盗撮に強い弁護士へ依頼する方法は?費用相場は?弁護士が解説

盗撮で摘発・逮捕されてしまうと、前科や社会的信用の喪失といった深刻な影響が及ぶ可能性があります。こうした事態を少しでも軽減するためには、盗撮事件に精通した弁護士へ早期に相談することが不可欠です。しかし「どの弁護士に依頼すればよいのか」「費用はいくらかかるのか」と悩む方も多いでしょう。本記事では、盗撮に強い弁護士を選ぶ方法や依頼の流れ、費用相場までを弁護士が分かりやすく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

盗撮事件で成立する罪名

一般的な盗撮事件は,性的姿態撮影等処罰法の「性的姿態等撮影罪」に該当します。
俗に「撮影罪」と呼ばれるもので,2023(令和5)年7月13日に法律が施行され,適用されるようになりました。

「性的姿態等撮影罪」は,ひそかに「性的姿態等」を撮影する行為を犯罪とするものですが,「性的姿態等」には以下のものが挙げられます。

①人の性的な部位(性器,肛門,臀部,胸部)
②人の性的な部位を覆っている下着
③わいせつな行為や性交等がされている間の人の姿

盗撮事件の場合,スカート内や着衣をつけないでいるところの撮影が対象となっていることが多数ですが,これらは全て撮影罪に該当することとなります。

この撮影罪の罰則は,3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金とされています。
なお,撮影罪の創設前は,事件により各都道府県の迷惑行為防止条例違反や軽犯罪法違反として罰則が科せられていましたが,それぞれの罰則は以下の通りです。

迷惑防止条例違反:1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(都道府県により異なります)
軽犯罪法違反:拘留(1月未満)又は科料(1万円未満)

そのため,撮影罪の創設によって,盗撮行為の罰則はより重くなる余地が生まれたことになります。もっとも,同種の事件をこれまでより厳しく取り扱っているというわけではなく、撮影罪の創設前後で刑事処分の運用に特段の差異はないとの理解が一般的です。

参照:性犯罪関係の法改正等 Q&A

盗撮の刑罰・罰則

盗撮事件の代表的な刑罰法令である撮影罪と迷惑行為防止条例違反の場合、罰則は以下のとおりです。

該当する法令刑罰
性的姿態等撮影罪3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
迷惑行為防止条例違反(一例)1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
迷惑行為防止条例違反(常習・一例)2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金

また、盗撮事件は、方法や内容によって別途以下の犯罪に該当する可能性があります。

建造物侵入罪:商業施設に立ち入って盗撮に及んだ場合
軽犯罪法違反:他人が衣服を付けないでいる場所を覗き見つつ、同時に盗撮を行う場合
児童ポルノ法違反(製造):被写体が18歳未満の場合

そして、これらの犯罪に該当した場合の刑罰は以下のとおりです。

該当する法令刑罰
建造物侵入罪3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金
軽犯罪法違反拘留(1月未満の身体拘束)又は科料(1万円未満の金銭制裁)
児童ポルノ法違反(製造)3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金

盗撮に強い弁護士へ依頼するメリット

① 示談交渉

盗撮事件において示談交渉は、被害者との円満解決を図る最も重要な手続きです。

弁護士による示談交渉では、被害者の精神的苦痛に対する慰謝料や、事件による損害の賠償について話し合いを行います。
個人で被害者に接触することは二次被害を与える恐れがあり、法的にも問題となる可能性が高いでしょう。

弁護士が代理人として交渉することで、以下のメリットが得られます。

・被害者の感情を配慮した適切な謝罪と賠償提案
・法的に有効な示談書の作成
・被害者による宥恕(ゆうじょ)の獲得
・再犯防止策の提示による信頼回復

示談が成立すれば、不起訴処分や執行猶予付き判決の可能性が大幅に向上します。
「被害者の方にどう謝罪すればよいのか分からない…」と悩む方も多いですが、弁護士なら適切な方法で被害者の心情に寄り添った交渉を進められるでしょう。

示談交渉は事件発覚後できるだけ早期に開始することが重要で、タイミングを逃すと交渉自体が困難になる場合もあります。

盗撮事件は、示談の有無が刑事処分を極めて大きく左右します。示談の手法や重要性を把握している弁護士への依頼は、刑事処分に向けて非常に大きなメリットになります。

② 逮捕回避・釈放

盗撮事件において弁護士の有無で大きく変わりやすい点の一つが、逮捕の回避や早期釈放です。

逮捕されるかどうか、逮捕された場合にどれだけ速やかに釈放されるかは、被疑者となったご本人の今後を極めて大きく左右します。そのため、弁護士への依頼によって逮捕回避や早期釈放を実現できれば、そのメリットは計り知れないものになるでしょう。

弁護士は、被疑者が初犯で反省している姿勢を示し、証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを強調するなど、個別の事件に合わせた主張を尽くし、逮捕回避の可能性を高める弁護活動を行うことが可能です。

また、既に逮捕された場合でも、弁護士は以下の活動を通じて釈放を目指します。

・勾留請求に対する意見書の提出
・勾留理由開示請求による法廷での主張
・準抗告による勾留決定への異議申し立て
・保釈請求の準備と申請

弁護士の専門的な知識と経験により、逮捕回避や早期釈放の実現可能性は大幅に向上するケースが多いでしょう。

盗撮事件の場合、逮捕されたとしても早期釈放の可能性は決して低くないケースが多く見られます。釈放を求める申立てや手続は、弁護士なしでは現実的に難しいため、弁護士への早期の依頼は非常に重要なポイントとなりやすいところです。

③ 処分軽減・不起訴

盗撮事件では、弁護士の適切な弁護活動を通じて処分の軽減や不起訴処分を実現することが十分に可能です。

不起訴処分とは、検察官が起訴しないと判断する処分を指します。不起訴処分とされた場合、刑罰を受けることなく刑事手続が終了するため、前科が付かず最もメリットの大きな結果と言えます。

被疑事実を認める内容の盗撮事件であれば、被害者との示談成立によって不起訴処分を目指すことが最も有力です。示談が成立すれば、検察官は「被害者の処罰感情がない」と判断し、不起訴処分を下す可能性が大幅に高まります。

初犯の場合や被害が軽微なケースでは、弁護士の適切な弁護活動により不起訴率が向上するでしょう。
また、起訴されても略式起訴(罰金刑)に留めるなど、処分の軽減を図る余地も十分にあり得ます。

処分の軽減を図る具体的な方法としては、以下のような手段が挙げられます。

・被害者への謝罪と賠償による示談交渉
・反省文の提出と再犯防止策の提示
・職場や家族への影響を考慮した情状酌量の主張

盗撮に強い弁護士への依頼によって、可能な限りの処分軽減を図ることは極めて重要になるでしょう。

示談を目指す場合のほか、余罪が多数あるケースや同種前科があるケースなども、弁護士との適切な協力体制が重要になりやすいです。また、その着手は早ければ早いほど処分軽減につながりやすくなるでしょう。

④ 職場や学校への影響を防ぐ

盗撮事件が発覚すると、職場や学校に知られてしまう可能性もあります。事件の性質上、周囲に発覚した場合の不利益が大きくなりやすいため、発覚を防ぎたいという要望は強いことが多いでしょう。

この点、弁護士に依頼することで、職場や学校への影響を最小限に抑えることが可能になる場合も少なくありません。弁護士は、事件の情報が外部に漏れないよう、以下のような対策を取ることが考えられます。

・捜査機関から報道機関への情報共有を避けるための交渉
・捜査機関から職場への連絡を防ぐための交渉
・捜査機関から学校への情報共有を防ぐ交渉
・被害者側から各所への情報共有を防ぐ交渉
・逮捕を回避して在宅事件として処理するための対応

特に示談が成立すれば、被害者が職場や学校に通報する可能性を大幅に減らせるでしょう。
また、逮捕されずに在宅事件として処理されれば、周囲に事件が発覚するリスクも大きく軽減されます。

盗撮事件の職場や学校への発覚は、防ぐことのできるケースと防ぐ余地のないケースがあり得ます。事件の内容や当事者のお立場、被害者の属性等によって異なりやすいところです。この点、万一防ぐ余地のないケースの場合、発覚したときの影響を最小限に抑える試みを講じることも重要になります。

盗撮事件に強い弁護士を選ぶ基準

①盗撮事件の弁護活動経験

刑事事件は,同種事件の先例を踏まえ,先例の結論と矛盾しないように運用されることが通常です。例えば,同種の先例で被疑者が釈放されているのであれば,特段の事情がない限り今回も釈放する,同種の先例が不起訴であれば今回も不起訴処分とすることを念頭に検討する,といった具合です。

そのため,刑事事件の弁護活動は,同種事件の弁護を経験しているかどうかによって,活動内容や見通しの質が大きく変わりやすい傾向にあります。先例となる同種事件の経験があれば,経験を踏まえてより正確な判断をできることにもつながり,事件解決にとって非常に重要なポイントとなるでしょう。

弁護士選びにおいては,同種の盗撮事件に関する弁護活動の経験の有無を判断材料の一つにすることが有力です。

②迅速な対応の可否

盗撮事件の場合,特に現行犯逮捕された状況だと,対応が迅速であるかどうかによってその後の流れに大きな違いの生じる可能性があります。釈放されるかどうか,いつ釈放されるか,といった点は,弁護士の対応が迅速かどうかによって変わるケースも珍しくありません。

もっとも,弁護士がどのようなペースで,どのようなタイミングで対応をするか,という点には,明確なルールがないため,基本的にすべて弁護士の判断によることとなります。依頼者側が早期の動きを期待していたとしても,弁護士がゆったりと動く方針であればそれまでです。

そのため,弁護士が迅速な対応を約束してくれるかどうか,という点は重要な判断基準の一つとするべきでしょう。具体的には,まず最初の動き出しをいつしてくれるのか,という点を確認してみるとよいかもしれません。

動き出しの例

身柄事件の場合
→最初の接見をいつ行うのか

在宅事件で示談を目指す場合
→示談の申し入れをいつ行うのか

③示談交渉に長けているか

盗撮事件の解決は,示談の成否にかかっている場合が非常に多いところです。そのため,否認事件を除き,弁護士による示談交渉が不可欠となるケースが多数と言ってよいでしょう。
そのため,弁護士選びは,示談交渉の代行者選びという意味合いを持つと言っても過言ではありません。

弁護士選びに際しては,依頼した弁護士が示談交渉を行うことになる点を踏まえ,示談交渉に長けているかという基準を設けることが有力です。弁護士への相談段階で判断する方法としては,想定される示談の条件について,具体例を示すなどしながら詳細に案内してくれるか,という点を重視するのが一案でしょう。

また,示談交渉に際しては,被害者側の要望を毅然と断るべき局面もあります。弁護士によっては,被害者側の要望をすべて受け入れて依頼者である加害者に折れてもらえれば楽,という発想になりかねませんが,それでは加害者側にとって有益でないことは明らかです。
そのため,被害者側にも必要に応じて断る姿勢を示せる弁護士か,という判断基準も設けるとよいでしょう。

ポイント
弁護士選びは示談交渉の代行者選びでもある
示談条件の想定ができているか,毅然とした対応も取れるか,という点を重視する

④見通しの正確さ・詳細さ

弁護士の活動や案内は,刑事処分の見通しを踏まえて行うことになります。そのため,刑事処分の見通しが正しいことが,弁護活動の大前提となってきます。見通しが誤っていると,それを踏まえた弁護活動が適切なものと評価できる可能性は残念ながらないでしょう。
そのため,弁護士選びに際しては,その後の刑事手続や刑事処分の見通しが正確であるか,という基準を設けることが望ましいです。

もっとも,弁護士の見通しが正確であるかを依頼者側が判断することは現実的でありません。そのため,具体的には見通しをどれだけ詳細に示してくれるか,という点を重視することをお勧めします。
刑事手続や刑事処分の見通しには,確実に分かることから絶対に分からないことまであります。そして,見通せることと見通せないことが区別でき,その線引きが詳細であるほど,見通しは正確であると言ってよいでしょう。

弁護士による見通しが肝心な部分であやふやでないか,という点は大切な判断基準にすることをお勧めします。

ポイント
見通せることと見通せないことの線引きが詳細であるか

盗撮で相談できる弁護士の種類

① 当番弁護士

当番弁護士は、弁護士会から派遣された弁護士であり、逮捕・勾留中に1回接見を行うことが可能です。
当番弁護士の最大のメリットは、逮捕直後から無料で接見してもらえる点です。逮捕後の初動を誤らないための手段として、有力な選択肢の一つでしょう。

ただし、当番弁護士として派遣される弁護士が、刑事事件の対応に長けているとは限らない点には注意が必要です。弁護士会に登録をしているかどうかが派遣の条件であり、得意分野や専門性が異なる可能性がある点には注意するのが望ましいでしょう。

当番弁護士によるサポートは、初回の接見のみです。引き続き弁護活動を依頼したい場合には、その弁護士と契約をし、私選弁護人になってもらう必要があります。その際の弁護士費用は自己負担となります。

② 国選弁護人

国選弁護人は、経済的に私選弁護人を雇うことが困難な被疑者・被告人のために、国が費用を負担して選任する弁護士です。
国選弁護人制度は、経済状況に関係なく弁護を受ける権利を保障する重要な制度といえます。

逮捕された段階で国選弁護人を利用した場合、以下の2つの条件を満たす必要があります。

・勾留されていること
・資産が50万円未満であること

なお、国選弁護人も当番弁護士と同様、刑事事件に精通しているとは限らない点に注意が必要です。国選弁護人の名簿に登録していれば、最低限の研修を受けるのみで経験を問わず国選弁護人になることが可能です。

国選弁護人は、勾留された後に初めて選任されるため、勾留を防ぐ弁護活動を行う余地がない点には注意が必要です。また、勾留が途中で終了し釈放された場合には国選弁護人の役割も終了することになります。

③ 私選弁護人

私選弁護人は、被疑者やその家族が自由に選択できる弁護士です。
当番弁護士や国選弁護人とは異なり、費用は全額自己負担となりますが、その分多くのメリットがあります。

私選弁護人の最大の特徴は、弁護士を自由に選べることでしょう。
刑事事件に詳しい弁護士や、過去に同種事件で実績のある弁護士を指名できます。
また、費用を支払う分、より手厚いサポートを受けられる可能性が高いです。

「費用が心配だけど、しっかりとした弁護を受けたい」と考える方には、私選弁護人がおすすめです。
初回相談を無料で行っている事務所も多く、まずは相談してから依頼を検討できます。
私選弁護人は、逮捕直後から迅速に対応してもらえるため、早期釈放や示談交渉において有利に働くことが期待できるでしょう。

逮捕直後の段階で釈放に向けた弁護活動を行ってもらう場合には、私選弁護人への依頼が唯一の選択肢となります。できるだけ迅速に信頼できる私選弁護人を見つけられるかどうかは、その後の進行に大きく影響するでしょう。

盗撮を弁護士に依頼する場合の費用相場

① 逮捕されていない事件(在宅事件)

逮捕されていない在宅事件では、弁護士費用は比較的抑えられる傾向にあります。
身柄拘束されていないため、弁護士との面談や打ち合わせが柔軟に行えること、身柄拘束への対応を要しないことなどが費用を抑える要因となっています。

具体的な費用の金額や内訳は以下の通りです。

・着手金:30万円から50万円程度
・成功報酬:30万円から50万円程度
・示談交渉費用:別途20万円から30万円程度
・その他に実費が発生

弁護士費用が心配で依頼を躊躇してしまう場合は、複数の弁護士事務所で見積もりを取ることも有力です。
在宅事件では時間的余裕があるため、事務所間の比較が比較的容易にできるでしょう。

② 逮捕されている事件(身柄事件)

逮捕されている身柄事件では、弁護士費用が在宅事件よりも高額になります。

具体的な費用水準は以下のとおりです。

・着手金:50万円から80万円程度
・成功報酬:50万円から80万円程度
・示談交渉費用:別途30万円程度
・その他に実費が発生

身柄事件の場合、示談交渉のみでなく刑事手続に対する全般的な対応が不可欠になります。
これらの負担が費用に反映されるため、在宅事件に比して高額になりやすい傾向にあります。

盗撮を弁護士に依頼するときのよくある質問

(1)盗撮は不起訴になる可能性はあるか

盗撮事件は,認め事件,否認事件のいずれについても,不起訴処分となる可能性が大いにある類型ということができます。特に,認め事件の場合,被害者との間で示談が成立していれば,不起訴処分となる可能性は飛躍的に上昇するでしょう。

盗撮事件が捜査・処分の対象となるのは,大多数が現行犯です。そして,現行犯の場合,犯罪事実が明らかであることが多く,類型的に認め事件が多い傾向にあります。
そのため,盗撮事件で不起訴になる可能性があるかは,盗撮事件で示談が成立する可能性があるか,という問題になりやすいところです。

この点,盗撮事件は,示談によってその後の接触を防ぐメリットが被害者側にも大きい事件類型と言えます。加害者による接触を法的に禁じることができる方法は示談だけであるため,被害者にとっても示談に応じる利益は無視できず,示談が成立する可能性は決して低くありません。
そのため,盗撮事件は示談による不起訴処分の可能性が大いにある事件と言えるでしょう。

ポイント
盗撮事件は不起訴処分の可能性が十分にある事件類型

(2)盗撮では示談すべきか

盗撮事件は,基本的に示談が必要であると理解するのが適切です。
一般的な盗撮事件の場合,示談ができているかどうかによって処分が決まると言っても決して過言ではありません。

犯罪事実に争いのない盗撮事件では,特段の事情がなければ起訴されるのが通常です。起訴された場合,無罪でない限り刑罰を受けることになるため,刑罰を受けて前科が付くことになります。
一方,同じ事件で示談が成立した場合,特段の事情がなければ起訴されない方が通常の処理になりやすいです。被害者が起訴を希望していない場合,被害者の意向を押し切って起訴されることはあまりない事件が多い類型と言えるでしょう。

もちろん,示談をしても起訴を防げない事件はありますが,その場合でも示談をしていることによって処罰は一段軽くなるという理解をするのが一般的です。示談がなければ実刑判決の対象となる事件でも,示談があることによって実刑判決にならず済むことは決して珍しくありません。

盗撮事件の対応は,まず示談から検討することを強くお勧めします。

なお、示談の重要ポイントとなるのは示談金ですが、盗撮事件で示談金額を変動させる要素としては以下のような点が挙げられます。

盗撮事件における示談金額の変動要因

1.盗撮の場所・方法
→自宅の浴室など,通常衣服をつけないプライベートな場所での撮影は,被害者の精神的苦痛が大きく示談金額の増額要因になります。

2.盗撮の期間・回数
→長期間,複数回の盗撮行為がある場合,示談金額の増額要因になります。

3.被害者の心身への支障
→精神疾患などの原因になっている場合,示談金の増額要因になります。

4.加害者の経済力
→経済力に限界のある場合,示談金の減額要因になります。

(3)盗撮が発覚していないが自首すべきか

①現行犯で被害者等に発覚した場合

自首は,被害者などが警察に被害申告を行うであろう場合に,先回りして自分から警察に申し出る,というケースで特に高い効果を発揮します。このようなケースでは,自首をしてもしなくても自分への捜査や処分が見込まれやすいところ,自首をした方が軽微な取り扱いで終わりやすいためです。

この点,現行犯で被害者に見つかったがその場を逃れた,目撃者に声をかけられたがその場を離れたなど,現行犯で発覚している場合,被害者などが警察に被害申告をする可能性が非常に高いといえます。被害者としては,警察に被害申告をしなければ泣き寝入りとなってしまうため,警察に捜査をして犯人を見つけてもらう方が合理的な判断になりやすいでしょう。
そのため,現行犯で被害者や目撃者に発覚したケースでは,被害者などが被害申告を行う前に,先回りして自首をすることが非常に有力です。逮捕などの強制的な手続を回避するためには,自首の効果は極めて高いものになるでしょう。

ポイント
被害者や目撃者に見つかっている場合は,自首が有力
逮捕を回避する効果が非常に高くなる

②客観的証拠があると推測される場合

犯罪の客観的証拠が揃っており,捜査されれば自分が犯人であると容易に特定できるであろうと推測できる場合には,自首が有力な手段になります。

盗撮事件の場合,警察は,盗撮に用いられた撮影機器や撮影結果が残された映像や画像のデータを手に入れたいと考えることが多く見られます。もっとも,撮影機器や撮影データは,容易に処分することができてしまうため,被疑者を特定した段階で,捜索・差押えという方法で強制的に取り上げることも少なくありません。
そのため,盗撮事件で自首をしないまま自分が犯人と特定された場合,捜索差押えなどの強制捜査を受け,周囲に事件のことが知られてしまう可能性も低くはないのです。

この点,自分から自首をし,必要に応じて撮影機器や撮影データを提出することで,捜索差押えといった強制捜査を未然に防ぐ効果が期待できます。捜査をすれば自分にたどり着くであろう客観的証拠の存在が見込まれる場合は,自首の検討が有力でしょう。

なお,客観的証拠としては,現場や付近を撮影した防犯映像・画像,現場付近(駅など)の入退場記録,事件前後の足取りなどが挙げられます。

ポイント
自分を犯人と特定できる証拠がある場合,自首が有力
捜索差押えなどの強制捜査を防ぐ効果が期待できる

(4)盗撮で弁護士に依頼する場合の注意点は?

