万引き事件で自首を考えている人へ,重要な予備知識を徹底網羅

このページでは,万引き事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

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万引き事件で自首をするべき場合

①現行犯で発覚したと思われる場合

万引き事件で捜査されるケースは,ほとんどが被害店舗から警察に対する被害申告がなされた場合です。お店から警察に被害届が提出されるなどすることで,警察が捜査を開始し,被疑者の特定を進める流れになります。裏を返せば,被害店舗が警察に対する被害申告などを行わなければ,捜査が開始されることは現実的に考えにくいでしょう。

そのため,被害店舗が被害申告などの動きを取る可能性が高い場合には,自首をするべき場合である可能性も高いということになります。代表例が,事件が現行犯で発覚したと思われるケースです。
事件が現行犯で目視されたものの,その場で呼び止めたり問題にしたりするほどの確固たる証拠はなかった,という場合,お店が警察に捜査を求め,被疑者の特定を進めることになる可能性が高まります。少なくとも,お店側に事件を問題視する大きなきっかけが生じているのは間違いなく,捜査が懸念されやすい状況と考えるべきでしょう。

現行犯で店員などに目視された可能性がある場合には,捜査機関に自分が特定されるより前に進んで自首をすることが有力な手段になるでしょう。

ポイント
万引き事件が捜査されるケースは,被害店舗が警察に捜査を求めた場合
現行犯で目視されている場合,捜査に発展する可能性が高い

②捜査の開始を知った場合

店舗によっては,万引き事件について警察に被害届を出した,といった動きを公表している場合があります。店頭に看板や掲示を行ったり,ネット上でその旨を通知したりという例が代表的です。
この点,店側の公開した情報によって,心当たりのある事件について捜査が開始されたと分かった場合,自首の検討が有力になりやすいでしょう。

捜査が開始されれば,捜査機関が客観的な証拠を精査し,被疑者として自身が特定される可能性は非常に高くなりやすいところです。特に,警察に捜査を求めた事実を公表するような店舗では,警察に対する捜査協力や情報提供も精力的に行っていることが見込まれるため,捜査が不十分になる,ということは考えにくいでしょう。
また,警察に被害申告したことを公表する店舗の意図としては,新たな万引き事件を予防するとともに,対象となった事件の加害者に反省を促したい,逃げ得を許したくない,という思いのあることが多く見られます。自ら名乗り出て自首を行うことは,そのような店舗側の意向にも沿った動きであり,店舗側の感情面にもプラスの影響を及ぼす可能性が高いです。

ポイント
店舗によっては捜査の開始を公表しているケースがある
自首は,捜査開始を公表した店舗の意向に沿った動きと言える

③周囲への発覚を防ぎたい場合

万引き事件の加害者になってしまった場合,回避したい事柄の一つとして周囲への発覚が挙げられやすいです。万引きは,家族や近しい知人などに知られたくない性質の事件であり,できることであれば周囲に発覚しないまま解決したいと考えるのは自然なことでしょう。

この点,周囲に発覚しやすいタイミングの代表例は,予期せず警察の捜査を受けることになったときです。突然警察から連絡がきた,家宅の捜索をされた,呼び出しを受けた際に家族や職場へ連絡されたなど,警察主導で行われる捜査の中で,やむを得ず周囲に知られてしまう,というケースが非常に多く見られます。

そのため,周囲への発覚を防ぐためには,警察から予期せぬ捜査を受けることなく,捜査の方法などを周囲に発覚しやすい形にとどめてもらうことが重要です。そして,これを実現する最も有力な手段が自首です。
自首によって自ら捜査協力を行う形を取り,できるだけ周囲に発覚しない方法を取ってほしい旨を伝えれば,捜査機関側がこれを拒むことはそれほどありません。捜査協力が得られる限り,被疑者側に配慮した捜査方法を取ってくれる可能性が高いでしょう。

ポイント
万引き事件は周囲への発覚を防ぐ必要が高い事件類型
自首によって,捜査機関に配慮してもらえる可能性が高まる

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

万引き事件の自首は弁護士に依頼すべきか

万引き事件で自首を検討する場合は,弁護士に依頼し,弁護士の法的な判断を仰ぐことが非常に重要です。実際に自首を行うときも,具体的な動きを弁護士に進めてもらうことが有益でしょう。
弁護士に依頼するメリットとしては,以下の点が挙げられます。

①周囲への影響を最小限に抑えられる

万引き事件での自首は,周囲に知られないことを大きな目的の一つに行うことが多いでしょう。しかし,自分と捜査機関の直接のやり取りが急に増えるとなれば,偶然周囲に知られてしまうリスクは高くなります。自首を試みたばかりに,自首に必要なやり取りが原因で周囲に知られてしまうのは,本末転倒にもなりかねません。

この点,弁護士に依頼をすることで,基本的なやり取りは弁護士と捜査機関との間で行ってもらうことができます。取調べの対応など,どうしても自分で応じなければならないこと以外は弁護士に対応してもらえるため,捜査機関とのやり取りが偶然周囲に発覚するリスクは最小限にとどまるでしょう。

②自首すべきかどうかの判断ができる

万引き事件では,自首をするべき状況であるか,という点の判断が困難である場合も少なくありません。事件の性質上,被害者であるお店が被害を把握しているか不明確な場合も多いため,お店が被害を知らなければ自首は不合理な行為となり得ます。また,被害が発生していることは分かっても,犯人を特定する手段がないという場合があり得るため,自首が原因で犯人特定に至る結果となる可能性も否定できません。

この点,弁護士に依頼し,法的な判断を仰ぐことで,本件は自首をすべき内容,状況であるかを知ることができます。同種事件の経験豊富な弁護士であれば,経験を踏まえた具体的な見解を示してくれることも期待できるでしょう。

また,自首すべきかどうかが明確に判断できないケースであっても,自首に伴うメリットデメリットを正確に把握し,後悔のない選択がしやすくなるでしょう。

③自首後の対応に備えられる

自首を行った後は,その事件について捜査が継続し,最終的には事件に対する刑事処分が判断されることになります。そのため,自首を行うに際しては,自首後の流れやそこでの対応をあらかじめ考えておくことが重要です。

この点,自首を検討する段階で弁護士に依頼していれば,自首後にどのような流れが想定されるか,目的を達成するためにはどのような対応をするのが適切か,という点について,具体的な助言を受けることが可能です。弁護士の見解を踏まえて対応方針を検討することで,逮捕の回避や刑事処分の軽減によりつながりやすくなるでしょう。

万引き事件で自首をする場合の注意点

①余罪の取り扱い

自首は,当然ながら特定の事件について行う必要があります。どの事件に関する自首であるかは,自分で明確にしなければなりません。
ここで問題になりやすいのは,余罪がある場合にどの事件の自首をするか,という点です。例えば,A事件とB事件という2件の心当たりがある場合,A事件だけで自首を試みたものの,実際にはB事件だけが捜査されており,捜査機関に問い詰められてB事件を自白した,となると,最初からB事件の自首を試みておくべきだったということになるでしょう。

この点,基本的な方針としては,同一の店舗に対する余罪は自首の対象に含める,という形を取るのが賢明でしょう。通常,万引き事件の捜査は被害店舗ごとに行われるため,ある店舗に対する万引き事件で自首したことにより,他の店舗に対する万引き事件が発覚するという流れにはなりづらいところです。一方,同じ店舗における別事件の場合には,余罪として追及の対象となる可能性が高くなりやすいでしょう。

ポイント
自首は事件ごとに行うもの
同一店舗の余罪は自首の対象に含めるのが賢明

②捜査を誘発する可能性

自首は,捜査が行われているであろうと推測される事件について行うものですが,現実には捜査が行われていない,という状況だと,かえって自首が捜査を誘発する結果になる可能性も否定できません。
万引き事件の場合,自分の事件や行動が店舗にマークされている前提で検討することもありますが,実際にはそうでなかった場合,大きな思い違いを前提に自首をしてしまう,ということになりかねません。

ただ,このようなリスクは自首に当然つきまとうものであり,基本的に捜査を誘発するリスクなしで自首をすることは困難です。自首を検討する場合には,リスクも承知の上で,それでも自首のメリットが大きいと考えられるか,十分に検討することをお勧めします。

ポイント
自首が捜査を誘発するリスクは抱えざるを得ない

③被疑者特定前に行う必要

自首は,捜査機関に事件が発覚していないか,事件が発覚していても被疑者が特定できていない段階で行う必要があります。自首を試みたとしても,既に捜査機関によって被疑者と特定されていた場合,法的には自首が成立せず,自首の法的なメリットを受けることもできません。

万引き事件では,特にチェーン店等の規模の大きな店舗が現場である場合,防犯映像などの客観的証拠がしっかり確保されているケースも多いため,時間をかければ被疑者が特定できるということも少なくありません。そうすると,自首までにあまり時間をかけてしまった場合,自首が成立する時期を逃してしまう恐れがあり得ます。

自首を試みる場合には,自首が成立する機会を逃すことのないよう,できるだけ速やかに判断し実行するのが望ましいでしょう。

ポイント
被疑者特定後では自首が成立しない

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【万引き事件での呼び出し】どう対応するのが適切か?どんな点に注意するべきか?

このページでは,万引き事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
万引き事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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万引き事件で呼び出された場合の対応法

①心当たりがあるとき

心当たりがある事件では,呼び出しの連絡受けた段階でできるだけ速やかに認める姿勢を明らかにすることをお勧めします。

万引き事件で呼び出しを行うのは,被害者である店舗の通報を受けた警察が必要な捜査をした結果,客観的な証拠から高い確度で被疑者が特定できた場合であることがほとんどです。つまり,被疑者自身が認めても認めなくても,客観的な証拠から立証できてしまう状況であると考えるのが適切でしょう。

認めても認めなくても犯罪が立証できる状況であれば,犯罪が立証できない可能性を残す目的で否認するメリットはない,ということになります。この点,認める方が認めないよりも犯罪が立証された場合の処分が軽くなる可能性があるため,処分が軽くなる効果を期待する意味でも速やかに認めるスタンスを明らかにする方が賢明でしょう。

なお,認めるスタンスを早期に表明することは,逮捕や捜索といった強制捜査を避ける効果を期待できる点でも有益と言えるでしょう。

ポイント
客観的な証拠から被疑者を特定できている可能性が高い
極力速やかに認める姿勢を示すのが合理的

②心当たりがないとき

心当たりのない事件で呼び出される場合,事件に関係している可能性がある人を広く呼び出して話を聞いている可能性があります。万引き事件が発生したことは明らかであるものの,その被疑者を特定するだけの客観的証拠に乏しく,しらみつぶしに話を聞く以外の手段がない,というのが一例です。

事件に心当たりがない場合は,当然ながら認める態度を取るべきではありません。特に,このような場合では誰かから自白があるのを期待して呼び出している可能性が見込まれるため,安易な自白はより不利益が大きいと言えます。

心当たりがない以上,まずは自分が事件と関係のない立場であることをはっきりと告げるようにしましょう。あわせて,問題となっている事件の内容をできるだけ詳細に把握できるとより有益です。
事件の内容が把握できれば,自分が事件と関係のないことが根拠を持って主張できる可能性もあります。そうすれば,対応の負担を大きく軽減させることにもつながり得るでしょう。

ポイント
自白を期待してしらみつぶしに呼び出している可能性がある
心当たりがないことをはっきり告げ,できれば事件内容の把握に努める

③余罪の取り扱い

万引き事件は,1件だけ行ったという場合はあまりなく,余罪のあるケースが非常に多い事件類型です。そのため,万引き事件で呼び出しを受けた場合,呼び出しの対象となった事件に心当たりがあるだけでなく,余罪の心当たりもある,ということはあり得るでしょう。
もちろん,捜査機関も余罪の可能性は織り込み済みです。そのため,呼び出された際には余罪についての対応も考える必要があります。

この点,基本的には余罪がある方が自然であるため,余罪が全くないという返答は違和感を持たれることが多いでしょう。そのため,余罪自体はあると答える方が円滑であるケースが多数です。
もっとも,その余罪のすべてが具体的な捜査や処分の対象となるわけではありません。具体的に捜査や処分の対象となる余罪は,一般的には以下のようなものに限られるでしょう。

捜査や処分の対象となりやすい余罪

1.日時・場所・内容が特定でき,立証できるもの

2.以前に被害届が出ている事件と一致するもの

3.呼び出された事件の直前直後に発生したもの

4.呼び出された事件の現場店舗における余罪

裏を返せば,これらの条件を満たさない場合,余罪があると分かっていたとしても具体的な捜査や処分の対象にはなりづらいということができます。余罪については,「被疑者はあると言っているものの具体的な捜査や処分の対象とはしない」という結果を目指すのが有効です。

万引き事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

万引き事件の呼出に応じても,その流れで逮捕されるということは基本的には考えにくいでしょう。

そもそも,万引き事件は,類型的に後日逮捕となるケースがそれほど多くはありません。回数や規模の面で悪質さが際立っている,現行犯で発覚した際に無理矢理逃亡した,といった特筆すべきケース以外は,逮捕せず在宅捜査で処理しようと考えている場合が多いです。
そのため,呼び出しへの適切な対応をしていれば逮捕されない方が一般的である,という場合は少なくありません。

もっとも,悪質性が高いなど,逮捕の可能性が類型的に高い内容の場合には,弁護士に依頼するなどしてより積極的に逮捕回避を目指す手段が有力になるでしょう。具体的には,以下のようなケースが挙げられます。

逮捕の可能性が類型的に高い万引き事件

1.余罪が多数

2.前科が多数

3.被害が高額

4.現行犯からの逃走

5.複数犯(組織的)

万引き事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①現行犯で取り締まりを受けなかった場合

現行犯で取り締まりを受けなかった万引き事件では,捜査機関が被疑者を特定した後,その被疑者に対して呼び出しを行うことが一般的です。そのため,呼び出しのタイミングは,以下のステップを踏んだ後,ということになります。

呼び出しまでのステップ

1.お店から捜査機関への被害申告

2.事件の存在及び内容の確認

3.防犯映像等による被疑者の特定

具体的に呼び出しを受けるタイミングは,事件がお店に発覚する時期,お店が動く時期,捜査機関が被疑者を特定する時期など,複数の事情に影響を受けるため,様々な可能性があるでしょう。一般的には,事件後数週間~数か月といった時期であることが多く見られます。

②現行犯で取り締まりを受けた場合

現行犯で取り締まりを受けた万引き事件では,当日に警察署に同行し,一通りの話を聞かれるのが一般的です。その後,内容を適切な書式の書面にまとめたり,補充的に話を聞いたりするために呼び出されることが考えられます。
このような呼び出しは,事件当日から1週間~1か月程度の間に行われることが通常でしょう。

また,呼び出しの回数は1回である場合も複数回である場合もあり得ます。1回で終わる場合には,朝から夕方までにかけて,必要な供述調書などを一通り作成する流れになることが多いでしょう。

③商品を所持している場合

盗品である商品を所持している場合には,その提出のために出頭を求める呼び出しを受けることがあります。このような呼び出しは,商品を所持していると分かった後,比較的速やかな段階で行われるのが通常です。

なお,所持している商品の提出は,罪証隠滅の可能性がないと評価してもらう意味でも有益な行動であるため,商品を所持している場合には提出する動きを取る方が賢明でしょう。

