相続放棄はどんなときにすべき?相続放棄のメリットや注意点は?弁護士の詳細解説で相続放棄をマスター

●相続放棄をする方法が知りたい

●相続放棄をする際に注意すべきことは?

●相続放棄が失敗してしまう場合はあるか?

●相続放棄の手順が知りたい

●相続放棄は弁護士に依頼すべきか?

というお悩みはありませんか?

このページでは,相続放棄でお困りの方に向けて,相続放棄の方法や注意点相続放棄を弁護士に依頼するメリットなどを解説します。

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相続放棄とは

相続放棄とは,相続できる立場にある人が相続する権利を自ら放棄することを言います。相続に際して,亡くなった人を「被相続人」,相続できる立場の人を「相続人」と言いますが,相続放棄は,被相続人の相続財産について,相続人がその相続を受ける権利を放棄することを指す,ということができるでしょう。

相続放棄をした場合,放棄した相続人は,最初から相続人の立場にはなかったものと同じ扱いになります。そのため,被相続人の財産は,相続放棄をしていない相続人のみで分配することになります。

相続放棄すべき場合

相続放棄を行うべき場合の例としては,以下のようなケースが挙げられます。

①負債の方が多い

相続は,プラスの財産だけでなくマイナスの財産(負債)も対象になります。そのため,被相続人の財産が全体でマイナスの場合,相続人は借金を相続することになってしまう結果になりかねません。

そこで,被相続人の財産に負債の方が多い場合,相続放棄をして負債の相続を防ぐべきでしょう。負債の相続を防ぐという目的は,相続財産の理由として最も多く見られるものです。

②相続人間のトラブルを回避したい

共同相続人が多かったり,相続人間が不仲であったりする場合,相続の方法や内容についてトラブルになる可能性が高く見込まれます。特に,相続財産が大きかったり複数の財産があったりすると,それぞれの相続人は自己の利益を図るため自身に有利な相続を実現させようとする場合が多いでしょう。

このような相続人間のトラブルに巻き込まれたくない,という気持ちが強く,トラブルを避けられるのであれば相続ができなくても構わないと考える場合,相続放棄を行うべきでしょう。

③財産管理の負担を回避したい

相続財産の中には,管理が容易でない不動産や,財産的価値の不明確な資産が含まれていることも考えられます。また,相続税が多額になるなど,相続に必要な手続の負担が大きくなる場合もあり得ます。

そのため,相続手続や相続財産管理の負担を回避したい,という希望が生じる相続人もいますが,相続手続や相続財産管理の負担を回避するには相続放棄して相続人の地位から退くことが必要になります。

④特定の相続人に財産を集中させたい

相続人が相互に協力して,配偶者や身寄りのない子など,特定の相続人に財産を集中させたいと考えることもあり得ます。この場合,その特定の相続人以外が相続放棄すれば,自動的に財産を集中させることができるため,相続放棄が最も円滑な手段になりやすいでしょう。

⑤感情的に財産を受け継ぎたくない

被相続人との生前の関係が芳しくなかった場合など,感情的な理由で相続財産を受け取りたくないという場合は,相続人の立場から外れるのが最も端的であるため,相続放棄をするべきことになります。

相続放棄の方法

相続放棄は,家庭裁判所に対して必要な手続を講じる方法で行う必要があります。
具体的な流れは以下の通りです。

①家庭裁判所への申述

まずは,相続放棄をしたいという意思を表明するため,家庭裁判所に対して相続放棄の申述という手続を行う必要があります。申述に際しては,「相続放棄申述書」という書面に必要な事項を記載し,他の必要物・必要書類とともに提出することになります。

相続放棄申述書の書式は,裁判所のホームページからダウンロードする方法で入手が可能です。

相続放棄申述書 書式(未成年者)

相続放棄申述書 書式(成人)

また,相続放棄の申述に必要とされる基本的な提出書類は,以下の通りです。

申述時の主な提出書類

1.相続放棄申述書
2.被相続人の住民票(除票)
3.申述人の戸籍謄本
4.収入印紙(800円)
5.郵便切手470円(84円5枚,10円5枚)
6.被相続人の死亡記載がある戸籍謄本
7.前順位の相続人の死亡記載がある戸籍謄本

※申述人の立場により追加提出を要する場合もあるため,個別の必要書類は弁護士や裁判所に相談することをお勧めします。

②相続放棄照会書の受領・返送

相続放棄の申述を行うと,受け取った家庭裁判所から「相続放棄照会書」という書面が到着します。
相続放棄照会書は,相続放棄が適法に行われているかを確認し,相続放棄の申述を受理してよいか判断するために必要な事項を照会する書面です。例えば,相続放棄の期間制限を守っているか,相続放棄の意思は確かか,なぜ相続放棄をするのか,といった内容を問う内容であることが通常です。

