公務員でも自己破産は可能!原則クビにはならない

公務員であっても自己破産を行うことは可能です。

自己破産は誰にでも認められている法的な債務整理の手段であり、公務員だからといって例外的に制限されることはありません。

国家公務員法や地方公務員法においても、自己破産をしたこと自体を理由に懲戒処分とする規定はなく、自己破産のみを理由に懲戒免職や停職となることは原則としてありません。

ただし、借金の原因が職務上の重大な違法行為である場合には、その違法行為を理由に懲戒処分を受ける可能性はあり得ます。

代表例としては、横領行為や背任行為といった深刻な職務違反が挙げられます。

もっとも、これらはあくまで自己破産を原因とする不利益ではありません。

職務上の信用を損なうような違法行為がなければ、自己破産を選択しても原則としてクビになることは考えにくいでしょう。

公務員が自己破産を理由に懲戒免職になるのは稀なケース

自己破産を理由に公務員が懲戒免職となるケースは、非常にまれです。

国家公務員法および地方公務員法では、懲戒処分の対象となる行為は「信用失墜行為」や「職務上の義務違反」などに限定されており、自己破産そのものは処分理由には該当しないのが通常です。

この点、懲戒免職につながる可能性があるケースとしては、以下のような例が挙げられるでしょう。

  • 借金の原因が職務に関連する不正行為(横領した金銭の費消など)である場合
  • 債権者からの度重なる督促・訴訟等により、職場に重大な迷惑や信用失墜をもたらした場合
  • 秘密保持義務や服務規律に違反する形で債務整理を行った場合

一方、借金の原因が生活費や家族間の事情など、個人的な理由にとどまる場合は、特に不適切な方法で自己破産を進めるのでない限り、自己破産を理由に懲戒免職となることは考えにくいでしょう。

自己破産が昇進や評価に与える直接的な影響は限定的

公務員が自己破産をしたとしても、それだけを理由に昇進が停止されたり、不利益な人事評価を受けたりすることを法的に正当化する根拠はありません。

国家公務員法・地方公務員法においても、自己破産を理由に差別的な扱いをすることを可能とする規定はないため、昇進や評価は、端的に職務遂行能力や勤務実績等に基づいて判断されることになります。

また、破産手続が開始されると、一定の職業や資格には制限が生じますが、公務員としての立場はそのような制限の対象に含まれていません。

そのため、業務の範囲に法的な制限が生じる恐れもないでしょう。

ただし、事実上の間接的な影響が生じる可能性は否定できないところです。

自己破産が昇進や評価に間接的な影響を与えるケースとしては、以下のような場合が考えられます。

  • 債務整理の情報が周囲に知られ、職場内の人間関係に悪影響が生じる場合
  • 管理職としての信用性や金銭管理の資質が十分でないと判断される場合
  • 転居や給与の差し押さえなどが生じ、職場に大きな負担を与えた場合

もっとも、これらの影響はあくまで事実上のものであり、影響の程度も限定的であるのが通常です。

職務を適切に果たしている限り、過度に懸念する必要は大きくないでしょう。

おすすめの記事:債務整理におすすめ法律事務所20選を人気比較!費用が安いのはどこ? | ココモーラ

なぜ「公務員は自己破産できない・クビになる」という誤解が広まっているのか

公務員は自己破産できない、公務員が自己破産するとクビになる、といった誤解をされている場合は少なくありませんが、特に法的な根拠はありません。

これらの誤解が広まる理由としては、以下のような点が考えられます。

公務員に高い倫理性や信用性が求められること

公務員は、職務の性質上、倫理性や信用性が重視されやすいものです。そのため、金銭面のトラブルがあると、信用を損なうため懲戒処分の対象になる、といったイメージが先行し、誤解につながる可能性があります。

過去の不正確な情報が強く影響している

公務員が自己破産をすることは望ましくないとのイメージから、公務員と自己破産との関係について、不正確な情報が流通してしまうことも一定数あります。これらの情報が受け手に強く影響し、誤解の原因となる可能性があり得ます。

一部の特殊な事例が誤解を生んでいる

公務員が懲戒処分を受ける場合、国民にとって必要な情報として公開される場合が少なくありません。そのため、一部の特殊な事例で公務員が懲戒解雇になると、その事実が広く知られるケースもありますが、事例が特殊であることは理解されないまま、誤解の原因となる可能性があり得ます。

現在では、インターネットを通じて様々な情報を入手することができますが、それらがすべて正しい内容であるとは限りません。

根拠のない誤解を防ぐためには、専門家や公的機関など、情報源が信頼できることを重視するのが有益でしょう。

公務員の自己破産、職場や家族にバレる可能性と対策

自己破産を検討する上で、「職場や家族に知られてしまうのではないか」という不安は非常に大きな問題です。

実際、情報が漏れる可能性はゼロではありませんが、事前に仕組みを理解し、適切な対応を取ることで、バレるリスクを最小限に抑えることも可能です。

職場や家族にバレる可能性を把握して対策を講じるためには、まずバレる際の主な経路を把握することが重要です。

あわせて、経路ごとに適した対策を講じることで、個別の状況に合わせた十分なリスク回避が可能になるでしょう。

なお、職場や家族に発覚するリスクの多くは、専門家を通じて手続きを進めることによって、大きく低減させることが可能です。

具体的な対応に悩みが生じる場合は、専門的な知識経験を持つ弁護士や司法書士といった専門家への依頼も有力な手段になります。

「官報」掲載でバレる?公務員への影響と現実的な可能性

自己破産を行うと、裁判所による破産手続開始決定がなされた段階で、その情報が「官報」という国の公報紙に掲載されます。

これは、法令の規定に基づき、公告する必要のある情報については、官報に掲載する方法で周知する必要があるためです。

官報には、破産者の氏名や住所、手続きの内容等が掲載されます。

官報は誰でも閲覧することができますが、一般の人が日常的にチェックする可能性は極めて稀です。

通常、官報をきっかけにバレることはあまりないと言えるでしょう。

ただし、法律関係や金融関係の部門では、経理や人事の関係で官報のチェックが行われ、把握される可能性も否定できません。

官報に近しい立場の場合、可能性は低いながらもゼロではない、と理解するのが適切でしょう。

もっとも、官報経由で職場に自己破産がバレたとしても、自己破産そのものは法律上の正当な手続きであり、不適切な行動ではありません。

そのため、職場にバレたと過敏になる必要はないことを正しく把握しておきましょう。

退職金や共済組合の手続きでバレるケースとその回避策

公務員が自己破産をする際に、退職金や共済組合の関係を処理する必要がある場合、職場にバレる可能性は否定できません。

まず、破産手続では破産者の財産を全て明らかにする必要があり、将来支給される退職金も財産の一部となります。

そのため、退職金制度の対象となる場合には、勤務先(所属庁)に「退職金見込額証明書」の作成を依頼する必要があり、作成依頼を通じて破産手続の情報が職場に伝わる可能性があるでしょう。

また、共済組合から住宅貸付などの借入がある場合、共済組合は破産手続きにおける債権者となるため、弁護士や裁判所などの通知を受けて破産手続きを把握することになります。

共済組合と勤務先が密接な関係にある場合には、共済組合から間接的にバレる可能性も考えられます。

これらのリスクをゼロにすることは困難ですが、弁護士や司法書士といった専門家を通じたやり取りにすれば、リスクを最小限に抑える余地はあります。

専門家が窓口になる場合、退職金見込額証明書の請求に際して破産に関する情報を与えないようにしたり、職場内や共済組合内での情報共有を必要最小限にしてもらったりすることで、破産の事実がバレない可能性もあり得るでしょう。

不安がある場合には、専門家への相談、依頼が有力な回避策になりやすいと言えます。

給与差押えを回避すれば、職場にバレるリスクは大幅減

公務員に限らず、給与が差し押さえられると、職場にバレる可能性が高くなります。

給与の差押えは、裁判所を通じて勤務先に直接通知が届くため、少なくとも差し押さえを受けるような金銭トラブルがあることは明らかになってしまうでしょう。

もっとも、差押えが行われる前に、速やかに適切な行動をすることで、職場にバレるリスクを大きく減少させることも可能です。

具体的には、弁護士に依頼し、早期に弁護士から対応してもらうことが最も適切でしょう。

弁護士が依頼を受けると、債権者に対して「受任通知」を送付します。

そして、貸金業者が受任通知を受領すると、借金の督促をすることが法律上禁じられるため、現実的には債務者や弁護士の動向を待つことになります。

これにより、給与差押えを防げる可能性が非常に高くなるでしょう。

ここで重要なのは、債権者からの給与差押えに至るより前に、督促を受けている段階で早期に行動することです。

債権者は、いきなり差押えをすることは通常なく、段階的に請求方法を強めていくことが一般的です。

そのため、請求方法が給与差押えという強いものになる前に、迅速に対応することで、給与差押えを防ぎやすくなります。

給与が差し押さえられると、精神的にも社会的にも大きな負担や不利益が避けられません。

事前に適切な対応を尽くせば、生活や信用を保ちながら自己破産を行うことが可能になるでしょう。

家族にバレずに自己破産手続きを進めるための注意点

自己破産手続きは、ポイントを正しく押さえておくことで、家族への影響を防ぎながら進められる可能性が非常に高くなります。

家族への心配を避けたい場合には、以下の注意点を踏まえた対応が適切です。

弁護士との連絡方法

弁護士に手続きを代行してもらうことで、郵便物の宛名や文書の通知先が全て弁護士の事務所になるため、家族に知られることなくやり取りが進められます。
ただし、弁護士と自分との間でやり取りする方法や、弁護士と電話する際の時間帯には、十分な配慮が必要でしょう。家族とともに在宅している時間帯に破産手続きのやり取りが生じると、家族にバレるリスクが飛躍的に高まります。

同居家族の財産への影響

自己破産の手続きが進んでも、基本的に同居家族の財産には影響がありません。自己破産は、あくまで自分個人の債務と財産を整理する制度であるためです。
もっとも、同居家族の財産に例外的な影響が生じるケースがある点には注意が必要です。代表例としては、同居家族と共同の名義になっている財産や債務が挙げられます。
例えば、自宅を夫婦共同の名義にしており、夫が自己破産をした場合、現実的には自宅を処分せざるを得なくなる場合もあるでしょう。

正直に話すことのメリット

自己破産を行う際、家族に対して正直に話すことも有力な選択肢の一つです。家族に事情や状況を理解してもらうことができれば、サポートを得られ、手続きを円滑に進めることも可能でしょう。
家族への影響を防ぐ手段は、必ずしも家族にバレないことのみではありません。必要に応じて正直に話すことも検討することをお勧めします。

公務員が自己破産するデメリットと影響

自己破産をすることで、借金の返済義務から解放されるという大きなメリットがある一方で、当然ながらいくつかのデメリットや制限も存在します。

この点、公務員の場合、一般の方にはない公務員ならではの注意点も含まれます。

もっとも、デメリットがあるからといって、自己破産が有効な手段でない、ということにはなりません。

むしろ、デメリットが限定的であり、自己破産をする利点の方がはるかに大きい場合も少なくありません。

デメリットやその影響を適切に理解することができれば、個別のケースで自己破産がどれだけ有効であるか、正しく判断することができるでしょう。

財産はどうなる?差押え対象となるもの・ならないもの

自己破産をすると、すべての財産を失うのではないかと不安に感じる方も多いかもしれません。

しかし、生活に必要な一定範囲の財産は「自由財産」として残すことが認められており、すべてを差し押さえられるわけではありません。

自由財産に該当するものの例としては、以下のようなものがあります。

自由財産の該当例

  • 99万円以下の現金や預貯金
  • 生活必需品(家具、衣類、寝具、冷蔵庫や洗濯機などの家電)
  • 退職金の一部(退職予定がない場合は8分の7、退職予定の場合は4分の3)
  • 保険契約の解約返戻金が20万円未満の場合(解約が不要)

一方、以下のような財産は差押え対象になることが見込まれます。

差押え対象の該当例

  • 自宅などの不動産
  • 高額な自動車
  • 高級時計やブランド品、美術品など
  • 99万円を超える現金・預貯金

なお、自由財産の扱いについては、個別の判断が必要になりやすいため、自身のケースでどこまでが差押えの対象になるかは専門家への相談をお勧めします。

早期に弁護士へ相談することで、日常生活への支障を最小限に抑える方策を提案してもらえることも少なくありません。

信用情報(ブラックリスト)への登録期間と影響

債務整理を行うと、「ブラックリストに載る」と言われる状態になります。

これは、信用情報機関に「金融事故情報」が登録されることを指します。

信用情報とは、クレジットカードの利用履歴やローンの契約状況、返済の遅れなどを記録した情報のことです。

金融事故情報が登録される主な信用情報機関は、以下の3社です。

  • JICC(日本信用情報機構)
  • CIC(株式会社シー・アイ・シー)
  • JBA(全国銀行個人信用情報センター)

金融機関やカード会社は、これらの信用情報機関の情報をもとに、申込み者にお金を貸すかどうか、クレジットカードを発行するかどうかを判断しています。

ブラックリストに登録された場合、その期間中は、新たなローンやクレジットカードの申込みが基本的に通らなくなります。

債務整理の手続きごとに、事故情報が登録される期間は以下のとおりです。

また、現在利用しているカードやローンも途中で利用停止・契約終了となる場合があります。

任意整理:完済から5年間
個人再生:JICC5年間、KSC7年間
自己破産:JICC・CIC5年間、KSC7年間

信用情報への事故登録は一生続くものではありません。

登録期間が終了すれば、事故情報は削除され、再びローンやクレジットカードの申込みができるようになります。

ただし、削除されたからと言って必ずしも直ちに審査に通るわけではなく、一定の悪影響が生じる可能性もあり得ます。

公務員の資格制限はある?該当する職種と期間

自己破産をすると、一定の職業・資格に就けない期間が一時的に発生します。

具体的に資格制限の対象となる職業や資格の例としては、以下のものが挙げられます。

  • 弁護士、司法書士、税理士などの士業
  • 警備員
  • 生命保険募集人
  • 一部の会社役員(取締役、監査役など)

なお、この制限は破産手続中(破産手続開始決定から免責許可決定まで)に限られるため、免責許可決定が確定すれば、制限は解除され、もとの職業に戻ることが可能です。

もっとも、公務員の大半の職種(事務職、技術職、教職員、行政職など)は、これらの資格を前提に働いているわけではないため、自己破産をしても日常的な業務や職務の遂行に支障は生じづらいでしょう。

退職金への影響は?差押えの範囲と注意点

将来の退職金は、破産者の財産の一種として扱われます。

しかし、退職金の全額が失われるわけではなく、退職金の扱いには一定の配慮がなされています。

具体的な取り扱いの内容は、以下のとおりです。

原則

具体的な退職予定はないものの、退職時に退職金の支給が見込まれる状況である場合、支給見込額の8分の1が差押えの対象となります。将来の退職金は、実際に全額支給されるかどうか不明確であるため、低い評価にとどめることで破産者を保護しています。

具体的な退職予定がある場合

近い時期に退職が予定されていて、退職金予定額が現実に支払われる可能性が高い場合、支給見込額の4分の1が差押えの対象となります。これは、全額支給が見込まれており、8分の1という低い評価をする必要がないと判断されるためです。

具体的な取り扱い方法

将来の退職金は、その8分の1又は4分の1の価値がある財産として評価されます。例えば、退職予定はないものの、支給見込額が200万円である場合、将来の退職金は200万円×8分の1=25万円分の価値ある財産として扱われ、現金や預貯金と合計して99万円以内であるかを判断されることになります。

