公然わいせつ事件は示談で不起訴を目指す|弁護士に依頼すべき重要なポイントとは

このページでは,公然わいせつ事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,不起訴処分との関係や弁護士に依頼する場合の注意点なども紹介していますので,ご検討の参考にしてみてください。

【このページで分かること】

公然わいせつ事件における示談とは
公然わいせつ事件で示談するメリット
公然わいせつ事件で示談をする方法
公然わいせつ事件の示談金相場
公然わいせつ事件の示談内容・条項
公然わいせつ事件の示談で注意すべきこと
公然わいせつ事件の弁護士選びに関するポイント
公然わいせつ事件で不起訴処分を獲得する方法

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目次

公然わいせつ事件における示談とは

公然わいせつ罪とは,文字通り「公然とわいせつな行為」をする犯罪です。代表例としては,路上で性器を露出したり,不特定多数の人がいる場で性行為をしたりすることが挙げられます。

この公然わいせつ罪は,直接の被害者が存在しない犯罪類型と理解されています。公然わいせつ罪によって害されるのは,秩序ある社会であって,個人ではないと考えられているためです。
公然わいせつ罪が犯罪とされることで守られているのは,公然わいせつ行為が安易に起きず,性的な乱れのない社会とされています。そのため,公然わいせつ事件が起きた場合,その被害者とされるべき個人は存在しないのが通常です。

しかし,公然わいせつ行為が特定の個人に向けられている場合など,事実上は個人に対するわいせつ行為と評価されるケースでは,その目撃者との示談が非常に重要な動きになりやすい傾向にあります。この場合には,社会の秩序が乱されたことによって現実に損害を被っているのが目撃者個人のみであるため,その目撃者の意向が刑事処分の結果に大きく影響するからです。

したがって,公然わいせつ事件では,「特定の目撃者が存在する場合に,目撃者との間で行う示談」が目指すべき示談ということになるでしょう。

ポイント
公然わいせつ事件は秩序ある社会を守るもの
ただし,特定の目撃者に向けられている場合は,目撃者の意向が刑事処分に大きく影響する

公然わいせつ事件で示談するメリット

①逮捕の回避

公然わいせつ事件は,特に複数回発生している場合,逮捕の可能性が高くなるケースがあり得ます。同種の公然わいせつ事件が複数回発生している場合,今後も同様の事件が発生する可能性も高く,逮捕しなければ社会の健全な秩序が守れないと判断されるためです。
また,事件が1件であったとしても,それが特定の個人に向けられた悪質なものである場合は,その目撃者個人を保護するために逮捕される可能性が高くなります。このようなケースでは,公共の場における痴漢事件や強制わいせつ事件と類似のものと評価され,目撃者への危害を避けるための逮捕が有力となるからです。

しかしながら,公然わいせつ事件で目撃者と示談をした場合,示談後にその事件で逮捕されることは基本的になくなると考えてよいでしょう。目撃者との間で解決をしている以上,目撃者保護のために逮捕をする必要がなくなるためです。
この点,複数の事件がある場合,一人の目撃者と示談をしても他の事件で逮捕される可能性は残るとの理解も自然ではあります。もっとも,一つの公然わいせつ事件で示談を試みている以上,その後に類似の事件を起こす可能性や,目撃者に危害の及ぶ可能性は大きく低下しているため,複数の事件があっても逮捕の可能性はハッキリと下がることになるでしょう。

ポイント
複数の事件がある場合,特定の目撃者を狙った事件の場合は,逮捕の可能性が高まる
示談ができれば,その事件で逮捕される可能性はほぼなくなる

②前科の回避

公然わいせつ事件は,犯罪事実が間違いない場合,起訴されることが通常です。起訴された場合,初犯であれば罰金刑が多く見られますが,刑罰であることに変わりはないため,前科が付くことになってしまいます。
また,初犯でない場合など,処分が重くなる事情もあれば,罰金刑にとどまらず,公開の裁判がなされた上で執行猶予又は実刑といったより重い刑罰の対象となる可能性も否定はできません。

