住居侵入罪の概要や緊急逮捕される可能性|逮捕後の流れや自首のポイントまで解説

「住居侵入で緊急逮捕されるケースってどんな状況?」
「逮捕されたらその後どうなるの?」

このような疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。

住居侵入は刑法で処罰対象となり、状況によっては現行犯や緊急逮捕に至ることがあります。

逮捕後は警察・検察による取り調べが行われ、勾留や起訴の可能性もあるため、該当する行為をしてしまった方は、まず事前に流れを理解しておくことが重要です。

本記事では、住居侵入罪の基礎知識を踏まえ、緊急逮捕に至る具体的なケースや逮捕後の手続きの流れなどを詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

住居侵入罪とは

住居侵入罪とは、他人の意思に反してその占有する住居や建物などに立ち入る行為を処罰する犯罪であり、刑法第130条に規定されています。

刑法第130条

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
引用:e-Gov法令検索「刑法」

ここでは、その基本的な内容を確認していきましょう。

刑罰内容

刑罰内容は、「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」と定められており、罪の重さは状況や侵入の態様によって変わります。

たとえば、悪意をもって侵入した場合や、その行為に他の犯罪(窃盗や暴行など)が結びついている場合には、裁判においてより重く処罰される可能性が高まります。

逆に初犯であり深刻な被害が生じていない場合には、略式命令による罰金刑で処理されるケースも少なくありません。

さらに、刑罰の判断には「侵入の経緯」や「被害者との関係性」も考慮されます。

実際に逮捕された後の処遇は、取り調べや検察の判断次第で大きく変わるため、刑罰内容を正しく理解しておくことは重要です。

住居侵入罪が成立する要件

住居侵入罪が成立するには、いくつかの要件を満たす必要があります。第一に「住居等への侵入行為」が存在することです。

ここでの「侵入」とは、物理的に建物内に入ることに限らず、住人の意思に反して立ち入ること全般を指します。

たとえば、オートロックのマンションに無断で入り込む行為や、退去を求められても居座り続ける行為も含まれます。

第二に「正当な理由がないこと」が必要です。宅配業者や警察官が職務で住居に立ち入る場合は、当然ながら正当な理由が認められ、罪にはなりません。

一方で、個人的な興味や好奇心だけで立ち入った場合は、たとえ短時間でも住居侵入罪が成立します。

第三に「住人の承諾がないこと」が前提となりますが、明示的な拒絶がなくても、住人の意思に反していると認められれば成立します。

住居侵入事件で緊急逮捕される可能性

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

住居侵入事件で緊急逮捕以外の逮捕方法

現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

緊急逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

緊急逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

住居侵入事件で逮捕を避ける方法

①被害者への謝罪や賠償

建造物侵入事件で逮捕される場合,被害者が警察などに捜査を求めることで捜査が始まり,被害者の求めで捜査を行った警察によって逮捕される,という流れが通常です。裏を返せば,被害者が捜査を求めなかった場合,警察が捜査を始めることもなく,逮捕にも至らない,という流れになることが見込まれます。

そのため,被害者への謝罪や金銭賠償によって,被害者が捜査を求めない,との判断をすることがあれば,それは最も端的な逮捕回避の方法と言えます。捜査の開始自体を未然に防ぐこともできるため,刑事罰を受けたり前科が付いたりすることもなくなります。

②自首

建造物侵入事件では,当事者間で直接連絡を取れる状況や関係にない場合も多いため,被害者との解決を事前に図るのが困難な場合も少なくありません。このように被害者へのアプローチが難しい場合に有力な試みが自首です。
自首は,自らの犯罪行為を捜査機関に告げ,自分への捜査を求める動きです。そのため,自首後に捜査妨害が生じるとは考えにくく,逮捕の必要性が低いと判断される大きな材料となり得ます。

なお,自首は犯罪事実又は犯人が捜査機関に知られていない段階で行うことが必要です。時期が遅れると自首が成立しない可能性もあるため,極力速やかな検討と行動が有力と言えます。

③適切な取調べ対応

既に警察の取り調べを受けている事件では,取調べに対して適切な対応を尽くすことによって逮捕の回避を目指す動きも有力です。

取調べは,捜査の中核となるものであり,取調べが円滑に進むかどうかは捜査の進行にとって極めて重要な問題となります。そのため,被疑者の真摯な協力によって取調べが円滑に進行する場合,被疑者を逮捕しなくても捜査に支障はない(=逮捕は必要ない)との判断を得られやすくなるのです。

具体的な取調べ対応としては,質問に対して回答を拒否せずありのまま答える,求められた証拠物の提供などには迅速に応じる,といった動きが有力でしょう。

住居侵入事件の逮捕は弁護士に依頼すべきか

建造物侵入事件の逮捕については,弁護士に依頼の上,弁護士の専門的な見解を仰ぎながら検討・判断することが適切です。逮捕されるかどうかは非常に重要な問題であるため,取るべき手段は逃さず実行することをお勧めします。
弁護士への依頼によって,具体的には以下のようなメリットが見込まれます。

①事件の重大性を判断してもらえる

建造物侵入事件が逮捕されるかどうかは,事件の重大性が非常に大きな基準となりやすいところです。事件が重大であれば逮捕するが,それほど重大でなければ逮捕しない,と言っても過言ではありません。そのため,事件の重大性を正しく把握することは,対応の第一歩と言えます。

この点,弁護士に依頼することで,事件の重大性がどの程度か,それが逮捕の有無にどのような判断を及ぼすか,といった見通しを,正確に理解することができます。また,事件の重大性に応じた対処法についても,弁護士の助言を受けることができるでしょう。

②逮捕を防ぐために必要な動きを判断してもらえる

逮捕を防ぐためにどのような動きが必要か,どのような動きが有益か,という点は,具体的な事件の内容や状況によって大きく異なります。自分の力で一般論だけを収集できても,それが自分の事件に当てはまるのか分からなければ,現実に適切な動きを取ることは困難です。

この点,弁護士に依頼することで,個別の事件を踏まえた逮捕回避策を具体的に検討してもらうことが可能です。また,実際にそれらの行動を起こす際にも,弁護士とともに進めることで適切に行うことができるでしょう。

③被害者との解決を目指すことができる

建造物侵入事件は,具体的な被害者が存在する事件です。そのため,被害者がどのような意向であるか,という点は逮捕の有無に大きな影響を及ぼします。特に,被害者との間で解決済みである場合,その後に逮捕される可能性は現実的になくなるため,被害者との解決は極めて重要なポイントと言えます。

この点,弁護士に依頼することで,被害者との解決を具体的に目指すことが可能になります。通常,弁護士を窓口にしなければ被害者側への接触は難しいため,弁護士の存在は当事者間の解決に不可欠と言えるでしょう。

住居侵入事件で緊急逮捕に関する注意点

①現行犯逮捕の可能性

建造物侵入事件は,現行犯で発覚した場合,直ちに現行犯逮捕されるケースが多く見られます。事件の性質上,犯人が逃亡しやすく,逃亡後に必要な証拠を隠滅されてしまうと,証拠収集が困難になりやすいためです。

この点,現行犯逮捕となってしまうと,逮捕を回避する余地が事実上存在しないことが考えられる点には注意が必要です。逮捕の回避が困難な場合には,速やかに早期釈放を目指す方針に転換することが有力であるため,逮捕を受けて頭が真っ白になってしまわないよう,ご家族の方などが少しでも早く弁護士に相談することをお勧めします。

②逮捕後の拘束期間

建造物侵入事件の場合,逮捕後の拘束期間に複数の可能性があります。2~3日のうちに釈放され,いわゆる在宅事件に切り替わりやすいケースもあれば,20日間の勾留が避けられないケースも珍しくはありません。
これらのケースの違いは,建造物侵入事件に精通した弁護士であれば区別・判断が可能ですが,そうでないとなかなか見通すことはできないでしょう。

逮捕された場合には,本件が早期釈放の見込まれるケースか,20日勾留が見込まれるケースか,できるだけ正確に把握できるよう注意したいところです。見通しによって対応方針が変わるため,非常に重要なポイントと言えます。

③逮捕と前科の関係

逮捕は非常に重大な出来事ではありますが,逮捕されたからと言って前科が付くわけではありません。前科は,刑罰を受けた経歴を指すもので,事件が起訴され刑罰の対象となったときに付きますが,逮捕は起訴するかどうかを決める捜査手続の一つにとどまります。つまり,逮捕などをして捜査した結果,起訴されるかどうかが決まり,起訴された場合にのみ前科が付くのです。

そのため,逮捕された場合であっても,前科が付くと決めつけることなく,前科を避けるための手段をできる限り講じるよう注意することをお勧めします。具体的な対応は,弁護士に相談し,アドバイスを受けましょう。

住居侵入事件で警察から呼び出しを受けたときのポイント

住居侵入事件で呼び出された場合の対応法

①現行犯で取り締まりを受けた事件

現行犯で取り締まりを受けた建造物侵入事件では,現行犯の際に確認した内容を書面にするため,後日呼び出されることが見込まれます。呼び出した後は,事件の内容等を改めて口頭で確認し,「供述調書」という書面にすることが一般的です。

このようなケースでは,多くの場合事件の内容を争うことが難しいため,呼び出された際の質問への回答は,現行犯で確認された内容のとおりとするほかないのが通常です。被害者や目撃者,捜査機関などが現認した内容と矛盾する話はメリットがないため,ありのまま回答し,真摯な姿勢を見せるのが望ましいでしょう。

ただし,自分の記憶と反することまで認める姿勢を取る必要はありません。記憶と異なる話が出てきた場合には,自身の記憶する内容を明確に述べ,事実を明らかにするよう努めましょう。

ポイント
現認されているため,基本的に争う余地に乏しい
現行犯時の内容を確認する取り調べが一般的

②初めて呼び出しを受ける事件

建造物侵入事件で初めて呼び出しを受ける場合には,まず疑われている内容を把握し,認めるべき内容か認めるべきでない内容かを区別することが第一歩です。認めるべきか認めるべきでないかは,方針が180度変わるため極めて重要な判断になります。

もっとも,呼び出しの電話や出頭した後の会話において,警察官が疑いの内容をはっきりと告げてくれるケースはそれほど多くありません。疑いの内容は重要な捜査情報であって,安易には告げない警察官が多い傾向にあります。特に,疑いを認めない態度である場合には顕著に見られるところです。
そのため,疑いの内容として聴き取れる情報は断片的で限りあるものになりやすいことを念頭に,数少ない情報を聞き漏らさないよう努めることが有益でしょう。

ポイント
疑いの内容を把握し,認めるべきか認めないべきかを判断する
捜査機関からは断片的な情報しか得られにくい

③内容が記憶と異なる事件

事件の内容が一部記憶と異なる場合には,その相違点が犯罪の成否に影響するかどうか,という点が非常に重要となります。つまり,疑いの内容通りであれば犯罪が成立するものの,自分の記憶通りであれば犯罪が成立しない,という場合には,どちらが事実であるか,ということが極めて大きな問題となります。

そのため,まずは内容が記憶と異なる点を整理し,その相違がどのような争点に影響する問題なのかを把握したいところです。もし,犯罪の成否に影響しない内容であれば,その点を強調するあまり対応を誤ることは避ける必要がありますし,犯罪の成否に影響する内容であれば,争点であることをできるだけ早く明らかにし,慎重な犯罪捜査を求めることが適切です。

ポイント
犯罪の成否に影響する内容かを区別する

④全く心当たりのない事件

建造物侵入事件を疑われているものの,その内容に全く心当たりがないという場合,心当たりのない理由を明確にするとともに,疑いに対する認否の方針を明確にすることが重要です。

心当たりのない理由は,以下のいずれかであることが大多数です。

心当たりのない主な理由

・疑いと矛盾する記憶がある

・覚えていない

この点,疑いと矛盾する記憶がある場合には,その旨を毅然と述べ,否認の方針を取るべきです。自分の行っていない犯罪の責任を背負う必要は全くありません。
一方,覚えていないという場合には注意が必要です。例えば,「泥酔状態で全く覚えていないものの,自分が行ったと思われる」という場合に,ただ「覚えていない」と告げるのは,認めていないという態度となってしまい,考えと行動が整合しない結果となってしまいます。

記憶がないケースでは,そこで終わるのではなく,認めるかどうかの判断まで具体的に検討することが望ましいでしょう。

ポイント
心当たりのない理由を明確にする
認めるか否認するかを明確にする

住居侵入事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

建造物侵入事件では,呼び出しに応じた際に逮捕されるという流れを辿ることは基本的に考えにくいです。逮捕を予定する事件であれば,呼び出すことなく不意打ち的に逮捕する方が証拠隠滅を予防できる点で有効であるため,あえて呼び出す方法は取られにくいでしょう。

もっとも,呼び出しに対する対応を誤ってしまうと,逮捕を招く結果となる場合は少なくありません。具体的には,以下のような場合に逮捕のリスクが高くなるでしょう。

呼び出し後に逮捕され得るケース

1.十分な応答が期待できない場合

2.捜査に対する妨害行為があった場合

3.被疑者遠方の場合

【1.十分な応答が期待できない場合】

呼び出しを行ったものの,満足に応答が得られず出頭の予定もまともに立てられない場合,呼び出しの方法では捜査協力が期待できないため,強制的に捜査する目的で逮捕される可能性が高くなります。

また,呼び出しの連絡を受けて出頭日時を決めたものの,その日時に出頭しなかった(予定をすっぽかした)という場合にも,同様に任意の捜査協力が期待できないとの判断につながりやすく,逮捕リスクが上昇しやすいでしょう。

【2.捜査に対する妨害行為があった場合】

捜査に対する妨害行為が確認された場合,逮捕しなければ更に捜査が妨害され,犯罪の立証に支障を来たす可能性があるため,逮捕の可能性が高くなりやすいところです。例えば,呼び出しの内容や捜査状況を知った後,それらを踏まえて必要になるであろう証拠を処分したような場合が挙げられます。

証拠隠滅行為自体は,他の人を巻き込まず個人で行う限りは犯罪ではありません。しかしながら,証拠隠滅行為が逮捕の原因になるかどうかは別の話であるため,注意が必要です。

【3.被疑者遠方の場合】

被疑者が遠方のため,呼び出しに応じて出頭してもらうことが期待できない場合には,逮捕の可能性が高くなり得ます。もっとも,遠方であるというのみの理由で逮捕に至るケースはそれほど多くありません。一般的には,遠方であることに加え,遠方であることを理由に捜査協力をしてくれないとの事情が見受けられる場合に限られやすいでしょう。

建造物侵入事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①取調べのため

建造物侵入事件の捜査では,取調べが非常に重要な位置づけとなります。犯罪の性質上,加害者しか知り得ない事項が非常に多いため,取調べを通じてそれらを把握することが,犯罪捜査の上で大きなポイントとなりやすいのです。
そのため,警察が呼び出す際には取調べ目的であることが最も多いでしょう。

取調べ目的での呼び出しは,捜査の比較的初期段階であることが通例です。まず呼び出しを行い,取調べをしてから,取調べの内容を踏まえて捜査方針を検討する,という流れが多く見られます。
初めて警察から電話があった,という場合には取調べ目的である可能性が高いと思われます。

②現場の実況見分を行うため

建造物侵入事件では,捜査の手段として事件現場の実況見分を行うことが多く見られます。実況見分とは,現場の状況や位置関係などを確認するための捜査で,多くの場合写真撮影をして「実況見分調書」又は「写真撮影報告書」といった捜査資料の作成を目的に行われます。

実況見分を行うための呼び出しは,取調べをある程度行った後であることが多く見られます。取調べの内容を,実況見分を通じて再度確認し,事件の明確化を図る動きが取られやすいでしょう。

③押収物を還付するため

建造物侵入事件の場合,犯罪事実の特定に必要な物的証拠が押収されることも少なくありません。当日の着衣,侵入に用いた道具,共犯者との連絡に用いた携帯端末など,事件の内容によって具体的な押収物は様々です。
そして,押収物に関する捜査が終了すると,押収物は還付(返還)されますが,還付のため呼び出しを受けることもあり得るところです。

還付目的の呼び出しは,捜査の終盤であることが通常です。押収物が捜査に必要なくなった,と判断できなければならないので,捜査はおおむね終了した段階である場合が多いでしょう。

④写真撮影・指紋採取等のため

刑事事件の運用上,被疑者として取り扱った人物の写真撮影や指紋採取,DNA型の採取などを行い,情報として保管することが広くなされています。そのため,写真撮影や指紋採取などのために呼び出される場合もあり得るでしょう。

このような呼び出しは,捜査の終了段階であることが通常です。捜査が一通り終了した後に,これらの個人情報の収集を行う流れが一般的です。

住居侵入事件の呼び出しに応じたときの注意点

①建造物侵入罪に当たる行為を理解する

建造物侵入罪は,その対象となる範囲が必ずしも明確ではありません。同じ場所への出入りでも,状況や目的が異なれば建造物侵入罪に当たったり当たらなかったりすることは珍しくないところです。
そのため,どのような行為が建造物侵入罪に該当するのか,自分の行為は建造物侵入罪に該当するのか,という点は,法律の問題として正確に理解することをお勧めします。

具体的な判断は,弁護士の専門的な見解を仰ぐことが最も合理的です。自身で安易な判断をしないよう注意しましょう。

②対応方針の判断基準

呼び出しへの対応方針を決める基本的な基準は,認めるか認めないか,という点です。認める場合と認めない場合とでは,方針が真逆になることも多いため,認否を最初にはっきりさせることを強くお勧めします。

また,認める場合にも,求める結果や避けたいこと,主張したい内容の有無などによって,対応方針は枝分かれしていきます。この点の判断基準も,基本的には「全面的に認める」のか「一部だけ認めない」のか,といった点になりやすいため,認否を詳細に,具体的に検討することは非常に重要となります。

③身元引受人の要否

建造物侵入事件で呼び出された後,逮捕されずにいわゆる在宅事件として捜査を受ける際,身元引受人を求められる運用が広く用いられています。そのため,呼び出しを受けた段階で,今後身元引受人が必要となる可能性に注意することが望ましいでしょう。

身元引受人として適任なのは,基本的に同居家族です。呼び出しに応じた日の帰りに,警察から同居家族に電話連絡がなされ,身元引受の依頼が行われる,という流れが多いでしょう。
そのため,同居家族への発覚を避けたい場合には,事前に予防する対策が必要となります。一例として,事前に弁護士に依頼し,弁護士に身元引受人となってもらうことは有力な方法です。

住居侵入事件における自首のコツ

住居侵入事件で自首をするべき場合

①現場で姿を見られている場合

建造物侵入事件で自首が有力になるのは,事件の捜査が行われ,自身が加害者(犯人)として特定されることが見込まれる場合です。そして,建造物侵入事件で加害者が特定されやすいケースの代表例が,事件現場で他人に姿を見られている場合と言えます。
特に,被害者に目撃されている場合,被害者が警察等の捜査を求めない可能性は非常に低いため,捜査が開始され,犯人の特定に至りやすい状況と考えられるでしょう。

そのため,事件の現場で姿を見られている場合には,後の捜査を想定し,自首を行うことが非常に有力です。

また,現場から離れたところで姿を見られた,事件が発覚した後に人とすれ違った,といった場合も,類似の捜査リスクがあり得る状況と言えます。自身が犯人と特定される可能性がうかがわれる場合には,自首を検討することをお勧めします。

