公然わいせつ事件で自首が望ましいケースの特徴と自首の具体的方法

このページでは,公然わいせつ事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

公然わいせつ事件で自首をするべき場合

①現行犯で問題になっている場合

自首をするべきケースの代表例は,事件が発覚しており,かつ被疑者の特定が可能と見込まれる場合と言えます。事件が発覚していれば,自首が事件発覚の原因となる可能性はありませんし,被疑者の特定が可能と見込まれるならば,特定される前に自首をする利益が大きくなりやすいでしょう。

公然わいせつ事件では,事件が発覚しているかどうか,被疑者の特定が可能かどうか,という点が事件の内容によって様々に異なります。その中でも,現行犯でトラブルになっていたり,周辺で大きな問題になっていたりするケースは,事件の発覚や被疑者の特定につながりやすいと言えます。そのため,現行犯で問題になった事件は,自首をするメリットが大きく,自首をするべき状況である場合が多いでしょう。

また,現行犯で問題になっているかどうかが判断しづらい場合には,明らかに目撃者がいる事件かどうか,という基準で判断することが有力です。特定の目撃者がいる場合,特にその目撃者に向けてわいせつ行為がなされている場合には,事件の発覚や被疑者の特定に結びつきやすいため,自首が有力な選択肢となります。

ポイント
現行犯で問題になった場合,事件の発覚や被疑者の特定が見込まれやすい
明らかに目撃者がいる事件かを基準に判断することが有力

②周囲への発覚を防ぎたい場合

公然わいせつ事件の場合,実際の刑事処分と同程度以上に,その事件が発覚した事実が周囲に知れることの不利益が非常に大きい傾向にあります。事件の内容自体が非常に不名誉であることが多く,その後に緩やかな刑事処分になったとしても,名誉や信頼関係への悪影響を修復することが困難になりやすいためです。

この点,周囲への発覚を防ぎつつ刑事手続を進めてもらうための有力な手段が,自首です。自首を行った場合,捜査機関から周囲の関係者に事件の内容が伝わる可能性は極めて低くなりやすい上,捜査の方法も,周囲への発覚防止に配慮した形を取ってもらえる可能性が非常に高くなります。
自ら警察の捜査を求めることになっても,なお周囲への発覚防止を優先したい等の事情がある場合には,迅速な自首が一案です。

ポイント
自首をした場合,周囲への発覚防止に向けた捜査機関の配慮が得られやすい

③目撃者との示談交渉が困難な場合

公然わいせつ事件は,特定の目撃者がいる場合,その目撃者との示談によって処分の軽減を図ることが有力な手段となります。実質的な被害者である目撃者が,わいせつ行為を許すとの意向を表明している場合,刑事処分をそれに応じて軽減したりなくなったりすることが通常でしょう。

もっとも,目撃者が特に見知った相手であったり,店舗の従業員であったりと,目撃者を特定する手掛かりがある場合を除いては,目撃者を特定し,示談交渉を試みることは容易ではありません。そのため,目撃者と事前に示談を行い,捜査や処罰を予防する方法が取れるケースは多くないでしょう。

このように,目撃者との示談によって早期解決を目指すことが困難な場合,刑事手続上の不利益を防ぐための他の手段として有力なものが,自首です。逆に,示談ができない状況下で刑事処分の軽減を目指す具体的な方法は,自首以外にないと言ってもよいでしょう。
自首は,予め示談を試みることができない場合に特に有効なアクションということができます。

ポイント
目撃者を自分で特定して示談交渉できるケースは少ない
示談が困難な場合,自首が唯一の積極策となりやすい

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

公然わいせつ事件の自首は弁護士に依頼すべきか

公然わいせつ事件で自首を検討する場合には,弁護士に依頼し,弁護士の専門的な見解を踏まえて行動することが適切です。実際の行動も,弁護士に主導してもらうことが望ましいでしょう。

弁護士に依頼することで,具体的には以下のようなメリットが見込まれます。

①犯罪に当たるかどうかが分かる

公然わいせつ事件の場合,自分では公然わいせつ罪に当たるか判断が難しいケースも少なくありません。特に,特徴的な要件である「公然性」があるかどうか,という点は,過去の先例なども踏まえた専門的な判断が適切なポイントと言えます。

例えば,自宅の中などの閉じられた環境で行っていた場合,夜間など,目を凝らしても視認することが困難であった場合,目撃者が積極的に覗き込んで初めて目撃できた場合など,「公然と」わいせつ行為をしたと言えるかはが判断しづらいケースは多く見られます。

自首は,大きな負担を伴う行動であるため,犯罪に当たる行為をしてしまった場合にのみ行うことが適切です。そのため,不要な不利益を回避するためにも,公然わいせつ罪に当たるかどうかを弁護士の専門的な見地から判断してもらうことが適切でしょう。

②自首の意思や内容を適切に表明できる

自首を行う場合,捜査機関に連絡を取ってその意向を表明することが必要ですが,捜査機関側が積極的に配慮して意図を汲んでくれるわけではないため,自分がどのような事件についてどのようなことをしたいと思っているかは,自ら整理した上で伝えなければなりません。
もっとも,逮捕の権限を持つ警察を相手に,非常に不名誉で後ろめたい犯罪行為の話をするのは,決して容易なことではありません。うまく内容を伝えられなかったり,思わず言い逃れのような表現になってしまったりしても,やむを得ないところがあります。

この点,弁護士に依頼することで,自首をしたいという意思や対象となる事件の内容等を,弁護士がしっかりと整理した形で捜査機関に伝えてくれます。また,警察等との必要なやり取りの多くを弁護士が代わりに行ってくれるため,心理的・身体的な負担も大きく軽減することにつながるでしょう。

③逮捕や報道の回避につながりやすい

自首の大きな目的は,逮捕の回避であることが通常です。逮捕の回避ができなければ,自首をする意味の大部分が失われてしまう,ということが多いでしょう。
また,事件が報道の対象となることを防ぐ,という点も自首の大きな目的の一つになりやすいものです。多くの場合,逮捕した事件の一部が報道の対象になる,という運用のため,報道の回避は逮捕の回避とイコールになりやすいですが,万一逮捕された事件でも,報道されるかどうかはその後の動きによる場合があります。

この点,弁護士が主導して自首を進めることで,逮捕を回避できる可能性はより高くなることが通常です。報道の回避も,同様に弁護士が窓口となって対応することで,実現できる可能性が大きく高まります。
大きな負担やリスクを背負って自首をする以上,その効果を最大限に発揮するため,弁護士と協同して行うことをお勧めします。

④自首後の流れが分かる

自首によって,捜査機関は事件の発生や被疑者の存在を把握します。そして,自首をきっかけに捜査が開始され,刑事手続が進行していくこととなります。
そのため,自首を行うにあたっては,必ずその後の手続の流れとセットで事前の想定をしておくことが必要です。自首後の流れの中で,そのような対応を取るか,ということは,自首の効果を損なわないためにも不可欠の検討事項と言えます。

この点,弁護士に依頼することで,自首後の手続の流れやその中で自分が行うべきことを具体的に把握できます。あわせて,せっかく行った自首を活かすための対応方法,方針なども弁護士に判断してもらうことができるため,自首後の流れにも安心して対応していくことができるでしょう。

公然わいせつ事件で自首をする場合の注意点

①捜査のきっかけを招く可能性

公然わいせつ事件は,事件が発生したからといっても必ず捜査されているわけではありません。目撃者がいなかったり,目撃者がいても特に警察に通報などしていなかったりすれば,現実的に捜査が始まるきっかけが生じず,捜査がなされないことも考えられます。
これは,特定の被害者が存在しない公然わいせつ事件の特徴の一つとも言えるでしょう。

この点,捜査が開始していないにもかかわらず,捜査が行われていると誤解して自首をした場合,自首が捜査のきっかけとなってしまい,自首しなければ受けなかったであろう捜査を受ける結果となる恐れがあります。自首は,このようなやぶ蛇のリスクを抱えて行うほかない動きであることには注意が必要です。

②刑事手続の初期段階であること

自首は,刑事事件に関する手続の出発点です。被害届や第三者の告発などと同じく,自首によって捜査が開始される,という性質の行動といえます。
そのため,自首をすること自体が重大な行為であることは間違いありませんが,自首をしたから一段落,ではないことには注意が必要です。

自首後にも応じなければならない手続が多数あります。自首によってゴールに達したわけではなく,自首によってスタートを切った,というイメージが適切でしょう。

③不起訴が約束されるわけでないこと

自首は,刑事処分の軽減を大きな目的として行うものであり,刑事処分が最大限に軽減された結果が不起訴処分です。刑事事件は,起訴されれば刑罰を受け(=前科が付き),不起訴となれば刑罰を受けない(=前科が付かない)という結果になるため,起訴か不起訴かが決定的な分岐点となります。

もっとも,自首を行ったからといって必ずしも不起訴になるわけではなく,自首した事件でも起訴されて前科が付く結果になる可能性はあります。自首という軽減の材料はあるものの,それ以外の有利な事情がないと不起訴とまではできない,というケースがあり得るのです。公然わいせつ事件の場合では,目撃者が特定できず,目撃者の許しを獲得する手段がない場合などが代表例でしょう。

自首を行う場合には,不起訴を目指す有力な手段ではあるものの,不起訴が約束されるわけではない,という点に十分な注意をしておきましょう。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【公然わいせつ事件での呼び出し】呼び出しの目的や適切な対応方法を状況別に解説

このページでは,公然わいせつ事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
公然わいせつ事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

公然わいせつ事件で呼び出された場合の対応法

①現行犯で取り締まりを受けた事件

公然わいせつ事件は,現場でトラブルになった場合など,現行犯で取り締まりを受けることも少なくありません。その場合,その場ではとりあえず事態の収拾を優先し,後に呼び出しを行って話を聞く,という流れが一定数見られるところです。

現行犯で取り締まりを受けたケースでは,捜査機関は事件当時,現場で確認した内容を踏まえてその後の呼び出しや取調べを行います。そのため,呼び出しを受けた際には,事件当時の状況や,当日取り締まりを受けたときの話と矛盾しないように留意するのが出発点となるでしょう。
捜査機関が現認した状況と整合しない話をしてしまうと,自分の発言が信用できないとの評価につながりやすく,刑事処分への悪影響が強く懸念されます。また,事件直後の自分の発言と矛盾する発言をしてしまうのも,同様に信用できないとの判断を招く恐れがあるでしょう。

ただし,以前の発言が誤っていたため訂正をする,というのは問題ありません。その場合は,誤っていた内容と訂正したい内容を明確にし,可能であれば誤っていた原因も明らかにすることが望ましいでしょう。
理由や内容が合理的な訂正であれば,刑事処分への悪影響は考えにくいと言えます。

ポイント
事件当時の状況や発言と矛盾しないことに留意する
合理的な訂正は問題なく可能

②初めて呼び出しを受けた事件

特に事件当時トラブル等になっておらず,後日になって初めて呼び出しを受けた場合,捜査機関としては,事前に収集した証拠と呼び出し後の供述が一致するかどうか,という点を確認することになります。また,関係者であると特定して呼び出していることを踏まえると,事件の内容についてある程度確かな裏付けを持っていることが見込まれます。

そのため,基本的には自身の記憶をありのまま話すことを念頭に置くのが合理的でしょう。弁護士へのご相談では,「認めると不利益になるのではないか」という悩みを示されることも少なくありませんが,実際にはむやみに認めない態度を見せる方が不利益になりやすいと言えます。

もっとも,記憶に反して疑いを認める必要はありません。認めるも認めないも含めて,自身の記憶をありのままに表明していくことが適切な対応になりやすいところです。

ポイント
記憶の通りにありのまま話す
記憶に反して認める必要もない

③事件の記憶や心当たりがない場合

公然わいせつ事件について呼び出しを受けたものの,事件に関する記憶がなかったり,該当する出来事の心当たりがなかったりする場合には,まず認否を明確にすることをお勧めします。

記憶や心当たりがない場合,その理由は様々です。そして,具体的な理由によって適切な対応方法は異なります。泥酔状態であって記憶が混濁しているケースと,そもそも事件とのかかわりがないケースでは,認否が真逆になるため,対応方針も真逆になることが見込まれるでしょう。

そのため,まずは疑われている事柄(被疑事実)を認めるべきかそうでないか,という区別を行うことが出発点となります。
認めるべき事件では,記憶がないことを理由に認めていないと理解されないように注意するのが重要な対応です。一方,認めるべきでない事件では,心当たりがないことを一貫して述べ続け,安易に自身の非を認めるような話をしないことに注意するべきでしょう。

ポイント
認否を明確にし,認否に沿った対応をするべき
認否の方針は,記憶がない理由による

公然わいせつ事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

公然わいせつ事件では,呼び出しに応じた際に逮捕されることは通常考えにくいと言えます。公然わいせつ自体が決して逮捕の多い事件類型ではないことに加え,呼び出しを行うのは逮捕をしないケースでの代表的な取り扱いであることが大きな理由です。
一般的には,呼び出しを受けた公然わいせつ事件で逮捕されるのは少数でしょう。

もっとも,以下のようなケースでは,逮捕の可能性が高まることが見込まれます。

公然わいせつ事件で逮捕の可能性が高まるケース

1.呼び出し後に同種事件を起こした場合

2.呼び出し後に関係者への接触を試みた場合

3.呼び出しへの不合理な拒絶を繰り返した場合

【1.呼び出し後に同種事件を起こした場合】

逮捕せず呼び出しを行うのは,その後に同種事件を引き起こさないことが当然の前提です。そのため,呼び出し後に同種の事件を起こしてしまうと,逮捕をしなくてよいという判断の前提が崩れてしまい,逮捕の可能性が高くなるでしょう。

また,複数の事件がある場合は,事件が1つのみである場合と比べて違法性が重大であり,逮捕の必要性が高いと評価される傾向にあります。その点でも,同種事件を起こすことは逮捕を招く大きな要因になります。

【2.呼び出し後に関係者への接触を試みた場合】

逮捕を要するケースの代表例は,証拠隠滅が懸念される場合です。逮捕をせずにいると必要な証拠が隠滅されてしまう場合に,逮捕によって証拠隠滅を予防することが,逮捕の大きな目的となります。
この点,公然わいせつ事件における重要な証拠は,事件を目撃した人です。そのため,公然わいせつ事件の証拠隠滅行為としては,目撃者などの関係者に対する働きかけが懸念されやすいところです。

