犯逮捕される可能性が高くなります。

また,現行犯以外では後日の通常逮捕(後日逮捕)もありますが,後日に被疑者を特定した場合,逮捕するかどうかはいずれも考えられます。
一般的には,放置自転車など容易に利用できる自転車を勝手に利用したという単発の事件であれば,決して逮捕の可能性が高いとは言えません。

もっとも,自転車窃盗事件の中でも逮捕の可能性が高くなりやすいケースはあります。具体的には,以下のような場合が挙げられます。

自転車窃盗で可能性が高くなる場合

1.件数が多い

2.営利目的である

3.計画性・集団性がある

4.不合理な否認をしている

【1.件数が多い】

自転車窃盗事件で逮捕の可能性低くなるのは,その場の感情で行われた一回のみの犯罪行為である場合です。逆に,複数の余罪があるなど,決してその場の感情だけでは説明できない事件の場合,逮捕の可能性が高くなりやすいでしょう。

また,件数が多い場合,それだけ刑事責任も重くなるのが一般的であるため,刑事責任や最終的な処分が重くなることを踏まえた逮捕の可能性も高くなります。

【2.営利目的である】

自転車窃盗は,その場で自転車を使用する目的で行われるのが一般的です。徒歩で移動をしていたところ,より手軽な移動手段として自転車を利用したいと思った,という目的での事件がほとんどでしょう。

一方,自転車の財産的な価値に着目して,自転車を換価することで経済的な利益を得ようとする場合には,事件の性質が大きく異なります。通常,刑事事件は自己使用目的よりも営利目的で行われる場合の方が悪質と評価され,処分も重くなる傾向にあります。そのため,自転車窃盗についても,その場で乗るためでなく,利益を得るために行われた場合の方が,処分が重くなり,その処分を科す手続も逮捕を伴った厳重なものになりやすいでしょう。

【3.計画性・集団性がある】

刑事事件は,事前に計画が立てられていたり,集団で役割分担したりといったケースの方が,重大事件と評価されるのが通常です。自転車窃盗の場合,このような計画性や集団性のない場合がほとんどですが,逆に計画性や集団性が見受けられるケースでは,他の自転車窃盗事件よりも重い取り扱いの対象となるでしょう。

また,共犯者のいる事件では,共犯者間の口裏合わせを封じることが必要です。口裏合わせによる証拠隠滅を防ぐ手段としても,逮捕は活用される可能性が高くなるでしょう。

【4.不合理な否認をしている】

被疑者として犯罪事実を疑われている場合,基本的な対応は認めるか否認するかの二択です。この点,否認自体は問題のある行為ではありませんが,明らかに内容不合理な否認に終始していると,証拠隠滅の意思が強いと理解される恐れがあります。

この点,被疑者に証拠隠滅の意思が強いと思われる場合,証拠隠滅を防ぐ手段を取る必要がありますが,その具体的な手段は逮捕です。そのため、不合理な否認は逮捕の原因になりやすいのです。

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

自転車窃盗事件で逮捕を避ける方法

①捜査を受けていない場合

自転車窃盗を行ってしまったものの,まだ捜査を受けていない場合,自分が被疑者と特定されていない可能性があります。このような状況では,自ら捜査機関に名乗り出て自首をすることで,逮捕を避けられる可能性が非常に高くなるでしょう。

自ら警察等に出頭し,自分の行ったことやその証拠を積極的に示せば,その後捜査を行うに際して逮捕が必要であるとは見なされにくくなります。捜査協力の姿勢を明確にすればするほど,逮捕の回避につながりやすくなると言えるでしょう。

②捜査を受けている場合

自転車窃盗事件で既に捜査を受けている場合,逮捕なく捜査されている状況なのであれば,基本的にはそのまま逮捕をしないで捜査を継続することが予定されていると考えられます。これは,捜査機関としては逮捕せずとも必要な被疑者の対応が得られると考えているためです。
そのため,逮捕回避のためには,捜査機関の期待に沿う形で必要な対応を尽くすのが適切でしょう。呼び出されたときに出頭する,求められた提出物は提出するなど,具体的な動きとしては「求めに応じる」というくらいで差し支えありません。

また,被害者との示談の試みも,逮捕回避の効果が期待できる動きの一つです。被疑事実を認め,被害者への謝罪や賠償を試みる姿勢を見せている場合,逮捕の必要が高いとは評価されにくく,逮捕回避につながる可能性は高いでしょう。

③否認事件の場合

見に覚えのない否認事件の場合,逮捕される筋合いはないと感じるところですが,逮捕自体は適法に行う余地があり得るため,自ら逮捕を招く行動を取ってしまわないよう気を付けるのが適切です。

具体的には,連絡が来たら応じる,出頭の求めには可能な範囲で応じる,という点を軽視しないようにしましょう。身に覚えがない事件で連絡への応答や警察への出頭を求められても,感情的には拒んでしまいたくなるところですが,感情的に拒むことで逮捕リスクを自ら高めることは合理的とは言えません。

否認事件ほど冷静に対処することを心掛けるのが賢明でしょう。

自転車窃盗の前科・不起訴

自転車窃盗事件で不起訴になる(前科が付かない)可能性

自転車窃盗の事件は,不起訴処分となる可能性が十分に考えられる事件類型です。他の窃盗事件と比較しても,不起訴処分となる余地が大きい傾向にあると言っても過言ではないでしょう。
自転車窃盗の場合で不起訴の可能性が高くなる要因としては,以下のような点が挙げられます。

自転車窃盗事件で不起訴処分の可能性が高まる要因

1.突発的な事件であることが多い

2.被害が大きくないことが多い

3.軽微な罪名に該当する可能性がある

【1.突発的な事件であることが多い】

自転車窃盗は,自転車を利用したいと考えたときに犯意が生じ,その直後に犯罪行為をする,という流れがほとんどです。事件が事前から計画的に進められていることは考えにくく,大多数が突発的なものになるでしょう。

刑事事件は,用意周到に計画を立てて行った場合よりも,その場の感情で突発的に行った場合の方が,責任が軽微と評価されやすい傾向にあります。計画的な事件は,それだけ悪質とみなされやすいためです。
裏を返せば,突発的な事件である自転車窃盗は,悪質である,刑事責任が重大であるといった理解にはつながりにくく,不起訴処分の可能性が十分に残りやすいところです。

【2.被害が大きくないことが多い】

自転車窃盗の被害は,自転車1台であることが通常です。そして,相当期間使用していた自転車である場合,経年劣化によって価値が減少していると評価されるため,時価額はそれほど大きくないことも少なくありません。

自転車窃盗事件も窃盗罪に該当する事件である以上,窃盗の対象となった財産の大きさは処分の重さに大きな影響を及ぼすことになります。この点,被害が大きくない自転車窃盗の場合には,刑事処分も大きなものにはなりにくく,不起訴処分に該当する可能性が高まりやすくなります。

【3.軽微な罪名に該当する可能性がある】

自転車窃盗の場合,基本的には窃盗罪の対象ですが,内容によっては占有離脱物横領罪に該当する場合であったり,それすら成立せず各都道府県の条例で取り締まられる場合であったりすることが考えられます。占有離脱物横領罪や条例違反に該当するケースの場合,窃盗罪よりも軽微な犯罪類型と評価されるのが通常です。

この点,窃盗罪より軽微な罪名に該当する自転車窃盗は,それだけ事件の内容が軽微であるため,刑事処分の結果も軽微なものになりやすいところです。窃盗罪に該当しない自転車窃盗の場合には,不起訴の可能性が類型的に高くなりやすいと言えるでしょう。

