浮気・不倫の慰謝料を請求するにはどうするのがベストか?慰謝料請求を受けてしまった場合はどうすべきか?請求された慰謝料額を支払わないとマズい?弁護士解説

●浮気・不倫の慰謝料を請求したいが、どうすればいいか?

●誰に何を請求できるのか?

●慰謝料はいくら請求できるのか?

●慰謝料を請求してから受け取るまでの流れが知りたい

●慰謝料の請求を受けてしまったが、これからどうなるのか?

●弁護士から請求された慰謝料は支払わなければならないのか?

●慰謝料を支払えば終わるのか?

という悩みはありませんか?

このページでは,浮気・不倫の慰謝料問題を解決する流れについてお困りの方に向けて、慰謝料請求の流れや内容を、請求する側・される側それぞれについて解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

浮気・不倫の慰謝料を請求する方法

配偶者による浮気・不倫があった場合,慰謝料を請求する権利が発生します。これは,浮気や不倫が民法上の「不法行為」に該当し,不法行為の被害者は加害者に対して損害賠償請求をする権利を有する,という点に根拠があります。

浮気・不倫がなされた場合,慰謝料を請求する方法は,交渉するか法的手続を取るかの2通りです。
浮気や不倫の慰謝料に限らず,他者に金銭を支払わせる方法は,話し合いを通じて相手の意思に基づいて支払ってもらうか,裁判手続で強制的に回収するかのいずれかとなります。そして,裁判手続としては,調停と訴訟の2つがあります。
そのため,細かく区別すると,請求の方法は以下の三通りが存在することになります。

慰謝料の請求方法
1.交渉(相手の意思に基づいて支払ってもらう)
2.調停(裁判手続①)
3.訴訟(裁判手続②)

また,請求方法の検討手順としては,以下の流れが一般的でしょう。

請求方法の検討手順
1.まずは交渉が可能か
2.交渉が困難な場合,調停と訴訟の選択
3.調停と訴訟の選択をする場合の判断要素は,以下のものが代表的

・話し合いを希望する場合は調停,裁判所の判決を希望する場合は訴訟
・できるだけ短期で解決したい場合は調停,長期化を辞さない場合は訴訟
・不成立に終わるリスクを抱えるのが調停,必ず結論が出るのが訴訟

交渉で金銭が回収できれば,法的手続を行う負担が回避できるため,最も有益であることがほとんどです。その手続負担は,相手方にとっても同じく発生するものであるので,相手方も負担を避けたいという意欲が強ければ,交渉で終了することは十分考えられるでしょう。
やむを得ず法的手続が必要である場合には,裁判所を仲介して話し合う「調停」か,裁判所が公権的に判断を下す「裁判」のいずれかを選択することになります。調停と訴訟は,どちらかを優先して選択する関係にはないため,それぞれの利点を踏まえて方法選択することが適切でしょう。

ポイント
慰謝料の請求方法は,交渉・調停・訴訟
交渉で請求できるならば,交渉を選択するのが通常は有益
交渉が不可能な場合は,調停か訴訟のいずれかを選択する

慰謝料を請求できる相手や内容

配偶者による浮気・不倫の場合,慰謝料の請求が可能ですが,その請求相手は,配偶者とその不貞相手の両方になります。配偶者と不貞相手の2名による不貞行為は,2名が一緒に行った不法行為であるため,法律的には「共同不法行為」に該当します。共同不法行為の場合,被害者は,加害者に対してそれぞれ全額の請求を行うことが可能です。
配偶者が浮気・不倫をした場合も,配偶者と不貞相手にそれぞれ全額の慰謝料請求が可能です。なお,一方が全額支払った場合には,もう一方に支払を求める権利がなくなるため,二重取りすることはできません。

もっとも,浮気や不倫を原因として離婚に至った場合には,話が変わってきます。
不貞行為を行ったことに対する慰謝料と,不貞行為が原因となって離婚に至ったことへの慰謝料は,法律上は別のものとして区別されます。一般的に,不貞行為の慰謝料よりも,離婚にまで至ったことへの慰謝料の方が,被害者の精神的苦痛が重大であり,金額的にも大きくなる傾向にあります。
ここで,被害者としては,不貞行為のせいで離婚した以上,配偶者にも不貞相手にも離婚の慰謝料を請求したいと考えるところですが,実務の運用はそのようになっていません。多くの場合,配偶者には離婚慰謝料を請求できるものの,不貞相手に離婚慰謝料を請求することは難しい場合が多いところです。

最高裁判所の判断によると,不貞相手に離婚の慰謝料を請求できるのは,「当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をする等して当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られる」とされています。ただ不貞関係があっただけではなく,積極的に夫婦関係に干渉した場合でなければ,不貞相手に離婚慰謝料を請求するのは難しいと考えられます。

ポイント
慰謝料の請求相手は,配偶者及び不貞相手の両方
両方に対して全額の請求が可能。二重取りは不可
不貞相手には,不貞行為の慰謝料は請求できるが,離婚慰謝料の請求は多くの場合困難

慰謝料の請求金額

慰謝料の金額は,交渉であれば当事者間の合意によって決まりますが,目安として採用されやすい金額水準は,概ね以下の通りです。

慰謝料金額の目安
不貞行為の慰謝料:50~150万円ほど
離婚の慰謝料:100~300万円ほど

不貞行為のみを対象とする場合よりも,離婚まで含む場合の方が慰謝料額は大きくなる傾向にあります。これは,不貞行為に対する精神的苦痛のみを金銭換算するか,不貞行為に加えて離婚に至ったことの精神的苦痛も加えて金銭換算するか,という違いによるものです。

また,金額を変動させる要素としては,以下のようなものが挙げられます。

1.不貞行為の期間
→長期間にわたる不貞行為の場合、慰謝料が増加する傾向にあります。

2.不貞行為の回数
→複数回にわたる不貞行為が確認されている場合、慰謝料が増加します。

3.不貞行為以外の婚姻関係破綻事由の有無
→不貞行為のみが婚姻関係を破綻させた事情である場合,慰謝料は増額傾向にあります。

4.婚姻期間
→長年にわたる婚姻関係が破綻した場合、慰謝料が増加する傾向にあります。

5.子どもの有無
→子どもがいる場合、家庭全体に与える影響が大きいため、慰謝料が増加する場合があります。

慰謝料請求から受領までの流れ

浮気・不倫に対する慰謝料を請求する場合の基本的な流れは,以下の通りです。

1.証拠の収集
→まずは不貞行為の証拠を収集することが重要です。請求の根拠がなければ,慰謝料請求は困難であることが多く見られます。

証拠の例
写真やビデオ 配偶者と不貞相手が一緒にいるところを撮影した写真やビデオ
メールやメッセージ 不貞行為を示すメールやSNSのメッセージ
領収書やカードの明細 ホテルの領収書やクレジットカードの明細など
目撃者 不貞行為を目撃した第三者の供述

2.請求内容の準備
→収集した証拠によって請求が可能か確認の上,具体的な請求内容を検討します。多くの場合,確認できた不貞行為の内容や請求する慰謝料の金額を書面化し,請求書の形を設けることが有力です。

3.請求
→請求書を配偶者及び不貞相手に送付し,請求の意思を相手に伝えます。この場合,郵送であれば「内容証明郵便」の利用が有力です。内容証明郵便は,送付した内容と日付を郵便局が証明してくれる送付方法で,後から送付したかどうかが争いになることを防ぐことが可能になります。

4.交渉
→相手に支払の意思があるか,支払う場合にはいくらをどのような方法で支払うか,といった点を交渉するのが通常です。

5.調停又は訴訟
→交渉では合意に至らない場合,調停又は訴訟といった法的手続を利用します。

慰謝料請求を受けた場合の対処

慰謝料を請求する人がいるということは,逆に請求される人もいるということになります。そこで,配偶者又は不貞相手の配偶者を名乗る人物から,不貞行為や離婚の慰謝料を請求された場合の対処もあわせて問題になります。

基本的には,以下のようなステップでの検討が有力でしょう。

①請求内容の確認

どのような内容について,どのような理由で,いくらの請求をしてきているか,という点を確認することが先決です。

請求金額
→具体的な金額が明示されているか。
請求理由
→不貞行為の具体的な内容や時期が記載されているか。
証拠の有無
→請求側がどのような証拠を提示しているか。

②証拠の確認

請求されている内容に心当たりがあるか,請求内容に証拠があるのか,という点を検討します。示されやすい証拠としては,メールやSNSなどのメッセージ,写真や映像,不貞行為時の領収証やカード明細などが挙げられます。

③交渉の検討

相手の請求内容や根拠が妥当であるかどうかを前提に,交渉方法や内容を検討します。
基本的には,心当たりのある内容であれば,金額面や条件面の交渉に努め,心当たりがなければ請求に応じた支払いを拒むことが適切でしょう。

④弁護士への依頼の検討

特に不貞行為に心当たりがあり,金額や条件についてできるだけの相談を希望したい場合は,交渉を弁護士に依頼することが有力です。このような場合には,自分で希望条件を申し出たり,交渉をしたりすることが非常に難しく,かといって交渉を怠ればより不利益な結果に至りやすいため,弁護士への依頼を積極的に検討することをお勧めします。

一方,心当たりがない場合には,請求に対して拒否回答をするのが通常であるため,それほどの心理的負担はないことが多いと思われます。もっとも,拒否の意思が確かであることを示すため,より適切な方法で拒否の意思を表明するために,弁護士を通じて弁護士名義で拒否することも有力でしょう。

弁護士から請求された慰謝料を支払う必要はあるか

弁護士が慰謝料請求を行う場合,内容証明郵便を利用の上,一定期間内に請求金額を弁護士の銀行口座へ入金するよう依頼するのが通常です。そのため,弁護士による請求書面は,制限期間内に多額の金銭を支払うよう強く求める内容となることが多く見られます。

このような書面を目の当たりにすると,書面を受領した段階で請求された金額の慰謝料を支払う義務があるようにも思えますが,そうではありません。弁護士から内容証明郵便で慰謝料を請求されたとしても,その請求に応じた支払の義務が発生しているわけではありません。
そもそも,内容証明郵便はただの郵便なので,その実質は弁護士からのお手紙というのみです。形式の厳格なお手紙でしかなく,そのお手紙によって支払義務が発生することはあり得ません。
弁護士から内容証明郵便での請求が届いた場合には,まず落ち着いてその内容の確認に努めるようにしましょう。

なお,内容証明郵便を送って慰謝料請求する場合,それは後の訴訟提起を想定したものであることは少なくありません。内容証明郵便を送っても応じてこなければ,訴訟で金銭を請求するつもりである,ということです。
そのため,お手紙に過ぎないからといって内容を確認しないまま放置をすることはお勧めしません。迅速に対応して訴訟を避ける方が適切な内容であれば,速やかに対応の検討をするべきであることは間違いありません。

ポイント
弁護士からの内容証明郵便は,実質はただのお手紙
弁護士からの請求によって支払義務が発生することはない
もっとも,内容を確認の上で迅速に対応すべき場合はある

慰謝料を支払えば問題は解決するか

慰謝料を請求された当事者としては,慰謝料を支払うことで早く問題を解決させたい,と考えることが多いと思われます。もっとも,慰謝料を支払うことで直ちに問題が解決するとは限りません。解決方法を誤れば,慰謝料を支払ったにもかかわらず問題が解決しないままになってしまっていることがあり得ます。

具体的には,慰謝料を支払えば今後は何の請求もしないという合意を取り付けることが極めて重要になります。法的には「清算」などと言います。
法律関係が清算できていなければ,慰謝料を支払ってもそれが支払うべき全額であるかどうかも定かでなく,後から追加で支払を求める余地が残ってしまいます。これでは,慰謝料を支払った意味はあまりないでしょう。

請求に応じて慰謝料を支払う場合は,慰謝料の支払によって当事者間の法律関係が清算できることを十分に確認する必要があります。清算が合意できた場合には,その内容を必ず書面化することで,後から紛争が蒸し返されることを防ぎましょう。

ポイント
慰謝料を支払う場合は,支払によって法律関係が清算できることを確認する

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

浮気・不倫の慰謝料問題は、法的には金銭の問題ですが、その中身は当事者間の思いが詰まった非常に深いものであることがほとんどです。
そのため、双方の事情を丁寧にくみ取り、適切な解決方法を見つけられるかどうかが、円滑な解決にとって重要となりますが、これは慰謝料問題に長けた弁護士が間に入って検討するのが適切です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

離婚する方法の種類は?その具体的な流れや違いは?結局どの方法で離婚すべき?離婚を有利に進めるためには?弁護士が徹底解説

●離婚が成立するまでの流れが知りたい

●離婚の種類はいくつあるの?何が違うの?