呼び出し後に事件の関係者へ接触を試みる行為は,重要な証拠を隠滅する行為と理解される可能性が高いため,逮捕の可能性が高まる原因になりやすいでしょう。

【3.呼び出しへの不合理な拒絶を繰り返した場合】

捜査機関が呼び出しを行うのは,呼び出しに応じてもらえるという信頼や期待があるためです。裏を返せば,呼び出しに応じてもらえるであろう,との信頼が裏切られると,逮捕せざるを得ないとの判断に結びつきやすくなります。

呼び出しを受けると,何とか負担を逃れたいと思ってしまいますが,出頭を逃れるために不合理な拒絶を繰り返すのは,かえって逮捕の可能性を高めてしまい,自ら不利益を大きくする結果になりかねないでしょう。
呼び出しを求められている以上,基本的に一度は応じる方が賢明です。「呼び出しに応じてくれない人物だ」と評価されないような対応を心がけましょう。

公然わいせつ事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①被疑者を特定したとき

公然わいせつ事件は,現場で被疑者が特定できた場合を除き,被疑者の特定に一定の期間を要しやすい事件類型です。そのため,捜査を開始した警察では,まず被疑者の特定を目指し,特定できればその後に呼び出す,という流れを取るのが通例となります。
突然警察から電話連絡があり,「●月●日の(場所)でのことで話が聞きたい」という連絡があった場合,基本的には「被疑者として特定したから話を聞くために呼び出している」と理解をしてよいでしょう。

呼び出しのタイミングは,特定できたタイミングによりますが,特定後はそれほど時間を空けずに呼び出すことが一般的です。初回の呼び出しは,被疑者に対する捜査の出発点となるため,まず一度呼び出す,という取り扱いになりやすいでしょう。

②証拠品の提出を求めるとき

証拠品のうち,所持しているであろう物の提出を求める場合に呼び出しを行うことが考えられます。
公然わいせつ罪の証拠品は,個別の事件の内容により様々ですが,事件当時の着衣,乗っていた車,撮影を行った場合のカメラや携帯電話などが一例です。もっとも,提出後に長期間警察で保管されるというよりも,必要な確認を行った上で短期間で返却するケースの方が多い傾向にあります。

証拠品の提出を求めるために呼び出すタイミングは,取調べを行った後であることが多いでしょう。取調べの内容や他の証拠関係を踏まえて,提出を求める証拠を特定し,連絡をしてくる流れが代表的です。

③供述調書を作成するとき

公然わいせつ事件で捜査を行う警察は,呼び出しの際に聞いた話を「供述調書」という形にして書面で検察庁に送致(いわゆる書類送検)することになります。そのため,話を聞いた上で,その内容を供述調書にまとめますが,供述調書の作成には本人の署名押印が必要となるため,呼び出しの上で署名押印を求めることが一般的です。

供述調書の作成は,取調べ目的で呼び出した際にその場で行われることもあり,その場合には供述調書作成のための呼び出しはありません。取調べの際に供述調書を作成できなかった場合には,後日改めて呼び出すことになりますが,直前の呼び出しからそれほど期間を空けないことが通常です。警察のスケジュールにもよりますが,直前の呼び出しから1~2週間後頃が目安になりやすいでしょう。

公然わいせつ事件の呼び出しに応じたときの注意点

①逮捕リスク

警察から呼び出しを受けると,逮捕のリスクが心配されるでしょう。弁護士に寄せられる相談にも,呼び出しを受けた時点で,逮捕を避けたいという内容のものが多数お見受けされます。

この点,公然わいせつ事件の場合には,呼び出しを受けた時点での逮捕リスクは,基本的にほとんどないと考えるのが適切です。呼び出しに対して適切な応答がなされていれば,逮捕をするつもりはないことが通常でしょう。

むしろ,逮捕リスクを恐れるあまり,呼び出しに対して非協力的な態度に終始するなど,不適切な応対をしてしまう方が問題です。本来逮捕が予定されていないにもかかわらず,自分の行動によって逮捕を招くことのないよう注意しましょう。

②行った内容の説明方法

公然わいせつ事件の場合,わいせつ行為をした人とそれを目撃した人との間で,内容に食い違いの生じることが珍しくありません。原因としては,互いに断片的にしか覚えていないこと,双方とも自分の色眼鏡を通じて見た内容を記憶していること,目撃者は突然のことで冷静な理解が困難であることなどが挙げられます。

そのため,行った内容を説明する際には,まず目撃者の話とズレが生じやすいという点を予め踏まえておくようにしましょう。警察から「聞いていた話と違う」との指摘を受けたとき,「よくあることだ」と思えるか「そんなはずはない」と冷静さを失ってしまうかは大きな違いにつながります。
また,自分に説明が求められているのは,自分が記憶している内容のみです。そのため,記憶している内容を一貫して述べ続けることに注力しましょう。食い違いがあるか,警察官が納得するかを気にする必要はありません。回答すべきことを淡々と回答する,という方針が最も有益です。

③性癖の聴取を受けることについて

公然わいせつ事件で取り調べを受けた際,自身の経歴をあわせて性癖を聞かれることがあります。どのような人物に性的欲求を感じるか,アダルトビデオはどのようなジャンルが好みか,といった質問で,性癖を聞かれ供述調書の内容とされることになりやすいでしょう。

この点,性癖を聴取して供述調書の内容とすることに,それほど深い意味はありません。性的な事件類型の場合,警察側はいわばルーティーンとして聞いているに過ぎず,回答内容によって刑事処分の結果が変わることは通常想定されていません。

そのため,やはり変わらず淡々と事実を回答していく方針が最も適切であり,円滑な進行につながりやすいでしょう。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【公然わいせつ事件の逮捕】逮捕の種類や流れ,公然わいせつ事件の場合の対処方法を解説

このページでは,公然わいせつ事件の逮捕に関して,刑事弁護士が徹底解説します。逮捕の可能性はどの程度あるか,逮捕を避ける方法はあるか,逮捕された場合に釈放を目指す方法はあるかなど,対応を検討する際の参考にしてみてください。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

公然わいせつ事件で逮捕される可能性

公然わいせつ事件は,決して類型的に逮捕の可能性が高いものではありません。刑事責任の重さが比較的小さい部類であること,証拠がそれほど多く存在しづらい事件内容であることなどから,逮捕せず在宅事件として取り扱うことも多く見られます。
もっとも,事件の内容や事件発生時の状況によっては,逮捕の必要性が高くなり,逮捕される可能性も十分に考えられます。具体的には,以下のようなケースで逮捕の可能性が高くなりやすいでしょう。

公然わいせつ事件で逮捕の可能性が高くなりやすい場合

1.店舗や会場の混乱を招いているケース

2.特定の目撃者を標的にしているケース

3.同種事件を繰り返しているケース

【1.店舗や会場の混乱を招いているケース】

店舗内やイベント会場内で起きた公然わいせつ事件によって,現場が大きく混乱している場合,逮捕の可能性が高くなりやすい傾向にあります。なぜなら,現場における混乱の拡大を防ぐ必要があるほか,周囲の人物(店舗従業員,イベント関係者等)と深刻なトラブルになる恐れがあるためです。

また,店舗やイベント会場などは,公然わいせつ事件が起きた場合に誰かの目に入ることが明らかな場所です。そのため,犯罪に当たることを強く認識しながらわいせつ行為に及んだと理解せざるを得ず,悪質さが大きくなることから,逮捕の可能性が高くなります。

【2.特定の目撃者を標的にしているケース】

特定の目撃者に見せつける目的で,その人物を標的に行われた公然わいせつ事件では,目撃者を精神的苦痛などから保護するために逮捕されやすい傾向にあります。このようなケースでは,目撃者が事実上の被害者と理解されるため,被害者保護のために逮捕をする場合と近い状況になるでしょう。

特に,目撃者の住居や生活圏などの個人情報を把握している場合,目撃者への被害の拡大が懸念されやすいため,逮捕の可能性がより高くなります。

【3.同種事件を繰り返しているケース】

同種の事件が繰り返されている場合,更なる事件の発生を防ぐ必要があることから,被疑者を特定した段階で逮捕となる可能性が高くなります。複数の事件を起こしている場合,刑事責任もより重大になることから,刑罰を免れる動きを防ぐためにも逮捕されやすくなるでしょう。

また,以前に行われた同種の事件について被害届などが出ている場合,それらの事件に関する証拠も確保するため,逮捕をすることで証拠隠滅を防ぐ手段が有力になります。複数の事件を捜査する必要があると,それだけ収集するべき証拠も多くなるため,逮捕の可能性が高くなりやすいところです。

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

公然わいせつ事件で逮捕を避ける方法

①自首の試み

逮捕は,逃亡や証拠隠滅を防ぐ目的で行われる捜査手続です。そのため,逃亡や証拠隠滅の恐れが大きいほど逮捕されやすく,逆に逃亡や証拠隠滅の恐れが小さいほど逮捕の可能性は低くなります。

この点,逃亡や証拠隠滅の可能性が低い,との判断を促す動きとして有力なものが自首です。自首は,自ら捜査機関に出頭し,自分の犯罪事実を明らかにする行動であるため,その後に逃亡や証拠隠滅をすると考えられることは通常ありません。そのため,自首を行った場合には逮捕を避けられる可能性が非常に高くなるでしょう。

また,捜査のために必要と思われる証拠をあわせて提出することができれば,証拠隠滅の可能性はより低いとの評価につながり,逮捕をより避けやすくなる結果につながります。

②呼び出しへの対応

公然わいせつ事件で逮捕をしない場合の捜査方法としては,呼び出しを行い,警察などに出頭をしてもらって捜査協力を求める,ということが一般的です。そのため,呼び出しを受ける場合には,逮捕が避けられる可能性が十分にあると言えるでしょう。

もっとも,呼び出しへの対応を誤り,捜査機関が求めるような捜査協力が得られければ,逮捕を招く結果にもなりかねません。呼び出しを受けた場合には,対応次第で逮捕を避けるチャンスであると理解し,適切な対応を尽くすことをお勧めします。
具体的には,呼び出しには可能な限り応じる,問われたことには可能な限り答えるなど,捜査が円滑に進められるような対応ができると,逮捕の回避につながりやすいでしょう。

③謝罪や示談

公然わいせつ事件の場合,目撃者を保護する目的で逮捕される可能性があります。逆に,目撃者を保護する必要が小さいケースでは,それだけ逮捕の必要性も低いということになります。

そのため,特定の目撃者がいる公然わいせつ事件では,目撃者に対する謝罪や示談を尽くすことが逮捕を回避する有力な手段と言えます。当事者間で示談による解決ができれば,逮捕の可能性が低下することはもちろん,最終的な刑事処分も大きく軽減する結果が期待できるでしょう。

④否認事件での事情説明

否認事件で逮捕を回避する場合には,証拠隠滅の恐れがないことを明らかにする動きが有力です。具体的には,事件内容に関する事情の説明を可能な限り行うことで,情報提供に対して積極的な態度であると理解してもらうのが有力でしょう。

心当たりがない場合,捜査の対象となること自体が納得しづらいため,捜査対応も消極的で非協力的なものになってしまう場合が少なくありません。しかしながら,心当たりがないからこそ,積極的に捜査への対応を行った方が結果的に円滑に進み,逮捕回避にもつながりやすいと言えます。

公然わいせつ事件の逮捕は弁護士に依頼すべきか

公然わいせつ事件の逮捕に関しては,弁護士に依頼の上,弁護士の専門的な案内や対応を仰ぐことが有益でしょう。弁護士への依頼によって,具体的には以下のような利点が見込まれます。

①逮捕リスクの高さが分かる

公然わいせつ事件の場合,逮捕リスクの高さが個別事件の内容等によって様々に異なります。「公然わいせつ事件だから逮捕される,されない」という問題ではないため,個別具体的な事情を踏まえた検討が必要です。

この点,専門性ある弁護士に依頼することで,逮捕リスクの高さを具体的に判断してもらうことが可能です。逮捕リスクの高さは,方針を決める際の重要な判断材料となるため,適切な対応方針を決められる結果にもつながるでしょう。

②逮捕を避けるための具体的手段が分かる

逮捕の回避を目指す必要がある場合,ではどのようにして逮捕を回避すべきか,という問題が生じます。逮捕を避けるための具体的な手段は,事件内容や状況,ご本人にできることの内容などによっても変わってくるでしょう。

この点,弁護士に依頼することで,逮捕回避にとって有益な手段を具体的に把握することが可能です。あわせて,その手段を講じる場合の負担の大きさや効果の程度なども分かるため,自分にとって最適な手段を検討することが容易になります。

③逮捕後の早期釈放を目指せる

公然わいせつ事件の場合,逮捕されたとしてもその後に早期釈放の可能性があるケースは少なくありません。そのため,逮捕されてしまったといって諦めることなく,できる限り早期釈放を目指す手立てを講じることが適切です。

もっとも,具体的にどのような方法で早期釈放を目指すことができるかは,手続に精通した弁護士でないと判断が困難なポイントです。また,実際に早期釈放を目指す動きを取るにしても,その動きは弁護士でないとできないことが多くあります。
そのため,逮捕後においても,早期釈放を目指すため弁護士に依頼するに依頼することが非常に有益と言えるでしょう。

公然わいせつ事件の逮捕に関する注意点

①現行犯逮捕の可能性

公然わいせつ事件は,事件のあった現場で事件が発覚し,現行犯で警察などの取り締まりが行われるケースも少なくありません。特に,はっきりした目撃者がいる場合や,施設内等で起きた場合には,現場に警察が駆け付ける流れになることが多いでしょう。

そうすると,現行犯で問題になった公然わいせつ事件では,そのまま現行犯逮捕されてしまう可能性があるため,逮捕回避の余地がない可能性に注意が必要です。この点,公然わいせつ事件の現行犯逮捕は,必ずしもその後に身柄拘束を続ける想定でないことも多いため,早期釈放を目指す方針へ速やかに切り替えることが有力です。

②事件の記憶がない場合

公然わいせつ事件の場合,泥酔状態で事件を起こしてしまったなど,事件の記憶がないケースも一定数見られます。この点,記憶がない事件で逮捕を避けるためには,「認めているか認めていないかを明確にする」ということに注意するのが適切です。

泥酔状態のため記憶がない,という回答は,法的には認めていないという意味で理解されます。一般的に,認めている事件よりも認めていない事件の方が逮捕の必要性が高いと考えられるため,記憶がないとの回答のみを続けていると,逮捕の可能性を高める結果になり得るでしょう。

