痴漢で逮捕されたら72時間で何が起きる?流れと弁護士対応

痴漢の疑いで逮捕された場合、多くの方がまず不安に感じるのが「この先どうなるのか」「いつまで身柄を拘束されるのか」という点でしょう。刑事手続には一定の時間的な区切りがあり、特に逮捕後の72時間は、その後の流れを左右する重要な期間とされています。この72時間の間に、警察・検察・裁判官がそれぞれ関与し、身柄を引き続き拘束するかどうかが判断されます。ただし、この段階で有罪や前科が決まるわけではありません。本記事では、痴漢事件で逮捕された場合に、最初の72時間で何が起き、何が判断されるのかを、弁護士の視点から整理して解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

目次

痴漢で逮捕された直後からの全体像

痴漢で逮捕されると、その時点から「72時間以内に身柄をどう扱うか」を決めるための刑事手続が始まります。

逮捕とは、単に警察に連れて行かれることではなく、本人の身柄が法的に拘束された状態を意味します。この段階では、すでに捜査は正式に開始されており、本人の意思で帰宅することはできません。

逮捕後72時間で行われる判断は一つだけ

この72時間で行われる判断は、次の一点に集約されます。

  • このまま身柄を拘束して捜査を続ける必要があるか

言い換えると、
「釈放されるか」
「勾留され、身柄拘束が続くか」
を決めるための時間です。

逮捕後72時間で何らかの最終的な処分が出るわけではありません。このタイミングでは、刑事処分を判断するために必要な捜査の進め方が検討、判断されます。

72時間で「決まること/決まらないこと」

この段階で混同されやすい点を整理します。

この時点で決まること

  • 身柄拘束を続けるかどうか
  • 勾留されるか、釈放されるか

この時点では決まらないこと

  • 有罪か無罪か
  • 前科がつくかどうか
  • 最終的な刑罰

逮捕されたからといって、すぐに結果が確定するわけではありません。

手続の流れ(全体像)

逮捕後72時間は、次の順序で進みます。

逮捕

警察による取り調べ

検察官の判断

裁判官が勾留するかを判断

この一連の流れが、すべて72時間以内に行われます。

逮捕直後から72時間は、刑事手続の中でも最初の分岐点にあたります。
以下では、弁護士の立場から、逮捕後72時間が法律上どのように区切られ、警察・検察・裁判官がそれぞれ何を基準に判断するのかを説明します。

逮捕後72時間は法律でどう区切られているか

逮捕後72時間は法律でどう区切られているか

痴漢で逮捕された場合、法律上は逮捕から72時間以内に、身柄を引き続き拘束するかどうかが判断されます。

この72時間は、ひと続きの時間として扱われるのではなく、警察と検察にそれぞれ割り当てられた時間によって区切られています。まず、警察には逮捕から48時間以内に、事件を検察官に引き継ぐかどうかを判断する時間が与えられています。

警察から事件を引き継いだ検察官は、さらに24時間以内に、身柄を拘束し続ける必要があるかを検討します。検察官が勾留の必要があると判断した場合には、裁判官に対して勾留を求める手続が行われます。

裁判官は、検察官の請求を受けて、本人を勾留するか、それとも釈放するかを判断します。つまり、逮捕後72時間とは、警察・検察・裁判官が順に関与し、身柄拘束を続けるかどうかを決めるまでの期間を指しています。

ここで注意すべきなのは、この72時間の判断は、事件の結論を出すためのものではないという点です。この段階で判断されるのは、あくまで捜査のために身柄を拘束し続ける必要があるかどうかであり、有罪か無罪か、前科がつくかどうかといった結論が決まるわけではありません。

■ 逮捕後72時間の区切り【全体像】

【起点】逮捕

  ─ 警察の時間(48時間以内)
      ・取り調べ
      ・検察へ引き継ぐか判断

  ─ 検察官の時間(24時間以内)
      ・身柄拘束の必要性を検討
      ・勾留請求をするか判断

  ─ 裁判官の判断
      ・勾留するか
      ・釈放するか

この 警察48時間+検察24時間=合計72時間 の中で、
身柄を拘束し続けるかどうかが判断されます。

72時間で「決まること」と「決まらないこと」

この段階で決まることこの段階では決まらないこと
身柄拘束を続けるかどうか有罪か無罪か
勾留するか、釈放するか前科がつくかどうか
次の捜査段階へ進むか最終的な刑罰

※72時間は結論を出す段階ではない点が重要です。

【逮捕から48時間】警察段階で重要なポイント

警察での取り調べの位置づけ

警察の取り調べは、その場で逮捕の可否を決めるものではなく、事件の内容を確認し、今後の身柄判断に必要な情報を集めるために行われます。

警察段階で行われた取り調べの内容は、その後、検察官が身柄を引き続き拘束する必要があるかを判断する際の資料として用いられます。そのため、警察での対応が、後の判断に影響することがある点は理解しておく必要があります。