自転車窃盗事件で不起訴を目指す方法

①自首を行う

自転車窃盗の事件は,特に内容が軽微と判断できる場合,深い反省を大きな理由に不起訴処分となる可能性が考えられる事件類型です。内容軽微と判断されるケースとしては,自転車の経済的価値がほとんどない,放置自転車であった,被害者の被害感情がない,といった場合が挙げられます。このようなケースでは,真摯に反省を深めており,再発の可能性がないと期待できる状況であれば,検察官の裁量で不起訴処分となる可能性もあり得るところです。

この点,深い反省を示す有力な手段の一つが自首です。自首は,自ら名乗り出て自分の犯罪行為を申告し,自分に対する刑事処分を求める行動であるため,犯罪行為に対する深い反省や後悔,責任を全うしたいという意思などが捜査機関に伝わりやすいという利点があります。
自首は,真摯な反省を外部に表明するために最初にできる行動ということできるでしょう。

自転車窃盗事件で不起訴処分を目指す場合,捜査を受けていない状況であれば,まずは自首を検討することが有力です。

ポイント
比較的軽微な自転車窃盗事件は,反省状況を踏まえて不起訴とされることもある
反省の意思を示す最初の手段が自首

②示談を試みる

自転車窃盗事件は,盗品となった自転車の所有者を被害者とする犯罪です。そして,被害者のいる事件で刑事処分を決める際には,被害者の意向が強く反映されやすい傾向にあります。
そのため,自転車窃盗事件の場合,被害者である自転車所有者の意向によって,起訴不起訴の判断が変わる可能性が非常に高いところです。

そうすると,自転車窃盗事件で不起訴を目指す場合には,被害者に不起訴を希望してもらうことが有益ですが,被害者に不起訴を希望してもらう手段が示談です。示談が成立した場合には,示談の内容に「被害者が不起訴を希望する」という旨を明記することになるのが一般的であるため,これを踏まえて不起訴とされる可能性が高くなるでしょう。

また,自転車窃盗は「財産犯」と呼ばれる事件類型であり,被害者に財産的なマイナスをもたらした犯罪行為への責任が問われることになります。そのため,示談によって被害者の財産的なマイナスを自発的に補填する動きを取ることは,犯罪の責任を事後的に軽減する意味でも不起訴処分を近づける効果が期待できるでしょう。

ポイント
被害者が不起訴を希望すれば,不起訴の可能性が高まる
財産的な損害を補填することで,刑事責任の軽減につながる

③事件の軽重を踏まえた処分を求める

自転車窃盗の場合,対象となった自転車の価値や保管状況などによって,その事件の軽重に大きな幅が生じやすいところです。例えば,財産的な価値が高く,厳重に管理されていた自転車を被害者の駐輪スペースから持ち出した場合と,無造作に横倒しされている長年使い古したような自転車を拾い上げて利用した場合とでは,その重さに差が生じるのは明らかです。

そして,事件が非常に軽いと評価する余地がある場合には,その事件の程度を踏まえて不起訴処分を求めることも有力な方針でしょう。起訴不起訴の処分は,先例を踏まえて矛盾の内容に行うことが一般的であるため,過去に類似の内容で不起訴とされている規模の事件であれば,不起訴処分の対象となる可能性はあり得ます。

ただし,事件の重さだけを踏まえて処分を決めるわけではないため,深い反省や再発防止策の実施など,不起訴処分を促す他の事情を可能な限り示すことも重要です。事件の軽重は,単独で処分を左右するものではなく,総合考慮されるときの判断材料の一つ,という理解をするのが適切でしょう。

ポイント
自転車の価値や保管状況により,事件の軽重には大きな差が生じる
軽微な内容の場合,不起訴処分を促す事情の一つになり得る

自転車窃盗事件で不起訴を目指す場合の注意点

①被害者の意向が反映されやすい

自転車窃盗事件の刑事処分は,被害者が起訴を望むか不起訴を望むか,という意向を反映した結果になりやすい傾向にあります。被害者のいる事件では,被害者の処罰感情が処分に直結しやすいですが,自転車窃盗の事件でもこの点は顕著に見られるところです。

これまで,自転車窃盗の事件では内容の軽微さを踏まえた不起訴処分の可能性があり得ることを指摘してきましたが,これはあくまで他の事件類型と比較して,という程度にとどまります。事件の重さと被害者の意向とでは,処分結果への影響力には歴然とした差があると言わざるを得ません。
そのため,被害者が刑事処罰を強く望んでいる状況で,被害者への示談の試みなく事件が軽微であると主張しても,不起訴処分となることは考えにくい場合がほとんどでしょう。事件の重さを指摘することよりも,被害弁償や示談を通じて被害者の処罰感情を緩和させる方がはるかに不起訴につながりやすいため,不起訴を目指す手段には注意が必要でしょう。

ポイント
事件の軽重よりも被害者の処罰感情の方が圧倒的に重要

②被害額の予測が難しい

自転車窃盗事件の被害額は,基本的に自転車の時価額ですが,一見してその金額を具体的に想定することは容易ではありません。ただ乗れればよい,と思って自転車窃盗をしたケースであっても,思いのほか価値の高い自転車であったということは十分に考えられます。

また,示談交渉をする際には,自転車窃盗によって被害者が被った損害を考慮する必要がありますが,どのような損害が生じたかは被害者の行動やスケジュールなどによっても様々です。例えば,自転車レースへの出場を逃した,自転車でしか移動できない大事な予定に支障が生じたなど,被害者側の事情によって損害が広がる可能性も否定できません。

一般的には,明らかに高価な自転車である場合を除き,損害額があまりに大きくなることは考えにくいところですが,特に示談交渉に際しては被害額の予測が困難な可能性に注意をしておくのが望ましいでしょう。

ポイント
被害者にどのような損害が生じたかは,事前には分からないことも多い

③記憶に限りがある場合の対応

自転車窃盗事件の中には,酩酊状態など記憶に限りのある状況で起きるものも珍しくありません。飲酒を伴う飲食の帰り道に,徒歩が億劫になって付近の自転車を乗り捨ててしまう,といったケースが一例です。
このようなケースでは,事件後に行動の流れや窃盗行為の内容を聞かれても,十分に答えられないことが考えられます。記憶自体が不足している以上,やむを得ないところがあります。

もっとも,記憶に限りがある場合に,「覚えていない」と対応を諦めてしまったりいい加減な返答に終始したりすることはお勧めできません。記憶が不十分であるからこそ,丁寧な対応を心掛けるのが有益です。

具体的には,認否を明確にすることが非常に重要となりやすいでしょう。
「覚えていない」という供述は,基本的に認めないスタンスとみなされやすいものです。少なくとも認めていないため,認め事件とは扱われません。しかしながら,「覚えていないものの否認の意思はない」という場合,単に「覚えていない」と回答するのは意図に反した取り扱いを招く結果となってしまい,適切ではありません。

特に認める方針の場合には,認否を明確に示すことに注意しましょう。

ポイント
記憶がない旨の供述は,認めているとは評価されない

自転車窃盗の示談

自転車窃盗事件で示談をする方法

自転車窃盗事件で捜査を受けている場合,示談をするためには捜査機関(警察や検察)にその旨を申し入れ,捜査機関から被害者に連絡を取ってもらうことが必要です。
もっとも,捜査機関は加害者本人と被害者を引き合わせることをしません。当事者同士で連絡を取らせるのは,被害者にとって不適切である上,二次被害の原因になる可能性がある,と考えるためです。
そのため,自転車窃盗事件で示談を試みるためには,弁護士に依頼の上,弁護士を通じて動くことが必要となります。

具体的な流れは,以下の通りです。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

自転車窃盗事件は,他人の財産に損害を与える事件のため,その財産を埋め合わせる金銭の支払を行うのが通常です。金銭の支払いは,示談金という形で行うことになりますが,これも直接当事者間で支払うのではなく,弁護士に金銭を預け,弁護士から被害者に支払う方法を取るのが適切でしょう。