そのため,状況などを踏まえて認める必要がある場合には,記憶がないことを前提としつつも,認めるスタンスを明確にするのが適切です。認め事件と理解してもらうことで逮捕回避につながる場合は珍しくありません。

③逮捕前の示談の可否

逮捕前に目撃者と示談ができた公然わいせつ事件は,逮捕されない可能性が非常に高くなります。そのため,逮捕前に示談ができれば最も有益と言えます。

しかしながら,目撃者との示談を目指すには,警察など捜査機関の存在が不可欠です。目撃者の個人情報が分かっているというケースはほとんどないため,捜査機関を通じて目撃者に連絡を入れてもらうステップが必要となります。
そうすると,示談のためには捜査が開始されていることが必要であるため,いきなり逮捕されてしまう事件では逮捕前に示談を試みる余地がないことに注意が必要です。

もっとも,いきなり逮捕されてしまった事件でも,その後に示談を目指すことで早期釈放につながる可能性は十分に考えられます。いずれにしても,目撃者との示談を目指すことは非常に有力な動きとなるでしょう。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【公然わいせつ事件の不起訴処分】不起訴となることの意味は?不起訴になるための手段は?詳細解説

このページでは,公然わいせつ事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

公然わいせつ事件で不起訴を目指す方法

①自首

公然わいせつ事件は,事件類型として刑事責任が重大と理解されているわけではありません。そのため,反省状況に関して特に評価される事情があれば,反省の深さを踏まえて不起訴処分とされる可能性は考えられます。重大犯罪と位置付けられる事件類型だと,反省状況のみで不起訴処分になることは考えにくいため,公然わいせつ罪の特徴の一つということもできるでしょう。

この点,反省状況に関して特に評価される事情の一つが,自首です。自首は,自らの犯罪事実を捜査機関に告げることで,自身の深い反省を行動に移すものと理解されています。深い反省があるからこそ,自ら捜査や処罰を求める動きを取っている,というわけですね。
そのため,自首は公然わいせつ罪で不起訴を目指す手段として非常に有力と言えます。可能であれば,自首のみでなく,反省状況として他に評価の対象となり得る行動と一緒に行うことで,よりその効果が高くなりやすいでしょう。具体的な方法については,個別の事件に応じて弁護士の判断を仰ぐことをお勧めします。

ポイント
公然わいせつ罪は,反省の深さを踏まえて不起訴とする場合があり得る
反省の深さを示す他の行動と一緒に行うとより望ましい

②目撃者との示談

公然わいせつ罪は,被害者のいない事件類型です。不特定多数者の目につくようにわいせつ行為をする犯罪のため,個人でなく社会に対する犯罪と位置付けられています。

もっとも,特定の目撃者がいる場合や,特定の目撃者に向けて行われた場合,その目撃者が事実上の被害者と理解されます。そのため,目撃者との間で示談を行い,目撃者が刑事処罰を希望しないとの意向を表明した場合には,不起訴の可能性は高くなることが通常です。

目撃者が警察に通報して捜査が開始されたなど,示談の対象となる目撃者が存在するケースでは,不起訴を目指す手段として示談の試みが有力になるでしょう。

ポイント
公然わいせつ罪は社会に対する犯罪のため,被害者がいない
もっとも,特定の目撃者がいれば,事実上の被害者として示談の対象になる

③再発防止策

公然わいせつ罪では,その犯罪行為が社会の秩序を乱すことを理由に刑事処罰が科されます。そのため,公然わいせつ事件がどれほど社会の秩序を乱すか,という点は,刑事処罰を科すかどうかの判断基準の一つです。
また,公然わいせつ事件は,繰り返し行われることが危険視されやすい傾向にあります。当然ながら,繰り返し行われるほど社会の秩序に対する悪影響は大きくなるため,今後行われ得るのか,再発防止が徹底されているのか,という点は重要なポイントになるところです。

そのため,具体的な再発防止策を検討し,実行することは,社会の秩序に対する悪影響が最小限にとどまるという意味で,不起訴を目指す重要な手段の一つと言えます。具体的にどのような再発防止策を講じるかは,個別事件の内容や原因にもよるため,個別に弁護士への相談や依頼を行うのが適切でしょう。

ポイント
公然わいせつ罪は,再発による社会秩序への悪影響が危険視されやすい
再発防止を徹底していれば,社会への影響は最小限にとどまると理解される

④否認事件の場合

公然わいせつ事件の場合,犯罪の故意を争う否認事件が一定数見られます。これは,目撃者はわいせつな行為があったと感じたものの,行為者本人にはわいせつな意図がなかった,というケースで生じる問題です。例えば,意図せず身体を露出してしまっていた場合や,泥酔者が立小便を試みようとした場合などに見られる傾向にあるでしょう。

目撃者としても,突然の出来事で正確な理解や判断ができないことが多く,印象に残った記憶を頼りにした結果,行為者の意図とは異なる受け止め方をしてしまうことはやむを得ません。もっとも,わいせつ行為をしようとした意図がないのに,目撃者の言い分に沿った取り扱いを受けることは適切とは言えません。

犯罪の故意は内心の問題であるため,客観的な証拠から明らかな場合を除き,行為者本人の話が最も重要な証拠となります。後ろめたさなどから安易に認めてしまうのでなく,毅然とした対応を心掛けるようにしましょう。

ポイント
公然わいせつ事件は,犯罪の故意が問題となるケースも少なくない
内心の問題は自分の回答が重要な証拠となるため,毅然と対応するべき

公然わいせつ事件で不起訴になる可能性

公然わいせつ事件は,事件の内容や事件後の対応などによって,不起訴になる可能性が十分に考えられる事件類型です。そのため,不起訴を目指す行動は,非常に重要ということができるでしょう。

この点,公然わいせつ事件の中でも不起訴の可能性が高くなりやすい事件内容としては,以下のようなものが挙げられます。

公然わいせつ事件で不起訴の可能性が高くなるケース

1.目撃できる人数が少ない事件

2.1回きりの事件

3.特定の相手を標的にしていない事件

【1.目撃できる人数が少ない事件】

公然わいせつ事件は,より多くの人が目撃できるように行われる場合の方が悪質で,違法性も重大であると評価される傾向にあります。逆に,目撃できる人数が際立って少ない行為であった場合,違法性は大きくないと理解され,不起訴の可能性が高くなりやすいでしょう。

また,誰も目撃できないような行為であった場合,公然わいせつ罪の成立に必要な「公然」性がないと判断すべきケースもあり得ます。公然性がない場合,犯罪は成立しないため,不起訴とせざるを得ないことになります。

【2.1回きりの事件】

公然わいせつ事件の場合,類似の行為が繰り返し行われやすい傾向にあります。複数回繰り返された結果,捜査機関に通報されてマークされたり,目撃者から通報されやすくなったりし,捜査に発展するという流れが多く見られるところです。

一方,1回きりの事件である場合,繰り返されるケースと比べて違法性は大きくないと評価されるのが通常です。また,繰り返し行った場合よりも再犯の可能性が低いと判断されるため,再発防止の観点でも不起訴処分の可能性が高まるでしょう。

【3.特定の相手を標的にしていない事件】

公然わいせつ事件の中には,特定の相手を標的にしたものとそうでないものがありますが,特定の相手を標的にした事件の方が,悪質で違法性の大きいものと理解されています。また,再犯によって標的となった人が精神的苦痛を受けることのないよう,刑罰を科して強く再犯防止をすべき,との理解から,起訴されやすい傾向にもあるところです。

逆に,特定の相手を標的にしていない事件の場合,悪質さが比較的小さく,特定の目撃者を保護するために刑罰を科すという必要もありません。そのため,特定の相手を標的にした場合よりも不起訴の可能性が高くなりやすいでしょう。

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

公然わいせつ事件で不起訴を目指す場合の注意点

①示談相手がいない可能性

公然わいせつ事件は,犯罪の成立に被害者の存在が必要ありません。そのため,示談を試みようとしても,示談相手となる人が存在しないケースがある点に注意が必要です。目撃者との示談は,起訴不起訴の判断に大きな影響を及ぼす動きですが,それができないとなると,不起訴を目指す努力に限界が生じる可能性も否定できません。

示談相手がいない場合に不起訴を目指す具体的な方法は,弁護士のような専門家でも判断が容易ではないところです。そのため,刑事事件に精通した弁護士に相談・依頼をし,適切な対応を尽くすことをお勧めします。

②示談の効果

公然わいせつ事件では,目撃者との示談が有力な弁護活動の代表格ですが,示談が成立したからといって不起訴処分に直結するわけではない,という点には十分な注意が必要です。
公然わいせつ事件で示談を試みる相手は,「目撃者」であって「被害者」ではありません。そのため,あくまで目撃者の立場にとどまる人の一存で起訴不起訴の結論を決定的に左右できるとは限らないのです。

もっとも,事後的にできる努力の中で,目撃者との示談が最も効果の大きい行動であることもまた事実です。示談以上に不起訴を近づけられる努力は存在しないことが多いでしょう。
公然わいせつ事件の示談は,不起訴を決定づけるものではないものの最重要な試みの一つ,というものと理解することをお勧めします。

③否認事件の留意事項

否認事件として,「人に見せるつもりがなかった」という趣旨の主張をすることは一定数見られます。実際,人に見せるつもりがなかったのに公然わいせつ事件の捜査を受けた場合には,そのような主張をするのが適切でしょう。

もっとも,「公然わいせつ罪が成立するために,誰かが見ている必要はない」という点には注意が必要です。現実には誰も見ていなくても,不特定多数者が認識し得る方法を取っていれば,公然わいせつ罪は成立します。誰かに見せる意図がなかった,ということと,結果的に誰も見ていなかった,ということは法的に全く異なるものです。

「誰も見ていなかった(から公然わいせつ罪でない)」という主張は否認の言い分として不適切であるため,十分に留意することをお勧めします。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【公然わいせつ事件の弁護士選び】タイミングは?判断基準は?注意すべき点は?

このページでは,公然わいせつ事件の弁護士選びについてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。弁護士への依頼を検討する際の参考にご活用ください。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

公然わいせつ事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕直後

公然わいせつ事件は,逮捕されるケースも一定数存在する事件類型です。特に,特定の相手を対象とした露出行為が問題になった場合や,店舗内で行為が発覚して店舗関係者とトラブルになった場合など,関係者を保護する必要がある場合には,現行犯逮捕されるケースも見られます。

しかし,逮捕されたとしてもその場で全てが手遅れとなるわけではありません。逮捕後に適切な対応を尽くすことができれば,早期に釈放してもらうことができ,生活への影響を最小限に抑えることが可能です。公然わいせつ事件の場合,逮捕されたとしても速やかな釈放の余地は残っていることが少なくないでしょう。

この点,逮捕直後には弁護士しか被疑者と接見できないことが通常であり,釈放を目指す動きも弁護士を通じて行う必要が生じやすいところです。そのため,逮捕直後に釈放を目指すときは,弁護士選びが重要と言えるでしょう。
逮捕直後に適切な弁護士選びができれば,早期釈放の実現できる可能性が大きく高まることは間違いありません。

ポイント
公然わいせつ事件は,逮捕後に早期釈放される場合も少なくない

②呼び出しを受けたとき

公然わいせつ事件の捜査を受ける場合の流れとしては,後日に警察などから呼び出しを受けることも考えられます。これは,被疑者に対する取り調べを行うため,警察署への出頭を求める目的であることが通常です。
そのため,出頭要請を受けたときには,その後に行われるであろう取り調べの対応について事前に検討しておく必要があります。想定される質問や質問への回答方法・内容を整理し,取り調べに備えることは非常に重要でしょう。

もっとも,個別の事件に応じた出頭時の対応方法・内容を当事者自身が判断することは容易ではありません。取調べがどのような流れで行われるのか,自分がどのように対応することが望ましいのか,警察から求められたことに応じてよいのか,といった点は,刑事事件に精通した専門家以外には判断が困難でしょう。

そのため,警察などの呼び出しを受けたタイミングで,取調べに備えて弁護士を選ぶことは有力な選択肢と言えます。適切な弁護士選びができれば,出頭時の対応が万全になるほか,その後の弁護活動も充実したものになるでしょう。

ポイント
呼び出しを受けた場合,取調べされることが見込まれる
取り調べ対応を万全にするための弁護士選びが重要

③自首を試みたいとき

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。犯罪事実や犯人が捜査機関に知られる前に,自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

公然わいせつ事件では,現行犯で捜査が開始されたのでない限り,捜査機関が被疑者をすぐに特定できるケースはあまりありません。また,事件を目撃した人がいたとしても,すぐに警察へ通報などするとは限りません。
そうすると,公然わいせつ事件では自首を検討する時間的な猶予は一定程度あることが多いため,速やかな自首は有力な選択肢の一つです。

もっとも,本当に自首をすべきかどうか,自首をする場合にどのような手順・方法で行うか,という点は,当事者自身での判断が困難なポイントです。自首を試みようと考えるときには,適切な弁護士選びの上で,弁護士とともに検討・行動をするのが適切でしょう。
そのため,自首を試みたいと考えるときは,弁護士選びのタイミングということができます。

ポイント
公然わいせつ事件は,自首を行う時間的猶予のあるケースが多い

公然わいせつ事件の弁護士を選ぶ基準

①公然わいせつ事件の解決実績があるか

刑事事件は,過去の先例に沿った判断や運用をされることが一般的です。裁判所は,過去の先例と整合した取り扱いをすることで,公平を保ちながら適切に法律を運用する機関であるためです。

そうすると,先例を把握していること,過去に同種の事件を解決した実績があることは,事件の見通しを正確に持つ上で非常に重要な要素となります。弁護士が依頼者側に案内する見通しのほとんどは,過去の経験か過去の裁判例を根拠にしたものです。

特に,公然わいせつ事件の場合,ケースによって不起訴処分を目指せることも珍しくはないため,不起訴処分を目指せる見通しの有無や目指す場合の具体的方法を正確に把握することは非常に重要となります。具体的な弁護活動の経験から,それらを詳細に案内してくれる弁護士への依頼が適切でしょう。

②コミュニケーションにストレスがないか

公然わいせつ事件の場合,事件内容に応じて見込まれる処分の軽重や行うべき弁護活動が変わってくるため,弁護士としては詳細な聴取が必要となります。もっとも,事件の内容は不名誉な内容であることが一般的なので,話したくないことや話すことを躊躇してしまう点も生じやすいところです。

