住居侵入事件で自首が成立するためには?弁護士には依頼するべきか?

このページでは,住居侵入事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

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住居侵入事件で自首をするべき場合

①侵入行為が被害者に発覚している場合

住居侵入事件の捜査は,事件が被害者に発覚した後,被害者からの被害申告などをきっかけに始まることが通常です。そのため,住居侵入事件の場合,被害者に発覚していれば捜査が行われやすく,被害者に発覚していなければ捜査は行われづらいと言えます。
そして,住居侵入事件で捜査が行われると,逮捕の可能性が十分にあるため,捜査され得る状況であれば,あらかじめ自首をして逮捕を回避する動きが有力となります。

そうすると,侵入行為が被害者に発覚してしまっている事件では,被害者の動きによって捜査が開始され,逮捕に至ることが十分に見込まれるため,自首の検討が有力になりやすいと考えられます。
特に,被害者と鉢合わせになって逃走した,という場合には,今後に渡っても逃亡の恐れがある,という理由で逮捕の可能性が高くなりやすいため,積極的な自首の検討が有力でしょう。

ポイント
被害者に発覚している事件が捜査される
逮捕回避を目指すための示談が有力

②捜査の開始を知った場合

住居侵入事件の場合,捜査の開始時にはまだ加害者が分かってない,というケースは珍しくありません。事件の性質上,被害があったことは明らかだが加害者が分からない,という状態であることが相当数あるためです。
そうすると,捜査が開始されてから加害者が特定されるまでには一定の期間が生じやすく,その間に自首を試みる余地が残っている,ということになります。

捜査が開始されている以上,自首をするしないにかかわらず,事件は捜査機関が把握するに至っています。そのため,自首が裏目に出てしまうリスクは低く,逆に自首のメリットを大きく得られやすい状況ということができるでしょう。
何らかの経緯で捜査の開始を知った場合には,捜査によって加害者が特定される前に,自発的な自首を進める手段が有力になります。

ポイント
捜査の開始時に加害者が分かっていない,という場合も多い
捜査開始後,加害者特定前の自首は有力

③余罪がある場合

住居侵入事件では,事件が1回きりではなく,複数回起きているケースも少なくありません。特に,同一の住居に対して,長期間に渡り複数回の侵入行為があった,という場合は多く見られるところです。
この点,現に捜査を受けている事件以外の事件(=余罪)がある場合,その数が多ければ多いほど,刑事処分は重くなる傾向にあります。起こしている事件が多いほど,事件が悪質であり,生じた被害や加害者の責任は重いとの評価になるためです。

余罪があって重い刑罰が懸念される場合には,処分の軽減を目指す手段として自首を検討することが有力です。刑事処分の判断は,加害者の反省状況を大きな材料の一つとすることになりますが,自首は深い反省があることの裏付けとみなされやすく,刑罰の軽減につながる可能性が高いでしょう。

ポイント
同一住居に対する複数の侵入事件が生じやすい
自首によって処分の軽減を目指す手段が特に有力な状況

④当事者間での解決が困難な場合

住居侵入事件の場合,被害者が犯罪捜査や刑事処罰を希望しなければ,捜査を行わないことが通常です。現実に被害を受けた人物が捜査を求めていない以上,被害者のプライバシーを掘り起こしてまで捜査を強行する必要性に乏しいためです。
そのため,当事者間で問題解決に至っているのであれば,捜査を懸念する必要はあまりなく,自首を検討する必要もないとの判断が適切でしょう。

一方,住居侵入事件では,当事者間で協議するなどして解決を図ることが困難なケースも数多く見られます。特に,当事者間に深い交友関係がない場合には,円滑に当事者間で解決するのは現実的ではないでしょう。
このように当事者間での解決が困難な場合には,自首のほかに処分の軽減を目指す手段がないため,自首の検討が非常に有力となります。自首ができれば,最悪の事態を免れられる可能性が飛躍的に高くなるでしょう。

ポイント
当事者間で解決できれば,自首の必要はあまりない
住居侵入事件の場合,当事者間での解決は困難な場合が多い

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

住居侵入事件の自首は弁護士に依頼すべきか

住居侵入事件の自首に関しては,弁護士への依頼を強くお勧めします。刑事手続や住居侵入事件の取り扱いに精通した弁護士に依頼をすることで,自首に関する判断や行動を誤ることなく進められるでしょう。
弁護士への依頼によって,具体的には以下のようなメリットが見込まれます。

①逮捕の可能性が低下する

自首は,逮捕の回避を目指すのが最初の目的です。自首しなければ逮捕の危険が大きいため,自首することでできる限りその可能性を下げ,逮捕を防ぐ結果を目指す,というのが自首をするときの基本的なモチベーションになるでしょう。
もっとも,自首の方法を誤ってしまえば,逮捕回避の効果が十分に見込まれず,逮捕を防ぐという目的の実現につながらない恐れも否定できません。

この点,弁護士に依頼することで,適切な方法,内容で自首を進めることができるため,逮捕の可能性はより大きく低下することが期待できます。また,弁護士が逮捕するかどうかという点について捜査機関に掛け合い,協議を試みることも可能です。

②自首が有効な状況か分かる

刑事事件で自首すべきかどうか,自首が有効な手段であるかどうかは,非常に判断の難しい問題です。必要な情報がほとんどない中,経験則などを踏まえて推測せざるを得ませんが,過去の経験がない当事者は,当然ながら経験則を踏まえた判断ができず,困難さは更に増すでしょう。

この点,刑事事件の対応に精通した弁護士に依頼することで,知識や経験をもとに状況をできる限り把握し,自首が有効であるかどうか,適切な判断をしてもらうことが可能です。なぜ自首が有効であるか,なぜ自首をすべきかを把握しながら自首を進めることで,より円滑な対応が進めやすくなる効果も期待できます。

③被害者への対応を開始できる

住居侵入事件で自首をする場合,被害者への謝罪や賠償,示談といった試みは,あわせて行うことが適切です。なぜなら,自首は逮捕回避や処分軽減を目的に行うものですが,逮捕回避や処分軽減に最も有効な動きが,被害者側へのアプローチであるためです。被害者の宥恕(ゆうじょ=許し)を得ることができれば,自首よりも更に大きな効果が期待できます。

この点,弁護士に依頼することで,弁護士が窓口となる形で被害者への対応を速やかに開始できます。自首は,被害者の心情面にプラスの影響を与えることが多く,被害者が示談に応じる可能性が高くなる動きでもあるため,被害者への対応は自首の効果を最大限に生かすための行動とも言えるでしょう。

④逮捕後の釈放を目指すことができる

住居侵入事件は,逮捕されるケースも少なくないため,自首を検討する際にも逮捕を想定しておく必要があります。事件の内容や件数などを踏まえ,逮捕リスクが高いケースでは,逮捕後の動きを考えているかどうかによってその後の流れが大きく変わることも珍しくありません。

この点,弁護士に依頼することで,万一逮捕された場合に釈放を目指す方法や見込みを具体的に検討し,釈放に向けた弁護活動を行ってもらうことが可能です。また,釈放までにどのくらいの期間を要するか,どのような条件で釈放されるか,といった見通しが分かることで,その後の手続にも適切な対処が可能になりやすいでしょう。

住居侵入事件で自首をする場合の注意点

①自首が間に合わない可能性

自首は,犯罪事実及び犯人の両方が捜査機関に発覚した後では,行うことができません。捜査が行われていない段階や,犯人が特定できていない段階であれば,自首の余地が残りますが,捜査が進行してしまった後になると自首が成立しなくなってしまう可能性があるため,注意が必要です。

この点,捜査の進捗状況を踏まえた判断ができれば最も望ましいですが,現実に捜査状況を把握することは困難です。自首を検討する際には,自首が成立する状況か分からないことを承知の上で,できるだけ早期に判断することをお勧めします。

②逮捕が避けられない可能性

自首は,逮捕の可能性を大きく低下させる動きではありますが,自首をしたから逮捕されない,というわけではありません。自首をしても逮捕が避けられない場合がある,という点は十分に注意することが望ましいです。

特に,捜査機関が被疑者を逮捕する前提で捜査を進めていた場合,その後に自首をしても逮捕の判断は変わらず,結局逮捕されてしまう,という流れは多く見られます。ただ,捜査機関が逮捕する前提かどうかは,事前に把握することができないため,その可能性を想定しながら自首の検討を行うことが適切でしょう。

③起訴され前科が付く可能性

自首をした場合,刑事責任は大きく減少し,処分も大きく軽減する可能性が高く見込まれます。最も大きく軽減した場合,不起訴処分となり,刑罰を受けない結果となることも相当数見られるところです。
不起訴処分の獲得が,自首を試みる最大の目的の一つでしょう。

もっとも,自首をしたからといって全て不起訴処分になるものではありません。自首をしても,起訴は避けられず,刑罰が一定程度軽減するにとどまる,という可能性は十分にあるため,事前に注意することをお勧めします。

④余罪の取り扱い

余罪がある場合,一つの事件で自首すると決めた際に,余罪をどう取り扱うか,という点は非常に判断の難しい問題です。全てをさらけ出してしまうか,余罪については一切言及しないか,一部の余罪に限り自ら述べるか,選択肢は数多くあります。

この点,余罪を伏せて自首を試みた場合,後で余罪が発覚すると,余罪に関しては自首の効果が及ばない,との判断が通常です。自首の影響は事件ごとに変わるため,余罪は自首を含めた事件ごとに検討する,という点に十分注意しましょう。

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【住居侵入事件での呼び出し】警察が呼び出すのはなぜ?どのように対応するべき?

このページでは,住居侵入事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
住居侵入事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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住居侵入事件で呼び出された場合の対応法

①現行犯で取り締まりを受けた事件

住居侵入事件が現行犯で発覚し,取り締まりを受けた場合には,その後捜査のために呼び出しを受けることが考えられます。このような場合には,基本的に反省や後悔の意思を前提に,誠意ある捜査協力を尽くすことが有力でしょう。

現行犯で取り締まりを受けているケースでは,事件が現認されているため,内容を争う余地に乏しいことが通常です。事件の内容を認める前提であれば,いわゆる情状面で有益な効果を期待する意味で,可能な限り真摯な対応に努めることが賢明と言えます。

ただし,現行犯で取り締まりを受けたものの,被害者側の勘違いなどであらぬ疑いをかけられている部分もある,という状況であれば,適切な対応は異なります。あらぬ疑いをかけられている部分がある場合は,正しい点と誤っている点を具体的に指摘の上,正しい点は真摯に反省し,誤っている点は毅然と否定する,と区別した対応をするべきでしょう。

ポイント
内容を認める前提であるため,可能な限り真摯な対応に努めるべき
あらぬ疑いをかけられている部分があれば,その点は区別して毅然と否定する

②初めて呼び出しを受ける事件

それまで捜査を受けたことがなく,初めて呼び出しを受ける事件では,まず疑いの内容を正しく把握することが賢明です。また,複数の出来事で疑いが生じている場合は,そのそれぞれについて心当たりがあるかないか,正しく判断する必要があります。
疑いの内容を正しく把握し,心当たりの有無が確認できれば,適切に認め,又は否認する対応が可能になります。

また,警察署等への出頭を求められる際には,できるだけ日程調整し,出頭に応じる姿勢を見せるようにしましょう。警察側の求める日時の出頭に全て応じる必要はありませんが,全く応じる気がない態度を見せるメリットにも乏しいところです。

ポイント
疑いの内容と心当たりの有無を正しく把握する
出頭には応じる姿勢を見せる

③身に覚えがない事件

身に覚えのない住居侵入事件で呼び出された場合には,まず「自分には心当たりがない」という事実を警察側に把握してもらうための対応をしましょう。刑事事件の捜査は,認め事件か否認事件かによってその後の流れが異なり,否認事件の場合には犯罪が立証できるか慎重な判断が必要となります。そのため,本件は否認事件であって,慎重な犯罪立証が求められるケースだ,と把握してもらうことが有効です。

あわせて,なぜ身に覚えがないのか,自分の中で整理することも不可欠です。人違いで疑われているのか,泥酔などの影響で記憶がない状況なのかなど,身に覚えがない理由によって取るべき対応も異なってくるため,正しく整理の上,できれば専門性ある弁護士に相談することをお勧めします。

ポイント
心当たりのない事件である,ということを捜査機関に把握してもらう
身に覚えのない理由を確認する

住居侵入事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

住居侵入事件の場合,呼び出しに応じたことをきっかけに逮捕される,という流れは考えにくいところです。逮捕するつもりで呼び出す,という取り扱いは非常に少ないと言ってよいでしょう。

もっとも,呼び出しに対する対応が不適切である場合には,呼び出しを巡るやり取りが逮捕の原因になる可能性は考えられます。具体的には,以下のようなケースが挙げられるでしょう。

呼び出しへの対応が逮捕の原因になるケース

1.呼び出しへの応答がない

2.呼び出された日時に出頭しない

3.話の内容が明らかに不合理である

4.証拠隠滅の態度が見られる

【1.呼び出しへの応答がない】

呼び出しの連絡を試みたものの,応答もなく折り返しもない,という状況の場合,呼び出しをしても効果がないとの判断になりかねません。そうすると,逮捕して強制的に連れてくる必要があるとみなされやすく,逮捕の原因になり得ます

【2.呼び出された日時に出頭しない】

呼び出しの連絡を受けて出頭日時を決めたものの,その日時をすっぽかすなどして出頭しない場合,同じく呼び出しても出頭が期待できないとの判断になりかねません。一度だけであれば直ちに逮捕とはならないケースが多いですが,度重なると最終手段としての逮捕が選択される原因になるでしょう。

【3.話の内容が明らかに不合理である】

呼び出しに応じて出頭し,取調べが行われたものの,受け答えの内容が明らかに不合理である場合には,捜査に対する妨害の恐れが大きいと判断され,逮捕につながる可能性があります。
具体的には,内容が支離滅裂である,話が二転三転する,会話のキャッチボールが成立しない,といった場合が挙げられるでしょう。

【4.証拠隠滅の態度が見られる】

呼び出しの時や出頭時のやり取りから,証拠隠滅の態度が見受けられる場合には,今後の証拠隠滅を防ぐために逮捕される原因になり得るでしょう。
例えば,証拠の話になると急に回答を拒み始める,明らかに虚偽であるのに証拠を持っていないと述べる,といった場合が挙げられます。

住居侵入事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①情報提供を求める場合

住居侵入事件では,捜査機関に必要な情報が揃っていないため,事件や被疑者を特定するための情報提供を求められる場合があります。情報提供を求める連絡であるかどうかは,呼び出しを行う警察側の話や態度などから,比較的容易に判断することができるでしょう。

このような呼び出しは,捜査の初期段階で行われることが一般的です。事件の発生又は被害者による被害の把握から,それほど期間を空けずに実施されるケースが多いでしょう。

②加害者として特定された場合

自分が加害者として特定された場合には,取調べ目的での呼び出しが想定されます。取調べは,被疑者に対する捜査の第一歩であり,認否などを具体的に確認するための重要なステップです。

加害者として特定されたときには,その後比較的速やかに呼び出されることが一般的です。事件発生からの期間はケースによって大きく異なりますが,概ね1~6か月程度の間が一つの目安と言えるでしょう。

③供述調書を作成する場合

捜査機関は,取調べを行った後,その内容を「供述調書」という書面にするのが通常です。取調べによって聴き取った話を証拠化し,捜査機関内部の報告やその後の刑事処分に活用するのが基本的な運用とされます。
そのため,話を聞かれた後,内容を調書化する目的で呼び出されることは少なくないでしょう。

供述調書作成のための呼び出しは,ある程度話を聴き取った後であることが一般的です。直近の呼び出し後1週間~1か月程度は目安でしょうか。
なお,取調べの後速やかにその内容を供述調書にするケースもあります。その場合は,別途供述調書作成のための呼び出しが行われることはありません。

④個人情報の収集保管をする場合

刑事手続の一般的な取り扱いとして,被疑者の写真,指紋,DNA型といった個人情報を保管する運用が広く定着しています。これは,捜査機関内部でデータベース化することで,将来の犯罪捜査に活用することが想定されたものです。
そのため,写真や指紋などの個人情報を収集目的で呼び出される場合も考えられるところです。

このような呼び出しは,捜査の終盤に行われることが一般的です。事件の内容に関する取り調べが一通り終わった後であることが多く,個人情報の収集によって呼び出し終了,となるケースが多数でしょう。

住居侵入事件の呼び出しに応じたときの注意点

①記憶がない場合の対応方法

住居侵入事件では,呼び出された事件の記憶がない,というケースも相当数見られます。このうち,特徴的に多いのは泥酔状態であったため記憶がない,というものです。

この点,泥酔のため記憶がないケースでは,単に記憶がないというのみでなく認否を明確にするのが適切である,という点に注意することをお勧めします。「記憶がない」との回答は,疑いを認めていないため否認の意味で理解されるのが通常であるため,「酔っぱらって覚えていないが自分が行ったことに間違いないと思う」というスタンスである場合,意図が正しく伝わらない恐れがあります。

記憶がないケースでは,もう一歩踏み込んで「認めるか認めないか」という点を明確にするのが適切でしょう。

②共犯事件の場合

共犯事件の場合,通常は共犯者の全てが取り調べを受けることになります。そして,共犯事件では共犯者間で供述内容が整合するか矛盾するか,という点が大きなポイントになりやすいところです。

そのため,共犯事件では,基本的にありのままの事実を述べ,共犯者間で言い分が食い違わないよう努めることが適切でしょう。共犯者のためであっても,むやみに虚偽の話や黙秘を乱用することはお勧めできません。
最悪の場合,共犯者に責任を擦り付けられた場合,自分の話が(一部虚偽であったため)信用できない,と判断される危険もあります。

③余罪の取り扱い

住居侵入事件は,1件だけでなく余罪が複数ある場合も一定数見られます。そのため,捜査機関も余罪の存在を想定しており,余罪も含めた捜査をしていることが少なくありません。

この点,基本的に同一の被害者に対する事件の余罪は,同一の手続で捜査される可能性が高い,という点に注意しておくことをお勧めします。同一の被害者に対する余罪は,虚偽の話や黙秘によって隠そうとするメリットに乏しいことが多く見られます。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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住居侵入で逮捕される可能性は?初犯でも逮捕される?逮捕を防ぐ方法は?

