「優先道路を走行中、突然脇道から車が飛び出してきて事故になってしまった」という場合、過失割合が気になるところです。
事故後、あなたは「自分は交通ルールを守っていたのだから、相手が100%悪いはずだ」と考えるのが当然です。
しかし、保険会社との交渉が始まると、「お互いに走行中だったので、あなたにも1割か2割の過失があります」という非情な言葉を投げかけられることが少なくありません。
そこで本記事では、交通事故の被害者が弁護士に依頼するメリットや、特に10対0を目指すべきケースについて弁護士が分かりやすく解説します。
この記事の監修者
藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介
全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。
一時停止無視の定義
道路交通法における「一時停止無視」とは、指定された場所で車両が完全に停止しない行為を指します。
| 第四十三条(指定場所における一時停止)車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。引用:e-GOV法令検索|道路交通法 |
具体的には、道路標識や道路標示によって「止まれ」と示されている場所では、車輪の回転を完全に止め、安全を確認しなければなりません。
実務上、一時停止は「車が動いていない状態」を指し、徐行(すぐに停止できる速度での走行)では停止したことにはなりません。
一時停止無視の事故は、この停止義務を怠った車両が、優先道路を通行する車両の進行を妨げることで発生します。
過失割合の算定において、一時停止義務がある側は、そうでない側に比べて重い法的責任を負うのが一般的です。
一時停止無視の事故で10対0(過失割合100:0)が成立する条件

四輪車同士の事故において、一方が一時停止無視をした場合の基本過失割合は「80(無視側):20(優先側)」とされることが多いです。
しかし、特定の条件下では、被害者側の過失を0(10対0)に修正できる可能性があります。
ここからは、一時停止無視の事故で10対0(過失割合100:0)が成立する条件を解説します。
加害者の「著しい過失」が認められるケース
加害者に「著しい過失」がある場合、過失割合は加害者側に不利に修正されます。「著しい過失」とは、通常の運転者が想定する注意義務を明らかに怠っている状態です。
具体例としては、以下のようなケースが挙げられます。
- わき見運転などの著しい前方不注視
- 酒気帯び運転
- おおむね時速15km以上30km未満の速度超過
- ハンドル・ブレーキ操作の不適切
これらの要素が加害者側にあることを証明できれば、基本の20割の過失を10割、あるいは0割へと近づける交渉が可能になります。
加害者の「重過失」が認められるケース
「重過失」とは、著しい過失よりもさらに重い、故意に近いほどの注意欠如を指します。これが認められれば、10対0が成立する可能性は高くなります。
具体例は以下の通りです。
- 酒酔い運転(正常な運転が困難な状態)
- 無免許運転
- おおむね時速30km以上の著しい速度超過
- 居眠り運転
重過失(じゅうかしつ)とは、わずかな注意を払えば事故を避けられたのに、それを著しく怠ったことを指す法律用語です。
このような重大な違反がある加害者に対し、被害者が過失を問われることは法的に不合理であると判断されます。
10対0を勝ち取るために必要な3つの証拠と準備

相手方保険会社が提示する過失割合を覆し、10対0を勝ち取るためには、客観的な証拠の積み上げが必要です。
ここからは、10対0を勝ち取るために必要な証拠と準備物を解説します。
①ドライブレコーダー(ドラレコ)の映像確保
現代の事故解決において、最も強力な武器となるのがドライブレコーダーの映像です。
ドラレコは事故当時の客観的な状況をそのまま記録しているため、言葉の食い違いを防ぐことができます。
- 相手が一時停止を全くせずに交差点に進入した事実
- 自車が適切な速度で走行しており、回避が不可能だった状況
- 夜間のライト点灯状況やウィンカーの有無
映像があることで、加害者側が「一度止まった」と虚偽の主張をしても、それを即座に論破することが可能です。
②事故現場の目撃者と実況見分調書
映像がない場合や補足が必要な場合は、第三者の証言や警察が作成する書類が重要になります。
実況見分調書(じっきょうけんぶんちょうしょ)とは、警察が事故直後に現場を確認し、当事者の立ち会いのもとで作成する公式な記録です。
- 事故直後のブレーキ痕や破片の飛散状況
- 目撃者による「相手が減速せずに飛び出してきた」という証言
- 当事者がその場で話した供述内容
これらは後から変更することが難しいため、事故直後の警察対応において自身の主張を正確に伝えることが、10対0への第一歩となります。
③防犯カメラ映像の確認
現場付近に設置された防犯カメラや、他車のドライブレコーダー映像も有力な証拠となります。
自身の車にドラレコがなくても、周辺の店舗や住宅のカメラに事故の瞬間が映っている場合があります。
- 交差点付近のコンビニやガソリンスタンドのカメラ
- 付近を走行していたバスやタクシーのドラレコ
- 自治体が設置している街頭防犯カメラ
ただし、これらの映像は保存期間が短く、個人での開示請求は断られるケースが多いです。
弁護士による「弁護士法23条照会(照会権)」を用いることで、スムーズに収集できる可能性が高まります。
まとめ:一時停止無視の事故は証拠次第で10対0を目指せる
一時停止無視の事故において、被害者が10対0の過失割合を勝ち取ることは決して不可能ではありません。
しかし、そのためには「相手の違反」と「自分の無過失」を客観的に証明する緻密な準備が必要です。
保険会社は、営利企業として支払額を抑えるために、機械的に被害者の過失を主張してくることがあります。
専門知識がないまま交渉に臨むと、本来受けるべき賠償金が得られず、泣き寝入りすることになりかねません。
弊所では、これまで交通事故事案の実績1000件超の代表弁護士が、スピードある弁護活動であなたの安心を守ります。