ポイント
加害者が特定されやすいため自首が有力
特に被害者に目撃された場合,捜査されない可能性が低い

②侵入行為が被害者側に知られている場合

建造物が商業施設であるなど,不特定多数者の出入りを想定した場所である場合,侵入被害があったことを広く告知している場合があります。そのように,侵入行為が被害者側に知られていることが明らかであるときには,自首が有力です。

被害者側が事件の発生を告知している場合,既に警察等に相談の上,刑事事件の捜査が開始されている可能性が高く見込まれます。そのため,事件が発覚しないまま,捜査されないまま終了することが考えにくく,後の捜査に備えた自首の検討が望ましい状況と言えるでしょう。

ポイント
商業施設などは,被害を広く告知している場合がある
被害を告知している段階では,捜査が始まっている可能性が高い

③反省の意思を積極的に示したい場合

建造物侵入事件は,最終的な刑事処分に対して反省の意思が影響するケースも多く見られます。特に,事件の内容・程度があまりに重大とは言えない場合であれば,深い反省を理由に不起訴処分とされることも考えられるところです。

この点,反省の意思を積極的に示したい場合の有力な方法が,自首です。自首は,深い反省のない人が行うことの考えにくい行動であるため,自首したという事実を深い反省の根拠と理解してもらえることが見込まれるでしょう。
また,反省の意思を示したい場合には,自首後の捜査対応にも気を配ることが適切です。真摯な捜査協力の姿勢があることで,反省の意思はより強く伝わることが期待できます。

ポイント
建造物侵入事件は,深い反省を理由に不起訴処分とされることもある
自首やその後の捜査協力を通じて,反省の意思を表明することが有力

④被害者側への接触が困難な場合

建造物侵入事件の場合,被害者と連絡を取り合うなどでき,当事者間の合意で事件解決できるのであれば,それが最も端的な解決策です。当事者間で解決した後に自首をする必要は基本的にないと言えます。
逆に,被害者と連絡を取り合う関係にないなど,当事者間の接触が困難な場合には,事件解決を目指す手段が事実上ないと言わざるを得ないケースも多数あります。そして,このような場合に有力な手段が自首です。

被害者側と接触ができないケースでは,自首以外に刑事処分の軽減を目指す積極的な選択肢がない,ということも珍しくありません。そのため,まずは自分にできる唯一の行動として,自首を検討することが望ましいでしょう。
また,自首をすれば,その後に被害者との解決を目指せる可能性が生じることもあり得ます。自首をきっかけに当事者間の解決へと至れば,同じく最も端的な解決につながりやすいでしょう。

ポイント
当事者間の解決が難しい場合,自首が唯一の手段である場合も
自首をきっかけに当事者間の解決ができるケースもあり得る

住居侵入事件の自首は弁護士に依頼すべきか

建造物侵入事件で自首を検討する際には,弁護士への依頼を強くお勧めします。弁護士の専門的な判断を踏まえるかどうかによって,結果は大きく変わりやすいところです。

弁護士への依頼によって,具体的には以下のようなメリットが見込まれます。

①個別の内容を踏まえた自首のメリットが分かる

建造物侵入事件では,自首が必要か不要か,自首にどのくらいのメリットがあるか,という点が個別のケースによって大きく異なる傾向にあります。特に,事件が発覚しているか不明である,犯人を特定する証拠の有無があるか不明である,といった場合には,自首に踏み切るか慎重な判断が望ましいです。また,自首の有無によってあまり結果が変わらない場合には,自首のデメリットも十分に理解した上で検討することが適切でしょう。

この点,弁護士に依頼することで,個別の事件内容や状況を踏まえた本件での自首のメリットを,正確に理解することが可能です。自首の判断に必要な材料を円滑に得られるため,適切な検討が容易になるでしょう。

②自首を行う際の負担が小さくなる

自首の試みは,当事者にとって大きな精神的負担を伴うものです。自らの犯罪行為を,捜査する警察などに自発的に申告するものである以上,一定の負担からは避けられません。もっとも,そのような精神的負担を理由に自首の判断を躊躇してしまうと,自首の機会を逃し,不利益な結果を招く原因になり得ます。

この点,弁護士に依頼することで,弁護士が主な対応を代わりに行ってくれるため,自首に伴う負担は大きく軽減することが見込まれます。また,自首の際に自分でするべき内容や範囲が明確になるため,適切な方法で自首を進めることも可能になります。

③逮捕の回避につながりやすくなる

自首を行う際の最初の目的は,逮捕の回避であることが大多数です。建造物侵入事件を起こしてしまい,放置していると逮捕のリスクが高いと考えられる場合に,自首することで積極的に逮捕の回避を目指す,という流れが一般的でしょう。
そのため,自首を行うに当たっては,自首により逮捕の回避が実現できるか,という点が非常に重要なポイントとなります。

この点,弁護士に依頼して自首を行うことで,逮捕の回避に適したやり方での自首が進められるため,自首による逮捕回避の効果がより高くなることが期待できます。また,弁護士が捜査機関と協議を試みながら,逮捕しないとの判断をより積極的に促すことも可能です。

④自首後の流れが事前に分かる

自首は,重要な分岐点であることは間違いないものの,捜査手続全体との関係ではあくまで出発点にとどまります。そのため,自首を行うに際しては,自首後に捜査が継続することを念頭に,その後の流れにも対応できるよう備えておくことが必要です。自首後の手続への対応が不適切だと,結果的に自首の効果が不十分なものとなってしまう恐れがあります。

この点,弁護士に依頼すれば,刑事手続の全体像や自首後の流れを具体的に把握することが可能です。また,手続の各局面において適切な対応方法について助言を受けることができ,対応を誤る心配もなくなるでしょう。

住居侵入事件で自首をする場合の注意点

①動き出しが遅い場合のリスク

自首は,捜査機関に対して犯罪事実又は犯人が発覚していない段階で行うことが必要です。捜査が進行し,犯罪事実と犯人が特定されてしまうと,自首をする余地がなくなってしまいます。

建造物侵入事件の場合,現行犯で発覚したケースを除いて,事件が現に捜査されているかどうかを把握することは容易ではありません。そのため,当事者目線では捜査されていないと思っていたとしても,現実には捜査が大きく進んでおり,自首のできるタイムリミットが近づいている可能性は十分に考えられます。

自首の動き出しが遅れると,自首のタイミングを逃してしまうという可能性には十分に注意したいところです。

②捜査を誘発する可能性

建造物侵入事件は,被害者に知られないように行われる事件であるため,結果的に被害者が知らない状態であるという可能性もあります。この場合,被害者が捜査機関に相談することもないため,捜査が始まらないまま時間が経過している,ということになるでしょう。

このような場合に自首をするのは,自首が捜査のきっかけとなってしまい,自ら捜査を誘発することになってしまうため,あらかじめ注意することをお勧めします。自首を行う以上は,ある程度捜査を誘発するリスクも受け入れた上で試みる必要があるでしょうか。

③不起訴が約束されるわけではない

自首は,その事件が不起訴処分となる可能性を大きく高める行動です。そのため,実際に自首を行う場合にも,不起訴を最終的な目標としていることが少なくないでしょう。

もっとも,建造物侵入事件の場合,自首をしても不起訴が約束されるわけではなく,自首してもなお起訴される可能性が残る点には十分な注意が必要です。特に,事件の内容が悪質と評価されるケースでは,元々の刑事責任が重いため,自首によってそれが軽減されても不起訴には至らない,という可能性が大いに考えられます。

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【建造物侵入事件の不起訴処分】不起訴となる可能性や不起訴を目指す際の注意事項などを詳細解説

このページでは,建造物侵入事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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建造物侵入事件で不起訴を目指す方法

①被害者との示談

建造物侵入事件では,被害者である建造物の管理者との間で示談を目指すことが不起訴に至るための非常に有力な方法です。建造物侵入事件の刑事処分は,被害者の意向を大きく反映したものになるため,被害者が起訴を望まないケースでは,不起訴処分とされることが多くなる傾向にあります。

被害者との示談は,侵入行為によって被害者に生じた損害を金銭等で賠償し,賠償と引き換えにする形で被害者の宥恕(ゆうじょ=許し)を獲得する,という内容になるのが通常です。被害者による宥恕が,刑事処分においては極めて重要な意味を持つため,示談は宥恕の獲得を目指す行動だと言っても過言ではないでしょう。
被害者の宥恕がある場合,被害者が加害者の起訴を希望していないと理解されるため,不起訴が見込まれやすくなります。

ポイント
被害者が起訴を望まない場合,不起訴になりやすい
示談により宥恕の獲得を目指すのが重要

②捜査機関への自首

被害者との間で解決することが難しい場合,自分の行動で刑事処分の軽減を目指せる手段としては自首が有力です。自首は,捜査機関に対し,自ら進んで犯罪事実を申告し,捜査や処分を求める行為であるため,深い反省の意思が認められやすくなり,反省状況を踏まえた不起訴処分の可能性が高くなります。

建造物侵入事件の場合,被害者が誰かを特定できない場合や,被害者が分かっても接触する方法に乏しい場合が少なくありません。その場合,自首以外に積極的な行動の選択肢がない,ということも多いため,自首が有力になるでしょう。

ポイント
自首により深い反省の意思を踏まえた不起訴処分の可能性が高くなる
自首以外に積極的な行動の選択肢がない場合も多い

③否認事件の場合

建造物侵入事件で疑いの内容を否認するケースでは,犯罪の立証ができないことを理由とした不起訴処分を目指すことが適切です。具体的にどのような場合で犯罪の立証ができないと判断されるか,という点は個別の内容によりますが,建造物侵入事件で生じやすい争点としては,以下のような例が挙げられます。

否認の建造物侵入事件で生じやすい争点

・犯人性
→侵入した人物が誰か,という点

・故意
→建造物侵入行為を行った意思があるか,という点

・被害者の承諾
→建造物の管理者が侵入を認めたか,という点

具体的な争点に対してどのような対応が適切かは,専門的な判断が不可欠であるため,弁護士に相談,依頼などし,法的な見解を仰ぐことをお勧めします。

ポイント
犯罪の立証ができないことを理由にした不起訴処分を目指す
具体的な対応方針は弁護士の判断を仰ぐ

建造物侵入事件で不起訴になる可能性

建造物侵入事件は,不起訴処分となる可能性も十分に考えられる事件類型です。刑事事件の中では,決して重大な事件というわけではないため,比較的軽微と評価される事件では,より不起訴の余地が大きいと言えるでしょう。

不起訴になるかどうかは,事件そのものの内容と,事件後の対応の両面を踏まえて判断されますが,事件そのものの内容として不起訴の可能性が高くなりやすい場合としては,以下のケースが挙げられます。

建造物侵入事件で不起訴の可能性が高くなるケース

1.不特定多数者が出入りできる場所への侵入

2.侵入後に別の犯罪行為がない

3.侵入の動機が悪質でない

4.1回きりの事件

【1.不特定多数者が出入りできる場所への侵入】

侵入場所が不特定多数者の出入りできるところであった場合,侵入行為の重大性は比較的軽微と判断されるのが通常です。立ち入ることのできる人が少ない場所であればあるほど,侵入行為による被害者の損害が大きいと評価されるためです。

【2.侵入後に別の犯罪行為がない】

建造物への侵入後,窃盗やわいせつ行為といった別の犯罪行為を行っている場合,事件の重大性は飛躍的に大きくなるため,不起訴の可能性は低くなりやすいです。逆に,侵入行為はあったもののその後に別の犯罪行為を何もしていない,という場合は,比較的軽微な事件と理解されやすく,不起訴の可能性が高くなり得ます。

【3.侵入の動機が悪質でない】

侵入行為に至った動機が,同情の余地のない身勝手なものなのか,当事者の判断としてはやむを得ない面のあるものか,という点は,刑事責任の重さに大きく影響することが通常です。
確かに侵入行為はあったものの,その動機が悪質でなく,同情すべき事情も認められる場合には,刑事責任は比較的軽微と評価され,不起訴の可能性が高くなります。

【4.1回きりの事件】

建造物侵入事件は,複数件発生しているケースが比較的多い事件類型です。特に,同一の建造物に複数回侵入するケースが散見されるため,侵入が1回のみか複数回かという点は,事件の重大さに大きく影響し得るところです。
1回きりの建造物侵入事件である場合,事件の重大さが限定的であるとの理解がされやすく,不起訴の可能性が高くなる傾向にあると言えます。

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

建造物侵入事件で不起訴を目指す場合の注意点

①形式的な被害者と実質的な被害者

建造物侵入事件の場合,法律上の被害者は建造物の管理権限を持つ人です。ビルであればオーナー,店舗であれば運営会社などが代表的でしょう。

もっとも,事件の内容によっては,法律上の形式的な被害者と実質的な被害者が異なるケースも多く見られます。例えば,建造物のお手洗いに入った後,窃盗事件や盗撮事件などを起こした,という場合,窃盗や盗撮目的での立入は建造物侵入罪に該当する可能性が高いものの,事件全体を見ると実質的な被害者は窃盗や盗撮の被害に遭った人物です。この場合,形式的な被害者である建造物の管理権者とのみ解決を目指してもあまり有益ではなく,実質的な被害者との解決を目指すことが望ましいと言えます。

形式的な被害者としても,実質的な被害者の方と解決してくれればそれでよい,と考えている場合が多いため,実質的な被害者へのアプローチを優先することを強くお勧めします。

②余罪と不起訴の関係

建造物侵入事件では,余罪のあることも一定数見られます。そして,余罪の存在は,以下のような形で起訴不起訴の判断に影響し得ます。

・余罪自体が起訴される
→本罪が不起訴となっても,それとは別に余罪が起訴され,全体として不起訴が実現できない

・余罪があることを踏まえて本罪が起訴される
→本罪の刑事責任の重さを考慮する材料として,余罪のあることが加味され,本罪が起訴される

余罪自体が処分の対象になるのか,余罪を踏まえて本罪の処分が変わるのか,という違いと言えます。
どちらであるかによって,不起訴を目指す具体的な方法は大きく変わる可能性があるため,余罪がある場合には弁護士の法的な判断を仰ぐのが賢明です。

③共犯事件の場合

建造物侵入事件の場合,単独犯でなくいわゆる共犯の事件も一定数見られますが,共犯事件のケースでは,個々の役割が刑事処分に大きな影響を及ぼす,という点に注意することが重要です。

共犯事件では,共犯者間の役割の違いによって,起訴不起訴の判断が分かれやすい傾向にあります。主導的な役割を担っている方が起訴されやすく,周辺,末端の位置づけにある方が不起訴とされやすい,というのが基本的な考え方です。

そのため,共犯事件で不起訴を目指す場合には,実際の役割以上に中心的存在だったと評価されることのないよう,自身の立ち位置を正確に把握してもらうことが重要になるでしょう。

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【埼玉大宮で建造物侵入事件の弁護士選び】円滑解決に有益な弁護士はどんな基準で選べばいいのか,弁護士が解説

このページでは,建造物侵入事件の弁護士選びについてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。弁護士への依頼を検討する際の参考にご活用ください。

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建造物侵入事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕されたとき

建造物侵入事件は,特に侵入行為が現行犯で発覚した場合に,逮捕の対象となる可能性が高い事件類型です。逮捕されると,短い場合には1~3日程度,長い場合には1件当たり20日以上の身柄拘束を受ける可能性があります。
逮捕後の身柄拘束が長くなるかどうかは,個別の事件により異なりますが,建造物侵入事件では,その程度があまりに大きいものでなければ,短い期間で釈放されるケースも決して少なくはありません。そのため,早期釈放の試みを尽くすことは,逮捕後の非常に重要な動きと言えます。

しかしながら,逮捕後に釈放を目指すための具体的な動きは,弁護士なしでは困難なものです。逮捕直後には弁護士しか被疑者と接見できないことが通常であるため,本人とのコミュニケーションも弁護士に限られる上,釈放を求めるための法的な手段も,刑事手続に精通した弁護士でなければ実行することは難しいでしょう。

そのため,建造物侵入事件で逮捕されたときには,早期釈放を目指すためにも,速やかに弁護士を選ぶことが望ましいと言えます。

ポイント
建造物侵入事件は,逮捕後に早期釈放される場合も少なくない

②出頭要請を受けたとき

建造物侵入事件の捜査は,後日に警察から出頭要請を受ける形で行われる場合も多く見られます。この出頭要請は,事件の被疑者に対する取り調べを行う目的で,警察署への出頭を求めるため行われるものです。
そのため,出頭要請を受けたときには,その後に見込まれる取調べに備え,対応方針を十分に検討しておく必要があります。

しかしながら,出頭後の取り調べに対してどのように対応するのが適切かを自分の力で整理するのは容易でありません。取り調べを受けた経験のある人でなければ,取り調べがどのように行われるかを想像することも困難でしょう。
そこで,出頭要請を受けて取り調べの予定が明らかになったタイミングで,弁護士を選ぶことが有力な選択肢になります。適切な弁護士選びができれば,出頭時の対応が万全になるほか,その後の弁護活動も充実したものになるでしょう。

ポイント
警察の出頭要請は,警察署で取り調べを行う目的で行われる

③起訴されたとき

建造物侵入事件で起訴された場合,公開の法廷での裁判(公判)の対象となる可能性があります。公判が行われるケースでは,公判で提出された証拠や当事者の話などを踏まえ,裁判所が判決の内容を決めることとなります。

建造物侵入罪に対する判決は,否認事件の場合を除き,「罰金」,「執行猶予」,「実刑」のいずれかとなります。罰金刑は,一定額の金銭の支払いを命じる刑罰,執行猶予は,今回に限り刑務所に入らなくてよい(次回は実刑判決が見込まれる)という趣旨の刑罰,実刑は,直ちに刑務所に入ることを命じる刑罰です。

刑事罰の種類

公判でどのような刑罰を受けるか,特に実刑判決となるかどうかは,その後の生活に直接影響を及ぼす極めて重大な問題です。もっとも,具体的にどのようにして実刑判決を防ぐのか,実際に実刑判決を防ぐことができるのか,という判断は,高度に法的なものであり,弁護士なしでは困難と言わざるを得ません。

そのため,起訴されたときには,公判への対応に万全を期すため,適切な弁護士選びを行うべきでしょう。

ポイント
起訴後の刑罰は,罰金,執行猶予,実刑のいずれか
実刑判決を防げるかどうかが極めて重要

④自首したいとき

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。犯罪事実や犯人が捜査機関に知られる前に,自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

この点,建造物侵入事件の場合,現行犯で発覚したケースでは自首の余地がない状況になりやすいですが,現行犯で発覚していないときには,まだ犯罪事実や犯人が捜査機関に知られておらず,自首が有力な選択肢になり得ます。

もっとも,自首は大きなリスクを背負う行為であるため,本当に自首する方が有益なのかは,慎重な判断が必要です。また,実際に自首をする場合には,その効果を最大限に発揮させるため,適切な方法で進める必要があります。このような自首に関する動きを誤らないためには,弁護士の存在が非常に重要となりやすく,弁護士の見解を仰ぎながら進めることが有効です。

自首を検討する際には,対応に適した弁護士選びが望ましいでしょう。

ポイント
現行犯で発覚していない場合,自首が有力な選択肢になり得る
もっとも,自首はリスクが大きいため,弁護士の見解を仰ぐことが適切

建造物侵入事件の弁護士を選ぶ基準

①迅速な対応ができるか

建造物侵入事件を円滑に解決するためには,迅速な対応が必要となりやすいものです。例えば,身柄拘束を受けている場合には,迅速に対応するかどうかで釈放時期が大きく変わりやすく,被害者への謝罪や示談を目指す場合には,迅速に被害者対応ができれば被害者側の寛大な判断につながりやすくもなります。