③相続放棄申述受理通知書の受領

相続放棄照会書を返送し,必要な確認が終わると,「相続放棄申述受理通知書」という書面が裁判所から送られます。これは,相続放棄の申述を確かに受理した,という意味の通知書面であり,相続放棄が完了したことの裏付けになるものです。
相続放棄申述受理通知書の受領によって,相続放棄の手続は終了します。相続放棄の事実を証したい場合は,この通知書を示す方法で行うことが一般的です。

相続放棄の注意点

相続放棄は,法律でその要件が定められた裁判所の手続であるため,ルールに反したやり方では希望する結果が得られなくなってしまいます。そのため,問題になりやすいルールは事前に踏まえておくことを強くお勧めします。

相続放棄で問題になりやすい注意点としては,以下のようなものが挙げられます。

①撤回ができない

相続放棄は,一度受理された後に撤回することができません。そのため,相続放棄の手続が終了した後に「やはり相続したい」と思い直したとしても,希望通りにはならないのです。これは,相続の放棄や撤回が繰り返されてしまうと,相続をめぐる法律関係が複雑になり,他の相続人や関係者に重大な損害や悪影響が生じかねないためです。

もっとも,相続放棄の申述が受理される前に「取下げ」という方法を取ることは可能です。相続放棄の申述は,概ね1か月程度を目安に受理されますが,その期間中に家庭裁判所へ書面で取下げの意思を表明すれば,相続放棄を事実上撤回することができるでしょう。
ただし,申述の受理後に取下げはできないため,取下げは極力速やかに行う必要があります。

②未成年者の場合

未成年者は,法定代理人の同意なく単独で相続放棄をする権利がないため,未成年者が単独で相続放棄を行っても,後から法定代理人によって取り消される可能性があります。

未成年者の場合,単独で動くのではなく,必ず法定代理人とともに対応することをお勧めいたします。

③期間制限がある

相続放棄は,「相続の開始を知った日から3か月以内」という期間制限を守って行わなければなりません。特段の事情がない限り,この期間制限に反した相続放棄は受理をしてもらうことができなくなります。
この点,「相続の開始を知った日」とは,被相続人の死亡を知った日であることが通常です。例外的に,被相続人に当たる人物が死亡したことは知っていたものの,自分がその人物の相続人に当たる関係であることを知らなかった場合には,関係を知った日からとなり得ますが,かなり例外的なケースに限られるでしょう。

なお,期間制限を遵守できない可能性が高い場合には,家庭裁判所に請求することで期間の伸長をしてもらうことも可能です。
いずれにしても,期間制限を意識した対応は不可欠でしょう。

相続放棄の失敗①却下されると二度とできない

相続放棄の申述を行うと,家庭裁判所から「受理」(=許可)又は「却下」のいずれかの結果が通知されます。法律的に問題のない申述であれば基本的に受理されますが,重大な不備があるなど申述が却下される場合もあり得ます。

この点,一度相続放棄の申述が却下されると,再度相続放棄の申述を行うことはできません。却下の判断を争うためには,「即時抗告」という不服申立ての手続を用いる必要がありますが,即時抗告で判断が覆るケースは非常に少数と理解する必要があるでしょう。

そのため,相続放棄を確実に行いたい場合,いい加減に行うのでなく法律のルールを守って適切な方法で行うことが極めて重要です。

相続放棄の失敗②相続財産を費消してしまった

相続放棄は,放棄より前に相続を「単純承認」してしまっている場合には認められません。
単純承認とは,被相続人の権利義務を全て承継することを言いますが,単純承認するとプラスの財産もマイナスの財産も全てを引き継ぐことになるため,その後に相続放棄ができなくなるのです。

この点,相続放棄を希望する人が自ら単純承認の意思を表明することは考えにくいですが,一定の行動を取ってしまうと「法定単純承認」として単純承認したものとみなされてしまう場合があります。

典型例が,相続財産を費消してしまった場合です。
被相続人の預貯金を引き出して自分のために遣うなど,相続財産を自分のものとして扱う行為は,相続財産を自分の財産とする意思表明があるものと理解されるため,「法定単純承認」の対象となります。したがって,相続財産を費消してしまうと,その後に相続放棄はできません。

なお,法定単純承認事由は,以下の通りです。

法定単純承認事由

1.相続財産の処分(保存行為や一定の賃貸を除く)
2.相続放棄の熟慮期間の経過
3.限定承認や相続放棄後の背信的行為(隠匿・消費・財産目録への不記載)

相続放棄の失敗③放棄後に財産が見つかった

相続放棄は,プラスの財産よりマイナスの財産が上回ることを理由に行う場合が大多数です。つまり,マイナスの財産の方が多いと,相続しても借金を受け取るだけになってしまい損でしかないため,相続放棄によって損を避ける,というわけですね。

