痴漢事件は、初犯であっても必ず軽い処分で終わるとは限りません。行為の内容や状況によっては、罰金で済むケースもあれば、刑事裁判に進み、前科が付く可能性が生じることもあります。
特に実務では、迷惑防止条例違反として扱われるのか、不同意わいせつ罪として評価されるのかによって、処分の見通しが大きく変わります。また、示談の有無や初動対応次第で、不起訴となるかどうかが左右される場面も少なくありません。本記事では、痴漢の初犯を前提に、罰金の目安、前科との関係、示談が処分に与える影響、そして逮捕後の流れまでを、弁護士の実務視点から整理して解説します。
この記事の監修者
藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介
全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。
痴漢は初犯でも罰金?結論から処分の全体像を整理
痴漢事件では、初犯であるという点だけで処分が自動的に決まるわけではありません。実務上は、事件の内容や捜査段階で明らかになる事情を踏まえ、不起訴、略式起訴による罰金、または正式起訴に至るケースが考えられます。まずは、初犯の痴漢事件で想定される処分の全体像を整理しておきましょう。
初犯でも「不起訴」「略式起訴(罰金)」「正式起訴」に分かれる理由
初犯の痴漢事件で想定される主な結論は、次の3つです。
・不起訴処分
・略式起訴による罰金
・正式起訴され、公判手続に進むケース
これらの分岐は、偶然や運によって決まるものではありません。捜査の過程で把握される事実関係や、行為の性質を踏まえ、検察官が処分を判断します。初犯であっても、行為の態様が重く評価される場合や、不同意わいせつ罪として扱われる場合には、正式起訴に至る可能性があります。
一方で、行為が比較的軽微で、被害回復が図られている事案では、起訴されずに事件が終了するケースも実務上一定数見られます。
処分を分ける主な判断要素(罪名・悪質性・示談の有無)
処分の見通しを左右する主な判断要素としては、次の点が挙げられます。
・どの罪名で評価されるか(迷惑防止条例違反か、不同意わいせつ罪か)
・行為の態様や悪質性(接触の仕方、継続性、強引さなど)
・常習性や余罪の有無
・被害者との示談が成立しているか
・捜査段階での対応状況
とくに、適用される罪名は処分の方向性を大きく左右します。迷惑防止条例違反として扱われる場合と、不同意わいせつ罪として扱われる場合とでは、想定される刑罰の重さに明確な差があります。
また、示談の成立は、起訴・不起訴を判断するうえで重要な事情とされています。実務上、初犯で悪質性が高くない事案では、示談が成立していることが不起訴判断につながるケースも多く見られます。ただし、最終的な処分は、行為の内容や事件全体の経緯を踏まえて判断されます。
初犯であることは一要素にすぎません。痴漢で逮捕された場合の判断の流れを全体から整理しておくことが重要です。
初犯の痴漢に適用される罪名と刑罰の違い
痴漢事件では、行為の内容や状況に応じて、主に迷惑防止条例違反または不同意わいせつ罪のいずれかとして評価されます。どの罪名が適用されるかによって、想定される刑罰や処分の重さが大きく異なる点が重要です。
迷惑防止条例違反として扱われる痴漢
多くの痴漢事件は、各都道府県の迷惑防止条例違反として処理されます。典型的には、公共の場所や公共交通機関において、衣服の上から身体に触れるなどの行為がこれに該当します。
迷惑防止条例違反の場合、罰金刑が予定されている点が特徴です。実務上、初犯で悪質性が高くない事案では、略式起訴による罰金で処理されるケースが多く見られます。ただし、行為の態様や経緯によっては、拘禁刑(旧・懲役)が科される可能性もあります。
不同意わいせつ罪として扱われる痴漢
行為の態様がより重く評価される場合には、不同意わいせつ罪として扱われる可能性があります。たとえば、被害者の意思に反して直接身体に触れる行為や、被害者に強い嫌悪感や恐怖を与えるような態様が認められるケースがこれに当たります。
不同意わいせつ罪には罰金刑が定められておらず、起訴されて有罪となった場合には、拘禁刑が科されることになります。そのため、初犯であっても、迷惑防止条例違反と比べて処分が重くなる傾向があります。
同じ「痴漢」でも評価が分かれる具体的ポイント
迷惑防止条例違反と不同意わいせつ罪のいずれに該当するかは、単に接触の有無のみで機械的に判断されるものではありません。実務では、次のような事情を総合的に考慮して判断されます。
・接触の態様(衣服の上か、直接か、執拗さの有無)
・行為の継続性(一時的か、繰り返しか)
・被害者の状況や受け止め方