共済組合からの借金はどうなる?自己破産時の扱い

公務員の方の中には、共済組合から生活資金や住宅資金などの目的で融資を受けているケースも少なくありませんが、この場合の共済組合は、公務員の債権者に当たります。

そのため、公務員が自己破産する場合、手続き上は金融機関や貸金業者と同様の立場になります。

そのため、共済組合による借金の回収にも一定の制限が生じます。

共済組合からの借金は、給与からの天引きで返済されていることが一般的ですが、公務員が自己破産を弁護士に依頼した後、同じく天引きによる返済を継続してはいけません。

債権者の一部にのみ返済をする結果になってしまい、債権者間で不公平が生じるためです。

そのため、共済組合には、弁護士からの受任通知を受けた段階で給与からの天引きを停止してもらう必要があります。

また、天引きが止まることで、職場への発覚が避けにくい状況にもなるでしょう。

もっとも、弁護士に介入してもらい、早期に適切な手続を進めてもらうことで、影響を最小限に抑えることも可能です。

自己破産がスムーズに進行すれば、職場に広く知られることを防ぎつつ、借金問題の解決を実現することもできるでしょう。

自己破産だけではない!公務員が選べる他の債務整理

公務員でも選べる債務整理の方法は自己破産以外にも複数あります。

たとえば、任意整理や個人再生といった手段は、自己破産に比べて生活や仕事への影響が少なく、財産を手放さずに借金を整理できる余地のある点が大きなメリットです。

特に、公務員の場合、安定収入が見込まれやすいことから、継続返済が必要な任意整理や個人再生も選択できる可能性が高いでしょう。

ここでは、債務整理する手段のうち、どの手続きがどのような状況の人に向いているか、比較解説します。

【任意整理】弁護士が交渉、将来利息カットで返済負担を軽減

任意整理は、弁護士や司法書士を通じて債権者との交渉を行い、将来の利息や遅延損害金をカットした上で返済条件の緩和を目指す手続きです。

裁判所を通さず、債権者と直接交渉する方法であるため、職場や家族には知られにくい点も特徴の一つです。

任意整理は、あくまで合意を目指す手段のため、債権者に応じてもらうことが必要です。

この点、公務員は、比較的安定した収入のある職業と評価されるため、任意整理後の返済も継続が期待されやすく、債権者から交渉に応じてもらえる可能性が高い傾向にあると言えるでしょう。

任意整理が向いているケースとしては、以下の場合が挙げられます。

  • 借金元本の返済見込みがある
  • 財産を手放さずに債務整理したい
  • 周囲に知られたくない
  • 安定収入がある

【個人再生】借金を大幅減額、住宅を残せる可能性も

個人再生とは、裁判所を通じて借金を大幅に(5分の1~10分の1程度)減額し、原則3年(最長5年)で分割返済していくことを目指す手続きです。

自己破産とは異なり、借金を免除されるわけではありませんが、一方で重要な財産を手元に残しながら借金問題を解決できる点に特徴があります。

個人再生の最大の利点の一つが、自宅を手元に残せる可能性がある、という点です。

住宅ローンが残っている場合、債務整理を行うと担保になっている住宅を取り上げられてしまうのが通常ですが、いわゆる住宅ローン特則を利用すれば、住宅ローン付きの自宅を手放すことなく個人再生を進めることが可能です。

個人再生は、手続後に継続して借金を返済する前提で用いられる制度であるため、利用するためには借金の返済に耐えられる安定収入が必要とされます。

この点、公務員は一般的に安定収入があると評価されるため、個人再生が利用しやすい立場であるということができるでしょう。

個人再生が向いているケースとしては、以下の場合が挙げられます。

  • 自己破産は避けたいが、現状では借金の継続返済が困難
  • 持ち家を手放したくない
  • 安定収入があり、返済計画を立てることができる

【自己破産・任意整理・個人再生】公務員はどれを選ぶべき?

自己破産、任意整理、個人再生の3つは、いずれも借金問題を解決する際に有力な手段ですが、個別のケースでどの手段を選ぶべきであるかは、借金額や収入、財産状況、資格制限の有無、職場への影響が懸念される程度など、様々な事情によって変わります。

複数の事情を総合的に判断して、適切な手段を選択することが必要になるでしょう。

検討するべき項目とそれぞれの手続きとの関係を整理したい場合は、以下を参考にしてみましょう。

比較表

検討項目任意整理個人再生自己破産
主な効果将来の利息や遅延損害金のカット、
返済方法の見直し
借金の大幅な減額(5分の1~10分の1)借金の支払義務全額の免除(免責)
対象とする借金選択したもののみすべてすべて
自宅の処分原則として不要住宅ローン特則を利用すれば不要原則として必要
その他財産の処分原則として不要原則として不要必要(必要最低限の財産を除く)
資格制限の有無なしなしあり
職場に発覚する
リスク
基本的になし手続過程で事実上のリスクあり手続過程で事実上のリスクあり
利用の条件返済能力返済能力返済が不能
向いているケース借金総額や債権者が比較的少ない自宅を守りつつ借金の減額を図りたい借金の免除を受けて生活を再建したい

検討用フローチャート

現状で借金の返済は困難か
いいえ→債務整理はまだ必要なし
はい↓
安定した収入があるか(返済原資が確保できるか)
いいえ(体調不良による収入減少等)→自己破産を検討
はい↓
現状で借金の返済は困難か
いいえ→債務整理はまだ必要なし
はい↓

①借金総額はいくらか
概ね300万円以下→任意整理を検討
概ね300万円超え→個人再生又は自己破産を検討

②資格への影響を防ぎたいか
はい→任意整理or個人再生を検討
いいえ→自己破産も可能

③保証人への影響を防ぎたいか
はい→任意整理を検討
いいえ→個人再生or自己破産も可能

④住宅ローン付きのマイホームに住み続けたいか
いいえ→自己破産を検討
はい↓
住宅ローンの負担が重い状況か
はい→個人再生を検討
いいえ→任意整理(住宅ローン以外)を検討

公務員が自己破産を弁護士に相談するメリットと流れ・費用

公務員の方が自己破産を試みる場合、弁護士への相談や依頼は非常に有力な選択肢です。

特段の事情がない限り、弁護士に依頼することを強くお勧めします。

弁護士に依頼することで、経済的側面と精神的側面の双方で多くのメリットを期待することができます。

また、弁護士費用の負担に不安が残る場合にも、分割払いや法テラスの利用など、負担を軽減するための手段が利用できる場合は少なくありません。

なぜ弁護士?公務員が専門家に依頼すべき5つの理由

自己破産は、自分自身で進めることも手続き上は可能です。

そのため、費用の負担を踏まえ、自分で行うべきか弁護士に依頼する価値があるか、比較検討することも一案でしょう。

この点、基本的には、自己破産を検討する公務員の方は、弁護士への依頼が非常に有益になりやすいと言えます。

その具体的なメリットとしては、以下の5つのポイントが挙げられます。

1.職場にバレるリスクを最小限に抑えられる

弁護士に依頼した場合、弁護士はまず債権者へ受任通知を送付します。これによって、債務者本人に対する連絡や督促はストップし、債権者からの連絡を通じて職場に発覚する可能性は事実上なくなります。

また、公務員の自己破産では、共済組合や退職金の関係で職場と関係のあるところとのやり取りが発生しますが、弁護士が対応することで適切な配慮を期待でき、職場にバレるリスクを最小限に抑えながら慎重に手続を進められます。

2.最適な債務整理の方法が分かる

債務整理の方法は自己破産のみでなく、任意整理や個人再生といった手段もあります。公務員の場合、仕事が安定していることから任意整理や個人再生を利用する余地も十分にあるため、方法選択が可能であり、裏を返せば適切な選択を求められることになります。

この点、最適な債務整理の方法を判断するには、専門的な知識経験が不可欠です。債務整理に精通した弁護士に依頼することで、借金額や収入、財産状況等を踏まえて、弁護士が自分に適した債務整理の方法を案内してくれるでしょう。

3.複雑な裁判所の手続を一任することができる

自己破産を行う場合、裁判所に対して数多くの書面を提出する必要があります。書面作成や提出に関する運用は、事実上の地域差もあるなど、専門家以外が知らないことも少なくないため、裁判所の手続は想像以上に複雑なものとなりやすい面が否めません。

弁護士に依頼した場合、それらの複雑な手続きを弁護士に一任し、裁判所の運用に沿った適切な方法で進めてもらうことが可能になります。弁護士を通じて対応することで、正確かつ円滑な進行が実現できるでしょう。

4.債権者とのやり取りや交渉を代行してくれる

自己破産に際しては、その準備の過程で複数の債権者とのやり取りが発生します。債権者によっては、時に債務者へ厳しい態度を示されるケースもあり、自身で対応するのは多大な精神的負担が避けられません。

この点、弁護士が間に入り、債権者とのやり取りや交渉を全て代行してもらうことができれば、やり取りの中で生じるストレスを最小限に抑えることができます。対応に必要な時間も割く必要がなくなるため、日常生活への支障も防げるでしょう。

5.精神的に安定した状態で進められ、冷静な判断が可能になる

借金問題に悩んでいる状況では、精神的に安定するのは困難です。その結果、正しい判断ができなくなり、より深刻な事態を招くケースも一定数見られます。

一方、弁護士に相談や依頼をしている場合には、専門家のサポートで問題解決の見通しが立てられるため、精神的な不安定さを解消しやすくなります。

さらに、冷静で的確な判断も可能になりやすく、借金問題の早期解決につながりやすくなるでしょう。

公務員の自己破産|弁護士に相談する流れ・費用 

多くの公務員の方にとって、日頃から弁護士への相談や依頼を行うことはあまりないでしょう。

そのため、相談や依頼の流れ、費用の金額や支払方法などについて、不安が募ることもやむを得ないところです。

もっとも、相談後の見通しが分からないことを理由に、弁護士への相談を控えてしまうのは、解決のチャンスを失うことになりかねません。

相談後の流れを事前に把握することで、積極的に弁護士への相談を行えるようにしましょう。

ここでは、相談から解決までの一般的な流れや、費用相場、支払方法等について解説します。

相談から解決までのステップ|自己破産手続きの一般的な流れ

自己破産を弁護士に相談した後、手続きの完了に至るまでの基本的なステップは、以下のとおりです。

STEP
弁護士との無料相談

法律事務所に連絡の上、相談予約をします。多くの事務所では無料相談が可能です。相談の際には、借金総額や債権者数、収入や財産の状況、希望する解決方法などを整理し、弁護士の専門的な判断を仰ぎましょう。

事前に書類や資料を準備し持参すると、円滑な相談が可能です。

STEP
弁護士への依頼(契約)

弁護士への依頼を決めた場合、正式に委任契約を取り交わします。依頼に際しては、法律事務所との契約書や、弁護士への委任状などを作成することが一般的です。

契約時には費用の金額や発生条件を正確に把握しましょう。

STEP
受任通知の発送

弁護士が依頼を受けると、まず債権者に対して受任通知を発送します。債権者である貸金業者は、受任通知を受領した後に債務者への督促を行うことが禁じられるため、この段階で取り立てがストップします。

取り立ての停止後は、無理のない方法で弁護士費用を工面することで早期解決につながりやすくなります。

STEP
書類の準備

依頼先と協力しながら、債務の状況、収入や支出の状況、保有財産の状況など、必要な情報と根拠資料を準備します。

家計の収支については、概ね申立前2か月分の状況を整理して提出することが必要になります。ここで対応を怠らず、できる限り正確に準備することが肝要です。

STEP
裁判所への申立て

書類が整った段階で、弁護士が破産手続の申立てを行います。申立てを受けた裁判所では、破産事件を「同時廃止」(目立った財産がない場合)とするか「管財事件」(一定の財産がある場合)とするか判断します。

同時廃止を目指すケースがほとんどですが、退職金見込額が多い場合には管財事件(少額管財)になることも考えられます。

STEP
免責審尋や管財人面談

免責に必要な審尋や、管財事件となった場合に選任される破産管財人との面談を行います。

これらの手続きが生じるのは必要な場合のみです。行うときも、誠実な対応を尽くせば問題のないことが通常でしょう。

STEP
免責許可決定

破産手続が終了し、裁判所から免責が許可されると、借金の返済義務がすべて免除されることになります。

ここからの再スタートが最も重要であることを忘れないようにしましょう。

自己破産の弁護士費用相場と支払い方法|分割払いや法テラスも

弁護士への依頼には弁護士費用が発生します。

弁護士というと高額な費用が必要になりそうに思えますが、費用相場や支払方法について正しく理解すれば、無理なく弁護士に依頼することも決して難しくはありません。

自己破産にかかる弁護士費用の一般的な相場は以下のとおりです。

着手金20~30万円程度
成功報酬20~30万円程度(※)
実費数千円~数万円
※同時廃止事件の場合、成功報酬が発生しないケースも多く見られます。

その他、裁判所への予納金として、概ね以下の金額が必要になります。

同時廃止事件1~2万円程度
(少額)管財事件20~50万円程度

具体的な弁護士費用の金額は、法律事務所によっても異なるため、無料相談を通じて具体的に案内してもらうことが望ましいでしょう。

また、弁護士費用の一括払いが困難なケースに備え、分割払いや後払いに対応している事務所もあります。

弁護士に依頼後、返済がストップした段階で、少しずつ弁護士費用を支払っていくことも可能でしょう。

加えて、収入や資産が一定額を下回る場合、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を利用することも可能です。

これは、弁護士費用を一時的に立て替えてもらい、長期分割での返済を行っていくものです。

対応している法律事務所の場合、法テラスへの申し込みなどもサポートしてもらえる場合があるため、相談してみるのも一案でしょう。

弁護士費用に関しては、柔軟な支払方法やサポートの制度などが複数あります。

まずは弁護士に相談し、費用の支払いに関するアドバイスを受けてみましょう。

公務員が自己破産を相談する際におすすめの弁護士

自己破産が円滑にできるか、生活の再スタートが適切にできるかは、依頼する弁護士によって結果が大きく変わることも珍しくはありません。

そのため、信頼できる弁護士を選ぶことは、自己破産を成功させるための第一歩と言えるでしょう。

また、公務員の方の場合、公務員特有の問題に対する配慮も不可欠です。

公務員の債務整理に精通しているかどうかも、重要な判断材料とするのが適切です。

ここでは、弁護士の選び方や具体的な相談先について、詳細に解説します。

以下の内容を踏まえて、まず一度弁護士に相談をしてみましょう。

信頼できる弁護士の選び方|公務員の自己破産に強い専門家とは

自己破産の取り扱いや進め方は、弁護士によって様々に異なります。

当然ながら、弁護士の経験やノウハウの有無などによって、手続きの円滑さや安心感は大きく変わってきます。

特に、公務員の自己破産では、職場への配慮などに際して適切な理解が求められるため、公務員の取り扱いに強い弁護士を選ぶことも重要です。

具体的なポイントとしては、以下の点が挙げられます。

債務整理(特に自己破産)の実績が豊富であるか

弁護士や法律事務所によって専門分野は様々です。そのため、相談先を選ぶ際には、債務整理、特に自己破産に関する解決実績を確認し、専門性があるか把握することが望ましいでしょう。

公務員の自己破産に理解があるか

公務員の場合、共済制度や退職金の点など、民間とは異なる留意点があります。公務員特有の注意事項を踏まえた弁護士に依頼することで、より的確な対応が期待できるでしょう。

丁寧な説明や対応があるか

自己破産のためには数か月間のやり取りが必要になります。そのため、弁護士との信頼関係は重要ですが、説明や対応が丁寧な弁護士や法律事務所との間では、信頼関係が築きやすい傾向にあります。

費用体系が明確であるか

弁護士費用は事務所によって異なります。金額や発生条件も少しずつ異なる場合があるため、費用体系を正しく把握することが重要です。この点、信頼できる弁護士や事務所は、費用の総額や支払方法などを明確に、丁寧に提示してくれます。

公務員の自己破産におすすめの相談先3選

ここでは、自己破産の実績が豊富で、親身に対応してくれる弁護士事務所を厳選してご紹介します。

はたの法務事務所(司法書士法人)

対応分野任意整理/自己破産/個人再生/過払い金請求
費用目安報酬220,000円~
(※但し少額管財事件はプラス220,000円~)
相談料無料
特徴全国対応/着手金無料/24時間メール受付可

はたの法務事務所は、全国対応と豊富な実績を持つ、債務整理に特化した司法書士事務所です。最大の特長は、費用を抑えながら自己破産の準備を進められる点にあります。

司法書士は「申立書類作成の専門家」として、自己破産手続きで最も重要な書類の準備をサポートしてくれます。「着手金無料」で依頼できるため、初期費用をかけずに手続きに着手できるのは大きなメリットです。

「とにかく費用を抑えたい」「手続きは自分自身で主体的に進めたい」という方にとって、非常に有力な選択肢となるでしょう。ただし、司法書士は弁護士と異なり、裁判所での代理人活動(審尋への同席など)は行えません。書類作成のサポートに特化した、費用対効果の高い事務所と言えます。

弁護士法人東京ロータス法律事務所

対応分野任意整理/個人再生/自己破産/過払い金請求
費用目安着手金:¥220,000
報酬金:¥220,000
その他費用
  諸費用 ¥55,000
  管財の場合 ¥200,000〜
相談料無料(電話・メール)
特徴着手金無料/分割払い対応/借金減額診断あり

弁護士法人東京ロータス法律事務所は、借金問題全般、特に自己破産のような複雑な手続きにも豊富な実績を持つ法律事務所です。

自己破産は裁判所を介した法的手続きであり、弁護士に依頼することで全ての窓口対応を任せられます。「着手金無料」で相談できるため、手元に資金がない状態からでも、生活再建に向けた第一歩を踏み出しやすいのが大きな魅力です。

借金の総額が大きく返済の目処が立たない方にとって、費用面の不安を抑えつつ、専門家である弁護士のサポートを受けられる心強い選択肢となるでしょう。

アース法律事務所

対応分野任意整理/個人再生/自己破産
費用目安着手金:220,000円~
相談料無料(初回)
特徴迅速対応/オンライン面談対応/明確な料金体系

アース法律事務所は、債務整理に特化しており、その「迅速な対応」に強みを持つ法律事務所です。

自己破産を決断する方の多くが「一刻も早く取り立てを止めて、平穏な生活を取り戻したい」と願っています。アース法律事務所は、その気持ちに応えるスピード感のあるサポート体制が特徴。弁護士が受任通知を送付することで、債権者からの督促は最短即日でストップします。

初回相談は無料で、費用体系も明確に提示されるため、見通しが立てやすいのも安心材料。精神的な負担を一日でも早く軽減したい方にとって、非常に頼りになる存在です。

まとめ

借金問題に悩む公務員のあなたが、自己破産やその他の債務整理について正しい知識を得て、過度な不安から解放されることが本記事の目的である。

公務員であっても自己破産は可能であり、原則としてそれが理由で職を失うことはない。

職場や家族に知られるリスクも、専門家のサポートを得ることで最小限に抑えることができる。

重要なのは、一人で抱え込まず、できるだけ早く借金問題解決の専門家である弁護士に相談することだ。

無料相談を実施している事務所も多く、あなたにとって最適な解決策を一緒に見つけてくれるはずだ。

この記事が、あなたが勇気を出して第一歩を踏み出すための一助となれば幸いである。

重要ポイントチェックリスト
  • 公務員も自己破産できることを理解した
  • 自己破産で原則クビにはならないことを確認した
  • バレるリスクと対策を把握した
  • デメリットを理解し、他の債務整理と比較検討した
  • 弁護士に相談するメリットと流れを理解した
  • 無料相談を利用する準備ができた

FAQ

自己破産したら、退職金は全額没収されますか?