しかし,マイナスの財産の方が大きいと考えて相続放棄をしたものの,後になって新たな相続財産が見つかると,損得勘定は逆転してしまいます。この点,後でプラスの方が大きいと分かっても,「やっぱり相続したい」というわけにはいかないため,相続放棄が損になってしまいかねないのです。

損得勘定に基づく相続放棄の判断は,相続財産の内容や範囲を慎重に把握した上で行うのが合理的でしょう。

おすすめの記事:相続放棄の手続きを自分自身で対応する方法の紹介

弁護士依頼のメリット①早期対応が可能

相続放棄は,期間制限内に行う必要があることから,時間との勝負になる場合があります。また,相続放棄の申述に必要な書類には,戸籍や住民票が含まれますが,これらを全て取得するには複数の役場などに請求をかけなければならない場合も多く,相当に骨の折れる作業にもなります。

この点,弁護士に相続放棄を依頼すれば,必要な書面作成・収集の対応が早期に行えるため,安心して相続放棄を行うことができるでしょう。また,資料収集の負担も回避することができ,相続放棄の手続が生活を圧迫することもなくなります。

弁護士依頼のメリット②3か月経過後の放棄

相続放棄は,「相続の開始を知った日から3か月以内」という熟慮期間内に行うことが必要ですが,3か月という期間は決して長くないため,相続放棄を試みる頃にはその期間が経過してしまっていることも考えられます。

このとき,原則として相続放棄は認められませんが,粘り強く事情を説明し,家庭裁判所に認めてもらうことができれば,期間経過後であっても相続放棄ができる可能性もあり得ます。
具体的には,事情を説明するための書面を作成・提出し,裁判所の判断を仰ぐことになりますが,この手続は専門的な知識を持った者が行うべきです。3か月経過後の相続放棄については,可否の見通しも含めて弁護士への相談・依頼を検討するようにしましょう。

弁護士依頼のメリット③債権者対応をしてもらえる

相続放棄を試みる場合,被相続人の債権者から支払などを求められている状況であることも少なくありません。
この点,相続放棄の申述が受理された後であれば,請求を拒むことも容易ですが,相続放棄は申述後にすぐ受理されるわけではありませんし,そもそも申述に必要な書面の収集にも一定の時間がかかるため,その期間中における債権者対応は負担としてのしかかりやすいものです。

このとき,弁護士に依頼することで,自分では厄介な債権者への対応も全て代理人となる弁護士に任せることができます。債権者対応の負担がなくなれば,相続放棄が完了するまでの期間も安心して過ごすことができるでしょう。

相続問題に強い弁護士をお探しの方へ

相続放棄は,期間制限のある手続である上,裁判所に対して行う必要があるため手続のルールをきっちりと守る必要があります。
そのため,相続放棄の時期や方法を誤ると,取り返しのつかない不利益が生じる可能性もあり,相続放棄の検討は慎重に行う必要があるでしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,相続問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

寄与分はどんなときに認められる?相続人以外でももらえる?弁護士が具体的に計算しながら詳細解説

●寄与分とは何か?

●寄与分が生じるのはどのような場合か?

●寄与分が生じる場合の計算方法は?

●寄与分が生じた結果,遺留分が侵害されてもいいのか?

●寄与分に関する争いを防ぐ手段はあるか?

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このページでは,相続の寄与分でお困りの方に向けて,寄与分の意味や計算方法遺留分との関係やトラブル予防の手段などを解説します。

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寄与分とは

寄与分とは,相続人の中で被相続人の財産の維持または増加に特別の貢献をした者がいる場合,その貢献分を考慮して相続財産を分割する制度をいいます。
相続財産の増加に貢献した者がいる場合,その貢献を無視して機械的に相続分を計算するのは,かえって不公平な結果になってしまうため,寄与分として考慮することによって各人の公平を図ることとしています。

寄与分が生じる場合①相続人の一部の寄与分

共同相続人の中に,財産の維持や増加について特別の寄与をした者がいる場合,寄与した分だけその者の相続分を法定相続分より有利な金額にすることができます。この相続人の寄与分を指して「寄与分」ということが通常です。

寄与分が生じる場合②相続人以外の特別寄与料

2019年7月の民法改正によって,相続人以外の親族が相続財産の増加や維持に貢献した場合,その者が相続人に寄与分を請求できる制度が創設されました。寄与をした親族のことを「特別寄与者」,特別寄与者が請求できる金銭を「特別寄与料」と言います。

相続人の寄与分は,あくまで相続人のみを対象としたものであるため,相続人でない親族がどれだけ被相続人のために尽くしていたとしても,寄与分を得られないという問題がありました。
例えば,被相続人である高齢の父が,生前に息子の妻から献身的な介護を受けていたとしても,息子の妻は相続人でないため,寄与分を受領できる地位になかったのです。

