「自己破産をすると家は必ず失うのだろうか」「住宅ローンが残っているが住み続ける方法はないのだろうか」と不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
自己破産をすると、持ち家は原則として処分の対象になります。しかし、住宅ローンの有無や不動産の価値、家族の状況などによって実際の扱いは異なります。また、個人再生や親族による買い取りなど、状況によっては自宅を維持できる可能性がある方法もあります。
一方で、自己破産を検討している段階で自宅を家族名義に変更したり、不自然な価格で売却したりすると、かえって不利益な結果を招くおそれがあります。
この記事では、自己破産をした場合に家がどうなるのか、いつまで住めるのか、家を残す方法はあるのか、家族への影響や注意点は何かについて解説します。住宅ローンがある場合とない場合の違いや、個人再生との比較も含めて説明します。
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自己破産すると家はどうなる?持ち家が処分されるケースを解説
自己破産では持ち家は原則として処分される
自己破産では、一定以上の価値がある財産は債権者への配当に充てるために処分されるのが原則です。持ち家は数百万円から数千万円の価値を有することが多いため、通常は処分対象になります。
自己破産は借金の支払義務を免除してもらう制度ですが、財産を維持したまま借金だけをなくす制度ではありません。債権者の利益とのバランスを図るため、価値のある財産は現金化され、その代金が債権者への配当に充てられます。
実際には、裁判所が選任した破産管財人が不動産の価値や権利関係を調査し、売却が必要かどうかを判断します。そして売却が必要と判断された場合には、任意売却や不動産業者への売却などの方法で換価が進められます。
そのため、借金の原因が住宅ローンであるか、カードローンであるかを問わず、持ち家に財産的価値がある場合には処分されるのが基本的な考え方です。
住宅ローンがある家は抵当権によって売却される
住宅ローンが残っている家については、自己破産の手続とは別に、金融機関が持つ抵当権の存在を考える必要があります。
抵当権とは、住宅ローンの返済ができなくなった場合に、金融機関が不動産を売却して優先的に回収を受ける権利です。自己破産を申し立てても抵当権は消滅しないため、住宅ローンの支払いが止まれば金融機関は競売や任意売却によって回収を図ることができます。
例えば、住宅ローン残高が3,000万円で自宅の価値が2,000万円しかないオーバーローンの場合でも、自宅を維持できるわけではありません。金融機関は不足分が生じることを前提に抵当権を実行するため、オーバーローンであっても自宅を失うケースが一般的です。
反対に、自宅の価値が住宅ローン残高を上回っている場合でも、住宅ローンの返済を継続できなければ売却は避けられません。住宅ローンがある場合には、不動産価値の大小よりも、返済を継続できるかどうかが大きな判断要素になります。
住宅ローンがない家も処分対象になることがある
住宅ローンを完済している場合、「借金がないのだから家は残せるのではないか」と考える方もいます。しかし、住宅ローンがないことは家を残せる理由にはなりません。
むしろ住宅ローンがない家は、不動産に残っている価値をそのまま利用できる状態です。例えば、1,500万円の価値がある自宅を所有している場合、その不動産を売却すれば債権者への配当に充てることができます。
自己破産では、債権者へ公平に配当することが重視されます。そのため、住宅ローンがない不動産は「担保が付いていないから守られる財産」ではなく、債権者への配当に利用できる財産として扱われます。
もっとも、すべての不動産が必ず売却されるわけではありません。地方の空き家や老朽化した建物など、売却してもほとんど価値が見込めない不動産については、換価が行われない場合もあります。
そのため、住宅ローンの有無だけで家が残るかどうかを判断することはできません。実際には、不動産の市場価値や換価可能性が重要な判断基準になります。
自己破産でも家を残せる?持ち家を守るための方法
自己破産では持ち家が処分されるのが原則ですが、状況によっては家を残せる可能性があります。ただし、「家の所有権を維持する方法」と「家に住み続ける方法」は異なります。
そのため、まずはどの方法が利用できるのかを検討し、そのうえで自己破産以外の債務整理も含めて方針を決めることが重要です。
家の所有権を維持できる可能性がある方法
個人再生を利用する
家を残したい場合に最も有力な方法は個人再生です。