①余罪がある場合の示談

余罪がある場合,本罪のみを示談するのでは,不起訴処分を獲得することができない場合があり得ます。現実に本罪のみの示談で不起訴処分となるかはケースによりますが,概ね以下のように整理できるでしょう。

余罪と不起訴の関係

1.具体的に捜査対象とされている余罪がない場合
→本罪の示談のみで不起訴処分が可能

2.具体的に捜査対象とされている余罪がある場合
→捜査対象とされた余罪についても示談が必要

もっとも,具体的な処分は,余罪の数や内容,事件の悪質性などによっても変わる可能性があります。余罪が多ければ多いほど,余罪の態様が悪質であればあるほど,処分の見通しは不明確になりやすいでしょう。

②余罪がある場合の否認

否認する場合,余罪捜査の引き金になる可能性には十分な注意が望ましいところです。

捜査機関は,否認された事件の証拠が乏しい場合に,証拠十分な余罪を捜査し,余罪で被疑者を逮捕することで,否認された事件についても自白を促すという手法を取ることがあります。こうなると,捜査処分の対象となる事件は,元々否認していた事件と後に捜査された余罪の両方となるため,初めから認めていた場合よりも不利益な結果になる可能性があり得るのです。

この点の具体的な見通しは,弁護士にも明確にすることが非常に困難と言わざるを得ないため,否認の場合のリスクの一つとして事前に踏まえておくことが適切でしょう。

③十分な情報共有の重要性

弁護士に示談交渉を依頼する場合,被害者との間で起きた出来事,特に自分に不利益な出来事は漏れなく弁護士に伝えておくようにしましょう。
弁護士が示談交渉を試みると,被害者から初めて聞かされる出来事も決して少なくありません。ただ,弁護士が事前に知らなかったことを被害者に把握されると,示談交渉に少なからず悪影響を及ぼすことになります。

弁護士は自分の代わりに示談交渉を行う人物であるため,自分が知っている情報は一通り共有するつもりで,弁護士へ十分に伝えることが重要です。

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【後遺障害1級】主な症状や認定基準,賠償金額の具体的計算などを弁護士が解説

交通事故の被害に遭った際,治療が終了してもなお症状が残ってしまう場合には,後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。後遺障害等級が認定された場合,受領できる慰謝料額などが大きく変わるため,等級の認定基準を把握することは重要です。

自賠責保険では,1級から14級の後遺障害等級が定められており,それぞれに詳細な認定基準が設けられています。ここでは,後遺障害1級の対象となる症状や認定の基準,認定された場合の慰謝料額などを弁護士が解説します。

後遺障害1級の認定基準

1級の認定基準一覧

要介護(別表第1)

要介護1級1号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
要介護1級2号胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

その他の後遺障害(別表第2)

1号両眼が失明したもの
2号咀嚼及び言語の機能を廃したもの
3号両上肢をひじ関節以上で失つたもの
4号両上肢の用を全廃したもの
5号両下肢をひざ関節以上で失つたもの
6号両下肢の用を全廃したもの

【要介護1号】神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

脳や神経に重大な障害が残った結果,生命維持に必要な身の回りの処理の動作が行えず,常に介護を要する場合を指します。

要介護1級1号に該当する神経系統の機能や精神への障害としては,脳の器質的損傷に伴う高次脳機能障害,脳挫傷や脊髄損傷などによる身体性機能障害などが挙げられます。
具体的な認定基準は,障害の具体的な内容によって個別に定められています。

【1.高次脳機能障害】

a.重篤な高次脳機能障害のため,食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの

b.高次脳機能障害による高度の認知症や情意の荒廃があるため,常時監視を要するもの

【2.身体性機能障害】

a.高度の四肢麻痺が認められるもの

b.中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

c.高度の片麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

(四肢麻痺:四肢すべての麻痺)
(片麻痺:左右どちらか半身の麻痺)

中等度の麻痺とは

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が相当程度失われ,その基本動作にかなりの制限があるもの
(例)
・概ね500グラムのものを持ち上げられない
・文字を書くことができない
・障害のある片足の影響で,杖や硬性装具なしには階段を上ることができない
・杖や硬性装具なしには歩行が困難

高度の麻痺とは

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性がほとんど失われ,基本動作(物を持ち上げて動かす・立つ・歩行するなど)ができないもの
(例)
・完全強直又はこれに近い状態(動かない)
・上肢の三大関節(肩・肘・手)及び5つの手指すべてが自分では動かせない
・下肢の三大関節(股・膝・足)すべてが自分では動かせない
・障害を残した片腕ではものを持ち上げて移動させることができない
・障害を残した片足では,支える力や思うように動かす力がほとんどない

【3.脊髄損傷】

a.高度の四肢麻痺が認められるもの

b.高度の対麻痺が認められるもの

c.中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

d.中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

(対麻痺:両上肢又は両下肢の麻痺)

【要介護2号】胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

「胸腹部臓器の機能障害」と呼ばれるものです。胸腹部の臓器に障害が残った結果,生命維持に必要な身の回りの処理の動作が行えず,常に介護を要する場合に,要介護1級2号の認定対象となります。

具体的な認定基準は,臓器ごとに定められていますが,要介護1級の対象として定められているのは呼吸器の障害のみです。
呼吸器に関する要介護1級2号の認定基準は,以下の通りです。

呼吸器

a.動脈酸素分圧50Torr以下のもので,呼吸器機能の低下により常時介護が必要なもの

b.動脈酸素分圧50Torr~60Torrで,動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲外(37Torr~43Torrの間にない)であり,
かつ,呼吸器機能の低下により常時介護が必要なもの

c.スパイロメトリーの結果が%1秒量35以下又は%肺活量40以下で,高度の呼吸困難があり,
かつ,呼吸器機能の低下により常時介護が必要なもの


→3級4号の基準を満たし,かつ常時介護が必要な場合に該当する

呼吸困難の程度に関する判断基準

高度呼吸困難のため、連続しておおむね100m以上歩けないもの
中等度呼吸困難のため、平地でさえ健常者と同じように歩けないが、自分のペースでなら1km程度の歩行ができるもの
軽度呼吸困難のため、健常者と同じようには階段の昇降ができないもの

【1号】両眼が失明したもの

失明とは以下のいずれかの場合をいいます。

「失明」とは
①眼球を失ったもの
②明暗が分からないもの
③明暗がようやく分かる程度のもの

明暗が分かるかどうかは,以下の2つの能力を基準に判断します。

・光覚弁
→暗室にて,面前でペンライト等の照明を点滅させたとき,明暗が弁別できる能力
・手動弁
→面前で手の平を上下左右にゆっくり動かしたとき,動きの方向を弁別できる能力

【2号】咀嚼及び言語の機能を廃したもの

そしゃく機能と言語機能の両方を「廃した」と評価される場合が該当します。

①そしゃく機能の障害については,以下の点を基準に総合的に判断します。

上下咬合咬合(こうごう かみ合わせの意)のズレなど
排列状態歯並びのズレや不足など
下顎の開閉運動歯をかみしめることができる程度など

これらの判断に当たっては,以下のような点を考慮します。

そしゃく機能の判断要素
・画像所見(他覚的所見)があること
・他覚的所見と対応するそしゃく状況があること

そしゃく状況に関しては,「そしゃく状況報告書」を踏まえた判断が一般的です。そしゃく状況報告書とは,被害者やその家族が,食べられる食材の内容や程度を記載するものです。

そしゃく状況報告表

「そしゃく機能を廃したもの」
=流動食以外は摂取できないもの

②言語機能の障害は,語音(特に子音)の発音にどの程度の制限が生じたかを基準に判断されます。

子音は,以下の4種類に分けることができます。

子音の4種類
①口唇音(ま行音,ぱ行音,ば行音,わ行音,ふ)
②歯舌音(な行音,た行音,だ行音,ら行音,さ行音,しゅ,し,ざ行音,じゅ)
③口蓋音(か行音,が行音,や行音,ひ,にゅ,ぎゅ,ん)
④喉頭音(は行音)

これら4種類の子音それぞれについて,発音不能なものがあるか,何種類あるか,といった点を踏まえ,言語機能の障害の程度を判断します。

「言語の機能を廃したもの」
=4種の語音(口唇音,歯舌音,口蓋音,喉頭音)のうち,3種以上の発音不能のもの

【3号】両上肢をひじ関節以上で失つたもの

「上肢をひじ関節以上で失ったもの」とは

以下のいずれかの場合
1.肩関節において、肩甲骨と上腕骨とを離断したもの
2.肩関節とひじ関節との間において上肢を切断したもの
3.ひじ関節において、上腕骨と橈骨及び尺骨とを離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

【4号】両上肢の用を全廃したもの

「上肢の用を全廃したもの」とは,以下の場合を指します。

三大関節(肩関節・肘関節・手関節)の全てが強直(※)している
かつ
手指の全部の用を廃している

※関節が可動性を失い,動かなくなった状態

【5号】両下肢をひざ関節以上で失つたもの

「下肢をひざ関節以上で失ったもの」とは

以下のいずれかの場合
1.股関節おいて、寛骨と大腿骨とを離断したもの
2.股関節とひざ関節との間において切断したもの
3.ひざ関節において、大腿骨と脛骨及び腓骨とを離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

【6号】両下肢の用を全廃したもの

「下肢の用を全廃したもの」とは,以下の場合を指します。

3大関節(股関節、ひざ関節、及び足関節)の全てが強直(※)した場合
(3大関節が強直したことに加え、足指全部が強直した場合も含まれる)

※「強直」:関節が全く可動しない場合,又はこれに近い状態(※※)である場合
※※「これに近い状態」:自動の可動域が10%以下になった場合

後遺障害1級の慰謝料

等級ごとの後遺障害慰謝料

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
1級1150万円2800万円
2級998万円2370万円
3級861万円1990万円
4級737万円1670万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

後遺障害1級の場合,自賠責保険からは1,150万円の慰謝料が支払われます。また,裁判基準の慰謝料は2,800万円となります。

後遺障害1級の逸失利益

後遺障害逸失利益は,以下の計算式で算出されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

このうち,労働能力喪失率は等級ごとに設けられており,等級が上位であるほど喪失率も大きくなります。

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

後遺障害1級の場合は,労働能力喪失率が100%となります。

計算例
年収500万円,40歳,1級認定

計算式
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

=500万円×1.0×18.3270(27年ライプニッツ)
=91,635,000円

後遺障害1級の将来介護費

①将来介護費とは

後遺障害が残ったことにより,被害者が介護を要する状況となった場合,その介護のために発生する費用を将来介護費といいます。将来介護費の金額は,親族が行う近親者介護の場合と,業務として行う職業介護の場合とで変わります。職業介護の方が介護費用の日額が高くなるため,将来介護費の全体額も大きくなってきます。

②計算方法

【基本的な考え方】

将来介護費は,以下の計算式で算出されます。

将来介護費
=「介護費の日額」×365日×「平均余命に対応するライプニッツ係数」

基本的な考え方は,1年分の介護費を日額×365で出し,これに生涯を遂げるまでの年数を掛け合わせる,というものです。もっとも,単純に「日額×365×平均余命の年数」としてしまうと,利息の分だけ金額が大きくなりすぎてしまうという問題があります。

法律上,金銭は利息を生むものと理解されています。本稿執筆時の法定利率は年3%であるため,100万円は1年後に利息3%を含む103万円の価値になっている,というのが法律の理解です。
そのため,将来受け取るはずだったものを今受け取る場合,受け取った時点から本来受け取るはずだった時点までの利息の分だけ,早く受け取った方が得をしているという考え方になるのです。

そのため,一括で支払う場合,この期間の利息(中間利息)を差し引いた金額を支払うのが適切ということになりますが,この中間利息を差し引くために用いられる数字が「ライプニッツ係数」です。

将来介護費の計算に当たっては,「日額×365×平均余命の年数」の金額から,利息分を差し引いた金額になる,との理解をすると適切でしょう。

【介護費の日額】

職業付添人による介護が必要か,近親者付添人の介護が可能か,という点の区別によって,日額が異なります。
職業介護の場合はその実費(概ね15,000円~20,000円ほど)が日額となり,近親者介護の場合は1日8,000円ほどを日額とみなす場合が多く見られます。近親者介護よりも職業介護の方が日額は大きくなるのが通常です。

計算例
令和4年症状固定,症状固定時40歳,要介護1級認定,職業介護(15,000円)

計算式
=「介護費の日額」×365日×「平均余命に対応するライプニッツ係数」

=15,000円×365日×23.7014(42年ライプニッツ)
=129,765,165円

後遺障害等級の認定を受ける方法

①手続の方法

認定手続は,加害者の自賠責保険会社に所定の書類を提出する方法で行われますが,被害者側と加害者側のどちらが提出するかによって,大きく二通りの手続があります。

1.事前認定
対人賠償保険(被害者の人身損害を賠償する加害者側の保険)が,自賠責保険会社に提出する際の方法です。自社の賠償額を算定するため,事前に後遺障害等級認定を求める手続のため,事前認定と呼ばれます。

2.被害者請求
被害者側が,対人賠償保険を通さずに自ら自賠責保険会社に提出する際の方法です。
被害者が自ら自賠責保険会社への請求を行うため,被害者請求と呼ばれます。

3.両者の違い
両者の主な違いは,以下の通りです。

項目【事前認定】【被害者請求】
提出する人対人賠償保険被害者自身
提出書面必要書類一式必要書類以外も提出可
提出物の収集保険会社が行う被害者自身が行う

②手続の流れ

後遺障害等級認定の基本的な流れは,以下の通りです。

【事前認定の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③後遺障害診断書の提出相手保険に後遺障害診断書を提出します。
④事前認定の実施相手保険による自賠責保険への提出を待ちます。
⑤後遺障害等級の結果通知相手保険に結果の通知があり,相手保険から被害者側に知らされます。


【被害者請求の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③申請書類の準備治療期間中の診断書やレセプト,交通事故証明書などの必要書類を取得し,申請書類に必要事項を記載します。
④被害者請求の実施必要書類を自賠責保険会社に提出し,被害者請求を実施します。
⑤後遺障害等級の結果通知申請者である被害者又は代理人に直接通知されます。

事前認定は,後遺障害診断書を相手保険に提出するのみで足りるため,手続が簡便であるというメリットがあります。一方で,自賠責保険に提出される資料は必要不可欠なもののみであるため,認定に有用な資料を追加で提出したい,という場合には適していません。
一方,被害者請求は,後遺障害診断書以外の提出書面も全て積極的に提出する必要があるため,手続負担が大きくなりやすいところです。しかし,提出できる資料は不可欠なものに限られず,判断に際して考慮してほしい資料や内容を任意に提出できるというメリットがあります。

後遺障害等級のうち,検査結果の数値で認定結果が決まる場合には,事前認定か被害者請求かという手段よりもその検査結果が重要になるでしょう。検査結果が認定基準を満たしている限り,どちらの方法でも差し支えないという結論になります。
一方,認定基準が数値だけでは判断できず,複数の事情を総合的に踏まえる必要がある場合,考慮してもらうべき事情を積極的に提出することが有益になり得ます。この点,必要な診断書等以外の資料を積極的に提出したい場合には,被害者請求の方法を取る必要があります。
そのため,数値で判断が可能な内容かどうかによって,事前認定と被害者請求を適宜選択することが有力でしょう。

弁護士依頼のメリット

①必要な対応を弁護士に任せることができる

交通事故被害に遭った場合,主に相手保険との間でやり取りが必要になり,その内容は多岐に渡ることが少なくありません。そのため,ただでさえ被害に遭って心身のダメージを抱えている中,相手保険への対応でさらに疲弊させられてしまうということが生じがちです。
この点,弁護士に依頼をすれば,その後の必要な対応を全て弁護士に任せることが可能です。弁護士に適切な対応をしてもらうことで,不要な負担を感じることなく解決を目指せるでしょう。

②後遺障害等級認定に必要なことが分かる

後遺障害等級認定を目指す場合,その等級認定基準を満たしていると判断してもらうことが必要になります。そうすると,あらかじめ等級認定基準を踏まえた上で,基準を満たす内容の資料を提出する形で申請を試みることが不可欠です。
しかしながら,等級認定基準を正確に把握することは,交通事故分野に精通していない限りは容易でありません。

この点,弁護士に依頼することで,等級認定基準を踏まえた申請の準備を弁護士に検討してもらうことが可能になります。そのため,後遺障害等級認定のために必要な対応が分かり,適切な申請ができるようになるでしょう。

③慰謝料などの増額が期待できる

交通事故の場合,弁護士が交渉を行うことで,慰謝料などの増額ができる場合が非常に多く見られます。これは,保険会社が,弁護士の有無で慰謝料などの賠償額を異にする運用をしているためです。
弁護士に依頼することで,慰謝料をはじめとした損害賠償額の増加が期待できるでしょう。また,後遺障害等級が認定された場合,後遺障害に応じた慰謝料なども発生するため,弁護士による増額の余地はさらに大きくなることが見込まれます。

交通事故に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,1000件を超える数々の交通事故解決に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内いたします。
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【後遺障害2級】認定されるケースの症状は?認定された場合の補償金額は?