ポイント
弁護士から捜査機関に対して示談の申し入れをしてもらう
金銭の支払も弁護士を通じて行う

自転車窃盗事件で示談を試みる時期

自転車窃盗事件における示談は,早ければ早いほど望ましいでしょう。それは,示談のメリットは示談成立が早いことが前提となっているためです。

示談のメリットと早期示談の関係

1.前科の回避
→起訴される前に示談をすることが必要

2.逮捕の回避
→逮捕するかが判断される前の示談が必要
(逮捕されるかどうかは捜査中の早い段階で判断される)

3.早期終了の可能性
→警察が検察に送致する前の示談が必要

自転車窃盗事件の示談を検討する場合は,少しでも早く動き出すため,まずは一度弁護士に相談してみましょう。

自転車窃盗事件における示談のメリット

自転車窃盗事件は,弁護士に依頼するメリットが非常に大きい事件類型の一つと言えます。具体的なメリットとしては,以下の各点が挙げられます。

①前科が防げる

自転車窃盗事件は,方法や内容によって以下のような刑罰の対象になることが考えられます。

一般的な自転車窃盗窃盗罪 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
放置自転車占有離脱物横領罪 1年以下の懲役又は10万円以下の罰金
ゴミの場合自治体によっては窃盗罪や条例違反になる可能性あり

特に,放置されている自転車であることが明らかな場合には,出来心で乗り捨てをしてしまってもそれほど大きな問題がないように感じることがあるかもしれません。しかし,仮に放置自転車であっても占有離脱物横領罪に該当する犯罪行為になってしまいます。
また,自分は放置自転車だと思っていても,実際には放置自転車でなく人が管理している自転車であった,という場合,より重い窃盗罪に該当することが見込まれます。窃盗罪に該当するような自転車窃盗であれば,刑罰を受けて前科が付く可能性はより高くになるでしょう。

この点,刑罰が科されるかどうかを決める重要な判断要素の一つに,被害者の処罰感情が挙げられます。被害者のいる事件類型では,被害者が加害者の刑罰を望んでいるかどうかがとても大きな基準になるのです。
捜査が始まるときには,被害者が刑罰を望んでいることがほとんどです。捜査のきっかけは被害者の被害申告であることが一般的ですが,被害者は加害者への刑罰を望むからこそ被害を警察などに相談しているはずだからです。

そのため,自転車窃盗事件で刑罰を避けるためには,示談を行って「事後的に被害者が処罰を望まなくなった」という状態を作ることが極めて重要になります。逆に,被害者が処罰を望まなくなった場合,刑罰が科される可能性は非常に低くなり,ほとんどの場合では前科を防ぐことができるでしょう。

ポイント
自転車窃盗は窃盗罪や占有離脱物横領罪の対象
前科を防ぐためには被害者が刑罰を望まないことが重要
被害者が刑罰を望まないことを示す手段は示談

②逮捕を防げる

自転車窃盗は,決して逮捕されやすい事件類型ではありませんが,ケースによっては逮捕される場合も十分にあり得ます。一例としては,現行犯で見つかって逃走していた場合や,多くの余罪で事前にマークされていた場合,計画性があり悪質と考えられる場合などが挙げられるでしょう。

この点,自転車窃盗事件で逮捕をする大きな理由は,被害者を保護することにあります。加害者が被害者を特定した場合に,自分に不利益なことを言わせない目的や物証の隠滅を図る目的で被害者に接触する可能性があるため,接触を未然に防ぐ手段として逮捕する,というわけです。

しかし,示談の成立した自転車窃盗事件では,もはや加害者が被害者に接触する必要がありません。加害者にとって最も利益の大きい示談が,既に実現されているためです。
そうすると,自転車窃盗の事件で示談が成立した場合,逮捕の必要はほぼなくなることから,逮捕されることは通常なくなるでしょう。

ポイント
逮捕には加害者の被害者への接触を避ける目的がある
示談済みであれば被害者に接触する必要はなく,そのため逮捕の必要もない

③捜査を終了させられることがある

刑事事件で捜査が開始すると,警察が取り調べや証拠収集を進め,事件を検察庁に送致し,送致を受けた検察庁で処分を受ける,という流れをたどります。

捜査の流れ

1.警察による証拠収集
2.警察から検察への送致
3.検察での処分(起訴又は不起訴)

この点,示談できれば検察での処分は不起訴になりやすいですが,逆に言えば示談してもその場で手続が終わるのでなく,検察での処分までは進むのが大原則です。
しかし,自転車窃盗で早期に示談が成立し,被害者が許す意思を明らかにした場合,事件が比較的小さなものであれば,警察が直ちに捜査を終了させて検察に送致せず終了する可能性もあります。

検察による処分までは,一般的に数か月を要するため,その間の手続負担を回避できるとなれば非常に大きなメリットになるでしょう。

ポイント
示談しても警察から検察に送致されるのが通常
軽微な事件で早期に示談できれば,例外的に送致されず終わることも

自転車窃盗事件の示談金相場

自転車窃盗事件の示談金は,対象となった自転車の価格によって大きく変わりやすいところです。具体的には,自転車の時価額に迷惑料又は慰謝料としていくらか上乗せをし,示談金とすることが一般的でしょう。

個別のケースにおける示談金は,被害者と自転車との関係によっても左右されやすい傾向にあります。被害者にとって重要な自転車であるほど金額は大きくなりやすく,逆に被害者にとって価値のない自転車であれば,金額は小さくなりやすいです。

示談金額が大きくなりやすい場合

1.自転車の価値が非常に高い
2.被害者にとって重要な自転車である

示談金額が小さくなりやすい場合

1.自転車の価値が高くない
2.被害者にとって重要度の低い自転車である(放置自転車など)

一般的に,それほど重要な自転車や高価な自転車でなければ,慰謝料を含む示談金の目安は5~10万円ほどになりやすいでしょう。
また,被害品の自転車が無事被害者の手元に戻っている場合,自転車の価格をすべて支払う必要がない可能性もあり,金額はより小さくなりやすいです。

ポイント
示談金は自転車の価格に迷惑料を乗せた金額
高額とする事情がなければ5~10万円ほどが目安

自転車窃盗事件における示談の特徴

①金額の定め方

自転車窃盗の事件では,自転車の価値をベースに示談金を定めるのが通常ですが,自転車の価値は被害者によって様々に異なります。

例えば,被害者にとって必要がなく,むしろゴミとして処分したかったような自転車である場合,自転車の価値に対する賠償はそれほど求められないケースも珍しくありません。
一方,カスタマイズを重ねた高価な自転車である場合,被害者にとっての価値は実際の価格より高く,思い入れの強さから高額の支払を要することもあり得ます。

金銭とは異なり,同じものでも人によって価値の違うことがある,という点は自転車窃盗の示談における大きな特徴です。

②被害者の特定が困難な場合

自転車窃盗の場合,被害者の特定は自転車の登録を基準に行います。しかし,自転車が譲渡などされて転々流通しており,登録の変更がなされていない場合,現実の被害者と登録上の所有者が異なるため,被害者の特定が難しい場合もあり得ます。

また,所有者から盗んだのはほかの人であり,その犯人が乗り捨てたものを自分が盗んだ,という流れになることもあります。この場合は,被害者がもともとの所有者であることは明らかなので,自分が所有者から直接盗んだわけでなくても所有者との示談が適切です。

③自転車所有者以外との示談が必要な場合

自転車窃盗事件は,私有地や建物内の駐輪場で行われると,住居侵入罪又は建造物侵入罪もあわせて成立することになります。窃盗罪と住居侵入罪(建造物侵入罪)は別々の犯罪であるため,それぞれについて示談が必要ですが,住居侵入罪(建造物侵入罪)の被害者(=敷地や建物の管理者)は自転車の所有者とは別の人物であることが通常です。