個人再生には住宅資金特別条項(住宅ローン特則)という制度があります。住宅ローン以外の借金を大幅に減額しながら、住宅ローンは従来どおり返済を続けることで、自宅を維持できる可能性があります。
例えば、
- 住宅ローンは支払えている
- カードローンや消費者金融の返済が苦しい
- 継続的な収入がある
という場合には、自己破産より個人再生が適していることがあります。
もっとも、個人再生は誰でも利用できるわけではありません。減額後の返済を継続できる見込みがあることが前提となるため、安定した収入が必要です。
親族に買い取ってもらう
親族が資金を用意できる場合には、親族による買い取りが選択肢になることがあります。
例えば、親や兄弟姉妹が市場価格に近い金額で自宅を購入し、その後も住み続ける方法です。
もっとも、単に名義を移すだけでは認められません。自己破産直前に無償で譲渡したり、市場価格より著しく安い価格で売却したりすると、財産隠しと判断される可能性があります。
また、親族間売買は適正価格で行われたかが厳しく確認されるため、不動産査定書や売買代金の支払記録などを残しておく必要があります。
自宅に住み続けられる可能性がある方法
リースバックを利用する
リースバックとは、自宅を不動産会社などへ売却した後、その買主と賃貸借契約を締結し、引き続き同じ家に住み続ける方法です。
リースバックでは家の所有権は失います。その一方で、住み慣れた自宅に住み続けられる可能性があります。
特に、
- 子どもの転校を避けたい
- 高齢の家族がいる
- 近隣に知られずに生活を続けたい
という場合に検討されることがあります。
もっとも、すべての不動産で利用できるわけではありません。地域や不動産価値によってはリースバックに対応する事業者が見つからないこともあります。
任意売却後に賃貸として住み続ける
任意売却後に、自宅を購入した第三者や投資家との間で賃貸借契約を締結し、そのまま住み続けられるケースもあります。
競売と比較すると、任意売却は売却条件を調整しやすいため、売却後の居住継続について交渉できる余地があります。
もっとも、購入者には賃貸する義務がありません。そのため、住み続けられる保証はなく、購入者との合意が必要です。
任意売却を検討する場合には、単に高く売ることだけでなく、売却後の居住継続が可能かどうかも含めて交渉することが重要です。
自己破産以外の債務整理を検討する方法もある
家を残したい場合には、最初から自己破産ありきで考えるべきではありません。
自己破産は借金問題を解決する有力な手段ですが、持ち家を維持したいという希望とは両立しにくい制度です。
例えば、
- 返済額を見直せば支払継続が可能
- 一時的な収入減が原因
- 住宅ローン以外の債務額が比較的少ない
という場合には、任意整理や個人再生によって解決できることもあります。
そのため、家を残したい場合には、「自己破産ができるか」ではなく、「どの債務整理手続が最も希望に合うか」という視点で検討することが重要です。
自己破産後も家に住める?退去時期の目安を解説
自己破産しても直ちに退去にはならない
自己破産の申立てをしただけで、直ちに自宅から退去しなければならないわけではありません。
自己破産は借金を整理するための裁判手続であり、申立てと同時に自宅の所有権が失われるわけではありません。また、不動産を売却するためには調査や査定、売却活動などの手続が必要になるため、実際に退去が必要になるまでには一定の期間があります。
もっとも、住宅ローンの滞納が長期間続いている場合には事情が異なります。既に競売手続が進行しているケースでは、退去までに確保できる期間が短くなることがあります。
そのため、自己破産を検討している段階では、まず競売の進行状況や住宅ローンの滞納状況を確認することが重要です。
任意売却の場合
住宅ローンの返済が困難になった場合には、競売に先立って任意売却を行うことがあります。
任意売却とは、金融機関の同意を得て市場で不動産を売却する方法です。競売より高く売却できる可能性があり、退去時期を調整しやすいことが大きな特徴です。
例えば、引越先の確保や子どもの転校時期などを考慮しながら売却スケジュールを組めることがあります。また、買主の理解が得られれば、売却後も一定期間住み続けられるケースもあります。
もっとも、住宅ローン債権者や買主の意向によって左右されるため、希望どおりの時期まで住み続けられるとは限りません。
競売の場合
住宅ローンの滞納が続き、任意売却が成立しない場合には、競売によって不動産が売却されることがあります。
競売では裁判所の手続によって買受人が決まり、その後に所有権が移転します。買受人が決まった直後に退去するわけではありませんが、最終的には自宅を明け渡す必要があります。