万引き事件の呼び出しに応じたときの注意点

①認否を明確にする

呼び出しに応じた際には,取調べを受ける可能性が見込まれますが,取調べにおいてはまず認否を明確にすることが適切です。

認めるべき事件の場合は,早期に認める態度であることを表明することで,その後の取調べなどが円滑に進みやすく,呼び出しに対応する負担を軽減させることにつながります。また,早期に認めて反省の意思を示している方が,情状面で有益な材料となり,最終的な処分を軽減させる効果も期待できます。

一方,否認事件の場合には,自白を期待する捜査機関に「この人からは自白が引き出せない」と理解してもらうことが適切です。捜査機関の目線では,否認する被疑者が言い逃れを試みているのか心から否認しているのかを区別することは困難です。そのため,言い逃れをしようとしていると感じれば,言い逃れを防ぐためにより執拗で高圧的な取調べになる可能性も否定できません。
そのような事態を避けるため,早期に否認のスタンスを強く表明し,一貫した対応に努めるのが望ましいでしょう。

②余罪を過度に意識しない

余罪のある万引き事件の場合,余罪を非常に強く意識しているケースが散見されます。しかし,余罪を意識するあまり本来するべき対応がおろそかになるのは不合理です。

前提として,余罪があり得ることは捜査機関も織り込み済みです。余罪があると分かっても捜査機関は驚きません。また,余罪のすべてを捜査し処罰するのは現実的に困難であることがほとんどです。客観的な証拠が残っていない場合も少なくありません。

また,万引き事件で余罪が捜査・処分される場合でも,そのきっかけが自白であることは少数です。具体的に捜査・処分の対象となるのは,自白があってもなくても,あらかじめ証拠があって立証できる余罪であることが一般的でしょう。

以上を踏まえると,「余罪がバレると重くなるのではないか」などと,余罪を過度に意識することには利点がないと考えるのが賢明です。余罪を気にするあまり,現実に捜査されている事件への対応が不適切になってしまうのであれば,本末転倒となるでしょう。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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万引き事件で逮捕されるケースの特徴や呼び出しへの適切な対処法を解説

このページでは,万引き事件の逮捕に関して,刑事弁護士が徹底解説します。逮捕の可能性はどの程度あるか,逮捕を避ける方法はあるか,逮捕された場合に釈放を目指す方法はあるかなど,対応を検討する際の参考にしてみてください。

万引き事件で逮捕される可能性

万引き事件は,決して逮捕の可能性が高い事件類型とはされていません。しかしながら,逮捕されるケースが一定数存在することもまた間違いなく,状況次第では逮捕される可能性が高くなってもおかしくはないでしょう。
逮捕されやすいケースの条件としては,以下のような点が挙げられます。

逮捕されやすい条件

1.現行犯で発覚したときの対応

2.前科や余罪

3.事件の悪質性

【1.現行犯で発覚したときの対応】

万引き事件は現行犯で発覚するケースが多いですが,現行犯で発覚したときの対応が不適切だと,逮捕されやすくなる可能性があります。具体的には,無理にその場を逃走しようとする,お店側に暴力的な言動をするなど,逃亡や証拠隠滅の恐れが大きいと評価される行動を取った場合です。

逮捕は,逃亡や証拠隠滅の可能性を防ぐために行われるものです。そのため,逃亡や証拠隠滅の可能性がどの程度高いか,という点が逮捕の判断に直結することとなります。
そして,事件の発覚直後に真摯な反省の態度を示す場合と,粗暴な態度を示す場合とでは,逃亡や証拠隠滅の可能性に大きな差があると評価されるのは自然なことでしょう。

事件が現行犯で発覚した場合は,冷静さを失ってしまいがちですが,取り乱すあまり逃走や暴力行為に及ぶことは決してないようにしましょう。

【2.前科や余罪】

逮捕は,想定される刑罰の程度が重い場合にその可能性が高くなる傾向があります。なぜなら,想定される刑罰が重いほど逃亡の恐れが大きいと評価されやすいためです。実刑判決が見込まれる場合と,罰金以上の刑罰が考えにくい場合とでは,逃亡の危険は明らかに異なり,逃亡を防ぐための逮捕の必要性も大きく変わってくることになります。

この点,万引き事件では,多数の前科や際立った余罪がある場合に刑罰の程度が重くなりやすい傾向にあります。そのため,前科や余罪の影響で刑罰が重くなると想定される場合には,逃亡を防ぐ目的での逮捕がなされやすくなると言えます。

【3.事件の悪質性】

刑事事件は,基本的にその悪質性が高いと評価される場合,処分が重くなる傾向にあります。計画性がある,被害規模が大きいなど,悪質な事件の場合には,突発的で規模の小さい事件よりも責任が重いと評価されるためです。
これは,万引き事件でも例外ではありません。

万引き事件の場合,計画的で大規模な事件というケースはあまり見られませんが,裏を返せば,計画性がある事件や大規模な事件がより際立つことになります。内容が悪質と評価されるケースでは,逮捕がなされやすくなると言えるでしょう。

万引き事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

万引き事件の呼出に応じても,その流れで逮捕されるということは基本的には考えにくいでしょう。

そもそも,万引き事件は,類型的に後日逮捕となるケースがそれほど多くはありません。回数や規模の面で悪質さが際立っている,現行犯で発覚した際に無理矢理逃亡した,といった特筆すべきケース以外は,逮捕せず在宅捜査で処理しようと考えている場合が多いです。
そのため,呼び出しへの適切な対応をしていれば逮捕されない方が一般的である,という場合は少なくありません。

もっとも,悪質性が高いなど,逮捕の可能性が類型的に高い内容の場合には,弁護士に依頼するなどしてより積極的に逮捕回避を目指す手段が有力になるでしょう。具体的には,以下のようなケースが挙げられます。

逮捕の可能性が類型的に高い万引き事件

1.余罪が多数

2.前科が多数

3.被害が高額

4.現行犯からの逃走

5.複数犯(組織的)

万引き事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①現行犯で取り締まりを受けなかった場合

現行犯で取り締まりを受けなかった万引き事件では,捜査機関が被疑者を特定した後,その被疑者に対して呼び出しを行うことが一般的です。そのため,呼び出しのタイミングは,以下のステップを踏んだ後,ということになります。

呼び出しまでのステップ

1.お店から捜査機関への被害申告

2.事件の存在及び内容の確認

3.防犯映像等による被疑者の特定

具体的に呼び出しを受けるタイミングは,事件がお店に発覚する時期,お店が動く時期,捜査機関が被疑者を特定する時期など,複数の事情に影響を受けるため,様々な可能性があるでしょう。一般的には,事件後数週間~数か月といった時期であることが多く見られます。

②現行犯で取り締まりを受けた場合

現行犯で取り締まりを受けた万引き事件では,当日に警察署に同行し,一通りの話を聞かれるのが一般的です。その後,内容を適切な書式の書面にまとめたり,補充的に話を聞いたりするために呼び出されることが考えられます。
このような呼び出しは,事件当日から1週間~1か月程度の間に行われることが通常でしょう。

また,呼び出しの回数は1回である場合も複数回である場合もあり得ます。1回で終わる場合には,朝から夕方までにかけて,必要な供述調書などを一通り作成する流れになることが多いでしょう。

③商品を所持している場合

盗品である商品を所持している場合には,その提出のために出頭を求める呼び出しを受けることがあります。このような呼び出しは,商品を所持していると分かった後,比較的速やかな段階で行われるのが通常です。

なお,所持している商品の提出は,罪証隠滅の可能性がないと評

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

万引き事件で逮捕を避ける方法

①店舗への真摯な対応

現行犯で発覚した場合には,まずお店側に対する真摯な姿勢を貫くことが肝要です。被害者の立場にある相手への謝意を示す,という意味で重要となることはもちろん,逮捕されるかどうかにはお店側の意向が大きく影響を与える可能性があるためです。

警察による捜査は,基本的にお店側が警察に通報することで開始されます。逆に,お店側が警察に通報しなければ,警察が捜査を開始するきっかけが生じません。また,警察に通報された場合,実際に被疑者を逮捕するかどうか,という判断は,お店側の説明や意向を大きく反映して行われるケースが非常に多く見られます。
そのため,お店が警察への通報をしない場合や,通報したとしても逮捕を希望しない場合には,逮捕に至る可能性が大きく低下するということになります。

被害者であるお店側の感情面に配慮するため,お店には誠意ある対応や真摯な謝罪の態度を示し続けることが適切でしょう。

ポイント
警察の捜査は,お店が通報した場合に開始される
逮捕の判断には,お店の意向が反映されやすい

②謝罪や賠償の試み

自分の万引き行為が発覚していない場合や,発覚していても犯人の特定に至っていない場合には,積極的にお店側への謝罪や賠償の試みを行うのも有力な手段の一つです。自ら謝罪や賠償を試みることで,お店側の許しを得ることができれば,その後に捜査がなされる可能性は現実的になくなり,捜査の手段である逮捕の可能性もなくなるでしょう。

ただし,積極的な謝罪や賠償の試みを行う場合には,お店側の意向に反した動き方になったり,お店側の感情面に悪影響を及ぼす結果になったりしないよう注意することが必要です。適切な謝罪や賠償を試みたい場合には,弁護士に依頼し,弁護士を窓口にした形で行うことをお勧めします。

ポイント
事件発覚前には,積極的な謝罪や賠償が有力
適切に行うためには弁護士への依頼が適切

③捜査への対応

既に警察の捜査を受けている事件の場合,捜査への適切な対応を尽くすことで逮捕の回避につながりやすくなります。具体的には,捜査協力を拒まず,むやみに黙秘をしないという対応が合理的になりやすいでしょう。

逮捕されずに捜査をされている状況であれば,特段の問題が生じない限り逮捕せずにそのまま進めることが可能であると評価されている可能性が高いです。そのため,警察側が希望する捜査協力が得られれば,逮捕されない方が通常と言っても過言ではありません。
黙秘に関しては,法的に認められた対応の一つであり,黙秘すること自体に問題があるわけではありません。しかし,黙秘の使い方を誤れば,不必要に逮捕のリスクを高めるだけの結果にもなりかねません。黙秘を考える場合には,決して自分一人で判断するのでなく,弁護士の専門的な判断を仰ぐようにしましょう。

ポイント
捜査協力の姿勢が逮捕回避につながりやすい
むやみな黙秘は逮捕リスクを増加させることもある

万引き事件の呼び出しに応じたときの重要ポイント

①認否を明確にする

呼び出しに応じた際には,取調べを受ける可能性が見込まれますが,取調べにおいてはまず認否を明確にすることが適切です。

認めるべき事件の場合は,早期に認める態度であることを表明することで,その後の取調べなどが円滑に進みやすく,呼び出しに対応する負担を軽減させることにつながります。また,早期に認めて反省の意思を示している方が,情状面で有益な材料となり,最終的な処分を軽減させる効果も期待できます。

一方,否認事件の場合には,自白を期待する捜査機関に「この人からは自白が引き出せない」と理解してもらうことが適切です。捜査機関の目線では,否認する被疑者が言い逃れを試みているのか心から否認しているのかを区別することは困難です。そのため,言い逃れをしようとしていると感じれば,言い逃れを防ぐためにより執拗で高圧的な取調べになる可能性も否定できません。
そのような事態を避けるため,早期に否認のスタンスを強く表明し,一貫した対応に努めるのが望ましいでしょう。

②余罪を過度に意識しない

余罪のある万引き事件の場合,余罪を非常に強く意識しているケースが散見されます。しかし,余罪を意識するあまり本来するべき対応がおろそかになるのは不合理です。

前提として,余罪があり得ることは捜査機関も織り込み済みです。余罪があると分かっても捜査機関は驚きません。また,余罪のすべてを捜査し処罰するのは現実的に困難であることがほとんどです。客観的な証拠が残っていない場合も少なくありません。

また,万引き事件で余罪が捜査・処分される場合でも,そのきっかけが自白であることは少数です。具体的に捜査・処分の対象となるのは,自白があってもなくても,あらかじめ証拠があって立証できる余罪であることが一般的でしょう。

以上を踏まえると,「余罪がバレると重くなるのではないか」などと,余罪を過度に意識することには利点がないと考えるのが賢明です。余罪を気にするあまり,現実に捜査されている事件への対応が不適切になってしまうのであれば,本末転倒となるでしょう。

万引き事件の逮捕は弁護士に依頼すべきか

万引き事件の逮捕に関する対応は,弁護士に依頼することでより有益な結果につながる可能性が高くなるでしょう。特に事情があるのでなければ,弁護士への依頼を積極的に検討することをお勧めします。
弁護士への依頼が有益になりやすい面としては,以下のようなものが挙げられます。

①店舗とのやり取り

万引き事件の逮捕は,被害店舗の意向に大きく左右される可能性があります。ケースによっては,お店側が逮捕を希望しないことが,逮捕回避を決定づける場合もあり得るところです。
そのため,万引き事件で逮捕を回避したい場合や,逮捕後の早期釈放を実現したい場合には,被害店舗とのやり取りが不可欠と言えます。

この点,被害店舗とのやり取りを加害者側が直接行うのは至難の業です。連絡を試みる適切な方法,連絡が取れた際の適切な話し方や内容など,対応に苦慮するポイントは数多くあるでしょう。
店舗との適切なやり取りを行いたい場合は,弁護士に依頼をし,弁護士を窓口にする形で行うべきです。お店側の負担軽減につながる面もあるため,被害感情が緩和する効果が期待できることもあるでしょう。

②捜査機関との協議

万引き事件で逮捕する必要があるか,逮捕後に拘束を続ける必要があるか,という点は,法的な判断を要する難解なポイントです。これらの問題に対応するためには,法律上の問題点を正しく把握し,今回の事件ではどのように判断されるべきかを整理しなければなりません。

この点,弁護士に依頼すれば,逮捕の要否や逮捕後の釈放の可否といった点について,捜査機関との間で法的な問題点の協議を試みてもらうことが可能です。場合によって,裁判所に釈放を求める申し立てを行う選択肢もあり得ます。
逮捕すべきでない,釈放すべきである,という点を法的に主張することは,当事者自身には非常に困難です。刑事事件に精通した弁護士に依頼し,適切なタイミングで適切な主張をしてもらうことをお勧めします。

③法的な見通し

万引き事件の対応は,その後の処分の見通しを踏まえた上で行うことが適切です。漫然としていると逮捕が懸念されるのか,逮捕されない方が一般的な状況なのかによって,対応の仕方や方針が大きく変わるのは当然と言えるでしょう。
特に万引き事件の場合,逮捕の可能性がどの程度あるかがケースや状況によって様々であるため,逮捕の可能性に関して個別の正確な見通しを持つことがより重要となります。

この点,弁護士に依頼すれば,逮捕の有無に関する見通しを具体的に判断してもらうことができ,見通しを踏まえた適切な対応を図ることが可能になります。今後の見通しが分かる,ということは,被疑者自身の対応の負担を大きく軽減させる点でも非常に重要なポイントと言えるでしょう。

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

②前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

万引き事件の逮捕に関する注意点

①現行犯逮捕を回避することの重要性

万引き事件の逮捕は,後日逮捕よりも現行犯逮捕の方が懸念されやすい傾向にあります。後日逮捕される場合は,あまりに余罪の多さが際立っているケースや,被害が大きく悪質なケースなどに限られやすいでしょう。
そのため,万引き事件で逮捕を回避するためには,現行犯逮捕を回避することが非常に重要と言えます。

