児童買春事件は弁護士に相談|逮捕・不起訴の可能性、示談のメリットや示談金額などを徹底網羅

このページでは,児童買春事件で弁護士に依頼すべきかお悩みの方へ,重要ポイントを紹介します。逮捕や不起訴、示談に関する注意点も詳細に解説しているので、弁護士への依頼を検討する際の参考にご活用ください。

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目次

児童買春事件で逮捕される可能性

児童買春事件は,捜査に際して逮捕される可能性が十分に考えられる事件類型です。逮捕をされるケース,されないケースはいずれもありますが,逮捕の可能性が高くなりやすい要因や,逮捕されやすい場合の特徴としては,以下のような点が挙げられます。

逮捕の可能性が高まる要因

1.児童への悪影響を防ぐため

2.今後の事件発生を防ぐため

【1.児童への悪影響を防ぐため】

児童買春事件の場合,同一の児童と複数回に渡って行為が行われるケースも少なくありません。そのため,児童が多数の児童買春事件に関与した結果,児童の性風俗の乱れが深刻化する可能性が懸念されやすく,これを防ぐために逮捕がなされる場合が考えられます。

また,児童自身が児童買春事件の重要な証拠であるため,児童に圧力をかけるなどして口止めを図ろうとする可能性が懸念される場合もあります。児童が証拠隠滅行為による被害を受けることのないよう,逮捕によって当事者間の接触を防ぐことが考えられます。

【2.今後の事件発生を防ぐため】

児童買春事件では,複数の児童を相手に多数回の行為が行われる場合も少なくありません。そのため,今後,他の児童を相手に児童買春事件が起きることを防ぐ目的で逮捕がなされる可能性が考えられます。

そのほか,逮捕されやすいケースの例としては,以下のような場合が挙げられます。

逮捕されやすいケース

1.児童の年齢が低い場合
→年齢が低いほど逮捕リスクが高い

2.多数の余罪が見込まれる場合
→余罪の数が際立っていると,逮捕リスクが高い

3.被疑者が罪証隠滅を図った場合
→児童と口裏合わせを試みたり,物証を処分したりしている場合,逮捕リスクが高い

児童買春事件で逮捕を避ける方法

①当事者間での解決

児童買春事件は,当事者間で既に解決している場合,その後に捜査が開始されることは現実的に考えづらいです。そして,捜査が行われない限り,捜査上の手続の一つである逮捕も行われないため,当事者間での解決は逮捕を防ぐための有力な手段と言えます。

当事者間で速やかに解決する余地がある場合には,積極的に解決を目指すことが有益でしょう。

②自首

被疑者が積極的に自首を行った場合,逮捕の必要性は低いと評価されることが通常です。自首は,自ら捜査機関に犯罪事実を明らかにする行為であって,自分から犯罪を告げてきた被疑者が逃亡や証拠隠滅を図るとは考え難いためです。

自首を行うことができるのは,児童買春事件について捜査を受ける前の段階に限られますが,自首の余地がある場合には逮捕回避の有力な手段として検討することが望ましいでしょう。

③適切な捜査対応

既に捜査機関から呼び出されるなどし,捜査が継続されている場合には,その捜査への対応を適切に行うことで,逮捕を避けられる可能性が高まります。

児童買春事件の場合,逮捕せずに捜査が進められている状況下では,被疑者の捜査対応に問題がない限り逮捕しないまま捜査を遂げてもよいと考えられていることが通常です。呼び出しには確実に応じ,取調べにも可能な限りの回答をするなど,円滑な捜査への協力姿勢を明らかにすることで,逮捕のリスクは低下しやすい状況と言えるでしょう。

児童買春事件で不起訴になる可能性

児童買春事件は,犯罪事実が明らかであれば,起訴をする方が一般的です。初犯であるから,反省しているからという理由で不起訴処分となることはあまりないでしょう。
特に,児童買春事件で起訴されやすい場合としては,以下のような例が挙げられます。