この警察段階での取り調べ内容は、取り扱いによっては調書化されない場合もあり得ます。ただし、その後の手続に影響しないという意味ではなく、その後の判断や処分を検討する際に参照されることには注意しましょう。

この段階で問題になるポイント

逮捕直後から警察段階での対応によって、後に勾留されるかどうかの判断が左右されることがあります。

警察段階では、特に次のような点が見られやすくなります。

  • 供述の内容に一貫性があるか
  • 発言によって事実関係が不必要に複雑になっていないか
  • 行動や態度が、逃亡や証拠隠滅と受け取られないか
  • 住所や生活状況など、身元が明確かどうか

これらの事情は、この先も身柄を拘束したまま捜査を続ける必要があるかという判断に直結しやすい要素です。

【48時間〜72時間】検察官と裁判官の判断

 勾留請求が認められる判断基準

48時間を経て事件が検察官に引き継がれると、身柄を引き続き拘束する必要があるかどうかが、より厳密に判断されます。

検察官は、警察から送られてきた資料や取り調べの内容を踏まえ、勾留を求めるべきかを検討します。勾留が必要と判断した場合には、裁判官に対して勾留請求を行いますが、最終的に勾留するかどうかを決めるのは裁判官です。

裁判官は、事件の内容や状況を踏まえたうえで、身柄を拘束しなければ捜査に支障が出るおそれがあるかどうかを中心に判断します。具体的には、次のような事情が判断材料になります。

  • 住居や生活基盤が不安定で、逃亡のおそれがあるか
  • 証拠を隠したり、関係者に働きかけたりするおそれがあるか
  • 取り調べでの供述や態度に不自然な点がないか

これらの点から、身柄を解放した場合に捜査が円滑に進まないと判断されると、勾留が認められる方向に傾きやすくなります。

一方で、事件の性質や本人の生活状況などを踏まえ、身柄を拘束し続ける必要はないと判断されれば、この段階で釈放されるケースもあります。この48時間から72時間の間は、身柄拘束が続くかどうかの分岐点にあたる重要な局面です。

痴漢事件の場合、検察官が勾留請求をしても裁判官がその請求を認めないことは決して珍しくありません。裁判官に釈放の判断を促すため、弁護士に適切なアクションをしてもらうことも非常に有益です。

72時間以内に勾留されるとどうなるか

勾留=有罪ではない

勾留されても、それだけで有罪になったり、前科がついたりするわけではありません。

勾留とは、捜査を進めるために一定期間、身柄を拘束する手続を指します。勾留が認められたとしても、それはあくまで捜査上の必要性に基づく判断であり、事件の結論を出すものではありません。

この段階では、証拠の評価や最終的な事実認定は行われておらず、有罪か無罪かが判断されることもありません。前科がつくかどうかは、起訴され、有罪判決が確定した場合に初めて問題となります。

そのため、逮捕後72時間以内に勾留が決まった場合でも、「すでに結果が決まった」と考える必要はありません。勾留は刑事手続の途中段階にすぎず、その後の対応によって、釈放や不起訴となる可能性が残されているケースもあります。

重大な内容の事件である場合、後の有罪判決が想定されることが勾留判断の材料になるケースも否定できません。有罪判決に伴う刑罰を避けたい人は逃亡する可能性がある、という評価につながり得るためです。

逮捕後72時間で弁護士ができること

逮捕直後の接見と法的アドバイス

逮捕された直後であっても、弁護士は本人と面会し、今後の対応について直接助言することができます。

逮捕後は、家族であっても自由に本人と会うことはできませんが、弁護士には本人と面会する権利が認められています。弁護士が接見を行うことで、現在の手続の段階や、これから何が起こり得るのかを本人に伝えることができます。

また、取り調べへの向き合い方や、発言にあたって注意すべき点についても、この段階で説明を受けることが可能です。逮捕直後に正確な状況を理解できるかどうかは、その後の対応に大きく影響します。