交通事故の被害に遭った際,治療が終了してもなお症状が残ってしまう場合には,後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。後遺障害等級が認定された場合,受領できる慰謝料額などが大きく変わるため,等級の認定基準を把握することは重要です。

自賠責保険では,1級から14級の後遺障害等級が定められており,それぞれに詳細な認定基準が設けられています。ここでは,後遺障害2級の対象となる症状や認定の基準,認定された場合の慰謝料額などを弁護士が解説します。

後遺障害2級の認定基準

2級の認定基準一覧

要介護(別表第1)

要介護2級1号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
要介護2級2号胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

その他の後遺障害(別表第2)

1号一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になつたもの
2号両眼の視力が0.02以下になつたもの
3号両上肢を手関節以上で失つたもの
4号両下肢を足関節以上で失つたもの

【要介護1号】神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

脳や神経に重大な障害が残った結果,生命維持に必要な身の回りの処理の動作に随時介護を要する場合を指します。

要介護2級1号に該当する神経系統の機能や精神への障害としては,脳の器質的損傷に伴う高次脳機能障害,脳挫傷や脊髄損傷などによる身体性機能障害などが挙げられます。
具体的な認定基準は,障害の具体的な内容によって個別に定められています。

【1.高次脳機能障害】

a.重篤な高次脳機能障害のため,食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要するもの

b.高次脳機能障害による認知症,情意の障害,幻覚,妄想,頻回の発作性意識障害等のため随時他人による監視を必要とするもの

c.重篤な高次脳機能障害のため自宅内の日常生活動作は一応できるが,1人で外出することなどが困難であり,外出の際には他人の介護を必要とするため,随時他人の介護を必要とするもの

【2.身体性機能障害】

a.高度の片麻痺が認められるもの

b.中等度の四肢麻痺であって,食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を必要とするもの

(片麻痺:左右どちらか半身の麻痺)
(四肢麻痺:四肢すべての麻痺)

中等度の麻痺とは

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が相当程度失われ,その基本動作にかなりの制限があるもの
(例)
・概ね500グラムのものを持ち上げられない
・文字を書くことができない
・障害のある片足の影響で,杖や硬性装具なしには階段を上ることができない
・杖や硬性装具なしには歩行が困難

高度の麻痺とは

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性がほとんど失われ,基本動作(物を持ち上げて動かす・立つ・歩行するなど)ができないもの
(例)
・完全強直又はこれに近い状態(動かない)
・上肢の三大関節(肩・肘・手)及び5つの手指すべてが自分では動かせない
・下肢の三大関節(股・膝・足)すべてが自分では動かせない
・障害を残した片腕ではものを持ち上げて移動させることができない
・障害を残した片足では,支える力や思うように動かす力がほとんどない

【3.脊髄損傷】

a.中等度の四肢麻痺が認められるもの

b.軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

c.中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

(対麻痺:両上肢又は両下肢の麻痺)

軽度の麻痺とは

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が多少失われ,その基本動作における巧緻性や速度が相当程度損なわれているもの
(例)
・文字を書くことに困難が伴う
・概ね独歩だが,不安定で転倒しやすく,速度も遅い
・障害のある両足の影響で,杖や硬性装具なしには階段を上ることができない

【要介護2号】胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

「胸腹部臓器の機能障害」と呼ばれるものです。胸腹部の臓器に障害が残った結果,生命維持に欠かせない身の回りの処理に随時介護を要する場合に,要介護2級2号の認定対象となります。

具体的な認定基準は,臓器ごとに定められていますが,要介護2級の対象として定められているのは呼吸器の障害のみです。
呼吸器に関する要介護2級2号の認定基準は,以下の通りです。

呼吸器

a.動脈酸素分圧50Torr以下のもので,呼吸器機能の低下により随時介護が必要なもの

b.動脈酸素分圧50Torr~60Torrで,動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲外(37Torr~43Torrの間にない)であり,
かつ,呼吸器機能の低下により随時介護が必要なもの

c.スパイロメトリーの結果が%1秒量35以下又は%肺活量40以下で,高度の呼吸困難があり,
かつ,呼吸器機能の低下により随時介護が必要なもの


→3級4号の基準を満たし,かつ随時介護が必要な場合に該当する

呼吸困難の程度に関する判断基準

高度呼吸困難のため、連続しておおむね100m以上歩けないもの
中等度呼吸困難のため、平地でさえ健常者と同じように歩けないが、自分のペースでなら1km程度の歩行ができるもの
軽度呼吸困難のため、健常者と同じようには階段の昇降ができないもの

【1号】一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になつたもの

失明とは以下のいずれかの場合をいいます。

「失明」とは
①眼球を失ったもの
②明暗が分からないもの
③明暗がようやく分かる程度のもの

明暗が分かるかどうかは,以下の2つの能力を基準に判断します。

・光覚弁
→暗室にて,面前でペンライト等の照明を点滅させたとき,明暗が弁別できる能力
・手動弁
→面前で手の平を上下左右にゆっくり動かしたとき,動きの方向を弁別できる能力

また,後遺障害等級の対象とする視力は,矯正視力を指します。そのため,眼鏡やコンタクトレンズなどを着用した状態の視力を基準に判断されます。

【2号】両眼の視力が0.02以下になつたもの

同様に,矯正視力を基準に判断します。
矯正視力が両眼について0.02以下になった場合,認定対象になります。

【3号】両上肢を手関節以上で失つたもの

「上肢を手関節以上失ったもの」とは

以下のいずれかの場合
1.ひじ関節と手関節との間で切断したもの
2.手関節において、橈骨及び尺骨と手根骨とを離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

【4号】両下肢を足関節以上で失つたもの

「下肢を足関節以上で失ったもの」とは

以下のいずれかの場合
1.ひざ関節と足関節との間で切断したもの
2.足関節において、脛骨及び腓骨と距骨とを離断したもの

後遺障害2級の慰謝料

等級ごとの後遺障害慰謝料

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
1級1150万円2800万円
2級998万円2370万円
3級861万円1990万円
4級737万円1670万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

後遺障害2級の場合,自賠責保険からは998万円の慰謝料が支払われます。また,裁判基準の慰謝料は2370万円となります。

後遺障害2級の逸失利益

後遺障害逸失利益は,以下の計算式で算出されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

このうち,労働能力喪失率は等級ごとに設けられており,等級が上位であるほど喪失率も大きくなります。

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

後遺障害2級の場合は,労働能力喪失率が100%となります。

計算例
年収500万円,40歳,2級認定

計算式
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

=500万円×1.0×18.3270(27年ライプニッツ)
=91,635,000円

後遺障害2級の将来介護費

①将来介護費とは

後遺障害が残ったことにより,被害者が介護を要する状況となった場合,その介護のために発生する費用を将来介護費といいます。将来介護費の金額は,親族が行う近親者介護の場合と,業務として行う職業介護の場合とで変わります。職業介護の方が介護費用の日額が高くなるため,将来介護費の全体額も大きくなってきます。

②計算方法

【基本的な考え方】

将来介護費は,以下の計算式で算出されます。

将来介護費
=「介護費の日額」×365日×「平均余命に対応するライプニッツ係数」

基本的な考え方は,1年分の介護費を日額×365で出し,これに生涯を遂げるまでの年数を掛け合わせる,というものです。もっとも,単純に「日額×365×平均余命の年数」としてしまうと,利息の分だけ金額が大きくなりすぎてしまうという問題があります。

法律上,金銭は利息を生むものと理解されています。本稿執筆時の法定利率は年3%であるため,100万円は1年後に利息3%を含む103万円の価値になっている,というのが法律の理解です。
そのため,将来受け取るはずだったものを今受け取る場合,受け取った時点から本来受け取るはずだった時点までの利息の分だけ,早く受け取った方が得をしているという考え方になるのです。

そのため,一括で支払う場合,この期間の利息(中間利息)を差し引いた金額を支払うのが適切ということになりますが,この中間利息を差し引くために用いられる数字が「ライプニッツ係数」です。

将来介護費の計算に当たっては,「日額×365×平均余命の年数」の金額から,利息分を差し引いた金額になる,との理解をすると適切でしょう。

【介護費の日額】

職業付添人による介護が必要か,近親者付添人の介護が可能か,という点の区別によって,日額が異なります。
職業介護の場合はその実費(概ね15,000円~20,000円ほど)が日額となり,近親者介護の場合は1日8,000円ほどを日額とみなす場合が多く見られます。近親者介護よりも職業介護の方が日額は大きくなるのが通常です。

計算例
令和4年症状固定,症状固定時40歳,要介護2級認定,近親者介護

計算式
=「介護費の日額」×365日×「平均余命に対応するライプニッツ係数」

=8,000円×365日×23.7014(42年ライプニッツ)
=69,208,088円

後遺障害等級の認定を受ける方法

①手続の方法

認定手続は,加害者の自賠責保険会社に所定の書類を提出する方法で行われますが,被害者側と加害者側のどちらが提出するかによって,大きく二通りの手続があります。

1.事前認定
対人賠償保険(被害者の人身損害を賠償する加害者側の保険)が,自賠責保険会社に提出する際の方法です。自社の賠償額を算定するため,事前に後遺障害等級認定を求める手続のため,事前認定と呼ばれます。

2.被害者請求
被害者側が,対人賠償保険を通さずに自ら自賠責保険会社に提出する際の方法です。
被害者が自ら自賠責保険会社への請求を行うため,被害者請求と呼ばれます。

3.両者の違い
両者の主な違いは,以下の通りです。

項目【事前認定】【被害者請求】
提出する人対人賠償保険被害者自身
提出書面必要書類一式必要書類以外も提出可
提出物の収集保険会社が行う被害者自身が行う

②手続の流れ

後遺障害等級認定の基本的な流れは,以下の通りです。

【事前認定の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③後遺障害診断書の提出相手保険に後遺障害診断書を提出します。
④事前認定の実施相手保険による自賠責保険への提出を待ちます。
⑤後遺障害等級の結果通知相手保険に結果の通知があり,相手保険から被害者側に知らされます。


【被害者請求の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③申請書類の準備治療期間中の診断書やレセプト,交通事故証明書などの必要書類を取得し,申請書類に必要事項を記載します。
④被害者請求の実施必要書類を自賠責保険会社に提出し,被害者請求を実施します。
⑤後遺障害等級の結果通知申請者である被害者又は代理人に直接通知されます。

事前認定は,後遺障害診断書を相手保険に提出するのみで足りるため,手続が簡便であるというメリットがあります。一方で,自賠責保険に提出される資料は必要不可欠なもののみであるため,認定に有用な資料を追加で提出したい,という場合には適していません。
一方,被害者請求は,後遺障害診断書以外の提出書面も全て積極的に提出する必要があるため,手続負担が大きくなりやすいところです。しかし,提出できる資料は不可欠なものに限られず,判断に際して考慮してほしい資料や内容を任意に提出できるというメリットがあります。

後遺障害等級のうち,検査結果の数値で認定結果が決まる場合には,事前認定か被害者請求かという手段よりもその検査結果が重要になるでしょう。検査結果が認定基準を満たしている限り,どちらの方法でも差し支えないという結論になります。
一方,認定基準が数値だけでは判断できず,複数の事情を総合的に踏まえる必要がある場合,考慮してもらうべき事情を積極的に提出することが有益になり得ます。この点,必要な診断書等以外の資料を積極的に提出したい場合には,被害者請求の方法を取る必要があります。
そのため,数値で判断が可能な内容かどうかによって,事前認定と被害者請求を適宜選択することが有力でしょう。

弁護士依頼のメリット

①必要な対応を弁護士に任せることができる

交通事故被害に遭った場合,主に相手保険との間でやり取りが必要になり,その内容は多岐に渡ることが少なくありません。そのため,ただでさえ被害に遭って心身のダメージを抱えている中,相手保険への対応でさらに疲弊させられてしまうということが生じがちです。
この点,弁護士に依頼をすれば,その後の必要な対応を全て弁護士に任せることが可能です。弁護士に適切な対応をしてもらうことで,不要な負担を感じることなく解決を目指せるでしょう。

②後遺障害等級認定に必要なことが分かる

後遺障害等級認定を目指す場合,その等級認定基準を満たしていると判断してもらうことが必要になります。そうすると,あらかじめ等級認定基準を踏まえた上で,基準を満たす内容の資料を提出する形で申請を試みることが不可欠です。
しかしながら,等級認定基準を正確に把握することは,交通事故分野に精通していない限りは容易でありません。

この点,弁護士に依頼することで,等級認定基準を踏まえた申請の準備を弁護士に検討してもらうことが可能になります。そのため,後遺障害等級認定のために必要な対応が分かり,適切な申請ができるようになるでしょう。

③慰謝料などの増額が期待できる

交通事故の場合,弁護士が交渉を行うことで,慰謝料などの増額ができる場合が非常に多く見られます。これは,保険会社が,弁護士の有無で慰謝料などの賠償額を異にする運用をしているためです。
弁護士に依頼することで,慰謝料をはじめとした損害賠償額の増加が期待できるでしょう。また,後遺障害等級が認定された場合,後遺障害に応じた慰謝料なども発生するため,弁護士による増額の余地はさらに大きくなることが見込まれます。

交通事故に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,1000件を超える数々の交通事故解決に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内いたします。
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【後遺障害3級】該当する症状の程度から請求可能な金額まで一挙解説

交通事故の被害に遭った際,治療が終了してもなお症状が残ってしまう場合には,後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。後遺障害等級が認定された場合,受領できる慰謝料額などが大きく変わるため,等級の認定基準を把握することは重要です。

自賠責保険では,1級から14級の後遺障害等級が定められており,それぞれに詳細な認定基準が設けられています。ここでは,後遺障害3級の対象となる症状や認定の基準,認定された場合の慰謝料額などを弁護士が解説します。

後遺障害3級の認定基準

3級の認定基準一覧

1号一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になつたもの
2号咀嚼又は言語の機能を廃したもの
3号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
4号胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5号両手の手指の全部を失つたもの

【1号】一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になつたもの

失明とは以下のいずれかの場合をいいます。

「失明」とは
①眼球を失ったもの
②明暗が分からないもの
③明暗がようやく分かる程度のもの

明暗が分かるかどうかは,以下の2つの能力を基準に判断します。

・光覚弁
→暗室にて,面前でペンライト等の照明を点滅させたとき,明暗が弁別できる能力
・手動弁
→面前で手の平を上下左右にゆっくり動かしたとき,動きの方向を弁別できる能力

失明とは以下のいずれかの場合をいいます。

「失明」とは
①眼球を失ったもの
②明暗が分からないもの
③明暗がようやく分かる程度のもの

明暗が分かるかどうかは,以下の2つの能力を基準に判断します。

・光覚弁
→暗室にて,面前でペンライト等の照明を点滅させたとき,明暗が弁別できる能力
・手動弁
→面前で手の平を上下左右にゆっくり動かしたとき,動きの方向を弁別できる能力

また,後遺障害等級の対象とする視力は,矯正視力を指します。そのため,眼鏡やコンタクトレンズなどを着用した状態の視力を基準に判断されます。

【2号】咀嚼又は言語の機能を廃したもの

そしゃく機能と言語機能のどちらかを「廃した」と評価される場合が該当します。

①そしゃく機能の障害については,以下の点を基準に総合的に判断します。

上下咬合咬合(こうごう かみ合わせの意)のズレなど
排列状態歯並びのズレや不足など
下顎の開閉運動歯をかみしめることができる程度など

これらの判断に当たっては,以下のような点を考慮します。

そしゃく機能の判断要素
・画像所見(他覚的所見)があること
・他覚的所見と対応するそしゃく状況があること

そしゃく状況に関しては,「そしゃく状況報告書」を踏まえた判断が一般的です。そしゃく状況報告書とは,被害者やその家族が,食べられる食材の内容や程度を記載するものです。

そしゃく状況報告表

「そしゃく機能を廃したもの」
=流動食以外は摂取できないもの

②言語機能の障害は,語音(特に子音)の発音にどの程度の制限が生じたかを基準に判断されます。

子音は,以下の4種類に分けることができます。

子音の4種類
①口唇音(ま行音,ぱ行音,ば行音,わ行音,ふ)
②歯舌音(な行音,た行音,だ行音,ら行音,さ行音,しゅ,し,ざ行音,じゅ)
③口蓋音(か行音,が行音,や行音,ひ,にゅ,ぎゅ,ん)
④喉頭音(は行音)

これら4種類の子音それぞれについて,発音不能なものがあるか,何種類あるか,といった点を踏まえ,言語機能の障害の程度を判断します。

「言語の機能を廃したもの」
=4種の語音(口唇音,歯舌音,口蓋音,喉頭音)のうち,3種以上の発音不能のもの

【3号】神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

生命維持に欠かせない身の回りの処理はできるものの,労務はできない場合を指します。

神経系統の機能や精神への障害の代表例としては,脳の器質的損傷に伴う高次脳機能障害,脳挫傷や脊髄損傷などによる身体性機能障害などが挙げられます。
具体的な認定基準は,障害の具体的な内容によって個別に定められています。

【1.高次脳機能障害】

脳機能の4能力について,

①いずれか1つ以上能力が全部失われている
②いずれか2つ以上の能力の大部分が失われている

ことを要します。

高次脳機能障害の4能力

①意思疎通能力
→職場などで他人と適切にコミュニケーションできるか

②問題解決能力
→作業課題の指示や要求水準を正しく理解し,適切に判断して円滑に業務遂行できるか

③作業負荷に対する持続力・持久力
→一般的な就労時間に耐えられるか

④社会行動能力
→職場で他人と円滑な共同作業ができるか,社会的行動ができるか

なお,1か月に2回以上発作のある外傷性てんかんは,高度の高次脳機能障害を伴っていることが通常であるため,3級以上の高次脳機能障害の等級の中で評価されます。

【2.身体性機能障害】

中等度の四肢麻痺が認められるもの
(四肢麻痺:四肢すべての麻痺)

食事・入浴・用便・更衣等について常時又は随時介護を必要とするものは除く

中等度の麻痺とは

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が相当程度失われ,その基本動作にかなりの制限があるもの
(例)
・概ね500グラムのものを持ち上げられない
・文字を書くことができない
・障害のある片足の影響で,杖や硬性装具なしには階段を上ることができない
・杖や硬性装具なしには歩行が困難

【3.脊髄損傷】

脊髄の症状に伴い,以下のいずれかの状態にある場合

a.軽度の四肢麻痺が認められるもの
(食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を必要とするものは除く)
b.中等度の対麻痺が認められるもの
(食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を必要とするものは除く)

(対麻痺:両上肢又は両下肢の麻痺)

【4.失調・めまい・平衡機能障害】

生命維持に必要な身の回りの処理の動作は可能であるが,高度の失調又は平衡機能障害のため,労務に服することができないもの

【4号】胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

「胸腹部臓器の機能障害」と呼ばれるものです。胸腹部の臓器に障害が残った結果,生命維持に欠かせない身の回りの処理はできるものの,労務はできない場合に,3級4号の認定対象となります。