また、任意売却と異なり、競売では退去時期の調整が難しくなります。そのため、引越し準備の期間を十分に確保できないこともあります。
買受人から明渡しを求められても応じない場合には、法的手続によって退去を求められることになります。
引越し時期の目安
引越し時期は事案によって異なりますが、実際に重要なのは自己破産の申立日ではありません。
退去時期に大きく影響するのは、住宅ローンの滞納状況や競売手続の進行状況です。
例えば、住宅ローンを数か月滞納した後に相談するケースと、滞納直後に相談するケースでは、確保できる時間が大きく異なります。
そのため、家を失う可能性がある場合には、競売開始後ではなく、住宅ローンの支払いが苦しくなった段階で相談することが重要です。
早い段階で対応できれば、任意売却や住替えの準備を進める時間を確保しやすくなり、選択できる方法も増えます。
退去までの期間はそれほど短期にはなりにくいですが、いずれにしても退去を要することが見込まれるため早めの準備が適切です。
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自己破産で家が売却されるまでの流れ
任意売却を行う場合
競売を避けたい場合には、まず任意売却が検討されます。
任意売却とは、住宅ローン債権者である金融機関の同意を得て、市場で不動産を売却する方法です。通常の不動産売却に近い形で進むため、競売より高値で売却できる可能性があるというメリットがあります。
実務上は、住宅ローンの滞納が始まった後に金融機関との協議を行い、不動産会社を通じて買主を探します。そして売買条件について金融機関の承認を得たうえで売却を進めます。
任意売却の大きな特徴は、売却条件や退去時期について一定の調整ができることです。そのため、引越し準備や新居探しの時間を確保しやすいというメリットがあります。
競売になった場合
任意売却が成立しなければ、競売へ進む可能性があります。
競売では、裁判所の管理の下で不動産が売却されます。裁判所からの通知や不動産の現況調査などを経て、入札によって買受人が決定されます。
競売手続が始まったからといって、すぐに退去しなければならないわけではありません。しかし、買受人が決定して所有権が移転すると、最終的には退去しなければなりません。
また、競売は市場価格より低い価格で売却されることが多く、退去時期の調整も困難です。そのため、住宅ローンの返済が難しくなった段階で任意売却を検討するケースが少なくありません。
破産手続との関係
自己破産を申し立てても、不動産が自動的に残るわけではありません。
自己破産を申し立てる場合でも、不動産の売却は住宅ローン債権者による競売や任意売却によって進むことがあります。
特に住宅ローンが残っている場合には、金融機関が抵当権を有しているため、自己破産よりも抵当権の処理が先に問題になります。
一方、住宅ローンが完済されている不動産や、担保権が付いていない不動産については、破産管財人が売却を行うことがあります。
そのため、自己破産をすると必ず破産管財人が自宅を売却するとは限りません。実際には、
- 住宅ローンが残っているか
- 抵当権が設定されているか
- 不動産にどの程度の価値があるか
によって売却の流れが変わります。
ただし、持ち家に価値がある限り、最終的には売却されるのが原則です。そのため、家を残したい場合には、売却手続が始まる前に個人再生など他の選択肢も含めて検討することが重要です。
自己破産と個人再生はどちらがよい?家を残したい場合の違い
家を残したい場合は個人再生が有力な選択肢になる
持ち家を残したいのであれば、自己破産よりも個人再生が適しているケースが少なくありません。
自己破産では一定以上の価値がある財産が処分されるため、持ち家も売却されるのが原則です。一方、個人再生には住宅資金特別条項(住宅ローン特則)があり、一定の条件を満たせば住宅ローンを維持しながらその他の借金を大幅に減額できます。
そのため、
- 住宅ローンは支払えている
- 安定した収入がある
- 自宅を維持したい
という場合には、個人再生が有力な選択肢になります。
もっとも、個人再生は減額後の借金を返済していく手続です。そのため、継続的な返済が難しい場合には利用できません。
自己破産と個人再生の主な違い
自己破産と個人再生は、どちらも裁判所を利用する債務整理手続ですが、目的や効果は大きく異なります。
| 項目 | 自己破産 | 個人再生 |
| 借金 | 原則として免責される | 大幅に減額される |
| 持ち家 | 原則として処分 | 残せる可能性がある |
| 住宅ローン | 維持できないことが多い | 住宅ローン特則を利用できる |