児童買春事件で起訴されやすいケース

1.児童の年齢が低い場合
→年齢が低ければ低いほど,刑事責任が重く,起訴されやすい

2.児童を強く唆した場合
→児童の自発的な判断でなく,児童を強く唆した事件の場合,責任が重く起訴されやすい

3.件数・回数が多い場合
→相手となった児童の数や児童買春の回数が多いほど,責任が重く起訴されやすい

4.児童の親権者が起訴を望む場合
→親権者の意向を酌む形で起訴されやすい

児童買春事件で不起訴を目指す場合には,不起訴を目指す積極的な動きが必要となります。この点,事後的に動かせる事情は,児童の親権者が起訴を望むかどうか,という点です。そのため,児童側との示談によって,起訴を望まないとの意向を獲得することが有力になりやすいでしょう。

児童買春と示談

児童買春事件における示談と不起訴の関係

児童買春は,児童(=18歳未満の男女)に対して金銭などの対価を渡す代わりに,性的な行為をしてもらうことを言います。これは,判断能力が成熟していない児童のスキに付け込んで性的な関係に引きずり込むという問題があるため,犯罪として禁じられ,処罰の対象とされています。

この児童買春事件は,児童を相手とするもので,児童が安易に性的な行為に走ってしまうという不利益を負わせるものであるため,児童に被害を及ぼす事件であることは間違いありません。したがって,児童買春事件において示談を行うことは非常に重要な動きとなります。
示談が成立すれば,児童買春事件の処分は大きく軽減されるでしょう。

しかしながら,児童買春の事件は示談をしても不起訴に直結するとは限りません。これは,児童買春事件の「保護法益」が複数あり,示談だけではそのすべてを手当てできないためです。

窃盗や痴漢といった事件は,被害者個人の利益のみが保護法益とされます。この個人の利益は,侵害された本人が許せば埋め合わせられるものであるため,示談ができ,被害者本人が法益の侵害を許すことで,十分な回復が可能です。

しかし,児童買春事件の場合,この個人の利益のみでなく,児童が健全に成長できるため,社会から性的搾取や性的虐待を防ぐという社会全体の利益も保護の対象としています。児童個人が許したとしても,社会全体の利益を害したことへの処罰は必要なままであるため,示談=不起訴とはならないのです。

児童買春事件の保護法益

児童個人の利益(個人的法益)
性的搾取のない社会を守る利益(社会的法益)

児童との示談で責任が軽減するのは「個人的法益」の面のみ

児童買春事件で示談するメリット

児童買春事件で示談をすることには数多くのメリットがあるということができます。具体的には以下の各点が挙げられるでしょう。

①刑事処分の軽減

児童買春事件において示談をしても不起訴とは限らない,ということは,決して示談が刑事処分を軽減する効果を生まないという意味ではありません。示談ができれば,刑事処分は非常に大きく軽減することになります

これは,示談によって児童個人の利益(個人的法益)を害したことへの刑事責任を負わせる必要がほぼなくなるためです。これは,刑事責任の重さを考慮する上で無視することのできないものです。
児童買春に社会的法益を守る側面があると言っても,個別の事件で問題になるのはその児童であることに変わりはないため,示談が評価されて不起訴処分に至るケースは現実に数多く存在します。

裏を返せば,この個人的法益に対する刑事責任を軽減させる手段は,示談以外にありません。示談以上に刑事責任を軽減させられる行動も現実的には存在しないため,示談の持つ意味は極めて大きいと考えるべきでしょう。

②逮捕の防止

示談が成立した児童買春事件は,その後に逮捕される可能性が極めて小さくなります。

児童買春事件の場合,捜査を行う際に逮捕を伴うことは少なくありません。逮捕は,逃亡や証拠隠滅を防ぐ目的で行われますが,児童買春事件では加害者が児童に連絡を取る手段を持っていることが多く,加害者と児童との接触を防ぐために逮捕される場合があります。
また,事件類型的に余罪が多い傾向にあり,児童ポルノ画像,映像を所持している場合も少なくないため,これらの証拠隠滅を防ぐ目的も兼ねて,逮捕の上で捜査することが一定数見られます。

しかしながら,児童買春事件について示談が成立した場合,少なくともその事件で逮捕をする必要はほとんどなくなります。示談が成立している以上,加害者が児童に何らかの損害を与える見込みがないためです。
また,余罪のみを理由とした逮捕は法的に認められないため,余罪の具体的な疑いや証拠がなければ,余罪が逮捕につながることもありません。