しかしながら,弁護士がどのようなスピード感で対応してくれるかは,個々の弁護士の判断によります。特に,刑事事件の流れにあまり精通していない場合,その他の事件と同じ感覚で進めようとすると,動きが時期遅れになってしまうリスクも否定できません。

刑事事件の流れを踏まえ,適切なスピードで対応をしてくれるかどうか,という点は,弁護士選びの重要な基準として設けるようにしましょう。

②弁護士と連絡を取る手段があるか

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

③弁護士費用に不透明な点はないか

弁護士費用は,法律事務所によってその定め方や金額が様々です。一般的な弁護士費用の設定は,弁護活動に着手する際に生じる「着手金」と,成果が伴った場合に生じる「成功報酬」がメインですが,着手金と一口に言っても,どの業務に着手する場合にいくらの着手金が発生するのかは,法律事務所ごとの設定によります。また,成功報酬についても,どの成果に対していくらの報酬が生じるのかは,決して一律ではありません。

そのため,弁護士選びの際には,弁護士費用がどのような場合にいくら発生するか,正しく理解しておくことが不可欠です。内容が不透明であったり,複雑過ぎて分からなかったりといった問題がないか,十分に確認しておくことをお勧めします。

④事務所があまりに遠方でないか

建造物侵入事件の場合,基本的にはその建造物の場所を基準に警察署の管轄が決まり,検察庁や裁判所も,同じ場所を管轄するところが担当することになります。また,被害者である建造物の管理者は,その建造物からあまり遠くない場所にいることが一般的です。
そのため,弁護士の事務所が事件現場からあまりに遠方であると,各所への移動や被害者側への接触が円滑にできない可能性もあるため,あらかじめ注意しておくことが望ましいでしょう。

もっとも,弁護士が頻繁に足を運ぶのでなければ,必ずしも遠方であることが具体的なデメリットにつながるわけではありません。この点は,弁護活動の方針にもよるため,想定される弁護活動とセットで検討することが有力です。

建造物侵入事件で弁護士を選ぶ必要

①早期釈放のため

建造物侵入事件では,早期釈放が重要になるケースも多いですが,早期釈放を目指す場合の具体的な動きは,弁護士に委ねざるを得ません。接見で必要な話し合いを行ったり,ご家族と連絡を取り合ったり,捜査機関や裁判所に必要なアクションを尽くしたりと,早期釈放に向けて弁護士でしかできないことは多岐に渡ります。

早期釈放できるか,長期間の身柄拘束を強いられるかは,釈放後や刑事手続が終わった後の生活を決定的に左右する可能性すらあるため,非常に重要なポイントと言えます。不利益を最小限に抑えるため,早期釈放に向けた弁護士選びは必要不可欠と考えてよいでしょう。

②不起訴処分のため

建造物侵入事件は,個別の内容によって不起訴処分が期待できる場合も珍しくはありません。例えば,認め事件の場合には,比較的軽微な内容であることや被害者との示談が成立していることが,不起訴処分に向けた大きな判断材料になり得るでしょう。

もっとも,事件がなぜ軽微と言えるのかは,法的な判断を要する問題のため,弁護士に説得的な主張をしてもらう必要があります。また,示談に関しても,弁護士が間に入って,弁護士と被害者との間で協議してもらう必要があるため,弁護士の存在が不可欠です。

このように,不起訴処分を目指すための活動は,弁護士なしでは難しく,不起訴処分に向けては弁護士選びが重要となります。

③適切な取り調べ対応のため

刑事事件の捜査では取調べが不可欠です。特に,被疑者への取調べは捜査の中核であって,被疑者からどのような話が引き出せるかによってその後の捜査が決定づけられる事件も少なくありません。

逆に,被疑者の立場にある場合,取調べにどのような対応を取るのが最も有益であるのかを把握していることは非常に重要です。自分が何を話すか,どのように話すかによって,その後の捜査や処分が決定づけられる可能性もあるため,取調べ対応の方法・内容は十分に検討する必要があるでしょう。

この点,個別の事件に応じてどのような取調べ対応をすべきかは,弁護士の法的な判断を仰ぐことが適切です。そのため,取調べ対応に万全を期すためには,弁護士選びが重要なポイントとなるでしょう。

建造物侵入事件における弁護士選びの準備

①弁護士への説明の準備

弁護士選びの前提として,事件の内容を弁護士に十分説明できなければなりません。弁護士が内容を誤解してしまっていると,適切な案内やサポートはできず,弁護士選びは成功しづらいでしょう。

この点,建造物侵入事件では,記憶の有無が問題になる場合も少なくありません。典型例が,泥酔状態で通常しないような行動に出てしまったというケースです。
このようなときには,まず弁護士に対して記憶している内容と記憶していない部分を詳細に伝え,それを踏まえた案内をしてもらうようにしましょう。特に,事件当時の記憶なのか,後から言われて知ったことなのか,という区別は明確にすることをお勧めします。

②相談目的の検討

弁護士を選ぶ際,何のために,何を目指して弁護士に依頼するのか,という点を明確にしておくことが必要です。相談の目的に関して弁護士とズレが生じると,弁護士からの案内も目的から外れたものになってしまい,結果として弁護士選びが円滑にできないためです。

もちろん,弁護士側も法律相談の目的を想像することはできるため,理解が大きくズレることは多くありませんが,その目的が自分にとってどれだけ重要なものか,という詳細なニュアンスの面は,どうしても弁護士側の想像では補いきれないものです。
弁護士選びを実のあるものにするためにも,弁護士選びの目的は明確に表現できるようにしましょう。

③予算の検討

弁護士への依頼には弁護士費用が発生しますが,弁護士費用は法律事務所によって異なり,同じ弁護士への依頼でも依頼内容によって異なります。当然ながら,弁護士への依頼内容が多いほど弁護士費用は高額になりやすく,逆もまた然りです。
また,示談を試みる場合には,弁護士費用に加えて示談金が経済的な負担となります。弁護士費用だけを支払えても,示談金が支払えないと示談はできないため,示談金の負担も事前の想定が必要です。

そのため,弁護士選びに際しては,あらかじめ予算の範囲を明確に決めておくのが有益でしょう。現在は,ホームページ上で詳細に弁護士費用を明示している法律事務所も少なくないため,ご自身なりに費用負担のイメージを持って弁護士選びを行うのも有力です。
また,現実の弁護士費用と予算との開きが限定的であれば,弁護士への依頼内容を一部削るなど,柔軟な依頼方法で開きを埋めることができる場合もあり得ます。個別のケースに関しては弁護士と十分に相談してみましょう。

建造物侵入事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①土日祝日の対応

身柄拘束を受けている建造物侵入事件では,できるだけ速やかに弁護活動を開始することが適切ですが,逮捕の時期によっては,土日祝日に対応を要するケースもあり得ます。例えば,金曜日に逮捕された事件の場合,その後に勾留されるかどうかは土曜日か日曜日に判断されることになりやすく,土日だからといって待ってくれることはありません。

そのため,個別事件の状況に応じて,土日祝日の対応が必要になると見込まれるケースでは,弁護士が土日祝日でも対応可能かどうか,という点を事前に確認することが適切でしょう。
依頼者としては,土日祝日も対応してくれると思っていても,弁護士は土日祝日の手続に対応できない前提で案内をしている場合があります。その点のミスマッチは深刻な問題になりかねないため,事前に注意しておくことをお勧めします。

②経済的負担の予測が困難な場合

弁護士への依頼に際しては,経済的な負担として弁護士費用と示談金が想定されますが,弁護士費用と示談金のそれぞれについて,事前の金額予測が難しい場合がある点には十分に注意が必要です。

弁護士費用に関しては,事前の想定に反して長期間の身柄拘束がなされた場合に,金額が大きくなりやすい傾向にあります。例えば,当初は余罪がないという前提で考えていたものの,後になってから余罪が発覚し,余罪も含めて複数回の逮捕勾留が行われると,身柄拘束の期間は事前の想定を大きく超えることになります。

また,示談金については,侵入後に被害者の財産を壊してしまった等,別の損害が生じていることが分かった場合に金額が大きくなり得ます。特に,お店などの施設に侵入し,金銭的な価値の高い商品や備品を壊してしまったケースでは,その財産の価値に応じた賠償が必要になりやすいでしょう。

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住居侵入事件で自首が成立するためには?弁護士には依頼するべきか?

このページでは,住居侵入事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

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住居侵入事件で自首をするべき場合

①侵入行為が被害者に発覚している場合

住居侵入事件の捜査は,事件が被害者に発覚した後,被害者からの被害申告などをきっかけに始まることが通常です。そのため,住居侵入事件の場合,被害者に発覚していれば捜査が行われやすく,被害者に発覚していなければ捜査は行われづらいと言えます。
そして,住居侵入事件で捜査が行われると,逮捕の可能性が十分にあるため,捜査され得る状況であれば,あらかじめ自首をして逮捕を回避する動きが有力となります。

そうすると,侵入行為が被害者に発覚してしまっている事件では,被害者の動きによって捜査が開始され,逮捕に至ることが十分に見込まれるため,自首の検討が有力になりやすいと考えられます。
特に,被害者と鉢合わせになって逃走した,という場合には,今後に渡っても逃亡の恐れがある,という理由で逮捕の可能性が高くなりやすいため,積極的な自首の検討が有力でしょう。

ポイント
被害者に発覚している事件が捜査される
逮捕回避を目指すための示談が有力

②捜査の開始を知った場合

住居侵入事件の場合,捜査の開始時にはまだ加害者が分かってない,というケースは珍しくありません。事件の性質上,被害があったことは明らかだが加害者が分からない,という状態であることが相当数あるためです。
そうすると,捜査が開始されてから加害者が特定されるまでには一定の期間が生じやすく,その間に自首を試みる余地が残っている,ということになります。

捜査が開始されている以上,自首をするしないにかかわらず,事件は捜査機関が把握するに至っています。そのため,自首が裏目に出てしまうリスクは低く,逆に自首のメリットを大きく得られやすい状況ということができるでしょう。
何らかの経緯で捜査の開始を知った場合には,捜査によって加害者が特定される前に,自発的な自首を進める手段が有力になります。

ポイント
捜査の開始時に加害者が分かっていない,という場合も多い
捜査開始後,加害者特定前の自首は有力

③余罪がある場合

住居侵入事件では,事件が1回きりではなく,複数回起きているケースも少なくありません。特に,同一の住居に対して,長期間に渡り複数回の侵入行為があった,という場合は多く見られるところです。
この点,現に捜査を受けている事件以外の事件(=余罪)がある場合,その数が多ければ多いほど,刑事処分は重くなる傾向にあります。起こしている事件が多いほど,事件が悪質であり,生じた被害や加害者の責任は重いとの評価になるためです。

余罪があって重い刑罰が懸念される場合には,処分の軽減を目指す手段として自首を検討することが有力です。刑事処分の判断は,加害者の反省状況を大きな材料の一つとすることになりますが,自首は深い反省があることの裏付けとみなされやすく,刑罰の軽減につながる可能性が高いでしょう。

ポイント
同一住居に対する複数の侵入事件が生じやすい
自首によって処分の軽減を目指す手段が特に有力な状況

④当事者間での解決が困難な場合

住居侵入事件の場合,被害者が犯罪捜査や刑事処罰を希望しなければ,捜査を行わないことが通常です。現実に被害を受けた人物が捜査を求めていない以上,被害者のプライバシーを掘り起こしてまで捜査を強行する必要性に乏しいためです。
そのため,当事者間で問題解決に至っているのであれば,捜査を懸念する必要はあまりなく,自首を検討する必要もないとの判断が適切でしょう。

一方,住居侵入事件では,当事者間で協議するなどして解決を図ることが困難なケースも数多く見られます。特に,当事者間に深い交友関係がない場合には,円滑に当事者間で解決するのは現実的ではないでしょう。
このように当事者間での解決が困難な場合には,自首のほかに処分の軽減を目指す手段がないため,自首の検討が非常に有力となります。自首ができれば,最悪の事態を免れられる可能性が飛躍的に高くなるでしょう。

ポイント
当事者間で解決できれば,自首の必要はあまりない
住居侵入事件の場合,当事者間での解決は困難な場合が多い

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

住居侵入事件の自首は弁護士に依頼すべきか

住居侵入事件の自首に関しては,弁護士への依頼を強くお勧めします。刑事手続や住居侵入事件の取り扱いに精通した弁護士に依頼をすることで,自首に関する判断や行動を誤ることなく進められるでしょう。
弁護士への依頼によって,具体的には以下のようなメリットが見込まれます。

①逮捕の可能性が低下する

自首は,逮捕の回避を目指すのが最初の目的です。自首しなければ逮捕の危険が大きいため,自首することでできる限りその可能性を下げ,逮捕を防ぐ結果を目指す,というのが自首をするときの基本的なモチベーションになるでしょう。
もっとも,自首の方法を誤ってしまえば,逮捕回避の効果が十分に見込まれず,逮捕を防ぐという目的の実現につながらない恐れも否定できません。

この点,弁護士に依頼することで,適切な方法,内容で自首を進めることができるため,逮捕の可能性はより大きく低下することが期待できます。また,弁護士が逮捕するかどうかという点について捜査機関に掛け合い,協議を試みることも可能です。

②自首が有効な状況か分かる

刑事事件で自首すべきかどうか,自首が有効な手段であるかどうかは,非常に判断の難しい問題です。必要な情報がほとんどない中,経験則などを踏まえて推測せざるを得ませんが,過去の経験がない当事者は,当然ながら経験則を踏まえた判断ができず,困難さは更に増すでしょう。

この点,刑事事件の対応に精通した弁護士に依頼することで,知識や経験をもとに状況をできる限り把握し,自首が有効であるかどうか,適切な判断をしてもらうことが可能です。なぜ自首が有効であるか,なぜ自首をすべきかを把握しながら自首を進めることで,より円滑な対応が進めやすくなる効果も期待できます。

③被害者への対応を開始できる

住居侵入事件で自首をする場合,被害者への謝罪や賠償,示談といった試みは,あわせて行うことが適切です。なぜなら,自首は逮捕回避や処分軽減を目的に行うものですが,逮捕回避や処分軽減に最も有効な動きが,被害者側へのアプローチであるためです。被害者の宥恕(ゆうじょ=許し)を得ることができれば,自首よりも更に大きな効果が期待できます。

この点,弁護士に依頼することで,弁護士が窓口となる形で被害者への対応を速やかに開始できます。自首は,被害者の心情面にプラスの影響を与えることが多く,被害者が示談に応じる可能性が高くなる動きでもあるため,被害者への対応は自首の効果を最大限に生かすための行動とも言えるでしょう。

④逮捕後の釈放を目指すことができる

住居侵入事件は,逮捕されるケースも少なくないため,自首を検討する際にも逮捕を想定しておく必要があります。事件の内容や件数などを踏まえ,逮捕リスクが高いケースでは,逮捕後の動きを考えているかどうかによってその後の流れが大きく変わることも珍しくありません。

この点,弁護士に依頼することで,万一逮捕された場合に釈放を目指す方法や見込みを具体的に検討し,釈放に向けた弁護活動を行ってもらうことが可能です。また,釈放までにどのくらいの期間を要するか,どのような条件で釈放されるか,といった見通しが分かることで,その後の手続にも適切な対処が可能になりやすいでしょう。

住居侵入事件で自首をする場合の注意点

①自首が間に合わない可能性

自首は,犯罪事実及び犯人の両方が捜査機関に発覚した後では,行うことができません。捜査が行われていない段階や,犯人が特定できていない段階であれば,自首の余地が残りますが,捜査が進行してしまった後になると自首が成立しなくなってしまう可能性があるため,注意が必要です。

この点,捜査の進捗状況を踏まえた判断ができれば最も望ましいですが,現実に捜査状況を把握することは困難です。自首を検討する際には,自首が成立する状況か分からないことを承知の上で,できるだけ早期に判断することをお勧めします。

②逮捕が避けられない可能性

自首は,逮捕の可能性を大きく低下させる動きではありますが,自首をしたから逮捕されない,というわけではありません。自首をしても逮捕が避けられない場合がある,という点は十分に注意することが望ましいです。

特に,捜査機関が被疑者を逮捕する前提で捜査を進めていた場合,その後に自首をしても逮捕の判断は変わらず,結局逮捕されてしまう,という流れは多く見られます。ただ,捜査機関が逮捕する前提かどうかは,事前に把握することができないため,その可能性を想定しながら自首の検討を行うことが適切でしょう。

③起訴され前科が付く可能性

自首をした場合,刑事責任は大きく減少し,処分も大きく軽減する可能性が高く見込まれます。最も大きく軽減した場合,不起訴処分となり,刑罰を受けない結果となることも相当数見られるところです。
不起訴処分の獲得が,自首を試みる最大の目的の一つでしょう。

もっとも,自首をしたからといって全て不起訴処分になるものではありません。自首をしても,起訴は避けられず,刑罰が一定程度軽減するにとどまる,という可能性は十分にあるため,事前に注意することをお勧めします。

④余罪の取り扱い

余罪がある場合,一つの事件で自首すると決めた際に,余罪をどう取り扱うか,という点は非常に判断の難しい問題です。全てをさらけ出してしまうか,余罪については一切言及しないか,一部の余罪に限り自ら述べるか,選択肢は数多くあります。

この点,余罪を伏せて自首を試みた場合,後で余罪が発覚すると,余罪に関しては自首の効果が及ばない,との判断が通常です。自首の影響は事件ごとに変わるため,余罪は自首を含めた事件ごとに検討する,という点に十分注意しましょう。

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【住居侵入事件での呼び出し】警察が呼び出すのはなぜ?どのように対応するべき?