●離婚の手続は何を選択すべきか?

●離婚を有利に進めるためにはどうすればいいか?

●離婚では弁護士に依頼すべきか

という悩みはありませんか?

このページでは,離婚の方法に関してお悩みの方に,離婚の種類や流れ,手続選択の方法や弁護士依頼の要否などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

離婚の種類

離婚の方法には,大きく分けて以下の3種類があります。

離婚の方法
①協議離婚
②調停離婚
③裁判離婚

これらは,いずれかを選択するというものではなく,基本的に①から順番に検討し,その方法で離婚に至らない場合には次の方法を用いる,という流れになります。

協議離婚の流れ・手続

協議離婚とは,夫婦が話し合い(協議)によって合意し,離婚を決定する方法です。日本における離婚の方法としては最も多く用いられているものです。

【協議離婚の特徴】

1.自主的な合意 夫婦双方が離婚に合意していることが前提です。
2.手続きの簡便さ 手続が比較的簡単で,家庭裁判所を通す必要がありません。
3.費用の低減 調停や裁判に比べて費用がほとんどかかりません。

【協議離婚の流れ】

1.話し合い

話し合いの具体的方法
夫婦が離婚に関して話し合い,双方の合意を得ます。
子供がいる場合は親権者,養育費,面会交流などについても話し合います。
財産分与や慰謝料についても合意が必要です。

2.離婚届の作成

離婚届作成の具体的方法
合意が成立したら,離婚届を作成します。
離婚届には,夫婦双方の署名・押印が必要です。
子供がいる場合は,親権者を決める欄に記入します。

3.市区町村役場への提出

役場提出の具体的方法
離婚届を市区町村役場に提出します。
役場が受理すれば,離婚が成立します。

調停離婚の流れ・手続

調停離婚とは,夫婦間での協議による離婚の合意ができない場合に,家庭裁判所の調停委員会が仲介して離婚の成立を目指す方法です。

【調停離婚の特徴】

1.第三者の介入 家庭裁判所の調停委員会が夫婦間の仲介を行い,問題解決をサポートします。
2.非公開 調停は非公開で行われるため,プライバシーが保たれます。
3.円満解決を目指す 調停委員が夫婦双方の意見を聞き,公平な立場で解決策を提案します。

【調停離婚の流れ】

1.調停の申立て

調停申立ての具体的方法
離婚調停を希望する一方または双方が,家庭裁判所に調停申立書を提出します。
申立書には,離婚を求める理由や調停で解決したい事項(親権,養育費,財産分与など)を記載します。

2.調停委員会による調停

調停の具体的方法
家庭裁判所が調停日を設定し,夫婦双方に通知します。
調停委員会(調停委員2名と裁判官1名)が夫婦の話を聞き,解決策を提案します。
夫婦は調停委員会の提案を基に話し合い,合意を目指します。

3.調停成立

調停成立の具体的方法
調停が成立した場合,調停調書が作成されます。
調停調書は裁判所の判決と同じ効力を持ちます。
調停調書に基づいて離婚届を市区町村役場に提出し,離婚が成立します。

4.調停不成立

調停不成立の具体的流れ
調停が不成立の場合,調停委員会はその旨を記載した調停不成立調書を作成します。
調停が不成立となった場合は,次のステップとして裁判離婚を検討することになります。
意見の相違が非常に小さい場合,調停に続けて家庭裁判所が審判をし,離婚を決定することもあります(審判離婚)。

裁判離婚の流れ・手続

裁判離婚とは,家庭裁判所に訴訟を提起して離婚を求める手続です。離婚調停を試みても解決しなかった場合に残された最後の方法ということができます。

【裁判離婚の特徴】

1.最終手段 調停や審判で解決できなかった場合の最終的な手段です。
2.法的判断 裁判官が証拠や証言に基づいて法的に判断します。
3.公開審理 原則として裁判は公開で行われます。

【調停離婚の流れ】

1.訴訟提起

訴訟提起の具体的方法
離婚を希望する一方が、家庭裁判所に離婚訴訟を提起します。
訴状には、離婚の理由や求める解決事項(親権、養育費、財産分与、慰謝料など)を記載します。

2.訴訟の進行

訴訟手続の具体的内容
裁判所は、訴状を受理し、相手方に送達します。
相手方は、答弁書を提出し、自らの主張を記載します。
その後、双方の主張や証拠を基に、裁判官が審理を行います。

3.証拠の提出

証拠提出の具体的内容
双方が証拠を提出し、証人の尋問なども行われます。
証拠として提出されるものには、文書、写真、録音、録画などが含まれます。

4.裁判所の判断

裁判所の具体的判断方法
裁判官は、提出された証拠や証言を基に、離婚の可否を判断します。
離婚が認められる場合、判決が下されます。

5.判決確定

判決確定の具体的流れ
判決が下された後、双方が控訴しない場合、判決が確定します。
確定判決に基づき、離婚が成立します。

【法定離婚事由】

裁判離婚の場合,当事者双方の合意が離婚の根拠にならない(=少なくとも一方は納得をしていないのに離婚を強制する)ため,離婚が正当であることの裏付けが必要になります。具体的には,離婚のためには「法定離婚事由」が必要になります。

民法に定められた法定離婚事由は,以下の通りです。

1.不貞行為 配偶者が不貞行為(不倫)を行った場合
2.悪意の遺棄 正当な理由なく配偶者との同居や扶養などを放棄する行為
3.3年以上の生死不明 配偶者が3年以上生死不明の場合
4.強度の精神病 配偶者が強度の精神病にかかり,婚姻の継続が困難な場合
5.その他婚姻を継続しがたい重大な事由 上記のほか,夫婦関係が著しく破綻している場合(長期別居など)

どの手続を選択すべきか

離婚の方法が3種類あるため,どの方法を採用すべきかという点が問題になります。
それぞれの方法の利点及び欠点としては,概ね以下の内容が挙げられます。

【協議離婚の利点と欠点】

利点

手続きが迅速で簡単
費用がかからない
第三者の介入がないため、プライバシーが保たれる

欠点

合意に至らない場合、離婚が成立しない
感情的な対立が深刻な場合、話し合いが難航する可能性がある
合意事項が不明確な場合、後々トラブルになる可能性がある

【調停離婚の利点と欠点】

利点

第三者の介入
→調停委員が中立の立場で仲介するため、冷静に話し合いが進む可能性が高くなります。
非公開
→調停は非公開で行われるため、プライバシーが守られます。
柔軟な解決
→夫婦双方の事情を考慮し、柔軟な解決策が提案されることが多いです。

欠点

時間と労力がかかる
→調停には複数回の出席が必要となるため、時間と労力がかかります。
費用が発生する
→調停には申立費用や弁護士費用などが発生する場合があります。
不成立の場合
→調停が不成立の場合、再度話し合いや裁判を行う必要があります。

【裁判離婚の利点と欠点】

利点

法的強制力
→裁判所の判決により、離婚が法的に確定します。
客観的判断
→裁判官が第三者として公平に判断します。
包括的な解決
→親権、養育費、財産分与などの問題を一括して解決できます。

欠点

時間と費用がかかる
→訴訟には長い時間と高い費用がかかります。
精神的負担
→裁判は公開で行われるため、プライバシーが守られにくく、精神的な負担が大きいです。
対立の激化
→訴訟により夫婦間の対立が激化する可能性があります。

利点及び欠点を踏まえると,早期離婚のためには協議離婚が有益です。しかし,協議離婚は合意内容をはっきりさせて書面化などしないと,後から紛争が蒸し返される恐れがあります。配偶者による紛争蒸し返しのリスクを避けたい場合には,調停離婚又は裁判離婚の方法で裁判所に関与してもらうのが適切でしょう。

もっとも,裁判離婚は,離婚調停を試みて不成立となった場合に初めて利用することが可能です。これを「調停前置主義」と言います。離婚裁判は,配偶者が離婚を拒んでも強制的に離婚をさせられる強力な方法である一方,あくまで最後の手段であるという位置づけが明確にされています。

ポイント
協議離婚は早期かつ簡単
蒸し返し防止のためには調停離婚や裁判離婚が有益
裁判離婚は調停不成立の場合にのみ可能

離婚を有利に進める方法

①相手が有責であることの証拠を獲得する

離婚を希望する場合,いずれの当事者が有責であるか(離婚の原因を作った責任があるか)という点が非常に重要です。配偶者が不貞行為に及んだことが原因であるなど,相手方が有責の場合には,離婚の希望が極めて実現しやすくなります。

撮影画像や映像,音声などの客観的証拠や,配偶者自身が不貞行為などを認めた事実など,相手が有責であることの根拠が存在することによって,離婚を有利に進めることが可能になるでしょう。

②弁護士への依頼を検討する

離婚を行う際には,数々の離婚条件を定める必要があります。財産や子などがあれば,それに応じて離婚条件も多岐に渡り,より複雑にもなります。
これらの離婚条件について,適正な内容を把握した上で,有利な結論を目指すためには,法律や過去の事例などに精通した弁護士への依頼が有力です。

また,弁護士に依頼することで,対応の負担が軽減されることも大きなメリットになると言えるでしょう。加えて,協議離婚の欠点である蒸し返しのリスクも,弁護士に依頼してきっちりとした書面化をすることができれば,事前に防ぐことが可能になります。

離婚で弁護士に依頼すべき場合

離婚は,弁護士に依頼せずに当事者間で行うことも珍しくありませんが,以下のような場合には弁護士への依頼が適切です。

①配偶者の対応が信頼できない場合

当事者間で離婚を行うのは,双方が必要な対応を怠らず進められることが大前提です。そのため,配偶者がちゃんと対応しない可能性がある,定めた金銭の支払をしない可能性がある,という場合には,弁護士への依頼が望ましいでしょう。

弁護士への依頼により,配偶者による不誠実な対応を許さず,信頼できない配偶者にも適切な対応をさせることが可能です。万一,それでも配偶者が適切な対応をしない場合には,弁護士が適切な請求を行うことで,配偶者により大きな不利益の生じる可能性が高くなります。

