40代や50代といった長年連れ添った夫婦の間で、「最近パートナーの様子が変わった」「まさか熟年で不倫なんてあるの?」と疑問や不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
熟年不倫は、信頼関係が築かれているからこそ裏切られたときの衝撃が大きく、精神的ダメージや離婚問題へと発展しやすいのが特徴です。そのため、冷静に状況を把握し、慰謝料や今後の生活設計も含めた正しい対応を取ることが重要です。
本記事では、熟年不倫がなぜ起こるのかという背景から、発覚したときの具体的な対処法、慰謝料請求や離婚に関するポイントまで、わかりやすく解説していきます。
藤垣法律事務所では、離婚・男女問題に精通した弁護士が在籍しており、迅速対応により最適な解決方法をご提案いたします。下記からぜひご相談ください。
この記事の監修者

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介
全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。
熟年不倫とは

熟年不倫とは、主に40代や50代以降の夫婦の間で起こる不倫のことを指します。長年連れ添った関係において、一見すると落ち着いた生活を送っているように見える年代でも、不倫問題は決して珍しくありません。
むしろ、夫婦の歴史が長いからこそ生じる心のすれ違いや、老後への不安、自由に使える時間やお金の増加などがきっかけとなり、不倫に発展するケースが見られます。
熟年不倫は、夫婦間の信頼関係を大きく揺るがすだけでなく、発覚した場合には離婚や慰謝料請求、さらには老後の生活設計まで影響を及ぼす深刻な問題です。
そのため「ただの浮気」と軽視できず、当事者にとっては人生の大きな分岐点になるでしょう。
概ね40代以上の熟年不倫は、不倫関係全体の中でも非常に多くの割合を占めている印象です。少なくとも半分以上の不倫関係は、当事者の一方又は双方が熟年層にあるでしょうか。
なぜ熟年不倫が起きるのか?

熟年不倫は、偶発的に起こるものではなく、多くの場合夫婦関係の長い年月やライフスタイルの変化に深く結びついています。主な原因は以下の通りです。
- 長年の夫婦関係による心のすれ違い
- 家庭内での役割からの解放と寂しさ
- 性的欲求が抑えられなかった
- お金と時間に余裕が有り余ってる
詳しく解説します。
長年の夫婦関係による心のすれ違い
長い結婚生活の中では、日常の繰り返しや役割分担が定着する一方で、相手への感謝や関心が薄れてしまうことがあります。
お互いが「言わなくても分かるだろう」と考え、会話やスキンシップが減少していくと、心の距離は徐々に広がっていきます。
特に子育てや仕事に追われてきた世代では、夫婦間のコミュニケーション不足が慢性化しやすく、その結果「自分を理解してくれる相手が欲しい」と外に心の拠り所を求めてしまうのです。
こうした小さなすれ違いが積み重なり、気づけば不倫という形で現れるケースは決して珍しくありません。熟年不倫の背景には、このような長年の心の溝が深く関係しているのです。
家庭内での役割からの解放と寂しさ
子育てや仕事に追われていた時期を終えると、多くの人は一気に自由な時間を得ます。
しかし、役割から解放された安堵感と同時に「自分はこれからどう生きていくのか」という空虚感や寂しさに直面することがあります。
特に専業主婦や家庭を中心に生活してきた人にとって、子どもが独立した後の生活は孤独を感じやすい時期です。
また、仕事一筋で過ごしてきた人も、退職後に家庭内での存在感を見失うことがあります。
その寂しさを埋めるために、外部で新しい人間関係や恋愛を求め、不倫に発展してしまうのです。
役割から解放された後の人生において、寂しさと向き合う姿勢が試される時期といえるでしょう。
性的欲求が抑えられなかった