現行犯で発覚した場合には,可能な限り穏やかな態様で応じることに努めるとともに,行ったことが間違いないのであれば誠意ある謝罪の態度を示し続けるのが合理的です。事件の悪質さや判明している余罪の程度によっては,それでも逮捕を免れられないことはあり得ますが,発覚後の対応としては最も逮捕の回避につながりやすいと言えるでしょう。

②店舗への接触方法

万引き事件の場合,相手がお店であるため,その場所は明らかであり,少し調べれば連絡先もすぐに分かります。そのため,自分でお店に連絡を取ったり,お店に行ったりという接触行為は,やろうと思えばできてしまうでしょう。

しかしながら,万引き事件の逮捕を防ぐ観点では,自分自身で店舗に直接接触を試みることはお勧めされません。具体的な理由としては,以下のような点が挙げられます。

直接の接触をするデメリット

1.お店側の感情面への悪影響
→お店側に配慮しない方法での接触行為は,かえって悪感情を招く

2.罪証隠滅行為と誤解される恐れ
→店員への働きかけなど,証拠隠滅の目的と思われる危険がある

店舗への謝罪や賠償といった接触を試みたい場合には,必ず弁護士に依頼し,弁護士から店舗に連絡を取ってもらう形で行うようにしましょう。上記のデメリットが生じる恐れはなくなり,謝罪の意思がより伝わりやすくなります。

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万引き事件は不起訴になるか?示談は可能か?自首をするべきか?弁護士が完全網羅

このページでは,万引き事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。示談や自首のポイントについてもあわせて解説していますので、不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

万引き事件と不起訴

万引き事件で不起訴を目指す方法

①現行犯で発覚した場合

万引き事件は,現行犯で発覚し,その場に警察が駆け付ける形で捜査が開始される,という流れが多数見られます。そして,警察が駆け付けるのはお店側が警察を呼んだ場合であり,警察が捜査を開始するのはお店側が捜査を求めた場合であることが通常です。
裏を返せば,現行犯で発覚した後,お店が警察を読んだり警察の捜査を求めたりしなかった場合,事件は捜査の対象とならず,起訴される可能性もない,ということになるでしょう。

そのため,事件が現行犯で発覚した場合には,お店側に警察を呼ばない等の寛大な判断の可能性はないか,検討してもらう流れを目指したいところです。具体的には,まず何よりお店側への謝罪を尽くし,被害に遭ったお店側の感情に少しでもプラスの影響があるよう,誠意ある言動や真摯な姿勢を心がけるのが適切でしょう。

もちろん,謝罪を尽くしたから許されるというわけではないため,誠意を見せてもなお警察の捜査を避けられない可能性は高いでしょう。もっとも,発覚直後に謝罪を尽くしたかどうかは,その後のお店側の対応方針に影響を与える可能性が少なくありません。捜査が防げなかったとしても,適切な対応であることに間違いはないでしょう。

ポイント
お店側が警察の対応を求めなければ,捜査は開始しない
まずは何よりお店側への真摯な謝罪を尽くす

②後日呼び出しを受けた場合

事件当日には発覚しなかったものの,後日になって警察から呼び出しを受けた場合には,自分が行ったことに間違いがない事件であればできるだけ早いタイミングから一貫して反省の態度を示す方針が適切です。

後日呼び出しを受けるケースでは,客観的な証拠から被疑者を特定できる状況であることが見込まれます。防犯映像をはじめとした証拠から,万引きの事実やその犯人が特定できた,ということを前提に対応することが望ましいでしょう。そのため,安易な言い逃れをしても,犯罪が立証されてしまう事実に変わりはなく,利益がありません。むしろ,反省が不十分であるとの評価につながる可能性があり,不起訴処分を遠ざけてしまう恐れがあります。

万引き事件の場合,あまりに悪質と評価されなければ,深い反省の態度が不起訴処分を引き寄せる重要な事情になる可能性もあります。反省の深さについては,反省の態度を示し始めた時期も判断基準の一つとされるため,呼び出しを受けたその時点から反省の意思を表明していくことは有益な対応と言えるでしょう。

ポイント
後日の呼び出しは,客観的証拠から被疑者が特定できた場合に行われる
自分が行ったことに間違いなければ,速やかに反省の態度を示す

③身に覚えがない場合

万引きを疑われているものの身に覚えがないという場合には,自分の犯罪が立証できない,という結論を目指すことが適切です

万引き事件の場合,身に覚えがない事件で疑われているケースだと,客観的な証拠が不十分であって犯人を特定しきれていないという可能性が高い傾向にあります。お店が被害に遭ったことは間違いないものの,誰が万引きをしたか分からないため,可能性のある人物を疑う,ということです。

この点,犯人を特定する証拠には,大きく分けて「物証」と「人証」があります。物証とは客観的な物,人証とは人の話のことを言います。そして,物証が乏しい場合には,人証の重要性がより高くなるため,人の話がどのような内容であるか,それが信用できるかという点が犯罪の立証を左右することになります。
そのため,身に覚えがないのに疑われている場合,つまり客観的な証拠に乏しいときには,決して安易に自白をしてしまったり,事実でないことを話したりしないように注意しましょう。一貫して身に覚えがないことを話し続け,自分の話が信用できると理解してもらうことが一番の近道です。

ポイント
身に覚えがないケースの多くは,犯人を特定する証拠が乏しい
一貫して事実を話し,自分の話が信用できると理解してもらう

万引き事件で不起訴になる可能性

万引き事件は,認め事件,否認事件いずれの場合も,不起訴になる可能性が十分にある事件類型ということができます。

①認め事件の場合

万引き事件の場合,被害額がそれほど大きくないケースが多数であるため,事件の重大性が小さいことを踏まえた不起訴処分の可能性は決して低くありません。特に,初犯で金額が小さく,余罪もそれほどないケースであれば,適切な対応により不起訴となることは大いに考えられるでしょう。

不起訴を目指すための対応としては,まず被害者であるお店側への謝罪や賠償が適切です。万引き事件は被害者の財産にマイナスを生じさせるものであり,マイナスを生じさせた行為の責任が問われることになるため,事後的にマイナスが補填されれば処分の軽減につながりやすいでしょう。また,被害者のいる事件では,被害者側が処罰を望むか望まないか,という感情面を考慮した刑事処分とされやすい傾向にあります。真摯な謝罪や賠償を尽くすことで,お店側の感情面が和らぐようであれば,それだけ不起訴処分が近づくと言えるでしょう。

ポイント
事件の規模が小さいことを踏まえた不起訴処分の可能性がある
被害店舗への謝罪や賠償を尽くすことが有益

②否認事件の場合

否認事件で問題になりやすい争点は,被疑者が犯人かどうか,という点です。これは「犯人性」と呼ばれます。
犯人性が問題になる場合,被疑者と犯人を結びつける客観的な証拠の有無が起訴不起訴を決定的に左右する場合が多いでしょう。裏を返せば,客観的な証拠に乏しい場合,犯人性の立証が困難となるため,不起訴の可能性が高くなりやすい傾向にあると言えます。
犯人性が争点となる否認事件では,客観的証拠の有無次第で不起訴が見込まれる場合も少なくないでしょう。

一方,犯罪の「故意」を争点とするのは,不起訴を目指す観点ではあまり有効でないことが多く見られます。故意を争点とするケースとは,確かに商品を店外へ持ち出してしまったが,意図的に持ち出したわけではない,と主張する場合です。
故意がない,という主張は,故意がないことを裏付ける事情とセットであることが必要です。故意がないと理解しなければ説明できない行動を取っている,という場合が代表例です。
根拠なく故意を争点とするのは,不起訴処分に結びつきにくいことが多数であるため,注意が必要でしょう。

ポイント
犯人性が争点となる場合は客観的証拠の有無による
故意を争点とするのは,不起訴処分の獲得が難しくなりやすい

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

万引き事件で不起訴を目指す場合の注意点

①被害店舗の許しを獲得できる可能性

被害者のいる事件では,被害者の許しを獲得することが不起訴を目指す場合に最も有力な手段です。もっとも,万引き事件の場合,被害者であるお店が許すという判断をすることはほとんどありません。特に,チェーン店など規模の大きなお店になると,示談には応じないという一律の対応が徹底されているケースが多数です。

ただし,例外的に被害店舗の許しを獲得できるケースがないわけではありません。具体的には,以下のような場合が挙げられます。

被害店舗の許しを得られるケース

1.個人商店の場合
→店主個人の判断で許しが得られる可能性がある

2.店舗の管理者が個人的に許す意向を示す場合
→お店の意向とは別に管理者個人の意向として許しが得られる可能性がある

もっとも,例外的に許しが得られるケースに当たるかどうかは,巡り合わせや運の要素が非常に強い問題であり,被害者側の判断次第と言わざるを得ません。そのため,まずは謝罪と賠償を尽くし,例外的なケースに当たるのであれば許しの獲得を目指す,という考え方が適切でしょう。

②余罪がある場合の取り扱い

万引き事件の場合,捜査されている事件以外にも,他の日や他の店舗での万引き事件(=余罪)があるケースは少なくありません。捜査機関も,余罪があることを想定しながら捜査を行うことが通常です。
そのため,余罪があるときに警察へどこまで答えるのか,という疑問や不安が生じることは少なくありません。自分から話すと処分される件が増えて不起訴が遠のくようにも思えますし,逆に答えることを拒むと反省がないとの評価につながって不起訴の可能性を手放すように思えます。

この点,基本的なスタンスとしては,「個別事件の特定までは至らない程度に余罪の存在を認める」という方針が有力でしょう。確かに万引きをしたのは1件ではないと認めつつ,事件の日時や場所,内容といった詳細は,虚偽供述にならない程度に明言を避ける,というものです。
もっとも,実際にどのような回答をすべきかは判断が困難な場合も少なくありません。個別のケースでどのように応じるべきかは,弁護士に依頼の上,具体的に方針を決めるのが良いでしょう。

③微罪処分を目指す方針について

万引き事件の場合,「微罪処分」という処分の対象になるケースがあり得ます。微罪処分とは,軽微な事件の場合に,検察庁へ事件を送致することなく,警察限りで事件の取り扱いを終えるというものです。起訴不起訴を判断する検察庁には事件を送ることなく終了するため,起訴される可能性がありません。また,警察での取り扱いも早期に終了するため,取調べなどに応じる負担も最小限に抑えられます。

そのため,微罪処分を目指すことができれば最も有益である,という場合は非常に多く,実際に微罪処分を希望して弁護士に相談されるケースも多く見られるところです。

しかしながら,微罪処分になるかどうかは被疑者側でコントロールできる事柄ではありません。被害者側の意向や捜査機関の判断がかみ合った場合に,初めて微罪処分となる可能性が生じるにとどまります。狙って実現できる性質のものではないので,微罪処分のために被疑者側(=加害者側)ができることは,やはり真摯な謝罪や賠償を行うことに尽きるでしょう。

微罪処分に関しては,これを目指す,という方針を取るのでなく,真摯な態度の副産物として幸運な場合にはあり得る,という程度の認識が適切です。

万引き事件と示談

万引き事件で示談はできるか

刑事事件における示談は,加害者が被害者に金銭賠償を行い,これに対して被害者が加害者を許す,という合意を指すのが一般的です。被害者のいる事件類型では,被害者が許しているかどうかが刑事処分の結果を大きく左右するため,示談によって被害者の許しを得ることが有力な手段となります。

この点,万引き事件は窃盗罪に該当し,お店は窃盗罪の被害者に当たる立場です。そのため,万引き事件でも示談によって被害者の許しを得ることができれば,刑事処分を大きく軽減させることになるでしょう。

しかし,万引き事件は相手が個人でなく店や会社であるため,特有の問題があります。それは,被害者である店や会社は,許すという対応を基本的にしない,ということです。
万引き被害は,店側にとって件数が非常に多いため,一律の対応方針を決めていることがほとんどです。具体的には,以下のような対応方針であることが多く見られます。

万引き被害に対する店側の一般的な方針

1.支払は対象商品の金額のみ受ける(買取を求める)

2.許すことはしない

3.今後の店への出入りを禁止する

そのため,刑事事件の示談で加害者側にとって最も重要な許しの獲得は,万引き事件だと困難なことが非常に多いです。特に,複数の店舗がある大規模なお店であるほど,一律で許しには応じないという対応がなされる傾向にあります

もちろん,一定の金銭を支払って謝罪や賠償を尽くすことは,刑事処分に一定の影響を及ぼすため,重要であることに変わりはありませんが,万引き事件では許しを内容とする示談になりづらい,という点を踏まえておくことが望ましいでしょう。

ポイント
刑事事件の一般的な示談は,被害者から許しを獲得するもの
万引き事件の場合,被害者である店は一律で許しを拒否するのが一般的

万引き事件における示談とは

万引き事件では,許しを内容とする示談は非常に困難であるため,許しが得られないことを想定して示談を試みることが適切です。具体的には,被害者の希望に沿って損害を回復させたことが,万引き事件における示談の主な内容となります。

そもそも,刑事事件における「示談」という言葉は「合意」という程度の意味合いしかなく,具体的にどのような合意をするかは様々です。許しを内容とする示談もあれば,許しを内容としない示談もあります。そして,万引き事件の示談でまず目指すべきなのは,損害を回復したという結果です。

万引き事件などの窃盗罪は,「財産犯」と呼ばれるカテゴリーの犯罪です。財産犯とは,被害者の財産に損害を及ぼしたという犯罪類型をいいます。この財産犯の刑事処分を判断するときの重要な要素としては,財産への損害がどれだけ回復されたか,という点が挙げられます。
たとえば,1万円の窃盗事件を起こしたものの,あとからその1万円を返したならば,最終的な損害はプラスマイナスゼロとなります。そうすると,刑事処分を判断するときには既に損害が残っていないため,重大な処罰を科す必要は低い,という判断がされやすいのです。
そのため,財産犯である窃盗罪の示談では,お店に生じさせてしまった財産的な損害を回復させることを目指すのが得策です

この点,万引き事件による財産的な損害は,商品以外にも複数考えられます。具体的には,対応に要した人件費,防犯対策を強いられたコストなどが挙げられるでしょう。
もっとも,現実の支払額は,店側から支払を求められた金額とすべきで,それ以上の支払を無理に行おうとするのはかえって不利益になりやすいところです。店側としては,求めた以上の支払を受けても,誰がいくら受け取ればいいかという判断が必要になってしまい,むしろ負担になってしまうためです。

万引き事件における示談は,店側から支払いを求められた金額を確かに支払うことを目指す,という方針で検討するようにしましょう。

ポイント
財産への損害がどれだけ回復されたかが,刑事処分に影響する
万引きの示談では,店から求められた支払いを行うことを目指すべき

万引き事件で示談をする方法

万引き事件の場合,被害店舗の場所や連絡先が分かるため,直接連絡を試みることも不可能ではありません。しかし,捜査を受けている状況であれば,捜査機関を介さずに直接店側との連絡を試みることは控えるのが適切です。
確かに,直接連絡が取れれば円滑ではあります。しかし,店側が加害者からの直接の連絡を希望している可能性はほとんどないため,直接の連絡はお店への迷惑行為と評価される恐れが非常に大きいでしょう。

示談を試みる場合は,弁護士に依頼し,弁護士から捜査機関に連絡を入れてもらうようにしましょう。
弁護士から連絡を受けた捜査機関は,被害店舗に問い合わせ,話を受けるかどうか,受ける際の担当者や連絡先はどうするか,といった点を確認します。このようにして,捜査機関から店舗に連絡を取ってもらえば,示談の試みが店側への迷惑になる危険は避けることができます。