そのため,駐輪場やマンションなどで起きた自転車窃盗事件については,その敷地や建物の管理者とも別途示談が必要となる可能性に注意することが必要です。

自転車窃盗で弁護士に依頼するメリットと方法

弁護士に依頼するべき理由

①不起訴処分のため

刑事事件の被疑者となった場合には,最終的な結果として不起訴処分となることを目指すのが通常です。検察は,捜査を遂げた段階で「起訴」するか「不起訴」とするか判断をしますが,起訴されれば裁判所から刑罰を言い渡される可能性が高く,不起訴となれば刑罰を受けることなく手続が終了するため,その差は極めて大きなものとなります。
そのため,不起訴処分を目指すことが,刑事事件における最大の目標と言っても過言ではないでしょう。

この点,不起訴処分となるかどうかは,高度に法的な問題となることがほとんどです。認め事件であれば,「犯罪事実があるにもかかわらず不起訴とする」ための法的な根拠が必要ですし,否認事件であれば,「犯罪事実が立証できないから不起訴とする」という判断を引き出す必要があります。
これらは,過去の先例や個別の証拠を踏まえ,法的に整理した上での判断が必要となるため,法律の専門家以外には対応が困難と言わざるを得ないでしょう。

そのため,不起訴処分を獲得するという最大の目標を実現する手段として,弁護士を選ぶことは非常に重要と言えます。

②早期釈放のため

自転車窃盗の場合,逮捕されてしまったとしても,早期釈放の可能性がないわけではありません。むしろ,事件によっては早期釈放を見込むことのできるケースも珍しくはないでしょう。

しかしながら,実際に早期釈放を目指す動きを取るためには,弁護士の存在が不可欠です。手続の局面に応じて,適切な申立てなどを行うためには,手続に精通した弁護士に依頼するほかないためです。

逮捕後の早期釈放を目指すためには,できる限り速やかに弁護士選びをすることをお勧めします。なお,身柄拘束されている場合,弁護士選びが遅くなればその分だけ拘束期間が長くなってしまうため,弁護士選びの早さも大切なポイントとして留意することが望ましいでしょう。

③家族や関係者との連携のため

身柄事件の場合,逮捕勾留されたご本人は,自分で外部と連絡を取ることができません。電話を携帯することも認められないため,連絡を取るための手段は以下のような方法に限られます。

逮捕勾留中に外部と連絡を取る手段

1.手紙の送受
→数日~1週間ほどのタイムラグが避けられない

2.(一般)面会
→時間制限が厳しい。接見禁止の場合は面会自体ができない

3.弁護士の接見
→時間的制限なくコミュニケーションが可能

手紙の送受は現実的でなく,面会の時間制限の中で必要な連絡をすべて取ることも難しいため,ご本人と周囲との連絡には弁護士の接見を活用することが不可欠になりやすいでしょう。
身柄事件で必要な連絡を取り合うためには,弁護士への依頼が適切です。

④適切な取り調べ対応のため

刑事事件の捜査では取調べが不可欠です。特に,被疑者への取調べは捜査の中核であって,被疑者からどのような話が引き出せるかによってその後の捜査が決定づけられる事件も少なくありません。

逆に,被疑者の立場にある場合,取調べにどのような対応を取るのが最も有益であるのかを把握していることは非常に重要です。自分が何を話すか,どのように話すかによって,その後の捜査や処分が決定づけられる可能性もあるため,取調べ対応の方法・内容は十分に検討する必要があるでしょう。

この点,個別の事件に応じてどのような取調べ対応をすべきかは,弁護士の法的な判断を仰ぐことが適切です。そのため,取調べ対応に万全を期すためには,弁護士選びが重要なポイントとなるでしょう。

自転車窃盗事件の弁護士を選ぶ基準

①自転車窃盗という事件類型への理解

自転車窃盗の事件は,具体的な内容によって,以下のように該当する刑罰法令が異なる可能性があります。

一般的な自転車窃盗窃盗罪 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
放置自転車占有離脱物横領罪 1年以下の懲役又は10万円以下の罰金
ゴミの場合自治体によっては窃盗罪や条例違反になる可能性あり

また,自転車窃盗に伴って他の犯罪が成立する場合もあります

器物損壊罪 3年以下の懲役又は30万円以下の罰金
自転車窃盗の際にカギを壊すと,カギを壊してしまった行為について別途器物損壊罪が成立します。
その他,駐輪場に設置してある機材を壊した場合にも器物損壊罪の対象となるでしょう。

住居侵入罪・建造物侵入罪 3年以下の懲役又は10万円以下の罰金
自転車窃盗のために他人の住居やその敷地に侵入した場合には,住居侵入罪や建造物侵入罪が成立します。
一般的には,戸建ての住宅やマンションの専有スペースへの侵入は住居侵入罪,マンションの共用スペースへの侵入は建造物侵入罪に当たるでしょう。

当然ながら,どの罪に当たるかによって,その後の取り扱いも最終的な処分の見込みも異なりやすいです。また,被害者との示談を試みる場合にも,どの罪に当たる内容かという点が示談の方法・内容に影響を及ぼしやすいでしょう。

このように,自転車窃盗の場合,一口に自転車窃盗と言っても様々な罪名に該当し得るものですが,これは他の事件類型にはない自転車窃盗の特徴とも言えます。そして,この自転車窃盗の特徴を踏まえているかどうかによって,弁護活動の内容や結果に大きな差が生じる可能性があります。

自転車窃盗の弁護士を選ぶ場合には,事件類型の特徴に理解があるか,という点を重要な基準とするのがよいでしょう。

②見込まれる刑事手続の理解

適切な弁護活動を行うには,今後にどのような手続が見込まれるか,正しく理解していることが不可欠です。今後なされる手続を把握していなければ,手続の中で何を行うべきかも判断できないためです。

そのため,弁護士選びに際しては,個別事件の内容を踏まえて,今後に見込まれる刑事手続を具体的に見通せている弁護士か,という点を重要な判断基準とすることをお勧めします。手続の見通しが具体的であることは,弁護活動の内容が具体的であることにもつながるため,安心して弁護士に依頼できる結果にもなるでしょう。

③弁護方針の具体的内容

弁護士選びは,依頼した際にどのような弁護方針で活動してくれるか,という点を慎重に検討して行うことが必要です。依頼した結果,弁護方針が希望と合致していなかったり,弁護方針に違和感があったりすれば,弁護士選びはうまくいかなかったと言わざるを得ないでしょう。

そのため,弁護士選びの際には,その弁護士がどのような方針で弁護活動をしてくれるのか,可能な限り具体的に把握することをお勧めします。例えば,認め事件であれば示談を試みることが有力ですが,一口に示談を試みると言っても,示談金額はどの程度を想定するか,示談金以外の示談条件として考えられるものはあるか,謝罪の意思を伝える方法はどうするか,事件の経緯や具体的内容についてはどのように説明するかなど,事前に決めなければならない具体的な内容は少なくありません。

弁護方針が具体的であればあるほど,その弁護士は弁護活動のイメージを詳細に持てているということが分かります。これは,弁護士に経験値や解決能力があることの端的な現れでもあるので,弁護士選びに際しては注意してみるとよいでしょう。

④弁護士との連絡方法・頻度

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

自転車窃盗事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①弁護士との相性の重要性

依頼者も弁護士も人である以上,相性の問題を避けて通ることはできません。依頼者目線では,相性が良くないと感じながら弁護士に依頼するメリットはないと考えるべきでしょう。