勾留を防ぐための弁護活動

逮捕後72時間以内であれば、弁護士の対応によって、勾留を回避できる可能性が残されている場合もあります。

弁護士は、本人の生活状況や身元が安定していることを示す資料を整え、身柄を拘束し続ける必要がないことを説明します。具体的には、住居や仕事の状況、家族の監督体制などを示し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを主張します。

こうした弁護活動は、検察官や裁判官が勾留の要否を判断する際の重要な判断材料となります。72時間以内という早い段階で動けるかどうかが、その後の身柄判断を左右することもあります。

勾留されるかどうかが決まるまでの72時間は、数字だけ見るとある程度長いようにも思えますが、実際に勾留を防ぐ手立てを講じようとすると非常に短いものです。そのため、可能な限り早く弁護士への相談、依頼を検討することをお勧めします。

不起訴になる可能性と72時間の関係

不起訴になるケース

痴漢事件であっても、証拠の状況や初期対応の内容によっては、不起訴となることがあります。

不起訴とは、検察官が事件を裁判にかけないと判断する処分を指します。不起訴となるかどうかは、証拠関係や供述の内容、事件の経緯などを踏まえて判断されますが、逮捕直後から72時間までの対応が、その後の判断に影響することもあります。

例えば、警察や検察による取り調べの段階で、事実関係が整理され、証拠の評価が固まっていく過程において、身柄を拘束し続ける必要がないと判断されれば、勾留されずに釈放されるケースがあります。その後の捜査の結果、証拠が十分でないと判断されれば、不起訴となることもあります。

もっとも、72時間の時点で不起訴が決まるわけではありません。この段階で行われるのは、あくまで身柄拘束の要否に関する判断です。ただし、初期段階での対応が、その後の捜査や処分の方向性に影響する可能性がある点は理解しておく必要があります。

よくある質問(FAQ)

Q1.痴漢で逮捕された場合、72時間以内に釈放されることはありますか

状況によっては、72時間以内に釈放されることもあります。
警察や検察が、身柄を拘束し続ける必要はないと判断した場合には、勾留請求が行われず、そのまま釈放されるケースがあります。ただし、すべての事件で必ず釈放されるわけではなく、事案の内容や本人の状況によって判断は異なります。


Q2.72時間を過ぎると、必ず勾留されるのですか

72時間を過ぎたからといって、必ず勾留されるわけではありません。
72時間以内に勾留請求がなされなければ、原則として身柄は解放されます。逆に言えば、72時間以内に裁判官が勾留を認めた場合には、その後も身柄拘束が続くことになります。


Q3.家族は、逮捕直後に何をすべきでしょうか

早い段階で状況を正確に把握することが重要です。
逮捕直後は、本人と自由に連絡を取ることが難しいため、手続の進み方や現在の段階を確認する必要があります。弁護士を通じて状況を把握することで、その後の対応を検討しやすくなります。


Q4.会社や学校に逮捕の事実が知られることはありますか

捜査機関から、会社や学校に自動的に連絡が行くわけではありません。
ただし、勾留が続いた場合や、欠勤・欠席が長引いた場合には、事情を説明する必要が生じることもあります。どのような対応が必要かは、状況によって異なります。


Q5.弁護士は、いつ依頼するのがよいのでしょうか

可能であれば、逮捕後できるだけ早い段階で相談することが望ましいとされています。
72時間以内は、身柄拘束の要否が判断される重要な期間であり、この段階での対応がその後の流れに影響することがあります。

まとめ|痴漢事件では最初の72時間が重要

痴漢の疑いで逮捕された場合、刑事手続は一定の時間の流れに沿って進みます。中でも、逮捕後の72時間は、身柄を引き続き拘束するかどうかが判断される重要な期間です。この段階で行われるのは、事件の結論を出すための判断ではなく、あくまで捜査のために身柄拘束を続ける必要があるかどうかの判断に限られます。

警察・検察・裁判官が順に関与し、それぞれの立場から必要性を検討する中で、釈放される場合もあれば、勾留が認められる場合もあります。いずれにしても、72時間の時点で有罪や前科が確定するわけではありません。

また、この期間中の対応が、その後の捜査や処分の方向性に影響することもあります。手続の流れを正しく理解し、冷静に状況を把握することが重要です。痴漢事件で逮捕された場合には、最初の72時間がどのような意味を持つのかを知っておくことで、その後の対応を考える手がかりになります。

72時間は重要な区切りですが、それだけで結論が決まるわけではありません。痴漢で逮捕された後の流れを全体から整理して理解することが大切です。

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