具体的な認定基準は,臓器ごとに定められていますが,3級の対象として定められているのは呼吸器の障害のみです。
呼吸器に関する3級4号の認定基準は,以下の通りです。

呼吸器

a.動脈酸素分圧50Torr以下のもの
(呼吸器機能の低下により常時又は随時介護が必要なものを除く)

b.動脈酸素分圧50Torr~60Torrで,動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲外(37Torr~43Torrの間にない)の場合
(呼吸器機能の低下により常時又は随時介護が必要なものを除く)

c.スパイロメトリーの結果が%1秒量35以下又は%肺活量40以下で,高度の呼吸困難がある場合
(呼吸器機能の低下により常時又は随時介護が必要なものを除く)

呼吸困難の程度に関する判断基準

高度呼吸困難のため、連続しておおむね100m以上歩けないもの
中等度呼吸困難のため、平地でさえ健常者と同じように歩けないが、自分のペースでなら1km程度の歩行ができるもの
軽度呼吸困難のため、健常者と同じようには階段の昇降ができないもの

【5号】両手の手指の全部を失つたもの

「手指を失ったもの」とは,以下の場合を指します。

1.手指を中手骨又は基節骨で切断したもの
2.親指については指節間関節、それ以外の指については近位指節間関節において、基節骨と中節骨が離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

後遺障害3級の慰謝料

等級ごとの後遺障害慰謝料

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
1級1150万円2800万円
2級998万円2370万円
3級861万円1990万円
4級737万円1670万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

後遺障害3級の場合,自賠責保険からは861万円の慰謝料が支払われます。また,裁判基準の慰謝料は1990万円となります。

後遺障害3級の逸失利益

後遺障害逸失利益は,以下の計算式で算出されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

このうち,労働能力喪失率は等級ごとに設けられており,等級が上位であるほど喪失率も大きくなります。

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

後遺障害3級の場合は,労働能力喪失率が100%となります。

計算例
年収500万円,40歳,3級認定

計算式
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

=500万円×1.0×18.3270(27年ライプニッツ)
=91,635,000円

後遺障害等級の認定を受ける方法

①手続の方法

認定手続は,加害者の自賠責保険会社に所定の書類を提出する方法で行われますが,被害者側と加害者側のどちらが提出するかによって,大きく二通りの手続があります。

1.事前認定
対人賠償保険(被害者の人身損害を賠償する加害者側の保険)が,自賠責保険会社に提出する際の方法です。自社の賠償額を算定するため,事前に後遺障害等級認定を求める手続のため,事前認定と呼ばれます。

2.被害者請求
被害者側が,対人賠償保険を通さずに自ら自賠責保険会社に提出する際の方法です。
被害者が自ら自賠責保険会社への請求を行うため,被害者請求と呼ばれます。

3.両者の違い
両者の主な違いは,以下の通りです。

項目【事前認定】【被害者請求】
提出する人対人賠償保険被害者自身
提出書面必要書類一式必要書類以外も提出可
提出物の収集保険会社が行う被害者自身が行う

②手続の流れ

後遺障害等級認定の基本的な流れは,以下の通りです。

【事前認定の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③後遺障害診断書の提出相手保険に後遺障害診断書を提出します。
④事前認定の実施相手保険による自賠責保険への提出を待ちます。
⑤後遺障害等級の結果通知相手保険に結果の通知があり,相手保険から被害者側に知らされます。


【被害者請求の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③申請書類の準備治療期間中の診断書やレセプト,交通事故証明書などの必要書類を取得し,申請書類に必要事項を記載します。
④被害者請求の実施必要書類を自賠責保険会社に提出し,被害者請求を実施します。
⑤後遺障害等級の結果通知申請者である被害者又は代理人に直接通知されます。

事前認定は,後遺障害診断書を相手保険に提出するのみで足りるため,手続が簡便であるというメリットがあります。一方で,自賠責保険に提出される資料は必要不可欠なもののみであるため,認定に有用な資料を追加で提出したい,という場合には適していません。
一方,被害者請求は,後遺障害診断書以外の提出書面も全て積極的に提出する必要があるため,手続負担が大きくなりやすいところです。しかし,提出できる資料は不可欠なものに限られず,判断に際して考慮してほしい資料や内容を任意に提出できるというメリットがあります。

後遺障害等級のうち,検査結果の数値で認定結果が決まる場合には,事前認定か被害者請求かという手段よりもその検査結果が重要になるでしょう。検査結果が認定基準を満たしている限り,どちらの方法でも差し支えないという結論になります。
一方,認定基準が数値だけでは判断できず,複数の事情を総合的に踏まえる必要がある場合,考慮してもらうべき事情を積極的に提出することが有益になり得ます。この点,必要な診断書等以外の資料を積極的に提出したい場合には,被害者請求の方法を取る必要があります。
そのため,数値で判断が可能な内容かどうかによって,事前認定と被害者請求を適宜選択することが有力でしょう。

弁護士依頼のメリット

①必要な対応を弁護士に任せることができる

交通事故被害に遭った場合,主に相手保険との間でやり取りが必要になり,その内容は多岐に渡ることが少なくありません。そのため,ただでさえ被害に遭って心身のダメージを抱えている中,相手保険への対応でさらに疲弊させられてしまうということが生じがちです。
この点,弁護士に依頼をすれば,その後の必要な対応を全て弁護士に任せることが可能です。弁護士に適切な対応をしてもらうことで,不要な負担を感じることなく解決を目指せるでしょう。

②後遺障害等級認定に必要なことが分かる

後遺障害等級認定を目指す場合,その等級認定基準を満たしていると判断してもらうことが必要になります。そうすると,あらかじめ等級認定基準を踏まえた上で,基準を満たす内容の資料を提出する形で申請を試みることが不可欠です。
しかしながら,等級認定基準を正確に把握することは,交通事故分野に精通していない限りは容易でありません。

この点,弁護士に依頼することで,等級認定基準を踏まえた申請の準備を弁護士に検討してもらうことが可能になります。そのため,後遺障害等級認定のために必要な対応が分かり,適切な申請ができるようになるでしょう。

③慰謝料などの増額が期待できる

交通事故の場合,弁護士が交渉を行うことで,慰謝料などの増額ができる場合が非常に多く見られます。これは,保険会社が,弁護士の有無で慰謝料などの賠償額を異にする運用をしているためです。
弁護士に依頼することで,慰謝料をはじめとした損害賠償額の増加が期待できるでしょう。また,後遺障害等級が認定された場合,後遺障害に応じた慰謝料なども発生するため,弁護士による増額の余地はさらに大きくなることが見込まれます。

交通事故に強い弁護士をお探しの方へ

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【後遺障害4級】主な症状や賠償金の相場などを弁護士が詳細解説

交通事故の被害に遭った際,治療が終了してもなお症状が残ってしまう場合には,後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。後遺障害等級が認定された場合,受領できる慰謝料額などが大きく変わるため,等級の認定基準を把握することは重要です。

自賠責保険では,1級から14級の後遺障害等級が定められており,それぞれに詳細な認定基準が設けられています。ここでは,後遺障害4級の対象となる症状や認定の基準,認定された場合の慰謝料額などを弁護士が解説します。

後遺障害4級の認定基準

4級の認定基準一覧

1号両眼の視力が0.06以下になつたもの
2号咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
3号両耳の聴力を全く失つたもの
4号一上肢をひじ関節以上で失つたもの
5号一下肢をひざ関節以上で失つたもの
6号両手の手指の全部の用を廃したもの
7号両足をリスフラン関節以上で失つたもの

【1号】両眼の視力が0.06以下になつたもの

後遺障害等級の対象とする視力は,矯正視力を指します。そのため,眼鏡やコンタクトレンズなどを着用した状態の視力を基準に判断されます。
両目について矯正視力が0.06以下になった場合,等級認定の対象になります。

【2号】咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの

そしゃく機能と言語機能の両方に「著しい障害」を残す場合が該当します。

①そしゃく機能の障害については,以下の点を基準に総合的に判断します。

上下咬合咬合(こうごう かみ合わせの意)のズレなど
排列状態歯並びのズレや不足など
下顎の開閉運動歯をかみしめることができる程度など

これらの判断に当たっては,以下のような点を考慮します。

そしゃく機能の判断要素
・画像所見(他覚的所見)があること
・他覚的所見と対応するそしゃく状況があること

そしゃく状況に関しては,「そしゃく状況報告書」を踏まえた判断が一般的です。そしゃく状況報告書とは,被害者やその家族が,食べられる食材の内容や程度を記載するものです。

そしゃく状況報告表

「そしゃく機能に著しい障害を残すもの」
=粥食又はこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できないもの

②言語機能の障害は,語音(特に子音)の発音にどの程度の制限が生じたかを基準に判断されます。

子音は,以下の4種類に分けることができます。

子音の4種類
①口唇音(ま行音,ぱ行音,ば行音,わ行音,ふ)
②歯舌音(な行音,た行音,だ行音,ら行音,さ行音,しゅ,し,ざ行音,じゅ)
③口蓋音(か行音,が行音,や行音,ひ,にゅ,ぎゅ,ん)
④喉頭音(は行音)

これら4種類の子音それぞれについて,発音不能なものがあるか,何種類あるか,といった点を踏まえ,言語機能の障害の程度を判断します。

「言語の機能に著しい障害を残すもの」
=4種の語音のうち,2種の発音不能のもの又は綴音機能(語音を一定の順序に連結すること)に障害があるため,言語のみを用いては意思を疎通することができないもの

【3号】両耳の聴力を全く失つたもの

具体的な認定基準は以下の通りです。

①両耳の平均純音聴力レベルが90dB以上のもの
②両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上であり、かつ最高明瞭度が30%以下のもの

【一耳の聴力ともう一耳の聴力の関係】

一耳の聴力ともう一耳の聴力の関係

【両耳聴力と最高明瞭度の関係】

両耳聴力と最高明瞭度の関係

【4号】一上肢をひじ関節以上で失つたもの

「上肢をひじ関節以上で失ったもの」とは

以下のいずれかの場合
1.肩関節において、肩甲骨と上腕骨とを離断したもの
2.肩関節とひじ関節との間において上肢を切断したもの
3.ひじ関節において、上腕骨と橈骨及び尺骨とを離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

【5号】一下肢をひざ関節以上で失つたもの

「下肢をひざ関節以上で失ったもの」とは

以下のいずれかの場合
1.股関節おいて、寛骨と大腿骨とを離断したもの
2.股関節とひざ関節との間において切断したもの
3.ひざ関節において、大腿骨と脛骨及び腓骨とを離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

【6号】両手の手指の全部の用を廃したもの

「手指の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
2.中手指節関節又は近位指節間関節(親指については指節間関節)の可動域が1/2以下に制限されるもの
3.親指について、橈側外転又は掌側外転のいずれかの可動域が1/2以下に制限されるもの
4.手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚完全に脱失したもの

(「障害認定必携」より引用)

【7号】両足をリスフラン関節以上で失つたもの

「リスフラン関節以上で失ったもの」とは

以下のいずれかの場合
1.足根骨(腓骨、距骨、舟状骨、立方骨及び3個の楔状骨)において切断したもの
2.リスフラン関節において中足骨と足根骨とを離団したもの

(「障害認定必携」より引用 再掲)

後遺障害4級の慰謝料

等級ごとの後遺障害慰謝料

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
1級1150万円2800万円
2級998万円2370万円
3級861万円1990万円
4級737万円1670万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

後遺障害4級の場合,自賠責保険からは737万円の慰謝料が支払われます。また,裁判基準の慰謝料は1670万円となります。

後遺障害4級の逸失利益

後遺障害逸失利益は,以下の計算式で算出されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

このうち,労働能力喪失率は等級ごとに設けられており,等級が上位であるほど喪失率も大きくなります。

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

後遺障害4級の場合は,労働能力喪失率が92%となります。

計算例
年収500万円,40歳,4級認定

計算式
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

=500万円×0.92×18.3270(27年ライプニッツ)
=84,304,200円

後遺障害等級の認定を受ける方法

①手続の方法

認定手続は,加害者の自賠責保険会社に所定の書類を提出する方法で行われますが,被害者側と加害者側のどちらが提出するかによって,大きく二通りの手続があります。

1.事前認定
対人賠償保険(被害者の人身損害を賠償する加害者側の保険)が,自賠責保険会社に提出する際の方法です。自社の賠償額を算定するため,事前に後遺障害等級認定を求める手続のため,事前認定と呼ばれます。

2.被害者請求
被害者側が,対人賠償保険を通さずに自ら自賠責保険会社に提出する際の方法です。
被害者が自ら自賠責保険会社への請求を行うため,被害者請求と呼ばれます。

3.両者の違い
両者の主な違いは,以下の通りです。

項目【事前認定】【被害者請求】
提出する人対人賠償保険被害者自身
提出書面必要書類一式必要書類以外も提出可
提出物の収集保険会社が行う被害者自身が行う

②手続の流れ

後遺障害等級認定の基本的な流れは,以下の通りです。

【事前認定の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③後遺障害診断書の提出相手保険に後遺障害診断書を提出します。
④事前認定の実施相手保険による自賠責保険への提出を待ちます。
⑤後遺障害等級の結果通知相手保険に結果の通知があり,相手保険から被害者側に知らされます。


【被害者請求の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③申請書類の準備治療期間中の診断書やレセプト,交通事故証明書などの必要書類を取得し,申請書類に必要事項を記載します。
④被害者請求の実施必要書類を自賠責保険会社に提出し,被害者請求を実施します。
⑤後遺障害等級の結果通知申請者である被害者又は代理人に直接通知されます。

事前認定は,後遺障害診断書を相手保険に提出するのみで足りるため,手続が簡便であるというメリットがあります。一方で,自賠責保険に提出される資料は必要不可欠なもののみであるため,認定に有用な資料を追加で提出したい,という場合には適していません。
一方,被害者請求は,後遺障害診断書以外の提出書面も全て積極的に提出する必要があるため,手続負担が大きくなりやすいところです。しかし,提出できる資料は不可欠なものに限られず,判断に際して考慮してほしい資料や内容を任意に提出できるというメリットがあります。

後遺障害等級のうち,検査結果の数値で認定結果が決まる場合には,事前認定か被害者請求かという手段よりもその検査結果が重要になるでしょう。検査結果が認定基準を満たしている限り,どちらの方法でも差し支えないという結論になります。
一方,認定基準が数値だけでは判断できず,複数の事情を総合的に踏まえる必要がある場合,考慮してもらうべき事情を積極的に提出することが有益になり得ます。この点,必要な診断書等以外の資料を積極的に提出したい場合には,被害者請求の方法を取る必要があります。
そのため,数値で判断が可能な内容かどうかによって,事前認定と被害者請求を適宜選択することが有力でしょう。

弁護士依頼のメリット

①必要な対応を弁護士に任せることができる

交通事故被害に遭った場合,主に相手保険との間でやり取りが必要になり,その内容は多岐に渡ることが少なくありません。そのため,ただでさえ被害に遭って心身のダメージを抱えている中,相手保険への対応でさらに疲弊させられてしまうということが生じがちです。
この点,弁護士に依頼をすれば,その後の必要な対応を全て弁護士に任せることが可能です。弁護士に適切な対応をしてもらうことで,不要な負担を感じることなく解決を目指せるでしょう。

②後遺障害等級認定に必要なことが分かる

後遺障害等級認定を目指す場合,その等級認定基準を満たしていると判断してもらうことが必要になります。そうすると,あらかじめ等級認定基準を踏まえた上で,基準を満たす内容の資料を提出する形で申請を試みることが不可欠です。
しかしながら,等級認定基準を正確に把握することは,交通事故分野に精通していない限りは容易でありません。

この点,弁護士に依頼することで,等級認定基準を踏まえた申請の準備を弁護士に検討してもらうことが可能になります。そのため,後遺障害等級認定のために必要な対応が分かり,適切な申請ができるようになるでしょう。

③慰謝料などの増額が期待できる

交通事故の場合,弁護士が交渉を行うことで,慰謝料などの増額ができる場合が非常に多く見られます。これは,保険会社が,弁護士の有無で慰謝料などの賠償額を異にする運用をしているためです。
弁護士に依頼することで,慰謝料をはじめとした損害賠償額の増加が期待できるでしょう。また,後遺障害等級が認定された場合,後遺障害に応じた慰謝料なども発生するため,弁護士による増額の余地はさらに大きくなることが見込まれます。

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【後遺障害5級】認定される類型や内容は?慰謝料などの金額は?