②相手に請求したいものがある場合

単に離婚届を作成し,提出するのみであれば,当事者間でも問題なく進めることが可能でしょう。もっとも,離婚を成立させたいだけでなく,金銭の支払や詳細な離婚条件の承諾を求めたい場合には,弁護士に依頼することが適切です。

弁護士に依頼することで,配偶者に求める支払額や離婚条件を適正なものとすることが可能です。また,弁護士を通じて相手に要求することで,それらの適正な金額や条件を実現できる可能性が非常に高くなるでしょう。

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

離婚の手続は,調停前置などのルールがあり,取り決めなければならない事項も多いため,想像よりも円滑にいかなかった,ということが多く見受けられます。
円滑に有利な内容で離婚をしたい場合は,手続選択や方法をどうすべきか,弁護士にご相談される方が望ましいでしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【犯罪被害の金銭賠償獲得事例】16倍超の増額事例 自身の不貞行為を秘密にする代わりに性行為を強要された犯罪被害者の賠償請求はなぜ成功したか,弁護士が解説

このページでは,実際に犯罪被害者が加害者からの金銭賠償獲得に成功した解決事例を紹介します。
(プライバシー保護のため,結論に影響しない範囲で一部実際の内容と異なる場合があります)

【このページで分かること】
・実際に犯罪被害者が加害者から賠償を受領した事件の内容
・犯罪被害者への金銭賠償に至るための問題点と対応
・弁護士による金銭賠償獲得のポイント

今回は,結婚相談所の紹介で知り合った加害者との間で,第三者との不貞行為を秘密にする代わりに性行為を強要された事件を紹介します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

事案の概要

被害者は成人女性,加害者は成人男性。
被害者は,結婚相談所で加害者と知り合った。もっとも,被害者には,当時交際中の男性のほか,勤務先の既婚男性との間に不貞関係があった。

加害者は,知り合った当初から被害者に交際相手や不貞相手がいることを知っており(知った経緯は不明),会うなり被害者の不貞行為を秘密にする対価として自分と性行為をするよう求めてきた。被害者が了承しないでいると,不貞関係を被害者の家族や不貞相手の配偶者に伝えるなどと脅迫してきた。
被害者は,渋々加害者の要求に応じることとし,両者の肉体関係は1か月程度に渡った。

その後,被害者は加害者との関係に耐えられなくなり,本件を警察に相談した。警察は,両当事者から事情を聞くなどした結果,加害者の身柄拘束をせずいわゆる在宅捜査を行う方針とした。

警察への相談後,被害者には加害者代理人弁護士を名乗る男性から連絡があった。弁護士からは,示談をしたいとの話であった。
具体的には,同弁護士から,加害者が被害者に30万円を支払うという内容の提案がなされた。また,加害者は翌週に警察での取り調べを控えており,取調べに応じる負担を避けたいため,翌週までに示談を成立させたいとの話があった。

弁護士からの提示を受けた後,被害者が法律相談の上,当職に金銭請求を依頼した。

問題点

①成立する犯罪

加害者は,被害者に対して,脅迫を用いて性行為を強要しているので,本稿執筆時の法律では不同意性交等罪に該当することが見込まれます(なお,当時は刑法改正前のため不同意性交等罪はありませんでした)。

②金銭賠償を獲得する際の問題点

【脅迫行為の客観的証拠に乏しいこと】

本件は,客観的に明らかな出来事だけを並べると,結婚相談所で知り合った男女が継続的に性行為をした,というのみと評価される可能性もありました。つまり,被害者が犯罪被害を受けたと言えるのは,加害者から被害者に対して脅しというべき言動があったからにほかなりませんが,肝心の脅迫行為については客観的な証拠がない状況でした。

しかも,脅迫行為は被害者の弱みを握って行うという悪質なものであり,悪質な脅しによる性行為の継続的な強要であれば,被害者の損害は非常に大きいと考えられます。一方,脅しがなければ単なる男女間の性行為になりかねないため,脅迫行為の存在を前提とできるかどうかは,金銭賠償を獲得するための非常に大きな問題点でした。

【既に在宅捜査が進んでいること】

本件では,既に被害者が警察に事件を相談し,加害者に対する取調べが実施されているという点に特徴がありました。加えて,警察は身柄拘束をしないで在宅捜査で進める方針を表明しており,簡単に言えば警察のやる気があまり感じられない状況でもありました。

このような状況では,加害者が逮捕や刑罰のリスクを低く見積もってしまい,積極的に示談金を支払うモチベーションが低下してしまう可能性が懸念されました。

【非常に低額の金額提示がされていること】

本件においては,被害者が当職に依頼をする前に,加害者の代理人弁護士から30万円の示談金が提示されていましたが,被害者の言い分を前提にするとあまりに低額な金額提示と言わざるを得ないものでした。被害者の弱みを握り,断れない状況に追い込んで何度も性行為を強要した事件であれば,30万円で示談ができると考えることは通常ないと言ってよいでしょう。

また,加害者代理人弁護士は,早期に示談を成立させたいとかなり強気の姿勢を示しています。取調べの負担を免れるために早く示談をしたい,というのは加害者側の都合でしかなく,これを被害者に伝えれば被害者側の感情面には悪影響しかないことが明らかです。加害者代理人がなぜ強気の金額提示や示談を催促する発言をしているのか,図りかねる状況でした。

問題点の解決方法

①【脅迫行為の客観的証拠に乏しいこと】

本件の最大の懸念点は,脅迫行為の有無が争点になった場合に立証が困難である,ということでした。加害者による脅迫行為は口頭でのみ行われており,裏付けになるものがなかったためです。
そのため,加害者が被害者の不貞関係を脅迫の材料にして性行為を求めた,という点は,当事者間で争いのない事実とすることが重要な状況でした。

そこで,こちらが受任した後,加害者代理人弁護士に対して,最初に事実関係の確認を行うことを求めました。具体的には,「被害者の話や客観的証拠からこちらが確認している事実と,加害者の述べる内容が一致すれば,示談を検討する余地がある。一致しないのであれば,被害者は加害者を許すことができないので,刑罰を希望する」という旨の回答を行うことにしました。
加害者側が示談を希望していることは明らかであったため,示談の前提として被害者と言い分が一致する必要があると分かれば,脅迫行為を認める可能性が高いと想定しての動きでした。

その結果,加害者から,代理人弁護士を通じて「被害者の不貞行為を周囲に知らせないことの対価として性行為を求めた」という事実が表明され,その内容を加害者代理人名義の書面に残すことができました。加害者自身が脅迫行為を認めている証拠がある,という点は極めて重要であり,強気な金銭請求が可能な状態を作り出すことに成功したと言えるでしょう。

ポイント
脅迫行為の有無が争点になることを避けるのが適切なケースであった
加害者が脅迫行為を自認するよう促す交渉により,加害者が認めたという証拠を確保した

②【既に在宅捜査が進んでいること】

犯罪被害の示談交渉では,示談すれば捜査を受けなくて済む,という点を加害者の重要なメリットとすることが一般的です。加害者としては,捜査の対象となれば逮捕されるかもしれない,起訴されて刑罰を受けるかもしれない,刑務所に入るかもしれないと考えるからこそ,示談金を積極的に支払って示談で終わらせたいと考えるわけです。

もっとも,本件では警察の消極的な態度が感じられる状況であり,警察は逮捕予定がないことを隠そうともしない対応でした。恐らく,金額交渉の材料として巻き込まれている,と感じていたのだろうと思われます。
そうすると,加害者に高をくくられてしまい,金銭請求の重要な交渉材料が失われる可能性が懸念されました。

ただ,それでも加害者が代理人を通じて示談を申し入れた,という点は注目すべきところでした。つまり,加害者は示談を目指す積極的な必要を感じているということであり,そこには逮捕の可能性を避ける必要も含まれていることが想像されます。

そこで,警察の対応に不満を抱いていた被害者の心情も踏まえ,こちらから警察へ告訴を行うとともに,被害者は加害者の逮捕を希望していることを明確に表明する手段を取ることにしました。
実際に逮捕されるかどうかは警察の判断次第ですが,「被害者は告訴した上で加害者の逮捕まで希望している」と加害者に伝わる形を取ることによって,加害者に高をくくられず,逆に危機感をもって示談交渉に臨ませることを目指しました。

ポイント
被害者が本気で加害者の逮捕や刑事処罰を求めているのであれば,それを行動に移すことも有力

③【非常に低額の金額提示がされていること】

本件で加害者の代理人弁護士が被害者に提示した示談金額30万円は,被害者の弱みを握って何度も性行為を求めた事件の示談金としてはあまりに低額でしたが,その理由は大きく分けて以下の3つの可能性が考えられました。

低額な金額提示の理由として考えられるもの

1.事実関係の認識が食い違っており,争いがある
→加害者の主張する事実関係を踏まえれば,30万円という金額も合理的であるという場合

2.示談不成立でも構わないと考えている
→30万円が不合理な金額であることは承知の上だが,その金額で示談できないならば無理に示談は望まない,という場合

3.本件の適正な賠償額だと考えている
→言い分が食い違ってもおらず,示談を希望する意思はあるが,本件の適正な賠償金額が30万円であると考えている(=適正な賠償額が分かっていない)場合

この点,上記の通り,事実関係の認識に相違がないことは早期に確認できたため,「1.事実関係の認識が食い違っており,争いがある」場合でないことが分かりました。また,被害者に代理人弁護士が入って30万円での合意の可能性がないと告げられた後にも,示談交渉を継続する姿勢が見られたため,「2.示談不成立でも構わないと考えている」場合でもないことが分かりました。
そのため,加害者の代理人弁護士は,30万円を「3.本件の適正な賠償額だと考えている」ということになります。これは,3つの可能性の中でも被害者にとって最も有益なケースと言ってよいものでした。なぜなら,加害者が希望する示談を成立させるためには,30万円が適正な賠償額であるという理解を改める以外に方法がないからです。

以上を踏まえ,こちらからは適正額に関する複数の根拠を示し,当方の理解する適正額からは一切譲歩する意思がないことを明確にして,加害者側の再考を促しました。加害者代理人弁護士の理解度が低いことを踏まえ,より強気の姿勢を示すことで,有利な条件を引き出そうとしたのが奏功したと考えられます。

なお,今回の加害者代理人弁護士は,本件のような事件に対する経験値に乏しい弁護士であったようでした。弁護士にも専門分野があるため,弁護士であるからといって,全ての法的問題について適正な判断ができるわけではない,ということには注意が必要です。本件はそのいい例であったかもしれません。

ポイント 低い金額提示の理由
1.事実関係に争いがある(相手の言い分に従えば適正額)
2.示談成立を強く希望していない(高額になるくらいなら不成立でよいと考えている)
3.本心で適正額だと考えている(適正額の判断を誤っている)

結果

加害者代理人弁護士との間で,加害者から被害者へ500万円の金銭賠償を支払う内容にて示談が成立し,無事同額を受領しました。
最初の提示が30万円であったため,比較すると16倍を超える増額となりました。

弁護士によるコメント

本件は,被害者自身の不貞行為がきっかけであったため,被害者から周囲に相談しづらく,継続的な性行為がなされていました。その後,必死の思いで警察に相談したとのことでしたが,そのおかげで示談交渉が開始することになったのは,被害者にとって幸運だったかもしれません。