そこで,特別寄与料の制度が設けられ,相続人でない親族にも貢献度に応じた公平な相続の余地が生まれました。

なお,特別寄与料の対象となる「親族」は,民法上の親族と同様であり,具体的には以下の通りです。

親族の範囲

1.6親等内の血族
2.配偶者
3.3親等内の姻族

(注意点)
a.血族とは「血縁関係にある者(養親子関係を含む)」をいいます。
b.姻族とは「配偶者の血族又は血族の配偶者」をいいます。
c.直系親族の親等は,血族間の世数を数えます。
d.傍系(共通の祖先がいる)親族間の親等は,共通の祖先までの世数と共通の祖先から下る世数を合算します。例えば,兄弟姉妹は「親まで遡る1親等」+「親から下る1親等」=2親等の血族です。
e.姻族の親等は,配偶者の親等と同一です。例えば,配偶者の甥や姪は,配偶者にとって3親等の血族(「親まで遡る1親等」+「親から下る2親等」)であるため,自分にとっては3親等の姻族となります。また,自分の甥や姪は,自分にとって3親等の血族であるため,甥や姪の配偶者は,配偶者である甥や姪を基準に3親等の姻族となります。

寄与分が生じる場合③遺言で分割内容が決定しない

遺言で遺産の配分がすべて決まっている場合,寄与分が生じる余地はありません。寄与分は相続分の問題(遺言で相続割合が決まっていない場合の問題)にとどまるため,仮に寄与分があったとしても遺言の内容に従うほかないということになります。

なお,本当に寄与分が生じており,被相続人が遺言を残しているのであれば,通常は寄与分を考慮した遺言となっているはずでしょう。遺産相続は,被相続人の意思に沿って行うのが大原則です。

寄与分の計算方法

相続人の一部に寄与分がある場合,各相続人の相続分は以下のステップで計算します。

1.みなし相続財産の計算
相続財産から寄与分を控除した金額を「みなし相続財産」と言います。

2.各相続人の法定相続分を計算
みなし相続財産を各相続人の法定相続分に応じて分ける方法で,各相続人の相続分を計算します。

3.寄与分の加算
→寄与分のある相続人についてのみ,計算された相続分に寄与分を加算した金額を相続分とします。

(例)
遺産総額5,000万円,相続人は配偶者と子2名(長男・次男),長男のみ1,000万円の寄与分がある場合

1.みなし相続財産の計算

遺産総額:5,000万円
寄与分:長男の寄与分1,000万円

みなし相続財産
→5,000万円-1,000万円=4,000万円

2.各相続人の法定相続分を計算

配偶者の法定相続分:2,000万円(4,000万円×1/2)
子2人の法定相続分:各1,000万円(4,000万円×1/2×1/2=1,000万円)

3.寄与分の加算

配偶者の相続分:2,000万円

長男の相続分:2,000万円(1,000万円+1,000万円)

次男の相続分:1,000万円

寄与分が遺留分を侵害した場合の解決方法

寄与分が非常に大きい場合,寄与分が生じたために遺留分が侵害されるという可能性もあり得ます。例えば,以下のようなケースです。

(例)
遺産総額5,000万円,相続人は配偶者と子2名(長男・次男),長男のみ3,000万円の寄与分がある場合

1.みなし相続財産の計算

遺産総額:5,000万円
寄与分:長男の寄与分3,000万円

みなし相続財産
→5,000万円-3,000万円=2,000万円

2.各相続人の法定相続分を計算

配偶者の法定相続分:1,000万円(2,000万円×1/2)
子2人の法定相続分:各500万円(2,000万円×1/2×1/2=500万円)

3.寄与分の加算

配偶者の相続分:1,000万円

長男の相続分:3,500万円(500万円+3,000万円)

次男の相続分:500万円

4.各人の遺留分(詳細はこちらの記事を参照)

配偶者の遺留分:1250万円(5,000万円×1/2×1/2)

長男の遺留分:625万円(5,000万円×1/2×1/2×1/2)

次男の遺留分:625万円(5,000万円×1/2×1/2×1/2)

上記の例の場合,配偶者と次男の相続分は遺留分を下回っているため,配偶者の遺留分が250万円,次男の遺留分が125万円侵害されている状況に至っています。

しかしながら,このような結論になることは,少なくとも法律上は特に問題ありません遺留分を侵害する寄与分生じてはならない,というルールが存在しないためです。
もっとも,現実に寄与分の金額を決定する際には,他の相続人の遺留分を考慮に入れて行うべきであり,裁判例でも同様の指摘をしたものがあります。そのため,現実的に遺留分を侵害するほど高額の寄与分が生じることはほとんどないでしょう。

寄与分の争いを防ぐ方法①遺言の作成

相続開始後に寄与分の争いを防ぐための最も端的な対策は,遺言を作成することでしょう。
寄与分は,その金額が明確に定めづらく,寄与分を有するはずの相続人や特別寄与料を請求できるはずの親族にとっても,請求の負担が大きくなりがちです。そこで,被相続人としては,貢献度の高い親族への配慮として,遺言で寄与分を加味した遺産の配分を決定することが適切になるであろうことが想像に難くありません。