刑事罰の種類

この点,示談がなされている場合,初犯の事件であれば不起訴処分が見込まれやすいところです。不起訴処分となれば,刑罰を受けることもなくなるため,前科を防ぐことができます。
また,刑罰を防ぐことができない場合であっても,目撃者との示談はその刑罰を劇的に軽減させる効果を発揮します。いずれにしても,前科の回避を目指して示談を行うことに損はないと言えるでしょう。

ポイント
公然わいせつ事件は,犯罪事実が立証できる場合は起訴するのが通常
目撃者との示談によって,処分は劇的に軽減する

公然わいせつ事件で示談をする方法

公然わいせつ事件における示談は,わいせつ行為の目撃者との間で行うことになりますが,加害者と目撃者の間では,連絡を取り合う方法のないことが通常です。そのため,捜査機関を通じて,目撃者に示談希望の旨を伝えてもらう必要があります。
しかし,加害者本人が示談希望をしたとしても,目撃者との直接の連絡を認めてもらうことは困難です。加害者とのやり取りは目撃者との負担が大きい上,更なるトラブルの原因にもなりかねないと理解されるためです。

そのため,公然わいせつ事件で示談をするためには,弁護士に依頼し,弁護士を間に挟んで目撃者への連絡を試みることが必要となります。依頼を受けた弁護士は,捜査機関に示談希望の旨を伝え,目撃者の意思を確認してもらいます。目撃者が示談交渉を了承した場合には,弁護士に連絡先が伝えられるなどし,示談交渉が開始できる,という流れになるのが一般的です。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

公然わいせつ事件の示談金相場

公然わいせつ事件の示談金は,概ね10~50万円ほどが目安になりやすいでしょう。金額に大きな幅があるのは,一口に公然わいせつ事件といってもその内容が様々であるためです。
具体的な示談金額は,以下のように,事件の内容・悪質さによって大きく変化するのが通常です。

公然わいせつ事件の示談金目安

1.特定の個人に対して性器を見せつけた場合
30万円~50万円ほど
性的欲求を満足させるために,特定の個人に精神的苦痛を強いる行為であって,公然わいせつ事件の中でも悪質性の高いものと評価されます。

2.車内での自慰行為を通行人に目撃された場合
10~30万円ほど
目撃者に見せつけるつもりでないことは明らかであるため,悪質とまでは評価されませんが,車を停めていた場所によっては,目撃されることを期待していたと考えざるを得ない場合もあり,悪質性が高くなり得ます。

3.路上での用足し(小便)を目撃された場合
10万円ほど
通常の用足しであれば,目撃者に向けられた行為である可能性がほとんどないため,悪質性が高いとは評価されづらい傾向にあります。

公然わいせつ事件の示談内容・条項

①一般的な示談条項

【確認条項】

加害者が被害者に支払う金額を確認する条項です。

【給付条項】

加害者が支払う金銭について,支払時期や方法を定める条項です。

【清算条項】

示談に定める支払いのほか,当事者間に債権債務関係がないことを確認する条項です。示談金を支払う場合は,清算条項を確実に儲けることが重要となります。
清算条項は,示談成立後に相手から重ねて金銭請求されることを防ぐ効果があります。逆に,清算条項を設けていないと,法的には示談後にも別途金銭請求される余地が残ってしまうことになります。

【宥恕条項】

被害者が加害者を許すことを内容とする条項です。宥恕(ゆうじょ)とは,「許し」を意味します。
公然わいせつ事件で目撃者と示談を行うのは,目撃者からこの宥恕条項を獲得するためです。目撃者が宥恕の意向を示している場合には,これを理由に刑事処分を軽減させることが可能になります。

②公然わいせつ事件で特に設ける条項

【接触禁止】

加害者が目撃者に接触することを禁止する条項です。目撃者は,加害者との接触を防ぎたいと考えていることが通常であるため,公然わいせつ事件では今後の当事者間の接触を防止する内容の示談とすることが一般的でしょう。

【立入禁止】

事件現場や付近への立入を禁止する条項です。特に,加害者が目撃者の住居やその近辺で公然わいせつ行為に及んだ場合に設けられることが多くなります
典型例は,帰宅する目撃者の後をつけて,人目のない場所で性器を見せつけた,といった場合です。このようなケースでは,加害者が目撃者の生活圏を把握してしまっている可能性があるため,付近への立入を禁止することで目撃者の安全確保を約束することが有力な手段になります。