| 返済 | 原則不要 | 3〜5年の返済が必要 |
| 利用条件 | 返済不能であること | 継続収入があること |
借金をなくすことを優先するなら自己破産、家を残すことを優先するなら個人再生という違いがあります。
ただし、実際には単純に選べるわけではありません。収入状況や借金額、住宅ローン残高などによって利用できる手続が異なります。
個人再生を利用できないケースもある
家を残したいという理由だけで個人再生を選べるわけではありません。
個人再生では、減額後の借金を原則3年(最長5年)で返済する必要があります。そのため、継続的な収入がない場合や返済原資を確保できない場合には利用が難しくなります。
例えば、
- 失業中である
- 収入が極めて不安定である
- 減額後でも返済が困難である
という場合には、個人再生より自己破産が適切と判断されることがあります。
また、住宅ローン自体の支払いが継続できない場合には、住宅ローン特則を利用しても自宅を維持できません。
どちらを選ぶべきかは状況によって異なる
自己破産と個人再生のどちらが適しているかは、家を残したいという希望だけで決まるわけではありません。
例えば、
- 自宅を維持したい
- 住宅ローンは支払えている
- 安定収入がある
という場合には個人再生が有力です。
一方で、
- 住宅ローンも支払えない
- 収入が不足している
- 借金総額が大きい
という場合には、自己破産によって生活再建を図る方が現実的なケースもあります。
そのため、「自己破産と個人再生のどちらが得か」ではなく、「現在の収入や住宅ローンの状況で利用できる手続はどれか」という視点で検討することが重要です。
家族名義・共有名義の家はどうなる?家族への影響も解説
家族名義の家は原則として処分対象にならない
自己破産をする本人が所有していない家は、原則として処分対象になりません。
例えば、
- 配偶者単独名義の家
- 親名義の家
- 子ども名義の家
であれば、本人の自己破産によって直ちに売却されることはありません。
自己破産で処分されるのは、あくまで破産者本人の財産です。そのため、家族が適法に取得した不動産まで処分対象になるわけではありません。
もっとも、名義が家族であっても安心できるとは限りません。実際の資金負担や取得経緯によっては、形式上は家族名義でも本人の財産と判断されることがあります。
家族名義でも本人の財産と判断されることがある
名義だけを家族にしていても、実質的に本人の財産であれば処分対象になる可能性があります。
例えば、
- 購入資金の大部分を本人が負担している
- 住宅ローンを本人が返済している
- 家族名義に変更した直後に自己破産を申し立てている
といった事情がある場合です。
破産手続では名義だけでなく、実質的な権利関係も調査されます。そのため、「家族名義だから安全」とは限りません。
特に、自己破産を見据えて慌てて家族名義へ変更した場合には、後のH2で説明する否認権の問題も生じます。
共有名義の家はどうなる?
共有名義の場合、自己破産する本人の持分が処分対象になります。
例えば、夫婦で住宅ローンを組み、自宅を共有名義にしているケースです。
夫婦それぞれが2分の1ずつ所有している状態で夫のみが自己破産する場合、妻の持分は処分対象になりませんが、夫の持分は破産財団に組み入れられます。
もっとも、不動産は持分だけを売却することが難しいため、実務上は共有者による持分買取や、破産管財人との協議が問題になります。
そのため、共有名義の不動産については、単独名義の場合よりも早期に対応方針を検討することが重要です。
配偶者が住宅ローンを支払っている場合
配偶者が住宅ローンを負担していても、契約内容によって影響は大きく異なります。
例えば、配偶者が単独で住宅ローンを契約し、その返済も配偶者が行っている場合には、本人が自己破産しても住宅ローンへ直ちに影響しないことがあります。
一方で、
- 連帯保証人になっている
- 連帯債務者になっている
- ペアローンを利用している
場合には注意が必要です。
このようなケースでは、本人の返済義務がなくなっても、配偶者へ請求が及ぶ可能性があります。
そのため、自己破産による影響を判断する際には、住宅ローン契約の内容を確認することが不可欠です。
同居家族への影響
自己破産によって家を失う場合には、同居している家族も転居を余儀なくされることがあります。
もっとも、自己破産をしても家族の借金になるわけではありません。
また、自己破産を理由として家族の財産が没収されたり、家族の信用情報に事故情報が登録されたりすることもありません。
一方で、
- 子どもの進学
- 高齢の親の介護
- 勤務先への通勤
などの事情がある場合には、転居による負担が大きくなることがあります。