もっとも,遺言の作成に際しては,内容面で遺留分等に配慮しなければならないほか,形式を誤れば全体が無効にもなりかねません。そのため,具体的な作成方法,内容については弁護士への十分な相談が望ましいでしょう。

寄与分の争いを防ぐ方法②生前贈与

生前贈与とは,文字通り被相続人が自身の生前に贈与を行うことです。多くの場合,被相続人が生前の感謝を込めて,特定の人物に自己の財産を贈与するときに用いられます。

ただ,生前贈与は贈与税の問題が生じるほか,金額によっては遺留分侵害の問題にもなりかねず,慎重な検討が必要な問題です。具体的な生前贈与の検討に際しては,こちらも弁護士へのご相談をお勧めいたします

相続問題に強い弁護士をお探しの方へ

寄与分は,過去に貢献した相続人や親族のための制度ですが,他の相続人からは分かりづらい場合もあり,争いになることも少なくありません。
金額計算も容易でなく,相続人間の紛争も大きくなりやすいため,寄与分が想定される遺産分割については,相続問題に精通した弁護士へのご相談が適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,相続問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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特別受益とは何なのか?遺留分との関係は?特別受益の争いを回避するには?弁護士が全面網羅

●特別受益とは何か?

●生前贈与を受けた人だけ得をするのは不公平では?

●何が特別受益に当たるのか?

●特別受益と遺留分はどういう関係にあるのか?

●特別受益がある場合の相続分の計算を知りたい

●遺言に沿って贈与された場合の特別受益はどうなるか?

●特別受益を主張できる期間に制限はあるか?

というお悩みはありませんか?

このページでは,相続の特別受益についてお困りの方に向けて,特別受益の意味や内容特別受益が生じる際の計算方法トラブルを未然に防ぐ方法などを解説します。

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特別受益とは

特別受益とは,相続人の一人が被相続人からその生前に受けた特別な財産の贈与や利益をいいます。特定の相続人に対する特別受益があった場合,その相続人の受けた利益を相続財産の前渡しとして扱い,その分を相続分から控除することになります。

特別受益を相続財産の前渡しとして取り扱うことによって,相続人間で遺産の分割が不公平になるのを防ぐことができます。

特別受益に当たるもの

特別受益には以下のようなものが含まれます。

1.生前贈与
被相続人が生前に相続人に対して行った贈与。例としては、結婚や生活資金の援助、住宅購入資金の贈与などがあります。

2.遺贈
遺言により特定の相続人に財産を与えること。

3.養育費・学費
他の相続人と比べて特別に多額の養育費や学費を支払っていた場合。

いずれも,被相続人から相続人の一人についてだけ特に経済的な利益が与えられた場合,その利益が特別受益に当たると理解されるものです。

特別受益がある場合の相続分の計算

特別受益がある場合における各相続人の相続分は,以下のステップで計算します。

1.みなし相続財産の計算
相続財産に特別受益分を加えた金額を「みなし相続財産」と言います。

2.各相続人の法定相続分を計算
みなし相続財産を各相続人の法定相続分に応じて分ける方法で,各相続人の相続分を計算します。

3.特別受益分を控除
→特別受益を受けた相続人についてのみ,計算された相続分から特別受益分を控除した金額を相続分とします。

(例)
遺産総額5,000万円,相続人は配偶者と子2名(長男・次男),長男のみ生前に住宅資金1,000万円の特別受益を得ていた場合

1.みなし相続財産の計算

遺産総額:5,000万円
特別受益:長男が生前に受けた住宅資金1,000万円

みなし相続財産
→5,000万円+1,000万円=6,000万円

2.各相続人の法定相続分を計算

配偶者の法定相続分:3,000万円(6,000万円×1/2)
子2人の法定相続分:各1,500万円(6,000万円×1/2×1/2=1,500万円)

3.特別受益分を控除

配偶者の相続分:3,000万円

長男の相続分:500万円(1,500万円-1,000万円)

次男の相続分:1,500万円

遺留分と特別受益の関係

①遺留分と特別受益の区別

遺留分と特別受益は,いずれも被相続人から特別な財産の譲渡が行われた場合に相続人の公平を図るための制度ですが,具体的な内容は大きく異なります。
それぞれの意味は以下の通りです。

遺留分
遺贈や生前贈与によっても侵害されない,相続人の最低限の取り分

特別受益
相続人の一人が被相続人から受けた特別な財産的利益
特別受益があった場合,その分を加味して相続分を計算することにより,他の相続人の相続分が減少することを防ぐ

遺留分は,遺言等によって法定相続分を下回る相続しかできない人でも,最低限受領できる取り分を定めることによって,相続人を保護する制度です。つまり,特別受益が相続分を決定するときの問題であるのに対して,遺留分は相続分通りの遺産分割が行われなかったときの問題である,という整理になるでしょう。