この点は,最善の解決に至ればそれほど大きな問題にはなりません。しかしながら,弁護活動は事前に最善の結果になるとお約束することが不可能であり,どうしても結果が伴わない場合があります。示談を試みたものの被害者に拒否された,全部無罪を主張したものの一部の主張が認められなかった,といった場合が代表例でしょう。

そして,弁護士との相性を軽視することは,最善の結果でなかった場合に大きな問題となります。弁護士が最善の活動をしてくれたのか,結果はやむを得ないものだったのか,という点について疑念が生じやすくなるためです。
弁護士との相性が良く,弁護士の活動を心底信頼できれば,心から「やむを得なかった」と納得しやすいですが,相性が悪いと感じている場合にはそうもいかないことが多くなりがちです。

弁護士との相性を率直にどう感じるか,という点は,弁護士選びに際して軽視しないことが適切でしょう。

②弁護士によって案内が異なる可能性

自転車窃盗の事件では,処分の見通しなど,案内の内容が弁護士によって異なることも少なくありません。特に,起訴されるか不起訴になるか,という点は,法律相談の段階で具体的に見通すことが困難な場合も多く,確実に回答できないという方がむしろ自然でしょう。

そのため,ある弁護士に相談した結果と他の弁護士に相談した結果が異なる場合もありますが,それはどちらかが誤っているというよりも,見通しの不透明さが影響した結果と理解すべきものです。それにもかかわらず,「どちらの回答が正しいのか」という視点で結論を出そうとすると,答えのない泥沼にはまる恐れもあるため,注意しましょう。

弁護士によって案内が異なることは,決しておかしな出来事ではないと分かっているだけでも,弁護士選びは格段にやりやすくなるはずです。

自転車窃盗事件に強い弁護士をお探しの方へ

自転車窃盗は,まぎれもない犯罪であるため,警察の捜査を受けるなどの問題になった場合には,適切な対応が必要です。
裏を返せば,捜査を受けることになっても,適切な対応ができれば,最悪の事態を回避することは十分に可能なことが多いです。
しかし,当事者の方が一人で適切な対応を尽くすことは容易でなく,専門的な弁護士のサポートが不可欠でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
自転車窃盗事件は少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

置き引きとは?被害届が出たら逮捕される?示談すべき?弁護士が重要ポイントを解説

●置き引きは何罪に当たるのか?

●置き引き事件は逮捕されてしまうのか?

●置き引きで逮捕されてしまったらどうすればいいか?

●置き引きは前科がついてしまうのか?

●置き引きで不起訴になる方法は?

●置き引きの示談金相場は?

●置き引き事件は弁護士に依頼すべきか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,置き引き事件の適切な対応について知りたい,という方に向けて,
置き引き事件の基礎知識置き引き事件で逮捕や前科を防ぐための弁護活動について解説します。

置き引き事件の罪名

置き引き事件は,具体的な状況・内容によって窃盗罪に当たる場合と横領罪に当たる場合があります
両者の区別を単純にすると,対象物を被害者が所持(支配)している状況と言えるか言えないか,ということができるでしょう。
法的には,被害者が占有している物だと窃盗罪の対象になり,被害者の占有を離れた物だと横領罪(占有離脱物横領罪)の対象になります。

①窃盗罪に当たる場合

窃盗罪は,他人が持っている財産を盗む犯罪です。
置き引きの場合,置いてはあるが被害者の手元を離れているとは言えない,という場合が該当します。
具体的には,置いてからの時間が短い,置いてある場所の近くに被害者がいる,というケースがこれに当たります。
被害者が置いたばかりでその場を離れていない状況であれば,被害者が支配していると理解できるわけですね。

②占有離脱物横領罪に当たる場合

占有離脱物横領罪は,他人の占有を離れた財産を手に入れる犯罪です。
置き引き事件で言うと,置かれた財産が被害者の手元を離れたと評価できる場合が該当します。
具体的には,置かれてから既に長時間が経っている,被害者は遠くに離れている,というケースが当たります。
電車の網棚に放置されたままになっているカバンに代表されるように,持ち主が支配しているとは考えにくいわけですね。

置き引き事件の刑罰

置き引き事件は窃盗罪又は占有離脱物横領罪に該当しますが,両者を比較すると,刑罰の程度には以下のような違いがあります。

①窃盗罪:10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
②占有離脱物横領罪:1年以下の懲役又は10万円以下の罰金

非常に大きな差がありますが,これは,窃盗の方がより強く責められるべき行為であるから,と説明できるでしょう。
放置された物を持っていくより,人の所持している物を盗む方が,道徳的なハードルがより高い行為と言えます。

置き引き事件と逮捕

置き引き事件は逮捕されるか

置き引き事件は,決して類型的に逮捕可能性が高いわけではありません。被疑者が特定できた場合であっても,逮捕せずに捜査を行うことは珍しくないでしょう。そのため,被害届が出たからと言って必ず逮捕されるわけでなく,適切な対応を尽くすことで,逮捕を回避しながらの解決も目指せる場合は多いと言えます。

ただし,内容によっては逮捕可能性が高くなるケースがあり得ます。具体的には,以下のような場合が挙げられます。

逮捕の可能性が高くなりやすいケース

1.盗品が悪用された場合

2.被害規模が大きい場合

3.同種の余罪が多数ある場合

【1.盗品が悪用された場合】

置き引き事件では,盗品が複数あり,その中には悪用される恐れのあるものも含まれていることが少なくありません。財布の中に保管されているキャッシュカードやクレジットカードは代表例でしょう。

この点,キャッシュカードを用いて多額の現金が引き出されている,クレジットカードを用いて商品を購入している,といった事情がある場合,盗品の悪用が重大視され逮捕の可能性が高まることが考えられます。単純に被害が拡大するというのみならず,盗品をさらに悪用する動きは別の犯罪に当たる可能性の高い悪質な行為であるため,逮捕をして厳重に捜査を尽くす必要が大きくなってしまうのです。

【2.被害規模が大きい場合】

明らかに経済的価値の高いものを置き引きしている,際立って多くの物を置き引きしているなど,被害の規模が大きい場合には,事件の重大性を踏まえて逮捕される可能性が高まる傾向にあります。

置き引き事件で逮捕がなされないケースは,突発的な事件であること大きく評価されていることが多く見られます。「魔が差した」というべき事件であれば,証拠隠滅の可能性も低く,逮捕までする必要はないと評価されやすいためです。
一方,価値の高い物を選んでいる場合や,簡単に持ち出せない物を持ち出している場合には,突発的ではなく計画的な事件であることが見込まれやすくなります。特に,計画的な事件と考えなければ説明のつかない行動を取っている場合には,計画性があるとみなされやすいでしょう。そして,このようなケースでは,突発的な置き引き事件とは異なり,計画性に関する証拠隠滅を防ぐために逮捕に踏み切る必要が大きいと判断されかねません。

【3.同種の余罪が多数ある場合】

場所や方法,対象となる盗品など,特徴の共通した事件が多数発生している場合,捜査機関としては同一犯の事件を想定するとともに,再発防止のために被疑者を逮捕する必要が高いと考える傾向にあります。多数の余罪がある被疑者の場合,放置していると再び同様の事件を起こす可能性が高いため,逮捕によって事件を予防しつつ捜査を行う手段が選択されやすいのです。

また,余罪が多数あるということは,捜査すべき事件がそれだけ多いため,事件の数に比例して必要な証拠も多くなります。逮捕しないでいると,余罪に関する重要な証拠を隠滅される恐れがあるため,速やかに逮捕をし,余罪を含む事件の全容解明を目指す方針が取られやすい傾向にあります。