このページでは,住居侵入の逮捕に関して,刑事弁護士が徹底解説します。逮捕の可能性はどの程度あるか,逮捕を避ける方法はあるか,逮捕された場合に釈放を目指す方法はあるかなど,対応を検討する際の参考にしてみてください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

住居侵入事件で逮捕される可能性

住居侵入事件は,逮捕の可能性が十分に考えられる事件類型です。侵入行為によって,被害者の心身に重大な損害が生じやすいため,再発を防ぎ被害者を保護する意味も含め,逮捕を伴った捜査が選択されることは少なくありません。

ただし,必ず逮捕されるとも限らず,具体的な見通しは個別のケースによるところです。一般的に,以下のようなケースでは逮捕の可能性が高いと言えるでしょう。

住居侵入事件で逮捕の可能性が高いケース

1.現行犯でトラブルになった場合

2.侵入後に別の犯罪行為があった場合

3.侵入行為が複数回あった場合

4.被害者に危害の及ぶ恐れがある場合

【1.現行犯でトラブルになった場合】

現行犯の際に被害者と鉢合わせになるなどし,トラブルになった後逃走した,というケースでは,逮捕の可能性が高い傾向にあります。その理由としては,現実に逃走しているため今後の逃亡が懸念されること,被害者の外貌を把握しており,被害者に危害の及ぶ恐れがあることなどが挙げられます。

【2.侵入後に別の犯罪行為があった場合】

住居侵入の後,窃盗やわいせつ行為など,別の犯罪が行われているケースでは,逮捕の可能性が高くなりやすいところです。別の犯罪が起きている場合,その事件の刑事責任はより重くなるため,逮捕の必要性が高い,との理解が一般的です。

【3.侵入行為が複数回あった場合】

同一の住居への侵入行為が複数回ある場合,その被害者に対する被害の拡大を食い止めるため,逮捕の可能性が高くなる傾向にあります。
また,加害者が住居への侵入場所を確保している可能性が高く,侵入方法に関する証拠を収集する必要性が高いため,逮捕することで証拠隠滅の機会を奪う意味合いもあります。

【4.被害者に危害の及ぶ恐れがある場合】

加害者と被害者との間に過去トラブルがあった,面識のある可能性が高いなど,今後,被害者に対する危害の恐れが大きいと思われるケースでは,被害者保護の観点から逮捕の可能性が高くなりやすいです。
被害者は,被害状況を最も正確に述べることのできる重要な証拠(人証:証拠となる人のこと)の一つです。被害者に対する危害は,まさに重大な証拠隠滅行為と言えます。

逮捕の種類や流れ

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

住居侵入事件で逮捕を避ける方法

①被害者との解決

住居侵入事件では,被害者と加害者との間で解決している場合,その後に捜査が行われることは通常ありません。そして,捜査が行われないということは,捜査の手段である逮捕も行われない,ということになります。

具体的な被害者がいる事件である以上,根本的な解決は被害者との間で図るのが最も適切です。当事者間で解決の余地がある場合には,できるだけ解決を目指したいところです。

②自首

特に被害者との解決が困難なケースでは,捜査を受ける前に自首をし,自ら捜査機関に足を運ぶ手段も有力です。加害者が自ら足を運んでくれる場合,逮捕をしてまで強制的に連れてくる必要はないため,逮捕の必要性が大きく低下すると言えるでしょう。

なお,自首は,捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚していない段階で,自ら捜査機関に犯罪行為を述べる行動を言います。犯罪事実と犯人が発覚した後では自首が成立しないため,できるだけ早い時期に行うことが有益です。

③捜査協力

既に捜査を受けている状況の場合,行われる捜査に対して適切な対応を尽くすことで,逮捕の回避が期待できる場合も少なくありません。具体的には,必要に応じて求められた捜査協力を尽くし,証拠の提出などを行うことが有力です。

逮捕は,逃亡や証拠隠滅を防ぐ目的で行われることが一般的であり,逆に逃亡や証拠隠滅の恐れがなければあえて逮捕することは多くありません。積極的な捜査協力によって,逃亡や証拠隠滅の恐れがないとの判断を引き出すことができれば,逮捕を避ける大きな原動力になり得るでしょう。

住居侵入事件の逮捕は弁護士に依頼すべきか

住居侵入事件の逮捕について対応を検討する際は,弁護士に依頼し,その専門的な判断を踏まえて行動するのが適切でしょう。弁護士への依頼によって,以下のような効果が期待できます。

①逮捕が懸念される状況か分かる

逮捕を避けるためにどのような行動を取るかは,逮捕がどの程度懸念されるか,という見通しを前提に判断すべき事柄です。捜査機関が逮捕を想定しているのにそれに気づかず手段を尽くさないと,逮捕回避の機会を逃してしまいかねませんし,逆に捜査機関が逮捕を考えていないのに執拗に逮捕を恐れた動きを取っていると,不要な疑いや捜査を受けるきっかけになり得ます。

この点,弁護士に依頼することで,現状で逮捕が懸念されるかどうか,という点について法的な知識経験を踏まえた判断をしてもらうことが可能です。逮捕可能性の見通しを正しく持つことができれば,逮捕回避の動きも正しく進めることができるでしょう。

②逮捕を防ぐための弁護活動をしてもらえる

逮捕を防ぎたい,逮捕を防ぐために手段を尽くしたい,と考えた場合でも,現実にその手段を自分が講じることは容易ではありません。内容によっては,自分自身で行うことができず,弁護士に行ってもらうほかないものも少なくありません。

この点,弁護士に依頼することで,逮捕を防ぐために行うべき動きを進めるなど,適切な弁護活動をしてもらうことが可能です。また,いつ,どの動きを,どのように取ればいいか,という点も弁護士が判断してくれるため,動きを誤る恐れなく逮捕回避を目指せるでしょう。

③手続の流れや見込みを事前に把握できる

刑事事件の手続は,法律や運用に精通していないと見通しの判断が困難です。逆に,刑事手続に関する法律や捜査機関の運用に通じている弁護士などは,今後の手続がどのように流れていくか,どのような結果が見込まれるか,という点の見通しを正確に持つことが可能です。

そのため,刑事事件に精通した弁護士に依頼すれば,今後の手続の流れを把握でき,処分などの見込みを正しく見定めることが可能になるでしょう。ある程度の見通しを持つことができれば,今後に対する不安も最小限に抑えることができます。

住居侵入事件の逮捕に関する注意点

①逮捕を避ける手段に乏しい場合

住居侵入事件の場合,逮捕前に捜査機関から逮捕を示唆するような動きを取るケースはあまり見られません。そのため,逮捕は被疑者にとって突然行われることになり,事前に避ける手段を講じる余地がない可能性には注意が必要となります。

ただし,事前に逮捕を示唆する動きがなくても,事件の発生から逮捕までには相当な期間のあることが通常です。その期間の中で,自首などの試みにより逮捕を回避する余地はあり得るところであるため,捜査を受けていない状況でも逮捕を避ける試みをすべきでないか,という点を弁護士に相談してみることは有力でしょう。

②逮捕時期

住居侵入事件は,逮捕がなされる場合の逮捕時期を具体的に特定することが困難な傾向にあります。その理由としては,以下の点が挙げられます。

住居侵入事件の逮捕時期が特定困難な理由

・被害者が被害を把握する時期が不明
→被害者が侵入行為をいつ知るのか,という点が,完全に被害者側次第である

・加害者を特定できるまでの期間が不明
→捜査の開始後,加害者が特定できるかどうか,特定にどの程度の期間を要するかは,証拠関係に大きな影響を受ける

・捜査機関のスケジュールが不明
→警察が多忙であるほど期間を要しやすく,速やかな逮捕が少なくなりやすい

住居侵入事件では,事件の進捗等によって逮捕時期に様々な可能性がある点に注意が必要です。

③逮捕後の釈放時期

住居侵入事件の場合,逮捕された場合の釈放時期に様々な可能性があるため,釈放時期の特定が困難になりやすい点に注意が必要となります。

最も軽微なケースでは,逮捕1~2日後,勾留されずに釈放される場合があり得ます。勾留されない事件では,いわゆる在宅事件に切り替わり,時々出頭を求められる流れとなります。
一方,複数の事件で逮捕勾留が繰り返されると,釈放まで数か月を要する長丁場になる可能性もあり得ます。この間,手段を尽くしても釈放してもらうのは困難であるのが通常です。

具体的な釈放時期の見込みについては,手続に精通した弁護士に判断してもらうことをお勧めします。

住居侵入事件で警察から呼び出しを受けた場合のポイント

呼び出しへの対応法

①現行犯で取り締まりを受けた事件

住居侵入事件が現行犯で発覚し,取り締まりを受けた場合には,その後捜査のために呼び出しを受けることが考えられます。このような場合には,基本的に反省や後悔の意思を前提に,誠意ある捜査協力を尽くすことが有力でしょう。

現行犯で取り締まりを受けているケースでは,事件が現認されているため,内容を争う余地に乏しいことが通常です。事件の内容を認める前提であれば,いわゆる情状面で有益な効果を期待する意味で,可能な限り真摯な対応に努めることが賢明と言えます。

ただし,現行犯で取り締まりを受けたものの,被害者側の勘違いなどであらぬ疑いをかけられている部分もある,という状況であれば,適切な対応は異なります。あらぬ疑いをかけられている部分がある場合は,正しい点と誤っている点を具体的に指摘の上,正しい点は真摯に反省し,誤っている点は毅然と否定する,と区別した対応をするべきでしょう。

ポイント
内容を認める前提であるため,可能な限り真摯な対応に努めるべき
あらぬ疑いをかけられている部分があれば,その点は区別して毅然と否定する

②初めて呼び出しを受ける事件

それまで捜査を受けたことがなく,初めて呼び出しを受ける事件では,まず疑いの内容を正しく把握することが賢明です。また,複数の出来事で疑いが生じている場合は,そのそれぞれについて心当たりがあるかないか,正しく判断する必要があります。
疑いの内容を正しく把握し,心当たりの有無が確認できれば,適切に認め,又は否認する対応が可能になります。

また,警察署等への出頭を求められる際には,できるだけ日程調整し,出頭に応じる姿勢を見せるようにしましょう。警察側の求める日時の出頭に全て応じる必要はありませんが,全く応じる気がない態度を見せるメリットにも乏しいところです。

ポイント
疑いの内容と心当たりの有無を正しく把握する
出頭には応じる姿勢を見せる

③身に覚えがない事件

身に覚えのない住居侵入事件で呼び出された場合には,まず「自分には心当たりがない」という事実を警察側に把握してもらうための対応をしましょう。刑事事件の捜査は,認め事件か否認事件かによってその後の流れが異なり,否認事件の場合には犯罪が立証できるか慎重な判断が必要となります。そのため,本件は否認事件であって,慎重な犯罪立証が求められるケースだ,と把握してもらうことが有効です。

あわせて,なぜ身に覚えがないのか,自分の中で整理することも不可欠です。人違いで疑われているのか,泥酔などの影響で記憶がない状況なのかなど,身に覚えがない理由によって取るべき対応も異なってくるため,正しく整理の上,できれば専門性ある弁護士に相談することをお勧めします。

ポイント
心当たりのない事件である,ということを捜査機関に把握してもらう
身に覚えのない理由を確認する

住居侵入事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

住居侵入事件の場合,呼び出しに応じたことをきっかけに逮捕される,という流れは考えにくいところです。逮捕するつもりで呼び出す,という取り扱いは非常に少ないと言ってよいでしょう。

もっとも,呼び出しに対する対応が不適切である場合には,呼び出しを巡るやり取りが逮捕の原因になる可能性は考えられます。具体的には,以下のようなケースが挙げられるでしょう。

呼び出しへの対応が逮捕の原因になるケース

1.呼び出しへの応答がない

2.呼び出された日時に出頭しない

3.話の内容が明らかに不合理である

4.証拠隠滅の態度が見られる

【1.呼び出しへの応答がない】

呼び出しの連絡を試みたものの,応答もなく折り返しもない,という状況の場合,呼び出しをしても効果がないとの判断になりかねません。そうすると,逮捕して強制的に連れてくる必要があるとみなされやすく,逮捕の原因になり得ます

【2.呼び出された日時に出頭しない】

呼び出しの連絡を受けて出頭日時を決めたものの,その日時をすっぽかすなどして出頭しない場合,同じく呼び出しても出頭が期待できないとの判断になりかねません。一度だけであれば直ちに逮捕とはならないケースが多いですが,度重なると最終手段としての逮捕が選択される原因になるでしょう。

【3.話の内容が明らかに不合理である】

呼び出しに応じて出頭し,取調べが行われたものの,受け答えの内容が明らかに不合理である場合には,捜査に対する妨害の恐れが大きいと判断され,逮捕につながる可能性があります。
具体的には,内容が支離滅裂である,話が二転三転する,会話のキャッチボールが成立しない,といった場合が挙げられるでしょう。

【4.証拠隠滅の態度が見られる】

呼び出しの時や出頭時のやり取りから,証拠隠滅の態度が見受けられる場合には,今後の証拠隠滅を防ぐために逮捕される原因になり得るでしょう。
例えば,証拠の話になると急に回答を拒み始める,明らかに虚偽であるのに証拠を持っていないと述べる,といった場合が挙げられます。

住居侵入事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①情報提供を求める場合

住居侵入事件では,捜査機関に必要な情報が揃っていないため,事件や被疑者を特定するための情報提供を求められる場合があります。情報提供を求める連絡であるかどうかは,呼び出しを行う警察側の話や態度などから,比較的容易に判断することができるでしょう。

このような呼び出しは,捜査の初期段階で行われることが一般的です。事件の発生又は被害者による被害の把握から,それほど期間を空けずに実施されるケースが多いでしょう。

②加害者として特定された場合

自分が加害者として特定された場合には,取調べ目的での呼び出しが想定されます。取調べは,被疑者に対する捜査の第一歩であり,認否などを具体的に確認するための重要なステップです。

加害者として特定されたときには,その後比較的速やかに呼び出されることが一般的です。事件発生からの期間はケースによって大きく異なりますが,概ね1~6か月程度の間が一つの目安と言えるでしょう。

③供述調書を作成する場合

捜査機関は,取調べを行った後,その内容を「供述調書」という書面にするのが通常です。取調べによって聴き取った話を証拠化し,捜査機関内部の報告やその後の刑事処分に活用するのが基本的な運用とされます。
そのため,話を聞かれた後,内容を調書化する目的で呼び出されることは少なくないでしょう。

供述調書作成のための呼び出しは,ある程度話を聴き取った後であることが一般的です。直近の呼び出し後1週間~1か月程度は目安でしょうか。
なお,取調べの後速やかにその内容を供述調書にするケースもあります。その場合は,別途供述調書作成のための呼び出しが行われることはありません。

④個人情報の収集保管をする場合

刑事手続の一般的な取り扱いとして,被疑者の写真,指紋,DNA型といった個人情報を保管する運用が広く定着しています。これは,捜査機関内部でデータベース化することで,将来の犯罪捜査に活用することが想定されたものです。
そのため,写真や指紋などの個人情報を収集目的で呼び出される場合も考えられるところです。

このような呼び出しは,捜査の終盤に行われることが一般的です。事件の内容に関する取り調べが一通り終わった後であることが多く,個人情報の収集によって呼び出し終了,となるケースが多数でしょう。

呼び出しに応じたときの注意点

①記憶がない場合の対応方法

住居侵入事件では,呼び出された事件の記憶がない,というケースも相当数見られます。このうち,特徴的に多いのは泥酔状態であったため記憶がない,というものです。

この点,泥酔のため記憶がないケースでは,単に記憶がないというのみでなく認否を明確にするのが適切である,という点に注意することをお勧めします。「記憶がない」との回答は,疑いを認めていないため否認の意味で理解されるのが通常であるため,「酔っぱらって覚えていないが自分が行ったことに間違いないと思う」というスタンスである場合,意図が正しく伝わらない恐れがあります。

