交通事故に遭い、「むちうち(頸椎捻挫)」やそれに伴う「頭痛」「手のしびれ」といった症状に苦しんでいる被害者の方もいるのではないでしょうか。
治療に専念したい一方で、加害者側の保険会社との煩雑なやり取り、提示される低すぎる慰謝料、治療費の打ち切り打診など、多くの問題に直面し、精神的な負担も増大しがちです。
本記事では、むちうち・頭痛の被害者が交通事故の示談交渉で陥りやすい3つの問題点と、適正な慰謝料・補償を獲得するために弁護士に依頼するメリットなどを解説します。
この記事の監修者
藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介
全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。
交通事故によるむちうち・頭痛の治療と示談交渉で被害者が陥りやすい3つの問題

むちうち(頸椎捻挫)は、外見からは症状が分かりにくいため、加害者側の保険会社から軽視されやすい傾向があります。
ここからは、交通事故によるむちうち・頭痛の治療と示談交渉で被害者が陥りやすい問題を詳しく解説します。
むちうちの治療中に加害者側保険会社から「治療費打ち切り」を打診される
交通事故から3ヶ月~6ヶ月程度が経過した頃、加害者側(任意)保険会社から「これ以上の治療は医学的に不要である」として、一方的に治療費の支払いを打ち切る旨を打診されるケースがあります。
これは、むちうちの場合、症状が改善する目安期間を過ぎると、保険会社が自社の出費を抑えるために行う交渉戦術の一つです。
まだ頭痛や痛みが残っている状態で治療を打ち切られると、被害者の方は治療を自費で継続するか、症状が残ったまま示談しなければならない状況に追い込まれてしまいます。
保険会社から治療費打ち切りを打診されたからといって、必ずしも治療を終える必要はありません。
しかし、自費負担が続けば、治療の継続が困難になり、十分な治療を受けられないまま症状固定となり、結果的に低い慰謝料で解決せざるを得なくなるのです。
打ち切りを打診された場合、まずは主治医の意見を仰ぐことが有力です。主治医から、治療を打ち切るべきでないとの意見やその医学的根拠を指摘してもらうことで、保険会社に対応の継続を求めやすくなります。
提示された慰謝料が相場よりも大幅に低い
治療が一段落し、保険会社から示談案として慰謝料が提示された際、「相場よりも低いのではないか」と感じる被害者は少なくありません。
保険会社が最初に提示してくる慰謝料は、多くの場合、自賠責保険の基準、または自社が独自に定める任意保険の基準に基づいて算出されています。
これらの基準は、裁判所が採用する「弁護士基準(裁判基準)」と比較して、大幅に低く設定されているためです。
とくにむちうち事案では、入通院期間が長期化しやすいため、低額な基準で計算されると、本来得られるべき適正な慰謝料額と数百万円以上の差が生じることもあります。
頭痛やしびれが残っても「後遺障害」として認定されない
治療を継続しても頭痛や手のしびれ、めまいといった症状が残り、症状固定と診断された場合、残存症状を「後遺障害」として認定してもらう必要があります。
症状固定
これ以上治療しても症状の改善が見込めない状態
しかし、むちうち事案は、レントゲンやMRIなどで証拠が出にくいため、認定されやすい「14級9号」であっても、後遺障害として認められないケースが多いのが実情です。
後遺障害として認められない場合、後遺障害慰謝料や将来の逸失利益を一切請求できなくなり、賠償額が大幅に減額されてしまいます。
後遺障害の認定が得られない場合は、症状の存在を裏付ける新しい証拠などを添えて異議申立ての手続を行うことが有効です。むち打ちに伴う神経症状に関しては、症状の推移を詳細に書面化することや、神経学的検査を受けることなどが証拠を得る手段の一例です。
交通事故のむちうち・頭痛で獲得すべき適正な慰謝料相場