交通事故の被害に遭った際,治療が終了してもなお症状が残ってしまう場合には,後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。後遺障害等級が認定された場合,受領できる慰謝料額などが大きく変わるため,等級の認定基準を把握することは重要です。

自賠責保険では,1級から14級の後遺障害等級が定められており,それぞれに詳細な認定基準が設けられています。ここでは,後遺障害5級の対象となる症状や認定の基準,認定された場合の慰謝料額などを弁護士が解説します。

後遺障害5級の認定基準

5級の認定基準一覧

1号一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になつたもの
2号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
3号胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4号一上肢を手関節以上で失つたもの
5号一下肢を足関節以上で失つたもの
6号一上肢の用を全廃したもの
7号一下肢の用を全廃したもの
8号両足の足指の全部を失つたもの

【1号】一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になつたもの

失明とは以下のいずれかの場合をいいます。

「失明」とは
①眼球を失ったもの
②明暗が分からないもの
③明暗がようやく分かる程度のもの

明暗が分かるかどうかは,以下の2つの能力を基準に判断します。

・光覚弁
→暗室にて,面前でペンライト等の照明を点滅させたとき,明暗が弁別できる能力
・手動弁
→面前で手の平を上下左右にゆっくり動かしたとき,動きの方向を弁別できる能力

また,後遺障害等級の対象とする視力は,矯正視力を指します。そのため,眼鏡やコンタクトレンズなどを着用した状態の視力を基準に判断されます。

【2号】神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

労務に服することはできるものの,脳や神経に対する重大な障害により,ごく軽い業務しか行えない場合を指します。

神経系統の機能や精神への障害の代表例としては,脳の器質的損傷に伴う高次脳機能障害,脳挫傷や脊髄損傷などによる身体性機能障害などが挙げられます。
具体的な認定基準は,障害の具体的な内容によって個別に定められています。

【1.高次脳機能障害】

脳機能の4能力について,

①いずれか1つの能力の大部分が失われている
②いずれか2つ以上の能力の半分程度が失われている

ことを要します。

高次脳機能障害の4能力

①意思疎通能力
→職場などで他人と適切にコミュニケーションできるか

②問題解決能力
→作業課題の指示や要求水準を正しく理解し,適切に判断して円滑に業務遂行できるか

③作業負荷に対する持続力・持久力
→一般的な就労時間に耐えられるか

④社会行動能力
→職場で他人と円滑な共同作業ができるか,社会的行動ができるか

【2.身体性機能障害】

①軽度の四肢麻痺が認められるもの
②中等度の片麻痺が認められるもの
③高度の単麻痺が認められるもの

(四肢麻痺:四肢すべての麻痺)
(片麻痺:左右どちらか半身の麻痺)
(単麻痺:片手又は片足のみの麻痺)

軽度の麻痺とは

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が多少失われ,その基本動作における巧緻性や速度が相当程度損なわれているもの
(例)
・文字を書くことに困難が伴う
・概ね独歩だが,不安定で転倒しやすく,速度も遅い
・障害のある両足の影響で,杖や硬性装具なしには階段を上ることができない

中等度の麻痺とは

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が相当程度失われ,その基本動作にかなりの制限があるもの
(例)
・概ね500グラムのものを持ち上げられない
・文字を書くことができない
・障害のある片足の影響で,杖や硬性装具なしには階段を上ることができない
・杖や硬性装具なしには歩行が困難

高度の麻痺とは

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性がほとんど失われ,基本動作(物を持ち上げて動かす・立つ・歩行するなど)ができないもの
(例)
・完全強直又はこれに近い状態(動かない)
・上肢の三大関節(肩・肘・手)及び5つの手指すべてが自分では動かせない
・下肢の三大関節(股・膝・足)すべてが自分では動かせない
・障害を残した片腕ではものを持ち上げて移動させることができない
・障害を残した片足では,支える力や思うように動かす力がほとんどない

【3.脊髄損傷】

脊髄の症状に伴い,以下のいずれかの状態にある場合

a.軽度の対麻痺が認められるもの
b.1下肢の高度の単麻痺が認められるもの

(対麻痺:両上肢又は両下肢の麻痺)

【4.外傷性てんかん】

1ヶ月に1回以上の発作があり、かつその発作が転倒する発作等(※)であるもの
※転倒する発作:①意識障害の有無を問わず転倒する発作,又は②意識障害を呈し状況にそぐわない行為を示す発作

【5.失調・めまい・平衡機能障害】

著しい失調又は平衡機能障害のために,労働能力が極めて低下し,一般平均人の1/4程度しか残されていないもの

【3号】胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

「胸腹部臓器の機能障害」と呼ばれるものです。胸腹部の臓器に障害が残った結果,労務自体はできるものの特に簡単な軽作業しかできない場合に,5級3号の認定対象となります。

具体的な認定基準は,臓器ごとに定められています。

1.呼吸器

動脈酸素分圧50Torr~60Torrで,動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲内(37Torr~43Torrの間)の場合

2.小腸の障害

a.人工肛門を造設したもののうち,小腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんが生じ,パウチなどの装着ができないもの

b.小腸皮膚瘻を残すもののうち,瘻孔から小腸内容の全部または大部分が漏出し,小腸皮膚瘻周辺に著しいびらんが生じ、パウチなどの装着ができないもの(=パウチなどによる維持管理が困難であるもの)

3.大腸の障害

a.人工肛門を造設したもののうち,大腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんが生じ,パウチなどの装着ができないもの

b.大腸皮膚瘻を残すもののうち,瘻孔から大腸内容の全部または大部分が漏出し,大腸皮膚瘻周辺に著しいびらんが生じ、パウチなどの装着ができないもの(=パウチなどによる維持管理が困難であるもの)

4.尿管,膀胱及び尿道の障害

非尿禁制型尿路変向術を行ったもので,尿が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ,パッド等の装着ができないもの

【4号】一上肢を手関節以上で失つたもの

「上肢を手関節以上失ったもの」とは

以下のいずれかの場合
1.ひじ関節と手関節との間で切断したもの
2.手関節において、橈骨及び尺骨と手根骨とを離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

【5号】一下肢を足関節以上で失つたもの

「下肢を足関節以上で失ったもの」とは

以下のいずれかの場合
1.ひざ関節と足関節との間で切断したもの
2.足関節において、脛骨及び腓骨と距骨とを離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

【6号】一上肢の用を全廃したもの

「上肢の用を全廃したもの」とは,以下の場合を指します。

三大関節(肩関節・肘関節・手関節)の全てが強直(※)している
かつ
手指の全部の用を廃している

※関節が可動性を失い,動かなくなった状態

【7号】一下肢の用を全廃したもの

「下肢の用を全廃したもの」とは,以下の場合を指します。

3大関節(股関節、ひざ関節、及び足関節)の全てが強直(※)した場合
(3大関節が強直したことに加え、足指全部が強直した場合も含まれる)

※「強直」:関節が全く可動しない場合,又はこれに近い状態(※※)である場合
※※「これに近い状態」:自動の可動域が10%以下になった場合

【8号】両足の足指の全部を失つたもの

「足指を失ったもの」とは,足指を中足指節関節から失ったことを指します。つまり,足指をすべて失った場合を指すことになります。

(「障害認定必携」より引用)

後遺障害5級の慰謝料

等級ごとの後遺障害慰謝料

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
1級1150万円2800万円
2級998万円2370万円
3級861万円1990万円
4級737万円1670万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

後遺障害5級の場合,自賠責保険からは618万円の慰謝料が支払われます。また,裁判基準の慰謝料は1400万円となります。

後遺障害5級の逸失利益

後遺障害逸失利益は,以下の計算式で算出されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

このうち,労働能力喪失率は等級ごとに設けられており,等級が上位であるほど喪失率も大きくなります。

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

後遺障害5級の場合は,労働能力喪失率が79%となります。

計算例
年収500万円,40歳,5級認定

計算式
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

=500万円×0.79×18.3270(27年ライプニッツ)
=72,391,650円

後遺障害等級の認定を受ける方法

①手続の方法

認定手続は,加害者の自賠責保険会社に所定の書類を提出する方法で行われますが,被害者側と加害者側のどちらが提出するかによって,大きく二通りの手続があります。

1.事前認定
対人賠償保険(被害者の人身損害を賠償する加害者側の保険)が,自賠責保険会社に提出する際の方法です。自社の賠償額を算定するため,事前に後遺障害等級認定を求める手続のため,事前認定と呼ばれます。

2.被害者請求
被害者側が,対人賠償保険を通さずに自ら自賠責保険会社に提出する際の方法です。
被害者が自ら自賠責保険会社への請求を行うため,被害者請求と呼ばれます。

3.両者の違い
両者の主な違いは,以下の通りです。

項目【事前認定】【被害者請求】
提出する人対人賠償保険被害者自身
提出書面必要書類一式必要書類以外も提出可
提出物の収集保険会社が行う被害者自身が行う

②手続の流れ

後遺障害等級認定の基本的な流れは,以下の通りです。

【事前認定の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③後遺障害診断書の提出相手保険に後遺障害診断書を提出します。
④事前認定の実施相手保険による自賠責保険への提出を待ちます。
⑤後遺障害等級の結果通知相手保険に結果の通知があり,相手保険から被害者側に知らされます。


【被害者請求の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③申請書類の準備治療期間中の診断書やレセプト,交通事故証明書などの必要書類を取得し,申請書類に必要事項を記載します。
④被害者請求の実施必要書類を自賠責保険会社に提出し,被害者請求を実施します。
⑤後遺障害等級の結果通知申請者である被害者又は代理人に直接通知されます。

事前認定は,後遺障害診断書を相手保険に提出するのみで足りるため,手続が簡便であるというメリットがあります。一方で,自賠責保険に提出される資料は必要不可欠なもののみであるため,認定に有用な資料を追加で提出したい,という場合には適していません。
一方,被害者請求は,後遺障害診断書以外の提出書面も全て積極的に提出する必要があるため,手続負担が大きくなりやすいところです。しかし,提出できる資料は不可欠なものに限られず,判断に際して考慮してほしい資料や内容を任意に提出できるというメリットがあります。

後遺障害等級のうち,検査結果の数値で認定結果が決まる場合には,事前認定か被害者請求かという手段よりもその検査結果が重要になるでしょう。検査結果が認定基準を満たしている限り,どちらの方法でも差し支えないという結論になります。
一方,認定基準が数値だけでは判断できず,複数の事情を総合的に踏まえる必要がある場合,考慮してもらうべき事情を積極的に提出することが有益になり得ます。この点,必要な診断書等以外の資料を積極的に提出したい場合には,被害者請求の方法を取る必要があります。
そのため,数値で判断が可能な内容かどうかによって,事前認定と被害者請求を適宜選択することが有力でしょう。

弁護士依頼のメリット

①必要な対応を弁護士に任せることができる

交通事故被害に遭った場合,主に相手保険との間でやり取りが必要になり,その内容は多岐に渡ることが少なくありません。そのため,ただでさえ被害に遭って心身のダメージを抱えている中,相手保険への対応でさらに疲弊させられてしまうということが生じがちです。
この点,弁護士に依頼をすれば,その後の必要な対応を全て弁護士に任せることが可能です。弁護士に適切な対応をしてもらうことで,不要な負担を感じることなく解決を目指せるでしょう。

②後遺障害等級認定に必要なことが分かる

後遺障害等級認定を目指す場合,その等級認定基準を満たしていると判断してもらうことが必要になります。そうすると,あらかじめ等級認定基準を踏まえた上で,基準を満たす内容の資料を提出する形で申請を試みることが不可欠です。
しかしながら,等級認定基準を正確に把握することは,交通事故分野に精通していない限りは容易でありません。

この点,弁護士に依頼することで,等級認定基準を踏まえた申請の準備を弁護士に検討してもらうことが可能になります。そのため,後遺障害等級認定のために必要な対応が分かり,適切な申請ができるようになるでしょう。

③慰謝料などの増額が期待できる

交通事故の場合,弁護士が交渉を行うことで,慰謝料などの増額ができる場合が非常に多く見られます。これは,保険会社が,弁護士の有無で慰謝料などの賠償額を異にする運用をしているためです。
弁護士に依頼することで,慰謝料をはじめとした損害賠償額の増加が期待できるでしょう。また,後遺障害等級が認定された場合,後遺障害に応じた慰謝料なども発生するため,弁護士による増額の余地はさらに大きくなることが見込まれます。

交通事故に強い弁護士をお探しの方へ

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【後遺障害6級】対象となる症状の類型や具体的基準,慰謝料額などを詳細解説

交通事故の被害に遭った際,治療が終了してもなお症状が残ってしまう場合には,後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。後遺障害等級が認定された場合,受領できる慰謝料額などが大きく変わるため,等級の認定基準を把握することは重要です。

自賠責保険では,1級から14級の後遺障害等級が定められており,それぞれに詳細な認定基準が設けられています。ここでは,後遺障害6級の対象となる症状や認定の基準,認定された場合の慰謝料額などを弁護士が解説します。

後遺障害6級の認定基準

6級の認定基準一覧

1号両眼の視力が0.1以下になつたもの
2号咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
3号両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
4号一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
5号脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
6号一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
7号一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
8号一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの

【1号】両眼の視力が0.1以下になつたもの

後遺障害等級の対象とする視力は,矯正視力を指します。そのため,眼鏡やコンタクトレンズなどを着用した状態の視力を基準に判断されます。
両目について矯正視力が0.1以下になった場合,等級認定の対象になります。

【2号】咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの

そしゃく機能と言語機能のどちらかに「著しい障害」を残す場合が該当します。

①そしゃく機能の障害については,以下の点を基準に総合的に判断します。

上下咬合咬合(こうごう かみ合わせの意)のズレなど
排列状態歯並びのズレや不足など
下顎の開閉運動歯をかみしめることができる程度など

これらの判断に当たっては,以下のような点を考慮します。

そしゃく機能の判断要素
・画像所見(他覚的所見)があること
・他覚的所見と対応するそしゃく状況があること

そしゃく状況に関しては,「そしゃく状況報告書」を踏まえた判断が一般的です。そしゃく状況報告書とは,被害者やその家族が,食べられる食材の内容や程度を記載するものです。

そしゃく状況報告表

「そしゃく機能に著しい障害を残すもの」
=粥食又はこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できないもの

②言語機能の障害は,語音(特に子音)の発音にどの程度の制限が生じたかを基準に判断されます。

子音は,以下の4種類に分けることができます。

子音の4種類
①口唇音(ま行音,ぱ行音,ば行音,わ行音,ふ)
②歯舌音(な行音,た行音,だ行音,ら行音,さ行音,しゅ,し,ざ行音,じゅ)
③口蓋音(か行音,が行音,や行音,ひ,にゅ,ぎゅ,ん)
④喉頭音(は行音)

これら4種類の子音それぞれについて,発音不能なものがあるか,何種類あるか,といった点を踏まえ,言語機能の障害の程度を判断します。

「言語の機能に著しい障害を残すもの」
=4種の語音のうち,2種の発音不能のもの又は綴音機能(語音を一定の順序に連結すること)に障害があるため,言語のみを用いては意思を疎通することができないもの

【3号】両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの

具体的な認定基準は以下の通りです。

①両耳の平均純音聴力レベル80dB以上のもの
②両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ最高明瞭度が30%以下のもの

【一耳の聴力ともう一耳の聴力の関係】

一耳の聴力ともう一耳の聴力の関係

【両耳聴力と最高明瞭度の関係】

両耳聴力と最高明瞭度の関係

【4号】一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

具体的な認定基準は以下の通りです。

1耳の平均純音聴力レベルが90dB以上

かつ

他耳の平均純音聴力レベルが70dB以上

【5号】脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの

背骨が基準以上に変形してしまった場合や,首から腰にかけて動かなくなってしまった場合に該当します。

①「脊柱に著しい変形を残すもの」とは

脊柱に著しい変形を残すもの(6級)
1.複数の椎体の圧迫骨折で前方椎体高の合計が後方椎体高の合計より椎体1個分以上低くなっている場合
2.圧迫骨折で前方椎体高の合計が後方椎体高の合計より椎体2分の1個分以上低くなっており、かつ、コブ法による側彎度が50度以上ある場合

②「脊柱に著しい運動障害を残すもの」とは

脊柱に著しい運動障害を残すもの(6級)
次のいずれかにより頚部および胸腰部が強直したもの
①頸椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎圧迫骨折等が存しており,そのことがX線写真等により確認できるもの
②頸椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術が行われたもの
③項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

【6号】一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

上肢の三大関節(肩・肘・手首)のうち二つの関節で用廃となった場合に認定対象となります。

「関節の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.関節が強直したもの
2.関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態(※)にあるもの
3.人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの

※「これに近い状態」とは,自動の可動域が10%程度以下になった場合を指します。
(例)健側の可動域が150度の場合,患側の可動域が15度以下であれば関節の用廃となる

関節可動域は,関節ごとに定められる主要運動の測定値を比較します。
上肢の三大関節の主要運動は,以下の通りです。

関節主要運動参考可動域角度
肩関節①屈曲(前方拳上)180度
肩関節②外転(側方拳上)180度
肘関節屈曲・伸展(※)145度・5度(合計150度)
手関節屈曲(掌屈)・伸展(背屈)(※)90度・70度(合計160度)
※肘関節と手関節は,「屈曲+伸展」の合計値を比較

なお,左右いずれも可動域制限が生じている場合,参考可動域との比較を行います。

肩関節の運動

肘関節の運動

関節の運動には,主要運動のほかに参考運動があります。
可動域制限を判断する場合に参考運動を用いるのは,主要運動の可動域が基準をわずかに(=機能障害は5度,著しい機能障害は10度)上回る場合とされます。

関節参考運動参考可動域角度
肩関節①伸展(後方拳上)50度
肩関節②外旋・内旋60度・80度(合計140度)
手関節①橈屈25度
手関節②尺屈55度
橈屈と尺屈

【7号】一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

下肢の三大関節(股・膝・足首)のうち二つの関節で用廃となった場合に認定対象となります。

「関節の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.関節が強直したもの
2.関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態(※)にあるもの
3.人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの

※「これに近い状態」とは,自動の可動域が10%程度以下になった場合を指します。
(例)健側の可動域が150度の場合,患側の可動域が15度以下であれば関節の用廃となる

関節可動域は,関節ごとに定められる主要運動の測定値を比較します。
下肢の三大関節の主要運動は,以下の通りです。

関節主要運動参考可動域角度
股関節①屈曲・伸展125度・15度(合計140度)
股関節②外転・内転145度・20度(合計65度)
ひざ関節屈曲・伸展130度・0度(合計130度)
足関節屈曲(底屈)・伸展(背屈)45度・20度(合計65度)
「屈曲+伸展」「外転+内転」の合計値を比較

なお,左右いずれも可動域制限が生じている場合,参考可動域との比較を行います。

股関節の主要運動

足関節の主要運動

関節の運動には,主要運動のほかに参考運動があります。
可動域制限を判断する場合に参考運動を用いるのは,主要運動の可動域が基準をわずかに(=機能障害は5度,著しい機能障害は10度)上回る場合とされます。

関節参考運動参考可動域角度
股関節外旋・内旋45度・45度(合計90度)

【8号】一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの

「手指を失ったもの」とは,以下の場合を指します。

1.手指を中手骨又は基節骨で切断したもの
2.親指については指節間関節、それ以外の指については近位指節間関節において、基節骨と中節骨が離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

後遺障害6級の慰謝料

等級ごとの後遺障害慰謝料

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
1級1150万円2800万円
2級998万円2370万円
3級861万円1990万円
4級737万円1670万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

後遺障害6級の場合,自賠責保険からは512万円の慰謝料が支払われます。また,裁判基準の慰謝料は1180万円となります。

後遺障害6級の逸失利益

後遺障害逸失利益は,以下の計算式で算出されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

このうち,労働能力喪失率は等級ごとに設けられており,等級が上位であるほど喪失率も大きくなります。

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

後遺障害6級の場合は,労働能力喪失率が67%となります。

計算例
年収500万円,40歳,6級認定

計算式
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

=500万円×0.67×18.3270(27年ライプニッツ)
=61,395,450円

後遺障害等級の認定を受ける方法

①手続の方法

認定手続は,加害者の自賠責保険会社に所定の書類を提出する方法で行われますが,被害者側と加害者側のどちらが提出するかによって,大きく二通りの手続があります。

1.事前認定
対人賠償保険(被害者の人身損害を賠償する加害者側の保険)が,自賠責保険会社に提出する際の方法です。自社の賠償額を算定するため,事前に後遺障害等級認定を求める手続のため,事前認定と呼ばれます。

2.被害者請求
被害者側が,対人賠償保険を通さずに自ら自賠責保険会社に提出する際の方法です。
被害者が自ら自賠責保険会社への請求を行うため,被害者請求と呼ばれます。

3.両者の違い
両者の主な違いは,以下の通りです。

項目【事前認定】【被害者請求】
提出する人対人賠償保険被害者自身
提出書面必要書類一式必要書類以外も提出可
提出物の収集保険会社が行う被害者自身が行う

②手続の流れ

後遺障害等級認定の基本的な流れは,以下の通りです。

【事前認定の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③後遺障害診断書の提出相手保険に後遺障害診断書を提出します。
④事前認定の実施相手保険による自賠責保険への提出を待ちます。
⑤後遺障害等級の結果通知相手保険に結果の通知があり,相手保険から被害者側に知らされます。


【被害者請求の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③申請書類の準備治療期間中の診断書やレセプト,交通事故証明書などの必要書類を取得し,申請書類に必要事項を記載します。
④被害者請求の実施必要書類を自賠責保険会社に提出し,被害者請求を実施します。
⑤後遺障害等級の結果通知申請者である被害者又は代理人に直接通知されます。