示談交渉としては,事実関係に争いがないことを早期にはっきりさせられた点が非常に有益であったと考えられます。事実関係に争いがなければ,加害者が金銭を支払うことは明らかであり,後は金額の話のみになるため,優位な金額交渉が約束される状況になります。
事実関係に争いが生じると立証が難しい,というウィークポイントを相手が知らないうちに,交渉によってそのウィークポイントを消すことができた時点で,増額示談はほぼ見通せる事件になっていたと言えるでしょう。

犯罪被害に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所は,刑事事件の経験豊富な弁護士が,専門的な知識・経験を踏まえて,犯罪被害にお悩みの方への最善のサポートを提案することができます。
お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【犯罪被害の金銭賠償獲得事例】10日以内に300万円の賠償獲得 多量の飲酒をさせられ,ホテルに同行後性交に至った被害者未成年の事件

このページでは,実際に犯罪被害者が加害者からの金銭賠償獲得に成功した解決事例を紹介します。
(プライバシー保護のため,結論に影響しない範囲で一部実際の内容と異なる場合があります)

【このページで分かること】
・実際に犯罪被害者が加害者から賠償を受領した事件の内容
・犯罪被害者への金銭賠償に至るための問題点と対応
・弁護士による金銭賠償獲得のポイント

今回は,クラブで大量の飲酒を求められ,その後に性行為を強要された未成年女性の事件を紹介します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

事案の概要

被害者は当時未成年の女性。加害者は芸能活動を行っている成人男性。
被害者は,芸能人である加害者のことを知っていたが,友人から加害者が近所のクラブでイベントを予定していることを知らされ,友人に誘われてイベントに参加しに行った。

現地のクラブでは,加害者らのトークイベント等が行われ,被害者はイベントを見た後,同クラブ内で飲食を楽しんでいた。
その後,友人の一人がクラブ関係者と知り合いであったこともあり,加害者らが飲食をしているVIP席で同席できるとの話を持ち掛けられ,友人とともにVIP席へ向かうことにした。

VIP席では,加害者や芸能関係者と同席の上,飲食や会話をしていたが,加害者は,酒に弱いと口実をつけて,自身が注文した酒を未成年者である被害者に飲ませた。被害者は,加害者の求めに応じてシャンパンなどを飲み,卓全体でボトル2~3本ほどを消費した。
また,被害者は,加害者の翌朝の予定が早いため,起こして欲しいと加害者から依頼されたため,やむを得ず連絡先を交換するとともに,加害者のために目覚まし時計のアラームをセットすることにした。

その後,加害者は被害者に介抱を依頼するため宿泊先への同行を求めてきた。被害者はこれに応じて,ホテルの客室まで加害者を介抱しながら同行し,約束通り目覚まし時計のアラームを設定した後,部屋を去ろうとした。しかしながら,加害者は被害者の退室を阻止した上で,性行為に及んだ。
被害者は,泥酔に近い状態であったため,行為の詳細は記憶できなかったが,避妊具を使用していなかったことと,膣内射精を提案されたことは断片的に記憶していた。結果的に膣内射精はしていないようであった。

事件から約1年間,被害者は家族や交際相手に打ち明けられずにいた。弁護士への依頼直前に,加害者から再度一緒に飲みたいという趣旨の連絡があった。

問題点

①成立する犯罪

被害者を泥酔状態にさせた上で,被害者が拒絶できない状態を利用して性行為に及んだことが見込まれるため,当時の強姦罪または準強姦罪(現在の不同意性交等罪)に該当することが考えられます。

②金銭賠償を獲得する際の問題点

【加害者は合意の上での性交だと考えている可能性】

加害者は,イベント地のクラブで意気投合した女性と合意の上で性行為に至った,と考えている可能性が高い状況でした。
被害者が弁護士への問い合わせをしてから依頼をするまでの間に,たまたま加害者から被害者に連絡がありましたが,その内容は再度一緒に飲みたいと飲食に誘うものでした。加害者の連絡は,いわゆるセックスフレンドに会おうとしているように思われる内容でしたが,友好な関係を保っていると確信していなければ送るはずのないものでしょう。
良好な間柄であるはずの相手から,代理人弁護士を通じて金銭賠償を請求された場合,加害者からの反発,反論は容易に想像されるため,あらかじめ想定する必要がありました。

【事件から1年以上が経過している点】

被害者が弁護士に相談をした段階で,すでに事件から1年以上が経過していたため,事件の内容を裏付ける客観的な証拠を獲得する手段は全くない状態でした。幸い,イベントが行われた事実や,被害者と加害者が一緒に飲食していた事実は,当時の撮影画像から分かるという程度でした。

そのため,そもそもホテルへ同行した事実があるか,ホテルの客室内で性行為がなされた事実はあるか,という点が問題になると,立証に窮することが想像されました。

【被害者が未成年である点】

被害者は未成年でしたが,被害者が法律行為をするためには原則として親権者の同意が必要となります。そのため,本来的には親権者の方に事情を打ち明け,加害者への金銭請求をご了承いただくことが適切です。
しかしながら,被害者は本件が周囲の人に発覚するのを希望していませんでした。事件当時から交際を継続している異性もおり,その存在は親権者も把握しているため,本件の内容が伝わることで関係に亀裂が生じることを懸念していました。

問題点の解決方法

①【加害者は合意の上での性交だと考えている可能性】

被害者は,自分の意思で加害者と性交をした事実は決してないと断言しており,その意思を尊重した方針を取ることが適切と判断しました。具体的には,加害者がどんな反論をしようと,こちらは被害者であるというスタンスを改める意思が全くないと一貫して述べ続けることにしました。

合意があったかなかったかという点は,当事者間で言い分の異なる争点ですが,被害者が加害者に金銭請求する際,争点について加害者と意見を交わす必要はありません。相手を説き伏せることも,相手の言い分が適切か判断することも,金銭請求や金額交渉には必要のないことです。
「言い分が違っても構わない。言い分を理由に応じないのであればこちらは公の場で争うのみである」という態度を明確にすることで,加害者に争うリスクを理解させる方針を選択しました。

もちろん,争点について譲歩する姿勢を見せない方針は,相手が納得しない場合に示談不成立となるリスクを背負うものではあります。しかしながら,本件では,相手が芸能活動を行う人物であることを踏まえ,争うリスクは相手の方が高い状況であると理解し,上記の方針としました。

ポイント
加害者は合意があったと考えている場合,金銭請求に応じてこないことはあり得る
合意の有無が争点化するリスクを加害者に理解させることで,争点化を防ぐ方針を取った
加害者が芸能活動をしている点は,争うリスクを感じやすい要素であった

②【事件から1年以上が経過している点】

合意の有無よりも,争点化した場合により問題が大きくなるのは,そもそも性行為があったのか,という点でした。事件から1年以上が経過している状況では,性行為があったことを裏付ける客観的な証拠を提示することは不可能と言わざるを得ません。そのため,性行為があったかどうかを争点とすることは防ぐ必要がありました。

そこで,弁護士の方では,加害者から被害者への連絡に乗じる形で迅速に加害者へ連絡を取り,その言質を得る方針を取ることにしました。加害者からの連絡に弁護士を名乗って返答し,速やかな電話連絡の機会を求めました。そして,電話連絡の際には,あえて合意の有無が唯一の争点であることを前提にすることで,性行為があったかどうかを争点とする余地を与えないやり取りを目指しました。

その結果,加害者は,合意があったと主張する目的で,性行為の存在を前提とした発言を繰り返したため,通話内容を録音することで,性行為の事実を争わない加害者の発言を記録化することに成功しました。

ポイント
性行為の有無自体が争点になると立証に窮する
加害者の言質を取ることが有効な解決策
合意の有無だけを争点とすることで,性行為の有無を争わない発言を引き出した

③【被害者が未成年である点】

被害者が未成年であることは,弁護士にとっては依頼者が未成年者であることを意味します。未成年者との契約は,後から反故にされてしまうリスクがあるため,弁護士目線では慎重な判断を要する問題です。

この点,弁護士の方では,まず徹底した聴き取りや打ち合わせを通じて依頼者との間で互いに信頼できる関係の構築を目指しました。弁護士側はもちろん,依頼者側も弁護士を信頼できると考えることによって,契約リスクは最小限にとどまると判断しました。
また,弁護士の採用する方針をできる限り詳細に説明することで,被害者が希望する結果を獲得するためには弁護士の助力が不可欠であると考えてもらうことを目指しました。

ポイント
弁護士と被害者の契約は,相互の十分な信頼関係の上で取り交わす

結果

加害者との間で,加害者から被害者へ300万円の金銭賠償を支払う内容にて示談が成立。無事同額を受領するに至りました。
活動開始から金銭の受領まで数日というスピード解決でした。

弁護士によるコメント

本件は,加害者の立場が芸能活動を行っているという点で特徴的であり,一方で事件発生から長期間が経過しているという難点もありました。また,依頼者が未成年者であったため,その点への法的な配慮も必要になり得るケースでした。

加害者が芸能活動をしている事実は,多くの場合,事件が公になるデメリットの大きさを推測させます。本件のような立場の加害者は,示談成立の意欲を強く持つケースが多いでしょう。それだけに,被害者代理人としては強気な金銭請求を検討したいところです。

一方,本件の場合,加害者は明らかに被害者側も同意していたものと誤解している状況でした。合意していない可能性があれば,1年越しに被害者を飲みに誘うことは考えにくいためです。また,飲みに誘っていることを踏まえると,被害者が未成年者であることも把握していないことが容易に想像されました(被害者は,未成年者であることを隠してクラブに入店しているようでした)。

以上を踏まえると,被害者の立場として強気の金銭請求が有力であるのと同時に,加害者にも争う要素があり得るため,バランスを保ちながらの交渉が重要な事件でした。また,スピーディーな進行により加害者側に熟慮の機会を与えず,合理的な水準での示談を実現することによって,被害者には早期に十分な賠償がなされるに至りました。

ポイント
加害者の芸能活動は強気に金銭請求をしたい要素
事件発生から期間が経過しているため,証拠に乏しい点は不利な要素
加害者は被害者の同意があったものと明らかに誤解していた
素早く合理的な金額水準で合意することにより,双方のバランスを保った解決に至った

犯罪被害に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所は,刑事事件の経験豊富な弁護士が,専門的な知識・経験を踏まえて,犯罪被害にお悩みの方への最善のサポートを提案することができます。
お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【告訴受理解決事例】SNSで知り合った後,ラブホテルへ同行させられた事件の場合 事件の特徴を踏まえた対応方法を解説

このページでは,実際に告訴の受理に至った解決事例を紹介します。
(プライバシー保護のため,結論に影響しない範囲で一部実際の内容と異なる場合があります)

【このページで分かること】
・実際に告訴受理がなされた事件の内容
・告訴受理に至るための問題点と弁護士の対応
・弁護士による告訴受理のポイント

今回紹介するのは,SNSで知り合い,実際に会うことになった異性から強引に性的関係を求められた事件です。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

事案の概要

SNS上のいわゆるマッチングアプリで知り合った男女の間での事件。被害者は成人女性,加害者は成人男性。

SNSでチャットによるやり取りをした後,一度実際に会うこととなった。被害者の自宅近所に加害者が車で訪れ,近所の飲食店で食事をする予定であった。
当日,予定通りに食事をしたところ,加害者から引き続き一緒にいることを提案され,被害者は了承した。加害者の提案で,加害者の車に同乗し,運転されるがままに移動した。その後,飲食店及び被害者方から相当程度距離のあるラブホテルに駐車され,加害者からラブホテルへの同行を促された。被害者は,自力で帰宅する手段もなく,断ることで加害者に激高されることを防ぐため,応じることにした。