そのため,弁護士に安心して事件の内容を告げることができるか,弁護士とのコミュニケーションにストレスを感じないか,という点は非常に重要なポイントになります。もし,最初の段階で弁護士とのコミュニケーションに何らかの違和感がある場合,その違和感は将来的に大きなストレスや不信感につながりやすいため,注意することをお勧めします。

③弁護士からの連絡が滞らないか

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

④弁護士費用に不透明な点はないか

公然わいせつ事件の弁護士費用は,弁護活動の内容によって異なることが多く見られます。特に,目撃者との示談を行うか,身柄拘束を受けているか,といった点は,弁護活動の量に直接影響するため,弁護士費用の金額を左右しやすいでしょう。

そのため,弁護士選びに際しては,どのような場合にいくらの弁護士費用が発生するのか,契約内容に不透明な点が生じないよう十分に確認することをお勧めします。弁護士費用の発生する条件が細かく枝分かれしていて分かりづらい場合,結果として予想に反した高額の費用となる可能性も否定はできないので,弁護士費用の内容が明快であることは重要な基準とすることが有力です。

公然わいせつ事件で弁護士を選ぶ必要

①早期釈放のため

公然わいせつ事件の場合,逮捕されても早期に釈放してもらうことができるケースは決して少なくありません。そして,早期釈放が実現できるかどうかは,その後の日常生活を大きく左右する極めて重要な点と言えます。
そのため,早期釈放を目指すことは,逮捕された公然わいせつ事件において最も注力すべきポイントと言っても過言ではありません。

この点,早期釈放を目指す場合,具体的な活動は弁護士に委ねざるを得ません。接見で必要な話し合いを行ったり,ご家族と連絡を取り合ったり,捜査機関や裁判所に必要なアクションを尽くしたりと,早期釈放に向けて弁護士でしかできないことは多岐に渡ります。
公然わいせつ事件で早期釈放を目指す場合には,弁護士への依頼を早期に検討することが肝要です。

②不起訴処分のため

公然わいせつで不起訴処分を目指す方法としては,認め事件であれば目撃者との示談,否認事件であれば法的に整理された主張立証が有力です。

この点,目撃者との示談を試みる場合,弁護士を窓口にすることが不可欠です。当事者同士で直接やり取りするわけにはいかないため,弁護士に依頼することが示談の出発点となります。
また,否認事件で必要な主張立証は,法律上の要件や個別事件の争点を正確に理解して行う必要があるため,やはり弁護士へ依頼の上,弁護士から行ってもらうことが適切な内容となるでしょう。

そのため,不起訴処分を獲得するためには,弁護士を適切に選ぶことが非常に重要となります。

③適切な取り調べ対応のため

刑事事件の捜査では取調べが不可欠です。特に,被疑者への取調べは捜査の中核であって,被疑者からどのような話が引き出せるかによってその後の捜査が決定づけられる事件も少なくありません。

逆に,被疑者の立場にある場合,取調べにどのような対応を取るのが最も有益であるのかを把握していることは非常に重要です。自分が何を話すか,どのように話すかによって,その後の捜査や処分が決定づけられる可能性もあるため,取調べ対応の方法・内容は十分に検討する必要があるでしょう。

この点,個別の事件に応じてどのような取調べ対応をすべきかは,弁護士の法的な判断を仰ぐことが適切です。そのため,取調べ対応に万全を期すためには,弁護士選びが重要なポイントとなるでしょう。

④更生や治療を図るため

公然わいせつ事件は,その原因にご本人の疾患や依存症などが関係していることも一定数見られます。その場合,更生プログラムや治療を受けることで再発防止を図る動きが非常に重要となります。
また,再発防止の努力を尽くしていることは,不起訴処分を含めた処分の軽減を目指す面でも大きな影響を及ぼすことがあるため,できる限りの試みを行うことが適切でしょう。

この点,どのように更生を図るべきか,治療を通じた改善を目指すべきか,という点は,個別の事件や当事者の状況等により様々です。闇雲に通院だけをしても,あまり意味はないということになりかねません。
そのため,事件に応じた適切な更生や治療を図りたい場合には,案内やサポートに適した弁護士選びを行うことが重要と言えます。

公然わいせつ事件における弁護士選びの準備

①状況をまとめる

弁護士選びを適切に行うためには,相談相手の弁護士に事件の内容を正確に把握してもらうことが必要となります。そのため,事件の具体的内容は整理して伝えられるようまとめることが有益でしょう。

弁護士が事件の内容の一部を把握しているかいないかで,アドバイスの内容が大きく変わる場合も否定できません。弁護士に誤解が生じることを防ぐため,起きた出来事を漏れなく伝える用意をしておくとよいでしょう。

②証拠をまとめる

手元に証拠となる物がある場合,弁護士選びに際してまとめておくことが有益です。
公然わいせつ事件では,自家用車が関わっているケースのドライブレコーダー映像や,自分が録音録画したものなどがある場合,その記録内容が弁護士の判断を左右する重要な証拠である可能性もあり得ます。
そのため,弁護士への相談に際して,それらの証拠が手元にあれば,内容を確認の上で弁護士に示す準備をすることも有力でしょう。

もっとも,認め事件の場合にはそれほど慎重に証拠を確認する必要のないケースも少なくありません。証拠の重要度は事件により異なるため,個別の取り扱いについては弁護士の判断を求めるのが適切です。

③弁護士依頼の目的をまとめる

弁護士を選ぶ際,何のために,何を目指して弁護士に依頼するのか,という点を明確にしておくことが必要です。相談の目的に関して弁護士とズレが生じると,弁護士からの案内も目的から外れたものになってしまい,結果として弁護士選びが円滑にできないためです。
もちろん,弁護士側も法律相談の目的を想像することはできるため,理解が大きくズレることは多くありませんが,その目的が自分にとってどれだけ重要なものか,という詳細なニュアンスの面は,どうしても弁護士側の想像では補いきれないものです。

この点,公然わいせつ事件では,不起訴処分を目指す場合の意欲の強さが大きな分かれ目になり得るところです。公然わいせつ事件の場合,不起訴処分を獲得する確実な手段はないため,どこまで試みても不起訴となるかどうかは不明確にならざるを得ません。そのため,見通しが不透明ながらも負担を背負ってできる限りの動きを尽くすのか,ある程度にとどめるのかは,不起訴を目指す意欲の大きさに大きく影響を受けるでしょう。

弁護士選びを実のあるものにするためにも,弁護士選びの目的は明確に表現できるようにしましょう。

④予算を決める

弁護士への依頼には費用が発生しますが,弁護士費用は法律事務所によって異なり,同じ弁護士への依頼でも依頼内容によって異なります。当然ながら,弁護士への依頼内容が多いほど弁護士費用は高額になりやすく,逆もまた然りです。
また,示談を試みる場合には,弁護士費用に加えて示談金が経済的な負担となります。弁護士費用だけを支払えても,示談金が支払えないと示談はできないため,示談金の負担も事前の想定が必要です。

そのため,弁護士選びに際しては,あらかじめ予算の範囲を明確に決めておくのが有益でしょう。現在は,ホームページ上で詳細に弁護士費用を明示している法律事務所も少なくないため,ご自身なりに費用負担のイメージを持って弁護士選びを行うのも有力です。
また,現実の弁護士費用と予算との開きが小さければ,弁護士への依頼内容を一部削るなど,柔軟な依頼方法で開きを埋めることができる場合もあり得ます。個別のケースに関しては弁護士と十分に相談してみましょう。

公然わいせつ事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①弁護士ごとに弁護方針が異なる可能性

公然わいせつ事件の弁護活動は,詳細な内容や方針が弁護士により異なるケースが少なくありません。それだけ,活動内容の選択肢が多く,どのような弁護活動が結果に結びつくのか,不明確であるということでもあります。

そのため,弁護士に依頼する場合には,その弁護士から案内された弁護方針が唯一のものでない可能性を踏まえておくことをお勧めします。弁護方針の内容をしっかりと理解した上で,弁護士への依頼を判断したいところです。

②本人が動く必要

公然わいせつ事件の対応としては,示談や再発防止の試みが有力ですが,いずれも当事者本人の動きが不可欠です。示談の場合,示談の条件に拘束されるのは当事者本人であるため,本人の意思決定が必要ですし,再発防止は当然ながら当事者本人が講じなければならないためです。

そうすると,弁護活動には本人の同意や対応が不可欠であるため,弁護士選びに際しても本人抜きで行わないことを強くお勧めします。
もっとも,弁護士への依頼自体がご家族であることは特に問題ありません。ご本人も状況や方針を把握し,一緒に取り組んでいける体制を取ることができれば問題ないでしょう。

③弁護士に相談できる時間の制限

弁護士への法律相談は,30分以内,又は1時間以内といった形で時間を区切って行われるのが通常です。その時間内で,必要な情報を伝え,弁護士から案内を受け,弁護士選びの検討を行う必要があります。
もっとも,その時間は決して長くはありません。無意識に相談時間を浪費してしまうと,肝心の弁護士選びに必要な話が聞けないまま相談が終了してしまう可能性もあるでしょう。

そのため,弁護士選びに際しては,弁護士への法律相談に時間的な制限があることを踏まえ,弁護士選びの基準や聞きたいことなどを可能な限り整理して法律相談に臨むことをお勧めします。そのようなスタンスは,法律相談をより有益な内容とする結果にもつながるでしょう。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

ひき逃げ事件で自首するメリットは?自首すべきケースから具体的な方法まで弁護士が解説

このページでは,ひき逃げ事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

ひき逃げ事件で自首をするべき場合

①事故の規模が重大なケース

ひき逃げ事件の責任の重さは,事故の規模に比例する傾向にあります。事故が大きいほど,ひき逃げによって生じる被害が大きくなりやすいため,その責任も重くなります。
また,事故の規模が重大である場合,「事故に気付かないまま走り去ってしまった」という可能性はほとんどなくなることになります。大規模な事故が起きるほどの衝撃がありながら,事故が起きたとは気づかなかった,という場合は考えにくいためです。

そのため,事故の規模が重大なひき逃げ事件は,加害者が事故に気付きながらひき逃げしたことが明らかである上,その行為の責任が特に重いということになります。この場合,逮捕勾留といった身柄拘束をして捜査が行われた上で,実刑判決を受けて刑務所に収容される,という流れを辿ることも十分に考えられます。

そうすると,事故の規模が重大なケースでは,最終的な刑事責任をできる限り軽減させるため,自首を行うことが非常に有力な手段となるでしょう。自首をしなければ実刑判決であったが,自首をしたことで実刑判決が避けられた,という場合も大いにあり得るところです。

ポイント
ひき逃げ事件の刑事責任は,事故の規模に比例しやすい

②被疑者として特定される見込みがあるケース

ひき逃げ事件の被疑者として自身が特定される見込みである場合,対応をせず放置しているメリットはあまりありません。なぜなら,被疑者の特定が可能なひき逃げ事件は,ほぼ確実に被疑者を特定し,被疑者に対する捜査へと移行することになるためです。
このとき,漫然と放置していると,やがて捜査を受けることになってしまい,自首の機会を失ってしまいかねません。

自首は,自分が被疑者として特定される前に行うことが必要です。自ら警察に出頭したとしても,既に被疑者として特定された後であれば,自首の要件を満たさず,自首が成立した場合のような効果は期待できなくなるでしょう。

事故状況や想定される証拠などから,自分が被疑者として特定される見込みがあるケースでは,できるだけ早期に自首の検討を行うことが適切でしょう。

ポイント
被疑者の特定が可能なひき逃げ事件では,放置するメリットに乏しい
捜査を受けた後では自首の機会が失われてしまう

③否認事件の自首

ひき逃げの心当たりがないものの,自分を加害者として捜査をされているひき逃げ事件があると分かった場合(または予想される場合),自首をするのは適切でしょうか。

この点,否認事件である以上,法的な自首を行うわけにはいきません。自首は,自身の犯罪行為を捜査機関に申告する行為であるためです。そのため,否認事件でありながら,出頭して情報提供などを積極的に行うか,という問題になるでしょう。

積極的に出頭するメリットとしては,以下の点が挙げられます。

否認事件で自ら出頭するメリット

1.逮捕リスクの低下
→後に被疑者として捜査を受ける場合でも逮捕されにくくなる

2.取り扱い状況の把握
→実際に捜査されているかが分かる場合もある

3.主張の容易さ
→捜査機関主導で取り調べなどを受ける場合より,自身の主張を伝えやすい

もっとも,否認事件でありながら進んで出頭するという行為は,一般的にはあまり見られないため,その趣旨や内容が正しく伝わるよう適切な方法で行う必要があります。行うべきかどうかも含め,慎重な検討をすべきことは間違いないでしょう。

ポイント
否認事件でありながら進んで出頭する行為にもメリットがある
もっとも,方法は慎重に検討するべき

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

ひき逃げ事件の自首は弁護士に依頼すべきか

ひき逃げ事件で自首を検討する場合,実際に自首を行う場合には,弁護士への依頼を強くお勧めします。弁護士に依頼することで,より適切な方法での自首ができ,有益な効果が期待できます。

弁護士に依頼することの具体的なメリットとしては,以下の点が挙げられます。

①逮捕を回避できる可能性が上がる

ひき逃げ事件の自首は,逮捕の回避が大きな目的になりやすいところです。ひき逃げ事件は類型的に逮捕の恐れが大きいため,自首をしなければ逮捕されるであろう事件も多く,自首による逮捕回避の重要性は高くなります。

もっとも,自首の方法や内容が不十分・不適切である場合,逮捕回避にとって十分な効果が生じない恐れがあります。せっかく自首をしても,逮捕を防ぐ効果が半減してしまうのであれば,それは非常にもったいないことです。

この点,弁護士に依頼することで,適切な方法・内容での自首ができ,逮捕回避につながりやすくなることが期待できるでしょう。自首を行う際の負担も大きく軽減できるため,自首に踏み切る心理的なハードルも低くなることが期待できます。

②取調べの備えができる

自首は,あくまで捜査の出発点であり,自首後には取調べをうけることが見込まれます。自首とその後の取調べは基本的にセットとなるため,自首を行う場合には取調べに向けた準備も不可欠です。