自己破産をしても、退職金が全額没収されるわけではありません。

自己破産における退職金の取り扱いは、受給の有無や見込み時期などによって、以下のように異なります。

在職中で具体的な支給見込みがない場合
支給見込額の8分の1

在職中で近く支給の見込みがある場合
支給見込額の4分の1

受給済みの場合
99万円以内の現金、預貯金は手元に残せる

自己破産すると、家族の財産や給料も差し押さえられますか?

原則として家族の財産や給料が差し押さえられることはありません。

自己破産は、あくまで破産者本人の財産に関する手続であり、その影響も本人に限られます。そのため、家族名義の財産や家族の収入が差し押さえられることはありません。

ただし、以下のような場合には家族にも影響が生じ得るため、注意が必要です。

家族が保証人になっている場合
債務者本人が破産しても、保証人である家族の債務が残るため支払義務を負います。

家族名義だが実質的には本人の財産である場合
債務者本人の資金で取得、管理した財産は、破産手続に組み込まれる場合があります。

夫婦共同名義の財産がある場合
破産者が共有財産を持っている場合、持ち分の範囲で差押え対象になります。

自己破産の手続き中や手続き後、海外旅行や引っ越しはできますか?

基本的に自由ですが、手続き中は状況によって注意が必要な場合もあります。

自己破産は、海外旅行や引っ越しを禁じる制度ではありません。そのため、自己破産をしたからできなくなる、ということはないと理解してよいでしょう。

もっとも、管財事件の場合だと、破産手続中に海外旅行や引っ越しを行うには、破産管財人の同意や裁判所の許可が必要になります。無断で強行した場合、免責不許可などの悪影響につながる可能性も懸念されるため、控えましょう。

なお、同時廃止事件であれば、これらの制限はありません。また、破産手続の終了後は、管財事件であっても制限はなくなります。

公務員共済の貸付も自己破産の対象になりますか?職場に連絡がいきますか?

公務員共済の貸付も自己破産の対象になります。職場への連絡は、対応次第で避けられる可能性があるでしょう。

共済からの借入も、債務(借金)の一つであるため、消費者金融やクレジットカードの借金と同様に、自己破産の対象となります。そのため、共済組合も破産手続における債権者として扱うことが必要です。

自己破産のためには、共済組合への連絡も必要になり、これをきっかけに職場への連絡が行われることも懸念されますが、弁護士に依頼をし、弁護士を通じてのやり取りを試みることで、職場に影響が生じる可能性を最小限に抑えることも可能です。

自己破産を考えていますが、まずは何から始めればよいですか?

まずは、現状を正しく把握した上で弁護士への無料相談を行いましょう。

自己破産を検討している場合、何より借金に関する現在の状況を整理することが重要です。

整理するべき主な情報は、以下のとおりです。

  • 借金の総額
  • 借入先(債権者の種類と数)
  • 返済状況(滞納の有無等)
  • 収入
  • 財産(預貯金、車、不動産、保険等)

現状を把握した後は、無料相談を行う弁護士事務所にできるだけ複数相談し、専門的なアドバイスを受けましょう。

相談に際しては、現状把握のために整理した書類(借金の明細や請求書、通帳や給与明細、車検証や保険証券等)を持参すると、より円滑なご相談が可能になるでしょう。

信頼できる専門家探しは、決して焦ることなく、複数の事務所を比較して行うことをお勧めします。話しやすさや分かりやすさ、費用の明確さなどを踏まえ、自分に合った専門家選びをすることが重要です。



債務整理すると資格はなくなる?解雇される場合はある?資格への影響でお悩みの方へ弁護士が解説

●債務整理は自分の持つ資格に影響するか?

●自己破産は資格への影響を防げるか?

●個人再生は資格への影響を防げるか?

●任意整理は資格への影響を防げるか?

●債務整理で失った資格は取り戻せるか?

●債務整理の資格への影響で注意すべきことは?

というお悩みはありませんか?

このページでは,債務整理の資格への影響についてお困りの方に向けて,債務整理が資格に影響を及ぼすケースや,失った資格を取り戻せる場合などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

債務整理が資格に影響する理由

債務整理をすると,一定の資格や免許などを持って行う業務に制限の生じる可能性があります。
例えば,弁護士の場合,「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」について欠格(資格を有しない)としており,破産手続開始決定を受けると資格を失うことになります(弁護士法7条4号)。

このように,債務整理が一定の資格に影響を与えるかどうかは,それぞれの資格について規律した法令によって定められています。特定の資格が影響を受けるかどうかは,その資格について定めた法令の内容を確認することが必要になるでしょう。

影響を受ける資格の類型

債務整理の影響を受ける資格の類型としては,以下のようなものが挙げられます。

資格・職業制限の例

1.一定の士業
→弁護士,公認会計士,司法書士,社会保険労務士など

2.金融機関等の役員
→日本銀行役員,銀行の取締役,協同組合の役員など

3.公的な委員会の委員
→公正取引委員会の委員,教育委員会の委員など

4.登録や免許を要する職業
→宅地建物取引主任者の登録,貸金業の登録,酒類の販売免許など

5.一定の事業の許可
→建設業許可,廃棄物処理業許可,風俗営業許可等

法律関係に携わる士業や,金銭の管理に携わる地位・職業などが広く対象とされています。
一方,医師や看護師,薬剤師,保育士などは,著名な資格ではあるものの債務整理による制限が生じません。

自己破産は資格に影響するか

自己破産の場合,資格に直接影響することが懸念されます。というのも,一般的に債務整理が資格や職業に影響を与えるのは,「破産手続開始決定から免責許可決定までの間」であるためです。

上記で紹介した弁護士法7条4号は,「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」を欠格者としていましたが,弁護士に限らず,資格に影響が生じる場合の具体的な定めは「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」というものです。
破産手続開始の決定を受けると,復権を得ない限りは資格を失った状態になる,ということになります。

そして,「復権」とは,制限された資格(権利)が回復することをいいます。この復権には,2つの種類があります。

復権の種類

1.当然復権
2.申立てによる復権

1.当然復権】

法律上当然に復権が生じる場合をいいます。当然復権となるのは,以下の4つの場合です。

当然復権となる場合

a.免責許可決定が確定したとき
b.債権者全員の同意により破産手続廃止が確定したとき
c.再生計画の認可決定が確定したとき
d.破産手続開始決定から10年経過したとき

a.免責許可決定が確定したとき

自己破産の手続きが無事に終了し,免責決定に至った場合を指します。
最も代表的な当然復権の類型です。

b.債権者全員の同意により破産手続廃止が確定したとき

返済の目途が立ったなどの理由で,債権者全員が「破産しなかったこと」にすることに同意した場合を指します。債権者にメリットがないため通常は考えにくいでしょう。

c.再生計画の認可決定が確定したとき

自己破産で免責許可が得られなかったため,個人再生手続に切り替えた場合の定めです。再生計画とは,債権者に対する返済のプランを指しますが,その再生計画の認可が下りれば復権となります。

d.破産手続開始決定から10年経過したとき

免責許可が得られなくても,破産手続の開始決定から10年が経過すれば復権します。ただし,「詐欺破産罪」で有罪判決を受けていないことが必要となります。
詐欺破産罪は,破産者が所有する財産を隠すなどして虚偽の破産を行う犯罪です。

2.申立てによる復権】

破産手続開始決定後,免責許可決定を得るまでの間に,相続を受けたなどして大金を取得し,借金を完済できる場合もあり得るところです。この場合,免責許可決定を受けることがないため,免責許可決定に伴う当然復権が生じず,復権するためには申立てをする必要があります。

このようなときに用いられるのが,申立てによる復権です。

以上の通り,復権にはいくつかの類型がありますが,最も代表的なものが免責許可決定の確定による当然復権です。そのため,債務整理が資格や職業に影響を与えるのは,「破産手続開始決定から免責許可決定までの間」となりやすいのですね。

なお,復権した場合,破産手続開始決定を理由とする資格制限が消滅するため,それまで通りに資格を用いた業務が可能になります。

ポイント
破産手続開始決定によって資格制限が生じる
復権すれば資格制限が消滅する
復権の代表例は免責許可決定の確定

個人再生は資格に影響するか

債務整理が資格に影響するかは,その資格について規律する法令の定めによりますが,現在,個人再生を理由に制限が生じる資格や職業はありません。そのため,個人再生は資格に影響しない,という結論になります。

そもそも,個人再生は,安定した収入が得られる人を対象にした債務整理手続であり,返済プランである再生計画も,安定収入を前提としたものです。そのため,個人再生によって資格に影響することは制度の性質上ないということになるでしょう。

任意整理は資格に影響するか

任意整理は,つまるところ当事者間の交渉にとどまります。債権者と交渉をすることで資格に影響が生じることはないため,任意整理が資格に影響することはありません。

資格への影響を防ぐために適切な手段は

資格への影響を防ぎたい場合,適切な債務整理の手段は自己破産以外のいずれか(個人再生又は任意整理)ということになるでしょう。特に,資格を活用した仕事をしている立場の場合,安定収入が見込まれやすいため個人再生と相性がいい状況にあることが多いかもしれません。

もっとも,自己破産をしても,復権すれば資格への影響は消滅します。復権までの期間は,一般的には免責許可決定までの期間ということになりますが,ケースにより数か月,といったところでしょう。
免責許可決定までの資格制限が受け入れられる場合は,自己破産も選択肢に入ってくるでしょう。

ポイント
資格に影響を及ぼすのは自己破産のみ
もっとも,その期間は破産手続開始決定から免責許可決定の確定まで

資格への影響と解雇

自己破産によって資格への影響が生じた場合,資格への影響そのものは一定期間で終了するとしても,勤務先を解雇されてしまえば仕方がありません。そこで,自己破産と解雇との関係が問題になるところです。

この点,まず,自己破産を理由とした解雇は違法であるとの理解が通常です。自己破産は解雇の合理的な理由であると考えられていないため,自己破産を理由に解雇をすることは認められないのが一般的でしょう。
ただし,自己破産によって資格に影響を及ぼす場合は事情が変わってくる可能性もあり得ます。特に,制限された資格がなければ仕事ができない場合や,資格があることを前提に雇用した場合など,資格制限が雇用契約に重大な影響を及ぼすときには,自己破産(による資格制限)を理由とした解雇も適法になる可能性があるでしょう。

もっとも,個人再生や任意整理の場合は,資格への影響が生じないため,自己破産のように解雇が適法になるケースはほとんどないと思われます。

ポイント
自己破産そのものは解雇の理由にできない
自己破産に伴う資格制限が解雇の理由になる場合は仕事によりあり得る
個人再生や任意整理を理由にした解雇は基本的に違法

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

債務整理のうち,自己破産は本人の持つ資格を失わせることになる場合があります。
同時廃止で免責許可が見込まれる場合には,比較的影響は小さく済みやすいですが,それでも影響を防ぐことは困難であり,自己破産の前に十分な検討が必要です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

自宅や車を失わずに債務整理したい人へ,基本的な考え方から詳しい制度まで弁護士が完全網羅

●債務整理で自宅や車を守りたいときはどうすべきか?

●自己破産で自宅や車を守れるか?

●個人再生で自宅や車を守れるか?

●任意整理で自宅や車を守れるか?

●自宅や車を守る場合の注意点は?

というお悩みはありませんか?

このページでは,債務整理で自宅や車を守りたいとお考えの方に向けて,債務整理で自宅や車を守るための方法や注意点などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

債務整理で自宅や車を守る必要

債務整理は,債務者の債務と財産を取り扱う手続です。そして,自宅や自動車も重要な債務者の財産であるため,手続によっては自宅や車を手放した上で経済的な再建を目指さなければなりません。

しかし,自宅や車は生活の基盤となる財産であり,その経済的価値は他の財産よりも著しく高額であることが一般的です。そうすると,債権者のためには金銭に換価して配当に回すべきですが,債務者の経済的再建のためには奪ってしまう不利益があまりに大きい財産となり得ます。

そのため,債務整理の手続選択によっては,自宅や車を守ることができるようにしながら,経済的再建を目指すことも可能とされています。

ポイント
自宅や車は高価な財産であるため,債権者のためには金銭に換価して配当に回すべき
もっとも,自宅や車を奪われると債務者の生活が再建できなくなる恐れがある

方法①自宅や車を対象としない手続を使う

債務整理で自宅や車を守るためには,そもそも自宅や車を対象としない債務整理を行うことが一案です。債務整理には,債務の全てを対象としなければならない手続(自己破産,個人再生)と,債務の一部だけを対象とすることのできる手続(任意整理)があります。そのため,任意整理を実施の上,自宅や車と関係のない債務だけを対象とすれば,自宅や車を守りながらの債務整理ができることになります。

方法②自宅や車の処分を免れる制度を活用する

債務整理においては,財産の処分を要する手続(自己破産)と財産の処分を原則として要しない手続(個人再生,任意整理)があります。そのため,財産の処分を要しない手続を用いることで,自宅や車の処分を免れられる可能性があります。

もっとも,自宅や車はローンでの購入も多く,ローンがあるとそう簡単には自宅や車を守れません。ローンは,購入した自宅や車そのものを担保にしていることが多いため,返済ができない場合には担保が実行され,自宅や車を引き揚げられてしまう可能性が高いのです。

この点,個人再生の場合に限り,住宅ローン付きの自宅でも処分を免れる制度があります(いわゆる住宅ローン特則)。自宅の重要性を踏まえ,自宅を守りながら個人再生を実現する手段を法律が用意しているのですね。

ポイント 自宅や車を残す方法
自宅や車と関係のない債務だけを対象にする
財産の処分をしなくてもよい手続を用いる(ただしローンがあると不可)
住宅ローンについては,個人再生の場合に限り特別な制度がある

自己破産は自宅や車を守れるか

自己破産は,必要最低限の財産を除き一切の財産を処分した上で,引き換えに債務も免除することによって,財産も債務もない状態とすることを目指す手続です。そのため,自己破産後に所持していられる財産は,20万円以下のものに限られます。

この点,車に関しては,売却価格の査定を行い,20万円以下であることが示せれば,処分することなく自己破産が可能です。もっとも,自宅に関しては,明らかに売却価値がないような例外的場合を除き処分せざるを得ないため,自宅を守りながら自己破産するのは不可能と考えるべきでしょう。