この点,弁護士が示談を試みる場合の基本的な流れは,以下の通りです。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

このようにして,弁護士が加害者(被疑者)の謝罪の意思を代弁する形を取ることで,適切な示談の申し入れが可能になります。せっかくの示談の試みが不利益につながらないよう,示談は弁護士を通じて行うことを強くお勧めします。

ポイント
加害者が直接店舗に連絡を取ることは控えるべき
弁護士を通じて捜査機関に連絡し,捜査機関経由で意思確認する

万引き事件の示談金相場

万引き事件の場合,被害店舗が支払いを求める金銭は,万引きの対象となった商品の金額となることが非常に多く見られます。これは,店舗としては商品の買取を求めることで金銭的なやり取りを終了する,という意味合いになります。

刑事事件の一般的な示談では,損害額の実額のみでなく,謝罪の気持ちを上乗せする形で示談金額を定め,支払うことが多く見られます。しかし,万引き事件の場合は相手が店や会社という組織であるため,謝罪の気持ちを込めて金額を上乗せする,といった交渉を行うことはあまりありません。
ただし,同じ店で複数回の万引き行為があり,すべての金額が特定できない場合,損害額を概算して支払う旨の合意をすることはあり得ます。いずれにしても,基本的な示談金額は商品の価格となりやすいということですね。

ポイント
示談金額は対象となった商品の価格になりやすい

万引き事件の示談内容・条項

刑事事件で示談を取り交わす場合,示談書を作成し,その中に様々な条項を盛り込むことが一般的です。しかし,万引き事件の場合では,基本的に被害者が加害者を許す,という合意にはならないため,示談書の作成・締結自体を行わないことも珍しくありません。

万引き事件の示談における具体的な内容としては,以下のようなものが挙げられます。

①通常設ける内容

【確認条項】
支払う金額はいくらか,当事者間で確認する条項です。

【給付条項】
確認した金額を具体的に支払う方法を定める条項です。

なお,商品の買取という形で示談を行う場合,この確認及び給付の内容は,店側の発行するレシート又は領収証で代用されることも少なくありません。

②万引き事件では設けづらい内容

【清算条項】
示談で定めた内容以外に,当事者間に債権債務関係(法律関係)がないことを確認する条項です。この条項を設けることで,加害者と被害者との法律関係は示談金の支払をもって終了することになります。
ただ,店側のメリットがないので,店は一律で拒否することが通常です。

【宥恕条項】
宥恕(ゆうじょ)とは「許し」を意味します。宥恕条項は,被害者が加害者を許すことを内容とする条項です。
もっとも,万引き事件では店側が一律で宥恕を拒否することがほとんどであるため,設けることはあまりありません。

③示談書を作成できなくてもいいのか

万引き事件では特に示談書を作成せず,謝罪と買取だけ行って終了することも多数あります。ただ,示談をするのに書面も作成しなくていいのか,という点は疑問が残るかもしれません。

もっとも,結論的には,書面化しなくても不利益はない,と言って差し支えないでしょう。

書面化をする目的は,紛争の蒸し返しを防ぐためです。金額の合意をしたかしていないか,その金額を支払ったか支払っていないか,といった点が,後から紛争になることを防ぐため,書面に残しておくというわけです。
この点,万引き事件でも,確かに紛争の蒸し返しは防止したいところですが,現実的に店側が紛争を蒸し返すことはありません。店側は良くも悪くも一律の対応をしていることがほとんどですが,書面化せず蒸し返しもしないことが,店側の一律対応の内容でもあるためです。

また,万引き示談の目的である支払の事実は,買取時のレシートや領収証で立証可能ですので,刑事処分に対する影響や効果に差が生じるわけでもありません。刑事処分との関係でも,書面化しなかったから不利益が生じるということはないと言ってよいでしょう。

万引き事件の示談で注意すべきこと

万引き事件の示談では,以下の点に注意すべきところです。

①宥恕の獲得に固執しない

刑事事件で示談を試みる場合,被害者から許し(宥恕)をもらって直ちに解決する,という流れを目指したいと考えることが多いと思います。万引き事件でも,宥恕がもらえるのであればそれに越したことはありませんし,絶対に宥恕が獲得できないとは限りません。

しかし,基本的に宥恕が獲得できるものではない,という現実は,あらかじめ十分に把握しておくことが適切です。宥恕が獲得できない示談は失敗なのではなく,最初から宥恕を内容としない示談を試みる動きになると理解しておくようにしましょう。

自分から謝罪を行うこと,自分から賠償を行うことは,被害店舗側の処罰感情に十分な影響を与えることが珍しくありません。宥恕という形を取っていなくても,処罰を求める意思はない,ということになる可能性はあるのです。
その意味で,宥恕のない示談でも十分に意味を持っているものですから,店側の事情を無視して宥恕ありきの示談を目指すことはむしろ控える方が得にもなります。

②弁護士を通じて行う

店側とのやり取りに際しては,場所や連絡先が分かるからと言って自分で直接連絡を取ることはしないようにしましょう。店側の負担が大きくなり,かえって逆効果になりかねません。

示談の試みに際しては,弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な方法で進めるのが肝要です。店側への謝意は,直接の連絡という方法でなく,適切なやり方で進めるという行動で示すべきでしょう。

万引き事件と自首

万引き事件で自首をするべき場合

①現行犯で発覚したと思われる場合

万引き事件で捜査されるケースは,ほとんどが被害店舗から警察に対する被害申告がなされた場合です。お店から警察に被害届が提出されるなどすることで,警察が捜査を開始し,被疑者の特定を進める流れになります。裏を返せば,被害店舗が警察に対する被害申告などを行わなければ,捜査が開始されることは現実的に考えにくいでしょう。

そのため,被害店舗が被害申告などの動きを取る可能性が高い場合には,自首をするべき場合である可能性も高いということになります。代表例が,事件が現行犯で発覚したと思われるケースです。
事件が現行犯で目視されたものの,その場で呼び止めたり問題にしたりするほどの確固たる証拠はなかった,という場合,お店が警察に捜査を求め,被疑者の特定を進めることになる可能性が高まります。少なくとも,お店側に事件を問題視する大きなきっかけが生じているのは間違いなく,捜査が懸念されやすい状況と考えるべきでしょう。

現行犯で店員などに目視された可能性がある場合には,捜査機関に自分が特定されるより前に進んで自首をすることが有力な手段になるでしょう。

ポイント
万引き事件が捜査されるケースは,被害店舗が警察に捜査を求めた場合
現行犯で目視されている場合,捜査に発展する可能性が高い

②捜査の開始を知った場合

店舗によっては,万引き事件について警察に被害届を出した,といった動きを公表している場合があります。店頭に看板や掲示を行ったり,ネット上でその旨を通知したりという例が代表的です。
この点,店側の公開した情報によって,心当たりのある事件について捜査が開始されたと分かった場合,自首の検討が有力になりやすいでしょう。

捜査が開始されれば,捜査機関が客観的な証拠を精査し,被疑者として自身が特定される可能性は非常に高くなりやすいところです。特に,警察に捜査を求めた事実を公表するような店舗では,警察に対する捜査協力や情報提供も精力的に行っていることが見込まれるため,捜査が不十分になる,ということは考えにくいでしょう。
また,警察に被害申告したことを公表する店舗の意図としては,新たな万引き事件を予防するとともに,対象となった事件の加害者に反省を促したい,逃げ得を許したくない,という思いのあることが多く見られます。自ら名乗り出て自首を行うことは,そのような店舗側の意向にも沿った動きであり,店舗側の感情面にもプラスの影響を及ぼす可能性が高いです。

ポイント
店舗によっては捜査の開始を公表しているケースがある
自首は,捜査開始を公表した店舗の意向に沿った動きと言える

③周囲への発覚を防ぎたい場合

万引き事件の加害者になってしまった場合,回避したい事柄の一つとして周囲への発覚が挙げられやすいです。万引きは,家族や近しい知人などに知られたくない性質の事件であり,できることであれば周囲に発覚しないまま解決したいと考えるのは自然なことでしょう。

この点,周囲に発覚しやすいタイミングの代表例は,予期せず警察の捜査を受けることになったときです。突然警察から連絡がきた,家宅の捜索をされた,呼び出しを受けた際に家族や職場へ連絡されたなど,警察主導で行われる捜査の中で,やむを得ず周囲に知られてしまう,というケースが非常に多く見られます。

そのため,周囲への発覚を防ぐためには,警察から予期せぬ捜査を受けることなく,捜査の方法などを周囲に発覚しやすい形にとどめてもらうことが重要です。そして,これを実現する最も有力な手段が自首です。
自首によって自ら捜査協力を行う形を取り,できるだけ周囲に発覚しない方法を取ってほしい旨を伝えれば,捜査機関側がこれを拒むことはそれほどありません。捜査協力が得られる限り,被疑者側に配慮した捜査方法を取ってくれる可能性が高いでしょう。

ポイント
万引き事件は周囲への発覚を防ぐ必要が高い事件類型
自首によって,捜査機関に配慮してもらえる可能性が高まる

万引き事件の自首は弁護士に依頼すべきか

万引き事件で自首を検討する場合は,弁護士に依頼し,弁護士の法的な判断を仰ぐことが非常に重要です。実際に自首を行うときも,具体的な動きを弁護士に進めてもらうことが有益でしょう。
弁護士に依頼するメリットとしては,以下の点が挙げられます。

①周囲への影響を最小限に抑えられる

万引き事件での自首は,周囲に知られないことを大きな目的の一つに行うことが多いでしょう。しかし,自分と捜査機関の直接のやり取りが急に増えるとなれば,偶然周囲に知られてしまうリスクは高くなります。自首を試みたばかりに,自首に必要なやり取りが原因で周囲に知られてしまうのは,本末転倒にもなりかねません。

この点,弁護士に依頼をすることで,基本的なやり取りは弁護士と捜査機関との間で行ってもらうことができます。取調べの対応など,どうしても自分で応じなければならないこと以外は弁護士に対応してもらえるため,捜査機関とのやり取りが偶然周囲に発覚するリスクは最小限にとどまるでしょう。

②自首すべきかどうかの判断ができる

万引き事件では,自首をするべき状況であるか,という点の判断が困難である場合も少なくありません。事件の性質上,被害者であるお店が被害を把握しているか不明確な場合も多いため,お店が被害を知らなければ自首は不合理な行為となり得ます。また,被害が発生していることは分かっても,犯人を特定する手段がないという場合があり得るため,自首が原因で犯人特定に至る結果となる可能性も否定できません。

この点,弁護士に依頼し,法的な判断を仰ぐことで,本件は自首をすべき内容,状況であるかを知ることができます。同種事件の経験豊富な弁護士であれば,経験を踏まえた具体的な見解を示してくれることも期待できるでしょう。

また,自首すべきかどうかが明確に判断できないケースであっても,自首に伴うメリットデメリットを正確に把握し,後悔のない選択がしやすくなるでしょう。

③自首後の対応に備えられる

自首を行った後は,その事件について捜査が継続し,最終的には事件に対する刑事処分が判断されることになります。そのため,自首を行うに際しては,自首後の流れやそこでの対応をあらかじめ考えておくことが重要です。

この点,自首を検討する段階で弁護士に依頼していれば,自首後にどのような流れが想定されるか,目的を達成するためにはどのような対応をするのが適切か,という点について,具体的な助言を受けることが可能です。弁護士の見解を踏まえて対応方針を検討することで,逮捕の回避や刑事処分の軽減によりつながりやすくなるでしょう。

万引き事件で自首するときのポイント

①余罪の取り扱い

自首は,当然ながら特定の事件について行う必要があります。どの事件に関する自首であるかは,自分で明確にしなければなりません。
ここで問題になりやすいのは,余罪がある場合にどの事件の自首をするか,という点です。例えば,A事件とB事件という2件の心当たりがある場合,A事件だけで自首を試みたものの,実際にはB事件だけが捜査されており,捜査機関に問い詰められてB事件を自白した,となると,最初からB事件の自首を試みておくべきだったということになるでしょう。

この点,基本的な方針としては,同一の店舗に対する余罪は自首の対象に含める,という形を取るのが賢明でしょう。通常,万引き事件の捜査は被害店舗ごとに行われるため,ある店舗に対する万引き事件で自首したことにより,他の店舗に対する万引き事件が発覚するという流れにはなりづらいところです。一方,同じ店舗における別事件の場合には,余罪として追及の対象となる可能性が高くなりやすいでしょう。

ポイント
自首は事件ごとに行うもの
同一店舗の余罪は自首の対象に含めるのが賢明

②捜査を誘発する可能性

自首は,捜査が行われているであろうと推測される事件について行うものですが,現実には捜査が行われていない,という状況だと,かえって自首が捜査を誘発する結果になる可能性も否定できません。
万引き事件の場合,自分の事件や行動が店舗にマークされている前提で検討することもありますが,実際にはそうでなかった場合,大きな思い違いを前提に自首をしてしまう,ということになりかねません。

ただ,このようなリスクは自首に当然つきまとうものであり,基本的に捜査を誘発するリスクなしで自首をすることは困難です。自首を検討する場合には,リスクも承知の上で,それでも自首のメリットが大きいと考えられるか,十分に検討することをお勧めします。

ポイント
自首が捜査を誘発するリスクは抱えざるを得ない

③被疑者特定前に行う必要

自首は,捜査機関に事件が発覚していないか,事件が発覚していても被疑者が特定できていない段階で行う必要があります。自首を試みたとしても,既に捜査機関によって被疑者と特定されていた場合,法的には自首が成立せず,自首の法的なメリットを受けることもできません。

万引き事件では,特にチェーン店等の規模の大きな店舗が現場である場合,防犯映像などの客観的証拠がしっかり確保されているケースも多いため,時間をかければ被疑者が特定できるということも少なくありません。そうすると,自首までにあまり時間をかけてしまった場合,自首が成立する時期を逃してしまう恐れがあり得ます。

自首を試みる場合には,自首が成立する機会を逃すことのないよう,できるだけ速やかに判断し実行するのが望ましいでしょう。

ポイント
被疑者特定後では自首が成立しない

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万引き事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕されたとき

万引き事件での逮捕は,現行犯であることが非常に多いです。逮捕される事件では,現場で店員等に発覚し,警察に引き渡される流れが大多数でしょう。
一方,万引き事件は,類型的に重大犯罪との理解はされづらいため,逮捕されたとしてもその後に早期釈放が期待できる場合も少なくありません。早ければ,逮捕の翌日や翌々日に釈放となり,社会生活に復帰できる可能性もあり得るところです。そうなれば,逮捕による生活への影響は最小限に抑えることができるでしょう。

そのため,万引き事件で逮捕されたときは,早期釈放を目指すために弁護士を選ぶべき重要なタイミングということができます。適切な弁護士選びをし,弁護士に十分な弁護活動を尽くしてもらうことで,早期釈放の可能性はより高くなるでしょう。

また,逮捕やその後の早期釈放は,あくまで捜査の初期段階に過ぎないため,最終的な処分を軽減するための対応も必要不可欠です。この点,逮捕などの早い段階で弁護士に依頼し,適切な方針を立てることができれば,最終的な刑事処分にとっても有益な効果が期待できるでしょう。不起訴処分を目指す対応は,逮捕段階から始まっていると言っても過言ではありません。