記憶がないケースでは,もう一歩踏み込んで「認めるか認めないか」という点を明確にするのが適切でしょう。

②共犯事件の場合

共犯事件の場合,通常は共犯者の全てが取り調べを受けることになります。そして,共犯事件では共犯者間で供述内容が整合するか矛盾するか,という点が大きなポイントになりやすいところです。

そのため,共犯事件では,基本的にありのままの事実を述べ,共犯者間で言い分が食い違わないよう努めることが適切でしょう。共犯者のためであっても,むやみに虚偽の話や黙秘を乱用することはお勧めできません。
最悪の場合,共犯者に責任を擦り付けられた場合,自分の話が(一部虚偽であったため)信用できない,と判断される危険もあります。

住居侵入事件における自首のコツ

住居侵入事件で自首をするべき場合

①侵入行為が被害者に発覚している場合

住居侵入事件の捜査は,事件が被害者に発覚した後,被害者からの被害申告などをきっかけに始まることが通常です。そのため,住居侵入事件の場合,被害者に発覚していれば捜査が行われやすく,被害者に発覚していなければ捜査は行われづらいと言えます。
そして,住居侵入事件で捜査が行われると,逮捕の可能性が十分にあるため,捜査され得る状況であれば,あらかじめ自首をして逮捕を回避する動きが有力となります。

そうすると,侵入行為が被害者に発覚してしまっている事件では,被害者の動きによって捜査が開始され,逮捕に至ることが十分に見込まれるため,自首の検討が有力になりやすいと考えられます。
特に,被害者と鉢合わせになって逃走した,という場合には,今後に渡っても逃亡の恐れがある,という理由で逮捕の可能性が高くなりやすいため,積極的な自首の検討が有力でしょう。

ポイント
被害者に発覚している事件が捜査される
逮捕回避を目指すための示談が有力

②捜査の開始を知った場合

住居侵入事件の場合,捜査の開始時にはまだ加害者が分かってない,というケースは珍しくありません。事件の性質上,被害があったことは明らかだが加害者が分からない,という状態であることが相当数あるためです。
そうすると,捜査が開始されてから加害者が特定されるまでには一定の期間が生じやすく,その間に自首を試みる余地が残っている,ということになります。

捜査が開始されている以上,自首をするしないにかかわらず,事件は捜査機関が把握するに至っています。そのため,自首が裏目に出てしまうリスクは低く,逆に自首のメリットを大きく得られやすい状況ということができるでしょう。
何らかの経緯で捜査の開始を知った場合には,捜査によって加害者が特定される前に,自発的な自首を進める手段が有力になります。

ポイント
捜査の開始時に加害者が分かっていない,という場合も多い
捜査開始後,加害者特定前の自首は有力

③余罪がある場合

住居侵入事件では,事件が1回きりではなく,複数回起きているケースも少なくありません。特に,同一の住居に対して,長期間に渡り複数回の侵入行為があった,という場合は多く見られるところです。
この点,現に捜査を受けている事件以外の事件(=余罪)がある場合,その数が多ければ多いほど,刑事処分は重くなる傾向にあります。起こしている事件が多いほど,事件が悪質であり,生じた被害や加害者の責任は重いとの評価になるためです。

余罪があって重い刑罰が懸念される場合には,処分の軽減を目指す手段として自首を検討することが有力です。刑事処分の判断は,加害者の反省状況を大きな材料の一つとすることになりますが,自首は深い反省があることの裏付けとみなされやすく,刑罰の軽減につながる可能性が高いでしょう。

ポイント
同一住居に対する複数の侵入事件が生じやすい
自首によって処分の軽減を目指す手段が特に有力な状況

④当事者間での解決が困難な場合

住居侵入事件の場合,被害者が犯罪捜査や刑事処罰を希望しなければ,捜査を行わないことが通常です。現実に被害を受けた人物が捜査を求めていない以上,被害者のプライバシーを掘り起こしてまで捜査を強行する必要性に乏しいためです。
そのため,当事者間で問題解決に至っているのであれば,捜査を懸念する必要はあまりなく,自首を検討する必要もないとの判断が適切でしょう。

一方,住居侵入事件では,当事者間で協議するなどして解決を図ることが困難なケースも数多く見られます。特に,当事者間に深い交友関係がない場合には,円滑に当事者間で解決するのは現実的ではないでしょう。
このように当事者間での解決が困難な場合には,自首のほかに処分の軽減を目指す手段がないため,自首の検討が非常に有力となります。自首ができれば,最悪の事態を免れられる可能性が飛躍的に高くなるでしょう。

ポイント
当事者間で解決できれば,自首の必要はあまりない
住居侵入事件の場合,当事者間での解決は困難な場合が多い

住居侵入事件の自首は弁護士に依頼すべきか

住居侵入事件の自首に関しては,弁護士への依頼を強くお勧めします。刑事手続や住居侵入事件の取り扱いに精通した弁護士に依頼をすることで,自首に関する判断や行動を誤ることなく進められるでしょう。
弁護士への依頼によって,具体的には以下のようなメリットが見込まれます。

①逮捕の可能性が低下する

自首は,逮捕の回避を目指すのが最初の目的です。自首しなければ逮捕の危険が大きいため,自首することでできる限りその可能性を下げ,逮捕を防ぐ結果を目指す,というのが自首をするときの基本的なモチベーションになるでしょう。
もっとも,自首の方法を誤ってしまえば,逮捕回避の効果が十分に見込まれず,逮捕を防ぐという目的の実現につながらない恐れも否定できません。

この点,弁護士に依頼することで,適切な方法,内容で自首を進めることができるため,逮捕の可能性はより大きく低下することが期待できます。また,弁護士が逮捕するかどうかという点について捜査機関に掛け合い,協議を試みることも可能です。

②自首が有効な状況か分かる

刑事事件で自首すべきかどうか,自首が有効な手段であるかどうかは,非常に判断の難しい問題です。必要な情報がほとんどない中,経験則などを踏まえて推測せざるを得ませんが,過去の経験がない当事者は,当然ながら経験則を踏まえた判断ができず,困難さは更に増すでしょう。

この点,刑事事件の対応に精通した弁護士に依頼することで,知識や経験をもとに状況をできる限り把握し,自首が有効であるかどうか,適切な判断をしてもらうことが可能です。なぜ自首が有効であるか,なぜ自首をすべきかを把握しながら自首を進めることで,より円滑な対応が進めやすくなる効果も期待できます。

③被害者への対応を開始できる

住居侵入事件で自首をする場合,被害者への謝罪や賠償,示談といった試みは,あわせて行うことが適切です。なぜなら,自首は逮捕回避や処分軽減を目的に行うものですが,逮捕回避や処分軽減に最も有効な動きが,被害者側へのアプローチであるためです。被害者の宥恕(ゆうじょ=許し)を得ることができれば,自首よりも更に大きな効果が期待できます。

この点,弁護士に依頼することで,弁護士が窓口となる形で被害者への対応を速やかに開始できます。自首は,被害者の心情面にプラスの影響を与えることが多く,被害者が示談に応じる可能性が高くなる動きでもあるため,被害者への対応は自首の効果を最大限に生かすための行動とも言えるでしょう。

④逮捕後の釈放を目指すことができる

住居侵入事件は,逮捕されるケースも少なくないため,自首を検討する際にも逮捕を想定しておく必要があります。事件の内容や件数などを踏まえ,逮捕リスクが高いケースでは,逮捕後の動きを考えているかどうかによってその後の流れが大きく変わることも珍しくありません。

この点,弁護士に依頼することで,万一逮捕された場合に釈放を目指す方法や見込みを具体的に検討し,釈放に向けた弁護活動を行ってもらうことが可能です。また,釈放までにどのくらいの期間を要するか,どのような条件で釈放されるか,といった見通しが分かることで,その後の手続にも適切な対処が可能になりやすいでしょう。

住居侵入事件で自首をする場合の注意点

①自首が間に合わない可能性

自首は,犯罪事実及び犯人の両方が捜査機関に発覚した後では,行うことができません。捜査が行われていない段階や,犯人が特定できていない段階であれば,自首の余地が残りますが,捜査が進行してしまった後になると自首が成立しなくなってしまう可能性があるため,注意が必要です。

この点,捜査の進捗状況を踏まえた判断ができれば最も望ましいですが,現実に捜査状況を把握することは困難です。自首を検討する際には,自首が成立する状況か分からないことを承知の上で,できるだけ早期に判断することをお勧めします。

②逮捕が避けられない可能性

自首は,逮捕の可能性を大きく低下させる動きではありますが,自首をしたから逮捕されない,というわけではありません。自首をしても逮捕が避けられない場合がある,という点は十分に注意することが望ましいです。

特に,捜査機関が被疑者を逮捕する前提で捜査を進めていた場合,その後に自首をしても逮捕の判断は変わらず,結局逮捕されてしまう,という流れは多く見られます。ただ,捜査機関が逮捕する前提かどうかは,事前に把握することができないため,その可能性を想定しながら自首の検討を行うことが適切でしょう。

③起訴され前科が付く可能性

自首をした場合,刑事責任は大きく減少し,処分も大きく軽減する可能性が高く見込まれます。最も大きく軽減した場合,不起訴処分となり,刑罰を受けない結果となることも相当数見られるところです。
不起訴処分の獲得が,自首を試みる最大の目的の一つでしょう。

もっとも,自首をしたからといって全て不起訴処分になるものではありません。自首をしても,起訴は避けられず,刑罰が一定程度軽減するにとどまる,という可能性は十分にあるため,事前に注意することをお勧めします。

④余罪の取り扱い

余罪がある場合,一つの事件で自首すると決めた際に,余罪をどう取り扱うか,という点は非常に判断の難しい問題です。全てをさらけ出してしまうか,余罪については一切言及しないか,一部の余罪に限り自ら述べるか,選択肢は数多くあります。

この点,余罪を伏せて自首を試みた場合,後で余罪が発覚すると,余罪に関しては自首の効果が及ばない,との判断が通常です。自首の影響は事件ごとに変わるため,余罪は自首を含めた事件ごとに検討する,という点に十分注意しましょう。

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【住居侵入事件の不起訴処分】不起訴の意味から獲得方法,住居侵入事件の場合の注意点などを弁護士が解説

このページでは,住居侵入事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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住居侵入事件で不起訴を目指す方法

①被害者の宥恕

住居侵入事件に対する刑事処分の内容は,被害者の意向を大きく反映したものになることが通常です。住居侵入事件は,侵入された個別の被害者が存在し,その被害者が損害を被った事件であることから,その責任の程度を判断する際にも被害者の意向を考慮することが適切であるためです。
裏を返せば,被害者から起訴を望まないとの意向を表明してもらうことができれば,不起訴処分が大きく近づくことになります。

そのため,住居侵入事件で不起訴を目指す方法としては,被害者から宥恕(ゆうじょ=許し)を獲得することが非常に有益です。起訴前に被害者の宥恕が獲得できれば,大多数の事件で不起訴処分が期待できるでしょう。

ポイント
住居侵入事件の刑事処分は,被害者の意向を反映したものになる
被害者の宥恕(許し)を獲得できれば,不起訴に大きく近づく

②捜査機関への出頭

住居侵入事件は,その内容の性質上,被害者に発覚するまでに長い時間のかかりやすい傾向が見られます。被害者に事件が発覚しない限り,捜査自体が始まらないケースも珍しくはありません。
これは,加害者の立場から見れば,事件が発覚する前に自分から警察などに出頭し,住居侵入してしまったことを明らかにする余地がある,ということになります。現実に捜査機関が事件を把握していなかった場合,自首が成立する可能性も高いでしょう。

自ら捜査機関に出頭し,自分の住居侵入行為を明らかにすることは,深い反省の意思の現れと評価されることが一般的です。事件によっては,深い反省の意思を考慮してもらうことで,不起訴処分が獲得できる場合も考えられます。

なお,自ら出頭した場合には,その後に被害者の宥恕を目指すこともセットで試みるのが有益でしょう。出頭をしておきながら示談を試みない,というのは,不起訴を目指す動きとして合理的とは言えず,非常にもったいないと言っても間違いありません。

ポイント
事件発覚前に捜査機関へ出頭することで,深い反省の意思が表明できる
出頭後に被害者の宥恕を獲得することもセットで試みるべき

③故意がない場合

住居侵入事件はいわゆる故意犯であるため,誤って侵入してしまった,という場合には犯罪が成立しません。代表的な例としては,以下のような場合が挙げられます。

故意のない住居侵入事件の例

勘違いした場合
→自分の住居と勘違いして他人の住居に侵入してしまった

泥酔状態の場合
→泥酔のため住居に侵入していることを理解できなかった

無理矢理侵入させられた場合
→命令・強要行為などによって自分の意思に反して侵入させられた

自分の意思で住居侵入事件を起こした認識がない場合には,故意がない旨の主張が有力になりやすいでしょう。ただし,捜査機関から見ると,本当に故意がなかったのか言い逃れを図ろうとしているのか区別が付かないため,粘り強い説明が必要となることは想定しておくことをお勧めいたします。

ポイント
自分の意思以外の理由で侵入した場合,犯罪が成立しない
言い逃れとの区別が付かないため,粘り強い説明を要しやすい

④侵入行為に心当たりがない場合

侵入行為そのものに心当たりがないという言い分は,法的には「犯人性」を争うとの主張になります。自分が犯人かどうか,というポイントが争点だという意味です。

犯人性が問題になる場合には,捜査機関に対して,「自分が犯人でない可能性が十分に考えられる」との判断を促すことが適切な対応と言えます。捜査機関は,被疑者が犯人であることについて「合理的な疑い」がある場合,起訴すべきでないとの判断をすることになるため,「自分が犯人であることに合理的疑いがある」=「自分が犯人でない可能性が十分にある」との判断をしてもらうことが目標になるのです。

基本的な対応としては,自分の記憶する事実をありのまま話すことが適切です。適切な情報提供を行うことで,犯人性に関する捜査を促す効果も期待できます。

ポイント
犯人性が争点になる
犯人であるかどうか合理的な疑いが残る,との判断を促す

住居侵入事件で不起訴になる可能性

住居侵入事件は,不起訴処分になる可能性が十分に考えられる事件類型です。事件の具体的内容や程度,認否や証拠関係などによって見通しは様々に異なりますが,決して不起訴を見込むことができない事件ではありません。

特に,被害者との間で解決を図ることができていれば,不起訴の可能性は極めて大きく上がります。また,被害者との解決が困難な場合でも,ケースにより不起訴の可能性が高まることはあり得るでしょう。
具体的には,以下のような場合に不起訴の可能性が高くなりやすいところです。

不起訴の可能性が高くなる住居侵入事件の特徴

1.侵入した場所
→住居の出入口近辺までの侵入にとどまるか,さらに奥の居室等まで侵入しているか,という点。プライバシー侵害の程度が小さい場所への侵入にとどまっているほど,不起訴の可能性が高くなる。

2.侵入の方法
→合鍵の作成やピッキング行為など,特に手段を尽くさなければ侵入できない場所に敢えて侵入した場合,不起訴の可能性は低くなる。一方,扉が開かれていた等,容易に侵入できる状況だった場合,不起訴の可能性が高くなる。

3.侵入の目的
→わいせつ行為や窃盗行為のためであるなど,目的が悪質な場合には不起訴の可能性が低くなる。一方,悪質な目的がない場合や,同情すべき理由がある場合には,不起訴の可能性が高くなる。

4.侵入後の行動
→侵入後に何らかの加害行為や別の犯罪行為に及んでいる場合,不起訴の可能性が低くなる。逆に,特に何の行動も取らず速やかに立ち去っている場合,不起訴の可能性が高くなる。

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

住居侵入事件で不起訴を目指す場合の注意点

①被害者の意向の重要性

住居侵入事件の場合,不起訴処分となるかどうかには被害者の意向が非常に大きく影響します。極論すれば,被害者が不起訴を希望したから不起訴,そうでなければ起訴であったというケースも決して珍しくありません。

そのため,住居侵入事件で不起訴を目指す場合には,まず被害者から不起訴を希望するとの意向が獲得できないか,という点を検討することが適切になりやすいでしょう。被害者の意向と他の事情とでは,不起訴処分に与える影響が大きく異なる点に注意が必要です。

②被害者は誰か

住居侵入事件の被害者は,住居の管理権者と言われています。これは,多くの場合は住居の所有者ですが,必ずしも所有者には限られず,個別のケースにより判断も異なり得ます。
例えば,賃貸マンションへの侵入行為であった場合,マンションの所有者(オーナー)と,実際にその住居を管理し居住している人(賃借人)は別です。このとき,現実に侵入行為でダメージを受けたのは賃借人の方であるため,オーナー側でなく賃借人を被害者と考えることが一般的でしょう。

被害者に関する理解は,不起訴処分のため誰の宥恕を獲得すべきか,という点で重要な問題となります。不起訴処分の獲得に適した動きが取れるよう,謝罪などを試みるべき相手を正しく特定することに注意しましょう。

③現行犯逮捕と不起訴の関係

住居侵入事件の場合,事件がその場で発覚すれば,現行犯逮捕とされることも少なくありません。被害者のプライバシーが大きく侵害されており,身体生命の危険が生じかねないことを踏まえ,被害者保護の目的から速やかな現行犯逮捕がなされやすいのです。