なお、自宅に関しては、まず売却を検討することも有力な選択肢の一つになり得ます。

不動産一括査定はこちらから不動産の口コミ評判堂

ポイント 自己破産の場合
住宅を守ることは困難
車は売却価格が20万円以下であれば守ることが可能

個人再生は自宅や車を守れるか

①自動車について

個人再生は,基本的に財産の処分を必要としない手続であるため,個人再生をしたからといって自動車を手放す必要はありません。特に,一括払いで購入した場合や,ローンを組んで完済済みの場合など,自動車代金の支払が残っていない状況であれば,全く問題なく自動車を守ることが可能です。
しかし,以下の場合には,個人再生に際して自動車の処分が必要となります

個人再生で自動車の処分が必要な場合

1.自動車ローンが完済前であり,
2.自動車に「所有権留保」がついている場合

自動車をローンで購入するとき,売主が「所有権留保」という担保を設定することがあります。これは,ローンが完済されるまでは自動車の所有権を売主にとどめておく(留保する)というものです。所有権留保があると,ローンの完済前は自動車の所有権が販売者側にあるため,所有権留保を実行することで自動車を引き上げることができます。これにより,代金の支払が滞るケースに備えるというわけですね。

ポイント
基本的に自動車の処分は必要ない
ローン完済前かつ所有権留保がついていると,自動車を失う可能性あり

②自宅について

自宅についても,代金が全額支払済みであれば処分は必要ありませんが,現実的にそのようなケースはほとんどないでしょう。
したがって,住宅ローンの支払が残っていることになりますが,住宅ローンの担保として自宅に抵当権が設定されているのが通常です。そのため,住宅ローンが支払えないとなると抵当権が実行されて住宅が強制的に売却させられ,ローンの支払に充てられてしまいます。
しかし,全てのケースでこのようにするのはあまり経済的に望ましくない上,債務者の経済的再建にとっても著しいマイナスになることが間違いありません。

そこで,個人再生に限り,「住宅資金特別条項」(いわゆる住宅ローン特則)という制度が用意されており,自宅を守りながら個人再生できる場合があります。
住宅資金特別条項」は,住宅ローンを個人再生の対象となる債権から外し,住宅ローンだけはそれまで通り支払い続ける,という個人再生の制度です。この制度を利用するには,以下の要件を満たすことが必要とされます。

住宅資金特別条項の要件

1.対象の債権が住宅資金貸付債権(住宅ローンとしての貸付)である
2.住宅ローンの担保となっている住居が債務者所有の建物である
3.住宅ローンの担保となっている住居が債務者居住用の建物である
4.住宅が住宅ローン以外の担保になっていない
5.保証会社が代位弁済した場合,代位弁済日から6か月以内に申立てている

1.対象の債権が住宅資金貸付債権(住宅ローンとしての貸付)である

住宅資金貸付債権とは,以下の債権をいうと定義されています(民事再生法196条3号)。

住宅資金貸付債権とは
a.住宅の建設,購入,改良に必要な資金を貸付したものである
b.分割払いでの貸付である
c.債権を担保するため,住宅に抵当権が設定されている

つまり,一般的な住宅ローンを指していると理解してよいでしょう。

2.住宅ローンの担保となっている住居が債務者所有の建物である

住宅資金特別条項の対象となるのは,「住宅」に対するローンに限られますが,「住宅」とは債務者自身が所有する建物をいいます(民事再生法196条1号)。

3.住宅ローンの担保となっている住居が債務者居住用の建物である

住宅」に該当するためには,債務者が所有するのみならず,債務者が自己の居住の用に供する建物でなければなりません(民事再生法196条1号)。
また,床面積の2分の1以上が専ら自己の居住の用に供されるものであることも必要です。自宅兼店舗といった形態の場合,「自宅」に当たらない可能性が生じ得るでしょう。

4.住宅が他のローンの担保になっていない

住宅が住宅ローン以外の債権の担保にもなっている場合,住宅資金特別条項を利用することができません(民事再生法198条1項)。これは,住宅が他の債権の担保にもなっていると,その債権者が担保を行使してしまい,結果的に住宅を守る手段がなくなってしまうためです。

この点,夫婦でペアローンを組んでいるときには注意が必要です。ペアローンの場合,住宅は夫の住宅ローンの担保であると同時に妻の住宅ローンの担保でもあるため,夫婦どちらの立場から見ても「住宅が他のローンの担保になっていない」場合に当たらないのです。
このときは,夫婦がそれぞれ個人再生を申し立てることで,住宅資金特別条項の利用を認められる可能性があります

5.保証会社が代位弁済した場合,代位弁済日から6か月以内に申立てている

保証会社を付けている場合,金融機関は保証会社に対して支払を求め,保証会社が代わりに返済することがあります。これを「代位弁済」と言います。保証会社が代位弁済をした場合には,その弁済の日から6か月以内に再生手続開始の申立てをしなければ,住宅資金特別条項は利用できません(民事再生法198条2項)。

以上の通り,要件は複数に渡りますが,一般的な住宅ローンであって,住宅を住宅ローン以外の担保にしていなければ,条件を満たす可能性は非常に高いと思われます。

ポイント
自宅は住宅ローンが残っている限り抵当権が実行され競売されるのが原則
住宅資金特別条項を利用できれば,自宅を守りながら個人再生できる

任意整理は自宅や車を守れるか

任意整理は,債務者自身が債務を選択し,選択した債務について債権者と返済の交渉をする方法です。そのため,任意整理に当たって住宅ローンや自動車ローンを扱わなければならないわけではありません。

この点,債務整理で自宅や車を守れない場合があるのは,住宅ローンや自動車ローンの返済ができないと債権者に発覚し,債権者がローンの担保を実行するからです。そうすると,ローンの返済ができないと債権者に発覚しなければ,自宅や自動車を守りながらの債務整理が可能ということになります。

任意整理の場合には,住宅ローンや自動車ローンには手を付けず,ほかの債務だけ任意整理を試みることによって,自宅や車を守ることができるでしょう。

自宅や車を守るにはどの方法が適切か

自宅や車を守る方法としては,自己破産では不適切であり,個人再生か任意整理であれば守る余地がある,ということが分かりました。では,個人再生と任意整理のいずれが適切か,という問題になるところです。

この点,まず住宅がある場合には個人再生が適切でしょう。個人再生であれば,住宅資金特別条項を利用することで,住宅ローン以外の借金が大きく圧縮され,住宅ローンの返済が現実的になりやすいです。住宅ローンを避けて任意整理をしても自宅は守れますが,借金の減額幅には大きな限界があるため,任意整理をしたところで返済できるか不透明である,ということになりかねません。

一方,自動車ローンが残っており,自動車だけが問題であれば,任意整理を行うほかないでしょう。ローンの残った自動車は,所有権留保がついていない場合を除き個人再生で守ることができないので,自動車ローン以外の任意整理を試みる以外の手段がありません。

ポイント
住宅ローンがあるときは個人再生
自動車ローンだけが問題であれば任意整理

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

債務整理には,債務とともに財産を整理する手続となるものもあるため,自宅や車を守りたい場合には適切な手段を取る必要があります。
具体的な方法にはいくつかの選択肢があり,どの方法を選択するのが有益かはケースによりますので,ご検討の際は弁護士へのご相談をお勧めいたします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

支払能力が全くない場合にはどんな債務整理の方法を取るべき?支払できない人の方法選択を解説

●支払能力が全くない場合はどうすべきか?

●支払能力が全くないときは自己破産が適切か?

●支払能力が全くないときは個人再生が適切か?

●支払能力が全くないときは任意整理が適切か?

●支払能力が全くない場合の注意点は?

というお悩みはありませんか?

このページでは,支払能力が全くない場合の債務整理についてお困りの方へ向けて,支払能力が全くない場合はどの手段を選択すべきか注意点は何かなどを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

支払能力が全くない場合に必要な対処

債務整理は,自分の経済力では借金の返済が完了できない場合の救済手段ですが,そもそも借金を返済するための支払能力が全くない場合も考えられます。典型例は,仕事を失ったなど,収入獲得の手段が閉ざされてしまった場合です。

このような場合の債務整理の目的は,「債務整理の結果,債務の支払を免れる」ことに他なりません。仮に債務が大幅に圧縮されて減額しても,支払を必要としてしまうのでは,支払能力が全くない人にとって解決できたとは言えません。

これを法的に整理すると,支払能力が全くない場合の対処としては,債務について「免責」となることを目指す必要がある,ということになるでしょう。

ポイント 支払能力が全くない場合の対処
手続後に支払を要するのでは解決になっていない
債務の免責を得ることが必要

自己破産は支払能力が全くない場合に適切か

自己破産は,借金を返済する能力が不足する場合に,必要最低限の財産以外を手放す代わりに借金を免除してもらうことを目指す手続です。

自己破産とは
必要最低限の財産以外は手放す
引き換えに,借金を免除してもらう

つまり,自己破産は,財産も借金も基本的にゼロとした状態で債務者を再スタートさせる手続ということになります。これは,手続の結果として債務の免責を見込むものであるため,支払能力が全くない場合の手続としてまさに最適ということができるでしょう。

ポイント
自己破産は,債務者の財産も借金もゼロにした状態での再出発を目指す手続
債務について免責を見込む制度であるため,支払能力が全くない場合に最適

個人再生は支払能力が全くない場合に適切か

個人再生手続は,借金の減額を認めてもらった上で継続的な返済計画を立てる制度です。つまり,個人再生手続の場合,手続の終了後には返済計画に沿った返済が速やかにスタートすることを前提としており,支払能力が全くない場合に適していません。

そもそも,個人再生手続を行うためには,安定した収入が継続する見込みが必要となるため,仮に希望したとしても個人再生はできないという結論になりにくいでしょう。

ポイント
個人再生は,借金の減額と継続的な返済計画を内容とする制度
返済能力がないと利用できず,支払能力が全くない場合には不適切

任意整理は支払能力が全くない場合に適切か

任意整理は,債務整理を行う方法の一つで,金融機関などの債権者に対して直接交渉を試み,支払金額の軽減と完済を目指す手続を言います。債務者から委任を受けた弁護士が債権者と交渉し,多くの場合は将来分の利息をカットしてもらった上で,残債務額を3~5年の期間で支払う内容の合意を目指します。
つまり,任意整理は現在残っている借金の元金を返済する前提でなければ利用できず,支払能力が全くない場合には不適切です。

ポイント
任意整理は,将来の利息をカットして残元金の計画返済をするもの
元金の返済が必要になるため,支払能力が全くない場合には不適切

支払能力が全くない場合に適切な手段は

支払能力が全くない場合の債務整理の手段としては,個人再生及び任意整理では不適切であって,自己破産をしなければならない,ということになります。
自己破産によって債務の免責許可を受けることが唯一の解決策となるため,目指す手続を誤らないようにしましょう。

支払能力が全くない場合の注意点

①免責不許可事由がある場合

支払能力が全くないときに自己破産を試みるのは,債務について免責許可決定を受けるためです。そのため,自己破産をしても免責許可決定が受けられない場合,自己破産をするメリットがなくなってしまいます。そうすると,支払能力が全くない場合は,免責されるかという点について慎重な検討を重ねるべきでしょう。

この点,免責不許可事由としては,以下のようなものが定められています。

免責不許可事由

1.財産を不当に減少させる行為
→財産の隠匿,損壊,不当な処分などの行為が挙げられます。

2.不当な債務負担
→著しく不利益な条件で債務を負う行為などが挙げられます。

3.特定の債権者に利益を与える行為
→債権者のうち一人だけに全額返済する行為などが挙げられます。

4.浪費や賭博による債務負担
→収入に見合わない出費や賭博行為を理由に破産する場合が挙げられます。

5.詐術による信用取引
→借金を隠して新しいクレジットカードを作り,使用した場合などが挙げられます。

6.帳簿の隠滅
→業務や財産状況に関する書類を隠したり偽造したりする行為が挙げられます。

7.虚偽の債権者名簿提出
→自己破産の申立て時に特定の債権者だけを債権者から除く行為などが挙げられます。

8.説明拒否・虚偽説明
→裁判所の調査に対してウソや隠し事をする行為が挙げられます。
裁判所の信用を直接損なうため,免責不許可となる可能性が非常に高くなります。

9.管財業務の妨害
→破産管財人の指示に反したり,管財人を脅したりする行為が挙げられます。

10.過去7年以内の免責許可決定
→免責や同種の法的保護を受けている場合,7年間は免責が許可されません。

11.破産法上の義務違反
→破産手続における破産者の義務(説明義務,重要財産開示義務,免責調査協力義務等)に反した場合が挙げられます。

これらの免責不許可事由に当たる場合,裁判所が特に免責を認めるケースを除き,免責許可決定が得られません。ここで,免責不許可事由がありながらも裁判所が特に免責を認めることを,「裁量免責」と言います。

免責不許可事由がある場合,裁量免責を認めてもらえるように可能な限りを尽くすのが適切でしょう。具体的には,反省や更生の意欲を積極的に表明する借金に至った経緯があまりに不適切ではないことを詳細に説明する,といった方法が考えられます。
裁量免責は,文字通り裁判所の裁量で免責にするというものであるため,裁判所の恩情を求めるものである,という理解を十分にした上で,対応を尽くすことをお勧めします。

ポイント
免責不許可事由がある場合,原則として免責許可が得られない
裁量免責が認められた場合に限り,例外的に免責される
反省や更生の意欲などを積極的に表明することで,裁判所の恩情的判断を求める

②弁護士費用が支出できない場合

自己破産を弁護士に依頼する場合,弁護士費用の支払が必要です。一般的に,弁護士は必要な弁護士費用が受領できた段階で初めて裁判所への申立てを行います。
そのため,親族と相談するなど,弁護士費用を支出する試みが必要となるところです。

どうしても弁護士費用が支出できない場合には,自分で可能な限り自己破産を試みることも一案かもしれません。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

支払能力が全くない場合の債務整理は,支払を免れる結果を獲得する必要があり,支払の継続を前提とするのでは解決にならないのが通常です。
そのため,基本的には自己破産の選択が必要になりやすいですが,自己破産によって本当に問題解決につながるかは,弁護士への十分なご相談が適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

債務整理は家族にバレる?家族に内緒で債務整理をする方法について弁護士が分かりやすく解説

●債務整理は家族に影響するか?

●自己破産は家族に内緒でできるか?

●個人再生は家族に内緒でできるか?

●任意整理は家族に内緒でできるか?

●家族に内緒で手続をする他の方法はあるか?

●家族に内緒で手続をする場合の注意点は?

というお悩みはありませんか?