ホテルの客室内では,加害者からキスを迫られたり,乳房を揉まれたりした。被害者は,「まだ早い」「今日はちょっと」などと言ってその場を穏やかにやり過ごそうとしたが,加害者が性的行為をやめることはしなかった。
被害者が加害者から受けた主な行為は,キスされる,乳房を手で触られる,加害者の性器を手で触らされる,といったものであった。被害者は,加害者が性交(性器の挿入行為)を要求するつもりであると理解したため,「(挿入行為は)今回はやめよう」と伝え,挿入に至ることは防いだ。

その後,当事者間で若干の会話などをした上で,加害者の車でホテルを出発。被害者方の近所まで移動し,被害者が下車して解散した。

法的問題点

①成立する犯罪

加害者は,被害者の同意なくキスをする,乳房を触る,自分の性器を触らせるといったわいせつ行為に及んでおり,不同意わいせつ罪が成立すると考えられます。

②犯罪の成否に関する問題点

【意思表明が困難な状態にさせられていたか】

不同意わいせつ罪の成立には,一定の事由によって,被害者が「同意しない意思を形成し,表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあること」が必要とされています。このような状態に乗じてわいせつな行為をした場合に,不同意わいせつ罪が成立します。
本件では,食事の後に両者が合意の上で車での移動をしているため,意思表明が困難な状態にさせていたと言えるのか,問題となり得ます。

【同意の有無】

被害者が加害者と一緒にラブホテルへ入り,客室内では加害者の性的な行為に明確な拒絶を見せなかったため,被害者が加害者との性的行為に同意していたのではないか,との問題が生じる可能性はあります。特に,ラブホテルが性的行為を行うために入る施設である点は,両者合意の上での性的行為であったことの根拠になる,との見解も考えられます。

【加害者の故意の有無】

加害者に不同意わいせつ罪が成立するためには,加害者の故意が必要ですが,その内容は「被害者が同意をしていないと認識しているか,同意していなくても構わないと考えていた場合」と整理することができます。そのため加害者目線では,被害者が同意をしているはずだと認識していた場合,犯罪の故意がないとの判断になる可能性が考えられます。

問題点の解決方法

①【意思表明が困難な状態にさせられていたか】

この問題点については,大きく2つのステップに関する検討を要します。具体的には以下の通りです。

意思表明が困難な状態にさせられていたかを検討するステップ
1.意思表明を困難にする事由があるか
2.意思表明が困難な状態になっていたか

まず,意思表明を困難にする事由は,不同意わいせつ罪を定める刑法に列挙されており,そのいずれかに該当する必要があります。具体的な内容は以下の通りです。

意思表明を困難にする事由
①暴行・脅迫
②心身の障害
③アルコール・薬物の摂取
④睡眠その他意識不明瞭
⑤同意しない意思を形成・表明・全うするいとまがない
⑥予想と異なる事態に直面した恐怖・驚愕
⑦虐待に起因する心理的反応
⑧経済的・社会的影響力による不利益の憂慮

本件では,食事の後,行先も知らないまま加害者の運転する車に同乗し,予期しないままラブホテルに到着した,という経緯があるため,「⑥予想と異なる事態に直面した恐怖・驚愕」に該当することが見込まれます。この要件の具体的内容は,以下のように説明されます。

「⑥予想と異なる事態に直面した恐怖・驚愕」とは
いわゆるフリーズの状態、つまり、予想外の又は予想を超える事態に直面したことから、自分の身に危害が加わると考え、極度に不安になったり、強く動揺して平静を失った状態をいいます。

次に,意思表明が困難な状態になっていたか,という点については,少なくとも告訴受理の段階では,意思表明困難という被害者の供述に一定の合理性があれば足りるでしょう。明らかに犯罪が成立しない場合でない限り,告訴の受理を拒むのは法的に問題があるため,被害者の言い分が明らかにおかしい内容でなければ差し支えないと言えます。

ポイント
予想外の事態で意思表明が困難な状況にあった
実際に意思表明が困難であった,との主張は一定の合理性があれば足りる

②【同意の有無】

同意の有無との関係では,同意があった可能性をうかがわせる事情について,その合理的な理由を一つ一つ指摘していくことが肝要です。

本件では,被害者が自らの意思で加害者の車に乗り,一緒にラブホテルへ向かったという点が,被害者の同意の存在を推測させる事情になる可能性が考えられます。一緒にラブホテルへ行くということは,性行為をするつもりであったのではないか,ということです。
もっとも,被害者は行き先を把握しないまま加害者の車に同乗しただけであって,ラブホテルへの同行に同意したというわけではありませんでした。そのため,一緒にラブホテルへ行ったというのは,被害者の意思でそうなったわけではなく,行先がラブホテルであることを加害者から隠されていたからということになります。この場合,結果的に被害者が加害者とともにラブホテルへ移動したとしても,それによって同意があると断じるわけにはいかないでしょう。

また,両者が実際に会うまでのSNS上でのやり取りに,会った際に性行為をする気持ちがあることが見受けられる事情が全くありませんでした。事前に性行為を予定して会う場合には,SNS上で性行為に関するやり取りをしていることがほとんどですが,それが見られなかったという点は被害者に同意がなかったことの根拠になり得る事情と言えます。

以上を踏まえ,被害者が同意をしていなかった可能性が十分あると理解されたことにより,告訴受理が実現したと考えられます。

ポイント
一緒にラブホテルへ行ったことは,同意があったことの根拠になる場合もある
本件の被害者はラブホテルへ行くとは思っていなかった可能性があるため,同意があったとは判断できない

③【加害者の故意の有無】

加害者の目線では,ラブホテルに行こうと思って車に乗ることを提案したところ被害者が応じ,ラブホテルに到着した後も被害者がその場を去るなどしなかったことから,被害者が同意しているものと誤解した可能性があるか,問題になり得るところです。

この点,以下のような事情が見受けられます。

・移動前
加害者は事前にラブホテルへ行くつもりであることを告げていないため,被害者がラブホテルへの同行を承諾していない可能性は十分に把握できたはずです。

・到着後
被害者方から距離のあるラブホテルへ連れて行ったのは,被害者に断りづらい状況を作る意味があった可能性があり,被害者が断れなかったからといって加害者が誤解するとは限りません。

・客室内
被害者はキスされたり乳房を触られたりすることを嫌がっており,少なくともその時点で被害者に同意がないと分かった可能性があるはずです。

以上を踏まえると,加害者に故意があった可能性も十分にあり得る内容と考えるべきであって,加害者の故意が認めづらいことを理由に告訴受理を拒むことは不合理と言えます。

結果

警察に告訴が受理された結果,加害者に対する捜査が実施されるに至りました。

弁護士によるコメント

マッチングアプリで知り合った男女の場合,性行為を前提に会うケースも少なくないため,被害者の希望する告訴が適切な告訴なのか,犯罪の問題でなく当事者間の感情的なトラブルに過ぎないのか,という点は慎重な判断になりやすいところです。
特に本件では,ラブホテルに同行しているという事情があり,ホテル内でケンカをしただけである場合との区別も必要だったと思われます。

この点,事前に性行為を想定したやり取りがなかったこと,当日も被害者がラブホテルに移動するとは思っていなかった可能性があること,客室内でも嫌がる動きを見せ,結局性交(=性器の挿入行為)に至らなかったことなど,犯罪である可能性を示す根拠を積み上げることによって,告訴の受理に至ったと考えられます。

犯罪被害に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所は,刑事事件の経験豊富な弁護士が,専門的な知識・経験を踏まえて,犯罪被害にお悩みの方への最善のサポートを提案することができます。
お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【告訴受理解決事例】職場の飲み会後,車内で性的被害に遭った事件の場合 法的問題点や解決方法を弁護士が解説

このページでは,実際に告訴の受理に至った解決事例を紹介します。
(プライバシー保護のため,結論に影響しない範囲で一部実際の内容と異なる場合があります)

【このページで分かること】
・実際に告訴受理がなされた事件の内容
・告訴受理に至るための問題点と対応
・弁護士による告訴受理のポイント

今回ご紹介するのは,車内で勤務先の異性からわいせつ被害に遭った事件です。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

事案の概要

職場の関係者で行われた飲み会の後,会社の先輩に当たる加害者から性的行為の被害を受けた事件。被害者は成人女性,加害者は成人男性。

被害者及び加害者を含む多数人での飲食後,少人数での二次会に移るなどしながら,被害者と加害者両名が同席しての飲食を継続していた。
最後の飲食の後,被害者と加害者は業務用ワゴン車内で休憩することにし,被害者が後部座席,加害者が前部座席でそれぞれ仮眠を取った。

仮眠中,前部座席にいた加害者が後部座席に移り,被害者にキスを迫る,身体を触るなどの行為をし始めた。被害者は,突然のことに抵抗できず,加害者のなすがままにされていた。
その後,加害者の行為がエスカレートし,抵抗しない被害者の女性器に手指を挿入してきた。被害者は,被害の拡大を避けるため,やむを得ず拒絶しなかった。

法的問題点

①成立する犯罪

被害者の同意なく性的な行為をすることは,不同意わいせつ罪又は不同意性交等罪の対象となる可能性が考えられます。一般的に,不同意わいせつ罪よりも不同意性交等罪の方が重大事件であり,重い刑罰の対象になることが見込まれます。

この点,女性器に手指を挿入する行為は,不同意性交等罪が成立要件である「性交等」に該当するため,本件は不同意性交等罪に該当することが考えられます。

②犯罪の成否に関する問題点

【「性交等」の有無】

加害者が被害者に行ったとされる各行為については,客観的な証拠がなく,被害者の供述のみがほぼ唯一の証拠となることが見込まれる状況であったため,被害者の主張する「性交等」が本当に存在したのか,問題となる可能性が考えられます。

【同意の有無】

被害者が加害者の行為に対して抵抗しなかったため,被害者が性交等について同意していたのではないか,という問題意識が出てくる可能性が考えられます。女性器への手指の挿入にも抵抗することなく応じている点は,被害者が同意していないと起きない出来事ではないか,との見解が生じ得ると考えられます。

【加害者の故意の有無】

加害者に不同意性交罪が成立するためには,加害者の故意が必要ですが,その内容は「被害者が同意をしていないと認識しているか,同意していなくても構わないと考えていた場合」と整理することができます。そのため加害者目線では,被害者が同意をしているはずだと認識していた場合,犯罪の故意がないとの判断になる可能性が考えられます。

特に,加害者に故意があったかどうかは被害者の供述だけでは分からないことも多く,被害者の言い分を根拠に犯罪の成立を認められるかどうかは非常に難しい問題になり得ます。

問題点の解決方法

①【「性交等」の有無】

「性交等」の有無は,どうしても被害者の供述を根拠とせざるを得ません。もっとも,告訴受理のためには,被害者の供述内容が存在したと立証することは必要なく,その存在が疑われる状況にあれば十分と言えます。なぜなら,実際に立証できるかどうかは,まさに告訴を受理した後捜査すべき事柄であるためです。
そのため,被害者側としては,明らかに犯罪事実(=性交等)がないという判断は不適切である,ということができれば足り,そのために対応を尽くすべきということになります。