ポイント
万引き事件は逮捕後に早期釈放の可能性がある
逮捕段階から不起訴を目指す対応の開始をするべき

②呼び出しを受けたとき

万引き事件では,後日になって被疑者が特定でき,警察が被疑者を呼び出す流れも非常に多く見られます。警察の呼び出しを受けた場合は,警察署での取り調べが行われることを想定するのが適切です。
もっとも,取調べでどのような対応をするべきか,何が聞かれ,何を回答すべきかという点は,万引き事件の取り扱いに精通していないと判断は困難です。対応時の注意点なども,個別の事件によって異なる可能性があるため,一概には指摘できないところがあります。

この点,万引き事件の弁護活動に適した弁護士を選ぶことができれば,呼び出しに対する適切な対応や供述の方針などを事前に確認することが可能です。事前に適切な方針を立てることができれば,呼び出しへの対応は格段に容易なものになるでしょう。

ポイント
万引き事件は,後日に被疑者を特定して呼び出すケースも多い
呼び出された場合には取調べ対応の準備が重要

③自首をしたいとき

万引き事件では,被害者であるお店側が損害の内容を特定できていなかったり,そもそも被害の事実を把握していなかったりと,具体的な刑事事件の捜査に至るまでに時間のかかるケースが少なくありません。万引き事件の捜査は,お店側が警察に被害申告することで開始する場合がほとんどであるため,お店側が十分に事件を把握するまでは捜査が開始しない,という流れになりやすいのです。

そのため,万引き事件は,捜査が開始される前に自ら警察に出頭(自首)することが可能になりやすい事件類型であると言えます。自首が成立する場合には,警察の取り扱いとして逮捕がされにくくなったり,最終的な刑事処分も不起訴処分などの軽微なものになりやすかったりと,有益な効果が期待できる場合も多いでしょう。

この点,自首を試みる場合には,弁護士選びの上,弁護士と一緒に適切な方法で行うことが望ましいでしょう。手続に精通した弁護士が主導して自首することで,自首のメリットがより大きくなる効果も期待できます。

ポイント
万引き事件は自首の時間的猶予が生じやすい
自首の試みは,手続に精通した弁護士に主導してもらうのが適切

④裁判を控えているとき

万引き事件で起訴され,公開の裁判(公判)を控える状況になった場合には,適切な弁護士選びが非常に重要となります。
万引き事件で公判を控えるケースというのは,前科や余罪が多数あったり,事件の内容や規模が悪質と理解されるものであったりと,実刑判決などの重大な刑事罰が懸念される場合が少なくありません。軽微な処分で済むのであれば,公判を行う必要はないため,公判に至った場合には万全の対応をすべき必要が非常に大きいと考えるのが適切でしょう。

そのため,公判を控える状況にある場合には,公判対応に適した弁護士を選び,実刑判決などの重大な刑事処罰を避けるための十分な準備と対応を尽くすことを強くお勧めします。また,刑事弁護に長けた弁護士に依頼すれば,結果の具体的な見通しが分かり,処分軽減のためにすべきこともより明確にすることができるでしょう。

ポイント
万引き事件で公判を控えるケースは,重い処罰が懸念される
実刑判決を回避するため,万全の対応をするべき

万引き事件の弁護士を選ぶ基準

①弁護士の専門分野にズレがないか

万引き事件は,処分の見通しや有効な弁護活動に特徴のある事件類型であるため,弁護活動に際しては,特徴を踏まえた正しい見通しを持った上で適切な弁護活動を判断する必要があります。
例えば,万引き事件では被害者であるお店と示談を行うことは基本的に困難であるため,示談での解決を前提とした弁護活動を進めるわけにはいきません。一方で,示談ができないと不起訴にならない,というわけではなく,ケースによってはお店側の許しが得られなくても不起訴処分に至る可能性があり得ます。

もっとも,弁護士には個々に専門分野があり,専門外の分野には強みのないことが少なくありません。刑事事件,民事事件,家事事件といった事件分野,個人相手,法人相手といった客層などは,弁護士によって様々です。

そのため,弁護士選びに際しては,その弁護士の専門分野とずれていないか,という基準を重視されることをお勧めします。

ポイント
万引き事件の特徴を把握した上での弁護活動が重要

②具体的な見通しを持てるか

万引き事件は,事件の具体的な内容や規模,余罪の数や前科の有無などによって,処分の見通しが様々に枝分かれします。そのため,正確な見通しを持つことは難しい場合もあり,弁護士によって見通しが異なるケースも少なくありません。

弁護活動は,漫然としていればどのような処分が見込まれるか,という見通しを前提に,希望する処分を獲得することは可能か,可能であればそのためには何をすることが必要か,という点を具体的に判断した上で進める必要があります。裏を返せば,見通しや活動内容が具体的でないと,適切な弁護活動は困難と言わざるを得ません。

そのため,弁護士選びに際しては,弁護士が処分の見通しをどれだけ具体的に示してくれるか,弁護活動が奏功した場合とそうでなかった場合にそれぞれ予想される結果を詳細に教えてくれるか,という点を判断基準の一つとすることが有益です。見通しが具体的であることは,弁護士に依頼するときの安心感にもつながるものであり,その点でも重要なポイントであると言えるでしょう。

ポイント
万引き事件の処分の見通しは,弁護士によって異なる可能性がある

③弁護方針の説明が説得的か

個別の事件で,弁護活動の方針や具体的な弁護活動の内容を決めるのは,弁護士側であることが通常です。依頼者側は,基本的に弁護士の決めた方針に沿って対応することになるでしょう。
もっとも,「この方針でよいのか」「こんなことをすべきではないか」といった疑問を持ったままでは,適切な信頼関係の上で弁護士との動きを進めていくことは困難になってしまいます。
特に,万引き事件の場合には,現実的に可能な弁護活動に限りがあるケースも多いため,弁護士の弁護方針に不足がないか,不安を感じる場合もあり得るでしょう。

そのため,弁護士選びに際しては,その弁護方針を信頼することができるか,十分に検討することをお勧めします。具体的には,なぜその方針を取るのか,その根拠は何か,といった点について,説得的に説明してくれることを重要な基準とするのが一案でしょう。

ポイント
弁護士の方針に疑問を持ったまま依頼しない

④弁護士費用は明確か

万引き事件は,お店の損害額は大きくないことが多いものの,弁護士に依頼した場合の経済的負担がそれに応じて小さくなるわけではありません。そのため,事件の規模に比べて弁護士費用が大きく感じられる場合もあり得るところです。
また,弁護士費用の設定は法律事務所によって様々であり,どのような条件でいくらの費用が発生するのか,という点は千差万別です。そのため,弁護士費用に関する合意が不十分なまま依頼してしまうと,後から想定していなかった弁護士費用の負担が生じる恐れもあります。

弁護士選びに際しては,確実に発生する弁護士費用の金額はもちろん,成功報酬など条件によって発生し得る費用についても,その内容が明確であるかどうかを十分に確認することをお勧めします。特に,一見すると安価そうに見える場合には,他に細かく条件が設定されているケースが多いため,端的に「今回必要となり得る費用はいくらか」と聞いてしまってもよいかもしれません。

ポイント
弁護士費用の設定は事務所により様々
一見安価な場合ほど,追加費用の条件に注意

万引き事件で弁護士を選ぶ必要

①早期釈放のため

万引き事件の場合,逮捕後の早期釈放を目指すべきケースが非常に多い傾向にあります。逮捕直後から適切な対応を尽くした場合とそうでない場合とでは,釈放されるタイミングに大きな差が生じることも珍しくありません。早期釈放の可能性があり得るからこそ,早期釈放に向けた動きは十分に取るべきです。

具体的には,やはり弁護士に依頼し,法的手続に沿って釈放に向けた弁護活動を尽くしてもらうことが最も有益です。弁護士であれば,被疑者本人と十分にコミュニケーションを取ることができる上,検察官や裁判官に対して適切な情報提供や申立てを行いながら,早期釈放のために可能な手段を尽くすことが可能です。

②処分軽減のため

万引き事件は,内容次第では不起訴処分が十分に目指せる事件類型です。不起訴処分となれば,前科が付かずに手続が終了し,事件の悪影響は最小限に抑えられるでしょう。

もっとも,処分の軽減を目指すための具体的な行動は,自分で判断して行うことが困難なものと言わざるを得ません。何をするべきか,という選択が困難であるのみならず,そもそも弁護士を間に挟まなければできないことも少なくないためです。

そのため,万引き事件で処分の軽減を目指す動きを尽くし,不起訴処分の獲得を希望したい場合には,対応に適した弁護士を選ぶ必要があるでしょう。

③前科前歴がある場合の対処のため

万引き事件の場合,1回だけ行った,というケースが非常に少なく,前科前歴のある場合も多く見られます。一般的に,同種の事件を繰り返してしまうと,繰り返すごとに刑事処分は重くなっていくことになります。
そのため,前科前歴がある場合には,それだけ重い刑事処分が科せられる可能性を考慮する必要がある,ということになるでしょう。

前科前歴があり,より十分な対応を尽くさないと重い刑罰が懸念されるという場合には,弁護士に依頼をして適切な弁護活動を行ってもらう必要が大きいと言えます。結果が出た段階で後悔することを防ぐため,事前に弁護士選びを行うべきでしょう。

④更生や治療を図るため

万引き事件の加害者となってしまう原因には,病的なものが影響しているケースもあります。「クレプトマニア」(窃盗症)と呼ばれるものが代表例です。
事件の原因が病的なものである場合,刑事処分の軽減を目指すと同時に再発防止のための医学的なアプローチが必要となります。通院治療などを通じて,万引き行為への病気の影響を防げなければ,事件の十分な解決とは言えません。

自分の万引き事件が病的な原因で起きていると考える場合には,弁護士に依頼し,原因の解決についても相談を試みることが有益です。また,実際に通院治療などを行い,これを弁護士に主張などしてもらうことで,治療の努力をしたことが刑事処分の軽減につながる効果も期待できます。

万引き事件における弁護士選びの準備

①包み隠さず説明する準備

弁護士選びのためには,弁護士に十分な情報を提供することが必要です。弁護士の案内が不十分だと感じた場合,その原因が情報不足だと,適切な弁護士選びのチャンスを逃す結果にもつながりかねません。

万引き事件の場合,対象となった商品の内容はもちろん,余罪や前科前歴など,自分にとって不利益で言いづらいことも,包み隠さず弁護士に説明できるように準備することをお勧めします。言いづらく隠しておきたくなることほど,弁護士にとって重要な情報であることが少なくありません。

②弁護士に求めたい要望の整理

弁護士選びに際しては,弁護士に何を実現してほしいのか,という要望を整理し,弁護士に伝えられるよう備えておくことをお勧めします。

万引き事件の場合,釈放を求めたい,不起訴を獲得したい,示談をしたい,自首をしたい,周囲に発覚したくないなど,要望のメインになり得る点は多数あります。もっとも,ケースによってはそのどれかは実現不可能であったり,弁護士の見通し次第で案内の内容が変わってきたりと,事前に聞いておかなければトラブルの原因になるものもあります。例えば,不起訴を希望したいと思って依頼したものの,弁護士側は不起訴が不可能だという前提で考えていると,そのミスマッチは致命的です。

弁護士への依頼には一定の費用が発生するため,相応の成果を求めたいというのは自然な発想です。弁護士選びが無駄にならないよう,要望は何かを明確に整理し,弁護士への依頼によって実現可能かどうかを十分に確認するようにしましょう。

③予算の決定

万引き事件は,高額の商品を対象とするケースが少ないため,事件規模は金額にするとそれほど大きくないことが通常です。もっとも,その事件に対応するための弁護士費用は,着手金のみでも数十万円という規模になることが一般的です。
そのため,特に経済的に余裕がない場合には,あらかじめ予算を決定し,その範囲内での弁護士探しを行うことをお勧めします。

弁護士費用は,活動の結果によっても左右されるため,着手金だけでギリギリ,とならないよう,可能な限り余裕を持った検討が望ましいところです。また,事前に予算を明確にしている場合には,その予算の範囲内でできる活動内容を弁護士側から案内してもらえる可能性もあるでしょう。

万引き事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①弁護士との相性

依頼者も弁護士も人である以上,相性の問題を避けて通ることはできません。依頼者目線では,相性が良くないと感じながら弁護士に依頼するメリットはないと考えるべきでしょう。

この点は,最善の解決に至ればそれほど大きな問題にはなりません。しかしながら,弁護活動は事前に最善の結果になるとお約束することが不可能であり,どうしても結果が伴わない場合があります。特に,万引き事件ではお店側と示談をしたり,お店から許してもらったりすることが現実的に難しいため,希望する最善の解決は困難な方が多いでしょう。

そして,弁護士との相性を軽視することは,最善の結果でなかった場合に大きな問題となります。弁護士が最善の活動をしてくれたのか,結果はやむを得ないものだったのか,という点について疑念が生じやすくなるためです。
弁護士との相性が良く,弁護士の活動を心底信頼できれば,心から「やむを得なかった」と納得しやすいですが,相性が悪いと感じている場合にはそうもいかないことが多くなりがちです。

弁護士との相性を率直にどう感じるか,という点は,弁護士選びに際して軽視しないことが適切でしょう。

②本人が動くこと

万引き事件の場合,お店側への謝罪や賠償といった試みを基本的に行うべきです。そのため,当事者本人が,自分の意思でお店への謝罪や賠償を尽くしたい,と考えていることが必要になります。
ご家族が主導して弁護士選びを進めるケースも少なくないかと思いますが,その場合には「最終的には本人が動くことが必要」という点に十分留意することをお勧めします。

なお,本人が身柄拘束を受けているなど,本人が動けない場合には,近親者による弁護士選びとなっても問題はありません。その場合は,弁護士が接見を行って直接本人の意思を確認しながら,弁護活動を進めていくことが可能です。

③弁護士相談の時間的制限

弁護士への法律相談は,30分以内,又は1時間以内といった形で時間を区切って行われるのが通常です。その時間内で,必要な情報を伝え,弁護士から案内を受け,弁護士選びの検討を行う必要があります。
もっとも,その時間は決して長くはありません。無意識に相談時間を浪費してしまうと,肝心の弁護士選びに必要な話が聞けないまま相談が終了してしまう可能性もあるでしょう。

そのため,弁護士選びに際しては,弁護士への法律相談に時間的な制限があることを踏まえ,弁護士選びの基準や聞きたいことなどを可能な限り整理して法律相談に臨むことをお勧めします。そのようなスタンスは,法律相談をより有益な内容とする結果にもつながるでしょう。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
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万引きした場合は弁護士に依頼するべき?依頼しない方がいいケースや費用相場などを徹底解説

万引きをしてしまったものの、今後どうするべきか、法律の専門家である弁護士に相談するべきか悩んでいる方もいるでしょう。

万引きは軽い気持ちで犯してしまうことも多いものの、その影響は意外にも大きく、放置すると刑罰が重くなってしまう恐れがあります。

本記事では、万引きした場合は弁護士に依頼するべきかどうかをご紹介し、費用相場も詳しく解説します。

藤垣法律事務所は、万引き事件を含む、500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が在籍しており、スピーディな対応を行っております。

特に万引き事件は、少しでも早い対応が必要になるため、お困りごとがあればぜひ下記からお問い合わせください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