このページでは,債務整理を家族に内緒で行うことでお困りの方に向けて,債務整理の家族への影響や,家族に内緒で行うための方法,注意点などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

債務整理の家族への影響

債務整理を行う場合,同居の家族や守るべき子などがいると,家族への影響が心配になるところです。もっとも,債務整理を行っても,債務者以外の家族に不利益が生じることは基本的にありません。
債務整理の対象となる債務は,債務者本人が契約をしたことによって発生しているものであり,返済義務を負うのは自ら契約をした本人だけです。契約に関わっていない第三者は,配偶者であっても子であっても法的な影響を受けません。

また,債務整理をすると,信用情報機関の信用情報(いわゆるブラックリスト)に,金融事故情報としてその事実が登録されますが,ブラックリストへの登録による不利益を受けるのは債務者本人のみです。
そもそも,債務整理は債務者の経済的な立ち直りを可能にするための手続であるため,何らかのペナルティを科すことは想定されていません。債務者本人が法的な制裁を受けないのである以上,その家族はなおさら制裁を受けるものではない,と理解されます。

自己破産は家族に内緒でできるか

①同時廃止事件の場合

同時廃止事件の大まかなステップは,以下の通りです。

同時廃止事件のステップ

1.申立書の提出
2.破産手続開始決定及び同時廃止決定
3.免責許可決定

このうち,「1.申立書の提出」段階では,弁護士に依頼している限り弁護士が債権者とのやり取りをするため,家族に内緒で進めることも不可能ではないでしょう。もっとも,自分名義の銀行口座を配偶者が管理している場合,その口座の情報をどのように用意するか,という問題は生じるかもしれません。

また,「2.破産手続開始決定及び同時廃止決定」の段階では,その事実が官報(国の発行する機関紙)に掲載されるため,官報を確認すれば家族に発覚し得ることになります。もっとも,特に理由なく官報を読むことは考えにくく,家族に内緒で行うことは十分に可能でしょう。

その後,「3.免責許可決定」の段階で生じる動きとしては,免責審尋のための裁判所への出頭や,免責許可決定の官報掲載が挙げられます。この段階についても,同様に家族に内緒で行うことは不可能でないでしょう。

②管財事件の場合

管財事件の場合,破産手続開始決定の後,直ちに免責の手続に移るのでなく,破産管財人による財産の調査・処分が必要になります。この局面で,以下のような問題が生じやすいところです。

1.郵便物が破産管財人に届く

破産手続開始決定後は,自分宛の郵便物が自分でなく破産管財人に届きます。そのため,不自然に郵便物が届かない,という経緯で家族に疑問を抱かれる可能性はあるでしょう。
もっとも,破産管財人との間で郵便物の受け取り方法を相談することは通常可能であるため,郵便物に関するフォローができないわけではありません。

2.財産の不自然な売却が生じ得る

管財事件では,20万円以上の価値がある財産や,20万円以上の解約返戻金が生じる保険など,財産的価値のあるものを金銭化し,債権者に配当することが必要です。一般に,価値の高い財産や保険をいきなり金銭にすることは不自然であり,財産の処分をきっかけに家族が疑問を持つこともあり得るところです。

③注意点

自己破産を行う場合,債権者であるクレジットカード会社のカードを使って携帯電話や光熱費等の支払を行っていると,ある日を境に引き落としでの支払ができないという事態が生じます家族と共同で生活費のために用いているクレジットカードがある場合,家族に内緒で進めることは困難かもしれません

ポイント
自己破産を家族に内緒で行うことは不可能ではない
ただし,共同で銀行口座やクレジットカードを管理している場合は難しい
管財事件の場合は,郵便物や財産の処分がきっかけで発覚する場合も

家族に内緒で行う手段としての有用性

同時廃止事件:3位
管財事件:4位

個人再生は家族に内緒でできるか

個人再生手続の大まかなステップは,以下の通りです。

個人再生手続のステップ

1.申立書の提出
2.再生手続開始決定
3.再生計画案の作成
4.再生認可決定

まず,「1.申立書の提出」の段階における家族への発覚リスクは,基本的に自己破産と同様でしょう。つまり,家族と共同で用いている銀行口座等の履歴を確保・提出する場合に,家族に内緒で行うことが難しくなり得ます。

次に,申立書の内容を踏まえ,裁判所が「2.再生手続開始決定」を行うと,具体的な再生のための計画に移ります。再生手続開始決定の局面では,官報掲載がなされるくらいであり,自己破産を超えるリスクはあまりないでしょう。

その後,「3.再生計画案の作成」が行われますが,この局面では自己破産と異なり郵便物の転送や高額財産の処分が必要ありません。つまり,郵便物が自宅に届かなかったり,不自然に高額な自動車などが処分されていたりといった流れで家族に発覚する恐れは通常ありません。
また,小規模個人再生の場合,再生計画案について債権者による書面の決議が必要になりますが,決議が決定された旨は官報に掲載されます。やはり官報を閲覧しない限りは影響しないでしょう。

最後に,「4.再生認可決定」の局面では,同じく官報掲載が生じるくらいです。やはり家族に内緒で進めることは十分に可能でしょう。

以上の通り,個人再生手続の場合,自己破産と同様の発覚リスクがありますが,自己破産(特に管財事件)で見られるような発覚リスクがないため,家族に内緒で手続できる可能性は比較的高いと言えるでしょう。
また,借金は圧縮されるものの返済を継続することになるため,借金の存在を家族が知っている場合にも,不自然に借金の返済がなくなった,という事態が生じにくいところです。

ポイント
自己破産と同じくキャッシュカードや銀行口座の共同利用で発覚リスクが生じる
もっとも,自己破産(管財事件)特有の発覚リスクはない
借金の返済は続くため,家族が借金の存在を知っていても不自然でない

家族に内緒で行う手段としての有用性

2位

任意整理は家族に内緒でできるか

任意整理は,各債権者と個別に交渉をすることで,利息をカットしてもらったり月々の返済額を減らしてもらったりという合意をし,スムーズな完済を目指す手続です。
そして,任意整理は裁判所への申立てなく債権者との間で直接交渉することになります。

この任意整理の場合,基本的にすべてのやり取りが依頼した弁護士と債権者との間で行われるため,やり取りの中で家族に発覚するリスクはほとんどありません
また,家族と共同で利用している銀行口座やクレジットカードなどについても,その口座やカードに関係する債務を任意整理の対象から除外すれば,特に影響なく任意整理が可能です。

以上の通りであるため,任意整理は最も家族への発覚リスク低く実行できる債務整理の手続ということができるでしょう。

ポイント
任意整理は弁護士と債権者とのやり取りで終始するため,やり取り中の発覚がほとんどない
家族への発覚が懸念される債務は,任意整理の対象から除くこともできる

家族に内緒で行う手段としての有用性

1位

家族への発覚を防ぐ他の方法

①直接のやり取りをしない

まずは,弁護士に依頼をして,全てのやり取りの窓口を弁護士にすることが肝要です。債権者である貸金業者から郵便物が届いたり,裁判所から連絡が来たりすれば,どうしても不自然であると言わざるを得ません。

家族は最も身近な存在であり,それだけに自分を巡る様々な出来事を不意に知ってしまう可能性がある立場のため,できる限りの配慮をするのが適切です。

②クレジットカードで生活費の精算をしない

生活に不可欠な支払をクレジットカードで精算していると,カードが停止した時点で生活に具体的な支障が出るため,家族に内緒で進めることは非常に困難になります。
そのため,家族に内緒で債務整理をしたい場合には,極力クレジットカードで生活費を精算しないようにしたいところです。現在クレジットカードでの精算をしている場合は,少しずつ支払方法の変更を試みるほかないかもしれません。

家族に内緒で手続をする場合の注意点

債務整理は,生活を共にする家族にも一定の影響が生じやすいものであるため,確実に家族への発覚を防ぐ方法は存在しないと言わざるを得ません。債務整理は,家族に内緒で進めたいという希望を実現しづらい手続であると考える必要があるでしょう。

また,各債務整理手続に共通する債務者のデメリットとして,一定期間,信用情報(ブラックリスト)に事故情報が登録されます。ケースにより5~10年ほどは新規のカードやローンの契約ができないため,家族との間でたまたまカードやローンの話になったとき,円滑に乗り切ることは難しい場合が多いでしょう。

家族に内緒で手続を行いたい場合は,可能な限り手段を講じ,万一発覚した場合の手当ても事前に考えておく,という段取りが有力かもしれません。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

債務整理は,法律的には家族に影響を及ぼすものではありませんが,家族関係への事実上の影響は大きく生じやすい手続であることが多いです。
そのため,家族に内緒で解決できる場合であれば,今後のためにも家族に内緒で行う手段を検討されるのが有益かもしれません。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

主債務者が債務整理したら保証人はどうなる?種類別影響と弁護士による解決策

借金問題を解決するために債務整理を検討し始めると、多くの人が「保証人や連帯保証人に迷惑をかけてしまうのではないか」という不安に直面します。

適切な対応を誤れば、解決までの負担が大きくなる可能性もあります。こうした事態を避けるためには、債務整理や保証人の問題に精通した弁護士へ早期に相談することが重要です。

本記事では、債務整理と保証人・連帯保証人の法的関係性を踏まえ、保証人への影響を防ぐ方法や弁護士へ相談するメリットについて詳しく解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

債務整理と保証人・連帯保証人の法的関係性

債務整理を進める上で、保証人と主債務者の法的関係を正しく理解することは重要です。

結論として、主債務者が自己破産や個人再生などの法的整理を行うと、債権者は「保証人に請求する権利」を行使します。

これは、保証契約がそもそも主債務者の支払不能を補完するために結ばれるものだからです。

とくに「連帯保証人」の場合は、主債務者とほぼ同等の責任を負うため、主債務者が整理を開始した瞬間に全額の支払い義務が保証人に移行すると考えておく必要があります。

「保証人」と「連帯保証人」の違いと責任の範囲

法律上、単なる「保証人」と「連帯保証人」では、その責任の重さと主張できる権利に決定的な違いがあります。

債務整理を進める上で、保証人と主債務者の法的関係を正しく理解することは重要です。

保証人債権者に対し、「まずは借りた本人に請求してほしい(催告の抗弁権)」や「本人の財産を差し押さえてからにしてほしい(検索の抗弁権)」という主張が可能です。
連帯保証人上記のような防御権が一切認められません。主債務者が返済できる状態であっても、債権者が連帯保証人に請求を望めば、それを拒むことはできません。

日本の金融実務においては、ほとんどのケースで「連帯保証人」としての契約が求められるため、重い法的責任を伴うことを認識しなければなりません。

主債務者が債務整理(破産・再生)をすると請求先は保証人に切り替わる

主債務者が裁判所を通じて債務整理を行うと、保証人への請求は不可避となります。

自己破産の場合主債務者の支払義務は免責(ゼロ)になりますが、この免責の効力は保証人には及びません。債権者は残債のすべてを保証人に一括請求します。
個人再生の場合主債務者の債務は大幅に圧縮されますが、保証人の債務額は減りません。保証人は元の全額を支払う義務を負い続けます。

一方、任意整理であれば「保証人がついている借金だけを除外して整理する」という柔軟な対応が可能です。この選択肢を検討するためにも、専門的な判断が求められます。

債務整理の種類別:保証人に及ぶ影響と請求額の違い

債務者が債務整理を行い,その債務について免責されると,債務者が債権者に返済する義務はなくなります。これは,債務者にとっては大きな利益ですが,逆に債権者にとっては著しい不利益となってしまうものです。債務者が免責許可を受けてしまえば,債権者は残りの債権を債務者に請求できず,債権はいわば紙切れになってしまうわけです。

そこで,当該債務について保証人を付ける(保証契約をする)方法により,債務者の破産リスクを軽減させることがあります。債務者が支払を滞った場合には,保証人に支払を求めるという流れを取ることで,債権者は債権回収の手段をもう一つ手に入れることが可能になります。

基本的に,債務整理を行うと,債権は金額がゼロになるか圧縮され,全額回収が困難になります。このとき,債務者から回収できない分を代わりに保証人から取り立てるという形で,保証人(及び保証契約)が活用されるのです。
その意味では,債務者による債務整理は,まさに保証契約をした実益が生じる局面であり,債権者は積極的に保証人への請求を目指すことになりやすいでしょう。

ポイント
債務者が債務整理をすると,債権全額の回収ができない
債権全額の回収ができない場合に,債権者は債務者に代えて保証人に請求する
債務者が債務整理をしたケースは,まさに保証契約の効果が出る状況

自己破産をすると保証人に影響するか

自己破産を行った場合,全ての債権者に通知を行わざる得ないため,債権者は自己破産の事実を把握することになります。また,自己破産の結果,債務者が免責許可決定を受けた場合,債権者にとって債務者から金銭回収のできないことが明らかになります。
この場合,保証人がいれば,債権者は保証人への請求を行うことが最も合理的であり,これを防ぐ手段はありません。

なお,自己破産によって免責許可を受けたとしても,免責されるのはその債務者のみであり,保証人の負う債務には影響しません。そのため,保証人は残債務の全額について返済の義務を負うことになります。

個人再生をすると保証人に影響するか

個人再生手続を利用する場合,やはりその事実はすべての債権者に通知されざるを得ません。個人再生は,借金の総額が確定できなければ再生計画が作成できないため,一部の債権者を避けて行うことが不可能です。そして,個人再生手続により,債権の金額は概ね5分の1~10分の1程度に圧縮されてしまうため,債権者が債務者から回収できる金額は,債権総額のうちごくわずかとなります。

そうすると,債権者としては保証人への請求を行うのがやはり最も適切な手段であるということになるでしょう。そして,個人再生手続によって保証人の債務は変化しないため,保証人は債権者の請求に応じて残債務全額の返済義務を負います。

任意整理をすると保証人に影響するか

任意整理が保証人に影響するかどうかは,どの債務について任意整理をするかによって結論が異なります。

①保証人のついた債務について任意整理する場合

この場合,債務者は当該債務について将来の利息がカットされますが,その恩恵は保証人には及びません。債務者が契約通りに返済できないと明らかになった以上,法的には,債権者は保証人に残債務の全額を支払うよう請求することも可能です。

②保証人のついた債務を除いて任意整理する場合

保証人のない債務だけを任意整理する場合,保証人が債権者からの請求を受けるきっかけになることはありません。あくまで,保証人とは関係のない債務についてだけ任意整理を行っており,他の債務に関する事情は保証人が保証する債務の支払とは無関係だからです。

そのため,この場合には保証人に影響が生じることなく債務整理ができるでしょう。

保証人への影響を防ぐ適切な手段は

以上の通り,保証人への影響を防ごうと考えた場合,自己破産や個人再生を選択する余地はない,ということになるでしょう。
具体的には,保証人のついた債務には手を付けず,それ以外の債務についてだけ任意整理を行えば,保証人への影響が防げる可能性が非常に高くなります

ポイント 保証人への影響を防ぐ債務整理
自己破産と個人再生は不可
任意整理は,保証人のついた債務以外の債務のみを対象とすれば可能

保証人への影響を防ぐ他の方法

任意整理で保証人への悪影響を防ぎたい場合,債務者と保証人が連名で任意整理をする,という方法も考えられます。

特定の債務について,債務者だけでなく保証人も連名で利息をカットしてもらえれば,保証人の債務額も債務者と同じ条件になります。そして,債務者が利息カット後の月々の支払を滞りなく続けられれば,債権者が保証人に請求する必要はなく,最終的にも保証人への影響を防ぐことが可能になるでしょう。

保証人への影響を防ぐ場合の注意点

保証人がついた債務がある場合,あえてその債務に触らないようにするのでなく,保証人と連名で任意整理を試みた方が,保証人にとっても利益であるように思えます。任意整理によって,保証人との関係でも将来の利息がカットできれば,それだけ保証人にとって得であるためです。

しかしながら,保証人と連名で任意整理をする場合には,以下の各点に注意する必要があります。

①ブラックリストに登録される

金融機関の保有する信用情報(いわゆるブラックリスト)に,金融事故が起きた旨が保証人についても登録されることになります。ブラックリストに登録されている間は,新規の借り入れやクレジットカードの契約など,債務者の信用を前提とした取り扱いが受けられなくなります。

②一定期間保証人になれない

任意整理をした場合,一定期間保証人になれません。
住宅ローンや子どもの教育に関するローンについても同様です。

保証人としての不安を解消するために弁護士へ相談するメリット

保証人や連帯保証人が負う経済的・精神的な負担は計り知れませんが、弁護士へ相談することでそのダメージを最小限に抑えることが可能です。

ここからは、保証人としての不安を解消するために弁護士へ相談するメリットを詳しく解説します。

債権者からの請求・督促をストップできる

弁護士へ依頼するメリットは、保証人に対する過酷な督促を即座に停止させられる点です。

弁護士が債権者に「受任通知」を送付すると、貸金業法やガイドラインに基づき、債権者は保証人への直接的な連絡や取り立てが禁止されます。

連帯保証人は主債務者の破綻を知らされた直後、精神的に追い詰められることが多いですが、弁護士が介入することで、まずは冷静に判断できる平穏な時間を取り戻せます。

この「督促の停止」は、単なる一時しのぎではありません。

止まっている間に、保証人の家計状況を分析し、現実的な分割返済の交渉や、保証人自身も債務整理を行うべきかといった戦略を練ることが可能になるのです。

保証人としての支払い義務の有無を正確に判断できる

弁護士は、そもそもその保証契約が現在も法的に有効であるかを厳格に精査します。

たとえば、保証契約から長期間が経過しており、最後に主債務者が返済してから5年以上(または10年以上)経っている場合、消滅時効を援用することで支払い義務を完全に消滅させられる可能性があります。

また、契約時の説明義務違反や書面の不備など、形式的な瑕疵があれば、保証契約自体の無効や取り消しを主張できるケースも存在します。

保証人自身が「払わなければならない」と思い込んでいても、法的に見れば支払い義務がない、あるいは軽減できる余地があることは珍しくありません。

専門家による精査は、不要な支払いを防ぐための唯一の手段です。

代位弁済後の求償権行使をサポートしてもらえる

保証人が主債務者の代わりに返済(代位弁済)した際、保証人は主債務者に対して「代わりに払った分を返せ」と求める「求償権」の取得可能です。

弁護士は、この求償権をいつ、どのように行使すべきかをアドバイスします。

たとえば、主債務者が自己破産をする場合、求償権も免責対象となる可能性があるため、どのタイミングで支払うのが最も損害を抑えられるかを計算します。

また、親族間での代位弁済は感情的な対立に発展しやすいものですが、弁護士が法的な整理案を提示することで、将来的な親族トラブルを未然に防ぎ、透明性の高い精算を実現します。

返済後のアフターフォローまで見据えたサポートこそが、弁護士に依頼する大きな意義です。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

債務整理は,借金の減免を試みるためのものなので,債権者としては保証人への請求へと切り替えるきっかけにもなります。
そのため,債務整理が保証人に大きな影響を与え得ることを十分に把握した上で,対応の方法を検討するのが適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

借金返済の督促を防ぎたい場合にはどんな債務整理をすべき?方法別に弁護士が詳細解説

●借金返済の督促を防ぐにはどうすべきか?