もっとも,現行犯逮捕されることと,その後不起訴になるかどうかということは別の問題です。現行犯逮捕されたから不起訴にならない,という性質のものではないため,変わらず不起訴を目指す努力は行うことが適切と言えます。

裏を返せば,現行犯逮捕されず,ひいては逮捕自体されていない,という事件であっても,不起訴が見込まれると判断できるわけではありません。適切な対応を逃して起訴されることのないよう,十分に注意したいところです。

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【埼玉大宮で住居侵入事件の弁護士選び】最善の結果に近づくための判断基準や注意点とは

このページでは,住居侵入事件の弁護士選びについてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。弁護士への依頼を検討する際の参考にご活用ください。

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住居侵入事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕直後

住居侵入事件は,逮捕の可能性が十分に考えられる事件類型です。特に,現行犯で発覚して問題になった場合には,逃亡などを防ぐ必要性が高く,迅速に逮捕されやすい傾向にあります。

しかし,逮捕されたとしてもその場で全てが手遅れとなるわけではありません。逮捕後に適切な対応を尽くすことができれば,早期に釈放してもらうことができ,生活への影響を最小限に抑えることが可能です。
全ての住居侵入事件に当てはまるわけではありませんが,逮捕されたとしても速やかな釈放の余地は残っている,という点は知っておいて損のないところでしょう。

この点,逮捕直後には弁護士しか被疑者と接見できないことが通常であり,釈放を目指す動きも弁護士を通じて行う必要が生じやすいです。逮捕直後に適切な弁護士選びができれば,早期釈放の実現できる可能性が大きく高まることは間違いありません。

ポイント
住居侵入事件は,現行犯逮捕の可能性が高い傾向あり
逮捕直後に適切な動きが取れれば,早期釈放の余地がある

②示談交渉時

住居侵入事件に対する刑事処分は,被害者と示談ができるかどうかによって大きく左右されやすいものです。実際に住居を管理している被害者がいる事件のため,その被害者が刑罰を望むかどうかは,処分を決定する際の重要な判断材料になります。

この点,示談交渉には弁護士が不可欠となります。示談を試みるためには,弁護士を介して捜査機関に連絡し,被害者と弁護士との間での連絡を始めてもらう必要があるためです。

示談交渉の流れ

そして,示談の成否やその内容は,担当する弁護士によって様々に変わりやすいものです。示談における合意内容は当事者間の自由であり,無数の選択肢があるため,示談交渉の巧拙が示談の内容に直結することも珍しくありません。
そのため,示談を試みたいときには示談に精通した適任の弁護士を選ぶ必要があるでしょう。

ポイント
住居侵入事件の処分結果は,示談の成否に左右されやすい
示談の成否や内容は,弁護士の動きによって変わる

③起訴直後

住居侵入事件の中には,起訴が避けられないものもあります。特に,窃盗目的やわいせつ目的での侵入,継続的な複数回の侵入,プライバシー侵害の程度があまりに大きい内容の侵入など,事件の悪質さが際立っている場合には,特に被害者の許しがない限り,起訴が防げないことも少なくないでしょう。

もっとも,起訴されてしまった後でも,手段を尽くすべき場合は数多くあります。起訴後の対応としてまず行うべきことが,保釈の請求です。
保釈とは,勾留されている被告人(起訴された人)の身柄を,裁判の間だけ釈放する手続を言います。保釈が認められた場合,保釈保証金(いわゆる保釈金)を納めることで,留置施設から釈放してもらい,帰宅することが許されます。
起訴前には釈放が認められなかったケースでも,起訴後の保釈は広く認められることが珍しくないため,特に認め事件では速やかな保釈が肝要と言えます。

もっとも,保釈を求める手続や,保釈が認められた後の手続は,弁護士なしでは困難です。現実的には,弁護士に保釈を請求してもらい,保釈が認められた後の対応も行ってもらうことが必要になるでしょう。

ポイント
悪質と評価される住居侵入事件では,起訴が避けられない場合もある
速やかな保釈のため,弁護士選びを迅速に行うことが適切

④自首の際

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。犯罪事実や犯人が捜査機関に知られる前に,自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

住居侵入事件は,現行犯で発覚する場合を除き,事件の発生がすぐに被害者や捜査機関へ発覚することは多くありません。そのため,住居侵入事件を起こしてしまったという認識がある場合は,事件発覚前の自首が有力な選択肢の一つと言えます。

もっとも,本当に自首をすべきかどうか,自首をする場合にどのような手順・方法で行うか,という点は,当事者自身での判断が困難なポイントです。自首を試みようと考えるときには,適切な弁護士選びの上で,弁護士とともに検討・行動をするのが適切でしょう。

ポイント
住居侵入事件は,事件発覚前の自首が有力な選択肢の一つ
自首すべきか,どのように自首するかは,弁護士の判断を仰ぐのが適切

住居侵入事件の弁護士を選ぶ基準

①迅速に対応してくれるか

特に身柄拘束をされている住居侵入事件の場合,弁護士の対応の迅速さがその後の流れを大きく左右します。いつ釈放されるか,最終的な刑事処分がどのような内容になるか,といった点が,弁護活動のスピードによって変わってくることは珍しくありません。

一方で,弁護士がいつどのような対応をしてくれるかは,個々の弁護士のやり方により様々です。刑事事件のスピード感に合わせた迅速な対応のできる弁護士であれば問題ありませんが,万一弁護活動がタイミングを逃したものになってしまうと決定的な悪影響につながる可能性も生じてしまいます。

迅速対応を約束してくれるかどうかは,必ず弁護士選びの基準として設けるようにしましょう。

②的確な聴き取りをしてくれるか

聴き取りに関する弁護士の技量は,弁護活動の質に直結するポイントです。的確な聴き取りは,弁護活動の第一歩と言っても過言ではないでしょう。

住居侵入事件の場合には,以下のような点を特に聴き取ることが望ましいでしょう。

住居侵入事件における主な聴き取り事項

・侵入方法・態様
→どのように侵入したか,どこまで侵入したか,侵入の手段はどのように確保したか等

・侵入の経緯
→侵入を試みたきっかけは何か,なぜ侵入しようと考えたか,侵入後に何をするつもりだったか等

・余罪関係
→侵入の回数・期間,余罪の侵入場所・方法,余罪の発覚の有無等

聴取事項は以上の限りではありませんが,基本的に聴き取るべき事項を的確に聴き取ってくれるかは,弁護士選びの基準とすることが有益です。
一例としては,あまり取り扱いに長けていない場合,余罪に関する聴取が漏れやすい傾向が見られやすく,意識すれば弁護士選びの判断材料とすることも難しくはないでしょう。

③弁護士と円滑に連絡が取れるか

住居侵入事件の解決は,依頼者と弁護士との円滑な連絡が不可欠です。弁護活動を進める中で,改めて確認すべき事実関係が生じることも少なくない上,示談を試みる場合には,提案できる条件や合意内容を,随時連絡を取り合ってすり合わせる必要があります。

もっとも,連絡の方法や頻度は,個々の弁護士によって様々です,「弁護士となかなか連絡が取れない」という問題は,刑事事件のトラブルとして多く耳にするケースの代表例でもあります。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

④事務所所在地

住居侵入事件は,基本的にその住居地を管轄する警察が捜査を行い,同じくその地域を管轄する検察庁や裁判所が取り扱うことになります。また,被害者の住居は事件現場と同一であるため,被害者との接触を試みる際には,やはり住居地を基準とした動きになるところです。
そのため,弁護士の事務所所在地が事件現場となった被害者の住居地から遠い場合,可能な弁護活動の内容に限界が生じる可能性がある,という点には留意しておくことが望ましいでしょう。

なお,相手方との対面や現場の調査は,必ず要するというわけではないため,遠方であることのみを理由に弁護士への依頼を断念する必要まではありません。遠方であることに不安を感じる場合は,その点を直接弁護士に相談してみるようにしましょう。

住居侵入事件で弁護士を選ぶ必要

①早期釈放のため

早期釈放の可能性がある住居侵入事件でも,釈放を目指すための具体的な活動は弁護士に委ねざるを得ません。接見で必要な話し合いを行ったり,ご家族と連絡を取り合ったり,捜査機関や裁判所に必要なアクションを尽くしたりと,早期釈放に向けて弁護士でしかできないことは多岐に渡ります。

早期釈放ができるかどうかは,その後の生活に極めて重大な影響を与えやすいものです。そのため,特に事件内容等を踏まえて早期釈放が十分に期待できるケースでは,弁護士選びが非常に重要な動きと言えるでしょう。

②不起訴処分のため

住居侵入の事実を争わない認め事件の場合,不起訴を目指す主な選択肢は示談であることが通常です。もっとも,被害者と親密な交友関係にある場合を除き,弁護士なしでは示談を試みることも困難であるのが一般的でしょう。
弁護士に依頼して初めて,示談ができるかどうかのスタートラインに立つことができ,不起訴処分を獲得できる可能性が生じる,という言っても決して誤りではありません。

また,住居侵入の事実を争う否認事件の場合,法的な争点を明らかにした上で,その争点に関する主張を示すことが重要ですが,これは法的な知識,経験を持つ弁護士なしでは検討が難しい問題です。否認の主張を説得的に行うためにも,弁護士の存在は非常に重要と言えます。

そのため,住居侵入事件で不起訴処分を獲得するためには,弁護士選びが必要不可欠と言えるでしょう。

③家族や関係者との連携のため

身柄事件の場合,逮捕勾留されたご本人は,自分で外部と連絡を取ることができません。電話を携帯することも認められないため,連絡を取るための手段は以下のような方法に限られます。

逮捕勾留中に外部と連絡を取る手段

1.手紙の送受
→数日~1週間ほどのタイムラグが避けられない

2.(一般)面会
→時間制限が厳しい。接見禁止の場合は面会自体ができない

3.弁護士の接見
→時間的制限なくコミュニケーションが可能

手紙の送受は現実的でなく,面会の時間制限の中で必要な連絡をすべて取ることも難しいため,ご本人と周囲との連絡には弁護士の接見を活用することが不可欠になりやすいでしょう。
身柄事件で必要な連絡を取り合うためには,弁護士への依頼が適切です。

④適切な取り調べ対応のため

刑事事件の捜査では取調べが不可欠です。特に,被疑者への取調べは捜査の中核であって,被疑者からどのような話が引き出せるかによってその後の捜査が決定づけられる事件も少なくありません。

逆に,被疑者の立場にある場合,取調べにどのような対応を取るのが最も有益であるのかを把握していることは非常に重要です。自分が何を話すか,どのように話すかによって,その後の捜査や処分が決定づけられる可能性もあるため,取調べ対応の方法・内容は十分に検討する必要があるでしょう。

この点,個別の事件に応じてどのような取調べ対応をすべきかは,弁護士の法的な判断を仰ぐことが適切です。そのため,取調べ対応に万全を期すためには,弁護士選びが重要なポイントとなるでしょう。

住居侵入事件における弁護士選びの準備

①経緯や状況をまとめる

住居侵入事件で弁護士に法律相談を行うに当たっては,まず,現在に至るまでの経緯と現在の状況を正しく伝えることが出発点になります。
住居侵入の事実が間違いない事件であれば,被害者とはどのような関係かなぜ侵入してしまったかどのように侵入したか侵入後に何をしてしまったか,といった経緯を明らかにした上で,現在は捜査を受けている状況なのか当事者間で何かやり取りをしているのか,といった現状に関する事情を共有することが有益でしょう。

弁護士による案内は,事件の経緯と現在の状況を踏まえて行うことになります。そのため,弁護士選びの前提として,弁護士から適切な案内を受けるためにも,経緯や状況をまとめておくとよいでしょう。

②余裕を持った予算の検討をする

弁護士に依頼する場合,弁護士費用示談金の負担が想定されます。弁護士選びに当たっては,この両方の経済的負担ができるよう,予算を検討することが望ましいところです。

この点,弁護士費用については,法律事務所によって様々ではありますが,一般的な目安を把握することはそれほど難しくありません。必要に応じて,相談先の弁護士に直接確認してもよいでしょう。
ただし,身柄拘束を受けており,余罪を含めた長期間の逮捕勾留が見込まれる場合には,弁護士費用は大きくなりやすく,目安の金額も特定しづらいです。このようなケースでは,できるだけ余裕を持った予算の準備が適切と言えます。

また,示談金については,弁護士費用以上に金額の見通しを持ちづらいところです。特に,住居侵入事件の示談では,被害者又は加害者の転居が争点になり,転居費用の負担という問題が生じやすい点に特徴があります。転居費用が上乗せされる場合,示談の経済的負担は大きく変わるでしょう。

そのため,住居侵入事件では,弁護士費用と示談金の両方について,余裕を持った予算の準備が望ましい場合に注意しておくことをお勧めします。

③できるだけ早期に相談する

弁護士への依頼は,早期であることが非常に重要となる場合が少なくありません。住居侵入事件の場合には,特に身柄拘束を受けている場合,早期釈放を求めたり事件の速やかな解決を目指したりするため,弁護活動の速やかさが必要不可欠です。

当然ながら,弁護活動は法律相談や依頼の後でなければ開始されないため,弁護士への相談が早期でないと,弁護活動の遅れにつながりかねません。不測の不利益を避けるためにも,弁護士への相談はできるだけ早期に行うべきである,という点に注意しましょう。

住居侵入事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①弁護士への信頼感の重要さ

弁護士への依頼に際して軽視すべきでない点に,弁護士への信頼感が挙げられます。弁護士に依頼した場合,弁護活動の内容やその成果は,弁護士から報告を受ける方法で把握するほかありません。つまり,弁護士の動きを弁護士自身から教えてもらうしかなく,その真偽をチェックする手段もないため,依頼者には弁護士を全面的に信頼する以外の方法が存在しないことになります。

弁護活動の内容や結果がよく分からなくても,良い結果が出ていれば現実的な問題はあまりないかもしれません。しかし,住居侵入事件の場合,示談が奏功しなかったり,早期釈放のできない事件であることが後で分かったりと,事前の想定や目標よりも不利益な状況になる可能性は十分にあります。そして,良くない結果となったとき,それでも弁護士の動きに納得できるか,という点は非常に大きな問題です。

そのため,弁護士に依頼する際には,弁護士への全幅の信頼が必要であることを踏まえ,依頼する弁護士を心から信頼することは可能か,という点を慎重に検討することをお勧めします。

②早期釈放の困難さ

逮捕勾留された住居侵入事件の中には,その内容上,早期釈放の余地が現実的にないものも多くあります。その場合は,釈放のためには被害者との示談が成立する以外に方法がありませんが,事件の悪質性などを背景に,被害者が示談に応じてくれないケースが多いため,どうしても早期釈放を断念することになりやすいでしょう。

早期釈放の困難なケースに該当する場合,弁護士の活動や方針に関わらず,何をしても早期釈放には至らないことが通常です。早期釈放が十分に可能な住居侵入事件も確かにありますが,一方で早期釈放が困難な住居侵入事件も存在することは,十分に留意しておくことをお勧めします。

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侵入窃盗事件では自首をするべきか?自首をすれば逮捕や起訴は防げるか?ケース別解説

このページでは,侵入窃盗事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

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侵入窃盗事件で自首をするべき場合

①被疑者を特定できる証拠がある場合

自首は,被疑者が特定されるものと見込まれる場合に,事前に行うことで逮捕回避や処分軽減を目指す目的で利用することが通常です。そのため,自首をするべき場合の代表例は,放置していても自分が被疑者と特定され,逮捕されてしまう場合,ということになるでしょう。

この点,侵入窃盗事件では,被疑者を特定すれば,その被疑者を逮捕しながら捜査を行うことが非常に多く見られます。そうすると,侵入窃盗事件の場合,自分が被疑者と特定されることは,ほぼイコール自分の逮捕が見込まれること,という理解が可能です。

そのため,侵入窃盗事件で自分が被疑者と特定できる証拠があるケースでは,積極的に自首を検討するべきと言えるでしょう。証拠の具体例としては,現場又は付近の撮影画像・映像,周辺の目撃者等が挙げられます。

ポイント
侵入窃盗事件は,被疑者を特定できれば逮捕することが多い
被疑者の特定が見込まれる場合は,自首による逮捕回避が有益

②捜査が行われていると分かった場合

侵入窃盗事件の場合,事件が起きても全てが捜査されているとは限りません。通常,侵入窃盗事件は被害者が自身の被害を把握したときに捜査機関へ相談等し,捜査の開始へとつながるものですが,逆に被害者が侵入窃盗被害を把握していない場合,捜査が始まるきっかけは生じず,捜査がなされないままである,ということも考えられます。

自首は,非常に有利な効果をもたらしやすい行動ですが,一方で「捜査が行われていないのに自首をしてしまうかもしれない」というリスクを背負う行動でもあります。裏を返せば,このリスクがない場合,自首がより有益な手段になると言えるでしょう。

自身の侵入窃盗事件について捜査が行われていると分かった場合は,「捜査が行われていないのに自首をしてしまうかもしれない」というリスクはない状況と言えるため,自首を積極的に検討することが有効です。