②遺留分と特別受益が関係する場合

特別受益が生じている場合,遺留分も特別受益を加味して計算することになります。そのため,特別受益があれば遺留分の金額にも影響を及ぼすことになります。

(例)
遺産総額5,000万円,相続人は配偶者と子2名(長男・次男),長男のみ生前に住宅資金1,000万円の特別受益を得ていた場合

1.みなし相続財産の計算

遺産総額:5,000万円
特別受益:長男が生前に受けた住宅資金1,000万円

みなし相続財産
→5,000万円+1,000万円=6,000万円

2.遺留分の計算(詳細はこちらの記事を参照)

「直系尊属のみが相続人の場合」に該当しないため,各相続人の遺留分は法定相続分の2分の1となります。

配偶者の遺留分:1,500万円(3,000万円×1/2)
子2人の遺留分:各750万円(1,500万円×1/2)

3.特別受益の控除

特別受益のあった相続人については,特別受益分の遺留分を確保する必要がないため,遺留分から特別受益分を控除します。

配偶者の相続分:1,500万円

長男の相続分:0円(「750万円-1,000万円」がマイナスになるため)

次男の相続分:750万円

問題が生じない場合①遺言で遺産配分を定めている

特別受益が問題になるのは,相続分を計算する局面であるため,相続分に沿った遺産分割の必要がなければ,特別受益の問題自体が生じません。具体的には,遺言で遺産の配分が定められている場合が代表例でしょう。

遺言がある以上は,遺産分割協議や相続分よりも先に遺言に従って遺産を分割する必要がある,というのが原則です。そのため,遺言がある場合には特別受益の問題は生じず,後は遺留分が侵害されているかどうかの話になる,ということですね。

なお,遺留分の算出に当たって特別受益を加味した計算を行う点は,上記の通りです。

問題が生じない場合②被相続人の持戻し免除

特別受益がある場合,特別受益を相続財産からの前払いとみなして,相続財産に組み込んで相続分の計算を行いますが,特別受益を相続財産の計算に加えることを「持戻し」といいます。
この点,被相続人が特別受益について「持戻し免除の意思表示」を行うことで,遺留分を侵害しない範囲で持戻ししないで計算することが可能です。

これまでの例の場合だと,持戻し免除された場合の相続分は以下の通りです。

(例)
遺産総額5,000万円,相続人は配偶者と子2名(長男・次男),長男のみ生前に住宅資金1,000万円の特別受益を得ていた場合

1.みなし相続財産の計算

遺産総額:5,000万円
特別受益:長男が生前に受けた住宅資金1,000万円
持戻し免除:特別受益は持戻しをしない

みなし相続財産
→5,000万円+0万円=5,000万円

2.各相続人の法定相続分を計算

配偶者の法定相続分:2,500万円(5,000万円×1/2)
子2人の法定相続分:各1,250万円(5,000万円×1/2×1/2=1,250万円)

3.特別受益分を控除

配偶者の相続分:2,500万円

長男の相続分:1,250万円(1,250万円-0万円 持戻し免除のため)

次男の相続分:1,250万円

持戻し免除が活用されるのは,特別受益と評価する方がかえって不公平になってしまう場合です。事業の承継に不可欠な財産を譲渡したに過ぎない,という場合などが代表的です。

特別受益を主張する期間の制限

2023年4月の民法改正により,相続開始から10年経過後の遺産分割は具体的相続分(特別受益等を加味した相続分)でなく法定相続分(特別受益等を加味しない相続分)によることとなりました。そのため,相続開始から10年が経過すると,特別受益を主張することができません。

もっとも,以下の場合には例外的に10年経過後も特別受益の主張が可能です。

1.10年の経過前6か月以内に遺産分割を請求できないやむを得ない事由があった相続人が,そのやむを得ない事由の消滅後6か月以内に家庭裁判所へ遺産分割請求したとき

2.相続人全員の合意があるとき

「遺産分割を請求できないやむを得ない事由」に当たる場合としては,被相続人が長期間行方不明になっていたため,死亡の事実が確認できないでいたケースなどが挙げられます。

相続問題に強い弁護士をお探しの方へ

特別受益は,相続財産を公平に分割するための制度ですが,特別受益が生じたことにも一定の理由がある場合が多く,特別受益を加味した解決は容易ではありません。
特に,遺言で相続の内容が定められていない場合,特別受益を含む遺産分割の協議は難航しやすく,相続問題に精通した弁護士への依頼が有力になりやすいでしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,相続問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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遺留分侵害権請求ってどんな請求?遺留分は誰がいくらもらえるの?遺留分はこれで簡単理解

●遺留分とは何か?

●遺留分が問題になるのはどんな場合か?

●遺留分侵害額請求とはどうすればいいか?

●遺留分の主張をする期間の制限は?

というお悩みはありませんか?