●自己破産で督促を防ぐことはできるか?

●個人再生で督促を防ぐことはできるか?

●任意整理で督促を防ぐことはできるか?

●督促を防ぐ他の方法はあるか?

●督促への対応の注意点は?

というお悩みはありませんか?

このページでは,借金の督促を防ぐ方法でお困りの方に向けて,返済の督促を防ぐ際に適切な手段や,督促に対して行ってはならないことなどを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

借金返済の督促を防ぐために必要なこと

借金の返済が滞る場合,債権者の取る手段は基本的に以下の2つのいずれかです。

借金返済が滞った場合の債権者の手段

1.任意の返済を求める(督促)
2.民事訴訟を提起して強制的に回収する

この点,訴訟手続を利用することは債権者側にも負担が大きいため,まずは支払の督促を行うこと(①)から行い,督促が奏功しないと判断した場合に訴訟での請求(②)を検討するという流れが通常です。

督促という行為は,債務者に借金の返済を求めているだけであるため,あまりに過激な方法を取らない限りは法的問題の生じる行為ではありません。つまり,督促は基本的に合法です。
一方,債務者が督促を防ごうと思った場合には,基本的に合法であるはずの督促が違法となる状態を作り出すことが必要となります。

督促が違法となる状態を作るための代表的な手段は,弁護士による受任通知の送付です。
弁護士が債務者から当該債務の整理に関する委任を受けた場合,債権者に対して受任通知を送るのが通例です。これは,「この債務に関しては今後弁護士が窓口になるから,債務者本人への督促はしないでください」というメッセージです。
貸金業者や債権回収会社は,受任通知の受領以降に債務者本人への督促をすることが法律で禁じられているため,受任通知の送付によって督促が違法となるのです。

そのため,借金返済の督促を防ぎたい場合には,弁護士から受任通知を送付するような手続を用いることが適切である,ということになります。

ポイント
債権者の債権回収手段は督促又は訴訟
弁護士の受任通知受領後は,貸金業者の債務者本人への督促は違法
督促を防ぎたい場合,弁護士から受任通知を送付する手段を用いるのが適切

自己破産で督促を防げるか

自己破産を弁護士に依頼すると,弁護士は債務の総額を把握しなければならないため,全ての債権者に受任通知を送付し,債権額の調査を実施します。つまり,弁護士が自己破産の準備を行う場合の最初のステップが,全債権者への受任通知ということです。

したがって,自己破産を弁護士に依頼した場合,速やかに弁護士の受任通知が送付され,その後の督促を防ぐことが可能です。

個人再生で督促を防げるか

個人再生を弁護士に依頼した場合も,自己破産と同じく弁護士による債務の全体像の把握から始まります。具体的には,やはり弁護士がすべての債権者に受任通知を送付し,債権額の調査を進めるステップから入るため,弁護士は受任後速やかに受任通知を出すことになるのです。

したがって,個人再生を弁護士に依頼した場合,速やかに弁護士の受任通知が送付され,その後の督促を防ぐことが可能です。

任意整理で督促を防げるか

弁護士に任意整理を依頼すると,弁護士は任意整理を目指す債権者に対して受任通知を行い,取引履歴の開示を求めるなどして債権額の調査を行います。ここでもやはり,弁護士の活動のスタートが受任通知の送付となります

したがって,任意整理を弁護士に依頼した場合,速やかに弁護士の受任通知が送付され,その後の督促を防ぐことが可能です。ただし,任意整理は債権者ごとに行うか行わないかの判断が生じるところ,任意整理を行わない債権者には弁護士の受任通知は送付されないため,督促が防げるのは任意整理を行う相手の債権者のみです。

督促を防ぐ適切な手段は

個人が債務整理を行う手段である自己破産,個人再生,任意整理は,いずれも弁護士に依頼すれば債権者に受任通知が送付されます。そのため,督促を防ぐという観点では,手段に優劣の差はあまりないということができるでしょう。
ただし,債権者のごく一部に対してのみ任意整理を試みる場合は,他の大部分の債権者との関係では督促を防ぐ効果が生じないため,この場合は明確な差が生じることになります。

ポイント 督促を防ぐ適切な手段
弁護士に依頼する限り,自己破産,個人再生,任意整理のいずれも適切
ごく一部の債権者との間でのみ任意整理をする場合は,督促を防ぐ効果もごく一部

督促を防ぐ他の方法

債権者の督促を防ぐ方法は,受任通知以外にも以下のような方法が考えられます。

①支払方法の相談

債権者は,債務者に支払の意思があるのか分からず,放っておくことで借金が返済されないまま時間が経過する可能性があると考え,債務者への督促を行うものです。
そのため,債権者から見て債務者の支払意思や返済の見込みが分かれば,わざわざ督促を継続する必要はなくなります。

そこで,特に滞納期間が短い場合に,債権者と支払方法に関する相談を試みる手段は有力です。債権者に対して現在返済が滞っている具体的理由を説明した上で,今後の返済予定・見込みをできる限り説明することで,債権者に納得してもらうことを目指す,というわけですね。

もっとも,既に長期間・多額の滞納が続いている場合は,債権者との相談は困難なことが多いでしょう。なぜなら,これまでの滞納状況を踏まえたときに,返済を約束する債務者の話を信用することは難しいためです。

ポイント
滞納期間や滞納額が限定的であれば,債権者との相談が有力

②消滅時効の援用

借金の返済を求める督促を受けても,その根拠となる債権が時効によって消滅していれば返済を拒むことができます。消滅時効が完成している場合,消滅時効の「援用」(時効の効果を生じさせる意思表示)をすることで,督促を受ける筋合いもなくなるということになります。

消滅時効が完成するためには,一般的に5年又は10年の経過が必要であるため,相当程度遡った借金に限る話ではありますが,意識しておいて損はないでしょう。具体的な消滅時効の期間は以下の通りです。

消滅時効の期間

1.2020年3月31日以前の借金
a.貸主か借主のいずれかが商人の場合,5年
b.貸主・借主いずれも承認出ない場合,10年

2.2020年4月1日以降の借金
商人であるかどうかにかかわらず5年

なお,商人は,主に営利目的で金貸しを行っている個人や法人を指します。

もっとも,消滅時効を援用する場合には,消滅時効が「更新」されていないか確認する必要があります。
消滅時効の更新とは,消滅時効の進行がリセットして,またゼロから時効期間が進むことを言います。例えば,借金の一部を返済する行為は,消滅時効の更新事由に該当するため,返済した時点からさらに5年が経過しなければ消滅時効が完成しません。
借金の場合,途中までは何とか返済を続けていた,という場合も多いため,消滅時効が更新されていないかは十分に注意したいところです。

ポイント
消滅時効は,個人10年,商人5年,2020年4月以降は一律5年
返済などによって更新されていないかは注意が必要

③督促異議の申立て

債権者自身からでなく,裁判所を通じて督促が届くことがあります。これを「支払督促」といい,放置をしていると財産を強制的に差し押さえられる恐れのある重大な手続です。
債権者としても,債務者の自発的な支払をほぼ期待できないと考えている場合に取る手段,という意味合いがあるものと言えます。

裁判所からの郵便で支払督促が届いた場合,受領から2週間以内に「督促異議の申立て」を行いましょう。通常,郵送時に「督促異議申立書」の書式が同封されているため,必要事項を記載の上で提出することが可能です。

督促異議申立書 書式(東京簡裁民事第7部)

ポイント
裁判所からの支払督促には,速やかに督促異議申立書を返送する

督促への対応の注意点

支払の督促を受けた場合,突然の出来事に冷静な判断の難しい場合が多いところですが,まずは冷静に内容を確認の上,以下の各事項に留意するのが適切です。

①心当たりのある督促は無視しない

督促の対象となっている借金に心当たりがある場合,督促を無視してそのまま放置することは避けましょう。実際に借金があり,督促を受ける段階にある場合,債権者としては督促が無視されれば財産を差し押さえてでも強制的に貸金を回収しようとしてくる可能性があります。
もし,裁判手続となって財産の差し押さえが認められれば,重要な財産を失う可能性も否定できず,不利益が必要以上に重大なものとなってしまうかもしれません。

具体的にどのような債務整理の手段を講じるかはともかく,まずは督促があった事実に見て見ぬふりをすることなく,対応方法をしっかり検討するようにしましょう。

②利息が大きくなる恐れがある

貸金業者が貸付を行う場合の金利(貸付金利)は,法律が認めた上限よりもいくらか低いことが通常です。しかし,滞納して督促を受ける状況では,貸付金利より高額な「遅延損害金」の支払を求められる内容の契約になっていることが一般的であるため,督促を受ける段階では返済すべき利息の金額が大きくなってしまっている可能性があります。

督促を受ける状況であれば,「貸付金利」と「遅延損害金」がそれぞれ年利何パーセントの割合になっているか,正確に確認することが適切でしょう。

③一括返済を求められる恐れがある

貸金業者が貸付を行う場合,継続的な返済を滞る状況に至ると債権者が残金を一括請求できる,という契約になっていることが通常です。一定の期限が来るまで返済しなくてもよいという権利のことを「期限の利益」と言いますが,滞納するとこの期限の利益を失うという契約になっている,というわけです。期限の利益がなくなることを,「期限の利益の喪失」と言います。

滞納により督促を受ける状況では,債権者が期限の利益の喪失を主張して全額の返済を強制的に求めてくる可能性も否定できません。

④保証人が請求を受ける可能性がある

貸付に際して保証人がついている場合,督促を受けるような状況であれば,債権者は保証人に対して請求を試みることも考えられます。
保証人は,債務者が返済を滞る場合でも債権者が債権回収できるように,担保となる人です。債務者が返済を滞納し,督促にも応じないとなれば,まさに担保としての保証人にその役割を発揮してもらうべきタイミングということになります。

督促を受けた状況では,保証人に影響がある可能性に留意するのが適切でしょう。

⑤受任通知を送っても個人の取り立ては防げない

債権者の督促を防ぐ代表的な手段として,弁護士による受任通知の送付を解説しましたが,これは債権者が貸金業者や債権回収業者である場合に限られます。つまり,受任通知後の督促を法律で禁じられた債権者に対してしか,直接の効果を発揮しないということになります。

そのため,債権者が個人である場合,弁護士の受任通知受領後に債務者へ直接の取り立てを行っても,直ちに違法とはならないのです。
もっとも,弁護士の受任通知を無視して執拗に債務者への取り立てを行うとなると,程度によっては違法と判断される場合が生じます。いずれにしても,弁護士からの受任通知を送付しておくことに損はないでしょう。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

支払の督促を受ける状況では,対応を誤るとより大きな不利益につながる可能性が非常に高いです。
そのため,適切な方法で対処し,支払の督促を防ぐ動きを検討することが望ましいでしょう。
具体的な方針は専門的な判断が必要になるため,借金問題に強い弁護士への相談をお勧めします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

任意整理とは何か?任意整理すれば借金は減るのか?メリットデメリットを徹底解説

●任意整理とは何か?

●任意整理できるケースは?

●任意整理のメリットは?

●任意整理のデメリットは?

●任意整理の流れが知りたい

●任意整理は弁護士に依頼すべきか?

というお悩みはありませんか?

このページでは,借金問題について任意整理をご検討の方に向けて,任意整理の内容やメリットデメリット具体的な流れや弁護士依頼の要否などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

任意整理とは

任意整理とは,債務整理を行う方法の一つで,金融機関などの債権者に対して直接交渉を試み,支払金額の軽減と完済を目指すものです。

個人の債務整理には,ほかに自己破産や個人再生がありますが,これらが裁判所への申立てを前提とする手続であるのに対し,任意整理は裁判所への申立てを行わず,純粋な当事者間の交渉によって解決を試みる点に特徴があります。

金融機関は,金銭を貸し出す際に利息を添えて返済する約束を取り付けることになります。返済時には,「貸したお金+利息」が返済されるため,その利息分の利益が生じる,というのが貸金業の一般的なビジネススタイルです。
一方,債務者としては,借りた金額を超える返済が必要となるため,返済が滞ってしまうリスクがあり得ます。その返済のため更に他の借り入れをして…というのが数多く見られるパターンです。

この点,利息の負担さえなければ無理なく返済できる状況の場合,財産を放棄して自己破産するよりも,将来の利息をカットしてもらって支払い続けることができればその方が債務者にとって有益な場合も少なくありません。貸金業者としても,将来の利息を諦めるだけでそれ以外が返済されるのであれば,自己破産されて全く回収できなくなるよりも有益と言えます。

任意整理は,基本的に将来の利息をカットすることで,自己破産することなく借金の返済を目指す手段として活用されるものなのです。

ポイント
任意整理とは,債権者との交渉で返済金額の軽減と完済を目指す方法
将来の利息をカットすることで,月々の負担を軽減しながら完済を目指す
債権者としても,自己破産されてしまうより有益なことが一般的

任意整理を選択できる場合

任意整理は,借金を返済し続ける前提で選択する方法です。また,債権者との交渉によって借金の減額を目指すものであるため,債権者との合意ができなければなりません。
そのため,任意整理を選択できる場合は以下のようなケースに限られるでしょう。

①継続返済の意思がある

債権者が任意整理に応じるのは,債権者の善意による面も多分にあります。本来請求できるはずの利息を免れさせて欲しい,という要求は,それ自体債権者に何のメリットもないためです。
そのため,まずは債権者に対して完済する意思があることを表明するのが大前提となるでしょう。返済に向けた確かな意思を債権者に感じ取ってもらうことで,初めて任意整理のスタートラインに立てると考えるべきところです。

②継続的な収入見込みがある

任意整理で利息をカットした後の借金は,概ね3~5年以内の返済を前提とするのが一般的です。そのため,利息をカットしてもらってもその後の返済が滞る見込みであれば,任意整理を行う前提を欠いていると言わざるを得ません。
そのため,任意整理を行うには,継続して収入を得る見込みがあり,月々返済できる見通しの立っていることが必要になるでしょう。借金額100万円を例にした返済金額のイメージは以下の通りです。

返済金額のイメージ

借金額3年で完済する場合5年で完済する場合
100万円約28,000円/月約16,000円/月

③借金の元金が過大でない

任意整理は,残債を3~5年の期間で完済するための交渉を行うものであるため,元金が3~5年では明らかに返済しきれないほど大きい場合は選択困難でしょう。
もちろん,交渉である以上は債権者との合意ができるか次第ではありますが,3~5年での完済が明白に見込めないケースで合意に至る債権者はあまりいないと考える方が賢明です。

④債権者に断られやすい事情がない

返済の意思があり,継続的な収入見込みがあって,金額的にも3~5年で無理なく返済できる,という条件が整っていても,最終的には債権者の了承を得なければ任意整理はできません。そのため,債権者に断られることが見込まれる状況では,任意整理の利用は困難となります。

具体的には,取引の期間・回数が明らかに短く,最初から踏み倒し目的と思われる場合,過去にも任意整理を行っていて完済できていない場合,既に債権者との間でトラブルが生じている場合などが挙げられます。

ポイント 任意整理できる場合
返済意思がある
継続収入がある
3~5年で返済できる金額である
債権者が承諾してくれる

任意整理のメリット①利息の返済が不要になる

任意整理の最大のメリットは,交渉によって将来の利息の返済が不要になり,返済金額が軽減できる点にあります。
将来の利息が発生しなければ,債権者への返済金額はその後増えることなく固定になるため,具体的な返済計画を立てるにあたっても非常に重要な利点と言えるでしょう。

任意整理のメリット②借金の一部だけを整理できる

任意整理は,債権者の全てに対して同時に行う必要はなく,特定の債権者に対してだけ行うことも可能です。
借金の一部について,迷惑をかけたくない連帯保証人がついていたり,大切な財産が担保になっていたりと,ほかの借金より優先して返済しなければならない事情がある場合,その特定の借金についてのみ任意整理を実施し,生活への支障を最小限に抑えることも可能になります。