そのため,児童買春事件では,逮捕されず在宅捜査されている段階で示談を目指すことが非常に有力と言えるでしょう。

③逮捕後の早期釈放

児童買春事件で逮捕されてしまった場合,示談が成立すれば早期に釈放される可能性が非常に高くなります。
示談が成立する場合,加害者は児童に謝罪や支払などの誠意を尽くしていることが明らかであるので,釈放しても不利益につながる見込みがないためです。

特に,捜査機関に対して犯罪事実を認めている状況だと,あわせて示談が成立することで早期釈放の可能性は飛躍的に高まると言えるでしょう。認め事件で逮捕勾留されてしまった場合には,迅速に示談を目指すことが非常に重要です。

ポイント 示談のメリット
処分軽減
逮捕防止
早期釈放

児童買春事件で示談をする方法

児童買春事件の場合,児童と直接連絡を取る手段があれば,児童に連絡を試みる手段も思い浮かぶかもしれません。しかし,自分で児童と直接連絡を取って示談を目指すことは適切ではありません。
その具体的な理由としては,以下の点が挙げられます。

当事者同士で示談の連絡を試みるべきでない理由

1.児童本人に示談をする能力がない
→親権者に無断で行った示談は取り消される可能性がある

2.児童に対する脅迫や強要を疑われる可能性がある
→親権者に発覚した際,脅迫や強要の疑いを晴らす手段がない

3.逮捕のリスクが高くなる恐れがある
→児童への働きかけによる証拠隠滅を疑われかねない

以上の通り,当事者同士で示談の連絡を試みることは,示談の効力そのものに問題があるのみならず,自ら逮捕の危険を招く結果になる可能性すらある不適切な行為です。

示談を目指す場合は,捜査されている状況かどうかによって,以下のいずれかの方法を取るのが適切です。

適切な示談の試み方

1.捜査されていない場合
→①弁護士から児童側に連絡を取ってもらう
→②警察に出頭(自首)した後,弁護士から捜査機関に連絡を取ってもらう

2.捜査されている状況の場合
→弁護士から捜査機関の担当者に連絡を取ってもらう

いずれの場合も,弁護士を窓口にして連絡を行うことが肝要です。弁護士であれば,脅迫や強要による証拠隠滅行為をすることはないと理解してもらえるため,示談交渉が円滑に進められます。
なお,捜査機関に連絡を入れる場合の示談交渉に至る流れは以下の通りです。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

児童買春事件の示談金相場

児童買春事件の場合,30万円前後が示談金額の目安にされることが多く見られます。刑事事件の示談は加害者側が譲歩しやすいことを考慮しても,あまりに悪質な手口で児童買春に誘い込んでいる場合を除き,30~50万円ほどでの合意が相場とされやすいでしょう。

個別の示談金額は,事件の内容や双方の意向によって左右されますが,金額を増減させやすい事情としては,以下の点が挙げられます。

示談金額を増減させる事情

1.児童買春に至る経緯
→児童を執拗に誘うなど,意思決定に強い影響を与えている場合には増額されやすい

2.性行為の内容
→児童が希望しない行為をさせた場合には増額されやすい

3.頻度・回数
→頻度が高く,回数が多いほど増額されやすい

4.児童への悪影響
→生活の乱れや精神疾患につながっている場合は増額されやすい

児童買春事件の示談内容・条項

①一般的な示談条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。当事者間には,加害者が児童へ損害賠償を支払う義務が生じる可能性もありますが,清算条項を設けることによってその点が紛争化することも予防できます。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項とは,被害者が加害者を許す,という意味の条項です。
示談が刑事処分に有利な影響を及ぼすのは,基本的にこの宥恕条項があるためです。被害者が加害者を許している,という事実が,刑事処分を劇的に軽減させる要素となります。

②児童買春事件で特に定めやすい条項

【連絡先や連絡方法の消去】

今後当事者間で連絡を取ることがないよう,連絡先や連絡に用いていたSNSアカウントなどを消去することがあります。SNSアカウントに関しては,再作成も不可能ではないため,アカウントの再作成をしないという約束を取り交わすケースもあり得ます。