このページでは,住居侵入事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
住居侵入事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

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住居侵入事件で呼び出された場合の対応法

①現行犯で取り締まりを受けた事件

住居侵入事件が現行犯で発覚し,取り締まりを受けた場合には,その後捜査のために呼び出しを受けることが考えられます。このような場合には,基本的に反省や後悔の意思を前提に,誠意ある捜査協力を尽くすことが有力でしょう。

現行犯で取り締まりを受けているケースでは,事件が現認されているため,内容を争う余地に乏しいことが通常です。事件の内容を認める前提であれば,いわゆる情状面で有益な効果を期待する意味で,可能な限り真摯な対応に努めることが賢明と言えます。

ただし,現行犯で取り締まりを受けたものの,被害者側の勘違いなどであらぬ疑いをかけられている部分もある,という状況であれば,適切な対応は異なります。あらぬ疑いをかけられている部分がある場合は,正しい点と誤っている点を具体的に指摘の上,正しい点は真摯に反省し,誤っている点は毅然と否定する,と区別した対応をするべきでしょう。

ポイント
内容を認める前提であるため,可能な限り真摯な対応に努めるべき
あらぬ疑いをかけられている部分があれば,その点は区別して毅然と否定する

②初めて呼び出しを受ける事件

それまで捜査を受けたことがなく,初めて呼び出しを受ける事件では,まず疑いの内容を正しく把握することが賢明です。また,複数の出来事で疑いが生じている場合は,そのそれぞれについて心当たりがあるかないか,正しく判断する必要があります。
疑いの内容を正しく把握し,心当たりの有無が確認できれば,適切に認め,又は否認する対応が可能になります。

また,警察署等への出頭を求められる際には,できるだけ日程調整し,出頭に応じる姿勢を見せるようにしましょう。警察側の求める日時の出頭に全て応じる必要はありませんが,全く応じる気がない態度を見せるメリットにも乏しいところです。

ポイント
疑いの内容と心当たりの有無を正しく把握する
出頭には応じる姿勢を見せる

③身に覚えがない事件

身に覚えのない住居侵入事件で呼び出された場合には,まず「自分には心当たりがない」という事実を警察側に把握してもらうための対応をしましょう。刑事事件の捜査は,認め事件か否認事件かによってその後の流れが異なり,否認事件の場合には犯罪が立証できるか慎重な判断が必要となります。そのため,本件は否認事件であって,慎重な犯罪立証が求められるケースだ,と把握してもらうことが有効です。

あわせて,なぜ身に覚えがないのか,自分の中で整理することも不可欠です。人違いで疑われているのか,泥酔などの影響で記憶がない状況なのかなど,身に覚えがない理由によって取るべき対応も異なってくるため,正しく整理の上,できれば専門性ある弁護士に相談することをお勧めします。

ポイント
心当たりのない事件である,ということを捜査機関に把握してもらう
身に覚えのない理由を確認する

住居侵入事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

住居侵入事件の場合,呼び出しに応じたことをきっかけに逮捕される,という流れは考えにくいところです。逮捕するつもりで呼び出す,という取り扱いは非常に少ないと言ってよいでしょう。

もっとも,呼び出しに対する対応が不適切である場合には,呼び出しを巡るやり取りが逮捕の原因になる可能性は考えられます。具体的には,以下のようなケースが挙げられるでしょう。

呼び出しへの対応が逮捕の原因になるケース

1.呼び出しへの応答がない

2.呼び出された日時に出頭しない

3.話の内容が明らかに不合理である

4.証拠隠滅の態度が見られる

【1.呼び出しへの応答がない】

呼び出しの連絡を試みたものの,応答もなく折り返しもない,という状況の場合,呼び出しをしても効果がないとの判断になりかねません。そうすると,逮捕して強制的に連れてくる必要があるとみなされやすく,逮捕の原因になり得ます

【2.呼び出された日時に出頭しない】

呼び出しの連絡を受けて出頭日時を決めたものの,その日時をすっぽかすなどして出頭しない場合,同じく呼び出しても出頭が期待できないとの判断になりかねません。一度だけであれば直ちに逮捕とはならないケースが多いですが,度重なると最終手段としての逮捕が選択される原因になるでしょう。

【3.話の内容が明らかに不合理である】

呼び出しに応じて出頭し,取調べが行われたものの,受け答えの内容が明らかに不合理である場合には,捜査に対する妨害の恐れが大きいと判断され,逮捕につながる可能性があります。
具体的には,内容が支離滅裂である,話が二転三転する,会話のキャッチボールが成立しない,といった場合が挙げられるでしょう。

【4.証拠隠滅の態度が見られる】

呼び出しの時や出頭時のやり取りから,証拠隠滅の態度が見受けられる場合には,今後の証拠隠滅を防ぐために逮捕される原因になり得るでしょう。
例えば,証拠の話になると急に回答を拒み始める,明らかに虚偽であるのに証拠を持っていないと述べる,といった場合が挙げられます。

住居侵入事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①情報提供を求める場合

住居侵入事件では,捜査機関に必要な情報が揃っていないため,事件や被疑者を特定するための情報提供を求められる場合があります。情報提供を求める連絡であるかどうかは,呼び出しを行う警察側の話や態度などから,比較的容易に判断することができるでしょう。

このような呼び出しは,捜査の初期段階で行われることが一般的です。事件の発生又は被害者による被害の把握から,それほど期間を空けずに実施されるケースが多いでしょう。

②加害者として特定された場合

自分が加害者として特定された場合には,取調べ目的での呼び出しが想定されます。取調べは,被疑者に対する捜査の第一歩であり,認否などを具体的に確認するための重要なステップです。

加害者として特定されたときには,その後比較的速やかに呼び出されることが一般的です。事件発生からの期間はケースによって大きく異なりますが,概ね1~6か月程度の間が一つの目安と言えるでしょう。

③供述調書を作成する場合

捜査機関は,取調べを行った後,その内容を「供述調書」という書面にするのが通常です。取調べによって聴き取った話を証拠化し,捜査機関内部の報告やその後の刑事処分に活用するのが基本的な運用とされます。
そのため,話を聞かれた後,内容を調書化する目的で呼び出されることは少なくないでしょう。

供述調書作成のための呼び出しは,ある程度話を聴き取った後であることが一般的です。直近の呼び出し後1週間~1か月程度は目安でしょうか。
なお,取調べの後速やかにその内容を供述調書にするケースもあります。その場合は,別途供述調書作成のための呼び出しが行われることはありません。

④個人情報の収集保管をする場合

刑事手続の一般的な取り扱いとして,被疑者の写真,指紋,DNA型といった個人情報を保管する運用が広く定着しています。これは,捜査機関内部でデータベース化することで,将来の犯罪捜査に活用することが想定されたものです。
そのため,写真や指紋などの個人情報を収集目的で呼び出される場合も考えられるところです。

このような呼び出しは,捜査の終盤に行われることが一般的です。事件の内容に関する取り調べが一通り終わった後であることが多く,個人情報の収集によって呼び出し終了,となるケースが多数でしょう。

住居侵入事件の呼び出しに応じたときの注意点

①記憶がない場合の対応方法

住居侵入事件では,呼び出された事件の記憶がない,というケースも相当数見られます。このうち,特徴的に多いのは泥酔状態であったため記憶がない,というものです。

この点,泥酔のため記憶がないケースでは,単に記憶がないというのみでなく認否を明確にするのが適切である,という点に注意することをお勧めします。「記憶がない」との回答は,疑いを認めていないため否認の意味で理解されるのが通常であるため,「酔っぱらって覚えていないが自分が行ったことに間違いないと思う」というスタンスである場合,意図が正しく伝わらない恐れがあります。

記憶がないケースでは,もう一歩踏み込んで「認めるか認めないか」という点を明確にするのが適切でしょう。

②共犯事件の場合

共犯事件の場合,通常は共犯者の全てが取り調べを受けることになります。そして,共犯事件では共犯者間で供述内容が整合するか矛盾するか,という点が大きなポイントになりやすいところです。

そのため,共犯事件では,基本的にありのままの事実を述べ,共犯者間で言い分が食い違わないよう努めることが適切でしょう。共犯者のためであっても,むやみに虚偽の話や黙秘を乱用することはお勧めできません。
最悪の場合,共犯者に責任を擦り付けられた場合,自分の話が(一部虚偽であったため)信用できない,と判断される危険もあります。

③余罪の取り扱い

住居侵入事件は,1件だけでなく余罪が複数ある場合も一定数見られます。そのため,捜査機関も余罪の存在を想定しており,余罪も含めた捜査をしていることが少なくありません。

この点,基本的に同一の被害者に対する事件の余罪は,同一の手続で捜査される可能性が高い,という点に注意しておくことをお勧めします。同一の被害者に対する余罪は,虚偽の話や黙秘によって隠そうとするメリットに乏しいことが多く見られます。

警察が呼び出す主な目的

警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。

①参考人である場合

参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。

参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。

②身元引受人である場合

身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。

身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。

身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。

③被疑者である場合

被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。

被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。

被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。

参考人身元引受人被疑者
呼び出しの理由事件の情報獲得被疑者の出頭確保犯人候補の取り調べ
逮捕の可能性通常なしなしあり
前科の可能性通常なしなしあり

警察の呼び出しを拒むことは可能か

警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。

①参考人の場合

参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。

ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。

そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。

②身元引受人の場合

身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。

もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。

被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。

③被疑者の場合

被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。

被疑者を取り調べる方法

1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める

この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。

そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。

ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意

呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット

被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。

①逮捕を回避できる

呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。

この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。

②不適切な取り調べを防げる

警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。

この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。

弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。

③前科を防げる

被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。

この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。

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住居侵入で逮捕される可能性は?初犯でも逮捕される?逮捕を防ぐ方法は?

このページでは,住居侵入の逮捕に関して,刑事弁護士が徹底解説します。逮捕の可能性はどの程度あるか,逮捕を避ける方法はあるか,逮捕された場合に釈放を目指す方法はあるかなど,対応を検討する際の参考にしてみてください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

住居侵入事件で逮捕される可能性

住居侵入事件は,逮捕の可能性が十分に考えられる事件類型です。侵入行為によって,被害者の心身に重大な損害が生じやすいため,再発を防ぎ被害者を保護する意味も含め,逮捕を伴った捜査が選択されることは少なくありません。

ただし,必ず逮捕されるとも限らず,具体的な見通しは個別のケースによるところです。一般的に,以下のようなケースでは逮捕の可能性が高いと言えるでしょう。

住居侵入事件で逮捕の可能性が高いケース

1.現行犯でトラブルになった場合

2.侵入後に別の犯罪行為があった場合

3.侵入行為が複数回あった場合

4.被害者に危害の及ぶ恐れがある場合

【1.現行犯でトラブルになった場合】

現行犯の際に被害者と鉢合わせになるなどし,トラブルになった後逃走した,というケースでは,逮捕の可能性が高い傾向にあります。その理由としては,現実に逃走しているため今後の逃亡が懸念されること,被害者の外貌を把握しており,被害者に危害の及ぶ恐れがあることなどが挙げられます。

【2.侵入後に別の犯罪行為があった場合】

住居侵入の後,窃盗やわいせつ行為など,別の犯罪が行われているケースでは,逮捕の可能性が高くなりやすいところです。別の犯罪が起きている場合,その事件の刑事責任はより重くなるため,逮捕の必要性が高い,との理解が一般的です。

【3.侵入行為が複数回あった場合】

同一の住居への侵入行為が複数回ある場合,その被害者に対する被害の拡大を食い止めるため,逮捕の可能性が高くなる傾向にあります。
また,加害者が住居への侵入場所を確保している可能性が高く,侵入方法に関する証拠を収集する必要性が高いため,逮捕することで証拠隠滅の機会を奪う意味合いもあります。

【4.被害者に危害の及ぶ恐れがある場合】

加害者と被害者との間に過去トラブルがあった,面識のある可能性が高いなど,今後,被害者に対する危害の恐れが大きいと思われるケースでは,被害者保護の観点から逮捕の可能性が高くなりやすいです。
被害者は,被害状況を最も正確に述べることのできる重要な証拠(人証:証拠となる人のこと)の一つです。被害者に対する危害は,まさに重大な証拠隠滅行為と言えます。

逮捕の種類や流れ

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

住居侵入事件で逮捕を避ける方法

①被害者との解決

住居侵入事件では,被害者と加害者との間で解決している場合,その後に捜査が行われることは通常ありません。そして,捜査が行われないということは,捜査の手段である逮捕も行われない,ということになります。

具体的な被害者がいる事件である以上,根本的な解決は被害者との間で図るのが最も適切です。当事者間で解決の余地がある場合には,できるだけ解決を目指したいところです。

②自首

特に被害者との解決が困難なケースでは,捜査を受ける前に自首をし,自ら捜査機関に足を運ぶ手段も有力です。加害者が自ら足を運んでくれる場合,逮捕をしてまで強制的に連れてくる必要はないため,逮捕の必要性が大きく低下すると言えるでしょう。

なお,自首は,捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚していない段階で,自ら捜査機関に犯罪行為を述べる行動を言います。犯罪事実と犯人が発覚した後では自首が成立しないため,できるだけ早い時期に行うことが有益です。

③捜査協力

既に捜査を受けている状況の場合,行われる捜査に対して適切な対応を尽くすことで,逮捕の回避が期待できる場合も少なくありません。具体的には,必要に応じて求められた捜査協力を尽くし,証拠の提出などを行うことが有力です。

逮捕は,逃亡や証拠隠滅を防ぐ目的で行われることが一般的であり,逆に逃亡や証拠隠滅の恐れがなければあえて逮捕することは多くありません。積極的な捜査協力によって,逃亡や証拠隠滅の恐れがないとの判断を引き出すことができれば,逮捕を避ける大きな原動力になり得るでしょう。

住居侵入事件の逮捕は弁護士に依頼すべきか

住居侵入事件の逮捕について対応を検討する際は,弁護士に依頼し,その専門的な判断を踏まえて行動するのが適切でしょう。弁護士への依頼によって,以下のような効果が期待できます。

①逮捕が懸念される状況か分かる

逮捕を避けるためにどのような行動を取るかは,逮捕がどの程度懸念されるか,という見通しを前提に判断すべき事柄です。捜査機関が逮捕を想定しているのにそれに気づかず手段を尽くさないと,逮捕回避の機会を逃してしまいかねませんし,逆に捜査機関が逮捕を考えていないのに執拗に逮捕を恐れた動きを取っていると,不要な疑いや捜査を受けるきっかけになり得ます。

この点,弁護士に依頼することで,現状で逮捕が懸念されるかどうか,という点について法的な知識経験を踏まえた判断をしてもらうことが可能です。逮捕可能性の見通しを正しく持つことができれば,逮捕回避の動きも正しく進めることができるでしょう。

②逮捕を防ぐための弁護活動をしてもらえる

逮捕を防ぎたい,逮捕を防ぐために手段を尽くしたい,と考えた場合でも,現実にその手段を自分が講じることは容易ではありません。内容によっては,自分自身で行うことができず,弁護士に行ってもらうほかないものも少なくありません。

この点,弁護士に依頼することで,逮捕を防ぐために行うべき動きを進めるなど,適切な弁護活動をしてもらうことが可能です。また,いつ,どの動きを,どのように取ればいいか,という点も弁護士が判断してくれるため,動きを誤る恐れなく逮捕回避を目指せるでしょう。

③手続の流れや見込みを事前に把握できる

刑事事件の手続は,法律や運用に精通していないと見通しの判断が困難です。逆に,刑事手続に関する法律や捜査機関の運用に通じている弁護士などは,今後の手続がどのように流れていくか,どのような結果が見込まれるか,という点の見通しを正確に持つことが可能です。

そのため,刑事事件に精通した弁護士に依頼すれば,今後の手続の流れを把握でき,処分などの見込みを正しく見定めることが可能になるでしょう。ある程度の見通しを持つことができれば,今後に対する不安も最小限に抑えることができます。

住居侵入事件の逮捕に関する注意点

①逮捕を避ける手段に乏しい場合

住居侵入事件の場合,逮捕前に捜査機関から逮捕を示唆するような動きを取るケースはあまり見られません。そのため,逮捕は被疑者にとって突然行われることになり,事前に避ける手段を講じる余地がない可能性には注意が必要となります。

ただし,事前に逮捕を示唆する動きがなくても,事件の発生から逮捕までには相当な期間のあることが通常です。その期間の中で,自首などの試みにより逮捕を回避する余地はあり得るところであるため,捜査を受けていない状況でも逮捕を避ける試みをすべきでないか,という点を弁護士に相談してみることは有力でしょう。

②逮捕時期

住居侵入事件は,逮捕がなされる場合の逮捕時期を具体的に特定することが困難な傾向にあります。その理由としては,以下の点が挙げられます。

住居侵入事件の逮捕時期が特定困難な理由

・被害者が被害を把握する時期が不明
→被害者が侵入行為をいつ知るのか,という点が,完全に被害者側次第である

・加害者を特定できるまでの期間が不明
→捜査の開始後,加害者が特定できるかどうか,特定にどの程度の期間を要するかは,証拠関係に大きな影響を受ける

・捜査機関のスケジュールが不明
→警察が多忙であるほど期間を要しやすく,速やかな逮捕が少なくなりやすい

住居侵入事件では,事件の進捗等によって逮捕時期に様々な可能性がある点に注意が必要です。

③逮捕後の釈放時期

住居侵入事件の場合,逮捕された場合の釈放時期に様々な可能性があるため,釈放時期の特定が困難になりやすい点に注意が必要となります。

最も軽微なケースでは,逮捕1~2日後,勾留されずに釈放される場合があり得ます。勾留されない事件では,いわゆる在宅事件に切り替わり,時々出頭を求められる流れとなります。
一方,複数の事件で逮捕勾留が繰り返されると,釈放まで数か月を要する長丁場になる可能性もあり得ます。この間,手段を尽くしても釈放してもらうのは困難であるのが通常です。

具体的な釈放時期の見込みについては,手続に精通した弁護士に判断してもらうことをお勧めします。

住居侵入事件で警察から呼び出しを受けた場合のポイント

呼び出しへの対応法

①現行犯で取り締まりを受けた事件

住居侵入事件が現行犯で発覚し,取り締まりを受けた場合には,その後捜査のために呼び出しを受けることが考えられます。このような場合には,基本的に反省や後悔の意思を前提に,誠意ある捜査協力を尽くすことが有力でしょう。

現行犯で取り締まりを受けているケースでは,事件が現認されているため,内容を争う余地に乏しいことが通常です。事件の内容を認める前提であれば,いわゆる情状面で有益な効果を期待する意味で,可能な限り真摯な対応に努めることが賢明と言えます。

ただし,現行犯で取り締まりを受けたものの,被害者側の勘違いなどであらぬ疑いをかけられている部分もある,という状況であれば,適切な対応は異なります。あらぬ疑いをかけられている部分がある場合は,正しい点と誤っている点を具体的に指摘の上,正しい点は真摯に反省し,誤っている点は毅然と否定する,と区別した対応をするべきでしょう。

ポイント
内容を認める前提であるため,可能な限り真摯な対応に努めるべき
あらぬ疑いをかけられている部分があれば,その点は区別して毅然と否定する

②初めて呼び出しを受ける事件

それまで捜査を受けたことがなく,初めて呼び出しを受ける事件では,まず疑いの内容を正しく把握することが賢明です。また,複数の出来事で疑いが生じている場合は,そのそれぞれについて心当たりがあるかないか,正しく判断する必要があります。
疑いの内容を正しく把握し,心当たりの有無が確認できれば,適切に認め,又は否認する対応が可能になります。

また,警察署等への出頭を求められる際には,できるだけ日程調整し,出頭に応じる姿勢を見せるようにしましょう。警察側の求める日時の出頭に全て応じる必要はありませんが,全く応じる気がない態度を見せるメリットにも乏しいところです。

ポイント
疑いの内容と心当たりの有無を正しく把握する
出頭には応じる姿勢を見せる

③身に覚えがない事件

身に覚えのない住居侵入事件で呼び出された場合には,まず「自分には心当たりがない」という事実を警察側に把握してもらうための対応をしましょう。刑事事件の捜査は,認め事件か否認事件かによってその後の流れが異なり,否認事件の場合には犯罪が立証できるか慎重な判断が必要となります。そのため,本件は否認事件であって,慎重な犯罪立証が求められるケースだ,と把握してもらうことが有効です。

あわせて,なぜ身に覚えがないのか,自分の中で整理することも不可欠です。人違いで疑われているのか,泥酔などの影響で記憶がない状況なのかなど,身に覚えがない理由によって取るべき対応も異なってくるため,正しく整理の上,できれば専門性ある弁護士に相談することをお勧めします。

ポイント
心当たりのない事件である,ということを捜査機関に把握してもらう
身に覚えのない理由を確認する

住居侵入事件の呼び出しに応じると逮捕されるか

住居侵入事件の場合,呼び出しに応じたことをきっかけに逮捕される,という流れは考えにくいところです。逮捕するつもりで呼び出す,という取り扱いは非常に少ないと言ってよいでしょう。

もっとも,呼び出しに対する対応が不適切である場合には,呼び出しを巡るやり取りが逮捕の原因になる可能性は考えられます。具体的には,以下のようなケースが挙げられるでしょう。