この点の解決は,事件の内容に関する被害者の供述を,できる限り具体的に,かつ詳細にするのが非常に有効です。その結果,被害者の供述内容が真実であっても全く違和感はないと捜査機関に納得してもらえれば,告訴の受理ができないという判断にはなりづらいでしょう。

本件では,前部座席にいた加害者が後部座席に移動してきてから,一方的にキスを迫り始め,やがて行為がエスカレートし,最終的には手指の挿入まで至った,という一連の経緯について,具体的かつ詳細に説明をすることで,捜査機関の理解を得ることができました。そのような臨場感あふれる供述は,体験をした人物でなければできない可能性が十分にある,と評価された結果であると考えられます。

ポイント
性交等の根拠は被害者の供述のみにならざるを得ない
被害者の供述が真実である可能性が一定程度あれば足りる
詳細かつ具体的で,体験しなければ供述できない内容であることにより解決

②【同意の有無】

同意の有無との関係では,同意があった可能性をうかがわせる事情について,その合理的な理由を一つ一つ指摘していくことが肝要です。

本件では,被害者が特に抵抗する様子を見せなかった,という点が,被害者の同意の有無について疑問の生じ得る要素になり得ます。同意をする意思がないのであれば,最初から抵抗しているはずではないか,ということですね。
もっとも,抵抗をしなかった理由は,必ずしも同意していたからというのみではありません。実際,本件の被害者としては,男女の力の差を踏まえると,逃げ場のない車内で無闇に抵抗する方がより大きな被害を受ける可能性があると考えてのことでした。
告訴の受理に際しては,同意していなかったという被害者の主張が明らかに不合理でなければ足りるところです。事件当時の流れや被害者の挙動を踏まえて,確かに大きな被害を避ける目的でやむを得ず抵抗しなかった可能性もある,という理解をしてもらえた点が,告訴の受理につながったと考えられます。

また,密室内での行為については,自らの意思で密室まで同行したという事実が,被害者の同意を裏付ける事情と評価される可能性がありますが,本件では現場となった車内に被害者と加害者以外の人物もおり,決して二人きりの密室に同行したわけではない,という点も評価の対象になったことが考えられます。

ポイント
同意があった可能性をうかがわせる事情について,実際の理由を理解してもらえるかが問題
抵抗をしなかったのは同意していたからではない,と十分に説明することが肝要
密室での行為の場合,密室内に他の人物もいた点は評価の対象になる

③【加害者の故意の有無】

加害者に故意があったかなかったかは,被害者には確実な主張立証が困難なところです。
もっとも,そもそも加害者の故意を被害者が立証する必要はなく,立証できるかどうかは捜査の結果判断されるべき事柄です。最終的に故意が立証できることすらも必要ありません。
告訴は,犯罪の立証を捜査機関に求める手続であるため,犯罪の合理的な疑いが存在すれば足りるでしょう。

本件では,確かに加害者に故意がない(=被害者が同意していると誤解していた)可能性はありますが,故意がある(=被害者が同意していないこと,又はその可能性を認識していた)可能性も十分にあり得ます。犯罪の疑いとしては,その可能性が合理的に認められれば十分です。
したがって,加害者に故意があったかどうかという点は,本来,告訴の受理に影響を及ぼすべきでないと考えるのが適切でしょう。

ただし,被害者が積極的に加害者を誤解させる行動を取った場合など,明らかに加害者が誤解しているであろう場合には,告訴の受理に問題の生じることが考えられます。本件ではそのような事情のないことを確認の上,告訴の受理に至ったものと考えられます。

ポイント
故意があったことが立証できる必要はない
故意があった可能性があれば足りる
被害者が積極的に加害者を誤解させた事実がない,という点は必要

結果

警察に告訴が受理された結果,加害者に対する捜査が実施されるに至りました。

弁護士によるコメント

本件では,職場の関係者という交友関係を持つ間柄での事件であったため,単なる交際関係のトラブルなのか,犯罪に当たる事件なのか,という点は問題になり得るところでした。
この点,被害者と加害者の間には職場の先輩後輩という以上の深い関係はなく,男女関係のもつれに警察を巻き込もうとした事件ではないと理解してもらうに至ったことが,円滑な告訴の受理につながりました。

また,従前から加害者が被害者に一方的な好意を寄せていた可能性をうかがわせる事情も多数あり,その事情を具体的に積み上げることで,加害者が自身の性的欲求を被害者にぶつけた事件であるという全体像を明確にできた点も,非常に有益なポイントであったと言えるでしょう。

密室内での性犯罪は,客観的な証拠に乏しい場合が非常に多いため,告訴受理の上で捜査に踏み切ってもらうことに一定のハードルが生じやすい傾向にありますが,弁護士とともに適切な対応を尽くすことで,被害者の方の負担をできるだけ軽減しながら告訴受理を実現することが容易になるでしょう。

犯罪被害に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所は,刑事事件の経験豊富な弁護士が,専門的な知識・経験を踏まえて,犯罪被害にお悩みの方への最善のサポートを提案することができます。
お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

検察審査会とは何をするところ?誰が審査しているの?審査の方法や結果はどうなる?弁護士が全て網羅

●加害者が不起訴処分になったことが納得できない

●検察審査会とは何か?

●検察審査会に動いてもらうにはどうすればいいか?

●検察審査会は何をするのか?


というお悩みはありませんか?

このページでは,不起訴処分に関する検察審査会への申立てについて知りたい方に向けて、検察審査会の制度内容や利用方法などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

検察審査会とは

①制度概要

検察審査会制度は,日本の司法制度の一環であり,市民が検察官の不起訴処分(起訴しない判断)を審査する仕組みです。この制度は、検察の判断が適正かどうかを市民の視点から確認し,検察の公正性と透明性を確保するために設けられています。

検察審査会は,選挙権を有する国民から選ばれた11人の検察審査員と補充員で構成されます。審査員は無作為に選ばれており,一定期間ごとに交替します。

②制度趣旨

刑事事件で起訴をするかどうか判断するのは,検察官の専権というのが法律のルールです。
そのため,検察官の判断で不起訴処分とされる事件は多数見られますが,その中には国民の素朴な感覚では起訴すべきではないかと感じられる事件も一定数見られるところです。

検察審査会制度は,不起訴処分が国民の視点でも適切であるかを審査・判断することで,検察官の不起訴処分が適正になされているかチェックするべく設けられているものです。

審査を開始する場合

審査の開始は,申立て又は職権で行われます。

【申立て】
被害者や告訴人,告発人などの申し立てを受けて審査を始めることがあります。
申立てに際しては,その内容を記載した書面の提出が必要です。また,書面の提出に際しては,理由を明示するとともに,根拠となる資料の提出を行うことが一般的です。

検察審査会では,それらの申立書面を踏まえ,審査を開始します。

【職権】
検察審査員が新聞記事などを通じて把握した不起訴処分について,適正であるか疑問を持った場合など,検察審査会が自らの判断で審査を開始することがあります。

審査の方法

検察庁から記録を取り寄せた上で,その内容を吟味し,国民の目線で審査します。
もっとも,法律的な問題点を把握するのは容易でないため,審査補助員となる弁護士の助言を求めながら審査を行うことが可能です。

審査は非公開で行われており,心理的負担なく自由に意見できるための配慮がなされています。

検察審査会の議決 3つの種類

検察審査会が不起訴処分の審査を行った結果,以下の3種類のうちいずれかの議決をします。

①起訴相当
②不起訴不当
③不起訴相当

①起訴相当
起訴すべきである,という結論です。この場合,検察官は事件を再度捜査し,起訴不起訴の判断を改めて行う必要が生じます。

②不起訴不当
現在の証拠関係のみで不起訴と断じるのは不適切であり,さらに詳細な捜査を尽くすべきである,という結論です。この場合にも,検察官は再度事件を捜査した上で,起訴不起訴の判断を改めて行う必要が生じます。

③不起訴相当
不起訴処分が適切である,という結論です。この場合,検察審査会の議決を持って手続が終了します。

検察審査会の二度目の審査(第二段階)

検察審査会が起訴相当の議決をしたにもかかわらず,それでも検察官が不起訴処分とした場合には,検察審査会での二度目の審査が行われます。
二度目の審査で行われる議決は,以下の二種類のいずれかです。

①起訴議決
起訴をすべきである,という結論です。この場合,強制的に事件が起訴されることになります。
この時の起訴は,「指定弁護士」という特定の弁護士が検察官役を務めます。

②起訴議決なし
起訴すべきであるとは結論付けない場合です。不起訴処分のまま手続が終了します。

なお,不起訴不当の場合にも,検察官は再度捜査と処分をしますが,不起訴不当の議決に対して再度不起訴にした場合には,二度目の審査は行われず,手続は終了します。

犯罪被害に強い弁護士をお探しの方へ

刑事事件で起訴するかどうかは、検察官だけに判断権限がある、というのが大原則ですが、検察審査会は検察の判断が不適切な場合に用意された被害者のための制度です。
加害者の不起訴処分に納得ができない場合は、検察審査会への申し立てを検討されるのも一案でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所は,刑事事件の経験豊富な弁護士が,専門的な知識・経験を踏まえて,犯罪被害にお悩みの方への最善のサポートを提案することができます。
お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

被害者参加ができる事件は?被害者参加でできる具体的な内容は?被害者参加すると加害者に遭わなければならない?弁護士が疑問を徹底解決

●被害者参加制度とは何か?

●被害者参加ができる事件は?できる人は?

●被害者参加は何ができるのか?

●被害者参加しても刑罰は変わらないのか?

●被害者参加者の負担を軽減する制度はあるか?

というお悩みはありませんか?

このページでは,犯罪被害の被害者参加制度を知りたい方に向けて,被害者参加制度の内容や特徴,刑罰の影響などについて解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

被害者参加制度とは

被害者参加制度とは,犯罪の被害者やその遺族が刑事裁判に参加し,自らの意見を表明し,裁判の過程に関与することができる制度です。これは,被害者の権利や感情を尊重し,司法制度における被害者の位置づけを強化するための措置として設けられているものです。

被害者は,通常の刑事訴訟においては,その進行を傍聴席で見守るほかなく,被害者側が意見を述べたり裁判手続に関与したりする余地はありませんでした。その結果,刑事訴訟の判決に被害者側の心情が十分に反映されない場合があるとの懸念が指摘されていました。
そのような問題意識から,2008年に新しく開始された被害者配慮のための制度が,この被害者参加制度です。

被害者参加制度の内容 ①対象事件

被害者参加制度の対象となる事件は,被害者に相当な損害が発生している一定の重大事件に限定されています。具体的には以下の通りです。

被害者参加制度の対象事件

①故意の犯罪行為により人を死傷させた罪
(例)殺人罪,傷害罪,傷害致死罪,強盗致死傷罪,不同意性交等致死傷罪など

②一定の重大な性犯罪
=不同意わいせつ罪,不同意性交罪,監護者わいせつ罪,監護者性交等罪

③業務上過失致死傷罪

④逮捕罪・監禁罪

⑤略取・誘拐・人身売買の罪
=未成年者略取及び誘拐,営利目的等略取及び誘拐,身の代金目的略取等,所在国外移送目的略取及び誘拐,人身売買,被略取者等所在国外移送,被略取者引渡し等の罪

⑥犯罪行為に②~⑤の犯罪行為を含む罪
(例)強盗不同意性交等罪など

⑦上記①~⑥の未遂罪(未遂罪の処罰規定があるもののみ)