このページでは,相続における遺留分の問題でお困りの方に向けて,遺留分の内容や問題になる場面遺留分の主張をする方法や注意点などを解説します。

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遺留分とは

遺留分とは,一定の相続人に法律上認められた最低限の取り分のことをいいます。

被相続人は,遺言によって相続財産の分割方法を定めることができ,また生前贈与や遺贈という方法で相続財産を他者に渡すこともできますが,このような被相続人の希望によっても,遺留分を侵害することはできず,遺留分を侵害された相続人は取り戻すことが可能です。

もっとも,遺留分は,一定の相続人の生活を保障するための最低限の取り分にとどまるため,遺留分が得られる権利者やその割合は限定されています。

遺留分が問題になる場合

①遺留分の権利者

法律で相続人としての地位が認められているのは,①配偶者,②子,③直系尊属,④兄弟姉妹ですが,そのうち遺留分権利者は①配偶者,②子,③直系尊属のみです。④兄弟姉妹は,法定相続人ではあるものの遺留分を有しません。

もっとも,直系尊属に法定相続分が生じるのは,子がいない場合のみです。そのため,子がいる場合には直系尊属に法定相続分がなく,最低限保障すべき遺留分もありません。
遺留分が問題になるのは,配偶者,子,直系尊属のうち,法定相続分がある者の遺留分が侵害された場合,ということになります。

②遺留分の割合

遺留分の割合は,二段階の計算で特定する必要があります。

遺留分の割合を計算する二つの段階

1.総体的遺留分
2.個別的遺留分

1.総体的遺留分

相続財産全体のうち遺留分の対象となるのはいくらか,という問題です。この総体的遺留分は,誰が相続人になるのかによって変わります。

a.直系尊属のみが相続人の場合
→親や祖父母といった直系尊属のみが相続人の場合,総体的遺留分は相続財産全体の3分の1となります。

b.「直系尊属のみが相続人の場合」以外の場合
→配偶者や子が相続人である場合(配偶者と直系尊属が相続人の場合も含む),総体的遺留分は相続財産全体の2分の1となります。

2.個別的遺留分

個別的遺留分は,それぞれの相続人の遺留分を指します。これは,総体的遺留分のうち,それぞれの相続人がどれだけの割合を遺留分として有するのか,という問題です。
この点,個別的遺留分は,総体的遺留分に各相続人の法定相続分を掛け合わせる方法で算出されます。つまり,総体的遺留分を相続財産全体と見立て,法定相続分に応じて分け合うような形をとっているわけですね。

3.遺留分の簡易な計算方法

各々の遺留分は,基本的に「法定相続分の半分」と理解することが可能です。ただし,相続人が直系尊属のみである場合だけは,「法定相続分の3分の1」ということになります。

4.遺留分一覧

法定相続人総体的遺留分配偶者直系尊属
配偶者のみ1/21/2
配偶者と子1/21/2×1/2=1/41/2×1/2=1/4
配偶者と直系尊属1/21/2×2/3=1/31/2×1/3=1/6
配偶者と兄弟姉妹1/21/2
子のみ1/21/2
直系尊属のみ1/31/3
兄弟姉妹のみなし

なお,子と直系尊属の遺留分は,同じ立場の人が複数人いる場合,上記の割合をさらに均等割りすることになります。例えば,「子のみ」の場合,遺留分は1/2ですが,子が2人いればそれぞれの子の遺留分は1/4ずつとなります。

遺留分侵害額請求とは

遺留分権利者は,自身の遺留分が侵害されている場合に,これを取り戻すことが可能です。遺留分権利者が侵害された自分の遺留分を取り戻す請求を,「遺留分侵害額請求」といいます。

生前贈与や遺贈によって遺留分が侵害されていれば,遺留分侵害額請求によって,遺留分が侵害された限度でその損害額を金銭賠償するよう求めることができます。

(例)
相続財産1,000万円,相続人は子がA,Bの2名のみである場合
遺言でAの相続分900万円,Bの相続分100万円と定められていたとき

A,Bともに遺留分は250万円あるため,遺言によって遺留分が150万円侵害されている
→BがAに対して150万円の支払いを求める遺留分侵害額請求が可能

遺留分侵害額請求の方法 ①協議

遺留分侵害額請求の方法は裁判手続に限定されていません。そのため,まずは当事者間での協議を試み,直接の解決を試みるのが最も円滑です。
相手に遺留分の侵害があることを伝えた上で,支払の意思があるかを確認するのが適切でしょう。

協議で解決ができる場合は,その解決内容を書面に残しておくことが適切です。遺留分侵害額請求は,請求された相手にとってはメリットのない話であるので,解決内容を相手に守らせるためには相手を強制させられるような書面の裏付けがあるべきでしょう。
念を押す場合は,公正証書の形で書面化することも有力です。適切な方法で公正証書を作成すれば,相手が約束を守らなかった場合に公正証書に基づいて強制執行が可能になります。