事前認定は,後遺障害診断書を相手保険に提出するのみで足りるため,手続が簡便であるというメリットがあります。一方で,自賠責保険に提出される資料は必要不可欠なもののみであるため,認定に有用な資料を追加で提出したい,という場合には適していません。
一方,被害者請求は,後遺障害診断書以外の提出書面も全て積極的に提出する必要があるため,手続負担が大きくなりやすいところです。しかし,提出できる資料は不可欠なものに限られず,判断に際して考慮してほしい資料や内容を任意に提出できるというメリットがあります。

後遺障害等級のうち,検査結果の数値で認定結果が決まる場合には,事前認定か被害者請求かという手段よりもその検査結果が重要になるでしょう。検査結果が認定基準を満たしている限り,どちらの方法でも差し支えないという結論になります。
一方,認定基準が数値だけでは判断できず,複数の事情を総合的に踏まえる必要がある場合,考慮してもらうべき事情を積極的に提出することが有益になり得ます。この点,必要な診断書等以外の資料を積極的に提出したい場合には,被害者請求の方法を取る必要があります。
そのため,数値で判断が可能な内容かどうかによって,事前認定と被害者請求を適宜選択することが有力でしょう。

弁護士依頼のメリット

①必要な対応を弁護士に任せることができる

交通事故被害に遭った場合,主に相手保険との間でやり取りが必要になり,その内容は多岐に渡ることが少なくありません。そのため,ただでさえ被害に遭って心身のダメージを抱えている中,相手保険への対応でさらに疲弊させられてしまうということが生じがちです。
この点,弁護士に依頼をすれば,その後の必要な対応を全て弁護士に任せることが可能です。弁護士に適切な対応をしてもらうことで,不要な負担を感じることなく解決を目指せるでしょう。

②後遺障害等級認定に必要なことが分かる

後遺障害等級認定を目指す場合,その等級認定基準を満たしていると判断してもらうことが必要になります。そうすると,あらかじめ等級認定基準を踏まえた上で,基準を満たす内容の資料を提出する形で申請を試みることが不可欠です。
しかしながら,等級認定基準を正確に把握することは,交通事故分野に精通していない限りは容易でありません。

この点,弁護士に依頼することで,等級認定基準を踏まえた申請の準備を弁護士に検討してもらうことが可能になります。そのため,後遺障害等級認定のために必要な対応が分かり,適切な申請ができるようになるでしょう。

③慰謝料などの増額が期待できる

交通事故の場合,弁護士が交渉を行うことで,慰謝料などの増額ができる場合が非常に多く見られます。これは,保険会社が,弁護士の有無で慰謝料などの賠償額を異にする運用をしているためです。
弁護士に依頼することで,慰謝料をはじめとした損害賠償額の増加が期待できるでしょう。また,後遺障害等級が認定された場合,後遺障害に応じた慰謝料なども発生するため,弁護士による増額の余地はさらに大きくなることが見込まれます。

交通事故に強い弁護士をお探しの方へ

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【後遺障害7級】等級認定基準の具体的な内容を詳細に解説

交通事故の被害に遭った際,治療が終了してもなお症状が残ってしまう場合には,後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。後遺障害等級が認定された場合,受領できる慰謝料額などが大きく変わるため,等級の認定基準を把握することは重要です。

自賠責保険では,1級から14級の後遺障害等級が定められており,それぞれに詳細な認定基準が設けられています。ここでは,後遺障害7級の対象となる症状や認定の基準,認定された場合の慰謝料額などを弁護士が解説します。

後遺障害7級の認定基準

7級の認定基準一覧

1号一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になつたもの
2号両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
3号一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
4号神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
5号胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
6号一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの
7号一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
8号一足をリスフラン関節以上で失つたもの
9号一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
10号一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
11号両足の足指の全部の用を廃したもの
12号外貌に著しい醜状を残すもの
13号両側の睾丸を失つたもの

【1号】一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になつたもの

失明とは以下のいずれかの場合をいいます。

「失明」とは
①眼球を失ったもの
②明暗が分からないもの
③明暗がようやく分かる程度のもの

明暗が分かるかどうかは,以下の2つの能力を基準に判断します。

・光覚弁
→暗室にて,面前でペンライト等の照明を点滅させたとき,明暗が弁別できる能力
・手動弁
→面前で手の平を上下左右にゆっくり動かしたとき,動きの方向を弁別できる能力

また,後遺障害等級の対象とする視力は,矯正視力を指します。そのため,眼鏡やコンタクトレンズなどを着用した状態の視力を基準に判断されます。

【2号】両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

具体的な認定基準は以下の通りです。

①両耳の平均純音聴力レベルが70dB以上のもの
②両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ、最高明瞭度が50%以下のもの

【一耳の聴力ともう一耳の聴力の関係】

一耳の聴力ともう一耳の聴力の関係

【両耳聴力と最高明瞭度の関係】

両耳聴力と最高明瞭度の関係

【3号】一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

具体的な認定基準は以下の通りです。

1耳の平均純音聴力レベルが90dB以上

かつ

他耳の平均純音聴力レベルが60dB以上

【4号】神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

労務に服することはできるが,他の人と同様にはできず,簡単な労務しか行えない場合を指します。

神経系統の機能や精神への障害の代表例としては,脳の器質的損傷に伴う高次脳機能障害,脳挫傷や脊髄損傷などによる身体性機能障害などが挙げられます。
具体的な認定基準は,障害の具体的な内容によって個別に定められています。

【1.高次脳機能障害】

脳機能の4能力について,

①いずれか1つの能力の半分程度が失われている
②いずれか2つ以上の能力の相当程度が失われている

ことを要します。

高次脳機能障害の4能力

①意思疎通能力
→職場などで他人と適切にコミュニケーションできるか

②問題解決能力
→作業課題の指示や要求水準を正しく理解し,適切に判断して円滑に業務遂行できるか

③作業負荷に対する持続力・持久力
→一般的な就労時間に耐えられるか

④社会行動能力
→職場で他人と円滑な共同作業ができるか,社会的行動ができるか

【2.身体性機能障害】

①軽度の片麻痺が認められるもの
②中等度の単麻痺が認められるもの

(片麻痺:左右どちらか半身の麻痺)
(単麻痺:片手又は片足のみの麻痺)

軽度の麻痺とは

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が多少失われ,その基本動作における巧緻性や速度が相当程度損なわれているもの
(例)
・文字を書くことに困難が伴う
・概ね独歩だが,不安定で転倒しやすく,速度も遅い
・障害のある両足の影響で,杖や硬性装具なしには階段を上ることができない

中等度の麻痺とは

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が相当程度失われ,その基本動作にかなりの制限があるもの
(例)
・概ね500グラムのものを持ち上げられない
・文字を書くことができない
・障害のある片足の影響で,杖や硬性装具なしには階段を上ることができない
・杖や硬性装具なしには歩行が困難

【3.脊髄損傷】

脊髄の症状に伴い,1下肢に中等度の単麻痺が認められるもの

【4.外傷性てんかん】

転倒する発作等(※)が数ヶ月に1回以上あるもの又は転倒する発作等以外の発作が1ヶ月に1回以上あるもの
※転倒する発作:①意識障害の有無を問わず転倒する発作,又は②意識障害を呈し状況にそぐわない行為を示す発作

【5.失調・めまい・平衡機能障害】

中等度の失調又は平衡機能障害のために,労働能力が一般平均人の1/2以下程度に明らかに低下しているもの

【5号】胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

「胸腹部臓器の機能障害」と呼ばれるものです。胸腹部の臓器に障害が残った結果,労務自体はできるものの軽作業程度に限られる場合に,7級5号の認定対象となります。

具体的な認定基準は,臓器ごとに定められています。

1.呼吸器

a.動脈酸素分圧60Torr~70Torrで,動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲外(37Torr~43Torrの間にない)の場合
b.スパイロメトリーの結果が%1秒量35以下又は%肺活量40以下で,中等度の呼吸困難がある場合
c.スパイロメトリーの結果が%1秒量35~55又は%肺活量40~60で,高度または中等度の呼吸困難がある場合

呼吸困難の程度に関する判断基準

高度呼吸困難のため、連続しておおむね100m以上歩けないもの
中等度呼吸困難のため、平地でさえ健常者と同じように歩けないが、自分のペースでなら1km程度の歩行ができるもの
軽度呼吸困難のため、健常者と同じようには階段の昇降ができないもの

2.循環器

除細動器を植え込んだもの

3.胃の障害

消化吸収障害、ダンピング症候群、胃切除術後逆流性食道炎のいずれもが認められるもの

「消化吸収障害」とは

以下のいずれかに該当するもの
1.胃の全部を亡失したこと
2.噴門部または幽門部を含む胃の一部を亡失し、低体重等(※)が認められること
(※)①BMI20以下又は②事故前からBMI20以下の場合は体重が10%以上減少

「ダンピング症候群」とは

以下のいずれにも該当するもの
1.胃の全部または幽門部を含む胃の一部を亡失した
2.早期ダンピング症候群に起因する症状(※)または晩期ダンピング症候群に起因する症状(※※)が認められること
(※)食後30分以内に出現するめまい,起立不能等
(※※)食後2時間後から3時間後に出現する全身脱力感,めまい等

「胃切除術後逆流性食道炎」とは

以下のいずれにも該当するもの
1.胃の全部又は噴門部を含む胃の一部を亡失したこと
2.胃切除術後逆流性食道炎に起因する自覚症状(胸焼け,胸痛,嚥下困難等)があること
3.内視鏡検査により食道にの胃切除術後逆流性食道炎に起因する所見(びらん,潰瘍等)が認められること

4.小腸の障害

a.人工肛門を造設したもの
(小腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんが生じ,パウチなどの装着ができない場合を除く)

b.小腸皮膚瘻を残し,瘻孔から小腸内容の全部または大部分が漏出するもの
(パウチなどによる維持管理が困難である場合を除く)

c.小腸皮膚瘻を残し,瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね1日100ミリリットル以上で,パウチなどによる維持管理が困難であるもの
(パウチなどによる維持管理が困難でない場合は9級11号)

5.大腸の障害

a.人工肛門を造設したもの
(大腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんが生じ,パウチなどの装着ができない場合を除く)

b.大腸皮膚瘻を残し,瘻孔から大腸内容の全部または大部分が漏出するもの
(パウチなどによる維持管理が困難である場合を除く)

c.大腸皮膚瘻を残し,瘻孔から漏出する大腸内容がおおむね1日100ミリリットル以上で,パウチなどによる維持管理が困難であるもの
(パウチなどによる維持管理が困難でない場合は9級11号)

d.完全便失禁を残すもの
(完全便失禁: 肛門括約筋の機能が全部失われ,便の貯留機能が喪失した状態)

6.腎臓の障害

一側の腎臓を失い,GFR値が30ml/分を超え50ml/分以下のもの

GFR値
→腎臓が血液をろ過して尿を作った量の値

7.尿管,膀胱及び尿道の障害

a.非尿禁制型尿路変向術を行ったもの
(尿が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ,パッド等の装着ができないものを除く)

b.禁制型尿リザボアの術式を行ったもの

c.持続性尿失禁を残すもの

d.切迫性尿失禁および腹圧性尿失禁のため,終日パッド等を装着し,かつパッドをしばしば交換しなければならないもの
(パッドの交換までは要しない場合は9級11号)

【6号】一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの

「手指を失ったもの」とは,以下の場合を指します。

1.手指を中手骨又は基節骨で切断したもの
2.親指については指節間関節、それ以外の指については近位指節間関節において、基節骨と中節骨が離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

【7号】一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの

「手指の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
2.中手指節関節又は近位指節間関節(親指については指節間関節)の可動域が1/2以下に制限されるもの
3.親指について、橈側外転又は掌側外転のいずれかの可動域が1/2以下に制限されるもの
4.手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚完全に脱失したもの

「5本の手指」又は「親指を含む4本の指」について用廃となった場合,8級4号の認定対象となります。

【8号】一足をリスフラン関節以上で失つたもの

「リスフラン関節以上で失ったもの」

以下のいずれかの場合
1.足根骨(腓骨、距骨、舟状骨、立方骨及び3個の楔状骨)において切断したもの
2.リスフラン関節において中足骨と足根骨とを離団したもの

(「障害認定必携」より引用)

【9号】一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

偽関節とは,骨折した部位が変形癒合し,関節でない部分が曲がって関節のようになってしまった状態を指します。関節のようだが関節ではない,ニセの関節というべきものです。

「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは,以下のいずれかに該当する場合を指します。

1.上腕骨の骨幹部又は骨幹端部にゆ合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの
2.橈骨及び尺骨の骨幹部又は骨幹端部にゆ合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの

【10号】一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは,以下のいずれかに該当する場合を指します。

1.上腕骨の骨幹部又は骨幹端部にゆ合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの
2.脛骨及び腓骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残し,常に硬性補装具を必要とするもの
3.脛骨の骨幹部等にゆ合不全を残し,常に硬性補装具を必要とするもの

【11号】両足の足指の全部の用を廃したもの

「足指の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.親指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
2.親指以外の足指について、中節骨又は基節骨で切断したもの
3.親指以外の足指について、遠位指節間関節又は近位指節間関節で離断したもの
4.親指の中足指節間関節又は指節間関節の可動域が1/2以下に制限されるもの
5.親指以外の足指の中足指節間関節又は近位指節間関節の可動域が1/2以下に制限されるもの

(「障害認定必携」より引用)

【12号】外貌に著しい醜状を残すもの

醜状障害と呼ばれるものです。
醜状障害は,人の目につく人体の露出面に,目立つ傷跡が残った場合の後遺障害をいいます。醜状の具体的な内容としては,瘢痕や線状痕,組織の陥没,色素沈着による変色などが挙げられます。

7級12号は外貌の醜状障害に関するものですが,外貌とは,頭部・顔面部・頸部の各部位を指します。それぞれの部位について,認定基準は以下のとおり定められています。

7級12号「外貌に著しい醜状を残すもの」

部位基準
頭部手のひら大(指の部分を含まず)以上の瘢痕又は頭蓋骨の手のひら大以上の欠損
顔面部鶏卵大面以上の瘢痕、又は10円銅貨代以上の組織陥没
頚部手のひら大以上の瘢痕

なお,瘢痕の大きさや線状痕の長さを確認する際には,以下の点に注意を要します。

①人目につくことが必要
→眉や髪で隠れる部分は醜状として扱われません。また,アゴの下で正面から見えない部分も対象外となります。これらの部分を除いた長さや面積を計測します。

②2つ以上の傷跡がある場合の判断方法
→複数の傷跡は,それらが一体となっている場合,一体となっている面積や長さを合算した数値で等級が判断されます。

③事故時に生じたものでない醜状の取り扱い
→治療中に生じた手術痕や,やけど等の治療後に生じた色素沈着なども,醜状障害の対象に含まれます。

【13号】両側の睾丸を失つたもの

両側の睾丸を失った結果,生殖機能を喪失した場合,7級13号の認定対象になります。

以下の場合には,7級13号が準用されます。

1.睾丸が残っているが,常態として精液中に精子が存在しない場合
2.女性が両側の卵巣を失った場合
3.卵巣が残っているが,常態として卵子が形成されない場合

後遺障害7級の慰謝料

等級ごとの後遺障害慰謝料

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
1級1150万円2800万円
2級998万円2370万円
3級861万円1990万円
4級737万円1670万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

後遺障害7級の場合,自賠責保険からは419万円の慰謝料が支払われます。また,裁判基準の慰謝料は1000万円となります。

後遺障害7級の逸失利益

後遺障害逸失利益は,以下の計算式で算出されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

このうち,労働能力喪失率は等級ごとに設けられており,等級が上位であるほど喪失率も大きくなります。

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

後遺障害7級の場合は,労働能力喪失率が56%となります。

計算例
年収500万円,40歳,7級認定

計算式
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

=500万円×0.56×18.3270(27年ライプニッツ)
=51,315,600円

後遺障害等級の認定を受ける方法

①手続の方法

認定手続は,加害者の自賠責保険会社に所定の書類を提出する方法で行われますが,被害者側と加害者側のどちらが提出するかによって,大きく二通りの手続があります。

1.事前認定
対人賠償保険(被害者の人身損害を賠償する加害者側の保険)が,自賠責保険会社に提出する際の方法です。自社の賠償額を算定するため,事前に後遺障害等級認定を求める手続のため,事前認定と呼ばれます。

2.被害者請求
被害者側が,対人賠償保険を通さずに自ら自賠責保険会社に提出する際の方法です。
被害者が自ら自賠責保険会社への請求を行うため,被害者請求と呼ばれます。

3.両者の違い
両者の主な違いは,以下の通りです。

項目【事前認定】【被害者請求】
提出する人対人賠償保険被害者自身
提出書面必要書類一式必要書類以外も提出可
提出物の収集保険会社が行う被害者自身が行う

②手続の流れ

後遺障害等級認定の基本的な流れは,以下の通りです。

【事前認定の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③後遺障害診断書の提出相手保険に後遺障害診断書を提出します。
④事前認定の実施相手保険による自賠責保険への提出を待ちます。
⑤後遺障害等級の結果通知相手保険に結果の通知があり,相手保険から被害者側に知らされます。


【被害者請求の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③申請書類の準備治療期間中の診断書やレセプト,交通事故証明書などの必要書類を取得し,申請書類に必要事項を記載します。
④被害者請求の実施必要書類を自賠責保険会社に提出し,被害者請求を実施します。
⑤後遺障害等級の結果通知申請者である被害者又は代理人に直接通知されます。

事前認定は,後遺障害診断書を相手保険に提出するのみで足りるため,手続が簡便であるというメリットがあります。一方で,自賠責保険に提出される資料は必要不可欠なもののみであるため,認定に有用な資料を追加で提出したい,という場合には適していません。
一方,被害者請求は,後遺障害診断書以外の提出書面も全て積極的に提出する必要があるため,手続負担が大きくなりやすいところです。しかし,提出できる資料は不可欠なものに限られず,判断に際して考慮してほしい資料や内容を任意に提出できるというメリットがあります。

後遺障害等級のうち,検査結果の数値で認定結果が決まる場合には,事前認定か被害者請求かという手段よりもその検査結果が重要になるでしょう。検査結果が認定基準を満たしている限り,どちらの方法でも差し支えないという結論になります。
一方,認定基準が数値だけでは判断できず,複数の事情を総合的に踏まえる必要がある場合,考慮してもらうべき事情を積極的に提出することが有益になり得ます。この点,必要な診断書等以外の資料を積極的に提出したい場合には,被害者請求の方法を取る必要があります。
そのため,数値で判断が可能な内容かどうかによって,事前認定と被害者請求を適宜選択することが有力でしょう。

弁護士依頼のメリット

①必要な対応を弁護士に任せることができる

交通事故被害に遭った場合,主に相手保険との間でやり取りが必要になり,その内容は多岐に渡ることが少なくありません。そのため,ただでさえ被害に遭って心身のダメージを抱えている中,相手保険への対応でさらに疲弊させられてしまうということが生じがちです。
この点,弁護士に依頼をすれば,その後の必要な対応を全て弁護士に任せることが可能です。弁護士に適切な対応をしてもらうことで,不要な負担を感じることなく解決を目指せるでしょう。

②後遺障害等級認定に必要なことが分かる

後遺障害等級認定を目指す場合,その等級認定基準を満たしていると判断してもらうことが必要になります。そうすると,あらかじめ等級認定基準を踏まえた上で,基準を満たす内容の資料を提出する形で申請を試みることが不可欠です。
しかしながら,等級認定基準を正確に把握することは,交通事故分野に精通していない限りは容易でありません。

この点,弁護士に依頼することで,等級認定基準を踏まえた申請の準備を弁護士に検討してもらうことが可能になります。そのため,後遺障害等級認定のために必要な対応が分かり,適切な申請ができるようになるでしょう。

③慰謝料などの増額が期待できる

交通事故の場合,弁護士が交渉を行うことで,慰謝料などの増額ができる場合が非常に多く見られます。これは,保険会社が,弁護士の有無で慰謝料などの賠償額を異にする運用をしているためです。
弁護士に依頼することで,慰謝料をはじめとした損害賠償額の増加が期待できるでしょう。また,後遺障害等級が認定された場合,後遺障害に応じた慰謝料なども発生するため,弁護士による増額の余地はさらに大きくなることが見込まれます。

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【後遺障害8級】対象となる各部位の症状は?認定された場合の慰謝料額は?