ポイント
自首は捜査が行われていない場合のリスクを背負った行動

③当事者間で示談交渉できる間柄にない場合

侵入窃盗事件は,具体的な被害者に対する犯罪行為であるため,被害者が捜査を希望すれば捜査が行われ,被害者が加害者の処罰を希望すれば処罰される,という結果になりやすい類型の事件です。一方,被害者が捜査を望んでいなければ,捜査機関が無理矢理捜査を行うことは考えにくく,被害者が加害者の処罰を望んでいないのに処罰されるということも考えにくいでしょう。

そのため,侵入窃盗事件は,当事者間の示談によって解決できれば,加害者側にとって最も望ましいところです。示談が成立すれば,その後に逮捕されたり処罰を受けたりする可能性は現実的になくなるでしょう。

逆に,被害者との交友関係がないなど,当事者間で示談交渉ができない間柄の場合,早期に示談交渉で解決する手段に乏しいため,他の手段で逮捕や処罰の回避を目指さなければなりません。この場合の具体的な手段としては,自首以外にないのが通常であり,自首を検討する必要性が高い局面と言えます。

ポイント
侵入窃盗事件は,示談ができれば逮捕や処罰がなされづらい
被害者と示談交渉ができない関係の場合,自首が有力に

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

侵入窃盗事件の自首は弁護士に依頼すべきか

侵入窃盗事件の自首について検討する場合には,弁護士に相談・依頼をし,弁護士の専門的な見解を仰ぐことが適切です。また,実際に自首を試みる場合にも,弁護士と協同して行うことを強くお勧めします。
弁護士に依頼することの具体的なメリットとしては,以下の点が挙げられます。

①自首すべき状況か判断できる

侵入窃盗事件は,重大な刑事処罰のあり得る事件類型のため,捜査が行われていないのに勇み足で自首を行ってしまった場合の不利益が大きくなりやすいという懸念があります。自分の自首が原因で捜査・処分を受けてしまう,いわゆる「やぶ蛇」の結果になると,自ら自身に対する刑罰を招くことにもなりかねません。

そのため,侵入窃盗事件の自首を検討する際には,本当に自首が必要な状況か,自首をする場合としない場合のリスクはどの程度の状況か,ということを慎重に判断しなければなりませんが,当事者本人が判断することは非常に困難です。客観的に検討すること自体が難しい上に,刑事事件の専門的な知識や経験がないと判断の尺度も設けられないためです。

この点,弁護士に依頼を行うことで,実際に自首すべき状況かどうかを弁護士が客観的,専門的に判断することが可能になるでしょう。自首を行うかどうかの重要な判断材料が得られるはずです。

②自首の意思を正確に伝えられる

自首を行う場合に,その意図や目的,伝えたい内容等が正しく捜査機関に把握してもらえず,意図しない不利益を被るケースは意外に少なくありません。特に,当事者本人のみで自首を試みるとなると,逮捕などへの不安から話すべきことを自分なりに選びながら話そうとするあまり,捜査機関から「重要な証拠を隠そうとしている」という疑いを抱かれる場合も一定数見られます。
実際には誠意を持って自首を試みているにもかかわらず,重要な証拠隠滅の隠れ蓑として自首を利用している,との疑いを持たれてしまうことは,極めて重大な不利益につながりかねず,是が非でも避けるべきでしょう。

この点,弁護士に依頼し,弁護士が主導する形で自首を行えば,自首の趣旨を弁護士から正確に伝えてもらうことができ,自首のメリットを確実に得られる結果につながります。また,自首に必要な捜査機関とのやり取りはすべて弁護士が行うため,時間的,心理的負担を大きく軽減することも可能でしょう。

③速やかに弁護活動を開始できる

自首は,行う人にとっては非常に重要な出来事ですが,刑事事件の手続全体との関係ではスタートラインにとどまります。自首の位置づけは,職務質問などと同じくあくまで捜査が始まるきっかけであり,実際の捜査はその後に継続していくものです。
そのため,自首を行う場合には,その後に捜査が行われ,捜査が終われば刑事処分の検討がなされる,ということをあらかじめ視野に入れておく必要があるでしょう。

この点,自首を行う段階から弁護士に依頼することで,自首後の捜査や刑事処分に向けた弁護活動を,最も早い段階から開始できます。自首による処分の軽減を期待するのであれば,自首を行うのみでなく,その後の弁護活動も処分の軽減を目指したものにするべきです。

侵入窃盗事件で自首をする場合の注意点

①逮捕が回避できるとは限らない

侵入窃盗事件は,類型的に重大性が大きいことを踏まえ,逮捕される可能性が非常に高い事件類型です。そのため,自首を行ったからと言って直ちに逮捕されなくなるとは限らない,という点には注意が必要でしょう。
自首を行ってもなお逮捕が避けられないケースとしては,以下のような場合が挙げられます。

自首しても逮捕が防げないケース

1.捜査機関が既に逮捕の方針を固めていた場合

2.事件の重大性があまりに顕著である場合

3.余罪や前科の関係で重い処罰が見込まれる場合

もちろん,自首を行うことで逮捕の回避につながるケースもあり得ますが,逮捕されないことを前提に自首する,というものでないことは理解しておくのが適切です。

②不起訴処分が約束されるわけではない

自首は,刑事処分の軽減を目指す試みである以上,自首を行う場合には不起訴処分となることを目的にしているのが通常でしょう。実際,自首を行ったケースでは,自首を理由に不起訴処分とされる例も多く見られます。

しかし,侵入窃盗事件では,そもそもの刑事責任が大きいため,自首によってある程度軽減されても不起訴処分とはならない,という可能性が大いにあり得ます。自首を試みる際にはあらかじめ注意することが適切でしょう。
逆に,自らが刑罰を受ける可能性も了承した上で,それでもなお自首をする,という態度の方が,深い反省が認められるとの評価になるため,結果的に不起訴処分の可能性が高まりやすいとも言えます。いずれにしても,不起訴処分が約束された状況にないことは正確に理解しておくことをお勧めします。

③逮捕時の備え

逮捕の可能性が高い侵入窃盗事件では,自首を行った場合にそのまま逮捕される可能性への備えもあらかじめ行っておくのが適切です。具体的には,留置施設に持ち込む物品の用意をしておくと,逮捕時の有効な備えになるでしょう。

留置施設に持ち込む物品の例としては,以下のものが挙げられます。

留置施設に持ち込む物品の例

1.現金(1万円程度)

2.着替え(上下着衣,下着,靴下)

3.本

なお,着替えや本については,留置施設内で利用できるものに詳細なルールがあります。ルールに反した物品は利用できないため,具体的なルールを依頼する弁護士に確認の上,準備することをお勧めします。

④示談を試みることの重要性

侵入窃盗事件は,被害者と示談ができるかどうかによって結果が劇的に変わることになりやすい類型です。これは,自首を行った場合でも違いはありません。そのため,自首を試みる場合には,その後に示談を試みることもセットとすることが基本,と考えるのがよいでしょう。

自首を行った場合,加害者側の深い反省の意思は行動として表明されており,被害者側もその事実を把握することになります。そのため,自首をしなかったケースよりも被害者側から示談の了承が得られる可能性は高く,その意味でも示談を行うことの重要性は非常に大きいと言えるでしょう。

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【侵入窃盗事件での呼び出し】呼び出しのタイミングや理由,正しい対応方法や考え方を詳細解説

このページでは,侵入窃盗事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
侵入窃盗事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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侵入窃盗事件で呼び出された場合の対応法

①基本的な考え方

侵入窃盗事件の場合,被疑者から話を聞きだす方法として呼び出しが行われることは多くありません。侵入窃盗事件では,被疑者が特定できたのであれば逮捕をし,身柄拘束をした状態で取り調べを行う取り扱いが非常に多いためです。
そのため,侵入窃盗事件で呼び出しを受けている状況は,どちらかと言えば例外的であり,被疑者としては有益な取り扱いを受けている,という理解ができるところです。

侵入窃盗事件の被疑者とされているにもかかわらず呼び出されている,という場合,その有益な取り扱いを自ら失わないような対応を心掛ける,という考え方が望ましいでしょう。捜査機関が呼び出しを行う場合,逮捕をせず在宅捜査を進める可能性を残していることになるので,逮捕されない可能性がより高まる対応を目指したいところです。

ポイント
侵入窃盗事件の場合,被疑者の特定後は逮捕が一般的
呼び出しをするという取り扱いは被疑者にとって有益な状況

②認め事件の場合

認め事件の場合には,認めるスタンスを明らかにしたうえで,可能な限り逃亡や罪証隠滅が懸念されないように努めることが重要です。具体的には,出頭を求められれば応じる,証拠物の提出を求められれば積極的に提出する,取調べには可能な限りの情報提供をする,といった対応が適切でしょう。

捜査機関から,逃亡や罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうことができれば,逮捕を防ぐことのできる可能性が高くなります。

ポイント
逃亡や罪証隠滅の恐れがない,との判断を目指す

③否認事件の場合

否認事件で呼び出しを受けている場合,被疑者を明確に特定するだけの証拠がない状況である,という可能性が想定されます。物的証拠が確かでないため,犯人の可能性がある人物や事件の情報を知っている可能性のある人物からとりあえず話を聞く,という動きです。
そうすると,呼び出しを行う捜査機関としては,呼び出した際に自白が引き出せないか,という考えであることが少なくないでしょう。

そのため,まずは否認の態度を明確にし,逮捕するだけの証拠はないとの判断を促すのが有効です。ただ否認するのでなく,その裏付けとなり得ることをできる限り伝えられると,より望ましいでしょう。
また,前提として呼び出しに一度は応じることが適切です。否認事件の場合,呼び出される筋合いはない,という発想になることも無理はありませんが,出頭を拒否し続けるのは逮捕の可能性を自ら高める結果になりかねないため,あまり適切な対応とは言い難いところです。

ポイント
被疑者を特定する証拠に乏しい可能性が見込まれる
記憶に反した自白は厳禁

侵入窃盗事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

侵入窃盗事件は逮捕の可能性が高い事件類型であるため,呼び出しに応じて出頭した際に逮捕される,という流れは否定できません。もっともこれは,呼び出しに応じたことが逮捕の原因になる,というわけではありません

呼び出しに応じた際に逮捕されるのは,事前に逮捕を決めていた,という場合であるため,呼び出しに応じるかどうかにかかわらず逮捕されていたと考えるのが適切です。ただ,逮捕を予定しているのであれば,呼び出すのでなく自宅などに直接訪れて逮捕を執行することが一般的でしょう。呼び出しによって捜査していることを知らせてしまうと,逃亡や証拠隠滅のきっかけになりかねないためです。

そのため,呼び出しを受けている状況では,逮捕するかどうかが未定であることが多いでしょう。裏を返せば,呼び出しへの対応次第で逮捕されるかどうかは大きく変わりやすい状況である,ということもできます。

ポイント
逮捕するかどうか決まっていないことが見込まれる
呼び出しへの対応如何で逮捕の可能性が変わりやすい

侵入窃盗事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①広く情報収集を行うため

特に被疑者が特定できていない侵入窃盗事件では,何らかの情報を持っているであろう人物を対象に広く情報収集を試みる捜査が行われやすいところです。いわゆる「聞き込み」というものです。

被疑者と扱うつもりではなく,何かを目撃していたり聞いていたりしないか,ということを調べるための捜査手法であるので,この場合の捜査機関の対応は非常に穏やかであることが多いでしょう。呼び出しの連絡を行う段階で,被疑者とは見ていないこと,捜査協力をお願いしたいという趣旨であることなどを,一通り明らかにしてくれる事が一般的です。

また,呼び出しは出頭の負担を求める動きになってしまうため,呼び出すのでなく捜査機関の方が訪問する形を取ることも少なくないでしょう。

②取り調べを行うため

被疑者が特定された段階では,被疑者の取調べを行う目的で呼び出されることが考えられます。この場合には,呼び出しの連絡段階で捜査機関からの積極的な情報提供が行われることはなく,端的に心当たりがないか問われる程度であることが通常でしょう。連絡を寄越してきた趣旨・目的や,呼び出しの際に協力を求めたいことなどを明らかにしてくれる,という動きも期待できないことが一般的です。

呼び出しのタイミングは,被疑者特定のための捜査を一通り行った後であることが見込まれやすいでしょう。もっとも,被疑者が特定できたとなれば,その後あまり期間を空けず呼び出すことが想定されやすいところです。

侵入窃盗事件の呼び出しに応じたときの注意点

①逮捕リスク

侵入窃盗事件は,もともと逮捕の恐れが大きい事件類型であるため,呼び出しに応じた際の対応が不適切であると,他の事件よりも強く逮捕リスクが懸念されます。
そのため,侵入窃盗事件の場合,逮捕を誘発しない対応の仕方をより慎重に選択すべきことを注意して臨むようにしましょう。

具体的には,むやみに捜査機関への敵対姿勢を示さないことが適切です。敵対姿勢を見せていると,捜査協力をしてくれるとの信頼が十分に得られにくくなるため,逮捕などの強制捜査を招く可能性が高くなります。
供述内容が認めであっても否認であっても,対応自体はいたって冷静に,理性的に行うことが合理的です。

②取調べへの対応方針

取調べを受ける際には,基本的な方針として罪証隠滅の恐れがあると疑われないようにすることを目指すようにしましょう。

侵入窃盗事件の場合,現行犯で発覚するのでなく,各種の証拠から後日発覚することが多い傾向にあります。そのため,被疑者の手元に証拠が残っている場合,その証拠が処分されるなどして発見できなくなってしまう可能性が懸念されます。
具体的な証拠としては,以下のようなものが挙げられます。

被疑者の手元に残っていると疑われる主な証拠

1.盗品

2.侵入行為に用いた物(カギなど)

3.当時の衣服や靴

4.交通手段に関する証拠(車両,公共交通機関の利用履歴など)

取調べに際しては,捜査機関から証拠の隠滅を疑われないよう,適切な情報提供や物品の提出等に努めるのが望ましいでしょう。

③余罪の取り扱い

余罪がある場合,呼び出されたときに話すべきか,どこまで話すべきかが難しい問題になることも少なくありません。

この点,同じ場所で行った余罪については,発覚を防ぐことが難しい点に注意するのが適切でしょう。なぜなら,同じ場所での余罪がある場合,実際に取り締まりを受けた事件より前の余罪が発覚したことをきっかけに,捜査が開始された可能性が高いためです。
そうすると,捜査機関では既に余罪に関する十分な捜査を行っており,余罪の嫌疑も固めた状態である可能性が高く見込まれます。少なくとも,余罪があることを前提に捜査を進めていることがほとんどでしょう。

もっとも,複数の余罪があってどれが捜査機関に把握されているか分からない等,具体的な回答方針に悩むことは大いに考えられます。個別の対応については,弁護士との十分な協議を強くお勧めします。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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窃盗で自首を考えている方必見|メリット・デメリットやコツなどを解説

「窃盗をしてしまったけれど自首した方がいいのか?」
「自首すれば逮捕されない可能性はある?」

そう思う方もいるのではないでしょうか。

窃盗事件において自首は、逮捕回避や刑罰の軽減につながる可能性があります。

ただし、必ずしも不起訴や無罪になるわけではなく、自首のタイミングや被害者との示談の有無が大きな影響を与える点を理解しておくことが重要です。

本記事では、窃盗で自首をした場合の法律上の効果、自首によるメリットやデメリットなどを詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

窃盗事件における「自首」とは

窃盗事件における「自首」とは、自ら警察や検察といった捜査機関に対して、自分が犯罪を行った事実を申告することを指します。

ここからは、自首に関する基礎知識を解説します。

自首の法律上の定義

自首は刑法第42条に規定されています。

刑法第42条

罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
引用:e-Gov法令検索「刑法」

ここで重要なのは「犯罪事実を自ら申告する」という点です。他人に促されたり、すでに警察が捜査を進めている段階では、自首とみなされません。

また、自首の成立には「任意性」が求められます。つまり、本人が自由意思に基づいて罪を認め、申告する必要があるということです。

窃盗事件で自首をした場合、この規定により量刑の判断において減軽が考慮される可能性がありますが、必ずしも自動的に軽くなるわけではなく、裁判官の裁量に委ねられる点も押さえておくべきでしょう。

自首と出頭・任意同行との違い

自首と似た言葉に「出頭」や「任意同行」がありますが、これらは法律上まったく異なる意味を持ちます。

出頭とは、犯人が捜査機関に特定された後で捜査機関に出向く行為です。

つまり、出頭は捜査機関によって主体的に呼ばれているため、自首のように「自ら進んで罪を告白する行為」には当たりません。

また、任意同行とは、警察が現場や事情聴取の場面で「ちょっと署まで来てほしい」と求め、本人が同意して警察署に同行することをいいます。

これも自首とは違い、あくまで警察の求めに応じる形です。

このように、自首は本人の自発的な意思による告白である点で、出頭や任意同行と大きく異なります。

窃盗事件で自首を検討している場合、この違いを理解していないと「自首したつもりが実際は出頭扱い」という誤解を招きかねません。

窃盗で自首した場合のメリット

窃盗で自首をすることには、主に以下のメリットがあります。

  • 刑が軽くなる可能性がある
  • 示談交渉が進めやすくなる
  • 捜査機関からの印象が良くなる

詳しく解説します。

刑が軽くなる可能性がある

自首の大きなメリットは、刑が軽くなる可能性がある点です。刑法第42条は、自首した場合に「その刑を減軽することができる」と規定しています。

これにより、懲役刑であれば執行猶予が付く可能性が高まったり、罰金刑で済んだりする場合もあります。

とくに初犯で被害額が少なく、反省の態度が明確であれば、自首は量刑判断に大きな影響を与える要素となるでしょう。
ただし、減刑は必ず適用されるわけではなく、最終的には裁判官の判断に委ねられます。