万引きの刑罰内容

万引きという行為自体が軽犯罪法や刑法に基づく違反とされるため、法律で厳しく定められています。

万引きは窃盗罪に該当し、その刑罰は懲役刑や罰金刑が課されることがあります。

具体的にいうと、刑法第235条により、窃盗罪として扱われると「10年以下の懲役または50万円以下の罰金(参考:e-Gov法令検索)」が科される恐れがあるのです。

窃盗罪に該当する行為は、以下の通りです。

  • 他人の占有する財物
  • 窃取
  • 不法領得の意思

これらの行為を行うと、刑罰の対象となるため、逮捕されてしまう可能性があります。

万引きしてしまった際に弁護士に依頼するケース

万引きしてしまった際、自分が逮捕されてしまうのかどうか不安になることもあるでしょう。

そんな時、弁護士に相談するのがおすすめですが、必ずしも弁護士を活用するのがいいとは言い切れません。

万引きしてしまった際に弁護士に依頼するケースは、主に以下の通りです。

  • 過去に万引きや窃盗など前科があるケース
  • 万引きで逮捕されたケース
  • 万引きで後日逮捕の可能性があるケース
  • 営利目的で万引きをしたケース
  • 依頼している弁護士の対応に不満があるケース

詳しく解説します。

過去に万引きや窃盗など前科があるケース

過去に万引きや窃盗で前科がある場合、再度万引きをしてしまうと、初犯とは異なる厳しい法的な処分が予想されるため、弁護士への依頼が強く推奨されます。

前科がある場合、裁判所や検察が再犯を重く見て処罰を厳格化する傾向が強くなり、執行猶予が認められにくくなる可能性が高まります。

そのため、状況に応じては懲役刑が科されるリスクが高くなり、刑事手続きの早い段階で弁護士が介入し、可能な限りの弁護活動を行うことが重要です。

「過去に万引きや窃盗など前科がある」場合、常習性があるとみなされ、前科のときよりも重い罪になる可能性が高いです。ただし、手段を尽くすことで処分を軽くするなどを図ることはできます。

万引きで逮捕されたケース

逮捕後は警察署での取り調べや勾留が続き、その間の行動や対応が今後の処分に大きく影響を与えます。

ここで避けなければいけないのが、最大20日間の勾留期間です。仮に20日間拘束された場合、会社をクビになったり、学生の場合は学校生活に支障をきたしたりなどのリスクがあります。

弁護士に依頼すれば、取り調べにおける適切な対応についてアドバイスを受けられるほか、不利な証言を防ぐための指導が得られます。

処分を少しでも軽減するための重要なサポートを受けられるでしょう。

後日逮捕の可能性がある状況で弁護士への相談をしないでいるとある日突然に逮捕され、警察の留置施設に収容されてしまう恐れがあります。万引き事件に心当たりがあり、警察の捜査や逮捕が懸念される場合にはできるだけ早く弁護士への相談・依頼を行うことをおすすめします。

万引きで後日逮捕の可能性があるケース

万引きをした後、その場で発覚しなかった場合でも、後日逮捕される可能性があります。

店側が防犯カメラの映像などを通じて不審な行動を確認し、被害届を出すことで捜査が開始されるケースが多いため、安心できる状況ではありません。

防犯カメラの映像が決定的な証拠となって逮捕に繋がる場合、被疑者は突然の逮捕に備える準備が整っていないことが多く、慌ててしまうでしょう。

こうしたケースでは、早い段階で弁護士に依頼することで、適切な対応や対策を取るための支援が得られます。

罪が重くなるのはケースバイケースですが、万引きしているのに相談もせず黙っている場合は繰り返して万引きしているケースが多いと考えられます。回数を重ねている方が処分として重くなる傾向があるので、速やかに弁護士に相談しましょう。

営利目的で万引きをしたケース

営利目的とは、盗んだ物を転売して利益を得る意図がある場合であり、「偶発的な犯行」と異なり、計画性や悪質性が高いとみなされます。

このようなケースでは、逮捕や勾留、さらに起訴に至るリスクが大きいため、早急に弁護士に依頼し、適切な対応を取ることが重要です。

弁護士に依頼するメリットとしては、まず刑事処分の軽減に向けた効果的な弁護活動を受けられることが挙げられます。

営利目的の犯行は検察官や裁判所から重い評価を受けやすいため、通常よりも厳しい起訴や刑罰が予想されるでしょう。

弁護士が早い段階から介入し、被疑者の背景や動機を詳しく説明し、情状酌量の余地を示すことで、量刑の軽減を目指すことが可能です。

実際に売ってしまったかどうかが刑の重さに直結するわけではなく、営利目的で万引きをする行為自体が営利目的がない場合よりも重い罪の対象になりやすいです。

依頼している弁護士の対応に不満があるケース

弁護士との関係が円滑でなければ、不安が増したり、最善の結果を得ることが難しくなる可能性があります。

不満の理由は多岐にわたり、進捗報告が遅い、対応が不十分、説明が曖昧など、依頼者の要望や疑問にしっかりと向き合っていないと感じることが多いです。

万引きのケースで特に重要なのは、取り調べでの適切な対応や、起訴回避に向けた交渉、示談成立のための迅速な行動です。

しかし、こうした基本的な対応が不十分だと、依頼者は精神的に追い詰められ、信頼関係が損なわれてしまうでしょう。

もし依頼している弁護士の対応に不満があるケースは、万引き事件に強く、かつ迅速対応してくれる弁護士に乗り換えを検討しましょう。

当事務所では、迅速対応に強みがあり、スピーディーな弁護活動で事件解決のお力添えをしております。実際に不起訴に繋げたり、逮捕されたけど速やかに釈放されたりなど、同種事件の解決実績も複数ありますので、ぜひご相談していただければと思います。

万引きした際に弁護士に依頼しない方がいいケース

万引きした際、弁護士に依頼しない方がいいケースとして挙げられるのは、初犯であり、被害店舗が明らかに許している場合です。

多くの初犯者の場合、逮捕されることなく警察での事情聴取や簡単な取り調べのみで処理され、起訴されずに警告や指導で終わる可能性が高いからです。

特に万引きの規模が小さく、故意性や計画性が低いと判断されると、社会的な更生が期待できるとして厳重な処分を避けられることもあります。

また、被害店舗が許している場合は、店舗側が被害届を取り下げたり、そもそも提出しなかったりする可能性が高いため、刑事事件として進行しないでしょう。

逆に初犯だったとしても店舗側が許してくれていなければ弁護士に依頼する必要があります。

万引きの初犯ケースについては、下記の記事で詳しく解説しているので、合わせてご確認ください。

関連記事:万引き事件は初犯だとどうなる?前科や余罪の影響も解説

万引き事件で弁護士に依頼するメリット

早期釈放

万引き事件の場合,逮捕後の早期釈放を目指すべきケースが非常に多い傾向にあります。逮捕直後から適切な対応を尽くした場合とそうでない場合とでは,釈放されるタイミングに大きな差が生じることも珍しくありません。早期釈放の可能性があり得るからこそ,早期釈放に向けた動きは十分に取るべきです。

具体的には,やはり弁護士に依頼し,法的手続に沿って釈放に向けた弁護活動を尽くしてもらうことが最も有益です。弁護士であれば,被疑者本人と十分にコミュニケーションを取ることができる上,検察官や裁判官に対して適切な情報提供や申立てを行いながら,早期釈放のために可能な手段を尽くすことが可能です。

処分軽減

万引き事件は,内容次第では不起訴処分が十分に目指せる事件類型です。不起訴処分となれば,前科が付かずに手続が終了し,事件の悪影響は最小限に抑えられるでしょう。

もっとも,処分の軽減を目指すための具体的な行動は,自分で判断して行うことが困難なものと言わざるを得ません。何をするべきか,という選択が困難であるのみならず,そもそも弁護士を間に挟まなければできないことも少なくないためです。

そのため,万引き事件で処分の軽減を目指す動きを尽くし,不起訴処分の獲得を希望したい場合には,対応に適した弁護士を選ぶ必要があるでしょう。

前科前歴がある場合の対処

万引き事件の場合,1回だけ行った,というケースが非常に少なく,前科前歴のある場合も多く見られます。一般的に,同種の事件を繰り返してしまうと,繰り返すごとに刑事処分は重くなっていくことになります。
そのため,前科前歴がある場合には,それだけ重い刑事処分が科せられる可能性を考慮する必要がある,ということになるでしょう。

前科前歴があり,より十分な対応を尽くさないと重い刑罰が懸念されるという場合には,弁護士に依頼をして適切な弁護活動を行ってもらう必要が大きいと言えます。結果が出た段階で後悔することを防ぐため,事前に弁護士選びを行うべきでしょう。

更生や治療

万引き事件の加害者となってしまう原因には,病的なものが影響しているケースもあります。「クレプトマニア」(窃盗症)と呼ばれるものが代表例です。
事件の原因が病的なものである場合,刑事処分の軽減を目指すと同時に再発防止のための医学的なアプローチが必要となります。通院治療などを通じて,万引き行為への病気の影響を防げなければ,事件の十分な解決とは言えません。

自分の万引き事件が病的な原因で起きていると考える場合には,弁護士に依頼し,原因の解決についても相談を試みることが有益です。また,実際に通院治療などを行い,これを弁護士に主張などしてもらうことで,治療の努力をしたことが刑事処分の軽減につながる効果も期待できます。

万引き事件で弁護士に依頼するタイミング

逮捕されたとき

万引き事件での逮捕は,現行犯であることが非常に多いです。逮捕される事件では,現場で店員等に発覚し,警察に引き渡される流れが大多数でしょう。
一方,万引き事件は,類型的に重大犯罪との理解はされづらいため,逮捕されたとしてもその後に早期釈放が期待できる場合も少なくありません。早ければ,逮捕の翌日や翌々日に釈放となり,社会生活に復帰できる可能性もあり得るところです。そうなれば,逮捕による生活への影響は最小限に抑えることができるでしょう。

そのため,万引き事件で逮捕されたときは,早期釈放を目指すために弁護士を選ぶべき重要なタイミングということができます。適切な弁護士選びをし,弁護士に十分な弁護活動を尽くしてもらうことで,早期釈放の可能性はより高くなるでしょう。

また,逮捕やその後の早期釈放は,あくまで捜査の初期段階に過ぎないため,最終的な処分を軽減するための対応も必要不可欠です。この点,逮捕などの早い段階で弁護士に依頼し,適切な方針を立てることができれば,最終的な刑事処分にとっても有益な効果が期待できるでしょう。不起訴処分を目指す対応は,逮捕段階から始まっていると言っても過言ではありません。

呼び出しを受けたとき

万引き事件では,後日になって被疑者が特定でき,警察が被疑者を呼び出す流れも非常に多く見られます。警察の呼び出しを受けた場合は,警察署での取り調べが行われることを想定するのが適切です。
もっとも,取調べでどのような対応をするべきか,何が聞かれ,何を回答すべきかという点は,万引き事件の取り扱いに精通していないと判断は困難です。対応時の注意点なども,個別の事件によって異なる可能性があるため,一概には指摘できないところがあります。

この点,万引き事件の弁護活動に適した弁護士を選ぶことができれば,呼び出しに対する適切な対応や供述の方針などを事前に確認することが可能です。事前に適切な方針を立てることができれば,呼び出しへの対応は格段に容易なものになるでしょう。

自首をしたいとき

万引き事件では,被害者であるお店側が損害の内容を特定できていなかったり,そもそも被害の事実を把握していなかったりと,具体的な刑事事件の捜査に至るまでに時間のかかるケースが少なくありません。万引き事件の捜査は,お店側が警察に被害申告することで開始する場合がほとんどであるため,お店側が十分に事件を把握するまでは捜査が開始しない,という流れになりやすいのです。

そのため,万引き事件は,捜査が開始される前に自ら警察に出頭(自首)することが可能になりやすい事件類型であると言えます。自首が成立する場合には,警察の取り扱いとして逮捕がされにくくなったり,最終的な刑事処分も不起訴処分などの軽微なものになりやすかったりと,有益な効果が期待できる場合も多いでしょう。

この点,自首を試みる場合には,弁護士選びの上,弁護士と一緒に適切な方法で行うことが望ましいでしょう。手続に精通した弁護士が主導して自首することで,自首のメリットがより大きくなる効果も期待できます。

裁判を控えているとき

万引き事件で起訴され,公開の裁判(公判)を控える状況になった場合には,適切な弁護士選びが非常に重要となります。
万引き事件で公判を控えるケースというのは,前科や余罪が多数あったり,事件の内容や規模が悪質と理解されるものであったりと,実刑判決などの重大な刑事罰が懸念される場合が少なくありません。軽微な処分で済むのであれば,公判を行う必要はないため,公判に至った場合には万全の対応をすべき必要が非常に大きいと考えるのが適切でしょう。

そのため,公判を控える状況にある場合には,公判対応に適した弁護士を選び,実刑判決などの重大な刑事処罰を避けるための十分な準備と対応を尽くすことを強くお勧めします。また,刑事弁護に長けた弁護士に依頼すれば,結果の具体的な見通しが分かり,処分軽減のためにすべきこともより明確にすることができるでしょう。

万引きした際の弁護士に依頼する費用相場と内訳

弁護士に依頼する際、気になるのは費用でしょう。着手金や成果報酬などは、弁護士事務所によって異なりますが、大体全て含めると90万円〜100万円が一般的です。

かかる費用の内訳は主に以下の通りです。

  • 法律相談料
  • 着手金
  • 接見費用
  • 成功報酬
  • 日当
  • 実費

詳しく解説します。

法律相談料

万引きの問題で弁護士に依頼する際にかかる費用のうち、最初に発生するのが法律相談料です。

法律相談料は、弁護士と面談して状況を相談し、事件の概要や解決の方針についてアドバイスを受けるための費用です。

一般的には、30分から1時間の面談で5,000円から1万円ほどが相場とされていますが、弁護士によっては初回の相談を無料で提供している場合もあります。

当事務所では、初回無料相談を設けております。 2回目以降の場合は、30分ごと5,500円となります。

着手金

万引き事件で弁護士に依頼する場合、着手金は依頼を正式に受けた際に支払う初期費用として重要です。

この着手金は、弁護士が事件の処理を開始するための費用となります。着手金の相場はおおむね30万円以上かかるのが一般的です。

万引きで逮捕された場合や、被害者との示談が求められる場合など、弁護士の関与が深まるほど、その着手金の額も高くなる傾向にあります。

当事務所では、着手金は33万円からとさせていただいております。

接見費用

万引きで逮捕された場合、弁護士が依頼者と直接会って事情を聴取したり、法的アドバイスを行ったりするために発生する費用が接見費用です。

拘置所や警察署に足を運んで行うため、時間と手間がかかることから発生する費用となります。

接見費用の相場は、1回あたり1万円から3万円程度が一般的ですが、距離や面会の内容によって変動することもあります。

当事務所では、接見費用は日当という項目に該当し、大宮駅からの移動時間30分ごと5,500円からとさせていただいております。

成功報酬

弁護士に依頼する際、成功報酬は依頼の成果に応じて支払われる費用です。

成功報酬は、弁護士が依頼者のために有利な結果を得た場合に支払われるもので、特に示談交渉や不起訴処分を目指す場合などに発生することが一般的です。

成功報酬の額は、事件の難易度や弁護士の報酬体系によって異なるものの、成功報酬として設定される額は通常、数十万円に及ぶことがあります。

当事務所では、成果報酬は着手金にプラスする形をとらせていただいております。不起訴であれば着手金にプラス33万円、示談成立の場合は着手金に22万円などといった感じです。