しかしながら,自分で取調べ対応の準備を適切に行うのは容易ではありません。十分な備えを行うには,取調べの方法や内容を熟知している専門家の意見を仰ぐことが不可欠になるでしょう。

自首のサポートを弁護士に依頼している場合,自首後の取調べ対応についても,十分な備えのためのサポートを受けることが可能です。話すべきことや話すべきでないことはあるか,注意点は何かなど,取調べの対応方針を具体的に立てることができるでしょう。

③早期釈放を目指すことができる

ひき逃げ事件の場合,自首をしてもなお逮捕を防げないケースが少なくありません。その場合は,逮捕を前提にできる限り早期の釈放を目指すことが必要となります。

この点,弁護士に依頼して自首を行っていれば,逮捕後にも速やかに弁護活動を開始してもらうことができ,早期釈放を目指す動きが進められます。また,現実的に釈放が可能なタイミングや方法などについて,弁護士の専門的な判断を仰ぐことも可能になるでしょう。

④被害者への対応が早期に始められる

ひき逃げ事件は,個別の被害者が存在する事件のため,被害者にどのような対応をしたか,対応を受けた被害者がどのような心情であるか,といった点が刑事処分に大きな影響を及ぼします。ケースによっては,被害者が加害者を許しているという1点を理由に不起訴処分とされる場合すらあり得るところです。

この点,被害者の心情面に配慮するための対応は,できる限り早期に開始することが適切です。加害者からの謝罪などが速やかに行われるか長期間経過後に行われるか,どちらが望ましいかは明らかでしょう。

弁護士に依頼している場合には,自首を行った後,迅速に被害者への対応を始めることが可能です。また,やり取りの多くを弁護士に行ってもらうことができるため,被害者対応を円滑に進めることができます。

ひき逃げ事件で自首をする場合の注意点

①逮捕前に行う必要

ひき逃げ事件の自首は,逮捕を防ぐことを大きな目的とするため,逮捕されるかどうかが判断される前に行わなければなりません。逮捕後には,自首をする余地がないだけでなく,行われてしまった逮捕が遡って取り消されることなどもないため,目的を達成する余地がない状況と言わざるを得ないでしょう。

この点,逮捕されるか可能性があるかを見極めた上で,逮捕の恐れがあるならば自首をする,という動きを取りたいところですが,そのような方針を取ることも容易ではありません。逮捕されるかどうか,逮捕されるとして時期がいつか,といった点を事前に把握することは困難であるためです。

ひき逃げ事件で自首を検討する場合には,時期遅れとなることを避けられるよう,できる限り早期に進めることをお勧めします。

②損害賠償への備え

ひき逃げ事件では,被害者に対する損害賠償を想定する必要があります。被害者に生じる損害には,大きく分けて以下の2つがあります。

ひき逃げ事件で被害者に生じる損害

1.人身損害
→治療費,休業損害,精神的苦痛に対する慰謝料など

2.物的損害
→事故車両,破損した携行品,着衣など

被害者に生じる損害は,相当な規模になることも考えられる上,具体的な計算を当事者が行うのは非常に困難です。そのため,基本的には自動車保険を利用することが望ましいでしょう。損害賠償への備えとして,加入している自動車保険の確認や,対応の流れに関する保険会社への相談などを行っておくのは有益です。

③逮捕時の持参物

留置施設に持ち込む物品の例としては,以下のものが挙げられます。

留置施設に持ち込む物品の例

1.現金(1万円程度)

2.着替え(上下着衣,下着,靴下)

3.本

なお,着替えや本については,留置施設内で利用できるものに詳細なルールがあります。ルールに反した物品は利用できないため,具体的なルールを依頼する弁護士に確認の上,準備することをお勧めします。
また,留置施設へ直接の確認を行うことも可能です。警察署内に留置されている場合は,各警察署の留置管理課に問い合わせの上,差し入れたい物品について相談することで,必要な案内を受けることができます。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【ひき逃げ事件での呼び出し】逮捕を防げる可能性や方法,弁護士依頼のメリットなどを徹底解説

このページでは,ひき逃げ事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
ひき逃げ事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

ひき逃げ事件で呼び出された場合の対応法

①心当たりがある場合

心当たりのあるひき逃げ事件で呼び出しを受けた場合,可能な限り逮捕を避けるための対応に注力することを強くお勧めします。

ひき逃げ事件は,捜査に際して逮捕されることが多い傾向にあります。その中で,逮捕しない状態で呼び出しを受けている状況は,逮捕されない可能性が残っているという意味で大きなチャンスであると言えるでしょう。この状況では,逮捕を回避するチャンスを逃さないよう対処することが極めて重要です。
具体的には,逃げ隠れをしない,言い逃れや証拠隠滅を図ろうとしていない,というスタンスであることを捜査機関に把握してもらうことが望ましいです。求められた捜査協力にはすべて応じ,事実をありのままに話すなど,捜査機関の期待する対応を尽くすことができれば,逮捕回避にとって非常に有益な動きと言えるでしょう。

心当たりのあるケースでは,逮捕リスクが十分にあることを踏まえた上で,逮捕しないとの温情的な判断を促せるような対応を見せることが重要です。

ポイント
逮捕リスクはあるが,逮捕を防ぐ余地のある状況
逃げ隠れや言い逃れ,証拠隠滅をしないスタンスであると理解してもらう

②事故発生の認識がない場合

ひき逃げ事件に関して呼び出しを受けたものの,事故を起こしたという認識がない場合,事故が発生したことに対する認識の有無を争う方針が有力です。

ひき逃げと呼ばれる行為は,交通事故発生時に自動車運転者が負う被害者の救護義務を果たさない,というものです。当然ながら,救護義務は事故が発生した場合に初めて生じる義務であり,義務に違反できるのは,事故の発生が分かっていた場合のみということになります。
そのため,事故発生の認識がない場合には,そもそも自分に救護義務が発生したとの認識もない(ため救護義務違反にならない),との主張が有力になるのです。

実際に事故が起きていたとしても,事故の発生に気づけなかったのであればひき逃げとはなりません。事故が起きてしまった場合,その点の謝罪や反省は別途行うべきところではありますが,ひき逃げの責任まで負うこととは必ずしもイコールでないことを十分に理解しましょう。

ポイント
ひき逃げは交通事故後の救護義務違反
事故発生の認識がなければ,救護義務違反にはならないため,ひき逃げではない

③事故は起きたがひき逃げではない場合

呼び出しを受けた事件に関して,確かに事故は起きたものの,被害者の救護は十分に行ったという場合,救護義務を尽くしているためひき逃げではないとの主張が有力でしょう。

比較的小さな事故だと,被害者側から身体に異常がないとの申し出があったり,その場で特に治療等の処置が必要なかったりと,医療機関への通院が直ちには生じないことも珍しくありません。しかし,その後に被害者が身体の不調を訴えて警察に相談すれば,ひき逃げ事件として捜査される可能性も十分にあり得るところです。
このときは,自分が尽くした救護の内容をできる限り具体的に説明し,ひき逃げには該当しないとの判断を促すことが一案です。

なお,交通事故が発生した際の自動車運転者の義務には,救護義務の他に警察への報告義務もあります。一定の救護を尽くしたとしても,警察への報告を怠ってしまうと報告義務の違反にはなるでしょう。
報告義務違反は,救護義務違反と比べてかなり軽微な違反行為ではありますが,刑罰法令に触れる犯罪行為であることは間違いないため,報告義務違反の点について反省を尽くすことは同時に行うのがよいでしょう。

ポイント
救護を尽くしていれば,ひき逃げには該当しない
もっとも,警察への報告義務に違反している可能性はある

ひき逃げ事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

ひき逃げ事件の場合,呼び出しに応じて出頭したその場で逮捕されるケースがないとは言い切れません。捜査機関の判断によっては,出頭した際に逮捕される可能性もあり得るでしょう。

この点,呼び出しに応じて出頭したことが逮捕の原因になる,というケースは考えにくいところです。逮捕をする方針かどうかは,呼び出す段階で概ね決まっていることが通常でしょう。
また,逮捕をする手段としては,呼び出すのでなく逮捕状を持って自宅等に直接行く方が一般的です。捜査機関のペースで進められる上,逃亡や証拠隠滅の機会を与えずに捜査ができる点で,望ましい方法と理解されることが通常と言えます。
もっとも,逮捕を決めてはいるものの,警察への出頭を求めるという動きが取られる場合も少数ながらあり得ます。理由としては,逃亡は考えにくいと判断されている,住居が不定のため呼び出した方が円滑である,といったケースが考えられますが,いずれにしても捜査機関の裁量的な判断になりやすいところです。

具体的な逮捕の可能性は事件によりますが,逮捕の可能性が高くなりやすいケースには以下のような特徴が指摘できます。

逮捕の可能性が高いケース

1.事故の過失が大きい
→刑事責任が重いため,逮捕の可能性が高くなりやすい

2.受傷結果が重大である
→事件の重大性を踏まえ,逮捕の可能性が高くなりやすい

3.事故発生の認識が容易である
→ひき逃げをすることの悪質さが大きいと評価され,逮捕の可能性が高くなりやすい

ひき逃げ事件は,類型的に逮捕の可能性が高い傾向にあるため,呼び出しを受けたからといって油断することなく,逮捕を防ぐために最善を尽くすことをお勧めします。

ひき逃げ事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①事故車両を特定したとき

ひき逃げ事件の捜査は,事故車両を特定することを最初の目標とすることが多く見られます。車両が特定できれば,それを足掛かりに当事者を特定できるケースが多いためです。
そして,事故車両が特定できた場合,所有者や使用者が事情を知っている可能性が高いため,これらの人物を呼び出して話を聞こうとすることが考えられます。

事故車両の特定後に警察が呼び出すタイミングは,特定された時期によって大きく異なります。もっとも,車両を特定できてから呼び出しまでにそれほど長い時間を置くことはあまりないでしょう。証拠の散逸を防ぐためにも,車両の特定後は比較的速やかに呼び出されることが一般的です。

②現場の実況見分を行うとき

交通事故の重要な捜査手続の一つに,実況見分があります。実況見分は,事故発生場所の状況や事故態様などを現場で確認し,書面化することで捜査記録とする手続を言います。そして,実況見分に際しては,事故当事者に立ち会いをしてもらい,詳細な流れや場所を指摘してもらいながら進めることが通常です。そのため,実況見分を行う際には呼び出されることが見込まれるでしょう。

実況見分は,事故内容を把握するために必要となるため,捜査の比較的初期段階で行うことが通常です。多くの場合,事故から比較的早期の段階で呼び出されることとなるでしょう。

③車両の持参を求めるとき

ひき逃げを含む交通事故の事件では,事故車両そのものが重要な物的証拠となります。車両に損傷のあることが交通事故発生の裏付けになったり,損傷箇所や内容が事故態様の立証に影響したりと,事故車両が結論を左右することも一定数見られます。
そのため,捜査の一環として事故車両の持参を求め,写真撮影をするなどして証拠化する運用が広く行われています。

車両の持参を求める場合には,取調べ等にあわせて事故車両を運転しての出頭を依頼することが少なくありません。そのため,取調べと同じ機会に行われることが見込まれやすいでしょう。
事前に車両の持参を求められた場合には,基本的にその求めには応じる方が適切です。

④当事者間の連絡先交換を促すとき

交通事故では,加害者側から被害者側への金銭賠償を行わせるため,警察が当事者間での連絡先交換を促すことが多く行われます。当事者間で連絡先を交換した後,加害者が自動車保険担当者に引き継ぐなどすることで,自動車保険による被害者への対応が開始されることとなりやすいでしょう。

この点,警察が当事者間の連絡先交換を促す場合には,双方に出頭してもらい,警察署の中でやり取りをさせることがあります。当事者間のトラブルを防ぐため,担当警察官が立ち会うこともあり得ます。
そのため,当事者間で連絡先交換を行うよう求める目的で呼び出しを受けることが考えられるでしょう。

呼び出しの時期は,事故から間もないタイミングであることが一般的です。被害者保護のための動きであるため,極力早期に進めようとすることが多いでしょう。

ひき逃げ事件の呼び出しに応じたときの注意点

①逮捕の回避を目指す

ひき逃げ事件は,類型的に逮捕の可能性が高いため,逮捕が回避できるかどうかは非常に重要な問題となります。逮捕されるかどうかの判断は,極めて大きな分岐点と言えるでしょう。

この点,呼び出しを受けている状況は,少なくとも逮捕する方針とは決まっていないことが見込まれるため,逮捕の回避を目指す動きの重要度が高い状況であることが多いです。ひき逃げ事件でありながら呼び出しを受けているということを大きなチャンスと理解し,逮捕の回避にできる限り注力することが有益となりやすいでしょう。

②事故発生が認識できなかったと争う場合

ひき逃げ事件の否認事件では,「事故の発生が認識できなかった」との理由で否認主張されることが非常に多く見られます。事故の発生が認識できなければ,ひき逃げを意図して行う余地がないため,ひき逃げ事件の刑事責任を問われることはなくなります。

もっとも,「事故の発生が認識できなかった」かどうかは,本人の主観を基準とするのでなく,客観的な判断となる点に注意が必要です。当事者自身は認識できていなかったとしても,一般人であれば認識できた状況と言える場合,主張は認められません。

事故発生が認識できなかったとの主張をする場合には,通常の一般人が認識できないような状況,内容であったということを主張する必要がある点に留意しましょう。

③自動車運転者の義務を理解する

ひき逃げとは,「救護義務」という自動車運転者の義務に違反したことを指すのが通常です。この点,自動車運転者には,交通事故が発生したときに大きく分けて以下の2つの義務が発生します。

交通事故発生時の自動車運転者の義務

1.救護義務
→負傷者を保護し,その生命や身体を助ける義務

2.報告義務
→事故の発生を警察に報告する義務

また,救護義務が発生するのは「交通事故」が発生した場合ですが,具体的には「車両等の交通による人の死傷」を指します。車の交通に伴って人が死傷した場合に,自動車運転者は被害者を救護する義務を負うことになります。

ひき逃げも犯罪の一つである以上,犯罪に当たるかどうかの厳密な基準をクリアする必要があります。自身の行為が犯罪に当たるか,当たるとすればなぜかを把握することは,適切な対応を尽くすための重要なポイントになるため,自動車運転者の負う義務は正しく理解したいところです。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

ひき逃げは逮捕されるか?逮捕回避の方法は?ひき逃げ事件の流れを解説

ひき逃げは重大な交通犯罪とされ、発覚すれば逮捕に至る可能性が高い行為です。突然の逮捕や取調べに直面すると、仕事や生活に大きな影響が及び、不安を抱える方も少なくありません。本記事では「ひき逃げは必ず逮捕されるのか」「逮捕後はどのような流れになるのか」といった疑問に答えるとともに、ひき逃げ事件の逮捕を回避するための方法について弁護士が分かりやすく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

ひき逃げをすると逮捕されるか?