公然わいせつ事件の示談で注意すべきこと

①目撃者の特定が困難な場合

公然わいせつ罪で示談が可能になるのは,特定の目撃者がおり,その目撃者が判明している場合です。一人の目撃者に向けられた公然わいせつ事件であれば,その目撃者が警察に通報するなどしなければ捜査が開始されることはないため,捜査が開始された時点で目撃者が特定できている可能性は非常に高いと言えます。
一方,事件の内容によっては,以下のように目撃者の特定が困難な場合もあり得ます。

目撃者の特定が困難なケース

1.通報者が目撃者自身でない
目撃者自身は警察に通報しておらず,他の第三者が警察に通報したような事件では,通報者が目撃者のことを知らない限り,目撃者が特定できない可能性があります。

2.目撃者があまりに多数である
目撃者が多数であって,示談相手となるべき目撃者が特定できない場合,目撃者全員との示談ができない限りは示談が困難になる可能性があります。

3.目撃者がいるか不明である
→捜査されるに至った経緯によっては,そもそも事件の目撃者がいるのかがわからない場合もあり得ます。具体例としては,警察官が現認したケースや,防犯映像で後日確認されたケースなどがあり得るでしょう。

②目撃者と加害者の認識にズレのある場合

然わいせつ事件は,わいせつ行為が目撃者に向けられたものかどうかによって悪質性が大きく変わる傾向にあります。例えば,性器を露出した事件の場合,ただ漫然と露出をしたのか,特定の相手に見せつけることで性的欲求を満たそうとしたのかによって,その悪質さは異なるとの理解が一般的です。もちろん,特定の個人に見せつけようと露出した事件の方が悪質と理解されます。

この点,加害者としては特定の個人に向けたわけではないとしても,目撃者は自分に向けて行われたと認識している場合があります。そのようなケースだと,加害者自身の認識より,目撃者は悪質な事件だと考えている,ということになり,示談の条件や示談金にも影響を及ぼす可能性があります。

具体的な解決方法や交渉の方針は,弁護士との個別のご相談が適切ですが,示談を試みるにあたっては,目撃者が自分と同じ理解をしているわけではないという可能性を想定しておくようにしましょう。

公然わいせつ事件の不起訴処分

公然わいせつ事件で不起訴になる可能性

公然わいせつ事件は,事件の内容や事件後の対応などによって,不起訴になる可能性が十分に考えられる事件類型です。そのため,不起訴を目指す行動は,非常に重要ということができるでしょう。

この点,公然わいせつ事件の中でも不起訴の可能性が高くなりやすい事件内容としては,以下のようなものが挙げられます。

公然わいせつ事件で不起訴の可能性が高くなるケース

1.目撃できる人数が少ない事件

2.1回きりの事件

3.特定の相手を標的にしていない事件

【1.目撃できる人数が少ない事件】

公然わいせつ事件は,より多くの人が目撃できるように行われる場合の方が悪質で,違法性も重大であると評価される傾向にあります。逆に,目撃できる人数が際立って少ない行為であった場合,違法性は大きくないと理解され,不起訴の可能性が高くなりやすいでしょう。

また,誰も目撃できないような行為であった場合,公然わいせつ罪の成立に必要な「公然」性がないと判断すべきケースもあり得ます。公然性がない場合,犯罪は成立しないため,不起訴とせざるを得ないことになります。

【2.1回きりの事件】

公然わいせつ事件の場合,類似の行為が繰り返し行われやすい傾向にあります。複数回繰り返された結果,捜査機関に通報されてマークされたり,目撃者から通報されやすくなったりし,捜査に発展するという流れが多く見られるところです。

一方,1回きりの事件である場合,繰り返されるケースと比べて違法性は大きくないと評価されるのが通常です。また,繰り返し行った場合よりも再犯の可能性が低いと判断されるため,再発防止の観点でも不起訴処分の可能性が高まるでしょう。

【3.特定の相手を標的にしていない事件】

公然わいせつ事件の中には,特定の相手を標的にしたものとそうでないものがありますが,特定の相手を標的にした事件の方が,悪質で違法性の大きいものと理解されています。また,再犯によって標的となった人が精神的苦痛を受けることのないよう,刑罰を科して強く再犯防止をすべき,との理解から,起訴されやすい傾向にもあるところです。