日当

日当は、弁護士が依頼者のために行う活動の一部に対して、一定の日数にもとづいて支払われるものです。

特に裁判所への出廷や長時間にわたる交渉、調査活動などが関わる場合に発生します。

例えば、万引き事件において裁判が長引く可能性がある場合、弁護士は出廷や法廷での弁護活動を行うため、1日単位で日当が設定されることがあります。

日当の相場は、弁護士の経験や事務所の方針、事件の規模により異なりますが、一般的には1日あたり3万円から10万円程度が相場です。

当事務所では、日当は大宮駅からの移動時間30分ごと5,500円からとさせていただいております。

実費

実費とは、弁護士が事件を進めるために実際に支出した費用を指し、依頼者がその費用を負担することになります。

具体的には、交通費や郵送費、証拠収集にかかる費用、鑑定料、裁判所への申立てに必要な手数料などが含まれます。

実費が発生しないプランもありますが、特に遠距離移動がある場合だと、発生してしまうでしょう。

当事務所では、実費は発生した実額でご請求いたします。

万引きしてしまい弁護士に依頼する際の事務所の選び方

万引きをしてしまい、弁護士に相談したい場合、どの事務所を選べばいいか迷うでしょう。

主な選び方は、以下の通りです。

  • 解決実績があるか
  • 迅速に対応してくれるか
  • 再犯防止のために協力してくれるか

詳しく解説します。

解決実績があるか

万引きは、一般的な民事訴訟とは異なり刑事事件として扱われることが多いため、弁護士が過去にどのような実績を持っているかが重要です。

刑事事件全体を対応しており、数多くの実績を持っている弁護士もいれば、万引きや窃盗事件に特化した弁護士も存在します。

万引きに関して過去に多くの成功事例を持つ弁護士であれば、その実績をもとに効果的な戦略を立てることができ、依頼者にとって安心感が得られます。

ホームページや口コミなどを確認した上で、依頼するか検討しましょう。

迅速に対応してくれるか

万引きが発覚した直後は、店内の防犯カメラによって捜査が進むため、状況が急速に進展する可能性があります。

そのため、対応が遅れると、被害者や警察からの対応が不利な方向に進むでしょう。

弁護士が迅速に対応できるかどうかは、その後の法的な進展を大きく左右する要素です。

例えば、万引きが発覚した後に警察の取り調べや事情聴取が行われる前に、弁護士が迅速に関与することで、逮捕や勾留を避けたり、逮捕後に早期に釈放を実現したりする可能性が高まります。

こうした迅速な対応が、後々の刑事手続きにおいても有利に働くことが多いため、依頼者にとって重要なポイントです。

再犯防止のために協力してくれるか

万引きで弁護士に依頼する際、単に事件の法的な解決を求めるだけでなく、その後の再犯防止のためにどのように協力してくれるかを確認することは、長期的に見て有益です。

再犯防止への協力とは、弁護士が事件を通じて依頼者に対して犯罪の重大さをしっかりと伝え、反省を促すためのサポートをしてくれるかどうかです。

例えば、依頼者が参加できる更生プログラムやカウンセリング機関を紹介してくれるかどうかなどが該当します。

依頼者が再び社会の一員としての自信を取り戻し、犯罪に手を染めることなく生きていけるようなサポートをしてくれるでしょう。

万引き事件における弁護士選びの準備

包み隠さず説明する準備

弁護士選びのためには,弁護士に十分な情報を提供することが必要です。弁護士の案内が不十分だと感じた場合,その原因が情報不足だと,適切な弁護士選びのチャンスを逃す結果にもつながりかねません。

万引き事件の場合,対象となった商品の内容はもちろん,余罪や前科前歴など,自分にとって不利益で言いづらいことも,包み隠さず弁護士に説明できるように準備することをお勧めします。言いづらく隠しておきたくなることほど,弁護士にとって重要な情報であることが少なくありません。

弁護士に求めたい要望の整理

弁護士選びに際しては,弁護士に何を実現してほしいのか,という要望を整理し,弁護士に伝えられるよう備えておくことをお勧めします。

万引き事件の場合,釈放を求めたい,不起訴を獲得したい,示談をしたい,自首をしたい,周囲に発覚したくないなど,要望のメインになり得る点は多数あります。もっとも,ケースによってはそのどれかは実現不可能であったり,弁護士の見通し次第で案内の内容が変わってきたりと,事前に聞いておかなければトラブルの原因になるものもあります。例えば,不起訴を希望したいと思って依頼したものの,弁護士側は不起訴が不可能だという前提で考えていると,そのミスマッチは致命的です。

弁護士への依頼には一定の費用が発生するため,相応の成果を求めたいというのは自然な発想です。弁護士選びが無駄にならないよう,要望は何かを明確に整理し,弁護士への依頼によって実現可能かどうかを十分に確認するようにしましょう。

予算の決定

万引き事件は,高額の商品を対象とするケースが少ないため,事件規模は金額にするとそれほど大きくないことが通常です。もっとも,その事件に対応するための弁護士費用は,着手金のみでも数十万円という規模になることが一般的です。
そのため,特に経済的に余裕がない場合には,あらかじめ予算を決定し,その範囲内での弁護士探しを行うことをお勧めします。

弁護士費用は,活動の結果によっても左右されるため,着手金だけでギリギリ,とならないよう,可能な限り余裕を持った検討が望ましいところです。また,事前に予算を明確にしている場合には,その予算の範囲内でできる活動内容を弁護士側から案内してもらえる可能性もあるでしょう。

万引き事件で弁護士に依頼する場合の注意点

弁護士との相性

依頼者も弁護士も人である以上,相性の問題を避けて通ることはできません。依頼者目線では,相性が良くないと感じながら弁護士に依頼するメリットはないと考えるべきでしょう。

この点は,最善の解決に至ればそれほど大きな問題にはなりません。しかしながら,弁護活動は事前に最善の結果になるとお約束することが不可能であり,どうしても結果が伴わない場合があります。特に,万引き事件ではお店側と示談をしたり,お店から許してもらったりすることが現実的に難しいため,希望する最善の解決は困難な方が多いでしょう。

そして,弁護士との相性を軽視することは,最善の結果でなかった場合に大きな問題となります。弁護士が最善の活動をしてくれたのか,結果はやむを得ないものだったのか,という点について疑念が生じやすくなるためです。
弁護士との相性が良く,弁護士の活動を心底信頼できれば,心から「やむを得なかった」と納得しやすいですが,相性が悪いと感じている場合にはそうもいかないことが多くなりがちです。

弁護士との相性を率直にどう感じるか,という点は,弁護士選びに際して軽視しないことが適切でしょう。

弁護士相談の時間的制限

弁護士への法律相談は,30分以内,又は1時間以内といった形で時間を区切って行われるのが通常です。その時間内で,必要な情報を伝え,弁護士から案内を受け,弁護士選びの検討を行う必要があります。
もっとも,その時間は決して長くはありません。無意識に相談時間を浪費してしまうと,肝心の弁護士選びに必要な話が聞けないまま相談が終了してしまう可能性もあるでしょう。

そのため,弁護士選びに際しては,弁護士への法律相談に時間的な制限があることを踏まえ,弁護士選びの基準や聞きたいことなどを可能な限り整理して法律相談に臨むことをお勧めします。そのようなスタンスは,法律相談をより有益な内容とする結果にもつながるでしょう。

万引きに強い弁護士へご相談を!

万引きをしてしまった場合、初犯であれば不起訴になる場合もありますが、再犯の場合だと悪質性があり、刑罰に該当してしまいます。

刑罰を少しでも軽くするのであれば、弁護士に依頼することがおすすめです。

特に刑事事件に精通した弁護士へ依頼すれば、これまでの実績や知見などをいかした上で、迅速に適切な対応を行ってくれます。

藤垣法律事務所は、万引き事件を含む、500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が在籍しており、スピーディな対応を行っております。

特に万引き事件は、少しでも早い対応が必要になるため、お困りごとがあればぜひ下記からお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【万引き事件の示談を知りたい人のために】方法や示談金相場,示談のメリットなどを徹底解説

このページでは,万引き事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

万引き事件で示談はできるか
万引き事件における示談とは
万引き事件で示談をする方法
万引き事件の示談金相場
万引き事件の示談内容・条項
万引き事件の示談で注意すべきこと
万引き事件の示談に必要な費用

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万引き事件で示談はできるか

刑事事件における示談は,加害者が被害者に金銭賠償を行い,これに対して被害者が加害者を許す,という合意を指すのが一般的です。被害者のいる事件類型では,被害者が許しているかどうかが刑事処分の結果を大きく左右するため,示談によって被害者の許しを得ることが有力な手段となります。

この点,万引き事件は窃盗罪に該当し,お店は窃盗罪の被害者に当たる立場です。そのため,万引き事件でも示談によって被害者の許しを得ることができれば,刑事処分を大きく軽減させることになるでしょう。

しかし,万引き事件は相手が個人でなく店や会社であるため,特有の問題があります。それは,被害者である店や会社は,許すという対応を基本的にしない,ということです。
万引き被害は,店側にとって件数が非常に多いため,一律の対応方針を決めていることがほとんどです。具体的には,以下のような対応方針であることが多く見られます。

万引き被害に対する店側の一般的な方針

1.支払は対象商品の金額のみ受ける(買取を求める)

2.許すことはしない

3.今後の店への出入りを禁止する

そのため,刑事事件の示談で加害者側にとって最も重要な許しの獲得は,万引き事件だと困難なことが非常に多いです。特に,複数の店舗がある大規模なお店であるほど,一律で許しには応じないという対応がなされる傾向にあります

もちろん,一定の金銭を支払って謝罪や賠償を尽くすことは,刑事処分に一定の影響を及ぼすため,重要であることに変わりはありませんが,万引き事件では許しを内容とする示談になりづらい,という点を踏まえておくことが望ましいでしょう。

ポイント
刑事事件の一般的な示談は,被害者から許しを獲得するもの
万引き事件の場合,被害者である店は一律で許しを拒否するのが一般的

万引き事件における示談とは

万引き事件では,許しを内容とする示談は非常に困難であるため,許しが得られないことを想定して示談を試みることが適切です。具体的には,被害者の希望に沿って損害を回復させたことが,万引き事件における示談の主な内容となります。

そもそも,刑事事件における「示談」という言葉は「合意」という程度の意味合いしかなく,具体的にどのような合意をするかは様々です。許しを内容とする示談もあれば,許しを内容としない示談もあります。そして,万引き事件の示談でまず目指すべきなのは,損害を回復したという結果です。

万引き事件などの窃盗罪は,「財産犯」と呼ばれるカテゴリーの犯罪です。財産犯とは,被害者の財産に損害を及ぼしたという犯罪類型をいいます。この財産犯の刑事処分を判断するときの重要な要素としては,財産への損害がどれだけ回復されたか,という点が挙げられます。
たとえば,1万円の窃盗事件を起こしたものの,あとからその1万円を返したならば,最終的な損害はプラスマイナスゼロとなります。そうすると,刑事処分を判断するときには既に損害が残っていないため,重大な処罰を科す必要は低い,という判断がされやすいのです。
そのため,財産犯である窃盗罪の示談では,お店に生じさせてしまった財産的な損害を回復させることを目指すのが得策です

この点,万引き事件による財産的な損害は,商品以外にも複数考えられます。具体的には,対応に要した人件費,防犯対策を強いられたコストなどが挙げられるでしょう。
もっとも,現実の支払額は,店側から支払を求められた金額とすべきで,それ以上の支払を無理に行おうとするのはかえって不利益になりやすいところです。店側としては,求めた以上の支払を受けても,誰がいくら受け取ればいいかという判断が必要になってしまい,むしろ負担になってしまうためです。

万引き事件における示談は,店側から支払いを求められた金額を確かに支払うことを目指す,という方針で検討するようにしましょう。

ポイント
財産への損害がどれだけ回復されたかが,刑事処分に影響する
万引きの示談では,店から求められた支払いを行うことを目指すべき

万引き事件で示談をする方法

万引き事件の場合,被害店舗の場所や連絡先が分かるため,直接連絡を試みることも不可能ではありません。しかし,捜査を受けている状況であれば,捜査機関を介さずに直接店側との連絡を試みることは控えるのが適切です。
確かに,直接連絡が取れれば円滑ではあります。しかし,店側が加害者からの直接の連絡を希望している可能性はほとんどないため,直接の連絡はお店への迷惑行為と評価される恐れが非常に大きいでしょう。

示談を試みる場合は,弁護士に依頼し,弁護士から捜査機関に連絡を入れてもらうようにしましょう。
弁護士から連絡を受けた捜査機関は,被害店舗に問い合わせ,話を受けるかどうか,受ける際の担当者や連絡先はどうするか,といった点を確認します。このようにして,捜査機関から店舗に連絡を取ってもらえば,示談の試みが店側への迷惑になる危険は避けることができます。

この点,弁護士が示談を試みる場合の基本的な流れは,以下の通りです。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

このようにして,弁護士が加害者(被疑者)の謝罪の意思を代弁する形を取ることで,適切な示談の申し入れが可能になります。せっかくの示談の試みが不利益につながらないよう,示談は弁護士を通じて行うことを強くお勧めします。

ポイント
加害者が直接店舗に連絡を取ることは控えるべき
弁護士を通じて捜査機関に連絡し,捜査機関経由で意思確認する

万引き事件の示談金相場

万引き事件の場合,被害店舗が支払いを求める金銭は,万引きの対象となった商品の金額となることが非常に多く見られます。これは,店舗としては商品の買取を求めることで金銭的なやり取りを終了する,という意味合いになります。

刑事事件の一般的な示談では,損害額の実額のみでなく,謝罪の気持ちを上乗せする形で示談金額を定め,支払うことが多く見られます。しかし,万引き事件の場合は相手が店や会社という組織であるため,謝罪の気持ちを込めて金額を上乗せする,といった交渉を行うことはあまりありません。
ただし,同じ店で複数回の万引き行為があり,すべての金額が特定できない場合,損害額を概算して支払う旨の合意をすることはあり得ます。いずれにしても,基本的な示談金額は商品の価格となりやすいということですね。

ポイント
示談金額は対象となった商品の価格になりやすい

万引き事件の示談内容・条項

刑事事件で示談を取り交わす場合,示談書を作成し,その中に様々な条項を盛り込むことが一般的です。しかし,万引き事件の場合では,基本的に被害者が加害者を許す,という合意にはならないため,示談書の作成・締結自体を行わないことも珍しくありません。

万引き事件の示談における具体的な内容としては,以下のようなものが挙げられます。

①通常設ける内容

【確認条項】
支払う金額はいくらか,当事者間で確認する条項です。

【給付条項】
確認した金額を具体的に支払う方法を定める条項です。

なお,商品の買取という形で示談を行う場合,この確認及び給付の内容は,店側の発行するレシート又は領収証で代用されることも少なくありません。

②万引き事件では設けづらい内容

【清算条項】
示談で定めた内容以外に,当事者間に債権債務関係(法律関係)がないことを確認する条項です。この条項を設けることで,加害者と被害者との法律関係は示談金の支払をもって終了することになります。
ただ,店側のメリットがないので,店は一律で拒否することが通常です。