ひき逃げ事件は,逮捕の可能性が十分に考えられる事件類型です。逮捕を避ける手段に乏しい場合も珍しくはないため,事件によっては逮捕を覚悟すべきケースも少なくはないでしょう。

ひき逃げ事件は類型的に逮捕の可能性が高いものですが,逮捕が見込まれやすい理由としては,以下の点が挙げられます。

ひき逃げ事件で逮捕されやすい理由

1.事件の重大性

2.逃亡の恐れ

3.被害者の救済

【1.事件の重大性】

ひき逃げは,非常に違法性の程度が大きい犯罪行為と考えられています。ひき逃げとは,自動車運転者が交通事故後に被害者を救護する義務(救護義務)に反してその場を立ち去ることを言いますが,それだけ救護義務を果たすことが重要と理解されているのです。

刑事事件の場合,事件が重大であるほど処分も重くなるため,重い処分を避ける目的で証拠隠滅などされる危険が大きい,と評価されることが通常です。そのため,重大であるひき逃げ事件は,証拠隠滅等を防ぐために逮捕されやすい事件類型ということになります。

【2.逃亡の恐れ】

逮捕するかどうかは,逃亡の恐れがあるかどうかを重要な判断基準として決められます。この点,ひき逃げ事件は,まさに事故現場から逃亡してしまった事件であるため,類型的に逃亡の恐れが高いと評価されやすい傾向にあります。

また,ひき逃げ事件は,事故の発生に気づいていない場合を除き,事件が捜査されていることが加害者にとって明らかです。被害者側が警察に通報などをしない可能性はほとんどないため,ひき逃げの自覚があれば,事件は捜査されていると理解するのが通常でしょう。
そうすると,加害者が逃亡を続ける動機はさらに大きくなってきます。ひき逃げをした加害者が逃亡を継続することになりやすいため,今後の逃亡を防ぐためにも逮捕の可能性が高くなります。

【3.被害者の救済】

ひき逃げ事件では,被害者に相当程度大きな損害が生じているケースが少なくありません。被害者は身体や車両にダメージを受けていることが多く,その救済が不可欠な状況となりやすいでしょう。

この点,被害者の救済は,加害者が損害を補填する形で実現する必要があります。そうすると,加害者を特定した上で,加害者が逃れられないよう逮捕することが,被害者の救済にとって適切な方法と判断されやすいことになります。
また,被害者の感情面に配慮する観点でも,逮捕をしない取り扱いは被害者の理解が得られづらいため,逮捕をすることが有力になりやすいところです。

ひき逃げで逮捕を避ける方法

①自ら警察に出頭する

ひき逃げ事件で逮捕の可能性が高まる大きな理由の一つが,現に逃亡をしており今後も逃亡することが危険視される,という点にあります。裏を返せば,逃亡の恐れがないと判断してもらうことができれば,逮捕の可能性は大きく後退するケースが多数です。

そのため,自ら警察に出頭することで,逃亡の意思がないことを表明する方法は有力と言えます。一般的に,自ら出頭した人がその後に逃走するというのは,不合理な行為であって考えにくいとの理解がなされるでしょう。
また,自ら出頭する行為は,捜査機関に犯罪事実などが発覚していない段階であれば自首に該当する可能性があります。自首が成立すれば,逮捕回避や処分の軽減などに対して,より有益な効果が期待できます。

②被害者への謝罪を尽くす

ひき逃げ事件における逮捕は,被害者保護の観点を強く考慮したものであることが少なくありません。つまり,重大な被害を受けた被害者の無念や憤りを踏まえ,被疑者にも相応の重い措置(=逮捕)を行う,という判断がなされやすいところです。

そうすると,被害者側が強い被害感情を抱えておらず,被害者保護のために逮捕する必要はないと判断してもらうことができれば,逮捕の可能性は大きく減少することが見込まれます。そのため,加害者としては被害者側に可能な限りの謝罪を尽くし,その感情に配慮した行動を取ることが有力な手段となります。

なお,被害者に対しては,感情面はもちろん経済面でも配慮の必要があります。経済的な配慮のためには,自動車保険の担当者へと円滑に引き継ぐなど,保険を通じた支払の便宜を図る動きが一案でしょう。

③金銭賠償を行う

ひき逃げ事件では,経済的な損害を被った被害者が泣き寝入りになることを防げるよう,加害者の身元を確保する目的で逮捕される場合もあります。被害者としては,捜査機関が加害者を特定し,逮捕してくれなければ,現実的に損害賠償を請求できないというケースも決して珍しくありません。

逆に,加害者から被害者への金銭賠償が尽くされていれば,被害者が金銭を回収するための配慮として逮捕をする必要はなくなります。また,適切な金銭賠償が行われている場合,当事者間の関係も比較的解決に近い状態であることが見込まれるため,逮捕という強い態様の捜査をする必要性はより低くなることが期待できるでしょう。

ひき逃げとは

ひき逃げの意味

ひき逃げは,法律で定められた語句ではありませんが,人身事故発生時,自動車運転者が救護義務に違反したことを指すのが一般的です。
つまり,被害者をひいておきながら,その場から逃げることを指して,俗にひき逃げと呼ばれています。

運転者は、交通事故を起こした際には、負傷者の救護や警察への報告など一定の義務を負いますが、救護を怠った場合には「救護義務違反」として処罰の対象となります。
この救護義務違反がいわゆる「ひき逃げ」に当たるものであり、極めて重い非難を受ける行為とされています。

参照:交通事故で救護義務違反(ひき逃げ事件)として処罰されないために

ひき逃げの刑罰

ひき逃げは、複数の法律に違反する重大な犯罪行為です。
交通事故を起こした後に現場から立ち去る行為は、単一の罪名ではなく、複数の法的責任を同時に問われることになります。

ひき逃げが重く処罰される理由は、被害者の救護義務を怠る点と、事故の発覚を免れようとする隠ぺいの意図にあります。事故直後の適切な救護措置は被害者の生命を左右する可能性があるため、法律はこれを特に重視し、厳しい刑罰を定めています。

ひき逃げの場合、自動車運転死傷行為処罰法と道路交通法の両方が適用されるのが一般的です。

① 自動車運転死傷行為処罰法違反

運転上の過失や危険な運転によって人を死傷させた場合、以下の罪が成立します。

過失運転致死傷罪(第5条)
→ 7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

危険運転致死傷罪(第2条)
→ 致傷の場合は15年以下の拘禁刑、致死の場合は1年以上20年以下の拘禁刑

② 道路交通法違反

事故後の対応義務に関する違反として、次の2つの罪が問われます。

救護義務違反(第72条1項前段)
→ 5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

報告義務違反(同条後段)
→ 3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

ひき逃げで逮捕された後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

ひき逃げで逮捕された場合の不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

ひき逃げの逮捕に関しては弁護士に依頼すべきか

ひき逃げ事件の逮捕を防ぎたい場合や,逮捕後の対応を万全にしたい場合は,弁護士への依頼が適切です。弁護士への依頼によって,最悪の事態を防ぎ,身柄拘束に伴う不利益を最小限にとどめることが可能になり得るでしょう。
ひき逃げ事件の逮捕に関して弁護士に依頼するメリットとしては,以下のような点が挙げられます。

①逮捕リスクの高さを把握できる

同じひき逃げ事件であっても,具体的な逮捕リスクの程度は個別の事件によって様々に異なります。もっとも,具体的な事件における逮捕リスクの高さを正確に把握することは,決して容易ではなく,専門家以外には困難である場合がほとんどでしょう。

この点,弁護士に依頼することで,自分の事件はどの程度の逮捕リスクがある内容か,自分の現状はどの程度の逮捕リスクがある状況か,といった点を理解することができます。逮捕リスクの高さを正しく理解することは,事件に応じた適切な対応方法の判断と直結するため,非常に重要なポイントということができるでしょう。

②手続の見通しが分かる

ひき逃げ事件の場合,見込まれる手続や処分の内容によって,手続の流れに複数の可能性があります。そして,複数の可能性のうちどの流れであるかによって,いつどのような対応をすべきかが変わってくるため,自分の事件はどの流れを辿るのか,正しく見通すことが必要となります。

この点,弁護士に依頼すれば,手がかりとなる事情をもとに,今後の手続の見通しを立ててもらうことが可能です。また,その見通しを踏まえて,どのタイミングでどのような対応をするか,といった方針を検討してもらうこともできるでしょう。
ケースによっては,見通しを一つに絞ることが難しい場合もあり得ますが,現実的に見込まれる可能性が絞れるだけでも,その後の検討の容易さは極めて大きく変わるでしょう。

③逮捕後の対応を迅速にしてもらえる

ひき逃げ事件の場合,逮捕される可能性を踏まえた検討や対応も不可欠です。逮捕が避けられず,逮捕後の対応が必要となったときには,できるだけ早く弁護士に適切な対応を講じてもらうことが重要となります。

この点,あらかじめ弁護士に依頼していれば,逮捕後の弁護活動を迅速に開始してもらうことが可能です。弁護士に依頼していない状態だと,家族など周囲の関係者が弁護士探しをし,弁護活動を依頼してもらう必要がありますが,そこにはやむを得ず大きなタイムロスが生じます。
逮捕後の手続に法律上の時間制限があることも踏まえると,速やかに弁護活動が開始できるメリットは非常に大きなものと言えます。

ひき逃げの逮捕に関する注意点

①対応を要する時期

ひき逃げ事件では,逮捕を防ぐための対応をいつ要するか,という点がケースにより様々です。被害者側が捜査を求めるタイミング,捜査の結果加害者が特定されるタイミングなどが,個々人の判断や発見される証拠等によって大きく異なるためです。事件によっては,事故発生直後に対応をしなければならないこともあり,一方で一向に逮捕できる状況に至らない事件もあります。

そのため,ひき逃げ事件の逮捕に関しては,いつ具体的な対応を要するかが事前には分からない,という点に注意することが必要です。この点,通常,対応が遅れるメリットはほとんどないため,対応するのであれば早めに行うに尽きるでしょう。

②逮捕の回避が困難な場合

ひき逃げ事件の場合,捜査の進展などによっては,逮捕を回避するための方策を講じるための時間的余裕がない場合も少なくありません。捜査機関が速やかに加害者を特定した場合,何をする間もなく逮捕されてしまう場合は十分に考えられます。

また,捜査機関が被疑者の逮捕を決めており,その判断が変わる余地がない場合には,逮捕回避の努力を尽くしても結果的に逮捕が防げない場合はあり得ます。重大な事件類型である以上,逮捕を避ける手段がない可能性も踏まえておくことが必要です。

③逮捕後の考え方

ひき逃げ事件は,逮捕が防げない可能性も低くはないため,逮捕された場合の考え方についても押さえておくことが適切です。逮捕後の対応を十分に尽くせれば,最終的な結論はより不利益の小さなものになることも十分に考えられます。

この点,逮捕後の基本的な考え方としては,一定期間の身柄拘束を想定しつつ,最終的な刑事処罰の回避や軽減を目指す,という方針が有力でしょう。
ひき逃げ事件で逮捕された場合,速やかに釈放されるケースは残念ながら多くありません。事件類型上,収集の必要な証拠が多く想定される上に,逃亡や証拠隠滅の危険が大きいと評価されやすいためです。そのため,早期釈放のみに執着することは結果の伴わないことが多いでしょう。
一方,最終的な刑事処分が軽減する可能性は十分にあり得ます。被害者側への対応などを通じて,処分の軽減が期待される状況となれば,結果的に釈放が早まる可能性すらあり得るところです。

そのため,逮捕後の基本的な考え方としては,早期釈放に執着せず処分の軽減を目指す,というスタンスをお勧めします。

ひき逃げの自首に関するポイント

ひき逃げ事件で自首をするべき場合

①事故の規模が重大なケース

ひき逃げ事件の責任の重さは,事故の規模に比例する傾向にあります。事故が大きいほど,ひき逃げによって生じる被害が大きくなりやすいため,その責任も重くなります。
また,事故の規模が重大である場合,「事故に気付かないまま走り去ってしまった」という可能性はほとんどなくなることになります。大規模な事故が起きるほどの衝撃がありながら,事故が起きたとは気づかなかった,という場合は考えにくいためです。

そのため,事故の規模が重大なひき逃げ事件は,加害者が事故に気付きながらひき逃げしたことが明らかである上,その行為の責任が特に重いということになります。この場合,逮捕勾留といった身柄拘束をして捜査が行われた上で,実刑判決を受けて刑務所に収容される,という流れを辿ることも十分に考えられます。

そうすると,事故の規模が重大なケースでは,最終的な刑事責任をできる限り軽減させるため,自首を行うことが非常に有力な手段となるでしょう。自首をしなければ実刑判決であったが,自首をしたことで実刑判決が避けられた,という場合も大いにあり得るところです。

ポイント
ひき逃げ事件の刑事責任は,事故の規模に比例しやすい

②被疑者として特定される見込みがあるケース

ひき逃げ事件の被疑者として自身が特定される見込みである場合,対応をせず放置しているメリットはあまりありません。なぜなら,被疑者の特定が可能なひき逃げ事件は,ほぼ確実に被疑者を特定し,被疑者に対する捜査へと移行することになるためです。
このとき,漫然と放置していると,やがて捜査を受けることになってしまい,自首の機会を失ってしまいかねません。

自首は,自分が被疑者として特定される前に行うことが必要です。自ら警察に出頭したとしても,既に被疑者として特定された後であれば,自首の要件を満たさず,自首が成立した場合のような効果は期待できなくなるでしょう。

事故状況や想定される証拠などから,自分が被疑者として特定される見込みがあるケースでは,できるだけ早期に自首の検討を行うことが適切でしょう。

ポイント
被疑者の特定が可能なひき逃げ事件では,放置するメリットに乏しい
捜査を受けた後では自首の機会が失われてしまう

③否認事件の自首

ひき逃げの心当たりがないものの,自分を加害者として捜査をされているひき逃げ事件があると分かった場合(または予想される場合),自首をするのは適切でしょうか。

この点,否認事件である以上,法的な自首を行うわけにはいきません。自首は,自身の犯罪行為を捜査機関に申告する行為であるためです。そのため,否認事件でありながら,出頭して情報提供などを積極的に行うか,という問題になるでしょう。