呼び出しへの対応が逮捕の原因になるケース

1.呼び出しへの応答がない

2.呼び出された日時に出頭しない

3.話の内容が明らかに不合理である

4.証拠隠滅の態度が見られる

【1.呼び出しへの応答がない】

呼び出しの連絡を試みたものの,応答もなく折り返しもない,という状況の場合,呼び出しをしても効果がないとの判断になりかねません。そうすると,逮捕して強制的に連れてくる必要があるとみなされやすく,逮捕の原因になり得ます

【2.呼び出された日時に出頭しない】

呼び出しの連絡を受けて出頭日時を決めたものの,その日時をすっぽかすなどして出頭しない場合,同じく呼び出しても出頭が期待できないとの判断になりかねません。一度だけであれば直ちに逮捕とはならないケースが多いですが,度重なると最終手段としての逮捕が選択される原因になるでしょう。

【3.話の内容が明らかに不合理である】

呼び出しに応じて出頭し,取調べが行われたものの,受け答えの内容が明らかに不合理である場合には,捜査に対する妨害の恐れが大きいと判断され,逮捕につながる可能性があります。
具体的には,内容が支離滅裂である,話が二転三転する,会話のキャッチボールが成立しない,といった場合が挙げられるでしょう。

【4.証拠隠滅の態度が見られる】

呼び出しの時や出頭時のやり取りから,証拠隠滅の態度が見受けられる場合には,今後の証拠隠滅を防ぐために逮捕される原因になり得るでしょう。
例えば,証拠の話になると急に回答を拒み始める,明らかに虚偽であるのに証拠を持っていないと述べる,といった場合が挙げられます。

住居侵入事件で警察が呼び出すタイミングや方法

①情報提供を求める場合

住居侵入事件では,捜査機関に必要な情報が揃っていないため,事件や被疑者を特定するための情報提供を求められる場合があります。情報提供を求める連絡であるかどうかは,呼び出しを行う警察側の話や態度などから,比較的容易に判断することができるでしょう。

このような呼び出しは,捜査の初期段階で行われることが一般的です。事件の発生又は被害者による被害の把握から,それほど期間を空けずに実施されるケースが多いでしょう。

②加害者として特定された場合

自分が加害者として特定された場合には,取調べ目的での呼び出しが想定されます。取調べは,被疑者に対する捜査の第一歩であり,認否などを具体的に確認するための重要なステップです。

加害者として特定されたときには,その後比較的速やかに呼び出されることが一般的です。事件発生からの期間はケースによって大きく異なりますが,概ね1~6か月程度の間が一つの目安と言えるでしょう。

③供述調書を作成する場合

捜査機関は,取調べを行った後,その内容を「供述調書」という書面にするのが通常です。取調べによって聴き取った話を証拠化し,捜査機関内部の報告やその後の刑事処分に活用するのが基本的な運用とされます。
そのため,話を聞かれた後,内容を調書化する目的で呼び出されることは少なくないでしょう。

供述調書作成のための呼び出しは,ある程度話を聴き取った後であることが一般的です。直近の呼び出し後1週間~1か月程度は目安でしょうか。
なお,取調べの後速やかにその内容を供述調書にするケースもあります。その場合は,別途供述調書作成のための呼び出しが行われることはありません。

④個人情報の収集保管をする場合

刑事手続の一般的な取り扱いとして,被疑者の写真,指紋,DNA型といった個人情報を保管する運用が広く定着しています。これは,捜査機関内部でデータベース化することで,将来の犯罪捜査に活用することが想定されたものです。
そのため,写真や指紋などの個人情報を収集目的で呼び出される場合も考えられるところです。

このような呼び出しは,捜査の終盤に行われることが一般的です。事件の内容に関する取り調べが一通り終わった後であることが多く,個人情報の収集によって呼び出し終了,となるケースが多数でしょう。

呼び出しに応じたときの注意点

①記憶がない場合の対応方法

住居侵入事件では,呼び出された事件の記憶がない,というケースも相当数見られます。このうち,特徴的に多いのは泥酔状態であったため記憶がない,というものです。

この点,泥酔のため記憶がないケースでは,単に記憶がないというのみでなく認否を明確にするのが適切である,という点に注意することをお勧めします。「記憶がない」との回答は,疑いを認めていないため否認の意味で理解されるのが通常であるため,「酔っぱらって覚えていないが自分が行ったことに間違いないと思う」というスタンスである場合,意図が正しく伝わらない恐れがあります。

記憶がないケースでは,もう一歩踏み込んで「認めるか認めないか」という点を明確にするのが適切でしょう。

②共犯事件の場合

共犯事件の場合,通常は共犯者の全てが取り調べを受けることになります。そして,共犯事件では共犯者間で供述内容が整合するか矛盾するか,という点が大きなポイントになりやすいところです。

そのため,共犯事件では,基本的にありのままの事実を述べ,共犯者間で言い分が食い違わないよう努めることが適切でしょう。共犯者のためであっても,むやみに虚偽の話や黙秘を乱用することはお勧めできません。
最悪の場合,共犯者に責任を擦り付けられた場合,自分の話が(一部虚偽であったため)信用できない,と判断される危険もあります。

住居侵入事件における自首のコツ

住居侵入事件で自首をするべき場合

①侵入行為が被害者に発覚している場合

住居侵入事件の捜査は,事件が被害者に発覚した後,被害者からの被害申告などをきっかけに始まることが通常です。そのため,住居侵入事件の場合,被害者に発覚していれば捜査が行われやすく,被害者に発覚していなければ捜査は行われづらいと言えます。
そして,住居侵入事件で捜査が行われると,逮捕の可能性が十分にあるため,捜査され得る状況であれば,あらかじめ自首をして逮捕を回避する動きが有力となります。

そうすると,侵入行為が被害者に発覚してしまっている事件では,被害者の動きによって捜査が開始され,逮捕に至ることが十分に見込まれるため,自首の検討が有力になりやすいと考えられます。
特に,被害者と鉢合わせになって逃走した,という場合には,今後に渡っても逃亡の恐れがある,という理由で逮捕の可能性が高くなりやすいため,積極的な自首の検討が有力でしょう。

ポイント
被害者に発覚している事件が捜査される
逮捕回避を目指すための示談が有力

②捜査の開始を知った場合

住居侵入事件の場合,捜査の開始時にはまだ加害者が分かってない,というケースは珍しくありません。事件の性質上,被害があったことは明らかだが加害者が分からない,という状態であることが相当数あるためです。
そうすると,捜査が開始されてから加害者が特定されるまでには一定の期間が生じやすく,その間に自首を試みる余地が残っている,ということになります。

捜査が開始されている以上,自首をするしないにかかわらず,事件は捜査機関が把握するに至っています。そのため,自首が裏目に出てしまうリスクは低く,逆に自首のメリットを大きく得られやすい状況ということができるでしょう。
何らかの経緯で捜査の開始を知った場合には,捜査によって加害者が特定される前に,自発的な自首を進める手段が有力になります。

ポイント
捜査の開始時に加害者が分かっていない,という場合も多い
捜査開始後,加害者特定前の自首は有力

③余罪がある場合

住居侵入事件では,事件が1回きりではなく,複数回起きているケースも少なくありません。特に,同一の住居に対して,長期間に渡り複数回の侵入行為があった,という場合は多く見られるところです。
この点,現に捜査を受けている事件以外の事件(=余罪)がある場合,その数が多ければ多いほど,刑事処分は重くなる傾向にあります。起こしている事件が多いほど,事件が悪質であり,生じた被害や加害者の責任は重いとの評価になるためです。

余罪があって重い刑罰が懸念される場合には,処分の軽減を目指す手段として自首を検討することが有力です。刑事処分の判断は,加害者の反省状況を大きな材料の一つとすることになりますが,自首は深い反省があることの裏付けとみなされやすく,刑罰の軽減につながる可能性が高いでしょう。

ポイント
同一住居に対する複数の侵入事件が生じやすい
自首によって処分の軽減を目指す手段が特に有力な状況

④当事者間での解決が困難な場合

住居侵入事件の場合,被害者が犯罪捜査や刑事処罰を希望しなければ,捜査を行わないことが通常です。現実に被害を受けた人物が捜査を求めていない以上,被害者のプライバシーを掘り起こしてまで捜査を強行する必要性に乏しいためです。
そのため,当事者間で問題解決に至っているのであれば,捜査を懸念する必要はあまりなく,自首を検討する必要もないとの判断が適切でしょう。

一方,住居侵入事件では,当事者間で協議するなどして解決を図ることが困難なケースも数多く見られます。特に,当事者間に深い交友関係がない場合には,円滑に当事者間で解決するのは現実的ではないでしょう。
このように当事者間での解決が困難な場合には,自首のほかに処分の軽減を目指す手段がないため,自首の検討が非常に有力となります。自首ができれば,最悪の事態を免れられる可能性が飛躍的に高くなるでしょう。

ポイント
当事者間で解決できれば,自首の必要はあまりない
住居侵入事件の場合,当事者間での解決は困難な場合が多い

住居侵入事件の自首は弁護士に依頼すべきか

住居侵入事件の自首に関しては,弁護士への依頼を強くお勧めします。刑事手続や住居侵入事件の取り扱いに精通した弁護士に依頼をすることで,自首に関する判断や行動を誤ることなく進められるでしょう。
弁護士への依頼によって,具体的には以下のようなメリットが見込まれます。

①逮捕の可能性が低下する

自首は,逮捕の回避を目指すのが最初の目的です。自首しなければ逮捕の危険が大きいため,自首することでできる限りその可能性を下げ,逮捕を防ぐ結果を目指す,というのが自首をするときの基本的なモチベーションになるでしょう。
もっとも,自首の方法を誤ってしまえば,逮捕回避の効果が十分に見込まれず,逮捕を防ぐという目的の実現につながらない恐れも否定できません。

この点,弁護士に依頼することで,適切な方法,内容で自首を進めることができるため,逮捕の可能性はより大きく低下することが期待できます。また,弁護士が逮捕するかどうかという点について捜査機関に掛け合い,協議を試みることも可能です。

②自首が有効な状況か分かる

刑事事件で自首すべきかどうか,自首が有効な手段であるかどうかは,非常に判断の難しい問題です。必要な情報がほとんどない中,経験則などを踏まえて推測せざるを得ませんが,過去の経験がない当事者は,当然ながら経験則を踏まえた判断ができず,困難さは更に増すでしょう。

この点,刑事事件の対応に精通した弁護士に依頼することで,知識や経験をもとに状況をできる限り把握し,自首が有効であるかどうか,適切な判断をしてもらうことが可能です。なぜ自首が有効であるか,なぜ自首をすべきかを把握しながら自首を進めることで,より円滑な対応が進めやすくなる効果も期待できます。

③被害者への対応を開始できる

住居侵入事件で自首をする場合,被害者への謝罪や賠償,示談といった試みは,あわせて行うことが適切です。なぜなら,自首は逮捕回避や処分軽減を目的に行うものですが,逮捕回避や処分軽減に最も有効な動きが,被害者側へのアプローチであるためです。被害者の宥恕(ゆうじょ=許し)を得ることができれば,自首よりも更に大きな効果が期待できます。

この点,弁護士に依頼することで,弁護士が窓口となる形で被害者への対応を速やかに開始できます。自首は,被害者の心情面にプラスの影響を与えることが多く,被害者が示談に応じる可能性が高くなる動きでもあるため,被害者への対応は自首の効果を最大限に生かすための行動とも言えるでしょう。

④逮捕後の釈放を目指すことができる

住居侵入事件は,逮捕されるケースも少なくないため,自首を検討する際にも逮捕を想定しておく必要があります。事件の内容や件数などを踏まえ,逮捕リスクが高いケースでは,逮捕後の動きを考えているかどうかによってその後の流れが大きく変わることも珍しくありません。

この点,弁護士に依頼することで,万一逮捕された場合に釈放を目指す方法や見込みを具体的に検討し,釈放に向けた弁護活動を行ってもらうことが可能です。また,釈放までにどのくらいの期間を要するか,どのような条件で釈放されるか,といった見通しが分かることで,その後の手続にも適切な対処が可能になりやすいでしょう。

住居侵入事件で自首をする場合の注意点

①自首が間に合わない可能性

自首は,犯罪事実及び犯人の両方が捜査機関に発覚した後では,行うことができません。捜査が行われていない段階や,犯人が特定できていない段階であれば,自首の余地が残りますが,捜査が進行してしまった後になると自首が成立しなくなってしまう可能性があるため,注意が必要です。

この点,捜査の進捗状況を踏まえた判断ができれば最も望ましいですが,現実に捜査状況を把握することは困難です。自首を検討する際には,自首が成立する状況か分からないことを承知の上で,できるだけ早期に判断することをお勧めします。

②逮捕が避けられない可能性

自首は,逮捕の可能性を大きく低下させる動きではありますが,自首をしたから逮捕されない,というわけではありません。自首をしても逮捕が避けられない場合がある,という点は十分に注意することが望ましいです。

特に,捜査機関が被疑者を逮捕する前提で捜査を進めていた場合,その後に自首をしても逮捕の判断は変わらず,結局逮捕されてしまう,という流れは多く見られます。ただ,捜査機関が逮捕する前提かどうかは,事前に把握することができないため,その可能性を想定しながら自首の検討を行うことが適切でしょう。

③起訴され前科が付く可能性

自首をした場合,刑事責任は大きく減少し,処分も大きく軽減する可能性が高く見込まれます。最も大きく軽減した場合,不起訴処分となり,刑罰を受けない結果となることも相当数見られるところです。
不起訴処分の獲得が,自首を試みる最大の目的の一つでしょう。

もっとも,自首をしたからといって全て不起訴処分になるものではありません。自首をしても,起訴は避けられず,刑罰が一定程度軽減するにとどまる,という可能性は十分にあるため,事前に注意することをお勧めします。

④余罪の取り扱い

余罪がある場合,一つの事件で自首すると決めた際に,余罪をどう取り扱うか,という点は非常に判断の難しい問題です。全てをさらけ出してしまうか,余罪については一切言及しないか,一部の余罪に限り自ら述べるか,選択肢は数多くあります。

この点,余罪を伏せて自首を試みた場合,後で余罪が発覚すると,余罪に関しては自首の効果が及ばない,との判断が通常です。自首の影響は事件ごとに変わるため,余罪は自首を含めた事件ごとに検討する,という点に十分注意しましょう。

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【住居侵入事件の不起訴処分】不起訴の意味から獲得方法,住居侵入事件の場合の注意点などを弁護士が解説

このページでは,住居侵入事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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住居侵入事件で不起訴を目指す方法

①被害者の宥恕

住居侵入事件に対する刑事処分の内容は,被害者の意向を大きく反映したものになることが通常です。住居侵入事件は,侵入された個別の被害者が存在し,その被害者が損害を被った事件であることから,その責任の程度を判断する際にも被害者の意向を考慮することが適切であるためです。
裏を返せば,被害者から起訴を望まないとの意向を表明してもらうことができれば,不起訴処分が大きく近づくことになります。

そのため,住居侵入事件で不起訴を目指す方法としては,被害者から宥恕(ゆうじょ=許し)を獲得することが非常に有益です。起訴前に被害者の宥恕が獲得できれば,大多数の事件で不起訴処分が期待できるでしょう。

ポイント
住居侵入事件の刑事処分は,被害者の意向を反映したものになる
被害者の宥恕(許し)を獲得できれば,不起訴に大きく近づく

②捜査機関への出頭

住居侵入事件は,その内容の性質上,被害者に発覚するまでに長い時間のかかりやすい傾向が見られます。被害者に事件が発覚しない限り,捜査自体が始まらないケースも珍しくはありません。
これは,加害者の立場から見れば,事件が発覚する前に自分から警察などに出頭し,住居侵入してしまったことを明らかにする余地がある,ということになります。現実に捜査機関が事件を把握していなかった場合,自首が成立する可能性も高いでしょう。

自ら捜査機関に出頭し,自分の住居侵入行為を明らかにすることは,深い反省の意思の現れと評価されることが一般的です。事件によっては,深い反省の意思を考慮してもらうことで,不起訴処分が獲得できる場合も考えられます。

なお,自ら出頭した場合には,その後に被害者の宥恕を目指すこともセットで試みるのが有益でしょう。出頭をしておきながら示談を試みない,というのは,不起訴を目指す動きとして合理的とは言えず,非常にもったいないと言っても間違いありません。

ポイント
事件発覚前に捜査機関へ出頭することで,深い反省の意思が表明できる
出頭後に被害者の宥恕を獲得することもセットで試みるべき

③故意がない場合

住居侵入事件はいわゆる故意犯であるため,誤って侵入してしまった,という場合には犯罪が成立しません。代表的な例としては,以下のような場合が挙げられます。

故意のない住居侵入事件の例

勘違いした場合
→自分の住居と勘違いして他人の住居に侵入してしまった

泥酔状態の場合
→泥酔のため住居に侵入していることを理解できなかった

無理矢理侵入させられた場合
→命令・強要行為などによって自分の意思に反して侵入させられた

自分の意思で住居侵入事件を起こした認識がない場合には,故意がない旨の主張が有力になりやすいでしょう。ただし,捜査機関から見ると,本当に故意がなかったのか言い逃れを図ろうとしているのか区別が付かないため,粘り強い説明が必要となることは想定しておくことをお勧めいたします。

ポイント
自分の意思以外の理由で侵入した場合,犯罪が成立しない
言い逃れとの区別が付かないため,粘り強い説明を要しやすい

④侵入行為に心当たりがない場合

侵入行為そのものに心当たりがないという言い分は,法的には「犯人性」を争うとの主張になります。自分が犯人かどうか,というポイントが争点だという意味です。

犯人性が問題になる場合には,捜査機関に対して,「自分が犯人でない可能性が十分に考えられる」との判断を促すことが適切な対応と言えます。捜査機関は,被疑者が犯人であることについて「合理的な疑い」がある場合,起訴すべきでないとの判断をすることになるため,「自分が犯人であることに合理的疑いがある」=「自分が犯人でない可能性が十分にある」との判断をしてもらうことが目標になるのです。

基本的な対応としては,自分の記憶する事実をありのまま話すことが適切です。適切な情報提供を行うことで,犯人性に関する捜査を促す効果も期待できます。

ポイント
犯人性が争点になる
犯人であるかどうか合理的な疑いが残る,との判断を促す

住居侵入事件で不起訴になる可能性

住居侵入事件は,不起訴処分になる可能性が十分に考えられる事件類型です。事件の具体的内容や程度,認否や証拠関係などによって見通しは様々に異なりますが,決して不起訴を見込むことができない事件ではありません。

特に,被害者との間で解決を図ることができていれば,不起訴の可能性は極めて大きく上がります。また,被害者との解決が困難な場合でも,ケースにより不起訴の可能性が高まることはあり得るでしょう。
具体的には,以下のような場合に不起訴の可能性が高くなりやすいところです。

不起訴の可能性が高くなる住居侵入事件の特徴

1.侵入した場所
→住居の出入口近辺までの侵入にとどまるか,さらに奥の居室等まで侵入しているか,という点。プライバシー侵害の程度が小さい場所への侵入にとどまっているほど,不起訴の可能性が高くなる。

2.侵入の方法
→合鍵の作成やピッキング行為など,特に手段を尽くさなければ侵入できない場所に敢えて侵入した場合,不起訴の可能性は低くなる。一方,扉が開かれていた等,容易に侵入できる状況だった場合,不起訴の可能性が高くなる。