逆に,特定の相手を標的にしていない事件の場合,悪質さが比較的小さく,特定の目撃者を保護するために刑罰を科すという必要もありません。そのため,特定の相手を標的にした場合よりも不起訴の可能性が高くなりやすいでしょう。

公然わいせつ事件で不起訴を目指す場合の注意点

①示談相手がいない可能性

公然わいせつ事件は,犯罪の成立に被害者の存在が必要ありません。そのため,示談を試みようとしても,示談相手となる人が存在しないケースがある点に注意が必要です。目撃者との示談は,起訴不起訴の判断に大きな影響を及ぼす動きですが,それができないとなると,不起訴を目指す努力に限界が生じる可能性も否定できません。

示談相手がいない場合に不起訴を目指す具体的な方法は,弁護士のような専門家でも判断が容易ではないところです。そのため,刑事事件に精通した弁護士に相談・依頼をし,適切な対応を尽くすことをお勧めします。

②示談の効果

公然わいせつ事件では,目撃者との示談が有力な弁護活動の代表格ですが,示談が成立したからといって不起訴処分に直結するわけではない,という点には十分な注意が必要です。
公然わいせつ事件で示談を試みる相手は,「目撃者」であって「被害者」ではありません。そのため,あくまで目撃者の立場にとどまる人の一存で起訴不起訴の結論を決定的に左右できるとは限らないのです。

もっとも,事後的にできる努力の中で,目撃者との示談が最も効果の大きい行動であることもまた事実です。示談以上に不起訴を近づけられる努力は存在しないことが多いでしょう。
公然わいせつ事件の示談は,不起訴を決定づけるものではないものの最重要な試みの一つ,というものと理解することをお勧めします。

③否認事件の留意事項

否認事件として,「人に見せるつもりがなかった」という趣旨の主張をすることは一定数見られます。実際,人に見せるつもりがなかったのに公然わいせつ事件の捜査を受けた場合には,そのような主張をするのが適切でしょう。

もっとも,「公然わいせつ罪が成立するために,誰かが見ている必要はない」という点には注意が必要です。現実には誰も見ていなくても,不特定多数者が認識し得る方法を取っていれば,公然わいせつ罪は成立します。誰かに見せる意図がなかった,ということと,結果的に誰も見ていなかった,ということは法的に全く異なるものです。

「誰も見ていなかった(から公然わいせつ罪でない)」という主張は否認の言い分として不適切であるため,十分に留意することをお勧めします。

弁護士へ依頼する際のポイント

公然わいせつ事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕直後

公然わいせつ事件は,逮捕されるケースも一定数存在する事件類型です。特に,特定の相手を対象とした露出行為が問題になった場合や,店舗内で行為が発覚して店舗関係者とトラブルになった場合など,関係者を保護する必要がある場合には,現行犯逮捕されるケースも見られます。

しかし,逮捕されたとしてもその場で全てが手遅れとなるわけではありません。逮捕後に適切な対応を尽くすことができれば,早期に釈放してもらうことができ,生活への影響を最小限に抑えることが可能です。公然わいせつ事件の場合,逮捕されたとしても速やかな釈放の余地は残っていることが少なくないでしょう。

この点,逮捕直後には弁護士しか被疑者と接見できないことが通常であり,釈放を目指す動きも弁護士を通じて行う必要が生じやすいところです。そのため,逮捕直後に釈放を目指すときは,弁護士選びが重要と言えるでしょう。
逮捕直後に適切な弁護士選びができれば,早期釈放の実現できる可能性が大きく高まることは間違いありません。

ポイント
公然わいせつ事件は,逮捕後に早期釈放される場合も少なくない

②呼び出しを受けたとき

公然わいせつ事件の捜査を受ける場合の流れとしては,後日に警察などから呼び出しを受けることも考えられます。これは,被疑者に対する取り調べを行うため,警察署への出頭を求める目的であることが通常です。
そのため,出頭要請を受けたときには,その後に行われるであろう取り調べの対応について事前に検討しておく必要があります。想定される質問や質問への回答方法・内容を整理し,取り調べに備えることは非常に重要でしょう。