交通事故の被害に遭った際,治療が終了してもなお症状が残ってしまう場合には,後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。後遺障害等級が認定された場合,受領できる慰謝料額などが大きく変わるため,等級の認定基準を把握することは重要です。

自賠責保険では,1級から14級の後遺障害等級が定められており,それぞれに詳細な認定基準が設けられています。ここでは,後遺障害8級の対象となる症状や認定の基準,認定された場合の慰謝料額などを弁護士が解説します。

後遺障害8級の認定基準

8級の認定基準一覧

1号一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になつたもの
2号脊柱に運動障害を残すもの
3号一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの
4号一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
5号一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
6号一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
7号一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
8号一上肢に偽関節を残すもの
9号一下肢に偽関節を残すもの
10号一足の足指の全部を失つたもの

【1号】一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になつたもの

失明とは以下のいずれかの場合をいいます。

「失明」とは
①眼球を失ったもの
②明暗が分からないもの
③明暗がようやく分かる程度のもの

明暗が分かるかどうかは,以下の2つの能力を基準に判断します。

・光覚弁
→暗室にて,面前でペンライト等の照明を点滅させたとき,明暗が弁別できる能力
・手動弁
→面前で手の平を上下左右にゆっくり動かしたとき,動きの方向を弁別できる能力

また,後遺障害等級の対象とする視力は,矯正視力を指します。そのため,眼鏡やコンタクトレンズなどを着用した状態の視力を基準に判断されます。

【2号】脊柱に運動障害を残すもの

具体的基準

脊柱に運動障害を残すもの(8級)
1.次のいずれかにより頚部または胸腰部の可動域が参考可動域角度の1/2以下に制限されたもの
①頚椎又は胸腰椎に脊椎圧迫骨折等が存しており,そのことがX線写真等により確認できるもの
②頚椎又は胸腰椎に脊椎固定術が行われたもの
③項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

2.頭蓋から上位頚髄間(頭蓋骨・首の骨・背中の骨)にかけて著しい異常可動性がある場合

【3号】一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの

「手指を失ったもの」とは,以下の場合を指します。

1.手指を中手骨又は基節骨で切断したもの
2.親指については指節間関節、それ以外の指については近位指節間関節において、基節骨と中節骨が離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

【4号】一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの

「手指の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
2.中手指節関節又は近位指節間関節(親指については指節間関節)の可動域が1/2以下に制限されるもの
3.親指について、橈側外転又は掌側外転のいずれかの可動域が1/2以下に制限されるもの
4.手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚完全に脱失したもの

「親指を含む3本の指」又は「親指以外の4本の指」について用廃となった場合,8級4号の認定対象となります。

【5号】一下肢を五センチメートル以上短縮したもの

下肢の短縮は,上前腸骨棘と下腿内果下端の間の長さを健側の下肢と比較して等級認定を行います。

下肢の短縮

【6号】一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

「関節の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.関節が強直したもの
2.関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態(※)にあるもの
3.人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの

※「これに近い状態」とは,自動の可動域が10%程度以下になった場合を指します。
(例)健側の可動域が150度の場合,患側の可動域が15度以下であれば関節の用廃となる

関節可動域は,関節ごとに定められる主要運動の測定値を比較します。
上肢の三大関節の主要運動は,以下の通りです。

関節主要運動参考可動域角度
肩関節①屈曲(前方拳上)180度
肩関節②外転(側方拳上)180度
肘関節屈曲・伸展(※)145度・5度(合計150度)
手関節屈曲(掌屈)・伸展(背屈)(※)90度・70度(合計160度)
※肘関節と手関節は,「屈曲+伸展」の合計値を比較

なお,左右いずれも可動域制限が生じている場合,参考可動域との比較を行います。

肩関節の運動

肘関節の運動

関節の運動には,主要運動のほかに参考運動があります。
可動域制限を判断する場合に参考運動を用いるのは,主要運動の可動域が基準をわずかに(=機能障害は5度,著しい機能障害は10度)上回る場合とされます。

関節参考運動参考可動域角度
肩関節①伸展(後方拳上)50度
肩関節②外旋・内旋60度・80度(合計140度)
手関節①橈屈25度
手関節②尺屈55度
橈屈と尺屈

【7号】一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

「関節の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.関節が強直したもの
2.関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態(※)にあるもの
3.人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの

※「これに近い状態」とは,自動の可動域が10%程度以下になった場合を指します。
(例)健側の可動域が150度の場合,患側の可動域が15度以下であれば関節の用廃となる

関節可動域は,関節ごとに定められる主要運動の測定値を比較します。
下肢の三大関節の主要運動は,以下の通りです。

関節主要運動参考可動域角度
股関節①屈曲・伸展125度・15度(合計140度)
股関節②外転・内転145度・20度(合計65度)
ひざ関節屈曲・伸展130度・0度(合計130度)
足関節屈曲(底屈)・伸展(背屈)45度・20度(合計65度)
「屈曲+伸展」「外転+内転」の合計値を比較

なお,左右いずれも可動域制限が生じている場合,参考可動域との比較を行います。

股関節の主要運動

足関節の主要運動

関節の運動には,主要運動のほかに参考運動があります。
可動域制限を判断する場合に参考運動を用いるのは,主要運動の可動域が基準をわずかに(=機能障害は5度,著しい機能障害は10度)上回る場合とされます。

関節参考運動参考可動域角度
股関節外旋・内旋45度・45度(合計90度)

【8号】一上肢に偽関節を残すもの

偽関節とは,骨折した部位が変形癒合し,関節でない部分が曲がって関節のようになってしまった状態を指します。関節のようだが関節ではない,ニセの関節というべきものです。

「偽関節を残すもの」とは,以下のいずれかに該当する場合を指します。

1.上腕骨の骨幹部等にゆ合不全を残すが硬性補装具を必要とはしないもの
2.橈骨及び尺骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残すが硬性補装具を必要とはしないもの
3.橈骨または尺骨のいずれか一方の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、時々硬性補装具を必要とするもの

【9号】一下肢に偽関節を残すもの

「偽関節を残すもの」とは,以下のいずれかに該当する場合を指します。

1.大腿骨の骨幹部等にゆ合不全を残すが硬性補装具を必要とはしないもの
2.脛骨及び腓骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残すが硬性補装具を必要とはしないもの
3.脛骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、時々硬性補装具を必要とするもの

【10号】一足の足指の全部を失つたもの

「足指を失ったもの」とは,足指を中足指節関節から失ったことを指します。つまり,足指をすべて失った場合を指すことになります。

(「障害認定必携」より引用)

足指の全部について,付け根から先のすべてを失った場合,等級認定の対象となります。

後遺障害8級の慰謝料

等級ごとの後遺障害慰謝料

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
1級1150万円2800万円
2級998万円2370万円
3級861万円1990万円
4級737万円1670万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

後遺障害8級の場合,自賠責保険からは331万円の慰謝料が支払われます。また,裁判基準の慰謝料は830万円となります。

後遺障害8級の逸失利益

後遺障害逸失利益は,以下の計算式で算出されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

このうち,労働能力喪失率は等級ごとに設けられており,等級が上位であるほど喪失率も大きくなります。

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

後遺障害8級の場合は,労働能力喪失率が45%となります。

計算例
年収500万円,40歳,8級認定

計算式
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

=500万円×0.45×18.3270(27年ライプニッツ)
=41,235,750円

後遺障害等級の認定を受ける方法

①手続の方法

認定手続は,加害者の自賠責保険会社に所定の書類を提出する方法で行われますが,被害者側と加害者側のどちらが提出するかによって,大きく二通りの手続があります。

1.事前認定
対人賠償保険(被害者の人身損害を賠償する加害者側の保険)が,自賠責保険会社に提出する際の方法です。自社の賠償額を算定するため,事前に後遺障害等級認定を求める手続のため,事前認定と呼ばれます。

2.被害者請求
被害者側が,対人賠償保険を通さずに自ら自賠責保険会社に提出する際の方法です。
被害者が自ら自賠責保険会社への請求を行うため,被害者請求と呼ばれます。

3.両者の違い
両者の主な違いは,以下の通りです。

項目【事前認定】【被害者請求】
提出する人対人賠償保険被害者自身
提出書面必要書類一式必要書類以外も提出可
提出物の収集保険会社が行う被害者自身が行う

②手続の流れ

後遺障害等級認定の基本的な流れは,以下の通りです。

【事前認定の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③後遺障害診断書の提出相手保険に後遺障害診断書を提出します。
④事前認定の実施相手保険による自賠責保険への提出を待ちます。
⑤後遺障害等級の結果通知相手保険に結果の通知があり,相手保険から被害者側に知らされます。


【被害者請求の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③申請書類の準備治療期間中の診断書やレセプト,交通事故証明書などの必要書類を取得し,申請書類に必要事項を記載します。
④被害者請求の実施必要書類を自賠責保険会社に提出し,被害者請求を実施します。
⑤後遺障害等級の結果通知申請者である被害者又は代理人に直接通知されます。

事前認定は,後遺障害診断書を相手保険に提出するのみで足りるため,手続が簡便であるというメリットがあります。一方で,自賠責保険に提出される資料は必要不可欠なもののみであるため,認定に有用な資料を追加で提出したい,という場合には適していません。
一方,被害者請求は,後遺障害診断書以外の提出書面も全て積極的に提出する必要があるため,手続負担が大きくなりやすいところです。しかし,提出できる資料は不可欠なものに限られず,判断に際して考慮してほしい資料や内容を任意に提出できるというメリットがあります。

後遺障害等級のうち,検査結果の数値で認定結果が決まる場合には,事前認定か被害者請求かという手段よりもその検査結果が重要になるでしょう。検査結果が認定基準を満たしている限り,どちらの方法でも差し支えないという結論になります。
一方,認定基準が数値だけでは判断できず,複数の事情を総合的に踏まえる必要がある場合,考慮してもらうべき事情を積極的に提出することが有益になり得ます。この点,必要な診断書等以外の資料を積極的に提出したい場合には,被害者請求の方法を取る必要があります。
そのため,数値で判断が可能な内容かどうかによって,事前認定と被害者請求を適宜選択することが有力でしょう。

弁護士依頼のメリット

①必要な対応を弁護士に任せることができる

交通事故被害に遭った場合,主に相手保険との間でやり取りが必要になり,その内容は多岐に渡ることが少なくありません。そのため,ただでさえ被害に遭って心身のダメージを抱えている中,相手保険への対応でさらに疲弊させられてしまうということが生じがちです。
この点,弁護士に依頼をすれば,その後の必要な対応を全て弁護士に任せることが可能です。弁護士に適切な対応をしてもらうことで,不要な負担を感じることなく解決を目指せるでしょう。

②後遺障害等級認定に必要なことが分かる

後遺障害等級認定を目指す場合,その等級認定基準を満たしていると判断してもらうことが必要になります。そうすると,あらかじめ等級認定基準を踏まえた上で,基準を満たす内容の資料を提出する形で申請を試みることが不可欠です。
しかしながら,等級認定基準を正確に把握することは,交通事故分野に精通していない限りは容易でありません。

この点,弁護士に依頼することで,等級認定基準を踏まえた申請の準備を弁護士に検討してもらうことが可能になります。そのため,後遺障害等級認定のために必要な対応が分かり,適切な申請ができるようになるでしょう。

③慰謝料などの増額が期待できる

交通事故の場合,弁護士が交渉を行うことで,慰謝料などの増額ができる場合が非常に多く見られます。これは,保険会社が,弁護士の有無で慰謝料などの賠償額を異にする運用をしているためです。
弁護士に依頼することで,慰謝料をはじめとした損害賠償額の増加が期待できるでしょう。また,後遺障害等級が認定された場合,後遺障害に応じた慰謝料なども発生するため,弁護士による増額の余地はさらに大きくなることが見込まれます。

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【後遺障害9級】具体的な認定対象や補償金額の計算方法を徹底解説

交通事故の被害に遭った際,治療が終了してもなお症状が残ってしまう場合には,後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。後遺障害等級が認定された場合,受領できる慰謝料額などが大きく変わるため,等級の認定基準を把握することは重要です。

自賠責保険では,1級から14級の後遺障害等級が定められており,それぞれに詳細な認定基準が設けられています。ここでは,後遺障害9級の対象となる症状や認定の基準,認定された場合の慰謝料額などを弁護士が解説します。

後遺障害9級の認定基準

9級の認定基準一覧

1号両眼の視力が0.6以下になつたもの
2号一眼の視力が0.06以下になつたもの
3号両眼に半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの
4号両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
5号鼻を欠損し,その機能に著しい障害を残すもの
6号咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
7号両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
8号一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり,他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
9号一耳の聴力を全く失つたもの
10号神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
11号胸腹部臓器の機能に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12号一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの
13号一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
14号一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
15号一足の足指の全部の用を廃したもの
16号外貌に相当程度の醜状を残すもの
17号生殖器に著しい障害を残すもの

【1号】両眼の視力が0.6以下になつたもの

後遺障害等級の対象とする視力は,矯正視力を指します。そのため,眼鏡やコンタクトレンズなどを着用した状態の視力を基準に判断されます。

両眼の矯正視力が0.6以下になった場合,認定対象となります。

【2号】一眼の視力が0.06以下になつたもの

同じく矯正視力を基準に判断されます。
一眼の矯正視力が0.06以下になった場合,認定対象となります。

【3号】両眼に半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの

「半盲症」とは

「半盲症」とは
視野の右半分又は左半分が欠損し,見えなくなってしまう症状をいいます。以下のような種類があります。
同側半盲:両眼の同じ側で半盲が生じる場合
異名半盲:両眼のそれぞれ反対側で半盲が生じる場合

また,視野の上半分または下半分が欠損する場合もあり,「水平半盲」といいます。

「視野狭窄」とは

「視野狭窄」とは
視野が狭くなる症状をいいます。以下のような種類があります。
同心性狭窄:中心部分ははっきり見えるが,周辺部分が見えない
不規則狭窄:視野の一部分が規則性のない形で狭くなる

「視野変状」とは

「視野変状」とは
半盲症や視野狭窄のほか,視野に異常が生じることをいいます。具体的には以下の内容があります。
暗転:視野の中に暗くて見えない部分が生じるもの
視野欠損:視野の一部が見えなくなる状態

【4号】両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

「まぶたに著しい欠損を残すもの」とは
まぶたを閉じた場合に角膜(眼球の色がある部分を覆う膜)を完全に覆えない程度のもの

まぶたが欠損した結果,両目について閉じたときに角膜が完全に覆われない状態となった場合,9級4号の認定対象になります。

【5号】鼻を欠損し,その機能に著しい障害を残すもの

「鼻を欠損し」たとは,以下の場合を指します。

「鼻を欠損し」たとは
鼻軟骨部の全部又は大部分の欠損をしたこと

鼻は,上部に鼻骨と呼ばれる骨であり,鼻骨の下に軟骨部があります。軟骨部は,一般的に鼻と呼ぶ三角錐の形に隆起した部位を指すものと理解して差し支えないでしょう。
したがって,鼻の三角錐形の部分が全部又は大部分欠損した場合に,欠損障害に該当し得ることになります。

著しい機能障害とは

鼻呼吸困難,または嗅覚脱失をいいます。

嗅覚の障害については,「嗅覚脱失」と「嗅覚減退」が挙げられますが,これらは「T&Tオルファクトメータ」(嗅覚測定用の基準臭)による検査で認知域値(においを判別・表現できる最低濃度)を測定し,判定されます。具体的な基準は以下の通りです。

「嗅覚脱失」認知域値5.6以上
「嗅覚減退」認知域値2.6以上5.5以下

鼻呼吸困難,または嗅覚脱失をいいます。

嗅覚の障害については,「嗅覚脱失」と「嗅覚減退」が挙げられますが,これらは「T&Tオルファクトメータ」(嗅覚測定用の基準臭)による検査で認知域値(においを判別・表現できる最低濃度)を測定し,判定されます。具体的な基準は以下の通りです。

「嗅覚脱失」認知域値5.6以上
「嗅覚減退」認知域値2.6以上5.5以下

このうち,著しい機能障害に位置付けられるのは「嗅覚脱失」となります。

【6号】咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの

そしゃく機能と言語機能の両方に障害を残す場合が該当します。

①そしゃく機能の障害については,以下の点を基準に総合的に判断します。

上下咬合咬合(こうごう かみ合わせの意)のズレなど
排列状態歯並びのズレや不足など
下顎の開閉運動歯をかみしめることができる程度など

これらの判断に当たっては,以下のような点を考慮します。

そしゃく機能の判断要素
・画像所見(他覚的所見)があること
・他覚的所見と対応するそしゃく状況があること

そしゃく状況に関しては,「そしゃく状況報告書」を踏まえた判断が一般的です。そしゃく状況報告書とは,被害者やその家族が,食べられる食材の内容や程度を記載するものです。

そしゃく状況報告表

「そしゃく機能に障害を残すもの」
=以下のいずれかの場合
①固形食物の中にそしゃくができないものがあること(※)
②そしゃくが十分にできないものがあり,そのことが医学的に確認できる場合(※※)

(※)ごはん,煮魚,ハム等はそしゃくできるが,たくあん,らっきょう,ピーナッツ等の一定の固さの食物中にそしゃくできないものがあるなど
(※※)不正咬合,顎関節の障害,開口障害など,そしゃくできないものがあることの原因が医学的に確認できる場合

②言語機能の障害は,語音(特に子音)の発音にどの程度の制限が生じたかを基準に判断されます。

子音は,以下の4種類に分けることができます。

子音の4種類
①口唇音(ま行音,ぱ行音,ば行音,わ行音,ふ)
②歯舌音(な行音,た行音,だ行音,ら行音,さ行音,しゅ,し,ざ行音,じゅ)
③口蓋音(か行音,が行音,や行音,ひ,にゅ,ぎゅ,ん)
④喉頭音(は行音)

これら4種類の子音それぞれについて,発音不能なものがあるか,何種類あるか,といった点を踏まえ,言語機能の障害の程度を判断します。

「言語の機能に障害を残すもの」
=4種の語音のうち,1種の発音不能のもの

【7号】両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

具体的な認定基準は以下の通りです。

①両耳の平均純音聴力レベルが60dB以上のもの
②両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり,かつ,最高明瞭度が70%以下のもの