一方,協議で解決が見込まれない場合は,請求内容を書面化するようにしましょう。具体的には,配達証明付きの内容証明郵便を利用して,相続の開始から1年以内に請求したことが書面に残る形を取るのが適切です。
これは,遺留分侵害額請求権の消滅時効が争点にならないようにするための重要な動きになります。

遺留分侵害額請求の方法 ②調停

協議が奏功しない場合は,裁判所に遺留分侵害額請求調停を申し立て,調停での解決を目指します。この調停は,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる方法で行うことが可能です。
調停では,裁判所を介して当事者間での合意による解決を試みます。自分の主張が適切である場合は,裁判所(裁判官又は調停委員)から相手方への説得を期待することもできるでしょう。

調停で合意に至った場合は,合意内容を書面化した調停調書が作成されます。相手が調停調書の内容に反して支払を拒んだ場合は,調停調書を根拠に強制執行をし,相手の財産から金銭を回収することが可能です。

遺留分侵害額請求の方法 ③訴訟

遺留分侵害額請求調停が不成立となった場合,請求するには遺留分侵害額請求訴訟の提起が必要となります。この訴訟は,請求者の住所地を管轄する地方裁判所や簡易裁判所に提起することが可能です。

訴訟の局面では,証拠によって請求内容が証明されるか,という問題になります。証明を要する具体的な事項はケースによりますが,遺留分計算の前提となる相続財産の範囲の特定が難しい場合は多く見られます。特に,相続人間で相続財産の範囲に争いがある場合には,自分の主張の根拠となる客観的な証拠を収集・提出することが必要になるでしょう。

訴訟において,和解や判決によって支払が認められた場合,これに反して相手が支払を拒んでも,和解や判決を根拠に強制執行が可能です。

遺留分侵害額請求の注意点

遺留分侵害額請求権は,2019年7月の民法改正でルールの変わった部分でもあるため,利用時には以下のような点に注意が必要です。

①相続の発生時期

遺留分侵害額請求の対象となるのは,2019年7月1日以降に発生した相続です。2019年6月30日以前に発生した相続については,民法改正前の「遺留分減殺請求」の対象となります。

②解決(支払)方法

遺留分侵害額請求の場合,侵害方法にかかわらず侵害額を金銭で支払う方法により解決することになります。これは,民法改正前の「遺留分減殺請求」が現物返還を原則としていたこととの極めて大きな違いです。

不動産のような大きな財産を現物返還をすると,結局その後どのように遺産分割するか,遺留分をどのように確保するのかという点が何も解決しないままになってしまい,円滑な解決が困難になってしまいます。そのため,民法改正後の遺留分侵害額請求では,金銭での解決とすることで遺留分問題の端的な解決を可能にしたというわけです。

③対象となる生前贈与の範囲

遺留分侵害額請求の場合,対象となる生前贈与の範囲は相続開始前10年以内のものに含まれます。つまり,15年前や20年前の生存贈与を理由に遺留分侵害額請求をすることはできません。

民法改正前の遺留分減殺請求では,対象となる生前贈与に制限はないとされていましたが,あまりに古い生前贈与が問題になると,いつまでも遺留分問題が解決しないため,法律関係が不安定になりかねないという問題がありました。
そこで,遺留分侵害額請求では対象となる生前贈与を像族開始前10年以内と制限することとしています。

遺留分侵害額請求権の時効

遺留分侵害額請求権は,以下の消滅時効の対象になります。

遺留分侵害額請求権の消滅時効

1.相続が開始したこと
2.自分の遺留分が侵害されていること

「1」と「2」の両方を知った日から1年以内に請求しない場合

また,相続の開始や遺留分の侵害を知らなかった場合でも,相続開始から10年が経過した段階で遺留分侵害額請求ができなくなります。この期間制限は「除斥期間」と呼ばれます。

さらに,遺留分侵害額請求権を行使すると,請求者は金銭を請求する権利を獲得することになりますが,この金銭債権は,遺留分侵害請求権とは別に消滅時効の対象となります。具体的には,遺留分侵害額請求を行ってから5年が経過すると,遺留分侵害額請求によって得られた金銭債権について消滅時効が完成してしまいます。

時効については,「遺留分侵害額請求権の時効」と,「遺留分侵害額請求権を行使して得られた金銭債権の時効」それぞれに注意することが肝要です。

ポイント 時効
相続の開始と遺留分侵害を知ってから1年
相続の開始から10年
遺留分侵害額請求によって得られた金銭債権は,侵害額請求の日から5年

相続問題に強い弁護士をお探しの方へ

遺留分は,遺産分割によって不当に不利益な結果になる人が出ないよう設けられた,セーフティネットというべきものです。
自身の遺留分が侵害されている場合は,この制度を活用して適切な請求を行うべきですが,内容や方法は専門的知識を要するため,弁護士へのご相談が有力でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,相続問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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