もっとも,個別の事件に応じた出頭時の対応方法・内容を当事者自身が判断することは容易ではありません。取調べがどのような流れで行われるのか,自分がどのように対応することが望ましいのか,警察から求められたことに応じてよいのか,といった点は,刑事事件に精通した専門家以外には判断が困難でしょう。

そのため,警察などの呼び出しを受けたタイミングで,取調べに備えて弁護士を選ぶことは有力な選択肢と言えます。適切な弁護士選びができれば,出頭時の対応が万全になるほか,その後の弁護活動も充実したものになるでしょう。

ポイント
呼び出しを受けた場合,取調べされることが見込まれる
取り調べ対応を万全にするための弁護士選びが重要

③自首を試みたいとき

自首とは,罪を犯した者が,捜査機関に対してその罪を自ら申告し,自身に対する処分を求めることをいいます。犯罪事実や犯人が捜査機関に知られる前に,自分の犯罪行為を自発的に捜査機関へ申告することが必要とされます。

公然わいせつ事件では,現行犯で捜査が開始されたのでない限り,捜査機関が被疑者をすぐに特定できるケースはあまりありません。また,事件を目撃した人がいたとしても,すぐに警察へ通報などするとは限りません。
そうすると,公然わいせつ事件では自首を検討する時間的な猶予は一定程度あることが多いため,速やかな自首は有力な選択肢の一つです。

もっとも,本当に自首をすべきかどうか,自首をする場合にどのような手順・方法で行うか,という点は,当事者自身での判断が困難なポイントです。自首を試みようと考えるときには,適切な弁護士選びの上で,弁護士とともに検討・行動をするのが適切でしょう。
そのため,自首を試みたいと考えるときは,弁護士選びのタイミングということができます。

ポイント
公然わいせつ事件は,自首を行う時間的猶予のあるケースが多い

公然わいせつ事件の弁護士を選ぶ基準

①公然わいせつ事件の解決実績があるか

刑事事件は,過去の先例に沿った判断や運用をされることが一般的です。裁判所は,過去の先例と整合した取り扱いをすることで,公平を保ちながら適切に法律を運用する機関であるためです。

そうすると,先例を把握していること,過去に同種の事件を解決した実績があることは,事件の見通しを正確に持つ上で非常に重要な要素となります。弁護士が依頼者側に案内する見通しのほとんどは,過去の経験か過去の裁判例を根拠にしたものです。

特に,公然わいせつ事件の場合,ケースによって不起訴処分を目指せることも珍しくはないため,不起訴処分を目指せる見通しの有無や目指す場合の具体的方法を正確に把握することは非常に重要となります。具体的な弁護活動の経験から,それらを詳細に案内してくれる弁護士への依頼が適切でしょう。

②コミュニケーションにストレスがないか

公然わいせつ事件の場合,事件内容に応じて見込まれる処分の軽重や行うべき弁護活動が変わってくるため,弁護士としては詳細な聴取が必要となります。もっとも,事件の内容は不名誉な内容であることが一般的なので,話したくないことや話すことを躊躇してしまう点も生じやすいところです。

そのため,弁護士に安心して事件の内容を告げることができるか,弁護士とのコミュニケーションにストレスを感じないか,という点は非常に重要なポイントになります。もし,最初の段階で弁護士とのコミュニケーションに何らかの違和感がある場合,その違和感は将来的に大きなストレスや不信感につながりやすいため,注意することをお勧めします。

③弁護士からの連絡が滞らないか

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

④弁護士費用に不透明な点はないか

公然わいせつ事件の弁護士費用は,弁護活動の内容によって異なることが多く見られます。特に,目撃者との示談を行うか,身柄拘束を受けているか,といった点は,弁護活動の量に直接影響するため,弁護士費用の金額を左右しやすいでしょう。

そのため,弁護士選びに際しては,どのような場合にいくらの弁護士費用が発生するのか,契約内容に不透明な点が生じないよう十分に確認することをお勧めします。弁護士費用の発生する条件が細かく枝分かれしていて分かりづらい場合,結果として予想に反した高額の費用となる可能性も否定はできないので,弁護士費用の内容が明快であることは重要な基準とすることが有力です。