【接触禁止】

当事者間で連絡を取らないことをより確かにするため,連絡等の接触を禁止する旨を明記することがあります。
接触しないことをより強く約束する場合には,約束に反した場合に違約金を支払うという約束をすることもあります。

【口外禁止】

児童売春の事実は,加害者はもちろん児童にとっても流出を防ぎたい情報であることが通常です。そのため,口外の禁止を児童側から求められる場合も考えられます。
口外禁止条項を設ける場合は,双方に口外を禁止することが一般的です。

児童買春事件の示談で注意すべきこと

①捜査されていない段階で示談を試みるか

児童買春事件が捜査されていない段階では,自分から積極的にアクションを取らなければ示談交渉の開始自体が困難です。具体的には,以下のような方法が挙げられます。

捜査されていない段階で示談交渉の開始を目指す方法

1.弁護士から児童側に連絡を取ってもらう
2.警察に出頭(自首)した後,弁護士から捜査機関に連絡を取ってもらう

しかしながら,これらの手段は,自分から事件の捜査・処分を招く結果になるリスクがあります。つまり,「動かなければ捜査されなかったのに,動いたばかりに捜査・処分の対象になってしまった」という結果になる可能性があるのです。

円滑に示談ができれば,刑事処罰を受けずに済む可能性は高くなりやすいですが,示談が不成立に終わった場合には問題が大きくなります。処分を防ぐために動いたにもかかわらず,動いたことでかえって処罰を受けてしまうことも否定できないのです。

そのため,捜査されていない状況で児童側との示談を検討する場合には,勢いに任せた判断を避け,刑事事件に強い弁護士への十分な相談を尽くすようにしましょう。

②余罪がある場合にどこまで示談が必要か

児童買春事件は,一人を相手に1件だけ行った,という場合よりも,複数人を相手に複数回行った,という場合の方が多い傾向にあります。つまり,児童買春事件は余罪が多くなりやすい事件類型ということができます。
そして,余罪がある場合には,その余罪について示談をするべきなのか,余罪がいくつかあればどの件を示談すべきなのか,という点が重要な問題になります。

この点,結論的には,「捜査の対象となった件について,そのすべてを示談する」のが最も適切でしょう
余罪の中には,具体的な捜査・処分の対象とされる件とそうでない件があります。その違いは,主に「児童(又は親権者)が警察に捜査を求めているか」によって区別されるのが一般的です。言い換えれば,児童側が捜査を求めたときに,それをきっかけにして捜査が行われる傾向にあります

具体的な捜査の対象となった事件は,すべて起訴される可能性があり,起訴されれば刑罰を受ける(=前科が付く)結果となってしまいます。そして,捜査されている件が複数ある場合,ある事件で示談をしても他の事件の処分には影響を及ぼしません。示談をした児童は,他の事件に関しては他人でしかないためです。

そのため,「捜査の対象となった件について,そのすべてを示談する」べきということになるのです。
逆に,具体的な捜査の対象となっていない件については,示談をすることに不利益こそありませんがメリットもないため,積極的に示談を試みる対象とする実益はないでしょう。児童側で問題になっていない以上,こちらから問題として蒸し返す必要がないとも言えます。

③親権者が強い悪感情を持っていないか

児童買春事件の場合,示談交渉の相手は親権者になるのが通常ですが,親権者の対応は個別のケースによって様々です。代表的には,以下のような場合が多く見られます。

示談相手となる親権者の対応

.児童側にも大きな問題があったと考えている
2.内容次第では円滑な解決を想定している
3.児童を唆して性的行為に至ったことを強く憤っている

親権者の感情としては,「1」が最も穏やかであり,「3」が最も強い悪感情であるということになりますが,具体的なケースがいずれに当たるかは連絡を試みてみなければわかりません。
場合によっては,親権者が児童から問題の断片だけしか聞き取っていない場合もあり,そのために強い憤りを示されることも少なくありません。

児童買春事件は,児童の了承を得て性的行為に及ぶものであるため,「お互い様」という面があると考えることも不可能ではありません。しかし,示談を試みる場合には,「お互い様」発想を親権者も持っているとは限らないということを十分に想定しておくことをお勧めします。