熟年期になると性的欲求は減少すると考える人も多いですが、実際には個人差が大きく、年齢を重ねても性的欲求が強い人は少なくありません。
しかし、夫婦間で性に関する会話が減ったり、相手の健康状態や気持ちの変化によって性生活が減少することがあります。
その結果、満たされない欲求を外に求めてしまうことが不倫のきっかけになるのです。
また「まだ自分は異性として求められる存在なのか」といった自己確認の欲求も絡み合い、不倫関係に進む場合があります。
性的欲求の問題は、夫婦間でオープンに話し合うことが難しいテーマであるため、問題が見過ごされやすく、それが熟年不倫を引き起こす大きな原因となるのです。
お金と時間に余裕が有り余ってる
熟年期になると、子育てが一段落し経済的に安定している家庭も増えます。さらに、定年まで働き続ける人も多い世代であり、若い頃に比べて可処分所得が高いケースも少なくありません。
お金と時間に余裕が生まれると、趣味や交友関係を広げやすくなり、新しい出会いが生じる機会も増加します。その環境が不倫関係を後押しするのです。
旅行や外食などの活動に積極的になり、同世代や年下との交流を通じて親密な関係に発展するケースも多くあります。
経済的・時間的な余裕は本来ならば夫婦の関係を深めるために使えるものですが、方向を誤ると不倫というリスクに直結する要因となるのです。
熟年不倫が発覚したときの対処法

熟年不倫が発覚したときの対処法は、主に以下の通りです。
- 感情的にならず冷静に状況を整理する
- パートナーと話し合い今後の意思を確認する
- 離婚・慰謝料・再構築などの選択肢を検討する
- 弁護士やカウンセラーなど専門家に相談する
詳しく解説します。
感情的にならず冷静に状況を整理する
不倫が発覚した瞬間、多くの人は怒りや悲しみに襲われ、感情的に相手を責めてしまいがちです。
しかし、その場の感情に任せて行動すると、証拠を逃したり、今後の話し合いを不利に進めてしまう可能性があります。
まずは深呼吸をして心を落ち着け、事実関係を整理することが最優先です。
たとえば、どのような証拠があるのか、相手との関係がどの程度続いていたのかを把握することは、今後の行動方針を決めるうえで重要です。
冷静に状況を見極めることで、後々の離婚や慰謝料請求、関係修復といった選択肢を考える際に、感情に左右されない判断が可能になります。
冷静さを保つことが、熟年不倫問題に対処する第一歩といえるでしょう。
パートナーと話し合い今後の意思を確認する
熟年不倫が明らかになった後は、避けて通れないのがパートナーとの話し合いです。
長年築いてきた関係をどうするのか、互いにどのような未来を望むのかを確認する必要があります。
ただ一方的に責めるだけでは解決にはつながりません。相手の本音を聞くことで、不倫の背景や動機を理解できることもあります。
もちろん、納得できない部分や許せない感情も出てくるでしょう。しかし、離婚や再構築といった大きな決断をする前に、お互いの意思を冷静に確認し合うことが欠かせません。
この話し合いの過程が、今後の選択における土台となります。誠実なコミュニケーションが、熟年不倫問題に立ち向かう鍵となるのです。
離婚・慰謝料・再構築などの選択肢を検討する
不倫が発覚した後に考えなければならないのは、自分がどの道を選ぶのかという点です。
選択肢としては、離婚して新たな人生を歩む、慰謝料を請求して責任を追及する、あるいは夫婦関係を再構築してやり直すといったものがあります。
それぞれにメリットとデメリットがあり、年齢や経済状況、家族関係などによって最適な答えは変わります。
たとえば、離婚を選ぶ場合は老後の生活資金や住居の問題が浮上します。一方で再構築を選ぶなら、信頼を取り戻すための努力が必要です。
どの道を選ぶにしても、将来を見据えて慎重に判断することが大切です。感情だけに流されず、現実的な視点を持って選択肢を検討する姿勢が求められるでしょう。
弁護士やカウンセラーなど専門家に相談する