自己破産や個人再生の場合,特定の債権者に対する優先的な返済は「偏頗弁済」として禁止されているため,この点は任意整理の大きな特徴と言えるでしょう。

任意整理のメリット③財産の処分が不要

自己破産の場合,一定の高額な財産は債権者への配当に回されるため,住宅や自動車を処分しないまま行うことはできません。また,個人再生では財産処分まで必要とはなりませんが,ローンの残っている自動車が引き上げられるなど,やはり財産への悪影響が生じ得ます。

この点,任意整理を行うに際して財産を処分する必要はないため,財産の処分を避けながら借金の減額が可能です。また,住宅ローンを任意整理の対象としないことによって,住宅への影響も生じることなく進められます。

任意整理のメリット④周囲に知られずにできる 

自己破産や個人再生は,官報という機関紙にその情報が掲載されるため,稀にその事実が周囲に知られるリスクも否定できません。
一方,任意整理の事実が官報に掲載されることはないため,公開情報から周囲に知られる可能性はほとんどないでしょう。

また,家族との関係でも,自己破産や個人再生には同居家族の協力が不可欠であるため,家族に知られず行うことは困難です。しかし,任意整理であれば家族の協力が必要ないため,家族に知られる可能性を可能な限り下げながら行うことが可能です。

任意整理のデメリット①元金は減額しない

一般的な任意整理では,将来の利息分が返済不要となり,借金の減額につながりますが,借金の元金が減額することは通常ありません。あくまで,将来の利息負担を免れさせることと引き換えに元金の確実な返済を約束するのが,任意整理という一種の示談交渉です。

自己破産では原則として借金の返済義務がなくなり,個人再生では借金の元金が大幅に減額することと比較すると,任意整理の明確なデメリットと言えるでしょう。

任意整理のデメリット②月々の返済の負担は残る

任意整理は,月々の返済を続けることを前提に,その返済額を減らし,無理のない借金の関西を目指すものです。そのため,任意整理をしても月々の返済負担はしっかり残るという点に注意が必要でしょう。

任意整理による示談交渉中は,交渉中の債権者から取り立てを受けることがなくなりますが,あくまで一時的な請求停止の状態に過ぎず,返済義務がなくなるわけではないことに留意しましょう。

任意整理のデメリット③債権者との合意が必要

任意整理は,法的には一種の示談,つまり契約です。利息がカットできたり月々の返済額が減少したりするのは,債権者との間でそのような契約ができたからにほかなりません。

そのため,任意整理は債権者の合意がなければ成り立たない手段であることに十分な注意が必要です。債権者に何等かの権利を主張できるわけではなく,債権者の善意に期待する手段であることを肝に銘じるのが適切です。

任意整理の流れ

任意整理を弁護士に依頼した後,任意整理が完了するまでの大まかな流れは以下の通りです。

1.受任通知

弁護士が受任すると,債権者に対して受任通知を送付します。これによって,弁護士が窓口に入ることが分かり,弁護士との協議が終了するまで債権者の取り立てが停止します

2.債権額の確認

弁護士は,債権者から取引履歴を共有してもらい,借金の残額を計算します。貸金業者の場合,受任から概ね2~3か月すると取引履歴の開示を受けられる場合が多く見られます。
もし,法定利息を超える支払いをさせられていることが分かれば,過払い金の返還請求を予定することになります。

3.和解案の提示

弁護士が,確認した借金額を基準にして,返済総額,返済期間,月々の返済額などの条件に関する案を作成し,債権者に提示します

4.交渉

債権者が弁護士の和解案を受け入れるか,受け入れない場合にはどの部分の変更を要するかなどを交渉し,どのような条件であれば合意ができるかすり合わせをします

5.合意の成立

合意内容が決まった後,合意書面を作成し,相互に署名するなどして取り交わします。

6.支払の開始

合意内容に従い,月々の支払を開始します。借金が完済できれば終了です。

任意整理は弁護士に依頼すべきか

任意整理は,債権者を相手にした交渉であるため,債権者が交渉のテーブルに乗る意思を持ち合わせない限り実現できません。そして,債権者が任意整理に応じるかどうかの最初のハードルは,弁護士が代理人についているか,という点であることがほとんどです。
債権者からすると,交渉や合意に精通した弁護士が相手であれば少ない負担で対応できるものの,債務者本人が相手だと交渉や合意における負担が大きいため,任意整理に応じないとの判断をする,というわけです。

そのため,任意整理には弁護士への依頼が基本的に必須であると理解するのが適切でしょう。まずは弁護士に相談を実施の上,望ましい解決方法を検討することをお勧めします。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

任意整理は,裁判所の手続なく借金問題を解決する方法であり,借金の完済を目指したい人にとって大変有力な手段です。
しかしながら,弁護士を通じて交渉を行わなければ難しい方法でもあるため,具体的な方法・内容も含め借金問題に強い弁護士へのご相談をお勧めします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

給与所得者再生は会社員なら活用すべき?個人再生を考える人の必須知識を弁護士が詳細に解説

●個人再生とは何か?

●破産でなく個人再生を行うべき場合は?

●給与所得者再生とは?

●給与所得者再生の要件は?

●給与所得者再生の弁済金額は?

●給与所得者再生のメリット・デメリットは?

●給与所得者再生を検討すべき場合は?

というお悩みはありませんか?

このページでは,給与所得者再生の内容や要件返済金額小規模個人再生でなく給与所得者再生を検討すべき場合について解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

個人再生とは

個人再生とは,債務整理を図る手段の一つであり,借金の減額を認めてもらった上で継続的な返済計画を立てる制度のことを指します。

個人が多額の借金を抱えている場合,債務超過の状態を解消するために用いる可能性のある裁判手続としては,「自己破産」と「個人再生」が挙げられますが,両者の間には大きな差異があります。
自己破産」は,基本的に債務者が持つすべての財産を換価して債権者に配当し,残った債務を免責することで,経済的にまっさらな状態を作り出す手続と言えます。一方,「個人再生」は,債務者の財産を維持したまま,債務を大きく減額することで,減額後の債務を計画的に返済しながら債務者の経済的な債権を図る手続です。そのため,個人再生では債務者は経済的にまっさらな状態となるわけでなく,引き続き借金を返済し続けることが必要です。

ポイント
個人再生は,借金を減額してもらった上で,その継続的な返済計画を立てる制度
破産と異なり,手続終了後も借金の返済を継続する必要がある

破産でなく個人再生を行うべき場合

個人再生を行っても,破産と異なり借金は免責されないため,破産と個人再生を比較して個人再生をすべき場合が考えにくいようにも思えますが,破産より個人再生を選択すべき場合は存在します。
具体的には,以下のようなケースが挙げられるでしょう。

①借金の返済能力がある場合

自己破産をすると,必要最低限の財産を除き,全ての財産が処分されることになります。その引き換えに債務の免責が見込まれるわけですが,免責までは必要がない場合(=返済自体は継続可能である場合)は,免責よりも財産を失わないことを優先すべきケースもあるでしょう。

借金の返済能力がある場合には,個人再生に必要な再生計画を立てることも可能な場合が多いので,個人再生によって財産の確保をしたまま生活を立て直す手段が有力になるでしょう。

②マイホームがある場合

マイホームを持っている場合,自己破産だと異本的に処分する以外の手段はありません。マイホームは金銭に換価して,債権者への配当に回すべき財産(破産財団)に含まれるためです。

一方,個人再生の場合,住宅資金特別条項(いわゆる住宅ローン特例)を利用することによって,住宅ローンだけはそれまで通りの返済を続けながら生活を立て直すことが可能になります。マイホームを守る利益が大きい場合には,個人再生を選択するのが合理的でしょう。

③免責不許可事由がある場合

自己破産は,最終的に債務の免責を獲得することが最大の目的になります。そのため,自己破産したものの免責されないのでは,自己破産を選択するメリットはほとんどなくなってしまいます。
この点,免責不許可事由がある場合は原則として免責が認められないため,個人再生を選択する方が合理的な場合が多くなるでしょう。

典型例は,ギャンブルが原因で借金に苦しんでいるという場合です。ギャンブルを原因とする債務負担は免責不許可事由に該当するため,自己破産しても免責されない恐れが大きく残ります。そこで,選択が可能な状況であれば個人再生を選択することが有益になりやすいと考えられます。

④資格ある職業の場合

自己破産(得に管財事件)の場合,破産手続開始決定の時点で一定の職業や資格に制限が生じます。士業や金融機関の役員,登録や免許が必要な職業など,その対象は多岐に渡るため,資格ある職業に従事している場合は注意が必要です。

この点,個人再生の場合は,手続中も資格制限が生じません。そのため,仕事への影響なく経済的な立ち直りが可能になるという利点があるのです。
資格ある仕事を継続しながら計画的な借金返済を希望したい場合は,個人再生を選択すべきでしょう。

なお,破産手続開始決定によって資格制限が生じたとしても,同時廃止決定や免責許可決定がなされた場合など,一定の条件を満たせば資格制限はなくなります(復権)。

⑤注意点

上記の各条件を満たす場面では,自己破産より個人再生を選択するメリットの大きい可能性が見込まれやすいです。ただし,同時廃止されるような自己破産とは異なり,手続はより詳細で厳密なものになるため,必要な費用は大きく,期間は長くなりやすいということにはあらかじめ留意しておくのが適切でしょう。

ポイント 破産より個人再生すべき場合
返済能力があり,財産を守りたい場合
マイホームがある場合
ギャンブルで借金を作った場合
資格を失いたくない場合

給与所得者再生とは

給与所得者再生は,小規模個人再生と並ぶ個人再生手続の一つで,安定した収入を見込める給与所得者に限り利用することのできる制度です。

小規模個人再生と給与所得者再生を極めて単純に比較した場合,以下のような内容になるでしょう。

小規模個人再生と給与所得者再生の簡単な比較

小規模個人再生
収入の条件が優しく,借金の減額幅が大きいが,債権者が反対するとできない場合がある

給与所得者再生
=収入の条件が厳しく,借金の減額幅は小さいが,債権者の反対があってもできる

相違点小規模個人再生給与所得者再生
収入条件〇優しい×厳しい
借金の減額幅〇大きい×小さい
債権者の反対×影響し得る〇影響しない

給与所得者再生は,小規模個人再生よりも対象者が限られていますが,決して条件がいい(優先して利用したい)手続ではありません。イメージとしては,小規模個人再生が選択できない場合に,給与所得者にだけいくらか条件の悪い個人再生手続が残されている,といったところでしょう。
個人再生ができず財産を差し押さえられたり自己破産を強いられたりするよりも,給与所得者再生をした方が有益である,という意味合いのものと考えられます。

ポイント
給与所得者再生は,小規模個人再生ができない場合の受け皿的手続
給与所得者に限り,いくらか条件の悪い個人再生手続がもう一つ残されているという位置づけ

給与所得者再生の要件

給与所得者再生の基本的な要件は,小規模個人再生との比較で確認すると明快でしょう。

①収入・支出の条件

収入面の条件として,小規模個人再生と給与所得者再生に共通する要件は以下の3つです。

共通する要件

1.支払不能のおそれがあること
2.継続した収入の見込みがあること
3.住宅ローン以外の借金総額が5,000万円以下であること

小規模個人再生の場合は上記のみですが,給与所得者再生ではさらに以下の2つの要件が必要となります。

給与所得者再生に特有の要件

4.収入の変動幅が小さいこと
→過去2年間の収入に20%以上の変動があると利用できません。

5.過去7年以内個人再生手続やハードシップ免責(※)を申し立てていない
→直近に再生手続を行った事実のないことが必要です。

ハードシップ免責
再生計画の認可後,事情の変更によって計画通りの返済が困難になった場合,返済金額の4分の3以上を返済済みであれば,残りの借金の支払義務を免除してもらえる制度

給与所得者再生に特有のこれらの要件は,給与所得者であるにもかかわらず安定した収入がない場合に再生手続を認めない,という趣旨のものです。
給与所得者再生は,給与所得者が安定した収入を継続して獲得することに注目し,収入の安定した給与所得者に限って個人再生手続(=継続返済による経済的立ち直り)を認めたものです。そのため,上記「4」及び「5」の要件を満たさないような不安定な経済状況の場合には,対象とするべきでないという制度になっています。

②職業形態

給与所得者再生は,その名の通り給与所得者に限り利用できる制度です。
一方,小規模個人再生の場合,個人であれば給与所得者でも事業所得者でも利用が可能です。給与所得者のみ両方利用できる,という制度になっています。

③債権者の賛成

小規模個人再生は,債権者の賛成多数でないと再生計画が認可されません。具体的には,以下のような要件があります。

小規模個人再生における再生計画案の可決条件

①反対する債権者数が全体の2分の1以下であること
②反対する債権者の債権総額が全体の2分の1以下であること
(①と②の両方を満たすことが必要)

一方,給与所得者再生にはこのような債権者に関する要件がありません。大口債権者の反対が見込まれる場合には,小規模個人再生でなく給与所得者再生を選択する手段が有力になります。

ポイント 給与所得者再生の要件
収入の安定が必要
職業は給与所得者のみ
債権者の賛成が不要

給与所得者再生の弁済金額

給与所得者再生の弁済金額は,以下の3つのうち最も大きい金額となります。

給与所得者再生の弁済金額

①最低弁済額
②清算価値
③可処分所得の2年分

①最低弁済額

最低弁済額とは,個人再生手続で借金を縮減してもらったとしても,最低限返済しなければならない金額として法律が定めた金額です。具体的には,借金の総額に応じて以下の通り定められています。

最低弁済額の一覧

借金総額最低弁済額
100万未満全額
100万円以上 500万円未満100万円
500万円以上 1,500万円未満借金の総額の5分の1
1,500万円以上 3,000万円未満300万円
3,000万円以上 5,000万円未満借金の総額の10分の1

最低弁済額は,最低額を100万円とし,借金の総額が大きいほど減額幅が大きくなる形が取られています。借金額が限定的な場合は5分の1,借金額が大きい場合は10分の1に減額されることとなります。

②清算価値

清算価値とは,必要最低限の財産以外のものをすべて処分した時に得られる金額を言います。まさに,手持ちの財産を清算したときの価値,ということですね。

③可処分所得の2年分

可処分所得とは,いわゆる手取りの給料から最低限の生活費を差し引いた金額を指します。言い換えれば,給与総額から税金や保険料などを差し引き,さらに最低限の生活費を除いた残額ということになります。
個人再生前の可処分所得の2年分を基準とするのがこの弁済金額です。

一般的な計算方法は,以下の通りです。

可処分所得2年分の計算方法

{(「2年分の収入」-「2年分の税金等」)÷2-「1年分の生活費」}×2

つまり,2年分の収入から2年分の税金などを引いたものを半分にして1年分の「収入-税金等」の平均を出し,その金額から1年分の生活費を引けば1年分の可処分所得が計算できるため,これをさらに2倍する,ということになります。

④金額の比較

①最低弁済額,②清算価値,③可処分所得の2年分の3つを比較すると,一般的には以下のような大小関係になりやすいです。

弁済金額3基準の一般的な比較

高額
「③可処分所得の2年分」

「①最低弁済額」

「②清算価値」
低額

例えば,1,000万円の借金がある年収450万円の給与所得者の場合,計算の一例としては以下のような内容が考えられます。

例:借金1,000万円,年収450万円の独身男性の場合(めぼしい財産はない)

「③可処分所得の2年分」
={(「2年分の収入」-「2年分の税金等」)÷2-「1年分の生活費」}×2
≒{(900万円-200万円)÷2-「200万円」}×2
=150万円×2
300万円

「①最低弁済額」
=1,000万円×1/5
200万円

「②清算価値」
必要最低限の財産しか有していなければ,ほぼゼロとなるでしょう。

【金額の比較】

高額
「③可処分所得の2年分」=300万円

「①最低弁済額」=200万円

「②清算価値」=0円
低額

なお,借金額が非常に大きかったり,扶養家族が多いため生活費が大きかったりすると,「③可処分所得の2年分」が「①最低弁済額」を下回る可能性も否定はできないところです。

小規模個人再生と給与所得者再生の優先関係

個人再生手続である小規模個人再生と給与所得者再生は,一定の給与所得者であればいずれも選択可能であることが多く見られますが,一般的には小規模個人再生を優先して選択すべきと考えられます。
その最大の理由は,弁済金額の点で小規模個人再生の方が有利であるためです。

給与所得者再生の弁済金額は,以下のいずれかのうち最も大きい金額でした。

給与所得者再生の弁済金額(①~③のうち最も大きい金額)

①最低弁済額
②清算価値
③可処分所得の2年分(最も高額になりやすい)

一方,小規模個人再生の弁済金額は以下の通りです。

小規模個人再生の弁済金額の弁済金額(①~②のいずれか大きい金額)

①最低弁済額
②清算価値

つまり,小規模個人再生では,「③可処分所得の2年分」が弁済金額とされないため,その分弁済金額が小さくなる可能性があるわけです。もっとも,「①最低弁済額」が「③可処分所得の2年分」より大きい場合,いずれの手続でも弁済金額は最低弁済額になりますが,どちらの手続でも同額になるというだけであり,給与所得者再生の方が有益ということにはなりません。

給与所得者再生のメリット

給与所得者再生の最大のメリットは,債権者の反対があっても利用できるという点にあります。小規模個人再生は債権者の反対が多数だと利用できないため,この点が給与所得者再生の特徴的な利点と言えるでしょう。

そのため,給与所得者再生のメリットが現れるケースとしては,以下のような場合が考えられます。

給与所得者再生のメリットが現れるケース

過半数の債権者から個人再生手続を反対されている
最も大口の債権者から個人再生手続を反対されている

給与所得者再生のデメリット

小規模個人再生と比較した給与所得者再生のデメリットを列挙すると,以下の通りになるでしょう。

給与所得者再生のデメリット(小規模個人再生との比較)

1.弁済額が高額になりやすい
2.収入の要件が厳しい(収入の安定が必要)
3.給与所得者しか利用できない

以上のデメリットが具体的に意識される場合は,まず小規模個人再生の利用を検討するのが有益ということになります。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

給与所得者再生は,一定の給与所得者が利用できる個人再生手続です。
もっとも,小規模個人再生と比較して債務者にとって有利であることはあまり想定されないため,個別のケースで本当に給与所得者再生が適切であるかどうかは,専門的な知識・経験を持った弁護士との十分なご相談をお勧めいたします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

小規模個人再生とはどんな手続か?どんなときに利用するべきか?メリットデメリットを簡単理解

●個人再生とは何か?