積極的に出頭するメリットとしては,以下の点が挙げられます。

否認事件で自ら出頭するメリット

1.逮捕リスクの低下
→後に被疑者として捜査を受ける場合でも逮捕されにくくなる

2.取り扱い状況の把握
→実際に捜査されているかが分かる場合もある

3.主張の容易さ
→捜査機関主導で取り調べなどを受ける場合より,自身の主張を伝えやすい

もっとも,否認事件でありながら進んで出頭するという行為は,一般的にはあまり見られないため,その趣旨や内容が正しく伝わるよう適切な方法で行う必要があります。行うべきかどうかも含め,慎重な検討をすべきことは間違いないでしょう。

ポイント
否認事件でありながら進んで出頭する行為にもメリットがある
もっとも,方法は慎重に検討するべき

ひき逃げ事件の自首は弁護士に依頼すべきか

ひき逃げ事件で自首を検討する場合,実際に自首を行う場合には,弁護士への依頼を強くお勧めします。弁護士に依頼することで,より適切な方法での自首ができ,有益な効果が期待できます。

弁護士に依頼することの具体的なメリットとしては,以下の点が挙げられます。

①逮捕を回避できる可能性が上がる

ひき逃げ事件の自首は,逮捕の回避が大きな目的になりやすいところです。ひき逃げ事件は類型的に逮捕の恐れが大きいため,自首をしなければ逮捕されるであろう事件も多く,自首による逮捕回避の重要性は高くなります。

もっとも,自首の方法や内容が不十分・不適切である場合,逮捕回避にとって十分な効果が生じない恐れがあります。せっかく自首をしても,逮捕を防ぐ効果が半減してしまうのであれば,それは非常にもったいないことです。

この点,弁護士に依頼することで,適切な方法・内容での自首ができ,逮捕回避につながりやすくなることが期待できるでしょう。自首を行う際の負担も大きく軽減できるため,自首に踏み切る心理的なハードルも低くなることが期待できます。

②取調べの備えができる

自首は,あくまで捜査の出発点であり,自首後には取調べをうけることが見込まれます。自首とその後の取調べは基本的にセットとなるため,自首を行う場合には取調べに向けた準備も不可欠です。

しかしながら,自分で取調べ対応の準備を適切に行うのは容易ではありません。十分な備えを行うには,取調べの方法や内容を熟知している専門家の意見を仰ぐことが不可欠になるでしょう。

自首のサポートを弁護士に依頼している場合,自首後の取調べ対応についても,十分な備えのためのサポートを受けることが可能です。話すべきことや話すべきでないことはあるか,注意点は何かなど,取調べの対応方針を具体的に立てることができるでしょう。

③早期釈放を目指すことができる

ひき逃げ事件の場合,自首をしてもなお逮捕を防げないケースが少なくありません。その場合は,逮捕を前提にできる限り早期の釈放を目指すことが必要となります。

この点,弁護士に依頼して自首を行っていれば,逮捕後にも速やかに弁護活動を開始してもらうことができ,早期釈放を目指す動きが進められます。また,現実的に釈放が可能なタイミングや方法などについて,弁護士の専門的な判断を仰ぐことも可能になるでしょう。

④被害者への対応が早期に始められる

ひき逃げ事件は,個別の被害者が存在する事件のため,被害者にどのような対応をしたか,対応を受けた被害者がどのような心情であるか,といった点が刑事処分に大きな影響を及ぼします。ケースによっては,被害者が加害者を許しているという1点を理由に不起訴処分とされる場合すらあり得るところです。

この点,被害者の心情面に配慮するための対応は,できる限り早期に開始することが適切です。加害者からの謝罪などが速やかに行われるか長期間経過後に行われるか,どちらが望ましいかは明らかでしょう。

弁護士に依頼している場合には,自首を行った後,迅速に被害者への対応を始めることが可能です。また,やり取りの多くを弁護士に行ってもらうことができるため,被害者対応を円滑に進めることができます。

ひき逃げ事件で自首をする場合の注意点

①逮捕前に行う必要

ひき逃げ事件の自首は,逮捕を防ぐことを大きな目的とするため,逮捕されるかどうかが判断される前に行わなければなりません。逮捕後には,自首をする余地がないだけでなく,行われてしまった逮捕が遡って取り消されることなどもないため,目的を達成する余地がない状況と言わざるを得ないでしょう。

この点,逮捕されるか可能性があるかを見極めた上で,逮捕の恐れがあるならば自首をする,という動きを取りたいところですが,そのような方針を取ることも容易ではありません。逮捕されるかどうか,逮捕されるとして時期がいつか,といった点を事前に把握することは困難であるためです。

ひき逃げ事件で自首を検討する場合には,時期遅れとなることを避けられるよう,できる限り早期に進めることをお勧めします。

②損害賠償への備え

ひき逃げ事件では,被害者に対する損害賠償を想定する必要があります。被害者に生じる損害には,大きく分けて以下の2つがあります。

ひき逃げ事件で被害者に生じる損害

1.人身損害
→治療費,休業損害,精神的苦痛に対する慰謝料など

2.物的損害
→事故車両,破損した携行品,着衣など

被害者に生じる損害は,相当な規模になることも考えられる上,具体的な計算を当事者が行うのは非常に困難です。そのため,基本的には自動車保険を利用することが望ましいでしょう。損害賠償への備えとして,加入している自動車保険の確認や,対応の流れに関する保険会社への相談などを行っておくのは有益です。

③逮捕時の持参物

留置施設に持ち込む物品の例としては,以下のものが挙げられます。

留置施設に持ち込む物品の例

1.現金(1万円程度)

2.着替え(上下着衣,下着,靴下)

3.本

なお,着替えや本については,留置施設内で利用できるものに詳細なルールがあります。ルールに反した物品は利用できないため,具体的なルールを依頼する弁護士に確認の上,準備することをお勧めします。
また,留置施設へ直接の確認を行うことも可能です。警察署内に留置されている場合は,各警察署の留置管理課に問い合わせの上,差し入れたい物品について相談することで,必要な案内を受けることができます。

ひき逃げの逮捕に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【ひき逃げ事件の不起訴処分】不起訴となる具体的な可能性をケースごとに詳細解説

このページでは,ひき逃げ事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

ひき逃げ事件で不起訴を目指す方法

①金銭賠償

ひき逃げ事件では,怪我をした被害者に具体的な損害が生じています。そのため,生じた損害を補填することは,処分の軽減を目指す上で非常に重要な動きとなるところです。
損害を補填する具体的な方法は,金銭の支払であることが通常です。精神的苦痛などを金銭換算し,適切な金額を支払うことで損害の補填とする,ということになります。

この点,自動車保険(任意保険)に加入している場合は,基本的な金銭賠償の対応は保険会社で行うことが通常です。損害の金銭換算にも一定のルールがあるため,そのルールに沿った適切な支払を期待することができるでしょう。

もっとも,保険による金銭賠償はいわば加害者の義務であり,当然の対応ではあるため,保険から賠償をしたのみで不起訴が目指せるわけではありません。金銭賠償は,不起訴を目指す場合の前提であるとの理解が適切でしょう。

ポイント
被害者の損害を金銭で補填することが適切
もっとも,金銭賠償はあくまで不起訴を目指す前提にとどまる

②示談

ひき逃げ事件の場合,具体的な被害者が存在するため,被害者の意向が刑事処分を大きく左右しやすい傾向にあります。被害者の許し(=宥恕(ゆうじょ))が得られているかどうかが,起訴不起訴の判断に決定的な影響を及ぼすことも珍しくはありません。
そのため,加害者の立場としては,被害者との間で示談を行い,被害者の宥恕を獲得することが非常に重要な試みと言えます。

ちなみに,ここでの示談は,保険会社が行う金銭の支払とは別のものであり,被害者の宥恕を内容とする合意を指します。保険会社は,金銭賠償のみを加害者の代わりに行う立場であるため,被害者が宥恕するかどうか,という点に関与することはできません。そのため,被害者の宥恕を獲得したい場合には,保険会社とは別に,積極的に被害者側との示談を試みることが必要となります。

ポイント
被害者側の許しの有無が起訴不起訴を左右しやすい
保険会社の対応とは別に,被害者との間で示談を目指すことが適切

③自首

ひき逃げ事件がまだ捜査されていない,あるいは捜査されているものの被疑者が特定できていない,という段階では,不起訴を目指す手段として自首が有力となります。
自首は,自ら捜査機関に犯罪事実を告げる行動であるため,深い反省の意思が表明されているとの評価につながりやすい傾向にあります。起訴不起訴の判断は,被疑者の反省状況を踏まえて行われるものであるので,自首を通じて深い反省が示されていることは,不起訴処分を目指すための重要な材料となることが見込まれるでしょう。

もっとも,ひき逃げ事件の場合,事件自体の重大性があるため,自首によって確実に不起訴が実現するというわけではありません。特に被害結果が重大なケースでは,自首を試みても結果的に起訴されてしまう可能性も踏まえておくことをお勧めします。

ポイント
捜査前の段階であれば,自首が有力
もっとも,重大事故では不起訴が期待できない可能性も

④否認事件の場合

否認事件では,犯罪の成立することが証明できない,という形での不起訴を目指すことが有力です。法的には,「嫌疑なし」(犯罪の疑いがないと分かること)または「嫌疑不十分」(犯罪事実を立証する証拠が不十分であること)と呼ばれます。

この点,ひき逃げ事件の否認事件で最も多いのが,自動車運転者に「交通事故が発生したことの認識がなかった」というケースです。
ひき逃げ事件は,交通事故が起きた際の自動車運転者が負う救護義務に違反するものであるため,自動車運転者に「救護義務が発生している」との認識が必要となります。そして,「救護義務が発生している」との認識があると言えるためには,事故発生の認識が必要です。交通事故の発生を認識できている場合にのみ,救護義務の発生が認識できるためです。

ひき逃げ事件の前提となる交通事故には,大小様々なものがあります。そのため,特に事故の規模が小さく,自動車運転者からは事故が起きたかどうかも不明確であるという場合には,事故発生の認識を欠き,不起訴となる可能性があり得るところです。

ポイント
否認事件では,犯罪の立証ができないとの結論を目指す
事故発生の認識がない場合には不起訴が見込まれる

ひき逃げ事件で不起訴になる可能性

ひき逃げ事件で不起訴になることは容易ではありません。ひき逃げ事件は,被害者の生命や身体に大きな影響を及ぼしやすい重大事件であるため,「反省している」「初犯である」といった一般的な事情のみで不起訴になる可能性が非常に低い事件類型と言うことができるでしょう。

また,ひき逃げ事件の場合,事故現場を無責任に離れてしまっている,という点の重みが非常に重視されやすい傾向にあります。交通事故のみであれば,むしろ比較的軽微な事件類型であることも少なくありませんが,ひき逃げが伴うと事件の重大性が極めて大きく変わってきます。それだけ,現場を離れる行為の刑事責任が重く評価されているのです。

もっとも,事故が非常に軽微であり,被害者の受傷も軽微な場合であれば,被害者との解決状況次第で不起訴となる可能性も十分に考えられます。この場合は,事件の重大性が比較的小さいと理解されやすいためです。
また,事故の規模が非常に小さい場合には,自動車運転者の感じる衝撃も小さいため,事故の発生を認識できなかった可能性が高くなります。事故発生の認識ができない場合,運転者に救護義務は発生しないため,犯罪の立証ができないことを理由に不起訴となる可能性も出てくることがあり得ます。

ポイント
重大事件のため,反省や初犯といった事情のみで不起訴になる可能性は非常に低い
軽微な事故であれば,不起訴処分の可能性も高くなる

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

ひき逃げ事件で不起訴を目指す場合の注意点

①自動車保険の利用は不起訴の根拠にならない

交通事故の場合,被害者への金銭賠償のために自動車保険を利用することが一般的です。任意保険に加入していれば,被害者の経済的な損害は自動車保険が全て賠償してくれることになりやすいでしょう。
そして,自動車保険と被害者との間では,金銭面の解決内容が合意できた場合,示談を取り交わすことが見込まれます。示談により,加害者と被害者の間では一定の解決となります。

しかしながら,自動車保険を通じて金銭賠償の合意ができた(示談ができた)としても,それだけで不起訴処分となるわけではない,という点に十分な注意が必要です。なぜなら,自動車保険ができる解決は,あくまで金銭面のみであるため,不起訴のために重要な被害者の意向(起訴を望むか不起訴を望むか)という面に対しては何も手当てがなされていないためです。

不起訴を目指すためには,自動車保険の対応とは別に,被害者に不起訴を望む意向を表明してもらうことが重要となります。「示談」という言葉に惑わされることのないようにしましょう。

②示談をしても不起訴にならない可能性

ひき逃げ事件で不起訴を目指すためには,被害者との示談が非常に重要となります。ただ,示談ができたからといって必ずしも不起訴にはならないという点には注意が必要です。

ひき逃げ事件は,特定の被害者に対する犯罪であると同時に,公共の利益に悪影響を及ぼす犯罪であると理解されています。自動車運転者が被害者を救護しないでひき逃げをしてしまうと,社会の秩序が大きく乱れてしまうため,ひき逃げ事件は社会にも損害を及ぼす事件類型とされているのです。
被害者との示談は,被害者に生じた損害に対する許しではありますが,社会に生じた損害を許すものにはなりません。そのため,社会における公共の利益を害した,という面が重視された場合,示談が成立していてもなお不起訴は獲得できない可能性があり得るのです。

③身柄事件の期間制限

ひき逃げ事件は,逮捕勾留といった身柄拘束を伴う捜査が行われやすいですが,身柄拘束には厳密な期間制限があります。
逮捕されると,最大72時間以内に「勾留」されるかどうかの判断が行われます。勾留された場合には10日間の身柄拘束が引き続き,その後に「勾留延長」となれば更に最大10日間の拘束を受けることとなります。

逮捕から起訴までの流れ

もっとも,裏を返せば,逮捕後に捜査が行われるのはこの最大23日程度の期間に限られます。不起訴を目指すのであれば,この限定された期間の中で必要な弁護活動を尽くし,不起訴の判断に必要な結果を獲得することが求められますが,これは容易なことではありません。