⑧自動車事故に関する罪(※)
=過失運転致傷罪,過失運転致死罪,過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪(これらを無免許運転で行った場合を含む)

※危険運転致死傷は,危険運転が故意の犯罪行為であるため,①により被害者参加制度の対象となる

被害者参加制度の内容 ②参加できる人

被害者参加ができる人は,被害者やその遺族と,依頼を受けた弁護士といった範囲に限定されます。具体的な内容は以下の通りです。

被害者参加ができる人(被害者参加人)

①被害者
②(被害者死亡又は心身に重大な故障がある場合)配偶者,直系親族,兄弟姉妹
③被害者の法定代理人(親権者・成年後見人等)
④上記①~③の人から委託を受けた弁護士

被害者参加制度の内容 ③参加する方法

被害者参加制度を利用を希望する場合,被害者参加人は検察官を通じてその意思を表明することになります。具体的な流れは以下の通りです。

①参加申出 検察官に対して被害者参加をしたい旨申し出る
②裁判所への通知 検察官が裁判所に申出のあった事実を通知する
③被告人側の意見 裁判所が被告人及び弁護人の意見を確認する
④裁判所の決定 被害者参加を認めるかどうか裁判所が決定する

現実的には,検察官から被害者側に必要な説明がなされ,検察の方から意向を確認される場合が大多数でしょう。被害者側が自分たちから積極的に参加の意思を表明しなければ機会を逃す,ということは考えにくいところです。

裁判所の判断基準
・犯罪の性質
・被告人との関係
・その他の事情
→上記を考慮して相当と認めるときは,参加を認める

もっとも,対象事件の被害者参加人に当たる人物であれば,通常は参加が認められます。

被害者参加制度の内容 ④参加時にできること

被害者参加人が刑事訴訟の際にできることは,以下の通りです。

被害者参加のときにできること
①裁判に出席する(刑事訴訟法316条の34)
②検察官の権限の行使に関して意見を述べる(刑事訴訟法316条の35)
③証人尋問を行う(刑事訴訟法316条の36)
④被告人質問を行う(刑事訴訟法316条の37)
⑤事実又は法律の適用について意見を陳述する(刑事訴訟法316条の38)

①裁判に出席する

傍聴席でなく,法廷の中に入り,裁判に出席することができます。
検察官の隣や後ろに席を設け,着席する方法を取るのが通常です。

②検察官の権限の行使に関して意見を述べる

検察官による証拠の提出や,裁判の結果に対する意見(論告・求刑)に関して,意見を述べることが可能です。

③証人尋問を行う

証人尋問の際,一定の条件の上で,自ら尋問を行うことが可能です。
具体的な条件は以下の通りです。

証人尋問の条件
1.情状に関する事項であること(情状証人のみ)
2.裁判所が許可すること

証人尋問を希望する場合は,検察官の尋問後,尋問事項を明らかにして検察官に申出を行います。
この申出は,検察官が裁判所に通知し,裁判所の判断を仰ぎます。

④被告人質問を行う

被告人質問の際,一定の条件の上で,自ら被告人に質問することが可能です。
具体的な条件は以下の通りです。

被告人質問の条件
1.被害者参加人が最後に意見を述べるために必要であること
2.裁判所が許可すること
なお,証人尋問と異なり,尋問事項は情状に関する事項に制限されません。

被告人質問を希望する場合は,あらかじめ,質問事項を明らかにして検察官に申出を行わなければなりません。証人尋問と異なり,検察官の尋問後に申し出ることはできません。
申出があった場合,検察官が裁判所に通知し,裁判所の判断を仰ぎます。

⑤事実又は法律の適用について意見を陳述する

検察官や弁護人は,証拠の取調べが終了した後,事実や法律の適用について意見を述べます。検察官の意見は論告,弁護人の意見を弁論と呼びます。
被害者参加人も,裁判所の許可を得て,事実や法律の適用について意見を述べることが可能です。

被害者参加人の意見は,意見の要旨を明らかにして検察官に申し出ます。申出があった場合,検察官が裁判所に通知し,裁判所の判断を仰ぎます。

被害者参加をする意味はあるのか

被害者参加を行ったとしても,参加した事実や内容が判決に反映されなければ,あまり実益がないようにも思われます。

この点,実際に被害者参加がなされ,意見陳述等を行った事件の判決では,その量刑判断に関する理由として被害者参加の内容が具体的に指摘される傾向にあります。

例えば,被害者遺族が辛い心情を述べたことや,強い処罰感情を有していることを指摘した上で,被告人の量刑を軽くすべきでない方向で斟酌している例は多数見られるところです。

加害者に対する十分な刑事処罰を求める場合は,被害者参加制度の活用は非常に有力な手段であると言えるでしょう。

参加する被害者への配慮

被害者参加を希望する被害者にとって,その心理的負担は重大な場合が少なくありません。そのため,被害者参加人を保護する目的で以下のような配慮の制度が設けられています。

①法廷における配慮

【付添人制度】
被害者参加人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがある場合,不安や緊張を緩和するのに適当な人物を被害者参加人に付き添わせることが可能です。

【遮蔽措置】
1.被害者参加人の心理的圧迫を防ぐ必要がある場合,被害者参加人と被告人との間についたてを設け,遮蔽する措置をとることが可能です。
2.被害者参加人の心身の状態や名誉に対する影響等を考慮すべき場合には,被害者参加人と傍聴人の間についたてを設け,遮蔽する措置を取る事が可能です。

【代理人弁護士】
被害者参加人は弁護士を代理人とすることが可能です。代理人となった弁護士は,被害者参加人の代わりに裁判に参加するため,心理的負担を受ける必要がなくなります。

②その他の配慮

【被害者支援員】
検察庁には,犯罪被害者の支援に携わる被害者支援員が配置されており,被害者側の負担を軽減させるための配慮がなされています。

【被害者ホットライン】
被害者による検察庁への問い合わせを容易にするため,被害者専用の問い合わせ方法として被害者ホットラインが設置されています。

犯罪被害に強い弁護士をお探しの方へ

被害者参加制度は,刑事裁判に被害者側の気持ちを反映させることのできる特徴的な制度であり,被害者が受けたダメージへの配慮から生まれた被害者の権利とも言えるものです。
加害者への刑罰の決定に関与したい,という場合には,被害者参加制度の利用を積極的に検討することが有力でしょう。
また,弁護士を通じて行うことも可能です。弁護士に依頼することで負担を軽減しながら被害者参加する手段もご検討をお勧めします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所は,刑事事件の経験豊富な弁護士が,専門的な知識・経験を踏まえて,犯罪被害にお悩みの方への最善のサポートを提案することができます。
お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

損害賠償命令制度は犯罪被害を受けたときに有用か?どうすれば利用できるのか?被害者の負担は大きいのか?刑事弁護士による解説

●損害賠償命令制度について知りたい

●自分は損害賠償命令制度を利用できるのか?

●損害賠償命令制度と通常の民事訴訟の違いは?

●損害賠償命令制度に従って支払った加害者は刑が軽くなるのか?

というお悩みはありませんか?

このページでは,犯罪被害の損害賠償命令制度についてお困りの方に向けて,損害賠償命令制度の内容や特徴,損害賠償が支払われた場合の刑罰への影響などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

損害賠償命令制度とは

損害賠償命令制度とは,刑事手続において,被害者が加害者に対して損害賠償を求めるための制度です。この制度を利用することで,被害者は,民事訴訟を起こさなくても刑事裁判の結果を利用して損害賠償請求を行うことが可能になります。
また,損害賠償命令が申し立てられた場合には,刑事事件の判断を行った裁判所によって扱われるため,より迅速な審理が期待できる制度でもあります。

この損害賠償命令制度は,犯罪被害者が金銭賠償を請求する際の大きな負担に配慮する目的で,2007年に新設されました。
日本の制度上,民事裁判と刑事裁判は別々に行われる必要があり,犯罪被害者は,刑事裁判とは別に民事裁判を自ら提起するのでなければ,金銭賠償を求めることができないのが原則です。また,民事訴訟では,金銭を請求する被害者の方が,加害者の責任を立証しなければならい立場にあるため,訴訟の内容に関する被害者の負担も大きなものです。

このような取り扱いでは,被害者の救済が困難となり,泣き寝入りを強いられる被害者が増えてしまうことを踏まえ,被害者による損害賠償請求を容易にするための手段として損害賠償命令制度が設けられました。

制度が利用できるケースには限りがありますが,制度を利用すれば,比較的軽微な負担で,比較的短期間で,被害者の加害者に対する損害賠償請求が可能になります。

ポイント
損害賠償命令制度は,犯罪被害者が刑事裁判の結果を利用して損害賠償請求する制度
軽微な負担で,比較的短期間での金銭請求が可能

損害賠償命令制度の特徴 ①対象事件

損害賠償命令制度の対象となる事件は,被害者に多大な損害が発生する一部の事件に限定されています。具体的な内容は以下の通りです。

損害賠償命令制度の対象事件

①故意の犯罪行為により人を死傷させた罪又はその未遂罪
(例)殺人罪,傷害致死罪,強盗致死罪,不同意性交等致死罪など

②一定の性犯罪
=不同意わいせつ罪,不同意性交罪,監護者わいせつ罪,監護者性交等罪又はその未遂罪

③逮捕罪・監禁罪

④略取・誘拐・人身売買の罪
=未成年者略取及び誘拐,営利目的等略取及び誘拐,身の代金目的略取等,所在国外移送目的略取及び誘拐,人身売買,被略取者等所在国外移送,被略取者引渡し等の罪又はその未遂罪

⑤上記②~④の罪のほか,その犯罪行為に②~④の罪の犯罪行為を含む罪
(例)強盗・不同意性交等罪など

これらの事件は,その被害者に身体的・精神的損害が生じていない可能性が考えにくく,かつその損害から救済する必要性が特に高いことから,損害賠償命令制度の対象とされています。

損害賠償命令制度の特徴 ②申立できる人と申立方法

【申立てができる人】
=被害者又はその一般承継人(権利義務を一括承継する人。相続人など)

【申立ての方法】
=申立書を提出して行う

申立書の記載事項
①当事者及び法定代理人
②請求の趣旨
③訴因(当該刑事裁判で審判の対象とされた事実)
④その他請求を特定するに足りる事項

要求される記載事項は,一から民事訴訟を行う場合よりも非常に少なくなっています。
特に,刑事裁判の結果を用いることが前提となっているため,対象事件の特定が求められていない点で,被害者の負担が非常に軽くなっています。

逆に,公判を扱う裁判所に予断を持たせないため,記載を求められていない事項を申立書に記載することはできません。

【申立ての時期】
=起訴後から弁論終結までの間

【申立て先】
=事件が係属する地方裁判所

【申立ての費用】
=申立手数料2,000円(一律)

請求金額にかかわらず,手数料が一律で安価になっている点も特徴的な被害者保護の制度です。
一般的な民事訴訟の場合,100万円の請求で1万円,300万円の請求で2万円といった手数料が発生します。

損害賠償命令制度の特徴 ③審理の時期・内容・回数

【審理が行われる時期】
=被告人に対して対象犯罪の有罪判決の言い渡しがあった後直ちに開く

【審理の内容】
①当事者(被害者と被告人とも)を呼び出す
②刑事事件の訴訟記録を取り調べる(必要でないものを除く)
③口頭弁論をしないことが可能
④口頭弁論しない場合には,裁判所が当事者を審尋することができる