3.侵入の目的
→わいせつ行為や窃盗行為のためであるなど,目的が悪質な場合には不起訴の可能性が低くなる。一方,悪質な目的がない場合や,同情すべき理由がある場合には,不起訴の可能性が高くなる。

4.侵入後の行動
→侵入後に何らかの加害行為や別の犯罪行為に及んでいる場合,不起訴の可能性が低くなる。逆に,特に何の行動も取らず速やかに立ち去っている場合,不起訴の可能性が高くなる。

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

住居侵入事件で不起訴を目指す場合の注意点

①被害者の意向の重要性

住居侵入事件の場合,不起訴処分となるかどうかには被害者の意向が非常に大きく影響します。極論すれば,被害者が不起訴を希望したから不起訴,そうでなければ起訴であったというケースも決して珍しくありません。

そのため,住居侵入事件で不起訴を目指す場合には,まず被害者から不起訴を希望するとの意向が獲得できないか,という点を検討することが適切になりやすいでしょう。被害者の意向と他の事情とでは,不起訴処分に与える影響が大きく異なる点に注意が必要です。

②被害者は誰か

住居侵入事件の被害者は,住居の管理権者と言われています。これは,多くの場合は住居の所有者ですが,必ずしも所有者には限られず,個別のケースにより判断も異なり得ます。
例えば,賃貸マンションへの侵入行為であった場合,マンションの所有者(オーナー)と,実際にその住居を管理し居住している人(賃借人)は別です。このとき,現実に侵入行為でダメージを受けたのは賃借人の方であるため,オーナー側でなく賃借人を被害者と考えることが一般的でしょう。

被害者に関する理解は,不起訴処分のため誰の宥恕を獲得すべきか,という点で重要な問題となります。不起訴処分の獲得に適した動きが取れるよう,謝罪などを試みるべき相手を正しく特定することに注意しましょう。

③現行犯逮捕と不起訴の関係

住居侵入事件の場合,事件がその場で発覚すれば,現行犯逮捕とされることも少なくありません。被害者のプライバシーが大きく侵害されており,身体生命の危険が生じかねないことを踏まえ,被害者保護の目的から速やかな現行犯逮捕がなされやすいのです。

もっとも,現行犯逮捕されることと,その後不起訴になるかどうかということは別の問題です。現行犯逮捕されたから不起訴にならない,という性質のものではないため,変わらず不起訴を目指す努力は行うことが適切と言えます。

裏を返せば,現行犯逮捕されず,ひいては逮捕自体されていない,という事件であっても,不起訴が見込まれると判断できるわけではありません。適切な対応を逃して起訴されることのないよう,十分に注意したいところです。

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【埼玉大宮で住居侵入事件の弁護士選び】最善の結果に近づくための判断基準や注意点とは

このページでは,住居侵入事件の弁護士選びについてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。弁護士への依頼を検討する際の参考にご活用ください。

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住居侵入事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕直後

住居侵入事件は,逮捕の可能性が十分に考えられる事件類型です。特に,現行犯で発覚して問題になった場合には,逃亡などを防ぐ必要性が高く,迅速に逮捕されやすい傾向にあります。

しかし,逮捕されたとしてもその場で全てが手遅れとなるわけではありません。逮捕後に適切な対応を尽くすことができれば,早期に釈放してもらうことができ,生活への影響を最小限に抑えることが可能です。
全ての住居侵入事件に当てはまるわけではありませんが,逮捕されたとしても速やかな釈放の余地は残っている,という点は知っておいて損のないところでしょう。

この点,逮捕直後には弁護士しか被疑者と接見できないことが通常であり,釈放を目指す動きも弁護士を通じて行う必要が生じやすいです。逮捕直後に適切な弁護士選びができれば,早期釈放の実現できる可能性が大きく高まることは間違いありません。

ポイント
住居侵入事件は,現行犯逮捕の可能性が高い傾向あり
逮捕直後に適切な動きが取れれば,早期釈放の余地がある

②示談交渉時

住居侵入事件に対する刑事処分は,被害者と示談ができるかどうかによって大きく左右されやすいものです。実際に住居を管理している被害者がいる事件のため,その被害者が刑罰を望むかどうかは,処分を決定する際の重要な判断材料になります。

この点,示談交渉には弁護士が不可欠となります。示談を試みるためには,弁護士を介して捜査機関に連絡し,被害者と弁護士との間での連絡を始めてもらう必要があるためです。

示談交渉の流れ

そして,示談の成否やその内容は,担当する弁護士によって様々に変わりやすいものです。示談における合意内容は当事者間の自由であり,無数の選択肢があるため,示談交渉の巧拙が示談の内容に直結することも珍しくありません。
そのため,示談を試みたいときには示談に精通した適任の弁護士を選ぶ必要があるでしょう。

ポイント
住居侵入事件の処分結果は,示談の成否に左右されやすい
示談の成否や内容は,弁護士の動きによって変わる

③起訴直後

住居侵入事件の中には,起訴が避けられないものもあります。特に,窃盗目的やわいせつ目的での侵入,継続的な複数回の侵入,プライバシー侵害の程度があまりに大きい内容の侵入など,事件の悪質さが際立っている場合には,特に被害者の許しがない限り,起訴が防げないことも少なくないでしょう。

もっとも,起訴されてしまった後でも,手段を尽くすべき場合は数多くあります。起訴後の対応としてまず行うべきことが,保釈の請求です。
保釈とは,勾留されている被告人(起訴された人)の身柄を,裁判の間だけ釈放する手続を言います。保釈が認められた場合,保釈保証金(いわゆる保釈金)を納めることで,留置施設から釈放してもらい,帰宅することが許されます。
起訴前には釈放が認められなかったケースでも,起訴後の保釈は広く認められることが珍しくないため,特に認め事件では速やかな保釈が肝要と言えます。

もっとも,保釈を求める手続や,保釈が認められた後の手続は,弁護士なしでは困難です。現実的には,弁護士に保釈を請求してもらい,保釈が認められた後の対応も行ってもらうことが必要になるでしょう。

ポイント
悪質と評価される住居侵入事件では,起訴が避けられない場合もある
速やかな保釈のため,弁護士選びを迅速に行うことが適切

④自首の際

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。犯罪事実や犯人が捜査機関に知られる前に,自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

住居侵入事件は,現行犯で発覚する場合を除き,事件の発生がすぐに被害者や捜査機関へ発覚することは多くありません。そのため,住居侵入事件を起こしてしまったという認識がある場合は,事件発覚前の自首が有力な選択肢の一つと言えます。

もっとも,本当に自首をすべきかどうか,自首をする場合にどのような手順・方法で行うか,という点は,当事者自身での判断が困難なポイントです。自首を試みようと考えるときには,適切な弁護士選びの上で,弁護士とともに検討・行動をするのが適切でしょう。

ポイント
住居侵入事件は,事件発覚前の自首が有力な選択肢の一つ
自首すべきか,どのように自首するかは,弁護士の判断を仰ぐのが適切

住居侵入事件の弁護士を選ぶ基準

①迅速に対応してくれるか

特に身柄拘束をされている住居侵入事件の場合,弁護士の対応の迅速さがその後の流れを大きく左右します。いつ釈放されるか,最終的な刑事処分がどのような内容になるか,といった点が,弁護活動のスピードによって変わってくることは珍しくありません。

一方で,弁護士がいつどのような対応をしてくれるかは,個々の弁護士のやり方により様々です。刑事事件のスピード感に合わせた迅速な対応のできる弁護士であれば問題ありませんが,万一弁護活動がタイミングを逃したものになってしまうと決定的な悪影響につながる可能性も生じてしまいます。

迅速対応を約束してくれるかどうかは,必ず弁護士選びの基準として設けるようにしましょう。

②的確な聴き取りをしてくれるか

聴き取りに関する弁護士の技量は,弁護活動の質に直結するポイントです。的確な聴き取りは,弁護活動の第一歩と言っても過言ではないでしょう。

住居侵入事件の場合には,以下のような点を特に聴き取ることが望ましいでしょう。

住居侵入事件における主な聴き取り事項

・侵入方法・態様
→どのように侵入したか,どこまで侵入したか,侵入の手段はどのように確保したか等

・侵入の経緯
→侵入を試みたきっかけは何か,なぜ侵入しようと考えたか,侵入後に何をするつもりだったか等

・余罪関係
→侵入の回数・期間,余罪の侵入場所・方法,余罪の発覚の有無等

聴取事項は以上の限りではありませんが,基本的に聴き取るべき事項を的確に聴き取ってくれるかは,弁護士選びの基準とすることが有益です。
一例としては,あまり取り扱いに長けていない場合,余罪に関する聴取が漏れやすい傾向が見られやすく,意識すれば弁護士選びの判断材料とすることも難しくはないでしょう。

③弁護士と円滑に連絡が取れるか

住居侵入事件の解決は,依頼者と弁護士との円滑な連絡が不可欠です。弁護活動を進める中で,改めて確認すべき事実関係が生じることも少なくない上,示談を試みる場合には,提案できる条件や合意内容を,随時連絡を取り合ってすり合わせる必要があります。

もっとも,連絡の方法や頻度は,個々の弁護士によって様々です,「弁護士となかなか連絡が取れない」という問題は,刑事事件のトラブルとして多く耳にするケースの代表例でもあります。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

④事務所所在地

住居侵入事件は,基本的にその住居地を管轄する警察が捜査を行い,同じくその地域を管轄する検察庁や裁判所が取り扱うことになります。また,被害者の住居は事件現場と同一であるため,被害者との接触を試みる際には,やはり住居地を基準とした動きになるところです。
そのため,弁護士の事務所所在地が事件現場となった被害者の住居地から遠い場合,可能な弁護活動の内容に限界が生じる可能性がある,という点には留意しておくことが望ましいでしょう。

なお,相手方との対面や現場の調査は,必ず要するというわけではないため,遠方であることのみを理由に弁護士への依頼を断念する必要まではありません。遠方であることに不安を感じる場合は,その点を直接弁護士に相談してみるようにしましょう。

住居侵入事件で弁護士を選ぶ必要

①早期釈放のため

早期釈放の可能性がある住居侵入事件でも,釈放を目指すための具体的な活動は弁護士に委ねざるを得ません。接見で必要な話し合いを行ったり,ご家族と連絡を取り合ったり,捜査機関や裁判所に必要なアクションを尽くしたりと,早期釈放に向けて弁護士でしかできないことは多岐に渡ります。

早期釈放ができるかどうかは,その後の生活に極めて重大な影響を与えやすいものです。そのため,特に事件内容等を踏まえて早期釈放が十分に期待できるケースでは,弁護士選びが非常に重要な動きと言えるでしょう。

②不起訴処分のため

住居侵入の事実を争わない認め事件の場合,不起訴を目指す主な選択肢は示談であることが通常です。もっとも,被害者と親密な交友関係にある場合を除き,弁護士なしでは示談を試みることも困難であるのが一般的でしょう。
弁護士に依頼して初めて,示談ができるかどうかのスタートラインに立つことができ,不起訴処分を獲得できる可能性が生じる,という言っても決して誤りではありません。

また,住居侵入の事実を争う否認事件の場合,法的な争点を明らかにした上で,その争点に関する主張を示すことが重要ですが,これは法的な知識,経験を持つ弁護士なしでは検討が難しい問題です。否認の主張を説得的に行うためにも,弁護士の存在は非常に重要と言えます。

そのため,住居侵入事件で不起訴処分を獲得するためには,弁護士選びが必要不可欠と言えるでしょう。

③家族や関係者との連携のため

身柄事件の場合,逮捕勾留されたご本人は,自分で外部と連絡を取ることができません。電話を携帯することも認められないため,連絡を取るための手段は以下のような方法に限られます。

逮捕勾留中に外部と連絡を取る手段

1.手紙の送受
→数日~1週間ほどのタイムラグが避けられない

2.(一般)面会
→時間制限が厳しい。接見禁止の場合は面会自体ができない

3.弁護士の接見
→時間的制限なくコミュニケーションが可能

手紙の送受は現実的でなく,面会の時間制限の中で必要な連絡をすべて取ることも難しいため,ご本人と周囲との連絡には弁護士の接見を活用することが不可欠になりやすいでしょう。
身柄事件で必要な連絡を取り合うためには,弁護士への依頼が適切です。

④適切な取り調べ対応のため

刑事事件の捜査では取調べが不可欠です。特に,被疑者への取調べは捜査の中核であって,被疑者からどのような話が引き出せるかによってその後の捜査が決定づけられる事件も少なくありません。

逆に,被疑者の立場にある場合,取調べにどのような対応を取るのが最も有益であるのかを把握していることは非常に重要です。自分が何を話すか,どのように話すかによって,その後の捜査や処分が決定づけられる可能性もあるため,取調べ対応の方法・内容は十分に検討する必要があるでしょう。

この点,個別の事件に応じてどのような取調べ対応をすべきかは,弁護士の法的な判断を仰ぐことが適切です。そのため,取調べ対応に万全を期すためには,弁護士選びが重要なポイントとなるでしょう。

住居侵入事件における弁護士選びの準備

①経緯や状況をまとめる

住居侵入事件で弁護士に法律相談を行うに当たっては,まず,現在に至るまでの経緯と現在の状況を正しく伝えることが出発点になります。
住居侵入の事実が間違いない事件であれば,被害者とはどのような関係かなぜ侵入してしまったかどのように侵入したか侵入後に何をしてしまったか,といった経緯を明らかにした上で,現在は捜査を受けている状況なのか当事者間で何かやり取りをしているのか,といった現状に関する事情を共有することが有益でしょう。

弁護士による案内は,事件の経緯と現在の状況を踏まえて行うことになります。そのため,弁護士選びの前提として,弁護士から適切な案内を受けるためにも,経緯や状況をまとめておくとよいでしょう。

②余裕を持った予算の検討をする

弁護士に依頼する場合,弁護士費用示談金の負担が想定されます。弁護士選びに当たっては,この両方の経済的負担ができるよう,予算を検討することが望ましいところです。

この点,弁護士費用については,法律事務所によって様々ではありますが,一般的な目安を把握することはそれほど難しくありません。必要に応じて,相談先の弁護士に直接確認してもよいでしょう。
ただし,身柄拘束を受けており,余罪を含めた長期間の逮捕勾留が見込まれる場合には,弁護士費用は大きくなりやすく,目安の金額も特定しづらいです。このようなケースでは,できるだけ余裕を持った予算の準備が適切と言えます。

また,示談金については,弁護士費用以上に金額の見通しを持ちづらいところです。特に,住居侵入事件の示談では,被害者又は加害者の転居が争点になり,転居費用の負担という問題が生じやすい点に特徴があります。転居費用が上乗せされる場合,示談の経済的負担は大きく変わるでしょう。

そのため,住居侵入事件では,弁護士費用と示談金の両方について,余裕を持った予算の準備が望ましい場合に注意しておくことをお勧めします。

③できるだけ早期に相談する

弁護士への依頼は,早期であることが非常に重要となる場合が少なくありません。住居侵入事件の場合には,特に身柄拘束を受けている場合,早期釈放を求めたり事件の速やかな解決を目指したりするため,弁護活動の速やかさが必要不可欠です。

当然ながら,弁護活動は法律相談や依頼の後でなければ開始されないため,弁護士への相談が早期でないと,弁護活動の遅れにつながりかねません。不測の不利益を避けるためにも,弁護士への相談はできるだけ早期に行うべきである,という点に注意しましょう。

住居侵入事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①弁護士への信頼感の重要さ

弁護士への依頼に際して軽視すべきでない点に,弁護士への信頼感が挙げられます。弁護士に依頼した場合,弁護活動の内容やその成果は,弁護士から報告を受ける方法で把握するほかありません。つまり,弁護士の動きを弁護士自身から教えてもらうしかなく,その真偽をチェックする手段もないため,依頼者には弁護士を全面的に信頼する以外の方法が存在しないことになります。

弁護活動の内容や結果がよく分からなくても,良い結果が出ていれば現実的な問題はあまりないかもしれません。しかし,住居侵入事件の場合,示談が奏功しなかったり,早期釈放のできない事件であることが後で分かったりと,事前の想定や目標よりも不利益な状況になる可能性は十分にあります。そして,良くない結果となったとき,それでも弁護士の動きに納得できるか,という点は非常に大きな問題です。

そのため,弁護士に依頼する際には,弁護士への全幅の信頼が必要であることを踏まえ,依頼する弁護士を心から信頼することは可能か,という点を慎重に検討することをお勧めします。

②早期釈放の困難さ

逮捕勾留された住居侵入事件の中には,その内容上,早期釈放の余地が現実的にないものも多くあります。その場合は,釈放のためには被害者との示談が成立する以外に方法がありませんが,事件の悪質性などを背景に,被害者が示談に応じてくれないケースが多いため,どうしても早期釈放を断念することになりやすいでしょう。

早期釈放の困難なケースに該当する場合,弁護士の活動や方針に関わらず,何をしても早期釈放には至らないことが通常です。早期釈放が十分に可能な住居侵入事件も確かにありますが,一方で早期釈放が困難な住居侵入事件も存在することは,十分に留意しておくことをお勧めします。

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業務上横領事件で自首を検討するべき場合の特徴や意外な注意点とは?