・行為に至る経緯やその場の状況
・証拠関係の内容
このように、同じ「痴漢」と評価される行為であっても、具体的な事情によって適用される罪名や処分の見通しは大きく異なります。
痴漢の罰金はいくら?初犯の相場と前科の有無
初犯の痴漢事件について、「罰金はいくらになるのか」「罰金で終われば前科は付かないのか」といった点は、特に関心が高いポイントです。ここでは、実務上の傾向を踏まえ、初犯の痴漢における罰金の目安と前科との関係を整理します。
初犯で多いのは略式起訴による罰金
迷惑防止条例違反に該当する痴漢事件では、初犯で悪質性が高くない場合、略式起訴による罰金で処理されるケースが多く見られます。略式起訴とは、正式な公判を開かず、書面審理によって罰金刑を言い渡す手続です。
この場合でも、検察官が起訴している以上、刑事処分であることに変わりはありません。そのため、「裁判を受けていないから軽い処分」というわけではない点には注意が必要です。
略式起訴による罰金も刑罰の一種であるため、前科(=刑罰を受けた経歴)が付くことになります(後述)。初犯の場合でも前科が付く結論が最も多い、ということは注意したいところです。
罰金額の目安(20万〜30万円程度)
実務上、初犯の痴漢事件における罰金額は、20万円から30万円程度となる例が多く見られます。もっとも、これはあくまで目安であり、次のような事情によって増減することがあります。
・行為の態様や継続性
・被害者の被害感情
・示談の有無や内容
・余罪の有無
悪質性が高いと評価された場合や、余罪が認められる場合には、初犯であってもより高額の罰金が科されることがあります。
罰金でも前科は付く
罰金刑は刑罰の一種であり、略式起訴による罰金であっても前科が付きます。交通違反の反則金とは異なり、「罰金で済んだから前科にはならない」という理解は正しくありません。
そのため、前科を避けたいと考える場合には、起訴される前の段階で不起訴処分を目指す対応が重要になります。
罰金を減らしたり回避したりできるのか
一度、略式起訴による罰金命令が出された後に、金額を減額することは容易ではありません。形式上は正式裁判を請求することも可能ですが、実務上、罰金が軽くなるケースは多くなく、かえって負担やリスクが増すこともあります。
そのため、処分の見通しを左右するのは、罰金が言い渡された後ではなく、起訴される前の対応です。示談の成立や、事案の評価に関する適切な主張が、処分結果に影響する場面があります。
罰金額の減少を目指す動きと不起訴処分を目指す動きは、内容的には同様であることが通常です。動きを取った結果、不起訴処分まで至るのかそこまでは至らないか、という違いと考えてよいでしょう。
初犯でも正式起訴・刑罰が問題になるのはどんな場合?
初犯の痴漢事件では、罰金で処理されるケースが多い一方で、事案の内容によっては正式起訴に至り、刑罰の当否や重さが問題となる場面もあります。ここでは、初犯であっても処分が重く評価されやすい代表的なケースを整理します。
不同意わいせつ罪として起訴される場合
痴漢行為が不同意わいせつ罪として評価される場合には、罰金刑は予定されておらず、起訴された場合には、拘禁刑の当否や量刑が問題となります。そのため、初犯であっても、正式起訴に至る可能性があります。
具体的には、次のような事情が認められる場合です。
・被害者の意思に反して、直接身体に触れる行為
・行為が執拗で、被害者に強い恐怖や羞恥心を与えたと評価される態様が認められる場合
・犯行態様が強引で、被害者の抵抗を無視して行われたと評価される場合
このようなケースでは、迷惑防止条例違反にとどまらず、刑法犯として重く評価される可能性があります。
悪質性・常習性・余罪がある場合
行為の態様が特に悪質である場合や、常習性や余罪が認められる場合には、初犯であっても処分が重く評価される傾向があります。
たとえば、
・短期間に複数回、同様の行為を繰り返している
・特定の被害者や状況を狙って犯行を重ねている
・過去に発覚していなかった同種行為が捜査の過程で判明した
といった事情がある場合には、単発の軽微な事案とは異なる評価がされ、正式起訴に進む可能性が相対的に高くなる傾向があります。
初犯でも重く評価されやすい事案の特徴
そのほか、次のような事情が重なった場合にも、初犯であっても処分が重く評価されることがあります。
・被害者の被害感情が極めて強い
・被害者が未成年である
・証拠関係が明確で、事実関係に大きな争いがない
・捜査段階で不誠実な対応が見られる
これらの事情はいずれも、単独で結論を決定づけるものではありませんが、事案全体の評価に影響を与える要素として考慮されます。
初犯の痴漢で執行猶予はつく?実刑の可能性は?