つまり、自首をしたからといって自動的に刑が軽くなるわけではない点は理解しておく必要があります。

示談交渉が進めやすくなる

窃盗で自首をすると、被害者への謝罪や賠償の意思を明確に示すことができます。この姿勢は被害者との示談交渉を進める上で大きなプラスに働きます。

被害者にとっては、加害者が逃げ隠れせず自ら責任を認めたという事実が、精神的な安心につながるからです。

実際、示談が成立すれば不起訴処分となる可能性もあり、刑事裁判を回避できるケースもあります。

ただし、示談交渉には専門的な知識が必要であり、弁護士を通じて行うのが一般的です。

自首をしても被害者が示談に応じない場合もあるため、その限界を理解した上で取り組むことが大切です。

捜査機関からの印象が良くなる

窃盗で自首をすることは、捜査機関からの印象を良くする効果も期待できます。

警察や検察にとって、自ら罪を認めて出頭する姿勢は「反省している」と受け取られやすいため、その後の取り調べや処分判断に影響する場合があります。

とくに、同じ窃盗でも逃亡や証拠隠滅を図ったケースに比べて、自首をしたケースは評価が高くなる傾向があるのです。

ただし、印象が良くなること自体が直接的に刑を軽くする根拠になるわけではないため、注意が必要です。

窃盗で自首した場合のデメリット

一方、窃盗で自首した場合のデメリットは主に以下の通りです。

  • 必ず刑が軽くなるわけではない
  • 逮捕・勾留される可能性は残る

詳しく解説します。

必ず刑が軽くなるわけではない

自首をすると刑が軽くなる可能性はありますが、必ずそうなるわけではありません。

刑法第42条では「減軽することができる」と規定されていますが、裁判所が必ず適用する義務はありません。

つまり、被害額が大きかったり、繰り返し犯行を重ねていたりすれば、自首をしても刑が重く科されることがあります。

また、自首をしたとしても、被害者が強く処罰を求めている場合や、社会的影響が大きい事件では、裁判所は厳しい判断を下す傾向にあるのです。

逮捕・勾留される可能性は残る

窃盗で自首をしたとしても、逮捕や勾留される可能性は完全にはなくなりません。

とくに、被害額が高額である場合や、証拠隠滅や逃亡の恐れがあると判断された場合には、捜査機関は身柄を拘束することがあります。

自首は「自ら出頭した」という事情として有利に働くことはありますが、それだけで逮捕を免れる保証にはなりません。

また、勾留が続くと最大で20日間以上も身柄を拘束されることがあり、その間は社会生活に大きな支障が生じます。

仕事や学業に影響が及ぶことは避けられず、社会的信用の低下にもつながってしまうでしょう。

窃盗で自首したときの手続きの流れ

窃盗で自首したときの手続きの流れは、主に以下の通りです。

  • 1.警察署に出頭する
  • 2.取り調べを受ける
  • 3.検察に送致される
  • 4.起訴・不起訴の判断がなされる

詳しく解説します。

警察署に出頭する

自首をするには、警察署に自ら出頭することです。受付で自首の意思を伝えると、担当の警察官に案内され、事件の内容や経緯を聞かれることになります。

この段階では、本人の身元確認や犯行に関する基本的な説明が求められます。

重要なのは、自首をする際には「正直に詳細を説明する」ことです。虚偽の申告や曖昧な供述は、後の手続きで不利に働く可能性があります。

また、弁護士に同席してもらうことも可能であり、法律的に適切な手続きを踏むためには専門家のサポートを受けることが望ましいといえるでしょう。

取り調べを受ける

自首をした後は、警察による取り調べを受けることになります。ここでは、犯行の動機や経緯、被害の状況について詳細に質問されます。

供述内容は調書として記録され、後の裁判や処分判断に用いられるため、事実を正確に伝えることが重要です。

取り調べの中では、自首をした経緯や反省の意思も確認されます。この時点で被害弁償や示談の意思を明確に示しておくと、処遇にプラスの影響を与える可能性があります。

ただし、取り調べは長時間に及ぶことも多く、精神的な負担が大きいため、弁護士を依頼してアドバイスを受けることがおすすめです。

検察に送致される

警察での取り調べが終了すると、事件は検察に送致されます。

検察官は、警察から送られた供述調書や証拠をもとに、事件の性質や社会的影響、被害の程度などを総合的に判断します。

ここで検察官が重視するのは、自首の有無や被害者との示談の進展状況です。被害者への賠償が進んでいる場合や、真摯な反省が認められる場合には、不起訴処分の可能性も高まります。

起訴・不起訴の判断がなされる

最終的に検察は、事件を起訴するか不起訴とするかを判断します。不起訴処分になれば、刑事裁判にかけられることはなく、処罰を免れることができます。

示談が成立している場合や、被害額が小さい場合、自首によって真摯な反省が認められた場合などは、不起訴の可能性が高まるでしょう。

一方で、社会的に重大な影響を及ぼす事件や、繰り返しの犯行で悪質性が高いと判断されれば、起訴され刑事裁判に進むことになります。

侵入窃盗事件で逮捕される可能性

侵入窃盗事件は,逮捕の可能性が非常に高い事件類型と言えます。捜査を行い,被疑者が特定できたとなれば,逮捕をする方が通常です。
侵入窃盗事件で被疑者を逮捕する場合,以下のような理由があることが考えられます。

侵入窃盗事件で逮捕する理由

1.行為の違法性が高い

2.被害が重大である

3.事件の再発を防ぐ必要が大きい

4.重大な刑罰が見込まれやすい

【1.行為の違法性が高い】

侵入窃盗事件は,被害者の自宅など,そのプライバシーが保護されるべき場所に侵入した上で,保管している金品を窃取するという内容であり,その行為の違法性は高いものと理解されます。少なくとも,「思わず行ってしまった」「魔が差した」といった理由で起きる事件ではなく,実行するには犯罪行為に及ぶ明確な意思を持ち続けていることが必要であるため,実行することの悪質性,違法性が重く評価されやすいのです。

被疑者を逮捕するかどうかは,逃亡や証拠隠滅の恐れを基準に判断されますが,違法性の高い行為に及んだ被疑者の場合,規範意識が低いと評価され,逃亡や証拠隠滅の危険が類型的に大きいと判断される傾向にあります。そのため,行為の違法性を踏まえて逮捕する可能性が高くなります。

【2.被害が重大である】

侵入窃盗事件では,被害者の経済的な損害はもちろん,自宅等に侵入されたことによる精神的苦痛が大きく,被害者に生じた損害は重大なものと理解されています。被害者としては,なぜ侵入されたか,何が盗まれたかを把握できないまま,いつ再度の被害に遭うか分からない不安な時間を強いられることになります。

そのため,侵入窃盗事件の被疑者を特定した場合には,被害者保護の観点から被疑者を逮捕し,被疑者と被害者を物理的に切り離す取り扱いがなされる傾向にあります。

【3.事件の再発を防ぐ必要が大きい】

侵入窃盗事件は,1回だけで終わるのでなく,同一の場所で繰り返し行われることが多く見られます。加害者が侵入方法を確保した場合,同じ方法で複数回に渡って侵入を試み,その都度金品を窃取することになりやすい事件類型と言えます。

そのため,侵入窃盗事件の捜査における重要な目的の一つが「被害の再発を食い止めること」であり,確実に再発を防ぐ手段として逮捕が選択されることになりやすい傾向にあります。

【4.重大な刑罰が見込まれやすい】

違法性や損害の大きな事件である侵入窃盗は,加害者に対する刑罰が相応に重大なものとなりやすいところです。公開の裁判(公判)が行われた上で,場合によって実刑判決を含む重い処罰の対象となることも考えられます。

刑事事件の捜査に当たっては,見込まれる刑罰が重大であればあるほど,被疑者の逃亡や証拠隠滅が懸念される,との理解が一般的です。そのため,逃亡や証拠隠滅を防止する目的で,逮捕が選択される可能性が高くなります。

逮捕の流れ

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

侵入窃盗事件で逮捕を避ける方法

①自首の試み

侵入窃盗事件の加害者となってしまった場合,事件発覚前など捜査を受けていない段階であれば,逮捕回避の手段として自首を行うことは有力です。

自首は,捜査機関に対して犯罪事実を自ら申告し,捜査や処分を求めることを言いますが,自らの侵入窃盗を捜査機関に申告する加害者の場合,その後に逃亡や証拠隠滅を図る可能性は低いと評価されるのが一般的です。自発的に捜査や処分を求めておきながら,その後に刑事責任を逃れる行動に出るのは不合理であるためです。

ただし,法的に自首が成立するのは,捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚していない場合のみです。捜査機関が犯罪事実を把握しており,捜査によって犯人を特定した後であると,自ら出頭しても自首には当たらなくなってしまうため,できるだけ早期の検討が望ましいところです。

②積極的な捜査協力

認め事件,否認事件のいずれについても,捜査協力の姿勢を見せることは逮捕の可能性を引き下げる結果につながりやすい行動です。
逮捕は,捜査の妨害を防ぎながら円滑に証拠収集を図る手段であるため,捜査が妨害される恐れがどの程度あるか,という点は,逮捕をするかどうかの重要な判断基準となります。そのため,積極的な捜査協力を尽くしている場合には,逮捕をしなくても捜査の妨害は見込まれづらく,逮捕の必要性も低いと判断されやすくなるのです。

具体的な捜査協力としては,以下のような対応が有力でしょう。

捜査協力の内容

1.出頭の求めに応じる
→出頭を求められた際に,出頭日時の調整に積極的に応じる

2.不要な黙秘を控える
→質問にはできる限り回答し,情報を伏せようとしていないことを表明する

3.証拠物の提出に応じる
→物品の提出を求められた場合には,自ら持参などする

③示談の試み

侵入窃盗事件における逮捕の判断は,被害者への配慮の面が非常に大きいものです。裏を返せば,被害者への配慮を要しない場合には,逮捕の必要性も小さくなるということができます。

この点,被害者の配慮を要しない場合の代表例が,当事者間ですでに解決しているケースです。当事者間で損害が補填されている,事件の再発がないと見込まれる,被害者が加害者の刑事処罰を希望しない,といった状況であれば,逮捕をしてまで被害者保護を図る必要はないとの判断が通常でしょう。

そのため,当事者間での解決を目指すために示談の試みをするのは有力な手段でしょう。示談が成立し,当事者間で事件が解決した場合には,逮捕回避につながるほか,最終的な刑事処分においても不起訴をはじめとする軽微な取り扱いが見込まれやすくなります。

侵入窃盗事件の逮捕は弁護士に依頼すべきか

侵入窃盗事件の逮捕に関する対応は,可能な限り弁護士に依頼し,弁護士を通じての対応を行うことを強くお勧めします。

侵入窃盗事件は,基本的に逮捕が見込まれやすい事件類型です。侵入窃盗事件の被疑者は,逮捕されやすい状況にあると言えるでしょう。そのため,逮捕の回避を目指す場合には,漫然と対応していては不十分であり,積極的に適切な行動を尽くす必要があります。

また,逮捕の回避を目指す場合も,逮捕後に早期の釈放を目指す場合も,具体的な対応方法をどうすべきかは個別の状況,内容等によって様々に変わります。具体的な判断は専門性のある弁護士に仰ぐことで,適切な対応を尽くせるよう万全の体制を設けることが有益です。

侵入窃盗事件の逮捕に関する注意点

①逮捕が回避できない可能性

侵入窃盗事件の場合,逮捕の回避を目指しても,結果的に逮捕がなされてしまうことは珍しくありません。それだけ,侵入窃盗事件は重大な事件類型であり,逮捕の可能性が大きいと評価されやすいものです。
そのため,侵入窃盗事件で逮捕回避を目指す場合には,結果が伴わない可能性をあらかじめ踏まえておくことが望ましいところです。

もっとも,逮捕がなされたとしても,逮捕回避を目指す動きが無駄であるということではありません。多くの場合,逮捕回避のための行動は,最終的な刑事処分の軽減につながりやすい行動でもあるため,自身にとって有益な行動である,ということは間違いありません。

②逮捕後の拘束期間が長い可能性

侵入窃盗事件は,逮捕された場合に早期釈放が難しく,身柄拘束の期間が長期化しやすい事件類型です。
逮捕されると,最大72時間以内に「勾留」という身柄拘束の手続に移行するかが判断されます。勾留が決定されると10日間の身柄拘束がなされ,さらに「勾留延長」となると加えて最大10日間の身柄拘束が生じます。

逮捕から起訴までの流れ

侵入窃盗事件の場合,勾留及び勾留延長が必要となりやすいため,合計20日間の勾留を想定しなければならないケースが多いでしょう。また,余罪がある場合には,余罪で再度逮捕され,20日間の勾留が繰り返されるケースもあります。その場合には,より長期の身柄拘束も考えられるため,注意が必要です。

侵入窃盗で警察から呼び出しを受けたときのポイント

呼び出された場合の対応法

①基本的な考え方

侵入窃盗事件の場合,被疑者から話を聞きだす方法として呼び出しが行われることは多くありません。侵入窃盗事件では,被疑者が特定できたのであれば逮捕をし,身柄拘束をした状態で取り調べを行う取り扱いが非常に多いためです。
そのため,侵入窃盗事件で呼び出しを受けている状況は,どちらかと言えば例外的であり,被疑者としては有益な取り扱いを受けている,という理解ができるところです。

侵入窃盗事件の被疑者とされているにもかかわらず呼び出されている,という場合,その有益な取り扱いを自ら失わないような対応を心掛ける,という考え方が望ましいでしょう。捜査機関が呼び出しを行う場合,逮捕をせず在宅捜査を進める可能性を残していることになるので,逮捕されない可能性がより高まる対応を目指したいところです。

ポイント
侵入窃盗事件の場合,被疑者の特定後は逮捕が一般的
呼び出しをするという取り扱いは被疑者にとって有益な状況

②認め事件の場合

認め事件の場合には,認めるスタンスを明らかにしたうえで,可能な限り逃亡や罪証隠滅が懸念されないように努めることが重要です。具体的には,出頭を求められれば応じる,証拠物の提出を求められれば積極的に提出する,取調べには可能な限りの情報提供をする,といった対応が適切でしょう。

捜査機関から,逃亡や罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうことができれば,逮捕を防ぐことのできる可能性が高くなります。

ポイント
逃亡や罪証隠滅の恐れがない,との判断を目指す

③否認事件の場合

否認事件で呼び出しを受けている場合,被疑者を明確に特定するだけの証拠がない状況である,という可能性が想定されます。物的証拠が確かでないため,犯人の可能性がある人物や事件の情報を知っている可能性のある人物からとりあえず話を聞く,という動きです。
そうすると,呼び出しを行う捜査機関としては,呼び出した際に自白が引き出せないか,という考えであることが少なくないでしょう。

そのため,まずは否認の態度を明確にし,逮捕するだけの証拠はないとの判断を促すのが有効です。ただ否認するのでなく,その裏付けとなり得ることをできる限り伝えられると,より望ましいでしょう。
また,前提として呼び出しに一度は応じることが適切です。否認事件の場合,呼び出される筋合いはない,という発想になることも無理はありませんが,出頭を拒否し続けるのは逮捕の可能性を自ら高める結果になりかねないため,あまり適切な対応とは言い難いところです。

ポイント
被疑者を特定する証拠に乏しい可能性が見込まれる
記憶に反した自白は厳禁

侵入窃盗事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

侵入窃盗事件は逮捕の可能性が高い事件類型であるため,呼び出しに応じて出頭した際に逮捕される,という流れは否定できません。もっともこれは,呼び出しに応じたことが逮捕の原因になる,というわけではありません

呼び出しに応じた際に逮捕されるのは,事前に逮捕を決めていた,という場合であるため,呼び出しに応じるかどうかにかかわらず逮捕されていたと考えるのが適切です。ただ,逮捕を予定しているのであれば,呼び出すのでなく自宅などに直接訪れて逮捕を執行することが一般的でしょう。呼び出しによって捜査していることを知らせてしまうと,逃亡や証拠隠滅のきっかけになりかねないためです。

そのため,呼び出しを受けている状況では,逮捕するかどうかが未定であることが多いでしょう。裏を返せば,呼び出しへの対応次第で逮捕されるかどうかは大きく変わりやすい状況である,ということもできます。

ポイント
逮捕するかどうか決まっていないことが見込まれる
呼び出しへの対応如何で逮捕の可能性が変わりやすい

侵入窃盗事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①広く情報収集を行うため

特に被疑者が特定できていない侵入窃盗事件では,何らかの情報を持っているであろう人物を対象に広く情報収集を試みる捜査が行われやすいところです。いわゆる「聞き込み」というものです。