置き引き事件で釈放される方法

置き引き事件では,逮捕された場合でも,その後速やかに釈放される場合は決して少なくありません。

逮捕されると,その後,10日~20日間勾留されるか,釈放されて在宅事件に切り替えられるか,という判断がなされます。
在宅事件となった場合,日常生活に戻った上で,捜査機関に求められた際に出頭する,という対応が可能ですので,勾留を防げるかは非常に重要なポイントになります。
置き引き事件の場合,適切な対応ができれば,勾留を防いで在宅事件となることも十分に考えられますので,弁護士に依頼の上で釈放を求める弁護活動をしてもらうことをお勧めします。

なお,逮捕されてから勾留の判断がなされるまでの期間は,概ね2日以内,長くても3日程度であり,勾留を防ぐための試みをするにはそれより前に弁護士が活動を開始しなければなりません。その期間が経過し,勾留が決定されると,遡って勾留を防ぐことは困難になってしまいます。逮捕された場合の弁護士へのご相談は,逮捕当日または翌日には行われることをお勧めします。

置き引き事件で逮捕を避ける方法

①捜査を受ける前の段階

置き引き事件では,目撃者の存在が期待できないため,防犯映像などの明らかな証拠がなければ,被疑者の特定に時間のかかる場合も少なくありません。そのため,逮捕の回避を検討する段階ではまだ被疑者が特定されておらず,取調べ等の捜査を受けていない状況であることも考えられます。

この段階で逮捕の回避を目指す場合には,自ら捜査機関に出頭する動きが一案です。捜査機関に特定されるより前に,自分から被疑者として扱ってもらうよう申し出ることで,逮捕しない判断を促すことが可能になります。
自分が被疑者として特定される前に出頭を試みれば,法的には「自首」が成立し,取り扱いがより緩和される効果も期待できます。

②捜査開始後

置き引き事件で既に捜査を受けており,その内容に争いがない場合には,被害者との示談を通じて逮捕回避を目指す方法が有力です。

置き引き事件の場合,被害者との間で示談が成立すれば,その後に逮捕されることはほとんどありません。しかも,示談は最終的な刑事処分の軽減にも非常に大きな意味を持つものであるため,行わないメリットはないと言っても過言ではないでしょう。

示談は,被害者側の対応によっては速やかに成立しないため,「示談が成立したから逮捕しない」という判断になるケースはあまり多くはありません。しかし,「示談を希望している」という事実を捜査機関に把握してもらうだけでも,逮捕回避につながることは非常に多く,少しでも早期に示談の試みに着手することはとても有益でしょう。

③逮捕の判断基準を踏まえた対応

逮捕を行うかどうかの判断基準は,「逃亡の恐れ」と「罪証隠滅の恐れ」です。逮捕をしないと逃亡する可能性が高いか,犯罪の証拠を隠滅される可能性が高いか,ということを基準に,逮捕の判断が行われることになります。
裏を返せば,逃亡や罪証隠滅の恐れが小さい場合,逮捕の可能性は大きく低下することになります。捜査への対応にあたっては,逃亡や罪証隠滅の恐れに配慮することが有益でしょう。

具体的な対応としては,呼び出しの連絡は無視せず対応し,出頭を拒否せず可能な範囲で応じる,という方針が適切です。円滑に連絡が取れれば,逃亡の恐れは小さいと評価されやすく,出頭の求めに応じてくれれば罪証隠滅の恐れが小さいとの理解につながりやすいでしょう。

置き引き事件の逮捕に関する注意点

①対象となる罪名

置き引き事件は,「窃盗罪」に当たる場合と「占有離脱物横領罪」にあたる場合があります。主な違いは以下の通りです。

窃盗罪:置いてはあるが被害者の手元を離れているとは言えない場合
占有離脱物横領罪:置かれた財産が被害者の手元を離れたと評価できる場合

基本的には,置かれてから時間が経っていない場合に窃盗罪,長時間が経過している場合に占有離脱物横領罪の対象となります。犯罪としては,置かれて間もない財産を置き引きする方が責任が重いと評価されやすいため,窃盗罪の方が重大であり,逮捕の可能性も窃盗罪に当たる方が高い傾向にあります。

同じ置き引きでも,責任の重さによって罪名が異なることには注意しておくとよいでしょう。

②逮捕後の身柄拘束期間

逮捕が防げなかった場合には,逮捕後の身柄拘束がどの程度の期間となるか,という点が重要な問題になります。

逮捕されると,最大72時間以内に「勾留」されるかが判断され,勾留された場合には10日間の身柄拘束が生じます。そして,勾留後には最大10日間の「勾留延長」がなされる可能性もあります。そうすると,起訴不起訴の判断までの間に,最長で23日程度の身柄拘束があり得るということになります。

逮捕から起訴までの流れ

この点,置き引き事件では勾留や勾留延長が回避できるか,という点がケースによって様々に異なりやすい傾向にあります。他の置き引き事件では勾留されなかったから,と安易に釈放を見込むことは不適切であり,大きな危険があると考えるべきでしょう。

釈放時期の具体的な見込みについては,個別の内容を踏まえた判断が不可欠であるため,弁護士への十分な相談を行うことをお勧めします。

置き引き事件と前科・不起訴

置き引き事件は前科になるか

置き引き事件は,前科になる可能性が十分に考えられる事件類型です。
前科とは,刑罰を受けた経歴を指すことが一般的ですが,刑事事件では,捜査の結果検察官に起訴されると,刑罰を受けて前科が残ることとなります。
そのため,前科を防ぐためには,検察官に起訴されない(不起訴処分となること)が必要です。

この点,置き引き事件は被害者がいる事件類型のため,検察官による起訴不起訴の判断は,被害者の意向に配慮したものとなるのが通常です。
被害者が処罰を求めるのであれば起訴し,被害者が許していれば不起訴にする,という判断になることが非常に多く見られます。

そのため,置き引き事件で不起訴処分を獲得し,前科を防ぐためには,被害者に許し(宥恕)をいただけるかどうかが最重要となるでしょう。
具体的には,弁護士を通じて示談を試み,示談が成立することで,被害者の宥恕を得る必要があります。

置き引き事件で不起訴を目指す方法

①示談交渉

置き引き事件で不起訴を目指す場合,最も端的な方法は被害者側に不起訴を希望してもらうことです。置き引き事件のように被害者がいる事件では,被害者が起訴を望むか不起訴を望むか,という意向が刑事処分に直接の影響を与えやすい傾向にあるためです。
そして,被害者に不起訴を希望してもらうための手段が,被害者との示談です。被害者との間で示談が成立した場合,被害者からは「不起訴を希望する」という意向を表明してもらうのが通常であるため,示談が成立すれば不起訴となる可能性が極めて高くなるでしょう。

なお,被害者側との示談を試みるのは,基本的に認め事件の場合です。否認事件でも,金銭的解決を図る趣旨で示談を試みる選択肢はあり得ますが,内容を慎重に検討する必要があるため,弁護士の法的な判断を仰ぐことを強くお勧めします。

ポイント
被害者が不起訴を希望すれば不起訴になりやすい
示談が成立した場合,被害者からは不起訴希望の意向を表明してもらうことになる

②再発防止・贖罪

不起訴処分を目指して示談を試みたとしても,必ず示談の成立に至るとは限りません。示談は相手のあるお話であるため,相手から拒否をされてしまえば,どれだけ希望しても示談成立に至ることは困難です。
相手に示談の意思がない場合には,示談によって不起訴処分を目指すことはできないため,次善策の検討が必要となります。

この点,認め事件であれば,二度と同様の事件が発生しない状況が整っている,と判断してもらうことが,不起訴処分を目指す有力な手段として考えられます。具体的には,事件の原因を予防できる再発防止策を講じたり,贖罪(しょくざい)の意思を贖罪寄付などの方法で表明したりすることが一案でしょう。
個別の事件でどのような再発防止策が考えられるか,贖罪寄付はどこへ,いくら,どのように行うべきか,という点は,弁護士と十分に協議することが望ましいところです。