このページでは,業務上横領事件の自首に関して,自首をすべきかどうか,自首のメリット,自首を試みる際の具体的な方法などを弁護士が解説します。自首を検討する際の参考にしてみてください。

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業務上横領事件で自首をするべき場合

①当事者間の解決が見込まれない場合

業務上横領事件では,当事者間で解決ができれば,強制的な捜査手続や重大な刑事処罰は考えにくいのが通常です。そのため,当事者間で解決できるケースでは,自首を行う実益はあまり大きくなりにくいでしょう。むしろ,被害者側が自首を望んでいない場合,当事者間の解決に悪影響を及ぼす可能性もあり得ます。

一方,当事者間で解決できる見込みがない場合,基本的に解決を目指す手段はなくなってしまい,後はいつ捜査が行われるか,待つほかなくなることも珍しくありません。いつ捜査を受けるか分からず待ち続けるのは,大きな精神的負担が避けられず,耐えられなくなってもおかしくはありません。

このように,当事者間での解決見込みがない場合に有力な手段となるのが自首です。自首を通じて自ら捜査を求める動きを取ることで,いつどのような捜査を受けるのか分からない,という不安を解消することが可能になります。また,捜査の方法そのものも緩やかになりやすいでしょう。

ポイント
当事者間で解決ができれば,自首の実益は大きくない
自首により,いつ捜査されるか分からない不安を解消できる

②事件の規模が大きい場合

自首は,逮捕の回避を大きな目的の一つとするものです。自ら捜査機関に自分の犯罪を明らかにすることで,逮捕をする必要はない,との判断を引き出すのが,自首の最初の目的と言ってよいでしょう。

この点,業務上横領事件では,事件の規模が大きければ大きいほど,捜査に際して逮捕される可能性が高まります。刑事責任が重大であることに加え,必要な証拠が多岐に渡りやすいため,逃亡や証拠隠滅を防ぐ目的で逮捕が選択されやすいのです。
そのため,事件の規模が大きい場合には,「自首しなければ逮捕されていたが,自首したことで逮捕を回避できた」という場合が増加しやすいところです。逮捕リスクが高いケースほど,自首を積極的に検討することをお勧めします。

ポイント
事件規模が大きいほど逮捕の恐れが大きい
自首が逮捕回避の大きなポイントになり得る

③日常生活への支障を防ぎたい場合

刑事事件では,捜査や処罰を受けることで日常生活に支障が生じることが強く懸念されます。逮捕されれば社会生活と引き離されてしまい,捜査されていることが周囲に知られれば不名誉な評価が避け難いでしょう。

自首を行った場合,捜査機関にとっては被疑者の捜査協力が確実に見込まれることになるため,日常生活に支障が生じやすい捜査方法を避けてくれるケースが多くなります。捜査機関からの一種の配慮と言えるでしょう。
捜査の方法について配慮してもらうことで,周囲への悪影響を防ぎたい場合には,自首が非常に有力な手段となります。

ポイント
自首した場合,捜査方法を配慮してもらえるケースが多くなる

自首とは

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

また,自首が成立するためには,犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前でなければなりません。これは,犯罪事実自体が発覚していない場合のほか,犯罪事実は発覚しているものの犯人が特定できていない場合も含まれます。つまり,犯罪事実か犯人のどちらかが発覚していなければ,自首が成立するということになります。

ポイント 自首の意味
自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告し,自分への処分を求めること
犯罪事実又は犯人が特定できていない段階であることが必要

自首のメリット

①刑罰の減軽事由に当たる

自首は,刑法で定められているものですが,その定めは「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」という内容です。つまり,自首が成立した場合の直接の効果は「刑を減軽できる」ということになります。

刑罰が減軽される場合,基本的には言い渡される刑罰の上限が2分の1になります。そのため,自首によって刑罰が減軽されると,自首がなかった場合に比べて最大でも半分の刑罰までしか科せられません。

なお,「刑を減軽することができる」という定めは,任意的減軽と呼ばれます。これは,減軽することも減軽しないこともできる,というもので,自首したから必ず減軽の対象になるわけではありません。この点の最終的な判断は裁判所に委ねられますが,自首が刑罰の重みに大きく影響することは間違いありません。

ポイント
自首は刑の任意的減軽事由

②逮捕が回避できる可能性が高まる

被疑者が自首をした事件では,その被疑者を逮捕する可能性が非常に低くなることが一般的です。それは,逮捕の必要性が大きく低下するためです。

逮捕の要件には,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があるとされています。

逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

この点,自首をする人物は,自分の犯罪事実を自発的に捜査機関へ告げ,その事件に関する刑事処分を受けるきっかけを自ら作っています。そのため,自分から捜査や処分を求めている人が逃亡や証拠隠滅をすることは考えにくいと言わざるを得ません。
そうすると,自首がなされた事件は,類型的に逃亡や罪証隠滅の恐れ(逮捕の必要性)が低いため,逮捕を回避できる可能性が高くなるのです。

逮捕の回避は,自首を試みる場合の大きな目的の一つと言えます。自分から捜査機関に犯罪を打ち明ける対価として,逮捕を避けてほしいと申し出る試みである,ということもできるでしょう。
ただし,必ず逮捕が防げるというわけではありません。自首をしたとしても逮捕せざるを得ないような重大事件であれば,自首は刑罰の軽減を目指して行うべきことになるでしょう。

ポイント
自首したケースは逮捕の必要性が低いと判断されやすい

③示談の可能性が高まる

被害者のいる事件の場合,自首をした被疑者自身が加害者であることが明らかです。そのため,被疑者ががさらに処分の軽減を図ろうとする場合,示談の試みが非常に大切となります。なぜなら,被疑者の刑事処分は,被害者の意向を可能な限り反映したものになるためです。
示談によって被害者の許しが得られた場合,許したという被害者の意向を反映して刑事処分を軽減することがほとんどでしょう。事件によっては,被害者が加害者の刑罰を希望しない,という意向を表明すれば,事実上不起訴が見込まれると言えるケースも少なくありません。
それだけ,示談の成否は刑事処分を決定的に左右し得るものです。

この点,被害者としては,加害者が自首をしたのか,警察に特定されて捕まったのかによって,示談を受け入れる気持ちが生じるかどうかに大きな違いが生じます。自首した場合の方が,被害者が示談を受け入れる気持ちになりやすいことは明らかです。
そのため,自首という行動は,その後の示談が成立する可能性を高めるという大きなメリットももたらすものと言えます。

ポイント
自首した場合の方が,被害者に示談を受け入れられる可能性が高くなる

④不起訴の可能性が高まる

自首した場合,刑の任意的減軽事由となりますが,これは刑罰を受けることを前提としたお話です。受ける刑罰が半減する可能性がある,というわけですね。

この点,自首が処分を軽減させるのは,決して刑罰が科せられる場合のみではありません。そもそも刑罰を科すかどうか,つまり起訴するか不起訴にするか,という局面でも,自首は処分を軽減させる事情として考慮されます。それは,自首をすることで刑事責任を軽くすべき,という考え方がこの局面にも当てはまるためです。

事件によっては,自首の有無で起訴不起訴が分かれるケースもあり得ます。自首以外に不起訴の判断を促せる事情がなかったとしても,自首を考慮して不起訴になる場合があり得るのは,自首の大きなメリットでしょう。

ポイント
自首を理由に不起訴処分が得られる場合もある

自首の方法と流れ

自首を円滑に,効果的に行うためには,適切な手順を踏んで自首することが望ましいところです。適切な自首ができれば,自首のメリットがより早期に,明確に得られるでしょう。

①自首の方法1.警察への連絡

自首は,警察署に直接出頭して行うこともできますが,事前に警察署に電話連絡をすることがより適切でしょう。事前連絡なく出頭した場合,警察側に自首を受け入れる体制や準備がなく,かえって手続が煩雑になってしまう可能性があります。

連絡先=自首をする先の警察署としては,事件の発生場所を管轄する警察とすることが最も円滑になりやすいです。ただ,自分の生活圏と事件の発生場所が遠く離れている場合は,自分の住居地の最寄りの警察署でもよいでしょう。

自首先の警察署

1.事件の発生場所を管轄する警察署
2.自分の住居地を管轄する警察署

また,連絡先は,自首をする事件分野を取り扱う担当課,担当係に行うことが望ましいです。事件を取り遣う部署は事件類型ごとに異なりますが,一般的には以下のような区別が可能です。

事件を取り扱う部署の例

暴行・傷害
→刑事課 強行犯係

詐欺・横領
→刑事課 知能犯係

窃盗
→刑事課 盗犯係

痴漢・盗撮
→生活安全課

児童買春・児童ポルノ
→生活安全課(少年係)

警察に連絡をした際は,事件を取り扱う係に電話を回してもらい,担当部署の電話応対者に自首を希望する旨とその内容を伝えるとスムーズになりやすいです。

なお,事件の概要や自首を希望するに至った経緯などを伝える可能性が高いため,整理して伝えられるよう,事前にメモを作成するなどして伝えたいことをまとめるのが望ましいでしょう。

②自首の方法2.警察への出頭

予定した日時に警察へ出頭します。
出頭した際にまずどこへ行き,どのようにして担当者に話を通してもらうかは,事前連絡の時点で確認しておくことが望ましいでしょう。

出頭後は,警察所で話を聞かれることが想定されます。どの程度の時間,どのような手続を行うことになるのかは事前の想定が困難であるため,当日の予定は終日空けておくことが適切です。

警察の受付から担当者につないでもらうと,担当課の取調室などへ案内されることが一般的です。

③自首後の流れ1.取り調べの実施

自首後は,まず事件の内容や流れについて取調べを受けることになります。自首をより円滑に進めるため,事前の準備に沿って事件の内容をできるだけ詳細に話すようにしましょう。
取調べの内容としては,以下のような事項が想定されます。

自首後の取調べ内容

1.事件の日時・場所
2.事件の具体的な内容
3.事件が発生した理由
4.自首を試みた経緯・理由
5.身上経歴

自首は,自分の犯罪行為を申告して処分を求めるものであるため,対象となる犯罪の内容については,何かを包み隠していると疑われないよう真摯な供述に努めることが有益です。また,反省・後悔の意思や,被害者に対する謝罪の意思が十分に伝わるような対応が尽くせれば,より望ましい内容になるということができるでしょう。

ポイント
自首を受けた警察で取調べが行われる
真摯な供述を心掛け,反省や謝罪の意思が伝わることを目指す

④自首後の流れ2.自首の受理

警察では,取調べで自首をした人から一通りの話を聞いた後,「自首調書」を作成します。
内容や形式は一般的な供述調書と大きく異なりませんが,自首を受理したことを明らかにするため自首調書を作成するものとされています。

自首調書には,事件の概要,本人の身上経歴,自首をした理由や経緯などが記載されます。

ポイント
自首を受け付けた警察では「自首調書」が作成される

⑤自首後の流れ3.逮捕の判断

自首を受けた警察では,取調べの内容等を踏まえ,その被疑者を逮捕するかどうか判断することになります。自首した事件では,被疑者を逮捕する必要は大きく低下すると理解されるのが通常ですが,それでも逮捕の可能性が否定できるわけではありません。

逮捕をするかどうかは,逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れを主な基準に判断されますが,自首をしているケースでは自首後に逃亡することは想定されづらいと言えます。そのため,罪証隠滅の恐れがどの程度あるか,という基準が重視されやすいでしょう。
そして,自首を通じて罪証隠滅の恐れがないと判断してもらうためには,以下のような対応方法が考えられます。

逮捕を防ぐための自首の方法

1.時系列に沿った詳細な供述に努める
→隠し事なく供述していると評価してもらえれば,その上で証拠隠滅する恐れがあるとは判断されづらい

2.証拠の持参
→事件の内容に応じて想定される物的証拠を積極的に持参することで,罪証隠滅の余地がないと判断してもらいやすい

自首のやり方によって逮捕されるかどうかに差が生じる可能性もあるため,自首に際しては罪証隠滅の恐れがないと理解してもらうことをできる限り目指すようにしましょう。

ポイント
逮捕の有無は,罪証隠滅の恐れの有無によって判断されやすい

業務上横領事件の自首は弁護士に依頼すべきか

業務上横領事件で自首を検討する場合,弁護士に依頼の上,弁護士の専門的な判断を仰ぐことが適切です。自首という大きな決断を行う以上,その検討は可能な限り慎重に進めることをお勧めします。
弁護士に依頼することで,以下のようなメリットが期待できます。

①自首すべき状況か判断してもらえる

業務上横領事件の場合,すべてのケースで自首をすべきとは言えません。それは,自首が被害者側の意向に反してしまったり,自首しなければ不利益が避けられない,という状況でないのに勘違いしてしまったりする恐れがあるためです。自首は,大きなリスクを背負った行動であるため,自首によって不利益を被ることはできる限り避けるべきと言えます。

この点,弁護士に依頼することで,自首をすることのメリットデメリット,自首をしなかった場合の見通しなどを,専門的な見地から判断してもらうことが可能です。そのため,自首すべきでない状況で自首を選択してしまうことや,自首が有益な状況で自首のチャンスを逃すことが防げるでしょう。

②適切な方法で自首できる

自首するとの決断をした場合,次の高いハードルになるのが具体的な方法の判断です。どこの警察に出頭するのか,電話するのか警察署へ行くのか,誰に何を話すのか,どのように取り扱ってもらえるかなど,判断に悩む局面は少なくありません。

この点,弁護士に依頼し,弁護士に進めてもらう形を取れば,自首の具体的方法に悩むことなく,適切な手順で自首を行うことが可能です。また,自分がどのような振る舞いをするべきか,事前にアドバイスを受けられるため,最大限に不安を取り除くこともできるでしょう。

③取調べへの備えができる

自首は,捜査の入口段階の手続です。自首をきっかけに捜査が始まることとなるため,自首をする時点でその後の捜査を想定しておくことは不可欠と言えます。
そして,捜査の中でも中核となるものが取調べです。警察担当者から話を聞かれて回答し,その内容を「供述調書」という書面にすることが,取調べの基本的な手続となります。そのため,取調べに対してどのような回答をするか,供述調書の作成時にはどう対応すべきか,という点は事前に検討しておくのが有益です。

この点,弁護士に依頼することで,取調べの流れを案内してもらうことができ,回答内容のアドバイスも受けられるため,取調べへの十分な備えをすることが可能になります。また,供述調書の作成に関しても,個別の事件に応じた助言をしてもらうことができるでしょう。

④被害者対応を迅速に開始できる

業務上横領の事件では,否認事件の場合を除き,被害者対応が非常に重要なポイントとなります。刑事処分がどのくらいの重さになるか,逮捕されるか,勾留されるかなど,刑事手続の多くの局面で被害者対応やその結果が大きな影響を及ぼすことになるでしょう。

この点,弁護士に依頼することで,自首とあわせて被害者対応を迅速に開始することが可能です。自首した事件の場合,そうでないケースと比べて被害者側の感情面が緩やかになりやすく,自首が示談に対してプラスの効果を及ぼすことも多いため,示談を試みることは結果にもつながりやすいと言えます。

業務上横領事件で自首をする場合の注意点

①自首より優先すべきことがある場合

業務上横領事件の場合,被害者側の意向や状況を知らない段階での自首は慎重に判断するのが賢明です。それは,被害者にとって自首よりも当事者間の解決の方が望ましいと考えている場合があるためです。

自首によって捜査が始まると,被害者側も捜査協力を求められることになり得ます。当然ながら,捜査協力は被害者にとって負担であるため,捜査を希望しない被害者にとっては単に負担が増すだけの結果になりかねません。しかも,捜査協力をしても金銭的な損害が回復されるわけではないため,被害者が捜査よりも当事者間での金銭的解決を望んでいる場合,自首は被害者の意向に反する可能性があります。

業務上横領事件での自首は,被害者側の意向に反していないことが分かった後に行うことが有力でしょう。

②逮捕が避けられない可能性

業務上横領事件では,加害者に知られないよう慎重に捜査を進め,嫌疑が固まった段階で突然加害者を逮捕する,という流れが取られる場合もあり得ます。これは,加害者による証拠隠滅を防ぎ,業務上横領事件の全容を解明するための手段の一つです。
予告なく突然逮捕することで,加害者側が事前の準備が全くできないため,逃亡や証拠隠滅のリスクを最小限に抑えながら捜査を進める手段として活用されています。

一方で,加害者側の目線では,事前に逮捕を避ける試みを行う余地がない,という可能性が生じることになります。自発的に自首などの手段で名乗り上げる以外には,事前に逮捕回避を図る手段がありません。

逮捕を予期させる事情を確認してから自首する,という動き方では,逮捕が避けられないケースが出てくる可能性に注意しておきましょう。

③不起訴処分が見込まれるとは限らない

自首は,不起訴処分が最も大きな目的の一つになります。不起訴処分となれば,刑事罰を受ける可能性がなくなり,前科が付かない結果となるため,刑事処分として最も有益な結果と言ってよいでしょう。
自首をした場合,深い反省の意思が明確になることから,自首は不起訴処分を実現する大きな原動力の一つです。

もっとも,自首をしたからと言って不起訴処分になるとは限らない,という点には注意が必要です。自首をすれば確かに刑事処分は軽減しやすいですが,軽減した結果不起訴にまで至るかは別の問題です。特に被害規模が大きく,元々の刑事責任が重い事件の場合,自首によって軽減してもなお刑罰は避けられない,という結論も十分にあり得ます。

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業務上横領は必ず逮捕されるか?逮捕されないためのポイントは?

会社の財産を不正に処分したと疑われる業務上横領は、発覚すれば逮捕に至る可能性が高い重大な犯罪です。しかし、すべてのケースで必ず逮捕されるわけではなく、被害額や被害者の対応、示談の有無などによって結果は大きく変わります。「業務上横領は必ず逮捕されるのか」「逮捕を避けるにはどうすればよいのか」と不安を抱える方も多いでしょう。本記事では、業務上横領の逮捕について、逮捕されるケースとされないケースの違いや、逮捕を回避するためのポイントを分かりやすく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

横領罪とは

横領罪とは,他人の物を占有している人が,その物を領得する犯罪です。
典型例は,人から預かっていたお金を自分のために使ってしまう,というケースでしょう。

横領罪の種類

横領罪には,大きく分けて以下の3つの類型があります。

単純横領罪(刑法第252条第1項)自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の拘禁刑に処する。
業務上横領罪(刑法第253条)業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の拘禁刑に処する。
占有離脱物横領罪(刑法第254条)遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

横領事件として最も問題になりやすいのは,「業務上横領罪」でしょう。
経理担当者が勤務先の金銭を横領した場合などが代表的です。
一方,単純横領罪が成立するのは,業務の伴わない場合であり,友人から預かっていた金銭を使い込むようなケースが該当します。

また,占有離脱物横領罪は,横領罪ではありますが置き引きなどの窃盗類似の事例で問題になりやすいところです。

横領罪と窃盗罪の区別

横領罪は窃盗罪との区別が問題になりやすいですが,両者の違いは,対象物が他人が占有しているものか,自己の占有するものか,という点にあります。

窃盗罪は,他人が占有しているものを,その他人の了承なく自分の占有に移す犯罪です。例えば万引きは,店舗が占有する商品を勝手に自分の持ち物にしてしまう犯罪というわけですね。
一方の横領罪は,もともと自分が占有をしている物を自分の物(所有)にしてしまう,という犯罪類型です。会社のお金を預かっていた(占有していた)としても,あくまでお金は会社の物であるため,そのお金を自分のために使ってしまうと横領罪になる,というわけですね。

ポイント
横領罪とは、他人の物を占有している人がその物を領得する犯罪
勤務先に対する業務上横領事件が問題になりやすい
窃盗と横領の区別は、対象物がどちらの占有していたものか、という点が基準

参照:刑法 e-Gov法令検索

業務上横領で逮捕される可能性

業務上横領事件は,逮捕の可能性が十分に考えられる事件類型です。事件の性質上,多くの証拠収集が必要になりやすく,証拠収集の妨げになるような行為(いわゆる証拠隠滅行為)を防ぐ目的で逮捕されるケースが多く見られます。

個別の事件における逮捕の可能性はケースによりますが,逮捕の可能性が高くなる事情としては,以下の点が挙げられます。

逮捕の可能性が高くなる場合

1.件数が多い場合

2.被害額が高い場合

3.共犯者がいる場合

4.必要な情報提供を拒否している場合

【1.件数が多い場合】

業務上横領事件の場合,横領行為が1回のみではなく,複数回行われているケースが少なくありません。そして,事件の件数が多ければ多いほど,必然的に収集すべき証拠も多くなるため,証拠収集が漏れなくできるよう,逮捕の上で捜査を進める可能性が高くなります。

【2.被害額が高い場合】

被害額が高額である場合,刑事責任が重く,加害者に対する処罰も重大なものになることが見込まれます。そうすると,加害者としては,必要な証拠が収集されてしまう不利益が大きいため,証拠隠滅の動機が強くなるのが一般的です。しかも,業務上横領事件では,加害者自身しか把握していない証拠や情報も多く,秘密裏に証拠隠滅することが難しくないという特徴もあります。

そのため,被害額が高い場合には,証拠隠滅の恐れが類型的に大きく,証拠隠滅を防ぐための逮捕もなされやすい傾向にあります。

【3.共犯者がいる場合】

共犯事件では,共犯者間での証拠隠滅が強く懸念されます。共犯者間でやり取りをした記録や物品などの物的証拠はもちろん,口裏合わせによって取調べの妨害がなされる可能性も高くなる,との理解が通常です。

そのため,共犯者のいる事件では,単独犯の場合と比較して,共犯者間での証拠隠滅を防ぐ目的での逮捕が多くなりやすい傾向にあります。

【4.必要な情報提供を拒否している場合】

これまで取調べ等の捜査をしているケースでは,情報提供を求めても拒否が続く場合に逮捕の可能性が高くなる傾向にあります。情報提供を拒否されると,重要な情報に関する証拠隠滅の恐れが大きくなるため,証拠隠滅を防ぐ目的で逮捕する必要性が高くなるのです。