熟年不倫問題は、個人だけで抱えるには大きすぎるものです。感情的にも精神的にも大きな負担となるため、専門家のサポートを得ることが有効です。
弁護士に相談すれば、慰謝料請求や離婚手続きについて具体的なアドバイスを受けられます。
また、夫婦関係を修復したいと考える場合には、カウンセラーに相談して心の整理をしたり、夫婦でカウンセリングを受けることで建設的な対話が可能になることもあります。
第三者の客観的な視点を取り入れることで、自分の気持ちを整理し、適切な判断を下せるようになるでしょう。
専門家に相談することは、熟年不倫問題を冷静かつ前向きに解決へ導くための大切な一歩なのです。
熟年不倫で離婚する場合に生じる問題
熟年不倫が原因で離婚を選択する場合、若い世代とは異なる特有の問題が発生します。
特に老後の生活資金や年金といった経済的側面、子どもや家族への影響、そして孤独感や生活環境の変化といった精神的な側面は大きな課題です。
老後の生活資金や年金分割に関する不安
熟年離婚で最も大きな不安材料となるのが、老後の生活資金です。
長年の夫婦生活の中で積み重ねてきた貯蓄や年金は、離婚後に分割されることになります。
特に専業主婦として過ごしてきた場合、自身の年金額が少なく、生活資金をどのように確保するかが大きな課題となるでしょう。
年金分割制度を利用することで一定の保障を得ることは可能ですが、それでも生活費をまかなうには十分でないケースもあります。
そのため、離婚後の生活設計を具体的に考え、必要に応じて働き方を見直すことが求められます。
熟年離婚では経済的な基盤をいかに確立するかが、安定した老後を送るための最大のポイントとなるのです。
熟年離婚の場合、一方だけしか把握していない財産があるケースも少なくない点には注意したいところです。また、年金分割は専業主婦(主夫)の場合には合意できなくても一方的に行えるケースがあるため、取り得る手段を十分に確認しましょう。
子どもや家族との関係への影響
熟年離婚は夫婦だけの問題にとどまらず、子どもや家族にも大きな影響を及ぼします。
子どもが成人している場合でも、親の離婚にショックを受けたり、家族関係がぎくしゃくしたりすることがあります。
また、孫がいる場合には、祖父母としての役割や関わり方にも変化が生じるでしょう。
さらに、親戚や近所との人間関係にも波紋が広がることがあります。
長年築いてきた家族の絆が揺らぐことは、精神的にも大きな負担となります。
そのため、離婚を決断する際には、家族や子どもへの影響も考慮し、必要であれば丁寧に話し合うことが大切です。家族全体の関係性を視野に入れた判断が求められるでしょう。
精神的な孤独や生活環境の変化への対応
熟年離婚後に直面しやすい問題のひとつが、精神的な孤独です。長年連れ添ったパートナーとの生活が突然なくなることで、生活のリズムや精神的な支えを失うことになります。
さらに、住居の移転や生活スタイルの変化が重なると、強いストレスや不安を感じることもあります。
特に定年後に離婚する場合は、新しい人間関係を築く機会が少なく、孤独感が深まりやすいのが特徴です。
そのため、趣味や地域活動に参加するなど、積極的に社会と関わりを持つ工夫が必要です。
孤独に押し潰されないためには、自分なりの新しい生き方を模索し、前向きに変化を受け入れる姿勢が求められます。
まとめ|熟年不倫とどう向き合うかは自分次第
熟年不倫は、長年築いてきた信頼関係を大きく揺るがす出来事であり、その後の人生設計にも直結する問題となります。
しかし、感情的に振り回されるのではなく、冷静に状況を把握し、自分にとって最適な選択をすることが何よりも大切です。
離婚を選ぶのか、関係を修復するのか、慰謝料請求でけじめをつけるのかなど、答えは人それぞれです。
自分の気持ちを大切にしつつ、現実を見据えて判断することが必要となるでしょう。
藤垣法律事務所では、離婚・男女問題に精通した弁護士が在籍しており、迅速対応により最適な解決方法をご提案いたします。下記からぜひご相談ください。