初犯の痴漢事件で正式起訴され、有罪となった場合でも、必ず実刑になるとは限りません。事案の内容によっては、実刑ではなく、執行猶予付きの判決が言い渡されることもあります。ここでは、執行猶予が付く場合と、実刑となる可能性がある場合の考え方を整理します。
執行猶予が付くかどうかの基本的な考え方
執行猶予とは、刑が言い渡されても、一定期間、問題を起こさなければ刑務所に収容されずに済む制度です。初犯の痴漢事件では、前科・前歴がないことが考慮され、刑の内容や事案の評価次第では、執行猶予が付されることがあります。
もっとも、執行猶予は自動的に付くものではありません。行為の内容や被害の程度、事件後の対応などを踏まえ、事案ごとに判断されます。
初犯であることは、執行猶予が付くかどうかという局面では非常に大きな事情になります。特に、執行猶予の前科があるかどうか、という点は決定的な影響を及ぼすことも多いです。
初犯で執行猶予が付されやすい事情
初犯の痴漢事件で、執行猶予が付されるかどうかは、次のような事情を総合して判断されます。
・前科・前歴がない
・行為の悪質性が相対的に高くない
・被害者との示談が成立している
・反省の態度が明確である
・再犯のおそれが低いと判断される
これらの事情がそろっている場合には、実刑ではなく、執行猶予付きの判決が選択される余地があります。
初犯でも実刑となる可能性があるケース
一方で、初犯であっても、執行猶予が付かず、実刑となる可能性があるケースもあります。
たとえば、
・行為の悪質性が高いと評価される場合
・常習性や余罪が認められる場合
・被害者が未成年である場合
・示談が成立しておらず、被害感情が強い場合
・再犯のおそれが高いと判断される場合
といった事情が重なると、実刑が相当と判断される可能性が高まります。
電車内で着衣の上から接触する内容の痴漢事件では、初犯で実刑となることは考えにくいのが通常です。一方、あまりに悪質で被害も重大な事件が複数あるような場合には、実刑判決も大いに考えられます。
執行猶予の有無は事前の対応で左右される
執行猶予が付くかどうかは、判決の段階で判断されますが、その判断材料となる事情の多くは、捜査段階から積み重ねられていくものです。被害回復の状況や、取調べへの対応、再発防止に向けた姿勢などが、最終的な評価に影響します。そのため、初犯の痴漢事件で処分の見通しを考える際には、早い段階でどのような対応を取るかが重要になります。
執行猶予判決を目指す動きは、判決が出る段階で行うのでは間に合いません。むしろ、それまでの積み重ねの上に執行猶予判決があるという理解が適切です。
示談が初犯の処分に与える影響
初犯の痴漢事件では、被害者との示談が成立しているかどうかが、処分の見通しに影響することがあります。とくに、検察官が起訴・不起訴を判断する前の段階で示談が成立している場合には、処分が軽くなる方向で検討されるケースが多く見られます。
示談が不起訴判断に影響する理由
示談は、被害者に対する謝罪や賠償を通じて、被害回復を図る合意です。実務上、示談が成立している場合には、次のような事情が考慮されます。
・被害者の精神的・経済的損害が一定程度回復している
・被害者の処罰感情が和らいでいる
・被疑者が反省し、再発防止に向けた姿勢を示している
これらの事情から、示談の成立は、不起訴処分を検討するうえで重要な事情とされており、初犯で悪質性が高くない事案では、示談が不起訴判断につながることもあります。
示談が成立するタイミングの重要性
示談は、成立する時期によって処分への影響が異なります。
捜査段階の早い時期、すなわち検察官が起訴・不起訴を判断する前に示談が成立している場合には、不起訴処分が選択される可能性が高まります。
一方、起訴後に示談が成立した場合でも、量刑判断の場面で有利な事情として考慮されることはありますが、前科が付くこと自体を避けることは難しくなるのが一般的です。