なお,再発防止や贖罪の動きは,それだけで不起訴処分が獲得できる性質のものでない,という点には予め注意が必要です。起訴不起訴の判断で検察が迷う場合に,不起訴処分を促す事情になり得る,という程度の位置づけと理解するのが適切でしょう。

ポイント
再発防止策を講じることや贖罪寄付を行うことも有力
もっとも,再発防止や贖罪があれば不起訴になる,というわけではない

置き引き事件で不起訴を目指す場合の注意点

①示談金額

置き引き事件で示談を行う場合,示談金額は実際の損害額を目安にすることが通常です。一般的には,損害額にお詫びの趣旨でいくらか上乗せをした金額を示談金額とする,という考え方が用いられやすいでしょう。

もっとも,損害額に上乗せするお詫びの部分については,ケースによって損害額を大きく超える金額を希望されることもあり得ます。被害者としては,警察への相談やクレジットカード等の悪用を防ぐ対応など,置き引き被害にあったばかりに数々の面倒な動きをさせられているため,加害者への怒りの感情が増大していることも少なくはありません。また,損害額が小さい場合,その金額を支払うだけで加害者にお咎めなく事件が終わる,ということに被害者の納得が得られないことも多く見られます。

置き引き事件の示談に際しては,実際の損害額を超える示談金額が想定されやすいことにあらかじめ注意しておくようにしましょう。

②盗品の中身に争いが生じる可能性

置き引き事件の特徴として,盗品が複数になりやすい,という点があります。通常,バッグや財布など,中に他の金品が入っているものが盗品となるためです。

この点,加害者が置き引きした盗品の中身と,被害者が記憶している中身が一致しない,というケースは珍しくありません。自分のバッグや財布の中身を常に正確に把握するのは難しいため,やむを得ないところではあります。
現実に盗品の中身に関する争いが生じた場合には,以下のような対応方針が賢明でしょう。

盗品の中身に争いが生じた場合

1.対捜査機関(取調べ等)
→自分の記憶を述べ,被害者の主張に合わせる必要はない

2.対被害者(示談交渉)
→被害者の言い分に沿った示談条件を検討する
→「実際の中身は違った」という指摘をすること自体は問題ない

捜査機関に対しては,記憶に反する話をするメリットはないため,実際の内容を一貫して述べ続けるのが適切です。一方,示談交渉に際しては,被害者の言い分を踏まえた条件でなければ被害者の納得を得ることは困難です。そのため,実際の中身が被害者の言い分通りであるかは別として,示談条件は被害者の言い分に沿って検討するのが現実的でしょう。

③否認事件の対応方法

否認事件の場合,取調べにどのような対応をできるか,という点が起訴不起訴を大きく左右しやすいところです。
具体的には,事件の争点を念頭に置いた対応を心掛けることが適切でしょう。

例えば,「自分のバッグだと勘違いして他人のバッグを持って行ってしまった」という主張は,犯罪の故意を否認する内容です。そのため,ここでの争点は故意の有無であり,故意があったと立証できるかどうかが唯一最大の問題点となります。
この場合,「自分が他人のバッグを持って行ったかどうか」は当然ながら争点にはなりません。他人のバッグを持って行ったことは前提であり,持って行った時の内心が争点であるためです。
しかしながら,このような場合に「他人のバッグを持って行ったから悪い」といった内容の取調べを受けることも珍しくはありません。このような指摘を真に受けて争点と無関係の話に終始してしまうのは,不合理と言わざるを得ないでしょう。

否認事件では,争点をしっかりと整理して取調べに臨むことが必要です。そうすることで,取調べの内容を「重要な点」と「重要でない点」に区別することもでき,より適切な対応を尽くせるようになるでしょう。

置き引き事件の示談

置き引き事件で示談をする方法

置き引き事件で示談を目指す場合,まずは弁護士に依頼することが必要です。
示談を試みるには,警察や検察に示談をしたい旨申し入れ,被害者に連絡を取ってもらうことが必要ですが,当事者が申し入れても通常は応じてもらえません。
被害者側の精神的苦痛につながる上,当事者同士を引き合わすことでトラブルになる可能性が懸念されるからです。

そのため,示談を試みる場合は,弁護士が間に入り,弁護士限りで連絡先の交換をしてもらうことができないか,捜査担当者に相談をすることになります。
捜査担当者から被害者に連絡し,弁護士限りでの連絡先の交換が許された場合には,弁護士と被害者との連絡が始められる,という流れとなります。

置き引き事件の示談金相場

示談で宥恕(許し)を獲得するためには,引き換えに加害者から被害者へ示談金を支払うのが通常です。
置き引きの場合,この示談金の相場は,被害品の価値相当額を目安にすることが多く見られます。
具体的には,被害品の価値相当額にお詫びの趣旨でいくらか上乗せした金額を示談金とするのが有力でしょう。
被害品の価値相当額自体は,示談をしなくても被害者に賠償する義務があるものですので,被害者が宥恕する(許す)メリット・利益として,金銭賠償をいくらか上乗せするというのが基本的な考え方です。

なお,被害品の価値相当額については,明確に分からないことも少なくありません。
カバンや財布といった時価額の分かるものだけならば単純ですが,中にあったカードを紛失したケースや,金銭的価値はあまりないが大切にしていたものがなくなってしまったケースなどは,個別のお話合いが必要になるでしょう。
多くの場合は,被害者の宥恕(許し)に値する金額へと賠償額を引き上げることで示談を目指す方針になりやすいかと思われます。

置き引き事件は弁護士に依頼すべきか

弁護士への依頼が必要な場合

①不起訴処分を獲得したいとき

置き引き事件は,不起訴処分の可能性が十分にある事件類型です。認め事件であれば,被害者との示談が成立しているかどうかが不起訴処分を決定づける傾向にあり,示談が成立した事件では不起訴処分となる方が通常と言っても過言ではありません。
この点,示談交渉には弁護士の存在が不可欠です。当事者同士を直接引き合わせるわけにはいかないので,捜査機関は弁護士から依頼があった場合にのみ,弁護士限りで被害者と引き合わせることを認める運用をしています。

一方,否認事件の場合,起訴不起訴の判断は高度の法律的なものとならざるを得ません。犯罪の構成要件を満たしているか,犯罪の立証に足りる証拠はあるかなど,被疑者に刑罰を科すために必要な事項を精査し,刑罰を科せられない可能性が見込まれる場合には,不起訴処分の対象となります。
このような法律的な判断に際して,不起訴を求める意見を述べたり捜査機関との協議を試みたりするには,専門家である弁護士の存在が不可欠でしょう。認め事件のみならず,否認事件でも弁護士選びが不起訴処分を大きく左右することになります。

②取調べに適切な対応をしたいとき

置き引き事件で捜査を受けるとなれば,事件の内容に関する取り調べは避けられません。警察や検察から事件に関する話を聴取され,その内容を供述調書の形にすることは必須のステップとなります。
この点,事件によっては取調べへの対応次第で起訴不起訴の判断が大きく分かれる場合も少なくありません。特に置き引き事件の場合,立証に必要な証拠が数多く残されていることが期待できないため,足りない部分を取調べで埋め合わせる必要があることも考えられます。

そうすると,置き引き事件で不起訴を目指すためには,取調べへの対応を十分に準備し,不利益のない適切な取調べ対応を尽くすことが非常に重要となります。そして,適切な取調べ対応には弁護士の法的な判断や助言が極めて有益であるため,この点でも弁護士選びは重要な意味を持つことになるでしょう。