【一耳の聴力ともう一耳の聴力の関係】

一耳の聴力ともう一耳の聴力の関係

【両耳聴力と最高明瞭度の関係】

両耳聴力と最高明瞭度の関係

【8号】一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり,他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの

具体的な認定基準は以下の通りです。

1耳の平均純音聴力レベルが80dB以上(=耳に接しなければ大声を解することができない程度)

かつ

他耳の平均純音聴力レベルが50dB以上(一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度)

【9号】一耳の聴力を全く失つたもの

「一耳の聴力を全く失つた」とは,片耳の平均純音聴力レベルが90dB以上の状態であることをいいます。
片耳の聴力がこの状態にまで低下した場合,9級9号の認定対象になります。

【10号】神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

通常の労務に服することはできるが,社会通念上,就労可能な職種が相当程度に制約されるものを指します。

神経系統の機能や精神への障害の代表例としては,脳の器質的損傷に伴う高次脳機能障害,脳挫傷や脊髄損傷などによる身体性機能障害,脳の器質的損傷を伴わない非器質性精神障害などが挙げられます。
具体的な認定基準は,傷害の具体的な内容によって個別に定められています。

【1.高次脳機能障害】

脳機能の4能力のいずれか1つが相当程度失われていることを要します。

高次脳機能障害の4能力

①意思疎通能力
→職場などで他人と適切にコミュニケーションできるか

②問題解決能力
→作業課題の指示や要求水準を正しく理解し,適切に判断して円滑に業務遂行できるか

③作業負荷に対する持続力・持久力
→一般的な就労時間に耐えられるか

④社会行動能力
→職場で他人と円滑な共同作業ができるか,社会的行動ができるか

【2.身体性機能障害】

軽度の単麻痺が認められるもの
(単麻痺:片手又は片足のみの麻痺)

【3.非器質性精神障害】

非器質性精神障害の精神症状としては,以下のようなものが挙げられます。

精神症状

①抑うつ状態
②不安の状態
③意欲低下の状態
④慢性化した幻覚・妄想性の状態
⑤記憶又は知的能力の障害

これらの精神症状については,以下の「a」又は「b」のいずれかに該当するときに認定対象となります。

a.就労している者又は就労の意欲のある者であって,以下の判断項目のうち②~⑧のいずれか1つの能力が失われているもの又は判断項目の4つ以上についてしばしば助言・援助が必要と判断されるもの

判断項目
①身辺日常生活
②仕事・生活に積極性・関心を持つこと
③通勤・勤務時間の遵守
④普通に作業を持続すること
⑤他人との意思疎通
⑥対人関係・協調性
⑦身辺の安全保持,危機の回避
⑧困難・失敗への対応

b.就労意欲の低下又は欠落により就労していない者であって,身辺日常生活について時に助言・援助を必要とする程度の障害が残存しているもの

【4.外傷性てんかん】

数ヶ月に1回以上の発作が転倒する発作等(※)以外の発作であるもの又は服薬継続によりてんかん発作がほぼ完全に抑制されているもの
※転倒する発作:①意識障害の有無を問わず転倒する発作,又は②意識障害を呈し状況にそぐわない行為を示す発作

【5.頭痛】

通常の労務に服することはできるが,激しい頭痛により,時には労働に従事することができなくなる場合があるため,就労可能な職種が相当程度に制約されるもの

【6.失調・めまい・平衡機能障害】

通常の労務に服することはできるが,めまいの自覚症状が強く,かつ,眼振その他平衡機能検査に明らかな異常所見が認められ,就労可能な職種が相当程度に制約されるもの

【7.疼痛性感覚異常(RSD・カウザルギー)】

通常の労務に服することはできるが,疼痛により時には労働に従事することができなくなるため,就労可能な職種が相当程度に制約されるもの

【11号】胸腹部臓器の機能に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

「胸腹部臓器の機能障害」と呼ばれるものです。胸腹部の臓器に障害が残った結果,労務自体はできるもののかなりの制限が生じる場合に,9級11号の認定対象となります。

具体的な認定基準は,臓器ごとに定められています。

1.呼吸器

動脈酸素分圧60Torr~70Torrで,動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲内(37Torr~43Torrの間)の場合

2.循環器

a.心機能の低下による運動耐容能の低下が中程度であるもの

「運動耐容能」とは
=運動の負荷に耐えることのできる能力をいい,どの程度の運動強度に耐えられるかによって区別をします。
運動・作業強度の指標には「METs」(メッツ)という単位を用い,この値が大きいほど運動強度が大きいものとなります。

「運動耐容能の低下が中程度であるもの」とは(9級)
=おおむね6METs(メッツ)を超える強度の身体活動が制限されるもの
(例)
平地を健康な人と同じ速度で歩くのは差し支えないものの、平地を急いで歩く、平地を健康な人と同じ程度で階段を上るという身体活動が制限されるもの

b.ペースメーカーを植え込んだもの

c.人工弁に置換する手術を行った場合で,継続的に抗凝血薬療法を行うもの

3.食道の障害

食道の狭さくによる通過障害を残すもの

以下のいずれにも該当する場合を指します。

「食道の狭さくによる通過障害を残すもの」とは
1.通過障害の自覚症状があること
2.消化管造影検査により,食道の狭さくによる造影剤のうっ滞が認められること

4.胃の障害

消化吸収障害及びダンピング症候群が認められるもの

消化吸収障害及び胃切除術後逆流性食道炎が認められるもの

「消化吸収障害」とは

以下のいずれかに該当するもの
1.胃の全部を亡失したこと
2.噴門部または幽門部を含む胃の一部を亡失し、低体重等(※)が認められること
(※)①BMI20以下又は②事故前からBMI20以下の場合は体重が10%以上減少

「ダンピング症候群」とは

以下のいずれにも該当するもの
1.胃の全部または幽門部を含む胃の一部を亡失した
2.早期ダンピング症候群に起因する症状(※)または晩期ダンピング症候群に起因する症状(※※)が認められること
(※)食後30分以内に出現するめまい,起立不能等
(※※)食後2時間後から3時間後に出現する全身脱力感,めまい等

「胃切除術後逆流性食道炎」とは

以下のいずれにも該当するもの
1.胃の全部又は噴門部を含む胃の一部を亡失したこと
2.胃切除術後逆流性食道炎に起因する自覚症状(胸焼け,胸痛,嚥下困難等)があること
3.内視鏡検査により食道にの胃切除術後逆流性食道炎に起因する所見(びらん,潰瘍等)が認められること

5.小腸の障害

a.小腸を大量に切除し,残存する空腸および回腸の長さが100センチメートル以下となったもの

b.小腸皮膚瘻を残すもののうち,瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね1日100ミリリットル以上であるもの
(パウチなどによる維持管理が困難であるものを除く)

6.大腸の障害

a.大腸皮膚瘻を残すもののうち,瘻孔から漏出する大腸内容がおおむね1日100ミリリットル以上であるもの
(パウチなどによる維持管理が困難であるものを除く)

b.便秘を残し,用手摘便を要すると認められるもの

便秘とは

=次のいずれにも該当するもの
1.排便反射を支配する神経の損傷がMRIやCTなどにより確認できること
2.排便回数が週2回以下の頻度であって,恒常的に硬便であると認められること

c.便失禁を残し,常時おむつの装着が必要であるもの
(完全便失禁を残す場合を除く)

7.肝臓の障害

肝硬変
(ウイルスの持続感染が認められ,かつ,AST・ALTが持続的に低値であるものに限る)

8.すい臓の障害

外分泌機能の障害と内分泌機能の障害の両方が認められるもの

外分泌機能:膵液(消化液)を腸に送り出す機能
「外分泌機能の障害」とは

次のいずれにも該当するもの
1.上腹部痛,脂肪便,頻回の下痢などの外分泌機能の低下による症状が認められること
2.BT-PABA(PFD)試験で異常低値(70%未満)を示すこと
3.ふん便中キモトリプシン活性で異常低値(24U/g未満)を示すこと
4.アミラーゼまたはエラスターゼの異常低値を認めるもの

内分泌機能:ホルモンを血液中に送り出す機能
「内分泌機能の障害」とは

次のいずれにも該当するもの
1.異なる日に行った経口糖負荷試験で境界型または糖尿病型であることが2回以上確認されること
2.空腹時血漿中のC-ペプチド(CPR)が0.5ng/ml以下(インスリン異常低値)であること
3.Ⅱ型糖尿病に該当しないこと

9.腹部臓器周辺のヘルニア

常時ヘルニア内容の脱出・膨隆が認められるもの

立位をしたときにヘルニア内容の脱出・膨隆が認められるもの

腹壁瘢痕ヘルニア,腹壁ヘルニア,鼠径ヘルニア又は内ヘルニアを残す場合に認定対象となります。もっとも,手術を行うことが通常であり,通常は多くは手術によりヘルニア内容の脱出は認めなくなることから,手術を試みたものの完治できない場合などが対象となります。

10.腎臓の障害

a.一側の腎臓を失い,GFR値が50ml/分を超え70ml/分以下のもの
b.腎臓を失っておらず,GFR値が30ml/分を超え50ml/分以下のもの

11.尿管,膀胱及び尿道の障害

a.尿路変向術を行ったもの
→尿禁制型尿路変向術(禁制型尿リザボアおよび外尿道口形成術を除く)を行ったもの

b.排尿障害を残すもの
→膀胱の機能障害により残尿が100ミリリットル以上であるもの

c.畜尿障害を残すもの
→切迫性尿失禁および腹圧性尿失禁のため,常時パッド等を装着しなければならないが、パッドの交換までは要しないもの

【12号】一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの

「手指を失ったもの」とは,以下の場合を指します。

1.手指を中手骨又は基節骨で切断したもの
2.親指については指節間関節、それ以外の指については近位指節間関節において、基節骨と中節骨が離断したもの

(「障害認定必携」より引用)

【13号】一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの

「手指の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
2.中手指節関節又は近位指節間関節(親指については指節間関節)の可動域が1/2以下に制限されるもの
3.親指について、橈側外転又は掌側外転のいずれかの可動域が1/2以下に制限されるもの
4.手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚完全に脱失したもの

「親指を含む2本の指」又は「親指以外の3本の指」について用廃となった場合,9級13号の認定対象となります。

【14号】一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの

「足指を失ったもの」とは,足指を中足指節関節から失ったことを指します。つまり,足指をすべて失った場合を指すことになります。

(「障害認定必携」より引用)

足の「親指を含む2本の指」について,付け根から先のすべてを失った場合,等級認定の対象となります。

【15号】一足の足指の全部の用を廃したもの

「足指の用を廃したもの」とは,以下のいずれかの場合を指します。

1.親指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
2.親指以外の足指について、中節骨又は基節骨で切断したもの
3.親指以外の足指について、遠位指節間関節又は近位指節間関節で離断したもの
4.親指の中足指節間関節又は指節間関節の可動域が1/2以下に制限されるもの
5.親指以外の足指の中足指節間関節又は近位指節間関節の可動域が1/2以下に制限されるもの

【16号】外貌に相当程度の醜状を残すもの

醜状障害と呼ばれるものです。
醜状障害は,人の目につく人体の露出面に,目立つ傷跡が残った場合の後遺障害をいいます。醜状の具体的な内容としては,瘢痕や線状痕,組織の陥没,色素沈着による変色などが挙げられます。

9級16号は外貌の醜状障害に関するものですが,外貌とは,頭部・顔面部・頸部の各部位を指します。それぞれの部位について,認定基準は以下のとおり定められています。

9級16号「外貌に相当程度の醜状を残すもの」

部位基準
顔面部5cm以上の線状痕で、人目につく程度のもの

なお,瘢痕の大きさや線状痕の長さを確認する際には,以下の点に注意を要します。

①人目につくことが必要
→眉や髪で隠れる部分は醜状として扱われません。また,アゴの下で正面から見えない部分も対象外となります。これらの部分を除いた長さや面積を計測します。

②2つ以上の傷跡がある場合の判断方法
→複数の傷跡は,それらが一体となっている場合,一体となっている面積や長さを合算した数値で等級が判断されます。

③事故時に生じたものでない醜状の取り扱い
→治療中に生じた手術痕や,やけど等の治療後に生じた色素沈着なども,醜状障害の対象に含まれます。

【17号】生殖器に著しい障害を残すもの

具体的な認定基準は以下の通りです。

【男性】
 陰茎の大部分を欠損したもの
 勃起障害を残すもの
 射精障害を残すもの
【女性】
 膣口狭さくを残すもの
 両側の卵巣に閉塞・癒着を残すもの(※)
 頸管に閉塞を残すもの(※)
 子宮を失ったもの(※)

(※)画像所見により認められるものに限る

「陰茎の大部分を欠損したもの」とは

陰茎を膣に挿入することができないと認められるもの

「勃起障害を残すもの」とは

以下のいずれかに該当するもの
1.夜間睡眠時に十分な勃起が認められないことがリジスキャンによる夜間陰茎勃起検査により証明されること
2.支配神経の損傷など,勃起障害の原因となりうる所見が,神経系検査か血管系検査のいずれかにより認められること

「射精障害を残すもの」とは

次のいずれかに該当するもの
1.尿道または射精管が断裂していること
2.両側の下腹神経の断裂により当該神経の機能が失われていること
3.膀胱頚部の機能が失われていること

「膣口狭さくを残すもの」とは

陰茎を膣に挿入することができないと認められるもの

後遺障害9級の慰謝料

等級ごとの後遺障害慰謝料

後遺障害等級【自賠責基準】【裁判基準】
1級1150万円2800万円
2級998万円2370万円
3級861万円1990万円
4級737万円1670万円
5級618万円1400万円
6級512万円1180万円
7級419万円1000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

後遺障害9級の場合,自賠責保険からは249万円の慰謝料が支払われます。また,裁判基準の慰謝料は690万円となります。

後遺障害9級の逸失利益

後遺障害逸失利益は,以下の計算式で算出されます。

後遺障害逸失利益
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

このうち,労働能力喪失率は等級ごとに設けられており,等級が上位であるほど喪失率も大きくなります。

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

後遺障害9級の場合は,労働能力喪失率が35%となります。

計算例
年収500万円,40歳,9級認定

計算式
=「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

=500万円×0.35×18.3270(27年ライプニッツ)
=32,072,250円

後遺障害等級の認定を受ける方法

①手続の方法

認定手続は,加害者の自賠責保険会社に所定の書類を提出する方法で行われますが,被害者側と加害者側のどちらが提出するかによって,大きく二通りの手続があります。

1.事前認定
対人賠償保険(被害者の人身損害を賠償する加害者側の保険)が,自賠責保険会社に提出する際の方法です。自社の賠償額を算定するため,事前に後遺障害等級認定を求める手続のため,事前認定と呼ばれます。

2.被害者請求
被害者側が,対人賠償保険を通さずに自ら自賠責保険会社に提出する際の方法です。
被害者が自ら自賠責保険会社への請求を行うため,被害者請求と呼ばれます。

3.両者の違い
両者の主な違いは,以下の通りです。

項目【事前認定】【被害者請求】
提出する人対人賠償保険被害者自身
提出書面必要書類一式必要書類以外も提出可
提出物の収集保険会社が行う被害者自身が行う

②手続の流れ

後遺障害等級認定の基本的な流れは,以下の通りです。

【事前認定の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③後遺障害診断書の提出相手保険に後遺障害診断書を提出します。
④事前認定の実施相手保険による自賠責保険への提出を待ちます。
⑤後遺障害等級の結果通知相手保険に結果の通知があり,相手保険から被害者側に知らされます。


【被害者請求の場合】

①症状固定の判断医師の診断などで症状固定時期に至ったことを確認します。
②後遺障害診断書の作成主治医の先生へ,後遺障害診断書の作成を依頼します。所定の書式があるため,書式を持参の上で医師の診察や検査を受けるのが一般的です。
③申請書類の準備治療期間中の診断書やレセプト,交通事故証明書などの必要書類を取得し,申請書類に必要事項を記載します。
④被害者請求の実施必要書類を自賠責保険会社に提出し,被害者請求を実施します。
⑤後遺障害等級の結果通知申請者である被害者又は代理人に直接通知されます。

事前認定は,後遺障害診断書を相手保険に提出するのみで足りるため,手続が簡便であるというメリットがあります。一方で,自賠責保険に提出される資料は必要不可欠なもののみであるため,認定に有用な資料を追加で提出したい,という場合には適していません。
一方,被害者請求は,後遺障害診断書以外の提出書面も全て積極的に提出する必要があるため,手続負担が大きくなりやすいところです。しかし,提出できる資料は不可欠なものに限られず,判断に際して考慮してほしい資料や内容を任意に提出できるというメリットがあります。

後遺障害等級のうち,検査結果の数値で認定結果が決まる場合には,事前認定か被害者請求かという手段よりもその検査結果が重要になるでしょう。検査結果が認定基準を満たしている限り,どちらの方法でも差し支えないという結論になります。
一方,認定基準が数値だけでは判断できず,複数の事情を総合的に踏まえる必要がある場合,考慮してもらうべき事情を積極的に提出することが有益になり得ます。この点,必要な診断書等以外の資料を積極的に提出したい場合には,被害者請求の方法を取る必要があります。
そのため,数値で判断が可能な内容かどうかによって,事前認定と被害者請求を適宜選択することが有力でしょう。

弁護士依頼のメリット

①必要な対応を弁護士に任せることができる

交通事故被害に遭った場合,主に相手保険との間でやり取りが必要になり,その内容は多岐に渡ることが少なくありません。そのため,ただでさえ被害に遭って心身のダメージを抱えている中,相手保険への対応でさらに疲弊させられてしまうということが生じがちです。
この点,弁護士に依頼をすれば,その後の必要な対応を全て弁護士に任せることが可能です。弁護士に適切な対応をしてもらうことで,不要な負担を感じることなく解決を目指せるでしょう。

②後遺障害等級認定に必要なことが分かる

後遺障害等級認定を目指す場合,その等級認定基準を満たしていると判断してもらうことが必要になります。そうすると,あらかじめ等級認定基準を踏まえた上で,基準を満たす内容の資料を提出する形で申請を試みることが不可欠です。
しかしながら,等級認定基準を正確に把握することは,交通事故分野に精通していない限りは容易でありません。

この点,弁護士に依頼することで,等級認定基準を踏まえた申請の準備を弁護士に検討してもらうことが可能になります。そのため,後遺障害等級認定のために必要な対応が分かり,適切な申請ができるようになるでしょう。

③慰謝料などの増額が期待できる

交通事故の場合,弁護士が交渉を行うことで,慰謝料などの増額ができる場合が非常に多く見られます。これは,保険会社が,弁護士の有無で慰謝料などの賠償額を異にする運用をしているためです。
弁護士に依頼することで,慰謝料をはじめとした損害賠償額の増加が期待できるでしょう。また,後遺障害等級が認定された場合,後遺障害に応じた慰謝料なども発生するため,弁護士による増額の余地はさらに大きくなることが見込まれます。

交通事故に強い弁護士をお探しの方へ

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