示談金額は事案によって幅がある
初犯の痴漢事件における示談金額は、事案の内容によって幅があります。実務上は、数十万円程度となる例が多く見られますが、行為の態様や被害者の受け止め方、事件の状況などによって、金額が前後することもあります。
ここではあくまで目安にとどめ、具体的な金額や交渉の考え方は別途検討されるべき事項となります。
加害者側としては、不起訴となる余地があるかどうかによって示談金額の検討の仕方が変わってきても問題ありません。起訴された後は、既に不起訴となる余地がないため、起訴前ほど大きな金額は払えない、という考え方になることも大いに自然です。
示談が成立しない場合の考え方
示談は被害者の意向を前提とするため、すべての事件で成立するものではありません。被害者が示談を望まない場合や、連絡が取れない場合もあります。
その場合であっても、反省の態度や再発防止に向けた取り組みなど、処分を判断するうえで考慮され得る事情を積み重ねていくことが重要です。示談が成立しないからといって、直ちに重い処分が決まるわけではありませんが、事前の対応が処分結果に影響する点は共通しています。
痴漢で逮捕された場合の流れ|初犯でも勾留される?
痴漢事件では、現行犯で発覚するケースが多く、「初犯でも逮捕されるのか」「すぐに釈放されるのか」といった点が大きな関心事になります。ここでは、初犯の痴漢事件を前提に、逮捕後の一般的な流れと、勾留される可能性について整理します。
現行犯で発覚した場合の基本的な流れ
電車内などで痴漢行為が発覚した場合、被害者や周囲の乗客により、現行犯として身柄を押さえられるケースが多く見られます。その後の流れは、おおむね次のとおりです。
・駅員室などで身柄を押さえられる
・警察官に引き渡され、警察署へ同行する
・事情聴取や取調べを受ける
この段階では、必ずしも刑事手続上の「逮捕」が行われるとは限らず、任意同行として扱われる場合もあります。
初犯でも逮捕されることはある
痴漢事件では、初犯であっても、事案の内容によっては逮捕される可能性があります。もっとも、逮捕が必要かどうかは、次のような事情を踏まえて判断されます。
・逃亡や証拠隠滅のおそれがあるか
・身元や住所が明確か
・事実関係を認めているか
・事件の内容や悪質性
初犯で、身元がはっきりしており、事実関係に争いがない場合には、逮捕を伴わず在宅事件として捜査が進むケースも多く見られます。
痴漢事件の場合、現行犯での取り扱いが非常に多いため、初犯であるかどうかを確認してから逮捕する、という流れになることは少ない傾向にあります。
勾留されるかどうかの判断基準
逮捕された場合でも、必ず勾留されるわけではありません。勾留とは、裁判官の判断により、一定期間、警察署などで身体拘束が続くことを指します。
初犯の痴漢事件では、
・住所や勤務先が定まっている
・逃亡や証拠隠滅のおそれが低い
・行為の悪質性が高くない
といった事情がある場合、勾留されずに早期に釈放されるケースもあります。一方で、事案の内容によっては、初犯であっても勾留が認められることがあります。
勾留するかどうかの局面では、初犯であるかどうかを踏まえずに判断することは基本的にありません。ただし、痴漢事件の場合は、初犯だから勾留しない、初犯でないから勾留するという判断になるわけではないことにも留意しましょう。
在宅事件として捜査が続く場合
逮捕や勾留がなされなかった場合でも、事件が終了するわけではありません。在宅事件として、通常の生活を送りながら捜査が進められます。この場合、警察や検察からの呼び出しに応じて事情聴取を受ける必要があります。出頭要請を無視すると、かえって身柄拘束の必要性が高いと判断されるおそれがあるため、誠実に対応することが重要です。
初犯の痴漢で会社や家族に知られる可能性は?