被疑者と扱うつもりではなく,何かを目撃していたり聞いていたりしないか,ということを調べるための捜査手法であるので,この場合の捜査機関の対応は非常に穏やかであることが多いでしょう。呼び出しの連絡を行う段階で,被疑者とは見ていないこと,捜査協力をお願いしたいという趣旨であることなどを,一通り明らかにしてくれる事が一般的です。

また,呼び出しは出頭の負担を求める動きになってしまうため,呼び出すのでなく捜査機関の方が訪問する形を取ることも少なくないでしょう。

②取り調べを行うため

被疑者が特定された段階では,被疑者の取調べを行う目的で呼び出されることが考えられます。この場合には,呼び出しの連絡段階で捜査機関からの積極的な情報提供が行われることはなく,端的に心当たりがないか問われる程度であることが通常でしょう。連絡を寄越してきた趣旨・目的や,呼び出しの際に協力を求めたいことなどを明らかにしてくれる,という動きも期待できないことが一般的です。

呼び出しのタイミングは,被疑者特定のための捜査を一通り行った後であることが見込まれやすいでしょう。もっとも,被疑者が特定できたとなれば,その後あまり期間を空けず呼び出すことが想定されやすいところです。

侵入窃盗事件の呼び出しに応じたときの注意点

①逮捕リスク

侵入窃盗事件は,もともと逮捕の恐れが大きい事件類型であるため,呼び出しに応じた際の対応が不適切であると,他の事件よりも強く逮捕リスクが懸念されます。
そのため,侵入窃盗事件の場合,逮捕を誘発しない対応の仕方をより慎重に選択すべきことを注意して臨むようにしましょう。

具体的には,むやみに捜査機関への敵対姿勢を示さないことが適切です。敵対姿勢を見せていると,捜査協力をしてくれるとの信頼が十分に得られにくくなるため,逮捕などの強制捜査を招く可能性が高くなります。
供述内容が認めであっても否認であっても,対応自体はいたって冷静に,理性的に行うことが合理的です。

②取調べへの対応方針

取調べを受ける際には,基本的な方針として罪証隠滅の恐れがあると疑われないようにすることを目指すようにしましょう。

侵入窃盗事件の場合,現行犯で発覚するのでなく,各種の証拠から後日発覚することが多い傾向にあります。そのため,被疑者の手元に証拠が残っている場合,その証拠が処分されるなどして発見できなくなってしまう可能性が懸念されます。
具体的な証拠としては,以下のようなものが挙げられます。

被疑者の手元に残っていると疑われる主な証拠

1.盗品

2.侵入行為に用いた物(カギなど)

3.当時の衣服や靴

4.交通手段に関する証拠(車両,公共交通機関の利用履歴など)

取調べに際しては,捜査機関から証拠の隠滅を疑われないよう,適切な情報提供や物品の提出等に努めるのが望ましいでしょう。

③余罪の取り扱い

余罪がある場合,呼び出されたときに話すべきか,どこまで話すべきかが難しい問題になることも少なくありません。

この点,同じ場所で行った余罪については,発覚を防ぐことが難しい点に注意するのが適切でしょう。なぜなら,同じ場所での余罪がある場合,実際に取り締まりを受けた事件より前の余罪が発覚したことをきっかけに,捜査が開始された可能性が高いためです。
そうすると,捜査機関では既に余罪に関する十分な捜査を行っており,余罪の嫌疑も固めた状態である可能性が高く見込まれます。少なくとも,余罪があることを前提に捜査を進めていることがほとんどでしょう。

もっとも,複数の余罪があってどれが捜査機関に把握されているか分からない等,具体的な回答方針に悩むことは大いに考えられます。個別の対応については,弁護士との十分な協議を強くお勧めします。

侵入窃盗事件における自首のコツ

侵入窃盗事件で自首をするべき場合

①被疑者を特定できる証拠がある場合

自首は,被疑者が特定されるものと見込まれる場合に,事前に行うことで逮捕回避や処分軽減を目指す目的で利用することが通常です。そのため,自首をするべき場合の代表例は,放置していても自分が被疑者と特定され,逮捕されてしまう場合,ということになるでしょう。

この点,侵入窃盗事件では,被疑者を特定すれば,その被疑者を逮捕しながら捜査を行うことが非常に多く見られます。そうすると,侵入窃盗事件の場合,自分が被疑者と特定されることは,ほぼイコール自分の逮捕が見込まれること,という理解が可能です。

そのため,侵入窃盗事件で自分が被疑者と特定できる証拠があるケースでは,積極的に自首を検討するべきと言えるでしょう。証拠の具体例としては,現場又は付近の撮影画像・映像,周辺の目撃者等が挙げられます。

ポイント
侵入窃盗事件は,被疑者を特定できれば逮捕することが多い
被疑者の特定が見込まれる場合は,自首による逮捕回避が有益

②捜査が行われていると分かった場合

侵入窃盗事件の場合,事件が起きても全てが捜査されているとは限りません。通常,侵入窃盗事件は被害者が自身の被害を把握したときに捜査機関へ相談等し,捜査の開始へとつながるものですが,逆に被害者が侵入窃盗被害を把握していない場合,捜査が始まるきっかけは生じず,捜査がなされないままである,ということも考えられます。

自首は,非常に有利な効果をもたらしやすい行動ですが,一方で「捜査が行われていないのに自首をしてしまうかもしれない」というリスクを背負う行動でもあります。裏を返せば,このリスクがない場合,自首がより有益な手段になると言えるでしょう。

自身の侵入窃盗事件について捜査が行われていると分かった場合は,「捜査が行われていないのに自首をしてしまうかもしれない」というリスクはない状況と言えるため,自首を積極的に検討することが有効です。

ポイント
自首は捜査が行われていない場合のリスクを背負った行動

③当事者間で示談交渉できる間柄にない場合

侵入窃盗事件は,具体的な被害者に対する犯罪行為であるため,被害者が捜査を希望すれば捜査が行われ,被害者が加害者の処罰を希望すれば処罰される,という結果になりやすい類型の事件です。一方,被害者が捜査を望んでいなければ,捜査機関が無理矢理捜査を行うことは考えにくく,被害者が加害者の処罰を望んでいないのに処罰されるということも考えにくいでしょう。

そのため,侵入窃盗事件は,当事者間の示談によって解決できれば,加害者側にとって最も望ましいところです。示談が成立すれば,その後に逮捕されたり処罰を受けたりする可能性は現実的になくなるでしょう。

逆に,被害者との交友関係がないなど,当事者間で示談交渉ができない間柄の場合,早期に示談交渉で解決する手段に乏しいため,他の手段で逮捕や処罰の回避を目指さなければなりません。この場合の具体的な手段としては,自首以外にないのが通常であり,自首を検討する必要性が高い局面と言えます。

ポイント
侵入窃盗事件は,示談ができれば逮捕や処罰がなされづらい
被害者と示談交渉ができない関係の場合,自首が有力に

侵入窃盗事件の自首は弁護士に依頼すべきか

侵入窃盗事件の自首について検討する場合には,弁護士に相談・依頼をし,弁護士の専門的な見解を仰ぐことが適切です。また,実際に自首を試みる場合にも,弁護士と協同して行うことを強くお勧めします。
弁護士に依頼することの具体的なメリットとしては,以下の点が挙げられます。

①自首すべき状況か判断できる

侵入窃盗事件は,重大な刑事処罰のあり得る事件類型のため,捜査が行われていないのに勇み足で自首を行ってしまった場合の不利益が大きくなりやすいという懸念があります。自分の自首が原因で捜査・処分を受けてしまう,いわゆる「やぶ蛇」の結果になると,自ら自身に対する刑罰を招くことにもなりかねません。

そのため,侵入窃盗事件の自首を検討する際には,本当に自首が必要な状況か,自首をする場合としない場合のリスクはどの程度の状況か,ということを慎重に判断しなければなりませんが,当事者本人が判断することは非常に困難です。客観的に検討すること自体が難しい上に,刑事事件の専門的な知識や経験がないと判断の尺度も設けられないためです。

この点,弁護士に依頼を行うことで,実際に自首すべき状況かどうかを弁護士が客観的,専門的に判断することが可能になるでしょう。自首を行うかどうかの重要な判断材料が得られるはずです。

②自首の意思を正確に伝えられる

自首を行う場合に,その意図や目的,伝えたい内容等が正しく捜査機関に把握してもらえず,意図しない不利益を被るケースは意外に少なくありません。特に,当事者本人のみで自首を試みるとなると,逮捕などへの不安から話すべきことを自分なりに選びながら話そうとするあまり,捜査機関から「重要な証拠を隠そうとしている」という疑いを抱かれる場合も一定数見られます。
実際には誠意を持って自首を試みているにもかかわらず,重要な証拠隠滅の隠れ蓑として自首を利用している,との疑いを持たれてしまうことは,極めて重大な不利益につながりかねず,是が非でも避けるべきでしょう。

この点,弁護士に依頼し,弁護士が主導する形で自首を行えば,自首の趣旨を弁護士から正確に伝えてもらうことができ,自首のメリットを確実に得られる結果につながります。また,自首に必要な捜査機関とのやり取りはすべて弁護士が行うため,時間的,心理的負担を大きく軽減することも可能でしょう。

③速やかに弁護活動を開始できる

自首は,行う人にとっては非常に重要な出来事ですが,刑事事件の手続全体との関係ではスタートラインにとどまります。自首の位置づけは,職務質問などと同じくあくまで捜査が始まるきっかけであり,実際の捜査はその後に継続していくものです。
そのため,自首を行う場合には,その後に捜査が行われ,捜査が終われば刑事処分の検討がなされる,ということをあらかじめ視野に入れておく必要があるでしょう。

この点,自首を行う段階から弁護士に依頼することで,自首後の捜査や刑事処分に向けた弁護活動を,最も早い段階から開始できます。自首による処分の軽減を期待するのであれば,自首を行うのみでなく,その後の弁護活動も処分の軽減を目指したものにするべきです。

侵入窃盗事件で自首をする場合の注意点

①逮捕が回避できるとは限らない

侵入窃盗事件は,類型的に重大性が大きいことを踏まえ,逮捕される可能性が非常に高い事件類型です。そのため,自首を行ったからと言って直ちに逮捕されなくなるとは限らない,という点には注意が必要でしょう。
自首を行ってもなお逮捕が避けられないケースとしては,以下のような場合が挙げられます。

自首しても逮捕が防げないケース

1.捜査機関が既に逮捕の方針を固めていた場合

2.事件の重大性があまりに顕著である場合

3.余罪や前科の関係で重い処罰が見込まれる場合

もちろん,自首を行うことで逮捕の回避につながるケースもあり得ますが,逮捕されないことを前提に自首する,というものでないことは理解しておくのが適切です。

②不起訴処分が約束されるわけではない

自首は,刑事処分の軽減を目指す試みである以上,自首を行う場合には不起訴処分となることを目的にしているのが通常でしょう。実際,自首を行ったケースでは,自首を理由に不起訴処分とされる例も多く見られます。

しかし,侵入窃盗事件では,そもそもの刑事責任が大きいため,自首によってある程度軽減されても不起訴処分とはならない,という可能性が大いにあり得ます。自首を試みる際にはあらかじめ注意することが適切でしょう。
逆に,自らが刑罰を受ける可能性も了承した上で,それでもなお自首をする,という態度の方が,深い反省が認められるとの評価になるため,結果的に不起訴処分の可能性が高まりやすいとも言えます。いずれにしても,不起訴処分が約束された状況にないことは正確に理解しておくことをお勧めします。

③逮捕時の備え

逮捕の可能性が高い侵入窃盗事件では,自首を行った場合にそのまま逮捕される可能性への備えもあらかじめ行っておくのが適切です。具体的には,留置施設に持ち込む物品の用意をしておくと,逮捕時の有効な備えになるでしょう。

留置施設に持ち込む物品の例としては,以下のものが挙げられます。

留置施設に持ち込む物品の例

1.現金(1万円程度)

2.着替え(上下着衣,下着,靴下)

3.本

なお,着替えや本については,留置施設内で利用できるものに詳細なルールがあります。ルールに反した物品は利用できないため,具体的なルールを依頼する弁護士に確認の上,準備することをお勧めします。

④示談を試みることの重要性

侵入窃盗事件は,被害者と示談ができるかどうかによって結果が劇的に変わることになりやすい類型です。これは,自首を行った場合でも違いはありません。そのため,自首を試みる場合には,その後に示談を試みることもセットとすることが基本,と考えるのがよいでしょう。

自首を行った場合,加害者側の深い反省の意思は行動として表明されており,被害者側もその事実を把握することになります。そのため,自首をしなかったケースよりも被害者側から示談の了承が得られる可能性は高く,その意味でも示談を行うことの重要性は非常に大きいと言えるでしょう。

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【侵入窃盗事件の不起訴処分】不起訴処分の方法は?可能性は?注意点は?

このページでは,侵入窃盗事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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侵入窃盗事件で不起訴を目指す方法

①認め事件

犯罪事実に間違いがない認め事件の場合,不起訴が実現するかどうかは被害者側の意向にかかっています。被害者が起訴を希望すれば起訴,不起訴を希望すれば不起訴になる,と言っても過言ではないでしょう。

そのため,認め事件で不起訴を目指すためには,被害者に不起訴を希望してもらうことが必要ですが,その具体的な方法は示談となるのが通常です。被害者との間で示談が成立し,示談の内容として被害者が不起訴を希望する内容を盛り込むことができれば,被害者の意向を酌んで不起訴処分とされることが見込まれやすいでしょう。

侵入窃盗事件で捜査をされている状況の場合,被害者が捜査や処罰を望んでいることが見込まれるため,示談の試みをしない限り,被害者は起訴を希望していると考えるのが適切です。そのため,示談の試みをしなければ起訴され,起訴前に示談が成立すれば不起訴の可能性が高まる,という整理が可能でしょう。

ポイント
起訴不起訴は被害者の意向にかかっている
示談により被害者の不起訴希望を獲得できれば,不起訴が見込まれる

②否認事件

否認事件の場合,犯罪の立証ができないことを理由とした不起訴処分を目指すことが適切です。この点,被疑者の犯罪が立証できない場合の不起訴処分には,大きく分けて「嫌疑なし」と「嫌疑不十分」の二種類があります。

否認事件の不起訴理由

1.嫌疑なし
→真犯人が判明したなど,犯罪の疑いがなくなった場合

2.嫌疑不十分
→被疑者の犯罪を立証するに足りる証拠がない場合

否認事件で不起訴処分となるのは,ほとんどが「嫌疑不十分」のケースです。侵入窃盗事件の場合であれば,事件が起きたとされる日時に被疑者が侵入したことの根拠が不十分である,といった場合が代表例になるでしょう。

そのため,否認事件で不起訴処分を目指す場合には,否認の旨を一貫して主張し,嫌疑不十分であるとの判断を促すことが適切となります。

ポイント
否認事件の不起訴処分は,ほとんどが嫌疑不十分

侵入窃盗事件で不起訴になる可能性

①認め事件

侵入窃盗事件は,容易に不起訴となる事件類型とは言い難いものです。被害者側への侵害の程度が強く,重大性ある事件と評価されやすいため,基本的には起訴を想定することになりやすいでしょう。少なくとも,反省を深めているというのみで不起訴となることは考えにくいと言わざるを得ません。

もっとも,侵入窃盗事件で起訴をされる主な理由は,被害者に与えた損害の大きさにあるため,損害を被った被害者自身が不起訴を望むのであれば,話は大きく変わります。被害者側に適切な対応を尽くし,その結果として被害者が不起訴を望むに至ったなどの成果が挙げられれば,不起訴の可能性は十分にあると言えるでしょう。

②否認事件

否認事件での不起訴の可能性は,犯罪が立証困難と判断される可能性と直結します。犯罪事実を裏付ける証拠が十分にある,と判断される状況であれば,やはり事件の重大性を踏まえても起訴されることになりやすいでしょう。一方,起訴をしても裁判所の有罪判決が得られるような証拠に乏しい場合には,不起訴の可能性が高くなりやすいと言えます。

この点,証拠には物証(物的証拠)と人証(人の話)がありますが,物証に乏しく人証のみである,という場合には証拠が不十分であるケースが多い傾向にあります。犯罪事実の立証に必要な物証としては,以下のようなものが挙げられます。

犯罪事実の立証に必要な物証

1.犯罪を直接立証する証拠
→事件現場を撮影した映像・画像など

2.人の話が正しいことを裏付ける証拠
→被害者の話が真実でなければ説明のつかない物や記録など

犯罪事実を直接立証する物証がなく,被害者らの供述を補強する物証もない場合には,人証のみが証拠となりますが,人証しかない否認事件で起訴をするのは難しい場合も多く,不起訴の可能性が高まりやすいと言えます。

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

侵入窃盗事件で不起訴を目指す場合の注意点

①示談が困難である可能性

認め事件の不起訴は示談の成否にかかっているため,不起訴を目指すにあたって示談は非常に重要なものです。しかしながら,示談は被害者と加害者との間の契約であるため,被害者の合意がなければ成立しません。

この点,侵入窃盗事件では,被害者側の感情面として示談を希望したくない,という意向を示されることが少なくありません。被害者側の精神的苦痛が大きい状況のため,示談によって加害者が処罰されないのは了承できない,そもそも事件を思い出すようなことをしたくない,といった理由で門前払いにされる可能性は十分に考えられます。