そのため、家族への影響が大きい場合には、住替えや転居時期も含めて早めに準備することが重要です。
財産隠し目的で家族名義にしてしまう行為は、刑罰の対象になる可能性もあり得るため注意しましょう。
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自己破産すると家財道具はどうなる?残せる財産と処分対象
生活に必要な家財道具は基本的に残せる
自己破産をしても、生活に必要な家財道具まで全て失うわけではありません。
自己破産では一定以上の価値がある財産は処分対象になりますが、日常生活を送るために必要な財産まで取り上げられるわけではありません。
例えば、
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- テレビ
- 電子レンジ
- ベッド
- タンス
- 衣類
などの一般的な生活用品は、通常そのまま使用し続けることができます。
そのため、一般的な生活用品はそのまま使用できることがほとんどです。
自由財産として認められるもの
生活に必要な家財道具は自由財産として残せることが一般的です。
自己破産では、法律上の自由財産については手元に残すことができます。
自由財産とは、破産手続が始まった後も破産者が自由に所有できる財産をいいます。
代表的なものとして、
- 99万円以下の現金
- 差押禁止財産
- 破産手続開始後に取得した財産
などがあります。
家財道具についても、生活に必要な範囲のものであれば差押禁止財産に該当することが多く、自由財産として扱われます。
そのため、通常の生活を維持するための家財道具は処分対象にならないことが一般的です。
高額な家財やぜいたく品は処分対象になることがある
高額なぜいたく品は処分対象になりやすい財産です。
一方で、すべての家財が残せるわけではありません。
例えば、
- 高級腕時計
- 高額な貴金属
- 美術品
- 骨董品
- 高額なブランド品
などは売却して債権者への配当に充てることが検討されます。
また、家電製品であっても非常に高額なものや市場価値が高いものについては、処分対象として扱われる可能性があります。
もっとも、一般家庭で使用されている中古の家電製品や家具については市場価値が低いことが多く、実際に処分されるケースは多くありません。
家財道具を隠したり処分したりしてはいけない
財産を隠したり名義を変えたりしてはいけません。
家財道具が処分対象になることを避けるために、勝手に隠したり譲渡したりすることは避けなければなりません。
財産隠しは自己破産手続において重大な問題になります。
例えば、
- 高級時計を知人へ預ける
- ブランド品を無償で譲る
- 売却代金を申告しない
といった行為は、破産手続で問題視される可能性があります。
場合によっては免責不許可事由に該当し、借金の免除を受けられなくなるおそれもあります。
そのため、処分対象になるかどうか分からない財産がある場合には、自分で判断せず、弁護士へ相談したうえで対応することが重要です。
日常生活に必要不可欠な家財は、引き続き使用できると考えてよいでしょう。
自己破産前にやってはいけないこと|家を守ろうとして逆効果になる行為
家族への名義変更
自己破産を検討している段階で、自宅を家族名義へ変更することは避けるべきです。
「家族名義にしておけば家を残せるのではないか」と考える方もいます。しかし、借金問題が深刻化した後に行われた名義変更は、財産を隠す目的の行為と疑われる可能性があります。
破産手続では、破産者が財産を不当に減少させた場合、否認権によって取引が取り消されることがあります。例えば、自宅を配偶者へ無償で譲渡した場合や、著しく低い価格で売却した場合には、後から取引が取り消される可能性があります。
また、名義変更の経緯によっては免責の判断にも悪影響を及ぼしかねません。
そのため、家を残したい場合であっても、自己判断で名義変更を行うべきではありません。
不当に安い価格で売却する
市場価格より著しく安い価格で自宅を売却することも危険です。
例えば、2,000万円程度の価値がある自宅を親族へ数百万円で売却した場合、実質的には財産を移転しただけと判断される可能性があります。
破産手続では、債権者へ公平に配当することが求められます。そのため、適正価格を大きく下回る売却は、債権者の利益を害する行為として問題になります。
特に親族間売買では、実際に代金が支払われたのか、価格が適正だったのかが厳しく確認されます。
家を処分する必要がある場合には、必ず適正価格で売却することが重要です。
財産隠しをする
財産隠しは自己破産手続において最も避けるべき行為の一つです。