③早期釈放を目指したいとき

置き引き事件で逮捕された場合,その後の動き次第では早期釈放される可能性も十分に考えられます。
逮捕されると,最大72時間以内に「勾留」されるかが判断され,勾留された場合には10日間の身柄拘束が生じます。そして,勾留後には最大10日間の「勾留延長」がなされる可能性もあります。そうすると,起訴不起訴の判断までの間に,最長で23日程度の身柄拘束があり得るということになります。

もっとも,勾留されずに釈放となれば,最大72時間の身柄拘束にとどまり,日常生活への悪影響は最小限にとどまります。早期釈放は,生活を守るために極めて重要なものであり,その可能性があるならばできる限り目指すことが有益でしょう。
この点,釈放を目指す具体的な手続や申立てには,弁護士への依頼が必要となります。法律の手続に則って弁護士に対応をしてもらうことで,早期釈放の可能性が大きく上昇することは決して珍しくないでしょう。

④刑罰の軽減を図りたいとき

刑罰が避けられない置き引き事件の場合は,どれだけ軽微な刑罰にとどまるかが非常に重要な問題となります。刑罰には,大きく分けて「罰金」「執行猶予」「実刑」の3つがありますが,金銭を支払うことで終了する罰金が最も軽く,刑務所に収容させられる実刑が最も重い刑罰となります。
この点,罰金で終了させられることができれば,裁判所での裁判を受けることなく,略式手続という形で速やかに終了することも多いため,不利益は最小限にとどまります。罰金ではとどまらないケースでも,執行猶予となるか実刑となるかは,刑務所に収容されるかどうかという極めて大きな違いになります。

刑事罰の種類

刑罰の軽減を目指す場合,具体的な方法や内容は個別の事情を踏まえて決定する必要があるため,弁護士の専門的な判断が不可欠です。可能な限り円滑な解決を目指すためには,弁護士選びが重要となるでしょう。

置き引き事件の弁護士を選ぶ基準

①置き引き事件の解決実績

弁護活動は,過去の経験を踏まえた経験則を元に行うのが通常です。事件ごとによくある問題点や注意点なども,それが問題となった過去のケースを経験しているからこそ把握できるものです。

そのため,弁護士を選ぶ基準としては,過去に解決実績があるかどうかを重要なポイントとすることをお勧めします。この点,刑事事件の場合には,事件類型ごとに特徴が異なるため,置き引き事件の場合には同様の置き引き事件を解決した実績があると望ましいでしょう。

②示談交渉に長けているか

置き引き事件の解決は,否認事件でない限り示談交渉が不可欠です。認め事件では,被害者と示談が成立しているかどうかが最終的な刑事処分に直結していると言っても過言ではないでしょう。

そのため,置き引き事件での弁護士依頼では示談交渉を重視するべきですが,刑事事件の示談交渉に精通しているかどうかは,弁護士ごとに大きく異なります。特に,刑事事件では加害者側の立場で示談交渉をする必要があるため,相手に金銭などの請求をする事件とは勝手が違い,得手不得手の差が生じやすいものです。
しかも,置き引き事件の場合,盗品が被害者にとって思い入れのある場合など,金額面以外の点で被害者への配慮を要するケースが少なくありません。そのような特徴に無頓着だと,示談交渉が難航する原因にもなりやすいです。

置き引き事件で弁護士を選ぶ場合は,置き引き事件の加害者として示談交渉を行うことに長けているか,という基準を重視するのが有益です。

③弁護士と円滑に連絡が取れるか

弁護士への委任後は,事件に関する状況や進捗の把握を基本的に弁護士を通じて行うことになります。弁護士が捜査機関や被害者と接触した内容などを,弁護士から聞く形で把握していく,という流れが通常でしょう。

そのため,依頼した事件について不明な点は,全て弁護士から回答してもらう方法で解決する必要がありますが,弁護士とどのような方法,頻度で連絡を取ることができるかは,弁護士の取り扱いによる面が非常に大きいものです。
もちろん,弁護士も複数の事件を同時にこなしているため,常に連絡が取れるわけではありませんが,できるだけ連絡の時間を確保しようとしてくれるかは各弁護士の方針次第,というのが実情です。法律事務所によっては,連絡の窓口に弁護士が一切現れず,事務職員としか連絡が取れないということもあるようです。

弁護士選びに際しては,依頼後に弁護士と円滑に連絡が取れるか,という点を重要な基準とすることをお勧めします。可能であれば,弁護士が依頼者との連絡にどの程度時間を割いてくれるタイプの人か,という点も事前に把握したいところです。

④弁護士費用の見込みは具体的か

一般的な置き引き事件の場合,手続の流れにそれほど多くの可能性はありません。刑事事件の手続に精通している弁護士であれば,考えられる進行を一通り想定することが可能でしょう。
そのため,弁護士費用がどの程度発生するか,という金額の面についても,ある程度具体的な見通しを立てられる場合が多い傾向にあります。ある程度の幅はやむを得ず生じるものの,「この流れになればこのくらいの金額」というシナリオを一通り立てられるケースがほとんどです。

そこで,弁護士選びに際しては,依頼後の弁護士費用がどのくらいの金額になるか,という点の説明をできるだけ具体的に受けてみることをお勧めします。費用見込みの具体性に欠ける場合,金銭面に不安が残るのみでなく,具体的な説明をしてくれない弁護士への信頼にも大きな懸念が生じるため,依頼には慎重な検討が望ましいところです。

置き引き事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①本人が依頼する

置き引き事件で必要となりやすい示談は,加害者と被害者の間における契約です。そのため,示談を試みるかどうか,示談ができる場合にどのような内容とするか,という点については,契約の当事者である本人の判断が必要となります。
また,弁護士が依頼を受けて活動をするためには,個別事件の詳細な内容を把握していなければなりません。そのため,弁護士が本人から事件の内容を直接聴取することは不可欠と言えるでしょう。

そうすると,弁護士に依頼する場合には,本人が依頼する,という考え方が非常に重要となります。弁護士も本人の意思が沿わない弁護活動はできないため,依頼者がご家族であっても,ご家族と本人の気持ちが一致していることは必要です。

②弁護士の聴取には個人差がある

弁護士への依頼は,法律相談を受けた上で検討することになりますが,弁護士がどのように話を聞くか,どのように回答してくれるか,話し方や言葉遣いはどうか,といった点は,当然ながら弁護士により大きく異なります。これは個人差の問題であり,依頼者目線では「合うか合わないか」という問題でもあります。
弁護士への依頼は,その後の弁護活動や判断の多くを弁護士に委ねるものであるため,弁護士との相性は思いのほか重要です。「この弁護士とは合わない」と感じながら依頼するのは,トラブルの原因にもなりかねません。

そのため,弁護士への相談においては,弁護士の応対には大きな個人差があることを念頭に置き,応対に違和感を覚えない弁護士(=自分と合う弁護士)を選ぶようにすることをお勧めします。

③相談時間には限りがある

弁護士への法律相談は,30分以内,又は1時間以内といった形で時間を区切って行われるのが通常です。その時間内で,必要な情報を伝え,弁護士から案内を受け,弁護士選びの検討を行う必要があります。
もっとも,その時間は決して長くはありません。無意識に相談時間を浪費してしまうと,肝心の弁護士選びに必要な話が聞けないまま相談が終了してしまう可能性もあるでしょう。

そのため,弁護士選びに際しては,弁護士への法律相談に時間的な制限があることを踏まえ,弁護士選びの基準や聞きたいことなどを可能な限り整理して法律相談に臨むことをお勧めします。そのようなスタンスは,法律相談をより有益な内容とする結果にもつながるでしょう。

置き引き事件に強い弁護士をお探しの方へ

置き引き事件の場合,対応次第では逮捕や前科を防ぐことのできる場合も少なくありません。
そのため,置き引き事件の捜査を受けることになってしまった場合には,速やかに弁護士へのご相談やご依頼を検討するのが非常に有益です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
置き引き事件は少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所