●破産でなく個人再生を行うべき場合は?

●小規模個人再生と給与所得者再生は何が違う?

●小規模個人再生の条件は?

●小規模個人再生の場合の弁済金額は?

●小規模個人再生のメリット・デメリットは?

●小規模個人再生と給与所得者再生のどっちがいいのか?

というお悩みはありませんか?

このページでは,小規模個人再生の内容条件や返済金額給与所得者再生と比較したメリットデメリットなどを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

個人再生とは

個人再生とは,債務整理を図る手段の一つであり,借金の減額を認めてもらった上で継続的な返済計画を立てる制度のことを指します。

個人が多額の借金を抱えている場合,債務超過の状態を解消するために用いる可能性のある裁判手続としては,「自己破産」と「個人再生」が挙げられますが,両者の間には大きな差異があります。
自己破産」は,基本的に債務者が持つすべての財産を換価して債権者に配当し,残った債務を免責することで,経済的にまっさらな状態を作り出す手続と言えます。一方,「個人再生」は,債務者の財産を維持したまま,債務を大きく減額することで,減額後の債務を計画的に返済しながら債務者の経済的な債権を図る手続です。そのため,個人再生では債務者は経済的にまっさらな状態となるわけでなく,引き続き借金を返済し続けることが必要です。

ポイント
個人再生は,借金を減額してもらった上で,その継続的な返済計画を立てる制度
破産と異なり,手続終了後も借金の返済を継続する必要がある

破産でなく個人再生を行うべき場合

個人再生を行っても,破産と異なり借金は免責されないため,破産と個人再生を比較して個人再生をすべき場合が考えにくいようにも思えますが,破産より個人再生を選択すべき場合は存在します。
具体的には,以下のようなケースが挙げられるでしょう。

①借金の返済能力がある場合

自己破産をすると,必要最低限の財産を除き,全ての財産が処分されることになります。その引き換えに債務の免責が見込まれるわけですが,免責までは必要がない場合(=返済自体は継続可能である場合)は,免責よりも財産を失わないことを優先すべきケースもあるでしょう。

借金の返済能力がある場合には,個人再生に必要な再生計画を立てることも可能な場合が多いので,個人再生によって財産の確保をしたまま生活を立て直す手段が有力になるでしょう。

②マイホームがある場合

マイホームを持っている場合,自己破産だと異本的に処分する以外の手段はありません。マイホームは金銭に換価して,債権者への配当に回すべき財産(破産財団)に含まれるためです。

一方,個人再生の場合,住宅資金特別条項(いわゆる住宅ローン特例)を利用することによって,住宅ローンだけはそれまで通りの返済を続けながら生活を立て直すことが可能になります。マイホームを守る利益が大きい場合には,個人再生を選択するのが合理的でしょう。

③免責不許可事由がある場合

自己破産は,最終的に債務の免責を獲得することが最大の目的になります。そのため,自己破産したものの免責されないのでは,自己破産を選択するメリットはほとんどなくなってしまいます。
この点,免責不許可事由がある場合は原則として免責が認められないため,個人再生を選択する方が合理的な場合が多くなるでしょう。

典型例は,ギャンブルが原因で借金に苦しんでいるという場合です。ギャンブルを原因とする債務負担は免責不許可事由に該当するため,自己破産しても免責されない恐れが大きく残ります。そこで,選択が可能な状況であれば個人再生を選択することが有益になりやすいと考えられます。

④資格ある職業の場合

自己破産(得に管財事件)の場合,破産手続開始決定の時点で一定の職業や資格に制限が生じます。士業や金融機関の役員,登録や免許が必要な職業など,その対象は多岐に渡るため,資格ある職業に従事している場合は注意が必要です。

この点,個人再生の場合は,手続中も資格制限が生じません。そのため,仕事への影響なく経済的な立ち直りが可能になるという利点があるのです。
資格ある仕事を継続しながら計画的な借金返済を希望したい場合は,個人再生を選択すべきでしょう。

なお,破産手続開始決定によって資格制限が生じたとしても,同時廃止決定や免責許可決定がなされた場合など,一定の条件を満たせば資格制限はなくなります(復権)。

⑤注意点

上記の各条件を満たす場面では,自己破産より個人再生を選択するメリットの大きい可能性が見込まれやすいです。ただし,同時廃止されるような自己破産とは異なり,手続はより詳細で厳密なものになるため,必要な費用は大きく,期間は長くなりやすいということにはあらかじめ留意しておくのが適切でしょう。

ポイント 破産より個人再生すべき場合
返済能力があり,財産を守りたい場合
マイホームがある場合
ギャンブルで借金を作った場合
資格を失いたくない場合

小規模個人再生と給与所得者再生の簡単な違い

個人再生には,「小規模個人再生」と「給与所得者再生」という二つの手続があります。個人再生を試みる場合には,このいずれかの選択肢を選ぶことになるため,両者の違いを把握することが重要です。

小規模個人再生と給与所得者再生には複数の相違点がありますが,最も典型的な違いを挙げると,以下のように区別できるでしょう

小規模個人再生と給与所得者再生の簡単な比較

小規模個人再生
収入の条件が優しく,借金の減額幅が大きいが,債権者が反対するとできない場合がある

給与所得者再生
=収入の条件が厳しく,借金の減額幅は小さいが,債権者の反対があってもできる

相違点小規模個人再生給与所得者再生
収入条件〇優しい×厳しい
借金の減額幅〇大きい×小さい
債権者の反対×影響し得る〇影響しない

なお,給与所得者再生は,文字通り給与所得者のみに認められた個人再生手続です。そのため,給与所得者でない場合には給与所得者再生を選択することができません。一方,小規模個人再生は給与所得者でも選択可能であるため,給与所得者に限りいずれも選択することができるということになります。

小規模個人再生の要件

小規模個人再生を申し立てるための要件(再生手続開始要件)としては,以下の事項が挙げられます。

1.個人である

小規模個人再生は個人を対象とした手続であるため,法人は利用できません

2.小規模個人再生を行うことを求める申述をした

小規模個人再生を希望する場合,再生手続開始の申立てを行うに際して,小規模個人再生を行うことを求める申述をする必要があります。具体的には,申立書に小規模個人再生を求める旨を記載することになるでしょう。

3.支払不能のおそれがある

支払不能」とは,支払能力を欠くため,弁済期の到来した債務を弁済できない状況が継続することを言います。ただし,現実に支払不能の状況である必要はありません。個人再生は,個人が支払不能に至ることを防ぐために,再生計画を立てて計画的な返済を実現するための手続であるためです。

また,個人事業主の場合は,「事業の継続に著しい支障をきたすことなく」弁済期の到来した債務を弁済できない状況であれば,支払不能に該当します。例えば,事業に不可欠な資産を売却すれば弁済できるが,それ以外の手段では弁済できない場合,「事業の継続に著しい支障をきたすことなく」弁済することができないため,支払不能に該当することとなります。

4.反復継続して収入を得る見込みがある

個人再生は,概ね3~5年間の期間で返済計画を立てるものであるため,向こう3~5年間は継続して収入を得られることが必要です。なお,収入源が労働や事業の対価である必要はないので,年金収入でも問題ありません。

5.借金の総額が5,000万円以下である

小規模個人再生は,住宅ローンを除く債務の総額が5,000万円以下でなければ手続の開始ができません。個人再生手続は,借金を大きく減額した上で,その計画的な返済を行うものですが,借金の総額があまりに大きいと,減額幅も大きくならざるを得ず,債権者の不利益が許容できない程度に至ってしまいます。そのため,個人再生では借金の総額に限度を設け,これを超える規模の場合には民事再生手続を利用すべき,という制度設計になっています。

小規模個人再生の手続

小規模個人再生を実施する際の主な流れは,以下の通りです。

1.裁判所への申立書類提出

申立人の住居地を管轄する裁判所に,個人再生の申立書類を提出します。あわせて,住宅資金特別条項を利用する場合は,住宅ローンの弁済許可申立ても行います。

2.個人再生委員の選任

裁判所は,必要と認めた場合「個人再生委員」を選任し,個人再生に向けた調査や判断を依頼します。基本的に個人再生委員を選任する,という運用となっていることも珍しくありません。

3.個人再生委員による意見

個人再生委員は,申立人と面談をしたり,再生計画案を確認したりといった方法で,再生手続の開始に関する調査・判断を実施します。
また,個人再生委員は,再生計画に沿った支払いが継続できるか,毎月一定額を支払わせる方法で実際に確認することもあります。これを「履行テスト」と言います。履行テストで振り込んだお金は,個人再生委員の報酬を除いた上で返還されるのが通常です。

その後,調査や履行テストなどの結果を踏まえ,個人再生委員が個人再生に対する意見書を裁判所に提出します。

4.個人再生手続開始決定

裁判所は,申立書類の審査や個人再生委員の意見を確認した上で,問題がなければ再生手続開始決定をします

5.再生計画案の作成

申立人において,具体的な返済方法・内容を記載した再生計画案を作成・提出します。

6.再生計画の決議

小規模個人再生の場合,提出された再生計画案と議決書を債権者に送付の上,書面での決議を行います。
この決議は,債権者の反対が所定の基準を超えているかどうかによって行われます。具体的には以下の通りです。

小規模個人再生の可決条件

①反対する債権者数が全体の2分の1以下であること
②反対する債権者の債権総額が全体の2分の1以下であること
(①と②の両方を満たすことが必要)

なお,法律のルール(最低弁済額)に従って設けられた返済計画であれば,金融業者が反対することは通常考えにくいでしょう。

7.再生認可決定

再生計画案が可決されると,再生計画認可決定が行われ,これが確定した後,再生計画に従った返済が開始します。

小規模個人再生の弁済金額

小規模個人再生の弁済金額は,以下のいずれかのうち高い方の金額まで減額されます。

小規模個人再生の弁済金額

①最低弁済額
②清算価値

①最低弁済額

最低弁済額とは,個人再生手続で借金を縮減してもらったとしても,最低限返済しなければならない金額として法律が定めた金額です。具体的には,借金の総額に応じて以下の通り定められています。

最低弁済額の一覧

借金総額最低弁済額
100万未満全額
100万円以上 500万円未満100万円
500万円以上 1,500万円未満借金の総額の5分の1
1,500万円以上 3,000万円未満300万円
3,000万円以上 5,000万円未満借金の総額の10分の1

最低弁済額は,最低額を100万円とし,借金の総額が大きいほど減額幅が大きくなる形が取られています。借金額が限定的な場合は5分の1,借金額が大きい場合は10分の1に減額されることとなります。

②清算価値

清算価値とは,必要最低限の財産以外のものをすべて処分した時に得られる金額を言います。まさに,手持ちの財産を清算したときの価値,ということですね。

③両者の比較

通常,①最低弁済額の方が②清算価値より大きく,最低弁済額が採用されることになるでしょう。小規模個人再生を試みる場合に高額な資産を有していることは考えにくく,清算価値がそこまで大きな金額になるケースは見られないためです。

そのため,小規模個人再生を試みる場合には,最低弁済額に当たる金額を3~5年程度の期間で返済できるか,という基準で検討するのが適切になりやすいでしょう。

小規模個人再生のメリット

個人再生手続には小規模個人再生と給与所得者再生がありますが,両者を比較した場合の小規模個人再生のメリットは,借金の減額幅が大きくなりやすいという点にあります。

小規模個人再生の弁済金額は,①最低弁済額と②清算価値のいずれか大きい方であり,基本的には①最低弁済額が大きい,と解説しました。そのため,小規模個人再生の場合,最低弁済額以上の返済を要するケースはあまりありません。

しかし,給与所得者再生では,①最低弁済額と②清算価値に③「可処分所得の2年分」を加え,これらのうち最も大きい金額が弁済金額となります。言い方を変えれば,弁済金額はいずれも①最低弁済額と②清算価値のいずれか大きい方ですが,給与所得者再生の場合のみ,「ただし可処分所得の2年分以上でなければならない」という条件が加わるというわけです。

可処分所得とは,いわゆる手取りの給料から最低限の生活費を差し引いた金額を指します。言い換えれば,給与総額から税金や保険料などを差し引き,さらに最低限の生活費を除いた残額ということになります。
この可処分所得の2年分という金額は,最低弁済額を上回るケースが非常に多いため,給与所得者再生の方が借金の減額幅に限りが生じやすいと言われています。

ポイント
小規模個人再生の弁済金額は,多くの場合「最低弁済額」
給与所得者再生の場合,「最低弁済額」より高額な「可処分所得の2年分」までしか減額されないため,減額幅が小さい

小規模個人再生のデメリット

小規模個人再生には,債権者の反対が多数だと再生計画が可決できない,という特徴的な問題点があります。
この問題点が結果に影響しやすいのは,債権者の一部だけで債権総額の大部分を占めている場合です。

そもそも,小規模個人再生における再生計画案の議決基準は,以下の通りでした。

小規模個人再生の可決条件

①反対する債権者数が全体の2分の1以下であること
②反対する債権者の債権総額が全体の2分の1以下であること
(①と②の両方を満たすことが必要)

つまり,1名の債権者であっても全体の2分の1を超える債権を持っていれば,単独で再生計画案を否決することが可能です。自分の債権が10分の1まで圧縮されるのを眺めているくらいであれば,再生計画案を否決して破産させた方が有益だと考えれば,小規模個人再生を利用することはできないということになります。

一部の債権者に債権額が集中している場合は,債権者の賛成を要しない給与所得者再生の検討が有力になるでしょう。

再生手続は基本的に小規模個人再生を目指す

個人再生手続には小規模個人再生と給与所得者再生の2つがありますが,基本的には借金の圧縮がより大きい小規模個人再生を目指すのが得策と考えられます。給与所得者であっても小規模個人再生は選択できるため,「給与所得者だから」という理由で給与所得再生をあえて選択する利益はほとんどないでしょう。
実際に行われた個人再生手続の件数も,圧倒的に小規模個人再生が多く,まずは小規模個人再生を目指すべきであることが分かります。

借金問題に強い弁護士をお探しの方へ

小規模個人再生は,財産を手元に残したまま借金問題を解決したい場合の代表的な手続です。
しかしながら,その内容や手続には明確なルールがあり,小規模個人再生を通じて借金の減額を実現するには適切な手順を踏む必要があります。
小規模個人再生を目指す場合は,弁護士へのご相談をお勧めいたします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所