そして,被害者側に門前払いをされてしまうと,現実的に示談を成立させる手段はなくなり,示談を通じた不起訴処分の獲得は困難とならざるを得ません。この点は,弁護士にも如何ともし難い部分であるため,あり得る可能性としてあらかじめ注意しておくことが望ましいでしょう。

②示談の経済的負担が大きい可能性

侵入窃盗事件において,示談による不起訴処分を目指す場合には,示談に必要な経済的負担が大きくなる可能性に注意しておくことが望ましいです。
示談の際には,加害者から被害者に対して示談金という名目で金銭の支払を行うのが通常ですが,その金額は当事者間の合意で決まります。そのため,示談金は被害者の了承する金額であることが必要ですが,侵入窃盗事件の場合には被害者の了承する金額水準が大きくなることも珍しくありません。
その具体的な理由としては,以下のような点が挙げられます。

侵入窃盗事件の示談金が大きくなる場合の理由

1.精神的苦痛が大きい
住居などに侵入され金品を窃取されたことの精神的苦痛が大きく,低額の金銭では納得が得られにくい

2.被害者の転居
自宅への侵入であった場合,被害者が転居を希望する可能性が高く,転居費用を含めた示談金の協議になりやすい

3.複数回の被害
同一の場所へ複数回に渡って侵入窃盗が行われている場合,件数に応じて示談金額が大きくなりやすい

③余罪の影響

侵入窃盗事件は,類型的に余罪のあることが多く見られますが,余罪がある場合には,1件のみ不起訴となっても他の事件で起訴される可能性が残ることに注意が必要です。

起訴不起訴の判断は,事件ごとに行われるため,1件で不起訴になったからと言って他の事件も不起訴になるとは限りません。同じ被害者に対する複数の余罪がある,という場合であれば,被害者に対する1回の示談で全ての事件が不起訴になることも見込まれますが,被害者の異なる余罪があるケースや,否認事件のケースなどは,余罪について別途不起訴を目指す動きが必要になりやすいでしょう。

④共犯事件の場合

侵入窃盗事件は,一人で行われる場合のほか,複数人で行われる共犯事件である場合も見られます。この点,共犯事件の場合には,単独の事件にはない特徴として,以下のような点に注意することが望ましいでしょう。

共犯事件の注意点

1.悪質性が高いと評価されやすい
→共犯事件は,計画的である場合が多く,悪質と評価されやすい傾向にあります。

2.共犯者の供述に影響される
→誰が主犯であったか,誰が何をしたかについて足の引っ張り合いが生じ得ます。

3.加害者全員が被害全額の賠償義務を負う
→被害者に対しては,共犯者全員がそれぞれ全額の賠償義務を負います。

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【埼玉大宮で侵入窃盗事件の弁護士選び】具体的な判断基準や侵入窃盗事件特有の注意点を徹底解説

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侵入窃盗事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕されたとき

侵入窃盗事件は,捜査に際して被疑者を逮捕することが非常に多く見られます。身柄拘束をすることで,逃亡や証拠隠滅を防ぎながら捜査を行うケースの多い事件類型と言うことができるでしょう。
そのため,侵入窃盗事件の捜査において,逮捕は出発点の一つであり,被疑者に対する本格的な捜査の開始を意味するものでもあります。

これは裏を返すと,逮捕された被疑者は,逮捕後の本格的な取調べなどの捜査に適切な対応をする必要がある,ということになります。捜査への対応をどうできるかによって,その後の取り扱いや刑事処分の結果が大きく左右することは珍しくないためです。

もっとも,個別のケースでどのような対応が適切かを判断することは,専門的な知識経験を持った弁護士以外には困難です。逮捕後の対処を誤らないため,逮捕されたときには速やかな弁護士選びが重要となるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件は逮捕がなされやすい
逮捕後の対応を適切にするため,弁護士への依頼をするべき

②示談を目指すとき

侵入窃盗事件の刑事処分は,被害者との間で示談が成立したか,という点が決定的な影響を及ぼすことが少なくありません。漫然と手続が進めば起訴され実刑判決が懸念されるケースでも,早期に示談が成立することで不起訴処分となり,刑罰自体を受けない結果になることすらあります。
ただ,実際に示談を試みるためには,弁護士に依頼をし,弁護士を通じて行うことが不可欠です。当事者や親族同士で直接の連絡を取らせるわけにはいかないため,弁護士が捜査機関に示談を申し入れ,被害者側の了承があれば弁護士と被害者との間で連絡先を交換する,という運用が取られています。

示談交渉の流れ

そのため,事件解決のために示談を目指すときには,示談の対応に適した弁護士を選ぶべきタイミングと言えるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件の処分は,示談の有無で決定的に変わりやすい
示談の試みには弁護士が不可欠

③起訴されたとき

侵入窃盗事件は,犯罪事実に間違いがなければ起訴が見込まれる事件類型です。この点,起訴される場合の具体的な手続には,「公判請求」と「略式請求」の二つがあります。

起訴の手続

1.公判請求
公開の裁判を行う手続。罰金にとどまるケースはあまりない

2.略式請求
公開の裁判を省略する手続。罰金刑になる

一般的に,公判請求よりも略式請求の方が軽微な処分とされています。略式請求であれば,公開の裁判を受ける必要がなく,処罰は比較的軽微な罰金刑となるためです。逆に,罰金刑にはとどまらない重大な事件では,略式請求はできず公判請求を用いることになります。

この点,侵入窃盗事件での起訴は,基本的に公判請求となることが多いでしょう。それだけ重大事件と位置付けられやすく,見込まれる処罰も小さなものではないということになります。
そのため,侵入窃盗事件で起訴された場合には,公判で適切な対応を尽くし,少しでも軽微な処分にとどめる動きが非常に重要となります。

公判請求への対応を行う際は,十分な弁護士選びをするべきでしょう。

侵入窃盗事件の弁護士を選ぶ基準

①速やかな接見が可能か

侵入窃盗事件は,逮捕勾留を伴う身柄事件であることが非常に多いです。そのため,侵入窃盗事件の対応を行う弁護士は,身柄事件に不可欠な接見を行う必要があります。
特に,逮捕後の初回の接見は,被疑者本人が誤った対応をしていれば正す必要があるほか,事件の内容を把握したり親族との連携を仲介したりするためにも非常に重要なものです。初回の接見は,どれだけでも速やかに行うことが,被疑者の利益に直結すると言えるでしょう。

もっとも,初回の接見をどれだけ迅速に行うかは,専ら個別の弁護士の判断次第です。直ちに接見の時間を確保しても,後日ゆったりと接見をしても,違法というわけではないため,基本的には弁護士の裁量の問題となります。
しかし,初回の接見が遅れることで被疑者に利益はなく,むしろ重大な不利益の原因となる恐れすらあります。刑事事件に精通した弁護士であれば,初回接見の重要性は深く理解しているはずです。

そのため,弁護士選びに際しては,初回の接見をどれだけ速やかに行えるか,初回接見のためにどれだけスケジュールを調整してくれるか,という点を重視するのが良いでしょう。

ポイント
逮捕後初回の接見は特に重要性が高い
初回接見を迅速に行ってくれるかどうかを重視する

②処分の見通しは具体的か

侵入窃盗事件は,窃盗罪に当たる事件の中でも類型的に重大犯罪と評価されやすく,相応の重大な手続や処罰を想定すべきケースも少なくありません。弁護士としては,他の窃盗事件よりも慎重に見通しを検討し,最悪の場合にも備えることが望ましいところです。

また,一口に侵入窃盗事件と言っても,その内容は様々であり,事件の具体的内容によっても処分の重さは変わることが考えられます。侵入した場所,侵入の方法や目的,盗んだ金品の内容,余罪の数など,処分に影響し得る個別の事情は多岐に渡ります。

そのため,侵入窃盗事件の弁護士選びに際しては,侵入窃盗事件の重大性を踏まえた見通しを示してくれるか,個別の内容を踏まえてその見通しをどこまで具体的にしてくれるか,という点を重視するのが有力でしょう。
もちろん,見通しには限界があり,分からないことも多くあります。しかしながら,分かる部分と分からない部分を明確に区別できていることは非常に重要であり,弁護士の適性が現れる点とも言えるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件は,類型的に処分見通しが重くなりやすい
侵入行為や窃盗行為の詳細によって処分見通しが変わりやすい

③弁護士の説明に納得できるか

弁護士と依頼者との関係は,信頼関係を土台にすることで初めて成り立つものです。なぜなら,弁護士による案内や弁護士が決めた方針,弁護士が実現した結果などが適切かどうかは,依頼者自身が内容を評価して判断できる性質のものではないからです。
弁護活動が法律の専門家しか行えないものである以上,依頼者としては「弁護士が正しいと言ったから正しい」という評価をせざるを得ません。

そうすると,依頼者が弁護士を選ぶ基準として,その弁護士の判断に信頼を置けるかどうか,という点が極めて重要になってきます。弁護士の判断を信頼できるからこそ,「弁護士が正しいと言ったから正しい」という考え方ができるのです。
そのため,弁護士選びの際には,弁護士の判断やその根拠となる説明に心から納得できるか,という点を基準に設けるとよいでしょう。最初の説明に対する納得は,最終的な結果に対する納得にも直接つながるほど重要なものです。

ポイント
弁護士への信頼や納得は,結果に納得できるかを大きく左右する

④弁護士と円滑に連絡が取れるか

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

ポイント
弁護士との連絡の停滞は数多く見られるトラブル

侵入窃盗事件で弁護士を選ぶ必要

①不起訴処分を目指すため

侵入窃盗事件は,犯罪事実が明らかである限り起訴することが通常です。犯罪事実があっても起訴されないのは,示談が成立して被害者が起訴を望まないとなった場合に限られるでしょう。

そのため,侵入窃盗事件で不起訴になるのは,示談が成立した場合か犯罪事実が立証できない場合に限定されますが,いずれの場合にも弁護士の力を借りることが不可欠になりやすいところです。
示談の場合は,弁護士を窓口にしなければそもそも示談の試みに着手することもできません。また,犯罪事実が立証できるかどうかは高度に法律的な問題であるため,法律の専門家である弁護士を通じての対応が必要になるでしょう。

侵入窃盗事件の場合,不起訴処分を目指すのであれば弁護士選びを十分に行うことが極めて重要です。

②適切な取り調べ対応のため

刑事事件の捜査では取調べが不可欠です。特に,被疑者への取調べは捜査の中核であって,被疑者からどのような話が引き出せるかによってその後の捜査が決定づけられる事件も少なくありません。

逆に,被疑者の立場にある場合,取調べにどのような対応を取るのが最も有益であるのかを把握していることは非常に重要です。自分が何を話すか,どのように話すかによって,その後の捜査や処分が決定づけられる可能性もあるため,取調べ対応の方法・内容は十分に検討する必要があるでしょう。

この点,個別の事件に応じてどのような取調べ対応をすべきかは,弁護士の法的な判断を仰ぐことが適切です。そのため,取調べ対応に万全を期すためには,弁護士選びが重要なポイントとなるでしょう。

③家族や関係者と連携を取るため

身柄事件の場合,逮捕勾留されたご本人は,自分で外部と連絡を取ることができません。電話を携帯することも認められないため,連絡を取るための手段は以下のような方法に限られます。

逮捕勾留中に外部と連絡を取る手段

1.手紙の送受
→数日~1週間ほどのタイムラグが避けられない

2.(一般)面会
→時間制限が厳しい。接見禁止の場合は面会自体ができない

3.弁護士の接見
→時間的制限なくコミュニケーションが可能

手紙の送受は現実的でなく,面会の時間制限の中で必要な連絡をすべて取ることも難しいため,ご本人と周囲との連絡には弁護士の接見を活用することが不可欠になりやすいでしょう。
身柄事件で必要な連絡を取り合うためには,弁護士への依頼が適切です。

侵入窃盗事件における弁護士選びの準備

①早期に動き始める

逮捕勾留といった身柄拘束が生じやすい侵入窃盗事件では,手続に法律上の期間制限があり,時期を逃すと手段を講じる余地がなくなってしまうものも少なくありません。また,期間制限内であっても手続が遅れた場合には,手続をしていなかった間に被った不利益を補填する手段がありません。純粋に,遅れれば遅れるほど損をするということになります。

そのため,弁護士選びと弁護活動の開始は,どれだけでも早い方が有益であり,早期に動き始めることは非常に重要であると言うことができるでしょう。

②情報をできる限り整理する

逮捕勾留された侵入窃盗事件で,ご家族等の関係者の方が弁護士選びを行う場合,問題になりやすいのが情報不足や情報の不正確さです。事件の当事者ではない以上,情報が正しいかを判断することは難しい上に,得られる情報にも限りがあることから,事件を正しく把握した状態で弁護士選びをすることは容易ではありません。
もっとも,弁護士が適切な案内をするには,情報不足や不正確な情報は避ける必要があり,情報の整理が不可欠です。

この点,事件の情報を把握する手段に乏しい場合には,弁護士に接見を依頼し,弁護士に被疑者ご本人から話を聞いてもらうことをお勧めします。弁護士接見を行えば,弁護士自身が必要な情報を漏れなく確認し,その情報を踏まえた案内をすることが容易になるでしょう。

③弁護士選びの目的を明確にする

侵入窃盗事件は,重大事件と評価される場合も多いため,必ずしも希望する結果のすべてが実現されるとは言えません。刑事罰を避けられないことも往々にして見られ,中には実刑判決の対象となることも考えられます。

弁護士選びの局面では,このような侵入窃盗事件の特徴を踏まえ,弁護士によって実現できることとできないことを可能な限り明確に線引きできるのが望ましいです。そのためには,弁護士選びによって何を実現したいのか,という目的を明確にして,その目的が実現できる事件なのかを弁護士に判断してもらうことが有益でしょう。

事前に目的が明確であり,その目的が実現可能か,実現手段は何かがはっきりしていれば,弁護士選びはより実りのあるものになるでしょう。逆に,目的が実現困難なものである場合には,早期に目的を修正できるため,後々になって弁護士とのトラブルになることが防ぎやすくなります。

侵入窃盗事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①早期釈放が容易でない可能性

侵入窃盗事件は,逮捕された場合,早期釈放が困難になりやすい類型の一つです。特に早期釈放が困難になりやすいケースとしては,以下のような場合が挙げられます。

侵入窃盗事件で特に早期釈放が困難なケース

1.侵入行為が複数回ある
→事件の数だけ必要な証拠も多くなり,捜査が長期化しやすい

2.被害者の住居に侵入している
→被害者への接触が容易であるため,釈放すべきでないと評価されやすい

3.侵入行為が計画的である
→悪質と評価されやすい上,計画内容に関する証拠収集に時間がかかりやすい

多くの侵入窃盗事件は,上記の各ケースのいずれかには該当するため,早期釈放が難しく,相当期間の身柄拘束を想定する必要が生じやすい傾向にあります。逮捕後の釈放が容易でないことには,あらかじめ注意しておくのが望ましいでしょう。

②余罪の対応を要する可能性

侵入窃盗事件は,類型的に余罪のあることが多く見られます。初めての侵入で発覚した場合でなければ,1回だけは終わらずその後にも複数回侵入している,という場合が少なくありません。

そのため,現在捜査されている事件のほか,複数の余罪にも対応を要する可能性があり得ることには注意が必要です。余罪がある場合,捜査も長期化しやすく,刑事責任も重大と評価されることになるため,より積極的に処分の軽減などを目指すべきとも言えるでしょう。

③土日祝日の対応を要する可能性

侵入窃盗事件では,逮捕勾留を伴いやすいことから,対応する弁護士は勾留されている場所での接見をすることが不可欠です。
この点,逮捕勾留には期間制限があるところ,その期間制限は土日祝日も含めたものになります。10日間の勾留は,土日祝日を含む10日間であり,長期休暇の期間でも例外ではありません。

そのため,弁護士選びに際しては,場合によって土日祝日の対応を要することになっても対応が滞らないかどうか,注意するのが望ましいでしょう。曜日を問わず毎日対応してもらう,というのは現実的ではありませんが,「土日祝日は一律対応不可」という場合には不都合が生じないか注意したいところです。

④経済的負担が大きくなる可能性

侵入窃盗事件では,被害者との間で示談できるかどうかが非常に重要なポイントとなります。そのため,弁護士への依頼時には示談金の負担を想定することが適切ですが,その示談金は高額となることも珍しくはありません。
窃盗の金額的な規模が大きくない場合であっても,侵入行為等によって被害者に与えたダメージが大きく,高額の示談金でないと被害者が了承しない,ということは少なくないでしょう。

また,逮捕勾留が長期化しやすい侵入窃盗事件では,その分弁護士の費用もかかりやすいところです。一般的に,必要な接見の数が多くなるほど弁護士費用は大きくなりやすいため,長期の逮捕勾留を伴う事件では弁護士費用の負担が重くなる可能性に留意したいところです。

このように,侵入窃盗事件では,示談金と弁護士費用がともに大きくなりやすい面があります。弁護士選びに際しては,全体の経済的負担が重くなってしまう可能性を踏まえておくことをお勧めします。

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