児童買春事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕直後

児童買春事件では,捜査に際して逮捕されるケースも少なくありません。しかし一方で,逮捕された児童買春事件で早期釈放がなされるケースも決して少なくはありません。
そのため,児童買春事件で逮捕された場合,その直後に適切な弁護士への依頼をすることによって,早期釈放につながる可能性も十分に考えられるでしょう。

もちろん,早期釈放が困難な児童買春事件も少なからずあるところです。ただ,今回の事件は早期釈放が可能か困難か,その理由は何か,という点を把握することができるのも,逮捕直後に弁護士を選ぶことの重要な利点と言えるでしょう。

ポイント
児童買春事件は,早期釈放が可能なケースも考えられる

②出頭を求められた後

児童買春事件で警察等から出頭を求められた場合,取調べ目的であることが見込まれます。取調室で事件の内容等を聴取し,供述調書という書面にまとめることが,呼び出しの目的であることが通常でしょう。
この点,取調べに際してどのような回答をすべきか,留意すべき点はあるか,といった問題は,個別の事件によって正解が異なりますが,今回の事件での正解を知るためには,専門家である弁護士の判断が不可欠です。事件の争点を法的に整理し,争点との関係で適切な対応を尽くすことが重要となるためです。
特に,児童買春事件で争点となりやすい特徴的なポイントもあるため,それらを押さえておくことでその後の対応が格段に行いやすくなる場合も少なくありません。

出頭を求められた段階は,その後の取調べ対応を万全なものとするため,適切な弁護士選びを行うべきタイミングと言えるでしょう。

ポイント
取り調べの対応方針は,弁護士の判断が適切

③起訴された後

児童買春事件で起訴される場合,「公判請求」と「略式請求」の二通りの方法があります。公判請求は,公開の裁判を行う手続,略式請求は公開の裁判を省略する手続ですが,一般的には略式手続の方が軽微な事件で用いられます。略式請求の場合,罰金刑を超える処分はできないため,罰金刑に収まる事件であることも必要です。

公判請求と略式請求

公判請求
→公開の裁判を行う。略式の場合よりも刑事責任が重いケース

略式請求
→公開の裁判を省略する。罰金刑にとどまるケース

この点,略式請求であれば書面の手続のみで終了しますが,公判請求の場合には公開の裁判を受ける準備が必要となります。公開の裁判でどのような対応を取るかは,刑事処分の結果を左右する重要なものであるため,その準備は弁護士に依頼して十分に行うことが適切です。
そのため,公判請求をされた場合には,公判の準備のため適切な弁護士を選ぶべきタイミングと言えます。

ポイント
公判請求された場合,裁判の準備が必要となる

④自首を試みるとき

児童買春事件は,事件の性質上,児童との間で秘密裏に行われることから,事件の発生から捜査機関の発覚までに相当程度の期間を要することが少なくありません。そのため,捜査機関に事件が発覚する前に自首をすることで,大きな不利益を回避できる場合もあります。
もっとも,自首をするべきかどうか,する場合にどのような方法で進めるか,という点は,当事者の方には判断が困難な問題であり,専門的な検討が不可欠です。

そのため,自首を試みるときには,専門性のある弁護士に依頼をし,弁護士の意見を仰ぎながら進めることが適切です。自首の検討をご希望のときは,弁護士選びを十分に行うことをお勧めします。

ポイント
事件の発生から発覚までに時間がかかりやすい
事件発覚前に自首することが有益な場合も

児童買春事件の弁護士を選ぶ基準

①児童買春事件の特徴を把握しているか

児童買春事件は,弁護士にとって意識すべき特徴が複数あります。これらの特徴を把握し,具体的な弁護活動や依頼者への案内に反映させられることは,弁護士にとって重要な能力と言えるでしょう。

児童買春事件の弁護活動における特徴

1.親権者の位置づけ
→児童は未成年であるため,児童側と示談などの接触を試みる場合には,法的には親権者を相手にする必要があります。もっとも,刑事事件の解決という限度では,児童自身との間で解決を図る方が適切なケースもあります。