【宥恕条項】
宥恕(ゆうじょ)とは「許し」を意味します。宥恕条項は,被害者が加害者を許すことを内容とする条項です。
もっとも,万引き事件では店側が一律で宥恕を拒否することがほとんどであるため,設けることはあまりありません。

③示談書を作成できなくてもいいのか

万引き事件では特に示談書を作成せず,謝罪と買取だけ行って終了することも多数あります。ただ,示談をするのに書面も作成しなくていいのか,という点は疑問が残るかもしれません。

もっとも,結論的には,書面化しなくても不利益はない,と言って差し支えないでしょう。

書面化をする目的は,紛争の蒸し返しを防ぐためです。金額の合意をしたかしていないか,その金額を支払ったか支払っていないか,といった点が,後から紛争になることを防ぐため,書面に残しておくというわけです。
この点,万引き事件でも,確かに紛争の蒸し返しは防止したいところですが,現実的に店側が紛争を蒸し返すことはありません。店側は良くも悪くも一律の対応をしていることがほとんどですが,書面化せず蒸し返しもしないことが,店側の一律対応の内容でもあるためです。

また,万引き示談の目的である支払の事実は,買取時のレシートや領収証で立証可能ですので,刑事処分に対する影響や効果に差が生じるわけでもありません。刑事処分との関係でも,書面化しなかったから不利益が生じるということはないと言ってよいでしょう。

万引き事件の示談で注意すべきこと

万引き事件の示談では,以下の点に注意すべきところです。

①宥恕の獲得に固執しない

刑事事件で示談を試みる場合,被害者から許し(宥恕)をもらって直ちに解決する,という流れを目指したいと考えることが多いと思います。万引き事件でも,宥恕がもらえるのであればそれに越したことはありませんし,絶対に宥恕が獲得できないとは限りません。

しかし,基本的に宥恕が獲得できるものではない,という現実は,あらかじめ十分に把握しておくことが適切です。宥恕が獲得できない示談は失敗なのではなく,最初から宥恕を内容としない示談を試みる動きになると理解しておくようにしましょう。

自分から謝罪を行うこと,自分から賠償を行うことは,被害店舗側の処罰感情に十分な影響を与えることが珍しくありません。宥恕という形を取っていなくても,処罰を求める意思はない,ということになる可能性はあるのです。
その意味で,宥恕のない示談でも十分に意味を持っているものですから,店側の事情を無視して宥恕ありきの示談を目指すことはむしろ控える方が得にもなります。

②弁護士を通じて行う

店側とのやり取りに際しては,場所や連絡先が分かるからと言って自分で直接連絡を取ることはしないようにしましょう。店側の負担が大きくなり,かえって逆効果になりかねません。

示談の試みに際しては,弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な方法で進めるのが肝要です。店側への謝意は,直接の連絡という方法でなく,適切なやり方で進めるという行動で示すべきでしょう。

万引き事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で万引き事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

一般的な在宅事件では,34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立(宥恕なし)11万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円

活動の成果が生じた場合に限り,44万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

万引き事件の場合,対象商品相当額の示談金が想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(5000円の支払+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+44万円=78万円
示談金:5000円

計:78万5000円

弁護士費用の例

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

万引き事件は初犯だとどうなる?前科や余罪の影響も解説

●万引きはどんな刑罰の対象になるのか?

●万引きの事件で逮捕されないことは可能か?

●万引きで逮捕されても早期釈放は可能か?

●万引きで不起訴になることはできるか?

●万引きは余罪があると不利になってしまうか?

●前科のある万引き事件は実刑になるか?

●万引きの微罪処分とは何か?

といった悩みはありませんか?

このページでは,万引き事件の被疑者となった場合の対応についてお困りの方に向けて,万引き事件に関する刑事手続や,万引き事件で不起訴や釈放を目指すための弁護活動について解説します。

万引き事件の刑罰

万引きは「窃盗罪」に該当します。法定刑(法律に定められた刑罰の範囲)は10年以下の懲役または50万円の罰金です。
万引き事件は,統計上,日本で最も件数の多い犯罪でもあります。

軽微な印象を持たれがちな万引きですが,営利目的で計画的に行われていたり,被害の規模が大きくなったりする場合には,決して軽微な刑罰にとどまらないこともあります。

万引き事件と逮捕

万引き事件が発覚した場合には,逮捕されるケースもありますが,逮捕されないケースも相当数見られます。
事件の性質上,現行犯で発覚することが多数ですが,その場で発覚したとしても,事後に適切な対応を尽くすことで逮捕を防ぐ余地は十分にあり得ると言えるでしょう。

逮捕の方法には,現行犯逮捕と通常逮捕(後日逮捕)がありますが,逮捕される場合は現行犯逮捕されることが多く見られます。もっとも,後日逮捕をされる場合もあり得ますので,現行犯で逮捕されなかった場合にはできるだけ速やかに弁護士へ相談の上,適切な対応を尽くすことをお勧めします。

万引き事件で逮捕された場合の流れ

逮捕をされると,その後に勾留という手続で身柄拘束を継続するか,釈放をして在宅事件に切り替えるかの判断がなされます。勾留されれば警察署に10日~20日間留置され続けますが,在宅事件になれば帰宅できる(警察の求めに応じて出頭すればよい)状況となるため,勾留されるかどうかは非常に大きな問題です。

万引き事件の場合,逮捕をされても勾留まではなされず,釈放の上で在宅事件に切り替える場合が比較的多く見られます。逮捕されたとしても,早期釈放が可能であるケースが少なくありません。
万引き事件で逮捕された場合には,まずその後の勾留を防ぐことができないか,刑事事件に精通した弁護士へご相談をしてみましょう。

なお,逮捕されてから勾留の判断がなされるまでの期間は,概ね2日以内,長くても3日程度であり,勾留を防ぐための試みをするにはそれより前に弁護士が活動を開始しなければなりません。その期間が経過し,勾留が決定されると,遡って勾留を防ぐことは困難になってしまいます。逮捕された場合の弁護士へのご相談は,逮捕当日または翌日には行われることをお勧めします。

万引き事件は不起訴になるか

①一般的な刑事処分

万引き事件は,前科がない(=初犯である)場合だと,小規模のものであれば不起訴になる場合も考えられます。
もっとも,手放しで不起訴になるというわけではありません。この場合の不起訴は,起訴猶予と呼ばれるものであり,検察官が裁量的判断で不起訴とすることが必要です。簡単に言うと,検察官に大目に見てもらうことができた場合に,不起訴となるわけです。

そのため,検察官が大目に見てよいと考えるための努力は必要です。具体的には,店舗への謝罪や賠償,深く真摯な反省,再発防止の努力,といったものが考えられます。
具体的にどの程度の事情があれば起訴猶予にしてもらえるかは,個別のケースや検察官の判断によるため,できるだけの努力を尽くす,という考え方が重要でしょう。

②万引き事件の示談

なお,万引き事件も窃盗罪に該当する事件であり,被害者が存在する事件であるため,起訴不起訴の判断には被害者の処罰感情(加害者の処罰を求めるかどうか)が重要な材料となります。
そのため,被害者である店舗側と示談を取り交わし,店舗側の宥恕(許し)を得ることができれば,大きく不起訴に近づくということができます。

しかしながら,相手が個人でなく店舗である関係で,通常は店舗が示談に応じたり宥恕してくれたりすることはほとんどありません。示談交渉は一律断る対応をする店舗が多数と考えておいた方がよいでしょう。
ただし,お相手によっては,店舗の管理者から個人として宥恕の意思を表明していただける場合もあるため,誠意を尽くすことはその意味でも重要になります。

万引き事件に余罪がある場合の取り扱い

万引き事件は,類型的に余罪のある場合が少なくありません。初めて行った万引き行為が発覚した,というケース以外は,余罪のある方が多いと言えるかもしれません。
そのため,警察や検察といった捜査機関も,余罪があることを想定して捜査を行うことが多く,取り調べの際にも余罪の有無を聴取してくることが一般的です。

余罪がある場合,後から余罪が発覚するとすべて捜査や処罰の対象になってしまうと思われるかもしれませんが,決してそうではありません。
犯罪捜査の一般的な運用としては,発覚した余罪のうち,具体的に捜査や処分の対象に加えられるのは一部で,それ以外は余罪自体が処罰されることにはなりません。
処罰の対象とならない余罪は,いわゆる情状の問題として,処分の重さを判断するための材料の一つとされます。

余罪が処罰の対象となるケース

一方,余罪が捜査や処罰の対象となる場合としては,以下のようなものが挙げられます。

①既に被害届が出ている件

警察は,被害店舗が被害届を提出した事件は具体的に捜査を行う必要があります。そのため,既に被害届が出ている件と一致する余罪は,捜査や処分の対象となりやすいです。

②本罪が起きた店舗でマークされるきっかけになった事件

万引き事件が発覚する場合,発覚した店舗でマーク(要注意人物扱い)されていることがあります。マークしていたため注意してみていたところ,万引きを確認した,という流れです。
その場合,マークされるに至ったきっかけの事件があることが多く,その事件も同一人物のものだと分かったときには捜査・処分の対象となりやすいです。

③同じ日に連続的に行われた近隣店舗の事件

現行犯逮捕で発覚した場合,持ち物を一通り確認されますが,そのときに直前で行われた万引き事件の被害品を携帯している場合があります。
警察としては,当然,他店舗の商品と思われるものがあれば,どのように入手したものか確認する必要があるため,その結果余罪が発覚することとなります。
このように発覚した同日の連続的な事件は,日時や場所,被害品の内容が明確になりやすいため,余罪の中でも捜査・処分の対象となりやすい傾向にあります。

万引き事件の前科がある場合

万引き事件は,同種前科のある人が繰り返し起こしてしまうことの多い類型です。そして,万引き事件が繰り返されると,回数に比例するように処分も重くなるのが通常です。
初犯では不起訴(起訴猶予)になったとしても,次は罰金,その次は執行猶予,さらに繰り返せば実刑と,最終的には万引き事件でも実刑判決の対象となることが十分考えられます。

しかも,執行猶予期間中は,重ねて執行猶予にならないことが大原則ですので,執行猶予中の再犯は基本的に実刑の対象になってしまいます。
また,執行猶予期間中でなくても,同種前科の件から短い期間のうちに再犯に及ぶと,処分はより重くなる傾向にあります。

同種の前科がある場合は,そうでない場合以上に処分の軽減を目指す努力が必要になるでしょう。弁護士へのご相談を積極的にご検討されることをお勧めします。

初犯の万引き事件の特徴

捜査されるか

万引き事件が捜査されるかどうかは、被害店舗が捜査機関に捜査を求めるか、という点によって左右されます。そのため、初犯であるか捜査されない、というわけではありません。

もっとも、初犯であることによって捜査されない可能性が高まるケースはあり得ます。それは、初犯であることを理由に被害店舗が捜査を希望しない、という判断に至る可能性があるためです。
店舗側の判断はケースや店舗により様々ですが、反省の態度や再犯の恐れを踏まえて判断される場合も少なくありません。この点、初犯で規模も小さく、反省を深めている様子である方が、店舗側の温情的な判断を引き出せる可能性は高くなる傾向が見られます。逆に、前科や余罪が多数あるという場合には、反省の態度を示しても十分に理解してもらうことは難しく、店舗側から厳しい判断を受ける可能性が高まりやすいと言えます。

逮捕されるか

初犯の場合、逮捕されづらくなるという効果が期待できることもあり得ます。
捜査機関は、逃亡や証拠隠滅の恐れが大きいと考える場合に逮捕をしますが、見込まれる刑事処罰が重いほど逃亡や証拠隠滅の恐れが大きいと判断するのが通常です。そして、前科がある再犯の事件は、初犯よりも刑罰が重くなりやすいため、その重い刑罰を防ごうと逃亡や証拠隠滅を図る恐れが大きいと評価される傾向にあります。

そのため、初犯の万引き事件は、初犯でない場合と比較して逮捕されにくい可能性があるでしょう。

示談できるか

示談ができるかどうかは、基本的に被害店舗の意向で決まるため、前科の有無が直接影響するポイントではありません。初犯だから示談ができる、初犯でないから示談を断念しなければならない、ということは考えなくてよいでしょう。

もっとも、初犯であるかどうかは、捜査機関から被害店舗側に告げられる可能性があります。そのため、被害店舗が、初犯であるかどうかを基準に示談への対応方針を決めようとしている場合、大きな影響を及ぼす可能性は否定できません。
少なくとも、初犯より再犯の方が示談成立に有利である、ということは考えにくいため、基本的には初犯の方が示談の可能性が高くなりやすいとはいえるでしょう。

不起訴になるか

初犯であることの決定的な影響が生じるのは、不起訴になるかどうか、という局面です。比較的小規模な万引き事件は、初犯だと不起訴が期待できるケースも少なくありませんが、再犯となると不起訴は難しくなります。特に、同種の万引き事件で前科がある場合、刑事処分は回数を重ねるごとに重くなるため、初犯の場合以外には何らかの刑罰を覚悟した方が良いケースも多くなります。

裏を返せば、初犯の万引き事件では不起訴の余地が比較的大きく残されていることも珍しくはありません。このチャンスを無駄にしないためには、不起訴を目指す手段を可能な限り講じていくことを強くお勧めします。

弁護士は必要か

初犯の場合には、不起訴の余地が決して少なくない関係で、弁護士に依頼するメリットも大きくなりやすいと言えます。不起訴を目指すと言っても、具体的な方針や動き方を自分自身で判断することは困難であるため、現実的な手段は弁護士への依頼となることが通常です。
そのため、初犯で不起訴処分を目指す場合には、特に弁護士の必要性が高くなると言ってよいでしょう。

また、初犯でない場合にも、刑事処分の軽減を最大限に図るためには、やはり弁護士への依頼を検討することが最も有力な手段となります。具体的な見込みや弁護活動の可否については、個別に弁護士へご相談されることをお勧めします。

万引きと微罪処分

①微罪処分とは

微罪処分とは,犯罪が極めて軽微な場合に,警察官の判断で捜査を終了させる処分のことを言います。
警察は,通常,捜査を行った事件を検察庁に送致(送検)する必要があり,検察庁が起訴不起訴を判断しますが,微罪処分は,警察官の判断で検察庁に送致(送検)しないとすることができるのです。
微罪処分とされれば,その時点で捜査は終了しますので,被疑者にとっては非常に利益の大きな処分といえます。

②万引き事件の微罪処分

万引き事件の場合,規模が明らかに小さく,被害者も許しており,被害が回復されているという場合には,微罪処分となる可能性もあります。
もっとも,微罪処分はあくまで例外的な手続であることに注意が必要です。また,微罪処分とするかどうかは警察官の判断となるため,微罪処分にするよう要求できるわけではありません。
微罪処分は,とても温情的な取り扱いをしてもらえた場合の例外的な措置,という理解をするべきものでしょう。

なお,微罪処分とされなかったからといって,不起訴にならないわけではありません。
弁護士に依頼するなどして不起訴処分が獲得できれば,法的な結果は微罪処分と同様と言えますので,不起訴処分を目指すべきことは間違いないでしょう。

万引き事件に強い弁護士をお探しの方へ

万引き事件の場合,適切に対応をすれば,逮捕や起訴を防いで今後の生活への支障が生じないようにすることも十分に可能です。
もっとも,余罪や前科,具体的な事件内容など,個別の事情を踏まえて方針を検討する必要があるため,刑事事件に精通した弁護士への依頼が重要になります。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
万引き事件は少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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