公然わいせつ事件で弁護士を選ぶ必要

①早期釈放のため

公然わいせつ事件の場合,逮捕されても早期に釈放してもらうことができるケースは決して少なくありません。そして,早期釈放が実現できるかどうかは,その後の日常生活を大きく左右する極めて重要な点と言えます。
そのため,早期釈放を目指すことは,逮捕された公然わいせつ事件において最も注力すべきポイントと言っても過言ではありません。

この点,早期釈放を目指す場合,具体的な活動は弁護士に委ねざるを得ません。接見で必要な話し合いを行ったり,ご家族と連絡を取り合ったり,捜査機関や裁判所に必要なアクションを尽くしたりと,早期釈放に向けて弁護士でしかできないことは多岐に渡ります。
公然わいせつ事件で早期釈放を目指す場合には,弁護士への依頼を早期に検討することが肝要です。

②不起訴処分のため

公然わいせつで不起訴処分を目指す方法としては,認め事件であれば目撃者との示談,否認事件であれば法的に整理された主張立証が有力です。

この点,目撃者との示談を試みる場合,弁護士を窓口にすることが不可欠です。当事者同士で直接やり取りするわけにはいかないため,弁護士に依頼することが示談の出発点となります。
また,否認事件で必要な主張立証は,法律上の要件や個別事件の争点を正確に理解して行う必要があるため,やはり弁護士へ依頼の上,弁護士から行ってもらうことが適切な内容となるでしょう。

そのため,不起訴処分を獲得するためには,弁護士を適切に選ぶことが非常に重要となります。

③適切な取り調べ対応のため

刑事事件の捜査では取調べが不可欠です。特に,被疑者への取調べは捜査の中核であって,被疑者からどのような話が引き出せるかによってその後の捜査が決定づけられる事件も少なくありません。

逆に,被疑者の立場にある場合,取調べにどのような対応を取るのが最も有益であるのかを把握していることは非常に重要です。自分が何を話すか,どのように話すかによって,その後の捜査や処分が決定づけられる可能性もあるため,取調べ対応の方法・内容は十分に検討する必要があるでしょう。

この点,個別の事件に応じてどのような取調べ対応をすべきかは,弁護士の法的な判断を仰ぐことが適切です。そのため,取調べ対応に万全を期すためには,弁護士選びが重要なポイントとなるでしょう。

④更生や治療を図るため

公然わいせつ事件は,その原因にご本人の疾患や依存症などが関係していることも一定数見られます。その場合,更生プログラムや治療を受けることで再発防止を図る動きが非常に重要となります。
また,再発防止の努力を尽くしていることは,不起訴処分を含めた処分の軽減を目指す面でも大きな影響を及ぼすことがあるため,できる限りの試みを行うことが適切でしょう。

この点,どのように更生を図るべきか,治療を通じた改善を目指すべきか,という点は,個別の事件や当事者の状況等により様々です。闇雲に通院だけをしても,あまり意味はないということになりかねません。
そのため,事件に応じた適切な更生や治療を図りたい場合には,案内やサポートに適した弁護士選びを行うことが重要と言えます。

公然わいせつ事件における弁護士選びの準備

①状況をまとめる

弁護士選びを適切に行うためには,相談相手の弁護士に事件の内容を正確に把握してもらうことが必要となります。そのため,事件の具体的内容は整理して伝えられるようまとめることが有益でしょう。

弁護士が事件の内容の一部を把握しているかいないかで,アドバイスの内容が大きく変わる場合も否定できません。弁護士に誤解が生じることを防ぐため,起きた出来事を漏れなく伝える用意をしておくとよいでしょう。

②証拠をまとめる

手元に証拠となる物がある場合,弁護士選びに際してまとめておくことが有益です。
公然わいせつ事件では,自家用車が関わっているケースのドライブレコーダー映像や,自分が録音録画したものなどがある場合,その記録内容が弁護士の判断を左右する重要な証拠である可能性もあり得ます。
そのため,弁護士への相談に際して,それらの証拠が手元にあれば,内容を確認の上で弁護士に示す準備をすることも有力でしょう。

もっとも,認め事件の場合にはそれほど慎重に証拠を確認する必要のないケースも少なくありません。証拠の重要度は事件により異なるため,個別の取り扱いについては弁護士の判断を求めるのが適切です。