2.示談の効果
→児童買春事件は,示談をしたとしても刑事処罰を受けないとは限りません。そのため,示談をしてもなお刑罰を受ける結果となる可能性には留意が必要です。

3.余罪の取り扱い
→同種の余罪がある場合,捜査機関に対してどのように述べるか,余罪の解決をどのように図るか,という点は,個別の事件により大きく異なります。

弁護士選びに際しては,児童買春事件の特徴を適切に把握しているかどうか,という点を重要な基準とすることをお勧めします。

②迅速な対応ができるか

児童買春事件の弁護活動は,動きが迅速であることが極めて重要となる場合が少なくありません。時間制限のある身柄事件はもちろん,円滑な児童側との示談に際しても,条件をすり合わせる弁護士のフットワークが大きな役割を果たしやすい傾向にあります。

もっとも,動きの迅速さは完全に個々の弁護士の判断に委ねられているのが現状です。迅速な対応をしてもらえるかどうかは弁護士次第,ということになってしまいます。
そのため,弁護士を選ぶ際には,その弁護士が迅速に動いてくれるタイプであるかどうか,という点を重視するのが有益でしょう。

③弁護士と円滑に連絡が取れるか

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士と円滑に連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

④児童買春事件の示談に長けているか

児童買春事件の示談は,傷害事件や窃盗事件などの一般的な示談とは異なる面があります。それは,示談相手である児童が一方的な被害者とは言いづらい,という点です。
児童買春は,少なくとも当事者同士は合意をして行われたものであるため,被害者の意思に反して殴られた,盗まれたという事件とはいささか性質が異なるというわけです。

もっとも,児童が合意したことを理由に,児童側に対してある程度強気に出てよいかというと,そうではありません。そのような態度は,示談の成立を遠ざける意味しか持たないのが通常です。そもそも,児童の合意があっても犯罪行為であることに変わりはないため,児童が合意したという事実を示談の場に持ち出して交渉材料とするのは法的にも不合理でしょう。

弁護士選びに際しては,このような児童買春事件の特徴を踏まえ,円滑に示談の成立を引き出せる弁護士への依頼をお勧めします。

児童買春事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①余罪によって見通しが変わる可能性

刑事事件の取り扱いや処分は,対象となる事件の数によって異なることが一般的です。処分すべき事件が多ければ,それだけ捜査は長期間かかり,処分も事件の数に比例して重くなることが見込まれやすくなります。

余罪は,そのすべてが捜査や処分の対象となるわけではありませんが,児童買春事件の場合,芋づる式に複数の事件が捜査されることも多い傾向にある事件類型と言えます。そのため,児童買春事件の見通しは余罪によって変わり得る,という点に注意することが望ましいでしょう。

②身柄事件のスケジュール

逮捕などの身柄拘束を伴う事件を,身柄事件と呼びます。この身柄事件は,法律で定められた期間制限の中で処理する必要があるため,厳密なスケジュールがあることに注意することが望ましいでしょう。

逮捕をされると,最大72時間以内に「勾留」という手続に移行するかが判断されます。勾留されると,引き続き10日間の身柄拘束が行われ,更に「勾留延長」がなされると勾留が最大10日間延長となります。

逮捕から起訴までの流れ

裏を返すと,逮捕から最長22~23日ほどの間に捜査が終結し,起訴又は不起訴の判断が行われることになります。そのため,不起訴を目指すための弁護士選びは,このスケジュールを念頭に,極力早期に進めることが必要です。

③年齢に関する争点の重要性

児童買春事件は,児童(=18歳未満の男女)を相手とした事件です。一方,18歳以上を相手に同様の行為をした場合,売春防止法で禁じられる違法な行為である可能性は高いものの,罰則の対象ではないため犯罪とはならないのが一般的です。そのため,相手が18歳未満であることは,犯罪が成立するかどうかという点で非常に重要なポイントになります。

具体的には,以下のような問題が生じ得るところです。

児童買春事件で年齢が問題になるケース

1.相手の年齢が実際に18歳未満でない可能性がある場合

2.相手の年齢が18歳以上だと信じていた場合

児童買春事件の場合,年齢に関する争点は極めて重大なものとなるため,年齢が争点となる場合には弁護士の専門的な判断を仰ぐことを強くお勧めします。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

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