身柄事件では,期間制限が厳格であるため,獲得できる結果に限りが生じ得ることを注意しておくようにしましょう。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【埼玉大宮でひき逃げ事件の弁護士選び】最善の結果を目指すための弁護士選びを詳細解説

このページでは,ひき逃げ事件の弁護士選びについてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。弁護士への依頼を検討する際の参考にご活用ください。

QRコード又はアカウントリンクから
友達登録の上、ご相談ください。

<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
友だち追加

ひき逃げ事件で弁護士を選ぶタイミング

①自首を試みるとき

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。犯罪事実や犯人が捜査機関に知られる前に,自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

ひき逃げ事件の場合,被害者は基本的に捜査機関に捜査を依頼することになりやすいところです。もっとも,直ちに加害者が特定できないケースも少なくないため,加害者の特定前に自首がなされれば,有益な法律上の効果が期待できるでしょう。
もっとも,具体的に自首を試みることは相当にハードルが高いため,当事者自身で自首を決断し実行するのは容易ではありません。そのため,自首を検討する場合には,弁護士に依頼をし弁護士と協同して行うことが非常に有力と言えます。

ひき逃げ事件では,自首がなければ逮捕されていたが自首したために逮捕を免れた,という場合も珍しくはないため,弁護士とともに自首を検討することは極めて重要な行動となるでしょう。

ポイント
ひき逃げ事件でも,加害者特定前であれば自首は可能
自首が逮捕回避につながることもある

②逮捕されたとき

ひき逃げ事件は,逮捕の可能性が十分に考えられる事件類型です。事故現場から逃走してしまった事件であり,類型的に逃亡が懸念されやすい事件類型であることから,逃亡を防ぐため逮捕をする必要性が高いと評価されやすいのです。

もっとも,逮捕によって刑事手続や処分の方向性が決まるわけではありません。逮捕は,あくまで捜査手続の一つに過ぎず,被疑者に対する捜査の初期段階と言うことも可能です。そのため,逮捕後の対応によっては,刑事処分の結果に大きな影響を及ぼす可能性があり,逮捕されたときこそその後の動きを迅速に検討・判断すべきでしょう。

逮捕直後は,弁護士選びが非常に重要な局面と言えます。早期に有効な弁護活動を開始してもらうためにも,速やかに妥協のない弁護士選びを行うことをお勧めします。

ポイント
ひき逃げ事件は逮捕の可能性が十分にある
もっとも,逮捕は捜査の初期段階であり,その後の対応を速やかに決めるのが有益

③起訴されたとき

ひき逃げ事件は,その内容の重大性から,起訴が免れられないケースも珍しくありません。そして,起訴された後は,公開の法廷で裁判を受け,刑事処罰が決定されることになります。

この点,ひき逃げ事件では,起訴後の裁判での対応を誤ってしまうと,実刑判決を含めた重大な刑事処罰の恐れが生じ得ます。実刑判決となってしまった場合,刑務所に入ることを強いられ,日常生活から引き離される結果となることが見込まれます。そのため,実刑判決でなく,刑務所への収監が生じない執行猶予判決を目指し,適切な対応を取るべきケースが少なくないでしょう。

刑事罰の種類

起訴された後は,裁判で万全の対応を尽くすため,公判対応に適した弁護士を探すことが重要となります。

ポイント
ひき逃げ事件で起訴された場合,実刑判決を避ける努力が必要
具体的な対応は弁護士の判断が適切

④示談を試みるとき

ひき逃げ事件は,特定の被害者が存在する事件のため,刑事処分に対する被害者の意見が処分結果を大きく左右する傾向にあります。そのため,処分の軽減を目指すためには被害者側への配慮は不可欠となるでしょう。
この点,被害者へのアプローチとして代表的な示談の試みは,基本的に弁護士を窓口として行うことが必要です。当事者間での直接の協議は適切でないため,弁護士と被害者との間で連絡を取ってもらい,協議を進めることが一般的です。

もっとも,示談の成否やその内容は,担当する弁護士によって様々に変わりやすいものです。示談における合意内容は当事者間の自由であり,無数の選択肢があるため,示談交渉の巧拙が示談の内容に直結することも珍しくありません。
そのため,示談を試みたいときには示談に精通した適任の弁護士を選ぶ必要があるでしょう。

ポイント
示談の協議は弁護士を窓口に行うことが適切
示談の成否や内容は,弁護士によって様々に変わる

ひき逃げ事件の弁護士を選ぶ基準

①迅速な対応ができるか

ひき逃げ事件は,逮捕や勾留といった身柄拘束が伴いやすいこともあり,弁護活動にスピードが要求されやすい傾向にあります。ケースによっては,対応の迅速さによって釈放時期や刑事処分が大きく変わる可能性もあり得るところです。

もっとも,弁護士がどのタイミングでどのような弁護活動を行うかは,基本的に弁護士側の判断に委ねられています。刑事事件のスピード感に合わせた迅速な対応のできる弁護士であれば問題ありませんが,万一弁護活動がタイミングを逃したものになってしまうと決定的な悪影響につながる可能性も生じてしまいます。

迅速対応を約束してくれるかどうかは,必ず弁護士選びの基準として設けるようにしましょう。

②刑事弁護の専門性があるか

ひき逃げ事件の弁護活動には,知識や経験がないと見通すことが困難な特徴的な取り扱いが少なくありません。弁護士は,それらの特徴を踏まえて手続や処分の見通しを立て,その見通しを前提に弁護活動の方針や内容を検討することになります。

そのため,弁護士がひき逃げ事件の特徴を把握しているか,事件分野に関する知識や経験があるか,といった点は,弁護活動の内容や結果を直接左右する重要なポイントとなるでしょう。
弁護士選びに際しては,ひき逃げ事件の対応に必要な知識や経験を持ち合わせていることを重要視したいところです。

もっとも,弁護士にひき逃げ事件の知識や経験があるかをピンポイントで把握することは容易ではありません。そこで,刑事弁護がその弁護士の重点的な取り扱い分野であるか,という点を判断基準の一つとすることは,現実的でもあり有力でしょう。

③弁護方針が具体的か

ひき逃げ事件の場合,個別の内容によって実現可能な結果が大きく異なりやすいところです。例えば,運転者が事故が起きたことを把握することすら困難な内容であれば,犯罪が立証できないことを理由に不起訴処分となる可能性も十分にありますが,明らかな重大事故でひき逃げの事実も明白であれば,不起訴を目指すこと自体に無理があるケースも考えられます。

そのため,ひき逃げ事件の弁護に際しては,個別の内容に応じて目指すべき着地点を明確に定め,その着地点に向けた弁護方針を設けることが重要となります。ひき逃げ事件の弁護活動は,活動内容も目標も具体的であることが要求されます。

弁護士選びに際しては,弁護士の案内する弁護活動の方針や目標がどれだけ具体的か,という点を重要な判断基準とすることをお勧めします。弁護方針が具体的であることは,依頼後の動きやすさにも直結する点で大切なポイントになるでしょう。

④事務所所在地

ひき逃げ事件は,交通事故現場を基準とした取り扱いや手続が少なくありません。そのため,弁護士の事務所所在地が事故現場からあまりに離れていると,機動的な弁護活動が難しくなりやすい傾向にあります。

また,逮捕や勾留を伴ういわゆる身柄事件の場合,身柄が留置される場所は事故現場の近くであることが一般的です。そのため,事務所所在地が事故現場から遠く離れていると,留置されている警察へ行くことも容易ではなく,弁護活動に支障が生じる可能性も否定できないところです。

そのため,弁護士選びに際しては,事務所所在地があまりに遠方でないかを重要な判断基準の一つとするのが有力でしょう。

ひき逃げ事件で弁護士を選ぶ必要

①早期釈放のため

ひき逃げ事件であっても,ケースによっては早期釈放を期待できる場合があり得るところです。もっとも,このときに漫然と構えていては,早期釈放の重要な機会を失う結果となりかねません。

ひき逃げ事件で身柄拘束があった場合には,まず速やかに弁護士選びを行い,早期釈放の可否を含めて弁護士の専門的の判断を仰ぐことが適切です。また,早期釈放を目指す際の具体的な動きは,現実的には弁護士に行ってもらう必要があります。実際に早期釈放を試みる場合にも,弁護士選びは必要不可欠と言えるでしょう。

②周囲との連携のため

ひき逃げ事件で逮捕や勾留をされた場合,ご家族や仕事関係者などの周囲の方は,被疑者本人と自由に連絡を取ることができません。面会はできる場合がありますが,環境や時間に大きな限界があり,必要なコミュニケーションを図ることは困難でしょう。
しかも,ひき逃げ事件では,弁護士以外との面会や手紙の授受を禁じる「接見禁止」の処分がなされる場合もあります。接見禁止が決定された事件では,弁護士に接見をしてもらう以外に逮捕勾留された本人と連絡を取り合う手段は存在しません。

このように,身柄拘束されてしまうと,周囲との連携は極めて困難な状況となります。この場合の連携方法は,現実的には弁護士を介した伝言の方法を取るほかないため,連携を図りたい場合には弁護士選びが必要不可欠となるでしょう。

③重大な刑罰を防ぐため

ひき逃げ事件の場合,内容の重大性を踏まえて加害者への刑罰も重大なものとなりやすい傾向にあります。特に,以下のような場合には,重大な刑事罰が懸念されやすいでしょう。

ひき逃げ事件で重大な刑罰が科されやすい場合

1.事故における加害者の過失が大きい
→事故を引き起こした落ち度が大きい分,ひき逃げの責任が重大視されやすい

2.被害者の受傷結果が大きい
→生命や身体の危険が大きい状況であるほど,ひき逃げ行為の責任は重くなりやすい

重大な刑罰が懸念されるケースでは,処分の軽減を目指すためには相応の対応が不可欠となります。その具体的な方法・内容に関しては,弁護士へ依頼し,弁護士の判断を仰ぐことが適切でしょう。

ひき逃げ事件における弁護士選びの準備

①現状をまとめる

弁護士に適切な案内をしてもらうためには,弁護士に現状を正しく把握してもらうことが必要です。事故の内容,事故から現在までの経過などを,時系列に沿って極力詳細にまとめておくことが有益でしょう。

また,自身の言い分がある場合には,言い分に関連する事実関係を特に詳細にまとめておくことが重要です。この点,ひき逃げ事件の場合に特徴的な言い分としては,「事故発生を知らなかった」というものが挙げられます。事故の規模が非常に小さかった場合など,自動車運転者が事故の発生を認識できなかった場合です。このようなケースでは,事故が起きたとされるタイミングで何があったのかを,可能な限り詳細に把握してもらい,弁護士の法的見解を仰ぐことが必要となります。

②証拠資料をまとめる

事件に関連する証拠が手元にある場合は,その内容を弁護士と共有し,弁護士の判断や案内に反映してもらうことが有益です。

この点,ひき逃げ事件の場合に特徴的な証拠としては,事故車両や車両のドライブレコーダー映像が挙げられます。特に,ひき逃げした事実の有無を争う否認事件の場合,事故態様を立証するための証拠として,車両やドライブレコーダー映像が重要な役割を果たす場合は少なくありません。被害者と主張する相手の言い分と客観的な証拠が整合していなければ,相手の言い分に沿った犯罪の立証は困難であるとの判断を促す大きな要因にもなり得るでしょう。

③できる限り早期に相談する

ひき逃げ事件の弁護士選びは,時間との勝負になるケースも少なくありません。ひき逃げ事件で早期の弁護士選びが適切である理由としては,以下の点が挙げられます。

ひき逃げ事件で早期の相談をすべき理由

1.証拠が散逸しやすい
→事故の状況や態様に関する証拠は,後に収集することが困難

2.身柄拘束が伴いやすい
→身柄拘束には法律上の期間制限があるため,期間制限内の対応が必要

弁護士選びに際しては,できる限り速やかに進めることが非常に重要となるでしょう。

ひき逃げ事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①土日祝日の対応

身柄拘束を伴うひき逃げ事件の場合,手続の期限は土日祝日であっても関係ありません。そのため,手続上の分岐点となるタイミングが土日祝日に当たる可能性もあります。このとき,弁護士が一切対応できない状態となると,必要な弁護活動が行われず,重大な不利益につながる恐れもあるため,注意することをお勧めします。

当然ながら,すべての土日祝日に弁護士の対応を求めることは現実的ではありません。もっとも,手続上重要なタイミングが土日祝日に当たった場合に,一律対応できないとの取り扱いなのか,ある程度柔軟な対応が可能なのか,という点は,弁護士やそのスケジュールによっても様々であるため,事前に確認することが有益です。

②弁護士との相性を重視する必要

ひき逃げ事件の場合,当初の目的がやむを得ず達成できないことも珍しくありません。不起訴を目指したい,早期に釈放して欲しい,被害者との間で円滑に解決したいなど,ひき逃げ事件で実現したい事柄は多数考えられますが,事件によっては実現の余地がない場合も考えられます。

もっとも,目的が達成できなかった場合,依頼者目線ではその原因が明確には分かりません。そのため,弁護活動に問題があったせいなのか,弁護士が何をしても達成できない状況だったのかは,分からずじまいとなりやすいところです。

このとき,弁護士との相性や弁護士への信頼という点が非常に重要な問題となります。なぜなら,依頼者としては弁護士への信頼を前提とし,「弁護士に対応してもらってもダメだった以上はしょうがない」と判断するほかないためです。弁護士との相性に疑問を感じていたり,信頼が不十分だったりすると,弁護士への不満や弁護士とのトラブルの原因となってしまいます。

納得できる結果を得るためにも,弁護士との相性は重視することをお勧めします。

③トータルの弁護士費用額

弁護士への依頼には弁護士費用が必要となりますが,その金額は弁護士や法律事務所によって大きく異なる可能性があります。そのため,弁護士費用の見込みについては,十分な確認が望ましいところです。

この点,ひき逃げ事件の場合には,身柄拘束が長期間生じた場合に想定を大きく超えないか把握するため,費用の支払基準を正しく理解することが望ましいでしょう。一見すると安価そうに見える場合でも,手続の各段階で加算される費用が多いと,結果的に高額の弁護士費用となる可能性もあり得ます。
刑事事件の弁護士費用は,事前にゆっくりと検討することが難しい性質のものであるため,できるだけ支払の基準や金額が分かりやすい法律事務所を選択するのが有力でしょう。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所