痴漢事件では、「初犯であれば会社や家族に知られないのではないか」と考える方も少なくありません。しかし実務上は、初犯かどうかだけで決まるものではなく、いくつかの具体的な経路を通じて発覚する可能性があります。ここでは、会社や家族に知られる可能性が生じる主な場面を整理します。
逮捕・勾留によって知られるケース
逮捕や勾留がなされると、一定期間、自宅に戻れない状況が生じることがあります。その結果、無断欠勤や連絡不能となり、家族や勤務先から事情を疑問視されることがあります。
また、勾留中は外部との連絡が制限されるため、本人から事情を説明できないまま、家族が警察から連絡を受けるケースもあります。この場合、事件の存在自体が家族に知られる可能性は高くなります。
逮捕された事実は、同居のご家族には警察から通知されることが多いです。これは初犯であるかどうかによって変わるものではありません。
警察や検察からの連絡によって知られるケース
在宅事件として扱われる場合でも、警察や検察からの呼び出しが続く中で、勤務時間中に出頭が必要となることがあります。その理由を十分に説明できない場合、勤務先に不審を持たれることがあります。
また、緊急連絡先として家族の連絡先が登録されている場合、警察から家族に連絡が入ることもあり、その過程で事件が知られる可能性があります。
書類や郵送物から発覚するケース
捜査や手続の過程では、警察・検察・裁判所から書類や通知が郵送されることがあります。これらが自宅に届いた場合、家族が差出人や内容を目にすることで、事件の存在が知られることがあります。
とくに、起訴後に裁判所から送付される書類は、差出人から刑事事件であることが推測されやすく、注意が必要です。
地域差もありますが、検察からの呼び出しは書面で通知されることが多い傾向にあります。また、裁判所からの通知は「特別送達」という特別な送り方の郵便で届くことになります。
会社に知られる可能性を左右する要素
会社に知られるかどうかは、次のような事情によって左右されます。
・逮捕や勾留により、出勤できない期間が生じるか
・在宅事件として進むか、身柄拘束を伴うか
・勤務先の就業規則や服務規律の内容
・本人がどの段階で、どのように説明するか
初犯であっても、身柄拘束の有無や事件の進み方によって、勤務先に知られる可能性は大きく変わります。
知られる可能性に影響する主な要素
会社や家族に知られる可能性を完全にゼロにすることは困難ですが、初期対応や捜査の進み方によって、その可能性が左右される場面はあります。
・身柄拘束を避け、在宅事件として進むかどうか
・警察や検察からの連絡に、誠実かつ適切に対応できているか
・説明が必要な場面で、事実関係を踏まえて慎重に対応しているか
これらの点は、処分の見通しだけでなく、生活や仕事への影響を抑える観点からも重要になります。
初犯の場合、捜査機関から会社や家族に通知すると言われてもNOとは言いづらく、NOと言ってもよいか判断することも難しいでしょう。この点の対応に際しては、専門性ある弁護士の判断を仰ぐことを強くお勧めします。
初犯の痴漢で不起訴になる可能性はどの程度ある?
初犯の痴漢事件では、「不起訴になる可能性はあるのか」「どのような場合に不起訴が見込まれるのか」が大きな関心事になります。実務上、不起訴となるかどうかは一律に決まるものではなく、事案ごとの事情を踏まえて判断されます。
不起訴処分とは何か
不起訴処分とは、検察官が事件を起訴せず、刑事裁判にかけないと判断する処分をいいます。不起訴となった場合、刑罰は科されず、前科が付くこともありません。
痴漢事件においても、一定の条件が整えば、不起訴処分が選択されることがあります。
初犯で不起訴が検討されやすい主な事情
初犯の痴漢事件で、不起訴が検討されやすい事情としては、次のような点が挙げられます。
・行為の態様が比較的軽微である
・迷惑防止条例違反にとどまる事案である
・被害者との示談が成立している
・被害者の処罰感情が強くない
・反省の態度や再発防止の姿勢が認められる
これらの事情がそろっている場合には、不起訴処分が選択される余地が生じます。
初犯であることは、痴漢事件の不起訴処分に影響する要素の一つにはなり得ます。ただし、初犯だから不起訴にする、と判断してもらえるわけではないため、初犯であることを過大評価しないようには注意しましょう。
初犯でも不起訴にならないケース
一方で、初犯であっても、次のような事情がある場合には、不起訴とならないことがあります。
・行為の悪質性が高いと評価される場合
・不同意わいせつ罪として扱われる場合
・常習性や余罪が認められる場合
・被害者の処罰感情が強い場合
このようなケースでは、初犯であっても、起訴される可能性が高まります。
不起訴になるかどうかは事前対応が重要