③弁護士依頼の目的をまとめる

弁護士を選ぶ際,何のために,何を目指して弁護士に依頼するのか,という点を明確にしておくことが必要です。相談の目的に関して弁護士とズレが生じると,弁護士からの案内も目的から外れたものになってしまい,結果として弁護士選びが円滑にできないためです。
もちろん,弁護士側も法律相談の目的を想像することはできるため,理解が大きくズレることは多くありませんが,その目的が自分にとってどれだけ重要なものか,という詳細なニュアンスの面は,どうしても弁護士側の想像では補いきれないものです。

この点,公然わいせつ事件では,不起訴処分を目指す場合の意欲の強さが大きな分かれ目になり得るところです。公然わいせつ事件の場合,不起訴処分を獲得する確実な手段はないため,どこまで試みても不起訴となるかどうかは不明確にならざるを得ません。そのため,見通しが不透明ながらも負担を背負ってできる限りの動きを尽くすのか,ある程度にとどめるのかは,不起訴を目指す意欲の大きさに大きく影響を受けるでしょう。

弁護士選びを実のあるものにするためにも,弁護士選びの目的は明確に表現できるようにしましょう。

④予算を決める

弁護士への依頼には費用が発生しますが,弁護士費用は法律事務所によって異なり,同じ弁護士への依頼でも依頼内容によって異なります。当然ながら,弁護士への依頼内容が多いほど弁護士費用は高額になりやすく,逆もまた然りです。
また,示談を試みる場合には,弁護士費用に加えて示談金が経済的な負担となります。弁護士費用だけを支払えても,示談金が支払えないと示談はできないため,示談金の負担も事前の想定が必要です。

そのため,弁護士選びに際しては,あらかじめ予算の範囲を明確に決めておくのが有益でしょう。現在は,ホームページ上で詳細に弁護士費用を明示している法律事務所も少なくないため,ご自身なりに費用負担のイメージを持って弁護士選びを行うのも有力です。
また,現実の弁護士費用と予算との開きが小さければ,弁護士への依頼内容を一部削るなど,柔軟な依頼方法で開きを埋めることができる場合もあり得ます。個別のケースに関しては弁護士と十分に相談してみましょう。

公然わいせつ事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①弁護士ごとに弁護方針が異なる可能性

公然わいせつ事件の弁護活動は,詳細な内容や方針が弁護士により異なるケースが少なくありません。それだけ,活動内容の選択肢が多く,どのような弁護活動が結果に結びつくのか,不明確であるということでもあります。

そのため,弁護士に依頼する場合には,その弁護士から案内された弁護方針が唯一のものでない可能性を踏まえておくことをお勧めします。弁護方針の内容をしっかりと理解した上で,弁護士への依頼を判断したいところです。

②本人が動く必要

公然わいせつ事件の対応としては,示談や再発防止の試みが有力ですが,いずれも当事者本人の動きが不可欠です。示談の場合,示談の条件に拘束されるのは当事者本人であるため,本人の意思決定が必要ですし,再発防止は当然ながら当事者本人が講じなければならないためです。

そうすると,弁護活動には本人の同意や対応が不可欠であるため,弁護士選びに際しても本人抜きで行わないことを強くお勧めします。
もっとも,弁護士への依頼自体がご家族であることは特に問題ありません。ご本人も状況や方針を把握し,一緒に取り組んでいける体制を取ることができれば問題ないでしょう。

③弁護士に相談できる時間の制限

弁護士への法律相談は,30分以内,又は1時間以内といった形で時間を区切って行われるのが通常です。その時間内で,必要な情報を伝え,弁護士から案内を受け,弁護士選びの検討を行う必要があります。
もっとも,その時間は決して長くはありません。無意識に相談時間を浪費してしまうと,肝心の弁護士選びに必要な話が聞けないまま相談が終了してしまう可能性もあるでしょう。

そのため,弁護士選びに際しては,弁護士への法律相談に時間的な制限があることを踏まえ,弁護士選びの基準や聞きたいことなどを可能な限り整理して法律相談に臨むことをお勧めします。そのようなスタンスは,法律相談をより有益な内容とする結果にもつながるでしょう。

公然わいせつ事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で公然わいせつ事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

一般的な在宅事件では,34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

公然わいせつ事件の場合,10~50万円の示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(10万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:10万円

計:99万円

弁護士費用の例

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