【審理期間・回数】
=原則として4回以内の審理期日で審理を終結しなければならない

審理の回数が少なく限られている分,審理の期間も非常に短くなります。

損害賠償命令の効果

【審理の結果】
審理を終結した後,「決定」という方法で申立てに対する裁判を行う

【結果に対する不服申立て】
①裁判所が決定書を作成し,当事者に送達する(口頭での告知も可能)
②当事者は,送達又は告知から二週間以内に異議申立てができる

【不服申立てがなかった場合】
=適法な異議申立てがなかった場合,損害賠償命令についての裁判は,確定判決と同一の効力を有する
(強制執行も可能となる)

民事裁判に移行する場合

【民事裁判に移行するケース】

①決定に対して異議申立てがなされた場合
②4回以内での審理終結が困難である場合
③申立人(=被害者)が民事訴訟手続で行うことを求めた場合
④相手方(=加害者)が民事訴訟手続で行うことを求め,申立人が同意した場合

【民事裁判に移行した場合の特徴】
=裁判記録が引き継がれる。別途訴訟を提起する必要はない。

損害賠償命令制度に従って支払うと加害者の刑は軽くなるのか

損害賠償命令制度を利用した場合,加害者から被害者に損害賠償の支払いがなされることが見込まれます。
この点,加害者の刑事責任の重さを判断する要素として,被害者への損害賠償を行っているかどうか,というのは非常に重要なポイントとなることが少なくありません。特に,損害に見合った水準の高額な賠償がなされていれば,その事実は加害者の刑事責任を小さくする方向で考慮されることが通常です。
そのため,損害賠償命令制度を利用した場合,その決定に従って金銭を支払った加害者の刑罰は軽くなるのか,という点に疑問が生じます。

この点,実刑となった第一審の後に損害賠償命令制度が利用され,その後に約1000万円の賠償を行った被告人に対して,控訴審で執行猶予付きの判決がなされた事例はあります。これは,第一審の判決後に多額の金銭賠償を行った事実が評価された結果であると言えるでしょう。

一方,他の裁判例では,「自分から支払おうと思えば支払えたのに,それをしないまま判決を受けた」というマイナスの評価を明示したものも見られます。加害者が自分から示談交渉を試みるなど,積極的に賠償を行ったケースとは,明確な区別がなされていると理解してよいでしょう。

ポイント
損害賠償命令を受けて支払いをした場合,刑罰を軽減させる効果が生じることはあり得る
もっとも,自分から進んで賠償をした場合よりは明確に低い評価となる

犯罪被害に強い弁護士をお探しの方へ

損害賠償命令制度は,一定の重大な被害を受けた被害者への配慮として,国が比較的簡単な金銭請求の方法を用意したものです。利用が可能な場合は,損害賠償命令制度を利用の上,簡便な手続で適切な賠償を獲得することが非常に有力でしょう。
いわゆる被害者参加の制度も含め,加害者の刑事処分に参加する手続については,制度に精通した弁護士へのご相談・ご依頼をお勧めします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所は,刑事事件の経験豊富な弁護士が,専門的な知識・経験を踏まえて,犯罪被害にお悩みの方への最善のサポートを提案することができます。
お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

犯罪被害者は加害者に訴訟すべき?損害賠償請求をする最善の方法が知りたい方へ,訴訟・調停と示談との比較方法を弁護士が解説

●犯罪被害の加害者に損害賠償請求をしたい

●調停と訴訟ではどちらが適切か?

●調停や訴訟を提起するときの注意点は?

というお悩みはありませんか?

このページでは,犯罪被害の加害者に対する民事調停や民事訴訟についてお困りの方に向けて,訴訟や調停と交渉との違い,メリットデメリットや注意点などを解説します。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

犯罪被害者が損害賠償請求する方法

犯罪被害に遭った際,被害者が加害者から金銭を回収する手段は,①任意に支払ってもらうか,②強制的に回収するかのいずれかになります。
そして,①任意に支払ってもらう方法が示談であり,示談をせず②強制的に回収する場合には,裁判所の手続を利用する必要があります。

具体的な裁判手続としては,「民事訴訟」及び「民事調停」の二つが挙げられます。
訴訟と調停は,いずれも民事事件の解決を目指す裁判上の手続ですが,その内容や手続には大きな差異があり,どちらを選択するかはその差異を踏まえた検討が適切です。

ポイント 損害賠償請求の方法
・任意に支払ってもらう=示談
・強制的に回収する=民事調停・民事訴訟

犯罪被害の場合は調停と訴訟どちらが適切か?

民事調停と民事訴訟の違いとしては,以下のような点が挙げられます。

【解決方法】
調停 当事者間での合意を目指します。合意に至らない場合には不成立となります。
訴訟 裁判官の判決により解決します。判決せずとも合意に至れば,合意も可能です。

【手続の進め方】
調停 調停委員が両者の間に入り,双方の意見を聞きながら合意できる内容を模索します。
訴訟 当事者双方が裁判所に主張と証拠を提出し,法的な判断を求めます。

【期間と費用】
調停 比較的短期間であり,費用も安価であることが多いです。
訴訟 調停よりも手続が長期間に渡り,費用も高くなる傾向があります。

上記のような民事調停と民事訴訟の違いのうち,犯罪被害の場合に考慮すべきなのが【解決方法】に関する特徴です。具体的には,加害者が手続に協力しない場合,どのような結果になるかを考える必要があります。

【加害者が協力しない場合の解決】

調停 調停不成立となり何も解決しないまま手続が終了する
訴訟 被害者の請求内容をそのまま裁判所が認め,被害者の請求通りの金額を支払う義務が加害者に発生する

この解決内容の違いは極めて大きなものです。調停であれば,加害者は手続に協力しなくても被害者への支払をする必要はありませんが,訴訟の場合には手続に応じなければ被害者の言う通りの支払を強制させられることになります。そのため,加害者が応じることが見込まれやすいのは,明らかに訴訟の方であると言えるでしょう。

犯罪被害の場合,加害者の誠実な対応が期待できない場合も珍しくありません。加害者の不誠実な対応を許さないためにも,調停ではなく訴訟を選択する方が適切であると理解するべきでしょう。

ポイント 調停と訴訟
調停は合意を目指す手続であり,加害者が協力しなければ解決せず終了
訴訟は判決をもらう手続であり,加害者が協力しなければ請求通りの判決が得られる
加害者の協力が得られない可能性を踏まえると,通常は調停より訴訟の方が適切

以下では,示談でなく民事訴訟を選択する場合のメリットとデメリットについて解説します。

民事訴訟で請求するメリット ①刑事処分が軽減されない

示談の場合,加害者の立場としては刑事処分を軽減させるために行うこととなります。示談書を捜査機関に提出するなどして,示談をした事実を踏まえた刑事処分を求めるのが一般的です。

しかし,民事訴訟で金銭を請求した場合,訴訟の結果,加害者に支払の義務が生じたとしても,刑事処分を軽減させる効果は基本的にありません。そもそも,民事訴訟の結果が出るのは,刑事処分が決まった後であることが大半であるため,民事訴訟の結果を刑事処分に反映させる余地自体のないことがほとんどでしょう。

加害者に十分な刑事処分を科してもらいつつ,加害者からの金銭賠償を獲得したいという場合には,示談でなく訴訟での金銭請求が有力です。

民事訴訟で請求するメリット ②裁判所の適正な判断を求められる

示談によって決定する賠償金額は,当事者間で合意ができる限りはいくらでも問題ありません。裏を返せば,合意ができない限り,適正な金額であっても支払ってもらうことはできないということになります。
そのため,加害者側が不当に低い金額でなければ合意しないというスタンスだと,その不当に低い金額を超える賠償を示談で獲得することは困難です。

一方,民事訴訟において,相手が不当に低い金額でなければ支払わないと主張した場合,最終的には裁判所が支払うべき金額を決め,加害者に強制します。そのため,相手が不当に低い金額を主張したとしても,その金額を超える適正な賠償を獲得できる,ということになります。

加害者の主張する金額が了承できない場合には,民事訴訟を通じて裁判所の適正な判断を求める手段が有力でしょう。

民事訴訟で請求するデメリット ①空振りに終わる場合がある

民事訴訟は,裁判所が金額を決めて強制力を与えてくれる一方,その強制力を利用するあてとなる財産がなければ,結果的に金銭を回収することができません。訴訟をし,裁判所に請求を認めてもらったとしても,それが空振りに終わる場合がある,ということになります。

示談の場合は,加害者も示談成立のために金銭を用意し,場合によっては家族の力を借りるなどして必死に支払うのが通常です。そうでなければ,加害者の目的である刑罰の軽減が実現できないためです。
一方,民事訴訟の場合,加害者に金銭をかき集めるメリットが乏しく,家族に支払を求めることもできないため,加害者に目ぼしい財産がなければ金銭を受領できずに終わるリスクが生じます。

民事訴訟で請求するデメリット ②金銭以外は請求できない

民事訴訟で請求することができるのは,法的に請求できる権利のあるものだけです。犯罪被害の場合には,法律の根拠は「不法行為に基づく損害賠償請求権」,つまり金銭を請求する権利であるため,民事訴訟で請求できるのは金銭のみとなります。

示談の場合は,当事者間で合意できる限り,どのような請求を行っても問題ありません。犯罪被害に関する示談では,現場になった駅を利用しない,被害者の住所近辺に立ち入らないなど,金銭以外の義務を負わせることも可能です。
一方,民事訴訟で駅の利用禁止や住所近辺の立入禁止を求めたとしても,その請求は裁判所によって退けられるほかありません。法的に請求する権利がない以上,やむを得ない結論ということになります。

民事訴訟の注意点

民事訴訟を行う場合,以下のような点に注意するのが望ましいでしょう。

①加害者の個人情報が必要であること

民事訴訟を行う場合,加害者を特定するための個人情報を把握する必要があります。訴訟の当事者となる加害者が特定できなければ,訴訟自体が行えないためです。
具体的には,氏名と住所の把握が必要になりやすいでしょう。

もっとも,住所に関しては,分からなかったとしても訴訟の提起が可能です。勤務先が分かっていれば,就業場所送達という方法で勤務先を送り先にできますし,所在が何も分からない場合には,公示送達(裁判所の掲示板に掲示してもらう方法)によって送達したと同様の扱いをしてもらえます。
しかし,現実に金銭を回収しようとした場合,加害者の情報が把握できていないと財産に対する強制執行が困難です。引き当てになる財産もその特定の仕方も把握できず,結果的に訴訟が空振りに終わる可能性が高くなります。

②長期間を要しやすいこと

民事訴訟では,概ね1~2か月に1回程度の頻度で期日が行われ,期日のたびに双方の主張が提出されることになりますが,トータルすると年単位に及ぶ手続になることも決して珍しくありません。金銭の請求を試みてから回収できるまでに長期間を要しやすいという点には,十分な注意が必要になるでしょう。

犯罪被害に強い弁護士をお探しの方へ

犯罪被害を受けたとき,加害者へ金銭賠償を請求する手段として訴訟や調停を行うのが適切かどうかは,非常に難しい問題です。
もっとも,示談をするか訴訟や調停をするかは,示談交渉の局面で検討する必要がある場合も多く,検討する期間にあまり余裕はない可能性もあります。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所は,刑事事件の経験豊富な弁護士が,専門的な知識・経験を踏まえて,犯罪被害にお悩みの方への最善のサポートを提案することができます。
お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所