不起訴処分が選択されるかどうかは、事件発生後の初期対応や捜査段階での対応によって左右される面があります。被害回復の状況や、取調べへの対応、再発防止に向けた姿勢などが、検察官の判断材料となります。
そのため、初犯の痴漢事件では、処分の見通しを見据えた対応が重要になります。
初犯の痴漢で弁護士に相談すべきタイミング
初犯の痴漢事件では、「まだ初犯だから様子を見てもよいのではないか」と考える方も少なくありません。しかし実務上は、相談のタイミングによって、処分の見通しや生活への影響が変わる場面が多く見られます。ここでは、弁護士への相談を検討すべき主なタイミングを整理します。
事件直後・警察から連絡を受けた段階
事件が発覚し、警察から連絡を受けた時点で、すでに刑事手続は動き始めています。この段階で相談することで、
・今後の手続の流れを把握できる
・取調べで注意すべき点を整理できる
・身柄拘束の可能性を見通すことができる
といった点について、早期に整理することができます。
初期の段階で、手続の流れや処分の見通しを踏まえながら対応することは、最終的な結論に直結し得るほど重要なポイントであると言えます。
取調べや身柄拘束が想定される場合
逮捕や勾留の可能性がある事案では、初動対応が極めて重要になります。取調べの受け方や、示談に向けた対応の進め方によって、身柄拘束の有無や期間が左右されることもあります。
初犯であっても、事案の内容次第では、早い段階で、法的な立場や今後の流れを整理しておく必要が生じます。
示談を検討する段階
被害者との示談が処分に影響する可能性がある場合には、示談をどの段階で、どのように進めるかが重要になります。示談交渉は慎重さが求められるため、進め方を誤ると、かえって不利に働くおそれもあります。
そのため、示談を検討し始めた段階で、一度専門的な見解を確認しておくことが、結果として処分の見通しを安定させることにつながります。
初犯の痴漢事件では、示談の成否が処分に直結することも少なくありません。個別のケースにおける示談の検討は、できる限り専門家の判断を踏まえて行いましょう。
起訴・不起訴の判断が近づいている場合
検察官による起訴・不起訴の判断が迫っている段階では、残された対応の選択肢が限られてきます。この時点で相談することで、
・不起訴の可能性をどの程度見込めるか
・今後の見通しをどう考えるべきか
といった点を整理することができます。
相談の早さが結果に影響することもある
初犯の痴漢事件では、必ずしも「早く相談すれば必ず有利になる」とは限りません。ただし、早い段階で状況を整理できているかどうかが、その後の対応の選択肢を広げることにつながる場面は多くあります。
処分の見通しだけでなく、仕事や生活への影響を見据えた対応を考えるためにも、適切なタイミングで専門家の見解を確認することが重要になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 初犯の痴漢でも前科が付くことはありますか?
初犯であっても、起訴されて有罪となれば前科は付きます。一方で、不起訴処分となった場合や、嫌疑不十分などで処分が見送られた場合には、前科は付きません。前科が付くかどうかは、初犯か否かだけでなく、処分の内容によって決まります。
Q2. 初犯なら必ず罰金で済みますか?
必ずしもそうとは限りません。迷惑防止条例違反にとどまる事案では、罰金となるケースが多く見られますが、行為の悪質性や事案の内容によっては、初犯であっても起訴される可能性があります。
Q3. 初犯の痴漢で逮捕されることは多いですか?
初犯で身元が明確な場合には、在宅事件として進むケースも多く見られます。ただし、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合など、事案によっては逮捕されることもあります。
Q4. 示談が成立すれば必ず不起訴になりますか?
示談は処分を判断するうえで重要な要素の一つですが、示談が成立すれば必ず不起訴になるわけではありません。行為の態様や被害者の処罰感情など、他の事情も踏まえて総合的に判断されます。
Q5. 初犯の痴漢で会社に知られずに済むことはありますか?
在宅事件として進み、身柄拘束がなされない場合などには、結果として会社に知られずに済むこともあります。ただし、事件の進み方や対応の仕方によって状況は変わるため、確実に防げるものではありません。
Q6. 取調べでは何を話せばよいのでしょうか?
取調べでは、事実関係を踏まえつつ、不用意な発言を避けることが重要になります。供述内容は処分判断に影響する可能性があるため、対応に迷う場合には、早めに状況を整理しておくことが有用です。
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