業務上横領で逮捕された場合のリスク

業務上横領で逮捕されると、刑事手続だけでなく、職場・社会生活に重大な不利益が生じます。主なリスクは次のとおりです。

(1)身柄拘束による生活・仕事への支障

  • 逮捕後、検察への送致・勾留が認められると、最大20日間の身柄拘束が続く可能性がある。
  • 出勤できないことで職場に逮捕が事実上伝わり、業務継続が困難になる。

(2)会社からの懲戒処分・退職のリスク

  • 業務に関連した不正行為であるため、懲戒解雇や退職勧奨の対象となりやすい。
  • 自ら弁明する機会がないまま会社内で調査が進み、不利な判断が下されるおそれがある。

(3)社会的信用の失墜と報道リスク

  • 業務上横領は信義違反が強く非難されやすい犯罪で、会社内外で信用が大きく低下する。
  • 場合によっては逮捕報道等で氏名が公表され、家族・取引先との関係にも影響が及ぶ。

(4)転職・再就職への深刻な影響

  • 前職での横領疑惑は再就職において大きなマイナス評価となり、職種によっては就業自体が困難になる。
  • 不起訴や執行猶予で終わった場合でも、企業側の信用判断に影響し続ける。

(5)刑事処分のリスク(起訴・有罪・実刑)

  • 業務上横領は法定刑が重く、被害額が大きい場合や計画性がある場合は起訴される可能性が高まる。
  • 被害弁償や示談が難しいケースでは、実刑判決のリスクも否定できない。

(6)会社側により証拠が固定される不利益

  • 身柄拘束中は説明や反論ができず、会社が単独で調査・証拠収集を進めることが多い。
  • 誤解や争点がある場合でも、自分に不利な状況が先に固まってしまう可能性がある。

業務上横領で逮捕されたときの流れ

業務上横領で逮捕されると、警察・検察・裁判所による手続が順に進みます。ここでは、一般的な流れを段階ごとに整理します。

(1)逮捕・警察による取調べ

  • 逮捕されると、警察署内で身柄を拘束され、犯行状況や被害額、動機などの取調べが行われる。
  • 逮捕から48時間以内に、警察は事件を検察へ送致するかどうか判断する。
  • 所持品検査や連絡方法に制限があり、日常生活は大きく制約される。

(2)検察庁への送致(いわゆる「送検」)

  • 逮捕後48時間以内に検察庁へ送致され、検察官が身柄拘束の必要性を判断する。
  • 検察官は24時間以内に裁判官へ勾留請求するか、釈放するかを決める。

(3)勾留の判断(裁判官による審査)

  • 勾留が認められると、原則10日間の身柄拘束が続く。必要に応じて10日間の延長が認められ、最大20日間の拘束となる。
  • 業務上横領の場合、証拠隠滅や関係者への働きかけが懸念されると勾留が認められやすい。

(4)取調べ・証拠収集が継続

  • 勾留期間中も、被害額の確定、経理資料の確認、会社側関係者の聴取など、多角的な捜査が進む。
  • 本人の供述と会社側の調査結果が異なる場合、不利な内容が先に固まってしまうこともある。
  • 弁護士はこの段階で接見し、供述内容の整理、身柄解放の申立て、示談交渉の準備などを行う。

(5)起訴・不起訴の判断

  • 勾留満了までに、検察官が起訴(正式裁判)・略式起訴(罰金)・不起訴のいずれかを決める。
  • 被害弁償や示談が成立している場合、不起訴の可能性が高まる。

(6)起訴された場合の流れ

  • 起訴されると身柄拘束が続くか、保釈が認められるかが判断される。
  • その後、公開の刑事裁判で事実関係・量刑などが審理される。
ステップ手続名内容期間の目安
逮捕・警察取調べ警察署で取調べ。犯行状況・被害額などを確認〜48時間
検察へ送致(送検)検察官が身柄拘束の必要性を判断送検後24時間以内に勾留請求の判断
勾留決定(裁判官)原則10日間の身柄拘束。必要に応じ10日延長最大20日
捜査継続・取調べ帳簿・資料確認、関係者聴取、供述の精査勾留期間中(最大20日)
起訴・不起訴の判断正式起訴・略式・不起訴を決定勾留満了までに判断
起訴後の手続公判準備、保釈判断、公開裁判で審理起訴後〜判決まで

業務上横領で逮捕されないためのポイント

① 被害者との解決

業務上横領事件で逮捕されるかどうか,又はその前提として業務上横領事件が捜査されるかどうかは,被害者の意向や判断に大きく左右されます。被害者が加害者に対する捜査や逮捕を希望しない場合,基本的には捜査も逮捕もなされないことが見込まれるでしょう。

そのため,逮捕を避ける方法としては,まず被害者との解決を目指すことが非常に有力です。業務上横領事件の場合,被害者と加害者との間に何らかの関係があり,相互に連絡を取り合えることが多いため,解決に向けた協議を試みる手段は見つかりやすいでしょう。

② 自首

被害者との解決が困難な業務上横領事件では,捜査機関に自首をすることで逮捕を避ける試みが有力です。自首は,自ら捜査機関に出頭して事件の捜査を求める動きであるため,逮捕せずとも捜査妨害は考えづらく,逮捕しなくてもよいとの判断を引き出せる可能性が高まります。

ただし,被害者側が捜査機関に相談するなどして捜査が開始された後では,自首を試みても自首が成立しません。自首を行う場合には,できるだけ早期に進めることをお勧めします。

③ 捜査協力

業務上横領事件における逮捕は,証拠収集を円滑に行う目的で行われることがほとんどです。裏を返せば,逮捕せずとも証拠収集が円滑に行える場合,逮捕の必要性は大きく低下することとなります。
そのため,逮捕を避ける方法としては,自ら積極的に証拠を提出するなど,証拠収集を円滑にするための捜査協力が有力な手段の一つです。

提出すべき証拠は,取り調べなどの際に,その内容に応じて特定することが合理的です。取調べの中で捜査に必要と思われる証拠が浮かび上がってきた際には,自発的な提出を申し出ることを検討するのも有益でしょう。

業務上横領の逮捕に関する注意点

① 逮捕時期

大多数の刑事事件では,被疑者が特定されてから間もない段階で逮捕されるのが一般的な流れです。そのため,刑事事件は捜査の比較的初期段階で行われ,その後身柄拘束をしながら捜査を重ねていくことになります。

一方,業務上横領事件の場合には,逮捕せず定期的に出頭を求める方法で捜査を続け,ある程度捜査が進んだ段階で逮捕に踏み切るケースが相当数見られます。このような逮捕時期に関する取り扱いは,業務上横領事件の大きな特徴の一つとも言えるでしょう。

業務上横領事件に際しては,出頭を重ねた後に逮捕される可能性についても注意しておくことが望ましいでしょう。

② 捜査の開始を防げる可能性

業務上横領事件では,捜査の開始前に当事者間で連絡を取り合うことのできるケースが多い点に特徴があります。そして,捜査開始前に当事者間で協議を重ね,解決の合意ができれば,捜査は開始されないことが見込まれるでしょう。

この点で,業務上横領事件の場合,対応によっては捜査の開始が防げる可能性もあるという点には十分注意したいところです。迅速に当事者間での解決が図れれば,捜査が行われないことになり,もちろん逮捕もなされないという有益な結果が期待できます。

③ 逮捕された場合の拘束期間

業務上横領事件では,逮捕された場合の拘束期間が比較的長くなりやすい点に注意が必要です。基本的には早期釈放が期待しづらく,延長を含めて20日間の勾留を受けることが見込まれやすいでしょう。

また,複数回の横領行為が問題になっている場合,20日間の勾留では捜査の時間が足りないと判断されると,更に別の横領行為について逮捕勾留(再逮捕・再勾留)が行われ,長期間の身柄拘束となる可能性も否定できません。特に証拠となるものが多く複雑な場合は,再逮捕を含む長期化の可能性にも注意したいところです。

警察の呼び出しを受けたときに逮捕を防ぐポイント

呼び出しに対する適切な対処法

①既に被害者側と協議を行っている場合

業務上横領事件は,警察の捜査より前に当事者間で協議の機会が持たれている場合も多いのが特徴の一つです。そして,当事者間での協議の経過・結果は,警察の処理に大きな影響を及ぼしやすいため,警察にとっても重要な情報となります。

そのため,既に被害者側と協議を行っているケースで呼び出しを受けた場合には,警察側にも協議の状況や内容などを共有することが望ましいでしょう。警察は被害者とも連絡を取り合っているため,協議の経過を把握している可能性もありますが,特に被害者から情報共有がなければ,警察が何も知らない可能性も否定できません。

被害者側との協議が進んでいる,解決の見込みが立ちそうであるといった場合には,その旨を警察にも伝えてあげることが賢明でしょう。

ポイント
当事者間での協議の経過は,捜査の進行に影響する
協議に進展が見られる場合には,警察にも情報共有するのが有益

②被害者側と協議を行ったことがない場合

被害者と協議を行ったことがなく,突然警察から呼び出しを受けた事件である場合,まずは自分にどのような疑いが生じているのか,具体的な内容をできるだけ正確に把握することが望ましいです。

業務上横領事件の場合,対象事件がどのような内容か,という理解があいまいだと,事件の内容を勘違いしてしまう恐れも小さくありません。例えば,問題とされている行為(事件)の数が一つか複数か,横領の対象となる財産は何か,損害額はいくらか,といった点は,被害者側に十分な情報のない場合もあり,捜査機関が適切に把握しているとは限りません。

そのため,まずは呼び出しの原因となった事件を正しく把握し,その内容を踏まえて対応方針を検討するようにしましょう。
ただし,捜査機関にとっては秘匿性の高い捜査情報でもあり得るため,必ずしも全ての情報が得られるとは限りません。断片的な情報から推測しなければならない可能性もあり得るところです。

ポイント
呼び出された事件の正確な内容を把握する
捜査機関から必要な情報の全てが得られるとは限らない

③心当たりがない場合

心当たりのない業務上横領事件で呼び出された場合,今後の対応方針を検討する前提として,なぜ自分が呼び出されることになったのか,という点を把握できると有益です。

心当たりのない事件である場合,捜査機関が事件内容や犯人を特定する十分な証拠を持っていないことがうかがわれます。そして,不十分な証拠を埋め合わせるために,関係者を呼び出して話を聞こうとしていることが推測されるところです。

証拠が不十分である,という点が呼び出しにどのような影響を及ぼしているかは,ケースにより様々です。代表的な場合としては,人違いで疑われている,加害者の候補が複数いるため広く話を聞いている,といった可能性があり得るでしょう。

呼び出されることに至った経緯・原因は,その後の方針を決めるための重要な手掛かりになり得るため,できるだけ早期に確認できることが望ましいところです。

ポイント
なぜ自分が呼び出されることになったかを把握する
人違いのケース,加害者候補が多いケースなどがあり得る

④被害者との間で言い分に争いがある場合

被害者の言い分に基づいて呼び出しを受けたものの,被害者の主張と自分の記憶との間にズレがあり,言い分に争いのあるケースも考えられます。業務上横領事件の場合,被害者が事件の現場を目撃している可能性が非常に低く,被害者側で事件の全体像を把握することが困難であるため,主張にズレが生じやすい,という特徴が挙げられるでしょう。

言い分に争いがある場合には,それが犯罪の成立に関係する内容かどうか,という点を明確に理解することが第一歩です。犯罪の成否に影響する争点であれば,疑いに対して否認することとなりますし,犯罪の成否とは関係しない争点であれば,犯罪行為への反省と両立する形で主張する必要があるため,対応方針が大きく変わることになります。

言い分があるとしても,その位置付けを把握しないまま闇雲に主張することにメリットはあまりありません。法的な理解が必要になるため,できれば弁護士に相談等行うことをお勧めいたします。

ポイント
争点が犯罪の成立に影響する内容か,理解するのが第一歩
弁護士に相談等して正しく理解するのが望ましい

業務上横領事件の呼び出しに応じたときの注意点

①件数や金額の認識が相違している可能性

捜査機関は,被害者側の主張を念頭に捜査を行うことになります。そのため,被害者側が事件の件数や被害金額を正しく把握できていなかった場合,捜査機関も同様に件数や金額の認識を誤っている可能性がある点に注意が必要です。

この場合,まずは自分の認識している事実関係を正しく捜査機関に伝え,捜査を尽くしてもらうことが適切な対応になるでしょう。自分から裏付けとなるものが提出できれば最善ですが,それができなくても問題はありません。
もし,捜査機関から言い分の根拠がなければ信用できない,と言われても気にする必要はありません。刑事事件の場合,捜査機関側が犯罪の立証をできるか,という点のみが問題であり,呼び出された方が何かを立証する義務を負うことはないためです。

②自発的に話すべき内容の範囲

業務上横領事件の場合,被害者側が把握しておらず,加害者側にしか分からないという情報も少なくありません。そのため,呼び出しに対して自発的に話す内容をどうすべきか,判断の難しいことも多い事件類型と言えます。

この点,自発的に話す内容の範囲を決める場合には,その内容以上に供述が一貫して前後矛盾がないことを重要視することをお勧めします。なぜなら,噓偽りなく話していることは,その話が真実であること,信用できることの重要な根拠とされやすいためです。
自発的に情報提供するのであれば,心から真実を話していていると評価してもらうべきです。そのため,話を一貫したものとすることを強くお勧めします。

具体的に述べる内容については,慎重な判断が必要となるため,弁護士と十分に協議の上,専門的な判断を仰ぐのが適切でしょう。

③返済と呼び出しの関係

業務上横領事件は,被害者に経済的な損失を生じさせるものであるため,その損失を埋め合わせるための返済が重要な動きになります。ただ,返済を行ったから呼び出しがなくなる,という関係にないことは,注意しておくのが適切です。

返済は,とても大きな意味を持つ事後的な努力であることに間違いありません。返済しているのとしていないのとでは,刑事処分が大きく変わることも多く,可能な限り返済を目指すのが望ましいところです。
もっとも,返済したという事実は,最終的な刑事処分に影響するものの,捜査を行うかどうかには直接影響するわけではありません。捜査を行った上で,返済したという事実も踏まえて処分を決める,という流れが一般的であるため,注意しましょう。

業務上横領の逮捕を防ぐための自首のポイント

業務上横領事件で自首をするべき場合

①当事者間の解決が見込まれない場合

業務上横領事件では,当事者間で解決ができれば,強制的な捜査手続や重大な刑事処罰は考えにくいのが通常です。そのため,当事者間で解決できるケースでは,自首を行う実益はあまり大きくなりにくいでしょう。むしろ,被害者側が自首を望んでいない場合,当事者間の解決に悪影響を及ぼす可能性もあり得ます。

一方,当事者間で解決できる見込みがない場合,基本的に解決を目指す手段はなくなってしまい,後はいつ捜査が行われるか,待つほかなくなることも珍しくありません。いつ捜査を受けるか分からず待ち続けるのは,大きな精神的負担が避けられず,耐えられなくなってもおかしくはありません。

このように,当事者間での解決見込みがない場合に有力な手段となるのが自首です。自首を通じて自ら捜査を求める動きを取ることで,いつどのような捜査を受けるのか分からない,という不安を解消することが可能になります。また,捜査の方法そのものも緩やかになりやすいでしょう。

ポイント
当事者間で解決ができれば,自首の実益は大きくない
自首により,いつ捜査されるか分からない不安を解消できる

②事件の規模が大きい場合

自首は,逮捕の回避を大きな目的の一つとするものです。自ら捜査機関に自分の犯罪を明らかにすることで,逮捕をする必要はない,との判断を引き出すのが,自首の最初の目的と言ってよいでしょう。

この点,業務上横領事件では,事件の規模が大きければ大きいほど,捜査に際して逮捕される可能性が高まります。刑事責任が重大であることに加え,必要な証拠が多岐に渡りやすいため,逃亡や証拠隠滅を防ぐ目的で逮捕が選択されやすいのです。
そのため,事件の規模が大きい場合には,「自首しなければ逮捕されていたが,自首したことで逮捕を回避できた」という場合が増加しやすいところです。逮捕リスクが高いケースほど,自首を積極的に検討することをお勧めします。

ポイント
事件規模が大きいほど逮捕の恐れが大きい
自首が逮捕回避の大きなポイントになり得る

③日常生活への支障を防ぎたい場合

刑事事件では,捜査や処罰を受けることで日常生活に支障が生じることが強く懸念されます。逮捕されれば社会生活と引き離されてしまい,捜査されていることが周囲に知られれば不名誉な評価が避け難いでしょう。

自首を行った場合,捜査機関にとっては被疑者の捜査協力が確実に見込まれることになるため,日常生活に支障が生じやすい捜査方法を避けてくれるケースが多くなります。捜査機関からの一種の配慮と言えるでしょう。
捜査の方法について配慮してもらうことで,周囲への悪影響を防ぎたい場合には,自首が非常に有力な手段となります。

ポイント
自首した場合,捜査方法を配慮してもらえるケースが多くなる

業務上横領で自首をする場合の注意点

①自首より優先すべきことがある場合

業務上横領事件の場合,被害者側の意向や状況を知らない段階での自首は慎重に判断するのが賢明です。それは,被害者にとって自首よりも当事者間の解決の方が望ましいと考えている場合があるためです。

自首によって捜査が始まると,被害者側も捜査協力を求められることになり得ます。当然ながら,捜査協力は被害者にとって負担であるため,捜査を希望しない被害者にとっては単に負担が増すだけの結果になりかねません。しかも,捜査協力をしても金銭的な損害が回復されるわけではないため,被害者が捜査よりも当事者間での金銭的解決を望んでいる場合,自首は被害者の意向に反する可能性があります。

業務上横領事件での自首は,被害者側の意向に反していないことが分かった後に行うことが有力でしょう。

②逮捕が避けられない可能性

業務上横領事件では,加害者に知られないよう慎重に捜査を進め,嫌疑が固まった段階で突然加害者を逮捕する,という流れが取られる場合もあり得ます。これは,加害者による証拠隠滅を防ぎ,業務上横領事件の全容を解明するための手段の一つです。
予告なく突然逮捕することで,加害者側が事前の準備が全くできないため,逃亡や証拠隠滅のリスクを最小限に抑えながら捜査を進める手段として活用されています。

一方で,加害者側の目線では,事前に逮捕を避ける試みを行う余地がない,という可能性が生じることになります。自発的に自首などの手段で名乗り上げる以外には,事前に逮捕回避を図る手段がありません。

逮捕を予期させる事情を確認してから自首する,という動き方では,逮捕が避けられないケースが出てくる可能性に注意しておきましょう。

③不起訴処分が見込まれるとは限らない

自首は,不起訴処分が最も大きな目的の一つになります。不起訴処分となれば,刑事罰を受ける可能性がなくなり,前科が付かない結果となるため,刑事処分として最も有益な結果と言ってよいでしょう。
自首をした場合,深い反省の意思が明確になることから,自首は不起訴処分を実現する大きな原動力の一つです。

もっとも,自首をしたからと言って不起訴処分になるとは限らない,という点には注意が必要です。自首をすれば確かに刑事処分は軽減しやすいですが,軽減した結果不起訴にまで至るかは別の問題です。特に被害規模が大きく,元々の刑事責任が重い事件の場合,自首によって軽減してもなお刑罰は避けられない,という結論も十分にあり得ます。

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