被害者が適正な慰謝料を獲得するためには、加害者側の保険会社が提示する金額の裏側にある「慰謝料の算定基準」を正しく理解することが重要です。
等級別の慰謝料額
むちうちや頭痛で認定される可能性が高い後遺障害の等級は、主に「14級9号」と「12級13号」です。
それぞれの等級で弁護士基準(裁判基準)を適用した場合の後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。
| 後遺障害等級 | 症状の目安 | 弁護士基準での慰謝料相場 |
| 14級9号 | むちうちで局部に神経症状が残った場合(最も多い) | 110万円 |
| 12級13号 | むちうちで局部に頑固な神経症状が残った場合(MRIなどで証明できることが多い) | 290万円 |
この金額に加え、入通院期間に応じた入通院慰謝料や、逸失利益(将来の収入減少分)が加算されます。
3つの慰謝料算定基準(自賠責・任意保険・弁護士)の違い
交通事故の慰謝料には、以下の3つの算定基準があり、どの基準で交渉するかによって、最終的に受け取れる慰謝料額が大きく異なります。
| 算定基準 | 適用者 | 特徴と金額水準 |
| 自賠責基準 | 加害者側の自賠責保険 | 最低限の補償を目的とした、最も低い基準。 |
| 任意保険基準 | 加害者側の任意保険会社 | 各社が独自に定める基準。自賠責よりは高いが、弁護士基準よりは低い。 |
| 弁護士基準 (裁判基準) | 被害者側弁護士・裁判所 | 過去の裁判例に基づいて算定される、最も高額な適正基準。 |
たとえば、むちうちで通院期間6ヶ月の場合、入通院慰謝料の相場には以下のとおり大きな差が出ます。
| 通院6ヶ月の入通院慰謝料(軽傷) | 概算額 |
| 自賠責基準 | 約64.2万円 |
| 任意保険基準 | 約77万円~85万円程度 |
| 弁護士基準 | 約89万円~116万円 |
この表からもわかる通り、弁護士基準で交渉することこそが、被害者にとって大きな利益となります。
保険会社は、弁護士が介入しない限り、自ら高額な基準を適用することは絶対にありません。
むちうちで損をしないための弁護士へ依頼するメリット

交通事故のむちうち・頭痛事案で弁護士に依頼することは、単に交渉を任せるだけでなく、金銭的な損失を防ぎ、治療に専念できる環境を確保するための重要な対策です。
ここからは、弁護士へ依頼するメリットを詳しく解説します。
慰謝料を最大化する「弁護士基準」で交渉できる
弁護士に依頼するメリットは、裁判所も認める高額な算定基準である「弁護士基準(裁判基準)」を用いて、加害者側の保険会社と交渉できる点です。
被害者本人が弁護士基準を主張しても、保険会社は「社内規定により難しい」などとして取り合わないことがほとんどです。
しかし、弁護士が正当な請求として交渉に臨めば、保険会社は訴訟リスクを避けるため、提示額を大幅に引き上げざるを得なくなります。
保険会社からの治療費打ち切り交渉を阻止し、治療を継続できる
保険会社から治療費打ち切りの打診があった場合でも、弁護士が介入すれば、打ち切り時期の延長や治療の必要性を医学的・法的に主張し、支払いの継続を実現できる可能性が高まります。
たとえ最終的に打ち切りとなったとしても、弁護士は治療の必要性を証明するための資料を適切に収集してくれます。
自費で立て替えた治療費を、示談交渉の際に全額請求できるようサポートしてくれるため、被害者の方は費用を気にせず、必要な治療を継続することが可能です。
煩雑な後遺障害等級認定手続きをサポートできる
むちうち事案で後遺障害(14級や12級)の認定を受けるためには、適切な時期に「症状固定」の診断を受け、認定に必要な証拠(検査結果、医師の意見書など)を網羅した資料を提出しなければなりません。
弁護士は、単に書類を作成するだけでなく、以下の点で被害者をサポートしてくれるのがメリットです。
- 医師との連携: 症状を正確に伝え、認定に必要な検査や診断書(後遺障害診断書)を作成してもらえるようサポートします。
- 異議申立て: 一度非該当となっても、提出資料の不足や誤りを見つけ出し、異議申立て手続きを行うことで、等級が認定される可能性を高めます。
- 審査のポイント: 症状の一貫性や、神経学的所見の有無など、審査のポイントを押さえた資料準備を主導し、認定の確率を最大限に高めます。
まとめ
交通事故によるむちうち・頭痛の被害者が、加害者側の保険会社と対等に交渉し、適正な賠償金を獲得するためには、弁護士の存在が必要です。
保険会社が提示する金額を鵜呑みにせず、治療費打ち切りや後遺障害の非該当といった被害者にとって不利な状況に陥る前に、経験豊富な弁護士に相談しサポートを受けるべきです。
当事務所は、むちうち事案における適正な慰謝料獲得、治療の継続、後遺障害認定手続きなど、被害者の方の権利を全力で守ります。
現在の状況に少しでも不安や疑問を感じたら、ぜひ一度ご相談ください。