例えば、
- 不動産の存在を申告しない
- 預貯金を隠す
- 高額な財産を知人へ預ける
- 売却代金を別口座へ移す
といった行為が該当します。
破産手続では、裁判所や破産管財人が財産状況を調査します。そのため、隠し通せると考えるべきではありません。
また、財産隠しは免責不許可事由に該当する可能性があります。借金の免除を受けるために自己破産を申し立てても、悪質なケースでは免責が認められないことがあります。
特定の債権者だけに返済する
一部の債権者だけを優先して返済することも問題になることがあります。
例えば、
- 親族からの借金だけ返済する
- 勤務先からの借入だけ返済する
- 特定の知人だけ返済する
といった行為です。
自己破産では、債権者を平等に取り扱うことが原則です。そのため、一部の債権者だけを優遇する行為は、偏頗弁済(へんぱべんさい)として問題になる可能性があります。
特に、自己破産を見据えながら特定の債権者へ返済していた場合には、後から返還を求められる可能性もあります。
家を守ろうとするあまり独断で行動すると、かえって自己破産手続に悪影響を与えることがあります。そのため、借金問題が深刻化した段階で弁護士へ相談することが重要です。
基本的に、自己破産の直前に家の対処を試みようとすることは、違法になりかねないため控えるのが望ましいでしょう。
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自己破産と家に関するよくある質問
自己破産をすると賃貸住宅にも住めなくなりますか?
いいえ、自己破産をしたからといって賃貸住宅に住めなくなるわけではありません。
持ち家は処分対象になることがありますが、賃貸住宅は大家から借りている物件です。そのため、家賃を滞納していなければ、自己破産だけを理由として退去を求められることは通常ありません。
もっとも、引越し後に新たな賃貸借契約を結ぶ場合には、保証会社の審査に影響することがあります。
自己破産をすると住宅ローンはどうなりますか?
住宅ローンも自己破産の対象となる債務です。
そのため、免責が認められれば住宅ローンの返済義務も原則としてなくなります。
もっとも、住宅ローン債権者は抵当権を有しているため、住宅ローンの返済義務がなくなったとしても、自宅を残せるわけではありません。
住宅ローンが残っている持ち家については、競売や任意売却によって処分されることが一般的です。
自己破産をすると家族に迷惑はかかりますか?
自己破産をしても、原則として家族が借金を返済する義務を負うことはありません。
また、家族の信用情報に事故情報が登録されることもありません。
もっとも、持ち家を失う場合には家族も転居を余儀なくされることがあります。また、配偶者が住宅ローンの連帯保証人や連帯債務者になっている場合には、配偶者へ請求が及ぶことがあります。
そのため、家族への影響が全くないわけではありません。
自己破産の直前に家を売却しても問題ありませんか?
自己破産前の売却自体は違法ではありません。
もっとも、適正価格で売却することが前提です。
市場価格より著しく安い価格で親族へ売却した場合や、売却代金を隠した場合には、否認権の対象になったり、免責判断に悪影響を与えたりする可能性があります。
そのため、自己破産を予定している場合には、売却前に弁護士へ相談することをおすすめします。
オーバーローンの家でも処分されますか?
オーバーローンであっても、自宅を残せるわけではありません。
住宅ローン債権者は抵当権を有しているため、不動産価値より住宅ローン残高の方が多い場合でも、競売や任意売却によって回収を図ることができます。
そのため、オーバーローンであっても持ち家を失うケースが一般的です。
一方で、オーバーローンであることは、自己破産以外の手続を選択する際の判断材料になることがあります。実際の対応は住宅ローン残高や収入状況によって異なります。
家を残したい方は自己破産前に弁護士へ相談を
自己破産では持ち家が処分されるのが原則です。
もっとも、家を残したい場合には個人再生を利用できる可能性があります。また、任意売却やリースバックなど、状況によって選択できる方法が異なることもあります。
一方で、家族への名義変更や不当に安い価格での売却などを行うと、かえって手続に悪影響を及ぼすおそれがあります。
家を残せる可能性があるかどうかは、住宅ローンの状況や収入、不動産の価値などによって変わります。
そのため、持ち家を失いたくない場合には、自己判断で対応する前に弁護士へ相談し、最適な手続を検討することが重要です。
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